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澪「ハーレムワールド」5
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moemoequn
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澪「ムギに頼みたいこととがあって、電話したんだ」
紬『いいよ! なんでも言って! わたし、澪ちゃんの望みならなんでも聞くから!』
澪「……ムギに頼みたいのは、わたしの電話の場所を特定してほしいってことなんだ」
紬『うんうん』
澪「実はわたしは……」
澪(それから10分程度の会話をして、わたしはムギとの電話を切った)
梓「ムギ先輩となんの電話をしてたんですか?」
澪「うん、それについてはこれから話しする」
♪
梓「……それって本当なんですか?」
澪「うん、予想だけど。たぶん当たってると思う」
梓「それでムギ先輩にお願いしたんですね。
たしかにムギ先輩の家なら、そういうこともできそうですもんね」
たしかにムギ先輩の家なら、そういうこともできそうですもんね」
澪「正直、ムギが頼りにならなかったら手詰まりだったけど運がよかった」
梓「しかし、ムギ先輩からの返事遅いですね」
澪「そうだな……まあ、簡単にはできることじゃないのかもしれない」
梓「あ、じゃあせっかくだから待ってる間に小話でもしましょうか?」
澪「どんな話?」
梓「はい、うちの学校で最近流行りだしたある怪談話です」
澪「い、いい! そういうのは遠慮する!」
梓「そうですか」クスクス
澪「……こっちの世界では桜校に怪談まであるのか……」
梓「澪先輩の学校ではないってことですか?」
澪「うん。そういう話はあまりないな。特に最近なんて……あ、電話だ」
梓「ムギ先輩からですね?」
澪「うん……。
……もしもし?」
……もしもし?」
紬『もしもし、澪ちゃん?』
澪「……うん、そうか。わかった、ありがとう。それで、その場所はどこなんだ?」
紬『学校の音楽室』
澪「え?」
紬『澪ちゃん、わたし精一杯応援してるから、頑張って!』
澪「あ、うん。じゃあ……バイバイ」
梓「さて、これで目的地もわかりましたね。もちろん、わたしもついて行っていいですよね?」
澪「最初はひとりで行くつもりだったんだ。い、いや、でも……」
澪「おねがい! ついて来て、梓」
梓「頭下げられなくてもついていきますよ、澪先輩」
♪
澪「よ、よ、夜の学校ってちょっと怖いけどわたしがいるから、だ、だだだ大丈夫だぞ、梓」
梓「あのー、澪先輩。
腕を絡めて、ついでに体重をかけられると歩きづらいです」
腕を絡めて、ついでに体重をかけられると歩きづらいです」
澪「あ、あ、梓が怖いかなあと思って……わ、わたしはべつにそんなにこ、こ、怖くないけどな!」
梓「……はいはい」
澪「……なんだその顔は?」
梓「生まれつきです……。
着きましたよ、音楽室……もとい、音楽準備室。軽音部部室」
着きましたよ、音楽室……もとい、音楽準備室。軽音部部室」
澪「よ、よし。じゃああとは待機だ」
梓「いや、待機してどうするんですか?
部室に入らないと」
部室に入らないと」
澪「そ、そうだな……」スーハー
梓「大丈夫ですよ、澪先輩。わたしがついています」ギュッ
澪「……ありがとう、梓」
梓「じゃあ……せーので扉を開けますよ」
澪「……わかった」
梓「せー!」
澪「のっ!」
ガチャリ……
「だ、誰だ!?」
梓「…………」
澪「……梓」
梓「……なんですか、澪先輩?」
澪「わたしの予想、当たってただろ?」
梓「……はい、名推理ですね」
「お前たちは……」
澪「……ひとりは、お前の後輩の中野梓。わたしは……」
澪「お前だよ、秋山澪」
♪
澪『さて、どうしてムギに電話してたのかって言うのを説明しなきゃいけないんだけど……。
どこから説明しような』
どこから説明しような』
梓『澪先輩はいったいなにがわかったんですか?』
澪『今回、わたしがパラレルワールドに来ることになった原因……ううん、これは本当かわからないけど。
ただ、わたしに電話をかけてきた謎の人物についてはわかった』
ただ、わたしに電話をかけてきた謎の人物についてはわかった』
梓『それは唯先輩じゃなかったんですか?』
澪『ちがう。たしかに唯はわたしに電話をかけたみたいだけど、あれは明らかに唯じゃない』
梓『じゃあ……誰なんですか?』
澪『その前に、梓。今回、わたしがパラレルワールドに来たとすると、だ。
この世界のわたしはどこにいるって話にならない?』
この世界のわたしはどこにいるって話にならない?』
梓『たしかに……』
澪『ズバリ、答えを言うと。おそらく、この世界のわたし、『ミオ』はこの世界にいる』
澪『そもそもな、梓。最初から奇妙なことがあったんだよ』
澪『わたしが唯一持っていたのはケータイだけ。
でも、奇妙だ。ケータイがあるのになぜかサイフをわたしはもっていない』
でも、奇妙だ。ケータイがあるのになぜかサイフをわたしはもっていない』
澪『普通に考えて、普段のわたしだったらケータイをもってるならサイフももってる』
澪『そして、ケータイを見てみた。メールを見てみたらすぐにわかった。
わたしのケータイじゃないってことが』
わたしのケータイじゃないってことが』
澪『さらに梓から聞いた、昨日のわたしが三人のケータイをいじっていたっていう証言』
澪『これはたぶん、三人のケータイに登録されてるわたしのケータイ番号をいじってたんだ』
澪『わたし……この場合はミオの番号を』
梓『どうしてそんなことを?』
澪『どういう必要性があるのかは全くわからない』
澪『でも、そうすることによる意味はわかる。
おそらく、ミオは自分のもってるもうひとつのケータイの番号に書き換えたんだろう』
おそらく、ミオは自分のもってるもうひとつのケータイの番号に書き換えたんだろう』
梓『ケータイを二つもっていた?』
澪『たぶんな。いや、わたしがムギに電話したとき、ムギはすぐにはわたしだとわからなかっただろ?』
澪『あれは本来登録されていたわたしのケータイ番号が書き換えられていたからだ。
だから、名前が表示されなかった』
だから、名前が表示されなかった』
澪『そして、唯がわたしにかけたと言っていた番号。
あれも、ミオのもうひとつのケータイ』
あれも、ミオのもうひとつのケータイ』
澪『本来のケータイは、わたしがもってるものだけど、唯のも書き換えられていたから……』
梓『澪先輩のもっているケータイにはかからず、ミオ先輩のケータイにかかった……ってこと?』
澪『たぶん』
澪『今、ムギには、
『ムギのケータイに登録されているわたしのケータイをどこかに落としたから、落とした場所を特定して』
と言った』
『ムギのケータイに登録されているわたしのケータイをどこかに落としたから、落とした場所を特定して』
と言った』
梓『じゃあ、そこにミオ先輩は……』
澪『うん、たぶんいる』
梓『なんだかすごい話ですね。
同じ人間が二人もいるなんて……』
同じ人間が二人もいるなんて……』
澪『まあな……』
梓『でも澪先輩、自分の声と同じ声してる人の声の主が、誰がわからなかったんですか?』
澪『いや、なんとなくわかってたよ。
けど、案外自分の声ってわからないもんなんだよ』
けど、案外自分の声ってわからないもんなんだよ』
梓『……なるほど』
♪
ミオ「まさかな……場所を特定されるなんて……どうしてわかった?」
澪「……梓、とりあえず明かりをつけて」
梓「はい」
ミオ「質問に答えろよ!
なんでお前ら、わたしの場所が特定できたんだよ!?」
なんでお前ら、わたしの場所が特定できたんだよ!?」
澪「うるさい。そんなことよりわたしの質問に答えて」
澪(よし、明かりが完璧につく……って)
澪「えええええ!? これがわたし!?」
ミオ「……」
梓「み、ミオ先輩……その髪の毛どうしちゃったんですか……」
ミオ「……文句あるのか? わたしがどんな髪型にしようが、わたしの勝手だろうが」
澪「いや、でも……」
ミオ「……どうやらもうひとりのわたしは髪を染めたことないんだな」
澪「あ、あるわけないだろ?
ていうか、その口ぶりだと髪をなんかいも染めてるみたいだな」
ていうか、その口ぶりだと髪をなんかいも染めてるみたいだな」
梓「言い忘れてましたけど、ミオ先輩はけっこうな回数、髪を染めてます」
澪「……いや、でもさすがにショッキングピンク色の髪は……」
ミオ「……完璧に別人にしか見えないだろ?」
澪「ピンク色に髪を染めてどうするつもりなんだ?」
ミオ「べつに。深くは考えてないな」
梓「でしょうね。これから推薦で受験する、人間のする行動じゃないでしょ。
ていうか、よくそんな色に染まりましたね」
ていうか、よくそんな色に染まりましたね」
ミオ「ふふ……なんかいも染めてるからな」
澪「もしかして……そのままどこかへ逃げるつもりだったのか?」
ミオ「そっ。こんなくだらない連中からオサラバしたかったからさ」
澪「だから、わたしをパラレルワールドに呼んだのか?」
ミオ「いやいや、なんか勘違いしてないか?
わたしは確かにお前が来ることをわかっていたし、実際お前をわたしの代わりにして逃げようとした」
わたしは確かにお前が来ることをわかっていたし、実際お前をわたしの代わりにして逃げようとした」
澪「…………」
ミオ「けど、この世界にお前を呼んだのはわたしじゃない」
澪「じゃあ、誰だ?」
ミオ「さあ? そもそも、わたしも昨日までは半信半疑……
いや、パラレルワールドなんてもの全然信じてなんていなかったんだよ」
いや、パラレルワールドなんてもの全然信じてなんていなかったんだよ」
澪「じゃあ、誰がお前にわたしのことを教えたんだ?」
ミオ「一週間前。メールがわたしのケータイに届いてたんだよ。
妙に長い文章でさ。
パラレルワールドからもうひとりのわたしが、律の家に現れるってメールがな」
妙に長い文章でさ。
パラレルワールドからもうひとりのわたしが、律の家に現れるってメールがな」
澪「……」
ミオ「差出人は不明だ。だから、わたしもほとんど遊びのつもりで、
仮にもうひとりのわたしがいたら、っていう仮定で前日までイロイロ準備してたんだよ」
仮にもうひとりのわたしがいたら、っていう仮定で前日までイロイロ準備してたんだよ」
澪「……なんで?」
ミオ「……あ?」
澪「どうして、お前はここにいるんだ?
なんで、お前の代わりのわたしが現れたのに、遠くに逃げずにまだこんなとこにいるんだ?」
なんで、お前の代わりのわたしが現れたのに、遠くに逃げずにまだこんなとこにいるんだ?」
梓「そうですよ。先輩の言うとおりですよ。なんで、こんなとこにいるんですか?」
ミオ「…………」
ミオ「べつに深い理由はないし、こんなに簡単に見つけられるなんて思わなかったし……」
澪「……それだけ?」
ミオ「そもそも、わたしがお前をわたしの代わりにしようと思ったのも、ただひとつ。
鬱陶しかったからだ」
鬱陶しかったからだ」
澪「……」
ミオ「なんでか知らないけど、周りの連中はみんなわたしに惹かれてく。
わたしってば、それで色んなヤツの相手をしてやった」
わたしってば、それで色んなヤツの相手をしてやった」
梓「……」
ミオ「ていうかさ、ぶっちゃけると賭けてたんだよ」
澪「賭け……?」
ミオ「今日中に、お前にわたしが見つけられなければ、わたしはここから去る」
澪「……」
ミオ「今日中にお前に見つけられたら……」
澪「見つけられたら、なんだ?」
ミオ「お前を一生、ここの住人にして、わたしがお前の世界に行ってそこの住人になる」
澪「どういうこと……?」
ミオ「理屈はよく知らないけど、この世界のモノでなんらかの傷を負うとパラレルワールドの住人は帰れなくなるらしい。
なんかメールにそう書いてあった」
なんかメールにそう書いてあった」
澪「……!」
ミオ「そしてね。傷を負わせた人間が、その傷を負った人間と同一人物だった場合……」
ミオ「その世界に行けるんだよ」
梓「澪先輩、なんだか非常にまずい気がするんですけど気のせいですかね?」
澪「いや、同じ人間として思うけど、あの目つきは危ないと思う……」
ミオ「わたしはいいかげんウンザリなんだよ。こんな女しかいない世界なんかさあ!」
澪「な、な、な、ナイフ!?」
ミオ「嘘じゃないっ!」
梓「あわわわ!?」
澪「ど、どどどどどうしようあずさああああ!?」
梓「いやいやいやわたしにフラないでくださいよ!」
澪「そ、そ、そんなこと言ったって迫ってくるしいいいい!」
梓「とにかく逃げましょう! 傷つけられるどころか、殺されます!」
ミオ「逃げるなああああああああ!」
♪
梓「えらいことになりましたね……」
澪「死にたくない死にたくないいやだあああ死にたくないぃ」シクシク
梓「声出さないでくださいよ。かろうじて逃げ出して、隠れたのに。
見つかったらどうするんですか?」
見つかったらどうするんですか?」
澪「だってぇ……」
梓「さっきの推理してるときの澪先輩はカッコイイと思ったのに……」
ミオ「どこにいるんだ!? 出てこいよ!!」
梓「ううぅ……確実に足音は近づいてるし……」
澪「終わった わたしの人生が ヒラヒラと」
梓「……ダメだこりゃ」
ミオ「なあ、頼むから出てきてくれよ? 今出てくるならそんなにひどい目にあわせないから……」
澪「あ、梓、ああ言ってるよ?」
梓「信用できますか、あのナイフ。妙にゴツいですし」
澪「て、ていうか、あれは本当にわ、わわわわたしなのか……」
梓「まるで別人ですね。でも、わたしの気のせいですかね?
なんだかミオ先輩、心細そうに見えるんですけど」
なんだかミオ先輩、心細そうに見えるんですけど」
澪「え……?」
ミオ「は、はやく出てこいよ。今なら……そうだ、安全ピンの針をチョコンと刺すだけで許してやるっ」
澪「……もしかして」