「ひとはちゃん……」
先生は、私の胸を舌でなぞる。
年齢の割に控え目な私の胸なぞ、舐めても嫌だろうに。
「んっ、はぁ……!?」
ビクン、と身体が跳ねる。
身をよじり、お尻の方から湧き上がってくるこそばゆさに必死に耐えていた。
「大丈夫?ひとはちゃん?」
心配そうに先生が聞いてくる。
「人の心配している暇があったら、自分の心配でもしててください、この童貞が」
「なっ!?ひ、ひどいよっ!!ひとはちゃん!!」
先生は涙目で私に言った。
しばらく反省するといい。
……先生と再開して二週間が過ぎた。
高校卒業……。つまり、結婚してもいい時期になるまで先生に会わずにいた私は、卒業した日。晴れて先生に会いに行った。まさか、家が変わっていないとは思わなかったが……。
しかも、その直前で、街で先生に声をかけられるというハプニングもあったけど、昔のノリで無視して何とか事なきを得た。
……今思うと無視はちょっとやりすぎたかな?と思う。だけど、先生にはちょうど良かったのかもしれない。
そんなわけで私は、大学には進学せず、先生との同棲生活を送っていた。……と、言えば聞こえはいいが、いわばヒモである。
「じゃあ、い、入れるよ?ひとはちゃん」
「さっさとしてください」
そして、今日やっと、先生が私に手を出してきたのである。
私は矢部先生のベッドの上で仰向けに寝転がっていた。もちろん裸だ。
ぐいっ、と足を持って、先生は私の足を開いた。
「ちょ……」
……正直、思っていたよりも恥ずかしい。
先生は私のアソコをまじまじと観察して一言。
「あれ?女の人って……生えてないんだね」
と言った。
イラ。
私は先生のちんPを持って捻る。
「いだだだだだっ!?いたいいたいいたいっ!!」
「バカなこと言ってないで、さっさとしてください。これから生えるんです。発展途上なだけです。死んでください」
ふん。人が気にしている事を。
「な、なんか最後の言葉、関係なくない?」
「……いい加減、寒いので服着ていいですか?」
「あわわ、わ、わかったよ。……それじゃ、い、いくよ」
ぬる。
固いモノが、私の中に入ってくる。
「うわ……なんか不思議な感触……」
「……っ」
さらに奥へ侵入していく。
「まだ入ってく……」
「……っぁ」
痛みが走る。
「なんか、凄い抵抗感があるんだけ……っ!!」
そこで先生は今気づいたような顔をする。
「ま、まさか……初めて?」
「し、死んでくださいっ……!!」
私は叫んだ。全く、人がこの年まで貞操を守り抜いたのは誰の為だと……。
「い、いいの?」
「この期に及んでそれを聞きますか……」
どんだけ童貞の精神を持っているんだろう、この優柔不断男は……。
「そ、そうだね……うん。さ、さとし、行きまーす!!」
「え?やっ、ちょっと先生、ゆっくりっ……」
メリッ……。
「あぐぅ……!!?」
まさに、身を裂く様な激痛が走る。一気に身を強張らせた。
涙が一滴、頬を伝う。
「わっ!?だ、だいじょうぶだった?ひとはちゃん?」
能天気な声が聞こえてきた。
この男は……。
私は弱弱しく、先生のお腹にパンチをした。
「ひ、ひとはちゃん?」
「……っこの恨みは、一生、忘れませんっ」
「えぇぇぇえぇぇ!?ぼ、僕、そんなに悪いことした?」
ぎゅうっ、と先生の腕を掴む。
「はぁっ……さ、さっさと動いて終わらせてくださいっ……せ、生殖行為なんて痛いだけで無意味だし、不必要なだけなんですからっ」
「あ、その口癖変わってないよね」
そう言ってクスッと笑う先生を、私は睨みつけた。
「さ、さっさと終わらせます……」
先生は深くまで入ったそれを引き抜く。
「ぅあっ……」
固いモノが中で動いていく感覚がした。
全部引き抜き終わったかと思った時、またそれを戻していく。
「ちょ、またはいっ……!」
這うように私の中へと再び侵入していく。
「気持ちよすぎるよっ、ひとはちゃんの……」
最初はゆっくりそれを繰り返していたが。
「んーっ、あっ!?っはぁ……ん……んんっ……やっ、そこ……」
少しづつ、動きを速めていく。
「んっ、……んっ、……んあっ?!はぁ、……やっ、だんだん……痛く……ひゃぅっ!」
奥の……行き止まりの様な所に当たっている。
「ふぁっ、せんせっ!そ、そこっ、だめですっ!」
「え?ここ?」
コツッコツッ、と当ててみせた。
「ひゃあ!?だ、だから、そこは……くぅ!?」
びく、びくっ……!
急に気持ちよさが頂点に達したかと思うと、身体が浮く様な快楽がせり上がってきた。
指先までピンと伸びしたあと、全身の力が抜けていくようなダルさが襲ってくる。
「ど、どうしたの?ひとはちゃん?」
感覚が研ぎ澄まされているのか今、アソコを動かされるとどうなってしまうか……。
「うごかないで」と言いたいが、頭がうまく働かない。
「つ、つづけるよ?」
矢部先生の声が聞こえてくる。
ま、待って。
そう言う前に先生は再び腰を動かした。
「くっ!!!」
「んんっ!!?」
ドクンッ!
中で一瞬膨らみ、温かいモノがじわじわと広がっていった。
「あっ……やぁ……」
布団のシーツを掴んで、その快楽に悶える。
ふわり、と汗のにおいに混じって生臭いにおいが漂ってきた。
「くっ……」、
ドク、ドク……。
ま、まだ出てる……。
先生はその余韻を楽しむように、入れたままだった。
「……変態」
「うっ」と先生は呟く。
「否定できないのが悔しいよ」
「早漏」
「えぇぇ!?そ、そんなに早くなかったでしょ?!」
先生は焦っている様子で反論する。
「はぁ。これで、先生の事、もう童貞って言えないんですね」
「まぁね!!えへんっ!」
「でも、元生徒で童貞を卒業した変態ではありますがね」
「……」
先生は何も言わなかった……と言うより、何も言えなかったんだろう。
やっと先生は満足したのか、やっとアソコから引き抜き、やっと私は解放される。……大事なことなので三回付けた。
「でも……」
先生が口を開く。そして、いきなり私の頭に手を置いて、撫でてきた。
「ありがとう。ひとはちゃん」
「…………………………」
……………………。
「ん?どうし」
「先生――」
「え?」
「バカすぎです」
私は振り返って、ティッシュ箱を取る。
「ひ、ひどいよっ!」
「くだらないこと言ってないで買い物行きますよ」
「あ、うん。そうだね」
それから、服を取った。
「今日はウチで食べましょうか」
何気なく、私は呟く。
「え?」
「しんちゃんも来ますよ」
「え?いや、あの……おじさんは?」
「もちろんいますよ?是非連れてくるように、と怒鳴ってました」
「……」
それを聞いた先生は青ざめていた。
春のうららかな昼下がり――。
私と先生は、慣れた道を歩いて行く。
いつまでも、いつまでも――。
―fin―
最終更新:2011年04月04日 23:59