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なんて事が中学生の時にあった。

その時以来、私は人前で前髪を下ろしたりしなかったのに・・・。

かと言って、唯はそんな事情は知らないし唯が悪いなんて言うつもりは無い。

むしろ急に泣き出して困惑させてしまって、私が悪いとすら思う。

だから今回も泣いたりなんてしないでいつも通りやり過ごせば、良かったのに・・・。



ああもう、本当に情けない。本当にどうしようもないぞ私。

まだ涙は止まってくれない。

理由がよくわからない唯やムギや梓は慌てている。そりゃそうだよな。

澪「律」

そんな折、澪がそう言いながら立ち上がった。



私は思わず怯えたように身を震わせてしまった。

他の皆も思わず澪の方に向き直る。

澪はいつになく真剣な表情だ。

これから何を言われるのか、検討もつかず私がうろたえていると

澪「律、本当にごめん!」

澪がそう叫びながら頭を下げた。



私も含めた皆、皆事情が呑み込めず固まっている。

すると澪が次の言葉を紡ぎ出した。

澪「中学の時、律が前髪下ろした姿を似合わないなんて言っちゃったけど、あれは嘘なんだ!」

律「・・・」

      • え?ちょっと待って、澪さん。いきなり何を言い出すの?



さっき以上に訳が分からなくて固まっていると、澪から更に言葉が出てきた。

澪「本当にごめん!とっさにあんなこと言っちゃって!しかもあの時はそんなこと何も言わないで今更になって・・・!」

唯「え?どういうこと?」

梓「澪先輩、私達の存在思いっきり忘れてますよね・・・」

紬「まぁまぁ(百合の匂いがするわね・・・)」

澪「今更になって謝罪するなんて都合が良すぎるかもしれないけど・・・本当に反省してる!」



律「・・・何だよ、それ」

本当に今更すぎるよ・・・!

律「私はあの時、本当にショックだったんだぞ!」

私があの時どんな気持ちだったかわかってるのかよ!

律「あんまりあんなことしないけど、折角可愛くできたと思ったから澪に見て欲しくて!」

なのに!柄じゃないとか、似合わないとか言われて!

律「私は他の誰でもない!澪に!似合ってるって、可愛いって言ってもらいたかっただけなのに!」

他の誰でもない、澪にだけはそんなこと言われたくなかったのに!



唯「しゅ、修羅場?これ修羅場?」

梓「完全に私達空気ですよね」

紬「うふふふふふふふふふ」ツー

普段だったら私が絶対言わないような言葉を澪にぶつけてしまった。

澪は臆病だからこんな風に大きな声出されるのがすごく怖い筈だ。

そんな風にわかっていても、感情が抑えきれない。私にとってはそれ程のことだったんだ・・・!



澪「本当はすごく似合ってた!」

律「え」

続けて何を言ってやろうかと思っていた私の出鼻は、澪の一言に完全に挫かれた。

澪「前髪を下ろした律を見た時、あまりにも可愛くて、抱きしめたいとか、キスしたいとかそういうことだって思った!」

な・・・!何を急に言い出すんだこいつは・・・!?



澪「でも、律が今度からそういう髪型にしようかなって言ったの聞いて」

今更そんな訳のわからない言い訳が・・・!

澪「律のこんな可愛いところ誰にも見られたくないって思って・・・」

あ・・・うあ・・・。

唯「わーりっちゃん顔真っ赤ー」



澪「こんな可愛い律を見られたら律をとられちゃうんじゃないかと思って・・・」

こ、これは恥ずかしいなんてもんじゃ・・・!

梓「私砂吐きそうです」ザー

唯「もう吐いちゃってるよ、あずにゃん」

澪「あの時、ううん、今でも律の一番近くに居たいからそんなの絶対嫌だって思って」

み、澪さん・・・。わ、わかったから・・・。



梓「ムギ先輩鼻血出過ぎです、これ使って下さい」ザー

紬「あら梓ちゃん、ありがとう」ボタボタボタ

澪「だからとっさに似合わないなんて言っちゃって・・・!」

澪「私の勝手な我侭で、それで律を傷つけちゃって・・・本当に本当に反省してる・・・」

も、もういいって澪・・・!



澪「だ、だから・・・お願い、律・・・私のこと嫌いにならないで・・・」

うわあああ何だよこれ!?殆ど愛の告白じゃないかよ!?

澪「ご、ごめん、律・・・私本当に反省してるから・・・許して・・・」

なんて思っていたら、澪が泣き出してしまった。

律「み、澪!?」

私は慌てて澪の元に駆け寄る。



澪「ごめ、ごめんなさい・・・もう絶対しないから・・・」

律「わ、わかった!もう気にしてないから泣き止め!」

私は澪の泣き顔なんて見たくないんだよ!

澪「本当・・・?」

律「澪は私の言うこと信じられないのか?」

澪「ううん・・・」

澪「この世界中の誰より信じてる、律のこと大好きだもん」

律「うん、私もだよ、澪」



唯「何か今日はいつにも増してすごいね二人共・・・」

紬「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」ボタボタボタボタ

梓「ムギ先輩鼻のティッシュ変えて下さい、既に詰めたティッシュの先から滴り落ちてます」ザザー

紬「あらありがとう、それにしてもりっちゃんも澪ちゃんも大胆ねー。あんなこと大声でお互い言い合って・・・」ポタ・・・

律澪「「え?」」

紬「あら二人共必死だったから記憶に無い?こんな時のために録音しておいたのよー」

唯「流石ムギちゃん!」

梓(絶対個人的な理由だ・・・)


ボイスレコーダー再生中・・・




唯「と、いう訳で」

梓「落ち着きましたか二人共?」

澪「はい・・・」

律「おう・・・」

私は机に突っ伏したまま動けないでいる。

さっきは感情任せに喋っていたから気にしてなかったけど、色々とんでもないことを口走っちゃっていたからだ。



唯「さっきはすごかったよねーりっちゃん。『澪に可愛いって言って欲しかっただけなのに!』なんてさー」

梓「澪先輩も返す刀で『あまりにも可愛かったから』、『私が一番で居たいから』ですもんね。思い出すだけで砂吐きそうです」ザー

唯「また出ちゃってるよあずにゃん」

お願いだから二人共、あんまり掘り返すなよ・・・。

澪の言葉を恥ずかしいだの何だの言っておいて、私の方が澪より先に恥ずかしい事言っちゃってるじゃないかよ・・・。



紬「あれだけ言っちゃえばね~」

澪「心を読まないで下さい」

紬「ふふふ」

そんなことを考えているとふと澪とムギの会話が聞こえてきた。

何気に今澪がとんでもないことを言ってたような気がするけど気のせいか?

しかし、今後澪と会話する時はどうしよう・・・。



あんなことお互い言っちゃった後だし、私も澪も素直じゃないからすごくぎこちなくなっちゃいそうな気が

澪「律!」

そんな私の思考を遮る様に、澪が叫んだ。

律「な、何?」

驚いて、慌てて身を起こすと澪は真剣な目でこちらを見つめている。

その表情を見て、私は懲りずに期待してしまった。

きっと今から澪は私に何かを言おうとしている。

そしてその何かは、今私が澪に一番言って欲しいと思っていることだって――

澪「私、律のことが―」


fin