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寒い日だった。
「ねぇ、みっちゃん?」
「……あ、あに、よ」
歯をガチガチといわせ、みつばは応える。
「寒くないの?」
先程から腕を組み、寒さを堪えるみつばにひとはは訊ねる。
「見りゃわかるでしょ!?寒いわよ!!妹ならその上着をお姉さまに貸したらどうなの?!」
「嫌だよ。寒いから」
即答だった。ムッとして表情を作り、そのままサクサクと雪の中を歩いていく。
学校の校庭は一面が銀世界。すでに子ども達は防寒着を着て、雪遊びに興じている。
その様子を、ミニスカートにトレーナー、Tシャツ一枚という軽装でみつばは見ていた。歯をガチガチと噛み鳴らして。
「おねーちゃん……」
そこへ、低学年の女の子がみつばに歩み寄ってきた。
低学年の女の子は申し訳無さそうな顔でみつばを見つめる。その体には少し大きなダウンジャケットを羽織って。
「なによ、まだ居たの?サッサと遊んできなさいよっ」
みつばは冷たくその女児をあしらう。
「でも、おねーちゃんもお外に……」
「別に、雪の日に外に出たがる程ガキじゃないわよっ!あー寒い寒い!教室に戻ってせんべいでも食べよーっと!」
その女児が言い切る前にみつばが大声で言った。女児困った顔でみつばを見ている。
仕方なく、みつばは屈み込み、その女児に優しく言い聞かせた。
「だから、思い切り遊んできなさいよ」
それだけ言うと、女児はクラスメートに呼ばれ、オズオズとその輪の中に入っていった。
「…………はぁー」
女児の後ろ姿を見送り、一人残されたみつばは、白い溜め息を吐く。
「雪合戦……」
遠くで、ふたばや千葉が雪玉を投げ合っていた。
「雪だるま……」
杉崎達いつものメンバーは、杉崎の顔をあしらった雪だるまを作って笑いあっていた。
「…………戻ろ」
言い捨てて、教室に戻ろうとしたその時。
「ほらっ、外寒いらしいぞ」
上着をかけられた。
驚いて、みつばは振り返る。
「うわっ、何で泣いてんだよ?俺、何かしたか?」
そこにいたのは、佐藤だった。
「べ、別に泣いてないし!?」
みつばは慌てて涙を拭う。
「?まぁ、いいけど。行かないのか?」
トン、トンと靴を履きそろえながら、みつばに訊ねた。
「い、行きたいけど……こ、この上着……あんた、寒くないの?」
「あぁ、まぁ寒いけど……、雪合戦とかしてたらすぐ温まるからな。長女に貸してやるよ」
にこやかに言った佐藤に、みつばは少し頬を染める。
「ば……」
「ば?」
「ばっかじゃないの!?カッコつけちゃって!!ば、ばーかばーか!」
みつばはそう言って校庭に走っていく。
「な、なんだよそれ!?」
その後を佐藤は付いていった。
みつばの口元にはいつの間にか笑顔が浮かんでいる。
「ありがと」
その呟きは誰にも聞こえない。

そんなある日の風景。