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澪「ふぅ、すっかり遅くなっちゃったな」

買い物の帰り道、自転車を漕ぎながら澪は呟いた。

もう辺りは真っ暗。

信号待ちで止まり、ふと道路沿いのコンビニに目をやると

見慣れたツインテールの少女の姿を見つけた。

澪「梓?」

自転車を駐輪場に置き、店内に入る。



澪「梓」

私が声を掛けると梓はビックリした様子でこちらを振り向き、読んでいた雑誌を棚に戻した。

澪「買い物?」

梓「は、はいちょっと…」

澪「そうなんだ」

梓「澪先輩は?」

澪「今日、両親旅行で居ないから、そこのスーパーに夕食の材料買いに来たんだ」

梓「そうなんですか」

澪「じゃあ、私夕食の準備があるから」

梓「…はい」



コンビニを出て行く澪

自転車に乗り、走り出そうとする

梓「澪先輩、待って下さい!」

梓が走りながらコンビニから出てきた。

澪「どうしたんだ?」

梓「あ、あのもし迷惑じゃなかったら今日澪先輩の家に泊めてもらえませんか?」

澪「え?!」



梓「じ、実は家出して来ちゃって……」

澪「家出?何でまた?」

梓「あの、その……」

途端に梓の顔が曇り、口ごもる。

良く見ると梓は、この時間帯にしては薄着。着の身着のまま飛び出してきてしまったのだろう。

澪「ここじゃ寒いから取りあえずウチ行こうっか」

梓「は、はいっ」

梓の顔に笑顔が戻る。

澪は自転車を押しながら歩き始める。

その隣を梓が歩く。



澪「もう、この時間だとすっかり寒いな」

梓「そうですね」

澪「その格好じゃ寒いだろ?ホラ」

自分のしていたマフラーを外し、梓に巻いてやる

梓「ありがとうございます」

澪の優しい温もりを感じる梓。

家まで歩いてる間、澪は家出の事には一切触れなかった。

真面目な梓の事だ。家出してくるにはそれなりの理由があったはず。



~秋山家

ガチャリ

澪「ただいまーって言っても誰も居ないんだけどな」

梓「お邪魔します」

澪「ふふ、いらっしゃい」

澪「私の部屋行こう」

梓「はい」

梓「わー、何か大人っぽい部屋ですね」

澪「そ、そんな事無いぞ///」

澪「待ってて今なんか暖かい飲み物持ってくるから」

梓「そんな、お構いなく」



澪「お待たせ、紅茶煎れてきたよ」

梓「ありがとうございます」

澪「ムギの煎れてくれる紅茶よりは数段落ちるけどな」

梓「そんな事無いですよ。いただきます」

梓「澪先輩の煎れてくれた紅茶は美味しいです」

人なつっこい笑顔を見せる梓。



梓「あの、実はですね…」

一息ついて落ち着いたのだろう、梓は家出の理由をポツリポツリと語り出した。

音大に進ませたいと言う両親と、私たちと同じ大学に行きたいと言う梓で口論になったらしい。

梓「それで家を飛び出しちゃって。せめてもの反抗って奴です」

梓「最初、純に電話したら、繋がらなくて。取りあえず、留守電にメッセージ入れて」

梓「その後、憂に電話したんですけど、久しぶりに両親が家に居るみたいで、邪魔しちゃ悪いなと思って」

梓「それで、途方に暮れてコンビニで立ち読みして時間潰してたんです」



澪「私が来なかったらどうするつもりだったんだよ?」

梓「ネットカフェにでも行こうかと……」

澪「ああいう所って未成年は夜遅くは駄目なんだろ?」

梓「……そうですけど」

澪「そんな時くらい私たちを頼れよ、同じけいおん部の仲間だろ」

梓「…先輩方には心配掛けたくなかったんです」

梓の目には涙が浮かんでいた。



澪「全く変な所で、気を遣うんだから」

梓「すいません」

澪「大事な後輩に何かあったら大変だろ」

梓の頭を撫でる澪。

梓「はい」

梓の頬に涙がこぼれ落ちる。

澪はその涙を拭き取った。



澪「勿論ウチ泊まってくだろ?私は全然問題ないぞ」

梓「ご迷惑でなければお願いします」

今日は金曜日で、明日は学校も休み。おまけに両親も旅行のため気楽に過ごせる。

澪「梓も夕飯まだだろ?作ってくるからTVでも見てて」

梓「あ、私も手伝いますよ。タダで泊めてもらうのも悪いですからね」

澪「じゃあ、一緒に作ろっか」

梓「はい」



梓「こうやって澪先輩と一緒に料理してると合宿思い出しますね」

澪「ああ、そうだな」

梓「おにぎり作ったりしましたよね」

澪「うっ、思い出したくない過去を」

梓「ああっご免なさい」

梓「澪先輩の手が大きいんじゃなくて私の手が小さいんですよ」

澪「それ、あんまりフォローになってないぞ」



澪「さあ、出来た食べよう」

梓(オムライスにケチャップでハートマーク書いて、タコさんウィンナー乗せるとは)

梓「いただきます」

澪「美味しい、中々良くできた」

梓「美味しいですね」



ピロリロリーン♪

梓の携帯が鳴り響く。

梓「あ、純からです。もしもし」

純「さっきは電話出られなくて、ご免ね。携帯の充電切れちゃってて」

梓「ううん、大丈夫だよ」

純「何か、留守電に『家出した』とか入ってたから心配になって」

梓「あ、澪先輩の家に泊めてもらえたから大丈夫」

純「へー、澪先輩の家にお泊まりね。なるほど」

梓「な、何よその言い方」

純「この機会に襲っちゃえば、ニシシッ」

梓「純!!///」

純「じゃあ、頑張ってね」

プツッ

澪「どうしたんだ?顔赤いぞ?」

梓「な、何でも無いです///」



澪「梓、お風呂立てたけど入るだろ?」

梓「み、澪先輩と一緒にですか?///」

澪「何でだよ///」

梓「そ、そうですよね。私は後で良いですよ」

澪「そうか?じゃあお先に」

梓「ごゆっくりどうぞ」



部屋に一人の梓

梓「お風呂場には、今裸の澪先輩が……」

梓「///」

梓「いかん、平常心平常心」

梓「ん、あそこにあるのはポエムノート?」

梓「ちょ、ちょっとだけ……」

ペラリ

梓「こ、これは余りにもメルヘン…///」

梓「見なかった事にしましょう……」



澪「梓、お風呂空いたぞ」

梓「あ、ハイ……」

澪「ん、どうした?」

お風呂上がりの澪先輩はとても色っぽく、良い匂いで私は思わず見とれてしまった。

梓「ななな、何でもないです///」

澪「?」

澪「着替えないだろ?私のパジャマ用意しておいたから使って良いよ。ちょっと大きいだろうけどな」

梓「ありがとうございます」



~梓入浴中

梓「うー、純が変な事言うから意識しちゃう」

梓「今のウチに気分を落ち着けないと」

スーハースーハー

梓「ふう……ハッ、そう言えばこのお風呂はさっきまで澪先輩が入浴していた」

キョロキョロ

梓「ハッ、こんな事をしてる場合ではない。気分を落ち着けないと」



梓「澪先輩のパジャマだとやっぱりブカブカですね」

手足の余った部分を折り曲げてパジャマを着てる梓。

澪(うわ、可愛い///)

梓「どうしました?」

澪「な、何でもない。それより髪乾かして上げるよ、おいで」

梓「あ、良いですよそんな」

澪「良いから良いから」

梓「すいません」

ゴー

澪「梓の髪、綺麗だな」

梳かし、梳かし

梓「そんな事無いですよ、澪先輩の方が綺麗じゃないですか」

澪「ありがとう」



澪「そろそろ寝るか」

梓「い、一緒の布団でですか?」

澪「だから何でだよ///」

澪「……一緒に寝たい?///」

梓「え?」

澪「私の部屋に布団運んだり、2組布団敷くスペース確保するの面倒くさいし」

澪「一緒の布団で寝た方が楽かなと」

梓「澪先輩が良いのなら///」

澪「と、特別だぞ」



澪「じゃあ電気消すぞ」

梓「はい」

カチッ

梓(豆球は付けっぱなんですね)

一緒の布団、お互いの身体が一部触れあう状態。

澪の温もりがシーツを通して伝わってくる。

こんなに近くに居るのに、恥ずかしくって顔が見れない。

澪(やばい、いざ一緒に寝たら緊張してきた)

ドキドキ

梓(隣同士で寝るのと、一緒の布団で寝るのがこんなに違うとは)

ドキドキ

澪(……ね、寝られない)

梓(無理だ、眠れない。)

澪(『素数』を数えて落ち着くんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……)

澪(私に勇気を与えてくれる)



~30分後

梓「…澪先輩、起きてます?」

梓は小声で話しかける。

クークーという寝息が聞こえる。

どうやら澪は既に寝てしまったようだ。

梓(可愛らしい寝顔)

梓は隣で寝ている澪の髪に指を通す。

サラサラとした黒髪は、触れるだけで梓を陶然とさせるに十分だった。

頭を全体的に撫でてみる。起きる気配はない。

ゆっくり、顔を近づける。



梓「……澪先輩」

髪の匂いと一緒に、澪の香りが自分の中に入ってくるのがわかった。

梓(いやいやいや、駄目だ……)

梓(澪先輩の寝顔が目の前だと寝るに寝られない……)

梓(後ろ向こう)

寝返りを打ち、澪と逆方向を向く梓。



梓(ふう、これで落ち着く)

そして、ようやく梓が眠りかけた頃

ダキッ!!

梓の背後から澪が抱きついてきた。

梓「みみみ、澪先輩?」

澪「………」

梓「澪先輩、駄目ですよそんな、心の準備が///」

しかし、澪は離さない。

梓(抱きしめられてる、澪先輩に)

梓(良い匂いがする…それに背中に胸が当たる///)

梓の首筋に澪の息が掛かる。



梓「澪先輩?」

話しかけても反応がないので少しずつ澪の方に体勢を変える。

梓「あれ?寝てる……」

どうやら寝ぼけて梓に抱きついたようだ。

梓「何だ、寝てたんですか」

梓が落胆して、そう呟いた時。

澪「ううーん……」

澪が更に強く梓を抱きしめてきた。



腕を梓の肩に回し、足まで絡めてきている。梓が抱き枕状態。

体勢を変えてしまったもんだから澪と向かい合いの状態。眼前に澪の顔。

梓(うわっ、どどど、どうしよう///)

梓(動けない……)

梓(無理に動いたら起こしちゃいますよね)

梓(仕方ない、このまま寝るしか……)



澪「梓……」

梓「起きたんですか?」

澪「…………」

梓(あれ?寝言?)

そう梓が思った矢先

チュッ

梓「!!!!」


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