1 名前:グレゴリ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:33:08 0
重厚なファンタジーを開始するぞ!
あらゆるファンタジースレに物足りないという奴らは集まれ!

2 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:33:50 0
別名、ダークファンタジースレだ。

3 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:41:22 0
ルールを説明するぞ。

・とにかく重苦しいファンタジーがしたいやつは集まれ。中途半端な気分で参加はするな。
・世界観は中世風のファンタジー世界だ。
・コテは必ずトリップを付け、自己紹介をすること。
・重厚だからといって別に雄臭いという訳ではない。女はむしろ大歓迎だ。
・TRPGスレだが、そこまで厳しいルールではない。流れに任せる感じだ。
・sage進行、荒らしは徹底無視。設定などは自重すべし。
・ドロドロでムラムラな展開もあり。
・鎧とか白兵戦を主流に戦うが、多少グロいのもアリとする。
・ギスギスするのが大好きな奴は集まれ。また容赦はするな。
・とにかく重苦しく動け。ここがヘヴィファンタジースレである意味を考えろ。
・展開は多少速くても構わないが、あくまで空気を読む感じで。敵役も募集する。
・展開は多少速くても構わないが、あくまで空気を読む感じで。敵役も募集する。

4 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:44:08 0
最後はうっかり二回書き込んでしまったが、大事な事だから二回言ったということで。
では、以下をキャラテンプレとする。

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:
種族:
職業:
性格:
魔法:
特技:
長所:
短所:
装備品右手:
装備品左手:
装備品鎧:
装備品兜:
装備品アクセサリー:
所持品:
髪の毛の色、長さ:
容姿の特徴・風貌:
趣味:
恋人の有無:
好きな異性のタイプ:
嫌いなもの:
最近気になること:
将来の夢(目標):
簡単なキャラ解説:


5 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:49:42 O
導入は?

6 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:51:42 0
名前:グレゴリ=グレゴリオ=メロス
年齢:29
性別:男!
身長:188
体重:99
スリーサイズ:男には必要か?!
種族:人間
職業:ヘヴィアーマー
性格:重苦しく、暑苦しい
魔法:使えない!
特技:ヘヴィスマッシュ
長所:でかい
短所:重い、短気
装備品右手:ヘヴィハックブレード
装備品左手:
装備品鎧:ヘヴィアーマー
装備品兜:クロースヘルム
装備品アクセサリー:なし!
所持品:エナジーブーメラン、回復アイテム等
髪の毛の色、長さ:短い!
容姿の特徴・風貌:整っているがやや原始的な顔。体はとにかくごつい。
趣味:アーマーの強化!
恋人の有無:いないと公言しているが、遠くに何人かいる
好きな異性のタイプ:むっちりしたタイプ
嫌いなもの:忍者系、足軽系、魔法使い
最近気になること:鉄の価格高騰
将来の夢(目標):国から最強のヘヴィアーマーとして認められる!
簡単なキャラ解説: とにかく重苦しいヘヴィアーマー兵。


7 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:52:37 0
越境は、有りか?www

8 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:53:36 0
>>5
俺がやるが、とりあえず今日は誰かが来るか待ってみようか。
それともお前がやるか?

9 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:54:38 0
>>7
越境は認めない。というより板全体のルールのようなものだから書き忘れたわい

10 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 18:58:08 0
僕2ちゃんねる初心者なんだけど
TRPGのTって何の略ですか?

11 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 19:27:17 O
足軽って意味分かってるのか?テーブルトーク

12 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 20:38:36 O
フォーチュンクエスト辺りがライトとすると
どの辺からがヘヴィなんだ
バンパイアハンターDとか?

13 名前:尾太区尾太郎[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 20:41:25 0
名前: 尾太区尾太郎
年齢: 26
性別: 男
身長: 160
体重: 90
スリーサイズ:全100
種族: 人間
職業: オタニート
性格: オタニート
魔法: 30才に成ったら使える
特技: オタニート的な事
長所: オタニート
短所: オタニート
装備品右手: ポスターブレード
装備品左手: 紙袋
装備品鎧: オタクらしい服
装備品兜: 帽子
装備品アクセサリー:オタク向けアクセサリー
所持品: オタク物
髪の毛の色、長さ: 短い黒
容姿の特徴・風貌: オターク
趣味: エロゲなどオタクらしいこと
恋人の有無: モニターの中にいる
好きな異性のタイプ: ハルヒ・ルイズ・ミクルなどなど
嫌いなもの: モテル奴
最近気になること: 最新のゲーム
将来の夢(目標): プログラマー
簡単なキャラ解説: オタニート


14 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 20:42:30 0
名前:ガオガオ
年齢:27
性別:オス
身長:460cm
体重:680`
スリーサイズ:
種族:オーガ
職業:モンスター
性格:ウガーとしか言えないらしい
魔法:使えない
特技:バーサク
長所:強い
短所:馬鹿
装備品右手:棍棒
装備品左手:
装備品鎧:なし
装備品兜:なし
装備品アクセサリー:なし
所持品:なし
髪の毛の色、長さ:ボサボサ
容姿の特徴・風貌:まさにオーガ
趣味:料理(人間をすり潰してひき肉にして肉団子らしき物をつくるだけ)
恋人の有無:毎年春には相手を見つけ交尾する(本能)
好きな異性のタイプ:メスなら誰でも
嫌いなもの:縄張りを荒らす人間
最近気になること: なし
将来の夢(目標):強い子孫を残す(本能)
簡単なキャラ解説: 一匹のモンスターに過ぎない

15 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21:30:46 0
>>10
どうやら>>11が説明しているようだ。

>>11
大雑把に考えてだ。細かいことは気にするな。

>>12
ベルセルク

>>13
これは却下だな。

>>14
まぁアリだろう。ところで味方なのか敵なのか?

16 名前:シトリン・グラハム[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21:39:04 0
名前:シトリン・グラハム
年齢:20前後
性別:不明
身長:165前後
体重:50
スリーサイズ:不明
種族:人
職業:魔法使い
性格:マイペース。さみしがり屋で、怒ると手が出ることもある。自己評価は低め。
魔法:雷および爆破系の使い手(雷と爆破系以外の呪文は使えません)
特技:魔法
長所:なし
短所:マイペースなこと
装備品右手:なし
装備品左手:なし
装備品鎧:なし
装備品兜:なし
装備品アクセサリー:なし
所持品:
髪の毛の色、長さ:
・毛先がとんがった銀色の髪。長さは首の付け根まで
容姿の特徴・風貌:
・刺繍が施された白いブラウス
・袖口が大きく裂かれた綿素材の服
・黒の綿ズボン
・黒ブーツ
趣味:散歩と読書
恋人の有無:なし
好きな異性のタイプ:やさしくしてくれる人
嫌いなもの:怒りっぽい人、力で支配しようとする人
最近気になること:医者不足
将来の夢(目標):今のところなし
簡単なキャラ解説:
見た目はとにかく中性的。パッと見た感じでは男か女かわかりません。
かなり自己評価は低く、自信なさそうな感じですが、受け答えはそれなりにできます。


17 名前:シトリン・グラハム ◆dDzC5w4heU [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21:39:55 0
トリップを忘れてました。

ところで書き出しはだれが始めるのでしょうか?

18 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21:42:35 0
ライトでやってる途中キャラがライトに合わなくなったら
此処に移動しても良いですか?

19 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21:43:56 0
理不尽な当て字

死途淋・愚裸破無

20 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/07/21(月) 00:49:49 0
名前: 乾 巧
年齢: 20
性別: 男
身長: 175くらい
体重: 55?
スリーサイズ:
種族: 人間
職業: ?
性格: めんどくさがり
魔法: なし、強いて言えば“変身”
特技: ?

長所:?
短所: ネクラすぎてコミュニケーション能力がない
装備品右手:なし(変身時にはファイズエッジ{剣?}ファイズフォンガンモード)
装備品左手: なし(変身時、左腕と同様)
装備品鎧: なし(変身時には”555”の装甲)
装備品兜: なし(変身時には”555”の装甲)
装備品アクセサリー: ”555”のベルト、ファイズフォン
所持品:
髪の毛の色、長さ: 金髪の短髪
容姿の特徴・風貌: 今風
趣味: 不明
恋人の有無:?
好きな異性のタイプ:?
嫌いなもの: 努力、特訓
最近気になること:?
将来の夢(目標): なし
簡単なキャラ解説
偶然”555”のベルトを得て”仮面ライダー”になってしまった青年。気ままに旅をしている


・・・正直、ただのネタ。

21 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 01:54:38 O
>>20
何でもいいけど元ネタわからない奴にも分かるような説明や描写してくれ


ついでに舞台って中世西洋ファンタジーじゃねえの?

22 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 01:55:58 0
ここで行うのはTRPGってかエチュード?

23 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/07/21(月) 02:12:27 0
>>21
そうか、元ネタは「仮面ライダー555」。
中世ファンタジーに変形するバイクが出てくる時点で駄目だよな・・・

24 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 02:23:18 O
>>23
だからさ、仮面ライダー555とか言われても分からんわけよ
・マジックアイテムで強化装甲を纏う
・召喚生物に騎乗して戦う
みたいなアレンジして説明してくれるとありがたい

このスレが版権ありかどうかはしらないけど、仮面ライダースレじゃないわけじゃん?
説明を原作に丸投げというのはあまりにも自分勝手だべ

25 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 02:31:38 O
>>6
テンプレの意味を考えてくれよ
キャラとして男のスリーサイズなんか必要ねえなんて考えなんだろけど、それはレスだけで十分じゃん
テンプレは中の人が描写するにあたって参考にする資料だしょ
スリーサイズはそのキャラの体格を示すものじゃろ
つまりは見てわかる特徴
いざ描写しようとして目の前にいる奴がデブなのかヤセなのかも分からんと不便だろ?
自分が分かっているからって他人までわかっていると決めつけないでくれ

26 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 02:35:11 O
>>15
ついでにいうと足軽とは身の軽い奴ではなく雑兵の事だぞ
細かいか、これ?
すんごい粗いことだと思うぞ

27 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03:47:19 0
てか、版権アリだと世界観に合ってるやら元ネタが分からんやらで色々混乱するよな

28 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03:52:27 0
今思ったんだが、ベルセルク風となるとエロありになるよな。
これって板のガイドライン的にまずいんじゃないのか?

29 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 05:57:05 O
別にエロが無きゃ成り立たないわけじゃねーべ
「村娘がオークに犯されています」位の表現なら抵触するもんでもなかしょ


ダークファンタジーったら、
バスタードもわりとエグい表現があったな


30 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 06:10:26 0
>>25
スリーサイズは野次馬的好奇心を満たすだけでレスの役には立たないよ
どっちかっていうと外見特徴や体格とした方がいいかもな

>>29
夏休みだし、どっちかっていうと女性PCにエロールとかセクハラやり放題だと考えそうだ

31 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 07:36:34 0
>>26>>28のような頭の固い厨房が未だにいることに驚きだ
何でも文面を真に受ける障害者か何かか?

32 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 07:40:47 0
いや、障害者は唐突に人を煽り始めるお前にしか見えんが。

33 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 16:04:03 0
とりあえずこのスレでキャラがすることはなに?
DQやFFのように魔王の侵攻に立ち向かう系か?

34 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 16:34:02 0
>>33
スクエアーが作った言霊システムRPGとか、やさしい竜の殺し方あたりが妥当だと思う。どちらも結構えぐいよ。前者は脅威から身を守るために優者が人々を利用する話で、後者は主人公たちが謀殺とか平気でする(BL要素も入ってるけど・・・)。

35 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 16:36:38 0
(34の続き)

ダークっぽいのにするなら、正義も悪も関係ない。どちらも目的のために悪いことをする平気でする。まおうにも理由があって、信仰されるほうにも理由があるってしたほうがいいと思う。

個人的にはいろいろとネタがあるんだけど、書き始めてもいい?

36 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 16:43:11 0
おk

37 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 19:27:04 0
じゃあ先に書いておいてくれ
俺も後からまた来る

38 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 19:50:18 0
おおよそ1000年ぐらい前。世界は光と闇に二分された。

光と闇との間で激しい争いが起き、光に属する者たちが勝利した。

戦争に勝った光の者たちは戦争によって荒れた世界を立て直し始め、人々は平和を謳歌し始めた。

その一方で闇の者たちは辺境日に追いやられ、過酷な生活を強いられ、一部の光の者たちも同じような目に逢っていた。

でも、それでも、世界は平和だった。

誰も抵抗しようなんてものはいなかったから。


39 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 19:53:01 0
重厚ってアレかな 初心者とか一見さんはお断りな感じかな

40 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 19:54:27 0
トリップ忘れました。

参考になるかわかりませんが、中世に関する資料があったので置いておきます。

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/6804/

41 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 20:37:27 0
>>39
そんなことはないと思いますよ。

42 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 20:40:29 0
>>41
そかな 興味あるけど手をつけたことは無いんだよねこの手のスレ
キャラ作って、後は流れに沿って演出すればいいんだよね?

43 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 20:46:27 0
>>16-17
な、魔術師だとぅ?! とりあえず歓迎だ。

>>18
それは許可しない。
と、いうより「ライトファンタジースレ」は全くこことは別のスレなので
一切の干渉は禁止だ。

>>20-21
遅い提示になるが、版権キャラは色々と面倒なので禁止とする。
それと世界観に合ったキャラ設定にしてくれ。

>>22
そんなにカチカチにやる訳じゃないから流れに乗ってくれればOK。

>>26
そういう事です

>>28
その辺はギリギリまでってことで行こうや。

>>33
その流れは俺らが作るんだよ。

>>39
そんなことはない。ロールさえできれば設定に明るい奴でなくても問題ない。
重いのは展開、装備、雰囲気、世界観だからな。
薀蓄を語りだすような奴はむしろ要らんよ。

44 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [] 投稿日:2008/07/21(月) 21:04:59 0
とりあえずそろそろ締め切ってプロローグの付け足しに入りたいが、
今のところキャラは俺、ガオガオ、シトリンということで。
冒頭の後有る程度しても参加しなかった場合は不参加とみなす。
じゃあもう少ししたら始めるから今のうちにどんどんキャラ追加してくれ。

45 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21:08:38 0
すまん、あげちまった

46 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21:26:16 0
即興ですが、とりあえず書いてみました。

子供が家の中で泣いている。
「うるさい。静かにしろ」
父親と思われる人間が近づいてきた。
掌が空を切り、ほほに直撃した。
子供の泣き声がやんだ。
でも、すぐにまた、泣き声が部屋中に響きだした。
「何度言ったら、わかるんだ」
もう一度ほほに平手が飛び、左右、左右となんどとなく繰り返された。



「まただ。また、あの夢だ」
中肉中背。男とも女ともつかない一人の人間がベッドから半身を起した。
窓からは月の光が差し込み、暗がりの中を照らし出している。
背中がやけに重たい。
シャツが汗でぬれ、はりついているような感覚がする。
怖い夢でも見たせいか、心臓が早鐘を打ち、呼吸音がやけに荒くなっている。
「もうひと眠りしよう」
新しいシャツに着替え、シーツを被ったところで音が聞こえてきた。

カン カン カン

人の頭以上はある銅鐸を木の棒でたたいているような感じだ。
音の大きさからいって、遠くのほうで鳴ってる。
「人がせっかく寝てるのに・・・」
シトリン・グラハムは頭をポリポリと書きながら、窓枠のほうを除いた。
窓枠にはガラスがはめ込まれておらず、カーテンがそよそよとそよいでいる。
目の前にはBARという看板が掲げられた木造の建物が建っていて、その前をチェインメイルなどの鎧で身を固めた兵士が息を切らしながら走っている。
それとすれ違うように民間人と思われる人間が兵士のわきを通り過ぎた。
(何かが変だ)
根拠は説くないけど、胸騒ぎがする。
かすかだけど、県と何かがぶつかり合う音が聞こえてくる。
鐘の音とともに獣の唸り声みたいなのが聞こえてくるのは気のせいだろうか。

放ってはおけなさそうなので、服を着替え、外に出ることにした。

47 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21:35:18 0
>>44
ごめんなさい。
グラハムさんより先に始めてしまいました。


48 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21:42:57 O
リレー小説なのか?
他人のキャラつかっていいの?

49 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21:43:19 O
名前:オルルド・ノガ
年齢:37歳
性別:男
身長:185cmくらい
体重:100kgくらい
スリーサイズ:知らん
種族:人間
職業:無職、強いて言うなら盗賊ゴロツキの類い
性格:粗にして野、卑でもある
魔法:他人の物がいつの間にか俺の物になる不思議な術なら
特技:スリ、鍵あけ、喧嘩
長所:図太いとこか?
短所:無いな
装備品右手:無し、喧嘩の時は手近な棒切れとかな
装備品左手:無し
装備品鎧:船乗りが好んで着る服
装備品兜:無し
装備品アクセサリー:耳ピアス
所持品:針金、ロープ、財布、ナイフ、酒の小瓶
髪の毛の色、長さ:黒くてボサボサ
容姿の特徴・風貌:筋肉ゴツゴツだから、こそ泥してもすぐばれるんだよな
趣味:飲む打つ買うの三拍子ってか
恋人の有無:いるよ
好きな異性のタイプ:べっぴんなら誰でも
嫌いなもの:無いな、何でも食うよ
最近気になること:歯が痛え
将来の夢(目標):一山当ててえな
簡単なキャラ解説: 元水夫だ。喧嘩は強いぜ。町中じゃ、負けた記憶はほとんど無いしな。
学はねえな。要らんけどな。
あと、飯は人の3倍は食うぞ。

50 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21:57:18 0
>>46
いや、それは構わないんだが、◆SmH1iQ.5b2 は誰だ?
GMか?GMじゃないんだったらキャラを演じてもらいたいんだが。

>>48
版権や他スレのものは不可だ。

>>49
いい感じにゴツゴツしてるな。実に重厚だ。

51 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:03:30 O
携帯OK?

52 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:06:13 0
>>51
そんな制限はない。全体の流れさえ読めれば問題なしだ。

53 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:09:11 0
ごめんなさい。名前付けるの忘れてました。


54 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:13:45 0
シトリンだったのか、これは失礼した。続けてくれて構わない。

55 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:16:33 0
しかし、永久に続くものと思われた平和は、突如としてもろくも崩れ去った。
『闇王軍』と呼称する、闇の力を使う者どもの反乱が始まったのだ。
彼らの力はかつての大戦時よりも遙かに強大化しており、侵略は一瀉千里の
勢いで全国へと広がっていった。

平和が終わり、再び戦乱の時代が幕を開けた。


勝手に>>38の続きを書かせてもらったが、ちょっと典型的過ぎたかな。

56 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:25:36 0
>>55
GJです。

しかし、ふと思ったが、このネタってTODと似てないか・・・?

57 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:26:26 0
ストーリー投下したいならキャラ付き、もしくはGMを立候補してからGMとしてやってくれ。
名無しのストーリー進行は>>55で最後とする。

さて、そろそろ動くぞ。

58 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:37:23 O
似てるってか、国内のあらゆるジャンルで繰り返し使われているパターンではあるな。
古くはLOTRもこんな感じだし。

ぶっちゃけライトとそう変わらないね。

59 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:46:06 0
明確な差異化なんて語るだけ無駄だろ。
そもそも中世ファンタジーというジャンルからして同じなんだから。

60 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22:56:37 O
演じ方の違いだろ

61 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 23:16:00 0
>>57
大事な事は後出ししないで最初からテンプレに入れろや
プロローグも自分で用意しておくもんだろ
自分のやるべき事やれてないのに口だけは達者だな

62 名前:マター ◆8TKCirtGv6 [sage] 投稿日:2008/07/22(火) 00:21:11 0
名前: マター
年齢: ???
性別: 無し
身長: 5メートル
体重: 30t
スリーサイズ:×××
種族: 機械人形(メタルゴーレム)
職業: ガーディアン
性格: 機械的
魔法: 重力魔法
特技: 破壊
長所: ゴーレムである事
短所: ゴーレムである事
装備品右手: メタルハンド
装備品左手: メタルハンド
装備品鎧: メタルアーマー
装備品兜: メタルヘッド
装備品アクセサリー: 無し
所持品: 自分
髪の毛の色、長さ:無し
容姿の特徴・風貌:多角柱型の体・体、本体から離れた手足・短い足・長い腕・鉄で出来た体
趣味: 無し
恋人の有無: 無し
好きな異性のタイプ:無し
嫌いなもの: 自分を狙う物
最近気になること: 闇王軍の存在
将来の夢(目標): 闇を滅ぼす事
簡単なキャラ解説:
闇の存在に反応し動き出した鋼鉄の機械人形(メタルゴーレム)
闇を滅ぼすために旅に出る
人の言葉を話し、人の言葉を理解出来る

63 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 01:15:35 O
大雑把に計算すると、身長170cm体重160kg位の体型に相当するな。30トンだと。


64 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/22(火) 01:27:38 0
ここはブリード地方、メタリオーム城の城下町。
その下流区画の通りに面した酒場。

大きなテーブルがあり、比較的広いつくりの酒場であったが、
そこは数人の巨漢たちによって「占拠」されていた。
ときおりガチャ、ガチャと音がするのは彼らが物騒なことに、武装したまま
酒場に上がりこんでいるからである。彼らが肉を一口ほおばれば、その度に
テーブルが傷つき、店主が顔を歪めるのである。
そう、この連中がいることによって、他の弱い男達は酒場に寄り付くことすら
できないのであった。

ではここは雄臭い空間なのかといえばそうでもなかった。
彼らは女達を呼び集め、脇に侍らせた。
金に釣られている者、単に怖くて嫌々従っている者もいたが、彼女達の大半はそうでは
なかった。彼らのような猛者の側にいれば、この界隈でよりいい立場になれる為である。
そんな訳で、彼らは食欲と同時に性欲も満たし、食事の音と同時に甘い声も部屋中に響き渡り、
酒場は異様な空間と化していた。

突如、外で騒がしく鐘の音が鳴った。
「おぉ… お?」
巨漢たちの一人、グレゴリは抱いていた女を突き放すと、
急いで装備を整え、席を立った。巨大な大剣を担ぐと、それだけで空気が震えた。
「オルルド、どうやら俺らの出番みてぇだぜ?」
隣に座っている巨漢を一瞥し声をかけると、通りに躍り出て行った。

目の前を数人の鎧を着た兵士が慌しく駆け回っている。城兵か?
彼はこのチンケな装備の兵をまとめて両断してやりたい衝動にかられたが、抑えた。
ん?どうやら向かいの貧乏宿から細い感じの人物が出てきた。一見性別は分かりにくいが、
仕草や体格からして男だろうと思った。

騒ぎの原因はどこだ…?

65 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 11:12:15 O
善悪ではなく、立場や利害の相違が行動原理になるのに、なぜに勧善懲悪ストーリーなんだ?

66 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 13:08:49 0
>>65アホか?話が進めばどうでもいいだろUJIMUSHI君

67 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/22(火) 14:22:37 O
>>64
「そしたらソイツ前歯が残らずへし折れてよう、鼻から口から血ぃ吹き出して…」
「げははは、そりゃいいや!」

場末の酒場を占拠する大男達の下品な笑い声が、酒場の外まで響き渡る。
そんな中テーブルについて女を侍らす男の一人(つまり俺だ)は
どうにも悪い酒になっているようだった。
…………………………
げぶーっ(げっぷ)
幸せってなぁ、なんだろうな。
色々あるんだろうけどよ。
美味い肉と良い酒、良い女、どれもご機嫌にしてくれっけどよ、最近なーんか違う気がするのよね。

おいこら親父、俺の肉まだこねえのかよ!
(床を踏み鳴らして、喧騒に負けぬでかい声で催促する)

聞いてっかおい?
つまりさあ、俺の力を余すとこ無く発揮する場所を求めてるんだよな。
(女に注がせた酒を一気にあおる)
こんなとこで燻ってるような器じゃねーだろ俺わ?だろ?
……………………………
やがて、外が騒がしくなり何事かと様子を伺っていると、
仲間の重騎士が立ち上がり身支度を始めた。

> 「オルルド、どうやら俺らの出番みてぇだぜ?」
> 隣に座っている巨漢を一瞥し声をかけると、通りに躍り出て行った。

「おい、待てよ俺の肉がまだきてねえよ。ああ畜生。」
テーブルの上の食い物をまとめて口に詰め込み酒で流し込み、
口をもごもごさせながらグレゴリの後を追う。

「で、どしたよ。熊でも出たか?」外を見渡す限り火事や喧嘩でも無さそうだ。
目に止まったのは、弱そうな兵士数人と、騒ぎで外の様子を見ている住人と、…おっ、ちょっといい女発見。

それと…、
………なんだありゃ?
俺は我が目を疑った。

68 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18:01:45 O
雑音が多くて読みにくい
なな板でもまとめサイトでもいいから避難所つくらね?

69 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18:10:51 0
なな板の避難所ならここだな
http://jbbs.livedoor.jp/computer/20066/

70 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18:33:41 0
>>65
悪の王を倒すというストーリーから始まったとはいえ
それが勧善懲悪に繋がるとは限らんよ。
全てはこれからのストーリー次第。

71 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18:51:12 0
>>65
悪いが、ドラクエみたいなストーリーにするつもりはない。
最低でもているず以上、可能なら、第二次世界大戦をぱろったストーリーにする予定だ。


72 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18:52:59 0
ワイバーンとかで空爆するのって有りですか?

73 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18:55:29 O
アリじゃね?
ワイバーンは重いしな

74 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 20:12:10 0
城壁があるあたりで兵士とコボルトが戦っているのが見える。
数はどちらかというとコボルトのほうが多めで、兵士の数は少ない。
人数差を反映してか、地べたには転がっている死体は兵士のほうが多いように思われた。
ある兵士の頭はくぼみ、別の兵士は矢で射ぬかれ、またある兵士は全身が真っ黒焦げになっている。
でも、不思議なことに、民間人の死体は一つもなかった。

(どういうことだ?)

本にはこう書いてあった。

光と闇の間で大きな戦いが起きました。
闇はあちらこちらで民間人・兵士を問わず殺し、女や男を犯し、したい放題の限りをつくしました。
でも、闇の暴虐もそう長くは続きませんでした。
闇の中から、光の側に付いたものがあらわれ、4人の勇者によって、闇の王が倒されたからです。
闇の側に付く兵士たちは降伏し、光と共に暮らしました。

でも、いま目の前で起こっているのはあきらかに・・・
秩序立った軍隊の動きだ。
民間人に攻撃を加えるものは一人としていない。
他の場所では違うかもしれないが、少なくともここではそうだった。

(でも、そんなことは、今は重要じゃない。この場をどうにかしなくては!)

劣勢にもかかわらず、兵士は剣をふるい、モンスターの侵攻を食い止めている。
倒れる数はモンスターよりも兵士のほうが多かったが、それでもひるむことはない。

「悠久の時より存在している天の光よ」

兵士たちの動きに呼応するようにシトリンも言葉を紡ぎだした。


75 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 20:41:19 0
>>71 >>74

57 名前: グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日: 2008/07/21(月) 22:26:26 0
ストーリー投下したいならキャラ付き、もしくはGMを立候補してからGMとしてやってくれ。
名無しのストーリー進行は>>55で最後とする。


76 名前:シトリン ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/22(火) 21:19:24 0
74だ。
トリップと名前を忘れてた。
何度も何度も繰り返して申し訳ない。

77 名前:◆2oDQ1hu.hw [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 00:06:10 0
平方根の参加おk?

78 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 01:03:44 0
人々が逃げ惑う中、グレゴリは直感で異変の起こっている方向を探った。
酒場の方からはオルルド達が準備をして出てきた。どうやらこいつらも
やる気らしい。
遅れてやってきた女が乱れた衣服のまま、グレゴリの前に縋るように寄ってきたが、
グレゴリは女の腰を軽く撫でると、酒場に戻るよう制した。

死臭を嗅ぎ付け、現場の近くへと駆け寄る。敵らしき一団と城兵が戦っているようだが、
明らかに苦戦しているようだ。それにしても、あれは…!

「敵はモンスター…コボルトか!」
町人は既に戦場となっている城壁の付近にはいないが、
そんな中、先ほど見つけた若い男がいた。どうやらこいつも参加するつもりらしい。

「数が多すぎる!」「助けてくれぇ!」という叫び声。奴らは苦戦しているのか。
グレゴリが金属音を立てながら到着すると、既に多くの城兵が倒れ、後ずさりを
始めている有様だった。
それにしてもグレゴリ自身筋肉の塊のような巨漢で、そこに更に分厚いヘヴィアーマーを
着込んでいるものだから、城兵たちがまるで子供のように見えるほどである。
このヘヴィアーマーは特注で、通常のプレートメイルのゆうに二倍の厚さはある。
そこに巨大なハックブレード。まさに鉄の塊の到着である。

(俺は傭兵という立場である以上、こいつらやこの街を助ける義理はないんだが)
そんなことを考えていると、大勢のコボルトの中からあぶれるように城兵たちの
後に回り込もうという連中がいた。
すかさず、グレゴリは肩の大剣に手をかけると、走りこむようにして
一薙ぎ、二薙ぎした。
バシュッ!バシュッ、バシュッ!バシュッ!!…

「グェェ…」という声が何度も響きわたる。グレゴリが剣を一振りする度に、
コボルドの首や手足が宙を舞った。
ある者は上半身ごと吹き飛ばされ、臓物を飛び散らせながら地面に崩れた。

空気が凍った。
突如、仲間を纏めて殺されたコボルト達は一気に動揺し、数では尚も
圧倒的有利ではあるものの一瞬、後ずさりした。
「うぉぉぉ…すげぇ…」「な、何だあのバケモンは…!」
が、動揺したのは城兵も同じであった。グレゴリのあまりの物騒な風貌に、
驚きと警戒の念をあらわにしている。
(こいつらもまとめて吹っ飛ばしてやろうか…?)
それを聞いたグレゴリは気分が変わりそうになったくらいである。

その時、
「悠久の時より存在している天の光よ」
と男の声が聞こえた。あの男か! …呪文?
ま、魔法使いだったのか…?

グレゴリは魔法が発動されると思われる方向から軽く離れると、
コボルトからの矢に備えて身構えた。

79 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 11:42:09 O
「おお、すげっ、まるで戦場じゃねーの」
血の醸す鉄錆びの、皮膚の焼ける悪臭の、そこは正に戦場の、死の臭いに満ちていた。

うん?
既に戦闘をおっ始めている兄弟の、嵐のような戦いぶりを傍観している兵士をオルルドは見咎めて
「おら、てめえら給料もらってんだろ?仕事しろこら」丸太のような腕で首根っこをぎりぎり締め上げる。

「ぎぃあ!?待て、奴等ただのコボルドじゃないんだ。訓練された動きを…、俺らじゃ手に負えん」
腕の中でもがきながら抗弁する兵士。
「はぁ?与太こいてんじゃねーっつの。何だよそりゃ。つか訓練ならてめえらも受けてんだろがよ」

オルルドは視線を重騎士とコボルドの方へ戻すと…、言われて見れば確かに妙だ。
一般に、剣や盾を使う程度の知能はあるが、組織だった戦いをするほど賢い訳ではないコボルドが、
左に右に陣形を展開し、何とかグレゴリを仕留めようと頑張っている。
…もっとも、奴等の小細工は重騎士の純粋なパワーと装甲に、あわれにもひねり潰されてはいるが。

オルルドは腕を降って兵士を地面に投げ飛ばすと、手頃な岩をひっ掴み、
「どーれーにーしーよーうーかーなっ、てめえだっ!」
体重を十分乗せて解き放つ。
先ほどまで単なる岩として転がっていたそれは、恐るべき砲丸と化しコボルドの犬面を鈍い音と共に砕いた。
「お?当たった」投げた本人が少し意外そうに呟く。
次なる標的を選んで辺りを見渡すと…。

80 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 18:11:44 0
名前:ガダーシャ
年齢:?歳
性別:女
身長:350p
体重:280kg
スリーサイズ:不明
種族:オーガ
職業:オーガ突撃部隊隊長
性格:残虐、部下想い
魔法:簡単な攻撃魔法なら使える
特技:巨体と怪力を活かした圧倒的かつ超絶的なパワー攻撃
長所:女性でありながら男オーガを凌ぐ肉体を誇る
短所:オーガ族の性として、頭脳労働は苦手で頭は余り良くない
装備品右手:トゲ付き棍棒(オーガ族で最もポピュラーな武器で、腕力のある者が使えば比類なき破壊力を発揮)
装備品左手:ギアタートルの甲羅で造った盾(オーガ族の武将にのみ所持が許された名誉の証でもある盾)
装備品鎧:オーガロードアーマー(真紅の炎を象ったオーガ族の武将が着用する軽装鎧)
装備品兜:オーガロードヘルム(真紅の炎を象ったオーガ族の武将が着用する兜)
装備品アクセサリー:亡き恋人ゲオバルドムの遺したドラゴンの骨で出来たネックレス
所持品:バトルアックス(トゲ付き棍棒に次いでオーガ族で流通のある戦斧)
      オーガランス(一般よりも力に劣る劣等オーガが好んで使う大型の長槍)
髪の毛の色、長さ:燃えるように真っ赤な真紅色の髪で、腰まで届くロングヘアー
容姿の特徴・風貌:筋骨隆々としており、腕や足の太さなど全てが常人の倍近くかそれ以上ある
             胸は人間の大の男の頭より大きいが、鎧を着ているため余り目立たない
             全てがオーガらしく精悍である
趣味:強い戦士と闘う
恋人の有無:無し(かつて同じオーガ族のゲオバルドムが恋人だったが、人間に討たれて死亡)
好きな異性のタイプ:強くて自分よりもデカい漢
嫌いなもの:弱くて自分よりも小さいをとこ
最近気になること:
将来の夢(目標):
簡単なキャラ解説:

81 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 18:16:32 0
ちっ、やっちまった…
あたしとしたことが書ききる前に投稿しちまうなんてさ
仕切りなおすよ!

名前:ガダーシャ
年齢:?歳
性別:女
身長:350p
体重:500kg
スリーサイズ:不明
種族:オーガ
職業:オーガ突撃部隊隊長
性格:残虐、部下想い
魔法:簡単な攻撃魔法なら使える
特技:巨体と怪力を活かした圧倒的かつ超絶的なパワー攻撃
長所:女性でありながら男オーガを凌ぐ肉体を誇る
短所:オーガ族の性として、頭脳労働は苦手で頭は余り良くない
装備品右手:トゲ付き棍棒(オーガ族で最もポピュラーな武器で、腕力のある者が使えば比類なき破壊力を発揮)
装備品左手:ギアタートルの甲羅で造った盾(オーガ族の武将にのみ所持が許された名誉の証でもある盾)
装備品鎧:オーガロードアーマー(真紅の炎を象ったオーガ族の武将が着用する軽装鎧)
装備品兜:オーガロードヘルム(真紅の炎を象ったオーガ族の武将が着用する兜)
装備品アクセサリー:亡き恋人ゲオバルドムの遺したドラゴンの骨で出来たネックレス
所持品:バトルアックス(トゲ付き棍棒に次いでオーガ族で流通のある戦斧)
      オーガランス(一般よりも力に劣る劣等オーガが好んで使う大型の長槍)
髪の毛の色、長さ:燃えるように真っ赤な真紅色の髪で、腰まで届くロングヘアー
容姿の特徴・風貌:筋骨隆々としており、腕や足の太さなど全てが常人の倍近くかそれ以上ある(デブではない)
             胸は人間の大の男の頭より大きいが、鎧を着ているため余り目立たない
             全てがオーガらしく精悍である
趣味:強い戦士と闘う
恋人の有無:無し(かつて同じオーガ族のゲオバルドムが恋人だったが、人間に討たれて死亡)
好きな異性のタイプ:強くて自分よりもデカい漢
嫌いなもの:弱くて自分よりも小さいをとこ
最近気になること:人間どもが妙に強くて相手にしていて面白い
将来の夢(目標):手柄を立てて闇王軍の支配から脱却すること
簡単なキャラ解説:闇王軍に従い、人間種族と闘うオーガ族の女戦士
            生来的に戦いを好み、強い相手を求めて戦場を駆け巡る

82 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 21:22:06 0
コボルトと人間の合戦を遠方の小高い丘から見据える一群があった
数は4体ほど、全員が人間の倍以上はあろうかという巨体を湛えている
灰色の肌と筋骨隆々とした肉体、鬼のように精悍な顔付き
モンスターにしては高い知能と巨人とも言うべき巨体で恐れられるオーガ族である
そして、その中央には真紅の鎧に身を包んだ女性らしきオーガの姿もあった

「コボルドのやづら、何でぜめない」と、一体のオーガが言った
なるほど、さっきまで人間の守備隊相手に有利に戦闘を進めていたコボルト軍の足が止まっている
これを食い止めているのは、わずか一名の重装歩兵だなどとは夢にも思わない

「だいぢょう、俺援護じでぐる」と、自慢のトゲ付き棍棒を構えて向かおうとする

「待ちな、行くんじゃないよ
 あたしらの任務が偵察だってこと、忘れたのかい?」
隊長と呼ばれたオーガ女が睨み付けて制止する

しかし、ただでさえ気性の荒いオーガ族の、それも血の気の多い若手の戦士が素直に命令を聞くはずがない
「俺が行ぐと言っだら行ぐんだ!」と、それだけ言うと一気に戦場へと駆けて行った

「馬鹿が…
 なんでコボルトどもが苦戦しているのか考え及ばないんだろうね?
 あんたたちも後学のためによく見ておくんだ
 戦場で敵の力を見誤ったらどうなるかをさ」
怒りがやや混じった表情を浮かべるも、直ぐに元に戻る
冷たく言い放つと、それ以上引き止めることもせず走り去る部下オーガの背後を見つめていた

…ところ変わってここはコボルトと人間たちが死闘を繰り広げている戦場
普段は少数で盗賊か追い剥ぎ紛いのことをして暮らしているコボルトが、多数で徒党を組んで攻めてきている
この意外な行動に人間の守備隊は不意を突かれ、総崩れとなって混乱している
反撃らしい反撃もできず次々と殺されていく人間の守備隊兵たちの屍が積まれていく
しかし、それに逆境するように一人の重装歩兵の奮闘がコボルト軍の進軍を止めている
だが、奮闘というには余りに一方的にコボルト側が殺されている

そんな中で、一人の勇敢(?)な荒くれがコボルトに岩を投げ付けて殺している
彼が次の標的を選んで見渡している最中、目の前に巨人の影が現れた
雄に3メートルはありそうな巨人、というより鬼ともいうべきオーガである
「人間の分際でなまいぎだぞ〜!」と叫ぶ
間髪入れず、振り上げられた巨大なトゲ付き棍棒が振り下ろされる

83 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/23(水) 22:20:22 0
 上空、数十メートル。
 眼下には暗く染まった森が広がり、ところどころに明るいだいだい色の点が見える。
 都市だ。
 時間が時間だけに普段は真っ暗な森と同化しているのだが、コブリンたちが襲撃したせいで明かりがともされているのだ。
 都市から少し離れ場所には陸軍の拠点が存在し、対空砲がにらみを利かせている。

 空には渡り鳥の姿もない。
 ドラゴンたちが隊列を組みながら我が物顔で飛行し、左右二つずつある手で樽をつかんでいる。
 たるの大きさは人間の頭ぐらいある。
 たるの側面にはTNT火薬、衝撃注意と書かれてる。

 ドラゴンたちが陸軍の拠点にたどりついた。
 一匹ずつ樽から手を離し、Uターンしだした。
 陸軍の拠点に着弾するまであと20秒。
 はたしてそれまでに光の民たちは気づくのだろうか。


 所変わって、コボルトとの合戦が繰り広げられている都市。
 シトリンという、女性にも見えなくない人間が建物のわきに隠れ呪文を唱えている。
 そのわきを無数の矢が飛んでいき、腕の部分の衣服がめくれ、赤い線が何本も引かれているが気に留める様子はない。

 秩序を守っているものには幸福を。
 そうでないものには天罰を。

 天空を貫く、光の刃となり、罪人に罰を与えたまえ。

 オーガがオルルド・ノガに向かって棍棒を振り下ろした。
 棍棒には無数のビスが刺さっており、当たればひとたまりのないだろう。

 サンダーボルト!

 オルルド・ノガに当たる直前、あたりにオゾンのにおいが立ち込め、コボルト達の上に黒い雲が集まりだした。
 (回避判定は次の人にお任せします)


84 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 23:27:33 0
対空砲もTNTも勿論魔法アイテムだよな?当然だよな?

85 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 00:20:06 0
>>83
TNT火薬を火薬に修正し、対空砲の部分は、大砲と投石器に修正します。
(84さん、thanks)

追記
火薬は中世のころから既に存在するみたいです。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B9より)

86 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 00:53:02 0
大剣は鈍い音を鳴らしながらコボルド達を次々屠っていった。
前衛となるコボルドはレザーアーマーを着ている者もいたが、
それはグレゴリの大剣の前では全く役に立たず、バターのように切り裂かれ、
死肉に付いたまま地面に落ちていった。
前に吹き飛ばされたコボルドの上半身が地面に付く前に、次のコボルドが
大剣の餌食になり絶命し、瞬く間に周囲はコボルドの死体であふれかえった。

「グルルル… ウゥゥゥゥ…」
弱弱しい唸り声を上げて後退していくコボルド。そこに追い討ちをかけるように
後方からどこにあったのか、岩が猛スポードで弓を構えたコボルドの頭をかち割った。
もはや頭が原型をとどめていないコボルドが崩れ落ちていく。

グレゴリの方を見てガッツポーズをする城兵たち。もはや、勝った…その時である。
後から地響きとともに現れる巨大な影。それは紛れも無くオーガであった。
「う、うわぁぁぁ…!」
突然の出来事に怯える城兵たち。早くも後ずさりをして、巨漢たちに任せようという動きである。
逃げ遅れた一人が巨大な棍棒の餌食になった。
「ぎぇぇぇぇ!!!」
腹に強烈な一撃を浴び、それは鎧を砕き骨をも砕いた。
勢い良く絶命した城兵が吹っ飛び、丁度グレゴリに直撃する形となった。
「フンッ!」
グレゴリはガントレットの付いた強靭な拳でそれをはじき返す。
更に数メートル飛んだ仲間の死体を見て、城兵たちは再び震え上がった。

さらにオーガは勢いをつけ、ついにはオルルドに躍りかかった。
そこで魔法が放たれる。
(しまった!完全に気を取られていたか…!)

気が付くと突如現れた暗雲からいかづちが降り、
オーガを怯ませ、後ろにいたコボルド達の多くを吹き飛ばした。

「どうやら俺らの味方のようだな…」
グレゴリはしばし、燻されたコボルドの手足、首が黒い煙を上げながら四散する姿に気を取られていたが、
敵が残り少ないと見るや、素早く弓を持ったコボルドの生き残りに突っ込んでいった。


87 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 00:59:38 O
>>84
TNT(トリニトロトルエン)火薬は1900年前後に開発・生産されたらしい。衝撃には鈍感なので雷管を使って爆発させる。

……魔法で間違い有りません。


………………………………
一般に、コボルドは辺境でコセコセ追い剥ぎ稼業に明け暮れるのが相場だ。
デカイ街の近くで目立った真似をしていると、すぐさま討伐部隊が派遣されるのを奴等も足りないおつむで理解している。
なので、この辺りではコボルドは滅多に見かけない。無論オーガもだ。

だとしたら、いままさにオルルドに襲いかかる巨人は、桁外れに長身の蛮族だろうか。
あるいは何かの見間違い?
彼にとって不幸な事に、どちらも違った。

(待てよ、なんでこんなとこに…)
オルルドはコボルド共に岩を投げつけるのに気を取られ、オーガの接近に致命的に遅れた。
巨人はすぐそこ、既にその長いリーチの範囲内。
振り下ろされる棍棒の軌道はよく見えたが、彼にそれを避ける時間は与えられない。
とっさに腕を上げて頭を守る。腕二本がへし折られるのは覚悟したが、それで命が助かるかははなはだ疑問ではあったが。


そして、
棍棒が突然はじけとんだ。

オルルドが何かをしたわけではないのは、驚く彼の表情からして間違いない。
だが、ピンチを切り抜けた幸運を無駄にするほど彼は呆けではなかった。

次の瞬間、オーガに背を向け一目散、グレゴリの方へ全力で駆け出した。

「おいっ、グレゴリ、やべえぞ。オーガだ、まじオーガ。超デカイぞ」


88 名前:おるるど[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 01:12:13 O
身長と体重は個対個の戦いで大きなハンディとなる。
身長3m、いや武器も何も無しじゃヤバイ相手でしょ。

ほら、俺喧嘩は強いけどさ。ゴブリンとかリザードマン位なら何とかなるけど、オーガは無理だから。

あとリロード遅れて書き込んだから内容が若干ずれた。

89 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 01:22:50 0
「ぐげえあああああっ!」とけたたましく響くオーガの悲鳴
棍棒にシトリンの放った雷撃が直撃し、四方に弾け飛んだのだ
さらに高圧電流で感電し、完全に怯んでしまう
白い髪の毛が逆立ち、電撃の凄まじさを物語っている
そしてその隙が、オルルドに逃げる隙をものの見事に与えてしまう結果になった

「ぢ、ぢぎぢょー、誰だ俺の邪魔じようっでやづは!」両方のエモノを失ったオーガの怒りは激しい
「ぎざまー、ぎざまかー俺の邪魔じだやづばあぁぁっ!」ドスドスと走りながらある男に向かう
コボルトの残存兵力に向かったグレゴリの動きを察知し、続けて踊りかかったのだ
3メートルもの巨体が、コボルトの死体を蹴散らしながら突撃してくる
一定の距離まで詰めると、グレゴリ目掛けて両脚を前に突き出しドロップキックを繰り出す
オーガの最大の武器は、巨体とその鋼のような肉体そのものなのだ



90 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 02:24:40 0
コボルド達を一掃し、最後のコボルドが地に伏せると、グレゴリは一瞬の静寂の
余韻に浸っていた。さて、オルルドの奴は…と振り返ろうとすれば、
後方からドンドンドンドン…と地響きが聞こえてくる。

オルルド…な訳がない。オーガである。
「おいっ、グレゴリ、やべえぞ。オーガだ、まじオーガ。超デカイぞ」
と叫びながら彼は普段では想像もつかぬ速さで駆け寄ってきた。

ドンドンドンドン…
(オーガの目標は…オルルドではなく… 俺だ!)
オーガが突如両足を前に突き出し、ドロップキックを繰り出す。
近くで見ると何とでかいのだろう。それはグレゴリの頭三つ、いや四つ分ほど大きく見えた。
初めて相対する巨大な敵に驚いたこともあって、かわすタイミングなどなく、
慌てて大剣を構え、飛来する巨大な足に突きたてる。

ガイィィィン!
腕に強烈な衝撃が走り、グレゴリは数十センチほど後ずさった。剣を落とさなかったのが救いである。
当のオーガはというと、かすり傷程度を受けて、何事もなかったかのように起き上がってくる。
が、その際の隙を見逃す彼ではなかった。引っ込めた腕を勢い良く返し、片手に力を込めて
そのまま逆方向に横薙ぎする。それはオーガのわき腹を切り裂いた…はずである。

ガシィィィ!ギシギシ…
(固い…!固すぎる…!)
オーガは軽装ではあったが、その内側の肉体はまさに鋼の筋肉の塊であった。
それは鎧をも切り裂くグレゴリの一撃をも、軽傷程度で済ませてしまうのである。
オーガは血を流しながらも、腹に食い込んだグレゴリの大剣を両腕で掴みあげ、
そのままグレゴリごと投げ飛ばした。

「ぬ、ぬぅぁぁぁー!!」
ガシャァァン!
幸運にも骨折は免れたが、鎧ごと壁に叩きつけられ、グレゴリはかなりのダメージを受けた。
手放さなかった大剣を杖代わりに起き上がる彼は、思わぬ強敵に体を震わせた。
(確かにこいつぁ手ごたえがあり過ぎだ…さて、どうしたものか…)

オルルドはまだピンピンしているようだし、胡散臭いが魔術師もいる。どうしたものか…
後ろからは、酒場にいた残りの巨漢たちも騒ぎを聞いて駆けつけてきたようだ。

91 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 12:39:54 O
「なぁ、俺ら手伝わなくていいのか?」
「いいんじゃねーの?グレゴリがタイマンで負けるなんて想像できねーよ」
「だけど相手はオーガだぜ、苦戦してるようにも見えっけどな」
「あー、そういやあいつが一撃で仕留め損なったのって久し振りに見たわ」
「いいから手を貸すぞ、お前ら弩で援護しろ。俺が突っ込む。」
「いや俺が突っ込むからお前が援護しろよ。」
「うるせえな、援護なんていらねえよ。全員で取り囲めばすぐだろ。」
「じゃあさ、あいつ殺した奴に全員が酒を奢るって事でどうよ」
「乗った!」

かくして屈強の戦士団が雪崩をうってオーガに襲いかかる。

92 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 12:46:13 0
>>87
指摘を受けて、調べてみたら、TNTはまだ存在しないので火薬に置き換えました。
(火薬の種類は不明瞭ですが、火薬と言えばもっぱら黒色火薬のことを指すので・・・それを使ったものと思ってもらえるとありがたいです)


93 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 16:03:27 0
「いでえぇぇっ、ゆるざねえぇぇっ!」と、傷付いた腹を押さえながら更に怒る
オーガはモンスターの中では知能が高いとはいえ、人間に比べればまだ単純である
怒りに我を忘れれば、気の済むまで暴れまわる野獣と変わらない
オーガは鋭い牙を剥き、グレゴリを全力で威嚇する
そして、一気に飛び掛かろうと両腕を上げた瞬間である

騒がしい喧騒のような叫びと共に、背後から屈強な戦士の一団がどっと雪崩れ込んできた
脚を滅茶苦茶に斬られ、思わずバランスを崩して前のめりに倒れる
戦士たちはやれ好機とばかりに倒れたオーガに押し寄せ、容赦ない追撃を加える
背中に脚に剣を突き立てられ、声にならない苦悶の叫びを上げる

「あげ…ぐがが…、に、にんげんなんがに…」血まみれになって這いずりながら、グレゴリに近付く
「で、でめえだげでも…み、みぢづれにぃぃ…」と、ゆっくりグレゴリに手を伸ばす
さしものオーガも、こうなっては虫の息である

そして、その光景を遠くから見つめるオーガの女武将ガダーシャ

「無様だな
 命令違反の上に負けるとはオーガ族の恥さらしもいいところだ」
呆れたように吐き捨てる
しかし、何をするでもなくいきなりトゲ付き棍棒を構えると自らも戦場へと向かう

「だ、だいぢょう、なんもだいぢょうまで行ぐごとは…」心配そうに言う部下のオーガ
しかし、「腐っても同胞は同胞、その死体を人間に渡すわけにはいかない
      私が取り返してくる
      おまえたちは指示があるまでここで待機していろ」
真紅の鎧に身を包み、颯爽と駆け出す女性のオーガ
男オーガ以上に巨体の大戦士が、今同胞の死体を取り戻すべく戦場へと駆けて行く

94 名前:シトリン ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 19:43:05 0
「なんだ?あれは・・・」

兵士が一人でやぐらに立ち番をしていると、地響きらしきものが聞こえてきた。
手近にあるたいまつをつかみ、音がしたほうに向けた。
投石機や大砲が設置されているが、特に何かが落ちた形跡はない。

「・・・下のほうか?」

松明を下のほうに向けた。
松明の光がやぐらの下に落ちている樽をオレンジ色に染め上げている。
樽の中には黒色火薬とと炎の魔法が充てんされた石が一緒につめこまれているだが、幸か不幸か、兵士はそれを知らない。
不審に思いつつも下に降りようとした、そのとき、樽が爆発した。
衝撃によってやぐらが傾き、兵士の体が地面にたたきつけられた。
「ぐ・・・」
全身を激しく叩きつけられたせいか、体が動かない。
「ぎゃ、ぎゃあ・・・っ」
兵士の体の上にやぐらが倒れ、兵士の体は押しつぶされた。

あちらこちらで火の手が上がっている。
投石機や大砲は跡形もなく破壊され、原形をとどめていない。
夜空が真っ赤に染めあがり、編隊を組んでいるドラゴンの群れがその場から離れていくのが見えた。



シトリンが建物の蔭から顔を出した。
グレゴリに向かって手を伸ばした状態のままオーガが倒れている。
背中や腕には剣が何本か刺さっており、それが死因のようだ。
「ん?」
上空を何かがかすめ飛んだ。
天を見上げると、ドラゴンの群れが夜の闇にまぎれるようにしながら飛んでいる。
上空から攻撃するつもりなのだろうかと思ったが、ドラゴンの群れはこちらに向かってくる様子はない。
ドラゴンという生き物はとても頑丈で、炎や氷などのブレスを吐く者がいると噂を耳にしたことがある。
あちらに攻撃する意思がないことを確認し、辺りを見回した。
コボルト達は屈強な騎士たちによって皆殺しにされ、乱入してきたオーガもすでに死んでいる。
肩の荷を下ろし、息を吐いた。
踵を返し、貧乏宿に戻ろうとしたところで真紅の鎧を身にまとったオーガが入ってきた。
どうやら、まだまだ戦いは続きそうだ。


95 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 20:54:45 0
事態は思った以上に早く片付いた。
仲間の巨漢たちがオーガを囲み、どつきまわすようにして
重い一撃を次々と叩き込んでいったからである。どうやら先ほどの剣撃も
無駄には終わらなかったようだ。

地面に倒れ伏したオーガは何度も武器を突き立てられ、血溜まりを作っていたが、
それでも死にきれないとばかりにグレゴリの足に掴みかかろうとする。
グレゴリはその太い腕ををかわし、逆に鉄のブーツで踏みつけると、
同時に大剣を振り下ろし、首に強烈な一撃を見舞った。
「ギェェェェ!!」
オーガの絶叫が響きわたる。とっさにグレゴリはオーガの巨大な頭部を切り落とし、
子供の体重ほどはあるそれを片手で持ち上げると、雄叫びを上げた。
「ぬおぉぉぉぉぉ!!!!」
周囲の巨漢たちもそれに続く。得物のあるものはそれを掲げ、ないものは
地面に落ちているコボルドの首を千切って掲げた。
城兵たちはそれに構わず、倒れている仲間達の生死を確認している。
(ん…?)
掲げた手の先の空に、なにやら巨大な飛行物が見えた気がした。気のせいだろうか。

が、その歓喜の時間も長く続かなかった。
新たな敵が接近してきている。ドンドンと、大きな地響きを立てて。
それはオーガに違いなかったが、燃えるような真紅の鎧に身を包んでおり、
先ほどのよりも更に大きく、巨漢で鳴らしたグレゴリの倍ほどの背丈があった。
足の長さだけでも並みの男以上あるように見えた。
良く見ると顔立ちはオーガにしては整っており、長い髪、体つきもスマートで、腰に丸みがあるように見えた。

女だろうか?いずれにせよ相当にヤバい相手であることに変わりはない。
女オーガの近くの巨漢たちがそれに気づくと、顔を引き締めて身構えた。
「こんにゃろお!やんのかよォ!」
全員で戦うしか…と思うが早く、巨漢の一人が得物の槍を構え、女オーガの
鎧の付いていない右股に強烈な突きを見舞った。普通の皮鎧なら楽に貫通するほどの一撃である。
ガィィン!パキャ!
「なにぃぃっ?!…ひぃぃっ!」
女オーガは太く長い右足を上げると、槍を脛当ての部分にぶつけ、軽くへし折った。
そしてそのまま足を踏み下ろし、地響きを鳴らすと、巨漢は怯えて動けなくなってしまった。

「ディエゴ!危ねぇ!」誰かが叫んだその瞬間である。
女オーガの左足が巨漢の脇腹に入ったかと思うと、鎧が割れて臓物を撒き散らし、
その亡骸はシュート回転をしたまま城壁に叩きつけられ、腐ったトマトのように
原型が分からぬような無残な姿となった。

場の空気が静まり返り、周囲の巨漢たち、城兵たちは現実的な恐怖に震え上がった。
城兵の中にはその場から走って逃げようとする者もおり、そのうち一人が慌てて転んだ。
当のグレゴリも共にこの界隈を闊歩してきた仲間のあっけない即死に驚き、
無意識のうちに後ずさりを始めていた。

「くっ、俺としたことが… このまま下がる訳にはいかん!奴の弱点は…」
自分に言い聞かせるようにして武器を構えなおし、聳え立つ女オーガを見た。
「やはり目標がでかすぎる…まずは片足を潰すしか…ディエゴのように鎧の無い太股を狙うか…」
敵は待ってはくれない。次の目標を定め再び動き出した。
蹴りにはかりに耐えられたとしても、あの巨大な棍棒が直撃すればグレゴリでも即死だろう。
「そうか、女で…オーガ…!そうするとアレか…まだこの戦い、捨てたもんじゃねぇ!」



96 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21:08:22 O
このスレは他人のキャラも操作可能なSSスレなの?

97 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21:30:14 0
>>95
ごめんなさい。
うっかり死んだものだとばかり思ってました。


98 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21:46:05 0
>>96
ある程度は場面場面で動かす必要もあるんでわ?

99 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22:03:26 0
>>98
動かしていいならいいで構わないし文句言うつもりもないんだけど、そこん所をはっきりさせておいた方がよくね?

100 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22:41:35 O
PCの手下って位置付けだし、本人も使い捨てる気だったみたいだし、アレはセーフじゃないかな。
要するに、PCの言中の脇役とか名無しの出してくるNPCくらいは操っても構わんのではと。

101 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22:46:32 0
これからの新規の為にもこういうのは一覧でも作っておくといいかもね
参加者達は事が起こった推移とかわかっているから自然とルールを身に付けていくけど、新規はそういうわけにはいかないから。

102 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 23:03:13 0
アドバイスは無駄だよ、聞く気がないんだから
スレ主の手際が悪くてスレが潰れてもいいじゃん
夏厨はそうやって大人になるもんさ

103 名前:アレンナ・ディートレン ◆E.NgQdzf5A [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 23:10:33 0
名前:アレンナ・ディートレン
年齢:24歳
性別:女
身長:166cm
体重:46kg
スリーサイズ:秘密
種族:人間
職業:剣士
性格:高飛車でプライドが高い
魔法:若干の防御系魔法を使える
特技:剣技・魔法と剣技を併用した秘技
長所:辛抱強い
短所:冗談が通じない
装備品右手:レプリカントソード
装備品左手:なし
装備品鎧:レプリカントアーマー(左肩のみ肩パッドが二つ重ね)
装備品兜:レプリカントクラウン
装備品アクセサリー:ペンタグラムリング
所持品:お金・水
髪の毛の色、長さ:金髪で背中にまで達したロングストレート。
容姿の特徴・風貌:銀色の鎧・兜・剣を身に着け、同じく両耳には五芒星を模った銀色のリングを着けている。
            白いマントを背中になびかせている。
趣味:旅
恋人の有無:なし
好きな異性のタイプ:……秘密
嫌いなもの:口だけが達者な人間
最近気になること:反乱について
将来の夢(目標):旅の目的を遂げること
簡単なキャラ解説:とある地方の貴族ディートレン家の娘。ディートレン家は後に没落したが、
           成人するまでは裕福に育っているせいか今でも世間知らずなところがある。
           家が没落したことを契機に親元を離れ、とある目的の為に旅を続ける日々を送っている。

104 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 00:52:44 O
(どうしたもんかね…)
先のオーガは仲間達になぶり殺され、グレゴリに首をはねられ、既に動かぬ肉の塊となって地に伏している。
しかし一難去ってまた一難。更なる難は先程より確実に一回り大きなサイズとなって目の前に立ちはだかっていた。
(ケツをまくってもいいんだけど、後でこいつらに何言われるかわかんねーしなぁ…)

おそらくここでオーガを仕留めても、役人から幾ばくかの褒賞をせしめるのが関の山であろう。
得るものは少なく失うのは多い分の悪い戦いに彼等を駆り立てるのは、戦士としてのプライドだろうか。
まったく難儀な話ではあるが、普段大きな顔で町をゆく彼等にとって、
敵を前に芋を引くのはメンツを自ら潰す真似に他ならないのだ。
そして彼等は何よりそれが許せなった。
「しゃーねえ、覚悟を決めるか。戦士の国に召されるにゃ丁度いい相手だろ」オルルドは自らに言い聞かせるように言うと
「確かに不足は無いな」
「せめて道連れにゃしたるか」
回りから賛同の声があがる。

オルルドは兵士の死体から槍を拾って雄叫びのような声を張り上げた。
「かかってこいよ、デカブツ野郎。そこに転がっている奴の後を追わせてやっからよおぉぉ!」

105 名前:おるるど[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 00:57:34 O
>>92
ああゴメン、テレビ見ながらレスの内容書き込んでて、リロードしてなかったから、
その前のツッコミに対して魔法って事でいいんじゃねって事で遅れてレスしたんだ。
火薬は理解したよ。

106 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 01:53:40 0
「アハハハ、人間にしてはいい踏み込みをしてくるもんだ!
 惜しいことをしたね、殺すんじゃなかったよ」
ガダーシャはそう言うと、粉砕した大男の肉塊を見る
先ほどのオーガとは違い、言葉をはっきりしゃべって尚且つ戦いを純粋に楽しんでいる
図体はデカいが技巧派の戦士のようだ
そして、次に槍を構えて挑発してくるオルルドの方を見やる

「辞めときな、坊や
 その度胸は認めるけどね…クスクス…」
そう言うと、特に取り合うというわけでもなく再びグレゴリの方を見やる
そして、攻撃するのではなく武器を収め、腕を組んで語りかけてくる

「あたしらはここには偵察で来たのさ
 そもそも戦いは目的じゃあない
 丘の向こうにはまだ三人、あたしの部下が控えてる
 その気になれば疲弊したあんたたちを全滅させるくらい容易いさね
 けど、この大事な時期に無駄な戦いはしたくないし大事な仲間の死体を渡すわけにも行かない
 それに、有望な好敵手の芽を下らないことで摘みたくもないってわけさ
 ここは一つ、あたしらとこの死体のことを見逃してくれると嬉しいんだけどねえ…」
悪い話ではない、とでも言うようにいきなり急迫紛いの要求を突き付ける
ガダーシャの持つ鎧とギアタートルの盾は、オーガ族の誇り高き武将の証である
余程の技量がなければ与えられることはない
まともに戦えば、どちらが勝っても両者の壊滅的被害は免れないだろう
それに、ガダーシャの背にはまだ巨大な斧と槍が装着されている

107 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 20:11:15 0
ルールをまとめておこう。

・とにかく重苦しいファンタジーがしたいやつは集まれ。中途半端な気分で参加はするな。
・世界観は中世風の西洋ファンタジー世界だ。が、過度な薀蓄は要らない。
・コテは必ずトリップを付け、自己紹介をすること。
・版権キャラの使用は禁止。オリジナル専用とする。
・重厚だからといって別に雄臭いという訳ではない。女はむしろ大歓迎だ。
・TRPGスレだが、そこまで厳しいルールではない。
・基本はターン型で回すが、展開によってはその限りではない。
・sage進行、荒らしは徹底無視。煽りは禁止。設定などは自重すべし。
・ドロドロでムラムラな展開もあり。
・鎧とか白兵戦を主流に戦うが、多少エロいの、グロいのもギリギリならアリとする。
・ギスギスするのが大好きな奴は集まれ。また容赦はするな。
・とにかく重苦しく動け。ここがヘヴィファンタジースレである意味を考えろ。
・展開は多少速くても構わないが、あくまで空気を読む感じで。敵役も募集する。
・越境は禁止。ライトファンタジースレとは無関係。
・長期で抜ける場合など重要なことを話したい場合は【】を使う。
・シナリオを回すのはトリップのついたキャラハン、キャラハンに認められたGMのみ。
・流れによっては多少、繋げる程度に他人が出したキャラを動かすのもあり。


108 名前:おるるど[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 23:37:57 O
流れ的にはオーガの姉さんに遺体をお引き取り願えれば無難そうなんだけど、
俺のキャラ的にシカトされたらつっかかると思うんだよね。
あと、グレゴリの秘策も気になるんだよね。
シトリンの動きも気になるし。

問題ないならオーガ姉さんに攻撃するよ。そんで返り討ちにされるよ。
他の展開考えてる人いたら先に動いてね。

109 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 11:46:31 O
オルルドは槍を握り締め、歯がばりばり鳴る音を聞いた。
相手にもしない、文字通り、上から目線に対して彼の脳は屈辱に燃えた。
「てめえらの都合なんざ知った事かよ。かかって来ねえなら…」機を外して巨大な戦鎚で躍りかかる巨漢の戦士。
それに合わせて滑るように踏み込み、槍を突き出すオルルド。
無言の内に成立したコンビネーションが紅の巨人戦士の足と腹を狙う。

110 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 20:10:46 0
(あきれた奴らだ)

目の前にいるオーガはかなりのやり手。
突っ込めばまず間違いなく死ぬ。
まともにやりあえるとすれば、ゴーレムぐらいのものだ。
さっきの攻撃を見ていなかったのかと心の中でつぶやき、ため息をついた。

罪人とそうでないものを隔てる壁となれ。
愚か者の頭を冷やす檻となれ。
出ようとする者には罰を与える鎖となれ。
空を引き裂き、音によって恐怖を与えるものよ。
わが力によって、かの者の周りに集め、隔てよ。
スパークリングプリズン!

二人が到達するぎりぎりのところで、言葉を最後まで紡ぎ終え、

二人とも離れろ!

喉が張り裂けんばかりの大声を出した。


111 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 20:19:06 0
ガダーシャに回します。

112 名前:アレンナ・ディートレン ◆E.NgQdzf5A [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 02:27:54 0
──視線の先で佇むのは、地図が正しければメタリオーム城の城下町。
その存在を視認してからというもの、彼女は自然に足早となっていた。
そこに行けば水がある食べ物がある。そして何より疲れを癒す宿もある。
街に灯された明かりを頼りに、彼女は暗い道をひたすら街に向かって歩き続けた。

一歩一歩進む内に、目の前には少しずつつ街が広がり始めていく。
ところがそうして街に近づいていく内に、一抹の不安が彼女中で芽生えていった。
何故なら街から聞こえてくる人々の声は、
街の喧騒というものから遠くかけ離れていたものであったからに他ならない。

嫌な予感を頭に過ぎらせながら、彼女は街へと入っていった。
そしてそこで、直ぐに自分の予感が的中した事を思い知らされるのだった。
彼女の目の前で広がっていた光景。街は、足の踏み場もないというように斬り捨てられた
人間の死体と、非人間の死体で埋め尽くされようとしていたのだ。

人間に交じって道端にその亡骸を伏せているのは、一般的に「コボルト」とか「オーガ」とかと
呼ばれる怪物達だ。三日三晩人のいる街を探して荒野をさ迷い、ようやく発見したと思ったら
その街では戦闘の真っ最中。運がいいやら悪いやらと、彼女は思わずため息をついた。

この街を襲ったコボルトらが火を放ったのか、あちこちで家が燃え、木が燃えている。
それらの明かりは、これまで闇夜に覆われていた彼女の姿をも照らし出した。
身にまとう銀色の鎧が明かりによって輝きを放ち、その輝きにも決して引けを取らない金色の髪の毛、
そして不思議とそれ自体が光を放っているような、端麗な顔。
華麗にマントをなびかせ、輝きを放つような全身からは、何か高貴な雰囲気さえ感じ取れる。

不意に、彼女の足首を何かが掴んだ。それは人の手……いや、オーガと呼ばれる怪物の手であった。
地に伏している者達は全て死体であると思っていたため、足元に注意を払っていなかったのが
足首を掴まれた原因であっただろう。

「げへへへ……おんな゛……お゛ん゛な゛だぁぁぁ……」

このような怪物達にあるものは欲。食欲、戦闘欲、そして性欲だけだと相場は決まっている。
死が迫っても、女と見ればところ構わず飛びつくのは、正に欲が支配する野獣そのものであろう。
彼女は鞘に納められた剣を抜くと、自分の足首を掴んでいるオーガの手に向かって一閃した。
剣を受けたオーガの手は、瞬時に生命の無い肉の塊となって宙を舞い、道端へと転がっていった。

「ぎぃやぁぁぁぁああああッ!! お、゛お゛れ゛の手がぁぁぁあッ!!」

叫び声を挙げるオーガに向かって、彼女はふぅとため息をつきながら言った。

「無礼者め。この鎧は、貴様のような下賤な者が触れて良いものではない」
「お゛、お゛ん゛な゛があ゛あ゛あ゛あ゛ーーッ!!」

彼女の言葉に激昂したように、今まで傷つき倒れていたオーガが叫び声を挙げながら
その巨体を奮い立たせた。
しかし、オーガがその巨大な腕を振り下ろすより早く、彼女は再び剣を一閃した。
直後に一つの斬撃音とと共に、オーガの首がずるりと体より離れ落ちていった。

「明度の土産に教えてやる。我が名はアレンナ・ディートレン。
 剣聖と謳われた我が祖父の名にかけて、貴様ごとき死に損ないに遅れはとらん」

司令塔を失ったオーガの巨体は音を立ててその場に倒れこみ、二度と起き上がることはなかった。
彼女は……いや、アレンナは剣を鞘に納めると、宿を求めて街の奥へと歩き始めた。

113 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 09:13:42 0
「どうしたってのさ?
 誰も答える奴が居ないってのはどういう料簡だい?」
ただ静まり返るだけの反応に呆れた様に肩を竦める
全く無かった…というわけではない
身の程知らずの人間の小僧が一匹、勝手に屈辱を感じて武器を構えている
しかし、真剣に取り合うことはない

ガダーシャには、コボルトを一掃した重装歩兵を潰せば、守備隊が一気に戦意を喪失することは分かっていた
巨漢の戦士たち以外、兵士は完全に恐怖に駆られて総崩れとなっている
その巨漢の戦士たちも、目の前のガダーシャの強さに鋭気を挫かれている
それに、この町の主力は戦士団で魔法使いがほとんど居ない
実際に、たったの四人とはいえオーガ側の負ける要素が薄いのである

>「てめえらの都合なんざ知った事かよ。かかって来ねえなら…」
「坊や、良いことを教えてやろう
 戦場で相手の実力を見誤ったら…、死ぬだけだよ!」
戦鎚を持った巨漢の戦士をすかさず蹴り飛ばし、宙を舞う体は城壁へと叩き付けられる
「ぐきっ」という鈍い音を立て、首が明後日の方向を向いたまま地面へと落下する
すぐさまスネ当てでオルルドの放った槍の切っ先を挫くと、そのままこちらも蹴り飛ばそうする
するとどうだろうか、ガダーシャの蹴りは弾かれ、オルルドの体はそのまま安全な場所へと運ばれた
何かに包まれるように発動するも、巨漢の戦士まで救うにはタイミングがやや遅かった

「へえ…、さっきのサンダーボルトと言い、やっぱり一人くらい魔法使いは居るようだね!
 町の中に隠れているんだろうが、こそこそしてないで出て来たらどうだい!?
 もっとも、あたしも簡単な攻撃魔法くらいは使えるし、部下の一人はシャーマンだ!
 魔法合戦で余計な犠牲者を増やすか、大人しくして無難に犠牲者を減らすかはあんたの自由だよ!」
そう言うと、魔法使いの存在を確信したガダーシャは城内に向かって叫ぶ
耳をつんざくほどの凄まじい大声である
辺りがビリビリと震え、守備隊の兵士や市民がどよめく
すると、呼び出しの合図と勘違いしたのか、待機しているはずの三人の部下の内、二人が駆け寄ってきた
何れもビッグ・ホーンと呼ばれる巨大なサイのモンスターに跨った騎士風の出で立ちである
重装鎧を着ており、手に持った武器はオーガランスと呼ばれる槍である
何人かの兵士がビッグ・ホーンに踏み潰され、血と肉のミンチと化してしまった

「ちっ…、馬鹿が!
 呼んでもないのに出て来るんじゃないよ!」
しまったと思いながら、己の行為に後悔するガダーシャ
人間よりも遥かに巨体で怪力のオーガも、知能は一部の者を除いて人間に遥かに劣る
大半の者が指揮者の命令を遵守できない者ばかりである

「ず、ずまねえ、だいぢょう…」と申し訳無さそうに項垂れて謝る
「ふん、まあいい
 人間どもにわざわざ見せる手間が省けたってもんだ
 …いいかい、人間ども、こいつらはあたしらオーガ族で新設されたばかりの騎士団だ
 あたしらと戦ったことがある奴らでも見るのは初めてだろう?
 この二人が今ここで暴れまわっただけでも、あんたたちは全員確実に挽き肉さ
 考える頭があるなら、大人しく死体を引き渡すのが利口ってもんだろうけどねえ…」
そう言って両者を従えて戦士たちの方へ振り返ると、大声を張り上げて自分たちの圧倒的優勢を主張する
最早、これ以上一歩も譲るつもりは無いという態度を見せている
攻撃の合図をいつでもするという意思表示なのか、トゲ付き棍棒まで上に振り上げている

114 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 13:33:33 0
女オーガは全く余裕のようだった。
恐らく仲間であるオーガを殺されているにも関わらず、その太い腕を組んで
上から目線で話しかけてくるその様を見て、恐怖を覚えずにはいられない。
足で巨漢を瞬殺となると、棍棒や斧でやられればどうなるか。それは想像するのも恐ろしい。
他にも手下に三人のオーガがいるらしいが、どっちにせよこいつを何とかすればいい話だった。

構えながら思案をめぐらせているうちに、オルルドともう一人の巨漢が
重厚にして迅速な攻撃が、女オーガの足を砕き、腹を鎧ごと叩き割る、その勢いであった。
しかしながらそれは女オーガの巨体から繰り出される一撃で打ち砕かれる。
一人が勢い良く蹴り飛ばされ、絶命した。
「アレックス…!」
仲間の死を再び目にすることとなるが、声は何とか伏せた。
不意を突くことを何としてでも成功させなくてはならない。
二発目のカウンターがオルルドを襲う、まさにその瞬間だった。

スパークリングプリズン!

オルルドと女オーガの間に障壁が発生し、オルルドは壁によって難を免れた。
どうやら痩せた魔術師の男が魔法を使ったようである。
女オーガがそちらに気をとられると同時に、何やら大声で脅迫事を喚いている。
その音につられるようにして、ビッグホーンに騎乗した二体のオーガがやってきた。
もの凄い地響きが鳴る。しかし、その瞬間こそがグレゴリが求めていたものだった。

グレゴリは素早く地面を蹴ると、大声を張り上げながら棍棒を振り上げる女オーガの
死角から回り込み、懐からマジック・アイテムを取り出した。
エナジーブーメラン。これは、風魔法が込められた攻撃用アイテムで、使用者の
意志に応じて軌道を描き、相手を切り裂く武器である。

一度ステップし、フェイントをかけると、女オーガの股下を狙うようにして、
エナジーブーメランを投げた。
轟音を立て、緑色の光を放ちながら、ブーメランは女オーガの鎧の下に
潜り込むようにして、飛んでいく。
しかし、これは実は囮であった。


(くそっ、相手が大きすぎるか…)
当のグレゴリは、ブーメランの方向とは逆に回りこむと、
背面飛びをするかのように、ひねりを付けて飛び跳ねた。
相手はあまりにも巨大で、ジャンプしても肩のあたりにグレゴリの剣が当たる
程度だったが、丁度女オーガが体勢を低くしていたため、可能性は十分にあった。
グレゴリの重厚な大剣が、女オーガの首を断ち切らんと勢い良く振り回された。
「ヘヴィスマッシュ!!」
全身全霊をかけた一撃が、今叩き込まれた。

実のところ、即殺は無理でも、女オーガの長い髪を少しでも切り落とせたら、
というのがグレゴリの狙いであった。


115 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/07/27(日) 14:22:35 O
>>112
一応突っ込んどくと、死にかけオーガはグレゴリに首をはねられてるよ。
今展開してるのと別の場所、別の時間の話なら問題無いと思うけど。

116 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 15:30:33 O
………死んだ

避けがたい死。
頭がそう理解した瞬間、蹴り足がよく見える。鎧は着けてないから先の仲間の様に真っ二つか、あるいはバラバラになるだろう。
(死!?もう、あの…、あれだ…。さっきの肉はやっぱり食ってから…。心残り。ジーナは尻軽だからすぐに…。畜生畜生畜生。)
猛スピードで思考が駆け巡るが何一つまとまらない。

気がつくと混乱したままオルルドの体は何かの壁にはね飛ばされ軽く吹き飛んでいた。
「な……、」
ごろごろ後ろに転がりなが何とか立ち上がる。
「何?助かっちゃった?」
しばらくぼうっとした後、
「おおおっ!?何だよ、俺の隠された魔法の能力でも開花したか?
それとも神か悪魔でもとりついたか?何にしても、こりゃあ…」
予感がした。この窮状を劇的に変える、自分が。

後ろから物凄い地響きをたてて接近する見慣れない何か(騎兵?まさか、あんなデカイハズがない)にオルルドは振り返り、
「バカ野郎!てめえらなんぞ、吹き飛ばしてやらぁ!!」
謎の自信ともに
「(さっきの)壁!」手を突き出す。

遠くにみえた巨大な騎兵の姿がどんどん大きくなる。

「…出ろ!壁!雷でもいいや!出ろ!!」

騎兵が眼前まで迫る。

「どおりゃああああ」
オルルドは横っ飛びで巨人騎兵を何とかかわした。

117 名前:アレンナ・ディートレン ◆E.NgQdzf5A [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 16:48:56 0
>>115
一匹だけじゃなく何匹かいたのかと勘違いした
首をはねたのはオーガじゃなくコボルトに変更

118 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/27(日) 17:43:17 0
>>113
「ご名答」
シトリンは両手を上にあげ、建物の蔭から出てきた。
長身痩躯。
男にも女にも見えなくない、摩訶不思議な人間は武器のないことをアピールしている。
でも、どこかふざけた笑みを浮かべ、この状況を楽しんでいるように思えた。
「さすがに隠すことはできませんでした。歴戦の戦士ともなれば納得納得」
相手の部下と思われるもんすたがー兵士たちが数人踏みつぶされ、辺り中に臓物をまき散らしているのだが、そんなのどこ吹く風と言わんばかりに平然とし、笑みを浮かべている。
「しかし、まあ、あんたも馬鹿な部下を抱えて大変だねぇ。状況次第で反撃する暇もなくミンチになるというのに、考える頭すら持ってない」
相手の部下はこうべを垂れ、勝手に動いたことをわびている。
ある程度状況を見通す力はあるようだが決定的に何かが欠けてるようだ。
そんな部下たちを憐れみの目で見つめ、
「でも、今は我々が不利な様子」
肩の上で両掌を上に向けた。
真紅の鎧を着たオーガはトゲ付き棍棒を上に掲げている。
あれが振り下ろされればまず間違いなく、部下が動き、自分たちはまず間違いなく死ぬだろう。
「おとなしく・・・」
死体を渡すことにするよ。そう言おうとしたが、巨漢の男が言うよりも早く動き出した。
ビックホーンに乗った部下が攻撃をしていいと勘違いし、こちらに向かってくる。
地面を蹴り、それをかわし、

ありとあらゆる存在している空気よ。一点に集まれ。
わが声とともに力を解放し、熱と炎によって、皮をはげ。
そして、光によって視力を奪え。


119 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/07/28(月) 11:04:26 0
「なっ…、死角に…!」
部下に気を取られた一瞬の間に、死角に回り込んでエナジーブーメランを投げるグレゴリ
ガダーシャは、いろいろなことに驚いていた
戦士とは、己の力のみで戦い抜くことを美徳とするはずが、マジックアイテムを使ってきた
更に、あれだけの重厚な鎧を纏っているにも拘らず軽く素早い身のこなしができる
そして、そんなことを咄嗟に思いつきやってのける機転の良さと凄まじい行動力
相手の実力を見誤れば死ぬと部下に諭したガダーシャ本人もまた、グレゴリを甘く見ていた
ただ、強いだけの戦士ではなかったのだ

「は、外れた…!?」
 いや、これは外したんだ
 てことは本命が…ぐっ、しまった!」
エナジーブーメランを避けようと姿勢を低くする
風魔法の切れ味は、物理的に斬る方法とはまるで違う
下手をすれば鎧ごと手や足、最悪首を持っていかれてしまう
しかし、エナジーブーメランは鎧の間を抜け、股布を切断して過ぎ去っていった
しかし、あの機動では微動だにせずとも肉体には当たらなかったはずである
そして、気を惹くための囮攻撃であったことを示すかのように、グレゴリからの追撃が来た
高く跳躍し、首目掛けてヘヴィスマッシュを食らわせてきたのだ

「ぐっ…、お、おのれぇ…!
 アンタたち、見るな、見るんじゃない!」
しかし、すんでのところで姿勢を後ろに崩して後方へ尻餅を突く形で回避した
ガダーシャの体重で、大きな音を立てて周辺が揺れる
大股を開いたまま尻餅を突き、オーガ族の女性が着ける白い下着が丸見えになっている
「だ、だいぢょう…、ぎれいなじだぎづけでんだなあ…」「ぐげげ、げへへ…」
その様子をビッグ・ホーンに跨った2体の部下オーガが興奮しながら見ている
更には、首から掛けていたドラゴンの骨のネックレスが切れて落下した
非常に無様な格好である

「ゲオの首飾りが…!
 …あ、あたしにここまで恥を掻かせるとはやってくれるじゃないか
 アンタはオーガ族の女将ガダーシャの名誉に懸けて必ず八つ裂きにしてやるさね
 次に会った時はアンタの最期…」
そう言い掛けた瞬間、また部下の勘違いが発生した
2体の内、一体のオーガナイトが攻撃を勘違いして特攻を始めたのだ
「ごろず、にんげんごろおず!」と叫びながら、オーガランスを構えてシトリンを串刺しにしようとする
しかし、その途中で突如ビッグ・ホーンの顔面に束のような熱線が降り注ぐ
熱線はその顔面を焼き払い、視力すら完全に奪ってしまう

「馬鹿が、また勘違いをしたってのかい!?
 およし、戻ってきな!
 さもないと今度は命令違反で処刑するよ!」
しかし、オーガの制止は一切効かない
パニック状態に陥ったビッグ・ホーンは、ただ力の限り暴れるのみである
振り落とされたオーガナイトは、転がってきた巨体にのしにされてしまった
血だまりにあるのは内蔵も眼球も骨も飛び出し、ぺしゃんこになったオーガの屍骸のみ
ビッグ・ホーンは尚も暴れる
そして、眼前にオルルドの姿が見えた
潰してやろうとばかりに、オーガよりも更に一回りも二回りも大きな巨大なサイが迫ってくる

「ちっ、今日はとことん最悪な日だね…
 惨めな醜態を晒した上にゲオの首飾りを失い、部下二人を失うなんて…
 …そこの人間、名前は?」
歯軋りをしながら、怒りに立ち震えるガダーシャ
凄まじい形相でグレゴリを睨み、その名を聞こうとする
しかし、その声にもただならぬ怒気が混じっていた

120 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/07/28(月) 13:25:24 0
ごめんなさい。
特攻したものと勘違いしてました。
まさか、声につられて、自分たちの後ろからやってきていたとは・・・。
申し訳ないです。
(訂正したいところですが、もうすでにフォローしているので、このまま進めてほしいです)

>>119
フォローありがとうございます。


121 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 19:03:37 0
事態は思った以上にいい方向に転んだようだ。
グレゴリの放った一撃は女オーガの意外な瞬発力によって首はおろか、
髪の一本も落とすことはできなかったものの、尻餅をつかせ、
ネックレスを切り落とすことができた。
冷静に見えたものの所詮はオーガ、かなり激怒しているようである。

グレゴリは対人戦において、女との戦闘も幾度と経験している。
時には非常に強い女とめぐり合わせることもあるが、その度に攻め方を学習している。
女は精神的な攻撃に弱い―――というのがグレゴリの見解だった。
恥をかかせたり、髪や身の回りのものを破壊することで崩れた女を多く見てきた。

女オーガの尻餅、そしてビッグホーンの突進と大きな揺れが足元を襲ったが、
グレゴリはそれに平然と耐えながら流れがこちらに傾いたことを悟った。

女オーガが名をガダーシャと名乗った。が、もはやグレゴリには負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
魔術師の放った熱線がビッグホーンを襲い、それによってオーガの一人が下敷きになる。
敵は実質残り二体。
(あとは、このガダーシャとかいう奴を殺れば終わるだろうよ)

グレゴリは追い討ちをかけるように、怒り狂うガダーシャに向かって叫ぶ。
「俺の名はヘヴィアーマーのグレゴリ。最悪の日だぁ?
 それは最期の日の間違いだぜ!」
ガダーシャのかわす方向を予測し、金属音を立てながら勢い良く駆け出したグレゴリは、
ガダーシャの首めがけナイフを投げると、同時に踏み込み、懐に飛び込むようにして
大剣の切っ先をガダーシャの胸に向け、そのまま心臓を突き破らんばかりの勢いでジャンプした。


122 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/07/29(火) 19:04:41 0
「ヘヴィストライク!!」

123 名前:(*‘(ェ)‘) ◆Anne.u8NkE [] 投稿日:2008/07/30(水) 06:55:54 0
「ヘヴィストライク!!」(*‘(ェ)‘)

124 名前:オルルド・ノガ ◆Nd6vtzt77I [sage] 投稿日:2008/07/30(水) 18:10:39 O
もう、どちらかが倒れるまで収まりがつかない。そんな気配だ。
(こんな面倒な事になるなら、さっき死体を引き渡してれば、なぁ…。骨折り損もいいとこだろ。)
勿論グレゴリの性格からして、そんな穏便な解決で事が終わろうはずが無いことはわかっていた。
オルルドも仲間達も既に、手におえないとばかりに様子を伺っている。
(そういや、さっき逃げ出した兵士達が、増援でも引き連れてくりゃ
流石にオーガどももトンズラこくだろうが…、そろそろ着いてもおかしくねえよな。)
城の方をちらと振り返る。
城内の正規兵、中でも千人長クラス以上になればグレゴリとドッコイの実力者揃いだ。
オーガの出現報告を聞いてならまず間違いなくその辺の猛者が駆けつけてくるだろう。
そう考え、
「おうお前ら、時間稼ぎすっぞ。包囲してオーガの足止め…」オルルドが何か仲間に話し掛けた時

グレゴリが吼え、巨大な弾となりオーガに向かって解き放たれた。

125 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/01(金) 22:10:04 0
顔が赤くなった。
見てはいけないものを見てしまったからだ。
(マジでこいつら全員殺してやろうか)
のこのこと現れた女オーガもムカつくが、辱めを与えた男もムカつく。
そして、何よりも嫌いなのは、にやけた顔をしているオーガども。
真っ赤に燃えあがった頭を押さえながら、前のほうを冷ややかな目で見つめた。
にやけた顔をしているオーガの全員は、ビックホーンから落馬し、眼球や脳や腸などの内容物を地面にまき散らしている。
(殺す手間は省けたか・・・)
それに軽く視線をやり、再び、前のほうを見据えた。
グレゴリが女オーガに向かっていくのが見えた。

126 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/08/01(金) 23:20:07 0
>「俺の名はヘヴィアーマーのグレゴリ。最悪の日だぁ?
  それは最期の日の間違いだぜ!」
「そうかい、アンタの名はグレゴリって言うのかい…
 心なしか嫌な記憶が甦っちまったじゃ…ないのさあっ!!!」
ナイフは確かに刺さっている、ガダーシャの首に
しかし、それは首を通る如何なる重要器官を傷付けてもいなかった
狙いは僅かに横に逸れ、首のやや右寄りの筋肉に食い込んでしまっていた
そして、跳び上がったグレゴリの大剣による本命の一撃も、鈍い金属音と共に食い止められてしまう
瞬時に反応したガダーシャは、左腕のギアタートルの甲羅で造った盾で防いだのだ
火花が飛び散るとグレゴリの大剣は粉々に砕け散り、ギアタートルの甲羅の盾にも僅かにヒビが入っている
そして、そのまま盾で打つように押し返すと、グレゴリの巨体は宙を舞っている
そのまま叩き付けられると思ったが、華麗に身を翻すと見事に着地する

「大した膂力だよ
 鋼鉄よりも頑丈なギアタートルの甲羅にヒビ入れるなんて、同胞にも早々できる芸当じゃないさね
 それに、アンタの一撃をまともに受けたあたしの左腕は痺れてる」
立ち上がると、既に表情に怒りはなく元のテンションに戻っている様子である
グレゴリを見下ろしながら、期待通りだという風な満足げな表情を浮かべている
しかし、それは直ぐに冷たい目へと変わっていった

「大したタマだよ、アンタは
 あのまま討たれてもよかったって思わされちまうぐらい感動したさね
 けど、アンタはあたしの愛しいゲオを殺した男と同じ名前なんだよ
 もっとも、仇のグレゴリはへヴィアーマーじゃなくて竜騎兵だったけどね
 けどね、そんなことは問題じゃない
 問題なのはあたしがアンタに恨みを持ったってこと」
冷たい表情のまま、グレゴリを見続ける
しかし、攻撃に備えてか構えに寸分の隙も無い
褒めているのか憎んでいるのか分からない、そんな感じである

「今回は負けを認めてやるさね
 けど、今度会った時は容赦なくアンタを八つ裂きにしてやるよ!
 グレゴリ、アンタだけは許さない!
 …退くよ、ダーバイ!」
鬼のような形相で睨み付ける構図に変わり、憎悪に満ちた表情は下手なオーガよりも恐ろしい
そして、撤退の合図をすると同時に丘に残っていると思われる最後の部下の名を呼ぶ
「御意…」そう言うと、ダーバイと呼ばれたシャーマンは呪文を唱え始める
「闇に宿りしシェラムスの眷属よ、我が主を闇の黒き霧にて纏い隠したまえ…」
不気味に響く声と共に、黒い霧が立ち込めて辺りを覆い隠してしまう
そして、ガダーシャはその中に背を向け失せてしまう

跡に残されたのは、未だに晴れず立ち込める黒い霧
そして、暴れ疲れて集積された兵糧を食む一頭のビッグ・ホーンのみであった 

127 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/02(土) 01:21:30 0
グレゴリの予想が外れた。
ナイフをフェイントにするはずが、ガダーシャはそのまま受けて
盾を前に出してきたためである。
火花が散った。
(…しまった! 何だこの硬い盾は… 怪物の甲羅?!)
勢い良く全体重をかけたグレゴリであったが、ガダーシャの太い腕にかかば
あまりにも容易いものである。
拮抗した力は瞬時に押し返され、それに耐えられなくなった大剣は
それこそあっけなく砕けた。
そのまま盾で弾かれ、グレゴリの体が宙を舞う。
地面に叩きつけられそうになるが、辛うじて安全な体勢でそれを防いだ。
「うぐぁぁ!! あ、あ…ぁ…」
腕と胴、そして足に強い衝撃を受け、全身は内出血だらけだ。

「今回は負けを認めてやるさね
 けど、今度会った時は容赦なくアンタを八つ裂きにしてやるよ! 」
ガダーシャの声が響き、ガダーシャとその手下が黒い霧に覆われて消える。
グレゴリは目の前に散らばる愛剣の欠片を見ながら、ただ呆然としていた。

既に周囲は戦勝の雰囲気を呈していた。
「勝った…のか?」城兵たちが口々につぶやく。
かなりの犠牲を払ったとはいえ、人外の化け物を撃退したのだ。

しかしグレゴリの気分は晴れなかった。
これまでに数多くの敵を葬ってきた愛剣を失ったことは勿論、
奥義が女オーガの巨体によっていともあっさりと打ち砕かれたことに
ショックを受けていた。
「おぅグレゴリ、さすがだなぁ。良くやったもんだぜ。
 あいつらの事は残念だが、手当てでもして酒場に帰ろうや、なぁ?」
「……」
巨漢の生き残りの一人がグレゴリに声をかけるが、グレゴリは呆然としたままだ。
「なぁ、おい」
「…うるせぇ」
鉄に覆われた拳を握り締め、ゆっくりと立ち上がる。既に剣はないが、自慢の鎧と肉体がある。
グレゴリの視界に入ったのは、兵糧を食らうビッグホーンであった。
オーガを思い出し、イラっときたのである。
突如、怪我をしているとは思えぬもの凄い勢いで駆け出すと、
後ろからビッグホーンにしがみついた。後ろ足に何度もパンチや頭突きが入る。
が、その分厚い皮膚にはかすり傷を負わせるのが精一杯で、怒ったビッグホーンは
グレゴリを振り払うと、くるりと振り向き、角をグレゴリに向け、突進した。

「ぐわぁぁぁっ!」
ガシャァン!と大きな音を立て、グレゴリは地面に叩きつけられた。
グレゴリの分厚い鎧は突き破られなかったものの、激痛が走る。
更にそこに追い討ちをかけるように、ビッグホーンはグレゴリを巨大な足で踏みつける。
恐ろしいほどの圧力がかけられ、鎧はついにひび割れを起こした。
そして、「パキャ」とう音とともにグレゴリの肋骨が砕け、その瞬間、
あれほど剛の者で知られた巨漢は、ついにガクリと意識を失った。

ビッグホーンは尚も勢いをつけて暴れまわろうとしている。


128 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/02(土) 02:37:34 0
ビックホーンが暴れてる。
その少し奥まったところでグレゴリという男が倒れている。
ビックホーンの蹄によって鎧は打ち砕かれ、指一本動かそうとしない。
(馬鹿な奴・・・)

倒れている男に笑みを浮かべ、冷たい目を向けた。
怒りをぶつけて、挙句の果てに返り討ちにされて・・・
どこかの誰かさんのようだと思った。

(とはいえ・・・)

攻撃した理由もわからなくはない。
男が倒れているところから少し離れた路地裏には麻袋が積まれている。
その麻袋はビックホーンのせいでやぶけ、
薄い焼き菓子のようなものやらソーセージなどがあちらこちらに散乱している。
兵隊を持っている所ならどこにでもある、ごくごくありふれたものだが、大事な大事な食糧だ。
食料がなければ旅をすることもできない。

(かわいそうだけど、食料になってもらうよ)

空を切り裂き、音で大地を揺らす者よ。
わが手に集まり、暴れるものをその光を持って貫け!

辺り中に悲しい悲しい声が響いた。


129 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 21:20:23 O
「で?そのオーガとコボルトの兵士を撃退した者達は?」
「療養所に運ばせ手当てをしております。」
「うん、わかった。後で見舞いに行かせよう。下がってよし」城壁の警護をしていた兵士は最敬礼をして部屋を出ていった。

「聞いたか?オーガが騎兵の真似事だとさ。オマケによく訓練されたコボルト、冗談にしてはふるっている。」
服装からすると将だろうか、若い男が部屋に集まる男達を見渡した。
「気になりますな、国境付近で見慣れぬ魔族や亜人種の報告が相次いでおりますれば…。」
「もしや、神々の条約が…」
「ありえぬ。」断じる老兵に若い将は
「…とも限らんさ、オーガが偵察部隊と言っていたのだろ。」答える。
「聞け諸将、一雨降るぞ。血の雨がな。
呪術師に奴等がどこから来たか探らせろ。諜報衆の「耳」も各地へ散らせ。
同時に国内外に傭兵を募る。
我等が盾を汚したその報いを思い知らせてやるぞ」
短い平和の終わりを告げた。

130 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/03(日) 21:27:00 0
>>129
>>57

131 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/08/04(月) 01:58:10 0
>>61

132 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/05(火) 00:01:31 0
>>130
>>131
スレッドが止まってるっぽいので、続きを書こうと思ったんだが、これにつなげないほうがいい?

133 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/05(火) 00:32:04 0
オルルドが書いたものだと思ってるんだが、補足がないなぁ…
>>132
念のためつなげずにお願いします。どんどん進めましょう!
補足が来たらその時で対処します。

134 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/05(火) 01:19:11 0
トリップ忘れました。

>>133
わかりました。

(全員FOしてないよな?)

135 名前:アレンナ・ディートレン ◆E.NgQdzf5A [sage] 投稿日:2008/08/05(火) 02:23:54 0
鎧独特の金属音を立てながら、アレンナは先程何かの断末魔の悲鳴のような声が
挙がった場所へと近づいていた。
近づくにつれて血と肉の生臭い臭いが鼻をつく。いつ嗅いでも嫌な臭いだ。
だがアレンナはそんな死臭と生きた人間の臭いを嗅ぎ分けるようにして、
ただひたすら人が集まる場所へと向かった。

すると幾人かの人間が集まった一団が、目の前へと姿を現した。
後姿ではあるが、誰もが見るからに始終戦いの中に身を置いている人種であるような感じだ。
恐らく先程まであの怪物達と矛を交えていたのだろう。その中の一人はぐったりと地に横たわっている。
何やら話し合っている様子ではあったが、そんなことはおかまいなしといった感じに
アレンナが彼らの背後に近づくと、すぐに声をかけた。

「失礼。お疲れのところ申し訳ないが、少々貴公らにお聞きしたいことがある」

一般的に戦場にはあまり似つかわしくない女声に違和感でも覚えたのか、
一団の面々が一斉に振り返り、アレンナに視線を向けた。

「この近くに宿はないだろうか? あるなら、よければそこまで案内していただきたい」

136 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/05(火) 20:06:06 0
グレゴリは深い夢の中、悪夢にうなされていた。
自分の肉体の一部、いや自分そのものと言ってもいい大剣と鎧が
破壊され、丸裸になるシーンを何度も何度も見せ付けられていた。
(あまりにも無力!俺は剣と鎧がなくてはあまりにも無力だ…!)
貫かれ、粉々になる鉄の塊。そして敵の切っ先は鍛え上げられた肉体をも
打ち砕き、ただの肉塊となって大地に倒れ伏す。それは紛れも無く自分だった。
「うぅ…うぉぉぉぉぉぉおお!!」

唸り声、そして叫び声を上げながら目を覚ますと、そこはベッドの上であった。
天井や壁の作りからして神殿の奥にある療養所だろうか。
自分の体とその周りを見る。シャツ一枚。当然、剣はおろか鎧すらそこにはなかった。
恐怖と不安。グレゴリは急激に寒気が走るのを感じた。
「あ…ようやく目を覚まされたようですね…?」
何故気づかなかったのだろう。目の前には神官と見られる女が一人立っていた。
どうやら彼女らが自分の傷を治療したようだ。
痛みはまだ少し残るものの、無数の打撲傷、骨折はほぼ回復していた。

「おい、俺の装備はどこにある?」
不意に体を起こし、ベッドから立ち上がろうとするグレゴリの気迫に、
女神官は「あの…まだお体が…」などとつぶやくのが精一杯であった。

「あっ…!」
突如、グレゴリが大きく跳躍し、女神官を羽交い絞めにした。
女神官も抵抗し、叫ぼうとするが、グレゴリに口を塞がれ、筋肉の塊のような
肉体で締め付けられては手も足も出ない。
「大人しく装備を出せ。さもないとこの場で犯すぞ」
股間を尻に押し当てるよりも強く、腕が女神官の首を締め付けていた。恐怖からの解放。
グレゴリにとって、その願望が性欲に遥かに勝っていたのだ。

言う事を聞くと約束した女神官に案内され、グレゴリは地下の武器置き場に向かっていた。
実のところ、神殿の上層部にはグレゴリがこの街でのアウト・ローであることが
伝わっており、彼は回復後の取調べを控えていた訳だが、ここ地下室には警護の
下級神官しかおらず、女神官が急用と伝えると、あっさりと鎧を返してもらえることになった。

警護の男神官二人が全力でグレゴリの鎧を持ち上げようとするが、あまりの重さに苦戦している。
「おい、俺に貸せ」 
男神官達をどかし、自ら武器置き場に入ると、あっという間に持ち上げてしまった。
そして全ての防具を運び終えると、次々に装着。数分でそれは完了した。
当然ここでは重装備の装着は禁止だが、その重厚さに男神官はおろか、女神官すらも見入っていた。
(くそっ、やはりここにヒビが…!剣は…当然無いか…!)

「これは取っておけ」
そう言ってグレゴリは、鎧の懐から金貨を取り出し、地下の神官二人に一枚ずつ渡した。
神官はただ黙ってそれを受け取るだけだった。
「おい、お前…ちょっと来い。これは礼だ、受け取っておけ」
女神官を呼び止める。そして懐から安そうな指輪を取り出すと、投げて渡した。
「いえ…その…お気をつけて!」
それを受け取った彼女の声は明るかったが、その表情を見ることなくグレゴリは地下室を後にした。

「おい、貴様…何者ぐぁっ!」「そこの戦士、止まぐはぁ!」
神殿入り口の神官戦士たちを拳で殴りながら、グレゴリは街へと繰り出した。
(さて…まずは鎧を直さなくては話にならんが、まずはあそこに行ってみるか)
途中で剣を購入し、そこで宝石の一部が抜き取られていることに気づいて機嫌を悪くしながら、
グレゴリは遠回りでいつもの裏通りの酒場に向かった。

137 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/05(火) 23:18:54 0
>>135
隅になったビックホーンの死体を見つめていると、背後から声がした。
肩まで伸びた金色のストレートに金属の鎧。
耳には五芒星をかたどったリング状のものがくっついている。
きれいな人だなと思いながら見ていると、宿の場所を尋ねられた。
胸がドキドキする。
なぜか知らないけどものすごく不愉快だ。
「宿?宿なら向こうのほうにあるよ」
自分が止まっている所は別の宿を指差した。



うだるような暑さの中半袖の服を着た人々が歩いている。
酒場では相変わらず兵士たちがソーセージやプティングをぱくつき、数日前までコボルトやオーガが町を襲撃していたのがうそのようだ。
「噂を知ってるか?」
「噂?」
「数日前、コボルトやオーガが町を襲撃しだろう。その時に何者かがやってきて、陸軍の拠点があっという間に壊滅したらしい」
兵士の人が突然せき込みだした。
酒場の店主も手を止め、兵士の顔を見ていたが、何食わぬ顔で手を動かし始めた。
ソーセージの焼ける音がし、隣では見習いの店員がプティングを薄く切り、さらに並べている。
「らっしゃい」
カランコロンという音を鳴らしながらシトリンが入ってきた。
刺しゅうを施されたブラウスに黒の上着。肩のあたりまで伸びた銀色の髪。
顔立ちはどことなく女性を思わせ、かすかにだけど胸が膨らんでいる。
酒場というよりはむしろ宮殿にいるほうが似合いそうな感じだ。
異様な雰囲気の人間が入ってきたことにより兵士たちの手が止まった。
兵士の目が胸のほうへと注がれている。
「かわいいお嬢さん。よかったら、隣へ来ないかい?」
隣に座っていた兵士を無理やり移動させ、兵士の一人が隣のいすを叩きだした。
そこから巣子離れた場所では、強制移動を食らった兵士が一人さみしそうに座っている。
哀愁漂う光景だが、その場にいる誰一人として気にも留めてない。
「遠慮させてもらう」
ブーツの音を辺り中に響かせながら首を横に振り、不愉快そうな顔をした。
声をかけた兵士は不愉快そうに舌を鳴らしているが、黒服の人間はそんなこと気にも留めず、店の一番奥の壁側の席のほうへと足を運んでいる。
「飲み物と食べ物」
シトリンは椅子にすわり、ぶどう酒を口に運び始めた。


138 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/07(木) 22:16:23 0
重いな…このスレらしいぐらいに重い。
「何日反応が無ければ次に自動的に回す」というルールを追加した方がいいかね?

139 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/09(土) 21:18:50 0
が、途中で気が変わった。
(この鎧があるおかげで神殿の連中に見つかるのではなかろうか…?)
ついでに、という事で、グレゴリが得意にしている鍛冶屋に行って、鎧の修理と
大剣の特注を頼むことにしたのだ。
途中、戦闘があった場所を通ってみたが、数日経ったせいか、
既に全ての死体が片付けられており、血糊もほぼ拭き取られていた。
実地検分の騎士が数人いるぐらいで、静まり返っていたのである。
それにしてもここまでに何回も兵団とすれ違った。街が殺気立っている。
そんな気配を感じながら、鍛冶屋に入った。

鍛冶屋から出たグレゴリは、ソフトレザーにロング・ソードといった格好であった。
どこにでもいる貧乏傭兵、といった感じだったが、明らかにサイズの合わない鎧からは
筋肉が浮き上がり、はみ出していた。ロング・ソードもまるで子供の玩具のようである。
グレゴリが歩くと道をゆくごろつき達でさえ驚いて道を避けた。
さて、酒場の前に着いた時、急ぎ足でどこかへ向かう何者かと肩がぶつかった。

(女か?それにしても豪華な鎧を着ているようだが)
普段なら食って掛かるグレゴリだがこの時ばかりは酒場が近いこともあり、
そのまま彼女を無視して店内に入った。

酒場の中は驚くほど平穏で、それが巨漢の集団がいないからだとすぐ分かった。
グレゴリは自分の仲間たちが悲劇的なの死を遂げたことを改めて思い出していた。
(生き残った奴らは今何をしてるんだろう…)
そんな事を考えていると、一人の女が抱きついてきた。
思い出すのに少し時間がかかったが、こいつはディエゴと仲の良かった女だ、と思った。
グレゴリに甘い言葉を囁きながら、薄着に包まれた身体をこすり付ける。その口からは
ディエゴの「デ」の字も出ない。グレゴリは、女のあまりの薄情さに苛立ちを感じた。
「どけ」
女の肩を軽く押し、床に突き倒すと、そのまま奥のテーブルに目を向けた。
こんな日は一人で酒を、と思うと見慣れた女の姿が目に映った。
女?いや、あいつは男であった。あいつだ。
顔を俯けているが、既にこちらには気づいているに違いない。
グレゴリはゆっくりとその女装している男…例の魔術師に近づいていった。

140 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/08/09(土) 21:45:45 0
age

141 名前: ◆NQTXk2ijkI [] 投稿日:2008/08/11(月) 22:55:02 0
【かなり深刻な過疎だな】

142 名前: ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/12(火) 18:51:49 0
人が減ったな・・・
もしや自分のせいか?

143 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/12(火) 20:02:19 0
>142
んなこたーない。過疎ることなんて日常茶飯事。

144 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/12(火) 21:41:41 0
>>142
【次書いちゃっていいよ】

145 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/13(水) 00:08:56 O
どこもかしこもFOだらけ

146 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/13(水) 04:13:21 0
>>143
よかった。
また自分のせいじゃないかなと思ってた。

>>139
グレゴリに顔を向けた。
前遭ったときと違って、ソフトレザーの鎧にロングソードといういでたちをしている。
ソフトレザーから大胸筋とかはみ出ていて、ものすごい窮屈そうだ。
「そこのお兄さん――もとい、昨日会った人、何か用かい?」
笑みを浮かべ、ボタンを2つか3つ外した。
白のアンダードレスに覆われたかすかなふくらみが見える。
薄着を身にまとった女は自分よりもはるかに胸が大きい。
もう少し胸があったら、いいな…と思いながら、その女のことを見つめていると、いきなり、ドアが乱暴な音を立てながら開いた。
衝撃によって鈴が吹き飛び、男も女も例外なく、男たちに白い目を向けた。
男たちは例外なくフルメタルアーマーで全身を覆い、腰にファルシオンという大きな剣を差している。
それを見た女はおびえ、男たちは食うのやめ、にらみつけている。
でも、誰も動こうとしない。
手の片方は剣の部分に添えられ、いつでも抜けるといわんばかりの体制をとっているからだ。
張りつめた空気を体に感じながら、ボタンを閉じていると、突然空気が変わった。
「グレゴリだな。婦女暴行未遂と強盗容疑で逮捕する」
男の一人がグレゴリのほうに歩み寄り、紙を一枚差しだした。


147 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/14(木) 01:13:41 0
「ううむ…」
その姿を見て、グレゴリは一瞬考えた。もしかするとこいつは男ではないかもしれない。
しかしすぐにそういった考えよりもその素性に興味があった。

「おい、そこのお前。まさか…この前の魔術師…」
奥に座った魔術師の隣に黙々と腰掛ける。
「名前は何という?話を聞こうじゃねぇか」

そういい終えた時、ドアが勢い良く開き、外から突如
鋼の戦士たちが入ってきた。早速気分が害される。
昨日見た番兵どもとは違い、明らかに装備も充実して、統一されている。

「グレゴリだな。婦女暴行未遂と強盗容疑で逮捕する」
一人がずかずかと奥にやってきた。ブーツの音がキシキシと不快な音を立てる。
騎士団の奴らだろうか?それとも教会か?
(まったく、ようやく酒が飲めると思えば…)

「ずいぶんと、軽い罪状じゃねぇか」
ゆっくりと、重い身体を起こすようにして立ち上がり、目の前の男に迫るように
顔を突き出した。相手は鎧を着ていたとはいえ、圧倒的な肉体の脈動に、
一瞬体を一歩引いた。他の男達が慌てて取り囲もうとする。グレゴリは、
「それがどうした?証拠を聞かせてもらおうか」 と腰に手を掛けながら言った。


148 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/16(土) 12:17:27 0
「軽い。何を言ってる!どれだけ重い罪なのかわからないのか」
空気がぴりぴりと音をたて、辺りがシーンと静まり返った。
眉は吊り上っていて、頬が真っ赤にしまっている。
「者ども、力づくでもいい。逮捕―」
紙を差し出した男が声を張り上げようとしたその時、ドアが開いた。
金属製の鎧を着た男は息を切らしていたが、立ち止まることなく歩み寄り、紙を差し出した男の耳元に向かって話しかけた。
告訴を…下げ…またか…とか何とか言っているのが聞こえる。
「皆の者、申し訳ないことをした。真犯人は別のところにいることに気付かず、この者を逮捕しようとした。誤って逮捕しようとして、不愉快な思いをさせてしまった。申し訳ない」
急に態度が変わった。
木の床にひざまづき、頭を下げている。

あまりの変わりぶりにシトリンは口をポカンと開けた。
酒場にいる者のうち何名可も同じように意外そうな顔をしている。


149 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/17(日) 00:26:28 0
「力づくでもいい。逮捕」という声を聞いた瞬間、、目の前の男を鎧ごと
真っ二つにしてやりたい衝動に駆られたが、それが取り下げられたのを聞いて
ひとまず腰から手を離した。
酒を邪魔された腹いせに一発ぐらい殴ってやろうかとも思っていたが、
床にひざまずく男の姿を見て、さすがのグレゴリもその気にはなれなかった。
「チッ、酒がまずくならぁ」
それだけ言うと物騒な連中に背を向け、再び魔術師の隣に腰掛けた。
その勢いで椅子が割れそうになる。

「おい、マスター。この女と俺にエールを大で一杯ずつ。急げ」
注文をさっさと済ませると、早速本題に切り出した。
「お前に尋ねたいことが二つある。一つは昨日街を襲った連中について
何か知っていることはあるか、だ。もう一つは…お前の性別についてだ」
それだけ言うと、グレゴリは勢い良くエールをあおり始めた。

150 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/17(日) 00:27:15 0
【申し訳ないけど、次の書き込みは26日になります】

151 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/19(火) 23:21:50 0
>>149
「といわれても・・・こっちも何が何だかわからないんですよ。うるさいなと思って目覚めたら、戦ってたので」
ジョッキが机の上に置かれた。
つい立が琥珀色に染まり、泡も少々色が付いている。
「ただ、ついさっき、妙な噂を聞いたんです。なんでも陸軍の拠点が一瞬にして壊滅したとか」
言い終えたところでジョッキを口につけ、テーブルの上に置いた。
苦みが口の中に広がり、体が火照るのがわかった。
ジョッキの隣にはワイングラスが置いてある。
でも、そのワイングラスはジョッキの半分ぐらいの高さしかなく、直径もおよそ半分ぐらいだった。
(あんまり好きじゃないよ)
思わずグレゴリのことを睨みつけそうになったが、おごってくれた手前、そうすることもできず、
もう一度、ジョッキに口をつけ、半分ぐらいを飲み干した。

152 名前:シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/08/19(火) 23:23:54 0
>>151
トリップ忘れました。

153 名前:あぼーん[あぼーん] 投稿日:あぼーん
あぼーん

154 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 03:26:13 0
シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2 =リルファです。

155 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 03:32:40 0
◆SmH1iQ.5b2って何?ってグーグル先生に聞くと面白い結果が出ます

156 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 03:49:47 0
自分の非は棚に上げ、被害妄想のみでこのような書き込みをする人物です
以下◆SmH1iQ.5b2の発言

>みんなで寄ってたかってひどい目にあわせたのに、楽しそうにやってる。
>どんな目にあってもいいから、あいつらを地獄に落としてやりたい。
>社会的に抹殺し、二度と幸せになれないようにしたい。
>絶対に許さない。
>謝罪するまで絶対に許さない。


扱いには十分ご注意下さい


157 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:18:18 0
◆SmH1iQ.5b2で検索したら気持ち悪すぎた・・・
>>153のリンク先みたいな掲示板でも叩かれてるとかw

158 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:47:38 0
>>157
過去どういうことがあろうがそれをここに持ち込まなくていいんじゃない?
俺からしたら153~157の方がどうかしてると思う。
>>シトリン・グラハム ◆SmH1iQ.5b2
気にしないでがんばってね。

159 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 07:39:06 0
>>153-157
久々にわかりやすい自演を見た
酉かぶりという可能性も無きにしも非ず
もしたまたま同じ酉で、全く無関係な別人だったらどーすんだよ

とにかく真面目にやってるキャラハンをエスパーでいきなり叩くのは止めれ
ここ二人しかいないんだぞ

160 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 08:37:33 0
酉はたまたま同じになる事が稀にだがよくあるらしい
逆に酉違ってても自演の可能性はある
だから酉はあてにならないでしょう

161 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 08:45:03 0
>>153-157
久々にわかりやすい一人3連レスを見た

162 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 09:09:35 0
10桁トリップ(58ビット)は、稀にだが288230376151711744分の1の確率でたまたま同じになる事がある。
だからただの偶然

163 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 09:22:22 0
自分は前に好きなキャラの名前を酉キーに使って失敗したことがある
一般に広く知られた名前や単語を酉キーに使うと他人と被る可能性が高いな

とにかくこれ以上の議論はスレ違い
まだ続けるならこっちに移動してくだちい

なな板TRPG系スレ雑談所
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1212679530/l50


164 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 12:48:06 0
◆SmH1iQ.5b2が住むスレは通報されるんですか?
どっかいってほしい

165 名前:なりきり馬鹿を殲滅せよ ◆iMXnxknAbI [sage] 投稿日:2008/08/20(水) 19:18:15 0
実にけしからん。
こんなスレがキャラハンが居ていいはずがねえよ。

166 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/23(土) 02:23:56 0
テスト

167 名前: ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 04:08:20 0
むむ、参戦しようかと思ってたけど もうひといないのかな、、

168 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 07:35:16 0
(トリップ変えました)
いるよ〜


169 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 08:30:47 0
シトリン・グラハムは荒らしだからスルー必須

170 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 09:12:40 0
名前:ザルフォ・ジャカニグ
年齢:50歳(かなりの歴戦)
性別:男
身長:380cm
体重:300kg
スリーサイズ:不定(極度に可変)
種族:オーガ
職業:呪術(死霊術)師
性格:冷静、温厚、同種族以外に冷酷
魔法:『実体のない』死霊を操る、変身
特技:情報収集、戦況の攪乱
長所:オーガ族のなかではかなり知的。死霊から聞き出した知識を集積している。
短所:左手を過去の戦いで失っている。肉体的な戦力はオーガの基準では低い。
装備品右手:トーテムスピア(過去のオーガ族の英雄や偉大だった敵の骨でくみ上げた槍)
装備品左手:無し
装備品鎧:ペナント(奪った敵の旗印を繋ぎ合わせてつくったローブ)
装備品兜:無し
装備品アクセサリー:ペナントに死体から奪った歯を縫いこんでいる。
所持品:戦利品の歯(死者との交信のための依りしろに使う)
     占い用の道具(大釜や針、ルーンを刻んだ骨片や石)
     鞭(部下や奴隷、騎乗生物に使う)
髪の毛の色、長さ:灰色、肩上までのドレッド
容姿の特徴・風貌:オーガの雄としては並もしくはすこし小柄、普段の印象は痩せ型の筋肉質と
            いった感じ。狂ったような色彩感覚の布の小山(奪った軍旗の山)から頭と槍を
            持った右手だけが見えたような姿でいる。「カラカラ、、、」という全身に縫いこまれた
            歯同士がぶつかり合う音とともに移動する。
            表情は非情に穏やかで無骨な人間といっても通用するかもしれない。
趣味:知識の収集、偉大な賢者の歯を手に入れるほどザルフォは賢者を支配下に置くことができより賢く
    なれるのだ。
恋人の有無:現在は無し、若く腕が二本揃っていた戦士時代は多くの恋人がいたらしい。
好きな異性のタイプ:従順な雌
嫌いなもの:大鎌(腕を吹っ飛ばされた)
最近気になること:人間の魔法使いを多く見かけるようになっている気がする、、
将来の夢(目標):英雄の歯を沢山集めて死者の軍勢を作りだしオーガ族を無敵の存在にする。
簡単なキャラ解説:闇王軍に付き 従軍呪術師として戦場に出るオーガ死霊術師。個人的な動機は
            自分がアクセスできる死霊の素材として対象の歯を収集するというもの。
            基本的に同族に対しては穏便な態度をとるが異種族にたいしては冷淡である。
            一般的なネクロマンサーのイメージにあるスケルトン、ゾンビの使役ということは
            行なわずあくまで非実体の死霊を使った「呪術」を主とする。
            死者からの情報収集、敵への憑依による呪い、味方への祖霊の憑依による賦活
            など。また対象生物の皮を媒体に行なう変身術を使っての潜入活動なども行なう。

171 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 09:13:48 0
これでいってみようかと思います。
はじめてなので拙いところもあるかと思いますがよろしくおねがいします。

172 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 11:03:17 0
薄気味の悪いほど肥え太った大鴉と蝿が飛び交う死体の間を いくつもの人影が蠢いていた。
それは先ほどまで血と怒号を巻き上げて戦っていた戦士や怪物、雷撃や炎を放つ魔術師達ではなかった。
影の正体はメタリオーム城下で埋葬を委託されている修道士たちのくすんだフードの列と忍び泣きながら 夫や
恋人の姿を探す人々の姿なのだった。

それはどの戦場にも必ず付きまとう光景だ。
戦いが終わり日が暮れるまでのほんの数刻、闇にまぎれて怪物や 遺体の装備や所持品を奪いに現れる輩達
が訪れるまでに愛するものを見つけ、遺体の回収を終えなければ彼らは明日の朝まで戦死者をこの地獄に放置
していくよりほかにないのだ。

そのような中で一人の修道士が他の修道士達から離れて 斃れ伏した戦士、怪物問わず臨終の秘蹟を
施してまわる姿が見受けられた。その敬虔な修道士、、大柄な片腕の男性について疑いを持てというのが酷だっ
たといえよう。
周りに居る彼らがもう少し注意深くあったならば些細な違和感にきがついたかもしれない、、。
『この片腕の修道士は修道院でみかけたことがあっただろうか?』
『彼が秘蹟を施すときに遺体に屈みこんでいるのはなぜだろう、何かを拾い上げているようだが、、』

しかし修道士たちがその手を血と泥に浸して収容しなければならない遺体の数はあまりにも多く、未亡人や恋人
を探す若者達の悲嘆はそのような些細なことを忘れさせるに充分なものだったのだ。

(フム、、がだーしゃノ部下ノ歯ハ回収シタ。彼ラノ魂ハ再ビ 我ラト共二在ル。人間ドモ ノ 特筆スベキ戦士ノ死
体ハ無イヨウダ。)
修道士は足元に転がったオーガの首から抜き取った牙をローブの裾に仕舞いこむと 遺体の回収を終えて街に
戻ろうとする修道士達の元へと足を進める。その手に握られたスタッフにはちいさなビーズを通した飾り紐が何本も
提げられており、風がそれを吹き上げるたびにカラカラという乾いた音を立てるのだった。

(マズハ 残存戦力ヲ調べネバナ。内部カラ恐怖デ 士気ヲ砕クノモ良イカモシレン。)

ザルフォ・ジャカニグ(牙の軍師)はゆっくりとその片手で目深におろしたフードを引き上げ市街地の方角ををじっと
見つめた。
ダーバイが持ち帰った首を使い変身術を施したザルフォは新たに手に入れた人間の貧弱な身体を引きずり修道
士たちの列へと加わり市街地への周囲の封鎖を行なっている城兵達の前へと進んでいった。

(新タナ 手駒トシテハ、、がだーしゃガイッテイタ 男ガ欲シイナ、、、、)

「へヴィアーマーのグレゴリ、、」

彼はそう呟くとフードも目深に引き下げ 修道士たちと共に深々と頭を下げたまま封鎖を越えて街の中へと消えていった。
人々は封鎖の中へと戻り 城兵達は夜を徹してその任務を遂行するのだろう。

闇の帳が下り 静寂が訪れた。
しかし そのときすでにその街の内側に小さく打ち響く歯の音色を纏ったオーガの呪術師が侵入を果たしたことを
メタリオームの人々が知る術は無かった、、、。


173 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 11:08:39 0
まだ死体が残っていたころの話ですから酒場でのはなしが進んでいるころには完全に
潜入済みということで。

174 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 11:12:36 0
、、、もいいが…にしてみないか?
個性なのかもしれんが、スレがシリアスだから違和感が、、、

175 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/28(木) 18:07:26 0
了解!

176 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 18:19:37 0
:::::::::::::::男 は こ            {::::::{
:::::::::::::::坂 て の      _ ,−v   、::::::、
::::::::::::::::を し       _/rァ  ̄ヽn  ヽ::::::ヽ
::::::::::::::::よ な     -こヽ__)ヽ へフ -‐':::::::::::}
::::::::::::::::::  く   /::::::://, 7′:::::::::::::::::::::/
::::_n_  遠   、:::::::::ー' //-‐  ば の よ オ
:::`ニl lニ  い   ヽ::::://\   か ぼ う  レ
::::`フ \:::::::::ヽ __ ノ:::ー':::::::::::::ヽ  り  り や は
/'´|_|`ニ_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l  だ は く
:::::::ノ'r三7/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} か じ
::::::::`フ, 匸/l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  ら め
:::::: ̄´::: ̄´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   な  た

177 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00:14:18 0
「なんでも陸軍の拠点が一瞬にして壊滅したとか」
グレゴリは思わず目を見開いた。
「なん…だと…?」

そういえば、城門での戦闘中に、何か巨大なものが頭上を通り過ぎるのを
僅かながら覚えていた。アレだろうか?
(あのオーガども以上に強大な敵が居る、ということか…)

ジョッキのおかわりを注文しながら、グレゴリはふと魔術師の方を見た。
先ほどまでの中性的な姿とは打って変わって、すっかり女性的なしおらしさを
見せている。こいつは女だ、と直感的に思った。
ジョッキに口を付けるたびに、飲み干す音、そして口から漏れる吐息に
グレゴリの中で抱きたいという感情が湧き出したが、それ以上に彼には
情報が必要だった。

「奴らの目的について教えて貰えるか?俺はグレゴリ、お前の名は…?」
いつになく真剣な目つきで魔術師の目を見た。
「ここではまずい、場所を変えるぞ」

178 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/29(金) 03:56:32 0
石畳と日干し煉瓦の建物の立ち並ぶ裏通り、よどんだ溝の中から腐ったキャベツの甘い匂いが漂う
市場を人ごみを縫って進みながらザルフォは考えていた。

(オオマカナ 布陣ハ 理解シタ。後ハ アノ男ヲ見ツケルト スルカ。)

「修道士さま、ご苦労様です。もしよろしければコレをお持ちください。」
売れ残った物だろうか?青菜の汁や正体もしれぬなにかで汚れた前掛けをかけた若い女が何かを差し
出し声をかけてくる。
彼が受け取るのを待っているようだった。

(ナンダ、コノ人間ハ。私ヘノ 貢物カ?)
ローブの影から密やかな声がザルフォの耳に囁きかける。
《・・・・受け取りな、あれは食いもんだ。あんたに食って欲しいそうだ・・・》

かすかに笑みを作り会釈をすると差し出された麻袋を受け取り彼は言った。

「ありがとうございます、奥様。修道院の孤児たちも院の皆も あなたに感謝するでしょう。あなたと
あなたのご家族に『暖かき光』のご加護のあらんことを。」

女から受け取った袋の中には熟れた果物が詰められていた。

(フン!木ノ実カ。)

袋を抱えなおし通りを歩きながら くすんだローブの懐の中でいくつかの『歯』を転がし問いかける。

(コノ街ノ 住人ダッタ オ前達ナラ 知ッテイルダロウ。『ぐれごり』ノヨウナ男達ハ コノ街ノ何処二
集マッテイルノダロウカ?タダノ貧弱ナ 人間ノ兵士トハ 違ウノダロウ?)

しばらくすると懐中からカラカラという響きと共に囁くような声がいくつも沸きあがってくる。

《・・・奴らは城兵じゃない、傭兵だ・・・》
《・・・娼館、酒場、闘技場・・・》
《・・・鎧鍛冶に向かうだろうな・・・次の戦いに備えて・・・》
《・・・奴ならおれの知ってる貧乏宿か 酒場で一杯やってるだろうな・・・》

(! 『ぐれごり』ヲ 知ッテイルノカ?傭兵、フム ナラバ 条件次第デハ 生キタママ手駒ト スル
可能性モ アルカ。)

懐から一つの『ビーズ』を取り出すとスタッフの飾り紐に結びつける。

(『ぐれごり』ノ居場所ニ 案内スルノダ。オ前ノ 名ハ?)

修道士の杖から彼にしか聞こえない声が返答する。

《・・・俺の名はディエゴ、グレゴリの野郎なら きっと・・・》

修道士は街の下流区画へと進みながら考えていた。
傭兵ならばうまくすれば味方に引き込めるかもしれない。問題は あのガダーシャを納得させることができる
かどうかだったが・・・。

179 名前:ガダーシャ ◆jJkNSONMlA [sage] 投稿日:2008/08/29(金) 08:24:32 0
ガダーシャ「なるほど、ザルフォ殿がねえ…
        オーガ族きっての呪術使いがわざわざ出向くほどの町でも無いはずだけど
        あたしらだって成り行きでああなったとは言え、偵察に行っただけだしね」

ダーバイ「ザルフォ様は彼の町に大変興味を持っておられる様子でした
       いい手駒が手に入るかもしれぬと…
       私はシャーマンとしての修行を積む中で、あの方の弟子として学んだことがあります
       数年間仕えましたが、それでもあの方のお人柄、お心などは図り得られるものではございません
       もし興味をお持ちになったとするならば、彼のへヴィアーマーということも…」

怪我を癒す形で、オーガ族のキャンプで横になっているガダーシャ
側には、側近であり、第一の部下でもあるダーバイが付き添っている
ザルフォが直々に例の町に出向いたということを知って、内心驚いていた
確かに敵は手強かった
が、闇王軍からも一目置かれる名うての呪術使いが変装してまで潜入する価値などあるのだろうか?
しかし、要素が無いというわけではない
オーガ顔負けの超人的な戦闘力を持つへヴィアーマー、この地域には珍しい手練れの魔法使い

ダーバイ「死霊の扱いに関して、ザルフォ様の右に出る者を私は知りません
       そして、優秀な死霊の素材を求めて自らご足労なさることも多いとか」

ガダーシャ「なるほど…
        で、その媒体となる屈強な戦士の遺品か何かが必要ってワケなんだね
        あたしもいくらか話には聞いたことがある
        …いずれにしても、あの男が出向いたとなりゃ、あの忌々しいへヴィアーマーも終わりさね
        あたしの手で討ちたかったが、本命じゃないし仕方ないか…

残念そうに俯く
恋人であるゲオバルドムを討ち取り、殺したあの時のドラゴンナイト
それが本来の仇なのだが、それと同じ名でしかも部下の前で恥を掻かせたあいつも許せない
愛用のトゲ付き棍棒で叩き潰し、その肉を喰らい血を啜ってやりたかった
しかし、それと同時にガダーシャの心の片隅に顔を覗かせる感情があった

ガダーシャ「死者を扱う…か、ザルフォならゲオも使役してるかもしれないね…
        オーガ族の英雄と言われて、ゲオの名が出ないことはない
        会いたいよ、ゲオ…」

ダーバイ「ゲオバルドム様はもうお亡くなりになられたのです
       それは目の前で死を目撃された、あなたが一番よくご存知のはず
       しっかりなさってください!」

ガダーシャ「そ、そんなことは分かってるさね!
        あたしはただ…」

ダーバイ「感傷に浸っている間は、己を見失ってしまうのです
       そのまま戦場であのへヴィアーマーに出会えば、ゲオバルドム様の二の舞になってしまわれます
       私の使命は、あなた様が仇を討つまでその身をお守りすることです」

ガダーシャ「そ、そうさね…
        あたしがどうか…してたよ…」

柄にも無く、感傷に浸って弱気になっているガダーシャを一喝する
思い直したようにダーバイに謝る

180 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/30(土) 03:46:14 0
ガラン・・・
ようやくたどり着いた酒場のドアを開き すえたようなエールと酢の様な葡萄酒の匂いのなかに
一歩踏み込んだザルフォは足元に転がった大きな鈴を蹴飛ばした。

(ナンダ?)

どうやら扉に付けられていたものが転げ落ちたものらしい。
すぐ脇を、娼婦と城兵だろうか?刺繍を施したこじゃれた衣装をきた銀髪の女と 人間にしては上出
来な体躯をしているわりにはまったくサイズの合わない皮鎧を着た男がなにやら話しながら通り抜けて
いく。

(皮ノ鎧カ、『ぐれごり』デハ ナイナ・・・)

二人を避ける様にして中に入り込み 周りを見渡してこの場を仕切っていそうなものがいないかを確
かめてみる。
いくつかのテーブルには男達がいたが傭兵らしいような手練に見えるものは居らず、金属の鎧を着
込んでいる威丈夫というガダーシャから聞いた話に合う者といえば先ほどこの酒場に入る前にすれ違っ
フルメタルアーマーの男達ぐらいだった。

(揃イノ鎧ノ男達ハ 傭兵デハ無イ ト思ッタガ、シクジッタカ)

《・・・・いまのがグレゴリだぜ・・・・》

耳元で囁くディエゴの言葉に思わず抱えた袋を取り落としたザルフォは 落とした袋もそのままに急いで
皮鎧の男を追って店を飛び出していった。


181 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/08/31(日) 00:56:51 0
どういうわけか知らないけど二人で歩く破目になった。
その脇をローブを着た人が通り過ぎていく。
ろーぶのうでの片方の布が不自然に垂れ下がっている。
背丈は比較的高め。
ここの中では比較的大柄のほうだ。
(変わった人・・・)
手にはビーズの付いたスタッフ。
持っているものもがどうもこの辺の人たちとは違うような気がする。
異国の人だろうか。
そんなことを歩きながら考えていると、名前を尋ねられた。
「シトリン。シトリン グラハムだ」
グレゴリの目を見つめた。
数日前と違って人ごみでごったかえしてる。
秘密の話をするとすれば、かなりまずいが、彼女は何も知らない。
だから、ここで話しても何ら問題ないのだ。
「でも、何も知らない。こっちも、ついさっき、破壊されたという噂を聞いたばかりなんだ」
首を横に振り、事実をつけた。

182 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/08/31(日) 02:55:49 0
急いで、しかしあまり不自然に見えないように酒場の前の通りを見渡すと なんとかグレゴリと銀髪の女が寄り添いながら歩いて
いく姿を見失わずにすんだようだった。

(マズハ 寝床ヲ確認スルトシヨウ。話ヲ シテミルノハ ソレカラダナ。)

あまり目立たないよう人込みに紛れ建物の影を伝って彼らを追いながら戦士としてのグレゴリを分析する。

(イマダ癒エテイナイ傷ガ在ル歩キ方ダ。体ノばらんすカラ見テ アノ武器ガ 普段ノ得物デナイノハ 間違イナイナ。)

そうしているうちに気付いた新たな事実としてグレゴリに対する態度を見るかぎり銀髪の女を娼婦と見る考えは改めなければな
らないようだった。その視線に込められた力と歩く際の身のこなし、戦士ではなくとも其れなりの場数は踏んでいる者の動きだっ
たのだ。

(アノ女モ 傭兵カ?戦士ニシテハ 膂力ガ足リヌヨウニ 見エル。呪術使イニハ 見エヌガ、殺シノ手練レ ヤモ知レヌナ。)
(マズハ ドノヨウニ 話ヲ進メルベキカ・・・・)

「ディエゴよ、グレゴリとお前の話を我に語れ。我に奉仕し従え続けるかぎり、お前に再び戦場に立つ機会を与えてやろう・・・。」

スタッフをフードの陰に近づけ小声で問いかけ、その声に耳を傾けながら彼らを追って歩き続ける。

(サテ 後ハ イツニナレバ オチツイテ だーばいニ 連絡ヲ 入レラレルカダ。新タナ作戦ノ実行マデニハ がだーしゃノ傍ニ
戻ッテオキタイ モノダガ。)

空を見上げて考える、ワーバーンや火薬樽での殲滅戦に巻き込まれてはかなわない。何らかの行動が取れるのは闇王軍が
再び動き出すまでの一時しかないだろう。全ては前をいくグレゴリと女がどうするかしだいだな、そう自分を納得させて視線を戻
すとザルフォは追跡を続けるのだった。


183 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/02(火) 22:31:52 0
「シトリン…か。いい名前だな」
それだけを話すと、グレゴリは黙々と歩くペースを速めた。
その足は人気の少ない裏通りの方に向かっていく。宿を取るためだ。

途中、やたらと背の高い、痩せた修道士とすれ違う。
明らかに不自然な男だったが、この辺りでは特に気にするほどでもない。
グレゴリはシトリンの腕を組み、さも恋人同士のような格好でその前を通り過ぎた。

その途端、グレゴリの全身を何か「不吉な予感」が走った。背筋が凍るようである。
すぐに頭を振り、気を入れなおしたが、宿に着くまでそのことが心に残っていた。

宿は寂れた安宿であった。勿論、シトリンとは相部屋である。
ベッドを見た時は溜まっていたこともあり、今すぐにシトリンを押し倒したい欲望に駆られたが、
すぐに例の男を思い出し、注文していた武器と直しに出していたアーマーを思い浮かべた。
「悪いが、俺は武器と防具を取りに行ってくる。それまで待っていてくれないか?
 話なら戻ってからじっくりと聞かせてもらう。酒でも入れながら、な」

すっかり女を落とす目つきになったグレゴリはシトリンの体を抱き寄せると、
優しく腰を撫でて頬に軽くキスをした。甘い匂いを覚えるが、何とか振り切る。

そしてグレゴリは静かに部屋を出て、武器屋へと直行した。


184 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/02(火) 23:41:57 0
名前:メディナ・スフォーイ
年齢:19歳
性別:女
身長:160cm
体重:48kg
スリーサイズ:87・56・88
種族:人間(強化)
職業:令嬢
性格:常に強気で、やや傍若無人
魔法:使用不可能
特技:気功
長所:何時どんな時でもめげない、泣かない、諦めない
短所:口調は丁寧だがやる事は強引かつ豪快
装備品右手:ナックルガード
装備品左手:ナックルガード
装備品鎧:軽鎧
装備品兜:仕込みリボン(リボンの紐は切れ味抜群のワイヤー)
装備品アクセサリー:母の形見のペンダント
所持品:フォースシューター
髪の毛の色、長さ:ウェーブの掛かった腰まで届く長い金髪
容姿の特徴・風貌:全身タイツのようなスーツの上に軽鎧と絹のチェック柄スカートを着用
            ボディラインが鮮明に分かりやすいが、黒い上にシースルーですらない
趣味:鍛錬
恋人の有無:なし
好きな異性のタイプ:礼儀正しい良家の殿方!
嫌いなもの:下品なこと(自分の下品発言は除外)
最近気になること:最近モンスターが何やら怪しいですのね
将来の夢(目標):スフォーイ家を継いで、世界を征服する
簡単なキャラ解説:貴族の名家スフォーイ家の令嬢
            末娘だが、その苛烈な性格のために家を追い出されて旅を続けている
            名のある格闘家の下で修行を積み、持ち前の怪力と才能で短期間のうちに習得した
            腕と名を上げるため、モンスター退治をしてまわっている
            世間には疎いため、闇王軍については全く知らない

185 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/02(火) 23:56:23 0
メディナ「武器屋なのに私の装備が無いなんてどういう料簡ですの!?
      お金なら払いますから出してくださらないかしら?」
店長「そうは言われても、無いものはいくら金積まれても出せませんよ
    ただでさえモンスターの襲撃騒動で品薄なんですよ?
    格闘家の装備なんて、置いてあるわけないでしょ」
【武器屋に入ったグレゴリは、スカートに軽鎧という一風変わったスタイルの女を見た】
【どこかの高貴な令嬢を思わせるような雰囲気がある】
【店長に対し、しつこく押し問答をしているようである】

メディナ「これを見てくださいまし
      もうボロボロもボロボロですわ」
【そう言うと、使い古してボロボロになってナックルガードを懐から取り出して見せる】

メディナ「せめて応急処置ぐらいはしてくださらないの!?」
店長「ここまで酷く痛んじゃ修理したって同じことさ
    大人しく帰るか、素手で戦うぐらいしないと」
【話はまだ、おわりそうもない】

186 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/03(水) 04:09:12 0
「は?もしかしてお泊りで?」
「あぁ、日払いで部屋をとることはできるのかな?」

ゴナセッドは困惑していた。これまで12年間、この安宿を任されてゴロツキと大差ないような男達と
あと5年もすれば商売を続けることも難しいであろう安淫売たちのために 薄暗いホールで宿帳を
つけてきたがこんな客ははじめてだったのだ。

修道士というものは修道院で生活しているものだし、ここのような場所で散財するのを良しとしている
とは思われない。
時に兵士や放蕩貴族、好色な目をした聖職者がお忍びで現れることはあったが清貧を旨とする修道
士の泊り客などこれまで見たことがなかったのだ。あまり羽振りがよさそうにも見えないし普段なら満
室だといって追い出すところだったが あいにく先日の襲撃で常連の男達が死ぬか良くとも怪我をして
しまい客は激減、金回りの悪くなりそうないま 部屋を遊ばせておくわけにはいかないと考え直した。

「フン、泊まりで銅貨5枚ですが10日まとめて払ってもらえりゃ40枚でよござんすよ。」

その修道士は背を曲げるとまるで死体を啄ばむハゲワシのようにゴナセッドの顔を覗き込んできた。
カウンターの奥にいる彼とてそれほど悪い体躯をしているわけではなかったが その修道士は上背
があり、まるで彼に覆いかぶさるような形となった。彼の毛羽立ったフードの奥からはなにやら黴臭
いハーブの匂いと甘い正体不明の香りが漂ってきて、おもわずゴナセッドはその赤らんだ鷲鼻を手の
甲でこすり上げてしまうのだった。

驚いたことに修道士は傍に立てかけたスタッフを一瞥して首を傾け考えこんだかと思うと懐から銅貨を
掴み出しカウンターに無造作に投げ出しのだった。

(こいつはとんだ上客じゃねぇか!)

「いや、いつまで滞在するかわからないので日割りで頼む。・・・・ところで一つ相談なんだが・・・」
                             ・
                             ・
                             ・
修道士を部屋に案内してホールに戻ると、カウンターの上の宿帳をめくりながらゴナセッドは想像をめぐら
せた。椅子に座ると膝の上に油紙の包みを広げ、中にあった塩漬けのニシンを口に放り込んでは蜂蜜酒で
流し込んだ。そうして顎鬚に垂れた雫を袖で拭い、最近とみに増えてきた体重を軋む背もたれにあずけると
宿帳に再度目を落として考え込むのだった。

(一人で泊まって こちらが聞いても女はいらねぇときたか、しかも、一日銅貨7枚ときやがった!)

宿帳に書かれたサイン 『グレゴリ』『シトリン・グラハム』を目で追いながら下卑た笑みを浮かべる。

(向かいの部屋を取るためだけに一日銅貨7枚払って、そのうえ出入りを知らせるだけで特別ボーナスを
支払うとくるたぁ こりゃ普通じゃねぇ。この女、街の淫売にゃ見えなかったがどこかの奥様かあの修道士の
身内かなにかかもしれねぇなぁ。)

あいにく『グレゴリ』のほうは修道士が現れる前に外出したが部屋には女が残っているのでグレゴリが帰って
こないということは無いだろう。

「さてと、あとは明日の準備をしねぇとな。」

日が暮れる前に女房に買出しにいかせれば間に合うだろう。こんな安宿、普段なら食事など用意しない
のだが明日の朝 グレゴリとシトリンを朝食に誘いたいのでそのように取り計らって欲しいとあの修道士
に頼まれたのだ。

「おい!ルイーザ!ルイーザ!早くこっちにこねぇか!お客様の用事だ!」

カウンター奥の小部屋でランタンに油を補給しているはずの妻を大声で呼びつけながら、思わぬ金づるの
出現にゴナセッドは満面の笑みを浮かべていた。


187 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/03(水) 07:59:28 0
【続き】

メディナ「つべこべ言わずに修理なさい!
      お金ならあると言っていますのよ?」
店長「困ったなあ…
    予約客も詰まって暇じゃないってのに…
    …あ、グレゴリの旦那!
    この嬢ちゃん、何とかしてくださいよ
    いくら駄目だって言っても聞きゃしないんだから」
【お金の詰まった袋をドン、とカウンターに置いて修理を迫っている】
【何があっても引かないつもりのようだ】
【グレゴリの姿を見た武器屋の店長が、救いを求めるように話しかけてくる】

188 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/04(木) 06:36:12 0
「やっと落ち着いて事をおこせる。」

うすぎたない宿ではあったがどうも清掃はいきとどいているようだ。
白いシーツが寝床に掛けられ 明かり用の油皿には予備の油が半分ははいっている。
ザルフォは寝床脇の小卓の上にあるランプを床に下ろしローブの中から荷袋をを取り出して中身を
卓上に並べ始めた。

(本当ナラバ変身モ解イテシマイタイ所ダガ、何時ナニガ有ルカ判ランカラナ。旅支度ヲ解クダケデ
我慢スルシカ無カロウ)

フードを跳ね上げローブの結び紐を解くと壁に用意された掛け鉤に引っ掛ける。
ローブの下の身体は前傾し煮しめた皮の小片が縫いこまれた濃緑色の衣服に包まれていたが、小さく声を上
げて屈めた背を反らすとその身長はさらに高く2mを軽く越えるものとなった。
汗で湿った灰色の髪は頭皮の上で畝状に編まれ 後頭部からは紐のような束が肩の辺りにまで広がっている。
ザルフォは皺の刻まれた顔を歪め目を細めると部屋の中を見渡して呟いた。

(先ズハ だーばい二連絡シテ情報ヲ伝エテ置カネバナ・・向コウノ状況モ知ッテオカネバ安心出来ン)

「ぐぅぅう・・・」

固まった背骨や右肩を伸ばすと腰に手を伸ばしてポーチのなかから15cmほどの鋭い牙をとりだした。
先ほど卓上にならべた錫の釜の中に慎重に選んだハーブと その牙を収めて考え込む。

(コイツニハ 伝令ヲ兼ネテ だーばいトがだーしゃノ護衛トナッテモラウノガ良カロウ。)

油皿の中に残る魚油を釜の中に注ぎいれると

「ハク!スケッカ!!」

という鋭い言葉と共に青白い魔法の炎に手首から先が包まれる。即座に右手を釜の中に突き込むと燃え出した
魚油のいがらっぽい煙と茹だったハーブの甘い香りが沸きあがってきた。

「勇猛でありし戦士よ、鉄と血を求めし勇者よ来たれ。我が言葉を携え汝の同胞が下へと向かえ!我が汝を此処に
喚起せしものなり!!」

祈祷はさらに続き部屋に立ち篭る煙は視界を遮るほどになったが徐々に釜の中に引き込まれていくように消えていく。
ザルフォが釜を覗き込むと底にはかすかに揺らぐ闇王軍の野営テントの光景が現れていた。

「ダーバイ、ダーバイよ。我の言葉に答えよ。」
「うむ、歩兵、騎兵、弓兵の数は報告したとおりだ。魔術師、呪術師に関しては定かではないが、フフ・・探索の術を
行なっている術者がいるのは間違いないな。見えぬ力を感じて死者が騒いでおるのがわかる。」
「明日、例の男と接触してみるつもりだ。うまくいけば我々のために働く戦士が手に入るやもしれん。とりあえず手元に
一人残して回収できた戦士はそちらに送り返すぞ。」

釜を覗き込みダーバイからの返答に頷きながら腰のポーチから取り出したオーガの牙を釜の中へとくべていく。

「そちらの計画はどうなっているのだ?」

釜のなかから漏れる油の弾ける音とゆらめく光に照らされた部屋のなかでザルフォとダーバイの話は続くのだった。

189 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/09/04(木) 15:32:25 0
うわああああああああああん

190 名前:シトリン・グラハム ◆W.nWtsWpWw [sage] 投稿日:2008/09/05(金) 07:28:34 0
(なんでこんなことに…)
思えば、グレゴリと一緒に出てしまったのが失敗のもとかもしれない。
どういうわけか知らないけど、腕をからませられ、一緒に宿に泊まるはめになった。
部屋の隅にベットが二つある。
どこからどう見ても二人用の部屋だ。
(もしかして、戻ってきたら…)
グレゴリに抱きしめられ、太もものところを触られた時の感触が残っている。
それは心地よさと不愉快さがいっしょくたになったもので、アプローチされたことのある人なら、大体わかるであろう。
背中がぞぞっとなるあれである。
(それだけは嫌)
首を横に振り、部屋を後にした。

191 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/09/05(金) 21:20:24 0
>>190
おまえトリ変えたのか?まぁいいや
◆SmH1iQ.5b2への文句を言うスレ
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1220616704/l50

192 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 22:46:17 0
>>190
ferioさん元気?

193 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 23:00:27 0
粘着エスパー乙。

194 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/06(土) 00:43:25 0
筋肉の塊のような体を揺らすようにして早足で武器屋に入ったグレゴリが見たのは、
ヒステリックに叫ぶ若い女戦士の姿だった。

「つべこべ言わずに修理なさい! お金ならあると言っていますのよ?」
トラブルのようなので後ろで短い間様子を見ていたが、大体、どちらが悪いかは
武器屋の助けを求めるような目で分かった。

グレゴリは無言でカウンターにそのまま近づくと、若い女戦士を後ろから抱きかかえるようにして
持ち上げ、静かに床に下ろすと、硬貨の袋をカウンターの隅にどかした。
「ん、おぉ…?」
ガキか、と思っていたが、意外に豊満な腰周りの肉付きや、豊かな胸に、
先ほどまで触れていたシトリンとの大きな差を感じ、心の奥底から欲望が
首をもたげたが、今の心理状況が彼をそうはさせなかった。

「おい、グレゴリだが、頼んでおいた鎧と剣を出してもらおうか…?」
そう言うと懐の袋からその殆どと思われる金貨と、財宝を取り出し並べた。

彼の気迫を見て、慌てて数名の弟子と共にかついできた鎧は、
紛れもなく彼の重厚なヘヴィアーマーであった。完全に復活している。
もう一方の剣はというと、以前の叩き潰すだけの大剣とは違い、今度は
湾曲した鋭い刃型を持つ、見るからに禍々しい大剣であった。
一人で楽に受け取ったグレゴリの姿を見て、弟子達は恐れをなして後ろに
引っ込んでいってしまったぐらいである。

「…上出来だな」
そうとだけ言うとグレゴリは軽鎧をその場で脱ぎ捨て、床に放り投げた。
「おい、そこの女。これはくれてやる」
女戦士にロングソードを一方的に渡すと、彼は店内でヘヴィアーマーの装着にかかった。
(あいつは大人しくしているだろうか…)
グレゴリの頭に嫌な予感がよぎった。
先ほどから何やら不吉なものが、自分の周りを蠢いているような気がするのだ。

195 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/06(土) 02:22:03 0
>>194 グレゴリ
「きゃあっ!
 な、何ですの!?」
【いきなり背後から抱えられ、床に降ろされて驚いている】

「ちょっとそこのあなた、いきなり何をなさいますの?
 私が先客でしたのに、順番飛ばしとは礼儀知らずにもほどがありますわ!
 ちょっと、人の話を聞きなさいな!」
【構わず店長と話を進めるへヴィアーマーの図々しさに強い憤りを覚える】
【文句をがなり立てるが、聞いている様子は無い】

店長「わわ、分かってますぜ、旦那!
    おい、おまえら、早く工房から例のモン持って来い!」
弟子「へ、へい!」
店長「旦那の装備、ご注文どおり修理も兼ねてしっかり改良しておきましたぜ
    見た目は同じでも、性能は今までとは段違いでさあ
    けど旦那、こんな怪物装備、一体なんに使うおつもりで?
    バケモンでも相手にするんですかい?」
【並べられた代金を仕舞いながら、グレゴリの様子に見入った】
【弟子たちが数人掛かりで苦労しながら持ってきたほどの重量の装備を、軽々と持ち上げている】
【弟子たちとて腕っ節はあるが、この男は格が違う】

「いい度胸…してますわね…
 はあぁぁ…ハァッ!」
【怒りのオーラを発しながら、わなわなと立ち震えている】
【受け取ったロングソードを片手に構えると、手に気を溜め始める】
【気合一閃、掛け声と共にロングソードを放り投げ、落ちてきたところに正拳突きを見舞う】
【ロングソードはその場で真っ二つに割れてしまう】

「私を徹底無視した上に、格闘家に武器を押し付ける侮辱…
 ここまでコケにされたのは生まれて初めてですわ…
 数々の無礼、素直に謝るのなら許してあげてもいいですわ
 さもなくば、私の拳が次はあなたの身を砕きますわよ?
 …っていうか聞いてますの!?」
【さほど気にする様子も無く、鎧を着用しながら考え事をしているグレゴリを見る】
【話を聞くどころか、さっきの剣砕きを見ているのかさえ不安になってきた】

196 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/06(土) 05:11:27 0
「うむ、私から連絡するまでは行動を遅らせるように伝えておいてくれ。」

ダーバイから戦況の報告を聞いていると遠慮がちにドアが叩かれた。
折角落ち着くことができたと思えたところに忌々しい事だったが知り合いもいないこの街で訪ねてくるもの
などいないはずだから相手は限られてくる。

「旦那、アンノンの旦那。」

宿帳に書いた偽名で呼ぶ男の声がする、おそらくは宿の主人だ。急いで釜にフタをかぶせて火を消し 部屋に
置かれた明かり用のランプに火を灯す。ざっと卓上を眺め 特に目撃されてもまずい物は無いと確かめて
空気を入れ替えるために降ろし窓を開いた。完全に匂いを誤魔化すことはできないだろうが まあ大丈夫だろう。

「遅くなってすいません、礼拝の途中だったもので。どうかしましたか?」

そういいながら扉を開くと案の定、宿の主人が立っており人目を憚るように話しかけてきたのでザルフォは
背を屈め耳を寄せた。

「旦那に頼まれた男はまだ帰ってきやせんが、女が宿を出て行こうとしてますんで 今、女房に言って引き
止めさせてます。どうしやすか?」

(フム、『ぐれごり』ト 女ノ関係ガ良ク判ランガ 其方カラ攻メテ見ルノモ有リ カモシレンナ。)

宿の主人に微笑みかけ軽く祝福の手振りを行なう。主人も『ナニ』の祝福を受けているのかわかっていない
だろうが・・・。

「お気遣いありがとうございます。ぜひあの方々と話す機会を持ちたいので直接私が向かいたいと思います。」

壁に掛けてある修道士のローブを纏い、念の為 ディエゴを憑依させた杖をつかむと部屋の扉を厳重に閉
め 急いで玄関ホールへと向かって歩いていった。

ギシ・・ギシギシ・・・・メキ・・ピシシ・・・・

修道士がホールに向かうと、久しく油も引いていない廊下の床材が今にも砕けそうな音を立てて軋む。
それをみていたゴナセッドは今にもブラザー アンノンが廊下を踏み抜くのではないかと戦々恐々としていた。

(おいおい、デッケェお方だが勘弁してくれよ、確かに上客には違いねぇが床の修理が必要なんてことにな
っちまうと足がでちまうかもしれねぇぜ。)

邪推のとおりブラザー アンノンとシトリン・グラハム嬢がなにか揉め事をもっているのなら巻き込まれてはたまらない。
まあ、後でどうだったかルイーザに聞きゃいいさ。
そう考えて ゴナセッドは空き部屋の施錠を確かめる作業に取り掛かるのだった。
                                     ・
                                     ・
                                     ・
廊下のほうから例の女性がやってくる、あれが宿六の言ってた女に違いない。15年も前なら自分にも似合っただろうか?
精緻な刺繍が入った上着を着ており それなりに金回りのよさそうな装いをしていた。だがその表情はなにがあったのか血
の気が引き、その視線は誰かに見つかるのを恐れているかのようだった。
ルイーザは夫が早くブラザー アンノンを呼んできてくれることを祈りながら 女性を引き止めるべく声をかけた。

「外出ですか?お部屋の施錠は大丈夫でしょうか。実は少々お待ちいただきたいのですが・・・えぇ・・あのですね・・」

とは言っても用事など無い。引き止めていることをあの修道士は知られたくないのかもしれないので頼まれたと言う
わけにもいかない。小首をかしげ 曖昧な笑みを浮かべながら眼を泳がせる。

(いったいどうすりゃいいのよ!ゴナセッド、はやく戻ってきて!!)

「ちょ〜っとお待ちくださいねぇ〜」

なんとか時間を稼ぐべく、ルイーザは着けていた皮のエプロンを外すとカウンターの下に潜り込み 何かを探すような
振りをし続けるのだった。

197 名前:シトリン・グラハム ◆W.nWtsWpWw [sage] 投稿日:2008/09/07(日) 20:00:15 0
>>196
怖い。
一刻も早く出なくて。
そう思っていると、声をかけてきた。
何か用があるのだろうか。
カウンターの下でごそごそしている。
どうやら、何か渡したいものがあるらしい。
(早くして)
心臓が早鐘を打っている。
怖い。
もしかしたら、今すぐにもグレゴリが入ってきて。
連れ戻されるかもしれない。
連れ戻されたら…
背中から血の気が引いた。
それだけは嫌。
「もう、いいです。何を渡したいのか知りませんが、重要なものですか?その必要がないなら出ます」
声を荒げ、宿の外へ向かって歩き出した。


198 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 21:31:57 0
いくらヘヴィファンタジーとはいっても表現が生々しすぎる
特にグレゴリのがな
ここが全年齢板だってこと忘れてないか?

199 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 21:49:10 0
まだまだボーダーラインまでは余裕だろ
この程度を叩くなら他にも何十何百というスレがアウトになる

200 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23:52:33 0
別に表現はセーフだと思うけど女キャラでの参加がためらわれそう。
テンプレにエロアプローチ:可・不可 の欄を追加した方がいいかもww

201 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:08:21 0
「バケモンでも相手にするんですかい?」
アーマーを装着しながら、グレゴリはこう答えた。
「バケモノだと…?これから俺が相手をする連中は、恐らくそのバケモノから
見ても”バケモノ”な奴らだろうぜ」
店長は分かってか分からずか、「ひぃ」と驚きの声を上げただけだった。

「いい度胸…してますわね… はあぁぁ…ハァッ!」
なにやらグレゴリの台詞は先ほどの生意気な女にとって癪に触ったようだった。
ロングソードが放り投げられ、空中で真っ二つになったのを横目で見て、
そこそこの使い手だと思ったが、敢えて無視することにした。

ブーツ、ガントレットを付け、完全装備となったが、まだ女が何やら騒いでいる
ようだった。うっとうしいな、とグレゴリは思った。
「うるさい女だな。そんなに俺とやり合いたいのか?一分で終わるだろうがな。
 …とりあえず店を出ようや。決闘の場所まで案内してやる。」
そう言うと女戦士の手を引き、外に出るよう促した。

 

202 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:11:50 0
>>200
【こちらでなるべく抑えるように努力はしてみますw】

203 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00:40:19 0
>>201 グレゴリ
メディナ「決闘…、望むところですわ!」
【ぐっと拳を握り、にやりと嬉しそうに微笑む】

メディナ「わたくしを一分で片付けると?
      そのお体に見合うだけの大きいことをおっしゃられる方ですのね
      …わたくしも舐められたものですわ
      ってちょっと、いきなり何をなさりますの!?
      わたくし、子供じゃありませんわよ!
      一人で歩けますから、お放しなさい!
      お放しったら!」
【抵抗するが、思いのほか強い男の腕力に抗えずずるずると引き摺られていく】
【気づけば、人通りの少ない宿屋近くの広場に連れて来られていた】
【そこは、グレゴリとシトリンが泊まっている宿屋の近くであった】

メディナ「小汚い広場ですわね
      このような場所で決闘というのも余り気乗りしませんけど…
      …あなたのような無粋な方をぶちのめすには丁度いいでしょう」
【先ほどのボロボロのナックルガードを嵌める】
【腰を落とし、両手を前に差し出すようにして構える】
【数回深呼吸をし、気の流れを整える】

メディナ「さあ、どうぞ」
【不敵に微笑みながら、グレゴリに手招きをする】

204 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01:01:13 0
(もう ダメ、もう無理よ。しかたない、正直に言うしかないわ。悪いのは私じゃない、グズグズしてるゴナセッドが悪いのよ)

「実はグラハム様をお引止めするようにと主人に頼まれていたんです!どうか、どうか、しばらくお待ちいただけませんか?
このまま行かれてはあとで主人になんと言われるかわかりません。」

そういって目を赤く泣き腫らしながらなんとかグラハム嬢を引きとめようと上着の袖にしがみついているところに廊下を戻ってくる
足音が背後で聞こえルイーザは狂喜して叫んだ。

「あなた!ホントにもう、なにをしてたのよ!!」
                                     ・
玄関ホールに出ると 使い古した羊毛のスカートと綺麗ではあるがヨレヨレのシャツを着て髪を頭上に硬く結い上げた中年女性
が泣き崩れた顔でこちらにむかって叫び声をあげた。
あの主人の言っていた女房だろう。『グレゴリの女』の腕にすがりつきながら必死で引き止めてくれていたようだった。
部屋で一体何があったのか、銀髪の女は明らかに狼狽しており 何かに追われることを恐れるかのように宿の外へと向かおうと
している。ここは慎重にことを進める必要がありそうだ。ザルフォはそう判断すると二人のいるほうに近づきながら 彼の持つ呪術
の力と双璧を為すとも言えるもう一つの力、そう自負している「言霊」の力を発揮すべく穏やかな声で彼女たちに話しかけ始めた。

「あぁ!本当にご無理をさせてしまったようですね、まことに申し訳ない。私がぜひお話をしたいと ご主人に無理を言って貴方を
引き止めてもらったのです。本当は落ち着いて明日の朝にでもと思ったのですが 部屋でなにかあったらしく貴方の様子が尋常
で無いと聞いてこうして参った次第なのです。」

何かあったのかどうかは判らないが この様子だと出て行った『グレゴリ』との間で一悶着あったのだろう、そう考えてブラフを賭け
てみる。カウンターに広げられた皮エプロンの脇に杖を立てかけると当惑するかのように灰色のコーンロウのドレッドヘアを撫でつ
けながら銀髪の女性のほうを見つめ心配そうな表情を装った。

(コレハ ちゃんすカモシレン。コノ女モ タダモノデハ 無サソウ デ有ルシ 何トカシテ 良好ナ関係ヲ築クベキダ)
(コノ 『怯え』ヲ 利用スルノガ賢明デ アルナ)

「申し遅れました、私はブラザー アンノン。日々の修練と献身を持って光に従え 人々の助けと成る事をもって喜びとするものです。
此処の街には闇と戦う者達の助けとなるべく参上いたしました。ぜひよろしければ私の部屋でお話をお聞かせくださいませんか?
外は女性の一人歩きにはいささか物騒ですし『ナニ』と出くわすか知れたものではありませんよ。」

いま外出すれば あなたが恐れるものに遭遇するかもしれませんよ?それよりはこの宿にいたほうがいいのではないですか?そう
いった考えに誘導すべく女に語りかける。さらにその『何か』がグレゴリであった場合のことを考慮して言葉を加えていく。

「お部屋にいらして戴ければ私が責任を持って貴方をお守りすると約束します。どうか、この老骨では頼りなく思われるかも知れませ
んが 私の頼みを聞き入れては戴けないでしょうか?」

保護を申し出、さらに自分の立場を下にみせて懇願する形に持っていく。人間の間に混じって行動するにあたって呪術のような直接
的な力で無くとも、このような「言葉の力」がザルフォにとって大きな意味を持つのであった。
そうして振り返り、さらに誘導の後押しをするべく宿の女将の手を取り優しく礼を言いながら事を既製事実へと押し込んでいく。

「奥様の助力に感謝いたします、本当にご迷惑をお掛けしました。もしよろしければ こちらの御方は既に立ち去ったということにして
戴いて私の部屋にいらっしゃることは内密にしてもらえますか。」

ルイーザにしてみれば今の困った状況が解決するならば何も異議を唱える理由は無い、喜んで了承しその優しく温厚な修道士に思
わずカウンターの下で手に取ってそのままだったゴナセッドの残したニシンの包みを差し出してしまう。しかしその老修道士は一瞬戸惑
ったようだったが穏やかに頷くと頭を下げ受け取ってくれた。そうしてブラザー アンノンはカウンターから杖を拾い上げるとグラハム嬢
のほうに振り返り、杖に提げられた色とりどりのビーズの音を響かせつつ部屋のほうを指し示しながらグラハム嬢に返答を求めた。

「さぁ、よろしければ貴方のお名前をお聞かせ願えませんか。先ずは落ち着ける場所に参りましょう・・・・」



205 名前:シトリングラハム ◆SmH1iQ.5b2 [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 12:16:33 0
ルイーザが上着のそでにしがみついてた。
ようもないのにひきとめていたのはこのためか。
シトリンはため息をついた。
振り払うのも気が引ける。ましてや、ここで魔法を使うことなど出来やしない。
どうすべきか思案していたところ、背後から足音が聞こえてきた。
「あなた!ホントにもう、なにをしてたのよ!!」
甲高い声が聞こえてきた。
ハッキリ言ってものすごく不愉快。
グレゴリとは別な意味で怖い。
「あぁ!本当にご無理をさせてしまったようですね、まことに申し訳ない。私がぜひお話をしたいと ご主人に無理を言って貴方を
引き止めてもらったのです。本当は落ち着いて明日の朝にでもと思ったのですが 部屋でなにかあったらしく貴方の様子が尋常
で無いと聞いてこうして参った次第なのです。」
穏やかな穏やかな声がした。
どうやら、これが理由らしい。
これで二度目のため息をついた。
話を聞く義理などない。
心配そうな顔をしているのを無視し、外のほうを見た。
なぜか知らないけど、妙な空気が漂っている。
何事かといわんばかりに人が走っているのが見える。
ここから出るのもまずそうだ。
下手するとグレゴリと出くわしかねない。
「いいよ。でも、あなたの部屋に行く気はない」
部屋に行ったら、何をされるかわからない。
「話を聞くのは外…」
シトリンの口が突然止まった。
ビーズの音が部屋中にこだましている。
それは不思議な不思議な音色。
シトリンの目は灰色に染まり、心が機能を停止した。
「シトリン。シトリン・グラハム」
左足。右足。
一歩一歩、厨房のほうへと歩いていく。
主人がそれを止めようとするが、シトリンはその手をはじいた。
勝手口の方へと進んでいく。
ドアが開き、よどんだ空気が薄暗い光とともに部屋の中へ流れ込んでいった。

206 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 12:27:00 0
訂正します

×
一歩一歩、厨房のほうへと歩いていく。
主人がそれを止めようとするが、シトリンはその手をはじいた。
勝手口の方へと進んでいく。
ドアが開き、よどんだ空気が薄暗い光とともに部屋の中へ流れ込んでいった。


一歩一歩、ザルフォのほうへと歩いていく。
宿屋の主人も、シトリンが変わったことに気づいていない。
広場に向かって走っている外の人間たちもそれに気づくものは誰一人としていない。
ほどなくして、シトリンは部屋の中に消えた。
ざふふぉが消えるのも時間の問題だろう。

207 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/09/08(月) 16:36:30 0
調子に乗るなよリルファ
そしてそれを庇い立てするこのスレの住人ども
そいつが糞荒らしだってネタは上がってんだよ
自主的に失せるのを待っていたが失せないのなら仕方が無い
ゴキブリを潰すには巣ごとって言うしな
覚悟しとけよ

208 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/09(火) 00:51:37 0
「お前ほど危機感のない奴も久々に見る…」
女戦士を引き摺りながら、グレゴリは言った。
まともな女なら、これでまければ「はい、降参です」じゃ済まされないことぐらい
分かっているはずである。

しばらくすると、決闘の場所についた。シトリンの宿が見える位置だ。
奴は、何をしているんだろう…
そんな事を考えていると、女戦士がナックルガードを嵌め、構えはじめた。
それならば、とグレゴリは大剣を後ろに置き、女戦士の方に向き直った。

武器無しとはいえ、ガントレットにヘルム、ヘヴィアーマー、ブーツと防具はフル装備である。
まさに巨大な鉄と筋肉の塊であった。
「おい、いくぞ」
小さくそう言うと、女戦士に向けて、猛烈な勢いで突進を繰り出した。
いつかはクマをも即死させた一撃である。
グレゴリの巨体が、軽装備の女戦士に迫る…

209 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/09(火) 01:38:56 0
施錠を解き、シトリン・グラハムを部屋に招きいれながらザルフォはあまりの運の良さに 笑みが
零れそうになるのを必死でこらえていた。
『語り』による誘導を行なううちに意思を失い暗示にかかってしまう霊媒体質という者にはこれまで
何度か出会った事があったが まさか『グレゴリの女』がそのような者であったとは稀なる幸運と
言えるだろう。

当のシトリンは部屋の扉を閉めたあとも全身を前後にふらつかせながら立ちすくんだままでいる。
普段ならばこのような状態になった従順な獲物を手に入れたならば色々と楽しめたのだろうが今
はそのような事に手を出しているような場合では無い。

(コノ好機ヲ 生カサナイ訳ニハイカナイ)

ローブを脱いでベッドに腰掛けると宿の女将に渡された包みを小卓の上の持ち物の脇にそっと置く。
シトリンのほうに向き直ると握りなおした杖で一定の間隔をとりながら床を打ち鳴らし、部屋に唯一
用意された小卓の脇の椅子を指し示して言った。

「お座りになって楽にしてください、シトリン・グラハム様、私は貴方の手助けとなりたいのですよ。貴
方と あの『グレゴリ』という男の間でいったいなにがあったのですか?私は先日の戦いで大いなる
武勇を示したお方だと聞いてあの『グレゴリ』殿を訪ねてきたのですが 剣をお持ちではないようだが
貴方もまた武勇によって身を立てる戦士の一人なのでしょうか?」

可能な限り暗示効果を深め、多くの話を聞き出すために小卓の上に放置してあった釜の蓋を外す。
ランプから取った火を移し 甘いハーブの残り香を部屋の中にと満たしてゆくと ザルフォは優しく
シトリンに微笑みかけた。

貴方はいったいどのような人物なのか?グレゴリ以外にも手練れの兵を知っているのか?困ったことが
有るならば相談してほしい、自分は貴方の味方で力になりたいのだということをランプと釜の光によって
壁に映し出された幾つもの影が躍る部屋の中でシトリンに繰り返し繰り返し語り続ける。

話を聞いているうちに小さく開いた降ろし窓の向こうから微かな怒号のようなものと金属の打ち響く音が
聞こえてきた。

(フン、目障リナ音ダ。部屋ヲ出ル時二 窓ヲ降ロシテオクベキダッタナ)


210 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/09(火) 01:52:10 0
>>208 グレゴリ
「危機感などあるはずもございませんわ
わたくし、負ける気などさらさらありませんもの
それに、敗北の屈辱を恐れるくらいなら強さなど求めません…」
【特に表情を変える様子も無く、空ろな様子でグレゴリを見ている】
【正直、この男と戦う気になったのは武器屋の無礼だけではない】
【気に対して敏感だからこそ、抱き除けられた際に感じられた下劣な男の欲望】
【体を汚された気がして、許せなかった】

「あら、フェアプレーの精神のおつもりですの?
けれど、容赦は致しませんわよ…」
【目つきが鋭くなり、構えもより堅牢なものとなっている】

「………」
【特に動じる様子も無く、その場に留まったままグレゴリの突進を待つ】
【その巨体が目の前に迫った刹那、グレゴリの肩部を掴み足で地面を蹴って体を浮かせる】
【そのまま、グレゴリの突進力を地面に誘導するように体重を掛け、そのまま叩きつける】

「っ…、大した馬力をお持ちですのね
今のをまともに受けたなら、わたくしは一撃で再起不能でしたわね
受身を取ってもいいとこ気絶、最悪即死でしょう
だからこそ、あなた自身の命も危険に晒されるということをお忘れなく」
【まさか、いきなり受け流しを使うことになるとは思いもしなかった】
【受け止められるものと思っていた】
【が、この男の膂力は並みの人間が束になってもどうこうできるレベルではない】
【捌ききれなかったのか、グレゴリの肩に置いた手が痛む】
【しかもこの男、あれほどの衝撃を受けたにも関わらずケロリと立ち上がってきた】

「人間を相手にしている気が…しませんわね…
あなたの体、オーガかトロールの血でも入ってますの?」
【呆れた様子で立ち上がってくるグレゴリに言い放つ】

「さてと、今度はこっちから行きますわよ!
はいぃぃっ!」
【そう言うと、構えた掌から白いオーラが出ている】
【そのまま、その掌をグレゴリの腹部アーマーに押し当てる】
【アーマーやグレゴリの腹筋、巨体は凹むどころかビクともしなかった】
【が、腹の内から痛みと衝撃が波のように伝わってきた】
【食べたものを全部吐いてしまいそうなほどである】

「わたくしの気をその体内に叩き込ませていただきましたわ
あなたの堅牢の鎧、鋼の筋肉、剛の骨…
あなたの体を形作る自慢の盾は、わたくしの闘術の前には全て無意味ですのよ」
【と、余裕を装ってはみたものの、「気」を使わなければおそらくこの男には勝てない】
【物理的な勝利が不可能なくらい、力と硬さが圧倒的過ぎるのだ】
【が、だからこそ、慎重に立ち回ることができれば有利な相手である】

211 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/09(火) 10:47:06 0
>>209
ザルフォが小さな机のわきにある椅子を示している。
そこにシトリンは腰をかけ、両膝を軽くそろえた。
「お座りになって楽にしてください、シトリン・グラハム様、私は貴方の手助けとなりたいのですよ。貴
方と あの『グレゴリ』という男の間でいったいなにがあったのですか?私は先日の戦いで大いなる
武勇を示したお方だと聞いてあの『グレゴリ』殿を訪ねてきたのですが 剣をお持ちではないようだが
貴方もまた武勇によって身を立てる戦士の一人なのでしょうか?」
ザルフォが小さな机の上にあるポットのふたを外した。
暗がりの部屋の中でろうそくの炎が躍っている。
ハーブの甘い香りが鼻腔をくすぐる。
やさしいやさしい声がする。
でも、グレゴリとの間に起こったことは言えなかった。
思い出したくない。
嫌な記憶など思い出したくもない。
引き出しに鍵をかけ、自分の身の上のことなどについて話し始めた。
「シトリン。シトリン・グラハム。この町で魔術師をしている。グレゴリ以外にも…」
窓の外から怒号とともに何かと何かがぶつかり合う音が聞こえてきた。
シトリンの口が一瞬止まり、窓の外を見た。
グレゴリと見知らぬ女性が戦い、ギャラリーがその周りを取り囲んでいるのが見えた。
(怖い…)
男の顔が浮かんだ。
鉄パイプが人間を打つ音が聞こえてくる。
思い出したくない。
なにも見たくない。
やめて。
痛がってる。
やめて。


212 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/10(水) 22:07:07 0
「ぐ…おっ…!」
グレゴリの巨体は地響き、金属音とともに地面に叩きつけられた。
本人からすれば、女戦士がまさかここまで敏捷だとは思っていなかったのである。

「さてと、今度はこっちから行きますわよ! はいぃぃっ!」
女戦士がすぐさま反撃を繰り出し、懐に入ってくる。
たかが女の攻撃、そのままアーマーで体ごと弾いて吹き飛ばしてやる、そう思ったが…!

「ぐおぉ…!」
グレゴリはあまりの痛みに腹を押さえた。
気功 ― 一般にそう言われているものだろうか?それは武術だった。
女戦士の一撃は分厚い鉄の塊、そして鍛え上げられた筋肉の内部に入り込み、
内部から押しつぶさんとしているのだ。並みの戦士なら内臓破裂で即死だろう。

「あなたの体を形作る自慢の盾は、わたくしの闘術の前には全て無意味ですのよ」
しゃがみ込みながら呻き声を上げるグレゴリに、女戦士の容赦ない罵声が飛ぶ。
グレゴリはその間も常に隙を伺っていた。そしてその一瞬…

グレゴリの巨体が宙を舞った。相手の動きを予測し、かわされぬよう、確実に。
そして女戦士は両腕を掴まれ、腕の動きを封じられてしまった。
そのまま、グレゴリは女戦士の体を自分に密着させる。鉄の塊に柔らかい肉体が
押し付けられる。腰に手を回すと、ベアハッグの要領で体を思い切り締め付けた。

分厚い鉄の塊に女戦士の華奢な肉体が潰されていく。
「おぉ…お…」
グレゴリはそんな中、アーマー越しとはいえ、柔らかい感触と、
次第にヒートアップしていく女の匂いを感じていた。
自然に、ガントレットに覆われた腕が尻に伸びていく。

ふと、グレゴリが気付くと、周囲に人だかりができていた。
(おっと、ここでこの女を頂くことはできないか…)
仕方なく、ぐったりとした女戦士を一旦放すことにした。


213 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/10(水) 22:46:41 0
>>212 グレゴリ
「し、しまっ…!」
【重量級の巨体が宙を舞う】
【予想だにしなかったダイナミックな動きに、思わず翻弄されてしまう】
【まさか、鉄の塊を纏った大男にこんな動きができるなんて!】
【このヘヴィアーマーの実力を見誤っていた】
【受け流す暇も無く、両腕を掴まれ動きを封じられてしまう】
【振り払おうにも、ビクともしない】

「うぐ…ああぁぁぁぁっ…
やめ…こ、こん…な、わたくし…が…あぐぁあぁぁ…」
【凄まじい締め付けが腰に伝わり、痛みと衝撃が全身を駆け巡る】
【腕も同時に挟まれ、抵抗らしい抵抗ができない】
【思えば迂闊だった】
【あのまま追撃していれば、捕まらずに済んだかもしれない】
【己の甘さと未熟さを呪いながら、空を掴むようにもがく】

「………!
…てやあぁっ!」
【突然解放され、地面に崩れ落ちた瞬間、腕を軸に全身をバネのようにしならせる】
【そして、距離を取ろうとするグレゴリの足を思いっきり払う】
【表情は怒りに満ち、グレゴリを見据え睨み付けていた】
【あのまま行けば止めを刺せたのに、そうしなかったからだ】
【情けのつもりかは知らないが、馬鹿にされた気分がして許せない】

「男に生まれてきたこと…後悔させて差し上げますわ!」
【仰向けに転んだグレゴリ目掛け、飛び上がって急降下膝蹴りを見舞おうとする】
【膝には、頑丈なプロテクターが装着され、気も込められている】
【標的はこの男の男性機能である】

214 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/11(木) 18:43:15 0
(これで降参してくれるか…)
そう思った矢先のことであった。倒れた女戦士が地面に腕をつくと
そのまま足払いをしてきたのだった。

「ぐぁっ…?!」
ズシリと尻餅をついたグレゴリ。途端に金属音が鳴り響いた。
「男に生まれてきたこと…後悔させて差し上げますわ!」
次の瞬間、女戦士が飛び上がり、膝蹴りをかましてきた。目標はグレゴリの…

股間― それは男達にとってどうしよう道もない弱点であった。
どれだけ体を鍛え上げても、この部位を筋肉で覆わせることは非常に困難な話だ。
殊にグレゴリの場合、それがあまりにも巨大であるため、まさに剥き出しである。
そういった事態を防ぐために開発された防具が、いわゆるファールカップであった。

ヘヴィアーマーにも例外なくその部分はついていたが、不運にもグレゴリの場合は
”特注”のものであった。「いつでも女と行為に及べる」ように開閉が容易なように
造られていたのである。そのため、隙間がいくつかあった。

女戦士の一撃はグレゴリの股間に命中したとき、覆っていたアーマーは確かに
直接攻撃をはじき返した。しかし、その気流が鎧の隙間から入り込み、一気に中を揺さぶった。
「っ…!!ぐぅ…ぐおぉぉおぉぉぉ…っ!!!」
今まで大勢の女達を喚かせてきたソレがひしゃげ、グレゴリは転がりながらうめき声を上げた。
性機能を失うとまではいかなかったが、少なくとも暫くの間は「使用できなく」なった。

「くそっ…!この女、殺す… 殺してやる…!」
欲望が完全に息を潜め、その分は全て怒り、戦いのためのエネルギーに注ぎ込まれた。
グレゴリの全身から闘志が漲ってくる。その姿に見物客は恐れをなした。その場を逃げ出す者もいる。

立ち上がるや、すぐさま猛ダッシュで女戦士に近づくと圧し掛かった。
押し倒すと全体重で身体を押さえつけ、無言で首を締め上げていく…

215 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/11(木) 19:41:49 0
>>214 グレゴリ
「ふふ…、いいザマですわね
これで当分の間、性欲に溺れることもありませんわよ?」
【股間を抑えて転げ回るグレゴリを誇らしげに見据える】
【ギャラリーの中には、腹を抱えて転げ回る者や目を覆い隠す者も居た】
【大量の気を流し込んだのだ、当分は動けないだろう】
【そう思っていた】

「わたくしを侮って止めを刺さなかったんですもの
 それ相応の報いは…えっ…きゃあっ!?」
【凄まじい怒りの気が立ち上ったのに気づいたと思った刹那、男のタックルを受ける】
【熊のような巨体に押し倒され、為す術もなく圧し掛かられてしまう】
【しまった…、そう思ったときにはもう遅かった】
【この怒り、この殺意、尋常ではない】

「うぐ…ぐ…ぁ、はな…し…うあぁ…ぁ…
 ひは…ぁぁ…ぐ…」
【凄まじい握力で首が絞められ、どんどん意識が遠のいていく】
【ここまで怒りによって盛り返すことができる人間など、聞いたことがない】
【そもそも、この男に勝負を挑んだこと自体が間違いだったのだろうか?】
【自分を放逐した家を強くなって見返すという野望は、果たされることなく潰えるのか】
【そんなの嫌だ…、けれど、逃れる術はない…】

「………」
【目の前が真っ暗になり、最早指一本動かすことも叶わない】
【間違いなく、死は目前に迫っている】
【自分はこんな場所で終わってしまうのだろうか…】

216 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23:07:30 0
ザルフォはシトリンを一瞥し 様子に変わりが無いことを確認すると

「何か表で起こっているようですね。」

と平静を装いながら窓に近寄り、そっと外を眺めてみた。

宿の表はザルフォの想像を遥かに上回った騒ぎとなっていた。
なんとか人の輪を通して中央の人物を確認するとそこにはガダーシャから聞いていた通りの
「へヴィアーマー」と化したグレゴリが金属の荒れ狂う旋風となって疾駆しているのだった。

(一体何ガ起コッタ?)

しかも既に闘いが始まってしばらく経っているようだったがグレゴリの動きや息遣いは彼がダメージ
を負っていることを示している。グレゴリはその手に武器を握っていなかったが、それであってもグレゴリを
これほど速やかに消耗させられる相手が彼の前に立っている吹けば飛ぶような小柄な女性であったというのは
ザルフォを驚かせるには充分だといえた。
その女の姿はグレゴリとはまさに対照的なまでに軽装で 部分的にあてがわれたプロテクターのようなな鎧のほ
かは単なる衣服といっても過言ではない。そのうえ 宿の窓から見る限りナックルガードは見えなかったため
その女性はまるで武器のようなものを持っているようには見えなかったのだ。
ザルフォはあまりの驚きに目を見開き、思わず声をもらした。

「素手で あのグレゴリを倒すのか・・・!」

人影に二人の姿が遮られたその瞬間、とてつもない重量が大地に激突する鈍い地響きが、そして間髪い
れずに金属で金属を打ち砕くような鋭い打撃音が鳴り響いた。
「っ…!!ぐぅ…ぐおぉぉおぉぉぉ…っ!!!」
地の底から這い上がってくるような男の怒号が聞こえてくる。

(マサカ 『ぐれごり』ガ 斃レタ!?)

するとしばらくして凄まじい地響きと共に蜘蛛の仔を散らすように怯えた群集たちが動き、視界の中には金色
の髪を振り乱した女に圧し掛かる様にして首をへし折らんばかりに締め上げるグレゴリの姿がかいま見えた。

(拙イナ、誰ガ死ノウガ カマワンガ オソラク コノママデハ 『ぐれごり』ハ拘束サレルコトニナル。
ソウナルト 接触ガ難シクナッテシマウ。・・アノ女モ ムザムザ死ナスニハ 惜シイシナ。
介入スルシカ無イカ。)

シトリンにむかって宥める様にこの部屋で待っていて欲しいと頼むとローブを身体に巻きつけるように纏い、
杖を掴んで部屋を駆け出していく。
見物するために外に出たいという好奇心を抑え、カウンターにとどまっていたゴナセッドとルイーザを飛び
上がらんばかりに驚かせる勢いで玄関ホールを走りぬけてザルフォは宿の表に飛び出していった。

目の前に二人の姿が飛び込んでくる。女の頭は首を締め上げるグレゴリの大木の幹のような腕の動きに合わせ
てグラグラと揺れ、ナックルガードをつけた拳は力が抜けてしまい指が開いてしまっている。
既に意識とは無関係に時折足を痙攣するように蹴り上げているが 血走った眼をしたグレゴリは女の状態に気付
ぬほどに逆上しているようだった。今の身体では直に引き離すのは難しい、群集の前で呪術を使うのは危険だが
なんとか誤魔化して二人を止めるよりあるまい。そう判断すると杖に結びつけたビーズに意識を集中し、変身術に
よってビーズに見せかけている『歯』の持ち主たる死霊に語りかけた。

(生の温もりに飢えし汝よ、猛き力を求めし戦士よ。我らが歩みの前に立ち塞がりたる狂戦士を抱き その力を汝が物と
為すことを許そう。狂戦士の力を奪い、汝が潜みし暗闇の褥に導きたまえ!)
死霊にグレゴリへの憑依を命じ、グレゴリの力を一時的に奪うことを試みる。逆上する前の消耗振りからすれば憑依に
成功すれば昏倒させることが出来るだろう。眼には見えない死霊がグレゴリに飛び掛っていくのを確認すると 呪術を神の
御業と偽装するために杖を振りかざし、高らかに祷りを唱えあげた。

「おお!『光』よ、卑しき我は祈願せん。血の乾きに憑かれし戦士をその縛めより解き放ち、乙女を救いたまわんことを!」





217 名前:シトリン・グラハム ◆W.nWtsWpWw [sage] 投稿日:2008/09/12(金) 22:16:53 0
(気づいてくれなかった・・・)
期待してた。
グレゴリに無理やり迫られ、逃げ出そうとしていたところで声をかけてくれた。
だから、気づいてくれる。
そう思っていた。
でも、その期待は見事に外れた。

(何してるんだろう・・・)
グレゴリが女の上にまたがり首を絞めている。
そこにザルフォが近寄り、呪文を唱えている。

(あの女の人を助けるの・・・?でも、もう無駄よ)
女の手足が痙攣してるのが遠くからはっきりとわかった。
周りにいるギャラリーも息をのんでる。
もはや助かるまい。
シトリンはそう確信していた。

218 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 00:09:59 0
グレゴリは女戦士の押し返す力が次第に弱まっているのを、興奮する意識の中で
感じ取っていた。やがて筋肉の緊張が解け、首がくたりと傾く。

(殺ってしまったのか…)
完全に動かなくなった女戦士をさてどうしようか、と思ったその時、
グレゴリは自分にさし迫ってくるもの凄い敵意に気付いた。
刹那、グレゴリは観衆からその敵の姿が浮き上がって見えるのを感じた。
杖を振りかざす痩せ細った長身の男…
(あの時すれ違った奴だ!)
その直後、敵意がグレゴリを飲み込み、意識を薄れさせていった。

それは憑依の呪術であった。普通の人間ならあっという間に死霊に意識を乗っ取られ、
闇の奴隷と化すだろう。ところがこの男、グレゴリはそう簡単ではなかった。
異常とも言える生への執着が、死霊の侵入を拒むのである。

「ぐあぁぁぁぁぁ…!!!」
突如、苦しみだしたグレゴリは、女を手から離し地面に横たえると、
頭を押さえながら立ち上がり、まだ残る股間の痛みに耐えて足を引き摺りながら
大剣のもとへとゆっくり歩きだした。
グレゴリが大剣の柄を握るころには観衆は完全に逃げ出してしまっていた。
もはや何人かが恐る恐る覗き見る程度である。

グレゴリが立ち上がり、大剣を掴んで振り回した。
周囲に唸るような音が響きわたる。体に取り付かんとしている死霊たちは
その気迫に押され、やがて剣風に流されるようにして消え去った。
「何だ…?この力…は…」
悪意が消え去り、グレゴリは大剣に寄りかかるようにしてしゃがみ込むと、
そのまま意識が薄れ、静かに倒れこんだ。

219 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 02:09:03 0
バシン!

鋭い音とともに杖に下がったビーズの一つが砕け散る!容易に憑依を許すような男では無いと
思っていたが まさか死霊自体を跳ね除けるまでとは考えてもいなかった。
術の依りしろであった『歯』は死霊の消滅と共に灰と化したがグレゴリの意識を絶つことは出来たので
まずまずの結果といっていいだろう。

周りを取り巻く群衆を掻き分けて行き 最早微動だにしない女性の襟元に手をやって脈を確かめて
みる、微かな動きがあることからなんとか間に合ったようだった。

(サテ 取リアエズ 宿二連レ込ンデ 詳シイ話ハ 明日スル事二シヨウカ。ソレニシテモ 妙ナ事二
ナッテキタモノダ。)

「さあ、皆さん 騒ぎはコレで終わりです。すみませんがグラハムさん!この女性を休ませてあげなけ
ばなりません、貴方と彼女のための部屋をもう一つ用意しますので手を貸してください。」

窓のほうに向かってシトリンに声をかけてどうやら格闘術の使い手らしい女性を運んでもらえるように頼む
と 宿の入り口に立って心配そうにこちらをみていたゴナセッドに部屋をもう一つ手配してもらえるようにと
依頼した。

(しとりんト ぐれごりヲ 同ジ部屋二入レルノハ 拙イラシイ。ココハ コノ女ト しとりんヲ 同ジ部屋二寝
カセテ 女ノ様子ヲ診テ欲シイト頼ミツツ しとりんを足止メスルノガ得策ダロウ。)

ゆっくりと地に倒れたグレゴリに近づくと ローブを跳ね上げて杖を腰のベルトに手挟み 空いた右手で
グレゴリの分厚い甲冑の縁に手を掛けて担ぎ上げる。ミチミチと身に纏った皮鎧の縫い目がはじけそうな
音を立てながら2メートルも越えようかという長身の修道士がグレゴリを担ぎ上げたのをみて「おぉ・・」と
周囲がどよめいた。

グレゴリは彼の部屋に寝かせ、新しい部屋に女を運び込み 彼女と同室してもらって様子を診ていてもらえ
ないかとシトリンに頼んでみる。目が覚めたときに私がいると騒ぎになりそうだし、私は自室にいるのが良
いだろうな。そう考えながらザルフォは玄関ホールで目を丸くしてこちらを見つめているゴナセッドとルイー
ザにむかって

「すいませんが今夜は この二人をゆっくり休ませてあげたいと思います。明日、意識が戻ったら予定通り
朝食を共にしたいと思っていますので一人分追加をお願いします」

そう伝えると 黙って頷く二人を残し廊下の奥へと歩いていくのだった。

PS・問題がなければ シトリンさんにメディナさんを担いでもらって部屋に行ってもらえるとうれしいです。
  特に事の進行の予定がなければ朝食を共にして 皆さんと顔見知りになりつつ適当なミッションをでっち上げて
  力量を測ってみようか?などと考えているのですが 皆様 何か『出来事』の予定などありますでしょうか?



220 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 02:11:14 0
あ、掻き分けるまえに群集は逃げ去ってましたね。

221 名前:シトリン・グラハム ◆W.nWtsWpWw [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03:47:22 0
>>220
(げ・・・)
ザルフォが倒れこんだグレゴリを肩に抱えこちらに向かってる。
もうしばらくすれば、こちらに向かってくるはず。

(それだけは絶対にいや・・・)
背筋から血の気が引いた。
早く逃げないと大変なことになると警告を発している。
でも、体が動かない。
手足が何かで縛られているような感覚がする。
動きたくても動けない。
このまま、犯されるのを待つだけなのだろうか・・・

(え・・・)
思ってもみなかった言葉がザルフォの口から飛び出してきた。
体は相変わらず勝手に動いているけど、すごくほっとした。

「まったくなんだい。あの客といい、この客といい」
階段をかけぬけ、玄関ホールを通り抜けた直後、お上の声が聞こえてきた。
でも、今の自分ではどうにもならない。
相変わらず体が動いているのだ。

(ごめんなさい・・・)
手がひとりでに動き、ボディースーツの襟首をつかんだ。
大人の人間は、拒食症にかかっていない限り、50キログラム以上は軽くある。
並の女が抱えていける重さでは到底ない。
メディナの体が地面とこすれ合う音がするのは至極当然のことだった。

#追記
こちらとしてはそれで構いませんよ。
当分の間、予定はないのでOKです。
(操られているのに顔見知りになるというのも変な話ですが・・・)

222 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:27:13 0
「…ん、はっ!?」
【驚いたようにがばっと勢いよく跳ね起きる】
【早朝なのか、朝の鳥のさえずりが静かに辺りに響いていた】

「こ、ここは一体どこなんですの?
わたくしは確か、あの男に首を絞められて…
それにこの方は?」
【酷く痛む頭を抑えながら、辺りを見回す】
【ベッドの上に寝かされており、隣には見知らぬ女性が横たわっていた】
【窓からは昨日の決闘の舞台となった広場が見渡せる】
【どうやら宿屋のようだが…】

「………」
【気付くと、自分の装備がボディスーツと鎖帷子を仕込んだレオタードだけになっていた】
【黒いボディスーツが首から下を全て覆い、上に青いレオタードを着用している】
【白銀色の軽鎧やプロテクター、美麗な刺繍の入った白いシルクスカートはテーブルに置かれていた】
【この人が着替えをさせて処置をしてくれたのだろうか?】

「女性が旅の装束のままうつ伏せに寝るなんて…
余程疲れていらしたのですわね…」
【そう言うと、シトリンの額に手を当てて穏やかな流れの気を送り込む】
【心を落ち着け、精神的な疲労を癒す気功術の一種である】
【寝ている時にやるのが一番で、当人は処置されたことに気付かない】

「さてと、そろそろ出発の準備をさせていただきましょうか
わたくしもこの方の世話になり続けるわけには…」
【すると、階下聞こえてくる話し声を耳にし、さっと耳を澄ます】
【聞き覚えのある声、もう二度と聞きたくないと思っていた声である】

???「ご主人、この町に金髪の高貴な女性は来なかったか?
     その方はスフォーイ伯爵家の末娘で、とても尊いお方なのだ
     そして、この私の婚約者でもある
     さあ、どこへ行ったか教えてもらおうか?」
【如何にも貴族の子息、と言った華やかな風体の男がフロントに話しかけている】
【その背後には、白銀の鎧に身を包んだ宮廷騎士が従っている】

主人「はあ、そうは言われましても全く見ておりませんなあ…」
???「そうか、ならば良いのだ
     もし見かけたら、至急エイゼル・フォンシュタット騎士団の本部にまで連絡を寄越したまえ
     報酬は弾んでやるぞ」
【主人はザルフォに金で口止めされているため、話すわけはない】
【そう高笑いしながら、貴族の礼服に身を包んだ黒髪の青年は宿屋を出て行った】
【これまた全員見事な白馬に跨り、颯爽と駆けていった】

「うう…、フォンシュタット家のエイゼル、こんな場所にまで探しにきていたんですの!?
 親の威光で輝いてるだけの馬鹿息子が…、こういう時だけはやってくれますのね…
 この際、鬱陶しいですから口封じに始末しておこうかしら?」
【そんなことを考えながら、歯軋りをしながら拳を握り締めている】
【貴族の令嬢にあるまじき行為だが、野性的な生活を続けている内に身に付いた】
【もちろん、連れ戻されるわけにはいかない】
【あの馬鹿息子は気付いていないが、スフォーイ家での私の立場は反逆者も同然なのだ】
【連れ戻されれば、抹殺されることは目に見えている】

223 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10:33:02 0
>>219
こちらの方も大丈夫です
お願いします

224 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 17:56:38 0
>>219【「皆さん」というのはグレゴリもですか?含まれていないなら少し遅らせますが】

225 名前: ◆25hUUDN1GU [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 18:58:53 0
エイゼルを殺す方向で考えているのですが・・・それで進めて買いませんか?

226 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 19:23:35 0
>>225
どうぞ
遠慮なく進めてください

227 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 19:24:31 0
>>225
すみません、それ以前にあなた誰ですか?

228 名前: ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:04:22 0
>>225
トリップ間違えました。


229 名前: ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:08:03 0
>>228
なんどもすみません。トリップを忘れていました(汗

230 名前: ◆W.nWtsWpWw [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21:09:21 0
シトリンです。

231 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/14(日) 00:14:27 0
グレゴリさんが普通に起きてくれば一緒に朝食をと思っていますが、『負傷』が重ければ
起きたら来てもらえる様に書置きでもして先に他の方とお話をしようかな?と考えています。

232 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/14(日) 00:58:04 0
「うむ、『へヴィアーマーのグレゴリ』との接触に成功した。しかも思わぬ拾い物まで付いてきたようなのだ。」
「とりあえずこれから彼らの力量を見極めるために手頃な相手と戦わせて見ようと考えているのだが・・・
ふむ・・・彼奴らならば手頃やもしれんな、その部隊ならば始末されたとしても我々にとって痛くも痒く
も無いだろう、むしろ面倒が消えて好都合だ。」
「もしも気になるというのならガダーシャにも変身を施して こちらに向かわせてもらってかまわん。」
「ではそやつらを餌にするとしよう。ではまた時間ができたときに連絡する。」

ダーバイとの話を終えると釜の蓋を閉じ、ゆっくりと深呼吸をするように息をついたザルフォは部屋の出口
に目を向けてしばし考え込んだ。
グレゴリを味方に引き込むべく行動してきたがシトリン・グラハムという魔術師も手に入れることができた。
しかもさらに討ち負けたとはいえグレゴリと互角に戦った女までもが現れた。単なる通過点でしかなかった
この街にこれほどの兵が存在するとは正直考えてもいなかったのだ。
彼らをただの捨て駒とするのは惜しい、なんとか我らの内に引き込むことができれば心強い部隊となるだろう。
呪術で操るということも考えたが そのような手段を使わずに絆を築いたほうが、より強く、より信頼できる兵と
なることを『牙の軍師』は知っていた。
彼らを一つの戦闘集団に纏め上げることが出来ればそれは我々オーガのための戦いにおいて大きな力となっ
てくれるはずだ。

降ろし窓の隙間からは朝の光が微かに差し込み 鳥の囀りと起き出した人々の声が聞こえてくる。
宿の主人たちも払った金の分はちょんと働いてくれているようで 部屋にいても焼きたての穀物の香ばしい匂い
が漂ってきていることから頼んでおいた朝食の用意も済んでいるとみていいようだ。

(流石二 朝食二 すぴあヲ 持ッテハ行ケナイナ。)

杖は部屋に置いたまま 乱れた髪を新しく結い直すと部屋を出て扉を施錠し、向かいのグレゴリの部屋と一つ
あけて隣に取ったシトリンと女の泊まっている部屋に行って軽くノックをして声をかけた。

「おはようございます、アンノンです。朝食を用意しましたのでよろしければご一緒いたしませんか?」

233 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/14(日) 01:01:22 0
ちょんと じゃない、ちゃんと です。

234 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/14(日) 21:31:29 0
気が付くと、既に朝の光が差していた。
「むぅ…ここはどこだ?」
視界に入ったのは自身が泊まろうとしていた宿で、部屋には誰もいない。
アーマー類は脱がされており、丁寧にも部屋の隅に立てかけられていた。

痛みは思ったよりも残っていなかった。グレゴリはこれまであった出来事を思い出していた。
酒場からシトリンを連れ出し、宿に置いたまま武器屋に行き、そこで若い女に因縁をつけられ、
女と決闘して… そうだ!あの男…!
きっとあの男こそが謎の勢力についての鍵を握っているはずだ。
奴を追い詰めることができれば、ある程度の進展は見込めるだろう。

ベッドから立ち上がる。股間の痛みもすっかり引いていた。
そこで彼は思い出し、怒りを湧き上がらせた。
「シトリンはどこだ…?!」

バチーーン! バチーーン!
天井を見上げながら、グレゴリは右腕で自分の胸板を打った。まるで巨大なゴリラのようである。
たちまちいつもの凶悪で欲望に満ちたグレゴリの表情に戻った。
すぐさまヘヴィアーマーを装着する。金属音が階下に聞こえるかという勢いで響いた。

しばらく女を抱いていないこともあり、気も立っていた。
まずは宿をくまなく探し、姿が見えないようなら酒場にでも行くか。
そう思いながらグレゴリは大剣を担ぎ、部屋の外に出た。

235 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 08:41:36 0
「いつっ…、まだ少し…痛みますわね…」
【化粧台の前に立ちながら、痛む場所を調べている】
【腰や首、胸の辺りに痛みが残っている】
【首には真っ赤なアザが手の形になって残っている】
【あの男の凄まじい握力で締め上げられたからだ】
【おそらく、腰や胸にも同じようなアザが残っているに違いない】

「ああもう…、何もかも傷んでますわね!
 人の体を傷物にして、今度会ったら文句の一言や二言でも言いたいですわ」
【このアザは当分消えないだろう】
【他のアザも全裸になって確かめたいところだが、人前ではさすがに恥ずかしい】
【装備品の方も、ナックルガードは完全に壊れて使い物にならなくなっている】
【軽鎧や一部プロテクターも修理が必要である】
【言いようの無い愚痴を思わずこぼしてしまう】

「………」
【体が気持ち悪い、お風呂に入っていないからだ】
【浴室を覗いてみたが、余り手入れの行き届いていない汚い浴槽だ】
【入浴は諦めて、シャワーで我慢することにした】

「この町に来てあのヘヴィアーマーとやり合ってから、踏んだり蹴ったりですわ…」
【着替え場でレオタードとボディスーツを脱ぐと、ひたひたと浴室へ入る】
【黒い染みや垢などの汚れが残っており、かなり不潔である】
【案の定、玉のように白い肌には赤いアザが残っていた】
【腰周りや豊満な胸の一部分など、自慢の美容も台無しである】

「はあ…、これでは当分お嫁には行けませんわね…」
【冗談めいたことを言いながら、ため息を漏らす】
【シャワーのぬるいお湯を浴びながら、これからどうするべきか考えていた】
【正直、どうすればいいのか分からない】

>金属音が階下に聞こえるかという勢いで響いた。
「朝っぱらから騒がしいですわね!
 一体誰がこんな非常識な…」
【朝はまだ早いというのに、派手に響く金属音に耳を抑える】
【鎧の音に似ているが、まさかあのヘヴィアーマーだろうか?】
【何にせよ、迷惑な話である】

236 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 09:58:01 0
>>232
>「おはようございます、アンノンです。朝食を用意しましたのでよろしければご一緒いたしませんか?」
「え、あ…、い、今少し取り込み中ですの
 少しお待ちくださらない?」
【実に間が悪いとしか言い様が無い】
【こちらは、シャワー上がりで全裸にタオルを一枚巻いているだけである】
【ベッドで眠っているもう一人の女性はまだ目覚めていない】
【とても疲れた様子で眠っていたことを考えると、こちらから無理に起こすのは気が引ける】
【仕方が無いが、自分の方から出るしかない】

「どなかた存じませんけど、朝早くからレディの部屋にノックは無粋ですわよ?
 朝食なんかに誘って、ナンパでもしているつもりかしら?」
【いきなり押し掛けて朝食を一緒に食べろ、などと言う男の声に不信感を覚える】
【無抵抗な女性が一人、まだ目覚めていないのだ】
【私が無抵抗な間に介抱してくれたかもしれない相手に、報いる恩はあるというもの】
【例え裸一貫でも、守る義務が私にはある】

237 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 14:34:03 0
「どなかた存じませんけど、朝早くからレディの部屋にノックは無粋ですわよ?
 朝食なんかに誘って、ナンパでもしているつもりかしら?」

不愉快そうな顔で突然そう告げられててザルフォは思わず困惑した。この女、すっかり
寛いでいるようだがいったいこの部屋をとったのが誰だと思っているのだ?憮然として
そう考えながらも冷静に思い直す。

(イヤ オソラク 意識ヲ失ッテイタ デアロウカラ 詳シイ状況ガ判ッテイナイノダ。ソレヨリ
モ特筆スベキハ アレホド 死二近ヅイタニモ 関ワラズ 平気デ 動キマワッテイル事ノ
ホウダロウ。コノ 部屋モ 『しとりん』ガ取ッタモノダト 考エテ居ルノカモシレン)

そう考えると宥めるようにその片手を挙げて答えた。

「突然の訪問失礼しました、ただ少し誤解があるようです。再度名乗らせていただきますが
私はブラザー アンノン。昨日の疲れでまだ起きていないようですがそこのベッドで眠って
いるシトリン・グラハムの連れなのです。
事の成り行きで 貴方とあのグレゴリの戦いを止めることになったのですが 実はそれとは
別にお二人に頼みたいことがあるのですよ。偶然の成り行きではありますが よろしければ
共に食卓を囲みながらはなしを聞いてはいただけないかと思い、こちらに参った次第なので
す。」

そう言うと害を為す意図は無いと示すために一歩後ろに下がって返答を待った。
すこし気になるのは先ほどシトリンを一瞥したときに彼女の体から穏やかな『気』の立ち上がる
流れが見えたことだ。シトリン自身の力によるものか 目の前にいる布一枚巻いた女がなにか
したのかはわからなかったが もしかすると暗示の解けている可能性もありそうだった。
まあ、仮に暗示が解けていたとしてもシトリンにみられて拙い事はしていない。
そう考えて安心すると、気弱そうな表情を装ってザルフォは言った。

「あちらの玄関ホールの隅に宿の女将が朝食を用意してくれています。老いた修道士にとって
食事と皆さんとの会話が一番の楽しみなのですよ。私はさきに行っていますので ぜひ、グラ
ハム嬢と共におこしください。」

そういって玄関に向かおうとしたときだった。二つ隣の扉が開き、安宿の狭い戸口を擦りながら 
なんとか身体を斜めにして出てくる巨大な影が現れた。全身を小山のような金属の鎧に包みこ
み 戸口の桟に白く新しい掻き傷を付けても気にせぬように無骨で巨大な大剣を肩に担ぎ上げ
ている。

(流石 『ぐれごり』。既二 戦闘体勢ハ万全ト言ウ事カ。シカシ・・・コノ廊下デ ソノ武装ト武器デハ
満足二動クコトモ 難シイダロウニ。)

新しい獲物を探すかの様に周囲を見渡すグレゴリの視線が自分の上にやってくるのをまって、
ザルフォはグレゴリに声をかけた。

「おはようございます、いろいろあるでしょうが・・・まずは朝食を用意してあります!話はそれからに
しませんか?昨日からなにも食べてらっしゃらないのでしょう?」

そういって香ばしい朝食の匂いが漂ってくるほうに視線を送る。
グレゴリのような男に自らに危険な点は無いと証明するには まずこちらの手の内を進んで見せなければ
ならないだろう。そう考えていたザルフォは 部屋に杖を置いてきて得物は無いということ、鎧を着けず
戦闘の意思が無いと示すこと。そして 身一つであっても自分は左手の無い不完全な戦士であると見せる
ためにローブを脱いでここに来たのだった。

(ダガ 『ぐれごり』ノ ヨウナ 男ニトッテハ コノ『食事』ガ一番重要ナ 誘イダナ)

そう考えて思わず笑みが漏れる。
グレゴリが食事と考えてホールの朝食と目の前の女のどちらを思い浮かべるか・・もし問答無用でグレゴリが
自分を始末するために襲い掛かってくるようだったら 残念ながらこの姿も今回の計画も此処で終了というこ
とになるだろう。しかし可能ならば穏便に話しに持っていきたいものだ、そう考えてグレゴリの答えを待つのだった。


238 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 20:38:12 0
部屋を出ると、奥方向に行くか入り口方向に行くかで一瞬迷ったグレゴリだったが、
一瞬だけ感じた女の匂いに釣られるようにして奥へと足を運んだ。
のそりのそりと前に進み、隣の部屋を開けようとしたその時である。

目の前に、あの男がいたのであった―−!
「!!」
さすがのグレゴリもこの時ばかりは一瞬目を見開いた。自分に危害を加えた人間が、
今まさに目の前にいるのである。杖は持ってはいないようだが…
世に二つないような不気味な容貌をした、長身痩躯の男だ。間違いない。

「おはようございます、いろいろあるでしょうが・・・まずは朝食を用意してあります!話はそれからに
しませんか?昨日からなにも食べてらっしゃらないのでしょう?」
そいつは確かにそう話しかけてきた。言い終わったが早いか一瞬である。
グレゴリは男との間合いを詰めると、右腕を伸ばし胸倉に掴みかかった。
途端、痩せた男の体が1m近く持ち上げられ、頭が天井についてしまった。
「誰だ貴様は?!さっき俺に何をした?…それと、シトリンという名の女を
知らないか…?女を出せ!早くしろ、殺すぞ?!」

やがて男は自分に戦闘の意志がないこと、抵抗ができない状態であることを
明かすと、ようやくグレゴリは男を降ろした。
「朝食だと?…どういうことだ?」
グレゴリは性欲は勿論、食欲も満たされていなかったのが正直なところであった。
明らかに「朝食」というワードに反応しているようである。

239 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [] 投稿日:2008/09/15(月) 21:54:21 0
「どなかた存じませんけど、朝早くからレディの部屋にノックは無粋ですわよ?
 朝食なんかに誘って、ナンパでもしているつもりかしら?」
体を起こすと白いバスタオルを体に巻いた女性が立っているのが見えた。
(きれいな人・・・)
出るべきところは出ていて、しまるところはしまっている。
腕も足もほっそりとしていて、まるで人形のようだ。
(触りたいな・・・。でも、いきなり、触ったら、怒るだろうな・・・)
とろけるような視線で胸を見つめていたが、
ドア越しに怒鳴り声が聞こえてきた。
体が震えている。
すごく怖い。
無意識のうちに掛け布団を両手でつかみ出した。

240 名前: ◆YQFg90V7ew [] 投稿日:2008/09/15(月) 21:55:07 0
>>239
トリップを変えました。

241 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [] 投稿日:2008/09/15(月) 23:28:15 0
判りやすい、なんと判りやすい男だろうか!
まるでガダーシャの元にいるオーガ兵たちのように欲望に忠実な男らしい。
一瞬、胸倉を掴まれてそのまま天井まで持ち上げられたときには この場で変身を解いて
この男の頭を握りつぶし その鎧を引き裂いてやろうかと怒りに我を忘れそうになったが、グレゴリが
考え直した様子をみせたのでなんとか怒りを鎮めることができた。

「誰だ貴様は?!さっき俺に何をした?…それと、シトリンという名の女を
知らないか…?女を出せ!早くしろ、殺すぞ?!」
「朝食だと?…どういうことだ?」

朝食を頼んでおいたことはやはり賢明だったようだ。少し咎めるようにグレゴリの方を睨むと
溜息をついて頭を振りザルフォはグレゴリに告げた。

「自己紹介はなにか食べながら ゆっくりとする事にしましょう。あまり印象の良い顔合わせとは
いきませんでしたが あれは貴方を止めるためにしたことなのですよ。あのままでは彼女は間違い
なく死んでいたでしょう。」

そういいながら、扉とグレゴリの間に位置取って彼の視界を遮る。・・・この男のことだ 間違いない。
ここで半裸の彼女と眠っているシトリンを見られたら、彼を止めるにはとても手のかかることになるだろう。
ザルフォは後ろ手に扉を閉めながら部屋の中に向かって

「私とグレゴリさんは 先に行っています。皆さんに落ち着いて話を聞いてもらいたいので支度が出来たら
いらしてください。皆さんの身の安全は『私が』保証します。」

というと 戸口と部屋の中の二人にグレゴリは自分が抑えるので安心して欲しいという意図が伝わることを
願った。

「さあ、グレゴリさん、参りましょう。そろそろ我々が起きるのが遅いと宿の女将がイライラし始めている頃です。
・・そうそう、貴方とグラハム嬢がどういう関係なのかは存じ上げませんが 貴方を部屋に運び込んだあと 
貴方が休めるようにと彼女は部屋を移ってくれたのです。朝食の席には現れるはずですよ。」

そういうと玄関ホールのほうへ進みながらついてくるように促した。

すこし進んだところで先刻の出来事を思い ここは自分を見くびらないように軽く念を押しておいたほうがいいかも
しれないな、そう考えて壁に据え付けられた無骨な鋳鉄製の燭台に右手をかけて振り向きながらグレゴリに言った。

「そうそう、それから・・・先程のようなことはもう為さらないでください。こう見えても私は長旅を続けていまして、自分の
身を守る術はいろいろと持っているのですから。」

そう告げて玄関ホールに向かうと先程までの騒ぎで我々が起き出してきたことを知ったのだろう、宿の主人と女将が
分厚い厚板のテーブルに並べられたジョッキに朝いちで届けられた蜂蜜酒とミルクを壷から注いでくれているところ
だった。

(サテ 『ぐれごり』ハ 警告ノ 意味ヲ 判ッテクレルダロウカ。)

椅子に座りながらそう考える。後からやってくるグレゴリから見れば玄関ホールのほうから薄暗い廊下にむかって朝日が
差し込んでくる形となり逆光となっていたことだろう、彼が戦場で発揮している注意力を今も維持しているならば見落とす
ことは無いはずだ。細かい光の粒が飛び交う廊下の壁際、ザルフォが手を掛けていた壁の燭台は柔らかな飴のように握
り潰されて、あたかも鍛冶場の金床の上で叩き潰されたかのような無残な姿となっているのだった。


242 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 23:57:43 0
「…ではそこで眠っている方がシトリンさん
 それで、あなたがそのお連れのアンノンさん、というわけですのね?
 …なるほど、そういう事情があったんですのね
 危ないところを助けていただき、感謝していますわ」
【このアンノンと名乗る男の気は、気を失う前に感じた妙な波長と同質のものである】
【この男がおそらくグレゴリを黙らせたのであろう】
【言っていることが嘘ではないというのはよく分かった】
【しかし、どこか信用しがたい雰囲気を纏った怪しげな相手であることに変わりはない】
【警戒は解かず、信用しきるべきではないだろう】

「そう…ですわね…
 助けていただいたお礼もありますし、これも何かの縁かもしれません
 食事をしながらお話を聞くというのも良いでしょう
 ただ、こんなはしたない格好のままではさすがに恥ずかしいですわ
 少々、着替える時間をもらえませんこと?」
【この男の腹を探るには、丁度良い機会だと考えた】
【話を聞いて、何を企んでいるのかを読み取るのが得策だ】
【ただ、半裸のままではさすがに…】
【今更のように顔を赤らめながら、部屋へと引っ込む】

243 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/16(火) 00:26:15 0
「この声…、まさかあの時の…?」
【部屋に戻って直ぐ、聞き覚えのある声で怒号が響き渡る】
【忘れもしない、先の決闘相手であるグレゴリとか言うヘヴィアーマーである】
【内容を聞くところ、先ほどの怪しい男が絡まれているらしい】
【放っておくのも気が引けるので、仲裁に入ろうと思い立ち、ドアから顔を覗かせる】

「…分かりましたわ」
【どうやら話を上手くまとめたらしいアンノンが、グレゴリを朝食へと連れて行く】
【どうやったかはよく聞こえなかったが、よくやるものである】
【アンノンの気持ちを汲み、手は出さずにそのまま部屋へと引っ込んだ】
【とりあえず、さっさと着替えを済ませて食事場に向かわなければ】

「あら、お目覚めですのね?
 シトリンさん、わたくしはメディナという者ですわ
 …あら、どうかなさいました?」
【既に目を覚ましていたシトリンに目を向け、軽く微笑みながら話しかける】
【しかし、ベッドの上で布団を抱えて震えている様子を見て、心配になる】
【怖がり方が尋常ではないのだ】
【何か、どちらかの男に酷い目にでも遭わされたのだろうか?】

「何か怖いのでしたら、安心してくださいな
 わたくしが守って差し上げますわ
 だから、怖がらずに食事に参りましょう、ね?」
【シトリンの背中を摩りながら、安心するように気を送り込む】
【せいぜい和らげるだけなのだが、今はこれが丁度良い】
【一人にすることもできず、仕方なくその場で着替えることにした】

「着替えますから、少し待っていてくださいな
 直ぐに終わりますわ」
【そう言うと、タオルを外して白いレースの下着を着け始める】
【次に、全身にフィットさせるように黒いボディスーツを着込む】
【更に、青いレオタードをその上から着用する】
【軽鎧は付けず、白いシルクスカートを穿いて準備完了である】

「さあ、行きますわよ
 …あら、どうかなさいました?」
【とろんとなっているシトリンを不思議そうな様子で見つめる】
【同じ女性の着替える姿がそんなに珍しかったのだろうか?】
【何れにせよ、余り長く待たせると悪い】
【シトリンの手を取り、一緒に食事に向かうように促す】

244 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [] 投稿日:2008/09/16(火) 01:13:09 0
他の方たちはもう此処をみていないのでしょうか?
もしまだみているならば書き込んでいただければなんとか絡むようにもっていく
よう努力するつもりです。
無理やり関係を作って巻き込んでいくのはTRPGには必須なことですから(W

245 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [] 投稿日:2008/09/16(火) 08:15:04 0
「だ、大丈夫です・・・」
メディナの手が背中に触れた。
腕を回され、離れたくても離れることができない。
それでも、手足をじたばたさせ、離れようとするが、手の動きがいつもと違うことに気づいた。
手が背中を通り過ぎ、腰の辺りをなでることはない。
相変わらず、背中をなで続けている。
目を丸くし、身を任せていたが、程なくして手が離れた。
「あ・・・」
背中にぬくもりが残っている。
もう一度抱いてほしいと訴えかけるような目で着替えているメディナを見つめていたが、
手を差し出されれば、立ち上がらないわけにも行かず、食事に向かうのであった。

246 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/16(火) 13:29:51 0
先に言っておくが百合厨行為は自重しろよ

247 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/17(水) 00:10:39 0
(気味の悪い奴だ)
グレゴリはこの男の一つ一つの動きに、ただならぬ不気味さを感じていた。
いずれ、始末することになるのだろうか?彼はこの男の後姿に、何か果てしなく
険しい戦いの行方を感じずにはいられなかった。

「そうそう、それから・・・先程のようなことはもう為さらないでください。こう見えても私は長旅を続けていまして、自分の
身を守る術はいろいろと持っているのですから。」
男が脇の燭台に手をやると、あっという間にそれはひしゃげ、無残な姿になってしまった。
何か身の毛もよだつような何かが、この男からは感じられるのだ。
「それは俺も同じことだ」
食堂に下りていくまでにグレゴリはその一言を返すのがやっとだった。

ガツガツ、ガツガツとただ食うだけの音が響く。
一応、ルイーザに対し毒見らしきことはさせたが、それが終わるやグレゴリは
上鎧を脱ぎ、上半身の筋肉を流動させながら猛烈な勢いで朝食を胃袋の中にかきこんでいった。
グレゴリは性欲も凄まじいが、食欲もまた、もの凄いものがあった。
女を抱く時も物足りない場合は二人、三人を楽に相手にするが、食事に関しても
一度に二つのおかずを口に入れたりと、常人にはとても理解できない動きである。
一瞬音が止むと、無言でルイーザに七回目のおかわりを頼んだ。

その時、階上から二人分の足音が聞こえた。
食事に夢中になっていたグレゴリだが、女の接近に気付かない彼ではなかった。
まさかその二人だとは思いもしなかったのだろう。目を見開く。
「シトリン…!!それにお前はあの時の…?!」
怒りや驚きや喜びなどが一度に流れ込み、グレゴリは興奮して席を立とうとするが、
痩身の男がそれを制する。どうやらこいつが仕組んだことらしい。

全員が席に着くと、男が「自己紹介をするように」と話した。
「グレゴリだ」
とだけ彼は答え、再び食事に取り掛かった。
(何が目的でこんなことを…)
無興味を装いながらも、彼らの会話に耳を傾けていた。

248 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/17(水) 11:18:49 0
「ごめんなさい、随分と待たせてしまいましたわね
 シトリンさんも連れて来ましたわ」
【シトリンの手を引きながら、ゆっくりとホールに下りて来る】
【二人が座っている場所とは反対側に席を取り、先にシトリンを座らせてから着席する】

「昨日の決闘では随分とお世話になりましたわね、お互いに…
 わたくしも言いたいことはありますけど、今は争う時ではありませんでしょう?」
【こちらを見据えるグレゴリを半ばなだめるように、穏やかな口調で話す】
【この場を取り繕ってくれたアンノンの手前もある】
【ここで再び互いの怒りを再燃させるような真似はできない】

「わたくしはメディナ、メディナ・スフォーイですわ」
【グレゴリの不躾な自己紹介に返すように、こちらも自己紹介をする】
【スフォーイの姓を出した瞬間、周囲の反応を誘う】
【無理も無い、スフォーイ家と言えば世界的に有名な名門貴族である】
【数百年の歴史を持ち、治めている領土は至極に広大】
【その影響力は一大国をも凌ぐと謳われる、人間側の最大勢力の一つである】

「とは言っても、わたくしは最早お家を放逐された流浪の身…
 変な気など遣わずとも結構ですわ
 もっとも、あなたは最初からそんな気など無いのでしょうけど…」
【周囲が多少の驚きを見せる中で、この男だけは気にする様子が無いからだ】
【本気にしていないか、どうでもいいと思っているかのどちらかだろう】
【いや、もしかすると驚く余裕が無いのかもしれない】
【この只ならぬ空気が、空間一面に立ち込めているからだ】
【グレゴリが萎縮しているようにも見える】
【私たちが下りて来る以前に、二人の間に何らかのやりとりがあったことは確かだろう】

「ところでアンノンさん、先ほどおっしゃっていた頼みごととは一体何ですの?
 まずはそれからお聞きしたいものですわね」
【グレゴリの下品な食べ方が目に余るが、無視してアンノンに話し掛ける】
【正直、これをはっきりさせないことにはゆっくり食事する気にはなれない】

249 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [] 投稿日:2008/09/17(水) 19:06:29 0
メディナに連れて行かれた先にはグレゴリがいた。
背中から血の気が引き、この場から逃げ出してしまいたい。
そう思っていたが、グレゴリとは向かいの場所に席がとってあり、食事も用意されている。
このまま、出て行くのも失礼だ。
不承不承ながら着席し、グレゴリから視線を背けた。
「わたくしはメディナ、メディナ・スフォーイですわ」
スフォーイ家といえば、かなりなのある一家だ。
「シトリン。シトリングラハムです」
どうして、その一家の人が・・・
いろいろと疑問が生じたが、名前を告げないわけにもいかない。
メディナの自己紹介に続いて自分の名前を告げた。
「とは言っても、わたくしは最早お家を放逐された流浪の身…
 変な気など遣わずとも結構ですわ
 もっとも、あなたは最初からそんな気など無いのでしょうけど…」
これで疑問が解決した。
内情には詳しくないが、いざこざがあって、追い出されたのだろう。
皿の上に運ばれた料理に手をつけながら、話を聞くことにした。


250 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [] 投稿日:2008/09/17(水) 23:50:59 0
食卓で顔をあわせた所でまた一悶着起きないかと心配をしていたがそれは杞憂で終わったようだった。
目の前には上半身の甲冑を脇に置いて旺盛な食欲を発揮しているグレゴリ、なにやら妙にもう一人の
女の隣で縋るような素振りを見せているシトリンが席に着き、そしてグレゴリと互角に戦っていた女戦士は
メディナ・スフォーイと名乗った。

『スフォーイ』詳しいことは判らなかったが其の名は聞き覚えのあるものだった。戦場で武勲を挙げた
死者共の口から何度も「スフォーイ伯爵」とその旗印について語られるのを聞いたことがあったのだ。
おそらく彼らの名高い戦闘指導者なのであろう、そしてこの女はその家系の者というわけか!こんな街で
このような者達と偶然出会うなどとは 偉大なる祖霊に感謝の生贄を捧げたい気持ちだった。

さてこの三人をうまく引き込まねばならない、ザルフォは皆の注意を引き付けるように語り始めた。

「食事を終えてから 落ち着いて話そうかと思っていましたがレディ メディナがこう申されていますので
失礼ながらお話を続けさせていただきましょう。皆さんはどうぞ食事を続けてください。」
「まず グレゴリ様にはコレまで名乗る機会がありませんでしたね。私はブラザー(修道士)アンノン、この
街には手練の英雄を尋ねて、そして彼の力となるためにやってきました。
グレゴリ様、あなたはディエゴという男をご存知でしょう?昔 彼とともにある仕事を終えたときに彼の口
から素晴らしい戦士であると 貴方の話を聞いていたのですよ。」

そう話しながら皆のジョッキが空くたびにミード(蜂蜜酒)やミルクを注ぎ足しながらザルフォは話を続ける。

「類稀なる戦士の下に赴き 光の闘いのために助力を尽す旅をつづけてきたのですが この街の近くまで
きたときに私は彼に聞いたグレゴリ様のことを思い出し、訪ねてみようと考えたのです。
私はそれまで共に街道を旅していた旅芸人のキャラバンに別れを告げて この街にやってきました。
ところが間をおかず、先日の襲撃が起ったのです!
わたしは様々な場所で人々と働いていたのですが 街道で旅芸人のキャラバンが焼き討ちに会い、生存者が
運ばれてきていると聞き驚愕しました。
・・詳しい話はこの場では止めておきましょう、生き残っていたナイフ投げ師はその息を引き取る前にキャラバンの
子供たちが襲撃者に連れ去られたと言い残しました。私は子供たちを助けに行かなければなりません。
しかしご覧のとおり 城兵は街を封鎖するのに手を取られ動ける状態ではありませんでした・・」

食卓に視線を落とし 少し間を取ってから3人の顔を見回して言葉を強くする。

「グレゴリ様は城兵では無く、自由に行動が出来るのではないかと思い助力を請うべく訪ねて廻り、遂にこの
宿でお見かけすることができた、そのときにシトリン・グラハムさん、そしてレデイ メディナ。あなたがたのような
心強い方々がグレゴリ様の傍に居られたので どうにか手をお借りできないかとこうして一席設けさせていただいた
というわけなのです。」
そういって3人の方を見つめ 各人の反応を確かめる。

「本当ならば私のほうが皆さんの戦いに加わるべきところなのですが どうか私のためにではなく子供たちのためと
思って力を貸してはいただけないでしょうか?いまここで皆様にお支払いできるほどの持ち合わせが無いのが恥ず
かしいのですが、事が終わったら勇者への助力として 私には修道院内の鍛冶場での武装の修理や院内での滞在
による安全な保護の提供を約束できる権限が与えられています。
もしお気に召すようなモノがあれば修道院のパトロンであった貴族達が奉納していった武具や甲冑のなかからお好みの
物を提供させていただくことも出来ると思います。
どうか私と共に子供たちを救いに行ってはいただけませんか!」

そういって3人の返事を待つ。
焼き討ちされたキャラバンと連れ去られた子供たち、この話に嘘偽りはない。峠を封鎖しているオークの部隊が子供を
攫って廃鉱山に戻ったきり連絡がないとダーバイは言っていた。
オーク部隊が連絡を絶った理由をさぐり、目の前の3人の実力を測る。もし彼らがオーク部隊を殲滅しても信用ならない
オークたちが消えることなど痛くも痒くもない。
さて、どんな返事が返ってくるだろうか?ザルフォはその深く皺の刻まれた顔を心痛に歪め、涙まで浮かべて答えを待った。

ここで断られたら・・そう考えて食卓を見る、人間どもの食事だ。そうなったら一人でも廃鉱山に向かおう、急げばまだ間に合
うはずだ、シチューになっていればまだ一人分は残っているだろう・・・。

251 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [] 投稿日:2008/09/18(木) 00:20:35 0
ザルフォの話は要約するとこんな感じだ。
キャラバンが襲撃され、子供たちが何者かにさらわれた。
「・・・」
たぶん、行ったとしても、もう手遅れだ。
子供は基本的にそれなりの値段で売れる。
女は性的な価値があるし、男もその気がある人たちには価値がある。
性的な価値がなくても、養子にもらいたいという人も中にいる。
需要は腐るほどあるのだ。
だが、それでも・・・
「連れ去ったのはどこの誰だ。人数はどのくらいいる?」
可能性はある。
まだ、手元にいればどうにもなるし、道具にされる前に助ければ同じような人間をこれ以上生み出さずにすむ。
目の前に自分を犯さそうとしたグレゴリがいることを忘れ、
シトリンは依頼を受けることを心に決めていた。

252 名前: ◆YQFg90V7ew [] 投稿日:2008/09/18(木) 00:46:17 0
#追記
「・・・」 の部分に追加します。
ザルフォの話を聞きながら、シトリンは考え始めていた。
さらわれたとなれば、

253 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/18(木) 19:13:54 0
>>250
「承知しましたわ
 さらわれた子供を助けるという内容に文句はございませんわ
 丁度やることが無くて困っていたところですし…」
【内容を聞いてすんなりと頷いて引き受ける】
【オークは好戦的で貪欲で下劣なモンスターで、最も嫌っている対象である】
【ウサ晴らしには持ってこいの相手と言える】
【また、子供をさらったというのが許せない】
【しかも、新しい武器を使わせてもらえるらしい】
【断る理由が無い】

「けれど、一つ納得のいかない点がございますの…
 オークと言えば、好戦的で貪欲で下劣なモンスターですわ
 本当にさらうなどと言った回りくどい真似をするんですの?
 オークに襲われて、その場で食い殺されなかった方を見た事がありませんもの
 お肉の柔らかい子供など、先を争って貪られるはずでしょうね」
【食べるか「ヤる」かぐらいしか考えの及ばない連中のはずである】
【面倒くさがり屋で、何でもかんでもその場で済ませたがる】
【そんな連中がさらうなどという回りくどい真似をするのだろうか?】
【親分であるオークキングの命令ですら背くというのに…】

254 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/18(木) 19:15:59 0
>>249
「既にアンノンさんから聞き及んでいますわ
 よろしくお願いしますわね」
【シトリンの手を取り、改めて握手をする】

255 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/19(金) 01:47:22 0
「わたくしはメディナ、メディナ・スフォーイですわ」
女が自己紹介をすると、周囲の二人が反応した。
名家でもあるのだろうか?
(言われてみれば…)

メディナの姿をよく見てみる。昨日の戦闘では無骨なイメージさえあったが、
良く見ると顔立ちに気品があり、体つきも良く育っている。
(この姿でこの俺とまともにやり合ったのか…興味深い女だ)
女というと男に守られるもの、欲望を満たすもの、という先入観を覆された。
「メディナ、か…覚えておいた」

シトリンはというと、やたら怯えた表情をしていた。
グレゴリから明らかに支線をそらすような態度を取っている。
(怖がらせてしまっただろうか…)
一通り食事も終わり、もう一杯蜂蜜酒を頼むと、グレゴリはその怪しげな男に
注目した。男がアンノンと名乗り、話を続ける。
ディエゴの話もあったが、彼は仲間とは言いつつも心の中では自分よりも弱いディエゴを
見下していた。そのまま何事もなかったかのように話を聞く。

修道士らしいが、恐らくは仮の姿だろう。事件の内容、依頼の内容も怪しい。
(チッ、捕らわれたのは女ではなくガキか…それにしても…)
グレゴリからすれば、すべきことはこの二人の女をキープしながら
このアンノンという怪しげな男の素性と例の襲撃との関係を探ることぐらいだった。
直感だった。こいつに関わるのは危険だが、何かしら情報は掴めるだろう。
丁度しばらく敵を斬っておらず、ストレスも溜まりつつあった。

そうとなれば決まりだ。
「良いだろう…ただし条件が二つほどある。一つは俺ら三人だけでやるってこと、
つまりてめぇは来るなってことだ。もう一つは前金だ。悪いが俺は防具の修復で
金欠でね。できたら報酬額も聞きてぇがな」
グレゴリ残った蜂蜜酒を一気に飲み干すと、伸びをして分厚い大胸筋をバン、バンと叩いた。

256 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [] 投稿日:2008/09/20(土) 00:08:59 0

シトリンとメディナ、このふたりは話に乗ってきてくれたようだ。特にシトリンは子供たちの運命を
思い胸を痛めている様子で、かなり積極的に考えはじめている口ぶりだった。

(本当ニ 信ジヤスイ女ダ。其ノ信念ト感情ノ豊カサガ 強サニモ ソシテ余リニ脆イ弱サ トモナル。)

もっともな質問です、と言わんばかりに頷き二人に向かって返答する。

「まず相手の人数ですが これははっきりとは判っていません。ナイフ投げ師の話では10人前後の
オークが襲撃に参加していたそうですが3〜4人は返り討ちにしたようです。
しかし、彼は子供たちと共に移送されている途中に意識を取り戻し、なんとか逃れてきたようなの
ですが もしかするとその「移送先」に襲撃に参加しなかった者がいる可能性も否定できないのです。
そしてレディ メディナのおっしゃる疑問ですが、それこそ私がこの相手を恐れる一番の理由でもあります。
彼らを統率するものの存在、襲撃の被害者を生きたまま連れ去る 何らかの理由を探らねばならないと思
うのですよ。」

本当にそのとおりだ、あの部隊は特に今回のような命令は受けていないはずだった。しかもダーバイからも
奴らが何らかの作戦を担っているなどという話はきいていない。我々の知らない何かが起こっている可能性
も無視するわけにはいかなかった。

さて・・この二人はとても無垢で扱いやすかった、当の本人達は世間慣れをしていると勘違いしているかもしれな
かったが まだ「人助けをする」というところまでしか頭が廻っていない。彼女達は人助けのために向かった先で「自分
が助けを必要とする」羽目になるかもしれないというところまで考えが及んでいないのだ。
其の点、良くも悪くも多くの修羅場を潜り抜けて来たであろうグレゴリは無謀なようで慎重であったようだ。
参りましたね、そういった風に肩をすくめるとグレゴリの目の奥を見通すように彼の顔を見つめてザルフォは答えた。

「まず前金の件ですが先程お話したとおり 今はあまり持ち合わせがありません。しかし皆様の宿代は私が持たせて
いただきますし・・」
そう話しながら懐から幾つかの宝飾品を取り出し3人の前にそっと置いた。それほど価値はない筈だがそれなりに目
は引く安ピカ物だ。しかしこの手の金品に食指を引かれる部下が少なからず居ることから報酬として与えるために日
頃から機会があるたび回収しておいた物だった。
「これはキャラバンの彼らが残した持ち物です。彼らには一座の者以外に身寄りというものがありません。このまま朽ち
させていくよりは子供たちを救うために貴方達にお渡しするほうが彼らの遺志に適うと私は考えます。
そしてこれは今 私が提供できる精一杯のところです。」
そう言ってそこに微かに曇りを纏った双頭の狼を浮き彫りにした銀貨を2枚加えた。傍らで空になった食器を片付けて
いたルイーザが滅多に拝めない銀色の輝きに思わず「ほぅ・・・」と溜息を漏らす。
「そして報酬ですが・・皆様にご満足いただける報酬がお支払いできるとはおもえませんが、はじめに申し上げたように
修道院の別棟にある武具のなかから幾つかお持ちいただいてもかまいませんし、もし数日時間をいただけるなら 皆様
の武器に祝福儀式を施して魔化させることも可能です。今は一刻を争いますので事が済んだ後となりますが。」

そういって順に3人の顔を見渡していく。シトリンは目立った武器を帯びていないのでこの報酬には魅力を感じないかも
しれないが 残りの二人にとっては大きな撒き餌になるだろう。戦場で武器を失うことはまさにその後の人生全てを失う
ことに繋がってしまう事態だ。しかし魔化儀式の行なわれた俗に言うところの魔法武器は溶岩に叩き込まれたりドラゴン
のブレスで吹きとばされるようなことでもない限り まず損なわれることがなく戦いを生業とする者ならばまさに喉から手が
出るような報酬といえるだろう。問題は魔化の為にどのような『魔力』が使われるかだが武器を振るう者には関係のないこと
であるし 彼らが引き受けてくれて今後も役に立ってくれるならばザルフォにとっても惜しくない報酬だと思えるのだった。

「ナイフ投げ師が運ばれていた方角からおそらくオークたちは既に閉山している廃鉱山に向かったものだと推測されます。
私もそこへの案内と 皆さんに何かあったときの補佐の為に赴かねばならないと考えていたのですが 本当に皆さんだけに
任せてもよろしいのでしょうか?」

そういってグレゴリに判断を委ねた。

257 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/20(土) 02:14:48 0
「10人だと・・・!」
数を聞いて目が丸くなった。
2・3人程度だと思っていたが、これは予想外だ。ターゲットの数があまりにも多すぎる。
この人数では太刀打ちできない。
ザルフォがいたとしても、返り討ちにあうのが落ちだ。
グレゴリとメディナはかなりのてだれだが、7人もの数を相手にするのはかなりきついはずだ。
魔法を使えばある程度抑えることができるが、ほかのオーガによって、呪文を妨害される可能性もある。
(下手したら・・・)
頭の中に嫌な光景が浮かんだ。
メディナとグレゴリの上半身と下半身が二つに分かれる形で転がっている。
辺りは血によって真っ赤に染められ、臓物が彩りを添えている。
オーガの手には棍棒。
肉片が付着した棍棒を手に持ったまま近づいてくる。
棍棒がシトリンの頭の上に振り下ろされ・・・
(それはいや)
急に背筋が寒くなった。
子供たちの身も大事だが、自分の身も大切だ。
でも、いまさら首を振ることもできそうにない。
グレゴリとメディナややる気いっぱいだ。
いまさら逃げるわけには行かない。
(あ・・・まてよ・・・)
頭の中に石ころが浮かんだ。
黒や白、無数の穴が開いた軽石みたいなもの。中には透明なものまである。
(でもな・・・)
安いものでも銅貨10枚。高いもので金貨1枚。
一番安物でも宿屋に3日ぐらいは泊まることのできるぐらいの価値がある。
そういった事情もあるので、普通はわざわざ買うことはせず、自分自身で石ころを拾い、呪文を封じ込めるのが一般的だ。
(とはいえ、作ってる暇もないしな・・・)
石に呪文を封じ込めるのは、簡単なものでも1時間ぐらいかかる。
それを待っていられるだけの時間はない。
一分一秒を争うのだ。
(仕方ない。買うことにするか・・・)
ため息をつきながらグレゴリの判断を待つことにした。

258 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/20(土) 10:14:41 0
「それでは全てはっきりしていないのも一緒ですわね…
 謎ほどこの手の任務でこなす上で危険極まりないものはありませんわ
 普通の神経の人間ならまずお断りでしょう」
【普段なら断るところだが、何やらおかしな状況が起こっていることを感じ取っている】
【言ったように、謎であるということは極めて危険である】
【しかし同時に、その謎を知りたいという人の欲求を引き付ける】
【警戒心よりも、謎であることに対する好奇心が勝ってしまう】
【また、か弱い子供を見捨てるような非情はプライドが許さない】

「けれど、今はそんなことを言っていられる状況ではありませんもの
 わたくしはこの話、改めて乗らせていただきますわ」
【即断即決、迷っている暇は無い】
【他の連中が行かないと言っても私は行く】
【この程度の任務、こなせなければスフォーイに返り咲くことなどできはしない】
【失敗して朽ち果てても、私はその程度の女だったということになるだけだ】

「報酬に関しては、わたくしの方はご心配なく
 お金は結構ですわ、路銀にはさほど困ってはいませんもの」
【事実、その通りだ】
【スフォーイ家に縁のある者が、私の旅を支援してくれている】
【お金に困らないのはそのためだ】
【むしろ、武具の強化や修理に困ることの方が多い】
【だからこそ、新しい武具を使わせてもらえるというのは非常に有難い】

「グレゴリさんたちはどうされますの?
 わたくしは一人でも向かいますわよ」
【腕を組み、グレゴリの返答を待っている】
【結局、食事にはほとんど手を付けなかった】
【不味そうには見えなかったが、宿の酷さに嫌気が差していたからだ】

【一方、宿の外ではザルフォたちの食事の様子を覗き見る影があった】
【シーフのような目立たない格好をした密偵である】

密偵「やはり、メディナ様に間違いないか…
    エイゼル様にご報告せねば…」
【密偵は脱兎の如くその場から駆け出す】
【目指すは、町の中央にあるエイゼル騎士団の駐屯本部である】

259 名前: ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/20(土) 20:23:57 0
敵役がいない・・・
どしよ(汗


260 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [] 投稿日:2008/09/21(日) 00:01:38 0
私は所詮オーガですので とりあえず今回の話ではオーク達を担当しますし、
皆さんの動き次第では盛大に悪業の限りを演出するつもりですよ〜。


261 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/21(日) 01:36:27 0
いまいち状況が分からないけれど、敵役が(それも強敵クラス)必要なら、
一回こっきり(このシチュエーション限定と言う意味ね)で酉付けて参加しようか?

ただ、雑魚の扱いはうまくないと思うんで
フォローもらったり辻褄合わなかったりで足を引っ張る可能性もあるけどさ。

262 名前: ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/21(日) 01:47:36 0
>>260
よかった。
そういってもらえると助かります。
こっちも、徹底的にやるので、よろしくお願いします。

>>261
お願いします。
強敵クラスのがぜんぜん足りなくて、困ってたんです。


263 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/21(日) 21:04:57 0
グレゴリは気だるそうな表情でアンノンの話を聞いていたが、
敵勢力がオークであることを聞いて、次第に気持ちがはやるのを感じていた。
オークといえば自分を窮地に陥らせた相手だ。
運がよければ以前戦ったガダーシャという女オークの姿もあるかもしれない。
できれば人間相手に試し切りをしてみたかったのが正直なところ、だが。
(試し斬りには多少、でか過ぎる獲物だが…)

また、前金となる宝石にも目を惹かれていた。そのうちの一つである大小の宝石を
ちりばめた飾りは、今グレゴリが持っているどの宝石よりも価値があるように見えた。
「ふん…まぁこれぐらいなら順当だろう」
それと銀貨を手に取る。しかも報酬は貨幣ではないとはいえ、修道院の武具、
しかも魔法武器まで作ってもらえるらしい。どこまで本当かは分からないが、
今まででも特に十分といえる報酬額である。そして何といっても、
(修道院…か。この際だからたかれるだけたかってやるか)

視線をシトリンの方に向けると、いつになく弱々しい感じで
こちらに同意を求めているようである。それに力強く頷いて応えてやる。
「グレゴリさんたちはどうされますの? わたくしは一人でも向かいますわよ」
メディナはというと、完全に乗り気のようだった。勿論女一人に行かせるグレゴリではない。
「それで、いいだろう」
僅かに口元を緩めながら、グレゴリは静かに答えた。
「場所を記した地図でもあれば上出来だな。なければ途中まで来てくれ。
さっき言った通り、俺らは三人だけで何とかする。オーガどもは力はあるだろうが、
頭はねぇだろうからな。行くか」
グレゴリは席を立つと、軽く体を横に何度か捻った。
バキバキ、バキバキと上腕筋と胸筋が軽快な音を立てる。そのまま大きな金属音を
立てながらヘヴィアーマーを付けた。

264 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/22(月) 00:30:30 0
朝食を終えて約半日、連れ去られた子供の状態が不明なことと負傷者が出たときのことを考え、驢馬に引かせた荷車を
調達したうえで彼らはオークたちが根城にしているという廃鉱山の傍までやってきていた。
あと2〜3時間もすれば薄暗くなってくるだろうか、虫喰いで立ち枯れた木々の植わった山肌の中腹にさしかかると ザルフォ
は右手を伸ばして皆を押しとどめた。
逸る様な表情でこちらを見返すグレゴリを押しとどめると皆に向かって口を開く。

「見てください、あれが例の鉱山です。しかし変ですね、それらしい姿がまったく見えません・・」

ローブから突き出したザルフォの指差す手の向こうには擂鉢状になった露天掘りの鉱床が広がっていた。もともと崩れた山肌
に露出した鉱脈を直に削り取っていく形でひろがっていったものであろう、通常思い浮かべるトンネル状に掘り進む鉱山とは違い
地表に露出した部分で採掘が行なわれるタイプの鉱脈だった。
此処から見える限りでは幾つかの資材置き場らしき掘っ立て小屋が見えたが其の周囲に動き回るような人影は一つも見えない。

(オカシイ、ヤハリ何カ ガ 起コッテイル。我々モ知ラナイ何カダ!」

カラカラという空ろな音をその装束と杖から響かせながら3人の方に振り向き諭すように伝える。

「それでは私はここで待機しています。皆さんは子供たちの生死を確かめ、もし生存者がいれば救出してください。もし、いなければ
確認できしだい皆さんの無事を優先して脱出を、可能であれば彼らの規模と目的を探ることを任務としてください。」

そう言うと、懐から一枚の革でできた札状のシンボルを取り出してシトリンへと手渡した。札には死霊が潜ませてあり 遠方で起こった
出来事を知るための良い依り代となるものだった。

「グラハム嬢、これを預かっていってください。子供達を救い出すことが出来ればこの札を見せて『ブラザー アンノンに頼まれた』と
言っていただければ子供たちは貴方を信用してくれるはずです。」

これをシトリンが持っていてくれれば此処に居ながらにして彼らに起こった出来事を知ることができるだろう。

「そうそう、それから。もし必要となればこのビーズを口に含んで、、舌の裏に納めてください。これには好運のルーンが彫り込んであります。
これを口に含んでいる限り 戦闘に由る疲れを覚えることは無く 通常より夜目も利くようになると思います。ただし注意して欲しいのはあくまで
『疲れを覚えないようにする』だけで疲労は身体に蓄積しています。無茶をしすぎると突然倒れることになりかねませんので 必要ないときは
使わないようにしてください。 もし緊急の時には地面に吐き捨てていただいて結構です。間違っても呑み込まないように!」

そういって懐から取り出した禍々しいルーンの刻まれたビーズを3人に手渡す。見た目はビーズだが実際には戦場で倒れた戦士の霊が宿る
歯を加工したものだ。口中に含めば死霊の憑依をうけ、疲れを覚えず、闇を見通し、戦士の助力を得て戦うことが可能となるはずだ。

それらを渡し終えると前方を見渡したザルフォはある物を見つけて彼らに知らせた。

「あれを見てください、建物のすこし向こうです、鉱床の崩れた辺りに大きな空間が見えています。どうも あの山肌の下にはなにかあるようですね。
先程 人影が中に消えていくのが見えました!」








265 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 00:34:57 0
馬車に乗る直前、表通りにある店に向かった。
「よう。シトリンか、久し振りだな」
”魔法用品”と書かれた看板を通り抜け、中に入ると、長髪の男がカウンター越しに座っているのが見えた。
伊達眼鏡に白衣。
どこからどう見ても科学者にしか見えないが、こう見えても商人だ。
カウンターの上には赤、青、黄色、緑などの意思が整然と並べられ、一列に並んだフックにはネックレスがぶら下げられている。
「転位魔法の石3つをとりあえず頂戴」
男の目の前に銀貨を3枚置くと、意外な返答が返ってきた。
「あいにくだが、その石はない。それより、これはどうだい?」
男の手から石が飛び出してきた。
両手であわててそれを受け取ると、男が迫ってきた。
息は肌に触れるのがわかる。
こういう人は嫌いだ。
体の中が真っ赤に燃えあがり、パチンという音が店の中に響いた。
「痛て。何もぶつことはないだろ。冗談だよ。冗談」
男は真っ赤に染まったほほに手を当てている。
普通、平手打ちをされたら、落ちるはずなのに、眼鏡が落ちることはなかった。
「で、この石の効果はなに?」
もう一度食らわせてやろうか。
などととんでもない言葉を考えていると、急に男の顔が真面目になった。
「ああ……効果か。吹雪の魔法だ」
「それなら、悪くないわね」
石を懐にしまい、店を後にした。


266 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 00:52:01 0
それから数時間後、ほろ付きの馬車に乗せられて、ついた場所はとんでもないところだった。
「ま、まって…」
息を切らせながらザルフォの後をついていくと、ザルフォの足が止まった。
木の幹にもたれかかりながら、ザルフォの手が指し示す方向を見ると、露天掘りの鉱床が広がっているのが見えた。
「何これ〜」
見渡す限り、どこまでもどこまでも広がっている。
シトリン・グラハムは町を出たことはあまりない。
疲れも忘れきょろきょろと見回している。
「どうしたの?」
からからとうつろな音が杖から聞こえてくる。
何事かと思い、ザルフォのほうを向くと、一枚の札を渡された。
「何これ?」
その札は革でできており、何やら模様が刻まれている。
でも、聞いても効果を教えてくれなかった。
「うん。わかった」
よくわからないけど、首を縦に振り、札をしまった。
とにかくこれを子供たちに見せればいいらしい。
「そうそう、それから。もし必要となればこのビーズを口に含んで、、舌の裏に納めてください。これには好運のルーンが彫り込んであります。
これを口に含んでいる限り 戦闘に由る疲れを覚えることは無く 通常より夜目も利くようになると思います。ただし注意して欲しいのはあくまで
『疲れを覚えないようにする』だけで疲労は身体に蓄積しています。無茶をしすぎると突然倒れることになりかねませんので 必要ないときは
使わないようにしてください。 もし緊急の時には地面に吐き捨てていただいて結構です。間違っても呑み込まないように!」
さらに丸いビーズを手渡された。
ビーズの色は象牙色。
アクセサリーか何かかと思ったが、ルーン文字が彫りこまれているのが目に入った。
のみこんだら、どうなるのだろうか。そんなとんでもないことを考えながら、ビーズを胸ポケットにしまい、ザルフォが指し示したほうを見た。

建物の向こうに暗闇が口をあけている。
人の姿はなく、人がいないようにも思えたが、かすかだけど足跡のようなものが見えた気がした。


267 名前:261 ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 01:00:49 0
他の参加者は黙ってるけど、いいのかな?
いいならまずはテンプレを投下するけど・・・
それに、よかった場合でも現状だと廃坑内部の状況が分からないから
導入を書いたはいいけどザルフォ氏の考えと反する内容だと個人的にまずい。

268 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 03:35:53 0
自分は鉱山の中には闇王軍に手土産を持って参入しようとするオーガにとってジャマな第三者でもだして
皆さんの行動しだいで利害の一致した一時的な味方である敵のままでいくか、場合によっては計画が破綻して
許せないような暴虐の限りを尽して去る敵になるか・・といったかんじで考えてました。

が!

GM的な第三者が現れてくれるなら大歓迎です。わたしも楽しんで無茶できるようになりそうですから よろしく
おねがいします!

269 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 04:00:31 0
ネタバレ的に考えていた状況を箇条書きしておきます。
問題なければ スカッと無視してもらっても結構です。

・鉱山地下に昔、闇王軍が使っていたが所在不明となっていた施設があった。
・この付近に斥候が派遣されていたのは末端には知らされていなかったがこれをさがすため。
・露天鉱脈に巣くっていた雑魚闇王軍のオーク達は大半が施設内のセキュリティと相打ちになって死亡済み。
・人影と足跡は見張りに残されていたオーク、戦力はショボショボ、3人にかかれば速攻。ただし半分ゾンビ状態。
・オークはインファーナル(地獄語)のルーンを焼印されていて奴隷化されていた。これはデモノロジスト(悪魔術師)のしわざ。
・フリーのデモノロジストがこの施設を見付け、オーク部隊を手下に使って活性化し、これを手土産に闇王軍に参入を
 試みていた。
・奥に進むたびにオークの死体発見、最終的に巨大魔法陣とそれに付随する魔法円内のデモノロジスト。
 部屋の四方にルーンの刻まれた石柱が立っており、それを活性化させないためにキャップ状の石頭が乗せてある。
 其のうち二つは既に倒れており 其の作業はデーモン風の仔鬼がおこなっている。これが攫われた子供たち、石柱の
 封印を解くたびに呪われて悪魔化していっている。これを代行させるために誘拐が必要だった。
・デモノロジストは石柱の封印を解けば魔方陣内に現れたデーモンを魔法円内にいる自分が操れると思っている。
 しかしじつは封印が解けた時点で魔法円内の生贄(悪魔術師)は分解され、地獄を通って魔法陣内に巨大デーモンとして
 再構成される。
・この装置は兵士を魔物兵化するものだったのだ!

さあ!戦闘だ!

といったかんじで考えてました。

一応 約束した報酬もきちんと払うつもりです。3通り程パターンを考えていますが死霊術師的に『誠意』を尽すつもりでありますよ(邪悪な笑


270 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 07:42:51 0
「………」
【馬車に揺られながら、新調した装備を見定めていた】
【洗礼銀で出来た防具は貴重なので、全て鉄製のものに交換したのだ】
【そして、それらは現在町の預け屋に置いてきている】
【少々重いが、単純な硬さなら申し分は無い】
【無骨で色気が無いのが女性としては不満の残るところではあるが…】

「住処の入り口に見張りすら居ないなんて…
 罠の可能性もありますわね、しかし…」
【鉱山入り口付近の人気の無さにこちらも不信感を覚える】
【しかし、猪突猛進のオークに罠を張る知恵などあるはずがない】
【何やら、常識では測れない事象が起こっているのか?】

「ええ、分かりましたわ
 …すぅー、はぁー」
【一言そう言うと、鉄製のナックルガードを締め直し呼吸を整える】
【高ぶる感情を抑えるために必要なことである】
【クールさを装っても、激しやすい性格は隠しきれるものではないからだ】

「まあ、いろいろとありがとうございますわね
 それが必要となるような状況にならなければ良いのですけど…」
【アンノンからルーンの刻まれたビーズを受け取り、懐にしまう】
【しかし、単なる呪物でないことは一目見て分かる】
【この男、一体何者なのだろうか?】
【しかし、今は余計なことを考えている暇は無い】
【とにかく、今はオークの退治と子供の救出が最優先である】

「何ですって?」
【ザルフォの指示した方を向くと、確かにそれはあった】
【何者かの気が残留しており、只ならぬ雰囲気を醸し出している】
【オークのものとは波長が違う気もしたが…】

271 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 19:14:13 0
ナイフや食料などの細かい道具を買い込むと、グレゴリらは馬車に乗り込んだ。
シトリン、メディナという女達に対する支配欲も当然あったが、これから起こることが
予測できないこともあり、なるべく睡眠を取り、時には外に出て見張りをするなど、
グレゴリにしては真面目に動いていた。

「見てください、あれが例の鉱山です。しかし変ですね、それらしい姿がまったく見えません・・」
アンノンが指した先にあったのは巨大な鉱山の採石場のようだった。
グレゴリはこういう光景は何度か見ているが、人が全くいないのは初めてだった。
「ったく、気味が悪ぃ…」
淡々と話すアンノン。不気味な装束、そして杖が奏でる奇妙な音。
その雰囲気は皮肉にもこの風景に合っていた。

アンノンが何やら革で出来た札のようなものをシトリンに渡した。
(俺では信用ができねぇってか…まあ、無理もない)
次に彼は、妙な装飾品を全員に一個ずつ渡した。
アンノンは「幸運のルーン」と説明をしたが、それを真に受けるグレゴリではなかった。
グレゴリの手にそれが触れた途端、あの決闘での感覚を思い出した。
あの時、この男は確かにグレゴリに何らかの魔法をかけた。その時の感覚に、
非常に似ているのだ。僅かに震えるてを抑え、ひったくるようにそれを手に取る。
「ふん、こいつに世話になることは無いだろうがな」
早々にそれを懐に入れ、関節をボキボキと鳴らした。

アンノンが鉱脈の一部を指差す。人影がいた、らしい。
先ほどから何とも不自然な空気を感じる。
あらゆる事象がこの男の手の中で踊らされているような気がしてならないのだ。
(しかし、疑ったところで俺の必要な情報から離れるだけのような気もする…)
女どもの表情を一瞥してみると、やはり自分と同じような半信半疑の色を出していた。
ならばここは男として当然、取るべき行動がある。グレゴリは先頭を切ると、
シトリンとメディナの方を振り返って言った。
「おい、行くぞ。お前らは俺の少し後ろから付いて来い」
そして、金属音とともに山肌に開いた空間に向かって進んでいった。


272 名前:ウェズナー ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 21:38:24 0
名前:レイオン・ペルフェクティア
年齢:[誕生]から半年
性別:雌体
身長:180
体重:70台
スリーサイズ:92、59、89
種族:合成生物・完成体(見た目はエルフそっくり)
職業:殺戮戦闘体(闇王軍ではゲリラ部隊に所属)
性格:なし
魔法:使用不可能
特技:効率的な殺傷、敵性体の殲滅
長所:敵性体を一度の交戦で確実に殲滅すること
短所:自我がないため自発行動や臨機応変な行動ができない
装備品右手:刃渡り1,3mのバスタードソード
装備品左手:柄が長めの刃渡り70cmのショートソード(柄同士を付ける事で一本の武器になる)
装備品鎧:ごく普通のプレートメイル
装備品兜:マジックアイテムのティアラ
装備品アクセサリー:マジックアイテムのピアス
所持品:なし
髪の毛の色、長さ:足首まである銀髪
容姿の特徴・風貌:肌が土気色である以外はエルフそのものだが、エルフよりは肉付きがいい
趣味:なし
恋人の有無:なし
好きな異性のタイプ:なし
嫌いなもの:なし
最近気になること:なし
将来の夢(目標):なし
簡単なキャラ解説:闇王軍に所属するかなりイカれた悪魔術師ウェズナーが長い研究と
         実験の果てにようやく創り上げた完全無欠の殺戮戦闘生命体(本人談)
         殺戮道具であるため自我は存在せずあちこちに派遣されては
         敵対する勢力をことごとく殲滅してきた。
         ティアラは制御の、ピアスは遠隔操作の為の物、つまりレイオンはウェズナーの
         命令を受けて行動する、フレッシュゴーレムの上位版あるいは強化版といえる。
         中身はありとあらゆる生物の優れた部分を混ぜて呪術を施した肉塊で、
         斬られようが潰されようが再生してしまう上、上位竜の要素まで
         混じっているため、短時間だが一部分だけを硬質化させることができる。
         ウェズナーの最高傑作(本人談)で、古い言葉で『完璧』と言う意味の、
         ペルフェクティアと名づけた辺りにその自信の程がうかがえる。

>>268-269
了解、何とかがんばってみる。
せっかくここまで練られた代物、廃棄するにはあまりにももったいないんで
他力本願上等でほとんど(一部改変して)もらっちゃうよ。
あと短所の部分は、戦術レベルでは動けるけど戦略レベルは無理って事、かな?
例を挙げると、一対多の状態で誰から殺すとかはできるけど、友軍の援護とか奇襲とかは
自分じゃできなくてウェズナーの命令が必要ってことなのです。
・・・テンプレはこれでいいのかな?あと、体重が色々詰め込んでるくせに軽すぎだろって
言うのはウェズナーが呪術とかで軽くしたからと言うことで・・・名前は視点で変えるので
今はウェズナー、戦闘に入ったらレイオンになるので、とりあえずよろしく。

273 名前:ウェズナー ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 21:40:10 0
悪魔術師ウェズナーはようやく捜し求めていたものを見つけて廃坑中に響くほどの
笑い声を上げていた。最近の闇王軍の斥候の報告からめぼしい場所をほじくり返す事
35回目、やっと当たりを引いたのだから。しかもまるで自分の目的のために
予めあつらえてあったかの様に、作業をこなさせるのにもってこいの子供までいたのだ、
もって生まれた自惚れにますます加速がかかっても仕方がない。

生き残った下っ端オーク2匹と、恐らくオーク達が攫ったのであろう子供たちに、
地上ではすでに失われたインファーナルで隷属の呪印を焼き付け、支配下に置いた。
そのまま子供たちには封印開放の作業をさせ、忌々しいオークには外の見張りをさせる。
もっとも、ウェズナーが来た時点で子供たちは半ば悪魔化しており、
人間とはパッと見では分からなかったが。しかも個体差でもあるのか種族もばらばらだし。
「あやつらめ、ワシのレイオンを下種な目で見おって・・・本来ならすでに
 殺させておるところだが、あんなでくの坊でも見張りにはちょうどいい。
 ・・・ククク、レイオン。ワシの最高の作品よ、もうすぐだ・・・もうすぐだぞ。」
そういうウェズナーの、作品であるはずのレイオンを見る目も十分下種であった。
100年以上も前に一度だけ見たエルフに心を奪われたウェズナーのその情念は、
長い年月をかけて原形を留めないほどに歪み、その似姿を創ってしまうと言う所に漂着してしまったのだ。

ウェズナーはここが『デーモン兵製造施設』であることを知っている。
魔の瘴気で肉体と精神を蝕み魂を汚し、身も心も悪魔へと変えてしまう。
常人はおろか、神の加護を受けた高徳の聖職者までもがデーモン兵と化して
かつての同胞である人間に牙を向けたと言う、闇に埋もれた歴史がある。
ウェズナーの目的、それは自らの肉体を強靭な悪魔へと昇華させること。
天賦の才と弛まぬ努力で数多くの延命措置を自らに施してきたが、肉体は
限界を迎えようとしていた。このまま死んで死霊魔術師に支配されるなど、
ウェズナーには耐えられない事、そこで製造施設に目を付けたのだった。

見張りをしているオークたちは、オークの序列の中でも最底辺の存在であり
食欲と性欲だけは平均以上であるにもかかわらず、戦闘関連のことは
からっきしで十人並のオークにすらバカにされている。つまり落ちこぼれ。
そんなダメオークの典型と言っていいそいつらは、まだグレゴリ一行に気づかないでいる。
体型もグレゴリ並で、オークの中では明らかに小柄。その上隷属の呪印で無理やり
満足な食事もとらずに見張りをさせられ続けていれば、もともと大した事のない集中力など
簡単に枯渇するし、地に足踏ん張るのも無理と言うものだ・・・

274 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 22:49:25 0
「おい、行くぞ。お前らは俺の少し後ろから付いて来い」
初めて会ったときはてだれの剣士だと思ってた。
二度目にあった人は怖い人だと思った。
そして、それは今も変わらない。
ぽきぽきと音を立てるのも怖いし、声の調子もすごく怖い。
どう説明すればいいのか、適切な言葉が見つからないけど、怖い。
「はぃ…」
肩をすくませながらそう答え、グレゴリの後に続いた。
中は真っ暗闇。
魔力が込められた石を買ってきたついでに用意してきたランタンの明かりをともした。
グレゴリの背中がランタンの光を受け、その脇にあるしゃれこうべがオレンジ色に染まった。
しゃれこうべはシトリンのほうを向いている。
「ひぃ…」
素っ頓狂な声をあげ、岩肌を照らす部分が左右に揺れた。
ランタンが落ちたのは奇跡としか言いようがない。


275 名前: ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 22:52:27 0
訂正:
× ランタンが落ちたのは奇跡としか言いようがない。
○ ランタンが落ちなかったのは奇跡としか言いようがなかった。

276 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/24(水) 00:55:30 0
「お手並み拝見といこうか。」

3人の姿が鉱山の方へと小さくなっていくとザルフォは枯れ木の間を縫って少し離れた場所へと
移動した。
倒木の密集した窪地を見つけ、辺りになにも居ないことを確認すると窪みに身を潜めるようにして
身体を隠す。

(マズハ 術ノ間ニ 私ノ身ヲ守ル為ノ 用意ヲ セネバナ) 

そう考えると右手の杖をフードの陰へと引き寄せて杖に宿したディエゴに命令する。

『私が術を行なっている間、この周囲を警戒して近寄る者があればすぐにしらせろ。問題がなければ
侵入者の生命のエッセンスはお前に与えてもかまわん。』

杖に下がったビーズが現実のものではない風に煽られて翻ると、なにもなかった空間から染み出すよ
うに霞懸かった青白い人影が現れた。現れたディエゴの死霊の姿にはすでに生前の面影は無く、滑る
ように宙を舞いながら林の奥へと消えていった。これで誰かが忍び寄ってきても不意打ちをうけることは
ないはずだ。

「さて、いったい何が起こっているのか楽しみだが。」

そのままその長身を折りたたむように座ると、静かに目を閉じシトリンに手渡した札と同調するために
集中をはじめる。

小鳥の囀りはおろか 羽虫一匹姿を見せないくすんだ木々の中でザルフォの禍々しい呟きが続く。
しばらくするとザルフォの閉じられた瞼の隙間からどこか緑繋った不浄な輝きか零れだしてくる・・
その脳裏には札を媒介にして 周囲を警戒しつつ崩れた山肌から暗闇へと侵入していく3人の姿が
ありありと浮かび上がっていた。

277 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/25(木) 00:01:23 0
>「おい、行くぞ。お前らは俺の少し後ろから付いて来い」
「分かりました…
 先頭は任せますわ」
【そう言って、道を譲って先頭に立たせる】
【本当は後ろに立たせたかった】
【こんな重い鎧を付けた男が、静かに行動するなど難しいからだ】
【案の定、鎧の摺れる音や金属音が鳴っている】
【私は頭を抑えながら、文句を言おうとする口を制止する】

「シトリンさん、あなたさっきから無駄な気の揺らぎが多いですわよ!
 本命に出会う前から怖気づいて、死にたいんですの?」
【しゃれこうべを見て驚いているシトリンを見かねて、さっと近付く】
【小声で言い聞かせるように、シトリンの両肩を持って言う】
【グレゴリを前にして、気を乱しているシトリンを見ていて歯がゆくなってしまう】
【この編成で本当に任務をこなせるのだろうか?】

「はあ…、お互い先が思いやられますわね…」
【そしてまた、自身の気の揺らぎやすさにも嫌気が差す】
【師の下で随分と修行したが、激しやすい性格だけは直らなかった】
【気を扱う者にとって致命的な欠点であるということが分かっていながら】
【最後尾でシトリンの後ろから着いて行く】

278 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/25(木) 02:56:59 0
ええと見張りのオークなんですが私が動かして 返り討ちにあってもいいでしょうか?
ちょっと丁々発止の殺し合いがしてみたいな〜などと思っているのですが。

279 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/25(木) 18:01:21 0
【どうぞ、先に書いてもらえると助かります】

280 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/25(木) 20:25:06 0
まるで肉を剥ぎ取られたような激痛に絶叫を張り上げながら 白煙を吹き上げる傷口を押さえて
硬い地面へと彼は倒れ伏した。
『まほうのそうち』を使えるようにするために人間を狩り集めていたときのことだった。捕まえた二人の人
間のうち 雄のほうが忌々しいことに魔術を使い彼に手傷をおわせたのだ!

魔術師は『そうち』の一部である石柱に刻まれた謎のルーンから放たれる鮮血色の光に照らされながら
彼を見下ろして狂ったように哄笑をあげている。
彼の仲間も男の魔術をうけて地面を転がりまわっているか、いまではそちらのほうはエルフだとわかって
いたが雌の戦士が振るう二刀の武器にによって臓物を撒き散らしたまま動かなくなっているのだった。

魔術師の手に触れられることで激痛とともに焼き爛れたわき腹から 抑えていた手を離して白煙を見通す。
そうして傷口を確認すると彼の愚鈍な頭にも言い知れない恐怖が湧き上がってきた。

現れた傷口は手のひら大に水ぶくれて白く変色していたが 其の中心には黒く焦げたようにたった一文字の
ルーン文字が焼きついていた。そのルーンからは炭火のような淡い橙色の光が漏れ、攻撃を受けたときの痛
みとは種類の異なるまさに炭火がゆっくりと燃えていくような内臓を焼き潰していく痛みが広がっていく。
動けるうちになんとかしなくては!そう考えて彼は必死に起き上がろうと足掻いていたがその思いも空しく頭を
落とし地面にぐったりと横たわった。
憎々しげに魔術師を睨みつける翳んだ視界の中にはいった石柱のルーン文字が、自分の脇腹に焼きついたものと
同じ種類のものだと気づいたのはその時だったが彼にとってはそんなことはもうどうでもよいことだった・・・。
                                   ・
                                   ・
(うごくものがいたら ころす ちかよるものが いたら ころす うごくものがいたら ころす ちかよるも・・・・)

あれからどれぐらい時間がたったのだろうか?すでに脇腹の激痛は無く ただ全身をジクジクと蝕むような熱が
支配している。
彼の身体は青白く変色し麻布のように表面が荒れていたがさらにそこ此処に細かなひび割れ状の傷が走り、細い
白煙と微かな光が傷口から立ち昇っていた。
その有様は焼き付けられたインファーナルの隷属のルーンに体内を食い潰され、赤く焼き爛れた腐肉の人形と化
していることを顕しているのであった。

立ち尽くすオークの耳に、曲がり角の向こうから重々しい甲冑の響きとともに 数人の人間の話声が聞こえてきた。
暗がりを照らす明かりがこちらに近づいてくる。オークはウェズナーに命令されたとおりに侵入者を打ち倒すべく暗がりから
身を起こすと渾身の力を込めて手に握った分厚い山刀を現れた影へと叩きこんだ!
                                   ・
                                   ・
岩穴にはいってしばらく進む。背後でシトリンが持つランタンの光が大きなグレゴリの背中越しに闇を照らし、照らされた
岩肌に現れたグレゴリの影に付き従うように三人は奥へと進んでいった。
「ひぃ・・・」
「シトリンさん、あなたさっきから無駄な気の揺らぎが多いですわよ!
 本命に出会う前から怖気づいて、死にたいんですの?」
背後でシトリンとメディナがなにやら話している。
(大丈夫か?こいつら)
そんなことをグレゴリが考えていたとき、先頭を歩いていたグレゴリの鼻に微かに肉の焦げる匂いと硫黄の香りが漂ってきた。

そのときだった!
まったく殺気を持たない『何か』が壁の暗がりからその身を引き剥がすようにして出現し、両手で握った短く分厚い山刀をへヴ
ィアーマーのショルダーパーツにたたき付けたのだ。
ギャリギャリギャリッ!!
金属の表面を掻き取るような音と火花を上げながらその刀身はグレゴリの鎧の表面を滑っていく。
こいつらが子供を攫った犯人なのだろう、襲撃者は筋張り痩せ細ったオークだったがその様子はとても尋常なものとは
思えなかった。
まるで幽鬼のように気配が薄く、しかし凄まじい斬撃を放ってきたのだ。先程の匂いの源はコイツだった、全身にはしる細かな
ひび割れから硫黄の匂いのする白煙を上げて 微かな橙色の燐光を放っている。
戦い方すら普通のオークとは違った。唸り声一つ挙げず、攻撃を繰り返すこともない。落ち窪んだ眼窩の奥の干し葡萄のような
萎びた目でジッとグレゴリを睨んだまま、凄まじい力で山刀を押し込んでくるのだった。

281 名前:シトリン・グラハム ◇YQFg90V7ew の代理投稿[sage] 投稿日:2008/09/25(木) 22:43:28 0
「そ、そんなことないよ…」
メディナが肩を掴んできた。
胸が目に入ってしまい、オーガの男のように顔の筋肉が自然と緩んでしまいそうになる。
それを押しとどめながら首を横に振るが、やっぱり、緩んでしまう。
(エロいことがしたいわけじゃないのに。なぜなんだろう…)
でも、メディナそんなことを気にならないようだ。
むしろ、シトリンに対して怒ったことに対して自己嫌悪に陥っている。
シトリンにはそんな風に思われた。



3人で行動を歩いていると、突然、オーガが切りかかってきた。
オーガの刀はショルダーパットに食い込み、ショルダーパットがきしんでいる。
「ん…?何あれ…」
オーガの体をよく見ると、皹みたいなものが入っているのが見えた。
脇腹にはルーン文字が刻まれ、淡い鮮血色の光を放っている。
眼窩は落ちくぼみ、干しブドウのように縮んでる。
体も青白く変色し、生気がない。
(アンデットか…)
シトリンの顔つきが変わった。
にやけきった顔が急にまじめなものに変わり、じっと奥を見つめだした。
坑道の外壁にろうそくの類が立っているものだが、廃坑のせいかここには存在しなかった。
シトリンが手に持っているランタンだけが唯一の光だ。
でも、その光が届く範囲には限りがある。
奥は暗闇に染まり、どこまでもどこまで線路が続いているのがわかるだけだ。
(さすがに近くであやっているわけないか)
肩をすくめ、視線を戻した。
グレゴリのショルダーパットはかなり耐久力があるのが、オーガの攻撃を受けても割れることすらなかった。
でも、それには限界がある。
力を加えられれば、どんなものでも、いつかは変形したりする。
陶器の類なら真っ二つに割れる。
(見物というわけにはいかなそうだな)
グレゴリという前衛を失うわけにはいかない。
シトリンは単なる魔術師。近接戦闘の経験はほとんどない。
せいぜい訓練でやったことがあるぐらいだ。

わが手の左に青き稲妻。
わが手の右に赤く染まった炎のやり。

シトリンの左手が青色に染まった。
同様に右手も真っ赤に染まり、手のひらと掌が重なった。
はた目から見ると間抜けそのものだが、これも立派な魔法だ。

今、赤と青が一つに交わり、雷光の槍とならん。
貫け。赤と青の光。ライトニングアロー!

赤と青が重なり、シトリンからオゾンのにおいが立ち込めだした。
静電気によってシトリンの髪の毛が舞いあがり、それはオーガやグレゴリ、メディナといえども例外ではなかった。

282 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/25(木) 22:56:57 0
代理投稿?

きになっていたことがあるので一つ確認を

私、ガダーシャ、ダーバイ、斥候部隊の死者はオーガ(食人鬼)

キャラバンを襲って子供を攫い、ウェズナーの下僕にされているのはオークですので
ご注意を!


283 名前:くっくぱー[sage] 投稿日:2008/09/25(木) 23:05:44 0
まあ冗談はさておき。

バスト90とか聞くと、男性はその人がCカップとか思っちゃうのかー。
何かもうかわいいねー。

284 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/25(木) 23:07:02 0
ごめん誤爆
超誤爆

285 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/09/25(木) 23:58:52 0
(妙な匂いだ…)
グレゴリは暗い岩穴の奥の方から妙な臭いがしてくるのを感じた。
死肉の臭いには慣れてはいたが、それ以上に嫌なにおいだった。
ふと後ろを振り返ってみる。シトリンの怯えようは相当のもので、
もはや初対面の時の凛々しい雰囲気は既になかった。

「なにっ…!」
グレゴリがそのもの凄い敵意に気付くや否や、彼のヘヴィアーマーは敵の
一撃を食らっていた。とっさに避けたためか、肩に巨大な山刀が食い込む。
敵はオークだった。否、ただのオークではない。それはもはやオークの姿をした
何者かであった。オークのような躍動感は感じられず、ただ殺意のみに突き動かされている
人形である。
「こいつ…死んでやがるのか…!」
ヘヴィアーマーも次第に火花を上げ、まるで悲鳴を上げているようだ。
そのオークは痩せ型ではあったが、それでも体重はグレゴリの2倍以上はある。
このままでは、アーマーが破損するのも時間の問題だろう。

グレゴリがオークの山刀を押さえていた片方の手を外すと、肩に手をかけ、
大剣を抜こうと体を引こうとした、その時である。
シトリンの魔術がオークを襲った。オークに隙が生まれる。
グレゴリも全く怯まなかった訳ではないが、この好機を逃す彼ではなかった。
そのまま半歩横に出ると、肩から大剣を解き放ち、大きく勢いを付けて
前に踏み抜け、オークの脇腹に重厚でかつ鋭い一撃を叩き込んだ。

286 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/09/26(金) 03:31:21 0
グレゴリの放った一撃は過たずオークの脇腹を捉える。
湾曲したその鋼の塊が獲物を捕らえたとき、グレゴリはそのオークが仮にアンデッドであったとしても
死肉を切り裂く確かな手ごたえを期待していたはずだ、しかしその期待は思わぬ形で裏切られることとなった。

まるで朽ちた丸太に斧を打ち込んだときのように何層もの組織が砕けるような手ごたえがあり、ひび割れた
表皮が空中へと飛び散る。振りぬいたグレゴリの大剣の勢いに跳ね飛ばされるようにオークは傍の岩壁に激突し
坑内中に響き渡るような音を立てて壁から崩れた岩石とともに そのまま足元へと崩れ落ちた。
しかし舞い上がった土埃がおさまってみると、グレゴリの攻撃をなんら問題としないかのように オークは手に持
った山刀を握りなおすと 声も上げずにゆっくりと立ち上がった。

大剣に抉られた脇腹には一文字に大きな傷口が開いているが そこからのぞくものは血潮に濡れた肉ではなく
またアンデッドの緑がかった死肉でもなかった。
それはボロボロと細かく崩れる淡く橙色に輝く溶岩のような物質、ウェズナーのインファーナルのルーンによって
生きながら地獄の炎に蝕まれ変質した、あえて言うならば焼き尽された地獄の炭でできた人形とでもいうべき
存在に成り果てているのだった。

脇腹のルーンの下に新たに開いた傷、全身に細かく開いた隙間から地獄の光を放ちつつ、オークは手に持った
山刀を大きく振りかぶった。
その動作に大剣を構えて待ち受けるグレゴリ、しかしオークの狙いは眼前のグレゴリではなかった。
まさか切り結んでいる最中に自らの武器を捨てるとは!グレゴリの常識では考えられない予想の範囲をはるか
に超えた行動といえた。なんとオークはそのまま腕を振り下ろすと分厚い金属の塊である山刀を投擲したのだ。

その標的はグレゴリの向こうで戦闘を見守っている二人。

オークのその変質してしまった視界に不快な輝きを焼き付けてくるシトリンの持つランタン。
いまこの廃坑内でオークの体から漏れる光を別にすると唯一の光源にむかって山刀は放たれたのだった!





287 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/09/26(金) 21:23:34 0
代行:
【グレゴリですが、規制に巻き込まれたので解除まで空けることになります。
ご迷惑をおかけします。】

288 名前:メディナ(代理) ◇9L4i.FWuaQ [sage 代理投稿スレ380] 投稿日:2008/09/26(金) 22:03:24 0
「な、何ですの…、あれは!?」
【洞窟の奥から突如現れ、グレゴリに襲い掛かったモノの不気味さに思わず息をのむ】
【見た目は…、おそらくオークであろう】
【しかし、でっぷりと太った特徴的な腹は無く、痩せ細って筋肉と骨だけが目立っている】
【更に、お得意の威嚇鳴きをすることもなく、ただ無言に襲い掛かっている】

「本当にオークなのかしら?
 こんな…、まるでゾンビのようですわ…」
【山刀の一撃がグレゴリのショルダーアーマーに弾かれ、火花が散りと音が響く】
【その後、シトリンの魔法がオークを打ち据え、怯んだところへグレゴリの追撃が入った】
【すかさず行われた流れるような連撃を見て、さすがだと思った】
【だが、脇腹を割られ壁に叩きつけられてもなお、オークは反撃してきた】
【私の前に立っているシトリン目掛け、手に持っていた山刀を投げてきたのだ】

「危ない!」
【直感的にシトリンを押し退け、その前に立つ】
【瞬時に両手を構えて目を閉じ、回転しながら飛んでくる山刀の動きを気配で読む】
【そして、開眼と同時に両手を合わせ、寸前で山刀を白刃取りした】
【山刀は意外に重く、並みの人間に扱える代物ではなかった】

「重い…ですわね…
 お返し…しますわ!」
【キャッチした山刀をそのまま振り上げ、気合を込めて投げ返す】
【山刀は縦に回転しながら弧を描き、倒れているオークの脳天目掛け飛んでいく】
【白刃取りは、正直賭けだった】
【生まれて初めて成功させた大技に、内心喜びで胸が一杯になっていた】


【その一方…】

親衛騎士「間違いありません!
     斥候がメディナ様のいらっしゃる一行を見失ったのはこの辺りです!」
エイゼル「…むむう、豚臭い場所だな
     こんな場所をスフォーイ家の令嬢ともあろう者がうろつくとは…」
親衛騎士「この近くにはオークどもが巣にしている廃坑がいくつもあると言いますからな
     仕方ありますまい」
【そう言ってやってきた一団は、華やかな鎧に身を包み馬に乗った騎士団であった】
【エイゼル率いるフォンシュタット家お抱えの親衛騎士団である】
【エイゼルは相変わらず、白い貴族の礼服に身を包んだままである】
【数はエイゼルと側近の騎士二人を先頭に、20人前後で構成されている】

エイゼル「だがここまで来たからには、絶対に連れ帰って私の妻になってもらわねばな
     それが幼い頃より私と婚約を交わしているメディナ様…いやメディナの宿命だ
     私とメディナの結婚の時こそ、我がフォンシュタット家は安泰なのだ
     お前たちも、私と仕えるお家のため、一所懸命に働くのだぞ!」
親衛騎士一同「イエス、マスター!」
【自慢のミスリル製の細剣を振り上げ、部下の騎士たちを激励する】
【鎧と蹄の音を響かせながら、一行は再びメディナの探索に動き出す】

289 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/09/27(土) 22:07:38 0
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290 名前:シトリン・グラハム(代理) ◇YQFg90V7ew[sage 代理投稿スレ383] 投稿日:2008/09/27(土) 23:44:58 0
刀が宙を舞った。
飛んでくるかと思いきや、メディナが前に立った。
はずみでランタンが揺れ、ガシャンという音をたてた。
ランタンの炎は消え、壁際に転がっている。
「ありがとう」
メディナのおかげで命拾いはしたが、炎が消えてしまった。
そのせいで辺りは真っ暗闇。
唯一の光源は暗闇の中で真っ赤に光るルーン文字だけだ。
当然のことながら仲間がどこにいるのかわからない。
すごく怖いとシトリンは思った。
一人ぼっちや暗闇は苦手なのだ。
(落ち着け。明かりはいくらでもある)

私の手に集まっている赤き血潮よ。
わが手を離れ、火をつけよ。
その火によって暗闇を引き裂け。

明かりがないなら自分の手でともせばいい。震えそうになっている自分を押さえ、シトリンは明かりがつくことを祈った。


291 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/01(水) 22:23:35 0
(こいつは…何者なんだ…?)
一撃をまともに食らったはずのオークは傷口を押さえ、
全身に鈍く禍々しい文字を輝かせながら不敵に笑っていた。
さすがのグレゴリも、これには不気味と思わざるを得なかった。
オークはボロ布のような体で武器を構えると、それをこちらに投げつけてきた。
(しまった…女の方か…!)
気が付くとオークが投げた武器の軌道は後ろに向かっていた。
が、すぐさまそれが弾かれる。声からしてメディナがシトリンを庇ったのだった。
「ぬぅあぁ!」
すかさず、グレゴリは丸腰になったオークの方に向かうと一歩踏み込み、
先ほど斬りつけた傷口にとどめの一撃を見舞った。
「うッ!」
一振りした瞬間、影が揺れ、視界が真っ暗になった。
シトリンがランタンを落としたのだった。
さすがのグレゴリも夜目が利く訳ではない。
「お前ら、無事か?」
一歩下がって女達の安否を確認すると、暗闇に慣れるのををじっと待った。

292 名前:ウェズナー ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/01(水) 22:42:04 0
「ぬ?」
高笑いをやめたウェズナーの耳に聞き慣れない音が届いた。
これは・・・戦いの音。オーク同士が共食いしてるわけではないようだ。
「ふぬ、誰ぞ来よったか?
 子供らを助けに来た雇われと言ったところかのう・・・
 クヒヒ、愚かな話よの。いまさら来たところでもはや手遅れよ。」
ウェズナーの、もはや悪魔と化した子供たちを見る目は冷え切っている。
そう、すでに八割がた施設の副作用に侵されほとんど人間らしい部分は残っていない。
その上言動から察するに、子供らの意識も悪魔化しているようだ。

「こうなってはいかなワシでも元には戻せぬわ。
 まぁよい、このままワシの下僕として傍に仕える栄誉を与えてくれる。
 ・・・封印は後ひとつ、だが邪魔者が気にかかるな・・・
 手練ならば、インファーナルで地獄の尖兵と化したオークであろうと
 退けるであろう・・・レイオン! 支度せい。敵が来よるぞ。」
それまで何も見ていなかった最高傑作、レイオンは命令を受けて
プレートメイルを装着し始める。今までは一糸まとわぬ姿だったのだ。
衣服の類も付けずに鎧を着込むのは、体型に合わせているからであって
余計なものをはさむと動きに支障が出るからだ。
むろん、ウェズナーの歪んだ欲が介在していた事は想像に難くない。

293 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/02(木) 22:20:53 0
地に落ちる岩塊の転がる音が反響しながら空間に響きわたった。

ウェズナーが横目で音のする先を確かめると丁度部屋の入り口に残しておいた最後の一匹のオークがノロノロと
坑道の闇の中へと向かうところだった。外の入り口を見張らせておいた一匹もそう長くは持たないだろう。
今 援軍に向かった一匹が稼げる時間も 健闘して10分といったところだろうか
                               ・
                               ・
冷たい金属の表面、それが今まで叩き切った物がつけてきたのであろう無数の傷がメディナの掌には感じられた。
受け止めた山刀の勢いと重さを受け流すように両手で軌道修正し、体の周囲に旋回させるように頭上に引き上げると
さらに気合を込めて勢いを増した山刀をオークの頭めがけて投げ返した。
人間離れしたその行為に事を成し遂げたメディナ本人も嬉しさを隠せず、わずかにその口角が持ち上がり本人も知らずに
微笑を浮かべていた。
空を裂くように回転して飛ぶ山刀は狙い通りにオークの顔面を右のこめかみから左の顎下に横切るように捉え、その頭を
粉砕する!おそらくメディナも予想しなかった結果であろう。既に限界を超えて朽ちていたオークの肉体はその衝撃に耐え
られず その頭部は大きく二つの破砕片と化し 頭を失った体が肩から地面へと倒れ伏した。
思わず凝視する三人の前でオークの脇腹のルーンがひときわ明るい光を放つとグレゴリに与えられた脇腹の傷口と シト
リンの雷槍によってできた創傷、そして頭を失った首の傷口から溶岩のような体組織がボロボロと異常な速度で崩れ溢れ出し、
見る見るうちにオークは橙色の光と硫黄の匂いを放つ大量の汚泥の山と化したのだった。
しかし シトリンはランタンを取り落とし 床に流れ出た燃え上がる油の炎が照らしたものは闇の向こうから岩塊を踏み分け現
れた新たなオークの姿だった。
                           ・
                               ・
宙を睨み木々の間を見通す。
あれがディエゴの報告してきた騎士団に間違いない、揃いの鎧に身を飾りその数は20騎にもなろうか。
風に運ばれてくる騎士たちの話を聞きながらザルフォは目を細めていた。

(めでぃな・すふぉーい、訳有ッテ トハ ソウイウコトカ。)

シトリンの持つ皮のシンボルを通して見たオークとの戦闘を思い出しザルフォは騎士たちを値踏みする。

(騎士達ガ 合流スレバ 三人ガ雑魚ニ忙殺サレル事ガ減ッテ 良イカモシレンナ)


294 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/02(木) 22:27:53 0
[アクセス規制に引っかかる前に書いた物を手直しして投稿しちゃったのでグレゴリの
オークへの追撃分の描写が抜けて抜けた状態になってました、すいませんです。]

295 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/03(金) 02:43:39 0
ランタンから溢れだした油は炎の舌に舐められ、瞬く間に燃え尽きてしまう。
再び 暗闇の帳に閉ざされた坑道は三人の視界を奪い漆黒の闇の中へと封じ込めたのだった。

おそらく崩おれたオークの遺骸のなかに燃え残った骨を踏みしだくのであろう、枯れ木をへし折るような
音を闇の中で三人の耳に響かせながら全身に体内から仄かに溢れる地獄の炎を纏いつつ 新手のオーク
が近づいてくる。

なんとかその邪悪な光に縁取られた人影は確認できるが、その手に握られているであろう「武器」を
あのランタンが地面に落ちたわずかな時間で確認できた者が三人のなかにいただろうか?

「グゥラアァァァ・・・・・」

地の底から響くような声を上げつつ 闇の中でオークが突進してくる。おそらく何らかの致命的な「武器」を振り上げた
のであろう空を裂く様な音が木霊した!。


296 名前:知りトン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/03(金) 07:07:36 0
魔術師が行使できる魔術には制限がある。
氷しか使えない者もいれば、炎しか使えないものもいる。
だから、雷と炎しかつかうことができないシトリンが炎の魔法を使えなくても何ら不思議ではない。
あたりは相変わらず真っ暗闇のままで、どこに何がいるのかがよくわからない。
音でグレゴリとメディナがいることが分かるけど、場所はまではわかりはしない。
音を聞くだけで居場所を特定できる、格闘家とは違うのだ。
(やはり。つかなかったか)
シトリンはため息をつき、目をつぶった。
何者かが突進してくる音が聞こえてくる。
呪文を唱えて、バリアみたいなものを張ろうと思ったが、何かが空を切る音が聞こえてくる。
棍棒かモーニングスターか。
武器の種類はよくわからない。
(もはや間に合わぬか)
店で買った石を目の前に向かって放り投げた。



297 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/03(金) 07:26:43 0
ちょwww名前欄wwwwwwwww

298 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/03(金) 07:43:13 0
尻豚?

299 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/03(金) 09:40:21 0
>>296
名前間違えた。

300 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/03(金) 13:44:37 O
>>だから、雷と炎しかつかうことができないシトリンが炎の魔法を使えなくても何ら不思議ではない。
炎はつかえるの?使えないの?

301 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/03(金) 14:17:10 0
訂正
× 雷と炎しかつかうことができない
○ 雷と爆発系の魔法しかつかうことができない

302 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/10/03(金) 17:32:47 0
>「ありがとう」
「どういたしまして…
 けれど、わたくしの方は謝らなければなりませんわ
 唯一の明かりを台無しにしてしまったんですもの…
 …ごめんなさい
 先ほどのオーク…、始末できていればいいんですけれど」
【ランタンが破損し、こぼれた油に灯が点って辺りを薄く照らしている】
【しかし、視界は利かず真っ暗闇も同然である】
【不用意にシトリンを突き飛ばしてしまったことを激しく後悔する】
【私は音や気配で暗闇でもある程度戦えるが、二人にとって目は命である】
【ここは、一旦退いて態勢を立て直すしかないと思った】

「先ほどのオークと同質の気配!?
 くっ…、新手とは厄介ですわね…」
【硫黄のような異臭を放ちながら、新たなオークがまたもや出現する】
【撤退すらままならない状況に危機感を覚える】
【しかし、ここで出張らなくて何とするのか】
【このままでは、全滅してしまう】

「皆さん、下がってください!
 わたくしが抑えますわ!
 …!」
【気の流れと風を切る音を見極め、オークの突進に合わせて踏み込む】
【巨体だけが影で見え、武器の振り下ろされる音が響く】
【その瞬間、完全にタイミングを見誤ったことに気付く】
【こちらが構える前に、敵の攻撃が出てきていたのだ】
【受ける間も受け流す間もなく、右手にありったけの気を溜めてとっさに防御する】
【白い光の塊となって肉眼でも見えるほど、高密度の気である】

「あぐううぅ…ああぁぁっ!
 かはっ…わ、わたくしの手が…」
【気の塊にオークの一撃がぶつかった瞬間、衝撃と共に後方に激しく吹き飛ばされた】
【右腕を抑えようと思いながら、余りの激痛に身悶えする】
【それと同時に、驚愕させられた】
【いくら探しても右腕が「無い」のだ】
【私も直ぐには理解できず、痛みを堪えながら必死で探した】
【しかし、無い】
【よく見ると、右腕が「全て消失」していた】

「う、うそ、こんな…」
【気の塊を作り出し、物理的に敵の攻撃を受け止める防御技】
【しかし、これは緊急用で余り有効な方法ではない】
【高密度の気を固めて安定させるには、高度な技術と強靭な精神力が要求される】
【下手をすれば、暴発して媒体となった肉体の部位を吹き飛ばされる】
【今の私の右腕のように…】
【吹き飛ばされた右腕の接合部には赤い肉体組織や骨も見え、少量だが出血もある】

「い、今のままでは不利です…わ!
 わたくしに…構わず…、逃げて…ください!」
【残った左腕に気を纏わせ、右腕接合部からの出血を抑える】
【今は緊急事態、右腕を失ったくらいで正気を失ってなどいられない】
【痛みを堪えながら立ち上がり、グレゴリやシトリンたちに一旦退くように指示する】
【しかし、二人ともそんな自分の言葉など聞かず果敢にオークに反撃している】
【シトリンが、何かの石を投げたのが見えた】

303 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/10/03(金) 18:23:42 0
エイゼル「ええい、メディナはまだ見つからんのか!
       豊満な…ではなく高貴な体に傷でも付けば一大事だ!」
親衛騎士「エイゼル様、あれなる修道士に聞いてみてはいかがでしょう?
       何か知っているやもしれませぬぞ」
エイゼル「そうだな
       こんな辺鄙な場所に居るのだから、メディナたちの知り合いかもしれん
       聞いて来い」
親衛騎士「はっ!」
【側近の騎士が指差した先には、怪しい風貌の修道士が居た】
【側近騎士の一人が近付き、馬上から話し掛ける】

親衛騎士「おい、そこの修道士
       この辺りで金髪の高貴な美女を見なかったか?
       そのお方はフォンシュタット家のご令嬢で、我が主の婚約者なのだ
       もし情報が発見に繋がれば、相応の報酬をやろう
       申してみよ」
【刃を向け、不遜な態度で馬上から見下ろしている】

304 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 01:39:33 0
ザアァァァァッ・・・
突然の夕暮れの降雨が板屋根に跳ね返るような音が 炎の揺らめく坑道のなかでグレゴリと
シトリンの耳に届いた。と 同時に周囲に鉄の匂いがたち昇り 闇の中でメディナの悲痛な声が
響き渡る。
「あぐううぅ…ああぁぁっ!
 かはっ…わ、わたくしの手が…」
オークを視界の隅に留めつつ呻き声を漏らすメディナの姿を捉えた二人は岩壁に飛沫いた巨大
な人影の様にすら見える鮮血の跡と 左手で右肩を押さえて蹲まり、蒼白な顔をした彼女の
姿を見ることとなった。その右肩からはまるで冗談ででもあるかのようにしなやかな、しかし鍛えられ
た彼女の右腕が失われていた。

そのような薄闇の中、朽ちた化け物であるオークは悪視界を気にもせずメディナの右腕を消し去ること
となった得物を再度振り上げる。
それは無骨な鋼鉄の鋲が幾重にも打ち込まれた歩兵用のフレイルであったがメディナのすでに失われた
腕に込められた「気」の爆発によって、その先端から三分の一の部分がまるでねじ切られたかのようになって
失われていた。
しかしオークはそのねじ切られたフレイルのささくれだった破損部をまるで槍の穂先で有るかのように目の前の
三人の何れかに突き込もうとにじり寄ってくる。
そのときシトリンの手から石礫が放たれ メディナとグレゴリの脇を飛び、オークの胸板にぶつかると同時に
木っ端微塵に砕け散った!
一瞬の間の後、まるで轟々と燃える鍛冶場の炉から引き出された刃が水桶に漬けられたときのような凄まじい
水蒸気がオークの全身にある細かな罅割れから吹き上がり、三人の耳を弄するような轟音が響きわたった。
視界は真っ白な水蒸気に満たされて完全に閉ざされ、急激に周囲の温度が下がっていく・・・
グレゴリとメディナは着用している鎧の金属部分がまるで厳寒の野外に居る時の馬の蹄鉄のように冷えていく
のを感じ、急いで肌との接触部分に予備の衣服やボロ布を挟み込み凍傷と皮膚に張り付くことを防ぐ処置を施した。

魔法石を放ったシトリン自身もこれほどの効果を期待してはいなかったのではないだろうか。
薄着の身体を抱きかかえるように思わず身を縮め シトリンは白い息を吐きながら吹雪の魔法石の余りの威力に
眼を丸くしていた。
石に封じられていた吹雪の魔法はオークの周囲を荒れ狂い、インファーナルの炎と相殺する形でオークの
身体を蹂躙したのだった。
グレゴリの面前に立ち尽くしたままその動きを止めたオークの身体は脆く煤けた骨格に、まるで細かく砕いた
水晶の粒のような霜を纏った一つの彫像と化していた。
                                 ・
 「おい、そこの修道士
 この辺りで金髪の高貴な美女を見なかったか?
 そのお方はフォンシュタット家のご令嬢で、我が主の婚約者なのだ
 もし情報が発見に繋がれば、相応の報酬をやろう
 申してみよ」
普段、この男が彼の前でこのような態度を取ったならば騎乗している駄馬ごと引き裂き この地に永劫に呪縛して
終わりのない責め苦を与えてやるところだった。だが探索に向かった三人と計画の為にはその楽しみは諦めざるを
えない、そう考えてザルフォはへりくだった口調で馬上の騎士へと返答した。

「おお!貴方様はレディ メディナのことをおっしゃっているのですか?えぇ、私はかどわかされた子供を救い出すと
いう崇高なる探索の手助けをするべく供をしている者です。この老いた身では戦場では足手まといとなってしまいます
ので ここで帰還を待てと命ぜられたがゆえに こうして待っているのです。
では あそこに居られる方がレディ メディナの加護者と成られるお方なのですね!
私も一人でご帰還をお待ちしているのは気が気でなかったのです、もしよろしければミ レディ(我らが貴婦人)の元へと
ご案内させていただければ これほどの光栄はございません!」
そうまくし立てるとザルフォは視線を足元に落とし 親衛騎士の返事を待つ。
シンボルを通して見た戦況ではメディナは致命的な傷を負い 彼らは明かりを失ったようだ。
あの三人ほどの手練れならばまだ問題ないとは思うが これ以上あのようなオークが現れると危ないかも知れない。
[二匹やられたので本当はもういませんが]ここは この騎士たちと共に援軍となるか・・あの三人達が私の渡したビー
ズ『歯』のことを覚えていれば まだ望みはあるのだがな、そう考えながらザルフォは騎士たちの反応をうかがった。



305 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 01:57:01 0
ランタンの灯りがついに消えた。
これでグレゴリ達人間は圧倒的な苦境に立たされたも同然である。

「グゥラアァァァ・・・・・」
明らかに敵と思われる声が響く、物音はシトリンとメディナの立てるものでさえ
こちらからは判別しにくいため、敵が近づいてきているのは分かりにくい。
だが、不幸中の幸い、敵が自ら存在を示しているのである。
相手は恐らく、夜目が利く連中だろう。こちらが勝機をつかむとしたら一つ。
こちらが、相手の居場所を知ることだ。女達に指示をしようと考えたその時、

「皆さん、下がってください! わたくしが抑えますわ! 」
風を切り、メディナがグレゴリの前へと躍り出た。甘い香りが一瞬、鼻をつく。
(何かいい方法でも思いついたか?)
そう考えた途端、目の前で白い光が弾けたかと思うと、
メディナの悲鳴が上がり、彼女の体が勢い良く後ろに吹き飛ばされた。
何か細長いものが同時に宙を舞った。

「あぐううぅ…ああぁぁっ! かはっ…わ、わたくしの手が…」
グレゴリは急遽武器を片手に持ちかえると、メディナの体を受け止めた。
鎧越しでも分かったが、どうやら先ほどの衝撃で片腕を吹き飛ばされたようだ。

「チッ…!よくも女の体を…!」
重傷のメディナの腰を抱くようにして、静かに地面に座らせた。
残念ながらグレゴリには治癒手段がない。懐から魔法の傷薬を取り出し、
メディナに放り投げると、ガントレットで軽く頭を撫でてやった。
その時、目の前で何か引き裂かれるような衝撃が走った。
シトリンが投げた石が猛吹雪を起こしたのだ。

「グォォ…」と僅かながら敵の唸り声が聞こえる。大体の位置は分かった。
アンノンが渡した玉を使えば、奴の言う事が本当なら現状は解決できそうだ。
しかし、なるべくならそれは避けたいのがグレゴリの本心であった。今しかない。
「おいお前ら…少しの間そこから動くな」
シトリンとメディナにそう告げると、グレゴリは大剣を横に構え、
複雑なステップをしながらそれをダイナミックに振り回した。
勿論、彼女達にギリギリ当たらない程度にである。
猛烈な剣風とともに、グレゴリは敵のいるであろう場所に近づき、そこで
一際大きな剣撃を放った。



306 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 02:15:42 0
丁度かぶったみたいですね(w
追加 描写です。

つかの間、低温の嵐に蹂躙され立ち尽くす人影が見えたかと思うと

「おいお前ら…少しの間そこから動くな」

グレゴリがシトリンとメディナに声をかけ これまでの彼からは想像も出来ないような
滑るような華麗なステップと共に体重移動を行い、その巨躯と大剣がその場で独楽のように
回転すると剣自体の重量に体重移動によるグレゴリの巨躯の重さを加えた鉄の塊が水蒸気の向こう
の人影へと炸裂した。

バアァァァン!

まるで火薬が爆発したかのような破砕音と共に人影は木っ端微塵に砕け散る。
吹雪の魔法石によって氷柱と化したオークの骸はグレゴリの一撃によって粉砕され、三人の頭上にまるで
霙のような小砕片がハラハラと舞い落ちてくるのだった。

傍若無人に見えていたはずのグレゴリの言葉とメディナに対する気配りに満ちた行いをみてシトリンがグレゴリ
のなかに「人を心配する気持ち」を見たように思ったのはただのきのせいだったのだろうか・・・。

307 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 18:23:29 0
親衛騎士「何ぃ!?
       貴様、メディナ様をそのような危険な任務に就かせたのか!?
       あの方の命はそんな子供如きの命と引き換えにできるものではないのだぞ!
       何が光栄だ!
       自分のしたことが分かっているのか!?」
【親衛騎士はアンノンの襟首を掴み、前後に激しく揺さぶる】
【親衛騎士の腕力は強く、馬上までアンノンの体を持ち上げてしまっている】
【スラリと剣を抜くと、アンノンののどもとに突き付ける】

エイゼル「まあ待て、そういきり立つな
       その修道士殿を下ろしてやれ」
親衛騎士「しかし…」
エイゼル「我々の目的はメディナ様の救出だ
       丸腰の修道士を締め上げるために来たのではないだろう」
親衛騎士「はっ!」
【親衛騎士の無粋な行為にさすがにエイゼルも呆れてやめるよう指示を出す】
【親衛騎士は剣をしまうと、アンノンを地面に投げ捨てる】

エイゼル「すまない、家来が失礼をした
       何せ傭兵上がりな者で、いささか礼儀知らずでしてな
       …して修道士殿、メディナ様のいらっしゃる場所に案内できるということだが…
       でかしたことと言いたいところだが、事態はただ事ではない
       平穏無事でいらっしゃれば、望むままの報酬を与えましょう
       ただし、もし御身に何かあればその時は覚悟していただく
       よし、メディナ様のいらっしゃる場所まで我々を連れて行くのだ」
【アンノンの手を引き上げて立たせると、半ば脅しのように案内を命じる】
【アンノンを騎士団の先頭に立たせるように、洞窟に向けて進路を取り進みだす】
【その先に怪物が待っているとも知らず…】

308 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 20:47:15 0
「くうぅ…、グレゴリさん…?
 わたくしのことは構わずとも…」
【前に立とうとする身を退かせ、静かに地面に座らせられる】
【その手付きは妙に穏やかで、普段の荒々しさからは想像も付かない】
【まさか、こちらを案じているのだろうか?】

「あ…、ありがとう…」
【残った左手で傷薬を受け取ると、頭を撫でられて呆然とする】
【思わず、お礼を返す】
【目の前に居るのは、本当にあのグレゴリなのだろうか?】
【決闘した時や食事した時の強欲な益荒男の印象は無い】
【ただあるのは、純粋な仲間への労わりなのだろうか?】

「はっ!
 ぼおっとしてる場合ではありませんわ!
 応急処置をして皆さんの手助けを…くあっ…!」
【思い返したように、魔法の傷薬を傷口に当てる】
【勢いよく押し当ててしまったため、ジンと痛みが走る】
【が、淡い光が薬から発せられ、血が止まり痛みが和らぐ】
【右太もものボディスーツを引き千切り、包帯代わりに傷口に巻き付ける】

「とりあえず、これで新手も片付きましたわね…」
【しかし、構えは解かずに辺りを見回す】
【相変わらず、グレゴリの一撃には度肝を抜かされる】
【人間離れしたこの膂力は、生まれ持った才能と言うほかないだろう】

「シトリンさん、怪我はございません?
 突き飛ばしてしまってごめんなさい…
 わたくしのせいでランタンまで台無しにしてしまいましたわね…
 何か明かりの代わりになるものでもあればよいのですけれど…」
【シトリンの様子を心配そうに見つめて話し掛ける】
【彼女には本当に申し訳ないことをしてしまった】
【ただ、話しているといつも気になるのはシトリンの視線である】
【こちらの目ではなく、俯き加減にこちらの胸の辺りを見ている気がする】
【何を意識しているのだろうか?】

「グレゴリさん、傷薬のこと、改めてお礼を言わせていただきますわ
 ありがとうございます
 正直、あなたがここまでして下さるとは思いませんでした
 少し見直しましたわ…」
【軽く笑顔を向け、深々と頭を下げる】
【例え欺くための行為だとしても、今は素直に嬉しい気持ちでいっぱいだ】
【そして、余った傷薬をグレゴリ手渡す】

「さてと、まだ油断できませんわね…」
【話し終わるが早く、洞窟の奥から流れ出てくる気に目を向ける】
【オークとはまた異なる、禍々しい気である】

309 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 22:03:43 0
「一燭時(蝋燭一本が燃える時間、約30分)ほどまえに この入り口から探索に向かわれました。」

メディナを追う騎士達を引き連れてザルフォは岩肌の崩落跡にある内部坑道への入り口で その奥を
指差し答えた。
(コノ 騎士ドモ めでぃな・ぐらはむ ノ事バカリ デ 子供ヲ攫ッタ相手ノ事ニ 全ク無頓着ダガ。
余程 自信ガ有ルノカ、知恵ガ 足リナイノカ・・・)

そう考えながら先程自分に声をかけてきた騎士にむかって問いかける。

「私はどうしますか?なにかあったときの為にこのまま此処で 手当ての用意をしてお待ちするのが
良いでしょうか?それとも同行するのがよろしいですか?
此処から先は私も不案内ですので レディ メディナ様と仲間の方々がどう進まれたかは見当がつか
ないのです。」

そう話しつつ、馬上の顔をジッと見つめて騎士の顔を記憶に刻みつける。この虫けらには先刻の無礼の
返礼を近々にしてやることになるだろう。そう考えながら騎士たちの動きを待つザルフォの片目は今も硬く
閉じられたままだ。なぜならばこうして話しているあいだも 閉じられた片目によってグレゴリ達三人の探索
行を観察しつづけているのだから。

310 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/05(日) 07:37:25 0
シトリンは目を丸くした。
あのグレゴリがやさしくしてる。
(あんな所もあるんだ・・・)
胸が急と締め付けられるような感じがする。
呆けきったような眼で二人のやり取りを見つめていると、メディナが近付いてきた。
右腕は切断され、ボディースーツを引きちぎることで造った包帯で覆われている。
でも、シトリンの目にはそんなのは全く入っておらず、胸に注がれていた。
>「シトリンさん、怪我はございません?
> 突き飛ばしてしまってごめんなさい…
> わたくしのせいでランタンまで台無しにしてしまいましたわね…
> 何か明かりの代わりになるものでもあればよいのですけれど…」
シトリンはあわてて視線を胸から外した。
実は、胸を触りたいとか、あのくらいあったら優しくしてもらえるのかなとか、おおよそこの場に似つくわしくないことを考えていたのだが、口が裂けても、それは言えるはずない。
「ええ、大丈夫。大丈夫」
ブルンブルンと首を横に振り、
「明かりがなくても…」
ここでようやく切断された右腕が目に入った。
「メディナのほうこそ、大丈夫?」
シトリンはまだ腕を切断されたことはない。
でも、何となくだけど痛みがわかるような気がした。
たぶん、これからの生活は結構大変になるだろう。
だから、このまま、放置してくことはできない。
腕を探して、24時間以内に接合手術を受けないと、もう二度と腕がくっつくことはない。
焦る気持ちを抑えながら身をかがめ、腕を探すことにしようと思ったが、途中でやめることにした。
(でも、よく考えたら、隙がありすぎるな)
今はまだ戦いの最中だ。
戦いの最中にこういうことをするということは、死を意味する。
シトリンは明かりをともすことはできない。
腕を探すのをあきらめるほかなかった。

311 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/05(日) 21:18:11 0
【たった今、後ろの書き込みに気付きました。ごめんなさい】
バアァァァン!

グレゴリの戦術は幸運にも成功に終わったようだ。
シトリンの投げた石が先手を打って相手を凍らせ、そこにグレゴリの一撃が入ったのだった。
敵は匂いや大きさからして、先ほどのと同じようなオークのようだ。
もしかするとシトリンが放った石で既に決まっていたかもしれない。
「魔術師がそんな物に頼るとはな…シトリン、だがその準備は大したもんだ」
どんな手段であれ、勝てば良い、というのはグレゴリも同じだった。
鎧に付いた霜を払い落としながら、感心したとばかりに軽く手振りをする。

(思ったよりも良い切れ味だ…できたらもっと軟弱な奴を大勢斬りたかったがな)
僅かに口元をゆがめると、すぐに我に返り、今の状況を整理してみた。
明かりになるものはない。懐に最低限の火付け道具はあるが、
燃やすものが殆どない以上、すぐに消えてしまうだろう。何より時間が惜しい。

「正直、あなたがここまでして下さるとは思いませんでした
 少し見直しましたわ…」
後ろにいたメディナが残った傷薬を差し出してきた。僅かに笑みをたたえている。
メディナがグレゴリにこういう表情を向けるのは初めてだ。後ろのシトリンも
僅かながら柔らかい表情でこちらを見ている。
(この女…馬鹿か…?)
グレゴリは実際のところ、メディナやシトリンを攻撃を分散させるための壁、
情報を聞き出すための書物、そしていざとなれば性欲を満たすための道具としてしか
見ていなかった。しかし、こうも人間としてこちらを認められると困るものである。
次第にダンジョンに注がれていた注意が目の前の豊満なメディナの体に移る。
高まる欲望を振り切ると、グレゴリはメディナが差し出す傷薬を払いのけた。
「それはお前が持ってろ。これからは無闇に前に出るんじゃねぇ。それと勘違いするなよ。
男が女を守るのは当然のこと…それに貴重な壁役を殺られちゃたまらねぇからな。行くぞ」
それだけ言うと、ようやく収まりがついたのか、再び前を向いて歩きだした。
暗闇にも慣れてきた。懐の装飾品を覗いてみると、僅かに光を発するものがあった。
(これでどこまで行けるかは分からんが、アレだけは極力使わないようにしないとな)
今にも消えそうな光を頼りに、グレゴリはギシギシと金属音を立てながらゆっくりと前進を続けた。



312 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [] 投稿日:2008/10/06(月) 06:41:28 0
オーク2匹つぶしましたので最後の広間の戦闘はおまかせします。
それから・・メディナさん。騎士団三人ほど後々 殺すことになっても
大丈夫でしょうか?エイゼルは殺すわけにはいきませんが もしよければ
大々的に騎士団を屠ることにしようかな?とか考えてます。
話の流れでは無しになるかもしれませんが。

313 名前:メディナ ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/10/06(月) 09:30:48 0
どうぞ殺しちゃってください
いずれ何らかの咬ませ犬として死なせるつもりでしたので
エイゼルなども遠慮なく

314 名前:テトラポッド ◆9L4i.FWuaQ [sage] 投稿日:2008/10/07(火) 21:45:02 0
メディナ ◆9L4i.FWuaQ #スフォー

315 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/07(火) 21:53:42 0
鳥を解析されていたので変更します

316 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/08(水) 22:03:44 0
 朽ちたオークの遺骸が放つ硫黄の匂いを背後に残し、周囲を警戒しつつ慎重に進んでいくと
三人の周囲に不思議な匂いが漂い始めた。
 何かが焦げる様ないがらっぽい匂いと野生の動物特有の麝香のような香り、それに加えて爬虫類の
ような生臭い体臭が前方から漂ってくる。

 重々しく前進するグレゴリが薄く漂う煙を掻き分けるように歩を進めると 突然その前途に思いも寄らなかった
光景が姿を現した。
 
 そこには広さにしてちょっとした交易市の郊外などにあるアリーナ(闘技場)に匹敵するであろう、岩肌をくり貫いて
作られた丸天井に覆われた空間が設えられており その表層には禍禍しい意匠の神話的な彫刻が床際の壁
から天井の中央に至るまで隙間なく施されている。観察を続けているとその彫刻に描かれた奇怪な生物が揺らめく
大気を通してまるで苦悶に身を振るわせるかのごとく蠕動してみえるほどだった。
 部屋の四隅にはオークの脇腹に有ったものに似たルーンの施された黒曜石の石柱が聳え立ち 四本の柱の中で
唯一側面に施されたルーンが放つ光が沈静化している一本に 捻じ曲がった山羊のような角や光沢のある鱗で鎧わ
れた身の丈3フィートほど奇妙な生き物が4匹、石柱に麻縄をかけて何らかの作業を行なう姿があった。

 そして部屋の中央、石柱から放たれた紅蓮の光に照らされた床面には目も眩みそうな複雑怪奇な魔術意匠
による直径15ヤードほどの魔法円の象嵌が透かし彫られており その偉容はこの分野に疎いグレゴリであっても
一目でこの広間が尋常ではない高度な魔道施設であろうと想像できるものだった。
 周囲には数体のオークの遺骸が倒れておりグレゴリの持つ戦士の見立てによればいずれも切断武器による傷で
倒れている。

 戦場において、まず周囲の状況と敵を確認することを第一とする習いに従い グレゴリは瞬時に空間内の把握
に努めたが、その視線の先の揺らめく光の向こうに床の魔法円の傍に描かれた小さな防御陣のようなモノの中と従
うようにそのわきに立つ合計二体のヒューマノイドがこちらを伺っていることに気がついた。

 前方の人影を視野の中に収めたままで後方の二人に警告を発するべく背後をみたグレゴリは再度驚愕することと
なった。
 自分たちが進んできた薄暗い古びた坑道、なにがあったのかと緊張した表情でこちらを見ているメディナとシトリン
が立っているそこは広間の造りと類似した彫刻が施された人工の通路へと変貌していたのだ。
 しかしそのことに通路の二人は気がついていない。
 時に城攻めなどの際に破城槌やバリスタなどの攻城武器に隠蔽するための幻影を施し 開戦のときまで岩山の
一部に見せかけるなどという方法がとられることはグレゴリも知っていた。
 そのような幻影がこの施設にも施されていたのだろうか、そう考えたグレゴリは魔道意匠を施された通路が視界
の果てまで続いていることに気がつき その先を想像して愕然となった。

 この幻影に隠されていた施設は目に見えているところまでなのか、今まで歩いてきた坑道すべて・・地表に広がる
鉱床・・まさか・・この丘全てが幻影によって・・・

【漂う煙を抜けて部屋に踏み込んだ者は幻影の効果を受けなくなるわけです】

317 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/09(木) 00:11:31 0
煙を潜り抜けた先には意外なものが広がっていた。
まず目に入ったのはものすごく大きな部屋。
その広さは東京ドーム1個分に匹敵し、数百人ぐらい収容できそうだ。
部屋の四隅には柱が埋め込まれ、ルーン文字が彫りこまれている。
ルーン文字は真っ赤に光り、これまた大きな魔法陣を照らし出している。
「うわぁ・・・」
シトリンは入るなり声を上げた。
ブラウンの瞳は見開かれ、かすかにだけど頬が真っ赤に染まっている。
これが戦場でなければ、くるくる回ったりしたいぐらいだ。
でも、さすがにそれはできない。
こほんと咳ばらいをし、いるはずの子供を探した。
でも、その姿はない。
代わりにあったのは2体の人間のようなもの。
人間のようなものの足元には魔法陣が描かれ、その人間を守るように光の柱を形作っている。
(どうやら、子どもたちは消えてしまったようね)
ちっと舌打ちした。
この先どういう存在が待ち構えているかわかりやしない。

グレゴリはあたりを見回している。
警戒しているのだろう。
それに合わせるようにシトリンも目をやった。
岩肌だから彫刻を施された平らな壁に変わっている。
どうやら今まで見せられたものは幻影のようだ。
幻影を作り出せるのは魔術師しかいない。
魔術師同士の戦いとなれば、シトリンの出番だ。
戦えに備え、魔力を周囲に集めておくことにした。


318 名前:ウェズナー ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/09(木) 01:15:59 0
「む・・・」
通路の向こうから感じる魔力の奔流に、ウェズナーは顔をしかめる。
「この波動、氷の魔力が爆ぜたか?
 術を行使したわけではなさそうじゃが・・・魔術に精通したものがおるか。
 だとすると、少々厄介かも知れぬな。」
口元に手をやり、ウェズナーは考え込む。
手練であろうと今のオークには多少なりともてこずるはずだと踏んでいたのだ。
しかし魔術師かそれに類するものがいるなら話は別である。
あそこまで強力な魔道具か魔術を行使できる力を持ち、それに
屈強な戦士などの条件がそろっていれば、少なからず脅威となるからだ。
「まぁよいわ、どの道ワシのレイオンには通じぬ。
 姿を見せた、その時が最後よ・・・クカカカカカ。」
だが結局は自画自賛と嘲りに考えが飛躍してしまう。
すでに肉体の半分ほどがデーモンへと変化しているウェズナーにとって、
目的達成は間近でありそれを止めるには時間が足りないという考えがあった。

やがて、オークを倒したであろう者たちが儀式の間へと踏み込んできた。
数は3人・・・一人は考えるまでもなく男で重戦士、一人は女で、右手が吹き飛んでいるが
装備から考えて軽戦士であろう、残る一人は・・・男か女かよく分からない。
武器らしいものを持っていないことから恐らく魔術師か・・・?
統一感のなさからやはり雇われか、とウェズナーは読んで
とりあえず目的だけでも聞いておくか、と警戒している三人に声をかける。
「ふぬ、わざわざこんな所までやってくるとは酔狂よな。
 主らにどのような仔細あってここに足を運んだか、ワシは知らぬ。
 聞かせてもらおうかの、命を賭けてまでここに来た理由を。」
一見穏やかな表情を作ってはいるが、その目は如実に相手を見下していた。
この程度も見抜けぬ阿呆どもならばわざわざレイオンを使う必要もない、
問答無用で襲ってくるならば返り討ちにしてやるだけよ、と言った皮算用を滲ませながら。

319 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/09(木) 22:27:45 0
 (無頓着ニシテ大胆カト 思エバ ウッテカワッテ コノ臆病サ。 全ク 理解デキン。)

 ザルフォは歩みの遅さに苛立ちながら騎士達と共に坑道を進んでいく。
 彼らの習性なのか 騎士団の掟なのかはわからなかったが騎士達はまるで当然のように
騎馬の腰に結わえ付けてあった大仰なクレスト(家紋)が真鍮で刻み込まれた円盾と片手剣を
構えた三人、そして雑嚢をいくつも背負った騎士と弓に弦を張って用意した騎士二人の
三人、この合計六人を前衛・後衛とよんで二列に組んだ陣形・パーティを組み その「パーティ」
を三つ組み上げることとなった。

 その3パーティが縦に並び 第1パーテイと第2パーテイの間に挟まれる形で前衛二人と
後衛としてエイゼルと呼ばれた男とザルフォが並ぶ。
 ザルフォの前を進む前衛の騎士の一人は剣を腰の鞘に収め、盾を背負って両手を開けて
前方を照らすための明かりを捧げ持っている。
 その両手に持ち上げられたランタンは小ぶりではあるが帆船などに据えつけられる様な
金属の覆いのついたビーコンランタンで 前方に開いた磨き上げた水晶の小窓から放たれた目も
眩むような光線で第1パーティの周囲は昼間の野外のように照らされている。

 その光に背後から照らされる中 第1パーティの前衛の一人が後衛の雑嚢からとりだした3本の
トネリコの枝を継ぎ合わせた10フィートほどの棒を前方に突き出し、壁や床 天井などをそれで
突付きながら罠や危険がないか確かめつつ ジリジリと前進していく。

 ザルフォは 
(ソンナ モノ デ 見ツカルヨウナ 危険ガ在レバ アノ三人ガ 通ッタ時ニ 発覚シテイルダロウニ!)
と思いながら彼らと共に歩みを進める。
 そのときだった・・
                             ・
 「ソーサリー(妖術)だと!!」

 外で見つけたアンノンという修道士が突然怒号のような叫びを上げてエイゼル達はすくみあがった。
 隊列の中央にいる修道士のほうに皆が注目すると ただでさえ長身だった修道士が前方を見透かす
ように背を伸ばして直立し、大柄な騎士達よりも頭一つ分は背が高くなっている。
 大きく見開いた双眼は眼球全体が充血したかのように赤く染まり その瞳孔はある種の肉食獣のように
細く変化していた。
 そして先程まで閉じられていたほうの片目からは不浄な緑の光があふれ出している。

「き、貴様!?いったい何をいっている。そこを動くな!!」
 一人の騎士がそういってアンノンの肩に手を掛けておし留めようとするが その瞬間、その騎士は轟音と
共に足元に叩きふせられていた。
 アンノンの持つスタッフに横殴りに殴打された騎士を助け起こそうとランタンを床に下ろして駆け寄った騎士が
仲間を腕に抱えたまま絶句する。
 腕の中の騎士の白銀の兜は頭蓋にめり込むようにへしゃげ 斜めに捩れた首と兜の隙間からは鮮血が滴り落ち
修道士の一撃でその騎士が絶命したのは誰の目にも明らかだった。

 「ヒイィィ!お前たち。この怪物を殺せ!!」

 すぐ隣にいたエイゼルが絶叫するのと同時にアンノンが凄まじい勢いで前方を塞ぐ騎士を突き飛ばす。
黒髪を乱し鎧の上に纏った華美なサーコートが汚れていくことにも気付かず地面を這って後退るエイゼルの面前で
アンノン修道士は7人もの重装備の騎士達を突き飛ばして坑道の奥へと走り去っていった。
                             ・
 オークに刻まれたルーンを見たときにデーモンに関わる魔術を扱う者、オーガ達が妖術師(ソーサラー)と呼んでいる
者が関わっているとは思っていたが、シトリンが見た光景を知ってザルフォは己の予想が甘かったことに気がついたのだ。
 ここが闇王のデーモン兵の召喚のための魔道施設であったとは!すでに失われていると思われていたそれは ザルフォ
達オーガにとって嬉しくない発見となるだろう。
 放置しておけば戦局は闇王軍に大きく傾きすぎる。戦乱に乗じて闇王軍内で力を蓄えようというザルフォたちにとって早期
の決着は望むところではないのだ。
 知らずのうちにあまりに強大な敵を前にしてしまっているグレゴリ達に手を貸すために、ザルフォは人間ならば一歩先も見えない
ような闇の中を飛ぶように走り抜けていった。

 

320 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/12(日) 22:03:54 0
ほしゅ

321 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/13(月) 17:26:35 0
【14日から17日までベトナム旅行に行くので書くことができません】

322 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/15(水) 22:17:39 0
とりあえず18日まではおとなしくしておきます〜

323 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/15(水) 22:19:28 0
【次はメディナっぽいけど、先に書いていいですか?】

324 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/15(水) 22:28:17 0
わたしはみなさんの書き込みに反応するかんじでいこうとおもいます。

325 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/16(木) 12:14:01 0
>>323
【すみません、今日中には投下します】

326 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 09:41:41 0
【昨日の間には結局投下することができませんでした】
【約束を守れず、申し訳ありません;】

327 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 10:14:19 0
>「それはお前が持ってろ。これからは無闇に前に出るんじゃねぇ。それと勘違いするなよ。
  男が女を守るのは当然のこと…それに貴重な壁役を殺られちゃたまらねぇからな。行くぞ」
「ごめんなさい、面倒を掛けさせてしまいましたわね…
 僭越ながら、そうさせていただきますわ…
 この怪我では余り戦力としてはお役に立てそうにありませんし…」
【グレゴリの言い様を気に入らないとは思ったが、的を得た意見であった】
【壁として利用とまではいかないが、相互協力はパーティーの基本である】
【下手に負傷して足を引っ張っているようでは、私もまだまだだ】
【要らぬ借りができてしまった】
【ここで自分だけ引き返すわけにもいかず、項垂れた様子で二人の後から着いて行く】

「え…、ここは一体どこですの!?
 わたくしたちは確か、坑道の中を進んでいたはずですのに…」
【視界が開けてくると、目の前に広がる光景に驚愕した】
【岩と木の柱でゴツゴツした坑道は無く、邪神を奉る神殿のような場所になっているのだ】
【豹変と言わんばかりの様子の変貌ぶりに、言葉を奪われそうになる】
【幻術に騙されているのか、それとも今まで騙されていたのだろうか】
【状況から判断するに、おそらく後者であろう】

「これほどの規模の幻影を操るなど、只者ではありませんわね…」
【私は己の油断を激しく悔いた】
【気の流れをしっかり読んでいれば、早い段階で見破れたかもしれないからだ】
【油断して踏み込んだばかりに距離感を誤り、右腕を失ってしまった】
【さらに、グレゴリに要らぬ借りまで作ってしまうことになるとは】

>「ふぬ、わざわざこんな所までやってくるとは酔狂よな。
  主らにどのような仔細あってここに足を運んだか、ワシは知らぬ。
  聞かせてもらおうかの、命を賭けてまでここに来た理由を。」
「オークを利用して子供たちを攫わせたのも、この幻影を作り出したのも…
 全てあなたの仕業ですのね?
 わたくしたちは、攫われた子供たちを救うために来たのですわ
 何が目的かは存じませんけど、子供たちは無事なんですの…?」
【突如現れたおぞましい気配を放つ男を見据えて言う】
【体の一部や頭部に黒い体毛や角のようなものがあり、デーモンを連想させる】
【間違いなく、禁忌の闇の儀式に手を染めている】
【最早この男は人間ではなく、子供たちの安否は絶望的だと思っていた】

328 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 18:22:32 0
ゴトン・・・・
 最後に残された石柱の上にかぶせられた石頭が麻縄に引かれて地面に転がり落ちる。
石柱に刻まれたルーンからじわりと滲むように濁った橙色の光があふれ出ると、他の3本
を含む全ての柱の磨き上げられた黒曜石の表面に内側から押しあがられたような亀裂が
一斉に走った。
 
「キィィィィ!」

 4体の仔鬼が麻縄から手を離し坑内に響き渡るような叫び声を上げる。
 緊張した面持ちの3人とウェズナーの見守る中 石柱の表面がバラバラと崩れ落ち4本の
石柱は吹き上がる地獄の炎の柱と化した。
                         ・
「あぁ!?おい!ルイーザ、地震だ。ワイン樽とエールの壷が床に落ちるとやべぇぞ!
急げ!」
 慌てふためいたゴナセッドは巨体をふらつかせながらカウンターの後ろに置かれた酒の壷を
押さえて 窓から外を覗いたまま立ち尽くしているルイーザに向かって叫んだ。
 突然、吐き気とともに目が眩むと 横殴りされたように地面が大きく揺れだしたのだ。
 ガタガタと音を立てて揺れ動くカウンターの縁をつかんで倒れまいとする彼の前でルイーザは
窓際で外を見たままこの揺れを気にする素振りもない。
 怯えきったゴナセッドにとって何時終わるかと思えるほどだったが 実際には一瞬のことにす
ぎなかったのかもしれない、揺れが治まるとゴナセッドは顔を真っ赤にしてルイーザの顔を両手で
押さえて振り向かせると彼女にむかって怒鳴りつけた。
「なにをぼんやりしてんだ、あぶねぇだろうが!」
 しかしこちらをみている血の気を失った妻の顔をみてゴナセッドは言葉を失った。
彼女の瞳は涙に潤み、その顔は一瞬で老け込んでしまったかのように深い皺が刻まれている。
「あ・・貴方、あの人たちがむかった鉱山が・・・」
背筋を這い登ってくるような悪寒を感じながらルイーザをそばにあった椅子に座らせ、彼女が眺めて
いた窓から外に身を乗り出した。

 通りの角に立った城兵、遊ぶ手をとめた小汚い子供達、常時声を張り上げているはずの商売人仲間。
 宿の前にいた人たちは一様に鉱山のある方角の空を見つめ その表情はルイーザと同様に倦怠と
恐怖に犯されている。
 ゴナセッドが彼らの視線を追ってみると戦乱のこの地にあっても見ることの無かった異様な光景が
視線の先の空に広がっていた。
 鉱山のあるあたり、遙かかなたの空に何も無かった空間から突然生み出されたかのように巨大な建造物が
4つ浮かんでいる。その建造物はあまりに巨大で遠方のために正確にはわからなかったがこの街から見える
ということは半マイル(約800メートル)はあるのかもしれない。黒く光る鋼のような光を照り返しているがその全容
ははっきりとせず、その理由というのも建造物全体が揺らめく橙色の炎に包まれており 視界から建造物を覆い隠
しているからなのだった。
そうして眺めているあいだにも 建造物から地上に伸びる漆黒の鎖の周囲には紫色をした電撃が飛び交い、のたう
つ『何か』が地上と建造物の間を行き来している。
 すぐそばでブツブツとつぶやく声に気がつき振り返ると、お楽しみを終えて神殿に帰る途中だったのだろうか かつて
放蕩神官と名高かかったギャリーの爺さんが砂利道に膝を着き 建造物の方を凝視している。
「おい、爺さん!ありゃなんだ。なんかしってんのか!!」
 ゴナセッドが涎の滴ったギャリーの胸倉をつかんで引き上げる。ギャリー爺さんは呆けたように彼の顔を
眺めると、呂律の廻らない口調で返答した。
「あ・・ありゃぁ・・闇王のて・・手下の怪物を呼び出す地獄の門じゃぁ。地獄から悪魔共が あ・・あひゅれ出て
くるぞ。わしゃあ、知っとるんじゃ神殿の本に書いて・・・神話の戦いがまた・・」
 言葉が途切れると口の端から一筋の唾液を垂らし ギャリー爺さんはうな垂れたまま動かなくなる。
 ゴナセッドはギャリー爺さんに話の続きを促したが、すでに爺さんは事切れておりそうしている間にも自分の気力が
何かに吸い取られていくのを彼は感じていた。
「あいつを見ちゃあいけねぇ。」
 ゴナセッドはギャリー爺さんを通りに残して妻の傍に戻ると 残された力を振り絞って荷物をまとめ、地下の
ワイン倉に降りていくとその扉を内側から硬く閉ざした。


329 名前:ウェズナー ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/18(土) 11:45:12 0
>「オークを利用して子供たちを攫わせたのも、この幻影を作り出したのも…
> 全てあなたの仕業ですのね?
> わたくしたちは、攫われた子供たちを救うために来たのですわ
> 何が目的かは存じませんけど、子供たちは無事なんですの…?」
腕のない女が真っ先に口を開いたが・・・その内容はウェズナーにとっては
まったく身に覚えのない、的外れも甚だしいものだった。
無知とは恐ろしい物よ、と口元を歪めつつ答えてやることに。
「どちらもワシの与り知らぬことよ。オーク共が子供を攫ったのも、
 食らうためか売り払うためか。どちらにせよワシには関係ない。
 それと今まで主らが見ていた幻影は、この施設に施された防衛の為のもの。
 ワシ自身は何一つ手を下しておらぬ・・・主らが始末したであろうオーク以外はな。」
口元の歪みがひどくなった。はっきりと、邪悪な笑みを浮かべている。

「ほうほう、子供を助けに来たか。ワシの予想通りじゃったの。
 おお、無事だとも。少なくとも傷はついておらぬ。連れて帰りたければ
 そうするがいい・・・ほれ、そこで作業しておるじゃろ?
 まぁ、そやつらがいまさら人の世に帰りたがるか、ワシは保証せぬがな。クヒヒヒヒ・・・。」
ウェズナーの変質した指が、何がしかの作業の没頭している小悪魔達を指差した。
そう、子供たちはその未熟さゆえに完全に悪魔化してしまっていたのだ!
悪魔となった子供たちが行っている作業もいよいよ大詰めを迎え、ついに封印が全て解かれた。
刹那、円が魔界と繋がり濃密な瘴気と魔力が円内を満たしていく。

「クカカカカカ、カーッカカカカカカ!!!!
 主らは運が良い、この『魔人兵製造施設』の復活に立ち会えたのだからな!
 そして、見るがいい・・・脆弱にして老いさらばえた我が身が、
 屈強なる魔人へと昇華する様をぉ!ハーッハッハッハッハッハッ!!」
そのひ弱な姿のどこにそれほどの余力があるのか、と問い質したくなるほど
大きな声で喜びと狂気に満ちた叫びを上げるウェズナー。遠巻きに見ていた
小悪魔たちがウェズナーの陣取る円の近くに集い陣を組む。
溢れ出る魔の瘴気のお零れに預かろうと言うつもりらしい。
悪魔化して間もないのにその動きには澱みや躊躇いがまったくなく、
もはや救う手立てがないことを一行に悟らせるのだった。

330 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/18(土) 12:09:39 0
【闇王軍】
魔の者の盟主・闇王に率いられた、おぞましき人外の連合軍
闇王直属のデーモン軍団を中核に、多種多様な魔物や悪霊などで構成されている
詳しい規模や編成は不明だが、相当なものであると推測される
現段階で組織的な行動は見られず、種族ごとに散発的・局地的な小規模攻撃を繰り返すのみである
大半の者は無思慮か欲望のままに従っているが、種族の台頭を狙っている勢力も少なからず居る

【闇王】
闇王軍を率いる魔の者の盟主
強大な力を持ち、デーモン族ですらその配下に従えてしまっている
魔界の王ともまつろわぬ神とも言われているが、その正体は不明
闇王軍を組織している目的や理由なども不明

【デーモン】
魔界に住む誇り高きエリートモンスター
純粋な力も魔力も高く、人間界でも伝説的な存在として恐れられている
孤独と自由を美徳とする孤高さを持ち、徒党を組んだり誰かに従うようなことはまず無い
唯一、闇王のみが彼らを無条件に従えることができる

【闇奴隷】
闇王に魂を売り渡し、人類を裏切って闇王軍に付いた人間のことを指す蔑称
既に人間ではなくなっている者がほとんどであるという

とまあ、ちょこっと設定を作って見た
どうも闇王軍に関する設定が漠然としていてよく分からないからな
どうでもいいと思ったらスルーしてくれ

331 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/18(土) 23:06:37 0
鈍い金属音を引き摺らせるようにして、グレゴリはシトリンとメディナの前を
ゆっくりと歩き続けた。
途端、明らかに人工的な景色が広がった。
「おい、これは…幻覚なのか?お前ら、気をつけろ」
目に映ったのは魔法陣と人のようなもの。そしてその奥から
明らかに怪しげなフードの男が出てきた。
「ふぬ、わざわざこんな所までやってくるとは酔狂よな。
 主らにどのような仔細あってここに足を運んだか、ワシは知らぬ。
 聞かせてもらおうかの、命を賭けてまでここに来た理由を。」
「何だ?こいつは…」
(とりあえず不意を付いて殺すか。一人は半殺しにしてやろう)
そう思って武器を構えた瞬間、
ゴトン・・・・ ブオォォォ!!!!…
石柱の表面がバラバラと崩れ落ち4本の 石柱は吹き上がる地獄の炎の柱と化した。

グレゴリはそれに全く怯まなかった訳ではないが、平然とした態度でメディナの
問いに答えた男には、驚愕せざるを得なかった。
「ほうほう、子供を助けに来たか。ワシの予想通りじゃったの。
 おお、無事だとも。少なくとも傷はついておらぬ。連れて帰りたければ
 そうするがいい・・・ほれ、そこで作業しておるじゃろ?
 まぁ、そやつらがいまさら人の世に帰りたがるか、ワシは保証せぬがな。クヒヒヒヒ・・・。」
子供を助けるという頭は確かにあったグレゴリだが、ここまで来ると怒りを
飛び越えてむしろホッとしてしまった。
救うべき者がいない…あとは奴らを皆殺しにすればいいだけだからである。

静かに二歩、三歩と前に足を勧めると、メディナとシトリンを促した。
「よし、こいつらを全員殺すぞ」
鉄の塊は一気に速度を上げ、絶妙なステップでその怪しげな男に急接近していった。

332 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 00:03:02 0
「クカカカカカ、カーッカカカカカカ!!!!
 主らは運が良い、この『魔人兵製造施設』の復活に立ち会えたのだからな!
 そして、見るがいい・・・脆弱にして老いさらばえた我が身が、
 屈強なる魔人へと昇華する様をぉ!ハーッハッハッハッハッハッ!!」

 グレゴリが飛び出していくとその行く手を遮るように4体の仔鬼が集まってくる。
 歯をむき出して威嚇する仔鬼たちの背後にプレートメイルに其の身を覆ったエルフの女性らしき人影と
哄笑をあげるその男の姿を見ることができたが 一際激しい光が魔方陣から発せられると男のシルエットが
グニャリと歪んだ。

 ウェズナーの身体から体毛、爪、皮膚・・体表にあったモノが次々に抜け落ちていき
紅蓮の炎をあげて燃え尽きては一条の煙と化すと 周囲に聳え立っていた石柱の変化した炎の
柱へと引き込まれてゆく。
 彼らが見ることは出来なかったが石柱の炎に対応した鎖に沿ってウェズナーの体の一部は
上空の建造物の内部へと引き込まれてゆき、アビサルプレーン(奈落界)で変化を経た後再び
鎖を伝って この世界へと戻ってくるのだ。
 地獄は地中深くに存在するのではなく遙か上空にある次元の門の向こうに存在する。

 体表を失ったウェズナーの体は勢いを失うことなく其の筋組織を まるで絡まった毛糸球を
解くように分解していき、次々に炎の柱の中へと消えてゆく・・・・

 3人が知るどのような魔術よりもおぞましく、しかし余りに強大なこの妖術のパワーが溢れるその光景には
嫌悪と同時に確かにある種の魅力があることを否定するのは難しかった。

 施設の周囲の生きとし生けるもの、草花や動物・・そして人々の区別無く巨大な魔道施設はそれらの
生命力を動力として奪い、ウェズナーの肉体を強大なデーモンの姿へと組み替えてゆく。

 轟々と燃え上がる4本の炎柱からくすんだ藍色の煙が噴きあがると中央の魔方陣へと集まっていく。
 魔方陣の中央まで来るとその煙は霧が結露するようにその色合いを深めていき、固体となったそれは魔道の
シンボルを象嵌された地表に湿った音を立てて落下する。それらの組織片は 魔方陣の放つ光の中に8ヤード
(7メートル強)はあろうかという巨大な姿を顕現すべく集積されていった。

333 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 00:31:07 0
【しばらく攻撃を受けずにいられればスーパーウェズナーが完成します。
状況はそれで完成しますので その後の戦闘はウェズナー ◆qyOqVhj/Vcさんに
お任せしたほうがいいでしょうか?それともウェズナー ◆qyOqVhj/Vcさんはレイオン
を動かすことに集中されますか?】

現在考えているスペックは

体長 7.2m
全身を藍色の硬質化した皮膚が覆い イノシシと蜘蛛をミックスしたような頭を
している。
全体的なシルエットは地面に届くような長い腕を持った筋肉質のヒューマノイド。
物理的攻撃で傷を受けるが・・なにか特殊な返し技があるとおもしろいかな?と
考え中。
途中で○○されちゃったりすると未完成ウェズナーになっちゃうとかもありかと
思っております〜。

334 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 00:44:03 0
>「ほうほう、子供を助けに来たか。ワシの予想通りじゃったの。
> おお、無事だとも。少なくとも傷はついておらぬ。連れて帰りたければ
> そうするがいい・・・ほれ、そこで作業しておるじゃろ?
> まぁ、そやつらがいまさら人の世に帰りたがるか、ワシは保証せぬがな。クヒヒヒヒ・・・。」
子供たちはすでに悪魔と化していた。
肌は黒く変化し、頭には水牛のような角が二本、両脇に生えている。
もう、人の姿に戻すことはできはしない。
>「クカカカカカ、カーッカカカカカカ!!!!
> 主らは運が良い、この『魔人兵製造施設』の復活に立ち会えたのだからな!
> そして、見るがいい・・・脆弱にして老いさらばえた我が身が、
> 屈強なる魔人へと昇華する様をぉ!ハーッハッハッハッハッハッ!!」
ウェズナーが下品な笑い声を上げていた。
ウェズナーの周りからは瘴気が立ち上り、悪魔となった子供たちが取り囲んでいる。
瞳にかげりはない。
当然のことながら、行動に迷いはない。
身も心も悪魔と化している。
(もはや殺す以外に・・・)
そのとき、シトリンの頭の中で何かがつながった。
グレゴリがヴェズナーにものすごい速さで近づいている。
ヴェズナーが死んでしまえば、策を実行することができなくなってしまう。
「止めて!」
グレゴリを止めるために駆け出し始めた。

335 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 08:43:37 0
「くっ…、今更そのような言い訳が通用すると…?」
【この男が言ったことは、こちらの考えていたこととまるで違う】
【この男がオークを何らかの術で操り、何かをするために攫わせていたのではないようだ】
【嘘だということも考えられるが、この状況でそんな嘘に何のメリットがあるのか?】
【これだけの行為を誤魔化すなら、こちらの口を封じた方がまだっ取り早く後腐れも無い】
【この事件、思っていたよりも奥が深いのかもしれない】

「な、何ですって!?」
【かつてないほどの驚愕に襲われた】
【男の言う子供たちとは、入った時に最初に見たこの異形どもなのだ】
【信じたくはなかったが、既に子供たちは手に掛かった後であった】

「そ、そんな…、酷い…
 ここまで来た結果がこれだなんて、わたくしたちは何のために…
 一体、何が起こっていると言うんですの…」
【その場に座り込み、床を左手で殴り付けながら悔し涙を流す】
【しかし、状況は私にいつまでも泣かせてくれるほど甘くはなかった】
【男の目的は、今正に達成されようとしているのだ】
【子供たちが周りに集まり、濃厚な闇の気配が辺りを包んでいる】
【その場に居るだけで、吐き気を催しそうな雰囲気である】

>「よし、こいつらを全員殺すぞ」
「え、ええ…、援護なら任せてください…」
【心の中で、やはりグレゴリはプロの傭兵なのだなと納得させられる】
【それに、こういう場には慣れている様子もある】
【特に感化される様子も無く、完全に割り切って殺すと言ってのけたのだ】
【確かに助ける手段が無い以上、殺す以外に手立ては無い】
【おぞましい変態を遂げる男を倒そうと仕掛けるグレゴリを援護しようと立ち上がる】

「し、シトリンさん、何を!
 危ないですわ!」
【急にグレゴリに続いて駆け出したシトリンを見て驚かされてしまう】
【止めようと駆け出すが、突如激しい痛みに見舞われる】

「うぐっ…、き、傷が…シトリン…さん!」
【腕から全身を走るように激痛が広がり、立っていることもままならない】
【濃い瘴気が傷口を刺激し、痛みを生み出しているのだ】
【傷口を焼くようなこの痛みは、戦いに慣れた者でも耐えられるものではない】
【傷口からの血は、瘴気に侵されてどす黒く変色している】
【肩を抑えながら、背後からシトリンを呼びかけるしかなかった】

336 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/21(火) 21:27:17 0
「ヒィィィィギャヤヤァァァー!!」
 まるである種の爬虫類のように大きく下顎を開く形で互い違いに生えた牙を剥き出した
4体の仔鬼は突撃するグレゴリとそれを追うシトリンに対して叫びを上げる。
 その咆哮は二人の鼓膜を痛撃し 三半規管に与えたダメージは彼らの平衡感覚と
視界を歪めた。

 「フヒ・・ヒャァハハハハ!愛しいレイオン。私の為に戦っておくれ。わしに危害を加えようとする愚か者
共の首をいつものように刈り取ってやるのだ!!」

 すでに怪しく光る眼球を収めた骨格と申し訳程度に残った筋繊維の上に釣り下がったようローブを纏った
人体の残骸と化した魔法円のなかのウェズナーと、いまだ各所の皮膚が剥がれ僅かに歪んだ体躯
をした魔法陣の中の巨躯 その眼窩は空ろで周囲の炎柱からたなびく煙に覆われているデーモンが共鳴するかの
ように同じ言葉を語り、すぐ傍でじっと立ち尽くす土気色の美貌を持つ女剣士に命令を発した。

337 名前:レイオン ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/21(火) 22:18:32 0
まず最初に、いろいろ申し訳なかった!
あの後4連チャンで2時間睡眠できればいいほどに忙しくて
連絡一つ入れる諸々の余裕がなかった、すんませんorz
と言うわけで、ウェズナーはザルフォ氏の預かりでお願いします。



主であるウェズナーの命令はピアスを通じてレイオンに伝えられた。
両手にいつもどおりの得物を握り締めたまま棒立ちだったレイオンだが、
命令が下されてからの動きは、その無防備さと言うか無造作さからは
想像もつかないほどに迅速だった。

儀式の真っ只中であり、魔人へと変化しつつあるウェズナーはそれ故一歩も動く事ができない。
完遂する前に円から出たり、外部からの妨害を受ければ不完全な状態になってしまい
最悪元の姿にすら戻れずそのまま死んでしまう可能性すらある。
そんな事情を知ってか知らずか、先頭の重戦士・・・グレゴリとそれに追随する魔術師・・・
シトリンは迷いなくウェズナーに近づいていく。その進路上に立ちはだかるレイオン。
新たな下僕となった仔鬼の叫びによってダメージを負ったのか、グレゴリはふらついている。
その一瞬の隙に、グレゴリの得物であるヘヴィハックブレードの威力を引き出しきれない
懐にするりと滑り込み、一切の前動作もなく、棒切れを振り回すように手に持った剣を
グレゴリを真っ二つにするように振り下ろした。

338 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/21(火) 22:21:21 0
>「うぐっ…、き、傷が…シトリン…さん!」
>「ヒィィィィギャヤヤァァァー!!」
背後で声がしたと思ったら、すぐに声が掻き消えた。
苦悶の表情をしながら両耳を手で押さえ、一歩一歩前に歩いていく。
左右。左右。まるで酔っ払いのおじさんのような動きだ。
>「フヒ・・ヒャァハハハハ!愛しいレイオン。私の為に戦っておくれ。わしに危害を加えようとする愚か者
>共の首をいつものように刈り取ってやるのだ!!」
「狩る……つもりは……ない。仲間……にして……」
でも、その足取りもいつの間にかとまり、ヴェズナーとメディナを二つに分けたところのちょうど真ん中で倒れ付した。


339 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/21(火) 23:38:07 0
(オソカッタカ!)

 前方から不気味な絶叫とともに革の護符をとおしてみた男であろう、悪魔使いの男のなにやら叫ぶ声が聞こえてくる。
足元で朽ちているオークの遺骸を蹴散らしてザルフォは迷うことなく疾走する。

 揺らめく炎に照らされる中、ザルフォの眼前に魔道装置の威容が広がり、其の入り口に肩口を押さえて蹲るメディナと
何らかの攻撃を受けたのか倒れ伏すシトリン。
 そしてふらつきながらも前進するグレゴリの姿が現れた。
                                  ・
                                  ・
 恐ろしい音の刃が頭の中を切り裂いていく、顔の中心を暖かな感触が伝っていくのを感じる。
 しかし、ここで足を留めていてはさらに多くのモノを失うことになる。幾多の戦場を渡り歩いてきたグレゴリにとってこのような
状況はすでに馴染みのものだったであろう。ひだりの目尻と両耳から一筋の血の筋を引きながら一歩一歩確かめるように前進していく。
 其の背後では二人の女の何れかだろうか 誰かの倒れ伏す音が聞こえたが、今のグレゴリには振り返ってそれを確かめる余裕は
無い。

 目の前に銀色に輝く光の奔流が広がり全身を金属の甲冑に覆ったエルフの女性が視界の中に現れたかと思うとその両手に携えられた
死をもたらす獲物が空を切ってグレゴリの頚元へと襲い掛かった。
                                  ・
                                  ・
ザアッ!
 背後に土砂を蹴散らし何かが走りこんでくる。こんなところにいったい誰が?新手の敵?そう考えたメディナの耳にせっぱつまった、しかし
聞き覚えのある声が叱咤した。

「レディ!いや、メディナ・スフォーイ。シトリン・グラハム。立ち上がるのだ!お前たちがこのまま倒れていてはブリード地方はおろか 全てが闇王の配
下に蹂躙されることになるのだぞ!この怪物は闇王の魔人兵、この施設を見逃しては光の軍勢と人類に明日は無い。立て!渡しておいたルーンが
有るだろう?アレをつかってグレゴリの攻撃を補佐するのだ!」

 痛みに耐えながら振り返ったメディナの背後には 坑道の外で待機していたはずのブラザー・アンノンが杖を振りかざし炎柱の発する大気の流れに
ローブの裾をはためかせながら悪魔使いの男を睨みつけていた。

340 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/21(火) 23:44:56 0
【おつかれさまですレイオン ◆qyOqVhj/Vc さん。ではウェズナーは私が担当させていただきますので
レイオンで豪快に立ち回っていただけるのを楽しみにしています。
ウェズナーは・・豪快に散らせていただきます(w
睡眠時間大変そうですが無理しないでくださいね】

341 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/22(水) 00:54:08 0
グレゴリが凄まじい勢いで接近している間も、その男の姿は恐ろしいスピードで変貌を続けていた。
魔力感知に弱いグレゴリでさえも、その膨大な魔力の動きが分かる。
「やめて!」「し、シトリンさん、何を! 危ないですわ!」
後ろで女たちが動揺しているかに聞こえたが、そちらは後回しであった。
(早く、奴を止めなくては)

「ヒィィィィギャヤヤァァァー!!」
子鬼たちが上げる叫び声。
「なんだ…?」
気が付くとグレゴリは体を傾け、足の動きも弱まっていた。
どうやら声に魔力があるらしい。
(これでは奴を止めるだけの勢いを付けられないか)

意を決したグレゴリは自分を囲む子鬼に対して肩に背負った大剣を振るった。
こちらの動きが鈍っていることを読んだ子鬼の一匹がひょいとそれをかわすが、
グレゴリにとってそれはフェイントであった。
すぐさま剣を逆に返すと横に飛びついていた子鬼の首を刎ね、そのまま真後ろに
いた子鬼の下顎を切り裂いて両断した。
「ギギッ、ギィェェェエェェ!!」
勢い良くどす黒い血液、内臓が飛び散り、地面を染めていった。
千切れた頭部についた並びの悪い歯が妙な音を立てる。もはや彼らに子供の原型はない。
一瞬、怯んだ隙に大剣をもう一度戻し、もう一匹の腹を引き裂いた。そのまま後方にいる最後の一匹に迫る。
「キッ、キィィ…」
許して、とばかりに声を上げると同時にグレゴリの大剣がその頭上から引き下ろされた。
最後の子鬼は声も出せずに脳天から股までを立に割かれ、破裂するかのように
地面に飛び散った。一瞬でグレゴリの周囲は凄惨な赤黒い肉片だらけになったが、

と、すぐさま向き直り禍々しいオーラの中心に滑り込もうとしたグレゴリに、謎の影が迫った。
「お、女?」
それは先ほどまで身動きすらしなかった女であった。甲冑に身を包んでいるが、
明らかに女であると分かる曲線でできた芸術的とも言える鎧である。女神像のようだ。
兜のようなティアラからは冷たそうとはいえ綺麗な顔を覗かせている。
しかし、雰囲気に性的なものは感じない。ただ機械的に存在する、といった感じなのだ。
それが今、グレゴリの目の前に差し迫っているのだ。

剣が振り下ろされる。大剣による受けは間に合わない。
ガキィン、という音とともに火花が散った。グレゴリがガントレットで
剣撃を辛うじて受けたのだった。ちょっと大柄な女、といった姿だが、
その力は非常に強く、並の鎧なら貫通もあり得るだろう。また、迷いがなく
真っ直ぐな剣筋だった。
僅かに向こうにいる巨大化した男が目に映る。このまま放っておくと危険だ。
グレゴリはガントレットを軽く引き、女戦士のバランスを前に崩させると、
そのまま腹部にヘヴィブーツによる強烈な蹴りを放った。並の戦士の鎧を何度も
内臓破裂で葬ってきた一撃である。更にヘヴィハックブレードを振り上げ、
容赦のない追い討ちを叩き込んだ。

後ろから気違いじみた男の叫び声が聞こえる。聞いたことのある声。間違いなくアンノンだ。
味方になる意志を表明しているとはいえ、我々を煽るつもりだろうか?
このままでは女たちが危ない。
前と後ろから迫る猛烈な悪意に、グレゴリは猶予が一刻もないことを
改めて思い知らされた。

342 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/22(水) 02:37:59 0
「ヒャハハハハ素晴らしい! 惚れ惚れとしそうなその剣技、しかし 所詮は私の敵ではない。」

 魔法円の中のウェズナーと巨大な魔方陣のなかのデーモンが同時にそう言い放つと まるで溺れる男の
断末魔のようなゴボゴボとくぐもった詠唱を唱えグレゴリの足元を指差していく。
 と同時にグレゴリの足元で彼のへヴィハックブレードに打ち砕かれた仔鬼たちの死体が爆音とともに爆ぜ返り
散弾と化した肉塊が足元からグレゴリを襲いその鎧を打ち据える。
 ニヤリと笑ったウェズナーの骸骨から左腕が外れ、地に落ちると同時に燃え上がり 柱から漂ってきた
藍色の煙はデーモンの周囲を漂ったかと思うとその背に巨大な鉤爪をもつ翼の形へと凝固し、デーモンは
施設内に響き渡るような叫びをあげてその背に現れた巨大な翼を誇示するように羽ばたかせた。

343 名前:レイオン ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/23(木) 23:59:25 0
目の前の敵性体は過去の交戦で、
一度として受け止める事も避ける事も許さなかった一撃を
籠手で受け止めた。最初から全力、と言うよりはペース配分や
敵性体の能力の確認などと言った柔軟な思考が要求される行動を
レイオンはその性質上取る事ができない。それ故に慎重になりがちな
過去の敵性体はことごとくその刃の錆となったのだが。

装備している鎧の剛性も並大抵の物ではなく、多少の傷が残っただけ。
グレゴリは籠手を引き、小細工を知らないレイオンの体勢を崩して
その一瞬の間に蹴りを放ってきた。重装甲に加え、その重量を支え
なおかつ機敏な動作を可能とする脚力から繰り出される蹴りは、
普通ならばそれだけで勝負が決まってしまうほどの代物だった。

だが、こと今回に限って言えばそれだけで勝負は決まらなかった。
強力な蹴りを受けたにもかかわらず、レイオンは二、三歩分滑っただけで
大した損傷を受けていないようにしかグレゴリには見えなかった。
それを裏付けるかのように、グレゴリの大上段の強撃を
両手に持った剣を交差させその交差点で受け止めた。その衝撃で
レイオンの全身が短くなったように見える・・・膝を折ったのではない、
衝撃で地面に両足がめり込んだだけなのだ。頑丈な床にめり込んだ右足を
無造作に引き抜き、意趣返しのようにグレゴリの腹部に蹴りを入れて
押し返し、ウェズナーの援護で気を逸らしたグレゴリに、
またしても右手の長剣を振り下ろし・・・今度は左手に逆手に持った
小剣で横薙ぎに斬りつける。

344 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/24(金) 10:17:00 0
「少し我慢してください。」

 彼女の身体に腕を回しかばうようにブラザー・アンノンがメディナを自分の背後に引き込んだ。 
すぐ傍に膝をつき足元に杖を置くと、今もゆっくりと出血を続ける傷口を隠す彼女の手を離すように
促すと その傷口に大きく開いた右手を当てて静かに息を吐く。
 苦痛に耐えながらその手を凝視しているメディナの目の前でブラザー・アンノンのローブの袖から
周囲で吹き荒れる風に煽られて微かにたなびく幾本もの半透明の腕が現れブラザー・アンノンの右腕に
重なるように消えていく。

 彼女の傷口に当てられた修道士の腕は幽体の腕が放っていた青白い輝きに包まれ、大きく開かれた
その掌からは霧のような白い気体が立ち上って魔方陣に向かって吹く風に引かれ細く尾を引いている。
 まるで暴れようとするのを抑えるかのようにメディナの身体を岩壁に押し付けながら、家畜に焼印を捺す
ようなかたちでブラザー・アンノンは その掌をメディナの右肩の傷に押しこんでいった。

 焼けた金属の塊を押し当てたような激痛が走り シュッ!!という傷口の焼けるような音が聞こえた。
 必死で身を振りほどこうとする彼女を押さえつけたままブラザー・アンノンは手を離そうとしなかったが
しばらくするとチリチリと痺れるような疼きとともに傷口の痛みは和らぎ、しだいにまったく痛みを感じなくな
っていった。
 (すごい癒しの力だわ、一瞬で傷を癒すなんて!)
 恐る恐る傷口の縁に手を触れたメディナは己の右肩がまるで凍結しているかのように冷たいことにハッと
その手を引くと、問いかけるようにブラザー・アンノンの顔を見上げた。

 「いまは治癒をおこなっている時間がありません。止血と痛覚の遮断は済みましたからしばらくは行動に
支障はないはずです。デーモン兵があの魔方陣から出てくることになれば決死の覚悟が必要となります。
今のうちになんとかできれば・・・」

 幽体アンデッドの持つ負のエネルギーによる低温接触攻撃を利用した応急処置だったが短時間ならば
これで何とかなるはず。しかし呪術による直接攻撃がデーモンに通用するかは疑わしかった。
 強靭なグレゴリと手負いのメディナに敵の攻撃をしのいでもらい私が支援をおこなうとして、この勝負は
シトリン・グラハムの魔術が何処まで通用するかが大きな要素となるかもしれない。
 そう考えたザルフォは足元の杖を握りなおすと
 
「わたしはシトリン嬢の様子を見てきます。グレゴリ様の援護をお願いします!」
 そうメディナに伝えると、逆巻く風に引き込まれないように腰を落としながら前方に倒れ伏したシトリンに
むかってザルフォは進んでいった。




345 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/25(土) 18:33:06 0
>「レディ!いや、メディナ・スフォーイ。シトリン・グラハム。立ち上がるのだ!お前たちがこのまま倒れていてはブリード地方はおろか 全てが闇王の配
>下に蹂躙されることになるのだぞ!この怪物は闇王の魔人兵、この施設を見逃しては光の軍勢と人類に明日は無い。立て!渡しておいたルーンが
>有るだろう?アレをつかってグレゴリの攻撃を補佐するのだ!」
遠くのほうで声がする。
目を開けた。
目の前に転がっているビーズがかすんで見える。
たぶん、転倒する際にむなポケットから転がり落ちたのだろう。
手を伸ばし、ビーズをつかんだ。
言われたとおりビーズを口の中で含み、立ち上がった。
羽ばたく音がするので天井のほうを見上げた。
デーモンが空を飛んでいる。
その背は常人の3倍以上はあり、翼の長さだけ自分と同じぐらいの長さがあった。
翼にはカーゴイルを思わせるような鍵爪がくっついている。
恐怖感のせいか、心臓が早鐘を打っているのがわかる。
つばと一緒にビーズも一緒に飲み込んでしまった。
>「わたしはシトリン嬢の様子を見てきます。グレゴリ様の援護をお願いします!」
足音が聞こえてきた。
振り向くとザルフォがすぐそばまで来ていた。
首筋からは冷や汗みたいなものが流れ落ち、背筋を冷たい何かが駆け抜けたような気がした。
かなりやばいのかもしれない。

346 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/26(日) 01:34:02 0
 辿り着く寸前にシトリンがふらつきながら立ち上がる。振り向いた彼女に

「大丈夫ですか?」

 と声をかけつつ覗き込んだザルフォは見つめ返してきたシトリンの瞳の虹彩が
青白い光に揺らめいていることに気付き 渡しておいたビーズを彼女が使用したことを
知った。
 ザルフォの視界にはビーズに呪縛しておいた死霊がシトリンの身体に重なるように立ち、彼女
の身体をサポートする形で憑依している姿が徐々に現れてきた。

「いかがです?もう痛みも疲労も感じなくなったはずですが。グラハム嬢、あれを見てください。
護衛のあの剣士はグレゴリ様とレディ メディナが何とかしてくれていますが、このままあの
妖術師を放置しておくと我々の勝算はさらに低くなります。あの儀式を中断させるためには貴方 
の力が必要です。なにか良い手をご存知ではないですか?もし援護が必要でしたら私がなんと
かします。」

そういって杖を前方に構えて吼え猛るデーモンを指し示した。
                            ・
                            ・
 恐怖も迷いも まるで初めからそんなものなど無かったかのように、腹部から這い上がってくる
冷気がかき消してゆく・・・倒れ伏したときに負った頬の引っかき傷の痛みも消え、立ち上がろうと
しただけで何かに引き上げられるように体が動いたのだ。
 炎の柱と床の魔道の文様が放つ光が乱舞する空間、しかし薄暗がりの空間の中で視界のそこここに
あった影に閉ざされた箇所にあるモノが徐々にはっきりとシトリンには見通せるようになってくる。
 死霊のもつ暗視の能力がシトリンの視力を変化させているのだ。
 その変化は闇を見通す以外にもこれまで見えなかったものまで彼女に見通す力を与えていた。
 彼女の身体に寄り添うように立つ朧げな人影、「気」の力に輝くメディナ(その右肩周辺のみが暗く
翳っていた)、そして紫色に輝くエネルギーの帯が周囲の炎柱からデーモンに注ぎ込まれていくの
が見える。グレゴリと切り結ぶ女剣士は多色の混じりあった不気味なオーラを纏っていた。
 そして彼女自身も自らの持つ魔力と所持している魔術の道具によって輝き揺らめくオーラに包まれ
ている。
 
 しかし彼女の目をもっとも引いたのはデーモンを指し示すブラザー・アンノンが あの巨大なデーモンの
半分程の巨大な青白いオーラを纏い【正体の大きさです】その周囲に無数の人影を従えていたことだった・・・・。

347 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/26(日) 09:11:30 0
>「ヒィィィィギャヤヤァァァー!!」
「ぐうぅ…、なんて声…
 目の前が…こんな時に…」
【普段は戦闘の際に役立つ研ぎ澄まされた聴覚が仇になった】
【キィーンという耳鳴りと共に視界がぐにゃっとなり、立っていられなくなる】
【フラフラとよろめきながら、その場にへたり込んでしまう】
【意識を保とうとするが、これでは戦闘どころではない】
【この時ほど、己がか弱い生身の人間であることを後悔したことはない】

>「レディ!いや、メディナ・スフォーイ。シトリン・グラハム。立ち上がるのだ!お前たちが…
「こ、この声は…ブラザー・アンノン…?
 そう…ですわね、事情はよく…知りませんけど…
 ここで…倒れるわけには!」
【背後に居たのは、新手の敵ではなくアンノンと名乗る修道士だった】
【安全のために坑道の外に待機していたはずである】
【それに、雰囲気が先ほどとはまるで違う】
【安心感と共に、一種の不安感も芽生える】
【しかし、今はそんなことをいちいち気にしている余裕は無い】

「ブラザー・アンノン…何を!?
 …うぐっ、ああぁっ!」
【吹き飛んでしまった右腕の傷口に激痛が走る】
【だが、それは直ぐに和らぎ、痛みを全く感じなくなった】
【信じられないほどに高い治癒能力に驚きを隠せない】
【修道士とはかくも癒しの魔法を扱うが、ここまで精度の高いものを行使できる者は少ない】

>「いまは治癒をおこなっている時間がありません。止血と痛覚の遮断は済みましたから…
「え、ええ、ありがとうございます…
 グレゴリさんから頂いた傷薬で凌いでいましたが、そろそろ限界でしたの
 …けれど、あの男を攻撃するためにはあのエルフを突破しませんと」
【先ほどの耳鳴りと視界の歪みも大分消え、ゆっくりと立ち上がって態勢を立て直す】
【グレゴリと正面から斬り合っているだけで、最早肉体的には超越していると言っていい】
【オークを正面からいなす男を相手に互角以上に渡り合っているのだ】
【手負いの自分に出来ることは、せいぜいグレゴリの援護だけである】

>「わたしはシトリン嬢の様子を見てきます。グレゴリ様の援護をお願いします!」
「ええ、お願いします
 シトリンさんのこと、くれぐれも頼みましたわよ!」
【そう言って、シトリンの方へ向かっていくアンノンを見送る】
【しかし、すぐさまグレゴリの方へと向き直る】
【下手に援護を加えれば、自分かグレゴリが死ぬ】

「え、う…嘘、ルタリア…様?」
【最初は影になって見えなかったレイオンの顔を見て、驚愕の表情を浮かべる】
【その顔は、己の師であるマスター・ルタリアに酷似していたからだ】
【マスター・ルタリアは、非常に名の知れたエルフ族の女戦士である】
【人間に比べ体躯の華奢なエルフ族は、魔法使いや弓術士になる者がほとんどである】
【彼女はその中にあって、接近戦による格闘術と気功術を極めた偉大な戦士だ】
【私の戦士としての師であり、家名に縛られず自由に行動することを教えてくれた人物でもある】
【マスター・ルタリア自身もエルフ族の名家の出身だが、武を極めるべく出奔している】
【二年前に別れ、それっきり会ってはいない】

「ふふ…、しっかりなさい、メディナ・スフォーイ!
 ルタリア様がこのような場所におわすはずがございませんわ…
 あの方は今でも、懐かしいジェミナイの森で大自然と語り合っておられるはずですもの!」
【そう自分に言い聞かせながら、左手に気の流れを集中させる】
【そして、それをグレゴリに流し込むように流れをグレゴリの背後に向ける】
【体調を安定させ、先ほどの耳鳴りなどを治すことができる癒しの気である】
【しかし、不安で胸が一杯になっており、思うように安定した気を送り込めない】

348 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/26(日) 10:01:41 0
グレゴリ「しっかりしろ!」
【凄まじいグレゴリの怒号が飛ぶ】
【励ましなどではなく、純粋に覚束ない私の行動への怒りだろう】

「いつまでもいつまでも、気にするものではありませんわよ、わたくし!
 でやあぁぁっ…あぐっ!」
【絶叫しながら、左手で自分の頬を思い切り殴りつける】
【そして、ポケットから取り出したビーズを口に含むと瞬時に左手を振りかぶり、気を溜める】
【気は右腕を失ったときと同様に可視できるほど高濃度で、プラズマ現象まで起こっている】
【利き腕でもない腕で、ここまでの気を溜めるのは自殺行為である】
【しかし、俯いたまま一向に気にする様子は無い】

「誰かに死なれるぐらいなら…左腕でも差し出してみせますわ!
 はぁぁぁ…ハアァッ!」
【溜められた気は急速に出力を抑えて安定化し、見事な複数の矮小な気弾に変化した】
【それらのいくつかはグレゴリの動きを妨害している小鬼の肉塊に命中し、吹き飛ばしてしまう】
【残りのいくつかはレイオンの左手の小剣に命中し、衝撃で威力を殺してしまう】
【ビーズによって安定した気の流れが、奥義の気弾の使用を始めて成功させた】

349 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/26(日) 10:29:47 0
エイゼル「おお、我が愛しきメディナよ、ついに会えた!」
親衛騎士「エイゼル様、どうやらメディナ様は右腕を負傷されているようです
       それにこの只ならぬ雰囲気、黙って見過ごすことはできません」
エイゼル「その通りだ、これ以上メディナに傷を負わせるわけにはいかん
       右腕ぐらいなら、魔動義手で代用は効く
       しばらく様子を見た後、あの連中を囮にして、メディナだけを救出して撤退するのだ」
親衛騎士「何をおっしゃるのです!
       メディナ様たちに加勢し、フォンシュタットの義と武勇を見せるべきです!」
エイゼル「平民上がりの騎士風情が知った風な口を利くな!
       我々が最優先すべきは、メディナの救出だけだ
       あんな化け物の相手をして命をむざむざ捨てることはない」
親衛騎士「あ、あなた様というお方は…!
       か、畏まりました…」
【やっとの思いで幻覚地帯を抜け、神殿のような空間の入り口の影で中の様子を伺っている】
【凄まじい死闘が繰り広げられ、出るに出られないで居た】
【エイゼルは加勢すべきであるという親衛騎士の進言を無視し、あくまでメディナの連れ帰りを優先する】
【エイゼルの余りに自分勝手な判断に、親衛騎士を含めたほぼ全員があきれ返っている】
【平民出身や傭兵出身の者も居るとはいえ、皆正騎士としての誇りは持っているのだ】

350 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/26(日) 23:19:44 0
【申し訳ないですが次の書き込みは28日になります】

351 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/27(月) 22:05:10 0
「グゥハハハハハハハ!身体が軽い。力があふれ出してくるわ、さあ あらたな支配者の
誕生を祝福しワシの前に頭を垂れよ。下郎共!!」

 魔法円のなかのウェズナーの残骸の口腔の中でそれだけがまるで別の生き物ででも
あるかのように薄紅色の舌がひらひらと蠢き、魔方陣の中のデーモン兵が轟くような声
でそう告げるとギラギラと輝き硬質化した組織に鎧われた実体化を終えたその腕を魔方
陣の放つ光の壁の外に伸ばしていく。
 その腕は傍に転がったオークの死体の上半身を小石でも拾い上げるように軽々とその
もう半身から引きちぎって持ち上げるとシトリンとブラザー・アンノンに向かって投擲し、た
なびく煙に揺らめく大気を引き裂くように死体は凄まじい速度で二人に向かって飛来する!

352 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/28(火) 23:28:06 0
魔法陣の男は既に残骸と化しており、巨大なデーモンがまるで
なるべくしてなってかのように堂々と魔法陣の中央にそびえ立っていた。

それよりも目の前の敵だ。
ガィィン!!
「なにぃっ?」
女剣士はグレゴリの一撃を細い二本の剣で受け止め、絶妙な体勢で
そのショックを地面に受け流していたのだった。
(くそっ、時間が…)

自分の援護をしている女達の悲鳴、そして目の前のデーモンの脅威に気を取られていると、
女剣士のすらりと伸びた脚が腹部に直撃する。
「うぐ…」
一瞬怯んだ隙に二本の剣でグレゴリを包むようにして斬りつける。

後ろではシトリンに続きメディナからも異様なオーラが漂いはじめた。
「しっかりしろ!」
まるで自分だけが悪意の中で孤立しているような気分になり、グレゴリは思わず声を出した。
「誰かに死なれるぐらいなら…左腕でも差し出してみせますわ!
 はぁぁぁ…ハアァッ!」
メディナの声が響くと、魔術によって醜い魔弾となった子鬼の肉片が吹き飛ばされ、
さらに女剣士の剣撃もいくらか速度が弱まった。

判断はすぐだった。
回避のしようがないと思ったグレゴリはそのまま鎧に攻撃を受けながらも
女剣士に向かって突き進み、鎧に包まれた腹部めがけて強烈な突きを見舞った。
グレゴリの鎧は攻撃を受けて火花を上げたが、この一撃でさすがの相手もこたえたようだ。
そのままがっちりと女剣士の両手を押さえ込むと、首を締め付けながら両手の武器を落としにかかった。

横目でメディナとシトリンの姿を見ると、明らかに今までの彼女達とは雰囲気が違っていた。
(まさか、あれを使ったのか…)
その後ろには、不敵な笑みを浮かべたアンノンの姿があった。

353 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/29(水) 08:20:44 0
エイゼル「ふふ、ふふふ…、ついにこの時が来た…
       家出娘を探し続けて足掛け5年、ついに見つけたんだ
       この機を絶対逃してなるものか!
       モノにしてみせるぞ」
親衛騎士「………」
【欲望に満ちた笑みを浮かべながら、様子を伺うエイゼル一行】
【親衛騎士の一人が、その横顔を不満そうに見つめていた】
【他の者たちも同じような顔をしている】

エイゼル「私のやり方に不満があるようだな…
       ふふふ、無理も無い
       私自身も高貴なる者の一員として、実に卑劣な行為だと思っている
       だが、我々に手段を選んでいる暇はないのだ」
親衛騎士「………」
エイゼル「フォンシュタットはかつて、今のスフォーイをも凌ぐほどの隆盛を誇った名家中の名家なのだ
       地方の貧乏貴族に身をやつした今では、想像も付かんことだがな…
       それに、高貴な血筋で語られるスフォーイも、元を辿れば蛮族の長だった家柄だ
       だが、フォンシュタットは正統なる血を持つ純粋な貴族!
       力も名誉も何もかも、元々はフォンシュタットが上だったのだ!
       だが、スフォーイとの権力争いに負け、今ではこのザマだ
       私はフォンシュタットの嫡男として、御家を再興させる義務…いや使命があるのだ!
       そのためなら、どんな状況だって利用してみせるぞ…」
親衛騎士「我々は…卑賤なる身分出身の我々はどうなるのですか…」
エイゼル「おまえたちは今までよく尽くしてくれた…
       フォンシュタット再興の暁には、おまえたち全員を貴族に取り立ててやる!
       そうすれば、名実共に真の正騎士だぞ!」
親衛騎士「………」
【エイゼルの只ならぬ表情を見て、今までの行為が偏執的な使命感によるものだと分かる】

354 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/29(水) 09:25:14 0
 互いに顔を見合わせた親衛騎士達にとって各自生まれや境遇は違えども騎士の叙勲を受けた
ときの使命感や名誉を失ってまで彼らの主人が忠誠を尽すほどの存在ではないとエイゼル自らが
明らかにしてしまっていた。

親衛騎士「我ら『光』の御名のもと、力なき者を守る盾にして邪悪を討ち破る刃なり!」
エイゼル「バカモノ!手を出すなといっただろうがッ!」

 背後で叫びが上がると同時に6人の騎士が放つ戦弓の矢がレイオンと切り結ぶグレゴリの
脇を掠めていき、魔方陣のなかのデーモンに突き刺さらんとする、が しかしデーモン兵の
体表に触れるとともにその鏃は錆びれ果て、木っ端微塵に砕け散った。
 さらに射掛けられる矢のなかの幾本かは周囲に逸れ、その中の数本がそばの魔法円のなかに
立つ今にも崩れ落ちそうなウェズナーの身体に突き刺さり、わずかなバランスで組み合わさってい
たその肉体は重たく湿った音を立てて魔法円の上に崩れ落ちた。
 魔法円の上でウェズナーの肉体の残骸は炎を吹き上げて燃え上がり 煙と化して後にはなにも
残らない。

 背後の親衛騎士達の中から小さな歓声があがり 剣と盾を構えた騎士達がバラバラと広場に
駆け込んでくる・・・シトリンとメディナには見えていなかっただろうが走りこんでくる親衛騎士の一
人は剣を振り上げながら彼女たちのもとに向かった。

「この怪物め!これを喰らって冥府に落ちろッ!」

という叫びと共にその騎士は横目でみるグレゴリの視界の中、シトリンの横にいたブラザー・アンノン
の背に斬りつけたのだった。
                           ・
                           ・
 気弾を放ちグレゴリのサポートを果たし息をついたかと思うと背後で声が聞こえて頭上を矢が飛び
越えていく。デーモンは意に介さない様子だったが儀式を行なっていた妖術師が矢に射抜かれて
崩れ落ちるのが見えた。
 グレゴリがチラリとこちらを伺うのが見える、その目が何かを追うのに気が付き振り向こうとすると
すぐ脇を豪奢な甲冑に身を固め、剣と巨大なタワーシールドを構えた騎士が駆け抜けていく。
 その騎士が纏うサーコート(鎧の上に着る上着・戦場での区別のため紋章や決められた色である
ことが多い)は間違いなくフォンシュタット家の騎士であることを表わしている。
 その騎士はメディナの見守るなかシトリンの背後まで走りこむと躊躇無くブラザー・アンノンのロー
ブに覆われた背にその手にもつ剣を振り下ろしたのだった。
                           ・
                           ・
 傍で激励の言葉を掛けていたブラザー・アンノンが大きく目を見開く・・その瞳全体がみるみる血の
色に染まり、その瞳孔が猫のように縦に狭まったのをみたシトリンは驚愕し、そのブラウンの瞳を見開いた。
 波止場の荷卸のような重いドサリという音を立てて修道士が肩から倒れ伏し、その背後には豪奢な装備の
騎士が立ち、騎士の右手の長剣はブラザー・アンノンの血に濡れていた。

「大丈夫かね?お嬢さん、メディナ様の警護ご苦労だった。ここからは我々に任せたまえ。」

 そういって騎士はシトリンに背後の坑道に向かうよう伝えたが、シトリンにはその姿は目にはいっていなかった。
 ブラザー・アンノンのビーズを口に含んだ(・・呑み込んだ)二人にしか見えていない光景ではあったがブラザー
・アンノンの巨大なオーラは激しく揺らめき、周囲の人影が何かの始まりを予感させるように激しく飛び交う姿に目
を奪われていたのだ。
 
 デーモンが投げつけたオークの上半身を喰らい、アンノンに斬りつけた甲冑の騎士が後方にはじけ飛ぶ。
 炎柱の巻き起こす風のなかに何人もの細く尾を引くような悲鳴にも似た声が響きはじめた・・・。


 

355 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/29(水) 09:59:53 0
【しまった!騎士の持っている盾はタワーシールドでなくラウンドシールドでした。
じぶんで書いてて間違えてしまいました。】

356 名前:レイオン ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/29(水) 21:47:30 0
>グレゴリさん
【そのままがっちりと女剣士の両手を押さえ込むと、
 首を締め付けながら両手の武器を落としにかかった。】

【え〜、恥ずかしながら、どういう体勢になってるのかちっとも想像できないです。】
【よろしければ、説明してもらえませんか?】

357 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/10/30(木) 00:10:56 0
【レイオンの懐に入って正面から両腕を押さえこみ、
両腕を捻ってそのまま後ろに回りこみ、首を絞めつつ武器を奪う感じです】

358 名前:レイオン ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/10/30(木) 22:05:01 0
「え、う…嘘、ルタリア…様?」
メディナの驚きを込めた呟きは、レイオンと『元』ウェズナーの
耳にも届いていた。似ていて当然、ウェズナーの性癖を歪めたエルフこそ、
メディナの師であるルタリアなのだから。ただ一度の邂逅、それだけで
ルタリアの顔をいまだ忘れる事無く覚えているウェズナーの執念は、
もはや人間の域ではない。すでに人間ではなくなっているが。

一方、レイオンの表情には何の変化もない。
当たり前だ、自我などないのだから・・・しかし、その一言だけは
何故かいつまでも耳元で復唱され続けていた。

そんな中放った左右からの同時攻撃も功を奏さなかった。
メディナの放った気弾が左手に当たって威力を減衰させただけでなく、
頭部のティアラにも当たって体勢が崩れたからだ。
本来の威力には遠く及ばず、グレゴリの鎧にかすり傷をつけただけ。
そしてその隙を突かれ、腹部にその長大な剣が突き刺さる。
・・・だが痛みを感じることの無いレイオンにはこれでも表情に変化はない。
腕を捩じ上げられ、首を絞められても何も感じない・・・今までならば。

メディナの放った気弾によって、元来物理的衝撃では傷一つ付かない筈の
ティアラにひびが入っていた。そこに込められた魔力はティアラのそのひびに
負荷をかけ、内側からその力を急速に失っていく・・・あれよという間に
ティアラは砕け散り、その瞬間今まで人形然としていたレイオンの表情が歪む。

その歪みは、痛みと苦しみを表しているのは明白だった。
「うあああああああ!!!!!!!!!!」
首を絞められているにも拘らず、凄まじい声量の絶叫を放ち、無理な体勢も
お構いなしに暴れ回ってグレゴリの拘束を力任せに振りほどいた。
・・・右腕が引き千切れると言う代償と引き換えに。

残った左腕で、腹部に刺さったままの剣を引き抜き壁に投げつける。
剣はまるでバターに突き立てたナイフの様に深々と刺さってしまう。
「ああ・・・ああ、あ、うあああああああああ!!!!!!!!!!」
先ほどまでの面影もすでに無く、完全な錯乱状態になったレイオンは
ウェズナーからの命令をまったく受け付けなくなってしまう。そして周囲の状況に
目もくれず、自分を痛めつけた張本人であるグレゴリと、その仲間である
メディナに向かって・・・なんと気弾を放った!


【なんか伏線っぽいのをメディナ氏からトスされた気がするんで・・・】
【ちょっと予定と絡めて流してみました。ちなみにレイオン≠ルタリアなので】
【そこだけははっきりさせておきます。あと、気弾は各々に一発ずつです。】

【ここらでちょっくら裏話。ウェズナーの研究過程では当然試作品が】
【いくつか出来上がってたんですが、戦場の空気と喧騒のせいなのか】
【すべての試作品が必ず錯乱、暴走してしまったのでウェズナーは】
【制御用のティアラで感情や自我の発生を抑止したのです。】
【なので、ティアラを壊したら当然こうなります。】
【ウェズナーはどうしてもこの問題点を克服できなかったので】
【対症療法的措置で満足してしまったんですが、そこが致命的だったと・・・。】

359 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/10/31(金) 01:43:28 0
>「うあああああああ!!!!!!!!!!」 飛び交う人影に見とれていたシトリンは声がしたほうに体を向けた。
レイオンというものすごく綺麗な女性が叫び声をあげたと思ったら、暴れ始め、右腕がちぎれた。
「嘘っ…」
このような芸当できるはずもない。
ブラウンの瞳を見開き、信じられないといった様子でレイオンに目を向けた。
レイオンの腹からナイフが抜けた。
でも、血が出る様子はない。
左腕がナイフを投げる体制をとった。
シトリンのほうに飛んでくるかと思われたが、まったく見当違いの方向に飛んで行き、壁に突き刺さった。
「……」
青ざめた様子で壁に突き刺さったナイフを見つめ、再びレイオンに目をやった。
>「ああ・・・ああ、あ、うあああああああああ!!!!!!!!!!」 どういうわけか知らないが、急に叫び声を上げ始めた。
グレゴリとメディナに向かって気でできた弾を放つ動作が見えた。
「二つ同時…」
どちらか一方を見捨てるしかない。
グレゴリは力はかなりある。
一方のメディナも腕がなくなっているとはいえ、十分に闘うことのできる状態だ。
レイオンから放たれた二つの弾をそらす必要性はなさそうだ。
―赤と青が合わさったものよ。電流を流す弾となり、彼の者を目指せ
シトリンの目の前に現れた、小指ぐらいの魔法陣が弾丸となり、レイオンのほうへと向かい始めた


360 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/31(金) 10:38:37 0
親衛騎士「ぐげあっ!」
【飛び出してシトリンに手を差し伸べようとした親衛騎士が吹っ飛ばされる】
【デーモンの投げたオークの上半身を食らったからだ】
【鈍い音を立てて壁に叩きつけられ、口から血を吐いて即死する】
【鎧の胴部が綺麗にひしゃげ、完全に押しつぶされているのだ】

騎士「ひいぃっ!」
【一部の騎士は恐れおののき、我が目を覆った】
【誇り高き勇敢な騎士なれど、眼前の理不尽なまでに圧倒的な「力」に恐怖せざるを得ない】
【潰されて血を吐き、目玉の飛び出した親衛騎士の死体が空しく横たわる】

親衛騎士2「し、鎮まれ、うろたえるな!
        我々の武具には、悪しき存在にも対応できるように洗礼が施されている!
        戦い様によっては我々が有利だ!
        落ち着いて対処しろ!」
騎士「ど、どうやって戦えばいいんですか!?」
騎士「考えるんだ!
    このままじゃ全滅だぞ!」
【恐怖は更なる恐怖を呼び、やがて部隊を混乱へと陥れる】
【完全に浮き足立った騎士団ほど無力な集団は無い】

エイゼル「愚か者め…、だから手を出すなと言ったのだ…
       凡人如きが束になったところで、あんな化け物を倒せるものかよ」
【物陰から、浮き足立っている騎士団を冷ややかに見つめている】
【エイゼル以外でその場に居るのは、数人の騎士だけである】
【先ほどの集団に着くことなく、エイゼルの側に残ることを選んだ少数派である】


エイゼル「こうなったらこの状況を逆手に取るしかあるまい…
       メディナを救出し、我々だけでもここから脱出するぞ
       全員、覚悟は出来ているな?
       このまま機を見計らって突撃し、一気にメディナだけを連れ出すぞ!」
【騎士たちは無言で頷き、ヘルムを深々と被る】
【エイゼル自身も、近くに落ちていたヘルムを拾って被る】
【手綱を引くと、辺りの様子を伺いチャンスを待つ】

361 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/10/31(金) 11:12:43 0
「う、うそ…きゃあぁぁっ!」
【レイオンの撃ち放った気弾に驚愕させられる】
【とっさに左手に残っていた気を集中させ、その気弾をガードする】
【気弾と私の左手に溜まった気の塊がぶつかり合い、互いに打ち消しあう】
【だが、衝撃までは消せず吹き飛ばされ、壁に叩きつけられてしまう】

「そ、そんな馬鹿な…、有り得ませんわ…
 球気弾…なんて…」
【レイオンの撃ち放った気弾を受けて驚愕させられた】
【私は本来、目に見えるほど高密度の気を安定化させるほどの技量は持っていない】
【アンノンのルーンを使っても、気を一つの球気弾として安定化させることはできなかった】
【掌にあった内は球気弾だったが、離れた瞬間に安定性を失って粒気弾として拡散してしまった】
【それが結果的に良かったのだが、あれでは本来の威力には程遠い】
【だが、目の前にレイオンは何の苦も無く気弾を球気弾として撃ってのけた】

「あ、あの怪物は、まさか…
 いえ、でも…
 けれど、球気弾を難なく撃てる存在などルタリア様以外には…」
【不安で胸がいっぱいになり、気の流れが大きく乱れる】
【体から出ていたオーラは消え、口の中のルーンは輝きを失う】
【自分の体から力が抜けていくのが分かる】
【が、どうしようもない】
【もし本当にルタリア様なら、私にアレに拳を向けることはできないのだから…】

エイゼル「メディナ様、こちらへ!」
「…ッ、そ、その声は…、エイゼル・フォンシュタット!?」
エイゼル「そうです、あなたをお迎えにあがりました」
「わざわざこのような場所にまで…、本当に図々しいですわね…
 死にたくなければさがっていなさい!」
エイゼル「そういうわけにも行かないのです!
       無理やりにでも来て頂く!」
「お、お放しなさいッ!
 このままではグレゴリさんとシトリンさんたちが!」
【メディナの左腕を掴み、無理やり馬に引っ張りあげようとしている】

【レイオンさん、こちらのネタに応じていただき、ありがとうございます】
【メディナはレイオンがルタリアと同一人物ではないかという不安に駆られます】
【もう少しだけお付き合いいただければ幸いです】

362 名前:シトリン・グラハム[sage] 投稿日:2008/10/31(金) 18:19:21 0
>>360
エイゼルかっこいいです。
ほれました。


363 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/10/31(金) 22:32:48 0
「祝福せヨ!今宵 ワしは完全トなッタ。モハや何人たリとモ コの肉体ヲ傷つけルコと
なドデきぬノだ!!」

 空間に轟くと同時にまるで頭の奥から響いてくるような異質な声でデーモン兵が宣言する。
 その巨躯の細部を覆っていた藍色の煙はいまや完全にその肉体と同一化し 前傾して伸びた
藍色の毛に覆われた獣のような頭部はある種の猪に似た形をしていたが、その眼窩に瞳はなく
内部からぼんやりとした光を放つ昆虫に似た複眼が8つ 無作為に頭部のあちこちに輝いていた。
 また頭頂部から背後にかけては一本が船の係留につかうロープほどの太さの肉質の触手が背の
半ばまで何十本と垂れ、その一本一本がときおり捩れるようにうねっている。

 しかしその様な並み外れた怪物の姿をしていてされも その尊大な態度と仕草、話す言葉のなか
から滲む邪悪さは間違いなく悪魔使いウェズナーのものであった。
                          ・
 デーモン兵の周囲を囲んで親衛騎士達が機会を伺い、攻撃を何度か試みたがデーモン兵は何かを
待つように騎士たちの攻撃をいなし まるで子供の手を払うかのように騎士たちの剣を退ける。
 騎士の剣は怪物の体表に毛筋ほどの傷を負わせることも出来ず それどころかその皮膚に触れるたびに
白銀の光を放っていたその刃は曇り、錆び付き、最後にはへし折れた剣を手に騎士たちは途方にくれた表情を
うかべるしかなかった。
 接近戦を挑む騎士たちの背後で矢を放っていた騎士の一人が目を眇めて構えを解くと 皆に警告するように
声を上げる。

「暗くなってきている。炎柱が小さくなってきているぞ!?」

その声を聞きとめたウェズナーは異形の頭部をその騎士の方に向け嘲るように言い放った。

「低脳ノ一人の分際デヨく気が付きオった。古代の戦イにオイて こウシて無敵ノ肉体ヲ得た兵士ガ 完成シた
後二は 次二 何ガ起コると思ウカね?」

 そういうと同時にウェズナーはその背の巨大な翼を左右に広げ、捩れ縒り合わさった筋肉に包まれた両腕を大きく
広げると天を仰ぐ。

 その動作につられて天井を見上げた騎士がヒュゥと息を呑むと叫び声をあげた。
 
「天井が!天井が消えていくぞ!!このままでは逃げられる!!」

 あせりながら弓を構えなおし矢を放つが 全てデーモンの体表に弾き返され、雪崩をうって斬りかかっていく騎士達
の剣も空しく怪物の皮膚を撫でるばかり・・・。

 そうしている間にも炎柱はまるで水を掛けられたかのように小さくなっていき、それに呼応するように細緻な意匠を施
された丸天井の中央から氷が溶けるように岩盤が消え夜空が見えていき 部屋の中から鉱床の上空に浮かぶ建造物と、
それと地上を繋ぐ鎖の周囲を飛び交う雷撃の閃く光景が見えるようになってきた。
                          ・
 そこには既にこれまで冴え渡る剣技を披露し、冷静さをみせていた女剣士の姿はなかった。

「うあああああああ!!!!!!!!!!」
「ああ・・・ああ、あ、うあああああああああ!!!!!!!!!!」

 完全に押さえ込んで脱出の余地もないはずのグレゴリの腕の中から 自らの腕を引きちぎりながら身を振り解き、絶叫を
あげたまま凍りついたように顎を開いたまま 定まらない視線でふらついていた女剣士は残った片手からまるでメディナと
同じような輝く気の球体を メディナとその手に残された女剣士の片腕を持ったままのグレゴリに向かって続けざまに放った
のだった。
 しかしそれと同時に呪文を唱えたシトリンの手元から煌く水面のような蒼と紅玉のような赤い光に輝く小さな魔方陣が飛来し
女剣士のプレートメイルの胸当てに触れたかと思うと、その瞬間に小さな魔方陣から溢れだした細く無数の頭を持つ蛇のよう
な電流が女剣士の全身に這い回るように広がり その肉体を打ちのめした!
                          ・
 船の竜骨が二つに折れるときの様なベキリという音を立てて馬が倒れ 押しつぶされそうになったエイゼルは引っ張りあげ
ようとしていたメディナとともに地上に落下する。
 悲しげにいななくエイゼルの乗馬の背骨は鈎爪を持つデーモンの手を一回り小さくしたような手に圧し折られ その腕の先
を見たエイゼルと彼の周囲にいた騎士達、そしてメディナは信じられないようなものを見ることになった。
 倒れ伏していたブラザー・アンノンのいた場所に巨大な小山のようなものが聳え立っている・・・・

364 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:02:32 0
緊迫していく状況の中、グレゴリはアンノンの後ろから騎士のような連中が
現れるのを見た。空間の雰囲気が急にあわただしくなる。
(いかにも騎士、といった奴らだな…)
アンノンの知り合いだろうか?
「この怪物め!これを喰らって冥府に落ちろッ!」
自殺行為、と思いきや騎士の長剣はアンノンの背中を貫き、
アンノンはそれこそあっさりと血を吐いて倒れた。

「うあああああああ!!!!!!!!!!」
突如、腕の中で締めていた女戦士が絶叫した。
そしてグレゴリの鋼鉄の豪腕をまさに死に物狂いで押しのけようとすると、
その鉄に包まれた細い腕はばねのように彼の締め付けを打ち解いた。
バキィィン…!
女戦士の右腕が飛ぶ。猛烈な力と力の拮抗による衝撃に耐えられずに
鎧ごとはじけてしまったようだ。その必死さにさすがのグレゴリも驚いた。
「おぉ…お?」
腹に刺したはずの大剣も、いつのまにか弾かれ、すぐ横の壁に突き刺さった。
(どれだけの力が…?)
続けざまに女戦士の体が光り輝くと、気弾が放たれた。すぐさま、反射的に剣の刺さっている
方向に体を翻し、受け身を取る。
ガシィィ…
ヘヴィアーマーを削るかのように気弾が命中し、グレゴリの体を後退させながら
やがて彼の体に衝撃を与えていく。
「ぐぅお!おぉ…ぐぇ…」
壁に叩きつけられると、内部に猛烈な衝撃が走った。全身の筋肉が躍動し、
内臓が揺れに揺れた。一瞬でも気を緩めばアーマーの中身はミンチになっていただろう。
辛うじて鎧ともども致命傷を免れたグレゴリは、力を振り絞り横に刺さった剣を抜いた。
「赤と青が合わさったものよ。電流を流す弾となり、彼の者を目指せ」
シトリンの魔法攻撃が入った。魔法は命中し、女剣士は右腕のない肉体を仰け反らせた。

混戦のさなか、今の状況を確認する。
メディナがさっきの気弾から辛うじて身を守ったが弱っている。
シトリンはピンピンしているようだがアンノンの道具を使った状態だ。
左手には巨大なデーモン。もはや敵以外の何者でもないが、相手が大きすぎる。
その近くには女戦士、ほぼ戦闘能力は削がれていると言っていい。
そして今しがた、よく分からん騎士たちの一部がデーモンに戦いを挑んでいる。
恐らくこいつらに勝ち目はないだろう。
そしてアンノンの死骸と、馬に乗った偉そうな騎士。



365 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 01:04:11 0
「メディナ様、こちらへ!」
「…ッ、そ、その声は…、エイゼル・フォンシュタット!?」
「おっと」
偉そうな騎士が弱ったメディナに近づいたことにグレゴリは注目した。
「お、お放しなさいッ! 」
エイゼルという名前らしい。その男は弱ったメディナの左腕を掴み、
無理矢理馬上に引き寄せた。
「野郎!」

衝動的に剣を抜いて駆け出したグレゴリにエイゼルが率いていた騎士たちが立ちふさがった。
「こ、ここから先は我々が通さん、覚悟…ッ!」
相手は五人。どれも豪華な揃いの鎧を着た、フル装備の騎士だ。
マントなどから気品の良さも伺えるが、それはグレゴリにとって「殺りがい」以外の
何ものでもなかった。体が振るえている。彼らの怯え具合は明らかであった。

「ぬぅおりゃぁ!」
グレゴリが横薙ぎに大剣を振ると、騎士は訓練の通りに縦に剣を構えて受けた。
横で構える四人が一瞬、安堵の表情を浮かべる。所詮は重戦士、簡単に受けられる太刀筋だ、と。
しかし、それはあまりにもお粗末だった。グレゴリの剣はいとも容易く騎士の剣をへし折り、
そのまま速度を殆ど緩めることなく騎士の首を刎ねたからである。
「ひぃぇぇぇ!!!!」「ぎぃぇぇぇ!!」「ぐうぁぁぁあ!!」
騎士の兜に包まれた首が宙を舞うさなか、断末魔が響いた。否、これは断末魔ではない。
横で攻撃の隙を伺っていた騎士達の絶望の悲鳴だったのだ。
足のすくんだ騎士がいたことを、グレゴリは見逃さなかった。
すぐさま返す刃で脇の騎士を袈裟斬りにする。
短い悲鳴とともに内臓をぶちまけ、目を見開きながらもう一人が絶命する。
「ちくしょおぉぉぉ…!」
残りの三人が一斉に掛かってくる。まだ数では有利、しかし…
カィィン…
一人の攻撃が先に届いたもののグレゴリは軽く身をずらしただけでその一撃は
分厚い鉄板によって簡単に弾かれてしまった。
「ひ、ひぃぃ…」
グレゴリが体を捻ると目の前の騎士の上半身が鎧ごと吹き飛んだ。
この鋭い大剣の前では普通の鎧など紙切れ同然なのである。
さらに後ろに居た騎士も、同時に腹部を裂かれ臓器を零し、口から血を吐きながら
前に倒れこんだ。
四つ目の死体の落ちる音が鳴り止んだ時、グレゴリの目の前には鉄くずと肉片、
そしてそこから血糊が放射状に広がっていた。凄惨な光景である。
残る一人の騎士はあまりの恐怖にか、足を震わせながら倒れこんだ。

グレゴリはそれには目もくれず、一目散にメディナを連れ去ろうとしているエイゼルを追った。
このまま奴がこの空間を抜ければ逃げ切られてしまいそうだ。
「くそ…」
その時、突如地面が揺れて馬が倒れ、エイゼルとメディナは馬から地面に落ちた。
倒れた馬に何やら地面から生えてきた腕のようなものが絡みつき、馬はそれに
飲み込まれるようにして絶命していった。

「チッ、俺の女を勝手に連れ去ろうとはな」
追いついたグレゴリはまず片手でメディナの腰を掴み拾い上げると、脇に抱きかかえるようにして
小山のようになっている邪悪な気配から遠ざけた。

そしてメディナを自分の後ろの安全な位置に放り投げるようにして下ろすと、
エイゼルと、かつてアンノンだったものに対して剣を向けた。
勿論、デーモン達を横目で見ながらである。

366 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/01(土) 02:44:48 0
(私二傷ヲ 負ワセオッタナ!)

 術を解き、偽りの姿を振り払いながら前方でメディナを連れ去ろうとしていたあの愚昧な
騎士の乗馬を地に叩き伏せて立ち上がる。
 その姿はデーモン兵ほどではなくとも親衛騎士やエイゼル、メディナを背後にかばう
グレゴリを見下ろす上背を持ち、死霊たちが飛び交うエーテルの流れに全身を覆う布地を
はためかせ、縫い込められた無数の歯牙がカラカラと空ろな響きをあげる。
 
 ざっと周囲を確認し 広間の隅で肩を震わせ呆然と呻いている女剣士を置いて駆けつけた
グレゴリが叩き斬ったのであろう騎士達の死骸・・彼の武器によるものであるのは死骸の状況
からして明白だった・・が4体、5体めはまだいきているようだったが、を確認すると その右手に
握られた象牙色の長槍を振り上げ『5体』の死骸を次々に串刺しにしていった。
                         ・
 大剣を構え ブラザー・アンノンを見守るグレゴリとエイゼルの顔に妙な冷気を纏った風が
吹きかかってくるとともに 痛んだ携帯乾し肉の切れ端のようなものが降りかかる。【変身術の
触媒として使った修道士の頭の成れの果てです】
 それを振り払いながら視線をそらさずにいると馬を一撃で屠ったその小山は見る見る高く立ち上がって
いきデーモン兵の腰上辺りまでの巨大なヒューマノイドへと変貌した。
 その全身はくすんでほつれた大量の布地に覆われていたが、それをみたエイゼルが思わず声をあげた。

「あ、あれはヴィカ・ムルバタ騎馬帝国騎士団の軍旗ではないか!戦場に現れる前に消えたことは
謎とされていたが・・・それにあの旗は!!」
 ヴィカ・ムルバタ騎士団が丸ごと失踪した噂については戦場を生業の場とするグレゴリの耳にもはいって
いた。その指摘とともにグレゴリが気付いたことは この怪物が纏う無数の布地、その一枚一枚が壊滅し
奪われた軍隊の軍旗で出来ているという事実に他ならなかった。

 その無数の軍旗の山の上からは紛れもなく凶悪なオーガの頭がこちらを見下ろしている。
 その頭蓋にはブラザー・アンノンと同様に畝上に編みこんだ灰色の髪が肩辺りまで広がり、大きく開いた
その口腔には鮫のような形にヤスリで研ぎ上げ刻みをいれた牙が垣間見えた。
 その怪物はいまや弱々しくもがくばかりの馬から腕を戻すと、その軍旗の山から突き出した右腕で地面に
転がっていた杖・・いや今や杖はまるでパイクのような長大な槍に変わっており、その漏れ出る髄液で滑り光る
無数の骨で組み上げられた槍を拾い上げ、グレゴリ達に目もくれず地面に倒れた5人の身体を串刺しにして
一気に持ち上げ、槍の穂先を上げて地面に突き立てたのだ。

 「案ずるな!私はザルフォ・ジャカニグ。今はお前達の敵ではない!あのデーモン兵を破壊することを目的と
しているだけだ。この屑共の命は有効に使わせてもらう、私に剣を振るったのであるから咎はこやつらにあるだ
ろう?」
 
 そういって正体を現したオーガの呪術師がグレゴリ、シトリン、メディナの顔を見てニヤリと歯をむき出す。
 その表情は食人鬼にしては柔和なものであったが猫科の動物のように縦に狭まった瞳孔と真っ赤な瞳に宿る
冷酷な理性の光だけが このオーガが偵察に現れた野蛮な同類や狂喜に堕ちた悪魔使いよりも さらに危険
な怪物であることを顕しているのだった。

 「報酬が前払いになってしまうが、此処で支払いをさせていただこう。グレゴリ、メディナ、魔化儀式を受け取り
たまえ!」
 
 ザルフォが右手で槍を持ち上げ その石突(後末端の部分)で強く地面を打つと槍に刺さった5人の遺体が
「ズッ」とより深く刺さり揺れる。

 ザルフォが不可思議な言葉を唱えるうちに槍に刺さった死体はジワジワと萎び、滲むように現れた青白い光
の中に無造作に槍をつかんだ右手を突きこんだザルフォがその光を引き延ばすようにその手を動かし、空中に
複雑な二つのルーンを書き上げる。

 「魔化用のエネルギーはこれで準備が済んだ、グレゴリはその大剣を何れかのルーンに触れさえたまえ。
君の武器は強化され、デーモンの防御力場をも斬り通せるようになるはずだ。そうして、メディナ・スフォーイ。
今の君にはこうすることが一番良いだろう!!」

 ザルフォは骨の槍の先端を残ったルーンに触れさせるとルーンの輝きは槍の穂先に灯り、その槍の穂先を
ザルフォはメディナの右肩の断面に深々と突き刺そうとした!


367 名前:レイオン ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 00:30:12 0
それぞれに放った気弾は予想以上の効果を上げた。
メディナはそれほどの痛手は被っていない様だが、グレゴリは
今のでそこそこのダメージになった。だがそれに気を取られてできた隙に、
ノーマークだった魔術師が放った電撃で追い討ちをかけられる。
痛めつけられ、結果痛みを知り、苦しみを感じるようになったレイオンにとって、
そこまで強力な魔法でなくとも効果的なのは想像に難くない。

「うぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
全身を走る不快感と、強烈な痛みでまたしても絶叫を張り上げるレイオン。
ようやく雷撃の洗礼から解放されたレイオンは、魔術師へと向き直ろうとして・・・
メディナが連れ去られようとしているのに気づいた。

「・・・キ、サマ・・・我が、弟子に、狼藉ヲ、働くカァッ!!」
既にエイゼルは落馬して腰を抜かしているが、頭に血の上ったレイオンは
お構いなしにエイゼルに気弾を撃ち込み、これを弾き飛ばした。
しかしレイオンは直後、奇妙な感覚に襲われ身を固めてしまう。
面識など当然あるわけの無いメディナを弟子とはっきり呼んだのだ。
それだけではない、知らない事が次々と記憶に刻まれていく。ここではないどこかが
脳裏に浮かんでくるのだ。それがまた一層、レイオンを混乱させる。


レイオンはルタリアの写し身。たとえ細部が異なろうと、その存在は限りなく近しい。
ルタリアは遠く、ジェミナイの森で脳裏に浮かぶ光景をレイオンを通して見ている。
先ほどのレイオンの言葉は、同調したルタリアの精神に感応したレイオンが口走ったもの。
レイオンもまた、覚えの無い記憶や感情が流れ込んでいてそれを制御しあぐねていた。

そんな中現れたオーガ、ザルフォはメディナに向かって何かをしようとしている。
内容から危害を加えるつもりは無いようだが、エルフにとって不倶戴天の仇敵とも言える
オーガが愛弟子をどうこうしようと言う事に、ルタリアは、そしてレイオンは耐えられなかった。
「オーガよ、我ガ弟子に、触レルなぁ!!」
ルタリアならば、メディナを救って距離を取る方を選んだだろう。
しかし、レイオンはルタリアではないのだ。感情に翻弄され、冷静な判断が付かないまま
ザルフォに向かって巨大な気弾を撃ち出しつつ、走り出す。千切った筈の右腕は、生えていた。
もはやレイオンには主であったウェズナーも、敵として戦ったグレゴリも見えていない。


【もうしばらく、メディナ本人には不安に思ってもらうと思います。】
【こちらこそ、もう少しだけお付き合いさせてください。<ALL】

368 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/04(火) 17:23:34 0
「弟子?いまいち事情が呑み込めんが・・・・」

 錯乱状態のままこちらに走り寄ってくる女剣士に答えながらスピアの穂先を
メディナの弾け飛んだ右腕の断面に覗く ささくれ立った骨の先端に触れさせると
周囲で輝く親衛騎士達の生命から抽出した魔力が槍からメディナの右肩へと移動
していく。
 恐れおののくメディナの眼前で 傷口に見える彼女の骨の末端に、見えない鉤爪で
彫り込まれていく様に螺旋状の紋様が刻まれていくと霞のような白い光が傷口から
まるで若木が生長していくのを見るようにジワジワと伸びてゆく。

 レイオンが放った巨大な気弾は過たずザルフォの体を捉えたが、彼の纏う布の一枚
がその塊を受け止める。
 視界を奪う輝きと共に弾けとんだ気のエネルギーは軍旗に呪縛された死せる軍団員
達の亡霊に遮られ、耐え切れなかった死霊たちの断末魔の悲鳴と共に布地に縫いこま
れた幾つもの歯が粉々に砕け散る。

 攻撃を受けたことを意に介さず術を継続していたザルフォはレイオンをチラリと横目に
見ると歯を剥き出して笑いながら彼女に答えた。

「・・過保護な師匠の存在は、弟子を腐らせるぞ。そんなことより、その怪物を何とかしないと
弟子も私も死ぬことになるんだがな。」

 そういって顎でデーモン兵を指したのだった。

【メディナさん、問題なければ魔法武器の変わりに呪術でデッチアゲた『魔道腕』をプレゼント
するつもりですが、問題があったら振り払ってくださって結構です。】
 

369 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/11/05(水) 07:57:00 0
親衛騎士「おのれ、背後にも化け物が出たか!
       こうなったら奥の手だ…、例の奴を出せ!」
騎士「し、しかし、アレの使用にはエイゼル様の許可が…」
親衛騎士「アホボンの許可などどうでもいい!
       洗礼武具すら通用せんのだ
       今使わずしていつ使う!?
       早くしろ!」
騎士「は…はっ!」
【親衛騎士に怒鳴られ、部下の騎士が急いで積まれていた豪華な箱の封を切る】
【黄金や宝石で華やかに飾り付けられた、悪辣な成金趣味丸出しの箱である】
【その中から、一際白銀色に輝く弓矢が現れた】
【親衛騎士は弓に矢をつがえると、デーモン兵に狙いを定める】

エイゼル「ば、馬鹿なっ!
       あれは我がフォンシュタット家の家宝ではないか!
       よせ、貴様ら如きに放てる代物ではない!」
【親衛騎士の持つ矢は、セイント・ミスリルで出来た聖なる破魔の矢である】
【ミスリル自体、老練なドワーフしか加工できないとされるレアメタルである】
【さらにそれをエルフの祭壇で洗礼・祝福し、より眩い輝きを得たものがセイント・ミスリルなのだ】
【魔の者に対し絶大な威力を発揮するが、未熟な者が使えば恐ろしいことになる】

親衛騎士「ば、馬鹿な…!
       なぜこちらに…ぐあがっ!」
騎士「隊長!」
【セイント・ミスリルの矢は放たれたが、デーモン兵に飛んでいくことなく舞い戻った】
【そして、親衛騎士の心臓を貫き、向こう側の壁に突き刺さってしまう】
【親衛騎士は全身から血を噴出しながら、その場に倒れこむようにして動かなくなった】
【凄まじい量の血で、血だまりが広がっている】 

370 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/11/05(水) 08:42:31 0
無数のデーモン兵が見える。
空には巨大な悪魔と貸したウェズナーが翼を広げている。
「祝福いたします。ウェズナー様」
シトリンはひざを床に着き頭をたれた。
もちろん、これは演技だ。
祝福する気など元からない。
「ですが、その前にしないといけないことがあります」
頭を上げ、血で真っ赤に染まった床のはるか先を見た。
血に染まった矢が壁に刺さっている。
床のほうに視線をやると、全身の服やよろいを血で染めた兵士の脇に弓が転がっているのが見えた。
下半分は血で真っ赤に染まり、上半分は元の銀色をかろうじてとどめている程度だ。
「この弓と矢をどうにかしなければ、あなた様のみにかかわる事態になります」
おもむろに立ち上がり、倒れている兵士のほうに歩み寄った。
脇に転がっている弓を手に取り、空を飛んでいるウェズナーに向かって放り投げた。
(あの矢もどうにかしないとダメね)
ウェズナーのほうに弓が届くことを確認することなく、矢が刺さっている壁のほうへと歩き始めた。


371 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/11/07(金) 16:10:49 0
エイゼル「な、何…うわぁ…!?」
「あぁっ!」
【二人まとめて落馬し、エイゼルがメディナの上に覆いかぶさる形になる】
【エイゼルは頭を抑えながら、首をもたげる】
【メディナはエイゼルを押し退けて、不穏な気配に視線を移す】
【そして、二人は目の前に広がる光景に冷や汗を流して絶句する】

「あ、新手だとでも言いますの…」
エイゼル「ひいぃ…、わ、私の馬が…」
【綺麗な毛並みの白馬が背骨を折られ、白目を剥いて泡を吹いている】
【馬は表情を作らないが、その光景は凄まじい形相という他ない】
【エイゼルは歯をガタガタ言わせながら腰を抜かし震えている】
【メディナは恐怖感が込み上げるのを堪えながら立ち上がる】

372 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/11/07(金) 16:25:50 0
>「ひぃぇぇぇ!!!!」「ぎぃぇぇぇ!!」「ぐうぁぁぁあ!!」
【そして突如、男のけたたましい悲鳴が聞こえてきた】
【次はそちらに振り向くが早く、次々と騎士たちが討たれていくのが分かる】
【気付けば辺りは血の海が広がり、切断された騎士の死体が転がっている】
【人間離れしたグレゴリの斬撃の餌食になったのである】

エイゼル「あ、あっちからも化け物があぁぁっ!
       もうイヤだ…、もう勘弁してくれえぇぇ…!」
「………」
【エイゼルはすっかり錯乱し、グレゴリが周囲の人外と同じ化け物にしか見えないらしい】
【グレゴリの戦い振りを見れば、誰もがそう思うことだが…】
【かく言う私も、その光景に圧倒され呆気に取られていた】

>「チッ、俺の女を勝手に連れ去ろうとはな」
エイゼル「メ、メディナは私の婚約者だぞ…!
       お、オーガ如きが触れていい人ではないぃ!」
「…っつぅ、もっと丁寧に扱ってもらえませんこと?
 それにいつ、わたくしはあなたの女になりましたの?
 誤解を生むような発言は控えていただきたいものですわね」
【グレゴリに抱えられ、そのままやや離れた場所へ放り投げられる】
【かなり乱暴だが、正直もう慣れてしまっているから気にならない】
【一方のエイゼルは、ミスリルの細剣を抜いて振り回している】
【グレゴリに対して威嚇でもしているつもりなのだろう】

373 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/11/07(金) 21:55:18 0
「あ、アレはオーガ…
 魔力の気を放っているということは、シャーマンクラス?
 けれど信じられない濃度ですわ…桁が違う…」
【改めて小山の方を振り向くと、巨大な影がマントをはためかせながら立っている】
【カラカラという音を響かせながら、邪気も渦巻いている】
【そして、マントの影に見えた姿からそれがオーガであることに気付く】
【オーガ突如、大剣で騎士たちの死骸を串刺しにし始めた】

エイゼル「あ、あれはヴィカ・ムルバタ騎馬帝国騎士団の軍旗ではないか!
       戦場に現れる前に消えたことは謎とされていたが・・・それにあの旗は!!
       どれもこれも消えたはずの騎士団ばかり…
       一体…、一体この場で何が起こっているんだ…」
【立ち上がる気力も無くし、その場にへたり込むエイゼル】
【最早、ただの人間がどうこうできるレベルでないことを自覚して絶望している】

「お、叔父様の騎士団の隊章旗まで…
 その言葉、信じさせていただきますわ…」
【いくつかの軍旗の中に、スフォーイの家紋が入った旗があるのを見つけた】
【それは、半年ほど前に私を始末するために派遣された叔父の騎士団のものである】
【こちらに来る前に隊ごと行方不明になったこと聞いている】
【信じたくないが、信じるより他に選択肢はない】
【今の私たちにオーガまで相手にしている余裕は無い】
【言葉が通じるなら和解も必要だが、他の者たちが信じるだろうか?】

374 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/11/07(金) 22:10:11 0
エイゼル「よ、よせ、来るな!
       来るんじゃない!
       私は…私はぎゃばっごっがごっあぎぇ…」
【次々にレイオンの球気弾がエイゼルに撃ち込まれていく】
【気弾はエイゼルに命中すると爆発し、衝撃波のエネルギーによって体が宙を舞う】
【壁や天井に滅茶苦茶に叩き付けられ、鈍い音と共に血や肉片が飛ぶ】
【最後に天井にぶつかり、所々が黒く焦げた無残な死体となって落下する】
【全身血まみれで、手や足、首などがあさっての方向へ曲がってしまっている】

「エイゼル・フォンシュタット…
 …ルタリア様、やはりあなた様はルタリア様ですのね!
 なぜこのような場所でこのような真似を!?
 目を…目をお覚ましください!
 わたくしです、ジェミナイの森であなた様の下で修行を積んだメディナでございます!」
【強烈な不安に駆られた私は、思わずレイオンに駆け寄っていく】
【途中でグレゴリが制止するが、構わず飛び越えていく】
【目を輝かせつつも、悲しみの涙を流して必死に呼びかける】
【しかし、唸って暴れ回るばかりでそれ以上近付くこともできない】

「ルタリア様あぁぁっ、おやめください!
 目をお覚ましください!」
【特大の球気弾をザルフォに撃ち出し、凄まじい勢いで駆けていくレイオン】
【その後を悲痛な叫びを上げながら呼び掛ける】
【しかし、それは届くことなくザルフォとの戦闘に突入していく】

375 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/11/07(金) 22:22:08 0
【訂正します
>>373>>374の間に入るレスを入れ忘れました
ザルフォさん、申し訳ありません;】

「報酬の前払い?
 い、一体何を…やめ…!」
【死者の槍が腕の断面を貫く瞬間、恐怖に目を閉じて顔を覆い隠す】
【しかし、痛みはなく代わりに冷たい気が全身を走る】

「こ、これは何ですの…?
 わたくしに一体何を!?」
【目を開けてみれば、ルーンの輝きと邪気の奔流が腕の断面を舞っている】
【やがてそれは次々に集まり、腕の形を成していく】
【そして完全な腕として収まり、それらしき感覚が戻り始める】
【右肩より先の肌は死人の肌のように真っ白いが、血の通いはあるようで温かみがある】
【禍々しい魔方陣や紋章がびっしりと描かれており、時折ルーンと同質の輝きを発している】

「み、右腕…動く…?
 わたくしの腕のようで、そんな気がしませんわ…」
【不思議な感覚だが、「右腕」として遜色なく使えそうだ】
【魔法とはこんなことも出来るのかと、呆気に取られてしまう】

376 名前:名無しになりきれ[age] 投稿日:2008/11/08(土) 01:44:17 0
リルファとrirufa ◆SmH1iQ.5b2の書き込みがなりきり板に複数ある時点で、
リルファとシトリンのトリップが被ったとか現実逃避もいいとこだろ

しかもrirufa ◆RYBwG63G.E(トリップ#rirufa)の書き込みと
シトリン・グラハム ◆W.nWtsWpWw(トリップ#sitorin)の書き込みから判断すれば
安直馬鹿な同一人物なのは明白

リルファ=シトリン・グラハム=ferio=燈火
の悪事はググって目を通しておくのが吉

377 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 13:57:42 0
「オ前の献身ヲ受ケヨう。わシのレイオンにハ 及ばヌマでも、貢献ノ次第でハ
愛でテ ヤらんデモ無イ!」

 巨大な翼を羽ばたかせてその巨体を僅かに宙に浮かべ、その不気味な頭で
見下ろすようにしたウェズナーがセイント・ミスリルの矢に向かって歩むシトリン
にむかって答える。
 シトリンが投げ上げた銀色の弓はゆっくりと宙を回転しながら進み、掬い上げるように
その腕を伸ばしたウェズナーの手におさまったその弓を邪悪なデーモンとなったウェズナー
は軽蔑するかのようにせせら笑った。

「コのヨウな チッぽけナ武器デ わシヲ 傷ツけらレルとでモ 思うタカ!!」

 そう吼えるとそのまま消滅した天井の穴を抜けて外界に飛び立とうとするが その瞬間次々に
地上から荷の牽引に使う鉤を先端につけたロープが投げ上げられ、デーモンの巨体を十重二十重
にと絡めとリ地上に縛り付けた。

 そのロープの先には生き残った騎士達がそのロープを騎馬の鞍に結びつけ、デーモンを空に逃がさぬ
ために奮闘する姿があった。
 騎士達の瞳にはデーモンに謎の女剣士、仲間を惨殺したへヴィーアーマーにオーガの呪術師と尋常では
ありえないような異常な状況に怯えの色が浮かんでいるのは隠せなかったが 今ここでこのデーモン兵を外
界に出してしまった後におこる惨劇を防ぐために戦う彼らの動きに迷いはなかった。

「へヴィアーマーの御仁、メディナ様。我々がなんとかあの怪物を地上に留めているうちに、どうにか奴を倒して
ください!あまり長くは持ちこたえられそうにありません!」

 その声を聞いたザルフォと名乗ったオーガが大きく身を翻す。
 怯える馬をなだめながらロープを引いていた親衛騎士のひとりは思わず目を疑ったが、確かにそのとき彼らの
決意の声を聞いたオーガの呪術師の目にこれまでの侮蔑とは異なった賞賛の色を見たのだった。
 呪術師ザルフォは信用するかのように親衛騎士たちに背を向けてメディナに何かを小声で伝えている。
 その姿は覆いかぶさって兎を喰らう巨大な野獣の様であったが不思議なことにオーガの姿に殺意は感じられな
かった。
                               ・
                               ・
 「おちつくのだ、メディナ・スフォーイ。私に危害を加えようとしないかぎり貴女たちと戦うつもりは無い。
いくつか隠していたことはあったがあのデーモンを何とかしなければならないという話に嘘偽りはないのだ。
 貴女に与えたその腕は正確にはこの世界の物質ではない。倒れた騎士たちの生命力を魔力に変え、君の右肩
に私の槍から植付けた英雄の骨が腕の形として変化したモノで・・・」

 そういいながら再度ウェズナーが投げつけてきた別のオークの死体を右手に握った多数の骨で組みあがった長
槍で地面に叩き落す。

「・・一部がこの世に、一部があの世に存在する一種の上級アンデッドの腕のようなものだ。観察したところあのデー
モンの体表は通常の刃を受け付けないようだが 君のその腕ならば何とかなるかもしれない。
 仲間と共にあの怪物を打ち倒してくれ。あの騎士達の行為を無駄にしないためにもだ!
 わたしも出来る限りの援護は惜しまぬつもりだ。」

 まじまじと確かに失ったはずの己の右腕を見つめるメディナにそう伝えるとオーガの呪術師は彼女の傍から身を
離す。
 あまりの事態の衝撃に彼女の頭に浮かんできたある考えに思わずメディナは苦笑しそうになった。
 この異様な状況、彼女の身におこった異常な変化。それにも関わらずふと思ったそれは

(あぁ、長手袋か肩までの鉄鋼小手を用意しないと みんなをこわがらせてしまうかも・・)

というものだったのだ。

 ザルフォが槍を構え、彼の周囲から不穏な冷気が周囲に広がっていく。オーガの視線のさきにはジェミナイの森
ではみたことの無かった土気色の顔貌に憤怒の表情を浮かべた師ルタリアの姿があった。

378 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 00:34:26 0
グレゴリの予感は的中した。
やはり、アンノンという男はとんでもない存在だったのだ。
「チッ」
グレゴリは舌打ちすると、今ザルフォと名乗ったそのバケモノの姿を一瞥した。
複雑な二つのルーンが不規則に歪んでおり、明らかに只者ではない気配だ。

親衛騎士とデーモンの戦いは続行され、また一人の親衛騎士がやられたようだ。
エイゼルが何やら喚き、メディナがグレゴリの後ろでつぶやく。
「…っつぅ、もっと丁寧に扱ってもらえませんこと?
 それにいつ、わたくしはあなたの女になりましたの?
 誤解を生むような発言は控えていただきたいものですわね」
「俺と行動している女は全て俺の女だが…おい、まさかそいつを…!」
止める間もなく、メディナが「それ」に手を出した。
みるみるうちに腕が復活していく…
しかしそれは、明らかに不自然な復活であった。以上に透き通り、紋章に包まれた
その腕は、輝いているとはいえ禍々しさを漂わせている。

「チッ、俺は…」
判断はすぐだった。「武器だけなら」ということで素早く大剣を
ルーンの輪に突きいれた。
「ぐ!おぉぉ!!っ…!」
突如、大剣が光り輝くと、まるで炉の中の鉄板のように
赤い透き通った刀身になり、見るからに魔剣といった風貌になった。
刺々しさが三割増しになった割には軽くなっているかにも思える。
そして何より、刀身から腕へ、腕から肉体へと膨大な漲る力が伝わってくるのだ。
「ぐうぉぉぉ…!」
そのあまりの充実感に、グレゴリは唸り声を上げた。

女戦士らしきものから球状のエネルギーが打ち込まれ、エイゼルが粉砕された。
ザルフォという化け物を警戒しつつも、グレゴリは現時点での敵として
デーモンに目を向けた。
先ほどからシトリンらが策を弄しており、デーモンはロープによって
縛り付けられていた。
グレゴリはこの大剣を振るって”アレ”を打ち滅ぼしてやりたいという欲にかられた。
足が一歩、一歩と前に出る。
「メディナ、落ち着け!俺が突っ込んだらお前も後ろから来い。シトリン、今行く!」
そう叫ぶと、これまでよりも速くデーモンに向けて駆け込んだ。

379 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 09:07:16 0
「貢献次第ね…」
壁に刺さっている矢を引き抜き、投げようとしたところで動きを止めた。
デーモンの体には今にもちぎれそうなロープが巻きついている。
ロープの恥には兵士たちが数人。
何としても、止めるぞと言わんばかりに踏ん張っている。
メディナのほうを見た。
右腕は人のものではない。
白く染まったそれは明らかにアンデットのものだったが、完全に復活しているのは明らかだった。
「悪いけど、太刀打ちできないわ。近接戦闘はほとんどやったことがないもの」
肩をすくめ、軽く首をあげた。
ものすごい上から目線だ。
これに切れない人間がいるとすれば、それは奇跡としか言いようがない。
「力を今すぐくれるというなら寝返ってもいいんだけどね…さすがにそれは無理だよね」
がっくりと肩を落とし、とぼとぼとグレゴリたちのほうへ向って歩き出した。
グレゴリがそのわきを駆け抜けていく。
メディナの追撃が入れば、まず間違いなくジエンドだ。


380 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21:20:12 0
 遂に周囲で燃え盛っていた炎柱が吸い込まれていくように消え、広間に残された
明かりは騎士達の馬の鞍に下げられた幾つかのランタンと まだぼんやりと光を
放っている魔法陣、そしてメディナの右腕から揺らめく幽冥の光と グレゴリの両腕で振
るわれる大剣の真紅の軌跡を残すのみとなる。

 透き通った天井から見える夜空には燃え盛る巨大建築物と 飛び交う稲妻の閃きが
あったが、それも炎柱の消滅と共にチラチラとぶれるように霞みはじめ、ゆっくりと次元の
狭間へと消え去っていく・・・。

 狂気の妖術師をデーモン兵へと転生させる偉業を終えた魔道施設は束の間の休息に
戻り、彼らのまえには遂に完成された闇王の魔道兵器たる怪物だけが残されたのだ。

「小煩イ 虫けラ共メが!光栄に思エ。新生シたわし自らガ 直々二 血祭リ に アげテ
クれルワ!!」

 親衛騎士達のロープで翼を封じられたウェズナーはこのまま飛び去ることを諦め、目の前の
邪魔者を一掃することに決めたらしい。硬い岩盤を磨き上げた施設の床に巨大な足の鈎爪で
深い傷を刻みながら魔方陣の外に異邦の肉体でその一歩を踏み出した。

 8つの複眼を持つその視界を推測するのは難しいが、怪偉な頭部の向く先は魔剣を構えて
駆け込んでくるグレゴリである。

 広大な広間で馬鞍につけられたランタンに照らされる周囲のみの視界となった騎士達が
必死で怯える乗馬達をなだめる声が響く。
 広間のそこ此処には明かりの届かない闇があったが死霊の憑依による暗視を得たメディナ
とシトリンにとってはなんの問題も無く、全ての輪郭がくっきりと判別できる。
 そして暗視を持たないグレゴリではあったが、今の彼が凝視するのは目前のデーモンのみであり
多対多の戦場で視界外の攻撃をもいなす術を得た彼にとってはこの状況も軽いデメリット程度にす
ぎなかった。

 セイント・ミスリルの矢のまえで躊躇するように足を止め、グレゴリ達のもとへ歩み寄ろうとしたシト
リンにウェズナーが命令する声が広間中に響き渡った。

「何ヲ 愚図愚図シてイル、魔術師!オ前の 魔術デ ワシの邪魔ヲすル駄馬ドモを噴キ飛ばスカ。
サっサト 其の下郎ドモを攻撃スルのだ!!
 役ニ立たナい 下僕ハ 手慰ミの実験ノ具材ト ナルのダぞ!!」

 そう言い放ちながらグレゴリに向かってその豪腕を打ち下ろす!
 その言葉には自分以外の存在に対する畏敬や情緒といった感情というものは微塵も無く、この
転生によって・・いや転生する前にすでに?彼が全ての人間性を失ってしまっていることをあらわす
ものであった。

381 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/11/14(金) 22:23:52 0
>「何ヲ 愚図愚図シてイル、魔術師!オ前の 魔術デ ワシの邪魔ヲすル駄馬ドモを噴キ飛ばスカ。
サっサト 其の下郎ドモを攻撃スルのだ!!
> 役ニ立たナい 下僕ハ 手慰ミの実験ノ具材ト ナルのダぞ!!」
シトリンは足を止め、振り返った。
「実験台かぁ…」
おどけた表情で肩をすくめ、デーモンの顔を見上げた。
仮にここで皆殺しにされ、闇王軍が勝ったとしても、こいつについていく部下はいそうにない。
何となくだけど、シトリンはそう思った。
傲慢そうなその眼、その口ぶりがすべてを物語っている。
「やっぱ、やめた。あんたについていくメリットはない」
メディナたちに詫びを入れ、目をつぶった。

天におわす雷雲の神、ユピテルよ。
わが体に宿りし赤き血潮と

口から言葉が紡ぎだされ、魔方陣が足元に広がった。
魔方陣は赤い光を放ちながらくるくると回転し、それと呼応するようにシトリンの体も指一本分ぐらい浮かび上がっている。

空に存在せし碧き粒を一つに合わせ

ウェズナーの周りに存在している大気が揺らぎ、無数の青い小さな粒が現れた。
その青い粒は上を行ったり、下を行ったり、ときには右のほうへいったりとしている。
まだ、魔力による制御を受けていないためだ。

一つの線とならん。

青い粒が突然動きを止めた。
動きとめたと思ったら、今度は青い粒が何かにひかれるようにしながらシトリンのほうへと向いだした。
【成功した場合、数億ボルトの電流がウェズナーを襲うことになります】



382 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 19:51:04 0
メディナは?

383 名前:レイオン ◆qyOqVhj/Vc [sage] 投稿日:2008/11/21(金) 18:51:33 0
事もあろうに、オーガは奪った命を使ってメディナの吹き飛んだ腕の
代わりをでっち上げた。己が力を高めるために命を奪うだけに飽き足らず、
命そのものを冒涜する行い。オーガ、と言うだけで嫌悪感と敵対心を抱いてしまうのは
エルフならば仕方ないことだが、それとは別の、心情として許せないことを
している以上ルタリアとリンクしているレイオンには目の前のオーガ、
ザルフォの言に従う気はまったく起きなかった。

「きさマ如キに・・・弟子を想ウ師の心ナド分かロうもノカ・・・!」
既にウェズナーはウェズナーでなくなっている。予備として刻まれていた
服従の術も、ウェズナーがデーモンへと変化した際に効力が切れてしまっている。

そんな中、必死になって平静を保とうとするルタリアの心の動きに感化されたか
レイオンは構えたまま横目で状況を確認する・・・ウェズナーの方は先ほどの重戦士と
魔道士、それと乱入者であるどこぞの騎士隊の生き残りに任せておけばいいと断じた。
ルタリアの健闘空しく、レイオンはザルフォに気を取られすぎたまま・・・。

ルタリアは、何とかレイオンを通じてメディナと会話をしようとしている。
平静を保とうとするのは、感情に任せて暴れ回るレイオンを鎮めるためでもあったのだが、
いまだに功を奏さない・・・せめて口だけでも動かせれば、とルタリアはメディナ宛てに
中空に向かって語りかける。果たしてルタリアの目論見どおり、レイオンは
ザルフォに向かって駆け出しながらまるで見当違いな事を喋ったのだった。

「メディナ・・・メディナ・スフォーイ・・・貴女が、この身を打ちなさい・・・。
 この身は、私ではありません・・・私は今も、ジェミナイの森にいます・・・
 貴女が見ているのは、悪しき術師が創り出した・・・私の、影・・・。
 ・・・しかし、呪縛を解かれ・・・影は、別の存在へと・・・変わろうと、しています。
 私から、・・・・・・貴女に、久しぶりニ・・・課題ヲ・・・・・・・・・うウウうッ・・・!
 止めロ、私を・・・ワタしを、操、ルなぁぁァぁぁ!!!!!」
矛盾した内容を喚き散らしつつ、気を込めてザルフォを滅多打ちにするレイオン。
しかしザルフォの死霊の壁にことごとく弾かれ、無尽蔵に近いレイオンの気もさすがに
目減りを始める。

気は、集中力と平常心を求められる。
わずかな揺らぎすら敏感に感じ取り、その力を減衰させるもの。
ましてや今のレイオンの精神は千々に乱れとても気を練り上げられる状態ではない。
先ほどの球気弾も見た目こそ威力がありそうだったが中身はスカスカだったのだ、
そんな体たらくで歴戦の呪術師であるザルフォの守りを打ち抜けるわけが無いのだ。
・・・そしてその弱った時こそが、ルタリアの望む『好機』なのだ・・・!

【2週間以上音沙汰なし、本当に申し訳ない・・・】
【自分で誘導しておきながら、何も浮かばなくなってしまった】
【それだけならまだいい、連絡なしは自分でも思う、最低だ。】
【その結果動きを止めさせてしまった、何を言われても仕方が無い】
【しかし投げっ放しは輪をかけて最低だとも思っているので】
【身勝手な物言いと分かってはいるが・・・自分の役割を全うさせて欲しい】

384 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/11/22(土) 19:19:37 O
はらはら

385 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 13:09:15 O
今更来て馬鹿?
もう誰もいねーよ
お前のせいだよ
これ以上人を巻き込むな一人で全部やりきれよ
逃げんなよ

386 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 14:26:12 0
一人書き込まないだけで全員居なくなるここの住人自体も問題だけどな
そこんとこの調整を積極的にすべきなのにな

387 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 17:08:31 0
 どうも、じっとどうしようか迷ってまってたんですが
いま、続けることのできるかたってどれくらいいるのでしょう?
 既にいなくなってる人がわかれば無理やり動かして続けても
よいのですが、そういうことってやってしまってもいいのでしょうか?

なにぶん初めてなものでどうすればよいのやら・・・

388 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 18:14:14 0
自分は終わりまで続けるつもりです。

389 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 18:17:23 0
【動かしても構いませんよ^
 こちらとしてはもしこのまま月末ぐらいまで動きがなければ
 デーモンにこちら側が敗北し、デーモンが天井を突き破って脱走という
 ある種の 精算→新しい章へ というのも考えていましたが…
 敵のスケールがでかすぎるな、と何となく思っていました】

390 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 19:04:41 0
>>383
今後はきちんと誘導できそうなのか?

391 名前:レイオン(代理) ◇qyOqVhj/Vc [sage 代理投稿スレ410より] 投稿日:2008/11/24(月) 22:30:59 0
代理投稿と言う形ですが・・・迷惑でなければ、最後まで
やるつもりではいます。しかし、二度に渡る失態に我慢できないと
言うのであれば、決定に従います。

392 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/25(火) 03:03:43 0
私としてはなるべく反応がほしいところなのでぜひ参加おねがいしたいところです。
失態も何も わたしもどうしていいかわからなくなってうごけなくなっていたぐらい
ですので。

393 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/25(火) 04:20:53 0
 眼前のデーモンを見据えて暗がりを走り抜けていくグレゴリの背後が徐々に
何かに照らされるように明るくなってゆく。
 まるで詠うようなシトリンの詠唱とともに彼の鼻にツンとさすようなオゾンの匂いが
漂ってきた。
 彼のアーマーの其処此処が静電気を帯びて細かな電流を放つのが見えて確信する。

(これはデカイのがくるな!)

 そう思って走りながら上半身を大きく寝かせたその瞬間、宙を裂く様な轟音とともに
ふた抱えはありそうな雷の柱がグレゴリの傍を掠めて前方のデーモンに襲い掛かった!
                         ・
                         ・
 接敵するために走るグレゴリがこちらの詠唱に気付き経路を空けてくれた瞬間を見計らって
練り上げた魔力を開放する。
 周囲に漂っていた魔力の球体は彼女の前方3フィートの位置に収束し、輝く雷の坩堝と化した。
 普段、魔術を操るときとはなにかが違う、誰かとともに命がかかった戦いの場で振るう力。
 目前のデーモンのような強大な怪物に全身全霊を込めた魔法を放つ不思議な充実感。
 身体を満たす高揚にシトリンの中に自信のようなものがわき上がってくる。それは一時的な魔術
の使用によるものだったかもしれなかったが いまの彼女は威厳に満ち溢れているようにみえた。

 最後に魔力の坩堝を開放するための道筋を通すべく、デーモンに向かっておおきくその手を振り
下ろす。
 シトリンからウェズナーに向かう空間に一筋の魔力に焼かれた空間が形成されたその瞬間、無数の
電光を纏った魔力の渦は堰を切ったようにその空間に流れ込み、周囲の空気を吸い込みながらシトリ
ンの髪が前方になびくと同時にデーモンに向かって電撃の柱となって襲い掛かったのだった。
                         ・
                         ・
 走り寄るグレゴリの背後から伸びた電撃がデーモンの腰から左肩にかけてを直撃し、凄まじい音を
立てて その周囲の肉が弾けとんだのが見える。周囲に舞った肉片は藍色の霧と化して傷口の周囲を
漂ったが、雷撃は同時にその傷口を焼灼しており、そのまま霧は周囲に溶け込むように散ってしまった。
 そのことを知ったデーモンが怒りの咆哮をあげて身をよじらせると、周囲でロープを引く騎士達とその騎
馬が動きに引きずられて悲鳴をあげた。
 
 それらを横目に見ながらも、メディナの視線は今もなおザルフォの纏った死霊を撃ち続ける師ルタリア
?レイオン?の姿に注がれたままだ。
 目前の師の姿は余りに変わり果て、その動きは激しさを持つが記憶に有った優美な師の姿を失っていた。
 グレゴリの援護に向かうべき・・しかしこの師ルタリアを置いていってよいものか?苦悩するメディナの耳に
その言葉が届いたのはそのときだった。

「 ・・・しかし、呪縛を解かれ・・・影は、別の存在へと・・・変わろうと、しています。
 私から、・・・・・・貴女に、久しぶりニ・・・課題ヲ・・・・・・・・・うウウうッ・・・!
 止めロ、私を・・・ワタしを、操、ルなぁぁァぁぁ!!!!!」

 課題?その言葉を聴いてメディナの脳裏にジェミナイの森での師との生活が蘇ってくる。何もないようで
普段の生活がすべて修行であると教わったこと。戦いは手段であって目的であると間違ってはいけないと
いうこと。そして、拳を振るうべきときに迷うことは自分だけでなく守るべき存在をも危険にさらすこと。
 それらのことを思い出すうちにルタリアの言ったある『課題』が思い出されてくる。
『気弾や球気弾を駆使できるということは確かに素晴らしいことだけれども、あくまで技法のひとつにすぎな
いの。徒手空拳の技である格闘術の目指すところは 一撃の拳、一蹴の蹴りの全てが気に満ちて 格闘家
本人が気弾となることなのよ。』

 それに思い当たった瞬間、間髪入れず身をそらせてバネのように跳躍するとザルフォを攻撃するレイオンに
メディナは躍りかかっていった。
 身体の側面に巻き込むようにした左の手刀を地に降りるよりも速くレイオンの鎖骨に振り下ろす。
 その結果を確かめることなく全身を旋回させ、地を這うような掃腿でレイオンの足をなぎ払い、勢いを殺す
ことなく逆の足を振り上げて叩きおろす。
 そうしてそのまま一切の考えもなく身体の動くままにレイオンに身を縮めるように寄り添わせると、全身の
力を解放させるように右の拳を突き伸ばし・・魔術紋様に覆われた象牙の拳をレイオンの腹部へと叩き込んだ
のだった!


394 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/11/25(火) 07:24:51 0
【レイオンさんがアクションを起こすにあたってメディナさんの行動が必要かと思い
メディナさんを勝手に動かしています。もしメディナさんが戻られて不都合な点が
ありましたら 該当箇所を改変していただけるようお願いします】

395 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 20:27:06 0
【流れが膠着してきたので、一旦洞窟内から脱出させるという形で
話を清算してしまってもいいですか?】

396 名前: ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/11/30(日) 21:14:01 0
【ほかの人たちをどう動かしていいかわからないので、おまかせします】

397 名前:(代理) ◇qyOqVhj/Vc [sage 代理投稿スレ414より] 投稿日:2008/12/01(月) 00:03:29 0
【現在規制によって直接書き込み出来ない状況です】
【更には勝手にキャラを動かす事に抵抗があります】
【私的には脱出に賛成です・・・その過程でどうなっても異論はありません】


398 名前:ザルフォ ◆PzxALH4JOI [sage] 投稿日:2008/12/01(月) 00:28:15 0
了解です〜

399 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/12/05(金) 12:09:22 0
sage

400 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/05(金) 22:08:45 0
「私から、・・・・・・貴女に、久しぶりニ・・・課題ヲ・・・・・・・・・うウウうッ・・・!
 止めロ、私を・・・ワタしを、操、ルなぁぁァぁぁ!!!!!」
次第に別の「意識」を取り戻しつつあるようだったそれは、再び深いところから来る
悪意によって邪気をまとってしまった。

詠うようなシトリンの詠唱は電撃となり、デーモンの肉体を焦がす。
グゥォォォ・・・!
しかし、そのダメージによって暴走したデーモンは身をよじらせながら
ロープに衝撃波を伝え、ロープを引く騎士たちや馬をひきずる。
やがて、「ぐぇぇ」や「ぎぇぇ」といった声とともに騎士・馬の体が数珠繋ぎに次々と
内側から弾け、その破壊音によって悲鳴すらもかき消された。

怒り狂ったデーモンは死肉の付着したロープを振り回しながら、
次第に悪のオーラを高まらせていく…

一方で、なおも攻撃を続けるレイオンにはメディナが飛び込んでいった。
一撃、一撃が不死身ともいえるレイオンの肉体にダメージを負わせ、
ついに魔術紋様に覆われた象牙の拳が直撃すると、レイオンを覆っていた鎧は
粉々に砕け、美しい裸体を曝け出しながら静かに地面に倒れ伏し、動かなくなった。

ゴゴゴゴゴ… ゴゴゴゴゴゴ…!!!
「なんだと?」
放心状態になったメディナに駆け寄ったグレゴリが見たのは、暴走したデーモンが
翼から猛烈な衝撃波を放ち、洞窟の天井に穴を開けている姿だった。
(これは…尋常な力じゃねぇ)
まもなく地響きが起こり、カラカラと死体とその周辺に散らばった鎧の欠片が
音を立てる。崩れる!

「おい、脱出だ!さっさと脱出するぞ!お前ら、急げ!」
レイオンの前で呆然としていたメディナを片手で抱いて脇にかかえ、
全力で後退しながらシトリンの手を引いて出口へと急いだ。
ザルフォの前を全力で素通りし、そのまま走る。

「おい、どけ!」
途中で脱出中と思われる騎士がはいずっていたが、それを蹴り飛ばし、頭を踏みつける。
そして兜を奪うと、シトリンの頭に強引にかぶせた。
「そろそろ崩れる。頭を潰されたくなかったら自分で身を守れ」
途中で何度か落盤に遭ったが、グレゴリのガントレットでそれを粉砕し、
ダメージを軽減する。
入り口に着いた頃にはグレゴリの腕は壊れたガントレットで血まみれだった。

安全な位置まで離れたのを確認すると、木陰に入り、
メディナの体を放り投げると、息を切らしながら座り込んで休憩をはじめた。

「さて…これからどうしたものか」
洞窟ではまだ轟音が響き渡っている様子である。
グレゴリはブーツとガントレットを外し、鎧を脱ぐと、
汗を拭いて傷の手当てを始めた。

401 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/08(月) 10:53:20 0
「嘘…」
あれだけの一撃を叩き込んだにもかかわらず、デーモンはまだピンピンしている。
いや、それどころか、ますます力を増しているようにも見える。
ロープを張っていた兵士の体が宙に浮かび、地面にたたきつけられたのがいい証拠だ。
「天におわす雷雲の神、ユピテルよ…」
先ほど同じように目をつぶった。
でも、いつもとは様子が違う。
魔法陣があ割られることもなければ、赤い光がシトリンの体を包み込むこともない。
すべての原因は魔力が尽きてしまっているせいだ。
「くっ…」
石を使ってしまわなければ、悪魔を止めることもできたのかもしれない。
悔しげに顔をゆがませ、悪魔を見上げた。
天井に向かって腕を左から右にないでいるのが見える。
風圧か衝撃波なのか、気弾なのかよくわからない。
それが天井にあたり、ひびが入った。
あと少しで天井に穴が開くのも時間の問題だ。
天井があいてしまえば、とんでもないことになる。
でも、打つ手がないのも事実だ。
>「おい、脱出だ!さっさと脱出するぞ!お前ら、急げ!」
またまた、悔しそうに顔をゆがませていると腕を掴まれた。
「ちょっ…」
抗議する間もなく、兵士からひったくったヘルメットをかぶせられ、外へと連れて行かれてしまった。



>「さて…これからどうしたものか」
外には悪魔の姿はもうない。
崩れ去ろうとしていた天井もない。
あるのは太い樹木だけ。
いきなり腕をつかんだことを抗議しようかと思ったが、すぐにその気は薄れた。
グレゴリのガンレットは血にまみれ、やっとのことで外したヘルメットにも凹みがいくつか見られたからだ。
個体満足で脱出できたこと自体が奇跡としか言いようがない。
傷の手当てをしているグレゴリから眼をそらし、木陰に座り込んだ。

402 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/14(日) 22:37:21 0
完全に壊れたガントレットを外すと、腕は落盤でできた切り傷で一杯で
血がひきりなしに溢れてきた。
「ぐっ…」
メディナに渡した傷薬の残りをすりこむようにして塗ると、痺れるような痛みとともに
傷口が塞がり、次第に痛みも引いていった。

突如、大きな音がしたと思うと、遠くの地面が罅割れ、轟音とともに
デーモンが姿を現した。幸運にもこちらには気付いていない。
いや…興味がない、といった方がいいだろうか?
紫色の膨大なオーラを纏ったそれは、一瞬浮上した後、猛スピードで飛翔しながら
北の方向に飛び立っていった。

呆気にとられていたグレゴリであったが、再び自分の体に目を戻した。
今度は足にできた傷も治療し、さらに下の鎧も脱いで全身にできた傷を
一つずつ治療していく。何度もの戦闘経験で慣れているようだった。

「うぅ…ぐぉぉぉ…!こ、これは…」
とたんにグレゴリが苦しみだした。
全身が膨張するような感覚。いつか味わった何かに似ている…
(思い出したぞ!)
そうだ…あの武器だ。ザルフォ…アンノンと名乗った男がグレゴリの大剣に
魔力を込めるときに、自分に漲ってきたあの力だ。
「くそっ…あの剣が…?!」
元から筋肉の塊のような肉体の持ち主だったが、今のグレゴリは明らかに
それを逸脱し、腕には筋のようなものが何本も立ち、大胸筋、腹筋は
不自然にピクリと時折痙攣する。

グレゴリの頭を、次第に本能が支配していった。厳密にいえば、理性を抑える力が
次第に失われていったといっていい。
彼は暫く女を抱いていないために、「非常に溜まっていた」。
「おぉぉ…」
目に入ったのは、木陰に座り込んでいるシトリンの姿である。
(抱きたい…この女を抱きたい…!)
ゆっくりと立ち上がると、半裸姿のまま、重い体を揺らすようにして
無防備に休憩をしているシトリンに後ろから近づいた。

「うぅ…シトリン、たの…む、俺は…」
それだけが本能に抵抗し、ようやく口から出た言葉であった。
まもなくグレゴリはシトリンの肩と腰を掴み押し倒すと、
圧し掛かるような姿勢になって彼女の唇を奪っていった…

403 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/12/15(月) 15:28:07 0
【今まで長い間、書き込めずに本当に申し訳ありませんでした…】
【言い訳がましいことですが、私用のため自宅を長く空けていたのです】
【皆さんがよろしければ復帰したいのですが、どうすればよろしいでしょうか?】
【グレゴリさん、シトリンさん、ザルフォさん、レイオンさん、本当にごめんなさい…】

404 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/12/15(月) 15:54:52 0
何を今更…

405 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/15(月) 22:13:45 0
また、何かしてしまったのかなと気が気でなりませんでしたが、そういった事情でこれなかったとは。
ある意味ホッとしました。


406 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/16(火) 19:29:29 0
「嫌っ…」
唇と唇が触れた瞬間、性犯罪者や容貌が極端に悪いものとキスした時のような感覚がした。ものすごく気持ち悪い。
一刻も早く逃れたい。
でも、体が動かない。
グレゴリと目があった。
目が喜びの余り輝いている。
怖い。
グレゴリの手が胸に触れた。
腰に触れた。
気持ち悪い。
でも、逃れることができない。
なぜか、知らないけど、体が動かない。
ボタンが一つ一つ外れていく。
外気が肌に触れた。
どういうわけか知らないが、グレゴリの手がズボンの中に入り込んできた。
でも、不思議なことに入ってこない。
グレゴリの手がズボンから這い出て、何かを探るように動き出した。
「おやめなさい!」
ガマガエルがつぶれた時のような声が聞こえ、重量感が急になくなった。
逃れるなら今しかない、
ばね仕掛けの人形のように体が起き上がった。
デーモンが北のほうへと向かって飛んでいるのが見える。
あいつの部下になれば、まだましかもしれない。
着衣の乱れもそのままに走り出した。

407 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/16(火) 19:42:24 0
【ごめんなさい。勝手に動かしてしまいました。都合が悪いなら、後で変更してほしいです】

408 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/17(水) 19:24:48 0
>>403【いえいえ、好きなタイミングで入っていいですよ〜
    次からは長く抜ける前にご一報お願いしますね】

409 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/12/17(水) 19:31:41 0
>>405
【こちらの勝手な都合でご迷惑をお掛けしました…】
【余計な心配を掛けさせてしまい、本当に申し訳ありません】
【以後、気を付けます;】

>>407
【いえいえ、大丈夫です】
【むしろ復帰時、どのようにアクションを起こすべきか迷っていたところだったんです】
【きっかけが出来たお陰でやりやすくなりました、ありがとうございます】

>>408
【申し訳ありませんでした…】
【そう言っていただけると嬉しいです】
【次からは長期に抜ける場合、必ず皆さんにお知らせするようにします】
【どうかよろしくお願いします】

410 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/17(水) 21:01:35 0
グレゴリはシトリンの唇を欲望のままに奪うと、そのまま体を横たえた。
嫌がるシトリンの表情を見たグレゴリは悲しむどころかより一層興奮を極めた。
賊をやっていた頃の自分の感情が蘇ってくるようである。

四つんばいの姿勢で向き合うと、そのまま体をまさぐり始める。
「うぅぅ…」
衣服を脱がしながら、控えめな乳房に触れ、しなやかな腰に触れ、
そうしている間に抑えていた感情がむき出しになってくる。
そして腰を引き、ついに下半身を探り出したところで、思わぬ衝撃が走った。

「ぐぇェ…!」
体勢を崩したグレゴリはそのまま横転した。メディナが脇腹に蹴りを入れたのだった。
「おやめなさい!」
解放された一瞬の隙を突いて、シトリンは立ち上がると、デーモンが飛んでいった
方角に駆け出していった。
「ぐぅぅ…っ」
「あなた、何てことを…!このっ…」
メディナが倒れたグレゴリの股間を目掛け、蹴りを放つ。しかし…
「きゃあっ!」

グレゴリはその一瞬を逃さなかった。間一髪でメディナの右足を両手で掴むと、
そのまま前に力を加え、メディナは尻餅をつき、地面に頭を打った。
「ひぃっ…何てことを…うっ!!」
上半身の筋肉を脈打たせながらグレゴリはメディナの脚を掴んだまま立ち上がり、
裸足で腹のあたりを踏みつけると両腕で勢い良く上に引っ張った。
突然の痛みと恐怖に腰を抜かすメディナ。一方でグレゴリはというと…

「グルルル…」
もはや貪欲な獣のような表情で、メディナの脚を太股に向けてなぞると、
そのまま地面に押し倒して唇を奪い、豊かな身体を撫でると足を絡ませていった。
全身を振るわせるグレゴリの表情は、何故か苦しそうにも見えた。

411 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/12/17(水) 22:53:57 0
「わ、わたくしは一体…!?」
【我に帰った時は既に、洞窟の外であった】
【最後に記憶があるのは、師の教えに従い最後の攻撃を仕掛けたときであった】
【レイオンに飛び込み、覚悟の一撃を見舞ったはずであった】
【それ以降のことはうろ覚えで、はっきりとは思い出せない】

「この右腕…確かにこれでルタリア様を打ちましたわ…
 わたくしに技と生き甲斐を与えてくださったお師匠様を…
 けれど、打たなければシトリンさんたちは…
 …ちょ、ちょっと、グレゴリさん!?」
【右腕の不気味な文様や象牙色は消え、元の肌色に戻っていた】
【しかし、「自分の腕とは思えない」違和感は確かに残っている】
【そして、師匠の肉体を打ち据えた一撃の感触も】
【しばらくすると、何を押し倒したような音と不審な気配を感じその方へと目を向ける】
【なんと、グレゴリがシトリンを押し倒しているではないか!】
【慌てて駆け寄ると、鎧を脱いだ脇腹に蹴りを入れその動きを止める】
【シトリンは無事にグレゴリの懐から這い出し、逃げていった】
【しかし、今度はこちらに向かってきていきなり押し倒された】

「お、おやめなさいっ!
 こんな…やめてったら…!」
【圧し掛かってきたグレゴリを慌てて押し退けようとする】
【しかし、その巨体は如何に押そうが引こうがビクともしない】
【更に、胸が抑え付けられ非常に息苦しい】
【ボディスーツが破れ素肌が露になった太ももにグレゴリの手が這う】
【ゴツゴツとした肌触りがし、悪寒が全身を駆け巡る】
【不快感と嫌悪感に苛まれる、気持ち悪い感触である】

「ひっ…や、やめ…んむ…
 んんんんん…!」
【グレゴリの顔が近付き、いきなり唇を奪われる】
【突然のことにしばらく動きが止まるも、その目からは涙が溢れ出ている】
【ファーストキス、その相手は自分が心に決めた男性に捧げようと思っていた】
【それを野獣のような男に何の前触れも無く奪われてしまった】
【それを思うと、言い様の無い悲壮感が身を捩れる思いになる】
【やがて、それはグレゴリへの怒りへと変わっていった】

「うわあああぁぁぁぁぁぁっ!」
【怒りの雄叫びと共に再び右腕に紋様が浮かび上がる】
【しかし、肌の色は変わらず、紋様の数もデーモン戦時の半分以下である】
【拳を握り締めてグレゴリの右脇腹にそえると、数cmほど離し掌底を叩き込む】
【しかし、鎧を着ずとも鋼のように頑丈な肉体である】
【まるで鉄の壁を殴ったかのように手応えが感じられない】
【しかし、それなりには効いたらしく、脇腹を抑え悶えている】

「はぁはぁ…、このケダモノ…
 しっかりなさい!
 こ、このような破廉恥な真似をしている時ではありませんわよ!」
【怒りの余り追撃を加えようかとも思った】
【だが、現実問題として今はそんなことをしているような場合ではない】
【ここはあえて私情を挟まず、グレゴリが正気を取り戻すように説得する】
【自分自身の格好を見たのも、そう思い直した原因の一つであった】
【レオタードのハイレグ部分が丸見えになり、鎧が破損し胸の谷間が肌蹴ていたからだ】
【これでは自分の姿を見たグレゴリが襲い掛かってくるのも無理はなかった】
【これ以上姿を晒さないよう、近くに落ちていた騎士のマントを羽織り体を隠す】

412 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/18(木) 00:18:14 0
加速した欲望は留まるところを知らず、グレゴリはメディナの身体に
しゃぶり付いていった。その時である。
「ぐ、ぐおぉぉ…!」
脇腹に強烈な拳が入り、たまらずグレゴリはメディナから肉体を離すと
悶絶した。ようやく我に返ったのはその時である。

「しっかりなさい!
 こ、このような破廉恥な真似をしている時ではありませんわよ!」
「う、うぅぅ…っ?!」
目の前には服装が乱れ、 肌を露出しながら、怒りと恥辱に顔を真っ赤にする
メディナの姿があった。
(俺は…?まさか、メディナを襲おうとしたのか…?シトリンは…?!)
幻覚と現実の狭間、まだ視点も定まらない自分を真剣な目で説得するメディナに
さすがのグレゴリも自分の失態を恥じたのである。
「悪かった」

黙々と鎧を着込み、恐る恐る自分の獲物である「魔剣」に手を伸ばす。
これに完全に心を奪われれば、あのままメディナを犯し、壊してしまったかもしれない。
だが、今の自分にとって頼れる武器はこれしかなかった。
何とか迷いを振り切って背中に背負い込み、定位置に収める。
(これからはこれを振るうようなことは減らさねえとな…)

グレゴリはメディナの後ろに回ると、マントをしっかりと結んで肌の露出を極力減らした。
そして乱れた髪を軽く整え、前に立って歩き出した。
「シトリンを探して街に戻るぞ」

413 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2008/12/18(木) 01:56:11 0
>「悪かった」
「許しませんわ!
 …と言いたいところですけど、シトリンさんが心配です
 それに、あの行為はあなた自身のせいではないみたいですし…」
【と言うのも、ザルフォに渡された魔剣の影響なのはメディナにも分かった】
【自身も、怒りが込み上げてきた時、途中までグレゴリを殺すつもりで居たのだ】
【この魔腕とも言うべき腕からの底知れぬ力が、一瞬我を奪った】
【彼女は予想以上に危険な代物を授かってしまったのかもしれない】

>「シトリンを探して街に戻るぞ」
「そのシトリンさんなら、先ほど逃げていきましたわよ
 あなたがわたくしを襲ったのと同様に、シトリンさんも襲っていたのですから…
 当然と言えば当然の結果ですわね」
【皮肉るように言い当てつけ、グレゴリを詰る】
【一時は我慢したが、やはりファーストキスを奪われたのは許せない】
【例えそれが当人の意思でなくとも、直ぐには許せるものではないのだ】
【いや、そのために我慢したからこそ益々感情が抑えられないのだ】
【こちらは女としてのプライドを完膚なきまでに傷付けられてしまったのだから】

「ごめんなさい…、少し言い過ぎましたわね…
 シトリンさんなら、北の方角へ走っていきましたけれど…
 …まさか、デーモンの後を追ったのでは!?」
【感情が高ぶると口が止まらなくなる性分である】
【言い過ぎたことに申し訳なく思い、ひとまず謝った】
【そして、シトリンの行方の可能性を思い直すと顔色を変える】
【もしそうだとしたら、彼女の命が危ないだろう】

414 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/19(金) 19:33:14 0
黒い服の端が走ることによって生じた風によってはためいている。
外気は露出した肌にあたり、体温を奪っているのだが、シトリンはそれに気づくことない。
シトリンの足が止まった。
「はぁ…はぁ…」
両手を膝のところにつけ、肩で大きく息をしている。
表情に余裕の色はすでにない。
当然と言えば当然のことだ。
グレゴリによって危うく犯されかけたのだから。
(ここで止まったら、また犯される)
休みたい自分に鞭を打ち、再び走り出した。
悪魔が遠くのほうに見える。
悪魔のほうがはるかに速いのか、追いつく気配がない。
もはや、悪魔に会うのは絶望的と思われた…


415 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/23(火) 01:50:16 0
「そのシトリンさんなら、先ほど逃げていきましたわよ
…まさか、デーモンの後を追ったのでは!?」
メディナは言い放つような風に話した後、急にすまないと思った表情をした。
先ほど犯そうとしたことに腹を立てているのだろう。
「馬鹿な」
シトリンが時折自分に対してみせる嫌悪感のようなものを感じていない訳では
なかったが、まさかデーモンに接近しようとは、とても考え難い。

小一時間ほど歩いたが、地形上足跡が消えやすいこともあって全く手がかりはつかめない。
メディナの様子も大分落ち着き、次第に自分のボロボロになった服装を気にするようになった。
もうすぐ日が暮れるだろう。
「これ以上はキリがないな…あいつもさっさと街に戻ったのかもしれねぇ。
 新しい服や防具なら俺が買ってやる。街に戻るぞ」
メディナの手を引いて、グレゴリは街を目指した。

416 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2008/12/24(水) 12:43:24 0
【鳥紛失のため変更します】

417 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/12/24(水) 23:50:24 O
ちょっと入ってみたいんだが…
相談場所とかある?

418 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/25(木) 01:26:00 0
【避難所は敢えて作っていません。お好きなタイミングでどうぞ〜
 内容は過去のレスを読んでください】

419 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2008/12/25(木) 17:29:17 0
「でも、あなたから必死で逃げようとしたのは確かでしょう?
 随分と厄介なことになってしまいましたわね…」
【そう言い含むと、グレゴリの後に付いてメディナの探索を行った】
【シトリンが逃げ去って時間が経っていたこともあり、手掛かりすら見つからなかった】
【その内、マントの下にあられもない姿を晒している自身が気になってきた】
【戦士である前に女性であり、仕方の無い恥じらいとしか言えない】

>「これ以上はキリがないな…あいつもさっさと街に戻ったのかもしれねぇ。
  新しい服や防具なら俺が買ってやる。街に戻るぞ」
「え、ええ、そうですわね…
 …ってちょっと、手など引かれずとも自分で歩けますわ!
【もう少し探してもいいのではないかとも思ったが、このままでは埒が明かないのも確かだ】
【名残惜しいところではあるが、ここはいったん街に戻るしかないだろう】
【夜の山は魔物の独壇場でもあり、手負いのままでの下手な探索は命取りだ】
【手を引かれるというより引っ張られる形で、帰路を辿っていく】
【が、不思議といつもの強引さは感じられない】
【グレゴリなりの不器用な気遣いとでも言うべきだろうか】

「とりあえず、ありがとう…とだけ言わせていただきます
 けれど、壊れた武器防具に関してはお気遣いなく…
 わたくしにもプライドというものがあります
 自分の装備を買い直すくらい、自分でやれますわ」
【旅の当初から、グレゴリには借りばかり作ってしまっている】
【徹底して悪い男ではないのだろうが、正直余り世話にはなりたくない】
【また、先ほどの行為が剣の魔力のせいだとは言え、この男の凶暴性は本質的なものである】
【安易に気を許すことができるような相手ではない】

「ふう…、今日はひどく疲れてしまいましたわ…
 わたくしは装備品の見立てに…ッ!
 こ、これは…」
【街の入り口に到着するが、直ぐに周囲の異様な雰囲気と光景を目にする】
【街中の建物という建物の出入り口や窓が閉じられ、何人もの人間が倒れているのだ】
【干からびたようになっている者、血を吐いて倒れている者】
【外の人間は一様にして、生きている様子が無い】

「街全体から生気が感じられませんわ…
 少なくとも外に居られる方たちは…」
【出発前はあれほど満ちていた人の生気が、今ではほとんど感じられない】
【街全体がゴーストタウンにでもなったかのようである】
【デーモンが復活した際、膨大な気のようなものが洞窟に流れ込んできていた】
【もしや、ここの街の人間の生気ではなかったのだろうか】

武器屋主人「グ、グレゴリの旦那!」
【建物の影から、見覚えのある顔の人物が現れた】
【グレゴリの装備を新調し、メディナと押し問答をしていた武器屋の主人である】
【恰幅の良い親父だったが、しばらく見ない内に随分とやつれ切った様子である】

武器屋主人「あん時の嬢ちゃんも一緒ですかい…
      いやあ、生きててくれてよかったですぜ
      実は数刻ほど前、恐ろしくどす黒い霧が流れ込んできたんですよ
      それにあおられた奴ぁ、バタバタと倒れて逝っちまって…
      あっしは工房に閉じ篭ってて助かったんですがね
      弟子が何人かくたばっちまって、生きた心地がしなかった…」
【酷く落ち込んだ様子で、街で起こった惨状を説明している】
【どうやら、オーク討伐に行っている間に街は壊滅的被害を被ってしまったようだ】

420 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2008/12/28(日) 18:39:39 0
シトリンをついに見失ったグレゴリは、メディナの手を引いて
街の入り口までやってきた。
途中、何度か文句を言ったが疲れているようで、静かになった。

が、そこは既にグレゴリ達の知っている街ではなかった。
活気は欠片もなく、あちこちに変死体が転がっており、死臭がする。
「まさか、あの時に…?」

少し進むと、生きた人間がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
とっさに大剣を構えたが、それが武器屋の主人だと気付くと、すぐに下ろした。
>「いやあ、生きててくれてよかったですぜ…」
武器屋の話によると、どうやらどす黒い霧が流れ込み、その瘴気によって
人々が倒れ始めたらしい。

グレゴリが洞窟を出発してからかなりの時間が経つ。
伝染などの可能性は置いておくとして、財産が放置されることとなり、
時間的にもそろそろならず者やモンスターなどが街で略奪を始めるだろう。
「……」
グレゴリは状況を整理した。
彼が今欲しいもの…それは金であり、武器道具であり、女である。
それらは今から街に繰り出し、賊の真似事をすれば手に入れることは容易い。
だが、こちらはメディナという”お荷物”を抱えている。彼女が行動を共にするとなれば
グレゴリのそれらの行動を許すはずがあるまい。

「分かった。それなら俺らに安全な場所を提供しろ。それなら
 あんたや街の連中のために邪魔者共を排除してやる。それと…」
グレゴリはメディナが纏っているマントをめくり上げて説明した。
「こいつに今すぐ新しい装備を用意しろ。ついでに俺の腕防具も貰おうか」

421 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/28(日) 19:11:45 0
(馬鹿みたい…)
悪魔の移動速度は自分よりもはるかに速い。
走っても追いつけないのがいい証拠だ。
衣服を整え、町に戻ることにした。

           *

街の入り口に着いたシトリンは足を止めた。
あたりが嫌に静まり返っている。
周囲を見回すと、10歩ごとに人が倒れ、血のにおいが鼻をついた。
(何があったの?)
家や店を見回したが、みなやつれきった顔をしている。
言うまでもなく、店は閉まり、どこも開店休業状態だ。
これじゃあ、道具を調達することも、休むこともできやしない。

「シトリン!」

どうしたものかと考えあぐねていると、建物のわきで見知った人物が話し込んでいるのに気づいた。
重装備の鎧をまとった男に、マントをはおった女。
グレゴリとメディナだ。
近寄ろうと思い、足を向けたが、犯されかけたことを思い出し、その場で足を止めた。

422 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/28(日) 21:21:30 0
>>421
ミスりました。
「シトリン!」の部分は消してください。

423 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2008/12/28(日) 23:32:43 0
「きゃあっ!!!
 い、いきなり何を!」
【グレゴリがいきなりマントを捲り上げ、あられもない姿が晒されてしまう】
【突然のことに驚いてしまい、赤面して慌てふためいてしまった】
【我に返ってグレゴリの腕を払いのけると、急いでマントを羽織りなおす】
【深々とマントに包まると、赤面したままキッとグレゴリを睨み付ける】

武器屋主人「嬢ちゃん、年の割りにいい体してたんだな
      …ぐげっ!」
【余計なことを口走った主人の向こうずねに軽く蹴りを入れておく】
【結構痛かったらしく、うずくってすねを必死にさすっている】
【しばらくすると立ち上がり、気を取り直して会話を再開する】

武器屋主人「おおいてえ…
      …まあ、さすがに旦那は話が早い
      とは言っても、安全な場所なんざあっしらが欲しいくらいですよ
      旦那や嬢ちゃんの装備は用意できるんですがね…
      と言うのも………」
【主人の話では、この街には既に安全と呼べる場所は無いという】
【防衛を担っていた地元領主の騎士団や傭兵たちは、さっさと逃げてしまったらしい】
【逃げようにも、血の臭いに釣られた低級モンスターの群れが周囲を取り囲んでいる】
【幸い残存城壁と簡易結界のお陰で街中への侵入は現状防げているそうだ】
【だが、逃げ遅れた守備兵や外来の盗賊が略奪行為を繰り返している】

424 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2008/12/28(日) 23:33:17 0
武器屋主人「とりあえず装備を整えましょうか
      あっしの店に来てくださいよ」
【そう言うと、二人を先導するように死体の転がる中央通りの商店街を歩いていく】
【道中、建物の窓から生き残りと思われる人影が顔を覗かせたりしていた】
【そして、一行は見覚えのある武器屋へと足を踏み入れていく】

武器屋主人「こんな状況じゃ商売どころじゃありませんからね…
      お題は取りませんから、どれでも好きなものをどうぞ
      目ぼしいモンは略奪されて残っちゃ…」
「ぶ、武器屋さん…!?
 ああ、なんということを…!」
【話の途中で、なんと二人の目の前で武器屋の主人が真っ二つに割れてしまった】
【夥しい量の血と内臓、肉片が周囲に飛び散り凄惨な光景を生む】
【メディナは突然のことに、思わず驚愕の表情を浮かべてしまう】
【工房の奥から、身の丈2mは軽く超えていそうな熊のような大男が現れた】
【この街でのグレゴリの傭兵仲間で、「オーガ殺し」の異名を取るバートという男である】
【ワイルドな無精ひげを顔中に生やしたスキンヘッドのウォーリアーだ】

バート「よぉ、グレゴリ
    女連れでのご帰還とは大した身分だな」
【血まみれのツヴァイハンダーを抱え、下卑た笑みを浮かべている】
【ツギハギの鎧を身に着けているところから、ここで略奪をしていたようだ】
【奥の工房には、主人の弟子らしき惨殺死体が見えている】

「あなたがここの人たちを?
 街を守るべき傭兵がなんということを…
 恥をお知りなさいっ!」
バート「俺の雇い主の領主は、俺たちごと街ぃ見捨てちまったんだぜ?
    守る義理なんざねえよ
    それにこんな状況、元山賊の血が騒いじまうってもんだ、へへへ」
「くっ…」
【メディナは怒りに身を震わせ、大男を一喝する】
【しかし、バートは動じる様子も無く再び下卑た笑いを見せる】
【そして、グレゴリに話しかけてきた】

バート「ちょうどいいぜ、グレゴリ
    これから俺と組んで一暴れしねえか?
    手始めにメシと女で腹ごしらえでもしてよ
    …その女はてめえにやるから、あそこでコソコソしてる奴ぁもらうぜ?」
【そう言うと、おもむろに拾ったナイフを店外へと投げる】
【物陰に隠れていたシトリンの近くの壁に突き刺さった】

425 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/12/29(月) 13:53:07 O
下がりすぎあげ

426 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2008/12/29(月) 17:59:09 0
「嫌…」
シトリンは頭を横に振った。
すがるような眼でグレゴリを見つめた。
でも、その顔はうかがい知ることができない。
グレゴリは犯すつもりなのか、それとも違うのか。
今のシトリンにはさっぱりわからなかった。


427 名前:参加希望します[sage] 投稿日:2008/12/29(月) 19:39:50 O
名前:ギルム・ガンバッサ
年齢:25
性別:男
身長:173
体重:77
スリーサイズ:ガッシリだがゴツくはない
種族:元人間(獣人)
職業:便利屋
性格:心配性で流されやすい
魔法:不可
特技:格闘、武器の扱い 共に並以上
長所:一般的な家事ならできる事
短所:他人に怪しまれやすい事
装備品右手:肘までの手甲 手袋
装備品左手:同上
装備品鎧:簡素な鎖帷子
装備品兜:ロングマフラー
装備品アクセサリー:なし
所持品:ウエストポーチ、中身は薬草や金
髪の毛の色、長さ:頭部は虎そのもの
容姿の特徴・風貌:マフラーを巻いて頭を隠している
趣味:一人になること
恋人の有無:妻と死別済み
好きな異性のタイプ:妻のように優しい人
嫌いなもの:同族と勘違いする化物共
最近気になること:世間が騒がしくなってる事
将来の夢(目標):早く呪いを解きたい…

簡単なキャラ解説:
5年前、病弱な妻の為に心臓が秘薬になると噂されていた聖獣に手を出し、怒りを買って人間と虎の中間のような姿になる
手の爪は鋭く、頭から腕や胸や背中まで虎の毛で覆われている
呪いを解く方法を見つけるため世界を放浪中


現在 グレゴリ組とシトリンが(近いとはいえ)別行動中ですがどちらに絡めばいいでしょうか?

428 名前:同じく参加希望[sage] 投稿日:2008/12/29(月) 21:02:41 0
名前:ウィンディー
年齢:27
性別:女
身長:172
体重:61
スリーサイズ:ボンキュッボン
種族:人間
職業:剣士
性格:姉御肌、短気
魔法:無理
特技:曲刀、指突剣は達人級
長所:面倒事でも引き受けてくれる太っ腹
短所:口が悪い
装備品右手:シミター
装備品左手:手甲
装備品鎧:胸鎧
装備品兜:バンダナ
装備品アクセサリー:高価そうなペンダント
所持品:腰にレイピア
髪の毛の色、長さ:金髪、腰までのウェーブ
容姿の特徴・風貌:美人、左目に眼帯、全身に大小の傷
趣味:読書
恋人の有無:不明
好きな異性のタイプ:理性的な男
嫌いなもの:人の話を聞かない奴
最近気になること:荒廃の進む世界の先
将来の夢(目標):傭兵を必要としない世界

簡単なキャラ解説:10年前から活動を続けている流れの傭兵。
育ちのよさが窺える面があり、傭兵としては変わり者の部類に入る。
以前グレゴリと組んだ際に押し倒されたが、股間の大事な玉を握り潰そうとした。
矜持を持って仕事に当たることを信条としているが、その姿勢は他の傭兵からは
理解されないことが多くそのことを嘆いている。



シトリン側につく予定ですが、いかがでしょう?

429 名前:ギルム・ガンバッサ ◆/Y2dc7tUO. [sage ひとまず始めます] 投稿日:2008/12/31(水) 19:26:28 O
人々が倒れ、呻き、地獄と化した街の一角に存在する広場
普段からあまり衛生的とは言えないが住人達が自身の苦痛を訴え、多くが死に絶えている有り様は明らかに異常だった

「た…、助け… 息が、苦し…」
「うるせぇ! 離せジジィ! 今それどころじゃねぇんだよ!」

一人の老人がいくら助けを求めても 誰も救いの手を差し伸べない
今や街の全てが自分の事で精一杯の状態なので仕方ないと言えば仕方がなかった
この非常事態に他人の心配をする変わり者などそうはいないのだ

「誰か…、誰、か」

街を霧が包んだ瞬間から感じる魂を蝕むような激しい苦痛に
意識を、命を手放さんとした瞬間だった

「じいさん! 生きてるか!? おい!」
「ーーぁ、」

朦朧としていた意識と視界をなんとか覚醒させるとそこには救いの手を差し伸べる変わり者がいた
この変わり者は風貌も変だった
季節は春先を過ぎ日増しに暖かくなってきてるというのに厚着に顔をマフラーで覆う重装備だった

「よかった…、生きてる…」
「み、…ず、みず、を…」
「水か? よし、もう少し頑張れよ…!」
彼は老人を軽々と抱き上げると街の井戸を探しにその場を走り去った

430 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2009/01/01(木) 18:15:38 0
>>427
>>428
お好きなほうをどうぞ

431 名前: ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2009/01/03(土) 21:06:46 0
【どちらでもいいので好きなタイミングで入ってください^歓迎します】

432 名前:ウィンディー ◆TXKoM0CtY. [sage] 投稿日:2009/01/04(日) 00:15:22 0
「よしな」
一言言い放ってシトリンをかばう様にバードの前に立つ女。
つむじ風と最近呼ばれるようになったウィンディーである。
次の仕事先であるこの町に着いたのはグレゴリ一行到着のすぐ後で、
見知った姿を見かけて後をついてきたのだ。

「飼い主がいなくなった途端に好き放題かい?
 しょせん野良犬はどうなっても野良根性が抜けないってことかねぇ」
臆する様子など微塵も無いどころか、心底あきれた様子でバードを睨む。
すでにシミターを抜き放っており、すぐにでも斬りかかれる状態だ。
いつもなら問答無用なのだが、グレゴリの出方次第の部分もあるせいで
うかつに動けない。怯えきったシトリンをかばった以上最後まで責任を
負わなければならないのだから。

しかしグレゴリには到底似つかわしくない女二人……
どんな関係だか知らないが、物好きとはいるものだと思わざるを得ない。

433 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2009/01/04(日) 12:09:01 0
【どちらでもどうぞ】
【いつでも大丈夫です】

434 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2009/01/04(日) 12:27:41 0
バート「んだあ、てめえは?」
【耳障りな一声で、目の前に現れた傭兵の女を睨み付ける】
【命令されるのが嫌いなバートは、雇い主の前でも不遜な態度を変えない】
【その相手が女であったので、尚のこと気に入らなかった】

バート「てめえ、確かウィンディーとか言う新入りだったな?
    女だてらに傭兵稼業たあ生意気だな
    おまけに俺のやる事にケチ付ける…、いよいよ許せねえ…」
【そう言うと、ツヴァイハンダーを構えウィンディーに対抗する】
【バート本人の身の丈ほどもある巨大な代物である】

バート「とりあえず、動けねえ程度に痛め付けてやる
    後ろの魔術師ともどもじっくり賞味してやろうか
    いいよなあ、グレゴリ?」
「………」
【涎を腕で拭き取ると、下卑た笑みを浮かべながらグレゴリに話しかける】
【メディナは、その状況をグレゴリの傍から不安そうに見つめている】

435 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2009/01/04(日) 21:48:17 0
どうやら武器や防具は用意してもらえるらしい。
街の状況は大方予想通りのようだった。
「落ち着けメディナ…よし、早速そこまで案内しろ。お前の安全は保障してやる」
グレゴリはメディナの肩に手をやると、主人にそう告げた。
こんな話をしながら、グレゴリは後ろに覚えのある気配が接近しているのに気付いた。
以前はここまで魔力を察知する能力はなかった。これもあの剣のせいだろうか。
魔力の質から、今でははっきりとそれがシトリンのものであることが分かる。
明らかな気の迷いが読んで取れる。

武器屋に案内されている間も、彼らの後を付けるシトリンの気配を感じていた。
>「目ぼしいモンは略奪されて残っちゃ…」
そこで突如後方から剣撃を感じ、グレゴリは後方に飛び跳ねた。
一瞬で武器屋は二つの肉片となる。

「てめぇは…バートか」
>「よぉ、グレゴリ。女連れでのご帰還とは大した身分だな」
メディナがすぐさま一歩前に出てまくしたてるが、バートはまったく
動じる気配もないようだ。
>「…その女はてめえにやるから、あそこでコソコソしてる奴ぁもらうぜ?」
そう言って突如、腰に手をやったと思うと、ナイフを後方に飛ばす…しまった!

「シトリン!」
グレゴリが叫ぶと同時にナイフはシトリンの近くに刺さった。
>「嫌…」
すがるような眼でシトリンがグレゴリを見る。だが初めからグレゴリの答えは決まっていた。
「あぁ?雑魚が。こいつもそこの奴もハナっから俺の女だ…
てめぇには指一本も触れさせねぇよ。それより俺の女を驚かせたことを謝ってもらおうか。
つーかマジで殺すぞ?特別に今なら見逃してやるから10秒で消えろ…いーち…」
バートの表情がみるみるうちに怒りに染まっていく。
グレゴリは数えながら静かに肩の大剣に手をかけた…

436 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2009/01/04(日) 22:18:24 0
前に大きく出たグレゴリがバートとにらみ合い、5を数えたあたりである。
>「よしな」

グレゴリは数えるのを止めた。見知った女が突如現れたからである。
ウィンディー…たしかそんな名前だった。別の場所で傭兵をしていた際、
一緒にパーティーを組んでいたことがあり、夜這いを仕掛けて失敗した
数少ない女だ。他の仲間の女傭兵たちは既に彼の餌食になっていたが、
ウィンディーだけはどうしても思うようにいかなかったのである。
「ウィンディー…てめぇか、付けてやがったな」

しかし様子を見てみると、どうやらウィンディーはグレゴリとバートが組んでいて
通りすがりのシトリンを襲っているものと勘違いをしているらしい。

>「しょせん野良犬はどうなっても野良根性が抜けないってことかねぇ」
ウィンディーはシミターを抜き、バートと対峙する。
その間にグレゴリは静かに後ずさりすると、メディナの反対側の肩を軽く掴み、
目配せをしてシトリンのいる方に一歩、また一歩と移動させていく。

>「動けねえ程度に痛め付けてやる。いいよなあ、グレゴリ?」
バートがグレゴリに声をかける頃には、グレゴリとメディナは既にバーとから見て
ウィンディーよりも斜め後ろにおり、さらに彼女の武器の射程から外れる程度に
ゆっくりとシトリンへ近づいていった。ほぼ、バートとウィンディーのみが対峙している状態だ。

グレゴリが口を開く。
「ああ、お前の目の前にいる女だけは俺の女じゃねぇ。好きなようにしていいぞ」
(都合のいい奴らだ… さて、どうする?)
ウィンディーの目線を感じると、グレゴリはニヤリと口元を歪めた。


437 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2009/01/04(日) 23:06:53 0
>「あぁ?雑魚が。こいつもそこの奴もハナっから俺の女だ…
>てめぇには指一本も触れさせねぇよ。それより俺の女を驚かせたことを謝ってもらおうか。
>つーかマジで殺すぞ?特別に今なら見逃してやるから10秒で消えろ…いーち…」
これで肩の荷が下りたと思ったのもつかの間とんでもない一言が聞こえてきた。
「ちょ…いくらなんでもそれは…」
ないでしょうと叫ぶ暇もなく、女性の声がした。
女性の背丈はシトリンとほぼ同じぐらい。
スタイルははるかよく、髪はさらさら。
超がつくほどの美人で、シトリンが見とれてしまったのは言うまでもない。
(いけない…いけない…)
みてしまいたい衝動を抑え、バードのほうを見つめた。
所持している武器は2m前後の巨大な剣。名前はツヴァイハンダー。
10キログラムぐらいの重さがあり、当たった時の威力は相当のものだが、ふるった後の隙がでかいという致命的な欠点がある。それゆえ、一対一で使われることめったにない。
対するウィンディーが持っている武器はシミター。
先端が曲がった1m程度の剣である。
重さはツヴァイハンダーの10の1程度で、はるかに扱いやすく、ツヴァイハンダーに比べ機敏な動作も可能だ。
(この勝負あったものね…)
武器を扱ったことはないが、なんとなく勝負の行方が分かった。
バードがぼこぼこにされるのは確実だ。
強姦されそうになったとはいえ、バートという男の末路を思うと、胸が痛い。
シトリンはグレゴリのわきを通り過ぎ、バートとウィンディーの間に割り込んだ。
「待ってください。この勝負、行方が決まってます」


438 名前:グルス ◆6O9Z41qEpo [sage] 投稿日:2009/01/05(月) 21:06:06 0
名前:グルス
年齢:30歳
性別:男
身長:180
体重:75
スリーサイズ:一見細く見えるが絞り込まれた肉体
種族:人間
職業:放浪の身…時には傭兵、盗賊の真似ごとをするときもある。
性格:目的のためならば手段を問わない
魔法:不可
特技:武器の扱い。ピッキング
長所:隠密行動が得意
短所:不審人物と思われやすい
装備品右手:黒い鉄鋼
装備品左手:↑に同じ
装備品鎧:チェインメイル(鎖帷子)の上にフード付きの黒ローブを纏っている
装備品兜:仮面
装備品アクセサリー:家紋のついた懐中時計
所持品:ローブの中にダガーやボウガン、火薬玉、
     足周りに矢筒やチンクエディアを納めている
髪の毛の色、長さ:短髪
容姿の特徴・風貌:笑っている表情の仮面が不気味な男。
            黒服とフードとの相乗効果で非常に危ない人間を思わせる。
趣味:闇王軍と戦う
恋人の有無:なし
好きな異性のタイプ:特にない、逆に言えばだれでもいい。
嫌いなもの:闇王軍
最近気になること:闇王軍が活発になってきていること
将来の夢(目標):なし
簡単なキャラ解説:根なし草で旅を続ける男。
            昔から闇王軍や化け物の噂を訊いてはその姿を追い続け
            ひたすら武器を振り続けてきた。その理由は正義感などではなく。
            本人の過去が関係してると思われるが彼の仮面を見て分かる通り
            自らを他人に見せたりはしないため何があったのかを知るものはもはや居ない。

参加希望。

439 名前:グルス ◆6O9Z41qEpo [sage] 投稿日:2009/01/05(月) 21:57:56 0
静まりかえった街、耳を澄ませば倒れた人間の苦しみのうめき声が聞こえ。
一度足を踏み入れてみれば。死の臭いが立ち込め、
略奪の甘美な味に酔う傭兵や盗賊どもが禿鷹のように死体からでさえ物を掠めている。
正に地獄絵図と称したほうがいいのか。いや、地獄でさえこの光景作れまい。
人間の業以外にこの光景は作ることはできないのだ。

その瘴気立ち込める町の井戸、苦しさに水を求めて集まってきた村人の骸が並び重なり合う中…
井戸の淵に腰掛けてその光景を眺めている男がいた。
後ろには烏達が鳴きわめき、黒いローブに不気味に笑う仮面をつけ死体を見降ろしている。
その風景は恐ろしく鳥肌が立つようで、まさに死神の巡遊といっても過言ではなかった。
名をグルス。根なし草の旅を続ける男で、傭兵に剣格、時には盗人すらする人間。

「忘れない、この風景…この臭い…」

そんな中、井戸の方に走ってくる者が一人。
この暑い季節にマフラーで顔を覆っている怪しい人間。
時季外れの奇怪な格好という点ではグルスをはるかに上回っている。
男はグルスの様子に気づいてはいないようすで井戸に向かって走ってくる。
老人を抱いている処を見ると今のこの世では化石にような義の心を持っている人間なのだろう。
しかし、そんなマフラーの男をグルスは片手を出して静止させる。
「おっと、ここの井戸の水はもう終わりだ。売り切れってやつだ」
追っ払おうと手振りであっちにいけと伝えるグルス。
「…待て、やぱりちょっと待ちな。お前臭いな…臭い。人間というには…そうだ…まるで……」
 
      獣 の よ う だ  ! !  

言葉を止めた瞬間腰の鞘から剣を抜きなんとも鋭い動きでマフラー男の頭を穿つグルス。
いきなりの不意打ちと老人のせいで避けたもののマフラーを持っていかれてしまった男。
露わになったその顔は人間というにはあまりにもかけ離れていた。
「…ほう、獣にしては人間っぽさが残っている。最近はお前みたいなのもいるってわけかい?」
剣に刺さったマフラーを手に持ち仮面をかぶった顔に近づけ臭いをかぐ…
「布で姿は隠せても臭いまでは隠せねぇな……化物がずいぶんと入れ知恵を使ったもんだが無駄だ。」
マフラーを地面に投げ捨て剣を構えるグルス…仮面から見える眼光は鋭く。
全身は殺気立っている。冗談ではないことなど一目瞭然だろう。
「どうした?化物らしく鋭い爪で俺を引き裂き恐ろしい顎で噛み砕いて見せて欲しいもんだなぁ。
 …来ないのか?なら…こっちからいかせてもらうぜえっ!!」
その言葉を皮切りにグルスはフードの下からダガー取り出し投げつけ牽制し、
男の元へと走り出し、剣を今一度強く両手で握りしめ鋭い刃を男に向かって振り下ろす!



440 名前:ウィンディー ◆TXKoM0CtY. [sage] 投稿日:2009/01/06(火) 00:22:32 0
安い挑発とは思ったが、ウィンディーの存在自体が
バートにとっての最上級の挑発だったようだ。
どれもこれも耳障りで自分勝手な理屈。

「ああそうかい。
 あんたみたいなチンケな奴はごまんといるが、あんたは
 そん中でも最底辺らしいねぇ。女だから傭兵稼業してるのが生意気?
 あたしに言わせれば、あんたみたいな世の中ナメくさった奴が
 息吸ってんのがよっぽど生意気さね」


売り言葉に買い言葉、傭兵と言うのは往々にして口汚い。
傭兵になりたての頃は多少なりとも言葉を選んでいたウィンディーだったが、
教養も学もないに等しいのが大勢を占める傭兵にもまれる内に
分かりやすい、皮肉って言えば学のない言葉を使うようになってしまった。
別に気にしてはいないのだが。


「つけるたぁ人聞きの悪い、良くも悪くも見知った仲だろ?
 こんなとこで会ったのもなんかの縁と思って追ってきてやったのに
 ずいぶんなお言葉じゃないか。まぁあんたはそういう奴だよ
 ちっとも変わってないねぇ、グレゴリ。あたしにぶち込もうとした時と、これっぽっちも」

横目でグレゴリが後ずさっているのは分かっていた。
野獣のような男だが、小ずるく立ち回る賢しさも持ち合わせたたちの悪い
一面もあることを、ウィンディーは知っている。
その辺も含めてある程度予想を立てていたが、その通りに動いてくれたお陰で
ウィンディーはやりやすくなったとほくそえむ。


「ちょい待ち、グレゴリ。あたし以外が俺の女だって
 今言ったけど、あたしの勘が間違ってなけりゃあ
 あんたまだどっちの穴にも突っ込んでないだろ?
 ツバつけただけで俺のもの宣言したって、誰が納得するのさ?」

グレゴリにもケンカを売っているかのような物言いだが、
傭兵稼業の性か、言わんでいい事までついつい口をついて出てしまう。
そうでなくともグレゴリの言いように二人とも納得してない顔をしてるのだ。
はっきりさせておかないとなし崩しにされるのは目に見えてる。
餌食にされるのを承知で見捨てられるほど、ウィンディーは薄情じゃないのだ。

だが、自分がかばった女がなぜか間に割って入った。


「勝負の行方が決まってる、ねぇ。
 確かにそうだろう、まずあたしの勝ちだ……けど、
 勝負ってやつはふたを開けるまで分かんないもんだ。
 お互い得物を抜いちまったら、ぶつからずに済ませるのは無理だねぇ。
 あたしは良くてもそこの野良犬は納得しない、なら二度と噛み付かないように
 牙を全部へし折ってやるしかないのさ。分かったなら下がってな」

穏便に済ませられるならそうするが、そうならないのもよく分かっている。
そのたびにウィンディーはケジメをつけてきた、時には相手の命を奪ってでも。
今回もそうなる、これはウィンディーの経験と勘が訴えているのだ。

441 名前:ギルム・ガンバッサ ◆/Y2dc7tUO. [sage よろしくお願いします] 投稿日:2009/01/06(火) 00:57:05 O
「ここか…、井戸…」

街中を走り回りようやく井戸を見つけた時には彼、ギルムの息は大分上がっていた。
周りは死体が多かった。この老人のように水を求めた成れの果てか。ぞっとしない光景にさっさと水を汲んで立ち去る事を決める。

「ほいじいさん、着いた、ぞ…」

死体を避けながら歩き、井戸に目指すと不気味な笑顔の仮面をつけた黒服の男がいるのに気がついた。
男は井戸の淵に、おびただしい数の死体の中、平然と座っていた。 こちらに気がつくと片手であげ話しかけてきた。

>「おっと、ここの井戸の水はもう終わりだ。売り切れってやつだ」
「バカ言え、そもそもお前のじゃないだろ」

男の言い分を無視し、一歩井戸に近づくと 今度は無視できない事を男は口走った。

>「…待て、やぱりちょっと待ちな。お前臭いな…臭い。人間というには…そうだ…まるで……」
「おい、何一人で…」

問いかけた瞬間、放たれた剣撃
ギリギリで避けるも顔のマフラーがはがされ

「テメェ何しやが…ッ!、………やっば」

およそ人間のとは違う、虎の頭部そのものが露わになった。


442 名前:ギルム・ガンバッサ ◆/Y2dc7tUO. [sage] 投稿日:2009/01/06(火) 00:58:56 O
>「…ほう、獣にしては人間っぽさが残っている。最近はお前みたいなのもいるってわけかい?」

仮面の男はギルムのマフラーを弄びながらなおも問いかける
表情は見えないが、仮面の中で楽しんでいるのがわかる口調だ

「布で姿は隠せても臭いまでは隠せねぇな……化物がずいぶんと入れ知恵を使ったもんだが無駄だ。」

しかし、それもすぐに終わり男はマフラーを捨て剣を構えた。

「どうした?化物らしく鋭い爪で俺を引き裂き恐ろしい顎で噛み砕いて見せて欲しいもんだなぁ。
 …来ないのか?なら…こっちからいかせてもらうぜえっ!!」

言葉と同時に投げられたダガーと剣の突撃の二段攻撃
普段なら紙一重で避けられるが、こちらは今現在も老人を抱えたまま、両方は避けられまい。
二撃目を受けたら重傷は必至…、 ならば…

「歯ァ食いしばれじいさん!」

ダガーを腕で受ける。手甲を貫通し赤い鮮血が舞うが行動には支障無い。
そのまま相手の懐に潜り込んで上からの斬り下ろしを回避、その勢いを殺さず相手の胴体にタックルをぶちかました。
カウンターをくらった仮面の男は派手に吹き飛んだ。この隙を逃すものか。

「おりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」

周りの死体を男に向かって投げまくる。とても誉められた戦法ではないが、それを指摘するような人物は存在せずあっという間に死体の山ができた。

「いてえな馬鹿野郎! ………うしっ、今の内に」

こざっぱりした井戸周辺、適当な所で降ろし急いで水を汲んで老人に飲ませた。
衰弱で殆ど目が見えなくなったの逆に幸いである

「…ふぅ、…あり、がとう …あり、ぉぅ」
「じいさん 一体ここで何があったんだ?それにさっきの地震や…、…じいさん?」

ギルムが問いかけても老人は応えない、彼に感謝を伝え老人は事切れていた。

「……… 」

本来の目的の情報収集が全く出来なかったことに小さく舌打ちをすると、老人に軽く手を合わせた


あの死体の数なら相当の重さだ。出るのに相当時間が掛かる
そう思っていたから

443 名前:メディナ ◆uWb9123Blw [sage] 投稿日:2009/01/06(火) 13:31:35 0
「グレゴリさんで慣れているつもりでしたけど…
 本当に品やデリカシーなどとは無縁な方々ですのね…」
【下品極まる言葉の応酬に頭を抑えるメディナ】
【とは言え、メディナ自身もスフォーイ家を出奔して一人旅を続けてきた身である】
【おおよそお嬢様らしい品性など、原型を留めぬほどに影を薄くしている】
【しかし、この連中の会話はそのメディナですら耐え難いものがあったのだ】

「シトリンさん!
 ご無事でしたのね?
 …よかった
 何故わたくしはシトリンさんの気を感じ取れなかったのかしら…」
【周りの状況に気圧され、存在に気付くのが遅れてしまっていた】
【しかし、それにしても近くに居れば気の流れなどで分かったはずである】
【どうやら、全ての感覚が鈍っているらしい】
【が、何はともあれシトリンが無事であったことの喜びと安堵に胸を撫で下ろす】
【しかし、シトリンの一声が気に入らない者も居た】

バート「てめえ、俺の負けが決まってるような言い草だな、おう?
    顔に書いてあるからよおく分かるぜ
    持ってる得物だけで勝負の行方を勝手に判断すんじゃねえぜ、素人さんよ
    …その点、こいつは女だが傭兵だけあって戦場ってもんを心得てるな」
【ウィンディーの背後に隠れているシトリンをガンを飛ばす】
【長身と巨体、そして精悍な顔付きから飛ばされる睨み付け】
【大抵の相手はこれだけで圧倒され、一目散に逃げ出すのだ】

バート「だあが、はっきり言っててめえらとの会話や吐き台詞には興味はねえ
    ヤッパ抜いた以上、ヤる以前に全殺しだからよ
    こっから先は互いの得物でタマの取り合いと行こうじゃねえか、へへ…」
【ウィンディーに対し、そのように吐き捨てる】
【おもむろに両手で構えていたツヴァイハンダーを右片手に持ち替えた】
【そして、身の丈ほどもあるそれを軽々と包丁やナイフでも扱うかのように振り回す】
【誇らしげに笑いながら、「素早さなど意味は無いぜ」と言わんばかりに見下ろしながら】

バート「俺がこいつ一本で戦場を渡り歩いてきたのは伊達や酔狂じゃねえ
    それをこれから思う存分見せてやっからよ
    …それとグレゴリ、この女片付けたら次は貴様を一刀両断してやるぜ
    覚悟しておけよ、へへ…
    試合の合図、誰か頼むぜ」
「では、わたくしが…」
【そう言うと、メディナがウィンディーとバートの間に割って入る】
【両者は後ずさりしながら距離を離し、それぞれ所定の位置で背後を向ける】
【得物を構えると、呼吸を整えるようにして深呼吸を繰り返す】
【何とも言えぬ重い空気が辺りを包み込んでいるようだ】

バート「………」
「ご両人、わたくしが5つ数えた後に口笛を吹きます
 それを合図に決闘を開始なさってください
 それでは参りますわ…
 5…4…」
【バートは無言で頷くと、背中の鞘に仕舞ったツヴァイハンダーに手を掛ける】
【いつでも瞬時に抜けるよう、前準備のようなものである】
【しかし、勝負の火蓋は合図の前に切られてしまった】

バート「先手必勝、これが俺のやり方だああぁぁぁぁっ!」
「お、お待ちなさい!
 ウィンディーさん、危ないですわ!」
【残りカウントが3となったと同時に、いきなりバートが踊りかかった】
【ツヴァイハンダーを振り上げ、背後を向けたままのウィンディーに斬りかかっていく】
【頭から一刀両断しようという腹づもりである】
【メディナが止めに入る間もなく、卑劣な凶刃が振り下ろされようとしている】

444 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2009/01/06(火) 14:33:34 0
>「勝負の行方が決まってる、ねぇ。
> 確かにそうだろう、まずあたしの勝ちだ……けど、
> 勝負ってやつはふたを開けるまで分かんないもんだ。
> お互い得物を抜いちまったら、ぶつからずに済ませるのは無理だねぇ。
> あたしは良くてもそこの野良犬は納得しない、なら二度と噛み付かないように
> 牙を全部へし折ってやるしかないのさ。分かったなら下がってな」
ウィンディーの言う通りだ。
獲物をふるった後に硬直があるとしても、それをカバーする方法はいくらでもある。
ましてや、目の前にいるバートという人間が歴戦の勇者なら、隙をカバーすることぐらいできるはずだ。
あまりに完璧な論理展開にこれ以上口をはさめそうにない。
しかも、その上、とどめといわんばかりに睨みつけてきた。
目の前にいるウィンディーという女性も、グレゴリやメディナ同様にバートから身を守ってくれそうだが、怖いものは怖い。
主人にこっぴどく叱られた子犬のように瞳を潤ませ、元の位置まで下がらざる負えなかった。


445 名前:グルス ◆6O9Z41qEpo [sage] 投稿日:2009/01/06(火) 18:58:20 0
振り下ろされた刃。そのまま肉を裂き真っ二つかと思われた。
だが向こうは素早く懐に潜り込む。舌打ちを鳴らすグルス。
このままではまずい。そう思い両手で握っていた獲物を離し、
素早く太腿の横にくくり付けていたチンクエディアを持ち替える、が。
次の瞬間重い衝撃を食らい後ろに吹き飛ぶ。衝撃に手から離れるチンクエディア。
「ぐはっ!……ふっ、ふふ…そうこなくっちゃあなあ!」
闘いがいのあることを実感できた事を嬉しそうにしながら素早く体勢を立て直し、
ローブの下から何本も矢がセットされている特殊なボウガンを男に向ける。

「おりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」

狙いを定め矢を放とうとしたとき、突如何を考えたのか死体のいくつも男が投げてくる。
「うおっ!!おいお前そりゃあ…!!」
反則と言う間もなく次々にぶつかってくる死体の衝撃に倒れこみ
あっという間に生き埋めのようになってしまうグルス。
「仏をぞんざいに扱いやがって…!」
乗っかっている土色をした人間をどけているうちに男は
老人に水を飲ませ終わってしまった…
男の質問に答えることもなく老人は感謝の意を伝えると事切れる。

「馬鹿野郎が……」

死体の山の隙間から抜けだしたグルスが
老人だった骸に手を合わせている男に放った第一声がそれだった。
そしてボウガンを男のすぐ横に向かって放ち男の意識を自分の所に向ける。
「俺は言ってやったのによ、井戸の水はもう終わりだってな…
 この死骸どもは全部井戸の水を飲んでくたばっちまったんだぜ?」
その言葉に初めて知ったかのように驚いている男の顔、
その顔を見てここでふと気づいたようにグルスはボウガンを男から下げる。
「なんだお前、何も知らないのか?この街の様子。ただごとじゃあねえ。
 闇王の配下…井戸の水を腐らせ草木を枯らせ空を黒く覆うこの感じからすると…
 おそらくはデーモンか何かがところ構わず生者から生気でも吸い取った後って感じかな」
ボウガンで肩を叩き目の前の男にこの街がどうなったのかを予測混じりに話すグルス。
その仕草や声は格好に似合わずそこら辺に居る男と同じにしか見えない。

ひとしきり説明を終えると男に向って歩いていきその虎の顔に自分の顔…仮面を近付ける。
「そんで。問題はおたくだ…闇王軍やデーモンの仲間ならさっきの爺さんから情報なんて聞く必要はないわけだ。
 オークの仲間だったらここに居る人間全部ぐちゃぐちゃにしてる。
 かといって傭兵は爺さん助けてることなんて酔狂な真似はしない。略奪に忙しいからな。」
まるで自らの頭の中を整理するように一個一個可能性を潰していくグルス。
「傭兵でもなくて闇王軍でもなくてオークの仲間でもなくて…だが獣に人語……一体お前は何者だ?」
そこで男は袖からダガーを取り出すと剣先を男の喉元に突き立てる…
説明の後わざわざ男に近づいたの回りくどい質問の仕方をしたのもこうするためだった。
あと少し持ち上げるだけでダガーは男の頸動脈を引き裂くだろう。
「さあ、早く自分が何者なのか言ってみてくれ……
 化物以外の言い方があるならダガーを大人しく降ろす……どうだい?」
ダガーにグルスの仮面が写りこむ、その顔は不気味にニタニタと笑っていた。


446 名前:シトリン・グラハム ◆YQFg90V7ew [sage] 投稿日:2009/01/06(火) 18:59:49 0
>>444
訂正

× 獲物をふるった後に硬直がある
○ 獲物をふるった後の硬直を突かれる可能性がある

447 名前:ギルム・ガンバッサ ◆/Y2dc7tUO. [sage] 投稿日:2009/01/07(水) 00:09:20 O
「化物以外、か。あー…、元人間ってとこかね。」

喉ににあてがわれたダガーに内心冷や汗を流し、軽く両手を上げながら自嘲気味に苦笑いを浮かべた

「名前、ギルム・ガンバッサ。便利屋兼旅人。個人的理由で五年前からこの姿になった。 ……こんなもんでいいか?
とりあえずダガーとその悪趣味なお面をしまってくれ。」

ギルムの自己紹介を聞き仮面の男はダガーを降ろし少し距離を置いた。 予想通り仮面はとらなかったが…。
ひとまず先程のように問答無用、というぐらいの害意は治まったようだがこちらを信用してないのが雰囲気でわかる。もう慣れたものだ。

「ちなみにじいさんに水を飲ませたのはじいさん本人に頼まれたからだ。引き受けた理由は情報収集と人命救助のため。
…井戸の事は、本当に知らなかった。 …ま、信じろってのが難しいけどな」

くそっ、あんたももっと言い方があっただろ
と 付け足し、悔し紛れに頭をかきむしる姿はどことなく人間臭さを醸し出していた。
腕に刺さったダガーを抜き 仮面の男の足元へと投げつけ、ポーチから化膿止めの薬草と包帯を取り出し傷口に縛り付ける。
傷に染みてつい顔をしかめる。 だが、アレになにか細工がない限りは大丈夫だ。

「とにかく、だ。俺はあんたのいう闇王だとかデーモンだとかには一切関わりはない。 それどころかそっち系の話はほとんど知らないからな」

自身の無実を訴えながらギルムはその場を立ち去ろうとした。
マフラーがなくなった以上長居は禁物だし、いきなり斬りかかるような人物といつまでも一緒にいたい訳がない。
…おまけにそれは妙な仮面をつけた人物なのだ。 もし街の人がこの二人組を見たら、間違いない闇王軍の一味と見なされるだろう。

448 名前:ウィンディー ◆TXKoM0CtY. [sage] 投稿日:2009/01/07(水) 00:36:11 0
案の定シトリンの言い分に野良犬バートは噛み付いた。
もはや野良犬と言うより狂犬だ、と思うだけに留める。
その結果があの無駄な振り回し……呆れは加速するばかりだった。
あげくに得意げな顔になってるし、相手してる自分がバカみたいだ。


「はいはい、せいぜい期待しとくよ。
 そのバカ力が無駄にならない事を祈っといてあげらぁね。
 ……それと、シトリンだっけ?そんな顔おしでないよ。
 まるであたしがいじめたみたいじゃないか。
 あいにく眼力でいじめる趣味は無くてねぇ、どうせいじめるなら
 やわらかいベッドの上のほうがよっぽどいい、だろうグレゴリ?」

軽口をたたきつつシトリンに対し、ついつい威圧してしまったことを暗に詫びるウィンディー。
だがこんな言い方で伝わるわけが無い。詫びる気持ちは、正直あまり無かった。

合図役にグレゴリが一方的にツバつけた女が出張る。
10も下だろうに、バートよりもよっぽどできる奴だとウィンディーは思った。
一旦シミターを収め、言われるままに距離を取り始めるが……


>バート「先手必勝、これが俺のやり方だああぁぁぁぁっ!」
まぁ当然と言えば当然、しつけもクソもない狂犬がルールなんか守るわけがない。
ウィンディーはバートの良心と言うやつをこれっぽっちも信用してなかった。
逆に信用してたのが、バートのというよりも戦場を渡り歩いてきた奴の戦い方……
殺られる前に殺るため先に動くことの、絶対的有利の経験だった。


>「お、お待ちなさい!
> ウィンディーさん、危ないですわ!」
メディナは良心と誇りを捨て切れてないらしく、わざわざ忠告してくれた。
「気持ちはありがたいけどねぇ、あんたもあたしを甘く見すぎだ。
 バート、だったっけ?先手必勝はいいけど、それなら黙って討ちなよ。
 それともフェアプレーの精神なんて持ってたのかい?あんたにゃ似合わない」


振り下ろされたツヴァイハンダーはウィンディーの立っていた『場所』を砕いた。
しかし獲物であるはずのウィンディーの姿はバートの視界から消えていた……
非情の凶刃が身を断つ直前、その一呼吸の間にウィンディーはバートの背後を取っていたのだ。
背後からの声におどろき振り向くバート、その瞳にはもはやナメた気配はない。
ウィンディーの手には抜き放たれたシミターが握られ、冷たい刃が鈍い輝きを放っていたが
何をするでもなくそのまま鞘に収めてしまう。それもまた挑発とバートには映っただろう。


【勝手に負かしてしまっていいものか分からなかったので一回まわします】

449 名前:グルス ◆6O9Z41qEpo [sage] 投稿日:2009/01/07(水) 19:07:10 0
「化物以外、か。あー…、元人間ってとこかね。」
手を上げながら苦笑いを浮かべる男は自分を元人間だと言った。
何か事情あって化け物になったということだろうか?
この言葉だけでは信用に値しないのかグルスがダガーを下げる様子はない。
「名前、ギルム・ガンバッサ。便利屋兼旅人。個人的理由で五年前からこの姿になった。 ……こんなもんでいいか?
 とりあえずダガーとその悪趣味なお面をしまってくれ。」
目の前の男は自分をギルムと名乗り、便利屋をしながら旅をする身だという。
「………………分かった。こいつはしまおう」
どうにも怪しい職業だが時には盗人にまで身を落とすグルスに言えたことでは無い。
また、名前とハッキリとではないが理由を聞いたことで警戒心が少しは解けたのか、
グルスは言うとおりゆっくりとダガーを下ろしギルムから離れる。最も仮面だけはそのまま顔につけたままだったが。

「ちなみにじいさんに水を飲ませたのはじいさん本人に頼まれたからだ。引き受けた理由は情報収集と人命救助のため。
…井戸の事は、本当に知らなかった。 …ま、信じろってのが難しいけどな」
あんたももっと言い方があったというギルムに井戸の淵に腰掛け「確かに」と返すグルス。
思い返してみれば自分にも非があると思ったのだろう。
「だがこっちとしてもまさか人命救助なんて考えてるやつがいるとは思いもしなくてね。
 だがそんなことを考えるってことは」
ダガーを足元に投げ返し、化膿止めの薬草と包帯を取り出し傷口にしばりつけるギルムに、
立ち上ってダガーとチンクエディアを拾うグルスが答える。

「安心しろ。毒だとかしびれ薬は塗ってない。まあその傷をつけた俺が言うのも何なんだがな」
そう言っているローブにしまっているグルスからは悪びれた様子はない。
痛みに顔をしかめているギルムの不安を知ってか知らずか
ダガーに細工はしていないとギルムに伝えるグルス。
最もその口調は悪びれる様子は一切ない。

「とにかく、だ。俺はあんたのいう闇王だとかデーモンだとかには一切関わりはない。それどころかそっち系の話はほとんど知らないからな」
自分の無実を訴え去ろうとするギルム。
引きとめる様子もなくグルスはギルムの来たときと同じく井戸の淵に座り込んでいた。
何かを待っている様子でもある。そんなグルスが立ち去ろうとするギルムに一言。
「さっさとこの街から出た方がいい。そうだなぁ。北の方角ならまだ間に合うかも……」
そこまで告げた時だった。ギルムが行かんとする方向から十数人の男達がこっちに向かって歩いて来ている。
軽装に手に持った金目のものから見ると街の状態をチャンスと思いやってきた盗賊団か何かだろうか。
「へへ、ちょうどいいカモが居たぜ。おら!お前たち死にたくなかったら身ぐるみ全部置いていきな!」
数十人の中で最もガタイが大きくゴツイ男がギルムとグルスに向かってニヤリと口の端を歪める。
しかし、ここで男の部下の一人が何かに気づいたように叫ぶ。

「お、お頭ぁ!!あ、あの男!!顔が虎ですぜ!!人間じゃねぇ!!」
夜の帳が下りようとしていて薄暗いとは言え流石に気づいたようである。
「あ?本当だ。虎の顔してやがる。おもしれぇ!!
 フリークとして出せばどっかのモノ好きや芸団に高く売れる!!
 生きてりゃ構いやしねぇ!!たたんじまえ!!」
息巻く盗賊団の頭の言葉に団員達も笑いながら自らの獲物達を取り出す。
この人数ならば勝てると踏んだのだろう。
「後ろの仮面つけた不気味なやつはどうしやすか御頭!!」
「あ?もう面倒だ!適当にころして金になるもんだけ剥ぎとりゃいいだろ!」
その言葉にやれやれ…といった感じで井戸の淵から飛びあがりギルムの横に並び、チンクエディアを構える。
「間に合わなかったな?ま、こういう時もある。」
ギルムの肩を一回叩くと剣を構え向かってくる盗賊たちにつっ込んでいくグルス。
チンクエディアで数人の手首を次々に斬りつけ。
流れるような体捌きで次々に盗賊の攻撃をかわし、落ちた剣を拾い一人…また一人と腕や足を刎ねていく。
おそらく死戦と呼ばれるようなものをいくつもくぐりぬけたのだろう。
しかし、数が数だ。いくらどんなに腕の立つものでも十数人の相手などしてられない。
一つ、また一つと切傷は増え息も上がり始めている。
「おいギルム。手伝ってくれないか?元人間なんだ。慈悲ぐらいはあるんだろう?」

450 名前:グルス ◆6O9Z41qEpo [sage] 投稿日:2009/01/07(水) 19:11:31 0
訂正

そう言っているローブにしまっているグルスからは悪びれた様子はない

という部分は消し忘れたのでいりませぬ

451 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2009/01/08(木) 01:07:14 0
【明日(今日)の夜書き込みます】

452 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2009/01/08(木) 15:37:07 0
「…申し訳ありませんでした
 わたくし、あなたのことを見くびってしまっていたようですわ…
 無礼をお詫びいたします…」
【ウィンディーに対し、深々と頭を下げ余計なお節介をしたことを心の底から詫びる】
【…それは一瞬のことであった】
【ウィンディーは身を翻し、バートの背後に回り込んだのだ】
【しかし、その一連の動作に気付いた時には彼女を見失ってしまっていた】
【凄まじく素早く、そして恐ろしく軽い身のこなしである】
【こちらの予想の遥か上を行く身体能力に、呆気に取られるより他はなかった】

バート「このアマぁ…、余裕ブッコいてるつもりかゴラアァァッ!
     交わした隙に反撃しなかったこと、後悔させてやるぜえぇぇ…」
【「見逃された」と感じ、ウィンディーに言い様の無い怒りを覚えるバート】
【ゆっくりと振り向くと、怒りに満ちた表情でツヴァイハンダーの刀身を舐めている】
【しかし、それと同時に心の奥底に感じた恐怖を認めようとしない感情もあった】
【戦場を渡り歩いて来たからこそ分かる、自分以上の強者への恐怖である】

「どうなさいます?
 おそらくあなたでは…」
バート「外野は黙ってろ、クソが!
     こ、これぐらいでなけりゃ俺も面白くないってもんだぜ
     …そうだろ、女傭兵さんよぉっ!」
【そう言うと、突如地面を穴が開くほど激しく蹴り上げ砂煙を立たせる】
【砂を飛ばしてウィンディーの目を潰し、一気に勝負を決める魂胆である】
【顔面を狙ったはずだが、あの動きではそれを確認している暇はない】
【すぐさま鎧の内側に隠しておいた手斧を投げ付ける】

バート「確かに俺に正々堂々は似合わねえからな
     禁じ手を軽く使わせてもらったぜ、へへ、へへへ…」
「………」
【砂煙で姿はよく見えないが、バートは当たったと確信しているようだ】
【メディナはただ、無言でウィンディーの居るはずの位置を見つめている】
【当のバートは誇らしげにしているが、声は震えて上ずってしまっている】

453 名前:メディナ ◆mYidHkmrH6 [sage] 投稿日:2009/01/08(木) 15:39:30 0
>>448
【バートは軽く打ち負かしてくれてオッケーです】
【遠慮なくやっちゃってくださいb】

454 名前:ギルム・ガンバッサ ◆/Y2dc7tUO. [sage] 投稿日:2009/01/08(木) 23:23:22 O
「さっさとこの街から出た方がいい。そうだなぁ。北の方角ならまだ間に合うかも……」
「は? そりゃどういう…」

男に振り返り意味を問う。が、既に手遅れだった。

「へへ、ちょうどいいカモが居たぜ。おら!お前たち死にたくなかったら身ぐるみ全部置いていきな!」

正面を見ると見た目と不釣り合いな金品と血塗られた装備、そして典型的な台詞を言う強盗団がいた。 男はどうやらこの事を言っていたようだ。
面倒を避けるためギルムはすぐさま逃げようとするが、

「お、お頭ぁ!!あ、あの男!!顔が虎ですぜ!!人間じゃねぇ!!」
「…ハァ」

顔を見て、一人の男が驚き それに釣られ全員が騒ぐ。ギルムはそれを大きな溜め息をつきながら見ていた。
人間じゃないとか化物とか言われて不快感を感じない訳がないのだ。

「あ?本当だ。虎の顔してやがる。おもしれぇ!!
フリークとして出せばどっかの物好きや芸団に高く売れる!!
生きてりゃ構いやしねぇ!!たたんじまえ!!」
「は!?」

しかしこの隊長格の発言はショックだった。
過去にも他人に顔が見られたことはあるが見せ物で売れると言われた事はなかった。

「間に合わなかったな?ま、こういう時もある。」

軽く肩を叩かれ強盗団に向かう仮面の男。戦う気満々だ。
個の実力では仮面の男が圧倒的だが多勢に無勢、徐々に押されていった。

「おいギルム。手伝ってくれないか?元人間なんだ。慈悲ぐらいはあるんだろ?」

妙に親しく参戦を頼まれるがその前に棍棒を持った一人がギルムに向かっていた。

「おらっ、寝てなっ!」

真正面からの愚直すぎる一撃
体を捻り相手の顔に拳を出すだけで簡単にカウンターが決まり、男の意識を刈り取った

「…厄日だ。」

ぼそりと呟き ゆっくりと迫る。正体不明に威圧感が強盗団を後退りさせる。

「街は惨劇、仮面をつけた変態に襲われ顔バレ…、そのうえ高く売れる? …いい加減にしろやテメェら!しまいには本当に取って喰うぞオラァ!」
「ヒィッ…! お、おめぇら撤収だ!」

怒りを爆発させた雄叫び、元々仮面男の猛攻に士気が下がっていた強盗団は竦み上がり自力で動けない部下を置き去りにして逃げ出した。

「あ"〜もう最悪だ。俺だって好きでこうなったんじゃないのによ〜………」

見届けたギルムはその場でしゃがみ込み頭を抱えながら自己嫌悪し始めた。その姿には今の迫力の欠片もなかった。

455 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 投稿日:2009/01/09(金) 01:29:58 0
>「つけるたぁ人聞きの悪い、良くも悪くも見知った仲だろ?
>ちっとも変わってないねぇ、グレゴリ。あたしにぶち込もうとした時と、これっぽっちも」
「んぁ?何だてめぇ…俺に抱かれたくて来たってぇのか?」
どうやらウィンディーは目の前の男と対峙していても余裕のようだった。
皮肉でもあるかのようにぼやくグレゴリ。

>「あんたまだどっちの穴にも突っ込んでないだろ?」
「ずいぶんな言い方だな。まるで俺と一緒にいる女は抱かれるためにいるような
感じじゃねぇか。俺が”俺のもの”って決めりゃ俺のものなんだよ」
直接的な言い方をされると我慢していたものが再びもたげてしまうようで、
グレゴリは気持ちが良くなかった。不機嫌そうに答える。

「待ってください。この勝負、行方が決まってます」
シトリンが割って入り、ウィンディーとバートとの実力差について指摘する。
確かにグレゴリにとっても。「自分を唸らせた女」としてはライバル意識はおろか、
今になるまで敵としてすら見ていなかったバートより遥かにできるように見えた。

しかしシトリンの言葉はバートを余計に刺激してしまったらしく、
一気に決闘へと持ち込まれていった。
メディナが合図をかけるが…
(予想通りか)
やはり、バートが先に動いた。

重い一撃がウィンディーに振り下ろされた。が…
ウィンディーの軽鎧に包まれた豊満な肉体は躍動し、一気に
バートの後方を取った。
(なかなか速い…な)

シトリンとメディナをいつでも庇える位置に陣取ったグレゴリは、
しばらく振りに会った女…ウィンディーの身体とその動きをじっくりと観察していた。

456 名前:ウィンディー ◆TXKoM0CtY. [sage] 投稿日:2009/01/09(金) 22:10:35 0
ウィンディーの甘く見すぎ発言を受けてメディナは大人しく謝った。
予想外だったのと、あまりにも凹んだように見えたので
なけなしのフォローを試みることに。


「まぁいいさ、不意討ち知らせてくれたのは事実だし気持ちはありがたいよ。
 ただ、相手の実力を見抜く眼を養わないと痛い目を見るってのは覚えときな。
 その痛い目ってのがどういうもんか、今から例を見せるわけだけどねぇ」

そう、バートを叩きのめすことがその例と言うわけだ。
この期に及んでまだ実力の差を認めたくないらしく虚勢を張っている。
そんなバートが何か吠えてるが、聞き捨てならない事をグレゴリがほざきやがったので
それに意識を持ってかれてまったく耳に入ってこない。


「んなわけあるかい、前にも言っただろ?
 あんたはあたしの好みと真逆だって。あんたに掘られるぐらいなら
 豚面どもの相手をした方が何倍もマシさね」

かなりの脚色が混じっているが言ってることは本心そのものである。
そうでなければ、度量を確かめるために一夜の過ちに踏み切ることぐらいは
ウィンディーは涼しい顔してやってのけるのだから。


「違うのかい?……はぁっ…ガキだねぇ。
 ほんっと、ちっとも変わってないよあんたは。
 ま、こんな状況でも我を失わないってとこだけは褒めてやるよ?
 なんなら、頭の一つでも撫でてあげようか?」

往々にして男が女に口げんかで勝つことなど出来ない。
並の女なら一睨みで黙らせることも出来ようが、今回ばかりは相手が悪い。
しかしここまでまくし立てるのはよほど自信があるのか、ただ口汚いだけなのか……
そんなやり取りの間中無視されたバートの堪忍袋はズタズタにされ、
これまた常套手段ともいえる目潰しがまたしても不意討ちの形でウィンディーを襲う。

(ったぁく、こりない野郎だねぇ。こんなしけた戦法でどうこうできるあたしじゃないって
 さっきので教えてやっただろうに……もういいや、ほんとに叩き潰そ)
塞がれた視界の中、音だけで投げつけられた手斧を避けバートの真正面、
ほぼ密着する距離まで詰め寄った。長い得物ほど懐に入られると不利になるわけだが、
そこは海千山千の傭兵バート、引きつった顔のまま反射的に蹴りを放つがまたしても空振り。

空振った足を地に付けた瞬間、バートの体中の間接に痛みが走ったかと思うと
力が抜けたようにバランスを崩し倒れこんでしまった。起き上がろうとバートは
体を動かそうとするのだが、意に反してまったく動く気配が無い。

うつ伏せになったバートの背中を踏みつけ、首筋にシミターをあてがうウィンディー。
蹴りを避けたと同時に再度背後に回りこみバートの鎧の間接部分から全身の腱を
シミターで切り裂いたのだ。どうあがこうと鍛えられない急所の一つである間接を
根こそぎ斬られた今、バートは地を這う芋虫でしかなかった……


「ま、自業自得って事で。最初に斬らなかったのはあたしからの最後の警告、
 次は無いぞって言うね。それを無視したんだ、文句は受け付けないよ?
 つったって、何をしようがあんたは二度と立ち上がれないしフォークも持てない。
 失血死はしないけど、あんたがここでやった事がこれからどう作用するかねぇ?」


【お許しいただいたのでやってみました、どうでしょうか?】

457 名前:グルス ◆6O9Z41qEpo [sage] 投稿日:2009/01/11(日) 16:05:17 0
「…厄日だ。」
盗賊団の一人をたやすく倒したギルムの顔は
非常に不機嫌、いや。不愉快極まりないとでもいったところだった。
ゆっくりと盗賊団に向かって歩くその姿は虎の顔も相俟って
何やら凄まじい威圧感を感じさせる。

「街は惨劇、仮面をつけた変態に襲われ顔バレ…、そのうえ高く売れる? …いい加減にしろやテメェら!しまいには本当に取って喰うぞオラァ!」
その雄たけびに圧倒され一目散に逃げていく。
グルスはというと、仮面をつけた変態と言われて顔を苦くしている。
いや、実際は仮面に隠れているので表情は読み取れないのだが。
「否定はしないけどなぁ…もちっと言い方があるんじゃないのか?」
もっともいきなり襲いかかったのは確かであるため大きいことは言えない。
むしろグルスを表すにはぴったりの例えなのだが本人は不服そうだ。
「あ"〜もう最悪だ。俺だって好きでこうなったんじゃないのによ〜………」

グルスが自力を動けない置いてけぼりにされた盗賊達から
色々と物を拝借している最中もギルムはその場でしゃがみこみ
なにやらいろいろと言っている。その姿は化け物というにはあまりにも情けないものだった。
「おいそんな落ち込むなよいい大人が、さっきは悪かった悪かった。
 だがこの程度で最悪って言ってたらこれから身が持たなくなるぞ?」
まるでこの先に起こることを知っているかのような口ぶりのグルス。
しかし彼の言うとおりすぐさま街の外から低い唸り声が上がる。
そう、この街は今や低級モンスター、要するに怪物と呼ばれる奴らの格好の餌場になろうとしている。
今は結界によってどうにか抑えているがあと半日持つかどうかも分からない。
「残り糟を食いに来てるのさ。
 最もあんたならお仲間だと思って見逃してくれるかもしれないがね。
 …どうやら本当に何も知らないみたいだから教えてやるよ。
 さっきの爺さんじゃ説明らしい説明なんて聞けないだろうしな。」
こんな状況だというのにグルスは落ち付き払いギルムにこの街に起こっている事をもう一度詳しく説明する。
今この街には盗賊やら傭兵やらが略奪を繰り返している事。
そして死の臭いや血の臭いに誘われて凄まじい数のモンスターがすでに押し寄せようとしていること。
「まあ今のところ結界で持っているがな。それもいつ効果が消えるか分からないってわけだ。」
更にはデーモンや闇王軍のこと…そして溢れる死人の数々……実際にその場に出くわした訳でもないので
かなりの憶測が入っていたがそれでも状況を判断するための材料くらいにはなるだろう。
「まあ、ほとんど死ぬだろうな。このままだったら間違いなく。」
説明を終えた後にそう呟くグルス。

「盗賊は盗みと弱いやつから搾ること以外は知らない下種共の集まりだし、
 それに傭兵も協調性なんてものは皆無だからどうしようもない。
 そんで死にかけの住人達…ほらな?生き残れる感じじゃあないだろ?
 今から出るにしてもどこもモンスターだらけだろうしなぁ」
ギルムの頭が更に痛くなるような事実を笑い混じりに伝えるグルス。
「そして何も知らないでここに迷い込んだお前はどうしようもなく運が悪い奴って訳だ。
 だが神の御心のままにと最後の時を迎える程お前だって聖人じゃあないだろう?」
そしてグルスは歩き始める。どうやらその足は中央通りに向かおうとしているようだ。
「まずは装備を整えないとな。使えるもんがあるかもしれない。お前も来い。
 …ああ、そうだった忘れてた。顔を隠すものがないといけないな…
 お前のマフラーはもうボロ布だし…。しかたねえ。これをやるよ。」
そういって懐から取り出しギルムに投げたのは仮面…これならば怪しまれはするが虎の顔だと分かることはない。
しかし、それにしてもマフラーをボロ布にしたのは自分だと言うのに悪びれている様子は全くない。

そのせいかは知らないがギルムはつけるのにかなりの抵抗があるようだ。
最もさっきの事がなかろうと笑っている不気味な仮面など誰もつけたくはないが。
「おいおい、つけなかったら街を歩けなくないぜ?出ていくにしてもモンスターが大量。
 それとも同族お仲間作戦に賭けてみるかい?俺はそれでも構わないぜ?」
そういうと渋々だが仮面をつけてグルスの後をついてくるギルム。
咽ぶように笑いながらグルスはギルムの肩を軽く叩く。
「中々似合ってるじゃねえか。言い忘れてたが俺の名前はグルス。
 職業は傭兵だったり盗人だったり…まあ決まってないな。よろしく頼むぜ?」
そういうとグルスは調子良く握手を求めた。

458 名前:ギルム・ガンバッサ ◆/Y2dc7tUO. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 22:43:26 O
「〜〜…、仕方ないか。俺の顔見たんだからいつか絶対あんたの顔も拝ませてもらうからな。」
差し出された手を握り握手に応えるギルム 不気味に笑う仮面同士の握手はとても奇妙な構図だった。

「そして何も知らないでここに迷い込んだお前はどうしようもなく運が悪い奴って訳だ。」

仮面の男について行きながら移動中、先程グルスと名乗った男の言葉を頭で繰り返して
ギルムは強盗の時よりも一回り大きい溜め息をついた。同意せざるを得ないのだ。
呪いを解く手かがりを探すためにやって来た街は今まさに闇に蹂躙させる寸前。
なんとかして状況の解決、または脱出しなければいけない。自身の呪い所ではない。

「これもアイツの祟りなのかね〜…」

仮面の中で誰にも聞こえないように、ギルムは自身の運命を変えた存在に毒づいた。

「あ、そうだグルス! 装備もいいが俺は服屋行ってコレ(仮面)の変わり捜すからな! 武器屋も服屋も似たようなとこにあるだろし!」


「痛ェ…、痛ぇよ…」
「あああああああ!! 足がっ!足が斬られちまったぁ!!」
「ぶっ殺す…!ぶっ殺す!! 許さねぇ… あいつら絶対ぶっ殺してやる!!」

今までギルム達がいたそこには、グルスに四肢を斬られその場から動けない盗賊達の断末魔が響いていた。
傷の痛みを呻き、自分をこんな目に遭わせた人物の怨みを叫んでいた。
その姿を見守るのは隅で山となっている死体と、いまだ街を覆いつくしている黒い霧だけだった。

否、生きる者の生を吸うその魔性の霧は見守るだけではなかった。
唯一手足に損傷のない男、ギルムによって昏倒していた盗賊にみるみる霧が密集し、その体に取り込まれていく。

「テメェ、やっと起きやがったが…。 俺達を……、 おい、お前……?」

やがて目を覚まし、立ち上がった男に気がついた盗賊の一人が自分達を助けるよう声をかける。 しかし違和感に気付いた。
見た目が変わった訳ではない。ただこちらを見ているだけである。どうして自分は恐ろしいと感じるのだろうか。
無表情で近付き自分の手を掴もうとする仲間に何を怯えているのだろうか。
「や、やめろ…。 来るな、来るな来るなーー!!」

彼の悪寒は当たっていた。

生気によって創り出された邪悪な魔力によって、彼はもはやヒトと言えぬ存在となったのだ。

「ハラ、ヘッタ。 オマエ…、ウマソウダナァッ!」

459 名前:名無しになりきれ[sage] 本日のレス 投稿日:2009/01/15(木) 11:34:06 0
安価食べ残したスマソ

460 名前:グレゴリ ◆NQTXk2ijkI [sage] 本日のレス 投稿日:2009/01/15(木) 23:20:49 0
>「あんたに掘られるぐらいなら
 豚面どもの相手をした方が何倍もマシさね」
「あぁ?そりゃ俺に掘られたことがねぇなら何ともいえらぁ。
 大抵の女は初めはそう言っててもどうせ俺に夢中になるんだよ」
適当に悪態をついてウィンディーをつつく。
何となくだが、後ろにいるメディナやシトリンがしかめっ面をした気がした。

途端、バートが素早くウィンディーに目潰しをかけ、手斧で不意を付いた。
が、ウィンディーは一気に懐に飛び込むとバートの攻撃をかわし、
同時に斬りつけると、そのままバランスを崩させて背中を押さえ付けた。

>「ぐぇぇ!」
どうやら間接だけを切り刻んだらしい。傷は深いが致命傷には届かないようだ。
>「失血死はしないけど、あんたがここでやった事がこれからどう作用するかねぇ?」

>「くそっ!この俺が…こんなことに… グ、グレゴリ!」
もがきながら喚くバートに、グレゴリがゆっくりと近づいていった。
>「こ、この女を何とかしてくれ…って、何す…ぎぇぇぇぁぁぁああ!!!…」
ギルムがグレゴリの方を向いた1秒後、彼はグレゴリが放り投げたナイフによって
喉を打ち抜かれ、絶命していた。
二回、三回と血の泡と噴水がバートの口から湧き出す。

「さてと…これで武器屋は俺のもの…で、だ」
呆れたような表情のウィンディーに視線を向け、宣告する。
「俺に付いてくるか、それとも今ここで俺に”狩られる”か、選べ」
二人の前に出て、肩の大剣に手をかけながらグレゴリは言った。

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