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「みんな席についてー、これから来月にやる文化祭の劇を決めるよー」
「そーだな、早く帰りたいし席につこうぜ」
ガヤガヤ
「みんな、どんな劇がいいかな?」
「どうせこういうのは決まらないのが普通なんだから、ありきたりにシンデレラとかでいいんじゃない

の」
「早く帰りてーし、なんでもいーぜ」
「みんなもっと真面目に決めてよー」
「んじゃ、シンデレラで」
「もー、しょうがないなぁ。それじゃ次は配役決めるよー。まずは主役のシンデレラからだね」
「あたしは三女がいいと思うなっ☆」
「ちょっ」
「三女だって日の当たるところにいってみたいはずなんだ…」
「「う、ウザっ!」」
「でもそうね、三女もたまにはそういうところに立ってみるのもいいんじゃない」
(魔女のほうが合ってると思うけど、面白そうだから黙っとこ)
「いや、ちょ」
「他になりたい人いないかな?…それじゃひとはちゃんに決まりだね。
じゃー、次の配役はー…


――――――――――――

――――――――――――
「で、ひとはちゃん。なんで僕の家にいるの?」
「衣装を縫うためです」
「自宅でいいんじゃ…」
「以前にガチレンTシャツを破られたり、ベルトを壊されたりした前科があるので嫌です」
「あぁそう…。でも、衣装作りと台詞暗記の並行なんて大変じゃない?」
「?台詞ならもう覚えましたけど…」
「早っ!」
「ただ、劇としては成立しないと思います」
「どういうこと?」
「普段から掃除洗濯料理してますから、それでとやかく言われるというのがピンとこないんです」
「うーん、そっか。僕も何とか協力したいけど…」
「じゃあ実際にやってみますから、こんなのではダメだ!と怒ってみてください」
「あ、うん。分かったよ…え、エプロン?」
「家事をやる上での必需品ですよ」
(何で持ってるのか聞きたかったんだけど…)
「じゃあ掃除から始めます」
ガサゴソガサゴソ
「ちょっと待ってひとはちゃん!何してるの!」
「掃除ですけど?ちょっとそこも片付けるので避けてください」
「ちょ、ちょっと…」
テキパキ
「前から思っていたんですけど、先生はもう少し片付けるべきです」
「はい…」
「この趣味の悪いエロ本もどうにかしてください。それも巨乳モノばかり…ホントに趣味が悪いです」
「もー!僕が好きなんだからいいでしょ!」
「それじゃ掃除機かけますね」
「片付け早!」
「慣れてますから」
ゴー
「私は無いのに…」
「えっ?」
「なんでもありません」


―――――――――――――

「掃除機かけ終わりましたよ」
「うわー、すごいね。見違える部屋になったよ!」
むふぅ。
「先生、それだと役作りの意味が…」
「あっ!そうだったね。ごめんね、ひとはちゃん。でもひとはちゃんすごいからけなすの難しいなぁ」
むふぅ。
「…それじゃ仕方ないので、別のことをします」
「別のこと?」
「料理です。台所使いますよ」
「あ、うん」
バタン
「見事に何もない…」
「面目ない…」
「これだと何も作れないので、買い物に行かないと」


――――――――――――――
「先生、今日のご飯は何がいいですか?」
「えっ、急に言われると思いつかないなぁ」
「何でもいいですよ」
「うーん、それじゃカレーとか?」
「そんなのでいいんですか?」
「野菜とか使い切って、その後も問題なく食べれるし便利じゃない?」
「あんまり期待されてない感じが…」
「そんなことないよ!」
「冗談です。楽しみにしていてください」

<周りのお客さん>
ヒソヒソ
(先生って言ってたわよね?)
(どう見てもバカップルのそれなんだけど…)


――――――――――――――

「それじゃ作りますね。待っていてください」
「うん、じゃあよろしくね」
「んっ、んんっ、んん」
(鼻歌…なのかな…)


―――――――――――――― 
「お待たせしました」
「途中からいい匂いがしてきたから、すごくお腹減ったよ」
「でしょうね。はい、それじゃどうぞ」
「いただきます」
パク
「おいしい!すごくおいしいよ!」
むふぅ。
「先生、また…」
「あっ!ほんとにごめんね、こんなにしてもらったのに…」
「別にいいですよ」
「ていうか、そういう罵る役って僕よりみつばちゃんのほうが適任なんじゃ…」
「そ、そうですね…」
「ひとはちゃん?」
「そ、それよりはい、お水です」
「ひとはちゃん、わざわざお水まで…。ありがとう」
(し、新婚さんゴッコ)


――――――――――――――
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
「ひとはちゃん、ほんとにおいしかったよ」
「いえ…。役作りはできませんでしたけどね。協力するって言っておいて…」
「申し開きのしようがありません…」
「あ、じゃあ代わりの案がありますよ」
「え、何々?」
「王子様に迎えられるようなお姫様的な役割というのもよくわからないんです。
ここは一つ、お姫様の気持ちを知りたいので…」
「知りたいので?」
「お、お姫様抱っこを…」
「えっ、ええっ!?」
「協力するって言ったじゃないですか…」
「分かったよ!するよする!」
ヒョイ
むふぅむふぅ
「こ、これでいいの?」
「まだよく分かりませんので、しばらくこうしていてください」
「ええ!?」
「今日の成果ゼロ…」
「うぅ、分かったよ。まぁひとはちゃんは軽いし、しばらく平気だけどさ…」
(むふぅ。シンデレラになったのは無意味じゃなかったね)


おしまい