1 名前: ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/11/28(金) 21:48:48 0
はるか昔、中華なファンタジーな世界。
世界には人が点在しているだけで、平和でした。
そんな俗世を離れた仙境と呼ばれる世界に、一人の仙人が降りました。

その仙人は宝貝(パオペイ)を作らせたら仙界一。 素晴らしい宝貝を次々と開発していきます。
しかしこの仙人、少々ぐうたらな上ボケが入っていて、物の整理が出来ません。
そこら中に散らかり、肝心な時に見つからない始末。
自業自得ですが、理不尽な業を煮やした仙人は一つの手段を講じました。
「自分で整理するのは嫌だ。だから、宝貝自身にやってもらうぢゃ!」
宝貝に擬人化する術をかけ、自分で片付いて貰おうというのです。
こうして様々な宝貝は人型をとる事ができるようになり、自分の意思を持つことになったのです。

しかし、それは良い事ばかりではありません。
意思を持った宝貝たちは、自己主張をするようになります。
ただの自己主張ならどうでもいいのですが、中には用途を外れた意思を持つものも現れたのです。
例えば、髪切りハサミとして作られたにもかかわらず、武器になりたいと主張するもの。
道具として強力すぎるもの。致命的な欠陥のあるもの。
そんな宝貝たちは、仙人の元にいては自由に自分を表現できないと、人間界へと逃げ出してしまったのです。

慌てた仙人は、残った宝貝達を集め、逃げた宝貝たちを連れ戻すように命じます。
こうして、宝貝たちの追跡劇が始まったのです。

※宝貝とは
パオペイといい、いわゆるマジックアイテムです。
擬人化し、人間の姿となって自律行動が出来ます。
大ダメージを受け行動不能になると元の姿に戻ります。

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キャラ用テンプレ&テンプレ記入例
名前:陽光炉
性別: 女
外見年齢:40代後半
体格: 樽
容姿:パーマに割烹着のおばちゃん
性格: がっちり肝っ玉母さん
原体: 炉
特殊能力:炎・光属性
備考: 宝貝を作る炉の宝貝。灼熱の炎と光を駆使する。
   全ての宝貝は陽光から作られており、重傷を負った者を回復させる事もできる。

【名前】
名前の構成は漢字三文字が基本です。
前ニ文字で呼び名、最後の一文字で原体を現す字を。
テンプレ記入例のキャラは炉の宝貝なので最後に炉の一文字が入っています。
呼び名は陽光オバサンとなります。
まあ、一種の雰囲気作りという事でご了承ください。

【能力についての注意事項】
【時間】【空間】【治療】の三つの能力は扱いは難しいデスヨー。
匙加減とかパワーバランス、使い所や欠点や制約の付け方。
便利な能力ですが使い勝手はかなり難しいですのであまりお勧めできません。

【キャラ作成のワンポイント】
武器系の原体は便利!
特殊能力や属性をつけるのに説得力が必要ないです。
また、戦うために作られた武器は当然他の用途がある道具系の宝貝より基本戦闘力は高いです。

2 名前: ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/11/28(金) 21:50:22 0
ジャンル:中華ファンタジー
コンセプト:短期バトル
期間(目安):1シナリオ2週間から1ヶ月
GM:(なし)
決定リール:(あり)
○日ルール:(あり)3日
版権・越境:(なし)
名無し参加:(なし)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(あり)総合避難所使用。


敵役と討伐隊の二極戦闘。
人間界に居座る脱走宝貝のところに追跡宝貝が登場したところからスタート。
敵役の希望次第で、一戦闘のみで終わらすことも、段階を経る事も可能。

戦闘描写の練習用の側面が強いです。
ストーリーは特に考える必要なし。
敵のいる場所に到着、ラストバトルからスタート。
キャラクターレギュレーションは宝貝であること。
基本的に持つ武器は原体に由来しますが、特殊能力は自由です。
原体は何でもありですが、世界観が中華ファンタジーなので近代的なものは不可です。
しかし、近代的なものを置き換えればOK。
例えば時計→日時計、砂時計。ステレオ→鐘、音叉などなど
この世界に妖怪・魔物の類はいません。
名前の一部に正体の名前が入っていること。
敵味方共に全員が顔見知りである事。
ストーリー的な起伏は求めないので、正体不明の謎の男などは却下です。
また、ストーリーの簡潔化の為にも個対個の範疇の内に収まっていましょう。

3 名前: ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/11/28(金) 21:50:41 0
【レスの構成について】
レスは受動行動と能動行動に大別されます。
受動行動は相手が攻撃してきた時に受ける、躱す、防御するなどの受動的な行動描写です。
能動描写は相手に攻撃した時の能動的描写です。
まあ、攻撃と防御だけには限りませんが、ね。

更に行動描写・心理描写・台詞・効果説明でそれぞれの行動が構成されます。
行動描写・・そのままキャラクターの行動。走ったり、殴ったりなど。
心理描写・・キャラクターが思ったこと。
台詞・・キャラクターが口に出していった言葉。
効果説明・・行動に伴う解説。
行動描写で火の術を発動だけでは、火の玉を飛ばすのか、手足に火を纏うのか判りませんよね。
それを補完する為の描写です。
火の術を発動し、手に炎を纏わせた。この炎は体から離れることはないが、触れたものは火傷してしまうだろう。
といった感じで。
第三者にもわかりやすく説明を入れるとスムーズにレスの応酬が運ぶでしょう。

また、疑問などは避難所で小まめに解決していきましょう。
ボタンの掛け違えも一言聞くだけで大概は解決するものです。

【注意事項】
スレを勧めていくうちに、一度や二度はやっちまった!となる事があります。
その時に、やっちまった・・・吊ってくる・・・となってはいけません。
失敗を指摘された時の衝撃もわかりますが、それ自体は大した問題ではないのですから。
あのレスのあそこはまずいでしょ→oh!ならこう直してみたらどうかな?
というやり取りさえできれば十分なのですから。
むしろ、こうしたやり取りでを重ねて色々学習していく為のスレですのでね。
失敗を深刻に受け止めず、やり直しが聞くものだ、という意識を持ちましょう。

TRP系スレ総合避難所@なりきりネタ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1223106569/l50
テンプレ投下や打ち合わせ・質問などにお使いください。

まとめサイト【千夜万夜】
http://verger.sakura.ne.jp/
TRP用語集や代理投稿スレなどがあるのでご利用ください。

4 名前:愚断 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/11/28(金) 22:00:04 0
【シナリオ1:鉱山の兇刃】

追跡宝貝達は人界に散り、逃亡宝貝を探していた。
気配を消し、人界に紛れる宝貝もいるが、見つけるのは不可能な事ではない。
宝貝の力は人界においては強すぎるのだ。
何らかの行動を起こせば必ず噂となり、朧気ながらも知れる事になる。

しかし、今回は全くそのような必要はなかった。
まるで隠そうともしない強烈な剣気がある山から立ち上っているのだから。
強烈過ぎるその気配に誰もが理解するだろう。
そこにいるのは、大剣の宝貝【愚断】だと!


擬人化した宝貝たちが集団脱走し、それを追う追跡宝貝たちが出発してから一週間。
人界の山中に一人の男が仁王立ちしていた。
この男、愚断剣という。
筋骨隆々の巨躯を惜しげもなく見せ付けるように上半身は何も身につけておらず、手に持つ大剣を地面に突き刺している。
これは何も意味のないことではない。
この山は鉱山であり、金気が宿る。
剣の宝貝である愚断は剣を突き刺す事により山の金気を吸い取り己を強化しているのだ。

仁王立ちしたまま愚断は待っていた。
自分は剣である。
だが、どこまで切れ味が鋭くなるか突き詰める為に作られた為、実際に戦いの場に持ち出される事はなかった。
愚断にはそれが我慢できなかったのだ。
剣である以上、戦うことは至上の目的。
それができず飼い殺しのような状態だった仙界での生活が。

だからこそ人界に下ったのだが、人界には愚断を満足させるような獲物はいなかった。
この鉱山の周囲には一切の生き物の気配はない。
なぜならば・・・・

そうして今、愚断は待っている。
仙界からの追っ手を!
戦いを!

鉱山の中腹、広く場の開いた場所で愚断は微動だにせず立っていた。

#########################################

名前:愚断剣(ぐだん)
性別: 男
外見年齢:30代前半
体格: 筋骨隆々の巨躯
容姿:目つきが鋭く、厳しい顔。髪は長く、整っていない。
性格: 武人・戦うことに生きがいを見出している。
原体: 大剣・諸刃の大剣で短めの槍ほどの長さがある。
特殊能力:なし
備考:どこまで切れ味が鋭くなるか突き詰める為に作られた大剣。
   剣としてはトップクラスの能力を持つが、特殊な能力や属性はない。

5 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/11/29(土) 08:58:26 0
名前:方頭丁(ほうず)
性別:男
外見年齢:14,5歳
体格:小柄
容姿:少年漫画に一人はいるツンツンした髪型の小僧
性格:お調子者
原体:中華包丁(方頭刀)
特殊能力:伸縮自在包丁、方家式包丁術
備考:中華包丁の宝貝。本体である中華包丁を得物に戦闘する
普段は通常サイズだが仙界にあるお化けサイズの野菜を調理するため巨大化できる
が、大きさに比例して体力他諸々の消耗が激しくなる。

6 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/11/29(土) 09:00:42 0
愚断のいる鉱山を進む追跡宝貝たち
その中に一人の少年―――の姿をした宝貝がいる

「ううぅ、なんで僕はこんなところに居るんだよぅ…」

こんにちわ!僕の名前は方頭丁、方頭って呼んでください
まだ宝貝として作られて日は浅いですが、こう見えて結構デキる包丁捌きの料理人ですよ?
いつもは仙人さまのため厨房を走り回っているはずなんですが
今回、宝貝たちを追跡するため部隊を組むにあたって、

厨房長 「おい、方頭!例の部隊で手が足りないそうだ、手伝いに行ってこい。
 お前みたいなガキでも荷物持ちくらいにはなるだろう。
 …なに、なんで自分なのかって?バカモノ!新入りが口答えするな、さっさと行けぃ!

なんて感じで人界に送られてしまったのだった。僕、包丁なのに!
と、愚痴をいっていても始まらないか
僕らが今、目指しているのは近づく前か妖しい気配がバリバリな鉱山
その気配の中心である山の中腹である
やがて開けた場所が見えてくる、とそこには男が一人、大剣と共に佇んでいたのだ!

「うわぁ…明らかにすごいやる気なおじさんだよ」

僕とはハッキリ違う“武器”としての存在感を持った空気を纏ってる宝貝
まずいってコレ、どーすんの僕!?

「ここまで来れましたけど、どうしましょう、鉄甲さん!?」

僕は一緒に追跡隊の一員としてやってきた女性に問いかけた

7 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/11/29(土) 16:45:54 0
>>6
追跡隊の一員の女は獣の皮で出来た服に獣の頭を模した帽子を被ったなんとも
女性らしくない出で立ちであった、血生臭く他を威圧する獣で出来た服の女は
見た目若々しいパオペイにこう答えた

「来た以上目的を果たすだけさ、ぶっ飛ばす・・・」

帽子の奥から覗かせたその眼は帽子や服にされた獣をも遥かに凌駕する凶暴性を秘めていた

両の拳を合わせ愚断に礼をする
深く吸い込んだ空気をゆっくり吐き山の空気を体になじませながら
眼を愚断へと向ける

「久しぶりだね愚断・・・ここしばらく雑魚、雑魚、雑魚、雑魚しか食ってないからねぇ
アンタと殺り合えるなんて嬉しい限りだよ・・・本当、仙人の下を脱走してくれたのを感謝するよ」

追跡隊の人間とは思えない不謹慎な発言である
彼女の中の溢れ出る闘志は彼女の体を壊すような勢いで滲み出ていた
最初は言葉、次に体を通してその事が伝わるだろう
しかし、今はまだ言葉だけで留めておく、彼女はこの楽しみを台無しにはしたくない
それなりの礼儀を持ってこの楽しみを味わいたいと思っている
腐っても格闘家である

8 名前:龍紋 ◆OK6hKA/.GA [sage] 投稿日:2008/11/29(土) 22:14:59 0
名前:龍紋爪 (りゅうもんそう)
性別:男
外見年齢:10代後半
体格:小柄だが筋肉質である
容姿:鱗の刺繍があるタイツに、緑色の長髪。左右に一本づつ長い髭がある
性格:基本的に明るいが、年齢のためか揺れやすい
原体:龍の紋様が施された爪切りバサミ
特殊能力:「切断」と「整形」
備考:討伐隊に加わったものの、自分の存在意義や他人との関係に疑問を感じている。
   岩などを切断し、思い通りの形に整形することで、命を吹き込むことができる。単純な命令を聞くことができるが、5分程度しか命は与えられない


9 名前:龍紋 ◆OK6hKA/.GA [sage] 投稿日:2008/11/29(土) 22:45:10 0
>>6>>7
「お、いたいた。二人とも速いんだから」
二人のパオペイから遅れること数秒、龍紋は息を切らしながらやってきた。
皆で一緒に出かけたはずなのだが、山の濃い霧のせいで一瞬はぐれてしまったのだ。
しかし、愚断の強い気を追っていたため、ゴール地点は一緒だったらしい。
龍紋は爪切りの宝貝である。といっても装飾された、いわばお飾りのハサミ。いつもは小さな部屋で窓をボーッと眺めたりしている。
先輩に当たるハサミ達はつめを切ったり髪を切ったり草木を刈ったり色々してるのに、自分はただ飾られてるだけ。
そんな中で脱走した宝貝の討伐隊に召集されたのだ。初めての下界。初めての世界。仕事なんてそっちのけで遊びたいって言うのが本心。だから寄り道しちゃっても仕方ない。
「いやぁ参ったよ。山なんて登るのはじめてでさぁ、つい野道に気がいっちゃってね」
とか言ったものの、鉄甲の姉さんはもう既にやる気満々らしい。
「鉄甲の姉さん、やる気なのは構わないけど、あんまりやりすぎないでね。その、コナゴナに壊しちゃうとか、そういうのは仙人様に怒られるよ・・・」
龍紋は正直、愚断の気持ちがよく分かる。だって外の世界って面白そうじゃん!
だから愚断には仕事以外に、同情に似た感情を抱いている。
愚断をこれからどうしようとか、自分がこれからどうすればいいのか、それはまだ考え中。


10 名前:愚断 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/11/29(土) 23:43:42 0
>6>7>9
愚断は山の中腹、開けた場所に剣を突き立て仁王立ちしていた。
追っ手の宝貝を、敵を、待っていたのだ。

そして三人の宝貝が現われた。
待ち望んだ敵が・・・。
だが、愚断は微動だにせず、目も開けなかった。
方頭が最初に現われ後続を呼び、鉄甲が闘志を溢れ出しながら口上をきる。
そして最後に現われた龍紋。
目を開けずとも三人の気配を察し、その力量を読み取っていたのだ。

漸く愚断は動いた。
ギ・ギ・ギと軋む音がするかのようにゆっくりと顔を上方へと向けてゆく。
まるで大きな力に逆らって無理やり顔を上げているようで、コメカミや胸に太い血管が浮かぶ。
そして目が見開かれた。
顔が上方に向いているので、必然的に凄まじく見下した状態になる。
いや、事実その眼光は三人を見下している。

しかし、目が見開かれた瞬間に場の空気は凍りついた。
鉄甲が闘志を体から滲み出すのと同様に、怒りの気を一気に噴出させたのだ。

辺りを凍りつかせた愚断の怒気は口を開かずとも雄弁に物語っていた。
【お 前 達 で は 不 足 だ !】と。
それでもなお口を開いたのは、かろうじて鉄甲だけが戦う為の宝貝だったからだろう。
「ここは試合場ではないぞ!!!」
ビリビリと辺りの空気を震わせる愚断の怒号とともに、ダンという音が響く。

直後、愚断の姿は消えていた。その場から。
愚断は一瞬にして間合いを詰め、三人の目の前に迫っていたのだ。
そして横薙ぎに振るわれるのは短い槍ほどの巨大な大剣!
凄まじい剣圧と共に振るわれるその斬撃は三人纏めて真っ二つにする力が込められていた。

11 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 01:36:09 0
>7 鉄甲
「やっぱりそうなるんだよね…」
分かってた、分かってたよ、こうなるの
内心では話を聞いてくれたらいいなーって思ってるよ
けど、どう見たってこの二人闘う気マンマンだもの
お互いにもう話すべきことなんざありませんよ、って顔に書いてあるもの
もういいよ、僕も覚悟決めたし!

>9 龍紋
そんなやけっぱちな気持ちでいたところに
いつの間にかはぐれていた龍紋さんが戻ってきた
寄り道とか勘弁して欲しい、いや間に合ってくれたのは助かるよモチロン。

>10 愚断
「何はともあれ、いくぞ愚断!……出来たら大人しく仙界に帰ってくれたら
 嬉しいな――――って、えええぇぇぇー!?」

ちょ、近い、じゃなくて速い!
愚断は戦いが始まると共に凄まじい気迫をそのままに
こちらへと疾駆、瞬く間に距離を詰め来たのだ
彼の本体である大剣が唸りを上げて横一文字に振り払われる。
ええい、もう全力でやると決めたのだ
ここでやらねば漢が廃る!

僕も気合と共に手の内へと出現させた中華包丁に霊力を込める
普段は厨房長にこき使われてお化けな大きさの野菜をきるために使う
巨大剣へと変化させ、三人を守る壁とする。

「方家式包丁術・段の型、守り!
 包丁なめんなー!戦場とか旅行とかでも使えるように頑丈なんだからなー!」

12 名前:魔 鏡也 ◆jucVyRORyI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 12:51:42 0
>7-11
「やれやれ、まだ登らなきゃならないのかい。
 皆と違って僕は頭脳労働者なんだけどねえ」
黒い宮廷服を身につけた一人の青年が、そうぼやきながら山を駆け上っている。
だが口調とは裏腹に、彼は汗一つかいていなかった。

彼の名は魔鏡也。占術用の鏡が本性の宝貝だ。
どちらかというと回収実行部隊というよりは、データ収集の方に重きをおいているのだ。
「戦闘は皆に任せて高みの見物といきたいけど・・・・・・そうそう上手くはいかないだろうねぇ」

「・・・・・・そろそろ先発隊が接触したと思うんだけどねえ」
>「ここは試合場ではないぞ!!!」 
ビリビリと辺りの空気を震わせる愚断の怒号とともに、ダンという音が響く。 
魔境の口元に、にんまりと人の悪い笑みが浮かんだ。
「やれやれ、どうやら間にあったみたいだねえ」
愚断は3名の宝貝でも取るに足らない相手だと思っているようだ。
>「方家式包丁術・段の型、守り! 
> 包丁なめんなー!戦場とか旅行とかでも使えるように頑丈なんだからなー!」 
魔境は応援に入るでもなく、そのまま周りの風景に解けこむように姿を消してしまった。

魔境が回収部隊からはぐれたのは、もちろん故意である。
先に回収部隊に一戦交えてもらって、愚断や部隊参加の宝貝達の能力を「見る」ためだ。
なせなら彼の能力は――――。

13 名前:火々 鍋 ◆8SPHqobdCs [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 18:08:23 O
「なんか、大変そうだね方頭君」
愚断がさっきまで立っていた場所のやや後ろの茂みから、女料理人が現れ
呑気に微笑みながら方頭らに話しかけた。
彼女の名は、「火々鍋」脱走した調理器具の宝貝らを連れ戻すために自ら追跡隊に志願した中華鍋の宝貝である。
「ごめんねぇ〜回り込むのに時間かかっちゃって…そんな場合じゃないか」
そう言うと彼女は掌から炎を発生させた。
「ちょっと熱くなるけど我慢してね」
掌の上で徐々に大きくなっていく炎を愚断の方へ放つと、爆発的な速度で燃え広がり、炎の壁となって愚断と方頭等を囲んだ。

14 名前:愚断 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 21:38:42 0
>11
一刀の下に三人を纏めて凪ぎきろうという瞬間、愚断の目の前に鉄の壁ができた。
>「方家式包丁術・段の型、守り!
> 包丁なめんなー!戦場とか旅行とかでも使えるように頑丈なんだからなー!」
方頭の声が響く中、愚断のコメカミの血管が破裂する。
「タワケがっ!!横腹で我が刃を受けようてか!!」
愚断はこれを剣の横腹と取る。
食材を叩き潰すにも使われる中華包丁の刀身だが、同じ刃を持つ者としてそれが許せなかった。
そして何より、包丁が戦場や旅行で使えるのに対し、剣は戦場のみでしか使えない。
この矜持の違いが愚断の怒りに火をつけたのだ。

あるいは普段の戦いならばこれで愚断の一撃を防げたかもしれなかった。
巨大化した中華包丁はまさに鉄の壁。
しかし、ここは鉱山。
山の金気を吸い、己を鍛え続けていた愚断の刃は鉄の壁に吸い込まれるように切り裂いていく。

>13
中華包丁を挟んで方頭の側。
鉄の壁から生えたような刀身が凄まじい勢いで迫ってくる。
あわや方頭の首を、といった刹那、鉄の壁の向こう側から声がかけられた。
>「ちょっと熱くなるけど我慢してね」
声の主は愚断ではなく、火々。
それと共に刃の機動はそれ、方頭の髪の毛を数本刈り取り壁の向こうに消えていく。

愚断は方頭の首を狩ろうと思えば十分に狩れた。
しかしそれをしなかったのは武器の宝貝特有の合理的戦略思考の為であった。
新たなる敵の出現、そして周囲を取り囲むような炎の壁。
敵一人に拘り退路を断たれるなど愚の骨頂。
それに何より、現われたのが炎を扱う火々である事が大きかった。
あらゆるモノを切り裂く事のできる愚断と言えども、炎は斬りようがない。
更に、山の金気が愚断を強化するように、刃を持つ金気属性の愚断は炎を苦手とするのだ。

軌道を変え剣を引き抜くと、その勢いのまま剣を振りぬく。
その剣圧で僅かに緩んだ炎の包囲網を飛び越えた。

15 名前:龍紋 ◆OK6hKA/.GA [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 22:23:14 0
>>10>>11
愚断は鉄甲の言葉など意に介さぬ様子で三人を侮蔑すると、その場からとてつもない速さで剣をなぎ払ってきた。
方頭が包丁舐めんなとかいいながら大きな包丁を出現させた。多分それを盾にするつもりだろう。
だが、舐めんなといわれても大剣対包丁である。勝てる見込みは少ない。

「ごめんよ方頭、命は惜しいんでね!」

言うと、龍紋は振り払われた包丁とは反対方向、やや斜め後ろに飛びのいた。
>>13
何か遠くのほうからボソッと声がするやいなや、目の前に炎の壁が燃え広がった。
飛びのいた先が炎のサークルの外だったため、龍紋は炎に包まれることはなかった。

「これは・・・火々の姉さんの仕業だな!?途中ではぐれたと思ったら急に攻撃してきて、何考えてんだよ?」
>>14
火々に文句をたれていると、目の前に愚断が降り立ってきた。炎の輪から逃れるためだろう。龍紋は僅かに危機感を感じたが、愚断に聞きたいこともあった。

「これはこれは・・・愚断のおじさんじゃありませんか」

龍紋は武器も構えず、飄々とした態度で愚断に話しかける。

「あのさ、おじさん・・・なんで下界に来たの?楽しそうだったから?」


16 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 22:48:34 0
>>9
「コナゴナに砕けるような軟なパオペイではない」
息を切らす龍紋の問いに背中越しで答える
愚断は強いかもしれない、しかしそれを差し引いてもパオペイ事態が壊れるという事は珍しいのだ
原体に傷がつく事はあるかもしれないが原体がコナゴナになるというのは聞いた事は無かった
なので次にこう返した
「コナゴナにできるならしてみたいものだな」 口だけ笑って見せた

>>10>>11>>13>>14>>15
鉄甲は激怒した、この自分を不足と言わんばかりの愚断の目
そして試合場ではない発言に自分を侮辱されたと思った鉄甲は己の拳を握り締め奥歯を噛み締めた
それからすぐ愚断は直ぐに自分たちのところに剣を振るいに来ていた彼の本気かそれとも手を抜いているのかは
分からないが、彼の剣を睨みつけていた

剣が自分たちの近くに迫ろうとしていたとき
>「方家式包丁術・段の型、守り!
 >包丁なめんなー!戦場とか旅行とかでも使えるように頑丈なんだからなー!」

方頭の中華包丁が自分の目の前に現れ愚断の剣を遮った、かに思えたが直ぐに裂かれていく
鋭さを求め切れ味を極めた愚断にはただの中華包丁では意味が無かったようだ
このままでは方頭もろとも斬られると思い方頭を引っ張り愚断の太刀を避けようと思ったときだった

>「ちょっと熱くなるけど我慢してね」
回り込むと別ルートから来た火々鍋の炎の壁 
どうやら愚断も炎には分が悪いらしく一度体勢を立て直すようだ、しかも
龍紋も近くに居る

今が好機

大地を蹴り上げ炎の壁に突っ込みその炎を体に纏いながら炎を突破した
そして愚断を捉えると龍紋に叫んだ
「龍紋!愚断を殺れ!!」

まさに手土産、炎の壁から自分の拳へと炎を拝借し拳を愚断へと向けて突き出していた
愚断が最初に向かってきたときも相当なスピードであったが、鉄甲とて戦う宝貝
脚力の能力は愚断のそれと同じであった
「愚断、ここは試合場じゃないんだよ?本気出さないと痛い目すら見れなくなるよ」
鉄甲は笑顔で語っていた

17 名前:愚断 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 12:30:00 0
>15>16
>「あのさ、おじさん・・・なんで下界に来たの?楽しそうだったから?」
炎の輪から脱出し、身に纏わりつく火を消す為転がる愚断に龍紋が声をかけてきた。
この戦いの場において何故?という疑問が頭をよぎったが、そんな事はどうでもよかった。

重要なのは、体制を崩しているにも拘らず龍紋は攻撃をしてこないという事。
そこに愚断は龍紋の心の揺らぎを感じ取っていた。
だからこそ応えた。
「【業】故に、だ!」
揺ぎ無い心で。
追撃がくるのはわかっていた。
武器の宝貝としてこの機を逃す事はない。
鉄甲は必ず来る。
それに備える為、態勢を立て直しつつ剣を構える。

対して、龍紋には言葉を持って当たったのだ。
「奴(仙人)にとっては極限の刃を作り出す事が目的だったのだろう!
しかし!俺はどうなる!
作り出された瞬間に存在理由が消滅する俺は!
宝剣、至高の剣などと奉られるなど耐えられるか!!
道具ならばその用途を全うする業を果たさねば何の意味がある!!」
ここまで吼えた時点で、炎の壁が大きく膨らんだ。
そこから鉄甲が飛び出してくる。

迫る鉄甲に剣を突き出し迎え撃つ愚断。
両者の差は剣と拳の間合いの差によって決まった。
炎の中から飛び出した鉄甲が愚断の懐に入るのが一瞬だけ早かった。

愚断の剣は鉄甲の獣の皮の服を切り裂くに終わり、鉄甲の拳は愚断の腹部へとめり込んでいた。
>「愚断、ここは試合場じゃないんだよ?本気出さないと痛い目すら見れなくなるよ」
「ぐ・・・がっはああああ!」
笑顔で語る鉄甲とは裏腹に、愚断の顔が苦悶に歪む。
鉄甲の拳には確かな手ごたえが感じられるだろう。
攻撃の一点に集約される剣は、一度守勢に回ると意外な脆さを露呈するのだった。

18 名前:風鉄 ◆8POt/p0q3w [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 17:45:05 0
>>15-17
「む…、やはり始まっておったか…
 鉄甲め、勝手に仕掛けおって!
 戦闘に不慣れな者も居るというのに、何を考えておるのか…」

愚断と鉄甲たちが戦っている場所から少し離れた崖の上に立つ人影があった
女仙人然とした若い美女だが、その正体は風の力を宿した鉄扇である
観賞用として造られた武器宝貝だが、実戦にも十二分に対応できる性能を持つ
そのため、仙人の警護役としての役割も負っている
己の職分を超えて欲望に走る宝貝に制裁を下すべく、周囲の反対を押し切って追跡隊に志願した
当人は追跡ではなく「討伐」だと思っている

「お主ら、攻撃の手を緩めるでない!
 そのまま一気にトドメを刺してしまうのじゃ!」

周囲に響く大きな声で、鉄甲たちに短気決戦で決着を着けるよう呼び掛ける
鉄甲の言うとおり、愚断はまだ本気を出してはいないだろう
なればこそ、今のうちに一気に畳み掛けておく必要があるのだ
仙界一と謳われる剛剣が本気を出せば、一対一ではまず歯が立たなくなるだろう

19 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20:27:30 0
>>17>>18

>「ぐ・・・がっはああああ!」

初撃が入った瞬間、鉄甲の顔が急に引き締まる。ここで手を抜くわけには行かない
一撃が入ったのなら次のを決めて、また次のと繋げなければならない

>「お主ら、攻撃の手を緩めるでない!
 >そのまま一気にトドメを刺してしまうのじゃ!」

風鉄の指示に従うのはしゃくだが、ここを押し込んでおかないと自分の思い描く展開には
ならないと悟った、鉄甲の思い描く展開は愚断が本気を出す事
今ここで愚断の本気を引きださなければ戦いの楽しみが無くなるからである
風鉄には悪いが本気を出させないまま倒す事はさせない

「どうした愚断?行くぞ!ほら、ほら、ほら」
僅かの時間に何発もの拳を相手に叩き込む!常人には見えない速さの拳が愚断に繰り出される
しかし、剣を持つ手は狙わず、愚断の怒りを刺激するように攻めて行く

20 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20:47:33 0
>>14
文字通りの鉄壁となって大剣と激突する包丁、しかし

「覇っ!―――って、なぁぁー!?」
仙人自慢の逸品たる名剣は易々とその刀身を喰い込ませていく!
「所詮、包丁対剣じゃこの程度ですかー!?」
と早くも諦めかけたとき、救いの手が差し伸べられる

>13
彼らを囲むように広がった炎の壁、今回共に追跡隊としてやってきた宝貝の中の一人
火々による、援護であった
炎に囲まれることを警戒したのだろう、愚断はとっさに身を引きその場を離脱する
おかげで方頭の首を捕らえるはずだったろう一撃は髪を掠めるに留まった

「い、今のはマズかった。火々さん、ありがとう助かりました。」
半ばまで断ち切られた包丁を元の大きさに戻しながら火々に礼を言う
先ほどの一撃で大分霊力を持っていかれたことに冷や汗を流しつつ体勢を整える
すると

>17-19
風鉄が現れ追撃の指示を出す、見れば鉄甲が愚断へと迫り果敢に攻め立てているのだが
「まずい、あれ挑発してる!」
このままでは危険である、方頭は次こそは力になろうと彼らへと駆け出しつつ、叫んだ
「鉄甲さん、それじゃダメです!」

21 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 20:49:57 0
な、名前欄が大変なことに…>20は自分ですゴメンナサイ

22 名前:魔 鏡也 ◆jucVyRORyI [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 22:18:45 0
>>16-19
>「お主ら、攻撃の手を緩めるでない! 
 そのまま一気にトドメを刺してしまうのじゃ!」 

「あーあ、風鉄姐さんもなんというか・・・・・・。
わざわざ愚断のダンナに自分の居場所を教えてやるこた無かったってのに」
魔鏡に言わせれば、愚断が敵と認識するのはせいぜい武器として作られた風鉄と鉄甲くらいだ。
他の連中の攻撃など(自分も含めて)物の数ではないと考えているに違いない。
そしてそれはあながち的外れではない。
戦闘力の高さのみで判断すればの話だが。

>20
「風鉄姐さんが奇襲を仕掛けて鉄甲姐さんと一気に畳み掛ければ、案外愚断のだんなもあっさり折られたかね?
 ……いや待て、それはいささか楽観的観測だったね……」
鉄甲が愚断を挑発しているのを見て、魔鏡は冷笑した。
「なんというか、武器連中の業と矜持とやらは度し難いねえ」

>「鉄甲さん、それじゃダメです!」 
鉄甲の意図を察したらしい方頭が血相を変えて駆け出した。
「まあ待て方頭くん、姐さん達はあれでも武道派なんだから放っておいても自分で何とかするさ」
周りから見れば、何も無いところからいきなり手が伸びて方頭を止めたように見えるだろう。
「逆に、今の君がしゃしゃり出ても足手まといになるとしか思えないんだけどねえ、僕は。
 おっと!暴力反対。僕ですよ、僕」
何も無い場所から姿を現したのは、なんと方頭そっくりの少年だった。
ただし偽者の方は、服などの合わせが全て逆になっている。
まるで鏡に映したかのように。
「やあ、暫くぶりですね、龍紋くんに 火々姐さんも」
実は、方頭を止めたのは単に風鉄と鉄甲、愚断の全力を見たいだけなのだが……。
魔鏡はおくびにもそんな様子は出さない。

「それより、なぜ方頭くんが愚断のダンナの攻撃を受け止め切れなかったか考えてみた方がいい。
 方頭くん、なぜ愚断のダンナはここで宝貝達を待ち受けていたんだろうねえ。
 攻撃を受けてみて、何か気づいた事は無いかい?」

23 名前:愚断 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 22:50:57 0
>18>19>20>21
> そのまま一気にトドメを刺してしまうのじゃ!」
その場に響き渡る風鉄の声。
それに呼応するように鉄甲の連撃が愚断の体に叩き込まれた。
が、その様子とは裏腹に鉄甲の攻撃は愚断をしとめるためのものではない。
剣を叩き落す訳でもなく、急所を打ち抜くわけでもない。
それは愚断の本気を引き摺り出す為の攻撃だった。

「鉄甲さん、それじゃダメです!」
鉄甲の意図に気付いた方頭が叫ぶが、既に時は遅かった。
恐らくは魔鏡が止めに入らなくとも結果は同じだったろう。

>「どうした愚断?行くぞ!ほら、ほら、ほら」
「お・・お・・・おおおお・・・・鉄甲!
言った・・・筈・・・だ・・・。ここは、試あ・・・。」
愚断はもはや防御する事もなく打たれ続け、数十発の後に吹き飛んだのだ。
最後に何かを言おうとしたが、それを言い切ることはなかった。
しかし、愚断と最も近い間合いで拳を振るい続けていた鉄甲には言い知れぬ寒気が走っただろう。

吹き飛ばされ、転がり、仰向けに倒れる愚断。
そしてもはや起き上がってくることはなかった。
倒れたままただ一言。
「磨采・・・。」
それだけ朽ちにすると、愚断の人の形は崩れ、一本の大剣へと変る。
そう、原体となったのだ。

24 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 22:51:07 0
確かにダメージは受けたが、まだ原体になる程のダメージではなかったはず。
追跡宝貝たちが訝しんでいると、愚断剣の転がる側の土が盛り上がり、一人の男が出てきた。
今まで愚断の強烈な剣気に紛れ気付かれずに地中に潜んでいたのだ。
糸目のスキンヘッド、整った風体。
存在感がないのだが、これでも宝貝なのだ。

「愚断の旦那、ようござんしたねい。
それにしてもこんなになるまでとは、不器用なお方だ。」
おもむろに愚断剣を拾い、しみじみと語りかける。
拾い上げた刀身は刃こぼれがし、無数に皹が入っている。
これが火々と鉄甲の攻撃で受けたダメージだった。

その刀身にそっと手を当てながら磨采は追跡宝貝たちへと向きかえる。
「まあ、気付いているとは思いますが、愚断の旦那の名誉の為にもあえて言わせてもらいます。
名の通り愚直に断つ事だけを追及したお方だ。
このお方にとっては人の形を取る事すら不純物以外何者でもない。
つまりは・・・この原体でこそ愚断の旦那はその力を発揮できる。
今までの旦那で力量を測っていたとすると大怪我しますぜ?」
にやりと笑いながら刀身に当てた手を這わし切ると、先程まであった皹や刃毀れは嘘のように消えていた。

「方頭君とは馴染みですが、なにぶん存在感がないのでねい。
自己紹介させてもらいますと、あっしは磨采。
チンケな砥石の宝貝ですが、刀剣を扱わせてもらえるならちったぁ自信があります。
ほれ、このように。」
残酷な笑みを浮かべ、愚断剣をおもむろに振る磨采。
直後、ボトリという音が山に響いた。

それは鉄甲の左手が落ちた音だった。
磨采のおもむろに振った愚断剣の剣閃は、鉄甲の反応する事も許さずにその左手を切り落としたのだ。
「いやなに、今のは挨拶代わり、という事で。
痛みもないでしょう?
直ぐにくっつければ落ちて左手は元通りくっつきますよ。
そのように斬りましたのでね。」
鉄甲の手を切り落とした後も追撃するわけでもなく、笑みを浮かべたまま待っている。
そしてゆっくりと周囲を見回し、一人一人確認するように数えるのだ。

「ひい、ふう、みい、よお、いつ、む・・・ん?・・・あんたは、数に入れて、いいのかな?」
龍紋を見ながら小首を傾げて見せる。
が、気の抜けた風情もそこまでだった。

緩やかに、しかし隙のない構えを取りながら口を開く。
「土気は金気を生む。五行相生の法則。
最強の剣たる愚断の旦那の女房役は砥石のあっしが一番って事で。
折角旦那が本気を出そうってんですから、そちら様方も全力できてください。
でないと・・・楽しめませんのでねい・・・!」

登場時の気の抜けていた磨采は既にいない。
本性を現し全力を出す愚断剣と、それを操る磨采。
二人の醸し出す剣気が山を包む
まるで首下に白刃を当てられたかのような緊張感にその場が支配されていた。

25 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 22:52:56 0
名前: 磨采砥
性別: 男
外見年齢:20代前半
体格: 細身
容姿:糸目でスキンヘッド。
性格: 控えめで目たたない。
原体:砥石
特殊能力:刃系宝貝の修復増強・触れたものを全て刃と化す
備考:砥石の宝貝。剣の扱いにおいては高い能力を発揮する。
    愚断剣を得物にしている。

26 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/02(火) 00:26:29 0
>>23
「弱っちいな・・・」
そこには拍子抜けする鉄甲が居た、ただ吹き飛ばされて起き上がらない愚断
所詮最初の勢いだけの自惚れ屋かと思ったが、地面が盛上がりそこから何者かが現れた
「なんだハゲモグラか・・・」
既に目的を果たした鉄甲には目の前に誰が出ようと興味などなかった
彼の言葉も耳に入らず、適当に受け流す程度、彼女からすれば
糸目のハゲ野郎がペラペラと能書きをタレ始め、原体の愚断を拾いあげ愚断の擁護をした

「ふぁっあああ〜〜」
彼女は大きくあくびを始めた、まったくの油断でしかない
左手を口元に近づけ欠伸を仰ごうとした時、一瞬何かが通り過ぎたかと思うと
手が軽くなるのを感じた、そしてボトリという音が足元から聞こえた・・・
手の違和感と聞きなれない音、彼女は今までに感じたことのない物を感じた
ゆっくりと足元に目をやる・・・すると

「う、うわあああああああああ・・・っ」

自分の左手がボトリと落ちていた、磨采の言葉など聞いてもおらず
自分の落ちた手を拾い上げる

「あたしの、あたしの左手、あたしの左手がぁぁぁぁ・・・」
左手を切り口に当てるとすっと・・・くっつく、にもかかわらず鉄甲は蹲り
自分の左手を押さえながらガクガクと震えていた、彼女の中で何かが消え去り、何かが解き放たれた
解き放たれた先には先程までの獣の姿はなく、怯えるただの少女がそこにいた

「ぁぁぁ・・・・ああ・・・あああ・・・・」
泣いているのか、その声は震え身を低くして小刻みに震えている
余りの出来事に取り乱す彼女、このような事が起きたら誰もが取り乱してしまうかもしれない
しかし・・・今目の前で怯え震えている少女は、彼女の本質ではない・・・。

もしかしたら、左手ではなくそのまま首を落としていれば、磨采の都合の良いように状況は変わったかもしれない

27 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/02(火) 00:44:43 0
―――――敗北の宝貝―――

鉄拳甲・・・鉄甲と呼ばれる拳を守ると同時に拳の威力を上げる格闘武器の宝貝である。

彼女の性格を尋ねたなら
彼女を知るものは皆彼女の暴力性、加虐性、などを彼女の性格として挙げるだろう


しかし、彼女は生まれもってしてそのような性格ではなかった
彼女の暴力性は彼女を守るための虚勢でしかない、そう、彼女の中の彼女を守ろうとする一面が
暴力性を剥き出しにした性格として普段から表面に現れているだけでしかない・・・では本当の彼女はなんなのか?


彼女は戦うための宝貝として生まれた、それとは裏腹に彼女は、それはそれは臆病で戦う事を避ける
武具の中では最弱とまで言われるほど争いを好まぬ大人しい宝貝だった
弱く、弱く・・・ただの少女でしかない武具達の虐めのような稽古で毎日地べたに這い蹲っていた
それが今の一面を生んだのかもしれない

だが、彼女の真の力はただ稽古を着ければいいというわけではなかった
彼女の能力、それは敗北を味わう事で自身が急激に成長するというものであった、厳しい虐めの現実も
彼女を強く鍛え上げるためのものでしかなかった。

敗北に敗北を重ね、その都度倒れても、誰も手を貸さない・・・彼女は自分で立ち上がらなければならない
立ち上がるたび起き上がる力が強くなるのを感じた彼女は、自分の中で何かがめまぐるしく動くのを感じた
エネルギーの流れ、それは彼女の急速成長という能力のエネルギーが駆け巡っている事を教えてくれた
敗北の中でその力を感じ、自分に立ち上がる力を与える・・・自分が成長していく事を感じた
それからである、彼女はあらゆる事も全力で向かい、その度に挫折の経験を味わっていった

しかし、彼女能力は敗北を無駄にしない能力
彼女の中で負ける事は恐れる事ではなくなった、敗北こそが自分を創り、自分を立ち上がらせる
逆境こそが自分の本質を感じれる瞬間であり自分を強くしてくれる場だと

彼女の能力は急速成長、味わう苦痛や敗北感それをエネルギーに変えて自分を急速に強くする能力
そしてその派生である 見切り は彼女が味わった苦痛を体で覚え、苦痛を和らぐ力がある
そして2度苦痛を味わうもんかと彼女の体に働きかけ、攻撃を避けたり受け流せるように急速成長に役立てる

その二つがある限り彼女は
彼女は敗北の宝貝であり、勝利の宝貝でもある
敗北の中から立ち上がった時の彼女こそが本来の彼女であり、格闘家鉄拳甲である

――――――――――――――――――――――――――――――

「うぐ・・・うぐっ・・・うう、・・・ううう・・・ずず」
左手で涙と鼻をぬぐい立ち上がる、地面に顔を着けていた為おでこに土がついている
それを手でぬぐうと、彼女の顔は泣き腫らした目と赤い鼻になっていた
呼吸を落ち着けると 磨采へと拳をむけ腰を落とし構える

今までの喧嘩スタイルの我流の型ではなく、仙人直々の拳法の型で向き直り 今までの口調ではなく
落ち着いた口調で磨采に語りかける

「先程は見苦しいところをお見せした、我こそは仙境流仙拳の使い手、鉄拳甲!そなたら二人を見くびっていた事を詫びよう
そなたらのような強者の前でしか本当の自分を曝け出せないのでな・・・ 先程の事で動揺して名前を聞きそびれた
差し支えなければそなたの名を聞いておきたい」

磨采の名前を聞く彼女は遊びで戦いをやっていた鉄甲ではない
彼女こそが敗北の宝貝であり本当の鉄拳甲である

28 名前:龍紋 ◆OK6hKA/.GA [sage] 投稿日:2008/12/02(火) 18:14:47 0
>>17
>「【業】故に、〜道具ならばその用途を全うする業を果たさねば何の意味がある!!」
愚断は思いを自分にぶつけてきた。しかしそれは、龍紋の思い描く答えとは違っていた。
下界への好奇心を持っていたわけでもなく、己の本分に還りたかった。そう言うのである。

「なんだぁ〜、そんな理由か」

愚断と龍紋の境遇は飾られているだけの存在としてとても似ていたが、龍紋の考えは違った。

「外の世界に興味があるなら、一緒に世界を廻れるかもって、そう思ってたんだけどね」

龍紋は愚断への落胆とともに、邪な考えが浮かんだ。自分は自分と同じ考えを持つ宝貝と、旅に出よう、そんな邪な考えが。
>>16>>18>>19>>20
>「龍紋!愚断を殺れ!!」
それに返答しようとするやいなや、鉄甲がすさまじい速さで突撃し炎を纏った拳を愚断の腹に命中させる。
そしていつの間にか現れた風鉄が果敢に皆を攻め立てる。
しかし鉄甲はまるで愚断を挑発するように、どこか手を抜いて攻撃している
方頭もそれを悟ってか、鉄甲を諌めている。
「鉄甲さん、早く済ませて早く帰ろうよ〜」
>>22
そこへ、方頭そっくりの少年が何も無い場所から姿を現した。
>「やあ、暫くぶりですね、龍紋くんに 火々姐さんも」
方頭が二人!?と龍紋は驚いた。方頭が双子だったなんて話は聞いたことがない。なのに
面識があるような態度で接してくるこの男は一体誰だろう?

「ええと・・・ご兄弟の方ですか?」
>>23>>24
そんなことをしているうちに、鉄甲がラッシュを決めたせいか、愚断は原体に戻る。

「なんだ、もう終わりかぁ。皆お疲れ様〜」

両手を振り皆に帰るよう促す。が、横たわる愚断剣の傍らには一人の宝貝が立っていた。
自己紹介を済ませると、男は造作もなく鉄甲の左手を切り落とす。
その瞬間が速すぎて、龍紋の目では追えなかった。
その恐怖が、龍紋の危機感を刺激する。
>「ひい、ふう、みい、よお、いつ、む・・・ん?・・・あんたは、数に入れて、いいのかな?」
「う・・・そりゃちょっとばかし覚悟は足りなかったかもしれないよ?でも俺だって、た、戦えるんだ」
>>26>>27
慌てふためいていた鉄甲も、泣きながら戦闘体制に入る。
この場は全員でかからなければ、スクラップにされてしまう。
いま一つ乗り気でなかった龍紋も、命惜しさに、無事に帰って旅をするために、戦闘体制に入った。


29 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/12/02(火) 22:26:05 0
>22>28
>まあ待て方頭くん、姐さん達はあれでも武道派なんだから〜
「うわ!?何ですか、急がないとあれじゃ……え、ええぇぇぇっ!?」
駆け出そうとした方頭を唐突に遮る声と手、焦っていた方頭はその相手を怒鳴りつけようとして……涼しげな顔をした自分と対面する

>ええと・・・ご兄弟の方ですか?
「え、いや違います、というかこっちが聞きたいよ!?」
龍紋の問いにますます慌てる方頭であるも

>逆に、今の君がしゃしゃり出ても足手まといに〜
>なぜ方頭くんが愚断のダンナの攻撃を受け止め切れなかったか〜
>なぜ愚断のダンナはここで宝貝達を待ち受けていたんだろうねえ。
先程までの危機感を忘れそうな混乱に陥る方頭であったが、声まで涼しげな眼前の自分が厳しい事実を指摘してくる
その飄々とした調子が次第に冷静さを取り戻させた
「魔鏡さん、ですか?確かに今の僕じゃ勝負にならないのは分かってます。でも、あれは今止めないと」
今回一緒にやってきた追跡宝貝の一員だと見当をつけながら反論する、だが

>23-27
「あなたは……磨采さん!?脱走していたのは聞いてましたがあなたもここに居たなんて!」
地面から現れた砥石の宝貝、彼は言ってみれば縁の下の力持ち、たしかに目立つ役どころではなかった
だが顔馴染みである方頭は彼の腕を知っており
瞬く間に鉄甲を襲った絶技がその技量を如実に示している

「皆さん、あの人を侮っては駄目です!」
宝貝たちへと呼びかける方頭に先程以上の焦りがやってくる
「初撃で霊力を持ってかれすぎた回復しようにも時間もない……どうすれば
 このまま鉄甲さんに任せるしかないのか?」

30 名前:火々 鍋 ◆8SPHqobdCs [sage] 投稿日:2008/12/03(水) 02:51:34 O
「あらら、あっさり抜けられちゃった」
自分が危機的状況に追い込まれているというのに、火々は眉一つ動かさず微笑みを浮かべている
「まぁどうにかなるでしょ」
シンプルに言うなら、ただ何も考えずに楽観視だであったが
本当にどうにかなってしまった。

だが、現実はそんなに甘くない。
磨采の登場と鉄甲の損傷
徐々に不穏な空気が立ちこめる中、彼女の第一声は…
「すっごぉい!方頭君!見た!?今の見た!切った部分がくっついたよ
それに砥石でしょ?いいなぁ〜ねぇ磨采さん愚断さん
私から厨房長に頼むからさ〜厨房こない?人とかは流石に無理だけど、斬りがいのあるものは一杯あるよ」
子供のように無邪気に目を輝かせ、ハシャぎ、あまつさえ、脱走者である磨采と愚断を厨房に誘っている
愚断と磨采の腕さえ有れば、材料がかなり新鮮なままで料理することが可能なはずだ。
そうを考えただけで心が踊る。

31 名前:風鉄 ◆8POt/p0q3w [sage] 投稿日:2008/12/03(水) 09:52:04 0
>>19-20
>>22-26
「愚か者め、何をしておるか!
 …くっ、やはり鉄甲などに本隊を任せたのが迂闊であったか」

鉄甲は挑発的な攻撃を繰り返すばかりで、決定打を打ち込もうとしない
方頭が諌めているが、全く聞く耳を持っていないようである
更に、他の者たちも余り積極的に介入しようとしていない
ほとんどの連中がこの状況を素直に楽しんでいるという有様である

「自ら原体に戻ったじゃと!?
 不味い…、奴と組む前に手を打たねば!」

鉄甲の攻撃を受け、突如として愚断が原体である大剣へと姿を戻した
しかし、それはダメージの蓄積による反動ではなく、「自分で」である
それに危機感を覚えた風鉄は、崖から飛び降り鉄扇を構え、護風を作り始めた
護風は風の障壁だが、原体状態の宝貝を包み込んで封印する力も持っている
簡易的なものだが、成功すればほぼ完全にその宝貝を無力化できるのだ
しかし、降り立った時には既に遅かった…

「磨采か…
 やはりお主も降りて来て居ったのだな
 原体となった愚断を振るえる者など、奴自身を除いてお主しか居るまい
 …さてと、随分と厄介なことになったものじゃ」

突如地面から現れた磨采によって、既に愚断剣は握られていた
仙界無双と謳われる剛剣と剣のプロフェッショナルである砥石
これらの宝貝の組み合わせは、風鉄が想定していた最悪の事態である
油断していたとはいえ、鉄甲ほどの実力者の腕を一瞬で斬り落とすほどである

「お主ら、覚悟を決めよ
 こうなっては、一対一ではわしや鉄甲ですら歯が立つまい
 命を賭さねば、勝機は無いということじゃ」

>>27
「こ、これは…!」

風鉄は、鉄甲が「敗北の宝貝」の二つ名で呼ばれる由来を知っていた
蔑称と勘違いしている無知な輩がよく、彼女をからかって殴り飛ばされている
もちろん蔑称ではなく、敗北や危機に瀕した覚醒を称えたものである
この覚醒で、鉄甲は敗北を勝利の糧として強くなってきたと言っても過言ではない
先ほどの粗暴な雰囲気は鳴りを潜め、対照的に礼儀正しいものとなっている
よほど腕を切られたのが悔しかったのだろう
ここまで激しい覚醒は見たことが無い

32 名前:魔 鏡也 ◆jucVyRORyI [sage] 投稿日:2008/12/03(水) 16:52:08 0
>19 >23 >29
>ええと・・・ご兄弟の方ですか?
「やだなあ龍紋くん、僕のことが分からないなんて寂しいよ」
>「魔鏡さん、ですか?確かに今の僕じゃ勝負にならないのは分かってます。でも、あれは今止めないと」
「はい正解。拍手拍手」
鉄甲がラッシュを叩き込んでいるのを尻目に、魔境はぱちぱちと手を叩いた。

>24 >26
やがて愚断は本性に戻り、代わりにスキンヘッドの男が現れた。
>「あなたは……磨采さん!?脱走していたのは聞いてましたがあなたもここに居たなんて!」

磨采は名乗りをあげると、目にもとまらぬ速さで鉄甲の腕を切り落とした。
鉄甲は相当のショックを受けたようだ。
>「いやなに、今のは挨拶代わり、という事で。
>直ぐにくっつければ落ちて左手は元通りくっつきますよ。」
「ありゃ〜。また随分と派手な登場だ。これで鉄甲の姐さんも「敗北の宝貝」の本領発揮かねえ?
ああ、そう言えば東洋では、ある程度弱ると首を挿げ替えて力を取り戻す妖怪の話があったねえ。
確か餡……なんだったかな?」
方頭の警告を聞いているのかいないのか、魔境は相変わらずのんびりとした風情だ。

>「初撃で霊力を持ってかれすぎた回復しようにも時間もない……どうすれば
> このまま鉄甲さんに任せるしかないのか?」
「まあまあ、僕の名前を当てた方頭くんにはご褒美にいい事を教えてあげるよ。
ここは鉱山だから、金気の場所でもあるんだよ。
君の包丁を地面に刺しておくと回復出来るし能力強化も出来るよ〜」
方頭の顔をした魔境は、そこで猫のように目を細めた。
「……ちょうど愚断のダンナが、君の素敵な包丁に傷をつけたみたいにねえ」

>28
>「ひい、ふう、みい、よお、いつ、む・・・ん?・・・あんたは、数に入れて、いいのかな?」
龍紋を見ながら小首を傾げて見せる。
>「う・・・そりゃちょっとばかし覚悟は足りなかったかもしれないよ?でも俺だって、た、戦えるんだ」
「そうかい!それじゃあ、龍紋くんの代わりに僕を頭数から外してくれるかな?こう見えても平和主義者なんだ」

>「土気は金気を生む。五行相生の法則。
>最強の剣たる愚断の旦那の女房役は砥石のあっしが一番って事で。
>折角旦那が本気を出そうってんですから、そちら様方も全力できてください。
>でないと・・・楽しめませんのでねい・・・!」
「おやおや、お二人とも本気かい?宝貝を宝貝が使うなんて忌諱もいいところじゃないか。
結果どうなるのか知らないわけでもあるまいに。
それとも何かな、そこまで愚断のダンナに入れ込んでるってことかい?」
魔境はが呆れたように首を振ると、処置無しというように肩をすくめた。
「……やれやれ、せめて磨采のダンナが見目麗しい女性だったらねえ。
陰陽的にも僕としてもすごぶる燃えるんだけどねえ」
魔境はつらつら喋りながら、その姿を方頭から 火々鍋へと姿を変えた。
そして、先ほど 火々がやったように掌の上で炎を発生させる。

「五行では土気は金気を産むんですよねえ。
それでは風鉄姐さん、風はどうでしょう?木気と同じように火気を育てるんでしょうか?
いやはや、僕は不勉強でいけませんねえ」
そういい終えると、偽 火々鍋は炎を放った。
「では皆さん、思う存分どうぞ」
炎は爆発的な速度で燃え広がり、本物が愚断に放ったときのように炎の壁となって磨采に迫る!

もちろん魔境も、この炎攻撃で磨采を倒せるなどとは思っていない。
これは単なるきっかけだ。
他の宝貝が磨采達に仕掛けるための。
そして魔境自身は、楽して高みの見物としゃれ込むつもりなのだ。

33 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/03(水) 23:22:16 0
左手を切り落とされた鉄甲が蹲り泣きじゃくる。
手は元通りくっついているのだが、衝撃が大きかったのか、嗚咽は止まらない。
そんな様子に呆気に取られた磨采だったが、龍紋が戦いの意思を見せることで頬を歪ませた。
「上々。やっぱりやる気になってくれないと斬りがいがありやせんからねい。」
それは残酷な愉悦の笑みだった。

そんなやり取りをしていると、風鉄がやってくる。
>「お主ら、覚悟を決めよ
> こうなっては、一対一ではわしや鉄甲ですら歯が立つまい
> 命を賭さねば、勝機は無いということじゃ」
「賭け?何を差し出しても賭けにもならないって事を実感してもらいましょうかねい。」
状況を的確に判断し一同に声をかけるが、磨采はその判断が正しい、とは思わない。
鉄甲は先程の一撃で戦意喪失。
アタッカーを欠いたチームがどう足掻こうと、もはや物の数ではない、と。
せいぜい斬り応えのある獲物程度のものだった。

が、磨采は所詮は道具の宝貝。
鉄甲の二つ名の理由を知らなかったのだ。
涙を拭い立ち上がる鉄甲を見て、チリリと磨采の首筋が焼け付くような感覚に襲われた。
先程までの粗野な顔でも、泣きじゃくっていた顔でもない。
凛とした欠く投下の本性を見せた鉄甲の口ぶりに、磨采の残酷な笑みが消えた。

「そりゃようござんした。
あっしは武人というわけじゃございませんで、そう改められるとかえって恐縮なのですがねい。
ま、愚断の旦那を持つ以上、こちらも応えさせてもらいましょう。
磨采砥。崑崙派仙剣をたしなんでおりやす。
それから、愚断の旦那から・・・『それでいい』ですってよ。
風鉄さん、これで賭けくらいにはなりそうですねい・・・・!」
追跡宝貝たちの態勢が整うのを見るや、磨采は剣を構え、腕に力を込める。

今ここに真の戦いの火蓋が切られようとしているのだ。

最初に仕掛けたのは魔鏡だった。
>「五行では土気は金気を産むんですよねえ。
>それでは風鉄姐さん、風はどうでしょう?木気と同じように火気を育てるんでしょうか?
方頭だった魔鏡は火々に姿を変え、炎を走らせる。
「風は木気。火を育てるが土を抉るのでねい!それではちと面倒になる。
行きますぜ?地走り蛟!!」
風鉄の操る風は木行に属する。
木は水で育ち、火を生み、金に斬られ、土を抉る。
つまり風鉄は愚断にとっては相性的に組しやすいが、土気の属性を持つ磨采にとっては天敵となりうる。

風鉄に視線を送り、そういいながら磨采は愚断を振るい、己の足元を切りつけた。
斬りつけられた地面には無数の亀裂が走り、地をのたうつ蛇のようにそれぞれ追跡宝貝たちに迫る。
強烈な斬撃が生んだ真空刃が地面を切り裂きながら走っているのだ。

直後、炎が磨采のいた場所を嘗め尽くしたのだが、そこには既にその姿はなかった。
ただ切り取られたかのような穴があるのみ。

消えた兇刃は風鉄ではなく、火々の下へと現われる。
「折角お誘いいただいたのを無碍に断るのも悪いですしね。
宝貝の生け造りってのをやってみましょうかねい!」
火々の足元から磨采の声と剣先が生えていた。
直後地面は切り取られ、磨采が飛び出てくる。

「この山は鉱山、そしてこの下には坑道が縦横に走っているんですよ!」
地の利を知り尽くした磨采の兇刃が火々へと迫る!


34 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 19:33:46 O
OCN全サーバー規制中です

避難所にも伝えてください

35 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/12/04(木) 19:54:42 0


36 名前:火々 鍋 ◆8SPHqobdCs [sage] 投稿日:2008/12/04(木) 20:23:27 O
と呑気なことを言ってみたものの、それで易々と納得するのであれば、こんな苦労はしない事は彼女も重々承知の上ではいるが
それだけ、磨采と愚断の合わせ技が見事であったという事である。
であるが、この場の流れと磨采の雰囲気からして、これ以上の戦闘は必然的であるのは明白である。
彼女も底抜けの馬鹿ではない。
だが、彼女は他の宝貝らのように戦闘態勢をとる訳でもなく、磨采の返答を心待ちにしている
だが正確には、戦闘態勢は既にとっていた
自分の体温を急激に上げている真っ最中であった。
きっと磨采は自分から始末してくると予見しての準備であった
彼女の火と熱を操る能力は、中華鍋として生まれた彼女にとって最高に相性の良い能力ではあるが、その気になれば、陽 光炉に匹敵する火力を出すことも可能である。

予見は見事に的中し、磨采は真っ先に火々から狙ってきた
だが、磨采迫っている時には、彼女の体温は既に鉄をも溶かす温度にまで達している
そして、磨采が視界に現れた時、彼女はその凶刃を避けようとはせず
自らその刃を右肩に深々と突き刺し受け止めたと同時に、磨采の顔を鷲掴みにした。
「それは…残念です」
苦痛に顔を歪ませながら、弱々しく磨采に話す。

37 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/12/04(木) 22:00:57 0
>私から厨房長に頼むからさ〜厨房こない?〜
「僕だってそれが出来たらいいですよ…ホント」
火々が磨采を冗談半分で説得、とうか懐柔しようと試みている横で方頭は尚も焦っていた。

>君の包丁を地面に刺しておくと回復出来るし能力強化も出来るよ〜
「分かってるんです。でも今のあの人、磨采さん相手にそんなことをしていては……」
先ほどから魔鏡の言っている通り金気に満ちたこの山であれば
方頭に全力以上の力を出させることも可能にし得るだろう。
だがすでには彼は消耗しており、それを成すためには時間が掛かる。
そんな隙を一流の使い手たるあの宝貝が見逃すはずはない以上
鉄甲、風鉄といった武闘派がいても自分だけ迂闊に無防備な状態となる訳にはいかなかった。

>行きますぜ?地走り蛟!!
方頭が動けずにいる中でおしゃべりはここまで、と言わんばかりに磨采は愚断剣を振るう。
「まずい!段の型、守り、ううっ!?」
もともと戦闘畑ではない方頭に避ける程の技量はなく
またそばにいる魔鏡を放っておいて逃げることも出来ず先程と同様の巨大包丁での防御を張る。
辛うじて防ぐものの状態はさらに悪化する
このままでは先に自分が霊力切れで倒れると苦痛に顔を歪める方頭であったが

>自らその刃を右肩に深々と突き刺し受け止めたと同時に、磨采の顔を鷲掴みにした。
「火々さん!?……仕方がない僕が力になるためにはこれしかっ!」
自らを囮に磨采を捕らえた火々の痛々しげな姿を見て助けに行こうとする自分を彼は押し止めた
磨采の注意が火々に向いている今しか回復できる時間はない
彼は自身の得物を地面に突き立て、土地の金気をその身に取り込む

38 名前:風鉄 ◆8POt/p0q3w [sage] 投稿日:2008/12/04(木) 23:52:59 0
>>32>>33
「お主、相変わらず面妖な術を使いおる…
 儀式鏡の為せる技というべきか業というべきか
 …どちらにせよ、今回ばかりはお主の力も借りねばならぬのでな
 その力、頼りにさせてもらうぞ」
風鉄は、魔鏡のことを余り信頼していない
魔鏡の力を考えれば、その目の前でこちらの手の内を見せたくなくなるのだ
自分の技をコピーされるというのも、余り気持ちのいいものではない
しかし、それ故に下手な武器宝貝よりも遥かに戦力となりうる
一方で、この状況を利用しようとする腹黒さも持ち合わせているように感じる

「考えるに及ばず!
 風は木気、火を育て鉄を溶かす力と出来るものじゃ
 そして、木気たる風は土や石を削り取る
 弱点属性を補い合えば、勝機は…あるっ!」
魔鏡の問い掛けにそう答え、鉄扇を目一杯開く
そして、何度も仰いで球状に固まった風の塊を作り出した
刹那、折り畳んだ鉄扇を振り下ろして風の塊を一刀両断すると、弾け飛んで突風となる
突風は周辺を走り、偽火々鍋の炎を煽り立て凄まじい業火に変えてしまった
すると、炎を超えて真空刃がこちらへと迫ってくる

「苦し紛れの小細工か…?
 反撃にしては…
 …っ!
 しまった、奴らは地下じゃ!」
鉄扇で難なく弾き返すが、すぐさま炎の跡に姿が無いことに気付く
地下の坑道に潜って姿を隠し、そこを進んでいたのだ
気付いた時には既に遅く、火々鍋の足元から飛び出して襲い掛かっていた
「磨采は、苦手な風の自分を先に襲う」と踏んだことも誤りであった
しかし、その展開は思わぬ様相を呈していた

>>36-37
「火々鍋…、まさかお主、これを狙っておったのか!
 無茶なことを…、今助けるぞ!」
風鉄は走り出すと、飛び上がって磨采の背後に回りこむ
そして、鉄扇を二つに分離すると瞬時に身構えた

「せやああぁぁぁぁっ!」
二つの折り畳んだ鉄扇を振り上げ、磨采の両肩に一気に振り下ろす
両肩を砕き、愚断を振るえないようにしようというのだ

39 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/05(金) 14:06:19 0
全ては磨采の思惑通りに動いていた。
火々を殺さず戦闘不能にする事により戦力を一つ無効化させる。
それは同時に様々な餌なのだ。
一人獲物を狩るというのは最大の隙にもなりうる。

「隙」という餌に食いつき方頭は鉱山の金気を吸い取る。
「救出」という名の餌に釣られ、風鉄がおびき寄せられる。

隙を見せることにより相手のアクションを誘導したのだ。
傷を負い霊力の底が見えかけている方頭は獲物としてはあまりにも足らなさ過ぎる。
更に、まともに構えられては相性が悪い風鉄がわざわざ間合いに入ってきたのだ。

全ては思惑通り、のはずだった。
ただ一点を除いて。

それは火々の覚悟!
磨采は心のどこかで火々を侮っていたのかもしれない。
この期に及んで厨房に誘うその言動からすでにその術は始まっていたのだろう。
火々は磨采の想定するより遥か高み。
武器の宝貝すら容易に辿り着けぬ覚悟を以って磨采を待ち構えていたのだった。

切っ先が火々の肩口に触れる瞬間、愚断はその覚悟を察した。
それが磨采に伝わるまで刹那の時間を要したのだ。
時間的に見ればほぼ同時に磨采も気付いたといってもよいのだが、基準となる時間感覚があまりにも早すぎたことが致命的だったのだ。
磨采の動き、剣技は一瞬で数太刀振るえるほどに速い。
故に、磨采にそれが伝わる刹那の間に、剣先は深々と火々の肩口へと突き刺さってしまっていたのだ。

>「それは…残念です」
刃を肩で受けた火々が磨采の顔を鷲掴みにする。
ただの鷲掴みではなく、灼熱を持った手での鷲掴みである。
ジュッと焼ける音と共に感嘆の言葉が漏れる。
「くうううう!やりやす・・・ねい!」
このまま突き刺さった愚断剣を振り下ろせば、火々は肩から脇腹まで切り裂かれる。
が、既にこの時背後には風鉄が迫ってきている。
綿密に組み立てられた戦略は予定外の行動をとるを許すほど余裕はなかった。

最初から火々を殺す為に急所を刺していれば事態は変っていたのかもしれない。
しかし、「餌」にする為に敢えて急所を外したが為に、火々の覚悟に一瞬の遅れを取る。
その遅れが振り返る一瞬にしわ寄せとなって現われた。

本来ならば振り向きざまに両断するつもりであったが、そうも行かない。
愚断剣を振り下ろすのではなく振り上げた。
磨采は振り返る事無く・・・否、振り返ることができず、愚断剣を頭上に横にして風鉄の一撃を受けた。
両肩を粉砕される事は免れたのだが、ズンという重い双撃を受け諸刃が磨采の手に筋をつける。
「お仲間の熱血、よく味わいなせえ。」
鉄扇を受けたままの態勢で手を軽く捻る。
刀身についた血のりを払う動作の応用なのだが、この局面に至ってはそれすら攻撃手段となるのだ。
なんといっても今愚断剣についている血のりは灼熱の火々の血なのだから。

背後の風鉄に血のりを浴びせながら磨采自身も体捌きで顔を鷲掴みにする火々の手から逃れた。
「ふひひひ・・・いい塩梅だねイ・・・!」
顔に火傷を負い、左手に切り傷を負いながらも磨采は愉悦に浸り、その気は膨らんでいく。

40 名前:龍紋 ◆OK6hKA/.GA [sage] 投稿日:2008/12/05(金) 19:21:33 0
>>32>>33
方頭に化けていた魔鏡が今度は火々に化け炎の壁を放ち、戦いの火蓋は切って落とされた。
先ほどまで化けていた魔鏡の正体にやっと龍紋も気付いたが、今はそんなことに驚いている場合ではなかった。
磨采が愚断剣を振り下ろすと、その場から衝撃波が発生する。刃物ではあるが戦う宝貝ではないため
磨采にとっては様子見の攻撃でも、龍紋にとっては改心の一撃となる。
いち早く戦闘体制に入っていたためか素早く飛びのいたためか、剣の衝撃波は頬を掠めるに止まった。
自分はおそらく必勝の一撃は繰り出せない。
だからサポートに周り、隙を作るべきだと感じた龍紋は【シザーハンズ】・・・両手に片刃のハサミを10本、各指に出現させた。
そばにあった岩を真っ二つに「切断」すると、手のひらにある鉄ヤスリで、その岩をものすごい速さで磨り、二頭の虎の形に「整形」する。
するとどうだろう、まるで本当に二頭の虎がいるように、二つの岩が動き出したではないか。
>>36>>38>>39
火々と風鉄の攻撃により、磨采もこちらには気がついていないようだ
「いまだ、いけっ!」

龍紋がけしかけると、二頭の虎は鋭い牙をむき出しながら磨采に襲い掛かった。


41 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/05(金) 21:28:19 0
>>33
>磨采砥。崑崙派仙剣をたしなんでおりやす。
>それから、愚断の旦那から・・・『それでいい』ですってよ。

「磨采、その名覚えたぞ・・・」
鉄甲も構えを変えて自分にとってベストの位置をキープする
近すぎてもダメ、離れすぎてもダメ、磨采の剣をかわせて尚且つ直ぐに攻めに転じれる位置を
確保しなければならない、幸い他の宝貝達が磨采を囲んでいるように配置しているので
現状自分が突出して前に出る必要も無い

最初に動いた魔鏡、しかしそれを蹴散らすように磨采の攻撃が来た
磨采の地を這う刃を鉄甲がかわす事は問題なかった、他の宝貝はこれを対処できているかは分からないが
今磨采視線をから外すのは命取り、非常ではあるが他人の心配をしていられるほどの余裕は鉄甲にはない
「今は攻めの気を錬るしかない」
彼女の闘志をいつでも外に放てるように攻撃の準備をしておく

反撃に転じたのは火々、自らの滾る炎をに前面に押し出した火々の捨て身の攻撃
そして風鉄の援護、一瞬の出来事、流石の磨采もこれには降参だろう思われたしかし

>「ふひひひ・・・いい塩梅だねイ・・・!」
火傷を負いながらも磨采はまだ立っていた、風鉄の追い討ちも磨采を仕留めるまでには行かなかったようだ
風鉄に火々の炎が飛ぶ

「お前等!よくやったよ!」

沈黙を破り鉄甲が叫ぶ、今がその時である
火々と風鉄に集中している磨采の視線をこっちに集める

「仙境流仙拳奥義!動覇残影掌!!」

鉄甲が磨采めがけて高速で突き進む、しかしそのまま磨采にぶつかるのではなく磨采の数m前で止まる
すると、急激に止まった鉄甲の体から飛び出るように鉄甲の形をした闘気だけが磨采めがけて飛んでいく
これは闘気だけで相手を攻撃する仙境流の奥義である。
そして

「磨采!覚悟!」
高速の拳が最初に愚断と闘ったときのように繰り出される。ただしあの時と違うのは威力だけではない
今度は剣を握る力を衰えさせようと磨采の手と肩にも繰り出している

>>40
流石は龍紋、石造の虎とは凄い
磨采への深追いは避けるべきである、龍紋の虎にこの場は任せて
今一度闘気を蓄えるため、再び間合いを確保するため下がる

42 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/05(金) 23:13:21 0
>「お前等!よくやったよ!」
火々と風鉄の攻撃を凌ぎきると鉄甲が気勢を発し磨采の気を引く。
高速で間合いを詰める鉄甲は数メートル手前で突然止まるが、攻撃自体は止まってはいなかった。
分身ともいえる闘気だけが鉄甲の体をすり抜けそのまま向かってきているのだ。

突然の急停止にもかかわらず向かってくる攻撃。
にも拘らず磨采の対応は落ち着いたものだった。
「不用意に名乗りなんぞ上げるからっ!」
道具たる磨采は知らずとも武器であり武人の愚断は知っていたのだ。
本来ならば間合いと呼吸を崩されるところだが、仙境流を名乗った時点でこの攻撃は想定内。
微妙に間合いを外し懐に入れぬように闘気鉄甲の攻撃を捌いていく。
磨采には愚断ほどの耐久力はない。
急所への一撃は致命の一撃となりうる為、的確に打ち落としていく。
が、それに気を取られるあまり、ついには右手への一撃を許してしまう。

弾かれるように跳ね上げられる右腕。
にも拘らず、磨采は愚断剣を離さなかった。
いや、離せなかった。
その手は愚断剣を握っているのではなく、愚断剣と融合しているのだから。
「ふひっ!これが因果って奴でさあ〜。」
弾き飛ばされても離れぬ愚断剣を見せ付けるように体勢を立て直し、闘気鉄甲を切り捨てる。
切り捨てられた闘気鉄甲は形を崩し、霧散してした。

魔鏡が戦慄した宝貝が宝貝を使うという事。
それが何ゆえ忌諱であるか・・・
使われる為に生まれた宝貝が使うという因果を超えた代償がこれなのだ。
お互いの宝貝は徐々に融合し、果ては自我すら境目がなく消える。

その結果を知っていてもなお愚断剣を使う磨采と使われる愚断の覚悟が更に切れ味を増しているのだ。

闘気鉄甲が消えた直後、その揺らめく戦う闘気の残滓から二頭の虎が磨采に襲い掛かってきた。
龍紋の放った石造りの虎たち。
鋭き爪と牙が繰り出されるが、そのまま磨采を通り抜けてしまう。

磨采の背後に着地した虎の一頭は三等分に切り分けられ石へと戻る。
もう一頭は肩口を切り裂かれてはいるが、致命傷にはなっていないようだ。
そして当の磨采は左肩に三本の筋をつけていた。
すれ違いざまに目にも止まらぬ攻防が繰り広げられていたのだ。
左側の虎が切り刻まれなかったのは火々の灼熱アイアンクローが効いていたからだった。
顔を鷲掴みにされた磨采の左目は焼け爛れて既に開いていない。

「さあて、あまり愚断の旦那ばかりに頼っていてもいけませんしねい。
仕込みは上々!」
顔からの煙も薄れてきたところで、磨采は地面に深々と愚断剣を突き立てた。
そのまましゃがみ、ついには刀身の全てが埋まるまで。

「山に眠りし鉱脈よ!金気の粋たる愚断剣の呼びかけに応えよ!
山津波!剣山舞踏!!」
立ち上がる勢いを利用し、一気に愚断剣を地面から引き抜いた。
直後、山全体が鳴動し、足元から鉱物の柱が無数に飛び出てくる。
「気をつけなせえ。あっしは触れたもの全て刃と化す砥石。
その柱は全て鋭利な剣と思いなせえ!」
そう笑う磨采を中心に10mクラスの鉱物の柱が衝撃を伴いながら次々と生えてくる。

まさに槍衾。
遠目で見ていると、鉱山全体に巨大な針が生え、まるでハリネズミのように見えるだろう。
そして磨采の言うとおり、その針一本一本が形に問わず鋭い剣なのだ。

林立する剣山の中、串刺しにされ石に戻る虎を見上げながら一つ息を付き、辺りを見回した。

43 名前:方頭 ◆J.2feuKGh2 [sage] 投稿日:2008/12/06(土) 19:07:14 0
>「隙」という餌に食いつき方頭は鉱山の金気を吸い取る。
戦場では本来なら確実に仕留められる者、弱者から葬られていくのが常である。
だがこの戦いにおいて、磨采という宝貝は愚断剣の力を存分に発揮することを目的としているのだ。
ならば彼がその剣を振るうのはそれに見合う武人であり
こと戦闘に関してはまったくの素人である上、霊力を失い、今なお虫の息である方頭ではありえない。
それならば不用意に踊り出るよりも、この鉱山という自身にとっても有効な地の利を生かすべき。
今は歯痒いが回復に努め、万全の状態で助勢に入るべきだ。
……少なくとも方頭にとってはそれが最良の策だと確信していた。
だが、厨房でしか働いたことのない方頭と、武具たちとも交流を持って戦いを知る磨采
この二者の違いはそのまま“戦場”というもののスケールの違いとなって現れる。

磨采が手にした愚断剣を大地に向かって突き下ろしていき、やがて方頭同様に得物の刀身を地に埋め込む。
戦闘はいまだ続いており、彼自身手傷を負っているにもかかわらず、だ。
宝貝が宝貝を使う、という忌諱ゆえにすでに半同化している状態なら
自分もまたこの地の金気で回復出来ると踏んだのか?と方頭は訝しがる。
その直後、自身の読みの甘さを知る。

>「山に眠りし鉱脈よ!金気の粋たる愚断剣の呼びかけに応えよ!
>山津波!剣山舞踏!!」
大地から剣と共に解き放たれた莫大な霊力が磨采にとっての“戦場”―――この鉱山全体を駆け巡る。
それはすぐさま一つ一つが方頭の体を軽々を貫く程の大きさを持った“剣”の形に変じて
大地を覆いつくす暴力となって迫る。
「そ、そんなっ!?これ程の規模で地勢を利用するなんて!」
霊力も回復しきっていない、それ以前に自身の術では防ごうにも圧倒的すぎる質量の群れ
戦闘畑でない彼には迫りくる剣山を避けるだけの身のこなしもない。

「方家式包丁術・丁の型、全材一絶・守り!!!」
方頭は最後の足掻き、愚断の初撃と激突した以上の大きさ、地中から伸び出る柱の一本よりも
なお大きく包丁を変化させる。
仙界の厨房で調理する巨大な食材のなかでも一際硬いものを叩き切るため
気力と集中をもって放たれる一振り、方頭に使えるなかで最も高位な術である。

だが、所詮戦いの始まりで愚断が語った通り、包丁は戦場で使われることを目的としていない
ましてや消耗していたとあっては結果など考えるまでもなし。
一本目の柱が刀身の腹に叩きつけられ全体が大きく歪む。
二本目が続けざまにやって来て刃こぼれを起こす。
三本目、四本目がそれぞれ刃先と峰の側に罅を入れる。
最後に五本目が根元に突き刺さり、限界を超えた得物が巨大化を保てなくなり元の大きさに戻る。
「ぐあっ!?……っ!うああぁっ!!」
防御を失った方頭はそれ以降、完全に無力、六本目が左足を抉り、七本目が右肩を吹き飛ばす

八本目が右胸を貫いたところで方頭は力尽き、煙のように姿は消える。
跡にはただ剣山の合間にボロボロの包丁が残っていただけだった。

44 名前:火々 鍋 ◆8SPHqobdCs [sage] 投稿日:2008/12/08(月) 00:26:39 O
決死の反撃も磨采の戦闘意識を殺ぐまでに至るものではなかった。
だが、危うくの所で風鉄の助けが入ったお陰で真っ二つになるのを避けることが出来た。
すぐさま、磨采から離れ間を取り、乱れた呼吸を整える
思った以上に傷は深いが、辛うじて満身創痍にまで達してはいない。

だが、それは磨采とて同じことだ。
剣と腕が融合し始め、自分の自我さえ揺らぎ始めているのかもしれない。

鉄甲、龍紋の攻撃を磨采は耐え、遂に大技を繰り出してきた
ということは、向こうは決着を急いでいるといるのかも知れない。
ならば、火々の選択は一つ
「全力でここを凌ぎきるだけです」
足元から生えてくる剣の柱に向かい、異常なまでに高まった熱を炎に変え放つ。
それだけではなく、火力を一点に集中させることにより、火の鑓を作り出し、柱を真正面から迎え撃つ

45 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/08(月) 22:17:33 0
>>42>>43
>「不用意に名乗りなんぞ上げるからっ!」

少なくとも、ここで不意打ちをするほど鉄甲も落ちてはない
格闘家としての誇りは彼らと対峙するということで奮い立っているからだ
それに、気を逸らさせると言う意味では成功したのかもしれない、風鉄、火々も無事だ

>その手は愚断剣を握っているのではなく、愚断剣と融合しているのだから

「くそっ!やはり融合が始まってたか」

話は聞いていた、宝貝が宝貝を使用するというのを禁ずる理由は、一つの宝貝としての存在が許されなくなると・・・
磨采と愚断は欲望に狩られそれを行ってしまった、融合化が進んではいるがまだ取り返しはつくかもしれない
このまま宝貝でなくなる前に、宝貝として終止符を打つ事が彼らへの手向けだからだ

>そう笑う磨采を中心に10mクラスの鉱物の柱が衝撃を伴いながら次々と生えてくる。

ついに磨采大技を繰り出してきた、向こうも切羽詰ってるようだ
この戦いも終わらせなければ、磨采と愚断だけじゃない、他の宝貝も傷ついてしまう

「なんの!これしきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
大地から柱が出てくる前に素早く地面を蹴り上げる、勢いよく高く飛ぶが地面からの柱も
鉄甲を追うがごとく勢いよく生えてくる

鉄甲は柱の刃になってないところを見つけそこを蹴り上げる
蹴ればその勢いで駆け飛び、また次の柱の刃になっていないところを蹴り上げる
三角とびの要領で次々と飛びながら回避していく

>「ぐあっ!?……っ!うああぁっ!!」
迫り来る柱を蹴り続けると柱の群がる奥から方頭の断末魔が聞こえた、ふとこの山に来る前のことを思い出す
愚断の場所を突き止めたときに方頭を半ば強引に山へ連れてきた自分として、彼の最後の声を聞くのは
鉄甲の中で無念と自分への不甲斐なさを感じた
「なぁに、方頭心配するな・・・この私が付いてる、何かあったら守ってやるよ」
結局、自分のことだけで彼を助ける事が出来なかった・・・

「すまない、方頭・・・」
磨采の攻撃が落ち着くと、彼の声がしたところへ飛んで行く
剣山の合間にボロボロの包丁を見つけると、剣山の間に手を伸ばし包丁を取り上げる
剣山のような場所に手を伸ばした事で鉱石の柱に腕が当たり傷つくが、それでも鉄甲は方頭をこんな場所に置いたままにするのは
忍びなかった


「仇はとるよ・・・」
方頭に告げると、自分の腰の帯のところに包丁を括り付け
磨采へとの決着をつけるべく再び柱を蹴り上げ飛んでいった

46 名前:風鉄 ◆8POt/p0q3w [sage] 投稿日:2008/12/08(月) 22:47:50 0
>>39-45
「ぐぅっ!」
灼熱の火々の血が風鉄の顔面に襲い掛かる
ジュッという焼け焦げる音と共に、額と右の頬が黒く焼かれていた
焦げた部分からは、煙のようなものが上がっている
木気に属する風鉄にとって、火は逆に苦手な相手である
しかし、直ぐに何事も無かったかのように見返す

>「ふひひひ・・・いい塩梅だねイ・・・!」
「大した余裕じゃな…
 じゃが、武器ではないお主にその手傷は辛かろう
 これでお主らの有利はいくらか削がれたな…」
膨らむ磨采の気に押されぬよう、気をしっかり持って強気で臨む
油断は許されないが、迷いも許されない
鉄甲の闘気の分身と龍紋の石虎が間隙を縫って追撃を仕掛ける
だが、既に愚断は磨采の右腕と融合しており、鉄甲の分身を退けてしまう

「宝貝同士の融合じゃと…、何ということを!
 お主ら、絶対に触れてはならぬ禁忌に触れおったな!
 よもやお主らの関係が融合まで進んでおったとは…
 最早こやつらは宝貝ではない…、魔物じゃ…!」
驚愕の事実ではあったが、そこから発揮される力もまた尋常ではないのだ
磨采が愚断と融合した右腕を地面に突き立て、無数の鉱石の柱を召喚する
それらは龍紋の石虎を貫き、消滅させてしまった
風鉄も、足元から出てきた鉱石の柱を飛び上がって回避する
しかし避け切れず、鎌鼬を放って柱を切り捨て何とかを難を凌ぐ

「しまった!
 方頭!」
その混乱の中で、柱に巻き込まれた方頭が原体へと戻ってしまう
こうなってしまっては、仙人様でなければ元に戻すことはできない
人間で言えば、「死んだ」も同然の戦闘不能状態である

「おのれ、磨采、愚断!
 お主らを生きて連れ帰ることこそ我が使命であった…
 だが、最早宝貝としての尊厳まで捨てた者どもに対する情けは失せた
 お主らの望む通り、徹底的に叩き伏せてくれよう!」
そう言うと、磨采の斜め上方に飛び上がり、鉄扇を構える
竜巻のように渦巻く護風に包まれた風鉄の体は高速回転を始める
辺りにつむじ風を巻き起こしながら、空中を飛び回っている

「高い山中なれば、地上よりも天に近い
 天は風吹き荒ぶ時がある故、時として我が力に増幅をもたらすのじゃ
 そして、今こそがその時!」
そう言うと、風鉄を中心に渦巻く護風から無数の鎌鼬が放たれる
幾十もの真空破が前方から一斉に磨采に飛び掛かってきた

「岩をも切り裂く我が鎌鼬の味、存分に思い知るがいい!」

47 名前:魔鏡 ◆jucVyRORyI [sage] 投稿日:2008/12/09(火) 00:02:58 0
>37-43
>行きますぜ?地走り蛟!!
>方頭が動けずにいる中でおしゃべりはここまで、と言わんばかりに磨采は愚断剣を振るう。
>「まずい!段の型、守り、ううっ!?」
魔境は意外そうな顔をした。
まさか弱った体で真正面から磨采の攻撃を受けるとは思わなかったのだ。
おそらく自分を庇ったに違いない。
「助かったよ方頭くん。君はいい子だ、実に気立ての優しい、いい子だよ」
これで方頭はさらに霊力を浪費した。
そのぶんではとても戦場で長生きできないねえ、と魔境は内心で冷静に値踏みしていた。

>38
「お主、相変わらず面妖な術を使いおる… (中略)その力、頼りにさせてもらうぞ」
「いやいや、僕のようなか弱い宝貝にはとてもとても」
魔境は苦笑しつつ肩をすくめた。

火々と風鉄の連携攻撃も、磨采に決定的な一撃にはなりえなかった。
>「いまだ、いけっ!」
>「お前等!よくやったよ!」
「龍紋くんはともかく・・・・・どうして武人はこうも非効率なんでしょうねぇ」
必殺の一撃なら隙を狙って叩き込むべきだろうと武人の矜持を持たない魔境は思ってしまう。
>「仙境流仙拳奥義!動覇残影掌!!」
畳み掛けるように龍紋が二頭の石虎を操り、鉄甲が渾身の技を叩き込もうとする。
磨采にとってはある程度想定内だったようだが、鉄甲と龍紋の実力は彼の予想の上を行ったようだ。
>「ふひっ!これが因果って奴でさあ〜。」
「どうやら、始まってしまったようですね」
>弾き飛ばされても離れぬ愚断剣を見せ付けるように体勢を立て直し、闘気鉄甲を切り捨てる。
>切り捨てられた闘気鉄甲は形を崩し、霧散してした。
龍紋が作った虎の一頭は斬られて石へと戻り、もう一頭は肩を斬られたようだ。
だが一方で、切れ味を増した筈の磨采の傷は確実に増えていた。
「火々姐さんのおかげで磨采のダンナの左目は完全に死んでいるようだね。
攻撃するなら左からと言いたいところだが、それすら誘いの罠かもしれないねえ。くわばらくわばら。
本当はこの場を死ぬ気で離脱して、ダンナ達が勝手に自滅するのを気長に待つのが一番なんだけどねえ。
まあ・・・そうそう上手くはいかない、かねえ」
それ以前に鉄甲や風鉄が受け入れるとも思えないのだが、ついぼやかずにはいられなかった。

次に仕掛けたのは、愚断の剣ではなく磨采だった。
>「山に眠りし鉱脈よ!金気の粋たる愚断剣の呼びかけに応えよ!
>山津波!剣山舞踏!!」
さすがの魔鏡の顔からも笑みが消えた。
「そ、そんなっ!?これ程の規模で地勢を利用するなんて!」
>直後、山全体が鳴動し、足元から鉱物の柱が無数に飛び出てくる。
>「方家式包丁術・丁の型、全材一絶・守り!!!」
>方頭は最後の足掻き、愚断の初撃と激突した以上の大きさ、地中から伸び出る柱の一本よりも
>なお大きく包丁を変化させる。
>仙界の厨房で調理する巨大な食材のなかでも一際硬いものを叩き切るため
>気力と集中をもって放たれる一振り、方頭に使えるなかで最も高位な術である。
方頭は魔鏡を庇おうと、一太刀目で生えてきた柱を叩き折った。
「いい判断だ方頭くん、さあこちらへ!」
魔鏡は折られて平らになった柱の上に飛び乗った。
折れた柱は折れたままの状態でまっすぐ上に伸びる。
この上に載れば剣山舞踏から逃れる事が出来る筈だった。
だが伸ばされた魔鏡の手を、方頭にはもう掴む力は残っていなかった。
>「ぐあっ!?……っ!うああぁっ!!」
魔鏡の乗った柱は天高く空に伸び、力尽きた方頭は、迫りくる剣山によって貫かれた。

48 名前:魔 鏡也 ◆jucVyRORyI [sage 慇懃無礼なのは仕様です。気を悪くしないで下さいね。] 投稿日:2008/12/09(火) 00:59:18 0
>「すまない、方頭・・・」
>磨采の攻撃が落ち着くと、彼の声がしたところへ飛んで行く
>剣山の合間にボロボロの包丁を見つけると、剣山の間に手を伸ばし包丁を取り上げる
>「仇はとるよ・・・」
「おやおや、鉄甲の姐さんが仇を取ってくれるそうですよ。
方頭くん、嬉しいでしょう?
自分が死にかけている時には見向きもしなかったのに、戦闘不能になったとたん飛んで来てくれたってね」
そう言って魔境は冷笑した。今頃やってきた鉄甲の行為を皮肉ったのだ。
だが珍しく、その口調にはいつも程の毒は無い。
> お主らを生きて連れ帰ることこそ我が使命であった…
> だが、最早宝貝としての尊厳まで捨てた者どもに対する情けは失せた
> お主らの望む通り、徹底的に叩き伏せてくれよう!」

「足手まといが消えてほっとした。口でなんと言おうがそう顔に書いてありますよ、姐さん達。
・・・・・・まあ、それにはほぼ同意しますけどねえ。かくいう僕も頭脳労働者で場違いもいいとこだし」
柱を蹴り上げ飛んでいった鉄甲の背中を見送りながら、魔鏡はすっと目を細めた。
「でもまあ、僕は貸しを作るのは好きでも借りは嫌なんだよねえ。
ましてそれが、年下の男の子だとねえ」

>「高い山中なれば、地上よりも天に近い
> 天は風吹き荒ぶ時がある故、時として我が力に増幅をもたらすのじゃ
> そして、今こそがその時!」
>そう言うと、風鉄を中心に渦巻く護風から無数の鎌鼬が放たれる
>幾十もの真空破が前方から一斉に磨采に飛び掛かってきた
>「岩をも切り裂く我が鎌鼬の味、存分に思い知るがいい!」
「龍紋くん!今度は磨采のダンナ達を地中に逃がさないでくれ!
動きを封じるまでは無理でも、彼らの動きを制限するんだ。君なら出来る!」
魔鏡は風鉄が魔法を放つ瞬間、柱から飛び降りた。
地面に到着するまでの刹那に、彼は三度姿を変える。
風鉄に姿を変えた魔鏡は、今見たばかりの鎌鼬を真似て磨采へと放つ。
魔鏡の本性は水鏡だ。
火々の炎を真似た時は6割程度の威力だったが、風を真似る場合は8割程度にはなるはずだ。
鉄甲や龍紋が動くための機や、 火々が体勢を立て直すくらいの時間は稼げる筈だ。

49 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage決めちゃってください] 投稿日:2008/12/09(火) 23:21:12 0
「ほう!やはり天敵の分は分としてありますか・・・。」
剣山の林立する山の中、それを見つけて磨采は感心したように呟いた。
【それ】とは、火々の正面に聳え立つ巨大な鉱物の柱。
柱といっても鋭い刃物の性質を与えられている凶器が、綺麗に縦半分溶かされているのだ。
巨大な質量を凌ぎきる火々の熱量に思わず感嘆の言葉を漏らした。
が、折からの傷にこれだけの力を出せば消耗の程も推して知れるというもの。

止めを刺さんと一歩踏み込んだ瞬間に周囲に膨れ上がる気に気がついた。
それは直上、竜巻を纏った風鉄。
怒気を孕んだ叫びと共に術を展開する。
更には背後上空から闘気の塊。

降り注ぐ真空の刃に磨采は一歩も引かず迎え撃つ。
「くははは!上等!!」
剣を振り数知れぬ真空の刃を打ち消しているのだ。
全ての真空の刃を打ち消すその姿は徐々に磨采のものとは離れていっている。
飄々とした職人ではなく、戦いに生きがいを感じる武人のそれに。
体だけでなく、精神の融合も始まっている証拠だった。

次々と真空刃を打ち消す磨采に意外なところから攻撃が加えられる。
それは風鉄に姿を変えた魔鏡だった。
上空の二人の気が強すぎて、魔鏡の気に気付くのが遅れたのだ。

上空からの攻撃に対処している中、この遅れは致命的なものだった。
横から放たれた真空刃を撃ち落す余裕はない。
八割の威力といえども、木剋土。
相性的に十分な脅威となる。
だから、磨采は迷う事無く左腕でそれを防いだ。
防いだといっても、跳ねられる場所が首から左腕に替わったのみ。
大ダメージには変わりないが、それで十分だった。
「ぬがああああ!構うか!左腕ぐらいくれてやるわっ!!」
跳ね飛ぶ己の左腕を見ながら磨采は愚断剣を横凪に振るう。

その一太刀で周囲の柱は切り落とされ、崩れ落ちてくる。
鳴り響く轟音と舞い上がる土煙が辺りを埋め尽くす。

土煙を突き破るように飛び出てきたのは勿論磨采。
「剣が振れる腕が一本!あればそれでいい!!
鉄拳甲!!!!」
顔は焼け爛れ、肩に傷を負い、左腕を失った磨采はまるで一本の剣のようだった。
この期に及んで標的を鉄甲に定めたのは武器の宝貝同士の矜持なのだろうか?

空中で二人は交錯する。
全てを切り裂く剣と全てを砕く拳。
先に体に届いたのは間合いの広い愚断剣。
鉄甲の身体を両断しようと切っ先が腹に当たる。
が・・・
*ピシッ*
小さく皹の入る音が空に響いた。

愚断剣の切っ先は鉄甲の腰に括りつけられていた方頭だった包丁に当たっていたのだ。
金気を吸い、守る事に終始し倒れた方頭に・・・

50 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/10(水) 02:05:50 0
>>48
>おやおや、鉄甲の姐さんが仇を取ってくれるそうですよ。
>方頭くん、嬉しいでしょう?
>自分が死にかけている時には見向きもしなかったのに、戦闘不能になったとたん飛んで来てくれたってね」

返す言葉はなかった、結果として方頭は倒れ魔鏡も方頭の手を握る事が出来ず
お互いのやり場のない憤りにそれぞれの思いでいっぱいだったからだ

「魔鏡、私はお前の顔以上に自分をぶん殴りたいよ・・・・・・でもね、これで終わり
終わりにする、刺し違えてでも二人は倒す・・・なぁに・・・方頭の仇は討つ
この体二つになっても、半分になった体だけでアイツを殴るよ・・・」
そう告げると決着を着けるべく飛び立った

>>49
柱が崩れ土煙があがり、そこから 磨采が飛び出してきた

「愚断!そして 磨采!!ここで決着をつけるよ!!」

>「剣が振れる腕が一本!あればそれでいい!!
>鉄拳甲!!!!」

片腕をなくし、あの憎らしい顔も醜く焼けただれ・・・今の磨采は全身を利用した長剣でしかなかった
辛うじて愚断の意識が先行して彼を武人として形作っているのだろう。
終わりにしなければならない、磨采も愚断もここで止める!

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

自身の拳に全てを賭けた一撃 1発の拳に全力だけを集中したこの技は威力だけは大きいが
拳が当たらなければ意味がない、間合いを見誤れば最大の隙を生みかねない
そして、彼女は空中という状況でその間合いを見誤った・・・

手負いの磨采ではあるがそれでも剣の速さは変わらず、鉄甲の拳は僅かながらに届かなかった
鉄甲はしくじったと思った瞬間、鉄甲の中の時間がゆっくりになるのを感じた、超人的な感覚は自分の動きと愚断の剣の動きを遅れさせ
何も出来ぬまま剣が自分を横切る瞬間を待たなければならなかった

(これで終わりだ・・・まったく・・・笑えないねぇ・・・拳が・・・後ちょっとだっていうのに・・・足りないよ・・・届かないよ
この身が裂けても・・・この拳は奴に当てる・・・でも、そんなに上手く行く分けないよねぇ・・・ごめんね、方頭)

磨采と愚断の剣は鉄甲を一刀両断しようとしたその瞬間

>*ピシッ*
>小さく皹の入る音が空に響いた。

!? 
一瞬の出来事だった、空に響いたその音は自分の腰に差していた方頭の原体が愚断とぶつかった音だった
方頭!? そう悟った瞬間、鉄甲の目つきが変わる

「磨采!愚断!あんた達二人はよくやったよ!だからこれで終わりだ!砕く!」

方頭が防いでくれた僅かな瞬間を利用し鉄甲は磨采に拳が届く距離まで来る事が出来た
一瞬ではあるが、この一瞬は鉄甲にとって拳が届く以上に大きな一瞬であった、その一瞬に拳を叩き込むよりももう一手間
磨采の左側の方から手を伸ばし頭を手前に引き寄せるという事を追加できた

「零距離行くぞ!!!天昇聖光拳!!!!」
その拳は引き寄せた磨采の腹から上に昇るように顎を通して天高く突き上げられていた
鉄甲の拳は輝いていた、その光は暗雲立ち込める山の空を貫き天に光の柱を作り上げた

51 名前:龍紋 ◆OK6hKA/.GA [sage] 投稿日:2008/12/10(水) 22:46:24 0
>>42>>43
二頭の虎の攻撃を見て、龍紋は確信する。

「そうか・・・あいつ、片目しか見えてないんだ!」

磨采の姿は突如現れた無数の鉱物の柱に覆われて、やがて見えなくなる。
先ほど力を使いすぎたせいか、回避にまで力が回らない。しかし鉱物はその鈍重さとは反比例した速度を持って襲い掛かる。あわてて体制を崩した龍紋の左足に、深々とその刃は刺さった。

「ぐあぁ・・・!」

悲鳴を上げたのは、一人だけではなく。やがて人の形をしたそれは、一振りの包丁へと姿を変えた。
>>44>>45
やはりここで、戦闘用の宝貝との差が出てしまった。火々は戦闘用宝貝ではないが、鉱物とは相性がいい。その炎を纏い、これを防いだ。
鉄甲は身軽な身のこなしを持って、これを回避している。やがて方頭の下へ降りた鉄甲は、懺悔をしているようだ
龍紋は左足の痛みに苦悶の表情を浮かべながらも、方頭の無念さを嘆いた。
>>46>>47>>48
>「龍紋くん!今度は磨采のダンナ達を地中に逃がさないでくれ!
動きを封じるまでは無理でも、彼らの動きを制限するんだ。君なら出来る!」
そういうと魔鏡は今度は風鉄に化け、本物の風鉄と共に攻撃を開始する。

「そんなこと言っても、あ、足が・・・」

方頭が無残にやられてしまったことと、足を怪我したことで龍紋は再び、戦う意欲がそがれていた。
>>49>>50
愚断剣が空中にいる鉄甲を捕らえた。が、何かがその攻撃を防いだ。
>「零距離行くぞ!!!天昇聖光拳!!!!」
次々と放たれる怒涛の一撃を、龍紋はただただ傍観するしかなかった


52 名前:磨采 ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/10(水) 23:28:21 0
愚断剣が鉄甲の身体を捉えた瞬間、小さく響いた音。
それが全てだった。
融合が進む愚断と磨采は強靭な力を手に入れたが、引き換えに柔軟さを失っていたのだ。
一つの器物としての領域を超えた歪。
小さく入ったヒビは愚断剣から磨采の身体へと広がっていく。

そして迫る鉄甲の拳。
研ぎ澄まされた超感覚により間延びした時間の中、スローモーションのように迫るその拳をただ見ている他なかった。
左目が潰れ、左腕が切り落とされた状態では防ぐ手立てもない。
>「零距離行くぞ!!!天昇聖光拳!!!!」
腹から顎へと上るように突き上げられる拳が作り出す光の柱。
「ぐあああああああああ!!!」
暗雲立ち込める谷之を貫く光の柱の中、愚断と磨采の絶叫が響き渡る。

光の柱が消えた後、磨采が龍紋の近くに落ちてきた。
地面に叩きつけられたその体は右腕が砕け、愚断と磨采を分離していた。

ダメージに動きが取れぬにも拘らず、磨采は満足気な顔をしていた。
集まってくる追跡宝貝たちを見上げながらにやりと笑う。
「ぐっは・・・はは・・・は・・・
愚断の旦那を使って・・・負けるとは、情けねえや。
敗因は・・・そうさね。あっしが砥石だって事を忘れてたからかねい・・・。
それに・・・魔鏡さん、あんた意外と熱いお人だったんだねい・・・。」
血を吐きながら弱々しく笑ってみせる磨采。

思い起こせば勝敗は火々を突き刺した時に既に決まっていたのかもしれない。
灼熱と化した火々を刺した事で、切っ先が僅かに痛んでいたのだ。
砥石として修復して然るべきなのに、磨采は戦いを優先した。
それが最終的に包丁の原体に戻った方頭に力負けするという事態を引き起こしたのだから。

「負けちまったが、あっしも愚断の旦那も・・・満足しているんですぜ?
風鉄さん・・・あんた、あたしらが道具としての本分・・・を放棄した、と思っているようですが・・
戦う・・・事こそ、剣の本分じゃ・・・ないでしょうかねい・・・
仙界で飾られているより・・・ずっと・・・
そういった意味じゃ・・・龍紋さん・・・あんたは・・・?
顔に書いてありますぜ?
あたしらが・・・羨ましい・・・てねえ・・・。
まあ・・・いい・・・
もうあたしらは十分満足しました・・・。」
そういい残すと磨采は力尽き、原体である砥石の姿へと戻った。

山に吹く風に紛れ、愚断の声が鉄甲の耳へ届く。
【よい戦いだった。】と。

ここに鉱山での戦いが幕を閉じたのだった。

53 名前:風鉄 ◆8POt/p0q3w [sage] 投稿日:2008/12/11(木) 10:32:16 0
>>48-51
「お主という男は…!
 いや、わしとて何も語ることは出来ぬ…」

この状況でそれを言い放つ魔鏡の態度に腹が立つ
だが、あながち間違いではないため、言い返すことを辞めてしまう
しかし、本当に何を考えているか分からない男である
言い知れぬ不安を感じながら、己に姿を変えた魔鏡を背後から見据える
一方、愚断はこちらの鎌鼬を全て捌ききっていた
しかし、これは予め分かりきっていたことではある
この二人の融合による強大な力に隙を作るには、仙力を目いっぱい注がねばならない
中途半端な攻撃では、足止めにすらならないことは既に証明済みだ

「分かっていたこととはいえ、ああも見事に捌かれるとはな…
 宝貝と宝貝の融合、そこまでにして強大な力を生むか
 やはり、宝貝たる者…」

方頭を戦闘不能にされた怒りは、鉄甲の攻撃を激しくする
鎌鼬による隙を突き、攻撃を仕掛けていた
しかし、危うく避けられると風鉄も諦めかけた瞬間である
なんと、愚断の一撃が原体の方頭によって防がれていたのだ
一瞬の出来事では会ったが、風鉄の目にはその光景が何なのか目に見えていたのだ

「馬鹿な…、原体によってこそ力を発揮する愚断を…
 ましてや磨采に振るわれている状態で止めたじゃと!?」

その光景に風鉄は、驚きを隠せない
そして、鉄甲の一撃が磨采を愚断ごと捉える
激しい光が辺りを包み、目が眩み絶叫が響いたその刹那には、磨采は龍紋の側へと落ちていた
ついに、魔人と化した融合宝貝は落ちたのだ

>>52
「磨采…、そのような感情を持つことこそが禁忌だったのだ…
 愚弾は武器として、武器であり過ぎたのだ
 武器は本来戦いのための道具、わしにも闘争本能は少なからず…ある
 認めたくないことだが…
 じゃが、それこそがわしらの戦うべき相手、違うか?
 お主らはお主ら自身に負けたのだ、お主ら自身の感情にな…」

この時、風鉄は心の中である確信を持っていた
欲望や嫉妬、憎悪など、それらは全て個々の感情から生み出されるものなのだと
感情は強ければ強いほど、時として強大な力を生み出す
それが欲望に走り力を求めた愚断と磨采、怒りと哀しみに燃えた鉄甲の力なのだろう
そして、その「感情」に対する自身の怒りや不安も、また「感情」なのだろうと…

「…この事実、仙界に帰って一刻も早く仙人様に報告せねばなるまい
 さもなくば宝貝の逃亡は繰り返されるばかりのみじゃ…」

そう呟くと、風鉄は何者にも振り返ることなくその場を後にした
最早、風鉄には他の者のことなど眼中には入っていない
そう確信した以上、最早鉄甲たちとて油断のならぬ相手なのだから

54 名前:魔 鏡也 ◆jucVyRORyI [sage お疲れ様でした。] 投稿日:2008/12/12(金) 20:47:32 0
>49-53
>暗雲立ち込める谷之を貫く光の柱の中、愚断と磨采の絶叫が響き渡る。
「どうやら、終わったみたいですねえ」

>光の柱が消えた後、磨采が龍紋の近くに落ちてきた。
>地面に叩きつけられたその体は右腕が砕け、愚断と磨采を分離していた。
>ダメージに動きが取れぬにも拘らず、磨采は満足気な顔をしていた。
>「ぐっは・・・はは・・・は・・・
>愚断の旦那を使って・・・負けるとは、情けねえや。
>敗因は・・・そうさね。あっしが砥石だって事を忘れてたからかねい・・・。
>それに・・・魔鏡さん、あんた意外と熱いお人だったんだねい・・・。」
魔境は風鉄の顔のままで微笑んだ。
「そうお感じになったとしたら、それはきっと火々姐さんの心でしょう。
僕はあくまで、他者を映す鏡に過ぎませんから」

>「負けちまったが、あっしも愚断の旦那も・・・満足しているんですぜ? (中略)
もうあたしらは十分満足しました・・・。」
そういい残すと磨采は力尽き、原体である砥石の姿へと戻った。
>「磨采…、そのような感情を持つことこそが禁忌だったのだ… (中略)
> お主らはお主ら自身に負けたのだ、お主ら自身の感情にな…」
「……本当にそうでしょうかねえ?」
魔境は風鉄の言葉に異を唱えた。
「なぜ心のままに生きてはいけないんだい?
僕たちは泣き、笑い、怒り、悲しむ心をもっている。好奇心もあれば、欲もあります。
道具として生きる事しか許されないというのなら、最初から感情など与えなければ良かったのですよ。
そうは思いませんか?龍紋くん」

>「…この事実、仙界に帰って一刻も早く仙人様に報告せねばなるまい
> さもなくば宝貝の逃亡は繰り返されるばかりのみじゃ…」
「仙人様にご報告なさるおつもりなら、その前に僕から一つ忠告しておきますよ」
立ち去ろうとする風鉄の背中を見送りながら魔境は口を開く。
「仙人様にとってはねえ、愚断の旦那達も僕も、皆さんも、姐さんも全部同じ道具なんですよ。
 そう。自分の代わりに手足となって動く便利な道具でしかない。
 自分の手に負えないと感じたら、壊して新たに作り直す程度の存在でしかないんですよねえ」
魔境は足元に横たわる愚断達の本体を見下ろした。

「報告も結構ですが、長生きしたければ、自分だけは特別だと思わないことですよ。
 なにせ逃亡している連中も、追う僕らも、元は同じ仙人様が作った宝貝なんですからねえ」
魔境は顔を上げ、風鉄の顔のままで妖しい笑みを浮かべた。
「僕は時々思うんですよ。
もし仙人様が僕達宝貝を疎ましいと思われた時……僕たちは一体、どうなるのでしょうかねえ?
例えば僕らが逃亡した宝貝を全て回収した後、消滅しろと命じられたら素直に従えるのか?と……ねえ」

55 名前:魔 鏡也 ◆jucVyRORyI [sage] 投稿日:2008/12/12(金) 20:49:36 0



「―――――――― などと思った時期が、僕にもありました」
そこまで語った魔境は、今までの真面目な顔が嘘のようにぱっと明るく表情を変えた。
「やだな皆さん、冗談ですよ、じ ょ う だ ん。はははは、もしかして本気になさいましたか?」
魔境はそう言ってひとしきり笑った後、今度は鉄甲に姿を変えた。
そしてこほんと一つ咳払いをすると
「いやいや、まあ皆様の素晴らしい戦いも見られたことですし、僕も大満足ですよ。
姐さん達のナイスなデータも色々とれましたし、ねえ。
いやはや、火々姐さんの鎖骨も捨てがたいですが、鉄甲姐さんの胸もなかなか・・・・・・」
そう言って魔鏡は、鉄甲の姿のままなまめかしいポーズを取って見せた。
「ははは、嫌だなあ姐さん、ほんのお茶目な冗談ですって」
魔境はそう言うと、突然鉄甲達の前から姿をくらました。
直後、愚断と磨采の原体も跡形もなく消えうせる。

「 いやいや、あいにく僕は力仕事は苦手でねえ。
鉄甲姐さん、 火々姐さん達をお運びする大役はお譲りしますよ。
僕は旦那達を連れて、一足先に戻る事にしますよ。
申し訳ないですが人間達への事後処理もどうかよろしくお願いしますねえ。
では姐さん達、方頭くん。ご縁があればまたご一緒しましょうねえ」

それだけ言い残すと、魔境の気配はその場から完全に消え失せた。

56 名前:鉄甲 ◆zJpkiOXmJ. [sage] 投稿日:2008/12/12(金) 22:59:02 0
全力を出し切り自分が創った光の柱を見ながら地面へと落ちていく鉄甲
地面に倒れたとき、磨采と愚断がどうなったのかは分からない、頭がボーっとして
自分がどうなったのかもハッキリしない。

そしてゆっくり意識が確かになっていくと、磨采と愚断の事を思い出す
「磨采!愚断!」
起き上がろうにもうまく力が入らない、膝を突きながらゆっくりと起き上がる
まず目にした光景は愚断と分離した磨采が倒れているのを確認した
近づいていくと磨采はとても満足そうな顔だった

>愚断の旦那を使って・・・負けるとは、情けねえや。
>敗因は・・・そうさね。あっしが砥石だって事を忘れてたからかねい・・・。

「十分よくやったよ・・・また相手してやらぁ・・・逃げ出すときはまた言いな
今度はもっと強くなって今度はお前を泣かせてやるよ!、へへっ」

全力を尽くした相手に敬意を表しつつも、冗談を交えながら普段の自分に戻っていく鉄甲
磨采は最後の言葉を言い終えると原体へと戻っていく、原体を見ると、そのボロボロの姿から
どことなく寂しさだけが鉄甲の中に残っていった

>山に吹く風に紛れ、愚断の声が鉄甲の耳へ届く。
>【よい戦いだった。】と。

自分を横切った風を感じながら空を見上げる

「ああ、いい戦いだった・・・またな愚断」

そう呟くと、今度は腰に差していた方頭を手に取りやさしく撫でる

「あんたも、私を守ってくれて有難うな・・・方頭、アンタほど良い男を見たことないよ」

方頭を握る手に力が入る、敗北以外では涙を見せない鉄甲であったが、この時ばかりは
涙を流しながら方頭に感謝の気持ちを表していた

>「…この事実、仙界に帰って一刻も早く仙人様に報告せねばなるまい
>さもなくば宝貝の逃亡は繰り返されるばかりのみじゃ…」

風鉄の言葉に魔鏡が食いついてるようだ、だがそんな魔鏡を余所に風鉄は行ってしまった
鉄甲もまた彼女の言葉に感じるものはあったがあえて考えず、言葉にもしないようにした

>いやはや、火々姐さんの鎖骨も捨てがたいですが、鉄甲姐さんの胸もなかなか・・・・・・」
>そう言って魔鏡は、鉄甲の姿のままなまめかしいポーズを取って見せた。

少し魔鏡に乗っかってみた

「寂しい男だねぇ魔鏡ー・・・そんな私を真似たもんじゃなくて、本物を味わってみたいって気はないのかい?」
なまめかしいポーズに片腕で胸を寄せて少し前にのめりながら挑発する

「無論、ぶっ飛ばすけどねぇ」

魔鏡も去り、鉄甲は、どうしても用事があり直ぐに仙境へと帰っていった
今は方頭を元に戻してやりたい、その思いで仙境に戻っていった

57 名前: ◆1000VJ0J4k [sage] 投稿日:2008/12/13(土) 23:06:24 0
剣山と化した山。
そして天を穿つ光の柱。

まさに人外魔境の戦いを山一つ離れた山中で見守る男が居た。
これだけ距離が離れていると宝貝といえども察知する事は難しいだろう。
しかし、男は戦いの行く末を的確に見抜いていた。
「うーん。よもや愚断君が敗れるとはねい。」
男は愚断と磨采をよく知っていた。
その力の程も。

故に負けるとは思わず、のんびりとしていたことに小さく後悔をしていた。
「折角来たというのに無駄足だったか。仕方がない・・・。」
肩を落とし煙と共に男は消え、その場には一枚の紙が残されるのみ。

その紙には【導果】と書かれている。

男は仙術によって作られた式神だったのだ。

これより逃亡宝貝たちの間に愚断敗れるの報が流れる事になる。
愚断といえば仙界にも轟く剛剣。
そして磨采は刃を扱わせれば比肩する者なしといわれる。
その二人が協力していてなお敗れた、という報は並々ならぬ衝撃を与えるのだった。

そのほうを聞き、逃亡を諦め仙界へ戻る宝貝も居る一方で、追跡に危機感を覚え、逃亡宝貝たちは徐々に結束していく事になる。
バラバラに逃げていた宝貝たちがグループを作り始めたのだ。

これより宝貝追走劇は更に苛烈な戦いが繰り広げられる事になるのであった。


               【シナリオ1:鉱山の兇刃】終劇




                     感謝



【擬人化】チェイサーズ【TRP】

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