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「杉ちゃんってほんとみっちゃんのこと好きだよね~」
「なっ、好きじゃないしあんなヤツ!」
「って言われても説得力ないなあ、PCに入ってる写真を見せられたあとじゃ」
「ぐぬぬっ…」
今日は吉岡と宮下がうちに遊びに来ている。
さっき見せたみつばの最新の盗さ…いや写真を見せてからはずっとこの調子だ。
それにこの二人が言ってることは当たってるので思い切って反論できない。
いつから好きになっていたんだろう…最初はホント大嫌いだったのにいつの間にか大好きになっていた。
まさか自分が少女漫画の主人公を演ずることになるとは…
「愛の形は人それぞれだよね」
「考えて見ればお前らお似合いだと思うぞ」
「ほ、ほんと?って違う違うっ、今のナシ!取り消しっ!」
結局自分で墓穴を掘る結果となってしまった…みつばがうつったかしら?
うう…恥ずかしい、しにたい…

翌日

「今からうちに来ない?え、ああ、じゃあまたね。はあ…」
携帯を閉じながら溜息をつく
パパは仕事でいないし、ママと龍太はデパートへ買い物へ(というか私を起こせ)行ってるし
吉岡と宮下も用事があるので遊べないらしい。
じゃあ、みつばでも呼ぶ?

うん無理、二人っきりとか絶対無理

一緒にいるのが決して嫌というわけでなく(むしろいたい)緊張して間がもたないのだ
事実わたしは彼女と二人で過ごしたことはほとんどない
2秒でその回答にいたった私の判断力もなかなかのものだ

「散歩でも行こうかしら」

少しでも気分転換になると思い私は馴染みの公園へと足を向けた
はずだったのだが

「あれ、こっちだったと思ったんだけど…違ったかしら」
見事に道に迷ってしまった。
さっきから同じ道を何度も何度も行き来するという無意味なことばかりしている
いくら久しぶりとはいえこの私が道に迷うなんて…
などと考えながら歩いていたのが悪かったのだろう
思えば私はもう少し冷静になって周りを見ておくべきだったのだ
「あれ、アンタこんなとこで何してんのよ」
「別にただの散歩y…」
聞き慣れた声が後ろから聞こえてきたので振り向くと
右手に食べかけの肉まんを左手にコンビニ袋を抱えたみつばが立っていた
なによこのNAMAな展開は…
「アンタが一人なんて珍しいわね」
「べ、別にアンタには関係ないでしょ」
会いたいけど会いたくない人物に会ってしまった
さて、どうすれば
「暇ならうちに来ない?うち誰もいないから退屈なのよねえ」
「し、仕方ないわね、行ってやるわ」
断るという選択肢が浮かぶ前に先に口が動いてしまった
「はい」
「ありがと…」
みつばが出してくれたお茶をすする
うん、あまり美味しくないわね、三女のお茶に慣れてしまったからだろうか
「ふたばと三女は?」
「ふたばは変態の家、ひとはは童貞の家にチクビを見にいったわ」
「ふーん」
たまには本名で呼んであげればいいのに、とツッコミたくなったがなんとか抑える

一応会話は続くがこの雰囲気は何だろう?
短い会話が終わるたびに訪れる謎の沈黙がたまらなくむず痒い
しかし落ち着かない反面みつばと二人でお喋りできるのは純粋に嬉しいと思う
きっと私からじゃ誘ったりとか出来ないから
「ねえ杉崎」
「何?」
「アンタって中学どこ行くの?やっぱ私立?」
なんと予想外な質問だろうか
みつばからこんな質問をされるとは…
進路なんか何も考えていないように見えるがそれなりに考えているんだろうか?
「ママは私の好きな所にしなさいって言ってたわね、私立か公立かはまだ考えてないわ」
「ふーん」
「アンタはどうなの?」
「私は普通の公立かしら、私立行くお金無いし」
「そう」

ぶっちゃけみつばと同じ中学に行きたい…って言いたい衝動に駆られたが止めた
私の理性がまともに働いてくれたことに感謝する
「雪が降ってきたわね」
「ホントね」
今日はたしか一日中晴れと言っていた気がしたが…
全く当てにならないわねえ天気予報って
「そろそろお暇するわ、雪も降ってきたし」
「そうね…ってあんた傘持ってきてないでしょ?貸すわよ」
「べ、別に良いわよ、走って帰るから」
「風邪でもひかれたら私のせいになるでしょ」
「うう…」
みつばにはこういう優しさがある
姉妹にはもちろん他のヤツにたいしてもさりげない優しさを見せる(たまにだけど)
だから私は彼女に魅かれたのだろう
「あ、ありがと」
「ふん、来週あんたの家に行くからスイーツ用意して待ってなさい」
「ってそれが目的じゃないの!」
「感謝しなさいよね、私の傘を差して帰れるんだから」
「…なんかムカつく」
と憎まれ口を叩きつつも口がニヤけてしまうのが止まらない
自重しろ私
「あんた何笑ってるのよ」
「べ、別になんでもないわよ。アンタの顔が面白いだけよ」
「な、なんですって!!!!!」
いつの間にかいつもの私たちに戻っていた
「じゃあ、また」
「うん」
軽く手を振り丸井家をあとにしようとした

「す、杉崎」
「な、何?」

突然みつばに呼び止められ振り返る

「ああ、ええっと、き、気をつけて帰りなさいよ」
「あ、あんたに言われるまでもないわよ」
「ふん」
と言ってみつばは玄関へと入った
みつばの顔が少し紅くなってるように見えたけど気のせいだったろうか?
私はというと顔の2828を止めるのに必死だった
紅潮している頬に振りそそぐ雪が心地良い
「エヘヘッ」

上機嫌で私は帰り道をあとにした
大好きな人の傘と一緒に

みつば「…私も一緒に入れてって言えなかった…私のバカ…」
ひとは「とんでもないヘタレだよ」

END