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澪「本物の律はどこ…?」2」(2011/05/21 (土) 22:49:24) の最新版変更点

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次の日。 私は、昨日のドッペルゲンガーの話などすっかり忘れていた。 ドッペルゲンガーのことを忘れながら朝食を食べ、ドッペルゲンガーのことを忘れながら通学路を歩いている。 … うぅ、やっぱり怖い。 …昨日あの後…律は平気だっただろうか。ドッペルゲンガーに襲われたりとかしてないだろうか。 いやいや!いやいやないない! 律の演出にまんまとハマってるぞ! こんな心配してたら…また律にバカにされる。 ドッペルゲンガーのことは忘れよう。 だって、あんなのどう考えたって嘘じゃないか!迷信だよ迷信! … …でも私は、とりあえず、早く律の顔が見たかった。 だから、ちょっと向こうの方に、見慣れた律の頭が見えた時は…本当に安心した。 あいつ、今日は私よりも登校早いのか。 近くまで小走りする。 「律ー!」 …う、叫びながらの小走りはちょっと恥ずかしい…。 でも…はやく律と話したい。律に会いたい。いやいや、別にドッペルゲンガーとかの心配はしてないぞ。なんとなくだ。なんとなく。 「…律ー!」 律「…」 …律は、ただ学校に向かって歩いている。…あれ、聞こえなかったのかな?もう少し近づいてみるか。 「律!」 ポンと肩に手を置く。 律「…」 …律は黙って歩いている。なんだ?シカトか?律?律? 人違い、なわけない。まさかドッペルゲンガー? そんなことが一瞬で頭をよぎるが、すぐに否定する。これは律だ。律だ。 「律!…おーい」 肩の手を少し揺らす。顔を覗き込む。…律は、私の手を肩に乗せながら歩く。 …だんだん血の気が引いていくのが、自分でもわかる。ま、まさかな…? …と、律がやっとこっちを向いた。 律「へんじがない」 律「ただのドッペルゲンガーのようだ」 へっ!? え?え? 律「…なーんちゃって♪」 あ………!…! 律「あれれ、突っ込みがないぞ!どうしたー!」 ……この!おま、お前!この野郎! 若干本気で心配したんだぞ! バカ律! 律「うぇ!?」 よ、良かったああああ…律~~~! 律「ば、ばか抱きつくなよ!大げさだな!」 恥ずかしがれ!罰として恥ずかしがれ! 律「わ、私がドッペルゲンガーに負けるわけないだろー!」 …うん…まぁ、そうだよな。考えてみたら、バカな話だ そもそも、ドッペルゲンガーなんてものを… 信じた私がバカだ。でも、騙した律はもっとバカだ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ きっかけは、むぎの一言だった。 紬「…ドッキリってのをやってみたいわぁ」 唯「ドッキリ?」 梓「いきなりどうしたんですか?」 ナニナニするのが夢だったの~! とか良く言ってるような雰囲気のむぎだが、今回は、なんつーか、随分微妙な憧れだな。 紬「大成功!とかいう看板に憧れるわぁ!」 うん。感性はわからん。 しかし…ドッキリ、か。まぁ誰しもやってみたい!という気持ちはある…と思う。 ちなみに澪は今掃除当番で、部室に来るのが遅れている。 紬「どう?りっちゃん!」 いや、どうと言われても…。 …部長としてその願いは叶えてやらにゃならんな。 「もちろん、ドッキリさせられる側は澪だよな」 紬「うんうん」 ふ、 …ならやりがいがあるってもんよ! 「よし!作戦会議だ!」 紬「はい!」 梓「え、本気ですか」 唯「やるやる!やりたーい!」 …会議において私たちが重視…というより、約束したのは、 ①澪が傷つかないようにすること ②ネタばらしをしたときに、お互いが嫌な思いにならないこと ③どうせやるなら手の込んだものにすること この3つ。 今まで澪のことはちょくちょくからかってきたけど、…これは史上最高のドッキリになる予感! 唯「澪ちゃんといえば…幽霊系のドッキリが反応良さそうだよね~」 そして…唯のそんな言葉から、会議は始まった そして、ものの10分ほどで、私たち4人の知恵の結晶、ドッペルゲンガードッキリ案が完成したのだ。 …もしかして私たち天才? 誰にも言われないけど。 …意外にも梓が率先して会議に参加していたな。 それとむぎ、澪の紅茶だけコーラとか、ベースの弦が全部無くなってるとかいうのは、ドッキリじゃなくてイジメだ。 梓「じゃあ…最終確認です」 いつの間にか仕切ってるのは梓。…澪に何か恨みでもあるのだろうか。 梓だけでなく、唯も、紬も。なんというか… すごくやる気に満ちている…? 梓「まず今日、自然な流れで、怖い話をする機会を作ります。で、その中で律先輩がドッペルゲンガーの話をします」 梓「で、翌日から、だんだんドッペルゲンガーに侵蝕される演技を律先輩がします」 梓「澪先輩が、律先輩が偽物で、ドッペルゲンガーに乗っ取られた!と信じこんだら私たちの勝ちです。ドッキリ成功、ネタばらし、と」 唯「じわじわ追い詰めるんだね!」 紬「まぁそもそもドッペルゲンガーって…微妙に違うけど」 「そこらへんの矛盾は無視!」 澪なら雰囲気で怖がってくれるさ! 梓「矛盾なんか気にならないくらい、脅かしてやりまっしょう!」 唯「おー!」 皆の一致団結…涙ぐましいね。 下手すりゃバンドの時よりも… いやそれは問題だが。 …よし、部長の一言で会議を締めよう。 「このドッキリが成功するか否かは、ひとえにみんなの演技力にかかっている!頼むぞみんな!」 紬「おー!」 「早速今日の部活後、ドッキリ開始だ!」 梓「やってやるです…!」 そして…わりと自然に怪談の流れにし、自然にドッペルゲンガーの話ができた。 …もちろんすべてアドリブである。緊張した…。 …むぎが「3日間」とか適当なことを言ったおかげで、少なくともこのドッキリは、3日以上の長期戦になった。 後は昨日、むぎ達が適当に作ったドッペルゲンガー像に則って… だんだん私が、ドッペルゲンガーになればいい。 ここからは主に私の演技にかかっている。 …ドッペルゲンガーを信じたとして… …澪は、私を助けてくれるかな。 それとも怖がって、私から遠ざかるかな。 助けてくれたら、そりゃまー嬉しいですけどー。 そんなこんなで、その会議、その怪談の翌日。 通学路を歩いてたら… …早速良い反応が見れそうな予感。 後ろから、澪が私の名前を呼びながら走ってくる。 恥ずかしくねーのかな。少なくとも…呼ばれてる私は恥ずかしい。 …ちょっと無視してみるか。 今の私は…ドッペルゲンガー度30%くらい? いや、最初から100%でもいいのか? まぁ、とにかく「いつもの律先輩と微妙に違う!っていうのを意識してください!」と梓に言われたので、それを忠実に実行しよう。 澪「律!」 ポン、と手が私の肩に置かれる。 まだ、まだ無視する。 でも完全に無視してはいけない。程々のところで、適当に反応しなければただのイジメだ。 微妙に違う、田井中律。これを演じなければならない。 …これは結構難しいぞ。 澪「律!…おーい」 肩を揺さぶってきた。さらに少し顔を覗き込んでくる。 …五秒。五秒だけ無視して…反応しよう。 無視してごめんよ、という罪悪感が、微妙に生まれた。 「へんじがない。ただのドッペルゲンガーのようだ」 澪「へっ!?え?え?」 おお、びびってるびびってる。 びびってる澪ちゅわんも可愛いですわよ。 「…なーんちゃって♪」 …うん。驚きの表情も絵になりますな。 んー…でも、ねぇ? 澪「あ………!」 「あれれ、突っ込みがないぞ!どうしたー!」 澪「……この!おま、お前!この野郎!若干本気で心配したんだぞ!バカ律!」 「うぇ!?」 私、罵倒の言葉の直後の抱擁フェチなんだよね。嘘でもない。 これはこれは。…これはこれは。 澪「よ、良かったああああ…律~~~!」 まさか泣いてんじゃないだろな。 見えないけど! 泣き顔も様になってるに違いないぞ! 「ば、ばか抱きつくなよ!大げさだな!」 澪「恥ずかしがれ!罰として恥ずかしがれ!」 ちなみに恥ずかしくはないよん。 …さて。 「わ、私がドッペルゲンガーに負けるわけないだろー!」 ドッペルゲンガーは迷信じゃないよ…っていう、軽いアピール。軽いミスリード。 ってか…結構ドッペルゲンガー信じてるじゃん! なんだーいけるじゃんか! …んーちょっと普通の私を出しすぎたかな。 さて、…上げて、落とす。 今の私はドッペルゲンガーだから。 別れ際に、澪に微妙な疑問違和感を残しましょう! 律「わ、私がドッペルゲンガーに負けるわけないだろー!」 …うん…まぁ、そうだよな 考えてみたら、バカな話だ そもそも、ドッペルゲンガーなんてものを… 信じた私がバカだ でも、騙した律はもっとバカだ …うんでも、吹っ切れたかな! 律が無事で良かった…なんて、口にも顔にも出したくないけど。 この、バカ律! 律「うひゃ!二回目~!」 …二回も言ったっけ。覚えてないや まぁ…私が勘違いしたのもあるし、もう責めまい。許した! じゃあ律、また放課後、部室でな。 律「うーっし!…じゃあなー秋山ー!」 そう言って、律は走っていってしまった。 また放課後、部室でな。 …願わくば、律と。 元の、普通の律と。また放課後に。 … 秋山、秋山、秋山。 律は私のことをそう呼んだ。 ただ一点の違和感。それ以外は律。 初めは、何かの冗談だと思った。 もしかしたら嫌われたのかとも思った。 まだからかってるのかとも思った。 でも違った。 澪と呼ばない。秋山と呼ぶ。 それ以外は、いつもの律。 話し方も、話す内容も、歩き方も口癖も、笑顔も。私の律。 でもその律は完璧でない。 私の好きな私の律は、澪って呼んでくれる律だから。 梓は言っていた。ドッペルゲンガーかどうかの見分け方は、言動だと。 …本当にドッペルゲンガーの疑いが出てきた。冗談じゃなく。 想像が、悪い方に悪い方に膨れる。 でも…幽霊は怖いけど、見かけが律の幽霊は怖くないぞ。 私は…かけひきが得意ではない。でもなんとかして、律がドッペルゲンガーかどうかを確かめたい。 もしただ律がふざけてるだけなら、私がドッペルゲンガーを本気で疑ってたことを知られたくない。絶対にバカにされる。 もし今の律が本当にドッペルゲンガーなら、私に悟られたことを知られたくない。絶対に…なんだろう、何かされる。 そういえば、むぎ、言ってたな… もし3日間、律がドッペルゲンガーだってことに気づかなかったら、本物の律が殺されるんだ。 律とドッペルゲンガーがすり替わったのは、まだ昨日か今日だ。まだ丸2日以上ある。 ドッペルゲンガーかどうか、見極めなきゃな。 ……なに本気で考えてんだろ まぁ…ドッペルゲンガーなんて…最悪のケースだし。 …どうせ、律のいたずらだろうけどな! さて、頭脳戦だ。 どうすれば、律が本物かどうか、演技なのかどうか、見分けられるだろうか。 正直村と、嘘つき村の話を思い出した。 個人的にはかなり簡単な問題だ。 2手に分かれた道がある。一つの道は正直村に、もう一つの道は嘘つき村に通じている。 あなたは正直村に行きたい。だが、どちらの道が正直村に通じているのかわからない。 そこで、分かれ道に一人だけいる番人に、あなたは一つだけ質問をすることができる。 しかし、その番人が正直村の住人か、嘘つき村の住人かはわからない。 正直村の住人は、必ず本当のことを言う。嘘つき村の住人は、必ず嘘をつく。 どちらが正直村に通じる道か知るためには、どのように質問したらよいだろうか? そうだ。所詮はこの問題の亜種だ。 これは、からかっている律との勝負。 騙してるドッペルゲンガーとの戦争だ。 律がドッペルゲンガーであろうとなかろうと、私が疑ってることを知られたくない。 律の演技だったら恥ずかしいし、ドッペルゲンガーなら…多分危険だ。 どんな感じで…カマをかければ良いだろうか…? とりあえず、今普段の律と違うのが、私の呼び方。 それから、昨日分かれた場所だ。 …幽霊は怖いはずなのに…やっぱりどこかでドッペルゲンガーなんて信じてないからだろうか 律との勝負と決めた時点で、少し楽しくなってきた。 …今に律の拙い演技を見破ってやるさ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 秋山、秋山、秋山。 私は澪のことをそう呼んだ。 んー!なんか新鮮!ちょっと興奮しなくもない。なんでだろ。 一度廊下ですれ違った時も、よっす秋山! …ちょっとわざとらしかったかな…? しかしあれだねー 澪の表情の固いこと固いこと。 …私にいつも向けられてた笑顔が無い。 つまらん!つまらん! いや、でもこのドッキリはサウナ的要素があるんです。 澪を不安にさせて、不安にさせて、させまくって、ネタバラシ!最高の笑顔! その笑顔が見たくてドッキリやってるんですわ。すわすわ。 律ー心配したんだぞーとか言ってのハグも有り。アリアリ! …まぁどちらにしろ、今の私がつまらんのも、後の楽しみの為なのさ。 そんなこんなで昼。 …たった一言、「秋山」と言っただけで、こうも不安な顔するもんかね。 おどおどしながら、澪が弁当に誘ってきた。 もしかしてイジメとかハブリとかと勘違いしてないだろな。 確かに今、今日は違う子と食べる予定なんだーとか言ったらそっちのラインで不安になりそうだな。 でも目的はドッペルゲンガーなのよー 「お!じゃー唯達も誘うか?」 澪「い、いや!あの、…今日は律と二人で…」 …これで頬でも赤くしてりゃタマランのだがなぁ。今の澪は何かこう…怯えてらっしゃる? 「…んまぁ、いいか。私の机でいいな?…いやー秋山と二人きりで弁当って、久しぶりじゃないか?」 澪「…そ、そうだな」 しかし、二人きりってことは、アレだな。 何か内緒の話がございまして? これは、俗にいう、…カマをかけにいらした、とかいうやつですの? …ならば言動には気をつけよう。ドッペルゲンガーファィッ! 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