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澪「歌詞、か。・・・秋鮭、紅鮭、シャケラッチョ」1
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moemoequn
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休日 秋山家、澪の自室
澪「熊が100頭、クマっちゃうー♪鮭に出会って、サケられたー♪」
カチ、カチ、カチ
澪「・・・駄目だ。こんな歌詞じゃ」
カチ、カチ、カチ
澪「もうこんな時間か。あー、間に合わないっ」
ピロピロピロッ♪
澪「・・・あっ。今、今書いてる。あさって。い、いや。明日までには必ずっ」
澪「・・・ああ、ムギか。・・・いや、律が催促してきたかと思って。・・・期限は無いし怒られないけど、私的にちょっと」
カチ、カチ、カチ
澪「・・・今、時間良いかな?・・・そう。たまには一緒に作るのも良いかと思って。・・・うん、私の家に来てくれれば」
カチ、カチ、カチ
澪「ムギ。時計って、一体何のためにあるのかな」
同時刻、平沢家リビング
律「えいっ、おりゃっ」
ピピピ
唯「なんのっ、そやっ」
シャシャッ
律「うわーっ」
どかーん」
唯「やったー」
律「ちぇー、自爆しちゃったぜ」
唯「自爆熊爆発、自爆熊爆発、自爆熊爆発」
律「何だそれ、意味無いじゃん。だははー♪」
憂「お疲れ様。ホットケーキ、焼けました」
唯「憂、ありがと♪」
律「さんきゅー。・・・んー、すごいふっくらしてんな」
憂「ヨーグルトを入れてみたんです。入れすぎると酸っぱいけど、上手く行きましたね」
唯「あー。ホットケーキには、やっぱりメープルシロップだね」
律「・・・澪の奴、今頃やってるのかな。また歌詞作ってるのかな」
唯「澪ちゃん、真面目だもんね。私達も練習する?」
律「いいな。ダンダダ、ダンダダ」
唯「ギュイーン、ギュギュイーン。・・・憂もエアセッションしようよ♪」
憂「え?」
唯「憂はエアオルガンね」
憂「オ、オルガン?・・・タラララーン、タラララーン?」
律「憂ちゃん、良いよー。ダダダン、ダダダン、ダダダダー」
唯「ギュギューン、音楽最高ーっ♪」
秋山家、澪の自室
チャッ、チャラー♪
澪「・打ち込み音源か。・・・良いメロディだな、うん」
紬「主旋律しか入力してないから、まだまだなんだけど」
澪「いや。私も曲を聴いて、イメージが出来てきたよ。これ、コピーして良いかな」
紬「勿論。他のパートも出来たら、メールで送るわね」
澪「・・・ここ、初めのフレーズをアレンジしているのか。ちょっと面白いな」
紬「あら、分かってくれた?」
澪「少し弾いてみようか。ムギは、パソコンで頼む」
紬「ここは移調してるから、ちょっと気を付けないとね」
澪「なんだか、楽しくなってきたぞ♪」
同時刻、鈴木家リビング
梓「暖かいね、あずにゃん2号は」 もふもふ
純「そんな名前じゃないってば」
梓「良いじゃない。私の中では、あずにゃん2号なんだから」
純「8時になったらどこに行くのよ。・・・と、私は行かなきゃ」
梓「もう?」
純「休日練習の日なのよ、今日は」
梓「休めないの?」
純「私だって休みたいよ。でもそうしたら、他の子が上手くなる訳じゃない。それってどう?」
梓「まあ、結構困るよね」
純「そういう事なのよ。はぁ」
純「梓はこの後、どうするの?」
梓「特に予定も無いし、家に帰るだけだよ」
純「澪先輩達と練習したら?」
梓「自分からは言いにくいもん。それに先輩達は先輩達で楽しんでそうだから、私が割って入るのもね」
純「案外、気を遣ってるんだ」
梓「案外って何よ。あーあ。軽音部も、ジャズ研の半分くらい練習してくれればな」
平沢家、リビング
律「・・・ふー。熱いセッションだったぜ」
唯「燃えたねー♪」
律「その分、猛烈に虚しいけどな」
唯「たはは。エアセッションだからね」
憂「私、飲み物持ってくるよ」
唯「良いよ、憂。私が持ってくるから。りっちゃんは、何飲みたい?」
律「冷たい物なら、何でも良いよ」
唯「それなら、平沢スペシャル作っちゃおーかな」
律「・・・それ以外を頼む」
唯「そっか。残念だな」 すたすた
憂「お姉ちゃん、私はお茶で良いよ」
唯「分かった。りっちゃんはやっぱり、平沢・・・」 くるっ
律「よく冷えた、氷入りのグレープジュースを頼む」
律「ふー、危ないところだった」
憂「お姉ちゃん、創作料理が好きですから」
律「創作、か。澪の創作活動はどうなってるのかな」
憂「気になります?」
律「唯が言ったように、生真面目な奴だからさ。自分の中で勝手に締め切りを作って、唸ってるんじゃないか」
憂「心配ですか?」
律「さあね。私はそれよりも、唯が平沢スペシャルを持ってこないか心配だよ」
憂「ふふ♪」
秋山家、澪の自室
ボボーン♪
澪「・・・なかなか良いな」
紬「後は歌詞を付けるだけね」
澪「歌詞、か。・・・秋鮭、紅鮭、シャケラッチョ」
紬「え、えーと」
澪「私、知ってるんだ」
紬「え?」
澪「過ぎた時間は、決して戻ってはこない事を。あはは、はは、ははは・・・」
紬(こんな重い空気、生まれて初めてっ♪)
紬「私達だけだと煮詰まっちゃうから、誰か呼んだ方が良くない?」
澪「梓を呼ぼうか。多分、真剣に考えてくれると思うから」
紬「それって、余計に煮詰まらない?」
澪「大丈夫。煮詰まるのは、お鍋でコトコト3時間。ふんわり小豆の出来上がりだ」
紬「歌詞が浮かんだの?」
澪「私、何か言ってたか?」
紬(突っ込みたいっ。でも、突っ込み方が分からないっ♪)
30分後
梓「お邪魔します」
澪「ああ。メロディはムギが作ってくれたから、後は歌詞を作るだけだ。もう少し待っててくれ」
梓「期限は特に無いですよね」
澪「だからって、いつまでも先延ばしする訳にも行かないだろ。よく煮たお餅は良く伸びる、もっちりもちもちモチベーションだ」
梓「それ、新しい歌詞ですか?」
澪「私、何か言ったか?」
梓「・・・私の聞き間違いでした」
澪「ぷっ、変な奴だな」 くすっ
梓(相当追い詰められてるな、澪先輩。でも、動物ネタに走ってないだけましか)
澪「あーり、さんかく、ひつーじ、あーり、さんかく、ひーつじ。・・・うん、調子出てきたっ」
梓(全然訳分かんないし、でも何かイメージ出来ちゃうし)
紬「うふふ♪」
平沢家リビング
律「うーん、ゲームはもう良いか」
唯「そだね。・・・あずにゃん、何してるのかな」
憂「家でゆっくり休んでるよ、きっと」
律「よし。梓にメールだ。・・・今、何してる?え?どうしてそんな事聞くのかって?私、梓の事が気になって仕方ないんだ♪・・・送信と」
唯「ふざけすぎだよ、りっちゃん。怒られちゃうよ」
律「梓が怒る訳無いだろ。・・・と、帰ってきた」
憂「なんて書いてあります?」
律「……ふざけるな、デコ」
唯、憂「えっ」
律「by、澪とある」
唯「ああ、澪ちゃんと一緒にいるんだ」
律「ちぇっ。向こうは向こうで楽しんでやがるな」
唯「私もメール送ろっと。澪にゃん、澪にゃん。今日から、澪にゃんって呼んで良い?・・・送信と」
律「もう呼んでるじゃんよ」
唯「えへへー。あ、返ってきた」
憂「なんて書いてある?」
唯「おっけーでーす♪」
律、憂「えっ」
唯「byムギにゃんだって」
律「ムギにゃん・・・、じゃなくてムギもいるのか。何やってるのかな、あいつら」
唯「間違っても、エアセッションはやってないだろうね」
憂「もしかして、曲作ってるのかも」
唯「あ、それはあるかも」
憂「お姉ちゃん達も、応援に行ってみれば?私、差し入れ作るね」 すたすた
律「澪の奴、自分一人だけ楽しみやがって」
唯「でも曲を作るのは、澪ちゃんとムギちゃんだよね」
律「おう」
唯「私達って、一体何なのかな」
律「・・・少なくとも、演奏時には必要だぞ」
唯「演奏して無い時の私達って、何なのかな。もしかして、単なる賑やか・・・」
律「あはは、何言ってるんだよ。私達は、そこにいるだけで良い存在なんだよ」
唯「そかな。本当に、そかな?」
律「唯、真面目になったら負けだ。ドラムは打ち込みの音源だけで十分なんて思うのは、絶対良くないぞ」
唯「私、変な汗が出てきたよ」
律「私なんて、目から出てきそうだよ」
秋山家、澪の自室
澪「・・・駄目だ、全然良いアイディアが出て来ない」 ぐったり
梓「大丈夫ですか、澪先輩」
紬「澪ちゃん、根を詰め過ぎじゃなくて?」
澪「・・・コンコンコン。キツネキツツキ北杜夫」
梓「えーと、今のは」
澪「駄目だ」
梓「そうですよね」
紬「明るいイメージはどうかしら。マンボみたいに、燦々と太陽が降り注ぐような」
澪「・・・さんさんさん。サンマサワガニ斎藤宗吉。・・・駄目だっ」
梓(斎藤宗吉って、誰)
澪「うーん、うーん、うーん」 ぐったり
紬「空気が重いわねー♪」 ぽそっ
梓「・・・ムギ先輩は平気なんですか?」
紬「今まで味わった事がないから、むしろ新鮮なのよね」
梓「私は倒れそうなんですが。・・・ムギ先輩は曲を作る時、あまり悩みません?」
紬「そういう時は庭を散歩してみたりして、気分転換するの。私の場合、無理をするのは良くないみたい」
梓「澪先輩は、性格的に無理するタイプっぽいですからね」
紬「でもそうやって頑張るのが、澪ちゃんの良い所じゃないかしら」
梓「はいです♪」
澪「・・・イルカだよ。クジラじゃないよ、イルカだよ。イルカとクジラの違いはね。体の大きさだけなんだ♪」
梓(だったら一緒だし、もはや歌詞でもないし)
澪「・・・違う。何かが違う。梓は、何が違うと思う?」
梓(何もかもが違うと思う)
澪「どう思う?」 ずいっ
梓「え、えと。その、あの」
紬「取りあえず、少し休憩しましょうか。お菓子も持ってきてあるし♪」
澪「・・・そうだな。ちょっと休むか。私、お茶持ってくる」 とたとた
梓(やっぱりムギ先輩は気が利くなー。良い匂いがする訳だよ♪) くんかくんか
澪「あー、うー。むーん」 ぐったり
梓(やはり、重い)
紬「・・・唯ちゃん達を呼ぼうか?あの二人がいれば、空気も和むだろうし」 ぽそっ
梓「澪先輩、怒りませんか?」
紬「きっとは大丈夫だと思う。それに何かあったら、私が怒られるから」
梓「ムギ先輩♪」
澪「・・・やっぱり、万葉集から紐解いてみるか。なんといっても、歌の元祖だからな。・・・熱田津にー♪船乗りせむとー♪」
梓(遡りすぎだし、吟じ出しちゃったし)
紬「はー。よいさー、よいさっ♪」 ぱん、ぱん
梓(合いの手入れる事じゃないし) ぱん、ぱん
平沢家リビング
ピロピロピロ
律「お、ムギからメールだ。・・・今すぐ、澪ちゃんの家に来て下さい。お菓子あり。だって」
唯「おおっ。行く前に、向こうからお呼びが掛かったよ」
律「結局さ、私達の力が必要だって事なんだよ」
唯「出ちゃう?私達の隠されてた能力が発揮されちゃう?」
律「されちゃう、されちゃう。いやー、参ったな。ムギがそこまで言うなら、行くしかないか」
憂「ロールケーキ出来たよ。・・・ムギさんに呼ばれたって聞こえてきたけど」
唯「憂、ありがと♪私達、澪ちゃんの家に行ってくるね。だって私達、必要とされてるから」
律「もう、私達じゃないと駄目なんだって感じだよ」
憂「ふふっ。律さん、頑張ってきて下さいね。お姉ちゃんも♪」
唯「憂、お姉ちゃんはやってくるよ♪」
律「待ってろよー、澪。私達の本気って奴を見せてやるぜ」