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「仲良いな…二人とも…」

学校の休み時間、頬杖をつきながら目の前の光景に素直な感想を漏らす
私の三女さんと宮ちゃんがなにやら楽しそうにお喋りをしていた

…なんか面白くない

「宮永さんはホント空気読めないよね」
「ハハハッ三女も言うようになったな、それと私は宮下だ」
「知ってるよ宮本さん」
「だから違うって!!」

(実際は楽しくなかった)

霊能力が三女さんに無いことはとっくの昔に気付いていた
ではなぜ私はこれほど彼女に固執するのだろうか?
美少女霊能力者と言って(一方的に)近づいていくのはなぜだろうか?
その答えがやっと出た

私は三女さんのことが…

「さっちゃんどうしたの?元気ないよ」
「霊にでも憑かれたとか?」
「ゆきちゃん、杉ちゃん…」

幼馴染の二人が私の机にかけよってきた
と言っても本当のことを言うわけにはいかない、何か適当な理由を…

「ああ、朝食抜いてきたの。それで…」
「なにアンタ、ダイエットでもしてんの?みつばじゃあるまいし」
「だとしても朝食抜くのは体に良くないよ~」
「うん、明日からは気をつけるよ」

ここでタイミングよく始業の鐘が鳴ってくれたのでこれ以上の追求をうけることはなかった
三女さんが私の方を見た気がしたけど気のせいだったと思う

放課後

今日こそ三女さんと一緒に帰ろう!もちろん二人っきりでね♪
お願い私の守護霊さん、私に力を!

私は意を決して三女さんに近づく

「三女さん、一緒にかえ」
「…?」
「さっさと帰るわよひとは」
「小生も眠いから早く帰りたいっす~ふぁあ」
「…わかったよ」

自分のタイミングの悪さにビックリ…
これじゃ三女さんと二人で帰れないじゃない…
守護霊の役立たずー

結局今日も玉砕か…

「もうこんな時間か…」

にしても自分はこういうことに関しては不得手なんだなと改めて思う
ゆきちゃんに相談でもしてみようか?

……

冷静に考えてみるとやっぱ駄目だね

「ってもうこんな時間」

しばらくぼ~っとしてたのに気付いて足早に廊下へと向かう
教室を出ると予想外の人物が待っていた

「さ、三女さん、帰ったはずじゃ」
「何か私に言うことでもあるのかなと思って、二人は先に帰ったよ」
「そ、そう」

三女さんちゃんと聞いててくれたんだ…さすが私の三女さん!

「じゃあ帰ろう」
「うん」

私達は教室をあとにした

「三女さんと二人で帰るのって久しぶりだね」(7卵生以来)
「そうだね」
「ハハハ…」
「……」

なんだろうこの重苦しい雰囲気は
そういえば松岡さんとあまり霊以外の会話をしたことがなかった気がする
彼女と話す時は常にボケ(松岡さん)とツッコミ(私)ということを意識しているので無理も無いかもしれない

ここで思い出したことを聞いてみるとしよう

「そういば松岡さんって今日具合悪い?」
「え?」
「いやなんか休み時間具合悪そうにしてたから」
「ありがとう、もう大丈夫だから」
「そう」

松岡さんは少し照れ気味に礼を言った

不覚にも私は可愛いと思ってしまった

「それと松岡さん、さっき私に何言おうとしてたの?」
「え、えっとそれは、あの…」

気になったので聞いてみたのだが、なんだろうこの反応は、こっちまで恥ずかしくなってくる

「さ、三女さんと一緒に帰りたかったから…それで…」
「そ、そうなんだ」(棒読み)

ヤバイ

顔が急速に真っ赤になりかけている

私は嬉しさと恥ずかしさが絶妙にブレンドされた気持ちで会話を続けた
それから10分ほど松岡さんと雑談をした
霊以外の話でこんなに話しているのは初めてかもしれない

そしてもうひとつ私は疑問に感じたことを聞いてみる


「なんで最近霊の話しないの?」
「そ、それは…」

ここ数日彼女は私に霊の話をまったくしてないのだ
なのでかなり気にはしていた
ここで会話がしばらく途切れた…が彼女はポツリポツリと語りだした

「ええっと、三女さんと、その…純粋に仲良くなりたくて、だからその…」
「え、ああ、そうなんだ」(また棒読み)

上ずった声でなんとか返答する
もっと気の利いた切り替えしが出来れば良いんだけど、生憎私のコミュ力は赤点ギリギリといった数字だ
こういう時だけみっちゃんが羨ましい…

「なんかゴメンね、変なこと言って」
「べ、別に変じゃないよ。それに…」
「?」
「う、嬉しかったから、その…」

うう、今なら顔で目玉焼きが焼ける気がした
でも嬉しいって感じたのは本当だ、私なんかと仲良くなりたいっていってくれたのは
彼女が始めてだ(宮なんとかさんなんて知らない)

「ほんと!!じゃあ一つお願いしてもいいかな」
「何?」

彼女は喜々とした様子でこう言った

「し、下の名前で呼んでも良い…かな?」
「な、名前で?」

これはなんと予想外な質問だろう、私は基本クラスの人には三女と呼ばれている
先生と家族を除けば私のことを名前で呼んでいる人はいない

「い、良いよ」
「ほんと?ありがとう、ひ、ひと、ひと…ひとはちゃん…」
「……っ」

ここからは互いの顔を見ないように下を向いて道を進んだ
かなり長い沈黙が続いたが重苦しいものではなかった

私もいつか松岡さんを名前で呼べたらいいな


END