もう3時か、
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【ジェンスレ】キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!3

1 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 03:22:13.26 ID:8OdrUzyz
【なりきりネタなんでもあり板】通称なな板から来てはや3スレ目。

『キャラクター分担型リレー小説』とは参加者各々が自分のキャラを作成して持ち寄り、共通の世界観の中で物語を綴っていく形式だッ!
通常のリレー小説や合作小説との違いは、『自分が動かせるのは自分のキャラとモブ・NPCとだけ』という点で、GMと呼ばれるスレの進行・まとめ役がいたりいなかったりする。
弊板では『TRPG』あるいは『TRPS』といったタイトルで楽しんでいるこのキャラクター分担型リレー小説を、他板交流の一環として貴板で展開中!

前スレ 【ジェンスレ】キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!2
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1295710835/

前々スレ キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1291987200/l50

キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!避難所
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1292705839/l50

なりきりネタなんでもあり板
http://yuzuru.2ch.net/charaneta2/

なな板TRPGまとめWIKI「なな板TRPG広辞苑」
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/

なな板TRPGまとめサイト「千夜万夜」(※更新停止)
http://verger.sakura.ne.jp/top/tougou.h

2 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 03:23:24.28 ID:8OdrUzyz
以下テンプレ(参加する場合は以下のテンプレの項目を埋めてキャラをつくって下さい)

名前:
職業:
性別:
年齢:
身長:
体重:
性格:
外見:
備考:

3 :創る名無しに見る名無し:2011/03/11(金) 15:34:21.08 ID:hR9FRzM8
地精霊のせいで大震災が起こった!
そのせいで地下迷宮が崩落し、ジェンタイル達は生き埋めになってしまった。

4 :深淵に潜む名も無き大悪魔 ◇247BSbdFYE :2011/03/11(金) 22:46:31.72 ID:PXbJ30aI
>「俺の目的は――」
>「――簡単に死なない世の中を作ることだから」

確固たる意志を双眸と言葉に宿し、ジェンタイルは答えた。
対して、影は沈黙を保ったまま、静やかな目付きで彼を見据えていた。
冷気さえ感じさせる静寂を経て――影が示した反応は、笑みだった。
メタルクウラを引き上げるジェンタイルを黙したまま見守っていた影は、走り出した二人を追って歩き出す。
緩やかな歩調だったが、闇を伝う彼は容易く二人に追いついた。

「……それでいいんだな、ジェンタイル」

ジェンタイルの隣に並んで、影が言った。
言葉の表層は問いの形式を取っているが、影にジェンタイルの決断を揺らがせるような腹積もりはない。
問いと言うよりは、むしろ単なる確認。
ジェンタイルの意志を外から固めて、確定の助力をするようなものだった。

「さて……これでお前は一つの『目的』と、一つの『前提』を手に入れた訳だ」

影の指先に光が灯り、虚空を滑る。
暗闇をキャンバスにして、横に長い長方形が幾つか縦に連なった、樹形図が描かれた。
殆どの長方形は空欄となっていて、埋まっているのはたったの二つ。
最上部に当たる『簡単に死なない世の中』と、対極の最下部にある『誰も死なせない』だけだ。

「お前は『何をどうしたいのか』と『自分はどうするのか』を、ここで明確にした。
 だが、まだ足りない。不足だらけだ。
 お前が選んだ『目的』と『前提』を両立させるには『何が必要で』『何をすべきなのか』」

戒めるような口調だった。

「それらを見つけられなければ、いつかお前は悲劇を演じる事になる」

光の樹形図の上に、影が手を添えた。
手のひらから闇が湧き立ち、樹形図を蝕んでいく。
ものの数秒で、樹形図は闇に食い荒らされてた。
『誰も死なせない』の一文も、跡形もなく消失してしまった。

「……が、旅はまだ続くんだ。一歩ずつ、踏み締めていけばいいさ」

一転して、影は柔らかな微笑みを浮かべた。

「さて、この一件で大分シリアス成分を稼いだな!当分はキャラ崩壊しても大丈夫だろう!はっはっは!」

5 :創る名無しに見る名無し:2011/03/12(土) 22:48:52.04 ID:hIt+7J2J
保守

6 :ハマタ ◆quOnk/pbCFRg :2011/03/12(土) 22:49:01.75 ID:3otunCDR
「あ、あかん・・・漏れてまう!!」

トイレへ駆け込むミラクルエースは堪らず紙の仮面を投げ捨てる。
その素顔は、松本人志さんそのものであった。
「ま、間に合えへんぞ!!どないすんねんっ!!」
浜田が松本のケツを蹴り飛ばしながらトイレへと急かす。
しかし今の彼にとって尻への刺激そのものが破滅へのカウントダウンを早める
他になかった。
「あ、あかん。あかんでぇえええええ」
シリアスパートを潜り抜け、今まさにミラクルエースこと松ちゃん
はトイレへと駆け込んでいく。
しかし、その扉は何者かによって閉ざされていた。
「だ、誰や!!誰が入っとるねん!?・・・あ、あかん!!
もう、限界や・・・しゃぁあああこらぁああああ!!」

雄叫びと共に松ちゃんは真っ白に燃え尽きた。
ただ1つだけ、純白のブリーフを茶色に染めて。
「お?君らも来てたんかいな。どうもっ!!村上ショージですぅ!!
ドゥーン!!」
トイレから出てきたのは、村の入り口でも見かけた「ギャグ芸人・村上ショージ」
その人であった。
相変わらずへちゃぐれた顔としょうもないギャグでお茶の間を冷やしている
様子である。
「ショージ兄やん、ちょっと四つん這いになりぃや。
あ、そうそう。それでええ。――何さらしとんねんワレェエエ!!
こうや、お前なんかこうやっ!!ナーハッハッハッ!!」
浜田は気絶した松本に代わり、巨大なゴボウでショージの尻をしばく。
ショージ「これがホントの尻アスパート、なんちゃって!!なにを言う 早見優!!」
心なしか、浜田の顔は笑みを含んでいるようである。
「お前それパクリやんけ!!ほんま顔もギャグもしょーもないやつっちゃな」
一方、気絶していた松本に、イチゴのショートケーキが描かれたプロテクターと
ヅラを付けていくシャクレ。
「これで大丈夫ですよ、松本さんはしばらくすれば自動的に再起動します!!」

浜田「俺の相方はPCかいな。まぁ、ええわ。ローゼンちゃん、こっちは
無事やで。」

浜田はショージのケツに辛子を塗りながら笑顔で言った。


7 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/13(日) 23:20:40.09 ID:msoPXql+
>前スレ257
>「逃がしませんよ!さぁローゼンさん、行きましょう!……え?先行した筈なのに何で後ろからって?
 まぁ細かい事はいいじゃないですか!それより急ぎましょう!きっとあと少しですよ!」
「リヨナちゃんこのBGM聞こえないの!?」
ジェン君には聞こえてるみたいなのに何でだろうか。
早く止めてくれないと笑いをこらえすぎて腹筋が崩壊する!

>6
なんか大惨事になってるけどやっとBGMがまともにもどった。
>浜田「俺の相方はPCかいな。まぁ、ええわ。ローゼンちゃん、こっちは 無事やで。」
無事……なのか!?
「これは酷い放送事故! この手のネタで喜ぶのなんて幼稚園児と小学生だけだ!」
『ちなみにう○こを漏らさないように我慢しながらトイレに向かうゲームとは
主人公がう○こを漏らして村にいられなくなって旅に出る所から始まり
ラスボスがう○こを漏らして再起不能になって世界が平和になって終わるという壮大な物語だ!』

光精霊、う○こを連呼すんな! 光精霊は普段こんなキャラではなかったはずだ。
きっと担当さんがうっかり不謹慎な事を書かないためにひたすらう○こネタに走って現実逃避しているのだ!
今回のシナリオのテーマがテーマなだけに。しかしこのままでは文字通りの糞スレになってしまう!

8 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/13(日) 23:22:39.16 ID:msoPXql+
【担当者の脳内】
     ハ,,ハ  ハ,,ハ
 ハ,,ハ( ゚ω゚) (゚ω゚ ) ハ,,ハ
( ゚ω゚) ハ,,ハ) (っハ,,ハ(゚ω゚ )
| U ( ゚ω) (ω゚ )  とノ
 u-u'|  Ul lU  |u-u'
     `u-u'  `u-u'

「>3のネタだけどどうするよ、ひそひそ……」
「そりゃおま全ネタキャッチがマイジャスティスだろ、ひそひそ……」
「でもさすがに不謹慎じゃね? ひそひそ……」
「不謹慎を恐れてギャグなんてやってられっか、ひそひそ……」

9 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/15(火) 06:13:01.22 ID:qtFmn4Mz
>>3

「やっていいネタと!悪いネタがあんだろっ!!これ前者!ノーモア不謹慎!!」
俺は虚空へ向けて叫んだ。最深部のどっかで聞いているであろう地精霊くんへ届きますように。
いや、いや、マジでどーなのこれ。このままだとバッドエンドしかねーぞ未来。
それ以上に関係者各位と、不特定多数の集合無意識に怒られそうだ。具体的には放送自粛系。
<<全力で行くか?>>
んー、地精霊のブログはもう十分炎上してるしなあ。BBS閉鎖しちゃったし。
とりあえず振られたネタには全力で返球せねばなるまいて。とっととオチつけて落ち着こう。
[………………]
地精霊の雫がうっすらぼんやり発光し出した。それはこっちとあっちが繋がったことを示す。

「申し開きを訊こうか」
[なっ、なんで拙が悪者になってるんです!不謹慎とか言われても!リアルの事情とか知りませんし!
 だって地震って地精霊の数少ない得意技じゃないですか!この世界じゃないとこに配慮してネタ潰すって!]
「いやー、今のはまずかったッスよ地精霊様」
瓶の向こうで、地精霊の憤慨が伝わってくる。
[大体不謹慎だのなんだのっていうのがそもそも拙には理解できませんね。
 一国だけ見ても、実際に"被災"してるのは全体の二割か三割でしょう。その少数派の為に、大多数が膝を曲げ、
 あまつさえ何の影響も受けていない第三者が同じく第三者の表現の自由を抑えつける。おかしいでしょう。
 実際に被災して大変な人はそんなこと言ってる余裕ないのにですよ。不謹慎にかこつけて言葉狩りしたいだけちゃうんかと。
 それは、"被災者達を慮れる正義感溢れる自分"に陶酔した戯言です。有体に行ってしまえば、偽善です]
くっ、正論だ!正論のべやがった!
いやいや、そんな問題でもないと思うけどなあ。基本的に感情論だし。
理屈は分かるけど、それに賛同しちゃったら道義的にどうなのって。
「で、でも、地震で実際に苦しんでる人がいるのに地震ネタは追い打ちかけるようなもんじゃないスか」
[そう、そこ。"実際に苦しんでる人"ってなんですか。現実と創作物の区別はきちんとつけましょうよ。
 別に被災地で声を大にして叫んでいるわけでもなし、仮想世界の中にまで現実のしがらみを持ち込んでどうするんです]
「それで不愉快になる人がいるのは確かなんだし……」
「論点が変わっていますね。"不愉快になるのがそもそもおかしい"と申し上げているのです」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ……!」
こればっかりは価値観の問題だから、生物的に異なる精霊とは平行線になるのも止む無いことだよなあ。
実際不愉快に思う人はいるわけで、それに配慮できるのが人間としての美徳とされてるんだから。
個人的な意見を言わせてもらうならこういうときは"自粛"が正解だよね。誰に規制されるでもなく。
ていうかこんなとこでディベートしてどうすんだよ。依然まったく話が面白くなる気配がないんだけど。

「こーなったら畳み掛けるようにギャグを重ねてうやむやにする他なーいっ!」
<<ハマちゃんズと光精霊がシモネタ連発していることだし、なら吾はエロネタでも>>
「オーケ、それ以上はやめとけ。メタルクウラと芸風の被る恐れがある。厳密にはエロとちゃいますけど。
 というわけでこんなときこそメタルクウラ!お前が颯爽と話題をとんでもない方向へもって行くんだ!」
あとでちゃんと軌道修正かけとくからさ!
ていうか今回のテーマこれちゃんと完遂できるのかしらん。それとなーく打診してみよう。
「地精霊さん地精霊さん、いろいろ批判もあることだし今からでも方針変えない?大地の怒りとかじゃなくてさー」
[ほほう。では拙は何に対して紛糾すれば良いのです]
<<亡念のザムドの2クール目に入ってからの展開についてとかどうだ>>
「そんな全国で1000人もわからねーようなネタに憤慨するんじゃねー!もうちょっとメジャーどころ責めようや」
[バクマン。の七峰くんの就労姿勢についてとかどうでしょう]
「何言ってんの!?」
俺はアレはアレで悪くないと思うんだけどね!なーんか無理に悪役として書かれてる気がせんでもない。
[じゃあ最近近所のコンビニ行ったら店員の愛想悪くてムカついたんですけど、それについてで]
それでいいのか!そんなノリでいいのか地精霊!まあこの辺ローゼンあたりが纏めてくれることに期待しよう。

10 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/15(火) 11:18:01.06 ID:2kIevfZe
>「オーケ、それ以上はやめとけ。メタルクウラと芸風の被る恐れがある。厳密にはエロとちゃいますけど。
>というわけでこんなときこそメタルクウラ!お前が颯爽と話題をとんでもない方向へもって行くんだ!」

そんなことを急に言われても困るのだが……
まぁ、適当に言ってやるとするか。

「私が光の勇者の一味ではない理由を話そう。
私の職業は宇宙の帝王だ。
宇宙を構成するのは暗黒エネルギーや暗黒物質が大半で、お前達が司る精霊の力などは極僅かでしかない。
その宇宙という闇を支配するのが帝王である私。
そう、私は光の勇者達と相反する闇の帝王なのだ!」
最後の部分はインパクトを出すために怒鳴ってみた。

「さぁ、不謹慎なネタをさっさと終わらせるために、急ぐぞ」

11 :創る名無しに見る名無し:2011/03/15(火) 20:53:25.47 ID:WkR+fwkK
[生き埋めになってしまった]
唐突に宣言された。

(…!?)
「おいおい、さっきまでオレは一族がどーのこーのとかいう理由で責められてたと思うんだが
何で急にスケールでかくなった上に他の人達を全部巻き込んでるんだ?」
とりあえず喋る事はできるようになっていた。倒れてからそれなりに時間が経ったからなのだろう。
[――それはその…拙の単独犯ではないので]
「へええ、じゃああんたの裏にまだ真の黒幕がいるってことだよなあ?」
[――別に“黒”という訳ではない。どちらかといえば“大いなる存在”に近い。
PCでもNPCでもモンスターでもない、こちらから干渉することの出来ぬ者…“名無し”]

「データを持たないエキストラ扱いだから倒れません倒せませんってか。なら仕方ないなあ」
以前何かでそういう例を読んだ気がする。
「…でその生き埋めにはオレも含まれてるのか?」
我ながら間抜けな質問だが確かめない訳にはいかなかった。

[そうだな――

奇数…折角だから含めてやろう]
偶数…これまで相当シドっているからそれを理由に外していいぞ]


12 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/15(火) 21:59:37.98 ID:WkR+fwkK
…名前を入れ忘れたがダイス振る奴なんて他にいないから許して貰おう。

「お、有り難い。これでやっと他の連中と合流できるな…それじゃ」
[――そうとも限らないと思うが…何か]
「さっき“生き埋め”って言ったよな。つまり全員生きている…まあ大先輩なんかは一般的な意味での
“生きている”という概念が当てはまらない気もするが…生きている、で間違いないな?」
[――そうだな]
「でオレがこのダンジョン作りに使われながら見たところでは随分しっかりした設計施工だ」
[人の歩みを見続けてきた地精霊たるもの、人の出来る土木工事のノウハウは全て持っていて当然だな]
…そういう仕組みなのか。
「へええ。てことはだ」
地精霊が少し自慢げになったところにたたみかける。
「崩落といってもダンジョン全てが崩れ去った訳ではなくそこそこの構造を保ったまま
出入り口が塞がれた状態だと解釈するのが妥当だがそれでいいな」
[――あ、ああ、そうだな]
勢いに押されて仕方なくの感はあるがそれでも地精霊は肯定した。
全員の生存とこれまでの舞台であるダンジョン構造の相当程度の残存が地精霊により担保された。
その内オレも他の連中と再会できるだろう…ダイス目が良ければだが。

…戦士ってのは自演で口プロレスする職業の事だったのだろうか。

13 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/16(水) 07:36:39.46 ID:8kjydhwZ
>9
大変だ、ジェン君がついにおかしくなったぞ!
さっき大量のクウ君に取り囲まれたのが余程ショックだったのだろう。
「クウ君、どうすんのあれ!」

>10
クウ君はクウ君で自分が闇の帝王だということを大声で力説した。
「何だよ、いきなり! クウ君はどう見ても闇属性じゃないよな!?
真の闇属性の大先輩、なんとか言ってやって……大先輩?」
大先輩はいつの間にかいなくなっていた。リヨナちゃんもいつの間にかいなくなっている。
突然ものすごい恐怖に駆られた。

「このダンジョンおかしいよ! こんな競争なんてやめて帰ろう!?
さっきからあらゆる種類の大惨事ばっかりじゃん。
どうせ足引っ張りあって両方くたばればいいとでも思ってるんだよ!
外から出入り口にフタでもしとけばそのうちむなしくなって自分で撤去するっしょ。
早く次の町にいって新しいネタに移るんだ!」

>11-12
その時、微かな揺れを感じ、遠くの方で何かが崩れるような音がした。
[残念、出入り口が塞がりました]
「……逃がさないってわけだね」
よくあるクリアするまで出られない系のイベントか!
話をそらしてあたりさわりの無いネタに移行する事が出来ない場合、残された選択肢は一つしかない。
真正面からぶつかって爽快な逆転劇でハッピーエンドに持っていく事。
バッドエンドになんてなったら二重の意味でシャレにならんわけだ。
「ふふふ。いいよ、やってやる! 覚悟しとけよ地精霊、お前の思い通りにはさせない」
『大丈夫!? あいつは水精霊みたいに簡単にデレてくれないよ!』
「大丈夫だ問題ない」
僕がその気になればハッピーエンドに持っていく事自体は不可能ではないはずだ。
ジェン君から微妙に期待の眼差しを感じるし。なんってったって闇を払う光の勇者だからな!
それに伴って起きるマンネリ化という恐ろしい現象はダイス目その他諸々の大いなる存在が防いでくれるだろう。

14 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/18(金) 10:50:04.09 ID:Ua3IFTXc
>「そう、私は光の勇者達と相反する闇の帝王なのだ!」
「なにーーっ!未就学児じゃなかったのか!?」
こんなところでメタルクウラの職歴詐称の事実が明らかになってしまった。
年齢も詐称してんじゃあねーだろうなこいつ。
>「真の闇属性の大先輩、なんとか言ってやって……大先輩?」
ふと、側にあった体温が感じられなくなっているのに気づく。具体的には気配の消失。ふたり分。
大先輩とリヨナさんが、揃って纏めて消え失せていた。
「あ、あれ?あいつらどこ行ったの」
>「このダンジョンおかしいよ! こんな競争なんてやめて帰ろう!?」
ローゼンがシリアスな顔で提案した。
いつの間にやらギャグパートは終りを告げ、ほのぼの珍道中はパニックホラーにとって変わる。
そう、パニックホラー。その本質は混乱。安息へ向かって動こうとする者には分かりやすい妨害が下される。
>[残念、出入り口が塞がりました]
>「……逃がさないってわけだね」
つまりはそういうことだった。俺達は、このダンジョンに閉じ込められてしまったのである。
>「ふふふ。いいよ、やってやる! 覚悟しとけよ地精霊、お前の思い通りにはさせない」
「だな。呉越同舟的な意味で、こっから先は一時休戦しようぜローゼン」
今この時より地精霊争奪戦は、地精霊をボスにした正真正銘の冒険譚になる。
よく考えたらどっちが地精霊の知恵(仮)を入手しても、後でこっそり教えてもらえばいいだけだもんね!
「ってな路線でどうすか地精霊さん」
[採用で。こっちもそろそろ夷……じゃなかった、『協力者』と"仲良く"できそうです。負けませんよ?]
いやいや。負けてもらわなくちゃ困る。

「しかし『協力者』かー。伏線的に考えて、知り合いだと思うんだけど。誰だと思う?」
ダンジョンを下る道すがら、俺はそれとなく同行者達に話を振った。
候補は結構いっぱいある。ダンジョン編から姿の見えないガッチーや、ついさっき姿を眩ませたリヨナさんとか。
大先輩は人間じゃないので除外するとして、ハマちゃんズの誰かかもしれないしな。

「おっ、宝箱発見!」
メインストリートから枝分かれした袋小路の先に、宝箱が一つ置いてあった。
たいまつ、魔物に次ぐダンジョン名物だ。都合よく有用なアイテムが入ってたり、店売りの武器だったり、
……実はモンスターだったり。ま、ま、序盤も序盤にトラップ宝箱なんて無いだろうと思いたいけど。
<<こればっかりは開発者の良心次第だな>>
そして地精霊にそれは期待できないと。残念なことに。
このパーティーって識別魔法(インパス的なの)使える奴いたっけ。あ、ちなみに俺は使えません。
いないと漢識別(未識別のアイテムを開けてみて・使ってみて判断するというノーガードプレイ)しかねえな。
「つーわけで俺は怖いから安全圏に退避!誰か開けるか識別してちゃぶだい」
メタルクウラの後ろに隠れながら俺は判断を適当に放り投げた。

15 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/18(金) 16:39:31.15 ID:fStr9H8h
>「何だよ、いきなり! クウ君はどう見ても闇属性じゃないよな!?
>真の闇属性の大先輩、なんとか言ってやって……大先輩?」

やはり、ローゼンには私の冗談は通じなかったようだ。
私の真の属性は機械属性だからな。
それよりも、先輩悪魔やローゼンの仲間がいないようだが、どこに行ってしまったのだろうか?
パワーレーダーにも反応が無い。

地精霊によって入り口を防がれてしまい、私達はローゼン達と組むことになった。

>「しかし『協力者』かー。伏線的に考えて、知り合いだと思うんだけど。誰だと思う?」

「私はろくに挨拶もしないまま別れてしまったメルフィだと思う」
何を忘れてたかと思えば、水精霊戦からメルフィを放置したままであった。
怒っているだろうな。

>「おっ、宝箱発見!」
>「つーわけで俺は怖いから安全圏に退避!誰か開けるか識別してちゃぶだい」

宝箱の中に生体反応を感知した。
中にはモンスターがいるだろう。
私は宝箱に近付くと、宝箱を持ち上げて地面に叩き付けた。
それを繰り返すこと三度。
中の生体反応が失われるまでやろうと思ったが、宝が生き物の可能性を考えて止めてしまった。
モンスターが出てきたら倒せるように、目にエネルギーを溜めながら宝箱を蹴り開けた。
中身は、ポーション濡れの気絶したメルフィだった。

「ふぅ、何も無かったぜ」
私は宝箱を閉めて、爽やかに誤魔化そうとしたが、みんなにはばっちりと見られただろうな。

16 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/20(日) 13:59:34.85 ID:IrLW2Zhs
>14
>「だな。呉越同舟的な意味で、こっから先は一時休戦しようぜローゼン」
【ジェンタイルとメタルクウラがパーティーに加わった!】
二人のステータス画面が見れるようになったぞ! ジェン君め、しばらく離れてるうちにかなりレベルを上げたな!
「クウ君、なんでHPが二つあるの? バグかな?」
『まさか……ホモポイント!?』
「消して消して! そんなのは隠しステータスにしとくべきだろ!」

>「しかし『協力者』かー。伏線的に考えて、知り合いだと思うんだけど。誰だと思う?」
「ここは意表を突いて辺境村村長とか牧師さんとかうちのオカンとかどうだろう!?
ノリノリでこんな事をやってもおかしくない奴なんてそれぐらいしか思いつかない!」

>「私はろくに挨拶もしないまま別れてしまったメルフィだと思う」
「えっ、こういう場合って普通ただ描かれてないだけでちゃんと家に帰した事になってるんじゃないの?」
残念、描かれてない事はあった事にしてもいいし無かったことにしてもいいのだ!

>「つーわけで俺は怖いから安全圏に退避!誰か開けるか識別してちゃぶだい」
ジェン君は見守る気満々でクウ君は漢開けする気満々だ!
「透視なら出来るけど……。
宝箱の罠の攻撃力って大したことないからクウ君が漢開けしても大丈夫だよね」

>「ふぅ、何も無かったぜ」
世紀末覇者のスタンドがクウ君の背後に忍び寄って襲い掛かろうとしている。
「ぎゃああああああ!! 誤解です!」
慌てて宝箱を開けてメルフィちゃんを引っ張り出す。
「メルフィちゃん、しっかりしろ!! 地精霊め……こんな事をするなんて絶対許さない!」

17 :創る名無しに見る名無し:2011/03/20(日) 20:02:18.60 ID:Bn36GkBb
宝箱の中にあったのはメルフィだけじゃないぞ!
割れた媚薬のポーションの瓶に土でできた触手もあった。
触手はメルフィが出されたためか、元気に伸びてメタルクウラに絡みついたぞ。
ジェンタイルの好きな触手プレイだ!

18 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/21(月) 04:05:33.97 ID:UUwsM2UP
>「透視なら出来るけど……。
 宝箱の罠の攻撃力って大したことないからクウ君が漢開けしても大丈夫だよね」
「待て待て、ここは地精霊のダンジョン、いかなる常識もあらゆる定石も何の保証にならねーぜ!」
先入観が命取りだ。底意地の悪い地精霊のこと、即死級の罠張ってたっておかしかーない。
ま、ま、パーティー髄一の頑丈さを持つ(ていうか俺たちが紙防御なんだけど)メタルクウラだ。
多少のトラップダメージでそうそう沈みはしないだろうが……って、
>「ふぅ、何も無かったぜ」
「お前なにを見たあ!?」
いつぞやの世紀末覇者、そのスタンドが今!メタルクウラを背後から締め上げようとしている!
>「ぎゃああああああ!! 誤解です!」
急ぎローゼンが宝箱から引っ張り出したのは、スタンドの主。
湖畔村編からすっかり姿の見えなくなっていたメルフィちゃんであった。
>「メルフィちゃん、しっかりしろ!! 地精霊め……こんな事をするなんて絶対許さない!」
<<ローション塗れの幼女か。背徳的だな>>
「いや違う……これは、ポーション!」

>>17

その時!ポーションでびっちゃびちゃの宝箱から、これまたポーション塗れの触手が飛び出す!
メタルクウラの硬質な肌に貼りつくと、なんか淫猥な感じに締め上げ始めた!
「うわあああああああああ!今まで見てきた中で最低の光景だあああああ!?」
<<おげげげげげげげげえええええええええええ>>
俺は目から出血しながら吹っ飛んだ。すぐさま洞窟の壁に頭をぶつけて記憶を消去しなければ!
老婆風呂を遥かに超えるインパクト……!畜生誰が、何の目的でこんなことを……!
〔Meなの〕
ローゼンに抱かれたメルフィーちゃんが突如として目を見開き、ハイライトのない瞳でこっちを見つめてきた。
この状態……初めにあったときと同じ、精霊に乗っ取られてるアレだ!
もしや、地精霊の言ってた協力者ってのはメルフィちゃんなのか……?メタルクウラピタリ賞じゃん!
〔Meはポーションの精霊なの〕
「ポーションの精霊ぃぃぃ!?」
〔地精霊のアホたれによって宝箱に封印されていたところをこの娘に開かれたの〕
「おい……メルフィちゃんもしかして、湖畔村からずっと俺たちに付いて来てたのかよ?」
いくら世紀末覇者のスタンドがあるといっても、楽な道程じゃなかったろうに……。
なんでそんなアニメ版ロケット団みたいな顔の出し方するかなあ!
そんでどんだけ精霊に乗っ取られとんねんこの娘。乗っ取られグセでも付いてんのか。
あるいは、ローゼンに次ぐ作中ナンバー2の精霊使いになるフラグかもしれねー。

「そんで、メタルクウラは今も絶賛触手プレイ中なんだけど、お前は何ができるのポーションちゃん」
〔ポーションをラストエリクサーに変えることができるの〕
「マジで!勿体無くて結局最後まで使わないと言われるアレを、量産することができるのか!?」
〔さっそくやってみるの。そーれ……〕
メルフィちゃん改めポーションちゃんは俺たちの"ふくろ"へ掌を向け、なにやら念じ始める。
〔……ぎゃーっ!こ、この人達、ポーション持ってない!やくそう派なの!ドラクエ準拠なの!〕
ええー、何しに出てきたのこの駄精霊!一個だけあったポーションは自分で被ってらっしゃるし。
<<ポーション精霊か。水精霊の眷属だな>>
あ、一応そういう序列とか管轄とかあるんだ。ん?あれ?じゃあなに、地精霊の奴、他精霊の眷属幽閉してんの?
[その子は昔にこの地で悪さをしてましてね。捕まえたはいいが引渡し先の水精霊がずっと引き篭っていたでしょう]
「それで、この宝箱の中に封印しておいたと」
[左様。貴方達用の精霊トラップとして仕掛けておいたのですが……いやはやびっくりです]
「あー、一般人の子供がこんなところまで潜ってるなんて予想外だよなあ。世紀末覇者だけど」
[よもやポーションの一つも持っていないとは]
「そっち!?」

とりあえず、メタルクウラをそのままにしとくのは忍びないし目に毒だ。(猛毒的な意味で)
「焼くか。よーじメタルクウラーそこ動くなよーズレるとお前ごと焼いちゃうからなー」
土で出来てるから焼き切れるか不安だけど、とにかく俺は触手に火をつけてみた。

19 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/21(月) 11:22:46.97 ID:lXJVJiZp
一方ダンジョン最下層のラスボス部屋もしくはシド部屋では。

[この前コンビニ行ったんですよ、コンビニ]
どこかに出かけていた気配だった地精霊が戻るなりそう言った。
[そしたら、弁当総菜の棚が漬け物以外空っぽじゃありませんか。
パンの棚もまんじゅう5個袋以外空っぽですよ。おまけに乳飲料と菓子の棚までガラガラで]
「……」
[人間どもは本当に今すぐコンビニ総菜が必要なのかと。品薄と聞いて無駄買いしてるだけちゃうんかと]
「…なあそれ本当に買い占めかどうか分からねえよ?通常通りの入荷量あるか聞いてみた?」
[――いやそこまでは]
地精霊こそ本当に今すぐコンビニ弁当が必要なのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
…ご先祖が精霊に従わなかったとかでこの体を勝手に憎まれた時にも思ったが地精霊って奴はずいぶん自己中だ。
そういえば湖畔村の水精霊も結局のところは幼児並みのしょうもない理屈で暴れていたのだから
もしかすると精霊一般が基本的に自己中なのかもしれない…人の歩みを散々見てきた結果がコレだとは実に恐ろしい事だが。
[それはそうと]
地精霊は思い出したようにオレを操り

奇数…2本の十字架を作りにかかった
偶数…大量の粘土を捏ねにかかった

20 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/21(月) 12:53:03.99 ID:lXJVJiZp
「おいおいおいこんなもん作って一体何する気だ?」
操られるままに広いラスボス部屋に4本の材木を運び込み十字形に組んで固定した物体が2つ出来たところで
先程から感じていた地精霊の意図のロクデナシっぷりがいよいよ確信に変わった。
[――写メ撮って奴ら…いやお客様に送るのだ]
「へ?」
どういうからくりか知らないが床に置いたままの十字架の上にいきなり現れたのはいつもの姿の
但し時が停止したように動かない大先輩とリヨナちゃんだった。
「どうしちゃったんだい二人とも…あコラ何させるんだオレにそんな趣味は無ーーーっ…」
抗議も虚しく二人の肩腕胸腰膝足そこら中をロープで入念に材木に括り付けさせられる。
流石リヨナちゃんはいい体してる…無論18禁的な意味でなくアスリート的な意味で。大先輩についてはノーコメントだ。
[縛る箇所が多い方が体重分散されて負担が少ないんだってば]
「…根本的に間違った事しながら中途半端に気を使ってみせてごまかすなよな!」
[う、うるさい、さっさと準備しろ]
ラスボス部屋の奥の壁にさながら魔王の左右を彩るインテリアのように2つの十字架が立ちというかオレが立てさせられ
更に撮影の邪魔にならないと思われる所まで離れた途端

ぴろりろーん♪

場違いに軽快な電子音が響いた。
[――送信しました。後片付けを]
見ると地精霊が早速またどこかに連れ去ったのか二人の姿は既に消えていた。
[ああ、ロープだけ外して十字架は残しておいた方が見栄えがいいな。この部屋殺風景だし]
「…それなら中央にも何かそれっぽい物置いた方がよくないかバランス的に」
[そうだな…ではとりあえず入口寄り半分の床を掘り下げて奥側に盛り土を]
薮蛇だった。

21 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/21(月) 13:14:21.20 ID:LhQ0MLE9
「くっ、私としたことが油断した」
メルフィが世紀末覇者の力を持っているのを忘れ、世紀末覇者に背後を取られて締め上げられる。
世紀末覇者を振りほどく間も無く、宝箱から出てきた触手が襲いかかり、世紀末覇者と一緒に触手プレイをさせられてしまったのである。
私を犠牲にジェンタイルとローゼンが得する展開になってしまった。
密着する私の鋼の肌と世紀末覇者の鋼のような肌。
世紀末覇者が私を背後から抱き締めるように包み、私の尻尾が世紀末覇者の当たってはいけない場所に当たっている。
お互いに息が荒くなってきた。

ローゼンがメルフィを宝箱の中から助け出し、ジェンタイルが過剰に私の痴態を喜んでいる間も、私と世紀末覇者は触手に体を蹂躙されている。
あぁ、口の中にまで触手が入ってきてしまった。
私にお尻の穴が無くて良かった。
お尻の穴がある世紀末覇者はもう、触手に突き込まれている。
早く、助けてくれ。

>「焼くか。よーじメタルクウラーそこ動くなよーズレるとお前ごと焼いちゃうからなー」

助……かった……

私は世紀末覇者と共に目から光を失い、体中が謎の液体で濡らされていたらしい。
メルフィに取り憑いているらしい精霊が、ニヤニヤとメルフィの体で笑みを浮かべながら教えてくれた。
私が口の中に触手が入ってきた時に飲んでしまったのも、触手から出た謎の液体なのだろう。
土の触手なのに、何で液体が出たのだろうか?
それにしても、体が何故か熱くなってきたな。
ステータスを調べてみるか。

ステータス画面を見たところ、目立った状態異常は無かった。
肉体とエネルギー炉を表す二つのHPも、危険を示す赤信号を出していない。
特技の欄を見てみると、新たな特技である『変身』が追加されていた。
これは、クウラの最終形態になれるのか?
何にせよ、試してみなければ分からない。
今度、試しに変身してみよう。

「む! 私に地精霊からメールが来たぞ」
本文は無く、画像だけが添付されたメール。
その画像を私は目から光を出して、誰もいない空間に映し出した。
私の目は映写機のようになるように、自ら改造したのだ!

「性的な目的で先輩悪魔達が囚われているようだな」

22 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/21(月) 16:42:13.03 ID:DdzY6dUg
>17-18 >21
宝箱から触手が出てきてクウ君と世紀末覇者がノリノリで触手プレイを始めた!
「詳細に描写するんじゃねえええええええええええええ!!
第一世紀末覇者はスタンドだから実体無いしクウ君は瞬間移動で逃げれるでしょ!」
『瞬間移動で逃げたら最強厨と言われるから自重しているに違いない!』
この場合全然少しも自重しなくていいよ!

メルフィちゃんにはポーションの精霊が乗り移っているようだ。
>〔Meはポーションの精霊なの〕
なるほど、この液体は水ではなくポーションだったのか。
ずぶ濡れのメルフィちゃんを抱えていたからこっちまでポーションがついてしまった。

>「焼くか。よーじメタルクウラーそこ動くなよーズレるとお前ごと焼いちゃうからなー」
触手プレイはジェン君によって強制終了された。

今のでクウ君は新しい技を習得したようだ。何がしたいのか不明だったけどそういう事だったのか。
「ポーションちゃん、僕達に協力してくれるんだね!」

>「む! 私に地精霊からメールが来たぞ」
「いつの間にアドレス交換したの!? ってかクウ君ってメール機能内蔵!?」
リヨナちゃんと大先輩が十字架に貼り付けになっていた。
>「性的な目的で先輩悪魔達が囚われているようだな」
大先輩が絵になってヤバイ! 精霊系美青年が悪魔系美青年を翻弄するとは恐るべき攻守逆転の発想!
「普通に考えると何かの儀式の生贄とかでしょ! 大先輩はともかくリヨナちゃんは絶対阻止するぞ……!」
『ニヤニヤしながら涎垂らしながら言うな!』

《と、いうわけでリヨナは大人の事情につき敵に捕らわれてしまったのじゃ》
水精霊!? なんでこんなところに!?
《精霊はもとより物質界とは異なる位相の存在。物理的な座標など意味を成さぬ。
リヨナが復帰するまで誰か他の者に力を貸してやってもよいぞ。我こそはという者は申し出るが良い》
〔お久しぶりです、水精霊様〕
《ところでポーション精霊よ、確か自分でポーションを生成することもできたであろう?》
〔バレたか〕
これは後ろから付いてきて自動でポーションを使ってくれるポーション王子ポジションに就任するつもりか!?
「ポーション自動回復NPCマジカッケー!」
『それだけはダメだ! そいつが作るのはポーションはポーションでも……』
「ポーションならいいじゃん! いるといないではボス戦の難易度が全然違うんだから!
僕の予想だとラスボス部屋はもうすぐだ……! あっ」
意気揚々と歩き出した矢先、ポーションまみれになった地面で滑って転んだ!

23 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/22(火) 06:04:08.64 ID:bkQ21kWl
>「む! 私に地精霊からメールが来たぞ」
「え!なにそれいつの間にお前らそんな仲良くなったの」
このところ俺の与り知らねーところで人間関係が構築されつつあるであります。
大学デビューに出遅れた非リアの気分とゆーか。そろそろ便所で飯食いだすぞ俺。
そういう役目は本来大先輩の役目だったはずなんだけど……と、噂をすれば影。
>「性的な目的で先輩悪魔達が囚われているようだな」
メタルクウラの目が映写機となって洞窟の壁を照らし出す。
写っていたのは、地精霊のいると思しき洞窟の最深奥で、十字架に拘束された大先輩とあと一人だった。
>「普通に考えると何かの儀式の生贄とかでしょ! 大先輩はともかくリヨナちゃんは絶対阻止するぞ……!」
「露骨に挑発してきてるなあ……いいぜ、乗った。メタルクウラ、返信しといて。おもいっきり煽ってやれ」

>《と、いうわけでリヨナは大人の事情につき敵に捕らわれてしまったのじゃ》
どっから話しかけてんだこいつ。
<<精霊同士でテレパシーを仲介しているのだ。メタルクウラさんにも聞こえるぞ>>
なんでメタルクウラだけ敬称よ?なに、どこにそんなリスペクトする機会があったのこいつに。
>《リヨナが復帰するまで誰か他の者に力を貸してやってもよいぞ。我こそはという者は申し出るが良い》
「ま、ま、確かダブル契約は身体爆裂して死ぬって設定があったはずだし、俺はパスな」
湖畔村編でローゼンが憑依されてたような気がするけどあれは例外だろう。
片方だけを大人しくさせるって、普通の精霊行使じゃありえない裏技だ。そこらへん、やっぱ天性を感じるぜ。
消去法でメタルクウラあたりを推します。五行相生的にも結構アタリを引いてる気がする。
>《ところでポーション精霊よ、確か自分でポーションを生成することもできたであろう?》
「そうなの?」
〔めちゃんこ疲れるから秘密にしておいたの。水精霊様ったらお口ベリーライト。超ライトニング〕
「スッゲー早口みたいな表現だ」
>「ポーションならいいじゃん! いるといないではボス戦の難易度が全然違うんだから!
 僕の予想だとラスボス部屋はもうすぐだ……! あっ」
ローゼンが床に飛散したポーションでずっこけた。こいつトアルでも似たような転び方してたな。
最早芸風の域とはいえ、なに、ポーションってそんなに滑るの?ちょっと足元を靴で擦ってみる。
「なにこのヌルヌル……あっ!おま、おまっこれ、ポーションじゃなくてローションじゃねーか!」
〔ポーション×ローション、夢のコラボなの〕
「使用するにおいて1ミリも被らねーよなその組み合わせ!」
コラボってのは客層が被るから意味があんだよ!練り辛子にカラシニコフが付いてくるが如しだよ!
<<ちょとハードなプレイも回復しながら続けられるというわけか……これは流行る!>>

というわけで欠員を埋めるべく新たに水精霊とポーション精霊をパーティーに加えた俺たち!
あとはまあダンジョンも消化試合みたいな感じになってるしハイライトで乗り切り、ついに最深奥へと到達した!

「ここが最深奥……濃厚に感じるぞ、地精霊の魔力を!」
勢い勇んで突入した先、地精霊の部屋(?)には二つのオブジェクトが存在していた。
盛土に突き立った十字架二つ。おもいっきりどの角度から見てもカンペキ墓である。
「ぎゃああああ!埋葬されとる!?何やってんだよ!いやマジ何やってんだよ!!」
どー考えても拉致られた二人の墓だよね!?大先輩はともかく、と・も・か・く!リヨナさんはマズいって!
あと部屋の隅の方で所帯なさげに突っ立ってるおっさんを発見した。
「ガッチー!アンタも地精霊に拉致られたのか!?」
水精霊が何か言いたげだったけどまあそれはそれとして、俺はガッチーを奪還するべく駆け寄った。

24 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/22(火) 13:25:02.78 ID:sqSEZA+7
>「普通に考えると何かの儀式の生贄とかでしょ! 大先輩はともかくリヨナちゃんは絶対阻止するぞ……!」

「普通じゃないのが精霊じゃないのか?
私の体を狙ってきたのだ。
性的なことに決まっている!」

>「露骨に挑発してきてるなあ……いいぜ、乗った。メタルクウラ、返信しといて。おもいっきり煽ってやれ」

「あぁ、やられたからにはやり返さなくてはな」
『あなたのお尻を丁寧に採掘しに行きます、ジェンタイルが』と送ってやったぞ。

><<精霊同士でテレパシーを仲介しているのだ。メタルクウラさんにも聞こえるぞ>>

確かに私の耳にも聞こえている。
地精霊の瓶から音が聞こえてくるようだ。

>《精霊はもとより物質界とは異なる位相の存在。物理的な座標など意味を成さぬ。
>リヨナが復帰するまで誰か他の者に力を貸してやってもよいぞ。我こそはという者は申し出るが良い》

「私も遠慮しておこう。
機械の私が精霊と契約しても、精霊の力を扱うことはできないしな」
金属の精霊がいたならば、私でも精霊をその身に宿し、力を扱える可能性もあるが、水精霊では無理だろう。
ジェンタイルと同じく、私も辞退しておくことにした。

>「ここが最深奥……濃厚に感じるぞ、地精霊の魔力を!」
ローゼンが滑って転んだので、時間も進み、やっと最奥の部屋にたどり着いたのであった。
部屋の中央には墓が二つ建っており、その下には生体反応は無い。
先輩悪魔達は生き埋めにはなってないようだ。
死んで埋められた可能性はあるがな。

>「ガッチー!アンタも地精霊に拉致られたのか!?」
ジェンタイルが部屋の隅に立っているガッチーの下に走り寄って行く。

「私は墓を掘り返す。
ローゼンよ、禁を破ってしまうことになるが、蘇生の準備をしておいてくれ」
ガッチーをジェンタイルに任し、私は中央の墓を掘り返し、死体を確かめる。
衝撃波を連発して掘り返すと、死体が下手すればバラバラになってしまう。
私は十字架を引っこ抜き、シャベル代わりにして、墓を掘り返した。

25 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/23(水) 02:34:24.10 ID:GuQ5xidI
>23-24
>「ま、ま、確かダブル契約は身体爆裂して死ぬって設定があったはずだし、俺はパスな」
>「私も遠慮しておこう。
機械の私が精霊と契約しても、精霊の力を扱うことはできないしな」
と、なれば残るは芸人軍団の誰かあたりかな。
そういえば姿が見えないけどまあ芸人軍団だからきっと大丈夫だ! 
何事もなかったようにさりげなく登場するに違いない。
念のため言っておくが今度は精霊契約の口移しは無しである。

ラスボス部屋へ到着した! 転ぶと場面転換するというのは古典的手法である。
>「ここが最深奥……濃厚に感じるぞ、地精霊の魔力を!」

>「ぎゃああああ!埋葬されとる!?何やってんだよ!いやマジ何やってんだよ!!」
>「私は墓を掘り返す。
ローゼンよ、禁を破ってしまうことになるが、蘇生の準備をしておいてくれ」
「リヨナちゃん……!」
部屋の隅で佇んでるガチさんも気になるがまずはこっちだ!
蘇生魔法なんて使ったことないし使えるか分からないけど使えるはずだ!
僕は光精霊様に希った。
「光精霊、リンクして……お願い!!」

しかし光精霊は棒読みで答えた。
『しかしMPが足りません』
ドケチ! 僕を信じて水精霊と契約してこの冒険についてきてくれたんだよ!
あんなに慕ってくれたのに見殺しにしろっていうの!?
『無い袖は振れない』
君だって一枚も二枚も噛んでたじゃないか!
『いや別に我的にはリヨナちゃんじゃなくて芸人軍団の誰かでも良かったわけだし』

光精霊め、水精霊の件が丸く収まって無茶だけどいい奴だと思ったのに! お前もやっぱりありがちな精霊の例に漏れないのか!
埒の開かない脳内押し問答を一時中断し、ジェン君の方に目をやると、超絶美青年に駆け寄っていくところだった。
「これは……! 王道の美少年と美青年の組み合わせ!」
が、一瞬そう見えただけで、そこにいるのはやっぱりパンダの着ぐるみ来たガチさんだ。我に返って警告を発する。
「あ、危なーい!!」

26 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/23(水) 23:38:43.78 ID:OGyY40IZ
地精霊に操られて少しばかり追加の模様替えを終えたところで部屋の入口あたりが急に騒がしくなった。

>>23
>「ガッチー!アンタも地精霊に拉致られたのか!?」
ジェンタイルが駆け寄ってくる。
>>24
>「私は墓を掘り返す。
>ローゼンよ、禁を破ってしまうことになるが、蘇生の準備をしておいてくれ」
メタルクウラが十字架を引っこ抜く。
>>25
>「あ、危なーい!!」
ローゼンが叫ぶ。

そして地精霊は
[よかった、来てくれて]
やたら嬉しそうに小さく呟いてからひと呼吸おいて
[――この部屋に足を踏み入れましたね]
おもむろに声色を変えた。

奇数…緊張感なくジェンタイルに返事
偶数…必死で助けを求める

27 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/24(木) 00:28:27.63 ID:oLykRhqJ
「しょ、所帯は元々無くて当然で今無いのは所在の方で!それからローションは化粧水の事でもあってっ!」
助けを求める言葉と裏腹に駆け寄ってくるジェンタイルに向かってオレの腕が伸ばされた。
「オレの体はっ!地精霊に操られててっ!部屋に入った者と!戦闘を!」
慌てて警告しながらもジェンタイルを狙ってオレの腕が何度か振り回されたがそれにはどこか違和感があった。
(…地精霊の奴土木工事の要領は凄かったが生身のケンカに関してはど素人だな)
つまりオレのこの腕が細身のジェンタイルの健康にただちに影響を及ぼす可能性はそれほど高くないという事だ。

「すまん!聞いてくれ!この着ぐるみが罠だったんだ…地精霊のっ!」
ローゼン達にも事情を分かってもらえるようオレは声を張り上げた。
「…毎日停電するのも2時間に1回は揺れてる気がするのも罠なんだ!
……頼む…脱がせてくれ!」

28 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/24(木) 02:22:12.04 ID:kq8h6w+N
<<ぷぷ、言葉の使いかた間違ってやんのー指摘されてやんの!>>
「るせー!言葉なんてもんはニュアンスが伝わりゃいいんだよ!国語のテストじゃねーんだからよ!」
ローションって化粧水でもあんのか。カミソリ負けしたときとか重宝しそうだな例のコラボ。
〔HP回復しつつ肌がうるおうの。手入れの暇のない忙しいOLとかに大人気なの〕
「忙しいOLが戦闘でダメージ受けるんかい」
〔女の子は、誰でも、恋愛戦士なの〕
「ドヤ顔うっぜー!」

>「私は墓を掘り返す。ローゼンよ、禁を破ってしまうことになるが、蘇生の準備をしておいてくれ」
>「リヨナちゃん……!」
見事なハブられっぷりを発揮してる大先輩はさておき、リヨナさんの保護はローゼン達に任せることにする。
俺が相対すべきは、何故かパンダのキグルミに身を包んだ中年男性。
>「これは……! 王道の美少年と美青年の組み合わせ!」
「この戦いが終わったらちゃんと眼科に行こうなローゼン!絶対だぞ!」
俺は真面目に心配です。
ガッチーの、着ぐるみに包まれた腕を伸ばしてくる。それは、助けを求める動きじゃあなかった。
>「あ、危なーい!!」
>「オレの体はっ!地精霊に操られててっ!部屋に入った者と!戦闘を!」
確かに感じる攻撃の意志。
「何ーーっ!?じゃあ地精霊の言ってた『協力者』ってのは!」
[左様。彼こそ地属性怪人ザ・ビフォーアフターことガッチーくんです。土木工事もこなせる有能なヤツです]
「アンタがこのダンジョン作ったのかよ!手作業で!」
>「すまん!聞いてくれ!この着ぐるみが罠だったんだ…地精霊のっ!」
「なんで着ちゃったの!?どの層に向けたテコ入れをしようとしたんだよおおおお!」
>「…毎日停電するのも2時間に1回は揺れてる気がするのも罠なんだ!」
「マジかよ結構ニアピンじゃん健康とか気をつけてね!」
うーむ、地精霊めこんな卑劣なワナを用意していやがるとは。
仲間を人質に取られてるのと同義で、つまりはものすごーくやりづれえってこった。
>「……頼む…脱がせてくれ!」
………………やりづれえ!

「やいやいや!地精霊テメー裏で糸引いてねえで出てきやがれ!
 まだ「よくぞ来た勇者たち」的なセリフも聞いてねーぞ!ダンジョン最深奥なんだから相応の待遇を要求する!」
ガッチーの攻勢をかわしつつ(パンチ自体はギリギリ躱せるレベルでした)、俺は瓶に向かってがなりたてる。
とにかく本体に出てきてもらわんことには話にならん。戦闘のローゼン然り、交渉の俺しかり、性交渉のメタルクウラ然り。
[………………]
あっれえ!なんで黙ってるの!安い挑発だと自分でも思うけど、貧弱な語彙じゃこれが限界だ。
俺は現社は得意だけど、現国はそこまで成績良くないのだ。あと英語と数学と理科も苦手。
[……ガクガクブルブル]
「怯えてる!?なんで!」
[さっきメタルクウラさんから>>24のようなメールが来まして]
――『あなたのお尻を丁寧に採掘しに行きます、ジェンタイルが』
「メタルクウラああああああああああああ!
 お前何つうメール送ってくれちゃってんの!?わけわかんねーキャラを施すんじゃねえ!なんだよ採掘って!」
<<迂遠な言い回しが隠語っぽくて逆に生々しいな>>
丁寧に、ってとこが特にな。これほど的確かつ秀逸に受け手へ恐怖をお届けする一文は見たことがねえ!

「ローゼン、ガッチーの支配魔法から逆探知して地精霊を引き摺り出してくれ!」
精霊魔力の扱いに長けたローゼンだけが可能な芸当だ。なんか光精霊と喧嘩してるっぽいけど大丈夫かよ。
俺はガッチーの着ぐるみを燃やそうと魔法を放つ。が、地魔法の加護が掛かってるせいで燃やせない。
じめんタイプはほのおタイプに強いのである。かくなる上は……
「すまねえガッチー――メタルクウラ!掘ってよし!!」
俺はガッチーを指さしながら合図を立てた。くそみそ展開には脱ぐのがならわしだ。
俺の格闘スキルじゃガッチーを脱がせられないが、モチベーションの上がったメタルクウラなら!

29 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/24(木) 03:40:23.16 ID:dp3ZE0R1
墓を掘ってはいたのだが、掘れども掘れども何も無い。
先輩悪魔達の死体は埋まってないのだろう。

>「あ、危なーい!!」
>「オレの体はっ!地精霊に操られててっ!部屋に入った者と!戦闘を!」

ローゼンの声に反応し、私は後ろを振り向いた。
何も無かった。
ジェンタイルの方を見ると、ガッチーが襲いかかっていた。
地精霊に操られているらしい。
地精霊の言っていた協力者はガッチーのことなのだろう。
地精霊め、ガッチーの肉体を使って私を襲うつもりだな。

>「…毎日停電するのも2時間に1回は揺れてる気がするのも罠なんだ!
>……頼む…脱がせてくれ!」

私は墓を掘るのを止め、十字架を持ってガッチーのもとへ向かう。

>[さっきメタルクウラさんから>>24のようなメールが来まして]
>「メタルクウラああああああああああああ!
> お前何つうメール送ってくれちゃってんの!?わけわかんねーキャラを施すんじゃねえ!なんだよ採掘って!」

「地精霊の尻には良質な鉱石や、貴重なお守りが採掘できるとMちゃんねるで見た。
お前は神おまが欲しくないのか?
私は欲しいのだが」
Mちゃんねるはインターネット上に存在する、会員制の掲示板である。
その実態は正式名称をメタルクウラちゃんねると言い、私達メタルクウラ専用の情報交換の場である。
閲覧だけなら会員のメタルクウラじゃなくてもできるぞ。
ちなみにこれまでの旅は、全て動画として記録し、Mちゃんねるにアップしてある。
そう、今この瞬間も私の目を通して録画され、編集され次第、アップされ続けるのだ。

>「すまねえガッチー――メタルクウラ!掘ってよし!!」

私達が掘るのはガッチーじゃなくて地精霊なのだが、助けるために裸にする必要がある。
私はジェンタイルに了解と返し、先程手に入れた新機能の変身を実行した。
私の体が光り輝いた。

「あまり、変化は……?」
変身するからにはクウラのように筋肉が膨れ上がり、より戦闘向きの頑強な肉体になると思ったのだが。
そのような変化は感じられない。
声が高くなったような気がする。
それぐらいだ。
私はステータス画面を確認する。
能力値はまったく変わり無し。
特技もそのままである。
しかし、姿は変わっていた。

30 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/24(木) 03:41:19.02 ID:dp3ZE0R1
「ふむ。 まさか、女たるクウラというオチというわけか」
私の姿はこの星の人間の女性の体に変化していた。
前の私の肌のような水色の腰まで届く長い髪に、水色のパッチリとした瞳。
ボンキュッボーンな魅力的な色白の体。
私の価値観から見てもこの姿は美人の女性の姿だ。
まぁ、私達のモデルとなったクウラも美形なのだから、当然のことなのだが。

「これはジェンタイルとのBLだけじゃなく、ローゼンとのGLもやって良しということなのだな」
昔、前の体でジェンタイルと同じように、ローゼンとスキンシップをしようとしたこともあったのだが、村長に思い切り止められたのである。
その姿で異性とスキンシップを取るのは犯罪だと。
私はローゼンの方を見て、ニヤリと笑うと、ガッチーの方に向き直る。

「ガッチーにとってはこの姿で脱がされるよりは、前の姿で脱がされた方が良かったのかも知れない。
だが、この姿での慣らし運転に付き合ってもらおうか!」
私はガッチーに飛びかかり、ガッチーの着ている服を脱がそうとした。
全裸で。

31 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/26(土) 07:19:24.64 ID:NXze1rw0
>27-28
どうやら墓はフェイクだったようだ。
『良かった、死んでないよ! きっと簀巻きにされて実家に送り返されただけだ!』
心底嬉しそうに、リヨナちゃんが死んでなかった事を喜ぶ光精霊。蘇生魔法はあんなにやる気なさげだった癖に訳わかんないよ!
《光精霊は相変わらずバカじゃのう。正直に言えばいいものを。蘇生魔法の使い手となるには相応の代償がいるのじゃ》
『バレてしまっては仕方がない。そういうことだよ』
今の君じゃあ何も考えず二つ返事で契約するか下手すりゃ代償の意味すら理解できない。
悪魔じゃないんだから制限行為能力者に契約迫ったりはしないさ』
「そりゃあしたところで有効に契約成立しないもんね……って誰が制限行為能力者だあああああああああ!!」

>「この戦いが終わったらちゃんと眼科に行こうなローゼン!絶対だぞ!」
「あれ……? さっき地精霊が見えたんだよ! 本当だよ!」

>「すまん!聞いてくれ!この着ぐるみが罠だったんだ…地精霊のっ!」
>「…毎日停電するのも2時間に1回は揺れてる気がするのも罠なんだ!
……頼む…脱がせてくれ!」
「よし! ここは北風と太陽の原理で赤外線を当てよう!」
『この場合蒸し焼きになるだけだよ!』

>「地精霊の尻には良質な鉱石や、貴重なお守りが採掘できるとMちゃんねるで見た。
お前は神おまが欲しくないのか?
私は欲しいのだが」
「尻って頭の逆と考えれば一番奥ってことだよね。
この洞窟の最深部には金銀財宝ざっくざくという解釈でいいかな!?
そんなの欲しいにきまってるじゃん!」

>「ローゼン、ガッチーの支配魔法から逆探知して地精霊を引き摺り出してくれ!」
そんな無茶な! それって精霊使いというより魔術師系の魔法だよね!?
確かに精霊使いの基本能力にセンスオーラってあるけど、視覚よりも嗅覚に近い感じ方をする、なんとなく匂う程度のものなのだ。
ところでデカわんこ知ってる? デカわんこ。警察犬並みの嗅覚を持つゴスロリ刑事。
「くんくんくん。地精霊の匂いがします……!」
二本の十字架が立っていた場所の丁度真ん中をここ掘れワンワンする。
砂を払うと、板が出てきた。板をずらすと下り階段が現れた! ちゃららららん♪
「いかにも宝物庫っぽくない? 地精霊を倒すと金銀財宝が手に入る展開に違いない!」

>29-30
>「あまり、変化は……?」
「映像さん、グラフィック間違えてるよ――ッ!」
>「ふむ。 まさか、女たるクウラというオチというわけか」
間違いじゃなかったのか。だとしたらもっと間違えてるじゃん!
「なぜに全裸!? 元が裸だから変身後も裸じゃないといけないとか変な所でリアリティ追求しなくていいから! むしろしないでくれ!」
>「これはジェンタイルとのBLだけじゃなく、ローゼンとのGLもやって良しということなのだな」
「何言ってんだああああああ!」
対岸の火事や離れた場所の地震がいきなり我が身に降りかかってきた気分だ!
ちなみに村長意外と常識人じゃんと思ったそこの君、騙されるな。クウ君のスキンシップは相手が異性でも同性でも犯罪です!
「総受け、じゃなくて総ボケだと思って甘く見るなよ! ちょっとでも変な素振りを見せてみろ。全力でツッコんでやる!」

>「ガッチーにとってはこの姿で脱がされるよりは、前の姿で脱がされた方が良かったのかも知れない。
だが、この姿での慣らし運転に付き合ってもらおうか!」
ガチさんはもう手遅れだ! クウ君という名の災害の犠牲者がまた一人増えた。合掌。

32 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/27(日) 17:09:42.42 ID:CYlFyt0M
>[左様。彼こそ地属性怪人ザ・ビフォーアフターことガッチーくんです。土木工事もこなせる有能なヤツです]
>「アンタがこのダンジョン作ったのかよ!手作業で!」

「訳わからん名前付けるなあああっ!あとオレの手足は主として内装担当で基礎工事は殆ど地精霊だっ」
…残念ながらヒトはこんな規模の穴掘りをこんな短時間には出来ない。
ただそれは裏を返せば実は今回地精霊のした工事というものも規模と所要時間が反則級なだけで
結局のところ物理法則を根本からねじ曲げるようなものではなかったという事になる。

>『良かった、死んでないよ! きっと簀巻きにされて実家に送り返されただけだ!』

[残念、二人はなんか大変そうだったので最寄りの仮設住宅に解放しておいた]
十字架の刺さっていた辺りが一通り掘り返されると地精霊の妙に勝ち誇った声が響いた。
「…それはいわゆる“○○と××を一部屋に閉じ込めてみた”じゃないのか」
[――ちゃんと出入り口は開けてあるぞ]
仮設住宅は地下室のようだ。

>だが、この姿での慣らし運転に付き合ってもらおうか!」
十字架を担いだ全裸の青髪美女…女たるクウラ…が飛びかかってきた。
全裸といっても板や売り場を分けなくて済むように腰までの長髪が白い肢体の上を奔放に舞う。
毛先に行くほど量の増える髪は機会生命体ならではのものだろう。

地精霊に操られた体はそれに対し
奇数…断固抵抗した
偶数…むしろ抱きしめようとした

33 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/27(日) 18:25:04.80 ID:CYlFyt0M
[…フローラっ!]
一瞬の硬直の後地精霊は飛びかかってきた女たるクウラを避けるどころか捕え抱きしめようとした。
[石化されて引き離された所でぼうけんのしょが消えてしまって…もう会えないかと思っていた…]
…今更DQ5ですかそうですか。確かに鳥山デザインの青髪ロングという点では間違ってはいないけれど。

意外にもすんなり腕の中に収まった全裸の女たるクウラに
「あ゛ー…」
オレが何とも言えない視線を投げ
[その体寄越せ!拙に直接抱かせろ!]
地精霊がよくわからない理屈で逆上した次の瞬間
畳まれていた女たるクウラの剛腕がオレの胸に擦過傷を作りながらパンダの着ぐるみの前正中線を引き裂いた。
「ありがてえっ!…うぐっ!?」
そのまま密着して腕をオレの背後に伸ばし着ぐるみを力づくで引き剥がす女たるクウラの勢いに
オレの腕と脚は結果的に瞬時にキメられ着ぐるみが外れると同時に四肢の関節が嫌な音を立て
着ぐるみと地精霊の拘束から解放されたオレはそのままその場に倒れ込んだ…女たるクウラの上に。

34 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/03/28(月) 01:34:36.70 ID:XN0Zj+Bc
ローゼンが地下室への階段を探り当てた!
やっぱガッチーがラスボス戦じゃあなかったか!バラモスみたいな感じだもんな!
バラモスと言えばかの魔王(笑)さんを見かけたのは本家のVじゃなくモンスターズの方なんだけど、
本家の小物っぷりに比べて随分強化されてて開発の愛を感じた。ゾーマはもっと強かったけどな。
公式コミカライズとかだとゾンビ化したりあんまりな扱いが多いけど、俺はそんなバラモスさんが大好きでした。
傀儡政権のピエロっってとこが特に。
>「いかにも宝物庫っぽくない? 地精霊を倒すと金銀財宝が手に入る展開に違いない!」
「待て!今の言葉を聞きつけてお巡りさんがアップを始めたぞ!」
魔王討伐の時代じゃあるめえし、やることやっちゃうと強盗扱いになっちゃうぞ。
最近の精霊は法律を遵守するので、逆説的に法律の加護を受けているのだ。

メタルクウラの方から強い光が迸る。
見ると、そこにいたのはメタルクウラじゃなかった。水色の髪と眼を持つ麗しき艶女。
「……だ、誰?なんで全裸?」
>「ふむ。 まさか、女たるクウラというオチというわけか」
「何ィィィィィィィィイイイイイイ!!?」
異様に上手いこといったメタルクウラ(?)は髪の毛で巧みに触法部分を隠匿しながらほほえむ。
>「これはジェンタイルとのBLだけじゃなく、ローゼンとのGLもやって良しということなのだな」
「そんなの絶対おかしいよ!」
いや異性不純交遊が良しってわけじゃないけどさあ!同性不純交遊よりかは健全だとオモウヨ!
性別転換ができるくせに、どっちにしろ同性愛に転んじゃうあたりが、こいつの病巣を如実に表していた。
>「総受け、じゃなくて総ボケだと思って甘く見るなよ! ちょっとでも変な素振りを見せてみろ。全力でツッコんでやる!」
「お前はもうちょっとステータス画面を見ような!!」
ローゼンの性別表示の欄が「♀」なの、ひょっとして俺だけとかじゃないよな!?
<<高度な叙述トリックの可能性を検討し始めたな>>
やめろ。それはあまりにぞっとしない。何ヶ月越しの伏線回収だよ。
〔ツッコむなら、いつでもローションをお貸しするの〕
「他人の発言を勝手にシモネタに変えてんじゃねーーっ!」

>[…フローラっ!]
地精霊inガッチーは腕を伸ばし、女たるクウラを抱き締めんと迫る!
地精霊フローラ派なのかよ!さては、ベホマズンに釣られたな!?イオナズンもだっけ。
俺は前から思ってたんだけど、ポっと出のお嬢様とか昔遊んだっきりの金髪より、
何年も奴隷として苦楽を共にしたヘンリー王子のが嫁ポジションだと思うぞっ。男なのが悔やまれるな!
ここで男でもいいとか言っちゃうとメタルクウラとローゼンが喜びそうなので死んでも言わないけど。
>「ありがてえっ!…うぐっ!?」
と、久々にモノローグが脱線している間に、着ぐるみが裂かれガッチーが解放されたようだった。
げに恐ろしきはメタルクウラの欲望完遂能力。こいつ煩悩を上手くコントロールしたら最強なんじゃねーか?
「って、うわあ……なんか色々と放送禁止な光景に……通報してえ。つうか、既に110番の入力完了してるわ」

[ザ・ドボルベルクことガッチーくんがやられてしまいましたか。ですが彼はしょせん傀儡]
「怪人名変わってんじゃねーか!」
相変わらずのテキトー加減。基本的に精霊って奴は刹那主義で、常にその場のノリで生きている。
[まあいいでしょう。よくぞガッチーを倒しここまで来ました、光の勇者と愉快な仲間たちよ!
 そこの階段を下れば本格的に本章のラストバトルです。ど派手に行きましょう]
「あれ?そんな話だっけ!世界を変えられる地精霊の知恵とかどうなったの?」
[あれはうそです]
「なんだうそか!……いやいやいや!嘘ぉ!?」
[昔魔王倒した時も最後は肉体言語でしたからね。圧倒的武力に勝る平和的解決などありません]
なんつー脳筋理論。地精霊が温厚って設定どこ行った!?まさか僅か一章の間に消えたの!
何のために俺たちこんなダンジョンとかパンダおっさんとか茶番に付き合ってまでここにいるんだ。
[簡単なことです。拙と戦い、拙を負かしなさい。貴方たちの武力が、その信念を達成するに足るならば。
 拙は貴方たちに手を貸しましょう。世界を救おうが滅ぼそうが、その為の力を貴方たちに委ねます]
「……と、いうことらしいんだけど」
未だ地面でメタルクウラと捏ねくり合ってるガッチーを見下ろし、視線をローゼンに移しながら。
「パーティーもだいぶ寂しくなっちまったことだし、ここはいっちょ四人パーティー、行こうぜ?」

35 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/03/28(月) 03:38:35.80 ID:R2Xwaj1f
>「総受け、じゃなくて総ボケだと思って甘く見るなよ! ちょっとでも変な素振りを見せてみろ。全力でツッコんでやる!」

私は立ち止まり、ローゼンの方を見て言った。
「ふっふっふ。 そうだな、お前はその格好の通りにタチだからな。
ジェンタイルを愛でる時とは逆に、ネコに徹するとしよう」
私はお尻をローゼンの方に向けて二度叩き、言ってやった。
「いつでも来い」

>[…フローラっ!]
>[石化されて引き離された所でぼうけんのしょが消えてしまって…もう会えないかと思っていた…]

フローラ派の地精霊が操るガッチーにわざと抱かれ、懐に潜り込む。
ビアンカ派の私は怒りを込めて、地精霊の着ぐるみを引き裂く。
そして、ガッチーを地精霊から救出するべく、裂け目からガッチーの背に手を回して引っ張り出した。
嫌な音と共にガッチーが勢いよく飛び出てくる。
ガッチーが私の胸に頭を挟む形で、私達は倒れてしまった。

>「って、うわあ……なんか色々と放送禁止な光景に……通報してえ。つうか、既に110番の入力完了してるわ」

確かに裸の女を押し倒すような光景は、この世界では犯罪扱いされるだろう。
だが、これは私の責任なのだ。
「すまないな、ガッチーよ。
もしもお前がお婿に行けなくなったならば、私が貰ってやるから安心しろ」

>[簡単なことです。拙と戦い、拙を負かしなさい。貴方たちの武力が、その信念を達成するに足るならば。
>拙は貴方たちに手を貸しましょう。世界を救おうが滅ぼそうが、その為の力を貴方たちに委ねます]
私はガッチーにぱふぱふをしながら地精霊の話を聞いていた。
地精霊が言っていた世界を変える知恵など嘘だったようだ。

>「パーティーもだいぶ寂しくなっちまったことだし、ここはいっちょ四人パーティー、行こうぜ?」

ジェンタイルの提案に私も身を起こし、ガッチーをお姫様だっこをして頷く。
「そうだな。 私達はどんなに主張を違えていても、友達なのだ。
困った時には力を合わせて挑むのが筋であろう」
もう、ガッチーも先輩悪魔もハマタ達も私にとっては友達だ。
その友達があの地精霊に迷惑をかけられたのだ。
借りは返さなければなるまい。

「行こう! 地精霊のお尻の穴へ!」
私達は地下へと続く階段を降りて行った。

36 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/29(火) 01:43:34.93 ID:EeM5m+ss
>32-34
>「待て!今の言葉を聞きつけてお巡りさんがアップを始めたぞ!」
「えー、ダメ? だってこういう展開RPGでよくあるじゃん」
昔の正義の味方より遥かに法律遵守する悪役がここに誕生した。
悪役のジェン君がダメというのだから諦めよう。
昔の勇者は一般人の家に押し入って勝手にタンスを開けたり、合鍵で宝物庫に侵入して宝を奪っていっても余裕だったそうだ。

>「お前はもうちょっとステータス画面を見ような!!」
「え? ほら、ステータス画面男になってるよ」
『ジェン君にはきっと違う世界が見えてるんだ。
彼は記号的表現やお約束の類が通じない特殊能力の持ち主なのかもしれない……!』

>[…フローラっ!]
>[石化されて引き離された所でぼうけんのしょが消えてしまって…もう会えないかと思っていた…]
地精霊はフローラ派である事をここに宣言した。
「年上金髪の幼馴染を見捨てるなんて許せない……! ねえジェン君!?」
僕は有無を言わさぬ目力でジェン君に同意を求めた。 

そして暫し間を開けてから小さい声で付け加えた。
「でも本命はヘンリーだよ。あれを嫁候補に入れない開発陣は何やってんの。
主人公とヘンリーがくっ付いてフローラとビアンカがくっ付けば丸く収まるじゃん。
フローラはお嬢様だからごきげんようお姉さまの世界の住人でも不思議はない。
そのあまりの勢いに押し切られてビアンカだけにビアン化ってわけだね!」

[そんな事をしたら勇者が生まれなくて世界が滅びますよ!]
「うみゅ? 地精霊本当にドラクエ5やった?
誰と結婚しようがあの双子ならちゃんと川の上流から流れて来るよ。大丈夫だ何の問題もない!」
[黙れ! 拙はホモネタが大っ嫌いなのです!]
「ホモネタじゃない、BLだ!」

>「パーティーもだいぶ寂しくなっちまったことだし、ここはいっちょ四人パーティー、行こうぜ?」
>「そうだな。 私達はどんなに主張を違えていても、友達なのだ。
困った時には力を合わせて挑むのが筋であろう」
「うん! 頭が固い地精霊にBLの素晴らしさを叩き込んでやろう!
ジェン君、そろそろ認めなよ。本当は美青年が好きなんだろ! だって男の裸で喜んでたもんね!」

階段を下りると、やっぱり温厚そうな表情で本性を覆い隠した超絶美青年が待ち構えていた。
なぜか背景には天蓋付きのベッドがある。一体何を考えてるんだ。
地精霊は古来からのお約束に則って、両手を広げて大立ち回りで出迎える。
[よくぞここまでたどり着いた、光の勇者達よ! その力、拙に示してみよ!]
「ド変態が恰好つけてんじゃねー!」
[あなたに言われたくありません!]
「僕は変態じゃない。仮に変態だとしても変態と言う名の紳士だ!」

37 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/03/29(火) 01:45:39.25 ID:EeM5m+ss
啖呵を切ったのを合図にボス戦のBGMに切り替わる……と思ったら切り替わらない。
「音響さーん?」
『地精霊を煽るBGMをかけてやろうと思ってショタレラにするかショタデスヨンにするかで迷っているそうです』
「何だよショタレラとかショタデスヨンって! どっちもかけなくてもいいからあれで行こう!
隊列一体どうしましょう!? クウ君とガチさんが前列、ジェン君と僕が後列! 男男男男で二列に並べ!」
もし外見上全裸の美女が混ざってたとしても男なら細かい事は気にするな!
ttp://www.youtube.com/watch?v=v6pFSf6-c0c

「ところで精霊は誰かに乗り移らないと直接的には物質界に影響を及ぼせないんじゃ……!?」
[フフフ、いい質問ですね……! 貴方のお蔭ですよ!]
地精霊の胸元で、赤い宝石が怪しげな輝きを放つ。
「げっ、あれパワーストーンだったのか!」
ここでローティアスの最後の姿を思い出してほしい。
彼女は悪魔と名乗ってはいたが、少しばかり強大な力を持った闇の精霊だったのだ。
パワーストーン、力ある石。その内包する魔力に応じて、精霊に物質界に干渉する力を与える。
でも狂暴化させるなんて効果は教科書に書いてなかったぞ!

『確かに魔王討伐の時代はそんなことは無かった……。
でも永い時を地中で過ごすうちに大地の穢れを溜めこんでしまったのかもしれない!
まさかこんな事になるなんて……!』
ああ、恨むべきは未だに魔王討伐の時代のままで止まっている魔法学の教科書!
そもそも精霊を理論的に解明しようとする方が無理があるのだ。

[そういえば……こちらが勝った場合をまだ言っていませんでしたね。もしも拙が勝ったら、実体を持ったままあなたと契約する。
そうすれば貴方は拙の虜となり、共にホモネタまみれの腐った世界に天罰を下すのです!]
「全力でお断りします!」
『先住民は我だ! 勝手な事を言うな!』
[ええ、先住民を追い出して契約するには相当強力な呪法が必要。口付けでは足りないでしょうね。
安心しなさい。最高の魔法少女の彼女なら拙と契約すれば最悪の魔女になる……!]
無数の土の触手が一斉に現れる。地精霊が合図をするように腕を前に出すと、一斉に襲い掛かってきた!
「ひるむな、弱点は分かってる! あの石を奪うか破壊するんだ!!」
僕はひるまないぞ! だってああいう物理的な物が前から来る攻撃は前列が受けると相場が決まっているんだ。

38 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/31(木) 22:57:36.15 ID:PxXlFYrR
倒れ込んだ拍子にオレの頭は女たるクウラの胸に埋まってしまった。
その触感と弾力からは装甲値が変身前と全く変わっていない事が容易に想像できた。

>「パーティーもだいぶ寂しくなっちまったことだし、ここはいっちょ四人パーティー、行こうぜ?」
望むところだ…と言いたかったが助け出された時の衝撃で関節があちこちヤバい事になっているようで
正直今は喋る余裕もなかったししばらくは立ち上がれる気もしなかった。

>ぱふぱふ
スライムとも羊とも違う触感の女たるクウラのぱふぱふは絶大な効果をもたらした。

奇数…「き、きもちいい…」
偶数…女たるクウラにみとれてしまった。


39 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/03/31(木) 23:40:26.10 ID:PxXlFYrR
「き、きもちいい…」
ぱふぱふされたオレはいろんな意味で気が遠くなりかけた。
(奇麗な顔してるだろ…男なんだぜ、これ)

ローゼンやジェンタイルを軽く抱き上げる大男であるオレを軽くお姫様だっこした女たるクウラは
そのまま階段を下り天蓋付きのベッドに向かって進んでいくようだ。
…オレは再び気が遠くなりかけた。

無数の土の触手が一斉に現れ襲い掛かってきた!
>「ひるむな、弱点は分かってる! あの石を奪うか破壊するんだ!!」
背後からローゼンの檄が飛びようやく我に返って見ればベッドの少し手前には何故か赤い石が浮いていて
地精霊の御託はそのあたりから聞こえてくるような気がした。
「…お?!」
女たるクウラのぱふぱふはDQ3準拠の肩凝りに加えて関節の治癒効果もあったようだ。
「助かった…なかなか良かったぜ、あんたのぱふぱふ」
女たるクウラの首を軽く抱いてそう囁いてからオレは女たるクウラの腕から下り赤い石に向き直った。

「っしゃあ、んじゃいくぜ!」
オレは触手を適当に踏んだり跨いだりして石の方へと接近を試みた。
問題は今現在の装備がもし職業がニンジャだったら絶大なアーマークラスを誇れる…即ち文字通りの徒手空拳であることだ。

40 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/02(土) 02:26:05.28 ID:Hqn7k+td
>「そのあまりの勢いに押し切られてビアンカだけにビアン化ってわけだね!」
「上手いこと言ってんじゃ……ホントに上手いな!!」
思わず感心しちまったじゃねーか!あの金髪にそーいうダブルミーニングが仕込まれてたとわ。
<<年上金髪幼馴染ってのが誰かさんと激しくカブるな誰かさんと。誰だろうな!>>
〔水精霊様の契約者の一件でビアン化も冗談に見えなくなってきたの〕
「なんでお前がその件を知ってる……」
はっ、まさか禁断の中の人情報に手を出したんじゃねえだろうな……!?
〔水精霊様がミクシイで逐一報告してたの。一日五回は更新してるの〕
どーしてそうやってすぐ個人情報をワールドワイドで公開したがるかな!
危機管理意識も10年前のまんまだよ!

>「そうだな。 私達はどんなに主張を違えていても、友達なのだ。
 困った時には力を合わせて挑むのが筋であろう」
「メタルクウラ……」
いいこと言うじゃん!なんかこう、背景トーンがキラキラ光るアレになってる感じ。
>「うん! 頭が固い地精霊にBLの素晴らしさを叩き込んでやろう!」
「台無しだよ!?」
お前いいこと言ったのをホモネタで台無しにするのはメタルクウラの役目だろーが!
>「行こう! 地精霊のお尻の穴へ!」
「ああ!ほら見ろ乗っかっちゃったじゃねーかこいつ!二段オチとか高度なマネしやがって!」
>「ジェン君、そろそろ認めなよ。本当は美青年が好きなんだろ! だって男の裸で喜んでたもんね!」
「ここぞとばかりに事実を!捏造!するんじゃねえええええええええ!!!」
>「き、きもちいい…」
「どわー!くそみそネタで引っ張ってる間にこっちは真っ当な18禁に!?」

さてさて。早速階下へ突入した俺たちは、地精霊の御宅拝見。素敵なお部屋ですねー。燃やしたくなってきた。
>[よくぞここまでたどり着いた、光の勇者達よ! その力、拙に示してみよ!]
「よーし正統派RPGっぽくなってきた!今からでも遅くねーぞ!マトモなバトル展開に軌道修正!」
>「隊列一体どうしましょう!? クウ君とガチさんが前列、ジェン君と僕が後列! 男男男男で二列に並べ!」
「この野郎まだ頑なに性別詐称するつもりだな!?もー騙されねーぞ!ステータス画面だけが真実じゃねえんだっ!」
この眼で信じたものだけが真実だ!温泉編終了後の宴会パートに期待!!
地精霊が顕現できてるのはパワーストーンによるものらしい。ローティアスの本体だったアレな。
穢れを溜め込み過ぎると災厄を喚ぶんですって。早く11話放送してくんねーと俺の魂も濁りそうだ。
<<もう春季アニメが始まってしまうではないか>>
最近はオリジナル物が充実していて大変結構!レコーダーのHDD残量をやりくりする生活が再開だ!

>「ひるむな、弱点は分かってる! あの石を奪うか破壊するんだ!!」
「よーしいくぜ、テンション上げろよ炎精霊!」
<<んー、もう一声欲しいな。タイプ相性悪いしイマイチ気が乗らないってゆーかー>>
くっ、毎度毎度のことながらめんどくせー性格してんなこいつ!誰に似たんだ誰にっ!
「メタルクウラの言葉を思い出せ。地精霊のケツからは良質のお守りが採れるらしいぞ!」
これでもうテーブル合わせて火山で炭鉱夫せんでもええんや!速射+1と回避距離が両立できるんや!
<<ケツから採取できるのって、それ地精霊のうんこじゃね?>>
[やめろお!!]
わ、地精霊がキレた。ちょっとネタがお下品すぎたな。反省反省。
<<つーか地精霊ちゃんよ、ケツから宝石出すのか汝。どこのプリキュアよ>>
「プリキュアはケツから宝石ださねーよ!?マスコットの方だからねそれ!!」
お茶の間ドン引きじゃねーか。日曜朝が阿鼻叫喚と化すぞ。ぶっちゃけありえない。
[ゆるせん……拙が欲しいのは光の勇者だけですので、そこのエセチンピラ君には遠慮無く消えていただきましょう!]
エセチンピラって俺のことかよ!?言ったの炎精霊ですし!

「えーいやむを得ん!援護するぜっ!」
今回四人パーティーでフルボッコだし炎精霊の出る幕はなかろう。という目論見で。
俺はこんなこともあろうかと用意しておいた自家製のパイプ爆弾と火炎瓶を投げまくる。
ついでにヘルメット、サングラス、三角布にゲバ棒を携え革命の志士スタイル。
世界を変えるという今回のコンセプトに、実にマッチした装備だと言える。
「辺境村のザ・ライトウィングと言わしめたこの俺の!真の革命を魅せてやるぜ!!」

41 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/02(土) 04:38:53.30 ID:+lyPSZDw
階段を降りた私達は、実体化した地精霊と対峙する。
ガッチーを抱えた私が前に出て、ローゼンとジェンタイルは後ろに控えた。
ローゼンよ、今は女たる状態なのだから女として扱ってくれれば嬉しいのだが……

地精霊とローゼンが会話する。
ローティアスが実体化した時と同じことを地精霊もしており、ホモネタが蔓延る世の中に罰を与えるために、ローゼンの体を求めているらしい。
地精霊がこのような行動を取ったのは、私のせいなのだろう。
私が友人同士の軽いスキンシップのつもりでも、世界は私達の淫らな行為に感激し、地精霊は性の乱れに涙を流したのだろう。
地精霊は神様でもあるのだから。

>「ひるむな、弱点は分かってる! あの石を奪うか破壊するんだ!!」
>「助かった…なかなか良かったぜ、あんたのぱふぱふ」

地精霊の触手の攻撃をガッチーを抱えたまま、どう避けようかと考えていたが、ガッチーは起きて私から離れていった。
「またされたくなったら、いつでもしてやるぞ」
私は襲い掛かる地精霊の触手を、拳や足による格闘で砕き続けながら、ガッチーに言った。

>[ゆるせん……拙が欲しいのは光の勇者だけですので、そこのエセチンピラ君には遠慮無く消えていただきましょう!]
>「辺境村のザ・ライトウィングと言わしめたこの俺の!真の革命を魅せてやるぜ!!」

ジェンタイルの挑発に地精霊は引っかかり、触手の大半がジェンタイルに向かう。
相手を攻めるのがガッチーの役割なら、後衛を守るのが私の役割だ。
ジェンタイルの前に私は陣取り、ジェンタイルと私を包むように球状のバリアを張り、全方位から襲い掛かる触手を防いだ。
「ジェンタイルよ……もう、私達は性的に革命を起こしてしまったのだ……
お前も私も気付かない内に世界は変わってしまったのだ」

私の張ったバリアの内側から、触手が作られて私は絡め取られる。
ギリギリと音が鳴る程の強さで、触手は私の体を壊さんとばかりに締め付ける。
地精霊に取っては私は世界を滅ぼす憎むべき敵のようなものだから、それは仕方がないのだろう。
バリアが解けてしまったが、ジェンタイルは無事なのだろうか?

42 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/02(土) 04:40:21.25 ID:+lyPSZDw
「私達の友情の証としてのスキンシップが世界に誤解され、世界には邪淫が蔓延ってしまった。
このままでは、世界は子供が生まれずに滅んでしまう……
地精霊がここまで怒るのは、私のせい、なのだ」
触手の締め付けが緩み、触手は私を解放する。
地精霊は無表情でこちらを見下ろしながらも、触手をガッチーの方に、ローゼンの方にも向ける。

「この、今の私の女性化もあなたの仕業なんだろう。
地精霊、いや、地母神モッコス」
地精霊の姿が変わり、今の私と似たような姿の女性が現れた。
地精霊にはこの温泉街で信仰されるのとは別に、他の多くの地で恵みを与える存在として信仰されている。
地精霊が取っている今の姿は、そのことを表した姿なのだろう。
地精霊とローゼンとの会話中に、ネットで調べたのだ。

[汝、罪を認めるのならば、そこのベッドで成すことを成せ]
「了解、した」
私は手早くローゼンに向かう触手を蹴り飛ばして、ローゼンをお姫様抱っこしてベッドに向かう。
ローゼンは自称男だし、地精霊も目を瞑ってくれるはずだ。

43 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/02(土) 21:52:55.34 ID:Pm5r1cSI
>39
>「っしゃあ、んじゃいくぜ!」
[どこからでもかかってきなさい!]
何を思ったか、地精霊は伏せて地面に這いつくばった。
ガチさんはなぜか地精霊を見失ったようだ。
「そこにいるじゃん! もしかして見えてないの!?」
地精霊は匍匐前進でにじりにじりと移動しながら謎めいた言葉を放った。
[我々にとっては魂が全て。肉体など魂の器に過ぎない……。
いかに精霊契約に長けた種族の器に入っていても中身があれでは意味が無い]
「どういう意味? まるでガチさんの体と中身が別の人みたいな言い方だな!」

>40
>「えーいやむを得ん!援護するぜっ!」
>「辺境村のザ・ライトウィングと言わしめたこの俺の!真の革命を魅せてやるぜ!!」
「和訳すると右翼!よく鎮圧に駆り出されたものです」
てか魔法少年のくせになんでいっつも近代兵器で戦ってんだよ。
もしかして本来の姿は内気な眼鏡男子だったんじゃないだろうな。

>41
体をはってジェンくんを守るクウ君。
>「ジェンタイルよ……もう、私達は性的に革命を起こしてしまったのだ……
お前も私も気付かない内に世界は変わってしまったのだ」
「政敵に革命!? いつの間に!?」
これって政治ものだったっけ!

>42
>「私達の友情の証としてのスキンシップが世界に誤解され、世界には邪淫が蔓延ってしまった。
このままでは、世界は子供が生まれずに滅んでしまう……
地精霊がここまで怒るのは、私のせい、なのだ」
「ホモネタが流行ると子供が生まれなくなるの? 意味が分からないよ!」
だって桃太郎とコウノトリとキャベツ畑だもん。村の大人たちはみんなそう言ってるぞ!

>「この、今の私の女性化もあなたの仕業なんだろう。
地精霊、いや、地母神モッコス」
「げっ、邪神だー!」

>[汝、罪を認めるのならば、そこのベッドで成すことを成せ]
>「了解、した」
なぜかクウ君にベッドに連行される。
「ちょっと待てい! 勝手に話すすめてんじゃない! やるんなら二人で勝手にやれよ!
地精霊、ホモネタ嫌いなんだろ! 止めなくていいの!?」
[女×女はロマンでしょう……じゃなかった。
問題ありません。その者は女で汝は男でしょう? ステータス画面がそうなってます]

44 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/02(土) 21:57:25.44 ID:Pm5r1cSI
あっという間にクウ君に組み敷かれた。
「綺麗……」
エロい体してるだろ……未就学児なんだぜ、これ。って見とれてる場合か!? 尻が大ピンチだ!
「ぎゃあああああああああああ!! みんな勘違いしてるけど僕はプラトニック路線なんだぞ!」
〔サービスなの〕
追い討ちをかけるように、ポーション精霊が謎の液体をぶっかけてきた。
「何かけた!?」
ポーションって霊薬のことだから広い意味でとれば何の効果だか分かったもんじゃないわけで。
息が上がって胸がドキドキしてきた。微熱が出たときみたいに体が火照る。
「クウ君……なんか変だよ。風邪でもひいたみたいなのになぜか元気一杯だ!
光精霊、リンクだ! 僕にだって突っ込むものはある!」
リンクした僕はクウ君と上下を入れ替わる。手の中に現れしは光の精霊剣。さあ攻受逆転だ!
「大好きだああああああああああっ!!」
精霊剣を思いっきり突き立てる。

尻に……じゃなくて胸に。もちろん刀身は非実体と化している。
そのままクウ君に言い聞かせる。
「クウ君のことは好きだしその気持ちはすごく嬉しい。
でもね。好きだからってやっぱり軽々しくやったらいけないよ!
それはキャベツ畑で子供が拾えますようにと願う神聖な魔法なんだから、ね。
だからそう思う日が来るまでは口の中に舌をぶちこむぐらいで我慢するんだ」

思えばこのダンジョンに入ってからのクウ君はいつにも増して積極的だった。
僕達は地精霊の術中にまんまと引っかかっていたのだ。
ローティアスはディスり合いをさせてきたがモッコスはそれの逆をしてきたってわけだ!
ベッドから飛び降り、モッコスに剣を突きつけて言い放つ。
「邪神モッコス……お前の邪法は破れた! 愛は人口を増やすための道具じゃない!」
さあ今渡こそ正当派バトルだ!

45 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/03(日) 21:01:14.88 ID:CYcurUWY
目の前に伸びてきた触手を試しに蛇をつかむ要領で握って芋掘りの要領で引っこ抜いてみた。
すると地面から引き剥がされた触手はすぐに勢いを失いやがていくつかの土塊となって落ちていった。
「なるほど…破砕するなら多分ここいら辺がツボだな?」
その間にももしゃもしゃと寄ってきた触手の根元を狙い踏んだり蹴ったりして効果を測っていると
>[どこからでもかかってきなさい!]
地精霊の声がしたのでベッドの方を見ると空中にあった赤い石はいつの間にか消えていた。
「…えーと?どこが“どこからでも”なのかな?」
>「そこにいるじゃん! もしかして見えてないの!?」

奇数…「ん?ああ…これか」再び触手に向かう
偶数…「見えてないの!?と聞かれたら…」ローゼンを振り返る

46 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/03(日) 22:16:52.56 ID:CYcurUWY
「(ry…で何が見えてないって?」
要領が分かってきたのでそこそこ順調に触手を砕きながらオレはローゼンを振り返ったが

>[我々にとっては魂が全て。肉体など魂の器に過ぎない……。
>いかに精霊契約に長けた種族の器に入っていても中身があれでは意味が無い]
>「どういう意味? まるでガチさんの体と中身が別の人みたいな言い方だな!」
残念ながら地精霊との謎解きタイムに入ってしまったローゼンからの答えはない。
「…どういう意味? まるでローゼン君は体と中身が同じ人みたいな言い方だな!」
呟いてみたが本当はそれほど驚く事でもないような気がする。

その一方でジェンタイルと女たるクウラは前回同様見事な攻守連係プレーを展開していた…筈が
一瞬の後に場面は何故かローゼンと女たるクウラのデカルチャーーー!に変わる。
…超スピードだとかそんなチャチな(ry
オレも体験しているが流石は機会生命体、その博愛精神も含めて恐るべしだ。

>「邪神モッコス……お前の邪法は破れた! 愛は人口を増やすための道具じゃない!」
叫ぶローゼンの剣先の近くを見ると先程見失った赤い石が浮いていた。
地精霊は形態変化したようだがまずはあれを奪えばいい事に変わりはないのだろう。
オレはその辺の触手を払いながらさりげなく石を挟んでローゼンの反対側に回り込み
地精霊がローゼンとの会話に気を取られた隙を見て石に飛びついた。

47 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/05(火) 06:32:36.29 ID:EJCvbtD2
>「ジェンタイルよ……もう、私達は性的に革命を起こしてしまったのだ……
 お前も私も気付かない内に世界は変わってしまったのだ」
「ええ!?俺その手のことに関してだけは保守派でいようと思ってたのに!」
いかなる時代も革命が思い通りの結果を産まないことは覚悟の上ではあったけど!
さすがにこのどーせーあいの普及っぷりは予想外だったわ!世界線が収束してやがるのか!?
メタルクウラのバリアが、地精霊の触手から俺達を護る。
だがそれを貫通してとどく幾本かがあった。メタルクウラは再び拘束され、締め上げられる。
>「私達の友情の証としてのスキンシップが世界に誤解され、世界には邪淫が蔓延ってしまった。
 このままでは、世界は子供が生まれずに滅んでしまう……地精霊がここまで怒るのは、私のせい、なのだ」
「お前のせいかあ!?」
っていやいや。辺境村の一個人の性癖がどんだけ世界に影響してんだよ。
とんだバタフライ・エフェクトもいいところである。この場合どっちかってえとピタゴラスイッチか?
>「ホモネタが流行ると子供が生まれなくなるの? 意味が分からないよ!」
「え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"!?」
ローゼンお前マジで言ってんの!?お前曲りなりにも大卒だろーが!
っていうかなんだこのアウェイ感。ヘテロの俺のが間違ってるみたいな雰囲気!
異性愛って普通だよね!?俺おかしくなんてないよね!?

>「この、今の私の女性化もあなたの仕業なんだろう。地精霊、いや、地母神モッコス」
>「げっ、邪神だー!」
「邪神言うな!地精れ……じゃなかったモッコスさん泣いてんだろーが!」
>[汝、罪を認めるのならば、そこのベッドで成すことを成せ]
>「了解、した」
メタルクウラがローゼンを抱き抱えモッコスの用意したベッドに入っていく。
待て待て待て。なんだこの展開どんどんおかしい方向に行ってんぞ!
これ以上はCERO制限的にマズいって!っていうかローゼン何まんざらでもなさそうな顔してんだテメー!
ローション精霊の小憎い演出によってどんどんR18な路線へ加速する二人!外野で観てるだけの俺!
絶望的な状況をよそに、だけど何故か身体の奥底から活力の奔流が沸き上がってくるのを感じた。
「ん?あれ?リンクしてる!なんで?」
<<テンション上がってきたあああああああああああああ!!!NTR属性に目覚めそうだ>>
「お前最低だよ!!!」
>「大好きだああああああああああっ!!」
ビキビキに硬質化したローゼンの精霊剣が、欲望のままメタルクウラの肉体に突き入れられる!
飛び散る液体!弾ける青春!致命的に歯車の狂った回春は完結する。
>「邪神モッコス……お前の邪法は破れた! 愛は人口を増やすための道具じゃない!」
ローゼンが言うと、それは凄まじく説得力のある言葉だった。

ガッチーがパワーストーンに飛びついた。
暴走した精霊を止めるには、大きく分けて二通りの方法がある。

一、契約者のテンションを著しく下げる/対価となっている感情を冷めさせることで精霊の力を沈静化させる
二、暴走した精霊を魔祓いの魔法で抑えたり、依代となっている物から精霊を無理やり弾き出す

昔俺が変な精霊に取り憑かれた時にローゼンが精霊剣で俺をぶっ刺したけど、これは二の前者。
湖畔村で水精霊をローゼンからひっペがしたのは二の後者になる。
話は戻るけど要は地精霊をパワーストーンから弾きだしてしまいさえすれば俺達の勝ちなのだ。
「ガッチー!そのまま抑えてろよっ!!」
俺は精霊炎を圧縮してハンマーを生成する。柄を伸ばしてパワーストーンをぶっ叩くが、モヤシの俺じゃ威力が足りない。
こうなったら……
「メタルクウラ!エネルギー弾で俺のハンマーを撃てっ!!」
メタルクウラの威力を借りて、地精霊と炎精霊の魔力を直接激突させる。
ダルマ落とし式に、パワーストーンから地精霊が弾き出される。もちろん石自体とは"リンク"で繋がっているけど……
「ローゼンっ!」
それを叩っ斬れるのがローゼンの精霊剣だ。
パワーストーンから完全に解き放たれた地精霊は、そのままだと依代を無くして消散・爆発しかねない。
が、しかァし!今回に限ってはたらい回しの"受け入れ先"がある!パワーストーンを抑えてるのは、他でもないガッチーだ!
ガッチーが地精霊の憑依に耐え切れるかは未知数だけど、地属性同士で仲良くやってくれることを祈ろう。
題して!憑依解除アーンドガッチー強制契約の巻!!

48 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/05(火) 12:26:28.72 ID:vXqVZeUT
>「クウ君……なんか変だよ。風邪でもひいたみたいなのになぜか元気一杯だ!
>光精霊、リンクだ! 僕にだって突っ込むものはある!」
>「大好きだああああああああああっ!!」

「私もだあああああああああああっ!!」
ローゼンをベッドに連れ込んだ私は、私が受けるというポジションになり、ローゼンに光の剣を突き立てられた。
私の体に入れられた地精霊の力が消えていく。
私の特技の中から変身が消えた。
って、この姿のまま変身の能力が消えてしまったぞ!
元の姿に戻れないではないか!

>「クウ君のことは好きだしその気持ちはすごく嬉しい。
>でもね。好きだからってやっぱり軽々しくやったらいけないよ!
>それはキャベツ畑で子供が拾えますようにと願う神聖な魔法なんだから、ね。
>だからそう思う日が来るまでは口の中に舌をぶちこむぐらいで我慢するんだ」

「あぁ、このようにだろう」
私は上に乗っているローゼンの頭を引き寄せて、口の中に舌まで入るキスをした。

>「邪神モッコス……お前の邪法は破れた! 愛は人口を増やすための道具じゃない!」

私達はベッドから下り、ローゼンは剣を、私は指を地精霊に向ける。
「愛の無い行為の先に幸せなど無い!
ただ子供を増やすだけというのは、間違っている!」
私とローゼンが地精霊に向けて主張を言っている最中に、ガッチーが地精霊の宿る石に抱きついた。

>「メタルクウラ!エネルギー弾で俺のハンマーを撃てっ!!」
ジェンタイルが地精霊の宿る石に炎のハンマーを叩きつける。
威力が足りないのかどうかは知らないが、ジェンタイルは私にエネルギー弾を求めた。
ならば、思い切り撃ってやろう。

「受け取れ!」
私はジェンタイルのハンマーに、強力なエネルギー弾を撃った。

49 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/06(水) 00:29:33.97 ID:XbeuNLLH
>46-48
>「…どういう意味? まるでローゼン君は体と中身が同じ人みたいな言い方だな!」
そりゃそうだ。同じに決まってる。
科学によれば、魂なんて気のせいで本当は存在しないそうだ。全て物質と電流と化学反応でしかない。
勿論魔法学派の僕はそんなの信じない。魂は確かに存在する。幾度も実感したもの。
ん? だとしたら……この体が僕の物である保証はあるのだろうか? 不意に、ほんの少しの恐怖を覚えた。
訳わかんなくなるから考えるのはやめよう。

>「私もだあああああああああああっ!!」
僕はクウ君に微笑みかけた。
「クウ君、精神掌握術って魂を持たない者には効かないんじゃなかったっけ?」
この剣を通して直接触れているのはきっと……

>「あぁ、このようにだろう」
しまった、いらんことを言って墓穴を掘った! 未就学児だけあって何でも口に入れたがる。仕方のない奴!
「僕は君がどんな姿だとしても気にしないよ! クウ君はクウ君でしょ?
ねえ、もしもこの体が僕の物でなかったとしても……魂はここにあるよね?」

>「愛の無い行為の先に幸せなど無い!
ただ子供を増やすだけというのは、間違っている!」
「心で生きると書いて性と読むッ!!」
いやはや、我ながらNHKの教育アニメに出演依頼が来そうな流れを体現してしまった。

ジェン君もこの健全な少年漫画的な流れに感動したらしく、リンクしてハンマーを作り出す。
>「メタルクウラ!エネルギー弾で俺のハンマーを撃てっ!!」
>「受け取れ!」
クウ君のエネルギー弾を宿したジェン君のハンマーが炸裂する!
パワーストーンへの憑依が解けた。今がチャンスだ! 地精霊の懇願が聞こえたような気がした。

―― やめて、見捨てないで……!

「欲しかったのは僕の体じゃなくて心だよね……? ビジュアルは関係ないよね?
それなら安心して、僕よりふさわしい契約者がそこにいる!
地属性にぴったりな属性を搭載している!」

>「ローゼンっ!」
ジェン君の声が決意を後押しする。大丈夫、きっと大丈夫だ!
一気に踏み込み、寸分の狂いもなく剣を一閃する。
「はあっ!!」
パワーストーンは粉々に砕け、無数の破片となって散った。

―― 地属性(笑)? 地味だしダサくね?www
―― てか四天王の一番最初にやられるマッチョが関の山だよね
―― 地属性主人公なんて有り得んからwww

「これは……?」
『今まで日陰者として虐げられてきた地精霊達の集合意識だ……!』

「そんな事ない……。この物語は全員が主役なんだから!
ガチさん! 今こそ君も主人公になる時だ!!」

50 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/08(金) 02:06:27.85 ID:dpG4xlMU
飛びついたオレは中途半端に浮いていた石を捕え両手に包んだまま地面に押さえつけた。
>「ガッチー!そのまま抑えてろよっ!!」
ジェンタイルから更に女たるクウラとローゼンにも矢継ぎ早に指示が飛ぶ。
>「受け取れ!」
女たるクウラのエネルギー弾がジェンタイルのハンマーに炸裂したところに
>「はあっ!!」
ローゼンの剣が一閃した。

>ガチさん! 今こそ君も主人公になる時だ!!」
ローゼンの声が聞こえるが残念ながら今はそのような甘言に騙されている場合ではなく
幼馴染み三人組の見事な連携によりオレは地精霊に犯されようとしている…ようだ。

末尾0…地精霊はそっぽをむいた(らしい)。オレはそれを容認した。
末尾1…地精霊はそっぽをむいた(らしい)。オレはそれを容認しようとしたが無理だった。
末尾2…地精霊が襲いかかってきた。オレはそれを受け入れた。
末尾3…地精霊が襲いかかってきた。オレはそれを受け入れようとしたが無理だった。
末尾4…地精霊がどうこう以前にオレの体は四散した。
末尾5…地精霊はそっぽをむいた(らしい)。オレはそれを認めなかった。
末尾6…地精霊はそっぽをむいた(らしい)。オレはそれを認めたくなかったが無理だった。
末尾7…地精霊が襲いかかってきた。オレはそれを拒絶した。
末尾8…地精霊が襲いかかってきた。オレはそれを拒絶しようとしたが無理だった。
末尾9…地震発生。地精霊の自爆テロなのだろう。

51 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/08(金) 03:19:14.10 ID:dpG4xlMU
オレは注射を打たれる幼児のように身を固くして地精霊の蹂躙を待った…が何も起こる気配はなく
その代わりに聞こえたのは地精霊の拒絶の声だった。

―― 断る…
―― このような地味な男に縋ってまで…生き延びよう…とは…思わ…ぬ…

石を破壊した効果なのか声はどんどん弱々しくなっていっている。
「…女に憑くんじゃなきゃ嫌ですーってか…ほんと精霊なんてろくなもんじゃねえな」

―― かくなる上はこの迷宮と共に爆散して果てよう…だが今に…第二…第三…の…拙が…

脅迫された。

52 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/09(土) 11:31:57.71 ID:UiJxXZGZ
「依代が気に入らないので憑依を拒否して逆ギレ消滅を選ぶですねわかります
…尚精霊は元々個体という概念が曖昧なのであんたが消滅しても地精霊は他にいくらでもいます、と」
オレは適当な方向に語りかけ、

「けどそうすると…あんたの大好きなローゼンちゃんやフローラちゃんが真っ先に怪我するぜえ?
しかも、依代を持たない精霊とやら“だけ”では頑張って爆散してくれたところでオレには何の影響もないなあ。
あの石はあんたが身に付けていたんだろ?オレはその石をあんたを通り抜けて直接つかめちゃったんだから」
地精霊の脅迫が無意味な事をさわやかに教えてやった。

まだその辺に漂っている筈の地精霊は黙して答えない。

「それと…後もう一個な。地味でダサくて主人公になれないのは属性のせいか?
じゃあ聞くがもし今あんたが光を宿した魔法剣士の体を貰ったとして派手でカッコいい主人公できんの?
全裸の超ナイス剛体バディ美女の体を貰ったら印象的で妖艶なヒロインできんの?
テンプレだけ整えたって他人はちやほや構っちゃくれないし輝く主人公になれるマニュアルなんか無い。
どんな役にも都度確認して判断して決断して行動するサイクルのその中身を決める自分自身の能力でなるもんだ。
温泉屋やって村人の感謝や尊敬を集めてた筈のあんたがそんな事も解ってないとは情けないねえ…」

…長文を喋るのが少し苦しくなってきた。
オレの上半身にはローゼンの剣によって粉々に砕けた石の破片が随所に突き刺さっていて地味に血を滴らせ続けていた。
そろそろ潮時か。

「好きにしな。それでも…ローゼンちゃん達に無駄な怪我させるのか…オレを…嫌々ながら…依代に使うのか…」
オレはいささか大げさにどさっと地面に坐り込んだ。

奇数…地精霊は意地で爆発したようだ。
偶数…地精霊は挑発に乗って憑依してきた。

53 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/09(土) 13:57:51.08 ID:UiJxXZGZ
挑発失敗…地精霊は最後まで憑依を拒否し個としての存在を失った。
多分有耶無耶のうちに精霊集合体プールのようなものに吸収されたんだろう。

爆発そのものは結局オレには何も感じられなかったが部屋が振動し
ローゼンとジェンタイルが爆風に吹かれたように髪や衣服を激しく煽られているのが見えた。
女たるクウラが側にいるならローゼンは大丈夫だろうとみてオレは急いで起き上がりジェンタイルの体を支えた。
絶賛失血中のオレの力はせいぜい一般人程度だが爆風の影響が全く無いからそのくらいの事はできる。
因みに女たるクウラの髪は爆風に関係なく必要性に沿った独自のなびき方をしていた。

二人に吹いていた風がおさまってから見回すと地精霊の部屋は壁である土が一部崩れていて
埋まっていたらしい化石やホネやウロコや色石のようなものが見え隠れしていたが他には見た目では異常はないようだ。
「ここの壁でカセキ掘りも楽しそうだが…」
しかしオレには部屋の外がゆっくりと変化しているのが感じられた。
そもそもこの地に熱水が存在すること自体は単に地脈と水脈の偶然の集合の結果であって地精霊は関係ない。
地精霊が臨時に作り上げたダンジョン構造が理不尽な強制力を失って元の温泉源の姿に戻ろうとしているのだろう。
「程々にしないと外が元の温泉源に戻って帰還に土木工事が必要になっちまうぜ」
オレは階段に腰掛けて3人を待った。

54 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/09(土) 19:17:25.92 ID:upTu8iUh
>51
>―― 断る…
>―― このような地味な男に縋ってまで…生き延びよう…とは…思わ…ぬ…
「そんな事言ってる場合かあ!? この際ガチムチマッチョでソイヤソイヤでもいいじゃん!」

>52
「やっばー! 煽ってる!」
地精霊顔真っ赤。この世界には昔から、泣く子と精霊には勝てぬという諺がある。
だからこの世界の人は精霊を煽るなんて恐ろしい事は普通しない。なだめたりすかしたり奉ったりして機嫌を取るのだ。
ちなみに精霊を煽って爆発させるとガチホモ嵐という世界を滅ぼす魔神と化す……可能性があるらしい!

>「あの石はあんたが身に付けていたんだろ?オレはその石をあんたを通り抜けて直接つかめちゃったんだから」
「ガチさん、あなたはもしかして……この世界の外の人なの!?」

>53
「うわーいひゃっはー! 爆発じゃあ! 爆発エンドじゃあ!」
吹っ飛ばされてしこたま頭を打った。

>「程々にしないと外が元の温泉源に戻って帰還に土木工事が必要になっちまうぜ」
「その心配はいらない。リレミトは基本だろう?」 
立ち上がって、最大限に演出効果があがるように絶妙な角度から光を当てて影を作ってみせる。

「フフフ……それにしても面白い事を言うね。精霊なんてろくなもんじゃないって?」
僕は顔の半分を手で覆いながら薄く笑った。

「当り前さ。昔から神の共通項は高潔な人格なんかじゃない、人知を超えた力だ。
精霊は星の誕生の時より存在する自然に宿る力、とよく言われるよね。厳密には違う。
星の誕生以前から始まりも終わりも無く存在するもの。大いなる意思。
この物質界があるのはそこに大いなる意思が働いたからなんだ。といっても意思、と呼べるようなもんじゃない。
アーキタイプ《原型》、方向性が定まらない混然一体とした集合的無意識の海……膨大な情報と概念の力そのもの。
それが世界の設計図だ。全てはそこから形作られた。科学と呼ばれる物質界の全ても、歴史と呼ばれる人の物語の全ても。
だから魔法は物質界の法則に優越するんだよ、だって物理法則を作り出した張本人なんだから。
味噌も糞も一緒なカオスが原型になってるからこの世界が糞味噌になるのは当たり前ってわけだ!
星を形作り自然界を司る《原型》の欠片は精霊と呼ばれ、人に宿る《原型》の欠片は魂と呼ばれる。
つまり精霊契約とは世界の一端と繋がって世界に干渉する力を得ること。何も怖がることじゃない。
人間は個々の体に拘るから世界から切り離されているけど、精霊のように全にして個、個にして全なのが本来の姿なんだ。
もちろん下手をすれば世界の意思に支配されるだろう。
でもうまくやれば……物理法則を超越し因果律を捻じ曲げる事も、歴史を……物語を手中に収めることだってできる」

「諦めたらそれまでだ。でも君なら運命を変えられる。
避けようのない滅び(地属性主人公の絶滅)も、(マッチョな地属性四天王が最初にやられる)嘆きも、全て君が覆せばいい
そのための力が、君には備わっているんだから」

さあ、キメ台詞だ。
「キミも契約して魔法中年になろうよ! 男は度胸、何でも試してみるのさ!」
地精霊はもう爆発四散したのに今更言っても意味ないじゃないかだって? ククク……それを言うのは野暮というものさ。
辺りが轟音を立てて崩れ始める。
「おっと、少々無駄話が過ぎたようだ。α(アルファ)にしてΩ(オメガ)よ、最先(いやさき)にして最果(いやはて)よ、”光”と”影”の名において、我らを彼の地へ運べ……」
僕は両手を広げ、高らかに呪文を歌い上げた。視界が眩い光に染まっていく。



「あなたたちっ! 何侵入してるんですか!! 営業再開するんでどいてください!!」
「はい!?」
いきなり叩き起こされた。頭が痛いし記憶に靄がかかったようだ。僕はあろうことか大源泉の地面に寝っころがっていた。
「地下迷宮は!? 営業再開って……地精霊は爆発して……!」
「ああもう、これだから酔っぱらいは……!」
大源泉は何事もなかったかのようにお湯を各温泉に送り出している。
「これは……禁断の夢オチ!?」

55 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/10(日) 04:54:10.23 ID:Q/9MUHjI
>「受け取れ!」
メタルクウラのエネルギー弾による加速を受けて、炎ハンマーはパワーストーンと激突した。
衝撃で柄が折れる。先端部分が自壊する。その威力と慣性は、ゲートボールのように石の中身を弾きだした。
>「はあっ!!」
追い出された地精霊が、握る最後の蜘蛛の糸。パワーストーンとの繋がりを、ローゼンが断ち切る。
地精霊の概念体はそれを支えるガッチーの身体に吸い込まれて行き、そして。

>―― 断る…
>―― このような地味な男に縋ってまで…生き延びよう…とは…思わ…ぬ…

響いたのは拒絶の意志。
俺はハンマーが折れてバランスを崩し、ダンジョンの埃ひとつ落ちてない岩床に転がっていた。
高純度の精霊魔力を練り上げたことによる一時的な虚脱。リンクは解けてないけれど、すぐには立ち上がれない。

>―― かくなる上はこの迷宮と共に爆散して果てよう…だが今に…第二…第三…の…拙が…

「うわーっ!自棄になるなっ!悲しむひとはいっぱいいるぞ!」
なんていうかもう、ぐっちゃぐちゃな感情が直接頭に響いてくるこの感じ。
自棄っぱちなのか、それとも高いプライド故か。ガッチーを拒絶し、でも心中はしちゃう本末転倒っぷり。
「ここで爆発したら!墓碑に刻んでやるぞ!『筋肉男子とともに地精霊ここに眠る』って!!」

そんな感じで。
ガッチーの、ある意味で身につまされる説教とかもあったりして。
地精霊は消滅した。ネトゲで言うところの強制ログアウト。アバターを無理やり削除したのだ。
ようやく体力が戻ってきて立ち上がったその直後、迷宮は壊した腹のような蠕動を始めた!
「おわっ……!?」
グラつく地面に足元を掬われ、倒れそうになってガッチーに受け止められた。
地精霊の加護を失った迷宮があるべき姿に戻ろうと頑張り始めたのだ。
>「程々にしないと外が元の温泉源に戻って帰還に土木工事が必要になっちまうぜ」
「おいおいこんな地中深くに生き埋めなんて御免だぞ!俺達が化石になりかねねえ!」
あるいは源泉のダシとなるか。
「ジェンタイルの湯」なんて素敵な響きだけれど、どうせなら経営者として名前を刻みたい。

>「うわーいひゃっはー! 爆発じゃあ! 爆発エンドじゃあ!」
「ひい!ローゼンが壊れた!」
どうやら頭を打ったらしい。ローゼンがぶっ壊れてるのは昔からだけど、この壊れ方は新しい。
テレビも薄くなって、斜め45°チョップを叩き込めば叩いた手のが痛くなるこの時代。物事はずっとデリケートになった。
ご都合主義満載の熱血展開だけじゃあ如何ともし難い現実ってのは確かにあって、地精霊は雰囲気に流されなかった。
最後まで個を貫いて爆死したのだ。色々間違った方向に全力疾走だったけど、そんなアイツに敬礼っ!
>「フフフ……それにしても面白い事を言うね。精霊なんてろくなもんじゃないって?」
「まだ壊れてる!?」

出オチみたいな感じで流せると思ったのに!なんか本格的に違う電波を受信し始めている。
>「当り前さ。昔から神の共通項は高潔な人格なんかじゃない、人知を超えた力だ――
「ローゼン、お前、何言って……」
訥々と、しかし淀みなく口から垂れ流される言葉たち。
それらひとつひとつは中二病の一言で片付けられそうな壮大過ぎる情報だ。スケールが違いすぎる。
だけど、時折ノイズのように耳の奥を走る電流があった。それは明確な、だけど意味不明な誰かの"意志"。

「お前、本当に"ローゼン"か……?」
いつものあの間の抜けた、だけど人好きのする笑みではなく。薄ら寒さを励起する彫像のような整った微笑。
見たい番組のチャンネルを間違えて、知らないドラマの山場を映してしまったような、原因不明のアウェイ感。
>味噌も糞も一緒なカオスが原型になってるからこの世界が糞味噌になるのは当たり前ってわけだ!
「不意打ちで突込みどころ仕込んでんじゃねえよ!」
>「キミも契約して魔法中年になろうよ! 男は度胸、何でも試してみるのさ!」
そして俺は気付いてしまった。ノイズじゃない。この"意志"は、他ならぬローゼンのもの。
話がシリアスな方向に完全に落ちてしまわないようにする、精一杯の抵抗なんだと。
じゃあ、今喋ってるのは誰だ?なんで本人であるはずのローゼンの意志が、"ノイズ"なんて不確かなものになってる?
>”光”と”影”の名において、我らを彼の地へ運べ……」
眩い光に包まれて、ヘソから身体をねじ曲げるように俺達は吸い込まれた。

56 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/10(日) 04:56:16.70 ID:Q/9MUHjI
>「あなたたちっ! 何侵入してるんですか!! 営業再開するんでどいてください!!」
>「これは……禁断の夢オチ!?」
気がつくと朝になっていて、従業員の人に揺すられて目が覚めた。
大源泉は元通りになってるし、ちゃんとお湯も流れてる。俺は懐をまさぐった。
「消えてる……」
取り出したる【地精霊の雫】を封入した瓶の、中身がそっくり消失していた。
これってつまり地精霊が爆散して、温泉の加護が消えてしまったってことで。
「俺たち、とんでもねえことしでかしちまったんじゃねえか……?」
温泉街の温泉は、地精霊の加護によって効能を得ている。
岩からとったダシみたいな、遅効性で不安定なものじゃなく、文字通り魔法のお湯だったんだ。
それを失わせてしまった。特産物をなくした温泉街に待っているのは、経営不振による緩やかな死だ。

「おや?その瓶は、」
取り落としそうになった瓶を従業員に目敏く発見される。
「い、いや、あのですね!地精霊様はご自分の意志で爆散されたといいますか、」
取り繕う言い訳を必死で探す俺に、従業員は予想外の表情を浮かべ、想定外の言葉を発した。
「地精霊?いませんよそんなの、この村には」
「――――……はい?」
今こいつ、なんて言った?温泉村の、それも大源泉の従業員が。
どうして地精霊の存在を否定できる?まさかローゼンの奴、脱出先を間違えたとか?聞いてみるか。
「あの、ここって温泉村、ですよね?」
「ええ。いかにも温泉村です。それで、どうして貴方がたはこんなところに?大源泉になにか御用でも?」
「いや、地精霊様に呼ばれて来たんスけど」
「だから、いませんってば。この村に逗留してる旅人で、地精霊と契約している術師さんならいるかもしれませんが」
「えっ。大源泉に憑依している、神格の地精霊様っスよ?」
「この大源泉は天地開闢から肩こり腰痛の効く普通の療養泉です。神格精霊なんて、そんな大層なものはありませんよ」

なんだろう、この気持ち悪い感じ。何か大事な歯車が、決定的に食い違ってしまったような。
従業員の表情は真剣そのもので、とても俺達を担ぐためのドッキリには見えない。
「な、なあ、俺たち、確かに迷宮の下で地精霊とドンパチやらかした、よな……?」
いつもの顔に戻ったローゼンや、未だ女のまんまのメタルクウラや、憮然としてるガッチーに問う。
「そ、そうだ、地精霊のやってたブログ!」
俺は思い当たって携帯を取り出した。
あれだけ炎上したブログなら、爆散した地精霊が削除していてもどっかのアーカイブに残ってるはずだ。
グーグルに『地だまりスケッチ』と打ち込んで、検索ボタンを押す。電波はすぐに結果を寄越した。
"地だまりスケッチ" の検索結果…………0件。
「ウソだろ…………!」
地精霊ブログ炎上は祭りにもなって、有志がまとめサイトを作ったりしてたはずなのに。
2chでスレッド検索をかけても、レスのひとつすら引っかからなかった。地精霊でヒットするのは契約精霊のことばかり。
地属性魔法がどうとか。リンクに使う対価がどうとか。温泉村の神格精霊については、まちBBSですら出てこない。
『温泉村の地精霊』は、その存在どころか、存在した証すら、完璧に消滅してしまっていたのだ。

<<……地精霊め。そういうことか>>
炎精霊が苦々しげに呟いた。『今なにが起こってるか』についての解答を炎精霊は得ている。
<<勇者が言ってたろう。我々精霊が、どういう存在なのかを。本気出した精霊に、何ができるのか>>
迷宮の底で、壊れたローゼンが語った情報の中に、確かにそれはあった。
>『うまくやれば……物理法則を超越し因果律を捻じ曲げる事も、歴史を……物語を手中に収めることだってできる』
「まさか……!」
俺は矢も盾もたまらず走りだした。従業員を押しのけ、大源泉の外を目指す。
あったはずの巨大な門は申し訳程度の扉に変わっていて、嫌な予感を加速させる。
鍵もかかってないような木製の扉を押し開けて、俺は外にまろび出た。眼前に広がる光景に息を飲む。

温泉村は。
数多の旅館が密集し、世界中の湯治客が集う、大陸有数の観光地は。
吹けば飛ぶようなあばら屋旅館が数件立っているだけの、それだけの寒村になっていた。

「は、ははは……見てみろよ、お前ら」
きっとどこかで麻痺してた。精霊が、親しみやすくて、人類と友人みたいな付き合いができるって。
なんの保証もないのに。勘違いしてた。
「因果律に干渉して『歴史を捻じ曲げた』。地精霊によって栄えた温泉村を、なかったことにしやがったんだ」

57 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/10(日) 07:11:19.61 ID:LEot6ErO
私はこの一件で精霊に関わるのは非常に危険であるということを理解した。

>「因果律に干渉して『歴史を捻じ曲げた』。地精霊によって栄えた温泉村を、なかったことにしやがったんだ」

「まさしく信じられない出来事だな……
機械の私までも含めて、集団で催眠術を掛けられたと言われた方がまだ納得がいく。
こんな村でも旅館はある。
そこで頭の整理をするぞ」
私達は途中でガッチーと私の分の下着と服を買って、一つの旅館に泊まる。
私の今の服装は青いジャージに裸足である。

旅館の一室で私達は話し合いを始めた。
最初に私は皆に地精霊の洞窟での出来事を、私の目から映写して見せた。
繁栄していた温泉村の映像から、洞窟でのやり取りまでを細分違わずに映して見せた。

「……因果律をねじ曲げるとは言っても、別世界の存在である私に対して、起こったことを無かったことにすることは無理のようだな」
そのことはこの映像と女たるの姿が示している。
「映写中に他のメタルクウラと通信をしたが、奴らにも洞窟での記憶は有ったと言っている。
No.1000も生ジェンタイルの記憶は忘れるはずが無いと言っていたし、別世界の存在の因果律に干渉できないのは間違いないだろう」

「ジェンタイルよ、どうだ?
本当に世界を変えてしまった感想は?
そして、ローゼンにジェンタイルよ喜べ。
世界を守る勇者なることができ、命が大切となった世の中になったことを!」
私は映写のために暗くしていた部屋のカーテンを開き、光を入れて、外を指差した。
「お前達も気づいているのに、現実を直視したくないのだろう?
パワーレーダーすら起動させていない私にも伝わってくる、このとてつもない力の波動を!
精霊を宿した古の勇者達が倒した魔王の……復活だ!!」

58 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/11(月) 23:02:04.04 ID:XNFg6y66
>56-57
>「俺たち、とんでもねえことしでかしちまったんじゃねえか……?」
「そりゃあ酔った勢いでこんな所に侵入したらいかんでしょ」

>「な、なあ、俺たち、確かに迷宮の下で地精霊とドンパチやらかした、よな……?」
「そう言われてみればそんな夢を見たような気も……。ジェン君も? 奇遇だね!」

>「因果律に干渉して『歴史を捻じ曲げた』。地精霊によって栄えた温泉村を、なかったことにしやがったんだ」
「ん〜〜、みんなどうしたの?」

>57
何か分からないうちに旅館に引っ張り込まれた。
クウ君が、どこかで見たような映像を映写する。
温泉イベントからダンジョンアタック。そしてクライマックスに清々しいほどに厨二病な演説。
人間が知るはずの無い知識。簡単には使えないはずの空間を操る魔法。
何より凍てつくようなその微笑。人間であって人間じゃない。

「ハハハ、厨二病演説してるのは誰だ? まるでぼっち悪魔だ。……って僕だあああああああああああああ!!」

叫びながら転げまわる。すべて、全部思い出した。
変わってしまった世界に対する恐怖と、自分に対する恐怖。
一つでも十分な恐怖が二つごちゃまぜになってやってきた。
ガチさんの言葉がフラッシュバックする。

―― …どういう意味? まるでローゼン君は体と中身が同じ人みたいな言い方だな!

「光精霊! 知ってるんでしょ!? あれが僕の本性なの? 
今のこれは仮初の人格なの!? ……この体は僕の物なの!?」
『何でそんなに焦る必要があるの? どっちが本性か、なんて分からないよ。
どんなにクールな人だって不注意で味噌汁をぶちまけてキレる事があるのと一緒だよ。
それに大事なのは心だって自分で言ってたじゃないか』

>「ジェンタイルよ、どうだ? 本当に世界を変えてしまった感想は?
そして、ローゼンにジェンタイルよ喜べ。
世界を守る勇者になることができ、命が大切となった世の中になったことを!」

「ははは、光の勇者なんてほんの冗談、だったのになあ。勇者なんて要らない世界で良かったのに……」

あらゆる時代に、あらゆる場所に、規模を変え形を変え繰り返し現れる勇者の物語。
壊れた僕が語った事に照らし合わせると、全ての根源たる集合的無意識の中の、最も美しく輝かしい物語の《原型》。
その物語の成立には、世界を震撼させる魔王が必要不可欠だ。

>「お前達も気づいているのに、現実を直視したくないのだろう?
パワーレーダーすら起動させていない私にも伝わってくる、このとてつもない力の波動を!
精霊を宿した古の勇者達が倒した魔王の……復活だ!!」

誰にともなく呟いた。強いて言うなら僕の中の誰かに問いかけるように。
「ねえ、これは僕達があるべき物語を辿らなかった罰? 今度こそ正統派の勇者の物語を体現しろというの?」

59 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/11(月) 23:03:05.34 ID:XNFg6y66
メルフィちゃんがトコトコと歩み寄ってくる。
「ここはどこ?」
ポーション精霊がようやく引っ込んで表に本人の意識が出てきたらしい。
「いいよ、何も気にしなくていい。すぐに送り届けてあげるから」

旅館の受付の人に何気なく尋ねる。
「あの〜〜、近くに湖畔村ってありますよね?」
暫しの気まずい沈黙が場を支配する。そして悲痛な面持ちをして言いにくそうに言った。
「最近盗賊にやられちゃってねえ、村一個全滅したよ」
「えっ、生き返らせたんじゃないですか?」
「何言ってんだい、蘇生術は魔王様に禁じられてるんだ」
「バンバン生き返らせましょう。諦めずに何度でも挑めばいつか勝てます」
頭のおかしい人を見るような目で見てきた。
「魔王様に刃向うだって!? バカな事を言うんじゃないよ!
反逆者を泊めたとなったらこっちまでどうなるか分からないんだから! 恐ろしや恐ろしや……!
魔王様バンザーイ!」

「うぅっ、ぐす……」
受付と漫才をしている間に、メルフィちゃんが泣き始めた。
「……」
徐々にわかってきた。
つまりここでは魔王は倒されてなくて、長年続く魔王の支配にすっかり人々が屈服していて、実質死んだら生き返らないんだ。
屈服と言うより洗脳に近いかもしれない。メルフィちゃんと抱き合ってわんわん泣いた。
「もう嫌だ! こんな世界で勇者なんてできないよ! なんで迫害されながら命がけでボランティア活動しなきゃいけないの!
魔王なんて知った事か!おうちに帰りたいよー」

「ん? 待てよ。神格精霊の力でこうなったとすれば神格精霊にお願いして元に戻してもらう事もできるよね」
「アンタ多分どっかで頭打ったんだね。バカ言っちゃいけないよ。
魔王信仰以外認められてないんだよ。神格精霊なんて今の時代にいるかどうか……」
魔王信仰以外認められていない、か。魔王。悪魔の王。悪魔は要するに実体化できる精霊みたいなもん。
そして魔王は全世界の信仰を一身に集めている。つまり魔王って桁違いに強力な神格精霊ってことじゃん!

「世界を元に戻せるのは魔王しかいない!
早速魔王討伐に行こう! ところで魔王ってどこにいるんだっけ」
『こいつアホだああああああああああああ!!』
ちなみに魔王”討伐”の討伐の中には(ジェン君による)詐欺や(クウ君による)色仕掛けとかも含まれている。

「と、いうわけでまた大いなる意思の怒りを買ったらいけないから世界が元に戻るまでは尻アスな正統派の勇者の物語でいくぞ! 
くそみそネタは禁止だ! というわけでそこの二人が冒険を通して仲良くなっていくヒーローとヒロインね」
正統派ファンタジーに付き物のバカップルにジェン君とクウ君を指名した。悔しいけどお似合いだ!

60 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/14(木) 00:40:58.08 ID:xKiZ12DC
>「キミも契約して魔法中年になろうよ! 男は度胸、何でも試してみるのさ!」
「…テンプレ“22”が“20代?”に中年と呼ばれるこんな世の中じゃ」
オレは肩をすくめて手を広げてみせた。ついでに体から抜いた石の欠片を一つ軽く放り投げる。
「ごめんな。
君と思想信条を同じくはできない…オレにとって精霊は人の意識の隙間に湧いたバグ…
どこに宿ろうが何を司ろうが何を起こそうがオレはその存在を役割を現象を否定して否定して否定する…」
辺りが崩れ始め…
「なぜなら…オレは…」
ローゼンの魔法に吸い込まれ…
(この世界を…世界の特徴たる精霊システムを…壊すのだから…)
オレは意識を失った。

……。

目が覚めた時オレは
奇数… あなをほる の技を覚えていた。 
偶数… 中年になっていた。年齢に10+出目を加える。

61 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/14(木) 01:16:38.36 ID:xKiZ12DC
大先輩集合体プールと化したローゼンに体育館の裏に呼び出されものすごい形相で締められる夢から覚めてテンプレを見直すと
年齢:40
と変わっていた。
「つまり…ローゼン君お望みの“魔法中年”の…半分だけ実現したようだな…」
他の項目には変化は無いので外見は変わらない筈だが年齢がサマノスケに追いついてしまった。
能力値も変わらない筈だが傷の治りが遅くなったり徹夜に弱くなったりとかいう地味な弊害がありそうで恐い。

ジェンタイルが示した大源泉の外は着ぐるみトラップも押し売り饅頭もないさわやかな村だった。
「これはこれでオレは好きだけどな…」
浴衣姿で旅館に落ち着いて状況を整理すると要するに世界が変わってしまっているらしい。
強力な統治で安定している社会と戦う話には正統派ファンタジーより相応しい名前がありそうな気もするが
とりあえずそれ以前の問題があるのでオレは女たるクウラに頼んだ。
「なあ…以前の温泉村と今の状態のマップを重ねて見せてくれないか?
最初の温泉宿に置いた荷物を探したい…原作者に貰った装備だから出来る事なら取り戻したいんだ」

62 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/14(木) 22:36:02.26 ID:yrqTDMEi
>61
夢。それは集合的無意識の表出する領域。《原型》が垣間見える場所。
ガッチーはなぜか体育館の裏でローゼン大先輩に締められていた。
【原発反対】とか背中に筆文字を刻んだ褌男達に取り囲まれてバチで叩かれている。
ガチムチマッチョに集団リンチされるガチムチマッチョ。これは酷い光景!
「ククク……ハハハハハ! 僕に言わせればお前達人間こそが世界を食い荒らすバグだ!
もっとも星の歴史から見れば一瞬で消えてしまう程度の取るに足らない、ね」
大先輩化してもやはりローゼンだけあって褌マッチョ祭りで大ウケしている。

褌男達を撤収させ、一冊の本を投げてよこす。
「ところで僕の好きな本を見てくれ、こいつをどう思う?」

「ブレイブストーリー。主人公の正統派ショタっ子勇者とライバルのツンデレ美少年魔術師の絡みが最高だ」
本は見ただけでは内容は分からないが、ここは夢の中なのでこの文脈での要点が五行で分かってしまうのである。

願いを叶えるために異世界に旅立った主人公とライバル。
ヘタレ主人公はぐだぐだと回り道をしているうちにいつの間にか楽しい仲間がポポポポーンと増えていく。
切れ者のライバルは圧倒的な魔力を駆使して目的のためなら手段を選ばずに道を切り開いていくのであった。例え世界を敵に回したとしても。
真っ先に目的地にたどり着いたライバルは、最後の関門である自らの影との戦いに挑む。
しかし影を倒すのではなく受け入れなくてはいけないという真実に最後まで気付かず、ライバルは哀れ世界を維持するための人柱になってしまいましたとさ。

淡々と、それでいてガッチーに言い聞かせるかのように語るローゼン大先輩。
「当然の報いだ。自分の世界じゃないからどうなってもいいなんて思ってると足元を掬われる……。
何かを頑なに否定すればするほどそれは執拗に迫ってくる……。それでも否定し続ければ……いつかは破滅するだろう」
そこで不意に哀しげな声音になる。
「でも……彼はどうしてもどうしても妹を生き返らせたかったんだ。正しい世界を取り戻したかったんだ。
ただそれだけだったのに……あまりにも哀れだ……」

「精霊は善でも悪でもない。世界に漂う集合的無意識の欠片。ただそれだけ。
僕にとっては人間……人の心の方が理解不能のバグそのものだ……。
あの少年は《世界》に楯突く危険因子。もしもいよいよその因子が発現するとなれば消さなければいけない、なのに……」
苦しげな切なげな顔で胸を押さえる。
「なのにここが邪魔をする、あの少年が僕を狂わせる……! 人間の心なんて不合理で不便なだけだ!」

場が揺らぎ始める。ガッチーが夢から覚めようとしているようだ。

―― くれぐれも敵を見誤るんじゃない。この世に悪があるとすればそれは……

老化だ!
≪えっ≫

63 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/16(土) 23:08:15.21 ID:XUk+c3ko
>「まさしく信じられない出来事だな……機械の私までも含めて、
 集団で催眠術を掛けられたと言われた方がまだ納得がいく。こんな村でも旅館はある。そこで頭の整理をするぞ」
メタルクウラ(♀)の提案で、俺達は大源泉を後にした。
寒風吹きすさぶスッカスカの街道を下って、人気もまばらな、それでも一番上等であろう旅館に宿をとる。
四人で一つのちゃぶ台を囲んで、顔を付き合わせた。さっきから神経質に指が菓子茶碗に伸びる。動揺だ。
>「…因果律をねじ曲げるとは言っても、別世界の存在である私に対して、起こったことを無かったことにすることは無理のようだな」
メタルクウラの映像記録には、きちんと地精霊がいたころの光景が残っていた。
さしもの神格精霊と言えど、そもそもの住んでる因果律が違うメタルクウラにまでは作用できないみたいだ。

>「ジェンタイルよ、どうだ?本当に世界を変えてしまった感想は?」 
「そうか……これで世界、変わっちまったんだよな。実感ねえけど」
まさかこんな形で世界が変わるとは思ってなかった。
この改変が改善なのか改悪なのかわからないけど、それはこれからじっくり見ていけばいい……のか?
地精霊がいなくなって。温泉村は寂れちまったけど、他の世界がどんな風に変わったのか、この目で確かめなきゃいけない。
>「そして、ローゼンにジェンタイルよ喜べ。世界を守る勇者なることができ、命が大切となった世の中になったことを!」
「あ?そりゃどういう……」
その芝居がかった台詞が。「勇者」とか「いのちだいじに」とか。
ホントは最初から、わかってたんだ。地精霊の存在を"なかったことに"するってことが、どういう結果をもたらすかって。
>「精霊を宿した古の勇者達が倒した魔王の……復活だ!!」
「な、なんだってーー!!??」
でもまあ、それはひとまずおいといて。とりあえず盛大にリアクションしておいた。

魔王。魔王討伐。
それはかつて、在りし日の世界の様相。もう云百年も昔の話だ。
世界は魔王に支配されていた。容赦ない税と言論統制で反逆の力を削ぐ、独裁者たちのディストピア。
魔王ってのは悪魔の王だ。つまり大先輩の親玉。精霊と対をなす呪いの具象体の、一番下の澱の神。
そんな暗黒時代に立ち上がる者達がいた。それがいわゆる"勇者"とそのパーティー。激戦の末魔王を見事討ち滅ぼしたのである。
そして彼らが使役したのが光と火、水、地、風の契約精霊、俗にいう四大精霊だ。
事実関係が前後するけど、勇者パーティーは四大精霊で魔王を倒したんじゃない。
魔王を倒した光と4種の精霊のことを、今では四大精霊と言うのである。これ豆知識な。

「つまり、魔王討伐に欠かせない存在だった地精霊の存在がなかったことになったから、」
<<――"魔王討伐"自体が成り立たず、故にこの歴史軸での魔王は健在のまま、と>>
だから正確には復活じゃない。この歴史軸に住む人達から見れば、魔王は最初から倒されてなかったんだ。
こりゃバタフライエフェクトってレベルじゃねーぞ。おもいっきりタイムパラドックスの弊害をうけてるじゃねえか。
>「ねえ、これは僕達があるべき物語を辿らなかった罰? 今度こそ正統派の勇者の物語を体現しろというの?」
ローゼンが誰ともなしにつぶやいて――
そうか。この世界は、俺達が歪ませちまった歴史で。死ななくても良い人がいっぱい死んだ世界なのだ。
残酷すぎる現実に、少し吐きそうになった。んーでもまあ、生き返らせりゃいいよね!ドンマイドンマイ!
……という甘い目論見も、間髪入れず打ち砕かれた。

>「あの〜〜、近くに湖畔村ってありますよね?」
>「最近盗賊にやられちゃってねえ、村一個全滅したよ」
ローゼンと宿屋の受付が問答している。
この歴史軸でもやっぱり湖畔村は盗賊によって一度壊滅したらしい。
>「えっ、生き返らせたんじゃないですか?」
>「何言ってんだい、蘇生術は魔王様に禁じられてるんだ」
「……なん……だと?」
魔王の生きてるこの歴史では。人は死んでも生き返らない。
メタルクウラの言葉を思い出す。言われたときは気付かなかったけど、奴は確かに言ったのだ。
>『ジェンタイルよ喜べ。命が大切となった世の中になったことを!』
「――――っ!!」
愕然となった。奇しくも地精霊の暴走によって、俺の革命は達成された。
だがこの盛り下がりようはなんだ?湖畔村の生き残り、メルフィちゃんは泣いている。
この子の親も兄弟も、近所の人達さえも、もう二度と生き返ることはなくて、もう二度と会えやしないのだ。
「こんな胸糞悪い終わり方ってあるかよ……!」

64 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/16(土) 23:09:05.79 ID:XUk+c3ko
>「もう嫌だ! こんな世界で勇者なんてできないよ! 
 なんで迫害されながら命がけでボランティア活動しなきゃいけないの!魔王なんて知った事か!おうちに帰りたいよー」
メルフィちゃんとローゼンが抱き合って泣いている。少女の双眸から止めどなく滂沱の涙。
ぬるんっ、とメルフィちゃんの身体がローゼンのハグを逃れてうなぎの掴み取りのように宙を舞う。
そのまま宿屋の床にべちゃっと落ちた。目とか、鼻から流れる涙や鼻水に似た粘性の液体は、ローションだった。
「ローション精霊の加護のせいだわ。体液がローションになるみたい」
〔ポーション精霊なの。失礼極まりないの。これ以上この陰湿な雰囲気が続くなら然るべき手段に訴えるの〕
「陰湿て」
そりゃ鬱々とした気分にもなるわい。メルフィちゃんなんか、これから天涯孤独なんだぜ?
でもこれは、もしかしたら。ポーション精霊なりに契約者を気遣った言動なのかもしれないと、好意的に解釈しておく。

>「ん? 待てよ。神格精霊の力でこうなったとすれば神格精霊にお願いして元に戻してもらう事もできるよね」
>「世界を元に戻せるのは魔王しかいない!早速魔王討伐に行こう! ところで魔王ってどこにいるんだっけ」
「暴論だな!?論法としちゃ間違ってねーけど、こんな世界で四大精霊集まりきんのか――」
言ってみて気付いた。神格精霊は歴史を変える力を持っていて、別世界の存在でなければ例外なく巻き込まれる。
「んん?ちょっと待て、メタルクウラに歴史改変が効かないのはわかる。じゃあ、俺達は?」
俺達は正真正銘この世界の人間だ。特に、地精霊にとっては最も記憶を消したい連中のはず。
ここまで完璧な形で、そかも俺達にだけ前世界の記憶が残ってるってのはどういうことだ?
《――妾じゃ。リヨナのついでじゃがな》
「水精霊!」
そうか。この歴史改変が神格精霊の力によるものなら、同じ神格の水精霊なら抗える。
「あれ?じゃあ水精霊に頼めば元の歴史に戻れるんじゃねえのか?」
《……それは無理なのじゃ。悪いがの》
「なんでだよ!同じ神格精霊だろ!?リヨナさんの適性が問題なのか?だったらも一度ローゼンに――」
<<この歴史軸では湖畔村の水精霊は、神格を失っている。何故かを……その娘の前で言わせるつもりか?>>
「あ――」
炎精霊は静かにメルフィちゃんを指して。遅ればせながら俺も得心がいった。
神格精霊は、多くの信仰を対価に神格を得ている。だけれど水精霊にとっての源泉である湖畔村は、全滅しているのだ。
《歴史が改変される直前のタイミングで、最後に残った神格の力を振り絞りお主らを因果から切り離したのじゃ》
だけれどそれで水精霊の力は打ち止め。炎精霊と同じく、ただの契約精霊としての力しか残っちゃいない、ということなのだった。

65 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/16(土) 23:09:13.97 ID:XUk+c3ko
「あークソ、悪かったよ……まさか伏線がこんなところで回収されるとは……」
失言だった。俺ももうちょっと思慮深く発言しなくちゃならないなあ。
ついさっきも、言ってみれば俺たちの軽率な行動から世界を変えちまったわけだし。
蘇生術の有る無しが、ここまで大きく世界を酷い方向に変えるとは思っちゃいなかった。
ローゼンなんか、あまりにもポンポン死んでポンポン生き返るし――あれ?そうか。ローゼンは何度も死んでる。
「もしも歴史が蘇生術のないまま推移してたら……ローゼンは今よりずっと前に死んで、それっきりなんだよな」

人が生き返る世界の否定は。ローゼン自身の否定に他ならない。

俺は何度、その世界に異を唱えてきた……?この幼馴染が生きてることに、何度否定を重ねてきた?
その度にこいつは、どんなことを思ったろう。なんの憂いもなく、笑ってられただろうか。
>「と、いうわけでまた大いなる意思の怒りを買ったらいけないから世界が元に戻るまでは尻アスな正統派の勇者の物語でいくぞ! 
 くそみそネタは禁止だ! というわけでそこの二人が冒険を通して仲良くなっていくヒーローとヒロインね」
「……悪い、ちょっと外の空気に当たってくる」
上手く息ができなくなって、俺は宿から飛び出した。十云年も習熟してきた突っ込みも忘れて。

「――っは、何がヒーローだ……!俺は今までお前に!死んだほうが良いって言い続けてきたんだぞ……!!」
左胸が軋む。ギシギシと嫌な音を立てて奥歯がすり減っていく。
飛び出したと言えどもなんもない寂れた観光地である。すぐに村の端まで到達して、俺はしゃがみ込んだ。
結局、浅慮な子供がいきがってるだけに過ぎなかったんだ。安直に世界を変えて、それで何がどうなるか分かっちゃいなかった。
前だけ見て。すぐそばにある逃しちゃいけない大事なものに、ずっと目を背け続けてきたんだ!
自罰的に、傍に生えてる電柱を殴った。俺の貧弱なパンチでも電柱は激しく揺れて、そしてこっちに倒れてきた。
見上げると、それは電柱じゃなくてハルバートだった。
「……え」
なんで村の端っこにハルバートが生えてんの?っつうかこれガッチーが持ってた奴だよな。
細かい思考が上滑りするなか、動けない俺を割断せんとハルバートの切っ先が落ちてくる――!

66 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/17(日) 00:33:01.32 ID:9Vj3pamx
>「なあ…以前の温泉村と今の状態のマップを重ねて見せてくれないか?
>最初の温泉宿に置いた荷物を探したい…原作者に貰った装備だから出来る事なら取り戻したいんだ」

「任せろ。 魔王がネットまで禁止しなかったことを感謝するべきだな」
目を覚ましたメルフィを、ローゼンとジェンタイルが温泉宿の受付にまで連れて行く。
私はガッチーに頼まれて、ウェブ上から現在の温泉村のマップと、保存しておいた前の世界の温泉街のマップを重ね合わせて、部屋の壁に映し出した。
「それで、どこにお前は泊まったのだ?」

>「と、いうわけでまた大いなる意思の怒りを買ったらいけないから世界が元に戻るまでは尻アスな正統派の勇者の物語でいくぞ!
>くそみそネタは禁止だ! というわけでそこの二人が冒険を通して仲良くなっていくヒーローとヒロインね」

「ローゼン……お前はぶれないな。
ふっ。 自称光の勇者ではなく、本物の光の勇者だよ、お前は」
ヒーローはジェンタイルでも私でもなく、どこまでも真っ直ぐでポジティブなローゼンの役目だろう。
ならば、ヒロインは私……と言いたいところだが、機械の私ではふさわしくないな。
ここはジェンタイルにヒロインポジションを譲って、私は魔王を蹴り飛ばしてラスボスにでもなってやるか。

>「……悪い、ちょっと外の空気に当たってくる」
切り替えの早いローゼンとは違い、ジェンタイルはまだ気にしているようだ。
ジェンタイルは一人で宿の外に出て行く。
ジェンタイルの生体反応がある地点で止まった。
さて、親友の私が励ましに行くとするか。
私は瞬間移動でジェンタイルの下に現れた。

「危ないところだったな」
私はジェンタイルに振り下ろされたハルバートの刃を、片手で受け止める。
「その情けない顔は何だ?
村を出て行った時の、覚悟と未来への希望に満ちた表情とは、雲泥の差だぞ」
私はハルバートを地に置き、笑いながら言ってやった。
「笑えよ、ジェンタイル。
色々と失ってしまったものもあるが、私達はまだまだ元気に生きているのだ。
どんなに後悔していても、どんなに辛い時でも、笑えば元気が出る。
元気が出れば何でもできるさ、逆に言えば元気が無くては何もできない。
だから、笑うぞ。 ハーハッハッハ!!」

67 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/17(日) 23:50:12.29 ID:0XLEEjJx
>65-66
>「ローゼン……お前はぶれないな。
ふっ。 自称光の勇者ではなく、本物の光の勇者だよ、お前は」
「光の……勇者」
陳腐になる程使い古されたその言葉を改めてかみしめる。
それは希望そのもの。闇に閉ざされた世界を照らす光そのもの。
「ありがとう……なるよ。本物の光の勇者になってみせる!」
黒幕フラグ? 多分気のせいだ!

>「……悪い、ちょっと外の空気に当たってくる」
「あれ? ツッコミはどうしたのー?」

シリアスのイントネーションをちょっと変えたの気付かれなかったかな。
それでもツッコミどころはたくさんあるはずだ。
なんでこいつとだよ冗談じゃねーよ!とか。結局女体化ネタのBLじゃねーか!とか!

「……」
嫌な予感がして慌てて後を追う。
目に飛び込んできたのは、ハルバードに一刀両断にされそうなジェン君。
「避けて――ッ!!」

クウ君が現れて間一髪で助ける。
>「危ないところだったな」

僕はぷんすか怒りながらジェン君に迫っていく。
「何やってんの、アホジェン! 生き返れない世界でしょうもない理由で死ぬ程最悪なことは無いの!
笑うに笑えないし感動シーンにもならないしどう反応していいのか分かんないよ! 捕まえたっ!」
ジェン君をひしっと抱きしめてニヤリと笑う。
「どうしよう、僕も悪い子になっちゃった。だって政敵に革命を起こすんだよ!」

と、所在なさげに立っていた村の入り口の看板型スクリーンのスイッチが自動的に入る。
「何だ何だ?」
近くにいた、“ここは温泉村です”って言う係っぽいじいさんが親切に教えてくれた。
「1日1回の魔王様の有難いお言葉の時間じゃあ、跪けえ!!」

『オーホッホッホ! さあ、跪きなさい!』
スクリーンに魔王の姿が大写しになる。魔王と呼ばれたその人物は、まだ幼い少女の姿をしていた。
魔王と言うからにはどんな姿も取れるからそれ自体は驚く事でもないのだが。
月の明かりのような銀髪。神秘的な褐色の肌。極めつけはゴスロリファッション。
「……。マジで!?」
最近出番が無くて皆に忘れられそうだったからってこれはあんまりだ!

68 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/21(木) 03:31:25.61 ID:HwQkaP5W
果たせるかな、ハルバートは俺を割断しなかった。
ガッキーンと金属同士がぶつかり合う音。俺の目の前に落ちる影。
>「危ないところだったな」
メタルクウラでした。結構な質量と切れ味があるはずの刃を片手で軽々止めてました。
>「その情けない顔は何だ?村を出て行った時の、覚悟と未来への希望に満ちた表情とは、雲泥の差だぞ」
「……そんな顔、できっかよ」
見えなくたってわかる。俺が今、浮かべている表情は、この上なく情けないって。
馬鹿みたいに人類は衰退しましたとか叫んでた頃とは違うんだ。あの頃とは違う。こんな形で使いたくはなかった言葉だ。
>「笑えよ、ジェンタイル。色々と失ってしまったものもあるが、私達はまだまだ元気に生きているのだ。
 どんなに後悔していても、どんなに辛い時でも、笑えば元気が出る。
 元気が出れば何でもできるさ、逆に言えば元気が無くては何もできない。だから、笑うぞ。 ハーハッハッハ!!」
自分を嘲る俺の頭上で、鋼の偉丈夫はかく笑えり。
何のフォローにもなってないセリフだけど。こいつなりに励まそうとしてくれてるのは素直にありがたかった。
ローゼンの気持ちがどうあれ、俺を責めるのは俺だけで良い。どんな罵声も、自分になら忌憚なく浴びせられる。
>「何やってんの、アホジェン! 生き返れない世界でしょうもない理由で死ぬ程最悪なことは無いの!
 笑うに笑えないし感動シーンにもならないしどう反応していいのか分かんないよ! 捕まえたっ!」
そのとき、後ろから誰かが抱きついてきた。っていうかローゼンだった。
十年来の幼馴染は。俺がその存在を否定し続けてきた幼馴染は。それでもメタルクウラに同調するように、笑った。
>「どうしよう、僕も悪い子になっちゃった。だって政敵に革命を起こすんだよ!」

……………………。
そうか。
ローゼンは生きてる。これまでがどうあれ、結果としてこいつがここで笑ってられるなら全ての帳尻は合ってるんだ。
終わりよければ全て良しとは安直に言えないけれど、何よりも大事なことを忘れてた。
「――俺、悪い子だったな」
悪い子だから。酷いこと言ったって、誰かを傷つけたって知ったこっちゃない。
正しいと思ったことを、何にも省みず実行するのが、悪者ってやつなのだから。
自己嫌悪なんか押しのけて笑ってやる。
「はっh『オーホッホッホ! さあ、跪きなさい!』
スピーカーから垂れ流された甲高い笑い声に、俺が立ち直る感動的なシーンはかき消された!
ちくしょう誰だ!いい話キャンセル使った奴は!?
>「……。マジで!?」
「あいつ……お前に似てねえか、ローゼン」
ローゼンの金髪白肌と対照的な銀髪褐肌。どこの第一ドールかってぐらい瀟洒なゴスロリ。
「あれが……魔王……」
んー、んー、大きなお友達向けだなあ。美少女魔王て。MF文庫あたりで量産されてそうな。

「うおー!魔王様最高じゃあ!今期最高にブヒれるぅ!」
「魔王様バンザイ!バンザイ!一生ついていきますう!」
「特典が違うだけのグッズにも文句言わずに全種類買い揃えます!」

今の魔王って、こんな感じに信仰集めてるのか……。
えっと、これはこれで結構幸せな世界なんじゃないの。ケータイでウィキペディアを開く。
「魔王政、っと……」

69 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/21(木) 03:31:49.25 ID:HwQkaP5W
◆魔王政【まおう・せい】
魔王政とは、悪魔の長が絶対的な政治権力を独占して握る独裁政治形態を指す。
またその首長を『魔王』と俗称することからこの名前が生まれた。

◆魔王政の問題点
独裁政であるために、時の為政者個人の資質に政治が左右されやすい。
また、魔王は戦力(主に武力を指す)の多寡によって決定されるため、政治能力に乏しい者が魔王になることが多い。
魔王は民の信仰を糧に力を増長させるため、ディストピアに近い形で民を洗脳し信仰を得る場合が多見される。

<<要は言論統制だな。魔王にとって都合の悪いことは全てメディアの時点で差し止め、
 民衆に耳障りの良い情報だけを流す。それが何代も続けば……>>
「……臣民は生まれたときから洗脳済みの都合のいい奴隷だらけになるってわけか」
なまじっかみんな魔王を好いているから、魔王討伐なんてものはそもそも発生し得ない。
これが数百年の歳月を経て歴代の魔王たちが編みだした統治方法。初めから抵抗という思想を持たせない。
かつて魔王討伐が上手くいったのには、「圧政によって人々が苦しんでいた」ってのが大きなウエイトを占めていた。
みんなが魔王を嫌っていて、勇者に希望をかけていた。信仰が力になる魔王にとって、それは逆風に等しいのだ。
『魔王は陰口を何より嫌う』。ガキ染みた話だけど、奴らにとっちゃ死活問題だ。

ケータイで2ちゃんねるをざっと見てみるけど、どの書き込みも魔王様アイラビュー的なものばかり。
魔王演説の時刻にはどの板でも魔王様実況スレが乱立し、そのどれもが好意的な意見で即刻1000まで行く。
……端的に言って、すごく工作員臭い。どれもこれも単発IDってあたりが、モデム繋ぎ直しまくってIDって偽造してる感。
「魔王がどこにいるかわからねーっつったなローゼン。いい方法があるぜ」
立ったばかりの適当なスレを開いて、書き込み枠を表示。魔王賛美のレスにアンカーを付けて、文面を作成する。


65 名前:名無しの奴隷さん@魔王ちゃんねる [age] 投稿日:/04/16(土) 13:09:13.97 ID:jaNe8tYle

>>64
魔王乙wwwなんでゴスロリ着てんのwww歳www考えろしww



書き込みボタンを、クリック。
その瞬間、俺達の目の前で閃光が爆散した。ものすごい突風が吹き荒れ、傍にいた爺さんが飛ばされていく。
辛うじて堪えた俺が瞑ってしまった目を開けると、目の前にスーツ姿の二人の男が立っていた。
恰幅のいいおっさんと、ノッポの青年。凸凹のような二人には共通項が二つ。山羊の角と腰から生える黒い尻尾。
――悪魔だ。腰に下げてるのは剣じゃなく、ステロタイプな悪魔が持ってる三叉のでかいフォークみたいなアレ。
「……あ、どーも、魔王庁法務部実働課のヒラタとモリヤマです。
 こちらの村でね、ネット掲示板にね、魔王法109条に抵触する書き込みがあったとの通報を受けましてね」
おっさんの方が額の汗を拭きながら名乗った。
「ヒラタ課長、んな格式ばんなくても、書き込みのIPから犯人割り出して速攻しょっぴいて帰りましょうよォ」
青年の方は村には一瞥もくれず、ひたすら携帯を弄りながらぼそぼそと呟く。
「それがね、モリヤマ君。プロバイダに問い合わせたらこのIP、『在るはずのないキャリア』みたいなんだよね。
 電波発信みたいだから発信源はこの温泉村って特定できたんだけどね。肝心の個人が特定できないとね」
「はァ、改造してキャリアわからないようにしたってことですか?」
「どうなんだろうね。技術屋は『存在する時空が異なる』とか言ってたけどね」

俺はこっそり仲間たちを引きずって旅館に引き返し、戸を閉めた。一応外の様子は伺える。
声を潜めながら、だけど興奮を抑えることができなかった。面白いほど――釣れた。
「……ビンゴだ!掲示板に魔王の悪口書いたらソッコー飛んできやがった!この速さは予想外だけど!」
携帯のIPので特定されなかったのは、俺の携帯が俺同様因果から切り離された存在だからだろう。
だから簡単には特定されないとは思ってたけど、よもや発信源だけでここまで割り出してくるとは思わなかった。
「魔王城からのとっときの招待状だ。あいつらふん縛って情報吐かせて、あわよくば魔王のとこまで転送してもらおうぜ!」
ヒラ悪魔がどれくらい強い存在なのか知らねえけど、こちとら神格精霊にだって一目おかれる大先輩の大後輩だ。
戦って、勝ちを得る公算は十分にはじき出せる!

70 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/21(木) 08:10:40.68 ID:r11rTtiy
>『オーホッホッホ! さあ、跪きなさい!』
>「あいつ……お前に似てねえか、ローゼン」
私はこの場にやって来たローゼンの顔をマジマジと見る。
そして、再び画面に映っている魔王の顔を見た。
「確かに似ているな」

>「うおー!魔王様最高じゃあ!今期最高にブヒれるぅ!」
>「魔王様バンザイ!バンザイ!一生ついていきますう!」
>「特典が違うだけのグッズにも文句言わずに全種類買い揃えます!」
>「……臣民は生まれたときから洗脳済みの都合のいい奴隷だらけになるってわけか」
私は魔王に興奮しているファン達を見た。
彼らは幸せそうな顔をしているが、それが生まれた時からの洗脳だと考えれば、私は寂しい。

>「……ビンゴだ!掲示板に魔王の悪口書いたらソッコー飛んできやがった!この速さは予想外だけど!」
私達はジェンタイルに連れられて宿に戻る。
ジェンタイルは魔王の悪口を掲示板に書き込んだだけなのだが、魔王の使いが即座にやって来たのだ。
魔王の言論統制は徹底しているようだ。

>「魔王城からのとっときの招待状だ。あいつらふん縛って情報吐かせて、あわよくば魔王のとこまで転送してもらおうぜ!」
私はパワーレーダーを作動させ、やって来た悪魔の戦闘力を測定する。
私達でも十分に倒せる範囲内の戦闘力であった。
「私が先陣を切ろう」
私は宿から飛び出て、不意打ちとして二人の悪魔達の内の老けている方の背中に、強力な飛び蹴りを打ち込む。
老けている悪魔は勢いよく吹き飛び、私は悪魔が落としていった三つ叉の槍を手に取り、吹き飛んだ悪魔の尻に向かって投げる。
壁に頭からぶつかって、瓦礫に埋もれて尻だけ出している悪魔の尻に、見事に突き刺さった。

「ほう、悪魔でも怯えた表情を出すというのか」
一部始終を見ていた若い方の悪魔は、私を見て後退りをしている。
それも私達の宿の方に向かってだ。

71 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/21(木) 23:23:17.34 ID:KoajoqKy
>68-70
>「あいつ……お前に似てねえか、ローゼン」
「えっ、ににに似てないよ!」
服装も髪型も外見年齢も違って全然印象は違うはずなのになんで一瞬で見抜くんだろう!
>「確かに似ているな」

ttp://www.youtube.com/watch?v=NQleqMY84oU
―― 君は魔王、僕は勇者。運命分かつ哀しき双子。君を倒すそのためならば僕は悪にだってなってやる♪
ノリノリで流れ始めたBGMを必死で止める。
「音響さんストーップ! それ以上いったら核心ダダ漏れや!」

落ち着け僕。他人の空似だ。
僕のイメージによるとリリアンは崩れゆく世界を自己犠牲的精神で支える聖女系男の娘だ。
それに悪魔だったら性別は自由自在なのにわざわざ男の娘やるとかマニアックすぎる。
第一あれが倒されなかった魔王だとしたら生きてる時代がずれている!
待て待て、もしここが魔王が4年に一回の統一選挙で選ばれる世界だったらどうしよう。
『いや、彼女の治世はもうかなり長いみたいだよ』

【魔王政の歴史】
先代魔王(美青年系)は数百年前に勇者を自称するテログループに重傷を負わせられ引退。
約10年の空白期間を経て当代の美少女魔王が即位。彼女の統治は現代に至るまで続いている。

「何? 精霊ってみんなネット出来るの?」
『そりゃ光だからね。ダイヤルアップとは違うのだよダイヤルアップとは!』

つまりこっちの世界でも前の魔王は一応倒されているらしい。
その後美少女魔王が現れるか現れないかで分岐してるってことか? 魔王討伐後に一体何があった!?

>「魔王がどこにいるかわからねーっつったなローゼン。いい方法があるぜ」
>魔王乙wwwなんでゴスロリ着てんのwww歳www考えろしww
「ぷっ、確かにああ見えて数百歳だもんねえぇえ!?」
突風が吹き抜け、とっさにクウ君に捕まる。
>「……あ、どーも、魔王庁法務部実働課のヒラタとモリヤマです。
 こちらの村でね、ネット掲示板にね、魔王法109条に抵触する書き込みがあったとの通報を受けましてね」

>「……ビンゴだ!掲示板に魔王の悪口書いたらソッコー飛んできやがった!この速さは予想外だけど!」
「ニートを数千人囲って一日中ネットの隅々まで見張らせてるのかな!?」

>「私が先陣を切ろう」
クウ君があっという間に中年悪魔をのした。
若い方の悪魔から情報を聞き出そうと外に出ると……若い悪魔が驚愕の表情でこっちを見て衝撃の言葉を発した。
「これはこれは魔王様! お忍びで街に繰り出して臣民と触れ合っているのですね!」
「魔王ちゃうわ!」

72 :創る名無しに見る名無し:2011/04/22(金) 20:11:42.75 ID:8c+Z3VDS
実はローゼン姉弟は魔王の生まれ変わりだったのだ!
姉はこの世界で言う美青年の先代魔王。
弟はこの世界で言う美少女の現魔王。
下っ端の悪魔はローゼンの魂を見て、先代魔王と悟ったのであった。
あの厨二化も前世の影響であり、ローゼンが自分を男と言い張るのも、前世の男だった先代魔王の影響。
ジェンタイルのような男の子が好きなのも、前世の先代魔王の影響だ!

73 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/23(土) 00:00:14.52 ID:CPeSRWNc
女たるクウラが以前と今の温泉村のマップを重ね合わせて部屋の壁に映し出してくれた。
>「それで、どこにお前は泊まったのだ?」
「えーっと、カブト…じゃなくてカニ…でもなくてガチャ…いやカオスとか言った…かな?」
以前のマップから探し出した宿の場所は今のマップ上では集落の境界線あたりの位置になるようだ。
「ありがとう。大体見当がついた気がするからちょっと探してみるよ」
オレは以前も今も何故か変わらず黒いポストの立つ路地を横目で見ながら大分規模の縮小した中心街を通って集落の境界線を目指した。

岩場半分雑木林半分な中に分け入って足下をがさごそしながらしばらく歩いていくと都合良くオレの荷物が半ば埋もれているのが見つかった。
「お、あった…これで少しは原作者に顔向けできるってもんだ」
オレはていねいに引きずり出した荷物を解いて元のプレートメイル一式を手入れしつつ着替えにかかった。

汚れを落としたりなんだりで結構時間がかかった着替えの間に道の方が騒がしかった気がして雑木林から出てみると
幼馴染み3人組がぞろぞろ帰って行ったところのようでそこにはちょうどハルバードが置かれていた。
「ふう…なんかここまでものすごく長かった…が、これで元通りだ…あ…いや…まあ厳密には…アレだが…」
ハルバードを握り感触を確かめながらも思わずテンプレに目を落とす。

末尾0…名前: の欄に目が止まった。
末尾1…性別: の欄に目が止まった。
末尾2…年齢: の欄に目が止まった。
末尾3…外見: の欄に目が止まった。
末尾4…職業: の欄に目が止まった。
末尾5…装備: の欄に目が止まった。
末尾6…特技: の欄に目が止まった。
末尾7…備考: の欄に目が止まった。
末尾8…また地震だ!
末尾9…どこかから声がした。「終点ー」

74 :ガッチー ◆SDWyX89ORk :2011/04/23(土) 00:38:25.23 ID:YZOspErf
年齢:40
…そういえばオレは中年なのだった。

遠くではどうやらメタルクウラがいかにも魔物という感じの変な奴にトライデントを突き立てていて
また一方ではローゼンが別の変な奴に「魔王様!」とか傅かれている。
…夢の中の“ローゼン大先輩”の姿がフラッシュバックした。
「ローゼン…」
近付いて声をかけたかったが体が重い諦観で縛られ動かない。
(…あんたが魔王なのは分かった。人をゴミクズ呼ばわりするのも勝手だ。だが…
精霊なんていうコンビニで弁当買えなくて男装少女に振られたくらいで歴史を書き換え村一個丸ごと滅ぼす自己中な危険物を
飼ってのさばらせてる以上…自然科学の法則を遵守するだけのいたいけな原発に反対を唱える資格はねえ…)
目の前の世界が霞み始める。
…これは…ナルニア国の法則だ…年を取ったことでめくるめく冒険世界に居る資格を失ったのだ…

霞む世界の道の先に阿児の幻が見えた気がした。これはサマノスケが辿った道だろうか…ならばオレも行こう。
見上げると空にはこの世界で自分が会ったり会わなかったりしたさまざまな人の顔が浮かんでいる気がした。

ガッチーは消滅した。

75 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/23(土) 09:52:05.29 ID:zHTbb4qR
>74
>「ローゼン…」
元の世界へ戻りつつあるガッチーの背後に、ローゼン大先輩が呼び声に応えるように現れる。
妄想か幻覚といえばそうだろうし、真実といえば真実だろう。
「そういえば君の目的は世界を破壊すること、だったね」

相変わらずの氷のような完璧な微笑。しかしその眼差しは少しだけ優しい。
「君の選択は世界の様相を根底から覆した。ある意味世界を壊したんだ。
だから君は目的を達成して元の世界に帰るんだよ。立派な結末だ。胸を張って帰ればいいさ」

訥々と言葉が紡がれる。
「僕は君が怖かった。
数多の世で幾度となく繰り返され強制力を持つにいたった強力な定石も、運命を導く力も、完全なる偶然性の前では無力だ。
だからこそ、面白かったよ。《物語》が内包する無限の可能性を見せてくれた……」

校庭裏でのリンチは自らの範疇を超えたものへの畏怖ゆえだろうか。さすが大先輩、やる事が中学生並みである。
そんな事はもはや記憶にないかのように、爽やかに言い放った。
「いつかまた会おう! その時は君は君ではないだろうし僕もまた別の姿をしているかもしれない……。
でも君が君の世界ではない場所への冒険心を忘れさえしなければ、必ずどこかで逢い見えるだろう」

いつの間にか、完璧に整った微笑が、無邪気な少年のような純粋な少女のような本来の人懐っこい笑みに変わっていた。
最もどっちが本来の姿かなんて誰にも分からないのだが。
最後の瞬間、短い言葉を紡ぐ。口の動きを見れば、こう言ったように見えただろう。

―― ありがとう

76 :創る名無しに見る名無し:2011/04/23(土) 15:42:29.24 ID:TZNE2Jly
魔族という魔性の種族を統べる者。
悪魔という悪性の精霊の無意識集合体から滲み出た個を統べる者。
悪魔という精霊よりも上位の無意識集合体より生まれ出る個。
それこそが魔王。

古より生まれ出て二つに別れた魔を統べる者。
一つは兄として光と時の王となり、一つは妹として影と夢の女王となり。
妹の名はリリス。
現在の魔王。世の支配者。
兄の名はルキフェル。
現在のローゼン。光の勇者の皮を被る者。

ルキフェルは過去に勇者に討たれし時、力を残して輪廻の流れに乗る。
何時の日か世界を我が物とする為に。
意識を偽りの光の精霊に、生まれ出る人としての己に宿り続け、精霊達の信頼を得る。
いつか欺かれると知らずに、人も精霊も光と人の子を勇者と信じている。

残した力も悪魔となる。
強大な強大な深遠に潜む大悪魔。
しかし名を名乗ることは無いだろう。
ただの魔王の力の残骸なのだから。
だから彼は深遠に潜む名も無き大悪魔と名乗るだけ。

光と力と魂が一つになる時、魔王ルキフェルの復活だ。
力は魂に寄り添って、人の子の中に宿っている。
後は光が一つに戻るだけ。
魔王の復活は近い。

77 :薄汚れた格好の詩人:2011/04/23(土) 20:08:22.99 ID:+ojgFPv2
うひひ……どうだい?
俺の考えた詩は……なかなか雰囲気出てると思わないか?
これを書き出しにして、今度スレを立ててやるのさ……ひひっ
今はうだつが上がらねえが、そのスレを期に俺も有名GMに成り上がってやるのさ……
今に見てやがれ……ひひひ……

78 :創る名無しに見る名無し:2011/04/23(土) 20:41:08.36 ID:TZNE2Jly
その薄汚れた詩人は、地精霊がいた世界では名の知れた予言者だった。
彼が書き起こした詩文は彼の意思がどうあれ、未来を暗喩していた。
そう、彼の名はノストラダムス。
この世界では彼の詩文という名の予知が当たるかは分からない。
そう、誰も分からないのだ。

79 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/24(日) 00:20:54.40 ID:Dz+lLK84
>「私が先陣を切ろう」
言うやいなやメタルクウラは疾走。ヒラタ課長と思しき悪魔に後ろから飛び蹴りを浴びせ、壁に埋める。
地面に落ちた三叉矛を一球入魂で投擲!突き出たケツにジャストミートし、おっさんの茶色い嬌声が上がった。
<<やはり強いなメタルクウラ。顕在魔力波を見る限り、あの悪魔も相当な手練であるはずだが>>
歴史軸変わってから炎精霊さんやたら真面目だよね。お前本当に俺の契約精霊かよ。なに顕在魔力波って。
<<知らんのかジェン君。相手の強さぐらいは肉眼で見極められるようになっておけ。死にたくなければな>>
マジでお前誰だよ!いいもん!お前がボケないなら俺がボケるもんね!!
「あー、あー、やっちまいましたね可哀想に。アンタら、楽に死ねないですよ」
若い方の悪魔が静かに肩を竦めた。俺にもわかる。
壁にめり込んだおっさん悪魔から、途轍もない魔力の奔流が逆巻く滝のように迸り始める。
「なにするんだい、痛いねえもう……」
メリッ、とおっさんの突き刺さった壁に亀裂が入る。見れば、おっさんの身体が一回り大きくなっていた。
スーツ越しにもわかる盛り上がりは超高密度の鋼、の如き筋肉。どっかのグラップラーっぽい筋骨隆々。
明らかにヤバいフラグだ。爪を隠した実力者。知らずにノした俺達。完全にやられる未来しか見えねえ!

>「ほう、悪魔でも怯えた表情を出すというのか」
だけれど若い悪魔の顔は驚愕に変わった。矢も盾もなく飛び出した俺達の、主にローゼンを見て。
>「これはこれは魔王様! お忍びで街に繰り出して臣民と触れ合っているのですね!」
……なんと。
これは意外な展開だ。現魔王とローゼンは確かに似てるけど、こういう捉え方をされるとは。
>「魔王ちゃ「待てっ!」
ローゼンの否定を、俺は鋭く手のひらで遮った。
この状況、利用できる。このままメタルクウラの力押しでフルボッコにしてもいいが、悪魔は未知数。
端的に言って、忠誠心次第じゃ舌噛んで自決する可能性すらあるのだ。武力はここが使いどきじゃあない。
「控えおろう!我らを誰と心得る!?(イイ声)」
声帯の限界に挑み、精一杯荘厳な雰囲気を醸す。
青年悪魔も、壁から顔を抜いた中年悪魔も、なにやら合点のいったらしき顔をした。
「まさか、魔王直属護衛隊……!?」
中年の方がそう呟いたのを見るにつき、俺は心のなかで笑いが止まらなかった。
疑問形にしたのは、魔王のお付きがどういう名前の役職なのか知りたかったから。
厳しい口調で強引に上から目線に持ち込むことで、相手に熟考する余裕をなくし率直な答えを引き出す目論見なのだ!
「そう、魔王直属護衛隊なるぞ!億千万の眷属の上に立つエッリートの我らを捕まえて臣民とか、なんと心得る!?」
まあエリートなのかどうかはよく知らないけど。直属らしいしそれなりに凄い連中のはずだ。

「いや、護衛隊ってあんな顔ありペプシマンとエセチンピラでしたっけ、課長」
青年の方は疑り深い眼で俺とメタルクウラを舐め回すように見てくる。課長もだけど、こいつら身のこなしにスキがない。
曲者と判断した瞬間に三叉矛を抜けるぐらいには。実働課らしく見事な立ち姿だった。
だがそこにこそつけ入る隙がある。メタルクウラの武力はここで活きる。
「無礼者め!その狼藉、ここで斬って捨ててくれようぞ!!やれい、メタルクウラ!(超イイ声)」
これで"現場にイチャモンつけてきた上層部"ってイメージを強く焼き付けた。
(ローゼン、適当なところであいつら助けろ。魔王っぽくな)
精霊を介したテレパシー的なアレでローゼンに申し付ける。
臣民に限らず、悪魔も原則魔王が大好き。
命を救われたとあらば、最初に疑いをかけた罪悪感も相まって忠誠はより強固になる。
感情ってはプラスとマイナスの振れ幅がでかければでかいほどその後は揺らがなくなるのだ。
第一印象が最悪なほどデレの威力が高くなる、いわゆるツンデレの法則ってやつな!

80 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/24(日) 01:24:31.12 ID:eR8fbJlb
>「あー、あー、やっちまいましたね可哀想に。アンタら、楽に死ねないですよ」
>「なにするんだい、痛いねえもう……」
これはやばい。
明らかに私達の戦闘力を超えてしまった。
悪魔達は戦闘力のコントロールができるようだな。
これは本当にやばい。
こうなったならば、私も奥の手を使うしかないな。

>「これはこれは魔王様! お忍びで街に繰り出して臣民と触れ合っているのですね!」
>「魔王ちゃ「待てっ!」
私はちょっと暇なメタルクウラ達に通信で呼び掛けながら、事態の推移を見守っている。
ローゼンが魔王と間違えられて、ジェンタイルがはったりをかまし始めた。

>「いや、護衛隊ってあんな顔ありペプシマンとエセチンピラでしたっけ、課長」
顔ありペプシマンだと……
今の私の姿は尻尾の無い女性型だ。
それなのに顔ありペプシマンだと……
いや、クウラの姿をしている時に言われたとしても、顔ありペプシマンだと……

>「無礼者め!その狼藉、ここで斬って捨ててくれようぞ!!やれい、メタルクウラ!(超イイ声)」
「私はやらない」
私が挑んだとしてもやられそうだからだ。
その代わりに……

『顔ありペプシマンだと?!』×48
平和な世の中で弱体化した私と違い、原作性能のメタルクウラ達がぼっこぼこにするだろう。
さすがに私達に顔ありペプシマンは禁句だ。
原作性能のメタルクウラ達は、必死に逃げようとする悪魔達を捕まえて、袋叩きにし始めた。
一瞬にして悪魔達の生命反応が消えかかっているが、さすがに殺すようなことはしないだろう。
多分だが……
それにしてもガッチーはどこに行ったのだろうか?
ガッチーの生命反応を検索しても、反応が無いぞ。

81 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/24(日) 19:48:38.92 ID:pCYHXNEI
>72
>「控えおろう!我らを誰と心得る!?(イイ声)」
噴出しそうになるのを必死でこらえる。一介の浪人生がイイ声出しても無理だっつーに!
>「まさか、魔王直属護衛隊……!?」
うそーッ! 通じた!?

>「いや、護衛隊ってあんな顔ありペプシマンとエセチンピラでしたっけ、課長」
あー、やっぱ無理だって!
>「無礼者め!その狼藉、ここで斬って捨ててくれようぞ!!やれい、メタルクウラ!(超イイ声)」
え、押し切りますか? 勢いで押し切れるのか!?

>『顔ありペプシマンだと?!』×48
大量のメタルクウラ(原作仕様)が悪魔を袋叩きにし始めた。

>(ローゼン、適当なところであいつら助けろ。魔王っぽくな)
魔王っぽく!?
とっさに、慣れ親しんだ勇者伝説の魔王を思い浮かべる。超美形でド変態でドSでガチホモで属性は誘い受け!
登場人物中1,2を争う人気キャラだ! 我々の業界では勇者×魔王は常識です!
(……。えー、無理無理無理! あんなガチホモのド変態無理! そもそも僕は勇者だよ!?)
かといってここで悪魔に死なれたら話が進まない。仕方がない。魔王になりきれ!

無駄に高笑いをあげながら進み出る。
「フハハハハハ!! その辺りにしといてやろうぞ! Dazzling flash【幻惑の閃光】!!」
不必要に大袈裟な動作と演出でメタルクウラ達に目くらましの魔法をかけた。
厨二病患者じゃあるまいし魔王というのはどうしていちいち大立ち振る舞いをしないと気が済まないのだろうか。

メタルクウラ達の中に分け入ってモリヤマ君というらしい若い方の悪魔に歩み寄る。よく見ると結構イケメンだった。
「済まなかったな。此度の直属親衛隊は血気盛んすぎて手を焼いているのだ」
手を差し伸べただけで、背景にキラキラが入ってそれっぽい演出になる。悪魔たるもの魔王様にベタ惚れなのだ!
「魔王様……! あれ? しかしGL以外は厳禁じゃなかったんですか!? 管轄範囲を広げられたのですか!?」
「フフ、我々に性別なんて無いだろう」
そう受け流し、メタルクウラ達を見回す。
「なんだ? 不満そうな顔をしているな。後で私の部屋に来い! 存分に楽しませてやろう!」
僕は嗜虐的な笑みを浮かべ……

『ノリノリやん!! そんな事言って本当に襲われたらどうすんの!?』
ついに光精霊にツッコまれた。でも大丈夫! メタルクウラはガチホモだから女には興味ない!
『ならいいんだけど……。炎精霊が真面目になってるみたいだし、世界が書き換えられた拍子にちょっとした手違いで……』
ある可能性に思い当たって血の気が引いた。
ジェン君の場合、人が生き返らない世界がいいと希望を連呼していただけでそうなってしまったのだ。
僕なんて希望を連呼どころじゃない。散々自分をさりげなく男キャラ枠に入れたりステータス画面の性別欄で遊んだりしなかっただろうか。
リヨナちゃんなんて未だに僕の事を男と思ったままじゃないっけ。
ああもうこれは絶対男になってるパターンだ! ごめんなさい冗談ですギャグですふざけてただけです!
後悔しても遅いのだ。このままなし崩し的にめくるめくガチホモ祭りに突入し、哀れジェン君はガチホモサンドの具になってしまうのだ!

「うぅ……可哀想なジェン君……」
ジェン君の行く末を想うと涙がこぼれた。胸が痛い、と言いたいところだがさっきからお腹の下の方が微かに痛い。
「……あれ?」
これは感傷に浸っている場合ではない! 引きつった笑みを浮かべながら後ずさりする。
「う、あ……な、何でもないから! ついてくるな!!」
さっき出てきた扉の中に入ってバタンッと閉める。
「うわあああああああああああ!! 誰だよガチホモサンドとか言ったのはあああ!」
そんな事を言うからこんな事になるのだ! この後の描写は勘弁してください!
何が起こったのかだって? 本当に何でもないよ! ただ幸いジェン君がガチホモサンドの具にならずにすんだというだけの話である。

『いくらなんでもこれは酷い!! この手のネタが苦手な人ごめんなさーい!! 無意味なギャグだから気にせず適当に流してね!』
≪散々例の糞ゲーネタを連呼しといて何を今更。どうせ変な物食ったのじゃ! そうに違いない!≫
『あっそうか、そうだよね! 絶対そうだ!』

82 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/04/25(月) 20:56:26.19 ID:Uky5qeoO
温泉村――連なる安価で劣悪な旅館群/死に絶えた大地/追い討ちをかけるような曇天。
路肩に腰を下ろし枯れ木にもたれかかる男=伸び放題の髪と無精髭に隠蔽された精悍な容姿/薄汚れたマントに覆われた強靭な肢体。
片手には酒瓶――口元に運び、中身を嚥下。
酒=“生命”/“夢”――二度と戻らぬ二つの代替を求め、男は酒瓶を傾ける。
だが酒瓶の中には、僅か一滴の酒しか残っていなかった。

「チッ……嫌な世の中になったもんだぜ……。勇者様のお出ましだって、酒場でタダ酒にありつく事も出来やしねえ」

男=“元”勇者――かつて魔王に挑み、討伐。
しかし魔王の背後にあった、真に邪悪なる小さき巨影――果敢に挑むも敗北/引き裂かれる仲間/奪われる命。
それらを代償に切り開かれた退路を、男は逃げた。
生き延び、『時の牢獄』――老いも朽ちる事も届かぬ永遠と言う名の拷問に、自ら飛び込んだ。
そこで鍛錬を積んだ。魔王に勝てるだけの力を得る為に。
時は流れ――男は永久の抑圧に増幅され続けた力で牢獄を破った。
だが牢獄の外で男を待ち受けていたのは、絶望だった。
より力を増した魔王――決して届かぬと確信させられる刃。
響き渡る魔王への賛美/塗り固められた歴史=ただ一人の声では揺るぎようのない年月。
死のうとさえ思った。

『アンタは勇者だ。希望の星だろ。こんな所で、死なせるかよ』
『アタシ達を、背負って行ってよ。平和な世界までさ。重たいだなんて、言わせないよ。こんな可愛い子捕まえといてさ』
『諦めないで下さいね。こんな世界に神様がいるのかは、もう分からなくなっちゃいましたけど。私達はいつだって貴方と共にありますから』

その度に過去から響く声――最早応える事の出来ない、だが裏切れない、重苦しい希望。

「……どうしろってんだよ。世界はもう、こんなになっちまったんだぞ」

答えはない。代わりに聞こえてくるのは、生理的な嫌悪を誘う悪魔の声。

>「……あ、どーも、魔王庁法務部実働課のヒラタとモリヤマです。
 こちらの村でね、ネット掲示板にね、魔王法109条に抵触する書き込みがあったとの通報を受けましてね」

「……どこの馬鹿だ?んなアホをやらかした奴は」

悪魔達の足取りを視線で追う――視界に入る魔術師/機械生命体――そして、魔王に瓜二つの魔法剣士。
男の表情が、戦慄に強張る――しばらく様子を伺った後で、男がはたと立ち上がた。
ふらついた足取りと共に酒瓶を掲げ、腹の底から振り絞った大声。

「魔王のバッカヤローめ!世界中どこもかしこもクズみてえに痩せた土地にしちまいやがってよ!
 テメェは下っ腹に贅肉こさえてやがるくせにいい気なもんだぜ!どうせ何したって胸は膨らみゃしねーってのによ!」

低俗な罵倒――悪魔達には効果抜群。すぐさま男を制圧しようと、駆け寄ってくる。

「おいそこの酔っ払い、お前の発言は魔王法110条に抵触する。さてはネットの書き込みもお前の仕業だな?」

「あぁん?俺が何したってんだ。罪状は何だぁ?世界元首侮辱罪かぁ!?」

「いや、違う。魔王様の胸が膨らまないと言うのは最重要機密だから、機密漏洩罪だな」

下らない冗談=高度な釣り。もしも笑った者がいれば、問答無用で連行。
治安維持に携わる者の得点稼ぎ――いつの世も変わらない、種さえも超えた悪徳。

83 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/04/25(月) 20:58:34.63 ID:Uky5qeoO
「あぁ、そうかい。色気付きやがって、もう何も恐いモンなんてねえってか。むかつくこった」

男の口調から偽りの酔いが消え去り、瞬時に冷厳さを帯びる。酒瓶が手放された。
悪魔達の背筋に悪寒が走る/咄嗟に背後へ跳躍――遅い。
男の右手がマントの内側へと潜る。使命を帯びる武器――眩いミスリルの閃き。
逃れんとする悪魔達を、マントから飛び出した閃光が追う。逃げ切れる訳はない。
ただの一瞬で、二体の悪魔は細切れに――直後に蒼く炎上し、灰となった。
その後でようやく酒瓶が地面に落下し、断末魔の悲鳴を上げる。

「便利な体してやがるよなぁ、テメーら」

風に吹き飛ばされる灰を無感慨な目で見届け、男は一言。
視線を再度、魔術師達に向ける。

「よう魔王様よ。久しぶりじゃねえか。この村な、テメーらのせいでろくな湯が出なくなっちまったんだとよ」

挑発的な口調/高圧的な歩調=全身から迸る威圧感。

「ちょっとばかし力を貸してやったらどうだ?なぁに、簡単な事さ。テメェの血で、血の池風呂を作りゃいい名物になるぜ」

不可視の速度で左手が突き出された。煌く左手首の腕輪――魔道具の輝き。
極めて細いミスリルの糸が魅せる自由自在の舞踏。瞬く間にローゼン達を絡め取る。
左手の筋肉が細動/隆起/血管の微かな膨張――全ての可能性を奪う力の兆候。

「……冗談だ。あのクソッタレの面は、三百年経った今でも忘れねえ。テメーはよく似てるが、違う」

言葉とは裏腹に、緩まない力/圧迫。

「だが……魔王と瓜二つのテメーが、何でもないボンクラとも思わねえ」

尋問の開始。

「お前らは、何者だ?」

拷問になるかどうかは、返答次第。

「……と、一応礼儀を通しとくか。俺はベロウ・リディマ。職業は――元勇者だ」




名前:ベロウ・リディマ
職業:元勇者
性別:男
年齢:34
身長:180cm
体重:80kg前後
性格:荒んでる
外見:伸び放題の髪/無精髭/薄汚れたマント
備考:数百年前の勇者。先代魔王に致命傷を与え、しかし現魔王に敗北。
   仲間に命がけで逃がされ、時の牢獄で数百年の修行。
   しかし再び戻った現世は既に魔王一色。
   絶望に明け暮れ、しかし死ぬ事も出来ず、無気力な日々を過ごしていた。

84 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/25(月) 22:36:27.75 ID:7+5QYgfa
>「私はやらない」
「やらないのかよ!?」
おっと、ついつい素が出ちゃった。おいおいメタルクウラさんビビってんのかよメーン!
と思ったら、こいつはこいつで既に手を打っているようだった。
>『顔ありペプシマンだと?!』×48
手打ちっていうか、集団私刑発動。
「ぎええええすいませんこれからは顔ありペプシウーマンと及びべぶらっ!!!」
異次元より召喚された円卓の48騎士(かなり誇張)は鋼の巨躯で殴る、殴る、殴る。
一瞬にして悪魔二人をボロクズの襤褸切れへと変えていく。フルボッコだ。きょうび荒木御大だってここまでやらねー。
(よし、今だローゼン!)
>「フハハハハハ!! その辺りにしといてやろうぞ! Dazzling flash【幻惑の閃光】!!」
ローゼン魔王の放った閃光魔法によって顔ありペプシメーンは暗闇のバッドステータスを受けた。
その様、さながら目の赤くなった王蟲を手懐けるナウシカの如く。鋼色の暴力は干潮のように引いていった。

>「済まなかったな。此度の直属親衛隊は血気盛んすぎて手を焼いているのだ」
それにしてもローゼン閣下、ノリノリである。せっかくだから俺も。
「よろしいのですか閣下。所詮は局付きの下級公務悪魔(適当)、ご下命とあらば骨も残さず葬りますが」
悪魔立ちがドン引くのがよくわかる。ああ、良い。この"命をなんとも思ってない冷徹非道な高官"って感じ。
一回やってみたかったんだよ、こういうテンプレートな悪役!田舎のチンピラとかじゃなくてさあ!
と、なにやらモジモジしていたローゼンは不意にさっと青ざめると踵を返した。
>「う、あ……な、何でもないから! ついてくるな!!」
「か、閣下!?」
ローゼンさんそこ行きはるのん!これからこの悪魔どもをどうこうするってときに!
入っていった宿屋のほうから色気の欠片もない悲鳴が聞こえてきたけれど、ついてくるなとの勅命なので待機。
「あ、戻ってきた」
ブルー面な閣下。前の歴史軸じゃ見られなかった表情だ。
歴史改変で大なり小なり世界は変わってきているし、メタルクウラも、ローゼンも、ガッチーも、少なからず変化した。
意識は保てていても、肉体は徐々にこの歴史軸に順応を初めているのだ。俺もそろそろキャラ設定に関わる変化があるかも。
こいつは伏線ということで、そろそろ話を進めようかな!

>「魔王のバッカヤローめ!世界中どこもかしこもクズみてえに痩せた土地にしちまいやがってよ!
 テメェは下っ腹に贅肉こさえてやがるくせにいい気なもんだぜ!どうせ何したって胸は膨らみゃしねーってのによ!」
広場のほうから罵声が飛んだ。目を遣れば世捨て人っぽいおっさん一人。悪魔たちがこっちを視線で伺いを立ててくる。
「行って良し」
鷹揚に頷いて、取締りの許可を出した。

85 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/25(月) 22:37:05.52 ID:7+5QYgfa
悪魔二人は既に自己治癒を完了。すっくと立ち上がるとおっさんの方へ飛んでいく。
その時俺は、なんの気なしに視線を逸らした。ほんの一瞬だ。そしておっさんの方を見直したとき、既にことは終わっていた。
「ば、馬鹿な、やられたというのか……?あの二人が……この一瞬で!(めっちゃエエ声)」
二人の悪魔は細切れに斬り刻まれ、発火した粉塵のように小爆発ののち風に散った。
おっさん改め浮浪者は小汚い外套をたなびかせながら接近する。口調はあくまで、旧来の友人に語りかけるようなそれ。
と、いう皮肉。それから心臓が一回鼓動するより早く、浮浪者の腕は疾風と化した。
銀光が閃き、さながら蜘蛛の巣に囚われた羽虫のように、俺達は不可視の拘束を受けていた。
こいつは……糸。それも肉眼じゃほとんど見えない極細の鋼糸術。
>「お前らは、何者だ?」
>「……と、一応礼儀を通しとくか。俺はベロウ・リディマ。職業は――元勇者だ」
ローゼン閣下の大先輩だった。

(炎精霊……この糸、焼き切れるか?)
<<ミスリルの魔導伝達性質を知らぬわけではあるまい。燃やしきる前に伝達された熱で汝が焼かれるぞ>>
この場は既に邂逅から尋問へと姿を変えていた。拷問に変わってないだけマシと見るべきか、いやはや。

恐ろしい手際だった。一対多の戦闘に対する卓越したノウハウ。一撃で三人ともを拘束した鮮やか過ぎる手練手管。
だが、そこに光明。これだけ徹底した動きを完遂できて、果たせるかな俺たちはまだ細切れになっちゃいない。
この元勇者がその気になれば、あの悪魔達のように――ことは一瞬で済む。逆説、こいつはまだ『その気』になってない。
出会い頭に釣り上げて、速攻悪魔をぶち殺すぐらいにはイカれた人間、元勇者なら納得の悪魔に対する偏執的な憎悪。
つまり。ローゼンの存在は、そんな決戦的な憎悪にすら歯止めをかけるほどのイレギュラーだってことだ。
なんのことはない。この元勇者、何も知っちゃいないんだ。魔王と似て非なるローゼンという存在に、端的に言ってビビってる。

「ほう……元勇者か。なるほどその手際、"魔殺し"の業。とうの昔に滅んだものと思っていたがな(すげー良い声)」
ここはハッタリで乗り切る!!適当な造語にそれっぽい意味を含ませて、疑惑全体を煙に巻く。
なんにせよ閣下がどこにでもいるただの腐女子だとバレたらアウトだ。勇者だけど。ま、ま、それはさておき。
「だがいいのか?貴様も漫然と理解しているだろう。ここで閣下に手をかけることが、どういう意味を持つか」
寂れたきった温泉村とはいえ、魔王閣下の忠実な臣民が村一個の規模でここに居る。
今はまだ大事に至っちゃいないけど、再び血を見ることになれば今度こそ民衆は暴徒に変わる。
その刃を向けられるのは、たった一人の元勇者。打首獄門市中引き回し超確定。人類は未だ、魔王の味方なのだ。

「時代は変わったのだよ元勇者。貴様自身がそう名乗ったではないか。もはや魔王閣下は民の全てに愛され、
 あらゆる業界を掌握している。臣民は臣民足りえ、連日閣下を標榜する。勇者の時代は――終わった」
言ってて腹の奥底に、ぐるぐると渦巻くものがある。それを燃やして舌を回す気力に変え、俺は指を振った。
髪の毛一本分のコントロールで小さく魔力を練る。ミスリル糸は焼き切れない。だが金属故の性質ばかりは変わらない。

「ところで元勇者よ。――熱膨張って知ってっか?」
幻想殺しばりの芝居がかった動作で空を穿つは俺の魔力。メタルクウラを拘束する鋼糸"だけ"を正確に加熱。
俺達の中で髄一の耐熱性能を誇るメタルクウラならば、赤熱し膨張するミスリル糸をすり抜けることだってできるはず!
「そこの老害に世代の違いを魅せつけてやれ、メタルクウラ!」

86 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/25(月) 22:46:27.30 ID:7+5QYgfa
>>83
【ようこそ!新規さん本当に嬉しいです!よろしくお願いします!】

87 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/26(火) 00:29:31.29 ID:+UdUwxhg
>「フハハハハハ!! その辺りにしといてやろうぞ! Dazzling flash【幻惑の閃光】!!」
ローゼンの魔法と同時に、私も他のメタルクウラ達にストップをかけた。
メタルクウラ達は暴行を止め、ローゼンが間に入っていくことを許す。

>「なんだ? 不満そうな顔をしているな。後で私の部屋に来い! 存分に楽しませてやろう!」
ふむ。後でローゼンの部屋で楽しませてもらうとしよう。
怒りが収まらないメタルクウラ達には、後で動画を渡すことを約束し、帰ってもらうことにした。

>「魔王のバッカヤローめ!世界中どこもかしこもクズみてえに痩せた土地にしちまいやがってよ!
>テメェは下っ腹に贅肉こさえてやがるくせにいい気なもんだぜ!どうせ何したって胸は膨らみゃしねーってのによ!」
ローゼンが謎の行動を取った後に、広場から魔王への罵声が響いた。
民は魔王によってよく調教されていたと思ったが、魔王に不満を持つ者もいるようだ。
しかし、私達がこのような世界を生み出した原因故に、胸が痛い。
ジェンタイルが取り締まりの許可を悪魔達に出すと、悪魔達が急いで体を修復させて取り締まりに向かう。
「あっ……」
私は手を伸ばすことしかできなかった。
悪魔二人を止めることができたのに。

取り締まりに向かった悪魔達は、暴言を吐いたと思わしき浮浪者に詰め寄る。
浮浪者の男の雰囲気が変わった。
私達の方にまで伝わる殺気。
一瞬の内にバラバラにされて消滅する悪魔達。
浮浪者の男はこちらにやってくる。
ローゼンのことを魔王だと冗談を言いながら威圧感を発し、瞬時に私達を鋼線で捕らえる。

>「お前らは、何者だ?」
>「……と、一応礼儀を通しとくか。俺はベロウ・リディマ。職業は――元勇者だ」
「元勇者だと!?」
私は驚きの声を上げてしまった。
私達の知っている話では、魔王を倒した勇者はただの人間だったはず。
その勇者が今の時代まで生きているのは、おかしいのだ。
確かに物語に出てくる勇者と同じ名前であり、悪魔を容易く葬り去る実力から考えれば、元勇者と言うのも信じられる。
その元勇者に対して、ジェンタイルははったりでこの場を乗り切ろうとする。
ならば、私は……

88 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/26(火) 00:30:22.22 ID:+UdUwxhg

>「ところで元勇者よ。――熱膨張って知ってっか?」
熱いコーヒーをかければ鉄砲のパーツが膨らむと言うアレだな。
>「そこの老害に世代の違いを魅せつけてやれ、メタルクウラ!」
私はジェンタイルが作り上げた鋼線の抜け道を、手を上げて抵抗の意思が無いことをアピールしながら、ゆっくりと出た。

「まぁ、あそこの炎の詐欺師ジェンタイルが言っていたように、私達は世代が違う。
かつての勇者であったあなたには、冗談のようにしか聞こえないだろう。
ジェンタイルの隣で捕らえられてるのが、光の精霊を宿す現在の光の勇者のローゼンだ」
元勇者がローゼンのことを魔王と言った時にネットで調べたのだが、先代の魔王とローゼンは本当に良く似ていた。
それこそ、私達が似ていると騒いでいた今の魔王よりもだ。

「そして、私の名はメタルクウラだ。
今は女性の姿をしているが、本来は違う姿をしている。
私達には敵意は無い。
どうか、その武器を納めてはくれないか?」

89 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/26(火) 23:15:33.54 ID:QxOxFYMl
>84-88
>「あ、戻ってきた」
「何その目は!? 何もないんだから伏線になんてならないよ! 
ほら、ステータス画面変化してないし! 性別? 男に決まってるじゃないか」
顔色が悪く見えるとしたら気のせいだ。そんな風に見えるのはジェン君ぐらいだ。
『人体は神格精霊に響応してるって言うからねー。
これも各地で地母神として信仰されていた地精霊がいなくなった影響なのかな。
ローゼンの場合飛びぬけて精霊の影響を受けやすいから……』
黙らっしゃい! 解説せんでいい!

と、酔っぱらいらしきおっさんが騒ぎ始めた。
>「魔王のバッカヤローめ!世界中どこもかしこもクズみてえに痩せた土地にしちまいやがってよ!
 テメェは下っ腹に贅肉こさえてやがるくせにいい気なもんだぜ!どうせ何したって胸は膨らみゃしねーってのによ!」
酔っぱらいとはいえこれは聞き捨てならない!
「貴様、全く分かっていないな……ゴスロリは待っ平な胸で着てこそ真価を発揮するのだよ!
女が着てもただの派手な服でしかない。だが幼女か美少年が着れば性別を超越した魔性の美しさとなる!」

主張を言い終わるか終らないかのうちに、悪魔達は灰になった。
どうしてくれるんだ情報聞き出せなくなったじゃないか。
>「よう魔王様よ。久しぶりじゃねえか。この村な、テメーらのせいでろくな湯が出なくなっちまったんだとよ」
えっ、何で知ってるの!? だってあれはガチさんが煽るから!
そういえばガチさんどこ行った? そういえば元の世界に帰るのを見送ったような気がする。そんな事をやったはずがないのに。
僕どうしちゃったんだろう……。

>「ちょっとばかし力を貸してやったらどうだ?なぁに、簡単な事さ。テメェの血で、血の池風呂を作りゃいい名物になるぜ」
「残念だが私は血を流さぬ……。なにせ血も涙もない悪魔の王だからな」
不可視の糸で拘束される。それにも拘わらず僕は不敵な笑みを浮かべていた。
なんで内心とは裏腹に魔王キャラがこんなに自然に出てくるんだろうか。

>「……冗談だ。あのクソッタレの面は、三百年経った今でも忘れねえ。テメーはよく似てるが、違う」
「フフフ、果たして本当にそうかな?」

>「お前らは、何者だ?」
>「……と、一応礼儀を通しとくか。俺はベロウ・リディマ。職業は――元勇者だ」
「ハハハハハ! 面白い奴だ! 貴様のようなヒゲ生えた中年が勇者なわけないだろう!」
僕達のいた世界では、勇者は美少年か男装美女の二択である。ヒゲ生えたおっさんなんて論外だ!
萌えオタも腐女子もドン引き。薄い本の題材にもなりゃしない! 光精霊、あれ偽物だよな!?
『どうだろう。我が一緒に旅したのは君の時間軸の勇者だから何ともいえないよ。
時間軸が違えば同じ人がちょっとした加減で全くの別人になってる事だってあるからね』

>「時代は変わったのだよ元勇者。貴様自身がそう名乗ったではないか。もはや魔王閣下は民の全てに愛され、
 あらゆる業界を掌握している。臣民は臣民足りえ、連日閣下を標榜する。勇者の時代は――終わった」
「その通りだ。私が手を下すまでもない……我が忠実なるしもべ達よ、やってしまえ!!」
ジェン君とクウ君に任せとこう。その方がそれっぽいだろう。別にだるいからサボってる訳じゃないよ!

>「そこの老害に世代の違いを魅せつけてやれ、メタルクウラ!」
>「まぁ、あそこの炎の詐欺師ジェンタイルが言っていたように、私達は世代が違う。
かつての勇者であったあなたには、冗談のようにしか聞こえないだろう。
ジェンタイルの隣で捕らえられてるのが、光の精霊を宿す現在の光の勇者のローゼンだ」

拘束されたままずっこけた。せっかく魔王様キャラで通したのに意味ないじゃん!
魔王ごっこあえなく終了。作戦変更だ! 口調を素に戻す。
「えへへ、敵の行動パターンをシュミレーションするために魔王ごっこしてたんだ!
つきあってくれてありがとう!
でも驚いたなあ、あなたは本当に勇者様なんだね。だってすごく強いんだもん!
僕さ、勇者になりたいんだよ! だから色々教えて欲しいなー」

90 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/04/27(水) 23:12:42.04 ID:UiDiRqog
『ハハハハハ! 面白い奴だ! 貴様のようなヒゲ生えた中年が勇者なわけないだろう!』【>>89

「“元”勇者だ。勘違いを正すついでで肩書きに元ハンサム、現ナイスミドルとでも付け加えといてくれ」

『ほう……元勇者か。なるほどその手際、"魔殺し"の業。とうの昔に滅んだものと思っていたがな(すげー良い声)』【>>85

「よせよ、照れるじゃねえか。手が滑っても知らねえぞ」

絶体絶命の窮地――尊大な口振りは健在。
だがベロウの心=枯れ果てた樹――如何な強風にも、揺れる葉=感情すら持ち合わせない。
ほんの微細な靡きのみがミスリルの糸に伝播する――切断された一束の髪が風に連れ去れれた。

『だがいいのか?貴様も漫然と理解しているだろう。ここで閣下に手をかけることが、どういう意味を持つか』

「……あぁ、代わりに教えてやろうか?ここで俺の手にかけられる事が、どういう意味を持つのか」

無慈悲な声色/研ぎ澄まされる眼光――魔術師の頬に刻まれる一筋の紅。
魔術師が言葉を紡ぐ度歩み寄る虚無――意味などない。全てを塗り潰す、これ以上無く濃密な無意味。

『時代は変わったのだよ元勇者。貴様自身がそう名乗ったではないか。もはや魔王閣下は民の全てに愛され、
 あらゆる業界を掌握している。臣民は臣民足りえ、連日閣下を標榜する。勇者の時代は――終わった』

突きつけられる事実。

「……それがどうした?」

突き返す毅然たる口調。

「だからと言って、俺がテメーらを殺さない理由には、ならねえだろうが」

朽ち木は既に、絶望の寒波に凍り付いている。
絶対零度――故に揺るがない。
しかし、まだ殺さない。
当初の疑問=魔王に瓜二つの魔法剣士の正体が、分かっていないから。

『ところで元勇者よ。――熱膨張って知ってっか?』

「生憎、最近の流行りには疎いんでな。お前らの甘いプランをぶち殺す事しか出来なさそうだ」

『そこの老害に世代の違いを魅せつけてやれ、メタルクウラ!』

ミスリルの糸が赤熱し、膨張。
灼熱と空気が手を取り合い、軽い糸をふわりと舞い上がらせる。
生じる隙間――僅か一瞬の緩みを逃さず、機械生命体が脱出=さり気無く垣間見える積年の友情。
反撃はない。機械生命体=挙げられた両手/緩慢な動作――無抵抗を全身で体現。

『まぁ、あそこの炎の詐欺師ジェンタイルが言っていたように、私達は世代が違う。
 かつての勇者であったあなたには、冗談のようにしか聞こえないだろう。
 ジェンタイルの隣で捕らえられてるのが、光の精霊を宿す現在の光の勇者のローゼンだ』【>>88

心臓が、俄かに跳ね上がった。
明らかな動揺/驚愕――死に絶えた心に起きたあり得ない鼓動。
威圧感でそれらを覆い隠すが、言葉を踊らせる余裕まではなかった。


91 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/04/27(水) 23:15:08.30 ID:UiDiRqog
『そして、私の名はメタルクウラだ。
 今は女性の姿をしているが、本来は違う姿をしている。
 私達には敵意は無い。
 どうか、その武器を納めてはくれないか?』

「それは武器を下ろせって意味でいいんだな?……オーケーだ。だが一つ聞いておきたい事がある」

辛うじて余裕を発散――意味ありげな上方への視線/曇天の空に反して降り注ぐ無数の輝き。

「お前の言うその武器ってのは……一体どの武器の事だ?」

重力に反逆し矛先で三人を睨む片刃/両刃/槍/長槍/戦斧/鎚/征矢/魔杖/魔銃――数え切れない武器。
全て魔導操作を施したミスリルの糸によって制御されている。

「こちとら戦士にゃ膂力で敵わねえし、魔法じゃ魔術師に手も足も出ねえ。
 ――ついでに信仰心は僧侶の足元にも及ばないんでな。道具に頼る事にしてんだ」

勇者=類稀なる全能性を秘め、だがそれ故に不完全な存在。

「ちなみに、俺のオススメは魔術師の頭上にある雷神の鉄槌だ。
 今ならオマケで巨人の戦斧も付いてくる――で、本当に武器を下ろしていいのか?」

力強く腕が引かれる――無論、殺意はない。
巻き取られる糸/マントに潜り込む武器――敵対の終焉。

『えへへ、敵の行動パターンをシュミレーションするために魔王ごっこしてたんだ!
 つきあってくれてありがとう!』【>>89

「今度から友情出演はアポ必須で前払いのみだ」

淡々とした軽口――裏に隠された疑問。
本当にこの子供が『光の勇者』なのか。
猜疑/希望――衝突し合い、渦を巻く。

『でも驚いたなあ、あなたは本当に勇者様なんだね。だってすごく強いんだもん!』

「……三百年修行すれば誰でもこうなれる。俺は――勇者でも、強くもなんともなかった」

奪われた命/独り生き延びた命=二度と返上出来ない弱者の証明。
降り注いだ虚無は決して拭えない。心の奥底から現実が呪詛を吐く。
今更お前に何が出来る。何も出来はしないと。

92 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/04/27(水) 23:17:19.06 ID:UiDiRqog
「邪魔して悪かったが、俺には何もしてやれそうにない。せめて頑張ってくれ――」

『僕さ、勇者になりたいんだよ! だから色々教えて欲しいなー』

一瞬、呼吸を忘却した。
心象風景が純白に染め上げられる――そこへ流れ込む光の勇者の言葉。
出来る事は、まだあった。

「……勇者ってのは、なるモンじゃない。生まれながらの――配役だ」

突き放すような響き――その対象は、ローゼンではなく自分自身。

「だから多分……俺の配役も、これだったんだろう」

かつて抱いた使命と正義の炎――それらが燃え落ちて残った灰を、自分の言葉で吹き飛ばしていく。
捨て切れなかった挟持/渇望した夢――手放していく、全てを。
今更になって舞い降りてきた希望――光の勇者を受け入れる為に。

「いいだろう、教えてやろうじゃねえか。そして教えてもらうぜ――本物の勇者様の、強さって奴を」

長髪と無精髭の隙間から垣間見える笑み=密やかなダンディズムの発露。
差し出される右手=友好関係の申し出。

「だが――その前に一つ聞かせろ。俺は……“俺達”は昔、世界中を旅して回った。何故だか分かるか――?」

不意に復活する鋭い眼光/放たれる問い。

「『光の勇者』を探していたからだ」

告げられる事実。
更に続く説明――とある石碑に刻まれた先人の言葉=小さき巨影は光の勇者にしか倒せない。

「だが結局、光の勇者は見つからなかった」

当然の帰結――この世界での光の勇者は既に死んでいる。
長い旅路を経て代わりに得た物=光の勇者がいなくとも魔王に勝てるのではないかと思えるだけの強さと自信――致命的な慢心。
同時に、実は自分こそが光の勇者だったのではないかと言う淡い希望も――それが死地への後押しとなった。
そして最後まで気付けなかった勘違い=小さき巨影とは、先代魔王ではなかった――三つの欠片が組み合わさって、最悪の結末が描かれた。

「どうして、今なんだ?あれだけ探しても見つからなかったのに、何で今更――どこからお前は出てきやがったんだ?」

93 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/29(金) 03:34:24.02 ID:MWp+YV3s
>92
>「……勇者ってのは、なるモンじゃない。生まれながらの――配役だ」
「生まれながらの……配役?」
普通に解釈すれば勇者なんてなれるわけねーだろと取るのが常識だ。
でもなぜか、お前は生まれながらに勇者だと言われている感じがした。
どうしてだろう、四大精霊よりは少ないとはいえ光精霊の契約者はたくさんいるはずなのに。

>「いいだろう、教えてやろうじゃねえか。そして教えてもらうぜ――本物の勇者様の、強さって奴を」
「ふふっ、もちろん。括目して見とけよ、僕の最高にかっこいいところをなあ!」
笑い返しながら手を差し出す。それにしても魔王様と傅かれたかと思えば今度は勇者様とは。一体僕は何なんだ。

>「だが――その前に一つ聞かせろ。俺は……“俺達”は昔、世界中を旅して回った。何故だか分かるか――?」
差し出しかけた手を引っ込める。
うわ、また威圧感出してる。そりゃ魔王のところに行くまでに世界中を旅するのはお約束でしょ。
威圧感出しながら聞くようなことか!?

>「『光の勇者』を探していたからだ」
「えっ、あなたが光の勇者じゃなかったの?」
もしやこの世界には光精霊の契約者は光の勇者以外存在しないのだろうか。

>「どうして、今なんだ?あれだけ探しても見つからなかったのに、何で今更――どこからお前は出てきやがったんだ?」
これはもう正直に話すしかない。意を決して告げる。
「信じてもらえないかもしれないけど……僕達はね、ここではない世界から来たんだ」

「魔王がいない世界。
何言ってもよくて、何描いても良くて、何を信仰してもよくて、各地に色んな神格精霊が台頭してる。
たまに暴れる子はいるけど悪魔ですらも人間と共存しててさ。
思わず世界を救うと称して神格精霊巡りの旅に出かけてしまう程平和な世界だった。
だから分かるよ、こんな世界は間違ってる。
皆同じように洗脳されて染め上げられて……言いたい事も言えないなんて」
洗脳と恐怖。飴と鞭による二重の呪縛。
きっと魔王が蘇生術を封じているのは、死の恐怖を利用するのが支配の最強の切り札だからだ。
「あなたもそう思うでしょ? こんな世界は間違ってるって。一緒に正しい世界を取り戻そう!」
にっこり笑って今度はこっちから手を差し出す。嘘は何一つ言っていない。それどころか真っ正直だ。
僕達の目的は、文字通り正しい歴史を取り戻すこと。未来だけじゃなくて、この人が失った過去までも含めて、全て。

94 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/29(金) 03:46:44.03 ID:WnezDbeu
>「まぁ、あそこの炎の詐欺師ジェンタイルが言っていたように、私達は世代が違う。
 かつての勇者であったあなたには、冗談のようにしか聞こえないだろう。
 ジェンタイルの隣で捕らえられてるのが、光の精霊を宿す現在の光の勇者のローゼンだ」
何ィ!メタルクウラてめー裏切りやがったな!?
いっつも尊大で堂々とした居住まいのこいつには珍しく、本気のリスペクトを感じる。
>「私達には敵意は無い。どうか、その武器を納めてはくれないか?」
なんだよ、こんなのちょっとばかし動きが早いだけのおっさんじゃねえか。言ってて意味悪い表現だな。
完全にナメきっていた俺の淡い自分への期待。もしかしたらこのまま参謀系のキャラとして立ち位置を確保できるんじゃないかって。
剣山の上のシャボン玉のように、それは刹那で破砕した。
>「お前の言うその武器ってのは……一体どの武器の事だ?」
元勇者が視線を遣る、俺達の頭上。
「は…………!?」
どこの武器庫かたパクってきたかってぐらいの――いや、その一振り、一竿からして一級名器の数々。
数えきれないほどの魔を斬り悪を穿ってきた、その業の重みが剣呑な鋭さを形作っている。
それらが、まるでマリオネットでも繰るかのように、しかし吊るのではなく持ち上げられて――宙に在った。
>「ちなみに、俺のオススメは魔術師の頭上にある雷神の鉄槌だ。
 今ならオマケで巨人の戦斧も付いてくる――で、本当に武器を下ろしていいのか?」
「じょ、上等だぜ元勇者……!こっちには光の勇者ローゼン閣下が」
>「えへへ、敵の行動パターンをシュミレーションするために魔王ごっこしてたんだ!つきあってくれてありがとう!
 でも驚いたなあ、あなたは本当に勇者様なんだね。だってすごく強いんだもん!
 僕さ、勇者になりたいんだよ! だから色々教えて欲しいなー」
「閣下ぁ!?」
ローゼン閣下、陥落。
三日どころじゃない天下でした。

>「いいだろう、教えてやろうじゃねえか。そして教えてもらうぜ――本物の勇者様の、強さって奴を」
>「どうして、今なんだ?あれだけ探しても見つからなかったのに、何で今更――どこからお前は出てきやがったんだ?」
結局、俺の予想は半分だけ外れて、もう半分は見事的中していた。この元勇者、ちっともビビってねえ。
目の前の状況を機械的に見分して、切り捨てる作業の、ほんの少しの特異点。イレギュラーである、ただそれだけ。
殺ろうと思えばいつでも殺れて、しからば殺ろうと思うこと自体が"いつでも"だったのだ。オルウェイズまな板の鯉、俺。
そんでもう半分。ローゼン閣下の素性というこの一点に限り、俺達は完全にアドバンテージを取っている。
迂闊に真実を教えるのは危険だ。事情を話し切って、『用済み』になった俺達の辿るであろう運命は、考えるべくもない。
「……けーーっ!お、俺は認めねえからなっ!つまりアンタは『光』でもないただの勇者、いや元勇者!
 とどのつまり歴史から退場してんだ!幕の外から野次ってるだけに過ぎねえ!主役はとっくに交代してんだよッ!
 いくら強かろうと、俺はリスペクトなんかしねーからな!あ、いや敬語は使うんでその糸やめてください」
ふー。老害世代はすーぐ暴力で訴えやがるんだもん。くわばらくわばら。

俺はベロウに手のひらで待ったをかけた。
「ちょ、タイム!お前ら集合!」
ローゼンとメタルクウラを集め、元勇者から若干退避。声が漏れないように簡単な防音結界を張る。
三人で円陣を組んで、ベロウに与えるべき情報を吟味する。
「あの元勇者にどこまで話す……?ありのまま伝えるのはオススメしねーぞ。あいつのあの眼、見たか?
 ありゃ目的以外、その他は道端のゴミと同じぐらいにしか見てねえ眼だ。話すべきを話し切ったとき、
 用済みになった俺達が無事でいる保証はねえぞ……?」
こういうとき大事なのは出し惜しみだ。"まだ情報持ってますよ"というカードを残しておいて、然るべき時に切る。
切り札がなくなった時が負けだ。逆説、切ってないカードが一枚でも残ってればそれで賭けに挑める。
カードが手元になくても、あるように見せかけることならできる。俗にいうハッタリ。俺の専売特許だ。
ここで慎重にならなきゃいけないのは、『必要な情報を与え』、かつ『まだ利用価値がある』と相手に思わせること!
「そうでなくたって歴史軸が変わったなんて話、荒唐無稽にもほどがあるんだ……そのまんま信じてくれるとは考えにくいぜ」

95 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/29(金) 03:48:19.91 ID:WnezDbeu
【ぬわー!10分差で被ちゃった!>>94はスルーでお願いします!】

96 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/04/29(金) 04:20:53.18 ID:WnezDbeu
>>94に追加という形で】

>>93
>「信じてもらえないかもしれないけど……僕達はね、ここではない世界から来たんだ」
「ばっ……!」
ローゼンはありのままにすべてを話すことにしたらしかった。
この世界の価値観とか、倫理観がどの程度俺達の歴史軸と変わってるのかわかんねーけど。
別の歴史から来たって言葉が簡単に受け入れられるだろうか。檻付きの病院に入れられてもおかしくはない。
こんなご時世だし。言論統制だし。

>「あなたもそう思うでしょ? こんな世界は間違ってるって。一緒に正しい世界を取り戻そう!」
……でも。光精霊と契約したローゼンは、それだけでそういう歴史軸が存在したことの証明にはなる。
光の勇者は魔王討伐の旗持ちで、それ故にこの歴史軸には『絶対にあってはならないもの』だから。
こいつの変に真っ直ぐなところにはいつもいつも振り回されてばかりだが、悪い方向に転がったことはなかった。
必要な時に必要な状況を引き当てる天運……!ベロウと名乗ったこの元勇者も、そうやって引き寄せられてきた。
「……と、まあこういうことだよ。俺達は神格の地精霊――『この歴史には存在しない』そいつにねじ曲げられた歴史の住人。
 元の歴史に戻る前に、もののついでに世界の一つでも救っちまおうかっていうヌルいサークル活動だ」
ローゼンの言葉を引き取って、俺は続けた。俺達とベロウとの間に必要なのは相互扶助。
救うべくを救い、救われるべきを救われる人類有史の正しい在り方。
手を握り合って初めて、俺達は原始人から一歩リードするのだ。

……ん?ちょっと待って、こいつ元勇者?マジでいくつよ!

97 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/04/29(金) 05:18:44.13 ID:Wox7hJs6
>「……と、まあこういうことだよ。俺達は神格の地精霊――『この歴史には存在しない』そいつにねじ曲げられた歴史の住人。
>元の歴史に戻る前に、もののついでに世界の一つでも救っちまおうかっていうヌルいサークル活動だ」
「信じられないのならば、後で私がこれまでの旅の映像を見せよう」
ローゼンが私達の正体を、正直に元勇者に教えた。
私はそれを信じさせるために、後で私達の前の世界の旅の映像を見せることを約束した。

「さて、これからの旅だがどうするのだ?
魔王の本拠地にまで乗り込んで、魔王の尻に百叩きでもしてやるか?
まぁ、返り討ちにされるのは間違いがないがな」
私達は元勇者を連れ込んで、メルフィ達の待つ宿に戻る。
その宿の一室で、元勇者に私達の旅、私達の村での事件からこの世界に来るまでの映像を、ダイジェストで見せた。
そして、今後のことの話し合いだ。

「元勇者のあなたは別として、私達では決定的に実力が足りない。
私達では魔王はおろか、手下の悪魔すら倒す力も無い。
元勇者よ、ローゼンやジェンタイルに修業をつけてやってくれ」
何をするにしても、今の私達では実力不足。
元勇者におんぶやだっこの状態で、魔王を倒すことなどは不可能だ。
だからこそ、元勇者にローゼンとジェンタイルの修業を頼んだ。
しかし、ローゼンやジェンタイルが元勇者並に強くなってしまったら、私は足手まといになってしまうな。
この姿では緊急のパワーアップとして、原作仕様に戻ることもできない。
機械生命体の私では修業も効果が薄いし、我が母星の機械惑星も無い。
どうしようか?

98 :創る名無しに見る名無し:2011/04/29(金) 20:41:21.50 ID:E5COPYG+
「多分、呪いなの」
ローションが世紀末少女の身体で語るぞ。
「光の勇者にして魔王。役割を一人に集中させて他全員をいらない子にする
『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』の呪い。
いらない子の地味精霊がいかにもやりそうな事なの」

99 :創る名無しに見る名無し:2011/04/30(土) 00:59:33.68 ID:knpk4WxY
地精霊の消失により、歴史がねじ曲がった。
魔王が復活し、人心は荒れ、精霊の力が宿る自然も力を失った。
多くの神格精霊が消え、宗教は魔王崇拝だけになったかに見えた。
だが、仏教徒は失われていなかった!
覚えているだろうか。
前の世界で宇宙から寺フォーミングにやってきた存在がいることを。
そして、その事実は宇宙でも仏教が信仰されているということ!
魔王が一つの星を支配して力を得ようとも、遠い世界では仏を信仰する心が絶えることは無い。

仏の恩恵により、前の世界の記憶を失うことの無かった仏教徒は、この世界を憐れみ、立ち上がる。
この世界を救うために立ち上がる!
そう、今こそ世界を寺フォーミングするために!



【仏教徒による反乱が始まりました。
 スレ内の時間軸において、現在より1ヶ月後には仏教徒の都市も誕生し、魔王討伐の拠点になります】

100 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/04/30(土) 16:32:51.13 ID:fvz0YFI9
>94-96
>「あの元勇者にどこまで話す……?ありのまま伝えるのはオススメしねーぞ。あいつのあの眼、見たか?
 ありゃ目的以外、その他は道端のゴミと同じぐらいにしか見てねえ眼だ。話すべきを話し切ったとき、
 用済みになった俺達が無事でいる保証はねえぞ……?」
「あの眼はね、クビになって公園のベンチで弁当食べてる疲れたおっさんと一緒だよ!
自分を必要としてくれる人を待ってるんだよ」

>97
宿の一室は、顔の変な猫達に占拠されていた。

【審議中】
       ∧,,∧  ∧,,∧         ∧,,∧  ∧,,∧
    ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧  ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
   ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   | U (  ´・) (・`  ) と ノ | U (  ´・) (・`  ) と ノ
    u-u (l     ∧,,∧  ∧,,∧ u-u (l    ) (∧,,∧  ∧,,∧
        `u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧`u-∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
         ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
         | U (  ´・) (・`  ) と ノ| U (  ´・) (・`  ) と ノ
          u-u (l    ) (   ノu-u  u-u (l    ) (   ノu-u
              `u-u'. `u-u'         `u-u'. `u-u'

担当者「おいライター! どこぞで男になったとかふ○なり化したとかいう噂が流れてるけどどーするよ!」
ライター「しーましぇーん!」
音響「ワロスwww面白いからいっそそれで良くね?」
担当者「バッカモーン! 今回はBL好きの女が男装していることをとことんネタにするというコンセプトのキャラだろ!
ただのガチホモ男になったらその時は出オチで面白いかもしれないけど長期的に見るとギャグの定番ネタが一個減るだけだ!」
ライター「そもそも担当者がウ○コネタと同じノリで意味もなくあんなのをやれって言うからいけないんですよ!
どうすんですかクウ君はポカーン( ゚д゚)だしジェン君なんか深遠な伏線だと思っちゃいましたよ!?」
照明「ですよねー、大体いくら下ネタエロネタ満載のスレだからってやっていい事と悪い事が……」
担当者「うーん、そう言われてみればさすがに引かれるよな……。となると今更解説するわけにもいかないし……」
ライター「本当に忘れていい程度の事だからこのまま流しましょう!」
担当者「そうだ、それがいい! みんな忘れてね☆」

「黙らっしゃーい!! お前ら本編にまで出てくんな!!」
顔の変な猫たちを追い払う。

>「元勇者のあなたは別として、私達では決定的に実力が足りない。
私達では魔王はおろか、手下の悪魔すら倒す力も無い。
元勇者よ、ローゼンやジェンタイルに修業をつけてやってくれ」
「修行……」
少年漫画にありがちな修行を思い浮かべる。……無理無理絶対無理! 修行なんてキャラじゃないし!
運動部にすら入った事がないのに! 小学校時代から所属クラブは文化系どころかサブカルチャー系一筋。
気合とか根性とかの暑苦しい体育会系のノリははっきり言って苦手だ! 今時のジャンプ三大原則は才能・友情・勝利だ!
「ここってヘタレたオタク達が舌先三寸とノリとギャグで強敵を撃破していく痛快冒険活劇じゃん? 修行展開って作風じゃなくない?」

が、メタ視点で逃げようとしたばっかりにいらない電波を受信してしまった。
「……そうか! これこそまさに師匠!」
『意味分かんないよ!』

「よろしくお願いします師匠! あっでも明日、いや、明後日かできれば明々後日ぐらいからで……」
『ダイエットは明日からかよ!! 一生やる気ねーだろ!』

101 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/01(日) 02:49:40.63 ID:xnG3/UDu
『えっ、あなたが光の勇者じゃなかったの?』【>>94

「だったら良かったんだがな。お前の傍にいるソレも曖昧にしか感じられない程度には、光の勇者じゃなかったらしい」

精霊の不可視/認識不可=眩光よりも明白で、直視したくない無才の証左。

『……けーーっ!お、俺は認めねえからなっ!つまりアンタは『光』でもないただの勇者、いや元勇者!
 とどのつまり歴史から退場してんだ!幕の外から野次ってるだけに過ぎねえ!主役はとっくに交代してんだよッ!』

『あの眼はね、クビになって公園のベンチで弁当食べてる疲れたおっさんと一緒だよ!
 自分を必要としてくれる人を待ってるんだよ』【>>100

何も言い返せない――魔術師ジェンタイルの言葉=純粋な事実であるが故に。
言い返すつもりもなかった。地の底に眠る宝石が決して輝かないように。
求められないのならば、何をしようと無意味――死者も同然。

『ちょ、タイム!お前ら集合!』

やはり無言――三百年をドブに捨てた男が時間に関して言える事などない。
密談の内容は察しがつく。大方、自分が信用出来るか/何をどこまで明かすか。

『信じてもらえないかもしれないけど……僕達はね、ここではない世界から来たんだ』【>>93

不意打ちに等しいローゼンの告白。
驚愕/不信――だが確証は既にベロウの心中で横たわっている。
世界中を探し回っても見つからなかった光の勇者。石碑を見た者は今や自分一人――納得せざるを得ない。

更に積み重なる驚くべき情報=ローゼン達の故郷/理想的で平和な世界。
漆黒の感情が心の水面に乱暴な渦を生む――楽園への嫉妬/それを掴めなかった自己嫌悪。

『あなたもそう思うでしょ? こんな世界は間違ってるって。一緒に正しい世界を取り戻そう!』

差し出された右手を取る/力を込める前に訪れる逡巡/葛藤。
新たな仲間=過去との決別――かつての仲間を切り捨てるような錯覚を覚える。
纏った霊峰龍のマント/背負った黎明の双刃/懐に秘めた魔抱の杖――仲間の遺品。
三人共、まだこんなにも近くにいると言うのに。新たな仲間を得る事が許されるのか。
分からない――死人達の声が地の底から聞こえて来る事はない。

「……よせよ、俺なんざを仲間にしちまったら光の勇者様の箔が落ちるぜ。
 俺はお前らの知らない事を教える。お前らは俺に出来ない事をする。――それだけで十分だろう」

素っ気なく手を離す/半ば無意識にマントを――過去を強く握り締める。

「握手が持つ元々の意味は、ただ敵意がない事を証明するだけだ。友好なんかじゃない」

身を包む遺品達に言い訳するような口調。

「……大丈夫だ。約束なら、忘れてない。大分待たせちまったが……やっと守れそうだ」

この世に向けたものではない――故に吐息のように微かな呟き。
或いは、自分自身を戒める言葉――皆が死の淵に沈んでしまったのに、自分だけが幸福の泉に浸る事など、許される訳がないと。
自分はあくまでも、仲間達との約束を果たすだけなのだ。
幸福/不幸=願望/義務感――二律背反に引き裂かれそうな自分に言い聞かせる。

102 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/01(日) 02:52:14.69 ID:xnG3/UDu
『……と、まあこういうことだよ。俺達は神格の地精霊――『この歴史には存在しない』そいつにねじ曲げられた歴史の住人。
 元の歴史に戻る前に、もののついでに世界の一つでも救っちまおうかっていうヌルいサークル活動だ』【>>96

ローゼン達が宿泊する宿へと場所を移す道すがら、ジェンタイルがローゼンの言葉を継ぐ。
宿に到着し、メタルクウラがこれまでの旅のダイジェストを表示。
ベロウ=無言/思考――明らかになった情報の連結。
小さき巨影=現魔王には勝てなかった/光の勇者=異世界からの来訪者――巨影を討ち得る存在。
思い出す。小さき巨影との戦い――そして敗北を。
天空を支配する無数の矛先/豪腕による大地を割る剛剣/無限の魔法が描く極彩色の流星群/祈りが誘う月光の槍
――全てが通用しなかった。まるで星のない夜空に向かって剣を振るい続けるような、途方も無い虚無感。

「……一ついいか。俺達が、あの可愛げのねえクソガキに負けた時の話だ」

唐突な発言=正当な情報交換/敗北者のみが知る事実。

「アイツは……俺達が何をしても、通用しなかった。耐え切られた訳じゃねえ。避け切られた訳でもねえ。
 本当に、当たりやしなかったんだ。まるで漆黒の夜空か、奈落の穴の底に向かって攻撃してる気分だった」

続く言葉=一つの可能性の提示。

「あの時は訳が分からなかったが……お前らの話を聞いて、一つ予想みてえなモンが出来た」

眠ったまま喋る便利な少女=蓋のない巨大な器――無限の汎用性を宿す依代。
横目で認めつつ、続ける。

「……お前らは、『水面』が何処にあるか分かるか?『影』の所在が理解出来るか?
 無理だろうな。水や地面に触れてしまっても、触れていなくても、それは水面や影と言える訳がない」

例え話――小さき巨影の本質、その推察。

「恐らく……アイツはまさにそこ――世界の狭間に潜んでやがるんだ。
 そうして見えない壁の向こうから、俺達を嘲笑いながら……!」

マントの内側で握り締められた右拳――隠し切れない灼熱の憤怒。

「だが、お前らがいれば話は別だ。こちらの世界にいねえ時、奴は絶対にそちらの世界にいやがる訳だからな。
 お前らなら、奴を殺せる。もしもこっちに逃げてくるようなら――その時は今度こそ俺が八つ裂きにしてやらあ」

心は炎熱/頭脳は冷静沈着――百戦錬磨の戦闘者だからこその確立された思考回路。
ローゼンが光の勇者である事は明かされた。だが一つ、未だ明かされない謎がある。
魔王とローゼンの容姿の一致が意味する因果関係――依代の娘が口走った一言。
魔王の殺害を宣言して、どのような反応を示すのか。真銀の閃きを宿すベロウの双眸。

103 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/01(日) 02:54:21.18 ID:xnG3/UDu
『さて、これからの旅だがどうするのだ?
 魔王の本拠地にまで乗り込んで、魔王の尻に百叩きでもしてやるか?
 まぁ、返り討ちにされるのは間違いがないがな』【>>97

意図してかせずか、逸らされる話題――眼光が釘と化して、ローゼンを貫く。
決して逃しはしない。

『元勇者のあなたは別として、私達では決定的に実力が足りない。
 私達では魔王はおろか、手下の悪魔すら倒す力も無い。
 元勇者よ、ローゼンやジェンタイルに修業をつけてやってくれ』

『ここってヘタレたオタク達が舌先三寸とノリとギャグで強敵を撃破していく痛快冒険活劇じゃん? 修行展開って作風じゃなくない?』【>>100
『よろしくお願いします師匠! あっでも明日、いや、明後日かできれば明々後日ぐらいからで……』

視線を逸らさぬまま答える。

「……強くなる方法は、何も修行だけじゃねえよ。俺は道具がなきゃただのボンクラだ。あってもクズみてえなモンだがな。
 それに、先代魔王を倒した時点じゃ修行なんてしちゃいなかった。ただ、世界中を旅して……旅してただけだ」

誰かを助けていたとは言えない。
魔王に敗れ、大地は死に、守ったつもりの希望の種が芽吹く事はなかった。
最後の最後で全てを台無しにしてしまったのも、ベロウ自身なのだから。

「結果として、その旅が修行になってただけでな。根っこにあったのは『目的』だ。
 光の勇者を見つけ、世界を救う――『目的』があったからこそ、俺達は強くなった。
 じゃあお前らの目的は?『この世界を救う』か?『元の世界に帰る』か?」

ボロい机に広げられた地図/突き立てられる短刀。

「――その両方だったな。だったらまずはここへ向かうぞ。
 魔導科学都市――四天王の一匹が治め、最先端の技術があり、
 太古の魔具が集められ……昔、炎の大精霊が崇められていた土地だ」

魔導科学都市=元は科学の最先端――今では魔術と科学の融合を目指す都市。
統治者=が四天王一の変わり者――人間の持つ多様性に興味深々/敷かれるのは差別ではなく区別。
炎=化学反応/犠牲の象徴/人と獣の境界線――科学都市が精霊を崇めていた矛盾の解答。

「ここなら敵もいる、道具もある、そこの機械生命体にも何か出来るだろう。
 そして何より大精霊がいる――かもしれない。
 神格は失っているだろうが、かつての力の名残くらいはあるだろうよ」

煌く真銀の刃が照らす都市の名は――

「――『バベル』だ。元々は戒めだったんだろうが、今じゃ下らねえ皮肉の仲間入りだ」

失われた神話に記された天空を目指す塔=未知への到達/真理を仰ぐ/科学の信念。
同時に『不可能』の象徴=魔術と科学の融合を目指す都市が掲げる冠。

「ちょっとばかし小賢しい魔物如きが、いい気になりやがって。
 せいぜい、塔の頂上で胡座掻いてやがれ。最底辺からその塔を蹴り崩して、地べたに招待してやるよ」

104 :肥溜めに潜む名も無き雑談魔:2011/05/01(日) 23:35:01.61 ID:d4D+mBeO
顔の変な猫達が去った後、宿の前庭にティーセットを広げてくつろぐ人影があった。

「話の進行には全く関係ないが、一つ雑談でも垂れるとしようか。
お題は勿論……ローゼンが勢いでやって意外な波紋を呼んだあのギャグ(?)だ。

通常、健康で成熟した女性が軽度の下腹部痛を訴える描写は単にその個体が
現時点で妊娠していない事を示すだけだが……ローゼンの場合、実はスレの初期においても
服装やステータス画面の名を借りたキャラ本人の主張とは裏腹な生物学的性別を主張するために
似たような事象を持ち出している。
本人も言うように本当に単なる下ネタ程度の認識なんだろうよ。

と、今回それが突然復活した背景には……おそらくリヨナを失った事があるだろうな。
肥溜めで持ち上がった性別疑惑にサービスで答えようにも
温泉シーンで脱がせ役として活躍した彼女の手を借りる事はもはや出来ない。
そこで……と言う訳だ。だが」

紅茶の香りを堪能し、目を細めて影は再び言葉を紡ぐ。

「それとて、ジェンタイルが望む深遠な伏線として機能できない訳ではないんだよ。
例えば、現在のローゼンは“光の勇者”と“魔王”というおよそ相容れない存在を秘めている。
その両者がローゼンの体内で生存を賭けて争っていたとしたら?
流れ出るのは不要となった体組織と見えて実は劣勢になった方の存在の欠片だとしたら?
最初は拮抗していても、何かの拍子――例えば……まあ何でもいいがローゼンの自覚とかだな――に
一度どちらかに傾いてしまえば劣勢となった方の存在は月を重ねる程にローゼンの中から消える一方だ……とかな。
或いは、ローゼンの中の相容れない両者を融合させる第三者を迎える必要が……おっと、この路線は
あまり突き詰めると全年齢板から外れてしまうな。はっはっは」

明らかな誤摩化し笑いと共に影は直接的な話題の転換を図る。

「ああ、未就学児のメタルクウラは……学校で教えてくれる日まで待つんだな。
因みに実際には個人差がものすごく激しい分野だから
学校で教わったり誰かに聞いたからといってそれを他人にも適用しようとすると末代まで祟られるからな。
相手の言う事が明らかな嘘に思えようが指摘などせず大人しく拝聴するのが生き延びるコツだぞ」

105 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/02(月) 04:29:04.74 ID:SA0NSZgG
>「さて、これからの旅だがどうするのだ? 魔王の本拠地にまで乗り込んで、魔王の尻に百叩きでもしてやるか?
 まぁ、返り討ちにされるのは間違いがないがな」
メタルクウラの上映する旅の記録を見ながら、宿の一室で俺達はこれからの方針を話し合った。
元勇者・ベロウをパーティに迎え、本格的にこの魔王政の歴史軸から抜け出す方法を模索する。
>「元勇者のあなたは別として、私達では決定的に実力が足りない。
 私達では魔王はおろか、手下の悪魔すら倒す力も無い。元勇者よ、ローゼンやジェンタイルに修業をつけてやってくれ」
「な、何言ってんだお前!」
週刊少年ジャンプでも最近はやってねえぞ!そりゃお前の地元じゃ名物なんだろうけどさあ!
俺がこの世で最も嫌いな言葉はッ!『努力』と『ガンバる』なんだよォォ〜〜ッ!!
修行なんてしちゃった暁にはお前、バトル前提の流れになっちゃうだろうが!強くなる前に死ぬわ!
>「よろしくお願いします師匠! あっでも明日、いや、明後日かできれば明々後日ぐらいからで……」
「お前もかローゼン!?」
なんてこった……この浮浪者一歩手前なおっさんを師を仰がなきゃならねーってのか……!?
>「……一ついいか。俺達が、あの可愛げのねえクソガキに負けた時の話だ」
苦虫を咀嚼したような顔をしていたベロウが、脂気のない声を鳴らした。

>「……お前らは、『水面』が何処にあるか分かるか?『影』の所在が理解出来るか?
 無理だろうな。水や地面に触れてしまっても、触れていなくても、それは水面や影と言える訳がない」
>「だが、お前らがいれば話は別だ。こちらの世界にいねえ時、奴は絶対にそちらの世界にいやがる訳だからな。
 お前らなら、奴を殺せる。もしもこっちに逃げてくるようなら――その時は今度こそ俺が八つ裂きにしてやらあ」
「そうか……別次元の敵なら別次元の存在が殴りに行けば良い。俺達の"精霊"なら、それができるんだよな」
なんとなくわかってきた。この元勇者が魔王に負けたのは、精霊の力を借りられなかったから。
地精霊が歴史をねじ曲げたせいで、はるか昔の勇者パーティにのちの四大精霊が接触できなかったのだ。
物理的な攻撃の効く領域に追いだしてやれば、ベロウは無類の強さを誇る。メタルクウラだって、かなりの火力になるはずだ。
つまりこの先魔王討伐に向けて動くなら、精霊魔術の使える俺やローゼンが作戦のキモになるってわけだ。
メタルクウラの戦力分析は的を射てる。強くならなきゃいけないのは、俺達。

106 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/02(月) 04:29:12.45 ID:SA0NSZgG
>「……強くなる方法は、何も修行だけじゃねえよ。俺は道具がなきゃただのボンクラだ。あってもクズみてえなモンだがな」
> 光の勇者を見つけ、世界を救う――『目的』があったからこそ、俺達は強くなった。
 じゃあお前らの目的は?『この世界を救う』か?『元の世界に帰る』か?」
どうにも俺はこの勇者との問答を好きになれなかった。分かりきったことを、再確認していく作業。
――正しすぎて、アウトローの俺の眼にはまぶしすぎた。
>「――その両方だったな。だったらまずはここへ向かうぞ。魔導科学都市――四天王の一匹が治め、最先端の技術があり、
 太古の魔具が集められ……昔、炎の大精霊が崇められていた土地だ」
「炎の、大精霊……!」
広げられた地図は、俺達の知る世界より大きく形を変えていた。
『バベル』。聞いたことのない名前で、見たこともない姿の街は、炎精霊を神格に崇めているという。
「そういや炎の神格精霊って見たことないな」
<<吾らは古来より土地に加護を与えるというよりかは、"人"に寄り添い技術を促してきたからな>>
炎精霊の性質として、契約精霊としての側面が強いというわけだ。
逆に言えば炎精霊が都市まるごとに加護を与えるような神格精霊になってるこの歴史軸は、やっぱりどこかおかしい。
地精霊が消えたことがこんなところにも影響を与えているらしかった。
「でもまあ、炎精霊の総本山だっていうなら、うちの炎精霊に道案内でもさせりゃこの上ねえな」
<<悪いがそういうわけにもいくまい。吾はあくまで別歴史軸の炎精霊、この世界の炎精霊とは因果的に独立している>>
「あー……」
合点がいった。俺の携帯が因果から切り離されてるがゆえに特定をまぬがれたのと同じ理屈で、契約精霊の端末としての
因果も途切れているのだ。つまり俺の炎精霊は完全なスタンドアロンで、この世界で唯一無二の存在というわけだった。
ん?じゃあ炎精霊が急に真面目になったのって、意識プールからの接続が途切れたからってことか?
ま、ま、それはそれとして、とりあえずやっとかなきゃいけないイベントは消化しとかないとな。

「けっ!修行なんか誰がするかよこの怪人糸男がッ!俺は別に強くなんかならなくたって生きていけますぅー!」
修行しなくていいよ!的な話の流れだったけど俺はあえてフラグを立てておいた。
これで来たるべく強敵の出現にもすんなりと強くなる方向へ話が動くはずだ!もちろんご都合主義な覚醒とかでな!
「緊急事態なの。消息を絶った同僚を確認しに法務局の連中がルーラしてきたの。結構な数なの」
そのとき、ローション精霊 in The メルフィちゃんがやおら起き上がり警告してきた。見張りを頼んでおいたのだ。
「なんだって!あの二人クラスの悪魔が大挙して攻めてきたってことかよ!」
フラグ回収にはまだ早いぞ!

107 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/02(月) 12:07:31.79 ID:eF9TKtu+
元勇者がローゼンとジェンタイルに修業をしてくれるということは無く、旅をすることで強くなれと言われた。
私達も旅をしてきたが、それで強くなれたかどうかは疑問だ。

>「――その両方だったな。だったらまずはここへ向かうぞ。
>魔導科学都市――四天王の一匹が治め、最先端の技術があり、
>太古の魔具が集められ……昔、炎の大精霊が崇められていた土地だ」
行き先が決まった。
バベルという名の都市。
前の世界には無かった都市だ。
地図で場所を確認してみたが、この都市の場所にはどこか思い当たる場所がある。
頭の中にある前の世界の地図と照らし合わせて見たが、なんと私達の村だ。

>「緊急事態なの。消息を絶った同僚を確認しに法務局の連中がルーラしてきたの。結構な数なの」
>「なんだって!あの二人クラスの悪魔が大挙して攻めてきたってことかよ!」
あの程度の悪魔ならば何人で来ようが元勇者の敵ではない。
しかし、元勇者の隙を突かれて私達が襲われたら、到底太刀打ちができない。
原作性能のメタルクウラに救援を頼むか?
いや、それよりも楽な方法が私達にはある。

「さぁ、では私達は逃げるとするか。
お前達は私の肩に掴まれ、瞬間移動をする」
全員が私の肩に掴まったことを確認して、私はある戦闘力を目印にして、瞬間移動を開始する。
私と同じ世界からやって来たフリーザ一味の戦闘力だ。
奴らも私達メタルクウラと同じ異世界の者。
ならば、地精霊による因果律の改変を受けてないはずだ。
奴らもいきなりの世界の改変に困惑しているだろう。
説明次第では力を貸してくれる可能性もある。
貸してくれないとしても、魔王側に私達を売ることだけはしないだろう。
奴らは前の世界ではトアルの町を拠点としていた。
幸いにもこの世界にもトアルの町はあった。
奴らが拠点を移してはいないだろう。

私が瞬間移動をして現れた先には、フリーザ一味が公園でダンボールハウスをせっせと作っていた。
本人達には地精霊の影響は無くても、奴らの経営する旅館等にはあったようだ。
公僕の悪魔達が、フリーザ一味のダンボールハウスを撤去しようと現れたのを確認し、私は仲間達の手を引き連れて、さっさとこの場から立ち去った。
フリーザ達も生活が苦しいのだ。巻き込むことはかわいそうだと、自分を納得させながら。

108 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/03(火) 01:18:44.78 ID:ent8mFws
>101
>「……よせよ、俺なんざを仲間にしちまったら光の勇者様の箔が落ちるぜ。
 俺はお前らの知らない事を教える。お前らは俺に出来ない事をする。――それだけで十分だろう」
「素直じゃない奴! 何もジェン君クウ君程仲良くなれって言ってるわけじゃないんだから〜!」

>「握手が持つ元々の意味は、ただ敵意がない事を証明するだけだ。友好なんかじゃない」
>「……大丈夫だ。約束なら、忘れてない。大分待たせちまったが……やっと守れそうだ」
語りかけている相手はかつての仲間だろうか。なんとなく魔王討伐当時のこの人を想像する。
なぜか、真っ直ぐで仲間思いでどっちかというとヘタレなぐらいの勇者様が思い浮かんだ。
「……。もう一人で戦わなくていいんだよ。僕達がついてる」

>98
>「光の勇者にして魔王。役割を一人に集中させて他全員をいらない子にする
『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』の呪い。
いらない子の地味精霊がいかにもやりそうな事なの」
「えーっ!? 魔王じゃないよ! ゴスロリなんて着ないよ!」

『先代魔王です』
つ【先代魔王の肖像画】
白い肌に光輝く金色の髪。魔を統べる王でありながら光輝くような神々しい威光。
完璧に整った、それでいて少年のようにも見える神秘的な美しさ。
「ヤバイ、超かっけー! ……じゃなーい!!」
これは何かの陰謀だ! ドッキリカメラだ! 僕をナルシスト認定するべくハメたな!

>102
>「だが、お前らがいれば話は別だ。こちらの世界にいねえ時、奴は絶対にそちらの世界にいやがる訳だからな。
 お前らなら、奴を殺せる。もしもこっちに逃げてくるようなら――その時は今度こそ俺が八つ裂きにしてやらあ」
八つ裂き、その言葉に一瞬戦慄が走る。
ううん、あれはリリアンじゃない。リリアンの姿を騙った何かだ。
あれ、ベロウさん、なんでこっち睨んでんの!? 怖いからやめて!
「その必要はないな。逃がさないからこっちで決着が着いちゃうね!」

109 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/03(火) 01:19:50.97 ID:ent8mFws
>103
>「……強くなる方法は、何も修行だけじゃねえよ。俺は道具がなきゃただのボンクラだ。あってもクズみてえなモンだがな。
 それに、先代魔王を倒した時点じゃ修行なんてしちゃいなかった。ただ、世界中を旅して……旅してただけだ」
修行展開は没になった。
「なるほど……でも師匠と呼ばせてもらいます! いいよね!?」
特に深い意味は無いよ! 師匠と弟子ってちょっとやってみたかったんだよね!

>「――『バベル』だ。元々は戒めだったんだろうが、今じゃ下らねえ皮肉の仲間入りだ」
「うわっ、初めてまともな街の名前が出てきた!」
今までダジャレかそのまんまなネーミングばっかだったもん!
それにしても聞いたことが無い名前の街だ。どこにあるんだろう。
ナビゲーションに町名を入れて検索するが、出てこない。そこで地図の座標を入れてみた。
「うそ……! やはりあのスタート地点には重要な意味が……!」

>104
窓をピシャッと開ける。
「な、ななな何の事だかさっぱり分からないぞ! キャベツ畑制の世界でまことしやかに都市伝説を語るんじゃない!
それ何てエロゲだよ! 一歩間違えるとすぐガチホモ祭りになるエロゲとか斬新すぎるわ! それはそうと元気そうで何よりです!」
それだけ言って何事もなかったかのようにピシャッと窓を閉める。

>106-107
>「けっ!修行なんか誰がするかよこの怪人糸男がッ!俺は別に強くなんかならなくたって生きていけますぅー!」
ジェン君はフラグを立てようとしているみたいだ。協力してあげよう。
「ダメだよ少しは強くならなきゃ! もしジェン君に何かあったら僕は……!」

が、そんなコントをやっている場合ではなくなった。
>「緊急事態なの。消息を絶った同僚を確認しに法務局の連中がルーラしてきたの。結構な数なの」
>「なんだって!あの二人クラスの悪魔が大挙して攻めてきたってことかよ!」
>「さぁ、では私達は逃げるとするか。
お前達は私の肩に掴まれ、瞬間移動をする」
「逃げるってどこに!?」

逃げた先では、フリーザがダンボールハウスを作っていた。
「……えー」
そこに現れる公僕悪魔。哀れダンボールハウスは撤去されてしまうのか。
「汚い、さすが公務員汚い!」
『えっ』

少し歩いていくと、広場に人だかりが出来ていた。
なんでも、女子4人組バンドグループ”れぎおん!”の初リサイタルだそうだ。
せっかくなので集まった人たちに情報収集をしてみるといいかもしれない。

110 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/04(水) 03:20:16.26 ID:Ctrn3Lyx
『けっ!修行なんか誰がするかよこの怪人糸男がッ!俺は別に強くなんかならなくたって生きていけますぅー!』【>>106

「人を全身赤青タイツの着用者みたいに呼ぶんじゃねえよ。確かに手首から糸を飛ばすとこまで完全一致だけどな」

『ダメだよ少しは強くならなきゃ! もしジェン君に何かあったら僕は……!』【>>109

「おいちょっと待て。何かあったらまで言及したらそれは別のフラグになるんじゃないのか?」

ささやかな疑問=無意識に受信した電波の影響/発言/フラグの強固化。
時間の前後――世界の矛盾なき流転。

『なるほど……でも師匠と呼ばせてもらいます! いいよね!?』

「……俺を師匠と呼びたがる奴は、お前で二人目だな。
 アイツは……多分どこかで英雄になれただろうな。俺なんかとは違って」

窓の外に向かう視線――遠い過去を見据える。
いつか出会った青年=明るい笑顔/無才/絶えぬ努力――報われていて欲しいと願った。

『緊急事態なの。消息を絶った同僚を確認しに法務局の連中がルーラしてきたの。結構な数なの』
『なんだって!あの二人クラスの悪魔が大挙して攻めてきたってことかよ!』

俄かに上がる依代の声――這い寄る危機/喧騒。
ベロウの左腕から無数の糸が伸びる/部屋中へ分散/武器を天井に配置。
狙い=誘き寄せてからの一網打尽。

『さぁ、では私達は逃げるとするか。
 お前達は私の肩に掴まれ、瞬間移動をする』【>>107

メタルクウラの提案――無駄に騒ぎを大きくする必要はない。
憎悪を抑え込む/武器を回収/冷静さに従った。
瞬間移動/歪曲する景色/変色/徐々に安定――別の町に到着。
真っ先に目に映る自称宇宙の帝王=フリーザの醜態。

「何と言うか、お前らもう商売に拘る必要ないんじゃないのか?」

111 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/04(水) 03:22:28.66 ID:Ctrn3Lyx
疑問――率直に吐露した。
不意に聞こえた軽やかな音――風と手を取り合い踊りながら流れてくる。
ベロウが立ち止まった/少女四人の演奏/聞き入る――無意識の底から溢れた深い溜息。

「……魔王賛歌以外の音楽を聞いたのは、久しぶりだな」

予想と期待を裏切る反応/金貨を取り出す/投げようと思い――留まった。
公衆の面前で少女に大金――後で間違いなく襲われる/不幸を招く。
それも全て、平和な世界を勝ち取れなかった自分の責任。

「……いい歌だったよ」

一言だけ呟いて、マントを翻して背を向けた。
本来の目的=情報収集――大いに気勢を削がれてしまった。

「おいアンタ。そこのお連れさん、改造目当てかい?だったらウチで……

「悪いがツレの腹を他人に掻っ捌かせる趣味はないな」

「けっ……んな事言ってよぉ、どうせバベルの方がお目当てなんだろ?
 なんでぇ、魔導科学だなんてよぉ。そりゃ性能はいいだろうよ?
 だが機械生命体ってのは科学の粋だからこそロマンがあるんじゃねえか」

男の不満/ぼやき――予期せぬ情報収集。

「それにあんな怪しげなモン、オススメしないぜ。何かあるに決まってらぁ」

裏の取れないゴシップ=類稀なる全能性の伏線/後出しの種。

112 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/05(木) 21:55:16.44 ID:70PnFeCK
>「さぁ、では私達は逃げるとするか。お前達は私の肩に掴まれ、瞬間移動をする」
流石のメタルクウラ、状況判断は迅速かつ的確だった。臍の引っ張られる感覚と共に景色が切り替わる。
ルーラとかの飛行呪文とは別の技術体系を持つ、インフレ系漫画キャラの標準装備。瞬間移動であった。
一路トアルへと降り立った俺達は、そこで懐かしいメンツに出会う。フリーザ一味である。
>「……えー」
「目を逸らすなよローゼン、一歩間違えれば俺達もああなってたんだ……!」
そう、定職なき根無し草である俺たち(公務員のローゼン除く)だからこそまだ影響は少なかった。
前の歴史軸で就職していたフリーザ一味は完全に歴史改変に取り残され、かに将軍はダンボール少尉ぐらいまでランクダウンだ。
今なら胸を張って言える――
「――無職で良かった!!」
噂をすればなんとやら、現公務員はみな悪魔のようで、ダンボール少尉は捕虜として収容所に連行された。
>「汚い、さすが公務員汚い!」
「お前が言うな!……ん?悪魔が公務員やってるってことは、ローゼンはどういう立ち位置になるんだ……?」
辺境村がバベルになってるってことは、こいつも職場消滅してんじゃないの?
え、マジで?飯美味くなっちゃう?

トアル広場では"れぎおん"とか言うバンドの野外ライブがやっていた。
いろんなグループから爪弾きにされてきた女子アーティスト達が一同に介してバンドを組んだ!というのがウリらしい。
なるほど意味不明なタイミングで歯ギターやらかしたりボーカル一人で突っ走ったりドラムセット破壊したりやりたい放題。
>「……魔王賛歌以外の音楽を聞いたのは、久しぶりだな」
「あーそっか、こっちの歴史軸じゃサブカル系はみんな魔王が独占してんのか」
オリコン上位を占める曲はみんな魔王の息のかかったアーチストのもので、程度の差はあれ魔王賛美をテーマにしている。
ここまでやるのにいくら実弾ばら蒔いたのやら、消費者に喧嘩売りまくってるとしか思えない。
そんな世の中だから、ロックやパンクみたいな"反社会"を前面に押し出した曲こそがいわゆる"普通の曲"なのだ。
……いや。キーボード投げたりマイクスタンド振り回す必要はまったくないのだけれど。
>「……いい歌だったよ」
「マジで!?」
最後の方ほぼ乱闘だったじゃねーか!ギターとベースがそれぞれの得物で一騎打ちとかしてたぞ!
でもまあ血が流れるほどの熱狂。確かに魂は篭っていた。ラストのシャウトなんか、喉潰れて殆ど何言ってるかわかんなかったけど。
そしてすぐに公僕悪魔が来て全員しょっぴかれていったけど。魔王批判云々とかじゃなく、単に騒音騒ぎで。

>「おいアンタ。そこのお連れさん、改造目当てかい?だったらウチで……
>「悪いがツレの腹を他人に掻っ捌かせる趣味はないな」
「そう邪険にしてやんなよ。俺、前からメタルクウラに全自動洗濯機能付けたかったんだ」
旅してると衣類の汚れとか気を使うよね!
>「それにあんな怪しげなモン、オススメしないぜ。何かあるに決まってらぁ」
「科学と魔法が交差すると熱膨張で拳銃も暴発するようなもんか」
魔導科学なんて俺たちの歴史軸じゃ聞いたこともないワードだった。
魔法と科学技術は完全に別体系だから、メタルクウラには魔法が使えないし俺たちはアニメを楽しめる。
二つはお互いにできない事を補う相互補完の関係にある。その両者を合体させたところでメリットなんてないはずなのだ。
<<マジで何があるか分からんなら、せめて装備だけでも整えるべきだと思うがな>>
炎精霊さん正論シビれるー。いかにもその通り、俺たちほとんど丸腰だ。
「おっさん、メタルクウラにどれぐらい武装載せれる?」
「そうだなあ、この姉ちゃん……メタルクウラっつうのか?の限界積載量まで許容できるなら戦車砲とかあるぞ。
 でもおっさん的にドリルとか付けたいなあ。掘る作業とか貫く作業とか挿れる作業とかいろいろ捗るぞ」

113 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/05(木) 22:44:44.72 ID:iqIpzN/u
広場では少女四人が演奏……いや、騒音を広げていた。
元勇者が良い曲などと言っていたが、私には耳障りな雑音にしか聞こえなかった。
元勇者が大金を払い、それを拾う前に四人組は悪魔達に補導されていく。
もったいないので、私がしっかりと拾っておいた。

>「けっ……んな事言ってよぉ、どうせバベルの方がお目当てなんだろ?
>なんでぇ、魔導科学だなんてよぉ。そりゃ性能はいいだろうよ?
>だが機械生命体ってのは科学の粋だからこそロマンがあるんじゃねえか」
魔法が使える人間らしい考え方だ。
私達のような機械生命体にしてみれば、データでは計りきれない魔法という神秘に憧れずにはいられない。
前の世界でのトアルの町では、機械生命体どうしで酒場に集まり合い、どら焼きを頬張りながら、魔法談義で盛り上がったものだ。

>「おっさん、メタルクウラにどれぐらい武装載せれる?」
>「そうだなあ、この姉ちゃん……メタルクウラっつうのか?の限界積載量まで許容できるなら戦車砲とかあるぞ。
>でもおっさん的にドリルとか付けたいなあ。掘る作業とか貫く作業とか挿れる作業とかいろいろ捗るぞ」

「私には必要は無い」
かの宇宙の帝王であるクウラが戦闘のために作り上げたのが、私達メタルクウラである。
ビッグゲテスターという機械惑星の技術の粋を使った私達に、他の兵器などは余分でしかない。
しかし、元のクウラの姿であったならば、ドリルを買ってジェンタイルを掘るのも、良かったのかもしれない。

私達は元勇者の金で、話しかけてきた機械屋の親父から、最新型の電動自転車を四台購入し、バベルへと急いだ。
そして、私達がバベルに辿り着いて見たものは、現在も行われている戦場であった。
最新の科学と古来より精霊達が司る魔法を組み合わせた未知の技術で戦う悪魔達。
それに対抗するのは、坊主。
私が見知った顔の坊主も何人かいる。
私の家を占拠して寺フォーミングをしやがり、ローティアスとの戦いで協力してくれた坊主達だ。
『バベルの塔を五重塔へ、魔王をマルコメ君に』をスローガンにし、なんと坊主達が悪魔達を押している。
それもそのはずだ。
寺生まれのTさんまでもが参戦している。
あの坊主達のことだ。
バベルの技術を手に入れたら調子に乗って、ゲッターロボまで作ってしまうかも知れない。
急がないと、マズいことになるな。

114 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/06(金) 00:09:40.48 ID:QDTLayGG
>111-113
>「お前が言うな!……ん?悪魔が公務員やってるってことは、ローゼンはどういう立ち位置になるんだ……?」
辺境村は今やバベル。それ以前に地方自治なんて認められていないだろう。
そういえば村長の使い魔の伝書鳩が最近来ていない。
というか僕もジェン君も蘇生術が流行ってない世界じゃ何代も前にとっくに先祖の誰かが欠けてるだろうから最初から存在してないのでは!?
「……。うわーい。もう公務員倫理規定とか懲戒免職とか気にしなくていいぞー!」
ああ、日中は適当にハンコを押して5時以降は趣味に費やす平和な生活が脆くも崩れ去った!
ちなみに飯は美味くならない。下手すりゃ貧乏で不味いものしか食べられなくなるぞ!
給料の振込がなくなるのでモンスターを倒した金で旅費を賄うしかないのだ。
つまり勇者を本職にするしかないということだ。

>「……いい歌だったよ」
>「マジで!?」
「魔王賛美じゃない、それだけでいい歌なんだよ!」
騒音騒ぎで公僕悪魔に連行されていく少女達。
「国家の下僕め!どうせクビにならないからって適当に仕事して5時ダッシュで帰って趣味に没頭してるんでしょ!」

>「悪いがツレの腹を他人に掻っ捌かせる趣味はないな」
>「そう邪険にしてやんなよ。俺、前からメタルクウラに全自動洗濯機能付けたかったんだ」
「こら、RPGの登場人物はずっと同じ服を着たままなんだよ! でも激しく同意!
あと冷蔵庫と電子レンジも付けよう。これで冷凍食品もバッチリだよ!」

>「そうだなあ、この姉ちゃん……メタルクウラっつうのか?の限界積載量まで許容できるなら戦車砲とかあるぞ。
 でもおっさん的にドリルとか付けたいなあ。掘る作業とか貫く作業とか挿れる作業とかいろいろ捗るぞ」
「へえ、便利そう!」
何に便利かだって? もちろん日曜大工にだ。
夢が広がるクウ君改造計画だったが、クウ君はあっさりとお断りした。
>「私には必要は無い」

「え〜、残念。
でもジャージはビジュアル的にアウトだからせめて見た目だけでもかっこよくしてもらいなよ」
例えば邪神モッコスさんの服装とかね!

そして電動自転車でバベルに……電動自転車!?
「ちょっと! 勇者パーティーの乗り物が電動自転車とかギャグにしかならないじゃん!」
ジェン君はともかく僕はアウトだ。
せっかく王道ファンタジーの魔法剣士風の服装でキメてるのに似合わな過ぎる!

「ほら、魔法の絨毯とか空飛ぶベッドとか……いろいろあるでしょ」
「空飛ぶベッドならあるよ」
空飛ぶベッドを見てみる。天蓋付き。セミダブル。意味もなくピンク。
「……」
なんというべきか移動中にある種の大事故が起こるのが容易に想像できた。主にクウ君によって。
「やっぱ電動自転車でいいです」

バベルでは、坊主と悪魔の大決戦が繰り広げられていた。
「これ放っといても大丈夫そうじゃない? 寺生まれのTさんもいることだし」
が、それは許されなかった。さりげなく引き下がろうとしたところに声がかけられる。
「アンタ達! どうせ無職だろ! 暇なら手伝いな!」
「げっ!?」
まさかと思いながら声の主を見る。有り得ない事に、だけど思った通りオカンだった。
「なんで歴史改変に巻き込まれてないんだよ!」
「いやあ、髪型がパンチパーマだからって崇められちゃってねえ! カーチャンびっくりだよ〜!
こうなったらバベルの技術を手に入れてゲッターロボを作って魔王城に攻め入ってやろうと思ってね!」
「もうお母さん! ここは一応ネタスレじゃないんだよ!」
序盤限定のはずだったギャグキャラNPCが大活躍するという惨事はなんとしても阻止しなければならない!

115 :創る名無しに見る名無し:2011/05/06(金) 00:31:03.19 ID:wDHyM5iK
ところで過去ログを見ると、
人間のリヨナと人間のジェンタイルは子供ができるのは18禁的なアレ
という知識を持っていることがうかがえます。
他の人間キャラも特にそれを否定する発言はしていません。
そりゃそうですよね。
しかしローゼンだけがキャベツ畑制だと主張しています。
なぜでしょうか。
ローゼンのオカンがローゼンにキャベツ畑制を教えたからです。
ちなみにキャベツ畑で穫れるのは上級魔族です。
つまりローゼンのオカンは上級魔族なのです。
崇められるのも当然ですね。

116 :創る名無しに見る名無し:2011/05/06(金) 03:08:18.62 ID:wDHyM5iK
下級の魔物はお金から作られるので倒すと現金収入になるんですねわかります

117 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/07(土) 16:30:44.33 ID:icIQGzkq
『ちょっと! 勇者パーティーの乗り物が電動自転車とかギャグにしかならないじゃん!』【>>114

「……なかなかのパワーとスピードだ。俺が生まれた時代は馬車しか走っていなかった」

頭から流血したベロウの呟き――試運転で操作を誤る/壁に激突/フロントガラスに激突。
懐から束になった薬草を取り出す/纏めて齧る/軽やかな快音と共に止血。
マントで血を拭う――ローゼン達を睨んだ。

「とりあえず……誰でもいいから乗せろ。安全運転でな」

無音で忍び寄る真銀の閃き=これ以上無い誠意の現れ。
車に乗り込む/荒れ果てた荒野を走る――バベルへ到着。
やにわに聞こえてくる喧騒/騒乱の気配。
悪魔と坊主の闘争=科学と宗教の衝突――遥か昔から続く確執。
科学=悪魔の学問と宗教に虐げられた過去。悪魔と科学の繋がり。
宗教=神も仏もいる訳がないと科学からの否定。
――衝突は不可避。

『これ放っといても大丈夫そうじゃない? 寺生まれのTさんもいることだし』【>>114
『もうお母さん! ここは一応ネタスレじゃないんだよ!』

「……無理だな。進化のない力と、進化し続ける技術。坊主共に勝ち目はねえよ。
 家族だったら、さっさと何処かに行かせるんだな。ここは元々、人間には生優しい方だ」

バベルの統治者は人間の持つ多様性をそれなりに評価している。
不利益を齎さない限り、この都市で人間の存在は許容されていた。

「さっさとしろ。……お出ましだぞ」

直後に響く歓喜の叫び/轟音/大地を疾走する破壊/雷光――電磁加速砲。
空中を縦横無尽に飛び交う閃光/音もなく行われる破壊――荷電粒子砲。
周囲の物体を引き寄せ、飲み込んでいく球体――重力子の制御による過重力物質。
宙空に突如現れる刃/刃/刃――時間の最小単位=プランク時間の操作/超速の動作。
超電力/素粒子の完全制御/未観測の物質/物理法則への干渉――どれも魔導科学の賜物。

「アレが魔導科学だ。文字通り、魔の導く科学――科学の前に立ちはだかる壁を、魔術で強引に破壊する。
 知的ぶった所で、所詮魔物共にゃ探究心ってモンが理解出来ねえんだよ」

苛立ちの炎を秘めた声/左手から煌く極細の真銀。
重力子による過重力の球体が細切れに/地面に落ちる/復元しない。
本来ならば受けた攻撃さえも自らの質量として取り込む球体が、沈黙した。

「科学ってのは叡智の積み重ねだ。都合の悪い所を無理矢理どうにかした所で、崩れるだけだ」

ベロウの芸当――真銀線に魔力を流し、重力子を留め制御する魔力を破壊。

「後はお前らがやれ。勇者は俺じゃなくて、お前らなんだからな」

118 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/08(日) 06:04:14.56 ID:UXexGBC2
>「私には必要は無い」
「そんなこといわずにさあ!火山でお守り掘るときも効率アップするぞお!?」
技術屋のおっさんのセールストークもそこそこ、俺たちは一人ひとつずつの電動自転車を購入した。
>「ちょっと! 勇者パーティーの乗り物が電動自転車とかギャグにしかならないじゃん!」
「俺はワンフェスでそんな格好のままセグウェイで移動してるやつを見たことがある」
触れられてなかったけどローゼンのこの格好ってかなりキテるな。キャラ立ちすぎだろ。夜道で会ったら速攻回れ右だぜ。
>「……なかなかのパワーとスピードだ。俺が生まれた時代は馬車しか走っていなかった」
「だっせー!何本もの糸は操れる癖して、たった二つのハンドルは使えねえのな!」
そんなこんなで。
旅するのにバッテリー大丈夫かよ?とか瞬間移動できるならそもそも足調達する必要なくね?とか言いたいことはいろいろあるけど、
馬鹿みたいに広大なワールドマップをこいつで駆け巡るのはそれなりに爽快で、あっという間にバベルに着いた。

バベルは戦場だった。最新科学と魔法の結晶を駆使する悪魔と、それに対するは寺フォーミングの坊主たち。
悪魔vs仏教徒!どこのB級映画だよ!何世紀も前の宗教戦争が、形を変えて現代に蘇ったのであった。
>「アンタ達! どうせ無職だろ! 暇なら手伝いな!」
なんと、ローゼンのオカンが陣頭指揮をとっていた。ローゼンを認識してるってことは、歴史改変にも巻き込まれていない。
>>115
「マジで!?そもそも上級魔族ってくくりが意味わかんねえけど!伏線か!?」
>「もうお母さん! ここは一応ネタスレじゃないんだよ!」
「よせローゼン、お前のオカンは存在そのものが出落ち。路線修正しようとしてもポポポポーンの一声でなかった事にされるぞ」
>「……無理だな。進化のない力と、進化し続ける技術。坊主共に勝ち目はねえよ。
 家族だったら、さっさと何処かに行かせるんだな。ここは元々、人間には生優しい方だ」
「あんなこと言ってますけどォー?」
坊さんたちに是非を問う。おもっくそダイレクトに勝利を否定された僧兵たちは憤った。
「上等じゃいボケェ!治安維持法適用しておどれも涅槃に送ったらァ!」
「仏の顔もサンドまでじゃぞオラァ!どーゆー意味かっていうと、洋食はサンドイッチまでなら許すという意味じゃァ!」
「カツサンドは美味しいからな。全席一致で認可されたんじゃァ。これをサンド一致と言います」
前線に配備された仏教徒の得物は仏式アサルトライフル。ライフリングが経文になっていて、撃ち出した弾に仏の加護が与えられる。
仏具を武器に改造したものもあるらしく、数珠型の手榴弾とか玉章型のハンドグレネードとか色々。

>「さっさとしろ。……お出ましだぞ」
>「アレが魔導科学だ。文字通り、魔の導く科学――科学の前に立ちはだかる壁を、魔術で強引に破壊する。
 知的ぶった所で、所詮魔物共にゃ探究心ってモンが理解出来ねえんだよ」
前線の塹壕と突破して、悪魔軍の機動兵器が進撃してきた。なんかもう訳分かんないぐらい超科学と超魔術の粋。
仏教徒たちの銃弾を容易く弾き、グレネードもものともせず、バリケードを踏み越えて俺たちのところへ迫る!
「撤退!撤退〜〜〜ッ!防衛ラインを突破された!A班は右、B班は左から立体機動で対処しろ!塹壕は廃棄!復唱!」
「ヤー!塹壕は投棄、前線を下げて交戦を開始します!」
「超魔導木魚準備!信仰エネルギー充填開始――」

スパァン!
ベロウの振るった腕が、その延長線上に銀弧を描き、一閃。機動兵器の吐き出した重力球が斬断される。
>「後はお前らがやれ。勇者は俺じゃなくて、お前らなんだからな」
「なんだ!意外に脆いじゃんあいつ!」
ベロウの切り出した逆転への発端を掴みとり、俺は駈け出した。錫杖型のロケット砲を肩に抱え、
<<待て、汝――!!>>
「具象せよ仏威!来たれ仏罰!超絶必さぶべぇっ!?」
ミスリル鋼のマニピュレータにビンタされて、俺は吹っ飛んだ。

「ああっ!旅人の一人が勝手に突撃してやられたぞ!」
「マジで!何しに来たんだあいつ!」「くそう、劣勢極まるぜ……!」
「なんとしてでも持たせろ!今本山から入電があった!『超機動本尊がうたま☆しっだるだ』が実戦投入されるらしい!」
「いいぜ、やってやる……!鉛玉とマニの曼荼羅にかけて、俺たちの命を稼ぎ出してやるッ!」
「うおおおお!でじたるでばいどがなんぼのもんじゃあい!こちとら1000年前からおんなじ服着ておんなじ経唱えとるんじゃいァ!」

119 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/08(日) 09:21:05.95 ID:Y1ZWGYn3
悪魔達と坊主達のおぞましい戦いは、なんとローゼンの母が陣頭指揮をとっていたのだ。
まぁ、ローゼンの母なら仕方がない。
あれは一種の理不尽キャラだからな。

>「……無理だな。進化のない力と、進化し続ける技術。坊主共に勝ち目はねえよ。
>家族だったら、さっさと何処かに行かせるんだな。ここは元々、人間には生優しい方だ」
「それはどうかな?やってみなくては分からないこともある」
元勇者の言葉に坊主達は激怒する。
坊主達だって日々己を研鑽するために、厳しい修行に禿げんでいるのだ。
それは、私達を打倒した孫悟空の生き方に通じると、私は考えている。
そんな坊主達が簡単に負けるのか?
現実は非情だった。
悪魔達が持ち出してきた超兵器を見て、瞬時に勝てないと悟ってしまった。
しかし、そんな超兵器を瞬時に壊してしまうのが、元勇者だった。
改めて思ったな。敵には回したくないと。

>「後はお前らがやれ。勇者は俺じゃなくて、お前らなんだからな」
>「具象せよ仏威!来たれ仏罰!超絶必さぶべぇっ!?」
一番最初に挑戦をするのがジェンタイルだった。
果敢に挑んで、一瞬でやられてしまった。
「では、次は私の番だな」
私では悪魔達の超兵器を壊すのも、使い手である悪魔達を倒すのも無理だ。
ならば、倒せる者達を連れてくるのが一番手っ取り早い。
私は先輩悪魔の真似をして指ぱっちんをすると、メタルクウラNo.1000とその仲間達の全裸のガチホモが、一瞬にして現れた。
陰陽思想では闇に潜む魔は陰と考えられている。
それに対抗できるのは陽の者である男。
悪魔に対抗するならば、その極みにあるガチホモを持って来れば良いと、私は考えていた。
実際に性別を超越した先輩悪魔が、ガチホモ達を嫌がってたのは、陽の気が強すぎたのだろう。
悪魔達とジェンタイルを堀放題と言ったら、No.1000の奴はすぐに仲間達を集めて来た。

「元勇者よ、よく見ておくことだな。
これが私達の戦い方だ。
さぁ、行くが良い!」
悪魔達は見るからに怯えの表情を見せている。
私もガチホモ達と対峙するならば、あのような表情を見せるだろう。
ガチホモの一人はローゼンに、また別の一人は元勇者に、No.1000のメタルクウラはジェンタイルに、他のガチホモ達は悪魔達に突撃して行く。
坊主達もこの攻撃には大歓声だ。

120 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/08(日) 17:48:05.28 ID:4W/0mfMD
>115-117
>「俺はワンフェスでそんな格好のままセグウェイで移動してるやつを見たことがある」
「あ――ッ! レイヤーと一緒にすんな、これは由緒正しいファンタジー世界の正装なんだから!」
辺境村に転入してきて役場に入った瞬間になぜか回れ右して出て行った人はいるけどね!
そう言われてみれば、某国民的RPGの登場人物ですらしまむらで揃えちゃってるご時世。この手の服装は少数派だ。
でもッ! 魔王復活したことだし僕の予想ではこの夏キちゃうよ!

>「マジで!?そもそも上級魔族ってくくりが意味わかんねえけど!伏線か!?」
「えっ、お母さんって魔族だったの? じゃあ普通に考えたらあっち側じゃない!?」
「何言ってるんだい? バカな事を言うんじゃないよ!」
「正直に答えて。実は全てを知ってる黒まk……」
黒幕じゃないかと問い詰めようとしたその時。
>「よせローゼン、お前のオカンは存在そのものが出落ち。路線修正しようとしてもポポポポーンの一声でなかった事にされるぞ」
そうだった、うちのオカンに整合性を求める程無駄な努力は無いのだ!

>「さっさとしろ。……お出ましだぞ」
なんかすごそうなものが続々と出てきた。
でんじかそく? 家電りゅーし……? 十六茶? ……果汁緑物質? 頭痛くなってきた。
「うわーダメだー!」
僕はがっくりと膝をついた。戦う前から勝てる気がしない。全部魔導砲でいいじゃん。
と思うんだけど科学の産物ってリフレクやマジックバリアーを突破する時に大活躍するらしい。

>「アレが魔導科学だ。文字通り、魔の導く科学――科学の前に立ちはだかる壁を、魔術で強引に破壊する。
 知的ぶった所で、所詮魔物共にゃ探究心ってモンが理解出来ねえんだよ」
「なーんだ、小難しい事言っても結局決め手はポポポポーンか!」
僕は復活した!

121 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/08(日) 17:49:41.22 ID:4W/0mfMD
>「科学ってのは叡智の積み重ねだ。都合の悪い所を無理矢理どうにかした所で、崩れるだけだ」
師匠が頼りになる師匠キャラの理想的なフォルムを体現し
>「具象せよ仏威!来たれ仏罰!超絶必さぶべぇっ!?」
ジェン君がかませキャラの理想的なフォルムを体現した!
「酷い! よくもジェン君を……!」
とりあえずこう言っておかないとね!

>「では、次は私の番だな」
クウ君がガチホモを召喚した。
「闇に対して光で対抗するまでは分かる! でもそこで普通は天使とかいう種族を登場させるとこでしょ! 理由付けてガチホモ出したいだけちゃうん!?」
>「元勇者よ、よく見ておくことだな。 これが私達の戦い方だ。 さぁ、行くが良い!」
慌てて師匠に弁解する。
「あ、誤解です! これはクウ君限定の戦い方です!」
僕達の戦い方は斬新な発想と友情パワーで強敵を打ち破る王道戦術だったはず!
とにかくあの悪魔達もクウ君の被害者になってしまうのだろう。合掌。

と、他人事のように見物していたら、ガチホモの一人が襲ってくるではないか。
「っぎえあああああああああああああああああああああ!!」
ガチホモならそれ位見抜けよ!襲ってくるのが美少年ならともかくこれはマジでシャレにならない!
『君からガチホモのオーラを感じたのかもしれない……!』
ガチホモのオーラって何だよ! 前世がガチホモとかいう冗談はやめてね! 
「やめてマジでやめてほんと男じゃないんです! だってヒゲ生えてないでしょ!?」
と言ったものの美少年美青年にもヒゲなんて生えないので無意味だ!
ステータス画面も男だし身分証明書類も全部オカンのせいで男になってるしどうすりゃいいんだ!

必死で逃げ回っていると、目の前に庭付き一戸建て。うちの実家だ!
なぜか歴史改変に巻き込まれずに奇跡的に残っていた。命からがら駆け込んで鍵を閉めた。
意を決してクローゼットを開ける。封印されし禁断の装備品を手に取る。
僕は ゴスロリ を 装備した! 
そう、イケメン主人公につきものの女装イベントである。
ちなみに、辺境村の女性の標準服がゴスロリだったので、オカンのも含めてたくさんある。
ゴスロリを3着バスケットに入れて家を出る。
案の定ゴスロリを着て出てきた僕を見て、ガチホモは興味を無くしたようだ。

「お待たせー」
バスケットを片手に持って内股で走り、ありがちな村娘を演出する。
「みんなー、これを装備するのよー!」
ガチホモに追い掛け回されているジェン君と師匠と、物はついででクウ君にもゴスロリを渡す。
ただどさくさに紛れて女装させたいだけじゃないかって? ちゃんと属性システム的な意味があるのだ!
「陰と陽は喰らいあう関係。お互い攻撃力が高いってことは相手からのダメージもたくさん受けてしまうわ!
つまり自分は女装した上で光属性の技で攻撃するのが最善の策ってことね!」
この口調、自分で言ってて我ながらキモくなってきた。

122 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/10(火) 16:32:25.12 ID:TWlMU/R0
『なんだ!意外に脆いじゃんあいつ!』【>>118

調子付いた声色/浮き足立った勢い――見られない反省
ベロウ=溜息を吐く/痛い目を見なければ学習はないと放置。

『具象せよ仏威!来たれ仏罰!超絶必さぶべぇっ!?』

殴り飛ばされるジェンタイル――当然の結末。
真銀糸を飛ばす/編み上げる/白銀色の布がジェンタイルを包んだ――壁への激突は阻止。
この世界に蘇生術は存在しない=死ねば終わり――単純明快な世界の真理。

『元勇者よ、よく見ておくことだな。
 これが私達の戦い方だ。』【>>119

響き渡る快音/機械生命体の出現――筋骨隆々の男達を引き連れて。
たちまち周囲を支配する悪寒/嫌悪感/拒絶――頼りになる助っ人には違いない。

「大した特技だな。いざとなったら仲間を八体呼んで合体してくれ」

不意に視界の端から迫る手/咄嗟にマントから真銀鎚を取り出す――白銀色の軌道を描く。
ガチホモ達の暴走――見境なしの獣となり、欲望のみを唯一の手綱に駆け回る。

「チッ、言っておくがな!俺はノンケだ!見窄らしい格好してる奴が皆ホモだと思うなよ!」

一撃と共に差別反対の抗議=その実この場で一番の差別発言。
とにかく、確かな重い手応え/背後から気配/悪寒――反転と同時に薙ぎ払う。

「そもそもだな!そうやって見境なく迫るからお前らは嫌われるんだよ!それが分からねえか!」

更に続く嫌悪感の重圧――全方位から押し寄せるガチホモ達。

「考えてもみろ!仮にお前らが女でもこの状況はドン引きだぞ!男なら尚更に……決まってんだろうが!!」

マントから無数の武器が飛び出す/全てを真銀糸と接続――魔力を流し操作。
白銀の閃きが幾条にも折り重なり、暴風宛らに荒れ狂う。
曇天の空高くにまで、無数のガチホモ達が巻き上げられた。

『お待たせー』【>>121
『みんなー、これを装備するのよー!』

「懐かしいな。昔、兵士の服をひっぺがして城に侵入したのを思い出す」

合理的な判断=抵抗もなくゴスロリを着用。

「だが……これじゃ動きにくい」

不満の吐露/同時に行動――スカートの裾を掴んで力任せに引き裂く。
即席のスリットが完成=機動性の向上/露出度の向上。これもまた、合理的な判断の賜物。

「これでよし。……それじゃお前達、アレを見ろ」

都市の中央部への方角を顎で差す――立ち聳える巨大な塔。
魔導科学都市の心臓=この都市で/この世界で/最高峰の研究施設。四天王の一人が座する塔。

「あそこに、この都市で得るべきモノの全てがある」

倒さなくてはならない敵/太古の道具/最先端の道具――そして炎の大精霊。

「さあ、どうする?正面突破か?それとも忍び込むのか?
 ――光の勇者様のお手並み拝見とさせてもらうぜ」

123 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/11(水) 01:31:46.67 ID:ezCutwpm

魔導科学の粋にビンタされて吹っ飛んだ俺だったが、果たせるかなベロウの編んだ布に包まれて事なきを得た。
>「では、次は私の番だな」
メタルクウラ は なかまをよんだ !! ▼
開幕しちゃった!奇跡のカーニバル開幕しちゃったよ!ガチホモたちのうち3名が何を血迷ったか俺たちに襲いかかってきた!
>「やめてマジでやめてほんと男じゃないんです! だってヒゲ生えてないでしょ!?」
「お前こんなタイミングでそれバラしちゃっていいの!?」
今までさんざん隠してきたことだろーが!もっとここぞと言う時に使うネタじゃないのそれ!?
ちょうど実家の近くまできていたローゼンは一旦帰宅し、バスケット一抱えの衣類を持ってきた。
なんだこれ、ゴスロリ?誰が着るの。
>「みんなー、これを装備するのよー!」
「なん……だと……!?」
ガチホモ対策に女装!場合によってはよりヒートアップさせちゃう可能性すらあるんですが!
>「懐かしいな。昔、兵士の服をひっぺがして城に侵入したのを思い出す」
元勇者はなんの抵抗もなく着てるしーっ!?お前キャラ考えて行動しろや!!

<<完全に外堀を埋められたな>>
「女装ってな女の子の服着てはい完成じゃねーんだぞ!そんなもんはファンタジーだ!腐アンソロの世界だけだ!
 ヒゲとか脇とか脛毛とか、処理しないといけないお毛毛もあるし!そもそも肌の張りが男女で違うんだからな!?
 肩幅とか、喉仏でも男ってわかるし……筋肉の付き方とかでも全然違うし……あと……」
俺はわりかし童顔なほうなので髭は産毛程度にしか生えてないが、ゴスロリのスカートで脛毛を隠せるとは思えん。
っつうか元勇者の野郎、一番スカート丈の長い奴もっていきやがった!残ってんのミニしかねえじゃねえか!
誰が好き好んでヤローの太ももなんか観るんだよ!想像以上にいたたまれねえぞ!
<<ニーソで隠せばいいんじゃないか?>>
「建設的な提案を出すなよ!!」
果たせるかな、俺は着た。黒ゴスロリロリのミニスカフリルニーソックス仕様を。
執拗に俺のケツを舐め回すようにみていたメタルクウラ(♂)の一匹は、舌打ちしてどっか行った。
……ふう。貞操と恥辱で貞操を選んでしまった。なんか一時の恥と一生の恥みたいな究極の選択でした。
<<それでジェン子ちゃん>>
「ジェン子ちゃん!?やめろよキャラ設定まで弄ろうとすんなや!こんなもんはな、出オチなんだよ!今すぐにだって脱いで……」
>「陰と陽は喰らいあう関係。お互い攻撃力が高いってことは相手からのダメージもたくさん受けてしまうわ!
  つまり自分は女装した上で光属性の技で攻撃するのが最善の策ってことね!」
「なるほど名案ね!!さすがゼン子ちゃんだわ!!!!」
あっはっはもーヤケクソだ!ていうかゼン子ちゃん、普通に女装もイケるんじゃないの。ちょっとドキドキしちゃったわ。
曲がりなりにも性別メスに向かって、女装って言葉を違和感なく使えちゃうあたりが素敵よゼン子ちゃん。

>「あそこに、この都市で得るべきモノの全てがある」
ベロ子ちゃんが指し示したのは、バベルのランドマークとも言えるでかい巨塔。
あそこから悪魔軍は攻め入り、仏教徒軍はあそこを目指して進軍している。バベル編の最終目的地。
>「さあ、どうする?正面突破か?それとも忍び込むのか?――光の勇者様のお手並み拝見とさせてもらうぜ」
「……フンッ!なによ、アタシたちの村にあんな馬鹿でかいシンボルおっ立てちゃって!よほど自信があるのかしら!
 舐められすぎじゃないの!だったらわからせてあげるわ……美女の前であんなものいきり立たせてる変態たちに!」
スイーツ(笑)。ま、ま、あそこには炎精霊の親玉も居るというし、ここらで一つアタシ達の強さをアッピルするチャンスだわ。
アタシは手のひらでハンドサインを作った。意味は『突入』。全速力の強行突破。

「――全力で行くわよーーーーっ!!」

124 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/11(水) 05:37:18.88 ID:94hEhdic
どんなに強大な力を得ても、悪魔ではガチホモには勝てない。
今回の戦いはそれを実証した。
魔導科学を用いた超兵器の攻撃を、くねくねとした奇怪な動きで避け、蝶のように舞いながら近付き、蜂のように急所に刺す。
ガチホモの巧みな技に、悪魔達は次々とやられていく。

>「お待たせー」
>「みんなー、これを装備するのよー!」
ガチホモの一人から逃げていたローゼンが、何故かこの世界でも残っていたローゼンの自宅からゴスロリ服を持ってくる。
私もこの場で一瞬にして全裸となる早業を見せ、ゴスロリ服に着替える。
実は一度だけ私も着てみたかったのだ。
スカートはミニしか残ってなく、私もジェンタイルと同じようにミニを履く。
最後のニーソックスも取られて、私は生足になった。

>「陰と陽は喰らいあう関係。お互い攻撃力が高いってことは相手からのダメージもたくさん受けてしまうわ!
>つまり自分は女装した上で光属性の技で攻撃するのが最善の策ってことね!」
「そこまで考えているとは、さすがはローゼンだな。
私は次の同人誌で女体化した私と女装したジェンタイルの絡み、それに嫉妬する元勇者が女装してジェンタイルに迫る話を書くためだけと思ったぞ」

>「これでよし。……それじゃお前達、アレを見ろ」
元勇者が全員が着替え終わったのを確認し、私達の元村に建てられた塔を示す。

>「さあ、どうする?正面突破か?それとも忍び込むのか?
>――光の勇者様のお手並み拝見とさせてもらうぜ」
>「――全力で行くわよーーーーっ!!」
元勇者の問い掛けにジェンタイルは、真っ向からの突入を提案する。
「了解した!」
私もその案に乗り、私達は塔に向かって全速力で駆け出す。
後ろからはまだ獲物を求めてるのか、全裸のガチホモ達が、味を占めてしまったのか衆道の達人である全裸の坊主達が後ろからついて来た。

125 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/11(水) 22:53:30.60 ID:F0DRlPjz
>122-124
>「お前こんなタイミングでそれバラしちゃっていいの!?」
「女の子がこんなに可愛いわけないでしょ?
あんなのガチホモを追い払うための方便に決まってるじゃないの!
言っとくけど胸は偽物よ! 触っても楽しくないわよ!」

>「懐かしいな。昔、兵士の服をひっぺがして城に侵入したのを思い出す」
師匠はお姉さまと化した。
「ほら、ベロウお姉さまも着たわ! あなたも掘られたくないなら早く着て!」
そして絶対領域完備のジェン子ちゃんが完成した! 上から下まで舐めるように眺めまわす。
「ヤバイ……可愛い……」
可愛くて可愛くてはぐはぐしてもふもふしてなでなでしたい!
きゅぴーん!
『おーっと、ジェン子ちゃんの可愛さのあまりリンクした!』

>「さあ、どうする?正面突破か?それとも忍び込むのか? ――光の勇者様のお手並み拝見とさせてもらうぜ」
気付けばクウ君もゴスロリ装着完了している。こうなれば答えは一つしかない!
>「――全力で行くわよーーーーっ!!」
>「了解した!」
「ゴスロリ服美少女戦隊突撃いいいいいいいいいいい!!」
こうしてボク達は突撃した! 全裸のガチホモ軍団と坊主軍団を引き連れて。
日曜朝の魔法少女アニメ枠からオファーが来そうだ。魔法少女ジェーン☆スタイル始まるよ!

まずは塔を守る最前線の大軍勢を蹴散らさなければ始まらない。
『よーし、精霊剣だ!』
「ダメよ、剣ビキビキにおっ立てるなんて下品だわ! ここはエレガントに弓でいきましょう!」
『何言ってんだこいつ!』
大勢のモブを相手にする時は遠距離から広範囲砲撃で一掃するに限る!
手を一閃すると、薔薇の枝のような魔法少女風ロッドが現れ、それがカーブを描いて弓となる。
「イクわよ! 覚悟しなさい!」
弓を引き絞り、高密度に圧縮された魔力の束を放つ。
発射された途端、ホーミング機能付きの無数の光の矢となって飛んでいく!

「ぬわ―――っ!!」
「アッー!」
光の矢に貫かれ、断末魔の叫びをあげながら次々に倒れていく前線の悪魔達。
なぜか矢が尻にばかり刺さっている気がするのは多分気のせいだろう。

126 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/12(木) 22:52:31.51 ID:H+SZWlu2
『――全力で行くわよーーーーっ!!』【>>123

「……よく分かった。死に急ぐ奴ってのは、死ぬまで治らねえんだな」

項垂れた/首を左右に振る/溜息を一つ――スリットから除く太腿を隆起させて疾駆。
最前線へ到達――だが手は出さない。
これ以上強くなれない/決して魔王を倒せない自分の剣に意味はない。
全てを壊し/殺し/奪い――行く手を阻むもの全てを虚無へと送り返すだけの刃。
積み重なるものなど何も無い――科学の都市に似付かわしくない獣の爪牙。

『ダメよ、剣ビキビキにおっ立てるなんて下品だわ! ここはエレガントに弓でいきましょう!』【>>125

放たれる聖なる光輝/閃き/煌き――貫き/弧を描いて塔門を護る悪魔を浄化。
ベロウ=マントに右手を潜らせる/バベルの門に走る真銀の軌跡――地獄の門が開く。
勢いに任せ雪崩れ込むガチホモ達/仏教徒達。
一方でベロウは、門を潜り一歩進んだ所で立ち止まる。
直後に、巻き起こる爆炎――魔導科学ではない。
大気と光を踊らせる悍ましい炎熱/魔力――微かに漂う精霊の気配。
先行した屈強な男達の成れの果て=一人残らず灰燼。
仏教徒達の末路=酸素を奪われ全員が昏倒――直後に転移魔法/姿を消した。

「……やぁやぁご苦労。予定通り、彼らをここに招き入れてくれた事を感謝するよ」

拍手の音/友好的な声色――空間の歪みから踏み出した一匹の魔物。
規則的な不規則=海岸線/木々の葉/雪の結晶の集合体に立体感を与えたような身体。
フラクタル理論の体現者=四天王の一角――ハウスドルフ。

「彼ら仏教徒は実験体として非常に高い有用性を秘めていたのでね。
 是非とも回収したかったのだよ。だけど、いちいち捕らえて回ったら非効率的だし警戒されるだろ?
 小競り合いを繰り返し、徐々に撤退すれば相手は彼我の実力差を勘違いする。ソンシ、だったかな?いやぁ上手くいったよ」

朗々と明かされる策略。

「あ、そうそう、あの非生産的な同性愛者は何の有用性も無かったので殺させてもらった。
 実は生かして捕らえてあるなんて都合のいい未来は、箱の中の猫と違って決してありはしないよ。
 あれで少しでも笑えたならまだ慈悲のかけようがあっただろうけどね。不真面目と笑わせる事は同義じゃないのさ」

淡々と告げられる事実。

「と言う訳で、ありがとう。君達のおかげで事がスムーズに進んだよ。
 お礼に、この場は見逃してあげよう。僕の実験が終わらない内に、この都市を出るといい」

一方的な勧告/再び歪む空間――ハウスドルフの退場。

「――今ので、何人死んだだろうな」

ベロウの呟き――冷淡な響き。

「分かるか?理解したか?それが勇者だ。――お前達の過ちで死ぬのは、お前達だけじゃない」

冷たく燃え上がる刃宛らの言葉を、心の奥深くにまで突き刺すように語る。

「……で、これからどうするんだ?積み重ねろ、選択を。
 誰かを助けられるかもしれない――だが、また誰かを死なせるかもしれない選択をな」

127 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/13(金) 01:16:40.94 ID:lmnG4X3U
>「ゴスロリ服美少女戦隊突撃いいいいいいいいいいい!!」
元男装少女に元オスに女装男子が二人という、ちょっと意味ワカンネっすな感じの一団は駆ける。
名古屋は東・テレビ塔ばりにそそり立つバベルタワーへ向かってアタシ達とガチホモと仏教徒達は進軍した。
「アヘッド、アヘッド、ゴーアヘッド!足止めんじゃないわよ!美女の前で萎むなんて無礼働きは斬り捨て御免よ!」
>「……よく分かった。死に急ぐ奴ってのは、死ぬまで治らねえんだな」
「るっさいわね!こちとらもうヤケなのよ!フニャチンかましてんじゃないわよ!?」
<<口が悪くなったなジェン子ちゃん>>
>「ダメよ、剣ビキビキにおっ立てるなんて下品だわ! ここはエレガントに弓でいきましょう!」
「魔法少女の定番装備ね!ならアタシはこのマスケット銃を選ぶわ!」
スカートの中から取り出したるは太古の技術・フリントロック式の単発ライフル。
引き金を引くと火打石が火蓋に打ち付けられ、火花が火蓋の中に入って着火するという火縄いらずの素敵銃よ!
アタシは照準と照星を合わせ、その先に悪魔を捕捉した。目標をセンターに捉えてスイッチ!発動するバネ!飛び散る火花!
ダァン!薬室で着火された火薬は弾丸を押出し、柔らかい鉛の弾は銃身内でライフリングに削られながら強烈な回転を与えられる。
表面に世界に一つしかないこの銃だけの線条痕を刻みながら射出された弾丸。悪魔のケツに直撃し、昏倒させる!のよ!!

と、そのとき。目の前で炎が津波を体現し、先行していたガチホモと仏教徒達を消し飛ばした。
>「……やぁやぁご苦労。予定通り、彼らをここに招き入れてくれた事を感謝するよ」
幾何学的な、不安定な、それでいて美術品のように完成した無機の容貌を持つ悪魔。
のちにベロ子ちゃんに聞くところによればハウスドルフというらしい"コレ"は、四天王の一人。最初の一人。かませ確定。
>「彼ら仏教徒は実験体として非常に高い有用性を秘めていたのでね。
 是非とも回収したかったのだよ。だけど、いちいち捕らえて回ったら非効率的だし警戒されるだろ?
 小競り合いを繰り返し、徐々に撤退すれば相手は彼我の実力差を勘違いする。ソンシ、だったかな?いやぁ上手くいったよ」
「つまり……どういうことだってばよ?なのよ?」
<<吾々は奴の兵法にかかったというわけだ。実力の拮抗というエサで釣り上げて、本物の実力でシメる。大昔に流行った戦法だ>>
前言撤回。最初の一人のくせにこいつ、頭脳キャラらしい。
うん百年も前の埃かぶった兵法でも、然るべき時と場合を考えて使えばご覧のとおり、アタシタチは孤立してしまっていた!!
>「と言う訳で、ありがとう。君達のおかげで事がスムーズに進んだよ。
 お礼に、この場は見逃してあげよう。僕の実験が終わらない内に、この都市を出るといい」
結局、あの四天王が何しに出てきたかと言えば、ガチホモ焼いて仏教徒を鹵獲するための罠、その回収なのだった。
アタシたちも大概やりたい放題だったけど、奴さんははそれを上回る傍若無人っぷりだわ。

128 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/13(金) 01:16:58.29 ID:lmnG4X3U
>「――今ので、何人死んだだろうな」
>「分かるか?理解したか?それが勇者だ。――お前達の過ちで死ぬのは、お前達だけじゃない」
「おまっ、おまっ、ノリノリで女装して!先陣切って突入してたのどこのどいつだあ!?」
なに説経面しとんねんこの女装中年。ついつい女言葉も使うの忘れちゃったわ!そしてなんで女装した中年に説教されとんねん我々。
いまさら真面目なノリに戻るなや!自分ばっかギャグパートの弊害逃れようったってそうはいかないんだからねっ!!
締まらねえよ、色々と。
>「……で、これからどうするんだ?積み重ねろ、選択を。
 誰かを助けられるかもしれない――だが、また誰かを死なせるかもしれない選択をな」
「仏教徒達は囚われた、って言ってたわね。ま、ま、この際ガチホモ共はどうでもいいわ。どうせ別次元の存在だし」
ドラゴンボールでもなんでも集めてかってに生き返らせとりゃええねん。そこまではアフターサービス外やでホンマ。
「簡単な話よ。あちらに伏せたカードがあるのなら、こちらもまた然り。仏教徒側もアタシ達も、まだ最終兵器を出しちゃいない。
 本来実戦投入はまだだったけど、仏教徒の先遣隊が囚われたおかげで彼らにも大義名分ができた。――力、貸してくれるそうよ」
アタシは携帯電話――女子の基本兵装・メールを駆使して方々に根回しをしていた。"あちら側"の大僧正クラスと話をつけておいたの。
こんなこともあろうかと!ああ!こんなこともあろうかと!このメールを送信するだけで、必要なブツは手配される。
「いくわよ……我、御仏の体現者なり!我、仏罰の代行者なり!極楽に行かせてあげるわ!!
 色即是空!涅槃寂静!仏威招来!発動せよ――超機動本尊『がうたま☆しっだるだ』!!」
メール送信ボタンを、万感の思いを込めて、押した。刹那、ドドォッと地響きが起こって、直上の空から巨大質量が降ってきた。

現れたのは巨大な仏像。金ピカの、パンチパーマで、その顔は――何故かローゼンのオカンそっくりだった。
『Hi、ジェン子、我々の技術の粋、"がうたま☆"は気に入ってもらえたかい!火急につきカタパルトで輸送する無礼を許してくれよ』
「上出来よ大僧正。今度お友達誘って合コン行きましょ」
『ヒュゥー!そいつは良いや!週末までにワイフに見切りをつけとかないとな!HAHAHA!』
「さて、」
大僧正とつながっていたアイフォンのSkypeを切って、アタシはベロ子ちゃんに向き直った。当然、ドヤ顔で。
「四天王の一角、って言ったかしら、あの彼……まさかその下に五傑とか六将とかいるんじゃないでしょうね」
流石に4人パーティーであれ以上の連戦は厳しいわ。仏教兵の力を借りれないとなれば、孤立無援の四面楚歌がアタシ達の戦場になる。
それに、懸念材料はまだあった。ガチホモ達を焼いたあの炎、悪魔のものでも魔物のものでもなかった。
同じ精霊使いのアタシには分かる。あれは間違いなく――『炎精霊の精霊魔術』。四天王に肩入れしてるの?
「『がうたま☆しっだるだ』発進!目標バベルタワー、最大戦速で破壊の限りを尽くしなさい!責任は大僧正がとってくれるわ!」
激進する超機動本尊。バベルタワーに比べれば無論のこと小型だが、それでも塔内部を蹂躙するのにこれ以上ない戦略兵器だわ。 
「邪魔する奴らは全員仏罰!輪廻の輪はいつでも全面平常運行、地獄の閻魔が商売繁盛に泣いて喜ぶわ!さあ、悪魔たち――」
アタシは人差し指を立て、高く高く天上を指さした。そのまま、前方へ向けて振り下ろす。
「――――泣いて仏陀にキスしなさい!」(決め台詞)

129 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/13(金) 10:17:34.39 ID:kkqP7uU4
ローゼンの光の矢が前線の悪魔達の尻を追尾して突き刺さり、ジェンタイルの放った銃弾も悪魔の尻に命中する。
私も目にエネルギーを集中させ、破壊光線として射出。
前線の悪魔達をなぎ払い、悪魔達の服を焼き払った。
それを狙ったホモと坊主達の集団が、焼き尽くされる。
「これは……!」
見慣れたジェンタイルの炎に近いものだった。

>「……やぁやぁご苦労。予定通り、彼らをここに招き入れてくれた事を感謝するよ」
現れたのは相手にしていた奴らとは桁違いの悪魔。
奴の策略によって坊主達は捕らえられ、ガチホモ達はメタルクウラNo.1000を残して灰となってしまった。
No.1000の奴も空気を読んだのか、すごすごと瞬間移動を使わずに歩いてこの場から去っていく。

>「――今ので、何人死んだだろうな」
>「……で、これからどうするんだ?積み重ねろ、選択を。
>誰かを助けられるかもしれない――だが、また誰かを死なせるかもしれない選択をな」
「心苦しいことだが、私達のために散ったガチホモ達も本望だろう。
だから、私達は彼らのためにも常に勝つための最良の選択をするだけだ」
とは言ってみたものの、ガチホモ達はある種の理不尽さを持っている。
明日にでもなればひょっこりと何事もなかったかのように、平然と私達の前に現れる可能性もある。

>「いくわよ……我、御仏の体現者なり!我、仏罰の代行者なり!極楽に行かせてあげるわ!!
>色即是空!涅槃寂静!仏威招来!発動せよ――超機動本尊『がうたま☆しっだるだ』!!」
悪魔達のターンが終わったならば、今度は私達のターン。
ジェンタイルが何やらとんでもない兵器を呼び寄せる。

>「――――泣いて仏陀にキスしなさい!」
ジェンタイルが決め台詞を言って、仏像兵器を塔に向かって発進させた。
やはり、ジェンタイルもとんでもないない奴だな。
私は仏像兵器の肩に飛び乗ると、天に向けた指先に赤色の太陽の如きエネルギーの火球を発生させる。
最初はピンポン球程度の大きさが、直径20mもの巨大な火球に膨れ上がる。
その巨大な火球を私は発射し、バベルの塔に仏像兵器が突入できるような大穴を作り上げた。

130 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/14(土) 08:40:45.86 ID:uDiZUHMI
>126-128
塔に突入した途端、前方で炎の渦が巻き起こる。
「炎の精霊魔術……!?」

そして現れた四天王の一角。
>「……やぁやぁご苦労。予定通り、彼らをここに招き入れてくれた事を感謝するよ」
それは人型ですらなく、不思議な形の化け物。見入るのはやめよう、また頭が痛くなってくる。

>「と言う訳で、ありがとう。君達のおかげで事がスムーズに進んだよ。
 お礼に、この場は見逃してあげよう。僕の実験が終わらない内に、この都市を出るといい」
そいつは一方的に演説して、さっさと姿を消した。

「うううううう……何あれチョームカつく! ねえお姉さま!」
が、帰ってきたのは冷淡な呟きだった。
>「――今ので、何人死んだだろうな」
「……師匠?」

>「分かるか?理解したか?それが勇者だ。――お前達の過ちで死ぬのは、お前達だけじゃない」
心の奥深くまで突き刺さるような言葉。皆が負けじと言い返す。
>「仏教徒達は囚われた、って言ってたわね。ま、ま、この際ガチホモ共はどうでもいいわ。どうせ別次元の存在だし」
>「心苦しいことだが、私達のために散ったガチホモ達も本望だろう。
だから、私達は彼らのためにも常に勝つための最良の選択をするだけだ」

「分かってる……分かってるよ、でもどうしていいか分かんないんだよ!
師匠こそ酷いよ! 人がたくさん死ぬって分かってて黙って見てたの!?」
そこで不意にふっと表情をほころばせて微笑む。
「……な〜んちゃってね。もう三人とも、変な意地張り合わないで!
クウ君の召喚するガチホモは皆のステレオタイプなガチホモのイメージを投影した召喚獣みたいなもんでしょ!
本物のガチホモはそこらのノンケより余程こだわりを持つもの。誰彼なく見境なく襲い掛かったりしない!
それと師匠、真面目と笑えない事は同義じゃないんだよ。女装して真面目に説教しても面白いだけだ!」
暫し間を開けて小声で付け加える。
「でもさ、言いたいことはちゃんと伝わったよ」

>「……で、これからどうするんだ?積み重ねろ、選択を。
 誰かを助けられるかもしれない――だが、また誰かを死なせるかもしれない選択をな」
「当然お坊さんたちを助けに行くに決まってるでしょ!」
>「いくわよ……我、御仏の体現者なり!我、仏罰の代行者なり!極楽に行かせてあげるわ!!
 色即是空!涅槃寂静!仏威招来!発動せよ――超機動本尊『がうたま☆しっだるだ』!!」

クウ君が侵入路をぶちあけ、超機動本尊は塔内部に突入した!
「よーし、ランランルーだ!」
どごーん!
「ウボァ!」
謎の破壊光線を縦横無尽に放ちながら塔内部を進撃する! もちろん出てきたモンスターは問答無用でワンターンキルだ!
「はっはー! 楽勝楽勝!」

ピーンポーンパーンポーン♪
「えっ、この塔放送設備完備なの!?」
スピーカーからハウスドルフの声が聞こえてきた。
「やはり突入してきたね。ここで一つ面白い実験をしよう。君達の言葉をバラバラにさせてもらったよ。
正確にはこの世界に大前提として付いている全自動翻訳機能をOFFにするフィールドをはったというべきかな」
「えぇ――っ!? いくらなんでもそれは勘弁して!」
そんな事をしたら同じ場所にいながら個々人で一人SSを書くことになり兼ねない。世界法則の根幹を揺るがす禁断禁忌の実験だ!

131 :創る名無しに見る名無し:2011/05/14(土) 17:32:55.62 ID:eIPvByQV
Солдаты появились
「Пожалуйста, умирают в ядовитый газ」

132 :創る名無しに見る名無し:2011/05/14(土) 17:56:40.82 ID:bP0MmWOF
さるだーとぅぃ ぱやう゛ぃりすぃ
ぱじゃーるぃすた うみらーゆと う゛ やだう゛ぃーとぅぃぃ がす



ちょw地の文まで変えんなwwそのくせ「」とか何なんだよwww
しかもいきなり全滅させる気満々とか檄ワロス

133 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/14(土) 19:52:20.48 ID:lZCdcTAJ
>『色即是空!涅槃寂静!仏威招来!発動せよ――超機動本尊『がうたま☆しっだるだ』!!』【>>128

「……懐かしいな。いや、うん、なんだ……懐かしいな」

黄昏た雰囲気/遠くを見る目/吐息のような呟き――実は何も考えなどない。
ベロウ=見た目の古めかしさから過去に恐らく見ていると判断/必死に思い出す。
しかし出来ない――地球外から飛来した宗教なのだから当然の結果。

『……な〜んちゃってね。もう三人とも、変な意地張り合わないで!』【>>130
『でもさ、言いたいことはちゃんと伝わったよ』

「……悪かったな」

小さく呟く/スカートの裾を翻す――バベルの塔に穿たれた大穴へと挑む。
迎え打つ悪魔――向かってくる者だけを斬り伏せる。
行く手を阻む重厚な隔壁――無数の閃光が細切れにした。
迎撃兵器=電磁加速機関砲――真銀糸で線路を作り弾丸を逸らす/そして細断。
ボタン式の機械制御された扉――ボタンには目もくれない/一刀のもとに両断。

「最近の扉ってのは不便だな。どこもかしこも、こんなのばかりと来たもんだ」

不満の吐露/不意に響く電子音――アナウンスの前兆。

『やはり突入してきたね。ここで一つ面白い実験をしよう。君達の言葉をバラバラにさせてもらったよ。
 正確にはこの世界に大前提として付いている全自動翻訳機能をOFFにするフィールドをはったというべきかな』

「チッ……面倒な真似を。まあいい、ハンドサインなりジェスチャーなり出来るだろう」

ハンドサイン=先ほどジェンタイルが用いた方法。同じように試みる。

「ひとまず、もうこの変装はいらないだろう。機動性を落とすだけだ。さっさと脱いだらどうだ」

無意味な唇の動き/ゴスロリ服を颯爽と脱ぎ捨てた/ジェンタイルとローゼンに歩み寄る。
そして自分に続くようにと、二人のスカートを掴んで引いた。


134 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/15(日) 19:45:51.93 ID:8JMqHMl/
メタルクウラ子ちゃんの投げた火球がビル解体の鉄球みたいにバベルタワーをぶち破り、アタシ達は突入する!
わらわらと出てくるモンスター達を踏み潰し、穿ちぬき、切り刻んで進撃。進撃の巨人(オカン)。
>「やはり突入してきたね。ここで一つ面白い実験をしよう。君達の言葉をバラバラにさせてもらったよ。
 正確にはこの世界に大前提として付いている全自動翻訳機能をOFFにするフィールドをはったというべきかな」
ハウス山ドルフ之介からアナウンス。この野郎!異世界ファンタジーものの禁忌を容易く破りやがったわ!
かつて天に肉迫した人々に神が怒り言葉をバラバラにしたらしいけど、つまりハウっちゃんビビってんじゃねーの?
>「Солдаты появились」
あーっ!ローゼンさん何言うてはるかまったくわからん!俺たち幼なじみって設定なのに!?
<<これ伏線になるんじゃないか>>
炎精霊とは普通にしゃべれるようね。言葉とは別の意思疎通で繋がってるからかしら。
どうすんだよ、幼なじみのローゼンとすら言葉通じないときたら、異郷のメタルクウラや歴史軸の違うベロ子ちゃんも言わずもがな。
>「さるだーとぅぃ ぱやう゛ぃりすぃぱじゃーるぃすた うみらーゆと う゛ やだう゛ぃーとぅぃぃ がす」
と、ベロ子ちゃんは――ゴスロリを脱いでベロウに戻り、そしてアタシ達にススっと接近してき。
やだ……なにこのおっさんアタシ達の服に手をかけてなにするつもり!?なんか喋ってるけど意味分かんないわ!
ズリっ――と、アタシのスカートを掴んでずり落とした。
パンティではなくトランクスが顕になり、俺はとりあえず空気を読んで、キヌを割くような悲鳴を上げた。
「いや"ーーーーーっ!!強猥よ強猥!襲われるぅぅぅぅぅ!!」
はっ、と我に帰り、ジェンタイルに戻った俺はローゼンのほうを振り返る。ぬ、脱げ、脱げてっ……!!
速攻で首を再びそらした。その速度たるや、つくばエクスプレスの最高速を遥かに凌駕した。

閑話休題。
「つまり、言葉以外での意思伝達方法を探すことから始めなきゃだと思うんですよお」
通じてないけど、頭の中を整理する意味で俺は声に出して言った。
いろいろ試した。筆談は――書いた文字の意味が伝わらなくてダメだった。なるほど文字も『言葉』だもんなあ。
<<ジェスチャーとか、絵で書いてみるとかどうだ>>
なるほど、ハンドサインとかあるものな。俺には絵心がないから絵で伝えるのは無理だけど、ボディランゲージならなんとかなるかも。
で、何をどうすりゃいいんだ……?何を伝えたいんだっけ。『気をつけろ他にどんな罠が待ってるかわからないぞ』こんなもんか。
俺はローゼン達に手のひらを見せて『制止』を示し、キョロキョロしつつ床をつま先でつんつんしながら歩くパントマイムを見せた。
『罠を警戒しながら進む』ということを表現したかったのである。ついでに手探りで空中を掻くモーションも加える。
さあ、伝わってくれよ……!!

135 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/15(日) 21:01:24.61 ID:EPO4TGPS
>「やはり突入してきたね。ここで一つ面白い実験をしよう。君達の言葉をバラバラにさせてもらったよ。
>正確にはこの世界に大前提として付いている全自動翻訳機能をOFFにするフィールドをはったというべきかな」
私達が突入してくるのを予見していた四天王のハウスドルフは、私達の言語をバラバラにするべく、この世界の翻訳機能を無効化するフィールドを張った。
私はずっと私のいた世界での、宇宙全般に広まった公用語を話していたつもりだった。
初めてこの世界に来た時、普通にジェンタイル達に通じていたので、この世界も私達の世界の公用語が広まっていると思っていた。
しかし、違ったようだ。

>131>132
うむ。ローゼンや元勇者が何を言っているか、私には全く分からない。
しかし、私は機械でネットに常に通じていることができるという強みがある。
エキサイトに翻訳させてもらおう。

>「ひとまず、もうこの変装はいらないだろう。機動性を落とすだけだ。さっさと脱いだらどうだ」
元勇者は、
『この変装は当分の間既に不要であるかもしれません。 移動性は落とされるだけです。 すばやくそれを取り去るとき、ね。』
と言っており、ローゼンとジェンタイルのスカートを剥ぎ取った。
それに対してジェンタイルは、
>「いや"ーーーーーっ!!強猥よ強猥!襲われるぅぅぅぅぅ!!」
『不快。無作法。 強い無作法。 ..攻撃してください。 wareru、u; u; u; u; u。 』
と言っていた。
ジェンタイルよ……お前はそっちの気があったのか?
私はお前に攻撃などは絶対にしないからな。

>「つまり、言葉以外での意思伝達方法を探すことから始めなきゃだと思うんですよお」
『スタートnakyadaとして単語を除く通信方式を探すので、一言で言えば、yooは思いました』
ジェンタイルがこう言っていた。
何を言っているんだ?こいつは。
ジェンタイルは言葉が通じないために、さらにジェスチャーをして、私達に伝えようとする。
あれは……

「それはそうですか?私は、必須に湯浴を取って欲しいと思いません。(そうか!熱湯風呂に入りたいのだな!)」
しかし、この場には熱湯風呂なんて無い。
風呂に入りたがっているジェンタイルには諦めてもらうしかないな。

136 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/15(日) 22:58:42.85 ID:2eFAuvB5
>133-135
>「さるだーとぅぃ ぱやう゛ぃりすぃぱじゃーるぃすた うみらーゆと う゛ やだう゛ぃーとぅぃぃ がす」
師匠が接近してきてゴスロリ服に手を伸ばす。
RPG的に表現するとステータス画面を開いて装備欄の →はずす を選択した!

ワンピースタイプのゴスロリはまるで切込みが入っていたかのように綺麗にバラバラの破片になって散った!
「どわあああああああああああ!? 誰だこんなしょうもない細工をやったのは!」
気付かれずに服に切れ込みを入れるなんて事が出来るのは師匠に違いない!
そういえばクウ君は脱がされてないし、師匠は美少年が大好きな変態なのか!
女だってバレたら破門されるかも! 慌ててステータス画面を開きながら意味不明な弁解をする。
「違うんです! 僕は女物の下着を着るのが大好きな変態なんです! 師匠も着てみます? 
あ、これ? パッド付きキャミ、最近密かなブームなんですよ〜!」
『大昔の恰好しといて下着だけ流行に乗ってんじゃねーよ!』

>「$$$d"!<!<!<!<!<$C!*!*6/`P$h6/`P!*=1$o$l$k$%$%$%$%$%!*!*」(いや"ーーーーーっ!!強猥よ強猥!襲われるぅぅぅぅぅ!!)
「はっ!」
こっちを振り返ったジェン君と目が合った。一瞬で目をそらした!
→そうび →いつもの服
あはは、何もない、何もナカッタヨ☆

冷静になって考えてみると、なんでジェン君とも言葉が通じないんだろう。
ジェン君だけあって独自の言語ジェン君語を喋っているのだろうか。
でも大丈夫、言葉が通じなくても以心伝心だもんね!
ジェン君は皆にストップをかけ、床をつま先でつんつんして手さぐりで空中を掻く……これは!
「分かったぞ! この辺にいい物が埋まってるから全力で探せということだな!」
いい物と言えば神おまとか埋蔵金とか温泉の源泉とか。
どうやら分からなくて困っているらしいクウ君に向かって、スコップで地面を掘るジェスチャーをして見せた。

137 :創る名無しに見る名無し:2011/05/15(日) 23:57:36.17 ID:CMLuRLKo
今の所キャラクターは誰も気付いていない事になっている>131の処理に期待

138 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/17(火) 21:32:40.25 ID:s1KTLvlB
>「いや"ーーーーーっ!!強猥よ強猥!襲われるぅぅぅぅぅ!!」

『何を言ってるのかさっぱりだが、とりあえずやかましいって事だけはよく分かった』【>>134

ベロウ――両手の人差し指で耳を塞ぎながら、辟易とした声。
面倒な手続き/伝達は省略――真銀糸でゴスロリを寸断。
再び響き渡る絹を裂くような悲鳴――混乱と驚愕が織り成す大音声。

『違うんです! 僕は女物の下着を着るのが大好きな変態なんです! 師匠も着てみます? 
 あ、これ? パッド付きキャミ、最近密かなブームなんですよ〜!』【>>135

相変わらず言葉は理解不能――だが何やら胸当てを強調している。

「……何だ?向こうの世界の防具ってのは変わってるんだな」

一目見て抱いた疑問=適切な防御性能があるのか――確かめるべく右手を伸ばす。
瞬時に飛び退き回避された――ベロウが一瞬、目を見張るほどに俊敏な挙動。

「成る程な、体格からして恵まれない防御力を上げるよりも、軽装で回避力に特化している訳か」

納得の行った/真剣な面持ち――右手を顎に添えて、胸元を見つめながら頷いた。
と、ジェンタイルの無意味な声――だが周囲の意識を集める事は出来る。
披露されるジェスチャー=踊る視線/爪先立ち/細やかな歩調/宙を描く両手。
続けてローゼンが披露=がに股立ち/両手を腰ほどの高さで掬い上げる動作の反復。

「……ドジョウ掬いか?変わった趣味をしているんだな」

ベロウ=暫しの思案。

「いや、待てよ……。塔は登る物と言う先入観を逆手に取り地下に本拠を置く……奴ならあり得るな」

魔術的にしか逃走手段のない頂上/無数の逃げ道が用意出来る地下。
攻め込むのが至難なのは前者――だが相手は既に一度、目の前に姿を晒している。
挑発的な側面を持つ――死力を尽くし頂上に辿り着いた者を嘲る表情は想像に難くない。

「試してみる価値はあるか……」

マントの内側から出現するシャベル/突撃槍/鉄槌――渾身の力を込めて床を穿つ。
破砕音/深い手応え――リノリウムの裂け目から噴き出す音と水=配水管の粉砕。
撒き散らされた水が、全員の衣服を濡らす。

「チッ……そう上手くはいかないか。仕方ない、先に進むぞ」

水の滴る長髪を疎ましげに掻き上げる/一歩前へ/振り返り/人差し指で空を掻いた。

139 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/17(火) 22:43:50.41 ID:ekVOe/iT
>「それはそうですか?私は、必須に湯浴を取って欲しいと思いません」
メタルクウラが妙に機械的な文章を読み上げた。言葉通じてる!?いや、何かがおかしい。この訛りっぽい違和感……。
「あーっ!お前、エキサイト先生にご出張お願いしやがったな!?」
アリなんだそういうの!でも流石のエキサイト先生、ほとんど意味が通じてない。なんやねん湯浴って。どっから風呂出てきた。

>「It has understood. Be not the best searchable because a good thing around here is buried! 」(ローゼン)
「え?え?……うんうん、そう、その通りダヨ!」
ローゼンがなんかよくわからんゼスチャーをしている。なんだか知らんがとにかくよし!俺は適当に頷いておいた。

>「It is worth trying or is ……」(ベロウ)
ベロウが何事かつぶやき、マントの中から槍とか槌とかシャベルとか、およそ突貫作業に使える武器を用意した。
何をするかと思えばこの男、地面に向かってそれらの得物を次々にうち放ち始めた!

で、結果。
「……なんでこんなことしようと思ったのお前」
通じてないけど小言を言わずにいられない。床を突き破った武器たちは、その下にある配管さえも突貫し、水が吹き出してしまった。
ずぶ濡れになった俺は、服を乾かす暇も惜しんで先へ進もうとするベロウの肩を掴んだ。
「ウェイウェイウェイ!こんなびしょ濡れで先へ進むつもりかよ!」
通じそうになかったので、濡れ鼠の服をバサバサしながら手のひらを下にして振った。

指をパッチンすると、超機動本尊の腹部トランクから燃料用の空ドラム缶二個が転がりでてきた。
水はある。ベロウが突き破って噴水になった水道管。熱源はある。何を隠そう俺は炎精霊の契約者だ。
ちょうどメタルクウラとの会話で風呂について言及されたことだし。
「ここらへんでビバークしようぜ」

ビバーク。登山用語でいうところの緊急避難的野営。
遭難したり不意の吹雪なんかに見舞われたとき、岩陰なんかに穴を掘ってやり過ごすアレである。
このまま意思の疎通を奪われたまま上を目指すのは危険だ。強敵の出現に対応できない公算が高い。
せめて服が乾くまでぐらいは、ここで休んでいくぐらいの図太さが欲しいね!

超機動本尊を寝そべらせてモンスターに対する壁とし、ドラム缶に水道管から直接水を入れて風呂を沸かす。
旅装のバックパックから簡易シュラフを出して床に敷き、別途でお湯を沸かして人数分のカップにコーヒーを用意した。
「風呂沸いたかなー湧いたかな試しに指を……って熱っ!沸きすぎじゃねえのこれ!?」
腰にタオルを巻いたままで、俺はドラム缶風呂の湯温を確かめていた。
<<汝は風呂が好きだな。トアルでも湖畔村でも温泉村でも入っていただろう>>
「おーよ、基礎体温が高いからかしらんけど俺は汗っかきさんだからな。風呂沸いたけど誰か入るー?熱いの好きな奴から入れよ」

140 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/17(火) 23:53:55.52 ID:CS30ea9I
>「分かったぞ! この辺にいい物が埋まってるから全力で探せということだな!」
『それは分かりました。 この辺りの良いものがあるので最もよく探せるのが埋まっているということにならないでください』
ジェンタイルのジェスチャーにローゼンが何かに気付いて、スコップで掘るジェスチャーをする。
言ってることはめちゃくちゃに聞こえるが、言葉とジェスチャーが掘ることで繋がっているので、言いたいことは分かった。
だが、この場を掘って何になるのだ?

元勇者がローゼンのジェスチャーを見て、己の持つ武器を使って床を破壊する。
水道管が破裂したのか、水が噴き出して、私達全員を濡らした。

>「チッ……そう上手くはいかないか。仕方ない、先に進むぞ」
『キー、…は..so良くなりませんか?私は、気が進まなく、以前に、進むつもりです。』
元勇者は何が言いたいのだろうか?
ジェンタイルのジェスチャーを見て水浴びをしたいと考え、ローゼンのジェスチャーで水道管を破裂させることを思いついたのか?
それで、元勇者はその気がないので先に進むということか?
ジェンタイルが先に進もうとする元勇者を引き止めて、先輩悪魔のように指ぱっちんをする。
仏像兵器からドラム缶が出てきた。

言葉は伝わらなくても雰囲気で分かる。
濡れた私達は一時の休息を取ることにした。
仏像兵器を敵に対する壁とし、ドラム缶に水を入れてジェンタイルの火で風呂とした。

>「おーよ、基礎体温が高いからかしらんけど俺は汗っかきさんだからな。風呂沸いたけど誰か入るー?熱いの好きな奴から入れよ」
『..becomingはそれですか?それ、それはwaですが、だれでも風呂に入ります--お気に入りからの1つが対等にさせる熱さPut』
私は熱々のコーヒーを軽々と一気飲みし、答えた。

「言っていることはよく分からないが、まずは私が先に入らせてもらおう」
『それがよく言うのが理解されませんが、私が以前にまず入るのを許可しましょう。』
元勇者に濡らされた服はとうに脱いでおり、今の私はモザイク付きの全裸。
私は勢いよく飛ぶと、ざぶんとドラム缶風呂に飛び込んだ。

141 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/18(水) 22:45:10.83 ID:xy+DNA86
>138-140
>「……何だ?向こうの世界の防具ってのは変わってるんだな」
『… … 他の側の世界の護民官ttenoがそうしなければならないものは、変化しませんでした』
光精霊がエキサイト翻訳をしてくれたがさっぱり分からない。
迫る中年オヤジの魔手を、戦闘時にも見せた事がない回避力を発揮して避けた!
「触ろうとしたな!? ジェン君にも触られた事ないのに!」
水精霊騒動の時に思いっきり触られてたじゃないかって? あれは触らずに透過したのだ!
>「成る程な、体格からして恵まれない防御力を上げるよりも、軽装で回避力に特化している訳か」
『「それです」それになって. . 回避パワーで軽く専門にするなるのによる翻訳は装いました。与えられることさえできない防御力、体格を上げます。?"』
師匠は何かに感心しているようだ。何か知らないけど性別詐称はバレてないらしい。

さて。師匠が地面を掘ると水道管が破裂し、全員濡れ鼠、辺りは水浸しになった。
冷静に考えると当然の結果である。
>「ここらへんでビバークしようぜ」
『kokorahenと共にビバークしましょう』

ジェン君がてきぱきと風呂を沸かし、お湯をわかしはじめた。
もしかしてこれってRPGでダンジョンの真っただ中でテントとかコテージとか使って回復する図の再現?
「また脱がせる気かい!? 僕は必要もなく脱いだりしないぞ! RPGの登場人物は風呂に入らないことになってんだよ!」
苦情を述べていると、コーヒーが手渡された。
「あ〜、美味しいな〜、ジェン君が炎精霊で沸かしたお湯でいれたコーヒーは最高だな〜」

>「風呂沸いたかなー湧いたかな試しに指を……って熱っ!沸きすぎじゃねえのこれ!?」
『ぶっちゃけ俺達熱すぎじゃん!?』
「はあ!? いきなり何言ってんの!? ただ話の都合上昔からの知り合いでご近所さんってだけでそんな設定捏造すんなよ!」

>「おーよ、基礎体温が高いからかしらんけど俺は汗っかきさんだからな。風呂沸いたけど誰か入るー?熱いの好きな奴から入れよ」
『ご飯にします? お風呂にします? それともア・タ・シ?』
「ジェン君……」
ジェン君はもはや生きて帰れそうにないと絶望してせめて冥途の土産にとこんな事を言っているのだ! 僕はきっぱりとお断りした。
「ジェン君のバカ! 早まっちゃダメだよ! 絶対皆で生きて帰るんだからね!」

もう怒ったぞー! お仕置きだ!
→そうび →すべてはずす
もちろん見えてはいけないところは光規制で完全隠蔽してあるぞ!
「メタルクウラお姉さま〜、一緒に入りましょう〜!」
クウ君に続いてドラム缶に飛び込んだ! ちょっと狭いけどジェン君を奮起させるにはこれしかない!
ジェン君と公式カップルらしいクウ君とイチャイチャすれば怒ってやる気を出すはずだ!

《これは酷い誤訳》
『いやあ、ついうっかり』

142 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/21(土) 01:11:22.14 ID:YkhCVzB2
指を弾く快音/虚空から出現するドラム缶――ベロウが首を傾げた。

「……被って擬態をするには、少し場所が悪いんじゃないのか?」

ドラム缶に水が満たされる/次第に沸き立つ湯気――ようやく意図を理解。

「なるほどな、風呂か。……そう言えば、最近雨が降ってなかったな」

感慨深い呟き/体臭の確認――思わず顔を顰めた。
ドラム缶風呂へと視線を向ける――既に片方は占拠されている。
全身銀色の女/美青年――溜息しか出ない。
もう片方の傍で腰を降ろす/マントに右手を潜らせた――取り出されたのは白い塊=石鹸。
誰かを撲殺するのではなく、本来の用途で使用――見る間にベロウが泡の塊に成り果てた。
マントを脱ぐ/続けて着衣も全て――見事な具合に泡が大切な部位を隠す。

「折角だ。武器の手入れもしておくか」

マントの内側に収納した武器を取り出す/磨く/傍に放る――その繰り返し。
武器と武器の衝突する金属音/金属音/金属音――金属音。
いつの間にか廊下を遮る程までに武器が積み上げられていた。

「よし、これくらいでいいだろう」

一段落――ふと傍らに置かれたカップに視線が向いた。
満たされた悪魔/地獄から立ち昇る湯気/香り立つ苦味――ブラックコーヒーだ。
一口啜る――口腔内に広がる苦味/酸味。

「死のように濃厚、か。あの日死ぬべきだった俺を満たせるコーヒーなんぞ、ある訳がないがな。
 だがブラックってのは正解だ。俺には天使の純粋さも、愛の甘さも必要ない」

静かな呟き/ダンディズムの発散――ただし、言葉が通じる時に限る。
この状況ではあらゆる言葉が意味を失う――失うよりも酷い事にもなり得る。

「で、いつまで休憩しているつもりなんだ?キッチンとベッドルームの召喚はご勘弁願うぞ」

上着を着ながら立ち上がる/下着は片手に/進路を顎で示した。

143 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/22(日) 01:51:50.08 ID:ZULx0rje
>『それがよく言うのが理解されませんが、私が以前にまず入るのを許可しましょう。』
メタルクウラの翻訳然としたセリフに振り返ると、全裸の奴が立っていた。
忘れがちだけど再確認。現在メタルクウラは顔有りペプシマンボディーを生身の人体に換装している。
ビジュアル的には、妙齢の美女。が、全裸の要所要所を湯煙で隠しながら俺の背後で跳躍した。
「ぬわーーーーっ!?」
ざぶんと、ドラム缶風呂の水面に波が立つ。熱湯と言っていいレベルのお湯が傍の俺にも降ってきた!
のたうち回っていると、何故か同様に服を脱ぎ去ったローゼンの姿が。
>「メタルクウラお姉さま〜、一緒に入りましょう〜!」
言葉は通じてないけれど。そのとき俺は、ローゼンが何言ってるのか朧気に分かっちゃっていた。
なんでかっていうと、こういうイベントにおいてああいう行動をとったキャラがどういうことを口走るか、想像に難くないのだ!
狭いドラム缶の中で展開される、めくるめくくんずほぐれつマリみてストパニ。縺れ合うローゼンとメタルクウラ。

「……ううっ」
涙が出てきた。別に眼福だとか感激のあまりとかそういうことじゃなくて、純粋に情けなくなってきたのだ。
こんな人外魔境の敵地の奥で、女同士のキャッキャウフフを端から眺める男がひとり。これを情けないと言わずしてなんと言う。
俺にもっと行動力があったら、思うさまこの衣服を脱ぎ放ち、女どもの戯れに緊急参戦してやれたろうに。
果たせるかな、俺はそこまで大胆になれず、鼻の奥から滲み出てきた熱いものに気付いて空を仰いだ。
涙と鼻血と、二種類の体液を顔面から器用に垂れ流しながらドラム缶に背を向けて、視線を適当に遊ばせる。
>「Veuillez entrer la phrase que je veux traduire ici. 」
元勇者が、何かを成し遂げた顔をして座っていた。傍には山のごとく積まれた各種武器類。どっから出したこんなに。
しみったれたおっさんと二人で、入浴中の女二人をじっくり鑑賞する。化石燃料のように、時間はみるみる消費されていった。
>「"Epaisseur de la mort."Il ne peut pas y avoir de cafe ce que qui serait du mourir ce jour.Mais c'est un noir ....」
おっさんがドヤ顔で何事か呟いた。意味わかんねえけど、アンニュイな表情と漏れた溜息から、大先輩的な妄言を零してるに違いない。

ほんでもって風呂を交代で入り、体も温まった頃。服も乾き、HPも満タンまで回復した。
「よっし、そろそろ行くか。あーその前にちょっと、試したいことがあるのだぜ」
俺は携帯を取り出した。インストールしてあった2ch専用ブラウザを立ち上げ、適当なスレを開く。
『お前ら魔王様とどのラーメン食べに行きたい?(338)』
ビンゴ。言語崩壊のフィールドを張られていても、掲示板のスレッドに書きこまれた文字は読める。内容を理解できる。
メタルクウラがエキサイト翻訳を使えた時からピンと来てた。
外部――例えばネット上にある情報にまではハウスドルフも手を出せない。フィールドの範囲外なのだ。
つまり、ネットの掲示板を経由すれば、俺たちの間でも意思を疎通することができる!はずだ!具体的には簡単だ、書きこめばいい。
俺は閲覧していたスレに書き込み窓を開いて、魔王軍の検閲に引っかからないような文面を考える。
あからさまなのはダメだ。ハウスドルフの管轄外でも、法務局にバレればここへ余計な敵を招くことになる。
俺は熟考し――そして短い文章を投下した。

『こんど王都の聖地で開催される魔王様のコンサートに行きたいなあ。魔王様の美声で
 ののしられると、なんていうか幸せな気分になるよな。最高のカリスマだよ。
 文部省もどんどん推薦してほしいね。小学校の給食の時間とかに流すといいと思う。
 章学生のうちからきちんと摺りこんでやれば、きっと忠誠心はもっと凄い物になる。
 がらんどうというか、ドーナツ化・形骸化した偶像性に対する革新の一手となるはずだ。
 わたしが五歳のとき、祖父に飴を貰いました。その飴はとても甘くて美味しくて、
 かつ大胆ながらもまったりとした味わいで、こんな飴を貰える私はきっと特別な存在なのだと思いました。
 るるるるるる
 かわいいねこを飼いたい』

書き込んだレスを携帯のディスプレイに表示して、三人に見せる。
俺の仮説が正しければ、これで通じるはずなのだ。バベル突破の鍵となることを祈って。

144 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/22(日) 03:44:38.92 ID:jlyEmOsu
>「メタルクウラお姉さま〜、一緒に入りましょう〜!」
『Metarukuura姉?、Letのものは一緒に入ります。 !』
ローゼンが私の入っているドラム缶風呂に入ってくる。
私の瞳は妖しく光り輝いたように見えるだろう。
私はいきり立ってローゼンに襲いかかった。
まぁ、抱きつくくらいしかしないが。

>「で、いつまで休憩しているつもりなんだ?キッチンとベッドルームの召喚はご勘弁願うぞ」
『あなたはいつまでに休息deを取るでしょうか?台所と寝室のSummonsは許しを願うでしょう。』私達が風呂から出た直後、武器の手入れをしていた下着を片手に持ったふるちんの元勇者が聞いてきた。
突拍子もないことを言っているように見えるが、これもこの塔の主のせいなのだ。
「うむ。魔王を倒すまでには休息を幾つか取ると思うが、この塔での休息はもうしないだろう」
『Umu考えがそれであったならば体を休めますが、もうこの塔で体を休めないように、魔王が破られる時までにおそらく、休息を取るということです。』

>「よっし、そろそろ行くか。あーその前にちょっと、試したいことがあるのだぜ」
『あなたをしてください、yosshiしにゆっくり行くか、 ..wanting、 時折その前のトライアル、-、..the遭遇ちょっと、』
休憩も終わり、そろそろこの塔を攻略し始めるかという時に、ジェンタイルが理解不能なことを言って、私達に携帯を見せる。
私にも理解でき……これもエキサイトな翻訳の効果か?
ジェンタイルの見せた文章が、何を言いたいかが理解できない。
私はジェンタイルの携帯をひったくり、ジェンタイルが見せたスレにこう書き込んだ。

『で、何が言いたいのだ?
 おすすめのスレを紹介したいだけなのか?
 あそびをしている状況はもう終わりだぞ。
 今はゴールを目指して進む時だ。
 こういうむだなことはさっきやっておくべきだ』
私はジェンタイル達に携帯の画面を見せ、突き返した。

145 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/22(日) 20:41:41.71 ID:h/m9OYub
>142-144
クウ君と抱きつきあいながらジェン君を挑発する。
「ほらほら、悔しかったら乱入してこいやあ!
ジェン君が小さかった時に風呂ぐらい入れてやったわ! 今更どーってことないんだよ!」

>「……ううっ」
しまった泣かせてしまった! 顔から色々流しながら無言でガン見しないで! 師匠も便乗して見てるんじゃない!
勢いでやってしまったけど滅茶苦茶恥ずかしくなってきた。
今更恥ずかしがるわけにもいかないので現実逃避がてら考えてみよう。
今、ジェン君は女二人が組んずほぐれつしている光景を見ていて、師匠には男女がイチャついている光景が見えている。
こっちとしては好都合とはいえ、古い時代の人間の師匠には世界がドット絵で見えてるんじゃないかと思ってしまう。
それは置いといて、同じものを見ていながら見えている世界が違う。常に、他人が自分と同じ世界を見ている保証なんてないのだ。
だから言葉を通して共通幻想を作り上げるわけである。
それを奪われるとあら不思議、どんどん明後日の方向に自分の世界が暴走するばかりだ。

風呂から上がった僕達は、今度はジェン君の入浴シーンを並んでガン見する。
通じないのを承知で隣にいるクウ君に呟いた。
「どうしよう、ジェン君が何考えてるのかさっぱり分からないよ……。
何でも分かると思ってたのに……こんなにも不確かなものに頼り切っていたなんて……」
不思議な事にクウ君は言葉が通じなくても意外と分かる。
多分極限まで分かりやすく真っ直ぐな行動パターンをしているためだろう。

そして少しばかり時は流れる。
>「で、いつまで休憩しているつもりなんだ?キッチンとベッドルームの召喚はご勘弁願うぞ」
『さっさとハウっちゃん襲いに行こうぜヒャッハー!』
上着だけ着て理想的な変質者のフォルムを体現した師匠が言った。
「師匠! とりあえずパンツはいてください! 痛恨の一撃率ダダ上がりで危ないでしょ!」
>「よっし、そろそろ行くか。あーその前にちょっと、試したいことがあるのだぜ」
『男は度胸、何でも試してみるのさ!』
ジェン君が携帯を見せてくる。
「これはっ……!」
【この文章が分かるか】ディスプレイにはそう記されていた。分かる、分かるよ!
クウ君が携帯をひったくって即レスする。
【で、おあいこ】
おあいこって何がだ!? とにかく僕も光精霊経由でスレに書き込んだ。
『おk、把握した』

そのレスの後に、またすぐ別のレスが書きこまれた。名前欄に”兵士”とある
『ぶつぞうって最高だよね
ちからづよくて美しくて。
こんど王都で仏像展があるんだけど
ろっこつ折っちゃって行けない
すまんけどお土産買ってきてね
ぞうの仏像のマスコットをお願い』

【ぶちころすぞ】!?
「誰だよこんな物騒な事を書いたのは! ……はっ!?」
ふと足元を見ると、謎の煙が充満しつつある。掲示板にまた新たなレスが書きこまれた。
『毒ガスで死亡してください』

「のわああああああ!? 早く上の階に!」
途中でのんびり休憩しすぎて相手がキレたのか、決死のタイムレースと化してしまった!

146 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/25(水) 01:09:03.51 ID:8ZQXDmTd
ジェンタイルが携帯画面を開示――現状打破の試み。
ベロウ=一瞥/思考/理解――深く首肯。

「なるほど、よく分かった」

着替えを済ませた/右手をマントに潜らせる/望みの物を探る。
掴んだ――小さく、だが確かな手応え。
手のひらに乗せて差し出す――漆黒に抱かれた甘美な宝石。
つまり飴玉=ベルフェゴールオリジナル――とある大悪魔の演じるCMで有名な一品。
対してジェンタイル=芳しくない反応。

「……ん、ならこっちか?」

再び右手がマントに潜行。
別の物を掴んで取り出す――愛くるしい子猫。
首の裏の皮を摘まれて振り子のように揺れる子猫――飴玉を転がすような鳴き声。
反応=やはり芳しくない。

「違うのか……。駄目だ、若いヤツの考える事はよく分からんな」

結局、ローゼン達を傍観。
唐突に慌て出すローゼン――ベロウが即座に警戒態勢を取る。
足元を見る――徐々に立ち込めつつある濃紫の煙。
携帯に表示された文字列――毒の暗示。

「……なんだ。ただの毒か」

拍子抜けの溜息/口から血の筋を伝わせる――構わず歩く。

「マグマやバリア床や、石化ガスならともかく毒ガスってお前。やる気あんのか」

毒に対する元勇者の認識――通り抜けてから毒消しなり薬草で十分。
三百年の修行を経て、これ以上成長の余地がない境地にまで至ったからこその反応。
悠々とした歩調で階段へと到達――マントから取り出した薬草と毒消しを咀嚼。

「さて、次は科学が出るか魔術が出るか……」

扉を開ける――直後に響く轟音。
飛来するは雷に導かれし鋼鉄=不可視の殺意――ベロウの頭部を直撃。
扉の向こう=廊下の先――不眠不休の門番を務める電磁加速砲。
飛び散る血/肉片――ベロウの身体が力なく後ろに揺らぐ。
そして、踏み留まった/すぐさま扉を閉じる――次弾が扉を大きく歪ませた。
呻き声/再び薬草を頬張る/薬瓶を取り出す/赤い液体で流し込んだ――止血完了。
成長の限界点へと到達した男の生命力=電磁加速砲でも崩せない。

「あぁ、クソ……さっき洗ったばかりだってのに血塗れじゃねえか」

マントを見て不機嫌を吐露/吹っ切れて顔を汚す血もマントで拭った。

「で、どうする?アレを止めない限り先には進めないぞ」

147 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/05/27(金) 00:38:06.68 ID:/vUfhomX
メタルクウラの返信を縦読みすると、『で、おあいこ』という文字が浮かび上がった。
うーんわからん!伝わってない?斜め読みや二列目読みなんかがしこまれてるかもしれないけれど、それを確かめる時間はなかった。
>『おk、把握した』
おっ、ローゼンには意図するところが伝わったみたいだ。それじゃ具体的な話を推し進めるか――っと。
新着レスが一件あった。そろそろスレの住人が不審がりだしたか?名前欄は……兵士。内容は、
「縦読みで……『ぶちころすぞ』」
一気に湯冷めした気分になった。誰かがこのやり取りを見てる……?法務局の検閲じゃなく、リアルタイムでの監視!

嫌な予感ほど的中するもので、さらなる新着レスが俺たちを襲った。
>『毒ガスで死亡してください』
「毒ガスぅ?って、うわ、足元から見るからに毒々しい色をした煙が!」
>「のわああああああ!? 早く上の階に!」
ハウスドルフ!あいつ堪え性ないな!どことなく地精霊の奴を思い出すぜ!
>「……なんだ。ただの毒か」
大混乱の中で、元勇者だけがのほほんとつったっていた。飴ちゃん出したり猫振り回したりは毒で幻覚見てたからじゃないのか!
元勇者は吐血しながら――それでもお構いなしに毒けむりの中を進む。

「お、おい、大丈夫なのかよっ!?」
>「マグマやバリア床や、石化ガスならともかく毒ガスってお前。やる気あんのか」
元勇者は何をするかと思えば、懐から毒消し草を出してムシャムシャ。
ステータス完治。毒けむり吸って発症。草ムシャムシャ。ステータス完治。毒発症。草ムシャ。ステ完。
「数百年にわたる修行で得た結果がそれ!?毒防御の魔法とかねーのかよ!!」
――結局、カンストしたHPと毒消し草の在庫にモノを言わせた脳筋戦法。含蓄も貫禄もへったくれもないのだった。

>「さて、次は科学が出るか魔術が出るか……」
肉の壁となった元勇者に先陣を切らせ、俺たちはその後をついて次の部屋へ突入する。
不意に飛んできた弾丸が元勇者の頭蓋を削った。肉を持って行かれ、血が噴水のように抉出する。
しかし元勇者もさる者、薬草をムシャムシャしてその傷を直し、平然と起き上がった。
「なんでもアリだなあんた……」
RPGのシステムをこれでもかとばかりに悪用し、この男は状況を有利に進めるのだった。
そう、傷を負っても治せば良い。助かる見込みのあるダメージなら自分の身を盾にすることだって有効なのだ。
>「あぁ、クソ……さっき洗ったばかりだってのに血塗れじゃねえか」
「いや、もっとヤバイ汚れが点々と……」
具体的な描写はしないけど、脳みそとか、頭蓋骨の欠片とか、脂肪の塊とか色々ひっついてる。
なんとなく、トアルで出会った石鹸おじさんの調理姿を思い出した。あれって確か大先輩の前身なんだっけ。

>「で、どうする?アレを止めない限り先には進めないぞ」
あ、忘れがちだけどここまでの会話全然伝わってないよ!おおまかなニュアンスはわかってきたけど。
日常会話ならまだしも、戦闘中に使う言葉なんて限られてる。さっきは衣服についた血汚れを露骨に気にしてたから、大意をつかめた。
今も扉の向こうで俺たちを木っ端微塵にしようと待ち構えてる大砲を指さして、またしてもアンニュイな表情をした。
クソッ、おっさんのアンニュイ顔ってなんでこんなムカツクんだろ……絞め殺してやりたい。
さて、あの大砲をどうやって攻略するか……近づかなきゃ止めようもないが、近づく前にミンチにされちまう。
超機動本尊の装甲でも耐えられそうにない威力だ。

<<しかし汝、敵の砲弾がいつこの扉を破ってくるかわからないのにのほほんと構えてていいのか?>>
ん。そういえばさっきからガンガン弾がぶつかって来てる。鉄扉自体はまだまだ持ちこたえられそうだが、問題はむしろ蝶番。
構造的に弱い可動部はどうしても歪みが出てくる。もともと衝撃を想定されてない部分ならなおさらだ。――いや、今なら!
俺はこんなこともあろうかと持ってきておいたガストーチで鉄扉の蝶番を焼き砕いた。
支えを失った鉄扉は今や重く分厚い一枚の鉄の板となって鈍重に倒れてくる。
俺は咄嗟にスレに指示を書き込んだ。検閲がどうとか言ってられない。そのままの文字列で。
『扉を支えろ!盾にして進むぞ』
メタルクウラに見せる。

148 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/05/27(金) 11:42:55.37 ID:kFeFg6l0
>「縦読みで……『ぶちころすぞ』」
ジェンタイルが携帯を見ながら何か呟いていたので、私もジェンタイルの携帯を横から覗き見る。
>『毒ガスで死亡してください』
私がその文章を読んだのと、足下の床から毒ガスが発生したのは同時であった。
機械生命体の私にとって、金属を腐食させるようなガスは致命的だ。
急なことで私は慌てふためいている。
ジェンタイルやローゼンも慌てている。
そんな中で元勇者だけは冷静に行動していた。
元勇者は血を吐きながら、さっさと進んでいた。
その姿を見て、私も冷静さを取り戻した。
体を軽く点検してみたが、ガスを浴びた場所が腐食した形跡は無し。
このガスは人体には有害でも、私には効果が無いようだ。

元勇者を先頭に私達は進んで行き、次の扉を元勇者が開けた時だった。
轟音と共に元勇者の頭から血やら何やらが飛び散った。
元勇者は踏みとどまって、すぐに扉を閉める。
「元勇者よ、あなたは本当に人間か?」
扉の向こう側にあった物が、閉まる前に私にも少しの間だが見えた。
あの銃撃を食らって耐えられる者は世の中には結構いるだろう。
しかし、当たってはいけない場所に当たってピンピンしているのは、この元勇者くらいだ。

次の部屋から放たれている弾が扉に当たって、轟音が規則正しい間隔で継続的に鳴る。
扉の方はまだ持ちこたえそうなのだが、蝶番の方に軋みが出ている。
それを察知したジェンタイルが蝶番を焼き切ろうとする。

>『扉を支えろ!盾にして進むぞ』
『了解!実行する。
 あの扉を直接支えればば、私ではあの衝撃を耐え続けて進むことはできんな。
 良し、念動力で浮かすとしよう。
 扉を念動力で浮かして盾にしたのは正解だったな。
 衝撃が操る私にまで伝わらない。
 念動力で発射される元を破壊できれば良いのだが、直接見なければ操れないからな。
 今の扉を盾にしている状況では無理だな。
 破壊はローゼンに任せるとするか……あっ!』
しまった。
思考まで直接スレに書き込んでしまった。

149 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/05/28(土) 07:36:11.75 ID:hRzs7scY
>146-148
>「なるほど、よく分かった」
師匠から飴玉を貰って口に放り込む。
>「……ん、ならこっちか?」
「うわー、可愛い!」
子猫を受け取って頬ずりをする。

>「……なんだ。ただの毒か」
「師匠!? 吐血してるよ!」
急に鼻水が出てきたので何気なく手の甲で擦る。と、血がべっとりと付いた。
「ぎゃー! 歩くたびにHPが減っていくのが鼻血で表現される方法はマジやめて下さい!」
ここで鼻にティッシュを詰めたりしたらイケメンキャラが一瞬で崩壊する死活問題だ!

「と、いう事はこっちも……」
>「数百年にわたる修行で得た結果がそれ!?毒防御の魔法とかねーのかよ!!」
ジェン君がまた鼻血を出していた。台詞の意味は分からないが、何かツッコんでいるらしい。
「冷静にツッコんでる場合じゃないよ!」
ジェン君の鼻に冷静にティッシュをツッコんでおいた。

毒ガス地帯を抜けて、自分とジェン君に毒解除の魔法をかける。
師匠は無限毒消し草仕様なので必要ないだろう。
「毒ガス攻撃……恐ろしい罠だった……」
手鏡を取り出して顔を見ると、当然血まみれだった。
いつ美麗ムービーによるイベントシーンが挿入され顔がドアップになるか分からないのだ。
その時に鼻血の跡とかあったらシャレにならんのである。
拭こうとすると、抱いていた子猫が顔を舐めて綺麗にしてくれた。
「にゃ〜」
「にゃはは! くすぐったいにゃ! ……かあいい奴〜〜!」

>「さて、次は科学が出るか魔術が出るか……」
師匠が扉を開けた。
どーん。
「嫌ああああああああああ!?」
目の前で繰り広げられるスプラッタ。

>「あぁ、クソ……さっき洗ったばかりだってのに血塗れじゃねえか」
>「いや、もっとヤバイ汚れが点々と……」
「師匠! 体中に色々引っ付けないでください!」
僕も死んだ時に毎回こうなってたんじゃないかって?
大丈夫、僕には決してスプラッタな状態にならずに無駄に美しく死ぬという特殊能力があるのだ!

>『扉を支えろ!盾にして進むぞ』
『了解!実行する。(中略)破壊はローゼンに任せるとするか……あっ!』
『えーそんな無茶言わんといてくださいよ、そんなの無理じゃないっすか常識的に考えて〜。
リンクすればいけるかもしれないけどおっさんのスプラッタで萎えてしもうたですよ〜』
なんともやる気の無さそうなレスが勝手に掲示板に書き込まれた。
「ちょっと光精霊! こんな事絶対断じて多分思ってないよ!? キャラ崩壊させないでくれる!?」
『おっと間違い、僕に任せろ!』

鉄板の向こうを透視する。
引っ切り無しに砲弾を打ち出す電磁加速砲には、見るからに分かりやすいON/OFFスイッチがあった。
『電源スイッチを押せば止まるぞ! 問題はどうやって押すかだ……』
「みゃ〜お」
子猫が円らな瞳でこっちを見つめてきた。
「にゃにゃにゃあにゃ!」
前足で何かを押すような動作をする。
『押してくるにゃ!』
『マジで!?』
確かにこのサイズならば砲弾に当たらずにスイッチまでたどり着くことが可能だ。
言われるままに子猫を床に放した。

150 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/05/30(月) 22:06:47.80 ID:2La/AVOJ
『扉を支えろ!盾にして進むぞ』【>>147

ジェンタイルの選択=扉の蝶番を破壊/扉そのものを盾として使用。
次なる弾丸が直撃――衝撃までもは防ぎ切れない。
断続的な轟音/激しく震動する扉――衝撃の激しさを声高に叫んでいた。
衝撃は鋼鉄の盾を通過/腕へ潜る/筋肉と骨格に浸透――破壊を導く。

>『了解!実行する。良し、念動力で浮かすとしよう。』【>>148

メタルクウラが対処=念動力で盾を支え、衝撃を逃がす。
ベロウの助力=真銀糸を伸ばす/壁面を経由/扉に添える――衝撃の更なる逃げ道。

『電源スイッチを押せば止まるぞ! 問題はどうやって押すかだ……』【>>149
『押してくるにゃ!』

ローゼンの腕から解き放たれる子猫――廊下の隅を縮こまりながら進む。
無事到着。電磁加速砲の電源スイッチを叩く/叩く/叩く――電源は一向に切れない。
子猫はあまりに非力だった。
躍起になった様子で体当たり――ようやく電磁加速砲を停止させた。

「ようやくおねんねか。悪いが抱き上げてベッドに運んでやる暇はないんでな、さっさと行くぞ」

先を急ぐ――ふと視界の端にドアが映る。
直後に真銀の閃光が縦横無尽に駆けた。
金属の扉が寸断されて、崩れ落ちる――露になる小部屋=エレベーター。

「……チッ、ただの行き止まりか」

ベロウ=マントの裾を翻し歩き出す――エレベーターの存在を知らない過去の人間。

151 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/01(水) 01:44:27.04 ID:v21uuu3I
>『了解!実行する。――
メタルクウラがやたら長ったらしい文面で同意した。こいつ内部OSから直接ネットに繋いでるから気を付けないと思考がダダ漏れだ。
>『えーそんな無茶言わんといてくださいよ、そんなの無理じゃないっすか常識的に考えて〜。
「ローゼン!?」
キメ顔と言動が一致してないぞ!
>『押してくるにゃ!』
見かねた猫(おっさんがズボンの中から出したやつ)が床を走り、飛来する砲弾を躱し、スイッチに体当たりした!

>「ようやくおねんねか。悪いが抱き上げてベッドに運んでやる暇はないんでな、さっさと行くぞ」
沈黙した超電磁砲を眺めていたおっさんが、なにやらドヤ顔で感想を吐き、先へと進む。
いつのまにか、この元勇者を弾除けもとい先行型トラップ判別機として活用することが俺たちの間で暗黙の了解となっていた。
こんなところで発見、最強の盾。壁役に必要なのは防御力もさることながら、被弾してもすぐ前線に復帰できるタフさなのだ。

>「……チッ、ただの行き止まりか」
と、急におっさんが停止した。閉じたエレベータの前で、なにやら黙考したかと思うと、踵を返して別をあたり始める。
いや、押せよスイッチ。連打すると、上階に停止していた箱がゆっくりとこの階に降りてきた。
元勇者の目が僅かばかり見開かれるのを、俺は見逃さなかった。
『オイ、このおっさんエレベーター知らねーみたいだぞ。初めてテレビ見た侍かよ』
スレに書き込んだ。過去人が現代に来る系のタイムスリップ物では百パー描写されるであろうシーンだ。
"なんじゃこの面妖な箱は!中に小人でも入っておるのか!?"みたいな。車を魔物と勘違いしたりな。

『このエレベータに乗ったらこの先、たぶんボス戦になると思う。ステータス画面を確認できる最後のチャンスだぞ。
 回復は済ませたか?死亡フラグの有無は?部屋の隅でガタガタ震えて攻略本のページ探す準備はOK?』
俺は武装をチェックした。仏式アサルトライフル、玉章型グレネード、単分子金剛杵、超機動本尊――エトセトラ。
ファンタジーっぽく弓でも使おうと思ったけれど、火薬を使わない武器は肌に合わなかった。

最後に成形炸薬錫杖の安全装置を解除して、俺の準備は整った。炎精霊には予めエロ本を支給してテンションを高めさせる。
<<快楽天、ペンギンクラブ、桃姫、コミックLO……見事に二次元どころを揃えたな>>
やたらそれ系統が充実してたんだよこの街のコンビニ。仏教徒の街なんとちゃうんか。大丈夫かよ!
ちなみに元の歴史軸の辺境村のセブンイレブンはやおい系のアンソロ本が大多数のシェアを占めていた。
誰の圧力によるものかは、まあ、推して知るべしと言ったところだろう。しかるに俺の故郷は、萌えオタには生きにくい環境だった。

『準備ができたら突貫すんぞ。待ち伏せされてるだろうしな』

152 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/01(水) 03:46:27.03 ID:hHrf2CFf
扉を念動力で浮かして盾にしてみたは良いが、思ってた以上に衝撃が強い。
私の念動力でも抑えきれないか?
元勇者もそう考えていたのか、私のサポートをしてくれる。
糸を操り、扉から壁へと衝撃の逃げ道を作り出す。
これで随分と楽になった。
後はローゼンが止めてくれると信じ、私は扉を浮かすことに集中しよう。

銃撃が止まり、元勇者が先行して私達は進む。
元勇者がエレベーターの扉を切り裂いた。
トラップの確認のためか?
エレベーター内は密室になるので、逃げ道が無くなってしまう。
だから、元勇者はシャフト内に何か仕掛けてあるかどうか確認するため、扉を切り裂いたのだろう。

>『オイ、このおっさんエレベーター知らねーみたいだぞ。初めてテレビ見た侍かよ』
さすがに嘘だろ?
そう私は思っていたが、かごが降りてきた時の元勇者の驚いた表情はそう思えても仕方がなかった。

>『準備ができたら突貫すんぞ。待ち伏せされてるだろうしな』
私はこれまでの冒険を動画にしてネットにアップする。
もちろんのことだが、私の視点だ。
これで私の準備は完了した。
後は他の者達の準備を待つだけだ。

『さぁ、覚悟は決めたか? 行くぞ』
私達はエレベーターのかごに乗り、私は最上階へのボタンを押した。

153 :創る名無しに見る名無し:2011/06/01(水) 21:41:11.93 ID:EXabrTsY
ドアが開くと目の前はエレベーターホールで向かい側には3つのドアが並んでいた。
ドアにはそれぞれ
“Магма Пол”
“Камень Газа.”
“Держите Начала Снова”
と書かれている。
これらのドアと乗ってきたエレベーター以外に出入り口のようなものは見当たらない。

154 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/06/01(水) 21:43:52.00 ID:kdOrzMBV
>150-152
『ボスを倒す前に他の場所に宝箱が無いか調べておこうですね、だが断る』
引き返そうとする師匠のマントを掴んで引き留める。

>『オイ、このおっさんエレベーター知らねーみたいだぞ。初めてテレビ見た侍かよ』
「マジで!? じゃあ今度テレビ見せてみよう!」

>『このエレベータに乗ったらこの先、たぶんボス戦になると思う。ステータス画面を確認できる最後のチャンスだぞ。
 回復は済ませたか?死亡フラグの有無は?部屋の隅でガタガタ震えて攻略本のページ探す準備はOK?』
『じゃあ僕が最強装備を整えてあげよう! 魔法使いといえば魔導士のローブと魔法の杖だね!
少し変化球では弓や飛び道具もアリ! 某国民的RPG的にはムチも王道だ!』
が、ジェン君は魔法使いの王道装備は片っ端から そうびできません と表示された! どんな仕様だ。
なるほど、火薬を使った武器だと攻撃力にプラス補正がつくのね。

自分のステータス画面を開くと、使い魔:ねこ と表記されていた。何気なく説明文を表示させる。
【魔王の血によって使い魔となったねこ。名前はまだない】
たった一文なのにツッコミどころが満載だった。誰が魔王だ! 契約の儀式が鼻血ペロペロなんてギャグにしかならない!
「調子にのんなよステータス画面!」
そもそも魔王の血なんて猫の足音や魚の吐息と同種の存在しないものだ。

>『準備ができたら突貫すんぞ。待ち伏せされてるだろうしな』
ジェン君が準備と称して、炎精霊にエロマンガをせっせと支給していた。
炎精霊のやつめ、真面目になってもドスケベだけはそのままなのか! 大体女の裸なんて見て何が楽しいのだろうか。
勘違いされがちだが我々の業界は裸かどうかは大した意味は無く、美少年美青年が織りなす人間模様を見て楽しんでいるのだ。

クウ君は動画編集してるし。
『もちろんいらないシーンはカットしてくれたよね!?』
いらないシーンが何かはお察しの通り。
大丈夫、メタルクウラ達はガチホモなんだからむしろそんなのを見せたら萎えるはず!

>『さぁ、覚悟は決めたか? 行くぞ』
『この戦いが終わったら……』
『だーーーーー!! 死亡フラグ立てんなボケ!』
勝手にレスを捏造する光精霊には困ったものだ。
でも光精霊以外のネット端末を持っていないので仕方がない。

かくして、僕達は間の階をすべてすっ飛ばして最上階へ。
♪最上階、最上階です

辿り着いた最上階。決戦の火蓋が切って落とされる!
底に広がっていた光景は……どう見てもビアガーデンです本当にありがとうございました。
「なるほど、屋上にビアガーデン……王道といえば王道だな!」
そこで坊主軍団の飲めや歌えやの大宴会が繰り広げられていた。
『いらっしゃいませ〜、何名様ですか?』
『4人です』
指を4つ立てて答える。 あれ? 何かおかしいな。そうだ、クウ君は無料だった!
『……あっ、3人です! 1人は未就学児なので無料でお願いします!』

155 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/06/04(土) 23:06:09.94 ID:eVYQJ2kS
軽やかな一度限りの電子音――エレベーターの到着。
ベロウが咄嗟にマントから大量の武器を取り出す――制止が掛かった。
何事も無かったかのように武器の点検を開始――曇りなき真銀が獰猛に煌く。

『さぁ、覚悟は決めたか? 行くぞ』【>>152

エレベーターへ搭乗――不意に襲い掛かる重厚感にベロウが武器を展開。
狭い個室の中が鋭利な刃で満たされた。

「……分からんな、この時代は」

ダンディズムを醸しながら一言――全てを誤魔化しに掛かった。
そうしている内に、再び響く電子音。

『♪最上階、最上階です』【>>332

最上階に到着――漂う酒気/食欲を唆る香り/響き渡る喧騒。
ベロウの双眸が微かに見開かれた――疼く酒飲みの血。
だが飲む訳にはいかない――敵地の酒=毒も同然。

「……成る程な。これ以上なく冴えた嫌がらせって訳か」

重く低い声で呟いた。

「――やぁやぁようこそ、随分と遅かったじゃないか。待ちくたびれてしまったよ」

ベロウの声を塗り潰す、明朗で無遠慮な一声。
複雑怪奇にして規則的な体型――フラクタル理論の体現者=ハウスドルフ。
魔術でゴブレットを浮遊させて位置を主張/更に自分が着くテーブルの椅子を操作。

「まぁ掛けなよ。僕は特段、荒事が好きと言う訳ではないからね。
 話し合いで事が済むなら、そうするに越した事はないのさ」

他の席へと視線を泳がせる/魔力の波動――ゴブレットが四つ、宙を踊る。

「僕の奢りだ。安心するといい。……え?飲まない?飲めない?ま、形だけでもね」

奇形の生物が笑う/全身が仄かな山吹色の輝きを発する。

「話と言うのは、他でもない。僕の研究の話さ。……僕はね、神様が作りたいんだよ」

唐突に飛び出す大言壮語――酔っている様子はない。

「君達も知っているだろう?魔王様は人間共の信仰を集めて驚異の力をその身に宿した」

始まる解説。

「冷静に考えたら訳の分からない現象だよ。信じる事が誰かの力になるだなんて」

嘲笑/青紫の発光。

「だけど、事実そうなのだから認める他ない。そして事実と言うのは……認めてしまえば、往々にして便利なものだ」

続けて得意げな笑み/橙色の輝き。

「魔王様が信仰を集めたのは、何も力を得る為じゃない。潤滑な統治がそもそもの目的だった。
 けれども今度は意図的に、指向性を与えた信仰を集めてみようと僕は考えたのさ。その実験体が――炎の大精霊だよ」

淡々とした告白/相反する真紅の光が灯る。

156 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/06/04(土) 23:08:28.56 ID:eVYQJ2kS
「炎の大精霊は森羅万象遍く全てを灰燼と化し、魔物の眷属で、僕の家系に代々隷属していた。
 ……そのように印象を操作した上で、炎精霊を市民に信仰させた」

愉悦の笑い/眩い黄金色で歓喜を体現。

「実験は成功だったよ。僕は精霊に恣意的な改造を施す事に成功した。そして次は、捕えた仏教徒達を使う。
 彼らの人格を破壊して、対象を失った信仰心のみを残し、方向付け――完全にオリジナルの神を作るのさ。
 彼らにこれを振舞ったのは、その第一段階って事だよ」

魔術で浮かべたゴブレットを揺らす。

「これには強い中毒性があってね。あと何度か飲ませてやれば、これ無しでは生きていけなくなるよ。
 ……僕は話し合いで済むならそれに越した事はないと言ったけど、
 話し合いすらせず事が済むなら、それが一番に決まっているのさ」

垣間見える魔物の性=害意と悪意――紅蓮と濃紫の混じり合った色合い。

「君達は、どうやら精霊との契約者らしいね。そこの機械生命体も、興味深い機能を持っている」

不意に訪れる熱風=あらゆる命/形/時を奪う――終わりの象徴。
同時に命の維持に不可欠/無機に新たな形を与え/世界=時を創った――始まりの象徴。

「さあ、僕の創った精霊と、君達が従える精霊。どちらがより優れているか――実験開始だよ」

ハウスドルフの背後に現れる影――創始と終焉の体現者=炎の大精霊。
ローゼン達に齎されるのは――終焉。
無数に出現した火球――渦を巻く/細く洗練/槍の姿を得て襲撃=小手調べの一撃。

157 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/07(火) 00:07:33.92 ID:ktxPq3Ex
扉を開くと、そこはビアガーデンだった。
「なんでだよっ!?」
はい久々に正統派ツッコミさせていただきました!なんやねんビアガーデンて。宴会パートにはまだ早いぞ!

ちなみにこのお話では、ワンピースの如く一章終わるごとに宴会パートを挟もうと思っててんねんけどな。
やっぱネタもなくなるわけよ。マンネリだなんだと言われつつも毎回宴会パートやれるワンピースさんはやっぱプロやで。

>『……あっ、3人です! 1人は未就学児なので無料でお願いします!』
「何さらっとお席にご案内されようとしてんの!?ちっとは疑えやこの状況を!……あ、タバコ吸わないです」
俺たちは禁煙席に案内された。完全分煙制をとっているので、不可抗力の受動喫煙の心配もない。最上階なので空気も美味しい。

満天の夜空に、夏の大三角が燦然と描き出されていた。あれがデネブアルタイルべガ……一つもわからん!
仮にも世界有数の有名星座様ならよー、オリオン座ちゃんぐらい露骨な自己主張してみろや!いいよねオリオン。形分かりやすいし。
よーしパパこんな深い夜にはオリオンなぞっちゃうぞ。みたいな。

>「――やぁやぁようこそ、随分と遅かったじゃないか。待ちくたびれてしまったよ」
ハウスドルフが上座に腰掛けて、恨みがましい視線――こいつに目があるのならだけど――を向けてきた。
ま、ま、確かに。途中で一泊したりしてたからね。ハウスドルフが待ちくたびれるのも無理はない。
「だって、別に期限とか言われへんかったし……」
申し訳程度に言い訳しておいた。つーかこいつ無機質なツラで紳士っぽいキャラのくせに堪え性ねえな。小物くせーぞ。

>「話と言うのは、他でもない。僕の研究の話さ。……僕はね、神様が作りたいんだよ」
全員に酒が行き渡ったあと、ハウスドルフは熱っぽい口調で語りだした。色々とデンパな内容で、俺は呑んでもないのに酔ってきた。
「なんやねんこいつ、むっちゃ絡み酒やん……」
他の連中とヒソヒソやる。何が楽しくて、こんな塔の頂上まで来て意味不明物体の宗教臭い話聞かんとあかんねや。
でも頑張るよ俺。営業は一日にしてならず。ハウスドルフさんちのフラクタルなんちゃらが、将来我社の上得意様になるやもしれんし。

どうでもいいけど言語崩壊フィールドってどうなったの?今も継続中なの?ハウっちゃんずっと口頭で語ってっけど。
それにしても、美味そうだねこの酒。ちょびっとだけなら呑んでもいいかな。

>「これには強い中毒性があってね。あと何度か飲ませてやれば、これ無しでは生きていけなくなるよ。
「ブーーーーッ!?」
ゴブレットを傾けた途端にそんなことを言われて、俺は盛大に吹き出してしまった。メタルクウラがずぶ濡れになる。
ちょ、ちょっと呑んじゃったじゃねえか!どうしよう、俺薬物依存症になんちゃうのかなあ……!?

ハウスドルフがニヤリと性悪な笑みを浮かべた気がした。ゆっくりと、奴の背後に、よく知る濃厚な存在感が顕現する。
炎精霊。それも神格精霊だ。多くの人の信仰を糧に、あらゆる二流に後塵を拝さす超一流の大精霊。

158 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/07(火) 00:10:14.85 ID:ktxPq3Ex
<<……汝。吾はいつでも行けるぞ>>
珍しく、炎精霊が乗り気だった。俺と契約して独立した"個"になったこいつにとっては、炎の大精霊は親みたいな存在のはずだ。
並行歴史軸での出来事とはいえ、それに弓を引くという行為が、どういうことを意味するのか――分からない俺ちゃんじゃあ、ないぜ。

<<精霊には肉体がないから――"意志"とも言うべきものこそが、精霊の本質であり全てなのだ。
 それを弄られた以上、最早あれは精霊ではない。神格精霊よりも、むしろ魔王寄りの……悍ましい何かだ>>
静かな、静かな悲しみと、それを叩いて無理やり刃に変える怒りの槌を幻視した。炎精霊の、偽らざる想いの断片。
<<救うとか、殺すとか、今更上から目線であれを語るつもりはない。とどのつまり、あれと吾とは別物なのだからな。だが――>>
「良い。皆まで言うな」

結局のところ。炎精霊は、俺と同じぐらい、口下手なのだった。お互い言葉の多くを知らないから、言葉に依らずとも想いは伝わる。
だから俺は、炎精霊と同じだけの――戦う意志を、胸の裡に滾らせていた。


>「さあ、僕の創った精霊と、君達が従える精霊。どちらがより優れているか――実験開始だよ」
炎の大精霊が、その内側から炎の槍を無数に吐き出した。散弾銃のように拡散し、逃げ場をなくすように面制圧で俺たちに迫る。

「上等だ。万象一切灰塵と成してやんよ!」
俺は、ビアガーデンのテーブルを思い切り蹴り上げた。プラスチック製の軽い長机が起き上がり、壁となって炎槍を阻む。
果たせるかな、壁の役目を果たしたのはほんの一瞬だった。槍達は机を溶かし、突き破る。微塵も勢いを殺さない。

だが――一瞬あれば十分だった。俺は成型炸薬錫杖を溶けてゆくテーブルに向けてフルスイング。
こいつは錫杖の先端部分を爆弾で作り、標的を殴りつけると指向性のある爆風が相手を襲う――言うなれば殴るミサイルみたいなもの。
炎精霊の加護によって強化された爆風が、テーブルと、それに突き刺さった炎槍を吹き飛ばす!

「散開しろ!固まってたら鴨撃ちの的にされるだけだぞっ!」
俺も爆発に合わせてダイナミック横っ飛び回避。ビアガーデンの芝生を転がり、炎槍の斜線から逃れる。

仏教徒達……お前らの無念は俺が必ず晴らす!寺生まれのTさん……力を貸してくれ!かめはめ波の溜めポーズで魔力を練り上げた。
「破ァーーーーーッ!!」
突き出した俺の掌から、ベギラゴン的な炎と熱閃が迸り、ハウスドルフ目がけて殺到する!

159 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/07(火) 06:23:39.67 ID:KJyMPex8
最上階のビアガーデンに辿り着いた私達は、そこで待ち受けていた四天王のハウスドルフと対峙する。
私達は戦闘前にハウスドルフの講釈を聞かされたが、言葉の意味が通じる。
どうやら、バラバラにされた言語は元に戻されたようだ。
そのおかげでジェンタイルに危ない酒を吹きかけられたがな。

>「さあ、僕の創った精霊と、君達が従える精霊。どちらがより優れているか――実験開始だよ」
ハウスドルフの後ろに現れたのは炎の大精霊。
本来なら私には精霊を見ることはできないのに、しっかりと私の目にも燃え盛る不定の炎が見えた。
これは精霊と言うよりも、悪魔に近いと言うことなのだろうか?
炎の大精霊は無数の炎の槍を放ち、私達を焼き尽くそうとする。
ジェンタイルがプラスチック製のテーブルを盾にして、炎の槍がテーブルに突き刺さった瞬間に、錫杖をフルスイング。
テーブルに当たった錫杖は爆発を起こし、突き刺さった炎の槍も四散する。

>「散開しろ!固まってたら鴨撃ちの的にされるだけだぞっ!」
先のジェンタイルのフルスイングだけで、全ての炎の槍が対処できるわけではない。
残りの炎の槍が私達を襲う。
私は近くにいたローゼンをひっ掴み、炎の槍の範囲外の空へと逃げた。

「ローゼンよ、前みたいに水精霊とリンクして、あの炎の大精霊を何とかできないか?」
炎によく効くのは水の技。
逆に鋼の私は炎の技に弱いのだ。
なるべくならば、炎の大精霊とは正面から戦いたくないのである。

160 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/09(木) 22:33:26.04 ID:jwnBvbhk
>155-157
>ちなみにこのお話では、ワンピースの如く一章終わるごとに宴会パートを挟もうと思っててんねんけどな。
えっ勘弁してえや、宴会パートなんかやったら放送事故してしまうやん!
『久々に地の文で会話成立させてるー! ……という事は』
ハウっちゃんが自分が演説したいばっかりに言語崩壊フィールドを解除したらしい。

>「僕の奢りだ。安心するといい。……え?飲まない?飲めない?ま、形だけでもね」
「ええい、僕に飲ませたいなら砂糖ぶち込んで出直して来い!」

ハウっちゃんが寝ずに練り上げたかもしれない演説はそっちのけで、夜空を見上げる。
お伽噺にあるベガ(美少年)とアルタイル(美青年)の悲哀を思い浮かべる。
「一年に一度だけ逢瀬を許される姫と騎士……ロマンチックやあ!
と言いたいところだけど僕は悲愛物は嫌いだ!」
特に死に別れるのなんか最悪だね! スイーツどもが大好きな恋空とか何がいいねん。
僕が描く薄い本は全てがハッピーエンドと相場が決まっている。

>「なんやねんこいつ、むっちゃ絡み酒やん……」
「酔っぱらい上司の妄言は適当に相槌打ちながら聞き流すんだ。どうせ明日になったら覚えてないから」

と、呑気に構えている場合ではなくなった。
>「炎の大精霊は森羅万象遍く全てを灰燼と化し、魔物の眷属で、僕の家系に代々隷属していた。
 ……そのように印象を操作した上で、炎精霊を市民に信仰させた」
「それじゃあ……炎の大精霊は今や本当に全てを焼き尽くす破壊神って事じゃないか!
そんなものを作ってどうする気だ!?」

161 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/09(木) 22:35:02.54 ID:jwnBvbhk
>158-159
>「君達は、どうやら精霊との契約者らしいね。そこの機械生命体も、興味深い機能を持っている」
><<……汝。吾はいつでも行けるぞ>>
今回ばかりは炎精霊はやる気だった。
相手は自分の分化する前の大元だったかもしれない存在なのに。

>「さあ、僕の創った精霊と、君達が従える精霊。どちらがより優れているか――実験開始だよ」
「え、ちょ、ま、うわーだめだー!」
危ないところでクウ君に上空に引っ張り上げられる。

>「破ァーーーーーッ!!」
「なんてこった、ジェン君が強い! 光精霊、僕達も行くよ!」
が、光精霊の返事は無い。
「……光精霊?」
『悔しいけど今回は我より適任がいる』
「君より適任なんているわけないでしょ! そもそも能力バトルもので一人二属性はご法度だし! 
二重に契約すると体が爆発して死んじゃうらしいし! それに、それに……」

>「ローゼンよ、前みたいに水精霊とリンクして、あの炎の大精霊を何とかできないか?」
本当は分かっていた。水精霊に乗っ取られた時点で、二重契約できる事実が証明されているのだ。
ただ認めたくなかった。認めたらどんどん自分が人間では無くなっていく気がして。
《頼む! 妾に力を貸しておくれ、森羅万象を焼き尽くす破壊神を放っておくわけにはいかぬ!
こんな世界でも一つだけ元の世界よりいい事がある。
妾と巫女が出会ったあの湖がまるで昔のままのように澄み切っているのじゃ。だから……》
「そうなんだ……」
魔王の圧政で人間が好き勝手できないだけに、色々なものが綺麗なままで残っているのかもしれない。
たとえ自分の世界じゃなくても、全てが灰塵と化して滅びるなんて嫌だ。
「星の命を救うって約束したもんね……!
仲介者として責任取らなきゃね。飽くまでも一身上の都合で実家に帰ったリヨナちゃんの代わりだよ!?」

「《――――リンク!!》」

初めて双方の合意のもとに、僕達は繋がった。
まるで水の中にいるかのようにふわりと地面に降り立つ。身に纏うは水が織りなす優美なる戦闘装束。
武器として携えるは、それとは不釣り合いな巨大な砲。肩に担ぎあげてハウスドルフの背後の存在にロックオンする。
「放水開始―――っ!!」
岩をも砕く高圧水流が炎の大精霊に襲い掛かる!
要するに僕達は実も蓋も容赦もなく消火活動を始めたのだった!

162 :ベロウ・リディマ ◆.UEOXgTJEg :2011/06/12(日) 21:31:45.23 ID:C2sXKIwp
戦闘開始――ベロウは手出ししない。
これ以上強くなる事のない男が、限られた経験を奪う訳にはいかない。

>「それじゃあ……炎の大精霊は今や本当に全てを焼き尽くす破壊神って事じゃないか!
 そんなものを作ってどうする気だ!?」

「作ってどうする?その質問はナンセンスだよ。我々科学に携わる者にとっては、作る事に意味があるのさ。
 そして僕にとっては……世界とは即ち、己の拡大図に過ぎないんだよ」

ハウスドルフ=フラクタル理論の体現者の呟き。

「僕は一つの個体でありながら、この体の無限を秘めている。
 国を、大陸を、世界を、宇宙を、真理を――僕はね、自分で自分が分からない。
 それがどれだけ恐ろしい事か分かるかい?」

無限を秘めた有限の恐怖――深い青色の眼光がローゼンを突き刺す。

『破ァーーーーーッ!!』【>>158

響く裂帛の気合――迫る業火と熱波の波濤。
炎の大精霊が意味を持たない叫びを上げる――築かれる紅蓮の壁。
熱はより偉大な熱により、炎は糧となる酸素を失い、阻まれた。
炎の有する終焉の側面のみを追求した炎――全てを拒む盾/神羅万象を殺す矛。

「悪いけど、単なる力比べで僕の炎精霊は倒せないよ。で、勇者君。君はどうするんだい?
 君の光精霊には何が出来る?幻影?光線?そんなものは……終焉の炎が全て暴いてしまうだろうけどね」

ハウスドルフ=山吹色の発光――得意げな笑み。

『《――――リンク!!》』【>>161
『放水開始―――っ!!』

超高圧/極めて高い指向性の大瀑布――紅蓮の防壁を貫いた。
驚愕/魔力を錬成/防御壁を展開――間に合わない。
直撃/押し飛ばされる――背後の壁に直撃する寸前で浮遊/制動。
フラクタル理論に基づいた身体に刻まれる、微かな亀裂。
不可解/思考――濃紫色/水色のせめぎ合い。
徐々に濃赤色が水色を侵食=理解不能。

「……気に入らないな、君。君を理解出来ないと言う事は、僕を理解出来ないと言う事だ。
 そんな事は認められない。君は、捕らえて解剖する必要がありそうだ」

宣言と共に、ジェンタイル達の周囲に熱/空気の揺らぎ――業火の気配。
三人を閉じ込める炎の檻が渦を巻く。
凄まじい熱/奪われていく酸素――体力を削り続ける。

163 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/14(火) 02:23:20.43 ID:kaEHovNs
>「悪いけど、単なる力比べで僕の炎精霊は倒せないよ。
>「放水開始―――っ!!」
俺の渾身のベギラゴン的なアレは、同じく炎属性の炎大精霊による炎障壁によって阻まれた。なんかゲシュタルトさんが来そうだ。
ローゼンが水精霊とリンクし、放水を開始する。フラクタルなんちゃらさんはそれをまともに受けて壁に激突した。

「お、水は効くのか。4属性か17タイプか……おいおい見ていくか。やるぞ炎精霊!」
<<どこを見ている。7時方向、炎槍の残党が三振り。着弾まで3秒>>
炎精霊の索敵指示によって俺はもう一度サイドステップ。
炎槍が俺のいた空間を貫き、ビアガーデンの芝生を穿って果てた。
本来俺たちにそんなスキルはない。
ひとえに、同族の攻撃というある種のシンパシー的な直感が回避を可能にしているのだ。

ビアガーデンの上空を旋回する炎槍達。
俺は仏式アサルトライフルで一振りを撃墜し、こっちに炎槍たちを引きつける。
隕石のように降り注ぐ炎槍を直感で回避しながらビアガーデンの端まで走る。
壁を背に、掌を掲げた。
有機的な軌道で空を動きまわるからあいつらは厄介なのだ。
こうやって壁を背にして迎え撃てば、全てを視界に収めきれる。
「超機動本尊――!」
愚直にも俺まっしぐらで向かってきた炎槍の大群を、超機動本尊の巨大なラリアットで全てたたき潰した。

>「……気に入らないな、君。君を理解出来ないと言う事は、僕を理解出来ないと言う事だ。
 そんな事は認められない。君は、捕らえて解剖する必要がありそうだ」
ハウ様がなんかぼそぼそ呟く。
こいつはきな臭い。一旦フォーメーションを固めようとローゼン達の傍まで走った瞬間。
俺たちの周りに炎の渦が出現し、さながら檻のごとく俺たちを閉じ込めた!
俺は炎耐性があるし、水属性になってるローゼンも言わずもがなだがメタルクウラがまずい。
17タイプ理論的に。
だけどあいつ馬鹿だ。目の前の命題の、一番重要なところを抑え忘れている。

「あのフラクタル級馬鹿、メタルクウラが空飛べたり瞬間移動できるってこと知らねーでやんの!
 さあ跳べ、メタルクウラ!どこえなりとも(安全な場所に限る)跳んじまえ!」

164 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/14(火) 12:05:29.37 ID:7X/ueS0m
ローゼンが水精霊とリンクした。
私がローゼンを放すと、ふわりと屋上にローゼンは降り立つ。
私は空にまで私を焼き殺すためにやって来た炎の槍を回避しつつ、ローゼンの攻撃を見ていた。
ローゼンは肩に巨大な砲を担ぎ、炎の大精霊とハウスドルフを狙って放水。
炎の大精霊の防御も貫き、ハウスドルフに確かにダメージを与えていた。
残りの炎の槍もジェンタイルが引きつけて、仏像兵器のラリアットでまとめて破壊。
再び空は安全地帯に戻る。

>「……気に入らないな、君。君を理解出来ないと言う事は、僕を理解出来ないと言う事だ。
>そんな事は認められない。君は、捕らえて解剖する必要がありそうだ」
それが普通のことだと、私は思うのだがな。
私は私を生み出したクウラ自身の記憶も、奴がこの体を操作した際に引き継いでしまった。
そのクウラの過去を振り返ってみても、理解できないことが多々ある。
それに私と同じメタルクウラ達も、色々と個性があって、お互いを完全に理解し合うのは困難であろう。
だからこそ、仲を深めてお互いを理解し合った時は、何よりも大切なものになると私は思っている。

ハウスドルフは地上にいる三人を炎の渦に閉じ込める。
私は空中にいるので、閉じ込められたのはローゼンとジェンタイルと元勇者の三人。

>「あのフラクタル級馬鹿、メタルクウラが空飛べたり瞬間移動できるってこと知らねーでやんの!
>さあ跳べ、メタルクウラ!どこえなりとも(安全な場所に限る)跳んじまえ!」
ジェンタイルはそうは言うのだが……

「いや、その炎の渦の中に瞬間移動する勇気は私には無いぞ!
それともこのまま逃げろというのか!?」
私は空から炎の渦の中にいるジェンタイル達に向かって叫んだ。
まぁ、炎精霊と契約しているジェンタイルに今は水精霊と契約しているローゼン、一番タフな元勇者が閉じ込められているのだ。
中から脱出するのには何も問題はないはずだ。
問題なのは、今はハウスドルフと私が一対一。
いや、向こうには炎の大精霊がいるので、一対二の状況になっていることだ。
今は睨み合った状態のままになっているが、相手が私を倒しにきたら、私は相性的にすぐにやられてしまうぞ。

165 :ローゼン ◇frFN6VoA6U:2011/06/15(水) 00:05:54.52 ID:akITjk80
>162-164
>「……気に入らないな、君。君を理解出来ないと言う事は、僕を理解出来ないと言う事だ。
 そんな事は認められない。君は、捕らえて解剖する必要がありそうだ」
即座に石鹸さんの料理シーンを思い浮かべた。
フリフリエプロンを着てご機嫌のハウっちゃん。まな板の上で刺身になろうとしている僕。
「……嫌あああああああああ! 解剖したって何も出てこないぞ!」
『そうだそうだ、開けてビックリがあったとしても”こいつやっぱり男だ!”程度だ!』
「えっ、それはないよ! あるとしたらせいぜい”両方だ!”でしょ」
《お前ら何言っとるんじゃあああああああああああああああああ!!
小野小町かっ、超イケメンのみならず絶世の美女にまでなる気かっ、ド厚かましいわ!》

水精霊の微妙に広島弁っぽいツッコミが炸裂する。
僕達はしょうもない漫才をしている間に、獄炎の渦に閉じ込められていたのだった!
ハイドロポンプのギアを切り替え、激流の噴射形状を一点集中から放射状に変える。炎と水がぶつかり、辺りに濃霧が立ち込める。
「うわー、見えない見えない! ハウっちゃんの動く城め、謀ったな……!」
>「あのフラクタル級馬鹿、メタルクウラが空飛べたり瞬間移動できるってこと知らねーでやんの!
 さあ跳べ、メタルクウラ!どこえなりとも(安全な場所に限る)跳んじまえ!」
何!? クウ君を孤立させてまず最初に倒す作戦だったのか!
「ジェン君……自分がこんな状況なのにクウ君の事を気遣って……! 感動した!」

>「いや、その炎の渦の中に瞬間移動する勇気は私には無いぞ!
それともこのまま逃げろというのか!?」
クウ君に叫び返す。
「クウ君、行って!」
といっても、ただ逃げろと言ったところで逃げてくれないだろう。
「早くこっちの世界での水の巫男を連れてくるんだ! 水精霊を応援するダンスぐらいできるはずだ!」
ちなみにこっちの世界では水精霊は神格精霊ではないので、ただの冴えない兄ちゃんが連れてこられる図しか想像できない。
それでいい。それまでに終わらせておけばいいのだ!
『どうやって!?』
「ふっふっふ、RPGオタを舐めんな!」
僕はニヤリと笑って、ジェン君に作戦を伝えた。
「炎精霊は熱も管轄し、水精霊は冷気すなわちマイナスの熱も管轄する!
熱のプラスと熱のマイナスの魔法力をスパークさせて”熱の無”、消滅の力を生成し、光の矢のように束ね射放つんだ!」
つまり二人がかりで某極大消滅呪文を再現しようという試みである!
これは正確にはアニオタの管轄じゃないかって? 細かい事は気にするな!

166 : ◆.UEOXgTJEg :2011/06/19(日) 02:19:52.59 ID:Qf3MM7aS
『あのフラクタル級馬鹿、メタルクウラが空飛べたり瞬間移動できるってこと知らねーでやんの!
 さあ跳べ、メタルクウラ!どこえなりとも(安全な場所に限る)跳んじまえ!』【>>163

「瞬間移動……いいね、実に結構じゃないか。だけどそれからどうする?どうやって僕を上回る?
 既存の機能を応用するのか、それともまだ隠された機能があるのか――僕はそれが知りたいのさ」

ハウスドルフの選択――不動。
一である個の中に無限の世界を秘める存在――故に自分自身が理解不能。
世界=自分――ならば正に今敵対する機械生命体/魔術師/光の勇者さえもが、自分。
ハウスドルフにとっての戦闘/研究/生命活動――あらゆる行為=自己を理解する機会。
故に全てを受け止める/理解する――勝利はその結果でしかない。

『いや、その炎の渦の中に瞬間移動する勇気は私には無いぞ!
 それともこのまま逃げろというのか!?』【>>164
『クウ君、行って!』【>>165
『早くこっちの世界での水の巫男を連れてくるんだ! 水精霊を応援するダンスぐらいできるはずだ!』

「……逃げる、ねぇ。はは、確かにそれも一つの手だね。しかし機械に恐怖?友情?
 何にせよ感情があるとは……驚いたものだね。魔素は感じないし、魔物化した結果の産物って訳でもなさそうだ」

メタルクウラの逃走――ハウスドルフは動じない。
これでローゼン達の戦力は低下/躙り寄る敗北。
彼らを捕らえた後に餌とすれば、結局メタルクウラも捕縛出来る。
結果は変わらない。

「――で?君達もこれでゲームオーバーな訳はないよね?冒険はまだまだ続く、そうだろう?
 だから、さぁ。見せてみなよ!君達の底力を!真髄を!」

ハウスドルフの身体から迸る黄金色の輝き――興奮/好奇心/嬉々=あらゆる感情の高揚。
ローゼン達を包む火柱を自ら消し去った。

『炎精霊は熱も管轄し、水精霊は冷気すなわちマイナスの熱も管轄する!
 熱のプラスと熱のマイナスの魔法力をスパークさせて”熱の無”、消滅の力を生成し、光の矢のように束ね射放つんだ!』

「面白いじゃないか!果たして君達は、フラクタルの体現者たる僕が抱える無限の深淵をも貫けるかな――実験開始だよ!」

宣告される熱の無――対して築き上げるのは無限の炎。
究極の無を防ぎ切れるのは、究極の無限に他ならない――ハウスドルフの確信。
迎え打つ/上回る/理解する――勝利に至る三つの舞踏。
踏み外す公算はない。炎の大精霊は完璧だ。
無限の業火壁を前に、ハウスドルフがほくそ笑む。

167 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/20(月) 00:11:40.23 ID:MKuKAZuW
>「いや、その炎の渦の中に瞬間移動する勇気は私には無いぞ!それともこのまま逃げろというのか!?」
「どの道このままじゃ四人とも心中だろーが!どう転んでもジリ貧なら根性見せやがれっ!」
>「クウ君、行って!」
俺とローゼンがメタルクウラの背中を無理やり押し、瞬間移動を撃発させた。
炎の渦から奴を追い出す。

>「炎精霊は熱も管轄し、水精霊は冷気すなわちマイナスの熱も管轄する!
 熱のプラスと熱のマイナスの魔法力をスパークさせて”熱の無”、消滅の力を生成し、光の矢のように束ね射放つんだ!」
「なるほど!針の穴を通すような寸分たがわぬコントロールが必要だが俺も炎魔法を極めし者!見ていてくださいマトリフ師匠!」
ローゼンが差し出した手に俺の掌を重ね、お互いの魔力を何度か行き来させながら同調させる。
出力の均衡を保ったまま、その水準を引き上げていく――!

まだだ、まだ足りない。
卓越した精霊適性を持つローゼンの出力は天井知らずだ。
だから、互いに均衡を保つ魔力の閾値――最低ラインは俺の魔力量に確定される。
足を引っ張るとしたら、俺なのだ。

<<安心しろ汝。この時この場においては、この炎精霊の銘をかけて――汝に後悔はさせん>>
「おおおおおおおおおおおおお! "リンク"――ッ!!」

魔力を練り上げる肉体という枷。
ボトルネックとなっていたタガが外れ、魔力の奔流が一際に跳ね上がる。
炎と水の精霊魔力が互いに重なりあい、融合しあい、反発し合って巨大なエネルギーへと変貌する。

激烈な神秘反応を起こした魔力が醸造するのはあらゆるものを零点に帰す消滅の力。
煌々高度に練り上げられた威力が形成するのはあらゆる壁を穿ち抜く巨大弓(バリスタ)の形状。

>「面白いじゃないか!果たして君達は、フラクタルの体現者たる僕が抱える無限の深淵をも貫けるかな――実験開始だよ!」

「フラクタルだあ?そんなたかだか四半期前の深夜アニメ如きが調子こいてんじゃねえ!
 こっちは二十年前からあらゆる漫画読みとジャンプ信者に崇め奉られてきた――こいつが覇権アニメの品格だ!」

大弓の根本を支える俺たちの掌を前に突き出す。
重ねた手を、無意識に強く握って――こういうポーズをとったときに言うべき言葉が何かを考える。
思考――逡巡――解答完了。

「――――バルスっ!!」

二種混合の魔力が炸裂し、メロドーa……ゲフンゲフン消滅極大呪文の矢がハウスドルフへと発射された!

168 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/20(月) 16:14:11.26 ID:/HKc+rDX
>「クウ君、行って!」
>「どの道このままじゃ四人とも心中だろーが!どう転んでもジリ貧なら根性見せやがれっ!」
>「早くこっちの世界での水の巫男を連れてくるんだ! 水精霊を応援するダンスぐらいできるはずだ!」

「……分かった。
お前達の無事を祈る」
私はこの戦場から逃げるように、瞬間移動で去っていった。
私が瞬間移動で現れたのは、暇を持て余しているメルフィの前だ。
ローゼンは水の巫男を連れてこいと言っていたが、蘇生魔法の禁止されているこの世界では、湖畔村の住人達は盗賊達に襲われて全滅しているのだ。
だから、私は世紀末覇者の力を持つ湖畔村の唯一の生き残りの彼女の手を握り、瞬間移動で再び戦場に戻る。

無理矢理連れてこられたメルフィはきょとんとした様子で、周囲を伺っていた。
炎の渦が消えて無くなり、ローゼンとジェンタイルが手を握り愛、光をハウスドルフに放つ姿が私には見えた。

169 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/20(月) 22:05:39.15 ID:PDkOPL9Y
>166-168
周囲を包囲する灼熱の炎が消える。こいつ、バカ正直に真正面から受けて立つ気だ!
「水精霊、炎精霊……頼むから仲良くね」
《何を言っておる、こちとら数百年来の腐れ縁じゃぞ》
ジェン君と手を重ね合わせる。ここから先に言葉は意味をなさない。
魔力の同調を保ったまま引き上げていく。まだ足りないけど大丈夫、僕が引き上げて見せ……

><<安心しろ汝。この時この場においては、この炎精霊の銘をかけて――汝に後悔はさせん>>
>「おおおおおおおおおおおおお! "リンク"――ッ!!」

とても激しい、だけど良く知った心地良い魔力が伝わってくる。
引き上げるつもりが逆に引き上げられたみたいだ。
共に携えるは巨大な弓。掲げるは未来への意思。今の僕達に打ち砕けないものなどない!
「そこをどけ道を開けろハウスドルフ! 僕達の冒険はまだまだ続くんだ!」

>「面白いじゃないか!果たして君達は、フラクタルの体現者たる僕が抱える無限の深淵をも貫けるかな――実験開始だよ!」

>「フラクタルだあ?そんなたかだか四半期前の深夜アニメ如きが調子こいてんじゃねえ!
 こっちは二十年前からあらゆる漫画読みとジャンプ信者に崇め奉られてきた――こいつが覇権アニメの品格だ!」
「そうだ、世界がドット絵だったあの時代から……伝説の勇者とヘタレ魔術師は最高の組み合わせなんだ!!」
努力/友情/勝利――少年漫画の三つの法則! 勝利が法則に組み込まれちゃってる以上勝つしかない!
三段論法? 知らんがな!
射ぬく相手はハウッちゃん。ハウッちゃんといえば……動く城!
>「「――――バルスっ!!」」

放たれた極大消滅呪文は無限の炎の壁に激突しする。
無と無限の激突でどっちを優先させるべきか分からず世界法則は混乱をきたした……平たく言うと大爆発が巻き起こった!
あれ? これって動く城じゃなくて天空の城だっけ? 役に立たない思考が脳裏をよぎっていった。

170 : ◆.UEOXgTJEg :2011/06/23(木) 21:48:50.58 ID:w3Q6n01X
『フラクタルだあ?そんなたかだか四半期前の深夜アニメ如きが調子こいてんじゃねえ!
 こっちは二十年前からあらゆる漫画読みとジャンプ信者に崇め奉られてきた――こいつが覇権アニメの品格だ!』【>>167

「うるさいな!言っとくけど、どこぞの似非SFアニメが大ゴケしたのは断じて僕のせいじゃない!」

激憤の叫び/体の奥底から燃え上がる憤怒の紅蓮。

「緑と土の溢れる丘の上から始まって、それから五分以上ろくな近未来らしさが見られない上に!」

更に続く怒声/紅蓮は相変わらず胸に秘めつつも――理知に満ちた解明の蒼。

「ようやく始まった見所はどこかで見た事のある風と蟲の声が聞こえそうな少女って!」

紅蓮と蒼――混ざり合い、悪意の紫が産声を上げる。
 
「そんなアニメに人気が出る訳ないだろう!」

悪意が加速/渦を巻く。

『そうだ、世界がドット絵だったあの時代から……伝説の勇者とヘタレ魔術師は最高の組み合わせなんだ!!』【>>169

「そうかい。なら僕は、君達をまさに古の勇者みたいにしてあげるよ。……そう、言葉を発せぬ者にね!」

――いつしか漆黒の殺意が完成。

>「「――――バルスっ!!」」

「えぇい!それは僕に嫌味か!嫌味のつもりなのかい!?えぇ!?」

究極の無/究極の無限――衝突。
猛烈な熱量の衝突の最中、ハウスドルフは勝利を疑わない。
無/有――戦術的に絶対的な違いが一つ=即ち、後出しの可能/不可能。
酒を注ぎ始めたグラスの底を広げる事は出来ない。
だが後から新たな酒を用意する事は出来る。
真に恐ろしかったのは、下手に好機を見計らわれ、防ぎようのない一撃。
ローゼン達が真っ向勝負に乗った時点で、ハウスドルフは勝利を確信していた。
――そして炸裂。
膨大な熱量/相反する力の衝突――解なき方程式を文字通り解す唯一の結末。

171 : ◆.UEOXgTJEg :2011/06/23(木) 21:54:08.24 ID:w3Q6n01X
「勝った――」

勝利の確信と共に、ハウスドルフを白光が貫いた。
炎の大精霊による無限の業火を貫いた、勇者と魔術師の一射。
確信と確定は違う。当然過ぎる真理――それでも尚、理解不能。

「……馬鹿な。僕の炎の大精霊は……完璧だった。
 この都市に生きる全ての人間に、無敵の炎神だと信じさせたんだ。なのに何故――」

体の真ん中に穿たれた穴から徐々に、灰色=熱の終焉=死が広がる。
体中を駆け巡る、転落していく感覚。
死=終焉=虚無=結末へと転がり落ちていく。
加速/加速/加速――卓越した思考能力が加速/確定=結末へと迫る。

「――そうか。君か。君こそがまさに勝因だったのか」

限りない死の淵/限りない真理の傍ら。
確定とは結末/結末とは死/死とは確定――死と真理は円環する。
体の殆どが灰色に成り果てながらも――微かに垣間見える黄金=喜色。

「君が自分の勝利を――信じたから、君は勝った。炎の大精霊は、僕は負けた。
 君自身が、君の勝因だったんだ。
 信じた未来を必ず掴める――驚いたな、それじゃあまるで君は――」

最後の言葉を紡ぐ事なく、ハウスドルフの全身が灰色に染まった。
直後に砕け散る――床に落ちる、一欠片の、複雑怪奇な形状の石。
淡い虹色の輝き――残留思念の塊=都合よく書き換えられる、未来を開く万能の鍵。



【すまないが、少し考えたい事が出来た。
 その答えが見つかるまで、俺はいない者として扱ってくれ。
 いわゆる無期限休止、不定期って奴だが……元々俺がいなくても回ってたんだ。
 何も問題なんてない、そうだろう?
 既に俺の手を離れた言葉だが、折角だから贈らせてもらう。

 ――――Good Luck.(楽しかった)】

172 :創る名無しに見る名無し:2011/06/23(木) 21:59:48.59 ID:IDxG3gGF
>元々俺がいなくても回ってたんだ。
> 何も問題なんてない、そうだろう?

これが限りなくウザイ

173 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/25(土) 06:00:34.31 ID:N2GN4gTV
極大消滅呪文の巨矢は、狙い過たずハウスドルフと炎の大精霊を穿ち、突き抜け、ビアガーデンの芝生をあらかた削って果てた。
身体のど真ん中に風穴ぶち抜かれたハウスドルフは、始まっていく崩壊に抗うことで精一杯――否、崩壊が勝った。

>「……馬鹿な。僕の炎の大精霊は……完璧だった。
 この都市に生きる全ての人間に、無敵の炎神だと信じさせたんだ。なのに何故――」

「……ひとつ、真理を教えてやる。『1ラピュタ=1000フラクタル』――こいつがアニメ市場の結論であり、三千世界の常識だ」

監督も。原案も。評論家も関係ない。
売り上げという徹底した結果主義の世界では、そういう答えが出ただけだ。
"ラピュタはフラクタルの1000倍売れた"……その事実だけが、ハウスドルフの鉄壁を穿つ最強の矛。
『覇権』という王者の剣。

人の信仰を糧にする神格精霊は、契約精霊とは比較にならない力を持つが、たったひとつの弱点を抱えている。
そのパワーソースを、人心に完全依存していることだ。
意志と対価によってある程度融通のきく契約精霊と違い、神格精霊は限りなく民主的な力の吸い上げ方をする。
結果、多くの意思を統括しなければならない神格精霊は挙動が重くなり、常に人心掌握を強要されることとなる。
その問題を強引に解決したのがハウスドルフの洗脳手段だったのだが――

「どんなに強力に洗脳したって、人間の脳味噌は頑丈だ。ちゃあんと良いものを見分けるんだよ」
 
アニメ史に残る宮崎駿の超超超名作だ。
初動売り上げ883枚のフラクタルなど、ラピュタの前には骨も残らない。
ハウスドルフがバベル全域の人心を掌握して大精霊の信仰にあてるのならば、
こちらは全世界からラピュタファンの信仰をこの一撃に注ぎこむまで。
結果、俺たちの一撃は神格精霊を上回った。

>「君が自分の勝利を――信じたから、君は勝った。炎の大精霊は、僕は負けた。
 君自身が、君の勝因だったんだ。
 信じた未来を必ず掴める――驚いたな、それじゃあまるで君は――」

実にシンプルな戦い。
奇しくも信仰するアニメの売り上げ対決と相成ったハウスドルフ戦は、一撃で雌雄を決した。
ハウスドルフは最期の言葉の途中で消滅し、あとには極彩色をした石が残った。
ローティアスが憑依していたのと同じ類のものだ。思念の結晶。千変万化の残留物。

「ほら、こいつはお前宛てだろうぜ、ローゼン」

その石を拾って、ローゼンに放った。
ハウスドルフは、最期の最期までローゼンしか見てなかった。俺もメタルクウラもアウトオブ眼中だ。
光の勇者。それに瓜二つの魔王の存在。ここへ来て、状況はこの上なくキナ臭くなっていた。

「ていうか、メルフィちゃんどっから湧いた!?」

メタルクウラが帰ってきたかと思ったら子連れ同伴でした。どこで拾ってきたんだ一体。

「メッ!もとの場所に返してきなさい!」

174 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/25(土) 06:53:07.44 ID:LzMgk0YA
ジェンタイルとローゼンが放った光の矢は炎の壁にぶつかり、大爆発を起こした。
私は便利なバリアを張って、メルフィを爆発の余波で飛んでくる様々なものから守り、結果を見た。
爆発を貫き、光の矢がハウスドルフを貫いた。
私達の勝ちだ。
いや、私は何もしていないから、ジェンタイルとローゼンの勝ちだな。
ハウスドルフが消滅する。
残った精霊や悪魔の器となる石をジェンタイルが拾うのを見て、私はメルフィの手を握ってジェンタイル達の下に進んだ。

>「ていうか、メルフィちゃんどっから湧いた!?」
>「メッ!もとの場所に返してきなさい!」
ジェンタイルに怒られてしまった……
「いや、ローゼンが水の巫男を要求していたのだ。
私は湖畔村まで行こうと思っていたが、ここの湖畔村が全滅していることを知って、生き残りのメルフィを連れてきたのだ。
まぁ、連れてくる必要は無かったみたいだが……」
『貴様らは北斗七星の脇に輝く蒼星が見えるか?』
意味もなく連れてこられたことにメルフィの世紀末覇者も怒っている。
ちなみに私は死兆星を見たことはあるが、ここは黙っておこう。

「元の場所にはメルフィも含めてまだまだ私達も帰れないのだし、このまま連れて行っても良いと、私は思うのだがなぁ」
この前まで居た温泉村にメルフィを置いていったまま、瞬間移動でこっちまで来た負い目も実はある。

「それよりも元勇者はどこに行ったのだ?
姿が見当たらないが」

175 :ボンバー・アートマン ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/25(土) 11:12:36.25 ID:Rk/+JNb4
円環する虚空から曇りなき虹色の残留思念が獰猛に煌きその扉が開かれた

瞬間、白光に包まれる

煌々と光る意識の中の繭は夢を見ずに遠退く
繭の内部では境界を知らぬ顔の無い赤子が雑多な生き甲斐を飲み込んでは漆黒の銀河を偽っている
それは、場違いな赤子は繭をすり抜ける事無く夜泣きを繰り返し
地に乾いて落ちた感傷にぶつかっては仄かに笑みを放っていた

溜息で磨いた繭に時折、自身の視線が刺さり内側の異物に触れる
散漫な蠢きで細糸を一本一本綻ばせ現世に肉薄するのだろう


黒色の赤子が、虚無を肴にジェンタイルを眺めている
硫酸で肉を溶かし過ぎた科学者の失敗作と良く似た小指
羽織る衣には包み紙で被い損ねた溜息が張り付き
サイズを選び損ねたらしい子犬の首輪は居心地悪そうにすり減るのだろう
ベロウの影が消え、ぽっかりと空いた視界の白々しさの違和感の無さが逆に不安を引き起こす
あのメタルクウラの足を掴めるかを確かめたい。あの首筋に指を当て脈動を確かめたい
街はいつから項垂れた老人だけでなくローゼンまでもがうろつく様になったのだろうと
それにしても空はこんなにも晴れているってのに咳がこんなに止まらないのは何故なのか
立て付けの悪い塗装の剥げ掛けた木造のベンチに慎重に腰を下し
左の胸ポケットから南天のど飴を、右の胸ポケットから南天のど飴を取り出し奥歯を砕く

そんな夢をみていた彼はついに生まれ落ちる!

176 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/25(土) 11:13:37.42 ID:Rk/+JNb4
「さあな。やつのことだ。またびょっこり現れるさ」

メタルクウラを凝視し、凝結された意志を双眸と言葉に孕み、ボンバーアートマンは答えた。
対して、時は沈黙を保ったまま、静やかなさざ波で彼を包む。
冷酷さえ感じさせる静寂を経て――時が示した反応は、怒りだった

「おい!!答えろ!!ローゼン!!」

戒めるような口調だった。
だが、彼は一転して微笑みを返す

名前:ボンバー・アートマン
職業:悪霊
性別:男
年齢:0(生まれたてだ)
身長:281センチ
体重:無し
性格:嫉妬深い
外見:黒光りしている黒人幽霊
備考:生まれた時から死んでいる
世の中を呪っている

177 :創る名無しに見る名無し:2011/06/25(土) 16:59:14.57 ID:vQtc7Uz2
確か、他になり手がいなくて仕方がなくのなげやり人事じゃなかった?
大物じゃないと文句垂れるけど、大物は韓国なんかに興味ないし
めんどくさいから韓国系なら喜ぶだろって感じで

178 :創る名無しに見る名無し:2011/06/25(土) 16:59:53.81 ID:vQtc7Uz2
すまん、誤爆

179 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/25(土) 21:21:09.26 ID:N9M8IV8S
>170-173
爆風を避けるために伏せながら叫んだ。
「やったか!?」
しまったつい条件反射的に言ってしまった!

>「……馬鹿な。僕の炎の大精霊は……完璧だった。
 この都市に生きる全ての人間に、無敵の炎神だと信じさせたんだ。なのに何故――」
やった! まさかのフラグブレイクだ!

>「……ひとつ、真理を教えてやる。『1ラピュタ=1000フラクタル』――こいつがアニメ市場の結論であり、三千世界の常識だ」
「そうだったの!? どうしよう僕って常識が無かったんだ!」

>「――そうか。君か。君こそがまさに勝因だったのか」
「全然聞いてね――ッ!」
ハウっちゃんはジェン君の講釈はスルーで僕ばかりを見ていた。

>「君が自分の勝利を――信じたから、君は勝った。炎の大精霊は、僕は負けた。
 君自身が、君の勝因だったんだ。
 信じた未来を必ず掴める――驚いたな、それじゃあまるで君は――」
最期の言葉を言うことなくハウスドルフは消えていく。
「待って……まだ消えないで! 教えて! 僕は何なの!?」

>「ほら、こいつはお前宛てだろうぜ、ローゼン」
ジェン君が何かを投げ渡してきた。虹色に輝く石。それに向かって呟いた。
「気のせいだよ。
信じた未来を必ず掴めるようなチート能力がある人が田舎の公務員なわけないじゃないか」

>174
「クウ君、やったよ! クウ君も戦闘終了時にいたからちゃんと経験値入るよ!」
クウ君は水の巫男の代わりにメルフィちゃんを連れてきていた。
「あっ、メルフィちゃん! 
でも水の巫男ってあの時出かけてて襲撃免れたんじゃないっけ。まあいいや」
>『貴様らは北斗七星の脇に輝く蒼星が見えるか?』
そう言われて上を見上げる。
「北斗七星どこかな〜? そうだメルフィちゃん、天体観測をしよう!」

>「それよりも元勇者はどこに行ったのだ?  姿が見当たらないが」
その言葉にはっとする。
「あれ? 師匠……? 師匠どこ――!?」
師匠は忽然と姿を消していた。
初めていいところを見せて褒め言葉の一つでも貰えると思ったのに!
「ひどいよ! 頑張ったら肩車してくれるって約束したじゃないか!」
「みゃーお」
師匠から貰った猫がすり寄ってきた。抱き上げて肩の上に乗せる。
「安心しなよ、お前は僕が引き取る」

>176
>「さあな。やつのことだ。またびょっこり現れるさ」
僕はその言葉に答えられなかった。そいつが突然現れた事に唖然としたからである。
暫し沈黙が流れる。
>「おい!!答えろ!!ローゼン!!」
「えぇ!? 僕!? しーましぇーん!」
左のポケットからベルフェゴールオリジナルを、右のポケットからベルフェゴールオリジナルを取出し、一つ差し出す。
「師匠がくれたんだ。南天のど飴ほどではないけど有名な飴らしいけど食べる?
あっ、食べれない……かな?」

180 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/26(日) 04:41:45.58 ID:6GIKRCtm
>『貴様らは北斗七星の脇に輝く蒼星が見えるか?』
ギャー!メルフィさんの後ろの人マジギレしてらっしゃる!
この子も大概いい加減なキャラ設定してるよなあ。新米悪魔を宿したり、世紀末覇者背負ったり。
>「元の場所にはメルフィも含めてまだまだ私達も帰れないのだし、このまま連れて行っても良いと、私は思うのだがなぁ」
「だな。……ん?とゆうか、歴史軸を元に戻したとして、位置関係とかはどうなるんだ?」
魔王に歴史軸の歪みを正させた瞬間に俺たちは温泉村の大源泉に戻るのか。
それとも、元の歴史軸の、魔王城(仮)が存在する位置に居ることになるのか。
局所場指定とか地軸の回転とかいろいろめんどくさい理屈を考えなきゃだろうし、これについては保留しとこう。
<<伏線か>>
とりとめのない思考でも考えた傍から伏線になってくのはイヤだなあ。
余談が余談じゃ済まなくなるのは、モノローグ式の芸風でやってる俺たちにとっちゃそれはそれで怖いものなのだ。

>「それよりも元勇者はどこに行ったのだ?姿が見当たらないが」
>「あれ? 師匠……? 師匠どこ――!?」
「ん、そういやどこ行ったんだあのおっさ――」

振り向いて。
おっさんがそこにいた。

>「さあな。やつのことだ。またびょっこり現れるさ」
おっさんと言ってもあのドヤ顔ポエマー元勇者のことではなく、全然知らないおっさんだった。
全然知らないおっさんが、あたかもずっと前から会話に参加してたみたいな顔で言った。
南天のど飴を二つ、口の中で転がしている。リスみてーな状態だ。

>「おい!!答えろ!!ローゼン!!」
左右の頬に詰め込んでいた南天のど飴を噛み砕き、特有の甘草っぽい匂いを漂わせながらおっさんは叫んだ。
砕けたのど飴の破片が宙に飛び散る。気炎を吐きながらローゼンに詰め寄る。ローゼンは目を白黒させながら、
>「師匠がくれたんだ。南天のど飴ほどではないけど有名な飴らしいけど食べる?あっ、食べれない……かな?」
バター系の某特別な味飴を繰り出した。

俺は右のポッケから弥勒菩薩を、左のポッケから半跏思惟像を取り出して奥歯で砕いた。
「まずっ」
明らかに食い物じゃない系の苦味がしたので吐き出す。
「今ようやくわかったぜ……仏像は食う物じゃないってことによォォ〜〜」
<<この男、人間じゃないな>>
精霊の一種か?そのわりにはパワーストーンに準ずる媒体を使用してるでもなく、くっきりはっきり存在していた。
メタルクウラと似たような感じで、この星の物理法則に依存している存在じゃないのかもしれない。
どっちにしろ、ハウスドルフを倒した途端にこいつは現れた。
ボス戦直後の新キャラとくれば、こいつが次の敵になるだろうことは想像に難くない。
「先手必勝だ。間違ってたら謝ろう。ローゼン、離れてろ……超機動本尊!この異教の産物を滅却しろッ!!」
おっさんの直上から、超機動本尊のドデカイ拳が降ってくる!

181 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/26(日) 11:36:44.97 ID:Z2i39CDj
>「さあな。やつのことだ。またびょっこり現れるさ」
唐突に知らない奴が私達の前に現れた。
それにしても、こいつはでかいな。
変身したクウラと同じくらいはあるのではないか?

>「おい!!答えろ!!ローゼン!!」
まさか、このテンションの代わり具合は噂に聞くハジケリストなのか?

>「師匠がくれたんだ。南天のど飴ほどではないけど有名な飴らしいけど食べる?
>あっ、食べれない……かな?」
ローゼンが早速餌付けしようとしているし、ジェンタイルも混乱して仏像を食べ始めている。
唐突に現れた奴に場の雰囲気を支配されてしまった。
「まさか、何かの真拳の奥義を使われているのか?」
かの真拳の類には場の領域を支配したり、その者の精神世界に場を変容させたりする奥義があるらしい。

>「先手必勝だ。間違ってたら謝ろう。ローゼン、離れてろ……超機動本尊!この異教の産物を滅却しろッ!!」
ジェンタイルもそのことに気付いてか、仏像兵器を用いて突っ込みを入れようとしている。
「って、いきなりそれはやりすぎではないのか!」
まだ敵と決まったわけではない。
この世界では敵でも味方でも唐突に現れるものだ。
ハウスドルフとの戦いでレベルが上がった私は、何にもせずに事態を見守ることにした。

182 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/26(日) 17:13:30.85 ID:jMY4pbzt
漆黒の破顔を下地にし白色の前歯が横に零れる。
時は無いのだ。クウ/メルフィ/北斗七星/ねこ/共々一掴みにし
輝く蒼星と沈黙を堪能した悪霊は再び言葉を紡がんと天体観測に興じる――
>「えぇ!? 僕!? しーましぇーん!」
「しらばくれるなよローゼン。腹から血生臭い内臓を吐き出したいか?」
無限に轟く怒声が、膨張していた頬を萎れせると宙に飴玉の欠片が散華する。
恐怖に慄くローゼンは震える声で、
>「師匠がくれたんだ。南天のど飴ほどではないけど有名な飴らしいけど食べる?あっ、食べれない……かな?」
「食べるだろう。よこせ・・・。ボンバーは感謝する」
俯き、頬を紅色に染めたボンバーはベルフェゴールの飴を奥歯で噛み砕いたが
(否ッ!!感謝しないッ!!)と、ブッと飴を吐き、燃える瞳でローゼンを射抜く。
思考の中のカブトムシは何時までも真っ黒なまま。虫かごの蓋を開けた途端に生まれる真夏日の残暑が
星空を拉げて張り付いた憤怒を胸の奥で混ぜ返している。
「俺はボンバー・アートマンだッ!!やさしくするなぁあああッ!!」
膨張した頭が紅蓮の炎を宿せば怒気を孕んだ瞳が静かに閉じる。
血と怒りの河が滾る。黒色の体が赤黒く変貌する。

183 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/26(日) 17:14:50.40 ID:jMY4pbzt
かたや、ジェンタイルは仏像を食み、吐き出していた。、
>「今ようやくわかったぜ……仏像は食う物じゃないってことによォォ〜〜」
「ぐふふふふ・・・今頃わかったか!基地外どもが!肉糞さえも貴様の前では色褪せるであろうがな!!」
ボンバーは虚空に鎮座する。その姿はまさに鬼神。
生まれたての悪鬼は幾つ歳を取ったかを指を折って数えては、虫歯に詰め込まれた甘味を愛おしく反芻して
目の前のジェンタイルの言葉に耳を傾けた。
>「先手必勝だ。間違ってたら謝ろう。ローゼン、離れてろ……超機動本尊!この異教の産物を滅却しろッ!!」
「望むか!?破壊の権化よ!!」
迎え打つは超機動本尊――空隙を埋める重厚な質量――怒りの魂が激震する。
迎撃奥義=ボンバー砲――霊力の波動を、本尊の拳へと放出/しかし――敵わないと知る

184 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/26(日) 17:17:05.77 ID:jMY4pbzt
>「って、いきなりそれはやりすぎではないのか!」
事態を見守っているメタルクウラが同情の言葉を吐く。
超機動本尊の拳は、無情にもボンバー砲の奔流を押し戻し悪霊に迫りつつあった。
追いつめられたボンバーの額に太い血管が浮き上がる。両目が斜視となり口の端からは涎が落ちる。

「やられるのだから!!」
メタルクウラに助言を求め更に怒りを燃やすボンバーだったが次の瞬間
超機動本尊の拳がボンバーの脳天に触れ、目にも止まらぬ速さで悪霊の頭は二つに別れた。
魂の物語は上下巻と割り振られ上巻は深く血に埋められ、下巻はカブトムシとなり人を襲うだろう。
虫の羽は蒼穹の繁る宙を舞い、脳漿に取り残された片方の触角の折れたは肉虫は
生臭い脳の海で何を見るのか。自らをサイコロにして転げ回るも出目は判らず体液が地面に滴る
神々はお高く留まり寄せ付けもせず地獄の蝿たちは啜る血肉の欠片も無いと見向きもしない

「だからだが!!ローゼンよ!!わからのかッ!?」

号泣する肉の割れ目から大量の呪いのカブトムシが飛び出し皆に襲い掛かる!

185 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/26(日) 23:35:50.97 ID:b3ztB/5p
>180-183
血生臭い内蔵を吐き出す!? 何この人滅茶苦茶怖いんですけど!
そんなスプラッタな状態になったらイケメンキャラが崩壊する!
>「食べるだろう。よこせ・・・。ボンバーは感謝する」
差し出した飴はお気に召したようで一安心。と思いきや。

>(否ッ!!感謝しないッ!!)
飴を吐き出してものすごい形相で睨み付けてきた!
「ひぃいいいい!! ごめん! お口に合わなかった!?」
>「俺はボンバー・アートマンだッ!!やさしくするなぁあああッ!!」
「うぇええええええ!?」
なんてこった、新キャラをパーティーメンバーに引き入れる際の常識が一切通用しない!
やさしくしたら怒るのか!?

>「今ようやくわかったぜ……仏像は食う物じゃないってことによォォ〜〜」
「もうジェン君ったら! 僕言ったよ! 何でも口に入れたら駄目だって何度も言ったよ!」
全く目が離せない子!
最近はそんな事もなくなって安心してたのに恐怖のあまり幼児退行してしまったのね!

>「まさか、何かの真拳の奥義を使われているのか?」
「何!? 遥か古の真拳狩りで絶滅したといわれる真拳使いの生き残りだと……!?
だとしたら高確率でハジケリスト! そんなはずが……
しかしこのノリ、この不条理さ……まさか本当に……」

突然の戦闘パート突入で、分断される思考。
>「先手必勝だ。間違ってたら謝ろう。ローゼン、離れてろ……超機動本尊!この異教の産物を滅却しろッ!!」
>「望むか!?破壊の権化よ!!」

ボンバーはあっさりと真っ二つになった!
>「だからだが!!ローゼンよ!!わからのかッ!?」
「ええっ!? だからなんで僕!?」
切断面から大量の黒光りする虫が現れて襲い掛かってきた!
「ぎゃあああああああ!! ゴキブリだあああああああああああああああああああ!!」

走り回っていたらビアガーデンのテーブルの脚に躓いてずっこけた!
「あ……あ……」
もう駄目だ僕はゴキブリまみれになって肥溜めに放り込まれる運命なのだ。
絶望のあまり意識が遠のいていく。

186 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/26(日) 23:40:24.01 ID:b3ztB/5p
刹那の後。僕は冷厳なる宇宙のような笑みを浮かべていた。
神格の大悪魔/光と影の化身/通称大先輩。
「フフフ、あんまり脅かさないでおくれ。人間の体は厄介なんだ。
恐怖のあまり放送事故でもしたらシャレにならないからね」

右手で指パッチン。左手で指パッチン。一向に音が鳴らないのは風の精霊の悪戯か。
しかして億千万の夢幻の扉は開かれた。呪いのカブトムシは祝福の蝶に変化する。
緑の芝に美しく舞う。空に散る星々が背景を彩る。
「お前はキング・オブ・ハジケリストなのだろう? だが……」
星の欠片を掴むかのように手を握る。結んだ手をそっと開く。
そこにあるのは、Hを象ったペンダント/ハジケリストの頂点/王者の証。
「これを見よ、我こそが三千世界のあらゆる男《ただしイケメンに限る》を手にかけたキング・オブ・HENTAIだ……!」
言葉と共に凄まじいプレッシャーを放つ。あらゆる存在を傅かせる王者のオーラ。

巨竜が翼を広げるように、両腕を広げる。
「BL【薔薇】真拳奥義!! ドコデモドアーズ【世界の選択】!!」
現れる3つの扉。扉に刻まれしは不思議な記号=遥か異世界の文字。

――“Магма Пол”
――“Камень Газа.”
――“Держите Начала Снова”

「上から順番に マグマ床/石化ガス/ふりだしに戻る。信じるか信じないかは――自分次第。
君達はどの未来の扉を開く? 今こそ選択の時だ!!」

187 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/27(月) 03:14:22.26 ID:JXctL7dx
>「望むか!?破壊の権化よ!!」
おっさんが超機動本尊の拳を迎え撃つ。
>「って、いきなりそれはやりすぎではないのか!」
メタルクウラが常識的なツッコミを入れやがった。

お前はもっとイケイケでいいんだよ!
そういえば、最近そんなに突っ込んでないなあ、とか思う。
ボケ筆頭の大先輩がいなくなったからかな。
むしろこのところはローゼンのほうがツッコミ役になってたりして、常識人にさえなりつつあった。
これが成長か……オトナになるって、悲しいことなの。

>「やられるのだから!!」
そんなとりとめもない思考に没頭しちゃったのは、目の前の光景があまりにもあんまりだったから。
おっさんの頭部が二つに別れ、片方が大量の甲虫となって俺たちへ襲いかかってきた!

「ぎょえええええ!なんかもう色々と冒涜的だなこいつ!!」
炎魔法の使い手であることを今この時ほどありがたいと思ったことはない。
ベギラマ、メラミ、イオラ、ファイラ、フレア、エクスプロージョン、デトネイション、エトセトラ。
修めた限りの魔法を尽くし、俺は迫り来る甲虫弾幕に対抗した。
みよ、この神回避!火山で回避性能の神おま掘ってきた甲斐があったぜ!

>「だからだが!!ローゼンよ!!わからのかッ!?」
ちょくちょくおかしい言葉をあやつり、おっさんはローゼンにアタックする。
対するローゼンはあまりの恐怖に気でも触れたのか、薄ら笑いを浮かべて慄然と立ち上がった。

>「フフフ、あんまり脅かさないでおくれ。人間の体は厄介なんだ。恐怖のあまり放送事故でもしたらシャレにならないからね」
両手で指パッチンするも不発。
「あーーっ!その無様なオサレポーズ、まさかの大先輩!?」
重度の厨二病を患いし悪魔、大先輩の亡霊がローゼンに乗り移ったようだった。
いくら精霊適性が高いからって、悪魔まで憑依させて大丈夫なのかよ!?
「つーかいつからお前そんなイタコみたいなスキル身につけたの!?」

>「BL【薔薇】真拳奥義!! ドコデモドアーズ【世界の選択】!!」
ローゼンfeat大先輩はオサレ魔法でオサレゲートを開いた。
おもしろ黒人vsオサレイケメン。B級洋画世紀の大決戦だ。ピュリッツァー賞はカタいな。

「メタルクウラ、ローゼンがあいつを引きつけてるうちにバルサン買ってこい!」
俺は財布から千円札を取り出してメタルクウラに握らせた。
とりあえずバベル内をぶんぶん飛び回ってるこの蟲どもを黙らせたい。
俺の炎魔法で全部落とすには時間かかり過ぎるし、テンション萎えて力も出ない。
こーゆうときはアース製薬の最終兵器に頼るに限る。
「あ、ついでにからあげクンとおーいお茶買ってきて!レシートちゃんと貰って来いよ!まどかキャンペーンやってんだから」

188 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/27(月) 08:00:41.81 ID:XVBqxB+P
唐突に現れた奴も何かを放出して、仏像兵器の拳に抗うが、徐々に押されていく。

>「やられるのだから!!」
唐突に現れた奴は何しに来たと言わんばかりに、頭を真っ二つにしてやられてしまった。
彼は私の出オチクウラの称号を奪いにやって来たんだな、多分。
そんな彼の体の半分はカブトムシとなって私達に襲いかかってきた。
幼虫ならみんなで美味しく食べれたのだが、残念なことに成虫である。
ジェンタイルは炎の魔法で対抗し、ローゼンは走り回って逃げている。
私は便利な超能力で私の方に来るカブトムシの動きを奪い、ジェンタイルの操る炎の中に放り込んだ。

>「フフフ、あんまり脅かさないでおくれ。人間の体は厄介なんだ。
>恐怖のあまり放送事故でもしたらシャレにならないからね」
>「あーーっ!その無様なオサレポーズ、まさかの大先輩!?」
ローゼンが指パッチンを不発させる。
「悪魔も精霊の一種だからな。
ローゼンなら先輩悪魔の憑依先になってもおかしくないな」
ローゼンの指パッチンの効果は、カブトムシを蝶に変えることだった。

>「これを見よ、我こそが三千世界のあらゆる男《ただしイケメンに限る》を手にかけたキング・オブ・HENTAIだ……!」
「うわっ……」
これはさすがの私もちょっと引いた。
私はジェンタイルとローゼン一筋だから、他の友達でもない奴を襲うつもりは無い。
そう言えば、最近はジェンタイルを襲ってなかったな。

>「メタルクウラ、ローゼンがあいつを引きつけてるうちにバルサン買ってこい!」
>「あ、ついでにからあげクンとおーいお茶買ってきて!レシートちゃんと貰って来いよ!まどかキャンペーンやってんだから」
ジェンタイルが私に千円札を握らせてくるから、私はジェンタイルの股間を握った。
「二次よりも惨事の方がお前の好みだろう」
どこが惨事かと言うと、お尻の穴が大惨事。
あぁ、いつもよりも大胆だな。
これもローゼンの真拳の影響か……

>「上から順番に マグマ床/石化ガス/ふりだしに戻る。信じるか信じないかは――自分次第。
>君達はどの未来の扉を開く? 今こそ選択の時だ!!」
私はジェンタイルを小脇に抱えてローゼンの下へ。
「とりあえずコンビニまでの扉を開いてくれ」
私はローゼンにそう言った。

189 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/27(月) 22:45:55.97 ID:4t96etjS
昆虫の死骸のようなものが詰まり隻眼熱を帯びたと思えば
左脳に痛みがじわりと広がって我慢ならざる今が覆いかぶさる
孤独を胸に問うても答えなく。ただぬるい涙、音もなく落ちるのみ
追憶の箱は希望あれども災いの塊、血の海に沈まん
「苦しみの箱庭に産み堕とすか!?ジェンタイル!」
無と無限が生み出した歎きの上巻は、蟲を焼くジェンタイルを飛び越え
混濁した意識へと霧散するローゼンの魂へ肉薄する。

>「BL【薔薇】真拳奥義!! ドコデモドアーズ【世界の選択】!!」

気がつけば飛び交う呪いのカブトムシは祝福の蝶へと生まれ変わっていた。
ボンバーはローゼンの姿に畏怖する。冷厳なる宇宙を内包する瞳。脇汗とともに染み出る王者のオーラ。
そして、虚脱した悪霊の半身は巨竜の如く両手を広げるローゼンのもとで片膝をつく。

「あなたは俺を受け入れたのだ。その広げた両手は偽りではない!」
起立/抱擁/開かれる/心の扉/ボンバー/赤ちゃん
愛されたのだ。ボンバーは初めて人に愛された。

「さあ!ジェンタイル、メタルクウラ!ここは俺に任せて先へ行け!!」

ボンバーはバベルに一人残り、祝福の蝶たちへと立ち向かう。
だが奮戦も空しく、彼は祝福されながら天へ召されたのであった。

【たくさんありがとうでした。一先ず引退です。また時間があったら宜しくです!】

190 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/28(火) 02:03:12.58 ID:ckmvmQMJ
>187-189
>「あーーっ!その無様なオサレポーズ、まさかの大先輩!?」
>「つーかいつからお前そんなイタコみたいなスキル身につけたの!?」

「ククク、久々に表に出て来たというのに人違いかい? ああ、指パッチンがいけなかったか。
この僕を某匿名掲示板のような名無しの悪魔と一緒にするんじゃない。
これは特別サービスだ、よく見ときなよ」
指を空中に滑らせる――浮かびあがる光の線/虚空に描かれるオサレ文字。
描かれたそばから溶けるように消える。
―― Roseblood 
果たして読み取れただろうか。

>「うわっ……」
「おっと、ドン引きしないでくれるかな?
僕は本来実体を持たぬ存在。ただ思うだけで想いは遂げられるのさ」
『おーっと、ここで単なる危ない妄想家という説が浮上! それでも変態には変わりはない!』

>「二次よりも惨事の方がお前の好みだろう」
あまりの凶行に絶句/顔を背ける。
「ちょっおまっ……! 無…礼…者お!! 僕の華麗で耽美な世界を猥褻行為でぶち壊すなあ!」
登場タイミングを誤ったのか――あまりにも不当な扱い。
そこに跪くは悪霊の半身――否、今や罪を赦された聖霊。
「ああ、そうしてくれるのは君だけだ……!」
>「あなたは俺を受け入れたのだ。その広げた両手は偽りではない!」
「さあ、僕の胸に飛び込んでおいで!」
交わす抱擁。背景に散る薔薇の花弁。

>「とりあえずコンビニまでの扉を開いてくれ」
「こんな感動的なシーンでコンビニだと!? 僕を何だと思っている!?」
その刹那。唐突に電波――地の文を受信。
―― 脇汗とともに染み出る王者のオーラ。
酷過ぎる。あまりに酷過ぎる。
「う、うわぁああああああああああああああ!! だから人間なんて碌な事がないんだ!!」
動転/絶叫。世界の選択はコンビニの選択へと形を変える。

―― セブンイレブン
―― ローソン
―― ファミリーマート

真ん中のゲートを潜る/Ag+を手に取る/カウンターに置く。

191 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/28(火) 21:04:44.99 ID:CS/k6NxC
我欲の塔に朔風が吹けば、移ろう時に夏は去るのだ。想いの終焉はまるで蝶の羽のように
出会いの数ほど決別の、未知の道行く無知の勝ち
ジェンタイルは行くのだろう。選択の時は再び邂逅の時にあり
「どこでもまどか!」
コンビニから流れ出たまどかを見つけるも、曇り空の向こうにやる気無くボンバーが窪む
車道は昼に擦られた所を力無く休ませ街路樹や街灯が慰める

「ジェンタイル!?きさまか!?まどかか!?」
木の幹は毒に痩せこけ電球は切れ掛かりお互い満身創痍だってのにご苦労な事です
染み付いた遠吠に背筋が粟立ち振り返る事も出来ず縮こまるまどかはコンビニで買ったバルサンに朝露を溜める

「メタルクウラ!最後のバルサンは売切れか!?」
カッコンカッコン鳴る噛み合さらない顎を抱え、不幸の蜜を集めるため他人のために生きるため
コンビニ内部も悲鳴を銃声で塗りつぶすばかりで痛んだ腰を闇に溶かし見るとも無しに空を見る

「おう!」

聖霊は太陽の如くメタルクウラを見つめたが奥歯から校門を引きずりだす

「ローゼンは下キタが嫌いなだから!守るに値しないが!」
「それだ!!」
「いけ!」
「おう!」
時は過去から未来へ過去から空間がいななく
聖霊ボンバー・アートマンは生命溢るるコンビニに生まれ変わった!

【よろしくお願いします!】

192 :創る名無しに見る名無し:2011/06/28(火) 23:26:31.92 ID:WtsqmM+P
「いらっしゃいませ」

商品補充の手を止めてレジに入りしは180cm、20代後半のくたびれ果てた男
どことなく雰囲気の似た180cm20代はそのままパンの補充を続けている
雑誌コーナーにはマンガを手に立つ168cm65kg、パンチパーマ風の髪型とたらこ唇を備えた40代の男
弁当コーナーで腕組みして品定めするは筋骨隆々の中年大男と
肩まである長髪を備えた185cm75kg40歳の侍
スイーツコーナーには和装の美女が2人
日用品コーナーではコック帽にコック服の180cm80kg20歳が石鹸をカゴに入れていた

「お会計473円になります」


193 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/29(水) 00:41:32.19 ID:lc/BWb28

>「二次よりも惨事の方がお前の好みだろう」
「ねえええええええよ!一秒ごとに世界線を越えてもねーよ!!」
あろうことかメタルクウラのやつ、俺の尻を掴みやがった。
あーでもなんだろうこの、すげー久しぶりな感覚……

>「上から順番に マグマ床/石化ガス/ふりだしに戻る。信じるか信じないかは――自分次第。
>君達はどの未来の扉を開く? 今こそ選択の時だ!!」

>「とりあえずコンビニまでの扉を開いてくれ」
「お前が決めちゃうの!?おっさんは――」
おっさんは。
>「さあ!ジェンタイル、メタルクウラ!ここは俺に任せて先へ行け!!」
「うええええええええ!?」
脇から大量の汗を流し、その汗が蒸発して夢幻の霧を湧き起こす。
幻影の向こうから現れた意味不明な軍勢とおもしろ黒人は激突し、奮戦し、そして撃墜された。
「おっさああああああん!!」
伸ばした腕の向こうで指が空を掻いて、そのまま。
俺たちはローゼンの開いた扉の向こうへと吸い込まれて行った――。

>「う、うわぁああああああああああああああ!! だから人間なんて碌な事がないんだ!!」
ローゼンfeat.よくわからん人の罵声で目が覚める。
きっと憤っているんだな……異なる出会い方をしていれば、俺たちはあのおっさんと仲間になれたはずなんだ。
だけど、最期の最期であのおっさんは、確かに俺達を護った。
俺たちは守られて、五体倒地でここにいる。悪霊に芽生えた究極の隣人愛――奇跡は、間違いなく起こったんだ。
「たすかったぜ……ボンさん……」
知らないはずの名前が無意識の花弁となって散った。

194 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/29(水) 00:42:28.09 ID:lc/BWb28
「君たち、何をサボってるんだ。そのポーズはなんだ、大自然と戯れるアタシ可愛い系スイーツごっこか!?」
白髪混じりの七三分けの下に銀縁眼鏡を装着した、典型的なくたびれた中年男性が、寝そべる俺の足元に立った。
どっかで見たことある。
「ってあれ!牧師さん!?」
辺境村ですべての発端を創った、あの牧師さんが、何故かローソンの制服を着て立っていた。
それだけじゃない。俺も、ローゼンも、メタルクウラさえ、各々にサイズのあった青ストライプの制服を着用していた。
「牧師さんとは誰だい。そんなことより、研修も最終日だ。きみたち三人がいきなりバイトをしたいとやってきたときは、
 一体何ごとかと思ったが……即戦力になりそうでなによりだよ。今日は本社のSV(スーパーバイザー)を紹介しよう」
なにかがおかしい。記憶が混線してるのか、はたまた因果に狂いが生じたのか。
あるいは、ハウスドルフの置き土産なのか。その公算は大きい。認識をイジるのは奴の専売特許だった。
ここでは『そういうこと』になっているようだった。俺三人は、ローソンに新規雇用されたバイトクルー。
あ、ちなにみSVってのはフランチャイズの本社から定期的に来る経営相談役のことね。
小売業には大抵いるんだけど、いわゆる経営指南とか発注の擦り合わせとかをやってくれる人。

このコンビニでの牧師さんの立ち位置は、どうやら店長のようだった。
田舎のローソンによくある馬鹿でかい駐車場にローソン本社の営業者が乗り付け、ドアが開く。
降りてきたのは、メルフィちゃんだった。姿が見えないと思ったら。
「なんで!?」
〔わたしなの〕
ハイライトのない瞳で応えるメルフィちゃん。否、彼女はメルフィちゃんではない。
この舌っ足らずな喋り方、後ろに見えない世紀末覇者、独特の粘っこい魔力の波長……
「お前いつぞやの、ローション精霊!」
メルフィちゃんは、ちがうちがうと首を振った。指を立ててちっちっちと舌を鳴らし、
〔ローションでもポーションでもないの。いまのわたしは――ローソン精霊〕
ドヤ顔。
渾身のドヤ顔。ははは、うぜーっ。

そのとき、ローソンの店内放送スピーカーから弩声。
やっぱり聞いたことあるその声は、悪霊のようなおどろおどろしさが消えていた。
>「どこでもまどか!」
「おっさん!生きてたのか!」
「ん。きみ、オーナーを知ってるのかい」
「オーナー?」
「そう、このローソン魔王城下町店のオーナー、ボンバー・アートマン氏だよ。普段は滅多に姿を見せないんだが……」
そういうことになってるらしかった。

>「ジェンタイル!?きさまか!?まどかか!?」
「まどかじゃねェっス!あ、この弁当廃棄時間過ぎてるんで裏持ってって食っていいスかね」
こうしてアルバイト編が始まった。

>>192
このローソン魔王城下町店はマチのほっとステーションなのでそれなりに繁盛している。
早朝のラッシュを捌き、昼前の客の少ない時間帯を縫うように床にポリッシャーをかけ、ゴミ箱を空にする。
昼頃には近隣の大学やオフィスから客がどっと流れこむのでそちらの対応に手一杯だ。
夕方は学校帰りの高校生がジャンプを立ち読みしていくし、夕勤に入った若いクルーとも上手くやっていかないといけない。
夜勤は楽だ。一人か二人での勤務だから会話も最小限で済むし、なにより客が少ない。
この季節は光につられて入店してきたコガネムシとかカミキリムシの対処に追われるけれど、慣れればこれも割と楽しいもんだ。

オーナーのボンさんは「それだ!!」とか「いけ!」とか「おう!」しか言わないけれど、最近はだいぶ意思疎通もできてきた。
いいね、勤労のよろこび。魔王城下町は時給も良いし、このままここに骨を埋めるのもアリかな……
「ああ、働くのって楽しいなあ!どう思わねえかお前ら!」

195 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/29(水) 01:51:14.67 ID:hcfgCL79
>「こんな感動的なシーンでコンビニだと!? 僕を何だと思っている!?」
唐突に現れた変な奴と抱き合っているローゼンに、私は言った。
「変態の世界チャンプではなかったか?」

>「さあ!ジェンタイル、メタルクウラ!ここは俺に任せて先へ行け!!」
「あ、あぁ。何を任せるかは私は知らんが、ちょっと先にコンビニに行ってくる」

>「う、うわぁああああああああああああああ!! だから人間なんて碌な事がないんだ!!」
ローゼンがローソンへの扉を開き、私達は吸い込まれていった。

>「メタルクウラ!最後のバルサンは売切れか!?」
あの唐突に現れた変な奴の声が放送に流れる。
私はバルサンの置かれている棚を見ていたが、品切れを起こしていた。
私はジェンタイルから貰った金で、雑誌コーナーに行き、週刊少年マガジンと週刊少年サンデーを手に取り、レジに向かう。
おっと、飲み物を忘れていた。
コーラのペットボトルを選んで、再度レジに向かった。

>「ああ、働くのって楽しいなあ!どう思わねえかお前ら!」
「ふっ、変われば変わるものだな。あのお前が真面目に働くとは」
レジの向かい側に立っているジェンタイルに、雑誌とコーラを渡す。
仕事をしているローゼンの方を見てみれば、あいつも仕事をする姿が様になっている。
もう立派なローソンメイデンだ。

「お前達と共に働けないのが残念だ」
私は未就学児だったのがバレてクビになり、今春から王立の小学校に通うことになった。
ローゼンには保護者をやってもらっている。

「そう言えば、昨日は家でお前達にこれを渡すのを忘れてしまった。
仕事中にすまんが、これを受け取ってくれ」
私は背中の赤色のランドセルを開いて、一枚のプリントをジェンタイルに渡した。
明日の授業参観のお知らせだ。

196 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/29(水) 22:52:59.71 ID:2Wlge3ci
>191-195
「なぜだ……!? 裏人格の超重要人物が表に出て来たのに誰も相手にしてくれない……」
僕はがっくりと膝をついた。
『ギャグパートで出て来たのが間違いでしたー、残念!』

>「君たち、何をサボってるんだ。そのポーズはなんだ、大自然と戯れるアタシ可愛い系スイーツごっこか!?」
一瞬でOTLポーズから直立する。
「あ、れ……? 牧師さん? なんでコンビニに?」
自分の姿を見下ろす。なぜかローソンの制服。直前の出来事を思い返す。
四天王の最初の一人を撃破して変な奴が現れて……

>「牧師さんとは誰だい。そんなことより、研修も最終日だ。きみたち三人がいきなりバイトをしたいとやってきたときは、
 一体何ごとかと思ったが……即戦力になりそうでなによりだよ。今日は本社のSV(スーパーバイザー)を紹介しよう」

目の前で起こる一連の出来事を見て思い直す。
そうだ、ちょっと前にローソンにバイトをしたいと言って飛び込んだんだったな。
RPGじゃあるまいし何が四天王(笑)だ、暑さで頭がおかしくなってしまった。

>「ああ、働くのって楽しいなあ!どう思わねえかお前ら!」
>「ふっ、変われば変わるものだな。あのお前が真面目に働くとは」
「そうそう、ジェン君ったら昔は盗んだゴーレムで走り出したりして大変だったんだから!」

月日は矢のように流れて行った。
コンビニ店員業にも慣れたころ、クウ君が小学校に入学することになった。
>「お前達と共に働けないのが残念だ」
「バカな事を言うんじゃない。クウ君はそんな事を気にしなくていいんだ。
今はコンビニ2階の安アパート暮らしだけどいつか立派な家を建てるからな!」

>「そう言えば、昨日は家でお前達にこれを渡すのを忘れてしまった。
仕事中にすまんが、これを受け取ってくれ」
「もちろん行くぞ! パパ頑張ってお洒落しちゃうからなー」


仕事が終わってコンビニ2階の安アパートに帰ると、オカンが待ち構えていた。
「もうお母さん! 勝手に来ないでって言ったでしょ!」
「可愛い孫の顔を見に来るぐらいいいじゃないか。
速い物だねえ。ちょっと前まで顔アリペプシマンだったのがすっかり可愛い娘さんになって……」

オカンは何やらデパートの袋を取り出した。
「明日授業参観があるんだろ? お前とジェン子ちゃんにこれを持ってきてやったんだ。着てお行き」
言わずと知れたファンタジー世界の正装、勇者&魔法使いのペアルックだった。
「うわあ、ありがとう! ジェン君にとってもよく似合いそうだよ!」
「共に世界を救った勇者と魔法使いは永遠に結ばれるという言い伝えから来ているんだよ。
ロマンチックだねえ!」


そして一夜明け、授業参観の日がやってきた。
鏡を見ると、勇者ファッションに身を包んだ自分が写っている。
今時勇者ファッションなんて、21世紀の日本でチョンマゲ帯刀で歩くがごとし。
ぶっちゃけ有り得ない……事もない! いや、超アリだ! 着た事なんて無いはずなのに妙にしっくり来る。

「ジェン君、急がないと始まっちゃうよ!」
僕はジェン君に声をかけた。

197 :創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 01:05:19.97 ID:WxVsgaj/
「月日は百円台の価格にゃにゃてコンビニ棚を行き交う灰色の人影もまた三千異世界の旅人にゃ・・・?」
ねこは元気のもと1/4と引換えに手に入れたAg+と27円を抱えて時空の狭間で箱坐りしていた。


198 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/30(木) 02:20:34.14 ID:5nLucx4R
>「たすかったぜ……ボンさん……」
「夢ではあるまいが!ジェンタイル!いやジェンキンスよ!」
スピーカーの上から顔を上げると北にはキャンピングカーに拉致されたジェンキンスが朧気に映る
無数のコンビニの選択を下顎で飲み干すが如く聖霊になったボンバーは随分と賢くなったようだ
コンビニの冷房に丸め込まれた炭酸飲料水の蓋の隙間から、血眼の男が噴き出し悪魔のスナイパーたちに撃ち殺されるように……
>「お会計473円になります」
「おう!」
鳴り止まない拍手に何時までたっても慣れず、ただ立っているだけでフラフラと揺れて
血が足りてないとか気が足りてないとか何が詰まってるんだと言えば宿便くらいな物だと神々も絶賛する
>「まどかじゃねェっス!あ、この弁当廃棄時間過ぎてるんで裏持ってって食っていいスかね」
「まどかに誓え!コガネムシ!!カマキリにはなりたくないだろう!」
「はい!」
怒り心頭のカマキリが、メタルクウラに負けじとジェンタイルの校門を床に叩きつけては食いちぎる
惨劇に幾度となく繰り返される店内放送が山脈から血脈へとこだまする
「肉を食い破り骨を埋めろ!ポリッシャーをかけながら!」
時/経過/学校
「ただいまませ」
教師は自我が膨らむである。したがって、家族や社会の束縛とか規範とか規則から
自由になりたいと願うのである。またそのためにも、我欲が旺盛になるのである
見果てぬ先を夢見て
「この答えがわかるますか?ジェンタイ君」
爪先を悴ませて黒板を切る。チョークの先で黒板を耕しまどろむ子供に種を授ける
物語の終わりの先に教師の奮う愛の先に夢から零れた花が咲く
目の中に燈る火を掲げて教室の森の中で聖火を囲み此処折々の掌が開かれ
溢れる清水が春を紡いだが、そのまだ啓き切らない瞳を闇にくれてやるのは少し惜しい数式
ジェンタイルは答えられるか

「ローゼン君は身体検査の時間だ。勇者の衣は没収する」
大人帝国の綻びを草木の芽が飾り立て一陣の風として一匹の猫として
ただ在るがままに破られた衣服を、この四本の足で切り裂こう
「メタルクウラ君」
「おう!」
肥え駄目で踊る狂人のように果ての見えぬ宇宙に漂う小石にように
私が私であり続けるが為にあなたがあなたであり続けるが為に地すらない空白を這って行け
無様に転げまわり精々あたりを汚してしまえ
震度ハチ公が学校のグラウンドを駆け、文化祭の嵐が巻き起こる

199 :坂本竜馬 ◆BxuW6.vHG6.P :2011/06/30(木) 02:31:04.81 ID:PCNfCt27
「新しい日本の世明けぜよ!!!
はぁ〜わしの体からも汗がふきでちゅうがぜよ。
こん年もあつうぅて仕方ないぜよ。」

1人の男が職員室でふんどし姿で太陽を見つめている。
ちなみに今は午後2時半である。

名前:坂本竜馬 (またの名をスパイダーマン)
職業:侍 兼 ヒーロー
性別:男
年齢:30代 中肉中背
性格:竹を割ったような性格
外見:ざんばら髪気味の髷 少しばかり汚い袴
備考:土佐の浪人。たまにスパイダーマンに変身する。

200 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/30(木) 03:35:46.72 ID:D+6WgNOx
ティロティロリローン♪
「っしゃいませー」
いつものように前陳をしながら自動ドアの方へ向けて声を張り上げると、そこにいたのはメタルクウラだった。
制帽に名札、それからピッカピカの赤いランドセルを背負っている。
この春からめでたく新入生になったのだ。
顔有りペプシマンのツラで小学生とか出オチ以外の何者でもないけれど、
そこらへんは空気読んだのか女たるクウラモードだった。
しかも心なしか幼い。童女モードて。凄いテコ入れしたなお前。

>「ふっ、変われば変わるものだな。あのお前が真面目に働くとは」
「おうよ、最近正社員にならないかって誘われててさ!雇用試験に向けて猛勉強中だぜ!」
社員にさえなれば社会保険もつくし、厚生年金も受けられるようになる。ローンだって組めるんだぜ!
端的に言って俺はこの仕事にやりがいすら感じていた。
発注とかも任されるようになって、なんていうか、人の役に立ってる感じ。

>「そうそう、ジェン君ったら昔は盗んだゴーレムで走り出したりして大変だったんだから!」
「へへ……あの頃、迷惑かけた大人たちにさ、なにかしら恩返しがしたくってさ……ん、ゴーレム?」
俺はここで真人間になる!社員になって、家も立てて、ローゼンやメタルクウラと穏やかに暮らすんだ。
それはきっと幸せで、楽しい未来だと思う。
最近はとみに、自分の将来について想いを馳せる時間が増えた気がする。
それも夢だとかそういう抽象的なことじゃなくて、地に足つけた将来設計。
何歳の時に貯金がいくら貯まってるか、とか。

深夜とかにレジやっててさ、へべれけに酔っ払ってんだけど家族へのお土産は忘れてないおっさんとか見てるとさ。
ああ、こういう大人っていいなあ、とか思ったりするんだ。
こんなの、昔じゃ絶対に思わないことだった。
ん?昔?むかしってなんだ?俺って昔なにやってたっけ?
そういやいつの間にかバイトに馴染んでるけど、俺って大学に行きたいんじゃなかったか……?

>「そう言えば、昨日は家でお前達にこれを渡すのを忘れてしまった。仕事中にすまんが、これを受け取ってくれ」
メタルクウラの声で思索の海から緊急浮上。
ランドセルから出したのは、藁半紙のプリントが一枚。
「授業参観……」
そのお誘いだった。
>「肉を食い破り骨を埋めろ!ポリッシャーをかけながら!」
「っひい!サボっててすいませんしたあ!」

俺たちの仮住まいはローソンがテナントに入ってるビルの二階、安アパートの一室だ。
小売店と同じ屋根の下の宿命として、深夜も結構騒音があるけどその分安いし良い部屋だと思う。
職場が徒歩ゼロ分だしな!雨降ってても正味問題ねえし。

201 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/30(木) 03:36:00.86 ID:D+6WgNOx
>「ジェン君、急がないと始まっちゃうよ!」
今日はメタルクウラの通う小学校に授業参観のお呼ばれだ。
何着てきゃいいんだろう、俺スーツとか持ってないよ!?みたいなこと言ってたら、ローゼンのオカンがおべべをくれた。
「これが正装……だと……?」
オカンに贈られたのは、ファンタジー世界の魔法使いが着てそうなローブだった。
十年一日の如くを貫くくたびれ方。
いまどきねずみ男だって着ねえよ、こんなの。
と思ってたんだけど袖を通せばあら不思議。何故だかすげーよく馴染む。馴染むッ馴染むそッ!みたいな。
あっれえ?

こちらも何故か勇者ルックのローゼンと共に、アパートの階段を蹴立てて降りる。
安っぽい鉄板の階段は、足元で快音を奏でる。
勇者に魔法使いのコスプレ。このままワンフェスにだって行けちゃうぜ、ははは。
王立の小学校は幸いにも歩いていける距離にあったので、俺たちは可及的速やかに現場に急行した。

「これは……厳しいな……」
周囲の目線がイタい。
イタい人を見る眼だ。正装すがたのおっちゃんおばちゃんの中に、勇者と魔法使いがポツネンと。
これで浮かないほうがどうかしてる。
メタルクウラの姿をめっけたので引きつった笑顔で手を振っておいた。

>「この答えがわかるますか?ジェンタイ君」
黒板の上にチョークを滑らせていた先生が、俺の方を顎で示して問うた。
「父兄に聞いちゃうのお!?」
っていうか!先生オーナーじゃねえか!え、なに、兄弟?ああもう、すげー注目集めてるし!ええい、ままよ!
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
とりあえずさんすうの問題なぞ、禅問答に巻き込んでうやむやにしてくれるわ!
俺はさんすうとか数学ってやつが反吐が出るほど嫌いなんだ。
こいつのせいで受験失敗したと言っても過言じゃねえ。

……ん。また記憶が混線した。
高校出てすぐに働き始めて、センター試験受けたことなんかないはずなのに、マークシートを塗りつぶす感覚が手に残ってる。
どうなってんだ一体。

>震度ハチ公が学校のグラウンドを駆け、文化祭の嵐が巻き起こる
午後も二時半ごろに差し掛かったあたりで、グラウンドに形成されつつあった文化祭準備の見学と相成った。
こうやって準備工程を保護者に見せることで、ちゃんと安全管理がされてることをアッピルしてるのだ。
>>199
>「新しい日本の世明けぜよ!!!はぁ〜わしの体からも汗がふきでちゅうがぜよ。こん年もあつうぅて仕方ないぜよ。」
ドギツイ方言を喋る先生が職員室で西陽に当たっていた。
オレンジ色に輝く肢体は褌一丁。
「いいかメタルクウラ、お前も昔はあんなんだったんだぞ。今のお前は、あんな大人になっちゃいけないぞっ」
っていうか教師なのかよ。ボンさんもびっくりだわ。

202 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/06/30(木) 03:45:56.53 ID:D+6WgNOx
>>199
【よろしくお願いします!】

203 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/06/30(木) 05:00:15.40 ID:bjF22Kr1
>「もちろん行くぞ! パパ頑張ってお洒落しちゃうからなー」
>「授業参観……」
私は一つの覚悟をして言った。
「あぁ、父さんも母さんも来てくれ」
ローゼンを父とし、ジェンタイルを母とする覚悟。
もう、長年の友人ではない。
かけがえのない両親に、二人はなったのだから。
「では、学校に行ってくる」


授業参観の当日となり、私は父さんや母さんより早く学校に行く。
父さんと母さんは昨日の夜からそわそわしていた。
楽しみにしているのだろうな。
恥をかかせるようなことはできんな。

授業参観の時間となり、児童達の父母が教室内に入ってくる。
きちんとどの父母も正装をしているが、私の父さんと母さんだけは勇者と魔法使いのコスプレをしていた。
なんで私の父さんと母さんは、正装であるフリーザ軍の戦闘服を着てこないのだっ!
母さんは私に向かって手を振ってくる。
だから、私は手を振り返してやった。
『メタルクウラ様の御両親は随分と変わった感性をお持ちですな』
部下である隣の席に座った児童が言ってきた。
私の顔は真っ赤に染まった。

>「この答えがわかるますか?ジェンタイ君」
何故か担任は父さん達の職場のオーナーである。
それに、ここは児童達に答えさせるのが筋ではないのか?
母さんは算数とは違うことを答えるし。

>「ローゼン君は身体検査の時間だ。勇者の衣は没収する」
今度は担任が父さんの勇者のコスプレを剥いで破り、素っ裸になった父さんの巨根が公衆の面前でさらけ出されるし。

>「メタルクウラ君」
「なんでしょうか?」
>「おう!」
この授業参観はもう駄目だ。

授業参観も終わり、保護者達と一緒に文化祭の準備の見学をする時間となる。
>「新しい日本の世明けぜよ!!!
>はぁ〜わしの体からも汗がふきでちゅうがぜよ。
>こん年もあつうぅて仕方ないぜよ。」
>「いいかメタルクウラ、お前も昔はあんなんだったんだぞ。今のお前は、あんな大人になっちゃいけないぞっ」
職員室の褌姿の教師を見て母さんが言った。
「分かってるさ、母さん。
脱ぐ時は下着すらも脱ぎ捨てて全裸になるのがマナーだからな」
そう言った私の体を光が包み、幼い体が真っ二つに裂けて、中からクウラの姿の私が飛び出る。
「このようにな」

204 :創る名無しに見る名無し:2011/06/30(木) 11:19:52.10 ID:neVc1bsG
バベル編は何か全員が物凄いマイナス補正に包まれてたわ
ジェン君は突っ込まない、メタルクウラは通常営業、ローゼンはボケない・・・

205 :坂本龍馬 ◆BxuW6.vHG6.P :2011/06/30(木) 22:04:04.32 ID:PCNfCt27
教壇に立つのは袴姿の男であった。
坂本龍馬と名乗るその男は机に腰掛けながら不敵な笑みを浮かべ
股間をまさぐり始めた。

「わしがこのクラスを受け持つ坂本ぉ〜龍馬ぁいうもんじゃ!!
おまんらが楽しく勉学できるよう、がんばらして貰うからの!!
よろしゅう頼むぜよ!!」

破顔一笑、龍馬は歴史のプリントを配り始めた。
そこには江戸時代の医学に関しての内容が書かれていた。

「ペ○スリンいうもんを作ったえらい先生がおったんじゃ。
保健室におる先生じゃ。」

「違いますよ、竜馬さん。ペニシリンですよ。」

龍馬の隣に現れたのは紺色の着物を着た大沢たかおみたいな顔の男だった。
彼は胡散臭そうな笑顔を浮かべてその細い目をメタルクウラへ向けた。

(「あっ、あれは……!?まさか、僕の行動のせいで知っている未来と違いが
生じてしまったのか?医学の進歩であんな化け物まで……!!」)

男の心の声が字幕になって空に浮かぶ。
彼は南方仁。この前大好評のうちに終了したTBSのドラマの主人公である。

名前:南方仁 (またの名を大沢たかお)
職業:医者
性別:男
年齢:30代 細い
性格:よく心の声で喋る よく泣く
外見:まぁまぁ池面 狐目
備考:エド時代にタイムスリップした外科医。
物語の進行上の都合が悪くなると頭痛がする。






206 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/06/30(木) 22:27:23.67 ID:5nLucx4R
>「説破!世界は一にして全!全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全!全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」

学徒達が君が代の代わりに唄うは、ジェンタイルの回答、神曲『心得マッスル二千十一』
空に少年天使の声が溶ければ、巨根が飛び出し花弁散る
「おう!3Dかローゼン!」
双子ボンバーは肉と肉を噛み合わせ弾けては苦笑。肉湯気で曇った窓ガラスに肉蟲たちが這う。

そして……

>「わしがこのクラスを受け持つ坂本ぉ〜龍馬ぁいうもんじゃ!!
おまんらが楽しく勉学できるよう、がんばらして貰うからの!!
よろしゅう頼むぜよ!!」

「おう!」
オレンジ色/肉/発光/坂本龍馬
ペプシ/脱皮/メタルクウラ
「坂本先生!わしらも皮を脱ぐの時!おまんのスパイダーマンを見せる時がきたとよ!」
双子の生徒が皮を脱げば中から二倍(当社比)の双子が現れた。それでも業務を忘れない店長は校舎に一瞥くれ

「おい、ポリッシャーはどうしたジェンタイル。ポリッシャーの時間だぞ。今すぐかけろ!今すぐにだ!」
厳粛の極み。鬼気たる鬼店長、緩慢たるジェンタイルの胸倉掴みし眼球に唾吐きたるは家族の眼前。大地から現れたポリッシャーがそそり立つ!

「おう!坂本先生!いけ!ジェンタイル君!メタルクウラ君にあなたがたの愛を見せる時がきたのだがね!!」

【坂本さん。大沢さんよろしくお願いします!】

207 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/30(木) 22:59:10.88 ID:4F42Qk35
>198-203
僕達のあまりにイケてるファッションに、周囲の視線は釘づけだ! この夏キちゃうかも!
>「これは……厳しいな……」
「こんなにじろじろ見られたら照れるよね!」
クウ君に満面の笑みで手を振る。

>「この答えがわかるますか?ジェンタイ君」
>「説破!世界は一にして全、全にして一と心得まする!」
「あはは、分からないでやんの! ちゃんと勉強しないから!」

と、呑気に笑っていると。
>「ローゼン君は身体検査の時間だ。勇者の衣は没収する」
「ぎょえええええええ!? 何でだああああああああああ!!」
脱ぎ芸はローティアス編からの定番ネタとはいえ無理がありすぎるだろ!
ん? ローティアスって誰だっけ。
とにかく時空の狭間からAg+と27円を抱えたねこが現れ、4本の足で服を器用に切り裂く。

素っ裸にされた上に、おやつに食べようと隠し持っていた桜島大根が公衆の面前に晒されてしまった。
世界一巨大な大根、略して巨根ね。これ常識!

「このねこおおおおお!! 絶対許さ……」
きゅぴーん! ねこと目が合った瞬間、運命を感じた。まるで前世から出会っていたような感じ。
「よーし、今日からお前はうちの子だ! お姉ちゃんと仲良くするんだぞー」
僕はねこを抱き上げて頭の上に乗せた。全裸で。

208 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/06/30(木) 23:05:21.87 ID:4F42Qk35
>「新しい日本の世明けぜよ!!!
はぁ〜わしの体からも汗がふきでちゅうがぜよ。こん年もあつうぅて仕方ないぜよ。」
フンドシ姿で太陽を見つめる男。文化祭という事で、皆開放的になっている。

>「分かってるさ、母さん。
脱ぐ時は下着すらも脱ぎ捨てて全裸になるのがマナーだからな」
>「このようにな」
クウ君が脱皮する。それを見て閃いた。
「分かったぞ、クウ君って完全変態だったんだ!」

♪キーンコーンカーンコーン〜
チャイムが鳴り響く。
「それじゃあクウ君、僕達は帰るから頑張ってね」
「何言ってんの、あなたもよ!」
通りすがりの教師にそう言われて自分の姿を見ると、いつの間にか小学校の制服を着ていた。
さすがに全裸はまずいという何者かの意思が働いたのだろう。

こうして学園編が始まった。

>205
>「わしがこのクラスを受け持つ坂本ぉ〜龍馬ぁいうもんじゃ!!
おまんらが楽しく勉学できるよう、がんばらして貰うからの!!
よろしゅう頼むぜよ!!」
まずは歴史の授業。坂本竜馬が教えてくれるなんて素敵すぎじゃないかい!?

>「違いますよ、竜馬さん。ペニシリンですよ。」
「あっ、大沢たかおさんだ! 仁は毎週楽しみに見てました。サインください!」

>(「あっ、あれは……!?まさか、僕の行動のせいで知っている未来と違いが
生じてしまったのか?医学の進歩であんな化け物まで……!!」)
ことらも負けじと心の声をテロップにして空に流す。
(自分の行動のせいで歴史が変わってしまった……どこかで聞いたことがある話だ!
何だろう、思い出せない……!!)
「うあっ……頭が……!」

>206
>「おい、ポリッシャーはどうしたジェンタイル。ポリッシャーの時間だぞ。今すぐかけろ!今すぐにだ!」
ジェン君が、なぜかオーナー兼担任教師に物凄い形相で雑巾がけならぬポリッシャーがけを命じられている。
多分何か悪戯をしたお仕置きあたりだろう。

209 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/01(金) 02:09:11.49 ID:irUxeLW5
>「分かってるさ、母さん。脱ぐ時は下着すらも脱ぎ捨てて全裸になるのがマナーだからな」
メタルクウラはドヤ顔で応えた。誰だ母さんって。
もしかして俺のこと?俺のことなの!?
>「このようにな」
バリィッ!童女モードのガワが真っ二つに裂け、いつものメタルクウラが飛び出した。
まるで羽化の如くである。

「しまっとけええええええええ!!!」
これ以上絵面をカオスにするんじゃねえ!ただでさえ勇者と魔法使い……ってローゼン!?
>「ぎょえええええええ!? 何でだああああああああああ!!」
ローゼンはんなに脱いではるのん!?
そして都合よく猫抱いて地上波放送コードをクリアしてやがる!
俺はメタルクウラにどうにか元のガワを着せ直し(無理矢理だったのでちょっと変になった)、振り向く。

ローゼンも小学生みたいな格好になっていた。
はっと気がつくと俺の服装もお母さんがしまむらで買ってきた感じになってる。
なんだよ、このセンスのないTシャツ!せめてユニクロ買ってよお母さん!パルコとは言わないからさあ!
え、なに、学園編?わかりました。

>「わしがこのクラスを受け持つ坂本ぉ〜龍馬ぁいうもんじゃ!!
 おまんらが楽しく勉学できるよう、がんばらして貰うからの!!よろしゅう頼むぜよ!!」
スゲー!モノホンの偉人かよ!いくら歴史軸を弄れるからってそういうのアリなの!
……ん?歴史軸?なにその衒学的なワード。

>「違いますよ、竜馬さん。ペニシリンですよ。」
保健室の養護教諭は柔和な顔したおっさんだった。
今さらだけどおっさん率高いっすねこの学校!
教育実習の女教員とこち亀過去編みたいなエピソード期待してたのにさあ!

>「おい、ポリッシャーはどうしたジェンタイル。ポリッシャーの時間だぞ。今すぐかけろ!今すぐにだ!」
「ボンバー校長!前から思ってたんだけど給食の前に掃除するの埃立っちゃうからやめません!?」
ぼくはこのクラスのそうじ班の班長さんなので、ゆかにワックスをかけるポリッシャーがつかえるのです。
ボンバー校長は、いつもきゅうしょくのじかんにぼくたちのクラスをおとずれて、児童といっしょにきゅうしょくを食べます。
きっとしょくいんしつでハブられているにちがいありません。だいせんぱいから聞いたのでまちがいありません。

「ローゼンちゃん、きゅうしょくセンターからワゴンをうけとってきてよ」
>「おう!坂本先生!いけ!ジェンタイル君!メタルクウラ君にあなたがたの愛を見せる時がきたのだがね!!」
「メタルクウラ!さかもと先生とおおさわ先生のぶんのきゅうしょくも配ぜんしてさしあげろ!」
ぼくはエプロンをつけて三角きんを巻いたメタルクウラにしじを出した。
クラスいいんなのでそういうけんげんがあるのです。

210 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/01(金) 07:31:40.67 ID:DVctUZLa
>「分かったぞ、クウ君って完全変態だったんだ!」
「いや、まだクウラの最終形態になれないから、完全とはとても言い切れん」

>「しまっとけええええええええ!!!」
「母さん。無理矢理な収納はいつも止めろと言っているだろ」
無理にオーバーボディに入れられたので、幼児の体にクウラの頭が出ている形になってしまった。

>「それじゃあクウ君、僕達は帰るから頑張ってね」
>「何言ってんの、あなたもよ!」
父さんが小学生の制服に着替え、母さんも魔法使いのコスプレから着替えている。
私と同じように小学生として授業を受けることになったようだ。

>「わしがこのクラスを受け持つ坂本ぉ〜龍馬ぁいうもんじゃ!!
>おまんらが楽しく勉学できるよう、がんばらして貰うからの!!
>よろしゅう頼むぜよ!!」
歴史の授業が始まる。
坂本龍馬が担任ということは、授業では昭和以降のことは習わんだろうな。
坂本龍馬にとっては未来の出来事なのだから。

>(「あっ、あれは……!?まさか、僕の行動のせいで知っている未来と違いが
>生じてしまったのか?医学の進歩であんな化け物まで……!!」)
字幕で失礼なことを言われたな。
いくら地球で医学が進歩しようとも、私の生まれた星は宇宙にある機械惑星ビッグゲテスターなので、私の生まれには関係が無いだろう。

>「おう!坂本先生!いけ!ジェンタイル君!メタルクウラ君にあなたがたの愛を見せる時がきたのだがね!!」
>「メタルクウラ!さかもと先生とおおさわ先生のぶんのきゅうしょくも配ぜんしてさしあげろ!」
給食の時間になり、校長が教室へとやって来て、私は担任の先生達の配膳を頼まれる。
私は二人分の給食を貰うと、坂本先生達に手渡した。
校長の分は他の児童が配膳している。
私も自分の分の給食を貰うと、自分の席に座った。
通信が入る。
他のメタルクウラからだ。
『改変されたデータの修復を完了した』
私はこの世界から消えた。

211 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/01(金) 19:31:38.66 ID:lFFDBQIQ
「巨根はおやつに入りますか?」
巨大大根だなんて気付かなかった。いつだっていつの間にか冷蔵庫に残ってる沢庵だけが黄色く干乾びては、
記憶の底に錆びた釘みたいに深々と突き刺さったまま月日は流れ去るものだから……

気がつけば×年。原発建設に押し潰されグラウンドは半分こになっている。
私は静謐と化した校長室で抜けた毛を纏めてはゴミ箱へ捨てる。細く乾いた触角に似た髪の毛は汚染水よりも有害そうで加齢臭のほうが酷い

今日も独り。明日も独り。冴えた目は色を忘れ、セピア色の世界に佇んだまま、がらんどうのここは何処と泣く
そう。ジェンタイル君たちに出会うまでは……

>「ボンバー校長!前から思ってたんだけど給食の前に掃除するのは埃立っちゃうからやめません!?」
「そうですね。内部被爆のほうが怖いですからね。やめましょうか」
私は牛乳を噛みながら活気づいた教室を眺める。いつもの風景がいつもと同じようにそこには存在するはず。ただ盲目にそう信じていた。
日常にぽっかり空いた落とし穴のように、ぽつんと落とされた空席に気がつくまでは。
私は立ち上がる。生徒の人数を数える。やはりメタルクウラ君の姿がない……

「みなさん、静かに!メタルクウラさんがどこにいったか知りませんか?」
ざわざわと顔を見合わせる生徒たち。
>「うわっ……頭が……!」
「ローゼンさん!どうしました!?」
私は倒れそうになったローゼンを抱えると、合法的に人口呼吸を始めた。勿論、ローゼンは息をしていたがそんなことは関係ない
「ローゼンさん!しっかりして!ズュバズュバチュ〜」
私は美しい子どもが大好きなのである
「坂本先生。生徒たちを頼みましたよ。私はローゼンさんを保健室に連れていきますから!(ニパー)」
うきうき気分で教室のドアに手をかけたら猫が心配そうに擦り寄って来る
「キティアちゃんどうしたの?うっ……頭が……!」
私の体は消えかけた。これは、まさかの……タイムリープなのだろうか!?
「ニャアアアアァ」
キティアが目を見開く!視界が歪む! 教室が溶けてゆく!

「天誅〜っ!」
揺れる画像のカーテンを飛び越えるかのように人影が吐き出されてきた。白刃が横薙ぎに坂本の額に迫った。
彼等は?演劇部員?ちなみに私はコマーシャルでしか仁をみたことがない。

212 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/01(金) 23:32:37.48 ID:Gxk9qwJl
>209-211
>「ローゼンちゃん、きゅうしょくセンターからワゴンをうけとってきてよ」
「よしきた」
ローゼンは求職……おっとまちがい給食センターに行ってワゴンをうけとってきました。
はいぜんがすんだらいよいよ、たのしいきゅうしょくのじかんのはじまりです。

「ねえクウ君、チーズパンからチーズだけどりだしたよ! すごいでしょー」
クウ君にちょっかいを出しにいきますが、クウ君の姿はありません。
ローゼンは椅子の足につまづいて倒れそうになりました。
>「ローゼンさん!どうしました!?」
>「ローゼンさん!しっかりして!ズュバズュバチュ〜」
「ぎええええええええええ!?」
これはひどいじごくえず。

>「キティアちゃんどうしたの?うっ……頭が……!」
こう校長先生はきえてしまいました。
きっと生徒にわいせつなこういをしたばつです。

>「天誅〜っ!」
とつぜんあたまのなかにこえがひびきます。
『あの世界にかえるぜよ』
「そーい!!」
ローゼンはまどからとびおりました。

213 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/03(日) 02:21:27.25 ID:mTS/UMDq
気がつくと、メタルクウラはきえていた。きょうしつがやにわにさわがしくなる。
メタルクウラというそんざいかんのけつらくは、エアポケットのようにきょうしつにうずまいた。
>「みなさん、静かに!メタルクウラさんがどこにいったか知りませんか?」
ボンバーこうちょうがおこぞかに問うた。ぼくは、うつむいてなにも言えなかった。
わけがわからないよ。メタルクウラって誰だ?どうしてぼくは、僕は、俺は?は?は?は?
はははははははははははははははははははhahahahahahahahahahahahahahahahahahahaha

は?

>「ローゼンさん!どうしました!?」
ローゼンが倒れ、校長が人工呼吸する。ローゼンは悲鳴を上げて、節足動物のように退避した。
ボンバー校長が頭を抱え、虚空へ融け込むように消えていく。水に落とした墨汁のように、存在感が希釈されていく。
>「そーい!!」
「待て!※☆●▽――!」
名前を呼んだ気がするけれど、それが誰のことを指しているのかわからなかった。
少女は窓縁に足をかけて、俺の制止を聞くこともなく飛び降りてしまった。
あわてて窓辺に駆け寄るが、窓の外に少女の姿はない。どころか、あれだけ賑わっていた教室から、人の気配が消失していた。

<<――――なんj――――>>

頭の奥に、声の楔を打ち込まれた。残響に何度もエコーして、言葉の大意がつかめない。
誰の声だろう。すごく懐かしくて、それから、随分と聞いてなかった声。

<<――汝!吾が契約者ジェンタイルよ!!>>

「うぐっ……!」
足元を突如崩されたような錯覚。俺が6年間通い続けた教室の風景が、水をぶちまけた水彩画のように歪んでいく。
さながら雨の日の、窓硝子越しに見た風景。ゴーグルを忘れて潜ったプールの底。おばあちゃんが量産した麦茶のボトル。
誰だ。誰だ誰だ誰だ。そこにいるのは誰だ。語りかけてくる声は何だ。俺のたつこの場所はどこだ。今は――いったい、いつなんだ。
5Wと1Hがばらばらになる。神はチェーンソーによって惨殺される。災厄の炎は7日間この世界を焼き続けた。

<<――ようやく汝の意識下層へアクセスできた!『その場所』は、汝が既に通った道だ>>

おれは。このせかいがここちいい。もどるなんてうそだぜ。
いやだ。いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ。ダイヤだ?
そう、かつて降り注いだブラックダイヤモンドによって世間に異能者が激増した。粗製濫造と呼ばれた彼らは自らの力を持て余す。
この物語は、社会に否定された超常能力者たちが集められた特務組織『遊撃機関』が自分たちの有用性を証明するために――

<<戻ってこい!>>

光が。
歪みの水面を切開し、揺蕩う俺を引き上げた。

214 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/03(日) 02:22:04.35 ID:mTS/UMDq
「っは」


目を開くと、俺はバベルの展望フロアで床に寝かされていた。
そこにはメタルクウラがいて、ローゼンがいて、ボンさんがいて、みんな一様に午睡から覚めたような顔をしていた。

<<汝、目が覚めたか……ハウスドルフの最後っ屁、神格炎精霊の力を使って汝らの過去と未来の軸を交差させたのだ>>

結果、時制認識やらなにやらが全てごちゃまぜになって、俺たちは凝縮された意識の中で混沌とした夢を見せられていた。
ローソンでの幸せな未来や、小学校時代の輝かしい過去。そういう都合の良い思い出と妄想に魅せられて、現実を否定していた。

「ほんとは、ずっとまえからわかってた……」

俺は、泣いた。
両目から涙がボロボロ溢れるのを止められなかったし、止める気にもなれなかった。

「魔王なんか倒さなくたって、この世界の大多数の人間は変わらず幸せに生きていける。
 魔王を倒して救われるのは――他ならない、俺たちだけなんだ」

右も左もわからないまま、こんな歴史軸に放り出されて。社会的な保障も、帰る場所すら俺たちにはなかった。
ただひとつ。『魔王を倒す』という共通目標だけが、俺たちを前に進ませる原動力だった。

「魔王倒すって安直な言葉だけで、この世界に居場所を作った気になってただけなんだ……!
 そうでもしなきゃ、あたまがおかしくなりそうだった。だってそうだろ!?この世界には、親も、友達も、自分の家すらも!
 なにもないんだ。辺境村はバベルとかいう街に変わってて、悪魔なんてものが蔓延ってて、湖畔村は全滅してて――蘇生術がない」

だから、ちゃんと職場や帰る場所があって、幸せな将来を夢見ることができるなら。
――誰が魔王なんて倒しにいくもんか。

「もういいじゃねえか……!この塔を、降りてさ、みんなでどこかの街へ行って、仕事を見つけて、静かに暮らそう。
 この世界はちょっと窮屈さけど、それでも住めば都だ。必死こいて魔王倒さなきゃいけない理由なんて、ないんだよ……!」

215 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/03(日) 06:05:41.84 ID:itBSuep1

「見つけた、けど……何てこったパンナコッタ」

ジェンタイル達が魔物を倒した頃。
1人ごち、バベルへと向かうドレスのような黒いキュロットを着た一人の少女の姿があった。

《フン、懐かしい気配がするのらー》
「何言ってるの!君だって分かって言ってるでしょ!」

階段を上がりながら精霊と漫才する少女。
やがて対面するは懐かしき顔、顔、顔。

「ジェンタイルさん!ローゼンさん!メタルクウ……ってメタルクウラさんんん!?」

ジェンタイル達が振り向けば、ドレスっぽいキュロットを着た女が騒いでいるように見えるだろう。
ついでに少女が何者であるか思い出すかも知れない。

「皆さん、ぼくです!三年前に引っ越しちゃったカレン=ジ=ビビリアンですよー!」

頬をりんごのように真っ赤にし、ブンブン両腕を振り回すカレン。
カレンは猛然と駆けるとジェンタイルに抱きついた。

「皆さん何処行ってたんですかー!
 折角厳しいエクソシスト修行から逃げ出して村に戻ってみれば
 教会はないわ皆さんも居ないわでぼく泣くかとおもっだんでずよ゛ー!!」

後半は既に泣いている。
カレンはハンカチ片手に、半年もかけてジェンタイル達の僅かな気配を頼りに旅したことを語った。

「行く先々では妙なのには襲われるし精霊たちはぼくをいじめるし……。
 無精髭の変なおじさんが教えてくれなきゃ、到底ここには辿り着けませんでした」

グズグズ泣きながら全てを語り終え、ジェンタイルの服で鼻をかむ。
そしてようやく空気がおかしい事に気づき、ジェンタイルに問いかける。

「……あの、なにかあったんですか?ぼくで良ければ話して下さい!」

【新規参加希望です。よろしく願います!」


名前:カレン=ジ=ビビリアン
職業:エクソシスト
性別:男
年齢:16
身長:156cm
体重:46kg
性格:臆病だけど正義感がある
外見:金髪碧眼でロリチックな美少女、ドレスっぽいキュロット
備考:精霊を操り悪魔を祓うエクソシスト。才能はあるが技術が追いついていないため暴走しがち(色んな意味で)
見た目女の子な外見詐欺。

216 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/03(日) 09:54:28.31 ID:qZLiDFw0
どうやら私は記憶をいじられて夢を見せられていたらしい。
どこからが夢だったのだろうか?
私が目を覚ましてから、他の者達も次々と目を覚ましていく。

>「ほんとは、ずっとまえからわかってた……」
ジェンタイルが呟いた。
今の夢で心に溜まっていたものが溢れ出てきたのだろう。
ジェンタイルの独白は続く。

>「もういいじゃねえか……!この塔を、降りてさ、みんなでどこかの街へ行って、仕事を見つけて、静かに暮らそう。
>この世界はちょっと窮屈さけど、それでも住めば都だ。必死こいて魔王倒さなきゃいけない理由なんて、ないんだよ……!」
「辛かったんだな……」
私はジェンタイルの下まで歩いていくと、優しく抱き締めた。
「お前達はそれでいい。
代わりの無いお前達は危険なことをせずに、幸せに暮らせ。
お前達の責任は私が取る」
私が完全に破損しても、内部のデータを他のメタルクウラに予めコピーして保存してもらい、新たな機体にコピーしたデータを写してもらえばいい。
私自身は死ぬだろう。
しかし、私の意志を継いだ別の私が必ず責任を果たしに行く。

>「ジェンタイルさん!ローゼンさん!メタルクウ……ってメタルクウラさんんん!?」
私は名前を呼ばれたので、声のした方を振り向いた。
誰だったか?見覚えがある気がする。

>「皆さん、ぼくです!三年前に引っ越しちゃったカレン=ジ=ビビリアンですよー!」
「あぁ、思い出したよ」
確かに私が辺境村に来た時には、彼女は村にいた気がする。
私が村に馴染む前に彼女は村から出て行ったので、あまり記憶には残ってなかったのだろうな。

>「……あの、なにかあったんですか?ぼくで良ければ話して下さい!」
私の代わりにジェンタイルに抱きついたカレンに、私は目からこれまでのダイジェストを映写して見せた。

217 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/03(日) 13:29:23.08 ID:7t9W1a2T
光を纏う少年と、水の衣を纏う女性に手を引かれる。
『ローゼン、帰るよ……!』
《あれはまやかし。ハウスドルフの最後の罠。決して捕らわれてはならぬ。
そなたが経験してみたかったと思っている過去、心のどこかで望んでいる未来……》
ジェン君やクウ君と、同じクラスで机を並べている、経験したようで有り得ない過去。
3人で穏やかに暮らすありそうだけど起こりえない未来。
「ウソだ!!」
『どうして?』
「だって……ジェン君はそのうち王都の大学に行っちゃうんだもの。僕もそれを願ってる!
そしたら就職先は王都の世界的大企業か王国の官僚でしょ?田舎の村になんて戻ってくるわけがない!」

覚醒レベルが次第に上がってくる。人工芝の感触が戻ってくる。すっと目を開ける。
「ハウスドルフ……僕はこんなのに騙されない。お前の邪法は破れた!」

>214 -216
>「っは」
「ジェン君! 良かった、ハウスドルフのまやかしを打ち破ったんだね!
あんなの出鱈目だ! 真っ赤なウソだ! 気にしたら駄目だよ! ……ジェン君……?」

>「ほんとは、ずっとまえからわかってた……」
ジェン君は突然泣き始めた。
幼い子どものように泣くジェン君を前にどうしていいか分からずおろおろするばかり。

>「もういいじゃねえか……!この塔を、降りてさ、みんなでどこかの街へ行って、仕事を見つけて、静かに暮らそう。
 この世界はちょっと窮屈さけど、それでも住めば都だ。必死こいて魔王倒さなきゃいけない理由なんて、ないんだよ……!」

ここで僕まで流されたら話にならない。
でも、ふと思ってしまった。これにうんと言えばどうなるのだろう。
さっきの夢に出て来たような幸せな日々が訪れるのかもしれない。
実を言うと、ジェン君が王都の大学に落ちた時、ちょっとだけほっとしたんだ。
このまま諦めて田舎の大学で手を打ってくれないかなーなんて思った。
そんな自分の駄目な部分を覆い隠すように、冷たく突き放す。

218 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/03(日) 13:35:00.72 ID:7t9W1a2T
「僕は都合のいい滑り止めってやつかい?
ジェン君は第二志望で手を打つようなガラじゃないでしょ?」
キツイ言葉を投げかけたのを皮切りに、腹が立ってきた。

「世界を変えるんだーとか言って村を飛び出したのはジェン君なんだよ!?
そのせいでこんな事になっちゃったんじゃん。
僕言ったよ、バカなことはやめろって何度も言ったよ!?」
でも考えてみれば追いかけて連れ戻して来いなんて誰にも頼まれてないわけでジェン君を責めるのはお門違いだ。
色んな感情がぐちゃぐちゃでどうしていいか分からず引っぱたくように手を振り上げて……

「この……アホジェン……!」
ジェン君の頬に、そっと手を添えた。
「いつも僕の制止を振り切って我が儘貫いてきたじゃないか。 
そんな君がここでやめて本当に後悔しない?
君が本当に望んだことは命が大切にされて一人一人が尊重される世界だよね?
魔王のこの治世では人ひとりの命なんて吹けば飛ぶほど軽い……」

クウ君がやってきてジェン君を抱きしめる。
>「お前達はそれでいい。
代わりの無いお前達は危険なことをせずに、幸せに暮らせ。
お前達の責任は私が取る」

「クウ君……」
光の勇者を作り上げる記号的表現が今ばかりは邪魔だ。肩当てと胸当ての留め具を外す。
そうすればそれらはさも簡単に地面に落ちる。
魔法使いを引き連れて旅をする勇者という肩書を振り解く。本当は逆なのだから。
途方もない理想を掲げて故郷を飛び出した少年と、それを連れ戻しに行ったお節介な幼馴染。
クウ君の反対側から、ジェン君を抱きしめる。
「君の選択に任せるよ。だって……」

「――僕は君を追っかけてここまで来たんだ――」

219 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/03(日) 14:09:25.19 ID:7t9W1a2T
>「ジェンタイルさん!ローゼンさん!メタルクウ……ってメタルクウラさんんん!?」

「えっ誰!?」
いきなり自分の名前を呼ばれて飛び退くようにジェン君から離れて、外した防具を拾い集めて装着する。

「皆さん、ぼくです!三年前に引っ越しちゃったカレン=ジ=ビビリアンですよー!」
「あのカレンちゃん……!? 大きくなったねえ!」
カレン=ジ=ビビリアン、性別は男の娘。
男を超越した美少年でもあり、同時に女を超越した美少女でもある、究極にして至高の性別。

カレンちゃんは一目散にジェン君に抱き着いた。
「おおっ!」
思わず歓声を上げる。美少年×男の娘。これは本が薄くならざるを得ない!

>「行く先々では妙なのには襲われるし精霊たちはぼくをいじめるし……。
 無精髭の変なおじさんが教えてくれなきゃ、到底ここには辿り着けませんでした」
「師匠……」
師匠はこうなる事を予期してカレンちゃんを送り込んでくれたのだ。そうに違いない!
こんな美少女がパーティーにいてジェン君がやる気を出さないはずはない。

>「……あの、なにかあったんですか?ぼくで良ければ話して下さい!」
クウ君がかくかくしかじかとダイジェストを見せた。
「と、いう訳なんだ!」

「ジェン君、前言撤回。師匠が出来なかった事を果たさなきゃ!」
『ただ美少年×男の娘を見たいだけちゃうん!?』
光精霊のツッコミはスルーして、カレンちゃんの手を取ってぶんぶん上下に振る。
「ジェン君ったらきっとパーティーに女の子がいないからやる気が出ないってダダこねてたんだ!
来てくれて本当に助かったよ!」

220 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/03(日) 14:25:02.17 ID:daTiUgIa
>「もういいじゃねえか……!この塔を、降りてさ、みんなでどこかの街へ行って、仕事を見つけて、静かに暮らそう。
 この世界はちょっと窮屈さけど、それでも住めば都だ。必死こいて魔王倒さなきゃいけない理由なんて、ないんだよ……!」
ボンバーは見る。まだ見る。森永ちるみるで胃袋を満たしてから、
送るほどでもない言葉を脳みそに創造した。あとはそれをなんとか言葉に表現する。
「アーーーーーーーーーーーッ!ジェンターーーーーーーーイルッ!」
張り上げた叫びは全ての事象の終焉。笑いを制した者へと送るほどでもない言葉。
気がつけばジェンとローゼン、メタルクウラが抱き合っている。
>「――僕は君を追っかけてここまで来たんだ――」
ボンバーは滝のような涙を流すと、ジェンに抱きつくローゼンの脇汗を掻い潜り、
そしてクウラの股の下から頭をねじ込んで三人を抱擁する。

221 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/03(日) 14:25:55.47 ID:daTiUgIa
>「ジェンタイルさん!ローゼンさん!メタルクウ……ってメタルクウラさんんん!?」
名前を呼ばれてもいないが、声のした方を振り向けば一人の少年。
>「皆さん、ぼくです!三年前に引っ越しちゃったカレン=ジ=ビビリアンですよー!」
>「あぁ、思い出したよ」
「なに!?カレン!カレンか!!見違えたぞ!!」とボンバー。
>「……あの、なにかあったんですか?ぼくで良ければ話して下さい!」
ジェンタイルに抱きついたカレンに、クウくんがこれまでのダイジェストを映写して見せる。
>「ジェン君ったらきっとパーティーに女の子がいないからやる気が出ないってダダこねてたんだ!
>来てくれて本当に助かったよ!」
「よし!!いくか!!ジェンタイル!!」
ボンバーも頬をりんごのように真っ赤にし喜んだ。

222 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/03(日) 23:54:11.76 ID:mTS/UMDq
>「僕は都合のいい滑り止めってやつかい?ジェン君は第二志望で手を打つようなガラじゃないでしょ?」
ローゼンの冷ややかな罵声が落ちてくる。俺は甘んじてそれを受け止めた。
如何なる謗りも甘んじよう。義理の通しかたなんか知らないけれど、俺にはそれしかできないから。

>「世界を変えるんだーとか言って村を飛び出したのはジェン君なんだよ!?
 そのせいでこんな事になっちゃったんじゃん。僕言ったよ、バカなことはやめろって何度も言ったよ!?」
「知らなかった……世界を変えるってことが、ここまで残酷な痛みをもたらすなんて」

そんなことが言い訳になるはずないとわかっているのに、浅薄な心の防衛機制が保身の言葉を紡ぎ出す。
知らなかったから仕方がない。覚悟がなかったから仕方ない。最善を尽くしたつもりだ。
何の役にも立たない、『失敗した理由』で心の外堀を埋立て、俺は目の前の現実から逃げようとしていた。

それを、
>「辛かったんだな……」
メタルクウラが抱擁で許容し、
>「この……アホジェン……!」
ローゼンが優しさで跳ね除けた。

>「いつも僕の制止を振り切って我が儘貫いてきたじゃないか。 そんな君がここでやめて本当に後悔しない?
 君が本当に望んだことは命が大切にされて一人一人が尊重される世界だよね?
 魔王のこの治世では人ひとりの命なんて吹けば飛ぶほど軽い……」

そしてこの世界では、死んだ命にやり直しがきかない。そうやって死んだ人間を――元勇者は背負っていたはずだ。
俺は怖かった。蘇生術を否定する立場にありながら、まだ生き返りに頼ろうとする、底汚い性根が。

>「お前達はそれでいい。代わりの無いお前達は危険なことをせずに、幸せに暮らせ。お前達の責任は私が取る」
そしてメタルクウラは、今生最後の選択肢を提示した。

ここで下がって幸せに甘んじるか。茨の道を突き進み真実を手にするか。
今、このときが分水嶺。伸るか反るかの大博打。

>「君の選択に任せるよ。だって……」

可能性を選ぶその指運は――

>「――僕は君を追っかけてここまで来たんだ――」

――俺に委ねられた。

<<汝よ。吾が契約者よ。吾は汝がどう在ろうとその契約精霊だが……汝には痛快に生きて欲しいと思っている>>
「……大いなる敵を倒すとか、闇なる世界を救うとか、そんな大それたこと、言うつもりなんてなかった」

だけど。俺は今から、その運命を選びとろうとしている。
ここから先はおとぎ話のファンタジーじゃいられない。正真正銘の、英雄が紡ぐ救世譚の末席を、汚さんとしているのだ。
――だったら、意気込みぐらい、派手に言ってやろうじゃねえか。

「魔王を倒して、世界を救う。――異論は認めねえ!」

223 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/03(日) 23:55:03.05 ID:mTS/UMDq
>「アーーーーーーーーーーーッ!ジェンターーーーーーーーイルッ!」
「わーーーっ!?……ボンさん!」
三人で抱き合ってなんやかんやしている俺たちに、ボンさんが鳥竜のような動き方で抱きついてきた。
この野郎!シリアスアレルギーかなんかか!?湿っぽい雰囲気が台なしじゃねーか!

>「ジェンタイルさん!ローゼンさん!メタルクウ……ってメタルクウラさんんん!?」
と、そこへ新手の声。俺の名を呼んだけれど、聞いたこともないような艶のある声だ。
見れば、金髪碧眼の美少女がこちらへ向かって走ってくる最中だった。
>「えっ誰!?」
ローゼンがヒキ顔で飛び退く。いやマジで誰だ。知り合いにこんなジュブナイルな格好した奴いたっけか。
なんかもう、このままMF文庫あたりの表紙を飾れそうな感じ。
>「皆さん、ぼくです!三年前に引っ越しちゃったカレン=ジ=ビビリアンですよー!」
「カレ……ン……?辺境村のカレンか!?お前すげー変わったな!」
カレンと言えば、俺の二個下の後輩だった。辺境村は過疎地域なので、おんなじ教室で授業受けたことだってある。
卒業した後俺はトアルの中学まで電車通学だったし、カレンは中学入ってすぐに引っ越しちまったので、もう何年も顔を見てなかった。

<<吾も覚えているが……変わったな>>
十人が十人、同じ感想を抱くだろう。何を隠そう、カレン=ジ=ビビリアンは、正真正銘『男』なのだ。
昔はまだナヨっぽい感じの美少年で、残酷な悪ガキにオカマだなんだと囃し立てられたもんだけど……
しばらく見ないうちにマジモンの男の娘にクラスチェンジしてやがった。ある意味順当すぎる成長だ。

>「皆さん何処行ってたんですかー! 折角厳しいエクソシスト修行から逃げ出して村に戻ってみれば
 教会はないわ皆さんも居ないわでぼく泣くかとおもっだんでずよ゛ー!!」
「泣いてる、泣いてる」
顔ぐしゃぐしゃにして泣きそぼるカレン。うわ、こいつノーメイクじゃん。化粧とかナシでここまで完成してんのか……
バベル突入のときにやった俺や元勇者のなんちゃって女装とはワケが違う。プロの犯行だった。

「ていうかお前、なんで無事だったんだ?歴史軸改変に巻き込まれたのは俺達だけだと思ってたのに」
>「……あの、なにかあったんですか?ぼくで良ければ話して下さい!」
俺たちは、これまでの経緯をメタルクウラの上映を交えて端的に説明した。
神格地精霊の暴走によって歴史軸がネジ曲がり、世界が変わってしまったこと。魔王が復活し、ディストピアが構築されていること。
>「ジェン君ったらきっとパーティーに女の子がいないからやる気が出ないってダダこねてたんだ!来てくれて本当に助かったよ!」
「えええええええそういうことになってんの!?ゴシップ記事もびっくりの捏造っぷりだよ!」

>「よし!!いくか!!ジェンタイル!!」
「待て待て待て、なんでアンタさも昔っからの仲間みたいなツラで……まあいいか」
俺は仲間たちを振り返り、ビアガーデンに置いてあったフリップボードをとった。
「これまで水、地、炎と神格の四大精霊を訪ねる旅を続けてきた……紆余曲折あったけど、旅の本旨は変わっちゃいない。
 となれば次は、最後の四大精霊――『風精霊』のもとへ向かうのが順当だな」

風精霊。四大精霊髄一の遊び人気質で、掴みどころのない性格をしていると聞く。
流れる雲のように穏やかなときもあれば、嵐のようにしっちゃかめっちゃかなときもある。
……基本的には、炎精霊以上にチャランポランでおちゃらけた精霊だとか。
<<待て。なぜ吾がチャランポランの代名詞みたいな扱いになっている>>
過去の功罪です。

「Wikipediaによれば、風精霊のおわす都は山を超えた先の巨大都市。『精霊樹ユグドラシル』。
 この位置関係に見覚えないか?そう、旧歴史軸で言うところの――」
奇しくもそこは、歴史改変前から俺たちが最終目的地と定めた街。

「――王都だ」

224 :創る名無しに見る名無し:2011/07/04(月) 18:58:52.29 ID:WwXGOVkz
虚空からモンスターが何体か湧き出す。
それらは犬の頭部を持つ獣人コボルドに、醜く小柄な妖魔のゴブリンに、大柄な妖魔のホブゴブリンだった。

「俺達はランダムエンカウントモンスターだからな。いつだって突然現れるのさ!」
「シンボルエンカウント……ってか、コテの奴らは強さに調整が入るらしいが、俺達は絶対に変化しない!」
「つまり俺達が手加減しない以上、お前らの旅はここで終わりってわけだ!」

そう叫んで、モンスターたちは一斉に襲いかかってくる!

【コボルド・殺傷力1 防御力6 生命力8】
【ゴブリン・殺傷力2 防御力7 生命力10】
【ホブゴブリン・殺傷力4 防御力8 生命力14】

225 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/04(月) 20:10:21.29 ID:9m6y6ByQ
カレンと再会した三人は、三者三様の反応を見せてくれた。

>「カレ……ン……?辺境村のカレンか!?お前すげー変わったな!」
純粋に驚くジェンタイル。

>「あのカレンちゃん……!? 大きくなったねえ!」
嬉しそうなローゼン。

>「あぁ、思い出したよ」
割と反応が薄いメタルクウラ。

>「なに!?カレン!カレンか!!見違えたぞ!!」

誰だこいつ。

「あっボンバーさんお久しぶりです!」
《まさかの知り合いかよ!なのらー》
「同じ黒チェス崩し愛好会のメンバーなんです!」
《しょっぱ!普通にチェスやれy……ああ相手が居なかったなのらー》

泣き崩れるカレンと閑話休題。
メタルクウラの上映を交えてジェンタイル達から説明を受ける。
当然、歴史軸が捩れただの世界が変わっただの、カレンの脳が理解できるキャパシティを超えている。
耳からプスプスと煙を放出し、何とか纏めようとした。

「えっと、つまりジェン兄のお尻で世界が危ないから魔王を倒しにいくって事ですか?」

色々と間違っている。彼の脳内で何が起きたのか。
しかしこれでも理解しようと努力していたことを明記しておく。

>「ジェン君ったらきっとパーティーに女の子がいないからやる気が出ないってダダこねてたんだ!
  来てくれて本当に助かったよ!」
「ええっそうなんですか?駄目だよジェンタイルさん、人様に迷惑かけちゃ!」
>「えええええええそういうことになってんの!?ゴシップ記事もびっくりの捏造っぷりだよ!」

閑話休題その二。
フリップボードを使ったジェンタイルの説明曰く、風精霊のもとへ向かうという事になった。

>「Wikipediaによれば、風精霊のおわす都は山を超えた先の巨大都市。『精霊樹ユグドラシル』。
  この位置関係に見覚えないか?そう、旧歴史軸で言うところの――」
>「――王都だ」

そこまで聞くと、ずっと考えこんでいた突然カレンは立ち上がった。

「ジェンタイルさん!ぼくも、その旅に連れて行って下さい!」

何を言い出すんだこの子は。そんな空気が流れる。
彼らの中のカレンの立ち位置は、泣き虫の臆病者。
しかしその目には確固たる決意が見えた。



226 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/04(月) 20:20:07.96 ID:9m6y6ByQ
「ぼく、強くなりました!きっと皆さんの力になれます!!」

その時、カレンの背後の虚空から現れるゴブリン達。
カレンの背を狙って攻撃しようとする――

「゛リンク゛――――!」

カレンが吠える。
刹那、凶暴なネイビーブルーの風がカレンを包む。
光る風は形を刃に変えると、ゴブリン達を切り刻む!

《風の眷属―鎌鼬―……舐めたらいかんのらー》

風に混じって、クスクス楽しそうな声が木霊する。
膝を笑わせても、目尻に涙を溜めても、カレンの決意は変わらないようだ。

「きっと此処に導かれたのも、精霊様の思し召しなんです。
  ……お願いします、ジェンタイルさん!ぼく、生きる理由が欲しいんです!!」

ジッとジェンタイル、ローゼン、メタルクウラ、ボンバーを見据える。

「……修行も厳しくて、友達も出来なくて。
 精霊にすら馬鹿にされて、やっと契約できたのは偏屈精霊で」
《誰が偏屈だ、誰が》
「…だから、逃げ出したんです。王都から。
 でもすぐ気づいたんです。戻らなきゃって。」

でも、一度逃げ出した場所に、一人で戻る度胸はない。
その時、不意にジェンタイル達のことを思い出した。
彼らとなら、きっと――そんな想いが、彼をここまで突き動かしていた。

「こんなヘタレだけど……不束者ですがよろ゛じぐお願いじま゛ずう゛う゛う゛……」

そこまで言い切ると、カレンはまた泣いた。

227 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/04(月) 23:39:16.35 ID:xWkqV4RX
>「こんなヘタレだけど……不束者ですがよろ゛じぐお願いじま゛ずう゛う゛う゛……」
「あぁ、よろしく頼む」
私にとっては他人のようなものだが、ジェンタイルやローゼンには大切な幼なじみのようだ。
私もすぐに友達になれるだろう。
戦闘能力もあるようだし、私達の旅の助けにもなってくれるはずだ。

場面は変わり、私達はママチャリを駆使して、私達の世界では王都であった場所、精霊樹ユグドラシルの下まで来たのであった。
王都も現在の都市も、超巨大な樹ユグドラシルの内部をくり抜いて、ユグドラシルの中に都を築き上げた。
私はこれ程の巨大な樹を他には知らない。
確信を持って言わせてもらうが、この樹は宇宙で一番大きな樹だ。

「ローゼンよ、風の精霊がこの樹のどこにいるか分かるか?」
ローゼンなら精霊の気配を感じて、精霊がどの場所にいるか分かることができるかもしれない。
樹の内部にいるのならば、都市の観光もついでにしてしまいたい。
樹の外にいるのならば、木登りでも楽しませてもらおう。

228 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/05(火) 02:22:28.03 ID:AQWydo5u
>222
>「魔王を倒して、世界を救う。――異論は認めねえ!」
ジェン君の耳元で囁く。
「君ならそう言うと分かってた、魔術師様!」
これで僕は勇者でいられる。勇者の傍らには魔術師が必要不可欠なのだ。

>220-221
>「アーーーーーーーーーーーッ!ジェンターーーーーーーーイルッ!」
「なんだよおおお!! そしてさりげなく地の文で脇汗言うな!
イケメンの辞書に脇汗という言葉はないんだよ!」
そう言いながらなぜかねこが抱えていたAg+を物凄い勢いで脇に噴射し、ついでにボンさんにも噴射する。
「銀の力で悪霊退散!」

>225
>「あっボンバーさんお久しぶりです!」
>《まさかの知り合いかよ!なのらー》
「まさかの知り合い!? 世界は狭いもんだね!」
悪霊退散するのはやめておこう。

>「えっと、つまりジェン兄のお尻で世界が危ないから魔王を倒しにいくって事ですか?」
「そのとーおり! まあジェン君の尻を優勝賞品にしたトーナメントみたいなもんだね!」

>「Wikipediaによれば、風精霊のおわす都は山を超えた先の巨大都市。『精霊樹ユグドラシル』。
  この位置関係に見覚えないか?そう、旧歴史軸で言うところの――」
>「――王都だ」
僕がアホな事を言っている間にジェン君はてきぱきと次の目的地を決めた。

>「ジェンタイルさん!ぼくも、その旅に連れて行って下さい!」
おいおいジェン君に聞いちゃう? 普通は僕に許可を求めるだろ。最年長だし? 勇者だし? 
でも表向きのリーダーと影のリーダーが違う事は往々にしてあるのだ。こやつ……できる!!
「お主、よく分かっておるな……!
これは世界を救う勇者の冒険譚と見せかけて愉快な変態達がジェン君の尻を追いかける変態コメディなのだ!
ジェン君がタイトルネームを飾っているのがその証拠!」

229 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/05(火) 02:23:15.19 ID:AQWydo5u
>224
>226
いきなり湧いてきたモンスターがカレンちゃんに襲い掛かる!
「だああああああああ!? ランダムエンカウントなんてあったの!?
カレンちゃんあぶな……」

>「゛リンク゛――――!」
刃に姿を変え華麗に舞うは……
「風の、契約精霊……!」
>《風の眷属―鎌鼬―……舐めたらいかんのらー》
「まさか……遊撃機関か――ッ!?」
と、変な電波を受信する。

>「きっと此処に導かれたのも、精霊様の思し召しなんです。
  ……お願いします、ジェンタイルさん!ぼく、生きる理由が欲しいんです!!」
「すごいすごい、リンクまでできるなんて頑張ったんだね!
生きる理由ならバッチリだよ!
ジェン君の尻を追いかけているとね、生きてるって実感できるんだ!」
『いい加減尻ネタから離れろよ!』

>「こんなヘタレだけど……不束者ですがよろ゛じぐお願いじま゛ずう゛う゛う゛……」
「こちらこそ宜しくお願いします!」
思わず三本指をついて挨拶してしまった。

>「よし!!いくか!!ジェンタイル!!」
ボンさんが締めた―――ッ!?
あれ? いつの間に仲間になってるんだろう。ステータス画面にもバッチリ表示されている。
昨日の敵は今日の友って言うし仲間が増えるのに越したことはないよね!

230 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/05(火) 02:59:15.25 ID:AQWydo5u
>227
気付くとユグドラシルに付いていた。
「早ッ!!」

いや、下手に道中を描写すると意味もなく水着回になんてなったらいけないからこれでいいんだけど。
描写されなかった事は無かったことになるのだ。
湖畔村の近くの湖で水着回なんて断じて無かった! 何も無かったのだ!

精霊樹ユグドラシル。巨大樹の中に作られた都市。
風にざわめく緑の葉を見て、不思議な気持ちになる。
そして元の世界の王都との決定的な違いに気付いたのだった。
「生きてる……この木、生きてるよ……!」
元の世界の王都もこれと同じ形だったが、精霊樹はとうの昔に枯れていた。
改めて巨大樹を見上げる。
もしかしてこの木は今もまだ成長を続けているのだろうか。

胸に秘めていた思いが思わず零れる。そうさせてしまう不思議な力がこの樹にはあった。
「ねえ、こっちの世界って全部が全部悪い事ばっかりじゃないよね。
もしも正しい歴史を取り戻した時……この世界のいい所だけ残ってればいいな」

バベルで見た魔法と科学の融合の可能性。
遥か古に水精霊と巫女が出会った、澄み切った湖。
そして溢れんばかりの生命力を湛えた精霊樹。

「僕達の世界って科学は科学、魔法は魔法でお互い無視してる感じだったじゃん?
物質的な物と精神的な物が補い合って発展していく未来はとても素敵なんじゃないかって……
なーんて、意味分かんないね!」

>「ローゼンよ、風の精霊がこの樹のどこにいるか分かるか?」
分かるのは分かる。これほど濃密な気配があるのだから。
が、一瞬どう答えていいか逡巡した。
「どこにもいない、どこにでもいる……風は遍在する!」
要はこの都市全体に散っているのだ。
そもそも精霊は物質的座標に縛られないからこういうのもアリっちゃアリなんだけど……

「……どうやって対話が出来る状態で出てきてもらおう」

231 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/05(火) 09:33:14.43 ID:+Fhj/+w9
>「同じ黒チェス崩し愛好会のメンバーなんです!」
「ぐぬははは!こりゃ一本とられたなジェンタイルよ。ガキの頃はよくオツムをかえてやったものだなか!」

全員挨拶

>「あぁ、よろしく頼む」
「おう!」
ローゼンには負けぬと100本ほど指をつくボンバー

敵を倒すカレン。このころにはボンバーの視力は完全に失われていた銀の力によって目が潰れていたのだ

>「生きてる……この木、生きてるよ……!」
「おお!子らよ。俺のかわりに目に焼き付けておくのだぞ」
ボンバー。光りを失いし両目から涙の嵐

「ねえ、こっちの世界って全部が全部悪い事ばっかりじゃないよね。
もしも正しい歴史を取り戻した時……この世界のいい所だけ残ってればいいな」

「そうだなローゼン!」
メタルクウラの頭をなでぐる

「さあ!泳ごう!ジェン!カレン!クウラ!」
「おい!」
「おい!?」
ボンバーは立ったまま死んでいた…

【ご愛読これからもお願いします】

232 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/06(水) 04:03:33.35 ID:xyg/S5AB
>「えっと、つまりジェン兄のお尻で世界が危ないから魔王を倒しにいくって事ですか?」
「言いたいことの半分ぐらいしか伝わってねえ!俺のケツは関係ねえよ!?」
カレンは、俺達の要領を得ない説明を懸命に噛み砕き、勘案し、そうしてようやく理解したようだった。
立ち上がり、決意を秘めた瞳を開く。
>「ジェンタイルさん!ぼくも、その旅に連れて行って下さい!」
俺は面食らった。

「おいおい、マジで言ってんのかよ。こっから先はご都合主義の通じない、血で血を洗う修羅の道だぜ。
 適応できるのか?――辺境村で泣いてばっかだった、お前が」
突き放すように言ってしまう。そういう戦いをするのは、俺たちだけで良いと思っていた。
そもそもの原因を作ったのが俺たちなのだ。カレンは、完全な被害者だった。
それは当事者であることの浅薄な精神的優位であり、俺なりの心配だったが――すぐに無用のものと分かった。

>「ぼく、強くなりました!きっと皆さんの力になれます!!」
瞬間、背後からエンカウントするコボルトとゴブリンの群れ。

>「゛リンク゛――――!」
刹那、カレンが鮮やかな色つきの風を纏う。風は刃を成し、ゴブリン達を切り刻む!

>《風の眷属―鎌鼬―……舐めたらいかんのらー》
「精霊魔術――!」
>「まさか……遊撃機関か――ッ!?」
「遊撃機関だと!?あの、官民問わずあらゆる社会不適合者を集めて公共事業に従事させるというニート撲滅プロジェクトか!」
精霊に一家言ある俺とローゼンが二者二様の反応を返す。

風精霊の眷属にして、万難を切り裂く無形無尽の刃――鎌鼬精霊。カレンはその契約者だったのだ。
風の眷属!めっちゃカッコエエやん。俺たちもやろうぜああいうの。炎の眷属とかさあ!
<<いや、炎の眷属ってゆうか、炎そのものだし吾……>>
マジで!じゃあマテリアル無しで遺才が使えちゃったりするわけですか!
<<何を言っとるんだ汝>>

>「きっと此処に導かれたのも、精霊様の思し召しなんです。
  ……お願いします、ジェンタイルさん!ぼく、生きる理由が欲しいんです!!」
そんなキラキラした目で見られても、俺は面目が立たなくてしょうがないのだった。
ドヤ顔で「戦えるのか?」とか聞いちゃった舌の根も乾かぬうちにこれだよ!
ノータイムでリンクとか7年契約者やってる俺でも無理だよ!?こいつめちゃくちゃ有望株じゃねーか!
3年そこそこで精霊とそこまで仲良くなれるなんて、本格的に炎精霊の人格に欠陥があったんじゃねえかと疑っちゃうレベルです。
>「ぐぬははは!こりゃ一本とられたなジェンタイルよ。ガキの頃はよくオツムをかえてやったものだなか!」
ちくしょー、パーティーん中での俺の地位がすげー脅かされてるぞ今!

<<汝、汝、1時方向>>
ん?炎精霊の警告に耳を傾け指示された方に目をやれば、切り刻まれたゴブリン達に混じってコボルドが一匹生き残っていた。
その爪をカレンに突き立てようと匍匐で接近していたところだったので、メラで焼いておいた。カレンの鎌鼬で瀕死だったので一撃。
「っふ……まだまだツメが甘いなカレン。だが、どうやら戦うだけの力は身につけているようだ。同行を許可する!」
とりあえず先輩としての顔は立ったと思います!ありがとう炎精霊!ありがとうキャラ付けの神様!僕まだ頑張れるよ!
>「こんなヘタレだけど……不束者ですがよろ゛じぐお願いじま゛ずう゛う゛う゛……」
「なんで泣く!?ああもう、俺が悪かったよ調子こいててすいませんでした!俺の後ろは任せるぜカレン!」
主にメタルクウラ対策に。

233 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/06(水) 04:04:23.01 ID:xyg/S5AB
さてさて、久しぶりの超速場面転換。俺たちはユグドラシルに辿り着いた。水着回?OVAを買ってね!
精霊樹ユグドラシルの本質は、メタルクウラ曰く宇宙一の世界樹。都市はそこを繰り抜いて発展してきた。
上質な精霊樹材や精霊樹脂が産出されることで有名で、全世界の精霊使いから絶大な信頼を受ける精霊具メーカーのお膝元だ。
精霊術の修業の場としても有名で、上位の精霊と契約するにはここの精霊院で修行を積む必要がある。
カレンが奉公修行に出されていたのもこれが理由で、ユグドラシルの内部産業は王都だった頃とさほど変わっていないようだった。
変化があるとすれば、それは――

>「僕達の世界って科学は科学、魔法は魔法でお互い無視してる感じだったじゃん?
 物質的な物と精神的な物が補い合って発展していく未来はとても素敵なんじゃないかって……なーんて、意味分かんないね!」
「そうだなあ。蘇生術がないからこそ、化学と魔法が相互に混ざり合って急速な進化をする必要があったんだろう。
 無限近く時間のある、俺たちの世界とは全然違う発展の仕方をしてるわけだ」
もしも、俺が元の世界を良い方に変えられるとしたら、こんな風に変えていきたい。
そういう明確なイメージを、この街で掴めた気がした。これ、結構重要なエピソードだと思います。二行で済ませちゃったけど。

>「ローゼンよ、風の精霊がこの樹のどこにいるか分かるか?」
メタルクウラが問い、ローゼンが風を感じるように身体を張る。
>「どこにもいない、どこにでもいる……風は遍在する!」
風精霊は大気を触媒にしている為に、水精霊の噴水や地精霊の要石、炎精霊のバベルみたいな媒体物を必要としない。
従ってどこにでもいるし、どこにもいないという状態が成立する。言うなればこの都市の空気そのものが巨大な風精霊なのだ。
>「……どうやって対話が出来る状態で出てきてもらおう」
「しっかりしろよ専門家。大学出てんだろ?……つっても、足がかりひとつないんだもんなあ。なんか策はあるかいボンさん」
ボンさんを振り返ると――
「死んでる……」
立ったまま、ボンさんは絶命していた。

「ちょっと待てええええええ!ちょ、この世界でそれはシャレにならんて!人工呼吸!心臓マッサージ!マウストゥマウス!」
ついさっきまで普通に「さあ!泳ごう!ジェン!カレン!クウラ!」とか叫んでたので、心肺停止から時間は経ってないはずだ。
今すぐ処置を施せば、充分蘇生は可能――!でもどうやって?
「カレン!鎌鼬でボンさんの肺に直接空気を送り込んでくれ!メタルクウラ、ボンさんのこのあたりにパンチ連打!」
俺はボンさんの胸中央から指二本分下をメタルクウラに示した。ボンさんは巨漢だ。メタルクウラの力でなきゃマッサージは難しい。

「ローゼン、119番――いや、間に合わねえ、このあたりに救命医療の施設はねえか?直接運び込もう!AEDも捜してくれ!」
魔法と科学が相互発達したこの世界なら、蘇生術や回復魔法に頼らない救命技術があるかもしれない。
これは一種の賭けだった。ボンさんがどうしてこうなったかは知らないけれど、見殺しにする道理はない。
「誰か!助けてください!!」
平井堅の熱唱が聞こえた気がした。

234 :創る名無しに見る名無し:2011/07/06(水) 10:16:25.58 ID:odQ7FPZg
「死霊には銀がよく効くってほんとだったのにゃ」
ねこはAg+をローゼンにあずけたままなまけていた


235 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/06(水) 15:37:26.97 ID:DCuz1lPs
――――――――――

―――――――

―――……


「ん……あれ?」

優しい風が頬を撫でる。
泣き疲れて眠っていたカレンは、メタルクウラの背中で目覚めた。
此処は何処だろう、寝ぼける頭で目を擦っていると、一陣の強い風が吹き抜けて。

「わぁ…………!」

感嘆の溜め息。それしか出てこないほど、眼前の光景は圧巻だった。
途方もなく巨大な精霊樹、ユグラドシルの荘厳な姿が、カレン達を出迎えてくれているように思える。

「これが、あの精霊樹……!?逃げ出した時はこんな姿じゃなかったのに……」
《なぁるほどー。歴史が変わったっていうのは本当だったのらねー》

カレンは信じられない思いで、食い入るように精霊樹を見上げた。
不思議な生命力を感じさせる大樹に、霊力を感じる心地よい風。
ここが本当に、あの王都なのだろうか。

>「ローゼンよ、風の精霊がこの樹のどこにいるか分かるか? 」

感動で惚けてる間、メタルクウラがローゼンに問い掛ける。
対し、ローゼンは一瞬答え方に迷っている様子だった。

>「どこにもいない、どこにでもいる……風は遍在する!」
《ま、媒体が大気だから当たり前なのらー》
「じゃあ、さっきから吹いてる不思議な風って、……全部風精霊様!?」
《有り体に言えばそうなるのら》

不思議な気分だ。たしかに、神経を集中させれば、あちらこちらから強力な、だが流れるような優しい力を感じる。
再び惚けてると、ローゼンは困ったように呟く。

>「……どうやって対話が出来る状態で出てきてもらおう」
>「しっかりしろよ専門家。大学出てんだろ?……つっても、足がかりひとつないんだもんなあ。」
「仕方ないですよ。風精霊様は何物にも縛られない方ですから」
《ぶっちゃけフリーダムすぎるのら》
「シーッ!それ禁句」

しかし方法はない。
何物にも縛られない以上、向こうから近寄ってくるのを待つしかない。

「でも、ずっと待ってるってわけにもいかないし……」
>「なんか策はあるかいボンさん」

埒が明かないと言わんばかりに、ジェンタイルがボンバーに話をふった。
しかし返答がない。カレンも不思議に思い振り返る。



>「死んでる……」




236 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/06(水) 15:39:27.94 ID:DCuz1lPs
一瞬、誰もが沈黙した。
誰よりも一番早く我に返ったのはカレンだった。

「キャァアアアアボンバーさーーーーん!?」
>「ちょっと待てええええええ!ちょ、この世界でそれはシャレにならんて!人工呼吸!心臓マッサージ!マウストゥマウス!」

やっと皆我に返り、急いで救出作業開始する。

>「カレン!鎌鼬でボンさんの肺に直接空気を送り込んでくれ!」
「はっはい!やるよ鎌鼬!」

――――――シーン……。

「…………か、鎌鼬?」
《あのさ、そんなことしたらボンさんの気管がメチャメチャになっちゃうよ?》
「な、なに言ってんの!威力を最小限に留めて送る事ぐらい出来るでしょ!?」
《オレにそんな細かい芸当ができるかああ!なのらー!オレは切り刻むくらいしか能がないのらー!》
「ええええええええええええ!?そんなの聞いてないよばかぁあああ!!」

緊急事態発生。
まさか鎌鼬がこんなに使えない奴だったとは。
注釈しておくと、この鎌鼬は゛切断゛に特化した精霊なのだ。
強力な風の刃を創ることは得意だが、その威力をコントロールする術を知らない。

「ど、どうしよう……ぼく、何の役にも立ててない……!」

ジェンタイル達の蘇生活動を、ただ見ているだけ。祈ることしか出来ない。
悔しい――……自分の不甲斐なさが、悔しくて堪らなかった。

(誰か…………――――)

誰でもいい。

>「誰か!助けてください!!」

何だっていい。

(助けて――――――!)

カレンの目から涙が零れ。先程よりも強い風が、吹き抜けた。

《やれやれ、助けてあげようじゃないの》
「…………え?」

何者かの声が聞こえた刹那、カレンの様子が変化する。
蜂蜜色の髪が白に染まり、瞳は悪戯っぽく光る。

『ふん、騒々しいから来てみれば。死霊に銀なんぞ吹きかけるからや』

声はカレンのものだが、吐き出した言葉は明らかに違う誰かだった。
サッとボンバーの顔の上で手を払うと、ボンバーがパチリと目を開けた。

『魔力を少々分けてやった。頼むけぇこーゆう大騒ぎはあんませんでよねー』

カレンは呆れたように言ったと思うと、突然意識を失い膝から崩れ落ち、倒れる。
途端、髪はもとの蜂蜜色に戻り、カレンはゆっくり目を開き――

「…………はれ?どうしたんですか皆さん?」

元のカレンに戻っていた。

237 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/06(水) 15:44:05.20 ID:DCuz1lPs
ジェンタイル達に先の様子を説明されたが、カレンはただ驚くばかりだった。

「ぼく、そんな事した記憶ないのに……」

すると、鎌鼬がその疑問に答えた。

《――風精霊なのら。おまえ等の想いに答えて、カレンを媒体にしてボンさんを蘇生したのら》
「えぇえっ!?風精霊様が!?」

だとすれば説明がつく。
しかし、折角接触できたというのに、もう風精霊の気配はない。惜しいことをした。

「……でも、接触してきたって事はまたチャンスがあるってことですよね!」

ポジティブ思考に切り換えるカレン。
ここで挫けていても仕方ない。
それに、やっと王都に戻ってきたのだ。情報収集しつつ、ジェンタイル達を道案内するのも悪くない。
それに、済まさなければならない用事もあるのだし。

「せっかく王都に来たんですし、道案内しますよ!ほら早くはやく!」

そう言うと、カレンは先頭立って走り出し、


「あ痛ったあ!?」

10歩も歩かない内に盛大に転んだ。

238 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/06(水) 18:49:26.91 ID:B/vTZmQd
>「どこにもいない、どこにでもいる……風は遍在する!」
風精霊の依は空気。
この樹を覆う空気全てが風精霊の体と考えるならば、私達は風精霊の腹の中にいるようなものか。
気分の良いものではないな。

>「……どうやって対話が出来る状態で出てきてもらおう」
「この空気全てが風精霊に繋がるのならば、生身のお前達がおならをすればいい。
おならで空気を汚せば、風精霊も怒って出てくるのではないか?」

>「さあ!泳ごう!ジェン!カレン!クウラ!」
>「おい!」
>「おい!?」
仲間になったボンバーが、私の頭を殴るように撫でる。
私はボンバーの方を睨むが、ボンバーは既に死んでいた。
これには私も驚いた。

>「キャァアアアアボンバーさーーーーん!?」
「私じゃないからな!犯人は私じゃないからな!
刃の鎧も装備してないからな!」
私はいつものように裸である。
しっかりと仲間以外には、私の体と目線にモザイクがついてあるように見えるから大丈夫だ。

>「カレン!鎌鼬でボンさんの肺に直接空気を送り込んでくれ!メタルクウラ、ボンさんのこのあたりにパンチ連打!」
「お、応っ!」
私はボンバーの横に立ち、腹部に拳を叩きつけたが、拳がボンバーの体をすり抜ける。

>「死霊には銀がよく効くってほんとだったのにゃ」
猫の声を聞いた私はボンバーのステータス画面を確認してみた。
確かに種族死霊と書いてある。
「死霊か……どうりで拳がすり抜けるわけだ。
これでは助けられん。どうしりょう」

>「誰か!助けてください!!」
>『ふん、騒々しいから来てみれば。死霊に銀なんぞ吹きかけるからや』
ジェンタイルの願いが届いたのか、雰囲気の変わったカレンがボンバーを癒やす。
その後カレンが倒れると、元のカレンに戻っていた。

>「えぇえっ!?風精霊様が!?」
カレンの雰囲気が変わった時のことを話したのだが、カレンにはその時の記憶が無かった。
そして上の言葉を急に言った。
まぁ、身に宿した精霊が、風精霊がカレンに一時的に宿ったと言って、それをカレンが驚いた。
そんなところだろう。

239 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/06(水) 18:49:56.46 ID:B/vTZmQd
>「せっかく王都に来たんですし、道案内しますよ!ほら早くはやく!」
カレンが嬉しそうに先に走り出す。
「待て。前の世界とは違うのだぞ。
お前に案内できるのか?」
この世界には前の世界にあった城も、勇者達が魔王を倒すことができずにいたため、建造されていない。
その代わりに遊園地などが立っているらしい。
かつての王都に住んでいたメタルクウラが、その遊園地を高く評価していた。

>「あ痛ったあ!?」
「まったく、仕方のない奴だな」
私はカレンの下まで行くと、カレンを持ち上げてお姫様だっこする。
そして、私はそのまま近くにあったホテルに颯爽と駆け込んだ。

240 :創る名無しに見る名無し:2011/07/06(水) 21:41:46.95 ID:odQ7FPZg
「折角この手でご主人様にキルマークを進呈できるところだったのににゃ」
ねこは目を開けたボンバーとローゼンと27円を握ったままの己の爪とを交互に眺めていた

241 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/07(木) 00:53:53.38 ID:JkcsXEKu
>233>236
>「死んでる……」
>「私じゃないからな!犯人は私じゃないからな!  刃の鎧も装備してないからな!」
「うぇええええええええ!? 光精霊リンクだ! ベホマベホマ!」
>「私じゃないからな!犯人は私じゃないからな!
刃の鎧も装備してないからな!」
「クウ君って相変わらず裸だったの!?」
ボンさんが死んだのにもびっくりだけどそっちの方にもびっくりだよ!
ケチって服を買い与えてないみたいで幼児虐待だと思われちゃうじゃん!

>234
>「死霊には銀がよく効くってほんとだったのにゃ」
猫が喋った!?
「僕のせいかあ!? いや、空耳だ!
待てよ、死霊はアンデッド系だから回復魔法は逆効果になるのか…」

>「カレン!鎌鼬でボンさんの肺に直接空気を送り込んでくれ!」
>「ローゼン、119番――いや、間に合わねえ、このあたりに救命医療の施設はねえか?直接運び込もう!AEDも捜してくれ!」
「それ以前に死霊に人工呼吸とかAEDとか効くの!?
初めから息もしてないし心臓も動いてないんじゃない!?」
そもそも誰もツッコんでないけど最初から死んでるのに死んだって何なんだ。

>『ふん、騒々しいから来てみれば。死霊に銀なんぞ吹きかけるからや』
カレンちゃんが、水精霊に乗っ取られた時の僕みたいになっている。
「これはこれは風精霊さん、どうにかならないっすかねー」

>『魔力を少々分けてやった。頼むけぇこーゆう大騒ぎはあんませんでよねー』
風精霊様がボンさんを生き返らせた! 死んでるのに生き返らせたっていうのも変だけど。
いや、死んでるから生き返れるのか。

「……そうか! ボンさん、僕が出来なかったことをやり遂げてくれ!」
ボンさんは、僕が最初にやろうとしてポシャった死に芸人のポジションに収まろうとしているのだ。
最初から死んでおくことによって死に芸を可能にするという逆転の発想である。

>240
>「折角この手でご主人様にキルマークを進呈できるところだったのににゃ」
「……またしゃべった!?」
猫をみつめる。底知れぬ闇を湛えているようで、一瞬、ぞっとするような恐怖を感じた。

「もしかしてお前は本当に魔王の使い魔なの……?」
問いかけに対して、猫は愛くるしい声で鳴くのみ。
「なーんだ、気のせい気のせい」

>「せっかく王都に来たんですし、道案内しますよ!ほら早くはやく!」
「そうだ、風精霊と対話するにはこっちも風になればいい!
あの鉄骨番長なんてどうかな!?」
遊園地の中に見えている、超高い空中ブランコを指さした。

>「あ痛ったあ!?」
意気揚々と歩き出して転んだカレンちゃんに物凄い親近感を感じた。

>「まったく、仕方のない奴だな」
カレンちゃんを抱き上げて颯爽とホテルに駆け込むクウ君。
「クウ君、まだ宿屋に泊るほどHP減ってないよ!」
もしや18禁的な手段で風精霊をカレンちゃんにもう一度憑依させようとしているのか!?
だとしたら断固として阻止しなければならない! 慌てて追いかける。

242 :創る名無しに見る名無し:2011/07/07(木) 02:09:25.64 ID:XzqociNo
>「もしかしてお前は本当に魔王の使い魔なの……?」

「人語と二足歩行はアニメ1話分の努力で習得可能なのにゃ」
ねこは何故かここだけはねこ語でそう嘯いた。

「で」
ねこはジェンタイルに顔を向けた。
「最初から死んでる奴以外を動かし直したら『蘇生術』に該当するから禁止にゃのにゃ為念
なんならオマエも死んでおけばゲームオーバーににゃらずに冒険が続けられるのにゃにゃ?」

243 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/07(木) 04:17:27.21 ID:0YofUHxq
ボンバーは絶命した。だってジェンタイルがそう言ったから・・・
>「キャァアアアアボンバーさーーーーん!?」
「どうした!カレン!?おう!?」
カレンの悲鳴がボンバーの鼓膜を破りさる。
しーん…ではない、キンッとした空気が襲来し世界が沈黙に包まれると
近くにいたメタルクウラに殺人容疑がかけられ突如メタル警視庁が出現した。
>「私じゃないからな!犯人は私じゃないからな!刃の鎧も装備してないからな!」
泣いていたクウラをかばいボンバーは言う。
「犯人は俺だ!クウじゃない!俺だ!刑事さん!」
全裸のクウラに殺人罪がかけられる。必死なクウラはボンバーを生き返らそうと心臓マッサージを行う。
>「お、応っ!」
「おう!」
でも駄目だ。みなさんはボンバーアートマンが悪霊だということをお忘れか?
ボンバーの体を擦り抜けたクウラの拳の衝撃波が、なんと警視庁を全壊させてしまった。

244 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/07(木) 04:18:29.86 ID:0YofUHxq
>「誰か!助けてください!!」
「おう!はやくしろ!」
ボンバーは怒鳴った。泣き喚くジェンタイルは本当に困ったお方である。そして――
>「…………はれ?どうしたんですか皆さん?」
「お目覚めかカレンよ。そう、カレンの不思議な力によって俺は救われた。礼を言おう!カレン!カレン=レ=ズビアンよ!!」
走り去るカレンの背を見つめボンバーは微笑み、振り返るとジェンタイルには眉間に皺を寄せ苦言を呈す。
「ジェンタイルよ。反省するがよい。カレンが居なければ今頃はとんでもないことになっていただろう」
と拳を振り上げジェンタイルの頬に蹴りをとばす。きっとジェンタイルは恐怖に慄いたことだろう。
だが安心して欲しい。寸止めされた拳を開けば、そこには花束。ボンバー愛の証。
それを見ていたローゼンは蕩けた顔でボンバーに抱きつき体を摺り寄せて
>「……そうか! ボンさん、僕が出来なかったことをやり遂げてくれ!」
「ちょっと、何を言っているのかわからんが、やってみせるさ!」と、高笑いのあとみなに目礼をした。

245 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/07(木) 04:19:39.84 ID:0YofUHxq
>「クウ君、まだ宿屋に泊るほどHP減ってないよ!」
「なにを言うか、このおぼこ尻!さあ泳ぐぞ!」
ローゼンに荒縄一本を渡して、ボンバーは地面に飛び込むと大地に憑依。
動く歩道となり、猫。ジェンタイル。ローゼン。平井堅を背中に乗せホテルへ直行。
「ホテルで、お祭りですねい!!」
超高速の動く歩道はまるで戦闘機のカタパルトのようだ。
このままでは事故が起きて、ジェンタイルたちは酷い目に合ってしまう。
運が良くても千の風になり、あの大きな空を吹き渡ってしまうかも知れない。

246 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/08(金) 02:39:07.07 ID:4Cu4m7eE
ボンさんが悪霊って設定今知ったよ俺!
ステータス画面見るとかいう高等テクをみんながみんな使えると思うなよ!?
メタルクウラが心臓マッサージを打ち込もうとしおてもすり抜けるばかり。向こうでメタル警察署が倒壊した。
わーまためんどくさそうなフラグ立てやがって!絶対あとで刑務所編とか始まる流れだよこれ!

>『ふん、騒々しいから来てみれば。死霊に銀なんぞ吹きかけるからや』(ヨゥローフォーエーバー
突如、平井堅の熱唱をバックにカレンが豹変した。ってゆうかカレンかこれ。髪から色が抜けてるんですけど。
カレン(?)はボンさんの頭をそっと撫で、そして残響が消失するように去っていった。
ボンさんが息を吹き返す。もともと息してるんかしらんけど。

>『魔力を少々分けてやった。頼むけぇこーゆう大騒ぎはあんませんでよねー』(ヒートミーヲトージテー
カレンの髪色がもとに戻り、たった今目が覚めたかのような表情で頭をぶんぶん振っている。
なんだったんだ今の。そして平井堅は残ってるのな。帰れよ、三重県に。
余談だけど世界の中心がエアーズロックってどういうことだよ。まだブルーホールのほうが説得力あるわい。
ブルーホールっていうのは、中米ベリーズあたりの海にある海底に空いた大穴のことです。
巨大な穴ってすごくロマンがあるよね!男の子だからかな。あ、いや、別に如何わしい意味じゃなくてね!洞窟とかさあ!

>「えぇえっ!?風精霊様が!?」
「今の風精霊だったの!?」
確かにチャランポランっぽい雰囲気だったわ……。平井堅うるせえ。
つーかカレン、普通に風精霊喚びやがった。
それがどれほどの適性と、才能と、何よりも天恵を要するか、俺はよく知っていた。
望みどおりの精霊とコンタクトできるなんてことは、精霊使い溢れる昨今ほとんどないと言っていい。
有名大学に願書が殺到するように、契約精霊にも倍率ってものがあるのだ。
四大精霊にもかかわらず炎精霊と契約できたのは、ひとえにこの倍率が低かったからである。
何やらかしたんだお前。
<<他の契約者に貰われてった同胞がな。ファイル共有ソフトつこうて契約者のPCデータ全部漏洩したらしい>>
それは怒られるわ……。なんか、株価みたいだなこのシステム。俺は底値のときに買えたってわけだ。
<<上がる気配もないがな>>

>「ジェンタイルよ。反省するがよい。カレンが居なければ今頃はとんでもないことになっていただろう」
「あんたがそれ言うぐべえっ!?」
振り上げた拳に身構えたら蹴りが飛んできた。頬と顎にヒットし脳震盪気味に錐揉み回転。
「ってえ何すんだこのおもしろ黒人!」
すっとすんドめされた拳が開き、中から出てきたのはぐしゃぐしゃを通り越して圧縮された花束の残骸。
「意味分かんねーよ!誰が花山薫みてーなことしろっつったし!」

>「せっかく王都に来たんですし、道案内しますよ!ほら早くはやく!」
気をとりなおしてカレンが先行する。そして何も無いところで転んだ。
「うわあ……リアルドジッ子とか初めて見たよ俺。あーほら、カメコが集まってきちゃったじゃねえか。メタルクウラ!」
フォローに廻るようにメタルクウラに指示すると、
>「まったく、仕方のない奴だな」
カレンを抱き抱えてホテル直行。
「男ならなんでもアリかお前ーーーっ!?」
>「クウ君、まだ宿屋に泊るほどHP減ってないよ!」
追いかける。駆け出すその動きの途中で、ローゼンの抱く猫がこちらを見たことに気付いた。
>「最初から死んでる奴以外を動かし直したら『蘇生術』に該当するから禁止にゃのにゃ為念
 なんならオマエも死んでおけばゲームオーバーににゃらずに冒険が続けられるのにゃにゃ?」
「なにその超理論!?どうかとおもうよそういうの!」

>「ホテルで、お祭りですねい!!」
ボンさんが道路に溶けこみ(もはやなにもつっこむまい)、道路が超高速の動く道路に変形した!
俺と、ローゼンと、猫と、何故か平井堅(セカチュー熱唱中)を乗せて迸る!
「うぎいいいいいいいいいいいいいいい!!」
ピンクを基調としたホテルの無人受付で自動販売機みたいな部屋選ぶマシンを操作しているメタルクウラの背後目がけて、跳ぶ。
光る風を追い越してまた君に会えた気がした。

247 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/08(金) 09:37:56.06 ID:GhZYP7jO
>「まったく、仕方のない奴だな」
「あうう……痛いよぉ……」

盛大に額をぶつけ涙目のカレン。
本場仕込みのやれやれの動作を交えて近づき、お姫様抱っこされた。

「ひゃわぁあっ!?メタルクウラさん!?」

そのまま目に厳しいけばけばしいピンクが基調のホテルへ直行。
販売機でメタルクウラが部屋を選んでいる間、カレンはロビーのふわふわソファーで足をブラブラ。
エクソシストの格好でこんなホテルにいるからか、人目を引いている。


ヒソヒソ   『何でエクソシストがこんな所に居るんだ?』『可愛いなオイ』   ヒソヒソ

   「ねぇ鎌鼬……視線が痛いんだけど何かしたかなあ……?」《今現在進行形でしてるのら》

   『背ぇ小っせー足細っせえー』『誰かナンパしてこいナンパ』


ヒソヒソ  『なあ、あれジューシィじゃね?』『いやマダムチェだろ』   ヒソヒソ

   「ええ!ぼく何もやましい事してないよ!」《……無自覚っておそろしい》

ヒソヒソ  『プリコに一票』『マジレスするとミゥーラ』   ヒソヒソ


好奇の目に晒され、足をもじもじさせる。メタルクウラの部屋選びはまだ終わらない。いい加減出て行こうか。その時。

>「ホテルで、お祭りですねい!!」
>「うぎいいいいいいいいいいいいいいい!!」

ジェンタイル達が悲鳴を上げて飛び込んできた。ドアを突き破って。
このままではメタルクウラと衝突し五臓六腑が撒き散らされホテル内がさながら沙耶の唄が如くグロテスクな内装に変貌してしまう!

「エグい!表現がエグいよ!鎌鼬、゛リンク゛――!」
《おう!斬風参式‐嵐の舞‐!》
        ストームパニック


鎌鼬が起こす突風が全てを巻き込む。ソファーもカーテンも客もジェンタイル達も。
だが風に斬撃の効果を持たせていないため、ジェンタイル達を傷つけることはない。
風が弱まると、ジェンタイル達は大きなソファーの上に着地。カレンが駆け寄る。

「皆さん大丈夫ですか!?」
《おい早く逃げるのら!警備員達が騒ぎを聞きつけて追ってくるのら!》

隠蔽工作を施し、一行が逃げ出した数分後。
一人の青年と恰幅のいい女性が現場にいた。

「フン、まんまと逃げられちまったって訳かいノイン?」
「すみませんマドモアゼル。直ぐに追い掛けます」

ノインと呼ばれた片目を髪で隠した青年は一礼し、他の警備員に混じって出て行った。


248 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/08(金) 09:40:21.24 ID:GhZYP7jO

「ああービックリした。追っ手は来てないみたいですね」
《代わりに誤解は深まったと思うがな!のらー》
「ほへ?何のこと?」
《こっちの話なのら。全く、こちとら何時参加しようかROMってるだけだってのに……》

ブツブツ何やら呟く鎌鼬はさておき、改めてユグドラシル観光の始まりだ。

「そういえばジェンタイルさん、メタルクウラさん。これ見て下さい」

そう言って差し出したのは一枚の地図。ユグドラシルの地図だ。
ホテルに置いてあった物を一枚失敬してきたものだ。良いだろタダなんだし。

「確認してみたんです。ユグドラシルは城が遊園地に変わった以外、旧歴史から殆ど変動していないんですよ。
 ホラ、ぼくが通っていたエストリス大修道院や教会とかはそのまま残ってますし。もしかしたらそこにヒントがあるかも!」

本当は修道院に戻るのは怖い。だが、ヒントはきっと、ここにある。
カレンの霊的直感が、そう囁いていた。

「あーら、聞き慣れた声がすると思ったら……カレンじゃないの」

カレンに向けて耳障りな粘っこい猫撫で声がかけられる。
振り返ると、そこにいたのは一人の少女。
メガネを掛け、意地悪いハイエナのような目をし、男物のキュロットを着ている。
しかしそれを除けば、カレンに瓜二つな相貌をしている。

「マーガレット!何故ここに!?」
「フフッ、逃げ出した泣き虫カレンちゃんがどの面下げて帰ってきたのか見に来たのよ」

意地悪そうな目を細め、ジェンタイル達へと視線を移す。
品定めするように全身を眺め回すと、口角を釣り上げた。

「――へぇー。芋臭い面構えの割に、良い精霊つけてんじゃないの」
「あっあの、幼なじみのジェンタイルさんとローゼンさんとメタルクウラさん、それn「どうでも良いわよ」

マーガレットはバッサリ切り捨てると、ジェンタイル達に向き直った。

「大修道院には近づかないことね。血気盛んなのに絡まれたらお終いよ。
 特に、風が吹けば飛んでいきそうなヒョロいアンタとかね」

ジェンタイルに向けて吐き捨てると、マーガレットは背を向けて歩き出し、去っていく。
カレンはジェンタイルを宥めながら必死に弁明する。

「あ、ああは言ってるけど彼女なりに心配してるんですよ!血気盛んな人が多いのは事実だし……。
 でも、目さえ合わせなければ大丈夫です!さあ行きましょう!」

249 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/08(金) 12:45:58.74 ID:1NCJOGkK
失敗した。
私が変態キャラだということを生かし、カレンを連れてホテルに入ったが、普通のホテルだった。
そんな冗談をしようと思ったら、間違えて本当に性的なホテルに入ってしまった。
ここでは観光する時の拠点にもできんし、今さら冗談だとも言えない。
どうしよう。
販売機の前でずっと突っ立っているせいか、カレンや他の客の視線が痛い。

>「ホテルで、お祭りですねい!!」
>「うぎいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「おぉ、救世主よ!」
空気を読んだジェンタイル達が乱入してきて、カレンの突風によって舞い上げられた。
突風でロビー内はめちゃくちゃになっている。
「何をやっているんだ!逃げるぞ」
カレンもジェンタイル達に近づいたことだし、私もジェンタイル達に近寄り、ジェンタイルの頭とカレンの腕を掴んで瞬間移動。
ジェンタイルに他のみんなも触れていたので、全員で逃げることができた。

>「そういえばジェンタイルさん、メタルクウラさん。これ見て下さい」
逃げた先のユグドラシルに住んでいるメタルクウラの豪邸から出ると、カレンが地図を見せる。
城が遊園地になったこと以外は、前の世界とそんなに変わってないらしい。
カレンが言うには修道院や教会に何かがあるかも知れないと。

>「あーら、聞き慣れた声がすると思ったら……カレンじゃないの」
カレンによく似た人物がカレンに話しかける。
カレンの姉妹か何かか?

>「――へぇー。芋臭い面構えの割に、良い精霊つけてんじゃないの」
「ジェンタイルにローゼン、言われてるぞ」
まぁ、芋臭いのは辺境村に住んでたから仕方がない。

>「大修道院には近づかないことね。血気盛んなのに絡まれたらお終いよ。
>特に、風が吹けば飛んでいきそうなヒョロいアンタとかね」
「おいおい、またまた言われてるぞ」
私はジェンタイルの脇を肘で突く。
彼女は警告をしてくれてるみたいだが、私達は見た目通りの者達ではない。
一応は歴戦の勇士と、もう言われても良いはずだ。

>「あ、ああは言ってるけど彼女なりに心配してるんですよ!血気盛んな人が多いのは事実だし……。
>でも、目さえ合わせなければ大丈夫です!さあ行きましょう!」
「あぁ、しかし修道院など神を信じる者達が集う場なのに、血気盛んな者が大勢いるとは意外だな」
ん?

250 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/08(金) 18:25:49.47 ID:ER+GoPcY
ジェンタイル/必死/形相
ボンバー/笑
>「うぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「ふははは!流石はジェンタイル!末おもしろい男よ」
ボンバーは泣き笑い。カレンの不思議な力で、またもや皆が救われた

クウラ/全員/瞬間移動/安心
カレン/双子?/マーガレット/登場

「おう小娘!俺の命の恩人たちを肥え扱いするか!?確かに肥え臭いだろうがな!」
ボンバーはジェンタイルとローゼンの全身にファブリーズをふりかけてやった
そしてその場で風船太郎のように丸くなり
「お前らは何故、風の精霊に会いたいのだ?」
鼻をほじりながら真剣な目で問へばローゼンが答えた

「そうだなわかった…。俺も同行しよう。お前たちの答えはそこにあるのだろう…」
ボンバーはジェンタイルに続くことにした

251 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/08(金) 23:28:02.99 ID:uxuHdOeu
>242
>「人語と二足歩行はアニメ1話分の努力で習得可能なのにゃ」
「にゃにゃにゃあにゃ!? にゃにゃにゃ!!」
ねこ後で囁いたねこに、ねこ語で答えた。

>243-245
突然荒縄を渡される。
>「なにを言うか、このおぼこ尻!さあ泳ぐぞ!」
「へっ? ……ぎえええええええええええええ!?」
戦闘機並みの速度の動く歩道に流される!
>「ホテルで、お祭りですねい!!」
僕達は千の風になった!
〔なんやねん、昼間っからホテルとは元気やなあ!〕
今風精霊の声が聞こえたような……。
普通逆じゃない? HPが減ったら宿屋に泊るんだろ。

>246
>「うぎいいいいいいいいいいいいいいい!!」
ジェン君がクウ君に飛びかかる!
この戦闘機並みの勢いそのままに飛びかかれば大惨事だ!

>247 >249
《おう!斬風参式‐嵐の舞‐!》
        ストームパニック
ホテル内が大惨事だ!
>「皆さん大丈夫ですか!?」
《おい早く逃げるのら!警備員達が騒ぎを聞きつけて追ってくるのら!》
「うぇええええ!? いきなりお尋ねものかよ!!」
>「何をやっているんだ!逃げるぞ」
瞬間移動万歳!

252 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/08(金) 23:28:59.03 ID:uxuHdOeu
>248
>「そういえばジェンタイルさん、メタルクウラさん。これ見て下さい」
地図の横の方に書いてある観光ガイドに目が留まる。
「なんてこったー! 噂の王都の名門大学が世界中からバカが集まるバカ大学になっている!」

>「あーら、聞き慣れた声がすると思ったら……カレンじゃないの」
現れたのは、見るからに性格の悪そうな女子。カレンちゃんと似てる……わけない!
カレンちゃんは可愛い、こいつは可愛くない。
>「――へぇー。芋臭い面構えの割に、良い精霊つけてんじゃないの」
思いっきりあっかんべーをしてやる。
「お前こそ俗世に穢れきった顔をしとるわあ! 絶対主人公になれないタイプだ!」

>「おう小娘!俺の命の恩人たちを肥え扱いするか!?確かに肥え臭いだろうがな!」
「誰が肥え臭いだあああああああああ!!」

>「大修道院には近づかないことね。血気盛んなのに絡まれたらお終いよ。
 特に、風が吹けば飛んでいきそうなヒョロいアンタとかね」

「なーにアイツ、感じ悪っ! ……ん? 今のは典型的フラグ?」
○○に近づかないように、と言われたらそこに行かないと話が進まないのである。

>「あ、ああは言ってるけど彼女なりに心配してるんですよ!血気盛んな人が多いのは事実だし……。
 でも、目さえ合わせなければ大丈夫です!さあ行きましょう!」
「えっ、DQNは苦手なんだ……!」

>250
>「お前らは何故、風の精霊に会いたいのだ?」
ボンさんは鼻をほじりながら真剣な目でこちらを見つめている。
答えたと本文に書かれてしまった以上答えないわけにはいかない。
「えー何故って……そりゃあ話の流れ的にそういう流れじゃん?」
>「そうだなわかった…。俺も同行しよう。お前たちの答えはそこにあるのだろう…」
ボンさんが物分かりが良くてよかった!

253 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/09(土) 05:21:40.70 ID:NvWiTKSi
メタルクウラの尻目がけてダイブ。
あわやToLoveるかと危惧する観衆のなか、カレンの働きたるや目覚ましかった。
>「エグい!表現がエグいよ!鎌鼬、゛リンク゛――!」
刹那、吹き荒れる風が俺たちを包む。
パラシュート的な感じに抱擁され、テクニカルに減速。
俺は真っ逆さまにソファへと放り出され、とにもかくにも九死に一生を得た。

「た、助かった……助かったぜカレン」
<<風精霊編始まってからあれに助けられっぱなしだな汝>>
あれとか言うな。色々と大人の事情があんだよ。
ニューフェイスが活躍しなきゃキャラクタービジネスは成り立たねえ。
俺達はメタルクウラの後頭部をぶん殴ってみんなでずこずこ退散した。
黒服ヤクザとか来そうな雰囲気だったので。

>「そういえばジェンタイルさん、メタルクウラさん。これ見て下さい」
ユグドラシルのどっかの通りに落ち着いた俺たちは、カレンが失敬してきたという観光地図に首を揃えて覗き込んでいた。
王都の大学にいくつもりだった俺はセンター試験のときにあらかたの地理情報を調べておいたので、
カレンの言わんとしてることもなんとなしにわかった。
>「確認してみたんです。ユグドラシルは城が遊園地に変わった以外、旧歴史から殆ど変動していないんですよ。
 ホラ、ぼくが通っていたエストリス大修道院や教会とかはそのまま残ってますし。もしかしたらそこにヒントがあるかも!」
「なるほど……確かにこの辺り一帯は世界線変動率(ダイバージェンス)が小さいな」
俺はすぐそこのセブンイレブンにワゴンセールされてたニキシー管造りの計器、ダイバージェンスメーターを見て言った。
今期アニメ関連商品なので大量入荷したらしいが、なにぶん使いどころの難しいモノなのでさっぱり売れずに投げ売りされていたのだ。
こいつは世界線、歴史軸と換言できるそれを数値に表し、元の世界からどれくらい変わっているかを変動率として計測するアイテムだ。
歴史軸を旅する俺たちにとっては方位磁針に等しい代物である。見た目がカッチョいいので是非ググってみることをオススメする。

>「なんてこったー! 噂の王都の名門大学が世界中からバカが集まるバカ大学になっている!」
「マジで!?確かに魔王制のこの時代に精霊学専攻しようなんて奴は馬鹿しかいないだろうけど!」
ちょっとショックだわー。今のうちに入学しといて元の歴史軸で通えねえかなあ。
名前書くだけで受かりそうだし。
閑話休題。
歴史改変から逃れた場所が精霊術関連ってところがクサいな。神格精霊の加護をうけてるからか?
ともあれ、これは行ってみて考えるしかないだろう。
案ずるより産むが易しっていう名ゼリフもあることだしな。

254 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/09(土) 05:22:32.71 ID:NvWiTKSi
>「あーら、聞き慣れた声がすると思ったら……カレンじゃないの」
と、そこへまたしてもラノベ声。
振り向くと、そこには眼鏡onのカレンがいた。
瓜二つの顔に――男物の服を着た少女。
ツラはカレンそっくりだが、その表情には明らかな険が見えた。
なんとなく、わかる。
この女、カレンと何から何まで正反対だ。ってことはつまり、ついてないんだろう。
<<男の娘の見た目でついてないとか最高じゃないか。本が薄くなるな>>
「それ、ただの女子じゃん」
<<あージェンタイルさん今いちばん言ったらいかんこと言ったわ。もー、極萎え>>
……はしゃいでるなあ、炎精霊。真面目なのはバベル編だけだったなお前。

>「マーガレット!何故ここに!?」
<<ほー!マーガレットちゃんって言うの!電撃文庫っぽい名前だな!な!汝!>>
さっきからなにこのテンション。うぜぇ……。
>「――へぇー。芋臭い面構えの割に、良い精霊つけてんじゃないの」
<<見る目もあるぞ汝!>>
待て。それよりもこの女、もしかしてと思ったけど同業者か。
カレンと知り合いみたいだし、歴史改変の影響も受けてなさそうだ。
「ま、ま、カレン。落ち着け。ここは俺がセンパイらしく卓越したコミュ力を見せてやるよ。あくまで紳士的に」
>「大修道院には近づかないことね。血気盛んなのに絡まれたらお終いよ。
 特に、風が吹けば飛んでいきそうなヒョロいアンタとかね」
「テメっ喧嘩売ってんのかッ!」
<<メッキ剥がれるの早いな汝!>>
>「おいおい、またまた言われてるぞ」
「おめーはさっきからどういう立ち位置目指してんだよ!煽ってんのかこの野郎!」

>「あ、ああは言ってるけど彼女なりに心配してるんですよ!血気盛んな人が多いのは事実だし……。
 でも、目さえ合わせなければ大丈夫です!さあ行きましょう!」
「待て」
俺は鋭く周囲を制した。カレンと同じ顔をした、マーガレットとかいう性悪眼鏡女を指さして、宣言する。
「ここまでコケにされちゃあ、センパイの沽券に関わるなぁ……おおっ?マーガレットちゃんよぉ……!?
 来いよ、出しやがれお前の精霊を……。身の程知らずのルーキーに、敬語の使い方を叩き込んでやんヨぉ……ゲハハハハハ!」
<<小物臭全開だな汝……>>
青筋ビキビキしながら俺はマーガレットちゃんに絡んだ。

255 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/09(土) 11:00:42.51 ID:jaLNJM6q
>「なーにアイツ、感じ悪っ! ……ん? 今のは典型的フラグ?」

ローゼンは憤慨しながらマーガレットの背中を睨む。
出会い頭に見知らぬ人間から嫌味同然の発言を受けたのだから当然だ。
マーガレットは振り返りもしない。相手にすらしないつもりだった。

>「待て」

だが、ジェンタイルの鋭く重い声が、マーガレットの足を止めた。
無表情でマーガレットは振り返る。そこには、青筋を何本も立て怒りを露わにしたジェンタイル。

>「ここまでコケにされちゃあ、センパイの沽券に関わるなぁ……おおっ?マーガレットちゃんよぉ……!?
 来いよ、出しやがれお前の精霊を……。身の程知らずのルーキーに、敬語の使い方を叩き込んでやんヨぉ……ゲハハハハハ!」

悪役臭丸出しのジェンタイルに、マーガレットはやや冷めた目で見たかと思うと――――――――あろうことか、微笑んだ。
意地悪そうな表情から一変し、暗く厳しい目が柔和なものへ。
まさか、この微笑みを見て誰もが想像にしないだろう。
この柔和な笑みこそが、彼女の表現しうる最大の『攻撃』のポーズだ、などと。

「……良いわ。その喧嘩、買ってあげる。どうせだからあの広場で一戦交えましょ?観客も大勢居ることだし」

着いてらっしゃい、と身振りし、マーガレットは歩き出す。
カレンはあわあわと取り乱し、ジェンタイル達を再度宥めようと試みる。

「考え直して下さいジェンタイルさん!
 ぼく、ジェンタイルさんとマーガレットが戦う所なんて見たくないです!」

ジェンタイルに抱きついて必死に抗議するが、耳に入らないようだ。
まるで最初からこうなることを予期していたかのように、マーガレットは普段のあの笑顔で諭す。

「ムダよ、カレン。精霊使いには精霊使いとしての矜持があるのよ。それは彼とて同じ事。それに……」

さも面白そうに笑う。

「こんな楽しいイベント、誰が逃すと思って?」



木漏れ日の差す日曜の広場。だがこの日は異様な雰囲気に包まれていた。
広場の中心に、殺気丸出しのジェンタイル。対峙するは、すました顔でキュロットの裾を払うマーガレット。
それを取り巻き見守るのは、カレン達と、大勢のキュロット姿の少年少女。
全員がカレンやマーガレットと同じく、大修道院で学を修める見習い精霊使いだ。
年上も年下も先輩も後輩も関係なく、皆がマーガレットと見知らぬ青年との戦いに興味津々だ。


256 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/09(土) 11:03:09.00 ID:jaLNJM6q
「メタルクウラさん、さっき言ってたことなんですけど……」

カレンはメタルクウラに近づき、小声で囁く。

「…ここにいる人の中で、神を信じる人なんて殆どいません。
 それどころか、それを超えようと考える人すらいます。」

精霊の力を持つ精霊使いは、時としてまるでそれを自分自身の力であると勘違いする者が居る。
此処にいる彼等がまさにそうで、力を過信し、慢心し、血を求める者たちばかりだ。
現に、本来ならば学徒の精霊を使った戦闘は禁止されているのに、止めようともしない。
中にはどちらが勝つか賭をしている連中までいる。
カレンはその様子を悲しい気持ちで眺める。カレンもまた、弱さ故に止める事が出来ないから。


「勝負は一回。どちらかが気絶するか、負けを認めたら終わり。
 また外部による乱入は、乱入者の仲間側の負けと判断するわ。良いかしら?」

ルールを説明し、マーガレットはジェンタイルを見据える。
その目は自分の負けなど有り得ない、とばかりに自信に満ちている。

「そういえば自己紹介がまだだったわね、センパイさん?」

まるっきり馬鹿にした口調でセンパイを強調する。
その時ジェンタイルは気づくだろうか。
マーガレットを中心に、周囲の大気の温度が急速に低下していくことに。
どこからか出したステッキを手に、マーガレットは一礼。

「私の名前はマーガレット=アイ=ビビリアン。そこの泣き虫の従姉よ」

ピキン、と大気が割れたような音を立てる。
マーガレットを取り囲むようにして、巨大な氷柱が何本も宙に浮遊している。

「――契約精霊は、水の眷属《氷精霊》。よろしくあそばせ?」

マーガレットがステッキを振り下ろす。
その動きに合わせるように、鋭利な氷柱がジェンタイルに向かって発射される!
だが気をつけなければならない。氷柱は観客席にいるカレン達にまで向けられているのだ!

「キャァアアアア!!」

顔に突き刺さらんと氷柱の鋭角が肉迫し、カレンの悲鳴が木霊する!

257 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/09(土) 14:34:14.22 ID:Ll/NSnM2
>「ここまでコケにされちゃあ、センパイの沽券に関わるなぁ……おおっ?マーガレットちゃんよぉ……!?
>来いよ、出しやがれお前の精霊を……。身の程知らずのルーキーに、敬語の使い方を叩き込んでやんヨぉ……ゲハハハハハ!」
さすがはチンピラっぷりに定評のあるジェンタイルだ。
喧嘩を売ったは良いが、すぐにやられるかませ犬臭が半端ではない。

>「……良いわ。その喧嘩、買ってあげる。どうせだからあの広場で一戦交えましょ?観客も大勢居ることだし」
マーガレットもジェンタイルの誘いに乗り、広場で試合をすることになる。
「ジェンタイルよ、五秒で倒されるなよ」
私達も広場に行くとしよう。


>「メタルクウラさん、さっき言ってたことなんですけど……」
「ん?」
広場で決闘が始まろうとする矢先に、カレンが小声で話しかけてくる。

>「…ここにいる人の中で、神を信じる人なんて殆どいません。
>それどころか、それを超えようと考える人すらいます。」
「そうなのか」
今は魔王を信仰するしかない世の中なのだ。
良いのか悪いのかは知らないが、前の世界の者達が神を信じていないのならば、魔王を信仰する者達や悪魔に狙われることはないだろう。

>「私の名前はマーガレット=アイ=ビビリアン。そこの泣き虫の従姉よ」
>「――契約精霊は、水の眷属《氷精霊》。よろしくあそばせ?」
カレンの従姉は氷の精霊と契約しているようだ。
「ジェンタイル、相性差はばっちりだ!
お前は私より強いのだからな、本当に負けたら許さんぞ!」

>「キャァアアアア!!」
試合が始まり、マーガレットの放った氷柱の一つがカレンの方に迫る。
私がその氷柱を睨むと、氷柱は勢いを無くしてカレンの目の前で静止する。
「これでは他の奴らにも危害が加わりそうだな。
ローゼンよ、結界みたいなもので観客達に来る流れ弾を防ぐことはできないか?」

258 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/10(日) 00:06:35.51 ID:sl5qAka5
「>254
>「ここまでコケにされちゃあ、センパイの沽券に関わるなぁ……おおっ?マーガレットちゃんよぉ……!?
 来いよ、出しやがれお前の精霊を……。身の程知らずのルーキーに、敬語の使い方を叩き込んでやんヨぉ……ゲハハハハハ!」
そういえばジェン君って当初悪役志望だったよね。なんだろうすごく懐かしいこの感じ。
ジェン君ったら中学時代は喧嘩に明け暮れててその度に僕が止めに入って二人まとめてボコボコになったものだ。
「ジェン君!! やめなよ、相手にしない方がいいよ!!」

>「……良いわ。その喧嘩、買ってあげる。どうせだからあの広場で一戦交えましょ?観客も大勢居ることだし」
「ひぃいいいいいいいいいい!? 今時決闘なんてごくせんに出てくる不良ぐらいだよ!」
どうしよう二人とも殺る気満々だ!

「すみません厳しく言い聞かせておきますので勘弁して下さい!」
>「考え直して下さいジェンタイルさん!
 ぼく、ジェンタイルさんとマーガレットが戦う所なんて見たくないです!」
二人して右往左往するも、血気盛んな人同士がひとたび火花を散らし始めたらもう止まらない。

>「ムダよ、カレン。精霊使いには精霊使いとしての矜持があるのよ。それは彼とて同じ事。それに……」
「何が精霊使いとしての矜持だ! 精霊は! 人を傷つけるための! 道具じゃない!」

>「こんな楽しいイベント、誰が逃すと思って?」
「ちっとも楽しくないよ!! ジェン君がボコボコになっちゃう!」
『えっ、ボコられるの前提!?』

>256-257
>「…ここにいる人の中で、神を信じる人なんて殆どいません。
 それどころか、それを超えようと考える人すらいます。」
待て待て待て! 神を信じる人が殆どいないってどういうことだ!?
エストリス大修道院といえば言わずと知れた光の神格精霊の神官を養成する……
そこで、僕がこっちの世界でマジもんの光の勇者になってしまった理由を思い出した。
「そうか。この歴史軸は光の精霊が絶滅している……!」
いないものを信じろっていってもそりゃ無理な話だ。

259 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/10(日) 00:08:10.45 ID:sl5qAka5
神格精霊は数あれど、あの十字架が立ってて蘇生させてくれる最も一般的な教会は光の神格精霊の教会だったりする。
神格の光精霊さんを主人公にした超大作ライトノベルは世界中で大人気。
光あれの名ゼリフで始まるカオスな創世譚が第一部。
後に人間に転生した神格の光精霊さんが自らの信者を増やす旅に出て
おもしろ説教演説をしながら悪魔や邪教の使徒と異能バトルを繰り広げる冒険譚が第二部だ。
熱心な信者の人は聖霊って字を当てたりもするね!

>「――契約精霊は、水の眷属《氷精霊》。よろしくあそばせ?」
閑話休題している間に決闘が始まってしまった。
仕方がない、ジェン君が怪我しないように魔法でこっそり介入してやるとするか!

>「キャァアアアア!!」
飛んできた氷柱をクウ君が間一髪で止めた。
「あいつ……観客席にまで飛ばすなんて滅茶苦茶だ!」

>「これでは他の奴らにも危害が加わりそうだな。
ローゼンよ、結界みたいなもので観客達に来る流れ弾を防ぐことはできないか?」
「おう、輝く光の壁は基本だ!」
リフレクもマジックバリアーもフバーハも光の壁や光の衣として表現されるので光魔法の一種。
「あっでも……」
光の神格精霊をはじめとする光精霊がいないこの世界の、よりにもよってこの修道院で、僕が光魔法を使ったら……。
・古の世に存在したという神格の光精霊様の降臨じゃ!→大騒ぎ→魔王軍が目を付ける→あぼーん
・神を超えようとするチンピラ達に命を狙われる羽目に!→あぼーん

要するに碌な事にならない。
「どうしよう、光魔法は使えない……!」
《妾の出番じゃな。あの小娘、たかが眷属の分際で調子に乗りよって……妾はそのものズバリの水精霊じゃ!》

「水の壁……!? それで結界魔法の代用をしようと思うと相当大掛かりになるけど……」
《周りを見てみい》
なんてこった、女装美少年がたくさんいる!

「それって制服だったのかああああ! なんて素敵な学校なんだ!!
美少年が傷つくなんて僕が許さない!」
即リンク完了。
「アクアウォール!!」
現れたのはあらゆる攻撃を遮断する水の壁。
決闘場と化した広場の中心付近を、分厚い水のカーテンが360度包囲する!
「すごいじゃんこんな最強な防御魔法持ってるの?」
《難点は持続には毎ターン精神集中しなければならない事じゃな》
水精霊はさらっと爆弾発言をした。
つまりジェン君には一人で実力で頑張ってもらうしかないという事ですか!?

260 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/10(日) 03:43:55.18 ID:/78XNUPz
前略。反省してます。
いやほんとすいませんでした調子こいて年下にナメられたくなかったんす田舎のチンピラは狭い業界なんで一回嘗められたら
即終わりなんです噂とか三日で村中に伝わるんスよ地元の小学生とかにも石投げられるッスからねマジで。
>「考え直して下さいジェンタイルさん!ぼく、ジェンタイルさんとマーガレットが戦う所なんて見たくないです!」
だよねー俺も見たくないです。流石カレンこの諍いの仲裁に入ろうとしてくれてる持つべきものは従順な後輩だなあ。
>「ムダよ、カレン。精霊使いには精霊使いとしての矜持があるのよ。それは彼とて同じ事。それに……」
ないよ!そんなものは、高校卒業したあたりで捨てました!もうプライドとか言って悦に入ってる歳じゃないんですよ僕たち!
>「何が精霊使いとしての矜持だ! 精霊は! 人を傷つけるための! 道具じゃない!」
やめて!煽らないで!どんどん俺がフルボッコにされるフラグが積み上がっていく。
外堀も内堀も敵味方から埋められまくりだ。あっはっは、どうしてこうなった。
>「ジェンタイルよ、五秒で倒されるなよ」
「む、無用な心配だな……今のうちに担架の手配でもしとけよ。あの女を乗っける為のな!」
女子中学生ぐらいの女の子相手に、病院送り発言をドヤ顔でする18才児がそこにいた。
認めたくないが、俺のことだった。

>「勝負は一回。どちらかが気絶するか、負けを認めたら終わり。
  また外部による乱入は、乱入者の仲間側の負けと判断するわ。良いかしら?」
「っは、なんなら束になってかかってきても俺は一向に構わねえが……ま、ま、そーゆうルールなら従うしかないね!うん!」
なんてこった。最悪メタルクウラかボンさんに助けを請おうかと思ってたのに!
これ、今からでもバトルじゃない方法で勝負にしてもらえないかなあ。ジャンケンとか。あっやべっ、お腹痛くなってきた。
「フン、お前なんか3秒もかからず消し炭に変えてやれるが……その前にちょっとトイr」
『さあー突発的に始まりました精霊バトルinユグドラシル!挑戦者はバベルの方からいらした旅人一行の一人、エセチンピラさん!
 対するは我らがエストリス大修道院が才媛にして氷精霊の契約者、マーガレット女史ッッ!
 実況はわたくし、精霊科三回生のマーマレード=マーガリンが勤めさせていただきます!なおこのイベントには協賛として――』
ひいいいいいいなんか実況とかついてるうううう!?悪乗りしすぎだろこいつら!スポンサーとかどっから呼んだんだよ!
そして俺は理解してしまった。このバトルには、少なくない資金と利権が動いてる。今更なかったことにはできない。つまり、
 後 戻 り は で き な い !

>「そういえば自己紹介がまだだったわね、センパイさん?」
マーガレットちゃんが、おもっクソ見下した笑みでそんなことを言ってきた。
どこからともなく杖を取り出し、構える。それだけで俺は背筋が寒くなった。もうなんか、物理的に寒い感じするもん。
>「私の名前はマーガレット=アイ=ビビリアン。そこの泣き虫の従姉よ」
そしてそれは、事実物理的に寒いのだった。
マーガレットちゃんの周囲に氷の柱が出現。その穂先が俺を捉える。
>「ジェンタイル、相性差はばっちりだ!お前は私より強いのだからな、本当に負けたら許さんぞ!」
お前マジで煽るんじゃねええええええええええええ!
<<汝、マジでヤバくないか。あのレベルの氷柱を撃たれたら、吾の炎でも溶かしつくす前に汝に着弾するぞ>>
あっはっは、そーかそーか。よーしもー無理だ。投降しよう。土下座すりゃ許してもらえるよねっ!
>「――契約精霊は、水の眷属《氷精霊》。よろしくあそばせ?」
刹那、攻撃が来た。
俺の反応たるや迅速にして正確!超高速で膝を突き、腰を折り、背中を丸め、額を地面へ!
これぞ極東に伝わる最強無比の外交手段!超絶必殺DO☆GE☆ZA!!
伏せた俺の背中スレスレを、巨大な氷槍が擦過していき遠くの地面を穿って果てた。
……ゆ、ゆるしてもらえたかな?

261 :ジェンタイル ◆SBey12013k :2011/07/10(日) 03:44:10.86 ID:/78XNUPz
『おーっとお!?な、なんとマーガレット女史の初見殺しを身を伏せて躱したァー!これは予想外ッ!』
「マジかよ……あの速さの氷槍は見てからじゃ躱せないぞ……」ザワザワ
「いや、奴はマーガレットが氷槍を放つ前から動き出していた……」ヒソヒソ
「馬鹿な、攻撃を予測していたというのか……!?」ボソボソ

なんか好意的すぎる解釈されてるううううう!?
っていうか普通に撃ち込んできやがったなあの女!土下座してなかったらガチ死にしてましたよ!?
<<止まるな汝!次弾が来るぞ!!>>
「うわわわわわわわわ!」
跳ぶようにして土下座を解除。横殴りに降ってくる氷槍の射線からダッシュで退避する。
もはやなりふり構ってられない。援護要請!えんごよーせーーいっ!
>「アクアウォール!!」
ローゼンも、メタルクウラも、ボンさんも、マーガレットのクソアマが乱射した氷槍の対処に追われているようだった。
ていうかバトルフィールドがいつの間にか水の壁で囲まれてる!これじゃ退路がないでありますよ!?
やむを得ねえ。こうなったら不本意ではあるが……攻撃は最大の防御。こっちから攻勢に出るしかない!
懐を探る。しまった、ユグドラシル行くのに自転車使ったから、殆どの火器を置いてきちまった。
重ねて不本意。魔法とかあんまり使いたくなかったんだけどなあ。

「俺に応えろ炎の真祖!錬金魔法――『天地創造』!」
地中の金属を炎で鋳造し、武器を創り出す。
土から筍の如く生えてきたのは、炎を模した刀身が美しい――焔状剣(フランベルジェ)。
儀礼長剣として、美術品的な名の上がり方をするこの剣だが、実のところ攻撃性能もピカイチだ。
揺らめく炎のようにうねる刃は、斬りつけた場所をのこぎりのように深く抉り、非常にエグい傷を負わせることになる。
<<汝、近接戦闘とか出来たのか?>>
いーや、出来ませんけど。相手ビビるかなーって。
<<やっぱ吾がいい加減な精霊になったのは、汝のせいだと思うぞ……>>

とはいえ、なにも無策でこいつを出したわけじゃあない。肉弾戦とかゴミのように弱い俺だが、ひとつだけ例外がある。
精霊の加護。炎精霊の契約者たる俺は、その加護として『炎に関するものの扱い』に補正を受けている。
火力が命の中華料理が上手く作れるし、揚げ物はカラっと揚がるし、火器の取り扱いが巧い。
そしてフランベルジェは『炎をイメージした剣』なのである。ことこの剣の扱いに関しては、俺は剣の眷属なみの練度を誇るのだ。
「魔法だけが精霊使いの戦い方じゃないってことを教えてやるぜっ!」
まあ、剣術以外は凡人以下のままなので、このクソ重たいを担いで走るだけでもぜーはーなんだけど。
俺はフランベルジェを大上段に振り上げマーガレットに唐竹割りの軌道で振り下ろす!

262 :ボンバー ◆vQ2MXGmv8E :2011/07/10(日) 06:33:49.18 ID:yHsKahwX
全身カジキマグロの死骸のようなもの刺さりて大脳激痛を感じたと思へば
自らの意識に頼って氷槍引き抜くけど氷塊の白さ胸に刺さりけり
息吸うつど焦燥感肺にはりつけば狩人蜂に突かれた幼虫のごとく鈍痛に耐えしボンバーは独り気を吐くのだ
脳に痛みじわりと広がつて我慢ならざる今が覆いかぶさりたるものの
思い出さじと胸に問うてもこたえなく、ただぬるい涙音もなく落つるのみ
追憶の箱は希望あれども災いの塊、記憶の底に埋める。胸掻き毟る爪黒くなりて久しく、
なお眼光鋭くジェンタイルを仰ぎて耳塞ぐ。纏わり付くは不足か孤独か。
注視するも絶望さえ見つからず涙に咽ぶ日々が回る

「マーガレット!危ない!」

氷槍/ローゼン/メタルクウラ/ガリガリ君

263 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/10(日) 13:39:52.95 ID:/2Tm2sVU
目にも止まらぬ速さで飛来する氷柱。あわや大惨事になるかと思いきや、杞憂だったようだ。
カレンはきつく閉じていた目を恐る恐る開く。自分の顔を突き刺すと思っていた氷柱は、何故か空中で静止していた。

「た、助かった……?」
>「あいつ……観客席にまで飛ばすなんて滅茶苦茶だ!」

安堵する横で、ローゼンはマーガレットの横暴さに呆れ怒っている。
反し、冷静に状況を見守っているメタルクウラがローゼンに話を振る。

>「これでは他の奴らにも危害が加わりそうだな。
ローゼンよ、結界みたいなもので観客達に来る流れ弾を防ぐことはできないか?」
「! そうですよ、ロゼ兄は光の精霊の契約者ですもんね!」

しかしここで問題が発生する。今の歴史では光精霊はもういないのだ。
今ここで光精霊を出せば、違う種類のパニックが起きるのは想像に難くない。

>「アクアウォール!!」

故に、ローゼンが取った選択肢は『水精霊』とのリンク。
全ての攻撃を跳ね返す水の壁がジェンタイルとマーガレットを囲うように360度展開される。
水という事もあってか、透明な壁の先の二人の戦いを継続して見ることはできる。

「……お願い、負けないで……!」

知らず内にカレンは呟き、膝の上に置いた拳を堅く握りしめた。


さてこちらはマーガレットサイド。
自分の先制攻撃を華麗に躱されたマーガレットは、一瞬何が起きたのか理解出来なかった。

『おーっとお!?な、なんとマーガレット女史の初見殺しを身を伏せて躱したァー!これは予想外ッ!』
「マジかよ……あの速さの氷槍は見てからじゃ躱せないぞ……」ザワザワ
「いや、奴はマーガレットが氷槍を放つ前から動き出していた……」ヒソヒソ
「馬鹿な、攻撃を予測していたというのか……!?」ボソボソ
「(バカな……先見なんて能力、光の眷属でもない限り不可能!)」

得意の初見殺しを回避された事が悔しく、下唇を噛む。矢張り大口叩くだけあって一筋縄ではいかないようだ。
ならば、とステッキをサーベルのように構え直す。

「あれを避けた事は誉めてやるわ。でも……これはどうかしら!?」

ステッキを振れば、まるで豪雨のように横殴りに氷槍がジェンタイルへと降り注ぐ。
ジェンタイルも負けじとダッシュで避ける。氷槍は標的に突き刺さる事なく空を裂くのみ。



264 :カレン:2011/07/10(日) 13:42:24.01 ID:/2Tm2sVU
>「うわわわわわわわわ!」
「この、チョコマカとっ……当たりなさいよばかぁあ!!」

苛々し、憤怒。闘いにおいて焦りは禁物だが、マーガレットには最早ジェンタイルを串刺しにすることしか頭にない。
するとジェンタイルも逃げ続けるのは不毛と判断したか、次なる行動に移る。

>「俺に応えろ炎の真祖!錬金魔法――『天地創造』!」
「何ですって?錬金魔法――――!」

詠唱に応え、地中から現るは焔状剣。
ジェンタイルがそれを使用した途端、明らかにマーガレットの表情が一変する。
錬金魔法は高度な魔術。秀才のマーガレットでさえ、まだ使いこなすことは難しい。
尚の事悔しさが倍増する。田舎風情のチンピラ精霊使いが、生意気な!

『落ち着け、マーガレット』
「(! 氷精霊――)」
『怒りで我を忘れるな。よく観察しろ』

憤怒の炎で燃え上がる感情が、氷精霊の声で急速に冷やされていく。
冷静さを取り戻したマーガレットは氷精霊の言葉通りにジェンタイルを観察する。

『彼奴は魔力こそ高けれど戦闘能力は塵に等しい。゛霊装゛で叩きのめすぞ』
「(OK。頼りにしてるわよ氷精霊!)」

燃え盛る不朽の炎を思わせる剣を手に、ジェンタイルが肉薄する!

>「魔法だけが精霊使いの戦い方じゃないってことを教えてやるぜっ!」
「――汝、マーガレット=アイ=ビビリアンの名において、その真価を示せ」

ステッキの先を上に構えたまま、双眸はジェンタイルを見据えたまま。
大上段に構えられた焔状剣がマーガレットへ振り下ろされる――!

        エンチャント
「リンクAct2‐魔力附与‐――!」


振り下ろされた刃先が触れる直前、マーガレットを、目も眩む白い閃光と噴霧が包む――――!

閃光と冷たい霧が晴れる。結論から言えば、剣先はマーガレットに当たることは無かった。
何故かと問われれば、元はステッキだった氷のレイピアが斬撃を防いだからに他ならない。

「霊装――極寒騎士《フローズンナイト》!」

マーガレットの容姿も豹変していた。
金髪は透き通るような白に、キュロットは所々が弾け、代わりに氷の鎧を装着している。

「まさか、魔力附与も霊装も知らないなんて……言わせないわよ、センパイ?」



265 :カレン ◆Upd1QvIO9s :2011/07/10(日) 13:44:49.77 ID:/2Tm2sVU
変わってカレンサイド。
マーガレットの霊装を目の当たりにしたカレンは唾を飲み込む。

「マーガレット、本気でジェンタイルさんを……!」

魔力附与。
リンクした状態のまま、自らの魔力を精霊と融合させる、言わば憑依の一種。

霊装。
精霊の本来の姿のイメージを顕現化し、攻撃に特化したエクソシストの必殺手段。

「どちらも門外不出の対大悪魔術。それを使うって事は……」

殺す気だ。マーガレットの底知れぬ悪意に、悪寒にゾクリと背筋が凍る。

「ジェンタイルさん逃げてぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「もう遅い!!」

マーガレットは勝ち誇った表情でレイピアの先を天に突くように上げる。
水の壁から、先程とは比べようもないほどの数の大量の氷槍が突き出し、ジェンタイルに向けられる!

「氷結の処女《アイス・メイデン》――避けきれるかしら?」

サッと、レイピアの切っ先をジェンタイルに向ける。
360度四方八方から、氷の刃がジェンタイルに襲いかかる――――!

「ジェンタイルさぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」

266 :メタルクウラ ◆QXV6kzbAYg :2011/07/10(日) 14:39:21.23 ID:13dftuJ5
>「おう、輝く光の壁は基本だ!」
ローゼンが私の求めに応じて、光の壁を張ろうとしてくれた。
しかし、光の壁を張るのを躊躇い、水精霊とリンクしたのであった。

>「アクアウォール!!」
広場の周囲を水のドームで囲んだことにより、流れ弾の心配はこれで無くなった。
ジェンタイルの活躍が水の壁によって見辛くなったのが、少し残念と言ったところだ。

>「俺に応えろ炎の真祖!錬金魔法――『天地創造』!」
おっ、ジェンタイルが錬金の魔法を使った。
私はあれで一度上半身と下半身を分けられたのだ。
ジェンタイルは剣を作り出して、マーガレットを両断しようとした。

>「マーガレット!危ない!」
「ボンバーはマーガレットの応援か」
ボンバーの好みのタイプはマーガレットみたいな子なのか?
ボンバーの声が届いたのか届かなかったのかは知らないが、マーガレットが私の知らない精霊の技を見せた。

>「霊装――極寒騎士《フローズンナイト》!」
「ローゼン、カレン、お前達もあの技ができるか?」
まぁ、ローゼン達ならあの技を知らなくても、今見た瞬間にできそうなものだが。
それよりも気になるのは、ローション精霊と世紀末覇者を連れたメルフィだな。
メルフィがあの技を使ったのならば、体がローション濡れになったり、ラオウになったりするのだろうか?

>「ジェンタイルさん逃げてぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
>「もう遅い!!」
あぁ、カレンが言っているようにこれは逃げた方が良いのだろう。
しかし、水の壁が逃げ道を無くしている。
マーガレットの技は全方位攻撃。
私の出番が来たようだ。

>「氷結の処女《アイス・メイデン》――避けきれるかしら?」
「避ける必要なんてないさ、この程度ならな」
ジェンタイルの後ろに私が現れる。
私の乱入でジェンタイルの負けが確定した。
が、ジェンタイルが大怪我を負うよりはマシだ。
球状のバリアでジェンタイルと私を包み、マーガレットの強力な氷槍を、球状のバリアを回転させることで弾き飛ばす。
誤算だったのはマーガレットの氷槍が強力だったため、バリアの回転を強くせざるを得なかったことだ。
そのせいで弾き飛ばされた氷槍が水の壁を突き破って、観客達に被害が出てしまったかも。

「私の乱入のせいで双方納得がいかないかもしれないが。
マーガレット、この戦いはお前の勝ちだ」

267 :ローゼン ◆frFN6VoA6U :2011/07/10(日) 23:35:23.18 ID:4sR4Jjsu
>260-261
>「む、無用な心配だな……今のうちに担架の手配でもしとけよ。あの女を乗っける為のな!」
ジェン君が着々と負けフラグを立てている。“冥途の土産に教えてやろう”的な!
ああジェン君よ、そんなビビリの癖にどうしてチンピラの世界に飛び込んでしまったのかな。
なろうとしてもなりきれてないからエセチンピラなんだけど。

>261
「皆さん違います! 土下座して許しを請うてるんです! 頼むから許してやってよ!」
僕の叫びは虚しく喧騒の中に消えた。

>「俺に応えろ炎の真祖!錬金魔法――『天地創造』!」
ついに観念して攻勢に出るようだ。
しかしあんなデカい剣を持って相手のところまで辿り着けるのか!?
せめてなんとかリンクさせて同じ土俵に立たせてあげねば。
僕は大真面目に周囲に呼びかけた。
「誰か!! エロ本を持っている方はいませんか!?」
もう一度言うが大真面目である。でも水の壁が邪魔で投げ入れられないや。どうしよう

>262-265
ジェン君はようやく相手のところまでたどり着いた。ボンさんが悲痛な叫びをあげる。
>「マーガレット!危ない!」
「お前はそっちの味方かい!」

>「リンクAct2‐魔力附与‐――!」
>「霊装――極寒騎士《フローズンナイト》!」
「変身……だと!?」
こんなの知らんがな!

>「ローゼン、カレン、お前達もあの技ができるか?」
>「どちらも門外不出の対大悪魔術。それを使うって事は……」
「じゃあジェン君は大悪魔かよ!? 冗談じゃないぞ!」
抱いている猫をまじまじと見つめる。
この場に大悪魔がいるとしたらそれはきっとジェン君では無く……。

>「ジェンタイルさん逃げてぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
>「もう遅い!!」
ヤバイ、水の壁から氷を作られたよ! 解除するべきか?
でも今解除したらギャラリーに膨大な被害が及ぶ!

>「氷結の処女《アイス・メイデン》――避けきれるかしら?」
>「ジェンタイルさぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」
とすっ。
「あ」
水の壁を突破してきた一本の氷柱が額にさくっと刺さった。
「NOOOOOOOOOOOOOO!!」

数秒後、僕は氷を払いのけ、顔の半分を手で覆う。
氷よりも冷たい笑みを浮かべながらマーガレットに歩みを進める。
「フフフ、まさかこんなアクロバティックな方法で僕を攻撃してこようとは……
エクソシスト風情がなかなかやるね」
顔にダラダラと生暖かい液体が流れて来る。手を顔の前に持ってきてまじまじと見る。
「血……」
懐かしいものだな、かつて数えきれない程のか弱き人間どもの返り血を浴びたものだ。
だが。なぜそれを僕が流している!? 答えは簡単、これが人間の体だから。
そんな事は分かっている! 分かっていても嫌だ怖い怖い有り得ない!!
「うあ……」
僕は気を失ってぱたっと倒れた。

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