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~ 買物(ひとは視点) ~

寒い……

外はいつもの色をなくし、一面を銀色に飾っている。

なんとなく、そんな詩的な言葉が浮かんだ。用は雪が降り積もっているということ。

みっちゃんに半ば無理やりプリンを買いに行かされてしまった。

病み上がりだし、仕方がないといえば仕方がないけど……

近所のスーパーまでの道のりはそれほど遠くない。今日は雪で自転車は使い辛いので徒歩だけど、往復するだけなら1時間くらいだろう。

そんな事考えている間にデパートまで辿り着く。

店員「いらっしゃいませー」

店内に入ると、外と違い少し暖かかった。また、同時に銀色以外の色が沢山目に入りいつもより鮮やかに感じる。

折角買い物に来たのだから、プリン以外も買っていこう。今は夕方で、一部の商品も割引価格で売られる時間だ。

とりあえず、カゴを持ち店内を一周する。思ったより安くなっていない。時間を確認すると4時半。どうやらまだ少し早いかったようだ。

時間を潰しても良いのだが、みっちゃんが待っているし、取り急ぎ用意したいものもない。

そんな思案を巡らしたあと、嘆息を吐きながらクリームの乗ったプリンを手にする。

ひとは「……」

……やめた。手にしていたプリンを戻し、代わりに何も乗っていないプリンをカゴに入れる。

カゴを持ってきてプリン一つと言うのもアレなので、少し横に並んでいた牛乳も入れておいた。

もうすぐ無くなりそうだったので丁度良いだろう。

???「あれ? 三女さん?」

……聞き覚えのある面倒な人の声が後ろから聞こえ、私のテンションを下げる。

見つかってしまっては仕方がない。嘆息したあと覚悟を決めて振り返る。

松岡「やっぱり! 三女さんも買い物?」

ひとは「……そうだけど」

松岡さんも買い物のようだ。相手のカゴの中を見ると、沢山の食材が投げ入れられている。

ひとは「松岡さんは親から買い物でも頼まれたの?」

……本当はもっと突っ込みたいところはあるんだけど……面倒だから触れないで置く。

松岡「え、ああ、これは、墓地でキャンプするから二日分の食料を買いに来たの」

なるほど、だからそんな雪山を登りに行くような格好なのか。突っ込みを入れる必要がなくなったが……触れないで置くつもりだったのに……失敗した。

でも夏にも同じようなこと言って気がするけど……たしかその時は――

ひとは「親の反対はなかったの?」

松岡「友達の家に止まりに行くって言ったから問題ないよ」

――らしい。良いんだろうか? まぁ松岡さんなら大丈夫だとは思うけど。

突っ込みどころが多すぎて、少し話し込んでしまった。みっちゃんも待ってるし、夕飯の準備もあるしそろそろ帰らしてもらおう。

なにより松岡さんのテンションも上がり始めている。急がないと暴走しかねない。

ひとは「そろそろ、いい? 夕飯の準備とか色々あるから……」

松岡「それじゃ、時間なくなる前にデパート出ようか。ちょっとキャンプも見てもらいたいし」

あれ? 既に若干暴走してないこの人?

ひとは「ちょ、ちょっと私帰りたいんだけど……」

もう手遅れかもしれないけどちゃんと言えばわかって――

松岡「じゃあ、急ぎましょ! キャンプ地の墓地はデパート出てすぐそこだしね」

――もらえませんよね。わかってたよ。

レジを済ませてデパートの外に出ると雪は相変わらず降り続いていた。

松岡「さ、いざ、墓地へ!」

手も引っ張られているので、諦めて松岡さんの後に続くしかなかった。



松岡「さぁ! 付いたわよ! テント張るからちょっと待ってね!」

墓地に着いて早速テントを建て始めた。

本当にこんなことして良いのだろうか? 以前もここでテント張っていたことがあったけど……まぁ住職からの許可は得ていたらしい。

そんな問題じゃなく、常識的にって言う意味で大丈夫かどうかだ。

……ほら、近所のおばさんがこっち見てるよ。

松岡「ほら、テント張れたわ! 結構広いでしょ?」

早っ! 何その早業! 怖い! 何か怖いよ!

目を放した隙に出来てるとかそれこそ心霊現象だよ!

……余り置いときたくないけど、とりあえずそのことは置いておく。

思っていた以上に本格的なテントだ。大人4,5人は入れるだろう。

松岡「それでね、食べ物は暖かいもの食べたいし鍋とかも用意したんだけど、料理あんまり得意じゃないし、とりあえず茹でて見ようかなって……」

なんだか、サバイバルしてるようだ。以前は飯盒置いてあったけど、もしかして御飯だけで食べたのだろうか?

食材を見ると料理できそうなものは揃っている。……仕方が無い。

テント見たらすぐ帰ろうかと思ったけど、ちょっとした料理でも作ってあげよう……今から急いで家に帰ってもみっちゃんに文句言われるだろう。

ちょっとくらい遅くなってもなにも変わらない。今日はふたばもしんちゃんの家に行ってて遅くなるって言ってたし。

ひとは「ちょっと、待ってて、簡単な料理作ってあげるから」

松岡「え? あ、そんなつもりで言ったんじゃなかったんだけど……いいの?」

ひとは「今から帰っても、料理作って帰っても、大して変わらないから良いよ」

そう言うと松岡さんは申し訳無さそうな、それでいて嬉しそうに話した。

松岡「ご、ごめんね~」

……松岡さんは以前家に泊まりにきたときも私の料理を美味しいと言ってくれた。

私だって褒められるのが嫌いってわけじゃない。それに幽霊関連で暴走していない松岡さんはそんなに嫌いじゃない。

根は普通な子なのに……本当に残念な子だ。

材料もそれほど多くないので簡単な味付けのものを40~50分ほどで準備して作った。

何にそんな時間使ったって言われると半分は火をつけるためだったけど。

料理を始めると、松岡さんは何度も凄いとか感心したようなこと言っていたが、大したことしてない大げさだと思う。

出来上がると松岡さんは今までより大きな声で言った。

松岡「お、おいしそう……。三女さん! あなたはやっぱり完璧な人類だわ! むしろ何で人類なの!」

まぁ、褒められるのは嫌いじゃないとは言ったけど、ここまで言われるとさすがに鬱陶しい。松岡の中では人類より幽霊のが優れた存在なのだろう。

ひとは「それじゃもう帰るよ。これ以上は流石に怒られるとかじゃ済まされない気がするから」

急いで帰る準備をする。実際これ以上はみっちゃんがキレかねない。

松岡「あ、三女さん、ありがとね! ……みっちゃんなら事情話せば怒ったりしないよ。もし怒られそうなら私のせいにしておいて良いから」

……いや、実際松岡さんが全部悪いんだけどね。まぁ、今回は余り酷いことに巻き込まれずに済んでよかったかな。

松岡「じゃあね、三女さん」

そういうと私の作った料理を持ってテントの中に入っていった。

???「――こんなところにテント? 松岡かしら……」

……この声はみっちゃんと居る時に良く耳にする声。丁度テントの裏側から聞こえてくる。

同時に複数の足音がこちら側に回りこむように近づいて来るのがわかった。

???「あ、三女じゃない! 探したわよ!」

~ 心配(みつば視点) ~

ひとは「……納得いかないけど、いってきます……」

みつば「雪降ってるんだから余り遅くならないでよ!」

ひとは「じゃあ、自分で買って来たら?」

みつば「いやよ、病み上がりだし、何より寒いし!」バタンッ!(扉が閉まる音)

玄関先で軽い言い争いとなったので面倒だから扉を閉めて強制的に終了させた。

ああ、寒い! 炬燵に入らないと死ぬわ。

炬燵に入りテレビの電源をいれる。特に見たいものがあるわけでもないのだけど、ひとははパシらせ、ふたばは変態パンツのところに居るわけで……

つまりは、一人で留守番な訳だ。自業自得何だけど。ひとはと一緒に行けば良かったと思ったけど、私が動いたら買い物行ってくれそうにない。

結局は一人な訳。……べ、別にいいけどね。

みつば「何よ。この時間帯ろくな番組してないじゃない!」

番組を一通り見てみたがどれもこれも面白くない。適当な番組のところでリモコンを置いた。

みつば「ああ、炬燵気持ちーわ…」

……

……



みつば「……ん?」

……あれ? 何? 私寝てた?

えっと、どれくらい寝てたのかしら?

そんなことを思いながら時計を確認すると。時計は5時前を指していた。

なんだ、ひとははもう帰ってきてそうね。

みつば「ひとはー。私寝ちゃってたみたいー。買ってきたプリン取ってよー」

……

返事がない。

あれ? 帰ってきてないの? 居間の戸を開けてみたが、誰も居ない。

そっか、ふたばが遅いから夕飯の時間遅らせるつもりなのかも。

冷蔵庫の中からプリンを……って無いし!

文句を言うために2階に行く。その途中に玄関に私の靴しかないのが目に止まった。

……あれ? やっぱりまだ帰ってきてないの?

いったいプリン買うのにどれだけ時間がかかっているのだろう。

もう一度時計を見ると5時を指している。

たしかひとはが出かけたのが4時くらいだった……遅すぎないだろうか?

初めは別の買い物も序にしているのかと思ったが、余りに遅すぎる。

外は雪、時間的には帰宅ラッシュ。まさかとは思うが事故などにあってないだろうか……

イライラしていたのにいつの間にか心配していた。

私は部屋着にコートを羽織、デパートまでひとはを迎えに行くことにした。

途中で会ったら文句言ってやろう。そう考えていたが……

みつば「……」

私の前にはデパートがある。行き道には事故の形跡は無かったから安心していたが、まだデパートに居るなんてことありえるだろうか……

とりあえずデパートに入りレジ付近を捜す。ひとはの姿は見つからなかった。次はデパートを一周することにした。

様々な商品が夕方のタイムセールで安くなっていたので、ひとはがこれを待っていたかもしれないと期待していたのだが一向に見つからない。

???「ちょっと、みつば! あんたこんなところで何してるのよ?」

突然、後ろから鬱陶しい声が聞こえた。ひとはが一緒に居るのではないかと期待して振り向いた。

宮下「おう、長女。珍しいな買い物か?」

吉岡「こんばんはー」

居たのは、杉崎と宮下と吉岡。いつもの面子だ。

みつば「あんたらも何してるのよ?」

何でこんな時間にこの面子でデパートに来ているのか。とりあえず聞いてみた。

杉崎「特別に教えてあげるわ! 今日私の家で鍋パーティーするのよ。ひ、暇なら誘ってあげても良いのよ?」

いつもの私ならこんな美味しい話乗らないなんてことは無いだろう。でも……

みつば「残念だけど、今、忙しいからパス!」

杉崎「そ、そんな無理しなくて良いわよ。雌豚なんだし美味しいもの沢山あるわよぉ」

……鬱陶しい、無視しよう。私は杉崎に背を向け歩き出した。

宮下「おい長女、お前何かあったのか? 買い物カゴも持ってないし、今の態度もなんか変だぞ?」

宮下が声をかけてきた。今の態度が変? なんだか腹立つ言い方。

まぁ、でも、ひとはを見ている可能性だってあるし、一応言っておこう。

みつば「はぁ……ひとはが買い物から帰ってこないから様子を見に来たのよ。あんたら見てない?」

吉岡「え、三女さんが心配で探しに来たの?」

どうやら、ひとはを心配しているように聞こえたらしい。恥ずかしいので慌てて理由を言う。

みつば「ち、違うわよ! プリン頼んだのに遅いから文句良いに来たのよ!」

杉崎「自分で買いに来なさいよ、まったく。……とりあえず、私達は見てないわよ」

宮下「入れ違いになっただけじゃないのか?」

情報は得られなかったが宮下の言ったことは案外的を射ているかもしれない。

みつば「そうね……家に居るかもしれないわね。一度戻ってみるわ」

杉崎「あ、ちょっと待ちなさいよ! 私達も一緒に行くわ!」

……何で杉崎が来る必要があるのよ……

宮下「そうだな、私もちょっと三女が心配だしな……」

吉岡「宮ちゃん……やっぱり三女さんのことを……」宮下「なんでそーなるんだよ!」

みつば「……はぁ、勝手についてきなさい」

まぁ、心配してくれてるんだから断りづらいし、まぁいいか。

レジで杉崎たちの会計を済ますと外へ出る。デパートに入った時と比べると空は暗くなり、また雪は少し強くなっていた。

……皆、足遅くない? いや、私がちょっと早いのかも?

後ろで杉崎たちがなにやら話していたが、面倒なので気にしないことにした。

家に帰ってるであろう、ひとはに心配掛けたかもしれないし。

随分行きより早く家に着いた気がした。やっぱり早足気味だったかも。

そして入ってすぐ、靴を確認したのだけど――

みつば「……え、うそ。帰ってない……」

――無かった。

杉崎が何故か手に握っていた携帯を奪い、時間を確認する。

杉崎「え、あ、別に盗撮の準備してたわけじゃ――」

杉崎が何か言ってるが無視。

5時半過ぎ……ありえない。2時間近くも買い物。デパートやデパートまで通りに居ない……

みつば「や、やっぱりもう一度デパートまで見てくるわ!」

宮下「あ、おい、ちょっと待てよ! 三女に限ってなにかあるとは思えないし……もう少し待ってみないか?」

杉崎「そうね……そうしたほうが良いと私も思うけど……」

みつば「……ひとはが出かけてから2時間くらい経つのよ! なにかあったのかも知れないじゃない!」

なんだか怒り気味で言ってしまった。

吉岡「あ、あの! ふたばちゃんも居ないの? 靴無いけど……」

確かに靴は無い。まず、履く靴自体ない。……だってあの子冬でも履かないし……

みつば「……ふたばはもう少し遅くなると思うわ。靴が無いのは居ないからじゃないけどね」

吉岡「あ、そっかー。ふたばちゃん靴苦手だったよね」

それよりも、ひとはを探さないと……いつもシッカリしてるからこそこういうとき心配になる。

玄関先で私は踵を返して外へ向かう。

杉崎「ちょ、ちょっと! デパートには居なかったじゃない!」

みつば「じゃ、じゃあ適当に辺りを――」

杉崎「し、心配しすぎよ! もう少し落ち着きなさいよ!」

みつば「――っ! ……他人だからそんな事言えるのよ!!」

私はそのまま走って逃げてしまった。

……なに言ってるんだろう私。杉崎だってそんなつもりで言ったわけじゃないのに……

~ 捜索(杉崎視点) ~

……最低だ私。

みつばの気持ちになればあんな言葉掛けるべきじゃなかったことすぐにわかったのに。

私だって、龍太に何かあったと思ったら落ち着いてなんて居られない。

みつばが三女ばかり心配してるからってちょっと嫉妬してたのかもしれない。

いつもの張り合い甲斐が無くて寂しかったのかもしれない。本当、最低。

少しして沈黙が続いていたところに宮下が口を開いた。

宮下「……お、おい、どうする? 帰る……ってことないよな?」

杉崎「あ、当たり前よ! 三女を探すついでに、みつばも探すわよ!」

そう言って、家に帰るのが遅くなる連絡を携帯でママに伝えた。2人はもともと鍋パーティーに参加予定だし連絡の必要は無いだろう。

捜索に当たろうとしたところで吉岡が言う。

吉岡「家……鍵掛けておかないと無用心じゃないかな?」

……たしかにそうかも知れない。でも鍵無いし……それにその間に帰ってくる可能性も否定できない。

だったら――

杉崎「それじゃ吉岡、あとを頼んだわよ! 何かあったら私の携帯に連絡しなさい」

吉岡「えぇ~! わ、私が残るの!?」><

――とりあえず、吉岡に任せて宮下と一緒に探すことにした。

墓地前を通りかかった時、テントが見えた。

杉崎「え、なんで、こんなところにテント? 松岡かしら……」

宮下と一緒に墓地のテントまで行き、テントの表側に回る。すると意外な人物がいた。

杉崎「あ、三女じゃない! 探したわよ!」

そこには今までの騒動の原因である三女が普通にいた。

ひとは「杉ちゃん……それに宮國さん?」

少し驚いたような顔をしていつもの掛け合いを忘れない。

宮下「うわ! なにその苗字! 咄嗟に珍しいの出て来たな。一応言っておくけど宮下だからな!」

ひとは「そんな事より、探したって?」宮下「……『そんな事より』って……」

宮下が本気で落ち込んでいたが“そんな事より”先に話しておかなければいけないことがある。

杉崎「あんたがあんまり帰るのが遅いから、みつばの奴が心配して探し回ってたわよ!」

ひとは「え? みっちゃんが?」

すると今までテントの中に居たであろう松岡がひょっこり顔を出す。

松岡「あ、もしかして私のせいかな?」

宮下「ああ、全部お前のせいだ! 名前間違えられたのも、適当に片付けられたのもお前のせいだ!」

ひとは「宮久地さん人のせいよくないよ」

宮下「……また珍しい苗字を……デパートリー多すぎだろ」

この2人もまったく懲りずに……

ひとは「それより、みっちゃん、もしかして今も私のこと探してるの?」

杉崎「え、ああ……恐らく……ね」

ひとは「?」

曖昧な答えをしてしまった。そこに宮下がフォローを入れるが――

宮下「いや……さ、ちょっと杉崎と長女がさ、喧嘩しちゃってさ、杉崎が長女の奴を宥めようとしたのにあいつ酷いこ――」

杉崎「っ! ち、違うわ! あ、アレは私が無神経すぎたのよ……怒って当然……だと思う」

――喧嘩別れって言えば良いのに。とりあえず宮下には一方的にみつばが悪いように聞こえていたらしい。

ひとは「? 話が良く見えてこないけど、とりあえず家に帰ってみよう。もう帰ってるかもしれないし……」

同じようなやり取りを少し前にみつばとした気がする。吉岡からの連絡もないしきっと帰ってないだろう。



ひとは「……いないね。吉岡さんしか……」

ひとはは家に吉岡さんを見つけるとどうして家にいるのか問い詰めるように圧力を掛けている。

吉岡「え! だ、だって家誰も居なかったら、ど、泥棒さん入ってくるかもしれないんだよ!」><

ひとは「……許す」

予想通り帰ってきてない。ミイラ取りがミイラとはこのことである。

ひとは「……でも、どうしよう……」

なにやら今度はひとはが焦ってる?

杉崎「どうしたのよ、いつももっと冷静じゃない? 貴方を探しにちょっと出かけただけだし戻ってくるわよ」

そういったのだけど、表情は晴れない……さっきとは状況が違う。それこそ心配し過ぎじゃないだろうか?

でも、次の言葉でその理由がわかった。

ひとは「みっちゃん……木曜日、風邪で休んでたでしょ? 金曜は学校行ってたけどあの後すぐ家出寝込んでたし熱下がったの今日の朝だから……」

宮下「え、それ本当かよ!」

焦ってる理由がわかった。口では、敬いなさいだの何だの言うけど、自分より他人を大切にするみつばのことだ。

きっと無理してたんだと思うし、今も無理してるのかもしれない。

ガチャッ――

玄関の音! 帰って――

ふたば「あれ? 何か沢山人がいるっス!」

――来たのはふたば。そうだった、ふたばには悪いけど正直忘れてた。

ひとは「……みっちゃんを探しに行こう。杉ちゃんたちも手伝ってくれると助かるんだけど……」

ふたばだと確認が取れてから一拍置いて三女が言った。私たちの答えは決まってる。

杉崎「もちろん手伝うわよ!」

ひとは「……ありがとう」

三女が正直にお礼を言う。珍しいこともあるものだ。

ひとは「3チームに分かれようと思う。家に待機する人と捜索するチームを2組」

杉崎「捜索するのは、まずふたばとひとはで1チーム決まりでいいんじゃない? ……もう1チームは私一人でいいわ」

宮下「あ、おい。それじゃ私と吉岡の二人が家で残るのか?」

当然の疑問だと思う。けど、もしみつばに会ったとき正直に謝るなら……一人が良い。

それにその疑問を納得させる自信もあった。

杉崎「私は携帯持ってるし、また吉岡一人で留守番させるのも可愛そうだし。宮下一人じゃ――」

ひとは「部屋漁るかも知れないしね」

三女ナイスフォロー!

宮下「しねーよ!」

ひとは「決まったようだし、ふたばいくよ」

ふたば「ふえ? どこ行くっスか?」

ふたばは状況がうまく把握できてない様子だが、三女が一緒なのだ問題ないだろう。

杉崎「何かあったら連絡入れるから! あと吉岡はちゃんと宮下見張ってなさいよ!」

吉岡「わかった待ってるし、見張ってるよ!」宮下「……信用ねーのな、私」

ひとは「私たちは連絡の手段無いから30分で一度戻ってくるよ」

そういって私と三女、ふたばは家を出てみつばの捜索を開始した。