――――――――ん?君、此処は初めて?分かるよ、右も左も分からないって顔してるし。
もし君が良ければの話だけど、この世界のことを案内してあげようか。
俺、学校に内緒でガイドのバイトしてるんだ。何でも説明してやるよ。
まず、この世界では、人間と人間じゃない種族――例えば亜人種とか獣人種だとかが共存している。
因みに今、君達がいる国はアメリク合衆国ってところ。多民族ならぬ多種族国家さ。
通貨はどの国も共通している$(ドル)。治安が少々悪い以外は、自由と平等を重んじるとっても良い国だ。
他に特徴があるとすれば、観光スポットが多くて自然も豊か、それとご飯が美味しい!これ位かな。
あ!先に注意しとくけど、この国はあちこちでよくトラブルが起きたりするから、くれぐれも巻き込まれるなよ?
何せこの国、銃刀法に関してかなり緩いところがあるから。
許可取って申請すれば誰でも武器が持てる社会だなんて不穏すぎるよな。慣れれば良い所なんだけどね。
それでなくても、自然にはモンスターがうようよいる。森でモンスターに襲われる事件も起きてるな。
郊外とかだと、人里に下りてくるモンスターもいるっていうから、おっかない話だ。
ところでこの世界は、魔法と科学という二つの真逆の概念が存在するんだって。知ってた?
魔法っていうのは、自然の至る所に存在する魔力ってのを駆使するんだ。
自然現象や流行り病なんかも、自然が放出する魔法の一種だって先生が言ってた。
物理法則や重力なんかをある程度無視した魔法なんてのもあるみたい。
一見便利そうだけど、不便な面もあるみたいだ。まず、魔法を使うには銃器と同じく許可が要る。
こっちは銃刀法より厳しくて、テストだの精神鑑定だの受けて、ライセンスを取らなきゃいけない。
ライセンスを取らずに魔法を使うと、あっという間に豚箱行きだから気をつけな。
ほかにも、一人ひとり魔法を使える量は決まっていて、魔法を無限に使う事は出来ないとか。
それに、時間操作だとか空間移動だとか、ましてや死人を蘇らせるは出来ないらしいけど……難しいから良く分かんないや。
魔法に関してはこんな面白い話もある。何と、魔法を使う奴は、異常なまでに「科学」や「機械」に弱いんだと。
極度の機械音痴だとか、銃器や電子機器を異常に怖がる奴は、十中八九、魔法を使える奴だと見ていい。
ああ……最近聞いた話では、年々、魔法を使えなくなる者が増えてきてるみたい。
俺は元々使えないから関係ないけどね。
科学については……え?知ってるって?それなら話は早い。
多分、君らが想像しているものと相違ないだろうしな。
これだけ説明すりゃ充分だよな。
そんじゃ、ガイド代50ドル、耳揃えてきっちり払ってもらうぜ!まいどあり!
現代幻影TRPG、楽しんでいけよな!
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