1 名前:魔法少女 ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/09/27(木) 19:48:21 0
長い夏休みが明け、魔法学園の新学期が始まった。
今度はどんな事件が起きるのか…今からわくわくしてくるぜ。
輝け青春!燃えろ魂!終わりの無い夢が俺達を待っている!

魔法少女達の冒険は、まだまだこれからだ!!

―――― 魔法少女達と冒険するスレ 5thシーズン 〜 学園生活は命がけ 〜 ――――

この心、決して折れはしない!!

                                ― ロック・ウィル ―
【スレのお約束】
・決定リール&変換受けありです。
(用語については、なな板TRPGまとめサイト「千夜万夜」参照)
・コテ付き参加大歓迎。途中参加も初心者も悪役さんももちろん大大大歓迎!
・名無しさんネタ投下ももちろん大歓迎。
・拾えるネタは極力拾います。ただし自治、荒らし、ストーリーの破壊を狙うような投下は華麗にスルーです。
・好きな時に好きなように投下してOKです。ただしチャット状態はついていけない場合があるので自重して下さい。
・魔法学園が舞台ですが、参加資格は生徒、学校関係者限定というわけではありません。
・版権キャラで登場する場合は、可能ならファンタジーテイストにアレンジして下さい。(原典があれば教えてね)
 なお最強クラスのキャラで参加しても、必ずしも周りが最強認識してくれるとは限らないかも・・・です。
・大切なのはスレを楽しむ気持ち、コテならなりきりとしてなりたっていることです。
・もし何かわからない事があったら、避難所でお気軽にどうぞ。


【過去ログ】
魔法少女と冒険するスレ 4thシーズン(前スレ)
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1185104132/l50

魔法少女達と冒険するスレ 3rdシーズン
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1181023531/

魔法少女達と冒険するスレ 2ndシーズン
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1173987357/

魔法少女と冒険するスレ
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1167716362/

【みんなの憩いの場(質問、打ち合わせ等はこちらでどうぞ) 】
魔法少女達と冒険するスレ 第2避難所
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1190274484/l50

魔法少女と冒険するスレ避難所(前スレ)
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1171556198/l50

(旧避難所跡。たまにメモ投下あり)
http://yy32.kakiko.com/test/read.cgi/trpg/1119683611/


各キャラクターのプロフィールやTRPに関する用語の確認はこちらでどうぞ
PC:http://verger.sakura.ne.jp/
携帯:http://verger.sakura.ne.jp/top/top.htm
(アクセス規制の巻き添え等、書き込めない時の代理投稿依頼スレもあります)

2 名前:魔法少女 ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/09/27(木) 19:50:37 0
テンプレはこちらです。     

名前・     
性別・     
年齢・     
髪型・     
瞳色・     
容姿・     
備考・     
(以下は任意解答欄)     
得意技・     
好きな食べ物・     
好きな偉人・     
好きな生物・     
嫌いな食べ物・     
嫌いな金属・     
今一番欲しい生物の毛・     
保険に入りますか?・     

【備考】     
全部埋める必要はありません。     
ただ、今は学園が舞台なので、知り合いの度合いにあわせてある程度データを明かして下さると嬉しいです。     
(たとえばクラスメートなのに、どんな人なのか全く知らないのでは変ですから)     
それ以外の、たとえばキャラの過去などは、レスの中で徐々に明かして下さいね。     

【テンプレ記載例】     
名前・ リリアーナ     
性別・ 女     
年齢・ 17     
髪型・ 金髪のストレートロング     
瞳色・ 青     
容姿・ 色白で華奢。背はあまり高くない。スタイルは年相応 ←  
備考・ カドゥケウスと呼ばれる杖の所有者。だがそれに伴い、学園で習う魔法が一切使用不可に。  
     杖を装備した時に限り、空間、回復、蘇生、即死魔法が使用可能。  
     ただし使用自体がリスキーなため、自ら進んで使用することはまず無い。  
得意技・応急手当、薬草等の調合  
      ロックバスター(精神エネルギーを弾丸に変化させて攻撃する召喚銃の一種。左腕に装着して使用)  
好きな食べ物・甘いもの     
好きな偉人・(なぜか赤面)・・・ナ、ナイショです。     
好きな生物・犬     
嫌いな食べ物・ゲテモノ系     
嫌いな金属・合金。(肌が弱いので、肌に直接触れるものだとかぶれる場合があるのよね)     
今一番欲しい生物の毛・ フェニックスの羽根。・・・あ、これって毛じゃないよね。     
保険に入りますか?・学園入学時に強制加入した気が・・・あれ?気のせいかな?     


3 名前:魔法少女 ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/09/27(木) 19:55:54 0
【学園についての説明】     

・舞台はファンタジー世界。フィジル島にある魔法学園が主な舞台です.。     
 フィジル島は「魔海域」と呼ばれる、法則を無視した魔の海域の中にあります。     
 (魔海域は、「法則を無視した潮流、乱気流」「突然の魔法無効旋風」     
 「召喚生物強制送還地帯」などが特に有名です)     
・一度学園に入学したら卒業(三等課程合格)まで島を出ることは叶いません。     
・学園は全寮制、男女共学です。     
・魔法学園の施設は西洋のお城のような外観をしています。     
・女子寮、男子寮は校舎と同じ敷地内にあります。カフェテリア等一部の施設は男女共通です。     
・女子寮内外には侵入者避けのトラップがあります。要注意。     
・校舎には校庭があります。     
・校舎の裏手には霧のかかった森があります。 森の奥深くには強力な魔物や貴重な生物が住んでいるという噂です。 
・森の奥深くには庭園があり、近くにはかつて新魔法研究の為に使われていたらしい施設があります。 
 施設の中には何に使うのか分からない装置が置いてあります。
  
・描写されていない施設等に関しては、整合性さえ保っていれば好きに設定投下してOKです。     
・三等過程合格者には指輪が与えられ、学園内の立ち入り禁止区画に出入り可能となります。     
 また、「ゲート」を使用し街へ出られるなど、一般生徒より優遇されます。     
・寮部屋に関しても一般生徒は大部屋ですが、三等課程卒業者以上になると個室が与えられます。     
(生徒での参加者は、基本的に三等過程卒業者以上とさせていただきます)     

・学園地下には広大な図書館があります。管理人はオルビア・ターナー先生です。     
・薄暗く本を読む時は上に持っていく、またはランプを貸してもらうという珍しい図書館です。     
・置いてある本は古今東西から集められたもので膨大です。     
・なお、一般生徒立ち入り禁止区域であるDレベル以下の階層には危険な本が多く保管されています。     
 地下にどれだけ広がっているのか不明の階層で、そこに在るのは全て魔本です。     
 本から漏れ出たモンスター、怪異現象が巻き起こっている世界でもあります。     

【カリキュラムについて】     
卒業までには幾つか試験があります。     
最初の試験(卒業試験という名称)に合格すると、三等課程合格という事になります。(第一部参照)     
・次に各分野を広く浅く学ぶ二等課程へ進学します。二等過程卒業すると、一等課程へ進学。     
・一等課程は二等課程で選択した分野を使った応用編。より実践的な分野を深く学びます。     
・なお、二等課程からは月一の割合で課題や指令が出されます。     


4 名前:魔法少女 ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/09/27(木) 19:56:41 0
(参考資料)   

【第一部】   
念願の試験にみんなで合格しました!   
これで卒業と喜んだのもつかの間・・・なんと私達、卒業までに受ける試験のうち   
一番最初の試験にパスしただけでした。   
学ぶべき事も、覚えなくてはならないことも山積み。   
卒業までの道のりは、まだまだ遠く険しいみたいです・・・。   

【第二部】  
闇の魔法使いマリアベルによる、学園襲撃事件の顛末です。  

幾つもの人格を持つマリアベルは、ある生徒に成りすまし学園内に侵入しました。  
マリアベルの人格のうちの一人は、学園内に大量の悪魔を召喚し、  
混乱に乗じて建物を破壊し塔へと再構築させました。  
襲撃の際殆どの生徒たちは転移ゲートから島の外へ避難しましたが、  
学園に残った生徒や教師もゼロではありませんでした。  
彼らは協力し、悪魔やマリアベルに戦いを挑みました。  
激戦の末、マリアベルは退けられ学園に平和が戻りました。  

事件直後にはさまざまな憶測が流れていました。  
マリアベルは何らかの儀式を学園で行おうとしたとも、何かを探していたとも囁かれていましたが、  
何れも噂の域を出ることはありませんでした。  
そうこうするうちに夏期休暇に突入したため、事件は徐々に人々の記憶から薄れつつあるようです。  

※一般生徒、教師用に発表された説明を基にしているため、事実と異なる部分があります  
  真実を知りたい方は過去ログ参照。 



・・・では、素敵な学園生活を! 

5 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/09/29(土) 00:22:02 O
前スレ329
食べ盛りの学生達が集まる食堂は正に戦場と化す
その最前線で切り盛するおばちゃんは正に屈強なる古ツワモノと言える
そんなおばちゃんに封じられた状態のキキが体当たりしようと蚊に刺されたにも感じない!
逆にキキが吹き飛ばされる!

6 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/09/29(土) 01:49:05 O
「フンギャ!」
オバチャンの足腰はキキが予測していたよりも強靭だったらしく、弾きかえされてしまった。だが、倒すことが目的ではない。
背中にぶら下がる鰹節玉を確認し、キキは満足げに立ち上がった。
どうやらオバチャンはドリル女に気がいって気が付いていない。
「一歩でも動いてみぃ…悪夢の始まりでおじゃる。」
そう呟き、キキは皿と代金を払い裏口へ向かったが、幼子達が道を塞いでいるではないか、よく見ると先程の子猫もいるではないか。
「これこれ、苛めるでない」
幼子らは振り返るや否や、叫び声をあげながて逃げていった。
「むぅ…久しぶりに怖がられたでおじゃる…まぁよい」
そういうとキキは猫リリアーナを頭に乗せる。
「…ここで会ったのも何かの縁じゃ、お主にはしばらく麿のお供でもしてもらうでおじゃる」
食堂内でポンッという音が聞こえた瞬間、キキは火翔で空へ舞い上がった。
きっと今頃は鰹節まみれになって唖然としているオバチャンと、濃縮されて悪臭の域まで達した鰹節の臭いでパニックが起こっているだろう。
それに近所の猫らが群れて、食堂へ突撃している光景も見える。

7 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/09/29(土) 20:06:02 0
前スレ>325 >6
初等部の子供たちは、眠っている(本当は目を回している)子猫を拾って大喜びだ。
「可愛い!次は僕にも抱かせて〜」
「だめだよ、順番だよ。ところで猫ってどこ触ると喜ぶんだっけ?」
「・・・・・・にゃ?!フギャ ――――!!」
我に返った子猫は、自分が小さい手に揉みくちゃにされていることにパニックになった。
『ちょっとあなた達止めなさいよ冗談じゃないわよやったらぶん殴るわよ!!』
ぶわっと毛を逆立てて子供たちを威嚇するが、全く効果が無い。
「ところでこいつ、オス?メス?」
「ひっくり返せば分かるんじゃない?」
リリアーナ絶体絶命!―――― と思われたそのとき!

>「これこれ、苛めるでない」 
まさに天の助け。
子供達は声の方に振り向いた.
その途端、まるで蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
(た・・・助かった・・・の?)
頭と言わず背中と言わず撫でまわされたリリアーナの毛並みはボロボロだ。
『ありがとー助かったわ。あら?あなたはさっき寮で会った人?』
少女は鰹節の香りがする手でリリアーナを抱き上げ、自らの頭の上に降ろした。
リリアーナは少女の頭に堅い出っ張りがあることに気づいた。
『何だろこれ。持ち手?(違います)』
>「…ここで会ったのも何かの縁じゃ、お主にはしばらく麿のお供でもしてもらうでおじゃる」 
『ええぇぇぇえええ?!』
少女はまた例の変わった術を使い、天高く舞い上がった。
だーっとリリアーナの両目から滝のような涙が流れ落ちた。
元の姿に戻るという目標から、ますます遠ざかっていくイメージである。

「わーん!フリージアにメラルさーん、たーすけて――――!!」
リリアーナは地上の友達に助けを求めた。
眼下に見える食堂には、なぜか猫が終結しているようだ。
そういえば、おばちゃんその1らしき雄たけび(悲鳴?)が聞こえる気がする。
ここまで漂ってくる鰹節のいい香りと何か関係あるのだろうか?
(あ・・・まさかフリージアは猫寄せの魔法でも習得したのかしら)
そんな魔法は聞いたことは無いが、猫好きの彼女ならやりかねない。

そうこうしているうちに、猫耳のマッチョな大男と戦っているロックの姿見えてきた。
『ロック助けて ――――!!』
ドップラー効果を残しつつ、キキと子猫はロック達の頭上を通過した。

8 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/09/29(土) 21:14:17 O
前スレ>>323
「くそっ!どうすればいいんだ!」
目の前の敵との、あきらかな力量の差に、ロックは途方にくれていた。
>「力で押すだけじゃあっしにゃ勝てないっすよ?」
猫耳のおっさんは、勝ち誇った表情で上腕二頭筋をアピールしている。
「まだまだぁ!!」
ロックは、先程から何度もしているように、猫耳のおっさんに殴りかかった。
>「そいやっさ!」
そして、先程から何度もされているように、猫耳のおっさんに放り投げられた。
「ぐっ!?はぁっ!!」
ロックは地面を転がりながら、その反動で立ち上がった。
>「ふむふむ、受け身はうまくなったっすな。」
猫耳のおっさんは余裕の表情だ。
(何て事だ、こんなふざけた奴に苦戦するとは!俺はこの程度の力なのか!?)
ロックの心が折れそうになったその時だ。

>>7
『ニャオー、ウミャミャ!!(ロック助けて ――――!!)』
上空から、聞いた事があるような猫の声が聞こえてきた。
見れば、猫のリリアーナが見ず知らずの少女と共に空を飛んでいるではないか。
「なっ!?リリアーナ!!」
ロックはここで“ドーン”と閃いた。
「そうか…そういう事だったのか!なんという巧妙な罠だ。」
どうしたの?といった感じの猫耳のおっさんを尻目に、ロックはこんな事を言い出した。
「リリアーナを猫に変えた後、明らかに怪しい奴が学園を徘徊する。
 すると、当然そいつが犯人だと疑われて、いっきに人目を集める事になる。
 その隙に、別の仲間がリリアーナを誘拐するというわけか。」
>「なんの事っすか?さっぱりわからないっす?」
「ごまかそうとしても無駄だ!お前達のやっている事は、
 全部・すべて・まるっとお見通しだ!!」
ロックはびしっと猫耳のおっさんを指さした。だが、格好つけている場合ではない。
リリアーナの保護が最優先、そう思ったロックは先程の少女を追い掛けようとした。
>「待つっす!勝負はまだついてないっす!」
「ちっ、どうしても邪魔をするのか!!」
ロックを猫耳のおっさんは逃がそうとしない。
「負けてられないんだよぉ!あんたなんかに!!」
ロックの戦いは、まだまだ続きそうだ。

9 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/09/30(日) 05:39:33 P
>6>7

ボンッ!
という音がして破裂する鰹節球
そして集まってくる猫、猫、猫!
「ジメンガ3でネコガ7ダ」
「まあv猫ちゃんの大群ですわv」
フリージアはものすごく幸せそうだ
早速一匹捕まえてモフモフしている
「どれが雌だ?」
さっきの男子生徒は早速魔法薬の材料の雌猫の髭を確保しようと行動を開始している

「あら?全部で100匹ですわね・・・・100匹?」
何匹いるか数え終わるフリージア
以前とある事件で100匹の猫達と出会ったことがある
良く見ると100匹が100匹ともその時とまったく同じ猫達だ
「すごい偶然ですわねvそれとも運命かしらv」
「ヒャッピキノネコデンセツ?」

その傍らで猫嫌いのおばちゃんが悲鳴を上げている
「あんぎゃ〜!!」
今にも暴走しそうな勢いだ

10 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/09/30(日) 13:52:55 0
メラルの質問に対し、ロックが説明をした。
フリージアも何かを言いかけたようだが、ロックに説明を任せたようだ。
>「メラル、あれは猫だ。」
(…そりゃ…そうよね。)
>「でも、あれはただの猫ではない。ずばり、迷い猫だ。
  俺は、この猫の飼い主は、今日やって来る転校生ではないかと睨んでいる。
  ところで、この猫変なんだ。このおっさんがこの猫に“ヒンニュー”とか、
  “洗濯板”とか言ったら、急に怒っておっさんに襲いかかったんだ。」
「…ということは、そこの吸血鬼は恐らく正体を知ってる…そういうことね。」
(猫は…人間が変化した猫ね。それも女性。でも、猫のまま襲い掛かるって事は、変化は自分の意思じゃなさそうね。)
説明を聞き、返答してから考えていると…ヴァンエレンから猫じゃらしを投げてよこされる。

深く考えずに猫じゃらしを受け取ったメラルは、猫に視線を落とし、
少しの間頭が真っ白になった。人が化けているとしか思えない猫が、
猫じゃらしに興味津々な様子なのだ。途中、寮で会った転校生が近くを通ったのだが、
それにも気付く気配はなかった。
(まぁ…世の中、こういう事も…あるわよね。)

少しして我に返り、状況を改めて確認する。
吸血鬼が猫に変身しているらしく、猫同士で会話しているようだ。
ロックは"犯人探し"をするような事を言って去っていってしまった。
話を聞く限り、この猫はリリアーナだと、ロックは確信しているらしい。
(でも…この猫がリリアーナなら犯人探しよりも何よりも、
 リリアーナを戻すことが優先じゃないかしら…?)
行動に疑問は感じたが、止めて止まる相手でもなさそうなので黙って見送った。

話を聞き終えたヴァンエレンが、随分とアレな脚色を混ぜて説明をした後で、
解決方法も提示してくれた。何故逃げ腰なのかはわからないが…
その場をさっさと去りたそうにしている。
(図書館Dレベル…許可のない立ち入りは禁止の区域だったはずだけど…
まぁ、とりあえず犯人は想像がついたわね。フリージアが一線を越えた
可能性は流石にないだろうし。…全く…。)
溜息をつくと、ヴァンエレンに言った。
「ありがとう。…助かったわ。…え?」
が、直後。自分でも間抜けとしか言いようがないような声を出してしまう。
リリアーナが食堂に突っ込んでいったのだ。仕方なく、メラルはその後を追った。
ただし、早足で歩いてだ。猫を駆け足で追って食堂に入っていく気にはなれなかった。
フリージアが追っている以上見失う可能性は少ないというのもあったが。


メラルがフリージア達に合流した頃には、リリアーナが食堂のおばちゃんに捕まっており
フリージアは男子生徒と険悪な空気になっていた。レイド先生が近くにいたが…
メラルは助力を願おうとはしなかった。レイド先生の雰囲気を見て、
頼んでも動いてはくれなさそうだと見ていたからだ。
リリアーナが外に追い出されてしまい、フリージアが食堂のオバチャンに文句を言っている。
その様子を見て、止めに入るタイミングを図っていると…先ほど廊下で出会った転校生が
近寄ってきて、…オバチャンの近くで転び、オバチャンに跳ね返される。
そして少しすると…ボンッ!という音と共に凄まじい悪臭が辺りに広がる。
メラルは、鼻と口をハンカチで押さえて音の方を見る。と…
鰹節まみれになったオバチャンの姿があった。
(…これが原因…かしら?だとすると…)
メラルは慌ててその場から離れようとする。
フリージアに対しては何かを言う余裕はなかった。
もう一人ついてきていたのは気付いていたが、こちらに対しても何かを言う余裕はない。
既に猫は集まり始めつつあり、臭いとの相乗効果で既にパニックは始まっていたからだ。

二分ほどして…メラルは何とか食堂から脱出した。
そしてそのまま杖で空に逃れ、一度食堂のある建物の屋上に着地してリリアーナの魔力を探し始める。
(この事件について考えるのは後ね。…まずはリリアーナを…。)
そして、少しすると…メラルが杖に乗り、飛び立って行った。

11 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/01(月) 16:59:14 0
リリアーナのお腹がぐぅと鳴った。
そういえば、まだ朝から何も食べてない。
『お腹すいた〜何か食べさせて〜』
キキの頭上でリリアーナはへたり込んだ。

>9
突如、どーん!という轟音があがった。
「にゃ〜?」
リリアーナは目を凝らした。
どうやら誰かが食堂の壁をぶち破ったようだ。
その何かは雄たけびを上げている。・・・人、なのだろう。
>「うおおぉぉぉぉおおおあああああぁぁぁぁぁ――――――――!!!」
時折ものすごい音がして、人や木や石像が空高く舞いあがった。
どうやら雄たけびの主は、目の前に立ちふさがる障害を全て跳ね飛ばしているようだ。
雄たけびはますます近づいている。
リリアーナは思わず全身の毛を逆立てた。

ずばーん!と体育館の壁をぶち抜き現れた人物に、リリアーナは驚怖した。
『何あれ?・・・まさか?!』
鬼気迫る形相で暴走するのは、リリアーナをつまみ出した食堂のおばちゃんだった。
だが驚いたのはそれだけではない。
おばちゃんの背といわず腕と言わず、無数の猫がぶら下っている。
ぶら下がっているだけではない。数え切れない猫がおばちゃんの後を必死で追っていた。
猫たちの目は心なしかハート形になっている気がする。
『なんか・・・いい匂い〜』
どうやら鰹節球の効力は、お腹をすかせたリリアーナにも有効なようだ。

おばちゃんは招き猫広場に向かっているようだ。
『ねえあなた、おばちゃんを追いかけて!』
リリアーナは肉球で、ぺしぺし少女の額を叩いた。

>10
遠くに見える人影はメラルだろうか?
「にゃ〜ん」
とりあえずリリアーナは尻尾を振って合図してみた。

12 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/01(月) 20:13:34 O
「おおっ!?はぁっ!!」
ロックはやはり猫耳のおっさんに投げられていた。
ここで、ロックにもある変化が現れていた。
どうして投げられてしまうのかを考えるようになったのだ。
(要は、おっさんの両手に掴まれるから投げられるんだ。)
ロックは、どうすれば猫耳のおっさんに掴まれなくなるかを考えた。
(そうだ、おっさんの両手を使えないようにすればいいんだ!)
こう結論づけたロックは早速、思いついた事を実行することにした。
「よう、おっさん!あんた、投げるのがうまいなぁ!でも、結局はそれしか能が無いんだろ?」
ロックは猫耳のおっさんを挑発し始めた。
「だいたい、相手が殴りかかって来るまで待って、掴んで投げるなんて男らしくないぜ!
 あんたも男なら、自分から殴りかかってこいよ!うん?あぁ、そうかそうか、
 あんたにはそんな勇気なんて無いんだよなぁ、こ・ね・こ・ちゃん。」
子猫ちゃんと呼ばれ、猫耳のおっさんがキレた。
>「こっ…コネコチャン…?子猫ちゃんだとぉ!?あっしを子猫ちゃんって呼ぶなぁぁあ!!」
猫耳のおっさんは右拳をぎゅっと握りしめた。
>「やってやるぅ…やってやるっす!ぬぉぉお!!」
猫耳のおっさんが殴りかかって来た。ロックの挑発が成功したのだ。
(ここからが本番だ。問題は“これからやる事”に、俺の手が耐えられるかどうかだ!)
猫耳のおっさんの拳が目の前に迫ってくる。
(目をつぶるな、目をつぶるな、目をつぶるな…今だ!)
猫耳のおっさんの拳が顔にめり込むまさに直前、ロックは魔法の呪文を叫んだ。
「ハードニング!!」
そのとたん、おっさんの拳が、ノーガードで構えていたロックの顔面に直撃した。
ロックは布が裂けるような音を出しながら、ごろごろと転がり、吹き飛ばされた。
やっと止まったロックは、仰向けに大の字になったまま動かない。
>「…硬化魔法っすね。」
猫耳のおっさんは、殴った感触を反芻しながらぼそっと呟いた。
ロックが殴られる前に唱えた魔法、ハードニングは体を鋼のように硬くする魔法だ。
>「硬くなった自分の体をわざと殴らせて、あっしの拳を砕こうとしたんすね。」
猫耳のおっさんは確かめるように、右手を開いたり閉じたりした。
>「発想は良かったっす。でも相手が悪かったっす。あっしの拳は、そんなやわな拳じゃないっす。」
果たして、ロックはこのまま猫耳のおっさんに負けてしまうのか。


13 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/02(火) 10:39:01 0
>11
今にも暴走しそうだと思っていたら案の定暴走した
>「うおおぉぉぉぉおおおあああああぁぁぁぁぁ――――――――!!!」
ドゴオオオオオオン!!
「カ、カベガ・・・・」
「なんていうパワーですの・・・・・そのうちお残しは許しませんでとか言いそうですわ」
唖然とするフリージア
確かにフリージアも頑張れば壁ぐらい壊せる
だがそれは氷結根で何百回叩いてやっとの結果だ
それをこのおばちゃんは・・・・・
「ギャグダカラジャナイ?」
「それを言ってはいけませんわ!」

「ソレヨリオイカケナキャ」
「そ、そうですわね!!」
たくさんの猫が食堂のおばちゃんを追いかけている
フリージアもその猫と一緒におばちゃんを追い掛けた
「今のおばちゃんは危険すぎますわ!早く引き剥がさなきゃ」

フリージアはおばちゃんが走っていく方向を見た
「あの方向は招き猫広場・・・例の事件があった所ですわ!!」

フリージアはあの招き猫誘拐事件のことを思い出した
そういえばあの事件の時リリアーナさん魔法陣の中に突っ込んだっけ・・・まさか!?
いえ・・・それにしてはずいぶん猫ちゃんになるまで間がありますわね
色々考えながらフリージアは招き猫広場に急いだ

14 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/10/03(水) 08:06:54 0
「あqwせdrfgtyhじゅいこlp;:@!!!」
おしゃべり厳禁、飲食禁止の地下図書館で、禁止事項をまっこうから無視している吸血鬼の叫び声が図書館中に響いた。
先ほど仕入れた血液入り紅茶で優雅なティータイムとしゃれ込もうと、一口を味わおうとしたらそりゃもうすごい味がしたわけだ。
よく見るとカップの中はマグマを連想せんばかりの混沌に包まれている。
その異常は普通に見れば気がつくわけだが、行儀悪く本を読みながらだったための不覚だった。
喉を通り胃へと達したカオスはキリキリと消化器官を刺激している。
ヴァンは痛む腹を押さえながら、なにが間違ったのだろうと思案する。
使い魔への味付けの教育は完璧だ、なので間違うはずもない。
じゃあなにが原因なのか、ヴァンの思考は素材の大元であるロックに原因があると決めつけた。
あいつの血液は想像を絶する味だったのだと、いくら作り手が一流だろうと素材が腐っていては美味いものなど作れない。
おのれ人間風情が調子に乗りおって、後悔させてやるぞと勇ましく吸血鬼は胃腸薬を服用した。
ただ血の味がまずかったから難癖をつけて戦争までおっ始める、途方もなく我侭な魔物が吸血鬼という種族だ。
ただこのヴァンと普通の吸血鬼の違うところは直接手を下そうとするのではなく、なるべく自分が戦わないようにすることだ。

>「おや、一日に二度も地上にでるなど珍しいですね。
 さては好きな人でもできましたか?」
相変わらず胡散臭そうな微笑みを浮かべて、ヴァンをからかっているのは図書館の管理人であるオリビア・ターナー氏である。
「ふざけたことをぬかすな!
 人間が私を愚弄するので少々痛い目をみさせてやるだけだ。
 邪魔をするなよ?」
>「いえいえ、偉大なヴァンエレン様の凱旋をお待ちしておりますよ。ふふふ」
心底苛立った予想通りのリアクションに管理人もご満悦のようだ。
ターナーの様子から生徒が傷つく心配など一切なく、それほどまでにこの吸血鬼のヘタレぶりは信頼のおけるものだったのだ。
ヒラヒラと手をふりながらヴァンを見送るターナーは始終笑みを絶やさなかった。


>12
斥候に放った蝙蝠がロックの位置を特定するや否や一目散にその場へと急行すると、盟友『猫耳』と死闘を繰り広げている様が眼に入る。
ロックが猫耳に顔面に向けた強烈な一撃に飛ばされる。
>「発想は良かったっす。でも相手が悪かったっす。あっしの拳は、そんなやわな拳じゃないっす。」
痛めつけられるロックを見て血がまずいことに対してさほど憎しみもなく、すっとした晴れやかな気分になった。
「猫耳よそれくらいで十分だ、こいつはもうすでに負けだ」
>「……いつの間にいたんすか?気付かないようじゃあっしもまだまだっすね。」

15 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/03(水) 11:00:12 0
ヴァンエレンを笑って見送ったターナー。
ヴァンが残していったカップに手をつけ一口飲み微笑む。
「なかなか美味しいではありませんか、ふふふ、
 この胸焼けを起こしそうなほどの濃密な味。これが分からないとはまだまだ子供なのでしょうかねぇ?」
そして自分の机に置いてある本を一冊取りページをめくる。
「ふふふ、今日もまた色々とにぎやかで騒がしいですねこの学校は。」
開かれたページには食堂の見取り図、それだけじゃない、ページをめくっていくと学校ほとんどの場所の地図が描かれている。
そしてそれぞれのページには生徒や先生の名前が書いてある人型の絵が本の中を動いている。
そう、今まさに現実に起こっていることがこの本の中でも起こっているのだ。
「………さて、また今日は皆さん何をやらかしてくれるんでしょうかね、楽しみですよ、ふふふ。」

16 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/10/03(水) 20:08:37 O
おい。誰か今の状況を手短に分かりやすく説明してくれ。
俺の思考回路は休業中らしいからさ。
俺は食堂でソバを食ってただけなのに、何だこの騒ぎと悪臭は?
俺には満足に食事をする権利すら無いのか?
つーか誰の仕業だよ。
絶対に許さんぞ……。
とりあえず、食堂から出ますか…。

さて、今日1日何をして過ごそうか…。
何だかヘボ吸血鬼を探すのも面倒くさくなってきたな…。
くそっ、教頭が起こしに来なければもっとゆっくり寝れたのに…。
仕方ない、暇潰しに職員室にでも顔出すか。

【職員室】
「ち〜っす。」
職員室に入るなり教頭と学園長の姿を確認するが、どうやら居ない様だ。
>「あれ?珍しいですねレイド先生。
休みなのにこんな時間に起きてるなんて。」
「ああ、今日は午前中ずっと寝てるつもりだったのに、誰かさんに騙されてさ〜。
退屈なのよ。
それはそうとエース先生、もしフリージア達が来たら力になってやって欲しい事があるんだけど…。
どうやらまた、面倒な事に首を突っ込んでるらしいんだよ。」
俺のセリフを聞いた途端、エース先生はワザとらしく驚いた様な顔をした。
>「どうしたんですかレイド先生?
面倒事に首を突っ込んでる生徒の面倒を見るのが趣味じゃなかった�

17 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/03(水) 20:27:42 O
>>14
>>「猫耳よそれくらいで十分だ、こいつはもうすでに負けだ」
>「……いつの間にいたんすか?気付かないようじゃあっしもまだまだっすね。」
「…誰が負けたんだって?」
大の字のロックが唸った。猫耳のおっさんは、いつロックが殴りかかって来てもいいように身構えた。
「教えてくれよ、誰が負けたんだって?勝負はまだ始まったばかりだってのにさ。」
ロックは仰向けの体勢から足を持ち上げ、ぴょんと跳ね起きた。どくどくと鼻血がしたたり落ちる。
「この勝負、俺が勝つ!」
ロックはニッと微笑んだ。怪訝そうな顔をする猫耳のおっさん。
ロックは、これを見ろ、とばかりに手に持った布切れをかざした。
>「うん?……あっー!?」
猫耳のおっさんは変な声をあげてびっくりした。
猫耳のおっさんは、寒い時でも、己の大腿筋をアピールするために短いズボンを履いている。
その正面部分が大きく引きちぎられ、そのちぎれた部分をロックが持っていたから驚いたのだ。
要するに、猫耳のおっさんの大切な部分が今しっかり露出しているわけだ。
>「どっ、どうなってるっすか!?」

さて、なぜこんな事になったのか?
ロックの作戦は猫耳のおっさんを挑発し、殴りかからせる事から始まる。
おっさんが殴りかかった瞬間、ロックはおっさんのズボンに指をひっかけたのだ。
勝負は一瞬だった。おっさんに気づかれないように瞬時に指をひっかけるのも難しいし、
また、ひっかかったとしても指が耐えられなければ意味が無い。
さらに、拳が到達する寸前に硬化魔法を発動させる必要もあった。
まともに殴られたら致命傷になると直感的にわかっていたからだ。
以上、全てが満たされれば、後は猫耳のおっさん自身の力によってズボンは裂ける。事実、そうなった。

猫耳のおっさんは、ぱっと両手で股間を隠した。ロックは待っていたとばかりに距離を詰める。
一秒の何分の一でも、両手を塞ぐことができればロックの作戦は成功だ。
「はあっ!!」
ロックの右ストレートが猫耳のおっさんの顎を捉えた。
猫耳のおっさんは股間を押さえたまま、がくんと膝を落とした。
「今のは、猫に変えられたリリアーナの怒りだ!そして、こいつはぁ!!」
今度は左フックを放った。猫耳のおっさんの顔が激しくこじられる。
「お前のせいでイメージを傷つけられた猫耳の怒り!そして、こいつは…」
ロックは最後の一撃を決めるべく、体をぎゅっと捻った。
「あんたに不覚をとった俺の!俺自信への怒りだぁぁあ!!」
ここで、世界がぐらぐら回りながら急に真っ暗になった。


それから十数分後、ロックはその時何が起こったのかを保健室のベットの上で知ることになる。
自分は猫耳のおっさんを殴ろうとした瞬間、貧血を起こして倒れたのだ、と。
「俺は負けたのか?」
ロックはベットに寝たまま、くやしそうに呟いた。


18 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/05(金) 09:33:26 0
ここは招き猫広場
結局、暴走したおばちゃんはここまで走ってきたようだ

「あの事件の時は猫ちゃんといっぱい触れ合えて良かったですわv」
あの招き猫誘拐事件のときの猫の感触を思い出して恍惚の表情を浮かべるフリージア
「ソレヨリネコヲタスケナキャ」
ギズモはトリップしているフリージアにそう急かす
早くしないとおばちゃんが猫を襲いかねない
「そ、そうですわね」

さてどうしようか?
おばちゃんはその身から発している鰹節の匂いのせいで猫ちゃんに追いかけられているわけで・・・・・

「そうですわ!!おばちゃんの匂いを変えれば猫ちゃんはおばちゃんから離れるはずですわ!!」
「グタイテキニハ?」
「これですわ!!」
フリージアは胸の谷間に腕を突っ込んで香水の瓶を取り出した
その揺れる胸にはきっと夢と希望が詰っている
何でそんな所に物を仕舞っているのかは謎だ

そうして取り出したのはジルベリアの名物 フリージア(花)の香りの香水だ
「急ぎますわよ!!」
フリージアは空飛ぶ雪の結晶を作り出し先回りをするために急いだ

先回りしたフリージアは空中でおばちゃんに向き合った
「今ですわ!!」
プシュゥゥゥ・・・・
上からおばちゃんに降りかかるフリージアの香水!

さあその目論見は成功するのだろうか?

19 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/10/05(金) 17:08:47 0
>17
勝敗がついたと思えた勝負はまだ終わっていなかった。
ロックの機転を利かせた攻撃は防具破壊となり、ズボンが本来の役割を成さないほど破けてしまった。
あらわになる『赤いフンドシ』、顔を赤らめてそれを隠すおっさん。
どこの乙女だと眼の毒になるような光景を見てしまったヴァンは頭を抱える。
両手が塞がったときを好機とみてロックはさらに攻撃を加えんと大きく詰め寄った。
ぐらりと身体が傾くとそのまま支えもなく力なく倒れそうなところを複数の使い魔に命じて、地面に直接ぶつかるのを防ぐ。
「猫耳よお前ははやくズボンを履いてしまえ。
 夢にでてきて一週間は悪夢にうなされそうだ。
 こちらの生徒は私が無事に保健室まで連れて行く」
蝙蝠は少し重そうに感じながら、それでも落とすべからずと慎重に目的地までは服を引っ張って運ぶ。
>「あ、ちょっと待つっす!そいつが起きたらこれを渡して欲しいっす。」


>「俺は負けたのか?」
ベッドに寝かされていて意識が戻ったロックが最初に見たものは本を読んでイスに座っているヴァンの姿だった。
「勝敗を直接決めたのは猫耳の拳ではなく、ただの貧血らしい。
 採血後の激しい運動はいけないと馬鹿レイドに教わらなかったか?」
本から視線をまったく離さずに無表情で坦々と語る。
ややあって熱心に読んでいた本をパタンと閉じると、懐から取り出したのは液体の入った試験管。
「これを飲めば2日間だけ猫の言葉がわかるようになる。
 私からの贈り物じゃないぞ?
 猫耳が小さき挑戦者の勇気を称えた品で、きっと必要になるものらしい。
 それと、猫耳は犯人ではないとだけ言っておこう。
 そんなくだらないことをするような奴ではない」
ヴァンは負けたことに悔しそうにしているロックに試験管を投げると、毒々しい紫色のそれはロックの手に渡ったのだった。
伝えることが終わり用は済んだと早々に立ち上がると、使い魔を招集させて撤収する準備に取り掛かる。

20 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/10/05(金) 23:51:44 O
>16の続き
>「どうしたんですかレイド先生?
面倒事に首を突っ込んでる生徒の面倒を見るのが趣味じゃなかったんですか?」
どんな趣味だよ。アホか。
「俺はマッチョなオッサンの次に面倒事が嫌いなんだ。」
>「ふふっ…まあ僕は別に構いませんが…。
ホントに手伝ってあげないんですか?」
なかなかしつこいね、君。
「ああ、今回は遠慮しとく。
つーかこれから面倒事に付き合うのはやめにしたんだ。
つー事でよろしく。
バイバイ。」
そして俺は職員室を後にした。
部屋に戻って寝ようかな…。

21 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/10/06(土) 13:28:06 0

少しして、何とかリリアーナの魔力を捕捉し、そちらに向かうメラル。
リリアーナですら誰か確証が持ちきれない程距離がある状況では、
メラルには、猫の尻尾での合図を今はしっかりと見ることは出来なかったが、
それでも…ただじっとしてはいない猫と、その猫を頭に乗せて
術で飛んでいる人間…キキの姿がかろうじて見えた。
「…魔力はあっちの方から…よね。でも、相手がしっかりと見えない…
 もう少し近づかないといけないわね。」

下の方で、唐突に轟音が聞こえた。驚いて音のしたほうを見ると、
全身に猫をぶら下げた何者かが見えた。顔は見るまでもない。
食堂のオバチャン…以外ありえないだろう。壁を破壊している
理由がわからないが。そして、そのオバチャンの後を多数の猫と、
そしてフリージアまで追いかけている。
「…シュールな光景ね…。ここらしいと言えばここらしいのかもしれないけど。」

そして、改めてリリアーナ達に視線を戻す。…と、相手の姿がある程度しっかりと
見えるようにはなってきていた。どこかで見たようなスーツ姿である。
(…あれは、もしかして…。……あの転校生?何でまた…。)
それを確認して、驚いたものの…すぐにリリアーナを開放する手立てを纏め始める。
(事情を話すのも微妙よね。かといって変な嘘もつけないし…。
…いえ、この際仕方ないわね。とりあえず、まずは追いつかないと…話にならないわ。)
そして、手立てを見つけると…そのまま追走を続けた。


22 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/10/08(月) 02:11:17 0
「フフフ…実に滑稽でおじゃる」
雄叫びをあげ暴れ狂うおばちゃんを上空で確認すると、キキは満足げな微笑を浮かべる。
そうすると、頭の猫リリアーナが小突いてきた。
「思えば…お主も猫でおじゃったな…アレは匂いだけじゃ追うだけ無駄…
 一通り散策し終えたら父上から頂いた新巻鮭を馳走するぞよ…
 父は戦いの次に新巻を仕込むのが得意でおじゃるからな…きっとお主の口にも合うでおじゃろうて」
そう言ってキキは猫リリアーナの頭を撫でると動き出した。
そのとき、メラルの姿を確認したが、別に気にしなかった。。
きっと高見の見物か、散歩か…せいぜいその程度のことで頭の猫を追っているとは毛頭考えては居ない。
とりあえず、去り際に軽く手を振って挨拶をし、その場を去った。

「さてと…まずは職員室にでも赴くでおじゃるか」
開いている窓から校内へ入ったキキは早速職員室へ向かい始めた。
元々職員室に行く予定を遅らせて食堂へ行ったのであるから、不自然ではない。
懐から校内地図を取り出し場所を確認するとキキはゆっくりと歩き始めた。
休日の校舎…外の騒ぎとはまるで関係ないかのように静まり返りキキの足音のみを響かせる。
「…実に…実におかしい…朝焼けに染まる校舎も中々だが、昼間の物静かな情景も…実におかしいでおじゃる」
愛での言葉を囁いた瞬間、中庭からのゾクリとする視線を感じ、背筋が凍った。
キキは足を止め、中庭を見下ろす・・・だが、視線の主は見つからなかった。
「・・・・・・無粋な・・・」
憎しみを込めたその言葉を呟き、中庭を警戒しながらまた歩き始めた。

23 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/08(月) 05:07:56 0
「思えば…お主も猫でおじゃったな…アレは匂いだけじゃ追うだけ無駄… 
 一通り散策し終えたら父上から頂いた新巻鮭を馳走するぞよ… 
「にゃうー」
ご馳走と聞いてリリアーナは嬉しそうだ。
だが荒巻とはなんだろう?
リリアーナがアザラシの様な姿で、いつも仰向けで寝転がっているアレを想像していると、
突然聞きなれない声が直接頭の中に響いてきた。
【やっと条件を満たして来たか】
「・・・・・・?」
リリアーナは耳をぴくぴくさせた。この声はどこから聞こえてくるのだろう?
【まあよい、お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやろう】
リリアーナの頭の上には?マークが乱舞している。
一方のキキは平然としている。もしかしてこの声が聞こえていないのだろうか?
『あなた誰?何を言ってるの?』
【支払う代償はただひとつ】
リリアーナの問いには答えず、謎の声は尚も続ける。
【猫・・・・・・じゃ・・・?!くぁwせdfrgtyふじこp@」「】
声は突然乱れ、ぷつりと聞こえなくなった。
『何だったの今の。・・・・・・ちょっと、気になるじゃないのよー!!』
声が途切れたのと同じ時刻に、フリージアが香水を使ったなど神ならぬリリアーナが知る由も無かった。

少女に追いついたメラルは一定距離を保ってこちらについてきている。様子見だろうか。
傍にいてくれると分かり、リリアーナは少し気が楽になった。
一方、リリアーナを連れた少女は、職員室に向かう気のようだ。
同行すればレイドの言ったように、先生方の誰かが助けてくれるかもしれない。
だがリリアーナの気持ちは晴れなかった。
食堂でのそっけないレイドが思い出される。
(やっぱりいつもいつもいつも迷惑かけてたから、レイド先生に嫌われちゃったのかな・・・)
思い返せば心当たりがありすぎる。
いくら寛容なレイドとはいえ、いい加減見限られても仕方ない気がしてきた。 

どんよりと落ち込んでいたリリアーナだったが、突如漂ってきた臭いに思考を遮られた。
『う・・・何よこの臭いは?!』
招き猫広場でフリージアに変えられた鰹節の臭いが、ようやくここまで届いたようだ。
人間にとってはどうか知らないが、猫にとってはなんとも強烈だ。

24 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/08(月) 09:35:53 O
>>19
>「勝敗を直接決めたのは猫耳の拳ではなく、ただの貧血らしい。
> 採血後の激しい運動はいけないと馬鹿レイドに教わらなかったか?」
「あんたは献血の時の…」
>「これを飲めば2日間だけ猫の言葉がわかるようになる。
> 私からの贈り物じゃないぞ?
> 猫耳が小さき挑戦者の勇気を称えた品で、きっと必要になるものらしい。
> それと、猫耳は犯人ではないとだけ言っておこう。
> そんなくだらないことをするような奴ではない」
ロックはしげしげとそれを眺め、そして猛烈に反省し始めた。
「そうか…俺は何て馬鹿だったんだろうか!風貌の怪しさだけで、
 あのおっさんを犯人と決めつけるなんて!あのおっさん、いい人だったのに!」
ロックは猫耳のおっさんの薬をポケットにしまった。
「ありがとう、おっさん!あんたの心意気、この俺が確かに受け取った!
 さあ、やるべき事は一つだ!行くぜ!」
ロックはベットから跳ね起きた。
「あっ、そう言えばあんたにもお礼を言わなければいけないな!」
ロックは撤収しようとしていたヴァンエレンの背中に呼び掛けた。
「ありがとう!」
ロックはそれだけ言ってヴァンエレンと別れた。


ロックはその後、男子寮の自室へ向かっていた。
何故か保健室にはレオ先生がいなかったため、ロックは何の治療もされていない。
そのため、軽い貧血と先程のバトルのダメージの影響を受け、
ロックは時々、しゃがんで休む必要があった。
「はぁ、はぁ、ふぅ…」
ロックは三回目の休憩をとった。まだ、男子寮の中にすら入っていない。
今ロックは男子寮の近くに植えてあるイチイの木に背中を預けている状態だ。

25 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/10/08(月) 19:59:30 0
>22-23
追走を続けていると、…流石に気付いたのか、軽く挨拶をして去っていこうとした。
そのまま追うべきなのだが、追うにしても、空中で揉める事になった場合リリアーナが危ない。
「…仕方ないわね…。イーグルエッジ。」
飛びながら、メラルが、氷製の鷹を手に浮かべる。ただし、あくまで一つ。しかも、
安全の為か、角になる部分は丸めてある代物だ。そして、段々氷の中の不純物を排除し、
半透明になっていく。
水晶球のなかにいたエミューに呼びかける。
(エミュー。…この拠り代を使って追いなさい。)
(…相変わらず人使いが荒いゼ。わかったヨ。)
「…契約の糸。…良いわ。行きなさい。」
メラルが言うと同時に氷の鷹を放った。そして、氷の鷹の向かったのとは別のルートで飛び始める。


エミューがキキが校内に入ったのを確認し、中庭上空で待機し、メラルに伝えた。
それを受けて、メラルが…キキと校舎内で鉢合わせする形になる事を狙って、
キキが入った方角とは別の方角に回り込みながら校舎に近づこうとし始めた。
しかし…そこで一つ誤算があった。キキがメラルの予想以上に鋭く、
エミューの視線に気付いてしまったのか、それとも別の要因かはわからないが…
キキが中庭を強く警戒する状況になってしまったのだ。

エミューが拠り代にしている氷製の鷹は、半透明とはいえ不可視ではない。
光が反射でもしてしまえば、すぐさま見つけられてしまうだろう。
そしてもちろん、見つけられてしまえば…事態の悪化は避けられない。

一方、メラルは…学園校舎にかなり近付き、着地するや否や、溜息をついた。
「それにしても、本当にこの学園は事件には事欠かないわね。全く…」

26 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/08(月) 22:12:36 0
フリージアの香水はどうやら思ったとおりの効果を挙げたようだ

その香水の匂いが鰹節の匂いと混ざり合った時
「にゃー」
一匹の猫が野郎ども引き上げるぞという感じに鳴いた
それに従うかのように次々とおばちゃんから離れていく猫達

「猫ちゃん達がおばちゃんから離れていきますわ・・・・ちょっと残念だけど」
おばちゃんから離れていく猫達を眺めてフリージアはそう呟いた
なんにしても暴れるおばちゃんから猫を引き剥がすことに成功したようだ

「・・・・それにしても猫ちゃんこの香りが嫌いなのかしら?」
引き上げていく猫を見てそう呟くフリージア
実際にはこの香り単体ではなく鰹節と混じりあったことによる相乗効果であるのだが
匂いの研究者でもないフリージアにはまったく分からなかった

数分後

猫がいなくなって落ち着いたおばちゃんは
「・・・・・・・・・」
自分がぶち破った壁を見て茫然としていた
「なんで壁が無いのかねぇ」
どうやら暴走していた時の記憶は綺麗さっぱり失われているようだ
なんだかかわいそうになったフリージアは
「あなたが破壊したからですわ」
というとっさに言葉を飲み込んだ・・・・が
「オバチャンガジブンデコワシタンダヨ」
と空気の読めないグレムリンが一言
おばちゃんはめがっさ落ち込んだ

「そういえばリリアーナさんはどこかしら?」
今ごろ本来のリリアーナを元に戻すという目的を思い出したフリージア
「おばちゃんの暴走のせいで離れ離れになってしまいましたわ」
とりあえずフリージアはリリアーナが変化した猫を探すことにした
「この氷結のフリージア一度見た猫ちゃんの特徴は忘れませんわ」
「ジミニスゴイネオカアサン」
>22>23>25
せっかくなので先ほど作った空飛ぶ雪の結晶で空からリリアーナを探すフリージア
「あれはメラルさん・・・・と今朝見た知らない人にリリアーナさん!!」
まさか誘拐か?と思ったがどうも様子が違うようだ
「リリアーナさん!!」
フリージアは空からそう呼びかけた

27 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/09(火) 20:05:34 O
ロックは三回目の休憩を終え、再びふらふらと歩き始めた。

自分の部屋に到着したロックは、何かがピーピー騒いでいるのに気づいた。
見れば、飼っている白いフクロウことアウルが『あんた何考えてんのよ!』
とばかりに怒りまくっている。ロックには心当たりがあった。
「あ、ごめんアウル。今朝、色々ありすぎて忘れてたんだ。」
ロックが忘れた、と言ったのはアウルのエサのことだ。

アウルのエサ入れを満たした後、ロックは汗臭いジャージを脱ぎ、制服に着替えた。
もちろん、猫耳のおっさんからもらった薬を制服のポケットに移し変えた。
そして、別のアイテムもポケットに詰めた。そのアイテムとは、猫耳カチューシャだ。
この猫耳カチューシャは、もとはリリアーナが持っていた物だ。
ひょんな事からロックが装備することになり、それ以後リリアーナに返そうとしても、
運が悪いのか、間が悪いのか、とにかく今まで何故か返す事ができなかった。
リリアーナが元に戻ったら今日こそこれを返そう、ロックはそう思っていた。
身支度を済ませたロックは、棚のパンやハチミツ、カボチャジュースを乱暴に平らげ、腹を満たした。
ロックは自分の体に再び力がみなぎってくるのがわかった。
「うん、やっぱり腹が減ったままでは戦いはできないな。
 来いよ、アウル。きっと君の力が必要になる。」
白いフクロウを引き連れたロックは再び学園内を探索し始めた。


28 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/10/09(火) 21:45:12 O
寝るぞ。
さっさと部屋に戻って寝る。
休日くらいマトモに寝させろってんだ、ちくしょうめ!
今度会ったら文句言ってやる。
しかしまあ、今からでも寝るのは全然遅くない。
今から夕方辺りまで寝て、夕飯にソバを食ってまた寝る。
なんて勿体無い時間の使い方なんだ、っておもうだろ?
うん、俺もそう思う。
普通の人でさえ1日の3分の1を寝て過ごすって言うのに、俺の場合休日は半分以上寝て過ごすからね。
あ〜あ、何か面白い事でもあればなぁ…。
とか考えながら廊下を歩いていると、頭に猫を乗せたスーツ姿の少女が歩いて来た。
しかもあれはさっきのリリアーナ猫じゃないっすか。
何でそんなとこに乗ってんのよ?
「そこの君、見慣れない顔だな?
転校生かい?」


29 名前:リリアーナ(出先) 投稿日:2007/10/10(水) 15:52:25 0
>26
>「リリアーナさん!!」
ぴくっと声に反応したリリアーナは、上空にフリージアの姿を見つけた。
「にゃ〜!にゃにゃにゃ」
リリアーナは何か一生懸命訴えかけているようだ。
先ほど聞こえた声の話だろうか?だが、全く言葉が通じないのだから意味がない。

>28
職員室の方から誰かが出てきた。
『あっ!レイド先生!』
リリアーナは少女の頭上から飛び降りると、一目散に駆け寄った。
だがレイドはリリアーナを一瞥しただけで、何事も無かったかのように少女と話している。
じっとその様子を見ていたリリアーナの耳がしだいに元気なく垂れてきた。

リリアーナは大きな目でじっと見上げると、にゃ〜とレイドに話し掛けた。
『えっと、吸血鬼の話では、図書館Dレベル階層に『獣化解除全書』って本があるそうです。
 今日はちゃんと自分で解決しますから、先生はゆっくり休んでくださいね。
 せっかくのお休みだったのに、さっきはご飯の邪魔してすみませんでした』
リリアーナはレイドの足にすりすりしたあと、とぼとぼ職員室の方に向かおうとした。

>25
ぴたっとリリアーナの足が止まった。
彼女の視界の隅で何かが光ったのだ。
状況から察するに、多分メラルが作った氷の鳥だろう。
リリアーナも頭ではちゃんと理解していた。
だが。

「にゃ―――っ!!」
リリアーナはだっと中庭に飛び出すと、エミューが拠り代にしている半透明の鳥を追いかけ始めた。
どうやら今の彼女は、理性よりも猫としての衝動の方が勝っているようだ。

30 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/10(水) 19:39:11 O
ロックが最初に訪れたのは食堂だった。さっき、フリージアやメラル達と別れた場所だ。

「なっ、何があったんだ!?」
ロックは食堂の壁に空いた大きな穴を見て驚いた。
「これも、リリアーナを猫に変えた犯人がやったことなのか!?」
もちろん違う。しかし、フリージアとちょうど入れ違いに訪れたロックにわかるはずもなかった。
ロックが訪れる少し前まで、唖然としていた食堂のおばちゃんも、
今は食堂の厨房の奥へ引っ込んでしまっている。それもロックは知らぬ、存ぜぬ…

ロックはさらに、ある事に気づいた。食堂からかおってくる魚くさい臭いと、
食堂の周辺にたむろする猫の、その数が多い事にである。
「おい、そこの…えっと…シマシマ!」
ロックは猫の一匹に声をかけた。どんな猫かと言えば、ロックの言った通りの猫である。
「俺に教えてくれ、いったい何があったのか?」
>「…ゥニャ?」
「………?」
ロックは猫が何を言ったのかわからなかった。

「やっぱり、これを使うしかないのか。」
ロックはポケットから、猫耳のおっさんからもらった薬を取り出した。
試験菅に入ったその薬は、毒々しい紫色で、ロックはいかにも不味そうだと思った。
でもロックは、すぐにこう思い直した。
(見た目は関係ない。さっきのおっさんも、見た目は気味が悪くてもいい人だったじゃないか。
 この薬も、きっと見た目より不味くはないに違いない。いや、逆においしいかも…)
ロックは薬の味ばかり気にしていたが、ここである事に気づいた。
(この薬を飲めば、猫の言葉がわかるようになる…具体的にはどうなるのだろう?)

「迷っていても仕方がない。この薬を飲まなければ、俺は先に進めないんだ!」
ロックは試験菅の蓋を取り、中の薬をぐいっと飲み込んだ。

31 名前:ヴァルター ◆3rU/M.1ujk 投稿日:2007/10/10(水) 20:46:03 0
「ぶわーーーーーーー!!!!!!」
お世辞にも上品とはいえない雄たけびを上げて、男は飛び出した。
ジャラジャラと耳障りな音を立てる鎖とそれに繋がる手枷。
その手枷をはめられている自分の腕は確かに動いている。
腕だけじゃない、体全体が震えているし息もしている。
夢でも幻でもない、やっと外に出られたのだ!
「・・・・・・・・・・・・イィィィヤッッッッタァ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!!!!!」
地下図書館・危険深度エリアに響き渡る歓喜の絶叫。
待ち焦がれた自由、その第一歩を踏み出せたのだから無理もない。


しかし、身もだえするほど喜んだと思ったら今度は・・・
「やっと出られたぜえ。ちくしょぅ、クソジジイ共よくも俺様を
 こんな小汚い本なんかに閉じ込めやがってえ・・・・・・あって文句言ってやる!(#`゚Д゚)」
うっぷんを晴らすがごとく大声で罵詈雑言を吐くだけ吐いて、外へ出るべく出口らしきところへと歩いていく。
この時、男が冷静であったなら周りの景色が記憶と違っていることに気づいたのだろうが
あいにくそんな心のゆとりはなかった。気づいたところで模様がえだろう、で済ませていただろうが・・・。
縄跳びできるほど長い鎖を引きずるのがうっとうしくて首がけにした以外は外見に変化もなく―――。
だが、危険深度エリアを抜けたところで男はようやく決定的な違いに気が付いた。


( ゚д゚)・・・


(゚д゚)・・・ココドコ?


男の名はヴァルター・アンデルセン。大昔の魔道士である。

32 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/10/10(水) 22:08:04 0
>24
>「ありがとう!」
長年吸血鬼をやっていて、人間からの感謝の言葉などそうそうない。
友から渡して欲しいと中継役を買っただけで、感謝される覚えはまったくないための不意うちだった。
顔が照れで真っ赤なのを隠すために、帽子を深くかぶると表情の大部分は隠された。
まんざらでもなさそうな吸血鬼はすぐにこの場から立ち去りたい一心で、すぐさま蝙蝠に変身すると廊下を飛んでぬけた。


再び図書館に戻ったときに顔が真っ赤なのをしつこくターナーにからかわれ、途中の魔物たちのちょっかいを適当にあしらう。
この数時間の間でひどく疲労感に見舞われたヴァンは机に突っ伏した。
口を魚のようにパクリと開けたまま閉じずいて、そこからエクトプラズマ的ななにかが出てきている。

しばらくして復活したヴァンはやることもないので、とにかく本をあさることにした。
時間があるなら読め、知識を穿り出して脳に叩き付けろ!
やんややんやといつもの如く使い魔が本を持ってくるわけだが、その中で妙に慌しい蝙蝠が本も持たずにやってきた。
曰く、なんだか古臭い人間が魔物の視線を浴びながら地下図書館を喜びながら駆け抜けていったのだと…。
何故に怖い怖い魔物がたくさんいる危険な図書館で喜ぶことがあるのか?
怪しすぎてすっごく気になる。
何か怖いものをみるんじゃないか?という心はうずうずとする好機心に負けて早速その人間を確かめにいこうと席を立った。
さてさて、今度はどんな面白い人間に会えることやら…。

案内を頼んだ蝙蝠に誘われるまま、危険階層を抜けたその場所で問題の人間はポカンとしていた。
「…なるほど、確かにアレはどこからどう見ても古臭い人間だ。
 身なりといい、なにより血の匂いが古臭い」
本棚に隠れながらヴァルターを見るに外見ではそこらの中年をきどっているが、極上な年数があるほどの血の匂いを発していた。
年代物といえば聞こえは美味そうなのだが、ワインと血は似て非なるもの。
飲み頃をはるかに越えてその血は、まずくてとても飲めたもんじゃないと想像できる。
…と、どうやらヴァルターはヴァンの気配に気付いたようだ。
「おお、お、お、お前は一体何者だ?まさか何者かが差し向けた刺客ではあるまいな!?」
本棚を盾にしながら上半身だけを乗り出して名を問う。

33 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/10(水) 22:13:31 0
「ここですか?ここは図書館ですよ。」
ポカーンとするヴァルター・アンデルセンに呼びかける声。
漆黒の闇にボンヤリと光るランタンを持ってニコリと笑いかける人物
無限ともいえる階層をもつこの図書館の管理人である。
「ああ、どうもお初にお目にかかります、ヴァルター・アンデルセン殿ですね?
 私の名前はオリビア、オリビア・ターナーといいます。
 年齢は秘密です、性別は男、まあ見れば分かりますね。」
軽く自己紹介を済ましながらヴァルターが封じられてた本を取る。
「さて、この本はもう要りませんね、違う本にしてしまいますか。」
手を本に当てると表紙や本のデザインが変わっていき、たちまち違う本になる。
そして本を本棚に戻しヴァルターの方を向き笑いかける。
「さあ、せっかく出られたんです、ひさびさに食事でもしてみる気はないですかね?
 ふふふ…どうやらここを詳しく知りたいみたいですから、お教えいたしますよ?」



34 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/11(木) 19:28:12 0
>30
薬を口に含んだ瞬間に苦さが舌を刺激し、あまりのまずさにロックは悶絶した。
「大丈夫かいそこの兄さん?」
先ほどのシマシマの猫が突然人間の言葉を話した。
いや、そうではない。
ロックが猫の言葉を理解できるようになったのだ。

35 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/11(木) 20:25:07 O
>>34
>薬を口に含んだ瞬間に苦さが舌を刺激し、あまりのまずさにロックは悶絶した。
いや、苦さだけではない。頭が割れるように痛い。ロックは両手で頭を押さえながらうめいた。
「ぬっ?くっ!ぐはぁ!?」
ロックの異常に驚いたアウルが、ロックの肩から飛び去ってしまった。
「ぬああぁぁあぁあ!!!」
ひとしきり絶叫したロックは、徐々に落ち着きを取り戻してきた。
「はぁ、はぁ、はぁ…はははっ。なるほど、そういう事か。」
ロックは発作(?)が収まると共に、この薬の効果を理解したのだ。
>「大丈夫かいそこの兄さん?」
「ああ、すごく大丈夫だ。」
>先ほどのシマシマの猫が突然人間の言葉を話した。
「人間の言葉?いや、そうではないな。俺が猫の言葉をわかるようになったんだ。そうだろ、シマシマ?」
ロックはゆっくりと頭から手を話した。
「猫の言葉がわかるようになる…つまり、猫の耳を持つって事だな!」
ロックの頭には立派な猫耳がはえていた。似せて作ったまがいものではない、本物の猫耳だ。
「俺はもう、ただのロックではない。今から、俺は“猫耳ロック”だ!」
珍しい物でも見るようにロックを見ていたシマシマ猫にロックは尋ねた。
「おい、シマシマ。いったい何があったのか俺におしえてくれないか?」

36 名前:キキ 投稿日:2007/10/11(木) 23:53:28 0
中庭を警戒していた為、キキは正面にいた男に気が向かなかった。
不意に声をかけられ、キキの足は止まった。
すぐさま姿を確認しようとしたが、身を乗り出した猫リリアーナにより視界が遮られ
レイドの姿を認識するのが遅れた。
「…いかにも…して、麿に何か用でおじゃるか?」
とりあえず、質問には答えたが…キキは変な顔をしながらレイドの姿を見直した。
教師らしからぬ服装と風貌、一時ではあるが『ヤクザ』を連想したのは秘密だ。
「急ぎではないが…麿には用事があってなお主のような輩に付き合う時間はないでおじゃるに」
と足元でレイドにじゃれ付いている猫リリアーナを拾い上げようとした瞬間、何かを見つけたらしく
猫リリアーナはキキの手を振り払い中庭へと降りていってしまった。
猫は自由気ままが性に合う動物、流石に愛想をつかされたのか…と思ったこの時、キキに電流走る。
ついさっき、中庭から得体の知れない視線を感じたことを…
「そち!待つでおじゃる!」
すぐさまキキは火翔で猫リリアーナを追った。

37 名前:ヴァルター ◆3rU/M.1ujk 投稿日:2007/10/12(金) 00:01:41 0
>>32>>33
本の中から出られた喜びも、閉じ込められた憤りも、
目の前に広がる見慣れない光景によって霧散してしまった。
目を丸くして大口を開けたままの間抜け面を晒すこと数分。
誰かに見られていることをはじめて自覚した。


>「おお、お、お、お前は一体何者だ?まさか何者かが差し向けた刺客ではあるまいな!?」
>本棚を盾にしながら上半身だけを乗り出して名を問う。


そこにはヴァンパイアがいた。
閉まりかけた口がまただらしなく開く。まるで末期のアルツハイマー患者だ。
目は見る見るうちに充血し、限界まで見開いてて非常に気持ち悪い。
さらに数分、ぽかんと開いた口が三日月の形へと変わっていき
「・・・・・・おわ━━━━━━(;゚∀゚)━━━━━━ !!!???
 ヴァ、ヴァ、ヴァンパイア!?ヴァンパイアだよな!?」
気づけば目が爛々と輝いている。乙女チックなキラキラが見えそうなほどだ
そして大仰とも言えるほど大げさな動きで喜びを表現している。
それは・・・くねくねと身をよじること。未開部族の儀式の踊りと言っても通用するかも。
「本物だあ!すっげーーー、はじめて見るよおおおお・・・(;´Д`)ハァハァ
 な、なあ、ちょこっと、ちょこっとでいいからさ、き、き、きばきばきききヴォヘッヴォヘッ・・・」
興奮のあまりむせた。呼吸が落ち着いてからヴァンエレンへと詰め寄り、
「牙、触らしてくれよお。」と言いながら両手を伸ばす。


>「ここですか?ここは図書館ですよ。」
突然現れた実物のヴァンパイアに舞い上がってしまって気づいてなかったのだが、
どうももう一人いたらしい。それも、ヴァンのすぐ近くに。思わず手を止めてそっちを向く。
「図書館?( ゚д゚)・・・じゃあここは、帝国図書館なのか。
 にしちゃあ狭いし、独特の空気も感じないんだがなあ。
 まあいいや。オリビアって言うのか、なあ、管理人のジジイはどうしたんだよ?」
矢継ぎ早に質問を投げかけながらも、牙に触ろうとする手を止めようとしない。
だが自分が封じられてた本がオリビアの手によって別物へと変化してしまったのを見て
手が止まった。ジジイ共の汗と痰の結晶を勝手に変えちまっていいのか?
新たな面倒ごとを抱えたような気がした・・・
「飯かー、そうしよっかな。
 久しぶりにマーガリンサンドが食いたいなあ。おっと、あんたも一緒に来るだろ?」
当然のようにヴァンを誘う。

38 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/12(金) 11:30:31 0
>28>29>36
レイド先生にすりすりした後
>「にゃ―――っ!!」
エミューを追いかける猫リリアーナ
「あ、お待ちになって!!」
それを空中から追いかけるフリージア
どうやら知らない少女もリリアーナを追いかけているようだ

図にするとこんな感じだろう

 ↑高い
               =>フリージア

                  =>キキ
 ↓低い                                      =>エミュー
レイド               =>猫リリアーナ  
地面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「そウいえばあの鳥は何なのかしら?」
フリージアはリリアーナが追いかけている氷の鳥を見て疑問に思った
一体アレは何なのだろうか?と

「サア?デモコオリデデキテルヨ」
その疑問に分かり切った事を答えるギズモ
「誰かの使い魔かしら?」
自然界にそんな生き物がいるなんて思えないフリージアはそう言った
「デモアンナノミタコトナイヨ」
フリージアの使い魔として他の氷魔法教室の使い魔と親交があるギズモはそう否定する
「確かに見たことないわね」
フリージアとギズモにはその氷の鳥がエミューだとはまったく分からなかった
なぜなら二人の頭の中にはエミュー=竜形という固定概念があるからである
そして奇妙な追いかけっこは続く

・・・・・しかし中庭広いなこの学園

39 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/12(金) 18:23:17 0
ここは魔法学園の裏手にある鬱蒼と茂る森の奥地。
生徒たちにより神秘と触れる場を、という声によって
数々の妖精・精霊はたまた魔獣や幻獣までおり、教師の引率なくしては
入ることすら許可されないそんな奥地・・・・・・

その奥地の暗闇の中で少女はソレを眺め続けていた。
はたして少女と呼んでいいものか、数年は手入れをしていないだろう髪は
濃藍のような色になり、ぼさぼさとてんで勝手に伸びている。
その身に纏うぼろきれのような服は・・・右袖の部分だけがなぜか無傷のまま
まるで拘束衣が如く、少女の腕から手先までもを月明かりから遮っている

そして少女の先にあるのは、3mはあろうかという大地に柄を刺した長槍と
その穂先に刺さり、じゅうじゅうと音を立てる『ニク』。
大人の拳を二つくっつけたぐらいの大きさのそれは、チィチィ、キィキィと鳴きながら
その身を焼く炎にもがき苦しんでいる。

「やけた。」
そう呟いた少女が立ち上がるのとほぼ同時にその四つ足の『ニク』を焼く炎は
まるで何事もなかったように消えた。少女は大地に突き立つその槍を
拘束衣の袖に包まれた右腕で無造作に引き抜き先端を抱え・・・
焼きたてのニクを貪った。

・・・・・・そもそもおかしいのだ。
さまざまな獣がいるこの森で、なぜ少女は無事なのか
なぜ虫の鳴き声さえ少女の周りではしないのか。

やがて、少女は骨さえも噛み砕いて『ニク』を食らうとこう呟いた。
「たりない」
森の深い闇を貫きそろそろ朝焼けの光が届こうとしている。
少女は槍を肩に担いで歩き出した。足りない獲物を求めて。

その方向は・・・・・・魔法学園の校舎。

40 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/12(金) 18:24:03 0
>22>25>26>38

そして現在、少女は魔法学園の中庭の片隅にある
とある樹の上に潜んで鋭い視線を向けていた。
朝方の誰も起きてこない時間からずっとそこに居たのだ。

森の中で身に着けたのか、はたまた最初から備わっていたのか
その気配遮断のスキルは発揮され、少なくとも視線意外は少女は気づかれていなかった。

少女の視線は、氷の鳥を追いかける猫へと注がれている。
「にく・・・・・・」

そう呟いて、彼女は中庭にある木々の枝から枝へ
葉と身に纏う陽炎のようなものによって姿を隠して追いかけ始めた。
何を追いかけているのか?問うまでもない。氷の鳥を追いかけているうまそうな『にく』を、だ

41 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/13(土) 10:58:18 0
氷の鳥に魅せられて中庭に飛び出したまでは良かったが、残念ながらすぐに見失ってしまった。

恨めしそうに回りを見つめていたリリアーナだったが、ふと、何か違和感に気づいた。
どこからか、刺すような視線を感じる。
(一体どこから?)
リリアーナは周囲を見渡した。

>「そち!待つでおじゃる!」 
「・・・にゃ?」
リリアーナは振り向いた。
そしてふと、キキの背後の空に白フクロウが飛んでいることに気づく。
そのフクロウには見覚えがあった。
『あれはロックの飼ってる・・・!アウル、アウルってば! ねえ、ロックがどこにいるか知らない?』
リリアーナはキキの頭上にいるフクロウに向かって叫んだ。

アウルはリリアーナの言葉に反応し、こっちに向かって飛んできた。
ぐんぐん迫る姿をじっと見守っていたリリアーナだったが、あまりの勢いにちょっと動揺した。
このままではぶつかってしまう。・・・・・・・・ぶつかる?
リリアーナは唐突に気が付いた。
そういえば私、今は猫じゃないの!

一般的なフクロウは猛禽類だ。
そしてリリアーナは、アウルが果物を好む特殊な種類のフクロウとは知らなかった。

「フギャ――――!!」
このままでは食べられてしまう!
リリアーナは、まるで尻尾に火がついたような勢いで逃げ出した。
見るものによっては、リリアーナがキキに怯えて逃げているように見えたかもしれない。

とにかく屋内に逃げ込まなくちゃ!
必死に逃げるリリアーナは、自分が鋭い視線の元へと向かっていることに気づかなかった。

42 名前:猫耳ロック 投稿日:2007/10/13(土) 16:04:18 O
「なるほど、この大穴をこしらえたのは食堂のおばちゃんか。」
ロックは猫の言葉を理解する能力を使って、猫達から聞き込みを行っていた。
「でも、何故食堂のおばちゃんはこんな事をしたんだ?」
猫達の話を聞く限り、おばちゃんを猫達が取り囲んだとたん、
おばちゃんがおかしくなって暴れだしたそうだ。
「じゃあ、何故お前達はおばちゃんを…えっ?いい臭いがしたから?この臭いの事か?」
食堂からはまだ魚くさい臭いがただよっている。
猫達も、この芳ばしい臭いが何故発生したかはわからないそうだ。
しかし、臭いの発生元がおばちゃんであることはハッキリしているようで、
猫達はその後、招き猫広場に向かって走りだしたおばちゃんを追い掛けたらしい。
>「ところがよ、招き猫広場に着いたとたん、急に臭いが変わったんだ。」
と、こう話してくれたのは、一際体の大きい茶ブーのボスだ。
「臭いが変わった?どんな風に?」
>「そりゃあ…うまく言えねぇやな。」
茶ブーはそう言いながら、後ろ足で喉をカリカリこすった。
ロックは少し考えこんだ後、猫達にお礼を言い、食堂を後にした。
「俺も招き猫広場に行ってみよう。何か手がかりが掴めるかもしれない。
 あれ?いつの間にかアウルがどっかに行ってしまったな。
 まぁ、いいか。きっとまたすぐに戻ってくるだろう。」

43 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/10/13(土) 18:15:26 0
>37
>「・・・・・・おわ━━━━━━(;゚∀゚)━━━━━━ !!!???
> ヴァ、ヴァ、ヴァンパイア!?ヴァンパイアだよな!?」
吸血鬼だと確認するや否や、なぜか興奮した様子を見せる刺客。
恐怖で固まっていたヴァンは突然の奇声に身震いする。
ロックや猫リリアーナへの悠然とした態度はどこへやら、初対面の人間への恐怖心がまたぶり返してしまったようだ。
『きっとこいつはヴァンパイアハンターなのだ』、『このくねくねした踊りはきっと殺人技を繰り出すためのフリに違いない』
恐ろしや恐ろしやと勝手に被害妄想を膨らませて、それにつれて恐怖も増大していく。
「ひぃ、こっちに来るな!私を食べてもおいしくないぞっ!?」
牙を触らしてくれと歩み寄ってくるヴァルターと同じ歩幅だけまた一歩と後退していくので、両者が近づくことはなかった。

このイタチごっこがいつまで続くかと思われたそのときに、どうやら一方が限界を迎えたようである。
背に当たったのはなんと壁であり、ヴァンは凍りついた。
ここより先は逃げ場は一切なく、迫るくるヴァンパイアハンター?の独壇場という恐怖の一方通行だけ…。
>「ここですか?ここは図書館ですよ。」
ここでまでかと思われたそのとき、聞きなれた声が耳に入ってくる。
決して心が許せるような相手ではないが、このときだけは救われたと心から安著した。
ランタン片手にターナーとハンターが話をしているが、その隙にのそのそと地面を這って逃げ出そうとする。
>「飯かー、そうしよっかな。
> 久しぶりにマーガリンサンドが食いたいなあ。おっと、あんたも一緒に来るだろ?」
逃げようとしたのがバレてギクリと全身を震わせた。
「ア、アホかっ 誰がヴァンパイアハンターなんかと食事など―――!」
即座に出た否定は途中でなぜか空中より現れた『重そうな本』により沈黙させられた。
頭より来る衝撃により、ヴァンはあっけなくダウンした。
拳大はあろうというコブをつくり、まめに行なわれる清掃によって綺麗になっている床に転がった吸血鬼を笑顔で見守るオリビア。
>「ダメですよ、空気は読んでくれないと。ふふふ」
薄暗い中ランタンに照らされた表情がいつもより邪悪に見えたのは、果たして明かりだけの問題だったのだろうか?
>「さて、では参りましょうか…案内しますよ」


オリビアは何事もなかったかのように、ぐったりしている該者の襟元を掴んで引きずりながら図書館出口を抜けて食堂へと辿り着いた。
さきほどの喧騒などまるでなかったかのように、おばちゃんが一人せっせと生徒の食事を用意している姿があった。
「はっ!私は一体なにを…?」
>「やっと起きましたか。
> この方の学園案内をよろしくお願いしますね。
> では私は図書館に戻りますよ」
ふふふと不適な笑いを残して異論は一切受け付けぬと去っていくオリビアをただポカンと見送るしかなかった。
「……げえ、あんときのヴァンパイアハンター!?」
隣にずっといるヴァルターという畏怖の存在にようやく気がついたようだ。
背にある二つの蝙蝠翼をピンと上に立てて、なにか隠れる場所はないかと探しだした。

44 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/13(土) 23:01:46 0
「ちょっとあなた!リリアーナさんが怯えて逃げてしまったじゃないの!!」
キキに文句を言うフリージア
別に気配遮断していたわけではないのでこっちに気が付いていると思ったのだ

「イヤタブンチガウヨ。アレジャナイ?」
飛んでいるフクロウを指差すギズモ

「まあどちらでも良いですわ 早くリリアーナさんを保護しなくては」
リリアーナを守ろうと息巻くフリージア
キキにはいい迷惑である

リリアーナに追いつこうと一生懸命飛ぶフリージア
全力で飛んでも大丈夫なのか?
ここ中庭だぞ

「ン?」
空中で何かを見つけたのか珍妙な声を上げるギズモ
「なんなの?ギズモちゃん」
ギズモの視線を追うフリージア
そこにいたのは・・・・・
「や、野人ですの!?」
「タブンチガウヨ」

リリアーナに槍を向ける謎の少女であった
「その槍・・・表情・・まさか!?」
フリージアはジルベリアの雪山の中で生き残るために熊を倒して食べたことがある
その時の自分と同じものを少女に見た

「やらせませんわ!リリアーナさんは食べ物じゃなくてよ!!」
「ネコハ ニクショク ニクショクノ ドウブツ オイシクナイ」
ギズモ・・・そういう問題じゃない
「猫ちゃんなんて小さくて食べがいが無いでしょ!どうせ倒して食べるなら熊になさい!!」
フリージア・・・・そういう問題でもない


45 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/10/14(日) 10:41:24 0

エミューが状況の監視をしていると…リリアーナが中庭に飛び降りてきた。
エミューは即座にメラルに伝える。
(…これは…良い想定外だナ。…おい、何故か例の猫が中庭におりて
…こっちにまっすぐ向かってきやがんゾ。)
(さすがリリアーナ、あなたに気付いたのね。…私のいる方に誘導!)
メラルは既に建物に入っていたが…その話を聞き、
慌てて指示を出しながら来た道を引き返した。

(…相当面倒な状況ね。これは。)
元入った裏口とでも言うべき入り口から出てきて、メラルが状況を覗くと…
フリージア、キキが追走しており、事態はかなりややこしくなっていた。
だが…リリアーナがエミューを追っている以上主導権は自分にある。
メラルはそう確信し、術を唱えながら中庭の方に歩いていった…が、
イレギュラーとなった梟が状況を変えた。リリアーナがエミューを追うのをやめ、
建物…つまり、校舎の方に逃げていこうとしたのだ。
(…エミュー!)
(おう!)
エミューが慌ててリリアーナを追いかけ始める。更に、メラルも
梟が追いついてしまった場合に備えるために術を新たに唱えなおしながら箒で飛んだ。
この飛び方では追いついてもリリアーナを保護できないように見えるが、
メラル本人は虚の杖の形状を変えて捕獲するつもりなので、あまり気にしてはいなかった。

なお…目の前の事態に注力していた為か…メラルは、
ルーの気配には全く気付いていなかった。


46 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/14(日) 11:05:44 0
>41>44-45
フクロウと猫と人とその他いろいろがこっちに向かってくる事にルーは驚いていた。
まさか勘のいいニクならともかく、その他までこっちに来るなんて・・・・・・と

>「フギャ――――!!」
>「やらせませんわ!リリアーナさんは食べ物じゃなくてよ!!」
「・・・ふたつ、きた」

槍は一本。それを投げてニクを貫くつもりだったが、もう一人が迫ってくる。
だったらどうすればいいのか? 増 や せ ば い い の だ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

樹上でルーは右手に持っていた槍を両手で握って右肩に担ぐように構える。
右腕の覆った袖から<何か>が槍に触れる。
そして

「にく、とった・・・・・・!」
蒼い槍が二本に増えて、樹の枝の間からリリアーナ(猫)とフリージアへと放たれる!
かなりの剛速球(?)ではあるが、急に獲物がこっちに来たために狙いが少し甘いようではある

47 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/15(月) 11:25:59 P
>46
突如飛んでくる槍
反応できないフリージア
「エイ!!」
フリージアの後ろに飛び降りるギズモ
それによって角度を変える空飛ぶ雪の結晶
ぎりぎり真横を通り過ぎる槍
「た、助かりましたわ」
「イイッテコトヨ」

「それよりもこの子、私を狙ってきましたわ」

「トクホウ ギズモ トクハイイインハ ミタ ガクエンノ 
 ナカニワニ ヒトクイジンシュハ ソンザイシタ」

「人食い人種!?」

あいては人間を肉として見るような存在だ
平和的な解決は望めないだろう

「レイトウクマニク ワタシテ エズケスレバ イインジャナイ?」
「・・・・動物じゃないんだから」

「貴方が何者かは知りませんけど私は兎も角
 リリアーナさんを食べるというのなら
 私が許しませんことよ!!」

フリージアは氷結根を生み出し目の前の少女に対峙した
周りにはいくつか雪の結晶が舞い始めている

「1番3番7番リリアーナさんを守りなさい!!そのほかは敵飛び道具を迎撃!!」
フリージアは雪の結晶にそう命じる

さあフリージアは果してリリアーナを守れるのだろうか?

48 名前:ヴァルター ◆3rU/M.1ujk 投稿日:2007/10/15(月) 17:53:55 0
>43
>「ひぃ、こっちに来るな!私を食べてもおいしくないぞっ!?」
「何言ってんだよお、本物のヴァンパイアなんてめったにお目にかかれねえのに
 食うなんてとんでもない!・・・それに、本当にまずそうだしな。」

失礼なことをほざきつつ期せずして図書館で鬼ごっこをする男二人。
傍から見たらなぜそんな事をしてるのかさっぱり分からないだろう。
時間が経つにつれ興奮は徐々に収まったようで、ヴァンが壁に追い詰められた
(と本人は信じて疑わない)時には大分冷静さを取り戻していた。
先程までのハイテンションが嘘のように落ち着いていて、分裂症を疑わせる。

さて、管理人オリビアに連れられて図書館から食堂へと移動する途中
手持ち無沙汰となったヴァルターはまるでおのぼりさんの様にキョロキョロと
校内を見ていた。
「おかしいなあ・・・ほんとにあそこは帝国図書館だったのか?」
図書館、とだけ聞いて通い慣れた帝国図書館だと決め付けたわけだが、
外は記憶にある帝国魔道研究所構内とはまったく違っていて、それじゃあさっきまでいた
図書館も実は違うんじゃないか?と考えをめぐらせ始めていた。
そのことをオリビアに聞こうとしたら食堂に着いて、しかもオリビアは
ヴァンを置いて行ってしまった。
「あ、ちょっ・・・・・・・・・行っちゃったよ。
 仕方ない、ヴァンパイアさんいくつか聞きたいことがあるんだがいいかい?」

>「……げえ、あんときのヴァンパイアハンター!?」
「・・・ハンター?ははっ、笑わせてくれるねえ。
 ハンターなんて脳筋のすることじゃないか、帝国魔道研究所勤めの
 俺がそんな危ない橋を渡るようなまねするわけないだろ?
 それはそうと、今は帝国暦何年だ?あと、飯おごってくれねえ?」
会って小一時間も経ってない上、相手は自分を敵と思い込んでいるらしいが
そんな事ヴァルターには関係ない。

49 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/10/15(月) 20:30:58 O
>36>「…いかにも…して、麿に何か用でおじゃるか?」
いや、特に用事という訳じゃないけどさ…。
見慣れない顔だったからつい…。
>「急ぎではないが…麿には用事があってなお主のような輩に付き合う時間はないでおじゃるに」
なかなか言ってくれるね、君。
俺はこれでも一応教師だぜ?
お主のような輩ってのは酷くないかい?
とまあ、こんな短いやりとりをしていると、猫リリアーナが話掛けてきた。

>29>『えっと、吸血鬼の話では、図書館Dレベル階層に『獣化解除全書』って本があるそうです。
 今日はちゃんと自分で解決しますから、先生はゆっくり休んでくださいね。
 せっかくのお休みだったのに、さっきはご飯の邪魔してすみませんでした』そう言って猫リリアーナは半透明の鳥を追いかけ、少女は猫リリアーナを追いかけて行った。
くそっ……俺は大馬鹿野郎だ。
気分が悪いからって生徒に八つ当たりするなんて教師として失格だよな……。
今までの事件に首を突っ込んだのは自分自身の意思なのに…。
それを俺は全部生徒の面倒事に巻き込まれた事にしちまってた…。
謝るのはリリアーナじゃなくて俺なんだよ……。
寝てる場合じゃねえ。
リリアーナに一言謝んないと。
そして俺はリリア

50 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/10/15(月) 20:31:54 O
しかしどうやらリリアーナを追い掛けてるのは俺だけじゃない様で、先ほどの少女とフリージアがリリアーナを追っかけ回している。
「ちょい待てって!
リリアーナ!俺はお前に謝りたいんだよ!」
と叫んだが、俺の叫びも虚しくリリアーナは逃げて行ってしまった。
「ちくしょう…。
俺は諦めんぞ!」
>46と意気がった瞬間、木の枝の間から蒼い槍がリリアーナとフリージアに放たれる。
>47何とか当たらずに済んだが、問題はここからだ。
まず、彼女(?)は誰?
つーか戦う気バリバリですか?
「ちょい落ち着けって!
何が目的かは知らんが、話合いで解決しようぜ、な?」
少女(?)に説得を試みるが、果たして俺の言葉は通じているのだろうか?

51 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/15(月) 22:02:51 O
「クック・ロビン音頭を思い出すな。」
巨大招き猫の像の前で、ロックはそう呟いた。

そう、ここは招き猫広場だ。名前の通り、鎖で繋がれた巨大招き猫の像が置いてある。
午前中の授業がもうそろそろ始まるためか、
或いはこの広場に広がるむせかえるような酷い臭いのせいか、
招き猫広場にはほとんど人がいなかった。
「それにしても、この臭い…うぇっ!」
ロックはその酷い臭いの中にも、微かに甘い良い香りが含まれていることに気づいた。
「ん…、ここか?」
ロックはその香りが強い所を探し、見つけた。
ロックは香りが強いその場所の地面を指で軽く擦り、
その指を自分の鼻に押し当てて臭いを確かめた。
「これは、花の…香水だな。」
どこかでかいだ事のある臭いのような気がするが思いだせなかった。
「どうも、この学園を引っ掻き回している奴がいるみたいだな。
 もうそろそろ授業が始まるけど、これは授業を受けている場合ではなさそうだ。」
ロックは、リリアーナを頭に乗せて空を飛んでいた、黒い服の女の子を思い出した。
「やはり、あいつが犯人なのだろうか?リリアーナを猫に変え、
 猫達を操って、食堂のおばちゃんを暴走させたのも。
 やはり、狙いはカドゥケウスか?いずれにせよ、
あの女に会ってリリアーナの無事を確認しなくてはいけないな!
 それに、メラルとフリージアはどうなったんだろう?」
ロックは再び歩き始めたが、かの女やメラル、
フリージアらがどこにいるのか見当がつかなかった。

ロックは知らず知らず、学園の裏に広がる森の入口に足を踏み入れてしまっていた。

52 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/10/16(火) 00:43:53 0
キキの問い掛けに反応してくれたのかどうかはわからないが、猫リリアーナはキキのほうへと振り向いてくれた。
だが、猫リリアーナはキキが胸を撫で下ろすまもなく、何かから逃げるように逃げた。
もちろん、この行為でキキの心が少し傷ついたのは必然であった。
だが、どうやら感傷に浸る余裕もない。猫リリアーナが向かっている先は間違いなくあの視線が一番濃く感じる方向であったのは間違いはない。
目を凝らしてみると、不自然にしなっている木の枝が見えた。

「ワビもサビも知らぬ無粋な下人ども…目を凝らして見ろ!これが真の『美』でおじゃる」
火翔を解除し、地に足をつけた状態でしなる枝を人差し指で差すとすぐに詠唱を始める。
「…汝の名は『燕』、その火の翼で空を裂かん…火燕」
指先から放たれた火の燕は尾を引きながら、しなる木の枝に向かって飛んだと思ったが大きく旋回し、猫リリアーナに放たれた槍を弾き落とし消えた。
「如月一族血の鉄則其の壱…例え獣と契った誓いとか反故にするべからず……公言したからには意地でも御主には父上手製の新巻鮭を馳走するでおじゃる」
と先程のキキとは別人のような目つきで猫リリアーナにそう告げ…姿を現した奴を睨む。
「…麿の『悪戯』に耐える『覚悟』はできたでおじゃるか?」

53 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/16(火) 15:47:42 0
>47>50>52
獲物を狙う二本の蒼槍は弾かれ
自分の居場所は悟られたらしい。
話しかけてくる声に、ルーは観念したのか枝から飛び降りた。

>リリアーナさんを食べるというのなら私が許しませんことよ!!」
>「ちょい落ち着けって!何が目的かは知らんが、話合いで解決しようぜ、な?」
>「…麿の『悪戯』に耐える『覚悟』はできたでおじゃるか?」
「・・・・・・・・・・・・?」

くりっ、と首を傾げて三人を見る。
 どうやら ことば の いみ が つたわって いない ようだ 。
伊達に日常会話Lv2ではない。ルーは会話すらまともにできないようだ。

「・・・・・・・・・・・・」
妙な沈黙がこの場に降りた。

54 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/16(火) 16:19:35 0
ルーに話しかけても何の反応が無いのでフリージアは考えた
この子まさか共通語が喋れないんじゃ・・・と
「・・・・・まさかね」
「ヤッパリ エズケスルベキダヨ」
と餌付けを勧めるギズモ
「だから動物じゃないですわ」
と言いつつも胸の谷間に腕を突っ込むフリージア
「こんなもので釣られる訳が無いじゃない」
とフリージアは冷凍熊肉を取り出した
「イツモオモウケド・・・ドウナッテルンダロ?」
それはフリージアにしか分からない
「ほら・・・こっちにいらっしゃい」
と一応やってみた・・・まあ無駄だとは思うが

「冷凍じゃ駄目なのかしら?レイド先生よろしかったらこれ解凍していただけます?」
フリージアは近くにいたレイドに冷凍熊肉の解凍を頼んだ

「多分この子飢えてるのよ・・・雪山での修業で食料が無い時のつらさを知っている私には分かりますわ」


55 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/16(火) 18:10:21 0
必死でアウルから逃げるリリアーナは、頭上から尋常でない殺気を感じた。
アウルがばっと上空へと身を翻す。
リリアーナの上に影が落ちた。
彼女が空を見上げるのと、火で出来た燕が長い何かを弾き飛ばすのはほぼ同時だった。

地面に降りた少女の指からは、うっすらと煙が上がっていた。
キキの放った火の燕がリリアーナの命を救ったのだ。
「うにゃにゃ――――っ!!」
だがリリアーナはじたばたしている。
彼女の尻尾は、落ちてきた槍の下敷きになっていた。

>「1番3番7番リリアーナさんを守りなさい!!そのほかは敵飛び道具を迎撃!!」 
リリアーナの周囲では、フリージアの放った氷の結晶が盾のように浮遊している。
いつだってフリージアは頼りになる。

鳥を出した少女は、リリアーナに先ほどとは違う顔で微笑みかけた。
>「如月一族血の鉄則其の壱…例え獣と契った誓いとか反故にするべからず……
>公言したからには意地でも御主には父上手製の新巻鮭を馳走するでおじゃる」 
「にゃ〜?」
子猫の脳裏では、どうも荒巻入りの酒が浮かんでいるようだ。
だがそんなことは、この際どうでもいい話である。

ギズモの言うとおり、まるで野人のようだ。だが背が低く、年端の行かない子供のように見える。
>リリアーナさんを食べるというのなら私が許しませんことよ!!」 
>「ちょい落ち着けって!何が目的かは知らんが、話合いで解決しようぜ、な?」 
>「…麿の『悪戯』に耐える『覚悟』はできたでおじゃるか?」 
>「・・・・・・・・・・・・?」 
だが肝心の野人の子は、話が良く分からないようである。
『レイド先生のテレパシーで何とか意思疎通できないものかしら?』
そう、テレパシーは万国共通である。

リリアーナははっとした。フリージアの結晶がすうっと道をあけたからだ。
『あ、メラルさん!』
いつのまにかメラルが背後に立っていたからだ。
『大変なの、何か知らないけど野人が出たの!
 もしかして凱旋パーティの夜に現れた、例の盗撮おじさんの隠し子なのかな?!』
もしそうだとしても、野人を思わせる程荒んだ子供の格好は尋常ではない。

>「ほら・・・こっちにいらっしゃい」 
フリージアが冷凍肉を胸元から取り出した。
野人の子に餌付けをしようとしているようだが、果たして上手くいくだろうか?

目の前の野人にみんなの意識は集中していた。
だからリリアーナも気づかなかった。
上空でゆっくり旋回していたアウルが、再び急降下してきたことに。

「にゃ〜!!」
アウルにがっちり捕まれたリリアーナは、あっという間に空へと連れ去られてしまった。

白いフクロウの目指す先はただひとつである。

56 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/10/16(火) 18:20:41 0
>48
>「・・・ハンター?ははっ、笑わせてくれるねえ。
> ハンターなんて脳筋のすることじゃないか、帝国魔道研究所勤めの
> 俺がそんな危ない橋を渡るようなまねするわけないだろ?
> それはそうと、今は帝国暦何年だ?あと、飯おごってくれねえ?」
用は実力主義の野蛮な狩猟者の部類ではなく、インドア派の研究所勤務の方というわけだ。
危険がないとわかったので、背筋を正して服装を整えて一息いれた。
では、この人物は一体どのような身分の人間であるか?
ヴァルターの話はここ八十年ほど生きてきた吸血鬼にも聞き慣れない単語が満載で、理解と知識の範疇を越えていた。
魔物の歴史や魔法関連ならいざ知れず、人間の歴史など知りようもない。
「『帝国魔道研究所』?『帝国暦』?古臭いとは思っていたが、私が生まれる前から封印されていたのかもしれないな」
飯の要求にはどことなく元気がないおばちゃんに適当な品を一品頼んでいるので、出来上がり次第お呼びがかかるだろう。

既に大半の生徒は食事を終えていて、食堂にはおばちゃんと古臭い男と吸血鬼の三人だけとなった。
ハニートーストがヴァルターの元へ届き、吸血鬼は紅茶を啜り、おばちゃんは厨房のイスで白く燃え尽きている。
「少なくとも貴様が私の年齢の八十年よりも昔の人間で、封印を解かれて現在を生きる我々の前に姿を現した」
昔の話で海の城で宴をして帰ってきた男は、知らぬ間に故郷が何十年も経ってしまったことを知り、一体どう思ったか?
周りは自分の知らぬ土地、知らぬ人、知らぬ歴史が経ている。
この男が感じるのは絶望か、それとも封印が解かれたことへの自由への希望か?
「いま私ができるアドバイスはいま現在自分に起きてることを知ることと、これから何をしたいか…自分に聞いてみることだな」
密かにロックたちの所在を探りにいっていた使い魔が戻ってきた。
「なにか知りたいことがあるならば、さっきいた地下図書館にきっとあるはず。
 そこにちょうど用がある生徒たちがいるから、一緒につれてってもらえ」
即ち『なんでこの私が人間の案内などしなければならんのだ。
 こういうのは厄介ごとに慣れているあいつらに押し付けてしまえ』ということ。
中庭にいるレイドを加えた仲良し組は、楽しく遊んでいるらしい。
「そいつらはいま中庭で仲良しこよしらしい。
 学園の地図を渡しておくが、案内が必要か?」
巻物のように丸められたやや大きめの紙を広げて、中庭への道を羽ペンで記す。

57 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/10/17(水) 20:45:15 O
>53>「・・・・・・・・・・・・」
駄目か………orz
言葉の壁は厚いみたいだな……。

>54とりあえずこの場はフリージアの肉に賭けてみよう。
「ちょいと貸して貰うぜ。」
フリージアから肉を受け取る。
「ミディアムで良いかな?」
掌から炎を出し、冷凍してある肉を炙る。
「ほら、食えよ。」
ちょうど良い焼き加減になった肉を少女に投げ渡す。

>55>「にゃ〜!!」
リリアーナの叫び声が聞こえる。
見ると、白いフクロウに鷲掴みにされ、連れ去られているではないか。
「あっ、コラ!
待ちやがれ!
悪い!後は任せたぞ、フリージア!」
この鬼ごっこはいつまで続くんだか……。

58 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/17(水) 21:00:30 0
「まいったな、これはすこぶるまいったぞ。」
ロックはうんうん唸りながら、森の中をあちこちうろうろしていた。

森の梢達が太陽の光を遮ろうと、フクロウの鋭い目は自分の主の姿を
しっかり捉えていた。そのフクロウは音も無くロックの側に降りた。
その逞しい脚にしっかりと”あるもの”を抱えながら…
「アウル!」
ロックは怒ったような、或いは喜ぶような声を上げた。
「どこに行っていたんだよ!それに…それはリリアーナか!?」
アウルは猫になったリリアーナをロックのもとへ届けに来たのだ。
ロックは猫はそれなりに好きだが、フリージアのように
一度見た猫を脳裏に刻みつけるような事はできなかった。
それでも、アウルがつれてきたその猫がリリアーナであることはすぐにわかる。
なにしろ、今のロックはただのロックではなく”猫耳ロック”だからだ。
「大丈夫か?無事か、リリアーナ?お前を連れ去ろうとしたあの女はどうした?」
ロックは矢次早にまくしたてた。

>「ホー」
きっと、アウルがこのように一声鳴いて飛び去らなければ、
リリアーナはロックから猛烈な質問攻めにあうことになっただろう。
「おい!待てよアウル!」
ロックはアウルを引きとめようとしたが駄目だった。
理由は後にロックの口から語られるが、ロックは今非常に困っており、
アウルの協力が必要不可欠だったのだ。
「はぁ、困ったぞ。くそっ!どうすればいいんだ!」
ロックはさっきまでそうだったように、再び困り始めた。

59 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/18(木) 09:03:44 0
その時である

60 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/18(木) 18:19:02 0
>58-59
白フクロウの足は強靭で、リリアーナが必死でもがいてもピクリともしなかった。
走行しているうちに、みるみる地上が遠ざかっていく。
ここから落ちたらひとたまりも無いだろう。
アウルは、学園裏の森へと向かっているようだ。
『ちょっとアウル、私を一体どうするつもりなのよ〜私なんか食べても美味しくないわよ〜』
その時である。
アウルがじっとリリアーナを見下ろしたのは。

リリアーナは借りてきた猫のようにおとなしくなった。

アウルは音もなく地面に降下し、リリアーナを地面に下ろした。
>「大丈夫か?無事か、リリアーナ?お前を連れ去ろうとしたあの女はどうした?」 
『う?うん、私は無事よ。それよりロック、その頭の猫耳はどうしたの?』
あまりの迫力にリリアーナが困惑していると、アウルはその場から飛び去っていった。
>「おい!待てよアウル!」 
リリアーナは畏怖の対象であるアウルが消えてホッとしていたが、一方のロックはそうではなかった。
>「はぁ、困ったぞ。くそっ!どうすればいいんだ!」 
『・・・・・・?』
リリアーナは首を傾げた。ロックは何をそんなに困っているのだろう?
きょろきょろと回りを見渡していたが、猫耳以外特に変わった様子は見受けられない。
『一体どうしたの?ロックは何をそんなに困ってるの?』
リリアーナはぴょんとロックの肩へと飛び乗り、ロックの頭に触ってみた。
『この猫耳! まるで本物そっくりじゃない!
 もしかしてロックも猫に変身させられそうになったの?こんな森の中にいるのも、それが原因とかっ?!
 ・・・って言っても言葉が通じないんだっけ・・・』

「にゃーん」
リリアーナはロックの耳にすりすりした。

61 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/18(木) 22:58:20 0
>57
レイド先生が焼き熊肉を謎の少女に渡したのを確認するフリージア
「やっぱり飢えていたようですわね」
>55
そんなこんなしているうちにフクロウに攫われたリリアーナ
「レイド先生が行ったみたいだし・・・大丈夫ですわね」
本当は助けに行きたくてうずうずしているのだが
教師に言われたことは問答無用で信用し
したがってしまうところのあるフリージアは
「悪い!後は任せたぞ、フリージア!」
というその言葉に従った

「で・・・結局貴方は何者なのかしら?」
フリージアはそう謎の少女に問いかけた
まあその言葉の意味が通じるかどうかは分からないのだが
「ギ〜ズ〜モ〜」
自分を指差して自分の名をいうギズモ

ああ・・なるほどと感心したフリージアは
同じように自分を指差し
「フリージア」
と言った

・・・・・その前にその物騒な雪の結晶をかたずけろフリージア

62 名前:ヴァルター ◆3rU/M.1ujk 投稿日:2007/10/18(木) 23:49:10 0
>56
>「『帝国魔道研究所』?『帝国暦』?古臭いとは思っていたが、
> 私が生まれる前から封印されていたのかもしれないな」
生まれる前?じゃあこのヴァンパイア、けっこう若いのか。
まあいいや、三桁のってりゃ牙が材料になるから・・・甘いぞヴァルター。

>「少なくとも貴様が私の年齢の八十年よりも昔の人間で、
> 封印を解かれて現在を生きる我々の前に姿を現した」
なんと目の前のヴァンパイアはまだ歳が三桁にのってなかった!
これはイタイ、こいつの吸血牙抜いても魔道実験や薬の材料にならないじゃないか!
だがそんなことでへこたれるようなヴァルターじゃない。
「なんだ、まだ80年しか生きてないのか・・・ん、待てよ。
 さっき帝国について聞いてきたよなあ。つまり、帝国は滅んだってことか?
 ・・・兆候はあったけど、ずいぶん早かったな。」
特にショックを受けた様子はなかった。元々研究さえ出来りゃあ
外がどうなろうと知ったことじゃないから。驚いたのは、予想してた場所に
出なかったから、ただそれだけ。だがしかし、大事なことを忘れてるぞ。
「・・・・・・・・・ちょっと待て、それじゃあこの鎖の外し方誰も知らないって事か!?

    /\___/ヽ   ヽ
   /    ::::::::::::::::\ つ
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ

マジかよおおおお、こっりゃあヤバイぞ・・・・・・。」
その大事なことをようやく思い出したようだ。頭を抱えてしまった。

>「いま私ができるアドバイスはいま現在自分に起きてることを知ることと、
> これから何をしたいか…自分に聞いてみることだな」
>「なにか知りたいことがあるならば、さっきいた地下図書館にきっとあるはず。
> そこにちょうど用がある生徒たちがいるから、一緒につれてってもらえ」
目の前のヴァンパイアは本で読んだ一般的な奴とはどこか違っていて、
なんだかんだ言いながら世話を焼いてくれる、実はいい人とヴァルターは感じた。
「俺がさしあたってしなきゃいけない事は、この鎖を外すことなんだよ。
 ・・・壊そうとすると間違いなく酷い目にあうから、その方法を探さないと・・・
 え、いいのか?・・・あんたって、いい奴だな!」
封じの鎖の件をどうしようと悩んでいたヴァルターはヴァンの手を握っていた。
出てきて早々こんないい奴に会えるなんて、俺は運がいい!

>「そいつらはいま中庭で仲良しこよしらしい。
> 学園の地図を渡しておくが、案内が必要か?」
わざわざ地図までくれるなんて、こいつは実はいい奴じゃなくて普通にいい奴だ!
「え゛、一緒に来てくれねぇのか!?
 てっきり一緒に来てくれるもんだとばっかり思って・・・・・・」
・・・ヴァンの表情を見てさすがに空気読んだのか黙るヴァルター。
これ以上引っ張って機嫌を損ねたら、いくら二桁ヴァンパイアと言えど今の自分よりは
絶対に強いのでミイラにされちまう。しょんぼりと肩を落としながらも
「分かったよ・・・普通見ず知らずの人間にここまで世話を焼くこと自体
 ありえないことだもんな。あとはあんたが紹介してくれた奴らと一緒に行動するよ。
 ・・・無事封印が解けたら、必ずお礼しに行くからな!んじゃまたなー!」
一人で盛り上がって地図を片手に、もう片手にハニートーストを持って
食堂を出て中庭へとヴァルターは向かうのであった。

63 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/19(金) 00:11:49 0
「やめろよ、リリアーナ。」
ロックは迷惑そうに、肩に乗っていたリリアーナの首根っこを掴み、
面と向かって次のように言いだした。
「この猫耳が本物そっくりだって?それは違うぞリリアーナ。
 この猫耳は本物だ!お前の言葉、もとい猫の言葉も全部理解できる。」
ロックは得意そうである。だが、その得意そうな表情もすぐに曇ってしまった。
「何に困っているかだって?周りを見てわからないか?
 森、森、森、見渡すかぎりの森じゃないか!要するにさ…」
ロックはすごく恥ずかしそうな顔をしながら頭をかきむしった。
「迷子になってしまったんだ!今度からは考え事をしながら
 道を歩くのはやめとくよ!どこまで流されるか
 知れたもんじゃない!
 それにしてもアウルの奴!道案内を頼みたかったのに、
 さっさと飛び去ってしまうなんて薄情だ!」

その時である。カンコカンコ、カンコカンコとリズム良く
何か硬い物を叩くような音がしている事に2人は気づいた。
「…あの音は何だろう?太鼓かな?」
もしも太鼓なら、いくらかは脳みそのある何者かが叩いているに違いない。
もっとも、それが人間である可能性は、この魔の森においては極めて低いが…
ロックはリリアーナを見ながら、少しためらった後に自分の肩に乗せた。
「行って見ようぜ、このままここで迷っていても仕方がない!」

64 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/19(金) 20:05:42 0
>63
襟首を捕まれ吊り下げられたリリアーナは、珍しく無口だった。
ロックが自分の猫耳を自慢しているときにも、迷子になったと聞かされたときもだ。

> それにしてもアウルの奴!道案内を頼みたかったのに、 
> さっさと飛び去ってしまうなんて薄情だ!」 
リリアーナはじっとロックを見つめた。
どうやらロックはリリアーナがこんなナリだから何も出来ないと思ってるようだ。
ロックは気づいていないのだろうか?
帰り道を探すのなら、フクロウ以外にも十分役目を果たせるというのに。

『まあ、その耳が何かの呪いでないと聞いて安心したわ。
 私の言ってることもちゃんと通じてるみたいだし、感度も良好ってわけね』
レイドがこの場に居合わせなくて本当に良かったと内心で呟く。
『アウルだけど、随分ご機嫌斜めな様子だったわね。
 ロックのことだから、気づかないうちに何かやらかしたんじゃないの?』
そういうリリアーナもどことなく不機嫌そうだ。

>「…あの音は何だろう?太鼓かな?」 
リリアーナは音の方に視線を向けた。
『太鼓というには、なんだか音が硬すぎない?』
リリアーナは思案した。
早く元の姿に戻りたいのなら、さっさと森から出て図書館に向かうのが正解だ。
だがリリアーナは、さっきの尋常でない姿の野生児のことも気になっていた。
もしあの子が森から来たのなら、森に詳しい人間に聞けば何か分かるかもしれない。
帰り道ならいつでも探せる。
ここまできたのなら、引き返すよりも音源を確認してからでも遅くはないだろう。


>「行って見ようぜ、このままここで迷っていても仕方がない!」 
リリアーナは無言でロックの肩から飛び降りた。さっきの迷惑そうな顔に気づいていたからだ。
「何か聞こえるわね。・・・・・・歌、かな・・・?」
リリアーナは耳をそばだてながら、先にたって歩き始めた。

65 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/20(土) 08:20:59 0
ロックは肩から降りたリリアーナを見て首をかしげた。
(肩の上がお気に入りの場所じゃなかったのか?女って気まぐれなんだな。)
とロックは思った。しかし、その思いはすぐに消える。
さっき、リリアーナに言われた事が急に気になりだしたからだ。

>“アウルだけど、随分ご機嫌斜めな様子だったわね。
>ロックのことだから、気づかないうちに何かやらかしたんじゃないの?”
(そういえば、俺はアウルによくお使いや用事を頼むけど…
俺はそれに見合うだけアウルを可愛がっていただろうか?
俺はいつの間にかアウルを、ただの便利な道具程度に考えていたのかもしれないな。)
ロックは、今度ちゃんとアウルを可愛がってあげようと思った。

そんなこんなで歩いている内に、カンコカンコと響く音の他に、
何か歌のようなものが混ざっている事に気づいた。
>「何か聞こえるわね。・・・・・・歌、かな・・・?」
リリアーナもそれに気づいたらしい。
「確かに歌のように聞こえる。でも変だな、何かの唸り声も聞こえるぜ?」


ロックとリリアーナが音を頼りに向かっているその先にて、
そこはちょっとしたお祭りのようになっていた。
何匹もの小さな妖精達、ピクシー小妖精達が大きな甲羅の上で大騒ぎしているのだ。
その甲羅がまた大きい。大人が5人くらい楽々上に乗れそうな大きさだ。
一見すると亀の甲羅に見えるが、この森の中では見た目などあてにならない。

そこに群がるピクシー達は各々が小さな棒や骨のかけらを持ち、
甲羅を太鼓がわりにリズムよく打ちすえ、歌っている。
それらを見るだけなら、さぞや微笑ましい光景だと人は思うだろう。
しかし、よく聞けばそれが必ずしも微笑ましい事では無いことに気づくだろう。
甲羅の中から発せられる、悲しそうな唸り声に気づいたならば…

>「出〜てけ!出〜てーけー!」
>「引越〜し!引越し!」
ピクシー達は口々にそうはやしたて、歌っていた。

>「甲羅を叩け! どんどん叩け!
 ほら見ろこいつ! 嫌がっているぞ!
 甲羅を砕け! やすりで削れ!
 それでも駄目なら沼地の泥を!
 甲羅の中に! そら流し込め!
 ほら見ろこいつ! 嫌がっているぞ!
 ごめんください妖精さん!
 もう騒がないでくださいな!」

ロックとリリアーナが、ピクシー達の前に現れたのはそんな時だった。


66 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/20(土) 12:43:02 0
「やあフリージア」
餌付けをしているフリージアの傍を、たまたまエース先生が通りかかった。
「レイド先生から話は聞いているよ。何か先生に頼み事があるんだって?」
ルーの姿に気づいたエースの顔から笑みが消えた。
「頼み事ってのは、もしかしてその子の件かい?」

67 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/20(土) 17:19:01 0
>57 >65
>「確かに歌のように聞こえる。でも変だな、何かの唸り声も聞こえるぜ?」
リリアーナは頷いた。
『何だか悲しそうな唸り声ね。一体どうしたのかしら?』

音を頼りに歩いていると、ピクシー達のお祭騒ぎに遭遇した。
>「出〜てけ!出〜てーけー!」 
>「引越〜し!引越し!」
『引越し?』
リリアーナは首を傾げた。 どこに引っ越せというのだろう?
リリアーナ達は更に音を辿り、とうとう音の発生源にたどり着くことが出来た。

そこはまるで、ピクシー達のカーニバルのようだった。
彼らは小さな棒や骨の欠片を持ち、巨大な甲羅を太鼓代わりに叩き、歌い舞い踊っている。
だがよく耳を澄ますと、悲しげな唸り声は彼らがステージ代わりに使っている甲羅の中から聞こえてくるのだ。

>「甲羅を叩け! どんどん叩け! 
 ほら見ろこいつ! 嫌がっているぞ! 

ピクシー達の歌をひとしきり聞いたリリアーナは、すうっと目を眇めた。
『ふうん、そういう事なんだ』
リリアーナは跳躍し、再びロックの肩に飛び乗った。
『嫌なのは分かってるけどちょっと我慢してね。地面の上ではいささか内緒話もし辛いのよ。
 ――― 要するにピクシーたちは、嫌がらせして中身を追い出そうとしてるのね。
 それにしても随分穏やかじゃないわね〜。甲羅の中に一体何が入ってる・・・ん?』
そこまで話したリリアーナは、ぱっと後ろを振り向いた。
しばらくじいっと草むらを凝視していたが、何事も無かったかのように再びロックに話し掛ける。
『―― で、ロックはどうしたい?
 この追い出し攻撃を止めさせることも出来なくは無いけど・・・。
 いきさつも知らない私達には、どっちが正しいかなんて判んないわよ?それに・・・』
更に言い募ろうとしたリリアーナだったが、ふいに口を噤んだ。

気づけばピクシー達は手を止め、じっとこちらを凝視していた。

『・・・こんにちは妖精さん達、今日はとってもいい天気ねぇ〜』
リリアーナは上ずった声で、当り障りの無い挨拶を試みた。
『ところで私、朝から何も食べてないの。とってもお腹すいてるんだけど、何か食べ物は無いかしらぁ?』

68 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/20(土) 17:38:48 O
>>67
つネズミの右足
つミミズ
つとかげの尻尾
つニワトリの頭
つ人の目玉

69 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/20(土) 18:45:43 0
>54>55>57>61>66
焼かれた肉を差し出されたのだが、ルーはその肉とレイドを交互に見て・・・・・・

ガオン!

危なかった・・・危うくレイド先生の手首から先を持っていくんじゃないか?
という勢いで踏み込んだルーは肉を強奪していた。ついでにリリアーナに向けて放ったほうの槍も。
その一方、フリージアとギズモによる謎の自己紹介も意味が伝わっていないらしい。

アウルによってリリアーナ(猫)が攫われた途端、ルーはそれを追いかけようとしたが
レイド先生が走り出したのと、フリージア(氷結晶付)に背を向けるのをためらったのか
警戒している様子だ。
ちなみに、フリージアが弾いた方の槍は既にぼろぼろと灰のようになって崩れ落ちていっている。

>「頼み事ってのは、もしかしてその子の件かい?」

均衡を破ったのはエース先生の間の悪い登場と一言だった。
ルーは、どこから取り出したのか背中にまわした腕から何かを取り出し・・・
エース先生に向かって投げた!

それは・・・網(木製、ちょっと細くて硬い)だ。
ルーはその成果も確認せずに、右手に槍を担いで左手には肉を持って頬張り
リリアーナが攫われた方向へと駆け出した。

70 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/10/20(土) 19:42:02 0

メラルは、梟のほうに意識を集中させていた為、ルーの投げた槍に対し、かなり反応が遅れていた。
…もしメラルに対し槍が投げられていたら、命中は避けられなかっただろう。
実際、フリージアやリリアーナも、ギスモや転校生…キキのおかげで事なきを得たようだった。
「…これは、冗談や誤解じゃ…すまされないわね。」
メラルは、周囲への警戒も密にしつつ、戦闘を前提とした術を新たに唱えだす。
フリージアは餓えのせいと考えているようだが…それならなおの事油断できない。
キキは完全に戦闘体勢である。
(…彼女のさっきの術…多分誘導系…。でも、何故
わざわざ飛行の術を解除してから撃っていたのかしら…。)
キキの術の事も気になっているようだが…メラルは、とりあえずリリアーナの方に接近を続けた。

二人…と、レイド先生の呼びかけに対し、ルーは首をかしげていた。
そもそも言葉が理解できないのかとも考えたが…
それなら、何をするかわかったものではない。
なおの事警戒すべきである。そう考え、地に着地してリリアーナのすぐ近くまで行き、
リリアーナからのテレパシーを聞き…言葉で返答をしようとしたところで
今度は梟に虚を突かれ、リリアーナを攫われてしまった。レイド先生が即座に追った…という事は、
レイド先生がリリアーナ救出に動くつもりなのだろう。それなら、リリアーナの方は解決も時間の問題だろう。
そう考え、目の前の野人…ルーへの警戒をし始めると、エミューが茶化すような口調で言う。
(らしくねぇな。…さっきから不注意すぎんゾ?)
(全くね。気を引き締めていかないと…。さすがに、あの
盗撮犯は関係ないだろうけれど。…!)

騒ぎを聞きつけたのだろうか。エース先生が現れ、フリージアに話しかける…と、
直後ルーがエース先生に網を投げ、リリアーナの攫われた方に駆け出していった。
しかし、メラルも今度は彼女への警戒を緩めていなかった。即座に、足止めの為の術を放つ。
「ウォーターバスター。」
メラルが、自分の目の前に魔法陣を展開し、その魔法陣からルーに向けて…
消防車のホースからの放水を、そのまんま口径だけ派手にした水を放つ。
(今までの動きのよさから見ても…当たるとは思えないし、当たってもたいした効果はないわ。
でも…動きは遅くなる。それに、当たらなくても向かう先の地面はぬかるむはず。…エミュー!)
(…おうヨ!面白くなってきやがったゼ。)
エミューが自らの術で、体を半透明に近い状態から、見えやすい曇った氷の状態に変化させ、
その体も…角を取った不完全な状態から、鋭く…しかも、今までより一回り大きい状態に作り変えた。
「ガトリング・ニードル!」
そして、その嘴のある辺りに水球を出現させ…
そこからルーの動きを制限するように氷の針を連射し、牽制弾とした。
メラルはそれを見取って、キキの方に視線をやる。キキの常用する術が
炎の術ではないかと考え、キキが術を放つと同時に放水を止めるつもりのようだ。


71 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/10/20(土) 19:43:30 0
「ふーむ…難しい状況でおじゃるな」
梟に猫をさらわれてしまい咄嗟に火翔で追走したはいいが、
梟(猫)←キキ←野人の形になってしまったようだ。
「『制裁を与える』ことと『約束を守る』を同時にやってのけなくてはいけないとは…趣深いが、中々厳しいでおじゃるな」
梟よりも後方から迫る野人のほうが害が多い為、後ろ向きで飛びながら追走
幼年のころから火翔で移動していたキキでも厳しいだろう。
そして、キキにはまだ問題が残っていた。
「相手は野人…知能は動物だが火への恐怖心は微塵も感じられなかったでおじゃる」
キキの悪戯は対人用のもので、動物相手には意味がないのだ。
彼らは理性よりも本能で恐怖を感じる…つまり、「死」などの酷くシンプルなものしか反応しないのだ。
命を奪う悪戯は悪戯ではない…それがキキのポリシーである以上、相手に「死」の恐怖を感じさせてはいけない。
「別に彼奴に悪戯を仕掛けると公言はしていなかったから鉄則は守っておるしのぅ」
そういって、キキは火翔を解き森に降りた。

「さて…御主には暫し迷ってもらおうかの」
近くにあった大木に両手を添え、詠唱を始める。
「…汝…我が記憶の其に其の身変えなん…フンッ!」
大木は一瞬にして青白い炎に焼かれたと思った瞬間、その身を梟の模型×6に其の姿を変えた。
着色もしっかりと施されており、遠目で見ると本物と見分けがつかない。
「…散れ!」
キキが指揮者のように腕を振り上げ、そう命ずると梟の模型達はそれぞれ別方向へ飛んでいった。
「さてと…追うでおじゃるか」
改めてキキは追走を再開した。

72 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/21(日) 09:06:33 0
>66>69
「あらエース先生ごきげんようv」
エースに挨拶をするフリージア
「ゴキッゲンヨウ」
まねして挨拶をするギズモ
>「頼み事ってのは、もしかしてその子の件かい?」
「いえ猫になってしまったリリアーナさんの通訳を・・・」
その時である!?
謎の少女は網をエース先生に投げつけた
「エース先生!?」
さて・・・エースといえば切断技のエキスパートなのだが
このエース先生もやはり・・・・
「アミヲ セツダンシタ!?」
「さすがですわv」
>70>71
「ウォーターバスター。」
エースが無事であることを確認したフリージアは
即座にルーを追う
そこで見たものはウォーターバスターやガトリング・ニードルで攻撃する
メラルとエミュー・・・

そしてたくさんの梟であった
「アノフクロウ オカアサンノ フリージングドールト カンジガニテル」
「ギズモちゃんフリージングドールは自立活動しませんわよ」
「ジャア オカアサンヨリウエダネ」
ギズモは感じたことを素直に言うのであった
「どうせ私のフリージングドールは動きませんですわ」
ちょっといじけるフリージア
フリージアはこういった自立稼動する無機物を作る呪文が苦手なのである
「ですけど彩色は私の方が上ですわ!美術の授業を取ってますもの!!」
そんなことはどうでも良いから野人を止めろ

「メラルさん!ウォーターバスターの水利用させてもらいますわ!!」
フリージアは相手を凍らせる雪の結晶を投げ
メラルの出した水を利用して謎の少女の足を凍らせようと試みた
これに失敗したら霜柱の檻の呪文で閉じ込めてしまうつもりである
「これだけ水があれば氷の原材料には事欠きませんわ」


73 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/21(日) 20:17:32 0
>『―― で、ロックはどうしたい?
> この追い出し攻撃を止めさせることも出来なくは無いけど・・・。
> いきさつも知らない私達には、どっちが正しいかなんて判んないわよ?それに・・・』
「そうだなぁ、さっきもそれで失敗したからな。」
さっきの失敗とは、見た目の怪しさだけで猫耳のおっさんを
犯人呼ばわりして戦いを挑んだことだ。

>『・・・こんにちは妖精さん達、今日はとってもいい天気ねぇ〜』
>『ところで私、朝から何も食べてないの。とってもお腹すいてるんだけど、何か食べ物は無いかしらぁ?』
そう言われたピクシー達は、最初こそ少し困惑したような顔をしていたが、
すぐに満面の笑みを顔に浮かべた。なんだかその笑みが、
新しいおもちゃを買ってもらった子供のようで、ロックは気に入らなかった。
「あるよ、あるよ。食べるもの。すぐに用意するから待ってて!」
少しして、何匹かのピクシーが中身のたっぷり詰まった皮袋を持ってきた。
どうやらその中に、何か食べる物が入っているらしい。
「さぁ〜どうぞ召〜し上がれ〜!」
そういって皮袋を持ったピクシー達は、ロック達の上にその中身をぶちまけた。
降ってきたのは、ネズミの右足、ミミズ、とかげの尻尾、ニワトリの頭、
人の目玉etc…とても普通の人間が口にするものではなかった。
「うわ!うわ!うわ!」
ロックは仰天して、上から降ってくるゲテモノ達を夢中で手で払った。

ピクシー達はロック達の様子を見て大笑いしている。
一応ピクシー達のよこしたものは食べれるものだが、
どうも確信犯的にこうしたゲテモノを用意したらしい。
「くそっ、よくもやったな!」
そんなわけで、ロックは怒った。
「リリアーナ、あいつらの事情なんて知った事ではない!
 だいたい、正義の味方は“いじめられている亀を助ける”のが当たり前なんだ!」
それを聞いたピクシー達はまたゲラゲラ笑った。
>「亀!?亀だって!?はははっ、バーカ!バーカ!」
「誰が馬鹿だ!亀を亀と言って何がおかしいんだ!」
>「亀じゃないものを亀と言って何がおかしくないんだ!はははっ!」
ピクシーはロックの口調を真似て馬鹿にした。それはともかく、
ピクシー達の言葉から察するに、この甲羅の主は亀ではないらしい。
「亀じゃないだと!?どこからどう見ても亀じゃないか!」
ロックはまだ悟っていなかった。世の中には、見た目と本質が
大きく異なるものがあることを…

「プレッシャー!!」
ロックが右手を甲羅の上に向けると、そこに居たピクシー達が見えない力で
吹き飛ばされた。プレッシャーとは、見えない圧力を相手にぶつける魔法だ。
ピクシー達はロックに不意をつかれる形になったが、吹き飛ばされた
ピクシーの数は全体の半分ほどだ。残り半分のピクシー達の逆襲が始まった。
>「やったな〜!」
ピクシー達は散り散りになり、ロックとリリアーナに群がった。
体にまとわりついたピクシー達は、持っている棒で叩いたり、
鼻や耳、髪の毛を引っ張ったり、皮膚をつねったりした。
「俺の猫耳をひっぱるな、この野郎!プレッシャー!プレッシャー!!」
ロックはまたピクシーを吹き飛ばそうとしたが、こうも散り散りになって
襲い掛かられると狙いがうまくつけられない。
「くそっ、やっかいな!大丈夫かリリアーナ!?」
ロックはリリアーナにまとわりついているピクシーをバシバシはたき落とした。
しかし、数の多いピクシー達に対してこれでは根本的な解決にはなりそうにないようだ。


74 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/22(月) 19:38:35 0
>73
さすがはピクシー、リリアーナの言葉をちゃんと理解したようだ。
彼らは満面の笑顔で大きな皮袋を持ってきた。
>「さぁ〜どうぞ召〜し上がれ〜!」 
>そういって皮袋を持ったピクシー達は、ロック達の上にその中身をぶちまけた。

降ってきたのは、人間ならとても食べられないようなシロモノだった。
>「うわ!うわ!うわ!」  
仰天したロックが慌ててゲテモノを払いのける。
頭に落ちてきたトカゲの尻尾をロックに叩き落とされ、リリアーナは我に返った。
(わ・・・私、いま何をしようとしてたの?)
もしロックが叩き落さなかったら、今頃リリアーナは尻尾を齧っていただろう。
信じられないことに、トカゲの尻尾がとても美味しそうに見えたのだ。
(変だわ私。さっきの猫じゃらしの時といい、今といい・・・)

>「くそっ、よくもやったな!」 
自分の行動にショックを受けているリリアーナを尻目に、ロックは怒っていた。
>「リリアーナ、あいつらの事情なんて知った事ではない! 
> だいたい、正義の味方は“いじめられている亀を助ける”のが当たり前なんだ!」 
それを聞いたピクシー達はげらげら笑っている。
『ロック落ち着いて、アレが何か聞きだしましょうよ。話はそれからよ』

ピクシーの話が本当なら、この亀にしかみえない甲羅は『亀』以外の何からしい。
では一体これは何で、ピクシー達は何をしていたのだろう?
ぐうぐうなるお腹を宥めつつそんなことを考えていると、ロックがピクシーに先制攻撃を仕掛けた。
目に見えない力に吹き飛ばされ、ピクシー達の半分は吹き飛んだ。
だが残りの半分は、小さな棒や骨のかけらを手にロックに襲い掛かってきた。
乱戦の中ピクシーがリリアーナにもたかり始めた。
『痛い痛い痛い!ちょっと、髭を引っ張らないでったら・・・!!』
>「くそっ、やっかいな!大丈夫かリリアーナ!?」 
>ロックはリリアーナにまとわりついているピクシーをバシバシはたき落とした。 
『あ、ありがと〜』
ぼさぼさの毛並みのリリアーナは、コイルのようになった髭を撫でつけながらどうにか答えた。
『でもピクシーは身体が小さいから厄介ね。・・・こんな時レイド先せ・・・』
言いかけてはっと口を噤んだ。
(なんて情けないのリリアーナ!自力で頑張るといった舌の根も乾かないうちにこの体たらく。
 これでは先生に呆れられても仕方が無いじゃない!!)

リリアーナはぐっと頭を上げると、ロックに叩き落とされたピクシーを睨みつけた。
群れの中の何かを探しているようだ。
その中の一体のピクシーに目を留めるや否や、リリアーナは狩をする猫の目になった。
『ロック、雑魚は放っておいて頭を押さえちゃいましょう!』

そう言い残すとリリアーナは跳躍し、一匹のピクシーに向かって矢のように駆けた。
まるでネズミを追う猫そのものである。
リリアーナが今まさに襲い掛かろうとしている相手は、他のピクシーとは違う服装をしているようだ。

75 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/22(月) 19:42:42 0
>70-72
エース先生が切断した木製の網は、切られた途端に
ぼろぼろと崩れて掻き消えてしまった。

リリアーナを追わんと駆け出したルーの背後からメラルの放つ激流が襲い掛かる。
更に後方からフリージアがその襲い掛かる水を凍らせようと結晶を投げる。
だが・・・・・・

「!」

メラルの放ったウォーターバスターが激突する直前
ルーの姿が『何か』に隠れて見えなくなった。
それは、先ほど投げつけられた槍に似た材質だが・・・
ルーをすっぽり覆ってしまう程の大きさの球だ。
お世辞にも小柄とはいえないルーの背丈を覆う程度であるため
球もそれほど大きくは無い。

そして、突如出現したその球は水流に押されてごろごろと転がっていく。
とりあえずその謎の球体は、当初走り出していた方向へと転がっていく・・・
それなりに加速がついている為か、氷は球面を覆っていても
その動きを止めることは出来ていないようだ。

ごろごろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そんな球体の上空を梟の囮達が飛んでいく。
もちろん中からは見えていないだろう。

76 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/22(月) 22:55:10 0
>74
>「ふぎゃ〜!?」(*ピクシーの悲鳴です。)
リリアーナはピクシーの首領らしき個体を引っ捕まえた。
>「ああっ!?ジョニー!」
ピクシー達は激しく動揺している。どうも、この首領ピクシーは
ジョニーという名前らしい。ジョニーは悔しそうに暴れているが、
リリアーナは彼をがっちり掴んで離さない。
>「ジョニー!ちくしょう、ジョニーをはなせ!」
>「ああ…お願い、ジョニーにひどいことしないで!」
ピクシー達は攻撃をやめ、必死にジョニーを返してと懇願した。

「………」
ロックはその様子を見て、複雑そうな顔をしていた。

>「おい、お前達!」
そんな状況を破ったのは、ジョニーの鶴の一声だった。
>「俺はもうだめだ。でも、みんな忘れるな。
  一人一人の力がどんなに小さくても、
  みんなで力を合わせれば何だってできるんだ!
  俺が死んでも…」
>「嫌よ、ジョニー!死ぬなんて言わないで!」
>「聞き分けのないこと言うんじゃねぇ、キャサリン!
  いいか、俺が死んでも必ずあいつを甲羅から引き出すんだ!
  安心しろ、死んだって心はいつもみんなと一緒だ…
  ああ、だめだ。目が見えなくなって来た…寒い…ガクッ。」
ジョニーはセリフ通りガクッと崩れ、動かなくなった。
>「ジョニーぃぃぃい!!…わかったよ、ジョニー。俺達、がんばるよ!」
ピクシー達の士気が急上昇した。その時、リリアーナにだけ小さな笑い声が聞こえた。
見れば、ジョニーがおかしそうにくすくす笑っているではないか。
それも、当然である。リリアーナはただジョニーを捕まえただけなんだから、
死ぬはずがない。ジョニーはピクシー達を活気づかせるために
わざわざ感動的なセリフを言いつつ死んだふりをしたのだ。
でも、よく考えてみればジョニーはリリアーナに捕まったままなのだが…
しかし、リリアーナに、これ以上ジョニーに追い討ちを与える時間は
与えられなかった。ジョニーの敵討ちに燃えるピクシー達が
一斉にリリアーナに攻撃を始めたからだ。また、それだけではない。
ジョニーの寸劇は、本人の予想以上の影響をある人物に与えていたのだ。
それは、ロックだ。

「おぉぉおお!俺は今、猛烈に感動している!!」
リリアーナはピクシー達に襲われているが、ロックは助けようとしなかった。
もっとも、助けられなかったと言う方が正しいかもしれない。
ジョニーの三文芝居にすっかりだまされたロックは、
とてもこいつらを傷つけようなんて考えられない!と、思ったからだ。
「なんて…なんて美しい友情なんだ。久しぶりにいいもの見せてもらったぜ!」

その時、ロックのすぐ後ろには例の甲羅があった。ロックはおろか、
リリアーナもピクシー達も、その他の何者も気づかなかった。
その甲羅の中から、興奮するような激しい息づかいが聞こえる事を。
そして、その甲羅の主の目がしっかりとロックを見据えていた事を。

次の瞬間、ロックはその場から消えてしまった。
誰もその瞬間を目撃していない。ゆえに事実だけを簡潔に述べなければいけない。
ロックは甲羅の中に引きずり込まれたのだ。物音一つ立てず、そして、一瞬の内に…

77 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/23(火) 21:03:42 0
>76
リリアーナはジョニーというピクシーを捕まえることに成功した。
途端にピクシー達は動揺し、必死にジョニーを返してくれと懇願している。
ロックは複雑そうな顔でこちらを見ていた。
『ちょっとちょっとちょっとー!!これじゃ私ひとりが極悪人みたいじゃないのよ〜!』
リリアーナとしてはピクシーの攻撃を止めさせ、この場が丸く収まれば言うことが無かった。
だが、事はそう簡単には行かなかったのである。

リリアーナが押さえつけているピクシーの首領は、いきなり死にそうな声を出した。
彼女はギョッとしてジョニーを見下ろした。だが特に怪我をしている様子も無い。
>「嫌よ、ジョニー!死ぬなんて言わないで!」 
>「聞き分けのないこと言うんじゃねぇ、キャサリン! 

『もしもーし、私、ジョニーさんをただ捕まえただけなんですけど?』
だがリリアーナの言葉など誰も聞いちゃくれなかった。
>ジョニーはセリフ通りガクッと崩れ、動かなくなった。 
>「ジョニーぃぃぃい!!…わかったよ、ジョニー。俺達、がんばるよ!」 
士気の上がったピクシー達はリリアーナに襲い掛かってきた。
驚いたのはリリアーナだ。
『ちょ・・・ちょっと待ちなさいよ、私はジョニーを殺してないってば!
 痛い痛い痛いってば!ちょっとロック!黙って見てないで助けて!!』
リリアーナは救いを求めるようにロックを見た。だが期待は見事に裏切られた。

>「おぉぉおお!俺は今、猛烈に感動している!!」 
『はあ?!』
ぽかーんとしていたリリアーナだったが、我に返った途端激怒した。
『こ・・・この馬鹿ロック!私よりピクシーの三文芝居を信じるだなんて・・・あれ!?』

ほんの一瞬目を離した隙に、ロックは忽然と姿を消していた。

「フギャ――――!!」
多勢に無勢、ピクシー達に押さえつけられたリリアーナは、身動きが取れなくなってしまった。
形勢逆転である。

『ちょっとあなた達、ロックは?ロックをどこにやったのよ?!』
彼らの話では、ロックは例の甲羅の中に引きずり込まれたらしい。
『一体どういうことなの?あの甲羅は一体何なの?!・・・痛い!尻尾引っ張らないでってば!!』

そういえば彼らは人間の目玉を持っていた。
もしかしたらピクシーは猫を食べるのかもしれない。
・・・・・・どこからか、何か大きなものが転がる音が聞こえてくる。
次第に音は近づいてくるようだ。

78 名前:キキ ◆vnMt3fk8bc 投稿日:2007/10/24(水) 01:21:39 0
「さて…どうしたものでおじゃるか」
ロック達の様子をその上空で伺っていたキキがそうつぶやく。
本来ならばこのまま降りて、猫を救出するつもりだったが、あの梟の飼い主らしい
いかにも血の汗の臭いがしそうな猫耳の男子がそこにいるので二の足を踏むことになったのだ。
「あーゆーのは色々と面倒でおじゃるしな〜降りていったら絶対一悶着あるでおじゃるし」
さも経験者が語るようにロックを見下ろしながらキキはトンビのように旋回して待機する。

しばらくして、変化は起こり始めた。
妖精らがくだらない三文芝居を始めたのだ。
もちろん、これはキキが望んでいる変化ではないので見の姿勢は崩さなかったが
「実にくだらないでおじゃるな……ッ!?」
三文芝居の批評を述べていたとき、キキは目を疑った。
ほんの一瞬、あの猫耳から目を離した瞬間、その姿がなくなっていたのだ。
罠かと思い警戒したが、その可能性は薄いといえる。
あの連中の誰一人としてこっちを見ていないし、影を落とすといった愚行も犯してはいない。
つまり、あの状況下でキキを確認できる可能性は無に等しいのだ。
仮に、魔力探査等のサーチ能力で判ってたとしても、性格上奇襲をしかけるわけがないのだ。
「チャンス到来でおじゃる」
そう呟き、すぐに高度を落として猫リリアーナの元へ急いだ。

「ちいさいのう…実に…実に小さい」
皮肉たっぷりに妖精達の背後から声をかける。
予想どうり、よってたかって猫をいたぶっていた妖精らはキキを一斉にキキを睨み付ける。
だが、妖精達の表情が変わる。明らかに人離れした二本角…明らかに上の種族であることは間違いない。
……なんか転がって来てない?

79 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/24(水) 10:22:32 0
>75
フリージアの試みは失敗しまんまと逃げられてしまった
「私の氷が効かないなんて」
「マエニ コオリノ カベツクレバ イインジャナイ?」
とギズモ
「無理よ霜柱の檻の呪文の射程範囲外ですわ」
すでにウォーターバスターの射程からも離れている
大量の水が必要な霜柱の檻の呪文は使えないだろう
ちなみにフリージアはホット(熱湯を出す)の反対呪文である
クール(冷水を出す)ぐらいしか水を直接出す呪文が使えない

フリージアはギズモとこんな事をしゃべっていても仕方がないので
少女が変化した球体を追うために空飛ぶ雪の結晶を加速させた

>77>78
そのまま玉を追いかけ・・・・
スピードを出しすぎて追い抜いてしまったフリージアが見た物とは
迫る球体とその前にいる猫と角の生えた女生徒
亀っぽいものとリリアーナに襲いかかるピクシーだった
「あ、あの猫ちゃんはリリアーナさん!?玉が迫ってきますわ避けて!!」
フリージアは一度見た猫の特徴は忘れない
見ただけでリリアーナとわかった
「ピクシーハ マカセテ!」
ギズモはフリージアの頭から飛び降りる
ピクシーを追い払うつもりだ
自分より小さい物と機械系の敵には強いぞギズモ

「リリアーナ オネエチャンヲ イジメルナ」
ピクシー相手にそれっぽいファイティングポーズをとるギズモ

高速回転しリリアーナに迫る球体
近くにいるキキはガン無視である
ついでに助けに入ったギズモも轢かれそうだが
ギャグキャラは不死身なので・・・ま、いっかv


80 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/10/24(水) 18:20:54 0
>>62
「相変わらずレイド先生の教え子達は賑やかですねぇ」
網を断ち切ったエース先生は、服の埃を払いつつ立ち上がった。
そこにやってきたのは、食べかけのハニートーストをくわえた見慣れない人物。

エースは煙草に火をつけながら、のんびりとヴァルターを呼び止めた。
「ハロウィンパーティをおっ始めるには時期尚早じゃありませんか?
 ……失礼ながら、どちらからお越しで?」

81 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/25(木) 22:41:06 0
甲羅の中に引き込まれたロックは夢を見ていた。
もちろん、ロックがいきなり眠ってしまったのは、その甲羅の中のものが
ロックに夢を見させるように働きかけたからだ。
ここで、“幻術”とか“催眠”の類と評しないのは、それが
ロックにとって不快なものではなく、むしろ安らぎを与える代物だったからだ。
リアルな夢ほど、それも心地よいものほどやっかいだ。
それが夢であることを、どうやって自覚できようか?


目を開けた時、ロックは自分に何が起こったのかさっぱりわからなかった。
あれ?そもそも“何か”が起こったのだろうか?違うな、いつも通りだ。
俺はいつも通り、こうやって草原に寝転がって、どこまでも続く青い空に
浮かぶ雲を目で辿って楽しんでいるんだ。…そう、いつも通りだ。

頭の上の方から、サクサクと草を踏みしめる足音が聞こえてきた。
ロックは何故か、その足音の主は、自分のよく知っている友のような気がした。

「やぁ、…えっと…?」
ロックは上体を起こして挨拶しようとしたが、何故か名前がわからなかった。
おかしいな、こいつは気心の知れた友達の筈なのに…


ロックが夢の世界に居るころ、甲羅の外の世界は大騒ぎになっていた。
迫りくる謎の球体に驚き飛散するピクシー達、彼らはロックが甲羅の
中にいることを知っていた。
>「ねぇ、“あれ”は大丈夫かな?」
>「心配だなぁ、“あれ”が壊れなければいいけど…」
ピクシー達はしきりにそんな事をささやきあっていた。

82 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/26(金) 17:07:40 0
>78-79
じたばた暴れているリリアーナの上に、長い影が落ちる。
>「ちいさいのう…実に…実に小さい」 
ゴゴゴゴゴ・・・!と効果音が聞こえてきそうな登場シーンだ。
・・・・・・・・・・・本当にそんな音が聞こえる気がするが、多分気のせいだろう。
「ふみゃぁあ!」
リリアーナが歓喜の声をあげた。
さっき親切にしてくれた生徒だ!もしかして助けに来てくれたのだろうか?
リリアーナをいたぶって遊んでいたピクシー達は、じりじりと後ずさりを始めた。

>「あ、あの猫ちゃんはリリアーナさん!?玉が迫ってきますわ避けて!!」 
リリアーナの耳がぴくっと動いた。
聞き間違える筈も無い、あの声はフリージアだ。
(・・・タマ?)
>「リリアーナ オネエチャンヲ イジメルナ」 
>ピクシー相手にそれっぽいファイティングポーズをとるギズモ 
『ギズモ〜!助けに来てくれるなんて優しい子なの』
リリアーナはうるっとなったが、それも迫り来る巨大な玉?を発見するまでだった。
『ギズモー!!後ろ、後ろ――――!!』
ピクシー達は蜘蛛の子を散らすように霧散していった。
拘束を解かれたリリアーナだったが、玉は思ったよりスピードが出ている。
ここまで接近されては、短い子猫の足で逃げ切れるはずも無い。
「フギャ――――――――!!!」
リリアーナはぎゅっと目を閉じた。

だが、いつまでたってもリリアーナは玉に潰されなかった。

リリアーナは恐る恐る目を開けた。
『い・・・生きてる!?』
最初に目に入ったのは、自分の前足だった。
慌てて身をよじり、自分を救ってくれた相手の顔を確認する。
『にゃう〜!!』
リリアーナはごろごろ喉を鳴らし、命の恩人に小さな頭を摺り寄せた。

>81
少し落ち着いた彼女の耳に、ピクシー達のsdeq18ささやき声が聞こえてきた。
>「ねぇ、“あれ”は大丈夫かな?」 
リリアーナは喉を鳴らすのを止め、顔を上げた。
>「心配だなぁ、“あれ”が壊れなければいいけど…」 
「・・・・・・・・・・・・・。」
今は黙って静観しているが、ロックの行き先を知っている彼らを逃がす気など無い。
彼女はピクシーをー―正確にはキャサリンと呼ばれた個体――の姿を注意深く目で追っていた。

83 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/27(土) 09:14:23 0
>77-79>82
ごごご・・・・ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟轟!!!!!

ウォーターバスターの勢いが強かったのか、はたまた森が下り坂になっていたからなのか
ルーが緊急避難に作った球はものすごい勢いで森の小さな広場に突貫した。

その先に見えるのは(中からは見えないのだが)亀の甲羅?とかピクシーと戦うギズモだ。
時速にして45km/h。ぶつかったらタダではすまない。

どごしゃ!

という音と共に鉄球は木に直撃。またも灰になって崩れ落ちていく。
中にいたルーは、上下逆さまの格好で木に背中からくっついている。
「ふぁ〜〜〜???」

眼を回したまま、上下逆の状態でずりずりと地面に落ちた。

さて・・・鉄球の進路にいた者達はどうなっただろう?

84 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/10/27(土) 18:55:48 0
目配せをしようとするも…いつの間にかキキはかなり遠くに行ってしまっていた。
梟の追走をしようとするつもりなのだろう。そして…彼女の術だろうか。
いつの間にか梟が増えている。魔力探知で区別できる程度ならいいけど…
などと考えていると、フリージアが声をかけてきた。
>「メラルさん!ウォーターバスターの水利用させてもらいますわ!!」
その言葉を聞き、メラルがフリージアが放った術が着弾する寸前で放水を止め、
ルーの様子を確認して…目を丸くした。
「冗談…でしょ…?」
それまでは、水によってメラルには見えなかったが…ルーを覆う位の大きさの球体が
既にかなりのスピードで転がっており、球面を覆う氷もそのパワーに負けて動きを止められていない。
もちろん、エミューの氷の針など球体に通用するはずもない。そして…
既にルーはメラルの使える大概の術の射程よりも、外にいる。
メラルは、内心かなり驚いていたものの、冷静を装って杖に腰掛け、改めて加速をつけて飛び…
エミューを自分のもとに戻らせながらフリージアの後ろから球体を追っていた。

フリージアが球体を追い越した後で、メラルは球体上空で、球体の速度にあわせて移動し始めた。
既にエミューは回収している。フリージアが大声でリリアーナに忠告をしているのが聞こえた。
そして、ギスモが飛び降りるのも。森に引っかからないギリギリを飛んでいて、位置が悪かった為に
現場はよくは見えなかったが…。


鉄球の突入後にメラルが現場に着地してから言った。
「ごめんなさい。水の術で動きを鈍らせようとしたら…あの子にその勢いを逆用されちゃったの。」
そう言い、地に落ちたルーに視線をやる。その後で、周囲のピクシーにも。
そしてその後にキキに声をかけた。
「色々と巻き込んじゃってごめんなさい。この埋め合わせは…いずれしっかりとさせてもらうわ。」
そして、ルーに視線を戻し、杖を向けた。下手な動きをすれば即座に攻撃を加えると言わんばかりに。

85 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/28(日) 16:57:02 0
「アチョー!ホチョー!!」
気合いを入れて奇声を上げるギズモ
その時である!妙な音が聞こえてきたのは
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
>『ギズモー!!後ろ、後ろ――――!!』
「エ?ナニ?」
リリアーナの声に後ろを向くギズモ
「ゲェ!?」
>「フギャ――――――――!!!」
ギズモが目にしたのは迫り来る鉄球であった
このまま潰されてしまうのか!?


「・・・・・イキテル」
 >『い・・・生きてる!?』
同じようなことを言うギズモとリリアーナ
果たしてその救世主の正体とは?

「あ、あなたは!?」

ふと見ると鉄球が崩れ去りもとの少女の姿に戻っている
>「ふぁ〜〜〜???」
「・・・・・とりあえず危険だから縛っておきましょう」
フリージアは雪の結晶によって編まれたチェーンをもって少女ににじり寄った

メラルも杖を持って警戒しているようだ
じりじりと距離を詰めるフリージア
「あまり人間を縛るのには慣れてないけど・・・」
慣れていたら慣れていたで大問題である

86 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/28(日) 21:08:24 0
夢の中にて。

ロックは目の前にいる少年の名前を思い出せなかった。
少年の青い目がロックをじっと見つめている。風が吹き、
少年の長い金色の髪をゆらした。その髪の美しさにロックは、
まるで髪自体が光っているようだと思った。そう、今空に輝いている
太陽のように。少年はロックのすぐ側に座った。
「変だな、何で君の名前を思い出せないんだろう?」
ロックがそう訊ねると、少年はくすくすと笑った。
>「それは当たり前だよ、僕には無限の名前があるから。」
ロックは少年の言った事を理解できなかった。
「じゃあ、なんて呼べばいいんだ?君の名m」
少年がロックの言葉を遮った。
>「名前が必要なの?ここには君と僕しかいないのに。」
ロックは、それもそうだと思った。思えば、なぜ俺には名前があるのだろう?
世界には、俺と君しかいないというのに。

ロックと少年は一緒に空を眺めていた。どれくらい時間がたっただろうか。
少年がふとロックに尋ねた。
>「ねぇ、ずっとここにいるんだよね?」
ロックはそれが当たり前だと思ったので、迷わず答えた。
「ああ、もちろんだ。」
少年はうれしそうに微笑んだ。


ロックは少年の思惑通り、着実に夢の世界に引きずりこまれそうになっていた。
そもそも、ロックが見ている少年は人間ではないのだ。


87 名前:キキ ◆vnMt3fk8bc 投稿日:2007/10/28(日) 22:20:30 0
妖精達が怯むのを確認したキキは、にんまりと微笑む。
負い目の妖精から言葉のみで強奪することなど児戯に等しい。
畳み掛けたいが、その気持ちをやや抑えゆっくりとした口調で語りかける。
「何…麿もここで暴れるつもりは毛頭ない、ただ…その猫をコ…」
交渉を始めようとした瞬間、邪魔者が割り込んでき、キキの言葉をかき消す。
妖精達も視線は邪魔者に集中している。
軽く舌打ちをし、キキも視線をその邪魔者に向ける。
「……全く…これからのところで」
と大声で文句をいってやりたいところだが、どうもそうしている余裕は皆無のようだ。
先程から聞こえていた轟きの正体が現れたからだ。しかも、運の悪いことに猫まっしぐらではないか
「南無三」
考える間も無くキキは猫リリアーナに向って走り始めていた。
ここで死なれたら約束を守れなくなる…つまり、掟に背くことになる!
これだけは絶対に避けなくてはならない。
「止まるでおじゃる!」
とキキは両手を地面につけ、あたりの腐葉土や小枝などで、柱を鉄球の前に出す。
これで少しぐらいは足止めできるだろう。そして、キキは猫リリアーナとジョニーを救出した。
直後、鈍い轟音が聞こえた…あと少し遅ければ3人ともお陀仏だったであろう。

「…全く…世話の焼ける奴じゃな…」
頭を摺り寄せてくる猫リリアーナにそう一言やり、また頭にのせた。
久々に走ったせいか、心臓の鼓動が常人の倍ぐらいの早さで動いている。
ジョニーを左手で捕獲しながら、右手で胸ポケットから今朝もらった薬を一気飲みする。
その間にメラルが話しかけてきたのを確認した。
「全くでおじゃるが、メラル、御主があやまる必要はないでおじゃるよ…どっちかといえば、そこのドリル女のほうに謝ってほしいものじゃ」
とあたりを確認する。木の上には野人、この場にはドリル女とメラルと麿、そして、妖精と…甲羅?
「のう…先程までここにいた血の汗の臭いがしそうな男をしらぬでおじゃるか…おい!御主もおきて答えるでおじゃる」
キキはそうメラルと左手のジョニーに尋ねた。



88 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/10/29(月) 15:46:55 0
>84>85>87
木に叩きつけられたルーは、逆さまのままぐるぐると眼を回している。
「あ〜〜〜〜う〜〜〜〜〜」

フリージアが氷の鎖を持って近づいていても抵抗する様子でもなく。
ごくあっさりとルーは背後の大樹に縛り付けられてしまった。

ただ、一つ問題がある。
フリージアは捕縛に慣れていない為に、ルーが結構とんでもない格好になっている。
鎖が口を覆って猿轡のようになり、腕は肘の所を通して大樹の背後に一周してだらりと垂れ下がり
足は、膝の下を通してやはり背後に巻きつけられている。

簡単にいえば、M字開脚みたいになっている。
・・・・・・本当は慣れていたりして。

そして、メラルが杖を向けている先でルーはやっと正気に返った。
「・・・???」

だ が ルー は 動 け な い !
ルー は 混 乱 し て い る 

89 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/29(月) 20:07:02 0
>87
> 「のう…先程までここにいた血の汗の臭いがしそうな男をしらぬでおじゃるか…おい!御主もおきて答えるでおじゃる」
>「ひいっ!お願い食べないで!!」
と、ジョニー。
>「あっ、ジョニーが生き返ったわ。」
と、キャサリン。
>「あのうるさい男がどうしたって?知らない、知らない。知ってても教えない。」
ジョニーは最初こそキキを恐れたが、すぐに本来の調子を取り戻した。
>「名前も知らない男の事が知りたいなら、そこの“亀”に聞いてみな。へへへ。」
ジョニーが示した甲羅は今は先ほどの唸り声が嘘のように静まっていた。
さしずめ、獲物を腹いっぱい食べてまどろんでいる肉食獣といったところか。



>「ねぇ、僕の事をどう思ってる?」
少年が再びロックに話かけてきた。
「どうって…わからないよ。君の事を詳しく知らないんだから。」
ロックは困惑したように答えた。しかし、少年は甘い笑みを崩さない。
少年はロックの手の上に自分の手を重ねようとしたが、何故かそれを途中でやめ、
ロックの上着の袖をちょんとつまんだ。
>「僕のこと知りたい?」
ロックはうんとうなずいた。前述の通り、ロックはこの少年に友情と安らぎを感じていたし、
この少年もきっと俺の事を好きなんだろうと感じたからだ。
だから、この少年の事をもっと知りたい。好奇心よりも深い何かがロックを動かした。
>「じゃあ、教えてあげる。…ねぇ、僕に触って。」
ロックはがばっと立ち上がった。
「何だって?おい、一体どういう意味…」
そう言いかけた時には、少年はロックの手を取っていた。ロックは少年の手の温もりに、
言葉を失った。

ロックは気づいているのだろうか?目の前の少年が今まさに獲物を仕留めにかかった事に。
ロックは気づいているのだろうか?自分という存在が今まさに消え去ろうとしている事に。



90 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/30(火) 00:52:23 0
>83-85 >87-89
>「…全く…世話の焼ける奴じゃな…」 
キキはそういいながら、リリアーナを再び頭の上に乗せてくれた。
空いた手で取り出した薬を一気飲みしている。
(もしかしたら、どこか具合が悪いのかな?)
リリアーナは同室のアルナワーズの姿を思い浮かべていた。
もっとも彼女の場合病気ではなく、呪のせいなのだが。

(あれ?!)
気絶しているジョニーを眺めていたリリアーナは重大な事に気づいた。
キキの右手にはリリアーナ、左手にはジョニー。
では、私 と 一 緒 に い た は ず の ギ ズ モ は ど こ に ?
「ニャー!!ニャアァァアア?!」
最悪の事態を想像したリリアーナは絶叫した。

だが、ギズモの行方はすぐにわかった。
彼を無事救出した人間は、ギズモを抱いていたからだ。
リリアーナは明らかにホッとした表情を浮かべた。
『ああ、ギズモを助けてくれてありがと!本当にありがとうございました! ・・・・・・でも、なぜここに?!』
意外な人物の出現に、リリアーナは不思議そうに首を傾げた。

一方鉄球の中から突如現れた少女は、フリージアの手でぐるぐる巻きに縛り上げられてしまった。
メラルとフリージアの二人係なら、野生児一人に遅れをとることは無いだろう。
そういう意味では全く心配していない。・・・だが
『メラルさん何とかしてよ〜。フリージアの縛り方じゃあんまりだわ』
メラルがちらっとこちらを見た。あれ?とリリアーナは思った。
(もしかして・・・メラルさんにも私の言葉は通じてるのかしら?)
リリアーナは内心のドキドキを押さえつつ、再び猫の言葉でメラルに話し掛けてみた。
「にゃにゃ。にゃ、にゃ〜ん(メラルさん聞こえる?聞こえたら手を上げて)」
反応が無い。
リリアーナはしょんぼりした。
やはりさっきのは、単なる偶然だったのかもしれない。

91 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/30(火) 00:53:40 0
>「あのうるさい男がどうしたって?知らない、知らない。知ってても教えない。」 
リリアーナは無感動な目をジョニーに向けた。
さっきまで命乞いしていたジョニーだったが、殊勝さもどこへやら。
すぐに本来の調子を取り戻してしまった。 
>「名前も知らない男の事が知りたいなら、そこの“亀”に聞いてみな。へへへ。」 
リリアーナはすうっと目を眇めた。
亀が知っている、ということは、言い換えればロックが消えたのは亀が原因ということになる。
『ふうん、じゃあ、聞いてみることにするわ』
リリアーナはキキの頭から飛び降りると、まっしぐらに一匹のピクシーに襲い掛かった。
『―――― キャサリンって娘と一緒にね!』
すぐに絹を裂くような悲鳴が上がった。
『暴れないでよ。顎に余計な力が入っちゃうから。
 首と胴が別れても大丈夫なら止めないけど』
強く咥えればキャサリンの首は簡単に落ちるだろう。
『ま、恨むなら質問に真面目に答えなかったジョニーを恨むことね』

リリアーナは、キャサリンと一緒に亀に接近した。
『ねえ亀さん、あなた、猫耳つけている青年を知らない?』
返事は無い。リリアーナは焦った。
不思議なことに、一刻も早くここから離れたい気分になるのだ。
さっきまで気づかなかったけど・・・この甲羅、なんだか嫌な感じがする。

リリアーナは自分の怯えをねじ伏せると、フーッと甲羅に向かって威嚇した。
『ロック、そこにいるんでしょ?私よ、猫になっちゃったリリアーナ!
 亀の甲羅の中で一体何してるのよ!』
そう叫ぶなり、亀の甲羅の上に飛び乗り爪を立て始める。黒板に爪を立てているような騒音が森の中に響き渡った。
『いつまでもそんなところで遊んでないで、さっさと出て来なさいよね!
 ただでさえ猫になって大変なのに、ロックまで亀になってどうするつもりなのよ!!』
至近距離で騒音を聞かされるはめになったキャサリンが泣いている。
もしロックが中にいるのなら、耳をつんざく騒音にきっと悶絶しているだろう。
あくまで――――聞こえていれば、の話だが。

92 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/10/30(火) 09:49:35 0
>90
「アリガトウ」
助けてくれた人物に礼を言うギズモ
その人物とは!?
まさかこのまま謎で終わるのか?
・・・・一つ言えることはどうやら教師のようだってことである
>88
>「あ〜〜〜〜う〜〜〜〜〜」
「・・・ちょっと間違えたわね。お〜ほっほっほっほ」
縛るのを失敗したフリージアは笑ってごまかした

「・・・・・ブハァ」
ギズモはその姿を見て鼻から血を吹いている
何で異種族のM字開脚で鼻血を吹く・・・・・こいつ本当にグレムリンか?
>87
>「全くでおじゃるが、メラル、御主があやまる必要はないでおじゃるよ
  …どっちかといえば、そこのドリル女のほうに謝ってほしいものじゃ」
「ドリル女?誰の事かしら?ここにモグラの獣人なんていませんわよ」
本気でわかってないフリージア
「タブン オカアサンノ カミガタノ コトダヨ」
そのギズモの一言でやっと気がつくフリージア
「ま、いきなり初対面で失礼な!タテロールはドリルじゃありませんわ!
 別に秒速2000回転で厚さ60cmの鉄板をぶち抜きません事よ!!」
・・・なんだそのやけに具体的なスペックは?
「オカアサン ショタイメンチガウヨ ケサ アッテルヨ」
すかさず突っ込むギズモであった
「・・・・そうでしたかしら?まあいいですわ。私はフリージア・ノクターン
 決して森羅万象すべてを粉砕する螺旋ではありませんわ」
・・・・わりとフリージアはドリルが好きなようだ

>「のう…先程までここにいた血の汗の臭いがしそうな男をしらぬでおじゃるか
  …おい!御主もおきて答えるでおじゃる」
「血と汗の臭い?誰の事かしら?」
さっき来たばかりのフリージアには誰のことかさっぱりである
「サア?」
ギズモも同じくわからなかった
フリージア達はその場にロックがいたことなんて全く知らないのである

>91
亀(?)を引っ掻きだすリリアーナ
「リリアーナさんあんまり堅い物を引っ掻くと爪が駄目になりますわよ」
リリアーナの爪のことを心配するフリージア
「ナカニ ダレカ イルンジャナイ?」
ギズモが確信めいたことを言う
「まさか・・・まさかね。お〜ほっほっほっほ」
再び笑うフリージア・・・多分今頃、甲羅の中ではすごい音が反響していることだろう

93 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/30(火) 19:53:13 0
>91
「ギャー!!」
ロックは少年の手を振りほどき、両耳を押さえて絶叫した。
突然すさまじい騒音が耳に襲い掛かってきたからだ。
ここで、ロックはあることに気づいた。自分の耳の事だ。
「む?なんだこの耳は!?…はっ!!」
ロックは思い出した。自分の頭に猫耳がはえていることを。

その時、目の前の光景がぼやけて見えなくなってきた。
青空も、草原も、少年も、全てが見えなく…



…どうしたんだろう、どこかで誰かが泣いてるぞ。
覚醒したロックが最初に思ったのはそんな事だった。

> 『いつまでもそんなところで遊んでないで、さっさと出て来なさいよね!
>  ただでさえ猫になって大変なのに、ロックまで亀になってどうするつもりなのよ!!』
リリアーナの声に気づいたロックは体をもぞもぞと動かした。
ロックはわからなかった。いつの間に自分はこんな真っ暗で狭い場所に
入り込んでしまったんだろう?でも、そんなことはどうでもよくなった。

甘い香りがしたかと思ったとたん、ロックはまた意識が遠のいてしまったからだ。



>「やあ、気がついた?」
気がついた時、かの少年の顔がすぐ側にあった。
「…どうなっているんだ?」
何が?といった感じに首をかしげる少年に、ロックは説明した。
先ほどとは違い、今度は現世の記憶をもったまま夢の中にいるのだ。
「聞いてくれ、俺の友達が何者かに猫に変えられたんだ。
だから、俺はすぐに元の場所に帰ってそいつを助けなければいけないんだ。
だから、教えてくれ。俺はどうすれば元の場所に帰れるんだ?」
>「変な事言わないでよ、ロック。君の友達は僕じゃないか。僕は猫じゃないよ?」
「違う!俺には他にリリアーナという友達がいるんだ。」
>「じゃあ、僕がリリアーナだ。」
「変な事を言わないでくれよ!だいたいリリアーナは女の子だ!」
少年は、この言葉を聞いたとたんおし黙ってしまった。しばしの沈黙。
ロックが、おいと声をかけようとしたとたん。少年は再び甘い笑みを浮かべた。
>「なーんだ、女の子が良かったのか。」
少年の言葉にロックは困惑した。どういう意味なのだろうかと。

94 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/10/31(水) 19:11:03 0
>91-92
甲羅の中で誰かがもぞもぞと身じろぎした。
ロックの気配だ。間違いない、やっぱりこの中にロックがいる!
>「リリアーナさんあんまり堅い物を引っ掻くと爪が駄目になりますわよ」 
>「ナカニ ダレカ イルンジャナイ?」 
「にゃう!にゃにゃにゃー!!」
リリアーナは必死でそのとおりだと訴えた。
>「まさか・・・まさかね。お〜ほっほっほっほ」 
「うにゃ ―――― うっ!!!」

『先生、レイド先生! 中庭では生意気言ってごめんなさい。
 やっぱり誰かに助けてもらわないと、私はなんにも出来ないんだわ!』
リリアーナは大声で叫びながら再び甲羅に爪を立て続けた。
『誰でもいい、お願いだからこの中に閉じ込められたロックを出してあげて!』
リリアーナは何かに取り付かれたように爪を立て、後ろ足で甲羅をどんどんした。
だが猫一匹暴れてもたかが知れている。
おまけに甲羅はとても硬かった。

リリアーナの爪は磨り減り、ところどころ血も滲んでいる。
甲羅への騒音攻撃もそろそろ限界のようだ。
リリアーナはキャサリンから口を離すと、右前足で踏みつけた。
『かわいそうなキャサリン、あなたのジョニーは自分のことで精一杯のようよ?
 助かりたければ、私の言葉を人間の言葉に通訳しなさい。
 仕事をきちんと果たしてくれたなら・・・私は五体満足であなたを逃がしてあげる』
リリアーナはさっきまでの混乱振りが嘘のように、静かに語りかけた。
『キャサリン、キャサリン。どうしても嫌だというならそれでも構わないわ。
 あなた以外のピクシーに頼むだけのことよ。
 さっきも言ったけれど、私はとてもとても空腹なの。言ってる意味わかるかしら?』

>88
木に縛り付けられている少女の周りには、ピクシー達が撒いた食料がたくさn落ちていた。
そしてそのすぐそばには、彼らの食料がたっぷり入った半開きの袋が転がっている。
ピクシー達がロックの頭上にぶちまけたものと違い、こちらは人間様でも食べられそうだ。


95 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/10/31(水) 20:05:27 0
ロックの目の前には少女がいた。そう、少女である。
「おっ、お前、人間じゃないな!」
ロックがいまさらになってその事に気づいた。先ほどまでロックの前にいた少年、
その少年の体がもごもごとうごめき、女の体に変わったのだ。
少女は甘い笑みを浮かべたままロックをじっと見ている。さすがのロックも、
もう穏やかな気持ちでいることはできなくなっていた。
「なんでもいいけどさ、教えてくれよ。元の世界に戻る方法を。」
>「あら、どうして?ずっとここに居ればいいじゃない。」
「さっきも言っただろう!俺は猫にされたリリアーナを助けないといけないんだ!」
>「ふふっ、リリアーナが必要なら、私がリリアーナになってあげる。」
「ふざけるな!寝言はラム睡眠の時に言うもんだ!だいたいだな…」

ロックはためらった。ものすごくためらった。しかし、意を決して
畏れながら…と、少女に言った。
「リリアーナは…あれだ。その…そんなに大きくない…膨らみが…」
>「…えっ?」
「だーかーら!…リリアーナはそんなに胸の膨らみが大きくないんだ!!」
ロックはやけくそ気味に叫んだ。

するとどうだろう、少女の胸がみるみる小さくなっていくではないか。
>「…これでいいんでしょう?ふふふっ、変なロック。」
「へっ、変なのはお前の方だ!だいたい、さっきも言ったがリリアーナは猫に変えられたんだ!
さすがのお前も猫には変われ…」
変わったのだ、またしても。もともと少女だった猫が足元にすりよってくる。
>「助けてロック!私、猫に変えられちゃったの!」
「………」
ロックは何も言わなかった。が、突然ある考えが“ドーン”と閃いた。

「いやいやいや、リリアーナはどうでもよかったんだ。普段からボケッとしてるから猫に変えられたんだ。
自業自得だ。俺の知ったことじゃない。」
ロックは急に冷たい事を言い出した。その急変ぶりに戸惑う謎の猫。
「俺が本当に会いたいのは…フリージアだ。かわいそうに、彼女はカタツムリに変えられたんだ。」
嘘である。しかし、そう言った時には、謎の猫は今度はカタツムリに姿を変えていた。
「うかつな奴め!!」
ロックはそう叫ぶなり、素早くカタツムリをつまみ上げると、持っていた試験管にそのカタツムリを閉じ込めてしまった。
猫耳のおっさんからもらった、猫耳薬が入っていたあの試験管だ。
「お前の負けだ、変身野朗!調子に乗って墓穴を掘ったな!」
試験管に入ったカタツムリは無言でロックを見つめている。
「さあ、答えろ!どうやったら元の世界に戻れるんだ!!」



>94
外の世界では、キャサリンが目に涙を浮かべながらうんうんとうなずいていた。
そして早速自分の仕事を果たし始めた。
>『かわいそうなキャサリン、あなたのジョニーは自分のことで精一杯のようよ?
> 助かりたければ、私の言葉を人間の言葉に通訳しなさい。
> 仕事をきちんと果たしてくれたなら・・・私は五体満足であなたを逃がしてあげる』
>『キャサリン、キャサリン。どうしても嫌だというならそれでも構わないわ。
> あなた以外のピクシーに頼むだけのことよ。
> さっきも言ったけれど、私はとてもとても空腹なの。言ってる意味わかるかしら?』
リリアーナがさっき言った事を、一字一句間違いなく通訳したわけだ。

96 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/11/02(金) 01:13:22 0
かなりの呆れ顔でキキはフリージアを見た。
彼女の言動…行動から察して、多分キキにとってフリージアはロックのような熱血漢の次に倦厭したい相手だと認識してしまったようだ。
これ以上話ても埒が明かないと判断し、キキは生意気な口を利いたジョニーを睨む。
手のひらの中で暴れ馬のように跳ね回る鼓動とは裏腹にその態度は時間と共に大きくなるばかりだ。
少しでもいいから手に力をいれればすぐに態度は一変すると確信してはいるが、生憎今のキキにそれは出来ない。
薬の効き目なのか、生活するのに最低限の力までしか出せないのだ。

といつの間にか頭に乗せておいた猫が他の要請を捕まえ、なにやら脅しているようだ。
それに従うかのように妖精は、猫の通訳をはじめたようだ。
キキは其の様を見て、静かに拍手をしながら甲羅に近づく
「猫にしては上出来な脅し方でおじゃるな……猫にするには惜しいでおじゃる」

甲羅にキキの影が落ちる距離に達したとき、キキはジョニーを開放した。
「…全ての生ける者は生きて続けている限り、心に傷を持つ…今から行うのは其処から心を喰らう悪鬼の術でおじゃる」
そう甲羅に宣言すると、キキは鬼語で詠唱を始めた。
キキの視線からだと、詠唱を進めるごとに亀の甲羅から亀裂が浮かび上がる。
完全に亀裂が浮かび上がると、キキは右手からずぶずぶと音を立てながら、甲羅の精神世界に侵入を始める。
ロック側からしてみれば、その右手はどう見えるだろう。
スプラッター映画のように胸から飛び出しているだろうか?それとも天から大魔王の右手が光臨しているように見えるだろうか?
何にしろ、その目立ちすぎる進入は誤解を招き、キキは後悔するのかもしれない。

97 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/02(金) 16:17:22 0
>95-96
キャサリンはリリアーナの猫語を、一言一句間違えずに翻訳した。
だが当のリリアーナはお気に召さなかったようだ。フーッと毛を逆立ててキャサリンを威嚇する。
キャサリンは哀れっぽい悲鳴をあげた。
>「そ、そうじゃ・・・ヒック、な、無くて!ああ、もうい、良いわ」
パチパチと拍手をしながらキキが歩み寄ってくる。
>「猫にしては上出来な脅し方でおじゃるな……猫にするには惜しいでおじゃる」 
リリアーナはピクシーから視線を外すと、ニャーと可愛く鳴いて見せた。
リリアーナは再びキャサリンに視線を戻した。びくっと飛び上がったキャサリンは慌てて口を開いた。
>「ね、猫じゃないわ、私はリリアーナ」

>「…全ての生ける者は生きて続けている限り、心に傷を持つ…今から行うのは其処から心を喰らう悪鬼の術でおじゃる」 
リリアーナは仰天した。
>「待って! 皆もき、聞い・・・てっ!」
キキは聞きなれない呪文を詠唱し始めた。詠唱を進めるごとに亀の甲羅から亀裂が浮かび上がる。 
>「その亀・・・甲羅の中、中にロックがい、るの。
 さ、さっきから声が、ぜ、全然、聞こえな・・・きっと中で何かお、起こってるんだわ』
キキは無造作に亀裂の中に手を突っ込んだ。
「フギャ――――!!!」
リリアーナは仰天した。
囚われのピクシーはがくがく震えながらも通訳を続けた。
>「待って!そ、そんなこ、ことして、中のロックにえ、影響は・・・な、無いの?」

キャサリンに喋らせることに集中していた猫は、開放されたジョニーのことなどすっかり失念していた。
>「フリージア、さ、さっきのお、女の子は?」
そう、鎖に縛られていた少女の居場所も、だ。

98 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/02(金) 18:43:11 0
>96>97
「リリアーナさん・・・いつの間にかそんなにアルナワーズさんの影響を・・・」
あの頃の純粋なリリアーナは一体・・・といった目でリリアーナを見るフリージア
「モトカラジャナイ?」
とギズモは何気に失礼なことを言う

>「猫にしては上出来な脅し方でおじゃるな……猫にするには惜しいでおじゃる」
>「ね、猫じゃないわ、私はリリアーナ」
なるほど・・・この言動を聞く限りこの少女がリリアーナさんを猫にしたわけではないようだ
とフリージアにしては冷静な判断をする
「そうですわよ彼女はリリアーナさん。今は猫だけど私の大切な人間のお友達ですわ
 まあ、人間じゃ無くなったってお友達には変わりありませんけどね。お〜ほっほっほ」

だがキキはどうやら聞いていなかったらしく
>「…全ての生ける者は生きて続けている限り、心に傷を持つ…今から行うのは其処から心を喰らう悪鬼の術でおじゃる」
と呪文を唱え甲羅の亀裂に腕を突っ込んだ
>「その亀・・・甲羅の中、中にロックがい、るの。
 さ、さっきから声が、ぜ、全然、聞こえな・・・きっと中で何かお、起こってるんだわ』
「な、なんですって!?聞いてませんわよそんなこと」
あっと驚くフリージア
さらに・・・・

>「フリージア、さ、さっきのお、女の子は?」
「え?」
フリージアが振り向いた先には少女はいなくなっていた
「メ、メラルさんが見ていたんじゃ!?」
慌てふためいたフリージアはとりあえずメラルにどうしていなくなったのかを聞いてみた
フリージアお前も氷の魔法使いならもうちょっとクールになれ

99 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/02(金) 18:54:02 0
>96
「うわ!うわ!何だこりゃ!!」
ロックはびっくり仰天した。自分の体、具体的に言えばお腹から、
何者かの腕が飛び出てきたからだ。ロックはその腕の手首を掴んだ。
どうやら、幻ではなく実体のあるものらしい。もっとも、夢の世界では
それが実体をもつかどうかは対して重要というわけではないが、
そうとは知らないロックは、ためらうことなく掴んでいた手に力を込めた。
「青春フルパワー!!」
ロックはそう気合を入れながら、その手を力いっぱい引っ張ったのだ。

いちいち説明するまでもないことだが、ロックが引っ張ったのは
キキの腕である。だから、当然その腕を引っ張れば出てくるのはキキだ。
そのキキを見てロックが悲鳴をあげた。
「うわああぁぁあ!!?」
キキを見て何故ロックが悲鳴をあげたのか?
その理由は次のロックのセリフに集約されている。

「お…俺から女の子が産まれた!!」

ロックはあまりに驚いたため、自分の手から試験管が無くなった事に
気づいていなかった。ロックがキキの腕を引っ張った時に落としてしまった試験管は、
草原の背の高い草が隠してしまった。

「なんてことだ!自分の体から女の子が産まれたときの対処法なんて、教科書に書いてなかったぜ!」

100 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/03(土) 00:59:15 O
ザクザク

101 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/03(土) 18:24:03 0
>98-99
フリージアが木に縛り付けていた少女の姿はどこにも無かった。
>「メ、メラルさんが見ていたんじゃ!?」 
リリアーナは周りの気配を探っていた。だがピクシー達のせいでよく分からない。
>「も、森・・・森に帰ったんじゃない?」
ぐすぐすしゃくりあげながら、キャサリンが通訳した。

一方。
ひび割れた甲羅の中に手を突っ込んだ少女は、そのままぴたりと動きを止めていた。
魔法に集中してるのか、考えこんでいるのか、はたまたトラブルに巻き込まれたのか。
>「ね、ねえ、まだ答えてもらってないわよ。ロックは無事なの?
 中で一体どうなってるのよ?!」
ひび割れた部分から甲羅を壊そうとするが、上手くいく筈も無い。
(何か、何か手がかりは・・・)
リリアーナはまた猫語でピクシーに命令したようだ。
キャサリンはものすごく困った顔をしたあと、首を振った。そしておもむろに歌を歌い始める。
それは、ロックとリリアーナが森の中で聞いた歌と同じだった。

「にゃー!にゃーにゃーにゃー!!!」
歌を歌っている間に通訳が出来るわけも無い。
だがひび割れを引っかいていたリリアーナは、うっかり手が滑りキキに触れてしまった。
「フギャ・・・」
>「しまった・・・」
歌い終えたキャサリンが、リリアーナの最後の言葉を棒読みで訳した。
キキに触れたとたん、リリアーナは石のように動かなくなってしまった。

その隙を見逃さなかった者が約一名。
>「キャサリンこっちだ!」
>「ジョニー!!」
キャサリンはリリアーナの拘束を振りほどき、だっと駆け出す。
>「ああジョニー、きっと助けてくれると信じていたわ!」
>「当然だキャサリン、俺が君を見捨てるわけが無いだろう!」
二人はひしっと抱き合うと、手に手を取って森の中へと姿を消した。

その頃。リリアーナは困惑していた。
(ここ、どこ?!)
明るい陽射し。青く澄み渡った空。どこまでも広がる草原。
だが風景は不安定に揺れ、しかも全部逆さまだった。
どうやらリリアーナは、誰かの腕にぶら下った状態のようだ。だが。
(・・・あれ?)
リリアーナは首を傾げた。私、ここで一体何してるんだっけ?
確か・・・何かを心配して、誰かを探していたような気がするのだが。

だがそんな彼女の困惑も、目の前で驚いている青年の顔を見るまでだった。

『・・・ロック!ロックなのね?!』
リリアーナは目を潤ませた。
(良かった、本当に良かった。無事だったのね?!)
だがロックには、リリアーナの姿など眼中に無かった。
>「なんてことだ!自分の体から女の子が産まれたときの対処法なんて、教科書に書いてなかったぜ!」 

102 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/03(土) 18:24:48 0
>98-100
ぶちっ!と何かが切れた音がした。
『ロ・・・ロックの馬鹿ぁ――――!!!!』
とうっ!と跳躍したリリアーナは、ロックの頭といわず猫耳といわず猫パンチを繰り出した。
『人を散々心配かけといて何間抜けなこと言ってるのよ!
 だいたい余計なことに首を突っ込むからこんな目にあったのよ。この馬鹿ロック!
 ああ、思い出した思い出したわよ?! さっき貴方ちゃっかり私を悪者にしてたわね?!
 後できっちり話を聞かせてもらうんだから!!』
リリアーナはとどめとばかりに、齧りついた猫耳をぎゅうぅぅうっ!と引っ張った。

『さあ!さっさと元の世界に帰りましょ!』
ここでリリアーナははっとした。どうやったらロックを連れて元の世界に戻れるのだろう?
『・・・ねえ、あなたはロックを元に戻せる?』
リリアーナは期待を込めて、キキをじーっとみつめた。
ただ、現世で聞いた魔法の効果と現状がそぐわないのが少し気になる。

風も無いのにざわざわと草原が揺れている。ザクザクと奇妙な音も聞こえる。
だがリリアーナは、まだ異変に気づいていないようだ。

103 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/11/03(土) 19:54:12 0

フリージアがルーを…とんでもない縛り方で拘束する。
(…慣れていないのに…ある意味拷問前みたいな縛り方が出来ているのは怖いけど…
 下手な事を言っても藪蛇ね。人には言いにくいだけかもしれないし。でも…)
メラルはリリアーナを見る。
(リリアーナが喋れたなら…間違いなく文句を言ってそうな状況だけど…)
そんなことを考えていると、リリアーナが鳴いた。話しかけようとしているらしい。
縛り方について文句を言おうとしていると想像がついたが…メラルはあえてそれを口に出さなかった。
視線をルーに戻す。

>「全くでおじゃるが、メラル、御主があやまる必要はないでおじゃるよ…
  どっちかといえば、そこのドリル女のほうに謝ってほしいものじゃ」
>「のう…先程までここにいた血の汗の臭いがしそうな男をしらぬでおじゃるか…おい!御主もおきて答えるでおじゃる」
キキがかけてくれた言葉に、少し安心しつつも言葉を慎重に選び返す。
結果は…単純な一言。
「…ありがとう。」
そして、一呼吸間をおいて続ける。
「……ごめんなさい。心当たりがないわ。」
(…ロックが…消えた…?…とりあえず、今はリリアーナは彼女に任せるとして…)
メラルのこの考え方は甘かった。リリアーナの行動力を読み間違えていたのだ。
たかだか猫になったくらいで…リリアーナが大人しくなる訳がないのに。

メラルの視線は、その一連の行動やキキとフリージアの揉め事などですっかりキキ達に移っていた…
しかし…その隙はルーにとっては十分すぎる物だったようだ。ルーの拘束はいつの間にか消えていた。
そして、ワンテンポ遅れてルーが飛び退くのを確認した直後、フリージアから声がかかった。
>「メ、メラルさんが見ていたんじゃ!?」
どうしてルーが消えたか。まだ確実には言い切れない。
「ごめんなさい。目を逸らしている隙にやられたわ。」
メラルがルーの縛られていた場所に近づき、腰をおろすと…地面の一部が
大粒の水滴が落ちたかのように不自然に湿っていた。
「…炎の術…かしら?鎖を溶かして身を隠した…みたいね。
 でも…近くにいるとわかっていれば何とかなるわ。」
(……こんな隠し球まであるとはね。でも…多分また襲ってくる。なら…)
メラルが術の詠唱を始め、リリアーナ達がいつの間にか消えていたにもかかわらず
今度は集中は切らさず、意識に「亀には何かある」とだけ覚えこませ、詠唱と魔力の探知を始める。
完全に探知する事はできないようだが…メラルはある程度あたりをつけて攻撃した。
「…ムーンスプレッド」
メラルが手を上に向け、白い冷気を放つ光線を放つ。それが、細分化して
小威力のレーザー十数本と化し、バラバラに飛んで行き・・・それが巡回し、メラルが
当たりをつけた範囲の中央の5メートル四方に降り注いだ。
そして、その辺りの木や地面はあらかた氷に閉ざされる。
更に、再度全く同じ術の詠唱を始めながら探知を始めている。
もちろん、メラルは氷で拘束できるとは思っていない。目的は…魔力を使わせる事。
それで場所を正確に見抜いて一気に仕掛けるつもりのようだ。あまり長引くと
魔力が持ちそうに無い手法だが・・・。


104 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/04(日) 19:53:00 0
>102
> 『ロ・・・ロックの馬鹿ぁ――――!!!!』
「リリアーナ!無事だったk  痛たたた!?何をするんだよ!!」
ロックはリリアーナに怒りの猫コンボを叩きこまれた。
もしも、  <リリアーナに馬鹿と言われた人ランキング>
とか、   <リリアーナに殴られた人ランキング>
というものがあったのならば、1位は2位以下に大きな差をつけて
ロックがランクインするんだ、間違いない!

リリアーナの怒りが落ち着いたところで、ロックはリリアーナをじっと見つめた。
「…うん、見れば見るほど本物のリリアーナに間違いなさそうだ。」
このロックの言葉は、暗にリリアーナの偽者(と呼べるかどうか微妙だが)
がいたことを示していた。さて、さっきまで謎の少年(少女?)の事を失念していたロックだが
自分自身の言葉により思い出し、そして試験管をなくした事に気づいた。
「………」
ロックはめずらしく一言もしゃべらずに試験管を手さぐりで探し始めた。
きっと、草にまぎれてどこかに落ちているに違いない。

> 『さあ!さっさと元の世界に帰りましょ!』
「ああ、そうだな。こっちに来る事ができたのなら、帰る事だってできるだろ?」
ロックはそう言いながらまだ試験管を探している。もし、リリアーナが元の世界に帰る方法を
知っているのなら、例の少年(少女?)に執着する必要はない。が、ロックはどうしても
気になってしまい、探さずにはいられなかった。
> 『・・・ねえ、あなたはロックを元に戻せる?』
「なあ、リリアーナ。やっぱり俺が彼女の名前を決めなければいけないんだろうか?」
ロックはまだキキが自分から生まれたと勘違いしたままだ。

そうこうしている間に、ロックの指先に何か硬いものが触れた。
それは間違いなく、先ほどの少年(少女?)を閉じ込めた試験管だった。
しかし、さっきとは違う点が二つあった。試験管の先の方が壊れている事、
そして、試験管の中に何も入っていない事だ。
「しまった、あいつ逃げてしまったか!」

105 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/11/04(日) 21:11:44 0
>98>103
みんな亀の方に注意がいっている中、ルーは一人でがりがりと氷の鎖をかじっていた
・・・魔法の氷なのにかじれるものだろうか。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・


とうとうじれたルーは、氷の鎖の一端をじっと見つめる・・・。

――――――――――――――――――――――――――――

メラルやフリージアが、縛られていた場所に視線を戻した時には、ルーはすでにいなかった。
ちなみに縛られていた場所には、レイド先生の焼いた肉(一口も食べてない)が残されていた。

メラルが、冷静にあたりをつけて光線の魔法を展開する。
場所は縛られていた地点を中心に五メートル。(どうやらフリージアたちを避けて飛ぶらしい)

そしてメラルが魔力の探知を開始する・・・即座に反応を見つけた。
場所を知った途端メラルに戦慄が走るだろう・・・・・・・・・・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・

場所は・・・・・・・・・

場所は・・・・・・【自分の頭上】!!!

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
木の枝に、地面へ頭を向けるように着地していたルーは、その枝を蹴りつけて
メラルへと真上から飛び掛る!右手には蒼い槍。

その石突を突きの形で、振り仰ぐだろうメラルの額目掛けて繰り出す!

ついでに、ルーが蹴りつけた枝からは木で出来た壁のようなものがメラルの周囲を囲おうと伸びてきている。

106 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/05(月) 21:10:20 0
ロックも無事だったし、あとは皆で元の世界に帰るだけだ。
根本的なことが何一つ片付いていないのに、リリアーナは既に目的を果たしたような気分になっていた。

>104
気が楽になっていたリリアーナだったが、ここに来てようやく大事なことを思い出した。
さっきリリアーナはキキに元の世界に戻る方法を尋ねた。
だが、彼女の言葉をキキはちゃんと理解できているのだろうか?
ここは普通の世界では無いようだが、彼女と猫語で意思疎通出来るかどうかまでは分からない。
『ねえあなた、私が何を言っているのかわかる?』
リリアーナは可愛らしく小首を傾げると、キキをじっと見上げた。
『・・・ま、ダメだった場合はロック、貴方が通訳よろしくね』

>「なあ、リリアーナ。やっぱり俺が彼女の名前を決めなければいけないんだろうか?」 
「は? 名前?」
リリアーナは訳がわからないといった様子だ。
なぜこの状況で、ロックが少女の名前を決めなくてはならないのだろう?
たっぷり5秒は考え込んだあと、ようやくさっきロックが叫んでいた言葉を思い出す。
リリアーナは頭を抱えた。
ロックときたら、キキを自分が産んだと思い込んでいるのだ!
(もしそうなら、私もロックのお腹から生まれたことになるじゃないのよ!!)
これにはさすがのリリアーナもあいた口が塞がらなかった。
どうやらリリアーナのことは全く眼中に無いらしい。
『・・・名前のことはやっぱり夫婦で相談するべきだと思うわ。
 ついでに私にも素敵な名前もつけてくれると嬉しいわね〜ロックママ。』
リリアーナは皮肉をこめて「ロックママ」の部分を殊更強調した。

『ところでロック、ずっと気になってたんだけど、あなたさっきから何を探してるの?
 もしかして落し物? 眼鏡ならほら、ちゃんとかけたままになってるわよ?』
リリアーナは前足でちょんちょんと自分のこめかみを押さえてみせた。

>「しまった、あいつ逃げてしまったか!」 
『え?あいつ?』
ロックは何か細長いガラスのようなものを手に取るなり悔しそうに叫んだ。
リリアーナはさっと表情を引き締めた。
『そういえば、さっき本物の私がどうとか言ってたわよね。
 ねえロック、いったい貴方の身に何が起こったの?』

107 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/06(火) 21:47:57 0
>103>105
>「…炎の術…かしら?鎖を溶かして身を隠した…みたいね。
  でも…近くにいるとわかっていれば何とかなるわ。」
「ならいいのですけれど・・・・」
何か言いたそうなフリージア
「熊肉・・・おいしいのに」
毒でも入っているとでも思ったのだろうか
そこには手が付けられてない焼いた熊肉が残されていた

「…ムーンスプレッド」
メラルは何かレーダーのような役目を持つ魔法を使う
「サ、サムイ」
まありが凍り始めて震えるギズモ
「我慢なさい」
冷たく言い放つフリージア

フリージアはまだキキとリリアーナが消えたことに気が付いていなかった・・・

>「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「あぶなァーーい! 上から襲って来るッですわ!!」
その言葉に出来ない声で上のルーに気が付いたフリージア
どっかで聞いたことがあるようなセリフでメラルに警告の声を発し
近くにいたもの(と書いてギズモと読む)をむんずと掴むと
「エ?」
「ファイティングボール!!ですわ」
ギズモが驚くのも無視して思いっきり投げつけた

ファイティングボール・・・それは使い魔をボールのように投げ相手にぶつける技である
歴史書によると最初にその技に使われた使い魔はまるでボールのような形状をしていたらしい

「ヨーヨーヨー!・・・テイワナイトダメ?」
とか言いながらルーに向かって丸まって飛んでいくギズモ
果たして命中するのだろうか?


108 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/06(火) 22:48:17 0
>106
> 『そういえば、さっき本物の私がどうとか言ってたわよね。
>  ねえロック、いったい貴方の身に何が起こったの?』
「実は俺にもさっぱりわからないんだ。なあリリアーナ、俺達は学園の森にいたよな?
ところが、俺だけ急にこんな所に飛ばされて…会ったんだ。」
ロックはきょろきょろ辺りを見まわしながら続けた。
「そう、俺は“あいつ”に会ったんだ。あいつは少年の姿で俺の前に現れた。
俺はあいつの名前を知りたかったけど、名前は無意味だとあいつに諭された。
宝石のような青い瞳に、それ自体が輝いているような長いブロンドの髪…
そうそう、ちょうどあんな感じの姿だったなぁ。」
そう言ってロックはリリアーナとキキの後方を指差した。
そこには、ロックが言ったとおりの少年が立っていた。
ねだるような、甘い笑みをその顔に貼り付けた少年が。

「……ああ!?」
ロックはいまさら驚いた。

「よかったね、ロック。」
少年は小鹿を思わせるような軽い足取りでロック達に近づいてきた。
草がサラサラさやぐ音と、少年の足音がサクサクと響く。
「君が必要としていたリリアーナは、ここにいるじゃないか。」
少年はそれからキキを見て言った。
「彼女がフリージア?見たところカタツムリには見えないなぁ。
…さっきは僕に嘘ついたね?」
その言葉に、まったく咎めるようなニュアンスが無かったため、
ロックはかえって不気味に感じた。しかし、自分にとっても不思議な事に、
この少年の事をもっと知りたい、友達になりたいと思う気持ちが、
ロックの心の中でさらに大きくなってきていた。

109 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/07(水) 01:12:43 O
ロックが指刺す少年がキキには黒髪の美少年に、リリアーナにはふわふわ猫に見える
キキとリリアーナもとても居心地が良い気分になってきた


110 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/11/07(水) 17:36:57 0
>62
古臭い男ヴァルターは地図をとって素直に礼を言うと、元気よく食堂より出発していった。
残るのは冷めてしまった紅茶を前にして、先ほど握られた手をしばし見つめる吸血鬼の男と口から『たましひ』が抜けているおばちゃんだけ。
ひとつの物音がしない空間で最初に沈黙を破ったのは、吸血鬼の『むぅ』という情けない一言であった。


正気に戻った後はどうもそわそわし初めて、放心しているおばちゃんを放置して食堂を後にした。
その後は魔物の巣に戻ったわけだが、待てども待てども図書館に来るはずの貧乳とバカ一行はいまだに現れない。
一体なにをしているのだ、と露骨に不機嫌な顔をしながらのっしのっしと蝙蝠の指す道を辿ると校外に出た。
照り付ける太陽を傘ごしに睨みつけながら、さらに機嫌を損ねて「あれもこれも全部あの人間たちのせいだ」と責任転換している。

森の中は太陽の木漏れ日と風が吹くたびに木が囁く割と静かな場所であったはずだったのだが…。
繰り広げられていたのは妖精たちと猫が喧嘩をしている様だった。
まあとにかく、どこぞのお祭り騒ぎ並にやかましいことこの上ない。
事の一部を茂みの陰からこっそりと誰にも見つからずに覗いていた吸血鬼は歯噛みする。
「ぐぬぬ…本当ならば今ごろ図書館で魔物の群れに囲まれて、『助けて誰か!』な展開になる筈だったのに!」
彼らの恐れおののく様を望んでいた魔物の一員にとっては、この出来事はなんとも予想外。
「しかし…いいなぁ、楽しそうだなぁ……」
ヴァンのビジョンでは彼らの乱闘は「うふふ、あはは」な微笑ましい雰囲気で遊んでいるように見えたのだ。
妖精が去った後は動かなくなった猫リリアーナ、その傍らにはひび割れた甲羅が落ちていた。
「し、死んだ!?」
思わず茂みの中から顔を出して大声を出してしまった。
勘違いしてしまうのも無理はなく、猫リリアーナに生気はなくピクリとも動かない。
魂の入ってない入れ物など死体と同じであり、ヴァンの表現はあながち間違っていないのだ。

111 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/07(水) 20:57:40 0
>108-109
ロックは、リリアーナとキキの背後を指差した。リリアーナははっと振り向いた。
草むらの影から、色艶の良い金色の毛並みが見え隠れしている。
草をさくさくと踏みながら、それは静かに歩み寄ってきた。
リリアーナは驚いた。
ロックの言っていた“あいつ”なら少年のはずだ。では、アレは一体なに?

>「よかったね、ロック。」 
>「君が必要としていたリリアーナは、ここにいるじゃないか。」 
フーッと毛を逆立てていたリリアーナは、相手の姿にぽかんとした。
草を掻き分けて現れたのは、ふわふわの毛並みをしたすてきな・・・もとい、ふわふわ猫だった。
『ね、猫?!』
ふわふわ猫はこちらをみて、(猫の表情でいうと)にこりと微笑みかけてきた。
リリアーナは口から心臓が飛び出しそうになった。
彼女がもし人間の姿だったなら、きっと真っ赤になっていただろう。

(お、落ち着くのよリリアーナ、私は猫好きなフリージアじゃないわ!)
そう必死で自分に言い聞かせるものの、リリアーナは激しい葛藤を感じていた。
ありえないことに、怪しさ万点の世界で彼女は目の前の猫に不思議な安堵感を感じていた。
ここはとても気持ちがいいところだ。
ずっとここに居たい。なにより、このふわふわ猫のことがもっと知りたい・・・。
>「彼女がフリージア?見たところカタツムリには見えないなぁ。 
>…さっきは僕に嘘ついたね?」 
ああ、彼の声はなんて甘いんだろう。
リリアーナは何かに操られるように、ふらふらと足を踏み出そうとした。
だが。

「フギャ ――――――――!!!]
リリアーナは大きく飛び上がったかと思うと、まるで火がついたようにニャーニャー鳴き出した。
どうやら誰かに尻尾を踏まれたようだ。
『痛い、尻尾がつぶれちゃううぅぅう!足をどかしてぇぇえ!』
彼女はぎゅーっと尻尾を踏みつけている足に思いきり噛みついた。

靴跡が残る尻尾にふーふー息を吹きかけつつ、涙目のリリアーナは猫を睨みつけた。
『一体何が目的なのよ、このふわふわ猫!
 い、言っとくけど私は猫よりも犬派なのよ。
 いくらすてきな猫に化けたってぜーんぜん興味ないんだからね!』
リリアーナは威勢良く啖呵を切ったものの、内心はかなり焦っていた。
相手は怪しさ満点の猫だというのに、ちょっとでも気を抜くとすりよっていきたくなるのだ。
(ダメよリリアーナ、私たち猫の恋の季節はもっと先・・・じゃなくて!!!
 しっかりしなさい私!! 私は猫じゃなくて人間!人間なのよ〜!!)

リリアーナは尚も続けた。
『あなたはもしかして、ロックに近づこうとした少年の使い魔なの?
 だったらさっさと元の世界に戻る方法を教えなさい!さもないと・・・』
リリアーナはフーッと毛を逆立てると爪を翳す。
日の光を浴び、ずいぶん薄くなってしまった爪が鈍く光る。


112 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/07(水) 23:19:49 0
「この姿はお気に召さなかったようだね」
ふわふわ猫は変身した。

113 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/11/08(木) 01:46:06 0
「案ずるな、ただ入るだけなら特に何も起こらぬでおじゃるに」
慌てるピクシーもとい、猫リリアーナにそう伝え、キキは腕をもっと亀裂に入れる。
出来ればこのまま何かに掴まり、様子を見ながら侵入したかった。
そう、トラブルが起きてしまった。
何者かに腕を掴まれ、引きずり込まれている。
「ッ!!!」
何も抵抗できないうちにキキの体は甲羅に飲み込まれた。

中に入った後、ロックとリリアーナの姿を確認したキキは不機嫌そうに鬼語の詠唱をしながら作業をしている。
その間、ロックとリリアーナの夫婦漫才は幕を下ろしたようで、肝心な質問をしてきた。
キキは鬼語の詠唱を止め、不機嫌に答える。
「…どこぞの馬鹿×2のせいですんなり帰れなくなったでおじゃる。
 あの傷の深さからいって、ここの出入りは精々二人が限界でおじゃった
 まぁ…侵入口はそこの猫耳馬鹿、お主の腹でおじゃったから、この計画は侵入時に破綻していたでおじゃるが
 お主がついてきたせいで、その定員も越えていたでおじゃるし、三人が通れる傷を探してでるしかなくなった…が
 一番大きい傷から入ってきたでおじゃるからこれも不可能…って話をきくでおじゃる!」
気がつけば2人は、キキをほっぽって何かを探している。

と、ロックが何かを指差したではないか…
「…次は何でおじゃるか」
やや呆れ顔でその指先に視線をやると、キキの表情が豹変した。
その表情は明らかにそこにいた2人とは逆のもの、真逆の感情であった。
「…桃瀬……太郎」
キキが口にした名前は、第千何代目桃太郎の名を襲名した少年であり如月家、そして、キキ個人に遺恨がある宿敵だ。
しかし、それは甲羅の主が作り出した幻想であり本人ではない。
そのことはキキも重々承知ではあるが、今回ばかりは何故か抑えがきかなくなってきていた。
と、足元を見るとリリアーナが魅力されたのか…ふらふらと奴に近づいているではないか
「目を覚ますでおじゃる!」
目が覚める程度に踏むつもりが、やり場のない怒りで思いっきり踏んでしまったようだ。
報復のように足に噛み付かれた。
「ツゥ……幾分か頭が冷えたでおじゃるな」
噛み付かれたお陰で爆発寸前の怒りが収まったらしく、キキは威嚇するリリアーナを拾い上げ頭の上に乗せる。
「落ち着くでおじゃる…あれは幻影、提灯アンコウの提灯のようなものでおじゃる」
変身する奴を警戒しつつ後退し、ロックの傍による。
「麿は今から脱出の準備を始める…しばし時間がかかるから、その間奴の足止めをするでおじゃる」

114 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/08(木) 22:51:24 0
>111
> 『あなたはもしかして、ロックに近づこうとした少年の使い魔なの?
>  だったらさっさと元の世界に戻る方法を教えなさい!さもないと・・・』
「リリアーナ、何を言っているんだ?彼の使い魔?」
どうも、リリアーナには少年ではなく別の姿に見えるらしい。

>112
> 「この姿はお気に召さなかったようだね」
そう言うと、少年は再び少女の姿にかわった。ただしこれは、ロックの視点である。
きっと、リリアーナには(おそらくはキキも)やはり別の姿に見えるのだろう。

>113
> 「麿は今から脱出の準備を始める…しばし時間がかかるから、その間奴の足止めをするでおじゃる」
「そうか、元の場所に戻ることができるんだな!まかせとけ!
要は“彼女”にお前の邪魔をさせなければいいんだろ?」
何を思ったのか、ロックはびしっと謎の少女を指さした。
「やい、少女!俺達はこれから元の世界に戻る準備をするんだ!
だから、邪魔しないでくれよな!もし邪魔をしたら…」
邪魔されたくなかったらわざわざ言わなきゃいいのに。
>「邪魔をしたらどうなるの?」
ロックの言葉が災いしたのか、つかつかと少女は術に集中しているキキに歩み寄って行く。
「こっ、こら!邪魔したら…いけないんだぞ!!」
ロックはこう言うのが精一杯だった。彼を昔から知る人物はよく知っているが、
ロックは女の子を攻撃することができないのだ。彼の信条に反するらしい。

>「私はいい子なのよ、ロック。」
少女はキキの前まで来た後、彼女にくるっと背を向けて離れていった。
>「だから私は彼女の邪魔はしないの。別に彼女がここから出て行きたいのなら、
> 私はぜんぜん構わないし。」
少女は今度はロックに近づいてきた。ロックは何もすることができない。
相手が女性で、しかも敵意が無いならなおさらだ。
>「でも、あなたは別よ。私と約束したよね?ずっとここに居るって。」
今度はリリアーナに近づいて言った。
>「本当よ、彼がそう言ったんだから。」
今度は再びロックだ。さっきよりずっと距離が近くなる。
>「ねぇ、ロック。約束は守らなきゃ。ここに居れば、あなたの願いは何でも叶えてあげる。」
少女はふっと右手をロックの左目に近づけた。

「…なんだよ?」
たまらずロックは彼女から離れた。何かされると思ったからだ。
>「左目…見えないのよね?」
ロックはドキッとした。たしかにその通りだ。以前、闇の魔法使いとの戦いの最中に
左目が潰れて、今は義眼を入れている。こいつは、人の頭の中が読めるのか?
>「あなたが望むなら、私がその目を元に戻してあげてもいいのよ?
> それに、リリアーナ。彼女も人間の姿に戻してあげましょうか?」

115 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/09(金) 23:20:14 0
>112-114
> 「この姿はお気に召さなかったようだね」 
ふわふわ猫は見る見るうちに大きく膨れ上がった。どうやら人に化けるつもりのようだ。
その場には二人のロックが立っていた。
リリアーナはひどく驚き、誰が見ても分かるくらい狼狽した。
『あなた・・・マ、マリアベル!?』
そんなはずは無い。
闇の魔法使いは、ロックの左目とともにこの世から消滅したのだから。
リリアーナ落ち着いてもう一度偽ロックを観察した。
良く見ると、ロックそっくりの青年の瞳は赤ではなく紺色だった。猫耳もついていない。
(なあんだ、普段のロックの姿に化けただけなのね)
リリアーナはほっとしたが、すぐに表情を引き締めた。
ロックはここに来た時点で既に猫耳だったはずだ。
ではなぜ偽者は、猫耳ではない普段のロックに化けることができたのだろう?

>「ツゥ……幾分か頭が冷えたでおじゃるな」 
転入生は落ち着いた声でそういうと、威嚇するリリアーナを拾い上げ頭の上に乗せてくれた。
彼女の声は不思議なトーンをしていて、聞いていると不思議と冷静になれた。
> 「落ち着くでおじゃる…あれは幻影、提灯アンコウの提灯のようなものでおじゃる」 
『つまり、近寄ったら男でも食っちまうような奴なのね?』

> 「麿は今から脱出の準備を始める…しばし時間がかかるから、その間奴の足止めをするでおじゃる」 
>「そうか、元の場所に戻ることができるんだな!まかせとけ! 
>要は“彼女”にお前の邪魔をさせなければいいんだろ?」 
『彼女? ・・・って誰?』
この場の女の子は、転入生とリリアーナの二人しかいない筈だ。
(そういえば転入生の彼女は、ふわふわ猫を見て「モモセタロウ」と呼んでいたわね)
そしてロックは、自分の偽者を「彼女」と呼んだ。
『どうやらこの生き物は、人によって全く違うものに見えるようね』

キキの頭に乗っかったリリアーナは、近寄ってくる偽ロックをフーッと威嚇した。
偽ロックはオネエ言葉で、転入生がこの場から出て行くのを邪魔しないと言った。
気持ち悪さに毛を逆立てながらも、これは実に好都合だとリリアーナは思った。
だが。
>「でも、あなたは別よ。私と約束したよね?ずっとここに居るって。」 
リリアーナは信じられないといった表情で偽ロックを睨んだ。
偽ロックはわざわざこちらに歩み寄ると、勝ち誇った表情で
>「本当よ、彼がそう言ったんだから。」とにこやかに語った。
リリアーナは無言で肩をすくめた。
>「ねぇ、ロック。約束は守らなきゃ。ここに居れば、あなたの願いは何でも叶えてあげる。」 
『ちょっと、ロックから離れなさいよ』
リリアーナはイライラと尻尾を左右に振った。
だが偽ロックはリリアーナの警告を無視すると、ふっと右手をロックの左目に近づけた。 
たまりかねたリリアーナは、転入生の頭からロックの肩へとダイブした。

116 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/09(金) 23:20:48 0
(呪文の完成はまだなの?)
一刻も早くここから逃げ出したい。何だかここに長くいると深みに嵌りそうだ。
リリアーナはじりじりしながら転入生に視線を走らせた。
だが残念ながら、呪文の完成まではまだ当分時間が掛かりそうだ。
リリアーナは必死に考えを巡らせていた。
この偽ロックのターゲットはどうもロック一人だけらしい。
では、どう持ちかければ女と戦わないのが身上のロックは自衛してくれるだろう?

>「あなたが望むなら、私がその目を元に戻してあげてもいいのよ? 
> それに、リリアーナ。彼女も人間の姿に戻してあげましょうか?」
リリアーナはぼそっと耳打ちした。
『ロック、あれはどこからどう見ても少女なんかじゃないわ。
 私の目にはオネエ言葉を話す偽ロックにしか見えないもの』
リリアーナはうんとひとつ頷いてみせると、さらにロックを焚きつける。
 『ロック、視覚に頼っているようではダメ。心眼、心の目で物事を見極めるのよ!!
 さあ、貴方の超えなければならないは、今、目の前に立ちふさがっているわ!
 敵の姿は自分自身が見せる弱い心。自分自身に負けてはダメよ!』
・・・まあ、こんな陳腐な言葉でも何もやらないよりはマシだろう。
多分。

リリアーナは偽ロックに向き直った。
『あなたはロックの願いを叶える代償に、何を奪っていくつもりなの?
 こんな幻みたいな世界で願いが叶ったって何の意味も無いんだけど』
リリアーナはちょっと考えたあと、反応を見るために更に一言付け加えた。
『そ・れ・よ・り・も!うふふ、ピクシー達に聞いたわよ〜。
 ア・レ。 この中にあるんでしょ〜?私アレ欲しーい、アレをちょうだいよ〜』

117 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/09(金) 23:32:42 0
代償なんて何も要らないわ。
あなたは友達に代償を求めるの?
望みは全て叶えてあげる。
アレが欲しいのなら上げるわ。
だから・・・お茶でもしましょう。
とてもとても甘い香りと共にリリアーナとロックの心が蝕まれていく。
ずっとゆっくりお茶したい気分になっていく。

キキだけに見える桃瀬太郎は困ったように笑う。
もうそろそろ素直になってくれてもいいんじゃないかな。
僕はずっと待っているんだよ?
幻と判っていながらそれでも声はキキの心の奥に染み込んでくる。

118 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/10(土) 11:10:49 0
>>105 >>107
ギズモはルーに命中した。
切っ先を逸らされたルーはバランスを崩し、ピクシーの食料袋の上に落下した。

119 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/11/10(土) 16:39:56 0
探知の結果は、思いのほかすぐに出た。その場所は…直上。
>「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
>「あぶなァーーい! 上から襲って来るッですわ!!」
一見無謀に見えるが、ムーンスプレッドは誘導の限定された
誘導攻撃のようなもの。誘導がろくに出来ない根元…つまり真上で
かわす事が出来るならばかなり有効な手だったりする。
しかも、かわせなくてもルーならば氷を溶かすことも出来るかもしれない。
(決定的な状況…逃げ道も塞いでる以上、決めるための攻撃が来る…。生半可な防御じゃ防げない…!)
メラルは、杖を持っている側の手を自らの腹部に当て、真上を見た。そこで、フリージアの声。
>「ファイティングボール!!ですわ」
そして、術を発動…させる対象は変えない。囲いを突破するのは絶対に必要なのだ。
でなければ…身動きが取れなくなる。
「…ピンポイント。」
最初は自分の腹部に斥力球を直撃させ、自らを…横に吹き飛ばす。ダメージは馬鹿にならないが…
多少は加減していた為、けして致命的ではない。続いて、自らの周囲に…飛行時によくやっているそれを、
上下左右に均等に、威力を普段の飛行時より少し割り増した斥力球を数多く展開し、そのまま自らを
既に囲い込んでその囲みを狭めようとするに至っていた木の壁に突っ込み、力づくで突破した。

メラルは…自らへの攻撃や突撃など、随分無茶をしただけあって、
既に相応のダメージを受けていた。特に腹部は弱点になりうるほどだ。
今のメラルの行動は…フリージアの援護に任せて逃げに徹する姿勢…に見えなくも無い。
(地面だけで戦っても不利になるだけね…。自然系の術も使えるなら。
…準備の時間は…フリージアに任せるしかない。でも…相手は野生に
近い生き方をしているように見えるわね。だとすれば、この手の術はかなり…。)
まずメラルは杖に乗って飛び、少し高度を上げ…改めて体勢を立て直すための術を放つ。
その上で、術を唱え始めた。途中、メラルの背に氷製の六翼が展開され、
その翼を基点に大小様々な斥力球が…段々と数を増し、それを防御手段として用いているようだ。
少しして…ようやく術を終えたのか、メラルが周囲に聳え立つ木の枝の上に立った。
…と同時に、術を放つ。
(…この術を使っている間はろくに動けない。けど…物理攻撃なら余程じゃなければ
傷は貰っても斥力球で決定打だけは避けられる…。)

「今日はあまり役に立てなくてごめんなさい。フリージア。
 …トドメは任せるわ。……ディストーション」

メラルの周囲に展開された…大きい物で直径がピンポイントの約三倍、
小さい物で約五分の1。そんな斥力球が…一斉に周囲に散らばり、複雑な
軌道を取り始める。そしてその中でも小型の物はルーを純粋に追いかけ、
ルーの周囲を動き回ってその斥力で動きを取りにくくする。中型は
ルーへの体当たりを狙い、大型はルーとメラルの射線上を
塞ぐような位置に待機している。狙いは…ルーの意識を自分に集中させ、
ルーに隙を作る事。その為、本来この大技の決定打になるべき大型を防御に回している。

そして…これだけの術だけにメラルの魔力消費もかなりの物のようだ。既に息が少し荒いように見える。

120 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/10(土) 17:34:29 0
>118>119
「あ、あたりましたわ」
ファイティングボールが命中しさらにメラルが攻撃を避けたようでほっとするフリージア
「ヒ、ヒドイヨ オカアサン」
投げられた事を抗議するギズモ
「我慢なさい!男の子でしょ!!」
そんなギズモに無茶苦茶なことを言うフリージア

>「今日はあまり役に立てなくてごめんなさい。フリージア。
 …トドメは任せるわ。……ディストーション」

「任せなさい!さあそのすばやい動きを止めさせてもらいますわよ」
フリージアはルーの足元に飛び掛り・・・・
「ジルベリア仕込みの足封じ!ですわ」
これをまともに食らえば足首から凍り始めるだろう

「これで駄目ならフリージングディストラクション(ディストラクション抜き)で全身氷漬けにするまでですわ!
 お〜ほっほっほっほ!!」
どうやら次の手段は講じてあるようだ

「アレ?リリアーナオネエチャン ドコ?」
そのギズモの言葉でやっとその場にリリアーナがいないことに気が付くフリージア

「そ、そういえば!?誰かリリアーナさんがどこに行ったか知りませんこと?」
周りの人間にリリアーナがどこに消えたのかを聞くフリージア

「え?この甲羅のなかですって!?」
あっと驚くフリージア
「・・・・どうやって入ったのかしら?」
とりあえず氷結根でつんつんと甲羅を突付いてみた
ちなみにその長さは10フィートである

10フィートの棒で罠が無いかどうかつつくのは基本だ!!

121 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/10(土) 18:05:40 0
つ愛

122 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/10(土) 19:47:43 0
>>110
ヴァンの背後から白いフクロウ突っ込んできた。
どうやらキキが作ったダミーのフクロウのようだ。
フクロウはヴァンの後頭部に激突したあと、亀の甲羅の中に吸い込まれるように消えていった。

ヴァンは気づいた。死んだ(ようにみえた)リリアーナの姿がいつのまにか消えていることに
フリージアは焦って甲羅の中に棒を突っ込もうとしているが、大丈夫なのだろうか?

123 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/11/11(日) 13:27:41 0
>107>118-120
>「ファイティングボール!!ですわ」
メラルに襲い掛かったルーは、横からの攻撃でバランスを崩してしまう。
「!!」
イラついたルーはギズモを右腕で殴り飛ばす!(パワー:超スゴイ
飛ばされたギズモの行き先は、偶然にも覗き見していたヴァンエレンの方へ・・・・・・

着地した時にはもう、ターゲットのメラルは囲いを抜け出しておりフリージアが追撃をしかけてくる。
そのフリージアに対してもルーは右腕を振りぬくが、一瞬早く脱出されてしまう。
更には足元が凍りつきだした・・・。

>……ディストーション
凍りついた足元、迫り来る斥力球に対してルーは・・・・・・メラルを睨み付ける!
恐らくメラルは、ルーを逃すまいとこちらに眼を向けているだろう。
目線が合う瞬間にメラルは、自分の眼球の中に熱さと激痛を感じるはずだ。
そう、まるで【眼の中に火がついたんじゃないかというような】。

そしてルーは右腕で槍を複製し、フリージアめがけて投げつける!
もっとも、メラルの方に一瞬視線を向けていた為に狙いは逸れてしまい・・・
槍は亀の甲羅めがけて飛んでいったが。

直後、足元を封じられて動けないメラルに対して無数の斥力球が直撃した。

124 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/11(日) 19:26:19 0
>116
> 『ロック、あれはどこからどう見ても少女なんかじゃないわ。
>  私の目にはオネエ言葉を話す偽ロックにしか見えないもの』
「そうか、やっぱりお前らには別の姿に見えるんだな。」

>  『ロック、視覚に頼っているようではダメ。心眼、心の目で物事を見極めるのよ!!
>  さあ、貴方の超えなければならないは、今、目の前に立ちふさがっているわ!
>  敵の姿は自分自身が見せる弱い心。自分自身に負けてはダメよ!』
「リリアーナ、なんだか今日のお前はいつもより熱いぜ!」
ロックはズボンをぐっと上に上げ、ベルトを締め直した。
「俺ももうちょっと熱くなろうかな!」

>117
> 「代償なんて何も要らないわ。
> あなたは友達に代償を求めるの?
> 望みは全て叶えてあげる。
> アレが欲しいのなら上げるわ。
> だから・・・お茶でもしましょう。」
そう言うと、いつの間にかお茶のセットが現れていた。いい香りだ。
>「リリアーナ、ピクシー達の言っていた“アレ”は、既にあなたは手に入れているわ。
>あなたも、ロックも、望むのならそれをずっと持っていればいいのよ。」
「リリアーナ、なんか彼女からもらったのか?だったら見せてくれよ。」
>「ロック、あなたはもう見ているじゃない。」
少女はおかしそうにくすくす笑った。

意味がわからないロックとリリアーナ。その様子をたっぷり見て楽しんだ後、少女は言った。
>「リリアーナ、ピクシー達の言っていた“アレ”とはこの世界そのものの事よ。
>…リリアーナ、さっきあなたは“アレ”を“こんな幻みたいな世界”と言ったわね。
>でも、よく考えてみて。あなた達が現実だと思っている世界と、この世界のどこが違うの?
>あなた達はこの世界でも、見て、聞いて、感じる事ができるじゃない。
>むしろ、あなた達が現実だと思う世界が、本当に現実であるという保証がどこにあるの?
>もしかしたら、あなた達がいた世界こそ幻なんじゃないの?」

少女はリリアーナとロックにお茶を勧めた。そのカップから程よい湯気が立っている。
>「あなたは選べるのよ、リリアーナ。元の世界に帰っても、人間に戻れる保証は無いでしょ?
> でも、この世界ではすぐにでも人間に戻れるわ。…さぁ、カップをとって。」
「ちょっと待てよ!!」
少女の誘惑を遮ったのはロックの大声だった。ロックはおもむろに目の前のカップを取り、
中のお茶を一気に胃袋に流し込んだ。
「おい!最初に願いを叶えてやると言ったのはこの俺だろ!
リリアーナの願いを叶える前に、俺の願いを叶えてくれよ!!」
>「…今すぐ元の世界に帰りたい。じゃないわよね?」
「違うね、もっと別の願いだ!」
>「やっぱり、左目?」
「違う!もっと別の願いだ!」
ロックは何故か赤面しながら少女に近づき、耳元でぼそぼそ呟いた。
どうやら、それがロックの願いだったようで、少女は『いいわよ』
といった感じでうなずいた。

はたして、ロックの願い事とは何だったのか?
そして、ロックはこのまま夢の世界の虜になってしまうのか?


125 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/11/12(月) 06:18:15 0
詠唱するキキに近づいてきた桃瀬の言葉に一瞬ではあったが、キキの心は揺れた。
だが、次の瞬間…激しい胸の痛みと転校するきっかけになったあの一件が脳裏に甦った。
「…うぐっ…ゲぶ」
奴の狙いはこれなのだろうか?
キキの逆鱗に触れるのを覚悟でキキが思いを寄せていた桃瀬の姿を出し、彼女の心を揺らし
そして、キキの心臓を暴走させて、邪魔者を自滅させるための…
だが、奇跡的にレオの薬を効果が残っていたのだろう。
量は異常ではあるが、吐血と鼻血のみですんだようだ。
「…………ただで…済むと思うな」
とロックに話しかけている桃瀬を睨み、そう呟くと先程の詠唱とは別の詠唱を始めた。

ロックらが会話している中、詠唱を続けているキキの体は徐々に地面に飲み込まれ始めている。
もちろん、これはキキにとって予定の行動であり、なんも問題もない。
ロックが茶を飲み干す間、キキは詠唱を終え、完全にこの「世界」に溶けて消えた。

「ここが幻である証拠か…好きなだけ味わうでおじゃるか?」
どこからか、キキの声が聞こえた瞬間、ロックの腹から生えた一本の槍が奴の胸を貫いた。

126 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/11/12(月) 17:53:57 0
>122
「あべしっ!」
吃驚して眼を凝らしているときに、フクロウの強襲にあってしまって放物線を描いて地面をえぐって顔面から衝突した。
嘴が後頭部に直撃しているにも関わらず、傷ひとつないのはゴキブリ並の生命力…ではなく吸血鬼本来の頑丈さのおかげ。
それでもかなり痛そうに「死んじゃう…死んじゃう」と呟きながら地面をじたばたと暴れてもがく。
とうとう完璧にフリージア、メラル、ルーに見つかってしまうような位置だが、なにやら込み入っているようで発見されず。

痛みもひいてきてじたばたとするのをやめると、強襲者の見当をつけて怒りに燃える。
(後頭部の痛みからして、凶器は硬い鋭利な武器である可能性が高い。
縦ロールのフリージアは氷の使い手である。
奴が得意の氷の罠をはっていて、おめおめと獲物を誘い出してこうした手法で生け捕りにして食っているに違いない。
恐るべし…真の魔女とはリリアーナやアルナワーズではなく、あの雪女のフリージアであったか!
なるほど…一見すればただの世間知らずなお嬢さまだと勘違いしてしまうが、それこそがこやつの狙いであったか)
ヴァン視点ではフリージアはもはや魔王を裏から操る大魔王にしか見えなかった。
『フリージアは実は真の魔女だったんだよ!』という真実を一刻もはやく地下に住む魔物たちに知らせるべく吸血鬼は立ち上がった。
我が名はヴァンエレン・ブランカート。
吸血鬼の誇り高き蝙蝠の戦士!
勘違いは勘違いなりに勇ましく、この崇高な仕事にあたろうとしていた。

>123
そのときである。
ルーがいる位置と亀の甲羅のちょうど真ん中あたりの位置にいたもんだから、投げられた槍がササークと軽い擬音を立てて腹部に貫通した。
「あるぇ?」
放心状態で未だ状況を理解できていないのはご存知ヴァンちゃん齢80歳。
「なんじゃこりゃああああぁぁぁ!?!?」
いきなりお腹あたりから槍が生えちゃったもんだから、ヴァンが叫んでしまうのも無理はない。
吸血鬼の叫び、森に木霊す。

127 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/12(月) 19:28:04 0
>125
少女の顔から急に、あのねだるような甘い笑みが消えた。
そして、代わりに彼女の顔に張りついたのは苦悶の表情だった。
「………」
ロックは何も言わなかった。いや、何も言えなかったのだ。
自分のお腹から生えた槍が少女を貫いた。その事実は、
ロックの右目が懸命に彼の脳に訴えても、飲み込むのに時間がかかったからだ。
そんな事、ありえないと。

「あぁああぁあ!!?」
ロックは悲鳴をあげて少女から離れた。しかし、これは良くなかった。
少女を貫いていた槍が抜けたとたん、真っ赤な血が噴出し、
ロックの制服をべっとりと濡らした。

少女はみるみる顔色を悪くし、倒れた。ロックはすぐに彼女を抱き起こそうと
思ったが、お腹の槍がそれを許さなかった。近づけば、また刺してしまう。

「彼女は死んだ!!何故だ!!」
動かなくなった少女を見た後、ロックは周りを見廻しながら叫んだ。
まるで、誰かがこのやり場のない気持ちの答えを教えてくれないかとばかりに。
リリアーナを見たロックは震える声で彼女に尋ねた。
「なぁ、リリアーナ。あれは何に見える?」

ロックはそう言って、槍に突かれて死んだ少女を指差したつもりだった。
しかし、ロックが指差した先には、血痕はあったが少女の体が消えていた。

128 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/12(月) 19:49:45 0
>124 
偽ロックは相変わらずのオネエ言葉で、リリアーナに甘く語りかける。
何だかとてもいい気持ちになって来た。皆でゆっくりお茶したい気分だ。
目の前にはいつのまにかお茶のセットが現れたが、リリアーナは何の疑問ももたなかった。
お茶からはうっとりするような香りがした。
 
>「リリアーナ、ピクシー達の言っていた“アレ”は、既にあなたは手に入れているわ。 
>あなたも、ロックも、望むのならそれをずっと持っていればいいのよ。」 
>「リリアーナ、なんか彼女からもらったのか?だったら見せてくれよ。」 
リリアーナは慌てて首を左右に振った。何も貰ってない。
>「ロック、あなたはもう見ているじゃない。」 

偽ロックは、とてもおかしそうにくすくす笑った。 

偽ロックは、ピクシーたちの言っていた“アレ”とはこの世界そのものの事だと語った。
話を聞いているうちに、リリアーナはとてもいい気持ちになって来た。
偽ロックといつまでもこのままでいたい。――――偽ロック?
(ううん・・・違うわ。ロックはもともと・・・二人いた・・・はずよね?)
リリアーナはうっとりともう一人のロックに微笑みかけた。
>「あなたは選べるのよ、リリアーナ。元の世界に帰っても、人間に戻れる保証は無いでしょ? 
> でも、この世界ではすぐにでも人間に戻れるわ。…さぁ、カップをとって。」 
リリアーナはカップに手を伸ばそうとしたが、猫の手ではカップを手に取れるはずもなかった。
「ロック、私・・・げふっ!!」
人間に戻ってお茶を飲みたい
そう言おうとしたリリアーナ言葉は、突然起こった腹部の痛みに遮られた。

目の前の光景がぼやけて見えなくなってきた。 
青空も、草原も、ティーセットも、ロック達も、全てが見えなく…

>117 >126
>「なんじゃこりゃああああぁぁぁ!?!?」 
誰かが絶叫している・・・あの声、どこかで聞いたような・・・。
目がさめたリリアーナが最初に思ったのはそんなことだった。
リリアーナはとても狭い空間にいた。真っ暗で身動きできない。
背中は温かいけれど、お腹には氷の棒のようなものが押し付けられていた。
フリージアの氷結根だと知ったのは、ずっと後になってからだった。
「にゃ・・・・・・ふみゃ?!」
再び突かれて、リリアーナはくぐもった悲鳴をあげた。
(痛い。冷たい!・・・私・・・こんなところで何してるの?)
だが、考えられたのはここまでだった。
例の甘い香りがして、また何もかも分からなくなってしまったからだ。

本物のロックは音を立てて飲み干したカップを置くと、偽ロックに食って掛かっていた。
リリアーナは再び草原の世界へと戻っていた。
目の前のカップからは湯気が立ち上っている。殆ど時間は経過していないようだ。
だが今のリリアーナは、ロック達ではなくと偽ロックをロックがいると認識することが出来た。

>リリアーナの願いを叶える前に、俺の願いを叶えてくれよ!!」 
「ロック?何を言い出すの?」
リリアーナは戸惑った。ロックがこんな事を言い出すとは思っても見なかったからだ。
>「…今すぐ元の世界に帰りたい。じゃないわよね?」 
>「違うね、もっと別の願いだ!」 
>「やっぱり、左目?」 
「違う!もっと別の願いだ!」 
リリアーナは内心で激しい葛藤と戦っていた。
割って入る?ううん、ロックはさっきリリアーナの言葉で気合を入れなおしていた。
何か考えがあるに違いない・・・そうであって欲しい。

129 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/12(月) 19:58:10 0
ロックは何故か偽ロックに赤面しながら少女に近づき、何か囁いている。
そういえばロックの目には、偽ロックは女の子に見えるはずだ。
偽ロックはロックの願いを聞いて頷いている。
(何赤くなってるのよ、一体何を頼んだのよ〜〜!!・・・はっ!そういえば!!)
ロックは女の子に口説かれたことなんて(リリアーナの知る限り)無かった筈だ。
可愛い女の子から「ずっと居て欲しい」と言われて、くらっと来ないとも限らない。
『へ、へえ。私を人間に戻すより大事なロックのお願いって、一体何なわけ?
 私に聞かせたくないような内容なわけ?』
リリアーナの前に置かれたカップが、カチャカチャと耳障りな音を立てている。
リリアーナはできるだけなにげない風で目の前の二人に問いかけた。
だが、返答を聞くことは出来なかった。
>「ここが幻である証拠か…好きなだけ味わうでおじゃるか?」 
>どこからか、キキの声が聞こえた瞬間、ロックの腹から生えた一本の槍が奴の胸を貫いた。
『な、何っ?!』

偽ロックは血を噴出し倒れた。
>「彼女は死んだ!!何故だ!!」 
>動かなくなった少女を見た後、ロックは周りを見廻しながら叫んだ。 

リリアーナは咄嗟に言葉が出なかった。
突然起こった惨事にショックを受けたのは、何もロックだけではないのだ。
リリアーナは今ほど猫の姿でよかったと思ったことは無かった。
人間の姿だったら、多分卒倒しそうな顔をしていただろう。

>「なぁ、リリアーナ。あれは何に見える?」 
『・・・何も』
リリアーナはなるべく平静を保った声で答えると、身軽な動きでロックの肩に飛び乗る。
『落ち着いてロック。大丈夫。あなたのせいじゃない。貴方は何も悪くないわ。
 ここは幻のような世界なのよ。
 そもそも、私たちがまだこの世界に戻れないということは、 偽ロック・・・ううん、
 「彼女」の姿をしていた存在は消滅していないということじゃないの?』
リリアーナはぷにぷにした肉球で、ロックの頬についた返り血を拭った。
『もしかしたら、この惨事自体偽ロックが仕組んだ茶番劇かもしれないでしょう?
 現に貴方はこんなにショックを受けて動揺しているじゃないの。
 ・・・・ねえ、ロックは彼女に何を願ったの?』

ここでリリアーナはキョロキョロと周囲を見渡し、愕然とした。
『ロック、あの子が居ないわ!転入生のあの子はどこに消えたの!?』

130 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/12(月) 21:32:59 0

>123>126
「あ、危ない!?」
フリージアの横を通り過ぎていく一本の槍
それは多分フリージアを狙っていたのだとは思うのだが・・・・
それに当たったのはまったく別の人物であった

>「なんじゃこりゃああああぁぁぁ!?!?」
槍が自分に命中して叫ぶヴァンエレン
「・・・・・・・・」
行き成りの出来事に沈黙するフリージア
「ソレハ ヤリ ダヨ」
さっきルーにヴァンエレンのところに飛ばされたギズモは
彼が近くにいたことを知っているので普通に答える
「いえ・・・そういうことではなくってよ」

なんともいえないやるせない雰囲気がその場を支配した

「ま、吸血鬼なんだし大丈夫でしょ・・・それよりあの野人ですわ」
さてどうしよう・・・まあ足を封じたのだからこちらの方が断然有利
でもは油断できない
「アノ ヤリ ウデカラ デタヨ」
フリージアにアドバイスを送るギズモ
「じゃあ次は全身をを凍らせて差し上げますわ」
そう言ってフリージアは白鳥の翼の動きを髣髴させる舞を踊り始めた
ギズモのアドバイスはガン無視である
「お〜ほっほっほっほ!私の(お母様の)フリージング・ディストラクションは炎をも凍らせられるけど
 ・・・・・さて、はたしてあなたは炎より凍りにくいかしら?」

そして・・・・魔法は放たれた

「氷結のフリージア 最大の奥義!フリィィィジング ディストラクション!!(ディストラクション抜き)」

131 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/11/13(火) 01:07:35 0
メラルが術を詠唱している間、ルーの隙を突いた
フリージアが足封じの術でルーの足を封じていた。
その後でフリージアがリリアーナの居場所について聞くが、
メラルには返答の余裕はなかった。いや、術を中断すれば答えられるが
それはあまりに無茶である。代わりにエミューが独断で水晶球の状態で
メラルの元から抜け出し、説明をしに行っていた。
フリージアはそれを聞いて甲羅に関心を持ったようである

メラルが術を発動させてから。ルーと視線があい…同時に目の奥に
不自然な熱さと痛みが走った。
「…熱っ…!何よ…これ…。」

(炎の術?…こんな術まで持っているとはね。でもいずれにしろ
こんな状況じゃろくに操作できない…!ならせめて…!)
周囲にいる珍客を気にする余裕などあろうはずも無い。
かなりの激痛の中ではあるが、右目を片手で抑え、左目だけは何とか開けたまま
メラルは既にそこそこばらけていた全ての斥力弾をルーに向けて動かす…
その最後の操作を魔力を頼りに行った。フリージアの足封じがある以上、
命中は見込めるしこれだけの数命中すればいくら身体能力が高い相手とはいえ
そこそこのダメージは見込めるだろう。それに続いて、フリージアの
最大術がルーに向かっている。メラルはこれ以上の無理な追撃などはせずに
魔力監視はけして怠らずに、片手を右目に当てて不自然に熱くなって
痛みを放つ右目を冷やし始めた。左目は本来の目を隠す氷が
熱を多少緩和したため、激痛というほどの痛みは受けなかった。
もちろん右目に比べ被害が少ない為、なんとか目をあけていられるのだ。
しかし…メラルも気付いていないが、左目の氷は解けて本来の目が顕になっている…。

132 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/13(火) 19:09:22 0
>129
> 『落ち着いてロック。大丈夫。あなたのせいじゃない。貴方は何も悪くないわ。
>  ここは幻のような世界なのよ。
>  そもそも、私たちがまだ元の世界に戻れないということは、 偽ロック・・・ううん、
>  「彼女」の姿をしていた存在は消滅していないということじゃないの?』

ロックはまだ心の整理ができず、リリアーナの言葉を何も言えずに聞いていた。

> 『もしかしたら、この惨事自体偽ロックが仕組んだ茶番劇かもしれないでしょう?
>  現に貴方はこんなにショックを受けて動揺しているじゃないの。
>  ・・・・ねえ、ロックは彼女に何を願ったの?』

「…言えない、言えるわけないだろ、あんな事。」
ロックは力無く答えた。

> ここでリリアーナはキョロキョロと周囲を見渡し、愕然とした。
> 『ロック、あの子が居ないわ!転入生のあの子はどこに消えたの!?』
「あの子って、俺の腹から出た?あいつ、転入生だったのか!
そういえば確かに見えないな。」
ロックもリリアーナと一緒にあたりをキョロキョロと探した。しかし、見れば見るほど、
その転入生はどこにもいなかった。

「それよりも、気になる事がある。リリアーナ、さっきからお前はよく幻がどうのこうのと言ってるな?
俺は最初ここに来たとき、転移魔法か何かでここに飛ばされたとばかり思ってた。
もしかして、俺が見ているのは現実ではなく全て夢、幻なのか?いや、そもそも…」
ロックはリリアーナをじっと見た。そして、彼女にさわった。
「お前はどうなんだリリアーナ?お前も、俺がただ勝手に見ている夢にすぎないのか?
確かに、こうやってさわればお前を感じるけど、それはお前や転入生が幻だと言った、
あの少女も同じだった。」
ロックは今度は警戒するようにリリアーナから離れた。
「リリアーナ、俺はわからない。お前が本物なのか、それとも幻なのか、
一体どうやって確かめるというんだ?」

133 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/11/13(火) 20:19:33 0
>126>130-131
>「なんじゃこりゃああああぁぁぁ!?!?」
などと叫ぶ吸血鬼をガン無視しつつ、ルーはメラルに合わせた視線を外そうとはしない。
ジルベリア仕込みの足封じは完全にルーの足の動きを封じており、
必死に足を動かそうとする努力は空しいばかり。

>メラルは既にそこそこばらけていた全ての斥力弾をルーに向けて動かす…
>「氷結のフリージア 最大の奥義!フリィィィジング ディストラクション!!(ディストラクション抜き)」
しつこいようだが、ルーは足封じから抜け出られていない。
そんな状況でこの二重攻囲を避ける術はあるのか?
・・・・・・ あ る は ず も な い 

ルーの全身を斥力球が囲い、ぶつかり、へし折り、砕く。
そこから立ち直る隙さえ与えず氷気がルーに降りかかり、一瞬で歪な氷像を形作る。
・・・・・・人間ってあんな風に自分から間接は曲がらないよね?という具合にボッキボキのベッキベキだ。
それをフリージングディストラクションによって凍らされ、ルーの意識も、細胞の一片まで凍りついた。

やじゅう るー を たおした !
ふりーじあ は 80 の けいけんち を えた。
めらる は 80 の けいけんち を えた。
おかね は てにはいらなかった・・・・・・。

切り株のそばに歪な氷柱ができている。間違いなくルーは重体だろう。
かけらも中から動く様子はない。

134 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/13(火) 23:01:38 0
血痕だけを残して少女が消えてほんの暫く後、世界も消えた。
心地よい風景も、柔らかにさせる匂いも、暖かな空気も、そして光すらも!
暗転の後、ロック、リリアーナ、キキの三人は元の森に立っていた。
そして足元には真っ二つに割れた甲羅が転がっていた。

フリージアが氷結棍で甲羅を突付いたあと、ルーに気をとられて気付かなかったが、甲羅はぐらぐらと揺れ始める。
揺れはどんどん大きくなり、亀裂は一気に広がり小さな爆発音と共に甲羅は真っ二つに割れた。
その直後、どこからかロック、リリアーナ、キキの三人が現れたのだった。

割れた甲羅の内側には『隠密移動型防犯金庫・アルナワーズ作』と書かれている。
そして甲羅のとは別に、様々なものが転がっていた。
その中に一冊の黒いノートがある。
ノートの表紙には白字で【リリアーナ観察記録】と書かれている。

###############################################

ノートを開いてみると、確かにアルナワーズの筆跡で書かれている・・・

○月◎日
今日からリリアーナと住むことになった。
タイフーンアイとクラウドオブダウンバーストの話しは既にしてある。
怯えと理性のせめぎ合う表情が堪らなくそそる。
私のベッドの隅っこで丸くなるリリアーナはまるで子猫のようだ。



○月×日
今日戯れにクラウドオブダウンバーストを発動させてみた。
今までベッドの隅っこで寝ていたが、ちゃんと真ん中で寝るようになった。
その時のリリアーナの顔は忘れられない。
これからも時々発動させよう。

○月△日
誤算だった。
リリアーナは昼は明るく元気だが、夜はそれ以上だ。
いや、激しい。
私にくっついて寝ているのだが・・・肋が三本砕けた。
密着した状態からのこの威力。
通常の格闘技は方を起点に打撃を繰り出すが、リリアーナは肘を起点に私の肋をへし折ったのだ。
レオ先生によればもう少しで折れた肋が肺に刺さるところだったらしい。
クドリャフカに聞くと、東方の古武術【コッポウ】かもしれないとのこと。
コッポウといえば舞闘術にならぶ密着格闘技。しかも密着格闘技でありながら打撃中心という恐るべき武術だ。
それを寝ながら行うとは・・・恐ろしい。

135 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/13(火) 23:01:46 0

○月●日
リリアーナが何か寝言を言っている。
「フリージア」「猫が羨ましい」「私も猫だったら」
どうやらフリージアが猫を可愛がっているのが羨ましいらしい。



○月▽日
日増しに猫になりたいという寝言が大きくなっていく。
確かに猫になれば人目をはばからずフリージアに愛でて貰えるだろうが、難儀なことだ


そして今日の日付。

朝起きると、リリアーナがいなかった。
代わりに一匹の子猫が。
リリアーナを探すがどこにも見つからない。
信じられないが、どうやらこの子猫がリリアーナらしい。
苔の一念とはいうが、まさか本当に猫になってしまうなんて。
とりあえずキャットフードっぽいものを作って与えてみようとする。
だが、起きた猫リリアーナは一目散に部屋を出て行ってしまった。
おそらくフリージアの元へいったのだろう。
夢が叶ったのならば私がどんな干渉ができるというのだろうか・・・
たとえ他人の目にどう映ったとしても、それも一つの愛の形だ。

しかし、このままリリアーナは猫としての人生を送るのだろうか?
昔話では意中のもののキスを以って元の姿を取り戻すのだが・・・




後のページは延々と白紙が続くのみだった。

136 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/14(水) 14:11:59 0
>132
>「それよりも、気になる事がある。リリアーナ、さっきからお前はよく幻がどうのこうのと言ってるな? 
>もしかして、俺が見ているのは現実ではなく全て夢、幻なのか?いや、そもそも…」 
>ロックはリリアーナをじっと見た。そして、彼女にさわった。 
>「お前はどうなんだリリアーナ?お前も、俺がただ勝手に見ている夢にすぎないのか? 
>確かに、こうやってさわればお前を感じるけど、それはお前や転入生が幻だと言った、 
>あの少女も同じだった。」 
>ロックは今度は警戒するようにリリアーナから離れた。 
>「リリアーナ、俺はわからない。お前が本物なのか、それとも幻なのか、 
>一体どうやって確かめるというんだ?」 

リリアーナはロックが話し終えるまで一言も口を聞かなかった。
警戒されて距離を取られた後も、ガラス玉のような瞳でじっとロックを見上げている。
『貴方の言うとおり、私は偽者かもしれない』
それは同時にロック自身にも言えることだった。
『ただ、もし私が幻なら、ロックと一緒に元の世界に戻ろうとする理由も無いわね』
そうでしょ?と小首を傾げるリリアーナには、いつものような覇気が無かった。
たとえリリアーナが所有する杖「カドゥケウス」を召喚出来たとしても、
ここではリリアーナが本物だという証にはならない。
ただ、ロックに信じてもらうしかなかった。

『・・・・・・私が、この世界が夢や幻のようなものだと言う根拠は』
リリアーナは、ボロボロになった前足の爪を見せる。
『私が森の中にあった甲羅を爪で引っかいていた時に、内側からロックの気配を感じたからよ。
 少なくともここは異世界じゃない。貴方の肉体は、例の森の甲羅の中にある』
おそらく今は、私の体も、と内心で呟くと、リリアーナは更に続ける。
『もしも私が幻のリリアーナなら、猫の姿で現れない。
 人間の姿のほうが、ロックの現世での気がかりが消えて都合が良いもの。
 私がこの世界の主なら、少女の姿で現れたりもしない。
 ロックが心の中で強く想っている誰かの姿で現れた方が、きっと離れがたいはずだもの。
 もし私がこの世界の主だったら・・・・・・』
リリアーナは何度か言いよどんだ後、ロックから視線を逸らした。
『私ならきっと・・・・・・ロックのお母様の姿で現れるでしょうね・・・・・・』
いつのまにか空は鉛色になっていた。

リリアーナは深いふかいため息をついた。
『・・・ごめんロック。
 こうしていても埒があかないし、転入生が近くに居ないか探してくるね』
リリアーナはそう言うと、くるりとロックに背を向けた。

>134
どこかで何かが崩れるような音がする。
音は次第にこちらへ近づいているようだ。

137 名前: ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/14(水) 15:04:43 0
アルナワーズの金庫の中には、張り紙のしてある箱もいくつか混ざっていた。
張り紙には「リリアーナ所有分!アルはあけちゃダメ!」と大きく書かれている。
どうやらアルナワーズと同室になった折、大切なものが壊れたり紛失しないよう金庫に預かってもらっていたようだ。
(眠るとアルの魔力が暴走するかもしれないと聞かされていたリリアーナにとっては、妥当な判断といえるだろう)

張り紙のついた一つ目の箱をあけると、中には回復系アイテムが入っていた。
二つ目には写真や、思い出の品らしき小物が詰まっている。
残りの箱は厳重に封印されていて、簡単には開きそうにない。

138 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/14(水) 22:34:14 0
>136
> 『私ならきっと・・・・・・ロックのお母様の姿で現れるでしょうね・・・・・・』
「…ブランエンか。」
ロックはそれだけつぶやいた。
> 『・・・ごめんロック。
>  こうしていても埒があかないし、転入生が近くに居ないか探してくるね』
「待ってくれ、リリアーナ!」
ロックはすぐにリリアーナを追いかけた。
「もし気を悪くしたのなら謝るよ。お前が俺を惑わそうとする幻だ、
なんて本気で思ったわけじゃない。ただ…」
ロックはリリアーナに追いつき、歩速を緩めた。
「なあ、リリアーナ。俺は思ったんだ。俺は目が見えるせいで慢心して、
いつの間にか目の前の相手に勝手なイメージを押し付けて、
ちゃんと本当の姿を見ようとしなかったんじゃないかって。」

>134
どこかで何かがガラガラと崩れる音が響いているが、ロックは構わず続けた。
「リリアーナ、俺はたった今お前に誓う!この俺、ロック・ウィルは、真実を見通す目を持つ男になる!
今はまだ無理かもしれないけど、幾千の虚構から一握りの真実を掴めるような!
深い霧の中からでも、星の光を辿れるような目を持つ男になるから!
いつか必ずそうなってみせるから!!」
ここで、ロックの足元にしっかりあったはずの地面が崩れ、ロックは闇の中に放り出された。
「ぬあぁー!!」



目が覚めた時、ロックの目に木の梢の間から降り注ぐ日の光が飛び込んだ。
最初は混乱していたロックだが、しばらくしてやっと気がついた。
「戻ってこれたのか?」
大の字に寝ていたロックは、身を起こすとすぐに金色の毛をした動物が
瓦礫に埋もれて動かなくなっている事に気がついた。

「リリアーナ!!」
ロックはそれがリリアーナだと思ったので、急いでその金色の動物を埋めていた瓦礫をどけた。
「なんだ!?こいつは違うぞ!」
ロックが見つけたその動物は、金色の毛こそ猫のリリアーナにそっくりだが、
全く別の動物だった。ロックはそれを放っておくことにした。

「リリアーナ!!」
今度は本物のリリアーナを見つけた。地面にぐったりとのびているその猫に駆け寄ると、
大きな声で呼びかけた。
「リリアーナ!リリアーナ!!しっかりしろよ!俺達もどってこれたんだぜ!」

ロックは側にキキが居ることに気づいた。
「やるじゃないか転入生!」
ロックはキキが自分達を元の世界に戻したと思ったので、
キキにそう言い、右手の親指を上に向けて見せた。

139 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/15(木) 10:00:51 0
>133>134>138
「お〜ほっほっほっほ・・・・ちょっとやりすぎちゃったかしら?
 まあ、人間、全身が凍りついたぐらいじゃ死なないですわ。そうですわよねメラルさん」
まさか当たるとは思わなかったフリージアは
とりあえずメラルに同意を求めた
「フツウ シヌト オモウ」
それに突っ込みを入れるギズモ
「だ、大丈夫ですわ!あの時のクドリャフカさんだって生きてらしたもの!!」
だがその時とは全然状況が違う
「トリアエズ コレ ホケンシツニ ツレテイクヨ」
そう言ってどっこいしょと氷の柱を持ち上げるギズモ
ギズモの体は小さい・・・が以前フリージアを運んだことで判るように以外に力があるのである
「レオ先生によろしくねギズモちゃん」

仮にこの後、保健室で元に戻った野人(不確定名称)が暴れだしても大丈夫だろう
格闘術においてレオ先生はフリージアよりはるかに強いのだから・・・


甲羅の内からロック、キキ、リリアーナが登場
>「戻ってこれたのか?」
今まで気が付かなかったがいつも間にやら甲羅は真っ二つになっている
「ロック!?」
猫耳がついている事についてはあえて言及しないフリージア
「リリアーナさんは!?」
慌てふためくフリージア
>「リリアーナ!リリアーナ!!しっかりしろよ!俺達もどってこれたんだぜ!」
ロックがリリアーナを見つけたようなのでほっとするフリージア
「何があったかはさっぱりですけど・・・まだ猫ちゃんですわねリリアーナさん」
どうやらこの甲羅はリリアーナが猫になったこととは無関係のようだ

そしてフリージアは金色の動物を見つけた
「・・・・・猫ちゃんじゃないですわ」
・・・・が猫じゃなかったのでスルーした

>「やるじゃないか転入生!」
「なんだか事情がさっぱりですけど私からもお礼を言いますわ
 私の大切なお友達を助けていただいてたいそうありがたく存じますわ」


140 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/15(木) 18:27:29 0
>「リリアーナ!リリアーナ!!しっかりしろよ!俺達もどってこれたんだぜ!」
「・・・・・・・・にゃ?」
ロックの呼びかけに、リリアーナはぱちりと目を開けた。
日は随分高くなっていた。
木漏れ日の中、ロックとフリージアが自分を心配そうに見下ろしている。
リリアーナは慌てて飛び起きた。
そこは元の場所、学園にある例の森の中だった。
視界の隅には、例の転入生もちゃんと揃っていた。
『良かった〜!!』
どうやら全員無事で戻ってこれたようだ。

>「何があったかはさっぱりですけど・・・まだ猫ちゃんですわねリリアーナさん」
「にゃ!うにゃーん・・・」
がーん!とショックを受けたリリアーナの尻尾が力なく垂れた。
そう、すっかり終った気分になっていたが、リリアーナ自身の問題は何ひとつ解決してないのである。

>「やるじゃないか転入生!」 
>「なんだか事情がさっぱりですけど私からもお礼を言いますわ 
>私の大切なお友達を助けていただいてたいそうありがたく存じますわ」 
「にゃーん」
リリアーナも感謝の気持ちをこめて、キキの足に頭をすりすりした。

『ロック』
ロックが振り向いた。
その顔はいつもと全然変わらないけれど、何だか少し大人びて見える。
リリアーナは感慨深げにロックを見上げた。
誓いを守り、ロックが真実を見通せる目を持つ男に成長するのはいつの事だろう?
その日が待ち遠しい気もするし、ちょっぴり怖い気もする。
『・・・ううん、やっぱりなんでもない。皆、無事に戻ってこれてよかったね!』
リリアーナは満足げな顔で、ぎゅーっと大きく伸びをした。

人心地ついたところで、ようやくリリアーナは森の中の惨状に気づいた。
甲羅は壊れた以外にも、地面や木々がひどく痛んでいる。
激しい戦闘があったというのは一目瞭然だった。
『この森の荒れようは一体・・・・・・ねえ、ここで一体何があったの?』
周りをきょろきょろしていたリリアーナは、目の前の障害物に気づかなかった。
『痛っ!誰よこんな場所に大きな荷物を・・・・・・! キャ――――!!!』
リリアーナは脱兎のごとく逃げ出すと、一番傍にいたメラルの肩に駆け上がった。
ぶるぶる震えながらミューミュー心細げに鳴いている。
『吸血鬼!こんなところで吸血鬼が死んでるうぅぅぅう?!』

あまりに驚いていたので、金庫に気づくだけの精神的余裕はまだ無いようだ。

141 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/11/15(木) 20:18:21 0
>140
>『吸血鬼!こんなところで吸血鬼が死んでるうぅぅぅう?!』
「うるさいぞ猫よ。開いた穴に響くだろうって…お前か貧乳」
ショックで白目を向いて意識を失っていたなんて言えるわけがなかった。
リリアーナがつまづいた際におじいちゃんが手を振ってい寸前でこちらに戻ってくることができたわけだ。

しびれを切らして地下図書館から出てくるんじゃなかったと後悔するが、もはや後の祭りである。
いまだ腹に突き刺さる槍を見つめながら、痛みに耐えてゆっくりと抜いていく。
この程度でも吸血鬼は死ぬはずはないが、それでも損傷による痛みというのはある。
一気に抜くと一瞬だがかなり痛いがゆっくり時間をかけて抜けばほどほどの痛みだが長いこと苦しみが続く。
どうやら吸血鬼は後者を選んだようだ。
「こんな目にあうんだったら、図書館で寝てればよかった……」
なんの得にもならず、どてっぱらに穴を開けてしまうほどの損傷は血が大量に必要となるのが必然。
失うものがあってこそ得るものがあるはずだが、これ以上この場にいても学園から出られる術など見つかりはずもない。
「……私はなにをしにここへ来たんだっけか?」
その理由をさぐり当てるには一体どこまでさかのぼればいいだろうか?

槍をどうにかしようとしている吸血鬼は置いておいて、ルーとフリージアとメラルの攻防は何時の間にか決着がついたようだ。
まるで獣のように猛威を振るっていたルーはカチンコチンに凍っていて、氷の中の芸術は腕や足がありえない方向に曲がっている。
「おー、こりゃ鬼畜だな…我々でもこんな酷いことはしないぞ」
フリージアのほうを見て皮肉たっぷりにニヤリと意地の悪い笑いを浮かべる。

森は戦場のように荒れ果てていてどう考えても異常続きの周りに対して、興味もないというかそれどころではない。
なにせこちらは人間だったら「死んじゃっているよ?」という状況なのだ。
そしてとうとう異物から腹を救ってやることに成功して、その忌々しい槍を地に突き刺す。
出来てしまったものはしょうがなく、それを後悔するより先にまずこの空洞をどうにかするべきである。
治癒にまわす力が必要になるが、それには多量の人間の血液が必要だ。
魔物らしくまた適当な人間を騙して地道に回復の道を歩むとするしかない。
「さぁて、おまえら血をよこしやがれ。もちろんタダでとは言わん…」
懐から取り出したるは古めかしい一冊の本。
その本、題名を『獣化解除全書』といふ。
「求める血はロックを除くこの場にいる人間全員の血液400mL分だ。
 この量は非常にリーズナブル 良心的献血量でございます」
まずいと思い込んでいるロックの血を除外して、人の足元を見てうすら笑い、まさに悪人顔という陰のある表情で条件をつきつける。

142 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/15(木) 22:50:27 0
ピクシー達はせわしく飛び回りながら、辺りに散乱した、
小さな宝石玉を集めていた。
「おい、何なんだよそれ?」
ロックにそう声をかけられたピクシーの一匹は小石をロックに投げつけた。
「なっ!?おい!!」
>「ロックうぜぇ、ロックうぜぇ。」
そのピクシーは毒づきながら森の奥に去ってしまった。
どうやら、あの宝石玉がピクシー達の目的だったらしい。
「全く、可愛げの無い奴らだ。」
ロックはそう言って、先ほどピクシーに投げつけられた小石を拾おうとした。

その時、ロックは足元に一冊の黒いノートが落ちていた事に気づいた。
「なんだ?落し物か?」
ロックはそのノートを開き、パラパラとめくった。しかし、何も書いてない…
いや、違った。ノートの最後の方に何か書いてある。
「…こんな字は見たこと無いな。」
当然だ。上下逆さまに持っているんだから。

それに気づいたロックは、恥ずかしそうにゴホンと咳払いをし、
ノートを正しい向きに持ち直した。ノートには今日の日付が書いてあった。

>135
>『 朝起きると、リ

ここまで読んだところで、ロックの視界が真っ黒になった。
「うわっ!!」
ピクシー達に沼地の泥団子を顔に投げつけられたのだ。
ロックは上着の袖で顔をぬぐい、をピクシー達睨んだ。
「なにするんだよ!」
ロックはさっき拾った小石を投げつけたが、ピクシー達は
ゲラゲラ笑いながら、その小石をひょいと避けて逃げてしまった。

「まったく、今日はよほどついてないな。これじゃ読めないじゃないか。」
そう、さっきの泥団子のせいで、ロックが見ていたページがひどく汚れてしまったのだ。
ロックはしかたなく次のページを開いた。

>134
> ○月△日
> 誤算だった。
> リリアーナは昼は明るく元気だが、夜はそれ以上(以下略)

ロックはその書き込みに衝撃を受けた。慌てて表紙を確認すると、
> ノートの表紙には白字で【リリアーナ観察記録】と書かれている。
「みっ…密着状態から、肘を起点にして肋骨をへし折っただと…!!」
ロックがリリアーナを見る目がこの時変わった。

>141
> 「求める血はロックを除くこの場にいる人間全員の血液400mL分だ。
>  この量は非常にリーズナブル 良心的献血量でございます」
自分の世界に入っていたロックは、ここでようやくヴァンエレンに気づいた。
ロックは無言で彼に近づき、そして有無を言わさずギュっと抱き寄せた。
「密着状態から、肘を起点に…こうするのか?…肘を起点…」
ロックはブツブツとそう呟きながら、そのままヴァンエレンの胸元に拳を添えた。
「えいっ!!」
気合一閃!ロックはそのまま拳をヴァンエレンに叩き込んだ…つもりだった。
しかし、そのパンチは全く威力が無かった。失意のロックはヴァンエレンを開放した。
「くそっ!俺じゃ駄目だってのかよ!!」
ロックは【コッポウ】ができなかったのを悔しがって叫んだ。


143 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/15(木) 23:37:44 0
「おや、おかしいですね、獣化解除全書がありません」
地下の本を調べているオルビアが獣化解除全書が無くなっていることに気付く。
「生徒はここには来れない、ということは……ヴァンエレンでしょうかね。
 やれやれ、私に一言もなしですか、いい度胸です、最近ちょっと調子乗ってますからね。
 ここいらで上下関係というものをハッキリさせなければいけませんかねぇ。」
オルビアの微笑みが邪悪な笑みへと変わっていく。
どうやら簡単に許すつもりはないようだ。

144 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/16(金) 19:57:08 0
>141
>「うるさいぞ猫よ。開いた穴に響くだろうって…お前か貧乳」 
『だーれーがー二次元並にぺらぺらで向こうが透けて見えそうな貧乳ですってええぇぇええ!!
 ・・・あれ? 吸血鬼、貴方まだ生きてたのね』
こんな大怪我をしているというのに。腐っても鯛ならぬ吸血鬼といったところだろうか。
彼は肉や骨のきしむ音を音を立てながら、体内の槍を引き抜こうとしている。
あまりに痛そうな湿った音に、リリアーナは鳥肌を立てつつ目を逸らした。

>142
そんなリリアーナの目の前をひょいとピクシーが横切っていく。
ピクシーは足元の宝石を拾い集めていた。
(変ね、あの石に見覚えがあるような無いような・・・・・・・あっ!)
「ニャ――――ッ!!」
リリアーナは仰天した。宝石以外にも、アルのマジックアイテムが散乱している。
『な、何でこんなところにアルの持ち物が落ちてるの?!』
散乱する宝石に混じって、アルに預けた自分の貴重品まで転がっていた。訳がわからない。
もしかしてリリアーナが困っている姿を、どこかから遠眼鏡で鑑賞してるのだろうか?
リリアーナはアルの姿を探したが、残念ながら見つけることは出来なかった。

『こら!もって行っちゃダメ! あっちに行きなさいったら!』
リリアーナはピクシーを追い掛け回した。
争奪戦の末、ピクシーは立ち去っていった。だが宝石類は、思ったより拾われていってしまったようだ。

>134
『ロック、大丈夫?』
泥団子を投げつけられたロックを、笑いをかみ殺しながら労う。
黒いノートに気を取られているロックは生返事を返してきた。
リリアーナは気にした風でもなく、散乱したアイテムを調べ始めた。

『こ、これは・・・!』
真っ二つになった甲羅の裏側を見て、リリアーナは言葉を失った。
壊れた甲羅の裏には、『隠密移動型防犯金庫・アルナワーズ作』と銘打たれていた。
謎は全て解けた。

『・・・・・・・・・・・・・・・ア・・・アルウウウゥゥウゥゥウウウ!!!貴女って人はああぁぁぁああ!!!』
リリアーナの絶叫、もとい猫の雄たけびが、森の中に空しく響き渡った。

『ねえっ!もしアルのアイテムがピクシーに盗られてても私のせいじゃないわよねっ?!
 私は無実よねっ?! 悪くないわよねっ?!ねえ、ねえったら ――――!!』
言葉が通じないのも忘れ、リリアーナは涙目になりながら必死に皆の同意を求めた。

>141
>「さぁて、おまえら血をよこしやがれ。もちろんタダでとは言わん…」 
>懐から取り出したるは古めかしい一冊の本。  
>「求める血はロックを除くこの場にいる人間全員の血液400mL分だ。 
「ニャ〜?」
少しパニックから立ち直ったリリアーナは、不思議そうに首を傾げた。
本来なら喉から手が出るほど欲しい本のはずなのに、である。
原因は『獣化解除全書』の装丁にあった。
赤い革表紙にエンボス加工で浮き出しているタイトル。
これでは、赤を認識できない猫にとっては何の本なのかさっぱりなのだ!

145 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/16(金) 20:05:23 0
 
?マークを飛ばしているリリアーナを尻目に、ロックは無言で吸血鬼に近づいていく。
そして有無を言わさずギュっと抱き寄せた。 
(な、何ですって――――!!!)
『ろ、ロックさん?貴方一体何を・・・・・・・』
ロックはヴァンエレンの耳元で何事か囁いた後、「えいっ!」と軽く胸元を叩いている。
リリアーナの目には、二人がとても「なかよし♥」に見えた。
>「くそっ!俺じゃ駄目だってのかよ!!」 
ロックは悔しそうに呟くと、肩を落としながらヴァンエレンから離れていった。
(そんなに血があげられないのが悔しかったなんて・・・はっ!
 そういえば!ロック、甲羅の中で最初に会ったのは少年だって言ってたわよね?
 今までも女の子と浮いた話のひとつも無いって事は・・・まさか!)
怖い考えになってしまったリリアーナは、ムンクの叫びのような顔になった。
『ふ、ふーん。そ、そんなにやってみたかったわけ?』
リリアーナは引きつりった顔で、どうにかそれだけ口にした。

ぎぎぎぎぎ、と音がしそうな動きでヴァンエレンに視線を移す。
『けんけつするのはいいけど、猫の血でもだいじょうぶ、なの?
 あの箱の回復アイテムでよければ、どれでも使っていい・・・・・ふぎゃ!』
心ここにあらずのリリアーナは、何も無いところで派手にすっ転んだ。
・・・こんな状態で体重の半分以上を献血して大丈夫なのだろうか?
また、箱の中には吸血鬼と相性のよくない品も混じっているはずなのだが・・・。

146 名前:キキ ◆vnMt3fk8bc 投稿日:2007/11/17(土) 03:23:06 0
「褒めても何もださぬぞ」
そう言いながらキキはロックに同じように返した。
(全く…いい気なものでおじゃるな。相手がこんな玩具だったからどうにかできたものを…何者かが操っていたのなら全滅でおじゃったのに)
一つ皮肉でもいってやりたいところだったが、ロックの喜んでいる顔を見るとその気が失せた。
「そこまで言われるようなことはしてないでおじゃる…むしろ…」
感謝するフリージアに返す瞬間、金色の生物が目に入った。
それを見たキキの顔に影が差す。
「そう…褒められることじゃない」
いくら特殊な金庫だとはいえ、あのような精神世界を作れるだろうか?あれほどの心の傷が現れるだろうか?
否!感情と記憶を持たない金庫にそんな芸当ができるわけがないのだ。
(…生きるためとはいえ…悪く思わんでくれ)

ふと視線を変えると、目を離した隙に何やら話が変な方向に進んでいるではないか。
「体の弱い者から血液を徴収するなど…貴様にはプライドというのがないでおじゃるか?」
多分、今朝見かけた蝙蝠の主だろう吸血鬼にキキはそう言って、先程、自身の血が染み付いたハンカチを渡した。


147 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/11/17(土) 22:08:52 0
>142
「は?」
ロックの突然の抱擁に対して漏れた言葉がまぬけなこれである。
なぜ、どうして、何のために?疑問は尽きぬが、これでは周囲の人間にこういう関係と誤解されてもしょうがない。
まさかロックの故郷ではこうやって男同士でも抱き合う風習でもあったのだろうか?
なにやらブツブツ言っていうるようだが、色々と混乱している吸血鬼には聞こえない。
まさか大胆にもゼロ距離から攻撃してくるとは思いもよらない。
その油断のせいで防御するのが一瞬遅くなり、ロックの攻撃は命中するがなんの力も篭められていないへなちょこパンチだった。
>「くそっ!俺じゃ駄目だってのかよ!!」
攻撃が不発に終わり非常に悔しそうにするロック。
「あんたなにがしたかったんだよ…」

>145
>『けんけつするのはいいけど、猫の血でもだいじょうぶ、なの?
> あの箱の回復アイテムでよければ、どれでも使っていい・・・・・ふぎゃ!』
猫に化けているわけではないので、リリアーナの猫語は直接は解読不可能だが使い魔が一言一句間違いなく通訳する。
「なにを言っている…さきほど献血対象は『人間』と限定していたではないか。
 無理に血液を奪って死んでしまったらオルビアに殺される!」
過去にあのいじめっこにされた『おしおき』を思い出して、顔色を青くさせてガクガクと全身を振るわせた。
>143
全身がぞわりと波打ち、稲妻のように背筋に恐怖が走った。
あの人物のことを思い出していたからだろうか?
不意にオルビアがあの含みのある笑いをして、なにか自分によからぬことを考えているのではないかという予感が走った。
案の定噂の本人が同時刻に地下図書館である本がなくなっていることに気が付き、邪悪な笑みを浮かべていた。
帰ってオルビアに見つかったら大変なことになるのだが、知らぬは本人ばかりなり。
まあ気のせいだろうという自分に都合のいいような答えで無理やり落ち着かせた。
この時の自身のビビリの才能が大音量で警告していたことをヴァンは知らない。

>146
>「体の弱い者から血液を徴収するなど…貴様にはプライドというのがないでおじゃるか?」
角が生えているあきらかに人間とは異なる存在のキキから血に染まったハンカチが差し出される。
「血から人間の匂いにまじって魔の気配が窺がえるな…。
 お前、もしやハーフか?だとしたらなんとも言えぬな」
魔と人間という存在は表と裏であり、決して相成れぬものであるという風習は人間側と魔物側にもある。
この学園にいるとつい忘れがちになってしまうが、魔は人間を喰らって人間は魔を退治するので仲は最悪といっていい。
その中間に生まれし者は人間側と魔物側、どちらにつけばいいのだろう?
少女が人間と魔物の共存を謳い、住み心地のいい居場所があったことを願うばかりである。

148 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/18(日) 13:24:03 0
吸血鬼に自分は人間の数に入っていないと言われ、リリアーナは大ショックを受けた。
『そんな・・・。私だって本当は人間なのにぃ・・・・・・』
悔しがっているロックとならんで、同じくらい落ち込んでいるリリアーナの姿があった。
(まあ、一番の当事者であるリリアーナに献血させないというのも、
 吸血鬼なりの配慮(?)なのだろうが)
リリアーナは自分が猫の姿であることについては、なるべく深く考えないようにしていた。
不安でないわけが無い。
それに、時折猫の本能がリリアーナの理性を凌ぐことが少なくないのだ。
(このまま元に戻れなくて、ずーっと猫のままだったらどうしよう・・・)
『そのうち本当に猫になっちゃって、自分が人間だったことも忘れちゃうのかな』

だがリリアーナの立ち直りは早かった。
というより、考えるのをやめたと言い換えた方が正しい。
『図書館のDブロックに手がかりがあるらしいし、悩んでてもしょうがないわ。
 とりあえず今できることをしなきゃね!ロック、悪いけど拾うの手伝ってくれる?・・・あっ!!』
リリアーナは紙製の小箱に飛びつくと、ひどく焦った様子で箱を開けた。
壊れてないのを確認した彼女は、ホッとした様子で大きな箱に戻していた。
『レイド先生、悪いけど拾った荷物を預かっててもらえませんか?
 アルの分の荷物もあるし、この体じゃ持って帰れませんから』

レイドがアナザーゲートを開く様子を眺めながら、早々にアナザーゲートをマスターするか
同等のマジックアイテム手に入れなきゃ、と切実に思うリリアーナだった。
『私の胸もフリージアみたいだったらなぁ・・・・・・』
リリアーナは自分の姿を見下ろし、ふう、と大きなため息をついた。
猫の姿では、それ以前の問題である。

『あ、その箱を片付けるのちょっと待って!』
リリアーナは封印されていた箱の封印を解いた。
ぼわん!と白い煙を上げて蓋がばね仕掛けのように大きく開く。
リリアーナは中に飛び込み、巾着らしきものを引っ張り出そうとしていた。
だがはずみで、箱の蓋が勢い良く降りてきてしまった。
「・・・にゃ?うみゃ――――!!うにゃ――――ん!!」
リリアーナは必死で体の何倍もありそうな蓋を支えているが、抵抗空しく徐々に閉まっていく。
このままでは中に閉じ込められてしまうだろう。

149 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/11/18(日) 16:34:58 0
ルーがメラルとフリージアの大技のコンビネーションにより、ルーは
どう見ても重傷としか思えないほどのダメージを負って歪な氷像となりはてた。
メラルはあまり気にしていなかったが流石に心配になったのだろう。フリージアが声をかけてくる。
>「お〜ほっほっほっほ・・・・ちょっとやりすぎちゃったかしら?
> まあ、人間、全身が凍りついたぐらいじゃ死なないですわ。そうですわよねメラルさん」
「……全身を氷漬けにして現在治す手段がない病気を患った人間を
 延命させる術があると聞いたことがあるわ。絶望的というわけでも無いと思うけれど…。」
フォローになっているのかわからないフォローを入れ、その後でやっと右目を開いた。
ついにある程度痛みが取れたようだ。

甲羅が割れて、甲羅の中に取り込まれてしまった皆が森に戻ってくる。
何やら妙な物やら生き物(?)も散乱しているが、今は問題はなさそうだ。
吸血鬼を見て驚いたのか、リリアーナ(猫)がメラルの肩に駆け上がってくる。
そのリリアーナに対し、吸血鬼が声をかけていた。
>「うるさいぞ猫よ。開いた穴に響くだろうって…お前か貧乳」
>「こんな目にあうんだったら、図書館で寝てればよかった……」
>「……私はなにをしにここへ来たんだっけか?」
この辺までは、メラルはあまり関心が無さそうに(実際はある程度警戒はしているが・・・。)
吸血鬼を見ているだけだった。
>「おー、こりゃ鬼畜だな…我々でもこんな酷いことはしないぞ」
(…そう言えば…エミューが静かね。アレを見ていたら
茶々を入れてきそうなのに。…転寝でもしているのかしら?全く…。)
しかし…この次から、メラルの姿勢が変わることになる。

>「さぁて、おまえら血をよこしやがれ。もちろんタダでとは言わん…」
>「求める血はロックを除くこの場にいる人間全員の血液400mL分だ。
  この量は非常にリーズナブル 良心的献血量でございます」
「獣化解除全書」の本を盾に、吸血鬼が血を要求してきた。
相手が取引をもち掛けてきた事で、メラルの意識が吸血鬼とそれに対する皆の対応に注がれる。
ロックはよくわからない行動を取っていたが…それはおいておくとして。
キキはハンカチにしみ一日を渡す事を選択したようだ。
リリアーナからは…先ほどから猫の姿に似合わない
プレッシャーを感じるような気がする。それ以上は今はわからないが・・・。
キキと…恐らくリリアーナの発言に対してなのだろう。とりあえずヴァンエレンの答えを聞いていた。
>「なにを言っている…さきほど献血対象は『人間』と限定していたではないか。
  無理に血液を奪って死んでしまったらオルビアに殺される!」
>「血から人間の匂いにまじって魔の気配が窺がえるな…。
  お前、もしやハーフか?だとしたらなんとも言えぬな」
メラルはそれを聞いてから、ようやく口を開く。
「皆、血を渡す必要なんて無いわ。こんな法外な要求、呑めるわけも無い。」
メラルが吸血鬼を見据えて言い切った。その後で、一泊おいて続ける。
「…交渉をするのなら…相手に弱みを見せないことね。まず、その本だけど…
 どうせ無断で持ち出したんでしょう?だったら…私達は、ただあなたの恐れている
 オルビア先生を呼べばいい。そうすればその時点で問題は解決。先生だって
 リリアーナの現状を知れば、それ相応の対処をしてくれるはずよ。それが無理でも
 保健室に行くという手もある。だからリリアーナの現状はまず解決できるわ。
 それともうもう一つ。あなたにはその本を燃やすと言い出して、
 瀬戸際の駆け引きに出る手もあるけれど…それも無駄。なぜなら、もし燃やしたら…」
一拍おいて。周囲の空気が凍りつくような殺気を込めて。そして…
相手にプレッシャーをかけるために、実際に少し冷気を放ち、メラルの周囲を覆うように
微量の白い煙を出現させながら言った。
「あなたは死ぬ。今、ここで。だから…その駆け引きも使えない。万が一
 あなたが…食料を手に入れる方法はいくらでもあるのに、たかが一時の
 食料の為に、命を賭けるほど酔狂だというのならば話は別だけど。」



150 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/11/18(日) 16:36:52 0
そして、メラルが微量の煙も。殺気も抑えてから術の詠唱を始め…術を発動させた。
「契約の糸」
(悪いけど、もう一働きしてもらうわよ。エミュー。終わったら部屋で寝てて良いから。)
(…しゃーねーナ。…ったくヨ…。)
(…事情はこれからの会話から察して。それでわからなかったら聞いていいから、
図書館へ行って。ゆっくりと…ね。)
水晶球が、それを中心に周囲に氷の幼竜を作り出し、図書館の方に向けて飛び始めた。
メラルの言ったとおり、ゆっくりと。そして、メラルが言った。
「これは最後のチャンス。……もう少しマシな条件を考えないと…本当に先生を呼ぶわ。」
もちろん、これも駆け引きのうちである。実際、ヴァンエレンの要求は…
リリアーナやキキが対象にならないことも含めればかなり良心的な方である。
それをここまで言い切られたら、相手の考える良心的の基準を理解出来なくなるだろう。
そして、チャンスは一回と言い切った。つまり、狙いは萎縮させて、
極端に甘い条件を引き出させることである。

ここでもしメラルから条件を出していたならば交渉の余地がそこでまた生まれる。
それに、最低ラインを自分で引くことになってしまう。それに、無条件での引渡しを
求めて万が一本当に本を燃やされでもしたら、リリアーナの問題の解決には
どうしても時間がかかってしまう事になる。それだけは避けたかったのだ。

そして、メラルが今回ここまで容赦が無い駆け引きを仕掛けたのには、理由があった。
吸血鬼の真意がどうであれ、キキが恐らく抱えているであろう特殊な身の上について
…少なくともメラルからは余計に見える事を言ったからだ。'目の問題'を抱え込んでいる
メラルには、そういう言動はかなり腹立たしく映ったためだ。

151 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/18(日) 19:07:49 0
>148
リリアーナとアルナワーズの所持品とおぼしき小物を拾っていると、
> 「・・・にゃ?うみゃ――――!!うにゃ――――ん!!」
と言う情けない悲鳴が聞こえてきた。しかし、別にロックが
箱に閉じ込められそうになっているリリアーナを救出する必要はなかった。
「ん?なんだよ、リリアーナ。いつの間に動物の友達をつくったんだ?」


数分前、その動物は死んだようにピクリとも動かず、瓦礫の下に埋まっていた。
動物のお腹がゆっくりと膨らみ、そして萎んだ。息ができる…
しかし、その動物はまた動かなくなった。まぶたが重い…
>138
> 「リリアーナ!!」
そんなけたたましい叫び声が動物の聴覚を刺激し、夢からの覚醒を促した。
叫び声の主の息づかいと、放り投げられた瓦礫の音が断続的に響く。
> 「なんだ!?こいつは違うぞ!」
声の主はその場から去った。もう、寝ていられるような気分ではない。
動物はむくりと起き上がり、大きく体を伸ばした。長い時間寝ていたせいで、
体のあちこちがカチコチにこわばって、動かすと痛かった。
でも、きっとすぐに体がほぐれてくるだろう。そうしたら、また再開するんだ。
“狩り”はまだ始まったばかりなんだから…


そして、現在。ロックはリリアーナが入った箱に近づいた。
「へえ、ずいぶん綺麗な狐だな。」
リリアーナを助けたのは金色の狐だった。その長い鼻で、
リリアーナが箱の中に閉じ込められないよう、大きな蓋を支えている。
「気をつけろよ、リリアーナ。お前、たまに自分が猫になってる事を忘れてるんじゃないか?」
ロックはびしっとリリアーナを指差した。
「お前は必ず人間の姿に戻ってもらうぞ!絶対にだ!!」
ここでやめておけばいいのに、ロックはとんでもない事を言い出した。
「リリアーナ、お前が人間の姿にもどったら、俺と同じベッドで寝てくれないか?
もちろん、ぴったりと密着してな!お前がどんなテクニックを使うか、俺に見せてほしいんだ!」

152 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/18(日) 21:42:21 0
>141>142>146>147>148>149>150>151
>「求める血はロックを除くこの場にいる人間全員の血液400mL分だ。
 この量は非常にリーズナブル 良心的献血量でございます」
>「ニャ〜?」
「リリアーナさんのためなら・・・」
とフリージアは手刀を振り上げもう片方の腕の手首を切断しようと・・・・
「ってロックさん何をしてらっしゃるの!?」
そのロックはヴァンエレンをぎゅっと抱きしめている
>「は?」
>「くそっ!俺じゃ駄目だってのかよ!!」
>「あんたなにがしたかったんだよ…」
「本当ですわね・・・何がしたいのかしら」
ロックをジト目で見るフリージア
「気を取り直して・・・」
またもや手刀を振り上げるフリージア

>「血から人間の匂いにまじって魔の気配が窺がえるな…。
 お前、もしやハーフか?だとしたらなんとも言えぬな」
目の前では転校生の秘密が暴露されている
「ニンゲント マモノッテ コドモ ツクレルンダ・・・・・」
あっと驚くギズモちゃん
そんなこと言っている暇あったらフリージアを止めろ

>「皆、血を渡す必要なんて無いわ。こんな法外な要求、呑めるわけも無い。」
「え?どうしてですの?」
メラルの言葉に不思議そうな顔をするフリージア
まだ手刀は振り上げられたままだ
メラルの話を要約すると
吸血鬼の恐れているオリビア先生を呼べばOK
もし「獣化解除全書」を人質ならぬ物質にするというのならぶっ殺す
ということらしい
「いくらなんでも殺すのは・・・・あら?吸血鬼ってもとから死人でしたかしら?」
とりあえずフリージアは手首を切断するのを止めてそうメラルに言った
>「これは最後のチャンス。……もう少しマシな条件を考えないと…本当に先生を呼ぶわ。」
ボケるフリージアをガン無視してメラルは続けた

ちょっと目を離していた隙に箱に閉じ込めらそうになるリリアーナ
「え?ちょっと!レイド先生!!」
何をやっているのかとレイドを非難するフリージア
リリアーナは謎の狐に助けられたようだ
「あなたが何物かわからないけど・・・ありがとうね狐さん」
一応礼を言っておく・・・相手は動物だからわかるとは思っていないが

リリアーナに駆け寄るロック
そしてトンでもない事を言い出す
>「リリアーナ、お前が人間の姿にもどったら、俺と同じベッドで寝てくれないか?
もちろん、ぴったりと密着してな!お前がどんなテクニックを使うか、俺に見せてほしいんだ!」
「ロ、ロックさん・・・・不潔ですわ!!」
多分ロックのセリフは性的な意味では無いのだろう
だがフリージアにはそれが判らなかった

153 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/18(日) 22:23:54 0
もちろん甲羅に取り付けられた幻灯機は一部始終を見ていた!

154 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/19(月) 18:25:54 0
>151-152
背中にのしかかっていた重みがふっと消えた。
>「ん?なんだよ、リリアーナ。いつの間に動物の友達をつくったんだ?」 
「うにゃ?・・・にゃにゃっ?!」
突然現れた金色の狐が、今にも閉まりそうだった箱の蓋を支えてくれている。
その隙に、リリアーナは狭い隙間から、自分の体と巾着を引っ張り出した。
『ありがとう狐さん、ホント助かったわ〜!!』
蓋の重みで変な方向に折れた耳のまま、リリアーナは嬉しそうに礼を言った。
>「気をつけろよ、リリアーナ。お前、たまに自分が猫になってる事を忘れてるんじゃないか?」 
『ご、ごめん』
リリアーナの尻尾がしゅんと垂れた。

>「へえ、ずいぶん綺麗な狐だな。」 
うん、とリリアーナも頷いた。
『なんだかこの狐さんとは初めて会った気がしないわ。目の色が同じせいかしら?
 ・・・あら?狐さん、もしかしてどこか怪我してる?』
瓦礫の下に埋まっていたとは知らないリリアーナは、首を傾げた。
果たして猫語は狐に通じるのだろうか?
>「あなたが何物かわからないけど・・・ありがとうね狐さん」 
『あっ、フリージア!』
駆け寄ってきたフリージアの姿に、リリアーナは嬉しそうに目を輝かせた。

>ロックはびしっとリリアーナを指差した。 
「お前は必ず人間の姿に戻ってもらうぞ!絶対にだ!!」 
『ロック・・・・・・!』
リリアーナは声を詰まらせた。
だが。
>「リリアーナ、お前が人間の姿にもどったら、俺と同じベッドで寝てくれないか? 
>もちろん、ぴったりと密着してな!お前がどんなテクニックを使うか、俺に見せてほしいんだ!」

咥えていた巾着が、ぽろっと地面に落ちた。
>「ロ、ロックさん・・・・不潔ですわ!!」 
フリージアが珍しく素っ頓狂な声をあげた。
リリアーナは黙りこくったまま一言も口をきかなかった。
ただ物言いたげな表情で、じっとロックを凝視するだけだ。
フリージアならともかく、ロックに猫の表情など読めるはずも無いだろう。

だが、ようやく口を開いたリリアーナはすっかりいつも通りだった。
『・・・人間に戻った私と同じベッドで寝て、ぴったり密着する?別に構わないわよ〜』
リリアーナはロックの表情をたっぷり楽しんだ後、もったいぶって続けた。
『鼻血で失血死しない自信があるなら、ね』
幻灯機が回ってるとも知らず、リリアーナは軽い調子でまぜっかえした。
そしてさっきのロックを真似をして、びしっと彼を指差す。
『気をつけろよ、ロック。お前、たまにリリアーナが女の子だって事を忘れてるんじゃないか?』 
なーんてね、と、リリアーナは明るくウィンクした。

『ところで、テクニックって何の話?』

>149 >152
メラル、キキの両名はまだ吸血鬼と交渉中のようだ。
(なーんか・・・メラルさん怒ってない?)
献血を断わられたリリアーナの出る幕ではないのだが・・・交換条件の本は何の本なのだろう?
それに、自分たちが消えている間、ここで何が起こったのかも気になる。
『フリージア、何があったのか教えてくれない?』
言葉が通じないのは不便だ。
リリアーナはとりあえず、吸血鬼と、吸血鬼が持っている本を前足で指した。
次にギズモと氷柱、荒れた地面を前足で示し、にゃー?と可愛らしく小首を傾げてみせる。
――――もし通じなければ、ロックに通訳をお願いしてみよう。

155 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/19(月) 19:38:39 0
>152
> 「ロ、ロックさん・・・・不潔ですわ!!」
「不潔とは何だよ!不潔とは!
俺だって寝る前にはちゃんとお風呂に入るんだぞ!」
たぶん、フリージアのセリフはそういう意味では無いのだろう。
だが、ロックにはそれがわからなかった。

>154
それから長い長い沈黙が続いた。
「…やっぱり駄目か?」
リリアーナはようやく口を開いた。
> 『・・・人間に戻った私と同じベッドで寝て、ぴったり密着する?別に構わないわよ〜』
「おお!本当か!?」
> 『鼻血で失血死しない自信があるなら、ね』
「今までやったことのない事に挑戦するんだ…多少の危険は覚悟の上さ!」
ロックは元気よく応えた。今のロックのように猫の言葉がわかる人間でなくても、
彼の様子から、リリアーナがOKした事がわかっただろう。今この場にいる者ばかりでなく、
>153
後に、幻灯機にしっかりと映されたこの映像を見ることになる者達も…

> 『気をつけろよ、ロック。お前、たまにリリアーナが女の子だって事を忘れてるんじゃないか?』
「いや…そんな事は…ない。」
ロックはぎこちなく応えた。この場合ロックの反応は周囲からどのように映るのだろうか?
> 『ところで、テクニックって何の話?』
「コッポーだ!いや、カッポーだったかな?まあ、そこらへんは後で相談しようぜ。
何度も言っているが、お前を人間に戻さないと話にならないからな。」

> 『フリージア、何があったのか教えてくれない?』
「そうだ、俺も聞きたい。…ん?ああ、そうだ。
もしもリリアーナの猫語がわからないなら俺が通訳するぜ。
なにしろ、今の俺は“猫耳”ロックだからな!」

フリージアに限らず、その場にいる全員がロックを通訳として自由に使えるようになった。

156 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/11/20(火) 18:06:40 0
>149
要求に応じてフリージアは自分の手首に切り口を入れようとしていたが、これまで傍観していた

者が口を挟んだ。
>「皆、血を渡す必要なんて無いわ。こんな法外な要求、呑めるわけも無い。」
ロック組の中では比較的静かで、こういう騒がしいことにもあまり干渉しないような印象がある

メラルその人であった。
図書館の本を勝手に持ってきたことを見抜き、オルビア先生にちくってしまうぞと逆に脅してい

る。
そしてダメ押しとばかりに『本を燃やした場合』についてのIFの結果についても釘を刺されてし

まう。
プレッシャーをかけながら死の恐怖を植えつけると、相手はまるで魅入られたように条件に応じ

てしまう。
>「これは最後のチャンス。……もう少しマシな条件を考えないと…本当に先生を呼ぶわ。」
「わかった、わかったよ!こんなもの勝手に持って行け!」
緊張が切れてだらだらと流れはじめた汗をぬぐって、本をメラルめがけて投げ捨てる。
もともと図書館よりかっぱらってきただけの興味もない本だ。
別にただであげてしまったとしても、まったく問題はないのであるが…このとき吸血鬼は気づか

なかった。
殺気が和らいだこともあり、死の恐怖が去ったという安心感によって緩みきった警戒心はいま背

後にいる人物を察知できなかったのである。

>「ほう…勝手に図書館より貸し出し禁止の本を盗んでおいて、それをこんなもの呼ばわりとは

…少々お仕置きが必要ですか?
> ふっふっふっふ」
「ひ、ひぃっ」
地獄からの呼び声はすぐそこまで来ていたのだ。
元からなにを考えているかわからない、オルビアの胡散臭い笑みは一層邪悪さを増していた。
>「事が事ですから、その本は後で私に返してくれれば結構ですよ。
> では私は用事があるのでこれで……」
オルビアはこの世の終わりが如く顔を青くして固まってしまったヴァンの襟首を掴むと、引きず

りながら森を後にする。

『ぎ、ぎいぃぃぃぃぃやあああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!』
吸血鬼の悲鳴、学園に木霊す。

157 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/21(水) 09:08:26 0
>154>155
>「不潔とは何だよ!不潔とは!
>俺だって寝る前にはちゃんとお風呂に入るんだぞ!」
「いえそういう不潔ではなくて・・・・」
もしかして自分がなに言ってるのか判ってないのかしら?
とフリージアは疑問に思った

>「今までやったことのない事に挑戦するんだ…多少の危険は覚悟の上さ!」
危険?どういう意味かしら?もしかしたら私の勘違い?
フリージアは疑問に思った

>「いや…そんな事は…ない。」
・・・何がそんなことは無いのかしら?
フリージアは疑問に(ry

「コッポーだ!いや、カッポーだったかな?まあ、そこらへんは後で相談しようぜ。
何度も言っているが、お前を人間に戻さないと話にならないからな。」
コッポー?レオ先生に聞いたことがありますわ
確か東方の格闘術ですわよね。なぜにベットですの?あれに寝技なんかあったのかしら?
「ロック、コッポーに寝技なんてあったかしら?格闘術なんだから別に道場で良くなくて?」

吸血鬼と吸血鬼の持っている本を指差すリリアーナ(猫)
「ああ・・・そうでしたわね。猫ちゃんにはあの色は見えないんでしたわ
 あの本は獣化解除全書ですのよ」

>「そうだ、俺も聞きたい。…ん?ああ、そうだ。
>もしもリリアーナの猫語がわからないなら俺が通訳するぜ。
>なにしろ、今の俺は“猫耳”ロックだからな!」
「ではあの赫々云々ととお話させていただきますわ」
とりあえずフリージアは野人の襲撃から今まであったことを赫々云々と話した
>156
話している途中でメラルが本を受け取り
吸血鬼がオルビア先生に捕まって引きずられていったようだが・・・・ま、いっかv
「これでリリアーナさんも元通りですわね」


158 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/21(水) 16:13:48 0
>155
ロックは良くわからないことを口にした。コッポー?カッポー?まるでお椀の音みたいだ。
>「ロック、コッポーに寝技なんてあったかしら?格闘術なんだから別に道場で良くなくて?」
『え、何? 格闘術の話だったの?』
だったらフリージアに教えてもらえばいいのに、とリリアーナは思っていた。少なくとも彼女にはさっぱりだ。
(それにしても・・・まさか本気でベットに密着して寝るつもりじゃないでしょうね?)
ああいえばてっきりロックは断わると思っていたのに。ちょっと見通しが甘かったようだ。

>157
そんなことを悶々と考えていたせいで、
> あの本は獣化解除全書ですのよ」
リリアーナはフリージアの重大発言を危うく聞き逃すところだった。
『へージュウカカイジョゼンショなのー。ふーん。・・・・・・・・・・・・・・え?』
ワンテンポ置いて、リリアーナはは飛び上がった。
『うっそー!!あの小汚・・・ゲフンゲフン、古めかしい赤本が獣化解除全書ですって――――?!』

>156 >150
『吸血鬼――――!!その本私に頂戴!!』
リリアーナは弾丸よろしく吸血鬼に特攻しようとしたが、何者かに襟首を掴まれてしまった。
『やーん、手を離してよ〜!!』
襟首を捕まれた彼女はじたばたもがきながらも、あらん限りの大声でにゃーにゃー叫んでいる。
『吸血鬼さまヴァンエレンさま偉大なる夜の帝王さまー!
 その本ちょっとだけでいいから私に貸して!見せて!!読ませて――――!!
 足りない献血分は、私が元の姿に戻ってから必ず返すから!
 そうだ、分割払いでってのはどう?ちゃんと肩叩き券ならぬ献血回数券で先払いするからあぁぁあ!!』

だが彼女の熱弁は、結局吸血鬼に届く事はなかった。
使い魔の蝙蝠が通訳する前に、何の対価も求めずメラルに本を投げつけてきたからだ。
良く聞いていなかったのでどんなやり取りがあったのかはわからないが、メラルがうまく交渉(?)してくれたらしい。
ばんにゃーい!ばんにゃーい!と大喜びのリリアーナ。それと対照的に、どんよりしている魔物が約一名。
『ドーナツといい本といい、貴族様はホント気前がいいわね〜! メラルさんも上手く交渉してくれてありがとね。
 私じゃこんな風には行かなかったと思うわ。すっごく助かっちゃった!
 しっかり者のメラルさんは、きっとお買い物も上手なんでしょうね〜』
リリアーナは尊敬のまなざしでメラルを見上げていた。
(もっともメラルは、買い物で値切る必要など最初から無いのだが)

>「事が事ですから、その本は後で私に返してくれれば結構ですよ。 
> では私は用事があるのでこれで……」 
突然現れた図書館管理人オルビア・ターナーは、吸血鬼と二人仲良く連れ立って(※リリアーナビジョン)帰っていった。
『あのターナー先生が図書館から出てくるなんて、珍しいこともあるものね。
 ・・・あれ?そういえば、吸血鬼はこんな場所まで何しに来たのかしら?』
吸血鬼の身では、真昼間の外出はそれなりに大変だろうに。
(もしかして、わざわざここまで本を届けに来てくれたのかしら?)

この日からちょっとだけリリアーナの吸血鬼を見る目が変わった。
・・・・・・どうやらリリアーナは、思いっきり吸血鬼の思惑を読み違えたようだ。
>『ぎ、ぎいぃぃぃぃぃやあああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!』 
『それにしても、吸血鬼とターナー先生があんなになかよしだなんて知らなかったわ。
 あんなに大声あげてはしゃいじゃって』
リリアーナは何の疑いもなく、遠ざかっていく後姿に手を振った。
『吸血鬼、どうもありがとね〜!!』

>「これでリリアーナさんも元通りですわね」
『うん!じゃあ早速本を見てみましょう!!猫に変化した人間を元に戻す方法!!』
 リリアーナはメラルがページを開くのを、固唾を飲んで見守っていた。
だが。

『何で本文まで赤字で書いてあるのよ〜!!これじゃ読めないじゃないのよ〜!!』
うわああああああん!と泣きながら、ころころ地面を転がる子猫が約一匹。

159 名前:猫耳ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/21(水) 20:09:51 0
>157
「へえ、それは大変だったな。」
フリージアから野人の事を聞いたロックは感心したように言った。
「で、ギズモが持っている氷の塊がそれか。なるほど、見れば見るほど
確かに野人だな。おい、ちょっと待てギズモ!」
ロックはテクテクと保健室に行こうとしていたギズモを呼び止めた。
「フリージア、実は、さっき俺は保健室に運ばれたんだが、
 その時、理由はわからないけどレオ先生が居なかったんだ。
 だから、ギズモ一人だけじゃ心配だ。俺もギズモと一緒に保健室に行って来る。
 その獣化解除全書があればリリアーナは人間に戻るんだろ?
 後は任せたぜ。」
ロックはそう言ってギズモと保健室に向かった。
「あれ?なんだよ、俺はこんなに学園に近い所で道に迷ってたのか!」
少し歩くと、すぐに校舎が見えてきた。

>158
リリアーナが本の内容を読めずに泣きながら、ころころ地面を転がるのは、
ロック達がすでに保健室についた後だった。
「…やっぱり居ないのかな?」
ぱっと見た感じでは、やはりレオ先生の姿は見えなかった。
一体、あの人の身に何があったのだろうか?

「ギズモ、そいつをゆっくりとベッドの上に乗せてくれ。
 もちろん、仰向けにな。…とりあえず、死なないように
 応急処置だけでもしとかないとな。こいつが何者か吐かせるのはそれからだ。」
ロックは薬品棚にある薬を調べ始めた。
「えっと…解氷剤…解氷剤…これだ!ギズモ、そいつから離れろ。」
ロックは解氷剤と自ら言った小瓶を棚から出し、その中身をルーにまぶした。
すると、シューという激しい音がして、ルーの体が解凍された。
「うわぁ、これはひどい骨折だな。凍らせたのがフリージアなら、
 この骨折はメラルの仕業だな。…何かいい薬はないかな?」

ロックはまた、薬品棚を調べ始めた。
「…うん、これで治る…かな?」
ロックは自信がなさそうに、また薬品棚から小瓶を出した。
今度は飲み薬のようだ。
「さあ、しっかりしろ!これを飲め、回復薬だ!」
ロックはルーの頭を少し持ち上げ、その薬を飲ませた。
これですぐに元気が出るにちがいない。…たぶん

160 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/21(水) 21:46:05 0
>>159
回復薬ではなく下剤だった

161 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/22(木) 18:04:31 0
>158
メラルが開くその本を覗き込むフリージア
「文字が真っ赤ですわ・・・血文字かしら?」
そんなわけが無い
「どちらにせよ猫ちゃんにはこれは見えませんわね」
地面をごろごろと転がる猫リリアーナを見てフリージアはため息を吐いた
だが別に本人が読めなくても解除できないということは無いだろう
「とりあえずメラルさん。猫変身解除の項目をリリアーナさんに判るよう読んでみてくださりませんこと?」
そうフリージアはメラルにお願いした

>159
さてその頃のギズモとロックといえば・・・
>「あれ?なんだよ、俺はこんなに学園に近い所で道に迷ってたのか!」
意外に簡単に校舎に戻れて驚くロック
「クウカン ネジマガッテタンジャナイ?」
ギズモはさらりとトンでもない事を言う

そして一人と一匹は保健室に到着した
どうやらレオはいないようだ
>「ギズモ、そいつをゆっくりとベッドの上に乗せてくれ。
>もちろん、仰向けにな。…とりあえず、死なないように
>応急処置だけでもしとかないとな。こいつが何者か吐かせるのはそれからだ。」
「ウン ワカッタロックオニイチャン」
素直に言うことを聞くギズモ・・・そういえばギズモって人間に換算すると何歳ぐらいなんだろう?

>「えっと…解氷剤…解氷剤…これだ!ギズモ、そいつから離れろ。」
「アブナイノ?ワカッタ」
とりあえず言われたとおりに離れるギズモ
薬によってじゅわっと溶けていく氷
>「うわぁ、これはひどい骨折だな。凍らせたのがフリージアなら、
>この骨折はメラルの仕業だな。…何かいい薬はないかな?」
がさごそと薬品棚を探すロック
「…うん、これで治る…かな?」
何か薬を見つけたロックはそれを投与した
>160
「ア・・・・」
ギズモはそれが回復薬ではないと言いたかったが時はすでに遅かったようである
薬は口の中に消えていった

162 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/11/24(土) 01:51:49 0
>「わかった、わかったよ!こんなもの勝手に持って行け!」
(あの吸血鬼…本を持ち出した罪を被れ、とか、もう少し
面倒な駆け引きを仕掛けてくるかと思ったけど…よっぽど先生が怖いのね…。)
投げつけられた本を受け取り、視線を吸血鬼に向ける…と、今あまり
目をあわせたくない人物と目があってしまった。オルビア先生である。
>「ほう…勝手に図書館より貸し出し禁止の本を盗んでおいて、それをこんなもの呼ばわりとは

…少々お仕置きが必要ですか?
> ふっふっふっふ」
>「事が事ですから、その本は後で私に返してくれれば結構ですよ。
> では私は用事があるのでこれで……」
(…自業自得。盗み出した本を餌に血を得ようなんてするからよ。)
吸血鬼が悲鳴と共に引きずられていく。話を聞く限り…かなり怒っているようだ。
そして、自分達の状況をかなり把握しているという事は、途中から聞いていたのだろう。
気配を消して。静かに。魔力探知も軽々とかいくぐって。

ロックの不用意な発言に対して何かを言うつもりは無い。
下手に口を出しても気まずいだけである。白い目を向けはしたが…。
そして…交渉に影響がでる為、意図的に無視していたフリージアに対し、言った。
「本当に殺す気なんてないわ。…一番取られたくない手段を防ぐ為のハッタリよ。
 こういう強引な交渉はあまりしたくなかったけど…相手が相手だし…ね。
 …このまま放置だと、少しかわいそうだから…使い魔用の差し入れの
 一つや二つはあげてもいいと思うけど。血をあげるのは論外にしても。」
もちろん本心では無い。ただ、黒い一面を見せた後だけに、
その印象を和らげようとしているだけである。

因みに、途中でロックがギスモと去っていく時に、少し不安になったので
一応忠告はしておいた。まぁ、恐らくロックなら問題ない…だろう。
「ロック、その子、半端じゃなく強いから気をつけなさい。」

>「これでリリアーナさんも元通りですわね」
「特殊な魔導書じゃないと、一時的にしろ本を見ただけで
 すぐに術を使えるとは考えにくいから…恐らく、薬品の調合か触媒に
 頼ることになるわ。だから…材料次第よ。」
そう言い、リリアーナにも見えるようしゃがんでページを開く。
>「文字が真っ赤ですわ・・・血文字かしら?」
(悪趣味なのか、それとも…。)
「血でこれだけの厚さの本を書ききるのは、余程の理由が無い限りは無さそうだけれど…。」
>「どちらにせよ猫ちゃんにはこれは見えませんわね」
「そうね。…リリアーナの猫化は本能まで再現してたし…見えなさそうね。」
>「とりあえずメラルさん。猫変身解除の項目をリリアーナさんに判るよう読んでみてくださりませんこと?」
「ええ。でも…リリアーナを戻すにしても、このまま戻したらリリアーナが風邪を引くし…
 それ以前の問題も起きるわ。リリアーナの部屋で解除して、すぐに服を着れるようにしないと。
 …だから、リリアーナの部屋に向かいながら説明するわ。…猫変身、もしくは猫化の呪いの解除は…
 [―後略―] 」
 

 長々と、しかもそこそこの早口で読み始めるメラル。原文をそのまんま読んでいるため長い事この上ない。
 説明は…わざわざ歩きながらリリアーナの部屋に向かい、到着した頃ようやく終わったようだ。
「…要は…基礎の解呪薬の応用で、[―中略―]って事ね。少し待ってて、今作ってくるわ。」
言い残すと、メラルが本を持って部屋を出て行ってしまった。

 そして、また随分と時間が経った後にメラルがリリアーナの部屋に戻ってくる。
その手には…アルワナーズが作っていたのと全く同じ、毒々しい色をしたスープが。
もちろん、本も一緒に持ってきている。
「遅れてごめんなさい。多分、これで問題ないはずよ。」

163 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/25(日) 11:05:12 0
>161-162
泣きながら転がるリリアーナを、ひょいと抱き上げる背の高い影。 
>「何泣いてるんだよりリアーナ。ちゃんと『獣化解除全書』は手に入ったんだろ〜?」 
わしゃわしゃと頭を撫でるのは、ひたすら傍観者の立場をとりつづけたレイドだった。 
>「本が手に入って、あとほんの一息じゃないか。泣いてる場合じゃないだろ」 
リリアーナは目をまん丸に見開いていたが、再びうるっと目を潤ませた。 
『・・・・・・だって・・・私赤い色が・・・』 
>「お前が赤い字を読めなくても、お前の友達が読めるって。 
> 今日は俺の力を借りずに、ちゃんと解決するんだろ〜?なら最後までがんばらないと、な?」 
ほら、と、レイドが背後のメラル達を親指で差す。 
彼女たちはリリアーナの代わりに、『獣化解除全書』を読み解こうとしていた。 
『みんな・・・・・・』 
リリアーナは感激のあまり胸がいっぱいだった。 
だからレイドが 
「すまなかったな、リリアーナ」と言ったような気がしたけれど、もしかしたら空耳だったのかもしれない。 

「・・・・・・にゃ?」 
今何か仰いましたか?と言うように首を傾げたリリアーナに、レイドは苦笑して軽く首を横に振った。 
「つーか見守るだけってのも結構しんどいもんだな〜。お前ら危なっかしくてしょうがないし。 
 てなわけで、明日からはまたビシバシ鍛えてやるからそのつもりで」 
リリアーナはやっと気づいた。 
レイドの雰囲気がここ最近の物憂げなものではなく、以前のマイペースな先生に戻っていることに。 
『は・・・はいっ!』 

>「キキだったか?早速友達が出来てよかったな」 
レイドはリリアーナをキキに手渡すと、ひらひらと手を振りその場から立ち去ろうとした。 
だが数歩歩いたところで立ち止まり、ああ、言い忘れていたと振り返る。 
>「今回の猫化の件な、明後日までにレポートにまとめて提出するように。 
> それでお前ら全員、始業式すっぽかした件についてはチャラにしてやるから」 
リリアーナは真っ白になりながら金魚のように口をパクパクしている。 
>「じゃあ俺は二度寝して、残り少ない休暇でも満喫するかな〜。皆、また明日な〜」 
「うにゃ・・・!! フギャ――――――――!!」 
我に帰ったリリアーナの悲鳴が、森の中に響き渡った。

164 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/25(日) 11:07:42 0


キキの頭上で「レポート・・・」とどんよりしていたリリアーナだったが、 
メラルが元に戻るための説明を読んでくれると聞いた途端シャキっと立ち直った。現金なものである。 
だが原文をそのまま読んでくれたので、難解な上に長い事この上ない。 
いつの間にかリリアーナはキキの頭上で居眠りをしていた。 
だがパチン!と鼻ちょうちんが割れたため、リリアーナははっと目を覚ました。 
いつの間にか一同はリリアーナの部屋の前に到着していた。 
>「…要は…基礎の解呪薬の応用で、[―中略―]って事ね。少し待ってて、今作ってくるわ。」 
リリアーナは慌ててメラルの後を追おうとしたが、止める間もなく立ち去ってしまった。 
『・・・どうしよう?』 
リリアーナはとりあえず残りのメンバーを自室に通すことにした。 

通された部屋は、三等過程の生徒には珍しく相部屋だった。 
壁には一面びっしりと封印術式が彫り込まれており、そこら中に香炉や御札が張ってある。 
ベッドの上には、人の形に脱ぎ捨てられたまま放置されているパジャマ。 
そして女子寮だというのに、なぜかYES/NO枕が鎮座している。 
そう。この怪しさ万点の部屋が、リリアーナの自室だった。 
ちなみに御札や香炉の類は同居人の必需品であり、リリアーナのセンスとは無関係である。 

『アルは居ないみたいね。待って、今何かお茶でも・・・』 
リリアーナはお客様に紅茶を取り出そうとした。 
「にゃーん・・・・・」 
だが猫の手では上手くいくはずも無く、戸棚の取っ手に空しくぶら下るだけであった。 
『じゃ、じゃあお菓子でも・・・・・・・』
だが猫の手では(ry

そうこうしているうちに、薬は無事完成したようだ。 

戻ってきたメラルの手には、アルが作っていたのと全く同じ、毒々しい色のスープがあった。 
臭いといい色といい怪しさ万点である。
『そ・・・その怪しい液体は一体・・・』 
>「遅れてごめんなさい。多分、これで問題ないはずよ。」 
ということは、これが解毒剤らしい。 
言い換えると、アルはリリアーナが猫に変身した理由も、元に戻る方法も知っていたというわけだ。 
『アルゥゥゥゥウ!!お、覚えてなさいよ――――っ!』 
天敵に等しいいじめっ子の同居人に毒づきつつ、リリアーナは解毒剤をがぶ飲みした。 

皿の底が見えてきたあたりで、ぴたっ、とリリアーナの動きが止まった。 
(熱い!苦しい!体が・・・バラバラになりそう!) 
リリアーナはもがき苦しみながら床の上でのた打ち回った。 
果たして彼女は無事、元の姿に戻れるのだろうか? 

165 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/11/25(日) 17:55:35 O
キキは不機嫌そうな表情をしながらメラルが部屋に来るのを待っていた。
猫リリアーナをレイドから渡されたので早速自室に戻り新巻鮭を馳走するつもりが、いつの間にか頭にリリアーナを乗せた状態でこの部屋に連れてこられた。
この待ち時間なら自室に戻ることは可能だが、「何かしらの影響がある可能性がある」と止められた。
猫リリアーナとの約束は猫の状態で馳走しなければ如月家的に意味が無いのだ。
この程度なら極刑は無いだろうが、父上の1/1000拳骨は逃れられまい。
「言っておくが、麿はレポートなど書かぬぞ」
「何故、無関係な麿がそんな物を書かなくてはならない?教師らにも挨拶できなかったのも、約束が守れなかったのもお主らが巻き込んだからでおじゃる。」
そう言ってジト目でロックとフリージアを見る。
「何とでも言え、とにかく麿に非はないでおじゃるから麿は書かぬ!」

そうこうしているうちにメラルが薬を作って来た。
「ホレ、この部屋は女人限定でおじゃるホレホレ」
キキはロックを手で追い払う。
変身解除時に起こる弊害を解決するために本人の部屋に来ていると言うのに、一番見せたくない相手が目の前にいちゃ意味が無い。

166 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/25(日) 18:21:40 O
ロックは保健室だろ
レス読んでるか?

167 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/25(日) 21:34:38 P
>162>163>164>165
>「今回の猫化の件な、明後日までにレポートにまとめて提出するように。
> それでお前ら全員、始業式すっぽかした件についてはチャラにしてやるから」
「猫ちゃんについてのレポートですわね」
フリージアは何かを勘違いしたようだ

メラルの朗読は長かった・・・・・
「な・・・・長いですわ」

どんどん近づいてくるリリアーナの部屋
>「…要は…基礎の解呪薬の応用で、[―中略―]って事ね。少し待ってて、今作ってくるわ。」
どうやら自分の部屋で薬を調合するようだ

そしていくらか時間が経った
「あらギズモちゃんお帰りなさい」
どうやらギズモは使い魔の帰巣本能でフリージアの元に返ってきたようだ
どうやらロックもギズモについて来たようである
「あらロックも」

じたばたと何かをしようとしているリリアーナ
「何してるのかしらリリアーナさん?」
きょとんと首をかしげるフリージア

そしてさらに時間が経った
>「遅れてごめんなさい。多分、これで問題ないはずよ。」
そして戻ってきたメラルは何か毒々しいスープを持っていた

>「ホレ、この部屋は女人限定でおじゃるホレホレ」
ロックを追い出すキキ
「ギズモちゃんもですわよ」
フリージアはギズモを追い出した
一応雄だからである
そういえばあの野人はどうしたのだろうか?

そしてリリアーナは薬を飲んだ
苦しそうにのた打ち回るリリアーナ
「メ、メラルさん本当に大丈夫ですの?」

168 名前:猫耳ロックと愉快な仲間達 ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/25(日) 22:55:25 0
>159-161 >167
時間は、ほんの少し遡る。

「あぁあ!駄目だなこれは。」
ロックはルーに回復薬(実は下剤!)を飲ませようとしたが、
ルーは激しく咳き込んで薬を全部吐き出してしまった。

ちょうどそこに、見慣れない白衣の女が入ってきた。
「ん?あんた誰だ?」
聞けば彼女は新しい非常勤校医だという。
>「ところでその野生児はどうしたの?随分とひどい怪我をしているようだけど」
ロックはフリージアから聞いたとおりの説明をした。
女医は鷹揚に頷いた後、ふーん、と考え込んでしまった。
>「まずはこの子の素性ね。一体どこから入り込んだのかしら。
> まあいいわ。詳しい事情を聞いた後、学園長に相談して処遇を決めましょう。
> ・・・・・・・だけど困ったわ。私、女子寮に急ぎの用事があったのよねぇ。
> 今はこの子を治療しないといけないし、何より女の子をぼろ布一枚で過ごさせるわけにもいかないしねぇ」
「女!?こんな汚い格好をした女の子がどこにいるって言うんですか!?」
ロックは眼下の野人が女の子であるとはとうてい信じられなかった。
これなら、キサラ(男子生徒の一人、小柄な美少年)が本当は女の子でした!!
と言われた方がまだ頷けるというものだ。ロックはそう思った。

女医は何事か思いついたのか、胸ポケットから自動書記ペンを取り出した。
瞬く間に出来上がった書類を封筒に仕舞うと、封印をする。
>「悪いけど君、私の代わりに女子寮までお使いに行ってちょうだい。
> 寮母さんに手紙を渡してくれればいいわ。必要なものを書いてあるから、見せれば多分わかるでしょ。
> こっちの通行証があれば、女子寮に居ても殺されることは無いでしょ。 じゃあ健闘を祈るわ」
ロックは怪訝そうに眉をひそめた。ロックは何か言いたそうだったが、
女医はギズモに封筒を持たせると、有無を言わさずグレムリンごとロックの胸に押し付けた。

そしてルーの治療を始めるべく、さっさとベッドのカーテンを引こうとした。
>「あら、まだ何か用?」
女医は不思議そうに小首を傾げた後、悪戯を思いついた子供のようにくすりと微笑んだ。
その笑顔は悪巧みを思いついたアルナワーズと同じ類のものだった。
>「・・・・・・もしかして君、この子の裸に興味あるとか?」
ロックはかっと赤くなった。
「女子寮に行って来ます!ええ、すぐに行きますとも!
 俺は別にそいつの裸なんて全然興味が 無い です から ね!」
ロックは少々むきになって答え、保健室から出た。

「…じゃあ行くか、女子寮に。」
ロックはギズモと共に歩き出した。が、何かを思い出し、
すぐに持っていたギズモを地面に降ろした。
「悪いな、ギズモ。ちょっと急用を思い出したんだ。
 だから、ここでちょっと待っててくれ!すぐに戻るから!」
ロックはそういってどこかへ走り去ってしまった。

ロックが走り去って数秒後。
「待たせたな、ギズモ!」
そう言われたギズモはびっくりした。ロックが本当にすぐに戻ってきて、
いつの間にか自分の背後に立っていたからだ。
それこそ、まるでテレポートで現れたようにだ。
「おいおい、どうしたギズモ?俺の顔に何かついてるのか?
 さあ、早く女子寮の寮母さんに手紙を届けに行こうぜ。」

169 名前:ロック? ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/25(日) 23:17:57 0
そして、現在。リリアーナの部屋の前にて。

茶髪の青年とギズモは手紙を届け終わった後にフリージア達と合流し、
そして、部屋から追い出されていた。TPOに準じた、ごくごく当然の扱いだ。
「なんだよ、俺達だってリリアーナが心配なのに…なあ?」
茶髪の青年はギズモに同意を求めた。
「まったく、男ってのは損な役回りが多いもんだ。」


同時刻、保健室の前にて。

「あぁあぁあ!まったく、どこに行ったんだ!ギズモの奴!!」
そこでも、やはり茶髪の青年が悪態をついていた。ロックである。
「通行証はギズモが持っているのに!俺一人でのこのこ女子寮に入ったら、
 白百合騎士団に殺されるじゃないか!!」
>「ちょっと、静かにしてよ。治療に集中できないじゃない。」
さっきの女医さんが出てきて、ロックに注意した。
「ギズモの奴、俺を置いて一人で女子寮に行ってしまったんだ!」
ロックは女医にそう説明した。しかし、女医は首を傾げた。
>「何言ってるのよ、あなたさっきのグレムリンと一緒に女子寮に入っていったじゃない?
> 私、そこの窓から見てたのよ。」
「…はあ!?」


再び、リリアーナの部屋の前にて。

ギズモも心配そうに結果を待っていた。
「大丈夫だよ、ギズモ。きっと、すぐに人間に戻れるさ。」
茶髪の青年はギズモにそう呼びかけた。
「リリアーナが…元に戻ったら…また楽しく遊べるさ…ふふっ。」
茶髪の青年は甘い笑みを顔に浮かべた。

170 名前:リリアーナ@出先 投稿日:2007/11/26(月) 14:36:24 0
>165 >167 >169
血が沸騰するような熱さと、全身が作り変えられるような痛み。
それは始まったときと同じく、唐突に終った。

―――― 目を開けて最初に視界に入ったのは、長い金髪だった。
そして、心配そうに自分を覗き込む友達の顔。
リリアーナは乱れた前髪を気だるそうに撫で付けると、ゆっくりと身を起こした。
「・・・・・・あれ?・・・私?」
自分の言葉がにゃあ、という猫の鳴き声ではなく、人間の言葉として聞こえてくる。
「私の言葉、聞こえてる?」
こんな当たり前のことが、こんなに嬉しいなんて。
リリアーナは自分の両手と、メラル、フリージア、キキの姿を交互に眺めている。
「私、変じゃない?ちゃんと元に戻れてる?」
リリアーナ何度も自分の耳や頬に触ったあと、ようやく無事人間の姿に戻れた実感が湧いてきたようだ。

「メラルさん!」
リリアーナはぱっと顔を輝かせると、おもむろにメラルに飛びついた。
「薬を作ってくれてありがとう、本当にありがとう!!おかげで人間に戻れたわ!
 ああ、言葉が喋れるってなんて素敵なのかしら!」
リリアーナは目に涙を一杯貯めたまま、フリージアにも抱きついた。
「フリージア、貴方の助けがなかったら、私はこんなに早く皆の協力を得られなかったわ。
 本当に・・・なんてお礼を言ったらいいのか!大好きよ、フリージア」

「キキさん!」
リリアーナはちょっと照れくさそうに、キキの手をとりぎゅっと握手をした。
「今日初めて会ったばかりなのに、二度も助けてもらったわね。ありがとう。
 あの不思議な世界からロックと二人戻ってこれたのはキキさんのおかげよ。貴方は命の恩人だわ」
よろしくね、とリリアーナは手を繋いだまま、ぶんぶんと手を上下に揺さぶった。

「そうだ!ロックにギズモは?二人にも元に戻れたお礼を言わないと!」
二人が廊下で待っていると聞いたリリアーナは、止める間もなくドアノブに手を掛けた。
人間に戻れたのがよっぽど嬉しかったのか、自分が服を着ていない事まで頭が回っていないようだ。

「ロックにギズモ!見て!私、無事に元の姿に戻れた・・・・・わ・・・・・・?!!」

171 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/26(月) 19:05:38 0
>170
> 「ロックにギズモ!見て!私、無事に元の姿に戻れた・・・・・わ・・・・・・?!!」
その時、世界の時間が止まった。
「………。」
>「………。」
気まずい沈黙がその場に流れる。

最初びっくりした顔をしていた偽ロックは、次に口元が引きつり、
最後は怒った顔をして、くるりとリリアーナに背を向けた。
ギズモの頭をむんずと掴み、自分と同じ方向に顔を向かせることも、
もちろん忘れたりはしない。
「リリアーナ!元の姿に戻って嬉しいのはよくわかったから、
 早く服を着てしまうんだ!目のやり場に困るだろ!」
偽ロックはそう言って怒った。

「とにかく、良かったなリリアーナ。無事に元の姿に戻れたんだ、
 これでまた普通に生活ができるじゃないか。もっとも…」
偽ロックはリリアーナに対して後ろ向きのまま話を続けた。
「自分の好きな時に、好きなように変身できるのも楽しいかもしれないけどな。
 フリージア、お前もそう思わないか?自由に猫に変身できる魔法があるとしたら、

 試してみたくないか?」

ロックは意味ありげにフリージアにそう尋ねた。


そのころ、本物のロックはと言えば、保健室の前でへたり込んでいた。
「だめだ…俺にはできない。一人で女子寮に踏み込むなんて…
 あぁあ、白百合騎士団に殺される…」
ちなみに、ロックがたびたび口にしている白百合騎士団とは、
その名の通り、女子だけで結成された騎士団である。
団員達は非常に強力な結束力を…あえてもう一度言おう、

 非 常 に 強 力 な 結 束 力 を持っている!!

以前女子寮に入り込んだ不審人物をスマキにして殺しかけたのも彼女達だ。

「女医さん!もう一度通行証を書いてくれよ!」
>「だから、さっきから何度も言ってるけど、あなたさっき女子寮に入るのに使ったでしょ?
> 男子生徒一人にそう何度も通行証出すわけにはいかないのよ。」
「だから、それは俺じゃないって。」
>「もう、ちょっと静かにして!治療に集中できないじゃない。」
こんなやり取りも、もう3回目である。



172 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/27(火) 10:14:57 O


173 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/11/27(火) 11:00:13 O
意味ありげに語っていた偽ロックは気付かなかった
振り向いた正面に白百合騎士団寮内パトロールがいたことに
騎士団からすると裸のリリアーナを部屋から引きづりだしたところで、自分達に気付いて振り返ったようにみえた
これは許可証があるないなど問題にならない
騎士団の一人だ先制の魔法の矢を放ち、続いて二人が合体呪文の強力な魔法を放つ
そして最後の一人が連絡協力要請
寮は強力なケッカイに覆われすぐに騎士団本隊が駆け付けるだろう
問答無用にして隙なく容赦のない連携
これが白百合騎士団なのだ!

174 名前:リリアーナ@ネカフェ 投稿日:2007/11/27(火) 17:52:40 0
>171-173
>「………。」 
>「………。」 
「――――!! きゃああぁぁぁぁぁぁあああ っ!」
気まずい沈黙をぶち破ったのは、リリアーナの甲高い悲鳴だった。

驚きから立ち直ったロックは、怒ったような顔でギズモ共々回れ右をした。
>「リリアーナ!元の姿に戻って嬉しいのはよくわかったから、 
> 早く服を着てしまうんだ!目のやり場に困るだろ!」 
「ご、ご、ご、ごめんなさい!」
ドアの影に飛び込んだリリアーナは、ひとり赤くなったり蒼くなったりしながらも小さな声で続ける。
「と、とりあえず二人とも中に入って。
 あ、あのね、今の悲鳴で白百合騎士団が駆けつけるかもしれないの。
 この時間巡回してる第二小隊は、騎士団の中でも一番男嫌いで、一番過激なの。
 見つかったら問答無用でボコボコにされちゃうかもしれないわ!」
ギズモが通行証を持っていると知らないリリアーナは、ドアの影に身を隠したままドアを大きく開いた。
ロックとギズモは顔を見合わせた後、しぶしぶリリアーナの部屋に入った。
>「とにかく、良かったなリリアーナ。無事に元の姿に戻れたんだ、 
「う、うん。ありがと」
気を利かせて明後日の方向を向いたままのロックの背に、蚊の鳴くような声で何とか返事をする。
穴があったら入りたいとはまさにこのことだ。

リリアーナはぎくしゃくとドアを閉めようとして、そのまま固まってしまった。
時既に遅し。
悲鳴を聞きつけてこの場に終結した白百合騎士団寮内パトロールの面々は、
鬼神のような形相でロックの背中を睨みつけていた。
「しょ、小隊長?! 待って下さい、これには訳が・・・」
だが誰もリリアーナの言葉に耳を貸そうとはしなかった。
にゅっと伸びてきた手に手首を掴まれ、リリアーナはそのまま廊下へと引きずり出された。
白百合騎士団の小隊長と呼ばれた人物は、そっと人差し指でリリアーナの唇を押さえる。
「かわいそうなリリアーナ、さぞかし怖い思いをしたのでしょう?皆まで言わなくても分かってるわ、
 大丈夫。あなたのお姉様たちが駆けつけたからには、もう何にも心配いらないからね」
「ち、違・・・」
上着を肩に掛けられたリリアーナはそのまま抱擁され、目を白黒させている。
「リリアーナとアルナワーズ、白百合騎士団公認カップルの仲を裂こうとするなんて!」
「メラルにフリージア、転入生まで?! まさかあなた達、ここにずっと監禁されていたの?」
「許せないわ、下郎!恥を知りなさい!!」
他の隊員達が口々に叫びながら、室内に向かって攻撃を開始した。

「お願い、止めてください! ロック逃げて――――!!」
リリアーナは悲鳴まじりに叫んだ。
アルナワーズの憑き物の関係で、リリアーナの部屋はそれ自体が強力な結界になっている。
魔法攻撃はほぼ無効化されるだろうが、隊員達は応援まで要請している。

果たしてロックは、このピンチを五体満足で切り抜けられるのだろうか?

175 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/27(火) 19:51:33 0
>173>174
>「ジャジャ、奴は私の合体魔法で仕留めるわ!
> 準備が終わるまで奴を足止めして!」
小隊長のピッコロは団員の一人にそう指示した。
>「了解!」
ジャジャと呼ばれた団員はすかさず弓を構えた。
その弦を引き絞ると光の矢が召喚される。
>「人の恋路を邪魔する奴は!」

ジャジャは弦を離した。光の矢が勢いよく放たれたが、
偽ロックには到達しなかった。その矢が、
部屋の中に入ったとたん、溶けて消えてしまったからだ。
>「な!?」
>>「やっかいね、あの部屋はアルナワーズによって、
>> 非常に強力な結界が張られているのよ。」
そう冷静に解説したのはもう一人の団員ポロリだ。
>>「もしもし、本部、応答願います。男子生徒による女子生徒への暴行未遂事件が発生しました。
>> 場所は二階、リリアーナとアルナワーズの部屋です、どうぞ。」
>「なんとかして、奴を部屋から引きずり出さないとね。」

ジャジャはどうやって部屋からロックを引きずり出そうかと一生懸命考えた。
それこそ、頭から煙が出るほど考えた。が、数秒後にはそれが無駄な労力だったとわかった。
ロックが自分から、のこのこと部屋から出てきたからだ。
ロックは、別に攻撃が当たったわけでもないのに、なんだかとても顔色が悪そうだ。

(この部屋…なんだか居心地が悪い。変身が解けてしまいそうだ…)
それが、偽ロックの本音だった。女の子の部屋だから、という意味ではなく、
アルナワーズが部屋に置いている何かが彼にそう思わせているのだ。

>「オッケー、みんな!前を空けて!」
前にいたジャジャは、さっとピッコロの後ろへ退いた。
そうしないと、これから放たれる強力な合体魔法に巻き込まれるからだ。
ピッコロは両掌を重ね、自身の額の前に構えた。偽ロックからは、
その掌が自分に向けられている事がよくわかる。
ピッコロは両掌に魔力を込めた。

>「マ・センコー!!」
ピッコロは、ばっと両掌を前に突き出した。そこから、
熱と光と圧力が一体となり、偽ロック目がけて一直線に襲い掛かかる。
偽ロックはと言えば、その攻撃を避けるでもなく、また、魔法を使うでもなく、
ただ、じっとピッコロを見ていた。このままでは合体魔法が直撃してしまう。

176 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/11/27(火) 21:25:13 0
リリアーナが白百合騎士団に保護(?)され、ロックに攻撃をし始めたとき、部屋の隅に陣取っている姿見に異変が起こる。
その鏡面がグニャリと歪み、紫の光を放ちはじめたのだ。
「ほれ、部屋までのゲートじゃ。」
「ごめんなさいねぇ〜。この埋め合わせはするわぁん。」
「いいからさっさと行かんかい!お前さん、自分が生徒だってことを忘れるんじゃないよ!
それから・・・騒がしいわい!!!」
「もちろんよぉん。」
ゲートの向こう側からやり取りの声が聞こえる。
片方はしわがれた老婆の声でまるで追い出しているかのような口調だ。
しかし、それに対する声はあくまでのんびりとしていたものである。
最後の老婆の声はゲート越しだというのにその気合だけでピッコロのマ・センコーをかき消してしまった。
伊達に学園長の相談役をやっているわけではないのだ。

のんびりした声の主は部屋にいる誰もが知っていた。
そしてその通りの人物がゲートから現れたのだった。
両手に割れた甲羅を抱えたアルナワーズ・アル・アジフ。
この部屋の主であり、学園きってののトラブルメーカーと名を馳せた女だ。

「あら、メラルにフリージア、それに・・・キキ、ね。あっちにはロックとリリアーナじゃない。
解除薬を見た途端逃げ出したから心配していたのよぉ〜(棒」
いつも通りにこやかな笑みを湛えたままさらっとのたまうアルナワーズ。
話によると早朝魔法実験に失敗し、その影響でリリアーナが猫になってしまった。
失敗の影響で強力な変身薬となり、長時間そのままでいると精神までも猫になってしまうという強力さなのだ。
慌てて解除薬を作り飲ませようとしたが、リリアーナは聞く耳を持たずに逃げ出した、というのだ。

シヴァの声にあっけにとられる部屋の外と一同の反応をよそに、マイペースで話を変えてしまう。
「それより聞いてぇ。卒業制作マジックアイテムの試作品を作ったのよねぇ。
ちょっと特殊な金庫なの。
最近物語を書くのが趣味で、そのノートを入れておいたのだけどぉ、破られちゃったみたい。
ノートとか色々なくなっちゃうし。
結構自信作だったのになあ・・・。」
アルナワーズの説明によると、隠密移動型防犯金庫は来る卒業制作マジックアイテムの試作品だったのだ。
森の中に放せば一匹の亀として動き回り、金庫と見なされなくなる。
幻武甲という幻覚物質を操って身を守ったり獲物を捕食するモンスターの剥製。
忘却の鏡と追憶の鏡を合わせ鏡とした特殊幻惑装置。
それらを組み合わせた防犯装置は基本的には力づくで壊す事はできないのだ。
正確に言えば、対象者を甲羅内の亜空間に閉じ込めてしまう。
そうして幻術により搦めとり、壊そうという気をなくさせてしまう防御機構を持っている。

「森に放すところをピクシーに見られたけど、ピクシーにこれが壊せるとも思えないしい。
何か誤作動起こしたのかしら?
それでブラックボックスの幻灯機を解析してしてたのだけどぉ、シヴァさんに追い出されちゃった。」
おもむろに甲羅の内側についていた黒い小さな小箱に手をやると、幻灯機が作動して映像が映し出される。
そこにはキキが魔法装置を解析し、幻術破りを行うところが映っている。
「それにしてもあれを破るなんて貴女やるわよねえ。
私と似たような匂いがするし、仲良くなれそうだわぁ〜。よろしくね。」
学園中に張り巡らされたアルナワーズの噂ネットワークの広さを推して知るべし!
既にキキが学園に転入してくるという噂はキャッチし、その服装や身振りから察していたのだ。
金庫を壊されたというのに怒ることなく、むしろ感心したような口ぶりだ。

にっこりとキキの手を握り挨拶をすると、ここにいたり、ようやく廊下の惨状に目を向けた。
「はぁい、リリィ。相変わらず退屈しない子ねえ。
大方の状況は察するけど、丸く治めてみましょうか?それなりの犠牲と対価はもらうけど。」
ここを力づくで乗り切ったとしても、ロックの顔はしっかり見られているのだ。
男子寮に引き渡し要請など、雪達磨式に事が大きくなるのは目に見えている。
そんなことも全て見越した上で、のんびりとリリアーナに声をかけるのだ。
きっとファウスト博士に取引を持ちかけたメフィストフェレスもこんな表情を浮かべていただろう。
選択肢のない選択を迫る、悪魔の微笑だった。

177 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/28(水) 10:58:55 P
>168
ロックが走り去って数秒後
「待たせたな、ギズモ!」
さっき行ったばかりだというのにもう帰ってきたロック
「ハヤ!?」
あっと驚くギズモちゃん
なんてこった瞬間移動でも使ったのか?
>169
そして時は経ちリリアーナの部屋の前
「まったく、男ってのは損な役回りが多いもんだ。」
「ソウダネ」
ギズモはうんうんとうなずいた

「マダカナァ・・」
呟くギズモ
「大丈夫だよ、ギズモ。きっと、すぐに人間に戻れるさ。」
そう呼びかけるロック
「マダカナァ・・・」
再び呟くギズモ
「リリアーナが…元に戻ったら…また楽しく遊べるさ…ふふっ。」
その笑顔を見てギズモはこの人こんな顔も出来るんだとちょっと意外に思った



>170
フリージアに抱きつくリリアーナ
「よかったですわリリアーナさんv」
フリージアはとてもうれしそうな顔をしている
>「フリージア、貴方の助けがなかったら、私はこんなに早く皆の協力を得られなかったわ。
 本当に・・・なんてお礼を言ったらいいのか!大好きよ、フリージア」
「お友達として当たり前のことをしたまでですわ。お〜ほっほっほ」
そして他の人にも礼を言い廊下に飛び出していくリリアーナ
「ちょ、ちょっとリリアーナさん服!!・・・って遅かったですわ」

>「ロックにギズモ!見て!私、無事に元の姿に戻れた・・・・・わ・・・・・・?!!」

「・・・・・・ハダカンボ」
ギズモはそう呟くと後ろを向いた

>「リリアーナ!元の姿に戻って嬉しいのはよくわかったから、
  早く服を着てしまうんだ!目のやり場に困るだろ!」
あわてて後ろを向くロック
>「とにかく、良かったなリリアーナ。無事に元の姿に戻れたんだ、
 これでまた普通に生活ができるじゃないか。もっとも…」
>「自分の好きな時に、好きなように変身できるのも楽しいかもしれないけどな。
  フリージア、お前もそう思わないか?自由に猫に変身できる魔法があるとしたら、試してみたくないか?」
「そうですわね・・・まあ人間に戻った時、服が現われればのお話しですけど。お〜ほっほっほっほ」
猫から人間に戻った時、裸のままだったら困ると思ったフリージアは普通にそう答えた

178 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/11/28(水) 11:03:51 P

>173>174
>「――――!! きゃああぁぁぁぁぁぁあああ っ!」
と叫ぶリリアーナ
どうやらこの声が白百合騎士団に聞かれてしまったようだ
ぞくぞくと集まってくる団員
>「メラルにフリージア、転入生まで?! まさかあなた達、ここにずっと監禁されていたの?」
>「フリージアお姉さま!!」
「私にはそっちのけはありませんことよ!!」
どさくさにまぎれて変なのが混じってるようだ

>175
そして放たれる合体魔法
ロック最大のピンチである
「もしかしたら・・・マリアベルよりも恐ろしいかもしれませんわ」
あまりの白百合騎士団の勢いにフリージアはそう呟いた
そして心のそこから入らなくてよかったと思ったのだった

「騒がしいわい!!!」
だがその魔法は老婆の声によってかき消された
「この声はシヴァさん・・・・」
キーンと耳鳴りのするフリージアが辛うじて言えたのはこれだけだった

そしてマジックゲートから現われるアルナワーズ

どうやら”やはり”この事件はアルナワーズの仕業だったらしい
猫になったのもアルナワーズの仕業で
慌てて解除薬を作り飲ませようとしたが、リリアーナは聞く耳を持たずに逃げ出したらしい
「普通あんな毒々しいものを何の説明もなしで飲まされそうになったら逃げますわよ」
あの亀さんもアルナワーズが作ったものらしい
「・・・・はた迷惑ですわね・・・・あら?じゃああの狐さんは?」
フリージアはふと疑問に思った



179 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/28(水) 21:02:33 0
>175-178
ピッコロの熱い抱擁からやっと解放されたリリアーナは、へなへなとその場に座り込んだ。
心配してくれるのは嬉しいが、息がかかるくらい顔を寄せて話すのはやめて欲しい。
いろんな意味で心臓に悪すぎる。

騎士団員のジャジャが放った光の矢は、リリアーナ達の部屋の結界に阻まれてロックに届く前に消滅した。
あの部屋に居る限り、攻撃魔法がロックを害することは無いだろう。
(物理攻撃なら、ロックの硬化魔法で対応できるわよね?)
その間に白百合騎士団に訳を話して・・・そう考えを巡らせていた矢先のことだった。
何を思ったのか、ロックは部屋から出てきてしまった。
「馬鹿っ!出てこないで!」 
―――― そして、そんな無防備な敵を見逃すほど、騎士団の面々は甘くなかったのである。
攻撃範囲にいたジャジャがさっと身をかわした。
無防備なロックに向かって、ピッコロの合体魔法が今にも放たれようとしていた。
ロックの強化魔法【ハードニング】は、魔法攻撃には効果がない。
まともに食らってはただではすまないだろう。

「何ぼさっとしてるのよ、ロックの馬鹿ぁ!!」
>「マ・センコー!!」
リリアーナは転がるように立ち上がると、ロックと魔法との間に割って入ろうとした。
「来たれ、カドゥ・・・・・」
振り向きざま、リリアーナが自分の杖を召喚しようとしたまさにその時!

>「・・・騒がしいわい!!!」 

肉薄していた合体魔法が跡形も無くかき消されてしまった。
『シバの声が魔法をかき消した』と頭で理解できるまで、しばしの時間が必要だった。
「え?・・・・・・何?今の声、シバさん?」
キーンと耳鳴りがするリリアーナは、両手で耳を押さえながらきょろきょろした。
白百合騎士団のメンバーも大声をまともにくらったせいで、今は戦意喪失しているようだ。

室内に突如出現した(ように見えた)生徒の姿に気づいた途端、リリアーナはビクッと肩を振るわせた。
「アル?一体どこから沸いたのっ?!」
>「あら、メラルにフリージア、それに・・・キキ、ね。あっちにはロックとリリアーナじゃない。 
>解除薬を見た途端逃げ出したから心配していたのよぉ〜(棒」 
「・・・・・・ア、アルの嘘つきぃ」
どうせ、面白いからほうっておこうとか思っていたに違いないのだ。

180 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/28(水) 21:04:17 0
アルの話はこうだ。
>話によると早朝魔法実験に失敗し、その影響でリリアーナが猫になってしまった。 
>失敗の影響で強力な変身薬となり、長時間そのままでいると精神までも猫になってしまうという強力さなのだ。 
>慌てて解除薬を作り飲ませようとしたが、リリアーナは聞く耳を持たずに逃げ出した、というのだ。
「それって私のせいなわけっ?!っていうかなんでそんな危険な変身薬私に使うのよ!!
 まさかと思うけどそれって飲み薬?飲み薬なのっ?!だったらどうやって飲ませたのよ――― っ!!」
>「それより聞いてぇ。卒業制作マジックアイテムの試作品を作ったのよねぇ。 
「アルーっ!!ちゃんと人の話を真面目に聞きなさいよ〜!!」
相変わらずのマイペースさに、リリアーナがキーッ!!と腹を立てている。

>「普通あんな毒々しいものを何の説明もなしで飲まされそうになったら逃げますわよ」 
「フリージア〜!
 でしょでしょ?フリージアもそう思うわよねっ?!」
やっぱり持つべきものは、美人で心優しい友達!である。
面白ければ自分までネタにするようなお祭り好きは、火の粉が掛からない遠くから見るから面白いのである。
甲羅に関するアルの説明を聞きながら、また巻き込まれたリリアーナは心底そう思った。 

>「・・・・はた迷惑ですわね・・・・あら?じゃああの狐さんは?」 
「狐?ああ、あの親切な狐さん。あの子がどうかしたの?」
はっと我に帰ったリリアーナは不思議そうに首を傾げる。
リリアーナは、金色の狐が、甲羅の下敷きになっていたのを知らないのだ。

白百合騎士団は耳を押さえたまま苦しそうに蹲っている。
耳がいい分、もしかしたらまだ耳鳴りがするのかもしれない。
だが顔色が優れないのは、何も騎士団のメンバーだけではなかった。
「顔色悪いわ。ロック、大丈夫なの?」
コートのような長い上着の前を合わせながら、リリアーナは心配そうにロックの顔を覗き込んだ。
「何で女子寮に入ってきたのよ、危ないの知ってるくせに!!」

一体どうしたら良いのだろう。
さっきポロリが応援を呼ぶとき、男子生徒による女子生徒への暴行未遂事件と話していた。
リリアーナ自身が仮に証言したとしても、彼女達の誤解を解くのは至難の業だろう。
仮にこの場を逃げおおせたとしても、ロックは顔を見られているのだ。
後でややこしい事になるのは、火を見るより明らかだった。

>「はぁい、リリィ。相変わらず退屈しない子ねえ。 
>大方の状況は察するけど、丸く治めてみましょうか?それなりの犠牲と対価はもらうけど。」 
それは、まさに天の助け ――― 否、悪魔の誘惑だった。
リリアーナはのろのろと振り向き、ニコニコと上機嫌なアルをじっと見つめ返した。
彼女には分かっていた。アルの提案は、リリアーナが断われないのを見越した上での『取引』だと。
リリアーナは救いを求めるようにメラル、フリージア、キキの顔を見たが、すぐに助力を諦めた。
これ以上迷惑を掛けられない。
それにロックの顔色もよくない。早く休ませてあげたい。

「下手したら私、本当に猫になってたのよ? 猫とはいえ獣よ?
 自分のミスで人を獣にしておいて、そのまま放置した失態。
 対価ならそれで十分おつりが来ると私は思うんだけど。―――― アルはそうは思わない?」
そう思わないのが、アルのアルたる所以だが。
リリアーナはがっくりと肩を落とすと、深い深いため息をついた。

「―――― アル、何とか丸く治めて。だけど『犠牲』は、できるだけ私一人に留めといて」
今から処刑場に連れ出される罪人のような表情で、リリアーナはどうにかそれだけを口にした。

181 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/11/28(水) 22:45:01 O
「………ッ」
ロックが発した意味深な言葉に、キキの表情が一変する。
そのシーンだけで見るなら何気ない会話だが、亀の一件とあの狐が頭を過る。
それにロックのした質問…野鼠を狩る梟のように人の欲を鷲掴みしようとしている狡猾さが伺える…ような気がした。
とはいえ、確固たる証拠ない以上こちらから仕掛けることは出来ない。

キキが二の足を踏んでいるウチに状況は劇的に変化していた。

「作りは中々であるが…まだ心についての理解が足らぬな、だから狐の巣になったでおじゃるよ」
握手してきたアルに対し、金庫の評価と改善点を述べた。
(これで二人目でおじゃるな…全くあの教師といい、こやつといい退屈しないでおじゃるよ)

「其奴の目を見てはならぬ!絶対に」
白薔薇騎士団に保護される際、ここにいる皆に忠告した。
だが、手遅れなのかも知れないようだ。

182 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/11/28(水) 23:02:26 0
>「普通あんな毒々しいものを何の説明もなしで飲まされそうになったら逃げますわよ」
今朝の顛末に至極真っ当な意見を述べるフリージアと、ここぞとばかりに同調するリリアーナ。
まさに正論なのだが、そのまま伝わらないのがアルナワーズたる所以。
「そんな、ひどいわぁん。私はちゃんと説明したのにぃ。
確かに私は心肺能力が弱いから動作は遅いし、大きな声は出せないけど、顔を見た途端逃げられたこの心の傷は・・・」
よよよよ・・・と目頭を袖で隠しながら言い訳をするが、もちろん嘘泣きである事は言うまでもない。
そんな白々しい小芝居で獣にした失態について責めるリリアーナを躱すのであった。

>「―――― アル、何とか丸く治めて。だけど『犠牲』は、できるだけ私一人に留めといて」
げんなりとした表情と言葉を聴いた途端、泣きまねをさっとやめいつもの表情へと戻る。
「殊勝なこと言うじゃない。安心して、その願いは叶えるわ。」
そう告げたところで、白百合騎士団の本隊が到着。
寮全体は強力な結界に包まれた。
まさに絶体絶命逃げ場所なしの状態である。

「はいはい、皆さんごきげんよう。大騒ぎになっているけど、ちょっと聞いて頂戴?
ロックは話すとややこしくなるからちょっとこれ被っていて一休みしていてねえん。」
臨戦態勢の騎士団、野次馬の生徒達を前にアルナワーズが手を振り注目を集める。
そしてロックに頭からケープをかけて言葉を続ける。

周りにはロックをおちょくっている様に見えたかもしれないが、それなりのわけがある。
リリアーナが危惧したように、顔色が悪かった事。
実際にロックが話に首を突っ込むとややこしくなる事。
そして何より、キキの忠告が引っかかったからである。
視線が通らないように顔を覆いかぶせたというのが本当の狙いなのだ。

「裸のリリィに、女子寮にいるロック。状況から見れば寮に忍び込んだロックがリリィを襲った。
だ・け・ど・・・本当にそうなのかしら?
この状況の真実はいずこ?
それは・・・ここにあるのよぉん。」
芝居がかったしぐさと共に、抱えていた甲羅を掲げる。
甲羅の中の幻灯機は光り輝き、廊下に立体映像を映し出したのだ。

183 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/11/28(水) 23:02:38 0
場面は学園裏の森の中。
ロックとリリアーナが映っている。

「リリアーナ、お前が人間の姿にもどったら、俺と同じベッドで寝てくれないか?
もちろん、ぴったりと密着してな!お前がどんなテクニックを使うか、俺に見せてほしいんだ!」
ロックがとんでもない事を素晴らしく堂々と宣言している。
「ロ、ロックさん・・・・不潔ですわ!!」
うろたえるフリージアの声を意にも介さず、その少女はじっとロックを凝視している。
そしてようやく口を開いた口調は、これまた素晴らしく堂々としていた。
『・・・人間に戻った私と同じベッドで寝て、ぴったり密着する?別に構わないわよ〜』
リリアーナはロックの表情をたっぷり楽しんだ後、もったいぶって続けた。

                       , -― 、
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                 ノ  |   /    :              ',
            / ̄    /   {                      i
          {     /     ',                 ,     l
           `ー‐ '´      ヽ            /     l
『鼻血で失血死しない自信があるなら、ね』       ,ィ´      l
       _             /   /       /|       l
.       /   ̄ ―-、< ̄ ̄`'<_  '          l  l       l‐、
      |      , へ.__)>i ,r 、´  `ヽ        l   !        l ',
      |   /  ∧ /  ト、_ \     \      /   !         ! |
      | /   |     ', \__    ヽ   /\  l         l l
      l/       {   i  ヽ  \   ̄ ̄`ヽ、/__  ヽ l      | }
.     〃  / , /|   l    ヘ  ヽ      //    `ヘ       }ノ
    / }   / / / !   !ヽ   } l   ',   __ / /      ヽ     /
   _ノノ  |; ‐ト ! ,小 -‐{- 、ヽ.ノ| |/  、 ノ        `ー‐ '
.    { / ノィノヽ}ヽ } }   〉 ノY  |  l/、ヾ ゛ {_,
   、_){. {{ト、_   )ノ ,=< リ{.  l / /    {. ノ
.   (  〉/}人 、      、r'Jヽ} // / i _,ィノ' ク}
.    ヽ{ノ}ィ  \ 、    `ー仏イ( ( ハ{ ノ //
    |   \  `ー――ァ'__,ノ, )ノ'//_,.イ
     ゝ、   ヽ    \/´{_/(r' /     /
        ` ー‐\          / __, '´ ̄
               \    / ̄
               `ー‐'

「今までやったことのない事に挑戦するんだ…多少の危険は覚悟の上さ!」
ロックは元気よく応えた。

184 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/11/28(水) 23:02:47 0
そう、甲羅から脱出した後のロックとリリアーナのやり取りである。
映像は照妖鏡のフィルターと言語修正をかけられて入るが、紛れもない事実の一場面。

照妖鏡とは、魔法で姿を変えている者を映し出すとその正体が鏡の中に映るというものだ。
もちろんオリジナルではなく、アルナワーズによる模造品なのでその精度は高くなく、猫耳尻尾がついてしまっているがリリアーナである事は一目瞭然である。
そしてその姿はもちろん猫状態なので・・・だ。

「あらあら・・・ロックの表情をたっぷり楽しむリリィって・・・こんなに淫靡な表情できるのねえ。
鼻血で出死させるテクニック。私も見てみたいわぁ。」
クスクスと笑いながら一同を見回す。
様々な反応を十分楽しんだ後、ようやく続けた。
「これは真実の契約の精霊エンゲージュに誓って実際にあった出来事よ。
ここにある通り、リリィとロックは両者合意の下の関係。襲った襲われたではないわけね。
むしろ服を着ていた着ていないの関係から見ると、リリィがロックを連れ込んで鼻血の出るテクニックを披露しようとしていたと考えるのが妥当よねえ?」

【真実の契約の精霊エンゲージュに誓って】この言葉の重みは誰しもが知っている。
言葉は言霊となり、呪詛を持つ。
ただ口先だけの言葉ではなく、相応の説得力の持つ誓いの言葉なのだ。
もっとも、アルナワーズの信条は【言葉が足りないのは嘘ではない。】であったりもするのだが・・・。

「恋愛は自由なのだし、これで白百合騎士団が出張る理由はせいぜい寮内での風紀問題程度ではなくて?」
男性の女子寮立ち入りは厳しく制限されているが、男女交際を禁じているわけではない。
このように、両者合意の下であれば白百合騎士団の攻撃名文も半減するというものだ。
「し、しかし、リリアーナとアルナワーズは公認カップルで・・・」
それでも食い下がるのは男嫌いのピッコロだった。
が、それも弱々しいものだった。
なぜならば、本気でリリアーナとアルナワーズがカップルだと思っている人間はいないからだ。
ほぼ全ての人間がリリアーナがアルナワーズのおもちゃにされている、という認識なのだから。
そんなピッコロに小さい笑みを返し、口を開く。

「愛とは、魂の契約よ。
契約を成り立たせるのはお互いを愛しむ気持ち。
それ以外のあらゆる強制は意味を持たないものよ。
そして今見た通り、リリアーナの気持ちがロックに行っており、ロックもそれを受け止めた。
だったら私がリリアーナを繋ぎ止めておく術なんてないわ。」
目頭に光るものが浮かび、さっと顔を背けるが、もちろん嘘泣きである事は(ry
ゴシゴシと顔をぬぐう振りをして更に続ける。
「ほら、リリィって以前ラルヴァやレイド先生とも噂(震源地アルナワーズ)があったじゃない?
ロックとも前々から怪しかった(震源地アルナワーズ)し、今回あっさりステディな関係にもなるもたいだし・・・
私のような女一人に納まる女じゃないのよねえ。」

ほぼ全女生徒の前で繰り広げられた映像と演説により、白百合騎士団は矛を収めざる得なかった。
条件はロックの即時退寮のみ。
リリアーナはロックと付き合うことを認められたが、寮内にロックを引き入れぬよう引き続きアルナワーズと同室。
ある意味監視役(アルナワーズ志願)をつけられたのだった。
それからもう一つ・・・ほぼ全女子生徒のリリアーナの印象が【恋多き女】【男女問わず流しな浮名は数知れず】となったのであった。

「ふ〜〜〜。丸く収まってよかったわぁ〜。心臓バクバクしちゃった。
リリィ?注文通りの出来栄えかしら?
じゃ、対価として・・・早速食堂へ行きましょ。あそこならロックと一緒にいても問題ないしぃ、キキの歓迎パーティーも開かなくっちゃ。
ご馳走さまぁん。」

185 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/29(木) 07:32:22 0
「パーティーか、いいな!」
偽ロックは頭にケープをかけたまま喋った。
「でも、俺はいったん自分の部屋に戻るぜ。
 森の中でいろいろあったから、随分汗をかいてしまったんだ。
 このままだと汗臭いから、着替えてくる。
 先に食堂に行っててくれよ、俺もすぐに食堂に行くから。」

偽ロックは皆の返事も聞かずにすぐに走って行ってしまった。
(せっかくロックに化けているんだから、本物のロックと鉢合わせになったら都合が悪いよな。)
偽ロックはそう考えていた。

しばらく走った後、偽ロックは急に立ち止まった。
(…誰かいるのか?)
偽ロックは、誰かにつけられている気がして、あたりをキョロキョロとうかがった。
しかし、誰もいないように見える。
(気のせいか…まあ、いいか。念には念を入れておこう。)
ロックは、両掌をパンと打ち鳴らすと、ボンと煙と共にその場から消えてしまった。


>「なあ、女医さん!」
>「くどいわよ、ロック。」
こんなやりとりも、もう5回目である。

本物のロックは、予想通り保健室の前で途方に暮れていた。
そんなロックの前に、ボンと煙と共にそいつが現れた。
>「ん!?君誰だ?」
ロックはそう尋ねた。ケープに隠れて顔が見えなかったし、
煙と共に現れるような知り合いはいなかったからだ。

「何言ってるのよ、私よ!私!」
そう言って頭のケープをのけると、そこにあったのはリリアーナの顔だった。
もちろん、本物ではない。偽ロックが偽リリアーナに変わっただけの事だ。

>「おお!元に戻れたのか!…ところで、何で男子の制服を着てるんだ?それに煙t…」
「そんな事どうでもいいじゃない。それより、ロック。私と寝るんだったわよね?」
>「寝るというか、コッポo…」
「じゃあ、すぐに行きましょ!ロックの部屋に!」
偽リリアーナはロックの手を取ると、男子寮に向かって走りだした。
「部屋は何号室だっけ?」
>「69号室だけど…君誰?本当にリリアーナ?何でそんなに急いd…」


それからしばらくして、ロックは涼しい顔で食堂に入って来た。
青いジーンズに、赤いアロハシャツを着たその茶髪の青年が、
ロック本人で無い事は、彼に化けている自分が一番よくわかっていた。
「悪いな、待たせてしまったか?」
偽ロックは申し訳なさそうな顔をしながらリリアーナの横に腰を下ろした。

同じ頃、本物のロックは自分の部屋、つまり男子寮の69号室にいた。
偽ロックによって別の姿に変えられてしまった後、ベッドの上ですやすやと眠ってしまっている。
もしもロックが目を覚ましたら、自分の姿を見てびっくりするだろう。
しかし、今のロックの姿は、彼が夢の世界で金髪の少女に願った事だった。

186 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/29(木) 20:40:53 0
>181-185
>「ふ〜〜〜。丸く収まってよかったわぁ〜。心臓バクバクしちゃった。(中略)
>じゃ、対価として・・・早速食堂へ行きましょ。あそこならロックと一緒にいても問題ないしぃ、キキの歓迎パーティーも開かなくっちゃ。 
>「パーティーか、いいな!」 
騒ぎの元凶でもあるロックはお気楽なものだ。
一度部屋に戻って着替えるというなり、ロックは部屋を飛び出していく。
アルはアルは何かを成し遂げたような晴れ晴れとした顔で、悠然とリリアーナの脇を通り過ぎていった。

「・・・・・・ねえ。もしかして私、アルにものすごく嫌われてるのかな?」
疲れ切った表情のリリアーナは、目をうるうるさせながら残ったメンバーを見つめた。
「確かに丸く治まりはしたけれど、これじゃあんまりだわ〜。
 もしこんな話が兄様の耳に入りでもしたら、私、問答無用で家に連れ戻されちゃう!」
中央で働くリリアーナの兄は普段はクールだが、こと年の離れた妹が絡むと性格が変わる。
『リリィ!兄様はなあ、兄様はお前をそんな妹に育てた覚えは無いぞおぉぉぉおっ!!』
ぐおおお!と熱く叫ぶ兄の姿を思い浮かべ、リリアーナはううう、と頭を抱えた。
「一体どうしたらいいのよ〜!」
リリアーナは傍らの人物に泣きついた。

その後。
少し落ち着いたリリアーナは、服を着替えたいからと言って他のメンバーを先に行かせた。

水色のワンピースに白いカーディガンを羽織ったリリアーナは、ふらふらと食堂へ向かっていた。
すれ違う女子生徒は皆、自分を見てニヤニヤしているように感じる。
針のむしろとはまさにこのことだ。

女子生徒A 「リリアーナ。今日のパフォマンスも面白かったわ〜今度はいつやるの?」
女子生徒B 「いやーリリィがそーんなに恋多き女だなんて知らなかったわ〜(棒読み)
          これからはモテモテリリィ☆って呼んであげるからね〜うふふっ」
女子生徒C 「ロックとそんなイイ仲になってたなんて。教えてくれてたらイロイロ協力してあげたのに〜
        わざわざ部屋に連れ込まなくても、学園にはデートに最適なスポットなんていくらでもあるのよ〜」
女子生徒D 「そんな胸でも恋人バンバンできるもんなんですねっ☆
         何だかあたし、希望が湧いてきました。
         あ、フリージアお姉さまは責任もってあたしが幸せにしますから、安心してくださいねっ♥」
女子生(ry

次々に声をかけてくる生徒に、曖昧に微笑み返す。
唯一の救いは、皆一同にリリアーナに好意的だったことだろう。
そう、リリアーナは今回のことを除いても、(良くも悪くも)学園では有名人だった。
その原因の殆どが、同室のアルナワーズが仕掛けたものだというのは周知の事実である。

187 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/11/29(木) 20:41:42 0

「・・・・・・・・・・・お待たせ」
散々からかい倒されたリリアーナは、げっそりとした顔で席についた。
「キキさん、転校早々迷惑掛けちゃってごめんね。レポートは私が代わりに提出しておくから気にしないで。
 それから皆、今日は私のために奔走してくれてどうもありがとう。おかげで何とか人間に戻れました」
リリアーナは一同に深々と頭を下げた。
「特に、朝ご飯抜きで駆けずり回ってくれたフリージアとメラルさん。おなかすいたでしょう?ごめんね。
 今日は私のおごりだから、おなか一杯食べていってね」

>「悪いな、待たせてしまったか?」 
「あっ、ロック!」
隣の席に座られ、リリアーナは思わず立ち上がった。だが平然としているロックに気づき、赤い顔のまま再び席につく。
相手が全く気にしていないのに、自分ばかり意識してしまっていても仕方がないだろう。

(それにしてもロック、アルのあんなトンデモ演説聞いてなんとも思わないのかしら?)
いつもなら「誤解だ」と怒り出しそうなものだが、今日は涼しい顔だ。
そういえば、うっかり服を着ないままのリリアーナと鉢合わせしても鼻血を出さなかった。
これは・・・・・・・・もしかして・・・・・・・・。
「ロック、やっぱりどこか具合が悪いんじゃないの?
 今日はいろいろあったし、無理しないで部屋で休んだら?・・・あっ!いや、別に変な意味じゃなくってね」
ロックとの約束を彷彿とさせる言葉に慌てたリリアーナは、赤くなった顔をメニューで隠した。

「さ、さあ皆、好きなの頼んでね〜。
 アルも、・・・・・・・どうしても何か食べたいっていうのなら、自腹で思う存分食べていってね〜」


188 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/11/30(金) 19:32:30 0
>187
> 「ロック、やっぱりどこか具合が悪いんじゃないの?
>  今日はいろいろあったし、無理しないで部屋で休んだら?・・・あっ!いや、別に変な意味じゃなくってね」
「部屋で休む事に、他にどんな意味があるんだよ?俺の体調なら大丈夫だぜ。
 それに、俺も転入生がどんな奴か知りたいしな。」
偽ロックはそう言ってキキを見た。
「まずは、お互いに自己紹介しようぜ。俺はロック・ウィルだ。」
偽ロックはそういった後、
「そう…俺がロックだ。」
と、そっと小声で付け足した。


そのころ、男子寮の廊下にて。

一人の男子生徒が、いらいらとした様子で、早足で歩いていた。
その手には何か紙の束が握られている。
その男子生徒、ジミーはある部屋の前で仁王立ちした。
その部屋は69号室だ。ジミーはそのドアを強くノックした。
>「ロック、おいロック!居るんだろ?出てこいよ!」
すると、中でがさごそと音がした。やはり、中にいるなとジミーは思った。
>「お前始業式サボっただろ?エイティ先生からプリントを預かってきたよ。
> まったく、なんで僕が君のt…」

その時、勢いよくドアが開き、ジミーは中から出てきた人を見て絶句した。
それは、水晶のように青く輝く瞳を持った女の子だった。
年は自分と同じくらいに見えるが、今まで見たことがない人だ。
ロックの部屋に女の子がいる事自体信じられないが、
もっと信じられないのは、彼女が上半身裸のまま出てきた事である。
つややかな黒いロングヘアが彼女のバストを隠していたのが、ジミーにとって唯一つの幸いだった。

>「…君誰だ?」
>「お前こそ誰だよ?」
女の子は眠そうに目を擦りながら、逆にジミーに質問した。
>「僕はジミー、今度ロックと同じクラスになったんだ。」
>「そうか、よろしくな。」
女の子はそう言ってジミーからプリントを取った。
>「君さ…服くらいちゃんと着なよ。」
>「しかたないだろ、さっきまで寝てたんだから…」
>「寝てた!?な、な、な、(部屋の)中でかい!?」
>「他に無いだろ。…もう、いいかな?まだ寝足りないんだ。」
女の子はそう言って部屋の中に引っ込んだ。

その場に残されたのは、呆然と突っ立ったままのジミーだけだった。


189 名前:ルー ◆ykePAYT9xo 投稿日:2007/11/30(金) 22:27:20 0
女子寮であわや男子対女子の戦争?!になりかけていた頃・・・・・・

ルーが意識を取り戻した場所、そこは真っ白な空間だった。
記憶の中に残ってるのは自分を追いかける黒い珠と、雪女ならぬ氷女の高笑い・・・。
即座に寝た振りを決め込んだ。猛獣に相対した時に寝た振りをするのはよくあるのだ。
逃げるのではなく、油断した相手の急所を衝くために。

だがそこで気づく、このベッドがマジックアイテムだと。
かけられた呪文はホールド(拘束)の呪文で、ルーは指一本自分では動かせない。
白い服を着た妙な♀が自分の体をいじくって(治療して)いる。

抵抗もできないし、する意味もない。ここにはあの怖い連中もいない。
なのでルーは久方ぶりに安眠を貪る事にした。
>「あら?この子・・・・・・えっと・・・・・・?」

残された女医は、彼女と患者以外に誰もいない部屋で一人呟いた。
>「この場合、女の子なのか男の子なのかどっちというべきなのかしらね・・・・・・」
答えは中庭に取り残された蒼槍が知っている・・・・・・かもしれない。
かくして、キキの歓迎会が開かれている頃にはルーはすっかり忘れ去られていた。

190 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/11/30(金) 23:44:02 0
事態は収まり、着替えてくるといって寮を出て行くロック。
その背中を見送りながら、小さな違和感を確かめていた。
が、それより今は優先させるべき事があった。
リリアーナの半泣きの声をBGMに今回の騒動の余韻に浸ることが最優先なのだ。

たっぷりと余韻に浸り満足した頃、ようやくリリアーナは落ち着き食事へとなる。
一緒に移動してリリアーナへの周囲からの反応を楽しみたかったが、服を着替えたいからという事で先に行かされてしまった。
楽しみの一つが減ってしまったが、それならそれでやる事はある。

アルナワーズの知るロックという男は、存在自体が汗臭い熱血漢だ。
またフェミニストであり、恋愛年齢は幼児に等しい。
そのロックが「汗臭いから着替える」などと気を使う事はずいぶんの違和感を覚える。
更に言うならば、事実でない事を突きつけられればかたくなに拒否するだろう。
実際のところを見ていたわけではないが、リリアーナを襲っていたことはありない。
濡れ衣を着せられたら向きになって否定するところだ。
にも拘らず・・・

他の面々と共に歩きながらおもむろにスカーフを広げて両手に乗せる。
するとスカーフにあしらわれた刺繍が歪み、ぐにょぐにょと動き出した。
時同じくして、ロックが被ったままのケープの刺繍の一部。
目をモチーフにした部分が小さくきょろきょろと動く。
ちょうど偽ロックが誰かにつけられているような気がして辺りをキョロキョロと窺った頃だ。

スカーフとケープは二枚一組のマジックアイテムであり、ケープに施された目のような刺繍がカメラの役目を果たし、スカーフの刺繍がその映像を形取るのだ。
アルナワーズの情報収集は人脈のほか、このような小技を駆使されているのだった。

そしてスカーフの刺繍が映し出すその姿は・・・
保健室のロック。リリアーナ、ロックの部屋、そして・・・・
「なるほどねぇ・・・狐の巣、か・・・。」
にんまりと笑うとスカーフを畳み、懐へとしまいこむ。
そうして何食わぬ顔で食堂へと行くのであった。

> アルも、・・・・・・・どうしても何か食べたいっていうのなら、自腹で思う存分食べていってね〜」
「ひどいわぁ〜。リリィの注文通り犠牲はリリィだけにしたのに・・・
苦労したのよ?ほんとは皆に痛くない程度分散させようとしてたのに、それを無理して集めて・・・よよよよ・・・
私の愛って判って貰えないのねえ〜。」
奢りだと思っていたのに、リリアーナにぴしゃりと断られ、恨めしげに泣いて見せるのであった。
そんなアルナワーズのトレイには狐ウドンが乗っていた。

おとなしく席に着き、ロックがキキに自己紹介をしているのをにこやかに見ている。
そう、見ているだけ。
ここにいるロックが偽者だという事はわかっていたが、それを指摘する事はない。
なぜならば、しっかりリリアーナの隣に陣取っているし、このまま見ているほうが楽しそうだからである。

「はぁい、アルナワーズ・アル・アジフよ。
幻術を専攻しているの。憑物のおかげで体はあまり元気じゃないから、あまり激しい遊びには付き合えないけどごめんなさい。
もう見てもらったとおり、報われない世話焼きしちゃうお人よしよぉん。」
ロックに倣い、改めて自己紹介をするのであった。

191 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/12/01(土) 04:01:14 0

メラルが持ってきた薬を、リリアーナががぶ飲みしている。
そして…リリアーナが床の上でのた打ち回り、それを不安に思い
フリージアが、薬が本当に大丈夫なのかを聞いてきたが…メラルはこともなさげに言った。
「ええ。問題ないわ。」
本を見て、随分と時間をかけ、細心の注意を払って調合したつもりだった為だろう。
その言葉に、焦りの色などまったく見られない。そして…リリアーナの姿が元に戻ってもだ。

>「メラルさん!」
>「薬を作ってくれてありがとう、本当にありがとう!!おかげで人間に戻れたわ!
  ああ、言葉が喋れるってなんて素敵なのかしら!」
そして、リリアーナに飛びつかれたメラルだが…無表情を保ちつつも、内心は対処に困っていた。
裸の女性に周囲の目がある中で抱きつかれるなどという状況だから当然といえば当然だが。
そのためもあってか…外に飛び出そうとしたリリアーナに対し、制止が遅れる。
そしてそれは更なる騒動の呼び水となるのだが…その前に、メラルは一つの違和感に気付いた。
それに対するロックの対応が…不自然だったのだ。
>「リリアーナ!元の姿に戻って嬉しいのはよくわかったから、
  早く服を着てしまうんだ!目のやり場に困るだろ!」
(…冷静すぎる。発言だけならまだしも、ギスモまで…。)
メラルが知る限り、ロックは冷静に状況判断をしようとするよりも、直感と情で動くタイプである。
そして…知る(信頼できる筋からの噂なども含めて)限り、女性への免疫はあまり無い方のはずである。
しかし、その問題は一時頭の隅に追いやられる事となる。最も…キキの忠告があってからは
その疑いは確信に近いレベルに至り、キキの忠告である「目」に気をつけるようにしていたのだが。


白百合騎士団が現れたからだ。メラルとしては彼女らの嗜好を除けば
自分達に有益な存在だと思っていたし、実はアルワナーズとの接触を避けていた時期に、
一部の構成員がメラルの主な情報源になっていただけに…下手な口はしたくはなかった。
誤解が解ける解けないに関わらず、"今"動くのは騎士団側に悪い印象を与えそうだったし、
そもそも騎士団を呼んだ原因が明らかにリリアーナの過失だからだ。
後で寮母さんに言えば、最終的に誤解は解けるだろうことは想像がついていたからだ。
そして…途中でアルが現れ、シヴァの大声が響き渡って魔法がかき消される。
>「あら、メラルにフリージア、それに・・・キキ、ね。あっちにはロックとリリアーナじゃない。
> 解除薬を見た途端逃げ出したから心配していたのよぉ〜(棒」
そう言った後で、アルが事態への介入を試みたようだ。下手に口を出して邪魔する気は毛頭ない。
リリアーナがアルのおもちゃにされているのは周知の事実。真に受けざるを得ない場合を別にすれば
アルが吹聴したり演出した噂を真に受ける人間の方が珍しい。そういう考えが根底にあったのだろう。
(…どっちにしても、アルが介入するなら解決ね…。猫化の原因もこれで判ったし。
 それにしても、あの人も尋常じゃないわね…この気迫。)

192 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M 投稿日:2007/12/01(土) 04:03:11 0

リリアーナの追求を小芝居であっさりかわしたアルは、リリアーナの申し出に応じて
到着した騎士団本隊に事情説明を始めた。ロックの目を塞いでから。
(…アルの場合、…打算なのかおふざけなのか読めないのが困る所ね。)
メラルはそんなことを考えつつも説明を聞いていた。そして…
アルがあっさり事態を解決させた後で、メラルは確信した。
(ロックが…大人しすぎたわね。これは恐らく…いえ、間違いなく…。
でも…今回は動かない方が良さそうね。魔力も少し心許ないし…それに、
彼女の能力は見ておきたいわ。いざという時は干渉するけど…。
でも、そうなると…まず彼女だけは抑える必要があるわね。)
しかし、メラルはアルの提案に乗って去っていったロックに対し、
あえて何のアクションも取らなかった。事態を静観する姿勢はけして崩さない。
「…歓迎パーティー…そうね。妙な事件に巻き込んじゃった挙句、
 余計な課題まで増やしちゃったんだし…それくらいはしないと悪いわ。」
そういうと、暫くの間メラルは黙って皆についていった。
リリアーナの質問に対しては…「考えすぎよ。」と言うだけに留めた。

食堂では…あえてアルの隣に座った。持ってきた食事は…刺身とざるそばのようだ。
> 「さ、さあ皆、好きなの頼んでね〜。アルも、・・・・・・・どうしても何か食べたいっていうのなら、自腹で思う存分食べていってね〜」
>「ひどいわぁ〜。リリィの注文通り犠牲はリリィだけにしたのに・・・
  苦労したのよ?ほんとは皆に痛くない程度分散させようとしてたのに、それを無理して集めて・・・よよよよ・・・
  私の愛って判って貰えないのねえ〜。」
そして、二人の言葉に対して口を挟む。
「…確かに、自分から犠牲を自分だけにしてって言い出したのにこの扱いというのは…
 少しアルが可哀想ね。猫の件はともかくとしても、騎士団の件については
 明らかにアルには何の責任も無いわ。」
そして、あえて少し悩む時間を置いてから言った。
「アルの分は私から出しておくわ。と言っても、奢りだからって
 無茶をするならその限りじゃないけど。…飲み物を取ってくるわね。」
そして、立ち上がりつつアルの耳元に囁く。
("今回"は私も傍観者にならせてもらうわ。何についてかは…あなたなら言うまでも無いわね?)


そして…メラルが戻ってきた時には自己紹介が始まっていた。
ただ、メラルは自己紹介は前に済ませている。なので簡略化してあっさりすませたようだ。
「既に自己紹介は済ませちゃったけど…改めて。…メラルよ。よろしく。」

193 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/01(土) 20:20:32 P
>185>186>187>190>192
>「ふ〜〜〜。丸く収まってよかったわぁ〜。心臓バクバクしちゃった。
リリィ?注文通りの出来栄えかしら?
じゃ、対価として・・・早速食堂へ行きましょ。あそこならロックと一緒にいても問題ないしぃ、キキの歓迎パーティーも開かなくっちゃ


ご馳走さまぁん。」
>「パーティーか、いいな!」
「それはいい考えですわねv」
いろいろあったが何とかこの事件が解決してほっとしているフリージアはそう答えた
そして出て行くロック・・・まさかこのロックが偽者で新しい事件を引き起こすなんてこの時は思いもしなかったのである

>「・・・・・・ねえ。もしかして私、アルにものすごく嫌われてるのかな?」
 疲れ切った表情のリリアーナは、目をうるうるさせながら残ったメンバーを見つめた。
>「確かに丸く治まりはしたけれど、これじゃあんまりだわ〜。
 もしこんな話が兄様の耳に入りでもしたら、私、問答無用で家に連れ戻されちゃう!」
「あらリリアーナさんお兄さんがいましたのね。私は一人っ子だからちょっとうらやましいですわv」
「ドンナノダロウ・・・・」
ギズモは男性版リリアーナを想像しようとして・・・止めた
野郎の顔を想像するなんてまっぴらだったからである
「まあ私が言えることは・・・・逆に好かれてるからああいうことをされるのだと思いますわ」
とリリアーナをよしよしと慰めつつ言った

そしていろいろあって食堂
>「さ、さあ皆、好きなの頼んでね〜。
 アルも、・・・・・・・どうしても何か食べたいっていうのなら、自腹で思う存分食べていってね〜」
「それじゃあ遠慮せずにいただきますわv」
「イタダキマス」

そしてキキに自己紹介をするロックとアルナワーズそしてメラル
「前にも言ったような気もするけど私は氷魔法科のフリージア・ノクターンですわ」
「ギ〜ズ〜モ〜」
なぜか自分の名前を伸ばして言うギズモ
・・・・すごく謎です


194 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/01(土) 21:14:18 0
>190 >192-193
>「ひどいわぁ〜。リリィの注文通り犠牲はリリィだけにしたのに・・・ 
>  苦労したのよ?ほんとは皆に痛くない程度分散させようとしてたのに、それを無理して集めて・・・よよよよ・・・ 
「えっ?! そうだったの?」
単に一番面白そうな方法をチョイスしたとばかり思っていた彼女にとっては、まさに目から鱗だった。
>「…確かに、自分から犠牲を自分だけにしてって言い出したのにこの扱いというのは… 
> 少しアルが可哀想ね。猫の件はともかくとしても、騎士団の件については 
> 明らかにアルには何の責任も無いわ。」 
(もしかして私、ちょっとアルのこと誤解してたのかな?)
メラルにも諭され、リリアーナはしょんぼりとうな垂れた。
言われてみれば、確かに騎士団の件ではアルに何の落ち度も無い。
まあ、そもそも事の発端はアルが変身した猫リリアーナを放置した事にあるのだが。
さっきのフリージアの、「好かれているからああいう事をされるのだ」という言葉が脳裏を過ぎる。
> 私の愛って判って貰えないのねえ〜。」 
とどめとばかりに、アルがちょっと寂しそうに呟いた。
リリアーナは何だか申し訳ない気持ちで一杯になった。
メラルが音も無くすっと立ち上がる。
>「アルの分は私から出しておくわ。と言っても、奢りだからって 
> 無茶をするならその限りじゃないけど。…飲み物を取ってくるわね。」
「あ、いいのよメラルさん!アルの分も私が出させてもらうから!
 それから・・・・・・ごめんね、アル。」
リリアーナはしょんぼりと俯いた。
「アルは私のリクエストを叶えようと頑張ってくれただけなのよね・・・。
 私、ちょっと今日のことを誤解してたみたい。・・・ごめんなさい」
リリアーナは申し訳無さそうに頭を下げた。
「だけどもし今回の件が原因でトラブルになったら、一緒に上手い言い訳を考えてくれる?」

>「部屋で休む事に、他にどんな意味があるんだよ?俺の体調なら大丈夫だぜ。
ロックの言葉に驚いたリリアーナは、思わずフリージアに視線を走らせた。
ロックがこんなにあっさり『コッポー』とやらを諦めるとは思わなかったのだ。
まあ女子寮での騒ぎを思えば、その方が無難かもしれないが。
約束を忘れて欲しいリリアーナは、薮蛇にならないようそれ以上突っ込まなかった。
だが何かがおかしい。顔は確かにロックなのに、全然ロックらしくない。

ロックを皮切りに、皆自己紹介を始めている。
アルの『報われない世話焼きしちゃうお人よし』に胸を痛めつつ、リリアーナも自己紹介した。
「さっきはごめんなさい。改めて自己紹介するわ。
 私はリリアーナ。多分この中では一番の古株よ。もし何か分からない事があったらなんでも聞いてね」
それからちょっと考えた後、さらに付け足した。
「実は私、お酒が全然ダメなの。だから『アラマキジャケ』はご馳走になれないと思うわ」
キキの表情に気づいたリリアーナは、不思議そうに首を傾げた。
「――――え?『アラマキジャケ』って、『荒巻スカルチノフ』をお酒に漬けたものじゃないの?」
どうやら根本的な部分でに、何か大きな勘違いしているようだ。

フリージアとギズモは美味しそうに食事を楽しんでいる。
「ギズモ、いい加減猫の着ぐるみ脱いだら? ――――あっ!
 ねえフリージア、さっきの『獣化解除全書』使えば、ギズモの着ぐるみいらなくなるんじゃないっ?!」

>188
豆スープを飲みながらロックの違和感について考えていたリリアーナは、ようやく原因に思い至った。
(そっか、ロックの語尾に「!」がついてないんだわ!)
やはり今日はいろいろあったから、ロックも疲れてるのかもしれない。
リリアーナはちょっと考えてから、再びメニューを手にとった。
「ねえ皆、デザートにはレモンパイをホールで頼んでもいいかな?
 えっと・・・ほら!パーティにはケーキが付き物だし、疲れてるときにはレモンや甘いものっていうでしょ?」
リリアーナは早速おばちゃんに注文を入れた。

「ところでロック、さっきの猫耳は一体どうしたの?
 猫語を翻訳してくれる猫耳バンドなんて初めて見たわ。もし良かったらどうやって手に入れたか教えてくれない?」
猫好きのフリージアにプレゼントしたらきっと喜ばれるだろう。

195 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/12/01(土) 23:27:06 0
>「アルの分は私から出しておくわ。と言っても、奢りだからって
> 無茶をするならその限りじゃないけど。…飲み物を取ってくるわね。」
「や〜ん、ありがと〜。やっぱり分かってくれる人はわかるのねぇん。」
メラルの援護射撃にここぞとばかりに乗っかるアルナワーズ。
本当はリリアーナの思っている通り、単に一番面白そうな方法をチョイスしただけなのだ。
心の中で舌を出しながら横目でちらりとリリアーナを見る。
そのリリアーナの反応は・・・
>「あ、いいのよメラルさん!アルの分も私が出させてもらうから!
> それから・・・・・・ごめんね、アル。」
すっかりうなだれ反省し、認識を改めていた。

そんなリリアーナにアルナワーズの表情が思わず曇る。
この反応は想定していた反応のうち最も悪い反応なのだ。
あくまでもだえ苦しむ姿を見ながら、そっと心の傷薬とほんの一匙カラシを塗りこむのが醍醐味なのだ。
それがこうも素直に反省されてしまっては立つ瀬がない。

「いいのよ〜。元々たくさん食べられないし。単に歓迎会のきっかけにしたかっただけだもの。
それに借りっぱなしってのも気分悪いでしょう?
こうやってぱ〜っと貸し借りなしの儀式もかねちゃっておけばすっきりするじゃない。」
もうこうなっては悪戯もお仕舞いとばかりに肩をすくめフォローを入れておいた。

その後思い出したように懐から一枚の封筒を取り出し、フリージアに差し出した。
「そうそう、とある人からフリージアへの手紙を預かっていたんだわ。」
その封筒は乙女チックな色彩に、重厚な蝋封。
その紋章は白百合である。
封筒からはもやは怨念張りの強いオーラが滲み出ている。
思いつめた乙女の執念恐るべし!
差出人は言うまでもないリリアーナに勇気をもらった白百合騎士団所属の後輩である。

「ん〜おあげがジュ〜シ〜だわぁん。」
質量以上に【重い】封筒をようやく渡し気が軽くなったのか、きつねうどんの揚げにぱくつくのであった。

196 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/02(日) 18:51:01 0
>194
> 「ねえ皆、デザートにはレモンパイをホールで頼んでもいいかな?
>  えっと・・・ほら!パーティにはケーキが付き物だし、疲れてるときにはレモンや甘いものっていうでしょ?」
「うん、いいな。」
ロックがレモンパイを好むなどまったく知らない偽者は、
リリアーナがレモンパイを頼んでも、それ以上別段に反応する事はなかった。

>195
むしろ、偽ロックの視線は、おいしそうに厚揚げをかじりつくアルナワーズに向けられていた。
「それと、俺にアルナワーズと同じものを頼む。」
リリアーナの注文と一緒に、偽ロックもキツネうどんを注文した。

> 「ところでロック、さっきの猫耳は一体どうしたの?
>  猫語を翻訳してくれる猫耳バンドなんて初めて見たわ。もし良かったらどうやって手に入れたか教えてくれない?」
「猫耳?この耳のことか?」
ロックは生まれた時から猫耳をはやした青年だと思っていた偽者は言葉を詰まらせた。
何しろ、本人に初めて会った時から彼は猫耳だったのだ。
猫耳の無いロックなんて見たことがなかったし、なぜ彼が猫耳をはやしたかなんてわかるはずが無い。

ただ幸いにも、質問をしてきたという事はリリアーナ達も知らないのだろう。
偽ロックは作り話をすることにした。
「リリアーナ、引っ張ってみればわかるだろうけど、これは俺自身の耳だ。猫耳バンドじゃない。
 前に町に買い物へ行った時、車椅子に乗った銀髪の爺さんに勧められて魔法薬を買ったんだ。
 猫の言葉がわかるようになる薬だよ、ってさ。効果は見ての通りさ。」

偽ロックの前にキツネうどんが運ばれてきた。
「ははっ、おいしそうだな。いただきます!」
偽ロックはキツネうどんを見たとたん元気になり、おいしそうに食べ始めた。
それからすぐにレモンパイも運ばれてきたが、キツネうどんに夢中の偽ロックは、そちらには手をつけなかった。

さて、ロックの好物がレモンパイであると知る人間にとっては、この行動はいささか変に見えるだろう。
はたして、このメンバーの中で、何人がその事実を知っているだろうか?


197 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/04(火) 08:53:11 P
>194>195>196
>「ギズモ、いい加減猫の着ぐるみ脱いだら? ――――あっ!
>ねえフリージア、さっきの『獣化解除全書』使えば、ギズモの着ぐるみいらなくなるんじゃないっ?!」
「残念ながらこれは獣化”解除”全書なのよね・・・・・獣化全書なら話は別だろうけど」
フリージアは本気で残念そうである
「コレキニイッタ」
ギズモはギズモで気ぐるみが気に入っているようで・・・・

>「ところでロック、さっきの猫耳は一体どうしたの?
 猫語を翻訳してくれる猫耳バンドなんて初めて見たわ。もし良かったらどうやって手に入れたか教えてくれない?」
フリージアもさっきから気になっていたのである

「私も知りたいですわ」
と言おうとしたところに
「そうそう、とある人からフリージアへの手紙を預かっていたんだわ。」
とアルナワーズに手紙を渡された
「・・・・・・・なんですのこれ?」
その中身を見たフリージアは自分の知らない世界に足を踏み入れたような気がした
「お姉さまとかスールとか最初に言い始めたのは誰なのかしら?」
現実逃避を始めるフリージア

余談ではあるがその後この手紙はフリージアの手によって誤字脱字を赤ペンで修正されて本人に返された
内容に関しては完全にスール・・・・もといスルーである

>「リリアーナ、引っ張ってみればわかるだろうけど、これは俺自身の耳だ。猫耳バンドじゃない。
> 前に町に買い物へ行った時、車椅子に乗った銀髪の爺さんに勧められて魔法薬を買ったんだ。
> 猫の言葉がわかるようになる薬だよ、ってさ。効果は見ての通りさ。」
しっかりと聞き耳を立てているフリージア
今度町にその老人を探しに行こうと心に決めるのであった

そしてきつねうどんを夢中になって食べるロック
「・・・・・・・?」
ロックの好物はレモンパイだったはず
何かがおかしい・・・・まさか?
「ロックさんっては後に取っておくタイプでしたかしら?」
とりあえずわざとロック”さん”と呼んでみるフリージア
まさかとは思うが・・・・・
マリアベルがまた復活してロックと入れ替わっているなら大問題である
そうフリージアは考えたのだ

198 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/04(火) 15:00:50 0
レモンパイを注文したのを聞いていたはずなのに、ロックはキツネうどんも注文した。
あれ?と思った。
だけどこの時は、「パイは皆で食べるのだから遠慮しているのだ」と思っていた。

>「リリアーナ、引っ張ってみればわかるだろうけど、これは俺自身の耳だ。猫耳バンドじゃない。」
「ホントだあったかい!すごーい!!」
心底驚いたリリアーナは、ロックの猫耳を珍しそうにつまんだり撫でたりしている。
だが迷惑そうに耳をパタパタされ、ようやく手を引っ込めた。
リリアーナは気まずそうにゴニョゴニョ謝罪の言葉を口にしつつ、手元の紅茶を啜った。
だがロックの
>「 前に町に買い物へ行った時、車椅子に乗った銀髪の爺さんに勧められて魔法薬を買ったんだ。 
> 猫の言葉がわかるようになる薬だよ、ってさ。効果は見ての通りさ。」 
という説明に、危うく紅茶を吹きそうになった。
ゲホゴホと盛大に咽ているリリアーナを尻目に、ロックはキツネうどんをぱくついている。
程なくして特大のレモンパイが運ばれてきたが、ロックは目もくれなかった。
(え?これってどういう事?)
好物を前にしてありえないロックの態度に、さすがのリリアーナも顔色が変わった。
>「・・・・・・・?」 
どうやらフリージアも、ロックの異変に気づいたようだ。

リリアーナはポケットの中に入れた巾着袋を握り締めた。
中にはライールの杖と、天使の人形――マリアベル縁の品だ――が入っている。
ロックに渡そうと持ち歩いているのに、なぜか毎回邪魔が入り返せなかった品だ。
彼に見せて反応を見れば本物かどうかわかりそうだが、
万が一またマリアベルと入れ替わっていたら目も当てられない。
>「ロックさんっては後に取っておくタイプでしたかしら?」 
どうしたものかとリリアーナが考え込んでいると、フリージアがさりげなく探りを入れていた。

「そういえばロック、例の壊れた箒、もう捨てちゃった?」
リリアーナはロックの様子をみながら、更に続けた。
「あれ、良かったら私に譲ってくれないかな?部屋の掃除に使えるでしょ?」
だめ?とリリアーナは首を傾げてみせた。

199 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/04(火) 20:02:08 0
>197
> 「ロックさんっては後に取っておくタイプでしたかしら?」
「まあな。」
質問の意味がよくわからなかった偽ロックはそう言ってさらりと流した。

>198
> 「そういえばロック、例の壊れた箒、もう捨てちゃった?」
偽ロックは厚揚げを食べながら聞いていた。
> 「あれ、良かったら私に譲ってくれないかな?部屋の掃除に使えるでしょ?」
「悪いなリリアーナ、壊れた箒ならもう捨ててしまった。」
当然ながら、偽ロックにロックの箒の事などわかるはずが無い。
もしもここで『わかった、君に譲るよ』なんて言ったら探すのが大変だ。
だから、偽ロックは一番あたりさわりのない回答をしたはずだった。
普通は壊れた箒なんてすぐに捨ててしまうだろう。

しかし、残念ながら偽ロックの想像以上にロックは普通ではなかった。
偽ロックは自分が本物ではないと決定付ける発言をしてしまったのだ。



「…何だよ?」
明らかに場の雰囲気が変わった事に気づいた偽ロックは皆に聞いた。
「俺、何か変な事でも言ったのか?」

200 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/12/04(火) 21:56:20 0
>「悪いなリリアーナ、壊れた箒ならもう捨ててしまった。」
あっさりと捨ててしまったと応えた偽ロック。
それを聞いてアルナワーズはさり気無く丼をそっと持ち上げ、いすを少し引く。
(意外と早かったわねえ。)
隣のメラルに囁きながら、既に回避体勢である。
これから起こるであろう一悶着でテーブル返しなどされても逃げられるようにだ。

既にこのテーブル全体の雰囲気からして全員が気付いているであろう。
偽ロックがリリアーナたちを騙すのを楽しみにしていた。
が、ここにいたっては、正体を看破した一同がどう動くかも楽しみになっている。
結局のところアルナワーズはどちらでも面白ければいいのだった。

密かに半歩引いた体勢でにこやかな表情のまま事態の推移を見守るのであった。

201 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/05(水) 13:55:10 0
>199-200
フリージアの「ロックさん」に、ロックが無反応だったのもかなり変だった。
いつもさん付けで呼ばれるたびに、居心地悪そうにしていたからだ。
だが
>「悪いなリリアーナ、壊れた箒ならもう捨ててしまった。」
――――この失言は致命的だった。おかげでリリアーナ達のロックへの疑念は確信へと変わった。
「へえ・・・・・・そうなんだ」
リリアーナの声のトーンが明らかに変わった。

>「…何だよ?」 
>「俺、何か変な事でも言ったのか?」 
ロックの質問には答えず、リリアーナはすっと椅子から立ち上がった。
視界の隅では、アルがそっと移動する準備をしている。

リリアーナは、キツネうどんで両手が塞がってきるロックの肩に手を置いた。
そのままにっこり微笑みかけると、訝しげな顔をするロックの顔からメガネを抜き取る。
「ああ、やっぱりね」
知らず相手の肩に掛けたままの手に力が篭った。

「ねえ、いい事を教えてあげましょうか?」
リリアーナはにこやかな微笑を口元に貼り付けているが、目は全く笑っていなかった。
「あなたが捨てたって言ってた箒。
 フォルティシモは―――― ロックの相棒で、宝物だったの・・・よっ!」
言い終わると同時に、渾身の力をこめてロックの肩を椅子ごと背後に突き飛ばす。
ガターン!と大きな音が上がった。

何だ喧嘩か?と野次馬が見ているが、リリアーナは全く意に介さなかった。
「あなたは誰?本物のロックはどうしたの!!」
怒り心頭のリリアーナは、いつの間にかロックバスターまで召喚している。
返答次第ではここでぶっ放す気のようだ。

202 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/05(水) 21:35:53 O
俺は部屋に戻る前に職員室に立ち寄った。
大した用件じゃないが報告すべき事があった。
「ち〜す。エース先生居る?」
>「はい?なんですか?」
俺は少し照れくさかったが正直な気持ちをエース先生に伝えた。
「俺…やっぱり……好きだ。」
職員室に居る教師の視線が俺とエース先生に突き刺さる。
>「え…あの…レイド先生?
お気持ちは嬉しいですが僕はノーマルなんですよ…。
というか先生にはアルテリオンさんが居るじゃないですか…。」
ちょっと待て勘違いするな。
誰が君を好きだなんて言ったよ。
つーか俺だってノーマルだ。
「アホか。俺は面倒事に首を突っ込んでいる生徒の世話が好きだって言ったんだよ。」
そこの女教師、ちょっと残念そうな顔しない。
「いや、面倒事って表現は不適切かもしれん。
生徒達の特別訓練、の方が適切だな。」
>「あ〜なるほど。
ハハハッ…僕とした事がとんだ勘違いを…。
どうやら、元に戻ったみたいですね?」
「ん、ああ…まあ、な。
生徒達のお陰だよ…。
さて、用件は済んだし俺は休ませてもらうよ。じゃ。」

俺は部屋に帰るなりベッドに倒れこんだ。

203 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/05(水) 21:37:15 O
あ〜疲れた…。この疲れは精神的なもんだな…。
傍観者を貫き通すってのも大変だ。
体は疲れないが精神的に疲れる。
やっぱり俺は傍観者向きじゃないってこったな。
俺も生徒達も良い経験になった。
生徒達にはこの経験を活かして更に強くなってもらわないとな。
なかなか良いセンスを持ってるみたいだし真面目に勉強すれば俺なんかよりもよっぽど強い魔法使いになれるぜ、アイツ等は。
卒業するまでに抜かれちまうかもなぁ…。
でも生徒抜かれるんだったら教師としては本望ってやつだよ、うん。
それまでは俺がビシバシ鍛えてやんないとな。
あ、そういやメラルに魔法教えてやるって約束をしてたがまだ果たしてなかったなぁ…。
ま、それは今度の休みにでも教えてやるか…。
とりあえず今日は疲れたからシャワー浴びて寝よう。
明日からは気合い入れて授業をしないとな。
いつまでもウジウジしてたら別の学校で頑張ってる彼女に嫌われまうからさ。

204 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/05(水) 23:22:55 O
>>201
>「あなたが捨てたって言ってた箒。
> フォルティシモは―――― ロックの相棒で、宝物だったの・・・よっ!」
>ガターン!と大きな音が上がった。
「何て事をするんだ、リリアーナ!」
偽ロックは倒れた拍子に頭にどんぶりを被ったまま、リリアーナに抗議した。
>「あなたは誰?本物のロックはどうしたの!!」
「俺以外の誰が本物だって言うんだよ!?」
偽ロックは嘆くように頭を抱えた。
どんぶりをかぶっているせいで表情はよく見えない。
「なぁ、リリアーナ。俺だって、あまり役に立てなかったけど、
 お前を人間に戻すために俺なりにがんばったんだぜ?
 それをこんな仕打ちで返すなんて、あんまりじゃないか!」
偽ロックはリリアーナの良心に訴えた。

「確かにフォルティシモは俺の相棒で宝物だったさ!
 だけど、壊れてしまった物を、いつまでも持ってても仕方がないだろ?
 …なあ、皆もなんかリリアーナに言ってくれよ!」
偽ロックはそう言ったが、もはや彼を偽者だと疑うのはリリアーナだけではなかった。

「…そうかよ、わかったよ!勝手にするがいいさ!
 好きなだけ俺を偽者扱いしろよ!けどな…
 俺が偽者なら、本物がどこかにいるんだよな!?
 だったらお前らはすぐにその本物を探しに行ったらどうだ!?
 どうせ見つからないに決まっている!この世にロックは俺一人だけだ!」

205 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/06(木) 00:07:49 0
賑わいを見せている食堂。この中で特に友人と話すわけでもなくただ黙々と食事を取り続ける男がいる。
この男の名前はミシュラ・キャパシェン。
暑苦しい男として有名なロックとまるで反対だが同じぐらい浮いている存在だ。
なぜかといえばこの自然に放つ近寄りがたい空気に話しかけても無愛想な返答。
だれも好きこのんで話しかけようとは思わない。気がついたら1人、まあ当たり前だ。
今日もこの後は自室に戻りいつものように読書をして過ごす予定だった。
しかし、今日は違った。食事を取っていると自分を呼ぶ声がする。

>「おーい、ミシュラ大変なんだ聞いてくれよ!」
声の主はジミー。彼とはずっとクラスが一緒であり、初めて話しかけてきた男だ。
また試験の時にも共にチームを組んだこともある。
ミシュラにとって友人はジミーだけかもしれない。まあジミーは人当たりが良いだけかもしれないが。
「……そんなにあわててどうかしたのか。俺はいま食事中なんだが…」
>「女子が居たんだ!」
いきなり脈絡もなにもないジミーの言葉にミシュラは少し考えて言った。
「ここの学校は共学だ、別に珍しいことでもないとおも……」
>「違うんだよ!男子寮に居たんだよ、しかもロックの部屋だぜ!?」
「………ロック…」
この雰囲気からすると完全にミシュラはロックを知らない。
そもそも人と話す機会が少ないミシュラは他人から情報をあまり貰えない。
またそこまで興味があるわけでもない。正直クラスの人間のことなどちっとも分からない。

>「ロック知らないのかい?暑苦しいことで有名なのに。俺達と同じクラスだよ。
   しかも女に免疫なんてないらしいし、そんな奴の部屋に女子がいたんだよ!
   ロックに彼女なんてできるわけないだろ。」
はっきりと断言するジミーを少し冷たい目で見つめるミシュラ。
「…いや、そういわれてもな。俺はロックを知らないんだ。
 いくら口で説明されても分からないさ。それにそういうことを言うのはロックに悪いと思うが。」
>「えーと、だからあんな奴だよ。そうあんな感じ……あれ?あれ本人だな」
ジミーの指差す方向を見ると何人かの集団が見える。
その中でロックと言われてる人物を見つけるのは難しくなかった。
「あの様子では結構女子と仲がいいんじゃないか。君の勘違いじゃないのか?」
そういった瞬間1人の女子学生がロックらしき男を突き飛ばす。
ざわざわと騒がしくなる食堂。
>「…そうかよ、わかったよ!勝手にするがいいさ!
>好きなだけ俺を偽者扱いしろよ!けどな…
>俺が偽者なら、本物がどこかにいるんだよな!?
>だったらお前らはすぐにその本物を探しに行ったらどうだ!?
>どうせ見つからないに決まっている!この世にロックは俺一人だけだ!」
大きい声で叫ぶロックを見てジミーは少し慌てている。
>「な、なんかあったみたいだな。偽者とかなんとか言ってるけど…どうする?放っておいていいのかな?」
「どうするも何も、俺らが出て行ったところで彼らからすれば謎の二人だ。
 何かする道理もないし相手からすれば余計なお世話さ。成り行きを見守った方が賢明だと思うが。」
もっともな言葉にジミーはうなずき、とりあえず二人は野次馬と一緒に傍観することに決めた。



206 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/06(木) 21:37:39 0
>204
>「確かにフォルティシモは俺の相棒で宝物だったさ!
> だけど、壊れてしまった物を、いつまでも持ってても仕方がないだろ?
> …なあ、皆もなんかリリアーナに言ってくれよ!」
偽ロックはリリアーナの良心や感傷に訴えたが、彼女の心に届く事は無い。
眼鏡を外した時点で、リリアーナの中では既に決着がついているのだ。
そもそもリリアーナを元に戻すべく奔走したのは本物のロックであって、目の前のロックではない。
偽者は知らないのだ。
リリアーナに眼鏡を外された時点で、既に白黒ついている事に。

ロックが被っていたどんぶりを机の上に戻すと、リリアーナは偽者を冷たく見下ろした。
>「…そうかよ、わかったよ!勝手にするがいいさ!(中略)
> だったらお前らはすぐにその本物を探しに行ったらどうだ!?
> どうせ見つからないに決まっている!この世にロックは俺一人だけだ!」
「――――言いたい事はそれだけ?」
リリアーナはロックに顔を寄せると、ロックバスターでぴたぴた彼の頬を叩いた。
・・・・・・完全に目が据わっている。いつものリリアーナとは一味違うようだ。

「あくまで本物だとシラを切るならそれでも構わらいわ。ギズモ!確かロックは保健室に向かったのよね?」
余りの剣幕に、ギズモが気おされるようにこくこくと頷いた。
「だったらそこに行ってみましょうか。でも偽者、あなたも一緒よ。
 何でこんな事をしれかしたのか、道中たっぷりと聞かせてもらおうじゃらいの」
リリアーナは、ロックの猫耳をロックを引きずるようにして立たせた。
「耳が毟れる前に、本物の居場所を思い出せると良いわれ〜」
ケタケタ笑うリリアーナの顔は妙に上気している。どことなく足元もおぼつかない様子だ。

>「おばちゃーん!俺のコーヒーにブランデー垂らし忘れてない?」
リリアーナ達の隣のテーブルからクレームが入っている。
・・・・・・そういえば、リリアーナのコーヒーカップからは、仄かにブランデーの香りがするようだ。

>205
「らによ?何か文句れもあるわけ?」
リリアーナはたまたま目が合った青年に絡んだ。
ミシュラが学園の生徒なら、多分リリアーナの顔くらいは知っているだろう。
アルナワーズのおもちゃになっている彼女は良くも悪くも目立つのだ。
まあリリアーナがここまで酒に弱く、かつ酒癖が悪いとまでは知らなかっただろうが。

207 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/07(金) 21:37:55 P
>201>204>206
リリアーナがロックバスターを構えたのを見て
フリージアも氷結根を生み出す
>「あなたは誰?本物のロックはどうしたの!!」
「正直に本当のことをおっしゃいなさい!!」
さあさあと詰め寄るフリージア
この際だからこの偽者を吹っ飛ばして変な手紙でたまったストレスを発散してしまおうという魂胆なのだ
簡単に言えば八つ当たりの相手を見つけたわけである

>「確かにフォルティシモは俺の相棒で宝物だったさ!
>だけど、壊れてしまった物を、いつまでも持ってても仕方がないだろ?
>…なあ、皆もなんかリリアーナに言ってくれよ!」

「本物のロックがそんなことを言うわけがありませんわ!!」
と否定するフリージア

>どうせ見つからないに決まっている!この世にロックは俺一人だけだ!」

この言葉にはっとするフリージア
そういえばこの偽者は自分に自由に猫になれたら楽しいのではないかとたずねた
その言葉から考えると・・・もしかしたら他人を変身させる能力があるのかもしれない
まさかロック(真)はえたえの知れない何かぞんざいなものに変身させられたのでは・・・・・・たとえばゴキちゃんとか
とか考えているうちに

>「――――言いたい事はそれだけ?」
なんだか目が据わっているリリアーナが関西ヤクザもびっくりな迫力でその言葉を切って捨てる
・・・・あ、ギズモ怯えてる
>「あくまで本物だとシラを切るならそれでも構わらいわ。ギズモ!確かロックは保健室に向かったのよね?」
「ハ、ハイ」
こくこくとうなずくギズモ・・・・かなり怖いようだ
>「だったらそこに行ってみましょうか。でも偽者、あなたも一緒よ。
>何でこんな事をしれかしたのか、道中たっぷりと聞かせてもらおうじゃらいの」

>「耳が毟れる前に、本物の居場所を思い出せると良いわれ〜」
「か、完全に酔ってますわね・・・・・まあいいですわ」
ところで・・・と話をするフリージア
「そういえばあなた自由に猫ちゃんに変身できたらとか言ってましたわよね・・・・・
 まあどうせ自由に猫ちゃんに変身できるけど自由に人間には戻れないとかいう落ちでしょうけど・・・・」
フリージアのこの言葉が何を意図しての言葉なのかわかる人間は果たしてこの中にいるのだろうか?

208 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg 投稿日:2007/12/07(金) 22:02:51 0
リリアーナがロックを椅子後と突き倒し、ロックバスターを突きつける。
そして怒気のこもった声で偽ロックにまくし立てるのだ。
更にはフリージアまで氷結棍を突きつけている。

突然の騒動に食堂は騒然とし、テーブルを囲むように人垣が形成される。
とかくトラブル(イベント)の多い学園において生徒達も物見高いのだ。
まだ状況が判らないので止めに入るものもおらず様子見をしているが、次第にざわめきが怒り始める。
「何?どうしたの?」
「リリアーナとロックの喧嘩?」
「偽者って?」
「リリィがあんなに怒るなんて珍しくない?」
「なんか・・・酔っ払ってな・・・」
「さすがリリィねぇ。ロックの事になると目の色変わるわぁ〜。」
そんなざわめきにちゃっかり加わっているのはアルナワーズである。
このようなことを予見していおり、いち早く自分の丼を持ったまま人垣の最前列まで下がっていたのだ。
そしてリリアーナの変調に気付いた言葉にかぶせる様にして言葉を紡ぐ。

???『他ならぬロックに化けるなんてリリアーナの逆鱗に触れるようなものなのに。』
男A「え、どういうこと?」
女A「あ、男子は知らないんだ。ついさっきだけど女子寮でひと悶着あって・・・」
男B「マジかよ!ロックとリリアーナが?」

???『リリアーナには色々噂があったけど、ロック本命で決まりだな。』
女B「そうよねえ。あの剣幕だもの。」
男C「リリアーナこえー!」

男C「アルナワーズが憑いているから玩具にされても付き合うことはないと思ってたんだけどなあ。」
???『それがねえ、女子寮で・・・」
男C「森の中で告白したぁ?」
女C「そうそう、しかも告白の言葉が・・・」

女D「これからどうなるのかしら?」
???『本物のロックを見つけ出して偽者を処刑するらしいよ。』
男D「マジかよ。保健室?」
女E「フリージアまで・・・想像以上に惨い処刑になりそうね。」
???『こえーケタケタ笑ってるよ。』

どこからか話を先導するような声が、ほぼ同時にいくつも上った。声色も男女様々だ。
ざわめきの中で、誰が発した声か特定できぬまま、周囲を巻き込んでいくのだった。
ほんの数個上がった声は更なるざわめきを誘発し、話を人垣全体に広めていく。
そしてついには、最初に上がった声など置き去りにして噂やざわめきが独り歩きを始めるのだ。


そんな様子をにこやかに見守るのはアルナワーズ。
『』内の言葉はアルナワーズの幻聴の魔法である。
言霊が込められており、自然とそれを信じてしまう効果がある。
リリアーナがよぱっらっていることから話を逸らし、リリアーナとロックの関係、これからの憶測をするよう誘導したのだ。

そんな中、切れ長な一重の目で顔の向きも表情も変えず、瞳だけでそっと別の方向を見る。
視線の先にはジミーが・・・いや、ジミーの肩越しにミシュラを捕らえたのだった。
幻聴に動じることなく、むしろ幻聴と見破り、その発生源である自分に気付いたであろうミシュラへの挨拶だった。

209 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/12/08(土) 01:13:05 O
「さて………ここからどう出るでおじゃるかな?」
キキは終始変わらず、上座に鎮座し偽ロックが泥沼に嵌まっていくのを楽しんでいる。
ロックの正体は分からぬとも、別人であることを知る彼女があの中に割って入らないのか?
理由は単純だ。面白いただそれだけのこと、この修羅場も彼女にとってはえらく上質な喜劇でしかない。
喜劇は見ているからこそ面白い、だから、彼女は何もしない。ただ観賞するだけである。………そう思ってはいたが、気が変わった。
(少しばかり、コイツにイタズラでもしてやろうかのう)
そう思い、キキは深く座っていた椅子から立ち上がり、人垣を裂くようにして抜け出した。
「………さてと、始めるでおじゃるか」
そう呟き、身近にあったテーブルを錬成し、ロックにそっくりな等身大人形を作った。
「ふむ………せっかく人も集まっておるしな、サスペンス的に驚かせて見せるでおじゃる」
それの有効利用する術を模索し終えると、キキは人形にある細工をし、火翔を使ってロック人形を先程、食事をしていたテーブルの上まで運んだ。
「多少のパニックも娯楽のうちでおじゃるよ」
狂気じみた笑顔を浮かべ、ロック人形を落とした。

210 名前:偽ロック ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/08(土) 08:49:19 0
>206
「お前は違う意味で保健室に行った方がよさそうだな。」
酔っ払っているリリアーナに偽ロックはそう言った。

>207
> 「そういえばあなた自由に猫ちゃんに変身できたらとか言ってましたわよね・・・・・
>  まあどうせ自由に猫ちゃんに変身できるけど自由に人間には戻れないとかいう落ちでしょうけど・・・・」
「フリージア、そういう話は後にしようぜ!」
偽ロックはぴしゃりとフリージアに言い放った。でも、猫変身の事を言い出したのは偽ロックの方である。
フリージアを誘惑しようと思って言った事ではあるが、今誘惑を続けたら、さらに自分への疑いを増す事になるだけだ。
「それより、フリージア!リリアーナに肩をかしてやれよ!見てられないよ!」

>209
その時だった。ガシャーンと大きな音を立てて、何かがテーブルの上に落ちてきた。
「げっ!?」
それはロックだった。これはまずい、非常にまずい。
言うまでも無いが、ここで本物が現れたら自分のなりきりが成立しなくなる。
でも、なんで!?本物がここに現れるはずがない!少なくともこの姿で登場できるはずがないのだ!

頭ではそう思ってても、体はすでに行動を開始していた。ここから逃げなくては!と。
偽ロックが両手をパチンと合わせると、ボンと大きな煙があがり、その場から消えてしまった。

死体のように、テーブルの上に横たわるロック人形をその場に残して…

211 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/08(土) 16:31:33 0
>210
>「お前は違う意味で保健室に行った方がよさそうだな。」 
リリアーナは全く聞く耳を持たなかった。
偽ロックの猫耳を握り締めたまま、危なっかしい足取りで保健室へと向かっていた。

>209 
その時だった。ガシャーンと大きな音を立てて、何かがテーブルの上に落ちてきた。 
>「げっ!?」
「ロック?!」
リリアーナは偽ロックからぱっと手を離すと、一目散にテーブルに駆け戻った。
「ロック!ロック大丈夫?! しっかりして!」
だがうつ伏せで倒れているロックはピクリともしない。
「ロ・・・」
ロックに触れた途端、リリアーナは真っ青になった。
投げ出されたロックの身体がまるで無機物のように硬く、冷たかったからだ。
「誰かレオ先生呼んできて!早く!」
リリアーナが叫んだ。
横たわるロックの身体の下から、赤黒い液体が染み出してくる。
今にも倒れそうな顔をしたリリアーナが、震える手でロックを仰向けにした。
ギャラリーから悲鳴が上がった。
横たわるロックの胸には、血まみれの刃物が突き刺さっていた。

どう見ても手遅れだというのに、リリアーナは応急手当を施そうとしていた。
だが半開きのままだったロックの目に気づいた途端、せわしなく動いていた手がぴたりと止まった。

死んだはずのロックの瞳は、紺色だった。

堰を切ったように、リリアーナの目からぽろぽろ涙がこぼれた。だが彼女は笑っていた。
「ふふ・・・・・・・・うふふふ・・・・・あっはっはっは!」
気でも触れたのかと周りがギョッとする中、ようやく笑みを収めたリリアーナは真顔で呟いた。
「―――― ロックじゃない」
それ以前に人間ですらない。
リリアーナはそう言い残すなり、ばったりと倒れて動かなくなった。
どうやら派手に暴れたせいで、完全に酔いが回ってしまったようだ。


「―――― あれ?ここどこ?」
次に彼女が目を覚ましたのは、夕闇迫る保健室のベッドの上だった。

212 名前:メラル (代理) 投稿日:2007/12/08(土) 18:01:15 0
メラルは、リリアーナがアルのことを大幅に誤解したのを見つつも、 
それに関してはあまり気にしなかった。 
フリージアへの手紙についても、本来ならば多少は心配するところだが、 
そういった気配は無い。普通に目の前の料理を食べている。 
(蕎麦を食べていると、不思議と心が落ち着くのよね・・・。) 

メラルは、フリージアの入れていた探りの意味は…聞くまではわからなかった。 
ロックの好物だと言う事は知らなかったようだ。 
妙な発言だなと思って、考えて…そしてやっと意味がわかる。 
(なるほどね。リリアーナもうまい事を考えたものね。でも…これじゃ決定的じゃない。) 
そうこう考えているうちに、リリアーナが更なる探りをかけた。 
>「そういえばロック、例の壊れた箒、もう捨てちゃった?」 
>「悪いなリリアーナ、壊れた箒ならもう捨ててしまった。」 
そして…偽ロックは決定的なボロを出す。そして、アルが囁きかけて来る。 
>(意外と早かったわねえ。) 
(そうね。…せめて歓迎会の終盤までは持たせてほしかったけれど。 
 このままじゃキキに悪いわ。) 
メラルがそれに対し囁き返し、いすを軽く引いて浅く座った。 

…リリアーナが動いた。ロックを突き飛ばし、召喚した銃の砲門をロックに向ける。 
そして、そうなってなおメラルは顔色一つ変えず、再度蕎麦をすすり始めた… 
周囲にはそう見えただろう。だが…メラルは既に自らの身を守る術は準備してあった。 
後は発動させるだけ、だからこその態度である。 
(…最初から動くべきだったわね。…ここに来る前に。 
まぁ、今考えても始まらないけれど。それより・・・向こうの出方ね。) 
そして、リリアーナの行動に対し、ロックが…弁解をした。 
>「なぁ、リリアーナ。俺だって、あまり役に立てなかったけど、 
  お前を人間に戻すために俺なりにがんばったんだぜ? 
  それをこんな仕打ちで返すなんて、あんまりじゃないか!」 
(ここまで決定的な言動をしている以上もはや無意味ね。) 
メラルはそう断じて続きを見守った。食事の手は流石に止めている。 
>「確かにフォルティシモは俺の相棒で宝物だったさ! 
  だけど、壊れてしまった物を、いつまでも持ってても仕方がないだろ? 
  …なあ、皆もなんかリリアーナに言ってくれよ!」 
(それは合理的。でも…ここまでの合理主義は私や姉さんにも無理。まして 
 情と暑苦しいほどの精神論で生きている人間の言動じゃない。 
 仮にあれが演技でもここでそれを言う理由が無いわ。) 
ここでも、メラルは表情一つ変えなかった。しかし…問題は次だ。 
>「…そうかよ、わかったよ!勝手にするがいいさ! 
  好きなだけ俺を偽者扱いしろよ!けどな… 
  俺が偽者なら、本物がどこかにいるんだよな!? 
  だったらお前らはすぐにその本物を探しに行ったらどうだ!? 
  どうせ見つからないに決まっている!この世にロックは俺一人だけだ!」 
(まさか…本物を殺し…た?もしくは空間の狭間にでも…) 
…メラルは直感的にそう考えてしまった。彼の言う通り、目の前のロックが偽者ならば 
本物は絶対どこかにいるはずなのである。それを、絶対に見つからない、 
と断言できると言う事に最悪の予想をしてしまったのだ。 

メラルは黙ったままだ。しかし…表情からは少なからず困惑の色が伺える。 

213 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/12/09(日) 10:26:43 0
ロックにリリアーナさんが告ったって本当なのか?
アルナワーズ、俺にも証拠の映像を見せてくれ

214 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/10(月) 12:10:06 P
>209>210>211

ガシャーン!!
大きな音と共に机の上に何かが振ってきた
「な、なんですの!?」
>「げっ!?」
机の上に降って来たのはロックであった
その腹には刃物が刺さっており血まみれになっている
「いやぁぁぁぁぁ!?」
絶叫するフリージア
>「誰かレオ先生呼んできて!早く!」
そうして応急手当を使用とするリリアーナ・・・・
だが
>「―――― ロックじゃない」
と言い残すとリリアーナはばったり倒れた
「リリアーナオネエチャン!?」
駆け寄るギズモ
ますますパニックになるフリージア・・・・だが

「コレ ニンギョウダヨ」

ギズモの漏らした一言に冷静さを取り戻す
「・・・・・本当ですわ」
その人形を触ってみて木製の人形だということに気が付く
「っていうことは・・・この血糊はケチャップかしら?」
ぺろっと舐めてみる

・・・・・・タバスコだった

「・・・・・・!?」

・・・・・・・・しかも激辛だった

「・・・・・・・み、水!!」

のた打ち回るフリージア・・・・まさか二重の罠が仕掛けてあるとは思わなかった

「ミズダヨ オカアサン」

「・・・・・ふう」
とりあえず水を飲んで落ち着いたフリージアはリリアーナを保健室に連れて行くことにした

              (保健室)

>「―――― あれ?ここどこ?」
「シラナイテンジョウ・・・ジャナインダ」
ボケるギズモ
「何の話ですの!何の!!」
りんごを氷の刃物で剥いていたフリージアはとりあえず突っ込んでおいた



215 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/10(月) 18:43:41 0
>214
「シラナイテンジョウ・・・ジャナインダ」 
「見知らぬ天井って?・・・・・・いやー、あいにく、こうたびたび世話になってるんじゃ・・・・・」
>「何の話ですの!何の!!」 
目の前ではフリージアが器用な手つきでリンゴを剥いている。
(フリージア・・・・・・あれ?・・・・・私なんでこんな所に――――あっ!!!)
はっと正気づいたリリアーナは布団を跳ね除けた。
「フリージア!あれからどうなったの?偽ロックは?本当のロックはちゃんと見つかった・・・・っっ?!」
一気にまくし立てていたリリアーナだが、話の途中で頭を押さえて蹲った。
どうやら二日酔いのようだ。

>「こらそこ、保健室ではお静かに!」
見慣れない女医がシャッとカーテンを開けた。
「あ、あの子!」
リリアーナの隣のベッドでは、例の野生児がすやすやと眠っていた。
視線に気づいたのか、女医は見慣れない子でしょう?とルーを振り返る。
「何でも森で発見されたそうよ。ロックって子が担ぎ込んできたのよ。
まあ、今夜一晩ぐっすり休めば元気になると思うけどね。野生児だけあってものすごい回復力。
 それにしても発見されたとき、この子全身氷漬けになってたそうねぇ。一体誰にやられたのやら?」
女医は妙に含みのある口調で、ベッドサイドに座るフリージアを見つめた。

布団で遊んでいたギズモがひょっこり顔を出した。
「あら、あなたさっきのグレムリン君じゃないの。
  ねえ、野生児ちゃんの服がまだ届かないんだけど?あなた達、お使いちゃんと済ませてくれた?」

216 名前:偽ロック改めコンコン ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/10(月) 19:22:52 0
夕日によって徐々に赤く染まっていく男子寮69号室の中。
その中にあっても、少年の髪は神々しく…悪く言えば怪しく金色に輝いていた。
彼こそが偽ロックに化けていた犯人である。
「さっきのあれ…何だったんだろう?」
そう不思議そうに呟く少年の視線の先に、黒い髪の少女が
ベッドの上で健やかな寝息を立てていた。もうかれこれ5時間は寝ているし、
予定ではさらに10時間以上は寝るはずだ。と言うより、寝てもらわなければ困るのだ。
少年はその少女の髪を愛おしそうに撫でた。
「可愛くなって、よかったね。君のお母さんはもっとブサイクだと思ったよ。」

「さてと…最後の仕上げは十分だし、書置きでもしようかな。」
少年は紙とペンをとり、流れるような草書体でつらつらと書き綴った。
『君の願いは昨日叶ったよ。』
少年はここまで書いて、少し悩んだ。しかしすぐに、
自分で納得する答えを思いついたようで、書置きの最後にこう付け加えた。
『コンコンより』
少年はパンと両手を合わせ、煙と共に消えてしまった。


果たして、コンコンとは何者なのか?そして、その目的は?
本物のロックが不在の中、彼のベッドで眠る謎の少女は誰か?

突っ込み所はたくさんあるが、とりあえず続く…

217 名前:アルナワーズ 投稿日:2007/12/10(月) 20:23:47 O
ミシュラに挨拶の目線を送っていると突然の物音がなり響く
それからはもはや喜劇だった
リリアーナは半狂乱でロック人形の救命措置をし、気絶
血のりを確かめたフリージアはその辛さのあまりとびあがる
「ぷっあはははは
二段がまえとは恐れ入ったわ。
嗚呼、あの映像ね。どうぞぉん」
ロック人形が偽ロックの置き土産かまたまた別のものかはわからないが、アルナワーズを楽しませるには十分だった。

ロックとリリアーナのあのシーンが食堂の壁いっぱいに映し出される
完成と熱気に包まれるなか、ボトルとグラスをいくつも持って食堂を悠々と歩くのだ
そしてたどり着く先にはキキがいる
「いかがかしら?これがここの日常よ。
退屈することがないのは保証するわ。
では、あらためて、ようこそ、キキ。我等が学園へ!歓迎するわぁん」
喧騒の渦のど真ん中で満たされたグラスを満面の笑みを持って掲げるのであった。

218 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/11(火) 21:57:41 0
>>208
状況は更にエスカレートしていき。
ついにはロックに武器を突きつけるところまで発展している。
それと同時にどんどん人だかりも多くなり伝染病のような速さで言葉が伝わっていく
>「何?どうしたの?」
>「リリアーナとロックの喧嘩?」
>「偽者って?」
>「リリィがあんなに怒るなんて珍しくない?」
>「なんか・・・酔っ払ってな・・・」
>「さすがリリィねぇ。ロックの事になると目の色変わるわぁ〜。」
「……………」
ミシュラは最後の言葉を放った女子を一瞬横目で見る。
他のギャラリーとは違った、遮り誘導するような作為的な言葉を見逃さなかった。
そしてまた、その女子、アルナワーズが先ほどロック達の中に居た事も覚えていた。
しかし、まだ確信というものはもてない。姿に関しては見間違いかもしれないし、
作為的な言葉というのもまた自分自身の思い過ごしかもしれない。

>???『他ならぬロックに化けるなんてリリアーナの逆鱗に触れるようなものなのに。』
>男A「え、どういうこと?」
>女A「あ、男子は知らないんだ。ついさっきだけど女子寮でひと悶着あって・・・」
>男B「マジかよ!ロックとリリアーナが?」
その瞬間、ミシュラの疑問が確信にかわる、あの女子は確実に意図的にやっていると。
「なるほど…言霊か…」
おそらく何の抵抗もないつい信じてしまうような声に聞こえるのだろう。
だがミシュラにはノイズが混じりキ―ンッと劈くような声にしか聞こえない。
情報操作か、カバーストーリーを流して真相を隠したいのか。
だが、どちらにしろミシュラはただ黙って聞いているしかない。集団を誘導している以上、
もうこの流れは止められはしないだろう。言霊とは人数が多ければ多いほど効果を発揮する。
この人数だ。1人が気づいてもできることなどたかが知れている。

どうしようもないので黙っていると、ミシュラを捉える視線を感じる。
その視線の主は先ほどから言霊を流しているアルナワーズ。
もちろんミシュラはその視線が言霊を破った自分への彼女流の挨拶なのだと気付く。
だがあえて反応はしなかった、この手の人間とはあまり関わらない方がいいと知っていたからだ。

>>206
そろそろ居る必要はないと思い部屋へと戻ろうと思ったとき、
たまたま渦中のりリアーナと眼があってしまった。すぐさま目線をそらし戻ろうと思ったがもう遅い。
>「らによ?何か文句れもあるわけ?」
酔っているのかなんなのか呂律が廻ってない。
>「お前は違う意味で保健室に行った方がよさそうだな。」
ロックを引き釣りながら今にも転びそうな足取りで動き始めるリリアーナ。
とりあえずよくは分からないがこれで騒ぎも収まるかと思いきや…
今度は凄い音とともに人型の物体が降ってくる。よく見るとロックだということが分かる。
本物が来たと思い偽者らしき方はボンッという音とともに逃げる、段々訳が分からなくなってきた。
>「誰かレオ先生呼んできて!早く!」
場が凍りつきヒソヒソ話が一斉にやむ、リリアーナがロックを仰向けにすると血まみれの刃物。
必死に手当てをしているリリアーナを全員が見ている。突然の出来事にきっとどうすればいいのか皆分からないのだろう。
途中でリリアーナが壊れた人形みたいに笑い出しそして今度は気絶。
「………彼女は大丈夫なのか?」
>「それよりもロックヤバイんじゃないか!?」
「あれは人形さ。……非常に細かく見辛いが木目が入ってる。」



219 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/11(火) 21:58:14 0
ミシュラに人形だといわれて胸をなでおろすジミー、そして半ば呆れ顔でミシュラに言う。
>「ミシュラ。なんか疲れたから帰らないか?あのメンバーは基本的に問題しか起こさないしさ。
  ここにいたって疲れるだけだと思うよ。毎度毎度本当によくやるよな。」
しかしまだ終わっていなかった。今度は壁に凄まじい映像が映し出される。
これできっとあと一ヶ月は学生たちは噂の種に困ることもなくなるだろう。
>「いかがかしら?これがここの日常よ。
>退屈することがないのは保証するわ。
>では、あらためて、ようこそ、キキ。我等が学園へ!歓迎するわぁん」
>喧騒の渦のど真ん中で満たされたグラスを満面の笑みを持って掲げるのであった。
収拾も付かないまさに混沌とした空気、ミシュラが知ってる日常とは正直かけ離れている。
>「…新入生か転入正の歓迎のためにここまで騒ぎ起こしたのか…ここまでくるとやりすぎだよ。」

そういうとジミーは食堂を出る。ミシュラもジミーに付いていく、後ろではまだまだ騒動は収まりそうにはない。
きっとあの映像のことでさまざまな推測やら物見遊山の話しが飛び交うのだろう。
「しかし、少しばかし引っかかるな。」
>「何が?新入生歓迎の大騒ぎだろ。あのメンバーのやりそうなことだよ。」
「偽者の話だ、なぜあの女子は言霊を流した?やはり真実は違うものなのか?」
>「言霊って何話だよ。」
不思議そうに見るジミーを気にせずなにやら喋っているミシュラ。
「それともただの愉快犯か……そういえばジミー、ロックの部屋で女子を見たといっていたな。
 あの中にその女子は居たのか?」
>「あっ!そういえばすっかり忘れてたよ。あの女子か…あのメンバーの中には居なかったな。
   というか、全く見たことない女子だったよ。本当に分からないんだ。」
「そうか、しかし、リリアーナと恋人ならばなぜロックの部屋に女子がいるんだ?
 ……いや、止めよう。邪推など何の意味もないな。直接俺に関わってくる話しでもないな…」

そう言い、自室へと急ぐミシュラ…
またいつものようにあのような騒ぎとは無縁の時間を過ごすのだろう。




220 名前:メラル(代理)◇1LtyyBHC/M 投稿日:2007/12/13(木) 23:21:36 0
リリアーナが凄い剣幕で偽者を引きずって行こうとし、更にフリージアも氷の棍を構えて 
ロックに詰め寄っている。周囲に酒の臭いがするが・・・どうせ誰かが持ち込んだだけだろう。 
そう断じて周囲を見回すと、アルが人ごみに紛れて何かを喋っているようだ。 
…だが…メラルには聞こえなかった。しかしそれでも状況から 
内容はこの騒動に関する噂の吹聴だと見当をつけ、アルがリリアーナを含む 
何人かには聞かせずに吹聴したいのだろうと推測した。言霊までは予想できなかったようだが。 
>「そういえばあなた自由に猫ちゃんに変身できたらとか言ってましたわよね・・・・・ 
 まあどうせ自由に猫ちゃんに変身できるけど自由に人間には戻れないとかいう落ちでしょうけど・・・・」 
途中、フリージアの声が聞こえてくる。それを聞いて・・・メラルは少し安心したようだった。 
ロックが姿を変えられただけの可能性もある…そう考える余地が生まれたからだ。 

そして…キキを探そうとするも、いつの間にかいなくなっていた。 
一瞬。メラルは愛想をつかされたという可能性も考えたが・・・その可能性はすぐになくなった。 
キキが何かを運んで空を飛んでいるのが見えたからだ。 
(動いてくれないかと思ったけれど…これで安心ね。) 
そう考え、状況を静観していると…人形がテーブルに落下し、 
それを見て慌てた偽ロックが逃げ出し、更にはリリアーナが勘違いして 
応急処置をしようとした挙句気付いた直後に気絶、その血を確認しに行った 
フリージアも血糊に使われたタバスコの犠牲になった。二人は早々に保健室行きである。 

メラルが溜息をついてから人形を観察し始めた。 
(確かに、本物と寸分違わない代物ね。血糊も…リリアーナが騙されるだけのことはあるわ。 
相当な腕の持ち主なのは間違いないわね。それに…頭も切れる。…収穫はこれが限界ね。 
それと、あの偽者の反応を考えると、本物はまず間違いなく…。いえ、 
これはリリアーナが考えるべきね。) 
そして、メラルはキキを探し始めた…が、そこでアルがとんでもない事を 
吹聴しているのが聞こえた。 
>「いかがかしら?これがここの日常よ。 
>退屈することがないのは保証するわ。 
>では、あらためて、ようこそ、キキ。我等が学園へ!歓迎するわぁん」 
(…全く…。この状況でキキに近づくのも無理ね。どうせまた人だかりが 
 出来るなりして近づけなくなるのは目に見えてるわ。でも…) 
メラルは、頭では色々考えつつも、騒がしくなった食堂から抜け出そうとし… 
入り口で、ふと歩を止めて振り返り、中を眺めて呟いた。 
「この平和は、いつまで続くのかしら…。」 
しかし、その言葉は殆ど誰の耳にとどく事もなく、風に吹かれて消えて行った。 
そしてメラルも食堂から去って行った・・・。 


221 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/13(木) 23:49:01 0
リリアーナが女医とギズモ達のやり取りを聞くともなしに聞いていると、元気良く保健室の扉が開いた。
入ってきたのは、まだ年端の行かない二人組。服装から察するに、どうやら初等部の生徒達のようだ。
>「せんせー、ジェーン診てやってくれよ!こいつ食堂で転んじゃったんだ!」
怪我をした少女に付き添っていた少年は、リリアーナと目が合うなりあっと声をあげた。
>「あっ!さっきの猫耳猫しっぽ女だ!」
「へっ?!私?!」
リリアーナは思わず自分を指差した。
猫耳バンドをつけたことはあっても、人間の姿で猫のしっぽをつけたことは無いはずなのに。
困惑するリリアーナを尻目に、ジェーンと呼ばれた少女が慌ててたしなめている。
>「ちょっとスティーブったら!先輩に失礼じゃない」
(・・・・・いや待って。つい最近、どこかでそんな映像を観たような観なかったような・・・・・・?)
どこだったかしらと思い出していると、少年は突然爆弾発言をした。
>「でもすげーよなあ先輩!あんな格好の映像、食堂で大公開しちゃうなんてさ!
 まあ先輩のバヤイ全っ然色気無いから、多少露出度が高くても・・・」
ザ―――――――― っ!!と、血の気がひいていくのが自分でもわかった。

>「あっ!こら、待ちなさい!!」
女医の言葉が追いかけてきたが、リリアーナは振り向きもしなかった。
彼女はベッドから飛び降りるや否や、はだしで食堂まで走っていった。

メラルと入れ違いに食堂へと駆け込んだリリアーナ。
息せき切った彼女がそこで観たものとは!

食 堂 の 壁 一 面 に 映 し 出 さ れ て い る 例 の 映 像 だ っ た。

画面を食い入るように見入っているリリアーナに気づいた友人が、
『あなたが声を掛けなさいよ』『いいえあなたが』と水面下で攻防戦を繰り広げている。
運の悪い方の女子生徒が、リリアーナにおずおずと声を掛けようとした。
「ね、ねえリリアーナ、ちょっと落ち着いて・・・」
「キャ ―――――――――――――――――― っ!!」
絶叫したリリアーナはそのまま一気に食堂の長テーブル上を突っ切ると、幻灯機を鷲づかみにした。
リリアーナは幻灯機を大きく腕を振り上げ―――― 地面に叩きつける寸前、奇跡的に耐えた。
人目が合ったからではない。以前アルが話していた、
>「壊れたり長い間放置されるとデータが勝手に魔法ネットワークに流れちゃう仕組みになっているから。」
というのを思い出したからだ。

俯くリリアーナの肩が小刻みに震えている。
クラスメートたちが引きつりまくった顔で必死にフォローに入れていた。
>「よ、良かったじゃない、ロックと公式カップルになれてさ」
>「そ、そうよそうよ。それにほら、リリィの胸、ちょっとは成長したんじゃな・・・」
「う・・・・・・うわあああぁぁぁあああん!アルのバカあぁぁぁぁぁ!!」
リリアーナは壊せなかった幻灯機を手に、食堂を飛び出していった。

その後。
学園のどこに行っても女子寮や食堂であった事件の話題で持ちきりだった。
ちなみに騒ぎを起こした当事者達は、夕食の時間になっても姿を見せなかった。
(同室のアルの話では、リリアーナの方は部屋に閉じこもって出てこないそうだ)

ロックの偽者騒ぎに関しては何一つ解決してないのだが、学園の皆はお気楽だった。、
今でこそ大げさに取りざたされているが、皆の記憶から抜け落ちるのもそう遠い先ではない。
なぜなら、明日また新たな事件が起こりうるからだ。

―――― そう。我らが魔法学園では、この程度の事件は日常茶飯事なのだから!

222 名前:キキ ◆xpIzi22gbg 投稿日:2007/12/14(金) 03:56:06 O
食堂でのどんちゃん騒ぎの後、キキは自室にて父に送る手紙を書いていた。
故郷を離れる際、父から耳にタコが出来るぐらい念入りに言われていたことを思い出したからだ。
それにキキ自身も、今日あったこと、知ったこと、得たものをこうして手紙にして送り、心配も紛れてくれれば、こちらとしても心配せずに済む。
「………に至るっと…この様に麿の転校初日は、父上共々予想を裏切る形になりました。此方の方々は、我々『鬼』に対し、恐怖も嫌悪感も抱かず、人として向き合ってくれています。
それに、友の為に尽力を絶やさない仲間とも出会いました。
この手紙が届く頃、裏山の紅葉は紅く染まっているでしょう。
きっと辛いことや、そのうち血のことで傷つくこともあるでしょうが、仲間と共に笑って行こうと思います………と、これでよしとするでおじゃるか」
一通り書き終えると、手紙を封筒に入れた。
どうやら、封をすると勝手にポストまで飛んでいく仕掛けらしく、魔法の絨毯のようにエイのヒレに似た動きをしながら手紙は飛んでいった。
「……………さてと…そろそろ眠るとするでおじゃるか」

223 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/14(金) 05:07:29 P
>215>221
>それにしても発見されたとき、この子全身氷漬けになってたそうねぇ。一体誰にやられたのやら?


そんなことを言いフリージアを見つめる女医
「お〜ほっほっほっほ・・・・」
とりあえずそれを笑ってごまかすフリージアであった

そして布団から現われるギズモ
>「あら、あなたさっきのグレムリン君じゃないの。
> ねえ、野生児ちゃんの服がまだ届かないんだけど?あなた達、お使いちゃんと済ませてくれた?」
「バッチリダヨ」
とサムズアップをするギズモ
やけに自信満々である
「そういえば遅いですわねえ・・・」
一体いつ届くのだろうか・・・・

そして・・・・とんでもない事を初等部の生徒に聞かされ裸足で飛び出していくリリアーナ
「リリアーナさんもすっかり元通りですわね」
「オサケデヨッタダケダモノ・・・」
すっかり安心したフリージアであった
・・・・いいのかそれで?

それからいくらか時間が経ち
なんだかフリフリな洋服が届けられた
「すごいデザインですわ・・・」
なんだか趣味に走りまくった雰囲気が漂っている
「イチカラヌッタッポイネ」
やはり裁縫の同好会に頼んだのが間違いだったのだろうか?


そし今日も騒がしい日常が過ぎていく・・・・

きっと明日も騒がしいだろう

だがフリージアはそんな日常が嫌いではなかった

224 名前:名無しになりきれ 投稿日:2007/12/14(金) 08:14:43 0






セーブしますか?

→ YES
   NO
















225 名前:魔法少女 ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/14(金) 08:15:50 0


明けない夜が無いように、止まない雨が無いように、
生きる者は、誰しも同じ場所にとどまり続けることは叶わない。
それぞれの過去を乗り越え、少女達は今日も未来に向かって歩き続ける。

物語の輪は、まだ回り続けているのだから。


――――   魔法少女達と冒険するスレ 6thシーズン  ――――



願わくは、良い結末が与えられますように…
  
                               〜アンジェリーナ〜




226 名前:魔法少女 ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/14(金) 08:18:00 0
※スレのお約束、テンプレ、学園についての説明は>1-3参照。
 何か疑問質問等があったら、遠慮しないで避難所にGO!


(参考資料)

【第一部】
念願の試験にみんなで合格しました!
これで卒業と喜んだのもつかの間・・・なんと私達、卒業までに受ける試験のうち一
番最初の試験にパスしただけでした。
学ぶべき事も、覚えなくてはならないことも山積み。
卒業までの道のりは、まだまだ遠く険しいみたいです・・・。

【第二部】
闇の魔法使いマリアベルによる、学園襲撃事件の顛末です。

幾つもの人格を持つマリアベルは、ある生徒に成りすまし学園内に侵入しました。
マリアベルの人格のうちの一人は、学園内に大量の悪魔を召喚し、混乱に乗じて建物を破壊し塔へと再構築させました。
襲撃の際殆どの生徒たちは転移ゲートから島の外へ避難しましたが、学園に残った生徒や教師もゼロではありませんでした。
彼らは協力し、悪魔やマリアベルに戦いを挑みました。
激戦の末、マリアベルは退けられ学園に平和が戻りました。

事件直後にはさまざまな憶測が流れていました。
マリアベルは何らかの儀式を学園で行おうとしたとも、何かを探していたとも囁かれていましたが、
何れも噂の域を出ることはありませんでした。
そうこうするうちに夏期休暇に突入したため、事件は徐々に人々の記憶から薄れつつあるようです。

※一般生徒、教師用に発表された説明を基にしているため、事実と異なる部分があります
  真実を知りたい方は過去ログ参照。

【第三部】
夏休み明けの始業式の日。
新学期早々、なぜか猫化してしまった女子生徒を元に戻そうとした友達と、巻き添えを食らった方々のお話。

この日に関する噂話一覧

・転入生がやってきた。
・朝、食堂に悪臭が立ち込めた。その後100匹の猫が現れ、招き猫広場まで暴走後、解散。
・中庭に野人出現
・男子生徒が女子寮に侵入しトラブルになったが、実は寮生のリリアーナが、ロックを自室に招き入れたらしい。
 (しかもそのときリリアーナは服を着ていなかった)
・その後食堂でリリアーナとロックが口論。リリアーナとフリージアはロックが偽者だと糾弾。
・直後、ロックの死体が出現。すぐに人形だと判明したが、混乱に乗じて偽ロック(?)は逃走。
・リリアーナの視覚的に刺激的かつ衝撃的な告白(!)シーンが、食堂で大々的に上映される。           orz
・男子寮のロックの部屋に、謎の美少女出現。しかもトップレスだった。
・新しい非常勤の女医は美人
・レイド先生が復活したらしい。




・・・では、素敵な学園生活を!


227 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/14(金) 18:33:59 0
そこは、のどかな草原だった。天には雲ひとつ無い青空が広がり、
時々吹くそよ風が草と、その草原にいる者達の頬を優しくなでている。
草原にいる者達…頑固そうな少年、角をはやした少女、金色の猫、そして金髪の女性。
そのうち、頑固そうな少年が金髪の少女に迫った。
「ちょっと待てよ!!最初に願いを叶えてやると言ったのはこの俺だろ!
 まず最初に俺の願いを叶えてくれよ!!」
>「やっぱり、左目を元に戻したいの?」
金髪の少女が答えた。
「違う!」
少年は赤面しながら金髪の女性に近づき…


その瞬間、世界は真っ白になり、新しく飛び込んできた景色は、見たことの無い天井だった。
少女はしばらくしてやっと気づいた。ああ…自分は夢を見ていたのだと。それも、かなり長い間。
少女はぼうっとした頭のまま、シャワーを浴びるため風呂場へと向かった。

熱い水の流れが彼女の凝り固まった四肢をほぐし、少女は生き返ったような心地がした。
それに伴い、頭の回転もだいぶ調子が出てきたみたいだ。少女は目の前にある曇った鏡を手で拭った。
そこに映ったのは見たことの無い少女の顔と裸体だった。墨を流したような黒い髪に対して、
やけにキラめく青い目がなんとも不釣合いに思えた。少女は鏡に映る自分の姿を観察した。
それほど、変わったところはない(頭に何かついてるけど)、健康そのものの肉体だ。
でも、頭の中はそうでもなさそうだ。私はいったい誰なんだろう?

シャワーからあがった少女はクローゼットを開けたが、一着も服らしいものが見つからなかった。
しかし、すぐに自分が寝ていたベッドの脇に赤いワンピースが置いてあることに気づいた。
少女はそれを着て、机の上の書置きを手にとる。
『君の願いは昨日叶ったよ。 コンコンより』
少女はペンを手に取り、書置きの空白に『コンコン』と書いた。
しかし、すぐに線を引いてそれを書き消した。
(違う、私はコンコンじゃない。)
その筆跡は自分のそれとはまるで似つかないものだった。
「コンコン、私の"昨日"はどこにあるの?」

その時、開け放した窓(いつ開けたかしら?)の方から羽ばたく音がした。
少女はちょっと驚いた。雪のように白いフクロウがこちらにまっすぐ飛んで来る。
その脚に何かを掴んでいたが、すぐになくなった。少女にそれらを渡したからだ。
「えっ!?なに?」
当然ほめてもらえると思っていた白いフクロウことアウルは、この言葉を聞いてがっかりした。
それを察した少女は慌てて取り繕った。
「えっと、ありがとうフクロウさん。私のために持ってきてくれたのよね?」
少女はアウルが持ってきた新聞を見た。ヒンニューと言われた女性が訴訟を起こした件や、
ある魔法学校の校長が実は同性愛者だったとか色々書かれていたが、特に少女の気を引くことはなかった。

それよりも気になったのは、アウルが持ってきたもう一つの品だった。
細長い木の箱…それを開けると、中には長さ30cmくらいの黒い杖が入っていた。
少女はそれを手に取ると、なんだか前にもこんな杖を使ったことがあるような気がした。
少女はくまなく杖を観察したが、残念ながら名前のようなものはその杖のどこにも書かれていなかった。
無銘の杖だ。

その時、ドアをノックする音がして、少女ははっと身を硬くした。
この部屋は男子寮の69号室、いわゆるロックの部屋だった。
それは、ごく当然の流れだった。なにしろ、この部屋の主ロック・ウィルは、
昨日の始業式ばかりか今日あった授業を全て無断欠席したのだから。

228 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/14(金) 18:37:39 0
名前・自分でもわからない
性別・女性
年齢・16歳(本人は知らない)
髪型・黒いロングヘア、リアル猫耳装備
瞳色・水晶のような青色(本来の水晶は透明だが、人は何故かこう称したくなる)
容姿・ロックの部屋で見つけた赤いワンピースを着ている。
備考・ロックの部屋に現れた謎の少女。どういうわけか、今までの記憶を失っている。
    アウルから無銘の杖を渡された。
好きな食べ物・レモンパイ
好きな生物・猫とか犬とか
嫌いな食べ物・生肉は食べたくない

【備考】
ロック・ウィル…学園の男子生徒の一人、昨日リリアーナの猫化騒動以降から行方がわからなくなっている。
コンコン…昨日、偽ロックに化けてリリアーナ達の前に現れた謎の生物。ロックの行方を知っている?
アウル…ロックのペットふくろう。

229 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/15(土) 02:08:44 0
話は、ほんの少しだけ遡る。

――――もしも、自分の恥ずかしい姿を(例えマジックアイテムが見せた幻だとしても)
不特定多数の前に晒されてしまったら、あなたならどうする?
ほとぼりが冷めるまで姿をくらます?
一生懸命「あれは私じゃない」と弁解する?
それとも ―――― 一切の雑音を無視して普通に生活する?

放課後になったばかりの食堂は、まだ人影もまばらだった。
だが、たまたま居合わせることになった生徒達の視線は、先程現れたとある少女に釘付けだ。
「頼まれてた品だよ。これで全部揃ってるかい?」
「うん。ありがとうおばちゃん」
金髪の少女はバスケットの中身を確認すると、食堂のおばちゃんに微笑みかけた。
>「それ、差し入れする気かい?
> そうだねぇ心配だよねぇ。あの子、昨日からとんと顔見せないからねぇ」
「いえ! こ、これはその・・・」
彼女の慌てぶりから察するに、どうやら図星のようだ。
上手い言い訳を探して慌てふためく少女に、おばちゃんは人の悪い笑みを浮かべる。
>「でもねえ、いくら大好きだからって、全裸で告白ってのはおばちゃんどうかと思うんだよ?」
少女は耳まで真っ赤になった。
「それは誤解です! ・・・し、失礼します!」
少女が脱兎のごとく食堂から逃げ出すのは、昨日に引き続き今日で二度目だった。

―――― 彼女の名はリリアーナ。
とある男子生徒に全裸で告白した(としか思えない)シーンを、食堂で上映されてしまった被害者だ。
学園一お祭り好きでいぢわるな同居人のせいで、当人の望むと望まざるとに関わらず
トラブル・・・もとい、イベントに強制参加させられている薄幸の少女である。

息を切らしてリリアーナがたどり着いたのは、男子寮近くの中庭だった。
彼女が男子寮に来たのは他でもない、友達のロックが、今日の授業全てを無断欠席したと聞いたからだ。
しかも今朝聞いた話では、ロックは昨日偽者が出現した後からずっと行方不明らしい。

でも本当は、無断欠席した理由なんてどうでもいい。ちゃんとロックが部屋にいてくれたらと思っている。
昨日、食堂にロックの偽者が現れたのが引っかかっているからだ。
あの偽者ロックが一枚噛んでいる可能性が捨てきれないが、今は本物のロックの安否を確かめるのが先だ。
(こんな事なら昨日部屋に閉じこもったりせずに、ロックの安否を確かめればよかった)
今更後悔しても、もう後の祭りなのだが。

「・・・・・・勢いでここまで来ちゃったけど・・・・・・・これからどうしよう?」
リリアーナは途方にくれた。
男子寮の中に女子は入れないし、今の自分がのこのこ出向いたら要らぬ噂の種をばら撒くハメになる。
何せ自分は、ロックに告白したとしか思えない映像を不特定多数の生徒達に見られてしまったからだ。
実際は全く持って事実誤認なのだが、この件でからかわれたらロックはさぞ嫌だろう。
もしかしたらそれが原因で、ロックは今日無断欠席をしたのかもしれないのだ。

リリアーナは木立の中に身を隠しつつ、キョロキョロと周囲を伺った。
(友達でも、男子生徒でも、先生でも、単なる知り合いだって構わない。
 私の代わりに寮のロックの部屋を見に行ってくれる人か、
 管理人のフーチさんからロックの話を聞き出せそうな人が通りかからないかしら)

>227
白いフクロウが大きな荷物を抱えてこちらに向かっているようだが、まだリリアーナは気づいていないようだ。

230 名前:アルナワーズ ◆fzY2bIXzgs 投稿日:2007/12/15(土) 20:42:50 O
「そこにいるのはシンデレラ?人魚姫?」
男子寮付近でうろうろするリリアーナに聞き覚えのありすぎる声がかけられる。
ギギギギと錆び付いた扉のごとき擬音と共に振り向いたリリアーナがみたものは、ある意味最も会いたくなかったであろう人物だった。
アルナワーズ・アル・アジフ。
「あらまぁ、リリアーナじゃない!
艱難辛苦を廃て王子さまに会いに荊の道を突き進む女の子って素敵だわぁー!」
誰のせいで艱難辛苦の荊の道になったのかと突っ込んでも無駄である。
それどころか有無を言わさず灰を振りかける始末。
「童話ではそんな女の子には親切で優しい魔女が力になるものよぉん。」
楽しげに灰をかけおわると鏡を突き付ける。
そこに映っていたものはリリアーナとは似てもにつかぬ男子生徒だった。
「簡単な幻術よぉん。
立体映像をリリィに被せているの。
女子寮と違って男子寮には幻術破りのトラップもないでしょうから、ね。
動きをトレースするけど、あまり早く動くとズレてブレルから気を付けてねぇん。」
にこやかに微笑みながら説明をした。
そして
「そんなに気に病まないで。
私の映像はインパクトはあってもサブミリナルを仕込んであるから記憶には残らないし、記録も出来ないのよ。
雪山でラルヴァとのも出来事を覚えていても映像を覚えている人はいないでしょう?」
申し訳無さそうに付け加えるのだった。


231 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/15(土) 21:17:22 0
 困った人を見れば、助けたくなるのが人の性。
 ただ、異性ともなれば話は複雑化するわけで。
「…………」
 男子用の制服に身を包み、窓枠に寄りかかるような姿勢。
 服装に矛盾する女顔には、亜麻髪の間から狐の耳が生えている。
 代わりに、側頭部にあるはずの人間の耳は無い。
 中庭に面する一室の窓から、キサカは中庭に顔を出したところだった。
 足音と気配に視線を落とせば、辺りを伺う少女が一人。
「リリアーナ、だったっけ……」
 食堂騒ぎの――件の映像の張本人だ。目当てはどうせもう一人の「彼」だろう。
「殊勝なことで」
 ……さて、茶化すべきか助けるべきか……。
 自分の経験と噂話から推測するに、もう一人の張本人であるロック・ウィルは行方不明らしい。
 始業式をサボタージュ、なおかつ衝撃の事件の発端でありながら女を連れ込むという素敵な生活態度。
 親御さんに伝えれば感極まって涙を流すに違いない。当然の如く、暗殺計画の片鱗を話す生徒がちらりほらり。
 白布で束ねた茶長髪はそう見逃せるものではない。とすれば、部屋に閉じこもっていると考えるのが常套。
 見舞いに来る側も同じ事を思いつくわけで。
 今まさに金髪の少女がいらっしゃるわけで。
(なにぶん面識が無いからなぁ……)
 好奇の視線を潜り抜けてここまで潜ってきた熱意は、一途恋愛キタコレ、と一笑に値するが、
 それとは別に、女性が困っていれば助けるのが野郎の仕事。

 下手に手を出すのも面倒だな、とキサカは傍観を決め込む事にする。
 見つかったならば声を掛ける。事情はある程度知っていると適当に嘘を吐いて。
 スルーされたなら……それはそれで構わない。彼女の勇気を無下にしなかっただけのことだ。

232 名前:アルナワーズ ◆fzY2bIXzgs 投稿日:2007/12/15(土) 22:08:02 O
リリアーナを幻術で男子生徒にしたてあげ、一仕事すんだと顔をあげたとき。
不意に目があってしまったのはどちらにとって不運だったのだろうか?
これから男子寮に潜入『させる』仕込を全て見られたのだ。
男子寮の男子生徒に。
そこでアルナワーズのとった行動は

『み た わ ね ?』
ホラー映画さながらにはずさない目線とキサカ本人にだけ聞こえる声。
幻聴の魔法をつかいキサカにコンタクトをとる。
『あなた、キサカよねぇ。
女の子が困っているんだけど、まあこっちにきなさぁい』
初対面ではあるがアルナワーズはキサカをしっている。
顔と名前が一致する程度ではあるが。
そしてキサカもアルナワーズをしっているだろう。
いろんな意味で有名であり、あらゆる噂がほぼ事実なのだから。
それゆえ、込められた言魂の影響以上にこの状況でこれを拒むことは賢明でないとキサカの魂が告げるだろう。

「リリィ、よろこんで。エスコートを買って出てくれるお友達がいたわぁん。」キサカがやって来るまえにリリアーナに事情を話す。
口封じのため、のように見えるかもしれない。
だが、実はそんなに口封じが必要とは思っていないのだ。
部屋でばったり三角関係の修羅場を期待しての事なのだ。

233 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/16(日) 00:25:41 0
 気付かれぬまま一連の作業を眺めていたキサカは、ふい、と視線を上げたアルナワーズに直視された。
『み た わ ね ?』
 空気の振動で伝わる「声」よりも脳によく響く「音」。恐らく幻聴の類で意思を伝えているのだろう。
(――!?)
 気付いた、というよりは、知っていた、としか思えない自然さで、視線が滑らかにキサカへと向いた事にまず驚き、
 ほぼ同時に、一種の亜人であるキサカの遺伝子が――恐らく野生の直感で――恐怖による悲鳴を挙げた。
 体が一気に強張って息が詰まる。逃げ出したいと脳髄が喚き、
(しかし取り乱さぬが紳士……)
 寝起きのように動きの遅い顎を動かし、自らに言い聞かせるように口上を詠う。
 他者に聞かせる必要は無く、自らの想起の基とする。
 引用譜。
 最初は中年の男のような声で、
「“私は常に紳士を心掛けている。比べて君は――”」
 声色が僅かに高くなり、
「“心掛けるまでもなく紳士だ。そこが違いだな”」
 慌てふためくなど愚の体現。静かに、落ち着くように自分へ課す。
 この口上は聞き齧りだ。大した意味は無い。だが自分自身に対して余裕を気取るには十分で、
(体は、動く)
 次の瞬間、まるで投身自殺のようにキサカは窓から「降りた」。
 なにかの反響音のような無機質な声が告げる。
「“エイヴンは神の使者である。大空の中で彼らの中に加わるほど名誉なことはない”」
 頭から落ちながら、二度目の引用。今度は明確な内容を含んだものだ。
 肩甲骨の辺りから薄緑色の光が左右に二本伸び、そこから垂れ下がるように無数の光板が生える。
 結った糸がほどけるように、即座に光板が羽状に変形展開。慣性で空気を孕んで減速する。
 空気抵抗で体の向きを変え、足の関節を軋ませて着地。
 衝撃で声を出しそうになるが、
(……ッ!)
 ゆっくりと息を吐き、吸った。更に吐く。
 一連の動作に意味は無い。
 ただ「飛び降りたほうが早く二人の場所へ着き」「そのまま落ちると痛いので羽を出した」というだけだ。
 印象付けさせる演出としては少々過度な気もするが、
(……悦に浸れるから問題無し、と)
 姿勢を正し、
「二人とも初めまして、かな。俺はキサカ。よろしく」
 一人称の俺はやめるべきかな、と思いつつ。
 別人にしか見えないけど幻術っぽさも残ってるなぁと内心駄目押し。
 ああちょっと意地悪い顔になってるな、と自覚しながら、
「で、彼の部屋に案内すればいいのかな?」

234 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/16(日) 09:30:51 0
昨日の騒ぎから一日が経った。この学校では騒ぎはたった一日でほぼ全校内に広まる。
ただ、昨日あったことなのにそこまで正確には記憶していないようだ。
授業もいつもどおりに進むし特にあれから何かあったわけではない。
男子生徒の中からロック暗殺を推敲している者もちらほら居るが…

>「なあミシュラ。お前も参加しないか?ロック暗殺計画」
その日の最後の授業が終わり寮へと帰ろうとするミシュラにジミーが話しかける
「ん、君も…その…ロック暗殺計画のメンバーなのかジミー?」
その言葉に鼻息を荒くしながらロックへの怒り(嫉妬)を語り始める。
ほとんどはロックの女関係のことだ。おそらくこの前振られたからピリピリしているんだろう。
「…おそらく複雑な事情があるんだろう。俺は正直参加できないな。
 しかし、まさか君がそういう余興に参加するなんてな。この前振られたのが原因か?」
図星だったのか固まるジミー。ミシュラは席を立ち、慰めるように肩を叩いたあと教室を出ようとすると呼び止める声がする。
>「申し訳ないんだけど君達ちょっといいですか?」
呼び止めたのはエース先生だ。先生に呼び止められるというのはあまり良いものではない。
「俺に…何か用ですか?」
>「いや…ロック君がどうやら今日全く授業に出てないみたいなんです。
   ちょっと心配でして、良かったら溜まってるプリントを部屋まで持っていってくれませんか?」
その申し出に少し考えるミシュラだが、こういう頼みを断るわけにもいかない。
それに一応ロックのことが気になってないわけではなかった。
「分かりました。持っていきます……」
>「ロックの部屋は69号室だよ、会ったらぼこぼこにしておいてくれ!」
「悪いが俺は喧嘩は得意じゃないんだ。おそらくこちらがぼこぼこにされる。」
ジミーの言葉に少し苦笑し答え、先生からプリントを受け取り部屋を出る。
とりあえず色々と探るつもりだ。ジミーが言っていた女子というのも気になる。

>>232>>233
さまざまな生徒とすれ違いながら中庭まで歩いていく。
中庭から男子寮はすぐ近くなので回廊を辿っていくよりも早い。
この時間はそこまで人気がない中庭に数人の人が見える。
しかも、1人は昨日言霊を流しミシュラの方を見てきた女子生徒がいる。
もう1人は男子…に見えるがミシュラには意味がない。普通の人間には男子に見えるのだろう。
だがミシュラには透けて中の人がいることもまる分かりだ。昨日絡んできた女子に見える。
どうやら男子寮に潜入するつもりらしい。もう1人は…ミシュラが知らない男子生徒のようだ。
(……ロック絡みか…この面子は…やはりこの二人も正確にはわかってないようだな)
幻術を使ってまで男子寮に入るのを止めようとも思ったが、
止めてやめるようにも思えなかったミシュラは三人を通り過ぎる。
その際に昨日の言霊を流した女子生徒と一瞬眼が合うが、特に何も言うことはなかったので男子寮へと入っていく。

「確か、どこだったか…69号室だったか」
ジミーに言われた言葉を思い返しながら歩き続ける。
66…67…68…69ここだ。69号室の前へとたどり着きドアを何回かノックする。
「留守か…それともジミーの言っていた女子か…もしくは本物か…とりあえずプリントはどうにかして届けねばな。」

235 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/16(日) 13:39:17 0
>230-232
リリアーナに助けの手を差し伸べたのは、今一番リリアーナが会いたくない人物が立っていた。
アルナワーズ・アル・アジフ。
リリアーナのルームメイトであり、昨日の食堂での上映会イベントの仕掛け人である。

>「あらまぁ、リリアーナじゃない! 
>艱難辛苦を廃て王子さまに会いに荊の道を突き進む女の子って素敵だわぁー!」 
だらだらと冷や汗を流していたリリアーナは、ここにきてようやく金縛りが解けたようだ。
「最初に言っておくけど!私は!かーなーりー怒ってるんだからね!
 私とアルの公認カップル説を払拭するためだったら、他にもっとやりようがあったで・・・・・きゃあああ?!!」
アルはリリアーナの話など全く聞いていなかった。それどころか問答無用で灰を降りかけてきた。
「ちょっと止めて、バスケットに灰が入っちゃうじゃない!」
>「童話ではそんな女の子には親切で優しい魔女が力になるものよぉん。」 
あまりの仕打ちに、さすがのリリアーナも爆発寸前だった。だが抗議を遮るように、アルが鏡を突きつけてくる。
鏡を覗き込んだリリアーナは、ぽかんと口を開けた。
鏡にはリリアーナはなく、銀髪にローブ姿の優男っぽい男子生徒が写っていた。

>「簡単な幻術よぉん。 
アルはにこやかに魔法の原理を説明した。
話を聞いたリリアーナは複雑そうな顔で黙り込んだ。
>「そんなに気に病まないで。 
>私の映像はインパクトはあってもサブミリナルを仕込んであるから記憶には残らないし、記録も出来ないのよ。 
>雪山でラルヴァとのも出来事を覚えていても映像を覚えている人はいないでしょう?」 
アルの話が自分の変装ではなく、昨日の騒ぎの事を言ってるのだとすぐに分かった。
反論は山ほどあったのだが、いつになく殊勝なアルの姿に結局何もいえなくなった。
「そうなの」

鏡を覗き込みながら思案しているリリアーナは知らなかった。
彼女の背後で、アルとうっかり目が合ってしまった猫耳麗人との間で無言の鍔迫り合いがあったことに。

>「リリィ、よろこんで。エスコートを買って出てくれるお友達がいたわぁん。」
「えっ?!ホントに?!」
>キサカがやって来るまえにリリアーナに事情を話す。 
「アル、ありがとう。私、ちょっとだけあなたのこと誤解してたみたい」
どう言いくるめられたのか、リリアーナはアルの手を掴むと、上下にぶんぶん振っていた。
「で、お友達ってどこ?」
アルは上空を指差した。

236 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/16(日) 13:40:04 0
>233
釣られて見上げたリリアーナは危うく悲鳴をあげそうになった。
窓から投身自殺よろしく飛び降りた生徒がいたからだ。
だが、彼がタマゴよろしく地面に叩きつけられることは無かった。
彼の背には、光輝く羽根のようなものが生えたからだ。
華麗に着地を決めた青年は、何事も無かったかのように二人に歩み寄ってきた。

>「二人とも初めまして、かな。俺はキサカ。よろしく」 
光る羽根の余韻か、彼の周りだけ妙にキラキラ輝いて見えた。
男子寮から降りてきたのだから男なのだろうが、まるで白百合騎士団の『お姉様』みたいだ。
男の猫耳が死ぬほど嫌いなレイドでも、キサカの猫耳なら許容範囲かもしれない。
ぽーっとそんなことを考えていたリリアーナは、キサカが軽く首をかしげたのを見てやっと我に帰った。
「あっ!ごめんなさい。ちょっと驚いちゃって。初めましてリリアーナです。今日はお世話になります」
リリアーナはぺこりと頭を下げた。
「ところでさっきの背中の羽根、 とっても奇麗だったわ。あれはキサカさんの魔法なの?」
リリアーナは好奇心で目をキラキラ輝かせているが、外見が男子生徒だということを忘れてはいけない。

キサカはじっとリリアーナを凝視した後、ふうっとため息をついた。機嫌を損ねてしまったのだろうか?
それとも、キサカも昨日の食堂に居合わせたのだろうか? 
リリアーナの弾んでいた気持ちがすっとしぼんだ。
「で、彼の部屋に案内すればいいのかな?」
キサカの一言で、リリアーナははたから見ても分かるくらい意気消沈した。
「いえ。別にそういうわけじゃ・・・・・・」 
顔を強張らせたリリアーナは、歯切れ悪く答えると俯いてしまった。
もしあの映像を見ていたとしたら、キサカに変に誤解されても仕方が無い事だ。

「・・・・・・昨日ロックの偽者が出たという話はご存知ですか?
 食堂の騒ぎの後、誰も姿を見ていないと聞いてちょっと心配で」
リリアーナはキサカが口を挟む隙を与えなかった。
「別に男子寮に忍び込みたいわけじゃないんです。ただ、元気なのかどうか知りたくて。
 キサカさん、もしよかったら、私の代わりにロックの様子を見に行ってもらえませんか?
 それでもしロックが部屋にいたら、私からとは伏せてこのバスケットを差し入れて欲しいんです!」
リリアーナはバスケットを差し出すと、縋るような目でキサカを見つめた。

その時だった。
フクロウ便が男子寮へと飛んできたのは。
白フクロウは、窓があいたままのロックの部屋へと吸い込まれていった。
だがリリアーナは見逃さなかった。
フクロウから荷物を受け取った、ロックではない人影を。

「・・・・・・やっぱり気が変わりました。案内してくれますよね、キサカさん」

237 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/16(日) 15:47:20 P
ここはフリージアの部屋
そこにいるのはもちろんフリージアとギズモ
「ふう・・・やっとこれで終わりましたわ」
机の上にはいつぞやの手紙と真っ赤なインクそして真っ赤に染まった羽ペンが一本
どうやら彼女はさっきまでこの手紙の返事を書いていたようだ
この赤ペンで修正された手紙が返事というのならばだが
「ギズモちゃんこれをここに届けてもらえるかしら?」
そしてフリージアはギズモに手紙と目的地への地図を渡すのであった

「ガッテンショウチノスケ」
よくわからない返事をして自らの翼で飛んで行くギズモ
その翼は蝙蝠のものによく似ている
猫の着ぐるみを着ているのでなんか蝙蝠猫っぽい

「それにしても・・・一体ロックは何処へ行ってしまわれたのかしら?」
見つかっていない本物のロックのことを考えるフリージア
「まさか!本当にもけもけしたよく判らない生き物に変えられてしまったんじゃ!?」
と、つい勝手な妄想をしてしまうフリージア
「こうしてはいられませんわ!!」
勝手に妄想して勝手に暴走するフリージア
本物のロックを探すべく部屋を飛び出していったのであった

その頃ギズモは・・・・

まっすぐに例の彼女の部屋に到着するギズモ
コンコンとドアを叩くギズモ
「オカアサンカラ オテガミノ ヘンジダヨ」
と普通に手紙を渡すギズモ
「まあ♥フリージアお姉さまからですの♥」
ありがとねギズモちゃんと満面の笑みを浮かべる女の子
その名はザボーネ・D・ドリアン(14)
フリージアのことをいつも遠くから見つめているらしくギズモのこともよく知っていたようだ
どう考えてもストー(ry
「じゃあギズモちゃん、お姉さまによろしくね♥きゃ♥」
その後ザボーネは封書に入っていた赤ペンで誤字脱字を修正された自分の手紙を見て色々と考え込み
本当の文章は別に隠されているのだと色々試してみるのだが、それは本編とはまったく関係ないお話である

「ジャア ボクカエルネ」
とまたふわふわと飛んで行くギズモであった

238 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/16(日) 19:14:09 0
>234
少女は右手に杖を持ったまま、なるべく音を立てないようにドアに近づいて行った。
覗き穴から見てみると、見たことのない男がいるのが見える。
とりあえず、危険そうな物は持ってないように見えた。

それでも、少女は何かあればすぐに閉めれるように、
少しだけドアを開けて、その男に尋ねた。
「あなたは誰?私に何の用?」

239 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/16(日) 19:53:58 0
 まだちょっと足首が痛いなーと場に合わないことを考えつつ、キサカは二人と簡単な挨拶を交わす。
 しかし天災トラブルメーカーにマークされていたとは人生油断できない。
 ……この程度なら、歓迎できるレベルだけども。

 リリアーナの視線が速攻で頭の耳に行ったのは仕方ない。慣れた事だ。
 呆けている男子生徒への対応に困っていると、我に帰ったのか慌てて頭を下げる。
「あっ!ごめんなさい。ちょっと驚いちゃって。初めましてリリアーナです。今日はお世話になります」
 好奇心に輝く目がなにやら怖い。
 野郎に見つめられる趣味は無い。全く無い。
「ところでさっきの背中の羽根、とっても奇麗だったわ。あれはキサカさんの魔法なの?」
 そして声が少女なのだから更なる違和感。
 その様子・手の曲げ方・表情などが一致しておらず、何処か可笑しくて、
「まあ、一種の魔法かな。空想具現化って言えば一番伝わりやすいと思うけど」
 実際にはそんな便利なものではないが、言う必要も無い。
 それと、とキサカは続け、
「歳近いんだしさ、敬語も敬称も要らないよ。(こっちも)目上でもないのにさん付けで呼ぶのは違和感あるし」
 相手によっては目上でも呼び捨てるけど、と内心で加えておく。

 灰で男子生徒化したリリアーナを少し眺めて、失笑を抑えようとため息を吐いたのは不自然だったろうか。
 僅かに表情が曇るのを見逃せず、マズったかなーと自己嫌悪。
 でも相手の方が遥かに不自然だから気にしない……!
「で、彼の部屋に案内すればいいのかな?」
 更に曇った。
「いえ。別にそういうわけじゃ・・・・・・」
 ああもう面倒臭い人だなぁ、と思いそっと胸に仕舞って、
 軽く気絶させて部屋に叩き込んでも面白いかも、と物騒な事を考える。
 ……こういう流れだと無理矢理行かされるのが普通だろうに。

「・・・・・・昨日ロックの偽者が出たという話はご存知ですか?
 食堂の騒ぎの後、誰も姿を見ていないと聞いてちょっと心配で」
 テーブルに血塗れの人形が落ちてきた時の話だろうか。彼女に捕まっていたロックが慌てて消えたが。
「別に男子寮に忍び込みたいわけじゃないんです。ただ、元気なのかどうか知りたくて。
 キサカさん、もしよかったら、私の代わりにロックの様子を見に行ってもらえませんか?
 それでもしロックが部屋にいたら、私からとは伏せてこのバスケットを差し入れて欲しいんです!」
 ……直接行って話せば一番良いんじゃなかろうか。
 懇願するように差し出されたバスケットを見て、キサカは、

240 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/16(日) 19:55:23 0
             ___,,,,,..... -一ァ
         / ̄;;;´;;、;;;ヾ;;;, -──--、,!
.        /'´|;;;;,、;;;;;;;;;;/      ,!
.         /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i   断  だ ,!
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i  る  が ,!
.      /:.;.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ       ,!
.       /レ' ;|:.:.:.:.:.:.:,:ィ:.:.:.:〉 __,.,!
     /-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
      /'ヽ、ヾi ゙´.:   /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
.    /ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!
   /::::;;;;;/  ' ,, ニ`ー-,、__\〉ィ,!
.   /;:::::/ ::.    ::.,,\_ゞ;'> 〈;,!
  /i!:::::iヾ-'、::..       '';~ ,;:'/,!
. /;;;i!fi´l_、,.`        .: ,;:'  ,!
/;;;;;i' ('ー、ヽ      ..: ,;:''   ,!
ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、   ,..:'.:'"    .: ,!
   ``ヽ.、_ ¨`  ,:'      (_r:,!
       ``ヽ.、..    ノr;ソ~,!
             ``ヾ、 / 7,!
                 ``ヽ,!

 このキサカが好きな事の一つは」――と断ろうとした瞬間、リリアーナの視線がキサカから動いた。
 何事? と後ろを向いてみるものの、特に何も無い。男子寮室の窓が幾つか開いているだけだ。
 と、視界に白いフクロウが映る。
 ……前にも何度か見た――誰かのペットか。
 そのままフクロウは、窓の開いた一室へ吸い込まれた。
「・・・・・・やっぱり気が変わりました。案内してくれますよね、キサカさん」
 ……あそこがロックの部屋か。位置からして――69号室かな。
 振り向きながら思い、それでいいとリリアーナに微笑。
「――承知致しました。御嬢様」
 キサカは自嘲とからかいを込めて、使用人のように恭しく礼をしてみせた。

241 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/16(日) 20:05:46 0
>>238
ノックをしてから程なくドアが少し開きそこから青色の瞳を覗かせる。
隙間から見える顔は男性とは思えない。ジミーがいった女子なのかもしれない。
>「あなたは誰?私に何の用?」
声を聞き、はっきりとロックではないということが分かった。
恐らくジミーが見たといった女子なのだろう。
ミシュラは少し考える。どうするべきかと、ロックにしか本来は用はない。
このまま失礼したと言いロック本人を探しに行けばエース先生との約束は果たせる。
だが、ミシュラは心のどこかでこういう展開を少しばかし期待していた。
偽者騒動やジミーの言っていたこの女子がどこかで繋がるような気がしていたからだ。
そして、首を突っ込むことではないと思いつつも真相を知りたいという気持ちもあった。
一呼吸おいて、ミシュラは青い瞳の女子の質問に答えることにした。

「俺の名前はミシュラ・キャパシェン、その部屋主のロック・ウィルと同じクラスだ。
 どうやらロック・ウィルは今日すべての授業を休んでいたらしくてな。
 エースという教員に頼まれて俺がプリントを持ってきた……。」
警戒されないように自分と部屋主の関係、そして目的をてきぱきと話す。
こういう時に動揺せずに冷静に話せるところがミシュラの強みだ。
「それと、君に用があるかと言われればどうかな…
 俺の用事はロック・ウィルに対するものであるからな。
 まあ、もしも君が男子でロック・ウィルという名前だったら話しは別だ。
 そういえば…君の名前は?ロック・ウィルなのか?」
ミシュラの言葉に少し困惑した顔をする青い瞳の女子…どうやら様子がおかしい。
普通、名前を言われて違ったら否定し当たっていたら肯くものだ。
だがどちらの反応も示さない…むしろどっちなんだか分からないという表情をしている。
その様子を見ていてミシュラには少し推考が入ってはいるが記憶喪失という言葉が過ぎる。
「……大丈夫か?…もしかして自分の名前が分からないのか…」


242 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/16(日) 20:15:22 O
平和が好きか?
と聞かれりゃ俺は迷う事なく「好きだ」と答える。
ラブ&何?
と聞かれりゃ「ピース」と答える。
好きな鳥は?
と聞かれりゃ「ハト」と答える。
俺はそんくらい平和が大好きさ。
戦争なんて下らない。
何の為に闘ってるのかなんて俺は知らないが、今すぐ止めるべきだね。
国の為、金の為、自分の地位を上げる為。
どれも下らない。
自分を待ってる人にもう一度会う為ってんなら話は別だが…。
つーかおかしいと思わないか?
戦争をするって言ってんのはお偉いさん方だろ?
国民を戦場に行かせるのは間違ってる。
そんなに闘いたいってんならお偉いさん方同士でタイマンでも張れば良い。
その方が無駄な血を流さずに済むじゃないか。
…っと、前置きが長すぎたな。
俺の平和好きはここまでにしといて、本題に入ろう。
俺は平和は大好きだが退屈はあまり好きじゃない。
この学園に居る限り退屈になる事はほとんど無いんだけどな…。
だが今日は何事も無く1日が終わろうとしている。
教頭に説教受ける事も無ければ、生徒から勝負を挑まれる事もなく、当たり前の事ながら俺に想いを寄せる女性から愛の告白、なんて事も無かった。
退屈だから職員室でエース先生と賭けチェスでもして楽し�

243 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/16(日) 20:16:46 O
退屈だから職員室でエース先生と賭けチェスでもして楽しもうかと思い職員室に足を運んだが、どうやら留守みたいだ。
う〜ん………。
せっかくだからメラルとの約束を果たしたいが何処に居るのか分からんしなぁ…。
あっ、そういや今日ロックの奴全部の授業休んだとかエース先生言ってたな…。
言われてみれば俺の授業にも出てない…。
これは何かあるかもしれん。
俺は早速ロックの部屋に向かうことにした。

244 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/12/16(日) 21:08:03 0
前回のあらすじ。
おしおきされました。


夜の支配者にして人類の敵対者である吸血鬼が食堂へと続く廊下を闊歩する。
生徒や教師などは割りとよくみる光景で普段なら見向きもしないはず、しかし今回は違っていた。
彼らの注目を浴びているとは知らずにヴァンはテクテクと廊下を歩く。
なにゆえ注目を浴びているのか、それは目線は皆そろって低い位置に設定されていることにある。
いまの容姿はタンパンにいつもの魔法帽とマントはつけておらず、極めつけは初等部の子らのように背が低いことだろう。
「うがー!迷った!」
そして記憶と思考も小さな子供並になってしまったのである。
原因は昨晩にオルビアのおしおきと称して飲まされた薬にあるだろう。
抵抗もむなしく縄で全身をがんじがらめにされて、無理やりの薬投与である。
少年の必需品であるタンパンも用意してあるあたり、計画的犯行といえよう。
昨日の槍による傷は完璧に癒えたとはいえ、その治療に要する血はハンパではなかったため、こうして血液を補給しにきたわけだ。
大きなころは地下含め学園内で知らない場所はあまりなかったわけだが、小さくなってからは記憶が曖昧になり迷子になってしまうほどだ。

>243
迷いに迷って職員室あたりまで来たときに一人の教員がヴァンの眼に止まった。
ヴァンエレン・ブランカートの宿敵リストNo3のレイドその人である。
ちなみにNo1はこの異変の黒幕である図書館司書のオルビアに他ならない。
「おいそこのいけすかないお前!
 何もいわずに血を差し出せ!」
大きい頃ならばここで見つからないうちにそそくさと隠れるはずだが、記憶の混濁が激しいので目の前の彼が誰なのかわからなかったのだ。

245 名前:アルナワーズ ◆fzY2bIXzgs 投稿日:2007/12/17(月) 01:22:43 O
「まあまあ、話が早くて助かるわぁ」
この期に及んでもぐづつくリリアーナとは対照的にキサカは話が早かった。
リリアーナも自分の中で何かに折り合いを付けたようでようやく同行を申し出る。
「レディーをエスコートする騎士みたいよぉん。美しいわぁ。」
見た目は男同士なのだが、なかなかのカップリングと内心満足しながら二人を送り出すのだった。
男子寮に入っていく二人を見送りながらアルナワーズは思いに耽る。

先程通りすぎていったミシュラ。
手に持っていたプリントの束からしてロックの部屋にいったのだろう。
幻術に耐性がある彼にはリリアーナにかけた術は単純すぎる。
部屋でばったりなったとき、三角関係の修羅場プラスアルファが期待できるとほそくえむのだった。

昨日の余波で巻き起こっているロック暗殺計画はすでにアルナワーズの耳に入っている。
そんな中にリリアーナがわざわざ寮内に現れたらどうなるか。
考えるだけでゾクゾクと身もだえしてしまうのに、それが実現してしまうのだ。いや、実現させてしまうのだが、あくまで偶然の結果論であると主張するだろう。

「うふふ。幸せの隣人は嫉妬ややっかみだなんて悲しいわぁ。
でも障害は愛を燃え上がらせるエッセンスよねぇ。」
軽い興奮を覚えながらそっと呟く。
もちろんミシュラが関与しなくとも、アルナワーズはこの楽しみを諦める積もりなどサラサラない。

そう、童話の魔法は大きな対価や制限があり、そして肝心なところで魔法自体は泡と消えるのが相場なのだから。
「童話でも結局幸せになるためのポイントは魔法なんかじゃなく女の子の勇気なのよねぇん。」
木々の中、ゆっくりと進み、大きな樹を見繕って座り込む。
あぐらをかき、背を持たせかけゆったりと瞑想に入るのだった。



246 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/17(月) 19:08:12 0
>239-240 >245
「――承知致しました。御嬢様」 
キサカは振り向きざまにっこりと微笑むと、執事のように優雅に一礼してきた。
「えっ、あっ御嬢様だなんて。私の事も呼び捨てで構いませんから」
>「レディーをエスコートする騎士みたいよぉん。美しいわぁ。」 
キサカの茶目っ気にマゴマゴしたリリアーナは、妙に嬉しそうなアルの言葉に苦笑した。
「そういう言葉は本物の御嬢様にこそ相応しいわね。・・・・で、アルは来ないのね?
 じゃあもしフリージアが来たら、私が変身したこと、忘れずに伝えてね。
 昨日の今日だし、私が偽ロックに化けてた奴って勘違いされたら大変な事になるから」
お願いね〜と手をフリージア、今度こそリリアーナ達は男子寮へと向かった。

「寮の間取り、前と変わってないみたいですね・・・あっ!」
リリアーナは慌てて口元を押さえた。
「そうじゃなくて・・・えーっと、そう!
 女子寮と間取りが正反対なだけで、あんまり変わらないなぁと言いたかったんです!」
はははと笑って誤魔化したが、キサカの目にはどう映っただろう?
実際のところ、彼女が男子寮に潜入するのはこれで二度目だ。
もちろん前回も、夜這いとかそういった類の理由では断じてない。
闇の魔法使い襲撃の折、消えたロックの手がかりを掴むため不可抗力で!
友人たちのフリージアやメラル、クドリャフカ達と一緒だった事をここに明記しておく。
「それよりキサカさんの耳、猫耳バンド・・・・・・とかじゃないんですよね?
 元用務員のアルテリオンさんも猫耳だったけど、ちょっと形が違うような気がして」
誤魔化すために話題を変えたようだが、リリアーナは羨ましそうにキサカの耳を見ている。
「ロックは猫耳生やしたら猫の言葉が理解できるようになったけど、キサカさんはどうですか?
 動物と会話ができるとか、遠くの物音が良く聞こえるとかっ?!」
リリアーナは熱心に喋りつづけているが、それはある意味現実逃避とも言えた。
なぜなら、さっきロックのフクロウ便を受け取った影は、どこをどう見ても女性だったからだ!!
(いーい度胸じゃないのロック。人に散々心配かけといて。
 もしあの人影がアンジェリーナさんじゃなかったら・・・覚悟なさいよね!)
にこやかに話すリリアーナの背後には、ゴーッと憤怒の炎が燃え盛っていた。

>241 
ロックの部屋の前には男子生徒が立っていた。
クラスメート達が騒いでいたので、リリアーナも顔だけは知っている。たしか・・・
「ミシュラ・オウジさん?」
人を指差してはいけません。
まして、ファンクラブが勝手につけたあだ名を本名だと思い込むなどもっての他です。

だが幸か不幸か、リリアーナは自分の間違いに気づきもしなかった。
「で、オウジさん。ロックの馬鹿は中にいるの?・・・・・・か?」
取って付けたような男言葉で話しつつドアの隙間を覗き込んだリリアーナは、
そこでようやく黒髪の少女の存在に気づく。
「・・・・・・え?」
棒立ちになったリリアーナの手からバスケットが滑り落ちた。

>238
この不思議な瞳の色は、ロックの本当の瞳の色と瓜二つだった。
おまけにその端正な顔にリリアーナには見覚えがある。
ただし時計をあと10年ほど進ませて、彼女が淑女と呼ばれるようになった頃の姿だが。

「まさかそんな・・・・・・あなた・・・ブランエン・ウィルさん?!」
そんなはずは無い。
彼女がここに居る筈が無いのだ。
なぜならブランエンは、もうとっくの昔に亡くなってしまったのだから。
しかも、ロックにアンジェリーナ以外の身寄りが居るなど聞いた事も無い!

――――では、この少女は一体誰?


247 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/17(月) 19:12:43 0


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
思考の海から帰還したリリアーナは、ふいににーっこりと微笑んだ。
ちょっとごめんねと軽くミシュラを押してスペースを作ると、ガッとドアの隙間に片足を突っ込む。
「あなたはだあれ?それと、この部屋の持ち主であるロックはどこかしら〜?」
ドアの隙間から見える少女の手を掴むなり、ぶんぶんと上下に手を振る。
「握手しましょう?私の名前はリリアー・・・・・・・・リリアーノよ。
 あのねぇ、実は私、差し入れ持ってきたのよ〜。かぼちゃジュースにレモンパイよ〜。
 ちゃーんとベジタリアンのアウル用にリンゴも持ってきたわ。
 おなかすいてない? すいてるわよね? 携帯乾燥麺でよければ、狐うどんもあるわよ〜?
 こんなところで立ち話もなんだし、中 に 入 れ て も ら え る わ よ ね ?」

リリアーナはニコニコと微笑んでいたが、握手の後も少女の手を離さなかった。
どうやら中に入れてくれるまで放す気は無いようだ。

248 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/17(月) 19:57:35 O
それは職員室を出た直後の事だった。
>244>「おいそこのいけすかないお前!
 何も言わずに血を差し出せ!」
何処からか声が聞こえる。
目の前?いや、人の姿は無い。
上?後ろ?
……下か…。
なんだこのガキは。
俺は目の前に居る小さなガキを片手でつまみ上げた。
「年上に対する口の聞き方をママに習わなかったのか坊主?
しかも血をよこせだぁ?
どこぞのヘボ吸血鬼みたいな事言いやがって…。
ま、アイツは俺に血をよこせなんて言える度胸の持ち主じゃねぇけどな…。
ん?よく見りゃお前…アイツに似てんなぁ…。」
ヘボ吸血鬼のガキの頃はきっとこんな感じだったんだろう。
サングラス越しに凝視するが、見れば見るほどアイツに似ている。
「まあ良い、坊主、名前と年齢と種族を教えろ。
ついでにママとパパの名前もな。」
どうせ迷子だろ。
今の俺には迷子の遊び相手をしてる暇は無いのだ。
職員室に残っている連中には悪いが、このガキの親が来るまでの間遊び相手になってもらおう。

249 名前:ブランエン? ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/17(月) 20:16:00 0
>241
> 「……大丈夫か?…もしかして自分の名前が分からないのか…」
「ええ。」
少女はうなずいた。
「ちょっと待って、あなたさっき男子生徒って言ったけど、ここは何かの学校なの?」
そう言っている時、どこからか別の声が聞こえてきた。

>246
> 「まさかそんな・・・・・・あなた・・・ブランエン・ウィルさん?!」
少女はびくっとして、思わずドアをガチャンと閉めてしまった。
自分の視界に、新たに二人の男が現れたからだ。
自分の名前も、どこから来たのかもわからない不安な状況において、
男三人が自分のもとへ押し寄せてきたら気分がいいはずもない。

しかし、すぐにドアが(さっきよりもずっと小さい幅で)開いた。
「ブランエン・ウィル…ブランエンが私の名前なの?」
少女はすごく小さな声でそうつぶやいた。

>247
その時、信じられない事に、男の一人がドアの隙間に片足を突っ込んだ。
> 「あなたはだあれ?それと、この部屋の持ち主であるロックはどこかしら〜?」
そしてあろう事か無理やり自分の手を掴んだのだ。
> 「握手しましょう?私の名前はリリアー・・・・・・・・リリアーノよ。
>  あのねぇ、実は私、差し入れ持ってきたのよ〜。かぼちゃジュースにレモンパイよ〜。
>  ちゃーんとベジタリアンのアウル用にリンゴも持ってきたわ。
>  おなかすいてない? すいてるわよね? 携帯乾燥麺でよければ、狐うどんもあるわよ〜?
>  こんなところで立ち話もなんだし、中 に 入 れ て も ら え る わ よ ね ?」

少女は涙目になって、首を横に振るしかなかった。
臆病な少女にとって、これほど怖い状況はなかった。
見知らぬ男が三人、自分の部屋(他人のかもしれないが)に押し入ろうとしているのだから。

しかし、その時少女の中でブツンと何かがキレてしまった。
体の震えが止まり、落ち着きが取り戻されてくる。
「ええ…いいわよ。どうぞ、部屋に上がっ…て!!」
少女は急にドアを全開にし、よろけたリリアーノもといリリアーナを引き寄せた。
リリアーナの首に腕を回して拘束すると、彼女の目の前に右手の杖を突きつけた。

「動かないで!」
少女は残りの男子二人にそう叫んだ。
「彼の頭を吹き飛ばすわよ?さあ、ゆっくりと後ろに下がりなさい!」
ハッタリだった。少女は魔法の杖の使い方なんてわからない。
しかし、もしハッタリだとばれても、その時は彼の目を潰すぞと脅せばいい。
こんな野朗がどうなろうと、知ったことではない。
「ブランエン…いい名前ね、気に入ったわ。他は全然気に入らないけどね!」
少女はリリアーナを脅すように言った。

ところで、少女にとって予想外の事が起こりつつあった。
少女はハッタリのつもりだったが、実際に魔力が杖の先に集中し始めたのだ。
少女は気づいてないが、このままではいつ暴発してもおかしくない。

250 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/17(月) 22:06:15 0
「えっ、あっ御嬢様だなんて。私の事も呼び捨てで構いませんから」
 ……自分で敬語を喋っている事に気が付いてないのだろうかこの人は。
 まあ、そういう口調なのかな、とキサカは一人合点。隣のアルナワーズを見てみれば、
「レディーをエスコートする騎士みたいよぉん。美しいわぁ。」
 ……端から見て性別が逆な件について。
「そういう言葉は本物の御嬢様にこそ相応しいわね。・・・・で、アルは来ないのね?
 じゃあもしフリージアが来たら、私が変身したこと、忘れずに伝えてね。
 昨日の今日だし、私が偽ロックに化けてた奴って勘違いされたら大変な事になるから」
 使い魔を従えたロール髪の彼女の事だろうか。――どうやら濃い人に顔が広いようだ。苦労してるに違いない。

 直接窓から入った方が明らかに早いのだが、変装した意味が無くなってしまうので正攻法で行くことに。
 THE、潜入。
 擦れ違う男子は――恐らく組み合わせに疑問でもあるのだろう――二人を見はするが、別段声を掛けてくる事も無い。
 横に並んだ状態で、キサカとリリアーナは歩いていく。
 方や、軽く折った片手にバスケットを提げ、何処か落ち着かない様子で歩く銀髪の男子。
 方や、微妙に緊張した面持ちで歩く、ある意味狙っているとしか思えない姿の女顔男子。
「寮の間取り、前と変わってないみたいですね・・・あっ!」
 ? と反射的に疑問を浮かべながら視線を向けてみれば、リリアーナは慌てて、
「そうじゃなくて・・・えーっと、そう!
 女子寮と間取りが正反対なだけで、あんまり変わらないなぁと言いたかったんです!」
 はははとぎこちなく笑うリリアーナ。焦りが見て取れる。しかも頬が引きつっている。
 ああそうか前科者ですか。恋する乙女は無敵ですかそうですか。
 ――そんな乾いた笑いじゃ俺は誤魔化せないZE。
「それよりキサカさんの耳、猫耳バンド・・・・・・とかじゃないんですよね?
 元用務員のアルテリオンさんも猫耳だったけど、ちょっと形が違うような気がして」
 ……うん、疑問なのは解るけどその眼は何かな? それとこれはあくまで狐なんだ。済まない。
「ロックは猫耳生やしたら猫の言葉が理解できるようになったけど、キサカさんはどうですか?
 動物と会話ができるとか、遠くの物音が良く聞こえるとかっ?!」
 熱く語るリリアーナに「少し、頭冷やそうか……」と小さく告げてみるが、特に気付かないようで、
 ……不法侵入に背徳感でも感じてテンション上がっているのだろうか。
「遠くの物音……ってのは、普通の人間との比較だから判んないや。特に動物の声を理解したりも出来ないし……」
 力の入った腕のせいでバスケットが軋んでいるのに気が付いていないようだ。
 ……これはアレですか。思わず荷物落としちゃって通りがかった男子に拾って貰うというフラグですか?
 そして速攻で「そういう話」に繋がる自分が嫌になるというからヒトって素敵。ビバ煩悩。
「それとさ、気付いてないみたいだけど……これ狐耳だから。イヌ科の」
 まあ、大したことではないのだけれど。


 69号室前に辿り着いてみれば、緑髪の男子が部屋の中の誰かと喋っているところだった。
 面識は無い。いや、見た事はあるのかもしれないが、思い出せない。
「ミシュラ・オウジさん?」
 あら素敵な名前。ってか知り合いですか御嬢様。
「で、オウジさん。ロックの馬鹿は中にいるの?・・・・・・か?」
 ぎこちないなぁ、と内心ヒヤヒヤしながら、まあ知り合いなら任せておこうとキサカは傍観する。
 そのまま自然に見える流れでリリアーナは部屋の中をドアの隙間から覗き込み、
 停止した。
「・・・・・・え?」
 腕から滑り落ちたバスケットをすかさず受け取っておく。
「まさかそんな・・・・・・あなた・・・ブランエン・ウィルさん?!」
 ……三角関係の出来上がり、と。
 この事実を公表すればリリアーナファンクラブの皆様(男女問わず)が押し掛けて宴が始まるだろう。
 ……何が召還されるのかなー。見逃すわけにはいくまい。

251 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/17(月) 22:08:15 0
 立ち位置を変えて中を見れば、黒長髪に赤いワンピースの少女がドアの隙間からこちらを覗いていた。
 そして頭に猫耳。
 ……もしかして流行っているのだろうか。
 リリアーナはドアの隙間に足を突っ込み、
「あなたはだあれ?それと、この部屋の持ち主であるロックはどこかしら〜?」
 荒々しいほどの手付きで、申し訳程度にドアに添えられた少女の繊手を掴んで、
「握手しましょう?私の名前はリリアー・・・・・・・・リリアーノよ。
 あのねぇ、実は私、差し入れ持ってきたのよ〜。かぼちゃジュースにレモンパイよ〜。
 ちゃーんとベジタリアンのアウル用にリンゴも持ってきたわ。
 おなかすいてない? すいてるわよね? 携帯乾燥麺でよければ、狐うどんもあるわよ〜?
 こんなところで立ち話もなんだし、中 に 入 れ て も ら え る わ よ ね ?」
 なにゆえ狐うどんなんてものを用意しているのか。ってか地が出てる出てる。
 ああこりゃアッパー入ってるな、とリリアーナをドアから引き剥がそうと歩み寄ったキサカは、
 泣きそうだった少女の表情が急に沈静化したのを見て、一歩を引いた。
「ええ…いいわよ。どうぞ、部屋に上がっ…て!!」
 少女は急にドアを全開にし、よろけたリリアーノを捕まえて拘束、眼前に杖を突きつける。
 キサカはとりあえず、バスケットを床に置いた。
「動かないで!」
「彼の頭を吹き飛ばすわよ?さあ、ゆっくりと後ろに下がりなさい!」
 吹き飛ばした後どうするつもりなのだろう。と、変に冷静な頭でキサカは考える。
「ブランエン…いい名前ね、気に入ったわ。他は全然気に入らないけどね!」
 何かに怒りをぶつけるように、少女はそう吐き捨てる。
 だがキサカは動じない。その顔は余裕すら湛えていて、
「人質……うん、全然構わない」
「!?」
 どうということはない。例えリリアーナの頭を吹き飛ばしてみせても、それで事態が好転するわけではないのだ。
「でもさ、その後どうやってこの状況を切り抜けるか考えてあるの?」
 何を、とミシュラを含めた三人がそれぞれの意見を言おうと口を開いた瞬間、
 三人は確かに聞いた。キサカの口が動いたのも見た。
 二重音声。
「“捕unt徒よ 醒argeの鞭はpeらす.望な  ”
 “C縛の使er覚Tせよ。汝t S闇照ll希  り。”」
 次の瞬間、キサカは魔力の集中した杖先を握り込む。
 防護処理もしていない素手でそんな事をすれば、普通指の一本や二本は軽く消える。
 しかし何も起こらない。
「っ! は、放し……」
 少女は反射的に腕に力を込め、
「断固拒否ーそして脇が甘い」
 杖をもぎ取るように力を入れれば、当然意識がそちらに向いて腕が疎かになる。
 その腕からキサカは、素早くリリアーナを引きずり出して抱き寄せた。
「失礼」
 耳打ちして、しかし放さない。
 同時に、引用譜で生み出された黄緑色の触手が、四方八方から一斉に少女に絡みついた。

252 名前:キキ ◆vnMt3fk8bc 投稿日:2007/12/18(火) 00:55:18 0
「…本当にそうでおじゃろうか?童話、お伽話の類は本来もっと残酷で醜いものでおじゃるよ
 欲望、嫉妬、悪意、狂気…大人ってのはそういうのに汚れているから、せめてこれを読んだ君たちは汚れずに育ってくれ…作者の狙いというのはそうだと思うが…」
アルナワーズが腰をかけた樹の上に居たキキが話しかける。
「嫉妬の狂いシンデレラに母親殺しの白雪姫…勇気というより嫉妬心でおじゃるな」
そう鼻で笑いつつ、火翔を使い樹の上から降りてくる。その左手には雛鳥の姿を模した人形の姿がある。
「ところで、麿の貴重な修練の最中に何の用でおじゃるか?」
キキが右手を弦楽器でも奏でるように動かすと偽雛鳥(ひなどり)は囀りはしないものの必死に口をあけ母鳥に餌を請う様を演じた。
しかし、ここまで上手く操って見せても母鳥は偽雛鳥に虫の足一本も与えなかった。
母性愛ってやつなのか、それも純粋にキキの腕が足らないのかは本人の判断に任せるしかない。

「…『長靴を履いた猫』として演ずるなら、気を抜くのはご法度でおじゃると思うが?
 それとも、そのつもりできたでおじゃるか?」

253 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/18(火) 01:05:32 0
>>246-251
ミシュラの言葉に対しそうだと答える目の前の女子生徒。
どうやら記憶喪失というのは間違いないらしい、そして次にお決まりの質問を投げかける。
>「ちょっと待って、あなたさっき男子生徒って言ったけど、ここは何かの学校なの?」
「…ああ、正確にはここは男子寮だ、そしてこの学校は…」
すべて言う前に後ろから声がする。
>「ミシュラ・オウジさん?」
「………オウジ?」
いつから自分の性はオウジになったのか分からなかったミシュラだが、特に突っ込まないでおこうと決めた。
何はともあれどうやら先ほど幻術を施したリリアーナと男子生徒がやってきたようだ。
>「で、オウジさん。ロックの馬鹿は中にいるの?・・・・・・か?」
「……いや、どうやら複雑な状況に…」
最後まで言う前にドアを覗き込んでいる黒髪の少女に気付きショックを受ける。
そして、ブランエン・ウィルという名前を言ったあとはしばしの硬直。

>ちょっとごめんねと軽くミシュラを押してスペースを作ると、ガッとドアの隙間に片足を突っ込む。
そして今度は畳み掛けるように話しかけ無理やり中に入ろうとする。
いきなりの行動に少しまずいと思うミシュラ、目の前の人間は記憶喪失でひどくこちらを警戒している。
こんなことをしたらどういう行動にでるか分からない、そして、その予感は的中した。
>「ええ…いいわよ。どうぞ、部屋に上がっ…て!!」
そしてまるで素人とは思えないほど素早い動きでリリアーナを捕まえ杖をリリアーナの眼に突きつけ言う。
>「彼の頭を吹き飛ばすわよ?さあ、ゆっくりと後ろに下がりなさい!」
記憶喪失には間違いない、杖の使い方など分からないはず、
つまりはったりなのだろうがこの状況で動けるとはとりあえず行動力がある人間だということは分かった。
しかし、本人は気付いているのだろうか、杖が勝手に反応し暴発寸前になっているのを。

どうしようかとミシュラが思っていると、男子生徒が余裕の表情で喋り始める。
>「人質……うん、全然構わない」
>「でもさ、その後どうやってこの状況を切り抜けるか考えてあるの?」
(…確かにメリットがあるとは思えない、そもそも追い詰められた結果だろうからな。
 そして、揺さぶりをかけるこの男子生徒の言葉は効果的といえる…だが…)
その時、男子生徒の口が動き、なんとも言えない呪文のようなものを喋り始める。どうやら二つの単語を同時に唱えているようだ。
ちょっと聞いたこともないような雰囲気の魔法は、杖の魔力を封じ込める。
そして、次に触手が青色の瞳の女子生徒へと絡みつく。
見たこともない魔法に特に驚きはしなかった、新しい魔法など生徒の数ほどあるものだ。
それぞれがさまざまな研鑽を得て習得していく技に同じものというのは初期の基本魔術ぐらいしかない。
おそらくこういうことも可能な魔法なのだろう。

様子を見ていたミシュラが口を開く。
「なるほど…どうやら無事に済んだようだな。しかし…少しやり過ぎだ。」
そしてミシュラが手を前へと出すと空中に歪みが現れ黒い化け物の腕のようなものが黄緑色の触手を次々に切っていく、
思い切り振り下ろしているのに不思議と青色の瞳の女子に傷というものはない。
「…立てるか?大丈夫だ…危害は加えない。」
そういい、青色の女子へと近づき手を差し出し立たせ、
青い瞳の女子とリリアーナ達の間に自分を置く形にしリリアーナに話しかける。
「どうやら彼女は記憶喪失らしいんだ。こういう行動に出たのは刺激し追い詰めてしまったからだろうな。
 とりあえずだ、リリアーナ…だったか?一度深呼吸して落ち着いてくれ。でないと彼女が警戒する。
 ロックのことも聞くに聞けないと思うんだ。ああ、それと…その手の幻術はなぜか俺には効果が薄くてな…
 今もはっきりと男子生徒ではない君の姿が見えている…」
補足をつけたし、青い瞳の女子の方へと向き直り、落ち着かせるように話す。
「まあ、その…さっき見たとおり…この学校は少し特別でな、魔法…っていうものを知っているか?
 その…魔法学校なんだ。だからさっきのようなことができるというわけだな。
 そして俺はその学校の男子生徒というわけだ。あの二人もそうだ、だが銀髪の方は幻術で本来は女子だ。
 ……ちょっと受け入れ難いかな…」
 
 

254 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/12/18(火) 18:06:54 0
>248
現在のレイドとヴァンの身長差はかなり大きい。
したがって両者が目線を合わせるとなると、一方が見上げる形になる。
見下ろされていることに大層ご立腹な様子で露骨に嫌な顔をしている。

>「まあ良い、坊主、名前と年齢と種族を教えろ。
>ついでにママとパパの名前もな。」

「無礼だぞ下郎」
指先に魔力が集中して、攻撃性のある打撃系の黒い魔力塊へと変化する。
詠唱なしの魔法はレイドの顔面にほんのわずかな衝撃をもたらすが、それでも軽く殴られた程度のダメージはあるはずだ。
「吸血鬼ヴァンエレン様をガキ扱いしたのだ。
 命があっただけでもありがたく思えよ」
鼻でふふんと笑い馬鹿にした調子でレイドを見下し(比喩的表現)、偉そうな態度を崩そうとしない。
レイド=強くていじわる、という方程式が確立されている現在のヴァンがこの場面に出くわしたら顔面真っ青になることだろう。
「といわけで、いただきま〜す!」
なにが『というわけ』なのかは置いておいて、腹ペコ吸血鬼はとにかく血が欲しいばかりにレイドに襲い掛かった。
吸血鬼は常人と比べると圧倒的な力を誇るが、相手は高い身体能力を持つ教師で知られるレイド。
返り討ちにあってぶっ飛ばされて、ボッコボコにされるのは眼に見えている。
相手は子供であると躊躇するような道徳の持ち主であるのなら話は別なのだが…。

255 名前:ブランエン(仮) ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/18(火) 19:37:59 0
>251>253
「きゃああ!!いやあああ!!」
黄緑色の触手が、四方八方から一斉に少女に絡みき、
ブランエンはそのあまりの気持ち悪さと恐怖から悲鳴をあげた。
先ほどの凶暴さはどこへやら、今はもうすっかり臆病なブランエンに戻ってしまっている。
触手をほどこうと無茶苦茶に手足を振り回しながら暴れていたブランエンは、
ミシュラによってその恐怖の根源が断たれた事に気づくまでずいぶんかかった。

> 「…立てるか?大丈夫だ…危害は加えない。」
だから、ミシュラがこのように声をかけた時も、ブランエンの耳にはほとんど何も聞こえてなかった。
地面にぺたんとお尻をつけたまま、懇願するような目で三人を見ていた。

> 「まあ、その…さっき見たとおり…この学校は少し特別でな、魔法…っていうものを知っているか?
>  その…魔法学校なんだ。だからさっきのようなことができるというわけだな。
>  そして俺はその学校の男子生徒というわけだ。あの二人もそうだ、だが銀髪の方は幻術で本来は女子だ。
>  ……ちょっと受け入れ難いかな…」

「…私もそうなの?」
ブランエンは蚊の鳴くような声で、それだけ聞くのが精一杯だった。
状況からして、仕方の無いことだった。
人質をとって窓から飛び降りようとしたが、それも失敗し、
あげくに自分にとって一番頼りになりそうな杖も、亜麻色の髪の少年に取り上げられてしまったのだから。

256 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/18(火) 20:46:30 0
>251 >253 >255
黒髪の少女は、ぐいとリリアーナを部屋の中に引き込んだ。思いのほか馬鹿力だ。
思わぬ反撃にバランスを崩したリリアーナに、彼女は持っていた杖を突きつける。
>「動かないで!」 
リリアーナは背中越しに黒髪の少女を睨みつけた。
少女も相当きているが、リリアーナも静かに怒っていた。
今なら無詠唱でロックバスターを召喚できそうだ。

>「彼の頭を吹き飛ばすわよ?さあ、ゆっくりと後ろに下がりなさい!」 
リリアーナが目を閉じ何事か呟くと、左腕から音を立てて大量の灰が落ちた。
だが、今のところリリアーナの外見は全く変化は無い。
「誰が、誰の頭を吹き飛ばすですって?」
勝利を確信したリリアーナは薄く笑みを浮かべた。

いざ反撃!と思った矢先、リリアーナの背中に少女の胸のふくらみが当たってしまった。
瞬間、リリアーナの両目が大きく見開かれる。
―――― まさに『つうこんの いちげき!』
>「ブランエン…いい名前ね、気に入ったわ。他は全然気に入らないけどね!」
脅すような少女の言葉だったが、当のリリアーナは無反応だ。
「・・・・・・・・ま、負けた・・・・・」
 何が? と突っ込んではいけない
とにかくリリアーナは、目の前の出来事とは全く別の件で精神的大ダメージを受けたようだ。

そうこうしているうちに頭のすぐ脇にある杖が光りだした。
(どうやら少女は、魔力はあっても魔法の使い方を知らないようだ)
すわ暴発して大惨事か!と思われたが、少女二人の危機を救ったのはキサカの機転だった。
「は、離してよ!あの子の正体は昨日の偽ロックかもしれないのよ!
 早くロックの居場所を吐かせないと大変な事になるわ!!」
リリアーナはじたばたと暴れていたが、女顔とはいえ男性のキサカ相手ではびくともしない。

だがキサカが魔法で生み出した黄緑の触手をみて、さすがにリリアーナの顔色が変わった。
「キサカさん!仮にも相手は女の子なんだから触手はらめええぇぇぇぇええ!!!」
>「きゃああ!!いやあああ!!」  

ここにきてようやくミシュラが動いた。
>「なるほど…どうやら無事に済んだようだな。しかし…少しやり過ぎだ。」 
ミシュラが手を前へと出すと、空中の歪みから現れた黒い怪物の腕のようなものが触手を切っていく。

ぺたん、と床に座り込んでいるブランエンを庇うようにミシュラが間に入る。
ミシュラの話では、どうやら彼女は記憶喪失らしい。
自分の強引さをやんわりと指摘され、リリアーナは唇を尖らせた。
> とりあえずだ、リリアーナ…だったか?一度深呼吸して落ち着いてくれ。でないと彼女が警戒する。 
> ロックのことも聞くに聞けないと思うんだ。ああ、それと…その手の幻術はなぜか俺には効果が薄くてな… 
> 今もはっきりと男子生徒ではない君の姿が見えている…」 
「え?ええ――――!!」
ミシュラの言葉を頭の中で反芻したリリアーナは、ひとり目を白黒させた。

リリアーナは身じろぎしたが、相変わらずキサカはびくともしない。
「私は落ち着いたから、もう大丈夫ですよー」
とりあえず暗に離してくれないかなーと意思表示してみる。
廊下からは人の気配がする。騒ぎを聞きつけたのかもしれない。
「とりあえず、あの子を刺激しないためにも廊下のドア閉めません?」
リリアーナは遠慮がちにキサカに提案してみた。

257 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/18(火) 20:47:22 0
ミシュラは少女に向かって、この学校の説明とリリアーナ達の身分を話している。
>  ……ちょっと受け入れ難いかな…」 
>「…私もそうなの?」 
「とりあえず杖が使えるわけだし、魔力はあるんじゃなーい?
 でも制御できてないから使わない方がいいわよー。
 暴発させて死にたいのなら別だけどー」
リリアーナは明後日の方向を見ながら思ったことを口にした。
だがちらっと少女の方を盗み見た時、彼女なりに何か感じたようだ。
「ねえ、本当に何も覚えてないの? ここはロックの部屋なんだけど、この名前に心当たりは無い?
 ――――私はロックを探してるのよ!だってもしかしたら、またマ・・・・・」
リリアーナは突然口を噤むと、何事か考え込んでしまった。

「・・・・・・ねえオウジさん、私の真実の姿が見えると言ったわね?
 じゃあこの猫耳少女の姿は、あなたの目には本当に女の子として映ってるのね?」
返答を聞いたリリアーナは深く考え込むと、更にミシュラに質問を重ねた。
「じゃあオウジさん、あなた昨日の朝、食堂でおばちゃんにつまみ出された金色の猫を見た?
 それと、昼過ぎあたりに偽ロック騒ぎがあったんだけど、あなたは生きて動いていた方の猫耳ロックを目撃した?
 ―――― 幻術に耐性があるオウジさんの目には、それらの姿はどんな風に映っていたの?」
どうやらリリアーナは、ミシュラの目で少女が偽ロックかどうか鑑定させる気のようだ。

258 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/18(火) 22:28:56 0
 救出という名分でリリアーナを引き寄せたはいいものの、
「は、離してよ!あの子の正体は昨日の偽ロックかもしれないのよ!
 早くロックの居場所を吐かせないと大変な事になるわ!!」
 一緒に縛られたいのかこの人は、と答えの決まっている問いを思いつつ、キサカは腕を緩めない。
 ……偽ロック、ね……。
 同時に遅延起動した引用の触手が生まれ、
 ……髪がくすぐったいですなぁ。
 触手が少女に絡みつくのを見て、流石にリリアーナは叫んだ。
「キサカさん!仮にも相手は女の子なんだから触手はらめええぇぇぇぇええ!!!」
 ……だって引用元の挿絵がどう見ても触手なんだもの。他に縛るもの無いし。
 続く少女の悲鳴。特に愉悦は感じない。
 基本、服の上だけだからセーフなんです。こっちに触感伝わってこないし。

 さて、取り押さえたはいいもの、と思っていた矢先、不意にミシュラが黒い腕を生み、触手を切り裂いて散らした。
 何の抵抗も無くばら撒かれる黄緑の物体。霧散していく魔力。
「…立てるか?大丈夫だ…危害は加えない。」
 怯える少女に優しく声を掛け、手を差し伸べる。
 嗚呼、なんと紳士的なことか。あれぞ男の鏡というもの。見習え世界。
 ……俺もちょっとアッパー入ってるかな。
 一人で芝居やってもツマンネ、とキサカは自己嫌悪に浸る。

 ミシュラが触手を払って少女を落ち着かせ、二人に事情を簡単に説明。
 幻術を見抜かれた事にリリアーナは大きな声を挙げ、落ち着いたのか一拍の後に身じろぎ。
「私は落ち着いたから、もう大丈夫ですよー」
 確かによく考えたらこの姿勢はマズイ。
「とりあえず、あの子を刺激しないためにも廊下のドア閉めません?」
 ちょっとぐらい照れないのかなー、とキサカは不謹慎な事を考えつつ、
「っと、……失礼しました」
 もう少し堪能していたかったが、渋々緩々とリリアーナから身を放す。
 拳の一発や二発は覚悟していたが、無傷で済んだことには感謝すべきだろう。
 とにかく、間違えようの無い事実が一つ。
 ――女の人っていい匂いがする。
 とりあえず我に帰り、皺の生まれた服を適当に払いつつ。
 配置的にドアに一番近いので、差し入れのバスケットを取ってドアを閉めた。

 鍵を掛けるのに少し迷ってから、掛けない事にして、キサカは部屋の中に振り向く。
 少女を見た。
 視界の中には居るのだろうが意識の外に居るらしく、水晶のようなその眼はミシュラへと向いたままだ。
 あるいは、意識してこちらを見ないようにしているのかもしれないが。
 透き通った青い眼に、暴れて少々乱れたものの滑らかな黒髪。
 猫耳はこの際スルーだ。珍しいといえば珍しいが騒ぐ事ではない。
 着ているものといえば、専用にあつらえたような赤のワンピースだけ。
 ……まあ、余計な事は言うまい。
 やっぱり見た事無いな、とキサカは少し距離を詰めた。

 話の途中で、マ、と言い掛けて口を噤み、リリアーナはミシュラと話し始める。
 ちょうど良い、と手振りで少女の注意を軽く引き、
「えーっ、とさ、俺はキサカ。よろしく」
 まるで新品のような黒杖を放って寄越した。あまり回転を掛けないよう心掛ける。
「これは返すよ。……さっきはちょっとやりすぎたね、ごめん」
 投げた手を下ろしてから、キサカは杖を握っていた手を躊躇いがちに開き、顔をしかめて閉じた。

259 名前:アルナワーズ ◆nxfWpCqeP2 投稿日:2007/12/18(火) 23:59:46 0
「あらキキじゃない。突然びっくりするわぁ。
で、それは汚れてる、といっていいのかしら?
欲望、向上心、嫉妬、愛、悪意、善意、狂気、正気。どれをとっても人には必要不可欠なものよぉん。
何も持たず純粋無垢でいるというのは白痴で残酷で・・・そして何より面白みがないじゃない?」
樹上から突然声をかけられるが、アルナワーズは動かない。
顔を上げることもなく瞑想の姿勢のまま穏やかにキキに応える。

そしてそのままゆっくりと言葉を続ける。
「修練の最中にごめんなさい。やっぱりあなたもこの樹が気に入ったのねえん。」
アルナワーズがこの樹を選んだのはただ手ごろな大きさだというわけではない。
男子寮付近の木立の中で最も霊的に位置のよい場所にたつ樹なのだ。
樹の種類自体は何の変哲もないのだが、霊樹として成り立っているのだ。
そんな霊樹で瞑想する目的は・・・

「私は童話をそんなに難しく解釈する気はないし、リリィをカラバ侯爵にするつもりもないわ。
ただ・・・面白ければそれでいいの。
そうだわ、キキ。せっかくだから修練の息抜きでもしない?」
微笑みながらアルナワーズは呼吸を整えていく。
それと同調するように樹もぼんやりと鈍い光を発し始めた。

アルナワーズが霊樹で瞑想する目的は、チャネリング。
通常では通話できない高次な存在と交信する能力。
だが、今交信する相手は高次な存在などではない。
ここしばらく一緒に暮らし、密かに波長を調整していたリリアーナである。
「今霊樹を介してチャネリングしているの。キキも霊樹に触れて心を落ち着けて波長を合わせてみて。
一緒に見れるはずよ。」
霊樹をアンテナとしてリリアーナに交信を始める。
そして、リリアーナの感覚に同調し、共有するのであった。
「リリィはね、発信だけのテレパシーができる面白い子なの。
受信方面をぜんぜん使っていないから、チャネリングされたという自覚もないでしょうね。
花も恥らう乙女な私は勇ましいリリィと違って、男子寮に入るなんてとてもできないからぁ。
それにしても・・・ロックの馬鹿だなんて。馬鹿っていえちゃうところに愛を感じるわぁ。」
クスクスと笑いながら事の成り行きを見守るのだった。
ロックの不在。
代わりの女の子。
ミシュラ+謎の女の子vsキサカ+リリアーナ。
めまぐるしく変わる状況はアルナワーズを満足させるに十分なやり取りである。
満足げに微笑みながら見続ける。
どこでどう手を加えようかと小さく舌なめずりをしながら。

260 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/19(水) 00:13:36 O
>254>「無礼だぞ下郎」
ムカッ…このクソガキャ…。
「口の聞き方に気を…」
ボスッ。顔面に軽い衝撃が走る。
>「吸血鬼ヴァンエレン様をガキ扱いしたのだ。
 命があっただけでもありがたく思えよ」
ブチッ……。
…もう許さん。
何でガキの姿になってるのかは知らんが、コイツはあのヘボ吸血鬼本人って事で良いんだな?
俺はガキの姿をしてようがヘボ吸血鬼相手なら容赦しねぇぞ。
>「といわけで、いただきま〜す!」
生意気にも襲いかかってくるヘボ…もとい、チビ吸血鬼をヒラリとかわし、後ろから脳天めがけて拳骨をくらわせる。
力は抜いたつもりだが、この身長差から拳が降り下ろされるのだから痛くない筈がない。
「クソチビ吸血鬼…いい加減にしねぇと生まれてきた事を後悔させんぞこの野郎。
これ以上無い位の恐怖と苦痛を味合いながら生まれてきたことを後悔するといい。
ま、それをするにはそれ相応の場所に移動しなきゃなんねぇが…。
人に見付からない秘密の場所にな……ケッケッケ。」
口で言っても分かんねぇ(既に拳骨はしたけど)ガキには身体に教えてやんないとな。
「で、どうすんだ?まだやるか?
それとも大人しく謝るか?」

261 名前:ミシュラ・キャパシェン ◆AaGEg.YLgA 投稿日:2007/12/19(水) 00:51:28 0
>>255>>257
>「…私もそうなの?」
まるで枯渇でもしたかのように聞き取れないような小さい声で聞く少女に
何といったらいいか分からずミシュラが黙っていると横からリリアーナが代わりに答える。
>「とりあえず杖が使えるわけだし、魔力はあるんじゃなーい?
>でも制御できてないから使わない方がいいわよー。
>暴発させて死にたいのなら別だけどー」
少し意地悪く感じられるが確かに言っていることは間違ってはいない。
「まあ…暴発するということは魔力があるということなのだろうな。
 しかし、持たせるとまた何があるか分からない。もしかしたら君が傷つくかもしれないな…
 杖は持たないほうが賢明だとは俺も思う。何かあってからでは遅いしな……」
フォローのつもりでミシュラも同じようなことを柔らかくして言う。

すると、また彼女に質問をかける。どうやらこの女子とロックが全くの無関係とは思えないらしい。
>「ねえ、本当に何も覚えてないの?ここはロックの部屋なんだけど、この名前に心当たりは無い?
>――――私はロックを探してるのよ!だってもしかしたら、またマ・・・・・」
そこまでいって黙り込んでしまうリリアーナ。
ミシュラはリリアーナの態度はただロックが見つからないだけで心配なだけではない。
かつてに何かあった上でロックを心配しているのだということに気付く…前に何があったのかは分からないが。
>「・・・・・・ねえオウジさん、私の真実の姿が見えると言ったわね?
>じゃあこの猫耳少女の姿は、あなたの目には本当に女の子として映ってるのね?」
「ああ、君のことははっきり見える。そして彼女もまた女性に見えるが……」
リリアーナは更に深く考え、更に質問を言ってくる。
>「じゃあオウジさん、あなた昨日の朝、食堂でおばちゃんにつまみ出された金色の猫を見た?
>それと、昼過ぎあたりに偽ロック騒ぎがあったんだけど、あなたは生きて動いていた方の猫耳ロックを目撃した?
>―――― 幻術に耐性があるオウジさんの目には、それらの姿はどんな風に映っていたの?」
その質問に少し考えるミシュラ、今までこの体質を特に意識したことないだけにそういうことを聞かれると少し答えにつまる。

「…まあ、金色の猫なら見たが、別に普通にただの猫だった。
 偽ロック騒ぎの際は酔った君に絡まれたりして偽者らしきロックのことも見ていたが…いたって普通の男子に見えたな。
 俺もこの体質について調べたりはしていないからな、どこまでは見極めが可能でどこからが不可能かは詳しくは分からない。
 偽者らしきロックがかなり協力な幻術を施しているなら俺の感知できる予知はない。
 俺の眼は万能ではないんだ、ただ少しばかし人よりもそういう類に強いだけさ。君の姿が分かるのはきっと簡単な術だからだろう。
 また、変身術や他の姿を変えるような術に対してはこの眼は無能だ。ただ幻術と催眠にかかりにくいだけのことだからな。」

そう言うとリリアーナが多少がっかりしたような顔をする。それに対し今度はミシュラは自分の見解を喋り始める。
「まあ…これは俺の勘だが、ロック・ウィルと彼女が関係していないことはないと思う。
 君も彼女をブランエン・ウィルと呼んだようにな、ロックの親族にでも似ているのか?
 しかし、彼女が記憶喪失でありロック本人が見つからない以上は何を考えようと推測の域を出ないのは確かだ。
 とりあえず、君が話せるところまでできれば話してくれないか?一回情報を整理したほうがいいと思うんだが…
 俺としてもプリントを届けると約束してしまったからな……これを渡せないとエース先生に合わせる顔も立つ瀬もなくなる。」

262 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/19(水) 17:00:48 0
>255 >258 >261
>「っと、……失礼しました」
「ううん。私のほうこそ取り乱しちゃって。・・・ごめんね?」
今頃になって自分の醜態が恥ずかしくなったのか、リリアーナはうっすらと頬を紅潮させた。
「ああ、そういえば助けてもらったお礼がまだだったわね!キサカさん、さっきはありがとう」

キサカがドアを閉めると、野次馬たちの声が少し遠のいた。
(そういえば私の幻術、いつまで効果あるんだっけ?)
いずれにせよあんまりのんびりしている暇は無さそうだ。

リリアーナは振り返り、改めてミシュラと少女に向き直った。
ミシュラの話では、彼はあくまで普通よりも少し幻術や催眠や暗示に強いだけで、
どんな変身術でも即座に見抜ける!というわけでは無いらしい。
「そうなんだ・・・・・・」
(ということは、彼女=偽ロックという可能性も捨てきれないのよね・・・)
リリアーナはなぜかその事にガッカリしている自分に気づいた。

「まあ…これは俺の勘だが、ロック・ウィルと彼女が関係していないことはないと思う。 
 君も彼女をブランエン・ウィルと呼んだようにな、ロックの親族にでも似ているのか? 
「似ているって言うか、ロックの母親そのものよ」
リリアーナはポケットから天使の人形を取り出すと、少女の顔に近づけてみせた。

黒髪の少女は目を潤ませながら、心細そうにこちらを見上げている。
出会った頃のロックの姿がダブって見えて、うっとリリアーナは後ずさりした。
(そう言えばロックを初めて見た時、てっきり女の子だと思い込んでたんだっけ)
もしロックが女の子で内気なまま育ったら、きっとこんな感じだったのかもしれない。
「・・・・・・・・・・」
リリアーナは、いつのまにか心細げな少女に同情している自分に気づいた。
(あーもう!!私のバカバカバカバカバカ!)
リリアーナは人形を握ったまま、自分の頭をぽかぽか叩いた。

ミシュラは少女に穏やかな声で語りかけている。
> しかし、彼女が記憶喪失でありロック本人が見つからない以上は何を考えようと推測の域を出ないのは確かだ。
> とりあえず、君が話せるところまでできれば話してくれないか?
(まさに、飴と鞭よね〜)
リリアーナとキサカが鞭なら、ミシュラは飴役だ。ミシュラはきっと上手くやるだろう。
リリアーナは彼らに背を向けると、部屋の中を物色し始めた。
「何か手がかりになりそうなもの、残ってないのかしら?」
リリアーナは部屋の中をぐるりと見渡すと、ロックの机の上に歩み寄った。
「・・・・・・これは!」
リリアーナがさっと顔色を変えた。

「見てこれ!」
リリアーナは皆に手紙をみせた。『君の願いは昨日叶ったよ。 コンコンより』と書かれてある。
「少なくとも、今日ロックはこの書置きに目を通しているわ! だって、ここにロックの筆跡が残ってるもの!」
リリアーナは、線で消された『コンコン』という落書きを指でトントン叩いた。
「願いを叶えるだなんて・・・あれは全部夢の中の出来事だとばかり思ってたのに!」
リリアーナは手紙を睨みつけていたが、ふと視線を感じて顔を上げた。
少女がこちらを見ている。
「・・・・・・・・・・・ 何よあなた、なにか思い当たる事でもあった?」

263 名前:ブランエン(仮) ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/19(水) 19:45:04 0
>258
> 「これは返すよ。……さっきはちょっとやりすぎたね、ごめん」
ブランエンは無言でキサカから杖を受け取った。
リリアーノとミシュラは危険であると指摘したが、ブランエンは決してそれを手放すつもりはなかった。
その杖が何だか自分にとって大切な物のような気がしたからだ。
頼りになる武器…というより、昔からの大事な相棒のような…

>262
> リリアーナはポケットから天使の人形を取り出すと、少女の顔に近づけてみせた。
それは自分にそっくりな人形だった。頭に変な物はついてないみたいだけど。
でも、なんで彼はこんな物を持っているのだろうか?
> 「・・・・・・・・・・」
「…………!?」
> リリアーナは人形を握ったまま、自分の頭をぽかぽか叩きだした。
意味がわからなかった。しかし、ブランエンは考えた。俺を殴れ…という意味かしら?
それにさっきから気になる事がある。なんだか、リリアーノの周りにだけ灰色の細かい何かがこぼれているような…?


> 「見てこれ!」
> リリアーナは皆に手紙をみせた。『君の願いは昨日叶ったよ。 コンコンより』と書かれてある。
> 「少なくとも、今日ロックはこの書置きに目を通しているわ! だって、ここにロックの筆跡が残ってるもの!」
リリアーナがそう言っている間、少女は部屋で見つけた雑誌(ブルームマガジン9月号ラブレス箒の魅力!)を丸めていた。

> 「・・・・・・・・・・・ 何よあなた、なにか思い当たる事でもあった?」
ブランエンはじっとリリアーナを見ていた。そして、ふらっとリリアーナに近づくと、
何を思ったのか手に持った丸めた雑誌でリリアーナをまんべんなくぱこぱこ叩きだした。
ブランエンがリリアーナを叩くたびに灰色の粉があたりに飛び散った。それは文字通り灰のようだった。

ブランエンはひとしきり叩き終わると、ミシュラに言った。
「あなたの言ってた意味がやっとわかったわ。」
そう、リリアーナを変身させていた灰が、全て落ちてしまったのだ。
今ブランエンの目にうつるのは、金髪の少女だった。


ブランエンは書置きの中の、線で消された『コンコン』を指差して言った。
「これは私が書いたのよ。」

264 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 投稿日:2007/12/19(水) 20:52:55 0
>260
「きゃん!」
がっぷりとかぶりついて血を吸うはずが空振りして、いとも簡単に攻撃を回避されてしまった。
かわし際に振り下ろされた拳が吸血鬼のあまり無い脳内を容赦なく揺さぶる。
視界いっぱいに広がるお星様が散らばるちょっと痛い天体観測が終わると涙目になりながら目の前のレイドを睨む。

>「クソチビ吸血鬼…いい加減にしねぇと生まれてきた事を後悔させんぞこの野郎。
>これ以上無い位の恐怖と苦痛を味合いながら生まれてきたことを後悔するといい。
>ま、それをするにはそれ相応の場所に移動しなきゃなんねぇが…。
>人に見付からない秘密の場所にな……ケッケッケ。」
底意地の悪い笑いをする人間に負けじと今度は「う〜」という唸りをつけることによって対抗しようとする。
たかが人間とみて油断していただけで、あんなゲンコツ一発屁でもないとまだレイドを甘く見ている様子。
このまま第二、第三の攻防が繰り広げられるのか?という雰囲気の中、いつの間にか周囲にはギャラリーができていた。
「多少はできることは認めてやるよでっかいの。
 お前と遊んでいるほど暇じゃないんで、この勝負は預けてやる。
 勘違いするなよー?
 ちょっとてこずる奴は無視して、弱そうな獲物を狙うという戦略的撤退だ。
 じゃあなでっかいの、満月の夜はせいぜい後ろに気をつけるんだな!」
どこぞの悪役よろしく捨て台詞を吐きつつ、ちょっと恐くなっちゃったもんだから威勢よく逃げることにしたのだ。
「わはー!」
ピコピコと子供の体に見合った小さな翼を動くと、大きく立派な翼へと変貌した。
数人のギャラリーの上空を飛び越えて、廊下を飛行する。

265 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 投稿日:2007/12/19(水) 21:41:03 0
>261>262>263
「とりあえず杖が使えるわけだし、魔力はあるんじゃなーい?
 でも制御できてないから使わない方がいいわよー。
 暴発させて死にたいのなら別だけどー」
「まあ…暴発するということは魔力があるということなのだろうな。
 しかし、持たせるとまた何があるか分からない。もしかしたら君が傷つくかもしれないな…
 杖は持たないほうが賢明だとは俺も思う。何かあってからでは遅いしな……」
 早い話が「持たせると危ない」ということだ。少女にとっても、こちらにとっても。
 偶然だ、と、感情が昂ぶっただけだ、とキサカは勝手に思う。人は追い込まれてこそ力が出るものだ。
 ……泣きかけだったし。……って泣かせた半分は俺か。
 何より、少女が杖を受け取ったときの表情を見れば、今更取り上げる気にはなれない。
 ……後で凶と出ないことを祈るばかり、かな。
 我ながら厄介な性格、と内心呟く。

 ミシュラの眼についての話を聞きながら、キサカはなんとなく部屋を見渡してみた。
 少し物が少なすぎる程度で、特におかしい点は無い。強いて言えば机の上にメモがある程度で、
 ……結局振り出しか。
「まあ…これは俺の勘だが、ロック・ウィルと彼女が関係していないことはないと思う。
 君も彼女をブランエン・ウィルと呼んだようにな、ロックの親族にでも似ているのか?
 しかし、彼女が記憶喪失でありロック本人が見つからない以上は何を考えようと推測の域を出ないのは確かだ。
 とりあえず、君が話せるところまでできれば話してくれないか?一回情報を整理したほうがいいと思うんだが…
 俺としてもプリントを届けると約束してしまったからな……これを渡せないとエース先生に合わせる顔も立つ瀬もなくなる。」
 窓から部屋に入ったフクロウの目的は、キサカの知るところではないが、恐らく少女。
 ロックか、ロックに親しい者、縁の者でない限り、多分あのフクロウは警戒するだろう。
 少女ではない誰かがフクロウの相手をし、その後少女を残して部屋を出た。そんな事をする必要が思い当たらない。
 そうだとすれば逆に、何故少女がこの部屋に居るのかという疑問にも繋がる。
 ……随分曖昧で適当な論拠だなー。
 答えを要求されていないのだから、それで問題は無いのだけれど。
「……そういえばさっきのフクロウは?」

 机の前で立ち止まったリリアーナは、
「見てこれ!」
 興奮気味にこちらに手紙をかざしてきた。
「少なくとも、今日ロックはこの書置きに目を通しているわ! だって、ここにロックの筆跡が残ってるもの!」
 手紙には、願いは叶ったという一文と、それとは明らかに違う筆跡の「コンコン」という文字。
「願いを叶えるだなんて・・・あれは全部夢の中の出来事だとばかり思ってたのに!」
 ……夢の中、ね。
「・・・・・・・・・・・ 何よあなた、なにか思い当たる事でもあった?」
 と、意識を外していた間に何処から持って来たのか、少女が丸めた雑誌を手にしていた。
 そのまま不意にリリアーナを叩き始めた。
 灰が散って咳をしそうになる。
「あなたの言ってた意味がやっとわかったわ。」
 ……やっと感付いたか。
 アルナワーズによる灰の幻術は、散り散りになって解除されていた。
 ……後で掃除しとこうかな。

 少女は手紙を指差して言う。
「これは私が書いたのよ。」
 ……変身説浮上。
 リリアーナとロックの付き合いはそこそこ長いらしい。字を見る機会も少なくないだろう。
 正式な筆跡鑑定ではないが、説得力はある。少女とロックが同一人物である可能性は低くない。
 ……もしくは、ロックが書いた字を自分で書いたと思い込まされてる。
 意味がわからん、とキサカはため息をついた。
「じゃあ、君の願いは、の部分の筆跡に見覚えは?」

266 名前:アルナワーズ ◆nxfWpCqeP2 投稿日:2007/12/19(水) 21:47:08 0
精神・心理魔術の権威フロイド曰く。

【人の意識階層はいくつかに分けられる。
心の奥底には動物的・本能的な欲望や衝動がマグマのように渦巻いている。
それを抑え込み、現実的・合理的な抑制をなす自我がある。
さらにその上に、理性や良心といった超自我が抑え込んでいる。
この三つの統合体が人格を形成している。
だが、さらに意識階層は下層へと広がっていく。
三つの意識の下に無意識下の自我がある。
さらに下げると、『集団の無意識』という個人を超えた生命体全体の集合意識へと辿り着く事になる。】

チャネリングとは、意識階層を個人意識領域を脱し、集団の無意識下へと潜航することであるのだ。
そして波長を辿り、対象の意識と更新する。
今まさにアルナワーズとキキは霊樹をアンテナとして、リリアーナに交信をしている。

同伴状態で視覚と聴覚を共有するにとどまるキキとは違い、先導するアルナワーズはリリアーナとほぼ全ての感覚を共有しているといってもいい。
>「・・・・・・・・・・・ 何よあなた、なにか思い当たる事でもあった?」
「ふふふ、妙にトゲドゲしい所がいいわぁ〜。」
そんなリリアーナの反応を楽しんでいると、突然衝撃に襲われたのだ。
なぞの少女が突然満遍なく丸めた雑誌でぱこぱこリリアーナを叩き出したのだ。

瞑想状態を保ち、あらゆる事態を想定しながら交信同調していたのだが、一旦場が落ち着いたのを見て油断が生じたのだ。
殴られた衝撃・不意を突かれたリリアーナの精神的衝撃・そして幻術が解けることによる術的な衝撃。
術的な衝撃はリリアーナ自身にはまったく影響はないのだが、精神を同調させているアルナワーズには大きな要因となる。
それがアルナワーズ自身の肉体にも降りかかることになる。
それぞれ一つずつならば対応もできただろうが、三つ同時に、しかも気が緩んでいた時に降りかかってきたのだ。
「いたたた・・・!」
思わず声を上げ、瞑想状態が崩れてしまう。
その結果・・・繊細な作業を要求されるチャネリング状態が混乱に陥ることになる。

合わせていた波長がずれ、アルナワーズの精神はリリアーナから外れてしまった。
だけならばまだよかっただろう。
混乱し、混線したアルナワーズの精神は『建物の精霊・ブラウニー』に接続してしまったのだ。
学園と同じく、男子寮も歴史ある建物である。
そんな歴史ある建物には建物自身が意思を持ち、精霊ブラウニーを生み出すのだ。
意識を持つといっても人間の基準のそれとは大きく違い、また別次元の意識体といえる。
そんなものに何の準備もなく偶発的に接続してしまえば、当然起こることは一つ・・・

アルナワーズに先導されたキキには突然視界にノイズが走り暗転。接続が切れただけに感じるだろう。

だが、男子寮では暴走したブラウニーによって建物が大きく揺れていた。
全ての部屋の扉は勝手に開き、数秒の激しい振動に見舞われる。
しかし、69号室は例外である。
いわば震源地であり、他の部屋のように扉が開くだけでは済まされない。
廊下に面した壁はきれいに崩れ落ち、まさにスケルトンハウスの様相を呈しているのだ。

「あいたたたた、危なかったわ〜。もう少しで脳みそが焼ききれるところだったわぁん。
キキ、大丈夫?ごめんねぇ。油断しちゃった。」
チャネリングの失敗を悟ると同時に、あらゆる被害を省みず自分の意識に戻ったアルナワーズ。
瞑想状態から戻り、コメカミを抑えながら樹上のキキに声をかけた。
そして、そっと男子寮を眺め、
「まぁ!『なぜか』男子寮が蜂の巣を突っついたような騒ぎになっているわぁ〜。
入らなくってよかったぁ。
それにしても、リリィ達は大丈夫かしら?」
困ったように頬に片手を当てながらつぶやくその先の男子寮は大騒ぎになっていた。

267 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 投稿日:2007/12/19(水) 23:23:15 P
フリージアは悩んでいた
「・・・・ロックを探すのなら当然、男子寮に行かなければならないのよね・・・でも」
言わなくても判ることだがフリージアは女の子である
「女一人で男子寮なんて危険ですわ・・・・襲われたらどうしましょう」
・・・・・果たしてそんな命知らずの生徒はいるのだろうか?

とりあえずこうしていて悩んでいても仕方が無い
行くしかあるまい!!と心を決めたフリージア
フリージアは空飛ぶ雪の結晶を作り出し男子寮の方向へ飛んでいった

「どうやら着いたみたいですわ」
そして男子寮の入り口の近くにいた男子生徒に問いかける
「もし、そこのあなた!今まで見たことも無いようななんだかモケモケした生き物を見なかったかしら?」
・・・・・・どうやらまだフリージアはロックがわけの分からない生き物にされたと思い込んでいるようだ
「・・・・はい?」
フリージアに話しかけられた男子生徒は困惑した
え?何で女生徒が?ここ男子寮のはずだよな・・・・自問自答する男子生徒
「いえ・・・見てませんが」
とりあえず何とか返事をする事は出来た
「そう、ありがとう」
お礼を言うフリージア
「あなたは一体?」
・・・が彼がそう問いかけた時すでにフリージアは居なかった
猫が男子生徒の後ろを通り過ぎていったのでフリージアはそれを追いかけていったからである

>266
猫を抱きながらまた別の人物に同じ質問をしようとしたフリージア
「もし・・・そこのあなた・・って何ですの?地震?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
だが突然揺れだした男子寮によってそれは中断された
あっと驚くフリージア!思わず猫を逃がしてしまった
ますます揺れが大きくなる男子寮
「こ、この俺が女性に話かけられるなんて・・・・」
が、話しかけられた男子生徒はそれどころではないようで
感動して血の涙を流している
「苦節16年、ついに俺の時代が!?」
どうやらこの生徒何かを勘違いしているようだ

(その頃のギズモ)
「タダイマ・・・ッテ カギガシマッテル!?」
手紙を渡して帰ってきたら主人が居らず
しかも部屋には鍵が掛かってて入れない
そんな状況に陥っていた


268 名前:グレイズ ◆e2mxb8LNqk 投稿日:2007/12/20(木) 00:54:03 0
騒ぎが起こっている男子寮から随分と離れた林の中。
「ん〜…はーっ。たまには息抜きも良いものだね。」
黒髪学ランの少年が起き上がり、伸びをする。
彼はグレイズ・ウルフォード。
側頭部でピコピコ動く耳はどう見てもイヌ科のそれである。

【な?俺の言った通りだろ〜S〜。
面倒な授業なんてものいらないいらない!必要なのは休みと遊びと食い物だけだ!】
【阿呆、それなら此処に来る意味が無い…。】
【うっせー!Bは黙ってろー!ガリベンヤロー!】
グレイズの傍で喧嘩をする赤髪の明るい少年・グレイルと青髪の落ち着いた少年・グレイブ。
それを見かねたのか、グレイズが仲裁に入る。
「止めろって2人とも。折角の爽やかな気分なのにさ。」
少年達3人で喋る。
普通ならばよくある光景だが、他人が彼らを見れば不思議な光景である。

【あ、そーいえばよー?】
しかしそんな事などお構いなしなグレイルは何かに気付く。
【寮の方騒がしくないかー?】
「そうだね。何かあったのかな?昨日のリリアーナさんの衝撃告白映像みたいな事とか…。」
【まずは向かってみるが良いだろう。】
「あーうん、そうするよ…って、あそこに誰かいるね?」
グレイズが男子寮へ向かおうと思った矢先、視界の中の大きな樹に誰かいるのに気付く。
樹上には転校生。根元にはロングストレートの女性。
「樹の根元のあの人ってもしかして…」
【……もしかしなくても、情報通でトラブルメーカーのアルナワーズだ…。】
【あるなローズ?薔薇なんてないじゃん!】
グレイルのボケにグレイズが素早くツッコむ。
「アルナワーズだよ!まあいいや。
情報通なら何か知ってるかもしれないし、聞いてこようか。」
【いや、奴なら何か妙な事に関わってそうだ。それならお前よりも俺が良い筈…。】
「ふーん、じゃあよろしくね…。」
そう口にすると、グレイズにグレイブが『入り込み』、容姿が変化した。

269 名前:グレイブ ◆e2mxb8LNqk 投稿日:2007/12/20(木) 00:55:36 0
瞳と髪の毛は青くなり、耳は普通の人間のものになり、切れ長の目となった。
単純に言えばグレイズはグレイブになった。これで十分に伝わるだろう。
「さて…行くか。」
【本当に大丈夫?】
グレイブからグレイズが『出てきながら』言う。
「…多分な。」
【多分じゃ意味ねーじゃん!】
「五月蝿い…そろそろ黙れ……。」
そんな会話をしながらグレイブは樹の2人に近づいていった。

270 名前:ブランエン(仮) ◆jWBUJ7IJ6Y 投稿日:2007/12/20(木) 19:14:20 0
>265
> 「じゃあ、君の願いは、の部分の筆跡に見覚えは?」
「コンコンが書いたんでしょ?」
ブランエンはさも当たり前のように言った。何も知らないブランエンは、
コンコンと言う名前の生徒がいるものだと思ったからだ。
ちなみに、キサカが気にしていたフクロウだが、もう部屋にはいない。
ブランエンに渡す物だけ渡した後、すぐに飛び去ってしまった。

ブランエンは徐々に落ち着きを取り戻していた。
とりあえず、自分以外に女の子がもう一人いる。
その事実が彼女の心を支えたからだ。

>266
しかし、それも束の間。
男子寮は(というより男子寮だけが)突発的な大地震に見舞われた。
「えっ、何?!きゃあああ!!」
ブランエンはまたもや悲鳴をあげて、両腕で頭をかばいながらうずくまった。
まったく、目が覚めてからというもの、怖いことばかりだ。

こんな状態が続くと、またキレてしまうかもしれない。

271 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M 投稿日:2007/12/20(木) 22:19:34 0
>「あなたの言ってた意味がやっとわかったわ。」  
>アルナワーズによる灰の幻術は、散り散りになって解除されていた。 
変身を無理矢理解かれたリリアーナは明らかに怒っていた。
「何てことするのよ!ここは男子寮なのよ!
 中に女の子が忍び込んなんて知られたら大騒ぎになっちゃうのに!」
>「これは私が書いたのよ。」 
「・・・・・・・それ本当なの?」
リリアーナの脳裏に、昨日体験した不思議な出来事が鮮やかに蘇った。


のどかな草原に立っているのは、頭に猫耳を生やした少年、角をはやした少女、金色の猫。
そして、猫耳少年そっくりな顔を持つ、謎の少年。 
その中の猫耳の少年が、謎の少年に詰め寄った。
>「ちょっと待てよ!!最初に願いを叶えてやると言ったのはこの俺だろ! 
>まず最初に俺の願いを叶えてくれよ!!」 
>「やっぱり、左目を元に戻したいの?」 
>「違う!」 
猫耳少年は赤面しながら謎の少年に近づき… 


(あの時ロックは、夢の世界で謎の少年に願い事を伝えていたわ)
その直後、キキの機転で謎の少年は姿を消し、結果的に皆は元の身体に戻れた。
だから今の今まで、あの出来事は終わった事だととばかり思っていたのに。

「きっとロックの願いは、『母様に会いたい』じゃなかったんだわ」
置手紙の内容と、ロックと同じ瞳をもった美少女。
そして彼女の、ロックと酷似した筆跡。昨日遭遇した一連の出来事。
―――― これらを総合すると、導き出される答えはひとつしか考えられない。
「ロックはきっと、母様似の女の子になりたいと願ったんだわ・・・・・」
リリアーナはがっくりとその場に膝をついた。
「知らなかった・・・まさかあのロックに、そんな趣味があったなんて・・・・・・・」

どん底のリリアーナだったが、更に追い討ちを掛けるように大地震が起こった。 
>「えっ、何?!きゃあああ!!」 
ロック(かもしれない少女)が、頭を押さえてその場に蹲る。
リリアーナははっとした。恐怖に震える少女の杖先が淡く光っていたからだ。
(キサカさんのバカ!何で杖を返したのよ!!)
このままではまた暴走しかねない。
リリアーナはカッとなったが、その時ふっとミシュラの言葉を思い出した。
(そっか、そう言えばこの子、記憶喪失なんだっけ)
彼女がロックであろうとなかろうと、記憶喪失で放り出された上にこんな地震にあったら・・・どれほど心細いだろう?
リリアーナは自分の思いやりの無さと、心の狭さを内心で恥じた。

「大丈夫。絶対大丈夫だから」
リリアーナは少女を落ち着かせるように、彼女の背中や髪を優しく撫でた。
小さい子に言い含めるように、できるだけ優しい声で話し続ける。
「ここは魔法学園よ? 魔法実験の影響で地震が起きるなんて良くある事なの。
 それにね、この部屋には頼りになる男子が二人もいて、何があっても守ってくれる。
 ね? だからあなたは、何も心配しなくていいの」

地震はすぐに治まったが、とんでもない置き土産を残していった。
なんと地震の影響か、69号室の廊下側の壁がごっそり崩れ落ちてしまったのだ。
「はは・・・あはははは・・・・・どどどどうしよう!早く逃げなきゃ!!」
>「おい、女の子の声がしたぞ!」
>「やっぱりロックの奴、女の子を連れ込んでたんだな!」
何だか妙に殺気立った声が聞こえてくる。
リリアーナはムンクの叫びのような顔になった。
今は瓦礫から上がった埃で何も見えないが、視界が戻った時どうなるかは想像に難くない。
「うわあぁぁああん!誰でもいいから助けて―――― っ!!」

272 名前:アルナワーズ ◆nxfWpCqeP2 投稿日:2007/12/20(木) 22:31:33 0
>269
男子寮を心配そうに見ているように見えるアルナワーズに近づく人影が一つ。
青髪の少年グレイズである。
「あら、グレイブじゃない。今日は素面なのね、ちょっと残念。
キキ、紹介するわ。トリニティー・グレイのグレイズよ。」
それに気づいたアルナワーズは柔らかな笑みを浮かべ手を振って挨拶をし、樹上のキキに紹介する。

グレイを他人に紹介するに当たってはその特殊性を説明しなければいけない。
魂が三つあり、一つの肉体を共有している、と。
それゆえアルナワーズはグレイにトリニティー(三重奏)というあだ名をつけているのだ。

「他に黒髪のグレイズと赤髪のグレイルがいるのだけど・・・
ああ、そうだったわ。この間死霊科の子に霊視鏡を作ってもらったのに部屋に忘れちゃった。残念。」
思い出したように手を叩き、残念がるアルナワーズ。
一つの魂が肉体を使っている間、他の魂は霊体として肉体の側にいるのだ。
三人同時に話してみたいと思っていたアルナワーズが友人に頼んで作ってもらったのだが、肝心な時に手元にないのだから仕方がない。
「ああ、遅れちゃってごめんなさい。こちらキキ。昨日転校してきた子よぉん。
見ての通り東方のお嬢様なの〜。」
一通り悔しがった後、キキを紹介した。

挨拶と紹介が終わったところで、男子寮に話が及ぶ。
「さっき男子寮が鳴動したみたいだけど、詳しいことはわからないわ。
でも・・・心配なことがあるの。」
困ったような顔をし、上目遣いでグレイブを見つめる瞳の奥には何が映っていただろうか?
少し間を空けて、言葉を続ける。
「今日ロックが休んだのは知ってる?
まあそれでリリィが心配してお見舞いに行ったのね。
男子寮に入るというから幻術で男装させて、キサカに案内を頼んだの。
でも、ロックの部屋には知らない女の子がいてぇ・・・」
ここでまた一呼吸間を空ける。
グレイブの反応を確かめながらもグレイブが発言する前に続ける。
「ほら、昨日の今日でロックの部屋に知らない女の子がいた。それをリリィが見ちゃったら・・・
まあ起こるべくして起こる訳なのだけど、リリィが起こったり、知らない女の子がリリィをぽこぽこ叩いたり。
寮が鳴動したのはそのせいかも・・・
ああ、とっても心配だわ・・・。でも私は男子寮に入っていくなんてまねできないしぃ・・・
それでお願い、ちょっと様子を見てきてくれる?」
にっこりと笑いながらグレイブに頼んだ直後であった。
69号室の開けたままにされた窓からほんの微かに・・・
おそらく常人では聞き取れない、少なくともアルナワーズの耳には届かない程のリリアーナの悲鳴が届いたのは。

273 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/20(木) 23:36:07 O
>264あのガキ…まだ懲りてねぇみたいだな…。
しょうがない、ギャラリーも居るみたいだし、たまには生徒達にカッコイイ所を見せてやるか。
「召還!グラビティ!」
ズドン!ズドン!
二発の弾がチビ吸血鬼の小さな身体に当たる。
あの身体で40kgの重りにはまず耐え切れないだろ。
「ざまあみやがれ。
暫く廊下に這いつくばってろ阿呆。」
銃をポケットにしまいニヤニヤ笑いながら廊下に這いつくばるチビ吸血鬼を見下す。
「効果が切れるまでに女子生徒のパンツでも見れれば良いな〜?
それじゃあ俺は用事があるので失礼〜。」
これでちょっとは懲りるだろ。
いや〜良い事をした。
んじゃ、さっさとロックの部屋に向かいますか。


>271……え〜とロックの部屋は69号室で良いんだよな?
分かりやすくて非常に良いんだけど…。
…壁が…無いんだよね…。
何故?
それにしても土煙が凄いな…地震でも起きたのか?
いや、しかし俺は揺れなんて感じなかったぞ。
しかもなんだこの野次馬共は。
まあ俺も野次馬みたいなもんだが…。
「うわあぁぁああん!誰でもいいから助けて――――っ!!」
ここは男子寮だぞ〜、なんで女子の声が聞こえるんだ〜?

274 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 投稿日:2007/12/20(木) 23:38:22 O
男子寮に女子が居るなんて事がバレたらちょっとマズイ事になるぞ…。
しょうがない…野次馬の方々にはお帰り頂こう。
「君達、後でラーメンでも奢ってやるから今日は自分の部屋に戻りなさい。」
>「何を言ってるんですか先生!今確実に女子の声が聞こえました!
これは問題です!」
>「彼女か!?彼女なのか!卑怯だぞー!」
>「ロックの野郎〜!女なんか連れ込みやがってー!」
マトモな意見より私情が混じった意見の方が多い気が…。
「まあまあ、今日のところは俺に免じて勘弁してやってくれよ。
俺だってお前らを気絶させて部屋に運びたくないしさ。」
女の子だったら運ぶのも苦じゃないが野郎を運ぶのは…なあ?
>「ぐっ…しかし……分かりましたよ。
ただしラーメンは奢ってもらいますからね。…行こうぜ。」
>「覚えてろよロックー!!」
ふう…これでひとまず安心だ。
聞き分けが良くて助かった。
「野次馬は追い払ったぜ、リリアー…」
土煙の中から出てきたのはロックとリリアーナではなく、リリアーナ、ミシュラ、キサカ、そして見知らぬ少女だった。
あれロックは?
というか君達は4人で一体何をやっていたのかな?
まさか乱k(ry
「………俺が納得出来るように状況を説明してもらえるかな〜君達?」

275 名前:隠密魔法戦隊 投稿日:2007/12/20(木) 23:59:46 O
(わははは!ラーメンごときで帰れるか!)
(おうよ!不幸は分かち合うが幸せは叩き潰すのが男子寮の掟!)
(俺のリリタンを奪ったロックに死を!)
男子寮の隠密魔法戦隊がスティルス魔法で突撃
部屋の中で煙玉を破裂させた!
(グェホ!馬鹿!こりゃ催涙類ガスじゃねえか!)
間違えて催涙ガスを充満させてしまった

276 名前:グレイブ ◆e2mxb8LNqk 本日のレス 投稿日:2007/12/21(金) 01:01:09 0
>272
地面を踏みしめ、一歩一歩近づくグレイブ。
するとこちらに気付いたのか、アルナワーズはこちらを向いて手を振った。
そして彼女は樹上の少女に紹介を始める。
が、トリニティーというあだ名を言われたとき、グレイブの表情が曇った。。
「トリニティーは止めろと言った筈だ…アルナワーズ。」
【別にいいじゃんよ?面白いし!】
そうグレイルが言うと、視線だけをそちらに移す。
「そういう問題じゃない…少しは学べ、阿呆……。」
【止めようよ2人とも。今は僕達だけじゃないんだから。】
【へぇーい。】
「………。」

「紹介は終わったか?じゃあそちらの奴を教えてもらおう……。」
一通りグレイの説明が終わったのを見計らうと、グレイブは少女を指差す。
>「ああ、遅れちゃってごめんなさい。こちらキキ。昨日転校してきた子よぉん。
>見ての通り東方のお嬢様なの〜。」
それを聞くと、僅かだがグレイブがわかったという顔になる。
「…………成る程、噂には聞いたが…東方か。なら納得だ…。」
ちなみにこれは口調のことである。まことにわかりにくい。

「で、アルナワーズ…すぐ其処の男子寮がおかしいんだが……何があったか詳しく教えろ。
お前なら何か知っているだろう?」
グレイブの聞き方に対し、グレイルが茶化す。
【そんなつっけんどんに言わなくてもいいんじゃねーの?
友達いなくなるぞー!プクク!】
「五月蝿いと言っただろうが…俺はお前のような馬鹿とは違う…。」
【だーかーらー止めろって!人前なのにさ!ほら、2人とも!】
グレイズに宥められ、一旦落ち着く。

>「さっき男子寮が鳴動したみたいだけど、詳しいことはわからないわ。
>でも・・・心配なことがあるの。」
グレイブを上目遣いで見るアルナワーズ。
だが、今のグレイブには微塵にも効かない。
彼女を冷静に見据えながら話を聞く。
>「今日ロックが休んだのは知ってる?
>まあそれでリリィが心配してお見舞いに行ったのね。
>男子寮に入るというから幻術で男装させて、キサカに案内を頼んだの。
>でも、ロックの部屋には知らない女の子がいてぇ・・・」
【ふんふん、色恋沙汰なワケですな。隊長!】
【静かに聞こうよ、R。】
彼女が一呼吸空けた際に幽体の2人が漫才をかます。全く関係は無いが。

>「ほら、昨日の今日でロックの部屋に知らない女の子がいた。それをリリィが見ちゃったら・・・
>まあ起こるべくして起こる訳なのだけど、リリィが起こったり、知らない女の子がリリィをぽこぽこ叩いたり。
>寮が鳴動したのはそのせいかも・・・
>ああ、とっても心配だわ・・・。でも私は男子寮に入っていくなんてまねできないしぃ・・・
>それでお願い、ちょっと様子を見てきてくれる?」
アルナワーズがグレイブに依頼すると、考えるような表情に変わる。
【ちょっとどうするよ?これ。】
【…B、どうする?】
2人が聞くと、グレイブは顔をあげて言い放つ。
「……………事情は理解した…。情報提供してくれたしな、いいだろう…。」

と、その時、グレイズが何かに気付く。
【!あそこの窓から悲鳴が聞こえたよ!位置的に69号室だと思う!】
「!」
それを聞くと、グレイブは微かに呟いた。
「……R、替われ。ナビゲートする。」
【オッケー!】

277 名前:グレイル ◆e2mxb8LNqk 本日のレス 投稿日:2007/12/21(金) 01:02:42 0
グレイブは髪をぐしゃりと掻く。
すると同時に髪も瞳も赤くなった。
ドレスシャツを脱いで樹に掛けTシャツ姿になり、そして高らかに宣言する。
「俺はグレイル!樹の上の子、よろしくな!」
【さっさと行け。】
「小言止めろガリベン!じゃ、行ってきまーす!」
そう言うと、グレイルはかなりのスピードで駆け出す。

>274
男子寮の入り口を抜け、近くの階段を上り、廊下を駆ける。
全てはグレイブのナビゲートだ。
「よ、ほっ、はっと!次は!?」
【そこを右……次に左……階段を上り右……左に行き直進…其処だ。】
「オッケー!アレだな!壁が崩れてるとこ!」
既に野次馬は去り、レイド一人が廊下に立っていた。
壁が崩れた部屋の中には4人の男女が居る。
【…って、R止まって!】
「…ゴメン、止まれないー!センセーどけぇー!!」
グレイルはグレイズの制止を無視し、そのままのスピードでジャンプし…

レイドの脇腹ににドロップキックをした。

レイドは蹴り飛ばされ、グレイルはその反動で空中で一回転し、両者とも着地した。一人は華麗に、一人は…。
部屋の中の人たちは唖然とし、グレイルの後ろのグレイズは真っ青になっている。
「イエイ!……ってあれ?これってまずいかな?」
【……馬鹿な真似をしやがって…。】
【あ、Rの……Rの馬鹿ヤロ――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!!】

この日、教師の恐怖に怯えた幽体のグレイズの叫びが響き渡った。

278 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 本日のレス 投稿日:2007/12/21(金) 01:36:58 0
>270>271>274>275>277
「じゃあ、君の願いは、の部分の筆跡に見覚えは?」
「コンコンが書いたんでしょ?」
 少女は平然と言ってのける。
 ……くぁ。
 綺麗さっぱり振り出しだ。
 少女からの情報は、多分もう無い。
 手がかりになりそうなものも無い。
 当の本人の足取りなど微塵も無い。
 ……とりあえず引き回して知り合いを探すのもいいけど……。
 随分と非効率だ。迷子宜しく張り紙でも貼って保護者を探すほうが確実。
 フクロウを探すか、もう少し部屋を漁るか。どちらも長く面倒な道程。
 思案にふけっているキサカをよそに、灰を落とされたリリアーナは硬直から復帰して、
「何てことするのよ!ここは男子寮なのよ!
 中に女の子が忍び込んなんて知られたら大騒ぎになっちゃうのに!」
 まず考えるべきは、どうやってリリアーナをここから出すか、だ。
 顔が広く知れ渡っている以上、服装や髪型を変えた程度では誤魔化し難い。
 ……窓から?
「きっとロックの願いは、『母様に会いたい』じゃなかったんだわ」
 聞き取れた独り言に、何の話か、と聞こうとして、キサカはやめた。多分プライベートの話だろう。
「ロックはきっと、母様似の女の子になりたいと願ったんだわ・・・・・」
 ……意味ワカンネ。
「知らなかった・・・まさかあのロックに、そんな趣味があったなんて・・・・・・・」
 とりあえず、他人の趣味をとやかく言うのはマナー違反ですZE。

 意味も無く身振りだけでキサカがツッコミを入れると、一拍置いて急に世界が揺れた。
 震動。それは床自体が震えているようで、
「ッ――!?」
 俺のツッコミで世界が震撼――やめよう虚しい。
 自らの思考を、二律背反、と冷静に判断しながら、軽く膝を折ってバランス調整。
 姿勢を揺らしながらも耐えて、リリアーナに睨まれて、少女の杖先が光っているのに気付き、
 やはり取り上げるべきか? と思い、即座に否定した。
 ……奪ってどうする。
 言い方は悪いが、彼女には何も無い。
 リリアーナが女性だと確信して、少女は僅かに安心したようだった。
 しかし、だ。同性の存在は多少の支えにはなるだろうが、所詮は他人。友人。知り合い。
 ……精神論を語ってリアリズムを押し付ける、か。――馬鹿と鋏は使い様。
 やっぱり俺もアッパー入ってるな、と自覚できて、しかしどうでもよかった。
「……理性が無いなら、俺が止めればいいじゃない」
 右手を握り締める。が、痛くてすぐに緩めた。

279 名前:キサカ ◆lbUJfu0lHM 本日のレス 投稿日:2007/12/21(金) 01:38:25 0
 鳴動が収まって、一同は軽く息を吐く。
「ここは魔法学園よ? 魔法実験の影響で地震が起きるなんて良くある事なの。
 それにね、この部屋には頼りになる男子が二人もいて、何があっても守ってくれる。
 ね? だからあなたは、何も心配しなくていいの」
 ……実は他人よりも保身が大事なヘタレなんだ。済まない。
 震える少女を優しくなだめるリリアーナをよそに、キサカはこの場をどうやって切り抜けようか迷っていた。
 壁が無いのだ。代わりに瓦礫が落ちている。
 ……これなんて遺跡探訪?
「はは・・・あはははは・・・・・どどどどうしよう!早く逃げなきゃ!!」
「おい、女の子の声がしたぞ!」
「やっぱりロックの奴、女の子を連れ込んでたんだな!」
 ……ちょっと待て。
 今の声は外に聞こえた筈だ。向こうの声が普通に聞こえてくるから間違いない。
「……つまりリリアーナは女子扱いされてないのか!?」
 返し方の決まっている咄嗟のツッコミも虚しくスルーされ、
「うわあぁぁああん!誰でもいいから助けて―――― っ!!」
「ッ!? ここで悲鳴挙げたらどうなると思って……!」
 粉塵を吸わぬよう口元を手で隠しながら、キサカは笑い声を聞いた。
(わははは!ラーメンごときで帰れるか!)
 ……来た。正直、予想はしていた。
(おうよ!不幸は分かち合うが幸せは叩き潰すのが男子寮の掟!)
 そんな話は聞いてない。
(俺のリリタンを奪ったロックに死を!)
 面倒臭い、と思いつつも、外面だけの正義感で引用。
 下らないフェミニズムでも、行動の理由としては十分だ。
 二重音声。
「“彼らよ吹高く舞死上がり、神させはそのオセ追う”
 “風は空け、いを目覚め秘家る後を……までロ  ”」
 突撃してきた集団を範囲指定で適当に舞い上げる。追加で起こした風で、粉塵と煙を背後の窓から纏めて外へ。
 そのまま不法侵入者は廊下を突っ走ってもらった。文字通りではなく比喩で。
 ちょっと使い所違うかな、とキサカは思うが、まあ効率が悪いだけだからいいかな、と思い直す。
 廊下に居た人々に「水平に飛ぶ人」という珍しいものをお見せできたのだから良しとする。
 ……とても貴重な事象だ。教科書にも多分載ってない。

 やれやれ、と痛むこめかみに左手を当てながらキサカが深い息を吐くと、
「野次馬は追い払ったぜ、リリアー…」
 やったのは俺だっての、とツッコもうとして、みしり、と人が固まった擬音が聞こえた。気がした。
 ……これは予想外デス。
 煙の中から現れたるは、スーツ姿のグラサン男。
 ……何らかの教職員。でも名前が思い出せない。
 男は一度何か言いかけて、
「………俺が納得出来るように状況を説明してもらえるかな〜君達?」
 言い直した。
 だがキサカは既に男の唇の動きを見切っている。
 ……こいつはムッツリ決定。異論は認めない。

 団体行動中の場合、教師相手に独断で言い訳するのは危険だ。大抵の場合失敗する。
 キサカは少し迷ってから、どうしよう? と、三人に振り返ってみた。

 ――ところで、意味不明な怒声がした。
「…ゴメン、止まれないー!センセーどけぇー!!」
 ついでに肉音とくぐもった悲鳴。
「……うぇ?」
 我ながら変な声出るなぁ、と思いつつ、一回転するように振り返ってみれば、
「イエイ!……ってあれ?これってまずいかな?」
 ポーズを決めた赤髪の青年が立っていた。

魔法少女達と冒険するスレ 5thシーズン

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