1 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/19(日) 21:41:57
サタンの邪悪な野望を阻止するため、再び平和な世界を取り戻すため、
勇気ある騎士よ、今こそ立ち上がれ!!さあ、まずは自己紹介の紙に記入だ!!

【年齢】
【性別】
【職業】
【魔法・特技】
【装備・持ち物】
【身長・体重】
【容姿の特徴、風貌】
【性格】
【趣味】
【人生のモットー】
【自分の恋愛観】
【一言・その他】

※サタン側に参加する人も記入願います。


――――――騎士達の凄まじい戦いの過去だ!!――――――

騎士よ、今こそ立ち上がれ!〜サタン復活編〜(6番目のスレ)
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1137064700/
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!!α (5番目のスレ)
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1123051856/
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!!!4
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1118044563/
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!!3
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1105623580/
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1102512969/
騎士よ、今こそ立ちあがれ!
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1093884248/


2 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/02/19(日) 21:42:35
2ならうれしい

3 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/19(日) 21:42:37

  騎士たちの奮闘空しくサタンの復活は成された
  サタンの率いる魔軍の攻勢にフレゼリアはおろかオーガスを含む周辺国すら陥落した

  一年後…

  旧オーガス皇国を中心に周辺の数カ国を領土として足場を固めたサタン軍
  それを囲むように周辺各国に結成された、動乱を生き延びた戦士たちを中心とした抵抗組織

  ――抗魔統一戦線同盟

  通称『同盟軍』の中にひときわ功績を挙げる戦士たちの姿があった
  ある者は黒衣黒髪の拳士
  ある者はいささか頭髪を気にしている、明朗快活な壮年の騎士
  ある者は精霊を操り万軍を薙ぎ
  またある者は闘気によって闇を払う
  そして……身の丈を超える七支の大剣を背負い戦場を駆ける者の姿もその中に在った

  かつて皇国と呼ばれた国の都、その玉座に座るサタンへ向け、彼らは刃を振るう
  あるいは汚名をそそぐため
  あるいは仇を討つため
  あるいはただ褒賞のため
  そして――――


  人の世の滅びを免れるために


4 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/19(日) 21:46:27
重なる身体に見えました

5 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/02/20(月) 01:11:08
糞スレ

6 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 01:25:19
前スレ>274>279
一つの鼓動が消えた―――同時にソレが『枯れ』そして『散った』
終わったか、何もかもが……。
刀を鞘に収めながら小さく思う、豪雨が容赦なく体を打ち付けるが、気には留めなかった。
先程までは蒸気のように溢れ出ていた殺意も闘気も今は微塵も感じられない。

目の前にいるのは血溜まりのベッドに横たわる『死に行く者』。
そして倒れた『死に行くもの』に近づき、蘇生術を試みる金髪の巨漢……
しかしその巨漢も長くは持たず地に沈む、同時それは冴波に姿を戻した。
気張りすぎや、どの道助からんさ。それは確信。
記憶が甦る、強烈過ぎる手応え、飛び散る血飛沫……思い当たる言葉は手遅れ。
ワシとて手を抜くような素人染みた事はしていない。かける情けは、とうに潰えているのだから。

最後に一瞥をくれてやると、くるりと踵を返した。あとは他の面子がどうにかしてくれるだろう。
しかし刹那、背後で雷光が瞬く。
何しろこの天候だ、雷自体は何ら不思議ではない。
しかし、感じ取れた雰囲気は『先程』とは明らかに違うものだったのだ。
―――それは何かが再び動き出した音。

後ろを振り返る。
耳を疑った。……『ラック』から『鼓動』が聞える。
弱弱しいが確かに動いていたのだ。
「恐ろしいイのォ・・・ホンマぁ末恐ろしいワ。」
笑いが零れた、いつもの様に骨をケタケタとしたしゃがれ声。

7 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 01:35:00
前スレ>283
続いてシズネが動いた。術やらなんやらの発動で飛び回り符やらなんやらで、忙しく立ち回る。
こうしてただ3人を見てれば、『ベッピンさんの姉貴分。』と差し詰め妹と弟なのだがな……
シズネの動きは迅速であった。まるで全てを準備してたかのように

状況を見て、最善の方法で倒れていた二人に治療を施して。
そしてエヴァンスの大将への報告。そんでもって冴波を担ぎ救援の要請。
――――半ば呆れた。

刀を肩に担ぎ直し、ゆっくりと足取りをシズネ達に向ける。
途中エヴァンスの横を通過する際、静かに囁いた。
「ワシャァな手ェ抜いたつもりハないデ。ただ『ラックの運が善すぎたか』
『ワシの手落ち』かのドチラかヤ。まア運も実力のうちやさかいニ。留めといて損は無いやロ」
ポツリと告げる、別に奴がどうなろうと構わんさ。
これはただの強者へのリスペクト。

そうこうしてる内にシズネの横に出た。
「……『助けル』か……人間のお節介な行動やなァ?」
声が出た。早々に出た悪態。

「せヤが……嫌いでハない。
オマエ・・・怪我してるンと違うンか?力仕事なら変わるデ。」
笑いながら出た言葉。

8 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 01:48:58
>前スレ282
地面に下りたセシリアにマリスが声をかけてくる。
>「お怪我はありませんか〜?」
セシリアは言われて自分の体を見回す。ごく軽い打ち身擦り傷の他は何事もなかった。
「ああ、無事だ。心配ないよ」
マリスにそう言って、見慣れぬ二人に歩み寄り、互いに自己紹介を済ませる。

包帯の女性は誓音と名乗り、もう一人の少女はレナスと名乗った。
サタンを封じた戦乙女として名高い女性だ。セシリアも戦場でその姿を目にしたことはあり、
言われてみれば面影はある。問題はなぜこのような姿になっているか、だが……
「……ご苦労をなさいましたな」
セシリアはレナスの肩に手を置いて小さく頷いてみせる。
レナスが子供の姿になった理由を、かつて自分がそうであったように敵の術によるものだと解釈したからだ。
自ら変化したうえ戻れなくなったとは全く考えていない。

>「撤退をするのは良いのですが、アステラ様はどこにいるのでしょうか〜?」
マリスの呟きがセシリアの耳に届いた。どう説明したものかと考える。
少し考えて、事情の説明が面倒なので嘘をつくことにした。
「アステラは……分からない。これが見つかっただけだ」
言いながら銀板を取り出す。アステラが持っていたものと、セシリアが元から持っているものの二つだ。
「恐らく別の方向から先に離脱しているだろう。……我らも後を」
セシリアは魔王軍内で内紛が起きているらしい事を皆に話し、
(実のところもう収束しかけているのだが)今の内にここから退くよう勧めた。
砦の背面の崖を崩し罠を潰した上で一気に空から抜けるつもりだ。
単独で空を飛べるのはセシリアとFALCON、カイザーは乗騎を呼べば良い。
崖の上までなら仲間を抱えて飛ぶのもそれほど問題はないだろう。



なおこの場合、FALCONが誓音の馬を抱えて飛べないのであれば馬は置き去りになる。
頑張れFALCON。

9 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 02:52:07
>前スレ276
>「私も正確に言うと同盟軍じゃないから、問題ないと思うけど・・・
> こういう時は部隊のリーダーに指示を仰げばいいのかな・・・と?
> ・・・ところでリーダーって誰なの?」
と幼女が言う。
「それならいいんですけど…。」
と言いながらマジマジとレナスを見る。
(…なんで幼女がこんな所にいるんだろ。)

>前スレ278
>「……誰だよ」
ピクッと耳が反応する。聞こえないように言ったつもりだろうが意外と地獄耳なのだ。
不機嫌そうな呟きの主を見てみるとそこには健康肌の男が居た。が、それより真っ先に魔力を全く感じられないことに気づく。
(…こいつ…。)
一瞬驚いた顔で見つめる。が、問うことはしなかった。人の事にやたら干渉するのは時にその人を傷つけてしまうからだ。

>「情けないリーダーですまねぇな」
「…そんな事ないと思いますよ。」
と、何も知らないのにフォローする。

>前スレ281
>「そうしてくれると助かるよ。仲間は多いに越したことはないからな…」
「はい。んじゃよろしくお願いします。」
そう微笑みながら言う。

>前スレ282
>「気にしないでくださいですわ〜。ですが、お怪我をしたらお言い付けくださいですわ〜」
(なんだか…ぼけーとした女の子だな…)
気の抜けたマリスのおしとやかな声にこいつ本当に同盟軍なのか?と一瞬疑問に思う。
だが聖魔法に関しての素質はなかなかあるようだ。…勘だけど。


10 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 02:55:13

>8>前スレ280
>セシリアは魔王軍内で内紛が起きているらしい事を皆に話し、
(…内紛ねぇ……)
ついさっき降りてきたセシリアという女騎士の話に耳を傾けながら
(…内紛ついでに魔王軍みんな死んじゃえばいいのに。)
なんてダークな事を考える。ま、あんなに邪気帯びてる奴らが簡単に死ぬとは思えないが。

>砦の背面の崖を崩し罠を潰した上で一気に空から抜けるつもりだ。
>単独で空を飛べるのはセシリアとFALCON、カイザーは乗騎を呼べば良い。
>崖の上までなら仲間を抱えて飛ぶのもそれほど問題はないだろう。
(そんなめんどくさいことせずに私の悲鳴で罠ごとぶっ飛ばして道を開くという方法もあるけど…)
なんて思考を巡らしたがあえて言わないことにした。
何故ならそれをやると悲鳴の消費がかなり激しいし、かなりど派手にぶっ飛ばすので敵軍にばれてしまう。
それにまだ同盟軍の一員でもない自分がわざわざしゃしゃり出る必要もないと思ったからだ。
(……それにしても…この人空飛べたんですねぇ…)
そう思いながらファルコンを見る。
(まぁ魔族だし飛べてもおかしくないのかも知れないですけど…。)
>なおこの場合、FALCONが誓音の馬を抱えて飛べないのであれば馬は置き去りになる。 頑張れFALCON。
「抱えて飛べないなら放置しても構いませんよ。な、花太郎〜。」
そんな事言いながら馬の頭を撫でる。毎回変わる自分の呼び名に馬は不服そうだが。

11 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 11:13:14
「……来たか」
サタンは魔法陣の破壊に伴って膠着状態に陥った戦況を
打開するため、魔界に残してきた腹心の内三体を召喚した。

「グフフ……お呼びで?」
最初に玉座の間に現れたのは巨魔アトラス。
名の通りの巨躯で、普通に入る為には屈まねばならないほどでかい。

「キキキ、わしの力を必要とされておられるようで。サタン様」
次に現れたのは氷魔バズズ。
アトラスと対照的に背の低い老人のような、どこか猿を連想させる悪魔だ。

「召致に応じました。何なりとお申し付け下さいませ、我が主……」
最後に現れたのは魔将ベリアール。
魔界方面軍を任されていた悪魔で、サタンの懐刀の内の一本でもある。

サタン「アトラス、バズズ。貴様等は各方面軍に一団を率いて援軍せよ。
    脆弱な人間共に、魔族の恐ろしさを改めて教えてやるのだ……」

アトラス「ゲヒヒ、任せてくだせぇ。人肉がまた食える、グヒヒヒヒ」
バズズ「キキキ、実にわし向きの仕事ですなぁ。同士討ちなど実に最高、キッキッキ」

サタン「ベリアール、貴様は……この部隊(『百鬼夜行』)を呼び戻せ。
    こやつ等の力は中々に稀有……使い道もある。ちょうど戯れも終わったようだしな。
    我が名を使え、逆らうならば……消せ。いいな」

ベリアール「はっ、仰せのままに……では」

三魔が姿を消し、玉座の間には再びサタンのみとなる。
サタン「人間共……そして、オーガス……!真の地獄は、これからだ……!」

12 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 17:19:03
前スレ>272>274>279
「辻」の剣がラックを袈裟懸けに斬り倒し、決着は着いた。
溢れる血、零れる血、飛沫がエヴァンスのコートに降り掛かる。ラックはうつ伏せに倒れたきり動かない。
冴波は代理の大男から姿を戻し、彼女もまた地面に転げて血溜まりを作る。
一度の戦闘で、雑兵のみならず中隊長まで失おうとは。下手をすれば二人死ぬ。イレギュラーが過ぎた、とんだ失態。
「老いは肉体のそれのみに非ず、か。私も見る眼が衰えていたのかも知れん」
兎にも角にも後片付けは必要だった。ペンタグラムの術式でラックを運び、冴波の手当てに掛からねば。

魔力を銃剣に伝えて術式発動、死体を転送しようとしたその時だった。
一筋の、細い稲妻がラックの背中を撃つ。痙攣する身体は直ぐにまた動きを止めた。

前スレ>283 >6>7
「生きてるってのか?」
率先して働き始めたシズネを見て呟く。術式は中段され、ペンタグラムは雨にふやけて流された。
冴波もラックの身体も抱えて、シズネが言う。

>「エヴァンスさんや。蛹の脱皮にしては大事だったが無事羽化したようでよかったねえ。
>〜以上で具申は終了。サエナミさんはあたしが連れてかえるよ。」

エヴァンスは肩をすくめ、呆れ顔でその場から離れた。恐るべきはラックの実力か悪運か。
シズネが早々に彼を運んでいってしまった所為で、終ぞ止めを刺す事は出来なかった。
銃をコートの懐にたくし込み、俯いて歩いていく。すれ違いざまに辻斬りが言う。

>「ワシャァな手ェ抜いたつもりハないデ。ただ『ラックの運が善すぎたか』
>『ワシの手落ち』かのドチラかヤ。まア運も実力のうちやさかいニ。留めといて損は無いやロ」

「シズネもお前も、何だからしくないじゃないか。ま、今日は仕方無いけどな。
流石に俺も疲れた、帰って風呂浴びて寝たい。ヤツの件は……死に損なったとしても使えるかは別だよ。
考えておくさ、首輪で繋いで抑え付けてまで働かせる価値のある男だろうかとね。果たして手間に見合うかどうか……」

「辻」から離れて、一連の騒動で浮き足立つ部隊をどうにかトンネルまで押しやる。
各部隊に補佐官として「ジェミニ」を仕込んでおいたのは正解だった。中隊長の二人は半生半死で二人は肉体労働だ。
準備が済み次第、大人しく基地まで帰る。明日にでも、本部での方面軍会議で吊るし上げられるだろう。
ならば先の言葉とは裏腹に、エヴァンスが今夜休む訳には行かない。乱れた軍紀を一晩で持ち直し明日には再稼動。
今回の戦闘内容以外は万事予定通り、「味方」に刃を向けるか或いは――出世の見込みか。
考えておいて、そいつは都合が良過ぎるなと一人笑う。「百鬼夜行」は戦闘終了、撤退を開始した。

13 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 18:47:59
>前スレ280
>「これより先〜〜槍は止めんぞ」
邪魔するなら敵とみなす、と言い残してセシリアは行った。
その姿を見送って一人になったところで呟く。
『それでいい・・・誰かに止められるようなら、始めから復讐なんて為しえない。』

そんな生易しいもんじゃない、と言うような意味を含めて。
セシリアと同じようにアステラも行く。『悪魔』に徐々に近づいていく体、
故に強化された脚力体力はアステラの意識を乱させる事無く、道なき道を踏破してゆく。

>前スレ279
不意に、稲妻が落ちた。先程セシリアと話をしていた時よりも弱いが、
魔王軍の誰かと関係があると踏んで落ちた方角へと走り抜ける。

しばらく走って・・・魔王軍が忙しなく撤退を始めているところに遭遇した。
始めは兵装を拝借して潜入しようと考えたが、見るにつけアステラの体格に等しい
サイズの兵装をつけた兵士はいそうになかった。ならば、かえって堂々と踏み込んだ方が
怪しまれずに済むかも知れない。問題はさっき戦った鬼だが・・・言い含める嘘も一応準備してある。
上手くいけば御の字、ダメならダメで全員を相手にするだけ。アステラは余裕がある素振りで一団の前に出る。

14 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 22:02:30
>7>12
さて、エヴァンスさんがとどめ刺さない所を見るととりあえずは判断保留というところ
かね。ま、上々な出来だわいな。
部下が連れてきた馬にサエナミさんを乗せて、あたしも乗るよ。
もう担いで歩いてなんていられないからねえ。
そうしていると辻斬りが手伝ってくれる言い出すとは、まだ狂気に当てられてまともの
ままなのかねえ。
「そうかい?ありがとうよう。それじゃあ、あそこに転がっているラックを荷台にでも載
せて、あんたはラックのハンマーを持って行ってやっておくれよ。
アレは重そうだからねえ。」
手伝ってくれるのなら骨を折ってもらうとするよ。

それにしても、おせっかい、ねえ。
辻斬りには判らないだろうけど、あたしは情やおせっかいなんぞで動く人間じゃないさ。
あたしの行動ベクトルに情やおせっかいの入り込む余地はないんだよ。全ての行動は
最終的にあたしの為の一点に集中するんだ。
その過程や副産物がどう見えるかは自由にさせるさ。
とりあえずは妙に暖かいサエナミさんをこうやって運んでりゃ雨に打たれて冷えた身体
も少しはましなもんだ。

懐からエヴァンスさんに貰った念話装置とは別の念輪装置を出して小声で話す。
「術式起動。紙僕召来。もうすぐ戻るから準備をしといてくれよ。熱い風呂、冷たい酒、
布団にタオル。それから予備の符方録と筆、煙管を出しときな。あと・・・針、は・・・いや、
いい。それだけだ。頼んだよ。」
部屋に帰ったらすぐにでも風呂に入りたいからねえ。今頃部屋に吊るされた掛け軸から
式鬼がでて準備をしだしているだろ。
サエナミさんに興味があるから色々やってもみたかったけどね、他にやることもあるし疲
れているからやめておくよ。

>13
ポクポク行軍していたんだけど、なにやら隊列が止まっているじゃないかえ。
「はぁ・・・やだねえ、また何かあったのかい?」
正直疲れて首を突っ込みに出張るような気にならない。けが人も背負い込んでいるこっ
たしねえ。
まあのんびりこの暖かいサエナミさんでぬくぬく休ませてもらうよ。

15 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/20(月) 23:53:35
前スレ>265
>「用事なんてありません。サタン軍だったらただ手首でもちょん切って殺すだけです。」
「そうか、まあ、あまり頑張り過ぎないようにな(随分と過激な発言をするよな…)」
相手…先程誓音と名乗った者は、表情では笑っているが、言葉と表情に何か差がある。
その違和感とも言える事を感じ取ったカイザーは無意識に誓音に対する警戒心を高めていた。

前スレ>278
>「情けないリーダーですまねぇな」
そのマックスの自虐とも言える発言に対し、カイザーは言葉を発した。
「マックス、自分をそんなに卑下する事は無いさ。
 何に関しても最初から完璧にこなせる奴なんて、まずいない。
 焦らずリーダーとして少しずつ経験を積めばいい、その内に皆がお前をリーダーとして誇れる様になるさ」
マックスの生い立ちは知らない、
だが、会ってから日が浅いがマックスが相手の立場に立って考える事の出来る器だとカイザーは思っている。

>8 前スレ>280 
>そのまま皆が集まっている側へ下りた。
(セシリアも無事だったか…だが、アステラは?)
先行したセシリアがアステラと合流していたと思い込んでいた為、意外というべきな表情をしていた。
>「アステラは……分からない。これが見つかっただけだ」
セシリア見せた物、それはアステラが所持していたと思われる銀板であった。

>「恐らく別の方向から先に離脱しているだろう。……我らも後を」
「…ああ、そうだなセシリア。仲間の前に、まずは自分をどうにかしないとな」
それから、
サタン軍内で内紛が起きているという事、そしてその隙に撤退をしようと説明された。
撤退方法は崖を崩し罠を破壊してから空を飛び、この場を離れる。
カイザー自身に飛行は不可能だが、愛馬ペガサスを召喚すれば可能である。

「…じゃ、そうと決まればこんな場所からは とっととオサラバしようぜ。」
カイザーは右手の拳を握り締め、地面と平行になるように右腕を前に真っ直ぐ伸ばした。
「聖闘気よ、我が拳に集え…!!」
と共に、握り締めていた拳の内側から光が漏れ出す。
光は徐々に大きさと輝きを増してゆき、やがて右拳全体を包み込む程になった。
その状態のまま、カイザーは仲間に聞こえるように呟く。
「威力は調節するが、一応 土砂崩れや落石に巻き込まれないように気をつけろよ」
右拳を自分の体に引き寄せ、正拳付きの構えを取る。
「ブレンテル流、弾丸の技!―――聖闘気圧縮弾!!」
叫びと共に拳を前に打ち出すと同時、カイザーの拳から次々と光の塊が凄まじい速度で撃ち放たれる。
光の塊の大きさはカイザーの拳とほぼ同じ、それが軽く見積もっても百発以上打ち出されている。
多少の角度の誤差と共に放たれるそれは正に光の弾丸の壁と言っても過言では無く、
その光の弾丸は全てが砦の背面の崖へ一直線に向かってゆく。
―――そして、崖への着弾。
光の弾丸の一発一発が次々に崖の表面を崩し、設置されていた罠を破壊、埋めてゆくのだった。

光の弾丸は崖を貫くことは無く、崖と衝突した時点で消滅している。
これによって無駄な崩れを防ぎ、生き埋めになるのを回避しようとしているのだ。

16 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/21(火) 01:26:09
>12>14
「ホォゥ……そうかイ。ま、オマエが大丈夫なラそれでエエ。
ほなワシャぁオマエが言ッた通りニするサカイ。いらン手間掛けたノぉ」
苦笑してるかのような口調で返した、どうやら心配は無用と言った具合らしい。
その変わりに与えられた仕事は、ラックとハンマーの搬送。
表情には何も浮かべず。(と言っても浮かべられないが)踵を返しながら部下に指示をして、倒れているラックに歩み寄った。

符が張ってあった顔を覗きこむ、顔色はよくは無いが、それでも何とか息はしてる模様。
ラックに手を伸ばすとゆっくり抱え上げる、バチっと手とラックの間に電撃が走った。
普通の生き物なら、ここで手を引っ込めてしまうだろう。
しかし生憎と自分は痛覚に至っては鈍感と言うより感じにくい体質
少しなら我慢が出来る………と思ったのだが。

「ッ……さすがに痺れル。」
我慢できなかったのか、用意した荷台に、やや乱暴気味に投げ降ろした。

その作業の中エヴァンスの言葉が頭の中で再生された。
>『シズネもお前も、何だからしくないじゃないか』

「ワシの本質を理解しとラン奴にャァ『奇行』に映るかも知れヘンな・・・」
これは独り言。確かに本日はシズネを受け止め、ラックを説得しようとした。
我が名は『辻斬り』である。
血で濡れ、力を持余し、仲間殺しだの、キチガイだの罵られ、一部の魔族からも忌嫌われた存在

そう考えると、他者からは想像も出来ないことだったのかも知れん。
しかし物事には理由は必ず付いて来る、それが正しいかどうかは別として・・・
それに上で述べられた事は否定はしない、これらは揺ぎ無い事実、我が身が通ってきた軌跡の結果。
ククっと小さな笑いが零れた。
「どの道ワシにャ『善』の文字も『悪』の文字モ無いワ………まあエエ。いツかキット理解できる時が来るヤろ。」

ラックを部下に任し、落ちていたハンマーを担ぎながら隊の後ろについて行く。
空は豪雨が体に打ち付ける『良い天気』であった。

>13
とまあ、そこまでは良かったのだが、急に隊の足取りが止まった。
前に……何かいるのか?まさに『百鬼』を止める何かが。
後ろを見るとシズネは行かないつもりらしい。
ならばここはワシの出番かね。
前にいる奴等を押しのけつつ最前列を目指した。
「何ヤ、誰かおるンか?」
前に出た時に出た言葉。それは不機嫌そうな言葉だった

17 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/21(火) 23:25:09
 大体メンバーが分かってきた。
 リーダーと名乗った男、厳つい感じの兄ちゃんがマックスウェル、ともいマックス。
 次にふわふわポンポンのお嬢様がマリス。
 見かけがちょっと怖い女性がセシリア・・・と。
 話の中にアステラという人もうるようだが、姿が見当たらないらしい。
 さっきのメンバーから推測すると、いきなり私に光弾を撃ってきたのがその人物か。

 しかしこの姿、思ったよりも不信感を煽っているようだ。
 >9
 >と言いながらマジマジとレナスを見る。
 >8
 >「……ご苦労をなさいましたな」
 ――しかも何やら励まされた。大きな誤解まで生じてきているようだ。

 >15
 元に戻る以外で、何か誤解を解くいい方法は無いかと考えていたけど、カイザーの絶叫で我に帰った。
 >「ブレンテル流、弾丸の技!―――聖闘気圧縮弾!!」
 「おおおぉぉ?」
 何がどうなっているのかよく理解できないが、とにかく無数の光弾が崖に向かって飛んでいく。
 (・・・派手だなぁ)
 あまり派手すぎるのも問題だが、実際レナスには派手な――もとい広範囲攻撃を持ち合わせていない。
 これも近いうちに解決しなければいけない事のひとつであろう。

 ――ところで、レナスは空を飛べない。
 そんなわけで、早速何かを召還してみることにした。
 ちなみに、まったくの手探りの状態なので、何が起こるのかが全く予測できなかったりする。

 胸の前で手を組み、目を閉じ、何やら念じはじめる。
 「”Komi her seggir sex,
   seg tu mer nofn teira
   oll obundin,
   ek mun ter syna”」

   ”Hrasvelgr”

 事情を知らない人が見たら、「何言ってんだ?」と言われそうなほど、何を言っているのかわからない。
 が、最後の言葉を言い終えたその時・・・雲が割れた。
 そこから、何かが飛び出し、一直線にこちらに向かってくる。
 シルエットは・・・鳥?

 ”Hrasvelgr”
 フラィスヴェルグル、世界の北の果てに座る巨大な鷲で、その翼の羽ばたきによって風をつくると言われている。

 その鷲がレナスの招致に応じ、はるばる神界からここへ下ってきたのだ。
 「これで足は確保完了・・・っと。」
 図らずとも、これで自分が戦乙女であると証明できたかもしれない。
 ・・・しかし、この召還方法、疲れるなぁ。

18 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/22(水) 00:53:04
>8>10>15>17

セシリアが戻ってきた。
後は、アステラだけなのだが……
二つの銀盤を取り出すセシリア。
銀盤は確か一人につき一つだと、FALCONは思っている。
この状況でいないのはアステラ。
つまり、アステラが行方不明になったということだ。
(まぁ、あいつなら大丈夫だろ……)
今はアステラを信頼し、気にしないことにした。


魔王軍で内紛が起きたらしく、脱出するなら今がチャンスらしい。
脱出の策もセシリアが思い付いている。
崖を崩して罠を破壊、その後は飛べる人で飛べない人を抱えて脱出。
空を見上げると、大気の乱れも無くなり、空を飛ぶこともできそうだ。


カイザーの打ち出す無数の光弾により、崖は崩れ落ちて罠を埋める。
後ろではレナスが何かの言葉を呟いている。
上から何者かの気を感じる。
空を見上げると、雲の間から一匹の大きな鳥がやってくる。
一瞬、田中さんが自分にたかりにやって来たのかと思ったが、羽毛の色が違った。

>「抱えて飛べないなら放置しても構いませんよ。な、花太郎〜。」
「いや、大丈夫だよ。君と花太郎くらいなら抱えて飛べるよ。
それとも君は10トンぐらいするのか?」
腹が減って、体調が悪くても人や馬を抱えるぐらいは造作もない。
それにしてもちょっと失礼なことを言ってしまった。

馬を右脇に抱えて、誓音を左脇に抱える。
馬は嫌がって少し暴れたが、殺気を放って黙らせた。
「それじゃ……行くぞ!!」
漆黒のオーラを身に纏い、地を蹴って、空に飛び立つ。
飛翔というよりは跳躍。
崖の上に舞い降り、馬からゆっくりと地に降ろし、次に誓音、最後に自分が着地する。
それと同時にぐぉおぉんと、大きな腹の音が。
「もう駄目だ……近くにドラゴンとかいねえのか……ドラゴンの丸焼きが食いてぇ………」
FALCONは何か食えそうな生き物がいないか、辺りを見回した。

19 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/22(水) 01:44:33
>15
>「威力は調節するが、一応 土砂崩れや落石に巻き込まれないように気をつけろよ」
>右拳を自分の体に引き寄せ、正拳付きの構えを取る。
>「ブレンテル流、弾丸の技!―――聖闘気圧縮弾!!」
>叫びと共に拳を前に打ち出すと同時、カイザーの拳から次々と光の塊が凄まじい速度で撃ち放たれる。
>光の塊の大きさはカイザーの拳とほぼ同じ、それが軽く見積もっても百発以上打ち出されている。
>多少の角度の誤差と共に放たれるそれは正に光の弾丸の壁と言っても過言では無く、
>その光の弾丸は全てが砦の背面の崖へ一直線に向かってゆく。
>―――そして、崖への着弾。
>光の弾丸の一発一発が次々に崖の表面を崩し、設置されていた罠を破壊、埋めてゆくのだった。

(…これは凄いですね。)
カイザーから言われた事を忠実に守りながら一瞬で放たれた聖闘気圧縮弾の凄さにちょっぴし感動する。
そしてとことん敵じゃなくてよかったと思う。まぁこんな技が使えると知ってても敵なら遠慮なく飛びかかるが。

>17
>事情を知らない人が見たら、「何言ってんだ?」と言われそうなほど、何を言っているのかわからない。
>が、最後の言葉を言い終えたその時・・・雲が割れた。
>そこから、何かが飛び出し、一直線にこちらに向かってくる。
>シルエットは・・・鳥?
>”Hrasvelgr”
>フラィスヴェルグル、世界の北の果てに座る巨大な鷲で、その翼の羽ばたきによって風をつくると言われている。
>その鷲がレナスの招致に応じ、はるばる神界からここへ下ってきたのだ。

カイザーの素晴らしい技に感動してると今度は横にいる幼女がブツブツと何か唱えてる。
(…?)
魔法の呪文かなんだか解らない詠唱を終えると、巨大な鷲が出てきた。
そこでやっと召還魔法の呪文を唱えていたと言うことが解った。
(…へぇ…。これも凄いですね。)
花太郎がその巨大な生物に思わず威嚇をする。それを抑えながら鷲の素晴らしさに見とれる。

(若いのに凄い人だったんですねぇ…。)


20 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/22(水) 01:48:22
>18
>「いや、大丈夫だよ。君と花太郎くらいなら抱えて飛べるよ。
>それとも君は10トンぐらいするのか?」
>腹が減って、体調が悪くても人や馬を抱えるぐらいは造作もない。
>それにしてもちょっと失礼なことを言ってしまった。
>馬を右脇に抱えて、誓音を左脇に抱える。
>馬は嫌がって少し暴れたが、殺気を放って黙らせた。
>「それじゃ……行くぞ!!」
>漆黒のオーラを身に纏い、地を蹴って、空に飛び立つ。
>飛翔というよりは跳躍。
>崖の上に舞い降り、馬からゆっくりと地に降ろし、次に誓音、最後に自分が着地する。
>それと同時にぐぉおぉんと、大きな腹の音が。
>「もう駄目だ……近くにドラゴンとかいねえのか……ドラゴンの丸焼きが食いてぇ………」
>FALCONは何か食えそうな生き物がいないか、辺りを見回した。

(うちそんなに太ってるように見えるのかな…。)

と、ちょっぴし気にしたが、
「あはは。そんなにするわけ無いじゃないですか。んじゃお願いします。」
と言って頭を下げる。すると誓音は左脇に、馬は右脇に抱えられた。
もちろん気性の荒い馬は暴れる。
(全く…気性が荒いんだからなぁ…)
ファルコンの殺気を受けてもなお花太郎は威嚇状態だ。
ま、一度あの場所をくぐり抜けた馬だから怖い物知らずなんだろうけど。
「でもさ、そんなに暴力的な事ばっかしてたらまたあの場所に戻っちゃうよ。」
そうボソリと呟く。馬に聞こえたかどうかはわかんないが。

暫く飛んでもらい、がけの上に降ろしてもらうと、妙な音が鳴り響いた。
どうやらファルコンは腹を空かせてるらしい。
「この辺にドラゴン…えっと探してみますね。」
そういうと首もとの包帯を開き超音波を使う。
「…ドラゴンはいませんが少し行ったところに熊がいるらしいです。取ってきましょうか?」

21 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/22(水) 10:57:18
>14>16
間違いない、さっきまで死闘を繰り広げた相手だ。
突然道を塞がれて立ち往生してしまった、用心深い連中だな。
敵兵『何奴!?名を名乗れ!』
『・・・貴様に名乗る名は無い。』

素直に名乗るとでも思ってたのか、切り返されて一瞬唖然とした表情を見せる。
そしてすぐに怒り顔に。まぁ当たり前か。だが機先を制させてもらおう。

『俺の顔か、この刀に見覚えのある奴はいるか?』
いきなり訳の分からない事を言われて先頭の兵士はまた唖然とした。
すると、聞き覚えのある声と共に忘れる筈もない・・・鬼が出てきた。

『(鬼が出るか蛇が出るか・・・と思ったが、鬼の方だったようだな・・・。)』
『雑兵じゃ話にならん・・・あんた、俺の顔かこの刀に見覚えはあるか?』
一か八かの賭けの連続、一回目が始まった。

22 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/22(水) 11:19:25
アステラの台詞が『』なのにはなんか理由あんのか?
悪魔の声との二重音声だったりとかみたいな

23 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/22(水) 21:09:38
>16>21
風はだいぶ収まってきたけど雨はまだまだ続きそうだねえ。
辻斬りが先頭を見に行ったはいいが、隊列が動き出す気配もない。
さっさと帰ってひとっ風呂浴びたいところなのに、何がどうなっているんだか・・・。
まぁなんにしても待つしかないわけだけど、どうにも手持ち無沙汰じゃないかえ。
暖かいサエナミさん抱えているから居る事事態はそんなに苦にはならないけど、さ。
煙管でも吹かしたいところだが、ラックの雷で蒸発しちまったし。どの道この雨に傘も
無しじゃ無理な話なんだけどね。
・・・ラック、恨むよぅ。

ボヘーっと濡れ鼠なまま待っているってのも性に合わない。
止まった原因も気になる。これ以上面倒ごとはごめんなんだけどねい。どうにも嫌な
予感がするよ。
「こんなとき、今のあたしにできる事といえば・・・・」
ポソリと呟いて懐から道具を取り出すよ。
取り出したのは布と刺繍セット。
チクチクチクチク趣味に興ずる事にするよ。


24 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/23(木) 01:46:30
>9
重なる不安要素により、少し気を落としていたマックスに、誓音が励ましの言葉をかける。
先程の様な妙な恐ろしさを感じない台詞に、マックスは驚いた様な顔をする。
「(性格のヤバい子だと思ってたが……案外、この子は優しいのか?)
わ、悪ぃ。余計な心配をかけちまったかな? もう大丈夫だからさ、安心してくれ」
そう言って、誓音をじいっと黙って見る。
「ありがと、な」

>15
マックスは、カイザーからも励ましの言葉を貰った。
どうも先程の台詞は、相当に心配を買ったらしいな、と内心強く反省する。
「本当、すまねぇな。この通りまだまだ至らねぇ所だらけだけど……ああ、頑張ってみるさ。
……でも、たまには助けてくれよな。頼りにしてるからよ」
そう言うと誓音をチラッと見てから、また空を見上げる。
マックスの顔は笑っていた。とても、とても嬉しそうに。

前スレ>280 >8
「で、さっきから気になってたんだが、アステラとセシリ……アァ!?」
上空からセシリアが降りてきたのと、マックスの声が大きくなったのは、ほぼ、同時だった。
セシリアはアステラとは別行動をしていて、アステラの銀盤だけが見つかったらしい。
そして、魔王軍で内紛が起こっていて、逃げるならば今だと勧めた。
「アステラなら大丈夫だろう。アイツはそう簡単にやられるタマじゃねぇだろうさ。
(とはいえ、合流出来なきゃアステラは置いてけぼりか……上手く合流出来る事を祈るしかねぇな。)」

前スレ>282
「マリス! もし良けりゃ、これさ、水に溶かして飲んでくれよ。
ちょっと臭うし、苦いし、粘っこいけど、効き目に関しちゃ俺が保証する。
疲労回復、精力増強にはもってこいさ。魔法の事は解らねぇけど、結構力使ってるみたいだし……。
さっきもフラついてたろ? ほらっ、体には気を付けろよ」
そう言って深緑色の粉が入った小袋を差し出した。ちなみに、そのまま飲めば確実に吐くだろう。



「さあ! 罠とやらを外して脱出しようぜ! 罠の解除なら俺の出ば……」
言い終わる前にカイザーは光の弾を打ち出し、罠を次々と破壊していく。
レナスは巨大な鳥を空から喚び、FALCONは誓音と馬を担いで空へと飛んでいく。

マックスは開いた口が塞がらない。
「空から行くのか? ……ならば! 跳ぶかぁ!?」
誰に向かって聞いているのやら。さっきまでの弱気も吹き飛び、意気込んでいる。

本気で「跳ぶ」つもりらしい。

25 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/23(木) 16:39:42
>16>21>23
間延びた隊列が急に行き詰まり、エヴァンスは隊の後方から先頭の補佐官へ念話を送った。
砕けた念話装置はノイズ混じりで、相手の側へまともな言葉が伝わらない。
指輪の欠片を義手でぐっと握って頬に押し付けると、雑音も幾らか解消されて、どうにか連絡を取る。

「行軍が滞っている、どうした? ああ、少年? 剣を持って?
『顔か刀に見覚えの……』、何だそれ。仕掛けてくる様子が無いなら放っておけよ。
ん、『辻』が出た? なら今は任せとけ、私も直ぐ行くから」

闖入者がオーガス騎士の手の者ならいよいよ面倒が込む。
念話装置を仕舞って、背筋を伸ばしたついでに大欠伸をし、コートの襟に隠れた灰色のフードを引っ張り出して頭に被る。
一向に再開する気配の無い行軍を見越してか、馬上で内職を始めるシズネへ
「敵か味方かまだ分からんが、道のど真ん中で立ち往生してる奴が居る。
追っ駆けに来たファンにしちゃ妙な感じだ、この分じゃ限り無く黒に近い灰色って所でさ。
当座『辻』が相手してるらしいが、さっきみたく説得を試みられたんじゃ好い加減時間が無いし、乱心されたらもっと敵わん」

腰掛けていた騎馬の手綱を執る兵を下ろし、自ら馬を駆って隊の脇へ移った。
「一応、様子見に出て行く。ケツ持ちは任せるから、言うまでも無いが挟撃を警戒しといてくれや」
そう言い残すと早々に馬を走らせ、列の先端へ向かう。

26 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/23(木) 20:19:22
>25
刺繍に興じていると、エヴァンスさんがやって来た。
エヴァンスさんも様子を見に行くって言うじゃないかえ。
自ら様子見とは、ちょいとあたしゃのんびりしすぎたかねえ。
この刺繍が仕上がっても動かないようなら行こうと思っていたんだけど・・・。
「そうだねえ。はやいとこ風呂に入りたいってのに足止めは御免こうむりたいものだよ。
面倒かけますがよろしくお願いしますえ。」
ま、怪我人抱えて魔力もほとんど残っていないあたしがいくよりゃマシってものかね。

「さて、殿を任されちまったけどねえ・・・。
ちょいとそこの長槍持ってる四人。見たところあんたら魔力が高そうじゃないかえ。
こっちおいでよ。」
とりあえず人足は確保しておいて・・・刺繍の仕上げにかかろうかね。

27 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/23(木) 22:55:34
>23>21>25
何事かと先頭へ抜けて見えた光景、その光景を見て思わず唖然。
なんと小さな人間の小僧が隊を止めているではないか。
「ナンや・・・どうなッとんのヤ?」
近くにいた亜人に問掛ける。
『い、いえ俺にも何やら・・・グウ!?』
亜人は慌てたように言葉を返したが、それは最後まで言う事は・・・出来なかった。
目前の大柄な武者に首を掴まれたのだ。亜人の顔は見る見る内に血管が浮き上がり、顔色が紫に変色して行く。
「ンな事ァ聞いトらん・・・・・・ワシャ何で止まッたか聞いトるンや?アア?」
発された声は感情も何も感じさせない、酷く冷たさを含んだ声。
徐々に力を加え絞め上げながら亜人の体を片手で持ち上げ、そして・・・

「こノォ・・・ド阿呆がァッ!」
口頭部から地面に叩き付けた。
痛々しい衝撃音と共に弾む亜人の体、死んだかと思ったが時節痙攣を起こしているのを見ると多分生きているだろう。
前を向き直り訪問者へとゆっくりと近付き出した。

「オウ、オマエ等は退いとキ。無駄な時間賭けさせるンやないワ。」
その命令と同時に若僧の周囲から一斉に部下が退く。
部下には嘲笑を浮かべるもの、怒りが収まらないもの、ビクビク震えるもの
様々な感情が渦巻いてるようだが黙殺することにする。

さてと相手を見やる。女はような顔立ちだが・・・
感じる闘気、力は至って普通の人間のそれではないか。
何だ『只のガキ』か・・・
――――沸き上がる落胆と怒り
「・・・・・・小僧中々威勢がエエなァ。
こない大人数に喧嘩売るとはのォ、オマエ気狂いカ?ゲヒャハ!」
冷笑と問掛け。
「デ・・・『屍』晒す覚悟はエエな?小僧。」
刀を抜いた――――笑いが消えた。

次の瞬間、首を取りに踏み込むつもりだった、しかしそれは出来なかった。
相手の問いによって。
「オマエ・・・その刀ァ何でオマエがもっとルんヤ?」
相手の顔は知らない、しかし相手の獲物・・・
先に刃を交えた化け物の刀と良く似ている・・・しかし持ち主の気は明らかに違う存在なのだ。
思わず完全に斬りかかることを忘れてしまった。
しかも突如後ろの兵達が騒だす。
どうやら「大将」自らがご出陣のようだ。


「チッ・・・エラァ遅いンとちゃいますか。大将?」
ポツリと言葉が出た。

28 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/23(木) 23:21:09
 巨鳥の背に跨るレナス。
 いつも歩いてばかりいたので、顔に当たる風がとても気持ちいい。
 ・・・と、ここで一つ疑問が。
 とりあえず周りの動きに合わせてみたものの、これからどこへ行くんだろうか。
 進軍するのか、それとも一旦撤退するのか。
 その辺がはっきりしなければ、方向を定めることもままならない。

 そこでさっそくリーダーへ問う。
 鳥の高度をやや落として・・・
 「ねぇ、マックスー。これからどこ行くのー?
  城に一旦帰るの?それともまだやることがあるのー?」

 ――けっこう大声で叫んだけど、聞き取れたかな?

29 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/02/23(木) 23:30:23
>21>23>25-27
ベリアールが撤退中の『デビル・ラン』に接触したのは、
ちょうどアステラが部隊の動きを止めた時だった。だがエヴァンスが動くとは
思わず、エヴァンスのいた位置を転移座標に指定してしまったために
部隊後方に出てしまった。サタンの使いである事を告げ、エヴァンスを追って先頭へ行く。
そして、ごたごたの原因である現場へと割って入るのだった。

「こちらにいらっしゃいましたかエヴァンス殿。
 私はサタン様の使いに御座います、サタン様からの伝言をお伝えします。
 直ちに部隊ごと王都に帰還せよとのことです。道中お供いたします。
 ……そちらの人間については道すがら聞かせてもらいましょう。
 今は一時も無駄にできませんから。『辻斬り』殿も、そちらの人間もよろしいですね?」

実に柔和に話してはいるが、有無を言わさぬ雰囲気を醸し出している。

30 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/24(金) 10:25:24
>8
声をかけたセシリアは自分の体を見回しこう言った
「ああ、無事だ。心配ないよ」
その後、新しくやってきた二人に歩み寄り、自己紹介を始めたようだ

…しばしほうけていた(ほうけるな)後、呟いた事がセシリアの耳に届いたらしく、セシリアは二つの銀板を取出しながら説明する
>「アステラは……分からない。これが見つかっただけだ」
>「恐らく別の方向から先に離脱しているだろう。……我らも後を」
…セシリアの周囲に大気が集まってるように感じる
「わかりましたわ〜」
マリスはアステラが無事らしい事がわかって安心した。
「それでは後ろに向かって前進ですわ〜」

>9
誓音はマリスをまじまじと見つめていたようだ
とりあえず微笑みで返すマリス…相手が心の中で何を思っていても、見つめられたら微笑むのが日課になりつつある少女であった

>15
>「…じゃ、そうと決まればこんな場所からは とっととオサラバしようぜ。」
突然(マリスには感じた)カイザーはこう叫ぶ
>「ブレンテル流、弾丸の技!―――聖闘気圧縮弾!!」
カイザーの拳から光の塊が撃ち放たれ崖へと向かう
…罠を壊しているらしいが、マリスは異国から送られてきた点火飛翔ハナビなる物を思い出していた
「綺麗ですわ〜」
…カイザーは遊びでやってるわけでは無いのに、そんな感想を述べる

>17
レナスは胸の前で手を組みながら目を閉じ、何やら念じはじめる
マリスが不思議そうに首を傾げていると、雲が割れた何かが飛び出してきた
「鳥さんですわ〜」
…間違いないのだが、当人(鳥?)が聞いたら絶対怒られそうでありました
そうこうしてるうちにレナスは巨大鳥に乗って舞い上がっていく

>18
綺麗な頭のFALCONは誓音と馬を抱えて空を飛ぶ…
「すごいですわ〜…」
何がどうすごいと解釈したかわからないが、とにかくFALCONはすごいと言う事は改めて認識した

>24
「マリス! もし良けりゃ、これさ、水に溶かして飲んでくれよ〜(中略)さっきもフラついてたろ? ほらっ、体には気を付けろよ」
そう言ってマックスは深緑色の粉が入った小袋を差し出した。
「マックスウェル様、ありがとうございますわ〜」
マリスは受け取るが、今は水が無いので後で飲むべくしまいこむ


>「空から行くのか? ……ならば! 跳ぶかぁ!?」
撤退するためにマックスは空へ向けて跳躍するらしい


ここでふと気付く…
「私は空を飛べませんわ〜」
…当たり前ではあるのだが、他に方法もある。補助魔法に身体能力増強があるのでそれを活用する方法が
しかし運動神経は無いと言っても良いようなマリスの身体能力では高い効果は望めない上に、使用後は極度の筋肉痛を伴うので使えない
すなわちピンチである

…突然マリスは手をポンとたたくとセシリアの元に駆け寄る。飛んでいくなら自分を抱えてくださいですわ〜。と言うつもりだ
すでにセシリアが飛び立っているなら、これは無理なのだが…

31 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/24(金) 15:21:25
>27>29
交々の人魔どもに混じって一際目立つ「辻」の後姿と、隊の前に立ちはだかる黒髪の少年。
二人を見定めると、エヴァンスもまた兵隊を進路の左右に退かせて前へ出る。

>「チッ・・・エラァ遅いンとちゃいますか。大将?」

「貴様が出たと聞いたから、鼠の一匹くらい任せても平気とだ思ったんだがな。
何故斬らん。知り合いか? おい、こっち向け餓鬼。顔見せてみろ」
言いながら、少年の中性的な顔立ちと華奢なシルエット、何処と無くやさぐれた風体、掲げる一物を、
未だ記憶に新しい「ジェミニ」の報告書と照らし合わせる。

書類の記述を逐一暗記する程まで頭に叩き込んでおいた筈のオーガス騎士の情報は、
今回ばかりはとんと役に立たなかった訳だが――この少年に関する情報は、その限りで無かったようだ。
「……アステラ・リオーヌ。貴様の名だ、違うか?」
エヴァンスは、彼の剣も技も知りはしないが、容姿と通り名だけならジェミニ・スパイの潜入捜査に抜かりは無い。
「わざわざ追っ手とは御苦労」
機械の腕が強い紫色に輝き、臨戦体勢を取る。
が、背後に感じた強大な魔力の気が先制攻撃の気勢を削いだ。振り返ると、腰の低い上級魔族が歩み寄り

>「こちらにいらっしゃいましたかエヴァンス殿。
> 〜今は一時も無駄にできませんから。『辻斬り』殿も、そちらの人間もよろしいですね?」

「出世の方に転がったかな」
サタンの使いと名乗る魔族も幾らか覚えのある顔だが、名前までは引き出せない。
男は間抜けたタイミングで現れ、アステラを抑える役目は「辻」一人に回る。
伝達や要求は口早に、視線は黒髪の少年から逸らさない。
「生憎とそっちの『人間』は良くない。
それとオーガス城へ直接向かうのは構わんが道中で補給が必要だ、なるべく早く」

32 名前: ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/02/24(金) 19:54:36
>21>23>25>26>27>29>31

不穏な空気が流れている中でも気を失った冴波は意識を取り戻す様子はない。

シズネの腕の中にいる冴波、見た目はただ普通の女性と変わりはない。
だが、その姿を魔力から見れば異常さが分かる。外見からはそこに一人しかいない。
だが、魔力の上では4人そこにいる。
冴波のもの意外はあまりにも微弱ではあるが、そこに確かに3体別種の魔力を持っていた。

「ん・・・ふ・・・ぅう・・・。」
急に冴波の顔が険しくなりはじめた。別段体に異常は見当たらないが・・・。何か悪夢でも見ているような。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
真っ白な空間、窓も無いがその空間はかなり広いと思われる。
そう・・・野球場位には広い真っ白な空間。そこにいる『 』。
声だけが聞かされる。

「よぉ、起きたか?我が娘。」

・・・あぁ、最悪の目覚めだな我が母よ。

「ははは・・・・・・その口が利けるんなら上等だな。」

・・・何が起きた?というか全身が動かないんだが。

「あん?あぁ・・・まぁ・・・その・・・あれだな。」

口ごもるとは珍しい。あの戦はどうなって・・・。

「やっぱり優秀だな、すぐ気づいたか。」

お前は誰だ!?なぜ『母』などと・・・!

「分かった。教えてやる・・・。『 お  前 は も う 死 ん で い る ん だ よ 』。『氷の魔将』さん?」

走馬灯のように回る記憶。回る螺旋、回る世界、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる・・・・・・
煌く光、断片的な記憶、怒号を放つ騎士、紅に染まった視界、崩れ落ちる城。哄笑する私。『 』。
違う!これは・・・『私』の記憶じゃない!・・・じゃあ、誰だ?この『私』は誰なんだ!?

[・・・・・・つまり、お前は『 』なんだよ。]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シズネが声をかけた兵士の傍にいた兵士の一人がシズネの後方を指した。
「・・・ぁ・・・あれは・・・?何だ?」

草を踏みつけにして、足音も無く森から現れたのは一頭の獣。その口に紅に染まった剣を咥えている。
そう・・・アレはラックが持っていた剣と酷似している。この獣は何なのか?
獅子には見えない、虎でもない、狼でもない。がっしりとした体躯の四足獣。
馬程の体高はなく、青銀色のしなやかな体と毛並みを持つソレには2本の角が生えていた。

「・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。」
ゆっくりとシズネの馬へと歩み寄る獣。ターコイズブルーの瞳をシズネと抱えられた冴波に据えて近づいてゆく。

33 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/24(金) 21:24:36
>29
刺繍も終わった事だし、まあ特に何もすることはないんだよねえ。
なんて思っていたらイキナリ上級魔族が現れて、一言残してエヴァンスさんを追う様に
行っちまったよ。
「あれまあ、魔王からの使者ってのはもっと仰々しいもんだと思っていたけど、なんとも
慌ただしいこったねえ。」
驚いて口に出ちまったが魔王からの直接の使者だ、ただ驚いていられるほど簡単な事
態ではないわねえ。何があったか気になるし、念話装置に耳を当てておくよ。

>31
ここに至って先頭で揉めているのがなんなのかなんて、それドコロじゃないわね。
コトの推移を整理してずらっと計算・・・
「お話うかがわせて貰いましたよ。一時も惜しいのなら最短時間だね。
王都まで部隊で移動すれば数日の日程。
現在の部隊の被害状況、怪我人の度合い、疲労度を込みで計算しますと・・・一旦基地
に帰還。一晩休憩を入れて再編・出発した方が早いね。
このまま強行軍で直接赴くより丸一日は速く着く勘定になるよ。」
念話装置でエヴァンスさんに報告する。
このまま怪我人や足の遅い砲を連れて行くよりは早いってもんだ。距離的にもたいした
寄り道でもないし、何より風呂も入らず行くなんてありえないじゃないか。

>32
報告も終わって仕上げた刺繍を懐にしまっているとサエナミさんが呻いてるよ。
はて?疲労困憊ではあろうが傷はなかったはずだがねえ。
だけど注意を払ってられるのも僅かな間だ。後ろから見たこともない獣が剣を咥えて寄っ
てくるじゃないか。
「うろたえるんじゃないよ、たかが獣じゃないかえ。」
『たかが』な獣じゃないんだろうけど、そうでも言わなきゃいられないからねえ、立場的に。
そっと懐にしまったばかりの布を取り出して寄ってくる獣を見据えるよ。

34 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/24(金) 23:19:05
腕から次々に放たれていた光の弾丸は止まる。
罠を全て破壊したのである。

「まあ、こんなもんだろ。…さてと」
カイザーは指で輪を作り、それを口に咥えて口笛を吹く。
数秒後、翼の羽ばたく音と共に曇った空の合間を縫って白馬ペガサスは大地に降り立った。

「良く来てくれたな。俺をあの崖の上に連れて行ってくれ」
「ええ、分かりました。」
ペガサスに騎乗しようとした時、まだ仲間内に飛べない者が崖下に残っている事に気付いた。

>24>30
>「空から行くのか? ……ならば! 跳ぶかぁ!?」

「…随分と面白そうな事を考えてるな。」
聳え立つ崖を物ともせず闘志むき出しのマックスに、カイザーは思わず呟いた。

>「私は空を飛べませんわ〜」
マリスはセシリアの下へと駆け寄っていた。
(セシリアは精霊の力を借りて飛べるらしいが、多人数に使用できるのか?)

カイザーは、振り向きペガサスに話しかける。
「ペガサス、お前は何人まで乗せて飛べることが出来るんだ?」
「そうですね〜。僕の体重が800kg程なので、その半分ぐらいまでは乗せて飛ぶ事はできますよ。」
普通の馬よりも巨大な天馬だけあって、積載量も段違いのようだ。
「分かった、それだけあれば十分だ。」

カイザーは、周りにいる仲間に話しかける。
「飛べない奴はこのペガサスに乗ってくれ、今なら全員乗っても片道一回で済むぜ。」

マックスとマリスが乗るのならば、
二人を馬の上に乗せ、自分はペガサスの角にぶら下がって行こう。
…などと、いらぬお節介を考えているカイザーであった。

35 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 00:51:34
>30>34
セシリアの提案に対しまずカイザーが動き、崖を崩す。
この規模なら恐らく十分な範囲の罠を破壊できているだろう。
ほかの仲間もそれぞれに行動を起こしている。
予想通りというかなんと言うか、真っ先に飛び出したのはFALCONだった。
誓音とその乗騎を抱えて一気に崖の上へ到達する。
レナスも召喚術で巨鳥を呼び出しそれに乗って飛び立った。
マックスは跳ぶと言っているがまさか一足で飛べるわけもなく、
崖の途中で跳躍をくり返して上に行くつもりだろう。
しかし足場の安定しない崩れた崖の上を跳ね回って間違いが起きないとも限らない。
マリスは……正直なところ何をどうすれば独力で上にたどり着けるか想像できない。

セシリアは近寄ってきたマリスの手を引いてマックスの元へ歩み寄る。
槍を放り投げてマックスの手も掴んだ。ブーツに付いた一本拍車のような金具を
マントのすそに付いた金輪へ引っ掛け、その状態で風を起こす。
「あまり動かないでくれよ」
固定されたマントが大きく風をはらみ、三人を一気に崖の上へと押し上げた。
放り投げた後上空を旋回していた槍を手元に呼び、森へ向かって投げる。
竜巻を引きずって飛翔した槍は、罠ともども木々をなぎ倒し、道をこじ開けた。

崖の下ではカイザーが天馬の背に跨ってこちらへ上がってくるところだった。
(……一人運んでもらえばよかった)
やはり二人運ぶよりは一人のほうが楽だ。
視線を少しずらすと、完全に破壊された砦、というよりは砦が有ったとも分からぬほど変容した大地がありありと見て取れた。
「およそ軍勝五分を持って上となす……か」
勝利による驕りを戒める言葉だ。魔方陣は破壊した。敵騎兵団にも打撃は与えた。
こちらの「損害」は仲間一人だ。なるほど勝利といっていいだろう。
しかし、拭い去れない感情がセシリアの中にあるのも事実だった。

36 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 03:32:14
>28
上からレナスの声が聞こえる。これから城に帰るのか? それとも、他にやる事があるのか?
という質問だ。次は無論、第四魔法陣を破壊する予定だ。
マックスは息を大きく吸い込むと、そらに向かって超大声で叫んだ。
「次はなぁ! 第四魔法陣をぶち壊しに行くぞぉ! 場所は……」
腰の布袋からガーオスペーパーを取り出し、第四魔法陣の場所を確認する。
「砂漠だ! 南西にある砂漠に向かおう!!」
これなら他のメンバーにも聞こえた……筈である。

>30>34>35
ふとマリスの方を見ると、薬に対してのお礼を言われる。マックスは無言で微笑んだ。

マリスが自分は空を飛べないと言っている。抱えて行こうかと、そう考えて居た時、
マリスはセシリアの方へと歩き始めた。マックスは声をかけるチャンスを失い、その場に立ち尽くした。

そこにカイザーから声をかけられた。ペガサスで運んでいってくれるとの事だ。
跳んでいくよりは、遙かに安全で楽である。言葉に甘えようか、そう考えていた。
「よっし、そんじゃまお言葉に……ん? セシリア?」

セシリアがマリスの手を引いて、こちらに近付いてくる。
「な、何だぁ? えっ、ちょ……うおわぁっ!」
セシリアに手を引かれ、共に空に飛び立つマックスとマリス。
「……いきなりだったなぁ……驚いたぜ、流石に」
そう言ってセシリアの方を見る。斜め後ろからでは、顔が少ししか見えない。
「男勝り……流石はセシリアだぜ」
勿論、マックスは褒めるつもりでそう言ったのだが、セシリアにはどう聞こえただろうか。

暫くしてから、狩りの時の目で地上を見渡す。もしかするとアステラが居るかもしれないからだ。
しかし、アステラは見つからない。マックスは、「無事で居てくれ」と心からそう思っていた。

37 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 20:56:52
>35
>固定されたマントが大きく風をはらみ、三人を一気に崖の上へと押し上げた。
「………よし、乗客はゼロだな…とっとと崖の上に行こう。」
「…え、ええ」
ペガサスは背から突き出す2枚の翼を羽ばたかせて舞い上がる。
そして崖上に着地し、カイザーは馬上から降りた。
「いきなり呼び出して悪かったな、これで用件は終わりだ。」
「分かりました。それじゃ、何かあったらまた呼び出してください。」

ペガサスは大地を蹴り、空へ飛ぶ。
ペガサスの姿は数秒で雲に紛れ、そして姿を消した。
その直後、上空から蒼いマントがフワフワと舞い降りてきた。
「代えのマントまで持ってきてくれていたか。」
カイザーはそれを掴み、鎧の肩の部分に装着する。


(アステラめ、生意気な小僧だが…
 お前には、まだまだ学ぶべき事があるのだからな。…向こうで待ってるぜ)
カイザーは振り向かず、先の砂漠のある方角を見つめていた。

38 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 21:49:58
>20>28>35>37

誓音が首の包帯を開く。
ドラゴンを探すと言っていて、彼女の探索法の一つが超音波なのだから、
首から発射されたのが超音波なのだろう。

>「…ドラゴンはいませんが少し行ったところに熊がいるらしいです。取ってきましょうか?」
「俺が取ってくるよ」
FALCONはその場から消えた。
正確には消えた様に見える程のスピードで熊を取りに行ってきたのだが。
消えてから三秒後。
FALCONは熊を片手にパッと現れた。
その場でFALCONは刀を使って解体。
そして、調理。
肉を捌いて、魔法で出した炎で焼くだけの簡単なもの。
調味料は一切ない。
マックス達が崖上に来た時には、全員の分が焼き上がっていた。

「みんな!!!食事の時間だぞ!!!」
大声で全員に呼び掛ける。
ちゃんと皿に野草と共に盛り付けられている。
ちなみにこの皿はFALCONがその辺の岩を削って作った簡素なものだ。
野草も貧乏だった時代に覚えた食べられるもの。
FALCONは仙人の元で修行していた時に、生き残る術として自分で覚えたのだ。

一人一人に食事を手渡し、自分も近くの手頃な岩に座り、食べる。
少し量は足りないが、貴重な肉。味わって食べる。
次の日からはまた激しい戦いが起こる。
だからこそ英気を養う為に、食事は大切なのだ。

39 名前:??? ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 22:09:10
>33
獣はシズネの馬からある程度の距離まで近づくと、大地に座り込んだ。
首を振るようにして飛ばした剣は地面に刀身を突き立てた。
獣はシズネの布にも何ら警戒する様子を見せない。獣としてはあまりのもふてぶてしい態度である。

<・・・。茶番だとは思わないか?>
シズネの頭の中に声が響く・・・。そう、これは『テレパシー』だ。

<こいつは、自分の手で一度世界から生命を駆逐したことがある。>
こいつとは冴波のことだろうか?

<生命とは、すなわち人間に限定するもではない。獣や植物、カビのようなものまでもだ。>
<・・・。だというのに、ほんの一人似たような者がいただけでこうも簡単に己の身を削るような行動をとった。>

「う・・・く・・・ぁ・・・や・・め・・・。」
呻く冴波、冷徹な視線を変えない獣。
<『鍵』にしてはずいぶん人間味が強いものだ。まぁ、どうでもいい話だろうがな。>
<自らの利益の為だけに行動し続けていれば、己が不利な状況にはならないだろうに。そうは思わないか?>
<まぁ、どちらでもいい話か。こいつが他に身を任せておくなどとは予想もしなかったよ。>

<別段『扉』を開く訳でもなし、私はこの争いの行く末を静観させてもらおうかな。>
獣は地面に身をよこたえて、微動だにしない。ただ、その目を冴波に据えたまま。
語る言葉は何を意味するのか、それは冴波でさえもすべては知らない。

<この娘について、聞きたい事があるか?>
獣は問う。無表情ではあるが、なぜか愉快そうだった。

40 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 23:17:47
>39
近寄ってきた獣はやっぱり『たかが』ではすまない獣のようだったねえ。
頭に直接響く声。
世界そのものを滅ぼした・・・?
どうにも埒外の世界の話のようだが、サエナミさんについて色々知っているようだ。
とりあえずは危険もないようだけど、一体何者なのかね、この獣。

「お前さん只者じゃないねえ。色々面白そうな話を知っているようじゃないかえ。」
テレパシーで言葉を流し込んでくるのだから勝手に思えば相手にも伝わるのだろうけ
ど、あえて声に出して応える。
笑みをこぼしながら獣を見やるが、その表情が妙に癇に障るじゃないか。
「サエナミさんが昔どこで何をやってきたかなんてどうでもいいね。
聞きたい事は直接聞くし、あたしに聞かせる事があれば冴波さん自身が語るだろぅ?
あたしゃ他人経由で人様の事を聞き出すような真似をするほど野暮でないよ。」
馬上から獣を見下ろしながら啖呵を切って布を懐にしまう。

さて、綺麗に啖呵を切ったのはいいが気にならないといえば嘘になる。
勝手に垂れ流して頭に響く分には構わないが、それを期待するのもさましいもんだ。
ってコトでちょいと言い方一つ変えさせてもらうかね。
「それより、お前さんは何者なんだい?」

41 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/25(土) 23:18:03
>36>38
>「俺が取ってくるよ」
「え?お疲れじゃ…」
そう言いかけたときにはもうファルコンはいなかった。
そしてほんの数秒後ファルコンは熊を抱えて現れてきた。
(……スーパーマン?)
ぼけーとファルコンのハイスピードな狩りの帰りを見てると今度は肉を調理し始めた。
まるで自分の出る幕なしの仕事の速さに感心する。
が、このまま自分の出る幕なしじゃただ邪魔になりに来たようなもんだから熊の他に少し大きめの猪を狩って一緒に焼いてもらう事にした。
(…あの人数じゃまだ少ないかな?)
なんてのんびりファルコンの手際の良さを見ながら思ってる遠くから聞いたことがある声がした。
>「次はなぁ! 第四魔法陣をぶち壊しに行くぞぉ! 場所は……」
>「砂漠だ! 南西にある砂漠に向かおう!!」
(…砂漠ですか…)
魔王軍との戦いの予感に一瞬うずっと自分の中身が疼く。
それが逃げ出したいという衝動なのか殺したいという衝動なのか解らないが…。

暫くすると次々とマックスやセシリアなどが降りてきた。
ファルコンがくれた食事を頬張りながらマックスに聞く。
「…砂漠に行くらしいですけど第四魔法陣の周りの詳しい情報ってないんですか?」

42 名前:??? ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/02/26(日) 11:50:59
>40
<中々に律儀なものだ。まぁ・・・興味など持つ必要があるほど面白くもないだろうな。>

<そう・・・この身が何者か、か。なに、置き去りにされたので出張ってきただけのことだ。>
と、獣の輪郭がぼやけはじめた。ぐにゃぐにゃとスライムのように形を崩していく獣。

<移動する為に便利な形をとっていただけでな。この形なら分かるか?>
その変形の果てに出来たのは・・・冴波の持つ大剣であった。

<私の本質を問うというのならそれこそ野暮というものかもしれん。>
<私はただの『鍵』の付属品だよ。『扉』の一部でありながら『鍵』なのだ。>
<魔族と呼ばれる者達が住む魔界というものが、この世界にはあるそうだが・・・。>
<それとはまた違う地獄。私は『終焉』への『扉』を開く『鍵』なのだ。>

<はてさて、此度はその女は『扉』を開くのか・・・。>
大剣となった獣は、微動だにしない。

「ぅ・・・ぅぅ・・・・・・。」
冴波の呻きも収まった。が、まだ起きる様子はない。

<とりあえずあの雷を操る者の剣も持ってきた。ただそれだけだよ。>
<先頭での不穏な気配は止まないな。とりあえず持っていってもらえると助かるのだが?>

43 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/26(日) 14:09:52
>27>29>31
鬼は自軍である筈の兵士を叩きつけた。
時折動いてるから生きてはいるんだろうが、ほっといたら死ぬな・・・
一度戦ったきりだが、誰に対しても容赦のない奴。

>「オマエ・・・その刀ァ何でオマエがもっとルんヤ?」
さすがに抜け目が無い、この刀はさっき自分が戦った相手が持っていたものと
よく似ていると気付いたんだろう。あまりの茶番臭さに口元を歪ませてしまう。
だが笑みになるとまずいので苦々しい表情に修正する。嘘に真実味を持たせる演技。

『・・・そうか、あんたは『奴』とやりあったんだな。
 それなら話が早い、俺は・・・』

>「……アステラ・リオーヌ。貴様の名だ、違うか?」
本題に入ろうとしたら、この部隊の大将らしい男が出てきたが・・・餓鬼と言われ頭に血が上る。
だがここで余計な騒ぎを起こしてはわざわざ袂を分かってまで接触した意味が無い。
ぐっと堪えて(表情には出さない)言葉を返す。

『名を知っているなら更に好都合・・・追っ手、か。
 生憎、俺はあんたが言うようなモンじゃない。確かにアステラは俺の名前だ。
 だが、“俺だけの名前”じゃない・・・俺の、双子の兄もアステラだ。』
聞く気を起こさせられるか、どうにも大将相手には自信が無いが・・・
それでもここまできた以上やるしかない。いよいよ、自分でも馬鹿げてると思うような
嘘八百を並べ立てる時が来た・・・と思いたい。

>今は一時も無駄にできませんから。『辻斬り』殿も、そちらの人間もよろしいですね?」
ところがいきなり現れた“サタンの使い”を名乗る魔族が割って入ったせいで
肩透かしを食らった。行軍を止められてる事が余程まずいのか、詳細を道すがら聞かせてもらうと
言い出している。それに大将が異を唱えた。用心深い相手は嫌いだ、優柔不断と紙一重だから。
少々の焦りを抱きながら(勿論悟らせない)相手の出方を待つ事にした・・・。

44 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/26(日) 23:48:01
 崖上へ向かうところ、重要なことに気がついた。
 鎧を放ったままだった。
 あの時は仕方がなかったとはいえ、あのまま置いておいては配置してくれたトール神に失礼に当たるというものだ。
 方向転換をし、鎧を取りに行こうとしたとき・・・香ばしい香りがしてきた。
 ――何かを焼いている匂い。
 そういえば最後に食事をとったのはいつだったろうか。

 >38
 見ると、FALCONが何やら肉のような物を焼いているのが見えた。
 >「みんな!!!食事の時間だぞ!!!」
 ・・・敢えて何の肉かは聞かないでおくことにする。
 「う・・・にく・・・、でも・・・鎧・・・。」
 食欲と理性との激しいデスマッチ。
 勝ったのは・・・食欲でした。
 ”空腹は最高のスパイス”
 そんな名言よろしく、いろいろ食べ歩いた中でも、この肉が一番おいしかった。

 >36
 魔法で生み出された炎を囲い、夢中で肉をほお張っていると、後ろからマックスの声が聞こえた。
 >「次はなぁ! 第四魔法陣をぶち壊しに行くぞぉ! 場所は……」
 >「砂漠だ! 南西にある砂漠に向かおう!!」
 取り出された地図を見ると・・・なるほど、砂漠の真ん中に印がつけてある。
 ここが目的地のようだ。
 「なるほどね・・・
 で、さっきの精鋭部隊とやら・・・また出てくると思う?
 あと、さっきの敵部隊にはどれくらいの打撃を与えることができたんだろ。
 そこのあたり、誰か教えてくださいなー」

 ――鎧はひとまず後回しにすることにした。
 なんでって?
 そりゃぁ・・・花よりなんとやらって奴ですよぉ。

45 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/02/27(月) 14:41:44
>31>43
エヴァンスがごねる。人間は良くないと。

「戦の後です、気が立っているのは仕方がありません。
 しかし……徒に事を荒立てるのは紳士淑女のする事ではありませんよ?
 人間には人間の事情があるでしょうし。補給については必要な時間と取りますが、
 今ここで立ち往生しているのは明らかに時間の無駄です。
 どう処置するにしてもとにかく部隊を動かす事がサタン様の望まれる事なのですよ。
 お分かりですか、エヴァンス殿?……それとも、その昂ぶり、今ここで私が鎮めて差し上げましょうか?」

相変わらず有無を言わさぬと言った調子だが、なにやら妖しげな事を言い出す。
同時に雰囲気も微妙に変化……しかけて、アステラへ話しかける。

「そちらの少年、我々と共に来てもらいましょう。
 なにやら話したがっているような顔をしていますし、子供の話に
 耳を傾けるのも大人の仕事ですから。いいですね?」

46 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/27(月) 17:11:35
>33>43>45
念話装置からシズネの進言を受けた。上級魔族の顔色を軽く窺いながら
「そこんとこ、偉いさんに掛け合ってみるさ」
装置をコートの懐に突っ込む。

>『名を知っているなら更に好都合・・・追っ手、か。
> 生憎、俺はあんたが言うようなモンじゃない。確かにアステラは俺の名前だ。
> だが、“俺だけの名前”じゃない・・・俺の、双子の兄もアステラだ。』

「双子の兄貴、ねえ……」
しかめっ面の少年が返した、胡散臭い話は一先ず脇に置く。
サタンの使いがやたらに急かすのが面白くないが、エヴァンスにしても時間の無駄は重々承知している。
中隊長二人をむざむざ死なせては後に響くのだ、適切な治療を施すにはシズネの手際に上乗せ出来る設備が欲しい。
悪天候と補給の遅れが相乗しての、部隊の疲弊も心配だった。アステラに言う。

「どうでも良いが道を空けろよ、進めないだろうが。
貴様の本題はこっち、サタン様代理が聞いてくれるとさ。ウチの部下にこれ以上、三文芝居の付き合いをさせてくれるな。
『辻』、そいつを斬り損なって残念でなければそういう事だから、行軍再開。持ち場に戻れ。

一度方面軍基地に戻ろうという意見が出てるんだがね、どうかな?
相応の補給と病院が今晩中に用意出来るなら、直進でも構わんよ。それとその餓鬼は同盟軍だ。
元オーガス軍人の私が言えたクチじゃないが、全く寛大なお方だな」
馬を歩かせ、隊の先頭を執った。アステラ、サタンの使者、「辻」の三人から反対が無ければ、隊を動かす。

47 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/27(月) 20:37:09
>29>31>45>46
目の前の小僧はワシと向き直っても、怯まずに淡々と事を告げる。
何分、我が身とて見る分にしては、不快または恐怖の対象と映る筈である
その問いに予測できる答え、それはそれなりに戦を経験しているのか『見慣れている』事だろう。
そんな事影で思いつつも、抜身の刀を肩に掛けながら、相手の話に耳を傾けた。

>『・・・そうか、あんたは『奴』とやりあったんだな。
> それなら話が早い、俺は・・・』
>「……アステラ・リオーヌ。貴様の名だ、違うか?」

小僧の問いが本題に入るかどうかの瀬戸際、エヴァンスの大将の横槍がそれを遮る。
思わず漏らす軽い舌打ち、いつもながらタイミングが非常に悪い男よ。
シズネと言い大将と言い、『口車』の上手い奴はどうも苦手だ。

>「貴様が出たと聞いたから、鼠の一匹くらい任せても平気とだ思ったんだがな。
>何故斬らん。知り合いか? 
続いてエヴァンスの口から出た我が身に対しての問い。
「……ククク、いやァこの『小僧』の問いに頭を捻ッとった所ヤ。
先程『逃がし』た獲物ヲ知っトる素振りやったからノぉ……ちと二の足踏ンでしもうたさかイに。
本来なラ、殺して首もッて悠々と後ろへ戻ッとる所ヤで、ホンマに。」
苦笑したような口調、しかし愉快そうににも聞える、果てまた怒りを含んだ物言いとも見える。
表情が出ない故に真意は定かではない。
「まア………斬捨てるンも『御預け』やナ。」

先程からまだ後ろが騒がしい、思わず言葉を濁す
誰かが来るようだ、シズネか?冴波か?もしやラックか?
―――――しかし予想は大きく斜め上を通り過ぎていった。

来たのは高等魔族。だがただの高等魔族ではない。
オーガスの城に出向いた時や、特攻隊長に抜擢された時に幾度と無く見た顔。
まあ記憶の思い違いかもしれないが、サタンの使いである事に違いない。

48 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/27(月) 20:41:17
>今は一時も無駄にできませんから。『辻斬り』殿も、そちらの人間もよろしいですね?」
堪らずエヴァンスの大将が反論をしているようだが、そこらは手馴れた様子。
あのエヴァンスが上手く言い包められてしまった、
まあ通信機を使ったところを見ると、シズネからも進言か何かがあったと見て違いないだろう。

大きく一息付いた。ゆっくり息を吐きサタンの部下とエヴァンスを見やる。
「そウかい・・・サタンの親父ガ、必要言うナらワシャ何もいわへン。
ワシャ文句は無い、アンタに任すデ、エヴァンスはん
それに……、久々に見た面ヤさかい、つのる話も付いてからヤな。」
懐かしそうに相手に問いかけながら、刀を鞘に戻すと、クルリと踵を返す。
動く理由は目の前の小僧を切り捨てるのを諦めたか……それとも別な何かか。

「そうソう……命拾いおッたな小僧、せヤが、いつデもワシらに牙剥イてエエんやデ?」
途中忘れたように首だけ後ろに向け、優しく諭すようにアステラに問いかけた。
「ま、そン時がオマエの最後ヤ・・・。『アステラ』チャンよォ!」
至極愉快そうな声が響く。
そしてそれだけ告げると軍の中へ消えていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
軍団の中を進む巨漢。もう先頭は見えない。
「サタンの親父ノ命なら死ヲも是・・・・」
独り言―――小さいが怒りに震えた言葉、恐らくは誰も聞えないだろう。

『だが―――――――『貴様』の命に従う理由は無い』
声質が変わった……一瞬だけだが。

空は素敵な雨模様――――でも残念ながら、そろそろ止みそうだ

49 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/27(月) 21:48:17
>42>45>46>48
『ただの』獣ではないと思っていたけれど、獣ですらなかったとは驚いたよ。
相変わらず言っている事は埒外の世界の話しでよく判らないが、まあいいさ。

サエナミさんも難儀な得物を使っているもんだねぇ。
「先頭での不穏な気配ったって先頭には辻斬りにエヴァンスさん、魔王の使者、それに
隊列を止めてる何かが居るんだ。不穏でない方が怖いってもんだよ。
なあに、気にするこたないよ。抜き身の刃をそのまま懐に入れておけるのがこの軍だか
らね。
ほれ、話しているうちになんだか隊列が動き出しそうじゃないかえ。」
剣の危険感知能力なんだろうけど、危険の塊のような百鬼夜行においては役にも立た
ないわね。
「ちょいと、そこのでかいの。サエナミさんとラックの剣だ。丁重に運んどくれないかい?」
持って行ってくれといわれてもねえ、恐ろしくでかい上に直刀に鋸刃の大剣だ。持つのに
難儀しそうだから大柄な魔族に持たせることにしたよ。

基地への寄り道の上奏はどうなったのかね。理を図れば通るはずだが・・・。
小雨になってきたとはいえすっかり濡れちまったからね、早いところ帰って風呂に入りた
いものだよ。
「あー風呂は薬湯に変更。レシピは芹・柚・曼荼羅華・芥子・・・それから酒は幡桃酒を出
しといておくれよ。」
列の前の方に見えるシルエット、辻斬りの姿を見ながら部屋で用意をしている式鬼達に
連絡を入れる。
サエナミさんの具合も良くなさそうだからねえ。布団に放り込んでおくだけのつもりだった
けど、一緒に風呂にでは入ることにするかねえ。

50 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/27(月) 22:59:38
>38
>「みんな!!!食事の時間だぞ!!!」
辺りに聞こえるFALCONの大声、それにカイザーは振り向いた。
すると、そこには肉と野草が皿の上に盛り付けれていた。

「お、ありがとな。」
カイザーはその皿を受け取り、
すぐ近くの場所にある木の裏に移動し、その木に寄り掛かりながら足を投げ出す様に座る。
この場所は仲間の視界には入りにくい。
左腕が負傷で使えない為、不自然な食べ方で仲間に心配を掛けない様に配慮したのだった。

皿を地面に置き、右手のみで栄養を補給する。
まるで行儀の悪い子供の様な食べ方だが、食べないわけにもいかない。
そして、数分で皿の上に乗っていた食物は全て胃の中へと運び込まれたのだった。

>44
>「なるほどね・・・で、さっきの精鋭部隊とやら・・・(中略)そこのあたり、誰か教えてくださいなー」

レナスの発言に、カイザーは先程までの戦いを思い出していた。
(俺はほとんど敵と会わなかったからな……へぇ、精鋭部隊なんていたのか)
先程まで戦場の真っ只中に居たのにも関わらず、まるで他人事の様な感想を心の中で述べていた。


「さてと、食後のデザートを取る為に、近くの森で果物でも探してくる。
 …もっとも、この寒い地域では野生の果物は無いかもしれんがな」
カイザーは立ち上がり、仲間達に背を向けて歩き出した。
「何かあったら銀盤で連絡くれよ。先へ進むのならば後から追いかける」
そして、そのまま森の中へと入っていった。

カイザーが森の中に入った理由、それは果物を探すためではない。
自分の左腕の負傷を治療する為、そしてそれを仲間に悟られないようにする為だ。
無駄な心配を掛けられるのは自分の性には合っていない。カイザーはそれを理解しているようだった。
「…まあ、こんな傷でも大事に到ったら大変だしな。」
鎧の内側から包帯を取り出し、それを自分の左腕の負傷している箇所に巻きつける。
今はこんな簡単な治療しか現在は出来ないが、やらないよりはマシである。


51 名前:??? ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/02/28(火) 12:14:00
>49
<ならば言うこともあるまい。>

シズネが呼んだ魔族に大剣が運ばれていく。
その大柄な魔族でさえ足元がふらつく所を見れば、やはり相当な重量のようだ。
<そう、それとその娘は私が『こういう物』だとは知らん。別に知られたからどうこうという問題ではないが。>
<・・・・・・まったく、こいつも暢気なものだな。>

「ん・・・。すぅ・・・・。」
冴波の苦悶の表情も収まっていた。安心した様子で眠っている。

「<回復まであと―――。>」

大人しく運ばれていく彼女らの目的は・・・?
<扉>や<鍵>の意味するものとは・・・?

(<・・・。この魔族、体を洗うこともせんのか。汚い。>)
どちらが暢気なのかわかったものじゃなかった。

52 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/01(水) 02:10:26
>45-48
向こうのごたごたに首を突っ込んで拗れさせるのはまずい。
そう思ってみていたが、どうやらサタンの使いの方が今回は上手だったようで
大将格・・・エヴァンス、と言うらしい男が折れた。同時に付いてくるのは
勝手だが、道を空けろと。魔族の方も子供扱いしてるが、言下の圧力は
相当なもんだ・・・元々潜り込むのが当座の目的だったから、上役であればあるほど
都合がいいが、この魔族一体何を・・・?考え込もうとして鬼、辻斬りと呼ばれてるが
本名なのか通称なのか?やはりこいつもガキ扱い!見た目で言えばエヴァンスの方が
余程ガキだろうに・・・同盟軍も気に食わなかったが、魔王軍はもっと気に入らない。
向こう以上に灰汁の強い連中が毒を撒き散らしながら犇いてるんだから当然と言えば当然か。
それぞれ勝手な事言ってやがるから、とりあえず返事は返そう。

>そちらの少年、我々と共に来てもらいましょう。
『ああ、そうさせてもらう。奴が同盟軍にいるなら、ここにいれば奴に
 会える可能性は極めて高い・・・だが、子供扱いはやめろ。』

>どうでも良いが道を空けろよ、進めないだろうが。
『お言葉を返すようだが、俺に言わせればあんた等の言い争いの方がよっぽどつまらなかった。
 八つ当たりはみっともないってのも分からないのか?まぁいい、必要な事は分かったからな。
 これ以上止める道理もない、勝手にさせてもらうぞ。』

>ま、そン時がオマエの最後ヤ・・・。『アステラ』チャンよォ!
『・・・あんたの方がそうしたがってる様子だがな。
 それに、あんたは奴と戦ったようだしじっくりと聞かせてもらいたいもんだ・・・
 魔族なのに人間に味方する、恥知らずがどれだけ腕を磨いたかとかな。』

八つ当たりをしてるのは自分の方だなと自覚しつつ、溜まった鬱憤を吐き出す。

53 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/03/01(水) 20:12:20
>34 >35 >36
「飛べない奴はこのペガサスに乗ってくれ、今なら全員乗っても片道一回で済むぜ。」
マリスがセシリアに近づいた時にカイザーが後ろでペガサスに乗るように勧めてくれる。
マリスは一瞬反応したが、その時にはセシリアに手をひいてもらってマックスと一緒に大空へと上がっていた
>「な、何だぁ? えっ、ちょ……うおわぁっ!」
隣からマックスの情けない声が聞こえた。
マリスはと言うと声が出ないだけであって、出ていたとしたらマックス同じような声を出していたかもしれない


>「あまり動かないでくれよ」
セシリアが暴れないように注意をしてくる
「分かりましたわ〜」
空を飛ぶなんてそうそう無いことなので、マリスは嬉しかったがセシリアの言う事を聞く
…そうこうしてる間に崖のうえにつき、束の間の飛行にうっとりとしていたマリス。その時セシリアが
>「およそ軍勝五分を持って上となす……か」
マリスには難しい。と言うより、あまり深く考えたりしない少女にはちんぷんかんぷんな呟きをする
とりあえずセシリアを見つめるだけなマリスでありました

>38
「みんな!!!食事の時間だぞ!!!」
唐突に大声で呼ばれる
振り向くと何やら盛り付けられている皿をFALCONが一人一人に手渡していた
驚いていたマリスもFALCONから受け取ると地面に座る…が、
「困りましたわ〜…」
…少女は受け取った皿とにらめっこを始める……今この場で言うと罰当たりなのだが、野菜は問題ないが肉類は苦手なマリスなのだ
…心中では、怒られちゃいますわ〜…としょんぼりしていました

>50
>「さてと、食後のデザートを取る為に、近くの森で果物でも探してくる。…もっとも、この寒い地域では野生の果物は無いかもしれんがな」
食事をし終わったカイザーはそう言うと立ち上がり、森に向けて歩きだす
>「何かあったら銀盤で連絡くれよ。先へ進むのならば後から追いかける」
そして、そのまま森の中へと入っていく
「いってらっしゃいですわ〜」
マリスがカイザーを暢気に見送る傍らでマックスが次の目的地を言っている
どうやら次は砂漠らしい
「次の魔法陣では私も頑張りますわ〜」
誰にともなく呟く…砂漠と言う場所は実際には初体験なのだが、軽く考えているマリス


…ふと立ち上がると少し離れていたFALCONの元へとおもむく
「あの〜…非常に申しにくいのですが…これを食べていただけませんか〜?」
そして申し訳なさそうにお皿に乗った肉をFALCONに差し出し、こう切り出す
「私、あまりお肉は好きではないのですわ〜…」

54 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/03/02(木) 15:13:41
>36>38>41>44
風が吹き抜けた。
草ずれの音と焼け焦げた土の匂いと肉の匂いを運んで。
――肉?
セシリアは首をかしげながら振り返った。
>「みんな!!!食事の時間だぞ!!!」
それはちょうどFALCONが仲間に声をかけるのと同じタイミングだった。
(……まだ敵地)
言うだけ無駄なので口には出さない。そもそもこの豪胆さがオーガス騎士団の強さだ。
それに、魔王軍の動きもどこかおかしい。いやにあっさりと引き下がった。
食事を取る間くらいは様子を見ていても良いかもしれない。

各々差し出された皿を受け取り、口をつける。
セシリアは、肉を咀嚼しながらマックスに尋ねる誓音に、アステラが持っていた銀板を放り投げた。
「持っていてくれ」
もう一つ自分が元から持っていた分を、こちらはレナスに渡す。そしてマックスに向き直った。
「私は先に他の魔方陣へ向かおうと思う。人数も増えたし、支障は少ないだろう。一人ならなお目立たずに動けるしな」
言いながらFALCONのほうへ近寄っていく。
「つきましては……血を頂きたい。えい」
有無を言わさずダガーをぶっ刺した。流れる血を小瓶に受ける。

「大変申し訳ないが必要なことなのです」
血止めを傷に塗りながらFALCONに言う。傷ならマリスが治せるが、少ないとはいえ消耗もあるだろうし、
自分の都合で人を傷つけて後始末は人に丸投げではあまりに不誠実だ。
もっとも仲間に切りかかる時点でこのうえなく不誠実なのだろうが。
手早く手当てを済ませ、血を溜めた小瓶をさも大事そうに仕舞い込む。
「しからば、これにて」
そう言い残して飛び立つ。目指すは最も警戒が薄いであろう、魔王軍領内最奥部の魔方陣だ。

55 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/02(木) 15:55:04
立ち上がる

56 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/03/02(木) 18:57:19
>46-48>52
中隊長からの提案もあったのだろう、一旦基地に戻りたいと言ってきた。
止める理由はどこにも無い、急ぐ必要はあるがそれも常識の範囲内での話。
重傷者も多く、直進で向かうには不都合が多すぎるのだし。

「ええ、構いません。いかに憤怒の化身であるサタン様とて
 不可避の遅延にまでご立腹なさる事はありませんから。むしろ
 殊更に急かして助かる命を見殺しにしたとあってはお互い首一つでは済みませんし。
 ふふ、ならば貴方とは同じ境遇でしょうに。我が身を見ているようで不愉快ですか?
 その寛大さが無ければ今あなたはここにこうしている事ができなかった事もお忘れなきよう。」

相変わらず笑みを絶やさない。エヴァンスが含ませた毒など意にも介していないようである。
そしていやにあっさり納得した『辻斬り』に声をかける。

「ご安心なさい、貴方が討ち漏らした敵……無事ですよ。
 次に見える時、その敵は貴方の予想以上に強くなっている事でしょう。
 その時を楽しみにしてて下さい、私もサタン様も貴方の愉しみを奪うつもりはありませんから……」

不敵な笑みと共に宥めとも慰めともつかないセリフを残し。
アステラの言に小さく声を漏らした。

「ふふっ……失礼いたしました。
 深い仔細、些か急ぐ行程ですがその間にゆっくり聞かせて頂きましょう。
 何しろ我らが同胞……ならば尚更拒む道理などありません。歓迎致しますよ、アステラ殿。」

目つきが妖しい。常に舐め回す様な目つき。
背筋に変なむず痒さのような物を走らせる、そんな目つき。

57 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/02(木) 20:49:53
>53>54

足りない。
この程度の量の食事では、大食のFALCONにとっては腹の足しにもならない。

>「あの〜…非常に申しにくいのですが…これを食べていただけませんか〜?」
>「私、あまりお肉は好きではないのですわ〜…」
マリスが近くにやって来て、FALCONに肉を差し出す。
「おぉぉ!!ありがとな」
腹が空いているFALCONにとっては願ってもない申し出。
ありがたく肉を受け取り、音速よりも速いかもしれない速度で食べる。


>「私は先に他の魔方陣へ向かおうと思う。人数も増えたし、支障は少ないだろう。一人ならなお目立たずに動けるしな」
セシリアは単独で次に行く予定の魔法陣ではなく、他の魔法陣に行くつもりらしい。

>「つきましては……血を頂きたい。えい」
「はっ?」
思わず声が出る。
セシリアは有無を言わさずに、ダガーで右腕を刺した。
「なっ、何をするだー!!!」
食事と回復魔法で造られた蒼い血がダガーに滴り、その蒼い血を小瓶に入れる。
ダガーが引き抜かれ、刺し傷にセシリアが血止めを塗って言う。

>「大変申し訳ないが必要なことなのです」
(必要なこと?人間だった頃の俺の血ならまだ何かに必要になるのかもしれないが、
ただの魔族になった俺の血が、何の必要になるのだ?)
手当てが終わり、FALCONが考えている隙にセシリアは飛び立つ。
単独で行くのは危険だが、セシリアなら大丈夫だろう。
何故なら、彼女はオーガスの騎士なのだから。


皆が食べ終わるまでFALCONは考える。
自分のかつての姿になる方法を。
変身魔術でできるか?無理だ。あれには特別な血が必要だ。
だが、セシリアが必要だからと言って、自分の血を採取した。
ならば、今の俺の血にも特別な力があるのかも知れない。
FALCONは立ち上がると気を高め始める。
三年前の自分の姿をイメージして気を高める。
自分の体を纏うは黒きオーラ。
(やはり駄目なのか?)
だが、急にFALCONのオーラの色が変わり始める。
そのオーラの色は血のような朱。
そして体を襲う激痛。
「うおぉぉぉ!!」
叫びながら荒れ狂い始める気を抑える。
気を封じ込めた時、FALCONの体は自分の気により、ボロボロになりかけていた。
だが、FALCONには何かが見えた気がする。
三年前の姿ではない。別の何かの姿が。



58 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/03(金) 02:26:06
>54
>セシリアは、肉を咀嚼しながらマックスに尋ねる誓音に、アステラが持っていた銀板を放り投げた。
>「持っていてくれ」
「…ふぇ?っておっと!」
不意にほおり投げられた謎の銀板をあえなく落としそうに成りつつもキャッチする。
(…食べ物ですかね。)
そして妙なボケをかましながら噛んでみたりする。
「うげ…堅い…。」
そう当たり前の事をいうと、どっから出したのか解らない加工した安全ピンを銀板とくっつけピアスにし左耳につけた。

>57
暫くマックスに色々と話しを聞いていると、突如叫び声が響いたいた。
>「うおぉぉぉ!!」
突然響く悲鳴に誓音はばっと悲鳴の元へ眼を向ける。
一瞬ぞっと鳥肌が立つ。
理由が分からない恐怖と歓喜、そして悲哀が混じった鳥肌。
そう…悪に出会うようなあの感覚…。
反射的に刀をつかみ立ち上がりファルコンの方をガッと向いた。

―まるで獲物を捕る獣…いや…怪物の殺気を漂わせながら…。

…が、しかし、数秒ほどファルコンを見つめると、「…莫迦…。」と静かに言って、ポンっと頭に軽く拳骨をした。
(まったく…大莫迦者…。)
そう自分を嘆くと誓音は再度座り、食事を再開し始める。
もうファルコンにどうこうする気はさっぱりない。
いや…正確に言えばどうこうできない。近づけば怒りをぶつけてしまいそうだ。
少し暗い笑みを浮かべ足下をよく見ると、調理中に飛んできたのか灰がぱらぱらと掛かっていた。


暫くしてファルコンのオーラの荒れは止まったようだった。
ゆっくりと立ち上がると花太郎に乗せてる荷物から薬草の擦ったのを取りだしファルコンの前に歩きより渡した。
「この薬草は謝罪の気持ちです。疲労回復等に聞くから使ってください。」
そう言ってにっこりと少し寂しそうに笑う。

59 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/03/03(金) 23:03:54
 食事を終え、レナスはもう一つの目的であった、鎧の回収へと向かった。
 「よし、行け!」
 レナスが命じると、巨鳥は大きく羽ばたき虚空へ舞い上がる。
 (――確かあっちの方・・・。)
 自らの方向感覚を頼りに進んでいくと、やがてぽっかり開いた巨大なクレーターに出会った。
 恐らくは、エヴァンスの攻撃よりできた大穴であろう。
 あの時は無我夢中で気がつかなかったが、これほどまでパワーのある相手に、引き分けとは良く持ったものである。
 (個人的には大金星、そして敵ながらあっぱれ・・・と。)
 次に会う機会があったら、果たして自分は勝つことができるだろうか。
 あとは・・・運と戦略次第だろう。

 それはさておき、このクレーターがあるということは、鎧も近くにあるはずなのだが・・・
 ここは鷹の目に任せることにする。
 ――と、そう思ったのだが、谷間は薄く暗く・・・鷹は鳥目だった・・・・
 (鳥目の神獣・・・ま、いいんだけどさ。)
 何か釈然としないが、なんとか鎧を身につけ、再び鳥目に乗り込み崖の上のポイントに降り立った。
 ――”元の”レナスとなって。

 >54
 そこへセシリアが何か円盤状のものを放り投げてきた。
 >「持っていてくれ」
 「・・・これは?」
 >「私は先に他の魔方陣へ向かおうと思う。人数も増えたし、支障は少ないだろう。一人ならなお目立たずに動けるしな」
 「え・・・それってかなり危険なんじゃ・・・?」
 実際に戦っているところを見たわけではないし、実力は把握できていないが、騎士としては強い部類に入るのだろう。
 しかし、単独行動は危険すぎる気がする。
 「それじゃ、私も一緒に行きますよ〜」
 正直なところ、エヴァンスとの再戦を避けたかったというのもある。
 エヴァンスはFALCONを狙っているようだったし、別行動となれば大将との遭遇確率も下がるだろう。
 「大丈夫、足手まといにはなりませんよ。
  いざとなったらトールでもオーディーンでも召還してなんとかしてやります。」
 ・・・小さい時と比べると、やや説得力が出ている。
 要は”使い分け”が大事ということであろうか。

60 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/03/04(土) 14:01:42
>魔王軍「百鬼夜行」、ベリアール、アステラ
隊は行軍を再開し、谷を後にして一路方面軍基地へ急ぐ。
輸送路の、樹木のトンネルを抜けた辺りで雨も上がり、隊の通夜じみた静けさも多少は紛れて来た。
エヴァンスは行軍の間、大型の念話装置でガストラの「ジェミニ」と連絡を取る。
サタンの使者はアステラの相手をしているだろうし、聞かれた所で大した話では無い、ほんの業務連絡だ。

装置を背負った騎馬を隣に就け、手元にマイクと制御卓、モニター一台を手繰り寄せる。
モニターの表示は黒をバックに滝のように流れ落ちる、白いルーン文字だが
義手の指先で素早くコードをパンチするとモニターは突っ返し、ヘッドフォンを被って
「ヘンリーに。奴は『Little Jennie Anges』の艦橋だ」
ガストラ領内に待機させている飛空艇の、ブリッジを呼び出した。
「代わったか。ああ、こっちはひどい体たらくだ、師団を差し押さえられるかも知れん。
それでな、今直ぐ艦をオーガスへ移せるか? 予定が繰り上がった。
まだリーゼン砲を積んでないから試運転と同じだ、問題無いだろ。兵員は全隊甲型装備で待機、それとR-352-YZを四機」
後に二、三付け加えてから返事を受け取り、通信を切った。

―――――――――――――――――――――――――――――――

基地に到着すると、出迎えに来た師団の衛生兵へは、中隊長二人の治療に関してシズネと話を着けるよう言っておいた。
怪我人を軍病院に搬送、通常兵員は兵舎へ帰す。シズネ、「辻」にも念話装置を通じて待機命令。
馬を降り、自らも兵舎の自室へ戻った。どうせ直ぐに出頭命令が掛かるだろうから、腕は今晩中に治す必要が有りそうだ。

61 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/04(土) 14:26:43
渓谷の魔法陣から南西へ数週間。
二つの山脈を越え、徐々に生き物の痕跡が消えてゆき、完全になくなったところに次なる魔法陣はあった。
途中の道のりで騎士たちが感じた事は、魔王軍勢力地内といえども人々の暮らしはさほど変わっていない、という事だった。
町や村で魔族の姿は多く見るが、魔界が地上に現れた、というふうでもなく、人々の生活はそこにあった。
ただ、虐殺される事はないとは言え魔族との共存が始まってまだ一年。魔族を恐れる心は人々の根底にあり、オーガス騎士たちは密やかながらに歓迎され、補給を受ける事が出来たのだ。
そこはかつてどの国の領土でもなかった砂漠地帯。
砂漠を旅する部族たちも「無の砂漠」と呼び近寄らなかった砂と灼熱のみの世界。
太陽の日差しと砂の照り返しは容赦なく生ある者達から水分を奪ってゆく。
日々形を変える無数の砂丘の中でただ一箇所、形を変えぬ場所があった。そここそが第四の魔法陣。
砂以外何もないように見えるが、その周囲にはサタンの配置したモンスターたちが蠢いていた。
サンドボルテックス×2:力A・素早さA・防御−:普段は砂漠を吹き抜ける風。魔法陣に近付くと竜巻となって襲い掛かる。風だけでなく無数の砂を叩きつける攻撃をする。実体がないので物理的攻撃は無効。
サンドゴーレム×5:力B・素早さC・防御C:侵入者が近付くと3Mほどの巨人を形作る。防御力は弱いが、核を壊さない限り何度でも再生する。
大サソリ×5:力C・素早さB・防御B:普段は砂の中で眠っている。砂中から毒針で奇襲。その後姿をあらわしはさみと毒針の尻尾で攻撃。固い殻があり、防御力は高め。全長2M
スフィンクスライダー:力A・素早さA・防御A:スフィンクスに乗る上級魔族。サンドボルテックスやサンドゴーレムを操る。長槍と盾で武装している。魔法も使うが肉弾戦タイプ。

62 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/04(土) 15:39:39
第五魔法陣・山岳地帯
渓谷の魔法陣から東北へ数週間。
そこには大陸最高峰の霊峰ハイネスがある。
『天を支える山脈』といわれる山々を従えるようにひときわ高くそびえるその山は、古くから霊峰として山岳信仰の対象とされていた。
尤も、今では魔峰ハイネスと呼ばれ、その頂上付近にある洞穴の一つに魔法陣が設置されている。
山脈頂上部、(ハイネスにとっては中腹部だが)は雪嵐の絶えない厳しい地帯ではある。が、頂上部まで来ると空気が薄く、不気味なまでの静けさを保っている。
余りの高度に有翼種族ですら生半可の事では辿り着けない場所。天空に最も近い場所である。

中腹部・イエティー多数:力B・素早さB・防御B・雪原補正あり
洞穴部・闇の神官×3:力D・素早さD・防御C・魔力A
一応は霊峰なのでなんとなく防御が働いている。天空に近いからってメテオストライク一発で山消滅は却下な方向で。

参考資料:第三魔法陣のゴーレム:力B・素早さD・防御C


63 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/04(土) 21:58:02
>60
「はぁ・・・ようやく着いたよ。」
エヴァンスさんからサエナミさんとラックの治療について話すように指示があったから
ね、それを終わらせてようやく部屋に戻って漏れ出た言葉さね。
ラックは治療室に転がして、針と灸を施しておいた。
煙管を受け取る為に急いで編んだ絶縁体の手袋をこういった時に使う事になるとは思
わなかったねい。
あとの治癒魔法と地脈の精を流し込むのは衛生兵に任せて置いたから、意識は近い
うちに戻るだろ。
もっとも、額の札がある限り意識が戻っても動けないだろうけどね。
回復したあとの処置はエヴァンスさんに丸投げさ。
どうなるかは判らないが、一応太歳蟲の種でも用意しておこうかねい。

仕事は終わったから後は待機さ。ああ、待機させてもらうさ。ちったあ休まないと身が
持たないよ。
部屋に入ると薬湯のいい匂いが部屋に充満していた。
ラックとサエナミさんの剣を持ってきた魔族に駄賃を渡して下がらせて、着物を脱ぎ散ら
かしてザブンだ。
生き返るねえ。
まだ痺れが残っているからね、よくマッサージしないと。
「む!?軽い割りには出るトコ出ていじゃないかえ。」
式鬼に衣服を剥かれて浴室までつれて来られたサエナミさんを見てちょいと口元がひく
ついちまうよ。
白い肌と出るところが出てへこむところがへこむ体型、そしてあれだけ食べてあの軽さ。
そりゃあ嫉妬の一つもしちまうわね。
「流石に二人ではいる分には・・・窮屈だねえ。でも・・・プハーーー生き返る〜。」
特に外傷が見受けられないし、疲労困憊で気絶しているだけだからね。薬湯に浸かって
のんびりしているのが一番の薬だろ。
いまだ目を覚まさないサエナミさんを抱え込むような体勢で一緒に運ばれてきた幡桃酒
を一献。
風呂での避けは最高だね。
滋養強壮、魔力回復に効果ある薬湯と幡桃酒の相乗効果で回復していくのがわかるよ。

さて、と・・・
予備の符方録出して、旗が二本壊れちまったから穴埋めするような符を書いて・・・今夜
は徹夜かねい。
ちょいと気は重くなるが、まずは飯だね。喰わなきゃ始まらないよ。
夕食を楽しみにしながら今はどっぷり薬湯に浸かって幡桃酒呑んで煙管を吹かすよ。

***********************************************************************
太歳蟲の種:呪の一種。人面疽とも言う。人面疽は呪的植物の一種で、種を服用または
植え付けることにより、対象者の体内に入り込む。
種は対象者の体液と同化し、全身に液体状の根を張り巡らせる。
任意の場所に任意の数だけ腫瘍状の人面が浮き出て(発芽)毒を吐いたり精神的に対象
者を攻撃する。
この場合、呪として品種改良を受けているので一定条件を満たした時、または術者の任
意の時に発芽。対象者の遺伝子転写機能を利用して無限増殖して僅か数十秒で対象者
の全身を変質させて破裂、死亡させる。
全身の体液と同化するので解呪は困難。

64 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/04(土) 22:11:46
ざんざん降る雨の中…。
同盟軍が飯を終えていく様子を遠くから見る3つの影がいた。
『やっと見つけた…キャッキャッ♪』
可愛らしい少女二人の笑い声が聞こえる。
『あの日以来ずっと消えていたかと思ったら』
『あんな所にいるよ…クスクス♪お馬鹿な子ねぇ…ね、お母様♪』
そんな二人の少女の声を聞きながら3つめの影が誓音を見つめる。
その目は透き通るような灰色の綺麗瞳だ。
「…そうねぇ…。」
瞳を揺らしながら答えるその女。
穏やかにも、冷たくも見えるその瞳で..。

**************************************************************************************************************

>59
食事の中盤、空から先ほど飛びだっていったレナスの鳥が降りてきた。
「あ…おかえりなふぁいまへ…」
肉を噛みながらレナスを見る。するとそこにはさっきまでいた幼女ではない女性が降りてきた。
「…どなふぁです?……あ!…」
聞いてから数秒見てようやくその女性がレナスだという事に気づく。
今までの姿から随分変わったものだから、一瞬違う人だと思ってしまった。
(…戦士乙女っていうのは本当だったんですねぇ…)
信じてなかったわけではないが、改めて思う。
(世の中何が起こるかわかりませんねぇ…)


65 名前:冴波(混乱・赤面) ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/04(土) 23:17:47
>63
「<・・・・・・必要休息時間経過。未生天:再起動。ノイズクリア、完全復帰>」
「ぅ・・・うん・・・・ん?」
意識が深い水底から浮上する感覚。
暖かい感触が身を包む。ここは・・・どこだ?私は確か・・・。

「!!??」
ザバァッと水が跳ねるのも構わず体を跳ね上げる。
「! ? ! ???・・・・・・ぁ?」

シズネの姿を認め、周囲を見れば浴室であるということが分かったのか。
跳ね上げて落下してゆく幡桃酒の瓶をキャッチする。
「・・・済まない。傷の介抱もしてもらったようだな。・・・・・・だが、何故風呂にいるんだ?」
長い黒髪が体に張り付いている。とりあえず仁王立ちするのもアレなので、浴槽に身を沈めた。

「・・・・・・、見たか?」
何が、とは言わずに赤面している所を見ると一応恥ずかしいらしい。
薬湯がゴボゴボと泡立ち、ジャグジーになった。水をこのようにも操れるようだ。

66 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 01:34:36
>56>60>63>64
のんべんだらり軍勢に混じり、しばらく歩き、ようやく基地に辿り着いた。
随分と一日が長く感じたが、これでも日帰りだから驚きである。
やるべき事は特に無い―――かと言って自室に篭るのも面倒だ、
兵舎の入り口横に腰掛けサイコロで遊びながら他の面子の事を思う。スッカリと弱まった滋雨が体を叩くが、汚れを落とすには丁度良いだろう

エヴァンスの大将は自室に篭り、ラックの方はシズネに治療され絶対安静。
冴波は姿が見当たらないが、恐らくはシズネの部屋にでも連れ込まれたのだろう。

周囲の兵士が、やたらとシズネの部屋を気に掛けてくる辺り恐らく違いない。
そりゃベッピンさん二人も同じ狭い部屋にいれば、少し覗き見たいと言うのも男心。
と言うより、気に掛けないヤツは漢と言う種族じゃないだろう。
まあ『性欲』を初め『睡眠欲』『食欲』すらも消え失せた我が身となっては、意味のない戯言ではあるが。

肝心な小僧とサタンの部下は残念ながらどこに行ってしまったかは解らない。
サタンの部下に至っては、久方ぶりにサタンの親父の近況でも聞こうとしたのだが・・・見つからないのなら仕方がないだろう。

ふと腕のヒビ――――相手が先の戦闘で傷付た部分を擦る。……ヒビ事態は再生能力のお陰で治っていたのだが、
記憶に過ぎるは、『殺り逃した獲物』の姿。そして同時にサタンの部下の言葉。

>「ご安心なさい、貴方が討ち漏らした敵……無事ですよ。
> 次に見える時、その敵は貴方の予想以上に強くなっている事でしょう。

「そうカ……そうカ、ならエエ、それでエエ……。
 ククク・・・クハハハ。楽しミやァ……。こなイに楽しいンはいつ以来ヤろなァ…?」
サイコロを振るう手が止まる。天を仰ぎ願う事は一つ。
アア願ワクバ――――斬リタイ!斬リタイ!斬リ刻ミタイ!斬リタイ!斬リタイ!
      ――――殺シタイ殺シタイ殺シタイ殺シタイ殺シタイ殺シタイ!!

「そウいやァ・・・あの化けモンの名ァ聞き忘れとッたわナ。」
それらを押さえつけるように、ポツリと呟く

67 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 08:23:52
>58

誓音が自分の荷物から出した薬草を貰った。
謝罪の気持ちらしいが、
(俺は何にもやってないし、やられてもないよな)
何だか訳のわからないFALCONであった。


>61
サタン軍領内の街には活気があった。
魔族と地上の人間は仲良くとは言わないが、争いごともなく暮らしている。
自分の故郷の国みたいだなと思った。
魔族や他の世界の者が共存して暮らしている国。
だからこそ神の鳥である田中さんも暮らしているのだ。
食糧などの補給も済まし、一行がたどり着いたは第四魔法陣のある砂漠。
どこの国にも属さない、否、属さなかった、まさに地上の人間にとっては未開の土地。


「この辺にあるはずなんだけどな…」
マックスから借りたガーオス文書によると、この辺りに魔法陣があるらしいのだが。
「やっぱ砂だけぬぼぉあぁ!!!」
後頭部に突然の衝撃。
振り返ると3m程の砂のゴーレムが二体。
他にもサタンの軍勢と思わしき者が。
「ここが当たりだったか……良かった……」
後頭部を擦りながら、サンドゴーレムの中心部より少し下にある、核と思わしき物体を前蹴りで破壊。
左足を軸に回転、急な左回転で勢いを付けて回し蹴り。
回し蹴りが綺麗に決まり、二体目のゴーレムも破壊された。
「さぁ、楽しい戦いを始めようぜ…」
自らの周りに黒いオーラを纏わせて、構える。

68 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 10:45:43
>『百鬼夜行』、ベリアール、エヴァンス
話が済んだところで行軍が再開された。
エヴァンスは業務連絡なのか、見た事の無い装置に没頭している。
漏れ聞こえる内容はかなり物騒な物だが、今の自分には関係ないだろう・・・
それよりも、サタンの使いだ。こいつの雰囲気はどこかおかしい。
今までも値踏みするような視線を浴びる事は経験してきたが、こいつのは
なんか違う・・・どこか、関わりたくないような感じだ。いくら仲裁役とは言え、
こういう奴は勘弁して欲しい・・・が、好き嫌いしてる場合じゃない。


とりあえず基地に到着するなり、普通の部屋に軟禁された。
当たり前の処置だが、その割には見張りは部屋の外に一人だけ・・・
勝手に動き回ろうものなら全戦力で叩き潰されるんだろう、それじゃあ意味が無い。
結局ここでも相手の出方を待つしかないようだ・・・イライラする。
しかし考えに集中できる時間が出来たのも事実、対処をある程度固めておかないと。

『(魔族と言い切った以上『悪魔』の姿を見せなきゃならなくなるな。
 『辻斬り』に見られたらまずい・・・かと言って適当な理由をつけようにも
  それに相応しい小道具も無い。こんな事なら、害を承知でマリスの護符を
  ふんだくっておくんだった。あれなら、少しは説得力が出たろうに・・・)』

後悔先に立たず・・・呼ばれるのか、それとも足を運んでくるのか。はてさて?

69 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 15:36:34
>67
暫く走っているとついに魔法陣がある砂漠についた。

一見敵がいなさそうに見えたが、どうも嫌な感じがする。
そこで、誓音は首の包帯を解き、お得意の超音波で敵を確かめる。すると案の定ファルコンの背後に見つける。
「あっ!ファルコンさん危な…」
>「やっぱ砂だけぬぼぉあぁ!!!」
警告が間に合わなかった。ファルコンは見事にゴーレム一体から攻撃を受けてしまっている。
急いでファルコンを助けようとそっちへ走らせるが砂の下の敵を超音波が教える。
「やべっ!」そう言って花太郎に急ブレーキをかけたとたん、巨大サソリが一匹出てきた。
「…でかっ…」
素に驚く誓音に大蠍は飛びついてくる。凄いスピードで飛び向かってくる蠍。
「でも…大したことはないですね。」
そう少し呟くと花太郎も一緒に飛び上がり口で大蠍の頭をくわえる。鈍い音が響く。
「あらら…砕けませんか。」
そう言うと反射的に攻撃してきたはさみを掴みばぎっと折る。
すると、負けずと大蠍ははさみを折ってからコンマ一秒の素早さで最後の攻撃手段である尾をU字に曲げ誓音の横首めかげて針を向けてきた。
が、誓音は見向きもせず尾の先端をちぎった蠍のはさみで受け止めると、ニッコリと微笑み尾を手で掴み、ばきんっと引っこ抜いた。
大蠍が悲鳴のような鳴き声を叫ぶ。が、そんな事されたらもっと痛めつけたくなるのが性。
追い打ちを掛けるように堅い頭を拳で凹ませる。分厚かったボディーが5ミリぐらいの厚さになり蠍は花太郎の餌となってしまった。
「ふぃ〜…危ない危ない…」
そう心にもないことを言いつつ花太郎を前へ猛スピードで走らせる。すると前から巨大竜巻が姿を現した。

(…こいつはこれ使わないと駄目かな…。)

そう察するとと両手の包帯を解いた。


70 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 18:36:54
左腕の治療を終え、手土産程度に林檎を10個程度持って仲間達の元へ戻ると、
丁度、セシリアとレナスが別行動をすると言い、何処かへ去ってゆく所だった。
(少数精鋭の部隊を分ける程の事だ、何か考えでもあるのだろう。)
林檎を齧りつつ、何も言わず見送った。

>61
時は流れ、一同は砂漠の中を移動していた。
第4番目の魔方陣はこの砂漠に存在しているのだった。
(…暑い)
街へ立ち寄った時に買ったコートで直射日光から身を守る。
勿論、まるでサウナに入ったかの様にコートの中は蒸す。だが、贅沢は言ってられない。

砂は頬を霞め、そして砂漠の何処かへと飛んでゆく。
カイザーは水筒の水を飲みながら、先を見遣る。
…そこに魔方陣はあった。
だが、一同が魔方陣に近づいた瞬間、次々に魔物が砂漠の中から姿を現す。

>67>69
FALCONと誓音がそれぞれ魔物と戦っている。
だが、魔物の動きには一定性を感じるものがあり、カイザーは少し離れた。

様子見をするまでも無く、一匹の魔物が目に入った。
(…どう見ても、あいつが指揮官だな。)
カイザーは刹那にそう判断し、スフィンクスライダー目掛けて飛び上がる。
そして、落下の加速度と共に自分の聖闘気を込めた右拳を叩き付けた。
…だが、スフィンクスライダーはその攻撃を盾でガードした。
それから間髪入れず、カイザーの頭部目掛けて鋭く尖った槍を突き刺そうとする。
「…くっ!!」
カイザーはその槍の攻撃を抜刀した聖剣の先端で受け止めるが、その衝撃で後方へと飛ばされる。
それを体勢を整えて着地する。
そして後方へ跳び、スフィンクスライダーとの距離を約5メートル空ける。

「聖剣が無かったら危なかったかもな…」
口ではそう呟いているが、カイザーの不安要素は別にあった。
右拳を敵の盾に叩き付けたとき、その振動で左腕に鋭い痛みを感じたのだ。
それは即ち、前の戦いで負傷した左腕は未だ癒えてないのだ。
「…ハアアアァァァァッ!!」
カイザーは気合と共に、自身の聖闘気を開放する。
その身から放たれる光の波動は風を生み、足元の砂が渦を巻く。

元より、カイザーの技は消費の激しいものばかりである。
カイザーは聖なる力が切れても普通の剣士以上には戦える。
…だが、普通の剣士以上では目の前の敵と相対する事すら不可能なのだ。

スフィンクスライダーはカイザーの周りを囲む様にグルグルと走り始める。
その目は明らかに左腕へと向けられている。少し戦っただけでカイザーの負傷を見抜いたのだ。
掛かって来るのなら来い…カイザーがそう身構えた
…その時、スフィンクスの前足が砂を蹴り上げ、それがカイザーの目に入る。
「……何っ!!」
それはカイザーの油断だった、相手は騎手だけでは無い。相手は2人なのだ。
目に砂が入り、体勢を崩したカイザーの心臓部に向け、スフィンクスライダーは照準を合わせる。
そして、槍がカイザーの心臓を突き刺さんとばかりに鋭い槍が今迫る。

71 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 19:14:26
>65
湯船に使ってのんびりと、なんてやっていたらサエナミさんが意識を取り戻した。
>「・・・・、見たか?」
どうにも混乱しているようだが、赤くなって身を沈めるだなんて・・・こんな可愛い反応
されたら思わず意地悪の一つや二つしたくなるってのが人のサガだわいねえ。

「おやまあ、湯に当たっちまったかい?薬湯は滋養強壮にいいんだよぅ?」
赤くなるサエナミさんに不思議そうな顔して応えてやる。
赤くなるほうが不自然なように。
二人で入れば流石に少々手狭な浴槽だ。サエナミさんが湯船に身を沈めればどうし
てもくっつく形になっちまう。
「泡立ちは気持ちいいもんだけど、女同士でそんなに身をくっつけないでおくれよぅ。」
するりと身体を捩じらせて湯船からでて、用意された分厚いタオルで身体を拭く。

「・・・ああ、そりゃあ今の姿にどうやってしたかって考えれば見たさね。いい身体してる
ねえ。羨ましいよ。
男にもなっていたから『モノ』がぶら下がっているのかと思ったけど、そんな事もなかっ
たんだねえ。」
身体を拭きながら思い出したように付け加えて、妖艶な笑みをサエナミさんに投げかけ
るよ。
虚実ごちゃ混ぜだが、ちょいと戯れてみるには丁度いいさね。
そんなこといいながら襦袢を身につけて着物を羽織って帯を締め身支度完了。
「さて、それだけ元気ならもう大丈夫だね。
サエナミさんの服は濡れてるし破れてるからねえ、好きなの着ておくれよ。あいにく洋服
は余り持ってないんだけどねえ。」
その言葉と共に水墨画で描かれたような式鬼が何着か服を持ってくる。
サエナミさんとあたしの体格差を考えれば随分と小さい・・・もとい、最低限度しか隠せな
いような丈のスカートやシャツなど・・・
「着物には呪を編みこんであるから人様には着せられないからねえ。」
なんて付け加えながらエヴァンスさんにサエナミさんの意識が戻った事を念話装置を通
じて報告しておいたよ。
ラックについては衛生兵から報告が行っているだろうしね。

>66
部屋の外では男どもが集まっているようだしね。
結界ギリギリのところで入れず、たまに結界にぶつかっているのか肌で感じられるよ。
ちょっとした戯れ、さ。
「意識も戻った事だし、一緒に食事としゃれ込もうじゃないかえ。」
サエナミさんの可愛い反応が楽しみにしながらも、そんなことおくびにも出さずにごく当然
のような顔をしながら促すよ。

72 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/03/05(日) 19:21:19
>61
セシリア達と別れ、第四魔方陣破壊の為に砂漠を歩く同盟軍一行。
先に立ち寄った村で補給を済ませては居たが、暑いものは暑い。
「あちぃな……ざけんな魔王軍のクソバカヤロウがあああ!!!」
イライラする気持ちを表に出しつつ歩いていると、何か嫌な予感がした。
「何かいんのか……?」
周りを見る限り何も居ない。だが、魔方陣の周りに何も居ない筈が無いのだ。
「(しかし、おかしいな。さっき見たときは魔方陣はこの辺だ、って描いてあった様な気がしたんだが)」

>67>69
「おいFALCON。さっき貸した蜃気楼ハゲ(ガーオス)の地図見せてくれ……って、おおぅ!?」
突如現れた砂の巨人に後頭部を攻撃されるFALCON。
この程度では、FALCONにダメージを与えられない事を知っているマックスは、苦笑いをしながら口を開く。
「……この辺で間違いはねえな。おっし、折角現れてくれたんだからよ、イライラ解消に役立って貰うぜ!」
ケレンファを構えて飛び掛ろうとした時には、砂の巨人はFALCONに崩されていた。
「おいFALCON、少しはとっといてくれても……おわ!」
FALCONと同じように、背後から一体の砂の巨人に後頭部を殴られ、砂に埋もれるマックス。
その近くでは誓音が巨大な蠍をいとも容易く倒し、花太郎にのって移動した。
「ペッ、ペッ……こんの野郎ぉおおおあああ!!!」
顔中を濡らす汗にくっ付いた砂を払い、ケレンファを豪快に振り回して砂の巨人の顔を吹っ飛ばす。
「へっ、ざまぁ見やがれ! さあて、次はどいつだ!?」
周りを見回すと、遠くに巨大竜巻が発生する。その方向には誓音が向かっている。
「ちょっ……誓音! 砂嵐だぞ!! いてっ、汗が目に……おごっ!!」
またも背後からの攻撃を食らい砂に埋もれるマックス。起きた彼の顔はまたも砂だらけ。
「……まだ生きてたのかよ? どうやら、その如何にも弱点って所を叩かなきゃいけねえみてえだな」
FALCONの戦いを思い出した彼は、そう言って巨人の核を思い切り叩き割る。
敵はまだまだ居るようである。今はそこまで強力な敵は出てきてはいないが……。
「あの竜巻……そうだ、誓音!!」
マックスは誓音の方へ振り向くと、誓音の両手の包帯が取れている事に気付いた。
「(何か手が有るってのか。そうだよな、あいつも只者じゃない筈だ……。)」

73 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/03/06(月) 04:07:58
>60>63
実際、意識そのものはかなり早い段階で戻っていた。正確に言うならこの治療室に放り込まれた時からだろうか。
当然その時はまだ傷の痛みに半ば我を忘れているような状態だったのだが、今となっては痛みも粗方引いて。
ラックにも色々考える余裕が出てくる。『いろいろ』と。

行動を思い返すと、随分浅はかなことをしたものだ、という気持ちが全面に出る。いくらなんでもあれは無謀だった。
一過性だったとでも言うのか、破壊衝動もだいぶ収まった今となっては、そういう風に考えるようになっている。
そして…軽騎隊。特に殺したことに後悔はない。味方であれいちいち殺した相手に思いを馳せる趣味はない。
ただ…何か、引っかかる。

(とりあえず、この符をどうにかしないとなぁ)
体が動かないことに気づいたのはかなり遅かったが、その理由はすぐに見当が付いた。視界の隅でヒラヒラしている符が。
どうして治療されているのかは分からないが、ラックはかなりの数、部下を殺しているのだ。どう見積もっても極刑。
このまま死を待つのもいいが、それでは少し暇だ。ということで、時間潰しに少し出ようかと、そう思った。

(放電)
ラックの体の周り、特に頭の周辺でバチバチ、と音を立てて火花が散る。火花が符に移り、火がつく。
符が燃え尽きてラックの身が自由になるのに、さほど時間はかからなかった。
「よっこらしょ」
欠伸を噛み殺しつつ体を起こす。近くには衛生兵が…二人。動かないとたかをくくっていたのか、些か驚いているようだが。
「あ、殺す気はないから。少し動けなくなってもらうけど」
逃げようとした衛生兵の腕を掴み電気を適度に流し込む。これで、少なくともあと一時間は痺れて動けないだろう。

「逃げるつもりはないから、誰か上官から連絡あったら『その辺をうろうろしてる』とでも言っといてね」
地に突っ伏した衛生兵にヒラヒラと手を振るとドアノブに手をかける。妙に軽い音がしてドアノブがもげる。
ドアノブが古いわけではない。ただラックの腕力が向上しているから、というだけ。
「慣れるのに時間かかりそうだな…」
一人呟きながら、治療室をあとにする。手ぶらのままに、どこに行くでもなく。

死を畏れていたはずのラックが目先の死に驚くほどドライなのは、一度死を経験したからなのか…果たして。

74 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/03/06(月) 07:46:13
>57
差し出した肉をFALCONはすごい速さで平らげた…まさしく神風…マリスも見習わなければいけないかもしれない

セシリアとレナスは別行動で行くらしい…マリスは淋しく感じたが、素直に見送った

>61
さて、何だかんだで第4魔法陣に近づきつつあるオーガス騎士団一行
途中に立ち寄った街で補給を行なうことができたので、食料などの心配はなくなったはず

補給を終え、砂漠へと足を踏み入れた…だがマリスはこんな暑い場所を歩くのは初めてだった
「とても暑いですわ〜…」
元気もなさげに呟く…体験した事がない暑さに服も胸当ても脱いでしまおうか。そう考えるマリスでありました

>67
その時、砂の中から巨体な何かが現れFALCONを殴り付ける
しかし、次の瞬間にはその巨体を倒すFALCON…鮮やかな手捌き。どうせ敵と戦うならあのくらい簡単に倒せねば

>69
誓音も地中から出た何かと戦闘に入る…こちらもあっと言う間に倒してしまった

「すごいですわ〜」

そんな感嘆の声をあげる。

>72
マックスも何かに後ろから殴り付けられたようだったが、こちらも相手を簡単に倒していた(復活するのは知らない)
「私も頑張りますわ〜」
気合いがないように聞こえるが、まさにその通り

>70
カイザーはと言うと、何かに乗った者と戦いを始めるが…何か様子がおかしい。劣勢の兆しが見えている
…そう、やはり左腕から痛いですわオーラが出ているのだ

不意を突かれたカイザーが目に砂を受ける。マリスはその時には既に魔法の詠唱を始めていた

詠唱が終わった魔法を敵に向けて放つ
「ホーリーショットですわ!」
光の弾丸が敵に向かい高速で飛んでいく…カイザーを貫こうとしていた者が光の弾丸の直撃を受け、吹き飛ぶ

結果的にカイザーの窮地を救ったのだろうか?
…しかし、油断は出来ない。まだ倒したわけではないし、何よりカイザー自身は目に砂を受けているのだから
マリスがカイザーに駆け寄ろうとした刹那、砂の中からゴーレムが現れ行く手を阻む
「…大きいですわ〜」
そう言いながら暢気にゴーレムを見上げる
ゴーレムもマリスを見下ろす…突然奇妙な見つめあいが始まった
…しかし、マリスがほほえむとゴーレムは砂の中へともどっていった

マリスは改めてカイザーに駆け寄り声をかける
「カイザー様、大丈夫ですか〜?」
相も変わらず口調は暢気なままでありました



【ホーリーショット】
光を凝縮させた小さい球体(弾丸を模した物)を相手に向けて高速で飛ばす
やはり、光に弱い悪魔や不死者などに効果的
人間などに対してはゴム弾を投げ付けたくらいの威力にしかならない。それでも牽制にはなります
ちなみに命中率は不意を突けなければ低いです

75 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/06(月) 21:23:24
暗い視界の中、カイザーは敵の槍が迫っている事を空気の流れで感じ取った。
このまま易々と貫かれるよりは、相手の身体も貫いてやろうかと剣を持った手を伸ばそうとした時、
後方からマリスの魔力が敵へと迫っている事を知ったカイザーは、動きを止める。

>74
>光の弾丸が敵に向かい高速で飛んでいく…カイザーを貫こうとしていた者が光の弾丸の直撃を受け、吹き飛ぶ

スフィンクスライダーは吹き飛ぶ。
そしてその隙にカイザーは体制を整えて砂を払って目を開く。が、視力の回復は遅く、視界は僅かにぼやけて見えるだけであった。

>「カイザー様、大丈夫ですか〜?」
マリスが暢気な口調でカイザーに問いかける。
「ああ、助かったぜマリス。ありがとな。
 …だが、気を付けろ。アイツはここにいる敵の中じゃ一番強い、おそらく指揮官だ。」
と、それを話している内に、再びスフィンクスライダーはカイザーとマリスの周りを囲む様に走り始めた。
「戦法はワンパターンの様だがな。
 あいつに一泡吹かせてらやんと俺の気が済まない。…マリス、お前の出番は少し待っててくれ。」
自身の右手に力を込め、剣の先端から淡い光が放たれる。

「二度同じ手を喰うか!」
敵が攻撃を開始する前にカイザーは飛び上がった。
だが、その動きを敵は読んでいた。
騎手は槍を地に突き刺すと、右掌を上空のカイザーに向ける。
「……まさか!」
―――ゴオオオッ!!
轟音と共に直径2メートルはあろう灼熱の火弾が掌から放たれ、それがカイザーに直撃する。
その灼熱の炎がカイザーの身体を全て包み隠し、上空で燃え広がる。
ドサッ!何かが地に落ちる。燃えカスから判断すると、カイザーの羽織っていたコートだろう。
灼熱の炎は留まる気配も無く燃え盛り続けている。…おそらく、炎はカイザーの身を完全に焼き尽くすまでは消えはしないだろう。

…だが、その時、炎の中から声が聞こえた。
「…魔法まで使えるとはな、俺が思っていたよりも数段強かった。…だが、それもここまでだ!」
その声は正しくカイザーであった。そして、
「ブレンテル流、速攻の剣!―――疾風聖波烈斬!!」
激しい風が空中に巻き起こり、上空に佇んでいた炎は光の刃に両断され掻き消される。
そして、炎を両断した光の刃は、そのまま下方に存在する敵を切り裂かんと降り掛かる。
敵の騎手がそれを察知したが、時は既に遅かった。
音速に近き光の刃は瞬時に乗馬のスフィンクスの首を吹き飛ばす。
騎手は崩れ落ちるスフィンクスから瞬時に降り、上空に存在するであろうカイザーの姿を確認しようと上を見上げた。
「…残念だったな、俺はこっちだ!」
既に騎手の懐に潜り込んでいたカイザーは、自身の光の闘気を右拳に込めて騎手の顔面を殴り飛ばす。
その攻撃の衝撃は凄まじく、騎手を遥か上空まで吹き飛ばした。
だが、衝撃は凄まじいが上空に吹き飛ばす事だけを目的とした為にダメージは殆ど無い。

「…今だマリス!今ならアイツは上空で身動きが取れない!だから、お前の技をぶちかましてやれ!!」
マリスに向けてそう叫ぶ。
普段のカイザーは戦いでは余り仲間に頼らない。
だが、自分の身は先程までの負傷に加え、全身に軽い火傷を負っている。身体がボロボロなのに強がっている場合では無いのだ。

76 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/07(火) 17:13:53
>70>74>75
カイザーがスフィンクスに乗った兵と戦ってる。
(ほぉ…なかなかの好戦ですねぇ…)
隙のない素晴らしい動きっぷりに感心する。が、どこかぎこちない感じもする。
マリスの方をみるとのんびりと…お嬢様らしくえっちらおっちら可愛らしく戦ってる。
そんな戦いを見てちょっぴし不安になったが、ピンチになったカイザーを助けたりして意外にも頼もしい姿を見る。
(…心配いらないかw)

>72
>「ちょっ……誓音! 砂嵐だぞ!! いてっ、汗が目に……おごっ!!」
包帯を解いてる間、マックスの忠告が耳に入った。ばっとマックスの方を見る。
すると砂の巨人にもろ一撃を食らっているのが目に入った。
一瞬助けに行こうと道を変えようとしたが、その心配は無用だったらしい。
ファルコンと同じように、巨人兵の核を叩き割りあっという間に巨人兵を倒していた。
昔マックスが自分の事を情けないと言ってたことを思い出す。
(…全然頼りになるリーダーじゃないですか。)
そう思い少し笑うと前にある巨大竜巻に再度向かい合った。
(今は…人のことより自分のことに集中しないと…ですね…。)

両手の包帯を解き終わり、準備が整った。掌を前にある巨大竜巻に向けた。
掌には首と同じように黒い罅がありそこから無数の黒々しいオーラみたいのが出てくる。

―協奏曲第2番 ニ長調

        二匹の黒き天龍の舞…。

ぐわっとオーラが強くなる。
するともの凄いスピードで黒、紫、濃い緑などの色が混ざった悲鳴が巨大な龍の形となり悲鳴をあげ勢いよく飛び出てきた。
これに触れれば通常では考えられないほどの音の振動、マイナスエネルギーで粉砕される。
それは風などのエネルギーにも効き、操作もできる。(なかなか上手くいかないが)。まぁ強力な上、何発でも打てるわけではない。
勢いよく出て行った大蛇二匹は竜巻に巻き付き風を締め付け粉砕すると、近くにいたサンドゴーレムと蠍一匹を食べ空へ上がっていった。
(これでよしっと…)
誓音はふぅっと一つため息をつくと、「んじゃ!お先にです!」と叫んで前へ走っていった。
みしみしっと手が鳴る。
(っ…ちょっくら初っぱなから悲鳴使いすぎましたかね…)

77 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/03/08(水) 00:29:18
 なんとなく逃げの一手でセシリアについてきたが、こちらはこちらで・・・寒ひっ!!
 「――霊峰ハイネス、話には聞いてたけどここまで寒いとわ・・・寒ひぃぃぃ!!」
 砂漠で暑いのもゴメンだが、雪山で寒いというのもまたよろしくない。
 せっかく召還した鳥目(愛称)も、この風ではまともに飛ぶことはできないだろう。
 吹雪でよく見えないが、ところどころ柱のようなものがある。
 背の高いもの、太いもの、逆に背の低いもの。
 魔方陣探すの諦めて、本気でサタンの城に乗り込もうかと考え始めたその時だった。
 先ほどの大小様々な樹氷のうち、背の低いものが動いた・・・気がした。
 もちろん、樹氷が動くわけもなく・・・気をつけて見てみると、そこにいたのはイエティの群れ。

 周りの雪の色に紛れてとても見にくい。
 とりあえず、群れはこちらに気がついていないようだが・・・数匹のイエティが、牙を剥き、大きな声で吼えながらこちらへ向かってくる。
 (敵意丸出しだ・・・)
 ――刹那、一匹のイエティがレナスへ正面から飛び掛る!
 (っつ!速い!)
 反射的に体を逸らしたお陰で、イエティの爪はレナスの顔の脇を通り過ぎた。
 どうやら、思ったより動きが速い、そして雪山の保護色で姿を見失いやすい。
 数体なら捌くことも可能だろうが、これが群れ一つとなると話は別だ。
 ヘタをするとエヴァンスよりもタチが悪い。

 「・・・せっちゃん。」
 どうやらセシリアのことらしい。
 「これ全部相手にするのはちょっと骨が折れるから、とりあえずここは適当に蹴散らして退きましょう。
 だから・・・。」
 ふと見ると、”いかにも”といった感じの魔力が漏れ出ている洞窟が、イエティの群れの向こうに見えた。
 「どう見てもあそこだね・・・。
 じゃあ、せっちゃん。山の頂上の方に振動の大きい術を何か撃って。
 私はイエティたちの気を逸らす。
 うまくいけば雪崩が起こるだろうから・・・雪崩がこっちに来る前にあの洞窟に逃げ込む。」

 (・・・また賭け)

 そんな事を思いつつ、自分の無力さに苦笑してしまう。


78 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage夢魔、淫魔とも呼ばれる種族、それがベリアール] 投稿日:2006/03/08(水) 08:37:37
>60>66>68
>それよりも、サタンの使いだ。こいつの雰囲気はどこかおかしい
ちょうど日が落ちた頃に方面軍基地へと戻ってきた。
その間色々と聞き出そうと話しかけては見たもののなしの礫で
結局肝心な事は聞きだせず……

「やはり、同性の姿では駄目なのでしょうかね。
 駄目元で姿を変えてみましょうか……どのタイプがいいか?」

暫定的に宛がわれた自室にて何やら妙な事を始めるベリアール。
数分後、その部屋にいるべき魔族は姿を消していた。


>兵舎の入り口横に腰掛けサイコロで遊びながら他の面子の事を思う
兵舎内を一人の女魔族が歩いていた。任務でシズネの部屋に様子見に行けなかった連中が
鼻の下を伸ばして見る。その数多の視線にいちいち笑顔で手を振って歩いていく。しかし
道を間違えたようで兵舎入り口に出てしまった。ちょうどそこにいたのは『辻斬り』。
これ幸いとばかりに話しかける。『辻斬り』は見た目に囚われず、自分が誰かすぐに分かるだろう。

「ああ、『辻斬り』殿。この様な所にいらっしゃるとはなんと都合のよい。
 道に迷ってしまったので教えて下さい。エヴァンス殿か、アステラ殿の部屋をご存知でしょうか?」

79 名前:冴波(赤面) ◆QCuhq9l.Ig [sage お待たせしました。] 投稿日:2006/03/08(水) 10:06:01
>71
どうやらシズネの方が一枚上手のようで、あっさりと返されてしまった。
耳まで赤くなってしまったのが簡単に見てとれる。
「うぅ・・・。」

>「・・・ああ、そりゃあ今の姿にどうやってしたかって考えれば見たさね。いい身体してるねえ。羨ましいよ。
>男にもなっていたから『モノ』がぶら下がっているのかと思ったけど、そんな事もなかったんだねえ。」
混乱する頭をなんとか取り戻そうとしたところで『体』についてモロに聞かれた。
ここでなんとかペースを取り戻そうとして、冷静を装って応える。
「あ、あぁ・・・えー。そうだな、私は『交代』している時の記憶はないんだ。
 その・・・だから・・・よ、陽物については分からない。」

なんだかんだで風呂から上がる。冴波の白い肌も紅潮していて桃色に染まっていた。
濡れた黒髪を紐で纏めて、ポニーテールのような形にして、服を選ぶ。その結果は・・・
「なんだか・・・足元がおぼつかない。臍まで見えているし・・・。」
冴波が選んだのはタンクトップの様なシャツとミニスカートだった。
殆どスカートの類は穿かないのか、スカートを押さえてヨタヨタと歩いている。

「そうだな。うん、食事はありがたい。」
裸を見られた羞恥がまだ残っているのか、まだ赤い顔をしながらシズネについて行く。

80 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/03/08(水) 15:51:36
>62>77
霊峰ハイネス。雲を見下ろす山々をさらに眼下に置き、世界の屋根として名高い。
セシリアとレナスはそのハイネスに連なる山脈に足を踏み入れていた。
>「――霊峰ハイネス、話には聞いてたけどここまで寒いとわ・・・寒ひぃぃぃ!!」
「確かに少々こたえますね」
セシリアは時折歯を鳴らして寒がるレナスに、こともなげに答える。
生まれも育ちもオーガス北方、寒さには慣れている。そのうえぴたりと閉じ合わせた二重のマントの内側では、
炎の精霊を宿した剣がごくわずかずつその力を解放し続けており、暖められた空気は首元から顔へ抜け、
凍りついた空気を吸い込んで肺が痛むのを防いでいる。足元は毛皮の内張りのブーツに履き替え、
手元だけは少々心もとないが、それでも上質な豚革で仕立てられた、指の動きをほとんど阻害しない手袋をつけている。
つまり防寒対策は万全なのだ。

「しかし、いくら寒さに耐えられるといってもこれは困りものですな」
セシリアが言いながら見上げた鉛色の空からは、砕いた岩塩のような雪が降り注いでいる。
遠くから見たら、山の高さが変わって見えるほど、と言うのはいささか大げさかもしれないが、
体感的にはそれくらいの積雪、および降雪。足場は悪いし視界も悪い。
風も強く、少々の大声は吹き散らされ、堅く重たい雪が顔にぱしぱしと叩きつけられ小さな痛みを生む。
積もった雪と空の境目すらも舞い散る雪に溶けている。

――だから気づくのが遅れた。気づいたときにはすでに間合いの内だった。
「……イエティ!」
咆哮を上げながら飛び掛って来る雪原の主の横面を、槍で思い切り殴りつける。
イエティとセシリア自身の力が踏み込んだ足にかかり、雪の中へ沈み込んだ。
>「・・・せっちゃん。」
同じようにイエティの襲撃をかわしたレナスがセシリアに声をかける。
>「これ全部相手にするのはちょっと骨が折れるから、とりあえずここは適当に蹴散らして退きましょう。
> だから・・・。」

レナスは斜面の上方に一撃を加え、雪崩を誘発させると言うプランをセシリアに話す。
「わかりました。……それと、せめて『セシル』と呼んでくださいませんか?」
せっちゃんと呼ばれて、なんだか蛍の死骸を埋めている自分の姿が浮かんでしまったセシリアだった。
気を取り直して、耳元に手をやる。音の精霊『鬨鈴』の宿るピアスを外し、口元へ寄せる。
「レナス殿、耳をふさいでください!――わっ!!」
鬨鈴を通った声は数十倍に増幅された上に高い指向性を与えられ、斜面にぶつかる。
間にいたイエティ数体が耳から血を流して倒れこんだ。
そして、声によって強烈な振動を与えられた雪が、自らを保持することを諦めた。
雪が崩れ落ちるのを確認した瞬間、セシリアは雪面を蹴って飛んだ。
暴風の中を飛ぶこと、深く積もった雪の上を走ること、どちらも困難な二者択一だが、それならまだ飛ぶほうが慣れている。
一つ息をするごとに風向きが変わる中、軒に吊り下げた人形のように翻弄されるセシリアの足元を雪が走りすぎていった。

81 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/08(水) 16:32:21
>72>74>75>76

それぞれが敵と戦う。
マックスがゴーレムを打ち倒し、誓音が腕から黒い龍を出現させて目の前の竜巻をかき消し、サンドゴーレムと蠍を打ち砕く。
カイザーとマリスはスフィンクスに乗った魔族の騎士と交戦中。
少し苦戦をしているようだが、カイザー達は強い。大丈夫だろう。
FALCONはゴーレムを二体倒したはいいが、皆が他の敵と戦って、出番が回って来ない。
正直に言うと暇である。
暇なので、さっさとマックスが魔法陣を破壊できるように、魔法陣の正確な場所を探し始めた。
この辺りに魔法陣が存在するのは間違いないはず。
眼前に巨大な竜巻が現れた。
竜巻の下には魔法陣の気配が感じられる。
(あの竜巻が守ってるのか……)

竜巻はこっちに近付き、砂を巻き上げてこちらに叩き付けてくる。
FALCONは逃げ出した。
あの竜巻は魔法によって動いているはず。
竜巻の性質から考えると自分の打撃は効かないだろうし、気功の技を使えば魔法陣を傷付けてしまうかもしれない。
ならば、対処できそうな人の元へ。
「マックスゥゥ!!!助けてぇぇぇ!!!」
マックスの方に向かい逃げる。
後方には竜巻が追い掛けて来ているだろう。

82 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/08(水) 18:36:54
>81
竜巻を倒し前へ走っていくとちょうど魔法陣があった。
(あれが第四魔法陣…さっき超音波使ったとき違和感を感じたのはこれのせいですか…)
周りを見ると一足早くファルコンが魔法陣に気づいたらしく、マックスに竜巻をパスしてる。
(…ま、ここはファルコンさんとマックスさんに任せておけばいいでしょう…
マリスさんとカイザーさんの方も…手出さなくて大丈夫そうですし…。)
そう察すると掌から超音波を出す悲鳴の球体を3個ほどだし散らばらせると、花太郎を止め包帯を巻き始めた。
まだ激痛が走る。
(…全く…人間ってのは脆いもんですね…。)
そうふと思う。自分も人間だというのに…まるで他人事のように…。

83 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/08(水) 21:21:18
>79
耳まで真っ赤にしてかわいいったらありゃしないねえ。
煙管吹かしながらサエナミさんの身支度整えるのを待っていたんだけれど、出てきたサ
エナミさんを見て煙管を吸うのも忘れちまったよ。
背が高くて手足が長くて、線が細い。そのくせ出るトコでてへっこむトコへっこんでいる
なんてのは女として反則でないかね?
しかもポニーテールにしてうなじを出すだなんて、渋いツボも押さえちゃって。
可愛さが憎たらしさに変わる瞬間ってこういう時なのかねえ。
「あらあら、やっぱりいい身体していると服も映えるねえ。下手に裸より艶が出てるよ。」
賞賛半、分悔しさ半分で口がついちまう。

それにしてもこの子、女のあたしが見てもこうだから、男が見たらたまらないだろうね。
これは・・・売れる?
いやさ、その前に市場リサーチをば・・・
「さて、食事にいく前に部屋の空気の入れ替えでもしておくとするかね。」
パチン、と指を鳴らすと窓の鎧戸が開く。その途端・・・
【うう・・!?・・・うおおおぉ!!!!】
外に溜まっていた男どもの僅かなどよめきがあり、直後に怒号のような歓声が響くじゃ
ないかえ。
窓が開いてサエナミさんの艶っぽい姿が丸見えになったからねえ。
ピチピチの2サイズ小さいタンクトップ、スカートって言うか腰布のようなミニスカート。
そして恥らう姿。ああ、ゾクゾクしちまうよ。
結界で入ってこれないってのに押し寄せるもんだからバチバチ弾かれてすごいことに
なってたよ。
しかし・・・これは売れる!
「いやはや、人気だねえ。どうだい、戦争終わったらあたしと店でも開かないかい?あん
たは不動のNO.1だよ。」
恥じらいながらヨタヨタ歩いてついてくるサエナミさんがあんまりにも可愛いもんだから
遊びが過ぎちまうよ。
やだよホントに、これじゃあたしゃヨシワラの女将みたいじゃないかえ。

>73
部屋を出るとすぐに異変に気付いたよ。
髪の毛が静電気に吸い寄せられるように数本浮いちまうし、何より肌で感じるこの圧倒
的な力。
中隊長連中やエヴァンスさんを凌ぐような・・・かといって辻斬りや魔王の使者さんのよ
うな禍々しさがない。
純粋な力。抑える事無く、否、余りの強大な力に逆に振り回されているような感じだ。
「おやラックじゃないかえ。思ったより早かったねい。
まだ制御しきれていないようだけど、どうだい?羽化した感想は。
あたしらこれから夕飯だけど一緒に行こうじゃないかえ。」
角を曲がったところでばったりあったのはやっぱりラックだったよ。
蛹から蝶へ投下したんだねえ。まだまだもてあまし気味だが美しいじゃないかえ。
色々話もあるだろうから食事に誘うよ。

*****************************************************************
ヨシワラ:タカマガハラ有数の歓楽街

84 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/03/09(木) 01:00:18
>70>74-75
カイザーとマリスはどうしたか……というと。
生物かどうか解らない物に乗った、変な男と闘っている。
カイザーを見る限り楽では無い様だが、マリスとの息の合った連携がマックスの不安を取り払った。
「あの二人を心配している暇は……無さそうだな!」
背後からマックスに飛びかかる巨大な蠍。マックスの目が太陽に、キラリと光った。

>76>82
巨大な蠍がマックスの左手に握りつぶされる音は、大蛇が竜巻を押しつぶす音にかき消された。
「なんつー技を使うんだ誓音はぁ! 竜巻を消しちまうなんて! ……すげぇな。
(魔法みたいだが、魔法じゃないような……まあ、俺が考えて解る事じゃねぇか)」
そう呟くと、動かなくなった蠍を放ってから、ケレンファで叩き潰した。
「(わりぃな。ここまでやるのは可哀想な気もすっけどよ……万が一って事も有るからな)」
砂の巨人の様に復活しないように、という気持ちからだが、やはり内心複雑なマックスであった。
そうこうしている内に、誓音は先に進む。先程、FALCONが移動した方向だ。
そのFALCONは……。

>81
「!? こっちくんなあああああ!!」
FALCONは竜巻を連れる様に、マックスに近付いてくる。
「俺にどうしろってんだ……そうか、ヒチシか!」
マックスはケレンファを背のベルトに挟むと、ヒチシを取り、構え、念じる。
「はぁあああ!」
ヒチシの刀身から水滴が浮かび上がると、マックスは砂をまき散らしながら、思い切り高く飛び上がる。
「でぇりゃあ!」
FALCONに当たらない様に、竜巻を縦に両断する。間もなく竜巻は収縮し、消えていった。
着地後、マックスはヒチシを天に翳してから、ヒチシを振り回して背にしまうと、静かに口を開いた。
「俺とヒチシに、断てない物は無い」
実際マックスが普通の剣を持てば、普通の物は大抵切れるし、
ヒチシを持てば殆どの魔力を断つ事も難しくない。
とは言え、世の中はそんな上手く行く訳が無いのである。
マックスはヒチシの【力】を使い初めてから、自分の中に起こりつつある体の変化に……。
「大丈夫か? FALCON。敵はまだ居るんかな? まだ少し居そうな気配だが……」
気付く筈もなく、FALCONの方に話しかけたのだった。

85 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/09(木) 01:47:13
>78
気持ちも落ち着いてきたか、しばし時流れるままボーっと虚空を見つめ続けた。
しかし手中ではサイコロが休むまもなく踊り続け、
時々お互いがぶつかり、カチリカチリと乾いた音を響かせていた。最早無意識下の世界である。
傍から見れば、怪しい光景に見えるかもしれない。
入り口横に一人座り込み、片手の上でサイコロを振り続ける中隊長。

――――少なくとも親しい筈の特攻隊の部下ですら近くを通っても近づかない。
いくら無意識だからと言って、下手に入れば邪魔者と見なされ、斬られるがオチ。
いやむしろ無意識下だからこそ危険なモノである、
たとえ気が落ち着いたとて『本能の欲求』は収まらないのだ。

そんな心配そうに遠出でから見る部下を尻目に、一人の魔族が鬼に近づいていった。
===============================================

>「ああ、『辻斬り』殿。この様な所にいらっしゃるとはなんと都合のよい。
さて、どの位経ったかは解らんが、誰かに呼ばれたような気がした。
まったくどこの自殺志願者か余程の物好きか・・・
「・・・なんヤ?」
とても冷たい声と共に首だけが声のする方へ向く。
そして空洞の眼が捉えた姿、それは魔族の女……刀に手が伸びたが。
ある事に気付き思い止まる。それは、この女から感じる闘気。
間違えるはず無い、サタンの使いの闘気その物であった。

―――――――事情は把握した。刀から手を離しながらゆっくりと立ち上がる。
大きく伸びをすると、間の抜けた声で相手に語りかけた。
「なーンや。アンタかイ、ドチラさんか分ラず。どこのベッピンさんかと思ったデェホンマ
 まあ、アンタなら、そなイなケッタイな術何て朝飯前ヤからのォ、見た目じゃ解らへンよ。」

それでも、サイコロをしまわず片手の中で踊り続け。突然ギュッと握り締められる
「デ・・・ワシに道案内やれと。生憎ワシャぁ小僧の部屋は知らへン。
 エヴァンスの大将の部屋なラ知ッとるが、タダ教えルのも性に合わン・・・。」
不機嫌そうに言うと握った2つのサイコロを上に放り投げた。それを手の甲に落とし片手で見えないように蓋をする。
「そこで、ちトばかしの運試しヤ。『丁』やッたらアンタの勝ち、せやガ『半』やッたらワシの勝ちヤ。」 

今度は楽しそうな喋りになると、手を空けた。手の甲の上で2つのサイコロが示した数。
『三・一』……『サンピンの丁』である。
「・・・・・・」
しばしの沈黙。
「・・・・・・ゲヒャ!・・・ゲヒャハハハ!」
そして突然堰が外れたように笑い始めた。まるで何かを嘲る様に。
「ゲヒャハハ・・・イヤァ、ワシも相変わラず運が無いワのォ。
………エエで大将の部屋なら案内したル。こッちや付いて来たッてェな。」
自嘲なのかどうかは察することは出来ないが
満足そうに言うと、ゆっくりと兵舎へ入り歩き出す、しばらく行けばエヴァンスの部屋の前に出るだろう。

86 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/03/09(木) 07:26:14
すでにラックの話が基地内に浸透しているのか、はたまたラックそのものに圧倒されているのかは定かではないが、
ラックとすれ違う面々は揃って驚きの面持ちを浮かべる。それにもラックは何も思うことはなく、あてもなく歩くだけ。
破壊衝動に包まれていた、あの時の殺気は微塵もない。ただぼんやりと歩くその姿に、部下を殺戮した面影は見えない。
しかしそれでもその雰囲気をあの時と同じに感ずるのは、未だにその瞳に生気が宿らぬままだということか。

>83
>「おやラックじゃないかえ。思ったより早かったねい。
>まだ制御しきれていないようだけど、どうだい?羽化した感想は。
>あたしらこれから夕飯だけど一緒に行こうじゃないかえ。」
真正面だったというのに、突然声をかけられたようにラックは歩を止める。まるで視界に入っていなかったかのように。
声の主とその後ろにいる者を確認すると、ラックの表情に、僅かな驚きが見える。ラックは髪を掻きあげ、見据える。
「一応俺は仲間殺し、しかも多数。少なく見積もって死刑の奴に軽々しく声をかけるのはどうかと」
言いながら、右手の人差し指の先端に、小さな小さな、雷球を作る。予備動作もなく、まるで突然発生したかのように。
「ましてや」
人差し指を曲げて親指に引っ掛け、力を溜めて離す、単純に言えば「でこぴん」の動作を、右手で行う。
右手の先端にあった雷球は、猛スピードでシズネと冴波の横を通り過ぎ、壁に黒い痕を残す。
「あんたたちを殺そうとしていたわけだし、今ここで襲いかからない確証はどこにもない」

少し背筋を伸ばすと、二人を通り過ぎようとする。
「ま、食事のお誘いはご遠慮ということで。お腹減ってないわけじゃないけど、二人が変な目で見られるだろうし――」
自分の肩を軽くトントンと叩き、腰の周りをさする。老人のようだと思うと、少し滑稽か。
「食っても、もう意味はないだろうしね」

87 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/09(木) 09:34:04
>83
窓が開いて多数の視線に晒された。
それこそ人(?)山が出来上がる程の人数だったようで、結界に弾かれていくのが見える。
「い・・・・・・」

冴波の意思に呼応したように短い風切音と共に大剣が飛来する。
それは、冴波の手に触れた瞬間に二つの人間の頭程の大きさの宝玉に姿を変える。
その内の一つが輝き、水が宝玉から空間を流れ出・・・さなかった。
「いや・・・・・・」
>「おやラックじゃないかえ。思ったより早かったねい。」
>86
頭の中が空白になりかけたその時に、シズネの声が割り入った。
「ラック?」

見てみれば、随分と変わり果てたラックの姿。
いや、外見にあまり変化は無い。だが中身は別物とさえ言えるという意味で。
そして、ラックに近づきながら話しかける。
「ラック、無事か!?リエドが無茶な真似をしたかと思った。」

>右手の先端にあった雷球は、猛スピードでシズネと冴波の横を通り過ぎ、壁に黒い痕を残す。
傍らを雷球、もとい雷弾が通り過ぎたが歩を止めたりはしなかった。
反応できなかったのか、反応しなかったのかは窺い知る事は出来ない。

「生きてたか・・・。はぁ、よかった。」
>「あんたたちを殺そうとしていたわけだし、今ここで襲いかからない確証はどこにもない」
>「ま、食事のお誘いはご遠慮ということで。お腹減ってないわけじゃないけど、二人が変な目で見られるだろうし――」
>「食っても、もう意味はないだろうしね」

ラックのセリフに少しだけ目が真剣さを取り戻す。
「拘束は抜け出した。見たところ体に大きな不調はなさそうだ。・・・・・・、それで次は何をするつもりだ?」

それなりに真剣なのだが・・・ミニスカート、タンクトップ、ポニーテールではあまりシリアスには見えなかった。

88 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/09(木) 19:01:28
>84

>「!? こっちくんなあああああ!!」
「そんな酷いこと言わないでぇぇ!!!!」
こっちに来んなと言いつつも、マックスは使っていた武器をベルトに挟み、ヒチシを構える。
マックスは高く飛び上がり、巨大な竜巻を両断。
着地をしてヒチシをしまって放つ決め言葉。

>「俺とヒチシに、断てない物は無い」
「マックスゥゥ!!カッコイイゾォ!!!」
茶化すわけでもなく、純粋にマックスがかっこいいと思ったFALCONであった。

>「大丈夫か? FALCON。敵はまだ居るんかな? まだ少し居そうな気配だが……」
「一応、俺は大丈夫だ。敵は多分カイザー達が戦っている敵で最後じゃないか?
ゴーレムはもういないみたいだし、さっきの竜巻のような魔法型の化け物の持つ波動も感じられない。
あっちに魔法陣があるから、魔法陣を破壊しに行った方が良くないか?
魔法陣を破壊してる間にカイザー達も敵を倒すだろうしな」
自分が走ってきた方向を指差し、魔法陣のある場所を知らせ、再びFALCONは魔法陣に向かって歩き始めた。

89 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/03/10(金) 04:24:52
>85
常人ならそれだけで震え上がってしまうほどに冷たい声を向けられる。
(どうも、ご機嫌斜めだったようですね……)
表情に出さないがそう当りをつけた。刀を抜きかけたところを見ると、
よほどその何かに囚われていたのだろう……

「貴方がお世辞を言うとは珍しいですね。
 もっともこれは『術』では無いのですが……運試しですか、ではどうぞ。」

結果は自分の勝ちだ。と言っても全ては相手が決めた事であるし、
こうした勝敗で一喜一憂する性格を、ベリアールはしていない。
しかし、それでも『辻斬り』の表情など作り様の無い頭蓋骨を実に楽しそうに眺めている。
……もっとも、『辻斬り』の嘲笑じみた笑い声を聞いて、心中穏やかではないようだが。
(……まったく、貴方も難儀な存在ですね……)

「お手を煩わせてしまいますが、よろしくお願いいたしますね。
 それにしても、『辻斬り』殿に道案内をしていただけるとは実に光栄です。
 ……道がてら、聞きたい事があればお答えいたしますのでお気軽にどうぞ。」

元々の姿ですら『辻斬り』相手では大人と子供ほどの差があるのに
今の姿では小走りにならねば段々離されてしまう。『辻斬り』の歩調は
実にゆっくりだと言うのに、だ。しかしこの光景、傍目にはどう映るのだろうか?

90 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/03/10(金) 07:46:26
>75
マリスが放った光の弾丸で敵に隙が出来た際、カイザーは体制を整えて砂を払い目を開くとマリスの大丈夫かの問いに答える
>「ああ、助かったぜマリス。ありがとな。…だが、気を付けろ。アイツはここにいる敵の中じゃ一番強い、おそらく指揮官だ。」

カイザーにそう教えてもらっていた時、敵…スフィンクスライダーは既に体勢を整えカイザーとマリスの周りを走り始めていた
>「戦法はワンパターンの様だがな。〜(中略)…マリス、お前の出番は少し待っててくれ。」
カイザーはそう言うとスフィンクスライダーに飛び掛かる
>「二度同じ手を喰うか!」
しかし、敵は慌てずに槍を地に突き刺すと、右掌を上空のカイザーに向け炎の塊を放った…カイザーは回避できずに直撃を受ける。
「大きい炎ですわ〜」
…カイザーの危機なのに暢気に構えるマリス…冷静に大局を見ているのか馬鹿なのか…

その間にも灼熱の炎がカイザーの身体を燃やしているようだ
ドサッ!突如カイザーの羽織っていたコートらしき物が落ちてくる
灼熱の炎は留まる気配も無く燃え盛り続けており、カイザーの安否が心配される…しかし、その時
>「…魔法まで使えるとはな、俺が思っていたよりも数段強かった。…だが、それもここまでだ!」
カイザーの声が響き
>「ブレンテル流、速攻の剣!―――疾風聖波烈斬!!」

目も追い付かないほどの速さで炎をかき消し、スフィンクスの首を斬り落として乗っていた騎手を空高くかち上げる

>「…今だマリス!今ならアイツは上空で身動きが取れない!だから、お前の技をぶちかましてやれ!!」

マリスに向けてそう叫ぶ。
「…は、はいですわ〜」
一瞬遅れてカイザーに返事をする…速い動きを見てびっくりしていたのだ
気を取り直して必殺技の用意…腰につけてある聖水を手に取り、敵のおおよその落下地点辺りにばら撒く

「え〜と…確かこうでしたかしら〜」
何やら印を宙に描くと地面の聖水からまばゆい光が
「ディヴァインスピアですわ〜」
次にマリスが呪文の名前を言うと、地面にかけた聖水から神々しい光に包まれた。確かな形を持たない槍らしきものが出現する
「とんでけですわ〜」
号令と共に光の槍が一直線に飛んでいき…敵の体を串刺しにする
その間マリスはと言うと、カイザーに向き直り微笑んでいた…自分がした事がどんなエグイ事かも気付かずに

>82 >84 >88
辺りを見回すと他の敵は、皆が倒しおわっていたようだった
皆の無事を確認したマリスは、ふとカイザーが斬り落とした生物の首に気付いた
近付いていき、しゃがみこんでその首を興味深そうに見つめてみる


91 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/10(金) 16:03:22
>84>88
包帯を巻き終わった頃にはすでにマックスが竜巻をぶった切ってた。
>「マックスゥゥ!!カッコイイゾォ!!!」
ファルコンの歓声が響く。
(全く…仕事が早いものですねぇ…)
あっという間に敵を次々と倒していき、もうほとんど終わってる状態だ。
地面に潜っていた悲鳴の球体が砂の中に蠍二匹ほど見つけたが、最早逃げ腰なのが伺われる。

誓音は同盟軍の想像以上の強さに内心少しワクワクしてた。
今までに色んな人の戦いを見てきた。そして戦ってきた。
が、ここまで素晴らしい達強さ、才能を持った者達を見たことは滅多になかった。
(…まだまだ私も外の世界を知らないって事ですね…)
誓音は少し笑うと、ファルコン達の方へ馬を走らせる為、手綱を持つ。

が…その前に…
(…雑魚を片付けておきますか、念のため。)
人差し指をクイッと曲げる。
すると地面に潜ってた悲鳴の球体三個が蠍二匹に思いっきり体当たりをかました。
蠍二匹は砂漠の砂と同じように脆い粉末となる。

「逃げて何かやらかされても困りますし…ね。」

そう冷たく呟くと、手綱をおもいっきし引っ張り、走り出した。


92 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage単なる暗示なわけですが] 投稿日:2006/03/10(金) 20:16:01
>86>87
ゾクソクしちまうほどいい目をしているね、ラック。
サエナミさんもラックをみて安堵するだなんて、反応が可愛すぎるよ。
でもね、「何をするつもりだ?」だなんて、愚問ってもんだよ。
今のラックに目的なんてないんだろうよ。無いものを聞いても意味ないわいねえ。
こういった状態の奴には暗示やマインドコントロールをかけやすいんだろうね。
有り余る力に真っ更な心。このアンバランスさはたまらないよ。
このまま浸っていたいけど、いい加減腹も減ってるしね。

「ラック、サエナミさんがこんな色っぽい格好で出迎えているのにつれないじゃないかえ。
戸惑っているようだから一つずつ教えてあげるよ。
羽化した蝶が蛹だった殻の事を気にするもんじゃないよ。死刑なら今あんたは生きちゃ
いないのが道理だろう。
それに、あんたを生かしたのは誰だと思っているんだい?
ああ、恩に着ろなんてはいわないさ。だけどね、誰に治療されたかが問題だったわねえ。
あたしに何本針を打たれたか知ってるかい?あたしが治療だけで終わるとでも?
少なくともあたしにゃ襲い掛かろうとしても出来ないさ。それが自覚できたり力づくで破れ
るようなボケた呪を書けるほど腕はにぶくないよ。
あんたの力が強ければ強いほど呪は強くなるのさ。
身体が重くなり、動けなくなるんだよ。自分自身の力で自分を押さえ込んでね。
ま、それは単なる趣味なんだけどね。
羽化のときちょいと暴れたからってどうって事ないさ。
なんてったって魔王軍だからね。常識を適用するには程遠い場所さ。

さて、これで断る理由はなくなったね。
そして何より・・・いい女が二人もいて誘っているんだ。女に恥をかかすような真似するん
じゃないよ。
ほれ、背筋しゃんと伸ばしたご褒美だ。これをくれてやるからさっさとおいで。」

目的がなく理由だけで動いている奴は理で理由を潰してやればいい。
その上で目的を渡してやれば洗脳完了、なんだけどね。そこまでやっていては美しくな
いさね。
思い通りにいっちまう人形になんて何の魅力もないからねえ。

ゆっくりとだがテンポ良く長台詞を決めて、起風符をふわりと落とす。
符は床についた瞬間つむじ風を起こした。
大したこともない風だがサエナミさんの布を巻き上げるには十分だろう。
若い男がいい女を前に朴念仁でもあるまいに。目の保養でもさせてやるよ。
ちょっとしたショック療法だね。
さて、腹も減ったしもういこうかねえ。

93 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/11(土) 02:11:32
>89
「……?、なにが楽しいンかは解らヘンが、まあエエ。
 クハハ……そなイに畏まらンといてヤ。ただノ気紛れヤさかいニ。
 ………まァアンタに言うタ所で、そノ『クソ腰が低い性分』は治らへンやろな……。」

相手のどこか楽しそうな視線に多少疑問を感じつつも、あえて聞かぬ。
そして合いも変わらず腰の低い相手の言葉に対し、苦笑染みた言葉で返したが、
表情がない分、全てが本心かどうかは不明である。
(合いも変わらず掴み所の無いヤツじャ、どうも慣れヘンわ・・・)
心にそんなことを浮かべつつも、先程と同じでのんべんだらりと歩を進める。
それしか無いのだから仕方ない。

「それにしテも久々やなァ……こうアンタと話すンわ。
 そッちの内情はどうヤ?反乱などは皆無やろうけど……
 後サタンの親父は相変わらずカ?まだ上はワシの特攻隊長としての謹慎を解く気はないンか?」
まあ物もついでである、丁度先程まで聞きたかった事柄を相手に尋ねた。
それは、いささか懐かしみを帯びた声。
何分サタンの元には、例の皆殺しを遣らかしてからしばらく顔を出していないのだ。
しかも、相手は顔馴染みである気兼ねも無く質問に答えてくれるだろう。
そんな事を考えていると、歩調が少しだけ遅くなる。
しかし相手へ振り向かないのを見ると無意識なのか、
或いは相手の早歩きを察したのかは解らないが。


そこでふと気が付く。気のせいか周囲の視線が集まっているような・・・・・・
恐らくはシズネや冴波の部屋の前にいたのが、コイツを一目見に流れて来たのか。
或いは引っ掛けようにも、ワシがいるため指を加えて見ているだけなのか。
果てまたワシが女を連れていることに驚いているだけなのか知れない
まあ漢ならば解らぬでもない悩み、ましてや女気の少ない軍隊の話ならば尚更である。
「生きる何ゾ面倒な事ヤなァ……。」そんな自家発電君たちを尻目に小さく零した。

そんな視線の中を進み、鎧武者は一つの部屋の前まで来ると立ち止まった。
「ここヤココや、この部屋ヤ。ワシャぁ特に用事は無いからのォ。
 ワシに構わンと、はよ済まセて来ヤ。」
親指を立て相手へ入室を促す。

94 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/03/11(土) 08:02:19
>87
>「拘束は抜け出した。見たところ体に大きな不調はなさそうだ。・・・・・・、それで次は何をするつもりだ?」
問われたラックが困惑の表情を浮かべたのは、その質問に戸惑いを感じたのか、冴波のその珍しい姿に戸惑ったのか。
そのどちらなのかはともかく、ラックは少し困ったように目を細くして、再び髪を掻きあげながら冴波から視線を外す。
(何をするかって聞かれても…こっちが聞きたいぐらいだ)
強いて言うなら何をしようとも思っていない。確実に来るであろう死刑の時までの暇つぶしに歩いていただけだったから。
そして特に何をしたいでもない。欲求なんてものは、未来が先がある者にこそ与えられるわけなのだから。

どのように答えるべきかも解らぬまま、再び視線をスライドさせていつもと違う冴波の服装に目をやる。
(つーか、何この格好)
似合わない訳でなく、むしろ似合っているといえるのだが、しかしラックが知る冴波という人間を考えると?がつく服装。
(…目のやり場に困る)
気が付けばまじまじと見てしまっていたので、あわてて視線を上へ、冴波の顔へと。
(髪型もなんというかその…うん、これはアリだな)
そんなどうでもいいことを考えているものだから、問いに答えることは遂になかった。

>92
「呪いねぇ…ふぅん、呪いかぁ」
自覚症状がないので本当にかかっているのかよくわからない。いっそ本当に殴りかかってやろうか、なんて思ってしまう。
倒れている間に色々と手を加えられたと聞いて、いい気がするわけはなかった。表情や口に出すわけではないが。
「ま、呪いみたいなのには慣れてるしどうでもいいけどさ、実際に遅いかかりゃしないし」
言いながらラックは自身の体を少し見回す。針治療と聞いて、どこかに刺さりっぱなしかも、なんて思ったのだろうか。

「それにしても、羽化、ね…」
思い出したように呟き、何かを考える風に目を閉じ、顎のあたりに触れる。
「セミって、羽化したら一週間ぐらいさ生きられないんだっけな。一週間だけ、物凄い勢いでミンミン鳴いて」
シズネに向けて言っているのか、自分に向けて言っているのか…どちらともとれるトーンで、ただ呟くように。
「俺は、どうやら蝶じゃないようだ」
少しだけラックは唇の端を上げる。その笑みには間違いなく、自嘲も含まれている。

「ま、とにかく、俺は何を言われても別に行く気なんか…」
突如として吹く風、目の前の冴波はミニスカート。よって、然るに、つまりは、当然、どうなるのかというと。
――ズザザザザ
かなりの勢いで後ずさり。ラックは幼少の頃から戦いに明け暮れていたから、こういう攻撃にはとことん弱い。
あたふたしながら、とりあえずその場しのぎとして右手を目の上に乗せ、「自分は何も見ていない」とでも言いたげに。
「い、行き…ます、行かさせていただきます」
しっかりと指の間に目があるのはお約束といったところか。前かがみになっていないだけ良しとしよう。

95 名前:冴波(再度紅潮) ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/11(土) 11:43:10
>92-94
シズネが落とした起風符。巻き起こる風。
ミニスカートなんて格好をした冴波に起こる現象は・・・言うまでもあるまい。
・・・・・・水色。

「ひゃん!?」
妙な悲鳴を上げた冴波はそのまま床にへたり込んでしまう。
一応、スカートを手で押さえてはいるが脚が露出している。

「う・・・見たな?見たんだな?ラック・・・。」
怒りを表すかのようにラックとシズネを下から睨み付ける。
が、顔が真っ赤で涙目に下から見上げる目線では迫力など欠片もない。

「<衣服再生状況・・・コート・不完全。>」
「このまま行くしかないか・・・。うぅl・・・。」
頭の中でズタボロのコートの状況を確認してみるが、まだ直っていないらしい。・・・・・・選択肢は一つだけだ。
自分の無造作な選択を悔やみつつ、スカートの中が見えないように立ち上がる。
少しだけ、ラックが元の調子に戻ったことに安堵しつつ、シズネに付いて食堂に行くことにした。

「は、早く行こう。視線が気になって仕方が無い。」
人(?)山が少し減っている事には気恥ずかしさで気づくことはなかった。
ぴょこぴょことポニーテールを揺らしながら歩く冴波。

『コイツも堕落したものだ。・・・あるいは進歩と言うべきか。』
冴波の周囲を回る2つの宝玉(大剣であったモノ)が漏らした独り言は誰にも届くことはなかった。

96 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/11(土) 21:20:04
>94>95
起風符は正に狙い通りの働きをしてくれた。
でも意外だったのはサエナミさんの反応だねえ。可愛い声上げちゃって。
おぼこみたいな反応なもんだから逆にこっちが恥ずかしくなっちまうじゃないかえ。
「あらあら、ごめんよぅ、サエナミさん。
あたしの国では雷の相方は風だからねえ、符を渡してやるつもりが手が滑って発動しち
まったよ。
でもまあ、減るもんでもないし。それにね、女は見られて綺麗になっていくもんだよぅ?」
クスクス笑いながらフォロー(?)を入れたけど真っ赤な顔で睨まれちまって。
そんな顔されるとゾクゾクしちまうじゃないか。
「まあまあ、お詫びにボロボロになった服は今夜にでも繕って届けさせるから許しておく
れよ。」
謝るんだけど顔の綻びが止められないよ。

ま、そんなで食堂に向かって歩き始めたんだけど、二人を背にそっと舌を出すよ。
適当なこと言ってラックを丸め込んだはいいけど、ホントに襲い掛かってこられたらどうし
ようかと思ったからねえ。
まあ、さっきの言葉を鵜呑みにして暗示状態になってくれれば儲けものさね。
にしても後ろの二人、なんだか結構お似合いじゃないかえ。

食堂につくと中には誰もいなかった。
思えばこの広間に最初の夜に集められたんだよねえ。
「人間ばかり三人入るよ。夕餉を至急頼むからね。」
奥の厨房に向かって声をかけて席に着く。
士官用食堂みたいなもんだ。食事の必要のない辻斬りはともかく、エヴァンスさんや魔
王の使者さんもそのうち来るだろ。
とにかく腹が減っているからね、悪いが先にいただくとしようかねえ。
「そうそう、ラック。あんたの得物はあたしの部屋にあるから。後で届けさせるよ。
ハンマーは重そうだったから辻斬りに持っていってもらった。後から返してもらいなよ。」
忘れないよう、食事が来る前にラックに伝えておくよ。


97 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/12(日) 03:37:43
何とかある程度の対応マニュアルを脳内作成して待ちに入る。
・・・待てど暮らせど誰も来ない。エヴァンスかあの・・・魔族が
来るかと踏んだのだが、当てが外れたようだ。いい加減我慢の限界で
外に出ようとする。

見張り『貴様、部屋から出るな!』
アステラ『・・・やかましい。(ガキィッ!)』
見張り『ぐあっ・・・!(バタン)』

ほんの少し顎を揺らされたぐらいで気絶とは拍子抜けだ。
が、いちいちでかい声を出されないで済んだだけよしとしよう。
とりあえず鍵を奪って部屋に押し込んでおく。邪魔だ。


>94-96
外に出る道筋は覚えてるが、出てったら意味が無い。
わざと物珍しそうに物色しながら歩いていると、妙な三人組が部屋に入っていくのが見えた。
・・・『食堂』とプレートに書いてある。そう言えば、腹が減ったな・・・
前はそうでもなかったのに、今はやけに空腹を感じる。これも『悪魔』に
近づいてしまったせいなのか?・・・考えても仕方がないな。

アステラがドアを開けて食堂へ入ると、既に先程の三人が席に着いていた。
さてどの席に着けば自然だろうかと、ドアを閉めてその場で考える。

98 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/03/12(日) 11:11:17
>93
「その気紛れを『貴方が』起こした事が愉しくて愉しくて。
 ……面倒なだけなんですよ。いちいち喋り方や態度を変えるのが。」

『昔』はこうして(一見)和やかに『辻斬り』と話す事などなかった。
出来なかったのだ、あまりの暴れっぷりに。そのせいで場末の地味な仕事に
追いやられてしまったのだから。心中を察すると、今は大分楽しんでいるようだ。
人の楽しみや愉悦と言った感情はベリアール自身にも同じ情念を呼び起こす。
言わば、ベリアールが愉しそうにしているのは『辻斬り』が多少は満足していると言う事だ。
だが、それでも至上の悦楽とは行かない……その理由はベリアールもよく知っている。

「そうですねぇ、貴方が『アレ』を引き起こして以来ですか……
 コッソリ逢いに行ってもよかったのですが、サタン様に止められてしまっていたので。
 魔界はいたって平穏ですよ……血で血を洗う戦いは収まる事を知りませんから。
 ええ、お元気です。人間如きにしてやられた怒りが御力を更に高めています。
 ……その件に関して、サタン様からの伝言があります。

『鶴の一声を出しても良かったのだが、弾倉ごと吹き飛ばす鉄砲玉ではダメだ……
 敵に放たれるまで大人しくできねばな……』と。

 もっとも貴方も我慢を覚えたようですし、その件は私の方からサタン様に進言しておきます。
 しかし……本当はサタン様は『かつての貴方』を気に入っておられるのですよ。
 なので、我慢が効かなくなったらしない方がよろしいかも知れませんね。」

などと『辻斬り』の質問に答えている内にエヴァンスの部屋に着いた。

「わざわざありがとうございました。それでは、また後でお会いしましょう。
 ……エヴァンス殿、少しお話があります。失礼してもよろしいでしょうか?」
わざわざノックまでして、それでも部屋に入らない。主の許可を得るまでは。

99 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/03/12(日) 11:15:41
>95
>「う・・・見たな?見たんだな?ラック・・・。」
「い、いやその見たか見ていないかと聞かれてどう答えようと見たとしか受け取られないと思うわけでだったらもう」
落ち着きなくあたふたと答えるラックに先程の排他的な雰囲気は全くない。瞳も心なしか元に戻っているように見える。
実際はしっかり見ているわけだし、それは脳裏に焼き付いて鮮明に瞼の裏に思い浮かべることができるわけだが、
まさか馬鹿正直にそのことを伝えるわけにもいかぬわけで。しかしだからといって伝える言葉もなく、結果苦し紛れに、
「ご…ごめん」
と、謝ってみたりする。

先へ行く二人を追うようにラックも歩き出す。なんだかいいように口車に乗せられたような気がするのは気のせいか。
(実際そうなんだろうけど…いいもの見れたし)

そしてふと前を歩く冴波を気遣う。衆人環視のなか、いわゆる「パンチラ」をしてしまったその心中、推して知るべきか。
「だ…大丈夫?」
声をかけてみたものの、気の利いた言葉が出るような男ではラックはない。気遣いが伝われば、それでよいのか?

>96
食堂に着いたはいいが、やはりまだ食事はない。かなり腹が減ってきた気がするのは、食堂に入ると腹が減る、いわば
パブロフの犬なのだろうか。早々に席に座るシズネを見届けると、一番入り口に近い席に座る。
一番最初にこの食堂に足を踏み入れたときと、同じ席に。

>「そうそう、ラック。あんたの得物はあたしの部屋にあるから。後で届けさせるよ。
>ハンマーは重そうだったから辻斬りに持っていってもらった。後から返してもらいなよ。」
「あぁ、そういえば。どうもご丁寧に」
ハンマーも剣も、いつも肌身離さず持ち歩いているためにないことには逆に気づきにくかった。実際気づいていなかったが。
(辻斬りが持ってんのか…試しに壊そうとかしてないだろうな)
ラックが思う辻斬りの印象がどんなものなのか、解るだろうか。

>97
三人が食堂に入ったすぐ、見たこともない少年が入ってきて一瞬そちらを見るが、
見たこともない者が現れるなど珍しくないし、だいたいが少年なのかも怪しい。あのエヴァンスのように。
結果、いちいち考えるのも面倒だと、無視をすることにした。
(飯、まだかな)

100 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/03/12(日) 17:52:29
>98
私室へ運び込んだキャスター付きの小さな浴槽に、粘度の薄い、エメラルド色に透き通った霊薬を満たして浸かる。
左腕の修理と調整に右腕が使えないは不便だ。サタンとの謁見を控え、一応は体裁を整えておかなければならない意味も有る。
武器一式に、湿り気の残ったままのコートや鎧、ブーツ、下着を片っ端から脱いでは無造作に床へ積み重ね、
細胞組織の代謝を急激に活性化――暴走させる「治療」薬に胸まで浸かり、それから浴槽の壁にもたれてじっと瞼を閉じていた。

ジャック・エヴァンス大佐の肉体は二世紀半来疲れ知らずだが、思考や精神力まではその限りで無い。
ましてや問題児学級の初陣で、今回ばかりは骨身に堪えた。
経験則ばかりが物を言うのは戦闘や戦術の段階においてのみで、戦略レベルの選択は常に新たな局面へと晒される。
増え続け、変わり続ける一方の戦争の条件付けに、二百年の年の功など亀の甲にも劣るのだ。
手札に即物的な威力を持たせる事が肝心で、そのためにジェミニと「Little Jennie Anges」をガストラから呼び戻した。
使者を通してサタンに言い寄り、飛空戦艦を首都に待機させたなら、足と武器は間に合う筈だ。

砦の戦闘で存在を確認出来たオーガス騎士はたったの三、四人で、しかも内一人はイレギュラーだった。
戦いの後エヴァンスは、端からあの白装束の女騎士、セシリアを狙って動けば良かったと密かに後悔していた。
参謀を封じ込めさえすれば、FALCONとカイザーの大火力に焦点を合わせた機動戦術が可能な筈。
他は例え一騎当千の剣客だろうと魔道師だろうと、料理の方法は幾らでも在ったのだから。
「敵ほど足が回らなかった。もう少し器用に動けるつもりだったんだけどな」

そして神剣。神剣を封じずしてレナスは抑えられず、レナスを抑えずして神剣は手に入らない。
両方に、同時に潰しの利く方法が必要。現時点では「Calverinia」を直接ぶつけるより他無い。
或いは冴波。シズネのバックアップで、どれ程まで彼女に無理を強いる事が出来るか。
或いは「辻」を言い包めて、多対一を演出出来るか。そしてラックの使い道。
戦力不足は火を見るよりも明らかだが、自殺願望に剣を握らせるのは好みでない。首輪の程度も頭の痛い問題。

やがて、まどろみの内に没入する、血のように真っ赤な夢。
運命の理不尽な手が、終に鉄火鉄血の闘争の天国からエヴァンスを追放した日の事。
失楽園の以前、七人の天使が肉の体を、彼と彼の恋人が常人の魂を留めていた日の事。

>……エヴァンス殿、少しお話があります。失礼してもよろしいでしょうか?」

眠りかけ、水中に滑り落ちる身体を、浴槽の縁を掴む左手が支えて引き上げた。
聞き覚えの無い女の声がエヴァンスを呼び、ドアを叩いて入室の許可を求める。
浴槽に浸かったまま、義手の掌をドアにかざして相手の魔力を読む。
どうやらサタンの使者だ。兄妹か、化けているのか。彼の背後の気配は多分「辻」だろう。物騒な道案内を選んだものだ。
「……入れ」
腕を下ろした。音も無くドアが開き、サタンの使者に入室を促す。
しかし室内は大小雑多のガラクタに埋め尽くされ、足の踏み場も無い。
「散らかってる上にこんな格好で悪いね、使節殿。
勘違いだったら済まないが、貴公は女装癖でもお有りかな? ま、前よか見栄えは良くなった」

101 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/12(日) 20:02:47
>90
マリスが上空へ向けて放った光の槍は、スフィンクスライダーの身を串刺しにした。
あれでは幾らボスとは言え、一瞬にして絶命したであろう。
>その間マリスはと言うと、カイザーに向き直り微笑んでいた…自分がした事がどんなエグイ事かも気付かずに
「……ああ、良くやったぜ。流石はマリスだな。」
少々返答に困りつつも、マリスへの賞賛の言葉を送る。

マリスは、先程斬り飛ばしたスフィンクスの首に興味を持った様だ。
「…そんなの見てて面白いか?」
表情の無い非有機物的なスフィンクスの生首が、やけに気持ち悪く感じたカイザーであった。

>84>88>91
スフィンクスライダーを倒した頃には、周りの戦闘は終了していた。
カイザーの位置からでは声は聞こえないが、FALCONがマックスに魔方陣破壊を促しているようだ。
四方の地平線を見渡す。
(…さて、今回は敵の増援は無いようだな。)
以前の戦いで現れた増援に、仲間はかなり苦戦していたらしい。
今回は敵の増援も考えていたが、それは取り越し苦労だったようだ。

「杞憂に終わればそれで良い。
 …ま、敵がどんな姑息な手段を考えていようとも、俺はそれを打ち砕くだけだがな。」
地平線の彼方へ、そう呟いていた。

102 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/12(日) 23:15:02
>96>97>99
さて、ここらで私が語り手を務めるとしよう。
ん?誰かだと?私ならばそこの娘の周囲を回っているだろう?
そう、その双玉だ。もともとは「大剣」だがな。
私に名は無いがゆえ、ただ「剣」と名乗ろう。

さて、破廉恥な場面を終えて一向は食堂へと向かう。
謝る女と男。シズネとラックといったか。どちらも謝ってはいるのだが、シズネの方は口が緩んでいる。
どう考えても確信犯だろう。一方のラックも謝っている。つまりは見たということだ。

>「まあまあ、お詫びにボロボロになった服は今夜にでも繕って届けさせるから許しておくれよ。」
>「だ…大丈夫?」
どちらも一応声はかけてくれてはいる。水のヤツは・・・。
「いや、服は食事が終わる頃には『直っている』から大丈夫だろう。・・・偶然、か。」
「・・・・・・・・・・・・大丈夫だ。心配は要らない。」
という具合だ。やれやれ、見られた位で減る訳でも無かろうに。

そうこうする内に食堂に着く。
前に来た事でもあるのか、手早く席に着いた。おそらく前回と同じ席なのだろう。
すると、開く扉。現れたのは、少年だった。
・・・・・・、ここに来る以前に感じ取った気配と似ているが気のせいだろうか。
「座るといい。丁度、隣が空いている。」

こいつは、警戒を知らないというかなんというか。
誰かとも知れぬ人間を招いて平気でいられる神経は度し難い。
ともあれ、食事もそろそろ運ばれてくるのだろう。
いい香りがしてきているらしい。私も冴波の周囲を周るのを止めて、足元に着地する。
しばらく、観察することにしよう。

103 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/13(月) 21:36:30
>97>99>102
食堂に入って席に着いたらまあ、する事もないしね。キセルを吹かしながら待ってい
たよ。
ラックも元の調子に戻ったみたいだし、言うこと無だ。
それにしてもラックの発散するこの力、制御できた時が見物だねえ。
今のラックをエヴァンスさんが見たらなんていうか楽しみだよ。
サエナミさんの方はちょっとガッカリだ。
せっかく繕いついでに色々仕込んでやろうと思ったが、どうやら勝手に治っちまうらし
いじゃないかえ。
魔法のかかった衣服には珍しい事でもないが、ちょいと惜しい事したもんだよ。

そうこう待っていると食堂に一人入って着たよ。
・・・?なんだろね、この感じ。見た目は人間だが・・・。
いやいや。思えばこの部屋にいる奴ら、厳密な意味では人間って言える奴なんてい
ないんだものねえ。そう驚くほどの事でもないか。
「おや、見ない顔だねぇ。新入りかい?ほれ、サエナミさんも言っている事だし、そんな
ところに突っ立ってないで、とりあえず座んなよ。
それで自己紹介の一つでもしとくれよ。」
キセルを吹かしながら入ってきた坊やに声をかけるんだが、どうにも引っかかるねえ。
なんだろ・・・なんとなくラックに感じが似ているけど・・・。
クンクンなって鼻を動かしちまうよ。ようく感じてみると、なんだか面白いねえ。

「おやまあ、珍しい混ざり方をして入るねえ、あんた。
こう見えても鼻は利く方でね。混ざるって言うか・・・蝕まれてる、って感じかい?
どっちがどっちを蝕んでいるかは知らないけど、さ。
まあ、この軍で細かい事も気にしてられないか。ほれ、頼んでやるから何が良いかお言
いよ。
人間用かい?それとも生き血か生肉か結構品揃えはいいんだよ、ここ。」
一体どこの誰かは知らないが、随分と楽しそうな気の流れをしたもんだ。自然と顔に妖
艶な笑みも浮かんじまうよ。
色々聞かせてもらいたいねえ。

104 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/13(月) 22:33:00
>98
「クハハハ……面倒か……。
 アンタらしい言うタらアンタらしい答えやナ。」
しばらくサタンの元へ行ってない為、少々記憶は薄れてはいたが、
サタンの側近であるこの者の存在はよく覚えている。と言っても具体的に何を話したかは解らぬが……
恐らくは切掛かろうとしたのかも知れない。
気に入らなかったら身内にも容赦しないのが『辻斬り』なのである。

そして相手は案内がてら聞いた質問に嫌な顔一つせず答えてくれた。
「そうヤなぁ……『アレ』からどン位タッたかも忘れてしもウたわ。
 そのコッソリちューコトバが引ッかかりおルが、それヨカ、サタンの親父ガ元気そウで安心したさかいニ
 親父のコトバ、ココによう刻まセてもらうデ。あの方こそワシにとッての―――絶対的ナ『力』ヤからのォ。」
安堵したような声で空っぽの頭を指でコツコツと小突く。
弾倉ごと吹き飛ばす――――か、確かに言われてみれば納得である。
まあ鉄砲玉も相手に当たらず暴発ばかりするような弾では、どんな威力があっても使えぬと言う事か。
理屈は分るのだ――――しかし
最終的に我が身を動かすは『本能』、それが動いてしまえばどうしようも無い。

そこで意識が返った、そうこう思案している内にも相手の言葉は進んでいるのだ。
「おウ!オオキニ、そらァ助かるワ―――」
突然意気揚々とした声が途切れた。
相手の出した単語に、言葉が出なかった、出す事が出来なかった。

「ア……アア心得た、そウやな『我慢』は体に毒ヤからのォ。
 ほナまた後でナ。」
相手が部屋に入るのを確認し、そう短く伝えると、ゆらりと来た道を引き返し始めた。
声と体が少し震えている、何故だ……何故何故何故何故。
相手の言葉、やはり――――ワシャ『アレ』を恐れているのか?

105 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 00:19:17
 >80
 ――とりあえず、光と轟音でイエティたちの気を逸らそうと、掌に魔力を溜める。
 せっちゃん、もといセシルは耳からピアスを外し、口元に寄せた。
 >「レナス殿、耳をふさいでください!――わっ!!」
 「へ?」
 間一髪で耳を塞いだ・・・が、脳髄を直接刺激するような、あたかもハウリングのような衝撃。
 手で耳を塞いだ程度では、防ぎきれなかったようだ。
 「うっつく・・・脳震盪・・・?」
 しかし、そんな泣き言を言っている場合ではない。
 余りの衝撃に溜めていた魔力を失ってしまったが、幸いこの衝撃で十分陽動にはなっている。
 >間にいたイエティ数体が耳から血を流して倒れこんだ。
 >そして、声によって強烈な振動を与えられた雪が、自らを保持することを諦めた。

 ズズズズズゴゴゴゴゴゴ・・・・

 思惑通り、かなり大規模な雪崩が起こってくれた。
 >雪が崩れ落ちるのを確認した瞬間、セシリアは雪面を蹴って飛んだ。
 「う・・・裏切り者ー!」
 完全に八つ当たりの一言を残し、レナスは洞窟へ一直線に走る。
 イエティの大半は、先ほどの衝撃により悶え苦しんでいる。
 レナスへ干渉してくるものはいない。

 ――とはいえ、雪崩の速さは途方も無い。
 「ひょええええ!!」
 このときレナスは、飛行術を教えて貰わなかったことを心底後悔した。
 ・・・かつて、ここまで必死に走ったことがあっただろうか。いや、恐らくないだろう。
 そして、半ば雪に飲み込まれながら洞窟の中へと滑り込んだ。
 雪まみれで・・・。
 「ボウヤと戦ったときより命がけだったよ・・・・」
 むくりと起き上がり、雪をほろいながら、ぽつりと呟いた。
 洞窟の中は、風が無くなったせいであろうか、思ったよりも心地よい。
 見た目はごく普通の洞窟、これといって不自然な点はないのだが、不気味ななほどに快適だ。

 「・・・また罠じゃないだろうねぇ。」
 ――出口は雪で塞がれている、罠なら・・・。

106 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 08:31:09
>第四魔法陣
全ての敵を倒し、あたりには砂漠を吹き抜ける乾いた風しか残っていない。
魔法陣を破壊せんと近寄った時、切り落とされたスフィンクスの首が突如として目を見開き近くにいたマリスの腕に牙をむく。
「砂漠の風よ!熱風よ!我が命と聖女の血に基づき渦を巻き、あらゆるものを砂塵にて削り魔法陣を守れ!!闇に等しき光に包まれるまで・・!」
マリスの腕に喰らいつきながらも呪詛を唱える。
その言葉と共に魔法陣を中心とした竜巻が巻き起こった。
大量の砂を巻き上げながら渦を巻くその大きさはサンドボルテックスの数十倍。
強大な風圧に巻き上げられ渦巻く砂はその渦に入るもの全てを削り尽くす。
強力な呪ではあるが、ブレードヒチシにより霧散させることはできるであろう。
だが、竜巻自身は消せても慣性の力までは止められない。ここでブレードヒチシを振るえば刀身を破壊される可能性は高い。
無理に渦の中に入れば風圧とその勢いで回る砂に実を削られ骨も残らないだろう。
強大な技で竜巻を消す事も可能だが、魔法陣を下手に傷つけ暴走爆発でもされては命はない。


107 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 12:00:29
>99>102-103
食堂に入ると、既に三人は席に着いていた。
遠目でも奇妙と映ったのだ、近くで見るとその奇妙さがよく分かる。

まず一人目、同じくらいだろうと思われる男。
飯が待ち遠しいだけなのか、考えるのが苦手なのか。とにかく
一瞥しただけですぐに視線を空に投げ出した。見た目だけなら場にそぐわないと
言い切れるが・・・常人なら確実に絶命しているほどの雷の力を宿して平然としているのだ。
それだけで常人ではなく、その観点で見ればこの場にいるのはそこまで不自然じゃない。

二人目、自身の隣の席を勧めてきた女。さっきの男より少し上か。
・・・露出狂なのか?どう考えても体型と服のサイズが合ってない。
借り物かも知れないが、そこまで気遣ってやる必要はないな。
だが、中身は全然別物らしい・・・感じる力は、記憶にないもの。
異質、その一言が当てはまる。どこから来たんだ?

三人目は・・・自己紹介しろと言った女。三人の中で一番上。
背格好だけでタカマガハラの人間と分かったのは、俺自身訪れた事があるからだ・・・
まぁ『魑魅魍魎』扱いされて酷い目にあったから余計に覚えてるんだがな。
それにしても、案の定口さがないタイプか。こういう手合いは注意しないといけない。
あの手この手でこっちを喋らせようとするからな・・・


勧められるまま席に着いて・・・仕方なしに自己紹介する。
『俺はアステラ・・・一族の恥さらしの、双子の兄を探している。
 あの骨やエヴァンスとか言う男のせりふから、奴が同盟軍にいる事が分かった。
 だから、俺はこちらにつく事にした・・・この部隊にいれば、奴を補足できると踏んでな。』

108 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 19:26:24
>106
ファルコン達と合流してすぐに砂漠全体に男の声が響いた。
>「砂漠の風よ!熱風よ!我が命と聖女の血に基づき渦を巻き、あらゆるものを砂塵にて削り魔法陣を守れ!!
>闇に等しき光に包まれるまで・・!」
ばっと声の方を見る。するとスフィンクスの頭がマリスに噛みついてるのが見える。
(あいつ…!まだ生きてたのか!)
マリスを助けようと馬を素早く向ける。
が、背後からの突然暴風に誓音は吹っ飛ばされてしまった。もの凄いスピードで砂の地面にぶつかり衝撃に襲われる。
「…っ!…な…なんですか!いきなり!」
ばっと上半身を起き上がらせ暴風が来た魔法陣の方を見た。
するとそこには、誓音がさっき倒した竜巻よりもさらに巨大な竜巻がうなり声をあげながら回っているではないか。
威力の方もさっき倒したものより遙か上だ。
「…あのスフィンクス野郎…。」
ばっと立ち上がると少しいらついた気持ちを噛み殺しマリスに近づいた。
「…大丈夫ですか?マリスさん。……ちょっと失礼。」
そう言うとスフィンクスの頭部と顎を掴み、ぐぐっと力を入れる。
しかしスフィンクスの頭はマリスの腕を噛んだまま離れない上、砕けない。
「……どうやらこいつが言ってた闇に等しき光を見つけないと無理っぽいですね。」
そう言うと、花太郎を起こし、マリスに麻酔草を渡した。
「これを食べれば多少の痛さが麻痺します。…噛まれっぱなしも痛いでしょうし食べておいてください。」
そう言うと竜巻の方を見た。
(…例えあの竜巻を悲鳴でぶっ飛ばしたとしても、魔法陣を傷つけてしまうかもしれない…。
しょうがないが確実に仕留めるため闇に等しい光…ってのを見つけないとですね…)

109 名前:睡蓮 ◆TRPSgq.Yoc [sageちと強引気味でスマセン] 投稿日:2006/03/14(火) 20:54:49
>107
どうにも仏頂面した子だねえ。
特に注文ないようだから人間の夕餉をもう一人前追加してやった。
まあ素直に席について自己紹介してくれたよ。
「へ・・ぇ。アステラってのかい・・・。」
微笑みながら煙管を吹かし、微笑みかけてやる。
そんな事しながら長くもない自己紹介を頭の中で整理をしていたんだけれどね。

程なく四人分の食事が運ばれてきてそれぞれの前に置かれる。
「あたしはシズネ・ラ・ファウスティナってんだ。」
こちらも名乗るけど、そのついでに符を八枚中に投げ簪を一本抜いて旗に戻す。
護法招来旗だ。
「いでませ、黒マシラ!」
色とりどりの刺繍の施された旗から八匹の黒い猿が這い出て実体を持つ。
まだ宙に浮いている符をそれぞれ一枚ずつ掴むと、部屋の八方に散り貼り付けるよ。
「見ての通りしがない符術師さね。
あたしはそっちの二人みたく強くないからねえ。用心深くないと生き残れないんだ。
気を悪くしないでおくれよ。確認が取れるまで、さ。人事権はエヴァンス『とかいう男』が
持っているんでねい。」
妖艶な笑みを絶やさずにアステラに告げたよ。用心に越したことはないからねえ。
符を八方に配置する事によって入る事は出来ても、出ることの出来ない結界を張った。

入隊理由なんてどうでもいいところだけれど、時期が悪いわねえ。
双子の兄、だなんて今日の戦闘で誰かが敵としてアステラを見ていてもいい訳できるよ
うにとってつけたようにも思えるし。
つく事にしたって事は、まだ配属前ってことだよねえ。
何より、エヴァンス『とかいう男』ってのに引っかかるんだよねえ。

「エヴァンスさんかい?ラックとサエナミさんとで食堂に来ているんだけど一緒にどうだい?
ついでにアステラってのが来ているのだけど、そのことについても聞きたいのでね。」
念話装置でエヴァンスさんを呼び出すよ。
「まあ、気にせず飯でも食っていておくれよ。あたしも食うから、さ。」
やることはやったし、あとは待つだけだ。エヴァンスさんがこればはっきりするだろ。
アステラににっこりと微笑みかけてから夕食を取り始める。

110 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 20:55:53
すいません、名前欄ミスりました。
>109は私です。

111 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/14(火) 23:07:12
>106

魔法陣に向かい歩いていると、後ろから大きな声が聞こえた。

>「砂漠の風よ!熱風よ!我が命と聖女の血に基づき渦を巻き、あらゆるものを砂塵にて削り魔法陣を守れ!!闇に等しき光に包まれるまで・・!」
「何言ってんだ?」
声のした方を向くが、声の主はいない。
誰の声か不信に思いながら、魔法陣の方に視線を戻すと、超巨大な竜巻があった。
「ぬうぉぉぉ!!!」
突然発生した竜巻の風圧にFALCONは吹っ飛ばされるが、空中で静止して、地面に着地する。
「さっきの台詞はこのことかよ!!」
FALCONは全身に黒いオーラを纏わせて、必殺技の一つ、気功砲の構えをとるが、射てない。
(竜巻の下に魔法陣があるんだよな…気功砲を射ったら…誘爆してこっちまで吹っ飛んじまう…)
構えを解き、思考を巡らすが、何も良い考えが浮かばない。
とりあえず、カイザー達の下に行って対策を考えることにした。

112 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/03/14(火) 23:48:22
>104
「そうでしょうね。この様な考えを持っている同族などいませんし。
 まぁ私自体が種族の中で異端なのですから当たり前と言えば当たり前なのですが。

あの頃の事を思い出す。何度話しかけては斬りかかられた事か。
その度に白刃取りで受け止めては手が荒れたのも今となってはいい思い出である。

「さすがに指折り数えまではしてないので……
 我らにとってはそれほど長い時間ではないのですが、貴方にとってはどうでしょう?
 決まってるじゃないですか……まぁ、その件は置いておいて。
 そのお言葉、確かに聞きました。サタン様もお喜びになることでしょう。」

我慢の話になった途端、歯切れが悪くなる。
やはり、『辻斬り』殿は……そのお気持ちも分からなくもありませんが。

「そうですけれど、我慢の話は忘れて下さい。それでは、また後で。」

エヴァンスの許可が出たので部屋に入る。

113 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/03/14(火) 23:49:49
>100
通された部屋は実に様々な品が床に無造作に直置きされており、
歩いて通れるだけの隙間すら見当たらない。仕方が無いのでマントに
擬態させていた翼を広げて宙に浮いて浴槽に沈んでいるエヴァンスに近づく。

「いえいえ。それに、その様なお姿も中々に……ふふ。
 女装?……ああ、人間ではその様に言うのでしたね。……ふふ、ふふふふ……」
いけない、笑いのツボに入った。並みの人間なら確実に気分を害するだろう程に
笑いが止まらない。段々お腹も痛くなってきた、どうにかして鎮めないと……

「ふふふふふっ……ふっふっ、す、すみま、せんねぇ。
 あまり、にも、意外、だったもの、で……ふふふふふふふふふふふ……」

数分後、ようやく収まってきたところで本題に入る。

「……単刀直入にお聞きしますね。ラック・ラックでしたか?
 彼とアステラ殿についてお聞きしたい。貴殿は如何なさろうとお思いで?」

場を動かす為に一時強引にアステラの扱いを預かったとは言え、部隊の指揮官はエヴァンスだ。
如何に自分がサタンの使いであっても、部隊に関わる事にまで干渉できないし、
かと言っていたずらにサタンの名を濫用するのも色々とよくない。正式な通達があるまで、
あくまでただの同行者でしかないのだ。もっとも、だからこそ出来る事もある。
強硬手段を取る様なら止めればいいし、様子を見ると言うなら黙って従う。
駒は一つでも多い方がいい……ラックもアステラも、上手く使えば有効な駒になるのだから。

114 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sageたまには一人称視点] 投稿日:2006/03/15(水) 03:23:05
やっぱり、飯ってのはね。必要なものなわけ。人間であること以前に、俺にとって、ね。
例えば体を纏う電気。無限にある筈はなく、勝手に帯びてくるわけでもない。一応体の中で造ってる。
心臓のアレの干渉で、微量の電気を大量に増やしている訳なんだけど、その微量の電気を造るのに、外部からのエネルギー、
つまり、飯、を必要としているってこと。ま、俺が飯が大好きなことも大きな一因となっているんだけどさ。
だから俺は飯を待つ。小さく貧乏揺すりをしながら、メニューに若干の期待を込めて。

だが…いいのか?俺に、こんな悠長に飯を待っている時間があるってのか?沸き上がるは不安感、焦燥感。そして…恐怖。
――タイム・リミットは、刻一刻と近づいているんだぞ?
だめだ、外面上は死を受け入れたように演じても、本能が…生物としての、生と死への本能が…俺を不安定にさせる。
一度死に臨んでしまったことが、そして生き残ってしまったことが…諦めた筈の生への渇望を、より色濃く形成る。
なぁ、どうして俺は生き残ってしまった?生き延びてしまったんだ?教えてくれ、教えてくれよ、誰か。
【運命の神様なんてのがいるとするなら、一体俺に何をさせたいんだよ?】

>102>103>107>109
そんなことを考えているうちに気がつけば食事は運ばれていた。気がつけば…つまり、気がつかなかった。
焦燥が、顔に出ていなかっただろうか?それではダメだ。冷静だ、冷静になれ。せめて、少なくとも表面的な、冷静さを。
努めろ。見抜かれるな。見透かされるな。こんな…弱い俺は、誰にもバレちゃいけない。見栄を張ってると、解ってても。

ヒワタリさんに指示され椅子に座った少年を見てみる。確か…アステラとかって自己紹介してたな。
少年…って言っても俺も少年か。童顔なら同い年でもいける程度だし、少年って呼んじゃ悪い気もする。
何より少年っぽい格好してても中身はそうでないなんていくらでもいるしな。ていうかエヴァンスさんなんだが。
双子の兄を探してるだとかなんとからしいが…大層な理由だ。不信も信憑も今のところないから…まだ何も言えない。
だから俺は…とりあえず、飯を食うことにした。

一方姐さんは何か不信に思ったことがあったのだろうか、変なの召喚して符を八方に貼り付けて…。
結界的なものかと思ったら、やはりそうらしい。厨房から食堂に入ってきた給仕が、厨房に戻ろうとして戻れない。
右往左往するかわいそうな給仕を横目で見ながら、ご飯をかき込みつつふと思う。
用を足したくなったらどうすりゃいいんだろ?

115 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/15(水) 09:23:09
>103>107>109>114
夕食が始まったが、和やかというには違和感があるものだ。
シズネという奴が食堂を密室化しているし、ラック、だったか?そいつは妙に上の空。
最後に入ってきた、そう、アステラだったか?奴もまた不穏な空気を発散している。

無機物である私の視線なぞ感じる術もある筈は無いのでとっくりと観察しているわけだが。
「〜♪」
鼻歌一つ歌いそうな具合で食事に手を付ける阿呆がいた。
こいつが私の本体なのかと思うと少々眩暈を覚える。
・・・機械にはあり得ないが。

何か仕組まれたような感じが強いが、これも運命か命運かというところか。
一方の私は椅子の下に置き、もう一方の私はゴロゴロと転がって部屋の隅に行く。
いろいろと対応は練らなくてはな。


ふと思う。この冴波は・・・『どの』冴波だ?
根本的にその存在を貫くのは『冴波という存在の集合』という定義。
その中の一番根底となる姿からは揺らいでしまっている。
全く、無茶な実験をしたものだ。後天性精神分裂症をつくり、それを統率しようなどと。


運命は運命以外の何者でもなく、それは無限の系統樹。
その全てを知るどころか全てを破壊せんと望んだ絶望。
何が悪で何が善か、という問いすら無意味。流れは止められない。

「ところで、これからどうするんだ?本拠地の防衛でも?」
という問いだ。些か私も気になる。

116 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/03/15(水) 10:03:32
>101
にっこり笑ったマリスにカイザーは
>「……ああ、良くやったぜ。流石はマリスだな。」
一瞬遅れて賞賛のことばを送ってくれた。天然故の困るところにカイザーは圧倒されたみたいである


スフィンクスの首を見ていると
>「…そんなの見てて面白いか?」
と、聞かれたのでマリスは笑顔とともにこう答える
「面白いですわ〜」

>106
そのときだった。見ていたスフィンクスの首が目を見開き、マリスの腕に噛み付いてこようとむかってきた
咄嗟(予め予想していたとしても)の事だったので回避できずに噛み付かれる

>「砂漠の風よ!熱風よ!我が命と聖女の血に基づき渦を巻き、あらゆるものを砂塵にて削り魔法陣を守れ!!闇に等しき光に包まれるまで・・!」
噛み付いた首が詠唱すると、魔方陣の方向だろうか?竜巻と一言では言えないような巨大な竜巻が巻き起こる
噛み付かれたマリスは
「痛い…ですわ〜…」
いくら暢気でも程はある。口調はそのままでもかなり苦しそうに呟いた


>108
誰かがマリスに近づいてきた…誓音である
>「…大丈夫ですか?マリスさん。……ちょっと失礼。」

そう言うとスフィンクスの頭部と顎を掴み、力を入れて外そうとしてくれた
しかしスフィンクスの頭はびくともしない。むしろ痛さが増す
>「……どうやらこいつが言ってた闇に等しき光を見つけないと無理っぽいですね。」
そう言うと誓音は馬(花太郎)を起こし、何かを手渡してくれる
>「これを食べれば多少の痛さが麻痺します。…噛まれっぱなしも痛いでしょうし食べておいてください。」

痛さが一時的に無くなる草のようだった
「ありがとうございますわ〜…」
微笑みながら言うも、無理をして笑っているのは明らかであった

誓音はそのまま竜巻の方を見やる。何か解決法があるのか
とりあえずこの頭が離れてくれなきゃ痛いままですわ〜。と、心で喋りながらもらった草を食べてみる
良薬口に苦し。だが、痛さが少しずつひいていき楽になっていく
が、それでも血は出ているので止血の魔法を施す

…小さい頃に聞いた、赤い血がいっぱい出るとお化けが来るという話を信じていたから…



「…」
突然地面に座り込む。スフィンクスの頭が重たいので、立っていられなくなったのだ
「闇に等しき光…私にはわかりませんわ〜…」
ついでに呟いた

117 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/03/15(水) 14:23:47
>109>113
サタンの使者は散らかった床を避け、空中浮遊で浴槽に近付いて来た。
浴槽から身を起こし、素裸で使者に向き直る。

>「いえいえ。それに、その様なお姿も中々に……ふふ。
> 女装?……ああ、人間ではその様に言うのでしたね。……ふふ、ふふふふ……」

「……?」
唐突に、腹を抱えて笑い始める使者。
エヴァンスは呆れながらもとりあえず好きなようにさせて、相手が静まるのを待った。

>「……単刀直入にお聞きしますね。ラック・ラックでしたか?
> 彼とアステラ殿についてお聞きしたい。貴殿は如何なさろうとお思いで?」

使者の言葉に微かに眉をひそめるが、質問には大人しく答える。
「ウチの隊の事情に、えらく通じてるじゃないか。デバガメしてたか?
なら分かるだろう、私は仲間殺しは好かない。戦闘が非公式でなければ奴の身柄は即、軍事裁判に委ねたろうよ。
ところが生憎と、私も独断で兵を動かしたという負い目があるんでね。裁判は無理だな。

わざわざそんな事聞いてくるくらいなんだから、アンタには考えがあるんだろ?
私見を述べれば、さっさと縛り首にして死体は解剖さ。だが我が隊は深刻な人手不足に悩まされている、と。
なら首輪ででも引っ張って、働けるだけは働いて貰わねばな。

アステラとかいう餓鬼は私の知った事じゃない。連れてきたのはアンタだ、好きにしろよ。
『百鬼夜行』に放り込むか? 虎の穴だぜ。全く、エゴの強そうな連中ばっか集まりやがるよ」

机の上の念話装置が鳴り、使者を押し退けて装置の受話器を取る。
「シズネ? ……ああ、奴を檻から出したのか?」
話を聞き終え、受話器を置いた。床から下着を拾い上げ、再生途中の不自由な右腕でどうにか足に通す。
「食堂にラックとアステラが居る。中隊長のヒワタリと、補佐官のシズネも。良い機会だ、連中とも話してみな」
それだけ言うと、サタンの使者を無視して服を着始める。
「支度するから、行くなら先に行っててくれ」

118 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/03/16(木) 13:09:36
>117
当然と言えば当然だが浴槽に浸かる為に衣服の類は全て脱いでいる。
素裸で向き直ったエヴァンスの有機と無機が合わさった肢体を舐るように見つつ。

>「ウチの隊の事情に、えらく通じてるじゃないか。デバガメしてたか?
「デバガメなどとんでもない……この隊の方々はとても親切でしてね、
 いくつか質問しましたら快くお答え下さいまして。そのお陰で多少なりとも知る事ができたわけです。」
並の男なら確実に疑う気を無くす笑顔を向けながら言い切った。

「……なるほど、やはり貴方は切れる御方だ。
 私如きが口を挟む必要などどこにもありませんね。それでは、アステラ殿も
 『百鬼夜行』……この部隊の名前ですか、加えて頂いてもよろしいのですね?
 ふふ、『類は友を呼ぶ』と人間の諺にもありますからねぇ。」

その時机の装置がけたたましい音を出し、エヴァンスがそれを取りに脇を抜けていく。
話し終え、次に自分にかけられた言葉はアステラとラックの居場所、そして名のある
者達が食堂にいると言う事だった。先に行けとも言うが……生着替えから視線を外せない。
結局エヴァンスが服を着終えるまでその場にいたのだった。

「……長々と失礼、いいモノを見させて頂きました。
 それでは、お先に失礼しますね。エヴァンス殿も、お早めに。」
そう言ってテレポートで食堂前へと一気に跳ぶ。
食堂には特殊な結界が張られているようだが、気にしない。
扉を開けて中へと入る。いた、問題児二人とエヴァンスから聞いた中隊長と補佐官らしき人物が。
とりあえず……ラックの隣が空いているようだ。そこへ座ろう。


119 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 自分語りウザくて申し訳ないですorz] 投稿日:2006/03/16(木) 17:01:55
>112
>「我慢の話は忘れて下さい。」
しばらく廊下を進む、別れ際に放ったあの者の言葉が何度も繰り返される。
しかし忘れようにも忘れられない……違うのだ『問題点』は『我慢』の事ではない。
体の疼きが止まらない、歯がカチカチと震え、刀からは望んでもいないのに闘気が溢れ出す。

周囲を見回す……目が何かを見つけた。誰の部下かは分らんが女一人
『あれ?辻斬り隊長じゃ無いッすか、どうしたんすか?他の隊長サンなら食堂に行きましたよ?』
相手は自分を見つけると、暢気に話しかけきた。人馴れは大分してる模様。
「そヤなァ…ワシャぁ飯喰ゥ必要は無いねン。せやガ……そろそろ『食事』せなアカンなぁ。」
『え?どういう意味で……』
言い終えぬうちに左手が相手の首に巻きついた。
相手はヒグゥと呻き声を漏らしたが、そのまま力任せに持ち上げる。
右手にはいつ抜いたか我が愛刀。ココまで来たらやる事は一つ。
「簡単……つまりオマエがワシの 『食 事』 ちュー事ジャ。」
相手の背中から刀が突き出た。当然刺したのは自分、相手の腹部に深々と突き刺さる刀。
心臓も首も狙わない、『量』も『質』も狩れないなら味わうのみ。
終わらない、まだまだ終わらない。嬉しそうに引く抜く

何度も何度も何度も何度も刺した刺した刺した刺した。
刺して抜くたびに響く音。ズブッ、ズブッ、グチャ、グチャリ。小気味の良い音。
何度も何度も何度も何度も繰り返す繰り返す繰り返す。
『ぐぅ・・・がぁああ!!!!・・・あっあああぁぁ・・・。』
餌は刺される度に好い声で泣いてくれた。飛び散る肉片、溢れ出す血。
それらが枯渇した心を満たしていく
そうだ泣け!もっと、もっとだ。声を張り上げろ!!もがけ!足掻け!

しかし楽しい時ほど時間の流れは早く感じるもの。
何回耐えただろうか、やがて餌は大きく痙攣すると蚊の鳴くような声を一つ上げ、黙り込んでしまった。
体は動かず眼の瞳孔が見開き、それは生きる事を止めた事を物語っていた。
――――早い早すぎる。つまらない実につまらないが嬉しい、たまらなく楽しい。
一旦手を止め刀身を目の前に掲げ繁々と眺める。中々好い色に染まってくれたようだ
刀身から滴り落ちる、紅くただひたすらに紅く綺麗な液体を愛しそうに左手で拭う。

「ア…アァア……エエ…この感触ヤぁ……。」
溢れた声は歓喜に満ち溢れて……それでいて何処か安堵したような声。
まだ足りぬが、狩り過ぎても、中隊長達に手を出す訳にもいかない。
―――――これで『アレ』も少しは大人しくなる。沈んだ気分も落ち着くだろう。
「オオキニな、お陰で腹ァ一杯になったデ。……怨まば怨め、オマエは運が無かっただけジャ。」
刀を鞘に収め餌の残骸に最後の一瞥をくれながら呟く、後片付けは部下にでも任せよう。

食堂か……奴等の顔を少し見たくなった。今ならば大丈夫だろう。
満足そうに懐のサイコロをギュッと握り締め、歩みを食堂へ向けた。

120 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/16(木) 19:45:25
>106
>「砂漠の風よ!熱風よ!我が命と聖女の血に基づき渦を巻き、
>あらゆるものを砂塵にて削り魔法陣を守れ!!闇に等しき光に包まれるまで・・!」

スフィンクスは目を見開き、マリスの腕に噛み付きつつ呪詛の詠唱をした。
「…馬鹿な!生きているだと!?」
カイザーがそう叫んだと同時に、魔方陣を護る巨大な竜巻が発生した。
その風圧は砂埃を巻き起こし、見るだけで近づくのは危険と判断できるレベルだ。
「仕留め損なうとは…くっ、俺のせいだ!」
カイザーは地面に己の右拳を叩きつけた。

>108
>「…大丈夫ですか?マリスさん。……ちょっと失礼。」
誓音がスフィンクスを取り外そうとするが、深く噛み付いている為なのか離れない。
>「……どうやらこいつが言ってた闇に等しき光を見つけないと無理っぽいですね。」
「…闇に等しき光…そういえば、そう言っていたな。」
スフィンクスが最後に発した言葉、それがこの状況を乗り越えるヒントと成り得るのだろうか。
(闇と光は相反するモノの筈だ、闇はどう転んでも光には成れない。光が闇に成れないのと同じ様に…
 二つは決定的に違う、…ならば闇に等しき光とは…?)
考え込もうと答えは出ない。

>116
マリスは膝を付いた。
噛み付かれた傷は深いらしく、出血が酷い。
「マリス…俺がスフィンクスを仕留めなかったばかりに、すまない…」
拳を深く握り、そう呟いた。

>111
FALCONが近づいてきたが、答えが分かっている表情には見えない。
「FALCON、闇に等しき光に何か心当たりは無いか?魔界に係わりのある物かもしれん。」
そう言うが、それは僅かな望みでしかない。


照りつける砂漠の日差しを右手で覆い、目を太陽から守る。
「光、闇、等しい…」
幾ら考えようとも、未だに答えは出ない。
時間だけが過ぎ、それはやがて焦りとなってゆく。

121 名前:sei ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/16(木) 23:19:25
>111>116>120
暫くするとファルコンがこっちへ集まってきた。
表情からしてみて闇に等しき光を知っていそうにない。マリスやカイザーもどうやら知らないらしい。
…まぁそう簡単に解けるものじゃないから敵側は余裕綽々とヒントを言ってるのだろうが。
暫くひたすら考えるだけの時間が過ぎる。が、時間が過ぎるばかしで何も分からない。

闇に等しき力…悪……月?闇魔法の一種…?魔族?

様々な考えが浮かんでは沈み浮かんでは沈み…そしてついに誓音がしびれをきらして口を開いた。
「…とりあえず…行動してみません?…ただひたすらと考えていてもヒントも何もないですし。」


122 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [] 投稿日:2006/03/16(木) 23:20:11
↑のは誓音のスレです。

123 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 00:40:19
>120

>「FALCON、闇に等しき光に何か心当たりは無いか?魔界に係わりのある物かもしれん。」
カイザーが聞いてくる。おそらくはカイザーも心当たりがないのだろう。
「闇に等しき光ねぇ…」
FALCONが気合いを入れて、自身の体に黒いオーラを纏わせる。
「一応、俺の気も闇の力があるが…これは光と言うより、気体に近いのかも知れないからな……
魔界についてはあんまりわからない…俺は、二年ちょっとしか魔界に住んでないんだぜ……」


FALCONは再び考える。
闇に等しき光。
自分の近くに何かそういうのがないか。
田中さんは光をよく放つが、闇の力なんか持ってない。
イルは魔術に詳しいから何か知っているかも知れないが、
サタンの軍勢と揉め事を起こしたくないらしいから、召喚には応じてくれないだろう。
師匠も光を放つけど、闇の力がない……

「………師匠……?光を放つ………?!!太陽拳……!!」
FALCONは閃いた。
FALCONは空を飛び、高く舞い上がる。
そして、黒いオーラを纏わせ、顔の横に二つの手を構えて叫ぶ。
「これが!!俺の!!太陽拳だぁ!!!」
FALCONの顔の前面から強烈な光が竜巻の方向に放たれる。
自身の黒い気を使い、光のエネルギーに変換して放つ太陽拳。
光の色は黒くはないが、下手な鉄砲、数射ちゃ当たるの精神で放ってみた。

124 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 10:11:12
>109>114-115
>見ての通りしがない符術師さね
ニヤニヤしながら遊女みたいな女が結界を張った・・・。
ご丁寧にも自己紹介付きのおまけで。
シズネ・ラ・ファウスティナ・・・符術師。前に立って殴りあうタイプじゃない、
頭と符を使って他人を雁字搦めにして嬲るタイプって訳か。

『・・・用心深いのは結構だが、生き残る為の張り方じゃないんじゃないか?
 ふん、つまりエヴァンスはここの頭ってことだ。ゴマでもすっておくべきだったかな。』
しれっと言い返す。弱みを見せたら負けかなと(ry
『それと・・・知りたがりは死にたがり、口さがない奴は早死に。
 そんな言葉遊びがタカマガハラにあったような気がするんだが。どうだったかな?』
ニヤニヤ笑いを横目で見やり、特に意味も無い問いを投げかける。
まぁ、暗に『余計な事を言うな、黙れ』って言ってるだけなんだが。


>気がつけば…つまり、気がつかなかった
一方、雷男は飯が来たってのに少しの間動かなかった。
様子が変だが、何でかなんて俺が知るかよ・・・だが、生きてる限り
色んなモンを抱える事になる。恐らくこいつもそうなんだろ。
右に倣えじゃないが、とりあえず食事を取る事にした・・・と言っても
俺が頼んだわけじゃないから当然気分的に食いたくないものも混じってたりするわけで。
特に今は油モノがダメだ・・・匂いだけでムカムカする。
失敗だったな、ふてぶてしさを演出するなら飯も細かく注文すりゃ良かったよ・・・。


>ところで、これからどうするんだ?
そんな俺の葛藤なんかどこ吹く風って感じで暢気に飯を食ってた
女が突然真面目な話を振ってきた。これからのこの部隊の行動がどうなのか
確かめたいんだろうな。つまり、次の身の振り方が決まってないって事か・・・。
親切心って訳でもないが、あの場にいた俺が黙ってるのは後々マイナスになると踏んで
返事をしてやる。まぁこの程度で警戒心を消せるとは微塵も思ってないけどな。

『・・・魔王サタンの使者ってのが撤退中に現れて、
 魔王様が呼んでるからとっとと帰って来いって言ってたな。
 恐らく言われるままに戻るんじゃないか?詳しい事は知らないが・・・。』
それでも湧き上がる空腹感には勝てず・・・唐揚げを口に入れて、味を消そうと
丼に入った飯を一気にかっ込む。それでも意識した瞬間油が・・・気持ち悪い。吐きそうだ。

125 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 13:08:16
>105
セシリアが苦労しながら雪の上に着地すると、あたり一面白一色だった。
イエティたちは雪に押し流されて姿を消し、岩や木立も完全に雪の下だ。
「……洞窟はこの下か」
見回してみるとかすかに岩の頭が雪から露出していたので、とりあえずその周辺の雪を溶かした。
岩を中心に出来た穴に飛び込む。
「多分こっちでいいはず……」
岩壁に沿って雪を溶かしながら進むと、洞窟の入り口が姿を現した。
中には見知った後姿。レナスだ。
「ご無事でしたか」
声をかけ、レナスの横に立つ。洞窟の奥からは魔力の流出が感じられた。

「この高度に魔方陣があるはずはないのですが……」
セシリアは出発の際にもらった地図の写しを引っ張り出しながらつぶやいた。
やはり魔方陣はハイネス山頂となっている。この洞窟に関しての記述は見受けられなかった。
「……様子を見て参ります」
槍を構えて洞窟の奥へ向かった。怪しげなところは槍でつつき、魔力感知で確認しながら罠の有無を確かめる。
結局罠はなく、洞窟の一番奥までたどり着いた。
(セシリアには感知できないレベルの罠が、帰り道で作動する可能性はもちろんあるのだが)
そこには魔方陣が一基。破壊目標としているものとは記述が違うようだ。
セシリアはあまり近付かないようにしてその魔方陣を調べ、知識の底から解答を引っ張り出す。
「……移動用の魔方陣、かな。呪文制御式じゃなくて開放式ね」
つまり魔方陣の上に乗り、何かしらの呪言や魔導具で発動させるのではなく、
乗ったらいきなりどこかへ連れて行かれるタイプと言うことだ。
試しに数歩離れて足元に転がっていた石を投げ込むと、石はどこかへ掻き消えた。

「問題はどこへ繋がってるか……」
おそらくは山頂との往復用だとセシリアは考えた。
物資を運び込むのにハイネスを上り下りするのはさすがに効率が悪すぎるだろう。
(そもそもここまで運ぶのだって十分非効率的だ)
しかし、これが山頂に繋がっているとしてもうかつには使えない。
出たら敵に囲まれている可能性は十分考えられるし、
いきなりハイネス山頂になど連れて行かれたら確実に高地順応に失敗する。

「つまるところ歩いて上る他無いわけです」
レナスのところへ戻ったセシリアは、奥で見たものの事をレナスに話した。
終わると洞窟の入り口へ向かう。
「とりあえずはここを出て、もう少し登ったところで夜明かしとしましょう」

126 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 14:55:58
>106
見える限りの敵を全て倒した一行の周りを、乾いた風が吹き抜ける。
一安心とばかりに汗を拭うマックスの背後から、声が聞こえてくる。
「まだ居たのか!」
振り向いた先ではマリスが、先程カイザーが倒した筈のスフィンクスの首に、噛みつかれている。
「野郎!」
言葉と共にマリスの方へと駆け出した足は、強大な砂嵐に止められてしまった。


>108>111>116>120-121
誓音がマリスに薬草らしき物を渡しているのが見える。マリス自身も魔法をかけた様だ。
FALCONがカイザーの方に向かい走り出すのを見て、マックスも走り出すが砂に足を捕られて転んでしまう。
「そういやさっき言ってた……闇に等しき光だったか……? 畜生、俺はそういうのは苦手なんだよ!」
そう砂嵐に向かって怒鳴り、また皆の方へと走り出す。

皆の元に付くと、どうやら皆も答えが見つからず、まだ考えて居る様である。
カイザーの表情が優れないのは、責任を感じているからなのだろう。
ふとそう思ったマックスは、マリスの方に顔を向ける。
先程の処置によって痛みも出血も止まった様だが、スフィンクスの首の重さで辛そうである。
「くそっ……こんなもん!」
マックスはヒチシを取り出して構えるも、竜巻の方へ踏み込めない。ヒチシが竜巻の力に耐えられるとは思えないからだ。
ヒチシが壊れてはこの先の戦いで厳しくなるのは間違いないし、そうなればマックスは完全に足手まといである。
「くそっ! くそっ! くそぉっ! ……いかん、落ち着け俺」

それから暫く経ち、誓音から色々試してみようとの案が出る。
「そうだな、試してみようぜ!(とは言ってもな……考えが浮かばん!)」
マックスはまだ考える。闇は何を暗示しているのだろうか? 光は?
「解らん! あーもう! FALCONが俺を掴んで空高く飛んで、俺が竜巻の目に飛び降りてヒチシで魔法陣を壊す!」
謎かけの答えになってはいないが、大真面目に提案するマックスであった。

127 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sageまとめきれませんでした。] 投稿日:2006/03/17(金) 15:03:40
>123
しかし、既にFALCONは動き出している。
マックスはFALCONの言葉を聞くと、自分の馬鹿げた方法より可能性はありそうだと思った。
マックスの作戦は流石に色々と危険である。

「よし、頑張れFALCON!」
そして、FALCONの方を向いていたマックスは、太陽拳をまともに食らうのであった。
「のわっ! 頭がクラクラする……目が……け、結果は!?」
その答えは、居るならば神と、敵だけが知っている事だろう。

128 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/17(金) 20:55:08
>123
何者をも寄せ付けぬ勢いで荒れ狂う竜巻。
そこにファルコンの太陽拳が放たれた。
フラッシュのように目も眩む光にさらされた竜巻は・・・その動きを止めた。
いや、それは止めたといえるのだろうか?
太陽拳が放たれ光った瞬間、光に照らされた一面のその部分だけ突如として風の渦が消えたのだ。
それはまるで巨大な竜巻が大きなアギトを開いたように。
そこからもたらせるのは、ドラゴンのブレスの如き砂塵の奔流。

渦巻く力が一部分だけ突然なくなれば渦巻いていた砂塵がそこから流れ出す、というのは摂理というものであろう。
飛来するのは砂塵。とはいってもその速度により岩をも削りつくす威力になっている。襲い来るは無数の砂。即ち粒子。
ファルコンだけでなく、その方向一面に砂塵の奔流が襲い掛かる。

砂のブレスを吹き付けた竜巻は大きく開けたアギトを再び閉じ、嘲笑うかのように身をくねらせ天に届くといわんばかりに渦を巻き続ける。


129 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 21:04:09
>114-115>124
「そんなにカリカリしないでおくれよ。
言ったろう?確認の取れるまでの用心だって。この張り方で間違っちゃいないさ。」
随分ととげとげしい言葉で返してくるけど、なんだか余裕のない子だねえ。
その余裕のなさが面白いもんだから、応えてやるんだがクスクスと笑みがこぼれちまう。

ラックは黙々と食べてるし、サエナミさんは気分良い感じでいながら核を外さないねえ。
狙ったのかは知らないが、これからの事を聞いてきたよ。
それにアステラが応えているけど・・・それを知っているってのはやっぱりあれかね、あ
の時に隊列を止めていたのはアステラって事か・・・。
エヴァンスさんの話も考慮に入れるとこれはますます・・・面白そうじゃないかえ。

サエナミさんに応えて丼をかっ込む姿、もし敵で潜入を試みているのなら随分な胆力じゃ
ないか。嫌いなものをやけくそに流し込んでいるようにも見えるけどね。
「いい喰いっぷりだねえ。気分を悪くさせちまったみたいだからお詫びにあたしのもやるよ。
油モノは美容によくないからね、あたしはなるべく食べないようにしているんだ。
遠慮せずにたんと食べておくれ。」
微笑を添えてアステラの前にから揚げの入った小鉢を滑らせ流すよ。

>118
そんなこと考えながら食事を勧めていると見知らぬ女が入って来てラックの隣に座るじゃ
ないか。
「おや、誰かと思えば魔王の使者さんじゃないか。随分とうまく化けたねえ。
化ける事に関しちゃあたしも自信はあるけど、思わず感心しちまったよ。」
見た目はまったく違うんだから驚いちまったよ。気の流れをみてようやく気付いたほどだ。

まあ、あたしも化粧落としたら結構顔変わるから人のことは言えないわね。
それに比べてサエナミさんってスッピンだよねえ。いやはや若いってのはいいねえ。
「そういえばサエナミさんは知らなかったね。ラックの隣に座った片が魔王の使者さんだよ。
丁度いいや、使者さんや。直々に及びかかっているようだけど、何の用だか話せるかい?」
あたしも色々聞きたかったしねえ。

魔王の使者さんに向いて問いかけると、その肩越しに何か丸いものが目に入った。
あれは確かサエナミさんの剣、だよねえ。獣になったり玉になったり器用なこった。
『何やってんだい?』
獣の時は頭に直接響いていたからね、試しにあたしも頭の中で問いかけてみたよ。


130 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 22:42:49
>120
>「マリス…俺がスフィンクスを仕留めなかったばかりに、すまない…」
拳を握り、そう呟くカイザー。だがマリスは気にもせずに微笑み
「カイザー様が原因ではないですわ〜。気にしないでくださいですわ〜」
と、カイザーに言う

>121
>「…とりあえず…行動してみません?…ただひたすらと考えていてもヒントも何もないですし。」
傍らにいた誓音が提案をする
「わかりましたわ〜」
それに対し、暢気に返事をする

>126
>「解らん! あーもう! FALCONが俺を掴んで空高く飛んで、俺が竜巻の目に飛び降りてヒチシで魔法陣を壊す!」
誓音の提案の後、マックスが突然とんでも案を出す
「頑張ってくださいですわ〜」
微笑みながら無責任に宣うマリス。その案がどんなに危険なのかがわからないからこそ言ったのだ

>123
他に何かないでしょうか〜。と立ち上がって考えていた時、FALCONが竜巻に向かい
>「これが!!俺の!!太陽拳だぁ!!!」
言うと同時に凄まじい光を放つ
「まぶしいですわ〜」
光を見た後に噛まれていない手で光から目を守る。
通常なら眩しくて目も開けられないはず。しかしマリスは光に守護されているから光はあまり効かないのだ(無茶苦茶)


>128
>何者をも寄せ付けぬ勢いで荒れ狂う竜巻。
そこにファルコンの太陽拳が放たれ(超中略)
>砂のブレスを吹き付けた竜巻は大きく開けたアギトを再び閉じ、嘲笑うかのように身をくねらせ天に届くといわんばかりに渦を巻き続ける。



砂のブレスに気付き(偶然)、咄嗟に自分とカイザー、FALCON、マックス、誓音と全ての味方の周囲に魔法の防御壁を展開させるマリス。風以外はシャットアウト
「石つぶてはいたいですわ〜。」
痛さが無ければ暢気節全開でありました。が、砂を退けてすぐに考え始める


「…光と闇は通常は相容れぬ関係ですわ〜。等しきは無理なのですわ〜」
普段はあまり考えないのに考えてしまったため、頭から煙が出る

131 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 23:31:24
>123>128
>「………師匠……?光を放つ………?!!太陽拳……!!」
そう言うとファルコンは空高く舞い上がり、太陽拳という技を繰り出した。
カッと一瞬明るくなったかと思うと、光の塊は竜巻のほうへ吸い込まれていった。

…が、竜巻はその光の塊を受け止めると砂塵入りの強風の息吹を吹かせた。
「やべっ!」
いきなりの出来事だった為、悲鳴を出すことが出来ない。
そして当然と言ったように豪風と砂塵の団体はもろ誓音に直撃した。
鳴り響く暴風の音と砂埃で視覚、聴覚がなかなか上手くいかなくなる。

…そんな中、かすかながらびりっ!びしっみしっ…という鈍った音が誓音から響いた。
そして砂埃のボンヤリとした視覚の中…誓音から黒い巨大な何かがでてき、誓音を覆う。

暫くすると、竜巻の息吹は去っていき、視覚聴覚が戻ってきた。
「…大丈夫ですか!?みなさん!」
誓音がみんなにむかって叫ぶ。
そこにはあんな豪風と砂塵に襲われたはずなのに右手、右腕の包帯が全部破れてしまってる以外は全くの無傷の誓音の姿があった。
包帯が外れた白い腕には、黒い罅が入っているうえ、なにやら赤い十字架と鎖の入れ墨みたいなものが掘ってある。
「ふぅ…こいつは困ったものですね。下手に攻撃が出来ません。」
そう言うと、ほをポリポリと掻いた。

>126
が、やはり行動しなきゃ何も知れない。
そんな思いからでた言葉はマックスからこんな案を引き出した。

>「解らん! あーもう! FALCONが俺を掴んで空高く飛んで、俺が竜巻の目に飛び降りてヒチシで魔法陣を壊す!」

「……それ…」
思わず黙り込む。
それ問題の答えになってないじゃん!というつっこみがでてくるかと思えば…それとは全く真逆の軽いボケ殺しをかました。

「…面白そうですね。やってみません?」


132 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/17(金) 23:48:45
>130
妙に石とかがやたら当たらないと思ったら、後々からマリスに聞くと、どうやらわざわざ防御壁をつけてくれたらしい。
マリスに一つ礼を言うと、花太郎から包帯をひっぱりだして包帯が破れてしまった右腕に巻いた。

>「…光と闇は通常は相容れぬ関係ですわ〜。等しきは無理なのですわ〜」
マリスの可愛らしい声が響く。
(…確かに…マリスさんの言うとおり。光と闇は決して混じることはない……

…闇に等しき光…一体なんなんだ?)
頭を再度ひねるが、どうやら誓音は考えるのが苦手らしく、全く思い浮かばなかった。


133 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/18(土) 20:28:53
>121
とりあえず何か行動を起こした方が良いと誓音は言った。
(…さて、どうするか。不用意に魔力をぶつけて被害を大きくするのは避けたい)
だが、その考えとは裏腹に自身の右手には僅かな闘気が集まっていた。

>123
魔界に住んでから日が浅い為、FALCONにも闇に等しき光の正体は分からない様だ。
>「………師匠……?光を放つ………?!!太陽拳……!!」
(何か思い付いたのか?)
閃いた表情で空へ浮かび上がるFALCONの姿を見て、その答えを確かめる。
>「これが!!俺の!!太陽拳だぁ!!!」
FALCONの顔面から激しい光が竜巻へと向けて放たれる。
激しい光から目を守り、その光景を眺めた。
(FALCONよ…これのどこが闇に等しいんだ…?)
心の中ではそう思いつつも、カイザーは少し期待をして竜巻の方へと向く。

>128>130
FALCONの太陽拳によって竜巻の一部分が消えた。
(…これは、まさか正解か!?)
だが、その消えた部分から激しい風が吹き荒れ、同盟軍全員に砂塵の塊が襲い掛かる。
カイザーが身構えた時、急に何かにぶつかった様に襲い来る砂塵の向きが変わった。
(風の向きが変わったようにも思えないが…?)
その時カイザーは砂塵が方向を変える部分から魔力を感じた。
その理由はマリスの作り出した防御壁である。これによって仲間の身を砂塵から護ったようだ。

そして、竜巻の消えた部分は元へ戻り、当初の状態へ戻ってしまった。
「上手くいったと思ったが、やはり違うらしい。
 …いや、太陽拳の光に触れた部分は消え去っていたな。」
それが果たして何の意味を成すのか、再びカイザーは考えを巡らせた。

>126>131
>「解らん! あーもう! FALCONが俺を掴んで空高く飛んで、俺が竜巻の目に飛び降りてヒチシで魔法陣を壊す!」
痺れを切らしたのか、マックスはとんでもない事を言い出した。
「……おい、馬鹿なマネは…」
カイザーが言葉を発し終わる前に、マリスと誓音は
>「頑張ってくださいですわ〜」
>「…面白そうですね。やってみません?」
と賛同の言葉を送っている。

(…誰か止めてやれよ)
それを言葉に発しようとした時、カイザーは先程の光景を思い出した。
そして、こう呟いた。
「誓音の言う通り、確かに面白そうだ。
 しかし、普通に突っ込んでもあの狭い竜巻の目に人が入るのは無理だな。」
と仲間達に真剣な表情でカイザーは告げ、―――そして、人差し指を立てた。
「だが、一つだけ方法はある。…成功する可能性は低いと思うがな。」
そう言い、人差し指を竜巻の方向へ向ける。

「さっき、FALCONの太陽拳で竜巻の一部分が欠けたのは覚えているな。
 あれが闇に等しい光かどうかは俺には分からないが、欠けた事には変わりない。
 …これから、光を操れる奴が竜巻の目に向けて光を放つ。…そうすれば、どうなると思う?」

134 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/18(土) 20:54:52
知るかよw

135 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/18(土) 21:58:12
>127>128>130>132>133

太陽拳の光は竜巻に当たる。
「やったのか……?」
しかし、竜巻は光の当たった部分しか消えず、消えた部分から砂のブレスが吹き出される。
「やべぇな……」
気を込めた両腕を交差させて、砂のブレスに耐えようとするが、当たってきたのは突風だけ。
不思議に思いながらも、今は運が良かったということにしておいて、地上に降りることにした。


>「さっき、FALCONの太陽拳で竜巻の一部分が欠けたのは覚えているな。
>あれが闇に等しい光かどうかは俺には分からないが、欠けた事には変わりない。
>…これから、光を操れる奴が竜巻の目に向けて光を放つ。…そうすれば、どうなると思う?」
「竜巻の目に放てば、多分、竜巻の中心部が消えたことによって全体が消えると思う。
だが、魔法による竜巻のはずだから、中心部を消しても復元する力が働くかも知れないな。
それに、ただの光じゃ駄目だ。
これは推測だが、さっき竜巻が消えたのは、俺の闇の力が備わっている気を光のエネルギーに変えたから、
闇に等しき光になったんだと思う。
だから……」
FALCONは身体中の気を高め、右手に集中させる。
右手には濃密な黒い光のようなオーラと、小さな黒い稲妻の様なものが纏われる。
「俺の闇の力が入った気をみんなに渡す。
この闇の力が入った気を入れてもらいたいのは誰だ?」



136 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/03/19(日) 03:01:54
 >125
 洞窟の中で、これって罠かなーなどと考えていると、突然後方の雪の壁がぼろりと崩れ落ちた。
 (二次的な雪崩!?)
 と、一瞬身構えたが、雪はこれ以上崩れる様子はない。
 怪訝に思い、そのまま壁を見つめていると、崩れ雪の中から・・・セシリアが出てきた。
 ――イエティじゃなくて本当に良かった。
 心の底からそう思った。

 >「ご無事でしたか」
 「ん・・・本気で死ぬかと思ったけど・・・。なんとかね。」

 >「この高度に魔方陣があるはずはないのですが……」
 せっちゃんは地図を見ながらつぶやいた。
 「そうなんだ。・・・私の魔力を区別する能力も、ずいぶん落ちたんだねぇ。」
 先の戦いでは、かなりの精度を保っていたレナスの探査能力だが、この山に登り始めてから、その精度が落ち始めていた。
 「どうしたんだろう・・・あんまり区別できないや。」
 実は、この山の持つ魔力のせいで、この能力に影響が出ているのだが・・・レナスにそれを知る由はない。

 >「……様子を見て参ります」
 「う・・・あ・・・ハイ。」
 「一緒に行きます。」と言いたいところだったが、ヘタについていって足を引っ張ってしまってはいけない。
 何かもの物悲しいが、ここは待ってみることにする。
 ――数分後、せっちゃんが戻ってきた。
 洞窟の奥には、得体の知れない魔法陣があったらしい。
 >「つまるところ歩いて上る他無いわけです」
 「・・・そう。」
 心からがっかりしたような、そんな気のない返事を返した。
 >「とりあえずはここを出て、もう少し登ったところで夜明かしとしましょう」
 「はい・・・。」

 またあの氷点下の中を進むのかと思うと、果てしなく気が重かった。
 「寒いのキライ・・・」
 ぼそりと、つぶやいた。

137 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/19(日) 22:30:14
>114-115>124>129
しばらく行くと食堂が見えてきた。
扉に手を掛ける、ん?何か違和感を感じる、何かの力が働いているのか?
いや……自分の取り越し苦労だろう。そう心に言い聞かせ扉を開けた。

「邪魔ァするでェ、おう皆揃ッとるやないかイ。」
今思えば懐かしい、この騎兵団に入団して初めて会食を行った場だ。
周囲の面子を確認する、奥に座るのはシズネか湯上りなのか微妙に火照っている。
水も滴るいい女―――と言う言葉がとてもよく似合う。
本当に天は二の才を何とやら、コイツも黙っていればイイ男なんてホイホイ釣れるだろうに。
この女は心と口で3割位は損してる様な気がする。

さてその隣は……冴波か!?思わず首を捻った
普段の女らしさを隠すコートでは無く、髪も結びかなり際どい服装になっているではないか
「何ヤ、冴波よォ……オマエ随分と女らしュうなっとるヤないかイ。見違えたでェホンマ。」
ギャップが面白いのか、思わずそんな声が漏れる。もしかしたら下品と映ってるやも知れんが黙殺しよう。
それにしても随分と女らしい格好になったものだ。いや……案外こういう趣味なのかも知れん。
人は見かけによらずとも言うしな。生きてる男の一部の者は、
こう言う普段は女の格好しない輩が急に女らしい格好をするギャップと言うものが大好きならしいが
そんな四方山話は置いといてだ。

気が付けば、先程共に話した使者の姿もあるではないか。
「アンタもココにいたんか?奇遇やナ。大将と話ァ終わった見たいややな」
先程の事もあるので軽い挨拶程度で済ます。
―――それにしてもコイツも女としてみればかなりルックスは抜群である。

さて……その隣、目に付くは金髪の若者。
もしかするともしかしなくても……。
「ラックか?……」
思わず言葉が漏れた。あのガキ、ラックなのか?いや感じる力が違う。
あの時見せた、『生きる事を諦めた』姿ではなくいつものラックの姿がそこにあった
前に比べれば桁外れな力、やはり修羅場を乗り越え一皮向けたと言うことなのだろうか。
手が嬉しそうに震えた、恐怖ではない。
『コイツと戦いたい』自分の純粋な気持ち。殺意でも怒りでも『奴』の気持ちでもない。
ただ自分の体に流れる『武人』の気持ちである。
「そうかイ、オマエ目ェ覚ましタんか……。
 嬉しいモンやナァ……ワシの一撃受けテ死なン奴ァ久々に見たデ。やるヤないかい『ラック』」
後ろの壁に寄りかかりながら嬉しそうにラックに問いかける鎧武者。
「良かッたのォ『絶望』から帰って来れて……。どヤ一遍死んだ気分は?」
その言葉羨ましそうな言葉であった。
もう一人座っている気がするが、今はラックが気に掛かるのだ。

138 名前:グレゴリー ◆QL2yDTT6cQ [sage] 投稿日:2006/03/20(月) 00:42:56
颯爽と空を飛んでくる我輩、かなり決まっているだろう
恐らく困っている要因はあの竜巻だろうが・・・奴らの強さは我輩も一目置いている
「あいつらが全く出ない程のものとは思えんが・・・」
我輩はとにかく合流する為、砂丘の上に立ち声を張り上げた
「待てぇーい!」
見た所誰も振り向いて居ないが我輩は気にしない
「真の男ならば体一つで立ち向かえ!暗黒の風は・・・」
我輩は赤い巨大な魔法の盾を取り出して竜巻に果敢に立ち向かう
「暗黒の風は、揺るぎ無い正義の前に打ち崩れる!」
我輩は竜巻の前で立ち止まり、マックスに向かってこう言った
「諦めるな、お前は一人じゃないんだ・・・最後まで粘れ!同盟軍にはお前が必要なんだ!!」
何故我輩はこんな事を言ったのか理解出来ない・・・マックスも呆れているだろう

我輩は向き直し、そして・・・盾を持ったまま竜巻の中へと突入した
「グレゴリウス=ロナウジーニョ!突貫します!!」
思った以上の風と砂の勢いに魔法の盾が崩れていく
覚悟はしていた・・・拠点を脱走していた時点で、死ぬことは・・・
今までに参加できなかった分・・・迷惑をかけた分・・・命を賭けて助けると誓ったんだ!

!・・・風が弱まってきた!
「ふっ・・・やっぱ我輩って・・・不可能を可能・・・に・・・」
盾が弾け、我輩の体が崩れていく・・・我輩の命はここで・・・終わりか・・・

お前等・・・こんな馬鹿な・・・オヤジにはなるなよ・・・さら・・・ば!

139 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/03/20(月) 13:55:55
>魔王軍「百鬼夜行」、アステラ、ベリアール
食堂の扉の開いた先、「辻」の肩越しにテーブル上へ、首の無い死体を投げ込む。
物言わぬ肉の塊の、千切れかけた四肢から溢れる血がテーブルを汚すが、その飛沫は一行の食事を避けて飛んだ。

「家の中にまで、無闇矢鱈と血の臭いを振り撒くな。
『剪定』し過ぎると兵隊ごっこに必要な駒が足りなくなる。今しばらく部隊としての体裁は必要だ」
軍用コートの前面を血塗れにして、生首を左手にぶら下げたエヴァンスが食堂へ姿を見せる。
「辻」の脇を通り抜け上座に腰を下ろすと「辻」、シズネ、ヒワタリ、ラック、アステラ、サタンの使者、
一人ひとりの顔をねめつけて、
「私らの前だけなら遠慮は要らない。どうせ、元よりそういう連中なんだから――な!」
左手の生首を、ラック目掛けて勢い良く投げつける。外板無しの義手が風を切り、ぶうんと唸りを上げた。
「こいつが『キャッチボール』か、お目覚めの気分はどうだ半死人。
呑気に飯を喰ってるのは生還祝いのつもりか知らんが、くたばり損ないは刑期の延びた囚人だぜ。
餞別には嗅ぎ慣れた下界の臭気が似合いだ、違うか?」

いよいよ事物を割り切る必要が出て来た。
目的意識に拠る連帯を差し置いて、情で馴れ合うような事があっては仕事が適わない。
誘われるがままにケチな喧嘩を買って出た、その始末は忘れられては困るのだ。

「サタンの使者殿……魔王との謁見は、「百鬼夜行」の指揮権を第○騎兵師団から分離させるのが目的か?
魔王直々の新しい任務を請け負うのでなければ、わざわざ貴様が出向く理由もあるまい。
もしも直属部隊……を構成したいのなら」
椅子から尻を浮かせ、テーブルに身を乗り出す。

「『百鬼夜行』は解散させる。いや、抹消と言うのが正しいか?
我が特戦科大隊は今夜付けで解散、大隊長補佐以下全隊員の軍籍を剥奪する。
私は第○騎兵師団長の一本槍に身分を戻し、隊員たちは皆魔王軍から不名誉除隊だ。
その上で直属部隊でも何でも作るが良いさ。
今更望めぬ出世を夢見るよりは、歴史の闇に剣を沈めるのが潔い。この場に居る皆がそう思う筈だよ。

そして続く条件は、オーガス騎士との再戦の場だ。勝負はまだ着いていない。
サタンもそいつが望みでないのか? 虱を潰すのに大砲を用いる愚は犯さんだろう。
その二つが条件だ、今の内に打診しとけ。時間が勿体無い。
オーガス騎士は方々で魔方陣を壊して回るだろうから、そうなれば戦線は如何に動くか……

それともう一つ頼みが。旧ガストラで没落貴族をやってる私の旧友から、戦艦一隻を買い受けた。
オーガス領内に運び込む予定があるから、許可証を発行してくれ。
次の狩りに必要な荷物と足だ。通信コードは後で教える」
椅子に腰をかけ直す。言うべき事は言ったので、サタンの使者や中隊長らの返事を待った。

140 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage文章がなんか変ですが・・・] 投稿日:2006/03/20(月) 16:53:50
>133>135>138
>「誓音の言う通り、確かに面白そうだ。
> しかし、普通に突っ込んでもあの狭い竜巻の目に人が入るのは無理だな。」
「…そっか…ちょっぴし残念ですねぇ。」
カイザーの冷静なつっこみに苦笑を浮かべながらほを掻く。
すると、カイザーが言葉を続けた。
>「だが、一つだけ方法はある。…成功する可能性は低いと思うがな。」
ばっと顔を上げる。
「何です?その方法とは。」
>「さっき、FALCONの太陽拳で竜巻の一部分が欠けたのは覚えているな。
>あれが闇に等しい光かどうかは俺には分からないが、欠けた事には変わりない。
>…これから、光を操れる奴が竜巻の目に向けて光を放つ。…そうすれば、どうなると思う?」
「…えっと…」
カイザーの問いかけに答えようと一瞬考え込む。
すると空から何やら大声が聞こえたような気がした。
「え…?」
一瞬空を見る。
…が、そこには人影一つ無く、ただ豪風の音が響くだけだ。
「…?」
そんなこんなしてるうちに、ファルコンが答えと補足を発言する。
>「竜巻の目に放てば、多分、竜巻の中心部が消えたことによって全体が消えると思う。
>だが、魔法による竜巻のはずだから、中心部を消しても復元する力が働くかも知れないな。
>それに、ただの光じゃ駄目だ。
>これは推測だが、さっき竜巻が消えたのは、俺の闇の力が備わっている気を光のエネルギーに変えたから、
>闇に等しき光になったんだと思う。
>だから……」
「…だから?」
さっとファルコンの方を見て聞き返す。さっきの大声はどうやら気のせいらしい。
するとファルコンの右手に黒き稲妻が出てきた。
>「俺の闇の力が入った気をみんなに渡す。
>この闇の力が入った気を入れてもらいたいのは誰だ?」
「…んじゃ遠慮無く貰いますかね〜。」
そう言って軽く手をあげる。

141 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/20(月) 17:19:01
修正です。最後の2文は無しで。

>「俺の闇の力が入った気をみんなに渡す。
>この闇の力が入った気を入れてもらいたいのは誰だ?」


142 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/21(火) 23:02:02
>135>140
カイザーの問い掛けに真っ先に反応したのはFALCONであった。
>「これは推測だが、さっき竜巻が消えたのは、俺の闇の力が備わっている気を光のエネルギーに変えたから、
>闇に等しき光になったんだと思う。」
FALCONは闇に等しき光の自分なりの答えを示す。

「なるほど、体内の闇を光に換えて解き放つ…か。確かに、辻褄は合うな。」
FALCONの説明を納得した様に、顎に手を置きながら頷いていた。

>「俺の闇の力が入った気をみんなに渡す。
>この闇の力が入った気を入れてもらいたいのは誰だ?」

そして、仲間に闇の力を受け取るかを問い掛けた。

(…闇の力か)
少し考えた素振りを見せたが、闇の力を受け取る決心をしたようだ。
「元はと言えば、スフィンクスを完全に倒していなかった俺の責任だ。
 FALCON、その闇の力を俺にくれ」
拳を握り、決意の表明をする。
(…さて、聖騎士の俺に闇の力を操れるか、それが問題だな)

>138
「…ん?竜巻が一瞬ブレたか?」
竜巻の変化を察知し、振り向く。
…だが、竜巻は変わりなく激しい風を四方に撒き散らしているだけだった。
「気のせいだったか。まあいいか」

143 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/03/22(水) 05:18:46
>136
>「寒いのキライ・・・」
「でしたら、せめてこれを」
セシリアは心底気が重そうにつぶやくレナスに、一番上から被っていた灰色のマントを羽織らせる。
気休めになるかも怪しいが、ないよりは確実にましだろう。
「私は暑いほうが苦手でして」
言いながら洞窟の外へ踏み出す。風の音が声を掻き消した。
その後、白と灰色の世界の中をしばらく進む。
敵どころか、動くものなど何一つ視界に入らない。
そのまま、標高にしておよそ数百m登ったあたりで日が落ちた。
セシリアは山肌を岩食みで掘り、洞穴を作る。今夜の寝床だ。

中央に剣を突き立て、それを明かりと熱源として今後の計画を練る。
地図には偵察隊が調査した登頂ルートがいくつか記入されていた。
セシリアは手持ちの装備で攻略できそうなルートにあたりをつけると、入念に装備品のチェックをした。
カラビナ、ロープ、ハーケン……おそらく数は十分ではないだろうが、
ある程度までは精霊の力で補えるだろうとセシリアは踏んでいた。
あとは、天候と体力の問題だ。
というわけで体力温存のためとっとと寝ることにした。
固い土の上ではあるが、風が入らないというだけで十分ありがたかった。

144 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [自分で文を作ったところが少ないですsage] 投稿日:2006/03/22(水) 08:25:48
>132
防御壁に関して誓音に聞かれ、張った事に対してお礼を言われる
「もちつもたれつですわ〜。だから気にしないでくださいですわ〜」
暗に自分を守ってください。と言っているように聞こえる言い方で返すマリスでありました
誓音は馬(花太郎)から何やら出して右腕に巻いていく。包帯と気付くのはやや遅れてから

>133
マックスの提案からややあってカイザーが言う
>「誓音の言う通り、確かに面白そうだ。
 しかし、普通に突っ込んでもあの狭い竜巻の目に人が入るのは無理だな。」
と仲間達に真剣な表情でカイザーは告げ、―――そして、人差し指を立てた。
>「だが、一つだけ方法はある。…成功する可能性は低いと思うがな。」
そう言い、人差し指を竜巻の方向へ向ける。

>「さっき、FALCONの太陽拳で竜巻の一部分が欠けたのは覚えているな。
 あれが闇に等しい光かどうかは俺には分からないが、欠けた事には変わりない。
 …これから、光を操れる奴が竜巻の目に向けて光を放つ。…そうすれば、どうなると思う?」

「…わかりませんわ〜」
暫し考えたのちにマリスは期待どおりの答えを返す


>135
その時FALCONがカイザーの問い掛けに答える
>「竜巻の目に放てば、多分、竜巻の中心部が消えたことによって全体が消えると思う。
だが、魔法による竜巻のはずだから、中心部を消しても復元する力が働くかも知れないな。
それに、ただの光じゃ駄目だ。
これは推測だが、さっき竜巻が消えたのは、俺の闇の力が備わっている気を光のエネルギーに変えたから、
闇に等しき光になったんだと思う。
だから……」
FALCONが気をため、右手には濃密な黒い光のようなオーラと、小さな黒い稲妻の様なものが纏われる。
「俺の闇の力が入った気をみんなに渡す。
この闇の力が入った気を入れてもらいたいのは誰だ?」

FALCONが闇の力をくれると言う。今までの事を考えると光属性関連ではマリスが適任のように感じるが、カイザーが名乗り出た

仮にマリスがもらっていたら、ブラックマリスとなっていたかもしれないが…

>142
「カイザー様頑張ってくださいですわ〜」
カイザーを応援する。加えて責任を感じているらしいので、気にしていませんわ〜と言わんばかりに微笑みかける


「これで闇に等しき光になれば良いですわ〜」
暢気に呟いた

145 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/22(水) 11:00:29
>138>140>142>144

竜巻目掛けて何かが飛び出して行く。
それが何かは分からないが、何となく知っているようなモノに感じられた。
だが、今はそのことを考えるよりも、みんなに気を渡す方が先決だ。

>「元はと言えば、スフィンクスを完全に倒していなかった俺の責任だ。
 FALCON、その闇の力を俺にくれ」
カイザーがまず最初に名乗りをあげた。
他のみんなはあまり乗り気じゃないのか、貰うつもりはないようだ。
「じゃあ、今から俺の気を渡す。……喰らい……やがれぇっ!!!」
闇の気が纏った右腕から大きな黒い塊がカイザーに発射される。
黒い塊はカイザーを包み込むと、カイザーの体内に吸収されていき、数秒後には黒い塊は全て吸収されていた。
「じゃあ、カイザー。後は頼むぞ。まぁ、失敗しても気にするな。
失敗したらしたで、竜巻に働き掛ける魔力の効力が消えるまでここで待てばいいさ。
あの竜巻は魔法陣の上から動かないようだし、いくら何でも半永久的にあんな巨大な竜巻が残ってるはずはないんだからな」
FALCONはその場にドカリと座り込み、後の結末を見守ることにした。



146 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/22(水) 11:36:01
>142>145
暫くするとカイザーがファルコンの気をもらうと名乗りをあげた。
ファルコンはそれを了承すると、腕から黒い気をカイザーに向かって発射する。
一瞬で黒い気がカイザーの身を包んでいくと、ぱっと吸収されていった。
>「じゃあ、カイザー。後は頼むぞ。まぁ、失敗しても気にするな。
>失敗したらしたで、竜巻に働き掛ける魔力の効力が消えるまでここで待てばいいさ。
>あの竜巻は魔法陣の上から動かないようだし、いくら何でも半永久的にあんな巨大な竜巻が残ってるはずはないんだからな」
ファルコンは気を吸収したのを確かめると、軽く応援の言葉を言い座り込んだ。
マリスも、>「カイザー様頑張ってくださいですわ〜」 と微笑みかける。
そんな二人を見、誓音は何故か少し笑うと「頑張って。」と言って手を軽く振った。
その笑いはいつもの笑顔とは少し違う、優しい雰囲気を醸し出してる。

147 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/22(水) 20:01:58
>144>145>146
>「カイザー様頑張ってくださいですわ〜」
闇の力を受け取る決心をしたカイザーに、マリスの声援が届いた。
カイザーはそれに頷き、FALCONの方へと向く。
>「じゃあ、今から俺の気を渡す。……喰らい……やがれぇっ!!!」
FALCONの右腕から放たれた巨大な闇は、カイザーを包み込み、
数秒でその闇はカイザーの身体の中へと吸い込まれた。
>「じゃあ、カイザー。後は頼むぞ〜〜いくら何でも半永久的にあんな巨大な竜巻が残ってるはずはないんだからな」
「ああ、分かってるぜ。…まあ、失敗したら、その時はその時だ。」
拳を軽く握り、冗談交じりに返事を返す。…だが、失敗して無駄な時間を消費すればいつ何時サタン軍の精鋭部隊が現れないとも限らない。
(こんな場所で無駄な時間を消費している場合じゃない。…絶対に決めてやるさ)
眼前で暴風を巻き起こしている竜巻を睨みつける。

>そんな二人を見、誓音は何故か少し笑うと「頑張って。」と言って手を軽く振った。
「ああ、任せろ。」
誓音の励ましに、額に2本指を付けて対応するカイザー。
その誓音の表情は、カイザーが初対面の時に感じた警戒心を微塵も感じさせなかった。


「…ゲホッ、ゲホッ!!」
突如、カイザーは乾いた堰を発し、口元を右手で押さえる。
「……ッ!!」
そして、右手の指の隙間から血が流れ、足元へと落ちてゆく。
「…くっ…ゲホッ!…拒絶反応か!」
闇の力が体内に入った影響で、カイザーの身体は正常な状態では無くなっていた。
そして、身体は暴走を起こし、内部破壊を始めてしまったのだ。
血は止まる事無く口から流れ続け、足元の砂は血を吸い込み、浅黒く変色していた。

「ふざけるな…ハアアアアァッ!!」
叫び声と共に、カイザーの身体からオーラが放たれる。
そのオーラの色は光と闇…白と黒が入り混じった混沌の色となる。それは、二つの力が衝突している何よりの証拠だ。
カイザーは、自分の中の闘気へ呼びかける。
(―――俺の中の光の力よ、この闇は味方だ。
 全ての闇が敵では無い。……共に天聖騎士になったのだから、それぐらい分かるだろ?聖闘気)

一瞬の発光、
そして光は薄れ、やがてカイザーの身体を纏うオーラの色は完全に黒となった。
「…ようやく、俺の言う事を聞いてくれたか。」
そう言いながら口元の血を拭う。闇の力を操る事に成功し、出血が止まったのだ。

カイザーは、右腕を高く上げた。
「余り長い間、この状態でいられないしな…それじゃ、行くぜ!!」
掛け声と同時、右腕の部分を包んでいる闘気が闇から光へと変化を遂げる。
「聖闘気よ!我が上空を貫き、一点に収束せよ!」
カイザーの右腕の光が上空へと伸び、雲を吹き飛ばす。
遥か上空に伸びた光は徐々に一つの場所へと集まってゆき、その形は円に近づいてゆく。
そして、その一つに集まった光は最終的に神々しくも非常に鋭い光…そう、それはまるで太陽が2つに増えたかの様であった。

「光の太陽よ、大地へと降り注げ!!」
高く上げていた右手の拳を硬く握り締める。
「ブレンテル流、希望の技!―――グランホーリーライト!!」
カイザーが右腕を振り下ろした直後、
上空に作り出した光の集合体は、その形を線状に変化させ、竜巻の目を目掛け貫く様に一直線に降り注いだ。
光は上空に大量に蓄えられており、光の持続時間は数分以上になるだろうと予測される。


技説明 ・グランホーリーライト(ブレンテル流 希望の技)
       攻撃用に使用するのでない。上空から降り注ぐこの光を浴びている間、敵も味方も光魔法の攻撃力が上がる。
       また、寒冷地に限り、周囲を温暖な気候へと変化させる。
       なお、光の届かない完全な闇や、光が乱反射する濃い霧では使用不可。魔力の消費も激しい

148 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/22(水) 20:39:08
>147
カイザーがグランホーリーライトを放つと、上空に作り上げた太陽と見間違えんばかり
の光球が一直線に降り注ぐ。
その光線は竜巻の目を貫き、更に光量を増す。
数分間降り注いだ光はやがて竜巻全体を包み込み、余りの眩さに竜巻自体の輪郭が
ぼやけてくる。
余りにも眩しすぎて何も見えない。

闇の中では何者も見る事が出来ないが、余りにも強い光の中では同じように何もみる
事が出来ない事を知ったであろう。
完全に光に包まれた竜巻は自らを形成する事が出来なくなり、全方位にその力を撒き
散らす。
先ほどファルコンが太陽拳を放った時に起こった砂塵の奔流が三百六十度全方位に
巻き起こった。
竜巻の全ての力が解放され、巻き上げられた全ての砂が濁流のように広がる。

この砂塵の本流を乗り切ったとき、騎士達は砂漠の中に静かに佇む魔法陣の姿を見る
事が出来るだろう。

149 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/22(水) 22:50:42
そしてカイザーは仮面カイザーRXへと変身を遂げたのだった

150 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/23(木) 01:50:24
>147>148
それはほんの数秒のことだった。

カイザー自分の身を削って出した巨大な光の塊は豪速球で台風の目へと降臨していく。
「…綺麗…。」
台風の目に光が到着する寸前にふと誓音は呟く。
そしてその巨大な光と台風の接触は、巨大な砂塵の嵐へと姿を変えていった。

(…!!助けなきゃ!)

見とれていた状態から我に返り、誓音は包帯を外したままにしていた右手の掌を地面に叩きつけた。
いくらなんでも、拒絶反応が起こってた体をすぐに使えるわけがない。

―黒き箱部屋… 発動!―

同盟軍を黒い悲鳴の立方体が囲む。これで風の粉砕等はできたはずだ。
暫くたって箱部屋を開放する。頭が一瞬キーンとする。
が、そんな事より魔法陣のほうだ。痛みを抑えつつ土埃が晴れてきた前方を見る。

151 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/23(木) 11:40:13
>129
『悪かったな、こちとら空きっ腹でイライラしてるもんでね。
 あからさまな用心だな、ええ? そんなに他人ってのが信用できないか?』
バカにしやがって、遊女の分際で・・・出かかったセリフを辛うじて飲み込む。
あんまり突っかかって相手のペースに乗せられるのはまずい。

よりにもよって唐揚げか・・・!いらないとも言えず、ついて出たのは悪態。
『・・・適度に油を取らないと、その脂肪の塊が萎むらしいが?
 洗濯板になりたいなら一生そうしてろよ。』
完全にやけくそ、シズネから送られたから揚げも平らげて油を一気に
水で胃に流し込む・・・明日絶対もたれてるな。

>139
そうこうしてる内にエヴァンスが入ってきた・・・グロテスクな土産付きで。
そいつを雷男に勢いよく放り投げ・・・反射的に手が動いて生首を四等分にする。
ただでさえ食事やらシズネのおちょくりやらで気が立ってるってのに、何考えてやがる。
今ので少しイラつきが収まったが・・・それでも、やはり言いたくなったから言ってやる。
『男のヒステリーは見苦しい・・・女のは聞き苦しいけどな。
 何をカリカリしてるのか知らないが、飯時にそんな三流スプラッタを持ち込むなよ・・・。
 それとも、ママから常識ってモンを教わらなかったのか?』

・・・何故だろう、やけに軽口が出てくる。これも『悪魔』の仕業か?
まぁとにかく、顔を顰めさせるには十分な内容だったよ畜生めが!

152 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage 何か滅茶苦茶ですみません] 投稿日:2006/03/23(木) 16:19:43
>128>130>131>133>135>141
マリスに励まされたが、一体何に対する励ましなのか良く解らない。
誓音はマックスの案に賛成な様で、やってみようと言う。しかし、今のマックスは目が見えない。
「……今行ったらバラ肉になっちまいそうだ」
そう、苦笑しながら珍しく弱々しく呟いた。

竜巻の一部が消え、一行に砂塵が襲いかかるが、マリスの力により風以外は防がれる。
「何が起こったってんだ!?」
マックスはまだ回復しない視力に苛立ちながら、誰に言うわけでもなく呟いた。

カイザーとFALCONの話を聞き、今何が起こったかを、僅かだが悟った。そして、竜巻を消す方法も。
FALCONが、闇の力が込められた気を誰が受け取るかと全員に聞いた。
マックスは自分には扱う力が無いと思い、目を瞑りながら歯軋りしながら黙っていた。

>138
誰かの声が聞こえる。
「! この声は確か……そう、同盟軍の基地にいた……」
声を最後まで聞くと、風が揺れる様な音がした。他のメンバー達の反応からして、聞こえたのは自分だけの様だ。
「(幻聴かどうか解らないが……今の言葉、響いたぜ。俺は……ぜってぇに最後まで諦めねぇ!)」

>142>145>147-148
カイザーが闇の力を受けとり、竜巻に向かって光を放つ。
マックスは闇の中で固唾を飲みながら、竜巻の消滅による喚起の声が聞こえるのを待つ。

暫くして風の音が止んだ。
「終わった……のか?」竜巻は消滅したが、その余波……砂塵の奔流が騎士達に襲いかかる。
その音にマックスは、その暑さなど忘れ、背筋が凍った様な気がしたのだった。

153 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/23(木) 19:08:41
>147>148>150>152
突然、カイザーが咳き込む。
口から血を吐き、足下の砂をその血で変色させる。
「拒絶反応ってやつか…」
光と闇、相反する二つの気が体内に存在してしまったため、二つの気が反発を起こしてしまったのだろう。
だが、カイザーは闇の気を操り、光の気と共存させることができた。
カイザーから溢れ出る気は、完全な黒となった。
カイザーは上空に巨大な光の玉を作り出し、そこから出た光線を竜巻に照射。
(まるで太陽拳だな…こりゃ…)
あまりの光の眩さに、何も見ることができなくなる。
光が収まった時には、竜巻はなくなっていた。
しかし、先程の時みたいに砂のブレスが全方位に向かって襲いかかってくる。
真っ先に動いたのは誓音。
彼女が自身の能力を使い、自分達を黒い四角形のバリヤーで囲み、風や砂からの直撃を守ってくれたのだ。
風と砂のブレスも終わり、後に残るは魔法陣だけ。
「じゃ、マックス。後はよろしく頼むぜ」
FALCONは立ち上がって、魔法陣の方に歩いて行き、マックスが魔法陣を破壊するのを見守ることにした。



154 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/23(木) 19:42:15
ここまで全部夢でした

155 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/23(木) 19:53:30
それでは騎士スレ本編
肥満人伝説をお楽しみください

156 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/23(木) 20:08:15
オーガス王国に一人の若者がすんでいた
名を肥満人といった

157 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/23(木) 20:09:02
そしてその肥満は世界の中心で愛を叫んでました

158 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/23(木) 20:12:13
誰も耳を貸しませんでした
逆恨みした肥満人は世界を滅ぼすことにきめました

159 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/23(木) 20:15:32
まず肥満人はオーガスを殺しにいきました

160 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/23(木) 20:17:40
そのためには伝説の金玉が必要ですた

161 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/23(木) 20:18:29
捕まった。殺された。終了。
↓本編再開

162 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/23(木) 20:19:27
終了

163 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/03/23(木) 20:21:27
再開じゃぼけ

164 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/03/24(金) 12:18:06
>129>137>139>151
>「おや、誰かと思えば魔王の使者さんじゃないか。
席に着くと真っ先に声をかけてきたのが妙齢の女性だった。
見た目や喋り方などの特徴から、符術師シズネ・ラ・ファウスティナだろうと当りをつけ。
「そう言えば、一度お逢いしておりましたね。あの時は慌ただしくて、
 ゆっくりとお話も出来ませんでした。お初にお目にかかります、シズネ殿。
 サタン様に仕える一将軍、ベリアールと申します。」
にっこりと微笑んで自己紹介をする。

用件を聞いてきたのでそのまま答える。
「『呼び戻せ』とだけ承っております。
 詳細はオーガスに帰り、サタン様に謁見した時にお話下さるでしょう。」

>「アンタもココにいたんか?奇遇やナ。大将と話ァ終わった見たいややな」
そんな話をしていると、『辻斬り』が入ってきた。
自分から食堂に足を向けるとは、珍しい事もあるものだ……
「ええ、おかげさまでエヴァンス殿ともお話できましたし。」
しかし『辻斬り』は席に着かず、後ろの壁に寄りかかるだけ。
まぁ大人しく席に着くなんて事まであったら今天変地異が起こっても不思議じゃない。
さすがに『辻斬り』がスタンスを崩すのは一つ分だけだったようで。

>「サタンの使者殿……
そんな他愛も無い話をしていると、どうもピリピリしている様子のエヴァンスが。
どうやらこの和んだ空気が気に入らないご様子……向けられた言葉を返す。
「そこまでは伺っておりません。そもそもエヴァンス殿、此度の一件は
 貴殿の独断による編成、出撃が原因。種々功罪はありますが、
 今ここで掘り返すような真似はサタン様の望まれる事ではありません。」
一度言葉を切って続ける。
「力ある者こそ絶対、サタン様のお考えです。出世を望むならそれに相応しい力を見せよ。
 力なき者はたとえ殺されようとも……皆まで言わずとも、お分かりですね?
 さてオーガス騎士の問題、貴殿が仰ったとおり。かつてオーガス騎士であった貴殿ならば、
 彼奴等を打ち倒せるほどの強者を見出せると踏んでおりまして。結果は上々、多少の駒の
 犠牲はありましたが……」

「荷物と足の件、確かに承りました。
 ……ところでエヴァンス殿、牛乳でも飲みますか?」

>反射的に手が動いて生首を四等分にする
などと言ったところでアステラが四等分にした生首を拾い上げる。
「……ふふ、実に鋭い。剣と言う武器ではここまで鋭く『斬る』事はできませんからねぇ。
 それにしても……クッ、クックッ……失礼して、私も食事を取らせていただきますね。」
そう言って全員に背を向けてその生首を食らい始める。固い頭蓋骨も、にゅるりとした
眼球や脳髄もお構い無しに噛み、啜り、飲み込んでいく。筋を千切り、毛髪を溶かし……
口元にべったりとついた血をテーブルにあるティッシュで跡形も無く拭いて満足した様子で再び席に着いた。

165 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/03/24(金) 13:58:28
周りの会話などまるで別世界の出来事かというほどに、ラックは一言も喋らず、ただ黙々と飯を食い続けていく。
その姿は、最初にこの食堂でただひたすらに飯を食っていた姿と似て、しかし非なるもの。その姿には、「余裕」がない。
何かに追われるように、何かを急ぐように…黙々と。ただただ黙々と。隣に誰が座ろうと全く反応もせず。
誰かに話しかけられるぐらいで、やっと反応するほどだ。

>137
>「ラックか?……」
聞き覚えのある声。その声が自分を指していることに気づき、やっとラックの耳が音を捉え出す。少しだけ集中を途切らす。
声の方へとりあえず振り向く。…やはりというべきか何というか、そこには辻斬りが、いつもの通り鎧姿を携えて。

>「そうかイ、オマエ目ェ覚ましタんか……。
> 嬉しいモンやナァ……ワシの一撃受けテ死なン奴ァ久々に見たデ。やるヤないかい『ラック』」
賞賛の言葉を浴びているというのに、ラックは顔をしかめ、不快感を露わに。嫌なことに触れられたか、のように。
「…別に…生き残りたくて生き残ったんじゃない。どうして生き残れたかも、分かってないんだし…
 …俺の実力で生き残った訳じゃないし」
今の返答には嘘がある。「生きたい」という欲求は、確かにあったはずだ。だが、それを差し引いたとしても、
生き残ったことに付随する様々な重圧から、いっそのこと死んでおけばよかったのではないか、とまで思えてくる。
かといって己を殺す勇気もなく、ただ死への恐怖と戦いながら悪戯に時を浪費してゆくだけ。それが…たまらなく、嫌だ。
>「良かッたのォ『絶望』から帰って来れて……。どヤ一遍死んだ気分は?」
「あぁ、一言で言うと、最悪だ」
そう告げると、個人的に注文していた赤ワインを、ワイングラスからクイッと飲み干した。

>139
続いて入ってきたのは…いや、投げ込まれたのは、死体。そして――エヴァンス。
そういえばこの男の存在を忘れていた。…恐らく、一番ラックを赦さないであろう、兵を率いる長として。
>「私らの前だけなら遠慮は要らない。どうせ、元よりそういう連中なんだから――な!」
飛んできた生首。別に避けるつもりはなかったのだが…誰がやったか知らないが四等分されて地に落ちる。
「最高の食事風景だ。よく調達できるもんだ」
口元に笑みを浮かべながら、その生首と死体を交互に眺める。死というもののリアルを、それから見て取りながら。

>「こいつが『キャッチボール』か、お目覚めの気分はどうだ半死人。
>呑気に飯を喰ってるのは生還祝いのつもりか知らんが、くたばり損ないは刑期の延びた囚人だぜ。
>餞別には嗅ぎ慣れた下界の臭気が似合いだ、違うか?」
「はは、そりゃありがたいことで。食もべらぼうに進むなぁ」
とはいえ既にあらかた食い終わって後はワインを少々残すのみ、となっているのに今更食が進むもないが。
そして残り少ないワインをグラスに注ぐと、すぐに飲み干す。…血の紅の色を、その赤から連想しながら。

「ま、今からどんな高尚なお話を拝聴できるのか知んないけどさ、一応俺は食事を誘われたからここにいるわけで、
 そして食事はもう終わった。なら俺がここにいる意味はない。重罪人は重罪人らしく手枷を填めて大人しくしてるよ」
椅子から立ち上がり、入り口から出ようとして…失敗する。そういえばこの部屋には結界が仕掛けてあった。忘れていた。
あんな台詞を残しておいて舞い戻るのもこっぱずかしいので、無理してでも、結界を破ることに挑戦する。
(今の俺なら…)
手を突き出す。バチバチ、という音がして結界に手が弾かれる。しかし弾かれようとも、力を込めて手を伸ばす。
「…ぐ…」
指先が、通り抜けた。体への負担は限りなく大きいが、まだいける。それにしても、腕が千切れそうだ。
それから数分。左足の爪先が通り抜けたところで、やっと結界を通り抜け終わる。疲れもとんでもなく大きい。
そのまま後ろも振り向かずに、先ほどにラックが目覚めた、治療室へと足を進める。
治療室に入ったら中の衛生兵はさっきの兵で、恐怖に叫び声をあげたりしたが、特に気にせずベッドに転がる。

166 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/24(金) 16:09:23
どうにも・・・。こうまで人数が揃ってくると居様な面子としか表現の仕様がない。
尚且つ、反逆者に対して苛烈に当たるわなにやらツンケンとしている者もいるわとごちゃごちゃしてきた。

だというのにもくもくと食事を進めるこいつは・・・。器が大きいのか、ただ暢気なだけか。
「まぁ・・・私はどちらでもいいよ。もし除隊なら少し『彼等』にちょっかいかけてみたいぐらいかな。」

辻斬りのからかいとも感心とも取れる発言に、少しまた顔が赤くなったが慣れたのだろう。
別段、大きなリアクションは取っていない。

>『何やってんだい?』
と来たか、どうやら私の位置を見ての行動らしい。
<別段、どうするでもない。『念の為』というやつだ。>

死体を目の前にしながらもくもくと冴波は食べている。この能天気娘が。
どうせなら、最初の頃の冴波に『交代』すればまだマシなのだろうに。

「どうせ指針を決めるなら早い方がいいんじゃない?
 そもそも、『直接謁見』する理由がよく分からないんだけど。」
そう。指令を出すならただ伝令を寄越せばいい話。
一体何を画策しているのやら・・・。

多分、この間も事態は動き続けているのだろう。
この戦の終わりに扉は開かれるのかどうか、それが私にとっての関心事だ。
他はどうなろうとあまり構わない。

167 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/24(金) 21:49:25
>137
食事も終わりまったりしていたら、辻斬りが入ってくるじゃないか。
喰う必要のないってのに珍しいこったねえ。
なんだか知らないがにぎやかになったもんだよ。
色々あったけど、ようやく纏まってきて肩の荷も降りるってもんだ。

>139>151>164>165>166
そんなこんなやっているとエヴァンスさんも登場だ。
妙にピリピリしているが、参ったねえ。これじゃ台無しになっちまうよ。
上の方でどんなやりとりがされたかは知らないが、長とつくものには気苦労が多いもん
で、同情差し上げるよ。

のんびり食後のお茶を啜って状況を整理していたんだが、思わず茶を吹いちゃったね。
ラックが結界を無理矢理抜けて行っちまうじゃないかえ。
ホントに参ったもんだ。煙管を取り出し一息吸って、さっきからキャンキャン喚くアステラ
に煙を吹きかける。
「アステラや、ベリアールさんからのお墨付きも出たこったし、疑って悪かったねい。
もう少しお話して親睦を深めていたいところだが、ちょいと忙しいんでね。ここまでだよ。」
まあ、ぶっちゃけアステラの喚き声に飽きてきただけなんだけどさ。
同じ口が悪いにしても辻斬りのそれに比べると、アステラのには美しさがないんだよねえ。
まるで怯えた子犬がひゃんひゃん鳴いているようでさ。ま、文字通り煙にまくって事で。

そんなことより、だ。
「エヴァンスさんや、困るじゃないかえ。うろついてるラックを宥めて透かして丸め込んで、
扱いやすくしてからアステラと一緒にこの檻に入れるのは結構骨だったんだよぅ?サエナ
ミさんなんてその身を挺したのに。
この部屋に入った時点で結界の性質に気付かなかったわけでもあるまいに。」
席を立ちながらため息をついてとりあえずはエヴァンスさんに文句の一つでも出ちまうって
もんだ。
「まあ、抜けられたいい訳じゃないが、あたしの結界はそう簡単に破られる代物じゃないし、
ましてやあんなふうに力づくで出られるもんじゃないんだ。
あれはラックの規格外の力のなせる技だわね。ベリアールさんじゃないが、あの力、罪を
消しても有り余る使いでじゃないかえ。
生への執着のない奴に命を首輪にゃできないから丸め込んだってのに。もう・・・」
駄目だねえ、さっさと本題に入りたいってのに、ついつい口に出ちまう。
三枚歯下駄を引き摺るようににテーブルのにそって歩きながらちょいと一吹かし、だ。仕切り
直しって奴だね。

「まあ、それは置いといて。解体だの除隊だの上の方でどんな話があろうとあたしのような下
の者もにはあずかり知れないところだけど、ベリアールさんによるとただ直接謁見にいけって
以外何も決まってないんじゃないかえ。
そう焦らずに、まあ行こうじゃないか。
サエナミさんも、言われれば従う命令系統の中にまだあたしらいるんだから、先走るこたない
んじゃないかえ?
まだ話があるなら管理職同士でやっておくれよ。あたしは命令に従うだけ、さ。
とりあえず謁見に向けて色々準備があるからね、ここらで失礼させてもらうよ。女は準備に手
間取るものさぁ。」
歩きながら話していたからいつの間にか食堂入り口まで来ていたよ。
結界は・・・ラックが無理矢理通ったもんだから符が焼ききれる寸前じゃないか・・・
一応解除して食堂を後にすることにしたよ。

「ああ、そうそう。コックさんや、閉じ込めちまって悪かったね。悪いついでにアステラにから揚
げをもう一皿お代わりやっておくれ。
随分と気に入ったようだからねえ。腕によりをかけておくれよ。」
アステラの微笑みかけて、食堂の扉をくぐるよ。

168 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/03/25(土) 16:51:56
>151>164>165>166>167
使者の返事は納得の行く説明ではなかったが、とりあえず飛空艇の件が済んだだけ良しとした。
ラックも部屋を出て行ったし、他にこれといった用も無いので椅子を引いて早々に立ち上がる。
「切られた右腕分、色々足りてないのさ。私の提言についても打診しておけ」

>「エヴァンスさんや、困るじゃないかえ。うろついてるラックを宥めて透かして丸め込んで〜

「内側に閉じた檻でデス・マッチがやりたかった訳か?」
シズネ、そしてアステラを振り返ると、ニヤリと笑って自分のこめかみを指した。

「死ぬのが怖くないってのと、死にたがりは別物だ。
ヤツが未だに被殺願望抱えたままなら、どの道只の爆弾にしかならん。
イカレた信管の代わりが必要で、そいつはお前に頼んでるつもりなんだ。
だからやり方を間違えるな――爆弾相手に懐柔するな。準備ついでの新しい呪符は考えてあるだろ?」

もののついでで、アステラの席に歩み寄る。使者はアステラを押し付ける気だ、一応の飼い方を調べたい。
彼のテーブルに手を付き、ぐっと顔を突き出した。
視線を突き合わせるが、多分こいつは目を逸らしたりはしないだろう。

「貴様は、兄貴を殺しに魔王軍へ来たとか言ってたな。荒削りだが良い目をしてる。実に良い。
分かるか餓鬼、生きるって事は失い続ける事なんだぜ。同時に復讐でもある。
不幸にも、このクソ溜まりに生れ落ちた事への。失い続ける事への……貴様は知ってる筈だ。
だからブチ壊して来たんだ何もかも、三流スプラッターで血の川を引いてきてよ。
ひどく未熟な衝動だが、貴様の中にはどうも上手い具合に道化た心だってあるんじゃないか?
そいつは知ってるぜ、ズタれた衝動の素敵な捌け口をな。そう見える。なあ、そうだろ? お前はお仲間だ。
外面はクソ真面目振ったクセしてよ、本当は挙って馬鹿をやりに来たんだ。正しい選択だと思うよ相棒。全く正しいぜ」

身を引き、コートをひるがえすと、乾いた血がひび割れる音がする。
一見は無駄に粋がる只の餓鬼かと思ったが、にしては時々やたらに不釣合いな、キナ臭い立ち回りをする男だ。
破れた結界の断片を弾きながら、ドアを開いた。ドアから虹色のプリズムが散って床に積もるがすぐに消えてしまう。
「辻」や使者の勘も、あながち間違ってはいないかも知れない。
「なあ『辻』よ。お前さん方で、いまいち喧嘩が賢過ぎる兵隊は残ってるか?
今さっきの俺の話――部隊解散とかの話して変な顔するようならアレだ、な。『除隊』させといてくれや。
シズネ、ヒワタリも同様。お仕着せの兵隊ごっこはやっぱり止めた、間に合わないらしいからな。
綺麗に『剪定』して出発に備えてくれ、基地を出るのは明朝だ。折角だから正装の準備もして。
偉いさんは握手が好きらしいから、出来立ての右手で行ったら折られちまうかも知れん」

言い残して食堂を出、真っ直ぐ自室へ向かう。
今夜出発でなければ右手は多少マシに作れる上に、義手の修理まで時間が残るのだ。

169 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [自らの努力の証が無sage] 投稿日:2006/03/25(土) 21:56:53
>145>146>147>148
カイザーがマリスの励ましに答えると、FALCONがカイザーに自らの気を送る…闇の気がカイザーを包み込んでいった…

その後に誓音が微笑んでカイザーを励ます…なんとなく暖かい気がするのは気のせいかな?
カイザーはその励ましにこたえて竜巻に向かい直る。が、直後に吐血する。
…マリスはびっくりしてカイザーに駆け寄ろうとするが、カイザーは持直しFALCONの闇の気を取り込んでいく
「すごいですわ〜」
なんとなしに呟くが、カイザーは構えて技を放つ

>「聖闘気よ!我が上空を貫き、一点に収束せよ!」
>「ブレンテル流、希望の技!―――グランホーリーライト!!」
カイザーが右腕を振り下ろした後に光が竜巻に向かい降り注ぐ

そして光によりて竜巻が消えていく…しかし、先程より強いであろう石のブレスがその場にいる皆に襲い掛かる
だがマリスは反応が遅れた。このままでは無数の傷を負ってしまうだろう…無意識に目を瞑る


>149
しかし石つぶてがマリスを襲うことはなかった。変に思い目をあけると黒い空間がそこにはあった
誰の仕業だろうか…ただ、この力は物悲しい。それだけは確かであった


ややあって石のブレスが収まっていく…
マリスの腕に噛み付いていた頭もいつのまにか消えていた
「あら〜。消えましたわ〜」
暢気に言う。しかし心中では砂漠の暑さでまいった体を早く冷やしたいと思っていた
暑さは苦手なのですわ〜

170 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/26(日) 00:08:26
>165
>「…別に…生き残りたくて生き残ったんじゃない。
発せられた言葉、とてもあのラックからは想像も出来ない台詞だった。
しかしその表情を感じ取ったのだろうか、武者はこう続けた。
「『ラック』……チィとばかし耳貸せヤ。ワシとてなァオマエを生かすつもりで斬ったンやない」
まるで小さい子供を宥める様な口調、普段からは想像も付かない慈悲の言葉。
「死にたいンか?ならバ死ぬ前に全力デ足掻いて見せィ、オマエは『生きとる』ンやからなァ。
……何故ワシがココまで引き止めてると思う?答えはなァワシの『同類』ヲ増やさん様にしトるだけヤ。
よう覚えとき…『構って貰える内が華』ヤで?ラック。生きとりャァ理由なぞホイホイ付いてくるモンや、難しく考えタら負けヤ」
苦笑混じりにラックに言い渡した。
「そうそウ、オマエのハンマー…ありゃァワシの部屋にあるワ、後で下のモンに届けさせるさかい安心せェ。」
去り良く後姿に、それだけ伝えると満足したのか前を向き直る。

>139>151>164>166>168
>「家の中にまで、無闇矢鱈と血の臭いを振り撒くな。
その時言葉と共に方を何かが通過した、しかし体は動かない。『危惧』する程の事でもない
それは先程の死体だ。そして我が横を通り抜け忘れらた団長エヴァンスが入って来た。
何をそんなに怒っているのかは理解に苦しむ。
何故吼える
何故喚く。

それは堪らなく滑稽に映った。
首をラックに投げつけ、ベリアールには百鬼夜行解散だの何だのよう吼える。
ただ我が眼にはただを捏ねる餓鬼にしか見えないのだが。
死体はいつの間にいた『小僧』の剣捌きで解体されていた。
ラックはエヴァンスに言い含められ、部屋に戻り、
ベリアールに到っては死体を食べだす始末、全くこいつのペースはいつも通りである。
「エエ食いっ振りヤなぁ。」
互い形は違えど『求めるもの』は同じである。

「それにしてもあんまいなァ〜〜……エヴァンス『チャン』。アマアマやァ。」
やれやれと言った感じの言葉が漏れた。
「アンタもモノを見る目が無いノォ、頭の固いお上の連中と同等かそれ以下ヤでェ。
少なくとも『駒』が必要なラ、死体だの『仲間殺し』だの好き嫌いせズ使えヤエエやないかい。」
別にラックを庇う訳ではない、ただそうする事が頭の良い奴の考えだと思っただけだ。
どうもココだけはシズネと同感せざる終えない。……

「それと言う事が二つ。ワシャぁなァ『駒』を減らした訳や無い、アリャぁただの『食事』ヤ。
オマエ等とて飯は食うやろ?それと同等ナンジャ。」

「そンで二つ目、ワシャぁオマエに飼われとる訳や無いンやで?
ココで解散だの何だの言うてミィ、ワシの刃を止める理由が消えてまウで?
元オーガス騎士……どうでもエエが浮かれるのも大概にせェよ?」
そう嬉しそうに言うと、血塗れの愛刀に手を掛けた。
しかし直ぐに手を引く、今思えば昔もこんな事があったような気が……。
「まア……サタンの親父はワシらに会いたがっトる。それまでハ何があろうと刃ヲ返さんワ。
部隊の件に関しては……そうやなァ、此方で『処分』しておくさかいに。気にせんといてや。」
そしてエヴァンスは去っていった、シズネの奴も席を立つ。

今思えばこの隊に入ってからは『屈辱』と『憎悪』しか経験していない。
クスリと笑いが零れた。
「ほなワシも部屋に戻るさかい、鍵は開けておく用が合ったら勝手に入れ。」
そう言い残すと、ドアに手を掛けた。何か知らんが疲れた……気がする。
最近我が身に起こっている異変
果たしてサタンの親父に会う事、抑えきれぬ殺意、そして取逃がした獲物。
これら全てがつながった時それを紐解く鍵となりえるか、……正直解らない。
分らぬが行くだけだ、何も気にすることは無いただ悩むのが面倒臭いだけ。

171 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/03/26(日) 23:59:51
>153
視界は回復したものの、まだ白い半透明のフィルムを通して見たかの様に、周りがぼやけて見える。
白い太陽の光に照らされた黄金色の砂が目映く光り、まだ完全には回復しないマックスの目を眩ませる。
「……まだ良くは見えねえか」
FALCONが後は宜しく頼む、と言って歩き出した。その先には魔法陣が有った。
「あれか、よっし……!」
胸の前で拳を勢い良く合わせ、気合いを入れつつ歩き出す。

>169
周りを見ると、マリスがとても辛そうにしている。恐らく、この暑さが辛いのだろうとマックスは思った。
カイザーにも拒絶反応のダメージがある。こんな条件の悪い場所に長居する必要は無い。
「待ってろ、すぐに終わらせるからな」
マックスはヒチシを取り出し、いつもの様に念じるが何も起こらない。水滴一つ、浮かび上がらないのだ。
「あれ? おい……どうしたっていうんだよ?」
マックスは驚きの色を隠せず、そうヒチシに問いかけた。無論、ヒチシが物を喋る筈も無い。
「くそっ……フンバルトさん……俺に力を!」
更に念じると刀身に水滴が浮かび上がり始めるが、いつもより量が少ないのは誰の目から見ても明らかだった。
「だが、これで行くっきゃねぇ! ぬぅおりゃあああっ!!」
大きく振られたヒチシが、魔法陣の表面を綺麗になぞる。
その封じられた強大な魔力は、一筋の線から四散し始め、暫くすると、魔法陣は美しい光の粒となって風に消えていった。
「終わったな……あれ?」
マックスは今まで明るすぎた視界が、段々と暗くなっていくのを感じた。
その鍛えられた体は、熱くなった砂の上にそのまま倒れた。そして薄れていく意識の中、彼は思い出した。

まだヒチシを『一日に二回以上使った事が無かった』という事を。

172 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/27(月) 01:03:39
>153>169>171
自分自身が作った暗闇から視界が解放されると…
>「あら〜。消えましたわ〜」
…そこには竜巻がすっかりと消え、魔法陣の姿があらわれていた。

>「じゃ、マックス。後はよろしく頼むぜ」
そう言って立ち上がり、魔法陣の方へ歩き出すファルコン。それにつられて、誓音も魔法陣の方へ歩き出した。
>「待ってろ、すぐに終わらせるからな」
早速、マックスがヒチシをとりだし魔法陣破壊へと乗り出す。しかし、どうやらヒチシの様子がおかしいらしい。
>「くそっ……フンバルトさん……俺に力を!」
そう言うとさらに念じる。すると、刀身から水滴がようやくでてきた。だがまだ調子が悪いらしい。
>「だが、これで行くっきゃねぇ! ぬぅおりゃあああっ!!」
もの凄い勢いで大きく降られるヒチシ、そして禍々しかった魔力が美しい光の粒となって飛んでいった。
どうやら魔法陣の破壊は無事成功したらしい。
「終わりましたね…」
>「終わったな……あれ?」
「…ん?」
マックスが倒れる。
「ちょ!大丈夫ですか!?」
そう言ってマックスに近づくと軽くほを叩いた。しかし起きない。
「…よっぽど眠かったんでしょうかね。しょうがない、私が運んでおきますよ。」
そう言ってマックスを背負うと、馬に乗せた。馬にどっしりと重みが増す。
「さて…マリスさんも辛いでしょうし早くここから離れましょうか。長居は無量です。」
そう言って微笑む。誓音自身の体は恐ろしいほど冷たいが、どうやら誓音自身じわじわと太陽の熱さに耐えきれなくなってるようだ。

173 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/27(月) 10:42:33
>171>172
魔法陣を破壊するためにマックスがヒチシを取り出して念じる。
どこかがおかしい。
いつもはヒチシに水滴が浮かぶのだが、今回は浮かんでいない。
日頃の戦いで疲れていて集中ができないのかと思ったのだが、休息は補給のために町に寄った時にしたはずだ。

>「あれ? おい……どうしたっていうんだよ?」
マックス自身も驚きを隠せないようで、再び彼が念じると、やっと少量の水滴が刀身に表れた。
ヒチシで魔法陣をなぞり、いつものように魔法陣は破壊される。
破壊されたと同時にマックスが倒れた。
誓音がマックスに近付いて頬を叩くが、反応はなし。
マックスを誓音が背負うと、花太郎の背に乗せる。

>「さて…マリスさんも辛いでしょうし早くここから離れましょうか。長居は無量です。」
「そうだな。マックスの容態も心配だしな。
とりあえずは一番近くの町に寄って、宿屋でマックスを寝かせた方が良いだろ。
必要ならば医者に見てもらわなきゃいけないしな」



174 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/03/27(月) 11:27:21
>164-168>170
エヴァンスが投げた生首を、ベリアールとか言う・・・
あの時現れたサタンの使いが食い始めた。肉食獣が仕留めた獲物を
食らう音と明らかに異なる、人を喰う音が響く。
背を向けてるせいで目にしないで済んだが・・・音だけで気が滅入る。
しかも腹がいっぱいになったのか知らないが満足そうな顔してやがるし・・・信じられん。

そんな中、ラックと呼ばれた雷男が無理やり結界を破って出て行った。
重罪人と言ってたが、一体何をやらかしたのやら。気にはなったが、後を追いかけて
聞くのも野暮だろうし、結界は一応残ってる。だがやはり気になる・・・翻して
部屋を出ようと思った途端、シズネが煙を吹きかけてふざけた事を言い放った。
何が親睦だ、俺はおもちゃじゃないんだ・・・が、これ以上吠えたところで
流されるのがオチ、悔しいが黙る。

今度はエヴァンスだ・・・睨み返す。
何か喚いてるが、手前勝手な認識で喋くられてもちっとも理解できん。
が、とりあえず場は収まったようだし何とか潜り込めはしたようだ。
解散ムードに水を差す気も無い、合わせて俺も・・・元の部屋でいいんだろう、きっと。
席を立つと・・・ちょうど給仕が追加のから揚げを持ってきた。シズネの言う事を
真に受けて律儀にも作ってきたのか。言葉通りはらわたが煮えくり返る感覚を黙殺して
それも平らげてやる・・・卑怯だぞ、泣き虫に給仕を任せやがって・・・!

だが、気が変わった。『辻斬り』だ・・・から揚げとシズネのせいで今の今まで気付かなかったが
いつの間にか食堂に来ていたらしい。こいつがメンバーの中で一番厄介、何しろ『俺たち』と
唯一戦場で相対した存在だから。下手に『悪魔化』したらばれる、そうならないよう小細工をしないと。
まったく、らしくない事ばかりしてるがやらないよりはマシだし、大人しい時じゃないとおちおち話も
出来ないだろう事は容易に想像できる。今夜は鬼と酒盛りか・・・二度はしたくないな。

175 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/03/27(月) 11:50:20
 >「でしたら、せめてこれを」
 そういうとセシリアはレナスに自らのマントを羽織らせた。
 羽織るものが一枚増えただけでも、かなり違う気がする。
 「ありが・・・うぷ。」
 外へ出ようとするセシリアに礼を言おうと開いた口に、容赦なく冷たい空気と雪が入りこんだ。
 それもそのはず、吹雪は先ほどよりも悪化してきていた。
 前が見えない・・・。
 これではたとえイエティが生き残っていたとしても、襲ってくることはないだろう。
 前を歩いているセシリアとは1mと距離を置いていないはずだが、その背中は今にも白い背景に溶け込んでしまいそうである。
 ――どれくらい歩いたかは分からない。
    とにかく前を歩くセシリアの後を追うのが精一杯だった。

 いつの間にか日が落ちていた。
 するとセシリアは、なにやら穴を掘り洞窟を堀りはじめた。
 中に入り、明かりをつけると、何やら道具の準備を始めた。
 ――本格的な登山用具。むしろロッククライミングでも始めそうな・・・そんな雰囲気だ。
 そしてある程度の準備を終えると、セシリアはさっさと寝込んでしまう。
 見張りも立てずに寝入るとは、外は吹雪とはいえ多少無用心な気がする。
 セシリアも騎士オーガスの影響を受けてきたというところだろうか。

 それはさておき、念のために洞窟の入り口にやや近いところの壁に、背をもたれて目をとじた。
 ――明日は晴れるだろうか、そんなことを考えながら・・・

176 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/03/27(月) 21:46:10
>148>150
放った光は更に勢いを増し、竜巻を全て蔽い尽くした。
そして、竜巻は消滅する。今度こそ、完全に竜巻を掻き消したのだ。
「今度こそ、上手く行ったか…流石は希望の技だな」
自分の放った光により、カイザーは目を眩ます事無く消えゆく竜巻を見届けた。

…だが、それで終わりでは無かった。
竜巻が消えると同時に砂塵の奔流が全ての方位へと襲い掛かってきたのだ。
「…ッ!!」
拒絶反応等の、今まで蓄積されたダメージによってカイザーは身動きが取れない状態になっていた。
そして、砂塵に飲み込まれる覚悟を決めたその時…四角形の黒い壁が発生し、騎士達を取り囲んだ。
カイザーが仲間の方へ向くと、それは誓音の作り出したバリアだという事が分かった。

先程まで自分を覆っていた黒いオーラは完全に消え去っている事に事に気付く。
「…ありがとな」
もう2度とあの闇の力は扱えないと自覚しているのだろうか、カイザーは消え去った黒いオーラに礼を告げた。

>169>171>172>173
>「あら〜。消えましたわ〜」

マリスに噛み付いていたスフィンクスも消滅した。
マックスもヒチシを翳し、魔方陣の目の前に居る。
これで今回の戦いも終了を告げるだろう。
「…ふぅ、これで一件落着だな。」
と、カイザーが安堵の溜め息をついた、その時…

>「終わったな……あれ?」
>その鍛えられた体は、熱くなった砂の上にそのまま倒れた。そして薄れていく意識の中、彼は思い出した。

「…マックス?」
倒れたマックスに誓音が真っ先に近づく。
誓音の呼び掛けにマックスは返事をしない、完全に気を失っているらしい。
マックスは誓音の愛馬の上に乗せられて運ばれるようだ。
>「さて…マリスさんも辛いでしょうし早くここから離れましょうか。長居は無量です。」
>「そうだな。マックスの容態も心配だしな〜〜必要ならば医者に見てもらわなきゃいけないしな」

誓音とFALCONは、この場から離れ近くの町へ行こうと提案した。
勿論、カイザーもそのつもりだ。何も言わずに二人の提案に頷く。
「…とにかく、急ごう。
 こんな状況で敵が来たら、ピンチどころの騒ぎじゃ済まなくなるからな。
 たしか、東に街があったな。そこへ行こう。」
そう言って、カイザは先頭を歩き出した。

「…それにしても妙だな、
 マックスは魔方陣を解除する直前までピンピンしてたように見えたが…」
そこまで考えて、思考を中断した。
今は考える時ではなく、行動するべき時なのだ。

(しかし、相変わらず暑いな……くっ、街までなら大丈夫だよな、たぶん…)
目の前が軽くブレて見える。
多量の血を吐いた事による貧血だ。血色も良くは無い、むしろ悪い。
更に、貧血の影響であろうか頭痛まで発症している。
だが、マックスやマリスがあの状態であるのに、自分が弱音を吐く訳にはいかない。

カイザーは、辺りの警戒を怠らずに歩みを続ける。

177 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/03/27(月) 21:58:53
>168
やれやれ、また厄介な役割を仰せつかったもんだよ。
信管代わりねえ・・・。
脅しの通じない相手に懐柔するなって言ってもねえ・・・できないこともないが操り人
形にしちまうなんて面白味もないことはしたくない・・・。
さてさて、どうしたものだか・・・。
それに部隊の剪定ときたかね。あれやこれやと今夜は眠れそうにないじゃないかえ。

部屋を出て早速適当なのを見つけて部隊を集合させるように頼んでおいて、集まるま
でにこっちを片付けるか・・・
ちょいと探し回った挙句ラックを治療室で見かけたってんでそちらに行くよ。
さて、治療の時気付いたが、ラックの心臓の影・・・それに死んだはずの時に落ちた淡
い落雷・・・。
どう攻めようかねえ・・・

*********************************************************

随分と遅くなっちまったねえ。暗い廊下を自分の部屋に向かって歩いているが、肩が
凝ったよ。
残ったのは50ってトコか。ま、残るべきものが残ったって感じかね。
部屋に戻って最初に向かったのは機織機だ。
ギッコンバッタンちょっとやってみたよ。勿論一晩で旗が織れる訳でもなし、そんなも
のは作らないさ。

作ったのは・・・総レース仕上げのスッケスケなショーツ。布って言うか紐って言うか、
どっちかきわどい代物の上、スリットまで入っている芸の細かさに我ながら感心するね。
黒・赤・紫、と迷ったけど、ラックには白の方が効果的だろうしねい。
ラックの首輪としてはどんな強力な術よりこれが一番効果的だったりしてね。
色々大変だから、このくらい遊びを入れないとやってられないだけなんだけどね。これ
を見た時のサエナミさんの反応と穿いた時の姿を見てみたいが、さすがに時間がない。
すっかり治っていたサエナミさんの服と一緒に袋に入れて式鬼に届けさせたよ。

ラックにも忘れず剣を届けさせて、さて、ようやく自分の時間だ。
符帳や巻物を部屋中に広げ筆を持ち書き上げていく。
こうして夜は更けていった。

178 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/03/28(火) 13:59:23
>143>175
翌日、薄明。昨夜までの吹雪がうそのように天候は穏やかだが、
気温自体はむしろ下がっているくらいで、降り積もった雪は凍り付いていた。
その雪の上を足音も立てずに、二人が休む洞穴に向かって忍び寄る影があった。
イエティの小さな群れだ。イエティ達は洞穴に入り込むと互いにぎらついた視線を交わして頷き合い
身にまとっていたボロ布を脱ぎ捨てながらルパンダイブで二人に襲い掛かった!!

179 名前:マモー[sage] 投稿日:2006/03/28(火) 14:18:23
ルパン対人造人間のワンシーンダナ

180 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage強制リールチックで何かもうめちゃくちゃ] 投稿日:2006/03/28(火) 19:22:47
>171
>大きく振られたヒチシが、魔法陣の表面を綺麗になぞる。
その封じられた強大な魔力は、一筋の線から四散し始め、暫くすると、魔法陣は美しい光の粒となって風に消えていった。
>「終わったな……あれ?」
しかし、魔法陣を消し去ったマックスは砂の上に倒れた。
マリスは倒れたマックスに駆け寄ろうとしたが

>172
>「ちょ!大丈夫ですか!?」
しかし先に誓音がマックスに近づき頬を叩く
>「…よっぽど眠かったんでしょうかね。しょうがない、私が運んでおきますよ。」
そう言ってマックスを背負うと、馬に乗せた。…すごい力を持った人だ
>「さて…マリスさんも辛いでしょうし早くここから離れましょうか。長居は無量です。」
そう言って微笑む。

「賛成ですわ〜」
マリスは微笑み返ししながら賛成の意を唱える

>173
>「そうだな。マックスの容態も心配だしな。
とりあえずは一番近くの町に寄って、宿屋でマックスを寝かせた方が良いだろ。
必要ならば医者に見てもらわなきゃいけないしな」

FALCONも賛同する

>176
>「…とにかく、急ごう。
 こんな状況で敵が来たら、ピンチどころの騒ぎじゃ済まなくなるからな。
 たしか、東に街があったな。そこへ行こう。」
そう言って、カイザーは警戒しながら先頭を歩き出す…マックスもそうだったが背中が頼もしいですわ〜。と、マリスは思う


程なくして町についた一行。そのときマリスは思い出したように胸元(胸当てと胸の間に隙間があるので道具を入れています)から何やら取出し
「皆様これをつけてくださいですわ〜」
そう言いながら日焼け対策のクリームが入った小さい入れ物を渡す
「マックス様にはこれを飲ませてくださいですわ〜」続けて茶巾寿司のような包みも渡す(中身は滋養強壮のお薬です)


「それでは私は用事がありますので後程ですわ〜」
そして我が道を行くマリスは勝手に町中へと消えていく…


皆と離れたマリスはクリームを塗った後に雑貨屋に来ていた。
「おじ様、これ(聖水)をくださいですわ〜」
誰に対しても暢気に喋るマリス…だが男も馬鹿で、おじ様と呼ばれて鼻の下を延ばす…とりあえずサービス(一本おまけ)してくれた

続けてレイピアの代わりの剣を買いに武具屋に来たマリスだが、重たい剣しかないので
「おば様、これをくださいですわ〜」
軽くて刀身がやや長め。店内で一番値段が高い白銀の短剣を二振りカウンターに持っていく
お店のおばさんがびっくりしながらお金はあるのかい?と聞く。マリスは
「どうぞですわ〜」
惜し気もなく金貨を出す…成金はいやなものだ

そして目的の買い物を終えたマリス。しかしここで気付く
「皆様がどこにいるのかわかりませんわ〜」

…迷子になりました…まる

181 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/03/29(水) 07:26:20
>端折り、方面軍基地の方々
大人しくあてがわれた部屋に戻るベリアールではなかった……
その日はラックの部屋に転がり込んで、シズネの手伝いみたいな事をしたそうな。

さて、夜は過ぎ朝日が昇る頃、『デビル・ラン』のメンツは誰一人遅れる事無く
集合していた。部隊自体はこの基地の防衛に残す事になったようで、名のある面々だけである。
エヴァンス、サエナミ、シズネ、ラック、『辻斬り』、アステラ……
何とも奇妙な取り合わせではあるが、『辻斬り』がいなかったら誰も魔王軍とは思わないだろう。
隠密行動などには今のままの方がいいのかも知れないが、そんな事にこれほどの手練を
使っては阿呆呼ばわりされても文句は言えない。

ベリアールは特に指示を出さない。部隊の指揮系統に干渉をする気は無いからだ。
それとはまったく違う、個々人へのちょっかいだけは時を追う毎にエスカレートしていっているのだが……
ともあれ、最も危険な一行はサタンが待つオーガスへと出発した。
ここからは約二日の行程、急げば一日目の夜に着く事もできる半端な距離。

182 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/03/29(水) 09:09:01
>魔王軍サイド
朝日が昇る頃に、基地の集合地点に着いた。
大して睡眠を取った訳ではないが、別段体調も悪くは無さそうだ。
昨夜のコトを気にかけているのか表情はまだ厳しいものだが・・・。
そう、その昨夜について語ろうか。

結局妙な空気のまま宴は終わり、私は剣となって彼奴に憑いて行く。
その顔が妙に厳しいのは恐らく、先ほどの隊長とやらの一言[剪定]だろう。
部屋に戻り、軽い言伝を部隊の人間に送る。
部屋には服と・・・布切れか?いや、下着か。

「私とて・・・村娘のような装いをしてみたいと思ったこともあったが・・・これは・・・」

どうやら[中身]は元の状態に戻ったようだが、シズネというヤツには逆らえないらしい。
まぁ、別段たいしたことでも無いだろう、一応穿いてその上に普段の格好をする。
目指すは基地北の森。そこで・・・[剪定]が行われる。

今宵は月が朱い夜だ。その光を受けて天を仰ぐ奴の後方に十人程の足音が聞こえた。
ゆっくりと振り返るその向こうには、奴の部隊の隊員の一部か。

「来たか・・・。戦場においては、戦意の無い兵は置いておく訳には行かない。どこへなりとも行くがいい。」

その言葉に反応して、兵士達は散ろうとするが。  生憎散らすのはその命だ。
兵士達は気づいているだろうか?奴が纏っている冷気に。
「止めはしない・・・・・・。             狩るまでだ。」

まず指を弾く。その動作に呼応して、地表スレスレから延びる氷の槍が3人の腹部を貫く。
さらに成長を止めぬ氷槍はとうとう頭部の穴という穴からその切っ先を出した。
更に動きは止まらない。呆然とする一人の目に銀光が映る頃にはもう体は二つに分断されている。
言うまでも無く。私を振るう奴によるものだ。これで4人。

「一度表明した意思はもう変える事は許されない。全員この場で戦死だ。」

冷たい死神の宣告に、彼らは覚悟を決めたのか武器を構える。
奴の唇に浮かんだのは・・・凍るような微笑だ。
「せめて、実験に付き合ってもらおうか。」<未生天:構築式「綻びの呼び水」>

言葉と共に奴の周囲を水が溢れ、舞う。
存在とは、可分なものである。河は水から出来ているし、水は酸素と水素から成る。
更にそれを分割していった果て、万物に共有する存在。ソレに働きかける負の力『滅びの毒』。
その力が覚醒した、ということか。
奴の周囲を舞う水に、彼らは恐怖を覚えたようだ。そう、彼らの前にいるのは『存在するモノ全てに対しての敵』だから。
―――雄叫びをかけて襲い来る6人。それが悲鳴となるまでにそう長い時間はかからなかった。

周囲5m程の大地にはもはや冴波以外に生きているモノはない。
草も、木も、花も、虫も、鳥も、先ほどの兵士達も。
全てが腐り堕ちた腐汁と化した。しばらくそこに立ち尽くす。
やがて朝の訪れを感じたのか基地へと歩き出す・・・・・・・・・

ということで着いたのだが、奴は余り多く語らない。
やはり部下をこの手で処分した事に負い目を感じているのだろうか。
万が一、同盟軍になど逃亡されては後々困ることになる。
だからこそ、当然の方法を採っただけなのだが。

「・・・・・・。準備は出来ている。」
それが辛うじて口にできた言葉だった。
冷たい風が周囲を吹き抜けていった。

183 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/03/29(水) 12:45:16
>181
黎明、昨日の食堂とは打って変わって意気揚々とした様子のエヴァンスが、ゲート前の集合地点へ姿を見せる。
右腕は元通りに、左腕も新しい外板を纏い、
更には着たきり雀だった軍用コートが、細身の陸軍礼服に変わっている――それも女物の。
紺の布地に金縁の礼服と下はワイシャツに赤いネクタイ、
下は礼服と揃いの仕立てで膝上までのキュロットスカート、白のハイソックス。他にブーツと制帽。

ついでに伸ばし放題だった髪も切り揃えた。足と額を出しただけで、これが不思議と性別不明になる。
化粧は殆ど手を着けていないが、口紅だけはほんの少しだけ引いておいた。素のままだと血色が悪過ぎたからだ。
元々線の細い体型と性別のあやふやな顔立ちで、今の格好なら、傍から見れば男には見えない。
右腕も左腕も早くに修理が済んでしまった昨晩、暇にかまけたお遊びがこれだった。

集合地点に到着するなり、シズネへ手を振る。
「どーだ、結構良く出来てるだろ? ところでヒワタリ、昨日の『女装』止めちまったのか? 残念だな」
シズネと冴波には臆面も無く声を掛けるが、男性陣はそれとなく避けておいた、特に「辻」。
「また『辻』に怒られちまうかな、こりゃ。でもこの格好で謁見するつもりだぜ」
小声でぼやく。むしろ、ここまでやれば怒られるより呆れられるのが先に来るか。

サタンとの謁見も同じだ、この際端から馬鹿をやっておいた方が却って睨まれずに済む。
戦艦の輸送物に関して、余計な詮索をされると面倒だ。交渉を慎重、且つ大胆に進めるべくの女装。

「昨日、使者と話してた戦艦な。ガストラで建造途中だった新鋭艦を終戦直後に接収したヤツなんだが、
リーゼン艦砲の二門連結で主砲に据え付けて……リーゼン砲は知ってるか?
前大戦、ガストラ帝の直接指揮でオーガス城攻略に駆り出された主力艦があっただろ。
オーガス騎士に叩き壊された残りから、私が砲台を回収させたんだ。
復元には随分と金を掛けたが、どうにか稼動試験をパスして実用段階までかこつけた。
実戦投入が済んだら魔王軍に売り込むつもりだ。戦争が終わった後の身の振りも考えなきゃならんし……
ついでにR-352-YZは知ってるか? 旧ガストラ帝国軍の攻城兵器でな。
今日における機械兵技術の基礎理論は、R-352-YZから始まるとも言われてるんだぜ。
旧式の機体だが、前大戦でガストラのイングラムが一度オーガス騎士にこいつをぶつけてる。
結果は言わずもがなだけど、今回は新しい使い方を考えるさ。なあ」

シズネを前にして益体も無く、薀蓄と自慢話をべらべらと勝手に喋り立てる。

184 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/03/29(水) 22:44:49
>178
セシリアが目を覚ますと、イエティが添い寝していた。
   ・
   ・
   ・
「きゃあぁぁぁぁああッッ!!」
とりあえず悲鳴を上げながら指輪をはめた拳で真正面から思いっきり鼻っ面を殴る。
そのまま相手の首元を掴んで馬乗りになり悲鳴を上げたままで殴り続けた。
ほんの数秒かからずにイエティがぼろ雑巾のようになったところで周りを見ると、
他にも数体のイエティたちが洞穴に入り込んでいる。
セシリアはすぐ脇に立てかけてあった剣を抜き、手近な一体を斬り伏せた。
そのまま後ろの壁に振り向くと、岩食みで壁を掘った。何しろ狭すぎる。
あまり掘ると崩落の危険もあるが、崩れ落ちるまで居座るつもりはない。

掘り広げた空間に飛び込み、イエティを誘う。
無警戒に付いて来たイエティの背を槍が貫いた。そのまま槍は剣を収めたセシリアの手にしっかりと握られる。
もう一体を石突で殴り倒し、入り口までの進路をようやく確保したセシリアは荷物を引っ掴みながら駆け出した。
「レナス殿、外へ!」
言うとほぼ同時に洞穴の外へ飛び出した。吸い込む息は肺が痛むほど冷たかったが、見上げた空はどこまでも青かった。
セシリアはそこで振り向いて、レナスが出てきた瞬間に洞穴を埋めるため岩食みを構えた。

185 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/03/31(金) 03:23:48
>174
のたのたと気だるそうに歩きながらも、歩幅が大きいため意外と早く部屋へ戻れた。
ドアを開けるとそこには漆黒の闇が広がっていた。
構造は他の中隊長達の部屋と同じなのだ、ただ明りを付けない為『光』と言うものは無い。
しかし別段気にすべき事ではない、何故ならば『眼球』も腐り落ちているためである
そしてベッドに腰を掛け、エヴァンスが言った事を思い返してみる。
>いまいち喧嘩が賢過ぎる兵隊は残ってるか?(略)『除隊』させといてくれや

……そこまで思い出すと少し思案した、そして直ぐに考えるのを辞めた。
どの道やる事は同じであろう、ならば暇な時にやっておく方が後で尻尾が引かず手間が掛からないだろう。
すぐに補佐官を通じ、隊長の部屋へ10名ばかし呼び出した。
奴等はすぐに集まる、上に尻尾を振るもの、力で押さえ付けられてる者。
今だ敵意を示すもの・・・しかし共通した事柄は単純だった
――――――――――――いけすかねぇ。

===============================
それからしばらくするとあのアステラという小僧が部屋へやってきた。
しかしドアは開けない、今見られるとマズイと言うか『奴を殺し』かねないのだ。
「何ヤ?小僧ゥ・・・ワレェ、寝首を掻きにでモ来たンかぁ?アァ?
 エエ度胸や無いかイ、まさかオマエが来よるたァのォ・・・死にたくなったンか?ゲヒャ!
 スマンのォ、今部屋がチィと散らかっトるさかイ、話があるンなら明日ノ謁見の途中で聞いたルでぇ。」
ケタケタと歯を鳴らした笑い声、そしてとても不機嫌に聞えるし、とても愉快そうに聞える。
感情の入り混じった声。
「まア小僧は早ヨ寝ヤっちゅー事じゃ。」
それだけ最後に小僧に返すと、一切反応しなくなった。

更に数時間後……
―――――――――朝日が昇る。
そして光が入り部屋を微かな朝日が照らす、そこに広がっていた物。
血で染め上がった床、臓器や脳漿が飛び散り派手な色彩となった壁、天井にも届く紅い飛沫。
鼻を突くような血肉の臭い、そしてベッドの上に腰をかける鎧武者と壁際に並んだ亡骸と言う名の生ゴミ。
「そろそろ……出るカ。」
荷物入れから丁寧に包装された包みを開けた。
中に入っていたのは赤い陣羽織。それを汚れないように取り出すと、鎧の上から羽織った。

「ホな……短い間やッたが楽しかったデ。特にオマエ達を『コロス』瞬間はなァ…ククク。」
手中のサイコロが悲しそうに、嬉しそうにコツコツと弾きあった。

>182
外に出る、風が冷たい。そして同時に生暖かい死の臭いを運んで来た。
我が身に染み込んだ物ではない、『違う奴』がどこかで『何か』を『消した』臭い。
自分以外にも混じっているのか?コロシを愛する輩が。

そして集合地点に付いた時、冴波が何故か一番最初に目に止まった。
コイツだ……本能と嗅覚が体に問いかける。
「おうサエナミよォ……オマエさては昨日か朝方『遊ンだ』ンか?
 体によう染み付いトるやないか、臭いがよォ。・・・まァお互い好きモンちュー事やなァ。」
気が付けば、いつの間にこの娘に話しかけていた自分がいた。
コイツは良い意味で自分に近いのかもしれない。

アステラのことも多少は気になる、昨日の事もそうだが。
奴にはあの時始めてあった気がしないのだ。まあ気のせいだとは思うが。

186 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/03/31(金) 19:35:46

>173>176>180
マックスを乗せた馬に跨りながらユラユラと町にたどり着いた。
はっきり言ってヘロヘロだ。久しぶりの運動はやはり疲れる。
>「皆様これをつけてくださいですわ〜」
そんな事を思いふけてたらマリスは日焼け対策のクリームを手渡した。
「あっ…どうも」
そう言って少し微笑む。が、受け取った後に誓音の包帯だらけの体に塗るのは無理があることを気づく。

>「マックス様にはこれを飲ませてくださいですわ〜」
そう言うと今度は薬の入った包みをくれた。
「あ、ありがとです。」
再度お礼を言うと受け取る。なんの薬だかわからないが、滋養強壮かなんかだろう。
誓音は大切にそれを持つと、荷物にぶら下げた。
その間にマリスは用事があると言ってどこかへと歩いていく。それを見届けると、誓音も動くことにした。
「私も…マックスさんを病院につれていきますね。暫くしたら戻りますから。」
そう一言言うと誓音は馬を動かした。町の病院へと…

187 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/03/31(金) 22:10:54
>180>186
一行はマックスの治療の為に再び町に戻った。

>「皆様これをつけてくださいですわ〜」
>「マックス様にはこれを飲ませてくださいですわ〜」
マリスが皆に日焼け止めのクリームを渡し、マックス用の薬を誓音に渡す。
「ありがとな……っていないな…」
礼を言ったのだが、マリスは何時の間にか居なくなっていた。

>「私も…マックスさんを病院につれていきますね。暫くしたら戻りますから。」
「じゃあ、任せたぞ。
俺はちょっと道場破りをして、鶴仙流の武術を広めてくる」
それだけ言うとFALCONもぶらりと町の中をふらつきだした。
数分後、FALCONは一つの道場を見つける。
町の小さな剣術道場だ。
「失礼する!!」
大声を上げて道場の戸を無作法に開け、近くにいた人の側頭部に蹴りを叩き込む。
「早速だが、ここの道場の看板は貰っていくぞ」
一時間後、町の剣術道場の看板は気の奔流により消滅し、道場はその歴史に幕を閉じた。
再び町をぶらつくことにしたFALCONは、同じくぶらついているマリスを見つけた。
「マリスちゃん、こんなところで何しているんだ?」
とりあえず声を掛けてみることにした。



188 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/04/02(日) 10:11:20
http://karen.saiin.net/~sekizai/archives/e83.jpg

189 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/04/02(日) 10:28:42
精神的ブラクラ注意

190 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/02(日) 20:57:43
>181>182>185
朝が来て、シズネが門の前に現れる。
結局符や巻物の書きあげに朝までかかってしまい、眠そうな顔をしている。
が、ベリアールの姿を見つけると妖艶な笑みを浮かべ一礼をした。

その後やってきた冴波の顔を見て少し首をかしげながら腰元を凝視。
「・・・はて?穿いてはいる様だから気に入らなかったわけじゃないだろうに・・・」
冴波の様子に異変を感じて、昨夜送った下着の事に思いを馳せたのだ。
硬い表情に違和感を感じたのだが、その原因を察する事はなかった。
それは直後にやってきて話しかける辻斬りから漂う血の匂いに紛れてしまった為である。

>183
そうこうしているうちにエヴァンスがやってくるが、その姿に眠気も覚めたように目を見張る。
昨夜までとは打って変わった女装姿。
そして楽しげに語るその口数の多さに、だ。

「おやまあ、そうなのかい。たいしたものだねえ。」
相槌は打ってはいるが、実際のところほとんど理解できていなかった。
シズネがタカマガハラから大陸に渡ったのは僅か一年程の事。
前大戦については平民が伝聞で聞く程度の知識しかないし、機械化文明の基盤のないタ
カマガハラの者としては薀蓄や説明をされても理解の及ぶ所ではないのは仕方がないも
のである。
話が一段楽したところで、今度はシズネから口を開く。ラックについてだ。
「昨夜のうちに『信管』は取り付けておいたよ。とはいえ爆弾には変わりないんだからねい。
無用な刺激は控えておくれよ。
こっちはお陰で徹夜しちまって化粧ののりが悪くってさ。」
少し離れた所に立つラックを横目で示しながらそっと囁いた。

191 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/04/02(日) 21:59:45
街に着くと、皆はそれぞれ別々の場所へ向かって行った。
(それじゃ、俺は一足先に宿屋で寝るとするか。)
負傷の激しいカイザーは、とにかく休む事を考えている。
マリスから渡されたクリームを適度に塗り、街中を歩んでゆく。

(ようやく見付けた、あれが宿屋だな)
宿屋は半時ほどで見つかった。
外観は「宿屋」の看板以外は普通の家に見えるが、中に入ると簡素なホテルといった感じで、中々快適そうだ。

「ちわーっ!ようこそ我がアクティブ宿屋へー!」
通路の奥から威勢の良い声が聞こえ、宿屋の店員が走り寄ってくる。
ちなみにアクティブ宿屋とはこの店の名前だ。
名前の由来は店の外の看板に書いてある『今日も元気におもてなし』というモットーから来たらしい。
カイザーは店員に宿賃を支払い、部屋へと案内される。
ドアを開く店員の横を通り、部屋の中へと入り込む。
「お部屋のキーはテーブルの上に置いてあります。では、ごゆっくりー!」
店員はドアを閉め、去って行った。


「さて、寝るか。」
日光を部屋のカーテンで遮り、カイザーはベットの上で横になる。
(ちゃんとしたベットに寝るのは何日ぶりだろうか…)
この大陸に来てからは戦いの連続だった。
サタン軍の領地という事もあり、警戒心を解けない毎日が続いていた。
それが結果的に傷の直りを悪化させていたのかもしれない。

「…今日は、安心して眠れそうだな」
カイザーはそう呟き、目を瞑った。

192 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/04/04(火) 23:48:25
 見張りのつもりで入り口近くに座ってはみたものの、ここ最近の睡眠不足が祟って、いつの間にか寝入ってしまった。
 睡眠と覚醒の狭間で格闘していると、なにやら隣に「ちょこん」と、座るものがいた。
 何かと思い、そちらに目を向けると、そこにいたのは、まだ子供と思われる一匹のイエティ。
 そのイエティがこちらに身を任せて眠っているのだ。

 (・・・かわいい。)

 大人になってしまえば人を襲う危険な動物だが、まだ子供。
 この上なくかわいい。それに、とても暖かかった。
 さながら、天然のカイロといったところだろうか。

 (かわいいし、あったかいなぁ。連れて帰りたい・・・・。)

 そんなことを考えながらまたウトウトしていると、
 >「きゃあぁぁぁぁああッッ!!」
 ――絹を切り裂くような悲鳴。セシリアのものだ。
 驚いてセシリアのほうを見ると、こちらは大人のイエティがボロ雑巾になっていた。
 すこし居眠り・・・もとい身体の休息を取っている間に、洞窟にイエティが潜り込んでいたようだ。

 「・・・って、せっちゃんいない!」
 少し目を離した隙に、セシリアは姿を消していた。
 >「レナス殿、外へ!」
 テキパキと外への脱出口を開いたセシリアに対して、
 「脱出はやすぎ!」
 唇を突き出して、明らかにこちらに求愛してくる大人イエティを、ゲンコツで殴りながら叫んだ。

 しかし、なにぶん数が多い。
 レナスはじわじわと入り口と反対側の壁際に追い詰められる・・・フリをした。
 このまま逃げ出しても、このイエティに追いかけられるハメになると考えたからだ。
 十分ひきつけたところで、背の壁を蹴り、イエティの群れの後方へと跳んだ。
 そのまま振り向きざまに、
 「・・・風!」
 殺傷能力を持たない、純粋な風の呪を群れに向かって放った。
 これで計算上は風でイエティを足止めしつつ、こちらは跳ね返ってきた風で洞窟の外に出られるハズである。
 ――計算上は。

 『ゴキィ!』
 鈍い音を立てつつ、レナスは出口近くの壁に叩きつけられた。
 「痛ひ・・・・」
 首が寝違えた時のように痛いが、大きな影響はない。
 そのままずるずると洞窟の外に這い出した。
 

193 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/04/05(水) 09:40:02
>183>185>190
三者三様揃い踏み、というところか。
まだ人数は集っては居ないが、まさか大将が女装するなどとは私も思わなかった。
何の効果を狙っているかなど、私に測り知る事の出来るものではない。
その大将が話しかけてくるのだが、

「ん・・・あぁ。いや、あれは・・・・・・。」
要領を得ない返答を返している。
それもそうか、あれだけ恥ずかしい目に合ったのなら記憶を消したい位だろう。
中々見られるモノではないからな。

>辻斬り>シズネ
そして、『死臭』に惹かれるように更に濃密な死の気配を纏って現れた者が一人。
眠そうな顔をした、昨日の謀略家が一人。

「・・・。そうだ、私は自らの手で部下を殺した。理由は敵前での戦意喪失・逃亡を謀ったことだ。」
「そして、私が殺した。あの『水』で、最早輪廻転生を迎える事すら許さないあの『力』を試すために。」
口元にうっすら笑みさえ浮かんでいるが、それは己に対する嘲笑のようでさえあった。

<一億や二億平然と殺してきたというのに無様というべきか、これこそ人間だと誉めるべきか。>
ふと、独り言のように考えてしまう。何が人間であり、何がバケモノであるのか。
その二つを分かつ要因とは何なのか。

「謁見か。地獄の覇者にご挨拶・・・酔狂もここに極まれり、か。」
地に生える『凍りついた』草を踏みしめる。哀れな生贄の悲鳴を上げて、草が折れる。
あるものは、まるでそこにいなかったように朽ち果てていく。

来る戦の予感に身を震わせながら、出陣を待つ。

194 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/04/05(水) 18:41:27
>185>190>193
集合時間が近付き、中隊長含め「百鬼夜行」がゲート前へ訪れる。
馬を牽いて現れる兵たちの頭数も、部隊結成から僅かも経っていないというのに随分減った。
傍には血の臭気を隠そうともしない二人が居て、昨晩の始末を思い出して納得が行く。
気を揉む部下に「掃除は要らない、此処へは二度と戻らないだろうから」と告げた事は正解だった。
方面軍基地を丸ごと焼き払いでもしない限り、死の臭いは土地に憑いて取れない。

>「昨夜のうちに『信管』は取り付けておいたよ。とはいえ爆弾には変わりないんだからねい。
>無用な刺激は控えておくれよ。
>こっちはお陰で徹夜しちまって化粧ののりが悪くってさ。」

「ん?」
丁度スカートの具合を気にしていたエヴァンスは、一瞬の間を置いた後慌てて顔を上げて答える。
「ああ、ラックね」
シズネの言葉に、ラックへ視線を移す。
「まあ……爆発する時は、敵も味方もまとめて吹き飛ばしちまうかな。
使い所は考えるからそれで良いけど。いざという時に爆発しませんでした、よりは」
スカートを直して、腕を組み、首を回し、首の骨をコキリと鳴らす。
左腕に嵌められた「枷」のお陰で肉体疲労は皆無の筈だが、不思議と肩の凝りみたいなものを感じる時があった。
シズネと同じく徹夜明けの日は特に。割と手間の掛かる女装だったのだ。
駆け寄って来た黒頭巾の「ジェミニ」から、修正済みの名簿を渡される。
「ヨゴレは部下にぜーんぶ回しちまって、自分は好き勝手やりたい放題か。
君らに給料払ってんのも別に俺じゃないしね、罪悪感……」
罪悪感の欠片も無い口振り。流し読みで人数だけを確認してから名簿をシズネへ回すと、自らは使者の元へ行く。

「部隊は出立準備を終えている。八番輸送路で首都へ直行、問題無いな?
今日の服装は貴様に倣ってみた、もしサタン様を怒らせた時はフォローを頼む」

愛想良く笑って話し掛ける。今朝は肩だけでなく顔面にも強張りを感じたからだ。
あやふやな感情の機微と共に失われる表情。二百年前の自分はどんな顔をして笑っていたのか、最早定かではない。
左腕の「赤きティンクトゥラ」だけは彼に代わって何もかもを留めたまま、現世に捌け口を失ったまま。
内側に向いた世界の、その出口を抉る事すら叶わない。
不死の血液の脈流を踏み分け、僅かな空きには「Calverinia」の燃料タンクを作った、
ニ世紀半の内に出来た事はそのくらい。
「全隊、出発の号令を掛けたら貴様は私の居る本部中隊に就いてくれ。隊の空気を掻き回してくれるな。
シズネ、ヒワタリ、『辻』、ラック、あーついでにアステラだっけか。揃ってるな? 各隊騎乗、出立するぞ」

195 名前:魔将ベリアール ◆DEADLYZjrA [sage ♀] 投稿日:2006/04/05(水) 20:46:49
>182-183>185>190>193-194
しかし、集った者の中には『死』を見舞ったのもいるようで。
サタンの意思に従順とすら言えるほど共感しているベリアールにとって
それは喜ばしい事である。故に、サエナミの嘲笑めいた表情は理解しがたいものであった。
だが、その件について言及もしない。そう言う時は大抵機嫌が良くないからだ……
その上先に『辻斬り』が話しかけてしまっている、畳み掛けるのはこの場合はダメだ。
もっとも、その『辻斬り』からも『死』の匂いがぷんぷんと臭ってきているのだが。
公私混同はしない、今は『公』なのだ。

さて御大将はと言えば、どう言う心変わりか女装をしているではないか。
漂う『匂い』は間違いなく『男』のものなので女装と言う言葉が正しいだろう。
とは言え、術に長けた者は自身の性別を完全に変える事もできるのだ……『匂い』すらも。
だから元は女性だったのかも知れない、などとシズネに薀蓄を垂れる姿を見て思った。

遠目にアステラとラックを見やるが、どこか似ているような気がした。何故かは分からないが。
どちらも危うさを秘めている、『辻斬り』にも似た……敵味方関係無しに消し飛ばしかねない危うさを。

……そうした諸々の光景のせいと言うわけでもないが、過去へと意識を馳せていて
エヴァンスの声に反応するのが遅れた。あまりに……懐かしかったからだろうか?

「はい?……ええ、最短距離で直行で何ら問題など。
 ……ふふ、そちらも問題はありません。私で慣れていますからね。
 それに、先日も言いましたがサタン様は力ある者ならば多少の事には寛容なお方。
 酔狂を笑って受け止める度量もお持ちです……下地を作るのには苦労しましたが。
 しかし、エスコートがいないのでは折角のお姿も魅力半減。私がオスになりましょうか?」

愛想笑い全開のエヴァンスにも笑みを絶やさず応対する。
そう言えばエヴァンスの愛想笑い以外の笑顔を見た事が無い……どうすれば?
内心あまりいい状態では無さそうだ、これでは自分も楽しめない。さてさて?
とりあえずは『デビル・ラン』、サタンの待つオーガスへ。

―――――15時間後―――――

人数が少ないと言う事、全員馬に乗っている事、直行コースをひた走った事、
理由は種々あれど当初の予定を大幅に上回る速さでオーガスへと到着した。
道中これと言った問題も無く過ごせたと言うのは面々の事を考えても僥倖と言えよう。
夜ではあったが、到着した事を知ったサタンはすぐさま謁見に応じ……
ようやくもって『デビル・ラン』の面々は彼の魔王サタンと顔を合わせる事となったのだった。

196 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/05(水) 21:35:51
>194
少々自嘲気味なエヴァンスに倣って辻斬りと冴波を流し見るシズネ。
「なぁに、汚れ役というほどの事でもないさ。
特に辻斬りはいいガス抜きになったんじゃないかえ?あたしからしたら勿体無
い話だけどね。
剪定ついでに残っている連中には肥料やっておいたから数は減ってはいるけ
ど戦力的にはむしろ上がったくらいさ。」
肩をすくめながらエヴァンスに応え、昨日の剪定を思い起こしていた。

特に血なまぐさい事もなく、離れる者達に『餞別』として封筒を一枚ずつやった
だけだ。
その中身は吸精符であり、自動的に発動し生命エネルギーを吸い尽くす。
吸われたエネルギーは残った者達に等分して与えられた、というわけだ。

その後エヴァンスから出発の号令がかかり、一同は馬に乗り一路オーガス城
へと向かった。

−−−−15時間後−−−−−

「やれやれ、夜も更けているってのにすぐさま謁見とは・・・魔王ってのも仕事熱
心じゃないと勤まらないんだねぇ。」
長時間の乗馬に凝り固まった身体をほぐしながらシズネは呟く。
佇まいを繕いながら謁見の魔へと歩いていった。

197 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/04/07(金) 01:22:51
>180>186-187>191
街に着いた一行は別行動を始める。
未だに気絶しているマックスは、誓音に病院へ運ばれた。
そして、質素ながら清潔そうな白いベッドの上に、マックスは静かに寝かされたのだった。


混濁した意識の闇の中にマックスが立っている。マックスの目の前には金髪の騎士。
その騎士はマックスが子供の頃に、賊の人質になった時に助けてくれた人物だ。
「久しぶりだな。元気みたいじゃないか」
騎士はマックスの頭を撫でながら、さも嬉しそうに言った。
「まさか、またあなたに会えるなんて」
「あー……死んじまったからな、俺は。ちょっと無理してお前に語り掛けてんのさ」
「!?」
思いがけない騎士の言葉にマックスは言葉を失った。
「安心しな、お迎えに来た訳じゃない。渡したいもんが有るだけさ」
「渡したい物?」
「そ、大事な後輩にな」
騎士はマックスの手を取り強く握りしめた。すると、二人の体が輝き出した。
この時マックスは、体の中に何か熱いものが流れ込んでくる様な気がした。
暫くすると輝きは消え、辺りはまた濁った黒に包まれた。
「一体何を?」
「いつかお前を助ける力をやったのさ。使い方は自分で考えな」
そう言うと騎士の姿が闇に霞んでいく。
「いけね、もう時間だ……じゃあな、お前は死ぬんじゃねーぞ」
「ま、待って! 折角会えたのにもう別れなきゃいけないだなんて!
俺、もっと聞きたい事とか、お話したい事が沢山有るんです! だから……!」
マックスの叫び声は闇に響き、騎士の姿は完全に消えてしまった。


「うっ、ここは……?」
目覚めたマックスの目に最初に映ったのは、見知らぬ天井であった。
横を向くと誓音らしき人物が見える。
「……ここは……そうか俺、ヒチシの使い過ぎだかでぶっ倒れたんだっけか」
マックスは起き上がると、誓音の方に歩いていき口を開いた。
「面倒掛けてわるかったな、もう大丈夫だ! ありがとよ!」

198 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/04/07(金) 03:59:51
>192
>「脱出はやすぎ!」
「兵は神速を尊ぶ、ですよ!」
セシリアは向かってきたイエティを蹴り倒しながら、
洞穴の中から響いてきた抗議の声に答える。
それからほんの少し間があって、鈍い音がセシリアの耳に届いた。
身構えるセシリアの前にレナスが転がり出てくる。
瞬時に岩食みの力を解放し、洞穴の入り口を崩した。
「入り口を崩しただけですから這い出てくるやも知れませぬ。急ぎここを離れましょう」
若干妙な感じに曲がっているように見えるレナスの首根っこを引っ掴み、
セシリアは山頂へ向けて足を速める。

ザイルが切れたり足を踏み外したりするたびに
「ファイトォォォォ!」などと叫びながらやってきた標高8000m超。
セシリアは酸素が足りないせいでテンションがクソ上がりになっていた。
「いやーさすがにここまで来ると寒いですねー、息吸ってもなーんも入ってこない感じだしー」
真っ白な息を盛大に吐き散らかしながら喋りたてるセシリアだが、その口が不意に止まる。
斜面を上がりきった先、口を開けた洞窟から漏れ出る魔素に気づいたからだ。
口を引き結び、それから大きく息を吸う。やはり酸素は足りなかったが、代わりに山に満ちる霊気を取りこめたような気がした。
「参りましょう」
一言言って、槍を片手に踏み出した。

199 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/04/07(金) 06:20:45
かあ

200 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/04/07(金) 23:00:58
暫くすると曲がり角に病院を見つけた。病院のベッドにマックスを寝かせる。
…医師の診断によるとただの疲労らしく兎に角休ませれば大丈夫だということだ。
マックスのベッドの横の椅子に座って聖書を読み始める。病室にはさっきまでいた看護婦がいないマックスと誓音二人きり。
全開になった窓からは生暖かい風が吹いており、太陽がキラキラと照らしているのみの静かな雰囲気だ。
―思い起こせばこんなに静かな時間を過ごすのは初めてだった。
いつも誓音の周りには悲鳴や泣き声、銃弾の音…そしてもう二度と戻ってこない…あの村の音やあの人の声に囲まれていた。
過去のあの日を思い出し誓音はばんっと聖書を閉じた。目を指で押さえる。
いつもそうだ、この思い出を思い出すたびに…。
そんな時だ。背後から声が聞こえた。

『相変わらずだねぇ…クスクス♪』
ばっと背後を見る。するとそこには見覚えのある幼女と少年が窓枠に座っていた。
思わず椅子を倒し立ち上がる。全身が震えあがる。背筋が凍る。
「あんたは……」
『くすくす♪相変わらず過去を引きずってさ。いい加減こっちに戻ってこれば?』
「…あんた達の所には戻らない。」
『…まだそんな事言うの?あの人死んじゃったじゃない。』
「……。」
『いやっ…正確に言えば殺したんだよね…?』
「………帰れ。」
『結局あんたはさ、僕たちの家の番犬に過ぎないんだよ。』
「帰れ…帰れっ!」
『いつまで無い物の狗をやってるの?』
「帰れ帰れ帰れっ!帰れ!帰れ!」
『ねぇ…いつまで』
「帰れ帰れ帰れ帰れっ!!帰れぇえええええええ!」
耳を押さえ絶叫して床に座り込む。見たくない。聞きたくない。思い出したくない。
頭を抱えて暫くうずくまってたが次の瞬間もの凄い殺気を込めて頭を上げた。

「…コロス?」

>197
「…きゃっ!」
ばっと目が覚める。気がつけば誓音は窓際の壁に寄りかかって座り込んでいた。
先ほどと同じように爽やかな風と太陽の光が窓の外から入ってきている。
―ただ何やら知らない粉が散らばっている以外は何も変わらない先ほどと同じ病室。
「………そっか…。」
ぽつんと呟く。窓際に散らばる粉を見ただけで先ほどの事が夢じゃないって事を実感する。
(…やっちゃったか…)
顔を両手で押さえる。涙は出ない。だって誓音は…
>「うっ、ここは……?」
一瞬びくりと体が震える。
>「……ここは……そうか俺、ヒチシの使い過ぎだかでぶっ倒れたんだっけか」
…どうやら先ほどの事は知らないらしい。一瞬肩の力が抜け、顔を押さえていた両手を降ろした。
するとマックスが誓音に向かって歩いてきた。どうやら大分回復したようだ。
>「面倒掛けてわるかったな、もう大丈夫だ! ありがとよ!」
「……それはよかったです……これマリスさんから…」
誓音は座り込んだまま顔を少し上げるとでマリスから貰った薬をマックスに渡した。

201 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/04/08(土) 02:17:30
>193
目の前の少女は我が問いに笑みを浮かべながら答えた。
しかし、その笑みが自嘲を含んだような笑いの様に見えたのは気のせいであろうか。
「ホゥ、そうかイ……オマエも面倒なやっちャのォ。オマエも苦労が耐えンちュー事やナ。」
対して出てくる返事は逆に明るく、不気味さを纏った声。
他者が聞いたらどんなにアンバランスだろう。

「ゲヒャハ……互い『中』に変なモンがおると大変やのォ。
 手間掛けさせてスマンかッたのォほなまた後でナ。」
それだけ言い残すと踵を返し揺ら揺らと陣羽織の裾を躍らせ、少女から離れていった。
まあオマエの中の奴は『奴』と違い大人しそうやからのぉ羨ましいモンや…
それは心の声、決して言葉には出来ないこと。
>194>195
さて……時は進みついに面子は揃ったようである。
実力は未知数のダークホース、アステラ。
そして死の淵より帰還せしラック。
互いに表情までは見えぬので何を考えてるのかは解らんが、まあ安全と思うとしよう。

先ほど話した氷使いの少女冴波……とその中のあの大男。
さてラックは『殺意』で自分と近い所にいたが、この娘は違った意味で自分と近い所にいるのだろ

その向こうに見えるのは我が身と対極に位置する符術師のシズネ。
そして数少ない我が理解者ベリアール。
しかしこうもすると魔族が自分を含め2人しかいないのが滑稽である。
だがサタンの親父は『力』ある者は万物を受け入れてくれる方。余り不思議ではない

最後に目に付いた女装をした男、最初は誰かと思ったが
よくよく見ると他でもないエヴァンスの大将だった、一体何を考えているのか。
理解は出来ぬ、まあそれだけで殺すと言う程サタンの親父は短気ではないのだが…
いまいち不安を消し去ることが出来ない。

それから大将の号令から一同はサタンの親父の根城へ向けて出発した

―――――15時間後―――――
やがて一同は馬に揺られながらも割かし短時間で城に付くことが出来た。

城へ入る前に装備の確認と衣服の確認……よし汚れてはいない。
そして忘れず懐から2つのサイコロを取り出すと片手でギュッと握り締めた。

コイツがある限りワシはワシじゃ、少なくとも『奴』ではないのだ
手中にあるサイコロ……それは唯一の生前の品。自分が生きていたと言う『唯一の証明』
血塗れの合戦場から魔界へ落ちた時にも決して手放す事は無かった。
これがある限り、自分を見失うことは無い……『奴』の目覚めを抑えることが出来るのだ。

忌々しき……あの者の名は…
【フフフッどうかな?】
突如心で『奴』が問いかける、糞よりによってこんな時に。
【君はボクがいなけりゃ使えない死体サ】
『うるさい黙れ……』
【サタンの親父に気に入られたのも君の力ではないでしょ?。】
『違う…!それはオマエが!!』

【少なくとも――――その体は『君』のモノではないヨ?持主に返して上げなきゃ♪】
―――――――――――――――――――――――――
「ヤメロォ……ヤメィ!!!オマエは……ハッ!」
気が付けば大声を上げながら頭を抱え片膝を付いた自分がいた、
もう奴の声は通り過ぎたらしい。

さてとと周りに目を配りながら気を取り直す
そして立ち上がり衣服を整えると歩を進めた…主が待つ謁見の魔へと。

202 名前:ホワイトドラゴン[sage] 投稿日:2006/04/09(日) 20:54:16
レナス、セシリアの二人が洞窟に踏み込むと壁の松明がいっせいに灯った。
青白い魔力の炎に照らし出されたのは一匹の竜。
「ハァ・・・ハァ・・・待ちくたびれたぞ、オーガスの騎士よ・・・ウェ」
顔面蒼白でまったく血の気がない。
どうも酸素の薄さに苦しんでいるようだ。
「弱者を、いた、ぶって、遊ぶ、趣味は、ないのでな・・・ハァハァ、一瞬で終わらせてやろう!」
大きく息を吸い込んだドラゴンの胸が膨れ上がり、ブレスをチャージする!



ボフッ ボボフッ ボフ パスッ



途切れ途切れの弱々しいブレスを吐いた後、ドラゴンは盛大にぶっ倒れた。
その後ろにはうす赤く光る魔法陣が見える。
他には守護者らしいものはいないようだ・・・。

203 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/04/09(日) 22:34:30
ここのコテが荒しをしているとは本当ですか?

204 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/04/09(日) 22:37:03
荒しヨクナイ

205 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/04/09(日) 23:08:54
>194-196>201
様々な反応があるなかで、ただあるかなきかの微苦笑を浮かべて馬に乗る。
その行く先は魔都オーガス城。現在の魔王軍の拠点である。

辻斬り、と言ったか。急激に煩悶したと思ったら叫びまで上げていた。
戦争病とやらの一種かそれとも心理的外傷か、あまり他者の傷口に触れるのは・・・。
「大丈夫か?」

とりあえず気を取り直した所を見れば大丈夫なようであるが・・・。
突然暴れだされては困る。少し、<私>も注意を向けておく必要がありそうだ。

さて、身づくろいなども多少確認はしたが、何かあったとて怒るほど狭量でもあるまい。
意を決して、歩を進める。

<いったい、この先に何が待っているのやら・・・。>
向かうは謁見の間。百鬼を呼び寄せ、魔軍の長は何を謀るのか・・・・。

206 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/04/09(日) 23:38:59
チャッチャが荒れたら騎士と赤も荒らす。
騎士が荒れたらチャッチャと赤も荒らす。
赤が荒れたら騎士とチャッチャも荒らす。

207 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/04/10(月) 01:45:14
チャッチャが荒れたら騎士と赤も荒らす。
騎士が荒れたらチャッチャと赤も荒らす。
赤が荒れたら騎士とチャッチャも荒らす。

208 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/04/10(月) 11:29:39
>185
兵舎は意外と広い。目当ての部屋一つ探すのに苦労するほどには。
『辻斬り』がどこにいるのか、後を追ったわけでないから分からなかった。
場所を聞いてようやく辿り着いたのは、食堂の解散から大分経った頃だった。
ノブに手を掛けて・・・臭いが鼻をつく。血と、死の臭いだ・・・。
その臭いは部屋の中から漂ってくる。どうやら、『辻斬り』は食事中だったらしい。
中から聞こえてきた声、相変わらず一括りに出来ない雰囲気だ。
どうも開ける気はないようだし・・・仕方なく引き返して床についた。

>194-196>201
夜が明け、ついにオーガスへと出発する時間になった。
案の定から揚げの油が残ってて・・・胸がムカムカする。当然機嫌は最悪、
エヴァンスの呼びかけにもあからさまに不機嫌そうに手を振って応えるだけ。
しかし、不機嫌なのはそれだけじゃない・・・『悪魔』が、更に侵食してきているのだ。
肉体にも多大な影響を及ぼしている、もはや純粋な人間とは言えない状態だ・・・。
あの黒い血を見た時から覚悟はしていたが、早すぎる・・・。

到着したのは夜、時間などお構い無しなのか、すぐにでも謁見を行うと言う。
他の連中はそれぞれ正装に着替えるなり色直しをするなりしているようだが、
中途参加である俺に合ったサイズの服がないと言われたし、元々着替える気も無い。
・・・何とかマンツーマンに持ち込もう、そうすれば・・・。

209 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/04/10(月) 17:04:49
>195
一年振りに臨んだ首都、オーガス城下。市街を見物する暇も無く城へと招き入れられ、
エヴァンスは大型の念話装置を抱えたまま、女装姿で謁見の間に続く扉の前へ立った。

「機械兵の輸送は四機とも陸路を使え。街に戦艦を置く隙間なんぞ空きはしないだろうからな。
対魔法反射装甲と、例の荷物も一緒にだ。ああ、稼動試験は必要無い。
システムは完璧に機能してるよ、我が身を以って実験中さ。術式転写はまだだ、後で試す」

通信を切り、装置は部下に運び出させた。息をつき、サタンとの謁見へ向かう。
ネクタイを締め直し、ワイシャツの襟も正した。不慣れな格好でも半日着ていたら具合が掴めた。
待ち時間で書き溜めた天使の召喚術を取り出し調べながら、中隊長とシズネ、アステラの様子を眺める。
夢見の悪かった「辻」も落ち着きを取り戻し、
他の面々も僅かな疲れの色を見せながら、表通りは然して普段と変わらぬ面持ちだ。

「椅子に座るのが誰であっても、眺めは懐かしいくらい変わってないもんだな。
前大戦、戦勝記念の式典で呼ばれた時、この辺りまでは忍び込めたんだ。
玉座の座り心地を試したかったんだが……謁見の間の扉で捕まっちまった」
詰まらない昔話を、欠伸混じりで語った。開かれる扉の向こうへ、案内に従い足を踏み入れる。

210 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/04/10(月) 19:48:04
>187
「困りましたわ〜」
後先考えず行動したせいで迷子になり、途方にくれるマリス…しかしそこへ

>「マリスちゃん、こんなところで何しているんだ?」
天の助けとはこういうものなのだろう。FALCONがそこにいた

「FALCON様ですわ〜」
微笑みながら近付き言葉を続ける
「私、迷子になってしまったのですわ〜」
…既に迷子ではないけど

「私一人では皆さんの所へ行けそうにないのですわ〜…ですから私と一緒にいてくださいですわ〜」
そう言いながら手を繋いで。と言わんばかりに右手を出す

211 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/10(月) 21:41:24
>201>205
オーガス城に入ると内部は強烈な邪気に満たされていた。
普通の人間ではそこにいることすら困難なほどの濃密な瘴気。
謁見の間に近付くに連れ、その禍々しさは高くなっていく。
辻斬りが大声を上げながら片膝をつくのを横目でみるが、冴波のように声をかける余裕
はシズネにはない。
(魔族ではなく、魔力を受けて反魂を持つアンデッド故にこの気に当てられやすいのか
もねい。)
状況判断だけし、そのまま歩を進める。

>208>209
アステラはなにやら思いつめたような顔をしているが、それでも身体に異常はきたしてい
ないようだ。
エヴァンスにいたっては感慨に浸る余裕まであるらしい。
顔には出さないが、自分の身体が生身の人間である事をつくづくと思い知らされていた。
そうして、謁見の間の扉が開かれる。

「・・・・!」
中から溢れ出る強烈なる瘴気。
(・・・身体が動かない・・・手足が冷たくなって・・制御を持っていかれる!?)
「か弱い肉を纏う身としてはちと辛いのでねえ。失礼をするえ。」
咄嗟に符を一枚指にはさみ、小さく導印をすると、その場で符は燃え尽きる。
「ほほほっ。流石は魔界の王だねえ。存在するだけでこのプレッシャーとは恐れ入ったよ。
さてさて・・・。これほどのモノを拝めるとは、いい土産話になりそうじゃないかえ。」
平静と余裕の表情を取り戻し、謁見の間に入り傅いた。

212 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/04/10(月) 22:36:27
>210
>「私、迷子になってしまったのですわ〜」
>「私一人では皆さんの所へ行けそうにないのですわ〜…ですから私と一緒にいてくださいですわ〜」
「分かった。一先ず皆のいる所に戻ろうか」
こんな年になって迷子というのはどうかと思いつつ、差し出された右手を握って歩き出す。
歩きながら皆の位置を知るべく意識を拡げて気を感知したが、まだ皆別々の場所にいる。
カイザーは何処かに停滞中、マックスと誓音は一緒にいる。
二人の気がその場所から動く気配がしないので、病院内にまだいるのだろう。
行き先は決まった。
目指すはカイザーのいる場所。
FALCONはくるりと方向を変え、元来た道を戻っていく。
数分後、二人はカイザーのいる場所。アクティブ宿屋の門前に立っていた。
宿屋内に入ると、元気な店員さん達の声が耳に入る。
少し元気が有りすぎじゃないかと思ったが、そんな考えは放って置いて、宿帳を見せてもらう。
案の定、自分達の名前が書かれていた。
宿帳を店員さんに返すと、自分達が使っている部屋に進んだ。
ドアを開けるとベットで寝ているカイザーを発見。
FALCONは近くの椅子に座って、コートの内側から一冊の魔術書を取り出して読み始める
内容は変身魔術。
目指すは昔の自分。
その為ならFALCONは努力を惜しまない。
それが無駄な努力だったとしても。



213 名前:マイメロディ[sage] 投稿日:2006/04/10(月) 23:08:59
騎士スレを見る時は部屋を明るくして
モニターから離れて見てね。おねがい。

214 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/04/10(月) 23:31:49
 盛大に打ち付けた首の痛みが引く前に、セシリアに首根っこを引っつかまれた。
 ずるずるずる・・・・
 どこに連れて行かれるのだろうと考えつつ、洞窟にも多少心残りがあった。
 (――あぁ・・・私の天然ホッカイロ・・・。)

 そんな不謹慎なことを考えるレナスの前に立ちはだかる、壁。というか氷壁。
 壁は脆く、足場をうまく確保しなければ、命を落としかねない。
 口で言うのは簡単だが、登山経験のないレナスにとって、それは過酷すぎた。
 三輪車に乗れない子供が、一輪車に挑戦するようなものだ。
 そこで、せっちゃんのサポートが引き立つわけで・・・

 >「ファイトォォォォ!」
  「いっぱぁぁぁつ!」
  ・・・つい叫んだこのセリフ、どこかの薬草店で見たものかどうだったか。
  何度死を覚悟したことか、やってきたお山のてっぺん8000m。
  せっちゃんいなかったら死んでたね、こりゃ・・・・

 >「いやーさすがにここまで来ると寒いですねー、息吸ってもなーんも入ってこない感じだしー」
 「え・・・・あ・・・・はい、そうですね?」
 らしくないセリシアのテンションに戸惑いを覚えつつも、同意をしたレナス。
 ここで一つの異変に気が付く。
 ・・・剣が震えていた。
 無論、寒さで震えているわけでもなく、レナス自身が震えているわけでもない。
 答えは・・・・敵が近いのだ。
 異変に気が付いたセシリアの顔つきもかわった。
 >「参りましょう」
 そう言って歩みを進めたセシリアに倣い、
 「あいあい♪」
 そのあとに続いて歩き出した。

 ――降りる時のことは・・・・考えないことにした。

215 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/04/11(火) 00:16:40
 >202
 震える剣を握り、一気に抜き放つ。途端、剣の震えは止まった。
 何がともあれ、洞窟の中へ踏み込む。
>レナス、セシリアの二人が洞窟に踏み込むと壁の松明がいっせいに灯った。
 「・・・罠!?」
 しかし、あたりの気配を探ってみても、大勢で待ち伏せしているような気配はない。
 そこに待ち受けていたのは・・・一匹の龍。
>「ハァ・・・ハァ・・・待ちくたびれたぞ、オーガスの騎士よ・・・ウェ」
 青白い光に照らされたその姿は、優麗であり、そして恐ろしげでもある。
 大きさは普通の荷馬車くらいはあるだろうか。
 荒い息をついているのは、久々の獲物に興奮しているのか、力を溜めているのか。
>「弱者を、いた、ぶって、遊ぶ、趣味は、ないのでな・・・ハァハァ、一瞬で終わらせてやろう!」
 「な!ブレス!?こんな狭いところで吐かれたら!」
>大きく息を吸い込んだドラゴンの胸が膨れ上がり、ブレスをチャージする!
 「くっ!」
 レナスはこの先に訪れるであろう、灼熱に身構えた。
 ・・・しかし、

>ボフッ ボボフッ ボフ パスッ

 「・・・え?」
 巨大なブレスが現れるかと思いきや、龍の口から吐き出されたのは、人魂ほどの小さな火球。

 のろのろのろ・・・

 しかも遅い!大体、人がゆっくり歩くくらいの速度でこちらに近づいてくる。
 避けるのは簡単だが、なんだかそれも、このドラゴンに対する礼儀に欠ける気がする。
 (素手で払うのも熱そうだし・・・そうだ!)
 レナスは唐突に出口へと走り、そのまましゃがみ込んだ。
 そして、振り返ったその手に握られていたのは、握りこぶし程の・・・・雪球。
 「ていっ!」
 レナスはその雪球を例の火球に向かって投げつけた!

 じゅっ・・・ぼと。

 ドラゴンの放った渾身の(?)火球は、レナスの投げた雪玉のもとに消滅したのであった。
>途切れ途切れの弱々しいブレスを吐いた後、ドラゴンは盛大にぶっ倒れた。
>その後ろにはうす赤く光る魔法陣が見える。
 「・・・これでおしまい?」
 これでは、ここに来る道のりの方がよっぽど命を賭したものだが・・・・

 哀れに横たわるドラゴンの後ろで、赤い魔方陣が煌々と煌いていた。
 ――見ているだけで魔性に囚われそうな、そんな光だった。
 

216 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/04/11(火) 07:37:10
658 :名無しになりきれ :2006/04/10(月) 23:09:36
>>656
うざす


659 :名無しになりきれ :2006/04/10(月) 23:10:39
>656
うざす


660 :名無しになりきれ :2006/04/10(月) 23:10:57
うざす


661 :名無しになりきれ :2006/04/10(月) 23:11:34
>>656
頭悪いなw


662 :名無しになりきれ :2006/04/10(月) 23:12:32
>656
ざうす


663 :名無しになりきれ :2006/04/10(月) 23:15:38
>656
うすうす



217 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/04/11(火) 14:10:02
>201>205>208-209>211
使いに走らせたベリアールに連れられ……強者と言うべき
百鬼の長たる者達が我が前へと姿を見せた。長く見なかった姿もあれば
初めて見る顔もある、先頭に立つ者は酔狂を身に纏っているようだ。
頬杖をつき足を組んだまま一声を放つ。

「兵(つわもの)共よ、我が召致に応じよくぞ馳せ参じた……
 あえて一度名乗ろう、我が名はサタン……憤怒の化身にして、全界の覇者なり」

我が言霊が場にいる者に染み入るのを待ち、次の句を告げる。

「貴様達『百鬼』の長を呼び寄せたのは他でもない……憎きオーガス……!
 彼奴の名を戴き、我が覇道を妨げる忌まわしき者共、貴様達にとっても
 因縁浅からぬ愚者を……その首を!我が前へと全て並べよ。
 ……事を成し遂げた暁には、その者の望みを叶えよう。されど、反して戦に敗れ……
 恥をおめおめと晒すならば我が力を以って滅せらると心得よ……兵共よ、今一度刻め。
 弱きは罪、力とは己が全て、勝利の栄光が我が望み……故に、其が唯一の真理なり」

『オーガス』の名を口にした途端、凶悪な怒気が物理的な衝撃となって駆け抜ける。
ダメージを与える類ではないとは言え、面々にもサタンの怒りは容易に感じ取れたであろう。
頬杖と組み足を解いて首の角度を垂直に戻し、面々を一瞥して三の句。

「足労を強いたのだ、貴様達にも言いたい事があろう……
 遠慮など不要、内に秘めたものを解き放つがいい。我も貴様達を知るいい機会故。
 まずは聞かせるがいい、貴様達の言霊を。その上で我が言霊を返そうではないか……」

玉座から立ち上がり、両腕を広げて胸を張る。
その動きに合わせて粘ついたタールのような瘴気が動いているような錯覚を覚えているだろう。
意識しても漏れ出る分までは制御のしようが無い。

218 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/04/12(水) 04:41:47
>202>215
二人が洞窟へ踏み込むと、待ち構えていたかのように――いや、実際待ち構えていたのだろう。
壁の松明が一斉に青白い炎を灯す。光と影が揺れる中、一匹の竜が浮かび上がった。
降り積もる雪よりもなお白いその姿は、精巧な彫像かと思われるほどだ。
しかし、荒々しい息遣いがそれを否定している。
>「ハァ・・・ハァ・・・待ちくたびれたぞ、オーガスの騎士よ・・・ウェ」
>「弱者を、いた、ぶって、遊ぶ、趣味は、ないのでな・・・ハァハァ、一瞬で終わらせてやろう!」
荒い息の下から、途切れ途切れに言葉を紡ぎ終えると、竜は深々と息を吸い込む。
(まずい!)
炎か氷か毒の霧か、何が出るかはわからないが、この逃げ場の無い洞窟の中で吐き出されたブレスを、
風ですべて吹き散らすことが出来るだろうか。セシリアはほんの一瞬躊躇した。
その一瞬で白竜は詰めていた息を一気に吐き出した。



>ボフッ ボボフッ ボフ パスッ


「……」
握り拳よりも少し大きいくらいの火球がいくつか弱々しく吐き出される。
ふよふよとゆっくりこちらに近付いてくるそれに向かい、レナスが雪球を投げた。
雪の解ける短い音とともに火球も掻き消えた。
セシリアは自分のほうに飛んできた火球から身をかわす。
そのまま洞窟の出口まで飛んでいった火球は、やがて青空に熔けるように消えていった。
セシリアは「今年は、久しぶりに実家帰ろうかなぁ」と考えながらそれを見送っていた。

倒れた竜に動き出す気配は無い。セシリアはそばにしゃがみ込んで様子を見る。
息が荒く、各部に震えがある。首筋に触ってみた。
「――不整脈。竜でも高山病になるんですね……」
また一つ賢くなった、などと考えながら倒れた竜の後方へ目をやる。
魔法陣が赤く明滅を繰り返していた。

セシリアは魔方陣に近寄ると、腰袋から蝋筆を取り出した。
FALCONの――すなわち魔族の――血と練り合わせたものだ。
魔法陣の記述と照らし合わせながら、まったく逆の記述をその外側に書き付けていく。
しばらくして、もとあった魔法陣の外に逆の効果を持った新しい魔法陣が描かれた。
いくつか不完全な記述があるせいで、完全にもとの魔法陣の力を抑え込むことは出来ていないが、
そのまま魔法陣を壊すより魔力暴走の規模ははるかに小さいはずだ。
(多分ね)
最後に、さらにその外側に命詞一つで爆発を起こす魔法陣を描いた。
レナスを促して洞窟の外へ出る。少し離れたところで洞窟へ向き直り、魔法陣を起動させた。
爆音とともに洞窟が崩れ落ち、同時にあふれ出した魔力が物理的な圧力となって吹き抜ける。
が、強風程度のもので、それも一瞬のことだった。

さて後は下山するだけだが……真っ当に下っていけばまた山中で一夜か二夜を過ごすことになる。
砂漠に向かった仲間たちの状況がまったくわからない現在、一秒は金貨の一枚にも勝る価値を持つ。
幸い、登るときとちがって、下るときは急いでも体に支障は出ない。
「ではレナス殿、下りるとしましょう。お手を」
レナスに向かって手を差し伸べながら、セシリアは言った。

219 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/04/12(水) 08:18:18
>212
差し出した右手をFALCONは握ってくれた

「分かった。一先ず皆のいる所に戻ろうか」
そう言うとFALCONはどこへともなく歩きだす

着いた場所は【アクティブ宿屋】…色々と突っ込まれそうなネーミングだ
気にもしない二人は宿屋内に入る…すると元気な店員さん達の声が耳に入った
「すごいですわ〜」
マリスも暢気に感想を述べる

感想を述べている間にもFALCONは宿の人に何やら見せてもらっていた。マリスはというと、その間キョロキョロしていたわけで

ややあって宿の人に宿帳を返したFALCONに部屋は男女別と聞かされた。

「わかりましたわ〜」
部屋の鍵をもらいながらマリスは微笑む…心の中では皆様一緒のほうが楽しいのにですわ〜。と思いながら


「ここですわ〜」
FALCON達とは向かいの部屋が女の子の部屋。
「何かありましたら銀盤でご連絡くださいですわ〜」そう言いながら部屋に入っていく


ベッドの上に腰掛けて胸当てを外す…が、胸当ての内側から忍ばせていた道具の他に砂がこぼれてびっくりする

「みすていくですわ〜」
…床にこぼれた砂を見ながら呟くマリスであった。
…しかし砂の事は気にしない事にしたマリスは着ていたワンピースや装備を脱ぎ、下着だけの状態になってベッドの上に寝転がり一言

「退屈ですわ〜」
…退屈になるの早すぎ

220 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/04/13(木) 00:08:43
辻冴波明日寺江波静ねの順か?

221 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 遅れましたorz] 投稿日:2006/04/13(木) 00:28:04
>魔王軍
苦しむ我が身を案じ誰かが声を掛けてくれた。
何とか自我を取り戻したか、返事は直ぐに返せた。
「ン……アア、サエナミか……ワシャァ大丈夫ヤ。心配は無用、ただ『殺意』ガ疼いただけ。
 それだケじャ……心配掛けてスマンのォ」
しかしその言葉には余裕は感じられない。ただ何かを抑えるのに必死な様子。

握り潰しそうな位にサイコロを握る手に力を込める。
『早く出て行け…早く出て行け』
ただひたすらに念じながら。

そして遂にサタンの親父と再び合間見える時が来た。
忘れることは許されない、この全てを圧倒する力、全てに怒る力。
これぞ我が主に相応しい存在。
方膝を付き頭を下げた。……衝撃に屈したわけではない。
『子は親には勝てない』……それだけの事
これぞサタン様の持ちうる力。

『サタンの親父様ホンマ久々ですワ…ご足労などアンタ様に会えると思えば軽い物。
 恥ずかしながら戻ッて参りました、ワシャ親父様に再び会えて感無量。
 親父様の事ベリアールから聞きましたワ、ワシの事忘れンと頂き
 この『辻斬り』感謝の極みで御座いまス……!!』

何とか体勢を立て直し言霊を乗せた。しかし心の中に渦巻く感情
『喜び』……そして『不安』。
仮にもサタン様なら『奴』を呼び出しかねない……そうなればワシは『終わり』や

222 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/04/13(木) 08:43:06
>魔王軍サイド
「ぐっ・・・これは・・・!!」
格が違う、いや、核から違うというべきか。
魔王の放つプレッシャーが衝撃まで伴って奔る。

「そうか・・・成るほど。これだけの力を持つものか・・・。」
周辺に漂うよう瘴気に当てられたのか、右手が少し震えている。
その右手から僅かに漏れた『水』が瘴気の一部を喰らっている。
恐らく、破壊衝動が込み上げてくるのを抑えているのだろう。
解き放てば、無事では済まない。

「・・・・・・私は2つの事が知りたい。」
押し殺したような声で辻斬りに続いて口火を切る。
「私が知りたい事はたったの2つ。それについて魔王サタン殿のご意見・ご意志を伺いたい。」

「1つ、このまま戦を続けて勝ったとして、地上の覇権を貴方が手に入れたときにどうするのか?
 人間を滅ぼす?魔族の楽園を作り出す?天界への報復?そういった次の手が伺いたい。」
そう、かつて自分がやったことを思い出しながらでも言っているのだろう。
もっとも、どういう意思を持っているかなど私にさえ計り知れない。
隣人・友人・近親者であろうとも、他人の心を読むのはなまなかなことではないのだ。

「2つ、これは貴方自身の意見について。この世に生きるすべての生命は何の為に生まれたのか?
 私の飽くこと無き一つの好奇心と思っていただきたい。」
そう、この疑問の故に『ある者は世界から生命を駆逐した』。
さてさて、情報を記録しなくてはならないな。

どんよりと渦巻く瘴気に、百鬼と魔王の対談。まるで劇のようだ。
「私が聞きたいのはただその二つ。その代価として勝利を欲するならば、この身のもち得る力で以って勝とう。」
ヤツはもはや、語るべき事は無いとばかりに口を閉ざした・・・・・・。

223 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/13(木) 22:58:25
>217
サタンとの謁見が始まる。
濃厚なる瘴気を纏いながら言葉をかけるその姿は正に魔王たる姿。
その瘴気は符による防護があって尚シズネの身体にビリビリと感じるほど吹き荒れる。

言葉を求められ、おもむろに立ち上がり一礼をする。
風に吹かれるように瘴気に吹かれる髪をそのままに、シズネは気持ちよさそうに魔王の
姿を見ていた。
シズネ本人も知らぬうちに、口元に妖艶な笑みが浮かんでいた。
「言いたいことなど何も・・・。
・・・ただ・・・この目で憤怒の化身なる者を直接見られるとは真に眼福でござんすよ。
私はただ私のお仕事お勤めを全うするのみですえ。」
少し首をかしげ笑みをサタンに向け流し、慇懃なる礼をとっる。

224 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/04/13(木) 23:30:24
>200
マックスは誓音から薬を手渡された。マリスに手渡されたという。
「マリスが? ……これ、俺があげた薬か……」
元々自分が使うつもりで調合した薬だが、一度は人に手渡したものを自分が使うというと、情けない気がした。
「頂いとくぜ。ちょっと飲んでくるわ」
待合室に出ると、ご自由にお飲み下さいと書かれた水のタンクを見つける。
マックスはポンプを押して水を容器に汲むと、粉末を水に溶かして混ぜ始めた。
暫くすると粘り気が出始め、妙に青臭い匂いがし始める。
「……間違えたかな?」
マックスは首を傾げつつその粘液(?)を一気に飲み込んだ。
暫くすると思い切り噎せ始めるが、涙目になりながら飲み干した。
「にげぇ……マリスに飲ませなくて良かったかもな……」
涙目のまま部屋に戻り、誓音に訪ねる。
「そういやあ、皆は何処に行った?」
そう言うマックスの顔はほんのりと赤く染まっている。
「(うお……力が湧くのは良いが……体が疼くじゃねえか……!)は、早く合流しねぇと……な」

225 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/04/14(金) 22:29:55
>217
謁見の間は、魔王が発する強烈な魔素が篭って煙る。
義手の魔力感度を落とし視覚感知を弱めずには、玉座に坐す魔王サタンの姿すらまともに見えなかった。
金髪の男を玉座に認めると、敬礼する。

「第○騎兵師団付、特戦科独立大隊『百鬼夜行』が大隊長ジャック・エヴァンス。
只今参りました。夜分恐れ入りますが……」

地獄の門を背負うに充分たる威厳と力量だが、果たして見込んだ通りの男か。
エヴァンスは二百年の間、神を殺すに足る野望と力の持ち主を求めていた。
もし彼でさえ不足ならば、自分がそうするまでだが。

>足労を強いたのだ、貴様達にも言いたい事があろう……
> 遠慮など不要、内に秘めたものを解き放つがいい。我も貴様達を知るいい機会故。
> まずは聞かせるがいい、貴様達の言霊を。その上で我が言霊を返そうではないか……」

ニヤリと笑い、口を開きかけたが、
聞くべき事は全て冴波が先に聞いてしまった。他には何も無いので口をつぐむ。
普段みたく無闇矢鱈に喋り立てる事はせず、黙って返答を待った。

二世紀半を待ち続け、ようやく敵陣へ切り込むための確固たる足場に立ったと言えるかどうか、サタンの返答で吟味する。
彼が未来永劫の闘争を望むか支配を望むか、どちらにせよいつかサタンは敵となる。
しかしタイミングが大事だ。加わるべき時に加わり、抜け出すべき時に抜け出す。
やがては天界を空け、地獄を閉じ、ガートリュード、ヘンリー、戦友たち、七人の天使、皆を解き放つ。

226 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/04/15(土) 11:06:12
>217
シズネは気付かなかったようだが・・・アステラは既に異常をきたしていた。
サタンの放つ高濃度の瘴気のせいで『悪魔』の侵食が加速したのだ。
魔法陣の時も活性化したので覚悟はしていたが、予想以上だった・・・
誤算だった、としか言いようが無い。急がなければ身も心も魂も、全て『悪魔』に
食い尽くされてしまう・・・緊急事態はアステラから心の余裕を奪った。
サタンの言葉も余り頭に残らない、そんな中他の連中が話しかけていく。
残ったのは自分だけ・・・ここで何も言わなかったら怪しまれるだろう。
大博打、二回目。圧力に屈すまいと立ったまま言い放つ。

『魔王サタン・・・俺は何者にも仕えない。
 俺の目的はただ一つ・・・一族の恥そのものである男の抹殺、それだけだ・・・
 その目的を果たす為の障害を取り除く事が魔王の益になるのならそれはそれで結構な事だ。
 ・・・奴の首を見せたら持ち帰らせてもらう。一族にも、事を成した証明が必要だからな。』

まっすぐ見据え・・・ているつもりだが、目が霞む。
瘴気で視覚がきちんと働いてないようだ・・・これ以上『悪魔』の侵食を早めるわけには行かないと
感覚を人間のそれに戻しているのが裏目に出ている・・・

227 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/04/16(日) 12:10:18
>221-223
我が言霊に最初に反応したのは……長らく見なかった味気ない骨、
我が力を受け復活した、ある意味において我が子とも言える存在。
かつての特攻隊長にして百鬼の長に名を連ねる者、『辻斬り』。

「実に久しいな、『辻斬り』よ……『恥』を感じるようになったか。
 クク、随分と丸くなったものよ。忘れようがあるまい……貴様は我が力を受け
 『辻斬り』となったのだから。どこにいようと、貴様の狂気、我に響いておった。
 ……フッ、安心するがいい。今はまだ起こす時ではないからな……
 貴様の働き、力、久々に見せてもらうぞ」

こうしていると過去を思い出す。そう、『憤怒の化身』として
魔界の闘争に駆けずり回っていたあの頃を……いつからだろうか、人界に
自身でも理解できかねるほどに執着するようになったのは。これでは
最大の敵である、『強欲の化身』マモンではないか……


その思索を断ち切るが如く、続いて口火を切ったのは……『異界からの来訪者』
冴波 氷渡……水と氷を操る者との報告を受けている。その冴波は二つの事を聞いてきた。
我が望みと……生まれくる者に課せられる宿業、その二つ。

「興味があるか?では、語ろうか……我が目的、そは怠惰を否定する事……!
 平和と言う名の怠惰に浸かり続ける弱者からすれば地獄のような世界、
 血で血を洗う永遠にも等しい闘争の世、それこそが我が望みよ……
 少なくとも我が眷属にとっては楽園であり、またこの世界を人に与えた
 下らぬ者共への報復の一環にもなりえる。業を煮やして天界の愚者共が攻めて来るなら
 かえって好都合……我らを満たす手助けにしかならぬなぁ」

そこまで考えを巡らせてつい笑みを零してしまう。人間に言わせれば、
邪悪な笑みと言ったところか……続く返答の時にはその笑みは消したが。

「フッ……貴様も惑うているか。ならば我が意はこうだ。
 ……全ての存在は、死ぬ為に生まれてくる。更に言えば……『唯一無二の絶対』を証明する為に。
 考えてみるがいい、生きとし生ける者は必ず死、或いは滅する。
 創世の時よりこの宿業から解き放たれた者はおらぬ……即ち『唯一無二の絶対』なり。
 生まれくる者は須らく之を証明する為に生まれくるのだと」

「貴様の求める答えとして相応しいかは我が裁定する事にあらず。
 しかれどこれによって貴様が我が剣として勝利を齎すと言うのならば……
 我も答えた甲斐があろうと言うもの。さて、お気に召したかな?」


三言目、見慣れぬ出で立ちの妙齢の女だ。名はシズネ・ラ・ファウスティナ……
シズネ……?確か、彼の地の彼奴もまた……そうか、なるほど……記憶の底から
彼の地の事、彼奴の事、それに関わる種々の事を掘り起こす。つい邪笑が漏れる。

「クク、そうか……ならば貴様の力、大いに役立ててもらおう。
 しかし斯様な地までわざわざ出向いてくるとは……彼奴の悪巧みに協力してやるとは
 貴様も物好きよな、クックッ。さて、貴様等の『探し物』は見つかったか?」

まったく、実に久しい存在だ……最初は分からなかったが、感覚を研ぎ澄ませれば
それが掴める……間違いない、彼奴の一つから生まれた、二つ目のモノ。
クク、俄然楽しませてくれそうだ。実に……血が滾る。

228 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/04/16(日) 12:11:16
>225-226
四言、百鬼の長を束ねる、かつてオーガス騎士でありながら
我が軍門へと下った変わり者……女装と言う酔狂を演じる、ジャック・エヴァンス。

「エヴァンス、やはり貴様の目に狂いは無かったようだ……。
 我が望みを果たすに相応しき兵を見事に選別したのだから。だが……
 何故隊を編成した?貴様とて元オーガス騎士……彼奴等に対して数が意味を為さぬ事は知っていた筈。
 あえて否定したかったのか、それとも……いや答えなくともよい、結果は見てのとおりだ。
 ……何ぞ言があろう、語るがいい。その口の歪み、我が錯覚で無ければの話だが」

第三魔法陣での戦いでエヴァンスは仇敵である彼奴等を召喚した……
それが力の根源であるならいつかは対消滅を起こすだろう。が、それに目を瞑れるほど
稀なる力を持つのも事実。多少の痛みなど、かつての屈辱に比べればどうと言う事はない。


いまだ黙して語らぬ童(わっぱ)二人の内、先に口を開いたのは……
アステラ、一族の恥である兄を殺す為魔界から上がってきたとの触れ込みだが……

「好きにするがいい、少なくとも貴様と我の利害は一致している。
 貴様が我が仇敵と成り果てた貴様の兄……彼奴を斬る事、止める道理など無い。
 我等に切っ先を向けぬのならば多少の無礼には目を瞑ってやろうではないか……
 だが、果たして今の貴様で彼奴を倒せるかな?彼奴は『辻斬り』と一戦交えて
 新たな力を得た……貴様は、どうだ?足りないと思うなら、我が力貸し与えぬ事も無いぞ……?」

邪笑を向ける。貴様の事など筒抜けよ、と言わんばかりに。

229 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/04/16(日) 22:58:28
>224
>「マリスが? ……これ、俺があげた薬か……」
そう言うと、マックスは薬を受け取ると、部屋を出て行った。
誓音は以前、座ったままだ。
正確に言うと先ほどの事で体中が痛い上にかなり疲労してしまったせいで動くのがしんどいのだ。
誓音は一つ深くため息をつき、下を向いた。今は何も考えたくないし動きたくない。
暫くぐったりしてると、マックスが涙目で戻ってきた。薬の苦い臭いが誓音の鼻をつく。
>「そういやあ、皆は何処に行った?」
「……宿屋…ですかね?」
未だにしんどそうに下を見たまま言う。気分が悪く、気が重い。
>「(うお……力が湧くのは良いが……体が疼くじゃねえか……!)は、早く合流しねぇと……な」
「…………。」
今度は何も答えず黙り込む。
何か答えなければならなかったが何も言えなかった。
兎に角さっきの出来事で身体的にも、精神的にもボロボロで…思い出すだけで苦しくて悲しくて…。
そんでもってこんなに弱い自分が嫌になってた。

「…弱いですね…私。」

そうぽつりと言うと握ってた拳に力を入れた。
暫く顔を下に向いたまま黙り込む。その姿はどことなく泣いてるようにも見えた。
暫く黙ったまま下を見てるとふとマックスの方を見上げた。
薬が効いてきたのか、顔が少し赤らんでる。それを見て少し吹き出した。
「…顔が赤いですよ?」
そう言って少し笑う。そして再度口を開いた。

「…みなさんの所へ戻りましょうか。」
まるで自分にも言い聞かせるように言うと、誓音は立ち上がり病室のドアを開け、廊下に出た。
病室に聖書をおきっぱなしだったが、取りに行くことはしなかった。
―もう二度と、あの粉がある病室には戻りたくなかったからだ。

230 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/04/16(日) 23:42:00
 ふと、雪球で叩き落したドラゴンのブレス(?)が、燃え尽きずに輝いているのがわかった。
 まるで、溶岩流が固まり、そこに落ちているかのようだ。
 (ちょっとした火種にいいかも?)
 そう考えたレナスは、そっと、それに手をかざしてみる。
 ――ほのかに暖かい、しかし、熱すぎることもないような、不思議な物体。
 直接触ってみるが・・・暖かかった。
 赤ん坊の時感じた、母親の暖かさのような・・・優しい温度。
 きっとまだ内部は中々の温度を保っているはずだ。
 レナスは、それを腰の袋に入れた。

 そして、セシリアの方も、何やら後ろの魔方陣に書き込みをしている。
 その書き込みを見つつ、記憶の糸を辿っていると・・・何も思い出せなかったり。
 そうこうしている間に、作業は終わったらしく、せっちゃんに外に出るように促される。
 そして、外に出た瞬間・・・凄まじい轟音・・・衝撃・・・そして洞窟の崩壊。

 そして、何を考えているのか、せっちゃんはこちらに手を差し伸ばしている。
 >「ではレナス殿、下りるとしましょう。お手を」
 「果てしなく嫌な予感がするんだけど?」
 そう言いつつ、せっちゃんの手を取った。

231 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/04/17(月) 12:44:36
その頃、砂漠の町のオアシスでは激戦が繰り広げられていた。
ナッパ対ギルガメッシュ。
宇宙最強の戦闘種族サイヤ人と古の英雄王。
その戦いは想像を絶するものがあった。
ナッパが指をクンッと上げれば、そこら中の大地から爆発が引き起こされ、英雄王が指を鳴らせば空間が歪み
伝説の武具が飛び立っていく。
だが、その戦いにも決着が着こうとしていた。
お互い、満身創痍の状態になりながらも拳を振るい、剣を飛ばし、剣や槍が突き刺さり、蹴りが体にめり込んでいく。
決着はいかに?

232 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/04/17(月) 19:43:19
>227>228
「その人間を前にして、仰いますね」
冴波の問いにサタンが「闘争の世」と答えた時、エヴァンスの眼が嬉々として輝く。
次いでの「唯一無二の絶対の証明」を聞き、彼は確信した。
魔王は自分に近しい生き方を見出している。破滅主義に裏付けされた、飽くなき反骨心が鉄血の意思を生む。
絶対の死と消滅のみが我々を修羅道から解放する、その日まで剣の渇く事は無い。
違いは一つ、人か魔か。サタンは強大な力を以って神に相対する魔族の長、
しかし最後の審判において創造主を復讐の刃の下に断罪するべきは、神の似姿たる我々人間なのだ。

>……何ぞ言があろう、語るがいい。その口の歪み、我が錯覚で無ければの話だが」

突然の振りに一瞬驚いたが、折角なので素直に口を開いた。
「魔族にとっても生は苦痛に……」
言いかけて、途中で言葉が行き詰る。が、直ぐに二の句が接がれた。

「いや、魔族の身にあっても生を苦痛と感じる者はありますか? 人と同じく……。
私は人間として運命の理を解き、万象の終局に立ち会いたいがため、
仮初めの平和に塗られた幾多の同胞の幸福を踏み躙り、今夜此処へと辿り着いた。
世界は地の果てまでも煉獄の檻だ、貴君が訪れるまでも無く既に。
天界や地獄すら運命と云う名の鎖に縛されて、これ以上何が残っていると?」

狂気の命令にすら賢しい人間の心が御旗を掲げなければ、自らが生即ち苦痛に今日まで耐え抜いて来た意味が消える。
重荷に過ぎる無限の生命の火を背負って、人の心を保ち続ける事は思いの外難しい。
それには言葉遊びが随分役立った。
単なる言い訳を尤もらしく朗々と述べる自分は、まるで二百年前に戻った気分だ。

「差し出がましいようですが私の意見としましては、
貴君へ残された使命は親殺しをおいて他に果す術など無いでしょうね。
私が貴君の軍門へ下った理由は、貴君が好きだからですよ。強情っ張りなところとか」
エヴァンスはケラケラと笑ってみせ、それから剥き出しの脚と軍靴を揃えて玉座へ真正面に向く。

「いや失礼、我々の戦争には何ら無関係な事柄だ。仕事の話をしましょうか。
オーガス騎士は魔方陣破壊の特殊任務を今以って遂行中であり、
一帯に残された魔方陣は防備も手薄で、以後捕捉や迎撃は困難となるでしょう。壊されたものと思った方が良い。
だが魔方陣破壊のみでは決定打には成り得ない、それは敵も重々承知の事。
当然、相乗して敵本隊による攻勢が予測されます。多少の犠牲は強いられるにしても、これを挫くのは困難ではない。
ここで問題なのはオーガス騎士だ。少人数で行動する彼らを捉えた唯一のチャンスは御破算になった。
しかし彼らを数を頼みで潰すのが無理であるのと同様に、
我々にとってもまた数ばかりの一時的な攻勢は全く恐るに足らない。
同盟軍の強みはオーガス騎士だが、逆を言えば同盟軍にはそれ『しか』残されていない。

待つ事です。我々を呼び出した本当の理由はそれでしょう?
オーガス騎士は貴君の首を狙って必ずや此処に現れる。彼らさえ消せば、同盟軍はどうにでも料理出来ます。
罠を仕掛けて待ち伏せる。今度は準備の時間もある、狩り殺してお見せしますよ」

233 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/17(月) 22:13:02
>227>228>232
魔王サタンと百鬼夜行の謁見は続く。
それぞれの言葉にサタンは言葉を返す。
そしてエヴァンスがこれからの戦略について進言をする。
その様子にシズネは袖てそっと口元を隠しながら言葉を綴りはじめた。

「私のようなものにもお声をかけていただき恐悦至極でございますよ。
それにしても、どこまでもご存知の様子で。
我が父の呪を解く為に大陸に渡りましたがなかなかどうして。苦労しておりますよ。
ただ、ここに身を置いていればいずれかはそれを手に入れられるような気がしましてね
い。」
肩をすくめながらサタンの問いに答え、更に言葉を続ける。

「でも、悪巧みだなんて人聞きの悪い。私のような俗物が望むのは平穏と躍動。
矛盾したものを欲してしまうのがサガというもので。
ここに居並ぶ皆様の純粋さには目が眩みますえ。」
本気か冗談か判らないような口調で語るが、シズネはサタンをはじめとするこの部屋に
いる自分以外を純粋だと思っている。
『憤怒の化身』たるサタン。純然たる憤怒だ。憤怒以外何者にもなりえないその純粋さに
美を感じている。
魔族はそれが特に顕著に現れる。
辻斬りにしても、エヴァンスにしてもその純粋さに美しさを感じ取っているのだ。

「さてさて、軍略戦術の類はお任せしますよ。
下働きはただ従うのみ。まあ、楽させていただいておりますがね。
やることはやりますので、お役立てくださいな。」
少し首をかしげるように笑みを向けた。

234 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/04/18(火) 15:40:37
>227>228>232>233
「そう、か。ならば是非もなし。」
眼前の魔王の言葉に表情が僅かに強張るが、それを声色には出さなかった。

死の絶対を証明する為に在る生命。
ならば、生まれてくるというサイクルを断ち切られた時にその世界はどうなるのだろう。
生まれてこない生命に死は存在しないのだろうか。
なんであれ、これもまた一つの答えなのだ。

「ただ、私はこの答えを求めるだけ。其を、死闘の最中にも見出せるやもしれない・・・・・・。」

後は身を引いて、話の流れを見守る構えのようだ。
ふとアステラの様子が気にかかったようだが、あのような種類の人間は心配するだけ強がる。
ならば、聞く必要もあるまい。

「(待ち伏せを行うならば、『海』へと空間を繋げられれば最良か。)」
恐らく、冴波もまた同じ考えだろう。水辺であればこそ、その最大の力を発揮できるのだから。
その方策を考えているかのように沈黙している。

235 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/04/19(水) 01:06:34
>227>228
威風堂々と燐としてサタンの親父様は我等の言葉に返答を告げた。
しかし何時でもそのプレッシャーは場を支配し、
全てを圧倒するかのようなオーラを醸し出していた。

「ヘイ!『例の件』以来コロシを止めラれ
 ちィとばかし邪術の牢獄デ頭ァ冷やさセて貰いましたワ。
 そのセイか、以前よかまともに話せるよウ『自我』が戻りおッた次第でござイます。」

しかしその分デメリットがあるのだが……あえて口にはしない。
だが隠しても親父様には全て筒抜けであろう。
このお方はそう言うお人だ、
我が身に向けられし返答を、人が変わったかのように返しながらそんな事を思った。

「ゲヘへへ……失礼。親父様…ワシャぁ『奴』ヲ起さンでも十分だと思ッております。
 期待の言葉、感謝の極み―――ましてこの『ワシ』にとッて『コロシ』は最大の『喜び』!!
 サタンの親父様に仇名す輩の首、必ずやこの『ワシ』が御前に捧げてごらンに入れやしョう。」
忠義は全てこの方の為に。しかし明らかに目的が異質すぎるのだが……
楽しそうに嬉しそうに言葉を返す姿は一瞬子供にも見えた。

>232>233>234
しかし一旦身を引き他者への言葉を耳に入れると
どうしてであろう……皆それぞれが『腹に一物』を持ってるらしい。
これも何かの宿命か因果か果てまた偶然なのか。
特にシズネ……気が付きはしなかったが、ここに来て奴の言動が
どうも気に掛かる。綺麗な薔薇にはなんちゃらと……と言う奴なのか。

奴の裏は恐ろしく大きいものか、それともご自慢のはったりかは解らぬが
まあ良い知らぬが花、いつか尻尾が出る日が来るだろう。

さてさて一方のエヴァンスはいつも以上に道化を演じているではないか。
その態度に必然的に刀に手が掛かる。
―――――親父様を侮辱するならば……我が怒り、そして『奴』の怒りを買う事になる
これ以上嘲るならば『斬る』………と言う警告も馳せて。進言をした

「ちョいと脇から失礼。親父様に『エヴァンス』
 ワシャぁ『鉄砲玉』、軍義は専門外。下手に口を出すノも性に合わんから任せますわ。

 なァに親父様が言えばドコへでモ……親父様の意思あらばなンなりと。文句は言いまへン
 例えオーガス騎士であろうとも、あの化けモンでも……ワシにとッては『餌』
 
 親父様を屈辱するナらば、眼の前の同胞すらモ斬捨てる覚悟ヤからのォ。」

薄らと紫色の闘気が体から滲み出た、口調こそはおどけているが
珍しく感情が読み取れる程の『激しい怒り』を含んだ言葉。

236 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/04/19(水) 09:58:09
>228
意外にも律儀に返事をする魔王だ・・・プレッシャーは相変わらずだが。
・・・そして、一番突かれたくない部分に話を及ばせてきた。

『とりあえず刀を向ける理由は無い。不許可なら、斬って捨てたまでだが。
 何を無礼に感じようがそれは俺の与り知らぬ所、籍を置く以上多少は注意するが・・・。
 ・・・!・・・結構だ、奴が自力で力を得ていると言うのなら俺も奴を自力で倒すだけ。
 他者の助けを借りて事を成しえるなど、当主たる者のする事じゃないからな・・・。』

嫌な笑みだ、全て見透かされてるようで・・・もしかしたら、実際そうなのかも知れん。
なら何故、あえて泳がせるのか・・・分からないが、そこに付け入る隙を見出せるか?
・・・どちらにせよ、今は動けない。どうなるか分からないが、待つと言うならチャンスを待つ。
動くつもりなら・・・今夜が勝負か。

237 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/04/19(水) 15:24:02
>230
>「果てしなく嫌な予感がするんだけど?」
差し出された手を取りながらいうレナスに、セシリアは
「……」
ただ笑顔を向けただけだった。そのままレナスの手を掴むと




―――ぽん




目の前の断崖から飛び降りた。
軽く体を反らしてマントで風を受けるように体勢を変え、滑るように山肌を降りていく。
吹き上がってくる風を受けていればいいだけなので、精霊の力はほとんどいらない。
途中、レナスのことなど完全に忘れて、地面ぎりぎりまで落下してから引き起こしたり、
木の葉が舞うようにくるくると姿勢を変えながら降り続け、
ほんの数分でハイネスに連なる山脈の登山口に到着した。
ちょっと怖かったので、降りてからはレナスと視線を合わせられなかった。

「さ、ぐずぐずしてはいられませんぞ!まずは街へ戻らねば」
セシリアはレナスを促して街へ向かおうとした。
宿には登山に邪魔になりそうなものを預けてあるし、
マックスたちや同盟軍とも連絡を取らねばならない。
そう、いま足早に歩いているのは時間が惜しいからであって、
決して勢いでうやむやの内に押し切ろうとしているわけではないのだ。

238 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/04/21(金) 18:21:01
>232-234
エヴァンスもまた問うた。魔族もまた生に苦痛を感じるか、と。
冴波と言いエヴァンスと言い、哲学を振るとは面白い者達だ。

「愚問だな……あるぞ、エヴァンス。生に苦痛を感じる事が。
 それは、己が宿業を為せぬ時よ。忌まわしき彼奴等に、我は一時であれ
 『憤怒の化身』としての宿業諸共に封じられ、無為に怒りを憎しみに昇華させるだけの……!
 無為に時を浪費する、これほどの苦痛は無い。そして……
 運命の鎖は世にある全てを形作る大元……断ち切る事、即ち己が消滅と同義よ。」

「フッ、彼奴を親と思った事などただの一度も無いわ。
 其を覆せぬ大罪と呼ぶならば喜んで受けようではないか……『咎人』の誹りをな。
 クックック、まるでベリアールのような事を言う。感化されたか?エヴァンスよ。」

「……今更方陣の心配など無意味よ。だが彼奴等に最後の方陣は砕けぬ。
 このオーガス……地下深くにオリジナルを転移させたからな。ヴォルフ……
 彼奴の企みのお陰で放置されていたのが幸いした。オリジナルは、他の方陣から送られる力を
 蓄える機能もある……来たる決戦では、その力を全て使う。その通りだ、エヴァンス。
 話が早く手間が省ける……彼奴等のみだ、わが道に立ちはだかるのはな。彼奴等さえ消せば、
 人界は我の物だ。人界さえ押えれば、他の化身の領土への侵攻も容易になる……。」


つい話を長引かせてしまったが、話が終わるのを計ってシズネが返す。
とぼけるのが上手い女だ……彼奴によく似ている。

「何を言うか……謙遜とは、貴様等らしくもない。
 ク、ク、存じておるさ。貴様の父とは死合った事もあるのだから……。
 なるほど、こちら側に来ているのか……そう言えば、こちらでは終ぞ見た事の無い
 奇怪な形状の剣を見た。ナマクラだが、方陣を砕いた……力ある剣だ。もしや……?」

意味ありげにシズネを見やり、言葉を続ける。

「愚昧なる者共の野次など耳に挟むものではなかろうが。
 ……クック、貴様が望むは混沌……見ているがいい、我が齎してやるぞ。
 種々に混ざり合い、時に率が変わっても決して消える事の無い万物の色……
 人界こそ混沌の象徴よ、なればこそ……(我ら魔族もまた、人界を欲するのか)
 今の内に符なり旗なりを用意しておけ……必要ならばな。
 我が軍門にある以上、妥協は許さぬ。貴様とて、脆弱なる人間如きに
 親娘揃って愚弄されたままなど我慢できる筈もなかろう?」


話をしながらも面々を見やっていたが、冴波の表情が一瞬変わった様に見えた。
しかし元々表情に乏しいのだろう、能面のような表情は僅かな揺らぎも見せなくなっている。
追求するのは容易いが、そんな気分ではない。

239 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/04/21(金) 18:21:43
>235-236
『辻斬り』が話しているのだから。

「その様だな、あの頃よりも大分舌の滑りがよいではないか。
 ……ク、ク、ク、そうだな。『奴』のやり口もよいが、貴様のやり方も見物だ。
 我が望みを叶える為、か。ククク、愛い奴よ。」

だがどうにも『情』が強すぎるようだ。エヴァンスを呼び捨てにした上、
我が力の根源たる『憤怒』を迸らせて……手を振って間に入る。

「構わぬ、我とて常に怒りを纏うているわけではない。
 望みを果たす時、その足音が耳に入り始めている故、今は気分がいい……。
 が、貴様の気持ちは受け取っておくぞ『辻斬り』。その『憤怒』……彼奴等を討つ力へと変えるのだ。
 今この場でエヴァンスを斬っても、逆に貴様が灰燼に帰しても彼奴等の益となり我らの
 勝利が遠のくだけ……今は抑えよ、よいな?」

自我があっても根源は変わっていない。やはり『辻斬り』は『辻斬り』だったのだ。
奴を見て、我も時に失いかける己を取り戻す。奴は、かつての我そのものだ……。


それにしても、小僧がよう吠える。その精一杯の虚勢に口が歪む。

「我を斬って捨てる、か。また大きく出た……が、その不完全な体でか?
 まぁよい、その口汚さもまた貴様の力よ、敵を討つ為のな。
 ……クク、自力でか……出来ればよいがなぁ、さてさて?」

次の面々の言を待ち、告げる。

「ではこれにて謁見を終える。思いの外時を擦った……
 足労の疲れもあろう、今宵は下がり英気を養うがよい。明日より、
 彼奴等を仕留める為の……準備に取り掛かれ。」

240 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/21(金) 22:41:55
>238
エヴァンスとサタンの会話が続く。
第六魔法陣はこのオーガス城に転移させてあるということだ。
そして、オーガス騎士たちをこの本拠地置く不覚におびき寄せ倒す、と。
静かにそれに耳を傾けていた。

エヴァンスとの会話が終わり、サタンがシズネに向かい言葉を綴る。
袖で口元を隠し、微笑むような目でそのサタンの言葉を受け止めていたが、その途中、
一瞬だがシズネの目が細まった。
そして隠された口元は微かに開き、笑みをこぼす。
今までたたえていた妖艶な笑みとはまったく異質な笑みがその口から漏れでていた。

その後サタンは辻斬り、アステラと順に声をかけていく。
全てを見透かしたようなその口調に、シズネの表情はまたもとの妖艶な笑みに戻って
いた。
そして厳かに謁見の終了が告げられるに従い、シズネは片膝をつき礼をとり、謁見の
間を後にした。

謁見の間を出て、廊下を歩く最中。カラリカラリと三枚歯下駄を引き摺りながら、片手
に番傘を持ったまま大きく伸びをした。
「ハァ〜・・・肩が凝ったねい。」
誰に言うでもなく言葉が漏れる。
懐からキセルを取り出し、一服しながら歩いていく。
「まったく、徹夜の上、強行軍。挙句に謁見とくれば疲れるも道理だよ。
美容によくないったらありゃしないよ。」
口から出る文句とは裏腹に、その表情は嬉々とした色が滲み出ていた。

241 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/04/22(土) 01:43:12
>229
誓音の表情が先程に比べて辛そうだとマックスは思った。
既に疲れていそうな感じはしていたのだが、表情を見る限りでは相当に辛い様だ。
「……俺も疲れたし、さっさと行こうか! 誓音も疲れてるだろ」
マックスは誓音に背を向けて、先に歩き始める。
そして誓音から少し離れた位置に立ち、常人には聞こえない位の小声で呟いた。
「お前は弱くなんか無い……俺なんかより強ぇよ……」

街の中を少し足早に歩き、宿屋に着いた。宿屋の名はアクティブ宿屋。
「なんつー名前してんだよ」
マックスは宿帳を見せて貰い、名前が書かれている事を確認する。
「あー、男女で部屋別みたいだな。誓音達の部屋がこっちで……俺らがこっち」
マックスは案内板の図を利用して誓音に部屋の位置を教える。
そして、自分の部屋の方に歩いていき、部屋の中へ入っていった。

242 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/04/22(土) 23:10:16
>241>219
しばらく歩くとアクティブ宿屋という宿についた。
>「なんつー名前してんだよ」
思わずマックスが感想を漏らす。まぁ確かに凄い名前だ。アクティブって…。

マックスが宿帳を見て名前を確認する。
どうやら男女別れてるらしいので廊下で別れて自分の部屋に入る。
するとマリスが下着姿でベッドに寝転がっていた。
「うおっ…た、ただいまです…」
思わず手で顔を隠す。何故か女同士だが見てはいけないような気がしたからだ。
そのまま手で顔を隠したまま荷物をもって風呂場に入るとしばらくがさこそと何やら作業をする。
そして暫くすると、黒いワイシャツとだぼだぼの長ズボンで鎧と荷物を持って出てきた。
「うおっ。」
再度声を上げ、下を見ると荷物を置き、マリスがたむろってるベッドの横のベッドに俯せに倒れた。
「ふぅ…なんか余計疲れちゃいました。」
枕に顔を埋まらせながら一言言う。

243 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/04/22(土) 23:38:41
>魔王サイド
どうやら謁見も終了を迎えるようだ。
めいめいと魔王との会話にはどうも余人には計り知れないものが多かったが、
最終的な結論はただ一つ。『オーガス騎士を抹殺すること』。
>「ではこれにて謁見を終える。思いの外時を擦った……
>足労の疲れもあろう、今宵は下がり英気を養うがよい。明日より、
>彼奴等を仕留める為の……準備に取り掛かれ。」

「御意のままに。」
深々と一礼し、踵を返す。
いよいよ決戦が近いというところだろう。
前回では殆ど顔を合わせていない以上、相手の戦力は分からない。
が、逆に言えばこちらの戦力も相手にとって未知数。
なら・・・

「有利な場所に誘い込むしかない。」
それを考えながら廊下を進む。
強行軍での疲れもあまり見せずに意識が内側に向かっている。
そこに・・・

>「まったく、徹夜の上、強行軍。挙句に謁見とくれば疲れるも道理だよ。
>美容によくないったらありゃしないよ。」
と、来たものだ。
どうにも捉え所のない相手であっても疲れはあるらしい。
そこに・・・何故か懐を漁る冴波。

「これを使うといい。」
シズネに突き出したのは、蒼い色の小瓶。中身は液体だ。
「それは・・・簡潔に言えば化粧品だ。肌の老廃物を排出する効果が高い。私も使う。」

とりあえずそれを渡した後、用意されてるであろう自室へと向かう。
<そろそろ、門を開く時が来ているのかもしれん。>
空に暗雲が立ち込めている。・・・嵐の時は近い。

244 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/04/23(日) 13:20:57
>235>238>239
エヴァンスの言葉が気に障ったらしく、「辻」が腰の刀に手を掛けいきり立つ。
ゆっくり首を回して見遣ると、闘気の燐光が微かながらに彼の巨躯を覆い始めている。
この間合いで「辻」と斬り合いたくはないし、第一時間の無駄だ。これ以上に挑発する意味も無いので黙っておいた。

案の定サタンが彼をたしなめ、「辻」の殺気は落ち着いたように見えた。
何処までも人間でしか在り得ないエヴァンスの身には、「辻」の怒りの根本を完全には理解出来ない。
しかし、サタンの威光は魔法と死の眷属にとって抗えぬ、圧倒的な力である事を悟った。
兎も角訊くべき事は全て訊き、後はオーガス騎士たちを待つのみとなった。
魔王が謁見の終了を告げると、エヴァンスも気の無い笑みを浮かべて敬礼し、そそくさと謁見の間を去る。

「なあ、『辻』よ。お前さんの身体に血肉が欠片も無くなっちまってから今まで、どのくらい経つんだ?」

帰り際、謁見の間から続く赤絨毯の上で、辻斬りに話し掛ける。
互いに相容れない一線は元より知っての事。愛想を振り撒いたり、関係修復など望むべくもないが
ただ何とはなしに尋ねてみたくなっただけであって他意は無い。

「一体何をやってた? 俺は人間だからな、お前や魔王の考え方ってのは分からんのさ。
長生きなんかしてたって、一生餓鬼のままだから。
子供は好きか? 大人って楽しい? お前さんは普通に歳を取っちゃいないけどさ、どうだろう」


「辻」や中隊長たちと別れ、自室には戻らず最上階のバルコニーへ向かう。
吹き込む風は生温く、切り揃えたばかりの前髪をそっとなびかせる。
街の灯の輝きは、前大戦終戦時の眺めからプラスマイナスゼロ。月ばかりが明るい夜だ。

義手の指二本を弾いて鳴らす。

エヴァンスの陸軍礼服を青白い電光が駆け巡ると、途端に服は色彩を失い、銀色の金属体へと姿を変えた。
そして熔け出した鉛のように、衣服全体が飴状に伸びる。
細身の上着は大きく開き、スカートは形を失って上着の裾と融け合った。
帽子がフードに変わり、変形を終えた礼服の表面がステルスジャマーのライラック色に染まると、
普段通りの紫の軍用コートへと、完全に姿を戻す。術式制御の可変機構。
素体に魔力を与えれば、その形態を自在に変形させられる。
昨晩の内に組み上げたパターンは未だこれ一つだが、ヘンリーからの荷物がじきに届く。

245 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/04/24(月) 19:41:15
ふとマリスは目を覚ました…どうやら眠ってしまっていたようで、頭がボーッとしていた

「眠ってしまっていたみたいですわ〜…」
そう言いながら起き上がり、眠たい目を擦る

「それにしても暑いのですわ〜…」

暑さに慣れていない、と言うより快適な室温になっている場所にしかいなかったマリス
そのために温暖や寒冷地などとは無縁だったのでダイレクトに辛いわけで…

>242ふとドアが開き誓音がはいってきた
>「うおっ…た、ただいまです…」
言いながら手で顔を隠す誓音。何故顔を隠すのかマリスにはとんと理解できない

しかもそのまま荷物をもって風呂場に入っていった…
そして暫くの後、黒いワイシャツにだぼだぼの長ズボンといった様相で鎧と荷物を持って出てくる

無論マリスはその間、目で誓音を追っていた
>「うおっ。」
でてきた刹那。再度声を上げて下に視線をずらし、荷物を置く誓音…そのままマリスの隣のベッドに俯せに倒れる
>「ふぅ…なんか余計疲れちゃいました。」

その言葉に反応して立ち上がるマリス
「それは大変ですわ〜。私がマッサージしてさしあげますわ〜」

にっこり笑いながら誓音のとなりに移動する

246 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/04/25(火) 23:26:51
>238>239>244
親父様は言った、今は仲間を潰すより敵を潰せと。
まるで父親に諭された子供のように態度を改め、刀から手を離す。
そして深々と頭を下げながら申し訳なさそうに言った。

「ゲヒャハ……ハ、ハハハ……スンマセンなァ、ワシとしたこと余計な世話ヲ
 親父様の事となルとつい我を忘れてまウさかい。
 ワシャ『愚』の存在ヤが、利となりまた害となる物ハ心得とります。
 せやガ親父様の命なラば今はこの刀潔く退かせて貰いますワ。」

言うが早いか行うが早いか紫色の闘気は身を隠し、口調からも怒りは消えた。
そして親父様の言葉で謁見は終幕を遂げた。
武者は方膝を付き深々と一礼をすると立ち上がり踵を返す。

他の者達も謁見の場を後にする中、すれ違い様エヴァンスに問いかけられた。
>「なあ、『辻』よ。お前さんの身体に血肉が欠片も無くなっちまってから今まで、どのくらい経つんだ?」
くだらない質問。この体が刻む年月など遠の昔に停止している。
動けるのは惰性であり、精神であり、『奴』の意思であるのだ。
「さァ……10年…50年?どれ位かのォ。
 100年過ぎおッてから、歳数えるンも億劫ニなりおッたわ。
 時間などどうでもエエ問題ヤ、この体にャ老いも衰えモ無い。
 時の流れから決別しタ体……何万時間流れても変化など無いワ。」

足を止めてエヴァンスの問いにゆっくりと答える。
何かを懐かしむ様に、また何か哀れみを帯びた言葉で。

「何ヲやッてたか?ワシ等ァ魔族と人間、決して相容れぬ関係ヤが。
 そこはオマエにも解るやろォ?所詮『子供モ大人』なんツー境界線は無い。
 だからワシャァ餓鬼であり大人でもあるンや
 ワシャぁどの時代でも、笑い、叫び、怒り、そして沢山『コロシ』て来たからのォ。

 少なくともワシ『等』にとって餓鬼も大人も『餌』か『玩具』でしか無い……それだけヤ」
苦笑交じりにエヴァンスに言い放つ、今まで多くは語ることなどはしなかった
いや『奴』のせいで語れなかったのだ。恐らくは眼の前の餓鬼が始めてであろう。

247 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/04/25(火) 23:28:42
そして急に俯くと声の色が変わった、悲しみや愁いを帯びた、助けを求めるような口調に……

「喜びも悲しみも遠い昔に忘れてきたさ。今は『コロシ』だけが俺をこの世に繋ぎ止める唯一の鎖だ。
 フフフッ……永久の命の代償は高いのサ、
 私は全ての快楽を失った、・・・いや『奴』に奪われたんだ
 笑う事を忘れ、
 悲しみも怒りも消えた
 食べる楽しみを失い、眠りの安らぎを失い、女を抱く快感さえ失った。
 苦痛も痛みも消え、何をやっても楽しくない世界……でもネ。」

ゆっくりと顔を上げる、少年の様な声で楽しそうに答えた。

「『コロ』だけは違う、命を奪い、他者の体を破壊すること。
 それはねボクの体に快楽を与えてくれたんだ。
 へへへっ……君ももう『人間』じャないんだろ?
 ならじきに解るさ……きっとね。……」

それだけ言うとゆっくりと踵を返し出口へ向かう。
そして振り向かずに言った。

「だってなワシも―――――『元は人間だった』ンやからのォ。」
その声は元のシャガレた声に戻っていた。

――――――――――――――――――
どれ位歩いたか、気が付けば自室を通り過ぎ門へ出ていた。
自室に篭る気はしない、外のように自由な世界のほうが我が身を解放できるのだ
門横に座り込みいつもの様に手中でサイコロ遊びを始めた、
チンチロリン、チンチロリン
気のせいかサイコロの音が悲しく響く。

何事も無く、やがて空を仰ぐ。
雲ひとつ無い月夜、胸糞悪い月明かりが空しく我が身を照らした
嵐の前の静けさ……そんな感じがしっくりとくる、そんな夜だろう。
時間が―――――ゆっくり流れた気がした

248 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/04/25(火) 23:48:53
 >237
 >ただ笑顔を向けただけだった。
 (あ・・・笑顔もいいなぁ・・・)
 そんな事を考えた瞬間だった。

 >―――ぽん

 飛び降りた。
 一瞬、何が起こったのかわからなかった。
 でも、悲鳴だけは上げてみた。
 なんでって・・・そりゃ、怖かったから。

 「ぎ・・・にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ――どこをどう飛び降りたのかよく分からないが、気がついたらそこは天国・・・ではなく、ハイネスの麓だった。
 (実は)曲がりっぱなしだった首が元に戻っていた以外は至って普通。
 しかし――
 「こ・・・の、せっちゃんのどアホー!」
 目に涙をいっぱいにため、思いついた中では最高の(?)悪態をついた。
 が、一方のセシリアは、
 >「さ、ぐずぐずしてはいられませんぞ!まずは街へ戻らねば」
 取り合うつもりはないようである。

 (いつかギャフンと言わせてやる・・・・)

 そんな密かな野望を抱きつつ、レナスは腰の袋から例の銀板を取り出した。
 どれぐらいの範囲で声が聞こえるのかはわからないが、運が良ければ繋がるかもしれない。
 銀板に向かってささやいた。

 『あーあー、本日は曇天なり〜。本日は曇天なり〜。
  マックスとその愉快な仲間たちの諸君、聞こえていたら答えてくださいな。
  あ・・・忘れてた、こちらレナス&せっちゃんです。』

249 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/04/26(水) 01:20:42
>241
マックスが部屋に来た。
魔術書を読みながら、
「調子はどうだ?」
と聞く。



>『あーあー、本日は曇天なり〜。本日は曇天なり〜。
> マックスとその愉快な仲間たちの諸君、聞こえていたら答えてくださいな。
> あ・・・忘れてた、こちらレナス&せっちゃんです。』
頭の中で声が響く。
レナスの声だ。
コートの内側から銀板を取り出して、返答をする。


「こちらはFALCON。
こっちはマックスが倒れたが、無事に全員生き延びて、四個目の魔法陣を破壊しました。
そちらの方はどうですか?」


250 名前:合流レス[sage] 投稿日:2006/04/29(土) 01:31:54
合流を果たした同盟軍一同。
森の中で野営をしていたとき、マリスの持つ法王の聖印に異変が起こる。
光ったり音がでたわけではない。
だが、その場にいる全員が『それ』を感じた。
それぞれの頭の中に映像が浮かぶ。
「ふん、魔法陣の破壊は進んでいるようだな。ご苦労。だが、意外と死んでいないようでガッカリだよ。」
そこに映ったのは相変わらずの口調で憎憎しげに語るガーオスだった。
「ほほほ、もうそんな芝居の必要はあるまいて、ガーオス君。」
ガーオスの映像が掻き消え、法王が代わりに映る。
「皆とはいかない様だが、息災であるようで何よりだ。
苦難の旅であったろう・・・。魔法陣を5つまで破壊したこと、誠に感謝する。
ガーオス君のことは許してやっておくれ・・・。
殆ど初対面の君達にパーティーを組ませるのだ。身近に共通する憎き者がいた方が結束が強まるとしてあのような芝居をしていたのじゃよ、彼は。
それにガーオス君は諜報担当でもあってな、情報の漏洩した場合、まったく当てにしていない厄介払いとしているとスパイに思わせる効果も狙っての事じゃ。
私はその方面には疎くての。ガーオス君が憎まれ役を買って出ていたというわけじゃよ。」
苦笑を浮かべながら深々と法王が頭を下げ、その姿を変えていく。
そして次に映ったのはオルトロス。
「諸君、見事な戦果だ。お陰で戦況は大いに動いた。
そこでこれからの作戦を伝える。」
オルトロスは地図や様々な資料を並べ、これからの作戦を語っていった。
要約すると以下の通りである。
同盟軍勢力に面して前線防御の要であった魔方陣が複数破壊され、
乗じて法皇庁の呼び掛けで集結した同盟国軍の一大攻勢により方面軍撤退。
だが魔王軍の度重なる反撃に同盟軍攻撃部隊は疲弊、またしても窮境に陥る。
兵力残り僅かとなった同盟軍本部はオーガス国内中心部まで食い込んだ戦線を最後の武器に、決死の急襲作戦を立案。作戦内容は、法皇庁から提供された聖遺物を依り代に聖光系の巨大結界を展開、背後の魔王軍を抑え、
特殊任務中のオーガス騎士を招集、彼らを先鋒として残存兵力全てをオーガス城攻撃に投入。
残る首都防衛部隊のみを相手に正面対決、城内潜入に成功した兵員によるサタン暗殺を試みる。




251 名前:合流レス[sage] 投稿日:2006/04/29(土) 01:33:00

サタン暗殺に成功したと同時に結界の聖魔力をオーガス城へ集中させ術式発動、地獄の門を封印する。
結界は魔族に対して強力無比の効力を発揮するが膨大な魔力を必要とし、これを維持出来るのは一日足らず。
加えて首都駐屯部隊は魔王軍主力を含み、残存する戦力のほぼ全てを以ってしても打ち破れる保証は無く、作戦失敗は同盟軍全滅を意味する――
「少数精鋭にてオーガス城へ潜入し、サタンの暗殺、だ。
諸君らの中にはオーガス城を懐かしく思うものもいるだろうが、かつてのオーガス城とは思わないことだ。
魔素が立ち込め、空間がゆがみラビリンスとなっている。
時間が勝敗を分ける。それぞれが分散し、誰か一人でもサタンまで辿り着ききゃつを倒せばすべてが終わる!
苦しい戦いであることは承知だ。勝てる、とも言えん。だが、それでも我々には道が残されていない。頼むぞ!」
そうして映像は途切れた。


252 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/04/29(土) 22:15:50
>250>251
サタンの謁見から数週間。
百鬼夜行の面々はオーガス城に留まり、来るべき決戦に備えていた。

その間、次々と入る情報。
第四、第五魔法陣は破壊されるが、少数で動くオーガス騎士たちの足取りは掴めない。
魔法陣の殆どが破壊された事により、同盟軍の動きは活発となり大規模な衝突が各地
で起こり、魔王軍は撤退を余儀なくされていた。
しかし、同盟軍側にも疲弊の色が目立ち、戦況は泥沼化の様相を呈していた。
近々同盟軍は最後の一大作戦に打って出るとの情報が入手される。
それは少数精鋭部隊によるオーガス城急襲。
だが、それは魔王軍にとっても好都合であった。
戦線が泥沼化しているとはいえ、総戦力で言えば魔王軍の方がまだ有利。
問題は体内奥深くに突き刺さった棘。
そう、オーガス騎士たちがオーガス城急襲に加わるのは火を見るのも明らかだからである。
足取りの掴めないオーガス騎士たちを魔王サタンを餌にオーガス城まで誘い込み狩り取ろ
うというのだ。

決戦前夜、シズネはどうやって登ったのか、オーガス城の最も高い尖塔の上に立っていた。
「いい月だねい・・・」
三枚歯下駄に着物。手には番傘という、およそ身を動かすのに不向きないでたちで尖塔の
上、尖った屋根に腰掛けている。
まるで部屋のソファーに腰掛けているのと変わらぬ様子で。
見上げる月はオーガス城に立ち込める魔素の影響で怪しく赤く輝いている。
その月に向かいフーっと煙管を吸い、煙を吐きかける。
血に染まったような月が煙に巻かれ、ぼやけて見える。
まるでこれからの未来を暗示するかのように。
「・・・ふふふふ・・くくく・・・無数に張り巡らされ絡み合う糸が一つの布となり物語を綴る・・・
さて、どうなる事やら・・・。どこまでも退屈させないでくれるよ・・・ふふふふ・・・。」
赤い月明かりに照らされるシズネの表情は穏やかではあるが冷たく映し出されていた。

253 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/04/30(日) 00:58:45
>245
「…んじゃそうしてもらおっかな。」
そう言ってマリスの方を見ずにこっとする。

暫くしてぽつりと誓音は言った。
「もう少しでこの戦いも終わりますねぇ…」
ふと同盟軍と合流した後や…砂漠での戦いの事を思い出す。

はっきり言って今まで同盟軍が歩んできた戦いの歴史のたった一部分にしか誓音は触れてない。
だからはっきりと言ってまだ同盟軍の重さや同盟軍の言う正義とか表面的にしか知らない。

しかし…自分がやるべき事だけはわかっているはずだ。

(…うん…そうですよね。)
誓音は目を閉じた。
(弱いとかそんなの今は問題じゃない…。)
ふと目を開けベッドの横の机に置いてある鏡を見た。
すっと穏やかな表情で右手で鏡を取る。
そして次の瞬間ぐっと親指に力を入れた。

(悪は殺す。それだけ。)

ぱきっと鏡に罅が入る。
割れた鏡に映っていた誓音の目は無表情だが今までにないほど強い怒りを込めていた。
まるで不快で仕方がないかのような。

―まるで自分の中の本当の姿を呼び覚ますかのような…。

そんな眼をしつつ誓音は暫くじっと割れた鏡を見つめ続けていた。
もうすぐこの戦いは終わる。まるでそれを確認するかのように。

254 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/04/30(日) 03:49:42
セシリア達は街についた。が、さて一休み、というわけにはいかない。
預けてあった荷を受け取り、不要なものは処分し、仲間と連絡を取る。
幸いマックスたちとはレナスが持っていた銀板で話が出来たが、同盟軍本隊とはそうもいかない。
伝書屋に金を多めにつかませ(何せ魔王軍の領内だ)、一番速いと言う鳩に書簡を持たせた。
最低限の食料の補充を済ませばもうこの街ですることもない。
セシリアは仲間たちとの合流地点をオーガス城西方の森と定め、街を出た。

>250-251
――数日後。
あの谷を抜けて以来、誰一人欠けることなく一行は再び集まった。
しかし再会を喜ぶ言葉も交わしきらぬうちに、マリスの持つ聖印が光を放つ。
いや、実際には何の変化も顕れていない。しかしセシリアには確かにそれが光を放っているように見えた。
そして脳裏に映像が浮かび上がる。
>「ふん、魔法陣の破壊は進んでいるようだな。ご苦労。だが、意外と死んでいないようでガッカリだよ。」
「……」
なんと言うか、こいつの映像を流し込まれるというのはある種の拷問ではないだろうか。
その後映像は法王のものへと切り替わり、事情の説明がなされる。
おそらく砦から出発した仲間たちは全員「嘘だ」と思うだろうが。
最後にオルトロスが「これから」について話し始めた。

作戦は予想されたとおりのものだ。
今ここにいる一行でオーガス城へ潜入し、サタンの首級を上げる。
最も勝ち目の大きいやり方だろう。
>「苦しい戦いであることは承知だ。勝てる、とも言えん。だが、それでも我々には道が残されていない。頼むぞ!」
最後の言葉とともに映像が途切れた。
「やれやれ、将軍殿は弱腰でいらっしゃる」
ふっと一つ息を吐き出し、セシリアは言った。
「勝てぬと思って挑んで、勝てる戦などありはしますまい。我等は勝つのです」
意気込みだけで勝てる相手ではないのは承知の上だ。
だが、足をもがれたとしても這いずって突きかかり、腕をもがれれば口に剣をくわえて斬りかかる、
それが求められる戦なのだ、これからの一戦は。気力が萎えればその時点で負けが決まる。

東の空を振り仰いだ。
遠く、壮麗なオーガスの城が見て取れる。
上空には赤い月がかかっていた。
「――――嫌な月だ。それこそあの月を染めるほどの血が流された……」
眉をひそめるセシリアの頬を、いまや魔都と化したであろうオーガスからの風が撫でていった。
その風もまた不快なものだった。

255 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/05/01(月) 09:45:42
>250>251
魔王との謁見から数日・・・。
私と冴波はとある砂浜にいた。

だが、本当はここはオーガス城の一部屋に過ぎないはずだった。
膨大な瘴気と魔素によって歪められた空間。それが作り出したのだろう。

薄暗い雲は一片の空の介在も許さず、海は一面真紅。
その海の影響で雲も薄桃色に染まっている。
紅の海。それは嘗て、冴波が作り出した地獄の風景。
手に掬ってみれば、水ではありえない粘性と不気味な『生命』の感触が肌に纏わりつく。

「結局、私のたどり着く場所はここだということなのか・・・?」

背後にある林は植物などではなく全て石。
足元の砂はおそらく骨だろう。
全ての生命が枯れ果てた土地。それを連想させる世界。

「私は・・・。」
<感傷に浸るなどと、ずいぶん暇なものだな。>

「誰だ!?」
<お前の「剣」だ。余りにも見ていられないものでな。>

そうだ、ここで戦う意欲を失ってもらっては困る。
だから、少しばかり手を貸すとしよう。
剣の姿から獣の姿へと形を変える。

「・・・。それで、何の用だ。」
<なに、お前がやる気になるようにしてやるだけだ。>

<ATEN MALKTH VE-GEBURAH VE-GEDURAH LE-OLAM>
「な・・・何を!?」

<開け、閉ざされし扉よ。汝が名は“破綻”なり。>
「う・・・あ・・・!!」

―――――――――それから暫くの後、己の部屋で死んだように眠る冴波がいた。
戦いの日は近い。ヒトは魔族に打ち勝つのか、それとも隷属するのか。
此度の世界の行く末は興味深い・・・。

<踊れ踊れ、生ける人形。お前はヒトとなれるのか。>
ふと、私は思ってしまった。
生命ですらない私もまた、踊り続ける道化に過ぎないのではないかと――――

256 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/05/01(月) 13:28:39
>250-252
決戦前夜―――オーガス騎士を迎え撃つ為の準備などで
謁見からの時間は掬った砂の如く掌から零れ落ちていった・・・
もう後戻りは出来ない、魔王軍の一員として戦地へと赴く。
裏切り者との謗りなど、最初から耳に届かない。

『生きる者は、生まれた時から死ぬまで孤独なのさ・・・。』

途端、胸がずきりと痛む。押さえた箇所はかつて唯一つの形見のあった場所、
そして今は代わりに受け取った傷のある・・・槍によってつけた傷はいまだ癒えない。

『どうして今更思い出す・・・なんで今頃になって俺の前に現れたんだ・・・
 お前が、お前がいなければ・・・!俺は、迷わなかった・・・惑わなかった・・・!
 叶わぬ願いを口にする事も、捨てた情に身を焼かれる事も無かったのに!』

『悪魔』は既に体の殆どを蝕んだ。もはや、人間に戻る事は叶わない。
だがそれでも・・・せめて一太刀、刻まねば家族の無念は見境を無くす。
業を背負うのは、俺一人で十分だ・・・そして、あいつは俺の獲物。

257 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/05/01(月) 18:51:43
上げ

258 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/05/02(火) 00:25:48
>250-251>254
砂漠の町に留まっていた一同は、別行動をしていた仲間達との集合の為にオーガス城付近の森へと足を進めた。
それから数日の時が過ぎ、何事も無く合流に成功する。

間髪入れず、異変が起きた。
マリスの聖印をアンテナ代わりにしたのか、脳内に映像が流れ込んできたのだ。
例の如くガーオスが憎まれ口を叩き、その後に法王が出て来る。
法王が言うには、ガーオスの言動は全て仲間達の結束を高める為の芝居であったらしい。
「はは…それが本当ならば、助演男優賞並みの迫真の演技だったな。」
カイザーは、旅立ちの前後にFALCONやアステラがガーオスに向けて殺気を放っていた姿を思い出して苦笑し、
続いて現れたオルトロスの発言に耳を傾けた。

話の内容は両軍の戦力の状態遷移の状況や、
特殊任務中の騎士…つまりこの森に集った一堂の以後の行動の指示であった。
やはり、特殊任務中の騎士が先陣を切って戦う様だ。
勿論カイザーにそれを拒む理由は無い、
寧ろ念願である自分達オーガス騎士の手でオーガス城を取り戻す確立が増える結果となっている。

最後に叱咤激励を受け、映像はそこで途切れた。
>「やれやれ、将軍殿は弱腰でいらっしゃる」
>「勝てぬと思って挑んで、勝てる戦などありはしますまい。我等は勝つのです」
セシリアは決意を決めた表情でそう告げ、東の空…つまりオーガス城へと振り向いていた。

「オーガス城…か」
木々の隙間から見て取れるオーガス城を眺めた。
この視点からでは外観自体は以前と大差無い。
だが、不気味とも取れる不穏な大気の動きが、嘘偽り無く城が魔族の手に渡っている事を意味している。

「……」
カイザーは、3年前にこの大陸へ立ち入った時の事を思い出していた。
オーガス軍は不穏な空気が漂うこの大陸を救うべく動いていた、自分はそれに協力する一端の兵で良かったのだが…
(『貴様は強そうじゃ!貴様は本部隊の我輩の補佐じゃ!!』…だったな。
 見ず知らずの初対面の人間に対して初めて発言した言葉がこれだ…
 …ったく、少しは警戒しろよ、どう見ても急に出現した怪しい人物だっただろうが。)
昔を思い出し、色褪せ掛けていた思い出が少しずつ鮮明になってゆく。
(…それだけ人を信じていたんだろうな、オーガスは。)

「生きてるのか死んでるのか知らんが、せめてもの礼だ。
 アンタの城は取り戻してやるから安心しろ。…俺達オーガス軍の騎士と、新たなる仲間の手によってな」
誰に言うでも無く、夜空に輝く無数の星々へ言葉を送った。

259 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 00:02:53
荷物は決戦前夜、オーガス城へと届いた。コンテナが二つと、四体の機械兵士だ。
揃った駒の調整には手近な部下を使って、明日の戦闘に備える。
仕事は多く、持て余していた数週間分を一日で働く羽目となったが、エヴァンスは疲れの一片も見せない。

胴部装甲に術式転写装置とソナーを積載し、
更に転写装置の防護として対物理魔法障壁の魔方陣を描かれたR-352-YZを、それぞれ四方の城門に配備するよう手配した。
雑兵相手には充分な壁となり、騎士に対しては後の対決への布石となり得る。

城内は魔素の異空間迷路で埋め尽くされ、ここ数日はまともに歩くのも難しい。
ある意味確実な守りではあるが、エヴァンスは密かに複数のゲート魔法を設置しておいた。
それぞれが異空間に侵食されていない本丸のフロアに通じており、術式発動に用いる暗号は乱数で一分に一回変更される。
しかし番号錠は建前に過ぎず、実際はエヴァンスの念話装置に内蔵されたマスターコードで自由に開錠が可能だ。
例え敵に見つかったとしても、体の良い時間稼ぎとなるばかり。
破壊された場合は自分も遠回りするしかないが、戦闘となればかなりの混乱が予想される。逃げ場は幾らでも用意出来るのだ。

そして――エヴァンスの兵装。
二つのコンテナを人気の無い広間に置き、ヘンリーと通信しながら組み立てを始めた。

まずは片方のコンテナに詰められていた、全長二メートルほどの銀の十字架を取り出す。
ルーンの呪文が所狭しと刻まれ、大きな紫水晶が十字の中心に嵌め込まれている。
『機動戦闘服の変形用モジュールです、外部端末に頼りたくはなかったのですが……』
「構わん、大した荷物でもあるまい。フライトユニットは一体型か?」
エヴァンスは十字架を片手で立て、見上げる。紫水晶が澄んだ光を透して輝く。
「殉教の聖者にでもなった気分だ。マジックリフレクターは?」

残りのコンテナを開くと、これまた身の丈ほどもある二枚の盾が現れた。
盾は銀板に紫の十字模様を描き、やはり緻密な術式が彫刻されている。
裏側には格子状のフレームと、その隙間からは無数の配線や基盤が覗ける。コネクターは盾の取っ手の形だ。
『対魔法反射装甲の増幅器とシールド偏向、ステルスジャマーも。魔力をかなり喰いますが、威力は保証付きで』
盾を取り出した後のコンテナの底には、パーツ分けされた「Burning Chrome」のオプション。
義手から銃への魔力伝導を直結で行い、機械兵士の術式転写を受信、出力する機能を有している。

「ポジトロンライフルは無しになったか」
『第三形態に内蔵型で。標準装備ではリフレクターと飛行に燃料が行き過ぎてしまって……』
「使えるなら何だって良いよ、『Last Exit』も第三形態だったな。接近戦用の兵装は?」
『運動性は図面を見ての通りです、期待しないで下さい。
但し、急造仕様ではありますが、例のソニックブラスターを間に合わせました』
「『星の……』か?
飛空艇の復元にかこつけて、ガストラでゲ・ヴィヒト・ヴィーゲンとマンチャーダの追っ駆けをやったのが効いたな。
御苦労だった、ヘンリー。明日決戦だ。リーゼン艦砲を錆付かせるな」

260 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 00:04:32

通信を切り、十字架と盾は元通りコンテナへ仕舞い込んだ。
広間の絨毯に座り、小銃の部品をちまちまと組み立てる。今夜はやけに左腕が疼いた。
手を動かす合間も、頭の片隅に挿入されるイメージは茫漠とした赤い、赤い海。
城内に満ちた魔素の流れを義手で無意識に追う内、誰が呼び出したか、
発見した一室は、生と死の原風景として「赤きティンクトゥラ」の内包するビジョンに重複する。
海は血液であり、原始地球の煮え滾るマグマにも似て、穏やかな波と生温かい風が水平線の彼方から寄せては返す。

還りたいとは思わない、エヴァンスにとって還るべき天国はそれではない。
しかし全ての源は死の海に満ち満ちたエリクサー、不死の血液だ。
運命の器に注がれたその時初めて、腐り果て塵となるまでの有限の生命を与えられる。
エヴァンスの体内は、二世紀半前に現世の時間を失い不死となった。
療養院の仲間たち、ガートリュード、七人の天使に誓って、自らの身体を殻と為し、彼らの天国を神の御手から護る。

自分たちに、かくも苛烈な宿命を強いる神など断じて父ではない。僕らは僕ら自身のもの、神さまの持ち物なんかじゃない。
町外れの教会に押し寄せる、疫病の熱に浮かされ狂乱した群集を見下ろして、天使と自分たちのために誓った。
生き残った一人が全てを背負う、天使を護って、復讐を果たし、創造主の不当な支配から解放された世界に新たな楽園を築く。
魔王も部隊もオーガス騎士も、皆運命の奴隷でしかないのなら、彼らも連れて行く。明日の血戦すら序曲に過ぎない。

「みんな――連れてってやる。もう少し待ってろ。必ず勝って、僕も帰る」

261 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 00:36:15
>249
 駄目もとで使ってみた銀板だったが、思いの他簡単に連絡をとることができた。
 
>「こちらはFALCON。
>こっちはマックスが倒れたが、無事に全員生き延びて、四個目の魔法陣を破壊しました。
>そちらの方はどうですか?」

 「あ、通じた。」
 つい、思ったことが口に出てしまったが、気にせずに話しを進めた。
 「こっちは、貧血のドラゴンが一匹いただけだったから、割と簡単に破壊できたよ?
  イエティの群れのほうがよっぽど手ごわかったです。
  そんなわけで、こっちも問題なしです。」

 そして、銀板を通じてお互いの場所を確認し、無事合流することができた。

>250-251
 変化は、マックス一行と合流して、間もなく起こった。
 突然の立ちくらみ・・・のような感覚。
 程なくして、一人のおっさんが脳裏に浮かんだ。
 もちろん、これはこのおっさんに恋でもしていない限り、起こりうる現象ではないのだが・・・
 >「ふん、魔法陣の破壊は進んでいるようだな。ご苦労。だが、意外と死んでいないようでガッカリだよ。」
 頭の中に、さらりと腹の立つ音声が流れた。
 (――どこかで見たことのある顔だ。)
 レナスはそう思った。
 (確か・・・同盟軍を尾行してたときにいたはず。)
 (それよりも・・・腹が立った。)

 >「ほほほ、もうそんな芝居の必要はあるまいて、ガーオス君。」
 今度は、映像がじいさんに切り替わった。
 (確かこのじいさんも居たような・・・?)
 今度はこのじいさんに恋しちゃったのかな〜?などと考えていると、
 >「そこでこれからの作戦を伝える。」
 というおっさん(ガーオス?)の声が聞こえ、慌てて思考を引き戻した。
 作戦の内容を理解できた範囲で言うと・・・
        「敵の城に突っ込め、失敗したら死ぬからね?」
 と、いうものであると理解した。

262 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 01:02:50
 ――おっさんとじいさん(結局名前わからなかった)との作戦会議も終わり、一人、岩の上に腰掛けていた。
 「オーガス城・・・ね。」
 どこかの誰かと、全く同じセリフを呟いた。
 久しぶりに聞いた名前だった。
 突然、神を名乗り推参し、フェンリル討伐を依頼したにも関わらず、彼は快く引き受けてくれた。
 彼は、とても明るかった。
 彼は、とても強かった。
 彼は、私を暖かく迎えてくれた。

 そして私は・・・、何もできなかった。
 彼は、死んでしまっていた、私の居ない間に・・・。
 泣いた、声を出して。
 そうか、だから私は力を失っていたんだ。。
 大事な人を守れない力なんていらないと、自ら力を封じたんだ。
 いままで堪えていたものを、全て吐き出すほど泣いた。
 今まで感じたことの無かった感情、敗北、憤怒、全てが襲ってきた。

 久しぶりに泣き、全てを思い出した。
 でも、後悔はない。
 また、守るべきものができたから。

 「今度こそ、守り抜いてみせる・・・」 

 誰に言うともなく呟いた。
 次に守るべきものは――オーガス城。
 同盟軍にとっても、そしてレナスにとっても、負けられない戦いになる。
 その勝利のためであれば、自らの命さえも投げ出す考えである。

263 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 02:09:10
>250>251

別動隊のセシリアとレナスと無事に合流し、一同は森の中で野営をしてる時、
突如としてガーオスの映像が頭の中に浮かんだ。

「ガーオス!!ぶっ殺す!!!」
思わず叫んでしまったが、頭の中に流れるガーオスは淡々と物事を言ってくる。

内容は現在の状況とこれからについて。
同盟軍は全軍を結集させ、聖遺物を寄り代にした結界を背後に魔王軍を抑え、
自分達の部隊にサタンを暗殺させるらしい。
失敗したら後はない。
この世界は魔族により支配されるだろう。

(まぁ、俺にとっては魔族に支配された方が良いんだけどなぁ……)


会議が終ってしばらくした後、FALCONは夜空を見上げながら思い出していた。
三年前のことを。

オーガス国の騎士団に入団した時、自分が魔族だとは予想もしていなかった。
そう、戦闘民族の血を引いていることも……

フェンリルを討伐する為の行軍の途中、自分は戦闘民族に覚醒した。

その後の、デュランの暴走による自分の死。
その時に、自分は魔族の混血に戻った。

そして、家族の元に戻れた。

親のいなかったはずの自分に、優しい母親と危険な父親の愛情を受けることができた。

(オーガスさん……全てはあんたのおかげだよ……)

コートの内側に収めてある黒き刀を取り出して、天に掲げて誓う。
「絶対にオーガス城を……俺達の城をサタンの手から取り戻してやる!!!
 例え俺達魔族がこの世界を支配しても、絶対にオーガス国だけは支配させない!!!
 この刀と俺の魔族と人間の血とオーガス国の戦士としての誇りに誓って!!!」





264 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 02:41:10
>250-252
城内は戦況が激しくなるにつれ慌しさを増して行った。
各地で戦火が上がり、事もあろうか我が軍においての重要施設
魔方陣が殆ど破壊されたのである。いささか騒がしくなるのも否めない。
しかし未だ我等魔王軍が優勢、所詮は人間風情魔族相手とあれば実力は上であろう。

まあ雑魚のじゃれ合いは無視していても何ら問題は無い。
本当に問題なのが百鬼夜行が仕留め損ねたオーガス騎士の面々。

培われたイクサの感が知らせる、人間共は我武者羅で来るに違いない。
その人間たちの中で唯一の希望、魔王軍のツワモノとも対等に渡り合える存在オーガス騎士。
お上が危惧するのはオーガス騎士によるサタンの暗殺。
しかし…その危惧は杞憂と消えるであろう。
何故ならばその為には、我等『百鬼夜行』を超え、更にはあのサタン様を倒さねばならぬのだから。

その慌しい城内の中、鎧武者は謁見の間の扉横に佇んでいた。
親父様の力……少しでも感じることが出来れば、それが我が喜び。
既にイクサ支度は済ませていた、
我慢できぬのか青白い気を纏った妖刀『陣刃交』、漆黒の武者鎧。
左手に仕込んだカラクリに、白塗りの小太刀。
そして――――――大事なサイコロ

他の者も自分の戦準備に精を出しているのだろう、或いは今生の別れでもしに行ってるのか。

ふと前線に出たいとも思う。
さすれば相手は烏合の衆、斬捨てるのも容易い、それに我が身にとって餌と同義。
虐殺染みた戦場、弱者の悲鳴、晒される屍。―――――思うだけで体が求てしまう。
しかし、それは出来ない。
それ以上に『美味い餌』が飛び込んでくるのだ。

先日刃を交えた化け物が脳裏に浮かぶ。
少なくとも奴位の連中が存在すると言うこと、それだけで心が躍る。
オーガス騎士……その様な些細な策と共に叩き伏せてからコロス。
ゆっくりコロス。味わってコロス。斬ってコロス。沢山コロス。全力でコロス。
顔を苦痛で歪ませて、腕を殺ぎ落とし、足を?ぎ、心臓を引きずり出し………

アア考えただけで―――――狂ってしまいそうだ。
殺戮こそ我が喜び、そして殺戮こそ自己の存在を繋ぎ止める鎖。
しかし『奴』にとってはただの『遊戯』と『食事』でしかないのだ……悔しいが。

「ゲヒャハハハハ……それニ、この戦………オーガスの騎士をコロシせば、
 きっと親父様が『奴』から、この体を奪い返してくれル。」
体を歓喜に震わせながら独り呟く。子供のように楽しそうな声でゆっくりと。

「忌々しイ……ワシが冥府より戻った時から『奴』はワシの体を蝕み続けおッた。」
そう、奴はこの体が復活した際に宿りし存在。
長きに渡りワシャ奴に体を奪われていた。しかし長き謹慎を経てようやく我が身に戻たのだ。

【ザジン】それが生前のワシの名。
ワシャぁこの名前が好きだ、生まれもって本当の親が付けた名前。

「ワシ、ザジンは『奴』には屈しナい。あの憎憎しい狂気の支配者にはのォ!!」
何かに誓うようにサイコロを握り締める。
オーガス騎士をコロセば……『奴』の狂気に怯える生活とも別れる事が出来るのだ。

265 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 19:58:04
>256
夜も更け、月が直上に大きく輝く時。
シズネは尖塔からふわりと飛び降りる。
肩にかけたショールが羽衣のように広がり、ゆっくりとした落下速度で宙を舞い、その
姿を消した。

**トントン**
アステラの部屋のドアにノックの音が響く。
だが、ドアの向こうに気配はない。
代わりに部屋の隅、明かりの届かぬ闇から滲み出るようにシズネがその姿を現した。
「お晩さんよぅ〜。」
刺す様な赤い月明かりに照らされるシズネの表情は怪しく微笑みを称えている。

「ふふふ、夜這いって訳じゃないんだよう?アステラや。
戦いの気配も迫っているのでね、時間があるうちに礼を言いに来たんだよ。
この城にきてから周りは純粋で眩しい奴らばかりでねい。
そんな中、蝕まれながらもあがくあんたの姿は一服の清涼剤だったよ。」
決戦までの時間なのか、アステラが人間である時間なのかはあえて言わない。
すがすがしい顔をして、アステラに一本のナイフを差し出した。

小さなナイフではあるが、白い妖気が漏れ出ている事に気付くだろう。
「タカマガハラには妖刀って代物があってね、これはあたしが作った一振りさ。ただし、
魂の篭っていない、ね。」
妖刀・・・魂を持ち、所有者を狂気と斬劇に誘う刀・・・。
「あんたのあがき具合はいい見モノだったが、もうそろそろ限界だろう?
このままあがいても、もう時間はあるまいて・・・。だったらくれてやりなよ。
まだ人間であるうちに、さ。わかるかい?」
つまりは魂の入っていない妖刀に、人間である部分を移してしまえ、というのだ。
そして必要な時に妖刀の力を以って人間に戻る。

「必要なのは『人間でい続ける』事ではなく、『必要な時に人間である』ことだろう?
これを使えば一度だけ、五分間、あんたは人間に戻れる、って寸法さ。」
受け取るも受け取らないも、使うも使わないも自由。
シズネは小さな妖刀を差し出し微笑みながら、アステラを見詰めている。

266 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 20:01:47
>250>251>254
セシリア達と合流後、同盟軍一同は森へと入っていった。
そして森に入って何分か後、突如マリスの聖印に異変が出てき、誓音の脳に音と映像で直接話しかけてきた。
>「ふん、魔法陣の破壊は進んでいるようだな。ご苦労。だが、意外と死んでいないようでガッカリだよ。」
そこに写るのは知らない男。どうやら同盟軍の上層部の人間らしい。
>「ほほほ、もうそんな芝居の必要はあるまいて、ガーオス君。」
ガーオスの映像が掻き消え、今度は誓音でも知っている顔が出てきた。法王だ。

>「皆とはいかない様だが、息災であるようで何よりだ。
>苦難の旅であったろう・・・。魔法陣を5つまで破壊したこと、誠に感謝する。
>ガーオス君のことは許してやっておくれ・・・。
>殆ど初対面の君達にパーティーを組ませるのだ。身近に共通する憎き者がいた方が結束が強まるとしてあのような芝居をしていたのじゃ>>よ、彼は。
>それにガーオス君は諜報担当でもあってな、情報の漏洩した場合、まったく当てにしていない厄介払いとしているとスパイに思わせる効>果も狙っての事じゃ。
>私はその方面には疎くての。ガーオス君が憎まれ役を買って出ていたというわけじゃよ。」

淡々と語る法王。誓音はそれにまるで関心を持ってない様に花太郎を撫でる。
すると今度はまたまた知らないおっさんがでてきた。
>「諸君、見事な戦果だ。お陰で戦況は大いに動いた。
>そこでこれからの作戦を伝える。」
ぴくりと動く誓音。ようやく、誓音が関心が持てそうな話題がやってきた。
残存兵力全てをオーガス城攻撃…正面対決…サタン暗殺…。様々な言葉が誓音に伝わっていく。
知らないおっさんが語った戦略はあんまし考えず本能で戦う誓音でさえわかるほど決死なものであった。
しかし、そうと知れば知るほど誓音の奥にある闘心は静かに楽しそうにどっくんどっくんと鼓動を打つ。
そして通信は終了された。セシリアが言った言葉が誓音の胸に刺さった。

267 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/03(水) 20:02:19
*****************************************************************************

その夜、誓音は花太郎を洗ってやるため共に森の川辺にいた。
川に映るのは綺麗な赤い月。その赤さを見ていくうちに誓音は段々切なそうな顔をした。
(…あの日と同じ月の色ですね。)

さわさわと少し強めの生暖かい風が吹く。するといとも簡単に包帯の一部が灰のようになって風にとばされた。
ずいぶんと少なくなった包帯の隙間に覗かせるのは白い肌と黒い罅、そして赤き鎖と十字架の刺青そして大量の負傷の後。
その負傷の後はまるで幼い少年のような綺麗な顔の一部にまでおよんでいた。
「…どうやら病室のあの時に包帯の耐久性が限界近くまでたっしてたらしいですね」
そう言うと寂しそうに微笑む。
「…ま、いいか。どうせはずそうと思ってましたし。」
そう言うと誓音は残りの顔の包帯を手で破った。花太郎が心配そうに鼻面で誓音の頭をつっついた。
「大丈夫ですよ…この包帯にはね、私の中の姿が出ないようにするための…印が書いてあったんです。でも…」
そう言うと花太郎の顔を両手で持ち、頭をこつんとぶつけた。
「―でもね…全ての元凶である…魔王に近づいている今…私の中身の力はどんどん強くなっていて…
こんな包帯意味をなさなくなった。…病室のあの出来事で確信したの。あの人は全部知ってるって…」
そう言うと誓音は崩れ落ちた。そして誓音は泣いてるように両手で顔を覆って泣いてるように叫んだ。

誓音は知っていた、自分が持ってるこの肉体があの人の借り物…ただの殻だということを。だから泣くことができないと言うことも。
それでも誓音は叫び続けた。否、叫ばずには居られなかった。
苦しいとか寂しい…そんな言葉では表せられない…真っ黒な泥のようなものが心の中で暴れ続けている。

生暖かい風が吹く森の中、誓音の悲鳴は静かに響いた。

268 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/05/06(土) 03:19:58
次の日、奇襲に備えて警戒していた兵士から同盟軍に動きありとの連絡を受け、
サタンは主だった将を召集し、最後の直接命令を下す。戦が始まれば、
いちいち伝える事はできなくなる……細かい指示を下す、最後の場面でもあるのだ。

「いよいよ来るか……人間共め。
 質も量も我らが勝っている、恐れる事はない……全軍に通達。
 これより我が覇道の総仕上げに移る、愚昧にして脆弱な人間共を殺せ、と。
 ただし、オーガス騎士には手を出すな……貴様等では荷が勝ちすぎるからな。」

時が経ち開戦直前、同盟軍の秘策、魔封じの結界が発動した。
これにより魔王軍の戦力は当初の60%にまで落ち込む事になった……
「……ふん、小癪な。雑兵共はともかく、この程度で我らを縛れると思っているのか……!
 まぁ彼奴等にしてみれば、初めから狙いは我の首只一つなのだろうがな。その為の
 突破口を開く、故に雑兵を弱らせたと……益々以って賢しい。」

そこへ現れたベリアール。
ベリ「……同盟軍、攻撃を開始しました。
   既に門は破られ、敵は城の面前まで迫っています。先陣を切るのは
   あのオーガス騎士です……これにより敵兵の指揮は否応なしに高まっており
   またこの結界には士気高揚の効果もあるようで、我が軍は押されております……!」
サタン「所詮雑兵は雑兵か……!既に全軍にオーガス騎士には手を出すなと
    通達しておる。彼奴等を仕留めるのは、我らなのだからな……雑兵同士、
    足止めをさせておけばよい。うろたえるなと、伝えよ。」
ベリ「はっ、して私の役目は……」
サタン「通達が終わったらアトラスとバズズを率いて魔界方面軍へ戻れ。
    些か長く空けすぎたようでな、苦戦しているとの事だ。
    ……後任の司令官は好きにして構わん、この地は我らだけで事足りる。
    奴等は我が命には逆らえぬ……無論、貴様もな。分かったら行け、時間の無駄だ。」
ベリ「……了解、いたしました。御武運を、お祈りしております。」
姿を消すベリアール。苦い顔をして呟く。
「武運だと……下らぬ……!」

269 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/05/06(土) 03:21:38
自軍本隊の中隊長や近衛師団への指示を終えて、集った百鬼の長達に向き直る。
鼓舞でもしようと言うのか、それとも緊張を解そうとしているのかはたまた。一人ずつ話しかけていく。

「エヴァンス、随分と重武装だな。
 そのカラクリがどれ程の役に立つか見せてもらおう。
 ……性能如何では、改良を重ね量産するのも悪くない。
 少なくとも、肉体的に劣る人間に持たせるにはうってつけであろうしな。」

「『辻斬り』よ……場合によっては『奴』を目覚めさせるぞ。
 今度は我が元に戻してやる……要らぬ恐怖など捨ててしまえ。
 恐怖は刃を鈍らせる、そして貴様に恐怖は似合わぬ……」

「シズネよ、貴様も前に出るのだったな。
 果たして貴様の符、どこまで通ずるやら……貴様の父より継いだ姿、力、
 出し惜しみすらば、死を招くぞ……ああそうそう、貴様の探し物と思しきそれを
 持つ者、オーガス騎士にいるぞ。確か……マックスウェルと言ったか?」

「冴波、よいか……命を奪う事に迷いは不要だ。
 仮に全ての命を奪ったところで、命の失せた世界、そのものが『絶対』を
 証明したと言うだけの事……殺せ、貴様に『絶対』を押し付けようとする者共を、全て。
 貴様の惑える魂、我が導いてやろう。我が覇道の果てに、答えの一つがある。」

「アステラよ……貴様の兄もまたこの戦に参加しておるらしい。
 魔と人のぶつかり合い……果たして、どちらが勝つやら。貴様は勝ち、
 己が本懐を遂げるがよい。そして、更なる力を目覚めさせるのだ……!」

「さて百鬼の長よ、聞いてのとおりだ。
 貴様等の獲物であるオーガス騎士共は遠からぬ内にやってくる……
 貴様等の力は決して彼奴等に劣らぬ、むしろ勝っていると言ってもよかろう。
 故に、敗北は許さぬ……勝利を掴み、我が覇道を切り開くのだ!」

270 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/05/06(土) 09:15:43
265
『悪魔』に憑かれてから、二度目だろう・・・泣いたのは。
一度目とは違う涙、その苦しさもまた一度目と質を異にして・・・。
刹那、部屋の隅に気配を感じる。ドアが開いた気配はなかった。
涙の跡を隠す事も、拭う事もせず、手元の刀に手を掛けて・・・
相変わらず好き勝手喋る侵入者シズネを睨んだ。

『・・・そんな下らない事の為に、わざわざ入り込んだのか・・・!』
妙に清々しい面した女、初めて純粋に「憎い」と思った。
そんな激情に流されるまま、刀を抜こうとして・・・。

『妖刀だと・・・?切腹でもしろって言うのかよ。ふざけやがって・・・!』
狙いの見えない相手の行動に憎悪よりも疑念が勝り、色々と考える。
・・・そして、使い様によっては助けになるやも知れないと結論を出し。

小さな妖刀を奪い取るように受け取って
『・・・出て行け・・・なますにされたくなければな・・・!』
背を向けて窓の外に体を向ける。これ以上話を続けるつもりはないらしい。

>268-269
そして次の日・・・ついに同盟軍と魔王軍の決戦が始まった。
当然の様に謁見の間に呼ばれ、待機する・・・迷いはないと言えば嘘になる。
だが、迷ったまま戦って勝てるほど甘くはない。今の俺はもう・・・人間じゃない。
同盟軍とは、人間とは決して相容れない存在・・・『悪魔』なのだから。

サタンが律儀に一人一人に語りかけている。
当然俺にも、だ。その口振りから、とても俺の嘘を信じているようには
聞こえないがそう通している以上は相手の振りに合わせるしかない・・・億劫だ。
「どちらが勝とうが俺には関係のない話だ・・・。
 今更言われる内容じゃない、元々俺はそのつもりでここにいるんだからな。」
「ふん・・・さて、奴は果たして今の俺を見たらなんて言うだろうな・・・。」
自然と嘲笑めいたものが浮かぶ。普段と変わらぬ出で立ち、ただ一つの違いは
腰に差している白い妖気を放つ小刀だけ・・・

271 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage 人称視点変更。] 投稿日:2006/05/07(日) 12:51:05
>268-269
とうとう、最終決戦の日が来た。
ここ数日の間の記憶が欠損しているが、大した問題にはならない。
気分もいい。足元に沸き立つ赤い波紋が私の鼓動に合わせて脈打っている。

>「冴波、よいか……命を奪う事に迷いは不要だ。
> 仮に全ての命を奪ったところで、命の失せた世界、そのものが『絶対』を
> 証明したと言うだけの事……殺せ、貴様に『絶対』を押し付けようとする者共を、全て。
> 貴様の惑える魂、我が導いてやろう。我が覇道の果てに、答えの一つがある。」
「御意。」

言葉少なに答え、戦場へ向かう。
「歴戦の勇者という者達は答えを持ち合わせているのかな・・・?」
口元に笑みさえ浮かぶ。凍りつく程の冷笑が。

一つの物語が、終焉を迎えようとしている・・・。

272 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/05/08(月) 22:15:31
>269>270>271
同盟軍本体が動き出し、いよいよオーガス城内も慌ただしくなってきた。
サタンは各軍に指示をだし、オーガス城急襲部隊に対し、防衛部隊と百鬼夜行を差し向
ける。
百鬼夜行の面々に言葉をかける。

その言葉に耳を傾けながら、シズネの目はアステラを追っていた。
そこに立つのは完全に悪魔となったアステラの姿。
腰に差す妖気を放つ小刀を見てとって、柔らかな笑みを浮かべる。

「お言葉承りましたよ。
初お目見えからどなたかと間違えてらっしゃるかは存じませぬが、与えられた役割はしっ
かりこなしてみせましょう。
ご希望に添えぬ時はわが身は既に骸となっておるでしょうからご心配なさらずに・・・。」
サタンの言葉が終わると視線を正面に戻し、恭しく一礼をした。
相変わらずの濃い魔素と吹き荒れる波動。
胸の内で光る護符がなければ立ってはいられないほどの。
だが、他の面々は平然と立っている。決戦を前にそれぞれが準備を済ませてあるというこ
とか。
「この数週間で城の中は把握しましたし、ね。
私なりのやり方で程よいところで絡み取りますので、お先に失礼しますえ。」
笑みをたたえたままサタンに背を向け、広間の出口へと向かい歩き出した。

濃厚な魔素の影響で城内の空間は歪み、様々な空間と連結してラビリンスの様相を醸し
出している。
いつ、どこで、どのような形で誰に仕掛けるか・・・既にシズネの頭のなかには思い描かれ
ているのだ。
戦闘力で言えば他の面々に見劣りするのは避けられない。だが、シズネも独自に準備は
済ませてある。力とは違う土俵で、だ。

「・・・紡がれる糸のようにおいでませ・・・マクスウエル様・・・。」
ドアに手をかけた時、小さく独り言がシズネの妖艶に歪む口から漏れて出た。

273 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/09(火) 00:39:15
>268>269
ついに同盟軍の人間共が動き出したらしい。
今まで以上に魔王軍内は慌しさを増していった。
それこそ『天下分け目の大合戦』と呼ぶに相応しい勢いだろう、部下の気の入りようも違う。

まあ……ワシにとっては戦争の行方などは問題ではない……。
自分が楽しめるか楽しめぬか、そして『奴』を殺すか逆に殺されるか。
楽しめればそこは楽園、楽しめなければそこは地獄。
ふと教訓を思い出した、【人生楽しんだモンは勝ち組、悩んだモンは負け組】
「ヒャハ……アカンなァ体の疼きヨウが違うデェ、『奴』モ疼いトるンかのォ。」

――――――――――『殺せ』ただひたすらに。全てを殺せ。そして『奴』を殺せ!

後に我等『百鬼夜行』の面々もサタンの親父様の下へ呼ばれた。
何気なく辺りを見回す、やはり『見た目は』ニンゲン……しかしワシは知っている。
この中の全てが最早『人非ず者』であることを……。
そしてサタンの親父様から一声掛けられる。
しかしその言葉は酷く残酷なものであった
>「『辻斬り』よ……場合によっては『奴』を目覚めさせるぞ。
> 今度は我が元に戻してやる……要らぬ恐怖など捨ててしまえ。
> 恐怖は刃を鈍らせる、そして貴様に恐怖は似合わぬ……」

「!?」
初めその言葉を聞いたとき体に衝撃が走ったような気がした。
それもその筈、我が身にとって最大の恐怖なのであるのだから。
しかし……
「ゲヒャハ……親父様。ワシャぁ嬉しュうて堪らンのですわ。
 コロセばワシャぁ『楽園』へ行けル、『奴』が消えこの体を完全ニ取り戻すことガ出来おる」
意外な反応、鎧武者は嬉しそうに楽しそうに語ったのだ。

「ゲヒヒヒヒッ寧ろ感謝!!―――楽しキ遊び場を与えテ下さった事に。
 こノ『ザジン』必ずヤ無礼な獲物を皆殺しにさせて頂きヤす。」
 
「それニィ――――同じ魔族でありながら『親父様』に手ェ向ける愚モンがおりますさかイ
 上級魔族の分際で調子コイ取る奴ァ気に食わンのですワ、ゲヒヒヒ。」

そう告げながら深々と頭を下げ、踵を返しワシ等の仕事場へ向かう。
強者を斬れれば万々歳、何も考えずに本能の向くまま殺せば良い!

『ゲヒヒヒやっト遊べそうヤなァ……オーガス騎士チャン達よぉ。」
口から零れたのは今日の遊び相手たち、さて…誰が当るか。
ソイツは満足できるか、強いのか……果たしてどうなることやら

――――――最後の最後までこんな楽しい仕事は無い。


274 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage ] 投稿日:2006/05/09(火) 00:42:19
=======================================

そうだ……ワシの『本質』を取り戻すのだ。
全ての感情を、自我を奴から取り戻す。
『果たしてそうかな?ボクはそうは思わないよ』
頭の中で声が響く、普段ならば雑念の如く振り払うだろう。
しかし今は違った。
――――お前、いやお前等は『奴』なのか?
【違うよ私達は違う】
違う声が答える。
――――じゃあ誰なんだ?
<……教えてやるよ。俺たちはオマエ『等』に斬り殺された亡霊さ。>
『キミも知ってるだろ?その刀に切り殺された者は刀の力の糧と貸す事を』
【つまりはザジン……私達はオマエの力の一つなのだよ…不服だが従わねばならない】

――――じゃあ『奴』ではないのか?
【当然だ……だがね私達は『奴』が好きなのだ】
『奴の狂気を持ってすれば、僕達も無駄な意思を持たず使役されるだけの存在になるだろうね』
<だがそれでも…意思を持ち蝕まれるよりはマシだ。>

『逆にこっちが問うよザジン。キミは『本質』と言う言葉を使った、それは何なんだい?』
―――全ては奴に対する報復や、ワシはワシの感情。
   『奴』の感情とは別に動く事を証明しただけや。オマエ等はこれからどうするんや?

『見させて貰うよ、キミの本質と言う奴をネ。キミがどれ程弱いかもネ
 ……不服だけど、それまで力を貸さなければならないけどネ』

【なーに心配は無用、今に『奴』が目覚めるさ、そうすれば私達もオーガス騎士は勿論。
 ――――――ザジン、オマエも終わりだ。】

<所詮は永き間コロシを封印させられた結果、生前の自我が戻っただけ……
 本来ならばザジン……その体はオマエのモノではない。>

―――――黙れ!!今に見てろや。どの道皆シマイやからのォ。
      殺戮闘争ハ『奴』の喜びであり『ザジン』の喜びは『強者』と殺し合う事
      戦士は――――化けモンにャ負けン!!

275 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/05/09(火) 20:57:36
>269
決戦直前、エヴァンスは「ジェミニ」からの一報で同盟軍の聖光結界を知った。
首都オーガスは孤立しており、先んじて出立していた同盟軍主力部隊が既に城下の防衛線を突破している、と。
敵先鋒はオーガス騎士。読み通り、捨て身の一撃に全てを賭けてきた。
「リーゼン艦砲弾頭は『Kuang Grade』試験型だ、それしか在るまい。
艦体後部の『Angelinia』動力系から砲に直結すれば、対聖光魔法の浸蝕プログラムが発動出来る筈だ」
念話装置で飛空艇に連絡を取る。計画は、万端の準備にも関わらず綱渡りだった。

モノに埋もれて床も見えない程散らかっていたエヴァンスの私室は、今朝になって突然片付けられた。
絨毯すら取り払われ、家具や雑多な工具の堆積は跡形もなく消え去っていた。
長らくの目論みも全て新たな戦争への前段階としてではあったが、赤い海の予兆が
一つの戦争の終焉を告げるためのものであったのならば、それは感慨深きものではある。
予感を信じて、武器の他は皆捨てた。
役立たずの南向きの窓がようやく陽光を差し込んだというのに、部屋の中空に舞って朝日で光る埃の粒が物寂しいばかりだ。
「大将気取りももうすぐ終わりさ、私の兵隊は貴様らだけ残る。
何人かは誘ってみるがね、望み薄だな。帰るべき場所はそれぞれに違うらしいからな」

「Little Jennie Anges」との最後の通信を終えると
装備を収納したコンテナを両手に提げ、エヴァンスは謁見の間へと急いだ。今日は女装姿でない。
同盟軍はオーガス城に肉薄している、荷物を置く暇も危ういものとなった。
オーガス騎士は今にも城壁を突破し、サタンの首を取るべく方々から雪崩れ込んでくるだろう。
正規の進入路は、入り口近くを攻城用機械兵士の巨躯で封鎖されている。

>「エヴァンス、随分と重武装だな。
> そのカラクリがどれ程の役に立つか見せてもらおう。

コンテナと、追加オプションで一回り長物となった小銃を見た魔王サタンの言葉。
魔王軍がオーガス騎士に敗れれば、あの十字架が彼の墓標となるのだ。
謁見の間には「百鬼夜行」の中隊長たちが集められていたが、互いに大した口を聞く事も無い。
エヴァンスも魔王に軽く会釈し、去り際には敬礼したのみで、言を発する事無く済ませた。
「百鬼夜行」とは今生の別れになるやも分からぬ、愛着が無いでもないが、話すべき言葉が手持ちでない。
いつかの療養院と同じで、ただ必要なのは皆が手を重ねるべき正義や名誉や信義の宣誓書だけ。
そして剣と銃とは、何よりも信頼に足る宣誓書には違いない。

276 名前: ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/05/11(木) 15:10:41
ついにその時は来た。
同盟軍各軍は一斉攻勢に出、魔王軍もそれに併せ軍を動かす。
総戦力的には有利な魔王軍が同盟軍を押すが、それは同盟軍の作戦の内であった。
押される同盟軍を追い魔王軍が勢いづいたときに法王庁の結界が発動。
魔都オーガスは僅かな防衛部隊だけを残し孤立する事になった。
そこに切り込む同盟軍急襲部隊。
だが、兵数は多いとはいえない。同盟軍も限界の兵員運用なのだ。
その急襲部隊のなかにオーガス騎士たちもいた。

魔都オーガスに充満する魔素に苦しみながらも急襲部隊はオーガス城へと切り込んでいく。
その途中、オーガス騎士達は気付いただろうか?
自分達に向かってくる防衛部隊が殆どいなかったことに。
だが、気付いたとしても今はただ突き進むしかないのだ。

城下で戦闘が続く中、オーガス騎士達と僅かな兵が城門まで辿り着いた。
城内に潜入した騎士達に感慨が訪れることはなかった。
かつてのオーガス城を知る者にとっては別の意味での感慨があったかもしれないが・・・
濃厚な魔素が充満し、城内の空間は歪み、かつての佇まいを完全に失っていた。
サタンの気配はするが余りにも強大な気配の為、城の最深部にいるのかすぐ隣にいるかも判らないのだ。
一同の頭にオルトロスの言葉が蘇る。
オーガス騎士達と急襲部隊は決意を新たに城内へと深く入っていく。

277 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/13(土) 00:34:21
>276
強襲部隊はこの戦いの始まりの地、オーガス国城門の前に立っていた。

思い返せば、こうなってしまったのは自分達の責任だ。


一年前のヴォルフ討伐の時、自分達は敗北してしまった。
ヴォルフを追い詰めたものの、奴の目的であるサタン復活を許してしまったのだ。
だが奴は最後の最後で自分自身を生贄にしてサタンを復活させたのだ。
その後は、覚えていない。
気が付けば自分は魔界にある自室で寝ていた。
その時に戦闘民族の力が全て封印されていたが、それどころではなかった。
地上がどうなったか気になり、急いで戻ってみると、オーガス皇国はサタンによって支配されていた。


城門にいてもサタンの魔の気が濃密に漂っている。
城内に入ると、思わず乾いた笑いを漏らしてしまった。
かつての城内の姿はなくなり、濃厚な魔素のせいで空間が歪んでいる。
サタンのでたらめな力のせいによるものなのだろう。
その強大な力のおかげで、気を読むことができない。
間近にいる者なら別だが、遠く離れてしまえば、このサタンの力に紛れてしまうだろう。
ホントによく自分達は三年前にサタンを封印できたと思い、昔の自分に思わず感心してしまった。


城内を進んで行くが、敵が見当たらない。
城に残った者が何人かはいるかと思ったのだが……
辺りを警戒しながら更に進むと、見覚えのある部屋が。
その昔、自分達の部隊が使っていた部屋だ。

「皆、悪いけど単独行動になっちまう。よって行きたい場所があるんだ」
部隊から一時外れて、懐かしの暗殺爆撃部隊宿舎の戸を開けて入っていく。
鬼が出るか、蛇が出るか……




278 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/13(土) 00:58:33
>276
青色の松明が照らす廊下を練り歩く大きな影。
ガシャリ……ガシャリと鎧と足音のみが木霊する空間
すでに戦闘が始まっているのか喧騒騒がしき場外とは、まるで別世界のように静まり返った城内、
魔素が立ち込める空間には護衛の姿すら見られない。
いや……恐らくはいる筈なのである。
理由は簡単この城内が『広くなりすぎた』だけであろう。

ここはどこだ、ふとした事で自分の居場所を見失ってしまう。
廊下の無骨な造りを見ると地下牢獄近くの様だが……真意は不明である
本来ならば1階の城門前まで到達出来ているのだ。
それ程までに魔素が立ちこめた事により、空間が捩れ城全体が別空間のように捩れていると言うことか。
まさに迷宮と呼ぶに相応しい。

最早『感』などと言う曖昧な物は通じないだろう
例えるならば霧が立ち込める樹海。

しかし沈黙が支配する中でも鎧武者に宿る殺戮衝動は止まる事を知らない
疼きが止まらん……早くしなければ本当に奴が目覚めてしまうかも知れん
だが、戦闘やコロシをしていれば奴は満足して見ていてくれる。
少なくとも奴自体が邪魔立てをする要因にはならんのだ

―――――アア願ワクバ、満足ノ行ク相手ヲ殺シタイ――――――

そのとき眼前の景色が開く。
どうやら違う空間に出たいようだ、どうやら自分の潜ったのはゲートの様なものだった。
歯をカチカチと鳴らしながら周囲を見回す。
明りが消えて暗いがとても広い―――――ダンスホールか?いやここはもしや…
ふと心地よい臭いが鼻をくすぐる。
大分古いが血と屍の臭い………アアやっと理解が出来た。

刹那、空間から出現した蒼き人魂がその部屋を明るくした。
砂の敷き詰められた丸いドーム状の空間
所々に転がり放置された人間の死体や甲冑。そしてそれを囲う観客席。

ここは地下闘技場……前城主が作った当時はつまらん武道会でも開いていたそうだが
前城主が去ってサタンの親父様が、ここを正真正銘の『コロシアム』に変えてしまったのだ
飽きる事無く繰り広げられる『殺し合い』…鳴り止まぬ悲鳴と怒声。
思うだけでゾクゾクと体が震えた、

どうやらワシにとって御誂え向きのイクサバへ出たようだ。
あとは向かい側から獲物が出てくるのを待つのみ。
きっと……いや必ず来るワシの中の感がそう教えているのだ。
時節笑いを漏らしながら殺意が体を纏う……獲物の出現をまだかまだかと…

279 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/05/14(日) 00:05:33
>276
夜明けとともにオーガスへの攻撃が開始された。
当初劣勢に見えた同盟軍だったが、後退と攻撃を繰り返し巧みに魔王軍を誘い出し、
市街の防備が手薄になった段階で結界が発動される。
セシリアたちはその混乱に乗じて外壁を越え、市街へ乗り込んだ。
抵抗はほとんど無く、作戦の補佐のために選抜された一般兵数人とともに、
何一つ被害を受けずに城門までたどり着くことが出来た。
誘われている、とセシリアは考えた。予想されたことだ。
罠だとしても躊躇うだけの時は与えられていない。
しかし、オーガス市街はそれを差し引いても攻めるに易い造りになっていた。

城壁自体は堅固だが、一歩そこを抜ければ各方角の門から城までは一直線。
道の幅は広々として街の人たちの日常生活に高い利便性を発揮しているが、
それは同時に大軍を容易に動かせることにも繋がる。
セシリアが、騎士として叙勲を受けるため初めてこの街へ来たときから思っていたことだ。
おそらくこういう構造だからこそ、万軍を撃ち滅ぼす剣にして万民を守る盾であるオーガス騎士団が必要だったのだ。
だが――オーガス騎士団は神官討伐という剣としての役目も、皇都を守る盾としての役目も果たせなかった。
罵倒、愚弄、嘲笑に耐え再び踏むことが出来たこの地で掴んだ、矜持と名誉と守るべきものを取り戻すための、
これは最初にして最後の機会だ。

城内に踏み込む。
エントランスは変わりがないが、その先の階段や通廊は所々以前と別のところに繋がっているように見える。
魔力の影響で時空がゆがんでいるのだろう。
影響のなさそうな場所を選って少し進むと、急にFALCONが立ち止まった。
>「皆、悪いけど単独行動になっちまう。よって行きたい場所があるんだ」
そう言って、扉を押し開けその中へ入っていった。暗殺爆撃部隊の詰め所だ。
「……出来る限りお早く」
自分が指揮を取っていた部隊に関わりの深い場所だけに、思うところはあるはずだ。
今はどこへ繋がっているか知れたものではないが、止めても聞かないだろう。
本来感傷に浸っている時間などはないのだが、その感傷があるからこそ、ここまで来た。

FALCONと別れてまた少し。
少し開けた場所に出た。中庭だ。
やはりセシリアが初めて登城した際、叙勲式の準備が整うまではこの中庭で花を眺めて過ごしたものだった。
その後オーガス城を訪れるたびに必ず寄っていた場所だったが……今は見る影もない。
今の季節であれば薔薇が盛りであったはずだが、花も葉も落ち、ただ棘ばかりが立派な茎が枯れた色を晒している。
小さな噴水の水は止まり、にごった水面が揺らめいているだけだった。
それを見たセシリアは、知らず知らずのうちに中庭へ踏み込んでいた。

280 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/14(日) 02:06:42
>278

「何でだ?」

扉を開けるとそこは別世界でした。
サタンの魔力により空間が歪められていると聞いていたものの、
まさか自分達の部屋の扉が異空間に繋がっているとは夢にも思っていなかった。
繋がっていた場所は城内の地下闘技場の控室。
昔はここでよく武道会が開かれたものだ。

感傷に浸りながら廊下を歩いていると、救護室の扉が壊されているのを見付けた。
気になって中を覗いて見ると、死にかけた者の魂を現世に止まらす魔法陣は消されており、
傷付いた肉体を治癒する人が二人位入れるような大きな箱。通称リペアボックスも破壊されていた。

試合場に出ると唖然としてしまう様な惨状だった。
手厚く葬らなければいけないはずの勇者達の亡骸が、所々に放置されている。
天井を見上げれば、死した勇者達の魂が無念の思いを抱きながら、試合場を冷たく照らしている。

「…………ゆるせねぇ……俺の……いや……俺達の聖地を……汚しやがってぇ!!!」
咆吼。
そして、身体に漆黒のオーラが怒りと共に張り付く。

先程から鋭い殺意をこちらに放ってきてる者がいる。
その者に対抗するように殺意を放ちながら言った。

「お前達を……殺す……」

今は亡きコロシアムの仲間達の無念の思いを、自らの漆黒の翼に乗せて戦う。

今、魔に支配されたオーガス城内地下闘技場、その昔に国民達にオリキャラコロシアムと親しまれた場所での、
最後の試合が始まろうとしていた。




281 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/14(日) 11:46:17
>>276>>277>>279
ついに決戦の時…そこには戦友でもある同盟軍一同と共に包帯を解いた誓音がそこにいた
同盟軍を止めようとする魔王軍の兵を殴り殺しながら…周りで魔王軍があげる悲鳴、
そして同盟軍があげる悲鳴を自らの力にしていきながら、誓音は道を走っていき、ついに城門まで付く。

―巨大な悪意に囲まれた城門を見上げる誓音。
思いふける時間なんてなかった。
誓音の中にある気持ちはただ一つ。

「悪は殺す」

それだけだ。

そして城門はくぐられた。

思わず近くにいたファルコンが笑う。
しかし誓音は不快で無表情になる。
何故ならそこに広がるのは魔素で歪んだ空間が存在してたからだ。
誓音の中身が静かに動きミシッ…と音を鳴らす。
その音は不快と怒り、そしてどこかで共鳴している心地よい感触が滲み出ていた。
誓音の赤い眼が揺れる。
(壊シタイ…)
中身がザワワと揺れ誓音は小刻みに震えだした。
右腕を左手で押さえる誓音。

(まだです…まだ…傷つけたくない……)

静かに前を見据える。恐怖と怒りが混じり吐き気がするほどだ。
するとファルコンが動き出した。セシリアも動き出す。
誓音は若干震えつつ、セシリアの後をついて行く。
すると暫く行ったところに無惨な姿になった中庭に出た。
「…酷いですね。」
正気を保つために口を開く。
するとセシリアが進んで中へ入っていく。一瞬追いかけようか考えた…が。
ふと横を見る。
するとそこにはドアが一つ。しかも本当にわずかながら音がする。

282 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/14(日) 11:48:22

誓音は向きをかえ、そのドアに近づき開けた。
するとそこに広がるのは会議室。
大きな机を囲み、赤と金で作られた椅子が並べられている。
誓音はそこに踏み入れる。床がきしむ。
「…おかしいですね…さっき音がしたような…」
一歩二歩…花太郎を進ませる。そして3歩目を歩こうとした瞬間だ。

ミシッ!バギッ!

「ぅごぁ!」
奇声をあげる誓音。
するとあっという間に地面が割れ誓音は下へ落ちた。
かなりの高さから落ち、とっさに花太郎がクッションになる。
悲鳴を上げる花太郎。
「っいってぃ……ってあ!ゴメンなさ…!」
思わず謝ろうと起き上がったが言葉が途中で止まった。表情が凍る。

何故なら周りを見たらそこには無惨な姿になった死体が様々な拷問道具と一緒に無数に置かれていたからだ。

誓音が落ちた地下に存在したのは拷問部屋だった。
恐らく昔はもっと違う事で使われた部屋だったのだろう。
しかし最早そこは紛れもない拷問部屋でありそこには魔王軍の死体だけじゃなく、同盟軍の人間の死体まであった。
無惨な部屋の中心、誓音は暫く静かに見据えた後立ち上がる。
その背中には異様な殺気を漂わせる。
そして次の瞬間、近くにあった魔族の死骸の頭を踏み割るとばっと無表情に振り返った。

283 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/05/14(日) 12:10:10
>276
他の百鬼の面々が迎撃に向かう中、俺は謁見の間で待つ。
俺の得物・・・俺を歪ませる、奴の存在を感じ取る為に。
サタンの放つ魔素によって、殆どの気配はかき消されてしまうが・・・
ただ一つ、辿れる当てがある。それも、まだ持っていればの話だが。

>279
その時、辿っていた当てを感じた。
律儀にもまだ持ってたらしい・・・こんな事の為に渡したわけじゃないが、
使える物は使うべきだ。謁見の間を出て、気配を手繰って歪んだ空間を歩んでいく。

目に映るは中庭、痛々しい景観を晒しているそこは正に魔王の座する場所に
相応しいと言うべきだろう。そしてその景観を乱す、明らかに不釣合いな騎士。
かつてオーガスに仕え、この城とも縁深い女・・・セシリア・ミディアリオ。
魔王サタン討伐、そしてオーガス復興を掲げるクソ真面目な奴。俺の獲物だ。

「・・・わざわざこんな所に寄り道とは、随分と余裕があるようだな。」
いざ目の前にすると、乱れた心も不思議と凪いでいく。そうさせるだけの何かを、
持ち合わせているのだろう。相手の返事を待ってから言葉を続ける。
「これ以上の言葉は不要だな・・・かかってこい。」
手甲・具足から魔気を放って挑発する。らしくないが、騎士の流儀に合わせてやるよ。

284 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/15(月) 01:16:32
>280
しばし座り込んでいると遠くより足音が聞えて来た、二人か……いや気配を見ると一人か。
それはとても嬉しい知らせ、誰にも邪魔をされる事は無い確約。
―――――――来タカ……
黒い影がゆっくりと立ち上がった。

蒼き灯火に照らされ、ゆっくりと姿をFALCONの前へ現す鎧武者。
途中FALCONの咆哮と殺意がコロシアムに響き渡る。―――ククッと笑いがこみ上げて来たが押さえはしない。
そして刀には手をやらず一歩一歩を踏みしめ、怒りに震える男の前へ立ちはだかる。
感じる……気合、怒り、魔力。少なくとも我が前に対峙してきた物の中で前例は無かった。

「ヨォ!!会いたカったデェ!正直待ちくたびレとッた所ヤなァ〜〜ゲヒャハ!」
発せられたのは実に嬉しそうな陽気な言葉。
そしてパキパキと拳を鳴らしながら、愛しそうに問いかける。

「お初にお目ニ掛かりマす。ワシャぁ魔王軍直属特攻隊隊長ヲ張らシてもろうてます
 『辻斬り』……イヤ『ザジン』言いまンねン。」
そんなに嬉しいのか骨をカチカチと鳴らし、笑う鎧武者。

「イヤァ、アンタぁニンゲンの分際デ『ゴッツイ魔力』ヲ纏ッとりまんなァ。
 イヤ、ココはキッパリ言わせて貰いまスわ。ゲヒヒヒ……」
しかしその骨の接触音も次の言葉で不意に止まる。

「オメェドノ面下げテ戻って来おッた?……FALCONチャンよォォォォ!!!」
怒声が鳴り響いた。
「噂はァよう聞イとるでェ?魔族の身でありなガらサタンの親父に楯突く『魔族の恥曝し』がよォ!
 同属の王である親父様に刃ァ向けルたァどないな了見ヤ?コラァ?」
忌々しげに吐き捨てるように怒鳴りつける。
まさしく怒りを露にすると言う表現が正しいか、いつでも切掛りかねない雰囲気。
しかしその怒りの口調もすぐにシャガレタ笑い声に切り替わった。

「でもナ……ワシャぁ嬉しュうて堪らンのや、オマエがどないな理由でニンゲンに肩入れするかは輪からヘン
 だガな、オマエの実力は魔界にも響きワタっとるンや。」
嘲るような言い草、
「嬉しイわァ……嬉しュウて震えが止まラへん。
 魔族の裏切りモン…それもオーガス騎士とサシの勝負ガ出来る……ゲヒャハ
 ホンマモンのタマを張ったコロシ合いが出来る。
 そンダケ出来れャァ――――ワシャぁ富も名声もナンもいらへン。」

そう告げると足元にあった英雄の亡骸を踏み潰した。
「ゲヒヒヒ命散らさン勝負ほど、ツマラんモンは無シ。
 オマエなら解るやロォ?FALCONチャンよォ?
 オマエならホンマモンの『勝負』ヲ知っトル筈や……阿鼻叫喚の地獄の様なイクサ。
 それこそワシと『奴』ガ望むモンなんや。」

そして刀を抜き取った。既に体からは紫色のオーラが全身から滲み出ていた。
「ゲヒャ!!ゲヒャハハハハ!!!サァ遠慮ハいらン始めようヤ!!ホンマモンのコロシをよォ!!?」
狂ったように笑いながら相手へ向き直る。
いや本当は既に狂っていたのかもしれない……
もっとも深い殺戮のコロシアムの上で出会った強者。
恐らくこのコロシアム最後の試合―――――――――最高の試合のゴングがなった。

285 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage サイドストーリー] 投稿日:2006/05/15(月) 02:12:44
 ついに、最後となり得るだろう戦いが始まってしまった。
 最初は”懐かしい”という思いだけで始まったこの戦いも、今や引き返すことのできないものとなった。
 ――魔城オーガス。
 もう、ここに彼はいない。
 そう思うだけで、どうしようもないほど、胸が苦しくなった。
 しかし、進まなければならない。
 ・・・ここで立ち止まっては、彼に笑われるだろう。

 『お前は弱いのぅ!がはははははは!』
 と。

 オーガス城の城門。
 他のメンバーからはだいぶ遅れてしまっていた。
 (急がなければ・・・)
 そう思った刹那・・・目の前の城門が真っ二つに切断され、崩れ落ちた。
 あわてて後ろを振り返ると、そこには3つの人影があった。
 マントを羽織ってはいるが、明らかに人ではない。
 そして、風下のせいか、なぜか匂ってくる生臭い香り。
 少しだけ・・・嫌な予感がした・・・・

 「何者だ!」
 「ふ・・・・。」
 真ん中の人影(?)が、何も言わずにマントを外した。
 その顔には、見覚えがあった。
 「やっぱり」と言うべきか、「意外」と言うべきか・・・そこに佇んでいたのは、先の魔方陣で出合った、あの半漁人であった。
 「貴様・・・あの時の・・・」
 「そうだ。あの時私は、凍りついていたところを、親切なおじさんに荷馬車に乗せてもらったのだ!」
 「それって、セリにかけられたんじゃないの?」
 ピクリと眉間が動いたが半漁人は話を続ける。
 「そこで私は仲間を見つけた!それがこの二人だ!」
 「魚の仲間って・・・やっぱり魚市場じゃん・・・」
 その言葉のせいか、半漁人の額に膨らみができる。
 ・・・あ、魚でも青筋って立つんだ。

 何事も無かったかのように、魚影その1が高らかに咆哮した!
 「驚愕せよ!我が名はコイ!」 (・・・あ、コイだったんだ)
 「恐怖せよ!我が名はウナギ!」 (ウナギってもっと細かったような・・・)
 「意外に美味だぞ!我が名はトビウオ!」 (食べて欲しいのかな・・・?)

 最後は三人ハモり、
 「「「我ら、お寿司屋さんで人気のない三人衆(当社比)!!」」」

 「わー、ぱちぱちぱちー。」
 「なんだその仕方ないから乗ってやるみたいなノリは!」
 「えー・・・。ちなみにその戦隊の名前って誰がつけたの?」
 「私だ。」
 名乗り出たのは(たぶん)トビウオ。
 ・・・この際、どーでもいいのだが。

 「さぁ!行くぞ!奥義・超スーパーストロングロイヤルスマッシュデラックスハイパー水鉄砲・零式!」
 先ほどの微妙な空気を打ち破り、噛みそうな発言をしたのはコイだった。

286 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/05/15(月) 02:15:35
 コイが言い終わると、なにやら3つの魚影が一箇所に寄り添い、こちらを向いてる。
 (まさか!)
 ”水鉄砲”と聞いて、身構えた・・・が、その姿があまりにコミカルであり、笑いを堪えすぎて反応が遅れた。
 「しまった!かわせないっ!」

 そう思った一瞬後、
 ドム!バキガラガラグシャポヒ!

 恐る恐る音のした方向に目を向けると、城壁がごっそりと無くなっていた。
 やはり、恐るべき威力である。

 しかし、レナスは平然とある一言を魚影達に言い放った。

 「やっぱり、エラ呼吸?」

 その瞬間、明らかに半漁人達の顔色が変わった。
 まずはコイが口を開く。
 「し、しまったぁ!さっきのスーパーデラックスジャイアント水鉄砲のせいで、体の水分が!」
 「どうするんだトビウオ!」
 「た、退却ですよ!」

 「「「退却ぅぅぅぅぅ!!」」」

 口々に発言をし、何もしない間に魚影達は去っていった。
 「・・・さっきと技名違うよ、っと。」

 遅すぎるツッコミをして、レナスはその場を後にした。
 無駄に疲労感を覚えたが、今はそんな事を言っている場合ではないだろう。

287 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/15(月) 03:21:12
>284

いきなり陽気な声を浴びせられた。
声を掛けてきた相手は、先程からビシビシと放たれていた殺気の主。
見たところスケルトン種でありながら、尋常ではない闘気を内に秘めている。

とても嬉しそうな陽気な声で自己紹介をし、急に彼の怒声が響いた。
先程までの声が嘘のような変わりよう。
激しい怒りと憎しみが声に混じっており、今にも襲い掛らんといった雰囲気だ。
そんなに魔族である自分がサタンに歯向かったのが気にくわないのか……

その怒声もすぐにしゃがれた笑い声に変わる。
感情の移り変わりが激しいようだ。

ようするに相手は魔族の恥じ晒しである自分と命を掛けた戦いがしたいようだ。
相手が奴と言っていたのが気になるが、おそらく相手の仲間か何かなのだろう。
この場で感じられるのは相手の気だけ。
その奴と言うのは、他の場所にいるのだろう。


「……確かにただの魔族の分際で、魔王であるサタン様に歯向かうのは大罪だ。
 謝ってすむ問題ではない、罰を受けるべきだと俺は思う……
 ベルゼバブの奴に止められた時に、すぐに止めれば良かったと今でも思う……
 この罪は魔界に帰ったら償うよ……
 だけどな……
 大恩あるオーガスさんの玉座でふんぞり返ってるサタンの大馬鹿野郎を、
 ぶっっ潰して魔界に連れて返んなきゃ、こちらの気がすまねえんだよ!!!」

母譲りの銀髪を逆立て、黒き翼を羽ばたかせて。
コートを脱ぎ捨て、父譲りの逞しき肉体を露にして。
このオーガス城で培ってきた黒きオーラと武道家の誇りを、
父と母から譲り受けたものに纏わせて……

「さぁ……楽しい楽しい死合いを始めようか……
 見せてやるよ……
 父さんから貰った伝説の戦士の闘気と、母さんから貰った魔王の魔力。
 そして……このオーガス皇国で育まれてきた武道家としての俺の力を!!!」

最初に動いたのはFALCONだった。
目に見えぬ程の速度で相手の右側に回り込み、渾身の飛び蹴りを相手の頭部目掛けて放つ。
蹴りには魔力が込められており、当たった瞬間に軽い爆発が起こるだろう。




288 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage  物] 投稿日:2006/05/15(月) 09:02:17
>281-282
その視線の先には冴波がいた。
さして、死骸にも興味の無さそうな様子である。
背後の扉に背を預けるようにして様子を見ていた。

「なるほど、拷問部屋が近かったと言うのもあってあの部屋は・・・。」
聞こえるか聞こえないか程に呟き、目を誓音と合わせる。

「失礼。私のいる部屋から迎えに出向こうとしたのだが・・・もう来ていたようだな。
 そう、以前世話になったな。傷の手当て有難う。」
普段着となっているロングコートにデニム姿で殺気に満ちた誓音に物怖じもしない。
と、壁から背を離して誓音に背を向ける。
「戦うというならいい場所がある、着いてくるといい。安心しろ、今の私は丸腰だ。」
「ここは少しばかり狭いしな。」
そう、普段持ち歩いている大剣を帯びずに出迎えに来ていた・・・。

扉の向こうは、霧と魔素に満ちた長い廊下。その中を早足に歩いていく。
ギィィィィィ・・・バタン。
霧の向こうに冴波の姿は消え、扉の閉じる音が聞こえる。

・・・その扉の向こうにあるのは、紅の海。
陰鬱とした薄桃色の雲、物言わぬ石の林、朽ち果てた骨の砂浜。
そして、2mにも達する無数の紅い氷柱であった。
氷柱の中には人間が入れられている。ある者は騎士であり、ある者は村人でもある。
老若男女を問わず、様々な人が氷柱に封じられていた。そう、中には魔族さえも・・・・・・
氷柱の中には真紅に染まり、中身の見えないものもある。

その氷柱群の中で、扉から一直線上にある位置に冴波はいた。
傍らには鈍く光る大剣が柄を天に向けて、砂浜に突き刺さっている。
「戦う前に一つ問いたいことがある。」
この場に不似合いな飄々とした声。

「これは私が戦う相手に常に問い続けていた質問だ、答えない・答えられないという答えでも構わない。」
「『生命は何の為に生まれ、生きている?』。そう、この答えを私は知りたい。
 歴戦の勇士たる人々は命の限界の境地に立つ。そういった人々なら何か分からないかと思ってな。」
誓音の方を見つめ、一度も瞬きをせずに問いかける。
海風にロングコートが音を立ててはためいた。

289 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/05/15(月) 20:51:30
>276>277
今日という日、それは大きな一つの区切りであろう。
だが、それがどの様な形になるかは明日を生きる者のみが知っている。
今はただ、戦士は戦うだけ…明日の安らぎを勝ち取るために。

カイザー達はオーガス城内に入り込んでいた。
>「皆、悪いけど単独行動になっちまう。よって行きたい場所があるんだ」
FALCONはそう言い残し、部隊から去って行ってしまう。
「……」
カイザーは何も言わず、その後姿を見送った。
…いや、何も言わなかったのでは無い。『言えなかった』のだ。
オーガス城には濃い魔素が漂い、普通の者ならば呼吸が困難になる程だ。
カイザーは呼吸困難に陥ってる訳でも、ましてや臆病風に吹かれている訳でも無い。
言葉を発する事も忘れた、ただ純粋な一つの感情…サタンに対する怒りのみが身体中に充満しているのだ。
昔、自分を快く向かい入れてくれた暖かい城は、今はもうサタンの手によって過去の形状のみを残した悪意の無機物だったのだから。
カイザーは両手を硬く握り締め、通路を歩んでゆく。

ふと気付くとカイザーは仲間達と逸れ、一階の稽古場の扉を開いていた。
その中に2,3匹の翼を生やした悪魔が存在していた。
だが、悪魔は襲い掛かろうという意思を持つ前に壁に叩き付けられて気を失った。勿論、それはカイザーがやった事だ。
(…懐かしいな)
カイザーは昔の事を思い出していた。
ここで自分を高め、友と語り合ったこの場所…短い間であったが良き思い出である。
(…だが俺がここに来た理由は、昔を振り返るためじゃない)

カイザーは一際目立つ大きな掛け軸の前に移動した。
掛け軸は『目指せオーガス』とオーガスの字で書かれていた。
その掛け軸の端を掴み、そのまま腕を振り上げた。その影響で掛け軸は壁から引き剥がされて宙を舞い、やがて地面に落ちる。
カイザーは掛け軸が掛けてあった壁を見遣る。…見た所、何の変哲も無い壁であるが、この壁には秘密がある。
「…『皇帝万歳』」
アホか、と思いながらそう呟く。…すると
――――ゴ、ゴゴゴゴゴ
重厚な音を鳴らしながら、掛け軸の裏にあった部分の壁だけが床に沈んでゆく。
そして、そこには新たな通路…そう、隠し通路が現れたのだ。
この隠し通路はオーガス城の一大事の時の為にオーガスが一部の重臣にだけ伝えていたものである。
それは皇帝補佐の立場であったカイザーにも伝えられた。…この道は、玉座の間に続いているという事を。

カイザーは足を進め、隠し通路へと入った。
隠し通路の幅は数メートルあるが、天井が低い為、やや窮屈な感じである。
この道は一部の人間しか知らないとは言え、ここは今はサタンの城だ。
稽古場以外にも隠し通路へ入る事のできる場所は幾つかある。
警戒を怠る事無く、慎重に一歩ずつ足を進めて行く。

通路はやがて階段に差し掛かった。―――この先に、サタンは待っているのであろう。

290 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/05/15(月) 23:26:57
>289
オーガス城内を満たす、濃密な魔素を含んだ重い空気の中でさえ
エヴァンスの魔力感応が、通路の先に強い輝きを見出した。
単なる魔力ではない、「聖闘気」。夕闇の中火影を揺らす灯火のように、それは近付いて来る。
オーガス城に所縁深い者のみが知り得る、玉座の間へと通じる隠し通路。
レナス、FALCON、カイザー、三人の内の誰か、或いは二人以上を当て込んで仕掛けた罠だ。
階段の中程に滞る平板な闇から突如ライラック色のコートが姿を現し、聖騎士へ立ちはだかった。

「貴様といい、レナスといい……一年前は何処で燻っていた? 遅過ぎる出陣だ。
私が分かるか? 私の顔を覚えていなくとも無理は無いが、いずれ嫌でも思い出す。
『オートマチック・ジャック』、ジャック・エヴァンス『大佐』だよ。ついぞ忌み名に徹するばかりではあったがね」

銀の十字架と巨大な銃、一台のコンテナを手に、コートの魔導式熱光学迷彩を解除したエヴァンスはカイザーを見下ろす。
黒髪の少年、紫色の軍用コートに、左腕は人骨のように細く白い義手が微かなモーター音を響かせる。
能面じみた無表情に、口端だけを歪めたアルカイック・スマイル。
「オーガスは存命か? 私には最早関係の無い事だが……少しくらいは昔話に浸っても構わんだろう」
ゆっくりと一段踏み降りて、右手をカイザーへかざした。
右手の指に嵌められた紫水晶の指輪が、一筋の光線で彼の足下、石畳の床を薙ぐ。
すると石畳の継ぎ目を紫の光が走り、通路の中途だけ、音を立てて床が崩落する。

通路に空いた穴の先は、外。朝の日差しを遮る、灰褐色の分厚い雲で覆われた空が覗けた。
吹き込む風が薄暗い隠し通路に城外の空気を送り出し、曇天に舞う鳥のか細い鳴き声を運ぶ。
「しかし此処は狭いし、空気が悪過ぎる。一旦外へ出ようか。
どうせ隠し通路など、行き先不明のゲート魔法で埋まった今のオーガス城では役に立たんしな」
エヴァンスが義手の指をパチンと鳴らすと、石畳は通路から階段先まで崩れ落ちた。
同じ曇り空の風景だ。エヴァンスはコンテナを床の裂け目に投げ込むと、自らも武器を手に飛び降りた。

予め用意されていたゲート魔法のマスターコードは、現設定の座標を変更し位相空間の出口をオーガス城屋上へと移した。
ゲートは空間を上下反転させ、裂け目へ降りれば屋上の床から外へ抜け出す事になる。

カイザーがエヴァンスの誘いに乗ったとして、裂け目の先には一機の機械兵士が待ち構えている。
城門からやはりゲート魔法で移動させた、R-352-YZだ。
元は攻城用兵器のR-352-YZ、十メートル近い巨躯を持ち、装甲板は毒々しい赤色で塗装されている。
胸部に刻まれた、菊の花弁に似た造形のモニュメントが対物理魔法障壁を展開させた。
虹色の皮膜となって機械兵士の前方に展開された障壁は、物理攻撃に対してのみ強力無比の防御力を誇り、
無防備に飛び出した者はシールドの余波で弾き飛ばされてしまうだろう。

「失礼ながら試させて貰おう。その腕、鈍っていないかどうか。
前回の戦闘では御一緒出来なかったようなのでね、早速だがブレンテル流とやらを見せてくれ……久し振りに」



※機械兵士はザコ敵NPCです、決定リール使用でサクッと狩って下さい

291 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 01:23:46
>287
相手は我が身と対峙すると自身の身の上事情を話始める。
それに大人しく耳を傾けるとコイツがニンゲンに肩入れする理由がわかった。
それは恩義によるモノであったようだ。

首の骨をならしながら相手に問掛ける
「オマエも難儀なヤッチャのォ・・・・まァワシも人の事言えヘンけどな」
苦笑じみた笑い声
「ワシャァな親父様に恩義ガあるンや。だからオマエとは正反対ヤのォ」
そして相手は服を脱ぎ去り髪を逆立てて
魔力を体に満ちさせていく――――準備完了か
「サスガFALCONチャンや!ワシャァ死合いう方が好きやデェ!
ワシ等ノ語りにャ言葉なぞ不要!力でワシを満足させてみぃ!」

そして相手は我が身に突進して消えた。
――――――って消えた?馬鹿な!?
どこだ?目で相手の姿を探したが見付からない・・・消えたのか?

いや・・・・・・見えなかっただけだった
相手は持ち前のスピードで巧く死角に回り込んだのだ。
相手が放った跳び蹴りそれは鎧武者の顎を的確に貫いた。
「ガハッッッ!?」
悲痛な叫び声と共に相手の蹴っ先が爆発する。
蹴りのみならば体勢を崩しただけだろう、
しかし小爆発によって引き起こされた不意なイレギュラーに体が吹き飛ばされ
近くにあった防壁に体を打ち付けた。
しかし顎を摩りながらだが何でもないように立ち上がる。
多少焦げたが良かったヒビは入って無いようだ。
「奇襲とはヤりオルなァ・・・ちとビックリしたデェ?ゲヒャ!」
口から溢れた陽気な言葉。
しかし次の瞬間防壁を裏拳で殴りつけ悪態をついた。
衝撃音と共に防壁に大きなヒビが入る。
「ゲヘへ・・・挨拶変わりヤさかい、マァ遠慮せンと」
刀を片手で弓を引くように構えると刀の切っ先を相手へ向ける。
前大戦でも繰り出した片手平突き。威力ならば申し分は無いだろう
「喰ラエヤ!!!!」
体勢を低くし地を這うが如く相手へ突進を仕掛けた
勢いにより地面の砂塵が舞い上げなが相手へ突き進み
リーチのある長い手の間合いに入ると強烈な突きを放つ。

292 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage長文な上意味不明ですみませんorz] 投稿日:2006/05/16(火) 01:40:56
>288
振り返るとそこに黒髪を束ねた女がいた。
その姿を見たとたん思い出す。
「貴方は…!?」
思わず声が震える。
それもそのはずだ、そこにいたのは少し前森で誓音が手当をした女だったのだ。
>「なるほど、拷問部屋が近かったと言うのもあってあの部屋は・・・。」
女が呟く。
>「失礼。私のいる部屋から迎えに出向こうとしたのだが・・・もう来ていたようだな。
> そう、以前世話になったな。傷の手当て有難う。」
動揺と不快感を通り越した何かが弾けそうな気分になる。
>「戦うというならいい場所がある、着いてくるといい。安心しろ、今の私は丸腰だ。」
「……。」
冴波を暫く見ると誓音は近くにある死体一体を蹴り上げ持つとひきずりながら言われたとおりついていくことにした。

扉が開く。

誓音は開いた扉の一歩前で止まる。
扉の向こうは霧と魔素に溢れた廊下だ。
少し顔をしかめそうになりつつ花太郎を忘れずにひっぱりながらついていく。
>ギィィィィィ・・・バタン。
霧の向こう、冴波が再度扉を閉める音が響く。
誓音もその扉を開けて入っていく。

すると目の前に紅の海が広がった。
薄桃色の雲、石の林、朽ち果てた骨の砂浜、まさに不快。
しかもそれにトドメを指すかのように2mもある無数の紅い氷柱。しかも死体入り。
誓音を挑発するのには充分であった。
刀に手を置く。頭に浮かぶのはこの女をどう殺すかだけだ。

>「戦う前に一つ問いたいことがある。」
思考が止まる。刀から手を離す。
「…問いたいこと?」
>「これは私が戦う相手に常に問い続けていた質問だ、答えない・答えられないという答えでも構わない。」
冴波の声が誓音の耳に届く。
>「『生命は何の為に生まれ、生きている?』。そう、この答えを私は知りたい。
> 歴戦の勇士たる人々は命の限界の境地に立つ。そういった人々なら何か分からないかと思ってな。」

「…命が何の為に産まれ、生きるか…ですか。」
ふと誓音の表情が沈む。
脳裏にぱっとフラッシュバックされる過去の記憶。

―巨大な門の下、沢山の人間の死体の山の上に立つ誓音のあの姿。

―赤い月の下、たった一つの死体の近くに立つ誓音の姿。

そして誓音は静かに口を開いた。

「…死ぬ為に産まれ生きるのです。」


293 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage長文な上意味不明ですみませんorz] 投稿日:2006/05/16(火) 01:42:55

冷たいような、暖かいような笑みを浮かべる誓音。
言葉を続けた。
「はっきり言って…私は人が産まれることに意味なんて元々無いと思ってる。
どんな事をやったとしてもどんな事を求めても…結局行き着いた先は死のみなんですし。」
ふと誓音は思い出す。それはある魔族の一族の拷問部屋。
魔族に逆らった女の腹の中。醜い姿で産まれた一人の赤ん坊。
何度自分がここで、このような姿で産まれてきた事を呪ったことか。
それでも門の下、少女は一人で門を守り続けた。
握った拳に力が入る。
「…それならば…行き着く先が死しかないのなら…
人は唯一与えられた死の一瞬に悔いを残らせないように生き続けるしかないじゃありませんか。
ひたすら生きて生きて生きて…自分が生きてた証を沢山積んでいくしかない。
歴代の戦士達が闘うのも同じ、自分がここに居た証となる戦歴や…自分の証となる物を守る為ずっと闘ってきたんだと思います。」
ふと誓音は三度思い出す。
今は亡き村の桜という東洋の木の下、いつも仲好い可愛らしい少女と少年がボロボロになりながら手を繋ぎ死んでた事を。
人が消え、荒れ狂った廃墟の中、奴らからどんな攻撃を仕掛けられたのだろうか。
きっともっと生きたかったのだろう。
少年と少女の顔は銃弾や刀の切り傷で面影さえ残ってなかった。
悲しみに満ちた少女と少年の亡くなった面影を鮮明に思い出し目をぐっとつむった。
そして次の瞬間まっすぐに冴波を見て言った。

「それなのに…お前等魔王軍は人間が積んできたもの…歴代の戦士が守ってきた証さえ踏みにじっていく。」

寂しそうに悲しそうに声を絞り出す。
黒き刀を抜いた。ボロボロな銀の刃を冴波に向ける。

「…私の望む死はね、過去幾千幾万人人間を殺してきた罪、そして…ある大切な人を殺した罪をできる限り償い抜いて死ぬ事。
その罪を償う方法は唯一つ。より多くの人間の死を安らかに…悔いなく迎えさせる為その邪魔をする者を殺すこと。
最も、唯殺すだけじゃなく、今までお前等が殺してきた人間の悲鳴で苦しめて…苦しめ抜いて殺す。
それが私の償いであり復讐でもあり私が生きていた証でもある。
…生き延びたことを後悔させてあげる前に貴方にこちらからも聞きたいことがある。お前は生きる意味を私に聞いた。
ならば貴方にとって『死ぬこと』とは一体どういう事です?」
静かに響く淡々とした少し荒々しい冷たい声。

294 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 11:39:00
>291
飛び蹴りは綺麗に武者の顎に入り、武者は叫び声と共に吹き飛んで、壁に激突した。
だが、今の一撃が入ったというのに、武者は何事もなかったように立ち上がる。

>「奇襲とはヤりオルなァ・・・ちとビックリしたデェ?ゲヒャ!」
武者は陽気な言葉を使いながら、壁に裏拳を叩き付けて闘志を露にする。
「あんたが俺のスピードを捉えきれなかっただけだろが……」
それにしても相手は異常なタフさを持っている。
並の敵なら先の蹴りで頭を吹き飛ばされているはずなのだが……
余程戦い続けて闘気を研き続けてきたのだろう。

今度はあちらの武者の番だ。
刀を弓を引くように構えて体勢を低くし、砂塵を巻き上げながら地を這うように突進。
こちらも迎撃する為に、両拳に気を密集させる。

相手が自身の間合いまでこちらに近付いて来て、突きを放ってきた。
非常に洗練された突き。
何度も何度も突きを放ち、極限まで洗練されたもの。

「うおぉぉ!!」
体を反らして、紙一重のところで相手の突きを避けた。
避けたはずだったのに、脇腹に熱い痛みが……

この武者の間合いで戦うのは非常に不味いと思ったFALCONは、後ろに大きく跳んで距離を取る。

「ど、どどん!!!」
相手が洗練された突きを放つなら、こちらも洗練された突きを。
ただし、こちらは光線の突きなのだが……

両手から放たれた二つの細長い光線の突きは、武者の戦力を削ぐべく、武者の両肩目掛けて突き進んだ。




295 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/05/16(火) 12:39:31
アーミッシュ

296 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage 贋物⇒ニセモノ⇒・・・] 投稿日:2006/05/16(火) 16:26:51
>292-293
>「…死ぬ為に産まれ生きるのです。」
返ってきた答え。また一つ、自身の中に刻まれた答え。
>「はっきり言って…私は人が産まれることに意味なんて元々無いと思ってる。
>どんな事をやったとしてもどんな事を求めても…結局行き着いた先は死のみなんですし。」

>「…それならば…行き着く先が死しかないのなら…
>人は唯一与えられた死の一瞬に悔いを残らせないように生き続けるしかないじゃありませんか。
>ひたすら生きて生きて生きて…自分が生きてた証を沢山積んでいくしかない。
>歴代の戦士達が闘うのも同じ、自分がここに居た証となる戦歴や…自分の証となる物を守る為ずっと闘ってきたんだと思います。」

>「それなのに…お前等魔王軍は人間が積んできたもの…歴代の戦士が守ってきた証さえ踏みにじっていく。」
敵意が向けられた。それに対して同情するでもなく、ただ静謐な目で見返す。
「この世界の空は青いな・・・。私という存在が生まれてより数年、私が見上げた空はいつも暗黒だった。
 そうか、つまりここはそういう世界か。敵は人間ではなく異種族にあるのか。」
そう、呟く。

>「…私の望む死はね、過去幾千幾万人人間を殺してきた罪、そして…ある大切な人を殺した罪をできる限り償い抜いて死ぬ事。
>その罪を償う方法は唯一つ。より多くの人間の死を安らかに…悔いなく迎えさせる為その邪魔をする者を殺すこと。
(中略)
>…生き延びたことを後悔させてあげる前に貴方にこちらからも聞きたいことがある。お前は生きる意味を私に聞いた。
>ならば貴方にとって『死ぬこと』とは一体どういう事です?」
静謐な目を逸らしもせず、やはり瞬きさえしない。額から微かな水滴が零れ、砂浜に落ちた。
「私にとっての『死ぬこと』・・・か。『何でもない』な。そう、何でもない。
 私はいわば造られた命というやつだ。過去に存在していた奇跡を起こした者達のデータをかき集めて作られた人形。
 私に求められたのは二つ。『癒すこと』、『抹殺すること』。その意義も私のいた世界が失われたことでもう意味を成さない。
 私にあるのはただ無限の問いかけだけだ。死は怖くないよ。死は安息であり消滅だから。」
最早、自分の過去さえもどうでもいいと言いたげな程に。その苦悩はもう刻み付けられている。

「ならば私にとって『死なせること』とは何か。私が何故こうも死を与え続けるのか・・・。
 それは、苦悩と後悔に安息を与える為でもある。
 生きる意味を失っているのなら、生きる必要もそこにはあるまい。
 私の与える死は忘却させる。苦悩も、心の傷も忘れて消える。
 そして、肉体の痛みさえも与えない。あるのはただ消えたという事実のみ。」
私の振るった手から飛んだ液体が氷柱の一つに降りかかる。それは、ほぼ一瞬で溶けて消えた。傍らの大剣が少し震えた気がした。

「一体何が『悪』になるというんだ。人間も、魔族も、動物も植物も何かを犠牲にしなければ生きられない。
 誰も彼もが自分以外を生贄にしてゆく。自分が痛まなければどうなったっていいという。
 人間は時代を迎える為に英雄を生贄にした。祭り上げるという形で。
 一国の女王は信頼していた男に裏切られ全てを失い、復讐の鬼となった。
 愛し合っていた筈の男女はやがて、互いを疑い真紅に染まった。
 青空を求めた人々は同類の筈の人間を造り、その脳さえ弄繰り回し己の為に利用した。
 彼らはその少女の全てを犠牲にし、人類の消滅という結果を生み出した。」
淡々と語られる史実。忘れ去られた童話。かつての『わたし』・・・

297 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage 贋物⇒ニセモノ⇒奇襲でした] 投稿日:2006/05/16(火) 16:27:52
>292-293
「私が生まれた世界に青空は無かった、だから彼らは青空を求めた。
 その為に命を造り上げ、使役した。これは悪なのか?
 悪は人間にさえある。例えばそこの氷柱を見るがいい。私の部下だ。」

誓音の傍には一本の氷柱。そこには獣の耳が生えた獣人が、いる。その顔は眠っているように安らかだ。
「彼女の里は既に滅びた。ああいった者達は常に迫害される使命を負うんだ。
 人間と少しだけかけ離れたその姿は忌み嫌われ、あるいは道具にされる。
 奴隷商によって売りさばかれそうな所だったらしい。その奴隷商は魔族か?いや、人間だったよ。
 同じなんだ。何もかも。魔族も、人間も。」
かつて自分の心を蝕んだ絶望。枯れた砂漠に降る水のように、私を満たしてゆく。

「悪意は永遠に巡る。それが悪意で無かったとしても、一つの死が無限の死を生んでゆく。
 この赤い海には全てがいる。全ての生命が還元される。これが私だ。私という・・・存在なんだ。
 許しは請わない。恨まれようと構わない。ただ・・・・・・」
そこで、誓音からやや後方にある氷柱から声が響く。

『万物に安らかなる消滅を』
『万物に安らかなる消滅を』

その声と共に誓音の背後の氷柱の一本が砕け散る。

背後の氷柱から現れるのはロングコートにデニム姿、腰にまで届く長い髪を振り乱した冴波。
「気づかなかったか?私はずっとここにいた。よく出来た人形だろう?瞬きも出来ないほどではあるが、急造にしてはなかなかだ。
 少々卑怯かもしれないが、打てる手は全て打たせてもらう。」
ダラリと下げた手を頭上に突き上げる。その動作に呼応するように、砂浜が鳴動する。
その砂の下から紅に染まった無数の氷の刃が噴きあがり、誓音を襲う。

その隙に地を離れた大剣が高速で冴波の元へ飛び、それを冴波は受け止め、構える。
戦いの・・・・・・始まりだ。

298 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 18:57:04
>296-297
冴波は静かに淡々と答えた。
>「私にとっての『死ぬこと』・・・か。『何でもない』な。そう、何でもない。
> (略)
> 私にあるのはただ無限の問いかけだけだ。死は怖くないよ。死は安息であり消滅だから。」

>「ならば私にとって『死なせること』とは何か。私が何故こうも死を与え続けるのか・・・。
>(略)
> そして、肉体の痛みさえも与えない。あるのはただ消えたという事実のみ。」
静かに語る冴波をじっと見つめる誓音。
その表情は何故か一瞬安堵したように見えたのは気のせいだろうか…?
冴波は手を振る。何かが光り飛ぶ。

>「一体何が『悪』になるというんだ。人間も、魔族も、動物も植物も何かを犠牲にしなければ生きられない。
(略)
> 彼らはその少女の全てを犠牲にし、人類の消滅という結果を生み出した。」

>「私が生まれた世界に青空は無かった、だから彼らは青空を求めた。
> その為に命を造り上げ、使役した。これは悪なのか?
> 悪は人間にさえある。例えばそこの氷柱を見るがいい。私の部下だ。」
ふと横を見るとそこには氷柱の中に獣人が一人。
近づき触れる。誓音の赤い眼が一瞬揺れる。
>「彼女の里は既に滅びた。ああいった者達は常に迫害される使命を負うんだ。
> 人間と少しだけかけ離れたその姿は忌み嫌われ、あるいは道具にされる。
> 奴隷商によって売りさばかれそうな所だったらしい。その奴隷商は魔族か?いや、人間だったよ。
> 同じなんだ。何もかも。魔族も、人間も。」
「…そんなの知っている。」
ふと寂しげに反論する誓音。
「でも…それでもあの人は人間を愛してた。」
誓音はあの人が言った言葉を思い浮かんだ。
『人間は救われる。』
誓音は拳を強く握る。
>「悪意は永遠に巡る。それが悪意で無かったとしても、一つの死が無限の死を生んでゆく。
> この赤い海には全てがいる。全ての生命が還元される。これが私だ。私という・・・存在なんだ。
> 許しは請わない。恨まれようと構わない。ただ・・・・・・」
誓音ははっとする。

自分の目の前にいる人間に心臓の鼓動が聞こえてない事を。

そしてそれと同時に背後から響く声。

>『万物に安らかなる消滅を』
>『万物に安らかなる消滅を』

ミシミシッ・・・パリン!

ばっと背後を振り返る。

299 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 18:58:24
するとそこに見えるのは破壊された氷柱・・・そして冴波!
>「気づかなかったか?私はずっとここにいた。よく出来た人形だろう?瞬きも出来ないほどではあるが、急造にしてはなかなかだ。
> 少々卑怯かもしれないが、打てる手は全て打たせてもらう。」
一瞬誓音の表情がガラリと変わる。
手を頭上に上げる冴波。浜辺の音の変化を一瞬に察知する誓音。
そして紅き氷の刃が無数に襲ってきた。

ぐしゃ!ぐしゃ!

鈍った肉を貫く音が響く。
恐らく一瞬誓音が刺されたと思うだろう。
しかしそこにあったのは誓音が拷問部屋からもって来ていた死体であった。

「んじゃ。こちらも…打てる手は全て打ちますよ。」

天空から聞こえる誓音の声。
空を見上げてみればそこには・・・
悲鳴の球体三個に囲まれたにっこりと笑った誓音。その上冴波に罅の入った左の掌を向けている。

――音銃連弾!!!!――

マシンガンのように細かい悲鳴の粒子が冴波に向かって凄いスピードで落ちていく。
悲鳴と爆発音と共に砂埃がでる。視界が狭まる。
誓音は地面に着地すると同時に悲鳴の球体を散らした。
足首の防具がみしっと鳴り割れる。
(っ・・・!…やはりあの不意打ち全て避けきるのには無理があったな…。)
そう思いつつ右手で持ってた刀を構える。隙を見せれば殺される。

300 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 20:16:45
>285>286
「プックックッく・・・アッハッハッハ。いやいや楽しんでもらえたかえ?
魔王軍で今、売り出し中の若手芸人トリオさね。」
オーガス城城門にてえも言えぬ疲労感に包まれるレナスに声がかかる。
声の元は城門の上。
羽衣を広げながらふわりふわりと舞い降りてくるシズネからだった。

「それとなく気配がしたのでねい。やってきたのだけれど入れ違ったようだ。」
レナスの腰の神剣グランス・リヴァイバーに目線をやりながらため息をつく。
緊張感もなく、値踏みするように頭の先から爪先まで見た後、ため息をついていた表情
が妖艶な笑みに変わった。

「なかなかいい女だねい。慟哭、悲哀に満ちてるじゃないかえ。
しかもそれがこの戦いではなく、たった一人の男に依るところが気に入った!
そんなあんたにはいい男を紹介してあげるよぅ?」
そっと膝をつき、地面に手を当てる。
「さあ、いでませ。あんたに相応しい相手はここにいますえ?」
勢い良く手を上げると、地面が大きな音を立てうねり始める。
その揺れに跳ね上げられるように宙に舞い上がるシズネ。

「ほほほほ・・・仲良くやっておくれよう。ここは若い者に任せてあたしは退席させてもらう
からねい。」
笑い声と共にシズネは舞い上がり、そして影に溶けるようにして姿を消していった。

301 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage ] 投稿日:2006/05/16(火) 20:26:22
>290
暗い階段を昇り続けていた途中、
突如何者かが現れ、進むべき道を阻む。
敵は挨拶代わりなのか、1年前の戦いに参加していなかった理由を問い掛け、『ジャック・エヴァンス』と、自分の名を明かした。

「……敵である以上、貴様が誰であろうと関係ない」
特に感情の篭っていない表情で言葉を発するが、敵の名前を聞いた瞬間には眉をピクリと動かしていた。
エヴァンス大佐、直接会った事は無いがカイザーもその噂は聞いた事がある。…ただし負の話題であったが。
とは言っても、眉を動かした理由は名前を聞いたからではない。噂に聞いた『大佐』の外見がこんな少年だったとは思っていなかったからだ。
>「オーガスは存命か? 私には最早関係の無い事だが……少しくらいは昔話に浸っても構わんだろう」
「俺が知るか。…まあ、あのじいさんは殺しても死なないがな」


数分後
カイザーはエヴァンスの誘いに乗り、外へ飛び降りた。
激しい風が横殴りに流れ、鳥の鳴き声は城の外壁と外壁で何重にも反射していた。
そこで待っていたのはエヴァンスでは無く機械兵士だった。それも普通の機械兵士では無い。
禍々しい紅色の装甲を持つ、聳え立つという表現が合う巨大な兵器であった。
>「失礼ながら試させて貰おう。その腕、鈍っていないかどうか。
>前回の戦闘では御一緒出来なかったようなのでね、早速だがブレンテル流とやらを見せてくれ……久し振りに」

まさに神速だった。
カイザーは機械兵士との距離を瞬時にゼロにすると、足元の間接部へ向けて剣を突き立てた。
―――だが1秒後、壁に叩き付けられたのはカイザーであった。
壁に叩きつけられた一瞬、我を失ったカイザーの隙を付く様に、機械兵士の身体から凄まじい轟音が鳴り響く。
「……ッ!?」
カイザーが轟音の正体に気付いた…が、それは少し遅かった。
機械兵士の背部から打ち出されたミサイルは、カイザーの背後の壁に直撃し、大爆発を起こしていたのだから。

カイザーの背後に存在していた壁は跡形も無く吹き飛び、
その周辺には黒い煙が立ち込め、キナ臭い匂いを周囲に放っていた。

「こんなものか…時間の無駄だ、一気にカタを付ける」
声と共に風はピタリと止んだ。
立ち込めていた黒い煙は浄化されたかの様に消え去り、無傷のカイザーの姿が現れる。
異変に気付いた鳥達は誰に言われるでも無く、城の付近から姿を消す。

先程、風が止んだと表現したが、それは間違いであった。
何故なら、全ての風は音も立てずに渦を巻き、カイザーを中心に集まっているのだから。
地面に落ちていた枯葉は宙に浮き、風の渦に巻き込まれカイザーの身体に触れる。すると、枯葉は一瞬にして木っ端微塵に砕け散る。
そして、完全に風が止んだ。
次の瞬間、神々しい白銀の光を身に纏うカイザーがその場に立っていた。

「物理防御結界か…
 ブレンテル流の技を見たいとか言ってたな。特別サービスだ、見せてやるよ…『見えれば』の話だがな」
そう言うとカイザーは鞘から剣を抜き、その剣を両手で掴むと前に突き出すように構える。
「ハアアアッ!!」
全身を纏っていた聖闘気はカイザーの叫び声に呼応して更に肥大化し、聖剣をも包み込む。
その聖闘気に反応したのであろう。その聖闘気を上回る光が剣先から放たれたのだ。
「さあ、行くぜ…ブレンテル流、突撃の剣!絶命突破聖剣!!」

―――光が弾け飛んだ。
辺りはカイザーの聖闘気に照らされ、目に映る全てが白銀の世界だった…のは時間にして1秒も過ぎない間であった。
「…終わりだ」
辺りを包んできた光は消え去り、機械兵士の背後に立っていたカイザーが剣を鞘に戻す。
次の瞬間、機械兵士は地面に伏せるように倒れた。…腹部に何かが貫通したのであろう直系1メートル強の傷跡を残して。

「ガラクタの相手をしてる暇は無いんだ。エヴァンス、さっさと貴様が掛かって来い。
 怖気付いたのなら逃がしてやる。ガキの人形遊びだったら他所でやれ、俺はこれ以上付き合う気は無い。」
両手に聖闘気を集め、怒気の入った声でそう言い放った。

302 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/05/16(火) 20:31:04
>300
地面を大きく揺らしながら現れたのは、とてつもなく大きい大蛇の一部。
フェンリルの兄弟にして世界を覆う蛇。ヨルムンガンド。

「プルプルッ。僕、悪い蛇じゃないよ」
そう言いながらも、レナスに毒の息を吐きかける。
これはヨルムンガンドの愛情表現だ。



303 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 20:57:10
>298-299
仕留めた、とまではいかずとも足を奪うつもりだったのだが・・・
やはり、歴戦の兵は一味違う。
「!?・・・ふ、そうこなくては・・・な。」

>――音銃連弾!!!!――
>マシンガンのように細かい悲鳴の粒子が冴波に向かって凄いスピードで落ちていく。
>悲鳴と爆発音と共に砂埃がでる。視界が狭まる。
「――――!!」

盛大な砂埃が巻き起こる。
その向こうにうっすらと見える影は、ゆっくりと倒れこみ・・・
そのままの勢いで誓音へと突っ込んでくる!
「フ・・・っ!!」
力任せとも言える勢いで横薙ぎに大剣の鋸刃を向けるように誓音へと振るう。
その全身の表面では氷の薄片が零れ落ちていた。
もっとも、冴波の体を流れ落ちる赤は血とも赤い海の水ともつかないが。
「並の氷ならば砕けていたが・・・この水なら、ある程度は相殺できるのさ。
 万物の死・・・甘く見ないほうがいい。しかし、面白い力だな。」

その横薙ぎの斬撃の軌道上に浮かぶダイアモンドダスト。
「<未生天:氷針生成/射出>」
そこから無数の氷の針が真正面の誓音へと飛ぶ。

「――おまけだ!」
更に一歩進み、肩に担いだ大剣を誓音へと振り下ろす。
常人なら3度死んでいる連撃だ。

304 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 22:34:07
>294
>「あんたが俺のスピードを捉えきれなかっただけだろが……」
「クククッ……ワシが態々褒めタんや、ソコぁ素直に喜んドくモンやろォ?」
しかし何ともすばしっこい奴だが
得意分野である白兵戦に持ち込めば自分の方が優位に立てるだろう。
例え格闘術を極めた相手だとしてもそれでも勝率は五分を下回ることは無いはずだ。

【でも彼のスピードを捉えられなかったのは事実でしょう?】
<まあ奴ならば確実に避けれたか、爆発の衝撃にも無反応だろうな?>
『確実に弱くなってるねキミ……』
頭の中で刀の怨霊達が好き勝手言ってるが、あえて黙殺する。
いや黙殺せねば自我が保てなくなる。

そして相手は放った突きを体を捩らせ紙一重で回避した。
しかし手に残る微かな手応え、――――脇を掠めたか?
グゥッと刀に力を込めて突き進む刀を下に振り下ろす。俗に言う追撃と言う奴だが
先程言った通り相手の方がスピードが速いのだ、すぐに距離を開けられる。
「ゲヒヒ……何ヤァ距離開けたらツマラんやなイか、FALCONチャン?。」
刀に付いた血を拭いながら、一人呟く。
なるほど相手も馬鹿ではない様だ、しかし距離を取られるのは面白くない事である。

すぐに離れた相手に目を戻す、さあ次の手は何だ?殴りか?蹴りか?早く来い!
しかしその期待は奇しくも裏切られた。
>「ど、どどん!!!」
相手が掛け声と共に両手から放ったモノ……それは光線だったのだ。
なるほど、どうやら勘違いをしていた様だ
噂で聞いたこと、それはFALCONが上級魔族の武道家である事だが。
まさか気孔も使えるとは思いもよらなかったのだ。

しかしどうしてであろう、この胸の高鳴りは。
やはり本命は違う、やはりオーガス騎士の味は格別だ!
だが一つの疑問、相手が距離を離すのであれば如何に攻め落としてみるか。
一瞬の考察と結果
答えは簡単―――――つめるのみだ
光線を避けようとはしない、逆に刀を両手に持ち直し光線にぶつかりに行った!
「ゲヒャハ♪アマアマやァ!!!特攻こそイクサの華ァ!!」
体制を低くしたまま突撃を仕掛ける鎧武者、そして光線との距離がゼロ距離になった時

「ヌゥぅガァっ!!」
妖刀に怨霊の力を更に宿し、そして右の光線の軌道を思い切り弾き飛ばす。
だが手の回らなかった左の光線は左肩を貫いた。
今度は肩当を粉砕し、下にあった骨に大きなヒビを入れる。それでも歩は止まらない。
「ヒヒヒッャッハァ!!!」
嬉しそうな笑い声と共に相手との距離がある程度詰まる。しかしまだ射程内ではない
それでも刀を上に掲げ力を込め振り下ろす!、
―――――シロクの丁!
コロシアムの下は砂地だ、衝撃により相手と自分の間に巨大な砂飛沫が舞い上がった。
それが狙いだ、こちらが本命!
続いて用意した技、腰を限界まで横に捻りながら刀を脇に構える
そして砂飛沫の中に入り込み、腰の力を開放する。
「余所見しトるんや無いデェ!?ヒャハッ!ジゾロのォォォォォ半ッッ!!」
砂飛沫ごと叩き切る回転斬りが放たれた。

305 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 23:40:07
>304
FALCONは驚いた。
相手が二つのどどん波に構わずにこちらに詰め寄ってきたことに。
武者は体勢を低くして、右肩を狙ったどどん波を、何らかの力が宿った刀で弾き飛ばした。
左肩を狙ったどどん波は、相手は対処することができず、そのまま直撃した。

「手応えなしかよ……」
どどん波が当たったにも関わらず、骸骨武者は勢いを増してこちらに迫ってくる。
不気味な笑い声を上げながら。

「お次はこいつで行くか!!」
全身の気を練って、両拳に溜めていく。
両拳に気が溜りに溜り、拳が光輝きスパークする。

気を溜めている間にも骸骨武者とFALCONの距離は近づいて、骸骨武者は刀を振るった。
地面に向けて。
刀による衝撃で砂飛沫が巻き起こり、骸骨武者の体を隠す。

「俺にそんな小細工が通じると思ってんのかぁっ?!!」
目隠しは通じない。
骸骨武者の凄まじき妖気が、嫌でもこちらに居場所を伝えてくる。
気の充填は完了した。
後は、相手が来るのを待つだけ。
喜ばしいことに、待つ暇もなく相手は現れた。
砂飛沫を切り裂く程の回転斬り。

「うおらぁぁ!!!!」
対抗するは、光輝く魔王(予定)の拳。
回転斬りと裏拳が激突し、闘技場は闘気の光に包まれた。

回転斬りの方が威力が高く、FALCONの拳は弾かれて深い斬り傷を負ったが、おかげで溜めが作れた。
弾かれた反動を利用し、体を極限まで捻る。

「どおりゃあぁぁっっ!!!」
極限まで捻られた体から放たれる、魔王を名乗ってもおかしくない程の気が込められた拳が、
骸骨武者の胸があるだろう部分に突き進む。




306 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/05/16(火) 23:45:33
>301
機械兵士は倒された。カイザーは対物理魔法障壁を素早く見抜き、剣技の威力もまるで衰えてはいない。
FALCONに並び、申し分の無い火力を見せ付ける。
しかしエヴァンスは屋上の一角に立ち、悠然とカイザーを見下ろしたまま構える様子もない。

>「ガラクタの相手をしてる暇は無いんだ。エヴァンス、さっさと貴様が掛かって来い。
  怖気付いたのなら逃がしてやる。ガキの人形遊びだったら他所でやれ、俺はこれ以上付き合う気は無い。」

エヴァンスの口元の歪みがアルカイック・スマイルを崩して、冷たい微笑へと変わった。
「では、お望み通りに」
コンテナと「Burning Chrome」を軽々と担ぐと、天高くまで投げ上げる。
銃は雲間の暁光に紛れてすぐに見えなくなるが、一方のコンテナは空中分解し、二枚の盾を射出した。
その間にエヴァンスは十字架を両手で掲げ、変形機構の制御術式を解放するべく呪文詠唱を始める。
低く小さな声で囁かれる呪文に、軍用コートと義手が紫の燐光を帯び、銀の十字架に彫刻されたルーンが浮かび上がる。

<銃を手に入れた、実は二丁。いいんだ、俺は神さまを愛してる>

刹那、十字架が激しく放電する。陣風が巻き起こり、二枚の盾が稲妻に引き寄せられてエヴァンスの元へ舞い戻った。
同時にコートも錫色の金属体に融け、形態を変化させ始める。
それは鎧。恐竜の骨格標本を不完全な縫合で継ぎ接ぎしたかの様な造形に、各所が脆そうなまでに緩急の差を持つ装甲厚。

延びた襟で造られるヘルメットはエヴァンスの頭部を完全に覆い、鋭く迫り出した鼻先と
耳元から後ろに向けて伸びた、下向きに放物線を描く長い角が正に竜の頭蓋骨を思わせる。
肩甲骨に当たる部分から骨組みだけの翼を繋いで、裾は三枚の装甲板へ分化しスカート状に大きく広がる。
やがて足先までも鎧に覆われ、義手を含む全身が装甲服で包まれた。
十字架は光となって鎧に吸い込まれ、最早エヴァンスの手中に無い。

<二重思考、馬鹿は強み。生きてるやつは撃たない>

エヴァンスを挟んだ中空に漂う盾が、それぞれ鎧の肩板に収まる。
雷撃が止み、錫色を解いた竜骸の鎧は、艶の無い灰色へと変わった。


「「ガラクタも聖闘気も、同じくヒトの力には違いない。どちらが神を喰らう剣として相応しいか、貴様で試してみよう」」
翼部骨格は撃ち広げられると、巨大な光の翼をまとった。魔法動力のフライトユニット主翼だ。
スカート裏に内蔵された姿勢制御用のブースターが同じく白色光の尾を垂らし、エヴァンスの身体を空中へ押し上げる。
離陸直後、自在な角度調整が可能な翼の推進力を巧みに使いこなし、エヴァンスはカイザーの頭上を数度飛び交うと、
屋上から十メートルばかり空中で静止した。そして、ゆっくりと腕をもたげると、器用にも右手の指を弾いて音を鳴らした。
間接部は装甲板が蛇腹状になり、腰回りと首を除いて他は然程可動域を制限しない。発動呪文を呟く。

「「『Full Break Action』」」

突如無数のゲート魔法が発動し、オーガス城屋上を取り囲む様にして出現した。
異空間の黒い窓が、カイザーに向けて口を開ける。
「「まずは遊びだ、気負うな」」
エヴァンスの手元に開いた窓から、上空へ消えた筈の銃がグリップを覗かせる。それを掴み、引き金を引いた。
カイザーを囲む全ての窓が閃光を放ち、ゲート魔法から数十発の光弾が聖騎士へ襲い掛かる。

307 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/05/17(水) 14:58:44
>283
中庭の奥、本来なら反対側の通廊へ抜けるアーチから誰かが歩み出てきた。
>「・・・わざわざこんな所に寄り道とは、随分と余裕があるようだな。」
「わざわざ出向いてきてくれるからな。歩き回ることも無い」
セシリアは声の主、アステラのほうを振り返りながら槍をすい、と持ち上げる。
「次は止めぬと言ったはずだな?」
>「これ以上の言葉は不要だな・・・かかってこい。」
アステラは身に着けている手甲、具足から気を放ち、自らの言葉に偽りのないことを示す。
セシリアは槍を振ってそれを払う。
元は共に歩み、共に肩を並べた者同士、極々短いやり取りを経て戦端が開かれた。

この後のことを考えれば周囲への損害や自身の消耗は極力避けるべきだろう。
効果範囲の広い攻撃で相手を囲い込むようなことはそうそうできない。
ならば複数の精霊を全く同時に使役し、一点集中の攻撃を多重に繰り出すことで押し切る。
セシリアはそう考えた。だが今までは最大でも2〜3体までしか同時に使役することは出来なかった。
それ以上は必要なかったから試してもいないが、果たして可能かどうか。
一瞬にも満たない躊躇の後、自らの言葉を拠り所に即決する。やるしかないのだ。
勝てぬと思って挑んで、勝てる戦などありはしない。

まず槍を手から離した。風の精霊『翔ける者』。槍は弧を描いてアステラの側面を狙う。
しかしいつものように竜巻を引きずってではなく、風を裂く音のみを響かせて飛んでいく。
左手薬指と小指の指輪が光る。小指は土の精霊『岩食み』。アステラの背後から細い土の槍が数本飛び出した。
薬指は樹木の精霊『緑炎』。枯れたイバラが蔦を伸ばし、鎌首をもたげた蛇のように襲い掛かる。
同時に剣を抜いた。炎の精霊『吼ゆる者』。刃が赤熱し炎が小さく踊る。
踏み込みながら逆袈裟に切り上げた。
精妙な連携には程遠いものの、とりあえず4体までは同時に使役できた。数だけならまだ増やせそうだ。
あとはこの戦闘の最中により遅滞なく複数の精霊を使役し、その上で自らも相手に打ち込ようになれば良い。
不可能なら……城を巻き込むような技を繰り出さねばならなくなる。

308 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage ] 投稿日:2006/05/17(水) 20:40:22
>306
>「「ガラクタも聖闘気も、同じくヒトの力には違いない。どちらが神を喰らう剣として相応しいか、貴様で試してみよう」」
エヴァンスは装備の力を借り、大空へと舞い上がった。
カイザーはその状況を眺めている、エヴァンスの出方を窺っているのだ。

>「「まずは遊びだ、気負うな」」
>カイザーを囲む全ての窓が閃光を放ち、ゲート魔法から数十発の光弾が聖騎士へ襲い掛かる。
窓が開かれた瞬間、カイザーは上空のエヴァンスの行動ばかりに注目していた。
予想外だった。
エヴァンスに気を取られていた隙を突かれた結果となった。
上空にばかり気を取られ、足元の状況を全く見えていなかったのだ。

カイザーは、窓から放たれた光弾の全てをその身に受けた。
そして光弾が止んだと同時、カイザーはその場に倒れた。

「ふざけた真似を…単なる仕置きで済むと思うな」
何事も無かったかの様にカイザーは白銀のオーラを身から発しながら立ち上がる。
だが、鎧の右肩部に到っては完全に吹き飛んでおり、胴体の部分は細かいヒビが無数に作られている。
カイザー本人は口から血を流し、見るからに身体にダメージを受けていた。

カイザーは両拳を握り締め、上空のエヴァンスに向ける。
「目には目を、光弾には光弾だ…倍返しだ!」
両手の聖闘気の輝きが更に増した。
「ブレンテル流、弾丸の技!聖闘気圧縮弾!!」
カイザーの両手から光弾が次々に放たれ、それらは全てがエヴァンスに向けて一直線に飛ぶ。
風を切る音を撒き散らしながら光の弾丸は空中を貫きながら進む。
カイザーが放った光弾の総数は、先程その身に受けた光弾の数のちょうど2倍であった。

光弾が止んだ瞬間、カイザーが身に纏っていた闘気が燃え盛る炎の様に強く大きく輝く。
「まだ終わりじゃない!!」
剣を鞘から抜刀する、剣は瞬時に聖闘気に包まれた。
脚部の聖闘気が目も眩むような激しい光を放ち、カイザーは上空のエヴァンスへ向けて跳び上がった。
「…ブレンテル流、闘気の剣!」
カイザーが振り翳した剣の輝きは直視できない程に強くなる。――そして、
「―――オーラ・スマッシャー!!」

剣はエヴァンスに向けて振り下ろされた。

309 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/17(水) 22:31:50
>303
さっきばらまいた3つの球体から超音波を出す。

(―…来る!)

素早く刀で冴波の剣を受け止める。
見れば冴波は紅い液体が流れ落ちていた。
(反応が早いですね…。)
改めて敵の力に感心する。
>「並の氷ならば砕けていたが・・・この水なら、ある程度は相殺できるのさ。
> 万物の死・・・甘く見ないほうがいい。しかし、面白い力だな。」
笑い返すと「貴方もね♪」 と言う。
すると目の前に散らばる氷り粒が針状になって襲ってきた。
>「<未生天:氷針生成/射出>」
「ちっ…!」
避けきれず反射的に右腕で防御する。
腕に刺さる針、痛みと何かが吸われる感覚が襲う。
(!…血を吸うのか!…だが…。)
ふと怯まず前を向く。
(この殻には生憎血がないもんでね。)
くいっと人差し指を軽く動かす。黒い球体が動き出す。
>「――おまけだ!」
>更に一歩進み、肩に担いだ大剣を誓音へと振り下れる。
すると高速で黒い球体が振られた大剣を受け止めた。
悲鳴の音と共に奏でられる鉄の刃がすれる音。
「…中々丈夫な剣ですねぇ…普通なら粉砕して跡形もなくなるのに…」
にやっと笑う誓音。
「今度は私の番…。」
そう言うと足を折り曲げ一歩進み刀を冴波の右腹めかげてに振る。
そして振った後数秒もかからないうちに左肩から悲鳴の手を出した。
「殴り殺せ。」
静かに命令する誓音。
すると恐ろしいスピードで悲鳴の手が拳を冴波に向かって殴りかかってくる。
それとほぼ同時に誓音は最初に出した二個目の悲鳴の球体を上空に置いた。
静かに大きくなってく悲鳴の球体…。

目の前にいる敵を殺すために…。


310 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/18(木) 01:08:28
>305
砂塵を切り裂く同時に向こうの景色が開けた、そう標的の姿もその中に。
勝利を確信した。次に踊るのは砂飛沫ではなく血飛沫だろうと。
しかし鎧武者は気付かない、FALCONは砂柱の向こうで準備を進めていた事に。

「なヌ!?」
今度はこちらが驚く番である。
なんと砂塵の向こうの相手は我が刃に恐れる事無く、光り輝く鉄拳を繰り出してきたのだ。
しかし、その拳は妖刀と衝突すると勢いに負け弾かれたが
こちらの回転斬りの勢いが削がれてしまった。
コイツの拳は力を使えば、全てを断つ事が出来る妖刀『陣場交』と互角だと言うのか?
だが例え勢いが削がれたとしても、この距離、この勢いのならば相手を仕留めるのは容易。
「ヒャッハ!糞ガァこの勝負ワシの勝ちジャァァァ!!」
狂笑をしながらやや速度が落ちた斬激を放った。

しかもイレギュラーはそれだけではなかった。
腐り落ちた眼が映し出した光景、体を捻りながらも
相手は何と衝突により生じた衝撃を利用して溜めを作っていたのである。
それに気付いた時にはもう遅い。
―――――ヤバイ、初めて本能が警告する。

>「どおりゃあぁぁっっ!!!」
次の瞬間見えたモノ、光る拳、砕け散る鎧と骨。聞えた音、鈍い衝撃音。
時間がゆっくり流れる……そして急に時間の流れが戻る。
刹那である
「ガァッゥゥゥゥ!!?」
ドガッっと悲鳴と衝撃音を立て相手の拳が右胸に深くめり込んだ。
その一撃は胴当ての胸元の部分を軽く粉砕し、
その下にあった肋骨すらも砕く程の威力だったのだ。
「……ンな…阿呆ゥなッ!?…」
素っ頓狂に言葉が口から零れた、それは驚きと焦りを含んだ言葉だった。

311 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/05/18(木) 01:13:14
そのまま勢いに負け、両足を地に付けながらも後方へ弾き飛ばされる。
引き摺られた為、抉れた地面が相手と自分の間にレールの様に2本の線を描いていた。
……右半身の鎧及び右肋骨5本を持ってかれたか……
改めて傷口を見やる、右胸にポッカリと開いた大きな空洞、

「サスガやな、コレほど出来るたァ正直予想外中の予想外ヤ。」
空洞を隠すように手の平で覆うと相手に向かい問いかけた。
実にらしくない行動であるが、イクサの中でこれ程までに相手に惹かれてしまうのも無理は無い。
―――終わらせない、この時が永遠に続けばいい。

「こレ程のプレッシャー……イクサバで感じるルのは何年振りカ……10年?100年?
 イヤ……少なくと、こないな事ァ親父様意外は無かったデ……これ程の強敵ハなァ。」

嬉しそうに話しかけた時、一抹の不安が頭を過ぎった。
ここまでの強敵を相手にしては『奴』も覚醒する可能性である…。
まだ閉じ込めておかなければ……相手に注意を払いながらもサイコロを出す為、懐に手を入れた。

―――――――――――それが絶望への引き金だった。

アレ――――無い? 懐には何も入っていなかった。
おかしい、おかしい?……どうして?アレ?
何で?さっきまで確かにここに?
「無い?……嘘や…どこや……どこや!?」
完全に慌てふためいた言葉、敵前にも関わらず懐や鎧の中を探り始める。
必死にサイコロを探す、落とした筈は無いココに来る途中にはあったのだ。

「あっああ……ワシの……ワシのサイコロは……どこや?ドコに行きおッた!?」
既に泣きそうな声になっていた、どこにもない。どこだどこだと何回も同じところ探している。

<無様だなザジン…>『ああ無様だね』【サイコロ二つで大層な騒ぎではないか】
怨霊達が見下したように何かを言うがそれどころではないのだ。

しかし鎧武者は気付かない、求めていた2個のサイコロは先程の衝撃により
鎧に開いた穴から吹き飛ばされていた事を、
そしてそれはFALCONの足元に転がっていたことも……。

312 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/18(木) 02:08:53
>310>311
鈍い衝撃音と共に、骸骨武者の胸が陥没して、骨が砕ける。
魔王(予定)の拳が骸骨武者の胸にクリーンヒット。
相手は吹き飛び、多大なダメージを受けたことだろう。
代償として、こちらも左拳と右の脇腹に切傷を負ったが、相手のダメージの方が大きいはず。

>「サスガやな、コレほど出来るたァ正直予想外中の予想外ヤ。」
>「こレ程のプレッシャー……イクサバで感じるルのは何年振りカ……10年?100年?
> イヤ……少なくと、こないな事ァ親父様意外は無かったデ……これ程の強敵ハなァ。」
相手の誉め言葉に思わず笑みを浮かべる。
強者に自分の力が認められるのは悪い気がしない。

「あんたこそすげえよ。
 ずっと魔界や地上で戦ってきたけど、あんた程に強い武者は見たことがねぇ……
 正直に言うと、あんたは敵ながらにして尊敬に値する戦士だ。
 敵陣でこんなに気持いい戦いができるとは思わなかった……ありがとな……」
右胸に空いた穴を手の平で隠す骸骨武者に、こちらも称賛の言葉と礼を言う。
だが、突然様子が変わった。

>「無い?……嘘や…どこや……どこや!?」
>「あっああ……ワシの……ワシのサイコロは……どこや?ドコに行きおッた!?」
急に慌てた声を出したと思ったら、何かを探し始め、見付からないからか、泣きそうな声も出している。
サイコロを無くしたらしい。
そのサイコロは余程大切なものなのだろう。
彼程の武者が取り乱すのだから。
FALCONは話すに話掛けれず、このまま無防備な武者に攻撃を加えることも、自身の誇りに賭けて出来ない。
どうすることも出来ないFALCONが、それとなく下を向くと、二つのサイコロが足下に落ちていた。
腰を屈めてそのサイコロを拾う。
おそらく、武者が無くしたサイコロはこれのことなのだろう。
戦っている最中に落ちたのだろうか?

「おい、ザジン!!お前が落としたのはこのサイコロか?」
サイコロを探し続けているザジンに呼び掛けて、ひょいっと軽く投げる。

「今度からは気を付けろよ。そんなに大切なものならな」



313 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage Tidal] 投稿日:2006/05/18(木) 08:59:36
>309
>ふと怯まず前を向く。
>(この殻には生憎血がないもんでね。)
必殺!のタイミングで放った針は相手の腕に刺さった。
これで腕から血が抜けて力が入らなくなると思ったが・・・

>すると高速で黒い球体が振られた大剣を受け止めた。
>悲鳴の音と共に奏でられる鉄の刃がすれる音。
「並の剣とは違うのでな、こんな芸当も出来る!」
「<未生天:接続・情報解体>」
剣が一瞬鈍い光を放つ。と、同時に黒い球体が剣に触れている部分から一部崩壊する。
悲鳴は悲鳴というカタチを剣との接触部から一部解かれ、崩壊しているのだ。
もっとも、触れている間にしか効果がないが。

「(それにしても氷針から血が噴出してこないのか・・・?)」
その思考の一瞬の隙を突かれた。
>「今度は私の番…。」
>そう言うと足を折り曲げ一歩進み刀を冴波の右腹めかげてに振る。
「つっ!」
剣が腹部にもろにめり込む。その一瞬で脳は最適な答えをはじき出す。
キッ!と誓音を睨み付ける。気後れをした方が負ける、と経験が言っている。
「<未生天:身体強化起動。倍率指定・・・1.2>」
ギチっと音がするように腹部の筋肉が誓音の刀を咥え込む。
だが、そこから反撃するよりもさらに早く追撃がきた。

>「殴り殺せ。」
>すると恐ろしいスピードで悲鳴の手が拳を冴波に向かって殴りかかってくる。
「そのぐらいで!」
自身の強化を信じ、頭部で悲鳴の拳を迎え撃つ。
至近距離で回避は不能と判断したために、額が悲鳴と直に衝突する。
衝撃が皮膚を伝わり、脳を揺らす。冴波の瞳から赤い雫が零れ落ちた。

「至近なら・・・そう、苦手でもない。」
大剣から左手を離し、誓音の刀を握っている手に向ける。
「切り刻まれるがいい。」
<未生天:結界術・簡略化。『氷嵐の乙女』(アイシクル・メイデン)>
手の平に集まった直径50cm程の赤い水の球が内側に鋭い氷の刃の嵐を抱いて飛ぶ。
恐らく何も対応出来なければ球体に包まれた手はすぐにズタボロになるだろう。
最悪・・・肩まで登っていく。

「腹部の一撃と引き換えに腕一本。と、いくか?」
いつしか、赤い海はゆっくりとその海岸線を引き戻していた。
「(世界を飲み込んだあの力、今こそ再現してみせよう・・・・・・。)」

314 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/05/18(木) 21:05:21
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315 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/05/18(木) 21:33:14
でも次元の圧力に押しつぶされて冴波&「剣」 は死んだ

316 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/18(木) 22:46:54
>313
腹部に振った刀は命中した。
>「つっ!」
冴波の表情が一瞬崩れたかと思ったらにらみ返してきた。
微笑み返す。敵ながら中々の闘心だ。
>「<未生天:身体強化起動。倍率指定・・・1.2>」
ギチッと刀が鳴る。上手く刀が動かず思わず顔をしかめると悲鳴の手を出し反撃。
「殴り殺せ。」
悲鳴の手が振られる。
>「そのぐらいで!」
冴波が叫ぶ。そして冴波に拳は直撃した。
流石にこれは効いたはずだと思い冴波を見る。
しかし冴波は意外なぐらいに丈夫だった。
>「至近なら・・・そう、苦手でもない。」
冴波の声が聞こえ誓音は一瞬驚く。
>「切り刻まれるがいい。」
><未生天:結界術・簡略化。『氷嵐の乙女』(アイシクル・メイデン)>
(やばい…!)
敵の想像以上に早い反撃が来たので一瞬思考が巡る。
さっきの悲鳴の球体で防御するにも遅い上大剣の先ほどの技によって脆くなってしまった悲鳴の弾がこの技を防御しきれる保証はない。
冴波の手の平に集まる紅い水の球…

(できれば…サタン戦まで壊したくなかった…)

誓音の表情が一瞬曇る。
そして腕に球体は放たれた。腕を包み肩まで上っていく球体。
それと同時に殻が割れる様な鋭い音と何か糸みたいな物が切れるブチブチッという鈍い音が鳴り響き
黒い砂埃みたいな物がぶわっと出て視界を埋めていく。
殻が割れた事により激痛が走り誓音は悲鳴を上げた。
「きゃぁああぁあああああああぁあああああああ!」
>「腹部の一撃と引き換えに腕一本。と、いくか?」
冴波の冷めた声が黒い視界の中聞こえる。そしてその後かけらが落ちる音がする。

そしてそれは姿を現した。


317 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/05/18(木) 22:48:06
黒い砂埃が晴れていく。
視界がじわじわと開いていきそこに現れたのは片膝を付いてる右手が醜い直径6mほどの巨大な怪物の手と化していた誓音だった。
誓音の右のほっぺに罅が入る。
「…結構効きましたね。さっきのは…。」
意外なほどに冷静に冴波に寂しそうに微笑むと誓音は静かに立ち上がった。
上を見る、するとそこにはさっき置いておいた悲鳴の球体が一つ…。
(後もう少しって所ですか…)
「…いきますよ…。」
冴波の方を再度向く。そして誓音は怪物の手を冴波を掴み潰すため伸ばした。
さっきの悲鳴の手とは訳が違う。掴まれれば大怪我物、並の人間なら骨が全身砕けるどころではない。

318 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/05/19(金) 00:29:34
>308
魔法銃の弾丸を全弾命中させるも、カイザーは再び立ち上がった。
当然だ、この程度で死なれてはまだ早い。ゲート魔法の黒い窓が消え、銃を取り戻したエヴァンスはカイザーの反撃を待つ。

>「目には目を、光弾には光弾だ…倍返しだ!」
>「ブレンテル流、弾丸の技!聖闘気圧縮弾!!」

『Full Break Action』の弾数を優に越す聖闘気の弾幕が、カイザーの両手から放たれた。
だがエヴァンスはかわそうともしない。対魔法反射装甲の出番。
鎧の両肩部に嵌められた盾が輝き、虹色の巨大な魔方陣をエヴァンスの前方へ展開する。
「「若いな。力の使い所を、未だ見定められていない」」
光弾は魔方陣に阻まれ、次々と弾道を逸れて散っていく。
流れ弾の一部が城壁を食み、砕け散った石材の粉塵が屋上にたち込めた。
「「正義の味方も楽じゃなさそうだ、疲れる。そうだろ、カイザー? で、もう――終わりか?」」

>「まだ終わりじゃない!!」

弾幕の後は聖闘気によって強化された脚力で、跳躍と同時の剣撃。
以前使われたのと同じ手に、悠長に引っ掛かってやる程の余裕は無い。
頭蓋の眼窩に納まったアメジストの複眼は、膨大な魔力の放出にも眼力を損なわれず、敵の魔力を感知出来る。
ソナーの焼け付きも感度補正で防ぎ、エヴァンスの視覚は眼前で剣を振りかざすカイザーのシルエットを捉えた。
実体を伴う攻撃では、魔法反射装甲の効力は期待出来ず
格闘戦向きの兵装でない以上、近接時の運動性や回避能力は充分とは行かないが、接近戦用の防御機構も皆無ではない。
「「全くもって元気なこったが、馬鹿正直だな貴様は。
生身で頑張る、誠に結構。しかし残念だが、その、あれだな、そう。これが『進化』ってヤツさ、ベイビー」」


胸部装甲の肋骨の隙間に横並びで空いた複数個の孔、ソニックブラスターが煌いた。
強圧により排撃された空気の層が、陽炎の様に周囲の空間を歪め、球状の真空地帯がエヴァンスを包み込む。
戦場の一切が静止したかの様な、無音の一瞬。


風船の膨らみは弾けた。
ほんの刹那の無音を経て、耳をつんざく爆音が、城壁を打ち震わす。
解き放たれた衝撃の波はオーガス城上空一帯を奔走し、その様はさながら竜巻、
渦巻く颶風の刃の輪を一枚取り出し、城に冠したよう。
魔素を孕んだ暴風は圧倒的な破壊力で城外を席巻すると、本棟を囲む見張り台、尖塔の類から尽く屋根を奪った。
近くを飛ぶ鳥は皆全身の骨を撃ち砕かれ、ぼろ雑巾みたく羽根を散らして彼方に消える。
転がる石も塵芥も陣中から叩き出され、エヴァンスは瞬間の嵐の中を、光の翼で舞って更に上空へ離脱する。
彼の胸には縦一文字に切り裂かれた傷があったが、辛うじて鎧の下の肉には達していない。
やはり腰回りの動きの悪さが、格闘戦向けではない。

「「悪くない勘だが、如何せんやり口が不器用だったな、聖騎士。
さあ、私はもう一手だけ待ってやる。掛かって来い――生きているならば」」

319 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 遅くなってすみませんorz] 投稿日:2006/05/19(金) 01:04:26
>312
いくら探せど目当てのものは見つからず、両膝を付き絶望に打ちひしがれた。
相手の声ももう聞こえない……このまま行けばワシャァ終わりだ。
意識が闇の中に沈む錯覚すら覚える、このまま終わるのか……それはイヤだ。
どうすればいい?、ひたすらに考える。しかし答えは見つからない。

その時眼の前から声が聞えた。
>「おい、ザジン!!お前が落としたのはこのサイコロか?」
バッと顔を上げた、暗闇の中から意識が甦る。
そして軽く投げられた二つのサイコロに我武者羅に飛びついた
「アッ……アアアアァ……!!!」
サイコロを必死に握ると強く強く抱き締めた。
喜びを含んだ呻き声、いや泣き声か……。
そうだワシは『ザジン』確かにココにいる存在、その事実で我が心を保てるのだ。

どれ位たったか、ザジンはサイコロを大事そうに懐にしまうとゆっくり立ち上がった。
「チッ…恥かシい所見られテしもうタな……。」
頭をポリポリと掻きながら舌打ちと共に悪態が出た、しかしどちらかと言うと照れ隠しなのだろう。
「せヤが礼言わナあかんなァ、……オオキニな。」
相手は隙だらけだった自分に攻撃もしなかった、その気になれば葬れた筈なのに。
更には自分が探していたサイコロもこちらに譲ってくれた
コイツは阿呆か……イクサバでかける情けなどあって堪るか。

「それニしてもオマエ……阿呆ヤなァイクサバで敵に情けヲ掛けるたァ『愚の骨頂』ヤで」
笑いながらそのままの感情を相手にぶつけた。
狂笑ではなく心からニンゲン染みた笑い声。
「せヤが、……オマエみたいなどうしョも無い阿呆ハ嫌いヤないで?『宿敵』よォ」
刀を地に差し、腕を広げながら愉快そうに話し始めた。

「ククッ……オマエ、エエ奴ヤなァココまでコロスんヲ惜しくなったンは始めテや。
 実力的にも性格的にもナ。」
もし自分が生きたまま同盟軍にいれば、或いはコイツが魔王軍内にいれば
酒でも飲み交わせる仲にでもなれただろう。
しかし今は違う、互いの立場から退く事は出来ぬ。それにワシにャ奴がいるのだ。
相手はこれ以上に無い程の美味い獲物、ワシが食らわんでも奴が食らってしまう。

だがそれでも
「……どヤ?ワシ等の方へ下らンか?宿敵ヨ」
かつての我が身からは考えられもしない言葉。ゆっくりと話を続ける

「オマエはワシヲ『ザジン』としテ見てクれた、ザジンとして『強者』と言ッてくれた。
 『奴』ヤない『奴』の強さでジャ無く『ワシ』の強さヲ認めてくれタ
 それがワシャァ嬉しゅうテ堪らンのや、その礼ヤ。安心せェ地位は保証しタる。」

一回言葉を切ったが小声で小さく付け足す
「まア……こないナ事言うテも、オマエの答えハ予測はできトるがな……。」

そうなのであるココまで言ったが相手の返答は大体予測できる。
互いに戦いに身を置く者同士通じるものがあるのだ、刀を握り手に力を入れた。
怨霊が刀を体を侵食し、紫色の闘気が湯気の様に立ち上った。

320 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/05/19(金) 02:19:09
>319
サイコロを投げると、ザジンは飛びつくように受け取って、安堵の声を漏らす。
しばらくサイコロを握っていると、ザジンは恥ずかしさを隠すように礼を言ってきた。

>「それニしてもオマエ……阿呆ヤなァイクサバで敵に情けヲ掛けるたァ『愚の骨頂』ヤで」
>「せヤが、……オマエみたいなどうしョも無い阿呆ハ嫌いヤないで?『宿敵』よォ」
先程までの作ったような笑い声とは違い、自然な笑い声で語り掛けてくる。
ザジンは自分を主君の敵ではなく、宿敵と認めたからなのだろうか?

「俺は武道家としての誇りに基づいて行動しただけだ。礼を言われる筋合いはねえよ。
 だが、宿敵と言ってくれたのは嬉しかったぜ。ザジン」


>「ククッ……オマエ、エエ奴ヤなァココまでコロスんヲ惜しくなったンは始めテや。
> 実力的にも性格的にもナ。」
>「……どヤ?ワシ等の方へ下らンか?宿敵ヨ」
>「オマエはワシヲ『ザジン』としテ見てクれた、ザジンとして『強者』と言ッてくれた。
> 『奴』ヤない『奴』の強さでジャ無く『ワシ』の強さヲ認めてくれタ
> それがワシャァ嬉しゅうテ堪らンのや、その礼ヤ。安心せェ地位は保証しタる。」
ザジンは刀を地面に突き刺して、こちらを勧誘してくる。
魔王軍に入れと。
だが、FALCONの答えはもう決まっている。

「悪いが……俺はサタン様の軍門には下れない……
 実は俺……オーガス皇国の武道家なんだけど、サタン様以外の魔王様の軍に入ってんだ……」
そう、FALCONは自分の親の軍に掛け持ちで入ってるのだ。

「お前も魔族なら聞いたことがあるはずだと思うが……
 化け物みたいな……そう、魔王様達に匹敵する位の力を持った人間の男と婚姻を結んだ女性の魔王の話……
 ……実はその二人は俺の親だ……」
遠い目をしながら、FALCONは語る。

「俺は母さんの軍の特別戦闘部隊に入ってる。次代の魔王になるためにな……
 だから、サタン様の軍に入ると、俺は皆を裏切ってしまう……
 敬愛する、俺が魔界に行くきっかけを作ってくれたオーガスさん。
 俺を心配して見守っててくれる父さんと母さん。
 そして……俺を信頼して、魔界で俺の帰りを待っててくれる妻を……俺は裏切るわけにはいかない!!」

体全体に漆黒の気を更に激しく輝かせ……
決意を新たに……
自己を信頼してくれる者達の顔を心に浮かべ……

「第2ラウンド始めようぜ!!ザジン!!」



321 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/05/19(金) 15:46:00
>307
>「わざわざ出向いてきてくれるからな。歩き回ることも無い」
「なるほどな、確かにそうだ。」

>槍は弧を描いてアステラの側面を狙う。
>アステラの背後から細い土の槍が数本飛び出した。
>枯れたイバラが蔦を伸ばし、鎌首をもたげた蛇のように襲い掛かる。
>刃が赤熱し炎が小さく踊る。踏み込みながら逆袈裟に切り上げた。
セシリアは精霊を操る・・・今までは2、3体まで同時に操ったところを見たが、
今回は4体同時に仕掛けてきた。離れている間に成長したのか、元々なのか。
どちらにせよ、精霊による攻撃は独特の波動の予兆がある為いなす事自体は難しくない。
槍を裏拳で弾き、土の槍を身をよじって交わし踵落しで叩き折り、それをイバラに向かって蹴り飛ばす。
そして最後の逆袈裟の炎の斬撃を紙一重で交わした・・・が、炎のリーチを失念して衣服が燃える。
炎は肉を焼くが、お構い無しに後ろ回し蹴りで腹を狙い、同時に右手で魔弾を放つ準備をする。
完全に悪魔と化した今なら、チャージに殆ど時間はかからない。勿論、時間をかければ威力も上がる。

322 名前:冴波&「剣」 ◆QCuhq9l.Ig [sage Tidal w(ry] 投稿日:2006/05/19(金) 18:17:17
>316-317
至近距離で放った紅い水の球は見事に命中した。
といっても、至近距離で放てば避けるのは容易な事ではないだろうが。
しかし、これがまずかったようだ。

>それと同時に殻が割れる様な鋭い音と何か糸みたいな物が切れるブチブチッという鈍い音が鳴り響き
>黒い砂埃みたいな物がぶわっと出て視界を埋めていく。
>「きゃぁああぁあああああああぁあああああああ!」
「なに!?」
悲鳴に驚いて剣を引いて後ろに飛び退る。
・・・そしてそれは姿を現した。

>黒い砂埃が晴れていく。
>視界がじわじわと開いていきそこに現れたのは片膝を付いてる
>右手が醜い直径6mほどの巨大な怪物の手と化していた誓音だった。
「その人間の姿は偽り・・・ということか?」
背中を冷や汗が流れ落ちていく。どうやら、とんでもないものを起こしてしまったらしい。

>「…いきますよ…。」
>冴波の方を再度向く。そして誓音は怪物の手を冴波を掴み潰すため伸ばした。
>?さっきの悲鳴の手とは訳が違う。掴まれれば大怪我物、並の人間なら骨が全身砕けるどころではない。
「くっ・・・!?」
伸びてくる腕を避ける為に、更に後退しようとしたところで眩暈を起こして足が崩れた。
どうやら、先ほどからのダメージが<痛み>という形で認識はしてなかったが・・・。
実際はかなりキていたらしい。足を音の銃弾が貫き、振動が脳を揺さぶっていた・・・。

右足が異形と貸した誓音の腕に掴まれる。
「捕まるわけにはいかない!」
「<未生天:生成・氷槍>」
足元から吹き上がった冷気が幾本もの氷槍を作り、自分の足ごと貫く!
もっとも、急ぐ余りに狙いはままならない。とりあえず脱出できればそれでいい。
痛みがエラーという形で脳内に走るが、それを無視しよう。
とりあえず、即席の氷を足に繋げて代わりとする。

「その姿、守る筈の人間にいつか背かれるだろうな。『バケモノ』だと。」
気づけば、大剣には相当量の赤い水が集まってきていた。軽い『地響き』が砂浜を揺らす。
それは、第二の刀身を形作ってゆく。その長さは数メートルから10メートルに到達しようとしている。
「<未生天:強化・生成⇒空断ちの水剣>」
「・・・砕き、溶かして消し去ってやろう。その姿も!」
巨大な赤い剣が、その膨大な質量を以って誓音へと振り下ろされる!

323 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/05/19(金) 21:14:03
>風船の膨らみは弾けた。
>ほんの刹那の無音を経て、耳をつんざく爆音が、城壁を打ち震わす。

カイザーが剣を振り終えたか終えていないかは曖昧であった。
しかし、エヴァンスの身体…いや、正確には装備の威力であろう。
至近距離で衝撃波をその身に受けたカイザーはいとも簡単に吹き飛ばされた。
尤も、瓦礫や砂埃が舞い上がった影響で何処へ吹き飛ばされたのかは分からなかった。

>「「悪くない勘だが、如何せんやり口が不器用だったな、聖騎士。
>さあ、私はもう一手だけ待ってやる。掛かって来い――生きているならば」」
上空ではエヴァンスの声が響く。カイザーを挑発しているようだ


「やれやれ、ガキは調子に乗ると始末に終えないな。」
空を飛んでいるエヴァンスよりも遥か上空、そんな場所からカイザーの声は響いた。
そして、太陽と同調するかの様に輝く聖闘気をその身に纏うカイザーの姿も上空にあった。
「城を壊したからには、説教とお尻ペンペンぐらいじゃ許してやらんぞ。
 サタンを倒した後に、わざわざ城を建て直す手間が増えたのだからな。」

衝撃波の直撃を受けた瞬間、
このままでは地面に叩き付けられる事を悟り、己の聖闘気を下方向へ爆発させ、上空へと吹き飛んだのだ。
その咄嗟の判断が功を奏したのか、カイザーの傷はほんの軽傷で済んだ。

勿論、飛んでいる訳では無いので後は落ちるだけだ。
「俺は落ちるだけ…だが、貴様ぐらいなら地獄へ道連れに出来る」
カイザーは眼下のエヴァンスに狙いを定めた。
「ブレンテル流、飛翔の技!ジェットストーム!!」
カイザーの周りの聖闘気が光の奔流を生み、聖闘気は一瞬の発光と共に急激な速さで一直線に押し飛ばした。
光の闘気を身に纏って敵へ向かい飛ぶそれは、銃口から撃ち出される弾丸程度では比べ物にならない程に途轍もなく速い。
両手に構えられた剣は、突きの体制でエヴァンスを斬り裂かんとしていた。

324 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/05/21(日) 18:54:20
ついに、同盟軍と魔王軍の最終決戦が始まった。
お互いが鎬を削り合い、相手を討ち滅ぼすべく戦う。
果たしてこの戦いの勝者は……


おっす、オラ悟空。
とうとう戦争が始まっちまったなぁ。
みんな、ものスゲエ気を持ってんから、オラワクワクしちまったぞ。
こりゃ、どっちが勝ってもおかしくねえから、オラも戦いに行ってみるぞ。

次回、騎士よ、今こそ立ち上がれ!!
行くぜ!!大決戦!!

オラはサタンってヤツと一番戦ってみてえなぁ

325 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/05/23(火) 19:47:07
お父さん、次スレ忘れてますよ

騎士よ、今こそ立ち上がれ!!〜行くぜ大決戦!編〜
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1148035082/l50


騎士よ、今こそ立ち上がれ!!〜重なる心と想い編〜

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