■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50 トラックバック

ブラック魔法少女TRPG雑談所!

1 :名無しさん :11/04/13 22:01:33 ID:???
【ブラック魔法少女TRPG】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1298298606/

↑のスレの雑談所です。楽しく仲良く使いましょう

2 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/14 00:04:30 ID:???
乙ですー

3 :鷹河明日香 ◆DRmi36jS.Y :11/04/14 00:19:44 ID:???
乙です

4 : ◆Gw1TY5I6ic :11/04/14 00:50:23 ID:???
>>1さんお疲れさまでした

5 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/14 02:11:54 ID:???
携帯から失礼します。
名無しさん、ありがとうございます!

6 :名無しさん :11/04/14 14:36:14 ID:???
某スレの>373が書いてくれたスレの三行説明がカッコヨスギル件wwwwww

・ブラまほ
人は誰しも、願いを叶える力を持っている…… 
少女達に手渡されたのは願いを秘めた魔法の源。巻き込まれたのは願いを巡る少女同士の殺し合い。
願いを叶える為に誰かの願いを犠牲にするのは悪なのか?戦う覚悟を決めた者は、誰の願いを背負うのか?
離脱不可能のノンストップマジカルアクションが今、幕を開ける――!


7 : ◆jwml6EaEgM :11/04/14 17:13:58 ID:???
遅くなりました!
ありがとうございます!

8 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/14 18:33:02 ID:???
遅ればせながら>>1さん乙です〜

9 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/14 20:57:17 ID:???
>>1さんありがとうございます
遅くなったことを申し訳なく思います
遠慮なく使わせていただきます

10 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/14 23:04:50 ID:???
>>6
キャッキャウフフはないのーーッ!?

11 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/15 00:06:49 ID:???
今後の展開によってはポロリがあると思いますからそれで我慢して下さい!!
そういや自分トリが本スレと違いますね!
多分文字数の関係だと思います!

12 :名無しさん :11/04/15 00:14:38 ID:???
これぐらい重い曲のほうがEDっぽくていいと思うのねん
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1834877?mypage_nicorepo

13 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/04/15 00:25:09 ID:???
第零話・・・というか導入?投下です
ちょっと長い文章打つのに慣れなくて目が滑りますがご容赦を・・・
がんばって質のいい文章かけるようになりたい

>猪間さん
本スレでのお言葉に甘えて若干独自にセリフ入れさせてもらいました。
一応、エリートっぽさと黒幕っぷりが崩れないようにしてみました・・・
もしまずければ修正して、引用のみでのバージョンを投下しますね

14 :名無しさん :11/04/15 12:09:12 ID:???
>>10-11

・ブラまほ
人は誰しも、願いを叶える力を持っている…… 
少女達に手渡されたのは願いを秘めた魔法の源。巻き込まれたのは願いを巡る少女同士の殺し合い。
願いを叶える為に誰かの願いを犠牲にするのは悪なのか?戦う覚悟を決めた者は、誰の願いを背負うのか?
離脱不可能のノンストップマジカルアクションが今、幕を開ける――! (キャッキャウフフやポロリもあるよ!)

これだな!)ドヤッ

15 : ◆jwml6EaEgM :11/04/15 18:42:22 ID:???
>>13
問題なんかこれっぽっちもありません!
これからよろしくお願いします!
私も上質な文章が書けたらなぁ
皆さんが羨ましい限りです!

16 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/15 21:45:23 ID:???
門前ちゃんをあと一日待ちます

17 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/16 04:39:10 ID:???
レス投下してきました。うわ……、もうこんな時間。

>猪間/セールスマンさん
先のコメントではお褒めに預かり誠にありがとうございました。
返しのレスでいただいた【韻文】がすごく良かったです、痺れましたw
麻子さんについてはあのような感じにさせていただきました。
最初はNPCとして出演してもらっていた彼女ですが、あなたの掘り下げのおかげでスレッド的にかなり愛着のあるキャラクターに成長してくれたように感じます。
勝手ながら、できればもう少し続投して欲しいなぁ……と思った次第です。

>茅野さん
大変お待たせしました!多分、もう出番が回ってくると思いますよ。
次の展開は本スレの>73のような感じで、よろしかったでしょうか……?
そのまま渡されたとしても「当人」は性格的に決して受け取らないと思ったので、若干絡め手を使いました。
……なかなかブラックな流れになりそうですね。

長文失礼しました。

18 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/16 14:16:28 ID:???
>神田さん
バトルお疲れさまです…!
優しいけど、ただ優しいだけじゃない理奈さんのキャラクター性がとても好きです。
いえいえ、もうほとんど名無し住民として楽しみながら読んでいたので、待たされた感はまったくないですよ〜。
次の展開はそのような感じで…。よろしくおねがいします!
ブラック成分多めにいきましょう…w



この後のストーリーの流れもありますし、私はもう少し待機という形を取って良いんでしょうか?
個人的には、セールスマンさんを突き飛ばして意識不明の理奈さんに光の速さで駆け寄りたい一心ですが…w

19 :名無しさん :11/04/16 19:51:46 ID:???
門前ちゃんが来るまで名無しで次の展開でも考えようず!(次回予告風に)

@春休みなので学生組が喫茶店でバイトをすることに。せまい店内で魔法少女が大集合! 一触即発の状態に♪
A戦いに生き残り、日常に戻った萌。そこへ舞いこんできたのは他校から寄せられた異種格闘技戦による交流試合。
 しかし、その対戦相手はかつて「無冠の帝王」と言われたボクサーを父に持つ魔法少女だった――!?
Bついに動き出した魔『装』少女、塞守真衣。【悪魔の絶滅】を目論む彼女の狙いは【魔法核を必要としない魔法の開放】。
 手に入れた復讐の機会。「目的」の先にある「手段」は一体何を意味するのか?動き出した運命の歯車が、魔法少女たちを巻き込む!


20 :名無しさん :11/04/16 20:04:20 ID:???
そんな事より水着回と温泉回はないんですか!

21 :名無しさん :11/04/16 20:26:28 ID:???
やっぱ欲しいよな

22 :名無しさん :11/04/16 23:15:20 ID:???
日常回が欲しいです

23 :名無しさん :11/04/17 18:45:28 ID:???
>>22
壱斬ちゃんの日常とかはある意味すっげー気になるなw

24 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/18 02:50:58 ID:???
今日のうちにレスできると思います
門前ちゃんここ見てたらだけど、いつでも復帰してね!

25 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/19 01:59:05 ID:???
>>24 南雲さん(名字で呼ぼうか迷いましたけど、やっぱりこっちで!)
レスお疲れ様でした。
門前さんのキャラや語り口は私も凄く好きだったので、復帰したときは是非またお相手願います^^

>>18 茅野さん 待機〜
どうなんでしょうね……?
本スレを見る限り、流れ的にもう出てきてもらっても不自然じゃないタイミングだと思いますけど。


ところで……悪魔同士の「横の繋がり」ってどんな感じなんでしょうか?
南雲さんの悪魔とセールスマンさんのようにみんな「義兄弟の仲」なのか、派閥的な対立構造だったり、競争相手だったりするのか……
あと、私達を戦わせることで彼らに何のメリットがあるのか……?とか

26 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/19 02:10:47 ID:???
代理戦争的なものかもしれないね
手がけた魔法少女の勝敗如何で悪魔業界の地位が約束されるとか!
ポケモンよろしく野生の少女を捕まえて育てて戦わせる単なる遊びだったりとか!

27 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/19 02:29:00 ID:???
>>18>>25
私はいつ出てきていただいてもかまいませんよー!

ところで日常回ってやっぱりやりたいですかね!
自分は未熟者ですから、もしやるのなら心の準備がしたいなーとか思いまして!

28 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/19 05:14:14 ID:???
>>25>>27
お言葉に甘えて、南雲さんに続かせていただきました〜。
長くなってしまってすみません!
セールスマンさんのキャラを壊さないように出来ていればいいのですが…;
それと、南雲さんのレスの『理奈さん治癒・救急車手配』も拾わせていただきました〜。

日常回…!私はぜひやりたいなぁと思います!

29 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/04/19 09:22:58 ID:???
みなさんお疲れ様です
次の日常編(?)はどう設定しましょうか?

少女の平凡な日常はやっぱり学校でしょうけど・・・
1、実はみんな同じ巨大学園の小等部・中等部・高等部が並立してるとこの生徒
2、今日は休日!テーマパークに遊びに来たよ!
3、魔法少女に日常なんかないね!昼日中から暴れてやる!

ぐらいしか思いつかなかったです・・・

30 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/19 13:52:53 ID:???
>>南雲さん
わ、私達ってポケモンだったんですか!?
魔界の地位を賭けた代理戦争……ああ、案外そうなのかもしれませんね。
契約する相手によって一方が上だったり、対等な関係に見える人がいたりするのも面白いですよね。

>>塞守さん
本編での顔合わせはまだですが、改めてよろしくお願いします。
学園都市ではありませんけど学校の形態が一貫してるという話は興味深いですね。
もしかして私達の住んでる街って悪魔達の実験場所のような所で、そこにいる生徒は全員魔法少女候補……みたいなことを考えてしまいます。


えっと……白状します。名無しさんのフリをしてましたが>>19って実は私です。
他の名無しさんに袈裟懸けにブッタ斬られちゃいましたけど^^;
AとBは鷹河さんや塞守さんが登場する際の私の勝手な妄想ですのでスルーしてください。

@で「喫茶店」を考えた理由は二つあります。
一つ目は舞台装置として。
学年も年齢もバラバラな魔法少女にとって誰にでも利用しやすくて集まりやすい「街の何処か」であること。
特に女の子の場合、敵にしろ味方にしろ誰かとお茶を飲む時間って凄く大事なシーンだと思ったんですよね。
ファンタジーにおける「酒場」のようなイメージに近いです。

二つ目はお話の都合なんですけど、麻子さんの今後の生活場所として考えてました。
「私」の『変わり者の叔母が経営してる住み込みで働ける場所』という設定です。
これなら誰が来ても働けますし、個人経営なのでわりかし好き勝手なことができる上に、叔母さんも変人ならNPCとして多少の奇行も問題ないかぁ……と。

すいません――ちょっと喋りすぎですね。こういう事考えるの、結構好きなものだから、つい……
いずれにしても私はみなさんに合わせますよー。
テーマパークに行くのも、張り詰めた生活を過ごすのも全然アリだと思います。

私のレスは夜にしますね。

31 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/19 21:35:43 ID:???
ティータイムマジ賛成
私としては魔法の使い方訓練パートとかあるといいかな

32 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/19 21:58:57 ID:???
なにか久々に書いた気がする

ちょっと場をまとめるような書き方をしましたが別に載らなくてもいいです

では、今回使ったガンダムの軽い説明を
まずは1番最初に使ったRX78-2『ガンダム』です
これはアニメ「機動戦士ガンダム」で主人公が乗っているものです
ガンダムと機体をさす場合はこれをさします
最初機のモビルスーツ(ガンダムのアニメシリーズ登場するロボット兵器の総称)で性能は同時代の機体ではとても高性能でパイロットのアムロ・レイ(機動戦士ガンダムの主人公)
の能力もあって、伝説的な活躍をします。
ですが、ガンダムと言うのは歴史があって初代ガンダムはそれの一番始めです
(作品内の時系列ではこれよりも早い作品はありますが現実に世に出た作品ではこれが始めです)
ガンダム全体で見ればそれほど能力は下から数えたほうが早いと言うほうどです
しかし、徹が変身するガンダムは彼のイメージに大きく依存しているため、多彩な武装を持つ、突出した能力をもたないオーソドックスな機体という位置づけです
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0_%28%E6%9E%B6%E7%A9%BA%E3%81%AE%E5%85%B5%E5%99%A8%29
もっと詳しい説明はここからお願いします

では、次につかったVガンダムの説明です
Vガンダムはヴィクトリーガンダムのことです
今回はVガンダムのマイナーチェンジ型のダッシュが使用するメガ・ビームライフルを使いましたがこれはそもそもVダッシュ用の武装ではないんのでご愛嬌と言うことで

この機体は初代ガンダムから数えてテレビアニメ代4作目にあたる機動戦士Vガンダムに登場します
主人公ウッソ・エヴィンが乗る主人公ロボです
この機体は作中時間で初代ガンダム登場から70年以上経過したあとに登場した主人公が所属するリガ・ミリティアというレジスタンス組織が開発した生産性を重視したMSです
ガンダムの世界では試験機、実験機、試作機>量産機なので作中の性能でもそれほど他機と比べて突出していると言うことはないのですが、 特殊な方法でMSの中で空を飛べる珍しい機体であります
(もっと大型の機体では飛べる機体はたくさんあります)
初代から70年以上経過した世界で作られた機体ですからもちろん初代ガンダムから比べたら超高性能なのですが、変身した場合は徹のイメージで具現化するので
ガンダムと比べると同程度の性能で空を飛べる点で勝り、武装の種類で負けるという扱いです
もっと詳しい説明は
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0

さらに徹自身の能力の説明をすると
1、ガンダムは作中の能力ではなく徹のイメージによって決定される
(世界観が違う場合があるので単純に比較出来ないこともあるため)
2、魔法核の数により、使える機体は変わる。ランク制で現在はランク2まで使用可能 最高4
ランク1は陸戦型ガンダム、MK2、ストライク、ガンダム、ガンダム試作1号機
ランク2はVガンダム、インパルス、最初期ターンエー、00の初期機体、その他(アナザー初期主人公機以外のガンダム 例 サンドロック等)
ランクは独断と偏見で決定(好きな機体がランク低い人にはすごく悪い気はします)
3、ランクが高いと消費する魔力が大きくなる、
4、攻撃力は機体能力の他に魔法核の数に依存する

魔法の説明はこんなものです
他に質問があったらお願いします

33 :名無しさん :11/04/19 22:04:08 ID:???
>>32
魔法核集め切ったら一生ガンダムになんの?

34 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/19 22:12:16 ID:???
>>29
奇遇ですねー。実は自分もテーマパークとかいいなーって考えてました
どうせならただ休日ってだけじゃなくて、魔法少女らしさを出したいですけど
そこはまあ、多分、何とか、きっと頑張ります!

>>30
喫茶店も面白そうですね!
私は他の皆さんのウェイトレスさんモードが見たいですけど!

>>32>>33
なんかガンダムって救世主の象徴らしいですね。あの名言はカッコイイと思います
初代とダブルオーをチラッと見ただけの自分にはゴチャゴチャでよく分かんないですけどw

35 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/19 22:40:10 ID:???
>>33
ガンダムになるのは変身のときだけです
そこになりきれないのが蒼月徹の限界です

>>34
ちゃんと観たら面白いと思うんで是非観てください
救世主的な感じに思ってるのは00の主人公だけですけどねww

36 :名無しさん :11/04/19 22:41:52 ID:???
>>35
そうじゃなくて、願いが「ガンダムになる」なら魔法核集めきって願い叶っちゃったら一生ガンダムのままなの?ってこと

37 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/19 23:18:11 ID:???
>>36
実は始めに書いてたんですが、変身出来る時点で満足してるんですよ
で、いまはこの戦いを終わらせるって言うすごく曖昧なものになってます


38 : ◆Gw1TY5I6ic :11/04/20 00:50:41 ID:???
そういえば南雲さんは豊胸運動を頑張っているそうですが、
ということは「ない人」なんでしょうか

39 :鷹河明日香 ◆DRmi36jS.Y :11/04/20 01:22:18 ID:mUr1Asht
植木の法則という漫画がありましてね。
次期神候補らが中学生に異能を与えて戦わせるっていう内容なんですが
なんか近いもの感じます。

萌さんとの絡みですが、別に学校対抗にしなくても、次の対戦相手があーだこーだで
スパーリングしにいっちゃいなさいてな感じで相手のジムに殴りこんだほうが自然な気がしますが
それって魔法少女じゃなくてもよくないかと頭をよぎりました
とりあえず、いい感じにねじり込めるようがんばります。

お茶かぁ・・・減量中だったらよだれ滴ながら見なきゃならなそう

40 :鷹河明日香 ◆DRmi36jS.Y :11/04/20 01:25:01 ID:???
あ…以外と量産機好きです

41 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/20 03:33:19 ID:???
>>38
ふふふ・・・観測しないことよって「ある」と「ない」の二つの可能性が同時に存在する、
人呼んでシュレンディガーの乳……!!すいませんないです!!

42 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/20 03:33:56 ID:???
シュレンディガーってなんやねん。シュレディンガーでしてよ

43 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/20 07:21:57 ID:???
レス投下しました。遅くなってすいません。
まだ動きがありそうだったので目を覚ますのはもう少しだけ後にします^^;

>萌さん
取り合えず、第一章が終了間際ですけど、あそこのシーンでまだ動かれますよね?

>>39-40
あ、飽く迄私の妄想ですから……鷹河さんのお好きなようになさってくださいね。
でもやっぱり、萌さんとの絡みが気になってるのは事実ですw
流れ的に「赤い機体」が好きって言っといたほうがいいのかな。

44 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/20 07:36:43 ID:???
>>34
ありがとうございます。
最初にオープニングスタッフ募集のシーンをやるのでウェイトレスを希望する方は気軽に叔母と面接してください。
決定リールで漏れなく合格ですw お店の名前……何にしましょう?

45 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/04/20 09:21:40 ID:???
前夜祭の黒猫亭?

46 :名無しさん :11/04/20 11:47:01 ID:???
銀の杯亭

47 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/20 11:56:30 ID:???
>>39
懐かしいですねー!何でプラスとかやっちゃったんでしょう!
知ってる自分は、やっぱり少し意識しちゃいますけど頑張りますね!

>>43
もう撤退した人もいますし、麻子ちゃんは目覚める前に姿を消しますけどね!
千渦さんや百合子さんも、まだいらしたら嬉しいんですけどねー

喫茶店の名前は、しぇいむ☆おんで!
ってのは冗談として……決して闘争に侵される事のない優しい止まり木!
テンダーパーチというのはどうかな!?
我ながらネーミングセンスが壊死してるなぁ!

48 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/04/20 13:33:45 ID:???
なんとなく喫茶店方向になりそうな感じですねー
その場合、多分私は働くよりお客さんとしてちまちまきそう

喫茶あむりた
とか?

49 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/20 14:20:15 ID:???
ただ話が動かすのが難しそうだなぁとか思ったりもするんですよねー
まぁ自分の能力不足ってだけなんですけども!
喫茶店からテーマパークに繋げちゃったりしても大丈夫ですか?

50 :brand:11/04/20 19:01:17 ID:S8Q28LBt
ブランド財布 グッチ バッグ 腕時計-ss-rolex
LOUIS VUITTON,偽物ルイヴィトンバッグ,ルイヴィトンバッグコピー,
ブランドバッグ,ブランドコピーの通販、販売のファッションブランド
CHANEL,偽物シャネルバッグ,シャネルバッグコピー
,ブランドバッグ,ブランドコピーの通販、販売のファッションブランド
ブランド偽物,激安,コピーブランド,コピーロレックス時計,
コピーブルガリ時計,コピーフランクミュラー時計,コピーシャネル時計,
コピーカルティエ時計,コピーオメガ時計,コピーその他時計の專門店
偽物ブランド,激安,コピールイヴィトンバッグ,偽物ルイヴィトン財布
,コピーバッグ,ブランドバッグ,偽物バッグ,偽物シャネルバッグ,
偽物エルメスバッグ,偽物グッチバッグ,偽物財布,コピー財布,時計の專門店
ご注文の方は、【卸売、小売など歓迎】ご連絡下さい。
期待!!
当社HP: http://wwwss-rolex.com



51 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/20 19:25:37 ID:???
>>45-48
みなさんありがとうございます!うー、どれもいい感じですね〜。
前夜祭は魔女のサバトなイメージですし、銀は魔法と深い関係がある金属ですもんね。
アムリタは不老を与えてくれる神秘の飲み物のこと。
検索して吃驚なしぇいむ☆おんも何気に麻子さんのキャラに……w
かなり迷いましたが、ここは名前に込められた意味を含んで「優しい止まり木」テンダーパーチで!
そのままじゃ駄目なら……イタリア語でちょっとひねって「tenero ballatoio(テネロ・バラトィオ)」なんて如何でしょうか?

>>49
全く問題ありません。流石に店内で立ち回るのは無理がありますもんね……(−−;)
バトルシーンをするならむしろそっちのほうがいいと思います。

52 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/20 20:29:07 ID:???
『テンダー・パーチ』素敵ですね〜。やっぱり憩いの場ですし。
それに、可愛らしい名前の方が個人的には好きです!
というわけで私は『テンダー・パーチ』に一票投じますっw

>>49
喫茶店内だけだと、正直私もあまり自信ないですね…。
何か他にも良い案があれば、私もまた提案しますね!

>>萌さん
『ララ・クロフトの死に様』初代世代としては脳内再生余裕で、笑ってしまいました…ww

53 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/20 21:06:13 ID:???
>>40
実は私自身はジオン大好きなんですが、こっちのほうが派手かなと思ったのでガンダムになりました
ズゴックEとか好きです

今後の展開は普段の生活を絡めつつ、喫茶店で偶然を含み出会い
次の戦いの場は近所の遊園地で……
誰が味方で誰が敵、そもそも敵味方の区別があるかわからい奴もいるのでこれ以上はないですが
こういうときに悪魔が新たな提案!とか言ってテーマパークでの戦闘に誘導するといったとこでしょうか?
悪魔もセールスマンでなくても新たな悪魔に適当に理由をでっち上げるなりしたら、いいんじゃないでしょうか?

54 :名無しさん :11/04/21 00:02:59 ID:???
喫茶「ティロ・フィナーレ」とかどうよ

55 :名無しさん :11/04/21 02:44:56 ID:???
シーサイドでいいだろ

56 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/21 20:54:51 ID:???
麻子ちゃん撤退しました!
大技連発したり魔力の回復早かったりと強すぎな麻子ちゃんですけど、この先味方として大々的に戦う事は多分ないのでお許し下さい!

>>51>>52
理奈さん調べちゃったんですか!そんな……呪われた魔術書を見るよりおぞましい事を……!
テンダーパーチ、自分ではちょっとキザかなって思ったんですけど、そう言って貰えると嬉しいですー

次は喫茶店って事で、導入は理奈さんに任せてしまってもよろしいですか?
麻子ちゃんは帰っちゃいましたけど、何か理由をつけて向かわせますからご心配なく!

57 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/23 00:41:54 ID:???
【折角の雑談所なのでたまに書き込んでくださる名無しさんとの絡みも含んで試験的に「なな板」スタイルでお送りします】
【本編の理奈と若干キャラが違いますが、ご了承ください】

うぅ、夢中になって見ていたアニメが終わってしまうのは、やっぱり寂しいですね……
まどかさん、優しい魔法をありがとう。ほむらさん、道は険しいけれど、どうか負けないでね。
あなたたちのこと、絶対に忘れません……どんなに世界が離れていても、魔法少女は、みんな仲間だよ――……!!

>>54
お洒落な感じで素敵ですけど、多分黄色い誰かさんに怒られませんか……?
ちなみにその言葉は「最後の一撃」って意味だそうです。
英語で言うと「ラスト・シューティング」ですね。流石の魔法少女もメインカメラが無くなったら動けません。
動ける人も、いるかもしれませんけど(ジー…>>蒼月さん)

>>55
海の見えない 街 中 にあるお店なんですよね……
あ、でも叔母さん今回の喫茶店が繁盛したら海の家もやりたいって言ってたから、一応伝えておきますね。
ありがとうございます。

>>56 麻子さん
魔法少女に必要なもの――それは飽くなき探究心とgoogle先生のご教授です!
冗談はさておき【優しい止まり木 -tender perch-】、凄くいいですよ。
茅野さんの言うとおり英語の方がやっぱり可愛い感じがしますし、変に捻らずそのまま使わせていただきますね。
お店の名前は【テンダー・パーチ】で決定♪考えてくれた名無しさんも塞守さんも、ありがとうございましたm(−−)m

導入の件、承りました!今夜も頑張ります。

58 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/23 07:09:48 ID:???
第二期の導入完了です。一期での起きるシーンは丁寧にやりたいのでまた中盤に。
時間軸が若干イビツになってしまいましたが、基本的な進行は【オープン当日】になります。
誰が来てもおかしくない場所にあるので気軽にご来店ください。

>>南雲さん
ごめんなさい。
ちょっと雑なお誘いになってしまいましたね……。
叔母さんは自由に喋らせていただいて結構です。

59 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/23 11:50:53 ID:???
きえええええええええええええ!まどっち終わっちゃった!オワッチャッタヨ!!
本当に面白かったです。次週が気になって仕方ない作品はすごい久しぶりでした。
長い夢から覚めた気分だよ……これで穏やかに今期作品に移行できる


>>58
了解ですですー
全力全開で就職させてもらいます!!

60 :鷹河明日香 ◆DRmi36jS.Y :11/04/23 15:34:37 ID:???
今年のヒロインは天元突破したがりますね〜
しかし、あの終わりかたは引っ掛かる感じでした。まぁ脚本が脚本なだけに納得せざるおえないんですが

導入ありがとうございます。ですが、ちょっとPCの都合で私の導入が27日以降まで投下できそうにありません。携帯ではこれが精一杯なので、少し遅れます。

61 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/23 17:35:40 ID:???
ワンクールじゃアレ以上は望むべくもないかなって
なんか言い訳がましい気もしますけど!
とは言え、やっぱりやや違和感の残ると言うか、しっくり来ない終わりでしたねー

神になったり自己犠牲での救世を目指したキャラは、過去の漫画やアニメを振り返ってみると案外いるんですよね
コードギアスのルルーシュとか、デスノのライト君やジョジョ六部の神父も結果と方法はどうあれ思想はそんな感じでした
ターミネーター2や、アムロさんの最後も・・・かな?
でもそれらを鑑みてみても、やっぱりまどかは何か違うんですよね
多分理由は、まどかが最後まで凡人だったからかなーって思うんです
いくら優しい子だったとは言え、何の取り柄もなくて、魔法少女としての素質もほむほむループによる後天的な物だった
そんな子がいきなり聖人君子みたいな事を言い出しちゃったから、何かしっくり来なかったんじゃないかなーと思います
そこら辺フォロー入れてもらえたらもっとすんなりと受け入れられたような気もします

もちろんこれは終わった後でこそ言える後出しジャンケンみたいなモンですけどね!
それが分かっていても色々と語りたくなってしまうような、本当に面白いアニメでした

62 :名無しさん :11/04/23 22:28:46 ID:???
>>61
ふざけんなネタバレすんなまだ見てねえんだぞ

63 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/23 22:37:18 ID:???
>>62
ありゃま!すいませんでした!

64 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/24 17:52:34 ID:???
流れ的に差し支えないかと思い、レスさせていただきました〜。

それと少しお聞きしたいことがありまして…。
魔法核を失った後の亡者化に関してですが、やっぱり三日後でないといけないんでしょうか?
『亡者化するまでの日数は個人差あり』とした方が、私も今後の方々も色々とやりやすいのではないかなぁと思いまして…。
虫が良すぎますかね〜…;

なにとぞご意見お願いしますっ。

65 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/24 18:02:40 ID:???
しばらくは耐えられるけど、最終的には絶望は避けられないよ
としか言ってないので、もちろん自由でいいと思いますよー!
と言うか、今回の話で亡者について言及しようかなと思っていたので、生暖かい感じで見守っていてくれたら嬉しいです!

66 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/24 19:04:28 ID:???
わかりました、了解ですっ!

67 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/24 19:50:35 ID:???
このタイミングのほうが自然かなと思ったんですがまずかったですかね……
なぜ、あんなキャラ付けをしてしまったのか……なれないことするもんじゃないですね
もう少し間、お付き合いしていただけたら幸いです

>>茅野いずみさん
電話の件、了解しました
ある程度様子を見てから書かせてもらいなす
待たせることになって申し訳ありません

まどかの最終回見ました
面白かったです、ラストもベストではなくベターに終らせ、私としては終り方はあんなものかなと思いました
ただ、グロをもっと前面に出すのかなって思ってましたが、全然そんなこともなかったですね
ちょっとシリアスな魔法少女として楽しめました

>>猪間さん
アムロは自己犠牲で救世を求めたなんて高尚なものじゃないな〜と考えたりしてます
あんまり語るのもなんなので言いませんが、まどかみたいな自己犠牲精神からアクシズ押し返すみたいな馬鹿なマネはしませんよ〜

>>神田さん
頭吹き飛ばされても死ななかったら是非やってみたです
ラストシューティング
相手がいたらの話ですが……
あと勝手に一番乗りしてごめんなさい

68 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/24 21:16:04 ID:???
>>64-66
う、もしかして「オープンが三日後」である必要性はありませんでした……?あうあう。
けど結果的に叔母さんの無茶さ加減が際立ちますし、それはそれでw
今回でこの世界における魔法少女についての新たな事実が明らかになるんですねっ……!

>>蒼月さん
とんでもありませんよー。ご来店ありがとうございますっ。

69 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/25 00:44:13 ID:???
店長のテンプレ見た瞬間一目惚れしてしまった。今は反省している

70 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/25 01:21:37 ID:???
>>67
了解です。マッタリいきましょうね。
蒼月さんとの絡み楽しみにしてます!w

>>68
いえいえ、明確な日数を示すのは結構重要だと思いますのでお気になさらず〜。
そうだ、よくよく考えたら理奈さん一応まだ病み上がりなのに…っ!
叔母様無茶です、容赦なさすぎですw

71 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/04/25 23:40:21 ID:???
とりあえずお店に入店しましたー
なんとなくで神田さんを見てぴんと来ました、が
気のせいでもいいし、気のせいでなくてもいい感じです。

ついでに、皆さんが二話突入(?)しているので
スタイルを二つ持っている理由として一人殺害している事に・・・後付ですが。


★いじめっ子魔法少女
・魔法内容「罵詈雑言を呪いの魔力弾として撃ち放つ」
・敗因:肉弾戦を考慮していなかった+慢心

72 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/04/25 23:43:53 ID:???
あれもこれもと書くとうまくいかないものですね・・・

73 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/26 09:43:06 ID:???
凄い……!叔母さんがどんどん濃い人になってる……w!!
もともと掴みどころが無い人だとは思ってましたけど……ここまであの人のキャラが立つなんて思っても見ませんでしたw

>>69 南雲さん
二人とも、何気にすっごくノリノリでしたもんね……^^;
もしかすると結構通じ合うところがあるのかも

>>70 茅野さん
全くです!
でも当人にそれを言ったところで「これでも待ったほうよ」ってしれっと返されそうだから怖いです……

>>12
お返事が遅れてしまってすいません。最後まで聞きましたよ。
焦ってもがいて苦しんで、何もできずに終わってしまった今日に悔しさを滲ませたまま、それでも抗い続ける。
「野望」はあるか。「義」はあるか。「情け」はあるか。「恥」はあるか。あいにく本日――未熟者。
私みたいなお子様にこんな深い詩を理解できるか、わかりませんけど、聞いてるうちに唄ってる人の声の「熱さ」
みたいなものが伝わってきて、勇気が沸いてくるような気がします。教えていただきありがとうございましたっ!
ED……?(何の話だろ?)今度お店のBGMに流してみますね。

74 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/26 09:52:58 ID:???
>>67 蒼月さん >キャラ
どういう流れで言われたのか覚えて無いんですけど――前に叔母と話したとき、こんなことを言われました。
『そもそも人間というのは固定された“モノ”ではなくて、一種の“揺らぎ”みたいなものなのよ』って。
『その人が出会った他の人や誰かの言葉、辛かったり嬉しかったりした出来事によって“変わった後”も
“変わる前”も全部ひっくるめて――それが“自分”になるのよ』って……。
『そして“変わった後”の自分も、いつかきっと誰かを揺るがせる波になる、人間はお互いが“波”みたいなものなの』
って――そう言ってました。……難し過ぎて、よくわかりませんでしたけど。
あっ、イキナリこんな話してごめんなさい。コレはここだけの話、オフレコということで。
なんとなく、元気が無いように見えたので……。

>>71 塞守さん
気付かない本編の私w 
気付きかけたんだけど――節子、そっちちゃう!な流れになりました(節子さんって、流行ってるんですか?)
こういう探り合うシーン好きです。どっちの立場でもw

75 : ◆Gw1TY5I6ic :11/04/27 03:27:49 ID:???
たぶんゆりかさんは、明らかに収まりきらない大きさのアイテムを懐から取り出す魔法が使える人だと思うんです。

76 :名無しさん :11/04/27 05:30:37 ID:???
やべぇ、萌ちゃんのレス真面目に見えて普通に面白いwwwww

77 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/04/28 02:04:02 ID:???
今回はギャグテイストにまとめてみました
ちょっと様子見ということで好きに弄ってください

>>茅野さん
とりあえず、店の名前を出してみたのでそれに乗ってもらったら幸いです

>>神田さん
ありがとうございます
楽になりました

78 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/04/29 01:42:46 ID:???
べ、別にヤンデレなわけじゃないんだからね…!?
ただ頑張り所を間違えた危険人物なだけなんだから!

なんだか狙いすぎですねごめんなさい


>>75
店長さん、もしやあのガスマスクも魔法のポケットから取り出したんでしょうか…
叩くとビスケットが増えたりしたらお店の経営に役立ちますねっ!

>>77
上手い具合に乗れた…と思いたいです、ハイ
これでも蒼月さんの安否を気遣う一心で頑張りました、それだけなんです…

79 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/04/29 23:55:00 ID:???
千渦さんが生きていらしたようでそれはとっても嬉しいなって!
ところで日常パート、皆さんはどれくらいの間やりたいですか?
私は長すぎなければ皆さんに合わせますけれども!

80 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/04/30 02:35:29 ID:???
携帯から失礼します。皆さん出揃われたみたいですし、不都合が無ければ私はそろそろ次のシーンに移そうかな……と思っているところです。
とりあえず、私は南雲さんの次のレス待ち(老紳士のひとときを浴びて危うし蒼月さん!的な意味で)ですw

81 :鷹河明日香 ◆DRmi36jS.Y :11/04/30 02:39:10 ID:???
おまたせしました。
無理やりな感じでねじ込ませていただきました。
なんかバトルっぽい雰囲気にはなっていますが、変身してないんでまだ日常?の範囲だと思っていますが…
どうなんでしょ?
眼帯親父に関してはゆりかさんと似たような扱いでもかまいませんのでよろしくおねがいします。

名前:闇のセールスマン(眼帯オヤジ)
所属:不明
性別:外見上は男
年齢:不明(中年っぽい)
性格:面倒見がいいが狡猾
外見:草臥れたスーツにハゲと眼帯
願い:契約
魔法:重力
属性:地?
行動傾向:魔法少女の素質がある者が窮地に立たされた時に現れて契約を迫る
基本戦術:気に入った魔法少女に近づき、教育する
うわさ1:かつて倒そうとした魔法少女もいるけど返り討ちにあったとか
うわさ2:魔法核を集めると彼にも何かメリットがあるとか
うわさ3:でも結局は真偽のほども何にも分かってないとか


82 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/04/30 05:38:45 ID:???
少しずつ、日常の中にシリアスを溶けこませて、レス回す間にその濃度を高めていく感じで!

83 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/05/01 10:34:50 ID:???
>>81
改めてよろしくお願いします!

まだギャグ漫画的日常の範囲…ですよね、多分
というかガチバトったら右ストレート一撃KO余裕でした、ってことになりかねませんw
魔法がなければ一般人の私と魔法がなくても拳がある鷹河さん、格が違いすぎます…っ!!

84 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/01 20:40:57 ID:???
予想よりも遥かに斜め上の素晴らしい返しがwみなさん流石ですwww
すいません、私の頭が状況を整理仕切れていないのと、時間の都合でレスの投下が明日の昼ぐらいになりそうです。
いつもご迷惑をおかけします。

>>82 南雲さん
了解です!あと、業務連絡(?)です。
私の【 】の人が友達の絵師さんにお願いして南雲さんのイラストを描いてもらったそうです!
TRP広辞苑にアップしてあります。素晴らしい出来なので是非見てください!

85 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/01 20:44:12 ID:???
おろろ?次は自分じゃありませんでしたっけ?
て言うかシリアスパートも理奈さんがやって下さるんですか?
もしそうなら自分は大人しくしていますけれども!

86 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/01 22:15:29 ID:???
>>84
ふおおおおおおおお!めちゃくちゃ上手いじゃないですか!
すごく嬉しいです!なんとお礼を言ったらいいかわかんないけど、本当にありがとうございます!!
ご友人にも激烈な感謝をよろしく伝えてください!
ついにPCがの壁紙を変えるときが来た・・・!

87 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/02 02:48:07 ID:???
>>85
す、すいません…!決して悪意があって順番を変えようとしたわけではないんです。こればかりはどうか信じてください。むしろ「どうやって麻子さんに回そうか」とばかり必死になって考えていたぐらいで……出過ぎた真似でしたね。
私は引っ込みますからシリアスパートへの繋ぎを宜しくお願いいたします!
……気分を害してしまって、本当にすいませんでした。


88 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/02 10:36:57 ID:???
>>87
気分を害しただなんてとんでもない!
ただ、些細なすれ違いを避けたかっただけでして
もしやりたいストーリーがあるのなら是非言って下さいね!私はいつでも身を引きますから!

89 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/02 16:59:19 ID:???
>>88
>すれ違いを避けたい
私もです。一言お許しを頂いてから発言するべきでしたよね。
「待たせちゃいけない!」って気持ちばかりに囚われて、配慮が足りませんでした。
しまいには連絡を確認できないままこんな時間になっちゃってるし……(TT;)
頭の中で漠然とした流れはありますけど、別にストーリーという程のものじゃありません^^;
予定は未定、寧ろ慣れないことをしようとして(私が)潰れてしまう可能性もありますし、どうかこのまま順番通りに進行なさってくださいm(−−)m

>>86
伝えます!喜んでいただけて私も嬉しいです^^
一応全員分お願いしたんですけど、それはあまりに無茶だったので
とりあえず最初は魔法少女のプロフィールを投下した南雲さんから……ということになりました。
今後も少しずつ描いてもらえるかもしれないので、引き続きお願いしてみます。

90 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/02 17:06:29 ID:???
言葉が足らなかったので修正追記
:「ここまで参加している中で」魔法少女のプロフィールを「一番始めに」投下した、ですね。


91 :壱斬 千渦 ◆nMEIODGHOs :11/05/02 18:52:39 ID:???
私はスレの流れに身を任せる
激流に逆らえばのみこまれる。むしろ激流に身をまかせ同化する

うん。言ってみたかっただけ

92 :塞守 真衣 ◆hrSM78bCAM :11/05/02 21:49:57 ID:???
業務連絡・・・といいますか
リアル事情ですが故あって、当分レスできる環境でなくなるので
さほど参加してないこの状況ですが身を引きたいと思います。
暇があれば、携帯からでもROMることはあるかと思いますが・・・・・・

皆さんのご健勝をお祈りいたします。
もし必要があれば塞守に関してはNPCとして利用していただいても構いません。
中途半端な参加で申し訳ありませんでした。失礼します

93 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/03 00:09:39 ID:???
投下しました。もうちょい日常しつつ徐々にシリアスが出来たらなぁって思ってます

>>89
いえいえ、理奈さんはこれっぽっちも悪くないですよ!
むしろ私の方こそ、自分の未熟さを痛感させてもらっています!

>>92
なんですと……
とても残念です。またいつか、どこかで出会える事を願ってます!

94 :茅野いずみ ◆CqLO.K5JXs :11/05/03 02:13:02 ID:???
>>92
とても残念ですけどリアル事情となるとやっぱり厳しいですよね…。
私も一度は退場した身ですが、皆さんに暖かく迎え入れていただいて、またこうしてご一緒することが出来ています。
“なので”というわけではありませんが、塞守さんも、余裕が出来たらまたいつでも戻ってきてくださればと思いますっ。
またお会い出来ることを祈ってます、お疲れさまでした!

>>93
いずみにとっては物凄く危険な予感の組織の方々が…!
零子さんみたいな方が案外一番怖いんですよね…w

95 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/03 20:36:14 ID:???
投下してきました。新勢力キター……!
『楽園』に対する私の反応は次のレスに回します。

>>91
改めて、よろしくお願いします。
それ……某ジー○ン○ーの創始者みたいでカッコいいですねw

>>92
お疲れ様です。塞守さんが「お姉さん」に対してどんな想いを抱いてこの戦いに参加していたのかが非常に気になっていたので、ちょっと残念です。
もし都合がよくなったらいつでも戻ってきてくださいね^^

>>93
ありがとうございます。私も頑張りますね。
今は新展開発動でとっても胸が熱いです!
複数のキャラを担当されるようですし、便宜も考えて今後はGMさんとお呼びしたほうがよろしいですか……?

96 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/05/06 01:38:22 ID:???
>>92
残念です。
また再び帰って来てくれることを期待してます

話は変わりますがどうやら、週明けまでは書き込めそうにないので私のことは気にせず話を進めておいてください

97 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/07 15:13:45 ID:???
>>96
連絡受け取りました。
と、言っても私はちょっと前に出たばかりなのでいずれにせよ待機中。

98 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/07 15:59:07 ID:???
レス返したつもりが返してなかったっていう!
ずぼらな未熟者ってわりと救いようがないですね!

>>94
亡者に関しては我慢すればわりと堪えられるみたいな感じのつもりですので
さじ加減はお任せします!こんな設定があったらなとか思ったら色々やっちゃってください!

>>95
自分はGMなんて上等なものじゃありませんよ!
麻子ちゃんの出番はなくなってしまいましたが今まで通りでお願いします!

99 :神田理奈 ◆slrx6HjwqM :11/05/07 20:58:02 ID:???
>>98
いやー、前回のレスやこれまでのレスを読んできて、そう呼んでしまいたくなる気持ちになっちゃいましたよ。
負い目も贔屓目も嫌味もお世辞も抜きで、「話ってこう運ぶんだ……凄い!」って本気で思いましたから。
でも、あなたがそう呼ばれたくないのでしたら、今まで通り「麻子さん」と呼ばせていただきますね。

>レス返したつもりが……
ドンマイです^^;
携帯は更新がわかりにくいからそういう時怖いですよね……。

あと、質問なのですけど『楽園派』の人たちのプロフは公開されますか?

100 : ◆DRmi36jS.Y :11/05/08 19:27:31 ID:???
もしかして、待たせてるのって私だったりします?

101 :名無しさん :11/05/08 20:58:25 ID:???
>>99
あんたどうすんのさ?鳥バレしたけど。

102 :名無しさん :11/05/08 21:38:00 ID:???
投稿者:莉奈 ◆slrx6HjwqM
x削除依頼
投稿削除
2010/05/28 11:08:37 (X7X7jFar)
板違いだったらごめんなさい
今日、16時くらいからネカフェでオナの見せ合い出来る方いませんか?
男性のオナ、出す瞬間にとても興味があります
軽いお触りでしたら大丈夫ですがそれ以上は無理です
マナー、ルールを守って頂けて出来ればいっぱい出せる方、お願いします
私は見た目普通の27です
xxアドを付けて下さい

103 :名無しさん :11/05/08 21:49:54 ID:???
あんまモラルのないことしんなや

104 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/08 22:46:03 ID:???
>>100
鷹河さんは誰待ちですか?

>>101
――卒倒しそうになりました。とりあえず、変更しておきます。
前々から安直すぎるかなって不安だったんですけど……まさか本当に偽者が現れるなんて思ってませんでした。
いくら私の発言が芳ばしいからって、アレは流石に^^;
>>99も私じゃありませんし、性質の悪いイタズラです。

教えてくれてありがとうございました……m(TT)m

105 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/08 22:52:02 ID:???
>>102
な、生々しすぎます……
それにしても凄い偶然もあるんですね。
以前に自分の名前(神田理奈)で検索してみたことがあるんですけど……それはそれで面白かったですよ

>>103
わーん!違うのにいいいい!!

106 :名無しさん :11/05/08 22:52:04 ID:???
まあ、待て

>>99
>>104

の、どっちが本物の理奈ちゃんかはこれで完全に分からなくなってしまったというわけだ

>>99が本物で、>>104は彼女の名を騙った偽物なのかもしれないし、その逆もあり得る
本物の理奈ちゃんにだけできる証明は、何があるかな?

107 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/08 22:58:39 ID:???
私は事を詳しく知りませんし、知ろうとも思いません
何故なら理奈さんに対して疑いの気持ちを抱くつもりが一切ないのですから、知る必要なんてないのです!
こうしてあえて発言したのは、自分の姿勢をしっかりと表明して
理奈さんには万が一にも負い目や不安の類を感じて欲しくないから、って事なのです!

と言う訳で次のレス、お待ちしていますね
あと、楽園の子達のプロフは折を見て公開します
人数が多いからまとめて投下するのもアレかなぁと思いまして

108 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/08 23:01:37 ID:???
>>106
早っ!?
>どっちが本物
うう……それもそうですよね(−−;)
あ!ありますよ――とっておきの方法が!
南雲さんのときみたいにもう一度私の【 】の人の友達に誰かのイラストを描いてもらって、
広辞苑にアップした日を私が予告できればいいんですよっ!

うーん、いつまでかかるのかな……もしできたら、信じてもらえますか?

109 :名無しさん :11/05/08 23:06:48 ID:LDAHzSFv
普通に管理人にIP確認してもらったら早くて確実じゃね?

110 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/08 23:11:25 ID:???
管理人は千夜万夜の管理人さんか、引き継いだ人か、どちらにしてもいないんじゃなかったですか?
TRPG広辞苑に絵をアップロードしたのも理奈さんなら
広辞苑の方の管理人さんに頼めば本人証明して下さるかもですけど

111 : ◆Gw1TY5I6ic :11/05/08 23:12:05 ID:???
特に証明する必要もないんじゃないでしょうか
本スレでの書き込みを見れば本人かどうかはわかることでしょうし

112 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/08 23:14:27 ID:???
今更ガチさん呼んで負担かけるのもどうかと思うけど、一番手っ取り早いかもねえ
なんにせよわたしは理奈ちゃんシンパだから、何がどうあれ肯定的に向きあう所存であります
イラストで証明やるなら楽しみにしてるよー

>>110
広辞苑の管理人ってなんくるさんじゃなかったっけ?あの人まだこの界隈にいるの?

113 :名無しさん :11/05/08 23:15:31 ID:???
世の中にはありとあらゆる文体を真似る事の出来るクソヤローがいてね
万一目を付けられたら、きっと見分け付かなくなっちゃうぜ?

114 :名無しさん :11/05/09 00:18:33 ID:???
理奈ちゃーん早く談雑レスGPRTにおいでよーw

115 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/09 00:46:07 ID:???
すいません、お風呂に入ってました。

>>109 >>113
今のところ私以外に「私」を名乗る人はいないようなので萌さんの仰るとおり必要ないと思いますよ……。
それこそドヤ顔で出てこられても、必ずどこかボロが出るでしょうし、きっと大丈夫です。
私が私であるかどうかは今後もここと本スレだけで、自分自身の行動を以て証明していくので改めてよろしくお願いします!

>>107
麻子さん……ありがとうございます。
プロフの件、把握しました。
私は目下
蒼月さん、鷹河さん、茅野さん、南雲さんのレスを読んだ後に入る所存です。

>>112
>イラスト
了解です☆
あと……あの絵の作者ですけど、本当に【 】の人が友人に描いてもらったものです。
Yu-Yuさんの名誉に賭けて、これだけはガチです。

>>114
ちょ、ちょっと楽しそうなことになってますけど
あまりに恐れ多いので、遠慮させていただきます……(−−;)
扶桑さんや真性さんのファンだった身として、レギオンも応援してまーす!

116 :名無しさん :11/05/09 00:52:41 ID:???
>>112
呼べばでるんじゃない?(なんくる)
てか、メールのほうが波風立たないか

117 :名無しさん :11/05/09 12:53:46 ID:???
従士はリリカルちゃんを荒らしから守るために敢えて矢面に立ったのかはてさて

118 :名無しさん :11/05/09 17:36:21 ID:???
よく分かんないんだけど
鳥付きで雑スレに光臨してたのも理奈ちゃんじゃないってこと?

119 :名無しさん :11/05/09 21:57:37 ID:???
wikiの仕様では管理人でもIPの確認はできないと思いますよー

120 :なんくるさん ◆cvIBp5alOA :11/05/09 23:47:31 ID:???
よばれていないのに出てきてすいません。

一応メンバー登録用に送られてきたメールのIPと
実際に編集で使用したIPを確認することができるので確認させていただきました。
編集をしているのは間違いなくリナさんですけど、これが何か?
すいません、何がおこっているか全くわからない状態ででしゃばってますごめんなさい

121 :名無しさん :11/05/09 23:55:40 ID:???
なんくるさん今なにやってるの?

122 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/10 00:00:13 ID:???
おー、生きていらしたんですね
えっとですね!
IPの確認が出来るのでしたら◆O9eTRO0ZSMの理奈さんがwikiを何かしら編集して
それをここで宣言、その後なんくるさんが確かに理奈さんだと証言して下されば
一応証明が終了するんじゃない・・・かな?

理奈さんとなんくるさんがよろしければ、これで事が解決する
と言うより、一片の不安も疑いもなくTRPGが続けられるのかな?と思います
どうでしょうか?最終的には理奈さんとなんくるさん次第ですので、私からはなんとも言えないのですけれども

123 :なんくるさん ◆cvIBp5alOA :11/05/10 00:10:34 ID:???
>>122
一応、メールが来たのが五月一日でして、
そのあとにブラマホ関係の記事をメールで確認したIPで編集したのを履歴で確認していたんですが
それだけでは不安ですかね?

124 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/10 00:16:56 ID:???
えーっとですね。理奈さんは一度酉バレしてしまっているのです
それから新しい酉を付けたと宣言されたのですが、果たしてそれは本当に理奈さんなのか?
って疑問が生じてしまったのです

つまり、なんくるさんが確認した『理奈さん』と、今新しい酉を付けている『理奈さん』が同一人物だ
って確証があったらそれはとっても嬉しいなって感じなのです
その為に>>122を提案したのですが、理奈さんの意見も聞いてみたい所ですねー

125 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/10 00:17:12 ID:???
>>115
良い絵師さんだよね
ピクシブとかやってるのかな

>>116
出てきたねw

>>123
なんくるさんお久しぶり
今議題に登ってるのは、『広辞苑を編集したのが理奈ちゃんか』ではなく『>>99>>104のどっちがホントの理奈ちゃん?』って話なのね
だから、>>104の理奈ちゃんが麻子っちゃんの言う行動を満たすことで証明になるってこと

126 :なんくるさん ◆cvIBp5alOA :11/05/10 00:26:13 ID:???
>>124>>125
把握しました。

127 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/10 01:56:57 ID:???
遅くなってすいません。

>>117
リリカル……某所では私のことをそう呼んでいるそうですね。
私自身知らないうちに話が進み、ご本人もどう思われてるかがわかりませんが、
結果的にあの場を収めていただいたことについてあの方には深く感謝しています。

>>123 なんくるさん
お久しぶりです……いえ、あの頃は読者だったので始めましてですね。
いつも編集ありがとうございます。メールを送ったのは【私】で間違いありません。
広辞苑のログに残されるIPアドレスがわかるなら、次に私が編集したときの履歴で確認することってできますか?

>>124 麻子さん
↑の方法で確認がとっていただけるなら次に『楽園派』の人たちのプロフを載せてくれたときに私が
編集しにいって、それで「私」が【私】だって証明できるかと……そのほうが早そうですし。

>>125 南雲さん
pixivもやってるそうですよー。
名前は多分そのままなので、機会があったら見に行ってあげてくださいw
次のイラストも現在作成中だそうです。第2弾は何とあの人が・・・!

128 :名無しさん :11/05/10 03:33:34 ID:???
神田さん
>>118に答えてもらえないかな
これは大事なことだから

129 :名無しさん :11/05/10 08:29:52 ID:ny3fGmlV
重要か?
君や野次馬にとっては重要でもこのスレにとっての話だが
今コテ達のレスみてると、何をしたかではなく、今現在神田の中身が変わっていないか、というだけ
余計な議題増やしてややこしくするより、本人証明だけして収束させることをコテたちは望んでいるのではないか?

それでも聞きたいのなら、その質問の重要性や、答えさせるメリットを示してくれ

130 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/10 11:56:42 ID:???
>>129
仰る通りです。少なくとも私は、この一件に解決なんて求めていません
私はただ理奈さんとTRPGを続ける事が出来ればそれで満足ですから

131 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/10 17:20:23 ID:???
>>128
あ、ごめんなさい!
そのことについては>>104で一度否定させていただきました。
大事なことらしいのでもう一度否定しておきますね。

>>同僚のみなさま
大変お騒がせして、申し訳ありませんでした。
元はと言えば私がすぐにバレるようなトリップをつけたのが原因です。
誰かのトリップをバラすことは悪質な迷惑行為であり、とても肯定できるものではありません。
けれど、これまでとった私の言動の中にはそれ相応の悪意を向けられる程の落ち度や無知、
……誰かの気持ちや大事なものを傷つけていたことが、知らないうちにあったんだと思います。いえ、確実にそうです。
本人が良かれと思ってしていることが全くの独善で、悪い結果を生んでしまったことがリアルでもある気がします。
私なんかいつもそうです。悪い意味でよく誤解されます。
今回私のトリップをバラした人も「その人なりの正しさ」で、これまでの私を戒めようとしてくれた善い人なのかもしれません。
こういうすれ違いはきっと何処にでもあるはずです。
「願い」や「大事なもの」は人それぞれ違うから、時に押し通したり守ろうとしたりしてお互い蹴落とし合ったり、叩いたり憎んだりする
んだと思います。
あの人に自分の気持ちを解らせてやりたい、叩きつけてやりたい、解ってもらいたい……
凄く当たり前なことなのに、凄く難しい。こういうとき、便利な「魔法」があったらいいのに……

どんなに「ブラック」な展開が待っていても、それぞれが「自分だけの魔法」を見つけにいくお話が欲しいから、
「独りでは決して紡げない」お話をみなさんと楽しみたいと思ったから、私はここに参加しています。

少し長くなってしまいましたが、今後こういったことが無いよう自分に責任を持って
行動するよう努めますので、どうかこれからも宜しくお願いします。

132 :名無しさん :11/05/10 18:16:41 ID:ny3fGmlV
神田さんは物事伝えるの苦手な人?
ごちゃごちゃ説明長くて結論が分かりにくい


なな板の談雑スレの神田
このスレの99
この二つは神田本人ではなく、トリップをつかった偽物です

てことでFA?

133 :名無しさん :11/05/10 18:24:34 ID:ktgGv3kK
整理すると

>>99は偽物
5/7〜5/8の神田理奈 ◆slrx6HjwqM はすべて偽物

>>99=談雑GPRTの神田理奈=酉乗っ取りの偽物

>>104以降の神田さんが本物
それをWIKIの投稿IPで証明

本物の神田さんは越境なんてしていないし今後するはずもない
これでいいんだよね?

134 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/10 19:59:09 ID:???
>>132
ファ……FA!

>>133
はい

135 :名無しさん :11/05/10 21:07:39 ID:???
それにしても偽物のなりきり完成度は半端ないね
口調もレスの雰囲気も神田さんそのものだったもん
>>99をみる限りスレの内容も参加者なみに精通してるようだし本当見分けがつかない
同僚でさえ見分けられなくても仕方ないさ
今後こういうことがないよう本人確認の上トリップの扱いには十分気を付けないとね

136 :名無しさん :11/05/10 22:44:40 ID:???
談雑スレの理奈ちゃんとかほんとにそのまんまだったもんね

137 :名無しさん :11/05/10 22:57:41 ID:ny3fGmlV
思うところはあるだろうけど、話の決着はついたんだし、蒸し返さない
気持ちを切り替えてスレを楽しむのが名無しのマナーだぜ?

138 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/10 23:34:23 ID:???
えーっと、そろそろ一つ前のレスから5日が経過しました!
別に5日ルールとか言い出す訳ではないのですけれども!
それでもズルズルと間延びさせるのはよくないと思います!
なので鷹河さん、近日中にレス出来るかどうかの意思表示をお願いしたいのです!

そしてもしも鷹河さんがレス出来ないのなら、次は茅野さんになりますね
お手数おかけしてしまいますが、お願い出来ますでしょうか

……というか、一度生存確認がしたいなーなんて。こちらもお願いできますか?


あと、ひとまず楽園の子達のプロフが完成しました
次のレスで投下しますね

139 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/10 23:46:10 ID:???
名前:苗時静(なとき・しずか)
所属:楽園
性別:女
年齢:27
性格:聡明
外見:ショートボブにスーツ、物静かな表情や佇まい
願い:俗世を離れて静かに暮らしたい
魔法:あらゆるモノを沈静化する
属性:イメージ干渉型
行動傾向:楽園で静かに暮らす。襲い来る者には説得と反撃を
基本戦術:相手の攻撃を沈静化+銃などを生成+仲間を呼ぶ
うわさ1:キャリアウーマンだったが人間関係が煩わしくなって辞めたらしい
うわさ2:楽園派最年長で、いい加減魔法少女はないだろってのが悩みらしい
うわさ3:楽園の行く末にやや不安を感じているらしい

名前:目立零子(めだち・れいこ)
所属:楽園、高校2年
性別:女
年齢:16
性格:気弱、地味
外見:黒髪のお下げに眼鏡、グレーのワンピース
願い:地味な自分を変えたい
魔法:宝石や金属、装飾品や光を作り出す
属性:イメージ具現化、現象化型
行動傾向:楽園で平和に暮らす。私生活では目立ちたいと思うも臆病風に吹かれてあたふたするばかり
基本戦術:光や生成物で目眩まし+逃走+仲間を呼ぶ
うわさ1:地味過ぎて殆ど噂が立たないらしい
うわさ2:兎にも角にも地味らしい
うわさ3:……やっぱり地味らしい

名前:駆走知史(かばしり・ちふみ)
所属:楽園、高校2年
性別:女
年齢:17
性格:明るい、茶目っ気あり
外見:短髪、淡青色のフリルTシャツ、デニムスカート、スニーカー
願い:足が速くなりたい
魔法:加速
属性:イメージ投影型
行動傾向:楽園で過ごす。私生活では最近まで陸上部での活動に励んでいた
基本戦術:加速で撹乱+逃走or迎撃
うわさ1:つい最近魔法少女になったらしい
うわさ2:つい最近楽園の住民になったらしい
うわさ3:つい最近陸上部を辞めているらしい

名前:影野刃月(かげの・はつき)
所属:楽園、高校1年
性別:女
年齢:16
性格:お堅い、まじめ
外見:白衣と白袴、おおっぴらに帯刀してる
願い:父の道場を守りたい
魔法:剣術使用時限定の身体強化
属性:イメージ投影型
行動傾向:楽園を守る。私生活ではもっぱら剣術の特訓
基本戦術:思い直すよう警告、駄目なら逃走or迎撃
うわさ1:魔法以外の戦う力を持っており、また本人の性格も相まって仲間を呼ぶ事をしないらしい
うわさ2:父が師範をしている道場を継ぎたいけど、父は難色を示しているらしい
うわさ3:父が教えてくれないので、見よう見真似で剣術を学んだらしい

140 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/10 23:46:47 ID:???
それでは理奈さん、お好きな時に広辞苑に載せてやってください!
連レス失礼しました!

141 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/11 21:08:23 ID:???
>>135-137
はーい。
また遊びに来てくださいねー(`・ω・´)ノシ

>>139-140
承りました)キリッ
諸事情により編集は明日の昼過ぎから夕方あたりになります。

142 :蒼月徹 ◆fnDCzk6SN2 :11/05/12 01:07:17 ID:???
週明けに投下すると言って水曜日までかかってしまってすみませんでした

あと規制されてしまったので代理投稿お願いします
目を覚ますと周りは白で一色、そういわば高濃度粒子領域、はたまた噂のニュータイプフィールドか
ついに俺もニュータイプに……?いや、イノベイターか!
どちらにしても人類の革新か、それはいいな
いやしかし、ニュータイプは人類が宇宙という新たなる生存環境に適応し目視による空間把握が困難かつ
空気の振動を介して声で意思を伝える手段がないために脳波による意思疎通、一種のテレパシーのようなものが発達、空間把握能力を補うために脳自身の
機能が増幅されたのではないかというのが俺のニュータイプ論だ
まあ、トビア・アロナクスの言葉を借りれば”宇宙に適応した人間”というわけだ

いや、まてまてまて、おかしいだろ?さっきまで喫茶店で紅茶とケーキとクラブハウスサンド待ってたはずだ
いくら俺がニュータイプ的素養の高い人間だからといって喫茶店でいきなり覚醒するはずがない
思い出せ!思い出すんだ俺!一体何があったのか
確か……ジブラルタルでケイトが支えてクワンリーが「機体はそのまま、パイロットは死んでもらうが……」
いやこれは昨日見ていた機動戦士Vガンダム第14話「ジブラルタル攻防」だ
戻りすぎた。そうだ!喫茶店で謎の劇物が俺を襲って!
すべてを思い出した

「ハッ!俺は……」
目覚めると周りはすべて白かった
「煙幕?」
魔法少女が俺を狙って強襲?阻止臨界点はとっくに超えちまってるようだ
ならなぜ俺は死んでない?これは別のなにかがあるとみた
魔法でそれほどのダメージは受けていないがおとなしくしていたほうが賢明だ

狸寝入りを決め込んでいると嫌な予感しかしない怪しい3人組がやってきた
>「もう少し『静粛に』……だよ。諸君」

ほらやっぱりだ
やつらは『楽園』といううさん臭さ爆発のやつらだ
組織名が楽園とはまた怪しい、しかしこいつらの持って来た話は魅力的なものだった

>『私達は彼らを『亡者』と呼んでいるが……まぁここまで言えばもう察しは付いているだろう。
 この辺りでも、『楽園』の住人が亡者に襲われている。君達には、ここら一帯の亡者を排除して欲しい。
 勿論、報酬はある。亡者の持っていた魔法核に加えて、私達が正当な防衛の結果得た魔法核も明け渡そう』

狸寝入りは終了決定だ
「オーケー、その話、俺は乗った。よりどりみどり結構じゃないか
俺は力が欲しいからな」

143 :名無しさん :11/05/12 13:40:09 ID:???
>>142
かんりょ

144 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/12 16:35:01 ID:xqqlzBeH
編集完了しました。
>>81で鷹河さんが公開してくれた眼帯オヤジさんのプロフも一緒に掲載してあります。

145 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/12 22:36:40 ID:???
乙ですー
これにて全ての憂いは晴れた、かな?

146 :なんくるさん ◆cvIBp5alOA :11/05/13 00:49:00 ID:???
本人と確認しました

147 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/13 01:09:57 ID:???
>>146
ありがとうございます!お手数おかけしましたm(−−)m
今後も管理業務頑張ってください。

148 :名無しさん :11/05/13 19:35:42 ID:???
今だれのターンなの?

149 :名無しさん :11/05/13 21:33:14 ID:2M+rrps0
>>148
「誰のターン」かよりも「何が未解決」なのかで考えたほうがいいと思う。
TRPはレスポンスの応酬が基本だからTVゲームみたいにかっちり順番を決めてしまうと今みたいにスレッドが停滞しやすい。
起きてる出来事を参加者(一時撤退の塞守さん除く)別に整理すると……

《解決済み》
坂上さんの行動→猪間さんのレス、神田さんのレス
神田さんの行動→萌さんのレス
楽園派の行動→萌さんのレス、蒼月さんのレス、猪間さんのレス

《解決待ち》
鷹河さんの行動→茅野さんのレス
楽園派の行動→茅野さんのレス、鷹河さんのレス、坂上さんのレス、神田さんのレス
楽園派(影野さん)の行動→壱斬さんのレス
萌さんの行動→神田さんのレス

解決待ちの部分は順不同だけどなるべく上からが望ましいと思われ。
参考になるかは別としてまあ、名無しのお節介ということで……どうだろう猪間さん?

150 :名無しさん :11/05/13 23:09:10 ID:???
>>149
要は茅野ちゃんってことだろ

151 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/15 11:41:21 ID:???
>>149
仰る通りです。ですがまぁ……皆さん息していらっしゃらないようですね
非常に残念でなりませんが、南雲さんと神田さんに楽園派に対するレスをお願いしたいかなと思います
もしよろしければ、そこから話を進めさせていただきます

152 :名無しさん :11/05/15 20:49:00 ID:???
マジかよブラまほ息してない

153 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/15 21:14:20 ID:???
萌さんと蒼月さんは単にレス待ちだと思いますよー。
茅野さんと鷹河さんは何らかの事情があってネットに繋げないのではないでしょうか。
特に茅野さんの場合来られなくなるときは一言くれるはずですし、黙って消えるようなことはないかと。
あと、壱斬さんはちょっとミステリアスw
いずれにしても今期が終わるまではみなさんがいるものと判断しています。

>>151
了解しました。私は12日ぶり、南雲さんにいたっては半月ぶりの出番ですね^^;
南雲さんの後に入るものとしてレスの準備をはじめておきます。

あと……業務連絡です。
Yu-Yuさんのイラストが完成しました♪ 今回は……萌さん!
逞しも恐ろしいナックモエの肉体美をご賞味(?)ください☆ 

ところで今回絵師さんから「13歳のロリは描けない」って言われたの
ねえ麻子さん、私達どうしよう……?(´;ω;`)

154 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/15 21:26:35 ID:???
>>152
ブラまほは滅びんよ、何度でも甦るさ!
それが人々の夢だからだ!

思いっきり悪役の台詞ですよね、はい。

155 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/15 23:20:10 ID:???
>>151
>>153
了解ですー近日中に書くね

156 :鷹河明日香 ◆DRmi36jS.Y :11/05/16 00:43:35 ID:???
ちと待ちすぎました。すいません。
火曜あたりに書き上げます。

157 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/16 23:53:02 ID:???
>>153
そうですねー。皆さん、帰ってきたらいいですね

>>155
ありがとうございます

>>156
おかえりなさい。よろしくお願いします

158 : ◆Gw1TY5I6ic :11/05/17 15:58:17 ID:???
なんであんなキャラで参加してしもたんや…

159 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/17 20:51:28 ID:???
すいません。
可及的スピーディーにレスを返したかったのですけど、そういうわけにいきませんでした。
18日の間にレスします。

>>158
作者曰く「筋肉を描くのが一番楽しかった」……と( ̄∀ ̄;)

160 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/18 21:56:21 ID:???
投下完了。
他の行動は次のターンに持ち越します。
ところで南雲さんや他の人たちの念話って私達にも聞こえてるってことでいいんでしょうか?

161 : ◆O9eTRO0ZSM :11/05/19 02:18:43 ID:???
自分で読み直してみて意味不明な質問してましたね……訂正。
あの場合お互いの念話は「特に断りがない限り」全員に聞こえてるものと考えたほうがよろしいですか?


162 :名無しさん :11/05/20 01:56:19 ID:fgFzGgAw
>>161
その認識で合ってると思うよ
GM様がどう考えてるかによるけど

163 : ◆O9eTRO0ZSM :11/05/20 15:16:27 ID:???
>>162
ごめんなさい。
書き込んでくださるのは嬉しいのですが、これは飽く迄「参加者同士の確認」ですのでそう言った発言はご遠慮ください。

164 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/20 15:27:09 ID:???
>>161>>162
それで間違いありません。魔力で発信するラジオのようなものと思ってください
返事が遅れてしまいすいませんでした

165 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/21 02:23:18 ID:???
>>164
ありがとうございます。
ラジオ……なるほど、周波数(?)を合わせる感じなんですね。
ところで最近「電波」って言葉を聞くと、胸が切なくなります。どうしてだろう……

>>162
ごめんね、名無しさん。
私の【 】の人が何だかキツい言い方してましたけど、あんまり気にしないでくださいね(´・ω・`)

166 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/23 00:25:06 ID:???
あうぅ……日付が変わっちゃった。鷹河さん、なかなか来られませんね。
私は今日の夜から順不同で(楽園派の初登場をターン1として)ターン2のレスポンスに参加しようと思います。

167 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/24 01:17:56 ID:???
ういうい。それじゃわたしもそれに倣ってターン入っちゃおっかな

168 :名無しさん :11/05/24 19:00:21 ID:???
リリカルちゃんてどの板から流れて来たの?創発?

169 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/24 20:48:57 ID:???
すいません、時間の都合でレス作れませんでした……水曜の夕方に投下します。
ターンさえ揃っていれば順番は気にしなくていい状況ですし、入れる人からどんどん進めてしまってください♪
書くのは好きですけど、読むのも好きなのでw

>>168
いらっしゃいませ。
にゃはは……おっかな吃驚で見守ってましたけど、まさか本当に来るなんて思ってませんでした( ̄∀ ̄;)
えっと、【 】の人に聞いてみたところ【キャラネタ板→なな板に流れてきた人】だそうですよ?
キャラハンは引退して、今は専ら名無しとして他のレスで質問を落としてるとか、いないとか。

170 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/25 21:12:44 ID:???
すいません。時間切れでpassive(受動)レスまでしかできませんでした……。
残りは明日に回します。

171 :名無しさん :11/05/26 11:01:50 ID:???
頑張れー応援してます

172 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/26 21:12:23 ID:???
投下完了しました。ターン2の私の行動はあれで終了です。
名前覧の書式は自分がわかりやすいようにやっているだけなので気にしないでくださいませ。

>>171
あ、ありがとうございます。
そう言っていただけるとその……凄く、嬉しいです。

やったね、麻子さん!

173 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/27 00:39:48 ID:???
いぇい。今後も末永く応援してね!

174 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/27 19:54:24 ID:???
投下しました

>>171
ありがとうございます

175 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/27 22:12:56 ID:???
ういうい。苗時サンから代わりに貰った前金の魔法核なんですが、どういう願いの賜物かとかの設定ありますかねー

176 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/28 00:23:57 ID:???
あ、私もそれちょっとだけ気になってました。
以前茅野さんのを一時的に預かったときに「その人の願い」が部分的に見えたんですけど……あれは偶々なのかな

177 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/28 00:30:14 ID:???
考えなきゃなと思っていながらいざ書いたら忘れていました
そうですね、楽園がどういうものか知っていながらなお挑んで負けるような奴ですから
向上心や上昇志向が強く、他人を見下し、自信家だった事でしょう
なのでまあ、分かりやすく「社会的な地位と財産が欲しい」とします
持ち主はグラサン着用のイケメンとか、脂ぎったオッサンとか、老いて尚野心家だったジジイとかじゃないでしょうか

178 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/29 19:05:14 ID:???
忍法帳強制削除で連投規制も行数制限もひどいことになってるね
あんまりにも投稿しずらいのでこっちに先に置いといて、折を見て本スレに投下しなおします

179 :1/2 坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/29 19:06:15 ID:???
>「あの、さっき苗時さんが誰かのことを“悪魔”って言ってましたけど、二人は“悪魔”に会ったことあるんですか?」

「ん。悪魔、悪魔ねー。そうだねえ、ロクな生き物じゃないことは確かかな。強面だし。喫煙厨だし。大仏パーマだし」

契約主のチンピラ悪魔を思い浮かべて、南雲は苦笑した。人の世に悪魔と例えられる人間がいたなら、きっとあんな顔をしているのだ。
ポケットから携帯電話を取り出して、写真フォルダを呼び出すと、それを理奈に向けて差し出した。

「こんな顔」

そこにはタバコを片手にカメラ目線でキメ顔のチンピラ悪魔の姿があった。見切れているがピースまでしている。
魔法少女は物理法則の外に居る為写真に映らないが、悪魔の中にはわざわざ物理的に受肉して人間社会に溶け込む数奇者もいるらしい。
その筆頭とも言うべきがチンピラ悪魔であり、彼は定期的に住む場所を変えながら日本中を渡り歩いているのだった。

「広島がホームタウンらしいよ。この前本場のお好み焼き奢ってもらっちゃった」


閑話休題。回想終わり。

>「受けてもらえるんだね、本当に良かった。これはちょっとした気持ちだよ。……まぁ、前金と思ってくれても構わないけどね」

苗時に彼女の魔法核を返却すると、交換するように別の魔法核を押し付けられた。
予想していたことではある。押し付けた善意によって獲得した優位性を簡単に手放すことはないだろうから。
だがしかし、この魔法核、臙脂色にくすんだ輝きを放っているのだが……なんとなく脂っぽかった。妙なにおいもある。
丁度南雲の父親が、仕事を終えて帰ってきたときに家中に振りまく匂いに似ていた。具体的には、おっさんの枕の匂いだった。

(ガンダムさんの例もあるし、これはもしや……!)

>「楽園へようこそ、二人とも」

南雲が業の深い思索に囚われていると、いつのまにやら寂れきったテーマパークがビフォーアフターしていた。
むき出しの鉄骨や、汚れの目立つ建物の壁や、くすんだ地面などが巧妙に装飾され、温かみを得て息を吹き返す。

>「これだけ派手に魔法を使えば、亡者達も嗅ぎ付けてくるだろう。他の魔法少女がやってくる可能性も、あるにはあるけど……
  邪魔にはならないさ。これまで『楽園』に手出しする者には、容赦なくやってきたからね」

「その結果がこれ……」

手の中の魔法核。生前はさぞや功名心に恵まれたおっさんだったんだろう。願いは、そう、『出世したい』とかそんな感じ。
魔法少女ならぬ魔法中年が楽園とどんな戦いを繰り広げたかは後ほど想像することにして、南雲はひといきに魔法核を取り込んだ。
空色の魔法核と臙脂色の魔法核とが融合し、得も言えぬマーブル模様を生み出し、両者の頒図は、やがて空色が勝利した。

苗時は続ける。『楽園』の発足秘話とか、現在抱えてる問題とか、未来に憂いる現状とか。
楽園は言わば、魔法少女ルールの裏をかいた裏技的な戦い方なのだ。いつ運営側から禁止されるとも知れない。
円滑な魔法少女システムを続けるにおいて、絶対に看過できない存在だから。知れば、悪魔たちは躍起になって妨害するだろう。
否――『亡者』という存在こそが、『楽園』に対するカウンター措置なのかもしれない。南雲の思考は浮上した。

>「だけど、だからこそ……私はその日が来るまで、この『楽園』を守ってみせる。
 それ以外の理由で、『楽園』が失われるだなんて、そんな事は絶対に許さない」

(なんだろう、この温度差……おっパイロットとか言ってたのが無性に恥ずかしく思えてくる……)

>「とにかく、今は『楽園』を楽しんでおくれよ。たしか知史君は今手が空いている筈だから、彼女にガイドを……知史君?」

カフェで知史と名乗った、ネアカの体育会系っぽい少女が、虚ろな目をしてブツブツ呟いていた。
南雲は電車の中とかで時折出会う、虚空の一点だけを見つめてひとりごとを漏らす人を連想した。
瞬間、血閃。知史の傍にいた魔法少女達がくずおれ、血の溜りを広げていく。知史の胸には先の分からない真っ暗な穴が一つ。
それが噂に聞く『亡者』であることへ思い至るのに無理はなかった。だから南雲は、淀みなく腰のホルスターへ手を伸ばせた。

180 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/05/29 19:06:56 ID:???
知史は、ハイライトの消えた、瞳孔が機能していない瞳をちらつかせながら、熱病にうかされたように訥々と語る。
彼女が既に『終わってしまった』魔法少女であること。悪魔から囁かれた敗者復活戦。そして――彼女の無法の被害者達。

>「でも、今思えば馬鹿な事をしてたもんですよ。だって今、私とっても充実してるんです。
 他人を蹴落とすって、夢を奪い取るって、なんて楽しいんだろう!って。
 その上、運がよければ自分の夢まで戻ってくるんですから……いい事ずくめですよ、ホント」
>「だけど、残念ながら君は今から楽園の敵だ。排除させてもらう」

一触即発。

>「無論、彼女達がね」

「ええええええ!?」

南雲は素っ頓狂な声を上げた。このタイミングでそういうボケは反則だろうと抗議するが、どうやら苗時は本気らしい。
魔法核を受け取ってしまった南雲はともかく、ついてきただけの理奈までも巻き込まれてしまった。

>「折角だから先手は譲ってあげるよ。ほら、年上の余裕って奴?どう?苗時さんほどじゃないけど私もカッコ良くない?あはは」

知史は剣をとり、こちらに視線を遣った。
なんだか向こうも乗り気である。出会ったばかりの南雲達が戦闘を代行することを、少しもおかしいと思っていない。
亡者の亡者たるところであった。

>「ほら、かかってきなよ。どうせ私の呪い――【付平等】《フェアトレード》には叶いっこないんだからさぁ」

南雲は静かに、ホルスターから得物を抜いた。
先手は譲るときたものだ。ならばこちらは精一杯時間をかけて、準備を整えて挑めばいい。精神を落ち着かせて、魔法核を輝かせる。
魔力のヴェールが南雲の肢体を包みこみ、空色の飛行服が顕現した。如実な差異が一つ。目に見えて、フリルの数が増えていた。

「奪うだの蹴落とすだのって、サバンナの野生動物じゃないんだからさー」

こいつは獣だ。人間として当然の道理を放棄し、畜生の域に堕ちた外道だ。
遠慮はいらない。どのみち助けるつもりはない。早晩助かる見込みもない。死人を供養するつもりで、戦え。

「諦めの悪い娘はわたしも嫌いじゃないけれど、できればきみが生きてるうちにそういうノリを見せて欲しかったな」

南雲は自動拳銃のスライドを引いた。
ジャコっと快音一つ、弾倉から薬室へと弾丸が送られた。撃鉄は上がっている。安全装置も解除した。
狙いをつけて、引き金を引けば、目の前に破壊が起きる。彼女が握っているのは、そういう単純な代物だった。

初撃は戦況を左右する。南雲は己の魔法攻撃と、拳銃による射撃を天秤にかけて後者をとった。
魔法核が増えた以上、固有魔法に攻撃力が生まれる公算もあったが、何の検証もしていない段階から実戦で使う気にはなれなかった。
戦場で最も重要視されるのは、威力でもなく弾数でもなく、確実に作動するという信頼性なのだ。

「改めて引導を渡すよ。きみの呪《ねが》いは、叶いっこない」

腰を落とし、両手で包みこむように拳銃を構え、前身で反動に備える体勢をつくる。
照準と照星の向こうに知史の胸の穴を捉えて、正確に3回、撃鉄を落とした。
乾いた音が瞬間的に連続し、魔力によって生成された通算3発の9ミリパラベラム弾が硝煙の尾を引いて知史の胸に殺到した。


【変身・戦闘態勢へ。知史へ向かって拳銃で3発射撃】

181 : ◆Gw1TY5I6ic :11/05/29 23:43:32 ID:???
もともと遅れて到着の予定でしたが、レベルを上げなおす期間が必要になっちゃいましたね
せめてレベル4か5くらい…

182 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/31 02:07:37 ID:???
あはは、私もです……
>>178
そうですね。
しばらくはこっちで進行して、レベルが上がってから本スレに戻りましょう。
それまで修行!修行!(忍々)

>萌さん
何だか、お忙しいみたいですね……。
レスの回数的に萌さんをお待ちしたいのですけど、不都合なようでしたら先に入りましょうか?
私は早ければ今日(31日)か明日には投下できます。

183 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/05/31 02:23:48 ID:???
誰から動こうとも問題のない状況ですし
書けた人から動いていいと思います

184 : ◆Gw1TY5I6ic :11/05/31 03:28:35 ID:???
とりあえず一度飛ばしてください
連絡が遅れまして申し訳ないです

185 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/05/31 12:14:09 ID:???
>>183-184 了解しましたっ

186 :神田理奈@ターン2:interval ◆O9eTRO0ZSM :11/06/01 21:01:29 ID:???
>>179 坂上南雲

>「ん。悪魔、悪魔ねー。そうだねえ、ロクな生き物じゃないことは確かかな。強面だし。喫煙厨だし。大仏パーマだし」
>「こんな顔」

私の質問に対し、南雲さんは返答と同時にその顔写真まで見せてくれた。

「へ、へぇ……」

携帯の画面に映っていたのは説明通りの特徴を備えた普通のおじさんだった。
心持ち昔の映画とかに出てくるフーテンのテキ屋さんみたいな印象……。

>「広島がホームタウンらしいよ。この前本場のお好み焼き奢ってもらっちゃった」

明らかに堅気には見えないけれど、悪い人物には見えなかった。
今回の亡者騒動に関して、とても裏で糸を引いているようには見えない。本当にこの人が悪魔なの?

もっとも、見た目で人(悪魔だけど)を判断することもできないんだけど。
胡散臭いという意味ではあのセールスマンも写真のこの悪魔も、怪しさのベクトルは違えど同レベルだし――あ、そうか。

薄々そうなんじゃないかとは思っていたけれど、ここにきて始めて私はあのセールスマンの正体が悪魔だということに気がついた。
そして悪魔はきっと他にも何人かいて、それぞれが魔法少女と契約を結んでいるのかもしれない。
もう一つ言うと、南雲さんの様子から見ておそらくこの悪魔とは双方が合意の上で契約したのだ。

……とりあえず、今私の頭でわかるのはこれくらい。

「――あ」

抹茶ティラミスが無い。いつの間にか麻子さんが美味しそうに食べている。
ボーッとしていた私が悪い。仕方ないので残っていたアップルタルトに手を伸ばす。
これはこれで、美味しかったです。

【閑話休題、現状把握】

187 :神田理奈@ターン3:passive ◆O9eTRO0ZSM :11/06/01 21:02:24 ID:???
>>334 苗時 静

>「苗時さーん。ブツのお届けにあがりましたんですけどー」
>「受けてもらえるんだね、本当に良かった。これはちょっとした気持ちだよ。
> ……まぁ、前金と思ってくれても構わないけどね」

預けていた魔法核の代わりに、苗時さんが新たな魔法核を取り出した。
南雲さんが複雑な表情を浮かべてそれを受け取る。
私はそのやり取りに関して何も言わなかった。ううん。何も、言えなかった。

>「さて、それでは早速だけど、亡者を誘き寄せるとしようか。
>それまでの間だけど、君達には楽園を楽しんでもらおうかな」

苗時さんの拍手を合図にして、何人かの魔法少女が現れた。
まず目立さんが手を掲げ、自分の魔法を発現させる。それは鮮やかな色彩に満ちた――光の魔法。
それに続くように次々と他の魔法少女が自分の魔法を披露する。
自分より小さな子まで混ざっているのを見つけて一瞬驚いたけど……当然だよね、だって魔法少女だもん。
棄てられた玩具箱のように時を止めていた遊園地が、魔法の奇跡によって再び動きだした。

>「楽園へようこそ、二人とも」

眩い輝きの中で苗時さんが微笑む。
その輝きは虹のように、雪のように、星のように、花のように、まるで水面に浮かぶ月影のように綺麗だけど――儚く見えた。

>「……随分と大変だったよ。やればやられると、他の魔法少女達に知らしめるのはね。
> 多くの争いがあった。敵も私達も多くの血を流した。その上に、この『楽園』が成り立っているんだ」
>「多大な犠牲を払っても尚、この『楽園』はどうしようもなく不完全で、不安定だ」

儚く脆い、硝子の王国。

>「だけど、だからこそ……私はその日が来るまで、この『楽園』を守ってみせる。
>それ以外の理由で、『楽園』が失われるだなんて、そんな事は絶対に許さない」

トコトコと走ってきたクマのぬいぐるみが足許で転んだ。私は埃を払い、抱きしめるようにそのクマを拾い上げる。温かい。

>「――なんて、そんな事は君達には関係ない事だったね。ついお喋りになってしまったよ」

私は――苗時さんのことを誤解していたのかもしれない。
クマのぬいぐるみを追いかけて、幼い魔法少女がやってきた。
私が抱いていたクマを投げ返すと、その子はにっこりと笑って光の中へと戻っていった。
魔法少女達が穏やかに暮らせる世界。私が望んでいたものと、きっと同じものだ……。

納得し切れない理由なんて、わかっていた。私が甘すぎただけなんだ。
ヒトは――――綺麗なものだけを見て生きていくことなんて、できないから。


【続く】

188 :神田理奈@ターン3:active ◆O9eTRO0ZSM :11/06/01 21:03:22 ID:???
>>335 苗時 静 駆走知史 >>180 坂上南雲

>「とにかく、今は『楽園』を楽しんでおくれよ。
>たしか知史君は今手が空いている筈だから、彼女にガイドを……知史君?」

起こったことを簡潔にまとめる。
突如凶刃を手にした駆走さんが周囲の魔法少女に怪我を負わせたこと、彼女が既に亡者になってしまっていたこと。
そして――

>「残念ながら君は君は今から楽園の敵だ。排除させてもらう」
>「……わぉ、ますますカッコイイ」
>「無論、彼女達がね」

私達が彼女と戦うことになったこと。

>「ええええええ!?」 「ええええええ!?」

私と南雲さんの声が見事にハモる。表情まで一緒でした。
顔文字で表すとこんな感じ。→工工エエェェ(´Д`)ェェエエ工工

>「……前言撤回しちゃおっかなぁ」

亡者としてのあなたの主張には賛成できませんけど、その一点については私も激しく同意です、駆走さん!

>「折角だから先手は譲ってあげるよ。ほら、年上の余裕って奴?どう?苗時さんほどじゃないけど私もカッコ良くない?あはは」
>「ほら、かかってきなよ。どうせ私の呪い――【付平等】《フェアトレード》には叶いっこないんだからさぁ」

鷹揚に剣を振り回しながら駆走さんが挑発する。彼女の呪いとは、一体どのような能力なのか?
隣に立つ南雲さんが拳銃を抜き、魔装……空色の飛行服に身を包んだ。
私もそれに倣い、緋色のロリータドレスを纏った金髪碧眼の魔法少女に変身する。

>「諦めの悪い娘はわたしも嫌いじゃないけれど、できればきみが生きてるうちにそういうノリを見せて欲しかったな」
>「改めて引導を渡すよ。きみの呪《ねが》いは、叶いっこない」

響く銃声。殺傷力のある攻撃には抵抗があるけれど、今回ばかりは南雲さんを止める気にはなれなかった。
駆走さんの危険性は先ほどの凶行と本人の言葉で証明済み。説得不要。
この人も被害者だけど、今は楽園の子たちを助けるのが……やっぱり優先だよね!
だから――駆走さん、私はあなたと戦います。

「我は放つ光の白刃!」

呪文を合図に掲げた右手の先から放射状の熱波が打ち出される。
私が知ってる『オリジナル』ほどの威力は無いけど、避けるのは難しいはず。まずはこれで……!


【呪文攻撃。火と同じぐらいの熱を伴う瞬間的な風圧。タイミングは南雲さんの拳銃と同時】

189 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/03 00:49:36 ID:???
名無しさーん、その人は私じゃありませんよー
彼方へ向けた独り言はさておき、本スレに移植するにはまだまだレベルが足りませんね……
広辞苑では容量制限が無くなったって言ってましたけど空白で書き込むのとはまた違うのかも?

190 :名無しさん :11/06/03 01:51:38 ID:???
>>189ほんとだ!
例文を投稿したらレベル4で45行までしか投稿できませんでした
行数制限じゃなくて容量制限みたいですね
教えてくれてありがとうございました

191 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/03 02:29:16 ID:???
>>190いえいえ。
というわけで、もうしばらくの間は雑談所進行ですね^^;

192 : ◆jwml6EaEgM :11/06/03 23:24:59 ID:???
>「奪うだの蹴落とすだのって、サバンナの野生動物じゃないんだからさー」

「あはは、そこはアレだよ。最近流行りの肉食系女子って奴?
 そもそもフローラルの香り漂う女の子なんて幻想だって、君も女の子なら知ってるんじゃない?」

けたけたとお腹を抱えて、駆走は笑っていた。
南雲と理奈が変身して、銃を抜き、駆走の態度は変わらない。
笑いながらも奥に渦巻く闇を宿した瞳で、二人を凝視していた。

>「改めて引導を渡すよ。きみの呪《ねが》いは、叶いっこない」
>「我は放つ光の白刃!」

迫る弾丸と熱風――駆走の全身が水の如く揺らめく。
直後に、刃が三度閃いた。金属音が二つ響く。
駆走は、無傷だった。
代わりに彼女の背後にあったメリーゴーランドに四つの弾痕が穿たれた。
二つの弾丸に対して四つの弾痕、加えて全てが見当違いの位置にある。
導かれる事実――知史の刃は、弾丸を断ち切った。

「……って、わっちゃちゃ! 髪焦げちゃってるし! あーもう乙女の命になんて事を!」

理奈の放った熱波は、知史の髪を焦がしていた。
青黒い衣装のフリルの端が、絶望に侵されるように燻る。
三度振るわれた刃、二振りは弾丸を断った。
そして最後の一太刀は、熱波を斬り裂いていた。
恐ろしく鋭い一撃によってだ。

「あ、でもこれを期にパーマ掛けちゃうのもありかもなぁ。どう?似合うと思う?
 それにしても刃月ちゃん、『いい才能』持ってるねー。妬ましいなー」

背後で倒れている刃月を振り返り、浮ついた調子で喋り続ける。
と、不意に駆走の剣が根元から折れた。
弾丸の衝撃と熱波の熱に、鋭利極まる太刀筋に堪えられなかったのだ。

「ありゃ、折れちった。まるで私の心みたーい……なんてね」

自ら心と例えた剣を、何の未練もなく投げ捨てる。
場に似合わない軽やかな金属音が奏でられた。
駆走がその場で小さくステップを踏む。
一度、二度、三度――跳躍。一足飛びで南雲へと肉薄した。
左の拳を鋭く二度突き出す。狙いは鼻柱。
命中の是非に関わらず、後方へ飛び退いて距離を取る。
牽制と体力を削り取るジャブの二連打。
距離を保ち、視界の外へ逃れるように弧を描く足運び。
アウトボクシングの基本戦術――鷹河明日香の才能。

193 : ◆jwml6EaEgM :11/06/03 23:25:28 ID:???
「うっわ、何これ!足はやっ!やっぱ世の中って才能に溢れてるんだねぇ。やんなっちゃうなぁ、もう。
 あ、ところでさ、今の見えた?何か飛行士みたいな衣装だし、目とか良かったりするのかな?」

瞳の奥で嫉妬の黒い炎を滾らせながら、駆走が南雲を見据える。

「もしそうだったら……アンタの『才能』も、貰っちゃおっかな」

目口が歪んで、三日月を描く。
狂気を醸し出す笑みを浮かべ、駆走は続けた。

「だって、でなきゃ『不平等』だもん。ねぇ?」

問い掛ける語調と共に、理奈へと首を回す。

「おチビちゃん、あなたは……どんな才能を持ってるのかな?」

駆走の右手が、頭上へと掲げられる。
胸元で蠢く闇が腕を伝い、手のひらへと集められていく。
呪いを顕現――目立零子の才能、地味であるが故に高められた光輝への憧れを。
理奈を取り囲う形で、黒い輝きを帯びた無数の短刀が現れる。

「才能を持ってるなら、殺しちゃうよ。だって妬ましいんだもん。
 才能を持ってないなら、やっぱり殺しちゃう。だって昔のアタシを見てるみたいで、イラつくからさ」

凍土さながらの冷気を秘めた声と共に、漆黒の刃が一斉に降り注ぐ。

【『付平等』の能力、その片鱗→他人の才能をコピー。
 南雲へ→鼻柱へジャブを二発。理奈へ→黒色に輝く短刀の雨】

194 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/06/06 01:59:44 ID:???
>>191
そうだねー
まだ忍法帖も不安定みたいだし


【以下今回のレス】


>「……って、わっちゃちゃ! 髪焦げちゃってるし! あーもう乙女の命になんて事を!」

南雲と理奈が放った銃弾と光刃の波状攻撃。吸い込まれるように知史へと集中し、爆散、直撃。
果たせるかな、知史は無傷だった。銃弾の全てを、手に持つ剣で斬断し、光刃を裂くその手腕が彼女を護ったのである。

>「あ、でもこれを期にパーマ掛けちゃうのもありかもなぁ。どう?似合うと思う?
 それにしても刃月ちゃん、『いい才能』持ってるねー。妬ましいなー」

地に伏す魔法少女へ向かって知史が熱に浮かされたように話す。
そのやり取りで、南雲は知史に何が起こっているか大まかに察することができた。
『不平等』。有体に言えば、他人の能力や才能をパクる呪いなのだろう。パキンと快音一つ奏でて知史の剣が砕けた。

>「ありゃ、折れちった。まるで私の心みたーい……なんてね」

「真顔で恥ずかしいこという才能は誰から貰ったのかな――っとぉ!?」

減らず口を叩いた隙に肉迫を許していた。極端なフットワークによる踏み込み、そして左拳の二点射。
鼻っ柱を狙った一撃を南雲はスウェーで回避するが、押しこむように来た二撃目は躱し切れなかった。
鼻と口の中間にある人体の急所、人中を撃ち抜かれて悶絶し、吹っ飛ばされた。

「っつあああああっ!」

悲鳴を挙げる。無理もない。生身の人体ならば、ここを穿たれた時点で痛みのあまり失神している。
激痛に耐え切り意識を保っていられたのは、ひとえに魔装によるデフォルトの身体強化の恩恵によるものである。
もんどり打ちながらもどうにか床から足を離さずに済んだ。バックステップし、損傷の有無を確かめるように手の甲で拭った。
問題ない。出血もない。打撲の痛みはあるが、戦闘に支障を来すレベルではない。だが確かな痛みと恐怖は、南雲の足を竦ませた。

>「うっわ、何これ!足はやっ!やっぱ世の中って才能に溢れてるんだねぇ。やんなっちゃうなぁ、もう。
 あ、ところでさ、今の見えた?何か飛行士みたいな衣装だし、目とか良かったりするのかな?」

見えてなかった。身体強化によって知覚も相応に鋭敏になっているはずだが、それでも知史の加速を追いきれていなかった。
これは純粋に、魔法少女としてのスペックに違いが出ているのだろう。なにせ相手はいくつもの魔法核を捕食してきたバケモノだ。
たかだか魔法核二つ程度の魔法少女が、真っ向から拮抗できる相手ではない。加えて坂上南雲個人の問題として――

「同感だよ知史ちゃん。やんなっちゃうね、才能って奴は……!」

――彼女には、魔法少女の素質がなかった。
そう。例え魔法核の数に差があっても、例えばかつての猪間麻子のように、戦術次第で力量差をひっくり返すことはできる。
だが、それを可能としたのは理奈であって南雲ではない。単体でも麻子と拮抗できていた理奈と違い、南雲は終始追い詰められていた。
坂上南雲は弱いのだ。戦術の熟練や魔法核の多寡だけでは測れない不可視の尺度としての『才能』が、彼女には欠如していた。

195 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/06/06 02:00:11 ID:???
>「もしそうだったら……アンタの『才能』も、貰っちゃおっかな」

「あっはは、残念だけど無い袖は振れないね。需要過多ならなおのことお値段吊り上げちゃうよー」

南雲は再び銃を構える。剣が折れた今なら、弾を阻むものは何もない。
問題はあのフットワークによる回避だ。拳銃はおよそ制圧力と呼べるものに欠ける。
弾幕を張れない以上相手を一点に張り付けにすることもできなく、躱されて距離を詰められれば再び拳を喰らうことになる。

>「おチビちゃん、あなたは……どんな才能を持ってるのかな?」

知史は既に南雲を見ていなかった
理奈を凝視し、攻撃魔法を結んでいた。理奈の周りに黒の刃が無数の出現し、意趣返しとばかりに降り注ぐ。

「理奈ちゃん――」

南雲は、跳躍せんと膝を曲げた。凝縮された感覚が彼我の距離と到達時間を正確に割り出す。間に合わない。
間に合ったところで、何ができるわけでもない。せいぜいが、無数の刃のうち二三本を、銃で撃ちぬくぐらいだろう。

「――がんばれっ!」

だから、南雲は『割り切った』。
できることとできないことの区別をつけ、どうにもならないことを諦め、自分がすべきこと以外を意識から追い出した。
それは、救えないからという理由で理奈を見捨てることと同じで、南雲はその決断に腸を断つ思いだったが、その気持ちも割り切った。

踏み出した足は理奈ではなく知史へ向けて。大股で歩きながらの銃撃。下手に走るよりも命中精度は断然上がる。8発の残弾を斉射。
この距離からなら、動きながらでも当てる公算があった。その上相手は今まさに攻撃の真っ最中。自慢の俊足も床にへばりついている。
知史は、フットワークの使い方に慣れていないようだった。所詮は他人の褌だ。それを前提にした戦い方など知っているはずもない。

「知史ちゃんさあ、ひとの努力の結果を……『才能』なんて安っぽい一言で片付けないで欲しいな」

理奈を狙った魔法は範囲攻撃だ。南雲は知史の背後をとれ、かつ理奈を誤射しない位置を巧妙に選んだ。
マガジンを抜き、装填済みの新しい弾倉に変える。凶悪な敏捷性を誇る知史の足、その大腿部へ狙って再び銃撃した。
二発の弾丸を、時間差と高低差を付けて放つ。同時に反撃を喰らわぬよう上体を倒すようにして立ち位置を変えた。

「そのうち折れちゃうよ。剣でも心でもない、きみ自身の信念が。ってゆうか折る。今ここで!わたし達の信念を刃に変えて!
 ――というわけでよろしく理奈ちゃんっ」


【ジャブでダメージを受ける。間に合わない理奈のサポートを諦め、有効な位置取りをしながら足へ銃撃】

196 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/08 20:44:27 ID:???
>> 駆走知史 >>坂上南雲

>「奪うだの蹴落とすだのって、サバンナの野生動物じゃないんだからさー」
>「あはは、そこはアレだよ。最近流行りの肉食系女子って奴?
> そもそもフローラルの香り漂う女の子なんて幻想だって、君も女の子なら知ってるんじゃない?」

お風呂あがりのシャンプーの残り香が幻想かどうかはわかりませんけど、
確かに夏場の女子更衣室を漂うナチュラルスメルに夢や希望はありません。
それはそうと――

ガンッ! ギギンッ! バシュ!

目の前で走った三度の剣閃。
南雲さんと私の放った銃弾と熱波の同時攻撃がそれによって尽く阻まれる。

信じられないことに、切り払われたのだ。

>「……って、わっちゃちゃ! 髪焦げちゃってるし! あーもう乙女の命になんて事を!」

えーと、なんか、ごめんなさい。
じゃなくて……!何で余裕なんですか!?

>「あ、でもこれを期にパーマ掛けちゃうのもありかもなぁ。どう?似合うと思う?
>それにしても刃月ちゃん、『いい才能』持ってるねー。妬ましいなー」

折れた剣を投げ捨て、近くで気を失っている他の魔法少女を一瞥する駆走さん。どういうこと?
疑問に思うのも束の間、彼女は素早く跳躍して急接近してきた。狙いは――

「南雲さんっ!?」

>「っつあああああっ!」

攻撃はまさしく一瞬だった。フォローに回る猶予も無く、駆走さんの殴打が南雲さんの顔面を捉えて後方に打っ飛ばす。
でも、南雲さんは倒れなかった。よろめきつつも持ち堪え、距離をとって顔面を拭う。血は出ていない。

>「うっわ、何これ!足はやっ!やっぱ世の中って才能に溢れてるんだねぇ。やんなっちゃうなぁ、もう」
>「同感だよ知史ちゃん。やんなっちゃうね、才能って奴は……!」
>「あ、ところでさ、今の見えた?何か飛行士みたいな衣装だし、目とか良かったりするのかな?
>もしそうだったら……アンタの『才能』も、貰っちゃおっかな」

卓越した剣術。高速ステップによるヒット&アウェイ。
駄目。駆走さんの能力の正体が……全然わからない!
けれど、先ほどから度々出てくる駆走さんの『才能』という言葉に、先ほどから『不平等』と呟く彼女の発言に、
私は少しだけ違和感を覚えた。

>「あっはは、残念だけど無い袖は振れないね。需要過多ならなおのことお値段吊り上げちゃうよー」

南雲さんはもう何かに気が付いているらしい。はぁ……トロいな、私。
確信はないけれど、もしかすると駆走さんは誰かの魔法をコピーできるのかもしれない。
念話を飛ばして南雲さんに確認しようとしたそのとき――

>「おチビちゃん、あなたは……どんな才能を持ってるのかな?」


【続く。ターン表記、やっぱり止めました】

197 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/08 20:46:16 ID:???
>>駆走知史 >>坂上南雲

げげっ!
駆走さんがこっちを見ていた。絶対零度の視線で私をコールド・ロックオン。
彼女の腕が頭上に掲げられると同時に、魔法で構築された無数の黒刃が私を取り囲む。

>「才能を持ってるなら、殺しちゃうよ。だって妬ましいんだもん。
>才能を持ってないなら、やっぱり殺しちゃう。だって昔のアタシを見てるみたいで、イラつくからさ」

二択になってないよそれっ!結局殺すなら聞かないでよっ!
黒刃が飛来する。

「我は紡ぐ――」

遅い。駄目だ。間に合わない。
これが私の弱点。イメージ喚起に必要な言葉の力、『呪文』によって得られる威力の代償。即ち、発動までのラグ。
攻める分には問題無い。遠くからの攻撃なら防げるし、運が良ければかわせるかもしれない。
でも、この距離じゃ……

巡らせた視界の先に蒼色の魔法少女が目に入る。彼女も私を見ていた。
――助けて、南雲さん!
そう言いかけて、止めた。南雲さんもそれ以上は動かなかった。
出来ないことを妄信するのは、たとえ魔法が使えたとしてもいけないことだ。
それは誰かから夢を奪うのと同じぐらい、残酷なことだから。
だけど……

>「理奈ちゃん――――がんばれっ!」

自分に出来る事を全て諦めてしまうのは――違う。
困ったときは人頼み、自分で自分を助ける努力すらしないで何が魔法少女だ!考えて、神田理奈!
私は飛んでくる刃を前にして、むしろ前へと飛んだ。同時に付け焼刃の物体生成、イメージするは……傘!
開くと同時に傘で身を隠し、片方の腕で可能な限り人体の急所を保護する。
直後、無数の黒刃が傘と腕を串刺しにした。防ぎきれなかった刃がドレスに穴を空け、頬を切り、足を薙ぐ。
痛い痛い痛い!でも……死んでないから大丈夫!っていうか先日から刃物に縁がありますね、私。

血まみれで地面に倒れ、すぐに起き上がる。魔法の黒刃は霧散した。怪我を治すのは後でいい。


【続く】

198 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/08 20:48:38 ID:???
>>駆走知史  >>坂上南雲

それよりも――

>「知史ちゃんさあ、ひとの努力の結果を……『才能』なんて安っぽい一言で片付けないで欲しいな」

南雲さんがゆっくりと距離を詰めながら弾丸を放つ。
駆走さんの注意がそれていればいくらあのステップが使えても、当てられるかもしれない。
起き上がったばかりで、よくわからないけれど……。

>「そのうち折れちゃうよ。剣でも心でもない、きみ自身の信念が」

守るって決めたんだ、誰かの夢を。
苗時さんや沢山の魔法少女が大事にしてる、この場所を。

>「ってゆうか折る。今ここで!わたし達の信念を刃に変えて!」

例えこの力が、誰かの願いや才能を糧にして得た矛盾だらけのものだとしても……

>「――というわけでよろしく理奈ちゃんっ」

私は、自分を信じてくれた人を、信じる!!

「我が庭園に芽吹け荒野の凛花!!」

私の魔法核が紫色に煌く。
発動した呪文に呼応されるように、駆走さんが立つ地面の傍から巨大な花が生まれた。
花弁の中に無数の牙を生やしたそれはまさしく怪物じみた食虫花――私に魔法核を委ねた、茅野いずみさんの『魔法』であった。
花は駆走さんに向かって低く咆哮して威嚇すると、数本の触手のようなツタを駆走さんの足元に走らせる。

何もかもを手にできる人間なんて……いない。
けれど、自分に無いものを誰かから受け取って、また別の誰かに渡していくから、人は変わっていけるんだ――!
それはきっと、奪うこととは違うはず。そうだよね……?

自らの問いかけに対する答えは、まだ出ない。今はただ、この先にあると祈るしかなかった。


【短刀の雨で大怪我。即死は免れ血まみれで起き上がる。茅野さんの『魔法』を模してパックンフラワー(命名:麻子さん)を召喚。
 南雲さんの銃撃に合わせてツタの触手で駆走さんの拘束を狙う】
【ところで、FOした人をNPC化して使わせていただくのって、ありなんでしょうか?】

199 : ◆jwml6EaEgM :11/06/11 20:27:20 ID:???
>「――がんばれっ!」

「うわ、ひどっ!そりゃ無責任にも程があるんじゃない?頑張ったって無駄な事が世の中たーくさんあるんだよ?」

直後に、理奈が鋭く黒い雨に引き裂かれる。
駆走の口元が、酷薄な角度に吊り上がった。

「ほぉら、ね? あーあかわいそ。頼りないお姉ちゃんが助けてくれないから、あんなになっちゃったー」

罪悪感を植え付けるように挑発しながら、駆走は軽く跳躍。
南雲が銃を構えている。銃撃を受ければ瞬時に動き出せるようにステップを踏む。

>「知史ちゃんさあ、ひとの努力の結果を……『才能』なんて安っぽい一言で片付けないで欲しいな」

だが不意に、駆走の足が止まった。
地に張り付いて、根付いたかのように動かない。
足だけではなかった。手も、腕も、表情さえも、全てが熱を失っていた。
乾いた破裂音、銃撃――いとも容易く直撃した。
弾丸が足を貫き、血飛沫が飛び散る。

>「知史ちゃんさあ、ひとの努力の結果を……『才能』なんて安っぽい一言で片付けないで欲しいな」
>「我が庭園に芽吹け荒野の凛花!!」

紫の光から生み出された巨大な花が、駆走の脚に蔦を伸ばす。
駆走はそれを弾丸と同様に、何の抵抗もなく受け入れた。
続く二発の銃弾、駆走は動かない。白い肢体にまた二つ穴が穿たれた。
それでも駆走は頭を俯けて、言葉も発さず微動だにせずにいた。

「……アンタさぁ」

不意に、音律も温度も、限りなく低い声が紡がれた。

「『才能』が安っぽいだなんて、マジで言ってんの?」

声色とは正反対の、どす黒い炎を宿した瞳で南雲を睨む。

「んな訳ないじゃん。才能ってのはさ、それを持ってない奴がどんなに努力しても追い付けないから、才能なんだよ?
 こんなに重くて、手が届かないほどの高みにある言葉なんてさ、他にありゃしないよ?」

胸に開いた失望の穴から、漆黒の絶望が滲み出る。

「才能が安っぽいとか、軽いとか……そんなのはさ、アンタがそうであって欲しいだけでしょ?
 努力すれば辿り着けるってさぁ。自分と才能が地続きであって欲しいから、そんな事言うだけ。違う?」

溢れた絶望が、腕を這うように伝って右手に集う。

「アンタみたいのがいるからさ……私、勘違いしちゃったじゃん。
 頑張れば報われるんだって。頑張れば勝てるんだって。
 ずっと走り続ければ、才能を追い抜けるんだって、思い上がっちゃったじゃん」

霧と液体の中間のようだった黒が次第に形を得る。
駆走の手には余るほど大きな殺意の具現、漆黒の銃の姿へと変貌した。

200 : ◆jwml6EaEgM :11/06/11 20:28:22 ID:???
「馬鹿馬鹿しいよね。私が十歩で走り抜けた距離を、才能はたったの一歩で、ひとっ飛びで、越えていくのにさ。
 私は、私は……ずっと走ってきたのに……」

奥歯が軋みを上げた。激情の炎が瞳から満面に燃え移る。

「才能が……才能が!才能さえ同じなら!平等だったら!絶対に私の方が速く走れるのに!
 だって私は――誰よりも努力してきたんだから!!才能さえあれば!!」

左手にも絶望が集い、燃え上がる。
漆黒の剣が鋳鍛されて、駆走は足枷を撫で斬りにした。
右手の銃が幾度も吠える。
吐き出される、憎悪の炎が鍛えた鋼鉄の弾丸。
弾切れ――弾倉内に直接憎悪を装填、連射再開。
一つの跳躍で距離を詰める。先ほどよりも尚、速い。
明日香の才能に、自分が積み重ねてきた努力を適用した。

「アンタは飛べないよ。幾らそんな格好したって、飛べやしない。
 努力や信念だなんて紛い物の翼はさ、才能の輝きを前に暴かれて、溶かされちゃうんだから」

左手の刃を振り上げる。

「アンタも、その思い上がりから落っこちてさ。惨めに潰れて死んじゃいなよ」

冷徹な侮蔑と殺意を込めて、振り下ろした。
駆走の努力を被せた刃月の才が、鋭利を極めた太刀筋を描く。

【『付平等』の能力、その本質→他人の才能に、自分の積んできた努力を適用する
 南雲→銃撃&斬撃。マジギレ中&油断から理奈は視界の外、フリーです
 FOされた方のキャラは節度を持ちつつ好きにしていいんじゃないでしょうか】

201 : ◆Gw1TY5I6ic :11/06/12 01:02:07 ID:???
>「アンタは飛べないよ。幾らそんな格好したって、飛べやしない。
> 努力や信念だなんて紛い物の翼はさ、才能の輝きを前に暴かれて、溶かされちゃうんだから」
「努力や信念ていう"支え"がないと――」
知史の視界の外、南雲の背後から褐色の影が滑り出す。
「才能も結構簡単に潰れるよ」
影は左足を振り上げ、知史の手首を痛撃した。
あいもかわらずのメントールの匂いをたなびかせ、萌の参上である。

「さすがに走ってくると遠いわー、いいアップになったけど」
テンダー・パーチを辞して一度荷物を置きに家に帰り、その後改めてこの場所を目指したため、
他の魔法少女よりも大幅に遅れての到着となったが、おかげで状況が全く分かっていない。
であるので、とりあえず追撃を思いとどまり半歩バックステップ。腕をやや下ろし、しかし完全に構えは解かず、
「――で、これ何?入団テストかなんか?」

さしあたり一番手近な南雲に状況の説明を求める。が、答えは待たず
「ま、いいや、あの子があんなんなってるし、多分なんかトラブルでしょ?違ってたら後で謝るわ」
血みどろの理奈へ一つ顎をしゃくって、それから知史へ向き直り、右足を思い切り一歩踏み込む。
ムエタイの試合でよくあるフェイントだが、変身後の萌の身体能力でそれを行えば地面の舗装を砕いて浮き上がらせることは容易い。
その浮き上がった破片を蹴り飛ばし、横殴りのアスファルトの雨を知史へ叩きつけた。



【そこそこレベルが上がったので2chの本スレの方に今までの文を移してこようかと思うんですが、かまいませんか?】

202 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/13 01:55:53 ID:???
【現在Lv11……全文まるっと移植は難しいですけど、小分けにすればいけそうですね】

203 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/06/14 01:59:04 ID:???
わたしはまだレベル足りないっぽいです

【以下今回のレス】


南雲の銃撃は、果たして知史に着弾した。軽くはない傷を負いながらも理奈が放った拘束魔法が功を奏したのだ。
いや、それだけではない。南雲が言い放ったその直後から、どこか悄然とした面持ちで知史は不動を貫いている。

(理奈ちゃんの出血がヤバい……あの娘が治癒魔法使うぐらいの隙は作らなくちゃ)

同時に、理奈ちゃんはわりと頻繁に出血するなあ、ととりとめもない思考を虚空にうっちゃって拳銃を構え直す。
弾はまだある。今すぐにでも銃撃を再開できるが、引き金にかけた指が動かなかった。粘性の大気のように纏わり付く――威圧。
その主は、他ならず南雲たちと対峙する馳走知史その人だった。

>「……アンタさぁ」
>「『才能』が安っぽいだなんて、マジで言ってんの?」

絶望が眼に見えるとすれば、きっとこんな色をしているのだろう。
知史の胸の穴から排気ガスのように溢れ出した『黒』は、まるでそういう形のドレスのように彼女の体表を滑る。

>「才能が……才能が!才能さえ同じなら!平等だったら!絶対に私の方が速く走れるのに!
 だって私は――誰よりも努力してきたんだから!!才能さえあれば!!」
>「アンタは飛べないよ。幾らそんな格好したって、飛べやしない。
 努力や信念だなんて紛い物の翼はさ、才能の輝きを前に暴かれて、溶かされちゃうんだから」

『黒』が一対の銃と剣を生み出し、戒めを断ち切った知史が駈け出した。
こちらに向けて発砲してくる。予め身構えていた南雲は回避こそ難しくなかったが、確実に牽制され、足止めを喰らう。

>「努力や信念ていう"支え"がないと――」

そこへ。

>「才能も結構簡単に潰れるよ」

筋骨隆々の偉丈夫が介入した。
よく見れば、第一話のときに見たあのマジカル公然猥褻魔であった。女子の中におっさんが潜り込めばもう存在が猥褻だ。

>「ま、いいや、あの子があんなんなってるし、多分なんかトラブルでしょ?違ってたら後で謝るわ」

「間違ってないけど……間違ってないけど……っ!」

なんともはや、南雲は二の句が継げなかった。
ともあれこのおっさんという戦力の増援は、孤立無援の戦場で戦車が駆けつけたようなものだ。重火力・重装甲・重機動である。
おっさんが瓦礫を蹴り上げる。無数の礫となったアスファルトが、知史の視界一杯から散弾のような打撃を生む。
南雲は魔力によって脚力を強化し、瓦礫礫の下から潜り込むように知史へ肉迫した。

「マジカぁぁぁぁぁぁぁぁルっ」

握った拳銃が煩わしい。この距離まで近づいたのだ。最早銃の意味もない。密着射撃の訓練を積んでない南雲は、すばやく判断。
銃を持ってない方の手を拳に変え、魔法核から湧き出す魔力を右拳の一点に集中。

204 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/06/14 02:00:19 ID:???
物理法則を超越した身体挙動が、カタパルトの如く拳を前方へ発射した。

「腹パン――っ!!」

知史の鳩尾へ、渾身の正拳突き。腰を深く落とした、見惚れるような体捌きだった。
拳を振り抜き、その慣性を使って回転。回転エネルギーを足首から地面へ叩きつけ跳躍。ヒットアンドアウェイを実現する。

「思うにさ、才能って言葉は便利すぎるんだよね。努力だけじゃ足りないかも知れない。努力したけど駄目だった。
 ……それだけじゃないでしょ。体をつくる食生活とか!優秀な指導者に恵まれたりとか!切磋琢磨できる環境にあったとか!
 そういう努力以外の諸々の事情まで、改善できたかもしれないその他の都合まで――『才能』の一言で片付けちゃダメなんだよ」

もちろんそれも含めて天運というやつなのかもしれない。運も実力のうちという言葉もある。
だけど、『才能』という、如何とも動かせない『現象』を、成功できなかった言い訳にしたくなかった。
まだやれるはずだ。まだ何か、変えられることがあるはずだ。――『才能のない』南雲は、それでも足掻くのをやめたくなかった。
才能という一言で決着がついてしまったら。それまで彼女が血反吐を吐いて積み上げてきた努力や信念を、否定することに他ならない。
ならば。

――否定されるべきは、『才能』の方だ。

「わたしは才能を否定する。わかるかな、知史ちゃん……『才能なんかいらない』んだ。
 そんな薄っぺらで、言い訳がましい言葉なんかに縋らなくたって、わたしたちは自分の中の挫折や障害を肯定していけるッ!」

長口上だ。これで少しは、理奈が回復する時間を稼げたはずだ。
今、知史の視界からは完全に理奈の姿が消えている。こちらに引きつければ引きつけるほど、不意打ちの成功率は高くなる。

「……ってゆーかさ、知史ちゃんって今、いくつだっけ?17?わー、厳しい厳しい。
 わたしより年上のくせに、そんな由緒正しき厭世系中二病の真っ只中っていうのは、存外に痛々しいものがあるね!」

ひたすら逆鱗に触れかねないワードを選んで挑発する。
罪悪感で胸が痛んだが、ここで手を緩めてはいけない。やるなら徹底的にだ。だんだん楽しくなってきた。

「行くよ知史ちゃん。才なき者の戦い方を教えたげる。まずは――その癪に障る過小評価を叩き潰す!」

南雲は魔法核に願いを問い、その解答を出力した。空色と臙脂色の光が、彼女の掌から先に輝く。
掌から噴水のように無色透明な液体が迸り、知史の居る空間へ雨のように降り注ぎ地面を濡らしていく。
それがただの水ではないことは、どんなに鈍感なものでもわかるだろう。鼻腔を刺すような、強い刺激臭が漂っているからである。
南雲の魔法は飛行機の魔法。二つの魔法核を得ることによって、南雲の固有魔法も相応にレベルアップしていた。

「これなにか分かる?めんどくさい問答を省いて答えを言っちゃうとねー……ジェット燃料です」

飛行機に関連した物体については、具体的なイメージがなくとも生成できるようになっていた。
南雲は左手に握っていた拳銃を地面に散ったジェット燃料の水たまりへ向けた。

「揮発したジェット燃料は肺に入って、その状態からでも引火する。
 さー、ご自慢の俊足も縮地も、爆発の化学反応速度には勝てるかな!試してみる?」


【ジェット燃料を撒き散らす。引火を懸念させて牽制。理奈ちゃん回復までの時間を稼ぐ】

205 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/16 19:22:20 ID:???
【レス作成中。ごめんなさい……リアルで少しハードワークが重なってもう一日かかりそうです】
【現在Lv14。ようやく本スレに復帰できますね】

206 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/18 21:17:50 ID:???
※本編とは無関係です。
すいません!やりたい事と書きたい事はだいたい決まっているのに、なかなかレスポンスとして形に出来ません。
まとまった時間が作れないです。気持ちばかりが空回りして、もの凄く歯がゆいです……。
とりま生存報告だけ参りました。
書けないのを理由にFOするつもりなんて欠片もありませんが、悔しいですけど出来ないものは仕方無いと割り切るしかないみたいです。
このままお待たせしてはご迷惑がかかるので、どうか話を進めてください。必ず追いつきます!ごめんなさい……。

今後の行動予定ダイジェスト
・魔力を消費して自己修復
・状況の再把握(主に駆走さんが亡者として本当に絶望的なのか、どうか)
・【緋色の決意】詠唱。発射態勢へ。
・ブラフをかけつつ駆走さんに質問(苗時さんとの会話や麻子さんの行動に伏線的引っかかりを覚えた為)

だいたいこんな感じです。
勘違いの可能性のほうが大きいですけど、「私」の仮説を他の方に引き継いで頂いても全然OKです。
それでは――Good luck...(失礼しました)

207 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/06/19 03:08:33 ID:???
どうせなら自分は理奈さんを待ちたいです
とは言え、自分一人の望みでスレ全体を止める訳にはいきません
だから現在生存している皆さんにもお尋ねしたいですんけど
理奈さんを待つ選択を許していただけますか?

208 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/06/19 03:42:36 ID:???
オーキードーキー。まったり進行大変結構ですよー

209 : ◆Gw1TY5I6ic :11/06/19 11:31:45 ID:???
散々待たせておいて自分は待てないとは言えないでしょう
ゆっくりやりましょうよ

210 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/19 16:52:37 ID:???
……感謝の言葉もありません(TT)
引き続きレスを作成します

211 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/25 21:26:12 ID:???
>>駆走知史 >>坂上南雲 >>萌

――ホッとして、
――ゾッとした。

私が召喚した巨大花の蔦が駆走さんの足を縛りつけ、動きを止める。

「南雲さん、今ですっ!!」

果たして銃弾は駆走さんの足を貫いた。
一発。二発。乾いた発砲音が聞こえる度に、血霧が舞い散る。
自分が加担している暴力に慄くけれど、例え致命傷を負っても魔力がある間は生き返れる。
このまま駆走さんが倒れてくれれば……戦いを終わらせられる。

>「……アンタさぁ」

けれど私の浅はかな考えは、俯いた駆走さんの背中が発するその声にたやすく裏切られた。

>「『才能』が安っぽいだなんて、マジで言ってんの?」

温度の無い声。低調な音の塊。なのに、その言霊は狂おしい程に渇いていて……

>「んな訳ないじゃん。才能ってのはさ、それを持ってない奴がどんなに努力しても追い付けないから、才能なんだよ?
> こんなに重くて、手が届かないほどの高みにある言葉なんてさ、他にありゃしないよ?」

南雲さんを見つめている駆走さんの瞳は、どんな色をしているのだろう?

【続く】

212 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/25 21:26:48 ID:???
>「アンタみたいのがいるからさ……私、勘違いしちゃったじゃん。
> 頑張れば報われるんだって。頑張れば勝てるんだって。
> ずっと走り続ければ、才能を追い抜けるんだって、思い上がっちゃったじゃん」

私は――私は『亡者』というのはもっと見境が無くて、“何も無い”存在だと思っていた。
説得不要。接敵当初からひたすら襲ってくるだけの危険な怪物。会話なんか通じない。
『希望』も『魔法』喪って、絶望に流されるまま人から奪うことしか考えない。伝えたいことなんてあるはずない――そのはずだった。

でも、本当に……そう?

>「馬鹿馬鹿しいよね。私が十歩で走り抜けた距離を、才能はたったの一歩で、ひとっ飛びで、越えていくのにさ。
> 私は、私は……ずっと走ってきたのに……」

本当にそうなの?

>「才能が……才能が!才能さえ同じなら!平等だったら!絶対に私の方が速く走れるのに!
> だって私は――誰よりも努力してきたんだから!!才能さえあれば!!」

左手に剣を――、右手に銃を――。
穿たれた駆走さんの胸部から絶望の黒が溢れ出し、凶器を象る。
漆黒に彩られた彼女の狂気が、模倣された才能が、絡みついた蔦を難なく切り裂いた。

>「アンタは飛べないよ。幾らそんな格好したって、飛べやしない。
> 努力や信念だなんて紛い物の翼はさ、才能の輝きを前に暴かれて、溶かされちゃうんだから」
>「アンタも、その思い上がりから落っこちてさ。惨めに潰れて死んじゃいなよ」

南雲さんっ!?
瞬時に間合いを詰めた駆走さんの刃が高速で振り下ろされつつあったそのとき――

>「努力や信念ていう"支え"がないと――才能も結構簡単に潰れるよ」

いつだったかのおじさん、もとい「拳」の魔法少女が現れた。
オーガのような巨体に、ハッカの香りを身に纏って。

【続く】
【遅くなってごめんなさい。や、やっと投下できる……書けなかった自分が嫌すぎる……】
【待って頂いて本当にありがとうございます。とりあえず、今書けた分だけ投下して残りは翌日に】

213 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/06/25 21:54:03 ID:???
じゃあ今度は、書けた自分を好きになってあげて下さいな
なーんて、恥ずかしい事を言う才能を拝借しちゃいましたよぉ
続きもお待ちしていますね

214 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/06/27 03:27:18 ID:???
いくらでも待つよっ!

215 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/28 21:28:52 ID:???
>>214 麻子さん
うわっ、何気に黒いですよその台詞w
でも……ありがとうございます。

>>214
すいません。日程の調整が上手くいかなくてまた遅くなってしまいました。
書く見通しはついたので翌朝の間に仕上げます。弱音を吐くのは好きじゃないんですけど、あんまり期待しないでくださいね。
と、いうよりも正直なところ毎回毎回みなさんのレスの早さとその完成度の高さに一緒に参加してて読みながら恐縮する思いです。
――はい。とにかく、ありがとうございます。

ところで、そろそろレベルの方も丁度いい感じに上がってきたので、そろそろ本スレに戻りませんか?
あるいは携帯等でやりにくいなら私が代行してきますけど……

216 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/29 16:45:42 ID:???
三人のやり取りが続く中、私はひとまず自分の治療に専念することにした。
うぅ、身体中刺し傷だらけ。痕が残らないといいけど。

「か、神田さん、その傷どうしたの!?」「ふっ、我が夫となる者はさらにおぞましきものを見るだろう……」

無い無い。いくらナウシカの再放送が多いからって、流石にこれは無い。

脳内漫才をしているうちに止血とドレスの修繕を完了。怪我を治せたのはいいけど、魔力の消費が著しい。
魔法少女は魔法核がある限りほとんど不死身。けれど、肉体の修復にも限度がある。
魔力が尽きればそれまで。あまり迂闊な怪我は出来ない。

かと言って……怖がってちゃ何も出来ないよね。
起き上がり顔を上げる、貧血で一瞬ふらついた身体に渇を入れ、闘う人たちを真っ直ぐ見つめる為に。

「拳」の魔法少女が踏み込みと同時に舗装を踏み砕いた。
跳ね上げた破片を蹴り飛ばし、アスファルトの散弾を駆走さんに浴びせかける。
散弾の雨《バレットレイン》を追いかけるように南雲さんが疾った。
加速して得られた全ての運動エネルギーを、肉体の挙動が衝撃に変換する。

>「マジカぁぁぁぁぁぁぁぁルっ腹パン――っ!!」

直後、空色の魔力光に包まれた正拳突きが稲妻のような軌跡を描いた!
うわぁ……あ、あれ…………痛そう。
駆走さんの腹部に与えられた衝撃を想像してしまった私が思わず顔をしかめる。
見ているこっちがもどしそうな気分になるぐらい、それ程凄い一撃。

>「思うにさ、才能って言葉は便利すぎるんだよね。努力だけじゃ足りないかも知れない。努力したけど駄目だった。
>……それだけじゃないでしょ。体をつくる食生活とか!優秀な指導者に恵まれたりとか!切磋琢磨できる環境にあったとか!
>そういう努力以外の諸々の事情まで、改善できたかもしれないその他の都合まで――『才能』の一言で片付けちゃダメなんだよ」

南雲さん……。
そうだ。この人の言うとおりだ。出来る事も出来ない事も、『才能』の一言で片付けてしまうのは……やっぱりおかしいんだよ。
どんなに『才能』のある人だって、それに満足して胡坐をかいていたら駄目になるかもしれない。
どんなに『努力』をした人だって、やり方がまずかったらいつか行詰まってしまうかもしれない。
どんなに『信念』が固い人だって、大きな暴力や不幸な事故のせいで折れてしまうかもしれない。
“それ”だけじゃ駄目なんだ。この3つだけでも、きっと足りないんだ。だから――

>「わたしは才能を否定する。わかるかな、知史ちゃん……『才能なんかいらない』んだ。
>そんな薄っぺらで、言い訳がましい言葉なんかに縋らなくたって、わたしたちは自分の中の挫折や障害を肯定していけるッ!」

逆に言ってしまえば『才能』さえ足りなくたって、大丈夫なんだよ。
誰かの手で叶えられた夢は、きっとそれ以外の、もっと沢山の“大事なもの”に支えられて実現できたものだもの!


【続く】

217 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/06/29 16:50:36 ID:???
――二日前、病院にて。

「和英の辞書?何に使うの?」

突然飛び出てきた私の所望に叔母が訝しげな表情を見せる。

「えっと……中学に上がった時の勉強に使うから、今のうちに」

実の所、小学生でも既に習い始めてはいるんだけど、どうも文法的なところが心もと無かった。

「普通は和英じゃなくて英和よね……英作文でも書くの?」

い、言えない! 魔法少女として強くなるためだなんて……。
思案顔でこちらを見る叔母の視線がこそばいい。両親は既に帰ってしまった。

「ふん、いいわ、買ったげる。その代わり私の店を手伝いなさい」

   ※   ※   ※

先の腹パンのダメージが利いているのか、駆走さんは私が起き上がったことにまだ気が付いていない。
と、いうより既にいろんなことにマジギレ中もあって完全に視界の外らしい。狙うなら、今か……。
この隙に乗じ、詠唱を開始する。

「――赤よ、楽園を追われし血潮の色よ
《――Red,the color of sin banished from the heaven.》」

複層詠唱。
私の固有魔法『呪文』における詠唱方法の派生系。
本来の詠唱に加え同位の文言《センテンス》を違う言語で復唱することにより、詠唱の効果をより強化・深化させる。
私の魔法は原理が単純なのでこういう方法で威力を増強できる。

「――此の咎人に、導く光を
《――Lead it please,my defective life.》」

まだ扱いに慣れたわけではないけど、何度か練習はしたから――大丈夫。

「――紅は、儚き理想に、懸ける旗
《――Crimson,the flag of ideal.It is a false.》
 ――夕暮れは、絶望の明日を、望む朱
《――Vermilion,the evening of evangel.It is a death.》
 ――然れど、汝、高貴なる緋の色よ! 今こそ叫べ、理に抗いし、法の元
《――But,you the color of noble scarlet! Shout only now, by the force of magic.》
――我が宿罪を贄として、 絶 た れ し 望 み に 安 ら ぎ を  
《――I trust my hearts. I trust your words. Life goes on,I never kill any dream.》」

準備完了!後は――

【続く】【残りは夜になります】

218 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/02 08:41:50 ID:???
構成の整った呪文を発射寸前の状態で保持しつつ、ゆっくりと接近する。

ぴちゃ

靴先が水たまりを踏んだ。不思議に思って視線を送る。
驚愕。南雲さんの手のひらから透明な液体が溢れ出して、さながら泉が湧き出る如し。
そして漂うガソリンのような匂い……これって、もしかして

>「これなにか分かる?めんどくさい問答を省いて答えを言っちゃうとねー……ジェット燃料です」

陽炎のように揺らめく燃えやすい空気の中、南雲さんが挑戦的な笑みを浮かべる。

>「揮発したジェット燃料は肺に入って、その状態からでも引火する。
 さー、ご自慢の俊足も縮地も、爆発の化学反応速度には勝てるかな!試してみる?」

「駆走さん、動かないでください」

追い討ちをかけるように、私は駆走さんへ声をかけた。
か○はめ波のポーズをとったまま手中で輝く赤色の光をこれ見よがしに開示する。

「これが見えますか……?あなたが私から注意をそらしている間に拵えたものです」

迫力があるかどうかはともかく、気持ち脅すような声色と表情を作って続ける。

「これだけの魔力量があれば、例え直撃しなくても揮発した燃料の爆発であなたを木っ端微塵にするだけの威力があります」

勿論ブラフだ。
『緋色の決意』《スカーレット・レゾリューション》に物理的な破壊力や高熱を発射する構成なんて、組み込まれていない。
そもそもこれは詠唱によって一時的に増幅させた自分の魔力を相手の魔力から引き算するだけの技なので、
魔力容量が不明である『亡者』の駆走さん相手にどこまで通用するかすら怪しい。

私の信念で出来た、紛い物の切り札。

私はバカだ!折角の不意打ちのチャンスを蹴って、堂々と駆走さんに姿をさらしている。

「駆走さん、私は今のあなたに――“才能を諦めろ”なんて、口が裂けても言える立場じゃありません。
 ですが……もう、戦うのは止めませんか?」

それでも私が敢えてこの手段を試そうと思うのには、理由がある。

【続く】

219 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/02 08:43:39 ID:???

「誤解しないでくださいね。
 自分には才能があるなんて思い上がりや勘違いで言ってるわけじゃないんです――むしろ逆です
 ねえ、駆走さん。あなたはどうして魔法少女になって……この戦いに参加しようって思ったんですか?」

一つには――私がやっぱり“魔法少女”だから。“魔法少女”になるって、“あの人”と一緒に約束したから。

<私は、私は……ずっと走ってきたのに……>
<才能が……才能が!才能さえ同じなら!平等だったら!絶対に私の方が速く走れるのに!
 だって私は――誰よりも努力してきたんだから!!才能さえあれば!!>

「自分には無いものを求めて、『走るための才能』が欲しくて、夢を叶えたくて『魔法』を望んだんですよね?
 経緯や目的はどうあれ、私も似たようなものだから……ちょっとだけ、わかります。
 さっきまで叫び続けるあなたを見て、感じました。あなたは『亡者』なんかじゃありません。
 本当に死んでしまった人に、言葉なんかありません。本当に絶望した人なら、求めたりなんかしません!」

嘘だ。彼女は魔法核を失ってしまった『亡者』だ。みんなが認めた。だけど、この嘘には価値がある。

「私、思うんです。
 あなたはさっきから何度も『才能』と口にしているけれど、それはあなたが『本当に求めていたもの』とは違うんじゃないですか?
 今あなたが言っている『才能』とは……『魔法』のことです。他の何モノでもありません。
 悪魔によって与えられたそれこそが『紛い物』で、それを必要とする誰かが自分の『夢』を掴むための道具でしかないんです」

【続く】

220 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/02 08:45:57 ID:QdBgIlz6
そしてもう一つ――この空間。
駆走さんが保有する圧倒的な『才能』を前にして、挫折することも『努力』を否定することもなく果敢に挑み続けるあの姿。
坂上南雲という魔法少女の“知恵”と“勇気”が編み出したこの結界こそが私の決意を後押ししていた。
一触即発・揮発性のフィールドによって相手の力を封殺し、「拳」の魔法少女のお陰もあって形勢を逆転しつつある。

あのときだってそうだった。どんなに相手が強くたって自分のできることを諦めたりしなかった。
南雲さんが飛べないだなんて、嘘だ。その嘘には価値がない。少なくとも、私にとっては!

「どうか思い出してください。あなたがやりたいことは……こんなことじゃないはずです。
 自分の夢だけを取り戻しさえすれば、戦わなくたってあなたの絶望を無くせるかもしれないんです」

<えっと、三日くらい前でしたっけ。魔法少女になったばかりなのに、何だか物凄い怖い子に当たっちゃいましてね>
<後で知ったんですけどあの子大層なベテランだったんですねー。あはは、本当に運がないなぁ私>

「だから――教えてください。一体誰に魔法核を奪われたんですか……?」

正直なところ、私に駆走さんを助ける義理なんて何処にもない。
南雲さんや他の魔法少女に危害を加えたことに間違いはないし、かく言う私もさっき田楽刺しにされたばかりだ。
しかし、彼女にまだ理性の欠片が残っているなら……確かめたっていいはずだ。

ここにきて、始めて苗時さんに視線を送る。

『……聞こえますか?確か、あなたはあの時私の考えを人体実験だと言いました。
 だけどこの先も楽園を守ろうと考えるなら、駆走さんを元に戻そうと試すことは決して損にはならないと思います。
 ですが――』

思考が乱れ、一旦念話が途切れる。ここに来るまでの間に彼女たちと交わされたいくつもの会話、わずかな違和感。
様々な可能性を否定できず、私は言葉を紡ぐ。

『苗時さん、もしかしてあなたは……最初から何かご存知だったのではないですか?』


【『緋色の決意』発射態勢のまま駆走さんに質問。同時に一連の出来事について苗時さんにも念話】
【大変お待たせしました。何とか投下することができました。本当に本当にごめんなさい……。
【当人的にも「戦って解決する」という意味で麻子さんのときと違う決着を望んでいるのは間違いないのですが
 飽く迄状況証拠と会話のひっかかりを伏線として勝手に解釈したものに過ぎませんので、全くのシロだったらすいません】

221 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/07/08 03:28:00 ID:???
レスが遅れてしまってすいません
どうにも最近忙しくて、お許しください

222 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/08 08:40:36 ID:rPL+LQru
ゆっくお待ちしています
あ、あの……>>215の件(本スレ転載)の件なんですけど、どうします^^;?

223 :名無しさん :11/07/08 09:41:54 ID:???
忍者帳はもう安定してるのかな

224 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/11 02:40:08 ID:???
大丈夫っぽいですよ
さっき確認してみたら24ありました

225 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/07/11 02:45:33 ID:???
わたしはまだ10前後をふらふらしておりますゆえ
申し訳ないけど手伝えないです

226 : ◆jwml6EaEgM :11/07/11 20:24:45 ID:???
>「努力や信念ていう"支え"がないと――」
>「才能も結構簡単に潰れるよ」

突然の来訪者、筋肉達磨。
鋭い前蹴り、正確に手首を打撃、剣が弾き飛ばされた。
追撃、瓦礫群、紛れ込んだ青の影、坂上南雲。

>「マジカぁぁぁぁぁぁぁぁルっ」
>「腹パン――っ!!」

そして右正拳、鳩尾へ深く減り込む、一撃離脱。
痛みは感じなかった。そんな物はとうの昔に、塗り潰されている。
ただ人体の機能的に動けない。それだけだ。

>「思うにさ、才能って言葉は便利すぎるんだよね。努力だけじゃ足りないかも知れない。努力したけど駄目だった。
  ……それだけじゃないでしょ。体をつくる食生活とか!優秀な指導者に恵まれたりとか!切磋琢磨できる環境にあったとか!
  そういう努力以外の諸々の事情まで、改善できたかもしれないその他の都合まで――『才能』の一言で片付けちゃダメなんだよ」

語られる夢と希望。

>「わたしは才能を否定する。わかるかな、知史ちゃん……『才能なんかいらない』んだ。
  そんな薄っぺらで、言い訳がましい言葉なんかに縋らなくたって、わたしたちは自分の中の挫折や障害を肯定していけるッ!」

駆走の反応は嘲笑一つ。
話に乗ってやる。
自分の呪い、手にした才能、そして積み重ねてきた努力への絶対の信頼があるからこそ。

「アンタら、馬鹿でしょ。努力や信念がなきゃ?そんなの当たり前じゃん。
 才能だけでやっていけるだなんて私一度でも言ったっけ? 漫画の読み過ぎなんじゃないの?」

溜息。

「あのね……才能がありゃその二つも付いて来るし、意味を持つよ。
 だけどさ、努力したって信念があったって、才能は湧いてきたりしないんだよねぇ、これが」

弾かれ、地面に突き刺さった剣に歩み寄る。引き抜いた。

>「……ってゆーかさ、知史ちゃんって今、いくつだっけ?17?わー、厳しい厳しい。
> わたしより年上のくせに、そんな由緒正しき厭世系中二病の真っ只中っていうのは、存外に痛々しいものがあるね!」

嘲笑に引き寄せられて、矛先を南雲へ突きつける。

「……厨二病?何それ。……まあいいけどさ。
 『かもしれない』って?それこそ、現実に否定された夢の死骸でしょ。
 そんな物に縋りつく事しか出来ないくせに、何様のつもりな訳?」

嘲り笑う、鋭利に細る眼光、滾る憎悪、増幅される力。

>「行くよ知史ちゃん。才なき者の戦い方を教えたげる。まずは――その癪に障る過小評価を叩き潰す!」

駆走千史は動かない。判断は迎撃――叩き潰す。

227 : ◆jwml6EaEgM :11/07/11 20:25:21 ID:???
>「これなにか分かる?めんどくさい問答を省いて答えを言っちゃうとねー……ジェット燃料です」
>「揮発したジェット燃料は肺に入って、その状態からでも引火する。
> さー、ご自慢の俊足も縮地も、爆発の化学反応速度には勝てるかな!試してみる?」

得意げな南雲の口調。
対して駆走は沈黙、微かな震え、零れる笑み――続く哄笑。

「いいね、面白いじゃん。試してみようよ」

淡々と承諾。剣を振り上げた。

「……この魔法で確信したよ。やっぱアンタの願い、パイロットになりたいとか、そんなんでしょ。
 じゃあここで、なれるかどうか試してみようよ」

漆黒の呪いが溢れる、背中へ、無限の刃が翼を織り成す。
爆発の後押しを得て音速を超え、南雲を貫くつもりだ。

「さあ、ご自慢の努力と信念とやらは、音速の世界へのチケットになってくれるのかな?
 見えるかな?見えるかな?見、え、る、か、なぁ?」

楽しげな声。
死ぬ事も、殺す事も厭わない。
生と死の極限、境界線を描き出す。

「命乞いするなら、今だよ?なんだっけ。わたしたちは自分の中の挫折や障害をこーてーしていけるー、だっけ?
 だったら今がその時じゃん。挫折して、その事を肯定しなよ。ほら……出来ないの?
 散々上から目線でほざき倒して?いざ自分の番になったら出来ませんって?……墜落死しちゃえばいいのにねぇ」

歯を食い縛る。剣を更に大きく振り被る。

>「駆走さん、動かないでください」

――不意に、視界の外から制止の声、振り返った。

>「これが見えますか……?あなたが私から注意をそらしている間に拵えたものです」
>「これだけの魔力量があれば、例え直撃しなくても揮発した燃料の爆発であなたを木っ端微塵にするだけの威力があります」

「あっそ。じゃあ、それも試してみれば?それが本当なら、多分巻き添えでみぃんな死んじゃうと思うけど」

腕を振り下ろす。

>「駆走さん、私は今のあなたに――“才能を諦めろ”なんて、口が裂けても言える立場じゃありません。
> ですが……もう、戦うのは止めませんか?」

――だが、更に続く口上。腕を止めた。
深い意図はない。剣を振り下ろすだけならいつでも出来る。いつでも殺せる。
だからこその足踏み。

>「誤解しないでくださいね。
 自分には才能があるなんて思い上がりや勘違いで言ってるわけじゃないんです――むしろ逆です
 ねえ、駆走さん。あなたはどうして魔法少女になって……この戦いに参加しようって思ったんですか?」

小さく鼻で笑う。
こんな馬鹿げた戦いに、騙されて転げ落ちる理由など、一つしかない。

>「自分には無いものを求めて、『走るための才能』が欲しくて、夢を叶えたくて『魔法』を望んだんですよね?

「なんだ、分かってるじゃん。ねえ、これってもしかしてただの時間稼ぎ? だったら……」

口調から滲む微かな打算の臭い、腕に力を込める。

228 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/07/11 20:25:43 ID:???
>経緯や目的はどうあれ、私も似たようなものだから……ちょっとだけ、わかります。
 さっきまで叫び続けるあなたを見て、感じました。あなたは『亡者』なんかじゃありません。
 本当に死んでしまった人に、言葉なんかありません。本当に絶望した人なら、求めたりなんかしません!」

「……っ」

けれども、止まった。
あなたは亡者なんかじゃない――闇に沈んだ心に届き、刺さる、渇望した言葉。
例えそれが嘘だと分かっていても、嬉しかった。
心から湧き出る闇が、勢いを弱めた。
涙が一筋、頬を伝った。

>「どうか思い出してください。あなたがやりたいことは……こんなことじゃないはずです。
 自分の夢だけを取り戻しさえすれば、戦わなくたってあなたの絶望を無くせるかもしれないんです」

「……もう、思い出してるよ」

へたり込む。涙は止まらない、溢れてくる。
涙に溶けた感情は悲しみでも、嬉しさでもなかった。
悔しかった。情けなかった。自分の根っこの部分を、完全に忘れ去っていた自分が。
自分は、走る事が好きだった。加速に包まれる何とも言えない感覚が好きで、かけっこが好きで。
その好きの向く先がいつしか、他の誰かに勝つ事に挿げ替えっていた事に、ずっと気付けなかった。

「私は、走る事が好きなんだって。私よりも上手に走れる誰かがいても、その誰かに負けても、
 それは……私が走る事をやめる理由にはならないよね」

駆走の胸に空いた穴から、絶望の瘴気が涸れていく。
狂気に澱み切っていた瞳に、正気の光が再び灯った。

「でも、ちょっと恥ずかしいなぁ。アンタみたいなおチビさんに諭されるなんてさぁ。
 ……それとも、おチビさんだからこそ、なのかな?……とにかく、ありがとね」

はにかんだ、淡い微笑み。
明朗さを取り戻した。

>「だから――教えてください。一体誰に魔法核を奪われたんですか……?」

「え?あれ?そこ流しちゃう?……まぁいいけどさ。
 えっと……確か、鎖使いの女の子だったけど……別に探し出そうとか、そんなのはいらないよ?
 夢がなくたって……別に、生きていくには困らないだろうしさ。案外世の中、そんな人ばっかなんじゃないかな」

諦観、達観を裏に潜ませた、誤魔化すような笑い。
駆走千史の態度から、『亡者』の性質は完全に鳴りを潜めていた。

229 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/07/11 20:26:15 ID:???
 


>『……聞こえますか?確か、あなたはあの時私の考えを人体実験だと言いました。
 だけどこの先も楽園を守ろうと考えるなら、駆走さんを元に戻そうと試すことは決して損にはならないと思います。
 ですが――』

不意に放たれた思念、遠くで控えていた苗時が反応する。

>『苗時さん、もしかしてあなたは……最初から何かご存知だったのではないですか?』

そして僅かに思案する素振りを見せた。

「……だとしたら、なんだって言うんだい?」

微笑みと共に、質問に質問を重ねる。

「よくも騙したな、とでも謗ってみるかな?だけど私は君達に、何も嘘を吐いてはいないよ?
 亡者についての説明も、楽園についての説明も、思いも。君達へのメリットだってそうだ。
 君達は約束通り仕事をこなした。私も約束通り、君達に報酬を渡す」

淡々とした口調。

「まあ確かに、君達が千史君を初めから亡者だと、敵だと知っていたら。
 この結果はあり得なかっただろうね。それにもっと、楽に戦えた事だろう。
 だけど、それがどうかしたのかな?」

一拍の沈黙、微笑みを作り直す。
微笑の仮面を被り、答える。

「だって君達は、何も聞かなかったじゃないか」

例え理奈と南雲が敗北しても、苗時の魔法『沈静化』ならば駆走の行動を抑え、皆を逃す事が出来る。
犠牲は軽微。そして次は、知り合いだろう理奈達の事を引き合いに出して、猪間麻子に協力を願えばいい。
より確実な手札を残していたからこそのギャンブル。
成功すれば皆が得をする。失敗しても最終的な勝利は確定的なのだから、魔法核は返って来る。誰も損はしない。
打算のみで構成された行動、計画。

「君達の活躍で、結果として皆が得をした。それ以上に大事な事があるかい?ん?」

230 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/07/11 20:28:58 ID:???
駆走→戦意喪失、亡者の性質が弱まってる
苗時→だったら何なの?リスクは最小、リターンが最大になる手を取っただけじゃん?的な

遅くなってすみません
わりと想定していた通りの負け方が出来たのでとても嬉しいです
本スレに戻すかどうかは、正直どうでもいいです
場所を変えたところで今更新規が来るとも思いませんし、ここなら秒数規制もありませんから
戻りたいのならば、私はそれを止めはしない。ってスタンスと受け取ってください

231 : ◆Gw1TY5I6ic :11/07/14 17:02:09 ID:???
蹴り出された瓦礫を追って南雲が駆ける。
踏み込み、右拳を突き出す。左脇がいささか開き気味だが、
そこを除けば拳を引く勢いで間合いを切るところまで含めて文句のつけようのない正拳だ。
だが知史は表情を変えない。

>「思うにさ、才能って言葉は便利すぎるんだよね。努力だけじゃ足りないかも知れない。努力したけど駄目だった。
> ……それだけじゃないでしょ。体をつくる食生活とか!優秀な指導者に恵まれたりとか!切磋琢磨できる環境にあったとか!
> そういう努力以外の諸々の事情まで、改善できたかもしれないその他の都合まで――『才能』の一言で片付けちゃダメなんだよ」
どうやら説教タイムの始まりらしい。
視界の端では理奈が掌中に赤い輝きを生み出している。

知史が弾き飛ばされて地面に刺さっていた剣を抜いて、応える。
>「あのね……才能がありゃその二つも付いて来るし、意味を持つよ。
> だけどさ、努力したって信念があったって、才能は湧いてきたりしないんだよねぇ、これが」
それもそうだと萌は思う。

しかし、知史自身は一体どれほどの努力をしてきたというのだろう?
トレーニングのしすぎで生理が不順になったことは? 来たと思ったら血尿だったという経験は?
疲労から、就寝中に嘔吐して窒息しかけた夜はあったのだろうか?
自称"努力家"を、萌は信じない。口にされるだけの努力を信じることができない。
そういった手合いは、他人が、同じか、それ以上に努力している可能性から目を背けている人間がほとんどだからだ。

>「……ってゆーかさ、知史ちゃんって今、いくつだっけ?17?わー、厳しい厳しい。
> わたしより年上のくせに、そんな由緒正しき厭世系中二病の真っ只中っていうのは、存外に痛々しいものがあるね!」
南雲の口から漏れるのが説教というかただの悪口になってきた。どうも注意を引きつけて時間稼ぎということらしい。
構えを解いて身体を弛緩させ、しかし即座に動けるように意識は切らず。
そんな萌の鼻をメントールとは違う香りが刺した。明らかに揮発性の燃料油の匂いだ。
文字通りに"爆発的"な化学反応の速度に勝てるかという南雲の挑発に対し、知史は心底楽しそうにそれに乗る。
爆風を受けるために翼を作り、剣を振り上げる知史に、背後から声がかかった。

232 : ◆Gw1TY5I6ic :11/07/14 17:02:45 ID:???
>「これが見えますか……?あなたが私から注意をそらしている間に拵えたものです」
>「これだけの魔力量があれば、例え直撃しなくても揮発した燃料の爆発であなたを木っ端微塵にするだけの威力があります」
理奈が煉り上げた輝きを突きつける。
じゃあ声かける前に撃ちなさいよ、とは言うまい。そういう事ができない真っ直ぐさが、つまるところ理奈の"才"だ。
だからこそ、続く言葉が次々と知史に刺さる。
その真っ直ぐさは、ひょっとしたら自分の障害になるのかもしれない。
崩れ落ちて泣く知史の、先程までは瘴気に霞んでいた胸の穴を見ながら萌はそう考えていた。

>『苗時さん、もしかしてあなたは……最初から何かご存知だったのではないですか?』
肉声ではなく、念話で理奈が問う。
>「……だとしたら、なんだって言うんだい?」
>「よくも騙したな、とでも謗ってみるかな?だけど私は君達に、何も嘘を吐いてはいないよ?
> 亡者についての説明も、楽園についての説明も、思いも。君達へのメリットだってそうだ。
> 君達は約束通り仕事をこなした。私も約束通り、君達に報酬を渡す」
苗時の返答。真実だけを話すが、数は絞る。
ごく当たり前のやり方だろうな、と萌は考える。
人となりもよく知らない相手にあれこれ情報を渡すのはそれなりにリスキーだろう。
集団の長としてはまず全体として利益を得ることが肝要で、
理想を追ってリスクを犯すのは自分で責を賄える時だけにするべきだ。

>「君達の活躍で、結果として皆が得をした。それ以上に大事な事があるかい?ん?」
全く以てそのとおり。少なくとも萌にとっては、とっとと"これ"から抜けられるかどうかが焦点なのだ。色んな意味で。
「つっても、あんたらだってお仲間が返ってくりゃあ初めに考えてた以上の得でしょ?
 もし成功したらギャラにもう少しイロつけてくれてもいいんじゃない? 」
変身を解いて苗時へ問いかける。
蹴り一発で正規の報酬にボーナスまで付けろ、とはいささか不誠実な要求だろうが、言うだけならタダである。
わめき立てるようなことはしない。規約を読まずに判をついたのはこちらだ。
とはいえ、"契約"を継続するかはこれからの展開次第、御恩もなしに奉公はできるものではない。


【わかったからギャラよこせと要求】

233 : ◆Gw1TY5I6ic :11/07/14 17:06:11 ID:???
私もどうしても2chに戻りたいというわけではないんですが、
ここで続けるとなると向こうのスレが宙に浮いてしまうのが気になっていたので
折を見て少しずつ埋めていこうかな、と

234 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/07/17 06:49:05 ID:???
>「いいね、面白いじゃん。試してみようよ」

ジェット燃料を撒いた南雲の牽制に、知史は口端を釣り上げて応じた。
そこに躊躇の色はなく、さりとて自棄の気配もなく。自信があるのだ。速さで打ち勝つ絶対の自信。
流石はルールの範を破ってまで貪欲に求めた力。そこに自負なくては、彼女の全てが成り立たない。

>「さあ、ご自慢の努力と信念とやらは、音速の世界へのチケットになってくれるのかな?
 見えるかな?見えるかな?見、え、る、か、なぁ?」

黒靄は無数の刃として結実し、知史の背後に咲き誇る。
ジェット燃料を撃てば、爆発に煽られ刃が南雲に届くだろう。知史の牽制返しであった。

>「命乞いするなら、今だよ?なんだっけ。わたしたちは自分の中の挫折や障害をこーてーしていけるー、だっけ?
 だったら今がその時じゃん。挫折して、その事を肯定しなよ。ほら……出来ないの?
 散々上から目線でほざき倒して?いざ自分の番になったら出来ませんって?……墜落死しちゃえばいいのにねぇ」

言葉尻をあげつらっての反論にすらなっていない煽り文句。
それは稚拙な挑発だった。互いの喉に突きつけ合った刃に殺意がないと知っての、空の炊きつけ。
そんなことはわかっている。南雲は、表情を変えなかった。否、唇がほんの少し言葉を紡ぐ形をつくる。

「……だったらもう死ねよ。めんどくさいなあ、お前」

誰にも聞こえないような小さな声で、静かに悪意を漏出させた。
拳銃を握る手から力が抜ける。それは戦意消失の意味を持たない。腕を鞭の如く使い素早く抜き放つための、攻めの脱力。
初動には瞬きひとつ必要ない。南雲の腕が、手首が、指先が、ひとつの獲物を殺すための道具と化す、その刹那。

>「駆走さん、動かないでください」

時間稼ぎが功を奏し、理奈が戦線に復帰した。
彼女の固有魔法が完成している。麻子を相手取ってそれを制したあの呪文だ。
理奈の言うことが現実のものとなれば、知史は肉焦げ骨焼ける憂き目に遭う。南雲は昏い期待を抱く自分に気付いてぞっとした。
――同時に、そんな自分を肯定した。上唇を舐める。緊張で乾いていた粘膜が輝きを取り戻した。

(ただまあ、それでも)

>「駆走さん、私は今のあなたに――“才能を諦めろ”なんて、口が裂けても言える立場じゃありません。
 ですが……もう、戦うのは止めませんか?」

(理奈ちゃんならそう言うよね――!)

何度も轡を並べた相手だ。こういうとき、彼女がどういう行動に出るか、南雲にははっきりとわかった。
それはあまりにわかりやすい人間だというある種の軽視的なニュアンスも含んでいたが、彼女のそういうところは美点だと南雲は思う。
理奈は他人の痛みに敏感で、共感力に長けた少女だ。相手の心の隙間に自分の心を裸のまま挿入して、扉を開く術を知っている。
万人に対して命がけの愛で接することができる、どこか超人染みた慈愛という美点。

その美点が。
――今はどうしようもなく煩わしかった。

>「でも、ちょっと恥ずかしいなぁ。アンタみたいなおチビさんに諭されるなんてさぁ。
 ……それとも、おチビさんだからこそ、なのかな?……とにかく、ありがとね」

(改心、してるし!)

そんなものか、お前の心の闇は。
女子小学生に説得されただけで心晴れやかになるような呪いで、何人もの『真っ当な魔法少女』を手に掛けたのか。
彼女たちの無念はどうなる。『ありがとね』で全て許されたら、全て赦されたら、その業を誰が背負うというのか。

235 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/07/17 06:52:22 ID:???
>「だって君達は、何も聞かなかったじゃないか」

南雲がイライラしてるうちに、苗時が自己弁護を始めた。
どうにもこの『楽園』に関する一連のあれこれには、あの女の陰謀的な策謀が巡っているらしい。
南雲は、奥歯を二度鳴らした。強いストレスに晒された子供がよくやるそれに似た仕草だった。

>「君達の活躍で、結果として皆が得をした。それ以上に大事な事があるかい?ん?」
>「つっても、あんたらだってお仲間が返ってくりゃあ初めに考えてた以上の得でしょ?
 もし成功したらギャラにもう少しイロつけてくれてもいいんじゃない? 」

「いやいやいやいや。ちょっと待ってよ。こんなのってないよ。あんまりだよ。
 結果的に得とか言うけどさ、わたしたち思っきし怪我してますし。損得の勘定は結構だけどさ、損得で感情は割り切れないよ。
 殴られたから殴り返して痛みが消えるわけじゃないし。殺されたから殺し返したってプラマイはゼロじゃなく双方マイナスだよ」

ジェット燃料の生成を解除し、魔力を回収。
理奈のおかげでこちらはさほど魔力を使わずに済んだ。もとより魔法核が増えて魔力量も増設されている。
『楽園』全員と渡り合える自信はないが、それでもけじめはつけたいと思った。

「いやね、何が言いたいかって言うとですね。――溜飲を下そうと思って」

瞬間。南雲の腕が今度こそ躍動した。脱力していた腕に一瞬で膂力が漲り、拳銃がその照準に獲物を捉える。
腕ごと銃口が向いたのは、憑き物が落ちたような顔をした知史の眉間。間髪入れずに引き金を絞った。
誰にも反応できないタイミングで、誰にも反応できない速さで撃発された弾丸は、狙い過たず知史の額へと飛翔。
銃声にワンテンポ遅れて肉の弾ける音が響いたが、南雲は最早そちらを一顧だにしなかった。

「はいこれでさらにマイナス1。いやはや悲しいね、何ももたらさない勝利ってやつは。
 何かを得られるのなら、負けてでもそれを掴むべきだと思うよ人類。この国の戦後がそうだったようにさ」

丁度マガジン内の全てを撃ち切ったらしく、自動拳銃のスライドが止まってしまった。
南雲はそれを一秒だけ眺めて、そのまま横に放り捨てた。トカレフは頑丈だ。粗悪な扱い方をしても正味問題ない。

「そんなわたしはハムラビ法典支持者です。知ってる?『目には目を歯には歯を』っていう名ゼリフでお馴染みの超大昔の法律。
 『楽園』のみんなに裏切られて傷心のわたしは、この報復絶対主義に則って、報復を開始しようと思います。
 沈黙者には永久の無言を。マイナスには超マイナスを。無法者には外法の痛みで報いとする。平たく言うと……」

南雲は笑った。
犬歯を見せる、獰猛な笑顔だった。

「――黙ってやがったお前ら全員皆殺しだ」

南雲の魔力が彼女の眼前で結実。
長大な鉄筒は砲身。その基部に据えられた機関は、毎分1200発の弾丸を吐き出す給弾の申し子。
戦闘機に載せる機関砲である。MG17と呼ばれる極めて旧式のものだが、ここに居る全員を血煙に変えて有り余る兵装だった。

「止めないでね理奈ちゃん。当たると魔装でも耐えられるかわかんないよ」

500kgはゆうに超えるであろうそれを、南雲はあろうことか両腕で抱える。
彼女の固有魔法は、自身を飛行機に見立てることで機載兵装を生身で扱うことを可能としていた。

「逃げる奴は魔法少女だっ!逃げない奴はよく訓練された魔法少女だっ!ほんと世の中は地獄だぜフゥーハハハァーッ!」

理奈、おっさんを後ろに置いて、南雲の一部となった機関砲は咆哮。
鋼の装甲すら穿つ弾丸が雨あられと――苗時を含む『楽園』の面々へと降り注いだ。


【キレる。知史ちゃんの眉間を銃撃(成否不明)し、機関砲を生成して苗時たちを掃射】

236 :坂上南雲:11/07/17 07:19:01 ID:???
追記:なな板への移植の件ですが、ようやくレベル溜まったので手伝えますよー

237 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/19 21:51:43 ID:???
>麻子さん、萌さん、南雲さん
取り急ぎ連絡だけ……明朝なな板の本スレでレスします。
移植の件なんですけど、私がこっちの板に新しい本スレを建ててレスを抽出しつつ、追いかけながらやっていこうかなって考えてます。

238 :南雲:11/07/23 21:02:49 ID:???
了解ですー
ちょっと今ビジーなのでアレですが、手が空いたら手伝っていこうと思います

239 :名無しさん :11/07/24 23:04:31 ID:???
理奈さん大丈夫?

240 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/07/26 20:54:05 ID:???
い、生きてます。毎度ご迷惑おかけします……すいません。
かなり間が空いてしまいましたがレスの投下が完了しました。
そういえば、南雲さんは悪魔に対して敵意を抱いてる人じゃなかったなー、とか考えながらレスさせていただきました。

今後この話がどんな風に転がっていくのか凄く楽しみにしている反面、スレの進行と自分の生活ペースが段々合わなくなってきてみなさんに時間的な負担をおかけしてしまっていることをとても辛く感じます。
辛いけど続けたい、という変な気持ちです。こんな経験をなさった方はいらっしゃいますでしょうか……。
愚痴を吐きたいというよりは何か具体的な方法があればこれを解決できるのかなって、ちょっとした思い付きです。失礼しました。
>>本スレ345さん ありがとうございました。

241 :猪間麻子 ◆jwml6EaEgM :11/07/26 21:01:26 ID:???
まあ、自分は長引いても気にしませんから
て言うか自分も長引かせてますから
俺が!俺がスレのペースだ!くらいの気分でいいんじゃないでしょうか

と、もう次のレスを書いてしまっていいんでしょうか

242 : ◆jwml6EaEgM :11/08/01 07:59:59 ID:???
>「い、いずれにしてもあなたがたが『楽園』を名乗るのであれば、今は駆走さんを助けることを考えるべきでは……?」
>「だからお願いです。どうか駆走さんを『楽園』に戻してあげてください」

理奈の提案に、懇願に、苗時は沈黙を貫いていた。
口の端を、微かに吊り上げながら。

>「つっても、あんたらだってお仲間が返ってくりゃあ初めに考えてた以上の得でしょ?
>もし成功したらギャラにもう少しイロつけてくれてもいいんじゃない? 」

「おやおや、これは欲張りなお嬢さんだ。いや、厚かましいと言うべきかな?
 残念ながらそれは出来ないよ。色を付けると言う事は、何も感謝の気持ちを示す行為じゃない。
 相手の好意を繋ぎ止め、次も贔屓にしてもらう為にする事なんだ。
 つまり……好意も、次も望めない君達に対して、私がそんな事をすると思うかい?」

微笑みに魔法少女らしからぬリアリズムを込める。

>「いやいやいやいや。ちょっと待ってよ。こんなのってないよ。あんまりだよ。
  結果的に得とか言うけどさ、わたしたち思っきし怪我してますし。損得の勘定は結構だけどさ、損得で感情は割り切れないよ。
  殴られたから殴り返して痛みが消えるわけじゃないし。殺されたから殺し返したってプラマイはゼロじゃなく双方マイナスだよ」

割り込む、冷たく平坦な声色。

「いやね、何が言いたいかって言うとですね。――溜飲を下そうと思って」

響く銃声。

>「はいこれでさらにマイナス1。いやはや悲しいね、何ももたらさない勝利ってやつは。
 何かを得られるのなら、負けてでもそれを掴むべきだと思うよ人類。この国の戦後がそうだったようにさ」

粘着質に湿った音。

>「そんなわたしはハムラビ法典支持者です。知ってる?『目には目を歯には歯を』っていう名ゼリフでお馴染みの超大昔の法律。
 『楽園』のみんなに裏切られて傷心のわたしは、この報復絶対主義に則って、報復を開始しようと思います。
 沈黙者には永久の無言を。マイナスには超マイナスを。無法者には外法の痛みで報いとする。平たく言うと……」

虚無を齎す鉄の猛獣が生み出され、

>「――黙ってやがったお前ら全員皆殺しだ」

咆哮。殺意の嵐。

>「逃げる奴は魔法少女だっ!逃げない奴はよく訓練された魔法少女だっ!ほんと世の中は地獄だぜフゥーハハハァーッ!」

対して苗時静は、かえって微笑みに潜む喜色を色濃くさせていた。
魔法核を取り出し、変身、一言。

『静粛に』

弾丸の運動エネルギーを沈静化。
降り掛かる死の使徒は使命を果たす事なく地へと落ちる。

『静粛に』

死を吐き散らす猛獣の咆哮を沈静化。
南雲の笑い声だけが取り残された。
苗時が背後に控えた魔法少女達に手を向ける。魔法核を受け取った。
力の集中、増幅。

243 : ◆jwml6EaEgM :11/08/01 08:00:37 ID:???
『静粛に』

そして南雲、理奈、萌、全員の動きを沈静化。
魔力や体力を用いて抵抗するならば、それさえも鎮める。
楽園の少女達から魔法核を受け取った自分の方が、それらの絶対量で優っている。
ならば最終的に屈する事になるのは南雲達だと、苗時には道理に基づいた確信があった。

「……うん。君達のその態度、間違いないね。やっと見つけたよ」

身動きを封じた南雲達へと微笑み。

「君達は『主人公』だ」

荒唐無稽、断言。

「あれ?聞こえなかったかい?『主人公』だよ、『主人公』。
 最近の若い子なら……そうだねぇ、携帯小説とかを読むのかな?
 冒頭で不運にもレイプされて近寄る人に不幸を振り撒きながらも
 非合理な感情論を予定調和的に押し通した挙句、少なくとも一人だけは幸せを掴めるアレの事だよ」

もしも南雲達が呆然として、或いは聞き返したならば、苗時は根絶丁寧に答えるだろう。

「悪魔の余興か、それともバグの類かは知らないけどね、この『ゲーム』には『主人公』がいるのさ。
 君達がそれだよ。疑わしいと思うのなら、自分達のこれまでを振り返ってみるといい。
 あの狂犬を相手に、ヒヨっ子同然の魔法少女がほんの少しでも渡り合えると思うかい?あまつさえ説得が通じるとでも?」

狂犬――鎖の魔法少女。
根拠の羅列、論証。

「今だってそうさ。そこの……南雲君だったかな?
 君は駆走君を撃っておきながら、その着弾を確認しなかったね。それは何故だい?
 わざわざ巨大でオーバーキル確実の武器を選んだ理由は?掃射と同時に笑ったのはどうしてかな?
 君は自分が人殺しをした事を確定させたくなかったんだろ?
 撃った。脳みそが地面を汚す音が聞こえた。でも見てない。だから殺したとは限らない。
 撃った。皆蒸発したかのように消えちゃった。死体なんか残ってない。冗談交じりだった。だから殺してない。
 君は殺人の愉悦を味わいたくも、その重責を負う事は拒んだ。だから、そんな事をしたんだ」

視線を理奈へ。

「君もだよ。君は自分が嘘を吐いていると、理想論を謳っているだけだと自覚していただろう?
 もしも本心からあんな事を言えるのなら、それはもう精神異常者だ。
 自分が見たくないからって、嘘を吐いてまで他人の意志を歪めるだなんてね。私なんかより余程酷いんじゃないかな?」

萌へ。

「君は……正直反応に困ると言うのが本音だけれども。
 才能だけあっても仕方ない、だっけ?いけないなぁ。才能がある子がそんな事を言っても何の慰めにもならないよ。
 いや、慰めるつもりも無かったのかもしれないね。単に相手を言い負かす快感が欲しかっただけだったりして」

皮肉な笑み。

「君達は無意識の内に自覚していた筈だよ。自分は決して負けないし死なないって。
 だから約束された勝利を幾らでも綺麗に飾る事が出来る。幾らでも横着が出来る。
 そんな残酷で、自分勝手で、綺麗で、故に少女的な君達は……間違いなく、『主人公』だ」

嬉々の声色。

「いやぁ本当に良かったよ。この楽園の維持には、君達の存在が必要不可欠だったからね」

手のひらを立てて見せる。

244 : ◆jwml6EaEgM :11/08/01 08:01:24 ID:???
「あぁ、安心してくれ。何も困難極まる課題を与えようって訳じゃない。
 もっとも与えた所で、なんだかんだで君達はそれをこなしてしまうのだろうけど。
 君達への頼み事はただ一つ……」

人差し指を残して指を畳んだ。

「『今後ともご贔屓に』だよ。つまりこれからも報酬を期待したり、なし崩し的に巻き込まれたり、
 人助けがしたいからと言って私達を斡旋所代わりにして欲しいんだ。
 『君達に耐えずイベントを与える組織』になれば……楽園は君達の『主人公性』の傘下に入れるからね」

苗時の願望――楽園の半永久化。
『主人公』の周囲には常に破壊か安寧がもたらされる。
それをコントロールする試み。

「断るのなら……そうだね。南雲君が言う通り超マイナスをぶつけ合う戦争をするしかないかな。
 君が駆走君を撃ったように、私は君達の周囲の人間を狙う事にするよ。
 なに、悪いのは私達じゃない。君達が『主人公』だからそうなるんだ」

道理を無視した責任転嫁、罪悪感の萌芽を期待する。

「さぁどうだろう。我々はもちろん、君達だって得をする、悪くない提案だと思わないかな?」

245 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/04 01:59:12 ID:???
「ハムラビ法典って基本的には"やられた以上のことはやり返してはいけません"っていう法律なんだけどなあ」
無制限な報復の抑制を目的としたその精神からは、程遠い南雲の凶行を見つめつつ呟いた萌の言葉は、重い銃声によって容易くかき消される。
気持ち自体はわからないでもないが、とはいえさすがにやり過ぎではなかろうかと止めに入ろうとした矢先。

>『静粛に』
銃弾が舗装に跳ねて意外に澄んだ音を立てた。
>『静粛に』
銃弾の"供給"が止まる。
>『静粛に』
そして、萌の動きも止まる。
何かに縛り付けられているとか、無理に抑えこまれているとか、そういった感じは一切受けず、しかしどこかを動かそうとしてもそれが叶わない。

>「……うん。君達のその態度、間違いないね。やっと見つけたよ」
>「君達は『主人公』だ」
耳には届いたその言葉は、脳には染みずに抜けていく。
苗時はそんな様子にはかまうことなく、先ほどの南雲のように嬉々として言葉を重ねる。
まずは当の南雲へ、それから理奈、最後に萌へ。

>「君は……正直反応に困ると言うのが本音だけれども」
(うるっせー!)
まずもって萌自身が自分を持て余しているので他人に適切な扱いなど無理というものだろうが、
それにしてもはっきり言われるといささか腹立たしいものである。
少なくとも、身動きができたなら一発入れに行くであろう程度には。
なお、真っ先にそこに反応してしまったため、後半は全く耳に入っていない。

萌が一人静かにヒートアップしているうちにも話は進む。
>「さぁどうだろう。我々はもちろん、君達だって得をする、悪くない提案だと思わないかな?」
掻い摘めば"餌はくれてやるから飼われろ"。
結局のところは当初とそれほど変わるものではない。
断るなら潰し合いになるという付帯条件が追加されただけだ。

萌は一つ肩をすくめようとする。それはちゃんと動作になって現れた。
「んで、そうやってマイナスぶつけ合って、そしたらラストマンスタンディングはうちらってことになるんじゃないの?
 少なくともこの"お話"でそっちが脇役だって言うなら、ね」
正確には"筋書き"を担当している悪魔と契約した理奈が、ということになるのだろう。
マイナスが許容できる範囲で収まるとは到底思えないので試すつもりはもちろん無いのだが。

「ま、あたしゃ乗るつもりだけどさ。いくら胡散臭かろうが一人でやってるよりは分はいいでしょーよ」
今のこの状況は全て"魔法少女であること"に起因している。そうでなくなれば解放されるのは自明の理だ。
"そうでなくなる"ための手段は二つ。魔法核を亡くすか、願いを叶えるか。前者は論外、ならばとる道は一つ。
それに――内懐にいたほうが寝首をかく機は伺いやすいというものだ。

「このまま二年も三年もこんな事続けるってのもキッツイしね。ハタチ越えて変身魔法少女とかどこ層に需要があんのよ」
苗時へ向けて、萌はそう笑いかけた。
悪意はない。一っ欠片も。
ただ単に、目の前の女性がその"二十歳越えの変身魔法少女"であることを忘れているというだけの話であって。

246 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/04 02:00:23 ID:???
2chの方のスレ落ちちゃいましたね……

247 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/05 10:27:36 ID:???
【本編と関係ありません】
>>241 麻子さん
ごめんなさい、誰に許可を求めていたのかがわからず答えあぐねてました。
私が!私たちが!スレッドだ!ぐらいの勢いでいいと思います(ガンダムさん元気にしてるかなぁ……)

>>萌さん
本当だ……でも大丈夫みたいですよ。
これまでの分は私がメモ帳でとってありますし、広辞苑の方がログを保存してくれていたみたいです^^
私の最後のレスが一つ消えちゃってますけど
例によって心情描写ばかりで話はあんまり進んで無かったから問題ないですね(涙笑)
バチが当たったと思ってめそめそ泣いておきます

と、いうわけで以前予告していたこちらに場所をお借りして本スレを新造しました。
レスが多いので追いつくまで少し時間かかりそうですけど、コピーして移すだけの簡単な作業なので近日中に完了できると思います。

248 : ◆eTMo8D8.R2 :11/08/05 20:35:48 ID:???
業務連絡
TRP広辞苑にUPしたログは
http://unkar.org/
↑を使って保存したのですが、なぜか全てのレスが反映されないみたいです。すいません〜
神田さんの最後のレスは、お手持ちにバックアップがあるのなら、新スレの方に移植お願いします
それにしても2chのスレどうして落ちちゃったんでしょうかね
圧縮があったわけでもなく、容量オーバーでもない
最終書き込み日がもっと古いスレも生き残ってるのに…謎です

249 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/08 17:35:50 ID:???
>『静粛に』
>『静粛に』
>『静粛に』

「フゥーハハハハははははは……あ……あれっ?」

南雲のぶちまけた暴力の嵐は、苗時以下楽園の魔法少女たちに至る前に空中で静止した。
機関砲もいつの間にか停止して、どころか引き金を握る南雲の身体すら、セメントで固められたみたいに動かなくなる。
苗時は、南雲達を微笑みで睥睨して、言った。

>「君達は『主人公』だ」

「…………おお?」

>「あれ?聞こえなかったかい?『主人公』だよ、『主人公』。
>「悪魔の余興か、それともバグの類かは知らないけどね、この『ゲーム』には『主人公』がいるのさ。

苗時曰く、南雲達がこのゲームにおける最重要人物――すなわち、主人公だと。
それは気概や主義主張の域の話ではなく、因果的に、これまでの行動結果からそう言っているのだ。
例えば、麻子との戦いで。"ありたて"の彼女たちが武闘派の魔法少女相手に渡り合えた事実。

>「今だってそうさ。そこの……南雲君だったかな?

苗時は続ける。南雲が先刻そうした理由。その心理的な帰納。
大方の的は当たっていた。なんてったって南雲はつい先日まで普通の女子高生だったのだ。何の感慨もなく人を殺せるわけもない。
ただ異を唱えるとすれば、彼女が凶行に及んだのは単純に怒りによるものだった。『ついカッとなって』。

後ろを振り向けば、やはり頭部を撃ち抜かれた知史の身体があった。眉間に人差し指ほどの穴が空き、鮮血が地面に広がっている。
貫通力に特化したトカレフ弾特有の、小さな銃創。弾丸が駆け抜けた場所以外には破壊をもたらさない、固有の穿痕。
然るべき機関が調査すれば確実に足のつく――南雲が知史を殺害した明確な物証だった。

……『亡者』殺しに殺人罪が適用されるのか、わからないけれど。魔法少女は人間じゃない。魔法少女という種の生物だ。
人外が人外を殺したとして、一体何の法に抵触するというのか。

>そんな残酷で、自分勝手で、綺麗で、故に少女的な君達は……間違いなく、『主人公』だ」
>「あぁ、安心してくれ。何も困難極まる課題を与えようって訳じゃない。
>「『今後ともご贔屓に』だよ。

まだまだ続く長口舌にいい加減南雲はまたぞろイライラし始めたが、身体が動かない以上如何ともしがたい。
いちいち芝居がかった演出をするので話の要点が掴みづらいことこの上ないが、とにかく。

250 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/08 17:36:22 ID:???
苗時はここで南雲たちとことを構えるつもりはないようだった。どころか、協力的な姿勢すら見える。
南雲達のもつ『主人公性』とやらを利用し、組織を息災に健在に未来を紡ごうという試みらしい。
ご丁寧に、断ったら周りの人物にまで累を及ぼすという脅迫付きだ。

>「さぁどうだろう。我々はもちろん、君達だって得をする、悪くない提案だと思わないかな?」

返答を許されたのか、身体が動くようになる。
南雲は既に攻撃意志を鎮めていた。苗時の話は長かったので、朝礼で倒れる小学生のように頭から血が降りたのだった。

>「んで、そうやってマイナスぶつけ合って、そしたらラストマンスタンディングはうちらってことになるんじゃないの?
 少なくともこの"お話"でそっちが脇役だって言うなら、ね」

「おー、いいこと言うね」

おっさん(いい加減この呼び方にも緊張感がないが、それ以外の呼び名を南雲はとんと知らないのだった)の発言に快哉を零す。
ともあれ、それは脅迫に屈せず争いになった場合の話だ。だったら南雲は別の切り口からツッコミを入れることにした。
気分はさながら就職セミナーの質疑応答だ。楽園という組織と業務委託契約を結ぶ以上、その喩えはあながち間違いじゃあない。

「主人公性の傘下に入る……って、つまりわたしたちの仲間になるってこと?そんで来るべき『ゲーム』の最終決戦を生き残ると。
 んー、ちょっと厳しいんじゃないかな。だって、苗時さんってすっごい怪しいし胡散臭いじゃない。
 誰も突っ込まないから今言うけどさ、なんで苗時さん、わたしたちと麻子ちゃんの戦いを知ってるの?見てたの?
 ……見てたならなんで助けなかった。茅野ちゃんや、理奈ちゃんが死にかけてたのを知ってたのに、どうして」

実際には、もっとたくさんの魔法少女の生き死にがかかった戦いだったのだ。
南雲達は運良く助かったが、そうでなかった魔法少女――例えば、知史だってそうだ。麻子の犠牲になった魔法少女たちを。
魔法少女の相互扶助を謳う『楽園』の筆頭が見殺しにするというのは、些か信義的に看過できない話である。

「そうゆうのってさ、思いっきり敵のすることじゃん。わたしたちが『主人公』だっていうなら、貴女はさながら『黒幕』とか。
 あるいは――『ラスボス』なんて言い方もできるよ。優しい上っ面で近づいてしまいに裏切るっていうのは、よくあることだもん」

よくあるというのは現実の話ではなく、あくまでフィクションの中でのことであるが。
『主人公』なんて概念を現実に持ち出す苗時の論法に異を唱えるなら、これぐらい現実味のないほうがよく釣り合う。

「欲しいのは『信用』。政治的にね、貴女たちをわたしたちの仲間として信用できる確定的な何かの提示を求めます」


【信用に足るサムシングを要求】

251 : ◆jwml6EaEgM :11/08/14 04:12:25 ID:???
すみません。そろそろ待つ事にも疲れました
私はここらで暇を頂戴いたします
皆様の更なる飛躍をお祈りします。それではさようなら

252 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/16 01:31:41 ID:???
>>251
お疲れ様でした


わたしは他にやることもないんで待ってます

253 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/16 21:12:29 ID:???
……すいません。全く以て何も書けませんでした。
レス順は把握しつつも、状況的に無言・無反応を貫くことでしか「私」の返答を示すことができなかったのです。
ですが一つの連絡もレスもよこさなかったのは、参加者としてみなさんに対しても自分自身に対してもあまりにも不誠実が過ぎました。
深くお詫び申し上げます。

>>251 (猪間麻子・駆走知史・苗時 静)
お疲れ様です。あまりに勿体無い言葉をいただきました。
あなたの期待に報いることができず、またこれまでの信用を裏切るようなことをしてしまい、本当に申し訳ありません……。
震災から五ヶ月が経ちましたが、ずっとお変わりないようで安心しました。
どうかこれからもお元気で。


【以下、今回のレス】

破れた〜ページは〜奪われたん〜だよ 何処〜かで落と〜した覚〜えはな〜いから〜♪
――不自然な空白がありますが、お察しください。

苗時さんに対する私と「拳」のお姉さんへの要求はすっぱり却下された。
今回の楽園側の企みにおける彼女の種明かしに対して、色々とたまりかねた南雲さんが前に出て

>「いやね、何が言いたいかって言うとですね。――溜飲を下そうと思って」

拳銃を引き抜いた。

同時に聞こえたのは私が間抜け面で口を開けたまま発声した「あ」の音。

ぱん。続けてスナック菓子の袋を開けたときの乾いた音が聞こえたかと思うと、駆走さんは糸の切れた人形になって崩れ落ちた。
昔の西部劇よろしく見事な速撃ち《クイックドロウ》だった。コルト・ピースメーカーのようなリボルバーではなかったけれど。

南雲さんは手にした拳銃を放り投げ、今度は巨大な機関砲を魔力で生成した。
銃のことはよくわからないけれど、およそ人に向けて撃つ代物じゃない大きさなのは……私にもわかる。
自分の体重を遥かに上回るそれを軽々と抱えて装填。照準は前方にいる楽園の少女たち。

>「止めないでね理奈ちゃん。当たると魔装でも耐えられるかわかんないよ」

私の視界に先ほどクマのぬいぐるみを動かしていた幼い子の姿が眼に入ったその刹那、鉄の猛獣が牙を剥く。

>「逃げる奴は魔法少女だっ!逃げない奴はよく訓練された魔法少女だっ!ほんと世の中は地獄だぜフゥーハハハァーッ!」

むしろ止める間は無かった。
激しく耳朶を打つ重くて黒い鉛の雨音を聞きながら、私はただ自分の視界を隠すためだけに頭を抱えてうずくまる。
思考はひたすらに南雲さんの凶行を拒絶するけれど、感覚は否応なく私の中に入ってきた。やめて……やめて……!

しかし、私が拒絶したその光景は始めから存在しなかった。

>『静粛に』

恐る恐る顔を上げる。
シックな魔装に変身した苗時さんが自らの能力を披露して場を鎮圧していた、ほのかに喜色をたたえた微笑みで。

いわゆる……ドヤ顔( ̄ー ̄)というやつです。


【続く】

254 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/16 21:13:07 ID:???
この能力――!?
どこかであったような脱力した感覚が自分の記憶と一致する。
おそらく苗時さんたちがテンダーパーチに来たときに騒ぎを収めたものと同じやつだ。

詳細不明。ただ分かるのは、何となく逆らえない状況にあるということだけ。

>「……うん。君達のその態度、間違いないね。やっと見つけたよ」
>「君達は『主人公』だ」

…………え?
うわー、素で聞き返しちゃったよ!我ながら何てつまんないリアクションなんだろ。

>「あれ?聞こえなかったかい?『主人公』だよ、『主人公』。
>最近の若い子なら……そうだねぇ、携帯小説とかを読むのかな?
>冒頭で不運にもレイプされて近寄る人に不幸を振り撒きながらも
>非合理な感情論を予定調和的に押し通した挙句、少なくとも一人だけは幸せを掴めるアレの事だよ」

イタタタタ。
読んだこと無いのに設定聞いただけで「あ、ちょっと共感できるかも」とか思ってしまった自分が嫌過ぎる。
私はきっと典型的なスイーツ(笑)だ。
自分の価値観や目線だけで世界を見て、身勝手な幸せを追い求めたり押し付けては周りの人が死んで「感動する」、アレだ。

……『感情で行動することに異論はない』と言ったのは誰だったっけ?

>「君は自分が嘘を吐いていると、理想論を謳っているだけだと自覚していただろう?
>もしも本心からあんな事を言えるのなら、それはもう精神異常者だ。
>自分が見たくないからって、嘘を吐いてまで他人の意志を歪めるだなんてね。私なんかより余程酷いんじゃないかな?」

「あなただって自分の『魔法』で南雲さんの凶行を無かったことにしたくせに」とは言わないでおいた。
あのとき止める術を持たなかった私が、苗時さんにそんなことを抜かす資格はハッキリ言って全く無い。

苗時さんの主張を私なりにまとめるとこうだった。
私たちは『主人公』と呼ばれる存在で、何でもかんでもうまく事が運ぶ補正がかかるようになっているらしい。
どこかで聞いたことがある。まさしく『主人公補正』という現象そのものだ。

当人にしてみればまゆつばものだけど、苗時さんは私たちを利用して楽園を維持しようという算段らしい。

>「さぁどうだろう。我々はもちろん、君達だって得をする、悪くない提案だと思わないかな?」

いいえ、あんまり。
とどのつまり自ら進んでトラブルに踏み込むということだ。そもそも私は自分が『主人公』だという自覚がない。
ただ運が良かっただけだ。
それに……私は麻子さんを狂犬だなんて思っていない。
麻子さんを死なせなかったのは確かに私の身勝手だったかもしれないけれど、麻子さんが決めた未来は麻子さん自身のものだ。
そしてその未来“生きてなきゃ”手に入らない。

倒れた駆走さんを見る。脳天に黒い穴が空いていた。彼女はもう泣いたり笑ったり怒ったり……叫んだりすることすらできない!
私が駆け寄って治療すれば助かるの?私は『主人公』だから?できるわけないよ。

私は、神様なんかじゃ…………ないのに。

【『主人公』の存在について懐疑的。苗時さんの提案に対しては回答を保留】

255 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/17 00:25:12 ID:???
>>251
今までお疲れ様でした。
あまりお役に立てませんで、心苦しい限りです。

>南雲さん、理奈さん
これからどうしたものでしょうか
正直なところ、自分で話を作るというのが非常に苦手なので…



256 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/17 04:43:58 ID:???
シナリオのアウトラインとしては起承転結の転まで来てると思うのですよ
あとは結末へ向かって一直線、ってカンジでよろしいのではないでしょうか
悪役が必要であれば、他に希望者がいなければわたしがやります

ってな感じで。どうでしょう?

257 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/20 01:40:30 ID:???
やっていただけるのであれば、ぜひお任せしたいと思います
一応順番どおりに私がレスをしてから南雲さん、という形のほうが良いのでしょうか

258 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/20 20:15:07 ID:???
反応が遅くなってすみません
>萌さん
個人的にやりたいことは沢山あったんですけど
ここからどう動かしていけばいいのか私には……ちょっと見当がつきません

>南雲さん
恥ずかしながら私にはシナリオの全体像が全く見えてきませんでしたが
ここまできたからにはちゃんと結末まで運んでいくことについては激しく賛成です
悪役が必要なのか、誰が悪役なのかは、ひとまず置いといて……ですけど

次のレスは萌さんの提案通りでよろしいかと思います
どうにか10月までには完結したいですね〜

259 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/21 01:24:56 ID:???
>>257
それでいきましょう。レスお願いします

>>258
そこなんですけど、今のところ現状から収拾をつけるなら下記のパターンがあると思います

・キャラクターそれぞれのスタンスを明らかにして対立軸をつくり、バトルで決着をつける
・ひとつ大きなラスボスをでっちあげ、これを打破して決着
・魔法少女システムそのものを打開する展開

上から順に難易度が上がって行きます
他に何か、kれからの展開について案がありましたらみなさん是非お願いします

260 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/21 20:55:21 ID:???
>>259
す、すごくわりやすいです!
多分私が「やりたかったこと」のほとんどはその3つのルートのどれかに当てはまると思います
今少し時間が無いので明日まとめて提出します

261 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/21 22:58:39 ID:???
ういうい。お願いしますー

262 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/21 23:42:53 ID:???
一応、理奈さんの案を見てからのレス投下にしようと思います。
とりあえず場面転換、くらいで考えてるので、たぶん邪魔をしてしまうことはないと思うのですが。

263 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/23 19:51:14 ID:???


所用で丸一日遅れちゃいましたね……すいません
とりあえず、採用・不採用は置いといてブレインストーミングの要領で思いついたネタ(バレ注意)だけ落としていきます

@キャラクターそれぞれのスタンスを明らかにして対立軸をつくり、バトルで決着をつける
・理奈、一度は『楽園』の提案を断るも闇のセールスマンから【自分の生存にまつわる秘密】を聞かされ考え方を変える
・茅野さんの亡者化。駆走さんのときとは違い「完全な亡者」になってしまった場合は最早自力で戻ることができない
・↑続き 闇のセールスマンからの情報。亡者になってしまった魔法少女を救うには【悪魔を一人殺し、その命を捧げ】なければならない
・ルール:悪魔は契約した魔法少女からの魔法は効かないが、自分以外の悪魔と契約した魔法少女の魔法は効いてしまう
(これまで魔法少女たちがことごとく悪魔に返り討ちにあったという噂はこのルールを知らなかった為)
・お互いの願いや祈りを天秤にかけ、かつて仲間だった魔法少女達の間に亀裂が走る

Aひとつ大きなラスボスをでっちあげ、これを打破して決着&魔法少女システムそのものを打開する展開?
・苗時さんによってもたらされたもう一つの情報。それは魔法少女を束ねる派閥が『楽園派』以外に存在するというものだった
・↑続き 『夜宴派』。諍いを避ける『楽園派』とは反対に魔法少女を募って街中で闘わせ、その様子をネット上で見世物にしているという
・↑続き この催しはたいていの悪魔たちも関知しており、所属している悪魔達はブローカー、マイスター、ブリーダー、トレーナーとも呼ばれていた
・↑続き 『楽園派』の脅迫やそれぞれの思惑を胸に、魔法少女たちは『夜宴派』に対して各々の決断を迫られる

・一方、中東の紛争地域である異変が起きていた。武装勢力の鎮圧に出動した某国の特殊部隊が「謎の勢力」の介入を受けて壊滅したのだ
・↑続き 「それ」は不可視の隠密性と無尽蔵に生成される弾薬、そして決定的な急所を持たない肉体を備えていた
・↑続き 「彼女」の名は (未定) 天使と契約し、地上最強の兵士として訓練された魔法聖女である
・↑続き 天使と彼女たちは古より悪魔とその契約者を滅する為につくられた秘密結社に所属し、行動を共にしている
・↑続き 作戦後、各国の悪魔たちが大きな動きを見せ、【オルギア】を行う可能性があると報告を受けた彼らは次の戦場へと動き出す
・↑続き 混沌の中心地、日本へと向かって。666人の少女を犠牲に造られた聖女の力が、魔法少女達に牙を剥く
・↑続き これまで安住の地であったはずの日本が脅威にさらされ浮き足だつ悪魔たち
・↑続き 混乱の最中、悪魔たちは自分たちの存在の秘密と、いかにして魔法少女のシステムを構築するに到ったかを語り始める

・その他、登場済みの魔法少女たちの再登場、魔法少女たちについて独自に捜査を開始した公的機関の動き等等


かなりとっ散らかっちゃいましたけど私が考えていた先の展開はだいたいこんな感じです
実現可能なレベルかどうかはさておき、核心部分には触れずにざっと書いてみました
どのルートに向かうか、またこれを元に全く別のお話に向かうのも面白そうですね

264 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/24 02:29:43 ID:???
萌とは対照的に、南雲は担保を求めた。
正直なところ、まともな"それ"が得られるとは思わない。
ここに呼びつけたときと同じように、断りようがなく、その上で先方が損をすることがない程度のものだろう。
"髻を切って誠意を示す"ようなものだ。
とはいえ、キャットフードのCMの猫のような勢いで飛びついたのは、さすがに思慮が浅かったかと萌は自省する。

理奈は知史の骸を見ていた。
泣き出しそうな、というよりは泣き顔そのものだ。ただ涙が流れていないだけで。
恐らく、手の施しようがないないと理解できているからだろう。
ひょっとしたら魔法核があれば助かるのかもしれない。
萌のまさに眼前で、知史よりも惨たらしい"死に様"を見せたいずみですら瞬く間に治癒したのだから。
だが知史はすでに自分のそれを持たない。ゆえに、助かる術もない。
"亡者"が"死者"になったというのは、ある意味では救済といえるのだろうか?

萌は細く息を吐いた。それから苗時に顔を向ける。
「まあ、あたしゃ腹決めてるけどさ、別に今すぐここで結論出せってことでもないでしょ?
 ……それとも考える暇を与えるのはまずい?」

萌の言葉に対し、苗時は先ほど萌自身がそうしたように一つ肩をすくめてみせた。
「もちろん、熟考した上で引き受けてもらえるならそれに越したことはないよ。
 餌を投げられた犬のように飛びつかれるよりは、ずぅっと『信』が置けるというものさ」
挑発を挑発で返された萌はというと、やっぱりポーズだけでも示しておくべきだったといささか後悔。
「んじゃ、帰ーりますよ」
微かに苛立ちを滲ませながら、萌は踵を返した。

265 : ◆Gw1TY5I6ic :11/08/24 02:32:31 ID:???
場面転換が不都合なら普通に呼び止めてください。

個人的には、統合性を抜きにして考えると、ボスをでっち上げてしまうのが最もわかりやすいと思います。

266 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/24 03:09:22 ID:???
理奈さん、萌さん乙です
>>263
二番がすごくわたし好みですねー
これまで物語上の悪役でしかなかった悪魔と利害の一致から共闘することになる、っていうのも燃えです

267 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/28 21:04:36 ID:???
何も動きが無かったので不安になって書き込み
南雲さんのレスを待っていたつもりでしたけど、
もしかして南雲さんが私の返事を待っててくれてました……?

>>266
ありがとうございます!
「かつての敵が……」っていうのは少年誌的でやっぱり燃えますよね
えーと、とりまお互いのライフスタイルやリアル事情で定期的なレスが難しい方(特に私)もいらっしゃると思いますけど、今後もストーリーや掛け合いを楽しみつつ、よろしくお願いしますm(−−)m

引退・復帰・新規参加の際は必ず一言連絡を入れることだけ約束して、後は自由な方向で頑張りましょう☆

268 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/08/28 21:54:31 ID:???
すいません、ちょっと今ビジーなのでもうしばらく待っててください

269 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/08/29 20:48:38 ID:???
了解でーす

270 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/01 23:59:46 ID:???

「ふむ。信用ね、それは確かに重要だ。私たちとしてはここまでのやり取りで"出し惜しみ"をしていないから、
 これ以上の何かを求められると少し困る。魔法核をあげるから、じゃあ、どうせ納得しないんだろう?」

苗時は唇の下を親指の爪で扱きながら――まるでなみなみと洋酒の注がれたフラスコを傾けるような、洗練された仕草。
すべてが芝居がかっている。胡散臭さしか感じない。南雲は機関砲を投げつけてやりたかったが、辛抱強く答えを待った。

「一つ。君たちにとって有用な情報を。先ほど我々は"安寧"が欲しいと言ったね。それは、私たちを脅かす第三者がいるからだ。
 悪魔のような――『ゲームマスター』ではない。純粋に参加者として他の魔法少女を食い散らかす『プレイヤーキラー』だ。
 彼女たちは我々のような相互扶助を目的とはしていない。彼女たちにとって結束は魔法少女戦で生き残る為の手段ではない。
 もっと獰猛な目的。積極的な潰し合いを奨励するための、『攻めの結束』だよ。彼女たちを――『夜宴派』と我々は呼んでいる」

そこまで喋って、苗時は枯渇した口中の水分を取り戻すように口を噤んだ。

「ソースは?」

ここぞとばかりに南雲は問う。まだ、苗時が時間稼ぎのために口から出任せを言ってる可能性を否定できない。
むしろ、彼女にとってもこの膠着状況はプラスになるわけがないから、水面下で状況打破の策を練っていてもおかしくない。

「実際に観たほうが早いだろう。ここに『夜宴派』の本質を納めた動画がある」

言うや、傍に控えていた魔法少女の一人がノートパソコンを差し出した。
スロットにモバイルカードが挿し込んであり、ネットに繋げる仕様だ。諳んじているように滑らかにURLを打鍵。
すると、一つの動画サイトが開かれた。YouTubeでもニコニコ動画でもない、R規制すらないもっとマイナーな投稿サイトだ。

「少しショッキングな映像だから気をつけて――っと、きみたちにそれを言うのは野暮だね。ついさっき自分の手を汚したばかりだ」

「苗時さん。『ちょっと黙ってろ』」

南雲が人差し指で苗時の唇を指す。刹那、胸の魔法核が『臙脂色に輝いた』。
ここへ来る前に譲り受けた中年の魔法核。その願いは『人の上に立てますように』。抽出された固有魔法は――『業務命令』。
客観的正当性の認められる命令を確実に遵守させる魔法が苗時の唇の上下を接合した。

さておき、映っているのは二人の少女。互いに光を発し、その衣服をフリル付きの衣装に変えた。――魔法少女だ。
魔法少女が二人、対面すれば何が起こるかは自明の理。例に漏れず彼女たちはお互いの魔法を駆使し戦闘を始めた。

「――!!」

そして、決着。片方の貫手がもう片方の胸を貫き、鮮血と共に光を一粒抜き出した。
魔法核。戦利品を自分のものと融合させる彼女にカメラが寄り、『Win!』の文字と共に個人情報が映し出される。

「この魔法少女は、この後の一戦で首を落とされて亡くなりました」

ノートパソコンを抱えていた少女が解説する。
声が震えていて、目を逸らし続けている。なるほど、裏切ったとはいえ仲間を平然と殺した相手を前に冷静ではいられないのだろう。
仕方がないから黙らせていた苗時を解凍する。

「っふう、やれやれ、君にその魔法核を渡したのは間違いだったかな。まさかそこまでその中年男性と仲良くなっているとはね。
 もしかして年上が好みなのかな?――っと、また黙らせるのは勘弁してくれよ。私が矢面に立たねば、他に舌の立つ者がいない」

271 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/02 00:00:13 ID:???
融合した魔法核から固有魔法を抽出するには、そこに込められた『願い』を受け入れて向き合っていく必要がある。
魔法少女の無念を、その想いを。背負って立つに値すると魔法核そのものに認められて初めて固有魔法を受け継げるのだ。
麻子との戦いで花の少女の魔法核を受け継いだ理奈が、そうだったように。

「つまりだよ、こういうことを楽しんでる連中がいて、その需要に応える者がいる。そうやってこの動画は成り立ってるのさ。
 これが夜宴派だよ。魔法少女を募り、戦いの場を提供する。そしてその内容を映像に収めてネットに配信しているのさ。
 命のやり取りという、古代からもっとも親しまれてきた娯楽としてね。この世の中だ、好事家には事欠かない」

「でもさ、この人たちは完全に合意の上で戦ってるわけでしょ?なんで楽園派がそれに対して危機感感じてるの?」

「――ここに悪魔が関わってる、としたら?」

苗時は指を立てた。

「いるんだよ、この結束の中に。それも一匹や二匹じゃ済まない数がね。前述のとおり、私たち楽園派は非常に不安定な存在だ。
 いつ悪魔達がこのカルテルに気付いて、独占禁止法を制定するかわからない。場合によっては、自分たちの息のかかった
 魔法少女をぶつけて来るかもしれないということさ。そう、丁度この『夜宴派』のようにね」

「なるほどねー。それで、わたしたちに具体的に何をして欲しいの?筋肉の人帰っちゃったけど」

『ふむ、信用ね』とかドヤ顔でもったいぶってるあたりから筋肉さんは帰宅していた。
まあどうせ後日集まることだしそのときに説明すればいいか、と南雲は納得。

「内情調査だよ。きみたちには一介の魔法少女として『夜宴』に参加し、相手の規模・戦力・目的を諜報して欲しい。
 まあ言ってみればスパイ活動だよ。好きだろうそういうの?こうやって銃を、バンバン!――っと、わかった、悪乗りが過ぎたね」

南雲が黙ってデザートイーグルを生成したのを見て苗時は諸手を上げた。
南雲は露骨に舌打ちして銃を魔力に還元。ついでに機関砲も重たいだけなので引っ込めた。

「ま、ま、筋肉さんも言ってたけど、これはすぐに答えを出せる問題じゃないよね。持ち帰って前向きに検討させて頂きます。
 いい加減ストレスたまってきたから、貴女のいないところで思いっきり陰口叩きたいし」

「あはは、誹謗中傷には慣れているから気にせず垂れ流していいよ。なんならツイッターとかで呟いてみるかい?」

「いやいや、お恥ずかしながらハイテク機器には疎いので、古式ゆかしいカミソリレターとかで嫌がらせさせてもらいます。
 ――それじゃ、帰ろうか。理奈ちゃん」

南雲は踵を返す。魔装を解き、血糊と硝煙で汚れた衣装をかき消した。返り血を落とせば、罪まで洗い落とした気分になる。
実際はそんなことないのに。知史の脳漿を地面にぶちまけたのは、確かに南雲だというのに。
全てのしがらみを『切り捨てて』。人を殺した手で、理奈の手を取った。

* * * * * * 

翌日、テンダーパーチに客として現れた南雲は、昨日先に帰った筋肉さんと理奈を待っていた。
テーブルにぐでっと広がって、腕を枕にして、携帯を弄るその姿はとても昨日人を殺した人間とは思えない。
当然だ。魔法少女は人間じゃないって、南雲は誰より理解している。あれだけ血を流して翌日すぐ動ける奴が人間のわけがない。

筋肉さんが来れば、南雲は昨日聞いたすべてを隠さず伝えるつもりである。
そしてその上で理奈も交えて『夜宴派』に対するスタンスを協議し、これからの方針を考える予定だ。


【テンダーパーチに客として来店。萌と理奈を待つ】

272 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/02 00:01:13 ID:???
たいへんおまたせしました!

>>263のAがとても気に入ったので勝手ながら苗時さんに喋ってもらいました
もちろんここから方針変換でもバッチコイです

273 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/03 19:48:33 ID:???

断るなら回りの人間に危害を加える、という苗時さんの脅迫まがいの提案に最初に応えたのは「拳」のお姉さんだった。

>「んで、そうやってマイナスぶつけ合って、そしたらラストマンスタンディングはうちらってことになるんじゃないの?
>少なくともこの"お話"でそっちが脇役だって言うなら、ね」
>「おー、いいこと言うね」

お姉さんの言葉に南雲さんも同調する。苗時さん以外の『楽園派』の少女たちに動揺が走った。

>「主人公性の傘下に入る……って、つまりわたしたちの仲間になるってこと?そんで来るべき『ゲーム』の最終決戦を生き残ると。
>んー、ちょっと厳しいんじゃないかな。だって、苗時さんってすっごい怪しいし胡散臭いじゃない」

南雲さんは続けて『楽園』が先日の私たちの戦いを知っていた事について指摘した。
もし見ていたのなら、どうして放っておいたのか。魔法少女が助け合う為に組織されたはずの『楽園』が、何故?

>「ま、あたしゃ乗るつもりだけどさ。いくら胡散臭かろうが一人でやってるよりは分はいいでしょーよ」

「拳」のお姉さんが苗時さんの提案に応じる。多分この人なりの意図があるんだろうな。

>「このまま二年も三年もこんな事続けるってのもキッツイしね。ハタチ越えて変身魔法少女とかどこの層に需要があんのよ」

「結構」

お姉さんの返答に満足げな笑み(少し頬が引きつってますけど)を浮かべる苗時さん。
一方の南雲さんは――

>「欲しいのは『信用』。政治的にね、貴女たちをわたしたちの仲間として信用できる確定的な何かの提示を求めます」
>「ふむ。信用ね、それは確かに重要だ。私たちとしてはここまでのやり取りで"出し惜しみ"をしていないから、
>これ以上の何かを求められると少し困る。魔法核をあげるから、じゃあ、どうせ納得しないんだろう?」

「君はどうかな、神田さん?」
「………………」
「…………成程」

水を向けてきた苗時さんの言葉と視線を、私はどこまでも無言で迎え入れた。
『楽園』存続の為に駆走さんを利用し、結果的に切り捨てたこの人のやり方が……私はどうしても許せなかった。


【続く】

274 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/03 19:49:40 ID:???
>「まあ、あたしゃ腹決めてるけどさ、別に今すぐここで結論出せってことでもないでしょ?
>……それとも考える暇を与えるのはまずい?」

私と苗時さんの間に滞っていた沈黙の水面に「拳」のお姉さんが波紋をつくる。

>「もちろん、熟考した上で引き受けてもらえるならそれに越したことはないよ。
>餌を投げられた犬のように飛びつかれるよりは、ずぅっと『信』が置けるというものさ」
>「んじゃ、帰ーりますよ」

踵を返し、お姉さんが立ち去る。

「あ、あのっ……!」

遠ざかる背中を見ながら、私は慌てて声をかけた。既に声の届く距離ではなかったので思念通話で続ける。

『神田理奈です!こっちは坂上南雲さん……ま、また明日お店で待ってます!』

今になって、ようやく名前を伝えることができた。
返事は聞こえなかった。

>「一つ。君たちにとって有用な情報を」

去っていく「拳」のお姉さんをゆっくりと見送った後、芝居がかった動きで苗時さんが口を開いた。
なおも沈黙を続ける私を疲れたような視線で一瞥し、南雲さんに向き直る。

>「先ほど我々は"安寧"が欲しいと言ったね。それは、私たちを脅かす第三者がいるからだ。
> (中略)彼女たちを――『夜宴派』と我々は呼んでいる」

それは私たちが踏み込んだ世界について明かされた、新たな事実。
苗時さんを筆頭とする『楽園派』以外の、大きな派閥の存在。
南雲さんの要求に対し、傍で控えていた少女(確か、目立零子さん)がノートパソコンを開いた。
『夜宴派』についての資料とされる動画が再生される。

【苗時さんとのやりとり。萌さんに自分の名前と明日店で会えることを伝える】

275 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/03 19:50:38 ID:???
つまるところ魔法少女同士の殺し合いがネット上で配信されていたのだ。
勝者となった少女の前に『Win!』というテロップが表示される。まるで本当の『ゲーム』みたいに。
街中でこんなことが行なわれていたなんて……

>「この魔法少女は、この後の一戦で首を落とされて亡くなりました」

“亡者化”を避ける為に始末したんだろうか。そんなことをボンヤリと考える。

>「っふう、やれやれ、君にその魔法核を渡したのは間違いだったかな。まさかそこまでその中年男性と仲良くなっているとはね」

気が付かなかったけど、いつの間にか『魔法』で口封じを受けていたらしい苗時さんが解説を引き継ぐ。
南雲さんってオジサンに好かれるタイプなのかな――?

>「もしかして年上が好みなのかな?――っと、また黙らせるのは勘弁してくれよ。私が矢面に立たねば、他に舌の立つ者がいない」

ええ、そっち!?まさかそんな……否定しつつも脳裏を過ぎる、ティータイムでの記憶、写真の映像。
フーテンのヤクザを連想させるパンチパーマのオジサン悪魔。
軽薄な思考を振り切り、苗時さんの言葉に再び耳を傾ける。

>「つまりだよ、こういうことを楽しんでる連中がいて、その需要に応える者がいる。そうやってこの動画は成り立ってるのさ(後略)」
>「なるほどねー。それで、わたしたちに具体的に何をして欲しいの?筋肉の人帰っちゃったけど」
>「内情調査だよ。きみたちには一介の魔法少女として『夜宴』に参加し、相手の規模・戦力・目的を諜報して欲しい(後略)」

そっか。
多分これが私たちを呼び寄せた、本来の理由……なのかな?
私たちが『主人公』と呼ばれるモノかもしれない――そんなことはもうどっちでもいい。
結果的に苗時さんに協力する形になってしまうかもしれないけれど、『夜宴派』が『楽園』にいる子たちを脅かす可能性があるなら
私は多分、放っておけない。

そんなこと、絶対口に出すつもりはないけれど。

>「――それじゃ、帰ろうか。理奈ちゃん」

魔装を解いた南雲さんが私に呼びかける。
差し出されたその手に、自分でも思いもよらず一瞬だけ身体が躊躇ってしまった。
眉間に穿たれた真っ暗な銃創。動かなくなった駆走さん。耳朶を打った機関砲の残響。

「……はいっ!」

魔装を解き、自分でも不気味なぐらい上手に出来た作り笑いを浮かべて、私はその手を握り返した。
今そうしないと、この人が何処か遠くへ行ってしまう――そんな気がしたから。

翌日、私は待ち合わせ時間に【テンダーパーチ】へと向かった。
『夜宴派』について、これからのことを話し合う為だ。

【今回のレス、終了】

276 : ◆Gw1TY5I6ic :11/09/05 01:40:11 ID:???
>『神田理奈です!こっちは坂上南雲さん……ま、また明日お店で待ってます!』
背中に投げかけられた声なき声に、萌はひとつ手を振って応える。
そのまま速度を変えずに歩いて、鎖の渡された退園ゲートまで到着した。
そこで背後を振り仰ぐ。
「……こっちの名前言うの忘れてた」
呟きは、風に溶けて誰の耳にも届かなかった。

向き直り、ゲートに向けて緩やかに走りだし、五歩で跳躍。
三角飛びでゲートを飛び越え、勢いでそのまま走りだす。
ジムに行く前のロードワークとしては良い距離だ。
今日の練習はずいぶんと身の入ったものになるだろう。

翌日。
サンドバッグに浮かんで消える憎いあんちくしょうの顔をめがけて叩いて叩いて叩いた結果として消耗しきった体で、
よれよれになりながらテンダーパーチのドアを押し開けた萌は、店員の案内を断って南雲が"占拠"しているテーブルへ向かった。
誰の顔かに関しては記すまでもないだろう。

『理奈ちゃんは?まだ?』
椅子にどかりと座り込みながら念話を送る。
極度に疲労していると横着をしたくなるものだ。
訊いておいて返答は待たず、店員への注文を済ませる。こちらは念話という訳にはいかない。
「えーと、カプレーゼと厚切りライトーストとオレンジオムレツ、それにアップルキャラメリーゼシナモンマシマシで。
 あとアイスグリーンティーとお冷一つください」
――体力の回復には十分な栄養と休養が不可欠である。決して過剰摂取ではない。

注文を繰り返した店員が、キッチンへ下がるのと入れ替わるように、理奈が入店してくる。
それへ向けて、萌は南雲に負けず劣らずのだらけた様相で手を振り、二人に念話を送る。

『昨日ぶりー、そういやまだ名前言ってなかったね。奈津久萌、よろしくねー』
理奈が席に着いて、それからようやく背もたれに預けていた体を起こした。
「で?なんかまともな話は聞けたの?」
声に出して問う。
あのあと二人が目にしたものを、当然萌はまだ知らない。

【普通に食事をしに行きつつ、顛末を聞く】

277 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/07 04:27:30 ID:???
昼頃になって、何故かへとへとに疲弊した筋肉さんが待ち合わせの席に現れた。

>『理奈ちゃんは?まだ?』

『まーだ。もう30分ぐらいはこないと思うよ、ほらあの通り』

南雲もテレパシーで返しながら、小指で他方を示す。
理奈も、そして南雲もテンダーパーチの従業員だ。当然シフトが被らなければ、南雲の代わりに働くのは理奈である。
昨日はそのままバックレた猪間麻子もまた、昨日に引き続きシフトに入っていた。
小学生ぐらいの女子が二人、仲良くウェイティングしている姿は見る者の頬をだらしなく弛緩させる。

>「えーと、カプレーゼと厚切りライトーストとオレンジオムレツ、それにアップルキャラメリーゼシナモンマシマシで。
 あとアイスグリーンティーとお冷一つください」

「お腹いっぱいにする気満々で来たの!?」

運ばれてくるメニューを次から次へと平らげる姿はとてもシャレオツな喫茶店のそれじゃない。
目が死んでるわりに豪快な食べっぷり。それも甘いモノばかり……見ているこっちが食傷する。
やがてシフトの明けた理奈が客として入店してくる。南雲は自分のメロンソーダを空にした。

>『昨日ぶりー、そういやまだ名前言ってなかったね。奈津久萌、よろしくねー』

「はろっ理奈ちゃん。昨日はよく眠れた?」

言ってから、それはあまりにも意地の悪い質問だったと内省した。
あれだけ陰惨な戦いの後に快眠できるとすれば、それこそ心のどこかがぶっ壊れているんだろう。
実際、南雲も神経の昂りが収まらず、ナイトミルクや温熱療法を色々試して寝付けたのは夜明け前だった。

>「で?なんかまともな話は聞けたの?」

「とりあえず、情報の共有はしとこっか。まずは昨日萌ちゃんが帰ってからのお話」

南雲は聞き伝ての話を自分なりに一晩かけて整理し、自分の立場を明らかにした上で簡潔に説明した。
『夜宴派』という組織の存在、悪魔の関与、苗時から申し付けられた依頼の内容。そして――

「――わたしは、この話受けようとおもう。脅されてるってのもあるけれど、たぶん『夜宴派』はこの先の魔法少女生活で、
 必ずぶち当たる壁になるからね。『夜宴』が魔法核を独占したら、わたしたちの戦いは極端に厳しくなる」

夜宴派は魔法少女同士のバトルを推進している。翻せばそれは、この界隈の魔法核が一箇所に集中することと同義だ。
ただでさえ魔法核の多寡が絶対的な戦力の差として刻まれているこの戦いである。
誰か一人が大量の魔法核を保有するとしたら、それは個人では最早手のつけようのない無敵の存在となる。
そんな相手と何かの拍子にことを構えることになったら。如何に知恵を絞り準備を怠らなかったとしても勝率はゼロに近い。

「だからね、『夜宴』は積極的に願いを叶えたい魔法少女にとっては、かなり理想的なシステムとも言えるよね。
 バトルを見世物にする以上、両者の勝率は拮抗してなきゃいけない。そこらへんの調整は主催者側がやってくれるはず。
 ――つまり、能動的に戦わなきゃいけない代わりに、不用意に強い敵と戦う羽目も回避できるってこと」

ある意味では安全ですらあるのだ。
実力が互角の相手に100%勝利できる準備さえあればの話だが。

「以上がこの件に対するわたしのスタンス。理奈ちゃん萌ちゃんに同じノリを要求するつもりはないし、
 個人的な願望を言わせてもらえば理奈ちゃんにはこれ以上血を流して欲しくない。でもわたしは――やっぱり願い、叶えたいから」


【『夜宴派』への関与に肯定的】

278 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/09/10 04:56:06 ID:???
荒涼たる風が吹き抜ける。
『主人公』たちのいなくなった『楽園』で、苗時は己が望んだ静けさの中に佇んでいた。
獏寂とした灰色の空の下、動かない遊園施設たちが墓石のようにそこに在る。
湿った空気はやがて来る雨の匂いをはらんでいた――――じきに降るだろう。

物体生成で傘を造ることはたやすいが、実行する気がおきない。
むしろ浸るぐらいずぶ濡れになりたかった。いっそのこと、全て洗い流して欲しい……そう思った。

「被害状況の確認を。それと、怪我の具合はどうだい?」

背後にかしずく二つの人影に声をかける。目立零子と影野刃月だ。
報告。幸い怪我人はみな自分で治療できる程度の軽症のものばかりだった。無論、死者も出ていない。
ある一人を除いては。

計画は概ね成功と言っても差し支えないだろう。
内部に潜む“亡者”を利用した『主人公』たちの確保。『夜宴』に対する調査と牽制。
これで『楽園』の存続はもうしばらく磐石なものにできる。
惜しむらくは彼女達と感情的な面で穏便な信頼関係を結べなかったことだが――仕方無い。
先に力を盾にして服従を迫ったのはこちらのほうだ。望むべくもない。

そもそも彼女達が『主人公』である確証すら怪しかったのだ。
確率は低いが一方の猪間麻子であった可能性もある。故に最初からその為の策も保険も、全て周到に用意されていた。
万事は上手くいった。にもかかわらず、自分の中から何かが抜け落ちてしまったようなこの虚無感は、どうしてなのか。

「私は――――間違っていたのかな?」

背後の二人に、苗時は尋ねる。肯定と慰めが欲しいだけの卑怯な質問だと知りながら、それでも、尚。

「……それを決めるのは私たちではございません」と刃月。
続けて零子が応じる、「あなたに着いてきたから、これまで生きてこれたんですからっ」

「そうか……そうだったね」

そうだ、飽く迄『楽園』を束ねるものとして出来る限りのことをしたまでだ。苗時は改めて自分にそう言い聞かせた。
元々外部の人間だった駆走知史の亡者化を助けるなどという危険な試みを認めるわけにはいかなかったし、
ましてや説得などでどうにかできたわけがない、例え苗時が『主人公』であっても……そんなご都合主義は。
仮にそんなことができたなら『楽園』の少女たちはこぞって魔法核を捨ててこの戦いを辞める道を選ぶだろう。
しかし、実際にそうはならなかった――――ならなかったのだ。

「駆走くんの遺体を弔ってあげてくれ…………できる限り丁重に、ね」

小さな雨粒が苗時の肩を濡らした。手段による罪悪感はない。悲哀も。悔悟も。
それらはとうの昔に置き去りにしてきた。これまで守りきれなかったものが、苗時にはあまりにも多すぎたから。
残念ながら駆走の亡骸が再び家族に会うことは叶わないだろう。自分たちの存在は可能な限り隠蔽されなければならない。
もっとも、仮に遺体が見つかったとしても犯人が特定される心配は皆無に等しかった。
魔法少女が所有する武器・凶器は本来この世に存在しない。
肉体を抉った弾丸は旋条痕を認証される前に消失し、使用された拳銃がトカレフだと特定できてもその出所までは掴めない。
故に、坂上南雲の懸念する法的な追求は“その意味”においては杞憂と言えた。証拠不十分。立証不可能。

この力は裁かれることなく人を殺せるのだ。

雨足は次第に強さを増し、大粒の雫が物言わぬ彼女達に降り注ぐ――――いつまでも止む気配は無かった。


【ブラック魔法少女 第二部 楽園 篇 (了)】

279 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/09/10 05:04:13 ID:???
(こんな気分でも仕事は出来るもんなんだな)

店に残ってウェイトレスを続けていた猪間麻子は浮き足立っていた。
『楽園』の拠点へと向かった四人――南雲、萌、理奈、そして蒼月の動向が少しだけ気がかりだったからだ。
苗時の率いるメンバーの中に、見覚えのある顔があったような気がする。
人違いでなければ、あのときの麻子はそいつから魔法核を奪った記憶がある……“試合前のつまみ喰い”感覚で。

(アタシは行くべきだったのか……?)

否。この記憶が確かならば、苗時たちの誘いは完全な罠だ。
南雲や理奈たちを釣り上げて自分を誘い、亡者共々『楽園』のフィールドで始末する。
連中はしらばっくれていたが、麻子の立場は『楽園』からしてみれば間違いなく粛清の対象だろう。
だったら彼女らだけで行かせたほうが話がこじれなくていい。自分の身も安全だ。

あるいは他の目的があったのかもしれないが、麻子には知る由もない。

夕方になっても理奈たちは戻って来る様子がなかった。遅い。遅すぎる。
何かあったのか、あるいは店には寄らず、真っ直ぐ帰ったのか……判断のしようがなかった。

「麻子りん。今日はもう上がっていいわよ」

ホールにいた都築ゆりかに肩を叩かれ、麻子は店で待つことを諦めて退店した。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――

テンダーパーチの近所にあるマンションの一室。そこが麻子の新しい居室だ。
同時に――都築ゆりかの自宅でもある。
2月の寒空の下で野宿する必要が無くなったのはありがたいと言えばありがたいのだが、
親戚でも無い未成年者を勝手に連れ込んで同居するなんて、あの女は何を考えているのだろうか。行政の介入が無いことを願う。
だいたいこんなことをして何の得になるのか。
どことなくだが、理奈にしろゆりかにしろまるで人助けが義務であるかのようにふるまっているフシがあり、理解に苦しむ。
携帯を開き、理奈にメールを送る。必要最低限の3文字で安否を確認。『無事か』。
枕元に携帯を放り込み、そのままベッドに飛び込んで寝転ぶ。灯りは点けず、薄暗い部屋の天井を見つめたまま、追憶。

三日前の晩。胸くその悪い一方的な“試合”。彼女達との出会い。敗北。空腹の放浪と新しい居場所。繋がる現在《いま》。


【続く】

280 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/09/10 05:09:37 ID:???
「おやおや、しばらく見かけないと思えばこんなところにいたんですか――――探しましたよ?」
「…………部屋に入るときはノックぐらいしろよな。こちとら一応婦女子なんだからよ」

“コイツら”は神出鬼没だ、出し抜けに現われたところで今更驚く気もない、麻子は内心そう毒づいた。
黒いスーツに七三分けの髪。麻子の契約した悪魔、闇のセールスマンである。笑顔の端にこぼれる白い歯が暗闇の中で不気味に光る。

「これはこれは失礼致しました。野良試合のその後、お加減が優れないものかと……」
「で、何のようさ?」
「ふむ、思ったより元気そうですね。休暇を取っていただいた甲斐がありました」

あの日の試合ですけどね、なかなか好評だったそうで――
そう、あの夜の闘いの様子はこの悪魔の手によって記録され、公開されていた。
当の麻子には全く知らされておらず、また知る気も無かったのだが…………苗時がそのときの状況を知り得たのはその為だったのだ。

「あいつらは関係ない、巻き込むな」
「私はまだ何も申してませんが…………そうそう、次の対戦カードが決まりましたのでお渡ししておきますね」

分かってると思いますが、必ず来てもらいますよ――有無を言わせぬ言葉を残し、セールスマンは闇に溶けて姿を消した。

(結局……結局アタシは……何にも変われちゃ……いなかったんだ…………)

どうしようもない悔しさにただ舌打ちし、臍を噛むことしかできない。麻子は最初から今も『夜宴』の参加者だったのだ。

理奈からのメールが返ってきた。場違いな、しかし麻子がちょうど今最も欲しかった言葉がもらえて苦笑を浮かべる。
『大丈夫』。安心を示す必要最低限の3文字の返信だった。


【ブラック魔法少女 第三部 夜宴 篇 (始)】

281 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/10 05:29:02 ID:???
おはようございます。
少し宙ぶらりんなところがあったので伏線の補完と仕込み、お話の区切りとして幕間に2つのSSを挟ませていただきました。
苗時さんと麻子さんのお二人にはちょっとだけ主役になって動いてもらっています。
「私」のレスは今日中に完成させる予定……です。

282 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/10 21:12:12 ID:???
月曜日。
学校が終わった私は帰宅せずそのまま叔母の店に入った。
お昼過ぎから夕方までの短いシフト。まー、そのためだけに来てるわけじゃないから別にいいけど。
それはそうと――

「ゆりか叔母さん、すーっごく今更だけど、私と麻子さんてここで働いててもいいの?」

最近社会科で習った、その……労働基準法的な意味で。

「ちっ、知ってたの。ええ、全然アウト――と、言いたいところだけど子供が働いちゃいけない法律なんてないわ」
「え?そうなの?」
「あんたぐらいの年齢でも修学時間外に限り、働くことは可能なのよ。でなきゃ子供の芸能人なんていないでしょ」
「あ……そっか」

不当な賃金についてまで突っ込める学力と気力は、今の私にはありませんでした。
修学時間外……学校に行ってない麻子さんの場合はどうなるのかな?
テーブルの食器を片付けつつ、店内にいる当人を見てみる。今日は何だか様子が変。
声をかけても「ああ」とか「うん」とか…………私が昨日返したメールも似たようなものだったけど。
何ていうか、色々あり過ぎて、疲れちゃってたから――――

ああもう!調子狂うなぁ!!元気出して出して!これから大変なんだから、もっと頑張らないとっ☆
うーん、自分でも痛々しいまでの空元気……でも、負けてられない。私は“魔法少女”なんだから。


南雲さんと「拳」のお姉さんが入店したのはシフトが終わるちょっと前だった。
麻子さんと一緒に裏で着替えを済ませ、お客さんとしてお店に入る。

>『昨日ぶりー、そういやまだ名前言ってなかったね。奈津久萌、よろしくねー』
>「はろっ理奈ちゃん。昨日はよく眠れた?」

くつろぎモードのお二人さん。テーブルには食べ終わったケーキのお皿や空のカップが盛大に広がっていた。

「はいっ!バッチリです播(>∀<)萌さんも、改めてよろしくお願いしますm(−−)m」

お辞儀をし、私もゆっくりとテーブルに付く。

体はちゃんと動いてる。多分嘘はついてない。

何時に眠ったかなんて――そんなの、覚えてないんだもん。


【二人の座るテーブルに着く】【続く】

283 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/10 21:13:41 ID:???
>「で?なんかまともな話は聞けたの?」
>「とりあえず、情報の共有はしとこっか。まずは昨日萌ちゃんが帰ってからのお話」

南雲さんの話に耳を傾ける私と萌さん。ここまでは私が聞いた話と同じだ。

>「――わたしは、この話受けようとおもう。脅されてるってのもあるけれど、たぶん『夜宴派』はこの先の魔法少女生活で、
>必ずぶち当たる壁になるからね。『夜宴』が魔法核を独占したら、わたしたちの戦いは極端に厳しくなる」

私も、多分そう思います。

>「『夜宴』は積極的に願いを叶えたい魔法少女にとっては、かなり理想的なシステムとも言えるよね」

異議あり!――何て言えなかった。気持ちの上ではそれを拒否していても、頭だけは理解できていたから。
南雲さんは、正しい。

>「以上がこの件に対するわたしのスタンス。理奈ちゃん萌ちゃんに同じノリを要求するつもりはないし、
>個人的な願望を言わせてもらえば理奈ちゃんにはこれ以上血を流して欲しくない」

「…………」

>「でもわたしは――やっぱり願い、叶えたいから」

「――――!!」

勢い任せに立ち上がり、蹴り飛ばされた椅子がガタッ!!っと音を立てて床に倒れる――ことはなかった。
全部妄想。ビクッっと身体を震わせて、眼だけで南雲さんの顔を睨みつけるのがせいせいでした。

「そこまでして貴方が叶えたい願いって、何ですか!?)

……言えない。

「南雲さんに傷ついて欲しくない人だっているんです。その人の気持ちは――願いはどうなるんですか……!!)

……泣いちゃ、いけない。

私に踏み込む権利なんてない。それはこの人の願いを阻むことになるから……それはきっと、守ることとは、違うから。
水を飲む。燃え盛るオロドルインみたいに真っ赤になった私の胸を無理矢理冷やして、冷静に口を開く。

「南雲さんが受けるっていうなら、私は反対しません。苗時さんたちを敵に回すつもりはありませんから。
 でも、南雲さん一人で行くのは……やっぱり危険だと思います。――萌さんはどう思いますか?」

萌さんの意見を聞き、続ける。どちらに進むにしたって、これがわからないと始まらない。

「ところで……どうやって『夜宴』に接触するんですか?」


【今回のレス、終了】【「 )で囲った台詞は言えなかった言葉として捉えてください】

284 : ◆Gw1TY5I6ic :11/09/14 00:10:27 ID:???
>「とりあえず、情報の共有はしとこっか。まずは昨日萌ちゃんが帰ってからのお話」
最低限の"記号"を認識し合った直後に本題へ入る。話が早くて結構なことだ、と萌は思った。
下手に他人に対して責任をもってしまうと、韜晦や迂遠な言い回しを増やさざるを得ないものなのだろうか?
これに関しても、誰のことかは記すまでもないだろう。

"夜宴派"の存在とその周辺の情勢、"楽園派"からの依頼。
南雲の説明は簡潔で、伝聞にありがちな、欠損を話者の思い込みで補っているような節もない。そこから"夜宴派"の分析に入る。
食事を終えた萌は、口内に残るシナモンの風味を冷えた緑茶で洗い流しながら黙ってそれを聞いていた。
要は、興行なのだ。
聞く限りでは"客"もスナッフムービーを見たいわけではないようで、概ね"ランキング"が近い者同士のマッチメイクが行われると見ていい。
つまり、ギリギリの線の攻防を体験しながら、実践を積む良い機会である。
南雲の方でもそう捉えているかは知らないが、"乗る"気だと明言した。

>「以上がこの件に対するわたしのスタンス。理奈ちゃん萌ちゃんに同じノリを要求するつもりはないし、
> 個人的な願望を言わせてもらえば理奈ちゃんにはこれ以上血を流して欲しくない。でもわたしは――やっぱり願い、叶えたいから」
理奈の体が明らかに強張った。いかにもなにか言いたげだが、無言で上目遣いに南雲を睨む。
手元の冷に手を伸ばして、それを一気に呷った。
水と共に何を飲み下したかは定かではないが、落ち着いた様子で口を開く。
>「南雲さんが受けるっていうなら、私は反対しません。苗時さんたちを敵に回すつもりはありませんから。
> でも、南雲さん一人で行くのは……やっぱり危険だと思います。――萌さんはどう思いますか?」
>「ところで……どうやって『夜宴』に接触するんですか?

話をふられた萌の行動は――
「すんません、かぼちゃのアイスくださーい」
よもやの追加注文である。
驚愕する二人をよそに緑茶のグラスを空にすると、すぐに皿が運ばれて来た。
それを受け取りながら、萌は口を開く。

「何度も言ってるけどあたしゃやるし、出来れば理奈ちゃんも乗ったほうがいいと思う。何もしないなら、こんな話がずっと付いて回るってことじゃん」
ここで関与を避ければ楽園派とコトを構えることになる可能性が高いし、
よしんばそれが実効性を伴わないただの脅しだったとしても、夜宴派魔法少女との実力差が埋まるわけでもない。
そういった組織に属さない魔法少女を撃破、あるいは糾合して戦力を高める暇も、当然ありはしない。
状況を放置すれば最終的に被る害は大きくなる一方だ。

皿の上には大きめのディッシャーで盛られたアイス。その脇にスライスしたかぼちゃを固く揚げたものが三枚。
一つをつまみ上げて、言葉を続ける。
「これは比較的安全に強さを手に入れるチャンスだよ。あたしらは主人公なのかもしれない。でもさ……」
かぼちゃチップスで真っ向からアイスを突き刺す。
「死んじゃう主人公だっているよね。……身近な人間を泣かせるより、どっかの知らない誰かの涙のほうが、あたしは耐えられる」
ひねった拍子に、それは小さな乾いた音をたてて割れた。

半分ほどになった破片で今度こそアイスを掬って、口に放り込む。
それを嚥下して、肩を一つすくめた。
「ま、結局んとこ、どうやって向こうさんに渡りつけるかわかんないとどうしようもないんだけどさあ。
 どうしたもんだろねー。求人広告とかウェブで募集があるわけでもないだろうし」
南雲の話では、苗時はパソコンで動画投稿サイトを開いて件の映像を見せたということなので、
そのサイトから投稿者とコンタクトが取れるかもしれない。しかし、南雲や理奈がURLやサイト名を覚えているかどうか。
もちろん確実なのは苗時に聞くことだ。だが……

(あれにもっぺん聞きに行くのはしゃくに触んなー)
他に方法がないならそうせざるをえないが、出来れば避けたいと萌は考えていた。
疲労の間接的な原因と顔を付き合わせるのはあまり愉快な話でもない。
「いっそ道行く魔法少女に片っ端から喧嘩売ってみる?スカウトされるかもよ」
真顔で冗談を言いながら、萌は二口目のアイスを口に運んだ。

【夜宴との接触法を模索】

285 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/16 15:20:20 ID:???
>「南雲さんが受けるっていうなら、私は反対しません。苗時さんたちを敵に回すつもりはありませんから。

南雲の宣言に対して、意外にも理奈はそれを肯定した。
否、反対したくて仕方がないといった感情を必死に押さえつけている、そんな表情。
まだランドセルを背負うような歳の彼女にそんな顔をさせてしまっているのは、紛れもなく南雲自身だ。
でも、そんな眼で見ないでよ。その憂いを孕んだ視線から逃れるように、南雲はグラスの水を煽った。

>「でも、南雲さん一人で行くのは……やっぱり危険だと思います。――萌さんはどう思いますか?」

話を振られた萌は、まさかの追加注文。
あれだけ食べて一体どこにものが入る余裕があるというのか、アイスとかぼちゃチップスが運ばれてくる。

>「何度も言ってるけどあたしゃやるし、出来れば理奈ちゃんも乗ったほうがいいと思う。

萌の見解。
それは南雲に賛成するものであり、その実更に先を見据えたものでもあった。
あんな出オチみたいなナリをしておいてこの娘、魔法少女の中では『かなりマトモ』な部類なのだ。
感情に依らずに現状を見据える眼がある。そしてそれを、感情と擦り合わせて矛盾させない弁舌もある。
真実に感情を載せて訴えれば、それは確かな説得力を持つのだ。萌は、言葉の使い方をよく分かっている。

>「ところで……どうやって『夜宴』に接触するんですか?
>「ま、結局んとこ、どうやって向こうさんに渡りつけるかわかんないとどうしようもないんだけどさあ。

「そこなんだけどね。たぶん『楽園』は頼れないと思う。連中と『夜宴派』はほら、水と油だし」

『楽園』は隠蔽されているからこそ意味があるのだ。下手に動いてこっちの母屋が露呈するリスクは冒さないだろう。
少なくともあの女――苗時は、その為に南雲たちを尖兵として利用しようとしているのだ。
つまり彼女たちは、自助努力で『夜宴』に至らなければならない。

>「いっそ道行く魔法少女に片っ端から喧嘩売ってみる?スカウトされるかもよ」

萌が冗談めかして言った。
南雲はそれにピンときた。

「それだ! ちょっと待って、今作戦計画書を書くから」

南雲は机の下からメッセンジャーバッグを持ち上げ、中からルーズリーフを一枚引っ張り出した。
ボールペンを紙面に滑らせる。『夜宴』に関する情報を整理していく。

「道行く魔法少女に喧嘩売るっていうか、こっちから夜宴派の魔法少女を引っ掛けることはできそうだよ。
 第一話で麻子っちゃんが鳴らした、魔法少女にだけ聴こえる宣戦布告の鐘の音――とりあえず『コール』とでも呼ぼうか。
 どっか適当な空き地にでも行って、わたしたちが三人同時に『コール』を鳴らす。するとどうなると思う?」

『コール』は魔法少女が積極的にバトルする為に備えられた基本スキルだ。
ひとたび鳴らせばかなり遠くの魔法少女にまでその音は響き、『わたしはここにいる』と端直なメッセージを伝えられる。
他の魔法少女はそれを頼りにバトルしに行っても良いし、それを指針にその場から逃げ出しても良い。
魔法少女戦を円滑に進めるための一つのスタイルの在り方だ。

「――もちろん、バトルしたい魔法少女が寄ってくる。で、コールを聴いた魔法少女からしてみれば、一気に魔法少女三人、
 総計で魔法核が4つ?5つ?だかの敵を相手取らなきゃいけないわけで。必然、応じるのは"強さと自信のある"娘だけに限定される」

ルーズリーフに3つの丸と、そこへ向かう大きな三角が書き込まれる。
ある程度強い魔法少女。翻っては何度か魔法少女戦を経験して魔法核をいくつも所持している少女だ。
現在の南雲たちの魔法核の合計――それを超える数の魔法核を持つ少女。相当な実力者である。

286 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/16 15:20:46 ID:???
「ここで『夜宴』の基本原理を思い出して欲しいんだけど、あそこで組まれる戦いは『互角同士の接戦』――
 萌ちゃんがさっき『比較的安全に強くなるチャンス』と言ったけど、如何にもその通りなんだよ。
 同じぐらいの強さの魔法少女とマッチメイクして、倒して、魔法核を手に入れる。次戦も同じように互角の魔法少女とバトル。
 ――逆説的に言えばこの制度って、『ある程度強くなった』魔法少女にとってはメリットがなくなっちゃうんだよね」

単純な道理だ。
強くなって、魔法核の数も増えたなら、野良試合で不用意に格上と戦うリスクは激減する。今度は自分がその格上の立場だからだ。
わざわざ互角の敵と厳しい戦いを繰り広げなくても、その辺の弱い魔法少女を狩ればそれで魔法核は得られる。

無論、互角相手に勝利するようなハイリターンは求めるべくもないが、命が懸かった戦いにリスクは少なくて困ることはない。
悪魔が魔法少女の自由な戦いを推奨している以上、そういったローリスクローリターンの『小遣い稼ぎ』をしている魔法少女が、
少なからず存在するはずなのだ。南雲はルーズリーフに以上のことを簡潔に書きだしていく。

「つまり、わたしたち三人のコールに応じる魔法少女は、夜宴で強くなって野良狩りをしてるベテランの可能性が特大ってこと。
 そりゃもちろん、野良試合でそこまで強くなったって魔法少女もいるかもだけど……夜宴派がマッチメイクの為に強い魔法少女へ
 片っ端から勧誘かけてる事実を鑑みれば、夜宴派魔法少女とそうでない魔法少女はかなり高い精度で選別できると思う」

南雲は水を傾け、ルーズリーフを裏返した。

「で、こっからが作戦。上手いこと夜宴派魔法少女を誘き出したあとどうするか。
 夜宴への渡りをつけてもらえるように――わたしが交渉するよ。場合によっては対価として魔法核を一個差し出してもいい」

この役目は魔法核を2つ所有している南雲が担うべきだろう。
敵が格上である以上、ボコって夜宴の場所を吐かせるなんてことはできまい。ならば平和的な話し合い以外に道はない。

「問題は、交渉が決裂したとき。向こうさんとしても三人をいっぺんに相手にする実力と自信があるのに、一個差し出されて満足。
 ……ってことにはならないだろうから、実際にはこのルートに入る公算が大きいと思う。だからそうなったら」

ここで初めて、南雲は逸らしていた眼を理奈に向けた。

「――理奈ちゃん、きみが狙撃して」

理奈の固有魔法ならば、相手の強さに関係なく当たれば確実に無力化できる。
それは麻子との戦いで実証済だ。問題は詠唱にかかる時間とその間の致命的な隙だが、遠距離からの狙撃であれば問題ない。

「交渉のテーブルにはわたしと萌ちゃんの二人で立つ。理奈ちゃんはバレない位置からスタンバって、わたしの合図で狙撃。
 細かい段取りはテレパシーの秘匿回線で並行してやってこう。今から念信の暗号化の手順を教えるから、頑張って覚えてね。
 ――ここまでで何か質問は?」

南雲は、理奈を巻き込む気がなかった。
狙撃というのもあくまで夜宴派に渡りをつけるまでに手を貸してもらいたいだけであり、断られればそれまでだと覚悟していた。
それでもついつい理奈を作戦に織り込み済みのような口調で喋ってしまったのは、きっと無意識に彼女を頼ってしまう悪い癖だ。

小学生の理奈にそんな重荷を背負わせてはならないと南雲は理性で知っている。
だけれども、やっぱり彼女にとって理奈は――苗時の言葉を借りるなら、不可能を可能にする『主人公』の天性を感じてしまうのだ。

無責任な信頼。4つも年上の少女から架せられた依存に、理奈はどう感じているのか。
失言に気付いた時の冷や汗のような感覚が南雲の背を撫でた。


【作戦立案。夜宴派魔法少女をおびき寄せて交渉する手順を提案する】

287 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/17 21:51:31 ID:???
一瞬だけ――厳かな視線で私を見つめた後、萌さんは静かにこう答えた。

>「すんません、かぼちゃのアイスくださーい」

ずこーっ!

よもやの追加注文で机に突っ伏す私。
一方の南雲さんは呆れ顔とまでは行かないまでも、「まだ食うのか」という表情がありありと見て取れる。
ボケも古けりゃリアクションまでベタベタに。まるで昭和のコントだよっ!平成生まれの私が言うのもなんだけど……。

いい感じに脱力したところでアイスとかぼちゃチップスが運ばれてくる。
白い冷気を漂わせるお皿を前にスプーンを動かしながら、萌さんが再び口を開いた。

>「何度も言ってるけどあたしゃやるし、出来れば理奈ちゃんも乗ったほうがいいと思う」

嗚呼、やっぱりか――。
少なくとも、この人が南雲さんに反対するとは思えなかった。反対して欲しくなかった、と言えば嘘になるけど。

>「何もしないなら、こんな話がずっと付いて回るってことじゃん」

萌さんの判断は“身を守る”ということに関して私よりも遥かに現実的だ。

>「これは比較的安全に強さを手に入れるチャンスだよ。あたしらは『主人公』なのかもしれない。でもさ……」

苗時さんやこの戦いから逃げたところで、何の解決にもならない。

>「死んじゃう主人公だっているよね。
>……身近な人間を泣かせるより、どっかの知らない誰かの涙のほうが、あたしは耐えられる」

それは。
それはまるで身勝手な考え方、のはずだった――
にもかかわらず、萌さんのその言葉はまるで今の自分の気持ちに一番当てはまるように感じてしまう私がいる。
嫌なのに、否定できない。正しくないけど、間違ってない。

「ところで……どうやって『夜宴』に接触するんですか?」
>「どうしたもんだろねー。求人広告とかウェブで募集があるわけでもないだろうし」

そう、ネットで公開されているということはホームページがあるはず。
私もそう思って昨晩ちょっとだけ調べてみたんだけど、グーグル先生でもヤフーでも該当するページは見つかりませんでした。
あまりにマイナー過ぎるのか、内容が内容だけに検索エンジンに引っかからないように細工がされてるのか……。


【続く】【残りのレスは日曜日の深夜になります】
【先に結論を申し上げますと理奈は南雲さんの作戦に乗ります】
【この先の問題は南雲さんの『コール』に何が引き寄せられてくるか……ですね】
【私の予想では
 (1)『夜宴』に参加中の初対面の魔法少女
 (2)何らかの事情で『夜宴』に参加した既に会った事のある魔法少女
 (3)夜宴の運営に関わっている魔法少女ではない人間
 (4)『夜宴』とは特に関係ない新たな魔法少女(新規参加枠)
 のいずれかか、この内の複数が「来る」と考えています】

288 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/19 07:09:13 ID:???

思索は続く。
とりあえず、もう一度『楽園』に頼るという選択肢は『楽園』の体質的にまず無しの方向で。
そもそも『夜宴』に直接関わりたくないから苗時さんは部外者の私たちにこの話を持ち掛けたんだし。

いっそ南雲さんや萌さんが契約した悪魔から『夜宴』のことを何か聞けないのかな?
私とあのセールスマンと違って南雲さんは悪魔と仲いいみたいだし。萌さんは……どんな悪魔と契約したんだろ。
いや、駄目か。どんなに仲が良くたって悪魔は悪魔だ。それをきっかけに『楽園』のことが知れたらきっと大変なことになる。

私がぐずぐずと考えていると、萌さんが真顔で呟いた。

>「いっそ道行く魔法少女に片っ端から喧嘩売ってみる?スカウトされるかもよ」

路地裏のストリートファイターですかっ!?
うぅ……スカウトって年頃の女の子ならもっとこう繁華街で声かけられて読モで雑誌に出ちゃう?みたいなプチ芸能人的なものを
夢想する言葉のはずなのに、何で私たちが使うとこうも殺伐とした単語になっちゃうんだろ……
魔法少女の悲しき宿命に人知れず涙する私を余所に、萌さんはどこ吹く風で二口目のアイスをパクリ。
しかし、南雲さんの反応は違った。

>「それだ! ちょっと待って、今作戦計画書を書くから」

ルーズリーフとボールペンを取り出し、簡潔にまとめていく。
魔法少女達が持つ基本スキル『コール』。その用途と効果。『夜宴』のマッチメイクに関するこれまでの考察。
以上の条件から導き出された、『夜宴』派魔法少女の私たち三人の『コール』に対する反応。

南雲さんは水を傾け、ルーズリーフを裏返した。

>「で、こっからが作戦。上手いこと夜宴派魔法少女を誘き出したあとどうするか
>夜宴への渡りをつけてもらえるように――わたしが交渉するよ。場合によっては対価として魔法核を一個差し出してもいい」

……後半の一言を聞いた私は南雲さんにどんな顔を向けてしまったんだろう?
悲しい顔?怒った顔?ごめんなさい。同じことを出来ない私があなたを責める権利なんて、何処にもないはずなのに……。
胸元に下げた二つ分の魔法核に触れる。私にはそのどちらも手放すわけにはいかなかった。
茅野さんとは、未だに連絡がつかないままだ。

>「問題は、交渉が決裂したとき。向こうさんとしても三人をいっぺんに相手にする実力と自信があるのに、一個差し出されて満足。
>……ってことにはならないだろうから、実際にはこのルートに入る公算が大きいと思う。だからそうなったら」

>「――理奈ちゃん、きみが狙撃して」


【続く】

289 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/19 07:12:02 ID:???
>「――理奈ちゃん、きみが狙撃して」

真っ直ぐに、私を見た。

「わかりました」

逡巡の余地も無かった。
出来るかどうかじゃない。今はこの人たちの役に立てるとわかったことがとてつもなく嬉しかった。

>「交渉のテーブルにはわたしと萌ちゃんの二人で立つ。理奈ちゃんはバレない位置からスタンバって、わたしの合図で狙撃。
>細かい段取りはテレパシーの秘匿回線で並行してやってこう。今から念信の暗号化の手順を教えるから、頑張って覚えてね」

二人の夢を守る為なら――“私”は何だってやってみせる。

>「――ここまでで何か質問は?」

無い。
もし仮に誰もやって来なかったときはどうするのか、なーんて事も思いましたけど。そんなの――考えるだけ無駄だよね。

萌さんからの質問を確認し、私たち三人は夜の街へと繰り出した。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――

まるで、天の川みたい――そんな陳腐で綺麗な喩えが、無数の光の中で浮かんで消えた。
やって来る白い光はいずれも赤色の尾を引いて走り去っていく。
どこまでも。
いつまでも。

歩道橋の中心に立つ南雲さんと萌さんを確認。今の私はその斜向いにある立体駐車場の屋上にいた。
覚えたての暗号を使い、『準備完了!』の念信を送る。かじかむ手に息を吹きかけると、白い息が夜風に溶ける。

ここは二車線の国道が交わるこの街で最も大きな交差点。
どの時間帯も交通量が多く、夜でも沢山の車が往来している地点である。
南雲さんと萌さんにはその上に架けられたX字の歩道橋の丁度真ん中に立ってもらっている。

呼び出す場所を何処にするか決めるときに、私が提案した。
理由は二つある。

一つは二人と相手の姿を確認しやすく狙撃しやすいから。
もう一つは通路が限定されているため、向こうから来る相手を見つけやすいから。
流石の魔法少女でもこれだけ車の行き来が激しい場所で奇襲を仕掛けてくるのは難しい……という読みである。

寒風に耐えかねた私は物陰にしゃがみこみ、南雲さんたちの合図を待つことにした。


【南雲さんの提案を受ける、何だか危う気】【狙撃地点にて待機】
【『夜宴』のネタを投下するに当たって南雲さんのほうで解説されていた魔法少女の特性(常人には見えず、カメラにも映らない)
 に今のところ矛盾が生じてしまっていますが、決して無視しているわけではありませんのでご安心ください】
【いつも遅くなってごめんなさい、レスは以上です】

290 : ◆Gw1TY5I6ic :11/09/22 01:08:50 ID:???
萌の"提案"に何事か考えこむ様子の理奈。
対して南雲は頭上に100ワット球を浮かべて叫ぶ。
>「それだ! ちょっと待って、今作戦計画書を書くから」
言いながらバッグをひっかき回して筆記具を取り出し、勢い良くペンを走らせる。
>「道行く魔法少女に喧嘩売るっていうか、こっちから夜宴派の魔法少女を引っ掛けることはできそうだよ。 」
ペンの勢いは緩めずに口を動かし、プランを示す。

要約すれば、"海老"で"鯛"を釣り、その伝手で夜宴に接触しようということだ。悪くない構想ではある。
どこか適当な場所で"コール"をするだけと、手間は全くかからないので、よし食いついてこなくとも何度でも試行できる。
誰かしらとの接触の後に夜宴と繋ぎが取れるならもちろんよし。"鯛"が暴れるようなら――
>「――理奈ちゃん、きみが狙撃して」
>「わかりました」
理奈が"締める"。

先日の一戦で理奈や南雲の戦いぶりをよく見ていなかった萌には、これが適所配置かは分かりようがない。
しかし、共に戦い、少なくとも一端は垣間見たはずの南雲の発案である。
そして、内心に何が潜んでいるのであれ、寸毫の躊躇も見せずに理奈はそれを受けた。
力があって、意思がある。ならば止める理由などどこにもない。

それで一撃、とまではいかなくとも痛打にはなるだろうし、余程の実力者であれ、そこから二人がかりで袋叩きにしてやれるはずだ。
完全にただの強盗の所業だが、事ここに至って外聞など気にするものでもないだろう。

>「交渉のテーブルにはわたしと萌ちゃんの二人で立つ。理奈ちゃんはバレない位置からスタンバって、わたしの合図で狙撃。
> 細かい段取りはテレパシーの秘匿回線で並行してやってこう。今から念信の暗号化の手順を教えるから、頑張って覚えてね。
> ――ここまでで何か質問は?」
「……それは、なんかあったら肉体言語にて仕れってこと?」
ただ居るだけの可能性が高いにしろ、まさか自分が交渉の場などというものに引っ張り出されるとは、露ほど思っていなかった萌であった。

「ま、いいや。とりあえず動こ。小娘どもの茶代はおねーさんが持ったる」
指で弾いたかぼちゃチップスを口で受け止めながら萌は席を立った。
萌が注文した総額からすれば二人分の飲み物の料金などもはや誤差程度だ。
甚だしくは誰ぞを殺めんか、という時に数百円で士気が上がろうはずもないが、まあこれくらいは年上の務めというものだろう。
_
   ― 
       ̄
遮るもののない歩道橋の上を、寒風が吹き抜けていく。今日の"ポイント"はここというわけだ。
理奈から発せられた暗号が脳幹を揺らす。準備完了。
「んじゃ始めるよー」

萌は念話と音声で同時に宣言し、腕を真っ直ぐ前に伸ばす。指先の鎖の先には魔法核。
わざわざ核を持つ必要はないのだが、こうしたほうが"鳴らしている"というイメージがしやすい。
音質で食いつきが違うわけでもないだろうが、気の持ちようは大事なものである。
ゴングのようにかーんと高く抜ける不可聴の音が、空気を揺らすことなく街を走り抜けてゆく。

「"これ"からの狙撃の繰り返しで核貯めて、楽園にも関わらずに"上がり"にできりゃあいいんだけどねえ」
実際に手を汚す方の内心などまるで構い付けず、いたって気楽に呟いた。

【"ルアー"をキャスト】

291 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/25 04:20:15 ID:???
【すいません!またしてもビジっちゃっててもう一日二日遅れそうです。暫しお待ちを!】

292 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/09/25 20:55:40 ID:???
【確認しました。お仕事でも勉強でも頑張ってくださいね】

293 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/27 15:08:16 ID:???
>「わかりました」

予想していた拒絶はなく、理奈は提案に即答した。
南雲は口の中に乾きを感じ、落ち着きなくグラスをもう一度傾けた。
こと彼女に関して、『ことの重大さを認識していない』というのはないのだろう。
自分たちが何をやろうとしていて、自分に何が任されているのか、理解して、把握して。
その上で快諾しているのだ。

「…………ごめんね、ありがと」

その決意の眩しさに、その諦念の沈重さに、南雲は再び目を伏せずにはいられなかった。

>「……それは、なんかあったら肉体言語にて仕れってこと?」

「そういうことになるね。というか、魔法少女《わたしたち》の間で一番シンプルなコミュニケーションがそれだと思う。
 勝ったほうが負けたほうに優先する、大昔から現在に至るまで通用されてきた万人の『交渉手段』」

なにせ相手も自分も、六法全書から逸脱した領域に立っているのだ。
裁判所も法令も刑事訴訟も関係ない、アナログな存在証明。戦う力というアイデンティティに縛られた者たち。

>「ま、いいや。とりあえず動こ。小娘どもの茶代はおねーさんが持ったる」

(茶代って……)

またえらく古めかしい言い回しもあったものだ。
そもそも本人はお茶とか言うレベルの飲み食いじゃないし。
この萌という魔法少女を誰かに紹介するにおいて、必要な文字は原稿用紙一行と必要ないだろう。
『ガワだけ普通』。魔法少女の変身は、その者の本質の発露なのだから。

 * * * * * * * 

>「んじゃ始めるよー」

理奈から降ってきた準備完了の報告を受けて、萌が飄々と切り出した。
これから自分たちより遥かに格上の相手を呼び出すというのに、その口調には一切の淀みがない。
発案者の南雲ですら、ここに来るまでの口数はかなり減少していた。喋るのに使う体力すら温存するように。
南雲も魔法核を掌に載せ、『わたしはここにいる』と強く念じた。魔力が不可聴域の音波に変換され、寒空を駆けていく。
音は、近代戦闘機に搭載されている電子兵装のレーダー音に似た、ピンッという柔らかく通る音だった。

>「"これ"からの狙撃の繰り返しで核貯めて、楽園にも関わらずに"上がり"にできりゃあいいんだけどねえ」

「あはは。それこそ、そうしてる間に夜宴からスカウトが来ちゃいそうだけどね。このやり方って目立つし。否応なく」

むしろ任意で"目立つことのできる"このシステムを応用した作戦なのだから当然だ。
なにせ南雲と萌は有り体に言って『餌』である。こんなことを何度も続けていれば釣り上げる前に餌だけ食われることもあるだろう。
そうなったときに、そもそもの地力に乏しい彼女達が立ち上がれるかどうかは、また別の領域の話になる。

「――来るよ。思ったより早い」

念の為にこの街の上空にいくつか哨戒飛行させていた南雲の紙飛行機が一機撃墜された。

294 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/09/27 15:08:55 ID:???
位置は彼女たちの立つ歩道橋にほど近い商店街、そのアーケードの上辺り。
来ようと思えば数秒とかからず会敵する場所だ。南雲は素早くホルスターから自動拳銃をとり、スライドを引いて初弾を装填した。
理奈にその旨を念信し、南雲は銃を構えた。破壊力より制圧力を重視した、フルオート射撃可能なマシンピストル・グロック18だ。

攻撃の気配は依然近づいてくる。高速だ。知史のような高速移動タイプかと、南雲は大まかに推測する。
同時に背中を冷たい汗が駆け下りていった。何か考えから漏れていないか。この作戦は本当に完璧か?
敵性気配が足を止める。まだ会敵はしていない距離であるにも関わらず、その足取りはぴったりと定位置で固定されてしまった。
まさか――

「――萌ちゃん、『伏せて』!!」

魔法核が臙脂色に輝き、萌に魔法をかけた。
その命令に客観的合理性と社会的相当性が"ある"と魔法核が判断し、萌に瞬間的な屈脚を強制する。
そしてその判断は正しかった。南雲も身を投げるようにして歩道橋に伏せた刹那、彼女たちの頭上を光の束が突き抜けた。
突風と轟音を随伴させた攻性魔力の塊は、歩道橋の手すりと柵の上半分を食い荒らし、灰色の空を貫いていった。

(考えが甘かった……!こんな見晴らしの良い場所で待ち伏せしてれば、『相手も同じことを思う』に違いないのに!)

萌にかけた業務命令を解除し、南雲は彼女とは別方向に半壊した歩道橋を駆ける。
止まっていては狙い撃ちだ。せめて一撃で二人同時に消される最悪のケースだけは回避する。

『理奈ちゃん、萌ちゃん!ごめん、出し抜かれた!相手のほうが一枚上手だったみたい――』

光の発射点へ向けて、申し訳程度にグロックを連射する。9ミリパラベラム弾をフルオートでばら撒くが、手応えはない。
代わりに再び攻性魔力が膨れ上がるのを感じた。慌てて歩道橋から飛び降りると、背後で爆熱と轟音を感じた。

『狙撃されてる……!!私たちが理奈ちゃんを伏兵にしたように、相手もノコノコ出てくるわけなかったんだ!』

完全な南雲の失策だった。
相手をおびき寄せているつもりだったが、それは相手が『己の強さに慢心し、わざわざ直接対決しに眼前へ顔を出す』のが前提だ。
もしも敵が己の力を過信せず、勝てそうな相手にも遠方からの狙撃で決着をつける古強者タイプだったら――
その懸念を怠った結果が今この状況である。

『相手が狙撃手なら、有機的に逃げまわる3つの的を同時に狙うなんてできないはず。
 ――わたしが引きつけておくから、二人は可及的速やかにこの領域から離脱して!変身さえ解けば、敵は追えないから』

しんがりを務める義務が南雲にはある。
彼女の失敗が原因で理奈や萌までが命を落とすことになれば死んでも死にきれない。
幸いにもさきほどの攻防で敵の攻撃にはある種の予兆が見えた。射撃に対応してきたあたり、こちらの攻撃もダメージにはなるはずだ。
二人が逃げきる時間を稼ぐことぐらいは彼女にも可能なはずである。

(その後は――仲間のために、かっこ良く自爆でもしようか!)

己の命を『割りきって』、南雲は狙撃手を挑発する試みに出た。


【作戦失敗。喚んだ魔法少女からの狙撃を受け散り散りに。南雲がしんがりを努め、二人を逃がす算段をテレパシーで伝える】
>>287 (2)で麻子ちゃんが呼ばれて来てもいいなと思いましたが、夜宴の戦いでバトルする羽目になってもドラマチックでいいかも】
【おくれてすいませんでした】

295 : ◆Gw1TY5I6ic :11/09/29 23:59:28 ID:???
萌と南雲の"コール"の音が、談笑に混じって、数度、夜気を駆ける。
>「――来るよ。思ったより早い」
時期か速度か、あるいは両方か。その"早さ"はすぐに萌にも感じ取れるようになった。
抜き放った拳銃をコッキングした南雲は、しかし怪訝な顔つきで気配の方角を見ていた。
萌もそちらへ視線を向ける。空の低い位置にオリオンのベルトが見えた。アルニラムが光を増す。
>「――萌ちゃん、『伏せて』!!」
異常を感じた萌がそうしようとするよりも早く、南雲の魔法が遮蔽物と呼ぶにはあまりに頼りない手摺の陰へその体を押し込んだ。

「……オリオン座にビーム撃たれるとか、レアだよね」
光が通り過ぎた後の、綺麗に何もなくなった空間を眺めながら萌がこぼす。
もちろん、衛星軌道すら通り越した他恒星系からの、千年越しの一撃が今ようやく到達したわけではないことは十分に理解している。
もはや砲撃と言っていいレベルの魔力投射攻撃であるそれは、歩道橋より高度的にはやや下方、商店街のアーケード上からのものだった。
射手の姿はシルエットすら見えない。

>『理奈ちゃん、萌ちゃん!ごめん、出し抜かれた!相手のほうが一枚上手だったみたい――』
念話をしながら発砲しているらしく、連続した銃声がかぶさる。それを全く意に介さぬように、もう一発"砲撃"が飛んで来た。
萌は即座に頭から階段へ飛び込みつつ変身、受け身を取ってとりあえずは射手の視界からは外れる。距離自体はかすかに縮まっているので、当然探知はされるだろう。

>『相手が狙撃手なら、有機的に逃げまわる3つの的を同時に狙うなんてできないはず。
> ――わたしが引きつけておくから、二人は可及的速やかにこの領域から離脱して!変身さえ解けば、敵は追えないから』
(はいそうですか、ってわけにもね)
容易いことではない。情緒的な理由はもちろんある。理奈もそれは同様だろう。
だがそれよりも、性急な撤退は危険だという意識が萌の中で大きな部分を占めている。
迂闊に退けば退いただけ相手が押し込んでくる。一度こちらから前に出て、相手の出足を止めてから下がらないと、間合いというものは切れない。
リング状での一対一でも街中での多人数戦闘でも、戦闘における根本のテクニックやフィロソフィーというものはそう違いはないはずだ。

296 : ◆Gw1TY5I6ic :11/09/30 00:00:07 ID:???
『三つを同時に狙えないって言うなら、二つに同時に狙われるのも厳しいんじゃないかな』
相手は同じような戦術をとった。では人員構成は?
そこまでこちらと同様ならもはや詰んでいるに等しいが、単独であれば余程の強者であっても隙は突ける。
単純に、一人が認識できる事象には限りがあるからだ。
魔法を使うことで五感以外で周囲の情報を得る事ができるが、そうやって得た情報が多いほど、その処理には時間がかかる。
(はずだけどなあ……)
不可能を可能にするのが魔法なので、あまり期待もかけられないところではあるのだが。

『もっぺん手を出させる。相手が同じところから撃ってくるようなバカならあんたら二人でぶっぱなせ』
二発目の砲撃は南雲の方を狙ってのものだった。歩道橋上の二人のうち、どちらをより大きな脅威と考えていたかがこれで伺える。
南雲の銃弾は通じるのだ。それよりも威力の高いらしい理奈の魔法も当然ダメージになる。
そして、向こうの攻撃は恐ろしいものだがひどく目立つという欠点がある。
射撃位置の割り出し自体は容易いし、回避も少なくともこの距離ならまだ難しくはない。

『それから尻まくって逃げよ、みんなで』
逆に位置を変えながら撃つ周到さがあるなら、それはそれで有利に働く部分もある。
撃ちやすく、なおかつ撃たれない位置というのはそうそうあるものではないはずだ。
つまり攻撃間隔が延びるということで、その分だけ対処にもある程度の余裕ができる。
――問題は、その"撃ちやすい場所"の一つに理奈がいることだ。これはもう鉢合わせないようにと祈るしかない。

萌は変身を解きながら地下鉄駅に飛び込んだ。居合わせた普通の人々の目線が少々痛かった。
ここから逃げようというわけではない。移動速度自体は"魔弾の射手"に劣るものではないが、飛行ができないので、
もし標的に定められたら即座に追いつかれてしまう。。ちょっとした目眩まし程度のことだ。

駆け下り、駆け抜け、駆け上がり、再び地上へ。
ここからならアーケードを別の角度で見ることができる。が、やはり射手の姿は見えない。もう少し奥まった場所にいるのか、既に動いた後か。
まだいればいいのだけれど、と考えながら萌は細く息を吐く。
それから息を吸い直して、変身しつつアーケード前を横切るように全速で駆け出した。

【的になりに行く】

297 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/01 16:52:08 ID:???
【読み飛ばし可】

>「んじゃ始めるよー」

思念が届くと同時に萌さんが腕を伸ばす。手の先にはチェーンにぶら下げた魔法核。
次の瞬間、魔法少女にしか聴こえない音が広域に響き渡る。
『これ』を感じるのは二度目だ。耳で聞く音とは全く別物なので、やっぱり変な感じがする。
南雲さんもそれに続いて『コール』を発信。フィッシング開始。釣れるのは鯛か、それとも熊か。

にしてもこの『コール』の音。
萌さんはゴングで、南雲さんはレーダー(?)かあ……。
こういうトコでも個性って出るのね。私がやったらどんな音になるんだろ?

などと、取りとめも無い思考をめぐらせながら二人を見つめる。
自分の中にある不安を誤魔化す為によくやる手なんだけど、自覚があるのでちょっと上滑り気味だ。
……こうやって、ときどき醒めた目で「私」を見ている「もう一人の自分」のような感覚が、私はどうしても好きになれない。

まるで私が誰かに操られているような――――そんな錯覚をしてしまうから。

<君達は『主人公』だ>

うー、あの人があんな事言うから!だから!
だから……何だと言うんだろう、人の所為にして。いつも自分に裏表があるのは嫌?自分にも他人にも常に正直でありたい?
自分に全く矛盾の無い、爽やかで底抜けに明るくて、真っ直ぐな人間になりたい?どうなの、神田理奈?

――――できれば、そうありたい。

<君は自分が嘘を吐いていると、理想論を謳っているだけだと自覚していただろう?>

…………!!

<もしも本心からあんな事を言えるのなら、それはもう精神異常者だ>

私の深層にして深窓のガラスに亀裂が走る。ヒビ割れの形は縦横に連なる蜘蛛の巣にも似て、その領域を拡げていく。

<自分が見たくないからって、嘘を吐いてまで他人の意志を歪めるだなんてね>

どうして……?あのときは何も感じなかったのに……どうして、今になって。

<私なんかより余程酷いんじゃないかな?>

呼吸が乱れる。喉が渇いて汗が噴き出した。濡れた身体を夜風が冷やし体温がみるみるうちに下がっていく……。
――考えるのは、止そう。
立ちくらみに似た感覚にとらわれそうになったその直前、私は頭からそれらを振り払った。
これから戦いになるかもしれないというときに、こんな状態じゃ危なっかしすぎる!

【続く】【核心に触れた言葉の毒素が今、時を隔てて精神を汚染する】【←漫画の煽り文風に】

298 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/01 16:53:43 ID:???

>「――ここまでで何か質問は?」
>「……それは、なんかあったら肉体言語にて仕れってこと?」
>「そういうことになるね。というか、魔法少女《わたしたち》の間で一番シンプルなコミュニケーションがそれだと思う。
>勝ったほうが負けたほうに優先する、大昔から現在に至るまで通用されてきた万人の『交渉手段』」

人、それを弱肉強食と言う。小学生すら知っている四字熟語だ。
でもその言葉が意味するところと、その字義がこれ程まで世間様に浸透している理由を考えた人は多分少ない。
と、言うのもこれがいちいち覚えなきゃその理屈が通じない「法律」ではなく、考えるまでもない「摂理」だから。
何年か前に私は叔母さんに「どうして戦争は無くならないの?」と、尋ねたことがある。
私が言うのもなんだけど……今思えば如何にも子どもらしい素朴な疑問だったと思う。そのとき聞いた答えに似ている。

要するに南雲さんの言うとおり、一番シンプルで手っ取り早いのだ。
私自身がどう思っているとか、それがもたらす結果がどうなるとか、そんなのは一切関係なく。一つの手段として。

>「ま、いいや。とりあえず動こ。小娘どもの茶代はおねーさんが持ったる」

ええ、ほんとにっ!?
と、喜んだのも束の間。私はまだお水しか飲んでません。
ちょっとだけお待ちいただいてバターワッフルとダージリンのセットをご馳走になりました。

「あら、理奈。こんな遅くに三人でおでかけ?」

店を出る私を叔母が呼び止める。

「え?ううん、今から帰るところだけど……」
「あらそーぉ?ならいいけど。あんたのお友達、また連れてきてね」
「どうして?」
「あの子の食べっぷり、見てて気持ちいいんだもの。あれだけ美味しそうにたいらげてくれるとこっちも仕入れ甲斐があるわ」
「……うん!」
「それに、若い割りに金払いもいいし」
「…………」

以上、閑話休題。

魔法核を鳴らしながら歩道橋に立つ二人は、今どんな気持ちで相手を待っているのか。
『固有魔法』の性質の違いか、他の魔法少女の接近に対する私の索敵範囲は南雲さんのそれよりもはるかに狭い。
故に、スナイパーが狙撃前に気付かれては元も子もないので変身はどうしても南雲さんの合図を待ってからになる。

>「――来るよ。思ったより早い」

待機から警戒へ。私は腕を振って魔装に変身した。相変わらず掛け声も無ければBGMも無いけれど、脳内で補完してください。

【変身・待機】【続く】

299 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/01 16:57:20 ID:???

南雲さんは既に銃を構えている。対話による交渉の線は消えた。
魔装を見に纏いつつも、私は相手に察知されないようできる限り発生する魔力を抑えた。
『呪文』の詠唱は相手の姿を確認してからでも遅くない。

そのはずだった。

――刹那、砲声が轟き二人の立っていた歩道橋を一条の光が直撃した。
収束した魔力が虚空を穿ち、白き曳光の直線を描く。

南雲さん!?萌さん!!?

思わず身を乗り出しそうになったのを、何とか持ち堪える。
消し飛んだ手摺りの間から二人の姿が確認できた。はー……、肝が冷えるよ。

>『理奈ちゃん、萌ちゃん!ごめん、出し抜かれた!相手のほうが一枚上手だったみたい――』

南雲さんからの暗号念信。
短機関銃で応戦して手応えなしと見るや、すぐさま歩道橋を飛び降りる。
直後、さっきまで南雲さんが立っていた場所に第二射が叩き込まれた。再び爆砕される歩道橋。
相手は私たちだけでなく公共物にも優しくないらしい。

>『狙撃されてる……!!私たちが理奈ちゃんを伏兵にしたように、相手もノコノコ出てくるわけなかったんだ!』
>『相手が狙撃手なら、有機的に逃げまわる3つの的を同時に狙うなんてできないはず。
>――わたしが引きつけておくから、二人は可及的速やかにこの領域から離脱して!変身さえ解けば、敵は追えないから』

作戦は失敗。『夜宴』についての情報どころか逆に全滅の危機に瀕している。
せめて私たちだけでも逃がすのが提案者として、南雲さんが考える責任の取り方なんだろう――だけど

『駄目です!南雲さん、今更“それ”を言うのはおかしいですよ!?』

提案したのはこの人でも、賛成したのは私だ。ここで逃げるぐらいなら、最初から手伝ったりなんかしない。
だいたい場所を指定したのは私だし!かと言って、どうすればいいのか……

【南雲さんを置いての逃走を拒否】【続く】

300 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/01 16:58:20 ID:???

南雲さんは既に銃を構えている。対話による交渉の線は消えた。
魔装を見に纏いつつも、私は相手に察知されないようできる限り発生する魔力を抑えた。
『呪文』の詠唱は相手の姿を確認してからでも遅くない。

そのはずだった。

――刹那、砲声が轟き二人の立っていた歩道橋を一条の光が直撃した。
収束した魔力が虚空を穿ち、白き曳光の直線を描く。

南雲さん!?萌さん!!?

思わず身を乗り出しそうになったのを、何とか持ち堪える。
消し飛んだ手摺りの間から二人の姿が確認できた。はー……、肝が冷えるよ。

>『理奈ちゃん、萌ちゃん!ごめん、出し抜かれた!相手のほうが一枚上手だったみたい――』

南雲さんからの暗号念信。
短機関銃で応戦して手応えなしと見るや、すぐさま歩道橋を飛び降りる。
直後、さっきまで南雲さんが立っていた場所に第二射が叩き込まれた。再び爆砕される歩道橋。
相手は私たちだけでなく公共物にも優しくないらしい。

>『狙撃されてる……!!私たちが理奈ちゃんを伏兵にしたように、相手もノコノコ出てくるわけなかったんだ!』
>『相手が狙撃手なら、有機的に逃げまわる3つの的を同時に狙うなんてできないはず。
>――わたしが引きつけておくから、二人は可及的速やかにこの領域から離脱して!変身さえ解けば、敵は追えないから』

作戦は失敗。『夜宴』についての情報どころか逆に全滅の危機に瀕している。
せめて私たちだけでも逃がすのが提案者として、南雲さんが考える責任の取り方なんだろう――だけど

『駄目です!南雲さん、今更“それ”を言うのはおかしいですよ!?』

提案したのはこの人でも、賛成したのは私だ。ここで逃げるぐらいなら、最初から手伝ったりなんかしない。
だいたい場所を指定したのは私だし!かと言って、どうすればいいのか……

【南雲さんを置いての逃走を拒否】【続く】

301 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/01 17:04:05 ID:???
>『三つを同時に狙えないって言うなら、二つに同時に狙われるのも厳しいんじゃないかな』

萌さんから念信が届けられる。その思考には私のように感情論だけでなく、別のものが秘められていた。

>『もっぺん手を出させる。相手が同じところから撃ってくるようなバカならあんたら二人でぶっぱなせ』

格闘家――闘士としての、冷静な洞察力。テンパっていた私の頭でも、彼女が何が言いたいのかが直ぐに把握できた。
状況と観察から導き出されたそれは、一つの戦術。確かに“相手”の魔法の特徴から考えて、発射位置は特定しやすい。
そこを叩けばいいのだ。

>『それから尻まくって逃げよ、みんなで』

最後の一言は深追いして返り討ちに合う危険を犯さない為か、それとも私に気を使ってくれたのか……流石に自意識過剰かな、うん。
とにかく私を納得させる一番の理由になった。

『了解です。萌さん!』

地下鉄を駆け抜け、囮を引き受けた萌さんとその周囲に視線を巡らせつつ、詠唱を開始する。
“狙撃手”の砲撃と遜色ないほどの魔力量までチャージできたその直後……

「ごきげんよう。あら、そんな所に隠れてらしたの?」

背後より呼びかける、その声。

「お久しぶりね。相変わらずセンスのいいドレスですこと――――貴方の血で汚すのが勿体無くてよ」

私はそれに聞き覚えがあった。

【南雲さんを置いての逃走は拒否。萌さんの提案に合意して詠唱を開始するも何者か(既にお気づきかと思いますが既に登場したインパ
クトのあるあの人です)の接近を受ける】【“狙撃手”の人物像はお願いします】【>>300は間違えました……】

302 :名無しさん :11/10/04 23:52:09 ID:???
内定ブルー

303 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/05 11:48:45 ID:???
狙撃手相手に殴りあうには頼りない、装弾数たったの17発。
満填済みのマガジンをセットしながら、南雲は自動拳銃を抱くようにして走る。
今はこれだけが味方だ。ほかは頼れない。頼るわけにはいかない。

>『三つを同時に狙えないって言うなら、二つに同時に狙われるのも厳しいんじゃないかな』
>『駄目です!南雲さん、今更“それ”を言うのはおかしいですよ!?』

――背面に隠したはずの二人から、轡を揃える声が上がった。

なんのことはない。
彼女たちは『やる気』なのだ。一方的に狙撃される逆境から、一発逆転のチャンスを見出そうとしている。
苗時ならば"安っぽい倫理や薄っぺらい道徳"と揶揄しそうな感情に拠るそれではない。
勝ち目のない戦いから、それでも勝ち目を掴み取らんとする絶対の意志!

>『もっぺん手を出させる。相手が同じところから撃ってくるようなバカならあんたら二人でぶっぱなせ』

「……オーキードーキー!」

魔法核が輝きで満たされるのを感じた。
"魔法"とは"願い"の結晶。願いとは、前へ進まんとする気概そのもの。
――魔法少女は、基本的に、ポジティブでなきゃいけないのだから。

「『攻性制空圏《ライトウィング》』!」

空気を叩くように広げた両袖からあふれた魔力が結実し、いくつもの紙飛行機の形をとる。
空色に光る固有魔法の無数の翼は、風に乗って市街上空へと散じていった。
南雲は空に投じた紙飛行機、一つ一つの現在位置と大まかな状況を把握できる。
紙飛行機同士も連携して、さながら現代の電子戦のように大空を南雲の『制空圏』へと変えるのだ。

『最初の一発と次の横撃は発射位置が微妙に違った……相手は狙撃戦のセオリーに則ってる』

一発撃ったら即座に移動し、相手に自分の位置を掴ませない。
機動力に劣り、接近戦にも先を行かれる狙撃手にとって、居場所が割れることは殆ど致命的だ。
いわんや、この人数差。あちらにも仲間がいることは予想されるが、おそらく攻撃能力を持つのは一人だけだろう。
最初に砲撃を躱してから逃げ出すそのタイムラグで、他に攻撃使いがいれば十分に掃討できたはずだから。

『相手の性格は……静かに、一方的な狙撃に徹するストイックな狩人タイプ!』

304 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/05 11:50:22 ID:???
反撃に転じようとする気配を掴まれた以上、もはや挑発は効くまい。
狙撃を誘発できるとすれば――萌のように、自分の命を的にして一本釣りを敢行するほかないのだ。
その萌だが、地下鉄の通路を使ってアーケードの対岸へと向かったようだ。彼女の位置は常に紙飛行機がトレースしている。

相手がどう動くにせよ、アーケードの両脇を挟み撃ちにしてやれば萌と南雲のどちらかと鉢合わせることになる。
横道があるとすれば両脇のビルを登って逃げるしかないはずだ。
そんなことをすれば、今度は理奈から丸見えだ。

アーケードを奥に逃げて撤退される可能性もあったが、そうなればこちらとしては犠牲を出さずに追い払ったことになる。
迎え撃つ体制は盤石。
敵が出てきたら、即座にフルオートで17発を全て叩き込んでやる。

萌が魔装を纏いなおしてアーケード前を横切る。
狙撃手からすればモロ見え狙い放題の位置。
果たして狙撃は来なかった。アーケードからはうんともすんとも反応がない。
不審に思った南雲は、能力がバレるのも厭わず紙飛行機を一機飛ばしてアーケードの上の様子を見に行かせた。

「いない……?」

アーケードの上は無人。当然だが、人っ子一人存在しない。
撤退したのか?警戒を解いて良いものだろうか。

『理奈ちゃん、そっちは何か変化あった?――理奈ちゃん?』

念信による呼びかけがうまく繋がらない。まるで、別の魔力に干渉されているかのような……。
南雲の背筋を舐めるように風が吹いた。

寒風が経年劣化したアクリルの屋根を洗って、何かがカランと音を立てた。
危険物ではなさそうだが、念のためにそれを紙飛行機に載せて手元まで持ってくる。
萌と共に検分すると、それは大きめの手鏡だった。
よく磨き込まれた、卓球のラケットのような形をした手鏡が何故かアーケード上に放置されていた。

「これって、まさか――」

素早く目だけを動かして周りを確認する。
アーケードの入口に設置されたカーブミラーが、『不自然にこちらを向いていた』。

警告するより早く、カーブミラーが怪しく光り、その直径と同じ幅を持つ極太の光砲が萌目掛けて発射された。
口で言うのや業務命令じゃ間に合わないと判断した南雲は、テレパシーで危険のイメージだけ萌に送りつける。
彼女にできたのはそこまでだった。


【敵の遺留品と思しき手鏡をアーケードの上で発見。次の瞬間カーブミラーから萌へと狙撃と同じ光が発射】
【理奈ちゃんの会敵にはまだ気付いていない模様】

305 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/06 20:42:22 ID:???
【すいません。明日の深夜に投下します】
>>302 どうか諦めないで。あなたを必要としてる場所が、きっと何処かにあるはずです!

306 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/10/08 05:13:48 ID:???
くやしいですわ。
くやしいですわ。
わたくしとっても口惜しくてよ。
――あの夜、月の麗しき宵の口、わたくしは人生始まって以来の辱めを受けました。
今でも思い出します、あのいやらしい手つき。
相手は出所も知れぬ馬の骨。お月様に狂って気でも違ったか、突然わたくしの背後に回りこみ……

<御宅拝見ごめんくださいっ!>

あろう事か、わたくしのむ、胸を……胸を……キーっ!口にするのもおぞましい!!殺す!絶対コロス!!
(深呼吸)あらあら、わたくしとしたことがつい取り乱してしまいましたわ……ごめんあそばせ。
いずれにせよ、取りも直さずこれが驚天動地。
下衆な輩が優雅な私に触れるなんてあまりに過ぎたことだったというのは、ご理解いただけましたかしら?
初めて触れられるお相手は“あの方”と決めておりましたのに――あの飛行機娘、生かしてはおけませんわ。
“あの方”に操を立てる為にも、必ずひき肉にしてやらないと気がすみません。イヤダワハヤクスリツブサナイト。
不倶戴天のその女(使い方、あってますわよね?)、名を坂上南雲と言うそうです。
屋敷付きの興信所に顔写真まで割り出させたので間違いございません。
“いつものように”今すぐお宅を訪問して事無きを得たい衝動に駆られましたけれども……そうは問屋が卸しませんの。
『あの夜』、あまりの出来事で不覚にも気を失ってしまったわたくしを許可も無く負ぶって帰宅したセバスチャンの話
(無論、お礼をした上で張り倒しておきましたわ)によりますと、坂上はその後あの小憎らしい鎖娘とつるんでいるとか、いないとか。
……どうしてそんなことになったのか、それとなく心当たりはありました。やっぱり不思議ではありますけれど。
そんなことよりこのままでは目的が果たせませんわね。流石のわたくしも一度に4人を相手にするのは骨が折れましてよ。
――と、困り果てていたそのときです。

「あの…どうして殴るんですか」
「『力が欲しくないか』という上から目線の物言いがすこぶる気に障ったの」
「すいません……ちょっと調子に乗りました」
いいわ、発言を許可します。私は自慢の金髪をソファに変形させて続き待ってあげることにしました。
「『夜宴』というものをご存知でしょうか――?」
セバスチャンの口から伝えられたそのお話は、それはそれは興味深いものでした。

307 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/08 05:35:47 ID:???
【すいません。今日はここまでしか出来ませんでした……】
【エミュレートされた門前さんの思考と私の気持ちは無関係ですので気に障ったらごめんなさい】
【もうちょっと続きますが、ターン同時進行でも合流は可能だと思います。萌さんはどうか気にせず続けてくださいね】

308 : ◆Gw1TY5I6ic :11/10/09 20:15:09 ID:???
駆ける、駆ける、駆ける――そして何事も無く駆け抜ける。
右足拇指球を支点に反転、前進していた方向へ勢いで二歩ほど後退して、そこで速度がゼロになった。

「まるっきりノーリアクションとは……」
目に映るものはなく、魔力反応もなく、気配すらない。
一瞬、萌が確認に行くのをためらう間に、南雲が紙飛行機を動かして屋根の上を確認した。
無人で、鏡が残されていただけだった。合流して萌もそれを検める。いささか大きめであること以外、何の変哲もない。
あるいは何かの魔法がかかっていたのかもしれないし、見た目通りただの鏡かもしれないが、どちらにせよ魔法の痕跡は感じ取れない。

>「これって、まさか――」
「まさか、だろうねえ」
鏡の意味に気付いて周囲を警戒する南雲をよそに、萌は受け取った鏡を爪で叩きながら呟いた。
つまり、これで魔法を反射する事により、射撃位置をさらに特定しづらくしていたのである。
タネが割れたので攻略も容易、とはなかなか行くものではない。

目立つことに変わりはないので射手から鏡に向かって進む魔法を視認することは可能だろう。
だが視認した次の瞬間には反射が終わっていて回避せざるを得ず、
一発ごとに位置を変えているのか、そう思わせて留まっているのかすら判然としない。
改めて射手の魔力を探ってみても反応は無く、姿を捉えることもいまのところ不可能。
撃たれた後に対応するしかできず、つまり後手に回り続けることになる。

といったような萌の思考を、形を成さない危険のイメージが断った。
サイドステップをしながら振り向き、反射的に腕を振る。
萌を飲み込まんとしていた光条の何割かが、鏡に叩き返されてあらぬ方向へ飛び散った。
そして、鏡を持っていた右腕全体に広がる酷い痛み。指を開くことができない。
恐らく焼き付いているのだろう。見たくもないので目は向けないが。

「助かったわ」
萌はイメージを送信してくれた南雲に礼を述べつつ、即座に傷を治す。ダメージの程度が測れた後では痛みなど邪魔なだけだ。
魔力の温存よりも、行動を阻害する要因の排除を優先すべきである。
『理奈ちゃん、今のは見えた!?』
念信を送るが、返答は無し。というよりも、向こうに届いていないというような"感じ"がした。
この分では、理奈の方からの念信を受け取ることもできないのだろう。
連携、連絡を断ち、位置を隠蔽し、極力遠くから可能な限り強力な打撃を与える……基本的で理想的な戦闘の形というわけだ。
これだけのタスクを一人でこなすのは恐らく不可能だろう。相手も複数。ならば理奈の方にも敵が行っていることは容易に想像できる。

「向こうはなんとか自分で切り抜けてもらうとして、こっちはどうしよっか」
いたって飄々とした調子で、萌は呟いた。恐怖はある。心配もしている。
しかし、事ここに至ってはただ逃げるだけでも至難である。当初の予定通り、前に出ることで打開していくしかない。
喚くことも慄くことも、手の届かないことに心を煩わせるのも、その目標に対しては障害にしかなりえないのだ。
そんな感情は、無理にでも踏みつぶしておかなければ際限なく膨れていくだけだということを、萌は自らの経験を以って理解している。

とはいえ、覚悟はあれども方策はなく、悪いことに周辺には大量の反射物がある。
今使用されたばかりのカーブミラー。店先のショーウインドウ。ビルの窓。
ひょっとしたら、周辺に停まっている車や自転車のメッキパーツですら――

(――あれは)
そこまで確認した所で、萌の視線が止まった。
手を握る。開いたときには目的の物が生成されていた。
物体生成は基本的な魔法だ。もちろん萌にもそれ自体は可能である。問題は、その速度と精度だ。
『もう一発撃ち込んでもらおう。もしそっちが勘づいたらさっきみたいに頼むわ』
生成物を消しながら、背中合わせに立つ南雲へ念信を送る。砲撃に備えてやや腰を落としてかかとを浮かせる。
"待つ"ならしゃがむのが礼儀だろうかと、どうしようもない考えが頭を掠めた。

ぶっつけの一発勝負、成功しても相手に打撃になるかは不明、失敗すればほぼ確実に戦闘不能。
有利な要素が一つもないが、やるしかない。
"動かないことは諦めること"だ。

【待ちに入る】

309 :名無しさん :11/10/12 23:13:51 ID:???
理奈さん大丈夫?

310 :神田理奈(&業務連絡) ◆O9eTRO0ZSM :11/10/15 00:26:23 ID:???
はい、生きてますっ

【し……週7とかありえないんですけd】

本編の私も誰かさんも色々と危険が危ないですけど
「すぐに」レス作らせますから、もうちょっとだけ待っててあげてくださいね☆

311 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/10/15 21:22:20 ID:???

「お初にお目に掛かりますわ。わたくし、門前 百合子(もんぜん ゆりこ)と申します」
「へー、今日の相手はお姫様?可愛いねー」
翌日、わたくしは最初の対戦相手と合間見えることとなりました。
これから牛でも屠るのかと言わんばかりの大鉈を下げたお転婆そうな女の子です。
私に向かって可愛いですって。別に嬉しくないんだけど?褒められるのは慣れてるもの。
「ま、魔法核をお持ち帰りするのは私だけどー」
鏡のような刃に一瞬わたくしの姿が映り込んだ――かのように見えました。
まあこわい。気分はさながらB級ホラーシネマのヒロインのよう。いざ、戦闘開始です。
「勝っちゃうけど、いいよね…………答えは聞いてない!」
「なら、聞かないでくださる?」
飛ぶような速さで鉈を振り上げてやってくる女の子。決着はすぐに決まりましたわ。
だってそうでしょう?
「え?ちょっと、何コレ……ヤダ!ヤダ!ヤダ……!!」
わたくしが地面に張り巡らせておいた髪が、髪の、髪を、髪に、髪へ、髪と、髪から、髪より、髪で、髪や、髪によって
女の子は絡めとられて、動けなくなってしまったのですから。
ゆっくりと見物するほどの物ではありません。

わたくしは髪で大きな二つの掌を作ると、そのままぎゅっと彼女を握り締めました。ドロっとした液体が路面に零れていきます。

随分楽に片をつけてしまいましたけれど、問題ありません。
表向きには出されていませんが、人気が低迷した娘に対する運営の方針なのだそうです。
「コレはいただいていきますわね」
残ったお肉の塊から汁まみれの魔法核を拾い上げ、汚れを消しつつわたくしはそう呟きました。
もう聞こえていないようでしたけれど。

【門前百合子、『夜宴』に参加。魔法核を一個取得】

312 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/10/15 21:23:11 ID:???
それからしばらく経って。
わたくしは一人の魔法少女と行動を共にするようになりました。
勿論お友達が欲しかったわけではありません。むしろ彼女から雇用の申し出がありましたの。
お互いの能力や表向きのステータス、情報、魔法核を集めるにあたってそれぞれの短所を補えるという見込みがありましたし。
雇用とは形ばかり、良くも悪くも彼女とわたくしは純粋な相互利益の為の対等な関係でした。
わたくしの財力と彼女の知識を元に、わたくし達は『夜宴』とは関係の無い魔法少女を割り出して狩りに興じました。
彼女と一緒に力を蓄えていけば、いずれわたくしの目的も達成されることでしょう。

けれど、その機会は思いがけないほど早くやってきたのです!

一仕事終わって家路についていたこの夜、わたくし達は何者かの信号を受信しました。
魔法少女が自らの位置をわざわざ知らせるときに使う手段だと、彼女は言いました。
どうしてそんなことをする必要があるのかと不思議に思ったわたくし達でしたが、ひとまずそちらに向かうことに。
興奮しましたわ。歓喜いたしましたわ。
憎きあの坂上南雲が殺してくださいとばかりにわたくしの眼前で待ってくれていたんですもの。
さあ、今すぐその首を刎ねてあげる!と飛び出そうとしたわたくしでしたが、彼女にあっさり引き止められてしまいました。
どうして止めるの?何故わたくしの邪魔をするの?何なら先にあなたからすりつぶしてあげてもよろしくてよ?

???「――――」

あら、いけない。わたくしとしたことが、そんな初歩的な罠に気付かないなんて……いえいえ勿論わかっていてよ。
茶目っ気を見せてあえて引っかかったフリをしてあげたの。決まってるじゃない。何よその顔は。
そういうわけで、まずは彼女が遠くから仕掛け言われたとおりあちらの「伏兵」を探すことにしましたの。
変身前ならまだしも、応戦の為に爆発的に膨れ上がったその魔力量……位置を特定するのは容易だったわ。

「ごきげんよう。あら、そんな所に隠れてらしたの?」

いるとは思っていたもの。

「お久しぶりね。相変わらずセンスのいいドレスですこと――――貴方の血で汚すのが勿体無くてよ」

鎖娘の気配が無いのを確認したわたくしはそのまま彼女に迫りました。


【門前百合子、魔法核を複数個取得。あらかじめ“狙撃手”と連携がとれていた模様】

313 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/17 21:44:22 ID:???

まずい。まずい。これはまずい。
首筋から噴き出した冷や汗が、背中を伝って流れ落ちる。

「もしかして門前さん、ですか?」

振り返らず反応だけを示す。

門前「あら、わたくしのこと、覚えてらっしゃったのね。光栄だわ」

確認するまでもない確認の目的は、要するに時間稼ぎ。コンマ数秒のシンキングタイム。

「あはは、お互いさまです」

背中越しなので距離感がつかみにくい。私は声の大きさや響き方でだいたいの見当をつけてみた。
近い。2メートルもないかも。このままやり合えば間違いなく接近戦――門前さんの間合いになる。確実に不利だ。
どうする?詠唱はまだ途中だけど、このまま振り向き様に叩きつけて飛び降りようか……?
階下を覗き見る。屋上から見下ろした風景とその距離に、目眩を覚えた。でも、やるしかない。

この人は、私を殺す気だ。

門前「面倒ね……さっさと済ませましょう」

「――――!?」

風斬る音と共に金髪でできた大鎌が頭上をかすめた。とっさにしゃがんで避けれたのはただの偶然。
あるいは私が『主人公』だったから……えーい、今は忘れなきゃ!
体勢が崩れたせいで魔力が散ってしまった。赤い光の欠片が粉雪のように漂い、空気中に輝く。

「花よっ!」

茅野さんの固有魔法を使用して食虫花を召喚。
言葉のイメージが弱いせいでいつもより小さ目だけど、これで十分!
即席パックンフラワーに思念を送ると、棘の生えた鋭利な蔦と牙を持った花弁が門前さんに伸びる。

門前「可愛らしい魔法ね。でも――手ぬるいわ」

門前さんの髪が無数の斧に早変わり。迫る触手をことごとく叩き落とす。
これでいい。飽く迄これは時間稼ぎ。本命は――こっち!

【門前さんと交戦。続く】

314 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/17 21:45:29 ID:???
「我が指に集え星屑の志士!」

イメージを言葉に乗せて、瞬時に発動。
空間に散った粉雪の魔力が、指先に示した門前さんを中心にして一気に収束する。
流星群のような赤い光に包まれ、門前さんの周囲が爆発した。
元が『緋色の決意《スカーレット・レゾリューション》』なので殺傷力はないけれど、魔力による瞬間反発力による衝撃は結構強烈なはず!

成果は見ない。それよりも早くここから逃げるのが先だ。
肩を竦ませた恐怖を打ち消し、ビルの上から渾身のダイブ――――の、はずでした。

空中に浮き上がった私の身体が強い力でに引っこ抜かれ、駐車場のフロアに投げ捨てられる。
私は打ち付けた腰の痛みに泣きそうになりながら力の主を見上げました。
まさか、効いてなかったの……!?

門前「いいえ、とっても……とっても痛かったですわよ」

――ゾクッ
頬についた煤汚れを拭い、門前さんが私を見下ろして微笑んでいた。
なんなの、この震え……?以前この人に会ったときのものと似てるけど、少し違うような――そうか。
この人の魔力量、以前よりもかなり大きくなってるんだ……。

南雲『理奈ちゃん、そっちは何か変化あった?』

南雲さん! 南雲さんの念信に対して瞬時に返送しようとしたそのとき、私の頭に衝撃が走った。
岩のような拳に顔面を叩き付けられ、私の思考が寸断される。

南雲『――理奈ちゃん?』

がん。拳が叩きつけられる。がつ。拳が叩きつけられる。ごつ。拳が叩きつけられる。
顔の感覚が薄れ、切れた口の中に鉄の味がひろがる。広がる。拡がる。

【理奈、敗北】

315 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/17 21:46:13 ID:???
門前「…………身の程を知りなさいな、おチビさん」

拳が開き、私の襟首を掴みあげて持ち上げた。逆流した鼻血が喉の奥に流れ込んで、咽る。

「ケホッ……ケホ……う、くぅ……はぁはぁ」

巨大な腕が締め上げる力を強めた。呼吸が困難となり、血流が阻害される。
駄目、いくら魔力で怪我を治せても……。
締めつけはなおも強くなる。もはや咳も声も出てこなくなった。
ミシミシという音をたてながら首の骨が軋み、意識が遠のいていく。このまま首を折られて、私の魔法核は……。

意識が途切れつつあったそのとき、

門前「――何、今いいところなんだけど?」
???「――――」
門前「ええ、あなたの読みは当たっていてよ」

……誰と、話してるの?

???「――――」
門前「追手?そんなもの、御自分で何とかなさったら?……いえ、待ちなさい。坂上もそちらに向かったのかしら?」
???「――――」
門前「そう、なら丁度いいわ。今手元に“とてもいいもの”があるの……もう少し待ってなさい」

そんな――そんな……!!
南雲さん、萌さん…………ごめんなさい。

無力感に打ちひしがれながら、私の意識はそこで沈んでしまった。

【門前さんに捕まってしまいましたorz】

316 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/19 06:00:44 ID:???
カーブミラーから放たれた極太の光条、致死の攻性魔力の束。
萌が利かせた機転は――手元にあった手鏡を、テニスのラケットのごとく、光に向かってフルスイング!
『反射し返された』光は自由落下した水滴みたいに撹乱し、攪拌された。
アスファルトを光が洗い、買い物客の主婦が自分の服から上がる煙に気づいて八百屋に水をかけられた。

>「助かったわ」

返しきれなかったぶんのダメージ――カーブミラーと手鏡では反射面の直径が違う――を癒しながら萌は述懐。
南雲は心中で口笛を吹き、唇を舐めた。

(そっか……鏡で反射する魔法ってことは、『鏡で防げる魔法』ってこと……!!)

"その性質を光に依存する"ということは、如何に強力な光熱魔法であっても、鏡を始めとする反射物は貫けない。
ならば対処は簡単だ。ショーウインドウだって反射をする。ガラス張りの店舗へ入ってしまえば安全だ。
もちろん鏡とガラス窓では反射率が異なるが、減衰効果を望めるうえに攻撃の方向が一方に限定されるメリットは大きい。

「萌ちゃん!!早速店内に――」

踏み出し掛けて、踏みとどまった。
鏡で魔法を防ぐなんてロジックはすぐに至って当然、ならばそれはこのバトルでの大前提。
だったら、『店内に逃げる』なんて発想は既に織り込み住みと考えて然るべき――

>「向こうはなんとか自分で切り抜けてもらうとして、こっちはどうしよっか」

理奈との通信が途絶えたというのが何より痛い。
彼女は庇護対象である以上に、南雲たち新米組の優秀なアタッカーなのだ。
こちら側の戦力が割れているとすれば、真っ先に潰されていてもおかしくない。
頭痛の種は山ほどあり、それに向かって一つ一つ解決していく暇はない。

進退極まったとき――『逃げる』という選択は、それがどんなに戦略的な意義を持とうとも、避けるべきだと南雲は思う。
女の子は感情の生き物だから。
あらゆるロジックを乗り越えた先にある、願望だとか共感だとかそういう浮ついたものの為に戦っているのだ。
例え行く先に得られるのが悲劇であろうとも、全力での前進なしに物語のカタルシスはありえない。

317 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/19 06:01:32 ID:???
>『もう一発撃ち込んでもらおう。もしそっちが勘づいたらさっきみたいに頼むわ』

だから、倒す。
全てにケリをつける前哨戦、気付けの一撃にこのバトルを勝利する。
戦った先にある勝利こそが、理奈と合流する最善のルートなのだから。

『オッケィ――わたしたちの幸先に、特大の華を飾ろう!』

南雲は思考を加速させる。魔力による身体強化が脳内の伝達物質を活性化させ、物理的に『頭の回転を早くする』。
敵は南雲たちを追い込もうとしていた。逃げられる可能性というエサをちらつかせ、背後から必殺の一撃をぶち込む為に。
萌には一腹あるようだ。乗らない手はない。南雲がすべきは――狙撃のタイミングと反射する物体の特定!

(必要なのは『相手の気持ちになって考える』こと……どこに打ち込むのが、コスパ的に最強?)

鏡で防げることを南雲たちは知った、ということを敵も知ったはずだ。萌の機転を見れば遠からずその発想に至る。
ならば、突いてくるとすればその安心と慢心。『鏡があるから大丈夫』という前提から打ち崩しにかかるはず。
銃弾も跳ね返す小型で高性能な盾を持った敵と相対したとき、それでもそいつを銃で倒そうと思ったら。

『使うのは――"散弾"!!』

結論に至った途端、南雲は紙飛行機を袖から射出。視線の先にはピカピカに磨かれた黒塗りのベンツが一台。
刹那、ベンツのボンネットから生えた金色のエムブレムが、輝いた。
凹凸に富むエムブレムによって拡散した光は一筋一筋が致死の威力を持つ光条。光の散弾である。

「『攻性制空権《ライトウィング》』――モード:<レインボウ>!!」

矢の如く滑空する空色の一翼は、空中で自壊――銀色の紙吹雪となって舞う。
チャフ――レーダー波などを乱反射させ、敵の探知を妨害する機載兵装の一種である。
反射源たるエムブレムと南雲たちとの間に撒かれたチャフは、光の散弾を『再乱射しなおし』、一条の極光へと収束させた。

向かう先は、萌。


【もう一発撃ちこませる】

318 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/20 21:04:01 ID:???
【本編とは関係ありません】
どうも、絶賛捕虜中の理奈です。目下の宿題はレスをもっと早く書かせることです。
次は萌さんのレスで続くということであってますよね……?
カチカチの展開で進んでる本編ですけど、折角雑談所スレなのでたまにはこーいう形で息抜きもしたいなって思います。
昨今の新作アニメとか、最近読んだ本とか、ニュースとか、フられましたとか、惚れられましたとか、掘られましたとか……
……いえ、最後のは気にしないでくださいっ

それはさておき、今の展開で何か不都合はありませんか?
いつもお世話になっている広辞苑さんのほうでは今回のように一箇所にいられない状況って
(たとえ当人に先の見通しがあったとしても)ロール的にあんまりよくないそうなんですけど……
あまり打ち合わせしすぎるとお互いの驚きを奪ってしまうので、難しいですね

あと「本スレ」のほうはもう少しかかりそうです。
時間を見てゆっくり続けていますので、どうかご了承ください。

319 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/21 00:21:57 ID:???
【本編関係なし】
ピングドラム面白いねープリティ☆ベル熱いねー今季のアニメまだ一つもチェックできてねー

>今回のように一箇所にいられない状況って
俗に言うシドるって現象かな?多分萌ちゃんの次レスで狙撃手無力化までいけるだろうし
その足で理奈ちゃん救出ロールに派生できるかなってのが現在の目論見
もっとこうしたほうがいいんじゃねえのっちゅう意見があればいつでも再調整しますよー

320 : ◆Gw1TY5I6ic :11/10/22 00:59:52 ID:???
息を吸う。細く吐く。しっかりと丹(はら)を意識して。
目線はどこを見るでもなく視界のすべてに散らす。注視すればかえってそこ以外の動きを見逃すものだ。
それから自分を強制的に、スポーツ選手が良くいうところの"ゾーン"に入れて、あとは待つ。
色を失った視野の中で、全てのものが静止に近い速度で動いてゆく。

>『オッケィ――わたしたちの幸先に、特大の華を飾ろう!』
背から脳裏に投げかけられた声は通常の速度で、さてこの感覚の違いは一体どういう理屈なんだろうかと萌は心中で首をかしげた。
(咲くのはあたしの血の華かもね……いや、血も出ないかもなあ)
高速化された思考の波が神経細胞を往復する。萌はそれを途中でかき消した。
どちらにせよ今考えるようなことではない。終わって、なお永らえているならいくらでも思索の時間は取れる。
負ければ考える必要などない。

萌の主観ではもう数分が経過している。視界に動きはない。
致命の一撃を待ち続けるというのは身の細るような心持ちがするものだ。
(……生命の危機ダイエットとか、どうだろう)
緊迫した状況下で浮かぶ、緊張感のない考えを再び抹消したその直後。

>『使うのは――"散弾"!!』
南雲の念信が頭蓋の中で響き渡り、視界の隅が白く光った。路上駐車されているベンツ。スリーポインテッド・スター。
(しまった!)
こういうやり方があったかと、内心、舌打ちをしながら迫り来る光の雨に正対するべく動き出す。
飛来するものの軌跡は寸分違うこと無く追える。南雲の銃弾を受けた時と同じだ。
違うのは、遅延は織り込み済みであるということ。結果まであの時と同じならもはや喜劇にすらならない。
もう一つ、"脅威"の及ぶ範囲が違う。――ひょっとしたらあの時よりもひどい事になるかもしれない。

(うまく行ってもこれじゃあ……!)
引き伸ばされた時間の中で思考だけがいつもと同じ速度で走る。恐らく、これでは"足りない"。
それを見越してのこの一撃なのだろうか。
焦燥に駆られながら、ままならぬ(実際には凄まじい速度で動いているのだが)手足を叱咤して構えを作る。
そして物質生成を行おうとした瞬間、三度、南雲の声が萌の脳裏を駆けた。

>「『攻性制空権《ライトウィング》』――モード:<レインボウ>!!」
放たれた紙飛行機が無数の銀紙へ姿形を変える。それは散った光を捉え、弾き、束ねて萌へと差し出した。
(これなら十分!)
萌はそれを拒絶する。両の手の内に生み出した再帰反射板で以って。

再帰反射板とは、要は自転車後部やガードレール上に設置されているあれのことだ。
構造については詳しく述べないが、"どの方向から来た光であっても、元の方向に反射させる"という特性を持っている。
つまり、角度を厳密に合わせる必要がない。ただかざすだけで、光は萌の手元から舞い散るチャフへ、そこから"星"へ。
再びの離散を経て収束し、必殺の威力を抱えて――射手の元へと帰る。

「これでっ、どーよ……!」
萌は痛みに食いしばった歯の隙間から言葉を押し出した。
チャフで収束しきれなかった光の散弾は、反射板にカバーされていない下半身に小さな穴を穿っていた。
傷の数が多く、ひたすら痛い。それを治しながら、さらなる追撃に備える。
光の戻った先、すなわち発射地点は確認済みだ。このまま何もなければ、まずは南雲の紙飛行機で確認に行ってもらえばいい。
何の痕跡も残っていない、という状況については……あまり考えたくないものだ。

【撃ち込まれたものを撃ち返す】

321 : ◆Gw1TY5I6ic :11/10/22 01:09:20 ID:???
アニメは全然見ないなあ……。
最後にちゃんと意識して見たのはカイジでした。

この程度の隔絶ならあんまり気にしなくていいんじゃないでしょうか。
合流が難しいほど距離や時間が離れているわけではないと思いますので。


322 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/23 20:12:20 ID:???
【本編とは関係ありません】
>展開
ありがとうございます
門前さんが私を使って良からぬことを考えてるみたいですけど、とりあえず今の戦闘が一段落したら『夜宴』に対する何らかの
足がかりが掴めるんじゃないかなって考えています

>南雲さん
>ピングドラム
わ、お目が高いです!演出といいストーリー展開といい、引き込まれちゃいますよね
今期は言わずもがなの『Fate/Zero』(聖杯戦争の立場って少しだけ似てるんですよね、私たちと)。
スーパーの半額弁当をめぐってお腹を空かせた人たちが売り場で超くだらなくて熱いバトルを繰り広げる『ベン・トー』という
アニメが楽しいです!……白粉さんの声、どこかで聴いたような。
>プリティベル
……………………ちょっと買ってきます

>萌さん
カイジは実写版だけ見たことあります
ああいう難しいお話考えられる人って、凄いですよね

【次レスより本編。リアル事情により、レスの投下は翌日になります】

323 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/10/24 19:25:12 ID:???

キングコングに連れ去られるイメージに責め苛まれ、私は意識を取り戻した。
スイッチを切り忘れたまま撮影されたビデオカメラの映像よろしく乱れ移る景色を眺めながら、なんであんな夢をみたのか納得できた。

よく高い所から落ちる夢を見たとき、本当にベッドから落っこちちゃいそうになるけど、きっとアレの逆だ。
現実の感覚がそのまま夢に出てきたらしい――と、大きな拳に握られて揺さぶられるまま運ばれる私は呑気にそう思った。

夢の中とはいえ、キングコングに間違われたと知ったら門前さんはどんな顔をするだろう?
と、ささやかな復讐心をたぎらせながら視線を巡らせる。当の本人は私が起きたことにまだ気付いてないみたい。
お行儀が悪いと知りつつも、バレないように心の中でほくそ笑んでおく。うう、情けない……。

すれ違うカーブミラーに私たちの姿が写り込んだ。
門前さんの髪に巻き取られ、振り回されているボロボロの自分が壊れかけの人形のようで、何だか少し悲しくなった。
だからって凹んでばかりもいられない。心身共にフルボッコにされたけど、考えることぐらいはできるはず。

ここは何処?

折りよく門前さんが足を止めてくれたおかげで視界が落ち着く。見えた。アーケードの天井。
どうやら国道から少し離れた商店街の入り口付近にいるらしい。
まだ深夜と呼べるほどでもないのでまばらな買い物客が見える――って、南雲さん!?

私は人影の中に見つけたその人を注視した。空色の飛行服に身を包んだその姿は当人に間違いない。
近くにいる半裸のムエタイマッスルは、うん、変身した萌さんだ。
何故か通行人は誰もあの二人に注意を払わない……あるいは見ないふりをしてるだけだったりして。

二人は何かを警戒している様子だった。多分“狙撃手”からの次の攻撃。
でもそんなところで一体どうするの?狙われちゃいますよっ!?
直後、二人の近くに停まっていたベンツのエンブレムが魔力の光を拡散させる。
私の心配を余所に南雲さんが動いた。
おそらく『攻性制空権《ライトウィング》』の別形態……自らの意思で飛行機を分解させ、銀色に輝く無数のフォイルが乱舞する。
舞い散ったフォイルは拡散した光を虹色に収束させ――萌さんへ!

萌「これでっ、どーよ……!」

集められた光が萌さんの手に保持された巨大な鏡によって再・再反射される。
やった!
二人の狙いが確かならリフレクト・ビームは“狙撃手”にとって手痛い一撃となっただろう。

門前「…………」

横に立つ門前さんから舌打ちのような音が聞こえた。うん、手応えあり! 
白夜を切り裂いた二人の“魔法少女”を眺めながら、私は会心の笑みを浮かべた――

【門前さんに運ばれアーケード付近へ。二人の連携を確認】

324 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/26 04:20:47 ID:???
>「これでっ、どーよ……!」

収束された光撃魔法を受け止めたのは、萌の手の中に生成された銀色のプラスチック片。
南雲は自転車のスポークについている反射板に似ていると思った。
反射板に直撃した光は、そのままそっくりの軌道で打ち返され、未だ滞空する南雲のチャフで再収束。
ベンツのエムブレムに反射したときとまったく同じ角度で入射し、ビデオの逆再生のように狙撃手へと返っていく。

光が戻る方向は――

『――――上!』

ちょうど南雲たちの立つアーケード前の通りに並ぶビルの上。
その屋上へと光が戻っていく。南雲はそれを追うようにして紙飛行機にしがみつき、引っ張られて空を飛んだ。
直情の空へ一直線。弾丸に劣らぬ速さで駆け上がる。

「そこかぁぁぁぁぁぁ!」

ビル風がごうごうと耳元で唸りを上げる上空で、屋上の縁に足をかけて弓を構える魔法少女と目が合った。
すでに光の矢を番え、その鏃は南雲の胸を捉えている。心臓がどくんと跳ねるより早く、弓の張力が開放された。
光の矢は――正しく光の速度で南雲と狙撃手との距離を切り裂いた。狙い過たず、南雲の胸は貫かれる。

「――!!」

貫かれた南雲の体が粉砕した。
解けるようにしてばらばらになった南雲の構成成分は銀色の小さな小さな紙吹雪。
チャフ。可視光線も無論反射する銀のフォイルが、南雲の姿を鏡のように映し出していたのだ。
本体は――

「人の体がこんなに早く飛べるわけないでしょばーーーか!!」

振り落とされた踵落としが、狙撃手の魔法少女の後頭部を穿った。
体重をのせた、重いハンマーのような一撃に脳髄を揺さぶられた狙撃手は、もんどり打ってコンクリートの床へと体をまろび出した。
放り出された光撃の長弓を、南雲は思い切り踏み抜いて破壊する。

小学生の理奈はともかく、南雲はまだ自分の体重を紙飛行機で支えるほどの出力をもっていない。
チャフでつくったハリボテの体を飛ばしている間に、身体強化を全開にした猛ダッシュでビルの非常階段を登ってきたのだ。

「――! ――! ――!!」

「日本語で喋れええええええ!!」

後頭部を痛撃されて、すぐにまともに喋れる人間などいない。延髄には舌を動かす運動神経も含まれるのだ。
狙撃手は執念深く小ぶりの弓を生成した。それよりも、南雲がグロックを構える方が早かった。
フルオートで全弾連射。17発の9ミリ弾を全部その身にくらった狙撃手は、自分の血で全身を真っ赤に染めて動かなくなった。

『萌ちゃん、こっちは片付いた! 生け捕りにも成功してる――』

出血が夥しいが、魔法少女は出血多量じゃそうそう死なない。
もっと大口径の銃で主要な器官をぶち抜いてやれば即死も有り得たが、南雲が使った銃は小口径の多弾装。
殺傷力よりも、ストッピングパワー――至近距離での制圧力を重視している。
実際、動くことはできないようだが、先ほど狙撃手の呼吸を確認した。血が気管に入ったのだろう、小さくむせている。
今の今までさんざん煮え湯を飲まされた南雲としてはかなり譲歩した結果だった。殺したら、『夜宴』が遠のくばかりだ。

(とは言っても、しばらくは再起不能って感じだけど――)

狙撃少女の右肩は、まるで爆弾でも至近距離でも受けたかのように大きく抉れていた。
肉が飛び散り、露出した骨も焦げている。おそらく萌が打ち返した光撃を回避しそこなったのだろう。
光速の狙撃をあんな形で精密に反射されれば、必然反応は遅れる。そして痛恨の被弾。
南雲が容易く近付けたのも、この傷の苦痛に気を取られていたからだろう。索敵と観察は狙撃手の基本中の基本だ。
チャフをつかった安直なデコイなど、見抜かれて当然の三文芝居に過ぎなかった。

325 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/26 04:22:42 ID:???
狙撃手の最も無防備になる時間――狙撃の瞬間を狙い、その性質を逆手に取ったカウンターの重打で仕留める。
さながら窮鼠が猫を噛むが如く。否、窮鼠を装った虎だったのだ。
魔法少女・奈津久萌。彼女の戦闘的なセンスがモノを言う妙案は、逆転勝利というかたちで実を結んだ。
南雲は舌を巻いて、屋上から商店街を見下ろした。

「って――」

商店街を俯瞰する南雲の視点からは、当然ながらアーケードの付近も確認できる。
傷を癒す萌からほど離れた場所に、見知った顔が2つあった。
一人は言わずもがな理奈。そして彼女を髪の中(!)に巻き込むようにして拘束する姿は。

『も、もんなんとかさん!』

第一話で麻子との戦いに参加した魔法少女の一人。門前なにがし(うろ覚え)。
彼女の美しく豊かな頭髪を操る魔法は――攻防自在の強力無比、麻子ですら苦戦した相手である。
そのタカ派の急先鋒が、なぜここに。なぜ理奈を掴まえて?

――決まってる。敵対しているからだ。

「間に合ったか……門前』

血まみれの狙撃手が、テレパシーと発生を混在させながら呟いた。魔力の制御がうまくいってないのだ。
それでも、苦痛に歪むのみだったその顔に、一種の安堵と――苦笑が芽生えた。
まるでこれから仇敵が辿る運命に、少しだけ同情しているような、そんな顔。

「……知り合いなんだ?」

南雲は冷静に、撃ち尽くしたマガジンを新しいものに替えながら聞いた。
屋上に散らばる薬莢は全て魔力に還元し、痕跡を残さない。法治国家で薬莢なんか見つかったらそれだけで大事件だ。
……いや、銃声は聞こえてるだろうから、どのみち早めにずらからないといけないが。

「共犯者だ。――これから始まる一方的な殺戮のな。覚悟しておけ、あの女は……強く、なによりも狂っている」

それきり、狙撃手は喋らなくなった。死んだかと不安になったが、失血性のブラックアウトを起こしたらしい。
顔色は悪かったが、潤沢な魔法核が傷を癒しているおかげで命に別状はないようだった。
だから、今は門前に集中する。南雲は紙飛行機を一翼、狙撃手の体の上に置いてから、屋上の縁に足をかけた。
ふわりと風の中に身を躍らせ、真っ直ぐに地上を目指す。

『萌ちゃん、7時方向、敵1、理奈ちゃん同伴。先に仕掛けるから、理奈ちゃんのフォローおねがい』

地表へと直撃する直前に、南雲の足裏からジェット噴流が吐き出された。
陽炎を伴う風が商店街のコンクリート・タイルを洗い、街路樹を煽って木の葉を飛ばす。
南雲が着地したのは、門前から3メートルほど離れた地点だった。買い物客は原因不明の突風に首を傾げながら日常へ回帰していく。

「はろっ、えーっと、門、前ちゃん?わたしのこと覚えてる?ほら、第一話参照の……」

奇襲をかけなかったのは、狙撃手のテレパシーによって南雲の所在がバレていたからだ。
あの狡猾な門前が、奇襲対策を講じていないわけがない。だから南雲は、離れた位置から堂々と近づく方法をとった。
理奈は――眠っているのか、それを装っているのか、硬く目を閉ざしたままだ。命があるのは魔力反応でわかる。

「ところで、素敵な"髪飾り"してるね――どこで買ったの?知りたいな」

まずは相手の目的を探るところから始めなければなるまい。
狙撃手の救助であれば理奈と交換に開放してやってもいいし、魔法核が望みなら一つぐらいくれてやる。
南雲にとって理奈はそれらを補って有り余る、『重大な人質』だった。
もしも南雲たちとのバトルをご所望ならば――挑発で冷静さを失わせ、その隙に萌が理奈を奪還する算段だ。


【狙撃手撃破!  門前と遭遇、交渉開始・小手調べ】

326 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/10/26 04:32:02 ID:???
【本編関係なし】
>カイジ
原作は夢中になって読んだ覚えが。アニメはさる有名な焼き鳥食うシーンしか見てないw
沼編めちゃくちゃ面白かったねー、ああゆう力技な攻略法好きよ


>Fate/zero、ベン・トー
ハードディスクに溜まったまま……どっかで一気に消化しないと

わたしの今季イチオシはなんといっても『境界線上のホライゾン』
原作のライトノベルは言わずと知れた"読む鈍器"、ラノベ界最厚記録は以前更新中!
設定だけで辞書がつくれる壮大さは並み居る深夜アニメの中でもひときわ異彩を放ってるぜ!


>ピングドラム
考察が楽しいアニメは名作。毎週予想が止まらなくてアツいね
小説版買っちゃおうかしら

327 : ◆Gw1TY5I6ic :11/10/29 01:09:19 ID:???
光は肉を貫くと同時に焼いた。流れるほどの出血はなかった。
足に開いた穴はすべてふさがり、萌の褐色の肌の上には何の痕跡も残っていない。
顔を上げる。南雲の姿もない。更に顔を上へ向ける。ちょうど光に貫かれた南雲が四散したところだった。

文字通りに四方八方へと散らばった南雲はそのままひらひらと舞い降りてくる。
(……?)
ぱきりと音がするほどに噛み締めた奥歯の力を緩めて、落ちてきたものを手のひらで受けた。銀紙。
「……なるほど」
光を反射できるのだから当然、映り込みがある。自分の姿を投影することも可能というわけだ。
具体的にどういう経路をとったかまではわからないが、そうしてデコイを放った隙に別方向から敵に迫る。
その発想力と応用力を持つ存在が"同じ側"に立ってくれているというのは率直にありがたい事だと、萌は思った。

立て続けの銃声が街の喧騒を圧して響く。見上げる屋上からの光は一色のみ。どうやら決着のようだ。
>『萌ちゃん、こっちは片付いた! 生け捕りにも成功してる――』
望む限り最上の結果だ。次を待たなくて済む。
後は交渉に応じてくれるかが問題になるが、相手にリスクがあるわけでもなし、
嬉々として、とはいかないにしてもなんとかまとまるだろう。
(新規を紹介したらポイントが増えたりするんだったら良かったんだけど)

萌の視線の先に南雲の顔が見えた。手の一つでも振ろうかとしたものの、南雲の視線は萌を見ていない。
>『も、もんなんとかさん!』
(…………誰?)
麻子との一戦で"メインイベント"に参加していなかった萌にとっては、初めて耳にする名である。
とりあえず南雲が見ている方向へ目をやる。人ごみに紛れて見えない。
萌はといえば、変身後の体格だと確実に人波の上に頭が出てしまう。少々不利だ。

>『萌ちゃん、7時方向、敵1、理奈ちゃん同伴。先に仕掛けるから、理奈ちゃんのフォローおねがい』
『了解』
七時方向ってどっちだっけ?などとは聞かず、即座に返信。それから人ごみに分け入って変身解除。
ちょうど切り取られた歩道橋に気づいて足を止める歩行者が増えていた。
変身前でも背は高いが、集団から突出してしまうことはない。

(えーと六時が真後ろだから、それからちょっと左、さっきいたのがあそこだから……)
さらに位置を変えながら七時方向の割り出しを急ぐ。
人々の流れの中に大きな"中州"ができていた。皆、見えない何かにぶつかったように怪訝な顔をしながら脇によけていく。
親に手を引かれて歩く小さな子供が、額を抑えて泣きそうな顔をした。理奈の足がぶらりと揺れた。
黒髪に巻かれて身動きがとれない様だ。意識もない。鼻血の跡。青あざ。だが、息はあるらしい。
きり、と萌の奥歯が鳴った。

そして、もう一つの中洲に南雲がいた。
門前に話しかけている。萌はそれを横目に、人波に乗って門前の後方へ回り始めた。
核の反応から位置自体は即座にばれるだろうが、周囲に人が多ければ個人の特定は時間がかかるはずである。

【スニーキング開始】

328 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/01 21:42:55 ID:???
【ごめんなさい、ちょっと忙しくて……もう一日かかります】

329 :今日も間に合わなかった神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/02 21:51:11 ID:???
えっと……ごめんなさい【ごめんなさい】

330 :名無しさん :11/11/02 21:53:05 ID:???
おkおkじっくり頑張って

331 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/04 06:12:40 ID:???
銃声が響き渡る。
アーケードを貫いたその残響に、行きかう人たちが騒然となってその歩みを止めた。
連携攻撃に引き続き、畳み掛けるような南雲さんの奇襲によって瞬く間に蜂の巣にされた“狙撃手”――「弓」の魔法少女。
遠目で見てあまりの血の量につい顔をしかめてしまうけど、魔法少女があれぐらいの怪我で死なないことは勉強済みです。
……主に、自分の身体で。

戦況を観察していた門前さんに気付き、南雲さんの視線がこちらに向けられた。

直後、身体全体が浮遊感に包まれる。
門前さんが私を掴んだまま地表に降りたのだ。
いつだったかのように金髪の縦ロールをスプリングにして、ぼよよんっという擬音語が聞こえてきそうなファンシーな着地。
私は薄目を開けながらその髪の先端が地面に「突き刺さった」のを見逃さなかった。

次いで南雲さんがアーケードの屋上から地面に降下する。
靴の裏からジェットを噴き出し、地表スレスレの所で豪快にホバリング。
吹き散った突風が私たちの前髪を掻き揚げる。にゃはは……南雲さんが魔法核を本気で集めたらリアル『空戦少女』になれるかもっ。
制作会社の都合でサードシーズンの話が立ち消えになっちゃったのが本当に残念な作品で――違う、今はそれどころじゃないってば。

殴られ過ぎて頭がおかしくなったのかな、私。怪我の治りもいつもより遅いし……。

【南雲】「はろっ、えーっと、門、前ちゃん?わたしのこと覚えてる?ほら、第一話参照の……」

【門前】「…………」

門前さんは何も言わなかった。南雲さんのメタ発言を華麗にスルーし、淑やかな笑みを浮かべている。
え゛?私たちってアニメだったの!?シリーズ構成誰?監督は??
アンビリバボーな不思議体験だけど、魔法があるならそんな奇跡もあるのかな。
……だとすれば私の脚本担当は新キャラクターを創る能力の無い、さぞかし残念で性格の悪い人に違いありません。

【南雲】「ところで、素敵な"髪飾り"してるね――どこで買ったの?知りたいな」

私が南雲さんの台詞を理解するまでにはちょっとした時間が必要でした。
髪の巨腕にぶら下げられた私の足が、何かに当たる。親に手を引かれた小さな男の子が、額を抑えて泣いていた(ご……ごめんね)。
その時点になって、私はようやく南雲さんの言う"それ"が自分自身であることに気がつく。
私には…………どうしようもないことだけど。

【門前】「過褒には及ばなくてよ。さっき、その辺で拾ったものだもの……」

次の台詞を聞いて私は身震いがした――自分の命を握り締めたその腕が、いつでもそれを捻り潰すことができるこの状況で。
無力な私は思い知る――普段なら陳腐に聞こえるはずのその音声が、主体が変わるだけでこれほどまでの威力を持つことを。

――そして、

酷いよ、こんなの……。こんな三流の悪役が使うような台詞で…………!

【門前】「坂上南雲。“これ”をご所望なのね?ええ、よろしくてよ――――」

――時に言葉の説得力とは“何を”喋るかではなく

【門前】「“あなたの命”と、取り替えて差し上げますわ♪」

――“誰が”喋るのかで決まると言う事を。


【交渉を開始。門前さんが交換条件の対価に要求したのは南雲さんの命】

332 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/04 06:14:29 ID:???
【本編とは関係ありません】
おはようございますm(−−)m うう、門前さんの要求シビア過ぎるよぅ……。
続けてIntervalが入るかもしれませんけど、私があまりに遅いようならそのまま進めてしまってください。
気がつけばもう11月なんですね……。まだちょっと暑い日もありましたけど、風が涼しくて気持ちいいです。

>『境界線上のホライゾン』
先日たまたま本屋さんで原作を見かけたんですけど、あまりの厚さに笑いがこみ上げてきちゃいましたw
叔母さんが以前読んでた京極夏彦先生の本と比べてどっちが威力あるんでしょうね(※本は読むものです)?
冗談はさておき、映像化された世界観が凄いです!
作中用語と登場人物が豊富過ぎて、最初は私の頭じゃついていけないかもでしたけど、覚えてくると楽しいですね。

ところで……ライトノベルかどうかわかりませんけど、南雲さんには『空の中』(有川 浩・角川文庫)という小説がお薦めかも。
もう知ってる本だったらすいません。タイトル通り「空に隠されてきた秘密」のお話……なのですっ☆

333 :名無しさん :11/11/06 04:29:58 ID:???
うすのろ

334 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/08 05:08:42 ID:???
>「過褒には及ばなくてよ。さっき、その辺で拾ったものだもの……」

門前のドヤ顔は、それはそれはムカついた。全身全霊をかけて舌打ちはどうにか堪え、眉をピクりと動かすに留める。
苗時のときもそうだが――南雲は時折こうやって苛立ちを隠せない自分の悪癖を自覚していた。
彼女はポーカーフェイスにはなれない。腹が立つときは素直に腹を立てる。
そうやって自分の苛立ちを受け入れることで、胸の中で冷静を保つ術を知っていた。

>「坂上南雲。“これ”をご所望なのね?ええ、よろしくてよ――――」

さあ、何が飛び出る。
狙撃手の身柄か?それともこちらの持つ魔法核か。理奈の命を買えるのならば安い対価だ。
最悪なのは見せしめに理奈を傷つけられること。これ以上の蹂躙は――南雲も黙っちゃいられない。そして、

>「“あなたの命”と、取り替えて差し上げますわ♪」
ずお……と冬風とは違う生味を帯びた風が、南雲の頬を叩いた。死神の鎌が首筋に添えられた感触がした。
なるほど、そう来たか。シンプルだが妙案だ。実際、そう言われただけで南雲の思考は凍りついてしまう。
わたしの命。それが意味するところの残酷さに、歯の根が合わなくなってしまう。

(こいつ――)
――『覚悟しておけ、あの女は……強く、なによりも狂っている』
狙撃手の言葉が今更ながらに説得力を持って南雲の脳裏に強く響いた。そう、門前は狂っている。

(理奈ちゃんに『背負わせる』ためだけにッ! わたしを使おうとしてる――!)

考えるまでもないことだが、こうして門前の手の内に理奈、眼前に南雲が存在している時点で勝負は積んでいる。
理奈も南雲も前線で格闘するタイプの魔法少女ではなく――門前百合子はいかにも『前線型』の魔法少女なのだ。
なにより地力が違う。魔法核アベレージ二個の新米魔法少女たちにとって、門前の持つ核は遥か雲の上の数字だった。

だから、取引なんかしなくても、門前は容易く南雲を殺せるのだ。
わざわざ交渉の場に出てきたのは、なんのことはない。『理奈の犠牲で死ぬ南雲』を理奈に見せつける為に他ならない。
それは悪なる性癖か、なにか魔法少女戦に関する戦略の布石か。いずれにせよ、門前は絶望を創りだそうとしている。

(すり潰すぞクソ女……!!)

決定的な怒りの奔流は、不思議と顔には出なかった。目の前の悪鬼を如何にしてぶち殺すかだけを研ぎ澄まされた思考が勘案する。
ここで怒りに身を任せれば、それこそ相手の思う壺だ。奴の顔に泥を塗りたくってやりたくば、今はまず冷静になれ。

「……オッケ。安い買い物だよ」

門前は強い。南雲たち三人が束になってかかったって一蹴されるほどに、その実力差は絶望的だ。
彼女の魔法は髪を操る攻防自在の格闘魔法。
銃弾の一発で容易く戦闘不能に陥る魔法少女という存在にとって、『防御力が高い』というシンプルさは最強だ。

それでも。『相手が凄く強い』ということは、戦いから逃げ出す理由になんてなりやしないのだ。
なぜなら南雲たちは、女の子だから。感情で動き、考えるのが苦手で、自分磨きのために生きる生物なのだ。
彼我の実力差を熟考したり、勝てるパターンを導きだして用意周到に戦いを挑むなんてのは、男に任せておけば良い。
ここで退いたら――女が廃る。

『ごめん理奈ちゃん――』

南雲はホルスターに差していた拳銃を右手で抜き放ち、その銃口を自分のこめかみへとピタリとつけた。
テレビで昔やっていたけれど、こめかみを撃っても人はなかなか死ねないらしい。
口の中に銃口を押し込むのが正しい拳銃自殺のやり方だ。さて、魔法少女風『死んだふり』は、どこまでインパクトがあるやら。

『萌ちゃん、今から多分、一瞬だけ門前ちゃんの気を逸らせると思うから――あとは頼んだっ!』

よろしく頼んで、南雲は側頭部につきつけた自分の拳銃の引き金を引いた。
銃声が寒空を貫くと同時、南雲の反対側のこめかみから鮮血が舞った。

【拳銃自殺。あえて即死しない撃ち方で賭けに出る】

335 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/08 05:19:08 ID:???
【本編関係なし】
ちょっと遅くなちゃいました。申し訳ないです
頭をふっ飛ばされても魔法って使えるのかな?魔法使う器官が脳にあるのかわからんけれど
本編で描写するのを忘れましたが、理奈ちゃんにブラフの内容をテレパシーできなかったのは
門前ちゃんに傍受されることを恐れたからです


>『空の中』
有川浩!『図書館戦争』とか『塩の街』がかなりドストライクでした
『空の中』は、『海の底』と一緒にずっと読もう読もう思ってたんだけど未だに積み読の山の中……
有川女史のつくる世界観のワクワク感は半端ないね

そして最近ようやくFatezeroとベン・トーの一話だけ見れました
ベン・トーおもしれEEEEEEEEEEEEEE!こういうノリの話大好物!

336 :うすのろ :11/11/09 21:42:21 ID:???
>>333
くすん(´;ω;`)

337 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/09 21:50:36 ID:???
【本編とは関係ありません】
南雲さん――繋いでいただいてありがとうございます。いつもごめんなさい。
今から24時間以内に萌さんにパスできる形でレスします

取り急ぎ連絡だけ失礼しました

338 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/10 21:50:37 ID:???
【連絡】
家のお手伝いに時間がかかっちゃいました。
あと3時間ほどください……(−−;)

339 :名無しさん :11/11/10 22:20:29 ID:???
焦らず頑張って!

340 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/11/11 01:26:53 ID:???
【伏線を張っていますが、ちょっとくどいので読み飛ばし可】

【門前】(嗚呼――――!善い!凄く善いわ、その表情!!わたくし、“その顔”が見たかったのっっ!!!!)
    (うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ)
    (ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……)
    (オホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ)
    (ホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ!!)

己の言葉によって喚起された坂上南雲の絶望と憤怒を一身に引き受け、門前百合子は胸中で哄笑した。
無表情に近い微笑の仮面――実際は頬が引きつっているわけだが――のその下で、彼女の歪んだ愉悦がのた打ち回る。
門前は自分の背筋に南雲の「それ」とは全く異なる理由で震えが走るのを感じた。端的に言おう。ゾクゾクしている。

彼女の策はこうだ。

第一に、無理な要求を突きつけ相手に選択肢を強制する。
門前百合子の現在の目的は自身の願いを叶える事ではなく『坂上南雲の殺害』にある。
そこに到るまでの残虐行為は彼女にしてみれば行きがけの駄賃……手段に過ぎない。
「弓」の魔法少女とのこれまでの共闘も、神田理奈の捕縛もその一環である。
そこまで周到に用意しておきながら、何故このような無理な要求を突きつけるのか――――それこそが彼女の交渉手段だからだ。

【門前】(出来るわけがありませんわ……)

最初の戦いを例に出すまでもなく、常に自分の有利な条件でゲームを運びたい門前にとって人間は勝つ為の要素でしかなかった。
そんな価値観を持つ“彼女にとっての真理”は唯一つ、「人間はみな自分の身が一番大事」だということ。
故に、坂上南雲というプレーヤーがこの要求をそのまま飲むことは【まずあり得ない】。何らかの対応策を提示してくるはずだ。
その算段こそが、第二の策。

プランA:「弓」の魔法少女と神田理奈の身柄の交換

そう、最初の段階における坂上南雲の“当て”は正しかった。
そして――このプランこそ門前が最も望み、仕組んでいた“罠”でもある。
実の所……門前百合子は坂上南雲や奈津久 萌自身が考えている以上に【彼女達を怖れている】。
この数日の戦いと、また目前で敗れた「弓」の協力者を目の当たりにして、門前は思い知ったのだ。

魔法少女戦における魔法核の多寡が“相対的な能力差”とはなり得ても“絶対的な戦力差”の保障とはなり得ないことに。

門前にとって自分とほぼ同数の魔法核を所持していた「弓」の敗北は、あまりにも大きな意味があった。
なるほど、1対1の力押しなら負けることはまずないだろう。しかし、1対2なら……どうなる?ご覧の通りだ。
確実な勝機を得るためにはせめて2対2の状況に戻したい――これが門前の本音の一つであった。
手中にある神田理奈が向こうに戻ったとしても、有効な戦力となることはまず無い。これは門前の“切り札”でもある。

プランB:南雲たちが理奈の奪還を強行する

勝てないゲームを挑まれた人間はどういった行動をとるのか。
決まっている。サレンダーを示して席を離れるか、さもなくばテーブルをひっくり返すのだ。
逃げるなら始めからそうするはずなのでこの場合次のアクションは後者であろう――門前百合子の思考はそう判断を下した。

故に、このステージ。
神田理奈という盾。人通りの多い商店街。直線のアーケード。地面との密着。

これは飽く迄次善策に過ぎない。
が、たとえ1対2の状況にリスクがあったとしても、門前百合子は自身の勝算を上げる為ならば何処までも狡猾な手段を取るだろう。


そして、その嗜虐心こそが彼女自身の仇となる。

【続く。ちょっとした頭脳戦の様相。もうヤダこの人……(TT)】

341 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/11/11 01:28:42 ID:???
路面に根を張った門前百合子の髪がその侵食範囲を広げ――彼女を取り巻くセンサーとなった。
地中から対象を絡めとる為に取得した門前の新しい能力だ。
自分の動きが阻害される代わりに、効果範囲にいる外敵に対して恐ろしい排除能力を持つ。

現在は変身を解いて通行人に紛れ込んでいる為、正確な位置を把握することができないが……後方の魔法少女はこれで対処可能だ。
格闘戦主体の萌から見て、この能力は非常に相性が悪い。

しかし、一見鉄壁に思われる門前百合子の「髪」にも、若干の欠点があった。
これらの髪を正しく操作するには一本一本に到るまでしっかりとした意識を送りこむ必要がある。
たとえ髪に触れたとしても、門前が明確な指令をくださない限り正しく動作しないのだ。
もっとも、門前百合子はそんな事態に遭遇したことなどこれまでないのだが……。

門前は前方にいる坂上南雲に注意を向ける。
「この瞬間」まで、門前は南雲の感情が手に取るように判った。激しい憎悪と殺意だ。

【門前】(さあ、早くお決めになったら――?)

交渉決裂。多いに結構。
門前にとって最終的な目的、即ち『坂上南雲の殺害』が果たされさえすれば、結局のところどんな形でも構わなかった。
前に出てくるなら「根」の餌食。離れてその銃を当てにくるなら……それでもいい。
この狭い空間なら神田理奈を盾にして体を貫きながら髪で攻撃することだってできる。
最悪周囲の通行人をどれだけ切り身にして肉片の山を築いても構わない。人通りを利用して銃よりも先に仕留める自信が門前にはあった。
目的を果たすためなら他人を犠牲にしても構わないし、むしろそうして生きるのが彼女にとって当たり前な人間としての摂理。

それこそが門前百合子の『狂気』であり――所詮は『その程度の狂気』であるとも言えた。

【門前】(…………)

南雲が固まって動かなくなってしまったので、試しに理奈の指を一本ほど折ろうかと考えていた門前は……ふと息を飲んだ。
銀嶺を奔り抜ける風のように怜悧な感覚が、彼女の臓腑を貫く。否、それは冬の風などではなく、視線に過ぎない。
無表情な坂上南雲が門前百合子を凝視している。ただ、それだけの違和感。理解不能の一撃。

【南雲】「……オッケ。安い買い物だよ」

――刹那、翼を持つ“魔法少女”の放った今宵最もクールな銃弾が、一つの狂気を打ち抜いた。

【門前】「何故……どうして?意味がわからないわ。何を考えているの、坂上南雲?おかしいじゃない――おかしいわ!!」
    「変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ。変よ…………」
    「ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない……!!」

理解の範疇を超えたものと相対して門前百合子は狼狽する。
自分の手で目的を果たすはずだった彼女にとって、坂上南雲の『死んだフリ』は正に会心の一手となった。

“狂気”に対する“より強い狂気”が、勝機を生んだのだ――――。


【ジャックポットですw】【門前さんの思考は南雲さんに集中しているので現在隙だらけ。どうぞ、ブチかましてください】

342 : ◆Gw1TY5I6ic :11/11/12 02:01:27 ID:???
二人の会話は肉声で行われている。
萌の位置からではそれを聞くことはできなかった。
近づこうにも距離が縮まっただけ発覚のリスクが高まる。

とはいえ、理奈にその場で止めを刺さずにわざわざここまで"持ってきた"あたりで向こうの狙いは察せる。
盾に取って残った二人を片付けるつもりだろう。
門前の強さは核の反応の強さから伺える。
少なくとも真正面からであれば"三人で"かかっても恐らくは勝てまいと萌は踏んだ。

先ほどの砲撃に参加していないということは、比較的近距離での戦闘に強みを発揮するタイプである公算が高い。
あの戦いは敵の搦手を逆に利用できたからこその勝利だ。正攻法で来られれば押し潰されるだろう。
向こうもその実力差は認識しているはずである。ならば盾など取る必要はない。

そこをあえてこういう行動に出るのは、単純に楽だからか、慎重さの故か――何か因縁があるか。
理由はどうあれ、そこがまず一つの隙だ。
無論、相手とても無策でのこのこ出てくるはずもない。
しかし、一撃離脱での各個撃破などの手段に出られるよりはまだしも"勝負"はできる。
特に、理奈が生存しているのは大きな意味を持っていた。

あとは、"いつ始めるか"だ。こちらのタイミングで幕を落とせないなら、もはやそれだけで敗北が眼前に迫る。
人の波に乗って付かず離れずを繰り返しながら萌は待った。やっぱり周囲の人の視線がちょっと痛かった。
(賑わう商店街の中、同じところをぐるぐる回り続けている人間がいたなら、あなたはどのような目で見るだろうか?)

が、それはそれとして、門前は一度もこちらを向かない。
視覚によらず個人を識別する方法があるのか、大まかに位置さえ掴んでいればそれで足りると考えているのか。
(やるこた変わんねーわ)
いささか投げやりに萌は考える。
機を見計らってまず理奈を救出する。余裕があればその際に一撃くれてやる。距離を取って仕切り直し。
やれることはその程度だ。なら、それをやるまでのこと。

逃げるつもりはない。ここでそれを選ぶなら、最初に南雲を置いて逃げている。
人によってはこれを引き際を誤っていると取るだろう。だが、退くことの正しさは誰が保証してくれる?
どの選択も正解で誤答だ。
(――なら、自分がしたいようにやってやる)
拳を作った指から、小さく乾いた音がした。

343 : ◆Gw1TY5I6ic :11/11/12 02:02:38 ID:???
決意を固める萌をよそに、状況は動かない。
事ここに至っては、まず自分が行くべきかと変身しかかったところで、突如南雲からの念話が届く。
>『萌ちゃん、今から多分、一瞬だけ門前ちゃんの気を逸らせると思うから――あとは頼んだっ!』
銃声がアクリル屋根に弾けた。

(……ええええええええええええ!?)
倒れた南雲の身体が、門前と理奈の陰から見えた。銃を握って、血を流している。
自分を撃ったということは容易に想像できた。このタイミングでのその行動、これ以上ないほど心の虚を突くことは間違いない。
なにせ萌からしてフリーズしているのだ。もちろん門前もまた事態を受け止めかねている。
先に立ち直ったのは、直前に南雲の念話を受けていた萌の方だった。
実際に致命の一撃であるにせよ何らかの偽装であるにせよ、これは策なのだ。
今ここで動かなければ全てが無駄になる。

まずは理奈の方を何とかしなくてはならない。あのまま髪を締め上げればそれで"済んで"しまうのだ。
しかし、有効な魔法はない。接近して何か刃物を作り、それで髪を切断するくらいだ。
だが門前がいつまで放心しているものか。
変身する。大きく息を吸う。魔法が駄目なら力で解決だ。

萌の固有魔法は身体能力を他の魔法少女と比しても高いレベルに強化するものである。
身体能力と一絡げに言うが、実際には各"項目"ごとにリソースを割いてそれを行なっている。
持久力、(動体)視力、思考力、そして――瞬発力などだ。

左腕を突き出し、右腕を大きく引く。吸った息を一瞬に満たない間だけ止める。呼気と同時にそれぞれの腕に逆の軌道を取らせる。
リソースを全て瞬発力に振ったまさに渾身のティー・ソーク。
群衆の頭上を超えて、音を超えた肘の先端から門前が伸ばした髪へ向け空気の刃が走った。

肘を振り戻しながらしゃがみ込み、伸び上がりながら路面を蹴る。
自分の放った一撃の結果を悠長に見届けている暇などありはしない。
一瞬でアーケードの屋根まで跳び上がった萌は、同じように屋根の梁を蹴りつけて門前へ向けて跳躍。
リソースの割り振りは直してある。自分の速度に目が付いて行かないなど笑い話だ。
「ぃええッしゃあああッ!」
裂帛の気合と共に、左足でのフライングハイキックを繰り出した。


【三角跳び】

344 : ◆Gw1TY5I6ic :11/11/12 02:09:16 ID:???
「推敲の時間は十分にとっているのに必ず後で間違いが見つかる癖」を治したいです
本スレでの書き込みじゃないけど、「プロローグ」と「エピローグ」を間違えたこともあったなあ……

345 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/12 21:53:51 ID:???
【本編とは関係ありません】
>頭を吹っ飛ばされても魔法は使えるのか
ど、どうなんでしょうね……
茅野さんのときのことを考えると体の修復は魔法核がある程度やってくれるみたいですけど
魔法を使おうと言う意思はやっぱり頭で考えないとできないんじゃないでしょうか……?
魔法少女にとって魔法核が「電池付ソフト」と考えるなら、体は「ゲーム機本体」みたいに

すいません。後日また連絡します。
レスは48時間以内に行なえる予定です。

346 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/11/14 22:10:08 ID:???

――――およそ30分前


ビッターンッ!!!

浮き上がった肉体が嫌な音をたててコンクリート壁に叩きつけられる。
巻きつけた鎖を伝って、壁にめり込んだ少女の身体から生温かい血液が流れ落ちた。

【???】「勝負あり……かな?」
【麻子】「まだ戦えるように見えるか?見ての通りだよ。あたしの勝ちだ」

遠心力によって自重の何倍もの衝撃で壁に激突させたのだ。いかに魔法少女と言えどひとたまりも無い。
看護服の魔装を身にまとった“対戦相手”の皮膚から突き出てている骨と不自然に折れ曲がった関節が如実にそれを物語っている。

【???】「いやー、今日は容赦ないね。ほとんど即死だよー?」
【麻子】「“殺す気”でやってるからな」
【???】「へー、変わったね。宗旨替えでもしたのかな?」
【麻子】「…………ま、そんなとこ」

肉体的に死亡したとしても魔法核が奪われない限り魔力に余裕があれば身体は再生する。
修復機能は魔法少女としての基礎知識だが「どの程度まで可能なのか」を知ったのはベテランの麻子でさえもつい最近のことだ。
茅野いずみが他の魔法少女に与えたものは決して少なくはなかった。

【???】「あれ?魔法核いらないの?勝ったから君の分だよ?」
【麻子】「痛てて……いらねー。放っておけよ。後は悪魔が何とかすんだろ」

お尻にささった注射器を引き抜き、猪間麻子は踵を返す。

【???】「んー、勿体無いなぁ……負けた子は首を斬りおとす事になってるんだよねー」
【麻子】「ハァ!?そんなの聞いてないんですけどーっ?」
【???】「今言ったからね。でも参ったなぁ。今まで勝った子は負けた子の魔法核を持っていくもんなんだけど」
【麻子】「…………そんなの、あたしの勝手だろ」

そのとき、麻子の魔法核が何者かの共鳴を捉えた。反応は二つ。

【麻子】「……なんだ、コレ?」
【???】「へえー、珍しいね。夜宴以外の子が自分の位置を報せるなんて滅多にないんだけど」

ゴングのような鐘の音。レーダーのような高音。
それは先ほど坂上南雲と奈津久 萌によってなされた『コール』そのものであった。


【『コール』によって招かれる客人その2】
【ごめんなさい、反応よりも先に風呂敷を広げておいて大変な事に気がつきました。
リアル事情によりしばらくレスができないかもしれません。
でも、これ以上私の遅筆でご迷惑をおかけするのは大変気が重いです……。
非常に申し訳ありませんが門前さんのロールについてはお二人が自由に動かす形でやっていただいても私は大丈夫ですので
どうか先に進めてください……】

347 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/15 21:42:43 ID:???
万華鏡のような過去と、揺れ動く現在と。そしていつも不確かな未来が待つこの世界で。
……ときどき自分がいつまで生きられるかなんて考えることもあるけれど。

【南雲】「……オッケ。安い買い物だよ」

私は生涯この瞬間を忘れることは無いと思います。
薄暗い商店街に立つ南雲さん。かざされた拳銃。マズルフラッシュ。爆ぜる血潮。

遅れて耳に届いた銃声がアーケードに響き渡る。
混沌としたざわめきの中に、私の悲鳴は溶けて消えた。

嫌だ……!嫌だ…………嫌だ。

崩れ落ちる肢体と飛行帽から零れ落ちる銀髪に手を伸ばすこともできないまま、私は祈るように唱える。

【門前】「何故……どうして?意味がわからないわ。何を考えているの、坂上南雲?おかしいじゃない――おかしいわ!!」

隣にいる門前さんの顔が驚いた顔をして「変よ」とか「ありえない」と連呼する。この人がこんなに取り乱すとは思わなかった。
なんなの?――意味がわからない!南雲さんの命が欲しいなんて言ったのはあなたなのに……!

【門前】「――そうだわ」

睨みつける私の視線を完全に無視し、門前さんは「ぽんっ」と両手を叩いて呟いた。

【門前】「悪ふざけ……これはきっとわたくしを驚かせる悪ふざけなのね?そうなのでしょ、坂上南雲?」

結果的に言うとそれは正しかった。門前さんはほんの“少しの間”でもうろたえてしまった自分を取り繕うように笑みを浮かべる。
けれど――あの人には“それだけの時間”があれば、十分だった。

次の瞬間、音速を超えた鋭利な何かが私を縛めていた門前さんの髪を切断する。

え、何?どうしたの?
路上に落下する私の視界に映った人影は――――萌さん!?

【萌】「ぃええッしゃあああッ!」

ド ゴ ッ !  !

【門前】「あがっ…………!!?」

三角跳びの要領で繰り出された渾身のハイキックが門前さんの顔面に炸裂した。
蹴られた門前さんは勢いそのまま、どこかのお店のシャッターに激突する。す、凄い……。

私は起き上がり、南雲さんの元へと駆け寄った。
顔についた鼻血をぬぐい、散々締め付けられて痛くなった身体を必死で動かしながら、のろのろと。
傍にかけより、治癒魔術の呪文を唱える。けれど、私の言葉は何の『魔法』すら見せてはくれなかった。

「――どうして?」

<あたしらは主人公なのかもしれない。でもさ……死んじゃう主人公だっているよね>

誰かの放った言葉が不安な回想となって弱った心を掻き立てる。
私は南雲さんの近くにヘタリこみ、ただボロボロと泣くことしかできなかった。

【萌さんのキックが門前さんの顔面にクリーンヒット。理奈、解放されて南雲さんの治癒を試みるも何故か魔法が使えずうろたえる】

348 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/15 21:45:58 ID:???
【本編とは関係ありません】

何とかレスできました。現在早さの限界に挑戦中……次は南雲さんにパスしますね。

>ベン・トー
わ、お目が高いですw 続きが気になりますね。

349 :南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/19 11:06:52 ID:???
わたしが先に書いちゃったほうがいいかな?

350 :理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/19 20:46:37 ID:???
お願いします
ちょっとわかりにくかったかもしれませんね……(−−;)
連投になってしまいますけど
もう少し状況を進めたほうが南雲さんにとってロールしやすい形になるなら
次のシーンも私(ないしIntervalさん)が担当しましょうか?

351 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/20 05:42:56 ID:???
無問題。両日中に書きます

352 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/21 04:53:39 ID:???
『清水の舞台から飛び降りる』という言葉は無論、慣用句だ。
"死ぬ気になって死ぬほど頑張る"という意味の――その先に勝ち得る生を前提にした、自己啓発のための方便だ。
死ぬ気で頑張ってる人間に、『死にたい』者はいない。生きるために命を投げ出すという矛盾に満ちた覚悟の形容。
そこはかとなく、狂気の香りがした。南雲はまたイライラした。


>「ぃええッしゃあああッ!」
>「あがっ…………!!?」

裂帛の気合と、不意を打たれた悲鳴、軟骨の潰れるいやな快音。
次いで、どこかのシャッターに何かが激突し、空気を盛大に震わせる。
髪の戒めから開放された理奈が倒れる南雲の頭上に駆け寄って、たどたどしく"呪文"を唱えた。

>「――どうして?」

理奈の治癒魔法が発動しない。
その不全は彼女の心因によるものか――はたまた、もとより死体に治癒魔法など効きはしないのか。
誰も疑問に答えてくれない。沈黙だけが風に掃き寄せられてうず高く積もっていく。

萌によって鼻っ柱を痛撃された門前百合子は、勢いそのまま吹っ飛びシャッターに身を埋めた。
この位置は拙い。後ろは鋼鉄のシャッター、逃げ場がない。萌の瞬発力ならば後退以外の全ての出鼻を挫けるだろう。
文字通り、"出鼻"を――門前の脳裏に強烈に植えつけられた、鼻骨をぶち折られる衝撃と苦痛は、彼女の選択肢を更に奪う。

「この――!」

門前が固有魔法を使った。半ばで切断されていた魔法髪が再び伸張――鋼鉄の如き硬度を宿す。
そしてその髪を、自身の周囲に渦巻くように収束。まるで蚕が繭を帯びるように、等身大の要塞を形成する!
弾丸どころか、機関銃だって通用しないであろう、門前百合子の強者たる秘奥。攻防自在を防御力に割り振った無敵の外殻。

門前百合子の選択した戦術は、籠城だった。
加えて敵の意味不明な自殺、貰ってしまった一撃、塞がれた退路……進退極まれば、当然の答えである。

そもそも『逃げる』なんて選択は、プライドが許す許さない以前の問題だった。
不意打ちをくらったところで、人質を奪還されたところで、彼女の優勢は一向に変わらない。
先ほどのように断ち切られることもない、あらゆる刃も打撃も通さない、文字通りの鉄壁。本体は回復に専念できる。
殴られた傷の回復さえ済めば、今すぐにだって三人とも――今は二人だが、血祭りにあげるなど造作も無い。

だから、門前は逃げなかった。籠城は今の戦闘の流れを一旦切って、自分のリズムを取り戻すためのインターバル。

――だが、門前は逃げるべきだったのだ。
例え萌に無防備な背中を晒そうとも、何が何でも今すぐに、この場から離脱すべきだった。

バシャッ!と、寒空に夕日色の放物線を描いて、液体が門前の要塞を濡らした。
ぎとぎととした油性を美しい頭髪に浸透させながら、辺りに漂うのは独特の刺激臭。
――バケツ一杯ほどのジェット燃料が、門前の髪を汚していた。

「『烏の濡羽色』って言葉があるよね……艷めく黒髪がまるで濡れた黒羽みたいだっていう美しさの表現なんだけどさぁ。
 金髪も濡らしてみたら色っぽくなるのかな?と思ってやってみたけど――きったねえし臭いしで、最悪だよあんたの髪」

側頭部の血も乾きつつある、自殺死体の坂上南雲。
頭を自ら撃ち抜いて死亡したはずの彼女が、立ち上がり、門前へ向けて魔法を放っていた。
しかしその双眸は、敵を見ていない。二重が深く、愛嬌のあった諸眼は――赤く塗り潰されている。

南雲の両目は、銃弾によって粉砕されていた。
視神経は断裂し、水晶体は飛び散り、網膜はずたずたで、瞳孔は焼け焦げていた。
きつく閉じられた瞼の隙間から今も血と水晶体の混じり合った液体が、まるで滂沱の涙みたいに流れ落ちている。

353 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/21 04:56:19 ID:???
こめかみを撃っても人は死ねない。
正確に両方のこめかみを突き抜けるよう射撃した場合、弾丸は脳を傷付けずに貫通する。
弾が通るラインは、ちょうど眼窩に収まる両目を穿つのみだ。

南雲はそれを知っていてこの凶行に及んだ――わけではなかった。
彼女は頭が良いわけではない。知識が豊富なわけでもない。論理的に戦略を立てられるわけでもない。
ただの、少しだけ意地っぱりの女子高生なのだ。

門前百合子の目論見通りになるのが、"死んでも嫌だった"から――命を賭けて意表をついた。
それだけだ。
そしてその『女の意地』が、彼女の生死を分かつ鍵となった。

「動くんじゃあないぜ、門前ちゃん。この距離ならきみが動くより弾のほうが速い。
 ただ撃つだけじゃ効きっこないだろうけど、繊維の隅々までジェット燃料の染みこんだその"髪"は――よく燃えるだろうね」

例え鋼鉄のように硬くても。例え指先のように自在でも。
髪は髪だ。タンパク質によって構成された、キューティクルの間にたっぷり空気を含む繊維は、薪のようによく燃える。
ましてや、そこに染み込んでいるのは数百トンの機体をマッハで飛ばす燃焼力を持つジェット燃料だ。
理奈を巻き付けていた先刻ならいざ知らず、もはや門前百合子の髪を燃やすのに、なんの躊躇いも必要としない。

問題があるとすれば――目の見えない現在の南雲にとり、門前の正確な位置がわからないこと。
そして門前百合子の完璧にして鉄壁の城塞は、こちらの攻撃だけでなく――こちらの視線をも阻むという特性。
萌も、理奈も、門前が髪繭の中で何をやっているのか、何を企んでいるのか、実態を掴めないという点にある。
だから実際のところ、『動くな』という南雲の命令は、門前にとって何の強制力も持ちはしないのだ。

果たせるかな、門前に動きがあった。
沈黙してただそこに座すだけだった髪繭が、不意に吹っ飛んだのだ――南雲の方へ一直線に!

「……っが!」

盲目故にまったく無関係の方向を警戒していた南雲はあっさりと燃料入りの髪繭に押し倒されて、鈍重にタイルの上を転がる。
門前は髪繭をパージしていた。切り離した髪の塊を、そのまま新たに髪を伸ばして作った豪腕で南雲の方へと殴り飛ばしたのだ。

「ええそうですわね汚いし臭いし重いしで最悪ですわこの髪は!だからあなたに差し上げますわ坂上南雲!!」

右の手の平を猛虎のように開き、たちまち点火済みのオイルライターを生成する。
ひとりでに解けて絡まる髪繭と地面の上で悪戦苦闘している南雲へ、ためらわずにオーバースローで放り投げた。

「取引ごっこはおしまい!!だって面白くないんですもの――やっぱり戦いはワンサイドゲームでなくちゃ☆」

ぎろりと視線で射抜いた先には萌。ついさっき鼻っ柱を折られた憎しみを、怒りを、髪に込めて――
想いを力に変える魔法核は、激情家な門前の要求にこれ以上ないパフォーマンスで回答する!

「喰らって――!」

ドリル髪――比喩ではない混じりっけナシ、極太バリカタ一本槍の毛束が螺旋を描いて萌を貫きに奔る。
受ければ骨穿ち、躱せばその先に居る理奈をたちどころに肉片に変えるであろう、致死の一撃である。


【失明。形勢逆転と思いきや、マジギレされる】

354 : ◆Gw1TY5I6ic :11/11/23 00:34:21 ID:???
確かな感触。鼻骨の折れる音。
どちらも慣れたものだ。自分のものであれ、他人のものであれ。
だから、ダメージの程度も想像がつく。
(やっべ、浅かった)
冗談抜きに命を奪うつもりで放った一撃は、大体の行動がそうであるように、想定と違った結末をもたらした。

蹴り飛ばされた門前は銃声で騒然としている人波の向こうに消える。衝突音がさらに混乱を煽る。
間にいた通行人はいいとばっちりだが、死人は出ていないようだ。――少なくとも、今のところは。
背後から理奈の狼狽した声がするが、萌にそちらを見る余裕はない。

ひしゃげたシャッターが音を立てて揺れる。
見えない何かがゆっくりと立ち上がるその光景を見て、中年男性がそばに倒れている学生を引きずって離れようとする。
(ああもう邪魔ぁぁぁぁ!まとめて合い挽きにすっぞコラあ!)
魔法少女には殺意を込めて蹴りを入れておきながら、一般人への被害は抑えたいという心境を偽善と誹る向きもあろう。
しかし、訓練を受けた軍人が直接に手応えを感じることのない銃で人を殺めてすら、心に残る傷は大きいものだ。
その後の人生を変え得るに十分なほど。
事ここに至ってなお、萌にはその覚悟が持てない。

故に、機を逸する。
進路がクリアになった瞬間、萌は顔面への再びの蹴撃を狙って前傾した。
そして各部の捻転、伸展が加速を生むその直前、金色の球体が眼前に出現する。
それが束ねられた髪だと認識できたときには、追撃の手段は残されていなかった。

髪の毛は、常人のものであっても同じ太さの銅より強靭だ。
魔力で強化された上に多重に積層された"それ"には、考えるだけ無駄なほどの強度があるだろう。
「上っ等……ぜってえぶち抜いてやる」
もとより考えるつもりもなかったようだが。

そのまま頭蓋の中身まで筋肉に変えて突進せんばかりの萌の頭上を、何かが緩やかに飛びすぎていった。
液体のはぜる音と、揮発油の香り。
>「『烏の濡羽色』って言葉があるよね……艷めく黒髪がまるで濡れた黒羽みたいだっていう美しさの表現なんだけどさぁ。
> 金髪も濡らしてみたら色っぽくなるのかな?と思ってやってみたけど――きったねえし臭いしで、最悪だよあんたの髪」
油膜の虹色はわりあい綺麗じゃないかな、などと考えながら振り向いた萌の表情が凍る。

立ち上がった南雲のまぶたは強く綴じ合わされ、代わりとばかりに両こめかみに穴が開いている。
スプラッタな光景にはもはや慣れたものだが、一面に血がぶちまけられるのとも違うその陰惨さはあまり目にしたいものではない。
いささか慌て気味に視線を戻した。球体の中で、門前の動きは杳として知れない。
文字通りの闇の中なのだろうか。

>「動くんじゃあないぜ、門前ちゃん。この距離ならきみが動くより弾のほうが速い。
> ただ撃つだけじゃ効きっこないだろうけど、繊維の隅々までジェット燃料の染みこんだその"髪"は――よく燃えるだろうね」
結局は髪なのだ、とそこでようやく思い至る。
強化されてるとはいえ、もともと熱に強いわけではないタンパク質は燃料油の炎上に耐えまい。
そして炎は酸素を奪う。いかな魔法少女といえど脳への酸素供給が途絶すれば、即絶命はしないにせよ意識はなくなるだろう。
後は、向こうが動きを起こす前に着火すればいいだけだ。

(……あそこに目が再生しちゃったりしないのかな)
もはや決着が近いとたかをくくった萌は、ふと南雲のこめかみの穴に思いを馳せた。
その瞬間、球体が膨れ上がった。

355 : ◆Gw1TY5I6ic :11/11/23 00:37:25 ID:???
大きさが増したのではなく接近したのだと気付いた刹那、それは既に萌の脇を通り過ぎていた。
思わず軌道を目で追ってしまう。南雲が髪に巻かれてもがいている。
「いや何してんのあんた!?」
萌よりも間合いが遠かった分、回避は可能だったはずだ。が、そこで十数秒前の光景を思い出す。
まぶたの隙間から漏れる血と血ではない液体。南雲の両目はまだ回復していなかったのだ。

>「ええそうですわね汚いし臭いし重いしで最悪ですわこの髪は!だからあなたに差し上げますわ坂上南雲!!」
萌は再び視線を門前へ向ける。その頭上をこれも再び何かが飛びすぎてゆく。やはり再度、軌道を追う。
リッド。チムニー。その間の火。緩やかな放物線を描くオイルライターへ向け、足を振り上げた。
文字通り空を切り裂いた足先に感触はない。あとは風圧で消火しているか、さもなければ理奈がどうにかするか。
ひたすら祈る。コストが低い代わりにリターンも得にくい行動だが、もはや他にできることはない。

蹴りのフォロースルーで門前へ向き直った萌へ向け、一条の光が伸びる。束ね、撚り合わされた金髪が照明をを照り返していた。
振り返る前の位置関係を、フルアクセルの思考力で必死に思い出す。まっすぐに理奈、少しずれて南雲。
萌がブラインドになって背後の二人には状況が掴めていない可能性がある。
この時点で回避という選択は消えた。腰をやや落として正対する。

胸元めがけて突き出される刺突を手で抑えこむと、血が空中に渦を描いた。
だが豪槍の一撃は止まることなく、軌道がわずかに逸れただけだ。
「キューティクルが……」
そして、呻きながら声を発する萌の腹部へ、それがとうとう突き立った。

身体を両断してしまいそうな一撃は、しかしそこでぴくりとも動かなくなる。
撚り合わされた髪にも負けないボリュームで腕の筋肉が隆起している。
その先では、流れ落ちる血と食い荒らされた皮膚の下、
二列三段に綺麗に割れた腹筋が穂先に噛み付いてその動きを封じていた。
「筋……繊維にぃ……」

先ほどのようにリソースをすべて瞬発へ振れば、刺突を止める力は得られる。
しかしその場合、認識が速度についていかなくなる恐れが大きい。
コントなどでお馴染み、真剣白刃取り失敗だ。この状況下では笑えたものではない。
だから絶対に"逃さない"状況で振り直す。それが、萌が瞬時に下した判断だった。

腹筋へと誘導した髪束を、血で滑る手で掴み直して振り上げる。
「勝てると思うなあああああ!」
そして絶叫と共に全力で振り下ろした。目標は先ほど突っ込んだシャッター近辺。
このまま突っ込めば物件は全壊必至であるが、多数の通行人を傷つけるより少数の店舗関係者に泣いてもらうほうが気楽というものだ。

【一本釣り】

356 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/26 20:48:26 ID:???
【本編とは関係ありません】
18時間以内にレスします

357 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/27 16:10:33 ID:???

【通行人】「ちょっと、大丈夫……?」

酷い怪我――原因不明の騒音に加え、突然陥没したシャッターにどよめく通行人の中の優しい誰かがこちらに呼びかけた。

【通行人】「こんな所に座り込んでどうしたの?早く離れなさい!」

年齢より幼く見える容姿のせいだろう。小さい子に言い聞かせるように私の手を引き、この場から移動させようとしている。
何も知らない人からすれば確かにさっきからこの空間で起こっていることは異常だ。でも

「違う……違う…………です」

――助けて欲しいのは、私じゃない!
嗚咽が喉を塞いで上手く声が出せない。
頼りない自分に憤りつつ、出せない言葉の代わりにじっと座りこんで指先だけで示す。

あそこです!あそこに倒れてるお姉さんです!南雲さんを助けてください!

……通行人は困惑した表情を浮かべ、薄気味悪いものを見るような視線を残して私から遠ざかっていった。

そっか、何も見えてないんだ。
私は今の自分がどんな姿をしているのか、ようやく気がついた。紅い魔装が解けてしまっている。
魔法少女でも何でもない。どこにでもいる小学6年生の女の子。
誰も助けられない、大事な人すら守れない、ずるくて弱い――ただの神田理奈だ。

【門前】「この――!」

シャッターにめり込んでいた門前さんがその強靭な髪を変形させ、繭のように自らを包みこむ。

【萌】「上っ等……ぜってえぶち抜いてやる」

防御姿勢をとって回復に入った門前さんに追い討ちをかけようとする萌さん。
瞬発力を秘めた彼女の肉体が一撃を加えようとしたその直前、琥珀色の液体が金色の繭を濡らした。

【南雲】「『烏の濡羽色』って言葉があるよね……艷めく黒髪がまるで濡れた黒羽みたいだっていう美しさの表現なんだけどさぁ。
     金髪も濡らしてみたら色っぽくなるのかな?と思ってやってみたけど――きったねえし臭いしで、最悪だよあんたの髪」

――南雲さん!?
ふら付く足取り。狙いの曖昧な銃口。でも、確かに生きてる! 嬉しさと驚きに私は息を飲み、その空気に酔いそうになった。
揮発性の燃料が漂わせる独特の匂い。駆走さんのときにも使用したジェット燃料――南雲さんの切り札だ。

【南雲】「動くんじゃあないぜ、門前ちゃん。この距離ならきみが動くより弾のほうが速い。
     ただ撃つだけじゃ効きっこないだろうけど、繊維の隅々までジェット燃料の染みこんだその"髪"は――よく燃えるだろうね」

だけど、湧き上がった嬉しさは瞬時に痛みへと切り替わる。
……拳銃で、頭を撃ちぬいたんだ。軽い怪我で済むはずがない。私は思わず目を背けそうになり――

<理奈ちゃんにはこれ以上血を流して欲しくない><でもわたしは――やっぱり願い、叶えたいから>

――背けるのを止め、真っ直ぐに南雲さんを見た。この人の“覚悟”と“意地”を刮目する為に。


【続く】
【Intervalより:理奈にとって南雲さんが見せた『女の意地』は狂気とは映りません。
 しかし、私にとっての狂気とは決して悪いものを意味するわけでもないのです。不愉快な思いをさせてしまったことをお詫びします】

358 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/27 16:11:35 ID:???
――――束の間の沈黙、

その後に

繭が、爆ぜる。

【南雲】「……っが!」

門前さんの吹き飛ばした髪が眼を失った南雲さんを絡めとった。
南雲さんの近くに立っていた私も衝撃に巻き込まれてブチかましを受ける。

【門前】「ええそうですわね汚いし臭いし重いしで最悪ですわこの髪は!だからあなたに差し上げますわ坂上南雲!!」

物体生成。門前さんがその手に火のついたライターを創り出し、何の躊躇も無く南雲さんに投擲する。

【門前】「取引ごっこはおしまい!!だって面白くないんですもの――やっぱり戦いはワンサイドゲームでなくちゃ☆」

ちょっと、語尾に☆なんかつけないでよっ!!
……って、何なの私の謎沸点?すっごくどうでもいいんですけどっ!…………よくないけど!
ライターは緩やかな放物線を描いて真っ直ぐに南雲さんへと向かっていく――駄目、間に合わない。

そのとき、私とライターを隔てるその空間を鋭い何かが貫いた。
ピシッ!という堅い音を響かせ、ライターがほんの微かに浮き上がる。

私はその一瞬を逃さなかった。
今ここで動けなかったら、私は一生自分を許せなくなる!
軋んで痛んで泣き喚く関節と両足を叱り飛ばし、全身全霊を投げ出してその隙間に飛び込んだ。

「はぁ……はぁ………………はぁ」

掴んだライターの灯火が私の指先を淡く焼き焦がす。擦り剥いた膝がヒリヒリと痛んだ。
ライターの火を消し、起き上がった私は南雲さんに絡まった油塗れの髪を外しにかかる。

【萌】「勝てると思うなあああああ!」

背後で萌さんの雄叫びが響き渡った。


【ライターをダイビングキャッチ】
【門前さんのレスポンスは共有になりますが、今は南雲さんに担当してもらったほうが面白そうなのでお任せします】

359 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/29 07:22:13 ID:???
魔法少女になって、分からないことも至らないことも山ほどあったけれど、不思議と不安に思うことはなかった。
南雲は自分の"割り切り屋"な性分を理解しているし、そのおかげで幾度となく心折れずに立ち上がってこれた。
だから、不安があるとすれば自分の心構えだけじゃどうしようもない部分――例えば死んだ後のこととか。
魔法少女として戦って、力及ばず敗北して、その結果自分が死んじゃったとして。その後はどうなるのだろう。

魔法少女は変身すると、常人からは見えなくなる。影も出ないし、写真にも映らなくなる。
変身したまま死んだら――客観的に見れば、死体すら残らない完全な"消滅"だ。
魔法少女同士の殺し合いが日常的なレベルで散発しているのに、変死体がニュースを騒がせることがないのはこれが理由だろう。
お父さんにも、お母さんにも、親しい友人にすらその死を認めてもらえない。
法的に死亡認定される7年後まで、ずっと行方不明――家出やら誘拐やらの線で探され続けるのだ。

それはいやだな、と南雲は思った。
自分でも驚いたが――そこに至って初めて彼女は、"死にたくない"と心から感じたのだ。

――>「はぁ……はぁ………………はぁ」

そばで誰かの息遣いが聞こえる。
フルマラソンを走りきったかのような憔悴ぶりが細切れの吐息から伺い知れ、自分のものじゃない汗と埃の匂いが鼻を疼かせた。
小さな手が、地に伏せる南雲の上に重くのしかかる何かに触れた。
ぶちぶちと繊維の千切れる音といっしょに、ぬるりとした感触の"重み"が、次第に取り除かれていくのを感じた。

>「勝てると思うなあああああ!」

ぶおん、と何かが頭上を高速で駆け抜けて行って――鯨が海に飛び込んだみたいな凄い音がした。
叫びは萌のものだ。対峙しているのは門前だろう。ならばいま、常人には見えないこの身体を介抱してくれているのは。
ようやく眼球の再生に目処が立ち、目の前に光が戻ってくる。新しい眼球が初めて結んだ実像は、肩で息をする少女の顔――

「理奈、ちゃん」

神田理奈。南雲の可愛い後輩であり、啓蒙すべき魂の持ち主であり、攻撃の要を担う魔法少女。
南雲が両目をぶち抜いたその時から、ずっと彼女の身を案じ続けてくれた女の子。
ようやく、傍に取り戻せた。その存在を検算するべく、指先で理奈の頬を撫でようとして、気付いた。

「――魔装、どうしたの?」

南雲たち新米魔法少女の中で最も汎用性に富み、門前に対する有効打を放ちうる理奈の。
その積み上げた宝石の山より尊い大切な命を保護する戦闘装束が解除されている。
まったくの無防備で――必然、衆目に晒されながら理奈はそこに存在していた。



>「キューティクルが……」
>「筋……繊維にぃ……」

門前百合子の放った必殺の槍――あらゆる逃げ場を潰した上で投じた盤石の戦術。
それが、なんともはや熱病のときの夢みたいとしか形容し難い行状で止められていた。
阻んだのは、筋肉。綺麗に割れた腹筋がその"あぎと"にて髪槍へと喰らいつき、そこから先の破壊を全て飲み込んでいた。

(なんてファビュラスな腹筋……!どう鍛えたらあんな意味不明なことができるのかしら!)

それでもなお門前が余裕を保てているのは、攻撃手段がこの一本槍のみではないという当然の帰結によるものだ。
止められた毛束から枝を生やすようにして槍を無数に派生させれば、逃しはしない。蜂の巣だ。
――しかしまたもや門前は、土壇場での判断を誤ることとなる。

>「勝てると思うなあああああ!」

ぐん、と強く髪を引かれた。
渾身のふんばりも虚しく靴が地面から離れ、髪ごと牽引されるようにして空へと吸い込まれる。

「うそっ――――?」

360 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/29 07:23:02 ID:???

体幹ごと巨人の手に掴んで揺さぶられたように感じた。
視界がめまぐるしく回転して、一瞬のちには再びシャッター――をぶち抜いてその中へ。
閉業した電器屋の、洗濯機と衝突し、電子レンジを跳ね飛ばし、後頭部を炊飯器で強打して、コンクリの壁へと身体ごと突き刺さる。
アスベストの煙幕立ち込める中、門前百合子はそれでも驚異的な精神力で意識を手放さなかった。

「うふ、うふふふふふ、うふふふふふふふふふふふふふふふ…………ごぼぇっ!」

えずき一発、門前は背中を大きく痙攣させて嘔吐した。喉からまるで蛇口のように吐き出される、鮮やかな赤色。
身体の中身全てがズタボロだ。内蔵は破裂してかき回され最早どれが胃でどれが腸だったかすらわからない始末。
たったいま吐いたものも、肝臓と右肺と食道の切れ端の混ざり合った物体だった。
当然骨など全身が複雑骨折。髪による防御のない、攻撃に全傾した瞬間を狙い撃ちされれば、門前とてここまで脆い。

「ごぼっごぼっ、うっ………………っは、」

それでも、戦闘可能レベルにまで回復するのに10秒あれば十分。
門前にとって幸運だったのは、ひどく奥まったところにまでふっ飛ばされたために、向こう10秒間を追撃の懸念なく稼げたことだ。
全身の骨をあたらしく再建して、門前百合子は立ち上がる。その頃には内蔵の修復が始まっていた。
これが、魔法少女の戦いだ。

(思い出すわあ……まだ新参だった頃の戦いを。怖くて痛くて、ゾクゾクきちゃう☆)

魔法少女はベテランになればなるほど、傷を負うことにも負わせることにも躊躇がない。
常人をはるかに凌ぐ回復力・再生力を持つ魔法少女にとり、『どうせ治る』という甘えは攻撃の積極性へと変換できる。
死なない限り大抵の怪我は治るから――死ぬ前に・魔力が尽きる前に相手の命を削り切るという戦術へとシフトする。
それはあたかも傷付けないためのグローブをして殴りあうような、"怪我しない"という一種の前提を戦場に作り出すのだ。

強くなった門前百合子にとって、娑婆のチンピラ同士のナイフファイトみたいな、
斬られるのが怖くてお互い踏み込めない緊張感に満ちたバトルを経験するのは久しぶりだった。
怖い。怖くて涙が出る。楽しい。楽しすぎて気が狂ってしまいそう。また鼻っ柱を折られるかと思うと失禁しそうだ。
ここまで追い詰められた現状に、がくがくふるえる足を叱咤しながら、戦場へと歩み戻る。シャッターから出て、朗々と謳う。

「『幸せ』って、なんだと思うかしら。好きな人と一生一緒に添い遂げること?欲しいもの全て手に入れること?
 美味しいケーキと芳醇な紅茶を飽きるまで食べつくすこと?恨み骨髄の相手を思う限りの苦痛を与えて殺すこと?
 ――わたくしはね。"幸せだな"って気持ちを永遠に絶やさないことだと思いますの」

あと何回死ぬほどの怪我を負えば、魔法核が枯渇して再生できなくなるだろう。
あとどれほどの大技を放てば、防御に割り振る魔力が足りなくなって心臓に刃が届くだろう。
いくら自己治癒に優れた魔法少女だって、即死すればそも治癒魔法が使えなくなる。死んだままの、死だ。

「魔法少女の殺し方を教えてあげますわ――相手の"幸せ"を、一つ一つ摘み取っていくのよ!!!」



門前の髪が収束し、撚り上げられ、黄金の鋏が形成される。巨大な剪定鋏だ、片方だけでも大人ひとりの身の丈を越す。
髪によって保持された大鋏を、門前は振り上げ、鰐のあぎとのように開いた刃をこちらへ向けた。

「ッ!! ――理奈ちゃん、息止めて!」

気付いた南雲は目の前にジェット燃料による炎の壁を生み出すが――熱に弱いはずの髪鋏は容易くそこを突破!
見越していた南雲は既に行動を開始していた。無防備の理奈を胸の中に抱きしめて、跳躍。
ズガヵン!とアスファルトが豆腐みたいにえぐれて弾け飛ぶ。いよいよ買い物客たちが異常現象にざわつき出す。

「遠慮しようよもうちょっと!」

跳んだ南雲を追う鋏はさながら獲物を睨む蛇だ。着地後の致命的な隙へ、再びの斬撃が来る――!


【南雲:視力復活早々ピンチ  門前:萌の投げを喰らって有効打。中距離からの鋏で追い詰める戦術へシフト】

361 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/11/29 07:25:31 ID:???
【本編について】
門前ちゃんってあと何ターンぐらい戦闘しましょう?

362 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/11/30 21:49:50 ID:???
【本編について・返信】
Intervalさんの代わりに私がお返事します。
戦闘パートについてはこのターンで一旦区切るみたいです。
えっと、次のレスは萌さん、私と来るので私のレスで一応「決着」……という形になる予定です。
今回の目的が『夜宴』との接触なので、この戦いの先にその糸口をつかめるような予感がします。
「弓」の魔法少女のスタンスもハッキリしてないので、そこのところもわかったらいいなって……。

後は南雲さんと門前さんと萌さんの決断次第です。

363 : ◆Gw1TY5I6ic :11/12/02 00:19:57 ID:???
――やっちまった

粉塵に霞む店前を睨みながらの萌の内心を言語化するとそうなる。
激しく咳き込む声に、液体の音が混ざっているのがはっきり聞き取れる。
胃液か血かそれ以外の何かか。なんであっても無傷というわけにはゆくまい。
だがまだ相手は動いている。そして萌の方はうかつに動けない。
勢い良く叩きつけられた門前は綺麗にシャッターを突き破ってその向こうへと消えた。
ひどく狭くひどく暗い店内へ。

能力と場所。
組み合わせ次第で有する実力以上のものを簡単に発揮させられるファクターだ。
例えば、門前の固有魔法と狭所。そこに突っ込むのは蜘蛛の巣にからめとられに行くのと変わりがない。
いくら核の反応から相手の位置を気取れるといったところで、それだけで戦闘はできない。
あるいは熟達すればそれは可能かもしれない。計器だけを頼りに魚雷やミサイルを撃ちあうように。
とはいえ今の萌はその域にはなく、それゆえに、またも追撃の機を逸する。

もともと実力差がある相手の、さらに有利な場所に踏み込むのは勇ではなく愚である。
そうわかってはいても、シャッターの向こうから出てきた門前を見た萌の胸中は後悔で埋まっていた。
ドリルとの摩擦で煮えくり返りかけたはらわたを治す十秒の間に、向こうも同じく"調えて"来ていた。
手の内を一つ晒して仕切りなおし。無理を通さなかったばかりに、不利が一つ積まれる。


>「『幸せ』って、なんだと思うかしら。好きな人と一生一緒に添い遂げること?欲しいもの全て手に入れること?
> 美味しいケーキと芳醇な紅茶を飽きるまで食べつくすこと?恨み骨髄の相手を思う限りの苦痛を与えて殺すこと?
> ――わたくしはね。"幸せだな"って気持ちを永遠に絶やさないことだと思いますの」
いかにも楽しげな声に不調の色はない。ついでに意外と隙もない。
なので、とうとうと喋っている間にもう一度出鼻をくじいてやることもできない。
(どうにかもっぺん血反吐ぶちまけさせてやらないとなあ)
自分が吐かされる可能性もあるのだが、ひとまずそれは考えない。
可能性を勘案することと"意気込み"はまた別の話だ。

>「魔法少女の殺し方を教えてあげますわ――相手の"幸せ"を、一つ一つ摘み取っていくのよ!!!」
「だからって剪定バサミは安易じゃね?」
ならばトリマーや鋸なら良かったのかというとそういうわけでもないのだが、それはさて置いて。
咆哮とともに繰り出された鋏は構えた萌を無視してあらぬ方向へ。
「あ」
門前に注視するあまり、またも理奈や南雲が完全に視界の外になっていることに、ようやく萌は気がついた。
即座に生み出された炎の壁を、鋏は難なく通り抜けてアスファルトに突き立つ。

理奈を抱えながら跳躍してそれを回避した南雲へ向け、再度切っ先が向けられる。
「目の前の人間ほっておいて勝手に盛り上がんないでよ!」
そこへ横合いから鋏の要を狙っての萌のタックル。刃を脇に抱え込んで閉じ合わせる。
それから体を捻って思い切り髪を引く。

変身後の萌の体格なら、門前の体をいくらか持ち上げる方向へ力がかかる。
そしてただ立っているだけなら、それに抵抗するための下方への力は体重以上には絶対にならない。
つまり、このまま行けば先程の店舗全損のリプレイだ。当然そうはゆくはずもない。

体を捻りきる前に萌の動きが止まる。それ以上はどうあっても引けない。
鋏の伸びてきた元では、門前が両の口角を釣り上げて笑っていた。
その周辺の路面に走る幾多のヒビ。それぞれの中心に髪一房。
門前は髪をアンカーとして地面に打ち込み、自分を固定することで萌の牽引に対抗したのだ。

――そして、萌も笑う。門前は自らを固定した。逃げ場のない状況に。
萌の後ろに控える二人の得手は飛び道具。ここまでは目論見のとおり。
あとは向こうが先に"抜く"か理奈、南雲が先に"抜く"か。
西部劇よろしくクイックドロウ対決だ。

【綱引き】

364 : ◆Gw1TY5I6ic :11/12/02 00:21:27 ID:???
とりあえずこのターンで、ということなのであまり引っ張らずに繋ぎました。
レス中ではこれ以上なく引っ張っていますが。

365 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/12/03 20:30:31 ID:???
>萌さん
>これ以上なく〜
上手いこと言ってるのにドヤ顔もせずクールにこなしちゃう姿が素敵ですw
パスありがとうございました。

リアル事情によりレスまで48時間ほどかかりそうです。
……南雲さん、先に謝っておきますね。

ごめんなさい。

366 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/04 16:10:16 ID:???
>先に謝っておきますね。

よくわかんないけど楽しみにしてるよー

367 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/12/05 21:54:59 ID:???
【本編とは関係ありません】
すいません、あと24時間かかります……(TT)

368 :神田理奈(私ってホントにクズ) ◆O9eTRO0ZSM :11/12/07 11:02:46 ID:???

【門前】「うそっ――――?」

門前さんが素っ頓狂な悲鳴をあげて飛んでいったような気がしましたが……聞こえてきたのは盛大な破壊音だけでした。
事故現場になった電器屋さんの被害総額とか、翌朝開店したときの最初の表情だとかが脳裏を過ぎります。
が、ぶっちゃけ今の私にとってはわりとどうでもいいことなのかもしれません。

粘つく髪を掴んで引き抜き払いのけ、ようやく南雲さんの身体から戒めを外す。
わずかに血の跡を残した眼窩には、破損したはずの瞳が光を取り戻していた。

【南雲】「理奈、ちゃん」

南雲さんが私の頬に手を伸ばし――触れそうになった直前でその指先を止める。
自分が触れようとしたモノが実は壊れやすい飴細工だと気付いて、触れるのを躊躇ったかのように。
そんな風に、私は思った。

【南雲】「――魔装、どうしたの?」

「南雲さん……」

門前さんの髪で簀巻きにされたときよりも胸が締め付けられる感じがして、涙を堪える。
人質にされて、怪我も治せず、その上魔装すら消えてしまった私。これじゃ今日一日、役立たずを通り越して完全なお荷物だ。
にもかかわらず――南雲さんはそんなお荷物を気遣って、言葉をかけてくれるのに。
私はその優しさに応えることすらできなくて……

「わからない……わからないんです……」

ただ、その言葉を絞り出すのが精一杯だった。

何で?どうして何も出来ないの?……私が何かを見落としているから?一体……何を。
背後で大きな物音が聞こえてくる。土煙と粉塵の漂うシャッターの向こうから、門前さんの影が浮かび上がった。
喧騒の中でうまく聞き取れないけれど、『幸せ』についての何かを朗々と語っているようだ。


【続く】

369 :神田理奈(私ってホントにクズ) ◆O9eTRO0ZSM :11/12/07 11:03:39 ID:???

――やがて、こちらをターゲットに据えた門前さんが鰐のように巨大な鋏をこちらに向かって飛ばしてきた。

【南雲】「ッ!! ――理奈ちゃん、息止めて!」

言われてすぐに口で手を押さえ、様子を覗う。南雲さんが炎の障壁で道を塞ぐも、鰐のアギトは止まる事を知らない。
回避した隙だらけの私たちに、追撃が迫る。そこへ――

【萌】「目の前の人間ほっておいて勝手に盛り上がんないでよ!」

横合いから飛び出した萌さんが鋏にタックルし、綱引きの要領で髪を引っ張り込む。
門前さんは先ほどのように一本釣りにはならなかった。周囲に張り巡らせた髪がアンカーになっているらしい。
――しかし、門前さんにもう逃げ場は無い。刹那にして交差する視線。次の一撃が勝負を決める、その死線。
即ち、クイックドロウ!

おそらく真っ先に動いたのは南雲さんだった。拳銃の弾よりも速い攻撃を門前さんが出せるとは思えない。
勝った!私は南雲さんと萌さんの勝利を確信して――――凍りつく。
微笑む門前さんの、その顔に。
微笑む彼女が目の前に差し出した、その“輝き”に…………!!

トリガーを引く時間にラグが生じる。そう、“あれ”が何かに気が付かない南雲さんではないから。
仮に気付いた上で弾を発射したとしても、この一瞬によって門前さんの一撃は弾丸の速さに追いついてしまっていたから……。

あなたは…………何処まで……………………!!!!

飛来する髪の一房は大きな鎌の形をしていた。
金髪で創られたその鎌はまるで三日月のように輝いて、死神のそれとは似ても似つかない。
けれど、私はそれがこれから刈り取っていく命が、どうか自分の分だけで済みます様にと――懸命に祈った。

斬られて。断たれて。転げ落ちる。
自分の胴体から下が膝をついて倒れる奇妙な光景を見上げた直後、私の視線が宙をさ迷う。
すり潰されてしまったのは誰?茅野さんの願いが胸に響く。駆走さんの最期が脳裏を過ぎる。

やっぱりこの世界は――みんなから夢も願いも、時には命すらも奪っていく理不尽で残酷な場所なんだ……。

私の願いって、何だっけ……?せめて、誰かの大事なものぐらいは、守れたのかな。
真っ暗になってしまった視界の中で、碧い星が瞬く。私はそれに手を伸ばした。触れた感触すら曖昧なまま、言葉を紡ぐ。
半分以上切り裂かれた横隔膜を震わせながら、残された呼気と時間で、せめてこの気持ちだけでも南雲さんに伝えたかったから。

「  か    な    え         て     」

星が消え、私の意識は真っ白な静寂の中へと溶けていった。


【――――――】

370 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/07 11:04:48 ID:???

猪間麻子は焦燥感に駆られていた。
激突する複数の気配にはいくつか既知のものが含まれているように感じたからだ。
“連れの男”を鎖で引き摺り回し、屋根伝いに移動する。飛ぶように。翔けるように。

果たして彼女の感覚は的中した。
到着した先は国道沿いの商店街。通行人が逃げ惑う中、見知った顔が3つ、嫌いな顔が1つ。
戦況は――やや違和感があるものの、どうやら見知ったほうが優勢らしい。

【萌】「目の前の人間ほっておいて勝手に盛り上がんないでよ!」

萌が起点となって成立させた2対1の撃ち合いの図式。
無防備なパスタ女(麻子は彼女の名を覚えていなかった)に勝ち目は無い――そのはずだった。しかし、

【麻子】(……って、おい。“アレ”ってまさか!?)

門前から突然現われた“反応”に麻子は驚愕する。
それは南雲にしても萌にしても同様だったらしく、彼女たちに僅かな隙を与えた。

直後、門前百合子の放った斬撃が南雲を庇った理奈の身体を半分に両断する!

【麻子】「理奈っ!?」

セパレートされてしまった彼女の上半身と下半身から血液が流失していく。
“アレ”が門前の手中にある今、理奈の回復は絶望的だ――間違いなく、死ぬ。

【麻子】「あのクソ女っ……!!縊り倒して――」
【???】「はいすとっぷー」
【麻子】「どけよ、このスットコドッコイ!!」
【???】「どっちが?今突っ込んで行ったら君、間違いなく『射抜かれる』ぜ?」

連れの男がアーケードの反対側の『屋上』を親指で示した。……こちらに気付いているようだ。

【麻子】「ちっ……」
【???】「どうだろう、ここは一つ僕が間を取り持って仕切りなおしてみようと思うんだけど……?」
【麻子】「やれるもんならやってみろよ――アイツらの返答次第だ」

“アレ”を取り戻せない場合は潰し合いを続ける他にないけどな、麻子は言外にそう付け加えた。

【???】「はいはい、ありがとう」『おーい!!そこのみなさーん、ちょっといいかなー!!?』


【猪間麻子、及び謎の男が戦場に参入】【「弓」の魔法少女、臨戦態勢?(回復の度合いは不明)】

371 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/07 11:05:21 ID:???

たとえ理奈が南雲の盾になったからと言って――
たとえ理奈の身体が半分に切り裂かれたからと言って――
彼女たちがすぐに何もしてこないとは限らない。そう考えた門前百合子はすぐさま己の髪を引き戻しにかかった。

【門前】(嗚呼!このような死地を経験してなお!わたくし、生きながらえてるぅ――!!)

嬉しい。嬉しくて涙が出る。気持ちいい。脳内から分泌された多量のドーパミンがランナーズ・ハイに似た多幸感を与えてくれる。
あまりの快感に全身の到るところから体液が溢れ出てきそうだ。
門前百合子は目の前に広がる神田理奈の惨状を目の当たりにし、残された自らの生命に幸せを感じた。
内側からくる火照りのようなものが、彼女の顔を上気させる。
冬の風で渇いた唇をひと舐めし、潤いを与えた。普段は貞淑なその美貌が、歪んだ幸福に輝いている。

【門前】「わたくし言いましたわよね――魔法少女の殺し方を教えてあげるって?」

彼女は掌に隠し持っていたその“輝き”を見せびらかすように表に出した。

【門前】「“これ”がその子の幸せよ」

“神田理奈の魔法核”――これこそがまさに門前百合子の切り札であった。
先の戦闘で理奈を昏倒させた後、既に抜き取っていたのだ。
……後は触れている間だけ他の魔法少女と同じく一般人に見えないよう細工を施せばいい。
理奈の怪我の回復が遅いのも、魔法が使えなくなったのも、魔装が解けてしまったことも……全てはこれが原因であった。

【門前】「さあ、次は貴女たちの番よ!草の根も残らないぐらい摘み取ってあげる――」
【???】『おーい!!そこのみなさーん、ちょっといいかなー!!?』

そのとき、突如戦場にいる全ての魔法少女に思念による声が注がれた。若い男性によるものだ。

【門前】『あなた……突然何?邪魔しないでくださるかしら?』
【???】『そうはいかないなー。とりあえずそこの二人、端的に説明しよう――僕は『夜宴』の関係者だ』
     『っていうか、そもそも『夜宴』って知ってる?』

男の口調はどこまでも軽薄だが、それ故に内容に無駄がなかった。

【???】『うんうん、話が早くて助かるなー。自己紹介しておこうか、僕の事はミサワと呼んでくれ。
      ちなみに君らと違って普通の人間だし、悪魔でもないからねー』

ミサワと名乗る男は南雲と萌に問う。

【ミサワ】『本題に入ろうか。さっき信号を出してそこら中の魔法少女に居場所を教えてたのは多分君達だと思うんだけど、
      もしかして『夜宴』に入りたいのかな?違ったらごめんねー』

門前たちにも問う。

【ミサワ】『でだね、門前さん。もし彼女たちが『夜宴』の入会希望者なら運営側としては無碍にするわけにいかないんだよなー
      慢性的に人材不足なのは知ってるだろw? そこで半分になって倒れてる娘も含めて僕らは彼女たちが必要なんだ。
      晴らしたい恨み辛みあるかもしれないけど、ここはグッとこらえて後まわしにしてもらえないかなー?
      どうしてもここでケリを付けたいってんなら別に構わないけど、今後のマッチメイクで相応のペナルティがあるかも
      しれないからその辺は覚悟しておいてねー?ま、後は君達で決めてもらえるかな。僕からは以上だ』

【門前さんからの暴露、神田理奈の魔法核を所持。『夜宴』関係者と名乗るミサワ氏からそれぞれの魔法少女たちに提案】
【この先の動きは私にもほとんど予想できなくなってきたので門前さんと「弓」の子の反応は南雲さんのパートでお願いします】
【今回は風邪で寝込んでました……いつもいつも遅くなってすいません】

372 :名無しさん :11/12/10 01:09:58 ID:FYhgxLb5
http://app.zio3.net/pdboard/?t1=%E5%9B%9E%E6%83%B3&t2=flashback&t3=%E9%96%80%E5%89%8D&t4=%
E6%95%B0%E6%97%A5%E5%89%8D&t5=%E8%A1%97&t6=%E3%81%82%E3%81%AE%E3%81%8A%E6%96%B9%E3%
81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E8%BA%AB%E3%82%92%E6%8A%95%E3%81%98%E3%81%9F%E9%AD%
94%E6%B3%95%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84%E3%80%82%E3%81%9D%E3%81%93%E3%
81%A7%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%AF%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E5%91%BD%E6%
87%B8%E3%81%91%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E3%82%92%E4%BD%93%E6%84%9F%E3%81%
97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F

373 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/11 03:30:36 ID:???
『幸せってなんだろう。具体的に』
南雲がこの命題に最初にチャレンジしたのは、小学校に上がってすぐだった。
聖書を抱えて日傘をさした中年女性がインターホン越しに繰り返すこの言葉の意味を、幼い南雲は質問した。
返ってきたのは沈黙と、一義的な説明を露骨に迂回した実例の数々。
どこそこのお爺さんの病気が治ったとか、だれそれの家の息子さんが合格したとか、なにがしの会社の株が値上がりしたとか。
結局その話から南雲が類推した幸せの定義は、『かみさまのいうとおりにすればいろいろうまくいく』だった。

中学のとき、道徳の授業で担任の先生がこう言った。
『自分にとってなにが幸せかは辞書に載っていません。全ての人がそれぞれ自由に定義できます。
 だから世の中には誰かにとっての不幸せを自分の幸せと定義してしまう子供たちも大勢います。
 正しい幸せは当人にしかわからないけれど、間違った幸せは当人には分からない。その認識の捩れを是正するのが教育なのです』
以来、南雲はなんとなく自分の幸せについて考察するようになった。
"神様の言う通り"ではなく、自分自身が幸せだなと思える瞬間を考える作業は、夢見がちな乙女にとって楽しい時間だった。
幸せってなんだろう。わたしは将来、どんな幸せを見つけるんだろう。

そして高校に入って。
坂上南雲は魔法少女となり、『幸せ』を奪い合う戦いに身を投じている――


>「目の前の人間ほっておいて勝手に盛り上がんないでよ!」

再び鎌首をもたげた髪鋏を、躍り出た萌がホールド。鰐のあぎとを抑えこむようにその動きを封じ込める。
対する門前はアスファルトに髪の楔を穿ち込み、がっぷり四つに萌と綱引きを始める構え。
一瞬にして蚊帳の外へと放り出された南雲だが、介入する手段がないわけじゃあない。なぜならこちらに飛び道具があり、

「端的に言って隙だらけ――!」

抜き放ったグロックは、初めから固定されていたように門前の胸元を捉えた。
右腕から先を銃を撃つためだけの器官を化して、呼吸すら止めて引き金に力を伝える。
完全に意識でコントロールされた身体挙動は、射撃する前から標的を撃ち抜く結果に誤算がないことを教えてくれる。
――だから門前が胸先に差し出した"それ"を見ても、銃口は一切ブレずに弾丸を吐き出した。

「っつあああああ!」

乾いた銃声に肉の爆ぜる音が交じる。銃弾は門前から数メートル右のアスファルトを穿って果てた。
硝煙を上らせる銃口の先を、南雲の左手が塞いでいた。掌の真ん中には、焦げ目新しい大穴が開いている。
命令を完璧に遂行する右腕を止めることはできなくて、左手の骨で銃弾の方を曲げたのだ。
それほど必死に、射撃を躊躇わなければならなかったのは、門前の掲げた物体に見覚えがあったから。

(理奈ちゃんの魔法核――!?)

その輝きは、間違いなく理奈の願いを結実させた魔法の素。魔法少女の命とも言える結晶体。
同時に得心がいった。何故理奈が魔装を維持できなくなったのか。あの門前が、交渉のカードに細工をしないわけがない。
取り返す。あれは、理奈になくてはならないものだ――

374 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/11 03:31:14 ID:???
目の前の事実に気を取られていた南雲は、再び門前から飛来する巨大な髪鎌の接近に気付かず。
横合いから誰かに体当りされて。
もんどり打って転がった地面の上に、少女の上半身がぼとりと落ちてきたのを目撃した。

血の雨が降ってくる。
倒れたまま見上げた先では、胴から上を断たれた理奈の身体が鮮血を噴きながら崩れ落ちる最中だった。

「あ――」

まだ中学にも満たない少女の、切断された上半身の、顔はそっぽを向いていてどんな顔をしているかわからない。
そうだ。もしかしたらこの死体は、理奈ではないかもしれない。
たまたまここを通りがかった、背格好も着ている服も髪の色も理奈そっくりの不幸な少女かもしれない。
そうに決まってる。なら理奈はどこ?今の今まですぐ傍にいた、南雲が護ると決めた少女の姿はどこにも見当たらない。
うまく立ち上がれない。膝も肘も他人のものみたいに言うことを聞かない。目の前には"見知らぬ"少女の切断死体が一組。

>「  か    な    え         て     」

ごろりと上半身だけの少女が身体を返して、南雲のほうへと手を伸ばす。
理奈の顔が。理奈の声で。理奈の言葉を南雲へ紡ぐ。

嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

「――あああああああああああああああ!!!!!」

背筋の力だけで身体を跳ね起こす。
何も思わなくても、何も考えなくても、脊髄が魔法を使った。空色の光が収束し、黒鉄の獣性を解き放つ。
生成されたのは南雲の身長の倍はある機関長砲。現用の空載兵器でも最大の威容と威力を誇る鋼の死神。
起きてしまった現実を蜂の巣に変えたくて、南雲は引き金を絞る。
門前へ向けて秒間80発の破壊が撃ち出される――直前で、横合いから光が砲身を貫いた。
機関部を丸ごと蒸発させされ、暴発すらせず機関砲は沈黙。

「…………!!」

この世のあらゆる種類の毒を混ぜたような視線でビルの屋上を睨めつける。
先刻無力化したはずの狙撃手が、あの光の矢で今度は南雲の頭を狙っていた。
門前とのやり取りに時間をかけすぎた。彼女に回復を許してしまったのである。

>「さあ、次は貴女たちの番よ!草の根も残らないぐらい摘み取ってあげる――」
>『おーい!!そこのみなさーん、ちょっといいかなー!!?』

放心状態の南雲の首を刈るばかりとなった門前を制すように声が降ってきた。
戦場の空気をとことん否定する軽口は男の声。テレパシーだ。

>『とりあえずそこの二人、端的に説明しよう――僕は『夜宴』の関係者だ』

軽薄極まりない男だが、門前を前にして物怖じの一切もないあたり確実に只者ではないだろう。

375 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/11 03:31:52 ID:???
>『本題に入ろうか。さっき信号を出してそこら中の魔法少女に居場所を教えてたのは多分君達だと思うんだけど、
 もしかして『夜宴』に入りたいのかな?違ったらごめんねー』

南雲たちが命懸けで手に入れんとした夜宴への橋頭堡。ミサワと名乗った男はいともたやすくそれを提示した。
同時にこの場での戦闘を預かるとまで言い出す始末だ。当然、反駁が出る。門前は唇を尖らせてミサワを睨めつけた。

「楽しく盛り上がってるところに水差さないでいただけるかしら!火照ったままお預けなんて、犬の躾じゃないんだから」

>『どうしてもここでケリを付けたいってんなら別に構わないけど、今後のマッチメイクで相応のペナルティがあるかも
 しれないからその辺は覚悟しておいてねー?』

「あらいやだわ……わたくしに脅しが通じると思っていて?なんなら不満な欲求のはけ口に貴方を選んでも……」
「やめておけ、門前。そいつを殺しても一銭にもならんぞ」

髪の触手がミサワに向けて鎌首をもたげたところを制したのは、屋上から降りてきた狙撃手。
萌にえぐられた肩はまだ完治していない。門前に比べて再生が遅いのは、狙撃手が後衛に特化した魔法少女だからだろう。

「お金じゃないのよ!この燃えあがった情熱をどこかで冷まさないと、わたくし今夜は寝れそうにありませんもの。
 お肌の大敵である睡眠不足をこの男一人の犠牲で回避できるとしたら――それってとっても有意義ではないかしら?」
「魔法少女の自己治癒力なら肌も万全の状態を保てるだろう……そいつを生かすのは先行投資だ。回収は保証する」
「えらく肩を持つんですのね」

門前の眼は、一切の思惑を見透かす鋭さを秘めていた。
狙撃手が諌めたのは合理的判断の末だが、門前はそもそも打算とは無縁の世界に生きる者だ。
相容れない両者の主張が視線に乗って空中でぶつかり合い、やがて折れたのは意外にも門前のほうだった。

「……よござんしょ。鉄は熱いうちに叩けと言いますけれど、熱いまま放置して焼き鈍さないと折れやすくなりますものね。
 坂上南雲、そしてそこの肉襦袢。今日植えつけたわたくしへの憎しみを、せいぜい健やかに育みなさいな」

門前と狙撃手が連れ立って踵を返し、騒ぎへと発展した商店街の人ごみへと消えようとして――

「なに勝手に、バトル終了みたいな流れにしてる」

南雲は再び銃を構え――ミサワへと突きつけた。
人間だと名乗ったこの男の言を信じるなら、どんな魔法少女よりも簡単に引き金が死を呼ぶだろう。

「夜宴とか心底どうでも良い。理奈ちゃんの魔法核、返せ。でないとこいつの頭を吹っ飛ばす……!!」

前代未聞、危機を救いに来てくれた人間を人質にしての、取引再開だった。


【門前は戦闘中断に従う様子。それをよしとしない南雲はミサワに銃を突きつけて理奈の魔法核を要求】

376 :南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/11 12:45:49 ID:???
【あとから見返して凄い説明すっ飛ばしていたので補足】

・南雲は麻子の存在に気づいていません。
・南雲は理奈が真っ二つにされたのを目の当たりにして冷静な判断力を失っています


以上の情報をわたしのレスに加味して脳内補完お願いします

377 :理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/12/13 20:24:56 ID:???
【返信】
捕捉の件、把握しましたっ
……うーん死人が喋っちゃうと、ちょっと変な感じですね(==;)
リプレイでの会話のようなものと思ってください

>>372
わ、コレッてピングドラムの回想シーンで使われる電光掲示板じゃないですか!?
へー……こんなのあるんだ。作った人、すごい。教えてくれてありがとうございましたm(−−)m

378 :理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/12/13 20:33:38 ID:???
【連絡】
あ、あと……私からも一つアナウンス入れておきますね
次は萌さんのレスになります☆
失礼しました
(何か、本編と違って元気だね私)

379 : ◆Gw1TY5I6ic :11/12/14 00:35:33 ID:???
門前が笑みを深める。
その笑顔と、萌の、そして後ろの二人の視線を、見慣れた輝きが隔てた。
「なるほど」
思わず呟きがこぼれる。

魔法核。誰のものか。
わざわざ見せつける以上、無関係な魔法少女から奪ったものではない。つまり、理奈だ。
理奈が魔法を使えなかった場面を目撃していなくても、その程度は推測できる。それ故に手が止まる。

>「っつあああああ!」
南雲の方は止めきれなかったようだ。
くぐもった銃声と液体が滴る音。萌からは具体的にどうしたかは見て取れないが、
これも射撃の中止が間に合わなかったので何かしら無理やりな方法で弾道をねじ曲げたと推測可能だ。
実際はそれどころではない力技だが、元気があればなんでもできるのが人間である。
そこに魔法まで加われば無理も無法も押し通せるものだ。

では無理を通して今あれを取り返すべきか、一度引いてこちらも人質を立ててみるかと、
ニュートリノの速度で算段を立て始めた萌の視界を金の光が掠めていく。
手の内にあるものと同じ色をしたそれが何をもたらすものかは、やはり推測できた。
そして、背後から聞こえた濡れた音とか細い声が意味することも、また。

絶叫と同時に激しく人の動く気配。
南雲が門前へ仕掛けようとしている。そこへ別の色の光が差した。
つい先刻、二回ほど身に受けた輝き。
"射手"の再臨である。

「……なるほど」
呟きが漏れた。
これで人質は取れない。理奈の状態を考えれば退くこともできない。
逃げ場なし、勝機なし。
(しゃーねえ、死ぬか)
覚悟だけは驚くほどあっさり固まった。
とはいえ、素直にそうするつもりはもちろんない。
足掻くだけ足掻けばどこかがほころびる可能性もある。

>「さあ、次は貴女たちの番よ!草の根も残らないぐらい摘み取ってあげる――」
門前は、因縁のある南雲を見ている。
そちらへ仕掛けた隙にまだ出しっぱなしの核だけを奪還して、それからを理奈を、あるいは二人を回収して離脱――
"射手"の動向はつかんでいないが、どのみちジャックポット以外は何をやっても人生ハコワレのギャンブルだ。
いまさら多少の有利不利はもはや考えるだけ無駄だろう。
萌は一気に門前へ肉薄すべく、未だに髪をつかんだままの腕に力を込めて、膝を曲げた。

380 : ◆Gw1TY5I6ic :11/12/14 00:38:13 ID:???
>『おーい!!そこのみなさーん、ちょっといいかなー!!?』
>『とりあえずそこの二人、端的に説明しよう――僕は『夜宴』の関係者だ』
いかにも軽薄そうな男の声が行動を中断させる。
心底不満そうな門前を完全に置き去りにしてミサワと名乗る声は続けた。

>『本題に入ろうか。さっき信号を出してそこら中の魔法少女に居場所を教えてたのは多分君達だと思うんだけど、
> もしかして『夜宴』に入りたいのかな?違ったらごめんねー』
その問いにこちらが反応を返す前に、門前が猛然と噛み付いた。
それから"射手"も交えて言葉が飛びかう。そこから睨み合いになって――

>「……よござんしょ。鉄は熱いうちに叩けと言いますけれど、熱いまま放置して焼き鈍さないと折れやすくなりますものね。
> 坂上南雲、そしてそこの肉襦袢。今日植えつけたわたくしへの憎しみを、せいぜい健やかに育みなさいな」
門前は何をどう納得したものか、"射手"と二人、踵を返して歩み去ろうとする。
>「なに勝手に、バトル終了みたいな流れにしてる」
それを南雲が止めた。仮に南雲がそうしていなければ萌が止めたろう。
なにせ向こうは理奈の魔法核を持ったままだからだ。

>「夜宴とか心底どうでも良い。理奈ちゃんの魔法核、返せ。でないとこいつの頭を吹っ飛ばす……!!」
南雲は一瞬足りとも躊躇せずにミサワに銃口を向ける。
さすがにそれはどうだろうと萌は思うが、交渉するにあたって他にメインの材料にできそうなものもない。

「あーと、そこのアンちゃんが言ったじゃん、『そこで半分になって倒れてる娘も含めて』必要なんだって。
 何に納得したか知んないけど、帰るなら返してよ」
ここでようやく萌は理奈を見た。切断面からは大量の、口からは少量の、止まる気配のない出血。
表情は変わらない。少なくとも、敵のいる前で変えてはならない。
自分でも全く訳のわからないそんな矜持が萌の表情筋を支配している。
倒れ伏した理奈ヘ歩み寄って、分かたれた半身をとりあえずあるべき形へ並べ直した。
そのまま転がしておくのはあまりにも惨いと思ったからだ。
周囲の野次馬から悲鳴が上がった。それもそうだ。一般人から見れば死体が勝手に動いたようにしか見えない。

「その子、多分マジで撃つよ。そうなったらあんたらもあんま愉快な事にゃなんないだろーし」
"夜宴"は、少なくとも対戦を通じて制裁を与える程度の事はできるし、するらしい。
ならばこの線も付帯材料としては利用できるかも知れない。

「それに……返しといたほうが"摘みとる"チャンスが増えるでしょ?」
言いながら、どうせ騒がれついでだと白布を一枚魔法で作り、それを理奈ヘかけた。
するべきではなかったという後悔が萌の胸に去来する。
これは、いかにも"死"を認めてしまったようではないか。
それでも表情は動かなかった。
意地を張っているのではなく、単に無感覚になっているだけなのだろうかと自問してみたが、答えは得られなかった。

【返したほうが良いことがあるよと提案】

381 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/17 20:03:55 ID:???
>>375
>>380

【南雲】「夜宴とか心底どうでも良い。理奈ちゃんの魔法核、返せ。でないとこいつの頭を吹っ飛ばす……!!」
【ミサワ】「…………!!?」

突然思いもよらぬ方向から銃口を向けられ――少なくとも本人にとってはそうなのだろう――ミサワは笑顔で驚愕するという
離れ業を披露しつつ、石のように硬直した。

【ミサワ】「あの……コレ、どういう状況かな?」
【麻子】「バッカじゃねーの」

助け舟を求めてくるミサワに対し、猪間麻子は白い目で吐き捨てた。
視線を移すと、振り返ったラプンツェルがこちら全体を見回してほくそ笑んでいる。
確信犯だ。門前百合子は始めからこうなることを予測していたのだろう。「場」の主導権は未だ彼女の手中にある。

そこへ萌が一石を投じる。

【萌】「あーと、そこのアンちゃんが言ったじゃん、『そこで半分になって倒れてる娘も含めて』必要なんだって。
    何に納得したか知んないけど、帰るなら返してよ」

物言わぬ理奈にそっと歩み寄り、位置を整えて、続ける。

【萌】「その子、多分マジで撃つよ。そうなったらあんたらもあんま愉快な事にゃなんないだろーし
    それに……返しといたほうが"摘みとる"チャンスが増えるでしょ?」

【門前】「あらあら。どうしたものかしらね……。折角手に入れたのに、また返さなきゃいけないんですって?」

門前百合子が理奈の魔法核を掌で転がしながら、隣に立つ「弓」の魔法少女に問いかける。
形ばかりの相談に、「弓」の魔法少女は何事かをつぶやきながら首を横に振った。
「弓」の魔法少女にはこの場でミサワに死んでもらう理由は無いが、同様に南雲から助ける義理もない。
ミサワと萌の提案を飲まないことは確かにあの二人に不利益を及ぼす。しかし、それはミサワが“生きていれば”の話だ。

彼もまたそこに所属する魔法少女同様、『夜宴』を利用し利用されている部品でしかないのだから。
――そして、それは麻子も例外ではなかった。

【麻子】「……仕方ねーな」

出来れば彼女達を巻き込みたくはなかった。
しかし、立場上今の自分に協力できることは、コレぐらいしか思いつかない。

【麻子】「おい、ミサワ」
【ミサワ】「な、何かなー?」
【麻子】『「あいつらに賛成だ。今からあたしの言う事を聞け――さもなきゃテメーの首を斬りおとす!」』

ミサワの首に鎖をかけ、この場全員に聞こえるよう思念通話と肉声で同時に脅しつける。

【ミサワ】「聞く聞く!勿論さぁー!!」


【門前さん、萌さんの提案を保留】【痺れを切らした麻子さんがミサワ氏を脅迫】

382 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/17 20:04:32 ID:???
パタパタと手を振りながら首肯するミサワに笑みを向け、猪間麻子は提案する。

【麻子】「今から撮影の準備をしろ――これは『公式戦』だ」
【ミサワ】「あー、なるほどねー……
      その前に、レートを計算させてもらおうか?」

魔法少女の魔力総量は基本的に以下のように算出される。
(魔法核の所持数)×(所有者に同調した核の個数)×100 = 魔力総量
つまり単純な魔法核の数だけでなく、魔法核に込められた願いが所有者を認めることで、より強力な魔法を発揮できるということだ。

【ミサワ】『えーと、門前さんが1200と相方の子が1100で合計2300。
      一方の猪間さんが1500。あっち二人がそれぞれ400と100で合計2000か。
      若干不利になるけど……人数の関係もあるし、問題ないかなー?』

【麻子】「上等だ。逃げんなよ――お前等』

『夜宴』の魔法少女達は基本的に運営が定めた『公式戦』を拒否することが許されていない。
逃亡した者には『夜宴』に所属する他の魔法少女達か、あるいは悪魔による制裁が待っている。
これで門前らは理奈の魔法核を持ち逃げすることができなくなった。

【門前】「逃げる?ご冗談でしょ?わたくしにとっては……そう、願ったり叶ったり――――ですわ」

麻子は屋上の屋根に楔を打ち、鎖を使って壁伝いに降下した。
上に残ったミサワが南雲と萌、そして麻子に告げる。

【ミサワ】『あははは、君達ぃ。事後承諾みたいになって申し訳ない。終わったらこのことを自分の悪魔に相談しといてねー。
      ま…………生きて帰れたらの話だけどーw』

脅されたことが気に喰わなかったのだろう。しかし、麻子はミサワの憎まれ口を軽く受け流し

【麻子】「はっ、ほざいてろ。悪いな、二人とも……こんなことに巻きこんじまって。
     あたしからも言いたいことは沢山あるけど――」

白布をかけられた理奈を指で示す。

【麻子】「――まずはあのパスタ女どもをシバき倒して、そこに転がってるお人好しのバカを連れてさっさと帰ろうぜ」
【ミサワ】『はっはー!麻子ちゃん頼もしいー!正義の味方っぽいよw』

【麻子】「…………気安く名前で呼ぶんじゃねぇよ。あたしは正義の味方じゃない。通りすがりの――“魔法少女”だ」

タイトな魔装に身を包み、不壊の鎖を実体化させる。
かつて自分や他人を抑圧した縛鎖ではなく。誰かに道を繋ぐ為の鋼鎖として。

【麻子】「南雲、萌――――背中は預けたぜ」

人々が立ち去り、遠くで警笛の鳴り響く夜街のその一角で、魔狼は静かに唸りを上げた。


【ラウンド2】【麻子さんが加勢】【今章のラストバトルです、頑張ってください!】

383 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/20 04:06:39 ID:???
>「…………!!?」

銃をつきつけられたミサワは笑顔を引きつらせて反応した。
南雲のやっていることには冷静な意図がない。ただ目についた"関係者"を人質にとる苦し紛れの戦法。
功を奏したのは、この上なく僥倖な結果だった。

>「その子、多分マジで撃つよ。そうなったらあんたらもあんま愉快な事にゃなんないだろーし
 それに……返しといたほうが"摘みとる"チャンスが増えるでしょ?」

萌からの援護射撃。感情的な南雲の"やらかし"を、上手いこと言って取り繕う。
ミサワを助けることで"夜宴"の心象が良くなり、また門前自身の愉悦も捗る。
ダメ押しとばかりに提示された要件は、明確な利害の一致を門前へと差し出した。

>「あらあら。どうしたものかしらね……。折角手に入れたのに、また返さなきゃいけないんですって?」

(これでも……駄目なの……?)

門前は未だ快諾せず。
どころかこちらの必死さを弄ぶような言動まで出る始末ときて、南雲は早くも我慢が限界に訪れそうになった。
沸騰しかけた心を、白布を被された理奈の身体を視界に入れて鎮める。
ここでキレれば全てが台無しになるという、自身が想定し得る最悪の自体を強迫観念に書き換えて、自制する。

しかし一向に分は悪い。
なにせ全ての命運がたった一人の魔法少女の胸先三寸によって決まりかねない。
そしてその魔法少女が、よりにもよって合理に石投げ愉悦に生きる門前百合子なのである。
理由は知らないが、南雲に執拗な執着ぶりを見せる門前のことだ。女に絶望を叩きつける為ならば、夜宴だって敵に回しかねない。

進退窮まり始めたその時――

>『「あいつらに賛成だ。今からあたしの言う事を聞け――さもなきゃテメーの首を斬りおとす!」』

新たな声がテレパシーとして頭に流れ込んできた。
それは南雲のよく知る響き。擦れ合う鎖の金属音は、獰猛な狼のあぎとを想像させる極鎖の鐘。
忘れられるはずがなかった。南雲が初めて魔法少女の戦いに直面したあの夜――敵として彼女の前に立ちはだかった少女。
幼さ故に信じることを拒絶し――理奈によって救われた魔法少女。

「――麻子ちゃん」

ミサワの首を鎖で繋ぎ、猪間麻子がそこに居た。
武将もかくやといった威風堂々たる仁王立ちで、南雲と、萌と、門前たちを睥睨している。
どうして彼女がここにいるかはわからない。
それでも、かつて四人を相手にまったく動じなかった麻子がこちら寄りの立ち位置にいてくれることは、とても心強かった。

>「今から撮影の準備をしろ――これは『公式戦』だ」
>「あー、なるほどねー…… その前に、レートを計算させてもらおうか?」

(公式戦……今から『夜宴』を始めるってこと?)

ミサワがテキパキと雑事をこなす傍で、南雲は状況の変化に即応すべく黙考していた。
マッチメイクだ何だと言っていたからには、夜宴とはもっと厳正なる審判と然るべき場所によって開始されるものだとばかり。
こんなふうに、人払いもろくにしない往来でたった一人の立会人が突発的に始めるようなファジーなものだとは思ってもみない。

(それとも、なにかしらの思惑で――?)

『そういう企画』なのだとしたら、初めからあのミサワとかいう男の掌で転がされていたことになる。
命に手をかけられてなお、笑顔を崩さぬ泰然とした振る舞い。どこまでも食えない男だった。

>『えーと、門前さんが1200と相方の子が1100で合計2300。
  一方の猪間さんが1500。あっち二人がそれぞれ400と100で合計2000か。
  若干不利になるけど……人数の関係もあるし、問題ないかなー?』

384 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/20 04:07:16 ID:???
(うわっ…私の魔力量、低すぎ…?)

というか麻子が高すぎる。どういう基準で計上されているのか不明だが、南雲の軽く3倍、萌に至っては15倍ときたものだ。
戦闘力の数値化はインフレの前兆と言うが、なるほど実力の差を示すにおいてこれほどわかりやすい指標はない。

(だからみんな使うんだろうけどね……)

おそらくこの数値を元にマッチメイクから対戦オッズまでを管理しているのだろう。
数値の近い物同士で戦い、『観客』は数値をもとに自分がどちら側に賭けるかを決める。
なるほどシステム化された夜宴の方式らしく、顧客に対する配慮は円滑だ。
すくなくとも知力値だの筋力値だのをPCのスペックみたいにごちゃごちゃ並べられるよりかはよほど目に優しい。

>『あははは、君達ぃ。事後承諾みたいになって申し訳ない。終わったらこのことを自分の悪魔に相談しといてねー。
  ま…………生きて帰れたらの話だけどーw』
>「はっ、ほざいてろ。悪いな、二人とも……こんなことに巻きこんじまって。あたしからも言いたいことは沢山あるけど――」
>「――まずはあのパスタ女どもをシバき倒して、そこに転がってるお人好しのバカを連れてさっさと帰ろうぜ」

「……うん」

南雲は降りてきた麻子の言葉にただ頷きを返し、

「"ブラック企業"ってあるじゃん。そこで働く人の自殺がニュースで取り沙汰されるたび、わたしはずっと思ってた。
 『どうしてこの人たちは、逃げることもできたのに、死を選んでしまったんだろう』って……。
 いまならなんとなくわかるよ。きっとこんな気分だったんだろうね」

門前を人差し指で貫いて、強く言葉を立てた。

「わたしは、この戦いから――逃げたくない」

たとえ命を奪い合う戦いでも。逃げなければ殺されてしまうような状況でも。
殴りたい奴がいて、助けたい人がいるのに、逃げたくなるわけがないじゃないか。

>「南雲、萌――――背中は預けたぜ」

「あいつらに勝とう。勝って、理奈ちゃんを取り戻す――!」

前方、敵は既に動いていた。
口端を三日月のように吊り上げた門前が、その黄金の束髪を孔雀のように広げる。
一本一本が太く硬く真っ直ぐな枝となり、さながら扇の如く枝を生やした黄金の大樹だ。

「借りるぞ、門前」

狙撃手が門前の髪を撫ぜると、無数に派生した全ての枝が弓なりにしなって、細い髪でできた弦が先端と根元を繋ぐ。
完成したのは門前の頭から放射状に伸びる幾張もの『長弓』。数えきれない弓の弦に、ひとりでに光の矢が番えられていく。

「孔雀弓《アルカンシエル》――斉射!!」

生み出された極光の流星群は、一箇所に固まっていた麻子、萌、南雲――そして理奈を面的に制圧する弾幕だ。
集団戦の必勝戦法たる『散る前に潰す』を教科書通りに再現した一撃は、狙うまでもなく彼女たちに殺到した!



(――が、この程度ではそうそう墜ちんだろうな。『鎖』も『拳』も『飛行機』も)

狙撃手の魔法少女――名前を『梔子(くちなし)』と言う彼女は、初撃決殺を必勝の法として極めてきた魔法少女だ。
『自分の生み出した物体や事象に光の性質を与える』という固有魔法の性質上、タネがバレる前に勝負を決めなければ実に脆い。
現にこの戦いにあっても、鏡による防御法は早々に見出され、『拳』に至ってはそれを逆手にとって攻撃までしてきた。
搦め手での勝負は、如何に相手に気付かせず術中にハメるかが肝要となる。
そういう意味では、梔子は既に戦う前から敗北しているようなものだった。

385 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/20 04:07:57 ID:???
(だが、状況はそう単純ではない)

こちらには門前がいる。新進気鋭のルーキーながら、魔法少女歴の長い自分よりも多くの魔法核を持つ少女。
そのバトルスタイルは圧倒的な攻防力で殴り合いの末勝利するという一貫した現場主義で、梔子の能力と相性が良い。
具体的なことを言えば、こうして門前が壁役を続けているうちは、梔子は一方的に攻撃し放題という寸法だ。

対して向こう――三人の魔法少女にとり、現状は限りなく不利へと傾いている。
それは本人達の実力の程度もさることながら、周りの環境があまりにも劣悪だった。
例えば時間。理奈と呼ばれたエサの魔法少女が胴から2つに割断されて、もう五分近くが経っている。
魔法少女が如何に耐久力に優れているとはいえ、上半身と下半身を分かたれて長く生存できるわけもない。

そして、場所が商店街の中というのも悪い。
魔装を解き、一般人にも見える姿で斬られた理奈の姿は、当然衆目からすれば突如起こった犯人不明の通り魔殺人だ。
今もそこかしこで悲鳴が上がっているが、既に警察と救急への通報は済んでいることだろう。
司直がここへ駆けつけたらどうなるか。――理奈の身体は被害者の遺体として回収され、収容される。
そうなればもう彼女は帰って来ない。死が確定し、家族や学校にも連絡が行く。

(仮にその状態で生き返らせたとしても、周囲はそれを受け入れまい。『死人が生き返る』などというのは――)

そう、それこそ『奇跡』か『魔法』だ。
質の悪い冗談だと笑い飛ばすことすらできない、完全なる人外のそれを。
周りの人間がどんな目で見るか想像は簡単だ。社会的な臨終を観測された彼女は、二度と元の生活には戻れない。
戻れない――自分のように。

梔子はその韜虐的な発想に唇を翻し、犬歯を舐めた。
なんてことだ。まるで自分が同情しているみたいじゃないか。そんなことはありえない。私はなにも後悔しない。
魔法少女なんだから。願いを叶える戦いに、迷いと憂いを持ち込むなんて、ナンセンスなんだ。

(そう、大事なのは、連中は『時間』を気にして戦わねばならないということだ――!)

理奈が完全に落命してもアウト。警察や救急車が駆けつけてもアウト。
つまり、どう長く見積もっても残り5分ほどの間に門前たちを倒さなきゃならないという焦りが、彼女たちにはある。
そして梔子たちは、その焦りを精一杯有効活用してやれば良い。
なればこその、この面制圧は足止めだ。たとえ凌がれるのが必定でも、凌ぐことに魔力と時間を使わせる。
やがて綻び始める焦りの緊張感を、狙い過たず狙撃してやればいい、それだけのこと。

「勝って兜の緒を締めるぞ、門前。この勝利で、我々は幸せまで加速する……!」


【光矢with門前ヘアーによる面制圧弾幕】


<『狙撃手』データ>

名前:梔子 梓 (くちなし あずさ)
所属:『夜宴派』魔法少女
性別:女
年齢:18
性格:堅物
外見:都市迷彩(灰色系の迷彩)を基調としたパンツスーツ。灰色の一本おさげに三白眼
願い:外が見たい
魔法:『エンジェルハイロウ』自分の生み出した物体・事象に光の性質を与える
   また、鹵獲した魔法核によって遠隔系念動力を使える(主に狙撃の補助に使用)
属性:光
行動傾向:積極的に交戦するほう。正面きっての白兵戦は苦手。遠距離からの狙撃をメインにするため相手の分析は怠らない
基本戦術:光の性質をもたせた矢を鏡に反射させて狙撃。カラクリを見破らない限り狙撃位置は分からない。
うわさ1:かつて難病に侵され隔離病棟に入れられ、最終的に窓すらない部屋で集中治療されていたらしい
うわさ2:門前のことは理解出来ない部分は結構あるけど概ね気に入っているらしい。強いし
うわさ3:いろいろあって事実上死人扱いのため、もう家族にも会えず放浪生活をしているらしい

386 : ◆Gw1TY5I6ic :11/12/22 16:32:02 ID:???
>「あらあら。どうしたものかしらね……。折角手に入れたのに、また返さなきゃいけないんですって?」
当然といえば当然のことだが門前には素直に承諾するつもりがないらしい。
手の平の上でこれみよがしに魔法核を転がしている。
いっそ正々堂々真っ向から掠めとってやろうと隙を伺う萌の脇では、暴発しそうな南雲が銃を暴発させかけている。

一人の例外もなくトチ狂った連中が額を寄せての会合が道理に則って決裂を迎えようとしつつある中、
聞き覚えのある金属音がかすかに耳に触れた。それは即座に近づいて、鎖がミサワの首を取り巻く。
>『「あいつらに賛成だ。今からあたしの言う事を聞け――さもなきゃテメーの首を斬りおとす!」』
帳の下りきった夜陰を背に、猪間麻子が立っていた。

>「今から撮影の準備をしろ――これは『公式戦』だ」
>「あー、なるほどねー…… その前に、レートを計算させてもらおうか?」
ミサワと麻子が言葉を交わし、タイでの素人ムエタイ興行並に行き当たりばったりのマッチメイクが行われる。
(全くの余談ではあるが、試合があるからと連れていかれた先がそのへんの飲み屋で、
 対戦相手もその場で決まる、などという試合をいわゆる"プロ"の選手でもやっていたりする)

そして算出された萌の数字は――横浜ベイスターズも顔面ブルーウェーブのぶっちぎり最下位だ。
(えーとあたしが400の方だよね、そうだよね)
目を背けたくなるには十分といえる事実だが、ところがどっこい、夢ではなくこれが現実である。

>『あははは、君達ぃ。事後承諾みたいになって申し訳ない。終わったらこのことを自分の悪魔に相談しといてねー。
> ま…………生きて帰れたらの話だけどーw』
「……ハナっからこのつもりだったんじゃねーの?」
思わず口をついて出てしまったが、どうあれ助かったのは事実だ。
いささかタイミングの良すぎる介入に疑念が生まれないでもないが、
まずは目の前の事態をどう片付けるかに注力しなければならない。

>「はっ、ほざいてろ。悪いな、二人とも……こんなことに巻きこんじまって。あたしからも言いたいことは沢山あるけど――」
>「――まずはあのパスタ女どもをシバき倒して、そこに転がってるお人好しのバカを連れてさっさと帰ろうぜ」

>「……うん」
>「わたしは、この戦いから――逃げたくない」

「とっとと終わらせよ、お風呂と布団があたしの帰りを待ってるだろしね。それに――」
それに――あまり長々と時間を取れない事情もある。
萌は理奈に視線を走らせる。かけた布には血のしみが浮きだし始めていた。
いったい、あとどれほど"持つ"だろうか。

387 : ◆Gw1TY5I6ic :11/12/22 16:34:48 ID:???
>「南雲、萌――――背中は預けたぜ」
>「あいつらに勝とう。勝って、理奈ちゃんを取り戻す――!」
無論。理奈は"主人公"だ。ここで"お話"から転がり落ちていい存在ではない。
「イピカイエ、マザーファッカー」
そう口にしてから、ここが電器屋の前だったと萌は思いだした。
ゼウス・カーバーがサポートに入ってくれれば多少は楽になるのだろうか。
できればジョン・マクレーンにご登場願いたいところなのだが。

などと益体もない思考を走らせているうちにも、チーム迷彩パスタが先手を取る。
>「孔雀弓《アルカンシエル》――斉射!!」
湾曲した形を保つ門前の髪につがえられた光の矢が、声と共に三人に降り注ぐ。
「んじゃ、ここはあたしが」
喫茶店あたりで精算を引き受けるような調子で一歩進み出た萌は、即座にリフレクターを出現させる。
既出の技には既出の手段で対抗しておくほうが良いものだ。

しかしながら、綺麗に跳ね返った矢は完全に逆の軌道をたどるわけで、行き着く先は髪の束である。
再生可能とはいえ自慢の髪を傷つけられている門前はいささか不満気な目線を射手である梔子に向けてはいるものの、
肉体的ダメージは全くないだろう。髪の再生に費やす魔力の量もたかが知れたものだと思われる。

役目の終わったリフレクターを、萌はフリスビーの要領で投げつけた。
それはいったん離れる方向に飛んでからきつい弧を描いて梔子へ向かう。
当たったところでかすり傷にもならないようなそれを、しかし何らかの小細工の可能性を見過ごせない門前が叩き落とす。
砕けた破片がまだ宙を舞っているうちに、萌は門前へ向けて踏み込んだ。
すでに両の手にはマイソークを握りしめている。

あとは二倍の跳躍で400、さらに三倍の回転で1200……とはいくまいが
(そもそも、よしんばそれが成り立つとしても向こうにだって同じ事ができるのだ)、
殴っても蹴ってもダメージは通る。ならば、まだまだ悲観して膝をつく訳にはいかない。

背中を預けられてはいるがそれはいったん脇へ置いて、まずは前に出て後ろの二人がある程度オフェンスに専念できる状況を作る。
手数、手数、手数だ。後手を踏んだだけ時間は失われる。一瞬の逡巡は一滴の血を流させる。
理奈の内に、もうどれほど残っているかわからないそれを。

【パイをくれないので頭をへこませに行く】

388 :理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/12/24 21:40:45 ID:???
【連絡】
すいません。
リアル事情でまとまった時間が取れなくて、もうちょっとかかっちゃいそうです。
1レスずつ小出しにすればまだ何とか返せそうなんですけど……それでもいいですか?

南雲さんと萌さんにメリー・クリスマス

389 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/25 00:38:15 ID:???
キリスト先輩誕生日オメデトーッス!
ディスプレイの中身と楽しくお話する系の仕事があるんで自分はこれで失礼するッス


>>388
ウス、自分としては全然オッケーッス!リアル優先でじっくりやってくださいッス
メリークリスマス

390 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/25 21:55:39 ID:???

電池の残量とデータの空き用量、そして中継の接続。
動画として流すのはもう少し様子を見てからだ。
機材のセッティングを済ませたミサワはカメラを傾けた。
手持ちのカメラに加えて別のアングルから映すためにもう3台のカメラをフィールドに投擲、魔力で空中に固定する。
これで双方の視点、三人称、アップもロングも上からも、そして下からもバッチリだ。
レンズの向こうに見えるのは5人の魔法少女。

本来なら変身した彼女たちを普通の人間が見ることも、またこのような手段で観測・記録することなどできない。
魔法少女でもないミサワに何故このような芸当が出来るのか。
彼にそのような才能が備わっていたからではない。
これこそが正に苗時 静の発言していた『夜宴』の背後にある悪魔の関与――その事実に対する証左であった。

ミサワを始めとした撮影者達とその機材には魔法少女と接触が図れるよう悪魔から特殊な術式が施されている。
思念の発信や魔法核の探知、カメラの設置といったこれら人間離れした能力もこの術式の一部だ。
それ以外について撮影者は本当に普通の人間と変わらず、たいして身を守ることなどできない。
今回のようにスカウト目的で接触した魔法少女に殺されそうになり……実際に帰ってこないケースも珍しくなかったりする。

常識的に考えるならそこまでして『夜宴』と関わろうとする事に疑問を感じるものだ。
だが、撮影者の仕事はリスクの分だけ莫大な報酬が約束されている。
ついでに言うと、そのような命がけの仕事を“敢えて”選ばなければいけない人間が、この国においてどのような人種なのか――
こういう点について察していただければ、ミサワという人物を理解いただけるだろうか。

【萌】「……ハナっからこのつもりだったんじゃねーの?」

準備をこなすミサワに対し、萌が疑いの目を向けて呟く。隣に立つ南雲も同様の視線だ。

【ミサワ】(そんなわきゃないでしょー……)

『コール』に反応したミサワが彼女達をスカウトしたかったのは事実だ。
しかし、彼にとってそれはこのような形では決して無かっただろう。

『夜宴』の試合形式は大きく分けて2つある。『オープンバウト』と『コロシアム』だ。
前者は文字通り屋外で行なわれ、後者は主催側が用意した限定された空間を使用する。
今回の場合も『オープンバトル』に含まれるが、通常あらかじめ人払いを確認した状況で行なうものだ。
本来ならこんな人通りの多いところで突発的に始まったりはしない。

居合わせた門前百合子と梔子 梓の襲撃。
門前の策略。瀕死の重傷を負った神田理奈。折り悪く猪間麻子が彼女達と知り合いであったこと。
そして何よりも彼女達が自らが選んだ決断の積み重ねが、今の状況を創りあげたのだ。

【ミサワ】「あとで上司(悪魔)に怒られるだけで済めばいいけどね……」

さっきこの場で殺されるよりはマシか。
苦笑いで呟くミサワの前で、戦いは既に始まっていた。


【ミサワ氏の視点。夜宴の仕組みの一部を説明】

391 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/26 21:16:18 ID:???

【南雲】「あいつらに勝とう。勝って、理奈ちゃんを取り戻す――!」

南雲の決意を合図にするかしないかのタイミングで戦端は開かれた。
梔子の要望に応じた門前百合子がその髪を広げ、金色の扇を形作る。
孔雀のように広がった扇の要を弦にして、複数の長弓が生み出された。

【萌】「イピカイエ、マザーファッカー」

電器屋の前に立つ萌がハリウッドスターのようなスラングを口遊む。
ソリッドで大ハードな今の状況には打って付けのボヤキ文句だ。
なかなか死なないタフな所は魔法少女だって負けてはいない。

【麻子】(……ま、限度ってもんはあるけどな)

猪間麻子は視界の外にある理奈の肉体に思考を寄せた。
魔法核で再生可能な範囲にも限りはあるだろう。そして何より、即興で作らせたこの舞台には時間制限がある。
連れ帰るわけにも行かないこの状況下で、理奈が遺体として誰かに運びだされてしまったらおしまいだ。
おそらく――相手方もそれは承知の上だろう。

【梔子】「孔雀弓《アルカンシエル》――斉射!!」

長弓に番えられた無数の光矢が流星雨となって飛来する。金髪の照り返しを受けた矢がプリズムのように輝いた。
狙撃よりも制圧を目的とした連携攻撃。一発の威力は低そうだ……やはり、時間稼ぎが目的か。

【萌】「んじゃ、ここはあたしが」
【麻子】「南雲、理奈のほう頼む!」

先行して壁役を引き受けてくれた萌の背中に続き、麻子も前に出る。
飛来する弓は反射板のようなもので跳ね返せるようだ。リフレクターを構えたまま一気に距離をつめる。
やがて役目を終えたリフレクターを萌が投げつけた。門前の髪がそれを叩き落とし、砕けた破片が宙を舞う。
なるほど、攻めの防衛線。切り込み隊長と言うわけだ。

【麻子】「巻き込まれんなよっ!!」

門前に肉迫する萌の背中に呼びかける麻子。
『散る前に潰す』は以前自分もやったことだ……まとめて粉砕してやる!!
掲げた極鎖が頭上に踊り、巨大な狼のアギトが顕現する。タイミングを合わせて振り下ろし、二人一気に仕留める算段だ。


【麻子さん、制圧射撃に対して理奈の肉体の防衛を南雲さんに依頼。萌さんの後衛につく】
【タイミングを見て巨狼を振り下ろす大技を狙っている模様(ちなみに麻子さんは今回サポートに徹します)】
【次は南雲さんのターンになりますが、門前さんのパートはどちらが担当しましょうか?】

392 :理奈 ◆O9eTRO0ZSM :11/12/26 21:27:24 ID:???
【連絡】
本日の分は以上です
えっと、Intervalさんから訂正……>>390の試合形式についてですが『オープンバウト』で統一します、とのことです。

レス分けして待ち時間減らせたのはいいけど、もうちょっと変換の誤字を減らして欲しいですね。
うう、は、恥ずかしい……

393 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/27 03:19:58 ID:???
できれば門前ちゃんパートはそちらにお願いしたいです

394 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/27 20:29:17 ID:???
承りました

395 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :11/12/28 09:10:58 ID:???
あ、いまってわたしのターンです?
できれば門前ちゃんの行動ロールがあってから書きたいと思うのですが……

396 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/28 21:46:54 ID:???
Intervalです。
根源は同じですがPCで一人称表記の理奈とは見える景色が若干異なる為、便宜上このような形式をとらせていただきます。
文字通りみなさんの「幕間」としての役割です。
今後も主に『PC以外の人々』のパートを担当させていただく機会が多くなると思います。
ですが、わたしは『彼ないし彼女たち』に決して思い通りに動いてくれる便利な駒になって欲しいわけではありません。
キャラクターの自由を占有するつもりはありませんので、南雲さんも萌さんも、必要と感じたときはいつでも『彼ら』を動かしてくださって結構です。
(逆にお二人が登場させたキャラクターを勝手喋らせないのが私のスタンスでもあります)
改めて、よろしくお願いしますm(−−)m

>>395 南雲さん
いえ、私が担当する門前さまのロールであってます^^;
その次が南雲さんと梔子さんのターンですね。
諸事情によりレスは翌朝〜お昼過ぎになります。
度々すみませんが、もうしばらくお待ちを……

397 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/29 15:19:46 ID:???

【南雲】「わたしは、この戦いから――逃げたくない」

誰の許しを得るでもなく、仇敵、坂上南雲はわたくしに指を向けてそう言い放ちました。
ふふ、欲しいのはコレね?コレなのね?
彼女の指先にあるものは生命の欠片。小さな女の子をこの世に繋ぎとめる一縷の望み。赤くて紅くて明るい光。
てのひらに転がしていたそれを、わたくしはドレスの胸元へと滑り落としました。

真っ向からの宣戦布告。
もはや小細工などいたしません。
わたくし自身の愛に懸けて、あなたの幸福、根こそぎ摘み取ってさしあげますわ!

返答の代わりに微笑んだわたくしはすぐさま先手を打ちました。
兵は拙速を尊ぶと申しますけれど、淑女は常に優雅たるべきではなくて?
さあ、とくと御覧なさい! この姿、まるで愛を求める孔雀が黄金の翼を広げて羽ばたくよう!

【梔子】「借りるぞ、門前」

ええ、ご随意に。

【梔子】「孔雀弓《アルカンシエル》――斉射!!」

わたくしの髪でつくられた扇状の弓が一斉にしなり、光の矢が雨あられと放たれます。
梔子の放った矢はなんと……白布を被って動けない理奈さんすらも捉えているではありませんか!
嗚呼、勝負の世界とはなんて非情なんでしょう。
機先を制したこの猟矢の嵐に、彼女たちは抗うことができるかしら?

ねえ、梔子。

【梔子】「………………」

あら?
無愛想なのはいつものことだけど、戦いの最中に考え事なんて貴方らしくも無いわね……どういう風の吹き回し?
わたくしの視線に気付いてか、彼女は何かをふりはらうように戦意を取り戻しました。

【梔子】「勝って兜の緒を締めるぞ、門前。この勝利で、我々は幸せまで加速する……!」
【門前】「ええ、勿論よ」

だってわたくし達、幸せになる為に生まれてきたんだもの♪


【続く】

398 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :11/12/29 15:20:43 ID:???

◇  ◇  ◇

――とは言ったものの、あの肉襦袢……なかなかやりますわね。
大きな鏡を盾にしてズンズンこちらにやってきます。やがて適当な距離まで来たと思うと、おもむろに盾を放り投げました。
盾は空中で弧を描いてわたくしの背後にいる梔子に迫ります。
何かの罠でしょうか?
捨て置くわけにもまいりませんので叩き割っておきましょう。えいっ!

砕けた盾が鏡の破片となってキラキラと宙を舞います。

乱れた視界に乗じ、大男(萌)がわたくしに迫りました。
このわたくしにインファイトをご所望ですって?……舐められたものね。
ところがどうでしょう。アメイジングなことにこの女、打てども叩けども払えどもわたくしの攻撃を上手に捌くのです。

いいえ、それどころかわたくし――もしかして、守りに入ってる?

そうなのです。いつの間にか攻守が逆転していたのです。なるほど、ただの肉襦袢というわけでもないようですわ。
見たところ格闘技のプロフェッショナル。先の飛び蹴りや腹筋投げの威力を思い返すに、一撃の重さも侮れません。
「攻めの防壁」が立つ後方では鎖娘が何やら怪しげな動きをみせてる様子……。

【麻子】「巻き込まれんなよっ!!」

貴方に借りを作るのは愉快ではないけれど――梔子、お願いするわ。


【門前さん、ナックモエさんとエンゲージ】【後方の麻子さんに気付いてはいるが動きが取れない様子】

399 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/01 08:02:11 ID:???
【あけましておめでとうございます!今年もよろしくたのしくやりましょう】

400 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/03 07:43:04 ID:???
>「イピカイエ、マザーファッカー」

快を打ったような萌の返事と共に、前方から津波の如く光の矢が迫る!
触れれば一瞬にして皮膚焼き骨焦がす致死の矢が、さながら波濤となって彼女たちのいる場所を埋め尽くさんとしているのだ。

>「んじゃ、ここはあたしが」

踏み込むように萌が前へ。その手には狙撃手攻略の際に使った反射板の大きいのが握られている。
南雲は彼女の背に隠れるようにバックステップし、

>「南雲、理奈のほう頼む!」

麻子の要請に鋭く了解を返した。
白布を赤く染める理奈の身体へと駆け寄り、迫る光の逆瀑布へと立ちはだかる。
両掌にはすでに魔法を練り上げてあった。眼前へ翳し、守護の願いを発動した。

「『ライトウィング』――!」

花火のように手掌へ咲いた空色のチャフが、光矢の雨を尽く弾き、拡散し、霧散させていく。
防ぎ零しが肩口や頬や髪を焦がすが、戦場はいつでもリアルタイムだ。損耗率を確認する余裕はない。
既に門前と萌は徒手空拳による格闘へと移行している。南雲が眼に魔力を集めてようやく追える領域の攻防だ。
妖怪パスタ女と怪傑筋肉さん。ピュリッツァー賞まちがいなしのB級スクープ映像だった。

>「巻き込まれんなよっ!!」

麻子が上空に鎖を編み上げ――いつぞやの夜に見た狼の"あぎと"を創り出す。
理奈が見ていたらトラウマ再燃確定でマジ悲鳴を上げていたことだろう。
結果的に助かったとは言え、他ならぬ"花"の魔法少女を一度殺した技なのだ。

「満を持して狼出すって――前から思ってたけどけっこーナチュラルにSっ気あるよね、麻子っちゃん!」

快哉を叫んで、南雲は跳躍した。
紙飛行機では火力不足、ジェット燃料は射程が足りず、機銃生成も隙が多い。
前衛タイプの優秀なアタッカーが二名揃っている時点で、南雲にできることは少ない。
むしろ如何に足手まといにならないようにするか、という問題に収束していきそうなきらいすらある。

(正攻法じゃわたしは一番の雑魚……だったら!搦め手だけで首を獲る!!)

手段は選ばない。理奈の命がかかってる。
犠牲は問わない。理奈の命がかかってる。
保身は一切ない。理奈の命がかかってる。

たとえどれほど茨の道でも、四肢の一本や二本もげようとも。
もう、退かない。真っ直ぐ前だけの敵を、ぶん殴るために突き進む。

――理奈ちゃんの命がかかってるんだから!

強迫観念はいつしか己を強く鼓舞する言葉となり、南雲は血管の一本一本に滾る熱の流れを感じる。
いま、この瞬間において、南雲は寸分違わず意志の通りに身体を操れた。
アドレナリンが限界値を超えて、恐怖や反射や硬直を司る全ての神経が麻痺していた。
それでいい。
自分の身体を、目の前の命を救うことに特化した構造へと改革していく――

「フルスロットルで!」

南雲は飛翔した。



401 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/03 07:44:09 ID:???
>「巻き込まれんなよっ!!」

「――来たな。情報通りだ」

猪間麻子の持ちうる戦闘用魔法の中でも、最も打撃力と汎用性に優れた技の一つだ。
その本質はあぎとの威力にあらず。巨大質量と高硬度は、ただ振り回すだけでも致死の鉄槌となって牙を剥く。
――というのが、梔子梓が下調べしておいた猪間麻子に関するデータの曰くところである。

通常、『夜宴』の魔法少女は対戦相手のバトルを傍観する機会というものに恵まれない。
対戦カードは直前になるまで知らされないので、相手の戦術を研究しておく時間などないからだ。

だが、猪間麻子についてはその限りではなかった。
若干13歳にして突如『夜宴』の舞台へと現れ、彗星のごとく勝ち星を重ねていく新進気鋭のスーパールーキー。
いくら同業者イコール敵なこの業界であっても、そこまで目立てば話題にもなる。
用心深い魔法少女ならば、いつかかち合ったときの為に偵察を重ねておくぐらいのことはする。
そして梔子は、用心深さにおいて人後に落ちぬ魔法少女であった。

猪間麻子の攻撃魔法は確かに強力だが、しかし無敵ではない。
事前に知っていれば対策はいくらでも練ることができるし、冷静に俯瞰すれば若輩故の詰めの甘さも見て取れる。
なにより非情に思えた猪間麻子が、同年代の少女を助けるべく夜宴に弓引くほどに傾注しているという事実は、

(――浸け込まないでいられるものか!)

「ここは任せろ、門前。お前はまずその『拳』のを確実に潰せ。――入念にな」

正直、いまの梔子にとって脅威なのはこの偉丈夫だ。
ミサワの宣言した数字の上では恐るるに足らないが、それを補って有り余るほどの異質さを持っている。
外見からじゃ魔法の傾向がまったく読めないし、なによりも事実として、十倍じゃ済まない開きのある門前と格闘戦でほぼ互角。
ついさっきからはむしろ押し始めてすらいる。ミサワが虚偽の報告をしたというなら納得だが、公式戦じゃそうも言えない。
ミサワはあれでもプロだから、自分の小遣いのかかった仕事ならば偽りなくまじめにやるだろう。

とにかく、『拳』の魔法少女が目下最も警戒すべき敵――そこに異論はなかった。
だからこそ、接近戦での攻防力に長け、翻っては防御力、生存力に長じる門前へと相手を任せたのだ。

いま自分がすべきは、猪間麻子の必殺魔法を完膚なきまでに凌ぎきること。
大技は威力の反面隙も多い。猪間麻子の体重で狼の質量を駆使するのだからなおさらだ。
躱すなり、流すなり、受けるなりしてから隙だらけの本体へ光矢を打ち込んでやれば良い――

梔子は指を振った。商店街の空を横切る幾条もの電線が、勝手に根元から外れ、ネットを編み上げて狼を受け止める。
当然、この巨大質量をたかだか電線如きの耐久性で受け止めきれるわけがない。
電線が切れるか、支える電信柱が折れるか、どちらかが早いというだけだ――だが。

「『エンジェルハイロウ』」

梔子の"願い"がそれをさせない。
山吹色の燐光が電線を伝い、そこにかかる『荷重』に光の性質をもたせた。
御存知の通り、光の"重さ"は――限りなくゼロだ。
隕石のごとく地表に破壊をもたらそうとする鎖の狼は、まるで風船を受け止めたみたいに虚しく電線の上で弾んだ。

即座に手弓を生成し、番えた矢で猪間麻子を狙う。
流石に渾身の鎖魔法を捕まえられれば、新しく防御のための鎖を出す時間はないはずだ。
否、そんな時間があったとしても、

(私の弓はそれより速い!)

――光の性質を与えた矢を発射する段になって、視界の違和感に気付いた。
神田理奈の亡骸を包む白布の傍でそれを守護していたはずの飛行服姿が、ない。
あれほど目立つ色をした魔法少女はどこへやら、視界の中には猪間麻子ただ一人がこちらを見ている。
もう一人はどこへ――

402 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/03 07:44:54 ID:???


坂上南雲は空にいた。
しかし飛んでいるわけではない。彼女はまだそこまでパワーのある魔法を習得していない。
頬を叩く風や眼下に広がる景色は確かに空の上のものだが、南雲の両足はしっかりと二本で立っている。

そこは――狼の頭上だった。
地上の敵二人へ向けてあぎとを開いて威嚇する狼の、更に上にしがみついていた。
麻子が『狼』を発動させたあのとき、南雲は迷わず上空へ向かう鎖の群れへとしがみついた。
綱渡りのように走り、ときには両手両足で這うようにして登攀し、ついに編み上げられた狼の頭上へ登頂成功した。

おそらくその事実を知っているのは麻子だけだ。
巨大な狼の顔に隠れて、南雲は一人だけ戦場の上空へと隔離されたのである。

(大概の人はこの"狼"見て驚くのに――あの迷彩さんだけは違った)

人間、咄嗟に感情を抑えることはできても、感情を装うことはできない。
どのような表情をすべきか逡巡する暇が必要だからだ。ポーカーフェイスは成立し得ても、その逆はない。
狙撃手は狼を知っていたのだ。知って、なおかつ逆手に取れるタイミングを見計らっていた。

(だからまず、その企みを覆す!!)

南雲は両手の五指を開き、網の上でトランポリンのように弾む狼の表面にピタリとつけた。
ひんやりとした金属の冷たさが皮膚を通して骨身に染み込む。その感覚を、精度に変えて。

『――萌ちゃん、2秒後、狼の口に火を!』

テレパシーで萌へと要請、デジタルのように正確に二秒を刻む体内時計をトリガーにして、南雲は魔法を発動した。
両掌から滝のように生成されるジェット燃料が、鎖によって編まれた狼の内部へと浸透していく。
揮発性の高い液体は浸透速度も高速だ。一瞬にして狼の全身を満たしたジェット燃料は、あぎとの部分から発射された。
それはさながら蛇口から湧き出す水のようであり、見た目だけなら金属製のマーライオンだ。
しかし速度は桁違いである。鎖の隙間によって拡散されて発射される液体は、まるでシャワーのように激しい豪雨。
そしてその豪雨は――火花で容易く着火する極揮発性のジェット燃料である。

萌が南雲のテレパシーの意図に気づき、火種を狼の口へと投げれば、たちまち狼は火を噴く龍へと変わるだろう。
場をわきまえず牧歌的なことを言えば、とても縁起の良い光景である。

「あけましておめでと――!!」


【狼の頭上から不意打ちの燃料シャワー。火をつければ燃えます】

403 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/03 21:06:57 ID:???
お、遅くなってすいません(今年は減らそうこの台詞……)。
昨年はいろいろありましたけど、嫌なことばかりじゃありませんでした。
本年もみんなで良い一年にしていきましょう!

>>399 南雲さん
こちらこそ、よろしくお願いします☆


404 :名無しさん :12/01/04 20:25:35 ID:???
リリカルさん六将入りおめでとう

405 : ◆Gw1TY5I6ic :12/01/06 02:10:30 ID:???
「……しッ!」
左ジャブの三連打から左ミドル。
わざと空けた右からの攻撃をステップインしながら右手で外へ流し、右フックからのXアタック。
サイドステップで次の一撃を回避。左を下、上と入れて右拳でのフェイントから前蹴り二つ。
門前が下がった分だけ離れた間合いを踏み込んで詰める。しかし、全容が目に入る程度の距離は保つ。

どの一撃をとっても手応えは十分。だが全て髪が防いでいた。
言って見ればミット打ちをやっているようなもので、"防具"を叩いてダメージになるはずがない。
一方、ガードそのものを叩いてそこからの攻撃を封じ、
方向を限定して回避するという戦術が機能しているおかげで、萌もまた無傷。
このままいけば膠着が続いたあげく体力なり魔力なりが切れて負ける。
戦端が開かれてわずか数秒だが、それは十分すぎるほどに予想がついた。

押し込んではいるがそれはペース配分を考えずに飛ばしている結果だし、悪くしたことに方向も通りと平行。
当然、門前の方でも壁を背負うのは避けるわけで、このままでは下がりに下がって隣県まで行きそうな勢いである。
こうした状況下で背を預けられる仲間がいるというのは実にありがたい。
もともと預けられたのは萌の方だが、まあ持ちつ持たれつというものだ。

>「巻き込まれんなよっ!!」
麻子の声の後半は、鎖の擦れ合う音の中に掻き消えた。頭上に影がかかる。
そのシルエットは、いつかの夜空に見たものと同じだった。
タイミングを計って横へ飛ぶ。しかし、予想していた衝突はない。

即座に伸びてきた髪を躱しざま間合いを詰め直す。
捕まえて首相撲からの膝を二つ。思い切り突き飛ばして、下から顔を狙ってきた反撃を外す。
ちょうど門前と萌の間で弾む影に、ひょこりと何かが生えた。
>『――萌ちゃん、2秒後、狼の口に火を!』
南雲からの念話は何に遮られることもなく届いた。

406 : ◆Gw1TY5I6ic :12/01/06 02:11:21 ID:???
ウィーブしながら再度間合いを詰める。左右のボディから左のロー、もう一度ボディ。
意識を下に向けてからの右ストレート。腕を引く動作からの左ハイ。蹴り足を半ばまで戻してそこからの左ロー。
全て防がれた。

一秒。

顔のあたりに押し付けるように右のロングフック。視界を塞いでそちらへステップ。
左のフックを返してからそのまま左でボディを三つ。
先ほどとは逆に上へ振ってから下を攻める。
クリーンヒットはなし。だが、手を出させないという目的は果たしている。
サイドステップをしながらやはり顔のあたりヘジャブを散らし、踏み込む。
「シャアっ!!」
詰めていた息を声に変えて、槍のような前蹴り。
門前の足が地を離れた。

二秒。

ジッポ型オイルライターの優秀さは今更語るところではない。
堅牢なボディ、燃焼部が覆われていることによる風雨への強さ、そしてなにより単純な構造。
燃料は専用のものである必要はなく、機械油、食用油、アルコール、何でもあり。
つまり、萌でも分かるようにしかできていない。
そのライターを、振り向きざまに生成して放る。
それは緩やかに回転しながら刺激臭を放つ驟雨へ向けて飛んでいく。

振り向き直した萌は、爆炎の起こす風を背に門前へと駆ける。
"顔を上げさせない"ように、手当たり次第に打ち込んでいく。
梔子がどうなったにせよ、やることに変わりはない。

世の中は全てバランスシートだなどと言うが、
それに従えば相手の十分の一以下の"コスト"で同等の結果を得ている今の状況は手放しで褒められてしかるべきだろう。
"決算"までそれで乗りきれるかは、その時になってみないとわからないものだが。

【無酸素運動継続中】

407 : ◆Gw1TY5I6ic :12/01/06 02:11:54 ID:???
あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。
本年も変わらずお付き合いいただければ幸いです。

408 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/10 00:25:24 ID:???
すいません、名無しさんへのお返事も含めて10日の間にレスします。

>萌さん
改めてよろしくお願いいたしますm(−−)m

409 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/10 21:46:55 ID:???
わー、どうしよう!
時系列は整理できてアイディアも煮詰まってるんですけど、上手くレスが書けないです
もう四日目なのに……

410 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/11 01:27:53 ID:???
把握、把握
年始まったばっかで忙しいだろうし、じっくり自分のペースでやってねン

411 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/12 20:51:48 ID:???
鋭意レス制作中。ごめんなさい、ちょっと難産です……。
今週中には必ずお返しします。

412 : ◆Gw1TY5I6ic :12/01/13 18:26:05 ID:???
ごゆっくりどうぞ。
お待ちしてますよ。

413 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/14 07:58:27 ID:???


―――――――――ここは?


あらゆる認識が溶けてしまった空白の中で、言葉が問いかける。……何に?
微睡みと目覚めのまんなかのようなこの気持ちは、どこまでが体外で、どこからが体外なのかすらわからない。

まず、一切の形が無かった。
触れている者と物がどんな姿かたちで、どんな質感をしているのかすら忘れてしまったような。
つぎに、色が無かった。
目にしている色彩が白なのか、黒なのか……血のような赤なのか、空のような青なのか――――それすらも。

一切がただ無限に広がる『           』の中。

あらゆる感覚質(qualia)が意味を喪ったこの世界で、言葉だけが何かを伝えようとしていたの。
名前も無ければ何者でもない、そんな誰かが何かに対して、私に対してあるものを渡していくように。
「私」? 「私」って…………何だっけ?

「神田……理奈?」

暗転。
示された言葉が意味を繋ぎ、自分と外側の境界が生まれた。
感じたのは、いつか生死の境を彷徨ったときに見た闇と――――壊された痛み。
届かなかった苦痛に喘ぎ続ける、“私たち”の命の悲鳴だ。

【??】「お姉さん、だれ?」

呼びかける、声。幼い少女の姿。低学年かな?私は神田理奈。あなたのお名前は?

【桃】「もも。みょうじはさとはらですっ」

郷原 桃ちゃんって言うんだ。可愛い名前だね。桃ちゃんはどうしてここにいるの?

【桃】「ももはね。えっとね。ええと……ええと………………あれ?」

ありゃ。首を傾げて困っちゃった。思い出せないの?

【桃】「んー、なんだったっけ。あ!まほーかく!ももはまほーかくをあつめてるんだよ」

ど、どうして?


【続く】

414 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/14 07:59:28 ID:???

【桃】「お父さんがね、まっきガンになっちゃったの。よめいはん年って言われて、お母さんもないちゃって……
    このままだとお父さんがしんじゃうってきいて、それであたし、かなしくなって――」

……うん

【桃】「そんなのやだってないてたら、ヘンなおじさんがやって来て
    『まほーしょうじょになってまほーかくをあつめたら、お父さんをたすけられますよ』って、教えてくれたのっ」

それで?

【桃】「だからね、もも、まほーしょうじょになったんだよ!お父さんをたすけたかったから!!
    でも……どうやってまほーかくをあつめたらいいか、よくわからないの。
    先生にきいても『あぶないからわたしのそばにいなさい』っていうだけだったし…………あ、でもね!
    そしたらね、もものところに『わたくしも(魔法少女)ですのよ』って、きれいなお姉さんが来てくれたの!」

――――ドクン

<エヘヘ…じゃあお姉さんもまほーかくをもってるの?あたしも、もってるよ!あつめてるんだよー>
<あらそう、>

空間に刻まれた記憶が鼓動となり、一つのヴィジョンを投影する。これって、もしかして……

<奇遇ですわね、わたくしもですのよ>

【桃】「まるでおひめさまみたいな人だったんだ。それでね……あれ?それでもも……どうなったんだっけ」

…………

【桃】「お姉さん、どうしたの?なんでないてるの?……どこかいたいの?」

「……ううん、なんでもない。なんでもないよ…………」

そうだ。悔やんでる場合じゃない。これが私たちの戦っている場所なんだから。

「あのね、桃ちゃん。ちょっとだけ、ちょっとだけ私の話も……聞いてくれないかな」

【桃】「うん、なーに?」

「私にもね、助けたい人たちが――――――いるんだ」

まだやれることが、私には残ってる。


【Intervalに続く】【< >内は門前さんの導入部より引用】

415 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :12/01/14 08:01:36 ID:???

夜風を裂いて振り下ろされた圧殺の大牙が、門前と梔子を齧り取る――――ことはなかった。

【梔子】「『エンジェルハイロウ』」

【麻子】「――――!?」

防がれた!
彼我の持つ魔法の性質を冷静に分析・研究して行なわれた梔子の即時対応に、猪間麻子は舌を巻いた。
質量に相応の魔力を以て生成したはずの巨狼が光の綱によって見事に絡め取られている。

【麻子】(こいつ……あたしの技を知ってやがったな!)

大技の制御で隙を見せた麻子に対し、追い討ちを狙う梔子が弓を引き絞る。
このような手合いは初めてだ。
たとえ魔力量に分があったとしても、初見でやりあっていたら自分は間違いなく彼女に敗北していただろう。

だが戦っているのは、自分だけでは……ない!

目前では萌が今も懸命に格上の門前を攻め立てている。
同時に、麻子の眼は確かに捉えていた。
己の掲げた狼の背にしがみつき、一心不乱に駆け上がる坂上南雲の――――その姿を。


   ◇   ◇   ◇


【梔子】「ここは任せろ、門前。お前はまずその『拳』のを確実に潰せ。――入念にな」

鎖娘を任せた梔子の指示に対し、門前は無言を以て承諾した。
……否、このときの門前百合子には思念で返答する余裕が最早なかった。

【門前】(どういうこと……!?)

ミサワの算出した数値によれば今闘っているこの魔法少女の魔力量は、自分の相手として取るに足らないはずである。
今は互角以上の戦いを演じていても、防御に徹してさえいればいずれ燃料切れが訪れる。
後はそれを待ってパワーで捻り潰してしまえば、まともな敵といえるのは鎖娘だけだ。
残った坂上南雲の魔力量にしても、たかがしれている。

にもかかわらず。

門前百合子は押されていた。
先述の通り、彼女の魔法は髪に意識を伝達できなければ上手くコントロールできない。
それによる鉄壁の防御を維持する為には高い集中力と、そして相応の魔力を必要とする。

詰まる所、門前百合子の魔力は低下していた。
彼女自身にその自覚はないが、ミサワの報告が虚偽であったわけではない。
ここに到るまでの戦闘による消耗もあるが、原因はそこではなく彼女の胸元――“戦闘直前に”そこに隠し持った魔法核にあった。
神田理奈の魔法核である。
門前はその利用価値を見越し、自分の核と融合させるようなことはせず、肌身に所持するにとどめている。
結果、彼女に接触した理奈の魔法核は外部から門前の魔法核に対して干渉を始めたのである。
これまで摘み取ってきた魔法核たちがそれに呼応し、門前に反旗を翻した。理奈も共に戦っていたのだ。

所有する核からマイナスの同調を受け、今や門前の魔力量は萌と同数以下にまで落ち込んでしまっていた。


【続く】

416 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :12/01/14 08:03:25 ID:???

【萌】「シャアっ!!」

【門前】「……くぅ!?」

裂帛に乗せて放たれた前蹴りが門前の臓腑を抉る。
咽頭から込み上げる何かを抑えつつ、門前は周囲に漂う空気を嗅いだ。

【門前】(この臭い……まさか、さっきの!?)

【南雲】「あけましておめでと――!!」

上空から振り来るガソリンの驟雨。そして年始のご挨拶。劇中時間に対する突っ込みは認めない。
危険を察知し、すぐさま二人分の防御態勢を取る。
直後、萌によって投擲されたジッポーにより、元狼だった昇竜が爆炎を吹き散らす!

……今の門前百合子に防ぎきる力は無かった。

消し炭となった髪が砕け散り、肉迫した萌がガラ空きとなった門前のボディに打ち込む。

打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!
打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!
ひたすら打ち込む。防げるはずがない。

打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!
打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!
打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!打ち込む!
とことん打ち込む。凌げるはずがない。

【門前】(こ、このわたくしが…………こんな……こんな…………!!)

千々に乱れ散りそうなドレスの胸元から、理奈の魔法核が転がり落ちる。
朦朧とした意識の瀬戸際で、門前百合子は自分の奥底から再び魔力が漲ってくるのを感じた。

【門前】「ま、まだよ――――わたくしの愛は……幸せは……こんなところで!朽ちたりなんかさせませんわ!!」


【門前さん、萌さんによってフルボッコ】【理奈の魔法核パージによって魔力回復】【続く】

417 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :12/01/14 08:05:26 ID:???
   ◇   ◇   ◇


【麻子】(――――やりやがった)

紅蓮に輝く昇り竜を見つめ、麻子は会心の笑みを浮かべた。
あと一押し。短期決戦を望むなら、ここで一気に畳み掛けるしかない。

【麻子】(なら……今度はあたしが盾になってやるよ!!)

固有魔法『狼罪《ギルティ・ファング》』。
かつて餓狼と呼ばれた彼女の生み出すその鎖は所有者の意思によって縛縄にも鞭にも、そして刃にもなる。

【麻子】「はああああああああああああああああぁ!!」

物体生成と固有魔法を駆使し、生み出したのは大振のチェイン・ソー。
エンジンに火を付け、鎖刃を廻し、けたたましい音をたてながら後方の梔子へと突き進む。

無論、囮になる為だ。

この勝負、一撃で極めなければ望みは得られない。
そして麻子には最初から自分にはそれが出来ないことがわかっていた。
連中はまず自分のことを警戒する……そして、残ったもう一人を潰しにかかる。それで万事完了――そう思っているはずだ。
何故なら当の南雲や萌すらも自分たちが「勝てないもの」と決め込み、麻子が最強の手札だと決め込んでいるからだ。
しかし、麻子自身にとっては違った。

むしろ“彼女たち”こそが切り札なのだ。
魔法核による見た目の数値に騙されてはいけない、それぞれが持つコストパフォーマンス、表向きの情報は……ブラフでしかない!

麻子は自分の魔法核を取り出し、上空にいる南雲に向かって放り投げた。

【麻子】『受け取れ南雲! 
     あたしらを縛って捕らえて止めて閉じ込めて抑えて組み敷いて躙って押し拉いで絡げて戒めて限って
     妨げて圧して捻じ伏せて絞って封じて侵して制して纏めて括って束ねて奪ってくるような――そんな腐った連中にぃ!!

     お前の一番強烈な一撃を

     叩 き 込 ん で や れ !!!!』

魔装はすぐに解けないようにしてあるので見た目はカモフラージュできる。
しかし、魔法核が無い今、猪間麻子は普通の人間も同然であった。

自らの思い戦友に託し、ハリボテとなった“魔法少女”が勇敢に戦地を駆け抜ける。


【魔法核を南雲さんにパス】【麻子さん本人は陽動として突撃】
【受け取った後の南雲さんの魔力量 (2+15)×3(本人・おじさん・麻子さん)×100=5100】

418 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/14 09:09:19 ID:???
【連絡・返信】
ごめんなさい。大変お待たせいたしました。
今回の投下、無事完了です。

本編に関してはIntervalさんに無理を言って私のレスを挟ませていただきました。
もしあんなに強い門前さんが誰かに負けることがあるとすれば、きっと「あれ」が原因なんだろうなって思ったからです。
萌さん的にはちょっと余計なお世話になっちゃったかもしれませんけど、こういう展開のほうが「私たちらしい」かなって……
何となく、そう感じました。すいません。近頃……ちょっと独り善がりになってきてないか心配です。

この章が終わったらお二人にご相談したいことがありますので、そのときにまたよろしくお願いします。


>>404 名無しさん
遅くなってごめんなさい。
ろ、六将……?それってあの、つまり私、何に選ばれたんですか……?
あ!わかった!メ○ロットですね!?昔のゲームにそんなキャラがいるって叔母さんが言ってましたよっ!

えと……す、すいません。実は凄く動揺してます(深呼吸)。

と、とりあえず、ありがとうございます。
でも、「私」というキャラはこれまで一緒にやってきてくださった南雲さんと萌さん、今まで参加してくれたみなさん、
そして何より最初の麻子さんがこのスレを始めて、育ててくださったからここにいられるのであって、何か賞賛されるべき人が
いるとすれば、それは「私」個人ではなくてスレッドに出演した方々全員だと思っています。

それに、私としては……ですよ?
「何かに選ばれたということ」よりも
名無しさんに「おめでとう」って言ってもらえたことのほうが…………やっぱり嬉しいですっ

419 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/17 20:24:57 ID:???
>ご相談したいこと
オッケ。了解です

わたしのターンですが現在ちょいビジー状態なので遅くなるかも。待っててください
もうこのターンで決着へ向かっちゃっていいのかな?

420 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/18 19:40:41 ID:???
お待ちしています
お二人とも、どうぞじっくりレスを楽しんでください

421 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :12/01/18 20:01:17 ID:???
>このターンで決着
この件につきましては私が。
“それ”を決める権限は自分にはございませんが、この戦いには【梔子】さんの狙い通り時間制限があるようです。
2ターン程で戦闘に決着をつけられなければここで【理奈】さんを助ける上で「手遅れ」になるものと認識しております。
【麻子】さんはそれを承知した上であのような電撃作戦で勝負に出ています。
しかしながら【門前】さんがその状況を易々と受け入れるとは思えません。
申し訳ありませんが、南雲さんのパートではそれらを加味した上で、御自分に納得のいくレスポンスをよろしくお願いいたします。

422 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/21 19:41:47 ID:???
狼が火を吹いた。
地獄の劫火に灼かれるのが罪人だけなのだとしたら、今宵ここに集まる少女たちの一体誰が助かろうか。
己の願いのため、翻ってはただ我欲のために他者を死に至らしめんとするのは、南雲たちとて同じなのだから。

「捲けよ断罪の炎!わたしはそれを背に受けて翔ぶ――!!」

だから叫ぶべきは怨嗟の呻きではない。腹の底からの快哉である。
背から迫る爆圧あれば、それを蹴って前に進む。横から砕きの力が来るなら、横道逸れずに走れば良い。
星の綺麗な夜だった。ここに響いて似合うのは、きっと孤狼の遠吠えではなく。
――天翔ける龍の咆哮だ。

眼下、炎が門前と狙撃手を捲き、ドネルケバブのように全方位からの炎熱で以て攻め立てる!
貫くように乱打される萌の拳が、門前の髪を、四肢を、胴に至るまで打撃と穿ちの力で埋める!
瞬くうちにドレスはボロ布のようになり、各所から裂傷と打撲の血煙が噴出していく。
あの門前が。これまで出会った中で間違いなく最強の近接格闘力を持つ門前百合子が、真っ向勝負で押されていく。

>「はああああああああああああああああぁ!!」

間髪入れずに麻子が大型のチェーンソーを手に焔の雨の中を駆け出した。
相手の射程内へ武器一つで飛び込むその姿は南雲の眼に無謀に映ったが――すぐに目に入った輝きで否と分かる。
麻子がこちらへ投擲したのは、幾つもの願いを秘めた――猪間麻子の魔法核だった。

>『受け取れ南雲!』

取りこぼさないように両手で受け止める。
瞬間、『既に同調済みの』麻子の魔法核が、南雲の願いを新しい段階へと押し上げる。
単純な魔力量として、実に13倍近い力が裡に来る。まるで無数の他者から背中を押されて、空を飛んでいるようだった。

いや。
――この魔力なら、本当に飛べる。

>『 お前の一番強烈な一撃を

   叩 き 込 ん で や れ !!!! 』

『Will comply(了解)――命に代えても!』

一番強烈。
麻子によって渡されたこの魔法核があれば、きっとなんだって実現できるだろう。
戦術核を召喚してこの街ごとあいつらを滅ぼすことも、細菌兵器でどこまで逃げても身体の内側から蝕んでやることも。
でもそれは、たぶん魔法少女の戦いじゃない。
願いを武器にする戦いだから、自分の思う最も強烈なイメージこそが絶対的な強さとなる。

麻子が命を賭けたのだ。
南雲はそれに応えたい――。

「――『ライトウィング<アサルト>』!!」

無数の色が雑多に混じり合ったマーブル模様の魔力が、空色の輝きによって夕暮れを征服する。



423 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/21 21:41:27 ID:???
狼が火を吹いた。が、落ち着いて対処すればどうということはない。
恐ろしかったのは焔に紛れて『拳』がこちらに仕掛けてくることである。後衛型である梔子では彼女には対抗できない。

運良く、あるいは別の思惑があってか。大方ここで削りきりたいとの思いがあるのだろう、『拳』は門前へスパートをかけた。
梔子は安堵と共に、買い被り過ぎだったかと苦笑する。猪間麻子が巨大な電動ノコギリを突っ込んできたのだ。
驚くべき連携を見せたルーキー三人だったが、正念場で噛み合わなかったようだ。
役割が違う。『拳』は確実に殺しきれる梔子を狙うべきだったし――猪間麻子はこちらの射程に無防備だ。

(『炎の雨』は見た目以上の攻撃力は持たない……決定打にはならない、虚仮威しだ!)

突撃してくる前衛二人を巻き込んでも殺さない程度の威力でしかないということだから。
やはり坂上南雲は脅威にならない。『拳』も含め、所詮合わせて500の雑魚二人。突撃してくる猪間麻子を倒してこの戦いは決着だ。
そして向かってくる鎖の魔法少女を確実に射抜くには、この火炎を攻撃態勢のまま受けなければならない。

梔子梓は根性論が嫌いだ。しかし『強大な相手に立ち向かう』ことを無謀だとは捉えない。
圧倒的な力量差があっても、持てる限りの知を尽くして分析し、突破口を見つけ、それを突くための準備を怠らなければ勝算はある。
だから彼女は思うのだ。――抗いとは、まず知ることなのだと。そして知ることとは、敵を掌握することなのだと。
梔子は今宵全ての戦力を『知った』。だから怖くない。どんなに凶悪な熱を秘めた炎の雨とて。
魔力による防御力向上を体表前面に集中し、炎風の煽りを受け流せる姿勢を工夫し、焦がした皮膚を再生する算段を整え。

(――あとは、『根性』で耐える!)

かつて一度死んだ時、自分に最も足らなかったもの。
目先の痛みと苦しみに怯え、たった一つしかない大切な己が命を手放してしまったときのこと。
だから、今度は逃げない。たとえ眼球焦がす熱風の中であっても、焦がすそばから再生して刮目し続ける!!

「さあ来い、今宵の夜宴の担い手よ!お前らの首を土産に、血塗られた道を通って、私たちは幸せな日常に凱旋する――!」

最高に狂ったシステムだと、今さらながらに思った。
弓を構え、矢を生成し、魔法によって光の性質を付与し――鏃の先に猪間麻子を捉える。
そしてその更に向こうで展開した、空色の輝きを見た。

「……は?」

最初に聞こえてきたのは、バラバラバラ……という響き。胃の中身を震わせるような、地鳴りのような大音声。
それが毎分1300回大気を切り裂くプロペラの回転音だと気付いたときには、既に空色の輝きは全貌の輪郭を確定させていた。
面長で攻撃的なシルエットは陸揚げしたシャチのようであり、その体表は鋼鉄の鎧に青を基調とした迷彩を描く。
特徴的な両サイドの対戦車ミサイルがその切っ先をこちらに向け、巨塔を思わせる機関砲が夕明りを反射する。
病床に臥せっていた梔子とて、それが何であるかは容易に分かった。
その凶悪すぎる性能が各地の戦場の常識を塗り替えたことぐらいは、現代史を少し紐解けば誰でも知っていることである。


――『AH-64D』。通称、アパッチ攻撃ヘリ。
現代最強の陸戦航空戦力である。


「はあああああああああ!?」

梔子は、開いた口が塞がらなかった。
突風が吹き荒れ、炎の雨が一瞬にしてかき消される。
夕暮れの商店街の、それもビルとビルの間に突如として出現した武装ヘリに、固まっていた買い物客達が我先にと逃げていく。
蜘蛛の子を散らすようだ。小学生の女の子が突然切断死体になったときでさえその場に留まり続けた野次馬たちも。
人間一人ぶった斬るよりはるかに強力な攻撃性能を秘めた『戦争の道具』が襲来すればダイレクトに命が危ない。

『髪を使った攻防自在の格闘魔法とか、鏡に反射してどこから襲ってくるかわからない狙撃とか。
 そいつらってさぁ――ミサイルより強いの?』

ローターの爆音を押しのけて、ヘリの下部に備えられた外部スピーカーから声がした。
坂上南雲の声だった。

424 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/21 21:42:06 ID:???


南雲はアパッチの操縦席で操縦桿を握っていた。マイクから外へと声を送った直後である。
固有魔法と物体生成の応用により生み出されたこのアパッチ攻撃ヘリは、しかし細部まで完全に再現されているわけではない。
南雲が詳細を知らないからだ。本来構造を知っていなければ生成できないものを、固有魔法の力によって強引に補完している。

だから厳密に言えばこの機体はアパッチどころかヘリコプターですらなく。
『アパッチの形をしたすごく強い空飛ぶ機械』と表現するのが正しい。
ただし、南雲がYouTubeや、各務原市の航空自衛隊岐阜基地が主催する航空ショーで見たヘリの『性能』は完璧に再現している。
南雲の駆る"このアパッチ"が現代最強の攻撃ヘリであることに偽りはなかった。

「ヘルファイア、発射!」

適当に再現した操縦桿の、適当なスイッチを迷わず押し込む。
魔法によって保たれているこの機体は、故に複雑な操縦方法などなく、意志の力によってその機能を発動する。
アパッチの脇から吐き出されたヘルファイア対戦車ミサイルが、レーダー誘導によって狙撃手一直線に空を泳ぐ。

『――っく、エンジェルハイロウ!』

麻子を狙っていた矢でミサイルを貫き、空中で爆散。
地表を焦がす熱風も、未だホバリングを続けるローターの暴風によって瞬く間に洗われる。
間髪入れず、狙撃手はこちらを狙ってきた。軍用兵器とはいえヘリの装甲は薄い。魔法の矢で狙われればひとたまりもないだろう。

「――でも、チャフ射出」

機体前面からぶちまけられた銀色の無数のフォイルが光の矢を悉く乱反射させ、霧散させる。

『こんな、こんな戦い方があるか……!魔法少女なら魔法で戦え坂上南雲……!』

狙撃手からテレパシーで批判された。
痛いところを突かれた南雲は操縦席で俯き、呟くようにして言った。

「戦いに良い悪いなんてないよ。両者を分かつのは、死者か生者だけ」

『この状況で良いことを言うなああああああ――!!』

南雲はヘルファイアを追加で撃って、都合の悪い意見を爆殺した。
これが戦争だ。自分にとっての不都合を、暴力によって解決する交渉手段。
どれだけ人道にもとろうとも、どれだけ倫理を外れようとも、勝てばそれが正義になるのが戦争なのだ!

「いやほんと、戦いって何も生み出さねーわ」

適当に発射ボタンと定義付けた操縦桿の突起を押す。押しまくる。連打だ。
ほとんど無尽蔵に近い魔力によって次から次へと生み出される空対地ミサイルが、地上――商店街を絨毯爆撃の色に染め上げる!

『ついカッとなってやった!今は反省してるから――さっさと帰ってみんなで反省会しよう。萌ちゃん!』

アパッチの電子兵装が門前の魔力反応が急上昇するのを感知する。そしてその足元に転がる理奈の魔法核の存在も。
イメージだけで状況を萌に伝え、そしてヘルファイアを一発萌に撃って寄越した。
戦車すら一発で鎮めるこの火力をどう使うかは彼女次第である。


【アパッチ召喚。狙撃手沈黙。商店街を重爆撃。萌にテレパシーで状況を伝え、ミサイルを一発撃つ】

425 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/01/21 21:42:45 ID:???
【遅くなって申し訳ないでした!】

426 : ◆Gw1TY5I6ic :12/01/24 01:07:01 ID:???
打ち込む手も足も、全て弾かれる。なにも変わりはしない。
――はずだった。
しかし、何万とサンドバッグに打ち込んできた軌道を完璧にトレースした右足が、髪を大きくたわませる。
「んあっ?」
全く予期せぬ感触に思わず間の抜けた声が出た。足を振り戻すのが遅れる。

しかし、これもまた予期しなかったことに反撃が来ない。
渾身の前蹴りで数歩下がらせるのがやっとだった門前が、
牽制に放ったミドルキック一発でほぼ同じ距離を移動している。
正直なところを言えば脳内は疑問符で埋まっているが、様子を見ていられる状況でもない。
心中首を捻りつつ物理的にも首を捻って、ようやく飛んできた刺突を頬の肉少々を犠牲にかわす。

最前から繰り返しているように空いた間合いを詰めなおし、打撃。これは完全に防がれた。
返す一発。顔を狙ったストレートは、いくらか軌道を逸らされて胸元へ。
魔力のかよった髪ほどではないがそれなり上質な"クッション"に阻まれる。
だが、今までなら真っ向から受け止められていたはずだ。
(防御が弱くなってる?でも、まだ……)

門前が何か異常をきたしているらしいのは確かだが、それに乗じるにはあと一手、足りなかった。
――そして、その足りない一手も予期しないところから現れた。

重度のオタクであれば音を聞くだけでそれを発した機種を特定できるという。萌にはもちろんそうした知識はない。
だが、背後から降り注ぐその音の発生源が、ヘリコプターのローターだということぐらいは分かる。
ならば次に起きることは? 萌はサイドステップで門前の横へ回りこむ。
未だ残る炎が、ダウンウォッシュに押しやられて二人を包んだ。

門前の髪が燃えている。焦げる匂いすらも焼かれて消える。
ついでに萌自身も精神肉体の両面で相当燃えているが、まあそれはさほど重要なことではない。
問題はこの状況は長くは続かないだろうということ。
踏み込みながらの萌のロングフックはすでに炭化し始めていた髪を粉に変えた。
その向こうに見えた門前の目が、萌の目と合った。

「ようやく"コア"が見えたわ」
唇の端を吊り上げながらさらに一発。
今開いた穴ではなく、そこをカバーするために髪を動かして手薄になった肋のあたりへのフック。
次にそのカバーのために手薄になった場所へ。その次も同様。さらにその次も。

>『こんな、こんな戦い方があるか……!魔法少女なら魔法で戦え坂上南雲……!』
背後からの念話は萌に向けてのものではないしそもそも実際に聞こえるものでもないが、ちょっと耳に痛かった。
まあ良いではないかと萌は思う。日曜朝の魔法少女ものでも、最後の大技は巨人のパンチだ。
ヘリ出したりむくつけき大男(少なくとも見た目は、だ)になったりするのもそう大差はない。

427 : ◆Gw1TY5I6ic :12/01/24 01:07:34 ID:???
そんな内心とは無関係に手足は動く。
同じ手でのジャブ、ジャブ、フック、そこから逆の足でミドル、ミドル、ミドル。
対角線攻撃から踏み込んで肘、のけぞって離れたところへ顔への前蹴り、みぞおちへの前蹴り。
生身同士なら殺害に至っているほどのコンビネーションの数々を、練習のように叩きこむ。
だが門前は倒れない。
だから萌は手を緩めない。

さらに打つ、打つ、蹴る。
そこで、足元に何かが転がった。見覚えのある輝き。理奈の魔法核。
門前の不調が、即座にそれと結びついた。
根拠はない。しかし、他に考え得る要因もない。

(やれやれ、結局最後までおんぶにだっこかぁ)
もともとこの戦いの発端となった計画も、理奈に依るところが大きい、
というかいなければ成立しないものだった。
(なら……ついでだし、もいっこ世話になっとっか)

>「ま、まだよ――――わたくしの愛は……幸せは……こんなところで!朽ちたりなんかさせませんわ!!」
「朽ちなくていいからちょっと離れとけ」
言いながらの前蹴りで門前を突き飛ばし、置いた蹴り足を軸に大きく踏み込む。

>『ついカッとなってやった!今は反省してるから――さっさと帰ってみんなで反省会しよう。萌ちゃん!』
「一発なら誤射かもとか言わないよ、あたしは!」
イメージと共に届けられた南雲の念話に肉声を返す。
一発どころか十発以上撃たれているのがつい先日のことなのだが、さてそのことは記憶に無いようだ。
上体を大きく傾けて右手を地面に擦るほどの低さで振る。マイソークはすでに消してある。
握りこまれた指の隙間から漏れる光は、理奈の核と同じ色をしていた。

「祝い事には!」
そのまま拳を門前の顎の下へ。とっさに間に入れられた髪など意にも介さず思い切り打ち抜いた。
門前はガードごと数m上空へ。この時点でダメージがあるかは気にする必要はない。
即座に振り向いて今度は左手を振り上げる。掌底で叩かれたミサイルが空を向いた。
「花火がつきもんよね」
人間とは違って鼻先に付いている"目"は、おそらく門前の"それ"と合っただろう。
――一方で萌の目は全く別の方向を見ていた。

門前、梔子を倒すのはあくまでも過程の一つだ。図らずも達成された目的は、いま右拳の中。
"折りえても心ゆるすな山桜"などと言うが、風が吹こうが槍が降ろうが知ったことではない。残心なんぞ犬に食わせろ。
決着を見届けることなく、萌は全力で走りだした。
滑り込みながら跪いて、理奈の傍らで止まる。布はすでに吹き飛ばされていた。
白蝋のようになった手へ、核を落としこんで握らせる。
これで、できることはもうない。
立ち上がった。振り向く。その先に見えたものは――

【理奈の元へ核を持っていく】

428 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/28 03:01:59 ID:???
【連絡・2点】
こんばんは。
またしてもすいません。
リアルが込み入っててレスが今日の夕方以降になっちゃいそうです。
もう少しだけお待ちください……。

それと――もしみたらし団子がお好きな人がここをご覧になっているようでしたら
「私は全く気にしていません」と「似顔絵ありがとうございました☆」とだけ伝えさせてください。

google先生によりますと世間には私と同じ名前の人って結構いらっしゃるみたいですよ
日本人の女の子によくある名前なのかもしれませんね(−−;)

苗字はネタ元になった作家さんのを混ぜて、名前は主人公の音をそのままお借りしました
あまりこういうメタ発言って好きじゃないんですけど、一応^^;
それにしても組や学年まで一致って……偶然って、恐いです。

429 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :12/01/28 21:47:14 ID:???

【門前】「ま、まだよ――――わたくしの愛は……幸せは……こんなところで!朽ちたりなんかさせませんわ!!」

潤む!漲る!!溢れ出る!!!
自覚症状の無い不調から復帰した門前百合子が抑制されていた魔力を解放させる。
そう、これだ。これこそが本来備わっていた自分の能力だ!
貪欲なまでに幸福を追求し、他者のそれを絡め取り摘み採りながら、生死と隣り合わせの戦場を今日まで闘い続けてきた自分。
その高邁な精神の証。“あの方”に対する己の愛の結晶。

毎日がずっと退屈だった。
望めば必要なものはすぐ手に入り、「欲しい」という言葉すら忘れていた。
裕福な家柄は自分に何不自由ない生活を与えた。
誰よりも愛らしく生まれ、誰よりも愛されて育ち、この美貌に誰もが羨んだ。
ときには“人”すらも自分の好きにすることだって容易いこと。
最初から全てを手にしていた自分に、もはや飽きていた。

けれども……この世にはまだ、自分の思い通りにできないものがあったのだ。
腐りかけていた自分の心にも、生きる希望があったのだ。
それを教えてくれたのはまさしく“あの方”だ。

この“誓い”さえあれば、わたくしは何者にだって勝利してみせる――!


そのはずだった。


【南雲】『髪を使った攻防自在の格闘魔法とか、鏡に反射してどこから襲ってくるかわからない狙撃とか。
     そいつらってさぁ――ミサイルより強いの?』

【門前】(坂上――南雲っ!!?)

ローターの巻き起こす突風がまとわり突いていた炎を吹き散らす。
南雲が祈った戦闘ヘリによって撃ち出された地獄の焔が、梔子を包み込んだ。
またか。またしても自分の邪魔をしてくれるのか……!

【門前】(わたくしの“誓い”を汚すだけでなく、今度はわたくしの幸せすら――)

後半は最早言語にならなかった。もとより今の門前は先に仕掛けたのが自分だったという矛盾すら忘却している。
そして、全てがもう手遅れであることも。


【つづく】

430 :Interval ◆O9eTRO0ZSM :12/01/28 21:49:38 ID:???

【萌】「朽ちなくていいからちょっと離れとけ」

蹴撃。回復中の肉体が対応に間に合わず、後退する。

【萌】「祝い事には!」

拳撃。突き上げるアッパーカット。しかし、今の自分ならこの程度の攻撃は十分に防げる――かに思えた。

【門前】(この威力――!?)

予想以上の衝撃。
萌の拳に握りこまれた魔法核の輝きに気付くこともなく、門前百合子は天高く打ち上げられる。
しかし、この程度では自分を倒すには至らない。
空中で姿勢を制御。門前百合子は残された力の全てを以て、眼下の敵全てを串刺しにすべく思考を切り替えた。

【門前】『恐れ入りましたわ!!まさかここまでわたくしを愚弄してくださるんですもの……でも、もうお終い!
     わたくしの髪で貫いて、みんなみんなみーんなまとめて、糸のついたお人形みたいにしてさしあげますわ!!!!』

門前の金髪が縦横に広がり、放射状の格子を描いた。
炎に染まった夜空の中で、それはまるで地獄に仏が遣わせた蜘蛛の糸にすら見える。
しかし――それが“魔法少女”たちに垂らされることは、決してなかった。

鉄の"目"をつけたミサイルが門前の"瞳"と交差する。
理不尽な愛の権化となった彼女に向けて放たれた逆襲の砲火に、 奈津久 萌が端的な名をつけた。

【萌】「花火がつきものよね」

次の瞬間、七色の光が夜空に爆ぜた。燃え尽き崩れゆく髪が鮮やかな彼岸花となって紅く咲き乱れる。
季節はずれの冬の花火が、祝いという名の魔法を彩った。

いくつもの願いを糧に、呪われた幸せに溺れた魔法少女。


門前百合子は今――こうして敗北した。


【門前さん、撃破】

431 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/29 21:26:33 ID:???

――――繋いでいたお互いの手をゆっくりと解いていく。
ひやりとした冷たくて小さな感触が、溶けるように消えていった。
それを合図にした桃ちゃんが私の顔を覗き込む。

【桃】「もういいの?」

「……うん」

冷え切ったその手とは裏腹に、温かくて穏かな表情の桃ちゃんに対して、私は曖昧な笑みを返した。
周囲には私たちの他にも複数の気配が漂っている。
どの人にも形がなく、声も、感触も伝わってこない。
少なくともこの人たちがかつて何かを願い……その結果としてここにいるのは、残酷なまでに確かだった。

「ありがとう」

返事はなかった。代わりに桃ちゃんが私に問いかける。

【桃】「ねえ、りなさん。わたしいつおうちに帰れるかなー?」

答えれなかった。何も言わない私に桃ちゃんは続ける。

【桃】「早くお父さんとお母さんに、会いたいな」

「! ……ごめんね」

弾かれるように飛び出した謝罪の言葉。呟くように、小さく。私には、どうすることもできなかったことだけど。
違う。こんなの偽善だよ。
もう助けられないなんて思ってる私が、この子を可哀相だなんて思うのは、やっぱり、おかしい。

【桃】「ううん、いいよ。わたしのほうが――――――ごめんね」

震えが走った。散々痛めつけられて脆くなった私の何かが、音をたてて砕けていく。
見抜かれていたんだ。全部。
私がどう思っているかも、自分がどうなってしまったのかも……何もかも。

「あの、桃ちゃん。私……」

言葉が出てこない。苗時さんのときと同じだ。“正しい”と思っていたことを受け入れるのが、今は――恐い。

【桃】「ここまでだね……」

闇が薄れ、再び白の虚空が訪れる。遠ざかる桃ちゃんの笑顔とその姿が、儚い思いを私に届けた。

【桃】「ただもう一度だけ“会いたい”って思ったの!さよならって、言いたかったから!!」


  ◇  ◇  ◇

熱い鼓動。重なる力。瞬く間の一撃が勝利を掴んだ。

【つづく】

432 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/01/29 21:27:09 ID:???

  ◇  ◇  ◇

「――――うぅ!」

お腹を裂いたような鋭い痛み。……実際さっきまで裂けていたんだから、当然です。
左手に握りこんだ核の魔力が体内に流れ込み、身体を治してくいくのがわかる。
最初は借り物のように動かなかった下半身が指先から順番に感覚を取り戻していく。

助かったの……私?
被さっていた布のようなものをどけながら、瞼を少しずつ開く。

 ご つ い お じ さ ん が私を見ていた。

いえ……違います。これは萌さんです。
あやうくまた気を失いそうになりつつも、半身を起こしながら状況をつかもうとあたりを見回す。
周囲は火の海。瓦礫の山。はい、わかりません。

私は早々に諦めて萌さんに向き直る。
萌さんはもう私を見ていなかった。変わりに背を向けてどこかの様子を覗っている。
そうだ。南雲さんと門前さんは――

ド シ ャ !

そのとき、上空から焦げ目のついた白い影が落ちてきた。
形や大きさ的に明らかに人の身体。けれど、あれだけの高さから落ちてきたにもかかわらずその身体は綺麗なままだった。
それはそうだろう、だってその人は魔法少女なのだから。

「門前……さん…………」

擦り切れたドレス。焦げた髪。煤だらけの顔。修復は続けられているが、あちこち怪我をして血を流している。
閉じられた瞳。長い睫毛。そして、わずかに上下する胸。息をしている。
その姿には戦う力なんてどこにもなくて、ほとんど瀕死の状態だけれど、確かに――まだ、生きていた。

【ターンは以上です】
【何とか復活できました。助けていただいて、ありがとうございます】
【門前さんが上空から落下。……とても無防備な状態です】

433 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/03 00:31:21 ID:???
商店街に軒を連ねるビル群が形成する、コンクリートの谷。
その狭間にビル風ならぬヘリ風を吹かせ続けていたアパッチは、やがてゆっくりと高度を下げアスファルトの上へと着陸した。
地面に触れた途端、ヘリの輪郭は再び空色の燐光に包まれて形を無くし、花火を逆再生で見るように萎んでいった。
あとに残ったのは、地面に舞い降りた坂上南雲と、収束した燐光の塊――魔法核。
空色の輝きを手のひらに落とすと、南雲は魔装のまま焼け焦げた商店街の道を駆けた。

「理奈ちゃん!」

先んじて萌がしゃがみ込む場所へ。
被せてあった布はとっくに吹き飛ばされていて、萌の巨躯の向こうに少女の手と足が見えた。
途中、南雲の走る直ぐ側へ、空から何かが落ちてきた。水の詰まった袋を叩きつけたみたいな音を立ててバウンドする。

門前百合子だ。
萌にプロデュースされたヘルファイアとの空中デートの帰りらしく、なるほど一戦交えた女の顔をしていた。
ドレスは萌え散り髪は焦げ、白魚のようだった肌には火傷と裂傷が見本市を開いている。
しかし南雲は門前に一瞥もくれず、まったく歩調を乱さずに理奈の元へと駆け寄った。

「――――」

そして息を飲んだ。分かたれていた上半身と下半身が繋がっている。
血の気が失せて、静脈の青い色が浮き出ていた肌も、赤みが戻ってきている。
そして、まだ青みがかった唇が小さく震えて、言葉をつくる。

>「門前……さん…………」

生きてる。理奈ちゃんは、死ななかった。
その事実が目から入って脳内をしっちゃかめっちゃかにバウンドしたあげく、魂が抜けるように口から零れた。

「よかった」

膝に力が入らなくなって、盛大にずっこけた。アスファルトで鼻の頭を擦りむいたけど、すぐにそれも治ってしまう。
麻子から貸し出された魔法核は、現在南雲をこの場で最強の魔法少女にしていた。
しかし、戦闘能力が高いからといって、涙が出ないわけじゃない。起き上がった南雲の双眸は、既に冠水していた。

「よかったよぉ……!」

強力な戦友であったし、守りたい少女でもあった。
だがそれ以上に――歳の離れた友達として、南雲は理奈を好きだった。
心の中身が『死なないでほしい』から『死なせたくない』へと推移する中で、焦燥と絶望は常に隣り合わせだ。
そして激情と希望もまた、常に共にあった。堰を切った涙と鼻水が雪解け水のように顔面という山脈を大河に変える。
間に合った。助かった。助けられた。なんとかなった。張り詰めきった胸へ波濤のように押し寄せる安堵が染みる。
萌のとなりで、理奈の手を温めるように握りながらわんわん泣いた。

ひとしきりそうやって泣いたあと、南雲はおもむろに立ち上がった。
毒の出尽くしたような顔で、まだ腫れている目を擦りながら、後ろを振り向く。アスファルトに横たわる門前の姿を見る。

「お前よくも理奈ちゃんを殺したな」

ホルスターから拳銃を抜いた。

「あと少しで、本当に死んじゃうところだったんだぞ……!」

門前に向かって一歩一歩を刻みつけるように踏みしめながら、考える。
門前に勝った。狙撃手も無力化した。じゃあ次考えるべきは――『殺すか否か』だ。

434 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/03 00:31:47 ID:???
殺す理由はいっぱいある。

魔法核を奪えば、その魔法少女は『亡者』になる。叶えられもしない願いを、ただ食い散らかすだけの存在になる。
仮に亡者になる前に魔法核を得て魔法少女に復帰したとすれば、今度はこちらの生存が危うくなる。
なにせ理奈も萌も南雲も、手の内を出し尽くした。見せ過ぎた。門前が流布すれば、あっと言う間に南雲たちの情報は出まわるだろう。
相手の能力もわからないのに、相手はこちらの能力を知っている、そんなハンデ戦をこれからずっと強いられることになる。
この先も魔法少女として捗りたいなら、門前はここで殺しておくべきなのだ。

殺さない理由は2つだけある。

一つ、いくら魔法少女といっても、命をやり取りして願いを叶える業の深い商売だとしても、彼女たちは自分を人間だと思っている。
一人の人間の個人的な感情として、人殺しというタブーは侵したくない。人殺しという咎を背負いたくない。

だが、それは南雲には当てはまらない。彼女は殺す気で戦うし、実際敵の魔法少女を殺した経験があるからだ。
『楽園』の侵犯者、馳走知史。彼女の眉間を撃ちぬいて、死に至らしめたのは他でもない南雲だ。
既に人殺し、殺人者――今さら殺した人間が一人増えようと、南雲は構わない。

拳銃のスライドを引く。あとは引き金を引けば、簡単に人を殺せる。
いくら門前が生存力に優れた魔法少女であったとしても、魔法を使うにはイメージを固める必要がある。
ものを考える頭脳を破壊してしまえば、もうこれ以上の再生は起きないだろう。
照準と照星の向こうで、門前の瞳がこちらを見ていた。もはや眼球を動かすだけが精一杯なのだ。

――殺さない理由、2つめ。
この戦いは理奈に始まり理奈に終わった。
南雲は理奈を巻き込みたくない一心で、狙撃というポジションを振った。しかしどうだろう、この結果は。
理奈を救いたいが為に南雲と萌は奮戦し、麻子が参戦した。裏腹に門前たちは理奈を巻き込んだが故に敗北したようなものだ。
巻き込むまいと思っていた。だが、結局のところ戦いは常に理奈を中心に回っていた。

――>『君達は『主人公』だ』
――>『死んじゃう主人公だっているよね』

苗時の述懐や、萌の言葉。その意味が、ようやく頭の中で繋がった。
ああ、なるほど、常に戦いの中心にいて、周りの人間が彼女を巻き込まずにはいられない――それもまた、『主人公』だ。
この戦いの末路については、理奈を尊重しようと思った。そして理奈が敗者をどう処遇するかなど、聞くまでもない。

「わたしさ、いつか言ってみたいとかねがねから思ってたセリフがあるんだよね」

南雲は苦笑して、銃をホルスターに収めた。

「――『良い眼をしている。ここで殺すには惜しいな』。……まあわたしは殺さないってだけで、萌ちゃんの判断はまた別だけど。
 ミサワさぁん、敗者の魔法核勝手に取っちゃうけどいいよねー?」

膝をついて、門前の胸元へと手を入れる。胸に触れた瞬間燐光が舞い、手応えなく手首までが胸の中に沈んだ。
そして、その中にある熱源を掴む。引き上げた手には、いくつもの色を内包した輝きの根源が握られていた。
そのへんに転がっている狙撃手からも同じように魔法核を取り出す。戦利品は、爆発しそうな光を讃えて手の上を転がった。

「麻子っちゃん、ありがとね。きみが来てくれなきゃ、きっと理奈ちゃんを救えなかった」

もう片方の手に麻子から預かった魔法核を出現させると、彼女の方へ向けて放る。
返すときに少しだけ勿体無いなあと思ったが――麻子は職場の同僚だ。彼女が欠けたら、仕事が増えてしまうじゃないか。

「……ん?ちょっと待って、麻子っちゃんって『夜宴』に参加してたの?」

ここで死闘を演じた本来の理由を思い出す。
確か、夜宴派魔法少女を引っ掛けて、夜宴との渡りをつける為にコールをして――

「近くにいたんじゃん、夜宴派……」

何のためにこんな、手足焼け焦げ内臓乱れ飛ぶ戦いに身を投じたのか……
今度こそ、南雲はへなへなと脱力してその場にへたり込んだ。

435 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/03 00:32:36 ID:???
【理奈の意志を勝手に忖度して尊重。門前と梔子にトドメを刺さず魔法核のみ徴収】

【このターンでこのバトルは完全終了になるかな?】

436 :名無しさん :12/02/04 10:37:00 ID:???
>>428
ブログあるんだから直接言ったりゃええがなw

437 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/05 19:05:24 ID:???
【連絡のみ】
>>435 南雲さん
そうみたいですね。後は萌さんのレスで今章は〆に入るみたいですよ?

>>436 名無しさん
あ、もしかして伝言してくれた人ですか?
その節はありがとうございました。
>直接
い、一応それも考えたんですけどっ……!
流石に外部スレの方なのでイキナリそれはちょっとハードルが高すぎるといいますか
かと言って、あからさまに「ブログ読んでますよ!」ってアピールしに行くのもあの人的にどうなのかな、って……
今更って感じもしますけどね――ぶっちゃけ恥ずかしかっただけです(きっぱり)////

あそこの管理人さん、絵上手ですよね……(*´∀`*)モエサンマジイケメンウフフフ

438 : ◆Gw1TY5I6ic :12/02/06 04:10:08 ID:???
元はアーケードの屋根だったひしゃげた鉄骨と、その向こうの夜空。
まず萌の目に入ったものはそれだった。
それから、視界の外で何かが落下したような音がした。

門前が路上でひしゃげていた。
見えるだけでも火傷、創傷、擦過傷と、外傷処置の良い教材になりそうな塩梅である。
仰向けに落ちてきたので明日は晴れだろうかと萌は思った。

その門前から視線を水平に巡らせれば路上、壁面の穴、穴、穴。
背後で起きていた事態を耳でしか捉えていなかった萌にしてみればドン引きもいいところの光景である。
"坂上南雲怒りのアフガン"、そんなフレーズが脳裏をよぎる。

梔子の姿が見えないのは恐らく瓦礫の影になっているからだと思われる。
以前、バルカンで撃たれると人間は"蒸発"するというような話をどこかで目にしたような記憶があるが、
きっと関係はないはずだ。
(……ないといいなあ)

もう一度、視界の外で落下音がした。萌のすぐ脇だ。
そちらへ目を向けると南雲が突っ伏している。
まさか真っ白に燃え尽きでもしたのかと思ったが、綺麗にすっ転んだだけらしい。
起き上がって理奈の手を握る。重なった手の上に、水滴が一つ落ちた。
>「よかったよぉ……!」
水滴の数が瞬く間に増えて、小さな流れを作った。

(……かっ、帰りてー)
別に"こういうの"を馬鹿馬鹿しいと思っているわけではない。なんかこう、いたたまれなくてすごく苦手なだけだ。
自分自身ウェットなところは大いにあると自覚はしているが、それはそれ、これはこれである。

ひとしきり泣き終えた南雲はゆらり立ち上がって、門前へ目を向けた。
抜かれた銃が反射した街明かりが萌の目を射る。
>「お前よくも理奈ちゃんを殺したな」
一歩ごとに銃口が持ち上がって、それはすぐに門前を捉えた。

比喩でも何でもなく目をつぶっていても当たるところまで間合いを詰め切った南雲は、しかし銃を収める。
>「わたしさ、いつか言ってみたいとかねがねから思ってたセリフがあるんだよね。
> ――『良い眼をしている。ここで殺すには惜しいな』。……まあわたしは殺さないってだけで、萌ちゃんの判断はまた別だけど」
それはちょっと言ってみたいなぁと萌も思ったがそれはともかくとして。

439 : ◆Gw1TY5I6ic :12/02/06 04:14:28 ID:???
止めを刺しておいたほうがいい理由はいくつも思いつく。
南雲ならさらに多くの理由を見つけるかもしれない。
が、詰まるところ後腐れがあるかどうかという一点に集約されるだろう。
一方で、そうしない理由も一つで十分。すなわち――「あたしもパース。んーな真似したらこっちがタイショーに殺されかねねーもん」

変身を解いた萌は、理奈を(仮にも大将と呼んでいるのに)顎で指しながらそう言った。
――そう、彼女がそれを望まない。その一点で、どんなリスクとも釣り合うのだ。
ここで非常に徹して平気で止めをさせるのならそれはそれで貴重な資質だが、
それが出来る人間だったら萌や南雲はこうまで必死になっていなかったのではないか。
何より、麻子がこの場に居ただろうか。

>「ミサワさぁん、敗者の魔法核勝手に取っちゃうけどいいよねー?」
(ま、そこまでは譲ってやれないよね)
「……つーかちゃんと"残って"んのね」
やはり瓦礫の影にいた梔子から核を引っこ抜く南雲を横目に一人ごちる。
一つずつ核を返して、南雲に倣って「もう一度這い上がって来い」くらい言ってみようかとも思ったが、
それはさすがに格好のつけすぎというものだろう。

南雲は回収した核と入れ替わりに麻子へ核を返した。
>「……ん?ちょっと待って、麻子っちゃんって『夜宴』に参加してたの?
> 近くにいたんじゃん、夜宴派……」
「いいじゃんよ、回り道したけど代わりにオマケつき。何より生きてる。飯も食えりゃ風呂にも浸かれんのよー」
へたり込む南雲に声をかける。出っ歯のコメディアンだって歌っているではないか。生きてるだけで丸儲けだ。

「それよりとっととフケんべよー。ついでだからさっきので送ってよ、病み上がりも居んだし」
さすがに逃げ散った野次馬たちも、自体の沈静化を悟ったのかぽつぽつと戻り始めている。
派手にやった割に被害はあまりなさそうだ。好奇心は猫を殺すというが意外と人は殺せないものなのだろうか。

"さっきの"とはもちろんアパッチのことだが、本当にまるきり同じものを出された場合、
機体にぶら下がって飛んでいくことになると萌は気づいていない。
その程度のことが出来るだけのスピリッツは持っているが、実際やりたいかどうかとは別の話だ。

そういえば先ほどのヘリは一般市民には見えたのだろうか、と萌はふと考えた。
見えても見えなくてもテロか何かで片付けられるのだろう。
これから先、そんな"テロ"が頻発することになるかもしれない。
全く災難だと、萌は一人笑う。

一方で人死にを厭い、一方で破壊行為に思いを馳せて笑顔を見せる。
こうした矛盾を抱えるのが人であるということなのか、あるいは――力を得たゆえに何かを無くした証か。
萌は"あ、ダメだこういうのあたしのキャラじゃねーや"などと考えながら夜空を振り仰いだ。
いつか聞いたようなサイレンが、夜気を渡って鼓膜を震わせた。

【とりあえずキメてみよう】

440 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/08 21:45:35 ID:???
【連絡】
すいません。リアル事情によりもう一日かかってしまいそうです……

441 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/11 21:18:46 ID:???

血だらけの門前さんを目にして言葉を失っていた私の意識を、南雲さんの声が引き寄せる。

【南雲】「理奈ちゃん!」

――そっか、南雲さんたちが勝ったんだ。

身体を失っていた時のふわふわした記憶と今の状況を私の中の冷静な部分がそうまとめる。
落ち着いて考えてしまえる自分にちょっとだけ嫌なものを感じたけれど、次の瞬間にはそれも全て吹き飛んでしまった。

【南雲】「よかった」

嬉しさと安堵にほっとする。助けてもらったのは私。でも、心配したのはきっとお互い様だから。
私の姿を確認した南雲さんはこちらに駆け寄り――あ、(やっぱり)転んだっ!?
い、痛そう……。駆け寄りたいけど足の感覚がまだ不確かで起き上がれない私。仕方ないのでじっと待つ。

【南雲】「よかったよぉ……!」

血の気が引いて白くなっていた私の手を、南雲さんの手が包み込む。
泣いていた。
その温もりも涙も、弱さも、喜びも、全部私たちがここに生きていることの証だった。
気が付けば私も泣いている。どうしよう。今の私、きっと何を言っても超クサくなりそうです!
だけど、嬉しいものは仕方ありません。だって……

<ただもう一度だけ“会いたい”って思ったの!さよならって、言いたかったから!!>

大好きな人に会いたくても会えない子だって、いるんだから――。

思えば南雲さんは、初めて会ったときから自分の気持ちにずっと正直な人だった。
素直に笑い、素直に怒り、こうしてストレートに喜んでくれる。私と違って自分に嘘をついたりしない。
だから私はこの人の願いを守りたいって、そう思ったの。
でも……私は南雲さんみたいな人になりたいのかな?

傍で立っている萌さんが複雑な表情で私たちを見ている。えーと、なんか、ごめんなさい。
ひとしきりそうやって泣いたあと、南雲さんはおもむろに立ち上がった。
一人になった私のところへ麻子さんがやってくる。

【麻子】「……大丈夫そうだな」

「麻子さん?どうして、ここに……」

麻子さんは何も言わなかった。代わりにバツの悪そうな表情だけを浮かべ、視線を横に流す。
目が追いかけたその先は倒れた門前さんと、拳銃を抜いた南雲さん。


【つづきます】
【すいません。予定も整ってさあやるぞってときに体調不良で……】
【今はもうだいぶよくなったので出来た分だけ少しずつ上げていきます。連絡が遅くなってすいませんでした】

442 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/11 22:05:46 ID:???
【了解です!からだだいじに捗ってね!】

443 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/12 20:38:14 ID:???

【南雲】「お前よくも理奈ちゃんを殺したな」

……息を飲んだ。
ついさっきという言葉があてはまる最短の過去、門前さんに何をされたのかを思い出した私の身体に否応も無い恐怖が甦る。

【南雲】「あと少しで、本当に死んじゃうところだったんだぞ……!」

南雲さんは拳銃のスライドを引き、弾をこめて銃口の先を門前さんに突きつける。
何をしようとしてるかなんて……考えるまでも、無い。

「南雲さん――」

その後姿に不安を覚えて。覚えて――――……どうしよう?
私、何て言えばいいんだろう。
駄目。駄目!違う!!そんなこと考えちゃいけない!
ねえ……神田理奈?だけど、もしあなたが逆に南雲さんの立場だったら…………どうしてると思う?
南雲さんや萌さんを殺そうとした相手を――許せるかな。

許せるわけ、ないよね。

自分の中の情動と思考がぐっちゃぐちゃに入り乱れ、雁字搦めになる。
見たくない。なのに止められない。私……わたし…………!

【南雲】「わたしさ、いつか言ってみたいとかねがねから思ってたセリフがあるんだよね」

けれど、怖れていた瞬間はやってこなかった。南雲さんが銃を収める。

【南雲】「――『良い眼をしている。ここで殺すには惜しいな』」

ほっとした。……心底、ほっとした。自分の中の大事な何かを失わずに済んだような、そんな気がして。

【南雲】「……まあわたしは殺さないってだけで、萌ちゃんの判断はまた別だけど」
【萌】 「あたしもパース。んーな真似したらこっちがタイショーに殺されかねねーもん」

変身を解いた萌さんが顎先をこちらに向けて振り返る。私は苦笑い。むしろ、ちょっとだけ死にたい気分。
傍らにいる麻子さんの顔が心なしか安堵しているように見えた。

【南雲】「ミサワさぁん、敗者の魔法核勝手に取っちゃうけどいいよねー?」

ミサワさんって……誰?疑問符を浮かべる私に麻子さんが『夜宴の使いっぱしりさ』と短く解説。
建物の屋上にいる誰かを睨んでるので、多分その人のことみたい。

「あ……」

南雲さんが発言のとおり門前さんと、近くに埋もれていた別の魔法少女から魔法核を抜き取っていく。

【麻子】「南雲を止める権利はお前にないぞ、理奈。……ここはそういう場所で、あいつはそういう奴だ」

<奇遇ですわね、わたくしもですのよ>
<…………身の程を知りなさいな、おチビさん>
<“あなたの命”と、取り替えて差し上げますわ♪>

「……うん」


【つづく】

444 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/14 18:48:18 ID:???

ヒトは、この世界の魔法少女は自分の願いを叶える為に、願いを奪い合う為に、戦う。
私はそれが嫌で、誰かの願いを守る為に、“魔法少女”としてこの力を使おうって――そう決めたんだ。

うん、わかってる。

たとえ私がこの先どんなに頑張ったとしても、
この先ずっと萌さんや麻子さんに助けてもらったとしても、この『仕組み』は――きっと変わらない。
それに、南雲さんは私の命の恩人だもん。止められるわけありません。

【南雲】「麻子っちゃん、ありがとね。きみが来てくれなきゃ、きっと理奈ちゃんを救えなかった」
【麻子】「……気にすんな。あたしは自分のしたいことをやっただけだよ」

南雲さんが手に魔法核を出して麻子さんに投げ渡す。
なんでだろう?と疑問符を浮かべる私にすかさず『あたしが貸したやつだ』と、麻子さんの念話。
解説乙です。度々すいません。

【南雲】「……ん?ちょっと待って、麻子っちゃんって『夜宴』に参加してたの?」

突然南雲さんから投げられたこの疑問には流石の麻子さんも表情を曇らせた。あ、そうだったんだ……。
私は麻子さんがどういう事情でいつここへやってきたかを知らない。けれど、私たちの目的が『夜宴』との接触だったのは間違いない。
手がかりとなる人がこんなすぐ近くにいたなんて何という灯台下暗し。……暮らしに潜む魔法少女。

【南雲】「近くにいたんじゃん、夜宴派……」
【萌】 「いいじゃんよ、回り道したけど代わりにオマケつき。何より生きてる。飯も食えりゃ風呂にも浸かれんのよー」
【麻子】「悪い。こんなことならあらかじめあたしから声かけときゃよかったな……」

できれば『夜宴』には巻き込みたくなかったんだ、と。聞こえにくい声で付け足す麻子さん。


【つづく】

445 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/14 18:49:51 ID:???

【萌】「それよりとっととフケんべよー。ついでだからさっきので送ってよ、病み上がりも居んだし」

「そうですね」

萌さんが全員に帰宅および撤収を促す。
病み上がりって多分私のことですね。
はーぁ……何だか私、今日はずっと足手まといだったな。
折角二人に付いて行く、力になるって決めたのに、全然役に立ってなかった。
そのくせ考えることばかりは表向きだけ綺麗で。
小さな女の子をお家に帰してあげることも、自分を助けることすらもできなかった。

<我々はもちろん、君達だって得をする、悪くない提案だと思わないかな?>

私の願いは……この世界の前じゃ…………無力なのかな。
あのとき苗時さんの提案を受け入れて『楽園』に入ってしまえば、こんな気持ちにはならなかった?
あなたの言うとおり『主人公』として魔法少女を続けていれば、綺麗で無敵な自分でいられた?

<君達は無意識の内に自覚していた筈だよ。自分は決して負けないし死なないって。
 だから約束された勝利を幾らでも綺麗に飾る事が出来る。幾らでも横着が出来る。
 そんな残酷で、自分勝手で、綺麗で、故に少女的な君達は……間違いなく、『主人公』だ>

ううん、違う。そうじゃないよ、苗時さん。あなたの言っていた約束された勝利なんて、ここには一つも無かった。
一つ間違えれば私は本当に死んでいただろうし、助けられなかった命にも出会った。
だけど、それでも必死で運命を切り開いてくれたのは他でもない南雲さんと萌さんと麻子さんだよ――誰も横着なんかしてない!
私は“倒された”魔法少女たちに視線を移した。そこにいる二人もそうだ。けれど、その願いはきっともう叶わない。
これまで彼女達が他の人にそうしてきたように。

「あ、あのっ――!」

確かに私たちは残酷で自分勝手だと思う。
そしてこの世界はそれ以上に恐くて、厳しくて汚くて血まみれで……苦しくて、辛いもので溢れてる。
私たちがいるのは、そんな場所なのかもしれない。

けれど、この世には汚いものだけじゃなくて綺麗なものだって沢山あるから――人は生きていけるんだよ。
私たちは一人じゃないって、叫び続けられるように。
だから。だから、

「南雲さん……萌さん……」

私は立ち上がるときに借りていた麻子さんの肩から、そっと指を離す。

「お願いします。私に、戦い方を教えてください――――!!」

だから、私は…………強くなることを望みました。


【萌さんの号令により撤収(行き先不明)】【理奈、南雲さんと萌さんに修行志願】
【今回のレスは以上です】

446 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/14 19:14:37 ID:???
【連絡事項】
>南雲さん 萌さん
大っ変……お待たせいたしました!
ブラック魔法少女 夜宴 篇 ようやく完結ですっ!!
ちょっと早いですけど、お疲れさまでした!!!!
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます(TT)
――っというか、ごめんなさい。凄くごめんなさい。
こんなに長引かせてしまって、すいませんでした……。

気がつけばこのスレッドも来週で一周年になります
色んなこと(主に私の迷惑)がありましたけど、ここまでやってこれたのは間違いなく南雲さんと萌さんのおかげです
お二人が背中を押してくれたから、お二人のレスがいつも楽しみだったから、続けることができました
本当にありがとうございます!

何だか……一方的にまくしたててすいません

本編は次のターンで一旦締めようかと考えているんですけど
……先に進む前に、やっぱりお互いいろいろと言っておいたほうが、いいですよね?

【ちなみに門前さんたちについては『夜宴』側でどうにかしてくれるそうです……】
【私の修行志願は最終章に向けての伏線ですが……お返事はまだ保留でいいと思います】

447 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/14 19:26:58 ID:???
【夜宴 篇:エンドロール用イメージ曲】
【ちょっとしたお遊びですが……すごく世界観に合っていたので紹介します】

ELISA / 聖櫃のプロフェシア
http://www.youtube.com/watch?v=2QtUFdhUsUc

歌詞
http://www.kasi-time.com/item-46147.html

448 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/19 04:13:38 ID:???
【本日中に投下します】

449 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/19 18:46:25 ID:???
この国では、『人を殺しちゃいけません』なんてことは学校じゃ習わない。
それは人として生きるにあたって当然に守られるべき常識であると同時に、それが絶対的な『悪』とも言えないからだ。

例えば軍人や、兵士や、戦争関係者は、自己の意志を持って人を殺す。自分の給与のために、国家の勝利のために、人を殺す。
暴力に追い詰められた者や、誇りを貶められた者が、自己の命や財産や尊厳を守るために人を殺す。

『それ以外に方法がない』というわけでもなく、目的実現の一手段として人殺しを選択しているに過ぎなくても。
かの殺人者たちを、全て悪辣非道の者と断ずるわけにはいかないから、道徳という問題は難しい。
人を殺すことは確かに社会の秩序を乱す。しかし、その限りではない社会も存在する。

――道徳と社会構造の隙間に生まれた僅かな"歪み"。
その極狭領域を縮図として展開される、法律や通念とは切り離された独自の秩序。
それが、魔法少女という戦いなのだ。


>「悪い。こんなことならあらかじめあたしから声かけときゃよかったな……」

南雲の恨み節に、麻子は決まりが悪そうに顔を背けて釈明した。
まあ、そこについて彼女を責めるのはお門違いだと南雲も思う。予め声かけときゃ良かったのはこっちにも言えることだ。
なんだろう、南雲にも意地があったのかもしれない。苗時に啖呵を切っった手前、自助努力で夜宴に至りたかった。
結果的に誰も失わず、強力な助っ人を得て、しかも多数の魔法核を持つ古強者二人を倒したハクがついたのだから、

(オーライ……ってことでいいのかな……?)

その一言で片付けるにはいささか釈然としないものもあるが、とりあえずそれで溜飲は下る。
なにしろ魔法核が両指オーバーで手に入ったわけで、彼女たちも今や新米どころか一気に中堅クラスの実力者だ。
経験に見合わぬ力は死亡フラグだなーと思いながらも、ひのきのぼうから一気にはがねの剣を得た気分で、調子にも乗りたくなる。

>「それよりとっととフケんべよー。ついでだからさっきので送ってよ、病み上がりも居んだし」

「あのね……アレはここぞって時に使うからいいの。普段から乱用してたらなんか価値下がりそうじゃん」

供給過多は値崩れのみなもと、出し惜しみするからこそ輝くものもある。
特に『必殺技』なんてものは――都合よく使われ始めたら世代交代の前兆だ。
週刊少年ジャンプを愛読する南雲にとって、そういうお約束は心得たものだった。

「それにさ、怪我人連れて帰るならこうするのが王道ってもんでしょ」

南雲は麻子の肩を借りる理奈に背を向けて跪き、有無を言わせず彼女を背に担った。
これで夕日が燃えていればロケーション的には最高なのだが、あいにくと日はとうに落ちて星が輝いている。
遠くの空でサイレンが鳴り響いていた。この商店街の惨状が、誰かに通報されててもおかしくない。とっととフケるが吉だろう。

>「南雲さん……萌さん……」

背中で理奈が言った。

>「お願いします。私に、戦い方を教えてください――――!!」

ピク、と南雲は肩を震わせる。
その一言は、言わせてはならない言葉だった。南雲が守りたい理奈に、戦うことを肯定させる言葉だった。
しかし――それなのに。南雲は、心の底から理奈と肩を並べて戦えることに期待していた自分に気付く。
理奈ちゃんが、一緒に戦ってくれる。わたしの後ろを守ってくれる。そんなことに無上の喜びを感じる自分が居る。
それは果たして悪徳か。はたまた純真なる想いか――。答えを出せぬまま、南雲は静かに頷いた。

「……うん。わたしに教えられること、そんなに多くはないけれど。がんばるから」

450 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/19 18:47:01 ID:???
それに。
戦い方を知るべきなのは、なにも理奈に限ったことじゃない。

「わたしも強くなりたいから――萌ちゃんに教えてもらいたいこと、たくさんあるよ」

1対15の力量差で互角以上に渡り合った魔法少女。奈津久萌の戦闘力は、魔法核の多寡を抜きに考えるなら髄一だろう。
格闘センスもさながら、魔力の使い方、効果的な攻撃の選び方、退かぬ不屈の闘志――全てがハイレベルに纏まっている。
一体如何なる願いをかければ『アレ』になるのかは甚だ不明だが、彼女に戦い方を習うことは確実にためになるだろう。

ヘリが消え、戻ってきた野次馬たちとすれ違いながら、四人の魔法少女達は帰路に着く。
帰るのは簡単だ。歩けばいつかは帰り着く。――日常と非日常は、地続きなのだから。
たとえ血で血を洗う死闘を繰り広げていても、家に帰ってさえしまえば彼女たちは魔法じゃないただの少女。
帰る場所がある。それだけで、自分を見失わないでいられる。

「……『幸せ』って、何だと思う?」

道中、南雲は誰ともなしに呟きで問うた。
それは門前が戦いの中で自答した自問。彼女は独自の哲学を持って、魔法少女の戦いに相対していた。
この戦いは、幸せを奪い合う戦いだ。誰かの幸せを殺してでも奪いとり、自分の幸せに変える仁義なき争いだ。
弱肉強力が野生の掟ならば、魔法少女は幸せを喰らう忌むべき生き物なのかもしれない。
幸せはゼロサムゲームじゃないはずなのに。

「えげつないないよね、魔法少女って。自分で言うのもなんだけど、情弱しかやらないよこんな稼業。
 残業どころか給料も出ないし、福利厚生は最悪だし、離職率バリ高だし、職場いじめどころか殺し合いなんてやってるし。
 ブラック企業も助走つけて逃げ出すレベルで、魔法少女なんて名ばかりの、超絶ブラック――『ブラック魔法少女』」

労基局だって介入できない、人非人の裏稼業だ。
日曜八時の魔法少女に憧れてこの世界に入って、騙されたまま死んでいった者はきっと両手じゃ数え切れないだろう。
まるでタコ部屋だな、と南雲は思った。あるいは蟹工船か……プロレタリアの悲哀はいつの時代も共通である。

「わたしは、それでもやっぱり『魔法少女』でいたいよ。
 毎週わくわくしながら観てた、テレビの向こうの世界みたいに……笑って魔法を使いたい。なれるかな――」

高校生の南雲が、そんな歳じゃないからと諦めて、それでも割り切れなかった魔法少女としての一つの在り方。
神田理奈という小学生が体現し、眩しすぎて直視できなかった理想の姿。
坂上南雲はこの時になって初めて、自分の胸の中にある想いの正体を知った。

――『理奈の魔法少女の在り方を、心の底から格好良いと思ったのだ。』

無意識のうちにいつも眼で追っていた。
深く、強く、情熱的に焦がれ、憧れた。
夢を追うのに歳なんか関係ないってことに、16歳の南雲は今まで気付かなかったのだ。
ようやく出会えた己の哲学を、魂に刻み付けるように、強く静かに吐露した。

「職業としてじゃなく、生物としてでもなく――"信念"としての魔法少女に」


【ブラック魔法少女 坂上南雲編 第三話 『それはとっても怪しいなって』 了】

451 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/19 18:54:45 ID:???
【今回のレスは>>447を聞きながら書きました】

夜宴編でのわたしのレスはこれで終了になります。
毎度毎度すげーお待たせしてホント申し訳ないです!

当スレももうすぐ一周年ですか
まどか☆マギカのビッグウェーブに乗って始まったんでしたねそういえば
リアルでもこの一年で色々ありましたが、ブラック魔法少女、すげー楽しかったです
皆さんお疲れ様でした!……つっても、まだ続くんだよね?よね?

452 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/21 04:47:40 ID:???
【連絡】
☆祝★一周年!

o(≧∇≦o)(o≧∇≦)o イエーイ

>南雲さん 萌さん
大丈夫です、ちゃんと続きます^^;
続けますが……しばらくの間休ませていただいても、よろしいでしょうか?
レス頻度的に一番うすのろだった私がこんなことを言うのは凄く情けないんですけど――流石にちょっと疲れちゃいました(TT)
具体的には4月1日からの再開を考えています。そこで『最終章』です。日付はアレですけど、嘘じゃありません。
あるいはスレッド発足の大元になったまどかさんたちの劇場版が近々公開されるそうなので……それに合わせて、とか。

当然、私の独断でこんなことを決めてしまうのは無理です。
本当のところ「そんなに待てるかっ」って、お二人に愛想を付かされてしまうんじゃないかと思うと、恐くてたまりません。
かといって、無理矢理続ければ多分私の遅筆はもっと酷いことになってしまうと思います。
いつもいつも面白いレスポンスを安定した早さで読ませて頂いた身としては、本当に頭が上がらないです。
自分の中にもっと色々と蓄えておかないといけないな、とも感じました。

もうひとつの理由は手付かずで止まったままだった本スレの移植や、これまでのお話や登場人物のまとめ作業をする時間が欲しいです。
折角いただいた梔子さんのテンプレも反映されてませんし……。

よくよく考えてみれば、私がいなくてもスレッドの進行は可能なので聞くまでもないのかもしれませんね。
でも、私にしてみると逆はありえません(−−;)

言おうか言うまいかずっと迷ってたんですけど…………この度打ち明けることにした相談の内容です。

私の都合ばかりで申し訳ありませんが、どうかお二人の考えをお聞かせください。


【相談内容は以上でした】【とりあえず、今は萌さんのターンです】

453 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/02/22 00:40:40 ID:???
一周年おめでとう

>休み
わたし的には異存はありません。ただ、春からちょっと環境変わるので今まで以上におまたせすることになりそう
三人誰一人欠けても成立しないスレだと思うので、全員が万全にプレイできるならそれが一番です
避難所も使いきっちゃうだろうから新スレへの移行は必須だしね

454 : ◆Gw1TY5I6ic :12/02/22 13:28:50 ID:???
>「あのね……アレはここぞって時に使うからいいの。普段から乱用してたらなんか価値下がりそうじゃん」
萌の提案を南雲はすげなく却下した。
「けーちー。あたしだって超がんばったから足ガックガクなのにー」
萌は頬をふくらませつつ生まれたての子鹿の真似を繰り出す。それは意外に真に迫っていた。

>「それにさ、怪我人連れて帰るならこうするのが王道ってもんでしょ」
そんな萌をさらっと無視して南雲は理奈に背を貸す。そして、人の流れに逆らって歩き出した。
「ぉぅふ」
萌にもそこまで酷くはないにせよダメージがあるのは事実なのだが。

普通なら勝負どころの十数秒でしか仕掛けないラッシュを、
手を止めたら殺されるという緊張感の中でフルタイム続けたのだから当然の話だ。
打ち疲れ、気疲れその他諸々は若い肉体にとってもいささか重い。

「じゃあマコっちゃんおぶってー」
「かわりに首に鎖かけて引きずってくけど、それでいいか?」
「スンマセンっした」
矛先を変えて食い下がっては見たものの返ってきたのはより明確な拒絶。
なおもぶうぶう言いながら、萌も足を進めた。サイレンから、少し遠ざかるように。

歩くこと暫し。
(そういえば変身してる間、もと身につけてたものはどこ行ってるんだろう?)
などと考えながら尻のポケットから財布を出した。
三人からは少し遅れたが足を早めればすぐに追いつく程度だ。
>「南雲さん……萌さん……」
「ん?」
理奈の声に顔を振り向けながら自販機に硬貨を投入する。

>「お願いします。私に、戦い方を教えてください――――!!」
十円玉を挿し込みかけた手が止まった。そこから数歩。南雲が答える。
>「……うん。わたしに教えられること、そんなに多くはないけれど。がんばるから。
> わたしも強くなりたいから――萌ちゃんに教えてもらいたいこと、たくさんあるよ」

二人の間だけでコンセンサスが形成されているが、もちろん萌にも否はない。
ないのだが、実のところ萌は人に物を教えるのがひどく苦手である。
とにかく物事を感覚で捉える質で、それをロジックとしてアウトプットできないのだ。
教わることはそれなりにあるだろうが(例えば"真っ当"な魔法の使い方とか)
逆に萌の側から提供できるものが思い当たらない。

(んー、とりあえずヘド吐くまで走らすか。あとは宙吊り腹筋……何なら今からでもジムに……)
ならばすべての基礎となる体力の錬成を考えるべきかと、メニューを組み立てつつ水を買う。
>「……『幸せ』って、何だと思う?」
そんな萌のスパルタンな思考を南雲の声が断った。

>「えげつないないよね、魔法少女って。自分で言うのもなんだけど、情弱しかやらないよこんな稼業。
> 残業どころか給料も出ないし、福利厚生は最悪だし、離職率バリ高だし、職場いじめどころか殺し合いなんてやってるし。
> ブラック企業も助走つけて逃げ出すレベルで、魔法少女なんて名ばかりの、超絶ブラック――『ブラック魔法少女』」
好き好んで少ない見返りで顔面をしばき合うような世界に身を置いている萌としては耳の痛いところだ。
きょうび、日本で格闘技を取り巻く環境は厳しい。

455 : ◆Gw1TY5I6ic :12/02/22 13:31:47 ID:???
最大手といえるK-1の金銭的不祥事はいまさら説くまでもない。
その他のプロ団体でも、メインイベンターのギャラが三万程度に興行チケットということもままある。
金が欲しけりゃ自分でさばけ、ということだ。
前座なら全額チケット支給なことも多いし、もっと酷ければアゴアシ(移動費、宿泊費、食事代)だけ支給でノーギャラなどという
インディーズバンドのライブのような条件も普通に飛び出してくる世界だ。
以上は男子の話であって、ジョシカクとなるとこれに輪をかけた惨状なのだが、
萌はそんなリスクの高い世界に飛び込むのに魔法少女になるというさらにハイリスクな選択をしているわけである。

しかし――
ムエタイにおいて最高の権威を持つラジャダムナン、ルンピニーの両会場では、
女子はただリングに上がることすら許されていない。
もちろんタイ国内でも女子タイトルはあるが、それに権威があるとは言いがたく、
女では頂上への挑戦権すらないというそんな社会システムを一個人が(しかも勝負ができる内に)変革したいのであれば、
もはや魔法などというものに頼る他に道はない。

他の競技では駄目だったのかと問われれば、
「ムエタイやってんだからムエタイのてっぺん目指すでしょフツー」と返すだろう。
もう最初の一歩目から修正不可能だ。そこで他の魔法少女を蹴落として行くことに躊躇いはない。
他者の犠牲なしに上にあがることはできない、有限和な幸せの中に生きているのが格闘家というものだ。
死すらも元々リングの上に存在している。ただひどく近くなったというだけの話でしかない。

>「わたしは、それでもやっぱり『魔法少女』でいたいよ。
> 毎週わくわくしながら観てた、テレビの向こうの世界みたいに……笑って魔法を使いたい。なれるかな――
> 職業としてじゃなく、生物としてでもなく――"信念"としての魔法少女に」
南雲はそう結んだ。
沈黙。ごく短いそれを破ったのは萌だった。

「……あたしガキの頃すっげぇ可愛い子だったの。今じゃ死んだ目だけどその頃はなんかおとなしそうな令嬢風でさ。
 で、親がやたらひらついた服ばっか買ってくんのよ。いかにもそういう子に似合いそーな。
あたしはそれが嫌だったから、物心ついた頃からそんなのが似合わない言動をわざとしてたのよ。
その一環として格闘技やり始めて、その甲斐あって、かよーにうすらでかく育ったわけだけど」
ペットボトルのキャップを捻る乾いた音が挟まって、それから話が続く。

「そこで悪魔とか吐かすナマモノに会ったのよ。ファンシーとファンキーをはき違えたような外見のそいつは、
 願いを叶えてやるから魔法少女になれって言い出した。それに乗っかって、晴れてあたしは魔法少女」
水を一口含んで、唇を湿らせる。
「で、外見もそれらしい方がいいかなーとか思ってさ。いろいろ考えるんだけど、今までずっとそういうの遠ざけてきたから
 変身した後の自分がうまくイメージできないんだよね。だから、悪魔に言ったのよ――"任すわ"って」

萌はそこで小さく肩をすくめてみせた。
「結果が"アレ"よ。――以上、"自分"をちゃんと持ってないとろくな目に合わないというお話でした。
 逆に言えばさ。どこから来て今どこを歩いてて、何よりどこへ行きたいかが見えてりゃそんなに心配することないと思うよ。
 それは、間違ったあとに戻るべき場所がわかるってことなんだから」
水を大きく呷って、口を袖で拭った。

萌は一同に向けて笑いかけながら続ける。
「だいたい、なりたいもんになれない程度のものを"魔法"だなんて言わせねーし」
――なりたくないものになっちゃってる人間が言っても説得力に欠けるが、それはひとまず置くとしよう。

【夜空に笑顔でキメ】

456 : ◆Gw1TY5I6ic :12/02/22 13:39:51 ID:???
気がつけば結構時間がたっているものですね

>理奈さん
私生活あってのこういう遊びですし、いいんじゃないでしょうか。ごゆっくりなさってください
あの人やこの人の新刊を待つのに比べれば一ヶ月なんてまばたき程度のものです

457 :名無しさん :12/02/26 20:52:01 ID:xjd8RAZZ
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/248.html

458 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/02/27 21:44:59 ID:???
【連絡】
>南雲さん 萌さん
お返事ありがとうございますm(−−)m
今章のエピローグの後、お休みもかねてしばらくまとめ作業頑張りますね

>>457
うわ、このシーン懐かしいw
素晴らしいイラストありがとうございます^^

459 :NY:12/03/29 07:48:30 ID:99JJQIPP
uqLOYg <a href="http://ytddmiybimch.com/">ytddmiybimch</a>, [url=http://bhorrvpvfmta.com/]bhorrvpvfmta[/url], [link=http://oddoztxtnjok.com/]oddoztxtnjok[/link], http://xcjungkkeemn.com/

460 : ◆O9eTRO0ZSM :12/03/31 20:27:49 ID:???

・・・・・・NOW LOADING

>>459
…………!?

461 :名無しさん :12/03/31 21:30:37 ID:???
待ってました!

462 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/04/02 00:02:25 ID:???
>>460
おかえりなさいー

463 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/04/02 04:02:42 ID:???
夜分失礼しますm(--)m
>>462
ただいまー、です
ごめんなさい。まだ準備が色々済んでないのでまったりなさっててください……
新年度に入ってみなさん何かとお忙しいでしょうし、まず最初は点呼と安否確認からー

あとは、萌さんですね

464 : ◆Gw1TY5I6ic :12/04/03 23:56:51 ID:???
理奈さんおかえりなさい。お待ちしてましたよ
点呼に遅れたようで申し訳ないです

465 :NY:12/04/04 07:05:24 ID:0tl5ciWd
HUqurz <a href="http://fjtlneherplq.com/">fjtlneherplq</a>, [url=http://lhxqxchvgaag.com/]lhxqxchvgaag[/url], [link=http://oidphknmplxg.com/]oidphknmplxg[/link], http://zprxtlstrmjv.com/

466 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/04/05 21:48:42 ID:???
>>464
お帰りなさいましm(--)m
私のほうこそ、お返事が遅くなってしまってすいません
でもこうして三人集まれて嬉しい限りですw

その前に、えっと……その……お二人に謝らなければいけないことがありまして

休む前にお話していた広辞苑のまとめ&新スレのレス移動が全く終わってません
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
某所で描いていただいたイラスト及びyu-yuさんから設定画風のあれやこれやとお見せしたいのが沢山ありますのでもう少々お待ちくださいっ
レスの移動、及び↑については明朝に行なう予定です

つきましてはひとつ、南雲さんにお願いしたいことがあるんですけど……?

467 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/04/05 23:39:03 ID:???
>>466
あいあい
諸作業、週末限定で良ければ手伝いますよー
設定画も楽しみにしてます


>お願いしたいこと
なんでもゆってください。頑張るから

468 :名無しさん :12/04/06 17:18:01 ID:???
設定がうp乙です。ところで設定画はレギュラーのお三方だけだったりしますか?

469 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/04/07 20:40:57 ID:???
>>南雲さん
わー。すっごく心強いですけど……どうか無理はしないでくださいね。
私のお願いは週末の予定の何よりも優先順位を下に設定してください^^;

――で、その内容なのですけど
某アニメよろしく第二期前のリミックスじゃありませんが、ここまでのダイジェスト版(各章1000字程度)を南雲さんに書いて欲しいんです。
新章に進むにあたって、ここでひとまずこれまで出てきた人物・設定(は私がまとめます)とか伏線とかを再確認して見易くしたいんです。

と、考えてるのは私だけかもしれないので先に同意を得る必要がありますよね……
本来なら3月中に完遂しておきたかったんですけど
南雲さんと萌さんはこの作業、必要だと思いますか……?

>>468さん
本当は全員分描いて欲しかったんですけどね。流石にそれは無茶でした( ̄∀ ̄)アハハ
元々レギュラーの中で私の分だけが無かったのをせっついて描いていただいたので、無理は言えません……
なので、今のところは私たちの分だけです。ごめんなさい。

最近イラストの学校でデッサンを勉強してるそうですよ。
あの向上心には本当に頭が下がります……

470 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/04/08 03:06:58 ID:???
>>469
設定画拝見しましたー
スゲーの一言に尽きすぎて言葉足らずで申し訳ないのですが、とにかく感謝を

うひょあああああああああああ!
クオリティたっけえええええええええええ!!!
本当にありがとう!!こういうのマジで励みになります!
なんべんお礼を言っても言い足りないぐらいですけれども、とてもうれしいです


>ダイジェスト
了解、でも少し時間がかかりそうです
向こう40年ほどビジー状態が続く予定なので、空いた時間を使ってちょこちょこ書いていきます
ゴールデンウィークをうまくやりくりできれば早めに書き上げられると思うけれども
ちょっと待っててね

471 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/04/17 20:30:44 ID:???
うわっ……一週間早い!?
最近ネットする時間もなくてお返事が遅くなってしまいました、すいません
とりあえず生存報告^^;

>>南雲さん
ごめんなさい、忙しいのに
なるべく自分でやろうと思っているので、そこまでしていただかなくてもいいですよ
折角のお休みなんですからしっかり遊んできてください!

うーん、続けたいけど、流石にちょっと難しい、かなぁ……?

472 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/04/24 21:07:21 ID:???
生存報告。

>>471
力になれず申し訳ないです
できる限りのことはしていくつもりだから、またなんなりと言うてね

473 : ◆Gw1TY5I6ic :12/04/25 01:57:27 ID:???
一応私も確認を

>>理奈さん
遅ればせながら、ご友人の方にはくれぐれもお礼をお伝え下さい
画業が成ることをお祈りしております

474 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/04/25 11:32:20 ID:???
生存報告&業務連絡
まとまった時間がとれたのでレスの移転と再編集作業を継続しました
現在第二部 茶会 篇(Tender Perchであれやこれやがあった時期)まで進んでいます
こうやってみなさんのレス読み返してみると楽しかった(今も十分楽しいですけど)り大変だったりしたあの頃の雰囲気が伝わってくるようです^^
しっかり読んでいたつもりでも、再読してみてあの人のあーんな所とかこーんな所とか、意外な伏線や発見があって驚きの連続です
当分こういう時間とれそうにないので今日のうちにできる限り進んでしまいたいですね……

>>472 南雲さん
いえいえ
南雲さんには既にここに来るまで沢山力をもらってるし、助けていただいてるなって思っているので……いつもありがとうございます(TT)
こうして顔を出してもらうだけでも私にとってはすっごくエナジーチャージになるのです

>>473 萌さん
必ず伝えます
私のわがままでスレッドを停滞させてしまってすみません……
信じてもらえないかもしれませんが一ヶ月間お休みを頂いて、それでもこのスレッドのことを忘れたことなんて一度もないんですけど
まだ少し時期尚早な気が拭いきれなくて……もうしばらくお待たせすることになってしまいそうです
あるいは設定的に私がその場にいないシナリオも十分にありえますし、そういう楽しみ方だって全然ありだと思います。

とりあえず、十日に一度ぐらいのペースで結構ですので、時折こうして避難所に顔を出して頂けると非常に嬉しいです……

475 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/05/01 21:35:34 ID:???
定期生存報告ー
いつでもよろしくてよー

476 : ◆Gw1TY5I6ic :12/05/05 00:29:57 ID:???
せえぞんほおこく

477 :生存報告 :12/05/05 21:51:56 ID:JGzebyXl
神田理奈です。
……略式で失礼します。

478 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/05/13 20:36:43 ID:???
母の日です。
お金を貯めてクッキーの詰め合わせを贈りました。

【母】「何か買うときは今度から私に選ばせて」

ですって

・・・・・・orz

479 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/05/13 21:04:55 ID:???

【ゆりか】「毎度ありー♪」
     「叔母さん、私、ちょっと切ないよ……」
【ゆりか】「頼まれもしないもん贈ったからでしょ」
     「え、でもこういうのってやっぱり感謝の気持ちが大事で〜云々かんぬん」
【ゆりか】「結局それも贈る側の自己満足でしかないってことよ。
      『相手の為に何かを選んだあなた』ってのは確かに美しい図式ね。
      けど、その行いが必ずしも万人にとって平等の価値を示すわけではないの。
      たとえその行いが善意であってもね」
     「難しいよー……」
【ゆりか】「まぁ世間じゃよくあることよ。
      間抜けな善人に賢い悪党。結果を抜き出せば得するのは大抵後者だけど、
      大事なのは結果を見た後にどう動くかよ――取り返しのつく間はね」
     「……つかないときは、どうすればいいの?」
【ゆりか】「さ て ね。自分で考えなさい」
     「…………うう」

●業務連絡
レスポンスの数が非常に多く、編集作業の終わりが見えないのでここで一度考えを切り替えます。
近日中にレスに戻りますのでもう少々お待ちくださいm(−−)m

480 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/05/16 04:41:22 ID:???
あいあい、生存報告
母の日……帰省できないので適当に現地の旨いもの送ったら
地元の特産物が倍返しで送られてきたぜェー


>業務連絡
了解です。お待ちしておりますー

481 : ◆Gw1TY5I6ic :12/05/19 01:19:04 ID:???
せいぞんほう告
ついでがあったらうらにわのかばしりさんのおはかに花束をそなえてあげてください

482 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/05/23 21:32:11 ID:???

「お願いします。私に、戦い方を教えてください――――!!」

絞り出した私の声に、南雲さんがわずかに硬直する。
首に回した腕の感触からその肩が一瞬だけ震えて強張るのがわかった。
負ぶってもらってる私には顔の表情が見えないけれど……どうしよう、やっぱり困らせちゃったみたいです。

【南雲】「……うん。わたしに教えられること、そんなに多くはないけれど。がんばるから」

数秒の沈黙の後、南雲さんは静かに頷きそう言った。がんばらなきゃいけないのは、私のほうだ。

【南雲】「わたしも強くなりたいから――萌ちゃんに教えてもらいたいこと、たくさんあるよ」

萌さんは何も言わなかった。
代わりに自販機の水を買い、それを手にまじまじと私たちの顔を見つめる。
顎元に手を当てて何かを考えている仕草。あれ、何だろう、急に寒気が……貧血かな?

いたずらに上下を繰り返す体感温度と加速する季節感に混乱しつつ、私はカレンダーの日付を確認する。もうすぐ春休み。
磯野家や野原家の人たちは自分たちの生活を不思議に思わないのかな、などという月並みな疑問が頭をもたげたそのとき、

【南雲】「……『幸せ』って、何だと思う?」

南雲さんが呟いた。すごく難しいことを……呟いた。
国民的アニメのループ世界なんて月並みな疑問よりもっともっとありふれていて、だけど未だ誰にも解けない大きな謎の一つ。
大昔から続く、ヒトや生き物にとって永遠のテーマみたいなものだ。これがわかればきっとノーベル賞ものだよ。
以前私も叔母さんに聞いたことがある。
『それは誰もが知っているけど、誰もそれを知らないものよ』って、便利な言葉で誤魔化されちゃったけど。

隣を見る。麻子さんが何かを察したような、苦い笑みを浮かべた。南雲さんは続ける。

【南雲】「えげつないないよね、魔法少女って。自分で言うのもなんだけど、情弱しかやらないよこんな稼業。
     残業どころか給料も出ないし、福利厚生は最悪だし、離職率バリ高だし、職場いじめどころか殺し合いなんてやってるし」
     ブラック企業も助走つけて逃げ出すレベルで、魔法少女なんて名ばかりの、超絶ブラック――『ブラック魔法少女』」

「…………」

南雲さんの『それ』は決して『幸せ』に対する回答ではありませんでした。
けれど、ここにきて私はさっきの戦いで門前さんが『幸せ』について語っていたのを思い出す。
何を語っていたのか聞き取れなかったけど……門前さんが私の望んだものと真逆の魔法少女だったのは、何となくわかる。
ううん、違う。
ようやく私は現実を理解できたのかも。

闘って。打ちのめされて。奪われて。救えなくて。助けてもらって。奪い返して……。

『ブラック魔法少女』――むしろそれこそがこの世界の“リアルな魔法少女”の姿なんだって――――……


【続きます】

483 :坂上南雲 ◆E2LWmlZqtA :12/05/28 03:56:23 ID:???
生存報告

>>482
ktkr

484 :神田理奈 ◆O9eTRO0ZSM :12/05/30 20:47:03 ID:???

……私は感じた。揺らいだ。グラついた。悔しくても、この世知辛い現実を受け入れるしかないって。
私が信じた“魔法少女”は、やっぱり虚構の中でしか生きられない幻でしかないって。けれど、

【南雲】「わたしは、それでもやっぱり『魔法少女』でいたいよ。
     毎週わくわくしながら観てた、テレビの向こうの世界みたいに……笑って魔法を使いたい。なれるかな――」

南雲さんは続ける。

【南雲】「職業としてじゃなく、生物としてでもなく――"信念"としての魔法少女に」

    「…………」

私はしばらく何も言えなかった。
自分に“それ”を言う資格が――ううん、違う。私自身何て答えていいか、わからなかったから……
そのとき、躊躇いを誘う微かな霧を萌さんが吹き払った。

【萌】「……あたしガキの頃すっげぇ可愛い子だったの。今じゃ死んだ目だけどその頃はなんかおとなしそうな令嬢風でさ。
    で、親がやたらひらついた服ばっか買ってくんのよ。いかにもそういう子に似合いそーな」

振り返る私たちに向かって、萌さんは語る。
自分が格闘技を始めたきっかけを。いかにして悪魔と出会い、自分がどうして変身後に"あんな姿"になるのかを。
ちゃぽん。時折口に含んだペットボトルの水が、晩冬の夜光の下で冷凛と輝いた。


【続きます】

502 KB [ 2ちゃんねるが使っている 完全帯域保証 レンタルサーバー ]

新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :