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澪「ハーレムワールド」2

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moemoequn

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澪「……どうしてこうなった?」

澪(おかしい。わたしの記憶には唯や律が言ってたようなものはない……)

澪(だいたい、女の子どうしなのになんで誰もツッコミを入れない?)

澪「……」

澪「いいや。今は帰ろう。帰ってシャワーを浴びて少し寝よう」


 「あら? 澪ちゃん?」


澪(……またこの展開か……)



澪「よ、よう、ムギ」

紬「こんなところで会えるなんて……。
  こんにちは、澪ちゃん」

純「……」

澪「あれ? えっと……鈴木さん?」

純「こ、こんにちは。澪先輩」

澪「ムギと鈴木さん……珍しい組み合わせだな」

紬「ふふ、そこの駅前でたまたま会ってね」

純「そ、そうなんです」



澪「そ、そうなんだ……じゃあ二人の仲をジャマするわけにはいかないし、わたしはこれで……」

紬「待って。せっかくだからわたしの家に来ない?」

澪「ムギの家……」

澪(そういえばムギの家に行ったことって、あんまりないよなあ……)

純「あ、あの、よかったらわたしも……紬先輩の家に行ってもいいですか?」

紬「そうねえ……」


ジロリ……


澪「……!?」

澪(な、なんだ今のムギの目つきは?)



純「……」ジー

澪「な、なんでそんなにわたしのことを見つめるのかな?
  わたしの顔になにかついてる?」

純「い、いえ……」

澪(ていうか、ムギに質問してるのにどうして、わたしの顔を見つめるんだよ……)

紬「そうね、みんなでわたしの家に行こっか」

純「ありがとうございます、紬先輩」

澪(イヤな予感しかしない……)





紬「あそこからだと、わたしの家、あまり近くないから車を呼んだけど……」

純「スゴイですね。こんな高級な車、初めて乗りました」

澪「本当に大きいな……」

紬「そうね。この車は特に大きいものだから」ナデナデ

澪「へえ……」

澪(なぜムギはわたしの太ももを撫でてるんだ……?)

紬「そう、たとえば寝転がることもできるし、ほかにも……」


ドンッ!


澪「なっ!? む、ムギ!?」

紬「こうやって澪ちゃんを押し倒すこともできるわ」



純「紬先輩!?」

紬「ふふふ、澪ちゃんビックリした?」

澪「あ、当たり前だ!
  とにかくやめろ! こんなこと……」

紬「ふふふ、い・や・だ」

純「つ、紬先輩。こ、こんなことはしてはいけませんよ……」

紬「わたし知ってるんだよ?
  純ちゃんが澪ちゃんのこと大好きだってこと」

純「そ、それは……」

紬「せっかくだから、ためしに澪ちゃんとキスしてみたら?」

澪(いやいやいやいや、なんだこの展開)

純「……」ゴクリ



紬「大丈夫。わたしが澪ちゃんの頭を固定しておくから」

純「み、澪先輩とキス……」

紬「そう。憧れの澪ちゃんとのキス。
  したいでしょ? 澪ちゃんとチューしてみたいでしょ?」

澪「待て待て待て待て。
  わたしとのキスって……わたしは女だし、鈴木さんだってムギだって女だろ!?」

紬「……?
  言ってる意味がわからないけど、まあいっか。
  ほら、純ちゃん。キスしちゃって」

純「は、はい」

澪「はい……じゃないっ!」ジタバタ!



純「澪先輩。こんな状況でなんですけど、好きです」

紬「ふふふ、わたしも澪ちゃんのこと大好きだよ?」

澪「……い、いいかげんに……」

澪(こうなったら……)

澪「……しろっ!」ドンッ

紬「きゃっ……!」

澪(き、奇跡的に腹筋の要領でムギを突き飛ばすことができた!)

純「あ、紬先輩! 澪先輩が逃げます!」

澪「くっ……」ガチャ


澪(とにかく家に戻らなきゃ……!)





澪「はあはあ……こ、ここまで来ればさすがに大丈夫か……」

澪「ていうか……明らかにみんなどうかしてるだろ……」

澪(そしてなにより。
  いくらなんでも、わたし、人気ありすぎだろ!)


サヨナラキズダラケノヒビィヨー♪


澪「……メール? 誰からだ?」

澪「……和からだ」



澪(そうだ! 和ならきっとわたしを助けてくれるはずだ)

澪(頼りになるし、クールだし! 生徒会長だし!)

澪(もしかしたら今もわたしのことを心配してメールをくれたのかも……)

澪(……いや、まあそれはないにしろ、わたしが置かれている今の状況を説明すれば力になってくれるはず!)


…………………………………………………………………………………………………………………………………………………

From:真鍋和
件名:

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澪「…………」

澪「まさか一番危険なのは和だったりして……」

澪「ハハハ……」

澪「どうしよ……和すら頼りにならない状況なんて……」

澪「みんながみんな、おかしくなっちゃった……」

澪「……暑い」

澪「うん、家に帰って寝よう」





澪「……ああ、ようやく自分の家に帰ってきた……」

澪「疲れた……疲れたから寝よう……」


ピンポーン


澪「イヤな予感しかしない。
  出るのはヤメよう」


ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン


澪「……こ、怖いから出たほうがいいかも……」



澪「……」ムクリ

澪「はい、今出まーす」


ガチャ


澪(そういえば今日はパパとママ、二人とも出かけてたんだな)

澪「はーい」

 「あ、澪ネエ」

澪「お前は……」



 「珍しく家にいたんだね、よかった。
  ほら、これ姉ちゃんの部屋に忘れてったノート。
  姉ちゃん、会いたがらないから代わりに来たんだけど」

澪「あ、えっと、その……」

 「どうしたの? そんな初対面の人に会ったみたいな状態になっちゃって?」

澪「いや、だって……」

 「……?」

澪「だ、誰ですか? その……あなたは?」



 「なに言ってんの? わたしは田井中律の『妹』だよ」



澪「……」

 「わたし、これから部活だからバイバイ」

澪「……そ、そうなの」

 「そうそう。なんだか姉ちゃん元気なかったけどケンカでもしたの?」

澪「えっと……ちょっとな……」

 「早く仲直りしなよ。しょげてる姉ちゃん見るのはわたしもツライし」

澪「わかった……ところで……その……名前は?」

 「わたしの?」

澪「……う、うん」

 「わたしの名前なんて澪ネエ、知ってるに決まってるのになに言ってるんだよ。
  じゃあね、バイバイ」

澪「あ、ああ……じゃあ」





澪「頭痛くなってきた……」

澪(律の『妹』?
  律の『弟』……聡じゃなくて……)

澪(……気晴らしにテレビでも見ようかな……)


ぴっ


澪「……え?」

澪「日付が七月……? わたしの記憶が正しければ、十月のはずなのに……」

澪(そもそも、わたしは昨日、唯たちと同じ進路にするか考えてたはずなのに……)



澪「もしかして夢……?
  いや、そんなわけない、か……」

澪「どうりで十月にしては暑いと思ったけと……」

澪「わたしの頭がおかしくなったのか……世界がおかしくなったのか……」

澪「どうすればいいんだろう……頼れる人もいないし……」


ピンポーン


澪「……今度は誰?」



澪「どうしよ……ドアを開けたら、また、唯やムギのときみたいに襲われたりするかもしれないし……」

ピンポーン

澪「でもこのままボーっとしてるのもよくないような気がする……」

澪(とりあえず、チェーンをかけてドアの隙間から覗いてみるか……)

ピンポーン

澪「はーい、今出まーす」

ガチャ


 「あ、澪先輩……」

澪「……梓」



梓「こんにちは、澪先輩……って、なんでチェーンかけてるんですか?」

澪「い、いや、ちょっと事情があって……。
  そ、それでどうしたんだ? わ、わたしになにか用でもあるのか?」

梓「あれ? メール見てないんですか?」

澪「ごめん、ちょっとイロイロとありすぎてケータイを確認する余裕もなかったんだ……」

梓「……?
  いえ、ただ借りていた保健のノートを返しに来ただけなんですけど……」

澪「そ、そうなんだ……」

澪「保健のノート……」

澪(そういえば二年生のときだけ保健の授業があったな……)



梓「わたし、ノートをなくしちゃったものですから……澪先輩が貸してくれて助かりました」

澪「そうか……それはよかった」

梓「……」ジー

澪「……」

梓「……」ジー

澪「な、なんでそんなにわたしの顔を見つめるんだ?」

澪(まさか鈴木さんのときみたいに……。
  いや、でも大丈夫のはず。今はチェーンかけてるし……)

梓「いえ、なんだかいつもの澪先輩と雰囲気がちがうなあと思って……」

澪「そ、そうか……。ところで梓は保健の授業で今はなにを習ってるんだ?」

澪(ダメだ。動揺しすぎてどうでもいいこと聞いちゃった)



梓「今、やってるところですか?」

澪「う、うん……」

梓「性行為についてです。えへへ」

澪「せ、性行為……」ポッ
梓「どうしました、澪先輩?
  顔が赤くなっちゃいましたけど……」

澪(エッチだとそれほど恥ずかしくない響きなのに、性行為だと恥ずかしく感じる……)

澪「い、いやなんでもない! なんでもない!」ペラペラペラペラ

梓「そうですか……」

澪「こんなの読んだって全然恥ずかしくないからな!」ペラペラ

梓「はあ……」

澪「……あれ?」


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