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~ 帰宅(杉崎視点) ~

みつば『っ! いいわよ別に! 切るわよ!』

杉崎「あ、ちょっと!」<ガチャ!>

あ、切られた。

せっかく松岡が見つけてくれたと思ったら、急に走ってどっかに行って……。
結局家にいるってどういうことよ?
探してた私たちが馬鹿みたいじゃない!

ひとは「みっちゃんなにか言ってた?」

隣で私の台詞から電話の内容を聞いていた三女が話しかけてくる。

杉崎「そうね、気分が悪くなったから帰ってるって、それをあんたに伝えておいてって」

ひとは「……そう」

三女は何だか納得の行っていないような複雑な表情を見せてから続ける。

ひとは「杉ちゃんちょっと携帯借りていい?」

杉崎「え?」

……みつばの写真消されないわよね? 
そんな、無駄な心配をした為か表情に出てしまったらしく、三女はさらに続けて言った。

ひとは「お父さんに電話するためだから……別に杉ちゃんのコレクションをどうこうするわけじゃないよ」

杉崎「え、あ、うん」

渡すと少し離れてから携帯を耳に当てていた。

吉岡「どう? みっちゃん見つかった?」

宮下「こっちは駄目だったよ」

私と三女とは別でみつばを探していた吉岡と宮下が集合場所にしていたみくじ掛のところに戻ってくる。

杉崎「えっと、そのことなんだけど――」

私はさっきのやり取り聞いていなかった二人にみつばが家にいることを説明した。

宮下「んだよ、長女の奴。松岡と会った時にそういえばよかったんじゃねーの?」

ご尤もだ。ちなみに松岡はまだ一人で探しに行っているみたいだ。

ひとは「杉ちゃん、携帯助かったよ」

いつの間にか電話を終えたのか背後から三女が声を掛ける。

杉崎「いいわよ別に」

ひとは「私、一応帰って様子みてくるよ。迷子の間にそれなりに回り終わったし……」

杉崎「そう? それじゃみつばに文句言っておいてよね」

ひとは「わかったよ、それじゃ」

そういうと足早に出口の方へ向かっていった。

松岡「みんなー、みっちゃん見つかった?」

ああ、説明面倒くさい。そんなことを思っていると松岡が続けて喋りだす。

松岡「見つかってないみたいね……どうやらこれは霊の仕業のようね!」

宮下は引きつった顔をし、吉岡は苦笑い、私はと言うと下を向いて嘆息する。

全部みつばが悪い。

~ 寝言(ひとは視点) ~

ひとは「……寝てるし」

私は杉ちゃんと別れた後、家に戻ってすぐ私たちの部屋に入った。
気分が悪くなったって言ってたけど、なんだか引っかかるところがあって……。
でも、せっかくお父さんより早く帰ってきて問いただそうと思ったのに寝ちゃってるし。

このままじゃ本当にに気分悪いのか判断できないので、とりあえずみっちゃんの額に手を当ててみる。
……んー、熱はなさそうだね。
それに、別に苦しんでるみたいじゃないし。

…………。

何となく顔を眺めて気が付いたけど、あまり気持ちよさそうな顔をして寝てるわけじゃない。

みつば「……めんね……ひとは……」

っ!

起きたのかと思って驚いたがどうやら寝言のようだ……驚いた?
べ、別にやましい事考えてた訳じゃあるまいし、なんで驚いてるんだか……。

それにしても、寝言で食べ物じゃなくて私の名前が出てくるって珍しい。
どんな夢見てるのだろう?

みつば「……ごめん…………私のせいで……」

……謝ってるようだ。私に? 夢の中で私を死なせてしまったのだろうか?
勝手に殺さないで欲しい……心の中でそんな悪態をつきながらみっちゃんの顔を見ていると――

ひとは「え?」

――目元が濡れていて……泣いてるようだった。

ひとは「……なんで、泣いてるの?」

別に声に出して言うつもりじゃなかった。でも、声に出したためか寝言が返事をくれた。

みつば「……迷惑、かけて…………ひとはに嫌われちゃうから……」

“まったく迷惑な雌豚だよ”

ひとは「あ……」

みくじ掛の裏で杉ちゃんたちと話していたことを思い出す。
もしかして、あれを聞いて……。

“行動ひとつひとつに注意すること、相手を傷つける可能性があります”

同時にお御籤の内容も思い出す。

あの言葉で傷ついたの? いつもならそんなことじゃ凹みすらしないのに?
みっちゃんだって分かってるはずだ。だから私や杉ちゃんの言葉なんて気にも留めていない。
なのにどうして?

イライラする……いや、モヤモヤする?
自分の今の感情がよく分からないが納得がいかない。

寝言じゃ埒が明かない。若干混乱した頭のまま、みっちゃんに直接聞くために体を揺する。

みつば「……ん、なに……ひとは?」

寝ぼけた声を出す。

ひとは「みっちゃん、今、どんな夢見てたの?」

疑問に思っていることが自然と口からあふれるが少しずれた質問になってしまう。

みつば「え、どんなって……え? ひ、ひとは!?」

どうやら目が覚めてきたらしく今の状況に戸惑ってるようだ。

ひとは「いいから、答えて!」

肩を掴みながら私は質問をやめない。

みつば「え……別に何だって――」ひとは「寝言で……私に謝ってたよ」

そういうと、ベットに座った体勢のまま目を逸らして黙り込む。
だんだん私も正気に戻ってきていたが、今更引き下がれない。
肩を掴んだままでいると観念したのか言い難そうに口を開く。

みつば「わ、私が、あんたに迷惑掛けて……それで…………」

目は逸らしたまま細め、悔しそうでそれでいて悲しそうな顔して続ける。

みつば「それで……あんたが怒って…………私を嫌いって……」

そこまで口にしてまた黙ってしまう。

ひとは「……今日のことの夢だったの?」

私がそう口にするとみっちゃんは軽く頷いた。そしてそのまま口を開く。

みつば「ごめん……迷惑掛けて巻き込んで……」

ひとは「……私が言ったこと気にしてた?」

頷きもせず、黙り込む。私は肯定だと勝手に判断する。
肩を掴んでいた手を離す。

……やっぱり、傷つけてた。

ひとは「私も……ごめん」

みつば「べ、別にあんたは悪くないじゃない!」

そういいながら今度はみっちゃんは私の肩を掴む。

みつば「私が勝手な行動とってそれで迷子になって……」

ひとは「でも、私の言ったことで、傷つけてた」

みつば「……違うわ、私が勝手に落ち込んで、それで勝手に不安になって……」

……勝手に落ち込んで? 勝手に不安になって? 随分みっちゃんらしくない。
よく分からないが、色々あってそれでマイナス思考になってこんなにも……。

だったら、みっちゃんだって悪くないはずだ。なのに……。

みつば「だから! あんたは全然悪くないわ!」

なのに……こんなにも優しい。

みっちゃんが一番辛いから、だから家まで逃げてきたのに、それなのに……こんなに必死に私を庇ってくれている。

みつば「……あ、なんか……ごめん」

私の肩を掴んでいた手を離す。

ひとは「ねぇ、みっちゃん?」

みつば「な、なによ……」

ひとは「私はみっちゃんのこと嫌いになんてならないよ」

みつば「……へ?」

…………。

つい何だか恥ずかしい台詞を言ってしまった気がする。顔が赤くなってるのが自分でも分かるくらい熱い。
恥ずかしすぎるので目を逸らす。

みつば「ひ、ひとは?」

……目を逸らしてるのに覗き込んでくる……空気読んで欲しい。

私はこれ以上この場にいれなくなって立ち上がり、部屋から出るため扉を開ける。

みつば「え、ちょっと、さっきのどういう意味よ!」

部屋の外に出るときみっちゃんから声をかけられる。

どういう意味って……。

ひとは「そのまんまの意味だよ!」<バタン!>

そういって思いっきり扉を閉めてやった。

下へ降りて炬燵に入る。
そして、頭を抱えて後悔した。……なんであんな台詞……。

でも、コレで元気出してくれるかな? 夢で私に嫌われて泣いてたくらいだし。

…………。

……よくよく考えると泣いてくれたってすごい嬉しいんだけど……。
後悔してるはずなのに、何だか顔がニヤけてしまう。

玄関の外の方から足音が聞こえる。
お父さんとふたばだろう。

そういえば、初詣の帰りに外食にする予定だったんだ。
みっちゃんが気分悪くて家に帰ってるってお父さんに言ったら、外食はやめにするっていっていた。
時計を見るともうすぐ12時。料理は私の仕事だ。

気が紛れて丁度いいだろう。それに昼食になればみっちゃんも降りてくるし、みんな一緒だし普通に話せる気もした。

ああ、あと、杉ちゃんからの伝言も伝えていない。

さっきまで後悔してたはずのなのに、なぜだか先のことが楽しみになる。
早く美味しい料理を作って昼食にしよう。

おわり