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澪「こんなフォークが欲しかった」2

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moemoequn

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憂「それ、このまえ雑貨屋さんで買ったやつ?」

唯「そうだよ~ 今日ねムギちゃんの持ってきたケーキをくまっ太で食べたんだ」

唯「そしたらいつもより3倍、いや4倍はおいしく感じたんだよ~」

憂「へぇ~ くまっ太がおいしくなるように魔法をかけたりしているのかもね」

唯「魔法のフォークだね」

憂「いいものに出会えてよかったね。お姉ちゃん」

唯「うん」

くまっ太の先に刺さったイチゴが大きく開けた口に入っていく


ブゥー ヴゥー


憂「あっ、メールだ」

唯「おいしいイチゴ~ みずみずしくて甘いよぉ~」

憂(梓ちゃんからだ。えっと……)



~~~~~♪♪♪


唯「あっ、私にもメールだ! 誰からだろ?」


ポチポチッ


唯「ムギちゃん?」

唯「……」ニヤッ



また次の日!!


紬「今日のお菓子はイチゴを使ったタルトよ」

梓「いいですね。イチゴのタルト」

律「うまそー!! 早く食べようぜ!!」

澪「大きいイチゴ。おいしそう」

唯「……なるほど、イチゴがタブってしまったか」

梓「? 唯先輩何か言いましたか?」

唯「一語一語に反応しなくても大丈夫だよ。あずにゃん」

梓「はぁ……?」

紬「さぁ、みんな食べましょう」



ガサゴソ――


律「なんだ唯。今日もくま公のフォーク使うのか?」

唯「もちろんだよりっちゃん。それとくまっ太だからね」


さっそうとくまっ太を取り出す


唯「ふふん。さぁいただこうかな!!」

紬「唯ちゃん。これを見て」


そういって紬は鞄から一本のフォークを取り出した



澪(えっ!? 嘘!?)

唯「おぉ! ムギちゃんやっぱりあのメールの後買いに行ったんだ~」

律「何だ、何だ!? 唯と同じフォークじゃないか!!」

澪「ム、ムギどういうことだ?」

紬「えへへ、昨日の唯ちゃんのフォークがあまりに可愛かったから」

紬「その日の晩にメールでそのフォークをどこで買ったのか詳しく教えてもらったのよ」

唯「これでムギちゃんとおそろいだね。仲間が増えてうれしいよ!!」

紬「ありがとう唯ちゃん、くまさんも喜ぶわ」



律「名前までつけちゃって……」

律「おい梓、後輩からガツンと言ってやれ」

梓「にゃっ!!」ビクッ

律「ビクッってお前まさか……」

梓「いや、その、実はちょっと……」

唯「あずにゃん?」

梓「あの後……」

唯「ん? 何? もっと大きな声で」



梓「あの後、唯…先輩の…フォーク…かわ…可愛い…と…思いまして……」

律「昨日は子どもっぽいって言ってたのに」

梓「それで…欲しく…なって…唯先輩には…フォークを馬鹿にしたから」

梓「聞きづらいので…憂から詳しく聞いて…その…買っちゃいました///」

申し訳なさそうに梓も鞄からフォークを取り出す

唯「あーずにゃん!!!」だきっ

梓「な、なんで抱きつくんですか??」

梓「フォークを否定的に見ていたのに同じものを買ったんですよ?」

唯「そんなことどうでもいいよ」

梓「えっ?」

唯「結果として私と同じ考えになって仲間が増えたのが嬉しいんだよ~」ぎゅう

梓「唯先輩、締め付けすぎですよ///」

紬「さぁみんなお茶にしましょう!!」






唯「おいしいよぉ~」ニヤニヤ




梓「イチゴの甘酸っぱさがたまりませんね」ニヤニヤ




紬「はぁぁ~ いいわ~ これ~」ポワポワ




律「お前ら幸せそうだな」


澪(いいなぁ~ いいなぁ~ 私もやりたいよぉ)

澪(そもそも私が最初に考えたのになんで私以外のメンバーが実行してるんだよ)



唯「ねっ、ねっ、このフォークで食べるといつもよりおいしく感じるでしょ?」

梓「確かにそんな気がしますね」

紬「そうね~ おいしい♪」

唯「くまっ太達は魔法のフォークなんだよ」フンス

律「……」

澪(だからくまちゃん……)

澪(でももし、私がくまちゃんフォークを買ったら、フォークを持ってないのは律だけ)

澪(4対1になって、逆に持ってない方がおかしいみたいな風潮になるんじゃないか?)

澪(そうなれば私も恥ずかしがることなく、くまちゃんを使える!!)

澪(決めた!! 今日の放課後、あの雑貨屋でくまちゃんを買っちゃおう!!)



~~~~~~~~~


律「じゃあなー! 澪」

澪「あぁ、また明日」


澪は颯爽と早足で帰っていく


律(……)


澪「やっと会えるよ、くまちゃん!」

澪「はやく私の手元に」


どんどん早足になり、呼吸が乱れていく――


澪「はぁ…はぁ… やっと着いた」



澪「さぁ、入るか」

ふとウィンドウに目をやる

澪(……)


ウィンドウにかすかに映る自分を見て髪を整える


澪(走ってきたから髪が乱れたな……)

澪「よしこれで大丈夫」


カランカラン――


店員「いらっしゃいませー」

店員(あっ、前の変な子)

澪「えっとくまちゃんは……」


食器コーナーに移動する



澪「……えっと確かここに」

澪「……あれっ?」

澪「こっちだったかな?」

澪「……」

澪「……変だな。そんなはずでは……」

澪「……ない。くまちゃん…どこにも…ない」

澪「嘘…… と、とにかく、店員に…かく、確認」

澪「す、すみません」

店員「はい」

澪「あ、あの前、食器コーナーにくまちゃ……」

澪「くまの形をしたフォークがあったと思うんですけど……」

店員「あぁ、あれなら先ほどで完売してしまいました」



澪「う、嘘ですよね?」

店員「嘘じゃないです」

澪「う、嘘だぁ……」

店員「誠です」

澪「そん、そんなぁ……」

店員「そんな涙目で言われても」

店員「ちなみにいつ入荷するかも未定です」

澪「」ポロポロ

店員「綺麗なお顔が台無しですよ」


カランコロン――


店員「ありがとうございました」



澪「……」グズッ

澪(せっかく素敵なフォークを見つけたっていうのに……)

澪(……うぅ)


「お嬢さん、綺麗なお顔が台無しだぜ!」


澪(!?)

律「へへっ」

澪「り、律!? 何でここに?」

律「いやね、たまたま今日は寄り道しようかなーって思ってここを通りかかったんだ」

律「そしてこの雑貨屋に入っていく澪を見て、待ち伏せしてたわけ」

澪「……」

律「さては唯たちのフォークを買おうとしたけどなかったんだろ?」



澪「う、うん」

律「何も泣くことないだろ」

澪「だってぇ、唯が持ってくる前からずっと欲しかったんだもん」

澪「でもでも、あんなの持ってたら律に馬鹿にされると思って買えなかったんだぁ」

律「澪……」

律「あ~あ、それはガッカリだな」

澪「子どもっぽいものをいつまでも欲しがったらガッカリするよね。ごめん……」

律「ちげーよ」



澪「えっ?」

律「売り切れだって言うのがガッカリなんだよ」

律「ごめん、本当は寄り道でたまたま通ったのは嘘」

律「私もこの雑貨屋に用があってさ」

律「その…私も…フォークを…買いに来たんだ」

澪「えっ!?」

澪「だって子どもっぽいって冷やかしてたじゃないか」

律「そうなんだけどさ、その…三人の幸せそうな顔を見ていたら私も欲しくなってさ……」


顔を赤らめながらボソボソと、か弱い声で話す


澪「……ははっ。なんだ律も欲しかったんだ」



律「わ、悪いかよっ」

澪「ううん」

澪「なんか気持ち楽になった。これなら気にせず好きだって言えるよ!!」

澪「さぁ、行こう!!」

律「行くって何処に?」

澪「唯の家の方の雑貨屋。あっちならまだ売ってるかも」


グイッと律の腕を引っ張る。



律「ちょっ、ちょっとそんなに強く、わかったから……」

澪「早く、早く。売れ切れちゃうよ」

律「ちょっと早いよ澪~!!」

澪「明日のお茶会、楽しみだな」

澪「そうだ。とっておきの新作の詩もあるんだ」

澪「いまにぴったりな歌詞だからきっとみんなも気に入るよ!」


夕日に照らされる葉桜の下を走りながら二人は雑貨屋に向かった――



終わり


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