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澪「梓、ひとつ頼みがある」

梓「なにか必勝方でも浮かびましたか!?」

澪「……うん、たぶん。アイツはわたしだから、たぶん上手くいくはずなんだ」

梓「わかりました、とにかく教えてください」

澪「……」ゴニョゴニョ

梓「……そんなことでいいんですか?」

澪「いいんだ。相手はわたしだ。だからきっと上手くいく」

ミオ「は、早く出てこいって言ってんのがわからないのか!?」



梓「わかりました。この際です、やってみます」

澪「た、頼んだぞ。わたしは耳ふさいでるから、話し終わったら背中を叩いてくれ」

ミオ「どこにいるんだよぉ……早く出てこいよっ!」

梓「ミオ先輩っ!」

ミオ「ひっ……!」ビクッ

ミオ「……って、どこにいるんだ!? 出てこいいぃ!」

梓「出ていってもいいですけど、その前に怖い話をしていいですか?」

ミオ「……へ?」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」



ミオ「ふ、ふざけるなっ! 馬鹿にしやがって……!」

梓「昔、あるところにギターが大好きな茶髪の少女がいました」

ミオ「……!」ビクッ

梓「しかし、その少女はやがてトラックに轢かれて死んでしまいました。
  少女の妹は悲しみました……って」

ミオ「 」

梓「立ったまま気絶してるし……。
  澪先輩、どうやら澪先輩の作成はうまくいったようです」

澪「 」

梓「……こっちは座ったまま気絶してる」



梓「なんだか、シマらない終わり方だけど、まあいっか……」

ミオ「 」

梓「暗い部屋でひとりでいても平気だったのに……ああ、もしかしたら気絶してただけなのかも」

澪「 」

梓「こっちはこっちでこれだし……」

梓「とりあえず、ロープかなにかでミオ先輩を縛ろうっと……」





ミオ「……んっ」

澪「目が覚めたみたいだな」

ミオ「え? え? なんでわたしがロープで縛られてるんだ!?」

澪「わたしがお前をロープで縛ったからだ」

梓「さりげなく嘘つかないでください。縛ったのはわたしです」

ミオ「……くっ!」

澪「無理だ。ロープをちぎれるわけないだろ」



澪「もう、諦めろ。いや、諦めて」

ミオ「……ひとつ聞いていいか?」

澪「なに?」

ミオ「お前は自分の世界が好きか? わたしは嫌いだ」

澪「わたしは……世界とかはよくわからないけど、わたしの周りのものはみんな好きだ」

ミオ「……」

澪「軽音部だって、ベースだって、学校だって、友達だって……みんな好きなんだ」

ミオ「……うらやましい、な……」

澪「え?」

ミオ「べつになんにも。
   はあ……もし、こっちの世界でもいいと言うなら交渉するつもりだったのに」

澪「交渉してもムダ。わたしは、この世界の住人じゃないし」



ミオ「……そっか」

澪「それで? わたしはどうやったらもとの世界に帰られるんだ?」

ミオ「ほうっとけば勝手に帰られるらしいよ。
   世界のそうであろうとする自律的で巨大な力によって、異なる世界の人間はハジかりらしい」

澪「メールに書いてあったの?」

ミオ「そんな感じの文章がね」

梓「よかったですね、澪先輩!」

澪「その……それは本当なのか? お前がただ嘘をついている可能性も……」

ミオ「……さあ?」

澪「……」



澪「まあいい。わたしがこの世界から帰られないかぎり、梓はお前のロープを外さないからな」

ミオ「あっそ」

梓「まあまあ、澪先輩。せっかくですし、ちょっと学校の中を探索しません?」

澪「コイツを見張ってなくても大丈夫か?」

梓「大丈夫ですよ。ロープで身体を縛られてるんですから」

澪「……まあ、大丈夫か……」

梓「ほらほら、行きましょっ」グイッ

澪「だから、手を引っ張るな!」





澪「なんだかさ、ハチャメチャなすぎて異様に長く感じた時間だったけど、たった一日の出来事でしかないんだよな……」

梓「そうですね……って、澪先輩くっつきすぎです。
  もう、だいぶ明るくなり始めてるのに……」

澪「仕方ないだろ……そういえば、もうひとりのわたしのことだけど……」

梓「なんですか?」

澪「いや、意外とあっさりと引いたなあと思ってさ。
  もっと必死にあがいてくるかと思ったのに……」

梓「意外でしたけど、案外アレで正解なような気がします」

澪「?」



梓「ほら、澪先輩も言ってたじゃないですか?
  ミオ先輩が唯、律、ムギ先輩、三人のケータイの電話番号をいじった必要性について」

澪「ああ、イマイチ意味のわからない行動だな」

梓「三人のケータイなんていじりさえしなければ、今回、ミオ先輩はわたしたちに見つけられることはなかったはずでした」

澪「まあ、確かに……」

梓「ではなんでそんなことをしたのか……」

澪「未練があったから……そう言いたいのか?」

梓「……ただの予想ですよ」



梓「もしかしたら澪先輩を誘い込むためだけの罠だったのかもしれませんし……」

澪「どうだろうな……」

梓「それとこれは確信がある予想なんですが、ミオ先輩はこの世界の住人ではないのかもしれません」

澪「え……?」

梓「ミオ先輩の言動を思い返すと、ね……。
  『女だけしかいない世界』なんてことも言ってましたしね」

澪「ちょ、ちょっと待ってくれ」

梓「なんですか、澪先輩?」



澪「いやいや、アイツは世界ね自律がどうとか言ってたし、普通ならすぐにもとの世界に戻るんだろ?」

梓「そうらしいですね。でも、過去にべつの澪先輩にこの世界の傷をつけられたとしたら……?」

澪「……」

梓「ミオ先輩がセックス依存症だとウワサされるほど、性行為をしていたのも……。
  セックス依存症の原因でもある精神的寂しさを紛らわすためだったのかも……」

澪「でも、わたしの世界とこの世界……二つ世界はあるけど……」

梓「二つ世界があるんだったら、三つあってもおかしくありませんよ」

澪「……!」



澪「もしかしたら、あのわたしも男の人がいる普通の世界から来たのかな……」

梓「まあ、そうかもしれませんね」

澪「……なんだかな。もしそうだったらスゴクかわいそうだな……」

梓「……澪先輩!」グイッ

澪「うわっ、なんだよ?」

梓「いえ、ほら……日の出ですよ!」

澪「……あ、もうこんな時間か……」



梓「そういえば、澪先輩の世界はもっと時間が早く進んでるんですよね?」

澪「うん、わたしの世界はもう十月だからな……学園祭ライブも、もう終わってるよ」

梓「学園祭ライブは成功しましたか?」

澪「学園祭ライブは…」

梓「……あ、やっぱり聞かないことにします

澪「なんでだ?」

梓「たとえ世界がちがっても、わたしたちのバンドが成功しないわけありませんから」

澪「……そうだな」



澪「……なんだろ? 指先が光ってるような……って、うわあ!
  身体が薄くなってる!?」

梓「落ち着いてください、澪先輩。いよいよ帰るときが来たんですよ」

澪「……そうか、そうだな……って、予想外に早いな……」

梓「そんなものでしょう。世界からすれば人間ひとりなんて本当に小さなものです」

澪「……そうだな」

梓「澪先輩……」



梓「その、澪先輩とは一日しか過ごしてないけど、スゴク楽しかったです」

澪「わたしも。わたしってかなり人見知りする人間なのに、なぜか梓は平気だったよ」

梓「それはよかったです」

澪「まあ、外見は本当に同じだからな」

梓「ええ……澪先輩」

澪「?」

梓「今度はミオ先輩も入れてきちんと練習して、頑張っていきます。
  そして、必ずバンドを成功させます!」

澪「わたしも……イロイロと頑張るよ」



澪「じゃあ……そろそろサヨナラだ」

梓「澪先輩と会えて本当によかったです。ありがとうございました」

澪「わたしこそたくさんお世話になった。
  ありがとう、梓」

梓「最後ですから、澪先輩に抱き着いておきます」ダキッ

澪「あ、梓!?」

梓「ご利益があるかもしれませんしね。
  澪先輩もわたしに抱きつかれるなんて、イロイロついてますよ」

澪「……じゃあ、な、梓」

梓「さようなら、澪先輩」


………………
…………
……





律「でさ、澪ったらわたしと同じ大学に行きたいからって推薦取り消したんだよなあ!」

澪「……」

梓「そうなんですか、澪先輩?」

澪「まあ……昨日、今日で進路と同じくらい、いや、進路以上に大事なものに気づいたからな」

紬「進路以上に大事なもの?」

唯「友達だね!」

澪「まあ、な……」


澪(散々、進路は迷いに迷って、けれどもあの奇妙体験のおかげで、わたしはみんなと同じ大学を志望することにした)



澪(まあ、友達と同じ大学に行きたいって、どうなんだろうとも思うけど……)

澪(あの世界で、確かに思ったんだ。
  わたしはみんなが好きだって。放課後ティータイムが好きだってこと)

澪「わたしは、まあ、少しでも多くの時間をみんなと共通したい……そう思ったんだ」

律「ほほう、それはどうしてかなあ?」

澪「…………」

唯「澪ちゃん?」

澪「み、み、みんなのことがす、すすすすす好きだからだよ!」


唯紬律梓「……」ポカーン

律「澪が好きって言ったぞ!?」

唯「わたしも聞いたよ、りっちゃん隊員!」

紬「わたしも!」

梓「わ、わたしもです!」



澪「ああ! もううるさいっ!」

律「ぷぷっ……照れてやんの~
  澪しゃんったらかわいいんだからもー」

澪「う、る、さ、い」ドンッ

律「ぐぬぬぬ……」

梓「律先輩、調子に乗るから……」

唯「いたそー」

紬「りっちゃん、大丈夫?」


澪(まあ……こんな日がいつまでも続いたらいいな……)



おしまい♪









……と、いきたいところですけど、一番重要なところが抜けてますよね。

そう、今回の裏の主役とも言えるミオ澪先輩にメールを送り、澪先輩を困惑させた首謀者。


まあ、ぶっちゃけちゃうとわたしなんですけどね。



そう、澪先輩の助手としてミオ先輩の敵に回ったこのわたし、中野梓です。
いやー、しかし、澪先輩にしろミオ先輩にしろイロイロ楽しい人たちでしたね。

まあ、楽しい一日を過ごせたのはいいんですけどね。
ていうか、誰かツッコメよと思ったんですけど。

どう見ても、わたしが澪先輩に惚れてるってわかりますよね?
途中なんかうっかり、

 『人を好きになるってことには、なんらかの変化がツキモノだと思いますけどね』

とか、ほとんど告白まがいの台詞を言ってるんですけど。
自分のことで精一杯だったからなのか、ただ単に鈍いだけなのか、澪先輩、わたしの気持ちにきづいてくれてもよかったのに……!

まあ、わたしの趣味は澪先輩眺めでして。
色んな世界の澪先輩を眺め、仲良くなることを目的にしてたんですけど。

今回は少し、趣向を変えて襲われる澪先輩を眺めようと思ったんですけど……
まあ、結果的にミオ先輩だけやられちゃいました



最後らへん、澪先輩に対して世界がたくさんあるという仮説を言いましたけど。
あれは仮説じゃなくて単なる事実を述べただけです。

まあ、どういうカラクリでわたしが並行世界の人間を連れて来るのかはあえて、説明しません。
けれど、ひとつ確かなのはパラレルワールドから人間を連れて来ると、確実にその人間は、その人間が
過ごしていた時間よりも前の時間にしか来れないみたいです。
まあ、高いところから低いとこに飛ぶのは簡単だけど、低いところから高いとこへ飛ぶのは難しいという理屈と同じ。
そう思っていただいていいと思います。


しかし、まあいいかげん、不思議な力を使って自分の世界に澪先輩を連れて来るのもしんどいので。
今回からは、自分からパラレルワールドに行くことにしました。


梓「澪先輩」ダキッ

澪「梓……?」



紬「梓ちゃんが澪ちゃんに抱きついてる……」

律「どうしちゃったんだ、梓」

唯「あ、あずにゃんが浮気してる!!」

梓「たまにはこういうのもいいですよね、澪先輩?」

澪「え? あ、うん……」(なんだかあっちの梓みたいだな……)





ミオ「……なんだよ、梓?」

梓「み、みみみ澪先輩の髪の毛がピンク色になってる!」

ミオ「……なに今さら言ってんだ?」

梓「ひいっ!」

ミオ「ほら、部活に行くぞ」グイッ

梓(いったいどうなってるのー!?)



     お   わ   り