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唯「…」

澪「…」

唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「何だ?」

唯「私達、何で穴の中に入ってるの?」

澪「それはアレだ、穴があったら誰でも入りたくなるだろ」

唯「そういうものなのかな?」

澪「そういうものだ」

唯「そっかぁ。それじゃあ仕方ないね」

澪「あぁ、そうだな」



唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「どうした?」

唯「どうやってこの穴から出るの?」

澪「えっ?出るの?」

唯「えっ?出ないの?」

澪「いや、しばらく落ちたままでもいいかなぁって…」

唯「…マジで?」

澪「駄目?」

唯「駄目じゃないけど…」

澪「じゃあいいじゃないか」

唯「うん、そうだね」

澪「……」



澪「しかしアレだな」

唯「アレって?」

澪「こうやって穴の中に入ってると落ち着くというか…」

唯「あっ、それ何となく分かる気がする」

澪「ほらアレだ、何かすごい力で守られてる感じが…」

唯「どんな感じ?」

澪「うーん…」

澪「お風呂に入ってる感じ?」

唯「…?」

澪「いや、違うなぁ…」

唯「感覚を言葉にするのって、難しいね~」

澪「うん…」



唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「何だ?」

唯「そろそろ寒くなってきたね」

澪「そうだな」

唯「周りは壁なのに、上から風が入ってきてるような気がするんだ」

澪「あぁ、私もそう思っていた所だ」

唯「それに何だか身体が土臭くなってきちゃったよ」

澪「早くお風呂に入りたいな」

唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「何だ?」

唯「早くこの穴から出ようよ」

澪「そうだな」



澪「しかしどうやってこの穴から出ようか…」

唯「うーん…」

澪「この穴、私達の背丈の4倍くらいの深さだぞ…」

唯「何で私達、そんな穴に落ちちゃったんだろうね」

澪「あぁ、それが最大の謎だ」

澪「なぁ唯」

唯「なに澪ちゃん?」

澪「私、まずは何故穴に入ってしまったのかを議論すべきだと思うんだ」

唯「何で?」

澪「千里の道も一歩から。何の当たり障りのない議論で活路が見出せる事だってある」

澪「この穴は、私達にそれをさせるためにあるのかもしれない」

唯「そっかぁ。そのためにこの穴はあるんだね」

唯「分かったよ澪ちゃん。私、何でこの穴に落ちちゃったのか真剣に考えてみる!」

澪「唯…」



――――――――――

澪「そう、だから私はごはんはおかずじゃないと思うんだ」

澪「だって考えてみろよ」

澪「炭水化物と炭水化物の夢のコラボレーションだぞ?」

澪「どう考えたって炭水化物じゃないか」

唯「そうだね、炭水化物は炭水化物以上でもそれ以下でもなく、ただの炭水化物に過ぎないんだよね」

澪「唯、その発想は間違ってるぞ」

唯「え?何で?」

澪「確かに炭水化物は炭水化物以上のものにはなれない」

澪「しかしその炭水化物を疎かにしたら、私達の生活はどうなってしまう?」

唯「あ…」

澪「分かったか?私達は炭水化物を過剰崇拝せず、尚且つ貶す事もしてはいけない」

澪「物にはそれぞれ役割があるんだ。歯車がどれか一つ欠けるとそれは稼動する事が出来なくなってしまう」

唯「ごめんね澪ちゃん、私大切な事を見失っていたよ」

澪「うん、分かってくれたならいいんだ」



唯「…ねぇ澪ちゃん」

澪「何だ?」

唯「色々議論したけど、結局この穴から出る方法が思いつかなかったね」

澪「…あぁ、これは由々しき事だ」

唯「落ち込まないで澪ちゃん。私達は少し無理をしすぎたんだよ…」

澪「そうだな、私達には少しハードルが高すぎたのかもしれない」

唯「うん、だから私達はもっと初歩的な段階から始めてみようよ」

澪「初歩的な段階?」

唯「うん」

唯「それはね、この穴から出る方法を考える事だよ」

澪「…盲点だった。そこに気が付く事ができるなんて…」

澪「唯、お前はもしかしたら天才なのかもしれないよ」

唯「そ、そうかなぁ。えへへ~」

澪「よし!この穴から出る方法を考えよう!」

唯「おー!」



唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「何だ?」

唯「やっと地上と同じ高さまで立つことができたね」

澪「あぁ、穴の周りの土を土台にする事で、自分達を上昇させる事ができたんだよな」

唯「こんな事考えつくなんて、流石澪ちゃんだね」

澪「おだてても土しかないぞ」

唯「でも周りの土を使いすぎて穴自体が広がっちゃったね」

澪「その所為で私達は一歩も前に進む事が出来なくなってしまったな」

唯「いくら同じ高さまで登っても、周りが崖じゃ意味無いよね」

澪「あぁ、これじゃドーナツ島だ」

唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「何だ?」

唯「降りよっか」

澪「そうだな」



澪「さて、穴を元の状態に戻したわけだが…」

唯「疲れた~」

澪「また振り出しに戻らなきゃいけないのか…」

唯「澪ちゃん、少し休もう?あまり切り詰めても良いアイデアは浮かばないと思うよ」

澪「あぁ、唯の言う通りだ」

澪「時間はまだある。少しずつでいいから一歩ずつ進んでいこう」

唯「千里の道も一歩から、だね」

澪「あぁ、そうだ」

唯「私お弁当持ってきたんだ~。一緒に食べよう!」

澪「あぁ、貰おうかな…」



澪「ん…」

唯「どうしたの澪ちゃん?」

澪「もう昼か…」

唯「そうだね~」

澪「学校、完全に遅刻だな」

唯「たまにはこういう日もいいんじゃないかなぁ」

澪「うーん…いいのかなぁ?」

唯「うん、これでこそ高校生って感じだよ!」

澪「…うん、たまにはいいかもな」

澪「でも高校生が授業サボって穴に入るって中々奇妙な光景だよな」

唯「そうだね~」

澪「…何だか眠くなってきたなぁ」

唯「くー…」

澪「……」



唯「ねぇねぇ澪ちゃん!」

澪「ん…どうしたの、唯…」

唯「雨!」

澪「雨?」

唯「雨だよ!雨が降ってきたんだよ!」

澪「何だって!?」

唯「どどどどうしよう!このままじゃずぶ濡れだよ!」

澪「落ち着けよ、唯」

澪「ほら、私折りたたみ傘持ってきてるから…」

唯「う、うん…」

澪「はい、一緒に入れよ」

唯「澪ちゃん、ありがとう~」

唯「澪ちゃんのお陰で私命救われちゃたよ~」

澪「もう、大袈裟だな…」




唯「すごい降り様だね…」

澪「あぁ、多分夕立か何かだろう」

唯「夕立って、冬でもなるの?」

澪「ん…多分だけど、去年より温度が高いから降ってきたんじゃないかな?」

唯「地球温暖化?」

澪「あぁ、そういう事だ」

唯「そっかぁ…」

唯「私、エアコンとか苦手だから地球温暖化に手を貸してないよ」

澪「そうだな、唯はエコな人間だな」

唯「えへへ~」

澪「でもゴロゴロしてるだけでも地球温暖化の原因になるって知ってるか?」

唯「えっ?何で!?」

澪「ゴロゴロばかりしてると、デブになって酸素の供給量が多くなるからだ」

唯「私太らないもんっ!澪ちゃん酷い!」

澪「ふふふ…」



澪「…あ、雨止んだな」

唯「そうだね」

澪「幸い傘が穴と同じ範囲まで広がったから私達の足元は濡れなかったな」

唯「不幸中の幸いってやつだね」

澪「しかし困ったな…」

唯「?」

澪「ほら、水分が土に溜まってしまっただろ?」

澪「また雨が降ってきたら、土砂崩れみたいなことが起こるかもしれない」

唯「そ、そっか…そうなったら大変だね」

澪「そうならない内に早くココから出る方法を考えて出ないといけないな」

唯「うん、私頑張って考えるよ」

澪「頼むぞ。二人揃えば文殊の知恵だ」

唯「それって三人だよね」

澪「言葉の綾だよ」

唯「そっか」



澪「…ふぅ」

唯「疲れちゃった?」

澪「ん…ちょっとな」

唯「ねぇねぇ澪ちゃん」

澪「どうした?」

唯「澪ちゃんの傘をね、さっきみたいに広げてみてよ」

澪「えっ?何で?」

唯「いいからいいから~」










澪「ほら、広げたぞ。真っ暗で何も見えない…」

唯「ふふふ…じゃあいくよ~」

澪「…?」


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