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平澪「全く、私の世界と微妙に所在地がズレていたから探すのに手間取ってしまったじゃないか」

澪「え? ちょ、ちょっと、あなたは一体誰なんですか! いきなり部屋に入って来て」

平澪「ん? このナリを見ても分からないのか? 私はお前だよ。秋山澪だ。平行世界の」

澪「へ、平行世界!?」

平澪「何だ。そんなことも知らないのか。どうやらこの世界の時代レベルは私達のいた世界より相当古いらしいな。
   平行世界ってのはあれだ。何ていうか、多元宇宙だよ。つまり個人の知覚出来る宇宙は一つだけだが、実は他にも似たような宇宙がいくつも存在し、並存してるって奴だ。
   パラレルワールドくらい聞いたことないのか?」

澪「しょ、小説とかで読んだことはあるけど」

平澪「なら話は早い。その小説のような内容が目の前で展開されていると思ってくれればいい。私はそのパラレルワールドの秋山澪なんだ」

澪「そ、そんなこといきなり信じろって言われたって……」

平澪「なんだ。物分りの悪い奴だなぁ。今こうして目の前で起こっている出来事を信じられなくてどうする」

澪「う……。じゃ、じゃあ仮に、貴方が平行世界の私だとして、一体私に何の用ですか!?」

平澪「自分に敬語はよせよ、変な気分だ。それよりそうだな、本題に入ろう。だがちょっと待て。準備がいる」

澪「?」



平澪「」スッ

澪「え? な、何ですかそれ? 機械?」

平澪「敬語はよせと言っただろう。何、こういうのには雰囲気造りが大事なんだ。分かるだろ?」

澪「?」

パッ

澪「えっ!? な、なにこれ、夜景?」

平澪「これは好きな映像を流してくれる機械だ。高層マンションから夜景を見下ろしてる気分だろ?」

澪「綺麗……」

平澪「そしてもっと重要なのはこっちだ。受け取ってくれ」スッ

澪「え? な、何これ……って、指輪?」

平澪「そうだ。行くぞ」スゥー

澪「え? ま、まさか……」

平澪「好きです! 結婚してください!」

澪「え、えええええええええ!?」



澪「ちょ、ちょっと、な、何ですかいきなり。あなたは私なんでしょ? 何で自分で自分に結婚を申し込むんですか!」

平澪「三度目だぞ。大体、婚約を申し込まれたら返事をするのが筋だろう! 何を取り乱している」

澪「だ、だって、いきなり自分に結婚を申し込まれて取り戻さないわけがないじゃないで……ないじゃないか!」

平澪「……はぁ。全く、雰囲気が台無しだ。まぁ確かに、事情くらいは説明してやるべきだったかな」カチッ

パッ

澪「あっ夜景が」

平澪「仕切り直しだ。今から説明してやるよ。私の話を聞けば、お前も理解できるはずさ」

澪「は、はぁ……」

平澪「私はさ、気付いたんだよ」

澪「な、何に……?」

平澪「私の結婚相手に相応しいのは、私だけだってことにさ」

澪「」



平澪「何だその顔は? 唖然として」

澪「いや、だって……」

平澪「だってそうじゃないか? 容姿端麗、頭脳明晰、運動神経も悪くない上に、スタイル抜群と来た。
   欠点と言えば余りにも完璧過ぎるが故に纏っているオーラが気高くなりすぎてしまうことくらいだ。
   こんな完璧であることがむしろ珠に瑕になってしまっている私と結婚するに相応しい相手など、私自身を除いて他にいないことなど明らかではないか。
   私自身、なぜこんな簡単なことについ最近まで気付けなかったのかと困惑している次第だよ。……だから何だその顔は」

澪「いや、だって、その……」

平澪「何だ? お前も私をナルシストと呼ぶのか? ふっ、素晴らしいものを素晴らしいものということのどこが恥ずかしいというのだ。
   その素晴らしい対象がたまたま私自身だったというだけの話ではないか。気にすることはない。さぁ、婚約しよう」スッ

澪「ちょっ/// いきなり手を握らないでくだ……握るな! だ、大体自分と結婚なんてそもそも変っていうか、お、女同士じゃ、ないか」

平澪「ん? しょうがないだろう。秋山澪の性別が男である平行世界が存在しなかったものでな。
   それになぁに、私のいた世界では同姓婚も普通に市民権を得ているよ。同姓同士で子どもだって残せる」

澪「えっ/// ……で、でも、自分同士で結婚なんてやっぱりおかしいよ!」

平澪「まぁ確かに、前代未聞ではあるな」

澪「ほ、ほらっ!」

平澪「だがしかし、そもそも私の存在が前代未聞な完璧過ぎるものなのだから仕方ないじゃないか。
   他の不完全な奴らは運命のパートナーという名の自分の欠点を補ってくれる他人を追い求めていればいいのさ」

澪「」



平澪「む? まだそんな顔をするか! いい加減に観念して私の婚約を受け入れろ!」グイグイ

澪「だ、抱きつくな/// 大体やだよ! 私は自分となんか結婚したくない!」

平澪「なぜだ! 私の話を聞いてなかったのか!?
   ほら、見ろ! この整った顔立ち。豊満な胸! この私の存在を委ねる相手が私の他にいるとでもいうのか!?」

澪「い、いるよ!」

平澪「何!? ……さては貴様っ、誰かに恋をしているな!」

澪「えっ/// し、してないよっ/// そんな///」

平澪「いや、わかるぞ! 私自身のことだからな。嘘かどうかはすぐわかる!
   誰だっ! お前をたぶらかす輩は!」

澪「知らない知らない!」



平澪「女子大に通っていて合コンみたいなイベントに出る性格ではない……。
   とすれば、相手は軽音部の面々しかいないか……」

澪「き、決め付けるな///」

平澪「反応有り、と。ここまで絞れればあとは簡単だ。
   ……律」

澪「な、なんだよいきなり名前言って」

平澪「……ムギ」

澪「な、なんだって!」

平澪「梓」

澪「ちょ、ちょっと!」

平澪「……唯」

澪「な、ち、違う///// やめろよぉ////」

平澪「……これは私でなくても分かるな」



平澪「なるほど。お前は唯のことが好きなのか。同姓同士で結婚はおかしいとかいっときながら、自分は唯が好きなのか」

澪「////」カァァア

平澪「それにしても、唯のどこがいいんだ? あんな自分一人では何もできない天然女。私は仮にも私であるお前にあんな奴を好きになってもらいたくないぞ」

澪「ゆ、唯のことをそんな風に言うなっ!!」

平澪「うっ」ビクッ

澪「」ジロッ

平澪「ぐ……」(これは本気だな)



平澪(まずいな。私が一度本気になったらひかない性格であることは私である私自身が良く知っている)

平澪(それにしても、何でこの世界の私は唯のことなんか……。とにかくこのまま計画を頓挫させるわけにはいかないし、少々手荒いが、あの方法で何とかするしか……)

平澪「お前が本気なのは良く分かった! だが私としてもここで引き下がるわけにはいかないのでな! 悪いが唯と貴様の仲を引き裂かせて貰うぞ!」スッ

澪「なっ! 何をする気だっ!」

平澪「何、この機械を使って唯の場所を探り当て、お前の振りをして接触し、唯のお前に対する心象をさげてやろうというわけさ」

澪「ふ、ふざけるなっ! そんなこと」

平澪「させない、とでも言うつもりか? ふっ、だがどうする? この世界の文明で私の世界の機械を越える動きができるとでも言うつもりか?」

澪「や、やめてくれ!」

平澪「そうさ、そうやって嘆願してるのがお似合いさ。まぁ、やめないけどな!」フッ

澪「き、消えたっ!? どうしよう! 早く探さないとっ!」



フッ

平澪(ふっ、所詮は平行世界を行き来する文明力もない世界、私の国の最新機器にはかなうまい)

平澪(さてとこの世界の唯は……)キョロキョロ

唯「~♪」

平澪(おっ、いたいた。あそこの雑貨屋だな。丁度一人だし、ここは偶然街中で会った感じで接触すればいいだろう)

平澪「おーい、唯」

唯「ん? あっ、澪ちゃん!」

平澪「偶然だな」

唯「うん。だけど澪ちゃんもこの店知ってたんだ……ってあれ?」

平澪「ん、どうした、唯?」

唯「……うーん、澪ちゃんじゃ、ないよね?」

平澪「え!?」



平澪(な、何でばれたんだ!? 私何かおかしい言動したか!? 気を使ったつもりだったのに)

平澪「な、何言ってるんだよ、私は秋山澪だよ」

唯「う~ん」ジー

唯「何か私の知ってる澪ちゃんと違うなぁ。オーラが違うっていうか」

平澪「オーラって、分かってて言ってるのか? 大体、何の遊びか知らないけど、いい加減失礼だぞ」

唯「あ、うん。ごめん。そうだよね、良く考えたら澪ちゃんじゃないわけないよね。ここまで似てるそっくりさんはいないだろうし」

平澪「そうだよ。まった」

澪「おーい! 唯!」

平澪(しまっ!)

唯「あ、あれ! 澪ちゃん!? あ、こっちの澪ちゃんは普通の澪ちゃんだ」

澪「ゼェゼェ……、ゆ、唯、そいつは、私じゃないんだ」

唯「う、うん、そうだと思ってたんだけど、でもそしたらこの澪ちゃんは……。
  あ! 分かった! こっちの人は澪ちゃんの親戚さんだね! それで余りにもそっくりだから澪ちゃんの振りして私を騙そうとしたんでしょ!」

平澪 澪「え?」



澪(ちょ、ちょっと、どういうこと?)

平澪(知らないよ! こいつお前が来る前から私が本物の澪じゃないって気付きかけてて、そこにお前が来たからあんな突拍子もない勘違いに至ったんだろ)

澪(え? 唯は気付いたのか? 流石唯////)

唯「ねーどうしたの二人でこそこそ話して。ねぇ、当たりでしょ!?」

平澪(ぐ…どうする?)

澪(取り合えずここは唯の話にあわせとこうよ。唯に平行世界とか言ってもわからないだろうし。お前もこんな街中で混乱は起こしたくないだろ?)

平澪(ちっ、やむをえないか)

平澪「そ、そうなんだよ。私は澪の親戚で、澪から軽音部の話聞いて、ちょっといたずらしてやろうと思ったんだ」

澪「うん。でもよく見抜いたな唯。凄いぞ」

唯「う、うん/// えへへ、照れるなぁ。でも流石にわかるよぉ、ちょっとそっくりすぎてびっくりしたけど」

澪「あ、ああ。双子でもないのに瓜二つで困ってるんだ」

唯「へぇ~。あっ改めましてはじめまして」

平澪「あ、う、うん」

唯「名前は何ていうの?」

平澪「え!?」



平澪(これはまずいな。澪っていうわけにはいかないし……)

唯「?」

澪(おい! 唯が不思議がってる! 早くなんとかしろ! 即興でいいから)

平澪(ちっ好き勝手言って!)

平澪「あ、その、だな~、私の名前は……あっ! 真里! 私の名前は真里だよ!」

唯「へー、真里ちゃんか。よろしくね」

平澪「あ、ああ。よろしく」

澪(なんだよ真里って。どっから出てきた)

平澪(マリリン・モンローのマリだよ)



唯「ねぇ澪ちゃん真里ちゃん、この後時間ある? あそこの喫茶店でお喋りしようよ~」

澪「あ、そうだな。私はだいじょ……ぐっ!?」

平澪「ごめん唯さん。私と澪はちょっとこの後用事があるんだ」

唯「そっか、残念」シュン

平澪「ごめんな。親戚があつまるといろいろ面倒な行事があるんだよ」

澪(おいちょっと何勝手なことを。せっかくのチャンスを)

平澪(うるさい。私だって澪なんだからどこかでボロがでるとも分からないだろ! 二人一緒に唯と長く接触するのは危険だ)

澪(あ、それもそうだな)

澪「ごめん。唯。また今度な」

唯「うん! 今度は真里ちゃんの話一杯聞かせてね」

澪「ああ。じゃあな」

唯「ばいば~い」



フッ

澪「凄いな、一瞬で部屋まで戻れた」

平澪「……さて」

澪「?」

平澪「お前に聞きたいことがある」

澪「な、何だよ」

平澪「なんであんなに早く私の場所を突き止められたんだ?」

澪「え? そ、それは////」

平澪「まさか、休日唯が良く行く店をこっそりチェックしてたとか、そういうストーカー紛いのことをしてたわけじゃあないだろうな」

澪「そ、そんなこと////」

平澪「図星か。はぁ、私ともあろうものが。まぁいい。本題は次だ」

澪「え?」

平澪「ちょっとお前の記憶を除かせて貰えるか?」

澪「は?」




平澪「いや、さっき唯と接触して思ったのだが、どうやらこの世界の唯は私達の世界の唯とは違うらしい。
   私達の世界の唯は本当にただの間抜けた天然なんだが、どうもさっき私の正体を見抜いたことからというか、雰囲気からというか、あの唯からはとにかく何かカリスマ性地味たものを感じるんだ」

澪「そ、そうなんだよっ! 唯は普段はふわふわしてるけど、土壇場では頼りになるんだ!」

平澪「いやそういうのが聞きたいんじゃなくて……。まぁいい。とにかくお前が唯達軽音部と積み重ねて来た記憶を除かせてみろ。そしたらもっとこの世界の唯のことがわかるだろ」

澪「そ、そんなことが出来るのか?」

平澪「何、これは技術的進歩どうこうは関係ない。平行世界ってのは元は同じ存在だったのが選択肢によって分岐したものなんだよ。
   つまり私もお前ももともとはただ一人の秋山澪という存在だったってわけさ。だからその気になれば記憶の共有くらいはわけない」

澪「よ、よくわからないけどまぁもう好きにしていいよ」

平澪「それじゃ遠慮なく。何なら私の記憶をお前に流すこともできるけど?」

澪「いや、遠慮しとくよ」

平澪「そうか、それじゃ」ゴツン



平澪「……」

澪「おーい」

平澪「……」

澪「だ、大丈夫か?」

平澪「」パッ

澪「あ、やっと気付いたか。10分くらい気絶してたから心配したんだぞ」

平澪「……相応しい」

澪「へ?」

平澪「この世界の唯は、私の結婚相手に相応しい!」キラキラ

澪「え? あ、そ、そうか!」



平澪「なんだよ! あの花火をバックにギターを弾く唯! かっこ良すぎだろ!」

澪「ああ、そうだよな! あれで惚れない人は目が節穴だよ!」

平澪「それに学際の時私を励ましてくれる唯! 普段ぽわぽわしてるくせにああいう細かな心遣いがくぅ~心に染みる!」

澪「励まされたのは私だろ!」

平澪「私だって澪なんだから同じだ!」

澪「いや! こればっかりは譲れない。それに唯は他にもいろいろ私のことをその笑顔で助けてくれるんだ////」

平澪「分かる分かる。それに何かこっちの唯は天然なところも見てて癒されるな」

澪「でしょでしょ! 庇護欲がそそられるっていうか。普段は私が守ってあげるのにピンチの時は逆に助けられたりして」

平澪「可愛くて格好いいとかもう完璧過ぎるよぉ! 私って努力家なところあるからああいうカリスマ性溢れる天然には弱いんだ!」

澪「……私、今はじめてお前がこの世界に来て良かったって思ってるよ」

平澪「ああ。朝まで唯の魅力について語り明かそうぜ」グッ



チュンチュン

澪「それでねそれでね……って、もうこんな時間か。大学行かないと」

平澪「何だ、また私としては語り足りないぞ」

澪「私だってそうだよ。というかお前、大学は?」

平澪「こっちの世界は今夏休み中。一人暮らしの身だし一日くらい帰らなくても問題ないよ」

澪「そっか。じゃあどうするの?」

平澪「適当にお前が帰ってくるまで時間潰してるかな」

澪「まだこの世界に居る気?」

平澪「ああ。あの唯を私のものにするまでは帰る気はないよ」

澪「なっ! ゆ、唯は渡さないぞ!」

平澪「別にお前の物じゃあないだろ? だったら私にチャンスがあったっていいはずだ」

澪「大体お前とこの世界の唯は別の世界の人間じゃないか」

平澪「なぁに、愛があれば世界の違いなんて関係ないさ」

澪「ぐっ」



澪(結局あのまま出てきちゃったけど心配だな……)

澪(あいつは私と違って変に積極的だし……)

澪(まぁ、大学にいる間は唯は私達と一緒なんだから心配ないかっと、目の前に唯発見)

澪「おーい、唯!」

唯「あっ、澪ちゃん。……本物だねっ!」

澪「ははは、もうあんな悪戯はしないよ」

唯「もー、昨日は結構びっくりしたんだよー」

澪「ごめんな。あいつは昔から悪戯が好きなんだ」

唯「へぇ~。でも結構面白かったから気にしてないよ」

澪「でも、気付いてくれたって知った時は嬉しかった」

唯「もう、澪ちゃんのこと間違えるわけないでしょー」ギュー

澪「ちょ、ちょっといきなり抱きつくな///」

唯「だって寒いんだも~ん」

澪(幸せ///)



澪「あ、そうだ唯、あいつのこと、律達には黙っててくれるか?」
 (あいつらが唯みたいにすんなりごまかせるとは思えないし)

唯「えー何でー?」パッ

澪(あっ……)「あ、ああ、まぁ、あいつ律達も驚かせる気満々だからさ、ちょっと乗ってやろうかなーと」

唯「おおー、澪ちゃん意外と悪戯っ子」

澪「ふふ。律なんかこれだけ長い付き合いで分からなかったら拳骨だな」

唯「あはは!」

律「なーにが拳骨だって~?」

澪「ああ律」

唯「あ、律っちゃん~。何でもないよ~」

律「私に隠し事はなしだぞうりうり~」

唯「きゃー」



キーンコーンカーンコーン

唯「んーやっと3限終わった~。さぁ帰ろ帰ろ!」

澪「私は今日は4限入ってるから」

唯「ああ、そっか。澪ちゃん法律学いくつか取ってるんだっけ」

紬「私、今日はちょっとこの後用事があって迎えに来て貰うことになってるの」

律「私も今日はサークル活動があるからまだ帰れないや」

唯「えー、じゃあ私一人で帰るのか~寂しいな~」

律「じゃあ私のサークル活動終わるまで待ってたら? 一緒に帰ってあげるぜ」

唯「やっぱ一人で帰ろっと」

律「なんだよそれ!」


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