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~ (みつば視点) ~

みつば「あ~、熱い! 何でこんなに熱いのよ!」

別に誰に向けたわけでもないが、うちわで仰ぎ空を見上げて、私は言った。

ここは外である。しかも普段と違ってほんの少し太陽が近い。そして回りは緑に囲まれている。

周辺にある建物は、小さい古いロッジが20棟ほど。ここの施設のものだ。

今は林間学校二日目の昼である。


~ 昼食(みつば視点) ~

昨日は動物園見学、そのあと旅館へ行って夕飯を食べて、枕投げ。

そして、今日は課外での生活体験。所謂、遠足と林間学校が同時に行われたものだ。

矢部っち「おーい、みんな。ちゃんと協力して昼食作ってる?」

杉崎「矢部っちー、みつばがさっきからうちわで仰いでるだけで何もしてませーん」

矢部っちの問いに杉崎が勝手な答えを返す。確かに今何もしてないのは事実だ。でも少し前にジャガイモとか洗ってやった。

こういうのは皆でやるより、役割分担したほうが効率が良い。私の班は、ひとは、杉崎、松岡だ。

調理の段階に入ればひとはが指揮を取れば良い。食器とか盛り付けだけ私たちですれば良いのだ。

矢部っち「みつばちゃん。もうちょっと手伝ってあげようよ? ちょっと前に野菜洗ってたのは知ってるけど、それだけじゃやっぱりダメだよ」

ひとは「別に問題ない。むしろ手伝ってくれたほうが面倒なことになるし」

……実際その通りだろう。わかってはいても、その言い方にちょっと腹が立つ。でも……

みつば「わかった? ひとはがああ言ってるんだからこれでいいのよ」

こんなことで怒っていたら余計に熱くなる。ここは押さえてひとはの意見に賛成しておいた。

矢部っち「ひとはちゃんも、もっと班で行動してよ~」

少し前までは、杉崎と松岡は飯盒で御飯を炊いていたが、それも終わっている。

杉崎たちも正直ひとはの周りに居るだけでほとんど何も出来ていない。

そんなところを見ている間に、良い香りもしてきた。私も早く食べたいしそろそろ食器の準備でもしてやろう。

みつば「ちょっと、矢部っちー。皿ってどこにあるのよ?」

松岡「あ、私もみっちゃんと一緒に食器持ってくるよ」

矢部っちに皿の場所を聞くと松岡もこっちに来て食器の準備を手伝う。

本部――――先生たちが集まってるところ――――で矢部っちに食器をもらった私たちはひとは達の所へ戻ることにする。隣の班では何か騒いでるみたいだ。

ふたば「こんな感じじゃないっすか?」

緒方「ちょ、入れすぎ入れすぎ! そんなに入れたら食べられなくなるわよ! それより佐藤君の髪の毛を……」

宮下「……なんかすごいことになってるな。食べ物できるのか?」

吉岡「あ、あの二人、な、なんだか新婚さんみたいだね!」><

宮下「えっと……どうしたらそう見えるんだ?」

……ひとはが同じ班でよかった。あっちの班では生きていける気がしない。

松岡「三女さんと同じ班でよかったよ」

松岡も同じ感想を持っているみたいだ。

松岡「そういえば、みっちゃんって三女さんに嫌われてたりするの?」

思いがけない質問をされた。とりあえずどういう経緯でそんなことを思ったのか聞くため、質問仕返してみる。

みつば「なんでそう思うのよ?」

松岡「え、だって、さっきも三女さんみっちゃんにちょっときつい事言ってたじゃない?」

なるほど、さっきの会話でそう思ったみたいだ。

アレは本当のことを言っただけであって私が嫌いだからってわけじゃ……ないよね?

正直嫌われるようなこと沢山してるし、好かれるような姉的な行動はあまりひとはの前では出来ていない気がする。

しばらく考えたが、なんだか少し自信がない。曖昧な答えでも返しておく。

みつば「まぁ、私も良くわからないけど、そうかも知れないわね」

松岡「そーなの?」

みつば「私と違ってひとははしっかり者だからね。私みたいなの嫌いなんじゃないかしら」

自分で言っててちょっと虚しくなってくる。

松岡「じゃあさ、みっちゃんは三女さんのこと嫌いなの?」

みつば「え、私? ……そうね、嫌いでは無いけどちょっと生意気な奴だとは思うわね」

とりあえず嫌いではないと言葉を濁しておいた。

松岡「へー、三女さんってみっちゃんには生意気な態度取るんだ……」

まぁ、確かに私以外の人への態度は基本そっけない物だった気がする。

それにしても、嫌いかどうか私に質問したのに、生意気ってところに普通反応するだろうか?

言葉を濁した部分に反応されなかったのは良かったのだけど……ひとはの情報収集でもしているのかもしれない。

杉崎「ちょっとさっさと来なさいよ! もう調理終わったから皿に盛るだけよ!」

松岡「ごめーん今行く。みっちゃんも早く!」

まぁ、気になるけど、普段は元気で良い子だし、ひとはとは仲良くやって欲しい。

松岡に急かされて私も急ぐことにした。

~ 昼食(松岡視点) ~

ほとんど三女さんが作ったカレーが出来た。

矢部っち「これで全部の班できたみたいだねー。それじゃ、手を合わせて……」

『いただきまーす』

杉崎「あ、おいしいけど……ごめん御飯に芯が残ってる」

松岡「ちょっと早すぎたのかな……」

どうやらまだ完全に炊けていなかったようだ。

みつば「まったく、使えないわね!」むしゃこら

杉崎「あんたには言われたくないわよ!」

みつば「もぐもぐ……おかわりはどこよ?」

ひとは「文句は言うけど食べるのはやい……あっちにまだ残ってるよ、雌豚用に多めに作ったから」

なんだかんだで、みっちゃんのおかわり分も作っていたようだ。生意気な態度を取るのは好意の裏返しって奴なのだろうか?

もし仮にそうなら、私にも生意気な態度を取ってもらいたい。それにしてもおいしい。

松岡「本当、三女さんの作る料理おいしいよね。天才美少女霊媒師だし、ますます憧れるわ!」

あれ? なんだか無視された気がする。皆食べるのに夢中なのだろうか。

一方隣の班がまた騒がしい。

ふたば「こ、これはまた、独創的な味っす!」

緒方「あんたのせいでしょう!」

宮下「……なんとか食えるレベルでよかったな。」

吉岡「あ、あれ、夫婦喧嘩してるみたいだよね!」><

宮下「……」

杉崎「……こっちの班でよかったわ……」

杉ちゃんも私と同じ感想のようだ。

~ 昼休み(杉崎視点) ~

吉岡「だ、だめだよ杉ちゃん、起きたら絶対怒るよ~」

杉崎「いいのよ。怒れば良いわ。この顔で怒ってくれたほうがきっと面白い写真が撮れるわ!」

私は今絶賛落書き中である。もちろんみつばの顔に。

杉崎「額にはやっぱり肉よね、うふふふふふふふ」

吉岡「杉ちゃん……怖い……」

私の前で寝ているみつばが悪いのだ。

食べてすぐ寝ると牛になるって言う。この雌豚は牛にでも進化するのだろうか?

つい思いつきで額の「肉」の上に「牛」と書き足した。

吉岡「え、牛肉?」

吉岡が不思議そうに見ているけど気にしない。我ながら良い感じで仕上がった。

「贅肉」にしなかっただけありがたく思ってもらいたい。……漢字がわからないという理由もあったけど。

さて寝ている間の可愛い……じゃなくて面白い寝顔も撮っておこう。

ピロリロリン♪

みつば「ん……なに今の音?」

あ、起きた。寝起きも激写だ! ピロリロリン♪

みつば「え、ちょ、ちょっと杉崎何撮ってるのよ!」

吉岡「あ、あのね怒らないでね。冷静にねみっちゃん。……これ!」

みつば「なによ……鏡? っ!!!?」

ピロリロリン♪ピロリロリン♪ピロリロリン♪ピロリロリン♪……

連続撮影をする。これは良いのが撮れた。家に帰ったらPCに入れ替えておこう。

みつば「す、杉崎~! その携帯渡しなさい!」

杉崎「いやよ! これは私のよ! 家に帰って“痴女フォルダ124”に入れるんだから!」ピロリロリン♪

みつば「どんだけフォルダあるのよ! いいから返しなさいよ! そして撮るものやめて!」

吉岡「もう、杉ちゃんだから言ったのに……」

私は後悔などしていない。良い写真が取れて満足だ。携帯を奪われないように逃げつつ激写を続ける。

~ 昼休み(ひとは視点) ~

昼休み、昼寝していたみっちゃんに杉崎さんがちょっかい掛けていたみたいだが、いつの間にか杉崎さんの携帯を人質にしてみっちゃんが反撃していた。

遠くからそんな様子を眺めていると、松岡さんに幽霊探ししようと誘われたが、適当なことを言ってうまくあしらうことに成功した。昼間から何考えているんだか。

夕飯まであと30分くらいだろうか? それまでゆっくりしていようかと思っていたが、今度は宮下さんが話しかけてくる。

宮下「よ、三女、お前暇だろ?」

ひとは「何か用? 宮島さん」

宮下「誰だよ宮島って! 宮下だって! いい加減覚えろよな」

名前なんて覚えてる。いい加減わざと間違ってることに気が付かないのだろうか。

ひとは「それでなに?」

突っ込みが入ったのでもう一度用件を聞き直す。

宮下「いやさぁ、あっちでみんなでトランプやろうって話しててさ、だったら多いほうが楽しいだろうから三女も誘おうかと思ってさ」

余計なお世話だ。私はゆっくり昼休みを楽しみたい。宮下さんには悪いが断らせてもらおう。

ひとは「悪いけど私はいいよ。ここに居る」

ここというのは本部の先生の簡易テーブルの下だ。

宮下「遠慮するなって! ほら行こうぜ」

いきなり手を引いた。私が社交的では無いのを気遣ってやってくれるのはわかってる。だから余り邪険にも出来ない。

ただ、引っ張ったのは間違いだ。私はバランスを崩して顔面から倒れた。痛い。

宮下「あ、おい、大丈夫か三女!」

残念。大丈夫じゃない。受身を取れず思いっきり額と鼻をぶつけた。鼻血は出てるし額は腫れてくるだろう。

矢部っち「ひ、ひとはちゃん!? ちょっとまって栗山先生呼んでくるから!」

~ 夕飯(松岡視点) ~

みつば「ちょっと、どういうことよ!?」

いきなりのみっちゃんの声に私は振り向いた。ついに幽霊でも出たのだろうか?

宮下「いや、だから、私のせいで三女に怪我させちゃってさ……怪我はたいしたこと無いけど、ちょっと額打っちゃったからもう少し様子見たいって……」

そうではなかったが、三女さんが怪我したなんて……やっぱりここは強力な幽霊が居るに違いない……大丈夫かな、三女さん。

杉崎「ちょっと大丈夫なの?」

宮下「大丈夫だと思う。さっきまで話していたけど元気だったし」

みつば「そ……そう。べ、別にひとはの心配してるわけじゃないわよ! 夕食の心配してるだけなんだから!」

……みっちゃんは三女さんのことが心配らしい。でも、実際夕食については心配すべきことだ。

松岡「たしか、ハンバーグ作るって言ってたよね」

杉崎「だとすると、また飯盒で御飯炊かないとね」

みつば「それじゃ、ハンバーグの材料のほうは私が仕込んでおくから今度は芯が残らないように炊いてよね」

あれ? それじゃハンバーグの材料仕込むのって……

杉崎「ちょっとあんた一人で出来るわけ無いじゃない!」

その通り。私もみっちゃんひとりじゃ無理だと思ったので杉ちゃんに続く。

松岡「そうだよ。みっちゃんだって不器用なほうだし一人じゃ大変だよ」

みつば「悪かったわね不器用で! じゃあどちらか一人だけ飯盒に行って来なさいよ。私は飯盒の使い方なんて知らないし」

みっちゃんは昼間ジャガイモとか洗ってただけだし知らないのも無理は無い。

それじゃ私か杉ちゃんだけど……杉ちゃんとみっちゃんって何か最悪の組み合わせじゃない?

喧嘩ばかりで料理ができるのか不安すぎる。そんなことを考えていると……

杉崎「それじゃ、私が一人でうまく炊いて見せるわ。松岡そっちは頼んだわよ」

恐らく、杉ちゃんもみっちゃんと一緒だとうまくいかない気がしたのだろう。

宮下「悪いな、長女も杉崎も松岡も、私のせいで大変な目に合わせちゃったみたいでさ」

みつば「まったく、本当よ。今度学校でデザートでも渡して貰うからね」

宮下「わ、わかったよ」

私達にはないもないのだろうか? まぁいいんだけど。

みつば「でもまぁ、ひとはが居ないと何も出来ない私たちが悪いのも確かだしね」

たしかに、昼食はみっちゃんに限らず三女さんに頼りすぎていた気がするのは否定できない。

それにしても、みっちゃんがやる気だ。自分のため? いや、三女さんのためか……

みつば「さっさと、始めるわよ!」

昼食の時とはまったく違うみっちゃんが私には頼もしく見えた。

~ 夕飯(みつば視点) ~

とは、言ったものの料理なんてほとんど作ったことが無い。ハンバーグ……とりあえず材料となる物を適当に混ぜれば出来そうな気がする。

松岡「ハンバーグなら何とかなりそうだね」

……松岡の知識に期待しておこう。

松岡「まずは玉ねぎだね。私が細かく切って炒めておくよ」

みつば「えっと私は……」

矢部っち「みつばちゃんはアレだね、パン粉を牛乳を入れてふやかしておこうか」

いきなり意外な人が声をかけてきた。

みつば「あ、そ、そうね」

矢部っちは隣の班へ行ってしまった。まぁ、私達の半だけ見るわけにもいかないのだろう。

そういえば、2週間くらい前にひとはがハンバーグ作ってたっけ。

ひとはがやっていたことを作業しつつなんとか思い出す。

えっと、混ぜる時はひき肉が最後……他は確か……

少しだけどなんだか作れそうな気がしてきた。

松岡「み、みっちゃん、玉ねぎ……炒めたよ」

……何かすごい泣いてるんだけど。あ、玉ねぎのせいか。

みつば「ちょっと大丈夫なの?」

松岡「ごめん、目が痛すぎて、無理」

まさかの松岡リタイア! 期待して損した。

松岡「本当にごめん。何か助言だけでも出来たら良いんだけど、私も余り作り方とか知らなくて……」

どうやら玉ねぎを炒めることは知っていたがそれ以降は良くわからないらしい。何とかなりそうとか言ってたのに……見栄でも張ってたのだろうか?

仕方が無い、作り方は見よう見真似で何とかなるはずだ。