ものおきくろーむ @ ウィキ ログ1


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■ハイベルニア
 詩篇のアルセットの舞台となるのは、ハイベルニアと呼ばれる大陸です。大陸とは言いますが、それはここに住まう者にとっての話。現代に生きるあなた方からすれば、島国というべき広さの陸地です。

▼季節、生活
 四季はあるものの、冬は長く、しかし夏は過ごしやすい気候。四方を海に囲まれている為に海産物がよく獲れ、内陸でも加工されたものが出回っています。
 保存技術の発達には、冬季には周辺の――特に北部の――海が凍結し、漁業に支障をきたすことが背景としてあったようです。
 農耕、畜産も盛んであり、麦、芋の栽培、家畜は牛、山羊を主としています。

▼住人
  • クロシア人
 ハイベルニアの大地において、最も人口の割合が多いのがクロシア人です。白い肌と青い目、茶から金に近い髪色の人々が多く、全体にすらりと背の高い人種です。
 彼らはハイベルニアの大地に最も新しく入植してきた者達で、東の大陸から訪れた移民です。
 文化的であり、識字率も人口の半数以上。最近になって初等教育を行う都市国家も増えてきました。
 また、「ハイベルニアの大地」とこの島を名付けたのもクロシア人です。それ以前の名称は後に解説します。
 彼らは元々は単一の王国に属していましたが、都市が発展するにつれその自治権も大きくなり、現在では都市国家ごとに領主を戴く小国家群と化しています。
 彼らの用いる言語は南北で多少の変化はあるものの、概ね移民当初から用いられている東の大陸の言語、「エングルシア語」を使用しています。南北での変化は主に発音であり、北部ではくぐもった発音の「北部エングルシア語」を、中央から南部ではより母音を強く発音する「古エングルシア語」を用いています。
 彼らはハイベルニアの大地に入植する際、先住民族であるミリシア人文化との段階的な融合を持って、徐々に溶け込んできました。それ故にミリシア人と大きな激突もなく、現在でも友好的な関係を保っています。
 クロシア人は東の大陸での信仰である「聖霊教」を固有の宗教としています。聖霊教とは、彼らの王国の成立に至るまでの数多の英雄を信仰する多神教であり、「隣人との対話と訓え」を最大の教義として掲げています。
 彼らは戦いよりも先に、まず対話を求め、その相手が異教の者であれば、彼らの信じる聖霊の伝承を、土着の信仰に搦めて徐々に聖霊教への理解を異教徒に浸透させる手段をとります。
 しかしながら文化の融合により、彼らの聖霊教も、本来のものと比べると大きく変化しました。現在ではミリシア人の「アルセット信仰」「トート信仰」と交じり合い、王都のそれ以外は区別のつかないものとなっています。

  • ミリシア人
 ハイベルニアの大地の先住民族です。ミリシア人はこの島を「エリゥの地」と呼んでいましたが、現在ではハイベルニアの呼称と混在しています。彼らは島の各地に集落を持ち、それぞれが異なる文化を持つ小集団を形成して生活しています。
 複数の人種からなる、似たような風習や文化を持つ集団であり、その容姿は幅広いです。
 それぞれの集落が信仰する神を持つ、「アルセット信仰」を基礎として、生活規範にも神毎の教えが深く根付いています。しかしながらクロシア人の入植以降はアルセット信仰も大きく形がかわり、本来の神の名や儀式は失われてしまっています。
 また、都市国家から遠い辺境では「トート信仰」が行われていることもあります。トートとは異形の神であり、しばしば生贄を求めたり、天災を引き起こします。
 あらぶる神であるトートは、しかし、その周辺地域に豊穣をもたらしたり、外敵の侵入に対して自らの信奉者を守護したりすることもあります。エングルシア王朝では、公式にはトート信仰を邪教と扱っていますが、実際に弾圧することはあまりありません。トート信仰が辺境の人々の支えとなっていることもまた事実に変わりはないからです。
 ミリシア人は文字(スパニシャ文字)を持っていますが、これは記録するためのものではなく、専ら呪術的な意味合いを持つものです。
 彼らにとっての歴史とは、フィラがうたい、残すものなのです。
 現在、彼らの多くは元々の彼らの言葉であるエリゥ語とエングルシア語の入り混じった、エリゥ・エングルシア語を母語としています。
 ミリシア人は、ハイベルニアの大地へ入植する際、武装した先遣隊を送り込みました。彼らはアンテミリシア人――アルセットの民によって殺されてしまいました。アンテミリシア人からすれば、武装して領地へと侵入してくる外敵に見えたのでしょう。
 ミリシア人と、アンテミリシア人の戦いは三年の間続き、両者はひどく疲弊しました。
 最終的にアンテミリシア人は何らかの理由により、ハイベルニアの大地をミリシア人へと明け渡したのでした。
 ミリシア人達は望まずして、自らの信仰する神の子孫と刃を交え、それを退けてしまったのです。

  • アルセットの民
 記録が残っている最初の先住民族であり、現在ではその姿を殆どみることのない者達です。
 そもそもアルセットの民――クロシア人、ミリシア人からはアンテミリシア人と呼ばれます――は人間というよりも、神に近い者達です。
 神話の時代、既にその名の多くが失われた神々の直系の子孫がアルセットの民なのです。
 アルセット神話にうたわれる神々の子孫であり、血がまじること無く神性を残してきたのは、ハイベルニアの大地が孤立した島であり、外敵の脅威にさらされずに残ってきたからでしょう。
 かつての彼らはフィラ(詩祈)を中心とした複数の小集団を形成して生活していました。フィラは歴史をうたい、豊穣をもたらし、また外敵に対してはそのアルセットをもって戦う神官の役割を果たしていたのです。
 フィラ以外の者は全てゲイス(騎士)としてフィラを守護する役割を担っていました。フィラを害そうとする者は、そのことごとくがゲイスの雷鳴舞踏の餌食となりました。
 ミリシア人による入植の際、彼らはその領地を明け渡しました。神の子孫と言えど、その力はひどく弱いものとなってしまっていたのです。
 ミリシア人に地上を任せ、多くのアルセットの民は地下深くとも空の彼方とも言われる妖精郷へと隠遁し、その姿を妖精へと変えました。

■フィラ(詩祈)とは
 フィラとは、その詩によって様々な神秘を引き起こす術者にして歴史家、そして神官でもある存在です。フィラは全て女性であり、男性のフィラは存在しません。この性別は、精神的に女性であれば良く、肉体的には男性であるフィラも過去に存在しなかったわけではありません。
 アルセット神話の神々の加護を受け、断片的にその御業を地上に再現する強力な術者ですが、その数は決して多くはありません。
 ハイベルニアの大地に残った数少ないアルセットの民や、後天的に、神の啓示を受けてフィラとなるクロシア人、ミリシア人は、啓示を与えた神によって「トート(詩神)を浄化すること」を求められます。
 これは避けることの出来ない宿命であり、これを拒否すればフィラとしての力を失います。

■アルセットとは
 フィラ(詩祈)だけがうたうことの出来る、神秘の業。その歌唱を重ねることで様々な恩恵や災厄を自在に呼び起こす、神話の時代の残滓。それがアルセットです。
 アルセットとは、フィラだけが用いることを許される神代の言語の名前であり、その言語によって紡がれる神秘の詩の名前であり、それによって引き起こされる奇跡の総称でもあります。
 言語としてのアルセットは、フィラ以外に理解すること、発音することが出来ません。ただ唯一、「アルセット」という語のみがフィラ以外の者にも発音可能な単語となります。
 アルセットにうたわれるのは、かつてハイベルニアの大地に存在した神や英雄、彼らの用いた武器や、戦いの記録、そして愛のうた。様々な内容の織り込まれた叙事詩です。
 フィラはアルセットに織り込まれた物語を歌い上げることで、かつての神の奇跡を再現するのです。
 アルセットの基本構成は6行詩です。実際に歌詞が6行、というわけではなく、6種の詩片を順に、時には前後して歌い上げることで、ひとつの大きな物語を紡ぎます。その合間合間にフィラ自身の感情や意志を織り込むことも出来、それを即興詩(ブリギット)と呼びます。
 6種の物語やモチーフを束ね、即興詩を織り込んで作り上げた大きなひとつの物語は、トートすら倒すことの出来る強大な力、根源詩(ミネルヴァ)をフィラと、彼女を守る宣誓騎士に与えるのです。

■ズィーク(宣誓騎士)とは
 フィラを守り戦うゲイス(騎士)は、最早ハイベルニアには一握りしか存在しません。かつての神の啓示を受け、フィラとして目覚めた者達も、守るものなくしてトートに挑めば返り討ちにあうのが当然です。
 しかし、現在においてもフィラを守るべく戦う者達がいます。
 フィラと同じく、かつての神の啓示を受けた人々、ズィーク(宣誓騎士)です。
 彼らは様々な理由や背景を持ちますが、その信念はひとつ。仕えるフィラを守護することです。
 アルセットの民、ゲイスの逆読みを名乗る彼らは、神の啓示を受けたその時に「フィラを守護すること」を誓います。それによって、ハイベルニアの大地にかつて存在した神々の御業をその身で再現することが出来るようになるのです。
 彼らの用いる技術は雷鳴舞踏(タラニス)と呼ばれます。これは元々、アルセットの民が先祖である神より受け継いだ恩恵です。型の演舞にも似た、洗練された武技を通して、神の持つ力の一端をその身におろすのです。

■トート(詩神)とは
 異形の神、トート。その正体はフィラの成れの果てです。フィラが己の力の制御を失った時、絶望した時、