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~部室 

紬「みんな、お茶にしましょう」

梓「ハーイ」

プチン

梓が振り向いた瞬間、髪がふわりと広がった。

梓「あ、あれ?」

紬「梓ちゃん、髪留めのゴム切れてるわよ」

慌てて足元を見ると、梓の髪を纏めていた髪留めのゴムが切れて床に落ちていた。



梓「切れちゃってますね、どうしよう予備持ってきてない」

唯「コレ使う?」

唯はクリップを差し出す

梓「イヤですよ、そんなの」

唯「あずにゃんのいけず」

紬「私、ロッカーにゴム入ってるけど取ってこようか?」

梓「え?そんなわざわざ悪いですよ」

律「じゃあ、今日くらい髪下ろしてたらどうだ?」

律のその提案を聴くと澪は鞄を漁りだした。



澪「梓、私が髪梳いてあげるよ」

梓「え?あの」

澪「一回触って見たかったんだ、梓の髪」

澪「あの、あのっ……!」

混乱し始めた梓をよそに、澪は梓の後に回り込み、もう片方の髪留めも外した。



もはや梓の顔は真っ赤で頭の中は真っ白。

澪は気にもせず髪を梳かし始めた。

澪「梓の髪、やっぱ綺麗だな」

梓「…………///」



澪は梓が無反応なのを良いことに髪を梳かしていたが、梓に余りに反応がないので心配になり

梓のことを覗き込んできた。

澪「嫌だった?」

梓「だ、大丈夫です」

カチコチ

澪「なら良かった」



澪「良し、出来た」

律「しかし、梓が髪下ろすと澪にそっくりだな」

紬「本当、姉妹みたい」

唯「さわちゃんも前に言ってたよね」

梓「そ、そうですか?///」

澪「そ、そんなに似てるか?」



律「梓、試しに澪の事をお姉ちゃんって呼んでみて」

梓「イヤですよ、恥ずかしい」

紬「私も聴きたいわ、ねえ唯ちゃん?」

唯「聴きたいです!」

梓「ムギ先輩と唯先輩まで!」

梓「澪先輩、何か言って上げて下さいよ」

澪「わ、私も聴きたい///」

梓「ふぇ?///」



先輩4人に頼まれた梓は拒否できず

梓「み、澪お姉ちゃん///」

澪(萌え萌え~キュン!!!!!!)

唯律紬「おおー!!まさしく姉妹!」

律「ん、どうしたんだ澪?」

唯「顔真っ赤にして固まってます」



澪が目を覚ますと梓の顔が目の前にあった。

どうやら今まで固まっていた澪の頭を自分の膝に乗せていたらしい。

梓「あ、やっと起きましたね」

澪「あ、あれ?」

梓「みんな先に帰りましたよ」



律『じゃあ澪お姉ちゃんの事よろしくな』

唯『お姉ちゃんの面倒しっかりみるのよ』

紬『素晴らしい姉妹愛』

澪「あいつら…」

梓「じゃあ、もう遅いし帰りましょうか」



手を伸ばせば届く距離に居たのに、手は伸ばせなかった。

その髪に、肌に触れたいと言う気持ちをグッと堪えていた。

どうしようもない想いが心を苛立たせる。

寝顔を覗き込めば、その顔にどうしようもないくらいの

トキメキを感じてしまうくらいに、気持ちは募っていたのに。



澪「うわー外は寒いなー」

今日は特に寒い日で、夕方の今は寒さを更に増していた。

梓「寒いと帰るの辛いですね」

外は寒かった。校舎を出たばかりの二人にとっては尚更のこと。澪はマフラーをしていたが、梓はしていなかった。



澪「梓寒くない?…」

梓「寒いですよ。でも…」

澪「…でも?」

梓「…あ、いや何でも無いです…」

澪「?」

顔が赤くなる梓。



澪「あ、そうだ」

澪は、自分のしていたマフラーをほどき始めた。

梓「…あの、その…」

澪は、マフラーを自分と梓にも巻いた。一本のマフラーを2人で巻く、恋人同士が良くすること。

梓「…温かいです…ありがとうございます…」

2人は再び歩き出した。



澪「こうやって歩いてると、知らない人が見ると本当の姉妹に見えたりするのかな?」

梓「そうかも知れませんね」

澪「それとも……」

梓「それとも?」

澪「あ、いや何でもない///」

梓「あー、気になるじゃないですか」

澪「…梓こそさっき何か言いかけただろ?」

梓「じゃ、じゃあ私が先に言うから澪先輩も言って下さいよ」

澪「わ、分かったよ」



梓「…寒いけど、澪お姉ちゃんの隣なので温かいですって…言おうとしたんです…」

澪「へ?///」

予想だにしなかった梓の言葉に澪は真っ赤になる。

梓「わ、私は言ったんですから次は澪先輩の番ですよ」

澪「……その、こうやって歩いてると、恋人同士に見られたりするのかなって」

梓「え?///」

こうして、お互い顔を真っ赤にしたまま残りの帰路を歩いたのだった。



~次の日

憂「梓ちゃん、髪型どうしたの?イメチェン?」

梓「えへ、ちょっとね」

純「そう言えば、梓がそうやって髪下ろすと澪先輩みたいだよね」

梓「そ、そう?///」

憂「そう言えば似てるかも」

梓「えへへ」



~部室

唯「あれ?あずにゃん、今日も髪下ろしてるんだね」

紬「可愛いわよ」

律「ハハーン、昨日澪に似てるって言われたのがそんなに嬉しかったのか」

梓(うっ、こういう事には鋭い人です…)



律「澪が梓みたいにツインテにしたらどうだ?」

澪「夏にやったらお前が似合わないって言ったんだろ!」

紬「そんな事無いわよ、梓ちゃんみたいで可愛かったわよ」

唯「あずにゃん、澪ちゃんの髪縛って上げて」

梓「ええ!?」



澪の後ろに回り込む梓

梓「じゃ、じゃあ失礼します」

澪「う、うん」

梓(うわ、澪先輩の髪、綺麗で良い匂い…)



澪の髪を梳かし始める梓

サッサッ

梓(うなじが色っぽい……)

唯「あずにゃん顔真っ赤だよ」

律「興奮しちまったか?」

紬「あらあら」

しかし外野の声は既に梓の耳には届いてなかった。



梓「出来ました」

澪「ありがとう梓」

律「やっぱり似合わな…」

ゴツンッ

律「ゲフッ」

澪「うるさい」

唯「可愛いよ澪ちゃん」

紬「わー梓ちゃんのお姉ちゃんみたい」



律「あれ?前はすぐにほどいちゃったのに今日はそのままなの?」

澪「せ、せっかく梓が縛ってくれたんだしな」

梓「せっかくだなんて、そんな」



~部活後

唯「あれ?澪ちゃんとあずにゃんは?」

律「二人で話したい事があるから先に帰って良いって」

紬「まあ!澪梓姉妹で!」



~二人きりの部室

梓「あ、あの実はお願いがあって、」

梓はそう言ったきり俯いてしまった。

心なしか頬が赤く染まっているようにさえ見える。

澪「梓…?」



心配になった澪は隣に座り、梓の顔を覗う。

けれどその口からもれてきたのは意外な言葉だった。

梓「私…お姉ちゃんって言うのに憧れてて、甘えてみたかったんです…」

澪「へっ!?」



ドキドキと、急激に鼓動が高鳴り始めた。

梓「だから、澪お姉ちゃんに甘えてみても良いですか?」

澪「えええっ!?」

突然そんなことを言われて驚かないはずはない。

澪はただ、あたふたとするより他なかった。



梓「すいません…やっぱり迷惑ですよね……」

その声は心なしか震えているように感じた。

今にも泣き出してしまうのではないかと思える程の寂しげな顔がそこにあった。

胸の奥をギュッと掴まれるような、そんな精一杯の梓の笑顔。



そんな梓を見て、いたたまれなくなった澪は

澪「私で良ければ…」

梓「…えっ?」

澪「私で良ければ、甘えても良いぞ」

顔が真っ赤になってるのが自分でも分かる。

これ以上無いくらいの恥ずかしさが全身を支配していたけれど、梓の気持ちに少しでも

応える事ができるのならば。



梓「優しいですね、澪お姉ちゃんは」

そう言いながら、梓はポフっと体を澪に預けてきた。

澪「…梓…」

梓「澪お姉ちゃんの体、柔らかくって、暖かくて気持ち良いです」

まるで子供がそうする様に、澪の事を抱きしめる。



梓「澪お姉ちゃん」

澪「何だ?」

梓「本当は私、ずっと前からこうしてみたかったんです」

澪「………」

梓「…こんな事言うと、また澪お姉ちゃんの事を困らせちゃいますよね」

梓の声が、直接体に響いてくる。



澪「本当だよ、梓」

梓「…澪お姉ちゃん…」

驚きで顔を上げ、戸惑いを秘めた瞳が澪を見つめていた。

その瞳は悲しい色に染まりつつある。

澪「本当に困った妹だ。そんなことを言われたら、私も…梓の事を抱きしめ返して上げたくなっちゃうだろ」



梓「…えっ…」

澪「梓…」

サラリと流れ落ちているストレートの髪に指を通してその頭を胸に抱き抱えた。

澪「私も本当は、ずっとこうしてみたかった。梓のことをずっと、ずっと…」

梓「澪お姉ちゃん…」

梓がその呼び名を声に出した瞬間、澪は更に強く梓を抱きしめた。

互いに体を抱きしめあった。



そして、身体を離し見つめ合いどちらからとも無くキスをする。

澪「いけない妹だな、お姉ちゃんにこんな事するなんて」

梓「澪お姉ちゃんこそ」

澪は梓にデコツンする。照れくさそうに笑う梓。

梓のこの笑顔をずっと見ていたい。大好きな梓の笑顔を。

梓の側にいられるこの幸せな時間がいつまでも続きますように。

梓の温もりに触れられるのが、梓の声が聴けるのが

一緒に過ごす時間が凄く幸せだ…




お終い