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【ジェンスレ】キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!2

1 : ◆frFN6VoA6U :2011/01/23(日) 00:40:35 ID:IpOB0xAP
【なりきりネタなんでもあり板】通称なな板から来てはや2スレ目。

『キャラクター分担型リレー小説』とは参加者各々が自分のキャラを作成して持ち寄り、共通の世界観の中で物語を綴っていく形式だッ!
通常のリレー小説や合作小説との違いは、『自分が動かせるのは自分のキャラとモブ・NPCとだけ』という点で、GMと呼ばれるスレの進行・まとめ役がいたりいなかったりする。
弊板では『TRPG』あるいは『TRPS』といったタイトルで楽しんでいるこのキャラクター分担型リレー小説を、他板交流の一環として貴板で展開中!

前スレ キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1291987200/l50

キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!避難所
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1292705839/l50

なりきりネタなんでもあり板
http://yuzuru.2ch.net/charaneta2/

なな板TRPGまとめWIKI「なな板TRPG広辞苑」
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/

なな板TRPGまとめサイト「千夜万夜」(※更新停止)
http://verger.sakura.ne.jp/top/tougou.htm

2 : ◆frFN6VoA6U :2011/01/23(日) 00:44:09 ID:IpOB0xAP
以下テンプレ(参加する場合は以下のテンプレの項目を埋めてキャラをつくって下さい)

名前:
職業:
性別:
年齢:
身長:
体重:
性格:
外見:
備考:

3 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/01/23(日) 19:56:33 ID:8vvCu5Bx
>「上の部屋を一つ、お借りします。お釣りは結構ですよぉ」

「ほぉ、やったじゃないかジェンタイル。正直な話をすると小物臭がビンビンだったが儲け物だな」

影は喋りながらも笑っている。

>「あの、私恥ずかしながら初めてなので優しくして欲しい……かなーとか。

けれども一瞬で、彼の笑いが引き攣った。
緩い曲線を描いていた唇は丸みのない横一文字となり、細い双眸が微かに見開かれる。

「くっ……はっは、良かったなぁジェンタイル。そんな可愛らしいお嬢さんを好きに出来るなんて羨ましい限りじゃないか」

だが彼の表情が長続きする事はなく、面食らっていた影はすぐにまた愉快そうに笑い始めた。
その後も狼に追い詰められる羊に淪落したジェンタイルを暫し眺めてから、頃合いを見て影は助け舟を出す。

>「さて、と……フラグ溜めてイベント成立させるには、まず町の人に話聞くのが一番だな」
>「よおあんた、災難だったな。なんか噴水のあたりで騒いでたけど、一体何があったんだ?」

ジェンタイルが筋骨隆々の巨漢に歩み寄り、問い掛けた。
そこに影の行動や言動が割り込む隙間はない。
質問の答えを待たずして話を進め出すと言うのも、野暮な話だ。

4 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/01/23(日) 19:59:24 ID:8vvCu5Bx
「と言う訳だが、このまま行動終了と言うのもなんだか味気ないな。
 話の進行には全く関係ないが一つ、また講釈でも垂れるとしようか。
 お題はそうだな……。『冒険』『対立軸』とマクロなテーマが続いているし、
 今度はミクロなテーマで行くとしようか。『ロールプレイ』、つまり役割演技についてだ。
 
 RPGとは文字通り、役割を演じて遊ぶゲームだ。では役割とは何なのか。
 一番分り易いのは『正義の味方』と『悪役』だな。だがこれだけでは漠然とし過ぎていて話が進まない。
 正義の味方は『勇者』なのか『ヒーロー』なのか。悪役は『社会的な悪』なのか『世界滅亡を目論む魔王』なのか。
 ここら辺は『対立軸』の話にも関わってくるな。そしてだ、『役割』と言うのは、例えば『正義の味方』から更に細分化出来る。
 要するに『勇者』『武闘家』『魔法使い』『僧侶』などの『役職』や、『馬鹿』『インテリ』のような『性格の傾向』
 ……と言った具合にだな。まぁ厳密には細分化出来ると言うより、しないと面倒な事になるんだ。
 分かりやすく言うなら登場人物全員がピーターパンの学芸会を想像してくれればいい。
 
 さて、ところで勇者や武闘家は役職を意味するが、同時に『性格の傾向』にも関係性を持っているんだ。
 これは『お約束』に近い物があるんだが、例えば勇者は大抵の場合『アホか考えなしの青二才』で
 武闘家だったらもっと分かりやすく『馬鹿』。反対に魔法使いや僧侶は『頭が回る』事が多い。」
 ちなみにこれは個人的な感覚だが……魔法使いと僧侶はどちらも頭の回る性質を持っているが、
 前者は『気が強かったりプライドが高かったり』で、後者は『温和な緩衝役』のイメージが強いな。
 もちろんこれは傾向であって、ダウナー系勇者とかインテリ武闘家とかお色気系僧侶がいても何ら不思議じゃないし、悪くもないがな。
 むしろ最近はギャップ萌えなんてのも流行っているしな。萌えと言うと変な感じだが、要はギャップが魅力となっていると言う意味で取ってくれ。
 
 もう少しだけ続くぞ。役職と性格の傾向の関係性について語ってはみたが、今回の本題はそもそも『役割』についてだ。
 まずは役割と言う言葉をもう少し情報を補足して、『ストーリー展開上の役割』としよう。
 何だかややこしい気がするが、そう難しい事じゃない。例えば『主人公は悪役にトドメを刺すのが基本的には役目』……だろう?
 
 『馬鹿』なキャラは物語上で現在問題となっている事を提示出来るし、『インテリ』系は逆にそれに対して解決策を見出せる。
 『莫大な火力』が自慢の者は圧倒的劣勢を力ずくで切り開き、『正確無比の狙撃』が特技のキャラはただの一発で逆転の幕切れを演出出来る。
 『癒し』の力を持つキャラは疲労困憊に沈んだ味方に一握りの活力を与えられる。そして『勇者』は立ち上がり……決着をつける。
 
 どうだ?【物語】《ロマン》があると思わないか?『ストーリー展開』と言うのは、こう言う事だ。
 当然、これが全てじゃないぞ?全ての仲間が地に倒れ伏して、最後に残された『勇者』がそれでも立ち上がり全てを終わらせる。
 そう言う物語だってあるさ。そもそも『スーパーマン』のように、主人公勢が一人しかいないお話だってあるしな。
 だがTRPGでは基本的に、そんな事はあり得ない。だからこそ『役割』が大事なんだな。まぁ考えてみろ。
 万の軍勢を一撃で散らし、一瞬垣間見えた敵の親玉を正確無比の狙撃で射抜き、すぐさま回復魔法を自分に使い、魔王に肉薄して斬り掛かる。
 これをたった一人でやってのけられたら、他の奴らには出る幕がないだろう?
 全員がピーターパンの学芸会も馬鹿らしいが、ピーターパンが延々無双する学芸会だって、やはり面白い訳がないもんなぁ。
 
 気が向いたら『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』でググってみるといい。
 自分はあんなプレイをしていないか、同僚にそう思われるような事をしていないか、考えてみると面白いぞ。
 ん?何?ブーメランだって?いやぁ、急に耳が遠くなってしまって聞こえないなぁ……。私も、もう若くないんでね。はっはっは。
 と、そんな訳で講釈はこれでおしまいだ。とは言えこんなのは普通のプレイヤーなら分かっている事で、
 分からない奴はこの講釈すら読まないような連中なんだろうけどな、ははは」
 
高らかな笑いで講釈を締めくくった影は、思い出したように巨漢に視線を向けた。

「あぁ、長話をしてすまないな。もう終わったから、構わずジェンタイルの問いに答えてやってくれ」

【講釈は完全に余談です。ガッチーさんの返答待ちで】

5 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/24(月) 02:31:38 ID:w2MEj4fw
さっき雰囲気が微妙過ぎて、というかぶっちゃけ怖くて話しかけるのを躊躇した人影がいつのまにか私のすぐ横に来ていた。
確かにそこにいるのに何故か輪郭がつかめない、どこか影を連想させる人物だ。

「このお兄さんの連れかい?眠っちゃったようなんでオレの部屋に連れて行こうと思ったんだが
あんた達も部屋を取ってるならそっちに運ぶよ。
そういや名乗りそびれたな。彼はジェンタイルっていうのか。オレはガッチーだ。よろしくな」

影は怖かったが、私はなるべく筋肉大男な外見に恥じない気軽な口調で挨拶をした。

6 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/24(月) 12:49:42 ID:3KJ84aAr
前スレ>>379
>「なーんて冗談冗談! メルフィちゃんを湖畔村に送り届けるに決まってるだろ!」
メルフィの覇王のオーラにローゼンは負け、極東はお預けになった。
そう言えば、メルフィはパーティーメンバーではなかったな。
送り届けて、それで終わりか……

>「画面表示キャラやりたい人ー」
>「うわあ! ここドラゴンボールスレじゃないし選択の余地ねええええええええ! 超やりたい! いいよね!?」

「待て、この変態的なメンツはドラゴンボールスレでも受け付け不可だ」
もし、ここがドラゴンボールスレだったなら、私だって、まだマシなキャラになっている。
ギャグキャラになんて、絶対になるはずがない。

「画面表示キャラはローゼン、お前に任せよう」
私の立ち位置では、主人公にはなれないからな。

7 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/24(月) 14:10:01 ID:xTb4Ilfr
翌朝、ガースー黒光りホテルを出た浜田は眉間に皺を寄せていた。
いつになっても部屋から松本が出てこないのである。
「あいつ、ほんま遅いなぁ。なぁ、山ちゃん見てきてくれや。」

眠そうな顔の山崎はとぼけたような顔で浜田を見る。
しかし、浜田の鬼のような形相に気付き思わす駆け足でホテルへ向かった。

「松本さん!!はよ起きてください!!時間ですよぉ!!」

「なんやねぇん…… うっさいわハゲ。氏ね!!」

「いいから起きてくださいよぉ!!そやないと僕がしばかれます!!」

やがて山崎に背負われた松本がやってきた。
松本は悟空のヅラが外れ胴着は前後ろ逆という情けない格好である。

>「画面表示キャラやりたい人ー」
>『アンタが戦犯ですから――ッ、残念!』

「山ちゃん、お前ふざけ過ぎや。しっかりせぇよ」

「ザキさん、ほんま真面目にお願いします。」

「寒いわ、山崎。」

3人の冷たい視線に思わず山崎の顔が歪む。
幾ばくかの時間が経った後、メタルクウラが賛同の意を示した。

>「画面表示キャラはローゼン、お前に任せよう」

「そやな。俺は後方支援するわ。松本は格闘家のポジションやから
前衛やで。遠藤はホホホイ(回復魔法)使うから後ろな。
山ちゃんは別にどうでもええで。」

松本はヅラを直しながらローゼンの横に立つ。
そして互い違いになっていた胴着を無理やり前へ向きなおした。
「浜田には気をつけた方がええで。あいつはド変態やからな。」

松本は如意棒を振り回しながら歩き出した。


8 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/24(月) 18:44:48 ID:uFC8p/Wa
>「よおあんた、災難だったな。なんか噴水のあたりで騒いでたけど、一体何があったんだ?」

「あ、ちょっと!そそくさと私を避けるように何処かに行かないで下さいよぉ!さてはさっきの事まだ忘れてませんね!?
 ちょっと一発頭を小突いてあげますから待って下さい!大丈夫ですよぉ、いちにのポカンであっと言う間ですから!」

岩石宛らに固めた握り拳を振り上げながら、リヨナは酒場のカウンター席に向かったジェンタイルに追随する。
けれどもいざカウンター席の前にまで辿り着いてみると、そこでは店主がこの村の風土について説明をしているようだった。
頭の出来具合がやや残念なリヨナは意識の矛先、興味を完全にその話に奪われて、当初の目的であるジェンタイルへの殴打は完膚無きに失念していた。

>「大いなる存在に認められた者だけが噴水を扉として使えるって年寄りは言いますが
 未だそんな人物が出た事はないですね」

「へぇー、そうなんですか。メルフィちゃんの無事も分かった事ですし、参加してみても面白そうですねー」

ぽかんと口を開けて感心した様子でリヨナは呟いて――しかし何か大切な事を忘れている自分に気が付いた。
開け放っていた口と一緒に目を閉ざし、腕を組み首を傾げて思考の歯車を旋転させる。そして彼女は、思い出した。

「……って、そう言えば結局メルフィちゃんが今何処にいてどうなってるのか、聞き忘れてました!
 ジェンタイルさんでしたっけ!?宿代にイベント情報も教えたんですから、メルフィちゃんの詳細を……」

>「珍しい話をありがとう。目が覚めるまで彼をオレの部屋に寝かせていいかな?」

「って寝てるしー!?うぅ……人にあんな恥ずかしい事言わせておいて!
 引っ叩いてでも起こしてやりたいですけど、機嫌を損ねられちゃ元も子もないですし……」

先程の醜態に関しては九割九分自業自得であろう事には全力で無視を決め込んで、リヨナは肩を落とす。
仕方がないと彼女は同僚の元へと一旦戻り事情を説明して、村の出入口の守兵にジェンタイルを村から出さないように手配するよう頼んだ。

「と言う訳でして、お願いしますね」

「おぉ任せとけ。しかしまぁ、本当だと良いなあ。あの男の言ってる事。
 ……ところでさっき、アレと何をそんな長く話してたんだ?
 この喧騒で聞こえなかったけど、何か随分と密着してたような……」

「あ、ああ、アレですか!?アレはですね!その……えっと、メルフィちゃんが生きていただなんて聞いて、
 私がちょっと興奮しちゃったんですよ!あはは……怖がらせちゃいましたね!」

忙しない身振り手振りに勢い任せの苦笑いを重ねて、リヨナは何とか自分の醜態の誤魔化しを図る。
彼女の仕草と言動には動揺が見事なまでに露見していたが、同僚はそれを単に彼女が自分の失敗を恥ずかしがっていると見たらしい。
呆れの感情を溶かした笑いを一つ落とすと、それきり追求の声を紡いだりはしなかった。
何とか取り繕えたかとリヨナは同僚に背を向けると胸を撫で下ろしながら、今は寝ているジェンタイルと巨漢の傍へ戻った。


9 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/24(月) 18:45:31 ID:uFC8p/Wa
「で、えーっと……貴方の部屋でこの、ジェンタイルさん?を寝かすんでしたっけ……?
 その……とても言い難いんですけど、それは如何なものかなーと。いや、なんて言いますか……
 貴方とても逞しい……じゃないですか?だから万が一間違いがあったら、華奢なこの人だとシャレにならないって言うか……」

苦く細めた視線でリヨナは威風堂々筋骨隆々、その他諸々の四字熟語が似合いそうな巨漢の肉体を上から下へ眺める。
本人は言葉を選んでいるつもりらしく、歯切れ悪く短い言葉の羅列が立て並べられていく。それでもフォローし切れていないと分かったのだろう。
再び両手を慌ただしく空中で踊らせながら、視線もあちらこちらに泳がせつつ、冷や汗を滲ませて更に言葉を付け加えていった。

「あ、いえ、決してそう言う妄想をした訳じゃないんですよ!?ただホラ……そう!例えば寝返りとか!
 貴方にとってはただの寝返りでもこの貧弱なジェンタイルさんにはケダモノののしかかりに等しいと思うんです!
 もう初期の無強化ユクモ装備で上位ジンオウガのボディプレス喰らうようなモンですよ!一撃昇天ですよ!?
 いや、それはまぁ別のベッドに寝かせればいいと言われればそれまでなんですけども!やっぱり間違いがあったら大変ですし!?」

>「このお兄さんの連れかい?眠っちゃったようなんでオレの部屋に連れて行こうと思ったんだが
>あんた達も部屋を取ってるならそっちに運ぶよ。
>そういや名乗りそびれたな。彼はジェンタイルっていうのか。オレはガッチーだ。よろしくな」

支離滅裂を極めた説得が功を奏した――とは言い難そうだが、とにかくガッチーを名乗る巨漢はジェンタイルを保護者に任せるようだ。
先程の弁解の時よりも深く胸を撫で下ろして、リヨナは長い溜息を零す。

「そ、そうですよぉ。保護者さんがいるなら、そちらに任せるのが一番ですよ。
 あ、ちなみに私は衛士隊のリヨナ・リリウムと申します!よろしくお願いします!」

これまでの流れから一転して機敏な動作の敬礼と共に、彼女は自己紹介をした。

10 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/24(月) 22:29:51 ID:Eyz72qaC
>6
>「画面表示キャラはローゼン、お前に任せよう」
「おう、任せとけ!」
僕が画面表示キャラをやればどこからどう見ても正統派ファンタジーだ!

>7
>「そやな。俺は後方支援するわ。松本は格闘家のポジションやから
前衛やで。遠藤はホホホイ(回復魔法)使うから後ろな。
山ちゃんは別にどうでもええで。」
「クウ君はもろ前衛向きだから……僕は中衛で! 山ちゃんも中衛に来る?」

>「浜田には気をつけた方がええで。あいつはド変態やからな。」
「え……? すごいいい人じゃない?」

隊列も決まったところで、湖畔村を目指して出発する。
と、鳩が飛んできて肩に止まった。村長の使い魔の伝書鳩だ。
足にはポメラがくくりつけてある。時代の最先端だね!
普通に携帯買えって? 辺境村には毎月の通信料を払うほどの予算が無いのだ。
「何なに? 今までの経過を報告するように。村長より」
ああ、そういえばちょっと世界を救ってくるって言って出てきたもんな。
歩きながらポチポチと文字を入力する。
お堅い職業の僕が拝啓敬具を使ったお堅い報告書を書くぞ!
新規希望者も長い過去ログを読まなくてもこれさえ読めば完璧だ!

11 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/24(月) 22:32:12 ID:Eyz72qaC
拝啓
僕はイケメンの魔法剣士で辺境村役場職員のローゼンだ!
突如近所に住むアホな浪人生で魔法使いのジェンタイル通称ジェン君が受験のストレスで放火しはじめた!
が、それはいつの間にか村に潜り込んで悪事を働いていた闇の精霊ローティアスの仕業だったのだ!
ジェン君を身を呈して止めようとした僕は死んでしまうが、その時にスーパーパワーに覚醒し
夢の中に出てきた生き別れの弟から世界の危機を知らされる。
生き返った僕は、ローティアスをあと一歩のところまで追いつめるが惜しくも逃げられてしまう。
僕はジェン君とこれまた近所に住むドラゴンボールキャラの未就学児メタルクウラ通称クウ君を引き連れ、ローティアス討伐の旅に出た!
途中で芸人軍団もとい傭兵軍団のハマタ通称ハマちゃんとかを仲間に加えたり
ローティアスに呪われた被害者であるメルフィちゃん(NPC)を保護したりする。
そして、なぜかローティアスの先輩である、深淵に潜む名も無き大悪魔、通称大先輩に導かれ
ついにローティアスとの最終決戦に臨む。
ローティアスの壮大なパワーインフレに苦戦する僕達だったが、田舎のご近所の友情パワーでローティアスを見事撃破。
が、大先輩がジェン君を、受験のストレスにつけこんで悪の道に引きずり込んでしまうのだった。
2スレ目は、メルフィちゃんを家に送り届ける所からスタートだ!
敬具

「よし、保存っと」
鳩の足にポメラを再びくくりつけ、放った。
『虚偽報告じゃん!』
「あえて正確性より分かりやすさを優先した!
でも全くの嘘は書いてないぞ。それに同じものを見ても視点によって解釈が違うものなんだ、特にこういう群像劇では。
つまり全くの客観的なあらすじなんて不可能なんだよ。参加するにあたってはこれで支障ないから大丈夫だ!」
『いくらなんでも主観的過ぎだろ!
真実が知りたい人は過去ログを読んでみてねー、裸で歩き回ったり垂れ流したり色々酷いから!』

うわぁあああああああああ! やーめーてー!
その時丁度いいタイミングでエンカウント効果音が鳴り、バトル画面に切り替わる。
バトル開始時は誰かが何か一言言うものだ。
「みんな、いくよ!」
ついにこのパーティーでの初バトルだ!
でも面倒臭いから全部ダイジェストですっとばして目的地に到着していいんだよ!

12 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/25(火) 09:13:16 ID:fqFr6SZ2
>>7>>10>>11
>「そやな。俺は後方支援するわ。松本は格闘家のポジションやから
>前衛やで。遠藤はホホホイ(回復魔法)使うから後ろな。
>山ちゃんは別にどうでもええで。」
>「クウ君はもろ前衛向きだから……僕は中衛で! 山ちゃんも中衛に来る?」
私は近遠どちらも対応できるが、このメタルボディは前衛には最適だろう。
それよりも、芸人達が戦闘に対応できるか不安だ。
そう言えば、あのスタローンはどこに行ったのだ?

いざ、湖畔村へと出発した矢先に、村長の使い魔の伝書鳩がやってきて、ローゼンが報告書を書いて送った。

>うわぁあああああああああ! やーめーてー!
>「みんな、いくよ!」
私達がしばらく進んでいると悲鳴が聞こえた。
ローゼンの号令の下で、私達は現場へと向かった。
そこで見たものは、巨大な便器から上半身を出した、緑色の肌に髪が無い代わりに二本の触角を頭から生やした巨人。
その巨人が腕を伸ばして、うら若き乙女を捕まえてパンツを剥ぎ取ろうとしていた。
私は何も見なかったことにして、ローゼンに任せた。

「私は遠慮しておく。
戦闘力は計ってみれば、私達よりは下だ。
苦もなく倒せるだろう、だから、任せた」

13 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/01/25(火) 19:06:13 ID:WwGuzCb5
>そういや名乗りそびれたな。彼はジェンタイルっていうのか。オレはガッチーだ。よろしくな」

「あぁよろしく。私は……ジェンタイルからは大先輩と呼ばれているよ」

薄い微笑みと共に自己紹介を返して、影はガッチーに右手を差し出す。
けれども彼の躊躇いを察知したのか、すぐに右手は握られて、引っ込められた。

「ははは、まぁそんな怖がらないでくれ。生憎私は身分証の類は持ってないが……」

拳の姿となって引かれた右手は、言葉と共に今度は打楽器の魂を得る。
影が指を弾き快音が響いて、彼の手元に柔らかな光が灯された。

「これは遠見の光と言ってな。光の向こうに何があるのかは教えられないが……最近はプライバシー保護とかがうるさくてね。
 まぁ、見て分かるように光の秘術さ。それともこんな芸当じゃぁ、身分証の代わりにはならないかな?」

光の属性は基本的に善良なる者が、清らかな魂と高潔な意思を持つ者が扱うとされている。
光の精霊と契約しているローゼンのように善良でなければ、使えないのだ。――彼に清らかな魂や意思があるのかは、やや疑問が残るが。
ともあれ影はその力を使ってみせた。勿論、彼はお世辞にも善良とは言えない。何せ彼は、悪魔だ。
悪魔である彼が何故、光の属性を扱えるのかは――まだ、彼は語ろうとはしないだろう。

「と、まぁとにかく……頃合いかな?私達はそろそろ部屋に行くとするよ。
 もう、そろそろ明日を出迎えてもいい頃だ。彼らも追いついてくるだろう」

光の向こうに映る旅人達の姿を眺めていた影は、独り言ちる。
座ったまま眠っているジェンタイルの首後ろを右手で支えながら後ろに倒すようにして、次に膝の裏に左手を滑り込ませて影は彼を抱き上げた。
リヨナに代金の支払われた部屋に向かい、ジェンタイルを抱えたまま指を弾いてドアを開く。
部屋に入ってから振り向かずに足で蹴ってドアを閉めて、そうして影はジェンタイルをベッドに寝かせた。

「おやすみジェンタイル。あの山をたった一人で、一晩の内に超えたんだ。疲れて当然か。ゆっくり眠れ。
 ……明日以降、お前が起きるまでは多分、祭りを楽しむ事になるんじゃないかな。
 残念だなぁ。お祭りだぞ?日常ネタとギャグの宝庫じゃないか。……まぁ、仕方がないか。
 来たる時に最適の選択と行動が出来るように、お前に幸運を祈っているよ」

静かに胸を上下させて寝息を立てるジェンタイルの額に、影はそっと口付けをした。
そして、指を鳴らした。硬質で小気味いい音が弾けて――時が進む。
一日後か、二日後か、何にせよ旅人達の一行が湖畔村を訪れた頃に、祭りは開催されるだろう。

暫くは屋台だの踊りだのが続けられる事になる。
祭りの一番大切な行事、噴水の周りで聖なる存在を讃える儀式は――役者が揃ってからのお楽しみだ。


14 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/25(火) 23:41:57 ID:OnkvWPty
>>11>>12
「なんかごっつ頭痛いわ……」

ハマタは額に手を当てながら歩いていた。
持病の頭痛が再発したようだ。同時に尻にも鈍い痛みが走る。
「あかん!!この服めっちゃキツいわ。悪いけど予備に着替えるからな。」
そう言うと浜田はリュックサックと帽子、そしてラフな上下の服に着替える。
手にはモンスターボール。どう見ても某モンスターゲームの主人公である。

>うわぁあああああああああ! やーめーてー!
>その時丁度いいタイミングでエンカウント効果音が鳴り、バトル画面に切り替わる。

ローゼンの横で巨大な敵の出現に腰を抜かした山崎は、急に脇腹を押さえ始める。
そして這いずりながらローゼンの腰にしがみ付き弱弱しい声で呟いた。
「すんません、なんか脇腹がピキッて言いましたわ。折れてるかもわからへん ……」

へタレる山崎を尻目に遠藤は両頬を叩きながら軽快なリズムをその太い両足で刻み始める。
先輩のピンチを救うのが、後輩芸人の勤めなのだ。
「ザキさん!!行きますよ!!サンバのリズムを知ってるかい?
ホホホイ・ホホホイホホホイホ〜イ!!」

『既に山崎の体力は満タンだ。回復魔法は使えないぞ!』

冷めた空気と共に、虚しく踊る遠藤の真顔だけが山崎を見据えていた。
一方の松本は如意棒を振り回しながら奮戦するが巨体の敵を前にアリ以下の
活躍しか見せていなかった。
「おぉい!!浜田ぁぁ!!無理やて!!勝てるわけないやんけ!!
どう考えても無理やろぉおお!!だ、誰か男の人呼んでぇえええええ!!」

「それピカデリーのネタやん。パクんなや。」

叫ぶ松本の頭をしばきながら、浜田は前へ出る。
そして手にしていたモンスターボールを巨人の前へ投げ付ける。

「よっしゃ!!お前に決めたで!!」

”ポン”!!

モンスターボールからは上下黒の地味な服を着た眼鏡のロン毛、歳にして
50代のチビのおっさんことヘイポー(総合演出)が出現した。

「え……?な、なにここ!?こ、怖いぃいいいい!!」

巨人から逃げようとするヘイポーの頭を掴みそのまま引き摺っていく浜田。
「ええからはよやれや!!氏ね!!」
そのまま両手で持ち上げると巨人目掛け凄まじい速度で投げ付けた!!




15 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/26(水) 01:37:25 ID:Qt+pwvdB
>その……とても言い難いんですけど、それは如何なものかなーと。いや、なんて言いますか……

何かを邪推したらしい体育会系の少女に詰め寄られた。
私はジェンタイルという少年をどこかに寝かせてやろうと思っただけだったのだが、
少女の妄想力というのは一般的に水素のないところで延々核融合する太陽のような性質のもので
要するに自他共になす術はない。

さて、影のことは「大先輩」と呼べばいいらしい。
大先輩は指を鳴らして掌に光を灯してみせた。魔法使いって奴のようだ。
この世界で魔法がどのくらいの位置づけなのかは正直分からないが、
大先輩の力にはそれなりの敬意を払う必要があるのだろう。
そして、魔法使いといっても別に非力ではないらしく、
大先輩はジェンタイルを自分で抱き上げると部屋へと去っていった。

奇数…先程の少女リヨナに改めて話しかける
偶数…先程の少女リヨナにセクハラを仕掛ける

16 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/26(水) 02:34:17 ID:Qt+pwvdB
リヨナと名乗った衛士姿の少女と軽い自己紹介と挨拶を交わした後で
「リヨナちゃんはジェンタイル君の知り合いなのかい?」
ついさっきあらぬ想像で私に詰め寄ってきた事はとりあえず棚上げにして、私はごく普通の調子で聞いてみた。
衛士と言っていたから、この世界というか社会について分かるかもしれない。
「この辺には仕事でよく来るの?祭の間も仕事?」
またあらぬ警戒をされないように口調も態度もあっさり目にしてリヨナと世間話を交わそうとした。

17 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/26(水) 22:13:31 ID:VhUxI/eo
>12
「ピッコロさんこんな所で何してんの!?
確かギャルのパンティが好きなのは他のキャラだったよな!?」
まさか僕の荷物からパンツを供出して鎮めろというのか!?
そんな事をしたら一瞬にして、イケメンのくせに女のパンツを持っている変態になってしまう。
ここでモンスター知識判定に微妙に成功し、情報を思い出す。
「あいつの主な食料はパンツだ! 老若男女問わずパンツを剥ぎ取りにかかる!」
これの相手にもってこいの人がいる。パンツを最初からはいていなければ剥ぎ取られる事はない。
「クウ君、行って救出するんだ!」
>「私は遠慮しておく。
戦闘力は計ってみれば、私達よりは下だ。
苦もなく倒せるだろう、だから、任せた」
「えぇええええええええ!?」

>14
ハマちゃんが着替えた。この世界では服装を変えることでクラスが変化するのだ!
ただしクラスの表示が変わったところで、能力値や使える技までそれに合わせて変わるかどうかは別問題である。

>「すんません、なんか脇腹がピキッて言いましたわ。折れてるかもわからへん ……」
「えぇ!? 遠藤さん! 回復魔法お願い!」
>「ザキさん!!行きますよ!!サンバのリズムを知ってるかい?
ホホホイ・ホホホイホホホイホ〜イ!!」
>『既に山崎の体力は満タンだ。回復魔法は使えないぞ!』
HPのゲージを見てみると確かに満タンだ。
腰にしがみついている山ちゃんを振り払う。
「離れい! どさくさに紛れてズボン下げようとしてるんちゃう!?」

18 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/26(水) 22:15:23 ID:VhUxI/eo
まっちゃんがやけに勇猛果敢に戦っている。死んだらいけないのにすごいなあ。
……そういえば蘇生加護付いてないのを言ってなかったっけ!
速攻で付けるのが常識だろうけど、常識的なつまらない大人のような事をしていてはグレた弟分が戻ってこない。
「うちのパーティー蘇生加護付けてないから死なないように気を付けて!」
そう言うと、案の定音を上げた。
>「おぉい!!浜田ぁぁ!!無理やて!!勝てるわけないやんけ!!
どう考えても無理やろぉおお!!だ、誰か男の人呼んでぇえええええ!!」

>「よっしゃ!!お前に決めたで!!」
ハマちゃんがチビのおっさんを出した。
「あっ、この前うちに泊まりに来た”ペイポーの田舎に泊まろう”の人じゃん!」
村おこしのチャンスだから最高のもてなしをするようにという村長命令が出たのだが……。
カメラの前という事でその時は抑え込んでいた怒りが爆発した。
「てめー、よくもさんざっぱら田舎馬鹿にしくさったなっ!
何が”マンドレイクの名物ってどこでもできるだろ”だ! 狩りの途中で何回死んだと思ってんだ!
パンツ剥ぎ取られやがれ!」
『ただでさえ光の契約者の条件にスレスレなのにそんな顔しちゃダメ――!
カメラさん、今の顔は角度的に入ってないよね!?』
……はっ、超イケてる正義の味方としてはあるまじき顔をしてしまった。でも描写されてないからセーフ!

ピッコロさん(?)は、うら若き乙女を放り投げて、ペイポーのパンツを剥ぎ取り始めた。
うら若き乙女を助け起こす。おそらく次のイベントへの橋渡し役になる貴重なNPCだ!
「怖かったよね、もう大丈夫だよ」
「私は大丈夫ですけど……あの人はいいんですか?」
「あいつは田舎をバカにする極悪人だ! パンツぐらい剥ぎ取られりゃいいんだ!」
その瞬間、パアンと小気味良い音が響く。
「……え?」
頬が痛い。なぜかうら若き乙女にビンタされた! 呆然としている僕に、すごい剣幕で詰め寄ってくる。
「何があったかどうか知りませんけどダメですよ! 憎しみからは何も生まれません!
遥か古より世界を救ってきたのは愛です! 愛は世界を救う!」
涙が、零れ落ちた。痛みからではない。僕は今猛烈に感動している! 自分の憎しみも断ち切れなくて何が正義の味方だ!
「ありがとう……今全てを水に流し憎しみの連鎖を断ち切る! だああああああああああッ!」
ピッコロさんに特攻し、渾身の力で便器のレバーを押した!

お母さん、僕は今日本当の正義の味方に一歩近づきました。
『何この流れ! そういえばこのパーティーツッコミ要員いない! ボケっぱなしだ!』

19 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/27(木) 07:07:40 ID:TRv3ikYZ
>「リヨナちゃんはジェンタイル君の知り合いなのかい?」

「へ?あ、いえ違いますよ。ついさっき知り合ったばかりです」

ジェンタイルを抱えて二階へ上がっていった大先輩を敬礼で見送って、リヨナは横合いからのガッチーの問いにやや戸惑った。
戸惑いの理由は単に不意を突かれたと言うのもあるが、さっき自己紹介を済ませたばかりの相手の親しげな口調も相まっている。
とは言え特に隠し立てするような事でもないと判断して、彼女は答えを返した。

>「この辺には仕事でよく来るの?祭の間も仕事?」

「いいえー、普段は王都でお勤めしてます。こう見えても王宮守護の任に就いてるんですよ私!凄いでしょう!」

薄い胸を張って両手を腰に当てて、リヨナはふふんと得意げにふんぞり返った。

「ちなみにここにいるのは別に左遷って訳じゃなくてですね。先日、空から無数の光柱が降り注ぐ事件があったでしょう?
 あの一件で甚大な被害を受けて、自力で復興、防衛の出来ない町村に王様が私達衛士を派遣したんです」

ぴんと人差し指を立てて、彼女は情報を補足する。それから今度は腕を組んで、深い頷きと共に続きを紡ぎ出した。

「ご立派ですよねぇ。むしろ自分の身の回りを固めたって良い時なのに、
 民人の為に敢えて衛士達を放ったんです。英雄の末裔と噂されるのも納得です」

感慨深い口調で喋っていたリヨナは、けれどもふと思い出したようにガッチーに視線を戻す。

「っと、ちょっと話が逸れちゃいましたね。祭りの間は村の外で魔物討伐と行方不明の死体探し……だった筈だったんですけど。
 さっきジェンタイルさんがその子は生きてるって教えてくれたので、村の警護を同僚と交代で回しつつ、お祭りも見て回れるようになったんですよぉ」

嬉しそうな笑顔を浮かべて、彼女は続ける。

「良かったです。メルフィちゃん……ってのはその行方不明だった子の名前なんですけどね、彼女が見つかって本当に良かった」

両手の指を組んで微笑みながらリヨナはそう言って――だが不意に何かに気が付いたように表情をはっとさせた。

「……って、ついつい話し込んじゃいましたけど何か変です……。
 そう、さっきまで赤の他人だったのに、いきなりこんな親しげに話しかけてくるなんて……」

神妙な表情で右手を口元に添えて、彼女は思案を言葉にして呟く。そして直後に、面持ちに驚愕の色で染め上げた。

「はっ!まさか……これはアレですか、ナンパって奴ですか!?ジェンタイルさんを獲り逃したからって私を!?
 まさか両刀使いだったとは……なんて驚いてる場合じゃありません!もしもここで気を許したら
 祭りで人が村の中央に集まってる間に村外れに連れ込まれて乱暴されてしまうに違いありません……!
 ……それはそれでちょっとアリかもなぁとか思っちゃったりしましたけどやっぱり駄目です!
 だって乱暴だけで許してもらえる訳ありませんもん!根本まで差し込んで直に注がれちゃいますって!
 ハイライト失って虚ろな瞳であうあう言ったり延々シャワー浴び続けながら汚れちゃったよぉとか言う展開は一生涯御免ですよぉ!
 ついでに数ヶ月してから突然の吐き気にトイレに駆け込んだ後ふと乱暴された時の事がフラッシュバックして「まさか……」とか言っちゃうのもお断りです!」

本日何度目かの暴走を迎えたリヨナは、凄まじい勢いで後退りしてガッチーから距離を取る。

「え、えっと……やっぱり急な仕事が入るかも知れないのであんまり気を抜く訳にはいかないので、その……ごめんなさい!!」

盛大過ぎる勘違いを十全の状態で胸の内に保持したまま、彼女は深く勢いよく頭を下げた。

20 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/27(木) 07:08:45 ID:TRv3ikYZ
今更だけどテンプレ
名前:リヨナ・リリウム
職業:衛士
性別:女
年齢:18
身長:165
体重:××
性格:真面目、だけどバカ
外見:軽装の鎧、黒髪三つ編み
備考:被虐趣味の格闘乙女

21 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/27(木) 08:06:27 ID:YXWz2bRB
>>14>>17>>18
色々と騒がしい戦闘が終わった。
シリアス担当の私にはあの流れはついていけないな。
またあのような変な輩が襲ってきたら、芸人集団(ローゼン含む)に任せてしまおう。
しかし、あの緑色の化け物はピッコロとローゼンに名付けられていたな。
確か、クウラを倒した孫悟空と言うサイヤ人の仲間のナメック星人も、ピッコロだったような。
ナメック星人と先の化け物は特徴が若干似ていただけだが、あのナメック星人を思い出してしまうな。
私はレーダーで化け物の行方を探るが、反応は遥か東方だった。
あの便器で流れていったのだろう。
私も東方に行きたいが、あの便器で流されて行くのは、嫌だ。
便器から狸やら首領パッチの悲鳴が聞こえているが、私達は構わずに先に進んだ。

「ここが湖畔村か」
私達はあれから何事も無く、無事に湖畔村に到着した。

「メルフィよ、最初にお前の家に行くぞ。
お前のご両親に挨拶をしなくてはな。
ローゼン達もそれで良いだろう?」
私達はメルフィに引き連れられて、村を進んで行く。
それにしてもローゼンは良いとして、傭兵達の格好はなんとかならんのか?
村民からの視線が痛い。

22 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/27(木) 14:47:25 ID:FsHjoLj2
>>18
>「てめー、よくもさんざっぱら田舎馬鹿にしくさったなっ!
>何が”マンドレイクの名物ってどこでもできるだろ”だ! 狩りの途中で何回死んだと思ってんだ!
>パンツ剥ぎ取られやがれ!」

怒り狂うローゼンに追い立てられ、ヘイポーはブリーフ一枚の姿で
逃げ回る。しかし時は既に遅く、触角の生えた巨人にヘイポーは
パンツを剥ぎ取られ惨めな姿になってしまう。

「あはぁ!!やめ、やめてぇ!!い、いっ、いい……でも、ちょっと気持ちいい」

「感じとるやないか!!」
顔を歪めて股間をまさぐるヘイポーの胸板を間髪入れず浜田が巨大ハリセンで叩く。
「はぁ!!いいっ!!」
腫れ上がった胸を抑え再びヘイポーが鳴く、それと同時に。
「このド変態が!!氏ね!!」
浜田はローリングソバットをヘイポーの股間に叩き込んだ。
ヘイポーは恍惚に歪んだ顔のまま、地面へと崩れ落ちモンスターボールの中へ
消えていった。

>「ありがとう……今全てを水に流し憎しみの連鎖を断ち切る! だああああああああああッ!」

どうやらローゼンの活躍によってこの戦いは全て水に流されたようだ。
その横で、松本は息を切らせながら何とか立ち上がると山崎の頭をはたいていた。


23 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/27(木) 14:48:12 ID:FsHjoLj2
「はぁ、はっはぁ……お前ええ加減にせぇよ!!マジで、死ぬかと思ったわ。」

>「ここが湖畔村か」

「まっちゃんだ!!サイン頂戴!!」

松本は村人に向け首を横へ振りながら歩いていく。
子供が足にまとわり付いてくるが嫌そうな顔をして相手にしない。
「悪いけど、キリないから。」

山崎には村人の誰も寄り付かない。
むしろ自らサイン色紙を用意し配っている。
「山ちゃんのサインやでぇ〜!!一枚千円や!!」

遠藤はサインをしたり写真をとったり。
一番まともな対応のようだ。
「あ、そんなにあせらんでもええですよ。ちゃんとやりますから。
ん?君いい体してるね。うん、名前はツトム君だね。
あぁ、今度一緒にオイルマッサージに行かないか?」

浜田は最後尾に立ちタバコを吸ったまま歩いてきた。
「浜田ァ!!サインくれよ!!このブサイク!!」
DQNそうな若者の集団の言葉を聞いた瞬間、浜田の顔色が変わる。
振り向きざまにタバコを矢のようなスピードで若者の顔面を投げ付けると
凄まじい勢いでフライングエルボーを放った。

>「メルフィよ、最初にお前の家に行くぞ。
>お前のご両親に挨拶をしなくてはな。
>ローゼン達もそれで良いだろう?」

「まぁ、ええんちゃうか?それよりも
このガキ、ほんま礼儀ってもんを知らんなぁ。」

DQNを人間椅子にしながら浜田はサイン色紙に
”ナイナイ矢部”と書いて子供に渡していた。





24 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/27(木) 23:11:19 ID:G3vzuCoY
>22
「きゃあああああああ!」
うら若き乙女が手で顔を覆って悲鳴をあげる。ちなみに指の間に隙間が空いているのはお約束である。
「全ては水に流された!
何か物凄いおぞましいものを見たような気がしたとしても、多分気のせいだ、絶対気のせいだ!」

うら若き乙女も行き先が湖畔村だったらしく、一緒に行くことになった。

>21 >23
>「ここが湖畔村か」
「不気味なほど何事もなく着いたな……。そうか、モンスター共も僕達に恐れをなしたんだな!
でもこれっていわゆるザッピングストーリーってやつじゃん?
あっちのパーティーとの兼ね合いもあるからあんまりエンカウントが少ないとレベルが上がらなくてまずいぞ!」

「皆さんお疲れさまでした」
うら若き乙女が、自販機で青いジュースを買ってくれた。
「私、この村で聖なる存在を祀る巫女の家系なんです。
といってもそんなの昔の話で実際には年に一度のお祭りの時に台本通りにやるだけですけどねー。
名前はアクエリアスっていいます。アクアとかエリアスって略さずにエリアって略して下さい。
それでは私はこれで。お祭りは是非見に来てくださいね!」
エリアさんは去って行った。
「エリアって水の巫女みたいな名前だね。お祭りがあるんだって!」

歩いていくと、ガラの悪そうな集団がいた。
>「浜田ァ!!サインくれよ!!このブサイク!!」
「何あれ怖い!」
さっとクウ君の後ろに隠れる。
『DQNと体育会系はヲタの天敵だもんね』
すぐさまハマちゃんがDQNに鉄拳制裁を加える。
「ちょっと! やり過ぎだよ!」

>「メルフィよ、最初にお前の家に行くぞ。
お前のご両親に挨拶をしなくてはな。
ローゼン達もそれで良いだろう?」
「うん、もちろん!」

メルフィちゃんの家のドアをガチャっと開ける。
「ちわーっ! メルフィちゃんお待ちーっ!」
『蕎麦の出前かよ!』

25 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/27(木) 23:47:31 ID:YXWz2bRB
>>22-24
>「ちわーっ! メルフィちゃんお待ちーっ!」
ローゼンが遠慮も無くメルフィの家の玄関を開け、メルフィの「ただいま!」と言う声に両親が駆けつけてくる。
その顔は困惑の色を表していた。

>「まぁ、ええんちゃうか?それよりも
>このガキ、ほんま礼儀ってもんを知らんなぁ。」
困惑の原因は浜田達に有ったのだろう。
娘が帰ってきたと思えば、変なコスプレ集団と一緒にやって来て、挙げ句の果てには人を椅子にしてふんぞり返っているのだからな。

「安心して欲しい、メルフィのご両親よ。
私以外の者達はアレだが、根は悪い奴でもないし、飛び抜けてアレなので、反面教師となってメルフィには悪影響を与えないはずだ。
ローゼンよ、ご両親にメルフィの今までを話してやってくれ。
後、浜田は椅子にしている人間を解放してやってくれ。
ご両親の居心地が悪そうだ」

26 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/28(金) 15:14:16 ID:cqHGnBzU
>>24>>25
>後、浜田は椅子にしている人間を解放してやってくれ。
>ご両親の居心地が悪そうだ」

ハマタは眉間に皺を寄せながら立ち上がると、DQNを睨み付ける。
まだ怒りが収まらないようだが、松本と遠藤が押さえに掛かる。
「浜田、もうええやんけ。ほっとけや。」

「家族の人も見てますんで、今は止めといた方がええすよ。」

メルフィの両親を見た浜田はそれまでの極道のような顔を
瞬時に切り替え、愛想の良い芸人「ダウンタウンの浜ちゃん」に
変身していた。
「ま、そやな。おい、君らあんま人に呼び捨てしたらあかんでぇ〜なっはっはっ。
あ、どうも。浜田ですわ。お宅の娘さん、連れて来ましたで。」

横で松本はお茶とクッキーを呼ばれながらメルフィの家族とにこやかに
談笑していた。松本の手には家族から貰った大根やみかんがある。

「お礼?そんなんええですわ〜いや、貰えるもんは貰いますけど。
いや、ええですよ。お金なんて。いや、くれるんですか?
じゃ、しゃあないなぁ……なぁ、浜田。」

浜田は松本の頭を間髪入れず叩く。
そして松本の額に「銭ハゲ」と書かれたガムテープを貼り付けた。

「無茶苦茶欲しいんやないかい!!お前はホンマに銭ゲバやな。
いや、でもあげる言うなら貰わな失礼かなぁ。」

「浜田さんまで何言うてあるんですか……ほんまこの2人は金に汚いなぁ」

遠藤は半裸の小学生の子供(男子)とプロレスごっこをしながら
2人のやり取りを眺めていた。


27 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/29(土) 00:56:44 ID:oDXk6oAI
>25-26
クウ君に促され、両親に今までの経緯を説明する。
こういう事には僕が適任だ。なぜなら唯一コスプレでも全裸でもなくまともなファンタジーの恰好をしている。
「闇の精霊に取りつかれて徘徊していたところを保護しました。
でももうついてないので大丈夫ですよ」
両親に聞かせる分にはこれで十分だ。メルフィちゃんと目配せして微笑みあう。

「お礼ならもう貰いました。……メルフィちゃんの笑顔です!」
お礼を巡って漫才する芸人たちを尻目に、目を輝かせながら言い切った。
『胡散臭っ!』

「そうかい、ならついでと言っちゃなんなんだけどもう一つお願いを聞いてもらえるかい?」
何やらジュースタダ券とか福引タダ券をかをたくさん貰った。
「……これは?」
「メルフィと一緒にお祭りを見て回ってくれるかな?
この子がこんなに楽しそうにしてるのは初めてなんだよ」

28 :創る名無しに見る名無し:2011/01/29(土) 01:08:56 ID:NB3J08Wt
>>26
>遠藤は半裸の小学生の子供(男子)とプロレスごっこをしながら

シッコクシッコク!!

29 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/01/29(土) 03:32:05 ID:EebE0nTh
<<――力が欲しいか>>
声が聞こえる。五里霧中の暗夜行路、光果てなき向こう側から響く呼び声。
視界を覆う深い霧の中、林立する無数の影。炎のように揺らぎながら、一様に何かを掴まんと手を伸ばしていた。
<<――力が欲しいか!>>
地面から足が離れていくのを感じる。ゆっくりと宙に浮かび、故に地面をけれず動けない。
緩慢に封殺された挙動。蝕み行く白。指先が掻き取るのは闇ではなく光。
<<――ねえちょっと早く決めてよカードキャプターさくら始まっちゃうじゃん>>

「台無しだよっ!!」
がばっ起床したら夜だった。知らない天井と、知らない布団。
傍には誰もいなくて、ただ煌々と松明の灯りが闇を侵食するのみの空間。
窓があった。向こうには空があった。夜空。街あかりに食い荒らされた無窮の闇の胎動。
<<――いつまでポエマーよ?みんなのうたにでも影響されたのか>>
だからなんでさっきから執拗にNHK推し……。
<<日曜はCCさくら→忍たま乱太郎→ちびまる子ちゃん→サザエさんのアニメマラソンだった>>
そろそろCCさくらの話が通じなくなってきたりするんだよね、後輩相手だと。
ジェネレーションギャップってやつかな。やだねー歳は取りたくない。
「えっと、今どういう時間軸なんだ……?」
ガチムチハルバードのおっさんに話しかけたまでは覚えてるんだけど、そっからの記憶がスッパリ抜けている。
なんで俺、寝てんの?つーかここどこよ。大先輩どこ行ったの?あとなんか、人類的にありえない感じの女が一人……。
「もうやだ!おうちかえりたい!」
ローゼンやメタルクウラが恋しい。あいつら何やってんだろ今。無事メルフィちゃん送り届けたんかな。
ん?ていうかメルフィちゃんの故郷がここで、すなわちあいつらと目的地自体は一緒じゃん。普通に会う可能性のが高い。
やべー、出先で知り合いに会うのが小っ恥ずかしいのと同じ理論で猛烈にはずくなってきた。もう来てんのかな。
必要な情報が全部すっぽ抜けた状態でシナリオに復帰するのも不安がある。
<<――そう言うと思って汝が寝てる間にカンペを作成しておいたのだった。登場人物完全網羅である>>
マジで!たまには役に立つことするじゃん炎精霊ーっ!
さっそく俺はカンペを受け取り、その内容を熟読した。なるほどこれで事実関係はばっちりだぜ!

じぇんすれ! 第一章センター利用入試編 登場人物

・大先輩…………ローティアスの先輩。昼食は主にトイレの個室で食べる。ジェンタイルの尻を狙っている
・がっちー☆……両刀使いのガチムチ兄貴。ジェンタイルの尻を狙っている
・マゾ……………女。ジェンタイルの尻を狙っている

「おいいいいいいいいいいい!?」
おかしいおかしい!キャラ紹介雑すぎるし!途中で力尽きるならネタに走るなや!
リョナさん(うろ覚え)にいたっては頑なに言及を避けてたとこど真ん中でつつきやがって!それ言ったら駄目だろ!

俺は部屋を飛び出し、一階のロビーに降りた。
どうやら祭りの真っ只中らしき湖畔村はメインストリートに沿って屋台がたくさん出ていて、
同人誌即売会でしかお目にかかれない規模の人数が道を行き交っている。
「やー、ごめんごめん旅疲れが祟ったっぽいわ。おかげですっきり快調よ」
俺はロビーにたむろってる大先輩やガッチー(?)やリヨナさんの姿をみつけて片手を上げながら近づいた。
レベル上がっても体力回復してなかったからな。常に赤ゲージみたいな状態だった。
寝てるうちになんかいろいろやらかされたような気もするけど、気のせいだと思いたい。そうであってくれ。
「祭り、始まっちゃったな。多分これ参加しないと先に進めない系のイベントだろうし、ちょっと散策してこようぜ」
誰ともなしに、屋台への参加を誘う。

(お待たせしました。  時間軸・夜 祭りが始まってからです)

30 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/29(土) 06:59:11 ID:wPoYoS/c
>>26>>27
>「そうかい、ならついでと言っちゃなんなんだけどもう一つお願いを聞いてもらえるかい?」
>「メルフィと一緒にお祭りを見て回ってくれるかな?
>この子がこんなに楽しそうにしてるのは初めてなんだよ」

「あぁ、私達に任せてくれ。
人を楽しませることに関しては、私以外はその道の達人と言っても過言ではないからな」
私達は大量のタダ券を貰った。

「さて、お祭りは夜だったな。
それまで私はこの家で寝かせて貰おう。
用件があるなら、メタルクウラと叫べば起動する」
私はメルフィの家のソファにどっかりと座り込み、スリープモードに入った。

31 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/29(土) 11:22:49 ID:PYk0k8wp
リヨナちゃんはこの世界の事をいろいろ話してくれた。
王都があり王宮があり王と守護の衛士がいること、各地が甚大な被害を受けた事件があったこと。
魔物討伐はいいとして、行方不明の死体が生きてて云々は死生観が違うとしか言いようがない。

>「はっ!まさか……これはアレですか、ナンパって奴ですか!?

残念ながら夢見る少女の時限スイッチが作動し、脱兎モードに入る。
私の姿からすれば、むしろよくここまで話に付き合ってくれたと言うべきかもしれない。
(用心するのは悪い事じゃない…ドリームな勘違いも15年か20年後には生暖かい思い出だろう…)

翌日から私は祭を見て回った。宿の主人が噴水の件での村人の誤解を解いて村を歩けるようにしてくれたのだ。
旅人を装って物珍しげにいろいろ見て回り夜になって一度宿屋に戻ったところでジェンタイルが部屋から降りてきた。
「よ。お兄さんジェンタイルっていうんだってな。元気そうで何よりだ。申し遅れたがオレはガッチー。改めてよろしくな」

奇数…ジェンタイルの誘いに乗る
偶数…金がないのでモンスターを狩りに行く

32 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/29(土) 11:34:12 ID:PYk0k8wp
「いいね、行こう行こう」
言ってから私はリヨナの勘違いが火を吹く可能性に気付いた。
「たまには皆でわいわい歩くのも楽しそうだな。大先輩とリヨナちゃんも一緒にどうだい?」
リヨナの勘違いを止め効果は期待できないが、私は全員に声をかけ客観的に問題ない状況を作ろうとした。

33 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/01/29(土) 21:06:48 ID:MCfQjprl
>「やー、ごめんごめん旅疲れが祟ったっぽいわ。おかげですっきり快調よ」
>「祭り、始まっちゃったな。多分これ参加しないと先に進めない系のイベントだろうし、ちょっと散策してこようぜ」

「遅いぞジェンタイル。祭りは大分前に始まってしまったが……大一番の儀式はまだらしい。
 暫くは屋台を回る事も出来るだろうな。そう言えば儀式の折には、村の巫女が演舞を行うとか言ってたな」

階段を降りてくるジェンタイルを流し目で視界に捉えて、椅子に腰掛けたまま影は言った。
窓の外に視線を向けてみると、篝火に照らされて数々の屋台や人混みが見える。

「何日か遅れてしまったらしいが、どうやら無事に始められたみたいじゃないか」

窓の外を眺める両眼を細く研ぎ澄ましつつ、影が静かに呟いた。

「そう言えば例の何かが飛び込んだとか言う噴水……結局直せたのか、気になる所じゃないか。ん?」

言いながら影は何処か愉快そうに、僅かに口角を吊り上げる。

「……と、まぁそんな事はどうでもいいか。とりあえず祭りに行くとしよう」

立ち上がり、しかし直後に影の表情が変化する。
何かを思い出したと言わんばかりに。

「あぁ、そうだ。そう言えばまだ二人ほど、『昨日』にいる連中がいたな。
 置いていく訳にもいかないだろう。どれ……」

影の右手の指が打楽器の構えを取り、小気味いい快音を奏でた。
音は忽ち拡散して、一瞬後には残滓すら消え去り――伴って、時間が捻じ曲がる。

>「たまには皆でわいわい歩くのも楽しそうだな。大先輩とリヨナちゃんも一緒にどうだい?」

「やぁ、昨日ぶりだな。そして今日へようこそ。……何?言ってる意味が分からない?
 なぁに気にするな。別に分からなくても困る事じゃないさ。それより、祭りに行くんだろう?」

曖昧模糊な口振りで語った影は、続けてもう一度指を弾いた。
瞬間、彼の服装がシャツとジーンズから、黒地に薄い灰色で縦縞の刻まれた浴衣に変わる。

「さて行くか。お小遣いは持ったか?人混みで迷子になったらここに帰って来るんだぞ?
 浴衣が着たかったら用意してやるから遠慮せずに言うんだぞ、ジェンタイル。勿論対価なんて野暮は言わないさ。はっはっは」

かご巾着をくるくると振り回して、上機嫌で影は祭りへと乗り出した。

34 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/29(土) 21:31:17 ID:9Z7EA7gK
>>27>>30
どうやら夜に祭りがあるらしい。ローゼンはタダ券を大量に
貰うとメルフィと一緒に出掛ける為の準備をしていた。
>>28
ダイナマイト四国の姿になると遠藤はローションを全身に塗り始める。
嫌がる少年をローションまみれにしながら絡み合う遠藤を
無視し、浜田はテントを用意し始めた。

「浜田さん、何しますの?」

チューペットを吸いながらアホ面でこちらを見る山崎に対し
浜田はテントを組立てながら叫んだ。

「何するんですかちゃうやろ、ボケ!!夜店やないけ。
こういう時に稼がんでどないすんねん!!こん前の山で
めちゃくちゃ鉱石堀っやろ?あれ加工してあるから、それなりの値段付けて
売んねんや。お前も手伝えや。」

浜田の高圧的な目線に耐え切れず山崎は何故かチューペットを
手渡し自らテント設営作業に取り掛かり始める。
その横で浜田は目を閉じてチューペットを吸い始めた。
「わ、これごっつ甘いやん。たまらんんわ〜あ、君もやる?
いや、遠慮せんでええよ。ええがな。ほら。
やる言うてるやん。……はよ、やれぁぁああ!!」

近くにいた村娘にチューペットを無理やり勧めるドSぶりに
松本がすかさず止めに入る。
「お、おい何してんねん!?」
その両手にはレジ袋に入った大量の桃とバナナがあった。

「浜田!!あかん、あかんで!!お前それはあかんでぇ!!」

松本が村娘に多少の慰謝料(桃とバナナ)を手渡し事無きを得た。
その横では既に山崎は夜店を組み立てていた。

「あ、あかん。テント前後、逆や……」

呆けた顔でテントを見つめる山崎を、浜田と松本は左右から
蹴り飛ばした。

(夜店を立てる浜田たち。遠藤は四国の格好でプロレス中)

35 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/30(日) 02:19:18 ID:2OBF5Ih9
>「祭り、始まっちゃったな。多分これ参加しないと先に進めない系のイベントだろうし、ちょっと散策してこようぜ」

「あー!やっと起きたんですかこの穀潰しさん!貴方がさっさと起きないからお祭りに行けなかったじゃないですか!」

半日以上眠りこけていたジェンタイルが漸く起きてきたのを認めるや否や、リヨナは大声を上げた。
そのままテーブルに手を付いて、腰掛けていた椅子から勢いよく立ち上がると、一直線にジェンタイルへと詰め寄る。
顔を目鼻の先にまで近付けて胸倉を引っ掴み、リヨナは彼に詰問を開始する。

「メルフィちゃんは結局何処でどうしてるのか教えてくださいよぉ!
 何で昨日寝ちゃったんですか!ちょっと、何とか言ったらどうなんですかぁ!?」

しかと握り締めた胸倉が前後に力強く揺らされる。女とは言え武闘家の技術を修めた彼女の膂力は凄まじい物だ。
当然、貧弱な魔法使いのジェンタイルに言葉を発する余裕など与えられる訳もないのだが、リヨナの頭はそこまで回っていないようだ。
何も喋らない彼に対して憤慨して、彼女はより一層腕に力を篭める。

>「たまには皆でわいわい歩くのも楽しそうだな。大先輩とリヨナちゃんも一緒にどうだい?」

彼女の驚異的で殺人的な揺さぶりに制止を掛けたのは、ガッチーによる提案の声だった。
お祭りと言う誘惑の手にリヨナの意識は瞬く間に掠め取られ、彼女は手を止めてガッチーへと振り向く。

「そりゃ行きますよ!折角行っていいようになったんですから!
 ……いやでも、ガッチーさんと一緒と言うのはやっぱり危ない気がします……。
 でも昨晩の様子からしてガッチーさんの趣味はジェンタイルさんが一番で、次に私のようでした。
 それはそれで何だか屈辱のような気もするんですけど、ともあれいざとなったら
 ジェンタイルさんを差し出して逃げれば大丈夫ですよね。大先輩さん?も耽美な顔立ちしてますし……」

ジェンタイルを手放し右手を口元に添えながら、ぶつぶつとリヨナは巡らせている思案を呟きとして零す。

「はい、やっぱり行きます!行きますよ!……と言う訳で、さっさとメルフィちゃんの情報を教えて下さいよ」

意気揚々な声色の返事の後で、彼女はジトっと細めた視線でジェンタイルを睨んで指を突き付けた。
ジェンタイルも恐らくは答えてくれるだろう。
次喰らったら頚椎を損傷しそうな勢いの揺さぶりをもう一度受けたいと言うのなら話は別だが、彼にはそのような性癖はない筈だ。

「……なーんだ、じゃあもう帰ってきてるのかも知れませんね!ちょっと行って確認してきます!行ってきます!」

言うが早いか脱兎の如く、誰の返事も待たずしてリヨナは宿屋の扉を叩き開けて飛び出した。

「行ってきましたー!」

ついさっき外側に開かれた扉の立てる軋みが止むよりも早く、今度は内側に大きく開かれて、リヨナは帰って来た。

「やっぱり帰って来てたみたいです!もう遊びに行ってるくらいらしいです!いやぁ、これで心置きなく祭りが楽しめますよぉ!」

喜々とした調子で、結果を告げる。
彼女の喜びの根本には祭りに行けると言うのも勿論あるが、それ以上にメルフィが本当に無事だった事が大きい。
例え自分達のしていた事が無駄だったなどとは露程も考えず、彼女はただメルフィの無事を心から喜んでいた。

「ささ、行きましょう!私射的と輪投げがやりたいんですよ!」

36 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/30(日) 10:02:18 ID:ugAfOE8z
>30
>「さて、お祭りは夜だったな。
それまで私はこの家で寝かせて貰おう。
用件があるなら、メタルクウラと叫べば起動する」
「え、ちょっと!」
クウ君は寝てしまった。一瞬で寝れるなんてすごい特技だ。
「いいんだよ、娘の命の恩人なんだ。今夜はここに泊まってお行き」

>34
>「何するんですかちゃうやろ、ボケ!!夜店やないけ。
こういう時に稼がんでどないすんねん!!こん前の山で
めちゃくちゃ鉱石堀っやろ?あれ加工してあるから、それなりの値段付けて
売んねんや。お前も手伝えや。」
「出店するの? じゃあ一緒にやろう!」
クウ君がなぜか持っていた薄い本を拝借して、コンビニに持って行ってたくさんコピーした。

道中でなぜかDQNっぽい集団に取り囲まれた。
「噴水に飛び込むなんて非常識やらかした責任取ってもらおうか」
「せっかく祭りに備えて池を磨き上げ、山の湧き水に入れ替えたのに」
「こりゃあもう一度磨き上げて水を入れ替えてもらわんとな」
「ああ、今すぐにだ」
こんな人種がただたむろってるだけでも怖いのに取り囲まれる恐怖といったらない。
場所が違うやん!とかそもそも何で知ってる!いう常識的なツッコミも思いつかない。
「あ、あ、あれはのっぴきならない事情が……」
窮地に追い込まれた時、救世主が現れた。
「コラー! 旅人からかって遊ぶんじゃないです!」
「ちっ、つまんねーの!」
DQN達はあっさりと去って行った。
「エリアさん……!」
「ごめんなさいねー、噴水自体泉を利用したものだからあれはウソですよ。
そもそも噴水に飛び込んだ人もいないです。
聖なる存在をお迎えするために磨き上げる事だけは本当ですけど。
でもそんなの出てきた試しがありません。そりゃあ出てきたら大変ですよね、ハハハ」
「そうですよねー、ハハハ」
なぜだろう。
もはや“我の眠りを覚ますものは誰じゃー”とか言いながら噴水から変なのが出てくる光景しか想像できない。

そして夜が来た。傍らには浴衣を着たメルフィちゃん。
「ちなみに僕は浴衣は断固拒否する!」
『悪代官ごっこフラグだもんね……って誰も聞いてないよ!』
薄い本の販売は芸人軍団に委託してある。
お祭り必需品であるビームソード(夏祭りでよく売ってる光る棒)はすでに買った。準備万端だ。
「フォースが我らを呼んでいる! 目覚めよ、めたりゅくうら!」
『噛んだー!?』

37 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/30(日) 17:12:22 ID:u/IxuDRE
>>35>>36
>「フォースが我らを呼んでいる! 目覚めよ、めたりゅくうら!」
私は呼ばれた気がして、目を覚ました。
目の前には祭りの支度を済ましたローゼンとメルフィが立っている。
傭兵達の姿が見えないが、奴らは奴らで別行動をしているのだろう。
私は立ち上がると、目覚の一声を発した。

「お早う。よく似合っているぞ、二人共な」

私達はメルフィの家を出て、三人ではぐれないように手を繋いで夜道を歩く。
一番年下の私が真ん中だ。
歩いている途中で物凄い速く走ってきた女が私達を横切り、また私達を追い抜かしていく。
祭りの夜だからテンションが高まっているのだろう。

「ローゼン、メルフィ、私は輪投げをしたいのだが、一番年下の可愛い少年を一人にはできんよなぁ。
一緒に来てくれるか?」
私は輪投げで超能力を使い、景品をしこたまかっさらっていくつもりだ。
もしも、二人に何か欲しい物があったのならば、取ってやってもいいな。

38 :創る名無しに見る名無し:2011/01/30(日) 18:46:59 ID:u/IxuDRE
TRPGTRPGじゃないが、昔にいたコテを使わせてもらってTRPGできないかな?
参加者は全員強制でなな板のTRPGコテになりきって参加しないといけないルールで、夢の共演的なものがやりたいな。

39 : ◆QXV6kzbAYg :2011/01/30(日) 19:32:12 ID:u/IxuDRE
>>38は誤爆ですので無しでお願いします

40 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/30(日) 21:06:51 ID:RQYnwREB
>「さて行くか。お小遣いは持ったか?人混みで迷子になったらここに帰って来るんだぞ?
>「ささ、行きましょう!私射的と輪投げがやりたいんですよ!」
二人ともあっさり乗ってきたので4人で夜の祭に繰り出した。

昼間来た時は少年達が農夫チームと漁師チームに分かれて球を蹴って奪い合い
豊作か豊漁かを占うという神事が行われていて村人はその応援に夢中だったが、
今は皆屋台の灯りの中で物を買ったり卓を囲んでサイコロを振ったりと思い思いに楽しんでいるようだ。
立ち並ぶ屋台を眺めていると、

奇数…射的の屋台が目に入った。リヨナをけしかける
偶数…輪投げの屋台が目に入った。リヨナをけしかける

41 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/01/30(日) 21:38:21 ID:RQYnwREB
「お、あれ射的じゃないか?リヨナちゃん、行って王宮付きの衛士の腕前を見せてくれよ」

屋台の射的と通常の戦闘能力に相関があるかどうかは不明だが、私はリヨナに声をかけた。
その隣の屋台ではこの祭の聖なるナントカについての紙芝居が行われていて子供が数人棒付き飴をなめている。
私は一歩下がってリヨナを見守るフリをしつつ紙芝居を盗み見る事にした。

「…蛮族の生贄に指名された少女は身を清めて衣服を改め約束の時刻に広場へと向かったのじゃった。
広場では蛮族の長が屈強な戦士どもを従えて待ち構えておった。
『約束通り参りました…ですから村を出る前に、この土地に別れの挨拶をする時間を下さい』
少女の姿を見た蛮族の長は満足げに頷き、最後の願いを許したのじゃ。
そこで少女は噴水の中に跪き、祈りを捧げた。するとその時!
『我の眠りを覚ますものは誰じゃー』…」

42 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/01/30(日) 22:42:48 ID:I9U4Cvw0
>「遅いぞジェンタイル。祭りは大分前に始まってしまったが……大一番の儀式はまだらしい。
 暫くは屋台を回る事も出来るだろうな。そう言えば儀式の折には、村の巫女が演舞を行うとか言ってたな」
さっすが大先輩、清々しいまでに説明台詞。必要な情報をこれでもかとばかりに詰め込んでくれる。
>「メルフィちゃんは結局何処でどうしてるのか教えてくださいよぉ!
 何で昨日寝ちゃったんですか!ちょっと、何とか言ったらどうなんですかぁ!?」
「ぎゃーっ!?ちょっストップ、あんま近づいて来ないで!」
完全に記憶から消去していた都合の悪い思い出、その体現者にして権化たるリヨナさんが飛び込んでくる。
わーい、トラウマ再開だあ☆ 俺は逃げ出したが、案の定回りこまれた。
>「よ。お兄さんジェンタイルっていうんだってな。元気そうで何よりだ。申し遅れたがオレはガッチー。改めてよろしくな」
「おおっ、何をよろしくすんのかまだよくわかってねーけど仲良くやろうぜ!」
ていうかこれ、何の集まりなの?
ガッチー(敬称略)からはNPCの匂いがしないので、おそらく彼も湖畔村でのイベントに囚われた一人なんだろう。
フラグ不足で足止めくらってるってわけだな。
>「たまには皆でわいわい歩くのも楽しそうだな。大先輩とリヨナちゃんも一緒にどうだい?」
>「はい、やっぱり行きます!行きますよ!……と言う訳で、さっさとメルフィちゃんの情報を教えて下さいよ」
「トアルからメルフィちゃんを連れて冒険者のパーティが来てるはずだ。多分そろそろ着いてる」
距離をとりながらリヨナさんに伝えると、彼女はバっと飛び出ていって走って確認して帰ってきた。
>「ささ、行きましょう!私射的と輪投げがやりたいんですよ!」
「切り替え早ーーっ!?」
なんかこう、芸覚えたての犬を彷彿とさせる女だった。
一連の動きなんかもう河原でフリスビー取ってこさせるアレにしか見えねーもん。
>「さて行くか。お小遣いは持ったか?人混みで迷子になったらここに帰って来るんだぞ?
 浴衣が着たかったら用意してやるから遠慮せずに言うんだぞ、ジェンタイル。勿論対価なんて野暮は言わないさ。はっはっは」
「アンタもか!」
全体的に順応力高いよねこいつら。なにちゃっかり衣装まで容易してんだよ。
せっかくなので俺も大先輩に和装を見繕ってもらい(浴衣っていうか甚平だった)、早速祭りに繰り出す。
噴水の伝説とか水の精とかファンシーな逸話に則った祭りのわりには、どう見ても縁日和祭だったことについては最早何も言うまい。


>>36

「なんで夜店で薄い本売ってんだよ……」
祭りの意味がちげーよ。散策がてら夜店通りをぶらぶら歩いていたら、薄い本の屋台に出会した。
なんでも一時期流行ったジャンルの激レアコピー本の再販らしくて、ずらりと行列ができている。
同人ゴロかーここまでくると笑いが止まんねーんだろなーとか思いながら通りがかりに見てみると、
「ゲェーっ!俺とメタルクウラの濃厚な絡みを描いた薄い本!」
ローゼンが二年ぐらい前に描いたやつじゃねーか!なんでこんなとこで売ってんの!?
……と思ったら、売り子をよく見たらハマちゃんだった。あとその他芸人軍団!なんでこいつら湖畔村に?
>『やっぱり帰って来てたみたいです!もう遊びに行ってるくらいらしいです!』
不意に脳裏をよぎるリヨナさんの言葉。
あ。ローゼン達もうこっち来てるんだ。え、え、マジで?意外とニアミスしてたりする?

>「お、あれ射的じゃないか?リヨナちゃん、行って王宮付きの衛士の腕前を見せてくれよ」
ガッチーが射的に興味を持ち出したので俺は思考を無理やりそちらに向けた。
アレだな、見たくない現実は目を背けるに限る。
「射的かあ。辺境村じゃ鹿とか撃つリアル射的しかなかったんだよな」
誤射でローゼンが何回か死んだのは言うまでもない。ていうか鹿よりローゼンを狩猟してしまう率のが高いぐらいだったね。
これがホントのガールハントってか。やかましいわ。
「よっしゃ、勝負しようぜリヨナさん。都会モンにゃあ負けらんねーよ。えーと、一回100……あー、金ないんだった」
宿はどうにかなったけど、相も変わらず貧乏旅行には違いない。受験用の金に手をつけるわけにはいかないし。
「大先ぱ〜い、金貸してくださいッスよォー。あ、先んじて言っとくけど対価云々はナシの方向で」

43 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/01/31(月) 00:57:16 ID:YDGA9E1T
>37
「二人とも、僕の手を離さないで」
光る棒を腰のベルトに差し、二人に手を差し出す。年下の可愛い少年と可愛い少女で両手に花だ。
あれ? おかしいな。我ながらいつの間にか管轄範囲が広がってない? 大変だ、キャラがブレてしまう!
『大丈夫、銀色メタルボディってある意味美しいし昔は少年って男女両方指してたし今でも司法の世界では両方少年だ!
つまり少女も少年のうちなんだよ!』
なるほど、それなら"美少年大好き"という特性から何らブレてないから問題ない。……じゃなくて光精霊! お前の仕業か――!
『バレたか! 対価の不足が死活問題だったのでキャラ崩壊しない範囲でちょっと適応させてみました』
精霊契約は相性のいい相手と双方の同意で行うが、契約した後に精霊が性格などに影響を与えてくる場合もあるのだ。怖いね!

「お兄ちゃんったら、私はもう子どもじゃないのよ。
それよりメタルクウラ君がはぐれないように真ん中にしよう」
「……ごめん、そうだね。よし、そうしよう!」
メルフィちゃんに言われてクウ君を真ん中にする。
確かに子どもじゃない。どこが、とは言わないけど浴衣が着崩れてこないか心配だ!

>「ローゼン、メルフィ、私は輪投げをしたいのだが、一番年下の可愛い少年を一人にはできんよなぁ。
一緒に来てくれるか?」
「うん! 輪投げ券いっぱいあるし!」

やってきました輪投げ。
「あっ、“ドンパッチ”だ!」
ドンパッチとは僕の好きな駄菓子で、ハジケるキャンディーだ。自分でも一回やってみる。
「うりゃあ! ……おっと手が滑った」
輪はあさっての方向、具体的には射的の列が出来ている方に飛んで行った。
『これは酷い誤爆』

44 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/01/31(月) 01:54:23 ID:4i4qbkZ5
>「お、あれ射的じゃないか?リヨナちゃん、行って王宮付きの衛士の腕前を見せてくれよ」

「ほぉ、面白そうじゃないか。どれ、私も挑戦してみようかな」

不敵な笑みを浮かべながら、影は屋台に並べられていた空気銃を手に取った。

>「大先ぱ〜い、金貸してくださいッスよォー。あ、先んじて言っとくけど対価云々はナシの方向で」

「あぁいいとも。今なら特別にカラス金で貸してやろ……なんだ、つまらない奴だな。
 ちなみにカラス金と言うのは利息の付け方の事だな。十日で一割のトイチに対して、
 一日で一割の利息を課すのがカラス金だ。語源はカラスが一鳴きするような短い間に利息が生じるからだったかな。
 当然非合法だが、悪魔や悪魔のような心を持った人間はそんな事気にしない。借金なんてする物じゃないぞ、はっはっは」

完全に余談でしかない雑学をまぁいい、と締め括り、影は指を弾く。
屋台の上に忽然と硬貨が現れた。
空中から出現した硬貨は重力に従い落ちて、幾重かに重なった金属音を奏でた。

「二人分、一回ずつだ。さて……それじゃ行くぞ……!」

左目を瞑り、影は左手一本で銃を構える。
右手は屋台のオヤジには見えないように下の方で――打楽器の構えを取っていた。
そして軽快で弱っちい発射音がぽんと響いて、それを追うようにフィンガースナップの快音が弾けた。
時が止まる。

「……さて、銃の先でめぼしい景品は全部つついて……と」

再度影が指を鳴らした。時が動き出す。
景品の殆どが全くの同時に倒れて、台から落下した。

「おぉ、ラッキーな事もあるもんだ。これも日頃の行いかな。……え?何?イカサマをしただろうって?
 おいおい、『バレなければイカサマではない』って名言を知らないのか?」

影は大人気なく反論していたが、結局許されなかったらしい。
渋々と言った様子で銃を構え直すと、手堅く駄菓子やジッポ辺りを撃ち落としていた。

「ふふん、祭りの射的で大物狙いなんて常識知らずがやる事だな」

影はややキザな仕草で撃ち終えた空気銃の銃口をふっと吹く。

>『我の眠りを覚ますものは誰じゃー』…」

「へぇ、紙芝居か。この村の伝承を纏めた物か?」

景品を受け取ると、影の視線はガッチーの見ていた紙芝居の方向へと流れた。

「伝承か、RPGでは往々にして伏線になる物だな。ところで、今回は一つ作話に関係の無い話をしようか。
 聖なる存在に選ばれし者は、噴水が扉となってそれの元に行く事が出来る。この村の伝承だな。
 この村では一度も無かったと『言われている』が……これは世界的にはそんな珍しい事じゃないんだぞ」

影の紡ぐ言葉は、不自然なアクセントによって一部を強調されていた。

「別にこの世界がファンタジックだからって訳じゃぁないんだ。例えばこの世で一番有名であろう聖人だ。
 彼は一度死んだが蘇り、そして天へと召し上げられたと言われているだろう?他にも色んなパターンがあるが……それはもう少し後で語るとしよう」

語りが終わる。影の口元は、愉快そうな笑みを描いていた。

45 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/01/31(月) 09:08:09 ID:DPjkx8ym
>>43>>44
>「うん! 輪投げ券いっぱいあるし!」
私達は輪投げの出店にやって来た。
タダ券を店主に渡し、私は二つの輪を渡された。

「ふんっ!」
私は気合いを入れて一つ目の輪を投げ、超能力で輪を操り、景品に向かって投げたのだが。
「甘いわっ!!」と言う叫び声と共に店主に阻まれてしまった。
なんでも、私のような機械生命体達は正確に照準を合わせて景品を奪っていくので、店主が妨害するらしい。
店の前の注意書きにも書かれているらしい。
不敵に笑う店主を見て、私の心は燃え上がってきた。

>「うりゃあ! ……おっと手が滑った」
私と店主が睨み合いを続ける中で、後から始めたローゼンが見当違いの方向に投げてしまった。
これをチャンスと見た私は、ローゼンの飛んでいった輪投げを超能力で操ろうとし、射的をしていたであろうどや顔の先輩を見つけてしまった。
と言うことは、やはりジェンタイルもいた。
よそ見をした私を店主は好機と見たのか、私の持っている輪を奪おうと襲いかかってくる。
さすがに反則だと思うが、私は襲いかかってくる店主の顔を掴み、ジェンタイルの方に投げつけて、残り一つの輪を投げて、景品をゲット。
取った景品は、青い狸のぬいぐるみだ。
メルフィが欲しがってたからな。

46 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/31(月) 09:59:03 ID:4i4qbkZ5
>「お、あれ射的じゃないか?リヨナちゃん、行って王宮付きの衛士の腕前を見せてくれよ」

「ふぇ?……おぉ、射的ですね!何処からどう見ても射的ですね!まっかせといて下さい!
 こう見えても私、衛士隊では【無手の狙撃者】《スナップスナイプ》を自称してるんですよ!」

屋台で買ったリンゴ飴を齧っていたリヨナは、ガッチーの提案に瞳を光輝に満たして、微妙に凄くない自慢と共に胸を張った。
自身満々の表情を引き連れて大股の勇み足で、彼女は射的の屋台へと歩み寄る。
リンゴ飴を保持したまま器用に懐から財布を取り出して、一回分の料金を屋台の上にじゃらりと並べた。

>「よっしゃ、勝負しようぜリヨナさん。都会モンにゃあ負けらんねーよ。えーと、一回100……あー、金ないんだった」

「安心と信頼の穀潰しぶりですね!そして勝負ですか……!いいですよぉ、私が勝ったら綿菓子買ってもらいますからね!」

両肩回して手首を曲げ、屈伸に伸脚と万全の柔軟体操を経てからリヨナは空気銃へと手を伸ばした。
軽く掴んで持ち上げ、両手で保持し、更に銃床を肩に当てて構えてみたりと、念入りに銃の感触を体に染み込ませている。
照門と照星を通し、弾丸に先んじて景品を射抜く眼光は何処までも鋭利で、普段の阿呆っぷりが完全に除去されていた。

「ふふ……田舎のお山の大将に、王都の……科学に基づいた射撃って物を見せてあげますよ!」

峻烈な意気を秘めた宣言と同時、リヨナは一歩、鋭く後方へと飛び退いた。
だが保持する銃身には一切のブレを生じさせない。秘めたる気迫を全身から微かに漏出させて、彼女はまず口を開く。

「……おじさん、退いておいた方がいいですよ。狙いはそこのクマのヌイグルミです。当たったら……痛いですから」

「オイオイ嬢ちゃん、空気銃だぜ?悪ガキ共にゃふざけて俺を撃ってくる奴もいる。
 自慢じゃねえが、撃たれるのには慣れてるよ。……ま、狙うってんなら勿論退くがね」

「ありがとうございます。……そう言えば、『祭りの射的で大物狙いは常識知らず』……でしたっけ?」

真剣さを保っていた彼女の面持ちに、微かに不敵な笑みが滲む。

「その前言、撤回させてあげますよ」


47 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/01/31(月) 10:00:20 ID:4i4qbkZ5
言葉を紡ぎ終えたリヨナは、両膝を曲げて腰を落とした。
深く息を吸って、必要な分だけを全身に巡らせた後で、余計な空気をゆっくりと吐き出す。

「慣性の法則ってご存知ですか?走行する車の中でボールを落としても、ボールは自分の足元に落ちるってアレです。
 この空気銃、弾速は然程ありませんが……それでも例えば、銃身が高速移動していたのならッ!!」

自らの咆哮を追って、彼女は地面を蹴った。抉れた地面の粉塵を背に、彼女は超速の一歩を踏み出す。

「破ッ!!」

裂帛の気合と共に、銃を槍の要領で突き出した。
同時に引き金が引かれる。
彼女の膂力に背を押され、弾丸は本来あり得ない速度で放たれた。
銃口からヌイグルミまでの距離を一瞬で渡り、弾丸は直撃を果たす。
落ちたと言うよりも吹っ飛んだと言った方が正確であろう軌道で、ヌイグルミは台上からの退場を強いられた。

「……力加減を間違えましたか。ヌイグルミ、ちょっと焦げちゃいましたね」

ヌイグルミの腹部は弾丸によって微かに焦げ付き、薄い煙を立ち上らせている。

「どうです!見ましたか!?見ましたよね!?これが科学的な射撃ってモンですよ!」

射的屋のおっちゃんやギャラリーの唖然とした表情には微塵も気付かないまま、リヨナは銃を肩に乗せ、ドヤ顔でふふんと笑った。

「さーて、残りの弾も撃っちゃいましょうか」

彼女が屋台に向き直ると同時にびくついて体を逃したおっちゃんに首を傾げつつも、リヨナは再度銃を構え――

>「うりゃあ! ……おっと手が滑った」

「……ッ!」

――視界の外から接近する何かに対して、咄嗟に体を向け直した。来訪者の正体は、危険度など皆無である輪投げの輪だ。
しかし回転しているそれは暗器、チャクラム等にも見える。何よりも彼女の動作は反射的な物で、故に中断はあり得ない。
リヨナは接近する輪の中央を銃身で捉えて制止、更に投擲した者を人混みから即座に見抜く。
そして次の瞬間には、痛烈な射撃を放っていた。



48 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/01/31(月) 22:32:47 ID:tuJDdDdB
「うわ、これモロやんけ。えげつな。」

露天を出しているサルマタ姿の店主、浜田はローゼンから任せられた
「薄い本」の内容に驚愕していた。
その横では遠藤は乳首を弄りながら薄い本を眺めている。
瞬きもしない、真顔で。
遠藤は心の中で絶叫を続けていた。

(北斗の拳のケンシロウと、藤岡弘、の絡み本か……なんて濃厚なんだ。
あぁ、いいぞ。いいぞ、たまらないじゃないか。
……なに?今度は藤岡さんが攻めるのか?そんなにもか?
いいのか?仮面ライダーが、そんな卑猥な事を!?)

遠藤が天へ向け自らを解放している最中、松本は面倒臭そうな顔で
売り子をしていた。

「なぁ、俺らも露天行こうやぁ。大体なんで俺らがこんな
○モ本売らなあかんねん!!俺は性に対しては淡白なんやし
向いてへんわ……」

浜田はそれを聞きつけるなり松本の顔面へ向け、如意棒大きく振りかぶる。
「ええからはよ売れや!!このハゲ!!映画の赤字ここで取り戻さんとあかんやろがぁ!!」

響きの良い打撃音が空に上がったかと思うと、松本の鼻から
大量の鼻血が噴出した。

「映画の事は……言うなや。」

その頃、山崎は板尾に金をせびられていた。
板尾とは、この村役場で露天の管理をしている役人である。
「本来なら10万ですけど、まぁしゃないですし
僕の権限で5万でええですよ。今、払うなら5万で。
どうしても言うなら警察呼びますよ。」

「ええ?ちょ……聞いてへんがな。あの子ゴリラ(浜田)、
場所代払ってなかったんかいな。
まぁ、後で返して貰えるやろ。じゃ、はい。
カードで払いますんで、お願いします。」

「カード、ですね。はい、じゃ少しまってください。
カードを嫁に頼んで通してきますんで。僕の権限で。」

カードを板尾に渡す山崎。しかし、板尾は一行に帰ってくることはなかった。


49 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/01/31(月) 23:45:49 ID:dHIFAtie
>「ふぇ?……おぉ、射的ですね!何処からどう見ても射的ですね!まっかせといて下さい!
 こう見えても私、衛士隊では【無手の狙撃者】《スナップスナイプ》を自称してるんですよ!」
「ぶっ!」
思わずラムネを吹き出しそうになった。そのルビの付け方は一昔のラノベを彷彿とさせる。
って自称かよ。いや、他称だったらそれはそれでどうなってんだ衛士隊って話だけど!
>「二人分、一回ずつだ。さて……それじゃ行くぞ……!」
大先輩は俺の分も含めた料金を支払い空気銃を受け取る。
ライフル片手持ちというこれまたレトロなセンスの構えで、満を持しての指パッチン。
瞬きひとつする間に景品の殆どが倒れた。ドリフのコントみたいな光景だった。
>「ふふ……田舎のお山の大将に、王都の……科学に基づいた射撃って物を見せてあげますよ!」
リヨナさんが空気銃を牙突みたいな構えで的に向ける。そのまま神速の突き一閃!
同時に放たれた弾丸は人類的にありえない速度でくまのヌイグルミにぶち当たる。押し込んで、押し出した。
>「どうです!見ましたか!?見ましたよね!?これが科学的な射撃ってモンですよ!」
「かがくぅぅぅぅぅぅ!?」
技術の出自を詐称すんなや!科学ってのは誰でも再現可能な現象を起こす理論体系のことを言うんだよね!
アンタのそれは百億万歩譲ったって人類には不可能だよ!感謝の正拳突きで音を置き去りにするのと同じぐらい!

>>43
>>45

「あっ」
なんか輪投げの方から誤爆してきた輪っかに過剰反応したリヨナさんが振り向きざまに空気銃の引き金を引く。
またしても突きの加速を得たコルク弾はマッハもかくやの速度で飛び、道行くの中へとぶち込まれる。
「わーっ!何やってんのリヨナさん馬鹿じゃねーのこれ馬鹿じゃねーの!虫みてーな脳みそしてんなアンタ!」
いやいや、野生か。あんま脊髄に頼りすぎんなよ!ちゃんと脳味噌稼動させとかないと大事なときに錆びるぞ!
「ガッチー、ケガ人がいたら運ばなきゃだからついてきてくれ」
ともあれ俺は事後処理のために弾の軌跡を追って人ごみを縫う。その先へ向かう。
「すいませーん連れが馬鹿やらかしましてお怪我はありませんかぁーっ?」
ひとだかりに阻まれて見えないその向こうへ、謝罪と被害確認の声をかけた。

50 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/01(火) 00:17:58 ID:whLpGql7
>47
「ほわぁああああああああああああ!!」
突如吹っ飛ばされる。そして向かい側の屋台に突っ込んだ。
そして積み重ねられていた本の山が崩れ、薄い本に埋もれる。
覗き込む人たちの驚愕の表情には、心配というより歓喜が多分に含まれている。
「あなたはもしや薔薇乙男様……!?」
「それが噂の死にパフォーマンスね!」
突っ込んだ向かい側の屋台は、偶然にも腐女子グループの薄い本の店だった!
目の前に転がっている凶器はどう見ても射的の弾丸。
「せっかくだから血でサイン書いてください!」
と、容赦なくジェン君とクウ君出演の薄い本を差し出してくる腐女子。

ちなみに、この薄い本は、クウ君が不調を訴えてジェン君が頑張って修理するという美しい友愛の物語だったりする。
ジェン君が滑りが悪いと言っては油を差したりキツいと言いながら部品をねじ込んだり
もっと壊されるんじゃないかと気が気でないクウ君が「らめええええ!壊れちゃう!」と言ったりするという実に地味な話である。
機械生命体の機構がよく分からないため終始その部分を映さないアングルを徹底したところ
爆発的に妄想をかきたてるという事でなぜか腐女子に大ウケした。

って、そんな解説をしている場合ではない。つまり文字が書けるほどすごい勢いで流血しているという事だ。
そう言われてみれば額から血がすごい勢いで流れている。こんなのは気付く前まで平気でも気付いてしまったらもう駄目だ。
「ぎゃああああああああ! 痛い痛い! 血が! 死ぬ死ぬ死んじゃう!! 神官か僧侶か牧師かお坊さん呼んで!」
自分が回復魔法を使えるのも忘れて形振り構わず騒ぎまくる。
もちろん神官や僧侶は「医者はいらっしゃいませんか」と同じ意味で、葬式の準備をしろと言ってるわけではない。

51 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/01(火) 09:19:22 ID:tbFhgoVN
>>49>>50
ちっ!店主の親父め!華麗に着地して戻ってくるとは。
しかし、景品は手に入れさせて貰った。
今回は私の勝ちだ。
私は悔しそうに渡す店主から景品を受け取ると、メルフィに渡す。

「お前の為に取ってやった」

>「ほわぁああああああああああああ!!」
ローゼンが隣の屋台に吹っ飛んだ。
隣の屋台は崩れ、ローゼンは頭から血を流している。

>「すいませーん連れが馬鹿やらかしましてお怪我はありませんかぁーっ?」
この声は、ジェンタイル!
奴の仲間が私達を襲ったのか?
まぁ、ジェンタイルの口調から仲間が事故を起こした風にも感じられるが。
それよりも私は、奴が世界を変えると言っておきながら、ここで遊んでいることが許せん。
しかも、仲間など勝手に作りおって。
少し、お仕置きしてやらないとな。
店主の親父、目薬を持ってるな借りるぞ。
よし、ジェンタイル達が人混みから出てこっちに来たな。
少年らしく振る舞ってやるか。

「酷い、酷いよ!ジェン君!
僕達を捨てたくせに他の男なんて作って!
僕達を汚した癖にちゃんと責任取ってよ!」
私は潤ませた目でそう言って、ジェンタイルにフルパワーのハグをして、奴の口に舌をぶち込んでやった。

52 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/02(水) 00:03:43 ID:oF8qXa1C
>「ガッチー、ケガ人がいたら運ばなきゃだからついてきてくれ」

紙芝居がクライマックスかというあたりで私はジェンタイルに呼ばれた。

>「ぎゃああああああああ! 痛い痛い! 血が! 死ぬ死ぬ死んじゃう!! 神官か僧侶か牧師かお坊さん呼んで!」

人混みを押しのけてジェンタイルに道を作ってやった先では、
屋台からこぼれた薄い本に埋もれて少年が元気良く雄叫びをあげていた。

奇数…怪我をした少年を問答無用で抱き上げる
偶数…落ち着いて少年の様子を見る

53 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/02(水) 00:35:25 ID:oF8qXa1C
「おいっ、大丈夫か!」
私は返事を待たずに少年を薄い本の中から抱き起こした。
額から血が流れている。
(これは…)
「ハンカチ使うぞ」
私は形式ばかりの許可を求めると同時に少年のポケットを漁ってハンカチを探し出し、
目の近くだけを拭ってから畳み直して額に当てた。
咄嗟に自分のシャツを破いて使うのに比べると絵的な見栄えは落ちるが衛生的なリスクが優先だ。
「で、ここ自分で押さえてな」
少年の手を軽く持って額に誘導し、ハンカチを押さえさせた。
(倒れてた間に流れた血が乾いて後頭部の髪がバキバキになるぞ…)
未来をささやかに幻視しながら、私は少年をお姫様だっこで抱き上げた。
私の体格は少年を抱き上げても全く行動の負担にならないようだ。

「すみませーん、神官か僧侶か牧師かお坊さんはいませんかー」

不特定多数に呼びかけながら人の間を適当に走ってみることにした。
この世界の神官か僧侶か牧師かお坊さんを私が見分けられるかどうかは分からないが
治療する気のある人ならこうやって走っていれば名乗り出てくれるとか
気のいいオバチャンが神殿や寺や教会の場所を教えてくれるとかしそうなものだ。
それほど大きくない村なので走り尽くして元の場所に戻る方が早いかもしれないが。

私はいつのまにかジェンタイルとはぐれてしまっていた事にも気付かず
もちろんジェンタイルが誰か知り合いに会ったらしい事も知らずに走っていた。

54 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/02(水) 01:44:23 ID:WyPyM0ic
>51-53
薄い本の登場人物本人達の登場に加え、大サービスシーンの披露に、腐女子が狂嬉乱舞する。
>「酷い、酷いよ!ジェン君!
僕達を捨てたくせに他の男なんて作って!
僕達を汚した癖にちゃんと責任取ってよ!」
「そうだよ! ジェン君がいなかったら誰がツッコむのさ!
仕方ないからクウ君と慣れないツッコミしあってるよ!」
「ツッコむ!? しかも三角関係!?」
ツッコミ役が不足していると言っただけなのにまた腐女子が反応してしまった。
どうでもいいけど三人共がどの組み合わせでも仲がいい場合って三角関係って言うんだろうか。

>「おいっ、大丈夫か!」
「ジェン君……?」
血が入ったらいけないから目を閉じているけどここは流れ的にジェン君だな!
>「ハンカチ使うぞ」
手を取って額に誘導される。
>「で、ここ自分で押さえてな」
そしてお姫様抱っこされた。これは美味しい!
>「すみませーん、神官か僧侶か牧師かお坊さんはいませんかー」
ほどなくしてその必要はなくなった。
対価が十分に供給された事によって回復魔法が無意識のうちに発動したのだ。
頃合いを見計らって目を開ける。
「ありがとう、もう大丈夫だよ、ジェンく…ん!?」
ジェン君、いつの間にそんなにたくましくなっちゃったの!?
じゃなくてどう見てもガチムチ☆アニキです、本当にありがとうございました。
この場合兄貴ではなく”アニキ”とカタカナで表記するのがポイント。
道理でジェン君にしては声が低いと思ったんだよなー。
よく考えるとBMI指数から言ってヒョロヒョロのジェン君に、お姫様抱っこした上走り回るなんて芸当が出来る訳がない。
別に僕が重いわけじゃないよ!
牧師め、防具外すのを拒否してそのまま体重計に乗ったら容赦なくそのまま公式設定にしやがって。

ぴょんっと地面に降りる。
「僕はローゼンっていいます。生き別れの妹を捜しつつ世界を救う旅やってます。
ジェン君がお世話になってるみたいですね。
世界を変えると言って飛び出して別パーティー結成してしまったバカな子ですけど
どうかよろしくお願いします!」

55 :明智左馬介 ◆ydC6fTPE06 :2011/02/02(水) 16:00:15 ID:BWgf5dpl
「左馬介、この村で一休みしようよ。」

村の入り口に1人の男がやって来た。
周囲の村人達はその奇妙な姿を食い入るように見つめている。
赤色の見た事も無いような鎧に、鎖帷子を纏う長髪の男。
極東で有名なサムライと呼ばれているその者の名は、明智左馬介秀満。
かつて極東を支配しようとした幻魔と戦った武者である。

左馬介の肩の辺りを舞うのはからす天狗の一族、阿児だ。
阿児は出店のいい匂いに誘われながらクルクルと周囲を回っていく。
「へぇ〜この国には色んな食べ物があるんだね!!左馬介、なんか
食べようよ〜」

阿児に誘われるように左馬介が出店のりんご飴を手にする。
ふと右腕の鬼の籠手を見つめる。鬼の籠手とはかつて左馬介が
幻魔と戦った時に鬼の一族から受け継いだ封印の力を持つ装具なのだ。

その籠手の中央に据えられた青い宝玉から闇が見える。
左馬介はりんご飴を阿児に渡すとその闇が、この村から発せられているのを
確かに感じた。

「この村から感じる邪気だな。一体この村に何が…?」

左馬介は大声で話す一団>>53>>54を見ながら
思案した。

56 :明智左馬介 ◆ydC6fTPE06 :2011/02/02(水) 16:01:58 ID:BWgf5dpl
(皆さん、宜しくお願いします!)
プロフィール

名前: 明智左馬介(あけち さまのすけ)
職業: 武士
性別: 男
年齢: 40歳
身長: 185
体重: 75
性格: 冷静
外見:肩まである長髪、赤色の鎧に鎖帷子、2本の刀
備考:極東の国にいるという侍の1人。右腕に携えた鬼の籠手の力で
数々の魔物を倒してきた。

57 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/02(水) 16:45:48 ID:6UaY6Ckb
>「酷い、酷いよ!ジェン君!
>僕達を捨てたくせに他の男なんて作って!
>僕達を汚した癖にちゃんと責任取ってよ!」

「ふん……未練がましいなぁ?未就学のお子ちゃまの分際で……!」

ジェンタイルとメタルクウラの口付けに、影は若干の苛立ちが滲んだ笑みを浮かべていた。
けれどもすぐに、枯れの表情に余裕が舞い戻る。

「悪いが私は、もうジェンタイルと同じ寝室で一晩を過ごしたんだ。
 なに?幼馴染みなんだからその程度なら自分だってした事があるって?はっはっは、分かってないなぁ……!」

手の平を顔に被せて、指の隙間から悪辣な笑いを覗かせて、影は続ける。

「お前達が長い月日を掛けて築いた関係に、私はたった一晩で追いついたのさ。
 分かるか?お前達はもう、ジェンタイルにとって『過去』でしかない!
 ジェンタイルの『現在』《いま》は最早私の物なんだよ!」

勢いのままに宣言すると同時、指が弾かれた。
快音が放射状に拡散して、時の止まった世界を残していく。

「……とまぁノリノリで反論してみたのはいいが」

地面に散乱した薄い本を一冊手に取って、影は中身に目を通す。

「なかなか面白いじゃないか、これ。一冊貰っておこうかな。
 あとでジェンタイルをからかうのに使っても良さそうだ」

影が拾った本をこっそりとシャツの中に仕舞い込んだ。
一応代金は店主の手に握らせて払ったらしい。

「RPGの世界で万引きは禁物だからな。「しんでもらう!」とか言って問答無用で殺されかねん」

さて、と閑話休題を設けて、影はメタルクウラに歩み寄った。
そして指先から濃い墨汁のような影を零れさせて、金属の腹に落書きをする。

「『ご自由にお持ち帰り下さい』……っと。これでよし」

指が再び鳴らされた。時が動き出す。

「大丈夫だったか?ジェンタイル」

普段よりも格段に真面目な声色で、影は尋ねた。
そのままの口調に真剣な眼差しを加えて、更に言葉を重ねる。

「乱暴にされて感じちゃったなんて展開も私としてはアリだから隠さなくても大丈夫だからな、安心するんだぞ」

58 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/02(水) 23:12:17 ID:oF8qXa1C
>「ありがとう、もう大丈夫だよ、ジェンく…ん!?」

しばらく村を走っていたところ、少年が目を開けて私の腕から飛び降りた。
もともと元気良く叫んでいられる程度の怪我ではあったのだが、傷跡まですっかりなくなっている。
(…高速再生する吸血鬼か何かか?)

>「僕はローゼンっていいます。生き別れの妹を捜しつつ世界を救う旅やってます。
>ジェン君がお世話になってるみたいですね。
>世界を変えると言って飛び出して別パーティー結成してしまったバカな子ですけど
>どうかよろしくお願いします!」

ローゼン君は簡潔に説明してくれた。私は

奇数…自分については多くを語らずこの世界の情報を聞き出そうとする
偶数…自己紹介のついでに自分の目的を喋ってしまう

59 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/02(水) 23:15:17 ID:6UaY6Ckb
>「わーっ!何やってんのリヨナさん馬鹿じゃねーのこれ馬鹿じゃねーの!虫みてーな脳みそしてんなアンタ!」

「へ?……あ、あぁ!?つ、つい反射的にやっちゃいました!でも馬鹿って何ですか!ちょっと待って下さいよ!」

弾丸の旅立った先の確認に向かうジェンタイルの後ろを、憤慨しながら拳を振り回してリヨナが追随する。

「いいんですか!?ここで貴方を恥じらい混じりにぶん殴って世間一般への人気取りに走ってもいいんですよ!
 別に特殊な性癖なんか持ってなくて単に純朴で特殊な性癖なんか一切持ってない理不尽暴力キャラとして定着しちゃいますよ!?」

最高級に頭の悪い脅し文句を垂れ流しながら、けれども撃ってしまった誰かへの処置と謝罪はしなければと、リヨナは人混みを掻き分ける。
錯乱を窮めた悲鳴を辿って、彼女は腰の革袋から薬草を取り出しつつ、治療をするべく被害者の傍に屈み込んだ。
と、直後に青年の体が宙に浮いた――否、ガッチーが神官や僧侶の類を探す為に彼を持ち上げたらしい。そのままガッチーは青年を抱えて走り出す。

>「すみませーん、神官か僧侶か牧師かお坊さんはいませんかー」

「ちょ……待って下さい!待って下さいってばぁ!」

走り回るガッチーを追いかけて、リヨナもまた駆け出した。
けれども祭りの人混みの中を走破する分にはガッチーの巨躯に軍配が上がり、彼女は中々追い付けない。
暫く走り回ってようやく、青年がガッチーの腕から飛び降りる事で、リヨナは二人の傍にまで近寄る事が出来た。

>「僕はローゼンっていいます。生き別れの妹を捜しつつ世界を救う旅やってます。

「あぁ、やっと止まってくれましたね。先程はすいませんでした!
 治療費や慰謝料が必要でしたらどうぞ私個人じゃなくて衛士隊の方に請求して下さいね!」

立ち止まったガッチーに追い付いて、彼の腕から降りた青年にリヨナは歩み寄る。
しれっと自分の財布を完全防備する姿勢を発言から垣間見せて、彼女は怪我がどの程度の物かを確かめるべく青年の顔を覗き込み、

(……あ、カッコイイかも)

彼の顔立ちを認めるや否や、呆けた表情を浮かべて硬直した。

(え、いや、ちょっとヤバいくらいカッコイイですよ!?まつ毛長いし肌白くて綺麗だし!
 何より超イケメンじゃないですか!身長も私よりちょっと高めで……正直ドストライクですよ!?)

60 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/02(水) 23:16:26 ID:6UaY6Ckb
体は依然として凍り付いたまま、しかしリヨナの思考は高速で回転して尚止まらず、暴走へと到達する。

(このチャンス、逃す手はありません!……あれ?でもこう言う時って何を言ったらいいんですかね。
 ……さっぱり分かりませんよどうしましょう!?あぁでも黙ってたら変だし何か言わなきゃですよね!?)

しかし根本的に残念な出来具合のリヨナの頭では、暴走した思考に全くと言っていい程付いて行けなかった。

「えっと!あの、その……」

故に完全に勢い任せの状態で、彼女は喋り出す。

「私の……私のご主人様になって下さい!!」

前のめりな体勢からの、威勢抜群の宣言。
そして、暫しの沈黙が場を包む。

「……あ、あぁああ!?違います!今のは無しで!無しの方向でお願いします!」

ややあってから自分の発言が限りなく爆弾と同義語であったと理解したらしい。。
リヨナはものの見事に赤面して目を見開き、慌ただしく両手を空中で煩雑に振り回して、しどろもどろになりながら前言撤回を図っている。

「えっと……そう、名前です!お名前はなんて言うんですか!?あ、あと、その……」

頬の赤みを微かに深めて、振り絞るようにして彼女は続けた。

「もし良かったら……お祭り、一緒に回りませんか?
 いえ、もう最後の演舞くらいしか残ってないかも知れませんけど!
 それだけでもいいんです!一緒に……お嫌ですか?」

【かぶっちゃいましたね。時系列は良いようにしてしまって下さい】

61 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/03(木) 00:13:20 ID:DpOcG62Y
「オレはガッチー。よろしくな」
愛想良く気の利かない挨拶を返しておいて私は世間話がてらローゼンにいろいろ訊ねてみた。
「世界を救う旅って、王様に頼まれたとかクリスタルに選ばれたとかって奴?
この村はこうして祭の最中だけど実は魔王の軍勢が迫ってたりするのか?」
「ジェンタイル君って世界を変える気なのか…正直あまりそんな風には見えなかったが
彼はやる時はやるってタイプ?」

決して過去ログを読んでいない訳ではなく、
私はこの世界の事をもっと知りたいのだ…仕組みがどうなっていてどうすれば“壊す”ことができるのかを。

>「私の……私のご主人様になって下さい!!」

しかしリヨナの突撃によって追加情報収集タイムは打ち切られてしまった。
「ひゅう」
私は古典的に短く冷やかしの口笛を吹き、一歩下がって肩をすくめてみせた。
「オレは先に演舞のところに行ってるよ。ごゆっくり」

歩きかけたところで黒い翼の小妖精とごつい武装のサムライ>>55の姿が目に入った。
ローゼンを抱えて走っていた時には見た覚えが無いので、村に着いたばかりかもしれない。
よく見ると小妖精は身の丈に対して巨大過ぎるりんご飴を握って必死でホバリングしているようだった。
(ぷっ…かわいい…)
好奇心に負けた私はずかずかと小妖精に近付いていった。

62 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/03(木) 03:08:42 ID:UzsZIU4j
>58-61
>「あぁ、やっと止まってくれましたね。先程はすいませんでした!
 治療費や慰謝料が必要でしたらどうぞ私個人じゃなくて衛士隊の方に請求して下さいね!」
この三つ編み少女があの射撃を!? 人は見かけによらないものだ。
「衛士!? 国家公務員じゃん、すごいな! もう治ったから大丈夫だよ、気にしないで」
前髪を上げて額を見せる。
騎士とか従士とか衛士といえばニートの次に世界を救う英雄を輩出する率が高い職業でもある。
違いはよく分からないがとりあえず全部王都勤務の体育会系の国家公務員らしい。
村役場職員とかが世界を救った話なんて皆目聞いたことが無い。
>「オレはガッチー。よろしくな」
彼の通称はガチさんに決定しよう。
>「世界を救う旅って、王様に頼まれたとかクリスタルに選ばれたとかって奴?
この村はこうして祭の最中だけど実は魔王の軍勢が迫ってたりするのか?」
「惜しい! 一応王様じゃなくて村長の命令受けた形になってるかなあ。
だって騎士とか従士とか衛士じゃなくて村役場職員だもん。
なぜか元々光の精霊が憑いてて”光の宝玉”とか言ってたっけ。
でもただの村人だよ。普通と違うのは橋の下で拾われた事ぐらいで。
ちなみに普通は一般人はキャベツ畑で収穫して、将来国家の未来を担うような人はコウノトリが連れてきて
伝説に名を刻むような人は竹や桃から生まれるから豆知識ね。橋の下は拾いっ子ってこと。
この世界の魔の勢力は軍勢作って攻めてくるなんてわかりやすい事をしないんだ。
気付かれないようにひっそり勢力拡大してる。辺境の村にまで潜り込んでたんだ!
すでにこの前世界が1回滅びかけたんだ、下手すりゃ週1ペースで世界の危機が来るかもしれない!
大先輩いるだろ大先輩。アイツああ見えて悪魔だから! 純然たる闇の勢力だから騙されないで!
序章のボスの裏で手を引いてた級のガチで悪い奴だから!」


63 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/03(木) 03:09:42 ID:UzsZIU4j
>「ジェンタイル君って世界を変える気なのか…正直あまりそんな風には見えなかったが
彼はやる時はやるってタイプ?」
「やる時にはやるっていうか敵に回すとウザい事この上ないなあ。
ワルに憧れるお年頃で大先輩にホイホイ付いていっちゃった。
死人が生き返るのが気に入らないとか訳わかんない事言い出して止めても聞く耳持たないっていうか!
変えても今より良くなる保証なんてないのにね。
もし死人が生き返らない世界だったら殺人はなくなるのかな? みんな命を大事にするようになると思う?
もしそうならなかったりしたら……本当に酷い事にならない? 憎しみの連鎖を断ち切れなくなる……」
話が収集つかなくなりそうだったので、サクッとまとめる。
「とにかくこっちは世界を救う旅で向こうは世界を変える旅で敵同士ってわけ!
僕は今までに数えきれないぐらい死んでる。彼の望む世界では生きてちゃいけないんだ。
はっ、こんな所にも宿命のライバルフラグが仕込まれてたのか……!」

>「私の……私のご主人様になって下さい!!」
その言葉の意味を暫し考える。
>「ひゅう」
>「オレは先に演舞のところに行ってるよ。ごゆっくり」
ガチさんは先に行ってしまった。
ご主人様と言っても様々な意味がある。召使に対してのマスターだったりペットに対しての飼い主だったり。
でも彼女は動物キャラでもなさそうだしメイド服も着ていない。
「……アレか、作戦”めいれいさせろ”固定でのパーティー加入希望でいいのかな!?
困ったなあ、うちのパーティーの作戦リストに“めいれいさせろ”は無いんだ!」
>「……あ、あぁああ!?違います!今のは無しで!無しの方向でお願いします!」
>「えっと……そう、名前です!お名前はなんて言うんですか!?あ、あと、その……」
本当に恐縮して焦っているようで可哀想になってくる。そしてその様子が可愛い。
「ローゼン、本当にもう大丈夫だから!」

>「もし良かったら……お祭り、一緒に回りませんか?
 いえ、もう最後の演舞くらいしか残ってないかも知れませんけど!
 それだけでもいいんです!一緒に……お嫌ですか?」
「嫌なわけないでしょ? 君とは気が合いそうな感じがする!」
体育会系だけどどこか自分と同じ属性を持ってるような気がして親近感を感じる。ちなみに僕はインテリ系だ。
いい機会だ、大先輩とよろしくやってるジェン君へのお仕置き兼ねてパーティーメンバーを奪ってやる!
時代は生意気で手におえないツンデレより健気で一途な素直デレだ!
「行こう! 君の事は何て呼べばいい?」
少女に手を差し出す。

64 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/03(木) 04:41:40 ID:icJHWWyi
>>50>>51>>52>>57

>「酷い、酷いよ!ジェン君!僕達を捨てたくせに他の男なんて作って!
 僕達を汚した癖にちゃんと責任取ってよ!」
焦がした砂糖に黒蜜をぶち込んだような甘ったるい嬌声を挙げながら、人ごみから人影が飛び出してきた。
出現したのは鋼の巨体。津波のように眼前を覆い尽くした体躯は真っ直ぐ俺の胸へとダイブして絡みついた。
えーと……これ描写しなきゃいけないのん?マジで?巨人は凄まじい勢いでべろちゅうしてきた。
「っぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!????」
何が何だかわからなかった。状況を把握してから、わからないほうが幸せだったと気付いた。
こいつメタルクウラだ!メタルクウラが俺にマウストゥマウスで舌を入れくさってやがる!
ようやく解放されて地に伏せったときに一瞬垣間見たメタルクウラの奴のドヤ顔は忘れねー。
こいつ絶対いつか倒す。
>「悪いが私は、もうジェンタイルと同じ寝室で一晩を過ごしたんだ。
 なに?幼馴染みなんだからその程度なら自分だってした事があるって?はっはっは、分かってないなぁ……!」
「何対抗心燃やしてんだよ!露骨すぎて逆に生々しいわ!」
<<――力が欲しいか!!>>
今のどこに少年誌的展開があったーーーっ!?
前から思ってたけどお前の基準おかしいよ!10年前のドタバタコメディのノリだよ!
男同士が縺れ合ってのるのを女の子に見られて誤解されるってネタももうやり尽くした感があるけれど。
今のBLコンテンツの跳梁跋扈を見るにあれはあれで随分と未来を行ったネタだったんだなあ。
>「大丈夫だったか?ジェンタイル」
気付けばメタルクウラの腹になんか書いてあって、大先輩がキメ顔で俺に手を差し伸べていた。
どうやら真面目に心配してくれているらしい。いいとこあるじゃん!
「大先輩……」
俺の頭の上で頷くと、至極真面目に大先輩は言った。
>「乱暴にされて感じちゃったなんて展開も私としてはアリだから隠さなくても大丈夫だからな、安心するんだぞ」
「やめろおおおおおおおおおおおお!!そのネタで定着させんな!誰も望んでないよそんなこと!」
なにがどうアリなのかさっぱり分からない。
くそっ現実逃避にいつもの余談を挟みたいんだけど、こっから全年齢対象の話に繋げられる気がしない。
どう転んだって下ネタは必至。避け得ない堂々巡り。可能性の隘路に身を投じる覚悟は俺にはない。

だが、それでいいのか?俺はこんなところで下ネタに呑まれて消え行く人材なのか。それを是として良いわけがない!
「うおおおおおおおお!」
俺は根性で起き上がり、起き上がる過程で露天に売っていたパイを即刻購入。
全身のバネを駆使してそれをドヤ顔している大先輩の顔面へと投げつける。
「流れを引き戻すっ……!形成された『場』の強制終了――」
話の流れがマズい方向に傾いた時に、よりインパクトのある事件を意図的に発生させて話を打ち切る高等テク。
下手すればKYの謗りを覚悟しなければならない諸刃の剣だけど、合コンとかで活用できるので覚えておこう☆
「メタルクウラあああああああ!よくもやってくれやがったなてめえ!許さない絶対に許さない!」
そして流れるように話題転換!畳み掛けるように流れを変える!
バトル展開という餌を撒き、BLへの対応を捨てざるを得ない状況に誘い込む。
俺は拳を固く握り、メタルクウラの金属ボディの肝臓のあたりを狙って拳を突き出した。

65 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/03(木) 10:51:38 ID:JLAUMprD
>>57>>64
>「ふん……未練がましいなぁ?未就学のお子ちゃまの分際で……!」
私がジェンタイルにキスをしていると、ノリノリで先輩悪魔が絡んでくる。
奴もジェンタイルをはめるのが狙いなのだろう。
私はジェンタイルを解放すると、ニヤリと笑みを浮かべる。

>「お前達が長い月日を掛けて築いた関係に、私はたった一晩で追いついたのさ。
>分かるか?お前達はもう、ジェンタイルにとって『過去』でしかない!
>ジェンタイルの『現在』《いま》は最早私の物なんだよ!」
>「乱暴にされて感じちゃったなんて展開も私としてはアリだから隠さなくても大丈夫だからな、安心するんだぞ」
先輩悪魔がジェンタイルを助け起こすが、私が目を逸らさずに見据えていたのに、一瞬にして立ち位置が変わっていたのだ。

>「やめろおおおおおおおおおおおお!!そのネタで定着させんな!誰も望んでないよそんなこと!」
ジェンタイルはそう言ってはいるが、BL好きな人達は、望む者が「ここにいるぞ!」と大合唱。
照れたジェンタイルは先輩悪魔にパイを投げつけて、私に向かってくる。

>「メタルクウラあああああああ!よくもやってくれやがったなてめえ!許さない絶対に許さない!」
戦うのは良いが、一般人のいるこの場では駄目だな。
私はジェンタイルのパンチを何の防御もせずに、まともに食らった。

「ふっ、ジェンタイル。
私がお前にかまってやれなくなったから、拗ねてしまったんだな。
お前がどんな色に染まろうとも、再び私色に染めてやるさ」
私はジェンタイルの顎を取り、今度は優しくキスをした。
周りの歓声が凄いことになってるが、攻守逆転も受け入れられるものなのだな。
さて、今度は先輩悪魔はどう出るのだろうか?

66 :明智左馬介 ◆ydC6fTPE06 :2011/02/03(木) 21:44:48 ID:Ev8XGQxz
>>61
>よく見ると小妖精は身の丈に対して巨大過ぎるりんご飴を握って必死でホバリングしているようだった。
(ぷっ…かわいい…)
好奇心に負けた私はずかずかと小妖精に近付いていった。

左馬介と阿児の2人へ近付いてきたのは恰幅のいい男だった。
筋骨隆々といったところでその異様な筋肉に、左馬介は
思わず身構えてしまう。
しかし阿児は興味深そうにガッチーの周囲を飛び回る。

「あたいに興味があるの?あんた結構カッコいいじゃな〜い!!
あたいは阿児。からす天狗の一族さ。
異国から来たけど、あたいの力で言葉が通じるようにしてあげるからね。」

阿児の自己紹介にあわせるように左馬介もガッチーの目を
見据える。
左馬介の言葉がこちらの国の言語へと自然に変換される。

「俺の名は明智左馬介。邪悪な力を封印する為に旅を続けている。
この村からも妙な気配を感じるが、何か知らないか?」



67 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/04(金) 03:58:53 ID:yD+8vylV
>「メタルクウラあああああああ!よくもやってくれやがったなてめえ!許さない絶対に許さない!」

パイ投げを見事に顔面に喰らった大先輩は暫し硬直した。
やがて重力に誘われてパイが地面に落ちて、それから静かに指を鳴らす。
真っ白に染まっていた顔面から一瞬の内に、クリームが消失した。

「おいおい馬鹿な事をしたなジェンタイル。BLと暴力は思いの外、相性がいいんだぞ?」

影はジェンタイルが自ら苦難へと飛び込む様を、呆れた表情と腕を組んだ姿勢で見守っている。

>お前がどんな色に染まろうとも、再び私色に染めてやるさ」

「ほら言わんこっちゃない。だがまだまだ甘いな、所詮は未就学児か。
 私だったらその拳を受け止めて腕を引き寄せ、空いている左手を腰に回してからキスをしていた。そう……」

指が弾かれた。快音が響くと共に影はジェンタイルの傍に現れる。

「こんな具合にな」

そしてジェンタイルの手を奪い、強引に抱き寄せた。
同時に肩を掴んで彼の体を回し、背後を取る。

「愛とは過ごした時間の長さじゃない。深さで決まるものさ。つまりどれだけ相手を知っているか……。
 何?そんな時間を過ごした覚えはないって?はっはっは、またまた照れるなよジェンタイル」

怪しい笑みを口元に零しながら、影はジェンタイルの耳元に湿り気を帯びた吐息を吹き掛ける。
そのまま舌先を首筋に――

「……っと、残念ながら私は恥ずかしがり屋でね。この先は見せられないよ、はっはっは」

不敵さを孕んだ笑いと共に、影が指を鳴らした。
時間がほんの少しだけ進んで、情事の真似事が終りを迎える。

「さて……そうこうしていたが、そろそろ演舞の始まる時間じゃないのか?
 離れ離れになった連中も多分そこで会えるだろう。行ってみるとしよう」

提案と同時に、影は村の中央にある噴水へ続く道を顎先で示した。

68 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/04(金) 08:05:27 ID:sSHxJbT9
>>65>>67

乾坤一擲の威力を秘めた俺の拳は狙い過たずメタルクウラの鉄肌に着弾した。
鈍い音。打撃音ともう一つ、明らかに手首がグネった嫌な音が身体の髄まで響き渡る。
「ってえ!」
何やってんだ俺馬鹿か!メタルクウラって、人間の形をした鉄じゃん!
キメ顔でいくら殴ったとて、こっちの拳が痛くなるだけだと早々に気付くべきだった。
>「お前がどんな色に染まろうとも、再び私色に染めてやるさ」
メタルクウラはそっと俺の手を引いて。
「だあああああああああ!流れ引っ張るんじゃねー!」
うん、まあ、なんだ、その。描写は省く。
いつの間にかギャラリーをつくっていた数字教教徒たちの茶色い声援がボディーブローで耳朶を打つ。
>「愛とは過ごした時間の長さじゃない。深さで決まるものさ。つまりどれだけ相手を知っているか……。
大先輩がいつの間にか俺の背後に絡み付いていた。
ホントこの悪魔はロクなことに能力使わねーな!もっと出し惜しめよ、悪役に一家言あるならよー!
「ていうかアンタにはまだ大したこと教えてねーよ!100パー脳内ソースだろそれ!」
>「はっはっは、またまた照れるなよジェンタイル」
「はっはー聞いちゃいねーですねそうですねアンタはそういう奴だよわかってたよーっ!!」
ついでに言えばメタルクウラ色に染められた覚えもない。何色だよ。銀色か?
染めると言えば金メダルが、銀メダルに金メッキしたものだっての聞いた時はショックだったぜ。
でもよく考えたらあの大きさの純金の塊って、諭吉換算で軽く3ケタは行きそうだよな。
ああそうさ閑話休題だよ!悪いか!!

>「さて……そうこうしていたが、そろそろ演舞の始まる時間じゃないのか?
 離れ離れになった連中も多分そこで会えるだろう。行ってみるとしよう」
大先輩が絶妙なタイミングで話を切り替えた。そこまでにどんな紆余曲折があったかは、まあ秘密。
離れ離れになった連中ねー。ガッチーとリヨナさんはどこ行ったんだろう。
メタルクウラがここに居るってことは、あっちにはローゼンがいるってことね。
オーケ、丁度パーティーシャッフルされたってわけだ。
「うーん、正直今会うのって結構気まずいんだけどなあ。あれだけ啖呵切って別れたってのに再会はえーよ」
順当っちゃあ順当なんだけどな。過程は違えど目指すところは一緒なんだし、この街でかち会ったっておかしかない。
おそらく今俺達が巻き込まれてる"イベント"の終了条件は、『再会』なんだろうしな。

ここで今回の個人的なテーマをぶち上げようと思う。『相対する資格』――それが今の俺にあるかってことだ。
言葉の響きは本章のサブタイトルにしたいぐらいカッコ良いけど、要するに恥ずかしくて顔向けできねーってことよ。
世界変えるぜ!とは言ったものの、やってることと言えば悪魔と女の子とおっさんと遊んでるだけだからなあ。
これじゃあローゼンやメタルクウラや芸人軍団と居た頃と何も変わっちゃあいない。
もっと殺伐とするべきなのかもしれねーな。有り体に言うと、血沸き肉踊るバトル展開にテコ入れが必要かも知れぬ。
「まー、具体的にどうするかは後々考えるとして。とりあえず演舞観に行くかー」
ぶっちゃけあんま深いこと考えたくない☆
「メタルクウラ、水飴奢ってくれよ。――やおいネタに繋げやがったらブチ燃やすぞ」
俺は大先輩の促した道筋へ爪先を向け、演舞の会場へ向けて歩き出した。

69 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/04(金) 10:05:08 ID:p1p6o84s
>>67>>68
>「愛とは過ごした時間の長さじゃない。深さで決まるものさ。つまりどれだけ相手を知っているか……。
>何?そんな時間を過ごした覚えはないって?はっはっは、またまた照れるなよジェンタイル」
先輩悪魔はジェンタイルの後ろから絡んで、そのまま一線を越えに行くかと私は思っていた。

>「……っと、残念ながら私は恥ずかしがり屋でね。この先は見せられないよ、はっはっは」
しかし、止めたようだった。
ファンのみんなもがっかりしているが、これ以上はやりすぎだろう。
私はガッカリとした観客達にニコッとすると、観客達はポッと頬を赤く染め上げた。

>「さて……そうこうしていたが、そろそろ演舞の始まる時間じゃないのか?
>離れ離れになった連中も多分そこで会えるだろう。行ってみるとしよう」
先輩悪魔が提案し、私もそれに頷いて一緒に行く。

>「メタルクウラ、水飴奢ってくれよ。――やおいネタに繋げやがったらブチ燃やすぞ」

「すまんな、私も金は無い。
そこのお前、私達に水飴を買ってくれないか?」
私達の後ろからついてきていたファンの一人を指名し、水飴を頼んだ。
ファンは健気にも私達三人分の水飴を買って、私達に渡した。
ご褒美に頭を撫でてやったら、目に涙を浮かべて喜んでいた。
水飴を舐めながら私達は歩いていくが、私は何か大切なことを忘れてるような気がするが、思い出せない。
思い出せないまま、私達は会場にたどり着いた。

70 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/04(金) 11:09:34 ID:m/Ezw5OY
>「ひゅう」
>「オレは先に演舞のところに行ってるよ。ごゆっくり」

「なな、何ですか!別にそう言うつもりじゃないんですからね!?単に口が滑っただけなんですよ!」

弁解として致命的なまでに機能していない弁解を叫びながら、リヨナは赤面して、去っていくガッチーに対して腕を振り回した。
上気した頬を小さく膨らませて、憤慨の視線で筋骨隆々の背中をじぃっと貫いている。

>「嫌なわけないでしょ? 君とは気が合いそうな感じがする!」
>「行こう! 君の事は何て呼べばいい?」

けれどもローゼンの返事を聞くと、彼女の思考回路からガッチーの存在は完全に排斥されてしまった。
ガッチーだけに限った事ではない。彼女は頬の赤らみをそのままに、思考を完全に喜びの感情で満たしていた。
両手を組んで目を輝かせた彼女はしかし、はっとして慌てて返答を図る。

「は、はい!ありがとうございます!……って、申し遅れました!私は衛士隊のリヨナ・リリウムと申します!」

緊張のあまりガチガチの敬礼と共に、リヨナが名乗った。
そして力加減を一切合切失念した状態で、差し出されたローゼンの手を力いっぱい握る。

71 :創る名無しに見る名無し:2011/02/04(金) 23:47:22 ID:pq70LyCs
>70
こんなに嬉しそうにしてくれるなんて見てるこっちが嬉しくなってしまう。
>「は、はい!ありがとうございます!……って、申し遅れました!私は衛士隊のリヨナ・リリウムと申します!」
「よろしく、リヨナちゃん……あだだだだだだ!!」
なんてこった、あまりの痛さについ絶叫してしまった。
ここはたとえイケメンキャラだろうと隙を見せれば容赦なく絵柄を崩される過酷な世界だというのに。
なぜか蛇に首を絞められながら”じゃれてるだけです”とか言って素敵な笑みを浮かべるムツゴローさんを思い出した。
なんて偉大な人なんだろう! 僕はとてもああはなれない!

噴水のある広場に近づくにつれて、徐々に人が増えてきた。
いつもは仲が悪いはずのDQNやギャルや萌えヲタや腐女子が楽しみですねーなどと和気藹々と言い合っている。
そういえばあの腐女子達ってなんで僕の本の海賊版を売ってたんだ? 真正の同人ゴロってやつ!? 
まあいっか、お祭りなんだから細かいことは水に流せ!
はぐれてしまっていたメルフィちゃんが駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、どこ行ってたの!? もう演舞始まるよ!
湖畔村の人は一年間の嫌だったことをこのお祭りで綺麗サッパリ水に流すの」
なるほど、道理でメルフィちゃんは放送事故を見なかったことにするのが異様に上手なわけだ!
「ちなみにこの村って田舎なのに大昔から水洗トイレの普及率が100%なの。ぽっとん便所とか有り得ないから」
「美しいファンタジーの世界で生活観溢れる言葉を言うな、世界観が壊れる! ってかどんだけ水に流すの好きなんだよ!
でもぽっとん便所が有り得ないのは全面的に同意!」

楽しげな雰囲気の中、なぜか不意に寒気を感じて身震いする。
『さては漏れそうなんだな!?』
違うわ!! お前少しはメルフィちゃんを見習って放送事故を忘れる事を覚えろよ!
『うんうん、冗談だよ。今年の祭りは何百年かぶりに来ちゃうんじゃない!? 水の精が!』
水、には違いないんだけど。
燦々と太陽が当たっているのに、骨の髄から冷えていくような感覚。
生命の源にして全てを潤す水のもう一つの面、一切の生命を否定する冷厳に凍てつく氷。

程なくして、ステージに水の羽衣を纏ったエリアさんが出てきた。
ドラクエとかに出てきた時何気なく流してたけど……スッケスケやん! 水の羽衣なんだから冷静に考えると当然そうなんだけど!
なぜか見えてはいけないところは見えないのは大宇宙の法則としか言いようがない。
「エリアおにぇえちゃんがんばってー!」
メルフィちゃん、今おにいちゃんって言いかけなかった? ……多分聞き間違いだな、うん!

72 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/04(金) 23:49:43 ID:pq70LyCs
『ちょ! 名札落ちてる!』「うわあああああ!」

73 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/05(土) 07:41:02 ID:tC1pYgsV
>「メタルクウラ、水飴奢ってくれよ。――やおいネタに繋げやがったらブチ燃やすぞ」

「よし、突然だがここで一つ講釈をしよう。なぁにそう長くはならないさ。単に「やおい」の語源についてだ」

ジェンタイルの発言に対して間髪入れず、肩に手を回して影が快活に笑う。
彼の口調は普段以上に、気合が入っているようだった。

「まぁ、そう大した話じゃないんだがな。山なし、落ちなし、意味なし、略して「やおい」だ。これだけならわりと周知の事実か。
 だが逆を言えばそれらがあれば「やおい」ではない……つまりBLと「やおい」は厳密には違う物と言う事だ。
 BLと言うのは単に男同士がネチョるだけではなくて、そこに心情の変動がある物を意味し……まぁつまりだ」

メタルクウラのファンが買った水飴を受け取って口に含んでから、影は言葉を続ける。

「ここで私がお前をオトせば、やおいネタでは無くなると言う訳だな!だから安心して私の水飴を……
 おっとぉ、危ないじゃないかジェンタイル。私じゃなかったら消し炭になってる所だったぞ、はっはっは」

宣言通りに放たれたジェンタイルの憤怒の炎に巻かれながらも、影のあっけらかんとした笑いは揺るがなかった。

「おっと、そんな事を言っている内に着いてしまったか」

噴水のある広場に到着すると、影は指を弾いて身を包む業火を沈黙させる。
広場は人々の気体の熱が空気に溶け込んで、華やかな雰囲気に包まれていた。
そんな中を、不意に冷冽な気配が駆け抜ける。

「……この分なら、私がちょっかいを掛けるまでもないみたいだな」

ほんの一瞬の出来事だったが鋭利な刃を思わせる寒気に、影は不敵に、楽しげに笑みを浮かべた。
それから暫くして、演舞が始まる。
演舞はつつがなく進んでいく。子供達は巫女に歓声を寄せて、大人達は聖なる者に祈りを捧げる。
けれども――不意に、広場に満ちた浮ついた熱を峻厳な冷気が塗り潰した。
今度はただの村人達にも、はっきりと分かるように。
演舞が止まる。群衆が付和雷同にざわめき始める。
そして、噴水の水が凄まじい勢いで湧き上がった。
何者とも付かない歪な形を得て、水は遙か高みから村人達を見下す。

「――愚カナ人間共メ。我ニ対スル礼ト畏レヲ忘レタナ。太古ノ時ヨリ続ク儀式ヲ遅ラセルトハ」

それはこの村が祀り続けてきた、水を司る聖なる存在だった。

「それは違います水神様!この村は一度盗賊によって皆殺しにされて……我々が生き返ったのはつい先日の事なのです!
 これでも大急ぎで準備をしました!決して貴方様への礼節を忘れた訳では……」

「黙レ、耳障リダ。貴様達ハ我ヲ侮ッタ。報イヲ受ケテモラウゾ」

村長の弁解には一切耳を貸さず、水神は噴水へと消えていった。
祭りの華々しい空気は完全に霧散して、絶望を秘めた沈黙が広場を支配する。
誰もが顔を蒼白に染めて、狼狽に囚われていた。長い長い、静寂が続いた。

「……くっはっは、いやぁ大変な事になったじゃないか」

74 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/05(土) 07:42:48 ID:tC1pYgsV
その重たい静謐を、影の愉快そうな笑い声が破った。
彼は体を丸め腹を抱えて、体を震わせて笑いを零している。
だが周囲の視線が自分に集まっている事に気付くと、笑うのをやめて人差し指を立てた。

「さて……ここで一つ、講釈を垂れようか。お題は『神様の類について』だ。
 神やそれに属する聖なる存在と言うのはな、モノによっては人にとっての『恵み』と『害悪』、
 相反する二つの性質を持っている場合がある。例えば豊穣を司る神が同時に死を司る神であったりな。
 他にも創世の主たる神が、自ら作った世界を洪水によって滅ぼしたり……なんて話もあるよなぁ」

いつも以上に自慢の饒舌に拍車を掛けて、影は語る。

「では、そんな神々に対して古の人間達は何をしてきたと思う?……そう、祀り上げるのさ。
 盛大にその存在を褒め讃え、敬う事で人はそれらの『恵み』の側面を引き出してきた。
 この村だったら農業や、そのまま漁業に関する『水』の加護をだろうな」

言葉が一旦途切れた。影の浮かべる笑みが一層、愉快の色を深くする。

「だが……それも終わりだ。一度神を怒らせた以上、今度はこの村に水の『害悪』が齎される。
 雨は降らず、湖は干上がり、冷夏に極寒の冬が訪れるだろうな」

愉悦の音色を秘めた声で、影は絶望を村人達に振り撒いていく。

「……しかしだな。何も助かる術が皆無って訳じゃない」

村人全員に視線を配るようにして、影が一言付け加えた。
俄かに降り注いだ希望に、村人の表情がやや和らぐ。
一方で影の笑みは一際、喜色を濃くしていた。

「……少し前に『神の元へ人間が誘われた例』を話しただろう?いや、村人諸君は知らない事だろうが、まぁいいさ。
 さっきは『神によって召し上げられた聖人』を挙げたが、他にも色々なパターンがある。
 例えば神が気まぐれに人間を攫う事、これは俗に言う『神隠し』だな。あとは『神の嫁』として捧げられる場合、
 強い力を持つ者が神の怒りを鎮めるべく『人柱』となる事もある」

唐突に、影が指を鳴らした。
快音が広場に響き渡り、彼の手元に数枚の紙切れが現れる。
この村の伝承が描かれた、紙芝居だ。

「蛮族へ捧げると言うのは建前で、実際には彼女達は『神の嫁』として捧げられたんだろう。
 嫁と言えば聞こえはいいが、まぁいわゆる『貢ぎ物』だな。意図していたか否かはどうあれ、
 伝承は時と共に歪んでいくものさ。祭りの本来の意味が忘れ去られていたようにな」

紙芝居を不遜な手付きと表情で地面にばら撒いて、影は「さて」と言葉を紡いだ。

「……幸いな事に、この村には神の怒りを鎮める為の術が二つもある。
 片や連綿と続く血筋の『水の巫女』、片や『世紀末覇者の気を持つ少女』」

緩慢な動作で、影の視線がメルフィとエリアへと交互に向けられる。
否応なしに、周囲が彼女達を意識せざるを得ないように。

「どちらを捧げても、神の怒りを鎮めるには十分過ぎるだろう。
 勿論……この村を捨てると言う選択肢もあるにはあるがな、はっはっは。
 どれを選ぶかは、君達次第だ。自由に選ぶといい」

この上なく場違いに明朗に、影が笑った。
しかしふと視線を感じたのか、彼は口を閉ざして視線の主へと向き直る。

「おいおい、そんな怖い顔で睨まないでくれないか。私は事実を述べただけだ。
 あの神に何かをしたなんて事はないよ。神に誓ったっていい。無論……するつもりではあったがね」

75 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/05(土) 12:56:28 ID:j4Vn7mGC
>>66
>「あたいに興味があるの?あんた結構カッコいいじゃな〜い!!

小妖精は私の周囲を飛び回るとそう言った。只の社交辞令かもしれないが。
「嬉しい事言ってくれるね。阿児…ちゃん?オレはガッチー。
からす天狗って初めて見たけど言葉を通じさせるなんてすごいなあ」
小さくて飛べて喋れるという高性能に感心していたのだが、端から見たら相当にやにやしていたことだろう。

>「俺の名は明智左馬介。邪悪な力を封印する為に旅を続けている。
>この村からも妙な気配を感じるが、何か知らないか?」

一緒にいたサムライは私を警戒してはいたようだったが、阿児の翻訳機能発動を待って礼儀正しく声をかけてきた。
「オレはガッチー。この村には来たばかりであまり詳しくないんだが、
今はこの村の聖なるナントカ様の力が強い時期らしいんだ。オレも何日か前に噴水で幻覚を見た」

この前の騒動を思い出す。
祭の始まる前に私も村人も噴水の中に人がいるという幻を見たらしい。
それが元で少々トラブルになりかけたのだが、村人が宿屋の主人に言われて日付を数えると、
彼らは表情を凍り付かせ、ならば見たのは幻覚だったとあっさり認めたのだった。
村全体が殺人光線だか盗賊だかに遭ったせいで今年は祭の予定が遅れていて
私達が幻覚を見た日は例年なら祭の期間にあたるとか、祭りの間なら幻覚はまれにだがよくある事とか
宿の主人が後でいろいろ説明してくれた。

「これから祭の最後の行事でそのナントカ様に捧げる舞ってのがあるらしいけど
サマノスケさんも見に行くかい?行くならこの先の噴水のある広場だ」

見物を誘ってみたが、サムライにはサムライのやり方があるかもしれない。
いずれにせよ私は

奇数…演舞を最前列かぶりつきで見ようとして噴水の側に急ぐ
偶数…広場全体が見えるよう道の終わりで見通しの良さそうな場所を確保

76 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/05(土) 14:58:35 ID:j4Vn7mGC
私は広場に続く道の終わりの往来の妨げにならなそうな場所で立ち止まった。
大男の部類に入る私の身長のおかげでここから噴水も含めた広場全体を見ることができる。
(…あれはローゼンとリヨナ…大先輩とジェンタイルはそっちか…結構みんな来ているみたいだな)

噴水の前では薄衣を翻して巫女が舞っていた。しかし突然
>>73
>「――愚カナ人間共メ。我ニ対スル礼ト畏レヲ忘レタナ。太古ノ時ヨリ続ク儀式ヲ遅ラセルトハ」
噴水の水が空中で不定形モンスターとなって御託を並べ、
>>74
>雨は降らず、湖は干上がり、冷夏に極寒の冬が訪れるだろうな」
大先輩は何と応援演説をぶった。
(あれ、水害じゃなくて旱魃なのか…)
ほんの少しだけ何かが引っかかり、しかし結局それが何なのかはわからないうちに
>「どちらを捧げても、神の怒りを鎮めるには十分過ぎるだろう。
> 勿論……この村を捨てると言う選択肢もあるにはあるがな、はっはっは。
大先輩は善意の第三者即ち黒幕就任宣言でさわやかに演説を締めくくった。

私はあの不定形と話してみたいと思った。私が求める物に近付くために今出来る事は多分それくらいだ。
生贄を捧げるか戦うか焦土作戦で撤退するかに関わらずあの不定形はもう一度は出てくるだろう。

77 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/05(土) 19:41:47 ID:9yezxkB3
>74
>「どちらを捧げても、神の怒りを鎮めるには十分過ぎるだろう。
 勿論……この村を捨てると言う選択肢もあるにはあるがな、はっはっは。
 どれを選ぶかは、君達次第だ。自由に選ぶといい」
「いい事考えた! 供物を捧げる振りしておびきよせて出てきたところを袋叩きにしよう!
エリアさん、メルフィちゃん、やってくれる?」
「もちろん……そんな大役は由緒正しき巫女であるエリアさんにお任せします!」
「だがしかし私は本当は巫”女”じゃないのです!」
遠まわしにどうぞどうぞと譲り合っている二人。
>「おいおい、そんな怖い顔で睨まないでくれないか。私は事実を述べただけだ。
 あの神に何かをしたなんて事はないよ。神に誓ったっていい。無論……するつもりではあったがね」
「こんの悪魔めーっ! お前の思い通りにはさせない!」
と言ったものの、悪魔に悪魔と言ったところで悪口にもなりゃしない。
腐女子に腐女子と言っても”腐女子ですが何か?”と言われるだけなのと一緒だ。
「しっかしアイツも心が狭いなあ! 神様なんだから1週間や2週間遅れたぐらいでガタガタ抜かすな!」
『あいつ昔の知り合いなんだけど。でもあんな奴じゃなかったよ。優しくて争いごとを好まなくて。きっと本当の原因は他にあるんだよ!』
マジで!? 世界は狭いなあ。じゃあちょっと行ったら説得してくれる!?
『よっしゃあ! じゃあ噴水に飛び込むんだ!』
「そぉおおおおおい!」
弾かれたように駆け出し、そして噴水に飛び込んだ!
のはいいんだけど。思いのほか深い。沈んでいく。というのも僕の装備品は一つずつは大したこと無くてもトータルすると意外と重い。
息が出来ない。意識が遠のいていく。どうしてくれるんだよ光精霊!

78 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/05(土) 19:43:20 ID:9yezxkB3
気付くと、光輝く美少年と水のベールをまとった美女が対峙していた。
こんな光景が見えるという事は半分死にかけてるという事である。
『水の精霊! 田舎の村で祭り上げられたのをいい事に調子に乗って神様気取りかーっ、笑わせるわ!』
《フフフ、そなたこそ未だにバカに取り入って雇われ精霊やっているのか、ご苦労じゃのう。
神様はいいぞ、やりたい放題じゃ!》
精霊の間にもいろいろ人間関係、もとい精霊関係があるのか……。
ぶっちゃけ何でもアリの多神教のこの世界で精霊と神に明確な区別は無い。
一般的には野良とか個人に雇われてるのが精霊で大勢に共通の信仰対象として祭り上げられてるのが神様らしい。
精霊は多かれ少なかれ性質の悪い一面を持ってるものだけど、神様になるともっと性質が悪くなって、やたら偉そうにしたり供物とか要求してウザくなる。
『バカなことはやめなよ』
《元より愚かな事だと分かっておらぬと思うてか!? 決して穢される事のないそなたには妾の気持ちなど分からぬ!》
『分かるよ、でも……』
いいぞいいぞ、頑張れ光精霊!
『後で災害起こすなんて回りくどい事せずに今すぐ暴れりゃいいじゃん!
血沸き肉躍るバトル展開への要望があるのが分からないの!?
炎精霊がキレた時は手近にいた取り憑きやすそうなのに取り憑いて村を焼き討ちにかかったぞ!』
「ウソみたいだけど確かあれの原因はビニール燃やしてた事だったんだよね。
辺境村ではビニール燃やすとダイオキシンが出るって分かってからも結構長い間村長とかの爺さん連中が平然と燃やしてたから
……じゃなくてお前何言ってんだああああああああああ!」
《そう簡単に言うが精霊は誰かを媒介にせねば直接物質界で暴れまわる事は出来ぬ。されど妾を受け入れるだけの器がある者なぞおらぬわ。
数人いるにはいるが炎精霊が邪魔だったり世紀末覇者が邪魔だったり。あとオカマは嫌じゃ》
この世界の魔法関連の能力値には魔力と最大MPの他に霊的許容量のようなものがあって、それを超えて精霊と契約したりすると死ぬらしい。
ローティアスの言っていた、2つ以上の精霊と契約すると死ぬとは多分そういう意味だろう。
『ここ丁度いい器がいるよ!
我はしばらく隅っこで大人しくしとくからこんなのでよければどうぞどうぞ。光より水の方が適性高いぐらいじゃない?』
あろうことか光精霊は古い友人に僕を差し出した! これって生贄じゃん!
「光精霊! 最初からこのつもりだったなあ!? ご主人様裏切るたあどういうことだ!?」
『正義の味方なら! 可哀想な我の友人の魂を癒してあげるべきだ!』
《恩に着るぞ、光精霊! さあ血沸き肉躍るバトルじゃあ、久しぶりに暴れるぞお!》
「来るなやめろ! うわなにするやめアッー!」
必死の抵抗も空しく、水の精霊は何の抵抗もなく僕の中に侵入してきた。
教科書には、水精霊と相性がいいのは他者に共感する優しい心の持ち主と書いてある。要するにヘタレだ!

哀しみと懇願と怒りがごちゃまぜになった思念が流れ込んでくる。
――苦しい……助けて……! もう無理だよ……。
――こんなにも愛しているのに……どうしてお前たちは妾を顧みず好き勝手ばかりする!? 助けてくれないなら……皆殺しにしてやる!
母に助けを必死に求める幼子か、言う事を聞かない子に癇癪を起した母か。
思念に影響され、可哀想だと思ったが最後、完全に乗っ取られた。

派手な水しぶきと共に地上に戻る。
一体何がどうなっているのか、吹き上がる水の上に立って、僕は皆を見下ろしていた。
「よくも妾を穢してくれたな、愚かな人間共! お前達なんてこの世界にいらないんだ……みんな滅茶苦茶にしてやる!」
もうこれは僕の意思ではない。分かってるのにどうにもならない。
ただ腕を一閃するだけで爆散したブリザードの渦が、血沸き肉躍るバトル展開の始まりを告げた!

79 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/06(日) 01:54:48 ID:mB8+kClO
>「すまんな、私も金は無い。そこのお前、私達に水飴を買ってくれないか?」
何をするかと思えばメタルクウラは取り巻きの女子に水飴を奢らせやがった。
この野郎隅におけねーじゃねえか。ニヤニヤしながら水飴を受け取り、練りながら練り歩く。
>「ここで私がお前をオトせば、やおいネタでは無くなると言う訳だな!だから安心して私の水飴を……」
「はいギルティーーーーっ!」
大先輩が言い切る前に俺は煉獄火炎魔掌拳(今考えた)を食らわせた。
「おっとぉ、危ないじゃないかジェンタイル。私じゃなかったら消し炭になってる所だったぞ、はっはっは」
全てを焼き尽くす地獄の断罪の炎という設定の俺の技を受けてなお、っていうか全身炎上状態で大先輩は笑う。
俺は俺で、どうせこの悪魔には常識も良識も通用しねえのは大変よくわかっているのでこれ以上突っ込むのはやめた。
いたずらにMP消費してバトル展開についていけなくなってもつまらない。
十人並みに祭りを満喫しながら、悪魔と俺と鋼の巨人という珍妙なパーティは、噴水広場に辿りつく。
>「……この分なら、私がちょっかいを掛けるまでもないみたいだな」
大先輩の、愉快でたまらないといった韜晦癖のある笑いが意味することに、気づかないまま。

だいぶ話が進んだので掻い摘むね!
なんか湖畔村に祀られていた水精霊が誕生日を祝ってもらえなかったことに癇癪を起こしたらしく、
怒りを鎮める機嫌取りのためにうら若きイケメンが噴水に飛び込んだらしかった。
大先輩に言わせりゃ『供物』。未開の奥地じゃあるめえし、そんな非文明的な風習が……と思ったら。
>「よくも妾を穢してくれたな、愚かな人間共! お前達なんてこの世界にいらないんだ……みんな滅茶苦茶にしてやる!」
イケメンに乗り移った水精霊がストレス発散するべくその有り余る魔力で破壊活動を始めたのだった!
「――って、あれローゼンじゃねえか!何やってんのあいつ!?」
<<――光精霊の霊圧が消えた……代わりにあの娘から発せられる膨大な気は水精霊のもの也>>
「つまりどういうことだってばよ!?」
<<――娘が水精霊に乗っ取られた>>
「な、なんだってーーーっ!?」
驚きも束の間、渦を巻いた吹雪の槍が飛来する!
俺は頭を抱えてその場から飛び退いた。一瞬前まで居た空間に巨大な氷柱が突き刺さる!
「ひいいいいいいい見境なしだぞあいつ!このままじゃマジで死人がでるってこれ!」
ローゼンって奴は無駄に精霊適性が高いからな。契約精霊の能力をフルパフォーマンスで使えると考えて良い。
しかも相手は長年信仰の対象にされてきて魔力を溜めに溜めまくった神格の四大精霊。
考え得る限り最悪の組み合わせ!おそらく未曾有の天災になるっ……!
「炎精霊!リンクを――」
<<えー吾あいつ嫌いだもん。水精霊とは相性悪いってゆうか、属性システム的に>>
「属性システムとか採用されてんのこの世界!?」
<<被ダメ二倍よ>>
「玄人ぶって略語使うんじゃねえよ!じゃあ何に強いんだよお前」
<<はがねタイプとかくさタイプとか?>>
「作品ちげーよ!」
その理屈で言うと光精霊が盛大にハブられる羽目になるだろーが。
ていうかバトル展開とか絶好の対価のはずなのにこいつテコでも動かねえ。なんなんだよお前のその自由度はよー。
契約してんだからもうちょっと縛られろや!なんだかんだで一回ぐらいしか役にたってないよねお前!
突っ込んでるうちに第二波が飛んできた。大きくバックステップしてメタルクウラの背後に隠れてやり過ごす。
あんなもん生身で食らったらお陀仏だ。こんな世界でも唯一物理法則だけはシビアなので。

炎精霊の魔力支援は期待できない。
ってことはこの二束三文の魔力と貧弱な肉体だけでこの戦場を生き抜かなくっちゃならなくて。
まずは残存戦力を集結・把握し適正位置に割り振ることが最優先に思われた。
「メタルクウラ、ちょっと肩借りるぜ」
俺は木刀と同じノリで夜店で売られていたRPG-7(携行式対戦車ロケット弾)を経費で大量購入し、
メタルクウラの肩の上に飛び上がる。
ローゼンの周りに漂ってるあの水飛沫がネックだ。自在に形を変え龍の如く渦を巻く攻防一体の戦闘装束。
「周りの水は俺が墜とす!丸裸にして水精霊とのリンクを断ち切るぞ!」
俺は炎精霊の契約者。その加護を身に宿しているからして、火器に対する適性は常人より遥かに高い。火だけにな!
両手一杯に抱えた筒型の発射基を頭上に放り投げ、落ちてくるのをキャッチする端から水精霊に向けて撃ちまくる。
ジャグリングのような火器運用で発射された炸裂弾は、着弾すればミサイルみたいに爆発するぜ!

80 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/06(日) 02:12:09 ID:IsRe43we
「あ〜無茶苦茶儲かったわ。これで今夜は贅沢出来るでぇ〜」

陽気な顔で広場へやって来た松本の目の前では、何だか凄い戦いが
始まっていた。
かいつまんで言うと、水子の霊が暴れているらしい。(菅P 談)

「なんやねん!!水子の霊か?おい、松本!!
お前のせいちゃうかぁ?」

散々女を泣かせてきた松本に対し、周囲の冷たい視線が向く。
遠藤はひたすら水子に対しホホホイを行うが効果がない。
山崎は水子の霊に追われて泣きながら逃げ惑っている。
「は、浜田さぁ〜ん。何とかしてくださいよぉ〜!!
こう見えても昔はイケメンやったから襲われるんやろかぁ〜」

浜田の横にはがきコーナーがゴンドラに運ばれてやって来る。
その近くではメタルクウラとジェンタイルが何か技を出そうとしているの
だが浜田はあまり気にしてないようだ。

「え〜、大阪府のペンネーム・佐藤さんからの質問。
松本さんは実はサイヤ人の生き残りで、スーパーサイヤ人5になれるらしいのですが、どうやってなるのですか?
教えてください。」

松本は「吉」と書かれた胴着を着ると小さく溜息を付きながら答える。

「まぁ、あの。スーパーサイヤ人は怒りでなるわけじゃないですか。
その、自分とか。あとクリリンのこととかで。」

「あぁ、そうなん?よう知らんけど。」

「でも、4まではそうでも5は違うんですよ。
5は切ない気持ちにならないとなれない。まぁ、切ないとなれるんですけど。」

浜田は行き場のないやるせなさを溜息に込めると、松本へ向け
言う。

「その前に、お前サイヤ人ちゃうやんか。どう見ても地球人やん。
あれ?なんかさっきからごっつ尻が疼くわぁ〜」

そんな浜田の尻には何故か尻尾が生えていた。

81 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/06(日) 02:22:07 ID:ssVbDGE/
>「よろしく、リヨナちゃん……あだだだだだだ!!」

「あ、わわっ……ご、ごめんなさい!」

ローゼンの悲鳴に慌ててリヨナは手を離し、それから恐る恐ると言った様子でもう一度、彼の手を取った。
そうしてローゼンに手を引かれて、演舞の行われる噴水広場へと向かう。頬の赤らみは以前そのままで、彼女は恥ずかしそうに視線を地面に向けていた。
演舞が始まる。相変わらず体を強張らせて、リヨナはローゼンの隣に立っていた。ちらりと、彼女の視線が横に向く。
ローゼンの端整な顔が見上げたらすぐ傍にあって、彼女はすぐに彼を直視出来なくなった。顔を赤くして、再び俯く。
しかし直後に、一切の前触れなく酷烈な寒気がリヨナの全身を貫いた。背後から刃を突き付けられたかと錯覚さえ感じる、悍ましい悪寒だった。

(……ッ!?今のは一体……!)

彼女の思考と警戒が纏まる前に、噴水の水が勢いを増して立ちのぼる。
顕現されるは水の神、問答無用で突き付けられるのは避け難い苦難、更に悪魔の言葉が絶望を上塗りする。
祭りの熱気が完膚なきにまで叩き潰されて、意気消沈の静寂が広場を包囲した。
重々しい空気に、リヨナも押し潰されそうになる。

「……大丈夫ですよ」

負けてなるものかと、広場を取り巻く重圧を払い除けるように彼女は断言した。
拳を強く握り締めて、瞳に確固たる気概の炎を灯して、村人達を見渡す。

「神様が頼りにならなくたって、私達が!衛士隊がいます!」

腹の底から振り絞った大音声に乗せて、リヨナは挟持を、希望を叫ぶ。

「民人の生活の為なら我侭な神様ぐらい、小突いて説教決めてやりますよ!」

宣言と共に、赤熱した鋼鉄の如く固さと熱を秘めた右拳がまっすぐ突き出された。

「だから……何の心配もいりません!私達に任せて下さい!!」

>「そぉおおおおおい!」

「って……えぇえええええええ!?」

リヨナの口上が締め括られたのと同時、彼女の背後で再度水柱が上がった。
ローゼンが噴水に飛び込んだのだ。

「嘘ぉ!?今そう言う流れじゃありませんでしたよね!?私がまさに今
 最高にカッコいいポーズとセリフを決めたって言うのに!一体どこの誰なんですかまったくもう!」

82 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/06(日) 02:25:01 ID:ssVbDGE/
つい先程までの意気込みは完全に霧散してしまったのか、頬を膨らませて地団駄を踏みながら、リヨナは噴水に向かって憤慨の声を上げる。
そしてまだ波紋の残っている水面をじっと睥睨しながら、飛び込んだ者が浮かんでくるのを待っていた。

>「よくも妾を穢してくれたな、愚かな人間共! お前達なんてこの世界にいらないんだ……みんな滅茶苦茶にしてやる!」

だが派手な水飛沫と共に飛び出してきた人影を認めると、リヨナの双眸がはたと驚愕に見開かれる。
蒸発していた緊張が、寒冷な敵意によって一瞬で凝固した。

「え、ちょ……ローゼンさん!?……まさか、操られちゃったんですか!?」

返事はない。代わりに放たれたのは氷刃を孕んだ極寒の吹雪だ。
広範囲に及ぶ一撃を、リヨナは俊敏な跳躍で回避する。同時に地面に転がっていた小石を拾い上げた。

「……仕方ありません。何とか気絶させられれば……!行きますよ!
 これが【無手の狙撃手】《スナップスナイプ》の真骨頂です!
 ハイそこ!そのネタまだ引っ張るのかよってツッコミは禁止ですからねっ!」

リヨナが親指で小石を弾き飛ばす。
狙いは顎。水精霊の力は凄まじいが、器を無力化してしまえば、力を分散させられる。
例えば体が物理的に動かなくなったのなら、水精霊が体の主導権を握っていても意味がない。
魔力を使って人形のようにしか、ローゼンを操作出来なくなる筈だ。

「ていうか私武闘派ですしね!浮いてる相手にはこれくらいしかする事ないのが現実ですよ!?
 最近のチャイナ娘みたく気功なんて便利なモノも使えません!私は今日日の少年漫画のインフレには断固反対ですから!
 あ、ちなみにこれは苦情って訳じゃないので悪しからずです!」

弾かれた小石は狙いを過たず猛然と、ローゼンに迫る。

83 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/06(日) 02:29:45 ID:IsRe43we
>「よくも妾を穢してくれたな、愚かな人間共! お前達なんてこの世界にいらないんだ……みんな滅茶苦茶にしてやる!」

「何言うとんねん。ええか、自分のタレくらい自分何とかせぇよ。
ほら、はよ逃げてや。危ないで。」

浜田は「吉」と書かれた胴着を着て暴走する水精霊の前に立っている。
ちなみにタレとは関西弁で「彼女」を意味する。
遠藤や山崎は警備員に変身し、村民の避難を始めていた。

「そんなん言うてる間に、イケメン(ジェン)やクーラーがなんやしよんなぁ。
松本、俺らも行くで。」

「え?何を?見てたらええやんけ。」

浜田はいつにないシュッとした表情で松本を見る。
よく見ると目が二重になっている。
松本はその子ゴリラのような顔をまじまじと見るや
笑いそうになるのを堪えた。

「あのな、まっつん。俺らは吉本芸人や。
誰かの笑顔を守るのが仕事やろ。今こそ見せたろやないか、
吉本拳を。」

松本はタバコを1本吸いながら、衣装を取り出す。
そこには巨大なシミの付いたパンツとデカイハゲ面があった。

「アホアホマンやないか!!松本!!」

「う”ん”!!」

アホアホマンに変身した松本がジェンタイル達を援護する為に
走り出す。おなじみのテーマと共に。

「アホアホブラスタァー!!」

水鉄砲を連射しながら突っ込むアホアホマン。
それを浜田は呆れた様子で見ていた。

84 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/06(日) 07:25:38 ID:ssVbDGE/
>「いい事考えた! 供物を捧げる振りしておびきよせて出てきたところを袋叩きにしよう!
>エリアさん、メルフィちゃん、やってくれる?」

「おいおい、大丈夫か?もしもしくじってみろ、恵みを失い害が齎されるじゃ済まない。
 この村が滅ぼされるのはまず間違いないぞ?……まぁ、私の言葉に耳を貸すお前じゃないか」

村を案じる旨の発言とは裏腹に、影の表情は相変わらず笑みの形を保っていた。
まるでローゼンがそう言うと分かっていたように――否、待っていたと言わんばかりに。
かくして彼はローゼンが噴水に飛び込むのを見守って、見過ごした。
ややあって再び噴水から激しい水飛沫が上がる。重力に逆らって屹立を続ける水柱の上には、ローゼンの姿。

「……これはちょっと予想外だな。幾ら光の勇者とは言え、まさかそこまでお人好しとは思わなかったぞ」

だがそれは見た目、身体だけだ。彼の全身から横溢する魔力は人とは格別の、水精霊の物だった。

>「よくも妾を穢してくれたな、愚かな人間共! お前達なんてこの世界にいらないんだ……みんな滅茶苦茶にしてやる!」

「おっとぉ、危ない危な……んん?」

影は吹き荒ぶ吹雪を飛び退き回避する。しかしローゼンのお人好し加減に呆然としていたのが隙となった。
痛烈な冷気の嵐に呑まれ、彼の右腕は氷塊と成り果てる。

「……これは困った事になったぞ、ジェンタイル」

途端に、影の表情が切迫の色に染まった。
両眼を大きく開いて凍り付いた右腕を見つめ、真剣を極めた面持ちで影は言う。

「実は私は……右手でしか指パッチ……フィンガースナップが出来ないんだ」

意識を集中して左手の指を弾こうとするが、叶わない。
微かに掠れるような音が虚しく響くだけだった。

「それに奴が飛び出して来た時、水精霊の力を帯びた水が周囲に飛び散った。
 今ここはある種の結界となっている。悪魔である私は……最大限の力は振るえない。
 すまない……。私はどうやら……力になれないようだ……」

深く項垂れ、そのまま四つん這いに崩れ落ちて、影が詫びた。

「……と、言う訳で戦闘中お役御免の私はここで講釈を垂れる事にしよう!
 と言う訳でこれ以降は完全に講釈タイムだぞ!はっはっは!」

けれどもすぐさま立ち上がると、影は残った左手の人差し指を立てて講釈を始める。
平時の微笑みを取り戻すどころか、表情はやる気に満ちていた。

85 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/06(日) 07:28:02 ID:ssVbDGE/
  


「さぁ、今回のお題はまさにこの状況、『ボス級キャラのチート能力』についてだ!
 ん?なに?それは偉人が既に通った道だって?まぁ許せ、一応差別化も図るさ。
 例えば私の普段から使っている『時間操作』、これはギャグパートならばともかく
 バトルパートで使ったらそれはもう大ヒンシュクを買うだろう。何せ抵抗のしようがない上に、
 時間が止まっている間の出来事は他人には分からないんだからな。正直言って最悪だ。
 他にもかの御仁が挙げた『瞬間移動』『読心』『回復能力』『大火力』などもそうだな。
 
 さて、ではどうすればいいか。当然、『最初から使わない』のが一番ではあるが……何とかする術がない訳じゃあない。
 例えば今の私のように『使えなくなる』『使えなくされる』、だ。分り易いだろう?何も右手を凍らされるだけが方法じゃないぞ。
 時間を止めるのにアイテムが必要な場合は大抵これで行ける。『時を操る時計』が使い過ぎで壊れたり、奪われたりな。
 他にもさっき言った通り、『力の振るえなくなる結界や術、アイテムが使われる』とかな。
 ドラクエにもゾーマやムドーなんてボスがいただろう?彼らは片や絶対無敵の闇の衣を纏い、
 片や勇者達の存在を二つの世界に分離させる、悍ましい力の持ち主だ。
 だが彼らは『光の玉』や『ラーの鏡』によって力の一部を封じられ、倒される事になる。
 このような仕組み、アイテムを用意しておく事で単純なインフレを防ぎ、またそれらを手に入れる事自体が一つのイベントと出来るんだ。
 逆に言えばこれらが用意されていないチート能力は私から言わせれば出来損ないだな。別に誰かを貶してる訳じゃないぞ。あくまで私の私見さ。

 そしてもう一つ、『能力自体に制約を設ける』だ。ついさっき言った『時間停止にアイテムが必要な場合』も制限の一種だな。
 他にも『操れる時間に制限がある』場合や『インターバルによる制限』、『体力や精神力、寿命の消耗』と言った『代償』なんてのもある。

 例えば『読心』とかなら出力と対象を『心のごく浅い部分のみ』とかにすれば、他人の伏線には抵触せず、使えない事もないんじゃないかな。
 他の三つも何かしらの制限を加えれば運用可能になるだろう。まぁ『回復』に関してはこの世界では言いっこなしだがな。
 それでも『時間操作』だけは相手に対して絶対的な制限を課してしまう以上、本当に使わない方が無難だろう。
 強いて使用法を挙げるなら『生物には使用不可』辺りか。相手に機械がいたりするなら……複雑な魔方陣を刻まなくてはならないとかな。

 ちなみに、これはTRPGだけじゃなく普通の創作にも共通する事だ。
 要するに『対処法』か『弱点』がなくてはならない、って事だからな。
 ボスキャラの格の違いを見せつける為にチート能力を振るうと言う演出は、TRPG的にも決して悪くはないだろう。
 だがいつまで経っても弱点や対処法を提示しないでいたんじゃ、それはただの最強キャラでしかないんだよ。
 
 ふぅ、これくらいでいいか。じゃあ、チート能力は用法用量をよく考えて使ってくれよ」


  

86 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/06(日) 11:37:04 ID:3jo+ZOwV
湖畔村で奉られていた神様が人間の不敬に対して怒り、それを宥めるべく噴水に飛び込んだローゼンが噴水から飛び出て、暴走を始める。
ローゼンは水の力を操って、氷柱を飛ばしてくる。
この調子だと、ローゼンは水の神に取り憑かれたようだな。
私はと言うと、ローゼンの攻撃をバリアを張って、私達のファンに当たらないように耐え凌いでいる。
ローゼンの重い攻撃にバリアが軋むが、まだ耐えられる。
第二波が来た。
ジェンタイルも私の後ろに隠れて、バリアの恩恵に預かった。
そして、ジェンタイルはロケット砲を大量に持って、曲芸のように発射する。
私の肩の上でだ。
私はその反動にバランスを失い、ジェンタイルを肩の上に乗せたまますってんころりんと転んでしまった。
転んだ視点の先には傭兵達がいて、松本が水鉄砲で突っ込んで行く。

「ジェンタイルよ、私はここでファン達を守らなければいけないのだ。
だから、後は任せた!」
私は立ち上がると、まだ転んだままのジェンタイルの足を持って、ローゼンに向かって投げつけた。
ジェンタイルならば浮遊魔法もあるし、一人でも何とかできるだろうと思ったからだ。
それに、私は水を操る奴とは戦いたくないのだ。

87 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/06(日) 17:27:06 ID:OD325eD9
ローゼンが噴水に飛び込んだ。流石世界を救う旅人だと思って見ていると
シャチの鼻先に立つ水族館のショーみたいに噴水と一緒に吹き出されたローゼンが
噴出する水の上に立ったままやたらと周囲を攻撃し始めた。

>「よくも妾を穢してくれたな、愚かな人間共! お前達なんてこの世界にいらないんだ……みんな滅茶苦茶にしてやる!」

別にリヨナちゃんとうまくいかなくてヤケを起こした訳ではなくて、今のローゼンの中身は不定形ナントカ様のようだ。
私が大体の事情を理解した時には既にジェンタイルがロケット弾を打ちリヨナは石を投げ村人は整然と避難を開始していた。

「阿児ちゃーん」
とりあえず呼びかけてみる。
この世界は時間の流れが極端なのでサマノスケがどうするつもりか聞く前にこんな事態になってしまったが
阿児ならどこにいようがいつ気付こうが上手い事伝言を届けてくれそうな気がした。
「あれが例のナントカ様だけど…体は別人だ。封じるにしてもできればあの少年は助けてやって欲しい」
「僭越ながら付け加えると、過ぎてしまった間の自分の行動はバッサリ省いた方が話が早いぜ。
でも自分がその間何か準備していた事にするとか誰かの行動に対して矛盾しないようなアシストをしていた事にするとか
そういうパズルもなかなか魅力的なんで悩むところだけどな」

さて、シーンは戦闘だ。

奇数…ローゼンをボコりに行く
偶数…キャラクターシートを見直す

88 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/06(日) 19:16:13 ID:OD325eD9
実は本格的な戦闘は初めてだ。私はキャラクターシート(テンプレとも言う)を見直した。

>外見:筋骨隆々の大男
>職業:戦士
>装備:プレートメイル・ハルバード

相手が細身の少年ローゼンなら力押しで取り押さえる事ができそうなものだが、今の彼はブリザードの弾幕付きだ。
まっすぐ突っ込んでも相手に届く前に氷漬けにされそうな気がする。

>特技:地脈を操る

すっかり忘れていた。つまり素質はあるがまだ力に覚醒していないとかそんな状態なのだろう。
某作品の十七行思想では地は水と氷に対してとても弱いので覚醒しても更に弱くなるだけのような気がするが
幸いな事にジェンタイルが>>79で「ちげーよ!」と叫んでいたので違うシステムを採用しよう。
因みに十七行思想に光を当てはめるなら英語版でDarkとされる悪タイプと相性最低なエスパータイプをお勧めする。

さて十七行思想を却下してシンプルな五行思想に戻れば、土は水の流れをせき止めるという素敵に好都合な関係がある。
今はまだ地脈を操るなんて事はできないから直接的に土を持ってくるのが分相応だ。
(…ごめん)
心で詫びつつ私は広場の周囲を彩る植え込みの中から腰の高さほどの木を選んで力ずくで引き抜いた。
ほどよく張った根はたっぷりと土を抱いている。
「ぉおりゃーっ」
ブリザードで倒されない程度に噴水に走り寄って私は引き抜いた木を水際に投げ込みそのまま走り抜けた。

水は木を生長させるものだから土と一緒に放り込まれればより“気が散る”事を期待できそうな気がする。
だから次々に植木を放り込んで大人しくさせてから不定形と話がしたかったのだが
プレートメイルは寒さに対しては無力らしく一度広場を通っただけでも皮膚が焼けるようだ。
回りでは水鉄砲やジェンタイルが飛び交っていたが、
私はしばらくの間氷点下のプレートメイルから伝わる冷気が和らぐのをじっと待つ事しかできなかった。

89 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/06(日) 23:36:16 ID:X7Y70gAj
思考が何が何だか分からなくなっているローゼンの語りだと訳が分からん事になると思うので実況解説はわたくし光精霊がお送りいたします。
てめー何を考えてるんだ表に出ろって?
大丈夫、彼らなら必ずやってくれる。我はそれを分かってる。確信じゃない、確固たる事実なんだ。

>79
>「周りの水は俺が墜とす!丸裸にして水精霊とのリンクを断ち切るぞ!」
大魔法戦になるかと思いきや何を思ったかジェン君が手にしたのは近代兵器。
でも炎精霊が勿体ぶってなかなか出てこないのはいつものことだ。
「丸裸じゃと……!? 万死に値するぞ!」
“万死に値する”か。流石のローゼンでも一万回は死んでない。
丸裸というワードに敏感に反応したのはきっとローゼンの方。不思議かもしれないけどこれが取り憑かれるってこと。
自分の意識が全くなくなる訳じゃなくて意識を保ってる。その意識からして操られるからどうにもならないわけ。
ジェン君やメルフィちゃんの時もそんな感じだったでしょ?

>80
>「なんやねん!!水子の霊か?おい、松本!! お前のせいちゃうかぁ?」
>「は、浜田さぁ〜ん。何とかしてくださいよぉ〜!! こう見えても昔はイケメンやったから襲われるんやろかぁ〜」
「だあれが水子の霊か!? 字面は似ておるが大違いじゃ!」
多分ローゼンは“なるほど僕はイケメンだから取りつかれたのか”とか意識の隅で思ってるだろう。

>82
ジェン君が投げたロケット弾が炸裂し、大爆発が巻き起こる。
ギャラリーの中の誰かが「やったか!?」と言ってお約束通り硝煙の中から無傷のローゼンが現れる。
「ふはははは! 屋台で売っている玩具など効かぬ!」
と得意げに笑っているけどしっかり水のベールが無くなっている。今がチャンスだ!

>83
そこに突っ込んできたのは……
>「アホアホブラスタァー!!」
おふざけ全開の変態だった!
「何を考えておるのじゃ!? 近寄るな! 無礼者おおおおおおおおおおおおお!」
放たれた激流にあっさりと吹っ飛ばされる変態。残念だが至って当然の結果である。

90 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/06(日) 23:37:30 ID:X7Y70gAj
>82
が、変態の特攻も全くの無駄ではなかった。
ローゼンが変態に気を取られている間に小石が飛んできて、顎にヒットする。
「痛っ!」
そのまま後ろ向きに倒れて地面に落ちていく……

>88
かと思われたがそうはならなかった。
周囲に絡み合うように伸びてきた木の枝に引っかかったのだ。
投げ込まれて魔力がかかった噴水の水を吸って超速成長したのだった。
「ふふっ、いい子だね」
木の枝を愛おしげに撫でるローゼン。が、その刹那、木々は一斉に枯れて朽ち果てた。
「うあああああああああああああッ!」
ローゼンは絶叫し、涙を一筋流しながら呟いた。
「穢れた水では木は死んでしまうんだ、こうなったのは誰のせい?」
リンクが解けかけたかと思ったのも束の間。再び水の鎧を、刃を纏う。先刻よりも強固に、鋭利に。
「許さない……絶対許さない!!」

>86
そこにジェン君が特攻したというか本人の意思に関わらず投げつけられた!
防御性能皆無の魔法使いを特攻させてどうすんだ! 最初絶対大丈夫と言ったもののちょっと心配になってきた。
案の定、ジェン君は即刻水の網で両手両足を拘束される。言わんこっちゃない!
動けないジェン君に、挑発的な笑みを浮かべてローゼンが迫る。
「炎精霊よ、いい加減出てきたらどうじゃ? それ程妾が嫌いか?
妾はそなたを喰らうが、妾もまたそなたに喰らわれるのじゃ。これ程深い仲はなかろう!
愚かな人間共を共に皆殺しにしようではないか!」
当然炎精霊がこんな誘いに乗るわけはない。
「仕方のないやっちゃ、水飴でもやろう!」
ジェン君を巨大な水の塊の中に閉じ込めた。ただの水ではない、容易に脱出できないように粘度を極限まで上げた水だ!
水属性が敵として出てきた時定番のエグい窒息攻撃だ!
「安心せい、その水は綺麗ゆえ舐めても大丈夫じゃ」
そういう問題ではない!

91 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/07(月) 00:16:49 ID:dwJqT74j
>>90
むっ!私の投げたジェンタイルがローゼンの生み出した水の網に捕らえられ、水球に包まれてしまった!
友のピンチには私が動くしかあるまい。
ローゼンとジェンタイルは噴水の真上にいる。
急速に成長した木にローゼンが引っ掛かって、そこに私がジェンタイルを投げたからだ。
今はその木も枯れ果てた。
その時にローゼンは、いや、取り憑いていた水神は言っていた。

>「穢れた水では木は死んでしまうんだ、こうなったのは誰のせい?」
私が察するには、水神は噴水の水が穢れたから怒っているのだろう。
私の考えでは、水神と噴水の水は繋がっている。
ならば、噴水を穢せばジェンタイルから私に注意が向くはずだ!

「大悪魔の先輩よ、私達のファンを頼んだぞ!
お前のファンもいるはずだから、丁重に守ってやってくれ!
代価はファンが払うからな。
私はジェンタイルを助けに行く!」
嬉々として演説している先輩悪魔にファン達を任し、私は死を覚悟して噴水の下へ。
お祭りの出店で買った物のゴミや、飲みかけのコーラを噴水の中に投げ入れた。

92 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/07(月) 03:06:21 ID:A8qQWSeD
>「実は私は……右手でしか指パッチ……フィンガースナップが出来ないんだ」
「なんで言い直した!?」
わざわざ分かりにくい正式名称で言う意味はあるのか?あるのか!だって大先輩だもんね!
でも残念!その目論見は果たされないぜ!言い直しちゃった時点でかっこよさ皆無だもん!
珍しく殊勝な顔をして大先輩が言うには、どうやらこの戦闘では時止めとか使えないらしい。
>「……と、言う訳で戦闘中お役御免の私はここで講釈を垂れる事にしよう!」
「嬉しそうだなアンタ!――っとお!?」
ロケット弾の反動でメタルクウラが体勢を崩し、こいつを足場にしていた俺は地面に強かに背中をぶつけた。
肺に打撃を食らったことで絶息し叫ぶこともできずじたばたしていると、誰かに足を掴まれた。
>「ジェンタイルよ、私はここでファン達を守らなければいけないのだ。だから、後は任せた!」
メタルクウラが俺をローゼンへ投擲した。
「っあれええええええええええええええええ!!??」
内臓を前後左右にぐわんぐわんと揺さぶられてるような気持ち悪い浮遊感と一緒に景色がすごい勢いで流れていく。
頬を当たる風は冷たく、一個の砲弾と化した俺とて寒風に晒されれば動きも鈍る。残念ながら、脳の働きはちっとも鈍らない。
恐怖はばっちりやって来た。
「うわわわわわわわわわぶつかる!かわせローゼン!いや避けるなーーっ!」
ぼよんっ、と何か柔らかくて冷たいものの中に突っ込む感触。
こう字面で表すとなんかのお色気シーンっぽいがそんなことはなく、俺を包むのは巨大な水の網だった。
激突しなかったのは幸いだけど、なんていうか水揚げされた魚みたいになってるよ!

>「炎精霊よ、いい加減出てきたらどうじゃ? それ程妾が嫌いか?
 妾はそなたを喰らうが、妾もまたそなたに喰らわれるのじゃ。これ程深い仲はなかろう!
 愚かな人間共を共に皆殺しにしようではないか!」
おい呼ばれてんぞ炎精霊!知り合いなんだろ答えてやれよ!
しかし水精霊のデレを間違えちゃったキャラっぽい発言にもうんともすんとも言いやがらねえうちの炎精霊ちゃん。
「……あのー、炎精霊さーん?」
<<モー娘。の新譜めっちゃええなあ>>
「現実逃避してんじゃねーーっ!!」
あと例によって10年前かよ!宇多田ヒカルとかに言及しても驚かねえぞ!
ハイパーヨーヨーやベイブレード(第一世代)の話とかしちゃうぞこの野郎!ミニ四駆……まで遡ると古すぎるかな。
「なんで水精霊のこと嫌いなんだよ?」
<<好かれる要素があるのか奴に?>>
「う……」
ローゼンに乗り移った水精霊を横目で見る。うわあ、正論だあー。まさかの炎精霊さん正論吐きやがった。
うんまあ、確かに。今こうして暴れてる水精霊の姿を見る限りには、あんまりいい子には見えねえよなあ。
癇癪持ちだし。
>「仕方のないやっちゃ、水飴でもやろう!」
そう言うと水精霊は俺を巨大な水の塊に閉じ込めた。藻掻く手足が重い。ホントに水飴みたいな粘り気だ!
水なので当然、息はできない。
「がべべべべべべべべーーーっ!」
>「安心せい、その水は綺麗ゆえ舐めても大丈夫じゃ」
そういう問題じゃねーーっ!
序盤で出てくる外道な敵みたいな攻撃方法しやがって!でも効果は抜群なんだよね!俺炎タイプっす!
マジでヤバいってこれ。炎精霊さん後生だからリンクしてくんないかな!?
水精霊がイマイチ萌えないっつうんなら、萌える脳内変換の仕方を一緒に考えてやるからさ!
<<――訊こうか>>
訊くのーーっ!?もう初期のキャラとか欠片も残ってねーなお前!
ていうか精霊にはあんまり性別の観念がないらしいけど、水精霊は見るからに女人格なんだよな。
単にキャラ付けの問題かもしんねーけど。炎精霊はどっちなんだろうか。
あ、やべっ……無駄な長考してるうちに息が続かなくなってきた。誰か助けてくださいマジで。

93 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/07(月) 19:21:01 ID:d6ks3zHg
弾き飛ばした小石は狙い通りにローゼンの顎を捉えた。彼の体が空中で揺らぐ。
落としたとリヨナは確信を得て、右手をグッと握り締めて――だが直後、噴水に投げ込まれていた植物が異様な成長を見せる。
噴水の水を受けた枝が急速に伸びて、ローゼンの体を空中に留めた。

>「ふふっ、いい子だね」

「あぁっ!惜しいです!そのまま落ちていれば良かったものを!」

リヨナが悔しげに顔を顰め、鬱憤を叩き付けるかのように握り拳で虚空を殴打する。

>「うあああああああああああああッ!」
>「穢れた水では木は死んでしまうんだ、こうなったのは誰のせい?」

しかし己の触れた木が枯れ果てて嘆くローゼンに、リヨナの表情に、はっと困惑の色が浮かんだ。

「……そう言えば、メルフィちゃんの捜索で魔物狩りをしていた時、森は随分と痩せてたような」

口元に手を当てて切迫を面持ちに浮かべながらリヨナは呟きを零すが、すぐに首を大きく左右に振って戦闘に不要な情報と感情を脳裏から払拭する。
拳を握り締めて構えを取り、ローゼンを見上げて双眸を気概で鋭く研磨した。

「でも……それでも皆を殺すだなんて認められません!大体ですね!」

言葉と同時、リヨナは地面を強く蹴って駆け出す。軽快な動作で枯れた樹木の幹に飛び乗り、更に疾駆した。
幹が崩れ落ちるよりも早く駆け上がり、跳躍し、彼女はローゼンよりも更に上を行く。

「アナタは一回でも人間にやめろと言いましたか!同じ目線に立って、言葉を交わそうとしましたか!
 崇め奉られていい気になってなかったと、その無い胸を張って言えますか!?」

緩やかに、満を持すようにリヨナは左足を曲げる。
そして重く鋭く、突撃槍の如く突き出した。

「言葉を介しても想いはちゃんと伝わらないんです!何も言わなくたって分かってもらえると思ってたら大間違いですよ!」

常識外の膂力に重力を加えた一撃は、それでも水の鎧に阻まれる。何せ相手は神と崇められた水の大精霊だ。
故に、リヨナは止まらない。

「まぁ要するに!いい気になってんじゃないですよって事ですね!!」

初撃で温存した右足を限界まで振り上げて、一瞬の静止――そして戦斧もかくやの勢いで追撃の踵を振り下ろした。

94 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/07(月) 23:20:20 ID:yaWs7aQr
>>89
>おふざけ全開の変態だった!
>「何を考えておるのじゃ!? 近寄るな! 無礼者おおおおおおおおおおおおお!」
>放たれた激流にあっさりと吹っ飛ばされる変態。残念だが至って当然の結果である。

「お、おい松本!!しっかりせぇハゲ!!」

激流に流されずぶ濡れのアホアホマン(松本)を抱え上げる浜田。
しかし大量に水を飲んだのだろうか、アホアホマンは朦朧とした意識の中にいたのであった。
(あかん、あかんで……あかん)

「おぉい!!松本……まっつん!!起きろやハゲェェエ!!」

「す、すまん。浜田ぁ……俺はもうあかん。あの子を、ローゼンちゃんを、
頼んだでぇ……」

ガクッと項垂れたまま動かなくなった松本を抱きかかえ、しばらく呆然とする浜田。
その横で、先ほどのDQNが余計な言葉を言ってしまう。

「あのハゲ、死んだんじゃねぇの?マジだっせぇ〜
浜田もさっさと死ねよ、あのハゲみたいに」

「……なんやって?」

「え?」

松本を地面に置き、浜田は怒りの形相でDQNを睨む。
その尻には何故か巨大にせせり立つ尻尾があった。
まるでニホンザル、ドラゴンボールでいうところのサイヤ人である。

「ハゲやと?ハゲや言うたんか?
あのハゲのようにやと?まっつんの事か?
まっつんのことかぁあああああ!!」

浜田の全身を金色のオーラが包む。
怒りのスパークと共に、浜田の髪が金色の変化する。
怒りの戦士、スーパーハマタの誕生である。

「どけやオラァァアアアア!!」

DQNどもを吹き飛ばし、Sハマタ(スーパーハマタ)は
水神の元へ向かう。
屁を推進力にしながら。

「エコやなんか知るかハゲ!!俺はなぁ、今無茶苦茶腹がたっとんねん!!
あ〜!!ごっつしばきたいわぁぁああ!!
ローゼンちゃんのめぇ覚ましたる!!」

(ローゼンへ向け無数の屁魂(へたましい)を放ちながら突撃)



95 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/08(火) 00:11:07 ID:unTlzFRt
>「大悪魔の先輩よ、私達のファンを頼んだぞ!」

「おいおい、だから私は水精霊の力場のせいで力が……行ってしまったか。参ったな」

返事を待たずして行ってしまったメタルクウラに、影は嘆息を零して首を左右に振った。
右腕の氷に視線を向けるが、溶ける様子は一切見られない。
水精霊の力によってか冷気は決して衰える事なく、迸っている。

「……仕方ないな。これはあまり使いたくは無かったんだが」

呟きを零し、影は目を瞑って背中を丸めた。
そしてそのまま顔を上げて、同時に彼の背から漆黒の羽が織り成す翼が飛び出した。

「これを出すと服の背中が破けてしまうんだよなぁ。まったく、後で弁償してもらわないとな。
 それに肩も凝るし……やれやれ、まぁこれも悪役っぽさを醸す為の伏線、演出と言う事にしておくか」

ぼやき、影は生やした翼を大きく広げた。
際限なく拡大する翼は宛ら、村人達への攻撃を遮る隔壁と化する。

「そして……ジェンタイル、これで貸し一つだ。悪魔の貸しは高く付くぞ?」

同時に翼の両端を前方に曲げて、影は無数の羽を放った。
硬質かつ高速の羽がジェンタイルを包む水を裂き、また吸収して奪い去る。
更に羽を飛ばす。次なる狙いは地面、解放されたジェンタイルが落ちるだろう場所に、緩衝材を敷き詰めたのだ。
一仕事終えて、影は小さく息を吐く。

「これでよし、と。……さぁて、それでは引き続き講釈でも垂れるとしようかな!」

そして嬉々とした表情と声色で、宣言した。

96 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/08(火) 00:12:54 ID:unTlzFRt
 
 
 
「今回のお題は丁度この翼に合わせて『汎用性のある能力』についてとしよう。
 能力と言うのはまぁ、色んな場面に対応出来た方が便利であるのは間違いない。
 だが以前TRPGには『役割』があると言ったように、便利が過ぎると今度は他人の役割まで食ってしまう、
 いわゆる万能厨になってしまう訳だ。ではそうならない為にはどうしたらいいのか。
 またTRPGに限らず一般の創作にしても、ただ便利なだけの能力は見苦しい物だからな。
 始めから主人公が無双するのをウリとしている話ならともかく。
 
 と、今回もまた幾つかのパターンに分けてみたんだが……まずは『多方面にあらゆる現象を引き起こせるが制約があるタイプ』だな。
 一番分り易いのは『詠唱や魔方陣の必要な魔法』辺りか。ドデカイ魔法を使うには詠唱が必要だったりすると自分も他人も美味しい立ち回りが出来るよなぁ?
 「決めてやる……!だから頼む、一分……いや三十秒でいいんだ!時間を稼いでくれ!」とか、言ったり言われたりな。
 
 次に『何でも出来るけど何にも出来ないタイプ』だ。ポジションとしての『勇者』なんかはこれに当たる。
 剣士以下の剣技に魔法使いや僧侶以下の魔法、器用貧乏って奴だな。実例を挙げるなら『ものまね師』やサマルトリア王子、はじめの一歩の木村達也とかな。
 他にも、ここじゃない何処かの世界には神様とか宇宙の名を冠した異能があるようだが……まぁいい。次に行くとしよう。

 そして『限られた現象しか起こせないけど運用方法が多彩タイプ』だ。これは説明をするよりも実例を挙げた方が判りやすいな。
 まずジョジョ4部の『クレイジーダイヤモンド』、『壊して直す』だけで攻撃、防御、拘束、回復、回避と多彩な戦術が取れているだろう?
 第七部の『鉄球の回転』も同じくだな。
 次にハガレンの『錬金術』だ。周囲の土や木材を金属などに変え、また変形させる。これも様々な応用法がある。
 ジェンタイルのように『属性』を司るのもこれだな。同時に『多方面に〜制約タイプ』にも含まれる場合があるが。
 器用貧乏に被りそうだが、『高い身体能力』なんかも含まれるんじゃないかな。
 ついでに某黄色の魔法少女もこれだ。マスケット銃で殴ってよし、狙撃してよし、掃射してよし。これで防御能力もあったら良かったのになぁ、はっはっは。

 気を取り直して、『道具による器用貧乏』について話そうか。さっき挙げた『鉄球』『マスケット銃』はこちらにも被るな。
 だが一番分り易いのは『怪盗の七つ道具』だ。他にも『科学者キャラの発明品』とかな。
 この翼だってそうだぞ。広げ、また包み込めば防壁となり、相手をそのまま攻撃する事も、羽を飛ばせば遠距離攻撃だって出来るし、機動性もある。
 便利な羽だろう?今ならなんと魂と引き換えでのご販売だ。片翼を買ったらなんとオマケにもう片翼も付いてくる、これはお買い得だぞ。

 と、色々挙げてはみたが注意すべきはこれらを『万能である事への言い訳』に使ってはならないと言う事だ。
 例えば殆ど万能に近い能力の代償として『体力消費が凄まじい』とか言いつつ、そんな素振りは一切見えなかったりとかな。
 本当にそうなら一戦に数回しか使えないなど厳密な制限が必要だし、そんな能力は先の見えないTRPGでは始めから作るべきではない。
 或いは、それはあくまで『切り札』として扱い、何か別のショボい能力をメインにしたりと工夫が必要になってくるな。

 そうそう、今まで挙げたタイプの例外として『ガチで凶悪』な汎用性のある能力も存在する。
 例えば禁書目録の『黄金錬成』『一方通行』、ワンピースのボスキャラ系全般、ブリーチの『鏡花水月』、ナルト二部のボスキャラ全般。
 ……とまぁ、基本的にはボス級のキャラが持つ能力だな。
 さて、それじゃあ今回はこの辺にしておこうかな」
 
 
 

97 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/08(火) 01:03:22 ID:H1SoL2qE
>>90
>「穢れた水では木は死んでしまうんだ、こうなったのは誰のせい?」

どう見てもローゼンが触ってから枯れ始めてます本当に(ry

仮にも神と言うからには大層な世界生成の原理の一端でももったいぶって講釈垂れてくるかと思えば、
何のことはない、あの不定形は自分でコップ倒しておいてぼくのジュースがなくなっちゃったと泣きわめく幼児だ。

「…ンのくそガキ…」

各人各様にローゼンへの攻撃は続いていた。ならば私は

奇数…徹底的に嫌がらせ
偶数…腕力でぶちのめす


98 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/08(火) 02:33:40 ID:H1SoL2qE
要するに盾が無いからふぶきを食らうと痛いのだ。
金銀以降は命中率70%こおり確率10%に下がっているしターン経過で融けるようにもなった…のは別の世界の話だが。
因みに最新のあの世界では私は橋の上で待機して話しかけてきた人にボイスパーカッションを披露する係だ。

私は手頃な屋台の看板を拝借して構えると噴水に向けて再度走り出した。
上空からリヨナが蹴りかかっているところでもあり飛んでくる氷塊の狙いは比較的甘い。
看板が砕け散ると同時に私は噴水の下に辿り着き、そしてその場でハルバードを構え、
「八つ当たりもいい加減にしろ?」
斧を振り抜きローゼンが乗っている枯れ木の下部をダルマ落としの要領で弾き飛ばした。

99 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/08(火) 03:14:44 ID:T3EcNh/y
>93 >95 >98
>「言葉を介しても想いはちゃんと伝わらないんです!何も言わなくたって分かってもらえると思ってたら大間違いですよ!」
「馬鹿め! 魔力も持たぬ格闘バカにどうこうできると思うてか!」
その言葉通り、リヨナの渾身の一撃は難なく弾き返された。
が、それは囮。真打が放たれる!
>「まぁ要するに!いい気になってんじゃないですよって事ですね!!」
それはまさに奇跡の一撃。
一切の魔力強化がない、だからこそ力強い踵落としは水の壁を貫通し、丁度肺のあたりに直撃した。
「馬鹿な……!!」
>「八つ当たりもいい加減にしろ?」
足場が無くなり、今度こそ地面に落ちていく。
直後に水の牢獄が崩壊し、解放されたジェン君も落ちてくる。
敷き詰められた漆黒の羽根が舞い上がった。
ローゼンは数秒気を失ったようになっていたがすぐに目を覚ましたかと思うと激しく咳き込む。
「がはっげへっごほっ……!」
大量の水を吐き出した。もしかして今まで半分死にかけてたんとちゃう!?
道理で口調まで変わるのは影響されすぎだと思った。
精霊が体を乗っ取って暴れまわるには、完全に意識不明になっては駄目だけど朦朧としてる位がベストなわけだ!
「あ……」
ローゼンはある事に気付いて狼狽えていた。
さっきの一撃のせいで、ハードレザーの胸当てが粉砕されていた。肩当ても一緒に外れ落ちている。
華奢な肩と、男では無いのが分かる程度の胸が露わになる。
が、この緊迫した状況でまじまじ見る人なんていないと思われるので、気付かれるかどうかは微妙な所である。
言っておくがただ防具が外れたというだけで裸ではないので別にエロくはない。
別にお色気シーンではない。大事な事なので二回言いました。
「ジェン君のバカ!」
とりあえず例によって近くにいたジェン君に八つ当たりしつつ慌ててコートの前を閉じるローゼン。
一見元に戻ったようにも見えるが……。

100 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/08(火) 03:16:38 ID:T3EcNh/y
>91
その横で、噴水にメタルクウラがせっせとゴミを投げ入れていた……。
「何さらすんじゃあああああああああああ!!」
メタルクウラは脳天にでっかい氷塊を落とされた!
残念! 水精霊とのリンクはまだ切れていなかった!

>94
ハマちゃんが怒ってスーパーサイヤ人化した。もしかしてこれって典型的な少年漫画展開じゃないだろうか。
>「エコやなんか知るかハゲ!!俺はなぁ、今無茶苦茶腹がたっとんねん!!
あ〜!!ごっつしばきたいわぁぁああ!!
ローゼンちゃんのめぇ覚ましたる!!」
ローゼンは目を覚ますどころか臭さのあまり更におかしくなった。
「ふふふ、あは、あはははははは!!」
狂ったような哄笑を上げる。
「そうだ、変な化学物質による汚染よりも堂々とゴミ投げ入れる方が余程潔くていい! そうだ、腐ってて何が悪い!」
再び膨大な精霊力が渦巻き、手の中に巨大な水の鎌が現れる。
「ククク……近くに湖があるだろ? ヤバイ物質で汚染されまくって見るからにドロドロの湖の水を大量に召喚して村中に振らせてやる!」
ローゼンはやたら説明的な台詞でこれからやろうとしている事を解説した。
近所に湖があるから湖畔村なのだが、その湖はヤバイ物質で汚染されまくって見るからにドロドロらしい!
そんなものを振らされたら大変だ! 村人達から絶望の声が上がる。
「大変じゃ、水神様が腐れ神になってしもうたー」
「この村はお終いじゃー」
ああ、何たる逆”千と千尋”!
「ちょっと時間がかかるけど邪魔したらこの鎌で叩っきるからな!」
ローゼンはそう親切に忠告し、>96の講釈を意識したのか知らないが、長い詠唱を始めた。

「うわーどうすればいいんじゃー」
「もうお終いじゃー」
村の爺さん連中は絶望しているが、やろうとしている事をやたら親切に解説するあたり、ローゼンの意識の比率が高くなってきている。
それに我とリンクした時にウソみたいに超人的接近戦が出来るようになるのは、光精霊が生命属性を管轄しているからだ。
相手が水精霊ならそこまでの身体強化は無いはず! さあもう一押しだ!

101 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/08(火) 04:15:30 ID:EIYLC4EC
>「何さらすんじゃあああああああああああ!!」

「うおっ!」
ローゼンが私に向かって氷塊を落とすが、私には氷は効きにくい。
一応は鋼タイプ扱いだからな。
もしもジェンタイルがやられたように、私も水で包まれていたら、私はどうなっていたか分からん。
水神の操る水だ。
刻まれた防水のルーンの力を越えて、私を殺してしまう可能性が高い。

私がゴミを入れている間にも、先輩悪魔がファンだけでなく、ジェンタイルも助けてくれたり、ローゼンに対して向かって行く者もいたりした。
そして、松本がやられて怒った浜田がスーパーサイヤ人になってローゼンに向かう。
良いシーンなのだろうが、屁を出してる分だけ台無しだな。

>「ふふふ、あは、あはははははは!!」
>「そうだ、変な化学物質による汚染よりも堂々とゴミ投げ入れる方が余程潔くていい! そうだ、腐ってて何が悪い!」
>「ククク……近くに湖があるだろ? ヤバイ物質で汚染されまくって見るからにドロドロの湖の水を大量に召喚して村中に振らせてやる!」
ローゼンに取り憑いた水神が狂ったように笑い出し、科学物質で汚染された水を召喚しようとするらしい。
瞬間移動は目標地点を定めるのではなく、気を目印にして、その気の近くに移動する技だ。
よって、ローゼンを瞬間移動でどこかに移動させても、他の人に汚水の迷惑がかかる可能性がある。
瞬間移動は使えないな。
ゴミを池に入れても意味は無さそうだし、近づいて格闘による妨害も怖いので遠慮したい。
遠距離でエネルギー弾の乱射しかないな。
近接戦闘は浜田や他の者達に任せよう。

「ローゼンよ、死んだらすまぬ!」
私は逃げるように空を飛んで距離を取りながら、ローゼンに向けて指先からエネルギー弾を乱射した。

102 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/08(火) 07:12:45 ID:Rm9F/6WP
>「そして……ジェンタイル、これで貸し一つだ。悪魔の貸しは高く付くぞ?」
水の膜の向こうで大先輩の放った何かが、水飴を貫通して入り込んできた。
留まらず、俺を戒める水の塊から正確に水分だけを吸収して飛び去って行った。
開放されようやく外気との邂逅を果たした俺はそのまま噴水に落ちて再び水の中。
今度はすぐに水面に上がる。
「た、助かったー!」
あ・ぶ・ねぇっ!あやうく三途の川を渡りかけた。
川の向こうにローゼンの大群が見えたからあれはあの世に違いない。
>「ジェン君のバカ!」
「まったく意味がわからねえよ!?」
上空から罵られた。それは水精霊なのかローゼンなのかどっちの意見だ。
>「エコやなんか知るかハゲ!!俺はなぁ、今無茶苦茶腹がたっとんねん!!」
気付けば周囲が深刻な大気汚染に瀕していた!水の汚濁だけじゃねえ!この星はもう駄目だ!
あまりの激臭に水精霊の気が触れたのか、目からハイライトが消えてタガが外れたように笑い出した。
それ以上ビジュアル崩したらアカンて!ヒロイン枠諦めんな!
>「ククク……近くに湖があるだろ? ヤバイ物質で汚染されまくって見るからにドロドロの湖の水を大量に召喚して村中に振らせてやる!」
「何ィ!?そんなことしたら環境問題に対する警鐘をテーマにした説教臭い作風になっちゃうじゃねーか!」
痛快娯楽紀行ラブコメという本作のジャンルはどこ行った!
>「ローゼンよ、死んだらすまぬ!」
メタルクウラのエネルギー弾がローゼンに向かって放たれた!
「ええええええええーーーーーっ!?」
やっべーもうジャンルがさっぱりちゃんなんだけど!なんだこの話!
一体敵は誰なのか!ローゼンか?水精霊か?それとも水を汚し大気を濁らせる人間という種そのものか!?
悪役の不在は、味方の不在よりずっとずっと絶望的だと!昔どっかのラノベかなんかで読んだことがある!
あれ?これ結構本作にも密接に関わってくるテーマじゃね?とりあえず伏線にしとくからのちのち回収するぜ。

俺は足裏に熱魔法による上昇気流を発生させ羽毛のようにふわりと舞い上がる。
汚水召喚の詠唱を始めたローゼンのすぐ目の前まで肉迫し、メタルクウラの砲撃によって無防備になった肩に手をかける。
「相対する資格が満ちたかどうかはわからねえけど……会いに来たぜローゼン」
水精霊とローゼンとのリンクが弱まっている。
魔力の波長が不安定になっているし、水の召喚に長い詠唱を必要とするのはその証左だ。
同じ精霊魔術を扱う俺が契約者と精霊との繋がりをこじ開けて、その隙に一撃でもくれてやれば。
――かつてローゼンが俺にそうしたように、精霊とのリンクを強制的に断ち切ることができる。理論上は!
「合わせやがれ炎精霊!ここで踏ん張れなきゃ後生だぜ!」
<<えー>>
「えーとか言うなや!お願いだから空気読んで!ねえ!?」
オーケ、わかった。そこまで言うなら妄想してやろうじゃねえか。水精霊を萌え萌えにする脳内変換を――!
二次元というコンテンツは!人間のあらゆる欠点を萌え要素に変える力があるんだっ!
「――かまってもらえなくて癇癪起こしちゃうのも!」
萌えるよ!
「――口下手で暴れることでしか想いを伝えられないのも!!」
超萌えるよ!!
「――拒絶が怖くて!信仰という殻で自分を取り繕わないと誰にも相対できないのだって!!!」
そういう属性だと考えてしまえば。ツンデレなんて……萌えるだけだろうがあああああああああ!!!
<<――力が欲しいか!!>>
「ったりめえだっ!!」
腐女子ばりの妄想力で水精霊を萌え萌えに変換した俺たちは、信念と情熱を付和雷同に重ね合う。
「"リンク"――――!!」

炎精霊の純粋な精霊魔力は、肉体を透過してその先に繋がった契約精霊へ直に触れられる。
触れて、掌握できる。
<<腐ってて何が悪い……ようやく汝と器が同調したな水精霊。そう!何も悪いことなどないッ!
  人間が齎すのは破壊や喪失だけではない。その娘のように人類史上最も"腐った"人種は――無から無限を生み出すぞ>>
俺はローゼンの胸に手を突き入れていた。在りし日のコイツのごとく、血も痛みもなく精霊魔力を注ぎ込む。
手探りで、精神の深奥に根ざした精霊の意識を掴みとる。
「――今だっ!!」
誰かこいつにガツンと一撃くれてやれ!

103 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/08(火) 13:20:42 ID:G1D17o52
状況は激動し、変動する。
ローゼンが正気を取り戻したかと思えたのも束の間、狂気を上塗りした水精霊はけたたましい笑い声を響かせた。
巨大で強大な水の鎌を作り出し、更に膨大な魔力を練り上げながら冷酷な響きで詠唱を始める。

>「ククク……近くに湖があるだろ? ヤバイ物質で汚染されまくって見るからにドロドロの湖の水を大量に召喚して村中に振らせてやる!」

「……どうして、アナタは!」

水精霊の自暴自棄にも聞こえる宣告に、リヨナが強く歯噛みした。
怒りに奥歯を軋ませて、握り拳を怒りに震わせる。

だが彼女が拳の内に握り締め、表情に浮かべる感情は憤慨だけではなく――戸惑いと哀れみが、水に溶けた一欠片の絵具のように混じっていた。
水精霊は、間違いなく被害者なのだ。人間の自然を顧みない暴虐の垂れ流した汚れを一身に押し付けられた、哀れな被害者だ。
――だとしても人間を殺し、村を滅ぼそうと言うのは間違っている。
だからこそ止めなくてはならないが、その為に彼女に暴力を振るわなくてはならないのがリヨナには酷く心苦しかった。

>「――今だっ!!」

それでも、状況は決して停滞しない。ジェンタイルがローゼンを、炎精霊が水精霊を掴んだ。
ようやく訪れた、打倒の好機だ。ふいにしてしまう訳にはいかない。
例えリヨナがどれだけ、水精霊を可哀想だと思っていたとしても。

「……ごめんなさい!」

謝罪の声と共に、リヨナが駆け出した。
地面が抉れ粉塵が舞い上がる程の跳躍、一足飛びにローゼンへ肉薄する。
鎌が振るわれるよりも速く、懐へと到達した。同時に右手を大きく振り被る。
そして――乾いた鋭い音が響いた。

(……皆さん、ごめんなさい!だけど私は、それでも……!)

リヨナが、平手でローゼンの頬を張った。

「どうしてアナタはそうなんですか!独りよがりに怒り狂って、挙句の果てに自ら己の大切な物を穢そうとして!」

限りなく接近した距離で、構えも取らず無防備にリヨナは声を張り上げる。

「何でやめてって言わなかったんですか!何で苦しいって言わなかったんですか!
 お高い神輿の上で一人さめざめ泣いているヒマがあったのなら、どうして助けてって言わなかったんですか!!」

怒りを宿した眼光で水精霊をまっすぐに見据え、続けて叫ぶ。

「私達人間は……私は特にですけど、バカなんです!いけないって分かってても易きに流れてしまうんです!
 言ってくれなきゃ分からない事だってあるんですよ!だけど、だから……」

更に一歩、リヨナはローゼンに歩み寄った。
何が起ころうと何をされようと、回避も防御も絶対に叶わない距離にまで、微塵の迷いも含まない歩調で踏み込んだ。

「たった一言……助けてって言ってくれたのなら、私は命に代えてもアナタを助けてみせます!
 衛士隊は年中無休なんです!そこに困っている誰かがいるのなら、いつだって手を差し伸べますから!」

一息に言い切って目を瞑り、リヨナは深く深呼吸をする。
吐息に乗せて感情を排出して、濁りの消えた視線でローゼンを見つめた。

「……私の言いたい事は、全部言いました。だから……次はアナタの番ですよ」

そう告げるリヨナの体には気構えも身構えも緊張もない。
もしも水精霊が携えた大鎌を振るったとしても、彼女は微動だにしないだろう。

【なんかゴメンね!色々ゴメンね!】

104 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/08(火) 21:34:12 ID:WCRs5I3P
>>100
>「ふふふ、あは、あはははははは!!」
狂ったような哄笑を上げる。
「そうだ、変な化学物質による汚染よりも堂々とゴミ投げ入れる方が余程潔くていい! そうだ、腐ってて何が悪い!」


「あ、あきませんって!!浜田さんの屁の臭いで神様が怒っちゃったやないですかぁ〜
あかん、もう終わりやぁ〜」

狼狽する山崎の声を聞き、浜田は立ち止まる。
前では、王道的展開の>>102>>103コンビが頑張っていたり
メタルクウラがエネルギー弾を撃ったりしている。
浜田は己の尻に手を向けると、すかし屁を嗅いでみるのであった。

「うわ、くっさぁ……」

あまりの臭さに浜田の怒りは「萎えて」しまった。
元のノーマル浜田に戻ってしまったのである。

「あ、あかん!!松本さんも浜田さんも戦えへん!!
も、もう終わりやぁ〜!!あ、あれ?え、遠藤どこや!?」

絶望する山崎、そして前方で戦う者達の耳に
華麗なロックのビートが叩き込まれる。
ちょうど、夏祭りの盆踊りの為に用意したスピーカーから流れているようだ。

――もてあましてるFrustration You've got an easy day

――嘘を呑み込み静かに眠ってるMAD city

【瀬戸内海の荒波が産んだスーパースター. ダイナマイトォオオオ〜四国ゥ〜!!】

何処からともなく聞こえたマイクと共に盆踊り特設スタジオの装置が作動し
飛び上がって現われたのは半裸のマスクマン。
そう、鳴門海峡の渦のごとき男・ダイナマイト四国である。

「水神の力は私が弱めよう。さぁ、その内にローゼンさんを救うんだ!!
行くぞ!!村人の皆さん、ご唱和下さい!!」

ダイナマイト四国の号令と共に、エコバックを手にした村人達が
整列する。
その周囲には穏やかなエコ魂が浮かんでいた。
それはさながら、機動戦士ガンダム・逆襲のシャアのラストで現われた
地球を包むオーロラのようでもある。

「「1〜2〜3〜四っ国!四っ国!四っ国!四っ国
!」


(エコパワーで水神を鎮魂開始)

105 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/09(水) 00:37:09 ID:A9sPw+dQ
>101
>「ローゼンよ、死んだらすまぬ!」
メタルクウラがエネルギー弾を乱射し始めた。やめて! 少しは水精霊さんの気持ちを考えてあげて!
どう見ても未必の殺意だ! 噴水にゴミを投げ込んだりこいつ滅茶苦茶だ!
水の鎌をぶん回して迎撃する。時々迎撃しそこねたエネルギー弾が掠って所々チラリズムになっているけどまだセーフだ!

>104
「水神の力は私が弱めよう。さぁ、その内にローゼンさんを救うんだ!!
行くぞ!!村人の皆さん、ご唱和下さい!!」
これまた変態が号令をかけると、村人達がなぜかエコバックを持って四国コールを始めた。
確か四国って極東の一地方だっけ? この村の村人ノリ良すぎだろ!

>102
>「相対する資格が満ちたかどうかはわからねえけど……会いに来たぜローゼン」
揺れる瞳でジェン君を見つめるローゼン。まるでずっと待っていたとでもいうように。
「遅いよ……! 今更何しに来たの!?」

>「――かまってもらえなくて癇癪起こしちゃうのも!」
>「――口下手で暴れることでしか想いを伝えられないのも!!」
>「――拒絶が怖くて!信仰という殻で自分を取り繕わないと誰にも相対できないのだって!!!」
「だあれが構ってちゃんで口下手でヘタレだって!?」
ジェン君はローゼンの胸に手を突き入れ、魂に接続した精霊に触れる。
「あ……やめろ……うあああああああああああッ!!」
水精霊が接続を切り離されるのを拒絶しているのか、はたまたローゼンがむき出しの心に触れられるのを怖がっているのか。
真実を知る術はない。

106 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/09(水) 00:40:50 ID:A9sPw+dQ
>103
>「……ごめんなさい!」
ローゼンは、リヨナにビンタされて、最近よくビンタされるなあとか思っていた。
そろそろ語りをローゼンに返す時が来たようだ。

>「どうしてアナタはそうなんですか!独りよがりに怒り狂って、挙句の果てに自ら己の大切な物を穢そうとして!」
うん、その節は怒り狂って後先考えずに放送事故を招き大変反省してます。
>「何でやめてって言わなかったんです! 何で苦しいって言わなかったんですか!
 お高い神輿の上で一人さめざめ泣いているヒマがあったのなら、どうして助けてって言わなかったんですか!!」
助けてー、色んな攻撃をくらって体中が痛い。
『水精霊の痛みを考えればそれ位大したことないでしょ?』
そうだ、大したことは無い。でも痛いものは痛いんだ!
あれ、光精霊!? いつの間に返ってきたの……? 水精霊は!?
『隅っこで大人しくしてます』
意識を研ぎ澄ませてみると、確かにいた。幼い少女のように震えていた。出来ることならこのまま連れて行ってあげたい。
でも僕には光精霊がいる。能力バトルで2つ属性を持つのはご法度だ!

>「たった一言……助けてって言ってくれたのなら、私は命に代えてもアナタを助けてみせます!
 衛士隊は年中無休なんです!そこに困っている誰かがいるのなら、いつだって手を差し伸べますから!」
一点の曇りもない瞳で言い切るリヨナちゃんに衝撃を受けた。
僕には命に代えても誰かを助けるなんて言えない。結果的にそうなった事はあるけど全部とっさの事故の類である。
そうだ、彼女になら……。
>「……私の言いたい事は、全部言いました。だから……次はアナタの番ですよ」
水の精霊の想いを、切なる願いを代弁する。
「神様なんてもう嫌。出来るなら……もう一度精霊になりたい。
もう一度雇われ精霊になって、素敵なマスターと固い絆で結ばれて……星の命を救う冒険をしたい!」
水の精霊が驚いて声をあげる。
《そなた……魔法の素養のないそやつには無理じゃ。もう良い、もう十分じゃ!》
「勘違いするな、僕はのんべんだらりと楽しく暮らせればそれでいいと思ってる事なかれ主義者だ。星の命を守るために魔晄炉爆破とか真っ平御免だ!
でも水が全部汚染物質でドロドロになったら困るじゃん! 風呂入れないじゃん!」
再びリヨナちゃんに向かって言う。今度は僕自身の言葉で。
「落ち着いてよく聞いて。水の精霊と契約してあげて欲しいんだ……!
魔法をやった事無くても大丈夫。正確には君が契約するんじゃない。契約するのは僕で実際に飼うのは君。
僕なら水の精霊の膨大な魔力を君に合わせて調整できる
もちろん危険も伴うけど……これでも精霊取扱者の資格も持ってる。全力で手綱握っとくからさ! どうかな?」

107 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/09(水) 01:19:32 ID:zVlTk8bg
「頼まれ事はこなした。直接戦闘に介入するにしても今更する事無さそうだし……。
 だからと言ってボケてもツッコミ役が向こうに行ってしまっているからなぁ。張り合いが無さそうだ。
 まぁつまり端的に言うと……一切する事がなくなったな」

片腕が氷結した状態でも器用に腕を組んだ大先輩は、眼を閉じて眉間に皺を寄せながら呟いた。

「まさか戦闘の最後の最後、大一番を悪魔が持って行く訳にもいかないからなぁ……。
 ここまで積み上げた物を台無しにするって意味では悪役の所業と言えるが、流石に不味いだろう」

と言う訳で、と言葉を挟んで影が続ける。

「私はここでのんびりしていよう。なに、私にはこの後、すべき事があるのでね」


108 :明智左馬介 ◆ydC6fTPE06 :2011/02/09(水) 01:50:44 ID:gdxr8k9W
「すまん、遅くなった!!」

阿児からの伝言により怒れる神の元へ駆け付けた赤色の鎧を纏った侍。
既に戦いは終わりかけていたが、周囲に未だ潜む邪気をいち早く感じ取る。
右腕の鬼の籠手を天へ向け、その邪気を吸収していく。
「やはり、この村から感じたものは間違いではなかったか。」

鬼の籠手で邪気を吸収したにも関らず、周囲からはその気配は消えない。
何者かの強大な意志、それが左馬介には感じ取れた。
水の精霊はこの何者かによって触発されたのではないか?

「戦術殻・紫電!!」

左馬介の声と共に、携えた刀が雷を纏った長刀へ変化する。
変化したそのまま、背後に感じる邪気を払うように
刀を振るう。
しかし、空を斬るのみで手応えはない。

「……気のせいか。いや――」

刀を戻し、左馬介は水精霊とリヨナのやり取りに注目した。

109 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/09(水) 13:42:58 ID:JUUW+559
ジェンタイルと知らない奴のおかげで、ローゼンが元に戻ったようだ。
私はその後のやり取りを遠くから見守っている。
あるは完全に三人の、いや、二人の世界に入ってしまっているな。
ここで私がやり取りに突撃したら、KYロボ認定されてしまうな。
暇になった私は先輩悪魔とファンの下にまで行ってみた。

>「私はここでのんびりしていよう。なに、私にはこの後、すべき事があるのでね」
先輩悪魔が何かするようであった。
どうせ前みたいにイベント終了時の人肉料理の披露であろう。

「うむ。ならば、私も何か手伝ってやらなければな。
そうだな。石鹸でも大量に用意しとこうか?」
善は急げと言うことで、私は村の人から石鹸を集めに出発。
そして、>>108のお侍を発見して、私は声をかけるのであった。

「おー、ハラキリザムライ。
言葉が通じるならば、私と一緒に石鹸集めをしないかい?」

110 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/09(水) 20:35:46 ID:zVlTk8bg

>「神様なんてもう嫌。出来るなら……もう一度精霊になりたい。
 もう一度雇われ精霊になって、素敵なマスターと固い絆で結ばれて……星の命を救う冒険をしたい!」

ローゼンの口から語られた水精霊の本心に、リヨナは瞳に太陽もかくやの輝きを宿して、表情を明るく輝かせた。
彼女には魔法の適性が無く、魔力も有していないが、お構いなしに何度も頷いてみせる。それは見せかけだけの肯定では、ない。

>《そなた……魔法の素養のないそやつには無理じゃ。もう良い、もう十分じゃ!》

「無理なんかじゃありませんよ!命に代えたって助けてみせるって、言ったじゃないですか!
 例え百万回死ぬ事になったって、百万回生き返ってアナタと契約してみせます!」

無理矢理にだって、契約を試みる事は出来る。ただ不適正な者は拒絶反応に耐え切れず、死んでしまうだけで。
それでも契約はほんの僅かにだが、進行する。ならば死んでは生き返る事を何度も繰り返せば、いずれは契約が完了出来ると言う寸法だ。
無論、実際に完遂出来る者は殆どいない。途方も無い激痛と蘇生の反復に、半ばで断念してしまうのだ。

「大丈夫です。私、痛いのは慣れてますから。我慢してみせますよ」

実は自分が被虐趣味なので全く問題ない、むしろ大歓迎だとは絶対に暴露しまいと決意しつつ、リヨナは無駄に自信に満ちた態度と澄んだ視線で断言する。

「だから行きましょう!もう一人で泣く必要なんてないんです!
 私がいます!一緒にいますから!もう何も、怖くなんかないんですよ!」

ローゼンの手をしっかりと掴んで、その中にいる水精霊に語り掛けた。

>「落ち着いてよく聞いて。水の精霊と契約してあげて欲しいんだ……!
>魔法をやった事無くても大丈夫。正確には君が契約するんじゃない。契約するのは僕で実際に飼うのは君。
>僕なら水の精霊の膨大な魔力を君に合わせて調整できる
>もちろん危険も伴うけど……これでも精霊取扱者の資格も持ってる。全力で手綱握っとくからさ! どうかな?」

「え?あ、そうなんですか……。それはざんね……じゃなくて好都合ですね!是非お願いします!」

うっかり滑らせかけた口を、リヨナは勢いで軌道修正した。
それから何を思ったのか、ぴたりと硬直する。
そして、

「……って、えぇ!?もう元に戻ってたんですか!?私てっきりまだ水精霊さんの方かと……。
 あ、わわ、手握っちゃってごめんなさい!痛くなかったですか!?て言うか近いですよね今離れますから!」

狼狽を露にして、慌てふためきリヨナはローゼンから離れた。
胸に手を当てて頬を赤らめ、視線を落ち着きなく泳がせている。まるで何を言えばいいのか、探すかのように。

「あと、その……私こう言うの初めてなので、優しくして下さいね!?」

結局適切な言葉の見つからなかった彼女は、勢いに任せてそう口走った。

111 :明智左馬介 ◆ydC6fTPE06 :2011/02/09(水) 22:35:59 ID:gdxr8k9W
>>109
>「おー、ハラキリザムライ。
言葉が通じるならば、私と一緒に石鹸集めをしないかい?」

「ん?貴様は……」

メタルクウラの異様な姿に思わず刀を構える。
しかし敵意を感じられないと気付くや否や、左馬介は
刀を納める。
その横に大量に石鹸を入れた袋を抱えたからす天狗の阿児が
飛んできた。

「左馬介〜!!村人さんたちから大量に石鹸貰ったよ!!
ガッチーさんは無事かな?あ、ツルツルのトカゲだ!!
すごーい!!」

メタルクウラの周囲を飛び回りはしゃぐ阿児。
その隣で左馬介は石鹸の入った紙袋をメタルクウラに手渡した。
「これで……足りるか?それにしても不思議なものだな。
これで体を洗うとは聞いたが。」

112 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/10(木) 00:17:58 ID:8oOFzIVe
>110
リヨナちゃんは何の迷いもなく水の精霊と共に行くと言ってくれた。
「ありがとう、でも100万回も死んだらダメだよ……! 体の傷は消えても魂の傷は残るんだから……」

>「あと、その……私こう言うの初めてなので、優しくして下さいね!?」
「その……僕も初めてなんだ……! でも大丈夫、怖がらなければ痛くないから! じゃあ……行くよ?」
人に使役させる仲介契約は初めてという事で、教科書通りの形式ばった手順を踏む。
「あなたはこの精霊をペットとし、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも
これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを約束しますか?」
リヨナちゃんが約束するやいなや、僕は彼女に歩み寄り、意を決してそっと口づけをした。
キスは古来より魔術的な意味を持つ。別にどこに触れてもいいのだが、最も確実な方法がこれなのだ。
水の精霊がリヨナちゃんの方に乗り移ったのを認識し、暴挙を詫びる。
「ごめんね、変な意味は無いんだ、契約のためなんだ……!」
《そなたが妾のマスターか……! なかなかの美少女じゃ、宜しく頼むぞ!》
喜ぶ水の精霊に釘を刺す。
「くれぐれもリヨナちゃん乗っ取って暴走とかすんなよ!」
《男装もなかなかええのう。萌えるマスターとブローカーに囲まれて嬉しさ2倍じゃ!》
ダメだこりゃ! ってか水の精霊は女専なのか!? 癇癪起こした理由は、当代水の巫女がオカマなのも一因だったのかもしれない。
気を取り直してリヨナちゃんに言う。
「これで僕達は精霊を通して結ばれた。他人では無くなったってわけだ! 君も今日から世界を救う善のパーティーの一員だ!」
世界を救うのと星の命を守るのは矛盾しない。それどころかほぼ同じと考えていいだろう。

113 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/10(木) 00:18:41 ID:8oOFzIVe
そしてジェン君の方に歩み寄る。思いっきり抱きしめて頭を撫でまわしてありがとうと言いたい。でも出来ない。
だってジェン君は仮にも世界をぶっ壊す悪のパーティーのリーダーだもん。
善のパーティーのリーダーと悪のパーティーのリーダーが和気藹々としていては読者に混乱を招く。
なので敵に対する態度にふさわしくあっかんべーをしてやった。
「残念でした、リヨナちゃんは貰ったあ! ジェン君は大先輩とかガチさんと仲良くしてればいいの!」
これで良かったのだ。ジェン君がリヨナちゃんみたいな美少女と仲良くなったら宜しくない。
僕はもし仲良くなっても屁理屈で美少年に変換するから大丈夫だ問題ない。

さあ締めだ。エコに目覚めた村人達に向かって言う。
「皆さん、血沸き肉躍るバトル展開はいかがでしたか?
それでは祭りの締めくくりに、忘れ去られた伝説を語りましょう!」
光の幻影魔法を使って、空中に巨大な映像を映し出して紙芝居を上映する。
それは、少女と精霊の絆の、水の巫女の始まりの物語。

「その昔、闇の勢力の侵攻により、人々は恐怖におののいていました。
一人の少女が生贄として捧げられた。しかし少女はそんな事をしても意味など無い事を分かっていました。
少女は澄み切った湖に向かって祈げました。『神様、どうか皆をお守りください……!』
《お姉ちゃん、わたしと契約してくれる……?》 しかし現れたのは、大した力も持たぬ水の野良精霊だったのです。
『ダメよ、どうにもならないわ……。私もあなたと同じでとても弱いの』
その時、少女に容赦なく迫る魔獣の爪。あわやと思われたその刹那、煉獄の炎が魔獣を包みます。
そこには炎精霊を従えた魔導士がいました。さらに、止めを刺したのは、光輝く剣を持つ少年。
『俺はあいつらが気に入らねえ、叩き潰しにいかないか?』『僕はのんべんだらりと暮らしたいだけだ、一緒にマターリ生活を取り戻しに行こう!』
彼らの勧誘もとい説得に心を打たれ、少女は言いました。
『精霊さん、契約しよう……!』《ありがとう、ずっと一緒だよ……》」

終わり、の文字を出してから少し間を置いて一言付け足す。
「弱かったはずの少女はその後、光の勇者と共に世界を救ったという――。これが水の巫女の始まり……!
皆が崇めた水神は恐ろしい神でも何でもない、一人のか弱い少女と結ばれたか弱い野良精霊だったんだ!」

>109 >111
なぜかクウ君と知らない人が石鹸を大量に集めていた。
「あー、風呂入りたい」
『RPGの登場人物のくせに何言っちゃってんのこの人!? 自ら放送事故どころか死亡フラグ立ててどうすんの!!』

114 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/10(木) 01:40:39 ID:odgQvQSn
んー眩しいねえ。18歳じゃなきゃ言えないセリフだ。
18歳を何乗すれば足りるのかわからない大先輩は耐えかねたのか観戦モードに入ってしまった。
律儀にまだ凍ってみせてるが、あくタイプの登場は金銀世代…本当はターン経過で融ける。

そしてローゼンは18歳でもないのに見てるこっちが恥ずかしくなるくらいきっぱり世界を救うと言い切った。
逃亡せずに観戦モードで耐えている大先輩は尊敬に値するかもしれない。

奇数…現実逃避して将来構想
偶数…現実逃避して雑談


115 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/10(木) 02:58:04 ID:odgQvQSn
ところで私は世界を壊さなくてはいけないのだった。
しかし私は太古の神や宇宙からの侵略者などではなく、しんかしてじめんタイプになる予定はあるが基本的に只の戦士だ。
これからどうやって世界を壊すのかこの辺で一度考えておくべきだろう。

世界に大災厄をもたらし文字通りに破壊の限りを尽くすのは大先輩のような悪魔の役目だ。
因みにこの世を全て廃墟に変えたところで見方によっては世界は何一つ変わっていない。
ただちょっと組み合わせが違うだけで総体としての物質は世界に在ったそのまま在り続けているのだから。

それは逆に表面的な姿は何も変わらなくても見方によっては世界が壊れる事にもなるという事で。
遺跡に潜って禁断の扉を開け異界の魔物を呼ばなくても人々が今まで信じてきた「世界」は壊せる。
…具体的に対象を宣言するとローゼン君に阻止されちゃうから今はここまでだ。

そういえばさっきサマノスケの姿が見えた。
サムライにはジャスト防御で強力な反撃を繰り出す不思議な技があるらしい。一度見てみたいものだ。

「阿児ちゃーん」
空中の小さな人影を目印に歩いていくとサマノスケは何故かはがねタイプの人と石鹸を集めていた。
「え?これから大先輩が石鹸で人肉料理?何だかよくわからないがオレも手伝おう」


116 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/10(木) 03:29:26 ID:8oOFzIVe
>「あと、その……私こう言うの初めてなので、優しくして下さいね!?」
>「その……僕も初めてなんだ……! でも大丈夫、怖がらなければ痛くないから! じゃあ……行くよ?」
なんだろう……やってることは至って正当な精霊契約の儀式なのに、そこはかとなく漂うR-18の気配。
<<水精霊だけにこれがホントの濡れ場ってか、はは>>
うわぁ、10年前のセンスだあ。死なねえかなこいつ。
>「ごめんね、変な意味は無いんだ、契約のためなんだ……!」
うわーーっ!ちゅ、ちゅうしたぞあいつら!え?え?なにこの展開!
マジでR-18!?めくるめくマリみてストパニくんずほぐれつなの!?
<<ほほーう。これはこれで>>
これはこれでとか言うなや!つうかお前はせめて口調ぐらい統一しろ。
今はかぎかっこの表記が違うからいいけどよー、そのうち誰が喋ってんのかわからなくなるぞ。
あークソ、なんだろうこの釈然としない感じは……女同士でいつまでちゅっちゅちゅっちゅしてんだよこいつら。
ローゼンのビジュアルだと、見ようによっては普通の男女恋愛に見えなくもないけど。それが余計に。
<<ふふふ契約者よ……そのわだかまりは本当に、女同士でどーたらの倫理観によるものだけかな……?>>
黙ってろ。そのうちテーマにするから。

契約を終えたローゼンが俺の方に近寄ってきた。
ノリで相対してしまったけど、実際のとこ俺はこいつに対して何かをしてやれる人間じゃあなくて。
勢い飛び出してきた手前、何話していいやらわからなかった。
>「残念でした、リヨナちゃんは貰ったあ! ジェン君は大先輩とかガチさんと仲良くしてればいいの!」
そんな懊悩を吹っ飛ばすように、ローゼンは最上級のアカンベーを向けてきた。
……はっ!そーだそーだ何コイツに対して気負ってんだよ!
こういうときなんて言うべきなのか、俺は知ってるじゃねーか。
「どちくしょーっ!!覚えてやがれローゼン、次は絶対ほえづらかかせてやるぁ!!」
言って、踵を返して、俺は走り出した。どこへともなく、誰にともなく、外れてしまった道を修正するように。
大丈夫だ、大丈夫。これで俺は、まだまだ悪でいられる。何にも教唆されず、何色にも染まらない俺に。
「大先輩えもーん!!シリアスな雰囲気ぶち壊しにできる道具を出してよォーっ!」
なんか片腕凍ったままドヤ顔で突っ立ってる大先輩に泣きつく。大丈夫だ!まだ俺は悪役だよ!!
>「おー、ハラキリザムライ。言葉が通じるならば、私と一緒に石鹸集めをしないかい?」
>「これで……足りるか?それにしても不思議なものだな。これで体を洗うとは聞いたが。」
>「え?これから大先輩が石鹸で人肉料理?何だかよくわからないがオレも手伝おう」
「うわはーい俺が手を下すまでもなかったー!」
>「あー、風呂入りたい」
「湖畔村編終了後の宴会パートは決まったな。温泉行こうぜ温泉!こんなに石鹸あるんだし」
水精霊の加護のある地なら、泉質良好な名泉があるに違いない。

117 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/10(木) 12:20:39 ID:grlgQqRd
>「左馬介〜!!村人さんたちから大量に石鹸貰ったよ!!
>ガッチーさんは無事かな?あ、ツルツルのトカゲだ!!
>すごーい!!」
石鹸を持ってやって来たのは、翼を生やしたテングだった。

「おー、ハラキリザムライにテングか!
後はニンジャとミコがいれば完璧ではないか」

>「これで……足りるか?それにしても不思議なものだな。
>これで体を洗うとは聞いたが。」

「うむ、私のような機械生命体も石鹸では体を洗わないからな。
言われてみれば、私も不思議に感じてしまうな。
量はこれで大丈夫だろう」

>「え?これから大先輩が石鹸で人肉料理?何だかよくわからないがオレも手伝おう」

「そうか、誰だか知らないが手伝ってくれるのか。
おーい、私のファン達よ!
私に肉として食べられたい者は私の所に来てくれ!」
そう言って、私はファン達に呼び掛けると、十人も集まった。

「うむ、では私達で先輩悪魔の手伝いに行こうではないか」
私達は先輩悪魔の下に行く。

「さて、先輩悪魔よ。
石鹸と肉を調達してきたが、私達も調理の手伝いをするか?」

118 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/10(木) 14:14:31 ID:uB/L72Zh
>「大先輩えもーん!!シリアスな雰囲気ぶち壊しにできる道具を出してよォーっ!」

「おいおいジェンタイル。お前はそんな事ばっかり言って……人として恥ずかしくないのか?
 少しは私を見習って、もうちょっと空気を読んだらどうなんだ。まったく……」

泣きつくジェンタイルを大いに蔑みを含んだ目線で見下し、影は軽蔑の口調を吐き捨てる。
バトルパートの間自分が何をしていたのかは、どうやら完全に失念しているらしい。
遠回しでありながらも自身満々に、自画自賛の台詞が紡がれた。

>「おー、ハラキリザムライ。言葉が通じるならば、私と一緒に石鹸集めをしないかい?」
>「これで……足りるか?それにしても不思議なものだな。これで体を洗うとは聞いたが。」
>「え?これから大先輩が石鹸で人肉料理?何だかよくわからないがオレも手伝おう」

「人肉料理か、振る舞ってやりたいのは山々なんだがな……生憎ここには材料がないんだ。
 いや、あるにはあるが……まさかここで解体ショーを披露する訳にもいかないだろう?
 その石鹸はメタルクウラ、お前の腹の落書きを消すのに使ったらどうだ?ファンにお持ち帰りされたいのならともかく、な」

言いながら、影は自らが書いた『ご自由にお持ち帰りください』の落書きを指差した。
と、直後に彼の右腕の氷がようやく溶け始める。
水精霊の戦意が途絶えたからか、氷は瞬く間に形を失って地面の染みとなった。

「おっと、やっと溶けたか……。それじゃあ一つ、見事ハッピーエンドを掴み取った勇者達に贈り物をしてやろうじゃないか」

皆が喜びに浮かれ、誰一人としてこれ以上の戦闘など予想だにしない状況の下で。
影がゆっくりと、右手を頭上高くに掲げる。
双眸が愉悦に歪曲し、口端はうっすらと吊り上がった。
膨大な魔力が練り上げられ、迸り――影の右手が鋭く小気味いい音を奏でる。

続けざまに、轟音が大気を激しく揺るがせた。
音は天上から猛然と降り注ぐ。暴力的なまでに眩い光に引き連れられて。

「……ちょっと派手過ぎたかな?だがまぁ、こう言うのは派手にやる物だ。そうだろう?」

夜空に、無数の光の花が咲いていた。
光は色彩鮮やかな球の状態から弾け、たった数秒の儚い花弁を散らして、消えていく。
だが光球は弾ける傍から新たに虚空から兆し、絶え間なく夜空を彩っている。

「思い通りに行かなかったからって取り乱すのは露骨な敗北フラグだから気を付けろよ、ジェンタイル。
 一流の悪役は正義の味方の努力と勝利を、拍手と笑顔を以って褒めてやるものさ。はっはっは」

皆が空を見上げてる。光に満ちた空を。

「そして……天高く光が輝けば、地には深い影が墜ちる」

建物や人から生えた濃厚な闇が、不自然に蠢いた。
そうして音もなく地面を這いずり、伸びて、噴水へと達する。
住む者の居なくなった噴水に。

「くっく、笑顔の裏で悪巧みを巡らせるのも、悪役の特権だよなぁ」

闇は噴水の外枠を這い上り、水面を漆黒に染め上げて、更に奥深くへと潜っていく。
物理的な水底を突き抜けて、神の住まうべき領域にまで至り、広く拡散した。
水面はまた元通りの透明感を取り戻して、既に何の異変も感じさせなくなっていた。

119 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◆247BSbdFYE :2011/02/10(木) 14:15:58 ID:uB/L72Zh
>「さて、先輩悪魔よ。
>石鹸と肉を調達してきたが、私達も調理の手伝いをするか?」

「おいおい、折角のエンディングを血で飾りたいのか?さっきの戦闘で余程腹を空かせたようだな。
 増長は悪堕ちの始まりだぞ?まさかの悪役転向でも目指しているのか?ん?」

冗談めかした語り口に続けて、影が愉快そうな薄笑いを浮かべた。

「或いは……お前も所詮は破壊兵器でしかないと言う事か?
 思い返してみれば随分と悪の適性があるようだしなぁ」

くつくつと零れた笑い声を挟んで、口上は続く。

「自分への好意を良い事に金をせびり、水精霊の身の上を知って尚噴水にゴミを投げ込んで……
 挙句の果てには自分の為に死ねと他者に命じる。はっはっは、ジェンタイルよりもよっぽど向いているんじゃないか?」

言い終えて、影はメタルクウラの肩に手の平を置いた。

「……なんてな、冗談だよ冗談。気にするな。そうとも、別に死んだって生き返るんだ。
 死ねと命じたって、何も悪い事はないさ。折角のギャグをシリアスで返してすまなかったな」

薄ら笑いを依然として顔に貼り付けたままでの、言葉だった。

>「湖畔村編終了後の宴会パートは決まったな。温泉行こうぜ温泉!こんなに石鹸あるんだし」

「……あのなぁジェンタイル。温泉ってのは地中にある鉱石やガスの成分を含んだ水が湧き上がってくる物でな?
 重要なのは水じゃなくて鉱物の方なんだ。つまりどちらかと言えば大地の精霊の管轄って事だな」

目を閉ざして眉を顰めた呆れ顔で、影は溜息を吐く。

「だが……確かここから西に行った所に、温泉の有名な村があった気がするぞ。
 そこから湯を引っ張ってきてるって事はあるかもしれないな。
 そこらの村人に聞いてみてもいいんじゃないか?」

それから思い出したように、言葉が付け加えられる。

「まぁ……もしかしたらこの村の連中と、その村は仲が悪いかもしれないけどな。属性相性的な意味で」

120 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/10(木) 16:02:58 ID:1tgML4IH
戦いが終わった頃、浜田は松本の葬式の準備をしていた。
喪服に着替え、村の入り口には盛大な遺影が飾られている。
まだ、松本がボウズではなく「ダウンタウンはナイナイのちんかす」
といっていた頃である。

松本「それ、逆やんか」

「おわっ、びっくりしたっ!!お前、死んだんちゃうんけ!?」

村人からの香典の金額を数えている浜田の目の前に、白装束の
松本が現われた。
何故か以前のボウズ頭ではなく、まだ髪の毛がふさふさのちょうど「ごっつええ感じ by CX」
の頃の松本である。

「いやぁ、あの後な。実は蘇りの温泉ゆうのに入ってきてん。
そしたら蘇るどころか、若返ってしもうてなぁ。
なんか、今から3発くらい抜きにいけんちゃうかいう感じや。」

浜田はいつもとは違う、笑みと少しばかりの目に水を溜めて
松本を叩く

「アホッ、心配したやないかい!!それにな、お前若返ったいうても
一児のパパやろが!!またフライデーに激写されても知らんで」

急に松本は真顔になり、温泉水を顔に掛け始める。

「フライデーは、マジでやめろや……」

そんな2人の横ではダイナマイト四国がえらく太ったガマガエルのような
女将を連れてきていた。
ジェンタイル達が宴会の準備をしているとか、大先輩の温泉地の
話を聞きつけたのだろう。

「御前等が、あ」

山崎「藤原女将、字が違います。ちゃんとメモ通りお願いします。」

「お前らが探してる温泉地は、ここから小一時間ばかり行ったとこや。
若返り、蘇りなんて噂もあるらしいで。」




121 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/11(金) 02:36:46 ID:pXwOuxAd
>「その……僕も初めてなんだ……! でも大丈夫、怖がらなければ痛くないから! じゃあ……行くよ?」

瞳に僅かな怯えの色を浮かべて揺らしながらも、リヨナはまっすぐにローゼンを見つめたまま、深く確かに頷いた。

>「あなたはこの精霊をペットとし、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも
>これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを約束しますか?」

「はい……誓います、約束します!」

迷いも怯えも断ち切り、双眸に陽光をも凌ぐほどの気概の輝きを宿して、確固たる口調の答えが返される。
返事を受けて、ローゼンがリヨナに一歩歩み寄る。再び縮まった距離にリヨナは戸惑い――それが晴れる前に、ローゼンの唇が彼女のそれと重なった。

「ふえっ!?……んっ」

不意の出来事にリヨナの瞳に驚愕が浮かんで揺らぎ、しかしすぐに蕩けて、彼女は静かに目を閉じた。
ローゼンを受け入れ、それどころか彼の背中に腕を回して決して離すまいと抱き締める。

「んぅ……ふぁぁ……」

口を塞がれる窒息感が、徐々に酸欠へと落ちていく感覚が、酩酊に似た快感に変貌してリヨナの中を駆け巡った。
同時に何か大きな存在がローゼンから自分へと流れ込んでくるのを、リヨナは朧気な意識で感じていた。

>「ごめんね、変な意味は無いんだ、契約のためなんだ……!」

唇を離したローゼンが念を入れるが、目を潤ませて頬の上気したリヨナの耳には綺麗さっぱり届かない。
彼女は恍惚としながら、にへらと言う擬音語が似合いそうな笑みを零して表情を多幸感で満たしていた。

「えへへ……」

リヨナは幸せそうに唇を人差し指で撫でて、

>《そなたが妾のマスターか……! なかなかの美少女じゃ、宜しく頼むぞ!》

「ひゃい!?……あ、は、はい!こちらこそよろしくお願いします!」

突然頭の中に響いた声に跳ね上がるほど驚き、慌てふためいた挙句に虚空へとお辞儀をしていた。

「ま、まぁとにかくこれで私も念願のNPC漫才が出来ますね!
 水精霊さんを飼い慣らせるか不安ですけど頑張ります!」

動揺と恥じらいを誤魔化すべく、リヨナは堂々とメタ発言を飛ばす。
両手を胸の前でぐっと握って、随分と方向性の間違った意気込みを顕にした。

122 :リヨナ・リリウム ◆EIs9NBi36Q :2011/02/11(金) 02:37:57 ID:pXwOuxAd

>「これで僕達は精霊を通して結ばれた。他人では無くなったってわけだ! 君も今日から世界を救う善のパーティーの一員だ!」

「はぅ!?結ばれただなんて、そんな……ふ、不束者ですが、よろしくお願いしますね!」

盛大な勘違いを完全に十全な状態で脳内に保持したまま、リヨナはローゼンにも頭を下げた。
ちなみに衛士隊の方は世界を救う旅に出ると言えば休職期間が貰える。
職務復帰時に旅の出来事をレポートとして纏めて提出しならないが、それ以外の制限は特に無い。
ちなみに衛士隊の中には世界を救うと休職して温泉旅行に出かけたアホもいる。レポートは温泉饅頭だった。半年間の減棒だったらしい。

>「残念でした、リヨナちゃんは貰ったあ! ジェン君は大先輩とかガチさんと仲良くしてればいいの!」

「きゃーっ!貰われちゃいました!……し、幸せに、して下さいね?」

勢い任せにローゼンの発言に乗っかったリヨナは、しかし言ってみて急に恥ずかしくなったらしい。
しおらしく背を丸めて、表情に一抹の不安を浮かべながら、おずおずとローゼンの顔を覗き込んだ。

>「弱かったはずの少女はその後、光の勇者と共に世界を救ったという――。これが水の巫女の始まり……!
>皆が崇めた水神は恐ろしい神でも何でもない、一人のか弱い少女と結ばれたか弱い野良精霊だったんだ!」

「うぅ……良い話ですね……。水精霊さん!楽しい冒険にしましょうね!」

ローゼンの昔話に、リヨナは感涙を止め処なく溢れさせていた。

>「あー、風呂入りたい」
>「湖畔村編終了後の宴会パートは決まったな。温泉行こうぜ温泉!こんなに石鹸あるんだし」

「温泉ですか!?湖畔村のお風呂は娯楽としての発展が凄いらしいですね!
 某ローマみたいな!でもちゃんとした温泉も行ってみたいです!」


123 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/12(土) 01:33:10 ID:aPgXBw/0
>116 >122
>「うぅ……良い話ですね……。水精霊さん!楽しい冒険にしましょうね!」
「大丈夫、僕と一緒なら退屈しない!」

>「湖畔村編終了後の宴会パートは決まったな。温泉行こうぜ温泉!こんなに石鹸あるんだし」
「そうだね! ……ってえぇえええええ!? マジで行っちゃうの!? 
ってか宴会”パート”って宴会シーンが恒例行事化しちゃったの!? 普通宴会シーンとかいうのはカットされるもんでしょ!」
『残念! この世界は普通ではありません!』
しまった――! なんてこった、この世界の大いなる存在は視聴率を上げるためならなんでもやるというのか!?
せっかく今回はチラリズムで踏みとどまったというのにこういうオチだったのか!
このままではリヨナちゃんと組んずほぐれつ必至だ! もしくはジェン君とマッパでエンカウントしてしまうかもしれない!
とういうのも、古来より温泉とは常識的に考えて有り得ないようなエロい事故が次々と起こってしまう魔境なのだ。
僕は無意味なエロシーンを挿入して萌えヲタの人気を取る作品は嫌いだ!

>118
>「おっと、やっと溶けたか……。それじゃあ一つ、見事ハッピーエンドを掴み取った勇者達に贈り物をしてやろうじゃないか」
「連続バトルはお断りします!」
空気読まずに暴れ始めたらどうしようかと思ったが、夜空に光の花が咲く。
>「……ちょっと派手過ぎたかな?だがまぁ、こう言うのは派手にやる物だ。そうだろう?」
「綺麗……花火って言うんだっけ? いいとこあるじゃん!」
ここで一つの疑問が浮上する。その疑問を突きつける。
「悪魔のくせになんで光の魔法使ってるんだ……!? そういえば悪魔にしては仲間に対して妙に優しいし!
あなたは本当は何者なの!? 本当に悪魔なの!?」

124 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/12(土) 01:36:53 ID:aPgXBw/0
>119
が、その直後、大先輩はクウ君に絡み始めた。
>「或いは……お前も所詮は破壊兵器でしかないと言う事か?
 思い返してみれば随分と悪の適性があるようだしなぁ」
前言撤回! やっぱこいつ正真正銘の悪魔だ! KYで冗談が通じないのではなく、どう見ても分かっててわざと言っているのだ!
こういうのは反応したら喜ぶだけなのでスルーするに限る。
>「……なんてな、冗談だよ冗談。気にするな。そうとも、別に死んだって生き返るんだ。
 死ねと命じたって、何も悪い事はないさ。折角のギャグをシリアスで返してすまなかったな」
「分かってるなら空気読め! 僕も相当なKYだけどユーモアは解するぞ!」
分かりやすい煽りに反応してしまった。スルー検定落第だ! クウ君を慰める。
「いいよ、何も言わなくていい。ゴミ投棄はジェン君を助けるために決死の覚悟でやったんだよね。
ビーム乱射は村人に被害を出さないための苦肉の策だったんでしょ!?分かってるよ。
でもあれで穴だらけになっちゃったから新しい服を買ってくれたら嬉しいな!」
どさくさに紛れておねだりしておいた。胸当て粉砕したのはリヨナちゃんだけど物はついでである。
それにしてもこの世界は防具に破壊値が設定されているのか。そんなの省略していいのに無駄なところだけリアルだ。

>「だが……確かここから西に行った所に、温泉の有名な村があった気がするぞ。
 そこから湯を引っ張ってきてるって事はあるかもしれないな。
 そこらの村人に聞いてみてもいいんじゃないか?」
げっ、温泉行きの流れはまだ潰れてなかったのか!
「さっき聞いたけど無い無い、絶対無い! あーあ、残念だなあ!」
さらに話題をそらす。
「あ! 芸人軍団いなくない!? 探してくる!」

>120
あろうことかまっちゃんの葬式の準備が行われていた。
「そんな……! 僕のせいだ……どうしよう!?」
が、まっちゃんは生きていたどころか髪の毛まで復活していた。
「えぇえええええええ!」
盛大にずっこけた。
温泉に入りに行けるんなら死んでなかったんじゃないか!?とかいつの間に行った!?とか
色々ツッコミどころはあるけどあえて何も突っ込むまい。
>「お前らが探してる温泉地は、ここから小一時間ばかり行ったとこや。
若返り、蘇りなんて噂もあるらしいで。」
「ええっ、なんで温泉探してるのがもうバレてんの!? どんだけ情報早いんだよ!」
歩いて小一時間っていったらRPG的には超近所やん! 10秒ぐらいで着いてしまうやん!
ああ、もはや温泉行きからは逃れられないのか!? いや、まだ何か手段はあるはずだ!
脳細胞を総動員して策を巡らせながら芸人軍団を連れて皆の元へ戻る。

125 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/12(土) 04:54:54 ID:tiEMYctq
>「……あのなぁジェンタイル。温泉ってのは地中にある鉱石やガスの成分を含んだ水が湧き上がってくる物でな?
 重要なのは水じゃなくて鉱物の方なんだ。つまりどちらかと言えば大地の精霊の管轄って事だな」
「へー知らなんだ。つまり温泉ってのは大地のダシ汁ってわけか」
有り体な言い方すればね。石とか土とかを高温で煮出したものであるわけだし。
逆説的な言い方するなら、俺たちが普通に食ってる煮干や鰹節とかの出汁にも温泉みたいな泉効はあるのかも知れないな。
<<ちょっと愉快なこと考えた。女湯ってつまり二重の意味でダシ汁というわけだな……!>>
男湯の存在を完全に忘却してるあたりがお前の良いところだよ。
>「お前らが探してる温泉地は、ここから小一時間ばかり行ったとこや。若返り、蘇りなんて噂もあるらしいで。」
「ってうわーっ!松本サン生き返っとるー!?いつの間に死んでたんか知らねえけどとにかくびっくりだぜーっ!」
なんていうかもうね、芸人軍団に関しては突っ込んだら負けな気がします。
相手のペースに呑まれたらおしまいやで。死んだり生き返ったりがデフォルトな世界でも。
>「ええっ、なんで温泉探してるのがもうバレてんの!? どんだけ情報早いんだよ!」
<<吾が契約者に代わり伝えておいたのだ>>
「なにその気遣い」
<<ツイッターでな>>
「全世界に向かって呟いてんじゃねえか!」
何してくれてんだこの駄精霊。さては導入したばっかで使いたくてしょうがねえな!?
<<ポケベルに比べたらずいぶんと使いやすくなったな>>
お前ポケベルからツイッターに乗り換えたの!?どんだけ飛び級してんだよ!
ていうか何勘違いしてるのか知らんけど別にツイッターはポケベルの上位互換じゃねーからね!?
<<これで吾も情強の仲間入りだ――ナウいだろう?>>
なうの使い方間違ってるーーっ!情弱とかじゃなくて単にジェネレーションギャップじゃねえのかそれ。
あとお前あんまべらべら喋んなや。ビジネスライクでドライな関係っていう設定までなかったことにする気か。
それとも旅の過程でこの炎精霊も、俺に心を開き始めたってことだろーか。デレるのはえーよ。

「うー、なんかまたいろんな機会を逃した気がする……主に場面転換的な意味で」
なし崩し的にみんなで温泉入ることになってきてるし。や、俺も話振っちゃったわけだけどさ。
地精霊の宿る温泉地ねえ……行ってみる価値はありそうだ。さぞ霊験あらたかな名泉に違いない。
ちょっと世界観の描写に入るけど、"精霊"について俺が知る限りのことを述べよう。
精霊。傍らに灯る生命。俺たちの世界(物質界)とは文字通りの別次元に存在する精神体的なモノ。
事象と属性を司り、契約によって物質界の人間に"魔法"を与える。――相応の対価と引換えに。
まああとは野良精霊とか四大精霊とか神格精霊とか分類によっていろいろあるけれど、総括してひとつの言葉でくくるなら。
――精霊は、古来から人と共に在り、そしてこの世界の在り様を見てきた。
だから、各地のご当地精霊の元を巡って色んな話を聞いてみるってのも、世界を変える手立てとしては大いに有力なのだ。
「温泉はさておくにしても、俺はその温泉の地精霊と会ってみたい」
四大精霊の一角、大地を司る地精霊。
豊穣の神としてしばしば崇められるこの存在は、きっと俺の辿るべき道を識っているはずだから。
「行こうぜ温泉村。ま、ま、その前に再度パーティ分けが必要みたいだけどな」
リヨナさん引きぬかれちゃったもんなあ。

126 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/12(土) 13:22:34 ID:gggpqkJM
>「……なんてな、冗談だよ冗談。気にするな。そうとも、別に死んだって生き返るんだ。
>死ねと命じたって、何も悪い事はないさ。折角のギャグをシリアスで返してすまなかったな」
>「分かってるなら空気読め! 僕も相当なKYだけどユーモアは解するぞ!」

「おいおい、私はギャグを言ったつもりではないのだがな」
どうやら、私の行動はローゼンや先輩悪魔には冗談だと思われていたようだ。

>「いいよ、何も言わなくていい。ゴミ投棄はジェン君を助けるために決死の覚悟でやったんだよね。
>ビーム乱射は村人に被害を出さないための苦肉の策だったんでしょ!?分かってるよ。
>でもあれで穴だらけになっちゃったから新しい服を買ってくれたら嬉しいな!」

「むぅ……パーティーの財布はお前が持っているのだ。
私には金が無いから、私の小遣いから引いて買ってくれ」
さすがにローゼンは私の行動の真意を分かってくれていた。
先輩悪魔がひねくれて捉えすぎなのだろう。
しかし、奴も私の行動が第三者から見て、悪役に近いことをしでかしたから、忠告してくれたのかもしれない。
さすがにファンを私欲で利用するのは、ファンを大切にするであろう先輩悪魔には、腹に据えかねる行為だったのかもな。
料理に使ってもらえなさそうな雰囲気を感じ取ったのか、ファン達は残念そうな顔をして去っていった。

>「行こうぜ温泉村。ま、ま、その前に再度パーティ分けが必要みたいだけどな」
私達が石鹸を集めてしまったせいか、いつの間にやら温泉に行くことに。

「ジェンタイルよ、私をそんなにお持ち帰りしたかったのか?」
私はジェンタイルの前にしゃしゃり出て、圧迫感を出しながらもじりじりと距離を詰めていく。

「お持ち帰りしても良いのだぞ!」


127 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/12(土) 21:54:02 ID:Cybld76j
>「悪魔のくせになんで光の魔法使ってるんだ……!? そういえば悪魔にしては仲間に対して妙に優しいし!
>あなたは本当は何者なの!? 本当に悪魔なの!?」

ローゼンの問いに対して影は目を閉じると、ふっと笑う。
両手の平を天に向けて肩の高さに掲げて、首を左右に振りながら口を開いた。

「おいおい、酷い言い草だな。まるで悪魔は仲間を道具としか思わず、
 利用した挙句ボロ切れのように捨てなきゃ駄目みたいじゃないか。
 悪役にだって仲間意識や友情だってあるさ。なぁジェンタイル」

影が非常に返答に困るだろう質問を投げかける。
その後ローゼンが一転して吐いた罵倒の言葉に対しては、快活に笑うのみで受け流していた。

「さて、と。ところでジェンタイル、私はさっきお前を助けてやったよなぁ?」

顎を上げつつ若干顔を斜めにして、絶妙な見下し加減を演出しつつ影が言った。
そうして腕組みをしながら首を傾げ、眉根を寄せて大袈裟に悩んでみせる。

「さぁて、何を対価に貰おうかなぁ?魂……はつまらないし、五感の一つってのも何かありがちだな……。
 そうだな、心の一部とか面白そうだぞ。悲しむ心なんかがいいかも知れないな。
 うーん、他にもアレとかコレとか……悩ましい所だ……」

だがやがて影は目を開くと、悪意の垣間見える細い笑みを浮かべた。
勿体ぶるようにして、ジェンタイルへと視線が向けられる。

「決めたぞ、ジェンタイル。私はお前に……」

影は敢えて言葉を区切り、一拍の間を置く事で緊張を植え付ける。

「アイフォンを買ってもらう事にしよう」

そしてあっさりと、言ってのけた。
呆然か、それに近い感情に囚われたであろうジェンタイルに、飄々と説明を始める。

「ん?どうした?あぁ、アイフォーンって言わないと通じなかったか?実は正式名称はこうなんだってな。
 ともあれ……ほら、私ってば悪魔だろ?戸籍とか持ってないから携帯の契約が出来なくてな。
 いやぁ良かった、これで私もミクシィとかセカンドライフが堪能出来ると言う訳だ」

しみじみとした口調で、影が何度か頷いた。

>「温泉はさておくにしても、俺はその温泉の地精霊と会ってみたい」
>「行こうぜ温泉村。ま、ま、その前に再度パーティ分けが必要みたいだけどな」

「あぁそうだな。温泉はともかく地精霊には私も用があるんだ。正確にはその住処にだが。温泉はともかくな」

言葉の直後に、指を弾く音が響いた。
影はいつの間にか浴衣から、黒地に灰色の花が咲いたアロハシャツに着替えていた。
肩には浮輪を通して、更にゴーグルにシュノーケルまで準備している。
何やら色々と間違っているが、あくまで温泉はついでとの事だ。

「さて、と……それでパーティ分けだが、そこの……確かガッチーだったか。君はどちらに付くんだ?」




128 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/13(日) 00:52:12 ID:+gt36o4A
>125
>「温泉はさておくにしても、俺はその温泉の地精霊と会ってみたい」
>「行こうぜ温泉村。ま、ま、その前に再度パーティ分けが必要みたいだけどな」
地精霊の温泉地に行く→当然騒動が巻き起こる→温泉に入るどころじゃなくなる
脳内にこんな流れが浮かんだ。ナイスだジェン君! 宴会パートじゃなくてそれ自体次章にしてしまえばナチュラルに温泉シーンを回避できる!
『行ったら騒動が巻き起こるって思ってるあたりRPGのやり過ぎだろ』
はあ!? 光精霊さっき思いっきり”RPGの登場人物のくせに”って言ってたよね!?

タイミングを見計らったように村長の伝書鳩が来た。例によって報告書を書く。

拝啓
メルフィちゃんを送り届けるために立ち寄った湖畔村では、聖なる存在を讃える祭りが行われていた!
メルフィちゃんの両親の頼みで、祭りを一緒に見て回ることになった僕達。途中でなぜかジェン君の御一行と鉢合わせ。
ジェン君のパーティーにはガチムチアニキのガッチーさん(通称ガチさん)や衛士のリヨナちゃんが新しく加入していた。
紆余曲折の末、祭りのクライマックスを飾る水の巫女による演舞を見に行くことに。
しかし、祭りを遅らせた事に怒った水の神格精霊が現れて祟りを宣告し、辺りは騒然とする。
僕は水の神を説得するために噴水に飛び込むが、水の精霊は僕に取り憑いて暴れ始めた!
水の精霊が怒った本当の理由は、人間たちによる水質汚濁だった。
激しいバトルの末、ジェン君とリヨナちゃんの活躍により、僕は正気を取り戻す。
リヨナちゃんは僕の中の水の精霊に向かって、あなたを助けるためならなんでもすると言ってのけた。
水の精霊の真の願いを知った僕は、リヨナちゃんに、僕を仲介者とした水精霊との契約を持ちかける。
彼女はその提案を受け入れ、無事に契約することに成功した。
と、いうわけで冒険の目的に星の生命を救う事も加わってしまいました! まあ世界を救うのとほぼ同じことだから問題ないよね!
敬具


さて、今回の伝書鳩にはオマケがついていた。
【方向音痴すぎてシドったらシャレにならんので予算はたいて買ってやった。貸与品だから大事に使うんじゃぞ。 村長より】
「こっこれは……徒歩にも使えるナビゲーションシステムnav-uの最新型じゃないか!
村長気が利くじゃ〜ん。これで画面に詳細なマップが出るようになる!」

さてさて、今や毒の沼地と化している例の湖の水はどこから来ているのかな?
上流に向かってたどっていくと……もろ王都やんけ!
王都といえば、王族は傀儡になっててどっかの巨大企業に実験握られてるとかいう噂がまことしやかに囁かれている。
で、どっちにしろ王都に行く経路上に温泉地があるようだ。
大地の精霊なら性格的に、世界を救うためにいい情報を教えてくれたりいい物くれるかもしれないし行っておいて損は無いかな!

>126
>「ジェンタイルよ、私をそんなにお持ち帰りしたかったのか?」
>「お持ち帰りしても良いのだぞ!」
大変だ! クウ君が悪い先輩に影響されている! もしや第一次反抗期か!?
「クウ君、やめなよ! そっちは無職パーティーだから財政状況厳しいよ!」
容赦なくクウ君のおこずかいを使って、丁度横で店を出していた防具屋のオヤジから服を買いながら言った。

>127
「光精霊、装備変更するぞ!」
そういうや否や、僕はいつの間にか装備変更を完了していた。
と言ってもあんまり変更したように見えないけど、後に行く場所で買った方が高品質になっているのはお約束である。
『タネ明かしをするとモザイクかけといて超急いで普通に着替えただけです』
あ、こら! トリックをバラすんじゃない! 
というか大先輩はいちいち服装変わり過ぎだろ! 石鹸さんの時はあれ程服変えるのを拒否してたのに!

そしてパーティー編成タイムだ。
>「さて、と……それでパーティ分けだが、そこの……確かガッチーだったか。君はどちらに付くんだ?」
「そこのお侍さんはもしかして世界を救うパーティー加入希望?
キャラの性格には善と悪と中立があって善と悪は対応した方にしかいけないけど中立ならどっちにでも行けるよ!」
『ウィザードリィかい!? それなら確かに侍は善一択だけど!』

129 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/02/13(日) 16:10:18 ID:XH0ftft6
>「お前らが探してる温泉地は、ここから小一時間ばかり行ったとこや。若返り、蘇りなんて噂もあるらしいで。」

「へぇー、美容にいいお湯とかもあるんでしょうか?」

小首を傾げてリヨナは疑問を零す。
一瞬、電気風呂があるのかとも聞こうとした彼女だったが、性癖に関してボロを出すまいと直前で口を噤んだ。

>「ええっ、なんで温泉探してるのがもうバレてんの!? どんだけ情報早いんだよ!」

「まぁまぁ、いいじゃないですか!あ、そう言えば混浴風呂は!
 混浴風呂はあるんですか!?洗いっこ流しっこは出来るんですか!?」

狼狽するローゼンの腕に抱きつきつつ、リヨナは瞳を爛々と輝かせながら興味津々の態で疑問を叫ぶ。
被虐趣味については秘匿出来たようだが、途方もなく不出来な彼女の頭では、何処かを塞ぐと別の場所に穴が出来るらしい。
拳をしかと握り締めると見事なほど大っぴらに、ふしだらな妄想の片鱗を口走っていた。

>「全世界に向かって呟いてんじゃねえか!」

「あ、フォローしときましたね!ところで大精霊botとか作ったらフォロワー増えそうな気がしません!?
 あと『今日の死因』ってbotが面白いんですよね!一日に何回お風呂で転んで死んでるんですかこの人!」

一体誰なのかは一切全くこれっぽっちも分からないが、どうやら五分おきに風呂場で転んで死んでいるようだ。
携帯電話の画面をローゼンやジェンタイルに見せつけて、リヨナはお腹を抱えて笑っている。

《ちなみにお風呂場での死亡事故は年間に約14000件、交通事故よりも多いから気を付けるのじゃぞ》

「これまた微妙なタイミングで出てきましたね!て言うか何か急にしおらしくなりましたね!」

《そりゃ散々キチキャ……醜態を晒したからのぉ。イメージ回復してヒロインの座に返り咲かねばなるまいて!》

「おぉ、まるで一時はヒロインキャラだったと言わんばかりの口振りですね!」

「むぐっ……ま、前の冒険ではそうだったのじゃ!それはもう行く先々で可憐だと」

「それって契約者の事じゃないんですか?」

何気なく紡がれたリヨナの呟きを最後に、暫しの沈黙が二人の間を満たした。

130 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/13(日) 16:11:03 ID:XH0ftft6
「……水精霊さん?」

《……ぐすっ》

「あれぇー!?も、もしかして今のそんなにショックでした!?」

何気なく、率直にぶつけられた言葉だからこそか、水精霊は甚く傷心したようだった。

《どうせ、どうせ妾なんて……》

「だ、大丈夫ですって!まだヒロイン枠狙えますよ!ほら、炎精霊さんとかさっき通じ合ってたじゃないですか!」

慌てて、リヨナが慰めを試みる。

《……ホントかえ?》

「勿論ですよ!ねえジェンタイルさん!さっき炎精霊さんツイッターしてるって言ってましたよね!
 水精霊さんと相互フォローしてもらって下さいよ!」

彼女はジェンタイルを振り返ってそう言うと、視線を釘のように研ぎ澄ました。

「ところで、これは全く金輪際この話題とは関係ないんですけどね!
 衛士隊格闘術には色々と奥義がありまして……幾つか試してみたかったりするんですよねー!
 例えば巨龍の鱗をも貫く貫手で肋骨の隙間に穿ったり、構造上防御の薄い股間や肋骨や気道や頭頂部を鍛え抜いた拳で粉砕したり!?」

鋼鉄もかくやに硬く握り締めた拳を体の前で乱暴に打ち合わせて、猛虎の如き爛々たる眼光でジェンタイルを射抜く。

>「温泉はさておくにしても、俺はその温泉の地精霊と会ってみたい」
>「行こうぜ温泉村。ま、ま、その前に再度パーティ分けが必要みたいだけどな」

「地精霊さんですかー。聞く所によると精霊の中でもとっても温厚だとか。
 ま、私はローゼンさんに付いて行きますから!何たって結ばれてますもんね!」

131 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/13(日) 16:37:47 ID:XH0ftft6
>>124
>「えぇえええええええ!」

「ローゼンちゃん、元気なってよかったな。俺も若返ったし
なんかええことばっかりやんか。」

松本は顔パックをしながらローゼンに微笑みかける。
まるでスケキヨのようだ。
気色悪いが、松本は楽しそうだ。

>>125
>「ってうわーっ!松本サン生き返っとるー!?いつの間に死んでたんか知らねえけどとにかくびっくりだぜーっ!」

ジェンタイル達のところへ戻ってきた芸人軍団こと浜田たち。
ジェンタイルのリアクションに対し、浜田はハリセンでジェンタイルの頭頂部を叩く。
「ええリアクションするがな、自分。カーッカッカッカッ!!」

松本「あ、あまり気にせんといて。この人、意味も無く人叩くから。
俺もなんで褒めてるのに叩いてるのか分からへんけど。」

>>129
>「へぇー、美容にいいお湯とかもあるんでしょうか?」

ガマガエル女将こと、藤原元マネージャーは
手に描いたメモを確認しながらアンサーを返す。

「きょ、巨乳の湯とか・・・これなんて読むんですか?」

山崎「びにゅうや。」

「美乳の湯とかあるらしいで。まぁ、御前等みたいな・・・お前等みたいな
しょうもない勇者どもにはもったいないちゅ、湯やろうけどな。」

松本「うわ、今”ちゅ”言うたで。」

浜田は頭にタオルを巻きながら屈伸を始める。
50手前のおっさんにしては元気である。

「よっしゃ!王都とかに行くついでに温泉や。
精霊さんにも会えるいうからな。なんか精霊グッズでも作って一儲けしようや。」



132 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/14(月) 00:02:22 ID:B/vfI+Uu
>>125
>「行こうぜ温泉村。ま、ま、その前に再度パーティ分けが必要みたいだけどな」
>>127
>「さて、と……それでパーティ分けだが、そこの……確かガッチーだったか。君はどちらに付くんだ?」
>>128
>「キャラの性格には善と悪と中立があって善と悪は対応した方にしかいけないけど中立ならどっちにでも行けるよ!」

「どちらに付くんだと聞かれたら答えてあげるが世の情け…だよなあ。因みに戦士には性格の縛りは無い」

奇数…大先輩側
偶数…大先輩じゃない側

133 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/14(月) 00:35:37 ID:B/vfI+Uu
「行き先が一緒なのにわざわざパーティーを分ける意味が正直分からないんだが」
私は少しだけ困惑した表情を浮かべた。
「オレが選んでいいんなら…」
心は決まっていたが何故か言い淀んでしまい、ちょっと頭をかいて時間を稼ぎ意思を口に出す決心を固めた。

「…そりゃ女の子が多い方がいいな」
正直過ぎていっそ無邪気な笑顔をリヨナちゃんに向け、ついでにローゼン君にもちらりと視線を送る。
(いくら小学生が描いたようなキャラデザインでもその首と上腕のラインは流石にアレですよっと。
ま、本人の意思を尊重して人前で指摘したりはしないけど)
更にサマノスケが加われば自動で付いてくるだろう阿児ちゃんにも期待に満ちた視線を投げてから

「それとも定員オーバーかな?」
リーダーであるローゼンに向き直って問いかけた。

134 :ローゼン ◇frFN6VoA6U :2011/02/14(月) 22:31:51 ID:0PTxL442
>129
>「まぁまぁ、いいじゃないですか!あ、そう言えば混浴風呂は!
 混浴風呂はあるんですか!?洗いっこ流しっこは出来るんですか!?」
「こ、混浴風呂!? 残念だけど無いんじゃないかなー」
どうしよう、積極的すぎる! でも満更でもない気分だ! 正体バレして懐いてこなくなったら寂しいな。
逆にそれでもOKでノリノリでお姉さまとか呼ばれるようになってもそれはそれで困る。
僕のホームグラウンドは飽くまでもBLであってGLは管轄外だ!
こうなったら隠し通すっきゃない! 普通にしとけば大丈夫、温泉イベントなんて絶対有り得ない!

>「あ、フォローしときましたね!ところで大精霊botとか作ったらフォロワー増えそうな気がしません!?
 あと『今日の死因』ってbotが面白いんですよね!一日に何回お風呂で転んで死んでるんですかこの人!」
笑えねー、もしくは笑うしかねー! 僕は棒読みで言った。
「命は尊いんだ、死にネタギャグなんて不謹慎だー」
『なんというブーメラン』

>130
>「地精霊さんですかー。聞く所によると精霊の中でもとっても温厚だとか。
 ま、私はローゼンさんに付いて行きますから!何たって結ばれてますもんね!」
「もちろん! 君を善のパーティーのヒロインに任命しよう!」
彼女の性格所属が悪でも中立でもなく善で良かった! 衛士隊格闘術を喰らうのはまっぴらごめんだ!

>131
>「美乳の湯とかあるらしいで。まぁ、御前等みたいな・・・お前等みたいな
しょうもない勇者どもにはもったいないちゅ、湯やろうけどな。」
「興味ないね」
某イケメン主人公のごとくクールに言い放っておいた。
「そんなのに入ってもし巨乳になんてなったら困る」
『アウト、いや男としての趣味を語ってるようにも聞こえるからセーフか!』

>「よっしゃ!王都とかに行くついでに温泉や。
精霊さんにも会えるいうからな。なんか精霊グッズでも作って一儲けしようや。」
「じゃあ所属は引き続きこっちでOKかな?」
芸人軍団をシステムの枠にはめようとしても無駄な気がするけど一応聞いておいた。

>133
>「行き先が一緒なのにわざわざパーティーを分ける意味が正直分からないんだが」
ガチさんが言ってはいけない事をあっさり言ってしまった! ジェンスレの根幹を成すシステム全否定!
「大先輩はああ見えて僕の宿敵なの。闇の勢力の黒幕なの! いつか倒す予定なんだから一緒に旅してちゃおかしいだろ」
属性からして太古からの宿敵であり、ローティアスを利用した黒幕であり、ジェン君を唆して悪の道に引きずり込んだ大悪魔だ!
といってもガチさんは序章の時はいなかったんだから、大先輩をただの変な兄ちゃんぐらいに思ってても仕方がない。
もしかしたら中の人は知ってるかもしれないけど、キャラ知識と中の人知識を混同してはいけないのはなな板TRPGの鉄則だ!

>「…そりゃ女の子が多い方がいいな」
「そういう基準!?」
ただの女好きのおっさん化しとる!? 君はあっちでしょ常識的に考えて!
『ちょ、それ中の人知識!』
そうだった、危ない危ない。危うく口に出すところだった!
>「それとも定員オーバーかな?」
「ううん、誰でも大歓迎だよ!」

と、なると。ジェン君と大先輩を二人きりにするのは不安だ!
丁度あっちに行きたがってる人がいるじゃないか! クウ君に耳打ちする。
「クウ君、今回はあっちに偵察に行ってみる? 大先輩がジェン君に変な事しないか見張っといてくれる?」

あれ? どっちのパーティーに加入するかって世界を変えたいか世界を守りたいかという信念を問われる究極の選択じゃなかったのか!?
もしかして毎章パーティー編成が行われて固定メンバー以外は結構気軽に行き来出来るシステムなのか!?
「自由にパーティー編成できるザッピングストーリー……新しい! ところで僕のイメージイラストってあるの?」
『これです』
「うわあ、下手糞だなあ。誰が書いたんだよ。僕はもっとかっこいいぞ!」
キャラと中の人は別だよ!

135 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/14(月) 23:44:42 ID:0PTxL442
>「決めたぞ、ジェンタイル。私はお前に……」
>「アイフォンを買ってもらう事にしよう」
「ええー……」
スマートフォン使っちゃうのかよ、悪魔が。
猫に小判豚に真珠悪魔にアイフォンとはよく言ったもので、人は往々にして要らないものばかりありがたる。
ありがたいという感情――崇拝っていうのは、実用的なものには宿らない。鰯の頭も信心からが良い例だ。
宗教っていうのは超現実的なものを偶像に視ることだからね。役立っちゃうと意味ないの。
ちょっと哲学っぽい話になっちゃうけど、実際神様がいて世界をあれこれしてたら宗教なんて流行らないよね。
自分たちに都合の良い面しか見ない人たちの集まりだから。現実にないもの、目に見えないものにこそ価値がある。
やってることは二次元にブヒる俺たちと一緒の、世界一大規模な現実逃避なんだよ。
つまり!悪魔が実用的なものに手を出しちゃダメだろ!って事。ワンダースワンを支給しよう。形似てるし。
<<実用的じゃないものって、ワンダースワン信者に刺されるぞ汝>>
ゲームボーイライトと言い換えてもいいよ!液晶が光るアレ。

>「ジェンタイルよ、私をそんなにお持ち帰りしたかったのか?」
>「お持ち帰りしても良いのだぞ!」
「なんでお前さっきからそんな性に対してアグレッシブなの!?」
お前だけ生きてる世界がちげーよ!俺たちがドラクエやってるのに一人でときメモやってるが如しだよ!
しかしギャルゲーの代名詞にときメモってのもいい加減古いな。年代が垣間見えちゃう。
何か現代版で適切な表現はないものか。
<<下級生2とかどうだ?>>
ごめんそこら辺の時系列わかんない!フロッピーディスク14枚組はそりゃ古いんだろうけど!
>「クウ君、やめなよ! そっちは無職パーティーだから財政状況厳しいよ!」
「おいィ!?無職とか言うなや!まだチャンスはある!あるよ!?」
うら若き受験生だぜこちとら。ちくしょーきたない流石公務員きたない。
ていうかよく考えたら教会から支給された旅の資金って俺の分も含まれてんじゃないの?すげー損した気分。

>「地精霊さんですかー。聞く所によると精霊の中でもとっても温厚だとか」
へー、そうなの?自称情報強者の炎精霊ちゃん。
<<失礼な娘だな。精霊は基本みんな温厚だ>>
そりゃまあ、みんながみんな癇癪時の水精霊みたいだったらかなり危ういもんな。
<<温厚すぎて、飲み会とか開催しても凄い静かだぞ。誰も目を合わせないし>>
それ温厚とかじゃなくて単に人見知りなだけじゃねーのか!飲み会やる意味あんのかそれ。
<<そしてその晩スカイプのチャットで盛大に罵り合う>>
「ただのネット弁慶だからそれ!キーボード叩く時だけ素直になってんじゃねーよ!」

>「よっしゃ!王都とかに行くついでに温泉や。
 精霊さんにも会えるいうからな。なんか精霊グッズでも作って一儲けしようや。」
「ああいうのはアリなの?精霊的に」
<<むしろ吾がプロデュースした>>
お前かよ!なんなのお前いつの間に芸人軍団とそんな仲良くなったの!?
俺、お前と足掛け7年近く契約してるけど今になってようやく会話できる程度じゃん!地味に傷つくんだけど!

>「行き先が一緒なのにわざわざパーティーを分ける意味が正直分からないんだが」
「まあね!その通りだ!でもそこら辺については突っ込んで欲しくなかったかな正直!」
>「大先輩はああ見えて僕の宿敵なの。闇の勢力の黒幕なの!いつか倒す予定なんだから一緒に旅してちゃおかしいだろ」
「そういうことなんです。信じらんないかもしれないけど、あいつあれて世界滅ぼそうとした奴の先輩なんだぜ」
滅ぼそうとした当人は死んじまったけど、なーんでか俺たちに興味を持ったらしく憑いてきた。
もうなんだかすっかり仲良くズルズル馴れ合っちゃってる感じがせんでもないけど。一応俺たち、悪役な。
>「…そりゃ女の子が多い方がいいな」
それは全面的に同意します。

>「クウ君、今回はあっちに偵察に行ってみる? 大先輩がジェン君に変な事しないか見張っといてくれる?」
「むしろそいつが変な事する最有力候補なんですけどォーーっ!」
ローゼンさん、貴女一体このお話をどういう方向に持って行きたいのですか?
もうね、最近のメタルクウラはホントやばいんだってば。積極性のパラメータが青天井になっとる。
これが美少女ハーレムモノだったら、恋のライバル出現で自分の気持ちに正直になり積極的に……みたいな展開だけどさ。
悲しいけどこいつら男なのよね。ローゼン班はいいなあ、ガチムチおっさんを視界から排除すれば女の園やで。

136 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/15(火) 00:28:19 ID:amYNNawv
>「なんでお前さっきからそんな性に対してアグレッシブなの!?」
ジェンタイルが私の行動に疑問を抱いている。
私は爽やかに言ってやったのだ。

「BLは素晴らしい文化だからだ。
私は機械生命体なだけに、男女の愛情を育むことはできない。
しかし、BLは友情の先にあると私は考えている。
素晴らしいではないか!友愛の精神の最果てであるBL!
異性を愛することはできない私でも、BLをすることは許されているのだよ」

>「クウ君、やめなよ! そっちは無職パーティーだから財政状況厳しいよ!」
> 「おいィ!?無職とか言うなや!まだチャンスはある!あるよ!?」

「私も無職なのだから問題は無い。
まだ小学校にすら入学してないのだしな」

>「クウ君、今回はあっちに偵察に行ってみる? 大先輩がジェン君に変な事しないか見張っといてくれる?」
>「むしろそいつが変な事する最有力候補なんですけどォーーっ!」
ジェンタイルは私が何か変なことをすると思っているらしい。
私は友人に対する愛情表現をしているだけなのだが。

「人を変態扱いするとは……失礼だぞ。
私や先輩悪魔が変なことをするはずはないだろ」

「ずいぶんと遅れてしまったが、私の名はメタルクウラだ。
私の代わりにローゼンのことをよろしく頼むぞ」
私は新たにローゼンの仲間になった二人に、ローゼンのことを任せ、ジェンタイルのパーティーに参加した。

「ジェンタイルに先輩悪魔よ、よろしく頼むぞ。
世界を三人で薔薇色に変えて行こう。
そう、野薔薇が咲き誇る世界へ、世界をハッテンさせよう!」
そして、私達は道中の描写をすっ飛ばして温泉村にたどり着いた。

「さぁ、まずは温泉で裸同士で語り合おう!」

137 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/15(火) 19:10:09 ID:7zARaNw6
>「…そりゃ女の子が多い方がいいな」

「ひぃぃ!?女の子って私しかいないじゃありませんか!?」

《……どうせ、どうせわらわは女の子らしくないプッツンキャラじゃよ。分かっておった、分かっておったわ……ぐすん》

「水精霊さん良く泣きますね!?そんなキャラでしたっけ!?言葉のあやだから深く捉えないで下さい!
 ……って言うかもしやガッチーさん、女の子狙いとか言いつつ本命はローゼンさんだったり……!?
 あり得る!あり得ますよ!?でもそれはダメです!かくなる上は私が身代わりに……あぁ!ダメです見ないで下さい!」

リヨナは妄想は正常な思考から全速力で脱線、更に一切減速する事なく暴走させ、頬を赤らめ自分の体を両腕で抱き締めて、くねらせていた。
ここ最近は比較的マジメに主人公側っぽく振舞っていた反動か、いつも以上に酷い事になっている。
どんな妄想をしているのかまでは彼女は口に出さなかったが、要するに成人向けの薄い本にありそうな展開である。

>「こ、混浴風呂!? 残念だけど無いんじゃないかなー」

「……ありますよ。信じれば、そこが何処だって希望は湧いてくるんです!そう、温泉のように!!」

ここぞとばかりに上手い事を言ってやったと、リヨナが右手をグッと握ってドヤ顔を浮かべた。
表情のわりに大して上手くないとは夢にも思っていないらしい。自信満々に薄っぺらい胸を反らしていた。

「きょ、巨乳の湯とか・・・これなんて読むんですか?」

「マジですか!行きましょうさあ行きましょう!
 これで胸を張る度に地の文で薄い胸とか言及されなくて済むんですね!?」

躊躇無くメタ発言を飛ばして、リヨナは藤原の説明に食い付いた。

138 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/15(火) 19:11:36 ID:7zARaNw6
>「興味ないね」
>「そんなのに入って巨乳になっても困る」

けれどもローゼンの零した一言に衝撃を受けた後、唸り声と共に頭を抱える。

「はぅ!?む、むぐぅぅぅぅぅ……!ローゼンさんがそう言うなら……諦めます!えぇ諦めますとも!」

その後、凄まじい懊悩を経て、どうやら諦めるに至ったようだ。唇を噛み切り血涙さえ流しかねない形相で決意していた。

《……ぐすん》

「えぇー!?何で泣いてんですか!そんなに巨乳の湯が楽しみだったんですか!?」

《違うわ阿呆……。炎精霊にフォロー送ったら無視されたのじゃ……》

「え、ちょ、それは……アレですよ!まだきっとヒロイン値が足りないんですよ!
ドラクエのファッションショーみたいな感じですって!頑張ればフォロー返ってきますよ!多分!」

「ま、まことかえ?……な、ならばそのヒロイン値と言うのはどうすれば上がるのじゃ!?」

「そうですね……。ぶっちゃけ萌えるかどうかって事ですし、容姿の描写から始めてみたらどうでしょう!」

「よ、容姿じゃな!え、えっと『青空の色彩を一滴零したようで艶やかな銀髪に、氷柱のように怜悧で端整な顔立ち。
 小川のせせらぎを思わせる細やかな肢体を、幻想的な水の羽衣で包んでいる』……こんな感じでどうじゃ!」

「えー、それじゃちょっと取っ付き辛いんじゃないですかね……。インパクトも欲しいですし、
 こんなのはどうです?『名状し難き容貌を持ち冒涜的な音を響かせながら這い寄る混と』……」

「何で星界からの恐怖みたいになっとるんじゃ!?インパクトはともかくヒロインからは限りなく遠ざかったぞよ今!」

「うーん、じゃあ水精霊さんの方の描写で行きましょうか。ともあれ
 これで間違いなくヒロインポイントは上がりましたよ!フォロー返してもらえるといいですね!」

水精霊とのやり取りを終えてから、ふとリヨナは大切な事を思い出した。

「……ところでジェンタイルさん?どう言う事ですか?」

左手の平に右拳を強く打ち付けて、獰猛な歩みでジェンタイルへと詰め寄る。
抑揚に乏しく、しかし苛烈な気迫を秘めた言葉と共に、リヨナの纏う雰囲気が変質する。
全身から横溢する怒気が周囲の大気を歪め――噛み砕いて言うと空気がギャグパートからバトルパートへと推移した。

「女の子はデリケートな生き物なんですよ!もっと優しくしてあげて下さい!」

言うが早いか、渾身の手刀がジェンタイルの首を痛打する。
自称デリケートな生き物であるリヨナの一撃は、相当に手加減を重ねていたが、それでも酷く重かった。




139 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/15(火) 19:43:34 ID:7zARaNw6
>「じゃあ所属は引き続きこっちでOKかな?」
>芸人軍団をシステムの枠にはめようとしても無駄な気がするけど一応聞いておいた。

「若い娘だけじゃ危険やろ。俺らがきっちり警護したるがな。
ほら、山崎はよ荷物運べや!!女に運ばせてどないんすんねん!!」

浜田はタンクトップに着替え腕立て伏せを始めながら
山崎へ怒声を飛ばす。
ローゼンやリヨナの荷物を運ぶように指示しているようだ。

「ごっつ腹減った……旅館まだかいなぁ」

松本は空腹に襲われながらもローゼンの隣に現われる。
そして耳打ちをするようにそっと語りかけたのであった。

「ローゼンちゃん、浜田には気を付けなあかんで。
そんじょそこらの変態やない、ド変態すら超えてあんねん。
ヤツは性霊の神、性神やからな。」

>「マジですか!行きましょうさあ行きましょう!
> これで胸を張る度に地の文で薄い胸とか言及されなくて済むんですね!?」

リヨナのテンションに思わず藤原のズラが取れかかるが、そこはザッツオールだった。
ダイナマイト四国のフォローが入り、ズラを死守した藤原女将が虚ろな眼で答える。

「あぁ、あ……あるで。もうすぐ着くと思うで。
ほら、あれが歓迎係りの村上さんや。」

小一時間と少しで、村の入り口が見えてきた。
そこには、へちゃぐれた顔の珍妙なおっさんが立っていた。
よく見てみると、村上ショージそのものである。

「なんや、なんや!!自分ら遅いやんかぁ〜待った!!
待ったやないかい!!どうも、村上ですっ!!」

敬礼するショージを無視するように浜田達は横を通り抜けていく。
その顔は、もう面倒なヤツが来たなという感じである。

「こらぁぁぁあ!!無視するなぁ!!俺は先輩やっぞぉお!!」

浜田「ローゼンちゃん、温泉でも入って少し休もうや。
ジェンくんも来てるかもしれへんし、混浴出来るかもしれへんで。
俺は管理部屋に行ってくるわ。」

1人、旅館の奥へ向かう浜田を見つめながら松本は
怪訝な顔を浮かべていた。
どう考えもヤツの狙いはあれしかないと、松本は直感したのである。

「あいつ、まさか風呂の監視カメラを……!?
それは、あかん!!あかんでぇぇええええ!!」


140 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/16(水) 00:32:40 ID:PrGAkrqe
>135-136
>宗教っていうのは超現実的なものを偶像に視ることだからね。役立っちゃうと意味ないの。
じゃあこの世界では超役立ってる教会って何だって?  あれは宗教というより病院兼葬式屋兼結婚式場兼合コン会場みたいなもんだよ。
僧侶とか神官とかも戦士や精霊使いと同じクラスの一つなのです。あの人たちは精霊使いとは契約形態が違って、ご主人様たる神の使徒って名目で契約を結ぶ。
1対1が鉄則の精霊契約に対して、神様は同時にたくさん人間飼っちゃいます。
神というからには強大な力を持つので蘇生が使えたり、反面当たり前だけどリンクは出来なかったりという違いがあるよ!
一見美味しそうだけど、神は気に入らない事があるとすぐ破門したり祟ってくるのでなかなか大変なクラスだ。
『ナチュラルに地の文から世界観解説に繋げるな!』

>「BLは素晴らしい文化だからだ。(以下略)
「さすが僕のマブダチ! よく分かってる!」

>「むしろそいつが変な事する最有力候補なんですけどォーーっ!」
>「人を変態扱いするとは……失礼だぞ。
私や先輩悪魔が変なことをするはずはないだろ」
「何言ってるの? 変な事って例えば寿命の半分と引き換えに悪魔の目をやると迫ったりとかの事だよ!」

>137
正統派主人公系だったはずのリヨナちゃんが大変なことになっている。逆に考えるんだ。これなら僕のBL属性も理解してもらえるかもしれない!

>138
「はぅ!?む、むぐぅぅぅぅぅ……!ローゼンさんがそう言うなら……諦めます!えぇ諦めますとも!」
巨乳に憧れてるらしいリヨナちゃんに、貧乳の素晴らしさを説いておいた。
「貧乳はステータスだ! なんてったってフリフリのドレスが似合う! 男装コスプレもバッチリだ!」
ちなみに僕はコスプレではない。至って正統派のファンタジーの服装をしているだけだ。

>「女の子はデリケートな生き物なんですよ!もっと優しくしてあげて下さい!」
はいダウト――ッ! 女はちょっとやそっとじゃどうにかなったりしない。
僕なんて何回死んでも綺麗に生き返ってきた。
オカンが言うには、”この子は小さいころから病気一つしなくてねえ”だそうだよ! やたら事故死してるけど!
「美少年もデリケートな生き物だからさ、少しは優しくしてあげよう?」

>「ジェンタイルに先輩悪魔よ、よろしく頼むぞ。 世界を三人で薔薇色に変えて行こう。
そう、野薔薇が咲き誇る世界へ、世界をハッテンさせよう!」
「さすがクウ君、いい事言う!」
世界を”発展”させる。元を守りつつの変革。何気に後に物語の鍵となる重要な発言なんじゃないか? ジェン君たちを笑顔で見送った。
ジェン君もクウ君もマブダチだ。好きなキャラ同士が絡んで嬉しくないわけがない。
でもなぜだろう。胸の奥が微かに痛んだ。リヨナちゃんに蹴られた影響ではない、ジェン君が触れた場所。
「……楽しそうだなー、ちょっと羨ましいなあ」
そうだ、美少年と美青年(外見上)と未就学児なんていう素敵構成のパーティーが羨ましくないはずはない!
『隣の芝生は青い』

>139
そして僕らも出発した。芸人軍団が荷物運んでくれて楽ちんだ。 道中でさりげなく告白しておいた。
「リヨナちゃん、一つ言っておくことがある。僕はBLが好きなんだ!」
これは今まで女の子に迫られた時に無難に断るために使ってきた殺し文句である。でもリヨナちゃんならきっと分かってくれるだろう!

>「ローゼンちゃん、浜田には気を付けなあかんで。 そんじょそこらの変態やない、ド変態すら超えてあんねん。 ヤツは性霊の神、性神やからな。」
「マジで!? その道で神様にまでなっちゃったの!? それにしては今までに変態的な言動がないような……」

>浜田「ローゼンちゃん、温泉でも入って少し休もうや。 ジェンくんも来てるかもしれへんし、混浴出来るかもしれへんで。 俺は管理部屋に行ってくるわ。」
「ここにきて本領発揮した――――ッ!?」
なんでナチュラルに温泉直行の流れになってるんだよ! 地精霊は!? 僕はストーリー上の意味もなく温泉シーン披露なんてしないぞ!

>「あいつ、まさか風呂の監視カメラを……!? それは、あかん!!あかんでぇぇええええ!!」
「善のパーティーメンバーが覗き!? それはいけない! 断固阻止しなければ!」
急いで管理部屋に向かう。もしかして今章のボスキャラは本性現して性神と化したハマちゃんかもしれない。

141 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/16(水) 00:35:10 ID:PrGAkrqe
>「行き先が一緒なのにわざわざパーティーを分ける意味が正直分からないんだが」

「ふっふっふ、私が教えてやろうじゃないか。何故このメンツでパーティを分けるのかと言うとだな。
 目的地は同じでも立場が違うので、便宜上は別行動ですよと言う名目が必要なのだ。
 つまり分かりやすく言うと……癒着だな。はっはっは」

ガッチーの疑問に対して、影は右手の人差し指を立てて快活な笑みで答えた。

>「…そりゃ女の子が多い方がいいな」

「おっとぉ、それなら心配ご無用だぞガッチー。何せ私は悪魔だからな」

ややオーバーな反応と共に、満面の、したり顔を浮かべる。

「精霊と同じく、そもそも厳密な性別と言う概念はない。
 つまりフィンガースナップ一つで黒髪ストレートのクールビューティーに変身可能と言う事だ。
 これで次の夏には薄い本が出る事間違いなしだな。はっはっは」

と、そうこうしていると影の手に何かが手渡された。
手の平に収まるサイズの、薄くて滑らかな長方形。

「おぉ、仕事が早いじゃないかジェンタイ……」

影は明るい微笑みと共に自分の手中を見て、硬直する。
手渡されたのはアイフォンではなくて、骨董品の気配が漂う携帯ゲーム機だった。
瞬間、影の全身がわなわなと震え始める。

「……ジェンタイルウウウウウウウウウウ!!」

ワンダースワンを握り締めて粉砕すると共に、怒鳴り上げた。
雷鳴轟く噴火のような怒号に共に大気が裂け、地面に縦横無尽のヒビが走る。
影の背中からは禍々しく枝分かれし、歪曲した翼が軋みを上げながら兆した。

「ドウヤラ折角拾ッタ命ヲココデ捨テタイト見エル、人間風情ガ……!!」

ワンダースワンを握り砕いた左手は漆黒に染まり、悍しく尖鋭な姿に。
双眸は赤く、猛禽のそれへと変貌を果たしていた。
鋭利な牙の覗く口元からは黒い瘴気がうっすらと漏れている。
キャラ崩壊が甚だしい。

「……っと、すまない。楽しみにしていたものでな、ついカッとなってしまったよ」

影は、はっと理性を取り戻したらしい。
翼や爪などを収めて、人間の形態を取り戻した。

142 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/16(水) 00:37:19 ID:PrGAkrqe
>「人を変態扱いするとは……失礼だぞ。
 私や先輩悪魔が変なことをするはずはないだろ」
>「何言ってるの? 変な事って例えば寿命の半分と引き換えに悪魔の目をやると迫ったりとかの事だよ!」

「全くだぞジェンタイル。あ、ところで地獄の深淵に灯る裁きの炎があるんだがいらないか?
 昔なら寿命の半分辺りが対価だったが、今なら特別に使う度に寿命を一年支払う契約でいいぞ」

影が指先に黒い炎を灯して、笑う。

「……と言っておくと馬鹿な奴は引っかかるんだよなぁ。人間の寿命なんて多くても100年。
 20歳で契約したなら残り80年、たった40回使うだけで半分を消費してしまう訳だ。
 言うなれば安く買った携帯でたっぷり使用料を取られるような物だな。と言う訳でどうだジェンタイル?」

なに、使わなければいいんだ。保険として持っておいてもいいんじゃないか。
と、言葉巧みに影は契約を迫っていた。

>「ジェンタイルに先輩悪魔よ、よろしく頼むぞ。
 世界を三人で薔薇色に変えて行こう。
 そう、野薔薇が咲き誇る世界へ、世界をハッテンさせよう!」

「あ、あぁ……そうだな!そうなるといいな!」

メタルクウラの熱意に若干付いて行けず、勢いでお茶を濁す。

「まぁそれはとにかく、別に道中の描写は必要ないだろう。すっ飛ばしてしまうとしよう」

影が指を弾いた。
時間が飛んで、一行は温泉村へと辿り着く。

>「さぁ、まずは温泉で裸同士で語り合おう!」

「まぁ待て、まずは旅館探しだろう?そう言えばさっき
 ジェンタイルが渾身のチョップを喰らってたな。ムチウチに効く温泉が何処かにあるといいなぁ」

143 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/16(水) 22:50:03 ID:PrGAkrqe
>>134-135
>「大先輩はああ見えて僕の宿敵なの。闇の勢力の黒幕なの!いつか倒す予定なんだから一緒に旅してちゃおかしいだろ」
>「そういうことなんです。信じらんないかもしれないけど、あいつあれて世界滅ぼそうとした奴の先輩なんだぜ」

パーティー編成についての素朴な疑問が思わぬ反応を引き起こし、私は表情の困惑に“ばつが悪そうな”を付け加えた。
そういえば政党のこともパーティーと言う。冒険者の編成にも思想信条の一致が必要なのかもしれない。
まあ、混成パーティーを作る裏技があったような気がするが…ダンジョンアタックにも国会にも。

ともかく、私はローゼン達と行動することを許された。
「おれはガッチー。大先輩とジェンタイルにはこの村で会ってから世話になった。よろしくな」
メタルクウラと芸人軍団に挨拶して私はローゼン組と共に温泉村に向かっ

…温泉村の旅館に着いた。
ローゼンが濡れた石で滑って頭から落ちリヨナが体を張って止めるのを何度か見た気がするが気のせいかもしれない。

奇数…早速温泉に浸かる
偶数…まずは源泉を見に行く

144 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/17(木) 00:13:25 ID:CTR33X4x
私は早速旅館の露天風呂に出向いた。
最近たまに古代ローマ人が出てくるという理由でラテン語の辞書が備え付けられている露天風呂の
湯は透明でさらりとしているがpHは1.70というから立派な酸の海だ。
因みに内湯は別の源泉から引いているという贅沢な造りでこちらのpHは2.06。
これをピーエイチと習ったかペーハーと習ったかで世代が分かるらしい。
同じような世代間ギャップはアボガドロ定数にもあって…

おっと、じめんタイプだったらダメージ倍になりそうな湯を前にして思わず現実逃避してしまった。
この章が終わるまでBボタンで進化キャンセルしよう。私はそう心に決めて湯に浸かった。

しばらくすると周囲が騒がしくなった。何人かがどたばた走りながら口々に
「監視カメラ」「覗き」「管理部屋」などと叫んでいるようだ。

(あーこのまま何事も無く牛乳片手に部屋に戻ってごろごろしたいなあ…どれだけウケミンと罵られようと…
いや違う、起こして貰った騒ぎに反応だけするのがウケミンだから騒ぎに反応しなかったらウケミンですらない)

「えーと…そういうのは地蔵って言うんだっけか?」
呟いて私は湯から上がり騒ぎの方向を見定めようと辺りを見回した。

145 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/17(木) 02:43:15 ID:R1jvueEx
>「人を変態扱いするとは……失礼だぞ。私や先輩悪魔が変なことをするはずはないだろ」
こ……こいつ……っ!さらっと大先輩を抱き込んで自分の行いを正当化しやがった!
ついさっきまでBLについて熱く語ってたじゃねーかお前!大先輩も大概だけどさあ!
>「何言ってるの? 変な事って例えば寿命の半分と引き換えに悪魔の目をやると迫ったりとかの事だよ!」
今更常識人ぶってんじゃねえぞてめえーっ!お前のアイデンティティに関わる問題だろうが!
なんなの!もしかして俺の心が一番汚れてるの!?ローゼンさんそんなパンピーみたいなこと言っちゃうの!
>「ジェンタイルに先輩悪魔よ、よろしく頼むぞ。世界を三人で薔薇色に変えて行こう。
 そう、野薔薇が咲き誇る世界へ、世界をハッテンさせよう!」
「変えねーよ!いや世界は変えるけど、そういった方向に変えるんじゃねーからね!?
 ナチュラルにこのお話の方向性弄りやがったなこの野郎!」
メタルクウラ。油断ならねえ。
>「さすがクウ君、いい事言う!」
「手のひら返し早くない!?」

>「……ところでジェンタイルさん?どう言う事ですか?」
「どうって……どういうことなの炎精霊。なんでフォロー返してあげないの」
<<だってあいつ吾のブログのキリ番踏み逃げしやがったし>>
「根に持ってんじゃねえよ!ああもうキリ番って言葉自体前時代を感じさせるわ!何年前だよ」
<<ざっと見積もって一万年と二千年前から>>
「いや流石にそれは誇張しすぎだろお前ちゃん」
<<iしてる>>
「うわー!ドコモの携帯通信サービスであるところのiモードと愛してるをかけた高度なダジャレやぁー!」
って、こんな解説しないと伝わらないような細かいギャグ仕込むなよ!まさか他にもあるんじゃねーだろうな?
みんなも探してみよう!あ、こんなふうに拾いにくいボケを上手く視聴者に伝えるのもツッコミの役目な!
……うわー、リヨナさんめっちゃ背景歪んどる。迫力の視覚表現の話。なんで怒られてんだろ俺。
>「女の子はデリケートな生き物なんですよ!もっと優しくしてあげて下さい!」
「ぎゃーーっ!?」
そいつ女の子なのかはおろかナマモノなのかすらわかんねーけど!ってツッコミ入れる前にチョップ食らった。
すげーな、構えから一撃までの動きがまったく目で追えなかった。脳味噌が揺さぶられ、意識も月まで吹っ飛ぶこの衝撃。
とりあえず間違いなく古きものどもよか俺のがデリケートな生き物なので、優しくしてください。

146 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/17(木) 02:43:57 ID:R1jvueEx
>「……ジェンタイルウウウウウウウウウウ!!」
アンタもかーーーっ!もうやだこのパーティ!どんだけ感情の起伏に富んでるんだよ!理性的にいこうや。
大先輩がワンダースワンを握りつぶして赫怒していた。少なくともサイヤ人にはなれそうにない怒り方だった。
<<あーあ、怒らせてやんのー吾もう知ーらね>>
「え?え?ワンダースワン信者だったの大先輩?もしくはアイフォン買ってもらえなかったのがそんなに悔しいの?」
>「ドウヤラ折角拾ッタ命ヲココデ捨テタイト見エル、人間風情ガ……!!」
「そんなことで延々積み立ててきたキャラぶっ壊してんじゃねーーっ!」
なにタタリ神みたいになってんだよ!状況を一歩引いた視点から韜晦して愉悦るのがアンタのキャラだろ!
ちょっと時系列的におかしいけど不可抗力だ。勘弁な!

とまあ、そんな感じで。
芸人軍団とガッチーはローゼンチームに吸収され、トレードでメタルクウラが来ることになった。
移動はロード時間として省きます。ローゼンたちと別れた俺たちは早速温泉村に着いた!
>「さぁ、まずは温泉で裸同士で語り合おう!」
「待て待てぇぇぇ!少し自重しろ、この先濃厚なバトルパートが待ってるから飛ばし過ぎると疲れるぞ」
>「そう言えばさっきジェンタイルが渾身のチョップを喰らってたな。ムチウチに効く温泉が何処かにあるといいなぁ」
「そーなんだよ、さらっとギャグパートで流してるけど後に残るレベルですよこれは!」
戦闘中に古傷として痛み出しそうだ。それが原因で致命的な隙を作ったりして。
「旅館捜すかあ。おっ、あそこなんてどうよ、『空戦の湯』。ジェットバスが有名なんだってよ。
 『ダーク温泉』……真っ黒な泉質に魔族の血入り入浴剤で元気溌剌! 『ヒーロースパ』、ブラックダイヤの岩盤浴」
ま、ま、俺たちの目的はこの地に宿る地精霊さまに会うことだけど、ちょっとぐらい遊んでってもバチはあたるまい。
ついでに描写しとくと、温泉村はいくつもの旅館の集合体で、湯治客は好きなとこ選んで逗留する。宿場町みたいなもんだ。
温泉村の中央にある『大源泉』に神格の地精霊が宿り湧き水に加護を与える。その水を各旅館に分配するんだな。
だから地精霊に会いたければこの大源泉に行けばいいのだけれど、湯治客のマナーとして一風呂浴びて身体を清めなければならない。

「なんか到着早々騒動起こしてる迷惑な団体がいるなあ。見たことある顔だけど他人のフリしよ。さー風呂風呂!
 そういやさらっと流しちゃったけど機械生命体って風呂大丈夫なわけ?あとお前らと風呂入るのすごく不安なんだけど」
大先輩含めて。こいつはこいつでメタルクウラとは別の方向で危ないです。
「もろもろの事情含めて、当面の宿を決めよう」

147 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/17(木) 10:11:03 ID:C/efZ28u
>「待て待てぇぇぇ!少し自重しろ、この先濃厚なバトルパートが待ってるから飛ばし過ぎると疲れるぞ」
>「まぁ待て、まずは旅館探しだろう?そう言えばさっき
>ジェンタイルが渾身のチョップを喰らってたな。ムチウチに効く温泉が何処かにあるといいなぁ」
>「そーなんだよ、さらっとギャグパートで流してるけど後に残るレベルですよこれは!」

私はどうやら浮かれすぎていたようだ。
ジェンタイルが怪我をしているのに、私はこれからできるであろう、裸と裸のぶつかり合いに夢中になっていた。
周りのことを考えずに行動をすれば、迷惑が掛かってしまうと分かっているのに。
私は深呼吸すると共に、熱くなっていた人工知能とエネルギー炉を冷却し、平常心に戻った。

>「旅館捜すかあ。おっ、あそこなんてどうよ、『空戦の湯』。ジェットバスが有名なんだってよ。
>『ダーク温泉』……真っ黒な泉質に魔族の血入り入浴剤で元気溌剌! 『ヒーロースパ』、ブラックダイヤの岩盤浴」

「ダーク温泉は止しておいた方が良いだろう。
先輩悪魔も魔族の血入りと言うのはさすがに嫌だろう?」

>「なんか到着早々騒動起こしてる迷惑な団体がいるなあ。見たことある顔だけど他人のフリしよ。さー風呂風呂!
>そういやさらっと流しちゃったけど機械生命体って風呂大丈夫なわけ?あとお前らと風呂入るのすごく不安なんだけど」

「私はトアルの町で防水のルーンを刻んだ。
ルーンの効力がある限りは大丈夫なはずだ。
ジェンタイルよ安心しろ。
温泉で漏電などの事故は無いだろうし、先輩悪魔と一緒にお前にトライアングルドリーマーを仕掛けたりもしない」

>「もろもろの事情含めて、当面の宿を決めよう」

「騒々しい一行と同じ宿を取るのも良いが、せっかくパーティーを分けたのだ。
奴らとは気分的に違う宿を取りたい。
あそこはどうだ?」
私が指差した先はくたびれた旅館。
そこは『三流温泉』。湯船に浸かれば霊が見えるようになると言われている……曰く付きの温泉宿。

148 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/17(木) 15:48:08 ID:OOvJyiic
>>140
>「善のパーティーメンバーが覗き!? それはいけない! 断固阻止しなければ!」
>急いで管理部屋に向かう。もしかして今章のボスキャラは本性現して性神と化したハマちゃんかもしれない。

管理部屋では神妙な面持ちで監視カメラを操作する浜田の姿があった。
「なぁ、これどうすんの?え?脱衣所にはカメラ付いてないの?
そりゃあかんわ〜!!なんで付いてへんねん、ボケ!!」

警備員の頭をどつきながら浜田は咥えタバコでカメラを食い入るように
見つめるその手にはダビング用のビデオが握られている。
一方の松本は浜田の横に座り、流れ出る汗を拭きながら語りかける。

「あ、あかんぞ。それだけはあかんぞ浜田ぁ……!!」

浜田「お、まっつん。山崎やえんど……いやダイナマイト四国はどうしたんや?
ん?ローゼンちゃんもきたんかいな。三流旅館とかってとこの優待券在るし
自分ら先風呂でもはいりや。さっぱりしたほうがええんとちゃうかぁ?」

眉間に皺をよせ、浜田はまるで子ゴリラのような顔で画面を見つめる。
しかし、何か違うとでもいうように顔を横に振るだけだ。
「ちゃうなぁ……これでもあかんのか?あ、ここも誰もおらへんやんけ。
あ、そういえばまっつん。」

浜田はタバコを警備員の手に押し付けながら振り返る。
その顔はやけに険しい。
松本は無理に笑顔を浮かべて対応する。何気にローゼンを守りながら。

「そういや、ハムの人はどないしたんや?ここ最近見てへんけど。」

浜田は不意に思い出したように松本へ問いかける。
ハムの人とはエクスペンダブルズの隊長、バーニー・ロスこと
シルベスタースタローンのことであるのだが。

「え?(ローゼンちゃん襲うかと思ったわ、こわっ)……あぁ、隊長は国に帰ったらしいで。何でも『エイドリアンの糖がおりた』
とか言うて。」

浜田『そうなんやぁ・・・大変やな。』

149 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/02/17(木) 15:58:40 ID:OOvJyiic
>>187
>「貧乳はステータスだ! なんてったってフリフリのドレスが似合う! 男装コスプレもバッチリだ!」

「フ、フリフリのドレスだなんて、そんな……。あぅ……私なんかが着ても、似合うと思いますか……?」

僅かに頬を紅潮させた頬に両手を当てて、リヨナは自信なさげに目を逸らす。
彼女自身、自分がその手の、お淑やかで可愛らしいタイプではないと自覚は出来ている為、瞳には不安の色味が揺蕩っていた。

>「美少年もデリケートな生き物だからさ、少しは優しくしてあげよう?」

「むぅぅ……」

ローゼンの言葉を受けてリヨナの勢いが薄れ、けれども尚も唸る猛犬さながらの威嚇的な視線でジェンタイルを捉えていた。
けれどもローゼンの諭すような口調が、彼女の脳裏に一抹の冷静さを滑り込ませ、客観的な視点を与えたらしい。
眼光が和らいで、

「えっと、その……すいません。ついカッとなってしまいました……」

しゅんと、しょげた様子でジェンタイルに頭を下げた。

>「……楽しそうだなー、ちょっと羨ましいなあ」

ローゼンの何気ない呟きに、リヨナの表情に落ち込みの色が上塗りされる。

「……私、頑張りますから!水精霊さんとの漫才も!ツッコミだって頑張りますから!
 「何でやねん!」って言いながら手刀を打ち込めばいいんですよね!?だから……!」

けれども小さく首を横に振って顔から暗色の感情を払い、無理矢理に明るさを上塗りして、リヨナは捲し立てた。
途中で何を言っていいのか見失ったように断絶した声は、そのまま続きを紡がれる事なく、潰えた。

「……楽しい旅になると、いいですね」

誤魔化しの色彩で塗り潰した笑顔で、強引に言葉を断ち切った。

>「リヨナちゃん、一つ言っておくことがある。僕はBLが好きなんだ!」

「あ、奇遇ですね!私も好きですよ!でも私はどちらかと言えば照り焼きチキンの方が……
 って、そっちじゃないですよね!あはは、でもBLも嫌いじゃないですよ。
 友情とか感情が溶け合うような描写は、性的な意味じゃなくて素敵だと思います!」

先ほどの暗い雰囲気を吹き飛ばしたいのか、リヨナの口調はいつにも増して勢いよく、明朗快活だった。

>「善のパーティーメンバーが覗き!? それはいけない! 断固阻止しなければ!」

「任せて下さい!そんなまどろっこしい事しなくてもカメラを粉砕すれば一発です!
 なので、さぁ!一緒にお風呂と洒落こみましょう!」

右手で小石を弾いたリヨナは、左手でローゼンをしかと掴んで、放すまいとしていた。


150 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/17(木) 23:36:14 ID:Lj5xorjQ
>146
>だから地精霊に会いたければこの大源泉に行けばいいのだけれど、湯治客のマナーとして一風呂浴びて身体を清めなければならない。
地精霊のところに直行したらあかんらしい。
「なんかじわじわ外堀埋められて包囲されてる感がするんだけど……」

>148
管理部屋ではハマちゃんが警備員をどつき回しながらやりたい放題していた。
>「なぁ、これどうすんの?え?脱衣所にはカメラ付いてないの?
そりゃあかんわ〜!!なんで付いてへんねん、ボケ!!」
「ちょっと! やめなよ!」
パーティーメンバーから逮捕者を出すなんて善側のリーダーとしてあるまじき所業!
>「ちゃうなぁ……これでもあかんのか?あ、ここも誰もおらへんやんけ。
あ、そういえばまっつん。」
ハマちゃんが怖いんだけど! 性神とやらに乗っ取られたか!?

>「そういや、ハムの人はどないしたんや?ここ最近見てへんけど。」
>「え?(ローゼンちゃん襲うかと思ったわ、こわっ)……あぁ、隊長は国に帰ったらしいで。何でも『エイドリアンの糖がおりた』
とか言うて。」
「そういえば芸人軍団じゃなくて傭兵軍団だったっけ」

>149
>「フ、フリフリのドレスだなんて、そんな……。あぅ……私なんかが着ても、似合うと思いますか……?」
「大丈夫、似合うよ! 世の中にはフリフリドレスで悪霊退治するオタクの退魔士も存在する!」

>「……私、頑張りますから!水精霊さんとの漫才も!ツッコミだって頑張りますから!
 「何でやねん!」って言いながら手刀を打ち込めばいいんですよね!?だから……!」
「えぇ!? そんなに深い意味は……」
>「……楽しい旅になると、いいですね」
まずいなー、傷つけちゃったかな。

>「あ、奇遇ですね!私も好きですよ!でも私はどちらかと言えば照り焼きチキンの方が……
 って、そっちじゃないですよね!あはは、でもBLも嫌いじゃないですよ。
 友情とか感情が溶け合うような描写は、性的な意味じゃなくて素敵だと思います!」
リヨナちゃんは僕に好かれようと必死だ! こんないい子を傷つけるような事はもうするまい。

>「任せて下さい!そんなまどろっこしい事しなくてもカメラを粉砕すれば一発です!
 なので、さぁ!一緒にお風呂と洒落こみましょう!」
「わぁああああああ! 器物破損じゃん! すいません、修理代は王都の衛士隊に請求してください!」
逃げるようにその場を去る。

リヨナちゃんに温泉シーンNGな事を言い聞かせる。
「ダ、ダメだよ! 一緒には行けないよ! 一緒に入ったら逮捕されちゃうでしょ!?」
が、親切な通りすがりの人がいらん事を教えてくれた。
「ライト温泉またの名をカオス温泉なんてどうかね。カオスだけに混浴だよ。
あまりに何が起こるか分からないからスリリングすぎて閑古鳥が鳴いてるけどね。
入った美形の忍者がガ○ャピンになったり美少女が宇宙的恐怖なイソギンチャクになったりしたとかいう噂があってねえ。
最近は時々古代ローマ人が出てくるとか出てこないとか……。勇気があるならチャレンジしてみなよ」
「やめようよ! リヨナちゃんが宇宙的恐怖な姿になったら困るもの!」
無慈悲な話の流れに無駄な抵抗を試みる僕であった。

151 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/02/18(金) 19:24:01 ID:BXvY+umx
>「ダーク温泉は止しておいた方が良いだろう。
 先輩悪魔も魔族の血入りと言うのはさすがに嫌だろう?」

「魔族の血か。人間は昔から、他の生物を食す事に栄養の摂取以上の価値を見出してきた。
 明るい方向では命を頂く行為だとか、神からの贈り物に感謝しよう、とかだな。
 だが同時に、まじない的な側面を見出してもいたんだ」

久しぶりの講釈を始められる話題に遭遇して、影はここぞとばかりに嬉々として長台詞を紡ぐ。

「例えば動物のハツ、つまり心臓を人が食べるようになったのは、屈強で強靭な動物の心臓を食べる事で
 自分もそのタフネスを体に宿せると思ったからだ。転じて、神話には龍の血を浴びる事で
 不死身の肉体を手に入れたりする話がある訳だな。ちなみに普通の温泉で言う所の血の池地獄はただの酸化鉄だから気にせず浸かるといい」

一息に語り切って、満足気な表情を浮かべた。

>「なんか到着早々騒動起こしてる迷惑な団体がいるなあ。見たことある顔だけど他人のフリしよ。さー風呂風呂!
 そういやさらっと流しちゃったけど機械生命体って風呂大丈夫なわけ?あとお前らと風呂入るのすごく不安なんだけど」

「なぁに心配するな。BLだっていつもサカっているようでは面白くない。だから入浴シーンではお前の体が
 いかに華奢で艶やかなのかを描写するのに全力を注ごうじゃないか。そうする事で後の展開に説得力が……と言う事だな」

影が腕を組みながら、もっともらしく何度も深く頷いていた。

>「もろもろの事情含めて、当面の宿を決めよう」
>「騒々しい一行と同じ宿を取るのも良いが、せっかくパーティーを分けたのだ。
  奴らとは気分的に違う宿を取りたい。
  あそこはどうだ?」

メタルクウラが指差す方を見遣ると、『三流温泉』の看板を掲げた旅館があった。
そよ風すら吹いていないのに何故か揺れている暖簾が、何処か、おどろおどろしい。

「……え?マジ?いや、いやいや、アレはないっしょマジで。ぶっちゃけどう見てもヤバいじゃん?
 あ、いやヤバいってのはオンボロって意味であって別に怖いって訳じゃねーし?」

影は引き攣った顔で指を鳴らそうとしていたが、震える余り上手く弾けないでいた。

「と、まぁ冗談はともかく、あそこにするか。パーティリーダーはジェンタイルだし、
 支払いは頼んだぞ。私は早速風呂に入りたいのでね」

アロハシャツに浮輪、シュノーケルとゴーグルの完全装備で、影が温泉へと向かった。


152 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/18(金) 19:35:59 ID:BXvY+umx
>>149>>150
「え〜湯やぁ。あやと子供たちにも入れさせてあげたかったわぁ」

頭にタオルを置き、恍惚の表情で湯に浸かるのは東西一の極寒芸人こと
山崎ホウセイである。
彼はかつて、チーム0というしょうもない、いやしょうもなくない
コンビを結成していたが今はピンで必死にその「寒さ」を逆利用して
生き残っているのだ。

その横ではダイナマイト四国が、4歳くらいの男の子とくんずほぐれつの
取っ組み合いをしていた。
「おっ、いいな君!!いいセンスしてるな!!むっ?そこは!?
やめろ、やめっ……いや、やめないでくれ!!」

「ダイナマイト四国のぞうさん小さぁーい。」

一方の松本は、ローゼンとリヨナの横で温泉マップを食い入るように
見つめていた。
「おっ、色々あるやんけ。ライトの湯に、ダークの湯かぁ。
でも、浜田が気になるなぁ。あいつ、ほんまに何してんねん……。」

>「やめようよ! リヨナちゃんが宇宙的恐怖な姿になったら困るもの!」

突然後方から凄まじい駆け足の音が聞こえる。
某アラレちゃんの格好をした浜田が「キーン」といいながらやって来たのだ。
その両手には水着と、タオルがあった。

「んちゃ!!風呂、入ってさっぱりしよか!
なっ?なっ!?」

浜田がピグモンの如きその顔でローゼンとリヨナを見つめているぞ。

153 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/02/19(土) 01:19:51 ID:1VAqmEvc
>「ダ、ダメだよ! 一緒には行けないよ! 一緒に入ったら逮捕されちゃうでしょ!?」

「だーいじょうぶですよ!衛士隊って告げてもっともらしい理由述べれば大抵の事は合法です!
 温泉内から凶暴な野良精霊の魔力が探知されましたとか!」

ローゼンの腕に深く固く抱き着いたリヨナは笑顔で、しかし決して放すまいと言わんばかりな過剰さで寄り添い、歩く。
勢いのある拳が弾かれても逸れにくいように、彼女は勢いを以って自分の感情のブレを抑えようとしていた。

>「ライト温泉またの名をカオス温泉なんてどうかね。カオスだけに混浴だよ。
 あまりに何が起こるか分からないからスリリングすぎて閑古鳥が鳴いてるけどね。
 入った美形の忍者がガ○ャピンになったり美少女が宇宙的恐怖なイソギンチャクになったりしたとかいう噂があってねえ。
 最近は時々古代ローマ人が出てくるとか出てこないとか……。勇気があるならチャレンジしてみなよ」

「マジですか!ローマ人を見かけたらお土産に入浴剤でも教えてあげましょうか!ともあれ混浴があるなら行きましょうよ!」

村人の紹介を聞いた瞬間、リヨナの双眸が鋭く研ぎ澄まされ、獲物を見定めた猛禽のごとく煌めいた。

>「やめようよ! リヨナちゃんが宇宙的恐怖な姿になったら困るもの!」

「……もし、そうなっても……私をパーティの一員として見てくれますか?」

精巧過ぎる立方体を思わせる、完璧で自然過ぎるが故に不自然な、満面の笑顔でリヨナは尋ねる。

「……なーんて、隙ありです!そりゃぁ!」

だがすぐに彼女は、おふざけの雰囲気を纏い直して、ローゼンを抱え上げて旅館のくぐった。
衛士隊の身分証明書を提示して即座に温泉へと向かうと、ローゼンの着衣を一瞬で脱がせる超速の手捌きを披露する。
そのまま流麗な動作で彼を温泉へと放り投げた。更に追撃をかけるように、自らも飛び蹴りの形で温泉に飛び込む。

「さぁさぁ裸の付き合いですよ!洗いっこしましょうよ!」

引き締まった肢体に【不自然な湯気】をさらけ出して、【不自然な陽光】を隠そうともせず、リヨナは意気揚々と湯気の向こうに見える人影へ近付いていく。

「残念でしたねハマタさん!この世界で女性のあられもない姿を拝もうだなんて、そうは何か色んな委員会が許しませんよ!」

ちなみに【不自然な湯気】と【不自然な陽光】はDVD版では綺麗さっぱりと晴れるらしい。
ともあれ彼女はローゼンの傍までざぶざぶと歩み寄り、

「……って、先客がいらしたんですか!?こ、これは失礼しました!
 いえ私、別に怪しい者ではないんですよ!こう見えて衛士ですし!」

慌てて、頭を下げた。
リヨナは目の前にいる人物が、ローゼンだと気付いていなかった。
その理由は、ずぶ濡れの髪がローゼンの顔の上半分を隠していたり、普段は隠されている【不自然な湯気】の膨らみが顕わになっていたり、
身長もリヨナと同じか少し小さいくらいになっていたり、何より【不自然な湯気】が【不自然な陽光】だったりと、色々ある。
仮に無理があろうが、とにかく気付かなかったのだ。

「で……えっと、重ね重ね失礼なんですけど、ついさっきこちらに男の人が飛んで来ませんでした?
 旅の……その、知り合いなんですけど……」

154 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/19(土) 01:38:56 ID:jPAAZjx4
>「ジェンタイルよ安心しろ。温泉で漏電などの事故は無いだろうし、
 先輩悪魔と一緒にお前にトライアングルドリーマーを仕掛けたりもしない」
「風呂場でそんな超人プロレス技かけられる懸念があったの!?」
>「騒々しい一行と同じ宿を取るのも良いが、せっかくパーティーを分けたのだ。
 奴らとは気分的に違う宿を取りたい。あそこはどうだ?」
「三流温泉……?なんかもう、客集める気あんのかって感じの名前だな」
パンフレットによると湯に浸かっている間のみ霊感が宿り霊を目視し触れられるようになるんだとか。
世界観的に幽霊の存在ってどうなの?って感じだが、それとは別に三流温泉にはもう一つ特典がある。
「ここの風呂に入ると……ドえらいサービスシーンがあるらしいぞ……!」
まさか女湯が男湯からのみ丸見えとかそういうステキシステムか!?極楽にいかせてあげちゃうのか!?
<<なんてことだ早く準備しろ汝!『これがホントの珍通棍ってか!』とか言いたいすごく言いたい>>
テメー椎名先生と全国云万のGSファンに今すぐあやまりやがれ!あ・や・ま・れ!!
ARMSネタといいこいつサンデー大好きだな。10年前のラインナップだからまさかと思ってたけど。

>「……え?マジ?いや、いやいや、アレはないっしょマジで。ぶっちゃけどう見てもヤバいじゃん?
 あ、いやヤバいってのはオンボロって意味であって別に怖いって訳じゃねーし?」
「大先輩ーーーーーっ!それ以上喋ったらアカン!もう誰だか分かんねーよアンタ!」
>「と、まぁ冗談はともかく、あそこにするか。パーティリーダーはジェンタイルだし、
 支払いは頼んだぞ。私は早速風呂に入りたいのでね」
ふと見るといつの間にか大先輩は着替えていた。浮輪とかシュノーケル。海水浴装備である。
「あんま突込みどころ増やすんじゃねーよ!」
なんか第二の出オチ要因みたいになってんぞ、大先輩。メタルクウラととことん張り合うつもりか。
っていやいや、なんでこいつら張り合ってんの!?サービスシーンへの伏線じゃないことを全力で祈ろう。
それは間違いなく、俺にとっては罰ゲームだろうから。

というわけで温泉。
旅館にチェックインを済ませ、浴衣を受け取り、部屋に荷物を放りこんで温泉へ向かう。
ボロッボロの外装の割に中はしっかりしたつくりになっていた。質と実が反比例してる感じ。
タオルを持ってなかったので売店で手ぬぐいを購入し、腰に巻いて浴場に突入した。
「おおー、いい感じじゃん!」
三流温泉の看板に偽りあり。いい意味で。
中央の大浴槽、サウナに水風呂ジェットバス電気トルマリンイオン風呂に滝風呂極めつけは露天風呂!
ちょっと良いスーパー銭湯並みの設備が揃っていて、霊感入浴だけが売りじゃないってことを如実に教えてくれる。
早速掛け湯をして身体を洗い(メタルクウラは背中が広すぎてタオルが届かないので磨いてやる)、
まずは大浴槽に浸かってみる。でかいだけの普通の浴槽だが、これにも霊感泉質はあるはず。
で、サービスシーンどこよ?

155 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/19(土) 01:40:15 ID:jPAAZjx4
「露天の方から女湯覗けなくなくなくない?」
「っどわあ!?」
誰もいなかったはずの隣から声がして思わず飛び退く。水中で上手く着地できなくて、ケツが滑った。
それは聞いたことのない、声変わりを迎える前の幼い声。振り向くと、俺の腰ぐらいの背しかない少女がいた。
全裸で。浴場だから当たり前だけど。茹でた蟹のように赤く、背丈と同じぐらいはあろうかという真っ直ぐな長髪。
「だ、誰?」
「えーそれちょっと冷たくない汝、見て分かんないのん」
見て分かる情報を統合するとなんか全裸の知らない幼女が馴れ馴れしく話しかけてる図なんですけど。
なにこれ。っていうかうん、今の問答でだいたいわかっちゃったけどさ。
「……炎精霊」
「左様」
さよう、じゃねーよ!どういう状況だよこれ!!なにさらっと順応しちゃってんのお前!
あーアレか、三流温泉の泉効。『霊が見えるようになる』。精霊も見えるようになっちゃうんだ……。

「いや、だとしてもなんでそんな非実在青少年法に抵触するような見た目で出てくるかなあ!」
「え、何言っているのだ汝。男湯で合法的に存在できる女子って幼女しかなかろう」
「男の姿で出てくるって選択肢は最初からなかったんだ!」
精霊にとって性別の観念は駅の便所紙並みに薄いらしいけど。
これ、サービスシーン?ちょっとやめてよセルフサービスとか本当に悲しい結果しか生まねーぞこれ。
「なんだ男の姿で裸の突き合いがしたかったのか」
「誤解を招くような誤変換はやめろぉ!っていうかお前これ他の人に見えてねえだろうな!?」
大丈夫だよね?ね?メタルクウラさん目ェ逸らすのやめてくださいよ。ヘイこっち向いて!
いややっぱ向かないで尻を重点的に舐め回すように見ないでお願い。
っていうか前々回あたりもの凄いカミングアウトしたよねこいつ。BL全開で行きます的なこと。やっべー。

「ま、ま、その問題についてはさておこう。これから地精霊探訪って重要イベントが待ってるからな」
そういやこの温泉効果って大先輩にはどんな風に作用するんだろう。やっぱ真の姿が見えちゃったりするわけ?
あと機械生命体への影響も。
「メタルクウラ、お前には何が見える?」
人間とは異なる理でものを視る生命体にとって、"精霊"や"悪魔"という概念はどんな風に映っているのだろう。
精霊は精神に楔を結ぶ。機械生命体に宿るのは精神ではなく"知性"だ。だから機械生命体には魔法という概念がない。
ルーンを刻んでその効果を受けることができても、自身のエネルギーを魔力に変えて行使することができない。
スピリチュアルではなくインテリジェントな存在。それが機械。それがメタルクウラ。
そんなこいつがこの三流温泉に行きたいと願ったのは、もしかしたら何か大きな変化の発露なのかもしれない。
大先輩は知らね。悪魔ってのは精霊と同じステージにいながら物質界に影響起こせちゃうもんなー。
よっぽど理を無視した存在だけど、それこそが悪魔たる所以。悪役たる理屈。
この辺は、大学で精霊学を専門的に勉強したローゼンのが詳しいんだろうけどな。

156 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/19(土) 03:20:47 ID:Lrk+hXjB
>152
>「んちゃ!!風呂、入ってさっぱりしよか!
なっ?なっ!?」
「冗談じゃない、こんな危険に大事な仲間をさらす訳にはいかない!」

>153
>「……もし、そうなっても……私をパーティの一員として見てくれますか?」
「もちろん! 昨今モンスターが仲間になる事も珍しくないし! ってそういう問題じゃあ……」

>「……なーんて、隙ありです!そりゃぁ!」

場面転換の前に言っておくッ! 僕は今やつの超能力をちょっぴりだが体験した。
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが…あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
『僕は奴に持ち上げられたと思ったらいつのまにか全裸で温泉に入っていた』
な… 何を言ってるのか わからないと思うけど僕も何をされたのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった…
脱衣魔法だとか超スピード脱がせだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてない
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

ところで魔法と魔法じゃないものの違いって何だと思う? 精神が介在するかしないかなんだよ!
クウ君の技は魔法っぽいけど超科学とでも思っておけばヨロシ。ではリヨナちゃんの人間離れした数々の技は何なのか。
それどころではない。冒険が始まって以来の大ピンチだ!

>「さぁさぁ裸の付き合いですよ!洗いっこしましょうよ!」
全裸のリヨナちゃんが迫ってくる! ハマちゃんですら水着持ってたのに全裸!?
二通りの展開が思い浮かんだ。
・「なんで女やねん!」→「ぬわーーっ!」
・「よろしくねお姉さま!」→「ウボァ」
どっちにしろゲームオーバーだ!
浴場のど真ん中では、光輝く球体と青い缶ジュースのオブジェがコントをしている。まさにカオス。
『さあ我らの出番だ! くれぐれも放送事故を起こさないように!』
《うむ、隠してこそDVDの価値が上がるというものじゃ》
こういうシーンでは光精霊と水精霊が大活躍らしい。
「なるほど……、確かに光の宝玉だ」

>「……って、先客がいらしたんですか!?こ、これは失礼しました!
 いえ私、別に怪しい者ではないんですよ!こう見えて衛士ですし!」
この展開は予想しなかった! 自分で脱がしといて気づいてないってどういう事やねん!
>「で……えっと、重ね重ね失礼なんですけど、ついさっきこちらに男の人が飛んで来ませんでした?
 旅の……その、知り合いなんですけど……」
どうする!? シラを切りとおすか!? でもこの調子だと毎日風呂に乱入して来かねない!さすがにいつかバレるぞ!
そこで名案を思い付いた。カオスな温泉といえば古典的王道ネタがあるじゃないか! 恐る恐る呟く。
「リヨナちゃん、僕だよ……」
幸い声だけはいつも通りだ。一人二役のボーカロイドの鏡音リン/レンみたいな器用な声の切り替えなんて起こらない。
「僕女の子になっちゃったよ!! 温泉のカオス成分にあてられたんだ!」
力いっぱい力説した。
《らんま二分の一か》
『という事はもしかしてガチさんがパンダに……!?』

157 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/19(土) 03:31:02 ID:vfjC6fqy
>「と、まぁ冗談はともかく、あそこにするか。パーティリーダーはジェンタイルだし、
> 支払いは頼んだぞ。私は早速風呂に入りたいのでね」
先輩悪魔は手続きをジェンタイルに任せて、さっさと一人で風呂に遊びに行った。
あの様子では他の客に迷惑がかかりそうだな。

私とジェンタイルは荷物を部屋に置いた後、温泉に入りに行く。
ジェンタイルは腰にタオルを巻いているが、私はいつもと同じく裸である。
三流温泉の外装は少々くたびれていたが、温泉内は外とは違って綺麗であった。
湯船に浸かる前に、今までの冒険で溜まった汚れを洗い落とす。
磨ききれない背中はジェンタイルに磨いてもらった。
お礼に私も磨いてやろうとしたら、拒否されてしまった。
残念である。

>「っどわあ!?」
>「だ、誰?」
>「……炎精霊」
>「いや、だとしてもなんでそんな非実在青少年法に抵触するような見た目で出てくるかなあ!」
>「男の姿で出てくるって選択肢は最初からなかったんだ!」
>「誤解を招くような誤変換はやめろぉ!っていうかお前これ他の人に見えてねえだろうな!?」

お湯に浸かった途端に、ジェンタイルが見えない何かと話をし始めた。
この温泉の影響で本当に霊が見えているのか、疲れから幻覚を見てるのかは私には分からない。
しかし、幻覚を見ているならば随分とまぁ、溜まっているものなのだな。
若い人間の男というのも大変なものだ。

>「メタルクウラ、お前には何が見える?」

「……私には何も見えないし、聞こえもしない」
霊と言う未知のものが見えると思って期待して入ってみたが、私には効能が現れないようだ。
ジェンタイルには効能が発揮されて、何かが見えているらしい。
私にはそれが少しだけ羨ましい。
ジェンタイルは精霊使いとして、霊的な存在をその身に宿している。
その影響で霊的な素養が発達したおかげで、何らかの霊が見えたのかも知れん。
ジェンタイルの独り言から推測すれば、ジェンタイルの見ている霊は女性なのだろう。

「で、お前にはその痴女の霊とやらがはっきりと見えているのか?
ちょっと触れるかどうか実験がしてみたい。
どこにいるか教えてくれ」

158 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/19(土) 17:39:16 ID:jnl/7cKS
>「おおー、いい感じじゃん!」

「遅かったなジェンタイル。ちゃんと体を流してから入るんだぞ」

熱気と湯気の向こう側から、しかし影は涼しげな様子だった。
風呂の縁に背中と両腕を預けて、ゆったりと湯船に浸かっている。
海水浴セットは常識に爪弾きにされ、湯船の外に放置されていた。

「……ふむ、やはり人間に合わせてあるせいか、少しぬるいな。
 私が地獄にいた頃は、よく灼熱の溶岩に身を浸していたものだが、懐かしいなぁ。
 あとで源泉の方にも浸かってみるか。お前もどうだ?ジェンタイル」

笑いながら、影が右手の指を立てた。
小さな水音に続いて、講釈が紡がれる。

「ちなみに、源泉は物によっては温度が100度を超えていたりするぞ。
 と言うのも、これは温度を圧力の高い地下で図っているからなんだがな」

目を閉じて口角を釣り上げていた影が、ふとジェンタイルへと顔を向けた。
正確には彼の隣にいる、湯を押しのける事なく存在している者へ。

「また面白い姿で出てきたな。そこの浮輪が栄えると思うんだが、精霊の身では装備は無理か。
 残念だったな。……ところでその体なら露天風呂に行かずとも覗きは出来るんじゃないか?」

影は瑣末な疑問を零した。
それから視線を滑らせて、自分を見つめるジェンタイルのそれと交錯させる。

「……何だジェンタイル。私の正体が気になるのか?」

両眼が愉快そうに細って、口元に不敵な笑みが浮かぶ。

「前にも言っただろう。神には幾つもの面があると。まぁ……私は悪魔だが、大して変わりはしないさ」

意味深なようで、無意味な思わせぶりにも感じられる声色だった。

「もっとも、それは人間でも同じだ。生真面目な男だって魔が差す事はあるし、
 犯罪者は人としての感情が欠落しているなんて事はない。
 善と悪、どちらかが正体だなんて事はない訳だ」

不意に、影の姿が揺らいで明滅した。
端整な容姿の美青年の外見が完全な闇色に染まり、だが一瞬で元に戻る。
次いで彼の腕に、藍色の鱗が疎らに浮かび上がった。そしてやはり、すぐ元通りになる。
最後にコック帽が彼の頭部に現れた。影が指を弾くとコック帽は湯気に混じって消え去った。

「……と、まぁそんな訳で、私の正体はいつだって私さ。
 これが本質となると、また別の答えを用意しなければならなくなるがな、はっはっは」

答えになっていない答えが、湯船から立ち昇る湯気と共に霧散した。

>「で、お前にはその痴女の霊とやらがはっきりと見えているのか?
 ちょっと触れるかどうか実験がしてみたい。
 どこにいるか教えてくれ」

「よし、最近崩れ気味だったキャラも立て直したし、そろそろ羽目を外すかな。
 ちなみに痴女の霊は今ジェンタイルの尻辺りにいるぞ」

メタルクウラの問いに割り込んで、影はさらりと答えた。

159 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/20(日) 06:18:21.59 ID:KHDR38NE
>「……私には何も見えないし、聞こえもしない」
メタルクウラはその文字通りの鉄面皮で、だけど声に少しだけ悲色を滲ませた。
長年同じ村で暮らして、こいつの感情の機微はそれなりにわかったつもりだったけど。
今のメタルクウラがその知性で何を思っているのか、俺には推測できなかった。
「……そっか」
俺は首まで湯に沈んで、湯けむりの向こうに息を吐いた。
>「で、お前にはその痴女の霊とやらがはっきりと見えているのか?
 ちょっと触れるかどうか実験がしてみたい。どこにいるか教えてくれ」
「台無しだよーーーっ!」
なんでお前はそう自分で作った空気を自分でぶち壊しにするかなあ!?
ちょっとオセンチな感じだったじゃん!後に繋がる重大な伏線として機能しそうだったじゃん!
痴女の霊ってワードから"触る"って発想が出てくるのはゴーストスイーパーだけでいいんだよ!

>「……何だジェンタイル。私の正体が気になるのか?」
>「前にも言っただろう。神には幾つもの面があると。まぁ……私は悪魔だが、大して変わりはしないさ」
大先輩は俺の視線に気付いたのか、例のねちっこい笑みを浮かべた。
湯煙の揺らぎに同調するように、ただのいっときも同じ形を保たないロウソクの炎のように、
大先輩の姿がいろいろ変わる。具体的には石鹸さんの顔とか出てきた。
>「……と、まぁそんな訳で、私の正体はいつだって私さ。
 これが本質となると、また別の答えを用意しなければならなくなるがな、はっはっは」
うーん、体よくお茶を濁された気分だ。
ま、ま、あんまり核心を捉えすぎると今度は俺に死亡フラグが立ちかねない。
知りすぎた者は後ろから刺されるのが定番で、きっと大先輩にだって知られたくない領域はあるはずなのだ。
>「よし、最近崩れ気味だったキャラも立て直したし、そろそろ羽目を外すかな。
  ちなみに痴女の霊は今ジェンタイルの尻辺りにいるぞ」
「あッーー!滅多なこと言うんじゃねーよ大先輩っ俺がアンタに何をした!?」
うわっちょっメタルクウラ近付いてくんなそっちに炎精霊はいねーっ!鷲掴みの手で迫ってくんな!
逃げようにも水中で足が滑りもつれてうまく進めない。迫り来るメタルクウラの魔手。危うい俺のケツ。
し、仕方ない。これだけは使いたくなかったが……忍法!場面切り替えの術!!

ドロン。

はい次のシーン。ナカッタヨナニモナカッタヨ。アハハ。
<<サービスシーンカットか。続きは製品版でお楽しみくださいというわけだな?>>
ねーーーよ!未来永劫ねーよ!ほら見ろやっぱバツゲームだったじゃねーか。
ていうかこれも対価になるのかよ炎精霊。どっちかっつうと少年誌じゃなくて同人誌展開だろ。
<<問題ない。昨今の少年誌事情的に腐向け展開も広くカバーしよう>>
こ、媚売りやがった……!アカンこの子、ローゼンに悪い影響受けとる!
恐るべきはローゼン先生の感染力。立ち位置不明の光精霊すら従えるその霊的カリスママジパネー。

なんやかんやで風呂を辞した俺たちは、床につくのにもまだ日は高いし元気だしで街へ繰り出すことにした。
もうこのまま大源泉まで行っちまおう。清めるどころかヨゴされちゃった感漂う俺だけど、ま、ま、大丈夫でしょ。
各温泉宿を蜘蛛の巣のように連結する導水パイプを辿っていけば、大源泉へ迷わず辿りつけた。
「へぇっ、湖畔村で埃被ってた水精霊の噴水と違ってやっぱおこぞかに祀られてんのな」
源泉を囲うようにして祠と社が建てられ、守護のルーンの刻まれ門によって外敵を阻んでいる。
傍の受付で入泉料を払い、専用の浴衣に着替えて大源泉への入場が許可されるのである。

160 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/20(日) 06:19:06.81 ID:KHDR38NE
大源泉は巨大な岩の器だった。
絶え間なく吹出す湧き水が地精霊の加護によって七色に変化しながら器に受けられパイプに引かれていく。
ここで"加護"について説明しておこう。精霊契約によって得られるのは大別して精霊魔法と精霊加護。
言い換えるならばアクティブスキルとパッシブスキルだ。その後者、契約者に宿る常時発動型のスキル。それが加護。
例えば光精霊と契約してるローゼンの魔祓いや未来暗示、異常な勘の鋭さ。
俺で言うならば火器を上手く扱えたり寒さに強かったり揚げ物が美味しく揚がったり、そういう性質のことを指す。
そして加護は契約者だけでなく、精霊ゆかりの深い物質にも宿る。大源泉の泉質は、そのようにして生まれるのだ。
はい説明終わり。

俺は三流温泉のフロントで購入してきた瓶詰めの霊感泉を懐から出した。
栓を抜き、精霊の宿る要石に降りかける。大気中の霊的濃度を高くして精霊とコンタクトしやすい環境を作ったのだ。
「炎精霊、ちょっと呼びかけてみてくれよ」
相手は神格の四大精霊。
精霊適性の低い俺が下手に動くより同じ四大精霊の炎精霊が呼んだ方がアポりやすいだろう。
精霊と相対するっていうのは本当にめんどくさいのだ。
スキあらば契約狙ってくるし、契約済みの奴にはとことん冷たいからね。
<<そんなこそせんでもあいつブログやってるからコメントつけてやればすぐ出てくるぞ>>
「雰囲気が大事なんだよこういうのは。ていうか神格精霊がブログで何書いてんだ」
<<今日の泉質とか契約状況とか日替わりオススメ宿とか>>
「営業努力してるの!?ていうかそういうのアリなんだ……ますますお前や水精霊が今まで遊び呆けてたのが浮き彫りじゃん」
どうやら地精霊はマメで真面目な性格らしい。ちゃんとしたお話ができそうで俺は安心したよ。またバトルは御免だ。
[懐かしい声がすると思ったら……これはこれは炎精霊。久方ぶりですね]
目の前から声が飛んできた。大源泉の器が鈍く発光し、震えて音を作っていた。

朧気な、それこそ湯煙のような影が立ち上る。輪郭すらはっきりしない若芽色の揺らぎが俺たちに話しかける。
惜しむらくは俺の霊的知覚の拙さ。三流温泉に浸かってる間ならまだしも、今この場では曇りガラスの向こうみたいだ。
あるいはローゼンならはっきりと地精霊の姿を視認できるかもしれないけど。あいつは天才だからな。
[貴方がたのお話は三流温泉に流れた拙の眷属より伝わっています。
 機械生命体メタルクウラ、炎精霊の契約者ジェンタイル、そして深淵の悪魔。拙は貴方がたを歓迎しましょう]
<<地精霊よ、水精霊の件は聞いているか?>>
[ええ、ここ数百年拙達の誰とも口をきかなかったあの子が、嬉しそうにツイートしてくれましたよ。
 新しい契約者ができた、これでまた旅ができると……そう取り計らってくれたのは貴方がたのパーティです]
だから拙は貴方がたを歓迎するのです。
地精霊はそう岩を震わせた。どうでもいいけど古風な喋りでツイートとか雰囲気ぶち壊しだな。
あと水精霊を解放したのは基本的にローゼンとリヨナさんの功績なので、非常にバツが悪いよね俺たち。

[この地へはどういった御用向で参られたのです?]
唐突に話を振られた。やべっ、何聞くのかまだ考えてなかった!
「えっとですね、宴会パートの延長線と言いますか……」
[?]
わー何言ってんだ俺!テンパってきた!
「地精霊様に色々質問したいことがあるんスけど、お時間大丈夫スかね、午後の操業に差し支えたりしないスか」
[心配はいりません、拙に答えられる範囲ならばなんなりとご質問を。
 聞きたいことがたくさんあって整理し切れないのなら、後ろのお二人から先に伺いましょう]
スゲー!めっちゃ空気読めるやんけ地精霊!どこぞのボンクラ精霊とは大違いだな!
<<おい汝。吾のことを侮辱するのはいい。だが吾の仲間を侮辱するのは許さんぞ……!>>
徹頭徹尾お前のことだから安心して憤慨してろ!
[ではメタルクウラ、深淵の悪魔。この地精霊に問いたいことがあれば遠慮なく]
俺は熟考ターイム!

161 :ダディ ◆vJw4bjafBQ :2011/02/20(日) 13:20:37.42 ID:OQzSbf9F
熱気伝わる温泉街に、男はいた。
クールな雰囲気を漂わせる彼の背中はどこか―――ボドボドだった。

「急造のライダーシステムのせいで…俺の体はボロボロだ!!」

男の名は橘朔也(たちばなさくや)。BOARDと呼ばれる精霊やら魔法を研究する組織の一員だ。
その過程で開発されたライダーシステムの装着者となった彼の体は、恐怖心で体がボドボドだった。

「もずく風呂……本当にあるのか?恐怖心が治る風呂だと聞いたが……」

そんなものはない。また騙されたのか橘さん。
ちなみにもずく風呂とはシュルトケスナー藻(通称もずく)を使った『ヤクの風呂』のようなものであり
恐怖心に打ち勝てる代わりにリアルに体がボロボロになってしまう恐ろしい風呂なのだ。
そんなアブナイ風呂がここにある訳がないのだが……そこは橘さん。全く気付いていない。

「すまないそこの二人。もずく風呂を探しているんだがどこにあるか知らないか?」

湯気とか不自然な光で隠れる女性二人に 平 然 と話しかける橘さん。
誤解のないよう言うが橘さんにゲスな動機は一切ない。彼はただ、話をややこしくする天才なだけなのだ。
「ここらに詳しい人でも構わないから教えてくれないか?そこの君も」

アラレちゃんのような格好の浜田にも質問する橘さん。
その姿があまりにおかしかったので橘さんは内心でナニヤテンダ、フザケルナとこぼした。


名前:ダディ
職業:研究者
性別:男
年齢:20代
身長:180
体重:何言ってんだ!ふざけるな!
性格:天然
外見:(0M0)
備考:
本名は橘朔也
滑舌の悪い後輩のせいでダディと呼ばれる
ちなみに今はボドボドな状態
もずく風呂が好きで騙され上手

162 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/20(日) 14:33:38.66 ID:dR6t8FjJ
>>152
>「キーン」
両手に水着とタオルを持ったハマタが目の前を駆け抜けていった。
騒いでいたのはローゼン達だったようだ。ならば問題ない…問題ない事にしよう。

「地蔵の地ーはー地面の地ー」
デタラメに唱えながら私は上機嫌で温泉を出た。
よく見ると小さなホワイトボードに“今日の泉質:シド”と書いてあった。
シド…それはストーリーから切り離された異次元への陥穽を召喚する呪文。道理で誰も来なかった訳だ。
因みに備え付けの浴衣は私の体格では窮屈すぎるので代わりに伸縮性のあるパンダの着ぐるみを貸し出されている。

奇数…リヨナ達のはしゃぐ声に気付いてカオスの湯へ
偶数…温泉街の散歩へ

いつの間にか時刻表示の桁が増えているが、目的が乱数の代用なので最終桁の使用とする。

163 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/20(日) 16:59:12.48 ID:dR6t8FjJ
温泉街は浴場と饅頭屋が一帯に張り巡らされた湯樋やパイプに沿って立ち並ぶダンジョンだった
…地形的な意味ではなく、饅頭の押し試食で数歩毎に漏れなく足止めを食らうという意味で。

ゆるやかな盆地に位置する村の中央、一番の低地にあるのが大源泉らしく、この村では丁重に祀られているようだ。
それ以外にも小さな源泉が幾つか知られていて村の湯の多様性に一役買っている、と観光案内所の看板に書いてあった。
相当の規模の熱源と水源を抱えた土地のようだ。

大源泉の入口でやたら項目の多い注意書きを腕組みをして読んでいた私は、かすかな地鳴りを感じて振り返った。
村を囲む丘の一角の、重い雪を頂き今にも地滑りを起こしそうな小さな峰が眼に入った。
「おいおい、もう設定の埃を落とす時かい?ついさっき旅の埃を落としたばかりだぜ?」
私はぼやきながら小さな峰を見つめた。

164 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/20(日) 17:06:47.70 ID:wT8ViD4n
>「よし、最近崩れ気味だったキャラも立て直したし、そろそろ羽目を外すかな。
>ちなみに痴女の霊は今ジェンタイルの尻辺りにいるぞ」
>「あッーー!滅多なこと言うんじゃねーよ大先輩っ俺がアンタに何をした!?」

「よし!ジェンタイルよ、そこを動くなよ」
私はジェンタイルの尻まで素早く動き、優しく丁寧に色々と時に大胆に手を動かして調べてみた。
そして、一度のレスで書き込める容量の都合から、一気に場面は変わり、地精霊の目の前にいる。
姿は私には見えないが、地精霊の宿る器から光が輝き、そこから音声が発せられていた。
ジェンタイルの他に炎精霊やらと喋っていたようだが、残念ながら私に炎精霊の言葉は知覚できなかった。
ちゃんと音にしてもらわないと、私には聞こえないのだ。

>[ではメタルクウラ、深淵の悪魔。この地精霊に問いたいことがあれば遠慮なく]
そう言われても、私には特に地精霊に質問してみたいことなどは無い。
ジェンタイルと同様に少し考える時間をいただき、私は答えた。

「地精霊よ、貴様が消滅すればどうなるか興味がある」
私は破壊のエネルギーを蓄えた、水色に光り輝く手を地精霊に向けた。
もちろん、本当に消滅などさせる気もないし、できるはずもない。
ちょっとしたジョークのつもりである。

165 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/20(日) 18:29:11.81 ID:xgQseOdT
>「残念でしたねハマタさん!この世界で女性のあられもない姿を拝もうだなんて、そうは何か色んな委員会が許しませんよ!」
「おし、入ったか。それでええねん。」

浜田は笑みを浮かべ露天風呂の方へ走っていく。
浜田ことドSゴリラの異常かつ残忍な笑みに恐怖を覚えた相方・松本は
冷や汗を流しながら走っていく。
「浜田ぁー!!あのボケッ、ほんま考えられへん!!」

浜田の向かった先では、深夜アニメにありがちな
キャッキャウフフなシーンが繰り広げられていた。
DVD版ではないと、大事な部分は描かれてないというアレである。

>「で……えっと、重ね重ね失礼なんですけど、ついさっきこちらに男の人が飛んで来ませんでした?
>旅の……その、知り合いなんですけど……」

>「僕女の子になっちゃったよ!! 温泉のカオス成分にあてられたんだ!」
>力いっぱい力説した。

浜田は服も脱がずに前進する。
陽光に照らされた2つの影を目掛け、ひたすら。
松本は相方の暴挙を阻止するべく必死の形相でそれに追従する。
(お前が捕まったら、俺は1人でどないすんねん!!
俺のシュールなボケには・・・お前のツッコミがいるんやでぇ!!
そやから――アホな真似はやめてくれぇやぁあああ!!
でも、ちょっとは覗いてみたいわぁ。――あ、考えとんねん俺!?)

「よっしゃっ!!ついにきたでぇ!!この瞬間や!!」
浜田が浴場へ欲情を疼かせて入ろうと見えた瞬間、その動きは別の展開を見せる。
「お前やなぁ!!最近ここで”カメラで覗き”してるっちゅー奴は!!」
浜田が岩陰から首ねっこを捕まえて連れて来たのはローゼンやリヨナではない。
黒眼鏡をかけた、チョビ髭の痩せた男。
松本にはその顔に見覚えがあった。


「――田代まさしやんけっ!!」

呆然とする松本に、浜田は田代に亀甲縛りをしながら説明する。
「ようやく見つけたで。村の管理人に頼まれた仕事や。
ローゼンちゃんとリヨナちゃんには悪いことしたなぁ。
でも囮がいったんや。カメラも確認したけど、お前はみつからへん。
ピチピチの若い子やないと、こいつは覗きにこーへんからなぁ。
おい、田代っ!!お前には色々恨みもあんねん。
お前のせいでレギュラー潰されたしなぁっ!!こっちこいや!!しばいたるからなっ、
カーッカッカッカッ」

浜田に連行される田代を見送りながら松本は服を脱ぎ始める。
「なんや、お前覗きやなかったんかいなぁ。安心したわ・・・じゃ、
俺は風呂入ってくるから。」
タオル一枚になった松本はカメラ片手にローゼン達のいる風呂へ向かおうとする。
「お前が覗きやってどないすんねん!!」

浜田の飛び膝蹴りが松本の後頭部をしたたかに叩いた。
ローゼン達の影に向かうと浜田はにこやかに笑う。
「じゃ、2人ともゆっくりしいや。騒がせてすまんかったな。」







166 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/02/21(月) 00:02:31.41 ID:mcuhPmxU
>「リヨナちゃん、僕だよ……」

「へ?……ま、まさか……!?」

一瞬、何の事やらと言わんばかりに、きょとんとしたリヨナの表情は、ややあってから疑念が滲み出した。
ローゼンに歩み寄り、濡れた所に陽光を受けて淡く輝いて見える金髪を、そっと掻き分ける。彼女の惚れ込んだ顔があった。

>「僕女の子になっちゃったよ!! 温泉のカオス成分にあてられたんだ!」

「う、うそぉ!?噂は本当だったんですか!?た、大変ですよ!教会に行けば解呪出来ますかね!?」

リヨナは慌ただしく右往左往して、

>『という事はもしかしてガチさんがパンダに……!?』

「……あ、それはちょっと見てみたいかもしれません」

愕然としたローゼンの呟きに、ぴたりと止まって感想を零した。

「ちなみにパンダの模様って元は竹やぶに潜む為の迷彩って言われてるんですよ。
 でもだったら何で緑と茶色じゃないのかって言うとですね、
 パンダは多くの動物がそうであるように色が分からないんです。だから白黒になったんです。シマウマと同じですね」

思い出したように、リヨナが鼻息と共に薄い【不自然な湯気】を張り、ここぞとばかりにムダ知識を披露した。
多分DVDとBD版では微かに揺れる【不自然な陽光】が拝める事だろう。

「……それにしても、ホントに女の子にしか見えませんよ」

まじまじと改めて、リヨナは遠ざかろうとするローゼンの顔に手を添えて、覗き込む。

「素材がいいですもんねー……。肌は白くて綺麗で、目も大きくて、睫毛長いし、唇もこんなに……」

リヨナの指がローゼンの頬を滑り、唇に触れた。
そして、沈黙。
しばし真剣な表情で黙り込んでから、リヨナはゆっくりと口を開く。

「……うん、これはアリですね!だってこんなに可愛いんですもん!いじくり回したくなっちゃいますよ!」

>「じゃ、2人ともゆっくりしいや。騒がせてすまんかったな。」

「えぇ勿論ゆっくりしますとも!そしてお構いなくです!」

アホ丸出しの宣言と共に、ローゼンに抱きついた。
そして、くすぐるような手つきで【不自然な湯気】やら『不自然な陽光』を撫で回して、宣言通りに揉みくちゃにする。

「おぉー……何か色々目覚めちゃいそうですよこれは……!」

ひとしきり堪能して満足したリヨナは、手の平に残る感触に、耳に染み付いた残響に、感慨深い声を漏らしていた。

167 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/02/21(月) 00:03:44.51 ID:mcuhPmxU
「……それにしても、ちゃんと治るんでしょうかね、それ。もし治らなかったら……えっと、私が責任取りますね!」

相変わらず、やや脱線気味の意気込みだった。
と、不意にリヨナの頭の上で何かが踊るように揺れる。先端に小さな球の付いた、透明な触角が一本生えていた。

「ほえ?……ひぇえ!?な、何か頭の上に生えてますよ!?
 魔族ですか?私魔族になっちゃうんですか!?ダーク展開にはちょっと唐突過ぎません!?」

リヨナは大仰に驚き、慌てふためいて――しかしすぐにネタばらしをする。

「……なーんて、実はこれ水精霊さんに頼んで作ってもらったんです!
 私じゃ出力引き出せなくてバトルには使えませんけど、こう言う使い方もアリですよね!
 驚きました?だとしたら大成功ですね水精霊さん!」

《テ・ケ・リリ、テ・ケ・リリ》

「あれぇ!?何で名状し難い感じになってるんですか!折角上げたヒロイン値ダダ下がりですよ!?」

>「すまないそこの二人。もずく風呂を探しているんだがどこにあるか知らないか?」

不意に投げかけられた問いに、リヨナが振り返る。
同時に、彼女は幾重にも纏っていたおふざけの雰囲気を脱ぎ去って、真剣味を帯びた表情を浮かべていた。
要するにギャグパートの雰囲気からシリアスっぽい空気に切り替えたのだ!

「もずく風呂……懐かしい名称ですね。三年前、衛士隊が総力を挙げて根絶に取り組んだ魔性の風呂……。
 この世界じゃ体の傷は治せても、壊れてしまった心は元通りになりませんからね。
 私の友人も一人……敵に囚われ、精神を破壊され……今でも後遺症に苦しんでいます……」

奥歯を砕けんばかりに噛み締め、風呂で血行の良くなった手が白くなるほどに拳を握り締める。

「……どうやらその様子では、単に噂を聞いて探してるだけみたいですね。
 『辛くて引き裂かれそうな心を溶かしてくれる』『恐怖も怒りも克服出来る』
 ……そんなのはウソっぱちです。一時的に忘れられるだけ、一生拭えない傷跡と引き換えに」

吐き捨てて、リヨナは深く息を吸い込んだ。
潤いと温かみを含んだ浴場の空気で、胸中に生まれた黒く冷たい思い出を霧散させる。

「ですが……この村の温泉の大元、地精霊さんの管理する大源泉なら、
 心を癒してくれる効果も望める……かもしれませんよ。
 丁度私達も向かう予定でしたし、ご一緒にどうですか?……っと、そうは言っても決定権があるのは私じゃないんですけどね」

にこやかな笑顔を浮かべて、リヨナが提案した。

168 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/21(月) 01:00:09.59 ID:nRNzyUEo
>>161
「最近、風呂に入れる入浴剤作ってんねん。」

田代を三浦湾に沈めた浜田が何かの袋を手に戻ってきた。
丁度、その頃やけにイケメンの学者崩れが松本に話しかけていた。

>「ここらに詳しい人でも構わないから教えてくれないか?そこの君も」

「いや、もずく風呂って・・・知らんけど。自分、えらいやつれた顔してるで。
あ、浜田や。」

浜田は辛味噌ヌードルを手にしている。
それを松本やリヨナ・ローゼンに渡しながら、橘さんにも勧める。
「自分、これ食うか?どうせあまってるし、食ってもええで。」

>「ですが……この村の温泉の大元、地精霊さんの管理する大源泉なら、
>心を癒してくれる効果も望める……かもしれませんよ。
>丁度私達も向かう予定でしたし、ご一緒にどうですか?……っと、そうは言っても決定権があるのは私じゃないんですけどね」

リヨナの提案を聞きながらリュックサックから変身ベルトを取り出す浜田。
相変わらず伏線など関係ない展開である。

「自分、烏丸所長の知り合いか?このベルト、預かってるで。
・・・あれ?どっかで間違えたんか?これ、なんか違うわ・・・」

浜田が取り出したベルトは、カードケースのようなもの。
明らかに某トランプライダーのそれではない。

「なんや、これ。ごっつ悪趣味なコブラの絵が書いてあるで。
え?アドベント?なんじゃこれ。」

浜田の様子を物陰から見つめるコートの男。
「戦え――戦え」
一体、これから何が起ころうとしているのだろうか?
戦わなければ、生き残れない。





169 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/21(月) 21:11:38.41 ID:8XWNo27m
>「へぇっ、湖畔村で埃被ってた水精霊の噴水と違ってやっぱおこぞかに祀られてんのな」

「そりゃそうさ。何せ……」

ジェンタイルの漏らした感想に、影が不敵に笑った。
視線を見上げた大源泉からジェンタイルに落として、続ける。

「アイツは一度、この村を滅ぼしてるからなぁ」

影の口角がより不敵に、より悪辣に吊り上がった。

「水精霊は、何だかんだで甘かったからな。人間だってそうだろう?
 一度ブチ切れた虐められっ子をもう一度虐める馬鹿はいない。
 だが相手がブチ切れないと、とことん付け上がる」

楽しげに語り終えてから、影は人差し指を立てて補足する。

「ま……私もその場にいた訳じゃないし、あくまで噂だがな。」
 具体的には2ちゃんで温泉村のアンチが熱心に宣伝してた」

最後で台無しにしつつも、拭い去れない猜疑の染みを心に残す語り口だった。

>[貴方がたのお話は三流温泉に流れた拙の眷属より伝わっています。
 機械生命体メタルクウラ、炎精霊の契約者ジェンタイル、そして深淵の悪魔。拙は貴方がたを歓迎しましょう]

「ほう……いいのか?私まで歓迎して。私は悪魔だ。もしかしたらそこの器に何か細工をしでかすかもしれないぞ?」

冗談めかしてはいながらも、煽り立てる口調で影が笑った。
胸の高さに掲げた右手で打楽器の構えを取って、これ見よがしに見せつける。
快音が響いた。

「……全く、無反応とはな。もう少し面白い反応をしてくれてもいいだろうに」

音は微かな余韻を残して大気に拡散する。それ以外の何かを引き起こす事はなかった。
つまらなさそうに、影がほんの少し眉を顰め、肩を竦めて笑みを浮かべる。

>[ではメタルクウラ、深淵の悪魔。この地精霊に問いたいことがあれば遠慮なく]

「そうだな……では『龍脈』の操り方なんかも教えてもらえるのかな?
 風水においては山の連なりを意味するが、ここではファンタジー的な意味での龍脈だ。
 つまり大地を流れる様々な力の奔流……ここの温泉も、それを流用しているんだろう?」

不敵で不遜な笑みを消して、双眸を鋭利に研ぎ澄ます。

「私はその力が欲しい。是非、ご教示願いたいんだが……どうかな?」

もう一度、打楽器と化した右手を突き出して、影は問いかけた。


170 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/21(月) 22:56:04.20 ID:o5saAw+5
>161 >165
>「う、うそぉ!?噂は本当だったんですか!?た、大変ですよ!教会に行けば解呪出来ますかね!?」
うわぁ! こんなに右往左往させてどうしよう!
何回教会で蘇生されても解呪されなかったものが今更解呪されるはずがない。

>「……それにしても、ホントに女の子にしか見えませんよ」
当たり前である。服装による記号的表現は特にこの世界においては絶大な威力を発揮するのだ。
>「素材がいいですもんねー……。肌は白くて綺麗で、目も大きくて、睫毛長いし、唇もこんなに……」
なんだ、この展開!? 這い寄る混沌のヨカーン! そこに丁度よくハマちゃんが乱入してきた!

>「――田代まさしやんけっ!!」
ハマちゃんは覗き魔を捕まえたようだ。
が、田代が捕まったというのにまだラスボスのBGMが聞こえる!
ttp://www.youtube.com/watch?v=fu3XR6MpJPc
>「……うん、これはアリですね!だってこんなに可愛いんですもん!いじくり回したくなっちゃいますよ!」
ラスボスはこっちか――! 正義のヒーロー浜ちゃんに助けを求める。
「助けてハマちゃーん!」
が、現実は非情だった!
>「じゃ、2人ともゆっくりしいや。騒がせてすまんかったな。」
>「えぇ勿論ゆっくりしますとも!そしてお構いなくです!」
「えぇ!? ちょっと待ってうわなにするやめ……らめぇええええ!」

リヨナちゃんが僕の【不自然な湯気】やら『不自然な陽光』を撫で回す!
場面転換はすでに手遅れだ! かくなる上は……虚空に向かって叫ぶ。
「担当さーん! 後手キャンしてえ!」
後手キャンセル略して”後手キャン”それは魔法の言葉。こう言うと起こった事が気のせいだった事になるという都市伝説があるのだ。
「いや! やっぱりしないでぇ!」

ところで辺境村ではTRPG(ダイス振るやつね)がちょっとしたブームで、教会でコンベンションが行われていたりする。
僕がGMをやった時はPLのどんな無茶振りも受けて立つのがマイジャスティス。
当然ヒロインポジションには美少年を配置するぞ!
クウ君は僕の卓の常連だが、ジェン君はなぜか1回参加したっきり二度と参加しようとしない。

171 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/21(月) 22:57:07.01 ID:o5saAw+5
つまり何が言いたいかというとこれ位で後手キャン使わないのが僕の意地だ!
本当はちょっと満更でもなくなってきたんじゃないかって? そ、そそそそんなわけないだろ!
「これ位……受けて……立ってやる……っ」
そうだ! 医者に診せてるつもりで乗り切る、もとい牧師に診せてるつもりで……この例えは使えない!
いっつも素っ裸で運び込まれても淡々と蘇生するあいつがちょっとでも変な気配を見せた時点で即刻逃走するわ!

>「おぉー……何か色々目覚めちゃいそうですよこれは……!」
しゃぶりつくされてようやく解放される。僕のMPはもうゼロだ!
『今の君、最高にときめいてるね!』
おおいっ! シャレにならん冗談を言うんじゃない!
心なしか肌がツヤツヤしているとすれば、それは温泉のお湯のせいだ。

>「……それにしても、ちゃんと治るんでしょうかね、それ。もし治らなかったら……えっと、私が責任取りますね!」
責任取るって具体的にどうすんだ! 嫌な予感しかしない!
>「ほえ?……ひぇえ!?な、何か頭の上に生えてますよ!?
 魔族ですか?私魔族になっちゃうんですか!?ダーク展開にはちょっと唐突過ぎません!?」
「うぇええ!? 何それアンテナ!?」
>「……なーんて、実はこれ水精霊さんに頼んで作ってもらったんです!
 私じゃ出力引き出せなくてバトルには使えませんけど、こう言う使い方もアリですよね!
 驚きました?だとしたら大成功ですね水精霊さん!」
「もうすっかり仲良しだよね! 直接攻撃するだけがバトルじゃない。
まずは霧で視界を奪ったり炎ダメージの軽減あたりからだね。ウォータが使えるようになるのはもうちょい先かな」

>161
>「すまないそこの二人。もずく風呂を探しているんだがどこにあるか知らないか?」
「ナズェミデルンディス! ……ん? もずく風呂?」
もずく風呂といえば、麻薬覚せい剤とならんでダメゼッタイのポスターが辺境村に貼られていたはずだ!
「うまい話には罠がある! 入るだけで恐怖を克服できるなんて都合のいい物はないの!」

>「ですが……この村の温泉の大元、地精霊さんの管理する大源泉なら、
 心を癒してくれる効果も望める……かもしれませんよ。
 丁度私達も向かう予定でしたし、ご一緒にどうですか?……っと、そうは言っても決定権があるのは私じゃないんですけどね」
「そうだ、一緒に行こう! 精霊さんに相談してみなよ」

>168
ハマちゃんが戻ってきた。
>「自分、これ食うか?どうせあまってるし、食ってもええで。」
辛味噌ヌードルを食べながら成り行きを見守る。全裸で。

>「戦え――戦え」
「えぇえええええ!? 戦っちゃうの!?」
これって場面転換してもいいのか!? 一体いつになったら服が着れるんだ!?

172 :ダディ ◆vJw4bjafBQ :2011/02/22(火) 01:01:50.77 ID:u6STdsfD
>「……どうやらその様子では、単に噂を聞いて探してるだけみたいですね。
> 『辛くて引き裂かれそうな心を溶かしてくれる』『恐怖も怒りも克服出来る』
> ……そんなのはウソっぱちです。一時的に忘れられるだけ、一生拭えない傷跡と引き換えに」

いきなりのシリアスに地の文がびっくりした。
え?なんで橘さんじゃないのかって?橘さんは自分の中ではいつも真剣そのものなのだ。

>「ですが……この村の温泉の大元、地精霊さんの管理する大源泉なら、
> 心を癒してくれる効果も望める……かもしれませんよ。
> 丁度私達も向かう予定でしたし、ご一緒にどうですか?……っと、そうは言っても決定権があるのは私じゃないんですけどね」
>「そうだ、一緒に行こう! 精霊さんに相談してみなよ」

「お前イイヤツだな。地精霊に相談してみるよ。
俺は橘朔也。BOARDというところで研究をしていた。よければ、一緒に行かせてくれないか?」

それはテンション低そうなクールキャラが崩壊してしまったようなイケメンスマイルだったと言う……
というのも欠陥システムのせいでボロボロなのに開発した上司は謝ってくれないし
プライドはズタズタだしBOARDは壊滅状態だし橘さんも色々不安定なのだ。
でもこんな昔のこと2秒で忘れてください。

>「自分、これ食うか?どうせあまってるし、食ってもええで。」

突然去って突然参上した浜田に辛味噌ヌードルを手渡される。
なんというか、こう、一曲歌いたくなったそうだが我慢した。
俺にはほとんど聴こえてんスけどね、rebirthの辛味噌。

>「自分、烏丸所長の知り合いか?このベルト、預かってるで。
>・・・あれ?どっかで間違えたんか?これ、なんか違うわ・・・」

リュックサックからごそごそとベルトのようなものを取り出す浜田を見て
この人何者なんだろうと怪訝そうな橘さん。

「烏丸所長の知り合いなのか?………そのベルトは?」

そのベルトは明らかに橘さんの持っていたライダーシステムとは異なっていた。
カードを使用する点は同じと言えるがカードのデザインもまるで違う

「見たことのないものだ。烏丸所長の意図は分からないが、とりあえず君が持っていてくれ」

どう考えてもロリコン兄貴の作ったアレなのだが、浜ちゃんのペースには飲まれないぞ!グッ
あのベルトで変身したら悪徳弁護士がライバルになる。俺の占いは当たる。
ちなみに橘さんは暇なので延々と洗顔器を睨んでいた。
でも橘さん。地精霊は場面転換の先にあるんDeathよ?洗顔器睨んでたら怪我します。

「早く地精霊に会いに行こう。
場面転換してくれないと俺の体はボロボロだ!!」

恐怖心に我慢仕切れなくなったらしい。
ただまあオレノジャマヲスルナラタトエロポロッポデモとか言いながら腹パンしてくるよりはマシかもしれない。

173 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/22(火) 01:20:00.28 ID:4zgPcY1k
>「地精霊よ、貴様が消滅すればどうなるか興味がある」
メタルクウラがエネルギーを充填した手のひらを要石に向け言った。
「どわーーっ!ばっか何言ってんだお前!マジすいませんよく言って聞かせますんで堪忍してください!」
俺は金属製の豪腕に飛びつき強引に下げさせる。そういうのマジヤバイんだってば!
地精霊は温厚真面目だが冗談の通じないところがあって、これは後述するけど昔はブイブイいわしてたらしい。
はたして地精霊の宿る大源泉から返答はなかった。
不気味なまでに静まり返り、ただ若芽色の輝きだけが鼓動のように明滅するのみ。
「うひいいいい!お前あんま滅多なこと言うなや!社会に出てこういうことしたら尻叩きじゃすまねえんだぞ!」
未就学児に行って伝わるかわかんねーけどさ!ビジュアルだけはいっちょ前におっさんなんだから。
よく考えたらこいつと外出するのってめちゃくちゃ危険じゃねえ?
ていうか地精霊さんマジでなんで黙ってるの。怒るなら怒ってくれたほうがいっそ気が楽なんですが。
<<――ふむ。地精霊にも何か思うところがあるらしいな>>
思うところって何!?どんな風に処刑するかとかそういうこと!?
<<これは伏線にしておくからあとでちゃんと回収しておくんだぞ汝>>
やめたげてよぉ!一発ネタでええやん!のちに引っ張らないで怖いから!
そう、俺は聞いてしまったのだ。
大先輩が例のあの翌日胃もたれ確定な脂っこい笑みでぼそっと呟いたのを!
>『――アイツは一度、この村を滅ぼしてるからなぁ』

話変わるけど最近地震多いよね、地震。地震ってなんで起きるか知ってる?
昔は大地を下から支えてる巨人の貧乏揺すりとか龍脈の胎動とか諸説あったけど、現代では結構解明されている。
地盤ってのはものすごいデカさの一枚板で、長年諸々の事情でたわんだ板が元に戻る動作が地震。
下敷きを曲げて離すとビヨンビヨンするだろ?あれの地盤版が地震。当たり前だけどたわみの大きさに規模は比例する。
ちょくちょく散発的に発生する地震より、ずっと貯めこんで一気に爆発させる地震のが強力だ。
怒りっぽヤツより温厚な人間のがストレス溜め込みやすくていざキレると容赦ないのと同じだな。
はい!小学校で習うような雑学並べて一体俺は何を言いたいんでしょーか!配点20!

>「そうだな……では『龍脈』の操り方なんかも教えてもらえるのかな?」
大先輩は例のフィンガースナップ(笑)のポージングで質問した。
>「私はその力が欲しい。是非、ご教示願いたいんだが……どうかな?」
えーと、この辺タブーなのかな。
よくわかんねーけど大先輩が悪役面してるってことは悪いことに違いない!
[……本気ですか?深淵の悪魔]
しばらくしてからようやく震えた要石。
その振動が作った音には、明らかな困惑が混じっていた。
<<マジで言ってんのか淵っちゃん>>
淵っちゃん!?お前大先輩のことそんな呼び方してたの!?
契約者の俺のことは"汝"とか名前呼び捨てのくせに、大先輩や芸人軍団とはアダ名で呼び合う仲なの!
僕ちゃん割と深刻にショックなんだけど!傷つくわー。
[悪魔。深淵の悪魔。精霊界に存在を轟かせておきながらその"名"を誰も知らぬが故に、そう呼ばれた者よ。
 この数百年を沈黙で過ごした貴方が、この地を掌握して何をするというのです。またぞろ世界でも滅ぼすつもりですか?]
不穏な空気がピリっと俺のうなじを灼く。
ここで俺は炎精霊が分かっててギャグの流れを引き戻そうとしていたのを察した。
空気読めてんじゃん炎精霊。なるほど今ならよくわかる。この雰囲気はヤバい。
「あーっ、あーっ、その件についてなんですけど!」
ここは俺の出番だ。
「ついでに俺の質問もいいスか」
暗幕を押し上げるようにして、議論に風を入れた。水を差すとも言う。

174 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/22(火) 01:22:24.65 ID:4zgPcY1k
「俺たちは、今のこの世界を是としない者達です」
大先輩が構える指先を手のひらで遮り、攻撃意志を可及的に隠蔽しつつ交渉のテーブルをつくる。
実質的には交渉じゃなくあくまで対話。ネゴシエイトではなくトーキングに。会話の流れをねじ曲げる。

「この世界の根幹を為す"システム"――死者蘇生のプロセスは、命という概念に対して冗漫過ぎる。
 皆がみな生き返るからいいさと命を粗末に扱います。自分の命も――他人の命さえも」
俺は述懐した。噛んで含め、説明した。
想いが届きますようにと寝る前の乙女のような気分で、上位存在たる神格精霊に熱弁を振るった。
命のデフレスパイラル。死んでは容易く生き返る、その不条理と危険性。命という観念に対するマヒ。

「今の人類にはハングリーさがありません。人類みんなでモラトリアムやってるようなもんなんです。
 蘇生術は禁忌でした。昨今の出生率を調べたんですが、予想通り右肩下がりです。
 人口ピラミッドが逆三角形です。このままじゃあ、近いうちに人類は滅亡しますよ。
 そうでなくともいずれは老人だらけの死んでも死ねないゾンビタウンです」
だから、と息を継いで。
「俺は今の世界を変えたいんです。その為に必要なのは過去を紐解く手段――
 この世界がどんなふうに変遷して、根底から打ち崩すにはどうするのが手っ取り早いか。それを知りたいんです」

だから教えてくださいと。俺はそう締めくくった。
地聖霊様は俺の話を一切遮らず沈黙で受容し、俺は気持よく弁舌ぶることを完遂した。
やがてゆっくりと、魔窟が開く音のように低い唸りが要石を揺らした。

[……ジェンタイルよ。貴方の問いはしかと受領しました。では深淵の悪魔、貴方は彼の後見を?]
若芽色の靄が一際強く輝いたかと思うと、やがてゆっくりと冷えていく。
[貴方の問いに答えを用意するのには時間がかかりそうです、ジェンタイル。この場は一旦お引取りを。
 またのち――そうですね、夜頃にここへ来て下さい。具体的なお話はそれからしましょう]
若芽色の靄の一部が本体から切り離され、霊感泉の入っていた瓶にするりと入った。

【 『地精霊の雫』 を 手に入れた ! 】
うお、なんかディスプレイ下方にウインドウ出てきた!
なにこれ、このお話ってそんなシステムだっけ?いつの間にバージョンアップされたの。
[それをお持ちなさい。拙の在る場所へのフリーパスです]
ほー。これであの正門から堂々入れるってわけか。
[さて、それでは夜にまたお会いしましょう。あまり拙と楽しくお話しすることもないことですし、それに――]
地精霊はそっと囁くようにして岩を震わせる。
[――どうやら次の来客があるようですから]

というわけで俺たちはずこずこと退散し、三流温泉への帰路をひた歩いていた。
次の来客ねえ。地精霊に殴りこみかけるような酔狂な旅人が俺たち以外にもいるんだろーか。
……思い当たるフシは結構あるけれども、原則別パーティーなので俺は可能性から目を逸らした。
「さて、あんま重苦しい話続きだと"あっち"との落差がひどくなるし、ここらでいっちょ遊んどくかあ!
 なあ、メタルクウラ、大先輩。ここ温泉街っつったらよぉー、ちょっと全年齢板の限界に挑戦してみたくね?
 せっかく俺たち男だけのパーティなんだしさ、さ、もう言わなくてもわかるよな?なっ!?」
温泉街だもんね!言い換えるなら歓楽街だもんね!オトナのお店で歓楽しちゃおうせ!?

175 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/22(火) 02:32:44.16 ID:wssTJXvr
>「どわーーっ!ばっか何言ってんだお前!マジすいませんよく言って聞かせますんで堪忍してください!」

ジェンタイルが私の腕に飛びついて、必死になって私の腕を下ろさせようとする。
仕方がなく私もエネルギーを霧散させて腕を下ろす。
地精霊の反応は沈黙。
冗談がきつすぎて黙ってしまったのか、消滅した後のことなどはどうなるのか分からないから黙っているのかは、私には分からない。

>「うひいいいい!お前あんま滅多なこと言うなや!社会に出てこういうことしたら尻叩きじゃすまねえんだぞ!」

ジェンタイルは私を心配して言っているようだが、クウラの記憶を探ってみても、そんな酷いことにはなっていなかったぞ。
目上のコルド大王にクウラは似たようなことをやってみたが、ぷるぷると苦笑いを返すだけだった。

>「そうだな……では『龍脈』の操り方なんかも教えてもらえるのかな?
>風水においては山の連なりを意味するが、ここではファンタジー的な意味での龍脈だ。
>つまり大地を流れる様々な力の奔流……ここの温泉も、それを流用しているんだろう?」
>「私はその力が欲しい。是非、ご教示願いたいんだが……どうかな?」

先輩悪魔の質問は大地に流れる力の操り方だ。
昔は私達も様々な星に、私の母星である機械惑星ビッグゲテスターを寄生させて、大地に流れる膨大な星の力を吸収したものだ。
そのビッグゲテスターも膨大な二人の人間の力に耐えきれず、大破してしまったのだがな。

>[……本気ですか?深淵の悪魔]

そんなに驚くようなことなのだろうか?
いや、普通は先輩悪魔のような奴なら、使えるかどうかは別として、使い方を知っているのが当たり前だから、今さら聞いてくるのに驚いたのか?

>[悪魔。深淵の悪魔。精霊界に存在を轟かせておきながらその"名"を誰も知らぬが故に、そう呼ばれた者よ。
>この数百年を沈黙で過ごした貴方が、この地を掌握して何をするというのです。またぞろ世界でも滅ぼすつもりですか?]

私は先輩悪魔の方をじっと見つめる。
昔に何をやらかしたのかは知らないが、今は世界を滅ぼすような気配を見せているようには、私には見えない。
この世界を滅ぼすのならば、簡単な話だったのだ。
ローティアスに協力すれば良かったのだから。

176 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/22(火) 02:34:29.19 ID:wssTJXvr
>「この世界の根幹を為す"システム"――死者蘇生のプロセスは、命という概念に対して冗漫過ぎる。
>皆がみな生き返るからいいさと命を粗末に扱います。自分の命も――他人の命さえも」

今度はジェンタイルの質問の番である。

>「今の人類にはハングリーさがありません。人類みんなでモラトリアムやってるようなもんなんです。
>蘇生術は禁忌でした。昨今の出生率を調べたんですが、予想通り右肩下がりです。
>人口ピラミッドが逆三角形です。このままじゃあ、近いうちに人類は滅亡しますよ。
>そうでなくともいずれは老人だらけの死んでも死ねないゾンビタウンです」
>「俺は今の世界を変えたいんです。その為に必要なのは過去を紐解く手段――
>この世界がどんなふうに変遷して、根底から打ち崩すにはどうするのが手っ取り早いか。それを知りたいんです」

これに対する私の考えは、人間が絶滅するか魔法が無くなるかだ。
どっちも限りなく不可能に近いが、時が経てばジェンタイルの言ったように人間は絶滅。
私のような機械生命体がこの星の天下を取るであろう。
そうすれば、私のような機械生命体は魔法が使えないので、蘇生の方も失われる。
ん?ならば人類を絶滅させれば、手っ取り早く問題が解決するのでは?

>「さて、あんま重苦しい話続きだと"あっち"との落差がひどくなるし、ここらでいっちょ遊んどくかあ!
>なあ、メタルクウラ、大先輩。ここ温泉街っつったらよぉー、ちょっと全年齢板の限界に挑戦してみたくね?
>せっかく俺たち男だけのパーティなんだしさ、さ、もう言わなくてもわかるよな?なっ!?」

私は帰りの道をボケッと考え込みながら、歩いていた。
人類を滅亡させれば良いという答え。
これは私の今まで培ってきた感情に対する毒であった。
この答えに達するのがクウラだったならば、躊躇いもなく人類を処分していたのであろう。
しかし、私にはどうしても暮らしていた村の者達の顔が思い浮かび、この答えを良しとしない。
ジェンタイルの望む世界のために、全てを切り捨てて滅ぼすという答えを選ぶのか。
煮え切らないままに手を汚すことに怯えて過ごし、人類の絶滅か衰退までを座して待つのか。
それとも、まだ見ぬ第三の道を進むことになるのか。

「……あぁ」
私はジェンタイルの呼びかけにもどこか上の空で答えながら進むのであった。

177 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/22(火) 21:59:35.61 ID:U/N7ztQz
>[……本気ですか?深淵の悪魔]

「おいおい、私はいつだって真面目さ。ギャグパートじゃいつも口が出せなくってね。困っているんだ」

一度目の問いに、影は朗らかに冗談を交えて笑ってみせた。

>[悪魔。深淵の悪魔。精霊界に存在を轟かせておきながらその"名"を誰も知らぬが故に、そう呼ばれた者よ。
 この数百年を沈黙で過ごした貴方が、この地を掌握して何をするというのです。またぞろ世界でも滅ぼすつもりですか?]

「……質問に質問を返すとは、長生きした甲斐が無いみたいじゃないか地精霊」

二度目の問いで、影の表情から笑みが消える。視線が剣呑に痩せ細り、静かに右手に力が篭められた。

>「あーっ、あーっ、その件についてなんですけど!」

滲み出した闘争の空気を、ジェンタイルが慌てて掻き消した。
地精霊との間に割り込んだ、意図された間抜けな提案に、影は眉を顰める。
溜息と共に首を横に振って、呆れた素振りを見せ、ジェンタイルの意図を汲み取って右手を引いた。

>「俺は今の世界を変えたいんです。その為に必要なのは過去を紐解く手段――
 この世界がどんなふうに変遷して、根底から打ち崩すにはどうするのが手っ取り早いか。それを知りたいんです」

ジェンタイルの語った目的に、影は肯定もしなければ、否定もせず、無表情を貫いていた。
自分の目的と誰かの目的に重複、あるいは相反する点があってはならない。
あったとしても、悟られてはいけない。点は道標となる。自分の目的、立場、本質、それらを辿り、突き止める為の。

>[……ジェンタイルよ。貴方の問いはしかと受領しました。では深淵の悪魔、貴方は彼の後見を?]

「……さあな。私はただ、ジェンタイルを一端の悪役にしたいだけさ。見てられないって奴だな。
 あ、あとジェンタイルを私の物にもしたいしな。旅で行く先々のご当地名物も美味しいし」

故に影はしばしば、真意を笑みと冗談で覆い隠す。真実のみを語ったり、嘘だけを吐き続ける、と言う事はしない。
気まぐれに両方を使い分ける者の本心が、最も見抜き難いからだ。

>[またのち――そうですね、夜頃にここへ来て下さい。具体的なお話はそれからしましょう]

「……まぁ、いいだろう。そうそう、私はまだ質問の答えを貰っていない事、忘れないでくれよ」

何でもないように軽い口調と共に踵を返し、右手を背中越しにひらひらと揺らしてから、影は指を鳴らす。
時間が流れ、舞台は温泉街へと移った。

>「せっかく俺たち男だけのパーティなんだしさ、さ、もう言わなくてもわかるよな?なっ!?」

「おいおいジェンタイル……お前は金を支払って拝むお宝で満足なのか?違うだろう、宝とは自ら掴み取ってこそ意味がある物だ」

真剣味の溢れる面持ちで、影がジェンタイルを見据える。

「いいか、ここは歓楽街である前に温泉街なんだ。それがどう言う事か……分かるだろう?」

いままでになく澄んでまっすぐな視線をしきりに、近くの『女湯』と書かれた暖簾に目配せしながら、問いかけた。

178 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/22(火) 22:00:26.64 ID:U/N7ztQz
>「自分、これ食うか?どうせあまってるし、食ってもええで。」

「か、辛味噌……ですか?私辛いのは大の苦手でして……」

指先をもじもじと突き合わせながら、リヨナは苦笑いを浮かべて視線をあちらこちらと湯気の中に泳がせている。
苦手ではあるものの、断るのも悪いと悩んでいるのだ。

「うぅー……でも折角ですし、いただきます!」

やがて決意を固めたらしく、辛味噌ヌードルを受け取って、勢いよく啜り込む。
直後に、予想外に辛かったのか、リヨナは口を両手で抑えながら目に涙を浮かべて藻掻いていた。

>「戦え――戦え」
>「えぇえええええ!? 戦っちゃうの!?」

「甘い甘い!衛士隊は毎日が激闘の連続ですよ!今もまさに!この辛味噌……ひぃい辛いです!」

長期戦は不利と言わんばかりに麺を大量に頬張っては悶え、入浴後の為に置かれた冷水機の水を口に含んで、リヨナが戦っている。

「ふぅ……ひぃ……あぁやっと食べ終わりました。……はっ、これがホントの兵糧攻めって奴ですね!」

完食した際に思いついたのか、したり顔でリヨナが右拳をぐっと握った。相変わらずあまり上手くないのは愛嬌と言う物だ。

>「お前イイヤツだな。地精霊に相談してみるよ。
 俺は橘朔也。BOARDというところで研究をしていた。よければ、一緒に行かせてくれないか?」

「えぇ行きましょう。湯冷めしない内に……とは言っても、
 私のこの火照りはちょっとやそっとじゃ……なーんて言ってみたり!きゃー!」

色々あって上気した頬に右手を添えて一人呟いて、それからやはり一人で自分の体を抱いてくねらせ、リヨナが騒いでいる。

>「早く地精霊に会いに行こう。
 場面転換してくれないと俺の体はボロボロだ!!」

「あ、は、はい!すぐに着替えますので少々お待ちを!」

ともあれそんなこんなで、彼女は地精霊が宿ると言われている大源泉へと向かった。

[――光の勇者ローゼン、衛士リヨナ、そして橘朔也……貴方は迷い人のようですが、それでも拙は皆を歓迎しますよ]

巨大な岩の器が、朧気な光を放つと共に、言葉を発した。
リヨナは衛士の仕事を終えた後に、疲労に満ちた袋となった体を投げ出した時の大地を彷彿とする。
魔力のないリヨナには精霊の姿は見えない。が、恐らくは固い岩石のようではなく、
むしろあらゆる命を受け入れるに相応しく穏やかな外見なのだろうと、想像した。

[それで貴方達は、この地へはどういった御用向で?]

「あ、えーっと……正直私は特に……」

反射的に答えを紡いだリヨナは、しかし咄嗟に口を噤む。

「じゃなくて、やっぱりありました!えっと、その……この村に、呪いを解く効能がある温泉はありますか?」

そしてローゼンに一瞬だけ視線を向けて、そう尋ねた。

179 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/22(火) 23:00:30.22 ID:pRhAXFKR
>>171>>172>>178
>「見たことのないものだ。烏丸所長の意図は分からないが、とりあえず君が持っていてくれ」

>「えぇえええええ!? 戦っちゃうの!?」

>「か、辛味噌……ですか?私辛いのは大の苦手でして……」

「ナッハッハッハ、1個200円や。まぁ、奢ったるわそんくらい。」
差し入れにまで金額を提示するとは、流石所得は大きくても
器が小さいと呼ばれた「成城のクチビル」お化けである。
浜田の差し入れを3人それぞれの反応で受け取っていく。
浜田自身はイチゴ入りクレープを頬張りながら、アイスミルクティーを片手に持っているようだ。
まるで女子高生のような構成のその食事に、松本が顔を歪める。

「お前、相変わらず味覚が小学生並やなぁ・・・なんでアイスミルクティーやねん。」

そんな松本の言葉を気にする様子もなく、浜田はリヨナ達の背中を見つめる。
どうやらローゼン、橘を伴ってこの地域にいる精霊に会うようだ。
「おい、浜田。お前は行かんでええの?」

浜田はというと、道端に露店を開いている。
いつの間にかねじり鉢巻にステテコ姿、体のバランスが悪い為
頭がいように大きく見えるのはご愛嬌である。

「精霊ィ?アホか、そんなもん構ってられへんねん。
もっと、現実みなあかんで。こういう観光地ではな、客は気分が高揚しとるわけや。
そりゃ金もパーッと使いたなる。そういう時に、稼がんでどないするんじゃボケッ!!
魔法とか、精霊とかそんなん言うてる場合ちゃうやろぉおお!!」

顔を紅潮させて切れるドS浜田に松本は言い返す言葉を失う。
その横では親子連れの観光客が浜田の露店に興味を示したようだ。

「ねぇ、この光精霊の携帯ストラップいくらですか?」

「あ・・・あの、このリヨナちゃん?の生写真入りポスター下さい・・・」

「あ、このイケメン(ジェンタ○ル)の食べた弁当の空き箱欲しいわぁ〜!!
え?食べ残しの魚の骨入り!?買う、買うわっ!!」

店では飛ぶように万札が舞っていた。
浜田は満面の笑みを浮かべて対応に追われていた。
松本は横でレジサッカーをしながら呆然とそれを見つめるだけであった。
「相変わらずの銭ゲバや・・・考えられへん。」

――その頃、ローゼン達は

>[――光の勇者ローゼン、衛士リヨナ、そして橘朔也……貴方は迷い人のようですが、それでも拙は皆を歓迎しますよ]

3人の背後から地精霊を見つめる1人の長身の男。
ダイナマイト四国に良く似たマスクを被っているが、妙に顔が長い。
そして「顎」が異様にしゃくれている。

「・・・うわ、どないしょ。俺、もずく風呂入ってもうたわ。。」






180 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/23(水) 01:00:43.75 ID:04KgJ75x
>172
>「早く地精霊に会いに行こう。
場面転換してくれないと俺の体はボロボロだ!!」
「禿げ上がる程同意! 早く場面転換しないと僕の心はボロボロだ!」
初対面だというのに見事に意見が一致した。なんとなくこの人は正義の味方の感じがする!

>177 >179
>「あ、は、はい!すぐに着替えますので少々お待ちを!」

そしていよいよ地精霊に会いに行くことになった。
「戦いはすでに始まっている! おそらくあっちの派閥も面会に行っているはずだ。
なんとしても地精霊の支持を勝ち取らなければいけない。
だが無職のパーティーなど恐れるに足らず! 有権者の支持を得る最強の方法は何か!?
感動的な演説? 違うな……お土産を持っていけ!」
『賄賂とも言う』

といっても鉄板のお金は大地の精霊相手には効果を発揮しない。
大地の精霊が好きそうなものといえば……

>「精霊ィ?アホか、そんなもん構ってられへんねん。
もっと、現実みなあかんで。こういう観光地ではな、客は気分が高揚しとるわけや。
そりゃ金もパーッと使いたなる。そういう時に、稼がんでどないするんじゃボケッ!!
魔法とか、精霊とかそんなん言うてる場合ちゃうやろぉおお!!」
「ハマちゃんの分までお参りしといてあげるね。この前売ってた赤い石の余りある?」
ハマちゃんから加工した赤い宝石の売れ残りを貰った!

さて、大源泉にやってきた。
>傍の受付で入泉料を払い、専用の浴衣に着替えて大源泉への入場が許可されるのである。
なんでまた着替えさせる!?
「ちなみに土足禁止です」
「マジで!?」
外見が大した意味を成さない大先輩とは違って僕の場合脱がされたり着せ替えられたり
靴脱がされたりするとキャラ崩壊に直結するんだから!
「つまり浴衣美少年になれと? やってやろうじゃん!」

181 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/23(水) 01:02:33.50 ID:04KgJ75x
>[――光の勇者ローゼン、衛士リヨナ、そして橘朔也……貴方は迷い人のようですが、それでも拙は皆を歓迎しますよ]
ものすごい美青年に歓迎された!
鏡音レン君風の美少年に見える事間違いなしな僕は、片膝を突いて一礼し、宝石を岩の器に投げ込んだ。
「お会いできて光栄です。これは我々からのほんの気持ちで御座います」
大地精霊が宝石を装備したのがビジュアルに反映された!
[素敵なペンダントですね。ありがとう]
よっしゃあ、手ぶらで突撃したのが必至の無職パーティーを大幅にリードしたこと間違いなし!

>[それで貴方達は、この地へはどういった御用向で?]
>「じゃなくて、やっぱりありました!えっと、その……この村に、呪いを解く効能がある温泉はありますか?」
温泉はもういいっちゅうに! また温泉展開になったらたまったもんじゃない。
[あるにはありますが……その少年は光の契約者。
オートで呪い払い発動してますからそれすら無視するほどの強力な呪いを解くのは無理でしょう]
すごい、すごいぞ大地精霊! すごい気配り!
『いやはや久しぶりだねー!』
やたらなれなれしく話しかける光精霊。また知り合いなんかいっ!
精霊は全にして個、個にして全だから明確な個体識別はないのかもしれないけど。
その証拠にいつまでたっても精霊の呼び方が○○の精霊のままで一向に固有名が出てくる気配がない。

『また一緒に冒険しようよ! 闇を払って世界に光を取り戻そう!』
単刀直入にさらりと言ってしまった。まあ要するにそうなんだけど!
光の精霊って四大精霊とは別枠らしいけどどういうポジションなんだろうか。
上位に位置するのか、はたまた上位下位に縛られない別格の地位を築いているのか見当がつかない。

[面白い事を言いますね。今の世界はあの時のように闇の勢力の侵攻を受けていないではありませんか。
至って平和だと思いますが]
平和だと!? ジェン君が受験勉強ほっぽり出して悪い先輩とつるんでるのに平和だと!?
「平和じゃないよ!」
敬語も忘れて大地の精霊に詰め寄っていた。
「小さい頃にいなくなった双子の妹が何者かに捕らわれてる!
大事な友達が悪魔に唆されて連れまわされてる! それだけで十分闇の勢力の侵攻だよ!
あ――っ、今スケールちっさって思ったでしょ!
僕には崇高な理想もない。人類の行く末なんて知ったこっちゃない。ただ楽しく暮らせればそれでいいんだ!」
選挙に勝ちたいなら崇高な決意を表明すべきところなんだろうけど、もうヤケクソだ!
こうなりゃ本音全開の度胸一本勝負だ!
「だから……大事な物が奪われるのは絶対嫌。大事なものをなくして悲しんでる人を見るのも嫌。
それを阻止するのを世界を救うと言うのならば……やってやろうじゃん!
昔の冒険では見るからに分かりやすい魔王が正々堂々と侵攻してたんでしょ?
教えて! 今回裏で手を引いてる諸悪の元凶は何!? 表舞台に出てこようとしない敵の大ボスは誰!?」
我ながらネタバレ必至の禁断の質問をしてしまった気がする。

[では次の方―。橘朔也さん、あなたは何かに怯えているようですね。拙で宜しければ相談に乗りますよ]
うわー、華麗にスルーされてお悩み相談室に突入した! さすが大地の精霊、スルースキルの格が違った!

182 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/23(水) 06:39:54.74 ID:bAimOAaS
>「……あぁ」
メタルクウラはどこか上の空といった感じで生返事。
「この野郎ー!もう如何わしいこと考えてやがんな!あとでこっそり内容教えろよ!?」
克明に描写してやっから。嘘ですごめんなさい。
>「おいおいジェンタイル……お前は金を支払って拝むお宝で満足なのか?違うだろう、宝とは自ら掴み取ってこそ意味がある物だ」
「つまりどういうことだってばよ?」
>「いいか、ここは歓楽街である前に温泉街なんだ。それがどう言う事か……分かるだろう?」
大先輩はドブ川に垂らした一滴の蒸留水のような済んだ目で横をチラ見した。
そこには暖簾があった。どこぞの温泉宿の、それは女湯だった。
「ま、まさか……!」
いやいや、流石に、ねえ?犯罪はイカンでしょ犯罪は。この世界にそのテの法規制があるんか知らないけど。
一緒にいないとはいえ知り合いも来てるわけだし、万が一誤爆でもしたらそれは目も当てられないことになるし?
………………んー、でもまあ旅の恥はかき捨てとも言いますな。いやいや、そういうわけじゃなくてですね。
こう、俺の意志とは関係ないところで読者サービスという名の呪縛が真綿で首を締めるように俺の深奥を鷲掴みにするのです。
アンケート至上主義という昏い昏い光の束が私の生涯を照らし出した気がしました。
「や、やる……?やっちゃう……っ!?」
<<――契約者、ジェンタイルよ>>
脳裏に荘厳な声が響いた。炎精霊が無駄にぐわんぐわん反響させた言葉で喋る。
<<これより先は修羅の道。一歩踏み出せばもう後ずさることも振り返ることすら許されぬ。
  汝の行く先全てで後ろ指をさされ、石を投げられるだろう。それでも汝は己が罪を受け入れ歩き続けねばならぬ。
  ――それでもこの道を、夢半ばにして潰えて行った兵共の轍を踏む覚悟はあるか……?>>
そうだ。俺はまだ日常へ帰れる。まっさらなフダなしのジェンタイルとして将来有望な日々を送ることができる。
だけど、俺はそんな人生を是とはできなかった。安定した将来とか、約束された未来なんて、関係ねえ。
何よりも知らなきゃいけないことは、自分自身。――好奇心旺盛で冒険熱心なオトコノコである俺自身!
「いいぜ炎精霊……俺も"そっち側"へ行く。他ならぬ俺自身の答えとして!今ここから一歩踏み出すぜ!」
<<っふ……ジェンタイルよ、汝の想いしかと吾に届いた!今こそ問おう――力が欲しいか!!>>
「"リンク"――!」

俺たちはリンクした。やたらテンション上がった炎精霊と、白昼堂々合体した。
覗きのために。あっ言っちゃった。

「これよりオペレーション:P(ピーピング)についてのブリーフィングを開始する」
一度作戦会議ということで近くの喫茶店に入った俺たちは、パンプレットにあった浴室見取り図を広げて吟味する。
メロンクリームソーダのバニラアイスをストローで沈めながらマーカーで侵入経路を書き込んでいく。
「作戦行動中は傍受対策に互いのことをコードで呼ぶんだ。俺のことは"ダークフレイムオブディッセンバー1"と呼べ」
っふ……懐かしいな、現役の頃に使っていたコードネームだ……。
一足先に中二病を抜けたローゼンに生暖かい目で見られて以来封印していた名だが……ククク、本能が歓喜している……!
またこの戦場に立てる喜びに打ち震えているのだ……!!
「俺は熱気流の蜃気楼を利用した光学迷彩の魔法が使える。
 消費魔力がハンパないので使わなかったが"リンク"している今なら別だ……!」
俺が握っているとグラスの中の氷がすぐ溶ける。炎精霊の加護で基礎体温が高いのだ。
おかげで風邪ウイルスとかもすぐ死滅するから流行性感冒にかかったことがないのが俺の自慢だ。
「ときにメタルクウラよ。お前の瞬間移動はどの程度の精度で運用できるんだ……?
 程度如何では、俺の光学迷彩を発動させた状態でお前が瞬間移動すればミッションコンプリートなのだが……」
持続性のある魔法ではないので隠れる場所も必要だ。おいおい議論していこう。

183 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/23(水) 15:59:09.52 ID:Tc69L3JK
>「ときにメタルクウラよ。お前の瞬間移動はどの程度の精度で運用できるんだ……?
>程度如何では、俺の光学迷彩を発動させた状態でお前が瞬間移動すればミッションコンプリートなのだが……」

「ん? あぁ、瞬間移動か」
ずっとネガティブな考えごとをしていたせいで、今までの話を聞いていなかった。
名前を呼ばれて気づいたが、何で瞬間移動のことを聞かれたのかが分からん。
理由を知らないが実践して見せた方が良いだろう。
私はジェンタイルと先輩悪魔の肩に手を触れて、適当に生体反応をサーチして、瞬間移動を実行した。
出てきた場所は風呂場であった。
目の前には可愛らしいおばあちゃん達が大勢いて、こっちに目を向けている。
一拍おいて、黄色い悲鳴が上がった。

「私の瞬間移動は場所を特定したものではなく、生体反応をサーチして、その生体反応の付近に現れるというものだ。
見知らぬ場所には行けないし、生体反応をサーチできないような奴の前には瞬間移動ができない」
おばあちゃん達がわらわらと近づいてきて、私達の体を弄ってくる。
私なんかはおばあちゃん達に体を引っ張られて、一緒に温泉に入れられてしまった。

「それで、何で瞬間移動のことを聞いたのだ?」
私は頬を赤く染めて体を寄せてくるおばあちゃん達の頭を撫でながら、ジェンタイルに聞いた。

184 :ダディ ◆vJw4bjafBQ :2011/02/23(水) 23:24:51.06 ID:bpuOxnnR
>[――光の勇者ローゼン、衛士リヨナ、そして橘朔也……貴方は迷い人のようですが、それでも拙は皆を歓迎しますよ]

しかしその場に橘さんはいなかった。
と、その時ローゼン達の背後からドシドシすごい足音を立てながらやってくる人がいる。

「皆!寿司だ!ウニもあるぞ!」

門を思いきりバンッと開けて寿司桶を抱えた橘さんが登場した。
アガリを啜る浴衣イケメンは自分の目的など既に忘れていた――
まあ寿司はお供えものくらいには使えるかも知れない。
むしゃむしゃ食ってるけど

>「じゃなくて、やっぱりありました!えっと、その……この村に、呪いを解く効能がある温泉はありますか?」
>『また一緒に冒険しようよ! 闇を払って世界に光を取り戻そう!』

リヨナやローゼンが地精霊と話をしている間橘さんはカウンターのPCでiPodに音楽をいれていた。CD持参。
彼はPCを持っていないのにiPodを持っている変わり種なのだ。
それだけの為に滑舌の悪い後輩の家へ訪れるとか。

>[では次の方―。橘朔也さん、あなたは何かに怯えているようですね。拙で宜しければ相談に乗りますよ]
ローゼンの話を華麗にスルーする地精霊。
それは後々の話に大きく影響を与える内容なのだが橘さんは聞いていなかった。
だってiPodに曲入れてたですしおすし。これが橘さんの“あゝ無情(レ・ミゼラブル)”か

「ライダーシステムが恐怖心を増幅して内臓に影響を与えてる。
恐怖心を克服するしか方法がないんだ!どうすればいい!?」

[システムがどうの…というのは拙にはわかりかねますが……
恐怖は誰しも持ち合わせている感情です。それも無意識に。
ですが慌てる必要はないのです。焦るほど恐怖という泥沼に嵌まっていきます。
心にゆとりを持ってください。マイナスはプラスに反転出来るのです]

なんというか普通のお悩み相談になってるような……いやいや、これが普通の展開なのだ。
Turn Up!恐怖の鎖を解き放て!キャッチコピーはこれでお願いします東映様。

[その為にも観光を満喫してはいかがでしょうか。
少々お値段は張りますが貴方にぴったりの効能の温泉がありますよ。
覗き魔が多発してますけど]

「やはりそういうことか。
恐怖心を克服するには実戦しかないと」

やはりそ……どういうことだ橘さん!
後ごはんつぶついた顔で(キリッとされても困ります。

185 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/24(木) 22:22:09.62 ID:YtVZ034a
>「皆!寿司だ!ウニもあるぞ!」

「あ、玉子ありますか?あとイクラも食べたいです!ところで回ってる感じの安いお寿司のお店は
 ネギトロにサラダ油なんかを混ぜて脂っぽくしてるってホントなんですかね!あくまで聞いた噂ですけど!」

>[あるにはありますが……その少年は光の契約者。
 オートで呪い払い発動してますからそれすら無視するほどの強力な呪いを解くのは無理でしょう]

「あぅぅ……ごめんなさいローゼンさん!でも安心して下さい!
 いつか絶対に、カオス湯の呪いを解く方法を見つけてみますから!」

地精霊の返答に落ち込んだ様子でリヨナはローゼンに頭を下げて、それから彼の手を取って強い責任感と決意を告げる。
リヨナの頭の中で、勘違いがまた一つ上塗りされていた。

>僕には崇高な理想もない。人類の行く末なんて知ったこっちゃない。ただ楽しく暮らせればそれでいいんだ!」
>教えて! 今回裏で手を引いてる諸悪の元凶は何!? 表舞台に出てこようとしない敵の大ボスは誰!?」

「だったら、私にはそれをお助けする義務があります!だって私は衛士ですから!
 私からもお願いします!貴方のお知恵を貸して下さい!」

>[では次の方―。橘朔也さん、あなたは何かに怯えているようですね。拙で宜しければ相談に乗りますよ]

「えぇー嘘でしょう!?今のはどう考えても熱意に押されて仕方なく真相を語り出すパターンだったじゃないですか!」

がっかりとした表情の後に頬を膨らませて、リヨナが文句を垂らしていた。

>「ライダーシステムが恐怖心を増幅して内臓に影響を与えてる。
 恐怖心を克服するしか方法がないんだ!どうすればいい!?」

「恐怖心が内臓にって……胃に穴でも空いたんですか?」

いまいち二つの因果関係が見えないのか、リヨナは目を微かに見開ききょとんとしながら、首を傾げて疑問を零す。

>[その為にも観光を満喫してはいかがでしょうか。
 少々お値段は張りますが貴方にぴったりの効能の温泉がありますよ。
 覗き魔が多発してますけど]

「覗き!?衛士として見逃せませんよ!」

>「やはりそういうことか。
 恐怖心を克服するには実戦しかないと」

「えぇそうですとも!覗きをするような不届き者には正義の鉄拳をお見舞いしてやります!」

若干の認識の齟齬を自覚する事はついぞないまま、リヨナが拳を固めて意気揚々と宣言した。


186 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/02/24(木) 23:03:19.27 ID:YtVZ034a
>「俺は熱気流の蜃気楼を利用した光学迷彩の魔法が使える。
>消費魔力がハンパないので使わなかったが"リンク"している今なら別だ……!」

「ふふん、その事だがなジェン……"ダークフレイムオブディッセンバー1"」

一等得意げに、影がしたり顔を浮かべた。
右手を鳴らす。手の平から闇が静かに溢れた。
もう一度指を弾く。今度は光が零れ出した。

「私にとって光とは衣服と大差ない物であり、全ての影は私の前では扉と化す。
 この力を使えば……覗きなんて朝飯前だ」

右手を握り締める。指の隙間から光が漏れて、すぐに消え去った。

「だが……今回、私はこの力を使うつもりはない。何故ならそれは
 過去に散っていった者達の英霊への侮辱に他ならないからだ」

かつてないくらいに真摯な面持ちで、影が宣言する。
秘かに光を操って周囲を煌めかせているのは秘密だ。
と、不意にキメ顔を浮かべる影の肩を、メタルクウラの手が掴んだ。

「ん?どうしたメタルク――」

言い終えるよりも早く、周囲の光景が一変する。
石と湯気に囲まれて、服が濡れている。温泉だ。
そして近くには枯れ木のように艶を失った四肢に、色を失った髪、しわがれた黄色い声。
老女の席巻する温泉に、連れ込まれていた。

「――ぐふっ」

影は胸を右手で鷲掴みにして、表情を苦悶に支配されていた。
口元からは何か血っぽい黒い物が一筋零れている。

「オノレ……機械生命体ゴトキガコノ私ヲ……ダガ覚エテイロ……。
 世ニ色欲ガ蔓延ル限リ、必ズヤ第二第三ノ私ガ……」

最後まで言葉を紡ぎ切る事なく、影は湯船に顔面から倒れ込んだ。
それきり動かなくなり、影の身体から黒い瘴気が、
まるで液体が揮発して失われていくように、湯気に混じって立ち上っていく。

「……はっ!いかんいかん、今のは危なかった……」

勢いよく、影が顔を上げた。首を左右に振ってお湯を払う。

「おいジェン……"ダークフレイムオブディッセンバー1"、お前は大丈夫か?」

187 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/02/24(木) 23:04:25.21 ID:YtVZ034a
>184-185
>「あぅぅ……ごめんなさいローゼンさん!でも安心して下さい!
 いつか絶対に、カオス湯の呪いを解く方法を見つけてみますから!」
「リヨナちゃん……あっ、間違えた」
うろたえたあまりウナギの寿司を醤油につけて食べてしまった。どうしよう。もはや呪いを解いて男になるしかないのか!?
実は僕はどっかの国の王子で敵の刺客の目を欺くために魔法で性転換させた上で橋の下に捨てられたっていう設定はどうだろう!?
未就学児なら誰でも一度はそんな設定を考えるよねーと思ったそこのキミ! 僕の場合橋の下で拾われたのは事実だ!

>「やはりそういうことか。
 恐怖心を克服するには実戦しかないと」
>「えぇそうですとも!覗きをするような不届き者には正義の鉄拳をお見舞いしてやります!」
「橘さんはその温泉に入ってきなよ! 覗き魔は僕とリヨナちゃんが捕まえるから安心して!」

[話がまとまったようで何よりです。
お願いがあるのですが……改めて歓迎させていただきたいので夜にもう一度お越しくださいますか?
服装は自由でいいですから]
いやっほーい、合格フラグキター!
パーティーメンバーの誰かに向かって拙と契約して魔法使いになろうよ! と言うに違いない!
神格精霊だから精霊使いじゃなくて神官の契約形態になるのかな?

「良かったですね、地精霊様からお呼ばれするなんて!」
係員の人が紙切れを渡してきた。
【『大源泉VIP入場券』 を 手に入れた !】
「VIP入場券!? こういう時って普通もっとファンタジーっぽい演出するもんじゃないの!? 例えば地精霊の雫とか!」


こうして賄賂という大人の大人げない方法で地精霊の支持を獲得して、意気揚々と件の温泉へ向かった。
入ると物凄い恐怖を体験するが、それによってそんじょそこらの恐怖は吹き飛ぶらしい!
「なんか断末魔の悲鳴が聞こえるんだけど……。橘さん、やっぱりやめといたほうがいいよ!」

188 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/25(金) 05:40:17.75 ID:71/REj+1
>「ん? あぁ、瞬間移動か」
メタルクウラは弾かれるように顔を上げると、おもむろに俺と大先輩を掴んだ。
明滅。そして空白。体幹を掴んで前後左右にぶん回される感覚。
ようやく視界がひらけた時、目の前には湯煙の向こうに広がる桃源郷の側を被った地獄絵図があった。
俺の目に飛び込んできたのは、全裸の、乾燥機から出した使い古しのタオルみたいな、おばあちゃんズだった。

「ぐあああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
女湯だけど!女湯だけど!!女湯だけど!!!
ちくしょう神様一体なにゆえこのような試練を下されたのです!
わたしは敬虔な使徒であったはずでした。しかし、ああしかし、たった一回魔が差してしまった!
それは信仰に対する重大な背信で、わたくし自身に対する致命的な侮辱でした。わたくしは、自傷してしまったのです。
瑞々しさの欠片もないハスキーボイスで黄土色の悲鳴が挙がる。叫びたいのはこっちだった。

>「私の瞬間移動は場所を特定したものではなく、生体反応をサーチして、その生体反応の付近に現れるというものだ。
 見知らぬ場所には行けないし、生体反応をサーチできないような奴の前には瞬間移動ができない」
なにさらっと馴染んで解説してんだテメえええええええ!!
サービスカットかと思ったらこれだよ!誰も特しないよマジで!編集さんぶちきれてるよ今頃!
>「オノレ……機械生命体ゴトキガコノ私ヲ……ダガ覚エテイロ……。
 世ニ色欲ガ蔓延ル限リ、必ズヤ第二第三ノ私ガ……」
「だ、大先輩ーーーー!」
なんか聖なるアイテム食らった魔王みたいな感じになっとる!色欲司る悪魔だったの!?

>「おいジェン……"ダークフレイムオブディッセンバー1"、お前は大丈夫か?」
「あがががががががががががが……!!」
俺は今見た光景を忘れようと必至に浴場の壁に頭をぶつけている最中だった。
ちくしょう……網膜に焼き付いてとれねえよ……!目玉取り外して洗ったら綺麗になるのかなあ!
<<いちじくが……干しいちじくが……!>>
やめろお!具体的な比喩表現をつかって描写するんじゃねえええええええ!!
さしもの炎精霊も相当ショックだったらしくて、リンクは完全に切れていた。
これじゃ迷彩魔法も使えない。これで捕まったら骨折り損どころじゃねーよ!百害あって一利なしだよ!

189 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/25(金) 05:47:32.83 ID:71/REj+1
>「それで、何で瞬間移動のことを聞いたのだ?」
「うるせー馬鹿野郎もう遅いっていうか最悪の結末だよ!」
俺は捨て台詞を吐いて服のまま濁り風呂に飛び込んだ。ここなら外からは見えまい。
幸いにも喫茶店からそのままテレポートしたおかげで俺はクリームソーダのストローを持ちっぱなしだった。
こいつを水面から出せば水中に潜伏し続けることができる。決死の覚悟が編みだした水遁の術だ。
しかしなんでメタルクウラの野郎、あっさり受け入れられてんだ?未就学児だからか?
水中なので音もよく通る。俺は状況を判断するために耳を澄ませ外界に聴覚を向けた。

「ええ体しとるのおこのメタルクウラ。死んだじいさんによう似とる」
「大人しゅうてええ子じゃのお、飴ちゃん食べるけ?」
「おいあんた!ふざけたこといってんじゃ……」「やめろ老婆っちゃん!!!」
「アラこのメタルクウラ!表の露天でやってた勇者一行のメタルクウラに違いないざます!」
「マジざます!?アテクシ光の勇者パーティのファンざましてよ!」
「触っておけばご利益があるに違いないわ!みんなで触りまくってやりましょ!」
「メタルクウラさんのムキムキ大胸筋揉みしだきたい!」

"あゝ無情(レ・ミゼラブル)"。さらばメタルクウラ……!お前の犠牲は忘れない……!!成仏しろよ!
ん?表の露天?勇者一行?なにそれ初耳。
<<ハマちゃんズがやってるキャラクタービジネスのことだろう。汝や淵っちゃんのもあるぞ>>
へーそんなもんがあんのかー。
ふーん。
……。
「ってちょっと待てええええええええええ!!!」
ザバっとおもむろに水面から顔を出してツッコんだ。声出さずにはいられなかった。
え?なに?俺たちグッズ化されてんの?いつの間に?
<<え?汝知らなかったん?うっそマジおっくれってるゥー。湖畔村でも屋台やっていただろう>>
「ハマちゃんんんんんんんんんんんんん!!!」
何してくれてんだあのおっさん!割と積極的になりふり構わねーなオイ!
ていうかいつの間にグッズつくりやがった!写真とか撮られた覚えねーけど!?
<<絶対金になるって言うから……汝が寝てる間にこっそり写メっといた>>
「はあ!?」
<<損はさせねーって!吾を信じろって!きっと儲かるって!多分売れるって!そのうち!>>
「後半になるに連れてどんどん曖昧になってってるじゃねーか!」
ていうかそういう問題じゃねーし!売れないほうがいいし!いや売れなかったら売れないでちょっとショックだけど!
あとでぜってーシメる!炎精霊お前もだ!
「メタルクウラ!俺と大先輩つれてどっか跳べ!どこでもいい、とにかく一目のないところへっ!!」
わらわらとゾンビのように集まってくる老婆達をジェットバスで退けながら、俺はメタルクウラを呼んだ。

190 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/25(金) 11:09:00.91 ID:9xfm8sxG
私には先輩悪魔やジェンタイルが大ダメージを負っている理由が、さっぱりと分からない。
こんな可愛らしいおばあちゃん達を目にしたならば、心も温まるだろうに。

>「うるせー馬鹿野郎もう遅いっていうか最悪の結末だよ!」

挙げ句の果てには逆ギレされてしまった。
ジェンタイルは怒りを鎮めるためか、湯の中に潜ってしまった。
おばあちゃん達は私達のファンらしく、私の体を執拗に弄っている。

>「メタルクウラ!俺と大先輩つれてどっか跳べ!どこでもいい、とにかく一目のないところへっ!!」

お湯の中から急に出てきて、狂ったように騒いでいたジェンタイルは私に瞬間移動の指示を出す。
ジェンタイルよ、おばあちゃん達に酷いことをするなよな。
私はおばあちゃん達を体に纏わせたまま、ジェンタイルや先輩悪魔を超能力で私の所まで引き寄せて、適当に生体反応が単独で存在する場所にみんなで瞬間移動した。

現れた場所はダンスもできるような広さのバー。
バーのマスターが私達を見て驚いていたが、いらっしゃいと優しく言ってきた。
しかし、店の扉が勢いよく開かれて、ハードなレザーを着た男達が入店してきたのだ。
怯える裸のおばあちゃん達。
私達を見て迫り来る屈強な男達。
そして、店内に流れ出すオリーブの首飾り。

「む……こんなもので良いのか?」
私は今、頬を赤らめたハードレザーを着た男とダンスをしている。
初めての経験だからなかなか上手には踊れないが、上手く相方の男がリードしている。
周りではジェンタイルや先輩悪魔も、同じようにハードレザーの男に手を取られて一緒にダンスしていた。
おばあちゃん達も拍手を送って喜んでいた。

191 :ダディ ◆vJw4bjafBQ :2011/02/25(金) 23:56:04.64 ID:RZFUsImU
>「なんか断末魔の悲鳴が聞こえるんだけど……。橘さん、やっぱりやめといたほうがいいよ!」

「大丈夫だ。恐怖が克服できるならなら俺は構わない
野に咲く花より、俺は花火のように生きたい!」

それだけ告げて颯爽と風呂へダイブする橘さん。この台詞だけならまさにヒーローなんだけどなぁ。
でもなんか風呂の色とかヤバい。まるで地獄の釜を開けてしまったような―――

つーかさっきから返事とかないけど生きてるんだろうか。

「うわああああああああああああああああああ!!」
http://rivens.info/IMG_LOG/20110224232519.jpg
最早イケメンのいの字も出てこないビビりっぷりで風呂から飛び出す橘さん。もちろん全裸で。
勢いそのままにうっかり柱に激突すると、凄い剣幕で叫びだした。

「ヒトヲオヂョグデルトヴットヴァげほっげほっ」

呂律もろくに回らずオンドゥルってるが気にしてはいけない。(せき)
確かに恐怖はふっとんだが変わりに深いトラウマが残ってしまった。

「終わった――?ねぇ――――入っていぃ?」

何の脈絡もなしに喪服を来た高校生がつかつかと入ってきた。
迷走してるけど大丈夫か

「良かったー喪服着てきて。
自称『クールでカッコいい』大人の男の橘さんがお亡くなりになったそうじゃない」

お前のペースには飲まれないぞ!グッ

「俺はライダーだ……このトラウマを糧にして何度でも立ち上がる!
本来ならあんな無様なことはしない!」

「あ、迷惑Deathぅー確変されても。ネタ臭しがヒドイ!美味しいとこどりかっての。
もう無理だよ無理無理やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろや め ち ま え」

ガシャアアアアアアガクッ。
橘さんの心はボドボドになってしまった。ギャレン(笑)
ガシャガク橘さんを椅子にしながら【あの人】は軽い調子でケラケラしている。

「ここらじゃ覗き魔なんて星の数ほどいるDeathよ?
それを捕まえるなんて出来るんDeathかぁ?
さっきも女湯が騒がしかったけど……君らもガシャガクしてく?」

この流れ……気にしたら勝ち。

192 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/02/26(土) 08:01:54.57 ID:QQTcKb/2
老女だらけの温泉に次いでメタルクウラが瞬間移動したのは、薄明るいバーだった。
突然の出来事にも動じず、マスターはグラスを磨いていた手を止めて、小さく会釈をする。
俗に言うオーセンティックバーのようだ。

「ふぅ……何だ、やれば出来るじゃないか……。そうとも、私に似合うのはこう言う雰囲気だ。
 覗きもまぁ風情があるが、旅先で一夜限りの恋の炎を灯すと言うのもなかなか乙じゃ――」

影が言い終える前に、バーの重たい扉が勢いよく開け放たれた。
そして続々と、ハードレザーを着込んだ体格のいい男達が入ってくる。
途端に、店内の雰囲気が変わった。ご丁寧にBGMも穏やかなジャズから、何やら粘っこい曲に変えられている。

「……かはっ」

いよいよ、影は盛大に吐血して倒れた。
が、彼の身体が床に投げ出されるよりも早く、ハードレザーの男の一人が彼を支える。
そのまま手を取って、糸の切れた人形同然と化した影とダンスを始めた。

「うぅ……やめろ……ジッパーを下げるな……大胸筋を近づけるな……」

屈強な男の人形遊びの道具とされながら、影はうなされていた。
何やら悪夢を見ているらしい。
しかしこのまま眠り続けていては帰って来れなくなると言わんばかりに、目を覚ました。

「はっ……!?ま、まずい!まずいぞこの流れは!
 完全にギャグパートの奔流に圧倒されている!かくなる上は……!」

現状の打破をかけて、影は男に握られた右手を全力で解く。
生暖かい温度に縛られていた手が自由を取り戻した。
間髪入れずに、指を弾く。時を止めて、密着する男から何とか逃れた。

「すまないな、ジェンタイル……」

憐憫の視線でジェンタイルを見つめると、影は自分と踊っていた男を彼に押し付けた。
丁度ジェンタイルが、二人の男に挟まれてサンドイッチのハムに成り果てるように。
もう一度、指が鳴らされた。時の無情な歯車が、再び動き出す。

「ギャグパートの奔流から逃れる手は一つ……不運を誰かにおっ被せて……
 自分自身が相手を叩き落す側に回るしかない……。ジェンタイル、お前の事は忘れないぞ……」

193 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/26(土) 10:50:11.65 ID:BXgeU/yP
"... Gonna NZ!"
地鳴りが囁いた気がした。
「やめっ…」
私の静止も聞かず…そもそも聞く訳が無いが…崩れそうだった峰は南半球まで行きそうな勢いで唐突に去った。
(時事ネタは後で読むとさっぱりわからないって何かのリプレイ本に書いてあったな…)
崩れた石造りの教会、その写真がでかでかと載った新聞の幻が見えた。

幻覚を追い出そうと頭を振った拍子に大源泉からジェンタイル組が出てきたのが目に入った。
あんぐりと口を開けたパンダ顔のフードの下で途方にくれる私には気付かないようで
彼らは何やら期待に満ちた足取りでいそいそと街中へ消えていった。
次にやってきたのは知らない男を連れたローゼン組だ。
(メンバーがさりげなく増減するのは冒険には付きものなので気にしてはいけないって何かのスレに書いてあったな…)

奇数…ローゼン達に誘われ時系列に割り込んで中へ
偶数…大源泉から出て来たローゼン達に拾われ件の温泉へ

194 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/02/26(土) 12:24:54.85 ID:BXgeU/yP
今まさに大源泉に入ろうとするローゼンに声をかけられた私はそのすすめに従い大源泉参拝の列に加わった。
パンダの着ぐるみを脱ぎ専用の浴衣に着替えなければいけないのだがやはり私の体には窮屈すぎるので
古代ローマ人の真似をしたトーガのような片肌スタイルになって私はようやく時系列に割り込んだ。
具体的には
>181の
>教えて! 今回裏で手を引いてる諸悪の元凶は何!? 表舞台に出てこようとしない敵の大ボスは誰!?」

>[では次の方―。橘朔也さん、あなたは何かに怯えているようですね。拙で宜しければ相談に乗りますよ]
の間である。

リヨナやローゼンが喋っている間、振動する岩の器をしげしげと眺めていた私は
「わざわざ音声にしてくれるとは親切なシステムだなあ」
と感嘆の呟きを漏らそうとして体が全く動かせない事に気付いた。
(……あんた、何だ?)
声を出せないので仕方なく脳内で問う。
[……この地の精霊ですが何か]
言葉遣いこそ変わらないが絶対零度の声が聞こえる。それが先程までのような音声なのか自分だけの幻聴なのかよくわからない。
(……だからつまり何?)
[……精霊を知りませんか。
>125に
>精霊。傍らに灯る生命。俺たちの世界(物質界)とは文字通りの別次元に存在する精神体的なモノ。
>事象と属性を司り、契約によって物質界の人間に"魔法"を与える。――相応の対価と引換えに。
と書いてあるでしょう?]
(……そういう表面的な理解をお望みで?)
[……そうですね、まずそれが最低条件です、まつろわぬ者よ]

唐突に決めつけると声は時間切れとばかりに一方的に話を打ち切った。

[では次の方―(ry

男の問いに地精霊が答え始めるとようやく私の体は金縛りから解放されたがそれには誰も気付いていないようだ。
私は覗き魔制裁を手伝うためにパンダの着ぐるみに着替え直して皆の後を追った。
喪服を着た高校生が風呂に突入して行く。あれを捕まえればいいに違いない。

「覗き魔だな。衛士に引き渡すからちょっとおいで」
私は座っている高校生の側まで行って腕に手をかけようとした。

195 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/02/26(土) 18:37:29.08 ID:yqWI4g8y
>[お願いがあるのですが……改めて歓迎させていただきたいので夜にもう一度お越しくださいますか?]
「分かりました!要するにもうちょっと村を回ったり村人と会話した後で宿屋に泊まれって事ですね!
 ここぞとばかりに商売上手なとこ見せて来ましたね!」

リヨナが馴々しく、大源泉の器を、このこのと肘で小突いていた。

>「良かったですね、地精霊様からお呼ばれするなんて!」
>「VIP入場券!? こういう時って普通もっとファンタジーっぽい演出するもんじゃないの!? 例えば地精霊の雫とか!」
「村の温泉でスタンプラリーをしても貰えるらしいですね、それ!」

ちなみに温泉村以外で売却すると結構な値段になるらしいと、リヨナは自分の情報通ぶりに薄い胸を張った。

>「なんか断末魔の悲鳴が聞こえるんだけど……。橘さん、やっぱりやめといたほうがいいよ!」
>「大丈夫だ。恐怖が克服できるならなら俺は構わない
  野に咲く花より、俺は花火のように生きたい!」
「素敵ですね!青空に半透明な笑顔が似合いそうです!」

演技でもない事を言いつつ、リヨナがローゼンに飛びついて、彼の肩越しにトラウマ風呂を覗き込んだ。
あわよくば事故でお風呂に落っこちてしまった事にして、そのままお色気シーンへの移行も画策していたリヨナは、

「……う、これはちょっと……落ちたらシャレにならない気がしますよ……。て言うか橘さん生きてますか?」

予想外に悍ましい色と臭気に、ローゼンの手を掴んで後ずさった。
それからしばらく待ってみるも、橘からの返事は一向に帰って来ず、不気味な静寂だけが風呂場を支配する。。

「……え?ちょっとこれマズいんじゃありませんか?人命救助ですか!?お仕事ですか!?
 あぁ、ローゼンさん!このロープ、命綱として握っておいて下さい!あと数字を交互に数えて下さい!
 私の返事が無くなるか、ロープを二回引っ張ったら引き上げて下さいね!」

衛士隊の常備品である人命救助用のロープを腰に巻いて覚悟を決め、リヨナはトラウマ風呂へと駆け出して――

>「うわああああああああああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああ!?び、びっくりしました……。あ、生きてたんですね!
 これで飛び込まなくて……じゃなくて!とにかく良かったです!」

悲鳴と共に湯船から上がってきた橘に、慌てて足を止めた。

「……って、前隠して下さいよ!なに全開で出て来てるんですか!」

赤面したリヨナが目を逸らしながら、咄嗟に――故にわりと全力で手近にあった桶を投げつける。

>「終わった――?ねぇ――――入っていぃ?」
>「良かったー喪服着てきて。
 自称『クールでカッコいい』大人の男の橘さんがお亡くなりになったそうじゃない」
「……っ!【あの人】が来てから……空気が変わった!……じゃなくて!橘さんは死んでません!」

>「あ、迷惑Deathぅー確変されても。ネタ臭しがヒドイ!美味しいとこどりかっての。
>もう無理だよ無理無理やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろや め ち ま え」
「あぁー!なんて事するんですか!ていうかカッコイイ能力名してますけどぶっちゃけ
 『ものすごい悪口』ってどうかと思います!どっちかと言えば野球用のスキルですよねそれ!」

>「ここらじゃ覗き魔なんて星の数ほどいるDeathよ?
>それを捕まえるなんて出来るんDeathかぁ?
>さっきも女湯が騒がしかったけど……君らもガシャガクしてく?」
「ふふん、例え捕まえられなくても、覗きがいなくなればいいんです!
 例えば重い罰則を設けたり……言い方は悪いですが、誰かを見せしめにしたり!」

言うや否や、リヨナは何処からともなく転がってきたサッカーボールを蹴飛ばした。
凄まじい脚力を受け楕円型に歪んだサッカーボールが、【あの人】の股間へと猛進する。

196 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/02/26(土) 20:48:23.55 ID:yqWI4g8y
191 >194-195
橘さんは屋上から飛び降りるがごとく爽やかな笑顔で風呂に飛び込んだ。
そしてそのまま上がってこない。言わんこっちゃない!
僕は死に芸人が死にネタギャグを封印して冒険するという高度なネタに挑戦しているのだ。
ここで死にネタギャグが起こっては興ざめだ!
>「……え?ちょっとこれマズいんじゃありませんか?人命救助ですか!?お仕事ですか!?
 あぁ、ローゼンさん!このロープ、命綱として握っておいて下さい!あと数字を交互に数えて下さい!
 私の返事が無くなるか、ロープを二回引っ張ったら引き上げて下さいね!」
女の子を危険にさらしてはイケメンの名がすたる! そろそろキャラを立て直さなければ!
「やめろリヨナっちゃん! ここは僕が……」
あれ? これって死亡フラグのような……でもそうはならなかった。

>「うわああああああああああああああああああ!!」
「うわああああああ!! すごい顔崩れてる──!」
元ネタが実写だけあってギャグ漫画的デフォルメによる崩しとはまた違った方向のインパクトがあるぞ!

>「……って、前隠して下さいよ!なに全開で出て来てるんですか!」
「今更!? 初対面で裸の付き合いしちゃったじゃん!」

そこに喪服の高校生が乱入してきた。
>「……っ!【あの人】が来てから……空気が変わった!……じゃなくて!橘さんは死んでません!」
「あの人!? 言ってはいけないあの人といえば……闇の帝王ヴォルデモードか!
みんな、名前を伏せるのは恐怖を増幅するだけだ!」

>「ここらじゃ覗き魔なんて星の数ほどいるDeathよ?
それを捕まえるなんて出来るんDeathかぁ?
さっきも女湯が騒がしかったけど……君らもガシャガクしてく?」
うわー、こいつなんかムカつく。さすが闇の帝王!

>「覗き魔だな。衛士に引き渡すからちょっとおいで」
ガチさんがさりげなく捕まえた。なるほど、覗き魔だったのか!
そういうことにしておこう。なんかムカつくし!
「衛士ならここにいるよ!」
>「ふふん、例え捕まえられなくても、覗きがいなくなればいいんです!
 例えば重い罰則を設けたり……言い方は悪いですが、誰かを見せしめにしたり!」
「この世から覗きを根絶するにはみんな○○になればいいんスよ。
表に丁度いい更正施設があったよ。早速連れていこう!」
更正を願う衛士の愛のムチをくらって悶絶している覗き魔を、とある店まで連行する。
出ている看板は、”○○バー アズカバン”。
「そおおおおおい!」
店に入っていくハードレザーの男たちの集団の方に引き渡すというか突き飛ばした。

どうでもいいけどあれってハードレザーじゃなくて単なる黒エナメルの服なんじゃなかろうか。
あれがハードレザーだとしたらRPGによくあるハードレザーアーマーってまさか……!?

197 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/02/26(土) 22:25:00.40 ID:zyMw3irG
「結構儲かったなぁ。おい、松本くん。店じまいやで。」

数十枚ある万札を数えながら浜田はニッコリ笑いながら
テントを畳む松本を見る。
「おい、俺の取り分はあんのか?お前だけちゃうやろな?」

浜田はマルボロライトを吸いながら、数枚の札を松本の足元へ投げる。
諭吉ではない。一葉でもない。英世である。

「おい、これだけかい!?お前、ホンマ舐めとるなぁ!!」

激昂する松本の耳元で浜田は煙を吹き掛ける。
そして吉本興行からの明細書を投げ付けるのであった。
「お前の映画、ものっそい赤字や。そんな事言える立場か?あ!?
どないやねへん!!」

死に際のピグモンのような浜田の絶叫に松本の顔が
徐々に赤から青へと変化していく。
「わ、悪かったわ・・・すまん。俺、どうかしてたわ。」

浜田は携帯を取り出し、何処かへと電話を掛け始める。
松本は反省したのか、1人で売上金のレポートを書き始めいているようだ。
「お、俺や。傭兵の増員決まったか?え?この村までもう来てる?
分かった。じゃ、なんかあったらそいつに任せるわ。
俺ら、しばらく休んでるから。ほんじゃ。」

ピッ、と携帯を切り浜田と松本は三流旅館へと向かっていく。
彼ら芸人にも、休息は必要なのだ。

――その頃、ローゼン達の向かった温泉の付近では1人の男が
草葉の陰に隠れていた。

「はぁ・・・いいよなぁ。御前等は――温かいご飯にポカポカお風呂。
どうせ、俺なんか。」

彼がハマタの呼んだ派遣隊員である。妙にやる気がなさそうのなのが気になる。
今流行のうつ病なのだろうか?
風呂に浸かる人々を見つめながら、男は何度も溜息を吐いた。

名前:矢車
職業:派遣社員(ホームレス)
性別:男
年齢:20代後半
身長:180
体重:不明
性格:ダウナー
外見:ボロボロのジャケット、小汚いパンツ
備考:元々は一流企業戦士だったが、某カゲロウ作者により
プライドをズタボロにされて逃亡。
今はしがない派遣社員になってしまった。その日暮らしのホームレスである。





198 :ダディ ◆vJw4bjafBQ :2011/02/26(土) 23:40:10.41 ID:v0CnzP/U
>「あの人!? 言ってはいけないあの人といえば……闇の帝王ヴォルデモードか!
>みんな、名前を伏せるのは恐怖を増幅するだけだ!」

「いい勘違いDeathねー
おじぎでもしてくれます?」

>「ふふん、例え捕まえられなくても、覗きがいなくなればいいんです!
> 例えば重い罰則を設けたり……言い方は悪いですが、誰かを見せしめにしたり!」

「モアイいいいい!」

突然飛来したサッカーボールは有無を言わさず橘さんに命中し、そして【あの人】のどてっ腹にゴールした。

「い…痛いDeathねー怪我したらどうしてくれんの」

大事そうに腹をさすっているが一番ダメージを受けたのは橘さんなのは言うまでもない。
つーかサッカー選手なんだからそれくらい避けろや。

>「覗き魔だな。衛士に引き渡すからちょっとおいで」

「え?何々そこのパンダ何て言ったの?聞こえない」

力任せにぐいぐい引っ張られながらも未だ態度に変化はない……がその姿は何処か情けなかった。
【あの人】の絶望感もギャグという不条理な世界には勝てないのか。

かくしてガチムチおっさんと光の勇者の手によりガチムチおっさん達に引き渡された【あの人】
ここで彼は掘られてしまうのだろうか?いやんなこたーない……かも。

「ガチホモって笑えるよねー。あのお笑いショーがあれば世界は平和になるんだと思うよ
またガシャガクしに行くよ。近いうアッー」

彼は最後まで台詞を言わせてもらえずに薄暗いアズカバンへ引きずられていってしまった。
まるでどこぞの滑舌の悪い後輩のようだ。

一方、橘さんは新たなトラウマを引きずりながらも思い出したように四つ葉のクローバーを探していた。

「恐怖心……俺の心に、恐怖心………」

ふと前を見ると同じように草葉にいた矢車兄貴を見つけたので声をかけた。
「矢車さん!完全調和(パーフェクトハーモニー)はどうしたんです!?すっかりやさぐれて……」

彼と矢車兄貴は特撮界のネタキャラ四天王として名を轟かせていたのでそこそこの面識があるのだ。

「矢車さん暇なら四つ葉のクローバーを探すのを手伝ってください!
ないなぁ……ないなぁ……」

それにしてもこの男、とことんフリーダムである。

199 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/27(日) 01:42:27.60 ID:suCumugo
信頼と実績の快速メタルクウラタクシーが次に乗車客たちを放り出したのは小洒落たバー。
落ち着いた雰囲気で、なるほど人目も少ない。やればできるじゃんメタルクウラ!
>「……かはっ」
「だ、大先輩ー!?病状がより深刻に!一体何が……」
再び吐血した大先輩。俺は何事化と辺りを見回し、そして気付いてしまった。
ハードレザーに身を包んだハードコアなビジュアルをしたハードゲイっぽい方々を。
「……わぁい。ホンットメタルクウラは期待を裏切らないなーはははー――げふぅっ!」
俺は耳と目から盛大に出血しながら崩れ落ちた。
なんか真面目にヤバい病気っぽい描写だけど心象描写なので問題ない。ないわけがなかった。
だって現実問題なーーーーーんも解決してないんだもおおおおおおおん!!
メタルクウラてめーこの話をどうしたいんだよ!っていうかひどいなこの状況!
全裸の老婆達とハードレザーの屈強な男達が一同に会すって!世界で一番需要のない食べ合わせだよ!
鰻と梅干もびっくりだわ!でもあれって実際梅干が消化を促進して食べ過ぎちゃうから自戒って説もあるんだって!
まあ今のこの状況とはまーったく関係ねーんだけどさっ!

>「すまないな、ジェンタイル……」
大先輩がなにか呟くと、レザー男にいいようにされていた俺の背中にレザー特盛りで追加。
見事俺を具材にしたレザーバンズによるレザーバーガーが完成してしまったのである!
<<あの……本気で何言ってるんだ汝?>>
やめてーーっ!炎精霊さんリアルに引かないでお願い!現実逃避させて!
大先輩てめーふざけんな!俺になんの恨みがあってこんな非道をやらかしやがる!
>「ギャグパートの奔流から逃れる手は一つ……不運を誰かにおっ被せて……
 自分自身が相手を叩き落す側に回るしかない……。ジェンタイル、お前の事は忘れないぞ……」
「テメーこのぼっち悪魔!犯した罪も忘れるんじゃね――」

>「――刹那で忘れちゃった。まあいいかそんな罪」
そのときッ!バーの扉がガバっと開き外から約一名の高校生が放りこまれた!
喪服に身を包み髪の毛はパンキッシュなツンツン、顔には変なタトゥーと極め付けはヤギみたいな瞳孔!
【あの人】がそこにいた。先週の初めに週刊少年ジャンプを名誉除隊し民間に天下った異能名"あゝ無情(レ・ミゼラブル)"。
なんでこんな大物VIPがここ温泉村に!?っていうかこのお話に降臨なさってるのん?俺は憤った。
「おいあんた!!ふざけたこと言ってんじゃ……」
<<やめろ汝っちゃん!!!>>
汝っちゃん!?なにその斬新な呼び方!二人称代名詞に敬称を組み合わせた……だと……?
ガシャアアア ガクッ 大した言語センスだ。
はっ、ついネタで返してしまった……!みんなライトウィンガーになればいいんスよ!

200 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/02/27(日) 01:45:44.88 ID:suCumugo
と、まあこの辺で自重しておこう。パロディは最も伝わりやすいギャグである反面、予備知識が必須という諸刃の剣。
分かる人間の間でゲラゲラやってる間はまだいいが、元ネタを知らない人間への配慮を欠いたパロディほど寒いものはない。
<<この話自体ドラクエのパロディではないのか?>>
んーそれね、大事な問題だよね。良い質問だ。よーく考えてみよう。このお話の大元の世界観はドラクエのパロディ。
まあ構成要素はドラクエだけじゃないけれど、それは事実だ。あー認めちゃった。ともあれ。
パロディのたった一つの例外。
みんながパロディだと理解した上で参加しているのなら、それは最早パロディではなくシェアワールドなのだ。
ようは「ドラクエっぽい世界観でお話つくろうぜ!」っていう招集に応じているわけだからね。
同じように、パロネタ自体が非情にポピュラー、一般常識レベルなら許容される傾向にある。
同じアニメでもいきなり「まなびストレート」のネタ振られたら対応に困るけど、「ドラえもん」とかならオッケーだろ?
そういうこと。はい講釈終わり。あっでもまなびストレートはホントに名作だからね!機会があれば是非オススメしたい!

しかしなんでまた名前言えない【あの人】がこんなところへ?ハリーポッターは二年前に終了したじゃないッスか。
そういやこの世界魔法魔法とうたってるわりにハリーポッター的要素皆無だね。
<<本土の方にその名もそのまま魔法学園があるからな>>
あー本土か。いいねー本土、この大陸も俺は好きだけど、たまには古巣も恋しくなる。
でもでも!俺はこの地に本土と同じ花を咲かせるという重大な使命を帯びているのだっ!
……そんな風に考えていた時期が僕にもありました。今じゃ当面の目的完全に忘れて好き放題してる感あるよねー俺たち。
<<契約システム的に、どっちかっていうと灼眼のシャナ的要素のが多いんじゃないか。炎属性だし>>
うーん、反応に困る……。こっから話を膨らませる自信ないのでスルーで!
ていうかアニメネタ振るならせめて旬のアニメにしろやっ!今期大注目の契約アニメがあんだろ!
<<あっちは本土でカバーしているからな。吾々はニッチな需要を満たす方向で行こう>>
別にいいけどそれってやってて楽しいの!?あとメタネタもそろそろ自重しようや。お里が知れそう。

「今一瞬知った顔がチラっと見えたような……ま、ま、それはおいおい考えるとしてどうするこの【あの人】」
パロディ乱発は控えたいところだし、手近なレザーに引き渡してガシャガク(精神砕き)してもらってもいいね!
あとそろそろ真面目に時間軸進めなきゃいけないような気がせんこともないけど。もうちょっと遊んでてもいいよな!
ローゼン達なにやってんだろうなあ。
「ていうかメタルクウラ、いい加減あのおばあちゃん達もとの場所に返してきなさい。別の法律に抵触しそうだ」
ならば・・・ ここで 順法意識を突き付けてやるのが常識人としての優しさだ!!!

201 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/02/27(日) 02:53:21.93 ID:jVHKxEKO
ジェンタイルと先輩悪魔はまたもや、なぜか知らないがダメージを受けている。
どこにそんなダメージを受ける要因があるのだろうか?
まさか、生身で瞬間移動をすると激痛が伴うとかか?
いや、それは無いだろうな。
一緒に連れてきたおばあちゃん達は元気だ。

私が男達と優雅にダンスをし、先輩悪魔が時を操って、ジェンタイルを男達で挟んでマッスルサンドにする。
そのマッスルサンドを、生唾を垂らしながらおばあちゃん達が見ている中で、再び店の扉が開いた。
一人の若い男が投げ込まれた。
私はこいつを知っている。
クウラの弟のフリーザの後輩だ。
クウラの後輩でないのは、クウラの所属がジャンプじゃなくて東映だからだ。

>「ていうかメタルクウラ、いい加減あのおばあちゃん達もとの場所に返してきなさい。別の法律に抵触しそうだ」

おばあちゃん達はジェンタイルに向けてブーイングをしているが、確かにこのままではおばあちゃん達が風邪を引いてしまう。
しっかりと元の場所に帰らせた方が良いだろう。
私はダンスを中断させると先輩悪魔の真似をして、右手で指パッチンをした。
音は鳴らなかった。
しかし、屈強な男達にはしっかりと意図は伝わった。
屈強な男達は一人ずつおばあちゃん達をおんぶして、店を出て走り去っていく。
どこに行くのかは私は知らない。
どこから連れてきたのか、私も適当に瞬間移動したために分からないからだ。
まぁ、ダンスをしていて気持ちは通じ合ったのだ。
あのいい男達ならばおばあちゃん達を大切に扱って、無事に送り届けてくれるだろう。

「さて、これから夜までどうするのだ?
お前たちに行きたい場所があるならば、そこに行こう」
私はフリーザの後輩を椅子にして、その上に腰を掛けて、牛乳を飲みながらジェンタイル達に聞いている。
私が、世界で大人気の千万単位でファンがいるようなカリスマ悪役オーラをちょっと出せば、フリーザの後輩は自ら椅子になってくれたのだ。

「無いならば」
私は牛乳を飲み干して、ジェンタイル達に言った。
「夜まで、さぁ、楽しもうか!」
ちょうど良い時に、屈強な男達も店に帰ってきた。

202 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/28(月) 21:47:48.76 ID:D8FMjiMN
>[お願いがあるのですが……改めて歓迎させていただきたいので夜にもう一度お越しくださいますか?]
「分かりました!要するにもうちょっと村を回ったり村人と会話した後で宿屋に泊まれって事ですね!
 ここぞとばかりに商売上手なとこ見せて来ましたね!」

リヨナが馴々しく、大源泉の器を、このこのと肘で小突いていた。

>「良かったですね、地精霊様からお呼ばれするなんて!」
>「VIP入場券!? こういう時って普通もっとファンタジーっぽい演出するもんじゃないの!? 例えば地精霊の雫とか!」
「村の温泉でスタンプラリーをしても貰えるらしいですね、それ!」

ちなみに温泉村以外で売却すると結構な値段になるらしいと、リヨナは自分の情報通ぶりに薄い胸を張った。

>「なんか断末魔の悲鳴が聞こえるんだけど……。橘さん、やっぱりやめといたほうがいいよ!」
>「大丈夫だ。恐怖が克服できるならなら俺は構わない
  野に咲く花より、俺は花火のように生きたい!」
「素敵ですね!青空に半透明な笑顔が似合いそうです!」

演技でもない事を言いつつ、リヨナがローゼンに飛びついて、彼の肩越しにトラウマ風呂を覗き込んだ。
あわよくば事故でお風呂に落っこちてしまった事にして、そのままお色気シーンへの移行も画策していたリヨナは、

「……う、これはちょっと……落ちたらシャレにならない気がしますよ……。て言うか橘さん生きてますか?」
予想外に悍ましい色と臭気に、ローゼンの手を掴んで後ずさった。
それからしばらく待ってみるも、橘からの返事は一向に帰って来ず、不気味な静寂だけが風呂場を支配する。。

「……え?ちょっとこれマズいんじゃありませんか?人命救助ですか!?お仕事ですか!?
 あぁ、ローゼンさん!このロープ、命綱として握っておいて下さい!あと数字を交互に数えて下さい!
 私の返事が無くなるか、ロープを二回引っ張ったら引き上げて下さいね!」
衛士隊の常備品である人命救助用のロープを腰に巻いて覚悟を決め、リヨナはトラウマ風呂へと駆け出して――

>「うわああああああああああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああ!?び、びっくりしました……。あ、生きてたんですね!
 これで飛び込まなくて……じゃなくて!とにかく良かったです!」

悲鳴と共に湯船から上がってきた橘に、慌てて足を止めた。

「……って、前隠して下さいよ!なに全開で出て来てるんですか!」

赤面したリヨナが目を逸らしながら、咄嗟に――故にわりと全力で手近にあった桶を投げつける。

>「終わった――?ねぇ――――入っていぃ?」
>「良かったー喪服着てきて。
 自称『クールでカッコいい』大人の男の橘さんがお亡くなりになったそうじゃない」
「……っ!【あの人】が来てから……空気が変わった!……じゃなくて!橘さんは死んでません!」

>「あ、迷惑Deathぅー確変されても。ネタ臭しがヒドイ!美味しいとこどりかっての。
>もう無理だよ無理無理やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろや め ち ま え」
「あぁー!なんて事するんですか!ていうかカッコイイ能力名してますけどぶっちゃけ
 『ものすごい悪口』ってどうかと思います!どっちかと言えば野球用のスキルですよねそれ!」

>「ここらじゃ覗き魔なんて星の数ほどいるDeathよ?
>それを捕まえるなんて出来るんDeathかぁ?
>さっきも女湯が騒がしかったけど……君らもガシャガクしてく?」
「ふふん、例え捕まえられなくても、覗きがいなくなればいいんです!
 例えば重い罰則を設けたり……言い方は悪いですが、誰かを見せしめにしたり!」

言うや否や、リヨナは何処からともなく転がってきたサッカーボールを蹴飛ばした。
凄まじい脚力を受け楕円型に歪んだサッカーボールが、【あの人】の股間へと猛進する。




203 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/02/28(月) 21:48:52.14 ID:D8FMjiMN
(上の代理投稿はミスです、スルーしてください。ごめんなさい・・・)

>「やめろリヨナっちゃん! ここは僕が……」
「じゃあ一緒に飛び込みましょう!いつだって一緒です!みんなトラウマイスタになればいいんですよ!」

週刊少年サンデーを読んでいない人にはさっぱり何の事だか分からないネタを飛ばしつつ、リヨナはローゼンと腕を組む。
聞き方によっては若干病んでいるようにも思える台詞だったが、リヨナには特に深い考えなどない。完全に勢いのみでの発言だった。
と、そんなこんなで【あの人】はこの世の地獄に放り込まれてしまった。

「版権キャラだろうと容赦無いですね!男らしくて素敵だと思います!」

ここぞとばかりにリヨナが横からローゼンに抱きついて、頬ずりをする。

>「恐怖心……俺の心に、恐怖心………」

「だ、大丈夫ですか……?気をしっかり持って下さい!」

>「矢車さん!完全調和(パーフェクトハーモニー)はどうしたんです!?すっかりやさぐれて……」

「自分の分かんない版権ネタって思った以上に絡み辛いですね!ちょっと反省します!」

>「矢車さん暇なら四つ葉のクローバーを探すのを手伝ってください!
 ないなぁ……ないなぁ……」

「知ってますか?四つ葉のクローバーは、踏み荒らされた三つ葉のクローバーがなるんです。
 貴方はさっき、心を踏み荒らされたでしょう?だったら、貴方がなればいいじゃないですか!
 四つ葉のクローバーを探すんじゃなくて!貴方自身が幸せをもたらす四つ葉のクローバーに!!」

終わりよければ全てよしと思っているのか、これまでのどうしようもなさは遙か彼方に放り投げて、リヨナは格好よさげ台詞を飛ばした。

「ところで日暮れまであとどれくらいなんでしょうね。
 私はギャグパートの匙加減が分からないので如何ともし難いんですけど」




204 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/02/28(月) 21:49:29.63 ID:D8FMjiMN
「ふむ……そろそろ私は本格的について行けなくなってきたぞ」

地上に顕現された地獄と成り果てた店内で、影は密かに嘆息を零した。
と、アンニュイな仕草にそそられたのか、ハードレザーの一人が影に迫る。
けれどもハードレザーの岩のようにごつごつとした手は、影を捉えられず虚空を掻いた。

「……残念だったな。私は影なんだ。この薄暗い店内に溶け込む事など、造作もない事だ」

散々崩れてしまったキャラを静かな顔で立て直しつつ、影はつんのめって壁に突っ込んだハードレザーの男を横目で追う。

「さて、引き続きキャラを立て直すか。私と言えばやっぱり講釈だよな。
 丁度いい事に【あの人】もいる事だし、久しぶりにやってみるとしようか」

影が壁に背を預けて腕を組み、切れ長の双眸をカメラ目線にして語り始めた。

「……例えば、特に意味もなく一般人を傷つけ、法に背いた事をする人間が主人公だった場合。
 それは悪人ではあるが『悪役』とは言えない、だろう?
 義賊のような主人公に対して、それを捕まえようとする警察も、『敵』ではあるが『悪役』ではない。
 ジェンタイルにとってのローゼンもそうだな。自分と相反する思想を持つ『敵』ではあるが、『悪』ではない。
 ローゼンにとっては、ジェンタイルは『悪い事』をしているようだが……それもジェンタイル自身が『悪』と言うよりは、
 アイツを唆した私こそが『悪』と言う事になっているらしいな。私はただ、キッカケを与えてやっただけだと言うのに。
 まぁいい……では何故私がローゼンにとって『悪』なのかと言うと、これは分りやすいな。
 私がローゼンの『ただ楽しい暮らし』を壊しているからだ。奴からジェンタイルを奪う事でな。
 さっきの義賊にしても、例えば警察の一人が『貧乏な民に配られた金銭を再び奪いとって、懐に入れている』
 となれば、それは義賊にとっての『悪役』となる訳だ。
 ようするに、『悪役』と言うのは必ずしも悪い事をする者ではなく、
 どちらかと言えば『主人公にとって大切なものを傷付ける存在』の事を指す訳だな」

>「夜まで、さぁ、楽しもうか!」

「あー講釈は楽しいなぁ。次はどんなテーマで講釈を垂れようかなぁ」

どこか遠くに視線を投げ捨てて現実逃避を図りながら、影は疲れたように笑っていた。


205 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/01(火) 00:00:20.58 ID:Nf0Nq1k/
>197-198 >203
>「版権キャラだろうと容赦無いですね!男らしくて素敵だと思います!」
「いやーそれほどでもあるかな!」
男らしくて!? 嬉しい事を言ってくれる! ジェン君なんか何回ステータス画面を見ても僕の性別を間違える。

ふと視線を感じる。草葉の陰からこっちを見ている人物がいた。
「わーーーーー!?」
草葉の影って確か死んだ人用の例えじゃなかったっけ!?
>「はぁ・・・いいよなぁ。御前等は――温かいご飯にポカポカお風呂。
どうせ、俺なんか。」
とりあえず触ってみて呼吸があるのを確認する。
「大丈夫、生きてるよ! 生きてればきっといい事がある!」

>「矢車さん!完全調和(パーフェクトハーモニー)はどうしたんです!?すっかりやさぐれて……」
どうやら橘さんの知り合いらしかった。そしてハマちゃんに呼ばれた派遣社員らしい。

「丁度よかった、僕達ハマちゃんの仲間だから! 鬱ってる暇なんてないよ!」
『我ってさ、ほとんどの人を元気付けるけど本当に不幸なごく一部の人はもっと鬱にしちゃうんだよ……』
な、なんだってー!?
『マジで鬱ってる人には我の双子の片割れの方が必要だね』

この人がマジもんの鬱じゃない事を願おう!
光で傷つく人の気持ちはきっと僕には分からない。僕の肌が異常なほど白いのは、単に厚着しているからではない。
日焼けって日光に対する防御反応で、火傷しないために黒くなってるらしいよ。
僕の場合、光精霊の加護で日の光にあたっても傷付くことが無いから決して焼けることがない。
心もまた、決して光で傷つくことが無いのだ。

>「矢車さん暇なら四つ葉のクローバーを探すのを手伝ってください!
 ないなぁ……ないなぁ……」
「そうだ、一緒に探してみんなで幸せになろう! ないなぁ……ないなぁ……」

>「知ってますか?四つ葉のクローバーは、踏み荒らされた三つ葉のクローバーがなるんです。
 貴方はさっき、心を踏み荒らされたでしょう?だったら、貴方がなればいいじゃないですか!
 四つ葉のクローバーを探すんじゃなくて!貴方自身が幸せをもたらす四つ葉のクローバーに!!」
「感動した! リヨナちゃん……君は僕の四つ葉のクローバーやあ!」
ノリで言っちまった。深い意味は無い!

>「ところで日暮れまであとどれくらいなんでしょうね。
 私はギャグパートの匙加減が分からないので如何ともし難いんですけど」
「僕の勘によるとそろそろだ……! そろそろやめとかないとジェン君が危ない」
忘れがちだがクウ君は僕があっちのパーティーに送り込んだスパイだ。もちろん真面目にスパイをやるとは思っていない。
きっと無意識のうちに大先輩に着実にダメージを与えつつジェン君にもお仕置きしているに違いない。
なんでそんなに僕の思い通りに動くと確信できるかって? 人格形成は未就学児時代にされるといっても過言ではない!

>200
お仕置きのあまりの酷さに、地の文によるしゃべくりで現実逃避をしているジェン君が目に浮かぶようだ。
ふと一般的に想像される魔法学園のイメージとかすりもしない学生時代を思い出した。
「魔法学部……ヲタとオカルト系厨二病患者と電波系の集団だったなあ」
『どこの大学だよ!』
それは秘密です。
一応王立で無駄に敷地が広くてド田舎にあって一時は自殺率がトップだったり某巨大掲示板でネタにされる要素満載とだけ言っておこう!

そろそろ場面転換をするべく指パッチンをした。
といっても僕は指パッチンが出来ないので音は鳴らないが気にしたら負けである。
「よし、大源泉に行こう!」

206 :矢車 ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/01(火) 00:35:38.05 ID:wrpqVVSR
>>198
>一方、橘さんは新たなトラウマを引きずりながらも思い出したように四つ葉のクロー>バーを探していた。
>「恐怖心……俺の心に、恐怖心………」

虚ろな目で地面を探るイケメン風科学者が矢車の傍までやって来る。
矢車は溜息を吐きながらカップラーメン【兄貴塩】に、露天風呂から拝借(強盗)したお湯を注いでいく。

>「矢車さん!完全調和(パーフェクトハーモニー)はどうしたんです!?すっかりやさぐれて……」

「ハァ……もう、パーフェクトもハーモニーもないんだよ……」

橘さんに負けないくらいの虚ろな目で空を見上げながら呟く。
あいにく、空は汚い曇り色をしている。
まるで今の矢車のようである。昔はこれでも一流企業ZECT(害虫駆除会社)
に勤めていたのだが職業上のライバルからのストレスと部下の裏切りにより
自律神経失調症を発症、会社を退職した。
今は日銭を稼ぐしがない派遣社員なのだ。

>「矢車さん暇なら四つ葉のクローバーを探すのを手伝ってください!
ないなぁ……ないなぁ……」

「四葉のクローバーぁ……?ハッ、そんなもん手に入れてどうするんだか。
幸せなんてあっという間に砕けちまう。」

偶然手にした足元の四葉のクローバーを毟ると、その葉を一枚ずつ千切っていく。
そんな2人のやり取りを見ていた軽装の鎧で黒髪三つ編みのぱっと見可愛い系の
女子が割って入る。

>「自分の分かんない版権ネタって思った以上に絡み辛いですね!ちょっと反省します!」

「……橘さんといえば平成ライダー1の人気者。
どうせ俺は二番煎じだしなぁ……知らないのも無理はない。
後半の出番といえば、雑魚の処理か『吹き飛ばされる矢車』だもんな……笑え、笑えよ。」

>「知ってますか?四つ葉のクローバーは、踏み荒らされた三つ葉のクローバーがなるんです。
>貴方はさっき、心を踏み荒らされたでしょう?だったら、貴方がなればいいじゃないですか!
>四つ葉のクローバーを探すんじゃなくて!貴方自身が幸せをもたらす四つ葉のクローバーに!」

矢車は潰したクローバーをラーメンのねぎ代わりにして入れながら
リヨナの言葉に苦笑いを浮かべる。そして、再び深い溜息を吐いた。

「いい言葉だな、感動的だ。……だが、真っ暗闇の無限地獄を
見た奴は二度と這い上がる事は出来ない。
橘、お前は闇の住人になる資格がある。ほら、幸せなんてこうなるサダメさ。
――俺と一緒に地獄に落ちよう。」

橘さんへラーメンを勧めながら、スープの表面に浮く粉々に砕けたクローバーを見せる矢車。
その深い闇に堕ちた目は、どう考えても危ない人のそれである。

>「よし、大源泉に行こう!」

「あぁ」
やる気のない返事で立ち上がる矢車。
その手には小さなお花が握られていた。
綺麗な綺麗なタンポポの花である。



207 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/02(水) 04:38:45.14 ID:65kzUqHX
>「夜まで、さぁ、楽しもうか!」
【あの人】を人間椅子にしながら、メタルクウラは屈強なレザーマン達を侍らせる。
老婆ーズを所定の位置に放置してきたレザーさん達はうっとりとメタルクウラに寄り添った。
この流れ……マズイ!またメタルクウラはんの土俵に引きずりこまれてしまうで!
かくなる上は――こうだっ!
「『輪転する時の輪よ!打刻する一対の指針よ!今こそ再び轍を踏み、新たなる時を刻めッ!!』」
中学の頃から温めてきた呪文を、括弧付けて詠唱する。
「時空転身――『ジカンジーク=ススメール』!!」

かくして場面は切り替わり、時間軸は夜まで進む。
といっても描写をしてないだけで結局俺たちはメタルクウラに夜まで楽しまれてしまったわけだけど。
そこらへんについてはDVD特典を待ってくれよなっ。大先輩の講釈コーナーもあるよ!
俺たちはじっくり夜までブックオフとかで時間を潰し、そして日がとっぷり暮れてから大源泉へと向かった。
大源泉へと続く大通りは歓楽街なので夜のほうが人通りは多い。酒臭い人混みを遡り、行く。

「すいませーん、昼間に地精霊様にアポとった者なんですけどお!」
受付の人はいなかった。営業時間は終了しているらしくて、なるほどそのための【地精霊の雫】かと納得。
これがあれば受付通らずに大源泉まで行けるものな。というわけで仁王像が向かい合う門のルーンに瓶を翳す。
二、三回若芽色の光が明滅して、重厚な鉄扉が開かれた。そこに顔を突っ込んで、俺は愕然とした。

「な、なんじゃこりゃあ……!」
門の向こうには要石と岩の器から泉が湧き出ている――はずだったのが、そうじゃなくなっていた。
パルテノン宮殿っぽい柱が幾本も付き立ち、柱同士を上部で繋ぐ橋がかかっている。
それは端的に言えば――鳥居だった。洋風建築の鳥居が、ずらっと並んで俺たちをいざなっていた。
そして鳥居の先には穴があった。洞窟の入り口が、まるで最初からそこにあったかのような風体で大きく開いている。
代わりに大源泉は消失していた。あるのは鳥居と、洞窟の入口だけ。他には何もない。消え去っている。
[来ましたか]
「うおお!?」
手元が震えて、音を作った。瓶詰めの地精霊の雫が、鼓動のように光を放っていた。
メタルクウラや大先輩にも見えるように掲げる。ゆっくりと、若芽色の靄がうず巻きながら、そして言った。
[――拙は貴方達を歓迎しません]

[あれから――いろいろなことを考えました。ジェンタイル、貴方が拙に論じた内容。
 メタルクウラや大先輩の質問も含めて、その回答を用意するために拙は熟考しました]
瓶の中身は震え続ける。
[今すぐに貴方達へ知識を与えることは容易です。しかし、――貴方達と会ったあとに、光の勇者達とお会いしました]
光の勇者。そう言われてピンとくる顔は、一つしかなかった。
ローゼン!やっぱあいつらも地精霊様に会ってたのか!でもそれと、この状況の因果関係がわからない。

[拙は迷っています。正しく使えば世界を丸ごと変えられる知識を、果たして悪辣の者に渡して良いのか。
 人間の価値観に照らし合わせれば、強引な革命は悪です。しかし、貴方の言う事にも一理がある。
 ――世界を守るべきか、変えるべきか。その判断をは、誰に委ねられるものでもありませんが]
ゴゴゴ……と腹に響く音とともに、洞窟の入り口――そこを塞いでいた鉄柵が上がっていく。
[貴方達と、光の勇者一行。より早く拙のもとに辿りつける実力を有した側に、拙の知慧を授けます]
<<地精霊……汝、まさかアレをやるというのか>>
[左様、"ダンジョン"です。夕方の操業全て休んで拙が力作したこの【産土の祠】、一筋縄では潜れませんよ?]

208 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/02(水) 04:40:20.72 ID:65kzUqHX
つまりこういうことらしかった。
・俺たちとローゼン達の両方の話を聞いて、どっちに力を貸せばいいのかわからなくなった。
・じゃあ早いもん勝ちってことで。ダンジョン作ったから攻略してね!

どおりで温泉が軒並み開店休業状態だったわけだぜ……温泉止まってやんの。
ていうかこれ、朝までに解決しないと温泉村大打撃じゃね?経済的損失相当デカいんじゃねえのこれ。
地精霊。温厚だって有名だけど、温厚なだけで別に思慮深いわけじゃあないらしい。精霊ってみんなこんなんか!
<<ドヤ顔してるんだろうな>>
産土の祠とか名前付けちゃってる時点で相当キテるよね。しかしダンジョンか。
昔は辺境村の近くにも一つ二つ有名所のダンジョンがあって、よく遊びに行ったもんだけど。(虫がよく取れる)
区画整理で潰されてそれっきりだ。かつての栄盛も見る影なく、ダンジョンなんて交通の邪魔なただの穴ぼこなのだ。
だからこうやって今実物を目の前にして若干テンション上がってるんだけど……責任重大だなあ。
「おいおいどうしますよお前ら、久しぶりにRPGみたいな展開だぜ。たいまつ持ったか?やくそうの準備はOK?
 ちょっとコンビニ寄ってダンジョン攻め装備でも整えるかよ?おやつは300ゴールドまでだぜ?」
俺はそう言って、メタルクウラと大先輩を振り返った。

[あ、ちょっとダンジョン内のモンスター管理が不十分なんで街に出さないよう十分気をつけてくださいね]
言われて振り向けば、洞窟の入り口からモンスターが一匹顔を出していた。
岩ほどもある体躯に禍々しい凶爪、獣臭を撒き散らす牙……見るからに中盤の強敵っぽい魔獣だった。
[豪腕狂獣マスターキマイラです]
「なんでそんなボスっぽい名前と顔の奴を地上近くに配備したーっ!?ちったあバランスかんがえろよ!」
小学生の作ったRPGツクールのダンジョンかよ!せめてデバッグとテストプレイ完了してから実装しろや!
<<懐かしいな。最初の1マスに最強の剣埋めといたりな。後半になるにつれて雑魚敵の名前が雑になったり>>
やめろ。ラストダンジョンの雑魚敵が「うんこ」とか「たかゆき」とか悲しすぎる。
最終的にテキスト打ち込むのもめんどくさくなって登場人物がほぼ無言でエンディングを迎えたぞ。
黙々とラスボスを討伐する様は作成者をして壮絶な失笑を誘った。俺は静かにメモリーカードの爪を折った。

と、マスターキマイラ(笑)の後ろからもう一匹モンスターが這い出てきた。不定形の、スライムみたいなやつ。
[としあきです]
飽きるのはええええええええ!マスターキマイラで力尽きたのかよ!?
キャラデザといい名前といいなやっつけ過ぎるって!もう見てらんない!俺が焼却してやる!
俺は久しぶりに炎魔法を練りあげながら火球をぶち込むためとしあきに接近する。
<<あっ馬鹿、やめろ汝っちゃん!>>
「ぐほぁ!」
時既に時間切れ。としあきのやる気のないデザインの触手が俺の頬にペチっと触れた瞬間、ものすごい勢いで吹っ飛ばされた。
メタルクウラの胸板に激突し、しばし絶息。馬鹿な、モーションに対して攻撃力が高すぎる……!
<<やはりパワーバランスを調整していなかったか>>

「め、メタルクウラ、大先輩!こいつらヤバいぞ……地精霊の野郎、ろくなバランス調整してやがらねえ」
すなわち、こんな状態のモンスター達が街に放たれたら今度こそ大惨事だってこと。
ここで食い止め、早急にダンジョンを攻略して大源泉を解放しなければならない。火急のミッションだ。
「だ、誰か奴らを……たおひて……」
信頼と実績の低防御力でHPを一気に削られた俺は、そのまま狭まっていく視界を広げることができなかった。
最後に二匹のモンスターを網膜に収めて、意識が途絶える――

<モンスターデータ>
豪腕狂獣マスターキマイラ:獣人型のモンスター。攻撃力すごく高い
としあき:不定形モンスター。攻撃力めっちゃ高い。通常の攻撃ではダメージ通らない

209 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/02(水) 06:07:46.76 ID:dm4XDF1N
ジェンタイルや先輩悪魔と一緒に遊び尽くして、もう夜になってしまった。
私達は約束通りに地精霊に再び会いに行った。
人のいない受付を通り過ぎ、地精霊から貰ったアイテムで門を開けば、その光景は昼間とは全然違っていた。

>[拙は迷っています。正しく使えば世界を丸ごと変えられる知識を、果たして悪辣の者に渡して良いのか。
>人間の価値観に照らし合わせれば、強引な革命は悪です。しかし、貴方の言う事にも一理がある。
>――世界を守るべきか、変えるべきか。その判断をは、誰に委ねられるものでもありませんが]
>[貴方達と、光の勇者一行。より早く拙のもとに辿りつける実力を有した側に、拙の知慧を授けます]
>[左様、"ダンジョン"です。夕方の操業全て休んで拙が力作したこの【産土の祠】、一筋縄では潜れませんよ?]

地精霊から貰ったアイテムを媒介に、地精霊は話す。
ローゼン達も地精霊に会っていたようで、地精霊は私達かローゼン達に知識を与えるということ。
私の立場は世界を守るのでもなく、世界を変えるのでもない。
世界を変えるジェンタイルを見届けることだ。
私の出した結論は、世界を変えるには人の世を終わらせ、機械生命体の世に変えること。
深く根付いた人の生の堕落と蘇生の法は、人類が根絶やしになるまで無くなることはないだろう。
しかし、私は今日のおばあちゃん達やいい男達との触れ合いで、そんな結末はまっぴらだと思った。
もしも、世界を変える方法がそれしか無いならば、ジェンタイルはどうするのだろうか?
地精霊が私達に与えてくれる知識が、この道を回避する方法を示してくれることを祈ろう。

210 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/02(水) 06:08:38.69 ID:dm4XDF1N
>「おいおいどうしますよお前ら、久しぶりにRPGみたいな展開だぜ。たいまつ持ったか?やくそうの準備はOK?
>ちょっとコンビニ寄ってダンジョン攻め装備でも整えるかよ?おやつは300ゴールドまでだぜ?」

「そんなことをしていたら、ローゼン達に遅れを取ってしまう。
さっさと行くぞ」
300円という上限付きでおやつ選びなぞしていたら、一時間は迷ってしまう。
その間にローゼン達が攻略してしまっては、おやつ選び自体が無駄になってしまう。

>[あ、ちょっとダンジョン内のモンスター管理が不十分なんで街に出さないよう十分気をつけてくださいね]
>[豪腕狂獣マスターキマイラです]
>[としあきです]
>「ぐほぁ!」

「ジェンタイル!」
私は吹っ飛んだジェンタイルを受け止めると、ダンジョンから出てきた二体のモンスターのパワーを計測。
計測不能。両目が爆発してしまった。
爆発の衝撃で、受け止めていたジェンタイルも落としてしまった。

>「め、メタルクウラ、大先輩!こいつらヤバいぞ……地精霊の野郎、ろくなバランス調整してやがらねえ」
>「だ、誰か奴らを……たおひて……」

「すまんが、ジェンタイルよ。
あのモンスター達に今の私では勝てそうにないな」
計測不能な程の圧倒的な実力差。
私では手も足も出ずにやられてしまうだろう。

「先輩悪魔よ、私に力を貸してくれないか?」
私は真剣な目で先輩悪魔の方を見た。
もちろん、もう両目は再生している。

211 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/02(水) 22:23:25.08 ID:lujZSR42
>205
>「よし、大源泉に行こう!」
>206
>「あぁ」

「行こう」
「行こう」
そういうことになった。

奇数…ローゼン組といざ尋常に大源泉へ
偶数…何故かはぐれて大惨事

212 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/02(水) 22:29:35.56 ID:WXEGWKnw
>>208
>「ぐほぁ!」
時既に時間切れ。としあきのやる気のないデザインの触手が俺の頬にペチっと触れた瞬間、ものすごい勢いで吹っ飛ばされた。
メタルクウラの胸板に激突し、しばし絶息。馬鹿な、モーションに対して攻撃力が高すぎる……!
<<やはりパワーバランスを調整していなかったか>>

>>210
>「ジェンタイル!」
私は吹っ飛んだジェンタイルを受け止めると、ダンジョンから出てきた二体のモンスターのパワーを計測。
計測不能。両目が爆発してしまった。

みぞうゆ←×(未曾有)の戦場と化した不思議ダンジョンにお客さんがやってきた。
全身白のスーツで決め込んだ浜田雅功(ダウンタウンのメンバー)である。
手にはポチ袋が握られている。中身は先ほどの屋台の売り上げだ。

「なんや、自分ら。こんなとこにおったんかいなぁ〜あ、これ君らの取り分や。
結構稼がせてもろうたで!あ、炎の精霊君おおきに!!また頼むわ。
この服、ええやろ?儲けた金でこうたんや。」

純白の帽子を脱ぎながらキマイラ、としあきに襲われているジェンタイル
一行に爽やかな笑顔を投げかける。
勿論、相手はそれどころではない。
「うわっ、ごっつでかい化けモンやなぁ。こいつはきっついでぇ。
お、おい何すんねんっ!!やめろ、やめろやぁあああ!!
た、助けてぇー!!」

キメラの触手攻撃をハリセンで防御しながら浜田は叫ぶ。
すると、洞窟の入り口から一筋の風のような歌が聞こえてきた。

《ミラクルゥ〜ファイトォでぇ〜地〜を〜かけ〜ろ〜》

声の主は、画用紙のお面、ババシャツ、風呂敷のマント、ベルト、ラクダのパッチという恰好だ。
「ミ、ミラクルエースやないか!?」
触手に顔をはたかれながら浜田は声の主に向けて叫ぶ。
紙の仮面で顔を隠したヒーロー風の男はビデオのパッケージを手にしているようだ。
表紙には「うま味紳士」と書かれている。ごっつ笑顔のおっさんが腕を組んで
全裸で映っている。

「……ごっつバイトしんどかったわ。今日、むっちゃ客来ると思ったら
広告出した日やったんや。あと、レジ混む時に1万は出さんで欲しいわ。
なんで会計943円で、出すの1万やねん……きっついわ。」

ぶつぶつと文句を言いながらミラクスエースは触手に近付き
手を前に突き出す。技名は特にない。
「ちょ、もぉお〜!!」

(浜田のピンチにミラクルエース登場、キメラへ攻撃)


213 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/02(水) 22:32:34.44 ID:WXEGWKnw
>「時空転身――『ジカンジーク=ススメール』!!」
「しかしMPがたりなかった……と。ちなみにドラクエにおいてHPはヒットポイントだが
 MPはマジックポイントじゃないんだぞ。考えてみれば当然の事だが、MPはマジックパワーの略称なんだ」

およそ役に立つ事の無いであろう知識を披露しつつ、影が指を弾いた。
拡散した快音が時間の歯車を狂わせて、時が夜まで一気に進む。
地精霊の元へ向かうと、昼間あった大源泉の器は影も形もなく、代わりに鳥居が立ち並んでいた。
鳥居の示す一本道の先には、隆起した地面が魔獣の口腔を思わせる大穴を開けている。

>[貴方達と、光の勇者一行。より早く拙のもとに辿りつける実力を有した側に、拙の知慧を授けます]
「おいおい……求めよ、されば与えられんって言葉を知らないのか?神の教えには従った方が身の為だぞ?」

皮肉を吐き捨てながらも、影の口元にはうっすらと愉悦の笑みが浮かんでいた。
吊り上がった口角が、好都合だと呟いているようだった。

>「おいおいどうしますよお前ら、久しぶりにRPGみたいな展開だぜ。たいまつ持ったか?やくそうの準備はOK?
  ちょっとコンビニ寄ってダンジョン攻め装備でも整えるかよ?おやつは300ゴールドまでだぜ?」
「ま、いいだろう。世界を正しく変える術など、考えるまでもなく見えているモノだと私は思うがね。
 面白そうだし、付き合ってやろうじゃないか」

涼しげに、思わせぶりに影は笑う。
キャラの再構築に余念がないが、一方で手はピッケルだのスコップだのの用意で忙しなく動いていた。
工事用の黄色いヘルメットにヘッドランプまで装備して、準備は万端だった。

>「そんなことをしていたら、ローゼン達に遅れを取ってしまう。
  さっさと行くぞ」
「まったくだぞジェンタイル。少しは真剣にやったらどうなんだ」

冷ややかに告げると、影はダンジョンへと踏み込む。
と、早速、生々しい獣臭とヘッドライトが反射した凶悪な閃きが、影を出迎えた。
影がそれの全身を照らすように、顔を動かす。
ありとあらゆる猛獣を雑多に混ぜ合わせたような魔獣が、立ちはだかっていた。

>[豪腕狂獣マスターキマイラです]
「ははは、ネーミングセンスがゼルダの伝説時のオカリナを彷彿とさせるな」

おぞましい凶相で睥睨する魔獣を前に、影は余裕そうに笑っていた。
漂う生臭さは、やや不愉快なのか、右手を鼻の前で振っているが。


214 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/02(水) 22:33:02.41 ID:WXEGWKnw
>[としあきです]
>「ぐほぁ!」
「世紀末リーダー伝たけしガッツ島編を思い出すなぁ。「お、アイツ弱そう!」
 ってのは基本的にフラグだから気をつけ……あぁ、遅かったか」

ものの見事に吹っ飛ばされたジェンタイルに呆れを乗せた視線を向けて、嘆息を零す。

>「すまんが、ジェンタイルよ。
 あのモンスター達に今の私では勝てそうにないな
 先輩悪魔よ、私に力を貸してくれないか?」

「あぁいいとも。とは言え、私が全てをやってしまっては最強厨も真っ青だ。
 そうだ、ここで一つ講釈を挟んでおこう。物語の上で『超強い』とか『最強』とされる存在と言うのは、
 悪役、敵役でない限りは、何のかんの言って戦わなかったり、戦えなかったり、勝てない場合が多い。
 まぁ当然だ。最強が本気で真面目に万全の体勢で戦ったら他の登場人物はいらなくなってしまうからな。
 だから『戦いを捨てた』とか『腕っ節ではなく頭脳が必要』とか、『勝つには伝説の血統や武器が必要』
 などなどの理由を付けて戦闘や勝利を回避させられる訳だな。主に大いなる意思によって」

と言う訳で、と言葉と結論が架け橋で繋がれる。

「私は今回も戦わないよ。理由は……そうだな。レベル的に初心者の狩場荒らしてると通報されちゃうし?」

言いながら、影は担いでいたピッケルを地面に突き立てて、右手を肩の高さに上げた。

「代わりに……幾つかエンチャントをしてやろう。ほら、『矛の導き』に『寄り添う城塞』と」

立て続けに二回指が鳴らされて、メタルクウラの胸部に黒い印が二つ刻まれる。
矛と城塞、攻撃力と防御力を底上げする魔法だ。

「ジェンタイルも……ほら、起きろ。メタルクウラがお前の尻にエネルギー波を注ぎかねないぞ。
 ……よし、おはようジェンタイル。お前にはこれを貸してやろう」

三度目の快音が洞窟内で反響する。
ジェンタイルの眼前に、真紅の炎が灯った。

「それは地獄の炎……と言っても、ごく浅い所の物だ。単に凄く強い炎とでも思っておけばいい。
 普通の炎と混ぜれば威力の調整も出来るぞ。それらしい副作用もなし。
 ただ、使う度に魔力だけじゃなく、体力まで削られるから気を付けろよ」

ちらりと、影が洞窟の外を振り返る。
ローゼン達の姿は、まだ見えない。

「勿論、これは一つ貸しだがな。ともあれ今は、
 それを試してみたらどうだ。何とか戦えるくらいにはなっているだろう」




215 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/02(水) 23:39:30.93 ID:lujZSR42
「迷子になったら各自大源泉の入口に向かうことにしよう。なんて、今更迷う訳がないけどな…ははは…」
試食のゆず饅頭と抹茶饅頭と季節限定さくら饅頭を比べながら私が振り返るとローゼン達の姿はもう消えていた。

(…それではここはシド小路だとでもいうのだろうか…)
不吉な予感を裏付けるように傍らには何故か黒い郵便ポストが立っている。
「珍しいかい?それはね、先々代の魔王が侵略して来た時に
“よくよく我汝等に告ぐ。郵便ポストが赤いのは我が所為に非ず”
とか言って変えちゃったんだとよ」
地元民らしい爺さんが親切にそう教えてくれた。

(まあ、最終的に大源泉に着けばいいだろう…まだ時間はある…)
夕空の下を推定村の中心方向に向かって適当に歩いていた筈が、あっという間に大源泉の入口に着いていた。
観光用の営業時間は終わっているようで人の気配は既にない。
そしてローゼン達と来た時とは異なり中からは重機のような音と振動が響いてくる。
中を覗き込もうと塀に近付いた私は突然何か大きな力に足をつかまれ地中に引きずり込まれた。

―――

[――目が覚めましたか、夷]
そこは蟻の巣の室のような土穴だった。地精霊の絶対零度の声がする。
「生憎だがオレは今でも絶賛夢の中だ…けどその前に“夷”って何だ?」
[――思い出しませんか――夷――精霊と契約するに充分な器を持ちながら、対価を嫌って精霊を拒否した一族の末裔よ]
突然知らない設定が現れた…私はこの身体の由来には詳しくないので仕方ない事かもしれない。
[――着ぐるみ姿で一人のこのこ現れたのが運の尽き。拙の指令となって働くが良い]
この身体を随分嫌っているらしい地精霊から形容し難い力が流れ込み…結論だけ言うと私は操られた。
地精霊の思うまま私の身体は穴を掘り石を積み材木を組みトラップを設置していく。
ダンジョン全体のマップデザインはさておき個々の土木工事自体は地精霊と名乗るだけあって素晴らしいものだった。
(…この知識と技術は一体…)
感心しながら操られている内に地精霊はダンジョン造営に満足したようだった。
[――次の使い道はそのうち考えてやる。少し待て]
私は適当な部屋に押し込められてしまった。

216 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/03(木) 06:56:50.95 ID:xZ5z41Tn
>「ジェンタイルも……ほら、起きろ。
「うーん……あと5分……」
>「メタルクウラがお前の尻にエネルギー波を注ぎかねないぞ」
「ぎゃーーーっ!!エネルギー波をエネルギー液と誤読して余計生々しーー!」
>「……よし、おはようジェンタイル。お前にはこれを貸してやろう」
はっ!?今一体何が……長い夢、それも悪夢を見ていた気がする。
まったく嫌な世の中だぜ。ユメもキボーもありゃしない。今期アニメは豊作なようで大変結構。
何の話だっけ?そうそう、モンスターが出てきたから倒そうぜっていう――
と、目の前に炎が浮いていた。俺が出したものじゃない、禍々しい魔力を感じる。
>「それは地獄の炎……と言っても、ごく浅い所の物だ。単に凄く強い炎とでも思っておけばいい」
「げェーっ!なんつうもん拾ってきてんだ大先輩!もとの場所に返してきなさい!」
しかしながら聞くところによれば大先輩によるアイテム供給イベントらしい。
こいつを便利に使ってあのモンスター達を倒せと。お誂え向きの展開だな!
なんかステータス画面見るとメタルクウラの"ちから"と"みのまもり"も大幅アップしてるし。
大先輩悪魔のくせしてパラメータ補助呪文の使い手かよ!いいねその生き方かっこいーぜ!

>「なんや、自分ら。こんなとこにおったんかいなぁ〜あ」
と、そこへ颯爽とハマちゃんが現れた。なんか藍染様第二形態みたいな格好で。
「テメーハマちゃん!ここであったが百年目!新しく得た俺の力を食らいやがれ!!」
地獄の炎を握って殴りかかろうとする俺に、ハマちゃんは懐から万券をピラっと出した。
>「あ、これ君らの取り分や。結構稼がせてもろうたで!あ、炎の精霊君おおきに!!また頼むわ」
「それだよハマちゃん――――!!カッケ―――!!」
俺は華麗に掌を返した。ははーっ!世の中金だ!ようやくこれでまともな宿と食事がとれる!
もうこれで暇な日とかにブックオフに常駐しなくてすむんやぁ〜!ビデオも三倍画質で録画せんでもええんや!
いや!いっそもうVHSやめてDVD導入しちゃうか……!?ブルーレイも値下がりしてるし狙い目だぞ!?
<<ほら見ろ!見ろ!見たか!?投資してよかったろ!?吾の言った通りだったろ!?>>
ホンマやで炎精霊さん愛してる!
<<えっ……それはその……困る……>>
マジレスやめて!そういうトラウマを抉るような反応しないでお願い!
ていうかテンション上がりすぎだろお前ちゃん。今更キャラ崩壊とか言うつもりねーけどさ……。

>《ミラクルゥ〜ファイトォでぇ〜地〜を〜かけ〜ろ〜》
ちょっと時系列前後するけどそのとき!またしてもハマちゃんズの新キャラが参戦した!
ミラクルエースと呼ばれた謎のヒーローは颯爽とマスターキマイラに駆け寄って対峙する!
>「ちょ、もぉお〜!!」
「え?なに、なにしてんのあのおっさん!」
パンチがキマイラにヒットする。攻撃力の代わりに防御力を低めに設定されたキマイラはダメージを受けて怯んだ。
ちゃんと倒せるようにゲームバランス調整されたモンスターだ。適当に設定されたとしあきとは違う。
先に倒すならこっちからだと判断した俺は駈け出した。

「いくぜ大先輩からもらった地獄の炎の威力、とくと見よ!!」
リンクしてない状態の俺の魔法運用は、基本的にパワーの為さをテクニックで補うタイプの戦い方だ。
それでもやっぱり攻撃に足る量の炎を出すには難儀するので、結構技術も疎かになったりする。
炎魔法を極めたとは言え戦闘人としては凡百もいいとこの俺としてはこれが限界。
だがしかァし!!今回は違う!大先輩からもらった炎は、俺の一番のウィークポイント・火力不足を補ってくれる!
つまり、出力に気を使わなくていいだけテクニック発揮し放題というわけなのである!

「メタルクウラ、合わせろッ!」
背後に構える鋼の偉丈夫に応を飛ばし、俺は両腕を広げた。
翼の如く、5対の指先には5対の小さな炎が宿る。羽ばたくように振り下ろす!流星のように炎が走る!
ミラクルエースに迫るキマイラの豪腕、その威力の根幹を為す名刀の如き剛爪。
俺の放った十を数える炎の光条は――キマイラの爪を根本から尽く焼き切った!
爪のない獣の手などただの肉球!ミラクルエースは殴られこそすれ引き裂かれることはなかった!
「今だっ!ぶちかませ!!」

217 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/03(木) 11:24:32.96 ID:KMfAUS0/
>「代わりに……幾つかエンチャントをしてやろう。ほら、『矛の導き』に『寄り添う城塞』と」
>「ジェンタイルも……ほら、起きろ。メタルクウラがお前の尻にエネルギー波を注ぎかねないぞ。
>……よし、おはようジェンタイル。お前にはこれを貸してやろう」

先輩悪魔が指を二回鳴らし、私の体に二つの補助魔法が付与される。
攻撃力と防御力の上昇。
私のエネルギー炉が強化されてエネルギーの生産量が上がり、鋼鉄の肉体も強度を増す。
私にも補助魔法の恩恵があるようだ。
そして、今の状態も私は記憶した。
しかし、私はジェンタイルの穴にエネルギー波なんて危険なものは突っ込まない。
やるとしたら尻尾までだ。

>「勿論、これは一つ貸しだがな。ともあれ今は、
>それを試してみたらどうだ。何とか戦えるくらいにはなっているだろう」

正確な戦闘力の調査は今の私ではできないが、防御力の低いジェンタイルが一撃で死ななかったのだ。
今の私の防御力ならば、あのモンスター達の攻撃でも耐えきれるだろう。

「うむ、感謝する」
ハマタ達も乱入してきたことだし、私も戦闘に参加だ!

ハマタの仲間がキマイラを殴り、キマイラを怯ませる。
あまり強そうな攻撃には見えないのだが、実は相当なエネルギーが込められていたのか?

>「メタルクウラ、合わせろッ!」
>「今だっ!ぶちかませ!!」

「任せておけっ!」
ジェンタイルの炎がキマイラの爪を引き裂き、ハマタの仲間を救う。
キマイラは攻撃後で隙ができている。
私は指先に破壊のエネルギーを蓄積し、キマイラに向かって指先を向け、エネルギーを射出した。
弾丸よりも速い破壊のエネルギーは、補助魔法の効果により通常よりも太い。
まるで、フルパワーで撃った時のようだ。
エネルギーは隙だらけのキマイラに命中し、爆発を起こす。
キマイラの防御力が低かったようだな。
キマイラは木っ端微塵になってしまったぞ。

218 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/04(金) 00:37:10.82 ID:yq5X1j1g
>206
>「あぁ」
やばい、この人マジもんの鬱だ! どう接していいか分かんないよ! とりあえず頑張れだけは禁句だ!
温厚癒し系の地精霊さんに会ったらなんとかして元気づけてもらおう。

>211
>「行こう」
「行こう」
そういうことになった。

「これくださーい」
道中でおやつにカラフルなあられを購入する。
『君の祭日は3月3日じゃなくて5月5日でもなくて4月4日でしょ!』
「細かい事は気にしなくていいんだよ。みんなも食べる?」
振り返るとガチさんがいない。

VIP入場券が無いと入れないから大源泉の入り口で待っとくとしよう。
「しっかしVIP入場券はないわー、次の町で高値で売っ払おう!」
ここでのないわは最高という意味である。
[お気に召さなかったですか? あっちのパーティーと差別化を図るためにこうしてみました]
「うを!?」
入場券から声が聞こえてきた。こんなもんを通信機にすな! ってかあっちのパーティーってなんだよ。
[光の勇者ローゼン! 
拙の助言が欲しくば炎の賢者の一行より先にダンジョンを踏破し其の力を示すのです!]
「へ!?」
ちなみに光の勇者とは、本来はその昔に闇を払い世界に光を取り戻した伝説上の英雄のこと。
美少年説と男装美女説があって未だに学会で激しい論争が繰り広げられている。
光の勇者の仲間に、水の巫女とか炎の賢者がいたりする。
僕が光の勇者に例えられるのは別に不思議はない。なにしろ超かっこいいからな!
問題は”炎の賢者”って誰やねん!? いや、一瞬で分かっちゃったけどありえない! だってあいつ確かに賢いけどアホだもん!
[どちらも昔一緒に旅した大切な仲間……どちらかに肩入れするなんて拙には出来ません。
と、いう訳で平等にレースで決めます。それでは頑張ってください!]
『なーんか怪しいなあ』
と、言いますと?
『あいつ昔自分だけ地味地味言われて人気が出ないのをひそかに気にしてたんだよね。
特に光と炎に対しては内心すごい嫉妬を燃やしてたよ……』
そう言われてみれば急にものすごく胡散臭い気がしてきた……!
精霊の言葉をそのまま受け取ると酷い目に会うのは水精霊に乗っ取られ騒動で立証済みである。
かつての仲間同士に蹴落としあいながらのダンジョン攻略させるなんて美青年精霊め、何を企んでる!?

>217
大源泉のあるはずの場所に行くと、画面中央に大きく【産土の迷宮】という凝った自体のロゴが出た。
「なんだって!? ガチムチサンドの迷宮!?」
そこでは混沌としたバトルが繰り広げられ、丁度豪腕狂獣マスターキマイラが木端微塵になるところだった。
もう一匹適当な外見の不定形モンスターがいる。カーソルを合わせると”としあき”と表示された。
見なかったことにしよう。大体触手なんて出してる時点で嫌な予感しかしない。

「ダンジョン……昔ジェン君のお守りという名目でよく一緒に行ったなあ。
秘密基地なんて作ったりして……あれが区画整理で潰された時無邪気な子供時代の終わりを実感したよ……。
今の小学生は分かんないんだろうなあ」
『戦わなきゃ、現実と!』

219 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/04(金) 23:15:15.86 ID:RcVvk/7n
>「感動した! リヨナちゃん……君は僕の四つ葉のクローバーやあ!」
「ふえぇ!?……あ、あはは!当たり前じゃないですか!
 なんたって私は衛士!この国の皆さんに幸せをもたらすのが仕事ですからね!」

勢い任せなローゼンの言葉はド直球にリヨナの心を貫いて、彼女の視線を彷徨わせ、頬を紅潮させる。

「……も、もちろんローゼンさんは特別ですけどね!」

それから元気よく、けれどもどこか恥じらいを隠し切れていない様子で、そう言い足した。

>「よし、大源泉に行こう!」
「おぉ、いつの間にか空が真っ暗です!楽しい時間はすぐに過ぎてしまうってホントですね!ともあれ行きましょー!」

ローゼンの右腕に自分の左腕を絡め、右手を握って夜空へと伸ばして、リヨナは意気揚々と大源泉へと向かった。
けれどもローゼンの受け取ったVIP入場券を使って門を潜ってみると、そこは昼間の様相をまるっきり失っていた。
大源泉の巨大な器はどこにも見当たらず、代わりに鳥居の立ち並ぶ道と、その導く先に魔獣の口腔もかくやの洞窟の入り口が待ち受けている。

「おりょ?これは一体……?」
>[光の勇者ローゼン! 
>拙の助言が欲しくば炎の賢者の一行より先にダンジョンを踏破し其の力を示すのです!]
「えぇー、そんな力任せな方法でいいんですか!?」
[大丈夫ですよ。単純な力だけで踏破出来るような作りにはしていません]

そして、と地精霊が付け加える。

[このダンジョンが踏破出来たのなら、その時既に、正しい智慧は貴方達の傍らにある。
 何故ならそのように作りましたから。この私、地精霊がね]
「カッコイイ事言いますね!姿は見えないけど間違いなくドヤ顔してそうです!」

ともあれ、ローゼンに付いてリヨナは洞窟に踏み入った。
ジェンタイル達はまだ、入り口付近でまごついているようだった。更にその向こうには、二頭の魔物がいる。

「キマイラ種の……亜種ですか?それに不定形種……」

衛士としての知識でもって、リヨナは魔物の種類を、そして最善の対処法と、それが自分に可能であるかを思索する。
と、そうしている内にキマイラ種は木っ端微塵にされ、不定形種――としあきだけが残った。
ふむふむ、とリヨナが頷いた。


220 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/04(金) 23:17:03.85 ID:RcVvk/7n
「……丁度いいです。一つ、試してみましょうか。……ねぇ、水精霊さん」
《む、ようやく妾の出番かえ》
「ようやくって言うか、何で今までずっとだんまりだったんですか?地精霊さんとか旧知の仲なんでしょう?」
《……その、どう声かけたらいいか考えてたら話進んじゃって……何か言い出しにくくて……》
「何で思春期の引っ込み思案な子みたいになってるんですか!精霊って星の誕生と殆ど同時に生まれたんじゃないんですか!?」

ともあれ、リヨナは足を広げ、腰を落とす。
そして『としあき』に向かって駆け出した。
迎撃の触手を避け、まず右拳の一撃。
通じない。鈍くて緩慢な手応えは、威力が完全に殺された事をリヨナに告げる。

「ふふん、まぁ予想通りです。でも……これならどうですか!?」

続け様に、左の掌打を放った。
手のひらに、水精霊の加護を乗せて。
打撃に対して絶対の防御を誇るとしあきは、避けようとしない。
直撃――直後に、としあきの全身が震え、表面に無数の亀裂が走った。

「そのまま攻撃に使えるほど、水の操作は出来ませんが……
 打撃の際に強く干渉して、衝撃を浸透させるくらいなら私にも出来ます」

反撃が来る前に大きく後ろに飛び退いて、リヨナが薄い胸を張った。

「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!
 さあ、あとはお任せします!光でも、炎でも、エネルギー波でも!叩き込んで蒸発させちゃって下さいよ!」

221 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/04(金) 23:18:34.38 ID:RcVvk/7n
「おいおい、力加減はちゃんとしてくれよ?大暴れして洞窟が崩れました、なんて展開は御免だぞ」

相当な威力のエネルギー波を放ったメタルクウラに、影はやや呆れ気味に忠告する。

「さて、ともあれ戦闘の間、私はする事がないからな。どうしたものか。……おや?」

ふと、影が振り返った。洞窟の入り口にまで来ていたローゼンと、視線が交錯する。

「あぁ、もう来てしまったのか。どうだ?この二人には私が力を貸してやったが、お前にも必要かな?」

冗談めかして影は笑った。
光の勇者が有する絶対的な退魔の力に、悪魔の手助けがいる筈がない。
分かっていて、言っているのだ。

「さて、ともあれ私はまた講釈でも垂れるとするかな。興味がないなら読み飛ばして問題ないぞ。
 

 今日のお題は……『説得力』について、とするか。
 さっき大暴れして洞窟が崩れる、なんて話をしただろう?で、作り話の場合はその直後に
 ヒロインなどに大岩が降ってきて、それを敵だった筈のキャラが改心して助ける。なんて展開にもなり得る訳だ。
 いわゆる『お約束』って奴だな。だが物語と言うのは『お約束』に頼り切っていては、つまらなくなってしまう物だ。
 例えばぽっと出のモブキャラ同然だった筈の奴が実は国を捨て悪の道に堕ちた英雄だったとか、国のナンバーツーだったとか。
 何の取り柄も魅力もない主人公が何故か色んな女にモテたりとか。
 そんな事を言われても読者としては「はぁ、そういう設定なんですか」としか言いようがない訳だ。
 それがつまり、『説得力がない』と言われる状態だな。読者に「やべぇ」とか「かっけぇ」とか思わせたかったら、
 『説得力』が必要不可欠なんだ。勿論、読者の『納得』に必要な『説得力』と言うのは、個人差がある。
 例えば少年ジャンプの読者層なんかは、大した説得力なしでも『お約束』を受け入れてくれるようにな。
 一応断っておくが、より大きな『説得力』を必要とする読者の方が高尚と言う訳ではないぞ。ただあった方がいいのは確かだってだけでな。

 それで、『説得力』の出し方だが……これは幾つも方法があるし、またそれが常に正解だとは言えない。
 その時々でベストな方法を自分で見つけ、考え出さなければならないんだが……まぁ一つ例を挙げておくか。
 
 なんと言っても一番分かりやすいのは『行動で示す事』だ。
 例えば『リヨナはローゼンが好きだ』とただ書いてあるよりも、
 混浴風呂に放り込んだり、事あるごとに頬を赤く染めたりする方が、より『説得力』があるだろう?
 
 だがそれで全てが解決とは言えない。何故なら『好きになる』と言う前提にもまた、当然ながら『説得力』は必要になるからだ。
 何の取り柄も魅力もない、それどころかクールぶった主人公が何故かモテると言うのは、
 それが『読んでいて気分のいい物』である事は認めるが……同時に納得出来ない人間が多く出てくる物であるようにな。
 ところで、ローゼンがリヨナに惚れられた理由は最初「イケメンだったから」だったりするんだよな。
 今ではどうか知らないが……例えばここで「そんな事ありません!ローゼンさんがイケメンじゃないなっても私は好きですよ!」
 とか言われても説得力に欠けるだろう?それは何故か。『他に好きになる要素』が語られていないからだ。
 
 ……と、まぁそんな感じで、『説得力』を支える『説得力』が必要になる場合もある訳だ。
 また例えば『行動』と『設定』は連立して互いに『説得力』を付加しあう関係にもある。 
 その点、『イケメン』と言う設定はそれ以上の説明が不要と言う点で便利だなと思うよ。悪い意味じゃなくてな。
 これが『平凡な顔立ち』だったら過剰にモテたりすると不自然になってしまうし、
 『頭がいい』なんて設定は『行動』や『言動』で示さない限り『説得力』を発揮出来ないから、本当に難しいんだ。
 と、この辺にしておこうか。
 とにかく読ませる相手を『納得』させると言うのは、個人の創作でもTRPGでも変わらず大切な事だと思うよ」


222 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/05(土) 06:17:19.91 ID:IP0ooTx1
>「おいおい、力加減はちゃんとしてくれよ?大暴れして洞窟が崩れました、なんて展開は御免だぞ」

「あぁ、すまなかった。
補助魔法の効果が思ってたより高かったんでな」

>「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!
>さあ、あとはお任せします!光でも、炎でも、エネルギー波でも!叩き込んで蒸発させちゃって下さいよ!」

ローゼン達もこの場にやって来て、ローゼンの仲間が不定形のモンスターを攻撃。
私は彼女の呼び掛けに答え、動いた。

「任せろ!」
私は猛ダッシュをして不定形のモンスターに向かって行く。
と見せかけて、進路上にいたジェンタイルを走る勢いを殺さずに抱き上げて、不定形モンスターの上を大ジャンプで飛び越えた。
着地点はモンスターの後ろのダンジョン入口だ。
私はにこりとローゼン達に浮かべると、ジェンタイルを抱えたままダンジョンの中に急いで入っていった。

223 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/05(土) 08:44:01.32 ID:RpIuV0Lu
>221
>「あぁ、もう来てしまったのか。どうだ?この二人には私が力を貸してやったが、お前にも必要かな?」
「そういえば昔から光と闇の力が合わせると最強になるという都市伝説がある。
ちょっとやってみたい気もする。だが断る」

大先輩が講釈を垂れ始めた。
誰がお前の言う事なんかに耳を貸すか! 聞くなよ? 絶対聞くなよ?

>220 >222
>「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!
さあ、あとはお任せします!光でも、炎でも、エネルギー波でも!叩き込んで蒸発させちゃって下さいよ!」

>「任せろ!」
クウ君がジェン君を避難させ、僕ととしあきの射線上には誰もいなくなった。
あの笑みは僕にとどめをお願いしますという意思表示だ! 可愛い未就学児に頼られたからには応えないわけにはいかない!
「よーし任せとけ、これから説得力全開な倒し方をするぞ! むしろ説得力しかない!」

としあきがこっちに向かってくるが、やる気のないモーションのため移動速度自体は速くない。
あいつ僕を取り込んで溶解液攻めにしようって思ってるな! そうはいかない!
右手を頭上に掲げて魔力を練り上げる。
ソードワールドRPGにおいては男性のみが使える精神属性の純エネルギー魔法。
でもどう見ても演出が光の投槍だからこの世界では光魔法に属する事とする!
そしてそんじょそこらの男よりも超イケメンの僕が使えないはずはない! 我ながらすごい説得力だ!
「ヴァルキリージャベリン!」
丁度いい距離まで接近したとしあきに、光の槍を叩き込む!

精霊術師の目にはこの技を使うときには戦乙女の幻影が見えるらしいよ!
試しにちらっと見てみた。立体視をする時みたいに対象より遠くを見る気分で焦点を外すのがコツだ!
見えた戦乙女はパンチパーマのおばさんだった。というかどう見てもオカン。
「としあきっ! よくも二次裏にアタシのエロ画像うpしたね!」
うわあ、すごい精神的ブラクラだ!
「違う! 俺じゃない!」
必至に弁明するとしあき。(画像はイメージです)
「としあきは一にして全、全にして一……連帯責任っ! うりゃあ!」
ドゴーン。

意味と趣旨が分から――ん! 説得力以前の問題だ! 光精霊、今の何!?
『単なる技の演出で深い意味はないです。定番のままだと面白くないからちょっとアレンジを加えてみた』
そこでオリジナリティ加えんでいい!
でも端から見ればイケメンが光の投槍を放ったようにしか見えないから大丈夫だ問題ない!
つまり前の段落の最初からここまでを飛ばして読めば綺麗に繋がるから是非見なかったことにしてほしい。

とにもかくにも光輝の槍がとしあきを貫いた!
――どうやらここまでのようだな……だが我を倒そうとも第二第三のとしあきが……ぐふっ
ボスキャラを倒した時のような演出で光の粒となって消えていくとしあき。
「やる気のないデザインのくせになんでやられた時の演出だけ凝ってるの!?
まあいいや、早くクウ君たちを追いかけよう!」

224 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/05(土) 12:51:30.86 ID:/TKL6ehs
[――お客様が到着しました。おもてなしを]
地精霊がそう告げ私は部屋を出され操られるままに土の迷宮を歩いたり跳んだり這ったりした。
トラップを避けるためかかなり回り道をしたようだが着いたのは

奇数…中層階のメインストリート近く
偶数…最下層ラスボス部屋

225 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/05(土) 14:47:36.90 ID:/TKL6ehs
私が着いたのはダンジョン最下層と思われる1階分のマップサイズ全部を使った広い広い部屋だった。
その中央に私は入口の方を向いて立たされる。

[――お客様がこの部屋に入ったら戦闘開始です]
「ちょ、ラスト戦闘を外注するつもりか?」
意外にも普通に喋れた。首から上は地精霊の拘束から外れたようだ。
[――拙が直接操るので外注でも業請でもなく派遣もしくはアルバイトの筈だが]
「…戦闘業務は労働法の範囲外だぞ、多分。ていうか派遣だとしたら派遣業者には何が相当するんだ?」
[――強いて言うなら精霊との契約を拒んだ夷の一族なる集合体?]
“お客様”が着くまでここで地精霊と殺伐漫才していろという事だろうか。

「因みに“お客様”が着いて戦闘開始した後でもオレは喋れんのか?」
[――その方が面白いだろう?だからフード外してやった]
そう言われてみれば着ぐるみのパンダの顔のフードはだらりと首の後ろに下がっている。
「なっ…温泉で支給された着ぐるみにそんな罠が…」
[――夷の一族は無駄に体格がいいからな。
あぶり出すために拙が温泉で用意する浴衣のサイズを規定しそれが着られぬ者に渡す呪を仕込んだ着ぐるみも用意した]
「じゃあ街で見かけた黄色いネズミの着ぐるみ着た子供とかは何なんだよ」
[――カモフラージュという言葉を知らんか?]
どうももう少し地精霊を問い詰める必要があるようだ。

226 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/05(土) 19:26:15.79 ID:YyUygrYq
>「あぁ、すまなかった。
  補助魔法の効果が思ってたより高かったんでな」
「ははは、褒めたって何も出ないぞ。ま、当然の事だ。何せ私は……悪魔だからな」

これ以上ないほどに得意げな笑みを浮かべて、影は宣言した。
説得力の話をしたばかりだと言うのに、ひどいものである。

>「任せろ!」
「おいおい、私を置いていくつもりか?」

影が指を弾いた。瞬間、影の姿が地面に溶けて、先を走るメタルクウラの足元から再び現れた。
疾駆するメタルクウラに対して影は涼しげな表情と直立の姿勢のまま、しかし距離を離さないでいる。

「ところで一つ、この状況における問題を提示してみようか。それは『何が正しい行動なのか』だ。
 例えばこの洞窟における全員の共通した目的は『相手よりも先に最深部に到達する事』だ。
 じゃあその為に最適な行動とは?こうして先駆けをする事か?」

腕を組んだ状態から右手の人差し指を立てて、影が語り出した。

「実は違うんだよなぁ。何せ相手は光の勇者だ。アイツがその気になれば私達の背中を射抜く事は何処までも容易い。
 だがそれは立場が逆転しても同じだ。この洞窟の暗闇全てが私にとっては刃となるし、
 お前やジェンタイルは狭い洞窟では逃げ場のないエネルギー波や炎を放てる」

くつくつと、喉を鳴らして影は続ける。

「となると、実はこのレースで相手の前に出るのは不利な事だ。だが相手の前に出なければレースの勝利、
 つまり目的達成が叶わなくなる。だとしたら最適な行動とは?矛盾した命題『相手に後ろを取られる事なく、前に出る』の解答は?
 バック走なんて答えは無しだぞ。……正解は、相手を叩き潰した上での前進だ」

答えを紡いでから、影が口角を吊り上げた。

227 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/05(土) 19:26:54.95 ID:YyUygrYq
「だがおかしいな。それならば、わざわざこの洞窟でレースをする必要自体がなくなってしまう。
 競争相手を、意見の異なる相手を排除する事で問題解決を図るのならば、世界を変える知識なんて必要ないからだ。
 自分の意見にそぐわない相手を一人残らず、生き返れないくらいの消し炭のにしてやればいい」

指先に地獄の炎を灯してジェンタイルの顔を照らし出し、影は視線をそちらへ流す。

「さて、ここで問題は二つの分岐を提示する事になる。つまり『相手を殺す事が問題解決である』
 と言う結論Aを最終的な結論として思考を終了するか。
 あるいは……結論Aを間違ったものとして、異なる結論Bの模索を始めるか、だ。そして……おっと」

更に継続しようとした語りを断ち切って、影が立ち止まった。

「そう言えば、さっき『前に出たら背中を刺されるから不利』なんて話をしただろう?
 だが他にも、不利になるパターンはあった。例えば――」

影の言葉に覆い被さって圧殺するように、大音声が響いて洞窟を揺るがせた。
両耳を手で塞いでいた影は、『声』が鳴り止むのを待ってから、続ける。

「そう、このように……新たな障害に直面した時だな。
 後ろにいる連中は障害の正体をある程度見極めてから、更に競争相手を板挟みにしてやる事も出来る」

悠々と語る影を、頭上から巨大な一対の光が睨んだ。
眼光だ。ヘッドランプの光では全貌が照らせないほど巨大な存在が、一寸先の闇にそびえ立っていた。

「地の属性は五行に従って金の属性を生む。金属生命体のゴーレムだな。
 機械生命体のお前とは親戚に当たるかもしれないぞ。挨拶でもしておいたらどうだ?」

影が冗談を飛ばして、直後に降り注いだ金属の拳に姿を掻き消される。
しかし影は何事もなかったかのように、いつの間にかメタルクウラの隣に立っていた。

「この手の魔物は体内の核を潰してやれば沈黙する物だが、それを補うべく驚異的な回復能力を持っている。
 捕獲すれば資源として活用出来るらしいが……この状況では厄介なだけだな。はっはっは」

獲物を逃がしたゴーレムは再び、今度は傍に立つ二人も巻き込むように、影へと拳を落とした。

【敵:ゴーレム、金属性、体内のどっかに核があるけど回復力パネーよ。でかいし固いし重いけど遅いよ】

228 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/05(土) 21:56:40.93 ID:DFBRd35k
>>217>>218
メタルクウラとジェンタイル、そして後詰のローゼン&リヨナのご活躍によりキメラ&としあきは
夜空へと旅立っていった。
としあきの遺体を蹴り飛ばしながら浜田が呟く。
「このボケッ!!なんや、大したことあらへんやないか。俺を虐めた罰や。」
さっきまでビビっていただけの癖に器の小さい男である。

浜田は次に、リヨナとローゼンの元に紙袋を手にして走り寄る。
「すまんな、君らの分もお礼や。光精霊のストラップ、増産決まったで。」
ゴソゴソと紙袋を探る浜田。
「どうも、ミラクルエースや。チョコが出てます。3粒です。」
いつの間にか浜田の付き人と化していたミラクルエース(正体不明)
がローゼンの手のひらにチョコを握らせる。
にんまりと笑う浜田は、完全にローゼンを子供だと舐めているようだ。
飴やチョコでギャラになると踏んでいるらしい。
リヨナにはブロマイド(ローゼンの寝顔)を渡す。
「君にはこれや。しっかし、凄い技やなぁ。
精霊って案外使えるもんやな。……しっかし寒気がするわ。
なんか頭も痛いし。」



229 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q :2011/03/05(土) 21:58:24.97 ID:DFBRd35k
>「任せろ!」
「って、えぇええ!?なに抜け駆けしてるんですか!汚い!流石悪役チーム汚いです!」

としあきのトドメを残して先に行ってしまったメタルクウラに、リヨナは驚きを隠せなかった。

>「よーし任せとけ、これから説得力全開な倒し方をするぞ! むしろ説得力しかない!」
「きゃー頑張ってください!ぶっちゃけカッコ良くて面白ければ説得力なんてどうでもいいんですけどね!」

と言うと「じゃあ説得力なんていらないじゃん」などと言い出す人間がいそうだが、リヨナが言ったのはあくまでも『面白ければ』だ。
基本的には面白くする為にこそ、説得力が必要なのだ。説得力なしに面白さを表現出来るのは、才能のある人間だけである。
と、嫌みたらしい補足はともかく、リヨナは両手を口の左右に添えて歓声を飛ばした。

>「ヴァルキリージャベリン!」

光の槍が投擲される。何やら色々と不条理で正気度が加速度的に摩耗させられそうな演出があったようだが、
知性も魔法適性も大した事のないリヨナは全くの無事だった。弾けた閃光で目が眩まないように右腕で覆っている。

>「やる気のないデザインのくせになんでやられた時の演出だけ凝ってるの!?
 まあいいや、早くクウ君たちを追いかけよう!」
「綺麗さっぱり消し飛びましたね!お見事です!さあ行きましょうか!」

ローゼンを褒め讃えつつ、意気揚々とした様子で右腕を上げ、リヨナは洞窟の更に奥深くへと踏み込んでいく。
だが一方で、足元の闇に沈んだ何かおかしな物で転ばないように足は高く上げ、なるべく垂直に下ろしたり、道標として特殊な石を落とすのも忘れてはいなかった。
かくして前進すると、前方で再び理知なき野性の咆哮が響いた。一応自分でも持ち込んでおいた松明を掲げる。
咆哮の主の姿が、あらわになった。

「……ゴーレムですね。まるで鏡のようです。金の属性は五行に照合するなら
 水に弱いものですが……私じゃちょっと力不足ですね」

獰猛な鈍色の反照を見せるゴーレムに対して、リヨナは再びこの場の戦力と実行可能な戦術を思考する。

「うーむ……いや、倒せない事はないんですよ?そりゃ勿論倒せますよ?衛士ですし?
 でも世の中適材適所って言葉がありますし?私よりずっと上手に出来る人がいるならそうした方が当然いいですし?」

殴打に際して返って来る、水に波紋が広がるように骨に染み入る痛みに、変な声でも零してしまったら事だから、とは言える訳がない。
つい今しがた思い出したような性癖設定に首を傾げて、リヨナは気乗りしない様子で唸っていた。




230 :矢車 ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/05(土) 22:09:25.23 ID:DFBRd35k
>>248
「とんでもなく深い闇だな……いや、闇自身か?」

大先輩の背後に立つのはうらぶれた様子の青年、矢車想。
今はしがない派遣社員である彼は、パーティの後方から
やる気なさげに現われた。

>「……ゴーレムですね。まるで鏡のようです。金の属性は五行に照合するなら
>水に弱いものですが……私じゃちょっと力不足ですね」

リヨナの言葉と共に矢車の元へバッタの形を模した精霊のような何かが飛んでくる。
矢車の足元をピョンピョン跳ねながら何かを急かすようにしている。
「……またお前か。」

腰に巻いた銀色のバックルのスイッチを押すと同時に、バッタが矢車の手へと収まる。
深く溜息を吐き、目の前のゴーレムを見据え呟く。
「ハァ……変身。」

《CHANGE KICK HOPPER!!》

バッタ型のコアが音を響かせながら矢車の全身を某仮○ライダーのような
容姿へと変貌させていく。
全身緑のスーツの中、紅い目だけが不気味に光る。
俗に言うカッコイイヒーローの変身シーンのはずなのだが、何かが違う。

「――誰か、俺を笑ったかぁ?」

自嘲するような矢車の声が響くと共に、ゴーレムへ向かい
連続した蹴りを放った。




231 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/06(日) 01:10:24.35 ID:9pifqkpz
>「任せておけっ!」
マスターキマイラが木っ端微塵に砕け散る。
なんつーデタラメな威力!これが補助魔法でブーストかけられたメタルクウラの真骨頂。
辺境村でよく勝てたな俺……あれはどっちかっていうと河原で殴り合うのに近かったけど。
メタルクウラは昔っから論理を重んじる奴だった。こいつが本気で暴力に訴えれば、俺なんか骨も残んねーよ。
安直にそれをしないのがこいつのいいところなんだけど☆
さあ、勢いもあることだしこのまま一気呵成にとしあきも片付け……
「あ、あれ?あれれれ?」
ガクゥーっと膝から崩れ落ちる。足が笑って上手く立てない。そんでもって脳裏をよぎるはあの言葉。
>――『ただ、使う度に魔力だけじゃなく、体力まで削られるから気を付けろよ』
急いでステータス画面を開く。げェー!HPめっちゃ削れとるやん!
HP残り1しかないのに普通に戦えてる奴いるけどありゃ嘘だね!ソースは現在の俺!
<<1HP=骨一本折れるダメージらしいな公式設定だと>>
マジで!人間の骨は200本近くあるとは言うけれど、HP999の連中とかどんな化物だよ。
残りHP1って折れてない骨が一本しかない状況なの!もうほとんどクラゲやんそれ。
とにかく俺は動けなくなってしまった。あの悪魔め……もー使わねーぞあんなもん。

>「そう、これぞ名づけて【振動圧】《テイククエイク》です!」
としあきの居る方から聞き覚えのある声が聞こえた。
運動神経と言語野が直結してそうなこの声は……リヨナさんじゃねーか!
>「ヴァルキリージャベリン!」
追随するように跳んだ声と、目を焼かんばかりの眩い極光。ローゼンとこのオカンの幻影。なんで!?
としあきの軟体が貫かれ、霧散四散していく光景。その向こうに、やはり知った顔がある。
「ローゼn――」
>「任せろ!」 
「ぐええっ!?」
俺の網膜がその姿を確定する前に、ぶっとい鋼の腕が俺の腹を抱えて牽引した。
肺の中身を残らず吐き出しながら、ドップラー効果的なものを残して俺はダンジョン内へと運搬された。

>「ところで一つ、この状況における問題を提示してみようか。それは『何が正しい行動なのか』だ」
メタルクウラの脚力で洞窟内を駆け抜けながら、抜け目なくついてきていた大先輩が問う。
セリフ丸々引用するのは流石の俺でも気が引けるので要約すると、この場で先んじるのは可か否かっつー話。
早い者勝ちだという地精霊のルール決めこそが罠。弾除けじゃないけれど、後手に回った方が有利なこともある。
>「そう、このように……新たな障害に直面した時だな」
進む俺たちの前方、そう広くない洞窟の直径を埋めるような体躯の、巨大な巨人がそこにいた。
話変わるけどレディファーストの語源って知ってる?あれの元ネタって紳士的行為なんかじゃないんだぜ。
むしろ大昔、女性の社会的地位がまだ低かった頃、ブービートラップを先に踏ませるために前を歩かせたんだってさ。
話し戻すけど哀れ俺たちは、毒見係のごとく、このダンジョンのトラップの試射台となっちゃってるわけです。
「ぎょええええーーー!」
降ってきた巨大質量の拳を横っ飛びで回避。瓦礫の波濤に押し流される。
>「地の属性は五行に従って金の属性を生む。金属生命体のゴーレムだな」
「おわー、精霊ってそんなことまで出来んの?」
<<汝も似たようなことをやっていたろう。地精霊め、依代か代行契約者でも見つけたか?>>
[左様。なんと親切にも『ご自身の意志で拙に協力して頂ける方』が見つかりまして]
またしても雫から音声が響いた。つまりどういうことだってばよ?
<<――地精霊側に人間の協力者がいるということだってばよ>>

232 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/06(日) 01:14:54.85 ID:9pifqkpz
協力者。人間の協力者。
それって結構ヤバいことである。精霊ってのは根本的に主体性って奴がない。
どこにでもありふれていて、同時に『一にして全、全にして一』的な存在でもある。
例えば炎精霊だけでも数えきれない種類の個体がいるが、個体独自の意識はかなり乏しい。
炎精霊は全て同一の炎精霊であり、今こうやって俺と契約してる炎精霊は小分けされた一欠片に過ぎないのだ。
いわゆる"統合思念体"。それ故に、交渉による論破・説得は難しくない。
確固たる意志がないから。ヒトと契約してはじめて、その膨大な力の方向性に指針を持てるのだ。
ちょっとめんどくさい話になったけど、要するに『契約した精霊は手強い』。そういうことである。

さて、五行相剋的に言えば金属性のゴーレムに対して炎属性の俺の相性は抜群だ。
普通に戦ってもいいんだけど、HP・MP残量がとても気になる。ダンジョン探索でMP温存は鉄則ですし。
>「――誰か、俺を笑ったかぁ?」
仮面ライダー的な生物が俺たちの前に踊り出て、ゴーレムの向こう脛にローキックを連発。
「よーし俺たちも加勢だ!あいつに効くのは炎……だったら!」
俺は懐からスマートフォンを取り出し、快適速度でブラウザを開く。
MPを使わず硬い敵に効果的な炎属性ダメージを与えるには。
「地精霊のブログを炎上させる――!」

大源泉で貰ったパンフに記載されていたURLを入力し、地精霊公式ブログ『地だまりスケッチ』にアクセス。
案の定コメント欄は夕方から温泉が機能していない件で荒れていた。専用BBSにもトピックスが立っている。
「メタルクウラ、片手間でいいから演算脳借りるぞ」
無線LANを用いメタルクウラのCPUを間借りする。
機械生命体であるメタルクウラは、そのスペックを保つために高性能の演算機能を積んでいるのである。
その廃スペックを存分に使い、俺はブログにアクセスを繰り返すスプリクトを組んで実行した。
DOS攻撃――F5爆撃とも呼ばれるこの攻性プログラムは、ひたすらブログを読み込みまくることで、
サーバーに過負荷をかけ処理落ちさせるという10年前ぐらいに流行ったサイバー攻撃だ。
今じゃどこも対策され尽くして使えっこない手法だが、精霊の世界(?)は今だモー娘。の流行ってる時代!

<<じゃあ吾BBSの方で地精霊を騙って名無しを煽りまくってくるわ>>
[ちょっ、やめてください炎精霊!悪質な書き込みはアク禁にしますよ!]
「もう遅いッ!既にサイバー攻撃の手筈は『完了』しているっ!くらえ電子決殺――田代砲!!」
地精霊の制止を無視して、俺はスプリクトの実行ボタンを押した。

233 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/06(日) 03:16:02.99 ID:UUwPmFBN
>「地の属性は五行に従って金の属性を生む。金属生命体のゴーレムだな。
>機械生命体のお前とは親戚に当たるかもしれないぞ。挨拶でもしておいたらどうだ?」

「おいおい、いくら同じ金属でできているとは言え、相手は地精霊の作り出したモンスターだぞ。
適当に作られた奴の親戚にされては、私や他の機械生命体の親である者達に失礼だぜ」
ゴーレムは先輩悪魔を狙い攻撃をする。
一度目は先輩悪魔に当たったかに見えたが、先輩悪魔の残像を掻き消しただけで、先輩悪魔は私の隣に現れた。
二度目はその現れた場所に拳を振り下ろす。
そう、私を巻き添えにしてだ。
私は振り下ろされたゴーレムの拳を両手で受け止め、拳を蹴り返す。
こんな芸当ができるのも、先輩悪魔のおかげだ。

私がゴーレムの拳を蹴り返し、ゴーレムの腕は跳ね上げられて、体勢を崩す。
その隙を突いて仮面ライダーのような奴が現れて、ゴーレムにローキックの連打を放つ。
後ろを振り返ってみれば、ローゼン達が追いついていたので、声を掛けた。

「おい!はさみジャガーはどこだ!」

>「メタルクウラ、片手間でいいから演算脳借りるぞ」
ちょ!?くぁwせdrftgyふじこlp

>「もう遅いッ!既にサイバー攻撃の手筈は『完了』しているっ!くらえ電子決殺――田代砲!!」

「ビィーーー!!!ビィーーー!!!緊急事態発生!!!緊急事態発生!!!」
『『『『『大丈夫か!!!メタルクウラ!!!』』』』』
《メタルクウラは仲間を呼んだ。
メタルクウラAが現れた。
メタルクウラBが現れた。
メタルクウラCが現れた。
メタルクウラDが現れた。
メタルクウラEが現れた》

『くっ、CPUを乗っ取られるとは……』
『メタルクウラNo.774よ、俺達が来たからには大丈夫だ』
『貴様がやったのか?死ぬ覚悟はできるのだろうな?』
『待て、メタルクウラNo.893。No.774を正常に戻すのが先だ』
『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』

《メタルクウラ達はジェンタイルを取り囲んでいる》

234 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/06(日) 12:05:08.47 ID:GaY3EzvQ
>228
>「すまんな、君らの分もお礼や。光精霊のストラップ、増産決まったで。」
『当たり前だ、こんなに美少年な我が売れないわけがない!』
>「どうも、ミラクルエースや。チョコが出てます。3粒です。」
「おっ、よく分かってるじゃん!」
3粒でギャラになる程の値段ってことはMP回復用のチョコに違いない。即座に一粒口に放り込む。
【MPが5回復した!】
ほらやっぱり回復した。でも回復量が少ないような……。プラシーボ効果? 知らんがな。

>229 >233
ゴーレムが現れた!
>「おい!はさみジャガーはどこだ!」
「はさみジャガー? じゃがりこならここに!」
>「うーむ……いや、倒せない事はないんですよ?そりゃ勿論倒せますよ?衛士ですし?
 でも世の中適材適所って言葉がありますし?私よりずっと上手に出来る人がいるならそうした方が当然いいですし?」
「ふふっ、あんなデカいだけの玩具は僕がチャチャっと片づけてやる」
といったもののあんな鏡みたいな装甲にレーザーなんか撃ったら自分に跳ね返ってくる予感しかしない。
でも光属性は四大からも五行からも独立している存在。つまり使い方によってどうにでもなるという事だ。
光とは可視光線だけではないわけでマイクロ派を照射して電子レンジ攻めにするか?
否、自己修復機能を持つ相手にそんな事をしていたら埒があかない。
ここは1ターンを使ってでも弱点を見抜くべき! 核に総攻撃を仕掛ければこっちのものだ!
「シースルー」
ゴーレムを透視する。そんな事が出来たら変態が光精霊と契約したら最悪だって?
大丈夫、これを悪用するような変態は光精霊とは契約できない!

「こっ、これは……」
透視してみて、僕は途方に暮れた。地精霊め、考えたな……! 
核はすぐに見つかった。でもとてもスタイリッシュイケメンな僕の口からは言えない!
いつの間にかクウ君が増殖していて誰か(多分ジェン君)を取り囲んでいた。
早く何とかしないと大変なことになる!

> 『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
それを聞いて、ジェン君を助けゴーレムを倒す一石二鳥の名案を思い付いた!
「クウ君達! それはジェン君じゃない! あのデカいのがジェン君だ! 行けええええええええええええ!!」

235 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/06(日) 18:01:29.82 ID:Hm7NpsO5
>「あ、あれ?あれれれ?」
「おいおい大丈夫か?ジェンタイル。ダイの大冒険を思い出せ、HPが1になった時にこそ見える物があるだろう。
 例えばお花畑とか、綺麗な川とか、数え切れないほどのローゼンとか」

縁起でもない事を言いつつ、影はジェンタイルに戦闘を促す。

「さて、相変わらず私はバトル中手持ち無沙汰なんでね、さっきの話の続きでもしようか。
 つまり『自分の意見にそぐわない者は皆殺しにする』結論Aを捨てて、結論Bの模索に移行する、という話だ。
 どうでもいいが、この話は何となく『正義の話をしよう』ってフレーズを彷彿とさせるな。
 悪魔が正義の話と言うのもおかしな話だが……まぁいい」

バトルパートなのかギャグパートなのか判断し難い喧騒は右から左へ聞き流して、影は語り始めた。

「ともあれ、結論Bを模索するに当たってまずしなければならない事がある。
 それは前提条件の変更だ。結論とは幾つもの前提を元に構築されている。
 【意見の異なる相手を皆殺しにすれば理想の世界が出来上がる】と言う結論の下には
 『目的は勝利である』『競争相手に勝たなくては目的達成が出来ない』『だが前に出ては背中を刺され不利になる』
 『なら背中を刺される前に相手を倒してしまえばいい』『しかし競争相手を勝利の前に排除するなら、最早競争に意味はない。だったら〜』
 と、こうして幾つかの前提がある訳だ。じゃあこれらの内、どれを覆す?
 どこをどう変更すれば結論Bは最適な物になり得ると思う?」

懊悩を手招きしている事に愉悦するように、影が笑う。

「競争の勝利条件を相手の排除そのものにするか?背中を刺される前に逃げ切ってみるか?
 もしくは相手が背中を刺す筈がないと信じるか?それとも……」

一瞬、言葉が途切れた。
一拍の沈黙の内に、影は周囲の面々に視線を巡らせる。

「競争相手に勝たなくてもよくて、かつ目的を達成出来る術を探すか、だな。勿論、単に諦めるって手もあるが」

一通り喋り終えてから、影が「そんな物があるかどうかは別としてな」と付け加えて挑発的に笑った。

>『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
「……って、させるかぁあああああああッ!!これ以上のキャラ崩壊は一切許可しないぞ私は!!
 何の為にギャグパートガン無視して延々と厨二病一歩手前の講釈を繰り広げたと思ってる!!」

物凄い勢いと剣幕で影が指を弾いた。
影の足元から闇が立ち上がり、四方を防護する柵の形を得て、五体のメタルクウラを拒む。

「やるならジェンタイルをやれ!ジェンタイルを!」
>「クウ君達! それはジェン君じゃない! あのデカいのがジェン君だ! 行けええええええええええええ!!」
「あぁそうとも!さぁ行け!今年の夏は薄い本が出るなぁ!ははははは!」

半ばヤケクソ気味に、影がゴーレムを指し示して哄笑していた。

236 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/07(月) 02:55:40.42 ID:+Z6TNobd
>「君にはこれや。しっかし、凄い技やなぁ。
 精霊って案外使えるもんやな。……しっかし寒気がするわ。
「おぉお!ありがとうございます!でも盗撮は犯罪なので後で事情聴取しますね!
 隠してる品があったらそれも押収です!……あと、使えるなんて道具みたいな言い方は、感心しません」
《前半部分さえなければ感涙物のセリフじゃったのに!》

少しだけ声のトーンを落として、リヨナが諫言を零した。
とても真摯な振る舞いに見えた筈である――その前に欲望丸出しの発言を駄々漏れにしていなければ。

>「地精霊のブログを炎上させる――!」
「えぇー!無事ゴール出来るかすら地精霊さんの匙加減一つなのに恐れを知りませんね!?
 て言うかここって地精霊さんの手のひらの上、あるいは腹の中ですよね。
 あれ、何か不吉な事を言っちゃった気がしますよ私!」
《巨大生物の腹の中がダンジョンって、冷静に考えるともの凄い恐怖なんじゃが。
 生殺与奪権委ねすぎじゃろう常識的に考えて。ジャブジャブ様の腹の中とか》

巨大なラスボスが律儀に主人公達を狙ってくれるのも、よくよく考えてみればお約束の一種だ。
勿論、媒体がゲームである以上そこは目を瞑る所なので気にしたら負けである。

>「ふふっ、あんなデカいだけの玩具は僕がチャチャっと片づけてやる」
「カッコイイですね!素敵です!もうますます好きになっちゃいます!
 でも死亡フラグの臭いがプンプンするので気をつけて下さいよ!自動車事故だって慣れた頃が一番危ないんですから!」

リヨナは延々と叫び通すだけで、ゴーレムに攻撃を仕掛ける気配はまるでない。
完全に外野の気分になっているようだ。

>『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
「最近めっきりガッチーさんを見なくなったと思ったら何で立派なホモキャラになってるんですか!?
 そこは空席でも全く問題ありませんよ!?」

そもそもガッチーがホモキャラだと言うのは完全にリヨナの思い込みなのだが、それは今更払拭出来るものでもなかった。

237 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/07(月) 21:23:17.89 ID:dKyzQPeO
ジェンタイルやローゼン達が必死にゴーレムとの戦いを繰り広げている中、
浜田は悪寒に震えながらバファリンを口にしていた。
ミラクルエースがベルトのバックルから取り出してくれたのだ。

《俺やがな。浜ちゃ〜ん、はよ気付いてやぁーかぜの精霊ry》
浜田の頭の中で、誰かの声が聞こえる。きっと幻聴なのだろう。
しかし、うっすらと黄色の伊達めがねをかけた男の姿が見える。

「すまんな、ミラクルエース。なんか頭がごっついたなってん。」

ミラクルエースはゴーレムの足元にパチンコで爆竹を投げ込みながら
浜田の様子を見つめていた。
「気にせんでええんやで。俺の半分は優しさで出来てるからな。
しかし、この爆竹全然効いてへんなぁ。不良品ちゃうか。」

そんな浜田達の背後で不気味な呻き声が聞こえる。
振り向いた先には、頭をハゲ散らかした気持ちの悪い妖怪みたいなのが
いる。
よく見ると、そいつは山崎。いや、地の精霊に操られた
「ヤマラム」であった。

「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」

何事かを叫びながらヤマラムは凍えるような妖気を放ちながら
ゴーレムと戦うパーティ一行に襲い掛かった!!
ジェンタイルの横では正体不明の外人美女が片言で何かを言っている。
「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
しかしそれは、凄まじい棒読みである。

―その頃、ダイナマイト四国は。


「地の精霊さん。中々強いなぁ、こりゃ参ったよ。
次はミートカーソルをオートでやらせてくれてもいいかい?
え?ダメ?そこを何とか頼むよ・・・」

ダイナマイト四国は地の精霊と一緒にパワプロをしていたのであった。



238 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/07(月) 23:58:27.73 ID:+Z6TNobd
>「ビィーーー!!!ビィーーー!!!緊急事態発生!!!緊急事態発生!!!」
「え、なに、何が起こった!」
メタルクウラが突然けたたましい電子音的な声を上げた。
同時に何か大量の物体がこちらへ向かって全力疾走してくる気配。
>『『『『『大丈夫か!!!メタルクウラ!!!』』』』』
「ぬわーーーーーーーーーっ!?」
五人くらいの量産型メタルクウラが出現し、俺たちを取り囲む!
なんという地獄絵図。俺は臀部が無意識にキュっと引き締まるのを覚えた。
>『そうだ!No.774がよくメールで伝えるジェン君と先輩悪魔を掘るのが先だ』
「俺言ったぞ!!何回も言った!!くそみそは自重しようって!!!何回言わせんだ!!!」
>「やるならジェンタイルをやれ!ジェンタイルを!」
「あっこの野郎!メタルクウラ!大先輩がブリーフ一丁の扇情的な格好でお前を誘惑してるぞ!」
醜い被害の擦り付け合いだった。パーティーの信頼関係とかあったもんじゃない。
やっぱ人間こうじゃなくっちゃ!助け合いなんてウソウソ、みーんな水面下じゃ足踏みあってんだよ!
>「クウ君達! それはジェン君じゃない! あのデカいのがジェン君だ! 行けええええええええええええ!!」
そのとき!掃き溜めに鶴の一声。
なんかもうあらゆる意味で光の勇者ローゼン様の出した号令によってメタルクウラ達はゴーレムに跳びかかる。
俺たちの貞操は守られた。守られたけどガチムチメタルマッチョに圧迫されたストレスで俺は死にそうだった。

「っへ……世話かけちまったなローゼン……ゴフッ(吐血)」
もみくちゃにされへなへなになって地面に崩折れる。HPの緑ゲージが小指の先ほどもなかった。
これがモンハンならHPギリギリで各種パラメータUPするところだけど残念ながらこの世界はドラクエ準拠である。
ステータス画面が真っ赤になるだけだった。走馬灯のようにこれまでの冒険の数々が頭をよぎる。
……やべー、ロクなことした記憶がねえ。
今まで何やってたんだっけ俺たち。かに将軍で宴会やって湖畔村で縁日行って……温泉村で温泉入って。
「ただの観光旅行じゃねえかっ!」
なんで死にかけてんの!?
<<ふー煽った煽った。ID真っ赤になるまで張り付いてやったわ>>
[四大精霊使ってやることがこれですか!こっちは忙しいというのに余計な仕事を……]
>『次はミートカーソルをオートでやらせてくれてもいいかい?え?ダメ?そこを何とか頼むよ・・・』
後ろでパワプロのBGM聞こえてんだけど!何遊んでんだこっちがバトル展開やってる裏で!
<<よくわからんがミニモニじゃんけんぴょん的な話してる?>>
ハロプロじゃねーよ!ああ、野球拳ともかかってるのね!よくわかってんじゃねーか!

劣勢だったゴーレム戦は次第に押し返し始めてきている。なんだかんだで総力戦だもんな。
こっちには四大精霊2柱に光精霊、大悪魔に機械生命体、芸人とフルメンバー、いやガッチーがいねーや。
「あれ?そういえばガッチーどうしたの?お前らと一緒のパーティーじゃなかったっけ」
ってな感じに話の核を捉えんとしたそのとき!
>「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」
「ぎゃあああああ!水死体みたいなんがおるううううう!」
新手のモンスターか!?「くさった死体」の親戚的なもんか!?
>「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
突如として隣から発せられたカタコトに俺はビクっとなって振り向く。知らないお姉さんがいた。
「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
 ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」

239 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/08(火) 01:45:02.92 ID:z3uuMppx
>236
>「カッコイイですね!素敵です!もうますます好きになっちゃいます!
 でも死亡フラグの臭いがプンプンするので気をつけて下さいよ!自動車事故だって慣れた頃が一番危ないんですから!」
「大丈夫、初日で事故死して以来ペーパードライバーだからな!」
裏の意味は初日に死んで以来まだ死んでいないという事だ。

>237-238
「っへ……世話かけちまったなローゼン……ゴフッ(吐血)」
ボロボロになって崩れ落ちるジェン君の上半身を抱きおこす。
「死ぬな! くっ……、こんな世の中に誰がした!?」

>「あれ?そういえばガッチーどうしたの?お前らと一緒のパーティーじゃなかったっけ」
「はぐれたんだけど。そっちにもいないか。今頃シドってたらまずいなあ」

操られてるっぽい山ちゃんが現れた。
>「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」
なるほど、すべる事への恐怖に付け込まれて操られているんだな!
「滑る事を恐れるな! すべったっていいじゃないか!」
歩み寄ろうとして、なぜか地面に落ちていたバナナの皮を踏んで滑って転んだ。孔明の罠だ!

>「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
地精霊も環境破壊する人間に怒っているのか! だとしたら迷わずこっち側に力を貸すべきじゃないか?
そりゃあ人類滅亡させれば環境破壊は無くなるけどそういうわけにも……わけにも……。
『ガクガクブルブル』
水精霊の時に全てお見通しでご主人様乗っ取らせて余裕綽々だった光精霊がガクブルしとるー!?
>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
 ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」
『ごめん、環境破壊云々は誰かさんの十八番なんだ……。
気を付けないと蘇生システムの是非と並ぶストーリーの根幹になりかねないぞ!』
「んみゅ? 何を言っているんだ光精霊。とにかく水精霊さんお願い!」

240 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/08(火) 06:25:22.44 ID:S8Mpk5jd
うむ、私のCPUは復旧したようだ。
援軍にやって来た5人の私が場の空気を読んでか、ゴーレムに襲いかかっている。
ゴーレムの金属掴み取り大会って奴だな。
一人を除いて嬉々としてゴーレムの金属をもぎ取っている。
5人の私達は私が目覚めるのを見ると、一人を除いて帰って行った。
彼らにも別の世界での生活があるのだ。
この場に留まってばかりではいられない。

>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
>ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」

『帰る前に本物のジェン君にプレゼント!』
No.1000のあいつには催促されたので、画像付きで色々とメールを送ったからなぁ。
No.1000は場の空気を読んで自重してたのだろうな、ジェンタイルの尻に尻尾をしっかりと突っ込んでから瞬間移動で逃げて行きやがった。
この一撃でジェンタイルの世界が変われば、私達の旅の目的は果たされるのだろう。

私は私達の手によって露出されたゴーレムの核を、目から放った破壊光線で爆破した。
これで、邪魔者抜きで話し合えるだろう。
私もおそらくは邪魔者にしかならないであろうから、私はみんなよりも先に進んでいく。
私の何かが訴えてくるのだ。
この洞窟の最奥で私達を待っている者がいると。
私に対するイベントが何も無ければ、先輩悪魔の補助魔法で地を蹴る力も大幅に上がった。
すぐに私達を待つ者に出会えるであろう。

241 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q ::2011/03/08(火) 21:28:53.90 ID:kdWiXD4c
>「あれ?そういえばガッチーどうしたの?お前らと一緒のパーティーじゃなかったっけ」
>「はぐれたんだけど。そっちにもいないか。今頃シドってたらまずいなあ」

「うーん、私も分からないんですよね。どこ行っちゃったんでしょう。
 ……でも、何でジェンタイルさんがガッチーさんの事を気にするんですか?」

首を傾げて疑問を零したリヨナは、しかしすぐに口元に手を当てて「あっ」と気不味そうな声を上げた。

「いえ、何でもありません!勿論私は衛士ですから、万が一ジェンタイルさんが
 人より変わった愛の形をお持ちだったとしても変な目でみたりしませんから!安心して下さい!」

しかしすぐに瞳に正直な光を灯すと、ジェンタイルの右手を両手で包んで強く握り締め、言い聞かせた。

>「コムゥ〜すべるの怖いよぉ。コムゥ〜」

「滑るのが怖くて地精霊に取り憑かれるなんて……これがホントの地滑りですね!
 なーんて、私なんかこんな下らないギャグしか飛ばせないんですから、安心して下さい!
 私はいつも面白楽しく見せてもらってます!見るの年末くらいですけど!」

ここぞとばかりに良い事を言ったと、リヨナが得意げにふんぞり返る。

>「ヤマラムハ、オコッテイルノヨ。カンキョウヲハカイスル、ニンゲンタチニ」
>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
 ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」
>「んみゅ? 何を言っているんだ光精霊。とにかく水精霊さんお願い!」

《え、ちょ……そ、そんな急に言われても……、わ、妾どうしたらいいか……》

「だから何でクラスで大して目立たないけど運動会で大役を任せられちゃった子みたいになってるんですか!?
 しゃんとしましょうよ!」

《だって!妾そんなに環境問題とか詳しくないし!中の人以上に頭のいいキャラは書けないって皆言ってるし!》

「安易にメタネタに逃げれば許してもらえると思っちゃダメですよ!ほら!何でもいいですから!空気白けちゃいますって!」

《何か宴会芸を強要するみたいになっとるぞよ!?》

「あーもう、煮え切りませんね!仕方ありません!こうなったら僭越ながら私が衛士隊の交渉術を披露するしかありません!
 その名も【憎対言語】《ネゴシエイション》!成功率はなんと100%!まさに口先の魔術師ですよ!そりゃあ!」

吐き出した言葉の背を追って地を蹴り、リヨナはヤマラムへ肉薄。
首筋めがけて、加速と体重を乗せた神速の手刀を放った。


242 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/08(火) 21:48:51.54 ID:kdWiXD4c
>>239
>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!
>ちょっ、リヨナさん、っていうか水精霊。ちょっと相手してきてよあいつ。同じプロ市民同士話とか合うだろ!」

「同じテーマを2度やるのは、俺のネタキネシスのせいやな。」
ミラクルエースは何種類かのキネシスを使えるのだ。
他にも、ワゴキネシス(人が押したワゴンを少しだけ動かす能力)などが
使えるぞ。
ミラクルエースが外人女(キャサリン)の胸元を注視しながら
語りかける。おそらくEカップ以上はあるだろう。

>>239>>241
>「滑る事を恐れるな! すべったっていいじゃないか!」

ローゼンの必死の叫びも虚しく、それはバナナの皮に吸い込まれていく。
その様を見たヤマラムは苦悶の表情を浮かべて再び叫び始めた。
あれはいつだっただろうか。ハイテンションベスト10の「ベイブレードの王者山ちゃん」
での松本の言葉。

《うわ・・・こりゃぁひでぇや》
《うわ・・・こりゃぁああひでぇええやぁ》

「や、ヤマちゃん・・・滑るの?滑っちゃうのぉ?」
自問自答するように首をカクカクしながらリヨナの近くへ迫る魔獣、ヤマラム。

>「滑るのが怖くて地精霊に取り憑かれるなんて……これがホントの地滑りですね!

リヨナの超絶なギャグセンスに浜田、ミラクルエースの顔が
素に戻る。
「イケナイワ、ヤマラムガサムイクッキー・・・ク、クウキヲサッチシテワ」

浜田「うわ、こいつ今クッキー言うたで。ええ乳しとるから許したるけど。」

浜田のやらしい目線は置いておいて。
再び寒さへの恐怖に震え始めたヤマラムが痙攣を始める。
「ヤマちゃん、滑るの?・・・滑らねぇよぉお!!
ヤマちゃん、滑るのぉ?・・・滑らねぇえええよぉっ!!」

突如、鬼の形相と化したヤマラムが右手にナイフを持ちリヨナへ突撃する。
「むむむむむ、アイムヤマラムゥ!!アイキルユゥー!!」

浜田「それチャッキーやん。自分無茶苦茶やな。」
浜田の横を擦り抜けるように、顎のしゃくれたプロレスマスクを
被った男が駆け抜けていく。


243 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/08(火) 21:54:44.84 ID:kdWiXD4c
「ザキさんっ!!今、助けてあげますからね!!トゥー!!
”鮫成分―シャークワクチン!!”」
彼の名前はエキサイト中国。ダイナマイト四国とは、借りたAVの
履歴が被るくらいの凄まじい犬猿の仲である。
好きなものは鮫。技名のだいたい鮫を付ければいいと思ってる典型的な
アホである。
エキサイト中国(以下省略してシャクレ)は、ヤマラムの膝小僧に極太の注射を打ち付けた!

>「あーもう、煮え切りませんね!仕方ありません!こうなったら僭越ながら私が衛士隊の交渉術を披露するしかありません!
>その名も【憎対言語】《ネゴシエイション》!成功率はなんと100%!まさに口先の魔術師ですよ!そりゃあ!」

とろい動きで迫るヤマラムをリヨナは瞬時に回避する。
当然の結果ながら、リヨナの一撃はヤマラムの後頭部にクリティカルヒットした。
「・・・あばばばばば」

泡を吹きながら昏倒するヤマラム。それをシャクレが介抱する。
「あんな使えない小太り(ダイナマイト四国)は置いといて、私を是非使ってください。
さぁ、浜田さん!!」

浜田「自分、田中やろ。そのシャクレ具合で分かるわ。」
一体、誰が彼をこんな哀れな姿にしたのだろうか?
いや、最初から哀れな姿だったのかもしれない。

名前:エキサイト中国(ココリコ田中)
職業:傭兵
性別:男
年齢:30代後半
身長:180cm以上
体重:やせてる
性格:根暗
外見:汚いマスク、不潔そうなパンツ
備考:正体はココリコのキャラが薄い方。鮫がアホみたいに大好き。
ダイナマイト四国とは犬猿の仲。

244 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/08(火) 23:35:38.13 ID:fkipkh09
>「っへ……世話かけちまったなローゼン……ゴフッ(吐血)」

「おぉっと大丈夫かジェンタイル!いやダメだな!これはもう助からないだろう!だが安心しろ!
 私なら、いや私だけがお前の命を助けてやれる!こんなのはお前だけにしかしてやらないんだぞ!
 これを逃したらもう助からないからな!それに今なら新たなる力も付いてくる!さあ!今こそ私と契約しようじゃないか!」

崩れ落ちたジェンタイルに、ここぞとばかりに影が駆け寄った。
ご丁寧に、細身で上品な、濃紺に灰色のストライプが走ったビジネススーツに着替えていた。
浮かべた笑顔は完璧過ぎて、かえって美術品めいた雰囲気を感じさせる。
忘れず装備した細い眼鏡の位置が、右手の指先で整えられた。
左手は契約書らしき紙束を抱えている。準備は万端らしい。

「と、こんな文句でセールスやら何やらに迫られても釣られちゃいけないからな。
 こんなって言うのは具体的には、無闇に危機感を煽ったり、
 『自分だけが』『お前だけが』と特別感を強調したり、『これを逃がしたらもう』だなんて切迫感を押し付けてきたり、だな」

眼鏡に触れていた右手の人差し指だけを立てて、影が講釈を始めた。

「ちなみに『今なら』『今だけ』なんてのも、判断を急かして誤らせる言葉だな。有体に言えば『脅迫』だ。
 直接的か、間接的に切迫感を抱かせるかの違いはあるがな。
 加えて人間は目先にちらつかされた『お得感』にも弱い。
 三つ買ったら一つタダで提供します、って言われたら何となく買いたくなるだろう?
 だがよくよく考えてみればそんなのは、ただの25%オフでしかない訳だ。
 ま、要するに大切なのは自分の必要な物、欲しい物をちゃんと見極めろって事だな。
 何?結論が当たり前過ぎるって?ははは、その通りだ。だが出来ない奴がいるのもまた事実だろう?
 
 どこぞの青い奴だって、黄色い先輩の言った「自分の願いをちゃんと見定めて」
 って忠告を無視したからあんな目にあった訳で。私に言わせればあんなのは見苦しい自業自得だよ。
 ん?何の事か分からない?ははは、だったら気にする必要はないさ」

一通り語り終えて、影は満足気に頷いた。

>『次はミートカーソルをオートでやらせてくれてもいいかい?え?ダメ?そこを何とか頼むよ・・・』

「サクセスモードでカーソルをオートにしてると、実はタイミングが合いすぎてかえって凡打になるらしいな。
 本当かどうか、もう長らくプレイしていないから分からないがな。
 ちなみに私はパワプロよりもパワポケの方が好きなんだ。ふざけ倒しながらも締める所は締める作風が気に入っていてね。
 アレは感動的ですらあるよ。おっと、こう言うとまるで、この世界みたいじゃないか?はっはっは」

とは言ったものの、油断していると馬鹿にならない後味の悪さを刻み込まれるとは、影は言わなかった。
興味本位でプレイした誰かが地雷を踏めば、それは悪魔である彼にとって、とても愉快な事なのだから。

>「環境破壊云々は水精霊のイベントでやり尽くしたじゃないスかァー!二度もやらねーよあんなテーマ!

ジェンタイルの叫びに、影がぴくりと反応を示した。
また新たな講釈のネタを見つけたと言わんばかりに微笑んで、口を開く。

「ちなみに、環境問題と言うのはこれまた人を騙すには、とても便利な物なんだ。
 人間は『使命感』を得た時、驚くほど盲目的に、目標に向かって突き進む。
 しばしば、それが他人から提示された目的である事さえも忘れてな。
 どこぞの世界の童貞君なんか、丁度そんな感じだろう?
 そして環境問題は同時に『罪悪感』も人に植え付ける事が出来る。
 『使命感』と『罪悪感』、それらの板挟みにしてやれば、鞄や家電を買わせるくらい容易な事なのさ。
 勿論、他にも色んな要素が関わってくるんだけどな。この二つだけで人を踊らせられる訳ではないさ。
 また、これは全ての環境問題への取り組みを否定しているのではないよ。
 そりゃ中には立派な信念を持って取り組んでいる人間だっているだろう。
 
 だが、私がこうして語った悪魔の知恵を持つ者は、思った以上に世の中に溢れている。
 大切なのは、確固たる意志をもって行動する事だ。自分が何をしたら、どうなるのか。何がしたいのか。
 必要な物は何か、必要な事は何か。それらをちゃんと自覚した上で行動出来ないと、私のような奴に食い物にされてしまうぞ」

245 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/09(水) 00:11:39.07 ID:JYeuoHvz
>240
>『帰る前に本物のジェン君にプレゼント!』

このままではジェン君が串刺しになって死ぬという未来が見えた。
幸い皆空気を読んで見事にスルーしているので、まだその未来は確定していない。
僕は後手キャンを強行する事にした。
具体的にはジェン君に襲い掛かろうとしているメタルクウラにマヌーサみたいなのをかけておいた。

>242-243
要するにヤマラムとの交渉は成功したようだった。
「すごいぞリヨナちゃん!」
そしてまた新芸人が登場した。どうやって入ってきたのかとかいちいち気にしたら負けである。

>244
大先輩がまたジェン君に付きまとって講釈を垂れている。
「早く行くよ!」
どうしてさっさと行かずに競争相手を誘うのかって?
「このままだとクウ君が一番に着いちゃう!」
クウ君が一番に着くとどうなるか。普通に考えればクウ君は今章はジェン君のパーティーだ。
が、どう見てもジェン君たちを攻撃してばかりなので僕の側の刺客と捕えられる可能性もある。
それなら万々歳だが、調子に乗って第三勢力を打ち立てるという暴挙に出てしまったら非常に困る。
3パーティー同時進行はさすがに細分化しすぎである。

246 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/09(水) 04:17:20.88 ID:78QEqoh8
>「その名も【憎対言語】《ネゴシエイション》!成功率はなんと100%!まさに口先の魔術師ですよ!そりゃあ!」
満を持してリヨナさんWith水精霊の繰り出した交渉術は、チョップだった。
いやいやいや!魔術でもなけりゃ口先でもねーよ!看板に偽りありすぎだろ。神聖ローマ帝国みたいな。
何一つ有限実行しねーなこの女!雰囲気だけで喋ってんじゃねーだろーな。
さてさて、崩折れるヤマラムを抱くのは新キャラ。……新キャラ!?このタイミングで!?
>「あんな使えない小太り(ダイナマイト四国)は置いといて、私を是非使ってください。さぁ、浜田さん!!」
>「自分、田中やろ。そのシャクレ具合で分かるわ。」
なーんだ、ココリコの細い方か。その昔ジョージアのCMに出てなかったっけ。うろ覚えだけど。
<<吾はおはスタで見たぞ>>
懐かしいな。レイモンドってまだ現役なの?

>『帰る前に本物のジェン君にプレゼント!』
「ひいいいいいい!?」
ゲストメタルクウラの一体が尻尾おっ立てて飛び掛ってきた!
名古屋駅前ミッドランドスクエアの如くそそり立った鋼の剛直が俺の尻に突き立たんと迫る!
>>245
貞操の死を覚悟したそのとき!メタルクウラのステータス画面に異常が発生!
"まぶしいひかり"のバッドステータスを受けたメタルクウラ′(?)の攻撃はミスに終わる。
「た、助かった……!」
誰だか知らないけどマジありがとう!誰だか知らないけど!(強調)
ゴーレムはなんやかんやで倒された。俺攻略法とか全然わかってなかったけどなんとかなるもんだな!
「あ、あれ?メタルクウラ?」
爆煙晴れる頃、他のメタルクウラ達とともに、側にいたはずのメタルクウラ本体が消失していた。
見れば一人でスイスイ奥に進んでやんの。ダンジョン内での単独行動は死亡フラグだってのに!

>「早く行くよ!」
同じ感想を抱いたのかローゼンが発破をかける。
>「このままだとクウ君が一番に着いちゃう!」
それには概ね同意なんだけど、この段階で俺たち足並み揃えて行くのって結構微妙な結果を生みそう。
今回俺たち憂国愚連隊と光の勇者パーティは競争関係にある。
あらかたのダンジョンバトルも終了したことで、こっからはマジで参加者同士の苛烈なデッドヒートが予想されるわけだ。
地精霊の提示した条件に、"相手を打ち負かすこと"は記載されてなかった。
つまり、完全な早い者勝ち。より速く地精霊のもとに辿り着いた方の完全勝利ということになる。
ので。
「はっはーっ!敵に塩送りまくってる場合じゃないぜローゼン!だって俺たち――」
懐から取り出したるはブックオフで時間潰してる時にローソンでからあげクンと一緒に買ってきたスタングレネード。
爆音と閃光で視界及び平衡感覚を奪うための非殺傷兵器。閃光音響手榴弾である。
「――悪い子なんだぜーーーっ!!」
使い方がよくわかんなかったので目を瞑ったまま中のマグネシウム粉末に直接魔法で火を点けた。
炸裂する。
瞼を閉じても眩しいと分かる閃光と、耳栓越しでも脳を揺さぶる大音響。
洞窟みたいな狭い場所で使えば威力はことさらに強力だ。俺はふらつく足で踵を返し、メタルクウラを追って走りだした!

目下の問題はメタルクウラだ。万が一だけど、あいつが第三勢力として地精霊に捉えられた場合。
世界を覆す知慧と力が、あのHENTAIメタロイドの手に渡ってしまうということ!それだけは回避しなければならぬ。
だってロクなことに使わねーのは目に見えてるもん!
「まちゃーがれメタルクウラっ!俺の側から離れるな、お前一人でイカせるかよ――って大先輩が言ってたよ!」
大先輩はまた一人でブツブツ喋ってたけど、ぼっちをこじらせたに違いない。手遅れだ。現代医学が敗北した瞬間であった。
「あばよ勇者一行!伝説の知恵(?)は俺達のもんだ!」
もとより連中にそこまでスタングレネードが効果あるとは思っちゃいない。
水は音の伝達を和らげるし、光は言わずもがな。芸人軍団はそもそも生物なのか怪しい。
のちのちの事を考えるに、ここで少しでもアドバンテージを獲得しておくことが肝要なのだった。

247 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/09(水) 09:14:11.98 ID:5AGFrOsk
「何なんだ、この音は?」
私は後ろから聞こえた爆音に足を止め、後方を振り返る。
ローゼンやジェンタイル達に何か起こったのか?

>「まちゃーがれメタルクウラっ!俺の側から離れるな、お前一人でイカせるかよ――って大先輩が言ってたよ!」

ジェンタイルが私に追いついてきたのを見ると、ただ単にこいつがローゼンの妨害をしてきただけなのだろう。
私はジェンタイルと共に再び走り出し、走ってる最中に何かを踏んでしまった。
カチッと足下から音がする。
そして、一瞬にして足下の地面が泥沼に変化してしまった。
幸いなことに泥沼は腰まで浸かる程度の深さしかなく、足が底に着いた。

「む、すまないな。
トラップに引っかかってしまったようだ」
私達は泥沼の中心部に位置しており、目測から計算して見たところ、直径10mの円形をしている。
私は急いで泥沼から出るために足を動かした。

248 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/09(水) 21:18:38.07 ID:HtsQYOv9
「…ぶぇっくしょっ!チクショウ、誰か噂してやがるな」
横隔膜は着ぐるみの中の筈なんだがこういうのは拘束と関係ないのか。
[――拙より地味なくせに噂されるとは怪しからん奴だ]
「うーん、実態はともかく字面としては地精霊の方が“地”味の称号にはふさわしいんじゃないか?」
[――やかましい。つべこべ抜かすとフード被せて地蔵にするぞ]
「…地蔵か…やはりどこまでも地が付いて回るn」
素直な感想を述べただけなのだが地精霊のお気に召さなかったようだ。地精霊は私のセリフを遮り

奇数…私の腕を操って私の喉を締め上げた
偶数…私の足下の土に穴を掘り首から下を埋めた

249 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/03/09(水) 21:21:17.87 ID:HtsQYOv9
「何だか私の講釈が非常に不当な扱いを受けた気がするぞ」

大宇宙からの意思めいた何かを受信したのか、影が不満げに唇を尖らせて呟いた。

>「はっはーっ!敵に塩送りまくってる場合じゃないぜローゼン!だって俺たち――」
>「――悪い子なんだぜーーーっ!!」

閃光が洞窟を満たした。暗闇の全てが薙ぎ払われて、一瞬、影の動きが止まる。
彼は悪魔であり、影だ。故に光の下でも動く事が出来るし、暗闇の中を自在に動く事も出来る。
だが一切の影が存在出来ない状況では、孤立せざるを得ないのだ。

「……分からないなぁ、ジェンタイル」

しかし、それも一瞬。次の瞬間には、影は這い戻ってきた闇を伝ってジェンタイルの隣に現れていた。

「確かにこの競争では、相手を倒す必要はない。だが倒した方が確実で、有利なのは間違いないんだぞ?
 例えばさっきの爆弾、アレが閃光弾ではなく破片手榴弾だったら。競争はもっと有利になっていた。
 怪我をさせれば連中のペースは落ちるし、炎精霊の加護を重ねれば、完全に動けなくする事だって可能だった」

影の冷ややかな視線が、ジェンタイルを貫く。

「あぁ、すまないな。分かり難かったか?要するに……何故アイツをここで殺してしまわなかったんだ?」

さも当然の事を尋ねるように、影の声は平然としていた。

「友達だからか?じゃあアイツが友達じゃなかったら、殺していたのか?だったら何故あの衛士だけでも殺さなかった?
 それとも自分の手を汚すのが嫌なのか?だったら私に頼む事だ。勿論代価は頂くが、安い買い物だぞ。
 何せアイツとはこれから何度も、ぶつかる事になるんだからな」

そうとも、と影は言葉を繋ぐ。

「意見が平行線である以上、これから先も必ずお前とアイツは衝突する。平行線なのに衝突と言うのも変だがな。
 いつか絶対に、アイツを排除しなければならない時が、アイツがお前を排除しようとする時が来る。
 だとしたら、ここでアイツを殺さないのは、問題の先送りでしかないじゃないか。そう、ただの逃げだ」

影の声色と眼光は冷冽を極めて、酷薄なほどに真剣だった。

「聞き流していたのなら、もう一度言ってやろう。よく聞いておく事だ」

重苦しい静寂を一拍挟んで、影がつい先ほどの言葉を繰り返す。

250 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE:2011/03/09(水) 21:24:10.23 ID:HtsQYOv9
「お前は何をして、どうしたいんだ?お前に必要な物は何だ?必要な事は何だ?
 それを見極めるのは、『世界を変える知識』なんかよりもずっと大切な事なんだぞ」

静かな、しかし薄氷の刃を思わせる音律で、影はそう告げた。

>「む、すまないな。
 トラップに引っかかってしまったようだ」
「おいおい、慌てるな。泥沼に踏み込んでしまったら足を動かした所で無駄だぞ。
 反作用が正常に得られなくなるんだ。強く踏み込めば踏み込むほど、泥に沈んでしまう」

笑いながら忠告する影は、しかしそれ以上何かをしようとはしない。
手を貸そうとも、助け出そうともせず、沈んでいくメタルクウラをただ見ていた。

「……やったじゃないかジェンタイル。今はこちらにいるとは言え、奴も本質的には光の勇者の一味だ。
 加えてこれは事故であり、奴の不注意だ。お前の手は汚れないし、お前は何も悪くない。
 奴を見捨てれば、間違いなくお前は目的の実現に一歩近付く。逆に助けてしまえば、遠のく事になる」

囁きながら、これ見よがしに、影はジェンタイルに打楽器の構えを取った右手を見せつけた。。
一度鳴らせば、メタルクウラに刻んだ強化の刻印は姿を変えて、束縛の呪印となる。

「さぁ、これは一つの決断の時だぞジェンタイル。お前は何をして、どうしたいんだ?」

251 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/09(水) 22:16:47.55 ID:5AGFrOsk
>「……やったじゃないかジェンタイル。今はこちらにいるとは言え、奴も本質的には光の勇者の一味だ。
>加えてこれは事故であり、奴の不注意だ。お前の手は汚れないし、お前は何も悪くない。
>奴を見捨てれば、間違いなくお前は目的の実現に一歩近付く。逆に助けてしまえば、遠のく事になる」

先輩悪魔は何を勘違いしているのだろうか?
私は光の勇者の一味ではない。
と言うより、ローゼンのように光の勇者ごっこをして楽しむ趣味は、残念ながら私には無い。
私はローゼンとジェンタイルの友達なだけだ。

>「さぁ、これは一つの決断の時だぞジェンタイル。お前は何をして、どうしたいんだ?」

先輩悪魔が指パッチンをして、私の足は止まる。
ジェンタイルに覚悟を決めさせたいようだが、私を巻き添えにするのはやめてもらいたかった。
幸いにも口ぐらいは動かせそうだ。

「ジェンタイルよ、私はお前がどんな道に進もうが、絶対に友達だ。
それだけは信じろ。
そして、私がどんな道に進もうが、友達でいてくれ」
私の思いはジェンタイルに伝えた。
あいつがどんな道に行ったとしても、友達らしく絡んでやるさ。

252 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/09(水) 23:19:53.75 ID:HtsQYOv9
私の手が私の喉を締め上げるという何とも馬鹿馬鹿しい光景のおかげで私はそれ以上喋れなくなった。
(着ぐるみって手首から先は外に出てるだろう普通。さっきまで土木工事とかやってたし。何故操られ…)
[――腕の筋肉と神経だけでもある程度なら手を動かせる。ピアノ弾かせる訳でなしそれで充分だ]
(ふうん…けどそうしたところで実は鍵括弧が丸括弧に変わる…だけ……だった…り……し……)
意識がだんだん遠くなり体が崩れるように倒れるのを他人事のように感じる。そういえばこの体が死んだら私はどうなるのだろう。
[――残念ながらこの方法では死なない。酸素供給が絶たれて体が動かなくなれば操る効果もなくなるからな]

(……コラ人殺し)
とりあえず丸括弧で考えられるようになるまででも随分かかった。
[――誰も殺していないし殺そうともしていないが]
(あーまだ何かごちゃごちゃと…もう何でもいいや…お前どうしてそんなにオレを敵視するわけ?)
思えば最初に聞いておくべき条項だった気がする。
[――相応しい器を持ちながら精霊との契約を拒む者だからだ]
(その訳わかんない過去はオレ個体と関係ねえだろ…しかも何だその押し売りみたいな屁理屈は)
[――人は精霊を敬い精霊に導かれ歩むべきもの]
(お前……どこの唯一神だ?思想が千年単位で古いな)

どうも私とこいつら精霊とはこの体の祖先云々の因縁を別にしても相性が悪いというか思想を異にするようだ。
私は体が動くようになった瞬間に操られて半殺しの無限ループから逃れる方法を考え始めた。

253 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/09(水) 23:23:29.87 ID:pQNg0oPY
「よかったやないか。山ちゃんも元通り、友達とも再会や。」

ジェンタイル達とローゼンの再会を心から喜んでいる様子の浜田。
しかしミラクルエースだけは浮かない顔をしていた。
ミラクルエース「(あかん・・・う○こ漏れそうや。)すまん、トイレないか?」

別の理由だった。
こんなアホは置いておいて、早く地精霊の心をこちらに振り向かせなければならない。
悪の手に精霊の力を手渡すなど、あってはならないからだ。
しかし、浜田は深く考えるのが苦手である。
ジェンタイルと大悪魔のやり取りを見つめながら、頭を掻きつつ言葉を投げかける。

「まぁ、俺にも上手いこと言えへんしカッコつけるのもアレやけどな。
……男の仕事の八割は決断や。あとはおまけみたいなもんやで。
自分が信じたことを、自分で突き進んだらええがな。
その結果、ローゼンちゃんと向き合うことになったとしても……や。」

いつになく生真面目な表情で語りかける浜田。
しかしその鼻からは異常な長さの鼻毛が覗いていた。


254 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/10(木) 00:37:55.49 ID:oJgWEJy1
>246
>「はっはーっ!敵に塩送りまくってる場合じゃないぜローゼン!だって俺たち――」
ジェン君が物騒なものを取り出した! 悪い先輩の影響であんな物で遊ぶようになってしまったのか!
とっさにリヨナちゃんに覆いかぶさる。
>「――悪い子なんだぜーーーっ!!」
幸い、痛みは無い。冷静になって考えればいくらなんでもジェン君がゼロ距離で殺傷兵器投げつけるわけない。
そして閃光の目くらましは僕には大して効かない。
「悪い子を更生させる先生はハンディ付けてでも同じ土俵に立ってやんないとな!」
走りだしかけて石に躓いて転んだ。爆音のほうの効果はしっかり受けていた。
>「あばよ勇者一行!伝説の知恵(?)は俺達のもんだ!」
「待ちなさーいアホジェン! 僕だってその気になれば後ろから一突きに出来るんだぞ!」
物騒な脅しをかけておいた。もちろん光の精霊剣で後ろから背中を刺すことが出来るという意味である。
背中よりもうちょい下を刺すんじゃないかとか思った君はすでにクウ君に悪影響を受けている。
とにかくあんな賢いアホが知恵を身に着ける事ほど最悪なものはない!

>253
>「よかったやないか。山ちゃんも元通り、友達とも再会や。」
「喜んでる場合じゃないよ! 早く追いかけなきゃ!」
>ミラクルエース「(あかん・・・う○こ漏れそうや。)すまん、トイレないか?」
「あるわけないでしょ! RPGの登場人物が何言ってんの!?」
このままスルーしたいところだったが、音響さんが調子に乗ったようで、BGMが切り替わってしまった。
ttp://www.youtube.com/watch?v=eF5w-lRoC18
何がトト便器だ何が! こんなBGMじゃあつい笑ってしまってシリアスシーンが出来たもんじゃない。
『こっこれは……”う○こが漏れないように我慢しながらトイレに向かうゲーム”!』
ということはこの文字通りの糞ゲーをクリアするまでBGMはこのままってことか!?
何考えてんだ音響さん!

変なBGMのまましばらく進んでいくと、奇跡的に直径10メートルのトイレを発見した。
なぜかその中をジェン君と大先輩が只事では無い雰囲気を醸し出しながら覗き込んでいる。
追いつくのが早い気もするが、大先輩がいつもの調子で講釈しまくればすぐ追いつかれるのは当たり前である。
クウ君の姿は見えないがすでに先にいっているのだろう。
何はともあれこれでBGMをまともなダンジョンの音楽に戻すことができる!
「あったよ!」

255 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/10(木) 03:03:24.09 ID:n4Wf/u6y
ローゼンたちを出し抜き、駆けていく過程で影から大先輩が追随した。
スタングレネードの巻き添えになったはずだけど、悪魔って奴は物理法則で動いてねーからな。驚きはしねー。
>「……分からないなぁ、ジェンタイル」
大先輩は、渋い顔をしていた。心底理解出来ないといった口調で言う。
>「確かにこの競争では、相手を倒す必要はない。だが倒した方が確実で、有利なのは間違いないんだぞ?」
>「あぁ、すまないな。分かり難かったか?要するに……何故アイツをここで殺してしまわなかったんだ?」
「………………」
不意に出された不穏な単語と、それを叩きつける鉄槌のような口調に、俺の思考も少し停まった。
言ってることが解せないわけじゃない。むしろ正論ではあるから。俺は二の句を継げなかった。
>「お前は何をして、どうしたいんだ?お前に必要な物は何だ?必要な事は何だ?
 それを見極めるのは、『世界を変える知識』なんかよりもずっと大切な事なんだぞ」
絶対零度の視線と語調が、俺の心に氷柱をつくり、右脳と左脳の隙間に差し込まれた気分だった。
思考と言葉の直結が解除され、過程と結果がイコールで結ばれなくなる。
上手く答えを出せないまま、俺たちはメタルクウラに追いついた。

>「む、すまないな。トラップに引っかかってしまったようだ」
メタルクウラは地面から生えていた。
真夏の水田のように、腰から下を泥沼の中に沈めて、脱出しようと藻掻いてる最中だった。
なにかにつけてオチつける奴である。落ち着きのない奴ではあるけど。
「オーケ、ちょっと待ってろ。今手を……」
>「……やったじゃないかジェンタイル」
差し出した手を、追撃の言葉が阻む。
>「奴を見捨てれば、間違いなくお前は目的の実現に一歩近付く。逆に助けてしまえば、遠のく事になる」
メタルクウラを見捨てて、このまま地精霊に会いに行けば、俺が一番乗りだ。
そしてこの先ずっと、こいつからの妨害を受けず、今よりずっとスムーズに旅は進む。目的にも近づく。
>「さぁ、これは一つの決断の時だぞジェンタイル。お前は何をして、どうしたいんだ?」
それはやっぱり、悪役の理論で。
――完膚なきまでに、正論だった。

>「ジェンタイルよ、私はお前がどんな道に進もうが、絶対に友達だ。
 それだけは信じろ。そして、私がどんな道に進もうが、友達でいてくれ」
メタルクウラの言葉と。
>「自分が信じたことを、自分で突き進んだらええがな。
 その結果、ローゼンちゃんと向き合うことになったとしても……や。」
追いついたハマちゃんの言葉が、揺れる。ないまぜのごちゃまぜで、俺という主体が揺らいでいく。
「…………そうだな」
俺はその揺らぎの底に沈殿した"結論"を掬って、秤に載せた。
<<目的のために殺すとか俺そんなキャラじゃねーしって言えばよかろう>>
うん……なんていうか本当に申し訳ないんだけど前科があるんだよね。初期のキャラ設定で。
あとこの辺ギャグで流していい問題じゃない気がする。少なくとも、真剣に検討するべき命題。
目的に邪魔なら殺した方がいいのか。障害は、永遠に排除してしまった方がいいのか。
「俺の目的は――」
結論は、とっくに出てる。だって、
「――簡単に死なない世の中を作ることだから」
その為に死んでもいい命があるなんてことは、この俺が許容しない。
絶対にだ。

俺はメタルクウラに刻まれた印を炎で焼き飛ばし、その手を掴んだ。
「つーか大先輩よお、なにか勘違いしてるかもしれねーけど」
あっ無理、引っ張り上げようと思ったけど俺の貧弱な筋力じゃ無理ですわこれ。ハマちゃん手伝って!
「死んでも生き返る世界でさ、そりゃナンセンスってもんだぜ」
そのとき、BGM商業ルートに乗ったのが不思議なぐらい冒涜的な歌に切り替わった。
>「あったよ!」
ローゼン!なにそのBGM!お前がこっち来てから鳴り始めたんだけど、そういうキャラでしたっけ!
いや違う。ヤツの後を猛追する影。ミラクル仮面(だっけ?)がケツを抑えながら突進してくるではないか!
「め、メタルクウラ!早く出ろっ!シリアスパート終了のお知らせだっ!
 泥沼、トイレ、うんこ漏れそうなおっさん、この組み合わせ……おそらく未曽有(みぞゆう)の大惨事になる!」

256 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/10(木) 07:46:20.91 ID:NDvW8o+B
>「め、メタルクウラ!早く出ろっ!シリアスパート終了のお知らせだっ!
>泥沼、トイレ、うんこ漏れそうなおっさん、この組み合わせ……おそらく未曽有(みぞゆう)の大惨事になる!」

ジェンタイルは私の胸の印を焼き消し、私は束縛から解放される。
私の手を掴み引っ張り出そうと、ジェンタイルは頑張っているのだが、相変わらず力は無いようだ。
私はエネルギーを放出して、泥沼からジェンタイルの手を握ったまま飛び抜けた。

「あぁ、私もあれは趣味には合わない。
さっさと離れてしまうのが吉だな」
後ろから賑やかなローゼン一行がやって来る。
その一行の中にお尻を抑えた人がいるのだ。
あのまま泥沼に浸かっていたのならば、とんでもない事態に巻き込まれていただろう。

私は後ろを振り向かずに、ジェンタイルの手を握り締めて、前へと走った。

257 :リヨナ・リリウム ◇EIs9NBi36Q:2011/03/10(木) 23:25:07.04 ID:3f/xOp5+
初めに届いた「ピン」という短く軽快な音が前兆となって、凄まじい閃光が轟音の産声を伴って暗闇で弾ける。
直前に、リヨナは咄嗟に渾身の力で跳躍、両手を広げてローゼンの前に文字通りの盾となって躍り出ていた。
恋心よりも何よりも、衛士として身に染み込んだ後天的な本能が、リヨナを衝き動かしたのだ。
目を閉じていても瞼をすり抜けて網膜を焼く閃光に、リヨナの体が硬直する。
――が、痛みはない。

「……ただの閃光弾でしたか。あーあー、まだ耳鳴りがしますけど……何とか行けそうです」

閃光弾を投げられた時、既の所で水精霊が耳孔に水の膜を展開していたのが救いとなった。
足裏が捉える地面の感触は確固たるもので、十全の疾駆が可能であるとリヨナに伝えている。

「助かりました、水精霊さん」
《妾とて、伊達に世界を救う旅をしとった訳じゃないぞよ。これくらいはな》

手短かに感謝を告げて、リヨナは駆け出した。

>ミラクルエース「(あかん・・・う○こ漏れそうや。)すまん、トイレないか?」
>「あるわけないでしょ! RPGの登場人物が何言ってんの!?」
「って、えぇー。今まさにデッドヒートの終盤戦が始まるって時にそれはないでしょう!?
 もう……じゃあ私、ちょっと先行しますね。トラップ踏んだりしたら大惨事ですし」

盛大に転びかけた体勢を何とか持ち直して、今度こそ前進する。
先行者がいる時点でトラップの危険性は大分薄らいではいるが、万が一にも失敗は許されない。
何より、先行者自体が新たなトラップを仕掛けている可能性も、考えにくいとは言え、あり得るのだ。
しかしリヨナの警戒に反して、彼女は何の問題もなく先行者――ジェンタイルの後ろ姿を認められる距離に達した。
一旦足を止めて、松明の火を消し、リヨナは道の端に沈殿する闇に身を隠した。

「何だ、あまり進んでないんじゃないですか……。さて先ほどのお礼を、かるーく……」

にやりと、リヨナが笑みを浮かべた。
右手で刀を模って、足音、呼吸、ありとあらゆる気配を断ち、忍び寄る。

>「あぁ、すまないな。分かり難かったか?要するに……何故アイツをここで殺してしまわなかったんだ?」

だが、にわかに聞こえた不穏な響きに、足を止めた。
けれどもそれは、ほんの一瞬だけだ。すぐにリヨナは密やかな歩みを再開する。
腰に吊るしたポーチから、汎用のロープを取り出して。
膝を軽く曲げ、腰を落とし、獲物を狙う猛虎の魂を宿す。
無論、気配は完全に断ち切ったままで。
ジェンタイルの返答次第では、一足飛びに距離を詰め、彼を捕縛するつもりだった。

>「ジェンタイルよ、私はお前がどんな道に進もうが、絶対に友達だ。
 それだけは信じろ。そして、私がどんな道に進もうが、友達でいてくれ」
>「自分が信じたことを、自分で突き進んだらええがな。
 その結果、ローゼンちゃんと向き合うことになったとしても……や。」

気配を殺したリヨナは誰にも悟られる事なく、事の顛末を観察する。

>「俺の目的は――」
>「――簡単に死なない世の中を作ることだから」

そしてジェンタイルの返答に、止めていた息をゆっくりと、安堵を交えて吐き出した。
嬉々を宿した微笑みを浮かべながら、手にしていたロープをポーチに戻す。

「……あー、ジェンタイルさん!やっと追いつきましたよ!さっきはよくもやってくれましたね!」

大声を上げて、リヨナが岩陰から飛び出した。

「逃がしませんよ!さぁローゼンさん、行きましょう!……え?先行した筈なのに何で後ろからって?
 まぁ細かい事はいいじゃないですか!それより急ぎましょう!きっとあと少しですよ!」

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