[PR] パズドラを抜いて人気ランキング第一位!モンスターストライク(モンスト)ID交換・フレンド募集掲示板 [PR]
2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

【TRP】フィジル魔法学園にようこそ!12thシーズン

1 :名無しになりきれ:2014/01/05(日) 16:29:17.28 0
統一基準歴355年。
魔法文明は隆盛を極め、あらゆる場所、場面に魔法が活用されていた。
そんな栄華の果てにいつしか異変が起きる。
確認されたのは20年前にもなるだろうか?

ある属性の魔法に異常なまでの適性を示す。
ある魔法を生まれつき能力として有している。
未知なる力に開眼する。

今までは天才と言われて来た種類の子供たちが、続々と生まれ始めたのだ。
このことに世界は大いに恐れ、憂慮した。

なぜならば、本来数十年単位の修行と研究の果てに身につけていく力を僅か数年の学習で身につけてしまうのだ。
あるいは持って生まれてくるのだ。
修行と研究は何も力を得るためだけの時間ではない。
力を振るう為の経験や知識をも身につけるための時間でもあるのだ。
仮に、今は凡人同然であったとしても、何かのきっかけで潜在能力が一気に発現することもある。

大きな力を当たり前のように使える事への危惧は、やがて現実のものとなる。
世界各地で引き起こされる悲劇に、統一魔法評議会は一つの決定をなした。

魔法学園の開設!

魔海域を回遊するとも、海と空の狭間にあるとも言われるフィジル諸島に魔法学園を開校し、子供たちに学ばせるのだ。
己が力を振るう術を。


―――― 【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!12thシーズン ――――

2 :名無しになりきれ:2014/01/06(月) 16:32:44.90 0
■舞台はファンタジー世界。謎多きフィジル諸島にある全寮制の魔法学園です。
フィジル付近は気流や海流が乱れがちなので、島には基本的に、転移装置を使ってくる場合が多いです。
※12thシーズンは学園のあるフィジル本島ではなく、フィジル諸島内のどこかの島に出向いています。(後述)
 
■学園が舞台だからといって参加資格は学生キャラのみではありません。
  参加キャラは生徒でも、学園関係者でも、全く無関係な侵入者でも可。敵役大歓迎。
  また、舞台が必ずしも学園の敷地内で起きるとは限りません。
  いきなり見知らぬ土地に放り出されても泣かないで下さい。 貴方の傍にはいつも名無しさんと仲間がいます。

■当学園には種族制限はありません。お好きな種族と得意分野でどうぞ。

■オリジナルキャラクターでも版権キャラクターでも参加できます。
  完走したスレのキャラを使ってもOKですが、過去の因縁は水に流しておきましょう。
  また版権キャラの人は、原作を知らなくても支障が無いような説明をお願いします。

■途中参加、一発ネタ、短期ネタ大大大歓迎。
 ネタ投下の場合、テンプレは必ずしも埋める必要はありません。
 ただしテンプレが無い場合、受け手が設定をでっち上げたり改変したりする可能性があります。ご了承を。

■名無しでのネタ投下も、もちろん大歓迎!
  スレに新風を吹き込み、思いもよらぬ展開のきっかけを作るのは貴方のレスかも!

■(重要)
 このスレでは、決定リール、後手キャンセル採用しています。
 決定リールとは、他コテに対する自分の行動の結果までを、自分の裁量で決定し書けるというものです。
 後手キャンセルとは、決定リールで行動を制限されたキャラが、自分のターンの時に
 「前の人に指定された自分の未来」を変えることが出来るというシステムです。

例:AがBに殴りかかった。
 その行動の結果(Bに命中・ガード・回避など)をAが書く事が可能です。
 これを実行すると、話のテンポが早くなるし、大胆な展開が可能となります。
 その反面、相手の行動を制限してしまう事にもなるので、後からレスを書く人は、「前の人に指定された行動結果」
 つまり決定リールをキャンセル(後手キャンセル)する事が出来ます。

 先の例に当てはめると、
 AがBに殴りかかった→Bはまともに喰らって受けては吹き飛んだ。
 と決定リールで書いてしまっても、受け手(B)が自分の行動の時に、
 「Bはまともに喰らったように見えたが紙一重で避けていた」
 と書けば、先に書いたレスの決定書き(BはAの拳をまともに受けては吹き飛んだ。)をキャンセル出来るのです。
 ただし、操作する人の存在するキャラを、相手の許可無く決定リールで喋らせるのは歓迎されません。要注意です。

※参加に関して不安があったり、何かわからないことがあったら(説明が下手でごめんね)、どうか避難所にお越しください。
  相談、質問、雑談何でもOKです。気軽に遊びに来てね。

3 :名無しになりきれ:2014/01/06(月) 16:44:07.93 0
【TRP】フィジル魔法学園にようこそ!11thシーズン(前スレ)
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1364549700
【TRP】フィジル魔法学園にようこそ!10thシーズン
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1350392760
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!9thシーズン
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1333383614
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!8thシーズン
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1316207939
TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!7thシーズン
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1302609427
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!6thシーズン
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1294657842
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!5thシーズン
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1291300916
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!4thシーズン
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1284645469
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!3rdシーズン
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1278699028
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!2ndシーズン
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1273242531
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1270216495

■避難所
フィジル魔法学園へようこそ!避難所
http://774san.sakura.ne.jp/test/read.cgi/hinanjo/1376922195/

【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!第二避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/17427/1364028620/
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!避難所
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1329748719/
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!避難所 (前スレ。板消滅でデータ消失/wikiにログあり)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/42940/1295181582
【TRPG】フィジル魔法学園にようこそ!避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/20066/1270211641

規制の巻き添えで書き込めないときは、上記の避難所に、それが無理なら下記の代理投稿スレで依頼してください。
代理投稿スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/17427/1363875047/
ttp://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1277996017

4 :名無しになりきれ:2014/01/06(月) 16:45:01.63 0
■テンプレ

名前・
性別・
年齢・
髪型・
瞳色・
容姿・
備考・
得意技・
好きなもの・
苦手なもの・
うわさ1・
うわさ2・

【備考】
全部埋める必要はありません。
テンプレはあくまでキャラのイメージを掴みやすくしたりするものです。
また、使える技や魔法も、物語をより楽しむためのエッセンスです。
余り悩まず、気楽に行きましょう。

(外部参考サイト)
TRPに関する用語の確認はこちらでどうぞ
過去ログやテンプレも見やすく纏めて下さっています
(ボランティア編集人様に感謝!)
なな板TRPG広辞苑
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/37.html

5 :名無しになりきれ:2014/01/06(月) 16:50:13.04 0
前回までのあらすじ
魔法学園があるとされるフィジル諸島は、謎に包まれた場所だ。
島の周囲は魔海で危険すぎて船もまともに近寄れない。
空を飛ぼうにも奇怪な暴風や魔法無力帯があったりするので危険だ。
正確な位置は誰にもわからない。
本島への移動は、転移魔法陣を用いて行われているからだ。

学園や商業区が置かれている本島の周囲には、大小さまざまの島が点在している。
それらがどんな場所なのかは、学園生徒も詳しくは知らされていない。
教師の研究島や、問題児への処罰棟、生徒への課題用の島などがある、というのがもっぱらの噂だ。

ある日のこと、一部の学園関係者の自室には、一通の封書が届いていた。
表現や注意事項には多少の差があったが、内容は以下のとおりだった。

・明日、別紙の地図に書かれた転移用ゲートの場所まで赴き、集まった者たちと一緒に転移すること。
・行き先の小島では当日、翌日と「清掃活動」に励むこと
・島内の設備は自由に使ってもいいが、食料などは自前で調達すること
・野外活動(サバイバル)の準備は怠らないこと
・「清掃活動」以外の時間は自由にすごしてもよい
・課題をこなせなかったものには、ペナルティが課せられる

林間学校だと沸き立つ者、危険を感じて準備を怠らない者。偶然に導かれ島にたどり着いたもの。
それぞれの思惑を胸に、彼らは転移ゲートを通過し、課題が待つ小島に降り立つ。
島の名前は「ラクーン島」
丘の上にそびえる古びた洋館を訪ねた彼らだったが爆発事故により閉じ込められてしまう
はたして無事脱出できるのか?

6 :エンカ ◇jWBUJ7IJ6Y:2014/01/06(月) 16:51:52.59 0
前>221>222
> そういう結論を出し反対側に進んでいくフリードリッヒ
> 当然そちらにはエンカ達がいるわけで
> 「おや?」
> 『え?』(猫語)
「フリード!リリィも無事だな!」
> 「すごい偶然ですね!ちょうどいいこの場は力を合わせて脱出しましょう!!」
> 『あの世へ?』(猫語)
> 「縁起でもないこと言わないでください!!」
> 「外に逃げるんだよ!外にだよ!」
「いや、リリィ!中に逃げるんだ!入口がよ〜、さっきの爆発で瓦礫に埋まっているんだ!」
エンカはリリィ達にそう説明した。
「フリード、悪いがよ〜。その氷の玉の中、もう一人分くらい席が空いてねぇか?
 ロゼッタをその中に入れてもらいてぇんだ」
ロゼッタはエンカに聞いた。
>「あんたは?」
「俺にはやることがある。屋敷の構造を知っていて、まともに誘導できるのは俺だけだからな。
 それによぉ、お前にはちょっと体力を温存してもらう必要がある。
 またドコデモ・ドアーの力を借りなきゃならねぇかもしれねぇかんな〜」
エンカはリリィに答えた。
「中庭へ行こう!あそこには使われていない古井戸があって、
 ユニソルブルの記憶ではそこから風邪が吹いて来ていた。
 たぶん、どこか外へ通じているんだ!」
ユニソルブルは何も言わなかった。どうやら目が回ってそれどころではないらしい。

> 『ねえ…ところで歌が聞こえてこない?』(猫語)
> 「誰が歌っているんだろう?キラー・チューン、じゃないよね?となると、アンチラストちゃん?
>  よし、テレパシーで呼んでみる!」
> リリィは歌声の主に向けて、今いる場所を知らせるべく、回りの調度品などを説明する。
> そして、もし火に巻かれて逃げ道が無いのなら、何らかの合図を送って欲しいと知らせた。
返事はなかった。しかし、さっきよりも歌が明瞭に聞こえてくるのは気のせいだろうか。
それは音波というより、精神に直接響いてくるような歌だった。
「……リリィ、キラー・チューンの感覚から察するによ〜。歌はマリアベルの寝室から聞こえてくる。
 だが、そこに行くのは全くおすすめしかねるぜ!なぜなら、マリアベルの部屋はこの階のちょうど上で、
 しかも炎は下から上へと燃えていくからだ!」
さらに付け加えるなら、つまり位置的には爆発が発生した部屋に隣接している場所である。
再び薬品に引火して爆発が発生しないとも限らない。
しかし、エンカはリリィを止められないことを知っていた。
「どう考えても…そうだよな〜っ!?きっといるんだろうなぁ〜〜っ、アンチラストがよ〜〜っ!?
 それでお前は助けにいくつもりなんだろうなぁ〜〜っ、どんなに危険でもよ〜〜っ!?」
エンカは葛藤し、頭をかきむしったせいで髪型が崩れた。
例え無理やりにでもエンカはリリィをそのまま連れて行きたかった。
しかし、エンカの能力では(平素でさえ難しいのに)今のリリィを無理やり連れて行ける力は無い。
だが、もしもフリードが手伝ってくれれば別である。エンカはフリードの様子をうかがった。

>「……ジマッタダー……オラ………オラハシンジマッタダー♪オラハシンジマッタダー♪オラハ…」
マリアベルの部屋に近づくにつれ、歌声は燃え盛る炎の音を無視してより鮮明に聞こえるようになるだろう。
歌っているのは、ユニソルブルによく似た赤毛の少女…の幽霊らしきモノであった。

7 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/01/08(水) 20:12:58.51 0
>6
>「フリード、悪いがよ〜。その氷の玉の中、もう一人分くらい席が空いてねぇか?
 ロゼッタをその中に入れてもらいてぇんだ」
「リリィさんが言うようにこのガイノイドを胸の魔法陣にしまえば空く筈です
 変な趣味があると思われるぐらいなんだっていうのですか人の命には代えられません」
本当はフリードリッヒはこんなことはしたくないのだが友人の大切な存在を守るため妥協するのであった
ちなみにガイノイドとはアンドロイドの女性版であり女性型人造人間の事である


>「どう考えても…そうだよな〜っ!?きっといるんだろうなぁ〜〜っ、アンチラストがよ〜〜っ!?
 それでお前は助けにいくつもりなんだろうなぁ〜〜っ、どんなに危険でもよ〜〜っ!?」
「そこがリリィさんの一番いいところでもあり悪いところでもあるんですよね
 行くにしても逃げるにしても僕は着いていきますよ
 炎を消すには僕の氷の魔法が役にたちますしね
 とはいえ本当は炎を使いがいれば一番いいんですけど
 彼らは炎を大きくすることも小さくすることも果ては消してしまうことだってできるんですから」


氷の魔法で周りの炎を消化しつつ大玉を転がすフリードリッヒ
「どうやって氷の球を維持しながら階段を上るの?」(猫語)
「下に置いておくに決まってるでしょ、さすがの僕もこれを上にもっていくほどの体力はありませんって」
ちなみに屋敷全体の火を消し去るMPも無かったりする


>「……ジマッタダー……オラ………オラハシンジマッタダー♪オラハシンジマッタダー♪オラハ…」
「げえ!ゴースト!!僕苦手なんですよね、殴れないから」
「殴って解決するつもりだったのか」(猫語)
「まあまだ敵とは決まっていませんし・・・・・あれはいったい誰なんでしょうか?
やはりオリジナルアンジェリーナの幽霊なのでしょうか?それとも・・・・・」
「どっちにしろ死んでも生きてる人には違いないよね」(猫語)

8 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/09(木) 16:49:14.89 0
>「フリード、悪いがよ〜。その氷の玉の中、もう一人分くらい席が空いてねぇか?
 ロゼッタをその中に入れてもらいてぇんだ」

>「リリィさんが言うようにこのガイノイドを胸の魔法陣にしまえば空く筈です
>  変な趣味があると思われるぐらいなんだっていうのですか人の命には代えられません」
「変な趣味?はよくわからないけど、誤解されたときはちゃんと私が証言するから安心して!」
リリィは力いっぱい請け負った、
ちなみに、フリードの姉の嗜好については、今の段階では何も知らされていなかった。

エンカはロゼッタを氷玉に非難させ、自分はユニソルブルのムカデから得た知識で、皆を安全な場所に誘導してくれるようだ。
>「中庭へ行こう!あそこには使われていない古井戸があって、
> ユニソルブルの記憶ではそこから風邪が吹いて来ていた。
> たぶん、どこか外へ通じているんだ!」
「そっか。でも古井戸か・・・・・・崩れてないといいんだけど」
リリィは、何時間か前に、今いる島に、別の小島が衝突した件を心配してきるようだ。
衝撃は大変なものだったが、場所は多少なりとも離れている。
今となっては、影響が出ていないことを祈るしかない。

リリィは歌声の主にテレパシーで誘導を試みたが、返事の代わりに歌が大きくなっただけだった。
「なんか変わった声だよね。まるで、精神体や幽霊が歌っているみたい」
ちなみに、リリィはフィジル学園の生徒並みには幽霊と会話は出来るが、テレパシーを聞くことは出来なかった。

>「……リリィ、キラー・チューンの感覚から察するによ〜。歌はマリアベルの寝室から聞こえてくる。
> だが、そこに行くのは全くおすすめしかねるぜ!なぜなら、マリアベルの部屋はこの階のちょうど上で、
> しかも炎は下から上へと燃えていくからだ!」
皆まで言わなくても、エンカが言いたいことは痛いほどわかった。
「・・・・・・・わかった、ありがとうエンカ!せいいっぱい急ぐね!
 大丈夫、箒持ってるから、いざとなったら飛んで逃げる。だから心配しないで!
 フリード君、ユニソルブルちゃんとロゼッタちゃんをよろしくね!」
リリィは箒に跨るなり、そのまま上の階へと飛んでいってしまった。

本人は満足かもしれないが、残された人達の心情はたまったものではない。
だからこれは、リリィの悪癖であった。

9 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/09(木) 16:50:28.20 0
煙と炎に悩まされながらも、リリィは歌声をたどってマリアベルの部屋へと急いだ。
「アンチラストちゃん?ここは危ないから、早く逃げよう!」
扉を破るような勢いで開けたところ、部屋の中には、赤い髪の可愛い女の子が佇み歌っていた。
>「……ジマッタダー……オラ………オラハシンジマッタダー♪オラハシンジマッタダー♪オラハ…」
「アンチラス・・・・・えっ?・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
 も、もしかして、ユニソルブルちゃんの妹さん?まあともかく、ここは危ないから早く逃げないと!!
 あ、私はリリィって言います、よろしくね。
 今ちょっと虫っぽい姿になってるけど、一応フィジル魔法学園の生徒だから安心して!」
安心して!といわれても、異様な外見をした人間の言葉を信じてくれるだろうか?

「とにかく早く逃げましょう!私と一緒に来て!」
リリィは赤毛の少女を引き寄せようとしたが、その手は空を切ってしまった。
「・・・・・・・・・・・・・・?!」
そんな馬鹿な。
愕然としたリリィの背後から、心底驚いた声が聞こえてきた。

>「げえ!ゴースト!!僕苦手なんですよね、殴れないから」
>「殴って解決するつもりだったのか」(猫語)
リリィは仰天した後、真っ赤な顔をして怒り出した。
「どうしてここに!だめじゃない、ここは危ないのに!」
お前が言うな、の典型的な状態である。
「それに、例の氷玉どうしたのよ?ユニソルブルちゃんとロゼッタちゃんは中庭まで逃げたの?!」

>「まあまだ敵とは決まっていませんし・・・・・あれはいったい誰なんでしょうか?
>やはりオリジナルアンジェリーナの幽霊なのでしょうか?それとも・・・・・」
>「どっちにしろ死んでも生きてる人には違いないよね」(猫語)
「わーん、スルーしないでよ!!怒ってるの?もしかして怒ってるの?!」

あまり時間が無いことを思い出したリリィは、気を取り直し、赤い髪の少女に向き直った。
「あなたは、アンジェリーナさんの幽霊なの?」
・・・・・・・・・当たり前すぎる質問である。
「上の階には、魂の無い義体がたくさんあったのに、何で幽霊の姿なの?
 このこと、ユニソルブルちゃんやアンチラストちゃん・・・・・・あと、マリアベルは知ってるの?」
遠くでガラスが割れるような音が聞こえてきた。
「とにかく、ここから移動しよう。このままじゃ屋敷と一緒に心中することになるよ!!」
説得するにしても、突っ込みどころ満載である。
幽霊を見ることは出来てもつかめないリリィは、ここにパピちゃんがいたらいいのに、と心底思った。
だが玄関は崩れているし、館は火の海だ。何より、彼女は今体力を消耗している。
黒騎士先輩達と一緒に、外にいた方が、よほど安全というものだ。
「とにかく!一度あなたは、アンチラストちゃんに会う必要があると思うの。だから今は、中庭に逃げよう!」

リリィは全館に向かって、テレパシーを送った。
内容はこうだ。
『アンチラストちゃん、赤い髪の幽霊をマリアベルの寝室で見つけたよ』

10 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/01/10(金) 19:59:42.61 0
>7>8>9
「お、おう!やっぱりリリィは行っちまったぜ!俺達が止めようとしてもよーっ!
 だが、やっぱりリリィはリリィなんだよな〜!
 今ここでアンチラストを見捨てて、後味の悪いものを胸の内に残すような生き方ができねぇ奴なんだ!
 見ろ!だからあいつの胸はペッタンコだぜ!」
エンカは箒で颯爽と飛び去ったリリィを見てそう言った。本人に聞こえていなかったのが幸いである。
> 「そこがリリィさんの一番いいところでもあり悪いところでもあるんですよね
>  行くにしても逃げるにしても僕は着いていきますよ
>  炎を消すには僕の氷の魔法が役にたちますしね
>  とはいえ本当は炎を使いがいれば一番いいんですけど
>  彼らは炎を大きくすることも小さくすることも果ては消してしまうことだってできるんですから」
「フリード!?お前もかよ!」
エンカは懐からクシを取り出し、崩れていた髪型を整えた。
「しょ〜がねぇなーっ!どいつもこいつも、まったくよーっ!
 こうなったら俺もとことん、付き合うっきゃねーよな〜っ!」
と言いつつも、エンカは階段の下まで、
つまり氷の大玉が止まったところまではついてきたが、そこから上には行かなかった。
「か、勘違いするんじゃあねーぞ!フリード!
 俺は女の子達がよ〜、心配だからここに残るんだぜ!
 けっして、怖いとか、怖いからって理由で上に上がらねぇわけじゃあねーんだからなーっ!」
生憎フリードはそんなエンカを気にも止めずにさっさと上に行ってしまった。
「…おい、ロゼッタ。快適か〜?ユニソルブルは…なんかぐったりしてんなぁ、大丈夫か?」
エンカは氷の大玉の中をそう言って覗き込んだ。

> >「……ジマッタダー……オラ………オラハシンジマッタダー♪オラハシンジマッタダー♪オラハ…」
> 「アンチラス・・・・・えっ?・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
>  も、もしかして、ユニソルブルちゃんの妹さん?まあともかく、ここは危ないから早く逃げないと!!
>  あ、私はリリィって言います、よろしくね。
>  今ちょっと虫っぽい姿になってるけど、一応フィジル魔法学園の生徒だから安心して!」
>「……待っていたぞ、リリィ」
赤毛の少女がそう答えた。
リリィとフリードは三言交わす間もないうちにそれが幽霊的なものであることに気づく。
> 「あなたは、アンジェリーナさんの幽霊なの?」
>「ナム?」
赤毛の少女はリリィに思ってもみなかったことを言われて驚いた。
> 「上の階には、魂の無い義体がたくさんあったのに、何で幽霊の姿なの?
>  このこと、ユニソルブルちゃんやアンチラストちゃん・・・・・・あと、マリアベルは知ってるの?」
> 遠くでガラスが割れるような音が聞こえてきた。
>「待ちなさい、リリィ。お前は今、妙な勘違いをしているぞ?まずは心を落ち着かせて…」
> 「とにかく、ここから移動しよう。このままじゃ屋敷と一緒に心中することになるよ!!」
リリイは一人で、文字通りつかみどころのない赤毛の少女を連れて行こうとジタバタしているように見えた。
> 「とにかく!一度あなたは、アンチラストちゃんに会う必要があると思うの。だから今は、中庭に逃げよう!」
>「中庭に逃げるのか……いや、しかし私は」
> リリィは全館に向かって、テレパシーを送った。
> 『アンチラストちゃん、赤い髪の幽霊をマリアベルの寝室で見つけたよ』
>「私がアンチラストだ!!」
とうとう赤毛の少女がブチ切れてしまった。

11 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/01/10(金) 20:00:21.01 0
>「ハッ!?これはいけない、イカリに我を忘れるところだった。
> ブッダム・サラナム・ガッチャーミ、パンダム・サラナム・ガッチャーミ、サンガム・サラナム・ガッチャーミ…」
赤毛の少女の幽霊は宙に浮いたまま座禅の姿勢をとり、なにやら呪文のようなものを唱え始めた。
その所作から、リリィは言葉だけではない裏付けと同時に悟るだろう。
>「…私がアンチラストであることを理解してもらえたようだな。
> 私にはわからないが、どうやら体外離脱した今の私の姿は、
> アンジェリーナのように見えるらしいな?それが何を意味するのか……いや、やめておこう」
体外離脱とは、その名の通り魂を肉体から離脱させる術である。
さながら幽霊のように見えるのも当然で、今アンチラストは生きながら幽霊になっているも同然である。
では何故わざわざ体外離脱などしているのか?
>「実は先ほど、この部屋の隣にある実験室で爆発に巻き込まれて私の体が瓦礫に巻き込まれてしまったのだ」
では何故アンチラストは実験室へ移動したのか?
>「マリアベルの日記を取りに来ていた。ユニソルブルに渡そうと思って…」
エンカが危惧した事は杞憂だった。アンチラストはユニソルブルを始末しようなどとは露ほども思っていないのだ。
もっとも、マリアベルの日記が何を意味するかはこの時点では不明だが。
>「ユニソルブルが憎しみを抱くことを私は理解した。
> アンジェリーナの代用品として生み出されたことに憎しみを抱くことを私は理解した。
> 劣化品とみなされたゆえにかえって純粋に愛された私に憎しみを抱くことを私は理解した。
> 誰よりも憎み、誰よりも愛されたいと願った母を私が奪ってしまった憎しみを私は理解した。
> だが、私は私を憎む者に、私を憎むが故に心を縛られて、苦しみ続けることが耐え難い。
> それが愛する妹であるなら、なおさらだ」
アンチラストは続ける。
>「マリアベルの日記を渡せば良いと思った。しかし、本当は私の口から直接話すべきだったのかもしれぬ。
> 私が抱いた妹に対するオソレが、このような結果を招いたのかもしれぬ。
> だが、私が今の私の体がある限り、私をユニソルブルは許しはしないだろう」
アンチラストは3つの問いを投げかけた。
>「私の体は、ユニソルブルの渇愛である。このまま炎に燃えるに任せるべきか。是か?非か?」
>「私の日記は、ユニソルブルの救済である。このまま炎に燃えるに任せるべきか。是か?非か?」
>「私の魂は、ユニソルブルの迷いである。このまま炎とともに失せるが良かろうか。是か?非か?」
当然だが、再び薬品に引火して爆発するかもしれない実験室でマリアベルの日記を探すのは危険だろう。
さらに、瓦礫に巻き込まれたアンチラストの体を掘りおこすのはもっと大変なはずだ。
このまま魂だけの存在となり、すぐに部屋から脱出するのも一つの手ではあるだろう。

一方その頃、階段の下にいたエンカ達にも、リリィが全館に向けて放ったテレパシーが届いていた。
> 『アンチラストちゃん、赤い髪の幽霊をマリアベルの寝室で見つけたよ』
>>「赤い髪の……幽霊?」
「おん?ユニソルブルが目を覚ましたみてぇだな〜」
エンカとユニソルブルが目配せをした。ロゼッタはそんな二人を奇妙そうに眺めている。
「…やっぱり、お前も同じことを考えているな?アンジェリーナの幽霊なんじゃあねーか、ってよ〜」
>>「…神様が許してくれた、ほんのちょっぴりの奇跡ってやつかしら?こんなタイミングで降臨するなんて」
エンカとユニソルブルは再び目配せをした。
「…ロゼッタ、ドコデモ・ドアーをリリィ達の側まで繋げるか?
 声さえ通じればいいから、さっきみたいに小さいので構わねぇぜ?」
>「もう1ターン、待ってくれたら繋ぐ」
>>「1ターンって何?」
「さぁな、宇宙人の時間の単位だろ」
エンカはユニソルブルに言った。
「やっぱり話しをしたいんだろ?限りなく近くて遠い、もう一人の自分って奴とよ〜」

12 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/01/11(土) 11:24:23.68 0
>9>11
>「わーん、スルーしないでよ!!怒ってるの?もしかして怒ってるの?!」
「いやですねぇリリィさん僕はただ単に今の時代自己犠牲ははやらないって思ってるだけですよ
 まあそんなあなただからついてきたんですけどね」
「自分の命も大切にできない人に他人の命を大切にできるなんてってよく考えたらフィー坊だけ行かせて
 僕は残ればよかったような」(猫語)

>「私がアンチラストだ!!」
「な、なんですってぇ!?」
どういう事だろうか?あまりにも魂と肉体の姿が違うではないだろうか?

>「…私がアンチラストであることを理解してもらえたようだな。
> 私にはわからないが、どうやら体外離脱した今の私の姿は、
> アンジェリーナのように見えるらしいな?それが何を意味するのか……いや、やめておこう」
「案外本当にアンジェリーナさんの転生体だったりするかもしれませんねえ」
「フィー坊の所の神様は転生あるんだ」(猫語)
「ないと天国が人口過多になっちゃうじゃないですか」
あの世では転生のないところの人口増加が問題になっているらしいです

>「私の体は、ユニソルブルの渇愛である。このまま炎に燃えるに任せるべきか。是か?非か?」
「肉体を失い魂だけになることをという事を世間一般では死ぬと表現すると思いますけど?」
「フィー坊の口から世間一般なんて言葉が聞けるとは思いもよらなかったよ」
「それにあなたの体が亡くなったら同等の肉体を今保有しているリリィさんが狙われちゃうかもしれないじゃないですか」
「リリィお姉ちゃんを元に戻すにもサンプルとして必要だしね」(猫語)

>「私の日記は、ユニソルブルの救済である。このまま炎に燃えるに任せるべきか。是か?非か?」
「内容をすべて覚えているのなら物としての日記は必要ないんじゃないでしょうか?」
「アンチラストさんが嘘の内容を教えるというなら別だけどね」(猫語)

>「私の魂は、ユニソルブルの迷いである。このまま炎とともに失せるが良かろうか。是か?非か?」
「もし日記の内容を覚えているのなら消えるべきでは無いです
 もし消えるとしてもすべてを語ってからにしてください」
「何も語らなかったせいで勘違いですべてが負のご都合主義バッドエンドになりかねないからね」(猫語)
フリードとグレンは最低でもすべての真実を告げるまでは死ぬべきではないと考えているようだ

「あれ?確かマリアベルさんは、アンチラストさんと同化してるという話では?
 だったらアンチラストさんが幽体離脱した今のアンチラストさんの体にはマリアベルさんの魂が残っているのでは?
 つまり今瓦礫の下に埋まっているのはマリアベルさんなんですよ!!」
「その発想はなかった」(猫語)

13 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/14(火) 23:34:23.48 0
>10-12
>「私がアンチラストだ!!」
>とうとう赤毛の少女がブチ切れてしまった。
「な、なんですってぇ!?」
驚くフリードとは対照的に、リリィは絶句し、目の前でザゼンを組み、不思議な呪文を唱えはじめた少女を凝視した。
その様子は、地下でアンチラストのとった精神統一と全く同じだった。
「・・・・・・・本当に・・・・・・本当にアンチラストちゃんなの?何でそんな・・・・・・・・・しばらく見ない間に、色々育ってるのよ・・・・・・」
どこを見て、この発言をしたかは言わずもがなである。

>「…私がアンチラストであることを理解してもらえたようだな。
> 私にはわからないが、どうやら体外離脱した今の私の姿は、
> アンジェリーナのように見えるらしいな?それが何を意味するのか……いや、やめておこう」
>「案外本当にアンジェリーナさんの転生体だったりするかもしれませんねえ」
「本来の姿がこうだったのかも可能性もあるよね。今の姿、ユニソルブルちゃんにもよく似てるし。
 たしかマリアベルは、アンチラストちゃんには最強の肉体?みたいなのを望んだって話らしいし。
 私みたいに変身していったのかも。・・・・・・って、マリアベルと同化したのに、その辺は記憶に無いの?」

>「実は先ほど、この部屋の隣にある実験室で爆発に巻き込まれて私の体が瓦礫に巻き込まれてしまったのだ」
「えええっ!大変じゃない!!何落ち着いて解説しちゃってるのよ!」
リリィは隣の部屋に飛び込もうとして、あまりの惨状にうっと躊躇した。
研究室の中は瓦礫でいっぱいだ。
「・・・・・・・大変なことになってるじゃない!何の用で、こんな火気厳禁な実験室に来ちゃったのよ!」
アンチラスト曰く、ユニソルブルに渡すために、わざわざまりアベルの日記を取りに来たらしい。
>エンカが危惧した事は杞憂だった。アンチラストはユニソルブルを始末しようなどとは露ほども思っていないのだ。

>「マリアベルの日記を渡せば良いと思った。しかし、本当は私の口から直接話すべきだったのかもしれぬ。
> 私が抱いた妹に対するオソレが、このような結果を招いたのかもしれぬ。
> だが、私が今の私の体がある限り、私をユニソルブルは許しはしないだろう」
「そうかなぁ・・・・・・?ユニソルブルちゃん、それが理不尽だとわからないほど頑なじゃないのでは?」
もっとも、頭で理解していても、感情がついてこないというのはよくあることなのだが。


「まだ生きてる・・・・・・よね?」
このまま隣の部屋に突っ込んで、アンチラストを引き出したいのはやまやまが、下手に踏み込むと床が崩壊する恐れがある。
>「私の体は、ユニソルブルの渇愛である。このまま炎に燃えるに任せるべきか。是か?非か?」
部屋にどう突入しようか、と必死で考えていたリリィは、不意を突かれて絶句してしまった。
かわりに、ぶんぶんと勢いよく、両手と首を横に振る。
>「肉体を失い魂だけになることをという事を世間一般では死ぬと表現すると思いますけど?」
今度は、こくこくと猛烈な勢いで首を縦に振っている。
>「それにあなたの体が亡くなったら同等の肉体を今保有しているリリィさんが狙われちゃうかもしれないじゃないですか」
>「リリィお姉ちゃんを元に戻すにもサンプルとして必要だしね」(猫語)
「いやそれは今はいいから!そりゃ確かに資料もサンプルも欲しいけど・・・・・・・いやいや!だめだめ、まず人命最優先でしょ!」

14 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/14(火) 23:35:27.07 0
>「私の日記は、ユニソルブルの救済である。このまま炎に燃えるに任せるべきか。是か?非か?」
「・・・・・・・え?『私の日記』?」
あたふたしていたリリィの動きがぴたりと止まった。
>「内容をすべて覚えているのなら物としての日記は必要ないんじゃないでしょうか?」
「アンチラストさんが嘘の内容を教えるというなら別だけどね」(猫語)
リリィは何事か考え込んでいる。
>「私の魂は、ユニソルブルの迷いである。このまま炎とともに失せるが良かろうか。是か?非か?」
>「もし日記の内容を覚えているのなら消えるべきでは無いです
> もし消えるとしてもすべてを語ってからにしてください」
>「何も語らなかったせいで勘違いですべてが負のご都合主義バッドエンドになりかねないからね」(猫語)

「・・・・・・・・あのね、アンチラストちゃん。一応言わせてもらうけど、アンチラストちゃん、強いのにちょっと頼りなさすぎ。
 本気でユニソルブルちゃんのお姉さんだっていうなら、生きなきゃ。生きて、ちゃんと妹を叱らないと。
 逆恨みされて、陥れられて、殺されかけてるんでしょ?私達だって巻き込まれて大変な目にあってるし。
 いくら愛してるからって、負い目があるからって、何もかも許容するのは違うんじゃない?
 間違ったことをしたら、叱って、わからせて、全うな道に戻してあげるのが本当の「家族」なんじゃないの?」

リリィは目を閉じ、軽く深呼吸すると、今度は少し険しい顔をした。
「フリード君に心底同意です。貴方は、今度こそ子供達と逃げずにきちんと向き合うべきだと思いますよ」

>「あれ?確かマリアベルさんは、アンチラストさんと同化してるという話では?
> だったらアンチラストさんが幽体離脱した今のアンチラストさんの体にはマリアベルさんの魂が残っているのでは?
> つまり今瓦礫の下に埋まっているのはマリアベルさんなんですよ!!」
>「その発想はなかった」(猫語)
「えっ、そうなの?」
勘違いをして見当違いの言葉を吐いてしまったリリィは、かあっと赤くなった。

「いやいやいや、今はそれどころじゃないし!アンチラストちゃん助けなきゃいけないし!私様子見てくるし!」
リリィは箒に跨ると、恐る恐る瓦礫だらけの研究室の中に入っていった。
室内の天井付近には、次第に煙が充満し始めている。
今のリリィの体は、人間の時よりも頑丈だが、爆発に巻き込まれたり瓦礫を食らったらただではすまないだろう。
「アンチラストちゃんの生霊さん、本体はこのへん?・・・・・・・・・・あ!」
箒から身を乗り出し、宙吊りになったまま瓦礫を手探りしていたリリィは、自分とそっくりな昆虫の手らしきものを発見した。
「見つけた!フリード君、見つけたよ!でも、どうやってアンチラストちゃんを助けたら・・・・・・?
 フリード君、この瓦礫、あなたのサーベルでどうにかできそう?」

リリィ程度の頭で考え付く解決策など、そうはない。
何とかして上の瓦礫をどかすか、あるいは床をぶち抜いて、下の階に落ちるまでの間に引き抜く程度だ。
『ロゼッタちゃん、大変!アンチラストちゃんが瓦礫に埋もれてるの!』
ロゼッタが応じてくれるかどうかはわからないが、とりあえず、リリィはロゼッタにも報告した。

15 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/01/17(金) 21:15:02.75 0
>12>14
フリードはアンチラストに“生きる”ことを促した。
彼はアンチラストが“生きているふりをする”ことをよしとしなかったのだ。
リリィも同じ意見だ。
> 「フリード君に心底同意です。貴方は、今度こそ子供達と逃げずにきちんと向き合うべきだと思いますよ」
そう言われてアンチラストは、少し居心地の悪そうな顔をした。
だが、いずれはその問題と向き合わなければならなくなるのだ。
アンチラストは、もしかしたら本当に怖かったのは、
ユニソルブルと対話することではなく、そのことではないかと思った。

> 「いやいやいや、今はそれどころじゃないし!アンチラストちゃん助けなきゃいけないし!私様子見てくるし!」
マリアベル体内居残り説で一行が盛り上がった後、リリィはアンチラストの体を探しに行った。
> 室内の天井付近には、次第に煙が充満し始めている。
> 「アンチラストちゃんの生霊さん、本体はこのへん?・・・・・・・・・・あ!」
リリィは間もなくアンチラストの体を見つけた。
フリードと体外離脱したアンチラストも間もなく駆けつける。
彼女は倒れている自分の本体に手をかざして言った。
>>「……中に誰もいませんよ」
一応公式見解である。
>>「フリード君。君のサーベルで、そう……こういう風に切断できない?」
アンチラストは身振りでフリードに指示をした。
しかし、それは明らかにアンチラストの本体の体をも切断しかねない太刀筋だった。
だからアンチラストはこう説明しなければならなかった。
>>「逆なのよ、フリード君。瓦礫を斬って私から瓦礫を取り除くんじゃないの。
>> 私を斬って瓦礫から私の体を外すのよ。最短でここから離脱するためには、迷っている時間はないわ。
>> 幸いにも君は切り口を凍らせて止血できるでしょう?後から繋ぐことができるわ」
アンチラストは根拠もなくそんなことを言っているわけではなかった。
彼女は十分説得力を持たせられるセリフを言った。
>>「なぜなら、私はマリアベルだからよ。一緒に生きましょう。昨日までも。そして明日からも」
もしもフリードがマリアベルの体をバラバラにすることを承知したとしても、問題があった。
>>「私の体を後から繋ぐのは、エンカかユニソルブルに任せればいい。私が指示する」
それだけではない。バラバラになったユニソルブルを運搬する良い方法が必要なのだ。
残念なことに、フリードが作った氷の大玉は、今は階段の下に置いてあるのだ。

その時、何もない空間から小さなドアが出現し、そこからロゼッタの頭が飛び出した。
>「……リリィ。そういうことはエンカに報告すればいいだろう?どうしてアタイなのさ?」
ロゼッタへ送ったテレパシーの返事が今まさに帰ってきた。

16 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/01/18(土) 10:25:43.56 0
>15
>>「なぜなら、私はマリアベルだからよ。一緒に生きましょう。昨日までも。そして明日からも」
「・・・・・・え?」
「なにそれ怖い」(猫語
どうやらアンチラストと同化してるというというのは魂レベルの事だったようである

「二つ以上の魂が同化していたから多重人格気味になってしまったのでしょうか?」
「そんなことより早く助けなきゃ」(猫語

「助けるために傷つけるというこの矛盾」
「洗脳を解くためとかまれに良くあることだよ」(猫語

「医療行為と考えてやれば特に問題はないのですが・・・・・・」
「駄目だよ!!フィー坊は医療と考えて行動するとマイナスボーナスが掛かっちゃうんだから!!」(猫語
説明せねばなるまい!フリードリッヒは治療などの医療行為をすると必ず失敗してしまうのだ!!

「ならば何も考えずに切断する機械になりきるしかありませんね」
「カッティングマシンだけど何か質問ある?何て新しいなりきりジャンル」(猫語
魂が抜けている状態で肉体を切り刻まれるのは痛いのだろうか?

>「……リリィ。そういうことはエンカに報告すればいいだろう?どうしてアタイなのさ?」
「おお!良いところに赫赫云云で腕が飛び出すババンバンババンなんですよ」
「フィー坊人体(?)はマグネットパワーじゃくっつかないよ」(猫語
バラバラになった状態ならロゼッタの開けた空間の穴を通るはずであるとフリードは考え
それをロゼッタに説明する
後は下の階の氷玉に詰め込めばいい・・・・ね、簡単でしょ?
と無茶ぶりをするフリードリッヒ

「僕だったらいくら元に戻るとはいえ自分の体を切り刻むのは御免ですけどね
 事態が事態ですから仕方がありません」

「斬るとほとんど同時に切断面を凍らせますから僕の服は汚れない筈です」
「服の心配より相手の命を心配・・・・・すると失敗するんだっけ」(猫語
本当に厄介なマイナス特徴である

はたして無事成功するのか?そしてグロ表現的に大丈夫なのか?
「リリィさんちょっとグロテスクですのでなるべく切断面を見ないようにしてください
明日からステーキが食べられなくなってしまいます」
「逆にお腹がすいてきた僕はおかしいのだろうか?」(猫語

17 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/20(月) 18:16:47.90 0
>15-16
>フリードと体外離脱したアンチラストも間もなく駆けつける。
彼女は倒れている自分の本体に手をかざして言った。
>>「……中に誰もいませんよ」
>「二つ以上の魂が同化していたから多重人格気味になってしまったのでしょうか?」
「そっか。じゃあ、今は、あなたとアンチラストちゃんだけなのね」
アンチラストを狙った魔法使い達が『中にいる』可能性も視野に入れていたリリィは、少しだけほっとした。
(そうだよね、ちゃんとアンチラストちゃん、地下で供養してたもんね)

>「そんなことより早く助けなきゃ」(猫語
そうだった。魂の在り処がはっきりしたからといって、目の前の問題は何一つ解決していない。
一刻も早く瓦礫を何とかして、下敷きになっているアンチラストの体を助け出さなくては。

>>「フリード君。君のサーベルで、そう……こういう風に切断できない?」
「はぁ?!そんなことしたら、アンチラストちゃんの体もスパッと切れちゃうじゃない!」
アンチラストは、体を切断して瓦礫から救出することを提案した。
「そんな乱暴な救出方法、聞いたことないですよ!」
ヒーラー見習いのリリィとしては、とても認められない。
だが彼女は意に介さず、後から繋ぐことができると言い切った。

(そんなこと、本当にできるの?)
時間がないのは同意するが、ヒーラー見習いという立場としてはとても同意できない。
確かに、マリアベルに近い体を持つリリィの治癒速度も、人間のときとは比べ物にならない。
(だからといって、切断した体を、医療設備も儀式場もない場所でくっつけられるの?)
次に、アンチラストは、十分説得力を持たせられるセリフを言った。
>>「なぜなら、私はマリアベルだからよ。一緒に生きましょう。昨日までも。そして明日からも」
リリィは、一瞬でも、「マリアベルが、アンチラストを処分することを諦めていないのではないか」と一瞬考えてしまったことを恥じた。
そうだった、ユニソルブルと記憶を共有したエンカが、その誤解を解いてくれたではないか。

>>「私の体を後から繋ぐのは、エンカかユニソルブルに任せればいい。私が指示する」
「えっ、エンカにも出来るんですか?!」
これは衝撃的な言葉だった。
もっとも彼は、ユニソルブルと知識の共有を行っている。出来ないと考得るほうが不自然かもしれない。

マリアベルの、自信に裏打ちされた言葉を聞き、フリードは腹をくくったようだ。
グレンにぼやきながらも、サーベルを準備し、成功度を上げるために精神集中し始めた。

「・・・・・・・・アンチラストちゃんと、心中する気は無いんですよね?」
だとしたら、リリィには、もう見守ることくらいしかできない。
「痛み止めの薬草、持ってます。気休め程度にしかならないけど、後で使いますから。
 ちょっとだけ我慢してくださいね」

>「リリィさんちょっとグロテスクですのでなるべく切断面を見ないようにしてください
>明日からステーキが食べられなくなってしまいます」
「す、すぐ凍るから大丈夫だよ・・・・・実習で解剖図とかみてるし、多分大丈夫。
 それにほら、フリード君のサーベルなら、血が吹き出る暇なんてないはずだから・・・・・大丈夫だよ・・・・・・がんがって」
リリィは青い顔をしながら、少し離れた空中にホバリングし、フリードがサーベルを振り下ろす瞬間を祈りながら待った。

18 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/20(月) 18:18:02.76 0
>「……リリィ。そういうことはエンカに報告すればいいだろう?どうしてアタイなのさ?」
「ご、ごめん。ロゼッタちゃん!
いや!だってほら!ロゼッタちゃんのドコデモ・ドアーなら、スプラッタ無しで瓦礫から救出できそうな気がしたから!」

>「おお!良いところに赫赫云云で腕が飛び出すババンバンババンなんですよ」
>フリードは、バラバラになった状態ならロゼッタの開けた空間の穴を通るはずであるとフリードは考え
>それをロゼッタに説明する
>後は下の階の氷玉に詰め込めばいい・・・・ね、簡単でしょ?
>と無茶ぶりをするフリードリッヒ

「そ、それより、そっちにエンカかユニソルブルちゃんはいる?
 フリード君の説明どおり、アンチラストちゃんの体を切断して救出する予定なんだけど、元通り繋げる事って本当に可能なの?
 『彼女』は、十分可能だって言ってるんだけど」
リリィはあえて、マリアベルの名前を出さなかった。変にユニソルブルを刺激したくなかったからだ。
だから、代わりにこう告げた。

「ユニソルブルちゃん、姉妹喧嘩は脱出してからにしてね。
 そもそもアンチラストちゃんは、あなたのために、マリアベルの日記を探しててこんな目にあったんだから」

そう告げてから、リリィは微かに違和感を感じた。
ユニソルブルは現在、館の主だ。
マリアベルの日記などとっくに探し出していた可能性もある。
・・・・・・・・が、これは、マリアベルが厳重に隠していたらその限りではないだろう。
(・・・・・・・あれ?そうなると、館の地下で見た資料とか手記とかはどうなんだろう?)
リリィ達が地下で読んだ手記は、後半かなり錯乱した内容だった気がする。とてもアンチラストが危険を冒してまで見せたい代物ではない。
マリアベルがここで探していたらしい「日記」は違うのだろうか?
それとも日記はただの口実で、何か別の用事があったのだろうか?

リリィの考えをよそに、今まさにフリードが『カッティングマシーン(※グレン談)』になりきろうとしていた。

19 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/01/22(水) 18:30:47.26 0
>16>18
> 「ご、ごめん。ロゼッタちゃん!
> いや!だってほら!ロゼッタちゃんのドコデモ・ドアーなら、スプラッタ無しで瓦礫から救出できそうな気がしたから!」
不機嫌そうな顔をするロゼッタにリリィがそう言ったが、
特にロゼッタは今回の件にあまり真剣に関与していないため事情がよく把握できなかった。
> 「おお!良いところに赫赫云云で腕が飛び出すババンバンババンなんですよ」
> 「フィー坊人体(?)はマグネットパワーじゃくっつかないよ」(猫語
> バラバラになった状態ならロゼッタの開けた空間の穴を通るはずであるとフリードは考え
> それをロゼッタに説明する
R「え?あんたそれ本気で言ってんの?正気なの?」
「おめぇがそんなこと言ってんじゃあねぇぜ!ロゼッタ!さんざん今まで人の体をバラバラにしてきたくせによーっ!」
ドアの向こう側からエンカの声が聞こえてきた。
> 「そ、それより、そっちにエンカかユニソルブルちゃんはいる?
>  フリード君の説明どおり、アンチラストちゃんの体を切断して救出する予定なんだけど、元通り繋げる事って本当に可能なの?
>  『彼女』は、十分可能だって言ってるんだけど」
リリィがあえて『彼女』と言ったことにより、エンカとユニソルブルは暗黙の了解とばかりに、それはアンジェリーナの霊だろうと思った。
「聞いたぜ〜、お前らもずいぶん思い切ったことを考えたなぁ!それは『彼女』の提案なのか?」
>>「冗談じゃないわ!何考えてんのよ『彼女』!?ちょっとこの世から離れすぎてイカレてるんじゃないの!?」
> 「ユニソルブルちゃん、姉妹喧嘩は脱出してからにしてね。
>  そもそもアンチラストちゃんは、あなたのために、マリアベルの日記を探しててこんな目にあったんだから」
>>「??」
『彼女』に対する認識違いのため、ユニソルブルはリリィの言ったことに違和感を感じた。
>>「ねぇ、リリィ。そもそもアンチラストを切断するって……本人は大丈夫なの?意識とかは?」
これに対する返答次第で『彼女』に対する認識が改まるだろう。

エンカがドアの向こうで叫んだ。
「リリィ、なぜ俺に『彼女』がそれを託すのか、それはわからねぇ!
 わかんねぇけどよぉ、アンチラストがバラバラのままで、誰かの助けが必要なら……!
 誰だって手を差し伸べる!俺だって手を差し伸べる!
 どんな方法だろうとよぉ、俺が元通りに治すぜ!」
エンカはさらに言った。
「いざとなったらユニソルブルの首から下を移植すればいい!」
>>「じょ、冗談じゃ…!」
もしかしたら知識を共有していることでエンカとユニソルブルの性格が変わっているのかもしれない。

「事がすんだら、早くこっちに降りてくるんだ!お前達じゃあそのドコデモ・ドアを潜れねぇからなーっ!
 グズグズしているんじゃあないぜ!」

20 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/01/24(金) 11:00:04.48 0
>18-19

>「ユニソルブルちゃん、姉妹喧嘩は脱出してからにしてね。
 そもそもアンチラストちゃんは、あなたのために、マリアベルの日記を探しててこんな目にあったんだから」
「そうですよお互い生きていなければ喧嘩さえも出来ないんですから」

フリードリッヒは無心で剣を振るい傷口を凍らせていく
「フィー坊はよいお肉屋さんになれそうだね」(猫語)
無心の為無反応である
そしてすべてのパーツを一つずつ丁寧にドコデモ・ドアーに通していく
「ふぅ・・・・・何とか終わったようです」
フリードは思った・・・・・心を無にしなければきっと間違って殺してしまったのではないか?と
「良かった…本当に良かった」
「フィー坊無事にフィジルに帰るまで清掃作業は終わらないよ」(猫語)
「今ほそれどころじゃないでしょう・・・・死人が出るかもしれなかったんですから
 清掃とは本当に清掃だったのか?とか二日あるのにまだ一日も経ってないとか些細な事です」

>「いざとなったらユニソルブルの首から下を移植すればいい!」
>>「じょ、冗談じゃ…!」
「首から下が無くなったら死んじゃいますよ。機械族やアンデッド族でもなければ」
そういえば頭のないデュラハンはどこで物を見てるのだろうか?謎である

>「事がすんだら、早くこっちに降りてくるんだ!お前達じゃあそのドコデモ・ドアを潜れねぇからなーっ!
 グズグズしているんじゃあないぜ!」
「そうですね僕がいくら小さいからって人間が通れる大きさじゃないですもんね
 言っときますが僕はドワーフでもホビットでもなく人間ですからね!!」
人間族としては明らかに設定ミスな身長と体型を持ったフリードリッヒでもさすがに通れない
アンチラストのようにバラバラになるか軟体でも無ければ無理だろう
「僕通れるよ・・・・猫だからね」(猫語
「そおおおおおおい!!!」
フリードリッヒはグレンをドコデモ・ドアーに放り投げる
「これで少なくともグレンの安全は確保出来ましたね」
もうちょっと丁寧に入れるべきだと思う
「さあリリィさん脱出しますよ!」

はたして無事に屋敷から出られるのか?
そして清掃ミッションは失敗に終わるのか?
ミッションに失敗した時のペナルティは減点で済むのか?
それはまだわからない

21 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/28(火) 01:14:21.72 0
>19-20
>「聞いたぜ〜、お前らもずいぶん思い切ったことを考えたなぁ!それは『彼女』の提案なのか?」
>>「冗談じゃないわ!何考えてんのよ『彼女』!?ちょっとこの世から離れすぎてイカレてるんじゃないの!?」
「私もそう思ったけど、彼女いわく、これしか方法が無いっぽいのよ」

>>「ねぇ、リリィ。そもそもアンチラストを切断するって……本人は大丈夫なの?意識とかは?」
リリィが興奮に頬を紅潮させた。
彼女はユニソルブルが、アンチラスト(とマリアベル)の生霊を、アンジェリーナだと解釈しているとは思っていない。
だから単純に、「ユニソルブルちゃんが、目の敵にしていたアンチラストちゃんを心配している!」と喜んだのだ。

「うん、本人からは大丈夫だって聞いてる。
 今アンチラストちゃんの本人の意識は無いよ。・・・・・・・・・無いんだよね?」
リリィは、アンチラスト(とアリアベル)の生霊に向かってそう確認した。
この中途半端な会話で、ユニソルブルの疑問が氷解すればいいのだが。

>エンカがドアの向こうで叫んだ。
>「リリィ、なぜ俺に『彼女』がそれを託すのか、それはわからねぇ! (略)
> どんな方法だろうとよぉ、俺が元通りに治すぜ!」
エンカはさらに言った。
>「いざとなったらユニソルブルの首から下を移植すればいい!」
>>「じょ、冗談じゃ…!」
「うん、ありがとう・・・・・・って!それじゃだめだから!ユニソルブルちゃんが死んじゃうから!」
>「首から下が無くなったら死んじゃいますよ。機械族やアンデッド族でもなければ」
全くである。
「ユニソルブルちゃんは炭素操れるけど、首から下をダイアモンドで回復とかちょっと無理だよね・・・・・・・」
リリィは、フェミニストなエンカとも思えない発言に内心で驚いていた。
まあ、ユニソルブルには何度も煮え湯を飲まされている上に、今は屋敷が燃え落ちる寸前である。
多少は気が立っていても仕方が無いのかもしれない。

22 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/01/28(火) 01:15:24.51 0
>フリードリッヒは無心で剣を振るい傷口を凍らせていく。
瓦礫ごと斬っているのに、傷口が綺麗で全く汚れがついていないのは神業としか言えない。
>「フィー坊はよいお肉屋さんになれそうだね」(猫語)
「しーっ。フリード君の気が散るよ。そしたら失敗しちゃうよ」
リリィも箒の上で、息を潜めて見守る。
火と煙に巻かれなから、精神統一し続けるのは至難の業のはずなのだ。
それでも、無我の境地に達したフリードは、無言のまま作業を進め、一つずつ丁寧にドコデモ・ドアーに通していく。
最後の一パーツを通し終えたところで、ようやく彼は肩の力を抜いた。

>「良かった…本当に良かった」
「良かった…本当に良かった!さすがだよフリード君。本当にありがとう、ありがとう!」
リリィは緊張から解き放たれ気が緩んだのか、すっかり涙声になっていた。

>「フィー坊無事にフィジルに帰るまで清掃作業は終わらないよ」(猫語)
ここでグレンが、一気に現実的なことを発言する。
>「今ほそれどころじゃないでしょう・・・・死人が出るかもしれなかったんですから
> 清掃とは本当に清掃だったのか?とか二日あるのにまだ一日も経ってないとか些細な事です」
「とにかく中庭に避難しよう。清掃作業で貰える単位より、命のほうが大事だよ」

>「事がすんだら、早くこっちに降りてくるんだ!お前達じゃあそのドコデモ・ドアを潜れねぇからなーっ!
> グズグズしているんじゃあないぜ!」
>「そうですね僕がいくら小さいからって人間が通れる大きさじゃないですもんね
> 言っときますが僕はドワーフでもホビットでもなく人間ですからね!!」
「フリード君に無理なんだから、当然私にも無理だー」
「瓦礫ごと被災者を斬って脱出」という荒業を行ったばかりだというのに、フリードは疲労も見せずいつもどおりに振舞っている。
その姿に、リリィは勇気付けられた。
>「僕通れるよ・・・・猫だからね」(猫語
>「そおおおおおおい!!!」
「ええええええ!」
愛猫家のフリードは、グレンをドコデモ・ドアーに放り投げた。
>「これで少なくともグレンの安全は確保出来ましたね」
「よく見えなかったけど、あの角度と勢いじゃ、雪玉の中にいた人にぶつかってない?大丈夫なのかな・・・・・・」
かなり煙がひどくなっているので、フリードも内心であせったのかもしれない。
煙に巻かれるよりはマシだが、もうちょっと何とかならなかったのかと思ってしまうが、後は当事者同士の問題だろう。

>「さあリリィさん脱出しますよ!」
「うん!早くエンカや雪玉と合流して、中庭に逃げなくちゃ!
 ・・・・・・・・・あれ?そういえば赤毛の幽霊さんはどうなったっけ?アンチラストの体と一緒に、雪玉の中へ移動したのかな?」
もしそうだとしたら、今頃はユニソルブルと話込んでいるのだろうか?

「ひーっ!こっちの階段、煙かなり回ってきてるよ!ゲホッゲホッ!」
低く飛んでいるのに、空気が熱い。
下手に熱い煙を吸うと、肺が焼けて窒息死することになる。仕方なく廊下に出た時点で、テレパシーを使ってエンカ達に呼びかけてみる。
『エンカ、あなたのいる場所から見て、階段の下の階には火が回ってる?このまま下りられそう?』
もしも無理なら、迂回して別の階段から中庭に出る必要があるだろう。

「・・・・・・ん?フリード君、今何か言った?」
何か呻くような、奇妙な音が聞こえた気がしたのだが・・・・・・炎がはぜる音を聞き違えたのかもしれない。

23 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/02/02(日) 07:08:08.60 0
>20>22
ドコデモ・ドアーを通して、バラバラになったアンチラストの体が氷の大玉の中に運びこまれた。
ユニソルブルは、居心地が悪そうな顔をしていた。
ロゼッタは興味がなさそうだった。
エンカは、何か見てはいけないものを見ている気がして、大玉の中から外に出た。
どちらにしても、この場でアンチラストを治すことはできない。
「きっとリリィとフリード達がすぐに戻ってくるはずだ。俺は外に出ているぜ」

> 「そおおおおおおい!!!」
> フリードリッヒはグレンをドコデモ・ドアーに放り投げる
R「あっ!?」
ドコデモ・ドアーの向こうから短い悲鳴が聞こえた。
どうやらグレンがロゼッタにぶつかったらしく、間もなくドコデモ・ドアーも小さくなって消えてしまった。
> 「これで少なくともグレンの安全は確保出来ましたね」
しかしそのせいで、この後グレンはロゼッタにしっぽの付け根を平手で叩かれることになる。

> 「うん!早くエンカや雪玉と合流して、中庭に逃げなくちゃ!
>  ・・・・・・・・・あれ?そういえば赤毛の幽霊さんはどうなったっけ?アンチラストの体と一緒に、雪玉の中へ移動したのかな?」
アンチラストの霊体は、実はまだいた。
自分の本体があった場所で、何かが燃えているのをじっと見ていた。
それは、日記だった。
>「……じゃあ、私もいくねー」
アンチラストの霊体は子供っぽくそう言うと、すっと姿を消した。

> 『エンカ、あなたのいる場所から見て、階段の下の階には火が回ってる?このまま下りられそう?』
テレパシーを受信したエンカは、すぐに階段の下から上に向かって叫んだ。
「こっちは大丈夫だぜーっ!!早く降りてこいよなーっ!!」
なるべく大声で叫んだが、聞こえただろうか?
もしも返事が無ければ、最悪の手段としてキラー・チューンを動かすことになる。
「どう考えても、それはまずいよなぁ〜。頼むぜ、リリィ…!返事をしてくれよなーっ!」

>>「…ねぇ、あなたさっきから何なの?私の顔に何かついてるわけ?」
大玉の中で、ある時を境にロゼッタにじっと見つめられていたユニソルブルが、我慢できなくなってそう聞いた。
R「別に。ところで、あんた…」
ロゼッタはそう言いかけて再びグレンのしっぽの付け根をペチンと叩いた。
R「ドコデモ・ドアーの向こう側にいた誰かに、話をしたかんたんだろう?
  あたいがそれを達成できなかったのは、なんというか、責任のようなものを感じているんだ」
ユニソルブルは意外そうな顔をした。エンカの記憶にいたロゼッタは、なんというか、こんなキャラではなかったような…
R「あんたが話したかったことをさぁ。聞かせてくれない?今、この場で」
ユニソルブルは怪訝そうな顔をした。
そんなユニソルブルの背後で、赤毛の幽霊が菩薩のような顔をしながら二人の様子を見つめていた。

24 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/02/05(水) 11:29:51.54 0
>22-23
>「ひーっ!こっちの階段、煙かなり回ってきてるよ!ゲホッゲホッ!」
「さすがの僕もこの火の中だと少々きついものが・・・・・
 頑張って自分の周りの火だけでも消したほうがいいんでしょうか?」
フリードリッヒは雪と氷の魔法使い・・・・暑いのにはなれて無い
「こんな目に合うのは図書館の時以来ですよまったく・・・・・・」
以前にあった図書館で火炎魔法=大火事の事である
よく本が全焼せずに済んだものだ
まああのことがあったおかげでグレンは変な知識を身に着けたのだが


「そうだ!床をぶち破って下の階に直接行けば・・・・・って
 そんなことしたら下の階に居るグレンたちが大変なことになりますよね・・・・・」
床粉砕する→いろいろ落下する→猫潰れるということになりかねないので
フリードリッヒはその考えを却下した


>グレンはロゼッタにしっぽの付け根を平手で叩かれている
「ギャン!!」
ロゼッタは再びグレンのしっぽの付け根をペチンと叩いた。
「ドム!!」
叩かれるたびにわけのわからない悲鳴を上げるグレン

>「・・・・・・ん?フリード君、今何か言った?」
「いいえ僕は何も言ってませんよ?
 いっそ自分の周りを氷で覆って強行突破でもするべきでしょうかねぇ?」
フリードリッヒは頑張って階段を凍らせながら下の階にたどり着く
たかが一階分されど一階分である
MP的に考えて結構きついものがあるだろう

「フィー坊遅いよ!もう少しで変な趣味に目覚める所だったじゃんか!!」(猫語
何があったのか前足で尻尾の付け根を抑えたグレンが二人を出迎えた

25 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/02/09(日) 03:06:32.21 0
>23-24
赤毛少女の幽霊が姿を消した後、リリィのテレパシーに答えたらしいエンカの声が、階下から小さく聞こえた。
エンカと雪玉のある場所の階段からは、まだ下に降りられるらしい。
『わかった。いま、フリードくんといく!』
火事による暑さのせいか、頭がすこしクラクラする。テレパシーは使えるが、長い文章は無理そうだ。

>「さすがの僕もこの火の中だと少々きついものが・・・・・
> 頑張って自分の周りの火だけでも消したほうがいいんでしょうか?」
フリードは辟易している。気疲れもあるのだろう。
ここが暑いのはもちろんだが、つい先ほど、アンチラストを切断するという神経をすり減らす作業を済ませたばかりなのだ。

「私はだいじょうぶ。 それに魔力・・・・・・本当にあぶないときのために、少しでも残しておいたほうがいい」
館はまだ燃えている。
またあっては困るが、アンチラストが遭遇したトラブルに襲われる可能性は否定できないのだ。

>「こんな目に合うのは図書館の時以来ですよまったく・・・・・・」
「うん。ひどかったよね・・・・・」
リリィは遠い目をした。
学園の図書館、もっと言えばその地下は、まさに鬼門である。
「・・・・・でも、そのあと、鉄板焼きになりかけたこともあったような・・・・・・」
リリィの感覚ではまさに「そのあと」の感覚だったのだが、フリードには少々脈絡がなかったかもしれない。
(アドラス襲撃の折、学園の屋上で、炎道とフリードの合体魔法のあおりを食らった時の話をしているつもりなのだ)
「・・・・・・・ロゼッタちゃん、あのころにくらべたら、すごく変わったよね。もちろん、いいほうに。
 やっぱり、エンカのおかげかなぁ?」

>「そうだ!床をぶち破って下の階に直接行けば・・・・・って
「・・・・・・・・・・!!」
> そんなことしたら下の階に居るグレンたちが大変なことになりますよね・・・・・」
とんでもない閃きに面食らっていたリリィは、こくこくこく!とものすごい勢いで首を振った。
思いとどまってくれて本当に良かった。
本気でフリードが思い立ったら、リリィにはとても止められないのだ。
「フリード君がんばって。下にいけば、グレンと氷の玉もあるよ」
魔法の氷は、ただの炎程度では簡単には解けない。
だから氷の玉自体が炎への盾にもなるし、何より、ここよりは多少涼しいに違いない。

フリードは疲れているだろうに、炎を避けるため、結局階段を凍らせながら移動してくれた。
全く・・・・・フリードには頭が上がらない。

>「フィー坊遅いよ!もう少しで変な趣味に目覚める所だったじゃんか!!」(猫語
一足先に「ドコデモ・ドアー」に押し込・・・・・飛び込んでいたグレンが、真っ先に出迎えてくれた。
「なにそれ・・・・・・・・」
リリィはグレンの居る氷の玉を覗き込んで、驚きに言葉に詰まった。
なぜか赤毛頭が一つ多い気がしたのだ。
うっかり昆虫のような手で目をこすってしまい、ごつごつした感触に顔をしかめた後もう一度見る。
(・・・・・・ああ、なぁんだ。ロゼッタちゃんか)
どうやら彼女の金髪を、炎のせいで見間違えたようだ。

「エンカ、おまたせ。心配かけてごめん。声、ちゃんときこえたよ」
リリィはそういうなり、氷の玉の後ろに回り込んでぐいぐいと押し始めた。
「はやく下におりなきゃ。氷の玉の中のひとは、アンチラストちゃんをたのむね。
  あれ?・・・・・・・みんな、どうしたの?」

何事もなければ、エンカの誘導で中庭まで移動できるだろう。
もしもロゼッタとユニソルブルの話がすでに終わっていたとしても、きっとグレンが教えてくれるに違いない。

「・・・・・・・ところでエンカ、アンチラストちゃんは、フィジルに帰ってからなおすの?
 さっきの話だけど、妹になにかあったら彼女ぜったい泣くよ?・・・・・・・だから、その方法はやめてね?」

26 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/02/11(火) 15:22:38.28 0
>>「…ねぇ、あなたちゃんと話を聞いてる?」
ユニソルブルはロゼッタに愚痴…もとい自分がいかに優れていて、
しかし誰かの影でしかなかったことを話していたのだが、
ロゼッタの反応がイマイチなのでそう尋ねた。
R「聞くともなく」
ロゼッタはそう言った。
>>「何よそれ…やっぱりあなた頭がおかしいわ!」
ユニソルブルはそう言って怒った瞬間、ついにロゼッタの視線の焦点が、
自分の背後に合っていることに気づいた。
その直後リリィが氷の玉を覗きこんだ際の反応により、疑惑は確信へと変わる。
>>「フリード!今すぐ私を解凍しなさい!早く!
>> 聞こえているでしょう!私を解凍するのよ!!」
すごい剣幕でユニソルブルがフリードに叫んだ。

>25
> 「エンカ、おまたせ。心配かけてごめん。声、ちゃんときこえたよ」
「よかったぜ〜。一時はよ〜、キラー・チューンを……いや、ねんでもねぇ」
エンカはリリィと一緒に氷の玉を押し始めた。
ユニソルブルの怒鳴り声が聞こえてきたのはその時だった。
「後にするんだよーっ!!お前だってよぉ、今は凍っている方が安全なんだぜーっ!!」
エンカは少しイライラした様子で氷の玉を蹴りながら叫んだ。
リリィは気づいていたかもしれないが、エンカはアンチラスト親子にややイラついているような部分があった。
エンカはリリィにやんわりとその事を指摘されると、素直に認めた。
「…ちょっと嫉妬しているのかもな。俺だって生き返らせたい人がいるからよぉ」
エンカは、そういう事を尋ねるのは後にするべきだと思いつつも、聞かずにはいられなかった。
「やっぱり…やっちゃあいけねぇことなのかなぁ。死んだ人を生き返らせるってのはよぉ…?」

「ところでさっきの話だが…アンチラスト達をフィジルの保健室みてぇなところに連れていけたらベストだが…
 間に合わないと思ったその時には、既に手術は開始されてなければいけねぇと心から思うんだ。
 館の外には、薬草に詳しい青葉達もいるし、パピちゃんに落ち着くお香を焚いてもらうといいかもなぁ。
 ジェイムズ先輩とテオボルトには、ヘリと自動車の部品を集めてもらったら、何か役に立つかもしれねぇ。
 …そんでもって、おいしいところはこのエンカ・ウォンがさらっとやるってわけだな。
 気を悪くすんなよな〜、残念だけど、俺にはそれくれぇしかできねぇんだもんよーっ!」
エンカは神妙な顔をすると続けてこう言った。
「…アンチラストを運び出せたのはフリードとロゼッタのおかげだし、
 アンチラストの心を見つけたのはお前なんだぜ、リリィ。
 要するにみんないなければ、アンチラストの体と、ユニソルブルの心は治せなかったんだよ」
中庭の井戸に飛び込めば、場面は大きく変わるだろう。
館にやり残したことがあれば、今のうちである。

27 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/02/15(土) 10:23:03.74 0
>25-26
>>「フリード!今すぐ私を解凍しなさい!早く!
>> 聞こえているでしょう!私を解凍するのよ!!」
「仕方ありませんね」
と言ってフリードリッヒは氷に纏われた魔力を解除する
「これでもう普通の氷です。あとは自然に溶けるでしょう」
「ああ・・・・魔法の氷は普通の熱じゃ溶かせないんだ」(猫語)
「はい魔法の氷は同等以上の魔法の炎じゃないと溶けないんですよ」

>「やっぱり…やっちゃあいけねぇことなのかなぁ。死んだ人を生き返らせるってのはよぉ…?」

「知り合いのお兄さんが言ってました
 不死鳥は死ぬその場で蘇るだけだ、そして死ぬのはすごく痛いって
 死んだ人を生き返らすというのはその人に死ぬときの痛みをもう一度味合わせることに繋がるんで得すよね」
「でも人間って転生するんだよね」(猫語)
「生き返らそうと思った人はもう生まれ変わってましたっていう落ちですね分かります
 でも以前の記憶も人格もないなら既に別人でしょう」

「僕は特にもう用事はありません
 資料的なものにしたってこのオランピアと機械人形の体で十分ですし
 最終的にアムリーテさんはオランピアの生身の肉体を
 アルバート・ゼペットさんはアムリーテさんの機械の体の技術を手に入れることになるでしょうけど」
「うわ!ゼペットさんの名前不安すぎ!オートマータを使った世界征服企みそう」(猫語)
「それは偏見というものですよグレン、苗字がWから始まらないから
 リリィさんはいかがですか?もう用事とかありませんか?」

28 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/02/18(火) 02:14:13.69 0
>26-27
>エンカはリリィと一緒に氷の玉を押し始めた。
一方、氷の玉の中にいたユニソルブルは、リリィが中を覗き込むや否や、怒鳴り声を上げた。
「こおりがとけたら、どうするつもりなの・・・・・」
>「後にするんだよーっ!!お前だってよぉ、今は凍っている方が安全なんだぜーっ!!」
>エンカは少しイライラした様子で氷の玉を蹴りながら叫んだ。
リリィは叫びかけたままの口で、エンカを見つめている。
先に怒りをぶちまけられ、あっけに取られているのだ。同時にとても驚いている。
なぜなら、エンカは過去何度も女難にあっているが、女性相手にこんな態度を取ったのを見たことが無かったのだ。

>「仕方ありませんね」
一方、名指しされたフリードは、氷に纏われた魔力を解除したようだ。
魔力を解除しても即氷が解けてしまうようなことはないが、早めに中庭に出たほうがよさそうだ。

「エンカ。ちょっとらしくない。どうした、の?」
エンカは罰の悪そうな顔をすると、アンチラスト親子に対する複雑な心境を吐露した。
>「…ちょっと嫉妬しているのかもな。俺だって生き返らせたい人がいるからよぉ」
リリィも複雑そうな顔をした。
エンカは、ためらいながらも、それでも言わずにはいられないようだった。
>「やっぱり…やっちゃあいけねぇことなのかなぁ。死んだ人を生き返らせるってのはよぉ…?」

「・・・・・・・・・。」
リリィは言葉に詰まった。なんと言っていいかとっさに思い浮かばなかったのだ。

死者と意思疎通できる人間は、魔法学園にたくさんいる。
館の外で待っているであろう パピスヘテプなど、その最たるものだ。
だが、意思疎通できたとしても、生と死の間には厳然たる溝がある。
今、アンチラストと融合するという形で生霊と化しているマリアベルも、それを踏み越えようとして、禁忌に触れてしまったのだ。
彼女の思惑と、その目的のために生み出された娘達の前で、身を焦がすほどの願いを持たないリリィは、何を語ればいいのだろう?

エンカの問いに答えたのは、フリードだった。
>「(略)不死鳥は死ぬその場で蘇るだけだ、そして死ぬのはすごく痛いって
> 死んだ人を生き返らすというのはその人に死ぬときの痛みをもう一度味合わせることに繋がるんで得すよね」
主従は死者の魂は転生するのではないかと議論している。

死んだら天国の国で、懐かしい人に会えるという死後観を持っているリリィとしては複雑だった。
(このあたりは宗教や思想によるブレが大きいので、学園の死霊使いやネクロマンサーなどの間ですらデリケートな問題なのだ)

結局悩んだ末に、ようやくリリィが口に出した言葉は、
「あいたいとねがってたら、きっといつか逢える。・・・・・・・心で思いえがいた形とちがうかもしれないけど、きっと」
だけだった。

「ところでさっきの話だが…(略)
 間に合わないと思ったその時には、既に手術は開始されてなければいけねぇと心から思うんだ」
エンカは、この場にはいない仲間のことを語った。
分断されてしまったが、彼らが無事だと信じているのだ。

「(略)…そんでもって、おいしいところはこのエンカ・ウォンがさらっとやるってわけだな。
 気を悪くすんなよな〜、残念だけど、俺にはそれくれぇしかできねぇんだもんよーっ!」
リリィは微かにわらった。
エンカが、「火災」と「怪我の治療」という危機に直面している皆の気持ちを、奮い立たせようとしていると思ったからだ。

29 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/02/18(火) 02:14:57.30 0
>「…アンチラストを運び出せたのはフリードとロゼッタのおかげだし、
> アンチラストの心を見つけたのはお前なんだぜ、リリィ。
> 要するにみんないなければ、アンチラストの体と、ユニソルブルの心は治せなかったんだよ」
「・・・・・・・そうかな。そうだといいな」

皆はすごい。本当にすごい。だけど・・・・・・とリリィは思う。
私は本当に、アンチラストちゃんの心を見つけられたのかな、と。

アンチラスト化が進行しているリリィには、彼女の苦悩を、以前よりいっそう理解できるようになっている。
あのときの自分が言ったことは、間違っていないと今でも信じている。
だが、何も知らない一般人が、今のリリィやアンチラストを見たら、どういう反応を返すだろうか?
リリィがアンチラストに言ったことは、詭弁だったのあろうか?

(・・・・・・・ううん。そんなことは、アンチラストちゃんはとっくにわかってる)
結局のところ、人か、それ以外かを決めるのは、自分自身と、それ以外なのだ。
だとしたら、リリィはこれから先も、人であり続けなくてはならない。
元の姿に戻れなくても。アンチラストのためにも、何より、自分のためにも。
何が起ころうと、絶対に。

フリードは、この館にはもう用は無いという。
>「資料的なものにしたってこのオランピアと機械人形の体で十分ですし
> 最終的にアムリーテさんはオランピアの生身の肉体を
> アルバート・ゼペットさんはアムリーテさんの機械の体の技術を手に入れることになるでしょうけど」
グレンはフリードの言葉に不安を隠しきれないようだが、リリィはさほど心配していない。
ゼペットは妻を亡くし、一時期不安定だったこともあったが、今では立ち直っている。
なにより彼は、過去何度も、リリィの『友人達』を『治療』してくれている。
リリィとしては、その事実だけで十分信頼に値するのだ。

「どうするかは、本人しだい、だね」
アムリーテの機械の体は、マスターやシスターとの唯一の絆でもある。
リリィが元の姿と自分の体に執着するように、彼女にも彼女なりの執着があるに違いないのだ。
いずれにしても、例のビームだけは絶対何とかしてもらう必要があるだろう。

「(略)リリィさんはいかがですか?もう用事とかありませんか?」
「ユニソルブルちゃん達がいるから、資料はいい。もう、あぶない。・・・・・・おぼえてるよね?」
最後の一言は、マリアベルやエンカに充てたものだ。
炎上している館の中に戻るのは、自殺行為だ。
リリィの変化を引き起こした原因であるアンチラストもいるし、知識が残っていれば、紙の資料が無くても何とかなると思っているのだ。

また、灰が降り注ぐ中庭では、アンチラストの治療もままならない。
手足を切断したまま長時間経過してしまうと、手遅れになりかねないのだ。
「エンカ、井戸ってどこ?私達は飛び込めるけど、怪我人はそっと静かに降ろさないと」
箒に乗ったまま降下できる程の広さが無ければ、誰かが担いで降りるか、フリードのチェーンに頼ることになるだろう。
(井戸の下に地面があれば、の話だが)
もっとも、仮にどこにつながっているとしても、リリィはエンカを信じてついていくしかないのだが。

30 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/02/23(日) 19:59:06.91 0
>27>28>29
> 「ユニソルブルちゃん達がいるから、資料はいい。もう、あぶない。・・・・・・おぼえてるよね?」
「……あーよ」
エンカはうなづいて、あたりをキョロキョロ見回した。
「そう言えばよぉ、リリィ達が会った赤毛の幽霊、ついて来てんのかな〜?」

>>「うっるぁああアアアアアアアッッ!!」
フリードに氷の魔法を解除されたユニソルブルは、
渾身の力ですぐに体の自由を奪う氷を砕いた。
“彼女”は自分のすぐ背後にいる…!
ユニソルブルの右前腕からダイヤモンドの刃が展開された。
同じ空間内にいるロゼッタは、怒りに顔を歪めるユニソルブルと、
僅かに狼狽した気配を見せる赤毛の霊を交互に見る。
>>「っシャアアアアアッ!!」
ユニソルブルは氷の壁を切り裂きながら、背後に体を反転させた。
ダイヤモンドの刃が赤毛の霊に触れんとするその瞬間、二人の少女が目と目をあわせる。
>>「………」
>『………』
ユニソルブルの刃が赤毛の霊に触れる前にピタリと止まった。
二人とも、何も言わず、じっとお互いの目を見つめた。
ユニソルブルが刃を止めたのは、それが霊体に効果がないと思ったからではない。
>>「……ごめんなさい」
そう言ってユニソルブルは、こ気味良い音と共に刃を収めた。
赤毛の霊の顔が、パッと明るくなった。
それを見ていたロゼッタが言った。
R「………馬鹿じゃねーの」
赤毛の霊は、なぜロゼッタにそんな事を言われたのか、この時はわからなかった。
「このバカヤローがーっ!!」
エンカの怒声が氷の玉の外側から聞こえてきた。
氷の玉を内側から切り裂いたユニソルブルの刃が、玉の外にいたエンカの髷も一緒に斬ってしまったからだ。

「リリィ!フリード!井戸はあそこだーっ!!」
エンカがまとまらなくなった髪を振り回しながら指差した先には、
二人くらいまでなら一緒に通れそうな井戸がぽっかりと口を開けている。
それなりに大きいと言っても、氷の大玉がそのまま通れるほどではない。
ロゼッタとユニソルブルは玉の中から出なければならなかった。
その他のモノはフリードに任せるしかない。
「さぁ、みんな!井戸に飛び込むんだよーっ!!」
エンカはロゼッタの手を握ると、彼女を連れて井戸へ向かって走っていく。
R「いやだーっ!!」
「ええーっ!?」
ロゼッタは突然そう叫んでエンカの手を振りほどいた。
彼女はすぐさま、先程まで入っていた氷の玉の中へ逃げ込もうとする。
「何やってんだよ、こんな時によーっ!ふざけてないでさっさと逃げ…アダーっ!?」
ロゼッタを引きずりだそうと氷の玉の中に手を突っ込んだエンカが悲鳴をあげた。
ロゼッタに噛み付かれたからだ。
「な、なんとかしてくれよ〜」
エンカは涙目でフリードにそう言った。

31 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/02/23(日) 20:00:28.64 0
「いや、よく考えたら俺が率先して安全確認しなくちゃあいけねぇよなぁ。
 あんまり気が進まねぇけどよぉ……」
そう言うとエンカは、井戸の傍にある柱に流星錘(鎖分銅に似た中国の武器)をくくりつけ、
それを頼りに井戸の中へ降りようとした。地下へ向かって闇がどこまでも続いている。
「リリィ、さっきの話だが……」
エンカが井戸の側に来たリリィに話しかけた。
「会いたいと願ったら…別れてしまった大切な人ときっといつか逢えるって……
 ありがとう、リリィ。その言葉に勇気をもらえた気がするぜ」
エンカは神妙な顔をして続ける。
「俺が小さい頃、近所にスジャータっていう幼馴染がいてよぉ。
 幼馴染って言っても、スジャータの方が11歳年上だったけど。
 …病気で死んじまってなぁ。今から12年、いや13年前か、
 俺は彼女に大人になったら結婚してぇって…うおおおおおおーっ!!??」
エンカが絶叫と共に、闇に吸い込まれるように井戸の底へと落下していった。
いつの間にか、リリィの側にユニソルブルが立っている。
>>「早く行きなさいよね、も〜」
エンカの流星錘の紐を切断したのは彼女だ。
>>「……あら、妙ね」
もしかしたら、煙のせいで感覚が麻痺しているのかもしれないが、ユニソルブルはこうつぶやかざるを得なかった。
アンチラスト姉妹と同じようにフェロモンセンサーを持っているリリィも不思議に感じたことだろう。
>>「…エンカのフェロモンが………消えた……?」(※もしかしたらつぶやく前にリリィに殴られるかもしれない)

「うおおおーっ!!落ちる!落ちる!落ちる!うおおおおおーっ!!
 うおぉおおおーっ!!うおおおーっ!!うおおおお………お、お、お、おーん?」
エンカは、いつの間にか自分が白いベッドの上で暴れていることに気づいた。
エンカは、一体自分の身に何が起こったのか検討がつかなかった。
たしか自分は井戸の底へ落ちていったはずである。
しかし、紛れもなく目に飛び込んでくる景色は、じめじめとした地下を思わせるようなそれではなく。
エンカにとって見覚えのある景色であった。
「ここは……?ここは……!?すごく似ているぞ!学園の保健室にそっくりだ!!」
薬品棚の位置までそっくりそのまま同じであった。
「生理食塩水!ブドウ糖!モルヒネに……タミフルまであるぞ!
 これならアンチラストの体を元に戻すのに使えそうだ!タミフルは関係ねぇけどなーっ!」
道具棚の位置までそっくりそのまま同じであった。
「メス!鉗子!包帯!首輪!異常無しだ!」
エンカはまだ気づいていなかった。
自分がいるのが学園の保健室にそっくりな場所ではなく、まさに学園の保健室そのものであるという事に。

32 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/02/24(月) 17:06:51.69 0
>29-31

>「エンカ、井戸ってどこ?私達は飛び込めるけど、怪我人はそっと静かに降ろさないと」
>「リリィ!フリード!井戸はあそこだーっ!!」
「分かりました全力で逃げますよ!!」

>「な、なんとかしてくれよ〜」
「いいから早く脱出しますよ!でないと命がマッハで危険なんですから!!」
と笑顔で氷の鎖をもてあそびながら微笑むフリード
「いざとなったら縛ってでも何とかするつもりですねわかります」(猫語)



>「うおおおおおおーっ!!??」
「エンカさーん!?」
「いいから追いかけるよ!!」(猫語)

>>「…エンカのフェロモンが………消えた……?」
「といあ!!」
とその言葉を聞く暇もなく飛び込んでいくフリードリッヒ
「ニャーゴ!!」
とそれに続いて飛び込むグレン
「これは・・・・ワープゲートか何かの類なんでしょうか?」
フリードリッヒが井戸から落ちた先はなんと学園の何処かであった

>>『学食にこれを混ぜて学生すべてを幼女と化してくれるわ!!』
なぜそうだと把握できたのか?それはいつものように邪悪な(?)野望に燃えている保険医が目の前にいたからである
「全力でそぉい!!」
なんだか危険な匂いを感じたフリードは保険医が持った怪しげな液体の入った瓶を蹴り飛ばすのだった

33 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/02/28(金) 21:28:41.57 0
>30-32
物騒な姉妹喧嘩は、なんとか無事におさまったようだ。
リリィは安堵と微笑ましさと、そして一抹の切なさのようなものを感じながら彼女達の様子を眺めていた。
もっと早くこうなっていたらと思わずにはいられないが、エンカ達が来なければ状況が動かなかったのもまた事実だ。
時間が必要だったのだと自分に言い聞かせるしかなかった。
・・・・・・が、それだけでは終わらない人も、残念ながらこの場に存在していた。

>「このバカヤローがーっ!!」
エンカは、オチムシャのような姿で絶叫していた。
ユニソルブルのせいで、大事にしていた自慢の髷が切れてしまったのだ。
「・・・・・・・!・・・・・・・・・。・・・・・・・!!」
彼がどれだけヘヤスタイルを大切にしているか知っているだけに、慰めの言葉も出てこないが、オロオロしているだけの余裕はない。
が、今はとにかく時間がない。背後から迫る炎に押されて、必死で逃げざるを得なかった。

>「リリィ!フリード!井戸はあそこだーっ!!」
>「分かりました全力で逃げますよ!!」

>エンカがまとまらなくなった髪を振り回しながら指差した先には、
>二人くらいまでなら一緒に通れそうな井戸がぽっかりと口を開けている。
「おもったより大きいね。これなら飛べるかも。・・・・・・けが人は、私がつれておりる」
リリィは、ユニソルブルを指差すと
「手足、あなたがもってきて」
と指名した。
なぜユニソルブルだったのかには、それなりの理由があった。
アンチラストの傷口は凍っているが、万が一誰かが彼女の体液と接触してしまった場合、リリィと同じ状態に陥る危険性があったからだ。
ちなみにリリィは、自分の変質した原因と同じものを、ユニソルブルも持っていると考えていた。
結果、彼女がアンチラストと接触しても大丈夫だと結論付けている。
(万が一その行為で支障があるなら、彼女自身から反発の声が上がるに違いないのだ)

井戸に飛び込むことで、エンカとロゼッタが揉めている。
だが、普段なら真っ先に仲裁に入るであろうリリィは、ほかの事柄で頭がいっぱいになっていた。
それは、まだ屋敷の外に残っている友人達のことだ。
外部からの連絡が断たれている以上、彼らは、まだリリィ達が館の中で、炎の脅威にさらされていると考えざるを得ない。
下手をすると炎の中に飛び込んで、二次遭難という可能性だって十分にありえるのだ。

その危険性に気づいたリリィは、その他のメンバーに向け、必死でテレパシーを送った。
『エンカとフリード リリ ハ なかにわノ いドかラ ニげル』
こんな短い文章を伝えるために、彼女は全身全霊で集中をしなくてはならなかった。
いつもなら、声を出すくらい簡単に使えるテレパシーなのに、なぜかうまくいかなかったせいだった。

一方的ながらもメンバーに連絡を入れたリリィは、ようやく目の前のすったもんだに気づき目を丸くした。
「フリード君・・・・・・なにがどうなったの?」
目の前には、氷のチェーンで捕獲されたロゼッタがいた。

34 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/02/28(金) 21:30:04.43 0
>「いや、よく考えたら俺が率先して安全確認しなくちゃあいけねぇよなぁ。
> あんまり気が進まねぇけどよぉ……」
これは本来、箒で飛行できるリリィの役目なのだろうが、今回はアンチラストを連れて行くための下準備があった。
エンカは、井戸の傍にある柱に流星錘(鎖分銅に似た中国の武器)をくくりつけ、降りるための準備を始める。

>「リリィ、さっきの話だが……」
リリィがこくりと頷いた。
>「会いたいと願ったら…別れてしまった大切な人ときっといつか逢えるって……
> ありがとう、リリィ。その言葉に勇気をもらえた気がするぜ」
「よかった」
リリィはそういってもう一度頷いた。屋敷からの火の粉がここまでここまで飛んできている。
エンカは降りる準備をしながら、幼馴染の話を始めた。
井戸へ降りるための恐怖を紛らせるためだろうと思ったリリィは、神妙な顔をして聞いていたが、
それはエンカの落下とともに、突然終わってしまった。
>>「早く行きなさいよね、も〜」
リリィは傍らに来ていたユニソルブルを見、そのそばにあった流星錘の紐が切断されていることに気づいた。
「・・・・・・・・!!」
エンカを落としたのはユニソルブルだ。
逆上したリリィは、その怒りのままに右腕を横なぎにした。
虫のような腕から放たれたそれは、人間離れした一撃だったのだが・・・・・・避けられては意味がない。
>>「……あら、妙ね」
>>「…エンカのフェロモンが………消えた……?」
怒りのままさらに殴ろうとしたリリィだったが、彼女の呟きの意味するところに気づき、動きを止める。
リリィ自身にも、なぜか彼女の言っていることが正しいと理解できたからだ。

>「エンカさーん!?」
>「いいから追いかけるよ!!」(猫語)
その件で制止するよりも早く、フリードとグレンの主従が井戸に飛び降りてしまう。
そのフェロモンも、エンカと同じように、唐突に消えてしまう。

「・・・・・・・いったいこの中、どうなっている?」
エンカが安全性を確認していたのだから、記憶を共有しているユニソルブルが知っている可能性は低い。
亜空間に長くいたマリアベルやアンチラストが知っているかどうかはわからないが、もしも古い知識だったとしても確認しないわけにはいかなかった。
自分ひとりだけなら、ためらいなく箒で降下するのだが、この場には負傷したアンチラストがいる。
現状では飛び降りる以外に選択肢は無いのだが、返答いかんによっては、彼女は別のルートを探さなくてはならない。そう考えていたからだ。
それでも炎の中を駆けずり回るより安全だとわかれば、躊躇せず井戸に入るだろう。

もしも無事、井戸をくぐって無事エンカ達と合流出来たなら。
リリィは保険医が本物か偽者かを考える前に、アンチラストの治療と、彼女の体液の危険性について説明するだろう。
・・・・・・ここが、本当に魔法学園だといいのだが。

35 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/03/02(日) 20:16:22.99 0
>34
> 「・・・・・・・いったいこの中、どうなっている?」
リリィの質問に赤毛の霊が答えた。
>「この井戸、もともとは地下水をくみ上げるためのものだったけど、
> 中の岩盤が崩れて、海底トンネルに通じるようになっちゃったの」
赤毛の霊がそう言う側で、ユニソルブルは井戸の中を覗きこんでいる。
以前はそうであったはずなのに潮風が全く吹いてこない。
井戸の中に拳ほどの石を落としてみたが、いくら待っても底へ落ちた音は聞こえてこなかった。
ユニソルブルは井戸から離れて、氷の玉の中からアンチラストの四肢を持ち出した。
>>「どうせ迷っても仕方がないのでしょ?行くわよ、リリィ」
ユニソルブルは井戸の中へ飛び込んだ。

>32
一方その頃、保健室の方。
> 「これは・・・・ワープゲートか何かの類なんでしょうか?」
「フリード!グレン!それにロゼッタ!」
彼らの姿を認めたエンカは、ほっと安心するどころか動揺を隠せない。
彼らは明らかに、転移してやってきたのだ。
そうだとすると、ここからどんなに大声で叫んでも、リリィ達にエンカの声は届かない。
「フリード!リリィ達もすぐに来るんだよなぁ!?」
エンカは、もしかしたら安全確認をするはずの自分から連絡がこないので、
警戒して井戸の中へ入らないのではないかと心配した。
頼みの綱はロゼッタのドコデモ・ドアーだが、しかし彼女はそれどころではなかった。
R「ア タ イ に 近 寄 る な ー っ !!」
見ると、その視線の先にはエンカもよく知っている保険医がいた。
「げぇっ!?保険医!?ということは…ここは……学園!?」
> 「全力でそぉい!!」
> なんだか危険な匂いを感じたフリードは保険医が持った怪しげな液体の入った瓶を蹴り飛ばすのだった
「お、おっと…!!」
エンカはその瓶をキャッチした。
「あ、危ねぇぞフリード!もしも瓶が割れて、中の怪しい薬品がこぼれたらどうするんだっつーの!」
しかし次の瞬間、パリーン!と瓶がエンカの手の中で割れてしまった。
突如転移してきた拳ほどの大きさの石がエンカの手めがけて落ちてきたからだ。
「な、なにーっ!?」
そのすぐ側に、転移してきたユニソルブルがすたっと着地した。
>>「ここは!……どこなの??井戸の底に降りたはずなのに……?
>> でも、なんだか見覚えがあるような……エンカ?」
振り向くとエンカの姿を認めたユニソルブルは、しかし彼の様子が何かおかしいことに気づいた。

36 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/03/05(水) 10:00:25.21 0
>34-35
>「あ、危ねぇぞフリード!もしも瓶が割れて、中の怪しい薬品がこぼれたらどうするんだっつーの!」
だがその次の瞬間瓶割れる
「あ」
>「な、なにーっ!?」
「あ、あれはかつてたまたま通りがかった頭文字Gにぶっかかって
 頭文字Gが幼女化した事件と同じ薬品」
その後元頭文字Gにガチぼれした悲劇の少年がいたとかいないとか

「あれ?それ使えば少なくともリリィさんは人間の女の子に戻れるんじゃね?」(猫語
とグレン
「それ性別と種族が戻っても見た目年齢が幼稚園児になっちゃうんじゃ・・・・」
はたしてエンカはこのまま小さな女の子になってしまうのだろうか?

>>「ふっふっふ在庫ならまだあるから安心したまえ」
全然安心出来ない一言を言う保険医

「で、元に戻す薬は?」
>>「年齢を戻す薬しかない!何故なら自分が間違って変身した時用だからだ!!」
保険医はもともと女性なので幼女化しても年齢だけ戻せば問題無かろうなのだ
・・・・という考えで純粋な解除薬は用意していないらしい

「逆に考えるんだ変身を戻すんじゃなくてもう一度変身して結果として元の状態にすると考えるんだ」
「性転換薬を飲ませればいいんだね」(猫語
>>「そんなものの在庫はない!そんなものがあったらとっくの昔に君に飲ませている!!」
と保険医・・・・すごい説得力である
「誰が美少女に生やしただけの美少年か!!」
「フィー坊・・・生やしたとか言わない」(猫語

「ってそんな場合じゃない命の問題は無いエンカさんはともかく五体バラバラになってる人がいるんです!
 早く何とかしてくださいよ!!」
>>「な、なんだってぇ!?」
>治療するにあたってアンチラストの体液の危険性について説明するリリィ。
はたしてアンチラストの体は繋がるのだろうか?
>>「まあ外科的な手術で固定して回復呪文で繋げば行けるのでは内科外科?」
本当に大丈夫なのか?

37 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/03/08(土) 17:34:10.03 0
>35-36
>>「どうせ迷っても仕方がないのでしょ?行くわよ、リリィ」
>ユニソルブルは井戸の中へ飛び込んだ。
負傷したアンチラストをつれているため、リリィの箒は機動性を欠いている。
それにいくら凍らせてあるとはいえ、手足の治療は速いほうがいい。
先行したエンカからの返事は結局帰っては来なかったが、迫る炎と煙に追われるような形で、リリィはアンチラストとともに井戸の中を降下していった。

そこにたどり着く寸前、真っ暗だった世界が急に明るくなった。
と同時に、エンカやフリードだけでなく、保険医らしき人の気配(フェロモン)まではっきり感じ取ってしまう。
「????」
目をショボショボさせながら床に着地したリリィの顔は、それこそ見ものだっただろう。
ぽかんと大口を開けたまま、周囲をきょろきょろと落ち着き無く見回す、昆虫と人間のキメラ。
学園新聞部がもしもこの場にいれば、明日のでいりぃ・ふぃじるの一面は、アンチラスト達とリリィで飾れた・・・・・・かもしれない。

学園の医務室にしか見えない室内で、なぜかフリードが焦っている。
「え?ここ、どこ?わたしたち、古いどの中に入ったんだよね?なんで?わたし、保けん室にしか、見えない」
フリードとグレンはなにやら焦って相談している。
どうやらリリィを元に戻すための方法を相談してくれているらしい。

だが保険医そっくりの人物の言動は、相変わらず全くブレないものだったし、相手を毛嫌いしているロゼッタの狼狽ぶりも尋常ではない。
どうやら、ここは学園の保健室で間違いないようだ。
普段のリリィなら、津波の影響で、浜辺に設置されていた転移用の魔法陣が、幸いにも破壊されないまま古井戸に移動していたなどと考えるだろう。
だが今はぼうっとして、頭がうまく働かない。
(いや、いつもはちゃんと働いているのかと問われると困ってしまうのだが・・・・・)

38 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/03/08(土) 17:36:38.66 0
「そういえば、エンカは? さっきまでここにいたはず・・・って・・・・・あれ?あなたいつからそこに?びしょぬれ。」
リリィは小さな女の子に向かってハンカチを差し出そうとしたが、昆虫のような自分の手を見てあわてて引っ込めた。
小さな子供だから、異形の手ではきっとびっくりして泣いてしまうかと思ったのだ。

だからごまかそうと焦った彼女が、あわてて口にしたのは、
「きみ・・・いい匂い・・・ビンツケアブラのかおりがする・・・」
などという、不振人物そのもののような台詞だった。

>「あれ?それ使えば少なくともリリィさんは人間の女の子に戻れるんじゃね?」(猫語
「・・・・・・?」
リリィは手短に事情を聞かせてもらった。
>「それ性別と種族が戻っても見た目年齢が幼稚園児になっちゃうんじゃ・・・・」
>>「ふっふっふ在庫ならまだあるから安心したまえ」
「えー・・・・・・」
さすがのリリィも、どう突っ込んでいいかわからないようだ。

さて。保険医の話では、解毒剤はなく、年齢を戻す薬しかないようだ。
「私にも、きくかな?」
リリィは赤毛の幽霊に問いかけてみた。
「そういえば、もしかして、先生と、しりあい?うでとかなおすときの、考えかた、ふたり、よくにてる」

>「ってそんな場合じゃない命の問題は無いエンカさんはともかく五体バラバラになってる人がいるんです!
 早く何とかしてくださいよ!!」
>>「な、なんだってぇ!?」
「先生、体液にさわるとこうなる」
リリィは両手を広げ、保険医の前にさらした。
>治療するにあたってアンチラストの体液の危険性について説明するリリィ。

>>「まあ外科的な手術で固定して回復呪文で繋げば行けるのでは内科外科?」
「でもまだ傷、こおってるよ。あとエンカ気になる。ようじょだけじゃなく、ムカデのんだから」
治療方針が決まれば、フリードが氷を開放し治療が始まるだろう。
ヒーラー志望のリリィはもっと役に立たなければならないのだが、とても助手が出来るような状態ではなかった。

「ユニソルブル、先生はすごい。とてもすごい・・・・・・ので、安心していい」
リリィはユニソルブルにもそう声をかけたが、余計なことを言うなと怒られてしまうかもしれない。
いずれにせよ、ここはマリアベルと保険医の、専門家二人に任せた方がいいだろう。

リリィはしばらく何事か考えていたようだが、おもむろに割れたガラス瓶の中に残っていた液体をすくい、ぺろりとなめて見た。
「ペロッ・・・!これはょぅι゛ょ・・・・・・・」
ばったりとわけのわからない言葉を残し、リリィは倒れてしまった。
果たしてリリィは、無事幼女・・・・・・じゃなかった、人間の姿を取り戻せるのだろうか?

39 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/03/10(月) 22:05:28.00 0
>36>37>38
> はたしてエンカはこのまま小さな女の子になってしまうのだろうか?
R「うわあああああああああっ!!うわあああああああああっ!!」
何やらトラウマを刺激されたらしいロゼッタが悲鳴をあげる。
エンカもダボダボになった服を引きずって、どうせそんなことだろうとは思ったが、
鏡を覗き込んで思わずこう叫んだ。
「俺の髪型がサザエさんみてぇだとーっ!?」
女性ホルモンの影響か、はたまた保険医驚異のメカニズムと言うべきか、
エンカの本来の男性用のちょんまげが、女性のそれに置き換わっていたのだ。
念のために言うと、サザエさんの髪型とは違うし、エンカが驚くべきところはそこじゃあない。
>>「ぷふっ……くっ………」
事情を察したユニソルブルは、エンカに背を向けて笑いを押し殺そうとしている。
間もなく転移してきたリリィは事情がわからずにぽかんとしている。

> 「そういえば、エンカは? さっきまでここにいたはず・・・って・・・・・あれ?あなたいつからそこに?びしょぬれ。」
「リリィ!無事でなによりだぜ!」
> リリィは小さな女の子に向かってハンカチを差し出そうとしたが、昆虫のような自分の手を見てあわてて引っ込めた。
「おん!?なんだよ、いったいよ〜!?」
リリィの挙動不審な様子を見てエンカは戸惑った。
もっともリリィの方が何やら戸惑っているようにも見える。
> 「きみ・・・いい匂い・・・ビンツケアブラのかおりがする・・・」
「しっかりしてくれよなーっ!まったくよーっ!
 いきなり保健室に転移して、動揺するのはわからなくもねぇけどよぉ!」
>>「保健室…?それってもしかして、今私達フィジル島にいるの!?」
おそらくは母親からフィジル島の事を聞いていたに違いない。
エンカはそうだぜ!と無言でうなずいた。

保険医によると、こういうことだそうで…
・幼女化の薬はまだ在庫があるらしい。
・元に戻す薬はない!ただし、年齢を戻す薬はあるそうな。
・性転換薬もない!そんなものはファンタジーだ!

> 「えー・・・・・・」
とリリィ。無理もない。
> 「私にも、きくかな?」
「リリィの場合なら、幼女化した後に年齢を戻す薬を使えばよさそうだな。
 だがよぉ、俺の場合はそれだけじゃあ駄目なんだよな。
 とにかく年齢を戻す薬だけでもくれよぉ!動きずらくってしょうがねぇよ」
エンカはダボダボの服を振り回しながら保険医にそう訴える。

40 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/03/10(月) 22:06:17.35 0
> リリィは赤毛の幽霊に問いかけてみた。
> 「そういえば、もしかして、先生と、しりあい?うでとかなおすときの、考えかた、ふたり、よくにてる」
>「蛇の道は蛇だよ、リリィ」
と赤毛の霊は答える。ユニソルブルが隣から聞いた。
>>「あなた、この保険医のことどう思う…?とてもクレイジーだと思うわ…!」
>「なんて素晴らしい保険医だ!」
>>「……えっ?」
>「なんて素晴らしい保険医だ!」
ユニソルブルは質問したことを後悔した。
ところで、実はマリアベルと現在の保険医は先任と後任の関係にあたる。
もしかしたら面識があるのかもしれない。

> 「ってそんな場合じゃない命の問題は無いエンカさんはともかく五体バラバラになってる人がいるんです!
>  早く何とかしてくださいよ!!」
> >>「な、なんだってぇ!?」
> 「先生、体液にさわるとこうなる」
> リリィは両手を広げ、保険医の前にさらした。
> >>「まあ外科的な手術で固定して回復呪文で繋げば行けるのでは内科外科?」
> 本当に大丈夫なのか?
> 「でもまだ傷、こおってるよ。あとエンカ気になる。ようじょだけじゃなく、ムカデのんだから」
「ところでリリィ、やっぱりさっきからお前おかしくないか?
 言っていることがカタコトっぽいぜ?」
エンカはそうリリィに尋ねたが、彼女は少し上の空のように見える。
> 「ユニソルブル、先生はすごい。とてもすごい・・・・・・ので、安心していい」
>>「ええ、なんだかすごい変態だってことはわかったわ……」
ユニソルブルの隣で赤毛の霊は「素晴らしい」と何やらブツブツ言っている。
もう本人がいいなら、どうとでもなれ!と思った。
>>「……お願いするわ。どうしようもない変態のあなたじゃなければ、私の姐の体は治せないようだから。
>> 母が信頼しているあなたを、私も信頼する」
ユンソルブルは保険医にそう言った。

> 「ペロッ・・・!これはょぅι゛ょ・・・・・・・」
> ばったりとわけのわからない言葉を残し、リリィは倒れてしまった。
「じょ、冗談じゃ…おい、リリィ!しっかりしろよ!」
エンカはリリィに近づいて呼びかけた。
「こ、これは……かさぶたみたいに…いや、蝶がサナギから脱皮するように……
 剥けていくのか?何もかも……!」
リリィに触れたエンカは、彼女が変化していく様子のことごとくを見た。
いや、それは変化という言葉では生易しいとさえ言える。
「これは…変態だ……!そうか、保険医が変態だったのは、まさにこの瞬間のために……!」
正直、エンカも保険医の薬で頭がどうかなっているようだ。

間もなく、エンカとフリード、ロゼッタは保健室の外に出され、アンチラストとリリィの治療が終わるまで待つことになった。
もっとも、ロゼッタといえば氷の鎖が外されるなり、さっさと逃げてしまった。
ユニソルブルだけは、保険医を手伝うために中に残っている。
「フリードはともかく、なんで俺まで外に出されるんだぁ?どう見たって、今の俺って女の子だぜ?」
エンカはフリードにそう話しかけたりしながら吉報を待った。

41 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/03/14(金) 09:34:26.28 0
>38-40
>「これは…変態だ……!そうか、保険医が変態だったのは、まさにこの瞬間のために……!
「うぇい!?」
「そうだったのか?知らなかった」(猫語)
何か重大な秘密を知ってしまったかのような反応を見せる主従

>「フリードはともかく、なんで俺まで外に出されるんだぁ?どう見たって、今の俺って女の子だぜ?」
「見た目はともかく心は男なんですから仕方がないと思いますよ」
「猫が人間の裸見たって対して影響ないと思うんだけど・・・・」(猫語)
「あなたの場合は毛が飛び散るからです」

>「ん?違ったかな」
>「まあ大丈夫私だって天才だ!!」
と不安になる声が時々聞こえてくる
さしずめマリアベルが銀の聖者なら保険医はアミ○バだろうか? 

「保険は人格はともかく実力はすごいですからね安心して大丈夫でしょう」
それから数十分後

>「リリィ君やエンカ君に飲ませた年齢を元に戻す薬は
  何百年も生きていても全く年を取らない魔女の類には逆に毒になりかねない
  だが私は天才だ!使っていい相手と使っちゃ駄目な相手の区別ぐらいできるさ」
年齢を戻す薬はいわゆるロリ婆を一瞬で年齢相当な婆に変えてしまう恐ろしい毒でもあるようだ
「でもそれレアケースですよね」
>「そうともいう」
そこには無事に元に戻ったリリィとアンチラストが・・・・・ん?元に?
>「昆虫人間ならそれでもいいではないかむしろそれは個性ではないのかね?
  なあに人間じゃない者ぐらいこの学園には沢山いる問題無い」
と保険医・・・・そもそもこの学園に普通の人間は皆無である

>「清掃活動のペナルティに関しては私は知らん
 ・・・・・がまあ大したことはない減点もしくは新しい課題を追試に出されるぐらいだろう
 ・・・・ところでフリード君君が連れてるその・・・・なんと呼ぶべきだろう」
「オランピアです」
>「そうそのオランピアにアムリーテという機械人の魂を入れる件だが
  やはり人は人らしく機械は機械らしく生きるべきだと私は思っている
  だからゼベット爺さんに非戦闘用のメイドオートマータを都合してもらって
  そのオランピアは私にくれないだろうか?」
フリードリッヒはそれもそうだなと納得し保険医にオランピアを引き渡すのであった
>「で、だ。性転換の薬に関しては受注して3か月待つか自分達で元に戻る方法を模索してくれ」
「普通に手に入るんかい!!」(猫語)
とつい突っ込むグレンであった

42 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/03/19(水) 16:21:34.70 0
治療が終わるのを待っていた男子生徒(?)他の前で、保健室のドアが音も無く開いた。
「や、やあ・・・・・・・心配かけてごめん」
ドアの中からひょっこりとリリィが顔を出した。
だがその顔は幼く、どう贔屓目に見ても10代には見えなかった。
リリィは昆虫化としての進化は回避できたものの、薬の効果で完全に幼女化していた。

今のリリィは、だぼだぼの服を着たエンカと似たり寄ったりな格好だ。
肩がずり落ちそうな上着に、長すぎるスカートのウェストを折り曲げて着用している。

「私の着替えは、アンチラストちゃんの処置が終わったら用意してくれるんだって」
リリィは制服の着替えをもらえるものだと思っているようだ、
「あ、あとね・・・・・」
言いにくそうに、保険医から二人への伝言を口にする。
「先生ね、エンカとフリード君の分もあるから着替えて行けって言ってた。
 特にフリード君のは、今のサイズも幼女サイズも完璧に対応出来るから遠慮するなって・・・・・その・・・・・・・・なんかごめん」
用意できる着替えが全部女性用ということは、言わずもがなである。

「で、でもさ、体は縮んじゃったけど、そんなに悪いことばっかりじゃないよ。頭もすっきりして、普通にしゃべれるようになったし。
 ほら、エンカが気にしてくれたみたいに、さっきまで私、ちょっと変だったでしょ?

 うん、変って言うか・・・・・・どう言ったらいいかわかんないんだけど、体が変わってくのと一緒に、心まで変化してたんだよね。
 人の匂いとかすごくよくわかるのに、人としての理性がそげ落ちていくっていうか・・・・・・。なんか、変な感じだった。
 アンチラストちゃんはオリジナルだから、あのままいったら私は・・・・・・・いや、ううん、なんでもない」
アンチラストの血で変化したリリィは、完全に変態を終えたら、彼女に使役される側になったのかもしれない。
あるいは、そんな逆境でも人として生きようと足掻くかを試されたのかもしれない。

「まあなんにせよ、人に戻れてよかった・・・・・よ」
結局、自分一人だけ元に戻ってしまった。
エンカは学園に戻る直前、リリィ達がアンチラスト姉妹をすくったと言ってくれた。
だが、リリィは、アンチラストからの問いに、きちんと答えることができたのだろうか?
自分だけ人間の姿を取り戻してしまった喜びと同時に罪悪感もあり、正直どうしたらいいのか分からなかった。

43 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/03/19(水) 16:24:14.68 0
アンチラストの処置も終わり、リリィ達は再び保健室に戻ってきた。
「アンチラストちゃん、大丈夫だった?それと、ユニソルブルちゃんは大丈夫なの?」
同じような言葉での問いかけだが、意味はかなり違っている。
「・・・・・・・・もっと落ち着いたら、三人でゆっくり話せるといいね」
もっともそれは、された方のアンチラストではなく、ユニソルブルの心にゆだねられてそうだが。
「でもびっくりしたよ。赤毛の幽霊さんが保険医さんと同じ、紙一重の人だったなんてね!」

>「リリィ君やエンカ君に飲ませた年齢を元に戻す薬は
  何百年も生きていても全く年を取らない魔女の類には逆に毒になりかねない
  だが私は天才だ!使っていい相手と使っちゃ駄目な相手の区別ぐらいできるさ」
「先生、がんばって探したけど、年齢戻す薬の在庫、一個しか無かったですよー?」
リリィはダボダボの袖の上に、薬の包みを乗せて戻ってきた。
ぷぅ、とほっぺたが膨らんでいる。

>「昆虫人間ならそれでもいいではないかむしろそれは個性ではないのかね?
  なあに人間じゃない者ぐらいこの学園には沢山いる問題無い」
「確かに」
リリィは人狼や、彼女を猫可愛がりする魔族の友人を思い出し、深々と頷く。
まあ言い換えれば、学園外では個性では済まされないという事でもあるのだが・・・・・・・。
「ユニソルブルちゃんと赤毛ちゃんは、これからどうするの?」
アンチラストの血液には特殊な効果がある。制約がある以上、心のままにというわけには行かないだろう。

「先生、そう言えば、ロック先生はまだ見つからないのですよね?捜索のために、闇払いの方々はいらしているのですか?」
もし来ているのなら、地下の亜空間で見た、魔法使いの死体のことを話すべきだろうか?
迷ったものの、結局彼女が口にしたのは、
「いや、ロック先生が心配で」だけだった。

良く事情を知らないものが過去の伝聞で事情を説明するより、、マリアベルに任せた方がいいだろうと判断したのだ。
「先生、できるだけ彼女達の力になってあげてください。よろしくお願いします」
今後の生き方を決めるのは、リリィではない。
アンチラスト自身と、学園上層部の判断に委ねるしかないだろう。

>「清掃活動のペナルティに関しては私は知らん
 ・・・・・がまあ大したことはない減点もしくは新しい課題を追試に出されるぐらいだろう

「えええー!がんばったのに!まだキャンプはおろか、海で泳いですらなかったのに!」
がくぅ、とその場にひざを着くリリィ。

>「で、だ。性転換の薬に関しては受注して3か月待つか自分達で元に戻る方法を模索してくれ」
>「普通に手に入るんかい!!」(猫語)
「3ヶ月待ち?!エンカ男子寮住まいなのにどーするの?!」
元に戻る方法は自力で探せるのだろうか?

気を取り直したリリィは、手に持ったままだった包みをしばし凝視する。
そして軽く左右に首を振った後、幼女化しているエンカの胸元にぐいっと押し付ける。
「エンカ、年齢戻す薬だけでも先に使って。性別戻す薬の方は、手に入れるの時間かかりそうだし、せめてこれくらいはね。
 私なら大丈夫!私は性別変わってないし、こういう変身トラブル、初めてじゃないし。
 ほら!昆虫になりかけたり、両手が使えないペンギンになっちゃった時に比べたら、体が縮むくらい大したことじゃ無いしね」
むん、とリリィは力こぶを作るまねをしながらウィンクした。
薬を飲むか飲まないかは、エンカ次第である。

「ロゼッタちゃんは早々に逃げちゃったんだね。
 島に残ってる皆、大丈夫かな?まあ私よりずっと強いから心配要らないだろうけど・・・・・・・強い・・・・・ああっ!」
リリィは突然素っ頓狂な声を出した。
「キラーチューン!ねえエンカ、もしかしてキラー・チューンを置いてきちゃったんじゃない!?
 彼女、他の生徒と一緒になんて帰って来れるの?一人だったら、魔法陣とか分からなくない?!大丈夫なの?!」

44 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/03/22(土) 20:01:13.21 0
>41>42>43
> >「ん?違ったかな」
> >「まあ大丈夫私だって天才だ!!」
> と不安になる声が時々聞こえてくる
> 「保険は人格はともかく実力はすごいですからね安心して大丈夫でしょう」
とフリード。
「フリード、お前ってよぉ………なんというかタフだよな」
エンカは、最初に思い浮かんだ言葉を飲み込んだ後、そうフリードに言った。
> それから数十分後
> 「や、やあ・・・・・・・心配かけてごめん」
> ドアの中からひょっこりとリリィが顔を出した。
状況はエンカと同様の幼女化である。
「リリィ、無事で……!無事なのかな?とにかく、なによりだぜ!」
リリィの説明によると、保険医は着替えを用意してくれているらしいが、
エンカは嫌な予感しかしないので「だが断る」の一言で一蹴した。
> 「まあなんにせよ、人に戻れてよかった・・・・・よ」
「ちっちゃくなっちまったけどよ〜、やっぱりその姿の方がリリィらしくって一番だぜ!」
エンカはアンチラストとリリィのやりとりを知らないため、彼女の葛藤をよそに能天気にそう喜んだ。

一行はアンチラストの様子を見るために再び保健室に戻った。
> 「アンチラストちゃん、大丈夫だった?それと、ユニソルブルちゃんは大丈夫なの?」
>>「しーっ……」
ベッドの上に寝かされているアンチラスト・ボディの側で、
椅子に座っていたユニソルブルが指をたてた。
リリィ達に視線をうつしたのはその時だけで、あとはずっと神妙な顔でアンチラスト・ボディを眺めている。
赤毛の霊はもうそこにはいない。本来あるべき場所へと還ったのだ。
> 「・・・・・・・・もっと落ち着いたら、三人でゆっくり話せるといいね」
>>「あなたが私の頭を殴ったことを謝ってくれるなら考えてあげてもいいわ」
ユニソルブルは高飛車にそう言った。しかし言いながら、口元に笑みを浮かべた。

45 :エンカ ◆jWBUJ7IJ6Y :2014/03/22(土) 20:01:57.75 0
> >「で、だ。性転換の薬に関しては受注して3か月待つか自分達で元に戻る方法を模索してくれ」
保険医のこの言葉には、動揺せずにはいられない。
「じょ、冗談じゃあねーっすよ!!」
> 「3ヶ月待ち?!エンカ男子寮住まいなのにどーするの?!」
「いやいやリリィ!住むところはこの際どうでもいいけど、
 困るというか!困ってしまうよなーっ!激しくよーっ!」
> 気を取り直したリリィは、手に持ったままだった包みをしばし凝視する。
> そして軽く左右に首を振った後、幼女化しているエンカの胸元にぐいっと押し付ける。
> 「エンカ、年齢戻す薬だけでも先に使って。性別戻す薬の方は、手に入れるの時間かかりそうだし、せめてこれくらいはね。
>  私なら大丈夫!私は性別変わってないし、こういう変身トラブル、初めてじゃないし。
>  ほら!昆虫になりかけたり、両手が使えないペンギンになっちゃった時に比べたら、体が縮むくらい大したことじゃ無いしね」
「ペンギン?なんだそりゃ?」
ちなみに、その時はエンカは別行動だった。
「いや、まぁ…そう言ってくれるなら……悪いな〜リリィ、お前が小さくなっている間はよ〜、不便をさせねぇからなーっ!」
エンカはリリィから受け取った薬を、一気に飲み干した。
すると間もなく、エンカの体が徐々に、元の年齢に相当する体つきへと変化を始めた。
「これは……なんだぁ?胸元が……!」
エンカの制服の第二ボタンがポーン!と弾け飛んだ。
それほどまでに、彼(彼女?)の乳房が大きく成長したためだ。
「……豊胸剤でも入ってんのかよ!?」
エンカには決して、リリィを苛立たせる意図はない。そういう血族なのである。

> 「ロゼッタちゃんは早々に逃げちゃったんだね。
>  島に残ってる皆、大丈夫かな?まあ私よりずっと強いから心配要らないだろうけど・・・・・・・強い・・・・・ああっ!」
エンカが、ロゼッタにどんな顔して会おうかと心配し始めたとき、急にリリィが素っ頓狂な声をだす。
> 「キラーチューン!ねえエンカ、もしかしてキラー・チューンを置いてきちゃったんじゃない!?
>  彼女、他の生徒と一緒になんて帰って来れるの?一人だったら、魔法陣とか分からなくない?!大丈夫なの?!」
「そう言えば……どうなんだろうなぁ?なんとなくだが、あいつが無事なのは感じ取れる。
 普段はキラー・チューンを俺の体の中に出し入れできるのは知ってるんだけどよ〜
 こういう場合はどうなるか、俺にもわからねぇぜ」
エンカは首をひねって考えた。
「デビルサマナーの本に、そういうケースの対処が書いてあるかもな。
 いざとなったら性転換の薬を作らなきゃならねぇだろうし、図書室へ行くのがいいかもな。
 おっと、もちろんリリィの年齢を戻る薬もいるしな!」
エンカは付け加えて言った。
「とりあえず、このなりじゃあ男子寮には戻れねぇな。
 しばらくは、お袋の部屋に住まわせてもらおうかな〜」
エンカ曰く、エンカ・ウォンの母親であるレベッカ・ウォンは闇祓いである。
ロック・ウィルとは同僚の関係で、彼が行方不明になって以来、彼を捜索する名目で学園に留まっているのだ。
もっとも、未だにその成果はまるであがっていないようだが…
「あれ?話したことなかったっけ?俺のお袋のことをよ〜」
エンカがこのことを話すのは初めてである。

46 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/03/24(月) 11:10:42.47 0
>「先生ね、エンカとフリード君の分もあるから着替えて行けって言ってた。
 特にフリード君のは、今のサイズも幼女サイズも完璧に対応出来るから遠慮するなって・・・・・その・・・・・・・・なんかごめん」
「どうせ女ものなんですよね!わかってますよ!!
 そりゃ僕は美少年ですけど一応男なんですからね!!」
あいつといい保険医といい僕に女の子の服を着せようとしてまったく・・・・と愚痴るフリードリッヒ
「ああフィー坊が従兄の王子様嫌いなのってそういう理由なんだ」(猫語

置いて行かれたキラー・チェーンをどうするかという問題に
「いざとなったらもう一度迎えに・・・・」
と無茶を言い出すフリードリッヒ
「無茶でんがな」(猫語
「まあキラー・チェーンさんなら気合と根性で自力で変えることが出来ると思いますが」
>「デビルサマナーの本に、そういうケースの対処が書いてあるかもな。
 いざとなったら性転換の薬を作らなきゃならねぇだろうし、図書室へ行くのがいいかもな。
 おっと、もちろんリリィの年齢を戻る薬もいるしな!」
「ヒャッハー図書館だぁ!!」(猫語
また変な知識をため込むつもりだろうかこの猫

>「とりあえず、このなりじゃあ男子寮には戻れねぇな。
 しばらくは、お袋の部屋に住まわせてもらおうかな〜」
「え?エンカさんのお母さんってフィジルにいるんですか!?」
>「あれ?話したことなかったっけ?俺のお袋のことをよ〜」
「いえ初耳なんですけど」
初耳だった

「とりあえず今日は疲れましたし一度解散して各自自室に戻りませんか?」

その後アムリーテのボディとアムリーテの魂の入った藁人形はゼベット爺さんに引き渡された
餅は餅屋からくりはからくり屋である

「明後日は残りのみなさんが帰ってくる日のはずですからこのメンバーで迎えに行きましょう
 もしかしたらキラーチェーンさんも一緒に戻ってきているかもしれません」
さてこれで一つの事件が解決したのだがまた新しい問題も生まれてしまった
はたしてエンカとリリィは元に戻れるのだろうか?
それはまた別の話である

「ちょっと!私もまだ幼女状態ですのよ!何とかしてくださいまし!!」
「げえぇ!?姉さんが僕より背が小さくなってる!?」
「ていうかよくフリージアさんって認識できるね」
「まあ血の繋がった姉弟ですし」

その話が語られるかどうかは定かではない

47 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/03/31(月) 03:33:07.10 0
時間は少し遡る。
無事処置が終わり、今は眠っているアンチラストを見守るユニソルブル。
その横顔は、憑き物が落ちたように穏やかなものだった。
>>「あなたが私の頭を殴ったことを謝ってくれるなら考えてあげてもいいわ」
ユニソルブルは高飛車にそう言った。しかし言いながら、口元に笑みを浮かべた。
「私達に『いじわる』したことを謝ってくれたらね?」
そういうリリィの口元にも、穏やかな笑みが浮かんでいた。
彼女達は、きっともう大丈夫だろう。

>エンカはリリィから受け取った薬を、一気に飲み干した。
すると間もなく、エンカの体が徐々に、元の年齢に相当する体つきへと変化を始めた。
>「これは……なんだぁ?胸元が……!」
エンカの制服の第二ボタンがポーン!と弾け飛んだ。
ボタンがリリィの足元まで転がってきて、止まった。
>「……豊胸剤でも入ってんのかよ!?」
「わーん!!ずるい!エンカずるい!!成長するって胸もだったのね!本当は男の子のくせに!!うわあああん」
リリィは泣きべそをかきながら、エンカをぽかぽか叩いた。
家系的な原因でこうなったエンカにとっては、とんだとばっちりである。

そして現在。
置いて行かれたキラー・チェーンをどうするかという問題に
>「そう言えば……どうなんだろうなぁ?なんとなくだが、あいつが無事なのは感じ取れる。 (略)
> こういう場合はどうなるか、俺にもわからねぇぜ」
>「まあキラー・チェーンさんなら気合と根性で自力で変えることが出来ると思いますが」
「それも結構すごいよね?!グレンですら召喚術使うのに」
ちなみに、グレンは悪魔ではない。ひどい言い草である。

エンカは、対処法を調べるため図書館へ行くのもいい、と提案した。
自分の年齢を戻す薬のことを付け加える彼に、リリィはうれしそうな顔をした。
「ありがとエンカ。まあ、もともとキラー・チューンは特殊な例だしね。
 しょっちゅう単独行動してるっぽいし、今回も元気ならいいけど。
 ロゼッタちゃんにも話し聞けたらいいんだろうけど・・・・・・・この場所にいる限りは会えないね」
彼女は保険医を毛嫌いしているのだ。
「普通に、他のメンバーの後を尾行したりして、戻って来るかもしれないしね。変に心配しすぎるのもよくないかもね」

さて、女性化したエンカ問題で最初の問題。住むところの話である。
>「とりあえず、このなりじゃあ男子寮には戻れねぇな。
> しばらくは、お袋の部屋に住まわせてもらおうかな〜」
>「え?エンカさんのお母さんってフィジルにいるんですか!?」
リリィとフリードの叫びは見事にハモッていた。
エンカ曰く、エンカ・ウォンの母親であるレベッカ・ウォンは闇祓いらしい。
ロック先生失踪事件の調査のために、フィジルに留まっているとのことだ。
>「あれ?話したことなかったっけ?俺のお袋のことをよ〜」
>「いえ初耳なんですけど」
「聞いてないよー。・・・・・・・あー。まあ、確かにレベッカさんとそっくりかも」
リリィは胸元を見ながら、そんな事をつぶやいた。
その一方で、優秀な闇祓いの息子という立ち位置の微妙さも、自分自身劣等生なリリィにはなんとなくわかった。
「お母さん卒倒しちゃうかも。それとも怒るかな?
 まあ・・・・・・エンカには、かっこよくて(乱暴だけど)強いスフィンクスもついてるしね。
 お互い姿形はこんなふうに変わっちゃってるけど、今後もがんばろー。うん。がんばろーね」

>「とりあえず今日は疲れましたし一度解散して各自自室に戻りませんか?」
「そうだね。確かに一休みした方がいいね。皆、また明日ね」
リリィは保険医から渡された袋からのぞく「幼児用スモック」に顔をしかめつつ、フリードの提案を受け入れた。

後日、図書館へいろいろ調べ物をしに行くことになるのだが、これはまた別の話となる。

その後。
保健室では、見慣れない客人を学園預かりにして貰うための口ぞえを頼み込む子供の姿が、複数目撃されていたようだ。
それと関係があるかどうかは不明だが、スモック姿の助手が保健室で働いていたとのことであるが、それもまた、別の話である。

48 :リリィ:2014/04/21(月) 03:06:00.02 0
夕食の時間になっても、学園内の教官室には人が残っていた。

「失礼します」
控えめなノックとともに入室してきたのは、若い女教師だった。
分厚い本を大事そうに持っていた彼女だったが、部屋を見るなり一瞬声を失ったようだ。

カーテンが閉められた窓際には、吊るした香草の束。ガラス張りの薬品棚には、怪しげな瓶がずらりと並んでいる。
そして足元には、大量の書類と作りかけの魔法道具らしきものが散乱している。
女教師は部屋を一瞥した後、爪先立ちでそろそろと室内を進む。
「これ、頼まれていたものです」
「お、サンキュ」
書類の束の一部が崩れ、中からごつごつした大きな手が伸びてきた。
「や、助かったよ。次のテストで使うつもりだったんだが、忙しくてさぁ」
男教師は積み上げられた書類の上に飲みかけのカップを置くと、分厚い本を受け取り陽気に笑った。

「テストに、ですか?今回は、その本の中から出題する予定なのですか?」
「いやいや、違う違う。これは『ブックス』っていうマジックアイテム」

「『ブックス』・・・・・・ああ、存じています。確か童話をモチーフにした異能を持つ能力者達が・・・・・」
「いやいやいや!そのブックス違うから!」

「・・・・・・・・まあ平たく言えば、この本に入った人間は、限りなく現実に近い虚構世界を体感できるんだ。
 五感もあるし、魔法や能力も、現実世界と同じように使える。
 ただし、本の世界だからどれだけ魔法が暴走しようが、死人は出ない。当然現実世界の建物への被害も皆無だ。
 制御しきれないような魔法や能力をもてあましている、当学園生徒達の試験会場としては、もってこいってわけだな」

「よく試験に『ブックス』を使われるのですか?」
「まあ、それなりに。以前は学園と全く同じ世界を本の中で再現しての試験だったな。
 出された課題をクリアすることで、ブックス世界は解除されるっていう。・・・・・・・ふむ、今回はどうしようかね」

男教師はコーヒーを一口啜ると、楽しそうに目を輝かせ、身を乗り出す。
「剣と魔法の世界とかどうよ?竜王にさらわれた姫を助けに行くとかさ!」
「男子ならいいでしょうが・・・・・・それよりグール無双できる世界の方が良くないですかぁ?」
「うわぁ、それってグロくねぇ?それ以前に、死霊科からクレームくるんじゃね?」
「虚構世界だから問題ないと思ったんですけど、駄目ですかね?」
「うーん。・・・・・・どうしたもんかな?」

その日の教官室は、夜遅くまで明かりが消えることは無かった。

49 :リリィ:2014/04/21(月) 03:07:19.29 0
今回のテストは、ブックス世界で行われます。
「ブックス」とは、魔力を持った本を利用した仮想世界です。
魔法等、行動と現実と寸分違わず行えますが、破壊行動が過ぎると、NPCから反感を買うなど行動に支障が出ます。
舞台設定は、剣と魔法の世界。(ドラクエ風)
参加者は冒険者となっています。
テスト内容、クリア条件などは明示されていません。
一定条件を満たすと、テスト終了となり現実世界へ帰還できます。

詳しくは避難所で
http://774san.sakura.ne.jp/test/read.cgi/hinanjo/1376922195/

50 :リリィ:2014/04/21(月) 03:08:45.97 0
ブックス世界内、とある町の酒場にて。

「・・・というわけで、パーティメンバー募集します、と。
 じゃあこれ、お願いします」

リリィは酒場のカウンターへよじ登るようにして、メモを渡した。
ここで登録しておくと、希望にあった仲間を探してくれるのだ。
リリィは特に難しい条件をつけなかったので、すぐ同行者は見つかるだろう。

「やっぱりちっちゃいと不便だなぁ。弱いから、いまだにこの世界の装備も買えないし」

今のリリィの外見は、8,9歳ほどの子供だ。
ダボダボの学園制服に、体にあっていない大きな箒を引きずっている。
(本来の年齢は14歳なのだが、いろいろあって縮んでいるのだ。
服が合っていないのは、いつもとのサイズに戻っても良いようにという考えのようだ)

「早く仲間を見つけないと、一文無しになっちゃうよ。
死ぬたびにお金が減るシステム、どーにかならないのかなあ」

>「リリィさん、ご指名ですよー」
どうやら仲間が見つかったようだ。
リリィは勢いよく立ち上がると、仲間が待っているであろう酒場のカウンターへ飛び出していった。

「こんにちは、私リリィです!特技はすぐ死ぬことと、空を飛べることです!
あと、いちおう簡単な回復魔法使えます!すぐ魔力が足りなくなりますけど!」

元気いっぱいの事故アピール・・・もとい、自己アピールだ。

51 :名無しになりきれ:2014/04/22(火) 18:14:22.49 0
冒険者の宿

「パーティメンバー募集が見事に魔法使いばかり・・・・・教授これはいったい」
「魔法学園だから仕方がないんやな悲劇なんやな」
フリードリッヒの疑問に答える教授と呼ばれた人物
「見えるよ全員魔法使いパーティがMP不足で全滅する姿が・・・見えるよ」(猫語)
「早く来てぇメイン盾早く来てぇ!!」
「ナイトなんか来ないよ!一人心当たりあるけどもうすでに時間切れで別パーティだよ!!」(猫語)
「・・・・・あの人も正確にはナイトじゃなくて魔法使いなんですよね」
とメタなことを言いつつ酒場でパーティーメンバーを集めるフリードリッヒ
フリードリッヒも魔法剣士ではあるが盾には向いていない
与えるダメージも派手だが受けるダメージも派手なタイプである
「せめて回復役がいれば何とかなるんですけど・・・・・」
「そう都合がよく・・・・ってリリィさんが居る!?」(猫語)
「回復役来たこれで勝つる!!」
はたして合流できるのだろうか?

「あ、私研究者タイプの魔法使いなんで戦力にならないんで抜けますね」
と言いつつどっかに行ってしまう教授
彼の出番はこれっきりである

52 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/04/22(火) 18:27:18.08 0
「ちょっと!研究者タイプの魔法使いでもボスの弱点解析とか仕事あるでしょうに!!」
「とにかくリリィお姉ちゃんと合流すべきそうすべきだよ!!」(猫語)
はたしてパーティに入れてもらえるのだろうか?

53 : ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/04/30(水) 01:08:35.64 0
たくさんの依頼が貼られた掲示板の隅に、真新しい依頼書が貼られている。
それには、辛うじてユリの花(と見えないことも無い)イラストとともに、次のような言葉が書かれていた。

『ブックス世界に集いし学園生徒の皆さん!初めましてアーンドご無沙汰しています。
早速で申し訳ないのですが、まだパーティ組んで居ない方、いらっしゃったら、ぜひ私と冒険してください!
詳しくは下記にて!
h ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/9925/1398787093/(※ hの後のスペース部分は削除してね)
お待ちしていまーす!』

・・・・・・教師に見られたら、剣と魔法の世界で無粋なことを失笑されるだろう。
あるいは、「世界観を壊している」という理由で、テストの点を下げられそうな内容だ。

54 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/04/30(水) 02:06:35.75 0
>51-52
元気いっぱいの自己アピールをして、全力で頭を下げていたリリィ。
だが、頭上からは、いつまで待ってもパーティメンバーの声はかからなかった。
「・・・・・・?」
恐る恐る頭を上げてみるとそこには・・・・・・・誰も居なかった。
「ええー!!」

リリィがショックを受けていると、近くのテーブルに居た荒くれもの達がどっと笑った。
彼らのテーブルには、ジョッキや空の皿が乱雑に積み上げられている。
どうやら相当酔っているようだ。

>「おじょうちゃーん、お前さんの姿見たとたん、お仲間になるはずだったメンバーはみーんな逃げちまったぜ?
 特技が死ぬことってのは恐れ入ったぜ! 
 お前みたいな足手まといとパーティ組なんて罰ゲームもいいとこだな」
>「ちびっ子はウチに帰ってママのおっぱいでも吸ってた方がいいな!」
「なっ・・・・・なんですってぇ?
>「違いねぇ!子供はとっとと帰った帰った!」

「な、何で酔っ払いのあなた達にそこまで言われなきゃならないのよ!
 わ、私だってちゃんといろいろできるんだからぁ!」
リリィは両手を振り回しながら全力で抗議するが、彼らの嘲笑はとまらない。
ちょうどこの時、フリードと話していた教授が酒場を出て行ったのだが、リリィはまるで気づいていなかった。

55 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/04/30(水) 02:11:24.72 0
>「へえ、いろいろ、ねえ?」
だが、腹を抱えて笑っていた男の一人がふっと笑みを収めた時、不穏な空気が立ち込めてきたのだった。「
「な・・・・なによ?何か文句でもあるわけ?」
>「それとも俺様の膝にきて、酌でもするか?
  お前さんさえ良ければ、もーっと楽しいことも、おじさんが手取り足取り教えてやれるぜぇ?」
「え?何?何なんですか?」
この言葉に、さすがのリリィの怒りも少し揺らぐ。
酒臭い息を吐きながら、体格のいい男が、足元をふらつかせながらもこちらに近づいてきたからだ。

「やだ・・・・ちょ!何よ?なにするのよ!!」
逃げようとしたところを伸びてきた腕に襟首を掴まれる。
背はリリィの2倍、横幅は4倍くらいありそうな男が、猫の子でも捕まえるようにリリィを宙吊りにしたのだ。
完全に宙吊りになった彼女は盛大に暴れているが、酔った男はびくともしない。
「離せっ!離しなさいよ!!」
酒場を切り盛りしているウェイターが、厨房の扉から心配そうにこちらを見ている。
酒場に居たモブ達も視線をはずし、気の毒そうな目を時折こちらに向けながらも助けには来ない。
どうやらこのような事態は、酒場で頻繁に起こっていることなのかもしれない。
「はーなーせー!!ちょっと!レディに何するのよ!馬鹿!」

高く振り上げたリリィの拳が、この時、偶然にも大男の顎にクリーンヒットした。
大男は顎を押さえて少しふらついた後、怒りも露にした顔でリリィを放り投げた。
>「ふざけやがって、このくそガキ!」
「きゃー!!」
テーブルに叩きつけられたリリィは、ジョッキや皿を巻き添えにしながら床へと転落する。
リリィはきゅう・・・と変な声を上げて失神してしまった。

>「ふん。おいたが過ぎるくそガキには、立派な大人のしつけが必要だな」
大男はそういって、リリィの頭くらいある拳を振り上げた。

56 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/04/30(水) 02:14:48.94 0
ちなみに、リリィにこの拳が直撃した場合、最悪死ぬことになる。
その際には、今いるアリアッハーンの街から東に徒歩で半日ほど離れた「はじまりの町」の教会から再スタートになる。
死亡したことによるペナルティも発生する。宿屋に泊まった後からの経験値と持ち金が半分になってしまうのだ。
ブックス世界に来て間が無いので経験値はともかく、所持金が自動的に半額になると、相当な痛手となる。
宿代が払えなくなったり、アイテムを買うのに支障が出てしまうなど支障が出て、リリィの仲間探しは、今以上に困難なものとなるだろう。

しかしだからといってリリィを助けに入ると、間違いなくその人間は、大男との揉め事に巻き込まれてしまう。

それでも助けますか?
   
いいえ ←
はい

57 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/05/02(金) 06:49:14.88 0
>54-56
それでも助けますか?
   
いいえ 
はい  ←

>「ふん。おいたが過ぎるくそガキには、立派な大人のしつけが必要だな」
「お待ちなさいな!!」
「それじゃフリージアさんだよ」(猫語)
「もとい待てぇい!!」
とフリードリッヒはリリィと大男の間に立ちふさがる
特殊アビリティ”かばう”だ
「へぶらっは!?」
とそのまま顔面を殴られるフリードリッヒ
「と、父さんにも殴られたことは・・・・・いえありましたが
 熊に殴られたときに比べたら大したことはありませんね」
「殴られたダメージの基準が熊っておかしくね?」(猫語)

「さっきから聞いていればこんな小さい子にお酌させようとか
 さらにその先のイングリモングリまでまさかロリコンですか!?
 衛兵さんこの人です!!」
何処からともなくよっしゃ任せろ幼女の敵は俺の敵だと聞こえてきた
あの衛兵はロリコンだあっちを逮捕しろとも聞こえてきた
「そっち!?殴ろうとしたことじゃなくってそっちが重要なの!?」(猫語)
「別に殴られたって痛いだけで済むじゃないですか
 それよりも心の痛みのほうが重大ですよ」
いつの間にか治っているフリードの顔
これがフリードの特殊能力顔だけ自動治癒である

「これ以上僕の友達のリリィさんを傷つけようとするなら・・・・・こうです」
とおもむろにリンゴを取り出して握りつぶす
真下にはコップを持ったグレンが絞り汁を溜めてぷはぁ美味いとやっている
グレン・・・・お前猫じゃないだろ
「こうです!」
と今度はクルミを握りつぶす
「わぁおくるみ割り人形とかいらないね」(猫語)
・・・・お前本当に魔法使いかフリードリッヒ?
「こうで・・・・・」
今度は木の樽を抱き潰そうとしたが中身があるのを確認して止めた
服が酒でびしょ濡れになってしまうのはいくらなんでも嫌だったからだ

「僕もさっき仲間に逃げられたから必死なんですよ!
 貴重な飛行ユニット兼回復役!もとい大切な友人リリィさんを傷つけさせはしません!!」
「フィー坊空飛べないからね」(猫語)
 「どうしてもやるというなら飲み比べで勝負です!!」
「殴り合いじゃないの!?」(猫語)
「殴るあったら店が壊れるでしょ・・・・・常識的に考えて」
飲み比べて聞いて・・・・と何処からともかくあらわれるドワーフ
「歩く酒樽は帰ってください!」

58 :名無しになりきれ:2014/05/03(土) 02:47:09.63 0
お酒は二十歳になってから

59 :リリィ ◇T5oGeut2p2:2014/05/14(水) 07:05:59.94 0
「・・・・・・その後さまざまな試練を乗り越え、勇者達は魔王を倒し、世界に平和が戻りました。めでたしめでたし、かあ・・・・・」




早朝の図書館にて。
リリィはひとつ大きくため息をつくと、手に持っていた分厚い本の表紙をそっと撫でた。
革張りの古びた本の表紙には、まだ年若い『勇者達』の姿が描かれていた。
画面の隅に描かれている少女は、リリィに良く似た面差しをしている。

「結構大変な旅だったのに、こうして文章で読み返すと、とっても簡単だったみたいに聞こえるのが不思議よね」
リリィはそうぼやくと、脚立を用意して手に持っていた本を一番上の棚に戻した。

>「リリィ、先生の用事は済みましたか?」
声をかけてきたのは、メイド姿の女性。
「はい館長。ブックスはちゃんと指定の封印場所に戻しておきました」
>「ご苦労様でした。さあさあ、今日は忙しい日なのだから、早く戻って朝食を済ませてしまいなさいな」
「はい館長!ありがとうございます!」
リリィはにこやかに図書館長に頭を下げると、足取りも軽く図書館を出て行った。

食事を終えたリリィは、自室に戻り軽く身なりを整えた。
服装はいつもどおり学園指定の制服だが、胸元にはリボンが留められている。
一時期短かった髪も今では腰まで届くほどになり、体格も年頃の少女に戻った。戻ったのだが・・・・・・。
「むー・・・・・・」
リリィは両手で胸元を押さえて唇を尖らせている。
お年頃だけに、いろいろコンプレックスはあるようだ。


>「リリィ、そろそろ時間よ。準備はできた?」
「うん!大丈夫!」
リリィは慌てて鏡の前から飛びのくと、ドアのほうへと駆けていった。

「お待たせ!」
>「あらら。リリィ、リボンが左右逆になってるわよ」
「えっ!・・・・・あっ、本当だ!」
迎えに来た友人は苦笑いしつつも、胸のリボンを正しい位置に付け替えてやった。

>「荷物はあそこにおいてあるトランクだけ?」
「うん、もともと私物は少なかったから」
>「がらんとしちゃったわね」
「あなたの部屋も同じでしょ」
>「まあね。午後には次の寮生が入ってくるらしいから」

60 :リリィ ◇T5oGeut2p2:2014/05/14(水) 07:07:29.60 0
リリィ達が歩いて向かった広間には、生徒が続々集まってきていた。
彼らの服装はまちまちで、リリィのように制服のものもいれば、豪華にドレスアップしたものもいる。
だがどんな衣装を着ていても、彼らには共通項があった。それは、リリィと同じく、胸元にリボンを付けていることだ。


『時間です。卒業生の皆様は、大広間に向かってください』
そう、彼らは今日、無事卒業式を迎える生徒達なのだ。

卒業式といっても、席順は細かく決められていないし、それほど堅苦しいものではない。
大きなパーティのようなものだ。
資格のあるものは大広間に集められ、在校生の前で、記念品と卒業証書を一人づつ受け取る。
その後は無礼講のパーティになるのだ。

リリィは周囲を見渡し、見知った顔が近くにいないかを探した。
『あっ!フリード君!』
リリィはこそこそとフリードのそばに移動すると、
『グレンおはよう、ねえ、この席に座ってもいい?いいよね?』
というなり、彼を抱き上げ、自分の膝に乗せてしまった。

『さっき先生に頼まれてブックスを図書館に片付けにいったんだけど、あの本の表紙絵って勝手に変わるんだね。
 今の表紙はね、なんとフリード君だったよ!すごーくかっこよかった。
 ・・・・・・・けど、姫より美形な勇者様って、ちょっとあんまり見ない組み合わせだよねぇ』
ふふふ、とリリィは思い出し笑いを浮かべた。
だがその笑みはすぐに消えて、真顔になったリリィはちょっと寂しそうにフリードを見つめた。
「なんか卒業式って言っても、ぜんぜん実感わかないなあ。楽しかったけど、出来なかったこと、遣り残したこともたくさんあった気がする。
 ・・・・・・・フリード君はどう?」

61 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/05/17(土) 12:08:06.74 0
>「なんか卒業式って言っても、ぜんぜん実感わかないなあ。楽しかったけど、出来なかったこと、遣り残したこともたくさんあった気がする。
 ・・・・・・・フリード君はどう?」
「そうですね・・・・色々なことがありましたね
 自分より強い強敵と命がけで戦ったり・・・リリィさんをかばったり
 ・・・・あれ?戦っていた思い出しかないよ?こんなの絶対おかしいよ!!」
「なぜ学園生活なのに命をかけた戦いばかりしてたんだろうねフィー坊は」(猫語)
「ほかにもあったような気もしますが・・・・・文化祭の女装喫茶とか微妙に思い出したくないものが多い不具合が
 せめて命の危険がない普通の学園生活がしたかったです」

フリードリッヒは成長した
小学生並の身長は中学生並になりドワーフやホビットと間違われることは無くなった
体も丈夫になり昔のように木の上から飛び降りた程度で足を骨折することはもう無いだろう

グレンはでぶった
フリードリッヒが甘やかせておいしいものをたくさん食べさせすぎた結果である

「まあそういう意味ではブックスは余裕でしたね
 なんせ本当の死はありえなかったんですから
 最後の決戦とか1クラス分の人間と一人で戦う羽目になった魔王がかわいそうでかわいそうで
 これっていじめじゃないのかとかちょっぴり思いましたよ」
「普通はそもそも学園生活で死ぬような戦いとかしなくていい筈なんだけどね」(猫語)

「あの後も色々ありました・・・・姉さんが二人になったり
 ギズモが元の世界に帰ったり」
「サラウンドの高笑いとかもう二度と聞きたくないよ」(猫語)
「パラレルワールドから来たもう一人の姉さんはなんだか大人っぽい雰囲気で(胸も大きくて)・・・でもやっぱり姉さんで」
なぜもう一人のフリージアが大人っぽい雰囲気だったのか
それはマジックアイテムである時を食べる時計に時を食べさせすぎてしまった結果である
ぶっちゃけると実年齢より肉体年齢が老けているのだ
いくら魔法の発動準備時間を短縮するためだとはいえ・・・・無茶しやがって

「ギズモって結局何だったの?」(猫語)
「もう一人の姉さんの使い魔で事故でこっちの世界に飛ばされてたんだそうですよ
 僕の本当の姉さんは自分が召喚魔法で召喚した使い魔だと思ってたそうなんですけど
 ギズモが連れて帰られたせいで姉さんは使い魔召喚に失敗していたことが発覚して単位が取り下げられて・・・・・」
「留年してフィー坊と同級生になっちゃったんだよね」(猫語)
「今年僕らと一緒に卒業式に出る羽目になった姉さんには同情するほかありませんよまったく」
「もっと余裕をもって単位を取ってればよかったのに・・・・」(猫語)

「あと総帥が集めていた遺物とは何だったんでしょうか?
 学園創設の本当の目的とは?なんで地下にダンジョンが存在したのか?とか
 まだ謎は残ってるんですが・・・・まあ後輩たちにそれは任せましょう」
「ぶっちゃけ遺物って言っても単なるコレクターアイテムの類だと思うよフィー坊の聖杯(仮)とかね」(猫語)


泣いても笑ってもこれで卒業
明日から学生では無くなってしまうが彼らの物語は生きている限り続いていくのだ


「あ、リリィさんには後で”ジルべリアへの転移魔方陣無料パス”を差し上げますから
 いつでも遊びに来てもいいんですよ」
「死ぬよ」(猫語)
「え?」
「ちゃんと防寒対策をしていかないと死ぬ」(猫語)
「え?何それ怖い」

62 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/05/22(木) 18:19:42.16 0
>「そうですね・・・・色々なことがありましたね
> 自分より強い強敵と命がけで戦ったり・・・リリィさんをかばったり
「そうなのよね、私、フリード君を筆頭に、いろんな人から庇われてばっかりだった・・・・・」
> ・・・・あれ?戦っていた思い出しかないよ?こんなの絶対おかしいよ!!」
>「なぜ学園生活なのに命をかけた戦いばかりしてたんだろうねフィー坊は」(猫語)

「な、なんかホントすみません・・・・・・・」
毎回毎回、いろんな人に庇ってもらっていた者としては、身の置き場が無い。

「で、でもさ、ほら、運動会とか文化祭とかクリスマスパーティとか、楽しい事だっていっぱいあったじゃない!」
>「ほかにもあったような気もしますが・・・・・文化祭の女装喫茶とか微妙に思い出したくないものが多い不具合が
どうやらこの話は地雷だったようだ。
> せめて命の危険がない普通の学園生活がしたかったです」
「ま、まあここ、魔法学園だからねぇ。いろいろあったよね。
 生徒の皆が皆、最初から自分の魔力や感情を正しくコントロール出来る人ばかりじゃないからね。
 だから、膨大な魔力が暴発してもいいように学園はこんな環境に建ってるし、
 私達は、自らの力を正しく使う術を身につけるまで、学園管轄以外の場所へは出られない」

その後も、フリードの受難・・・・・・否、思い出話は続く。
姉にまつわる受難話以外にも、フリードは、入学してからずっと保険医に狙われ続けている。
(うーん。フリード君って、エンカと同じくらい女難の相がありそうだよね。
 こうして背も伸びて、ちょっと近寄りがたいくらいの美人さんに成長したのに、浮いた話のひとつもないし)
女性の影はあるものの、それは間違っても浮いた話ではない。命がけの女難ばかりである。
(地位も名誉も実力も美貌も持ちあわせてるのに、なんだか気の毒)

「今年僕らと一緒に卒業式に出る羽目になった姉さんには同情するほかありませんよまったく」
「もっと余裕をもって単位を取ってればよかったのに・・・・」(猫語)
(アレだけ大変なトラブルに巻き込まれたのに、それでもお姉さんの心配してあげるなんて・・・・・・・)
「フリード君って・・・・・・・本当にお姉さんおもいだよね」

>「あと総帥が集めていた遺物とは何だったんでしょうか?
> 学園創設の本当の目的とは?なんで地下にダンジョンが存在したのか?とか
「そうそう。それ、学園新聞でも特集組まれてたよね!
 人類という種族を進化させるためのマジックアイテムとか、異世界への入り口とかいっぱい仮説あって!
 私としては、7つ集めると神様が召還できて、どんな願いでも叶えてくれるって仮説が面白かったな」
> まだ謎は残ってるんですが・・・・まあ後輩たちにそれは任せましょう」
「・・・・・・・・そうだね」
リリィは膝の上のグレンの頭を再び撫でた。

63 :リリィ ◆nA2uUOb9SzX7 :2014/05/22(木) 18:21:04.70 0
壇上では、ちょうど彼らの良く知る友達が、生徒の証である指輪に新しい石を嵌めてもらっているところだった。
あの石をはめた指輪があれば、学園関連以外の場所へ行けるゲートが解禁になる。
どこへでも行けるし、何にでもなれる。

卒業する生徒達の身分や種族はさまざまだ。
学園では表立った差別は無かったが、国に戻れば難しい立場に立たされる友人も多い。
隔絶した環境にあった魔法学園は、彼らを閉じ込める枷でもあったが、
自らを守れるだけの力を蓄えるまで、世界から守ってくれる殻でもあった気がする。
そして、魔力を持つことで孤立しがちな魔法使い達が絆を結ぶための。

(だけど、ジルベリアは遠いよね)
隣に座っているフリードだって、国に帰れば大貴族の子息だ。
リリィのような平民とは、おそらく二度と会うことは・・・・・・・。
>「あ、リリィさんには後で”ジルべリアへの転移魔方陣無料パス”を差し上げますから
> いつでも遊びに来てもいいんですよ」
「・・・・・・・・えっ!」
思わず素っ頓狂な声を出してしまったリリィは、慌てて口元を押さえて周囲を見渡した。

「い、いいの?行く!遊びにいきたい!」
>「ちゃんと防寒対策をしていかないと死ぬ」(猫語)
「「え?何それ怖い」」
フリードとリリィの声はハモッたが、意味は微妙に違っている。
「でも行く。ちゃんと暖かいコート着て、フリード君とお姉さんに会いに行くよ!」
リリィは頬を上気させながら、勢い込んでささやいた。
>泣いても笑ってもこれで卒業
>明日から学生では無くなってしまうが彼らの物語は生きている限り続いていくのだ

同じ時間を共有した、大事な仲間。
喧嘩だってたくさんしたけれど、一緒に笑った、皆、大好きな友達。
この気持ちはもしかしたら、忙しい日常にさらされて、徐々に色あせて行くものなのかもしれない。
でも、変わらないものだってきっとあるはずだ。

「ねえ、もしも何か困ったことがあったら、いつでも私を呼んでね。
 ヒヨっ子なヒーラーの私に出来ることなんて限られてるけど、それでも、力になりたいの」
それは隣にいるフリードだけでなく、魔法学園で知り合えた友人すべてに言えることだ。

「フリード君、グレン。卒業おめでとう!」

64 :フリードリッヒ ◆cOOmSNbyw6 :2014/05/29(木) 10:52:44.20 0
「さよならは言いません。また会いましょう」

そして子供たちはそれぞれの道へ行き大人になっていく


エピローグ
ジルべリアに戻ったフリードリッヒは前から練っていた計画通りに6年前にゴブリンにチェンジリングされた従妹を捜索に旅に出た
熊とのデスマッチ、ゴブリンロードとの素手でのタイマンなどいくつかの困難な試練を乗り越えやっと見つけた従妹だったが・・・・・・
「完全に野生化してますよ・・・・・これどうしましょう?」
「あーまーz−(ry」
完全に人間語を喋れない上に心の底からゴブリンになってしまった従妹の変わり果てた姿
・・・・・と言っても最後に見たときは小さな赤ん坊だったのでもしかしたらもともとこうである可能性も捨てきれないのだが
「フィジルで再教育してもらえばいいんじゃね」(猫語)
色々な問題児やあれな人間、特別な事業を持った人間が多いフィジルなら良くも悪くも受け入れられるのではとグレンは考えた
「そうですねもう丸投げしちゃいましょう!保険医に!!」
小さな女の子にやさしい保険医に任せればとりあえず命は大丈夫・・・・いやもしかしたら立派な(保険医的見解で)レディに育ててくれるかも知れない
そう考えたフリードリッヒであった

「こんなのでもジルべリア第一王女で私の妹なのだが・・・・・」
と赤青のオッドアイで金髪のフリードリッヒとそっくりな長髪の少年
「実の妹をこんなの呼ばわりする恥知らずな王子様がいた亡命したい」
「これだから信号機は困る」(猫語)
「信号機っていうな!っていうか信号機ってなんだ!!」
彼はフリードリッヒの従兄であり
ジルべリアの王子様(笑)である

その後王様に相談してみたところ
「ふむ、勇者殿が次のレベルに上がるまでに必要な経験値は8000といったところか・・・・」

「ジルべリア王陛下がおっしゃるには許可する・・・・・とのことです」

「さて冒険の書に記録していくか?」

「ただしお目付け役としてフリードリッヒ様がついていくようにとのこと」

「なんで王様は古代ジルべリア語で喋って大臣さんはそれを共通語で訳しているの」(猫語)
「いわゆる一つの文化とか伝統とかいうやつですよ」
「お互いに暗殺者送りあって返り討ちにするのも」(猫語)
「あれは父上と陛下の趣味ですよ」
物騒な趣味もあったものである

さて何故かまたフリードリッヒがフィジルに舞い戻るような展開になっているような気もするが物語はこれにて閉幕である
「もうちょっとだけつづ(ry」(猫語)

「終わりなんですってば!!!」

65 :名無しになりきれ:2014/06/11(水) 08:26:28.32 0


139 KB
新着レスの表示

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :


read.cgi ver 05.02.02 2014/05/02 Code Monkey ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)