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澪「メガネかしてみて」風子「メガネかけてみて」1

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moemoequn

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澪「高橋さん、借りてた本返すよ!」

風子「ありがとう。どうだった?」

澪「面白かったけど難しい…“見えざる手”とか授業では強調するけど1回しか出てこなかったな」

風子「でしょ?誤解しちゃうよね」

澪「確かに。他にオススメの本あるかな?」

風子「じゃあ次はメンガーはどうかな?そうだ、その前に歴史学派について…アーダコーダ」

澪「う、すまないけど次はもっと簡単なのを。でも本当に本好きだな。さすが文芸部」

風子「ふふ。でも秋山さんもかなり本が好きだよね」

澪「まあ、入学当初は文芸部に入ろうと思ってたくらいだし」

風子「へ~、初耳!じゃあなんで軽音楽部に?」

澪「律に誘われて半ばムリヤリ。誘われなければ文芸部員だったかも」



風子「軽音部のみんなとは本の話はあまりしないの?」

澪「確かにあんまり話さないな」

風子「でも私も本が好きだから文芸部だけど、軽音部も“なんかいいなぁ”って感じるよ?」

澪「意外だなあ。実は騒がしくて快く思われてないんじゃないかと心配してたよ。
    でも、軽音部のどこがいいの?」

風子「うーん、飾らないところとか、一体感とかかな。
      そんな雰囲気のところにも混じってみたいかなあ、って」

澪「ふ~ん。そういうものかな」

風子「うん…」

澪「あの、高橋さん?」

風子「あ、ごめんね、考え事してて。それで考えたんだけど」

澪「私も思いついたんだけど、ちょっと」

澪  「メガネかしてみて」
風子「メガネかけてみて」



澪「…プッ!なんだ、高橋さんも同じこと考えてたんだ!」

風子「ウフフ。私たち、よく似てるらしいから、案外入れ替わっても平気なんじゃないかなって」

澪「じゃあ、とりあえずメガネを…」

風子「はい」スッ

澪「どうかな?」チャ

風子「! すごい!思った以上に私そっくり!でも私は秋山さんに見えるかな?」

澪「高橋さんもそっくりだよ。ま、少なくとも軽音部では大丈夫。みんないい加減だし、前例あるし」

風子「前例?」

澪「唯の妹が2年にいるんだけど、姉妹でよく似てて、以前、一度入れ替わったことがあってさ。
    私も含めてはじめは気づかなかったよ」



風子「でも文芸部も大丈夫だと思うよ?私みたいに視力の悪い人が多いから」

澪「そういうもんかな」

風子「それに、月曜なら部報の編集会議だから、みんな集中してて気づかないと思う」

澪「部報の編集会議か。面白そうだな」

風子「ところで、見た目はともかく、私はベースなんか弾けないし、練習になったらバレちゃうよ」

澪「いや、月曜日はテンションが低いから、ティータイムだろうな。
   幸か不幸か、後輩以外は練習しようとはまず言い出さないよ」

風子「それならなんとかなりそうね」

澪「じゃあ入れ替わり作戦は週明けの月曜に決行だ」

風子「なんだかワクワクしてきた!」



月曜日 放課後


律「おーい、澪!部室行こうぜ!」

澪「ごめん、ちょっと遅れるから先に行っててくれ!」

唯「じゃあ先に行ってるよ~」

紬「お茶の用意しておきますね~」



澪「やっぱりな」

風子「フフ。でもティータイムなら、ね」

澪「さてと。いよいよ作戦決行だな」

風子「じゃあ、メガネ渡すね」



澪「ありがとう。あれ?このメガネは伊達メガネ?」

風子「いつものメガネを貸したら私も何も見えないし、度が付いてたら秋山さんも掛けづらいでしょ?
     だからコンタクトで伊達メガネにしてたの」

澪「本格的だな」

風子「じゃあ行ってきます。明日結果報告しようね」

澪「ああ。私も文芸部に行ってみるよ」



軽音部室


律「澪遅いなぁ」

唯「先にケーキ食べちゃおうよ!」

梓「練習しましょうよ~」

紬「あら、じゃあ梓ちゃんはケーキ要らないわね?」

梓「そうは言ってないです!」


ガチャッ


風子「お、遅くなってゴメン!」ドキドキ



律「待ちくたびれたぞ~!」

唯「遅いよ~」

紬「いまお茶の用意するわね」

風子(よし!バレてない!声マネも完璧ね)

梓「あ、澪先輩こんにちは」

風子(でもこの後輩さんの名前分からないな。この前話題に出たとき聞いておけばよかった)

風子「じゃ、とりあえずお茶でも飲んで一息入れようか」

梓「澪先輩までいきなりティータイムですか!」プンスカ

紬「もう用意しちゃってるしいいじゃない」

唯「そうだよあずにゃん!まだ月曜だし体力温存しようよ」

風子(ははあ、なるほど…)

律「澪もこう言ってるし、まず腹ごしらえしよーぜ!」



風子「ハハ、あんまり根を詰めると良くないぞあずにゃん」

梓唯律紬「」

梓「澪先輩、いま、何て…」

風子「え?」

唯「“あずにゃん”って言った!」

律「確かに言った!」

紬「ああ、澪ちゃんの口から“あずにゃん”が聞けるなんて…」ウットリ

風子(! しまった!もしかしてこのあだ名は秋山さんは使ってない!?)

風子「つ、ついうっかり間違えたんだ!唯が悪いんだぞ!」

唯「え~何それ!澪ちゃんずる~い」

梓(ちょっとガッカリ)

紬「まあまあ。今日はアールグレイとレアチーズケーキよ」カチャカチャ

律「いつもながら旨そうだな」

唯「いただきまーす」モグモグ



風子「じゃあいただこうかな…ん、おいしい」モグモグ

律「まったりとしてそれでいてしつこくなく」モグモグ

唯「澪ちゃん」モグモグ

風子「今度は何だ?」モグモグ

唯「なんで今日は右手でフォークなの?」モグモグ

風子(!!!!!不覚!秋山さん左利きなのに!なんという初歩的なミス!)

紬「確かに…左手どうかしたの?」モグモグ

風子(考えるのよ風子!今こそ文芸部随一と謳われた知性の片鱗を見せるとき!)

風子「いや、これはアレだよ。
     右手も利き手並みに使えるようにしておけば便利だと思っただけ。
     左利きは何かと不便な場面が多いだろ?」

梓「それはそうかもしれませんけど…」モグモグ



律「まあまあ、細かいことは気にせず食べよーぜ。お茶も冷めちゃうしさ」モグモグ

風子(なんとか乗り切った!そして田井中さんナイス!さすが部長!)

風子「じゃあ食べよう!んー、やっぱおいしい」モグモグ

唯「ムギちゃんおかわりある?」モグモグ

紬「まだあるわよ?」カチャカチャ

律「お茶のお代わりもほしいなあ 」モグモグ

梓「澪先輩、待ってください」

風子「なんだ、まだ何かあるのか?」モグモグ

梓「右手が器用すぎます!」

風子(しまった!安心しすぎたわ!)

律「言われてみればそうだな…」

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