◆帝国軍概略
帝国軍は主に他国への侵略・他国からの防衛及び国外で起きた事件への派遣対処を目的とした軍事組織です。
現代のように陸海空と分かれているわけではなく、部隊の中で陸戦担当や空戦担当などといった具合に役割分担されています。
というのも内陸国である帝国にとって陸上での戦闘が殆どを占めるため、空と海の戦力が独立して行動することは殆ど無いからです。
軍の作戦は基本的に部隊の単位で投入されるため、作戦の内容に合わせて陸海空の担当バランスを組み替えて編成するわけです。
これを帝国の軍事用語で『内的柔軟対応』と言います。大雑把に言えば部隊内で適材適所を確保できる方式、といった感じですね。
ちなみに帝国軍・騎士団・従士隊はその剣を皇帝に捧げているため、これらを総称して『皇下三剣』(略称・三剣)と呼びます。
それぞれの剣には異なる象徴があり、軍の剣は"武"、騎士の剣は"政"、従士の剣は"護"という意味を表しています。
帝国旗や皇家紋章にも、この三剣が正三角形に交わった上に皇家が立つ姿が描かれていて、封建政治のイメージを強めています。
◆構成
帝国軍は皇帝に剣を捧げていますが、実質的に皇帝の相談役である元老院の統制下にあります。
ここが他の三剣と違うところで、騎士団や従士隊は皇帝の下に直接騎士団長や従士隊長があるため権限が独立していますが、
軍だけは皇帝と最高司令官との間に元老院がワンクッションあることで、軍の行動決定権を元老院が握っていることになります。
これは軍に決定権を持たせないことで独走を防ぎ、いかなる軍事的な行為も政治的な判断で以って行うことを意味しています。
帝国は侵略国家であると同時に、前述の加護によって迂闊に侵略ができない立場でもあります。
なので大国ゆえの傲慢である侵略行為に元老院が「待った」をかけ、必ず国内の平和を優先してから軍事行動に移るというシステム。
帝政国家でありながら、擬似的にではありますが現代日本のようにシビリアンコントロールが実現されているわけですね。
さて、帝国軍にはいくつかの分類がありまして、陸海空のような役割分担ではなく対応する方面によって分けられています。
北部方面隊、東部方面隊、南部方面隊、西部方面隊といった具合に帝国の東西南北に対応する四方方面隊。
それから各方面隊への遊撃的な加勢や国内で従士隊の装備では対応できない巨大魔獣が出現した際の討伐等を行う中央方面隊。
この5つが帝国軍の基本になります。
この中で普通科や兵站科、支援科や通信科などの専門科へと更に分化していくわけですが、細かくなりすぎるので割愛します。
◆装備
歩兵用では剣槍や携行魔導砲、車輪と噴射術式のついた自走魔導砲や連射のできる分隊支援魔導砲、飛翔機雷や埋没機雷など。
また騎兵・機兵という兵科があり、それぞれ騎竜と呼ばれる騎乗できる竜畜やゴーレムに搭乗して作戦を行います。
騎竜は大人しく人に従順な飛竜を飼い慣らして騎乗用にしたもので、現在は馬に代わる騎兵戦力として活躍しています。
粗食な糧秣にも耐え、『箒』よりも長く飛び続けることができ、頑丈な甲殻によって多少の攻撃じゃ墜ちません。
反面翔ぶことに特化しているために攻撃能力は低く、羽撃きによって揚力を得るため非常に乗り心地が悪く騎乗に熟練が必要です。
また炎を吐くことのできる騎竜種が近年交配によって作られつつありますが、実戦配備にはまだかかりそうです。
傀儡重機、ゴーレムは第一章で出てきたように『インファイト』系の近接ゴーレムや『ミドルファイト』のような砲撃特化型まで。
陸戦最強の戦力のために戦場では如何に敵のゴーレムを無力化するかが趨勢を握る大きな鍵になっています。
飛翔機雷や埋没機雷の発達によって歩兵一人でもゴーレムを破壊できるような火力を手にするようになったため、
随伴歩兵を使ってゴーレムを護り、敵ゴーレムに機雷を届かせる戦術が競われています。
◆階級
現代の軍隊の階級とほぼ同じに見て大丈夫です。
正式な呼び方は左官、尉官、下士官それぞれ官名に『帝』の文字が入ります。
例えば大佐ならば正式には『一等帝佐』、中尉ならば『二等帝尉』、軍曹ならば『帝曹』といった具合です。
ただし軍内では正式な呼び方はほぼ形骸化しており、普通に大佐、中尉、軍曹と呼ぶようにはなっています。
各方面隊に将校がおり、方面隊のトップを『帝将』と呼びます。各方面五人の帝将の上に立つのが『総司令』。
士官ではない兵卒は普通に一等兵、二等兵、兵長といった感じに呼ぶみたいです。
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