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澪「その未来は今」6」(2011/05/30 (月) 01:10:15) の最新版変更点

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律「なーに泣いてんだよ」 紬「そうよ澪ちゃん、最高の演奏だったじゃない」 唯「うん!楽しかったよ♪」 澪「……ありがとう」 3人に励まされながら、私はずっと泣いていた。 軽音部でよかった。心からそう思った。 ・・・・・・ 唯「またねー!」 紬「ばいばい♪」 夕方、私たち4人はいつもの場所で別れた。 打ち上げは梓が戻ってきてからにしよう、そう決まった。 みんなには申し訳ないけど、それには参加出来そうにはないかな。 たぶん、この世界での唯とムギとはこれでさよならだ。 ありがとう。心の中でそう言って別れた。 唯とムギと別れ、律と2人きりで歩いていた。 律「なぁ、澪」 澪「ん?」 律「お前、もう元の世界に帰んのか?」 澪「えっ?!な、なんで…?」 律「んー?なんとなく」 3人にはいつ私が元の(になるかわからないが)世界に帰るかを伝えなかった。 余計な気を遣われるのは嫌だし、情で軽音部に再び受け入れてほしくなかったからだ。 澪「…うん。今日の夜」 律「やっぱな」 こんな世界でも、律は変わっていなかった。 妙に勘がよくて、隠し事が通用しない。 どこにいても、お前は相変わらずなんだな。 律「んまっ、元気でやってくれ」 律「あ、そうだ!」 澪「?」 律「もし帰れなかったとしても、とりあえず私たちには声をかけなさいよ」 律「私たちはどこの世界でもお前の味方だから」 澪「…うん」 律「そんじゃな。無事に帰れるといいな。そん時はまたよろしく!」 澪「…あぁ!」 そう言って律はそそくさと帰っていった。 最後の最後まで、私を支えてくれた。 brrrr brrrr 澪「…ん?」 律とも別れ一人帰り道を歩いていると、携帯が鳴った。 一通のメール。 差出人は、梓だった。 ――――――――――――――――――――― From 梓 Subject こんばんは 先輩。お時間ありますか? 少し…お話がしたいです。 ――――――――――――――――――――― まさか梓から連絡が来るとは思ってなかった。 何だろう。私は期待と不安を抱えつつ返信した。 ――――――――――――――――――――― To 梓 Subject Re: 大丈夫だよ。 いつもの交差点でいいかな? ――――――――――――――――――――― 澪「………」 ここに来るのも久しぶりだ。 梓にだけ通じる「いつもの場所」。 日はもう落ちている。月食の見える時間まで、あと少し。 5分ほど経った頃だろうか。 向こうから見覚えのある影が近づいてきた。 澪「梓…」 梓「…こんばんは」 梓だった。 家から来たのだろうか、私服だった。 澪「演奏、見てくれたかな?」 梓「…はい」 どこにいたのかはわからなかったけど、見ていてくれたらしい。 それがわかっただけで十分だった。 梓「先輩」 澪「?」 梓は手から何かを取り出した。 見覚えのあるものだった。 そう、梓が4月14日にくれたネックレスだった。 どんなに部屋の中を探しても見つからないと思っていたら、梓が持っていたのか。 梓「これ、先輩が捨てたんです。私の目の前で」 梓「それだけじゃない。散々ひどいことされたし、傷つくこともたくさん言われた」 梓「もう絶対許さないって思った、一生恨んでやるって思った」 梓「でも、これ…。なぜか捨てられなくて。バカみたいにずっと持ってて」 梓「だけど先輩は、そんなの関係ないんですよね」 梓「何もなかったかのように、何も知らなかったかのように、自分は正しい世界に帰るんですね」 梓の言う通りだった。 私の身勝手で、この間違った世界にさよならを告げるのだから。 澪「…関係なくなんか、ないよ」 澪「梓のことはずっと好きだし。今も大切に想ってる」 澪「だから―――」 バチィ…ン 覚えのある痛みが走る。 頬を叩かれたのは、これで2回目だった。 梓は、泣いていた。 梓「ずるいですよ、先輩」 梓「不器用なくせに…。メルヘンな甘い歌詞しか書けないくせに…」 梓「あの曲…、さよならの曲でしょ?」 そう。私が書いた詞は、さよならの詞だった。 間違った未来に、さよなら。 何もかも失っていた私に、さよなら。 隣にいない梓に、さよなら。 そう意味を込めて書いた詞だった。 梓「ずるいよ…。自分だけいい格好して、いなくなろうとしてさ」 梓「人の気も知らないで。…バカ……最低」 澪「…ごめん」 梓「もう先輩の顔なんて見たくない。そのネックレス持ってとっとといなくなってください」 梓「戻った世界で私のこと泣かせたら、許しませんから…」 梓はそう言うと私に背を向け歩きだした。 5ヶ月前のあの時と同じように。 いや、あの時とはちがう。 だって今の君は泣いているから。 私は大声で叫んだ。 澪「――梓!」 澪「聞いてくれて、ありがとう!」 梓「……ふざけんな、バカ…」 梓は振り返りもせずそれだけを言い放ち、夜の街に溶けていった。 ・・・・・・ 雑木林の前には私と憂ちゃん、そして和の3人がいた。 私は冬服のブレザーを羽織り、こっちに来たときの格好をしていた。 澪「…戻れるかなぁ」 憂「きっと大丈夫ですよ」 和「まぁ、ダメだったらまた私たちのところに来ればいいわ」 澪「…それもそうだな」 気持ちは穏やかだった。 頬が少し痛むけど、心は晴れやかだった。 和「あ、そうだ」 和「もし戻れたら、律に言っておいてほしいことがあるんだけど」 澪「?」 和「体育館の使用申請書。さっさと出せって」 和「新歓の時ギリギリだったんだから…」 澪「…ふふ、わかった。伝えておくよ」 和は最後の最後まで気を配ってくれた。 戻ったら、またお礼を言わなきゃな。何のことだって思うだろうけど。 憂「あ、澪さんそれ…」 澪「あぁ、これか。さっき梓に返されたんだ」 憂「似合ってますよ♪」 澪「ありがとう」 きっと私の見えないところで梓を支えていてくれていたのだろう。 憂ちゃんは何も言わなかったけど、私は知っているよ。 澪「あの…さ」 澪「梓のこと、また泣かしちゃったんだ」 澪「だから、その…励ましてくれるかな?」 憂「はい、もちろんです!」 憂「梓ちゃん。軽音部の演奏聞いて泣いてたんですよ」 澪「…そっか」 うれしかった。ただ純粋に。 想いが伝わったのかはわからないけど、きっと届いたはずだ。 澪「それじゃあ」 和「うん、またね」 憂「気をつけて」 澪「本当にありがとう」 2人に別れとお礼を告げ、私は雑木林に入っていった。 一箇所だけ光が特に集まる場所。 その場所に足を踏み入れる。 澪「………」 空を見上げた。 きれいな月だ。あの時見たのと同じ。 地面が揺れる。頭が絞めつけられる。 あっ、この感覚は…。 ―――――梓…。 ―――――― ―――― ――― ―― … ――……輩。 ――――…先輩! ―――――――……澪先輩! 澪「へっ?」 梓「んもぉーっ、話聞いてなかったでしょ!?」 澪「…?」 梓「新歓ライブ!絶対成功させようねって!」 澪「え、あ…」 梓「あっ、もう交差点だね」 梓「ねぇ。私先輩に渡したいものがあるんだ」 夢…? でもこの場面、覚えがある。 …そうだ。このあと、梓はカバンからプレゼントを出して―――。 梓「はいっ。2ヶ月おめでとう」 梓「2ヶ月って中途半端なんだけどさ、進級祝いも兼ねてってことで」 梓「かわいいでしょ?先輩に似合うかなと思ってサプライズで、って…えっ?」 梓「嘘…?ごめん、先輩同じの持ってたんだ…」 自分の首に手をかける。 梓が持っているものと同じネックレスが、私の首にかかっていた。 そっか…。これは、夢じゃないんだな。 元の世界に、戻ってこれたんだな。 落ち込んだ顔をした梓の顔が目に映る。 そうだ。これは、私の知ってる梓だ。 私の恋人。私の大好きな、梓だった。 澪「―――梓っ!!!」ぎゅっ 私は梓を思い切り抱きしめた。 人の目なんか気にならなかった。 やっと会えた。ずっとこうしたかった。 梓「えっ、ちょっ…。み、澪先輩///」 澪「梓、あずさぁっ…」 私は何度も梓の名前を呼んだ。 離したくなかった。 このあたたかさを、いつまでも感じていたかった。 梓「…澪先輩?」 澪「………」 梓「………」 いきなりの出来事に体を強張らせていた梓だったが、 しばらくすると緊張も解けたようで、そっと私を抱き返した。 梓「私、先輩のこと好きだよ?」 澪「…うんっ」 梓「ずっとずっと、大切だよ?」 澪「うんっ、うんっ」 梓「どこにも行かないでね。ずっと一緒だからね」 澪「あぁ、約束する。ずっと一緒だ」 梓「ねぇ、先輩」 梓「……キスして」 ―――――― ―――― ――― ―― … それからのことを少し話そうと思う。 律をけしかけ体育館の使用申請書を出させたあと、5人で新歓に向けてめいっぱい練習した。 その結果が実ったのか、新歓ライブは大成功に終わった。大きなトラブルもなかった。 …結局部員は来なかったけど。 でも周りが言うには、他の人が入れないぐらい5人の仲が良さそうだから入りづらかったんじゃないかって。 だから別に後悔とかはなかった。梓も、5人のままがいいって言ってくれた。 それからは、毎日があっという間だった。 修学旅行も行った。合宿もやった。野外フェスにも行った。 空白だった5ヶ月を凄い早さで過ごしていた。 軽音部のみんなと。そして、梓と。 片時も離れることはなかった。 そして、今日は9月27日。 文化祭だ。 律「いよいよだな」 唯「ひ、人がいっぱいだよ…!」 紬「大丈夫よ、笑顔笑顔♪」 聞いた覚えのある言葉。 梓「頑張りましょう!」 そこに加わるもう一つの声。 澪「よしっ、行こう」 「次は軽音部による演奏です」 ステージにライトが照らされる。 “5人”は顔を合わせ、うんと頷く。 あの時経験した未来。 何もかもが違った未来。 その未来は今、軽音部と。 そして、梓と共にあった。 おわり [[戻る>http://www43.atwiki.jp/moemoequn/pages/365.html]]
#AA(){{{律「なーに泣いてんだよ」 紬「そうよ澪ちゃん、最高の演奏だったじゃない」 唯「うん!楽しかったよ♪」 澪「……ありがとう」 3人に励まされながら、私はずっと泣いていた。 軽音部でよかった。心からそう思った。 ・・・・・・ 唯「またねー!」 紬「ばいばい♪」 夕方、私たち4人はいつもの場所で別れた。 打ち上げは梓が戻ってきてからにしよう、そう決まった。 みんなには申し訳ないけど、それには参加出来そうにはないかな。 たぶん、この世界での唯とムギとはこれでさよならだ。 ありがとう。心の中でそう言って別れた。 唯とムギと別れ、律と2人きりで歩いていた。 律「なぁ、澪」 澪「ん?」 律「お前、もう元の世界に帰んのか?」 澪「えっ?!な、なんで…?」 律「んー?なんとなく」 3人にはいつ私が元の(になるかわからないが)世界に帰るかを伝えなかった。 余計な気を遣われるのは嫌だし、情で軽音部に再び受け入れてほしくなかったからだ。 澪「…うん。今日の夜」 律「やっぱな」 こんな世界でも、律は変わっていなかった。 妙に勘がよくて、隠し事が通用しない。 どこにいても、お前は相変わらずなんだな。 律「んまっ、元気でやってくれ」 律「あ、そうだ!」 澪「?」 律「もし帰れなかったとしても、とりあえず私たちには声をかけなさいよ」 律「私たちはどこの世界でもお前の味方だから」 澪「…うん」 律「そんじゃな。無事に帰れるといいな。そん時はまたよろしく!」 澪「…あぁ!」 そう言って律はそそくさと帰っていった。 最後の最後まで、私を支えてくれた。 brrrr brrrr 澪「…ん?」 律とも別れ一人帰り道を歩いていると、携帯が鳴った。 一通のメール。 差出人は、梓だった。 ――――――――――――――――――――― From 梓 Subject こんばんは 先輩。お時間ありますか? 少し…お話がしたいです。 ――――――――――――――――――――― まさか梓から連絡が来るとは思ってなかった。 何だろう。私は期待と不安を抱えつつ返信した。 ――――――――――――――――――――― To 梓 Subject Re: 大丈夫だよ。 いつもの交差点でいいかな? ――――――――――――――――――――― 澪「………」 ここに来るのも久しぶりだ。 梓にだけ通じる「いつもの場所」。 日はもう落ちている。月食の見える時間まで、あと少し。 5分ほど経った頃だろうか。 向こうから見覚えのある影が近づいてきた。 澪「梓…」 梓「…こんばんは」 梓だった。 家から来たのだろうか、私服だった。 澪「演奏、見てくれたかな?」 梓「…はい」 どこにいたのかはわからなかったけど、見ていてくれたらしい。 それがわかっただけで十分だった。 梓「先輩」 澪「?」 梓は手から何かを取り出した。 見覚えのあるものだった。 そう、梓が4月14日にくれたネックレスだった。 どんなに部屋の中を探しても見つからないと思っていたら、梓が持っていたのか。 梓「これ、先輩が捨てたんです。私の目の前で」 梓「それだけじゃない。散々ひどいことされたし、傷つくこともたくさん言われた」 梓「もう絶対許さないって思った、一生恨んでやるって思った」 梓「でも、これ…。なぜか捨てられなくて。バカみたいにずっと持ってて」 梓「だけど先輩は、そんなの関係ないんですよね」 梓「何もなかったかのように、何も知らなかったかのように、自分は正しい世界に帰るんですね」 梓の言う通りだった。 私の身勝手で、この間違った世界にさよならを告げるのだから。 澪「…関係なくなんか、ないよ」 澪「梓のことはずっと好きだし。今も大切に想ってる」 澪「だから―――」 バチィ…ン 覚えのある痛みが走る。 頬を叩かれたのは、これで2回目だった。 梓は、泣いていた。 梓「ずるいですよ、先輩」 梓「不器用なくせに…。メルヘンな甘い歌詞しか書けないくせに…」 梓「あの曲…、さよならの曲でしょ?」 そう。私が書いた詞は、さよならの詞だった。 間違った未来に、さよなら。 何もかも失っていた私に、さよなら。 隣にいない梓に、さよなら。 そう意味を込めて書いた詞だった。 梓「ずるいよ…。自分だけいい格好して、いなくなろうとしてさ」 梓「人の気も知らないで。…バカ……最低」 澪「…ごめん」 梓「もう先輩の顔なんて見たくない。そのネックレス持ってとっとといなくなってください」 梓「戻った世界で私のこと泣かせたら、許しませんから…」 梓はそう言うと私に背を向け歩きだした。 5ヶ月前のあの時と同じように。 いや、あの時とはちがう。 だって今の君は泣いているから。 私は大声で叫んだ。 澪「――梓!」 澪「聞いてくれて、ありがとう!」 梓「……ふざけんな、バカ…」 梓は振り返りもせずそれだけを言い放ち、夜の街に溶けていった。 ・・・・・・ 雑木林の前には私と憂ちゃん、そして和の3人がいた。 私は冬服のブレザーを羽織り、こっちに来たときの格好をしていた。 澪「…戻れるかなぁ」 憂「きっと大丈夫ですよ」 和「まぁ、ダメだったらまた私たちのところに来ればいいわ」 澪「…それもそうだな」 気持ちは穏やかだった。 頬が少し痛むけど、心は晴れやかだった。 和「あ、そうだ」 和「もし戻れたら、律に言っておいてほしいことがあるんだけど」 澪「?」 和「体育館の使用申請書。さっさと出せって」 和「新歓の時ギリギリだったんだから…」 澪「…ふふ、わかった。伝えておくよ」 和は最後の最後まで気を配ってくれた。 戻ったら、またお礼を言わなきゃな。何のことだって思うだろうけど。 憂「あ、澪さんそれ…」 澪「あぁ、これか。さっき梓に返されたんだ」 憂「似合ってますよ♪」 澪「ありがとう」 きっと私の見えないところで梓を支えていてくれていたのだろう。 憂ちゃんは何も言わなかったけど、私は知っているよ。 澪「あの…さ」 澪「梓のこと、また泣かしちゃったんだ」 澪「だから、その…励ましてくれるかな?」 憂「はい、もちろんです!」 憂「梓ちゃん。軽音部の演奏聞いて泣いてたんですよ」 澪「…そっか」 うれしかった。ただ純粋に。 想いが伝わったのかはわからないけど、きっと届いたはずだ。 澪「それじゃあ」 和「うん、またね」 憂「気をつけて」 澪「本当にありがとう」 2人に別れとお礼を告げ、私は雑木林に入っていった。 一箇所だけ光が特に集まる場所。 その場所に足を踏み入れる。 澪「………」 空を見上げた。 きれいな月だ。あの時見たのと同じ。 地面が揺れる。頭が絞めつけられる。 あっ、この感覚は…。 ―――――梓…。 ―――――― ―――― ――― ―― … ――……輩。 ――――…先輩! ―――――――……澪先輩! 澪「へっ?」 梓「んもぉーっ、話聞いてなかったでしょ!?」 澪「…?」 梓「新歓ライブ!絶対成功させようねって!」 澪「え、あ…」 梓「あっ、もう交差点だね」 梓「ねぇ。私先輩に渡したいものがあるんだ」 夢…? でもこの場面、覚えがある。 …そうだ。このあと、梓はカバンからプレゼントを出して―――。 梓「はいっ。2ヶ月おめでとう」 梓「2ヶ月って中途半端なんだけどさ、進級祝いも兼ねてってことで」 梓「かわいいでしょ?先輩に似合うかなと思ってサプライズで、って…えっ?」 梓「嘘…?ごめん、先輩同じの持ってたんだ…」 自分の首に手をかける。 梓が持っているものと同じネックレスが、私の首にかかっていた。 そっか…。これは、夢じゃないんだな。 元の世界に、戻ってこれたんだな。 落ち込んだ顔をした梓の顔が目に映る。 そうだ。これは、私の知ってる梓だ。 私の恋人。私の大好きな、梓だった。 澪「―――梓っ!!!」ぎゅっ 私は梓を思い切り抱きしめた。 人の目なんか気にならなかった。 やっと会えた。ずっとこうしたかった。 梓「えっ、ちょっ…。み、澪先輩///」 澪「梓、あずさぁっ…」 私は何度も梓の名前を呼んだ。 離したくなかった。 このあたたかさを、いつまでも感じていたかった。 梓「…澪先輩?」 澪「………」 梓「………」 いきなりの出来事に体を強張らせていた梓だったが、 しばらくすると緊張も解けたようで、そっと私を抱き返した。 梓「私、先輩のこと好きだよ?」 澪「…うんっ」 梓「ずっとずっと、大切だよ?」 澪「うんっ、うんっ」 梓「どこにも行かないでね。ずっと一緒だからね」 澪「あぁ、約束する。ずっと一緒だ」 梓「ねぇ、先輩」 梓「……キスして」 ―――――― ―――― ――― ―― … それからのことを少し話そうと思う。 律をけしかけ体育館の使用申請書を出させたあと、5人で新歓に向けてめいっぱい練習した。 その結果が実ったのか、新歓ライブは大成功に終わった。大きなトラブルもなかった。 …結局部員は来なかったけど。 でも周りが言うには、他の人が入れないぐらい5人の仲が良さそうだから入りづらかったんじゃないかって。 だから別に後悔とかはなかった。梓も、5人のままがいいって言ってくれた。 それからは、毎日があっという間だった。 修学旅行も行った。合宿もやった。野外フェスにも行った。 空白だった5ヶ月を凄い早さで過ごしていた。 軽音部のみんなと。そして、梓と。 片時も離れることはなかった。 そして、今日は9月27日。 文化祭だ。 律「いよいよだな」 唯「ひ、人がいっぱいだよ…!」 紬「大丈夫よ、笑顔笑顔♪」 聞いた覚えのある言葉。 梓「頑張りましょう!」 そこに加わるもう一つの声。 澪「よしっ、行こう」 「次は軽音部による演奏です」 ステージにライトが照らされる。 “5人”は顔を合わせ、うんと頷く。 あの時経験した未来。 何もかもが違った未来。 その未来は今、軽音部と。 そして、梓と共にあった。 おわり}}} [[戻る>http://www43.atwiki.jp/moemoequn/pages/365.html]]

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