GS美神世界の、三流GSのスレ

1 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/08/26(水) 22:39:21 0
えー…皆さんこんにちは
このスレは椎名高志先生の漫画、「ゴーストスイーパー美神極楽大作戦」の世界が舞台のTRPGスレです
えぇ

で、ゴーストスイーパー美神の世界観は

現実社会においては信憑性を疑問視される声も多い占術や呪術や霊能力、神や悪魔や妖精、幽霊や妖怪、それらを鎮めたり除霊したりする霊能者の存在が世界で広く認知されている。
また一部の妖怪等は人間と共存し社会の中で受け容れられている。一方で、社会の基盤はあくまで科学であり、科学を基に幽霊や妖怪等の定義付けを行う事が難しい面もあり、その信憑性を問う声も存在している。
国際機関や各国家は上記の存在を認めており、国家によっては政治に大きな影響を及ぼしている。
また除霊を行う霊能者はゴーストスイーパーと呼ばれ、国家資格制度を設けて管理している。
人間が暮らす人間界のほかに、神族などが住む天界(神界)や魔族などが住む魔界が存在しており、天界と魔界を合わせて冥界と呼んでいる。

神族と魔族の上層部はハルマゲドンを回避するためデタント状態にあり最高神と魔王も親睦が深い様子。 しかし、世界を維持するために魔族は基本的に悪として神族や人間に負け続けなければならい役割を強制されているため

と、ウィキペギアに書かれておりますが

「アンデットモンスターがときおり現れ、それをやっつける職業の人達がいる世界」

と簡素に憶えておくのもありです、多分
えぇ
2 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/08/26(水) 22:55:58 0
ルールは以下の通りです

GM:(あり/依頼を提出した方がGMをやってください)
決定リール:(あり、後手キャンセルあり)
○日ルール:(あり/3日、ただし事前に報告があれば延長も可)
版権・越境:(キャラの直接の登場はなし、台詞の中(*1参照)や、どう見てもそれにしか見えないよーな物が出るのはあり。後者はほどほどに)
      (対艦超強力破邪札や見鬼君などのGS美神世界のオリジナル除霊具は直接の登場可。獣の槍や間流結界術等の他世界の版権除霊具や術は全て不可)
名無し参加:(あり・悪霊投下など)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(今の所なし)

キャラテンプレ
【名前】
漫画ちっくな名前全然OK 科学最 高(かがくさい こう)とか
【年齢】
最低でも中学生以上である事
【体格】
完璧な肉体を求めすぎない事
【容姿(霊衣)】
戦闘時等にしてる格好を書いてください
ちなみに特攻服だの化学特捜隊の制服だの除霊からかけ離れたものでも全然OK
世の中にはボディコンやセーラー服で除霊を行う人もいます
【属性】
仏教系、キリスト教系、精霊魔術系、魔法、等々
【霊圧】
GS試験の第一試験がこれの測定なので、あんまり低すぎても駄目、高すぎるのは勿論駄目
単純な力のぶつかり合いをした時に発揮されるパワーであり、技量や身体能力には一切関係なし

0〜10・一般人 (原作で野球選手がここに属していました)
11〜30・才能のある素人 (原作でごく普通の歌手がここに属していました、どうも若い女性は霊圧が高いようです)
31〜70・訓練された霊能者 (原作で幼少の頃から霊能力者になるために鍛えられていた少女がここに属していました)
71〜90・一流どころの霊能者
91〜99・超一流の霊能者 (一流の霊能力者でも死ぬ様な修行を切り抜けた美神さんがここにいました)
100・人間の限界  
【特殊能力】
煩悩を霊力に変えられる、時間移動能力、念動発火、などなど
【装備】
GS美神世界の詳しい道具の説明や解説はウィキペギアを読んでくださいまし
【趣味】
ここは何書いてもいいです。ソックスハンター上等
【備考】
キャラクターのバックボーンなど。
こういうのをやると必ず複数種族の混血いいとこ取りをする人がいるのであらかじめ注意。
強くて格好いいキャラではなく、欠点がいい所を消してる位のキャラを書きましょう!
3 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/08/26(水) 23:18:51 0
細かい原作知識、+このスレの知識

・GS資格習得試験は
1、最寄のGS事務所の中で研修先を見つけ、そこで研修を積み、そこから毎年行われている試験を受験させてもらう(個人で勝手に強くなって資格試験を受ける輩もいるかも知れないけれど一般的には)
2、霊圧をはかり、高いものが上から順に結構な数残される
3、全体で何人いたかわからないが、生き残った受験者同士でトーナメントを行い、2勝すれば資格習得、ただし、3回戦からギブアップができなくなる

と言う感じで、入手できます


・撤退、退却、敗走について

このスレは「悪霊を倒し、3流GS達が勝つまで物語が続く」分けではありません
「除霊に参加したGS全員が除霊を諦める」もしくは「参加者が全員戦闘不能になる」
等の理由で「悪霊に3流GS達が敗北」しても、物語は終了しますが、スレは続行し、新たな物語に続きます

「別に3流GS達が負けたからと言って、世界が滅びるわけではありません」

ので、「もう危ないと思い警察に後を任せて帰った」だとか「依頼主に仕事続行を断った」等の方法で、物語を終わらせる事もできます
ただそう言った「悪霊に負けたり、悪霊から逃げたり」する終わり方をした場合
後の展開に、「3流GS達の評価が下がっているため、ショボイ依頼しかこない」だとか「護衛を依頼した依頼主が無残な殺され方をした」
と言った影響を及ぼす…かも知れません

一応私がGMを今やらせていただいてますが、まだ経験未熟ゆえ、力加減がイマイチわかっておりません
ですから「これは変なパワーアップとかしなければ無理だろ」と思った時は、無理に倒そうとせず、戦闘放棄した方が、話が上手くまとまる可能性もあります
更に戦闘を放棄しても、必ずしも後の展開に悪い影響があるかと言うと、一概にそうとも言えないので
とりあえず

「勝てそうに無い敵が出てきたら、パワーアップより敗走を!」

と憶えておいてください
4 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/08/26(水) 23:33:50 0
関連スレ

前スレが保存されている、TRPG系まとめサイト千夜万夜
http://verger.sakura.ne.jp/

なりきりネタ板総合避難所
(今は参加人数が少ないので、連絡その他はこのスレで行ってください)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1240221186/l50


≪前回までのあらすじ≫
解体間近の山奥の廃校に正体不明の悪霊が出現し、作業員が殺される事件が発生
ある2流GSが悪霊の殲滅に向かうが、胴体を両断された無残な遺体で発見された
事件が回ってきたこのスレのGS達は、仲間を集めるために

邪悪な悪霊を皆でフルボッコしないか?的な入口から始まり
随所に過激な文句や説明がうなりを上げ
ちーーーーさな字で「死んでも管理人は一切責任は持ちません」等と書かれ
そして「今回の獲物、勇士募集」などと書かれた欄に今回の仕事である

「旧、桜森小学校の悪霊除霊、報酬2500万、連絡先(桜森村役場の番号)」


などと言う内容のHPを製作、新たに現れる仲間を待ちつつ、現場へ向かうが、早速悪霊の襲撃に会うのだった
と言うのがこれまでのあらすじ……のはずです、えぇ
5 :タロー ◆XvlzumbPfk [sage]:2009/08/27(木) 13:11:57 0
>>1-4 牧街さん
 何から何まで、おつかれさんっ! CM明けのBパート開始って感じか。
 とりあえず、こっちは牧街さんと神藤のターンが終わるまで待機だ。
 
 >○日ルール
 これまで通り一週間に一回程度の投下で大丈夫だろーか。
 もちろん、おれのターンは三日経過で飛ばしてくれていい】
6 :名無しになりきれ:2009/08/27(木) 19:31:21 0
>>1
は?

糞スレは


立てんなって


言っただろうんこブルブル
7 :名無しになりきれ[sage]:2009/08/27(木) 19:37:28 0
ポニョポニュがあらわれた!
8 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/08/27(木) 22:59:49 0
>>5
了解っす
んでは俺から


>「えーと……警察に……等とは言ってられまい。こ、こういう悪霊を放って置くのは、
>世の為人の為に成らぬからな!そうだろう!?タローよ!!」
「神藤さん………」
ヘタレが格好いい事を言った時は、必ず下心がある
同類の牧街には、彼の台詞が本心からの物では無い事位、すぐに見抜けていた
では、何故彼はそれでなお妖怪退治に向かうのか?
牧街に食い物を恵んでくれと頼んできた事から、大方の予想はつく
よっぽど生活が苦しいんすね…そう言いかけて、傷つきやすい青少年の心を思い、とどまった
この仕事が終わって生きて帰れたら、彼に銭○金太郎への出演を進めよう
物溢れ日本で飢餓に苦しむ青年に遭遇し、牧街はそう、心に誓うのだった

>「おれは――――自分自身の明日の為に戦う」
(要は、タローさんもこのまま進む派って事か)
多数決で不利になった牧街は、脳内でこのまま引き返した場合をシュミレートし始める

1、明日の朝二人がミンチにされて発見される
=二人のご両親に申し訳が立たない上に、年長者としての監督責任の義務を協会から問いただされ、挙句敵前逃亡で顧客の評価が激減、師匠がブチキレル
の方式と

1、二人だけで悪霊を倒してしまう
2、ひもじい二人は、当然分け前を減らしたくない
=俺だけ報酬が得られず、車のワイパー代が飛んでいき、人任せにしたために師匠に殺される

(い…いかん、このままでは進む事になってしまう…)

シュミレートの結果普通に彼等の意見を曲げない限り進めない事を察し、牧街の顔が思わず引きつってしまった
今回の相手は霊的防具を身につけた人間を両断する様な怪物である
対し自分の仲間と言ったら……
「能力不明の同属(ヘタレ)」と「すっぽんの怪物を苦も無く倒す勇s…」

牧街の顔が、ぱっと輝く

(そうか、僕等にはウル○ラマンタローがついてるんだ!)

「わかりました…お二人が行くのなら、年長者として、ついていかない分には行きますまい」
そう言って、牧街はさわやかな笑顔でタローに微笑みつつ、車の外へと出る
ヘタレが格好いい事を言った時は…以下略
9 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/08/28(金) 23:08:05 0
保守代わりどうでもいい小ネタ第一弾
・牧街が着ているGS協会のジャケットについて
牧街が除霊の最中着ているGS協会のジャケットは、コミック7巻、リポート10で横島が着ている物と同じものです
10 :神藤 巳粋 ◆b4a3D/j0cg [sage >>1乙]:2009/08/30(日) 01:45:43 0

(うむ、流石は俺様。人心掌握に長けているではないか!)

各々の決意や打算やなんやかんやで、以外にもすんなりと任務続行は決まった。
直感的なもので牧街が拒否するのではないかと予想し、どう説得すべきかをそれ程優秀とは
言い難い頭で考えていた神藤だったが、牧街が意外にも爽やかな笑顔で

>「わかりました…お二人が行くのなら、年長者として、ついていかない分には行きますまい」

と言った事で、その心配も無くなった。
まあ、そんな感じで、全体のやる気は高まったのである。
後は、強力な悪霊に対しどの様にして立ち向かうか、綿密な作戦を立てt

「さあ、そうと決まれば早速行こうではないか!
 悪霊共め!この俺様の凄さを見せ付けてくれるわ!ハーッハッハッハッ!!

 あ、言っておくが、この俺様のポジションは安全地帯(タローの背後)だからなっ!?」

……綿密な作戦を立てて立ち向かう必要があるというのに、
この神藤という少年はGS試験の時と変わらずヘタレな上に馬鹿だった。
11 :名無しになりきれ[sage]:2009/08/31(月) 18:27:23 0
保守
12 :名無しになりきれ:2009/08/31(月) 21:18:01 0
どんへんがGSなのか分からんのだが、
要はスターダストと一緒よね
13 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/02(水) 18:13:36 0
>>10
>あ、言っておくが、この俺様のポジションは安全地帯(タローの背後)だからなっ!?」
悪霊巣くう廃校への突入を前に、自分勝手な事を述べるタローに、牧街の額に多少しわがよった
これでも牧街はプロとしての経験が長い
こんな時、自分勝手な行動をとって皆の足を引っ張ってはろくな事にならない事位、いくらへタレでも知っている

「神藤さん」

真剣な表情と声音で神藤の名を呼んだ牧街は、神通棒を取り出すと
それで地面にがりがりと絵を書き始めた

前         タ
一列後ろ     俺 神

「学校の廊下は広いんです!タローさんの後ろに俺たち二人が並んで歩いても、全然問題ありません!この逆ブイの字陣形でいきましょう!」

牧街モリオ……長年培った物の結果が、コレである…
14 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/02(水) 18:14:46 0
すみません、間違った箇所がありました

>自分勝手な事を述べるタロー×
>自分勝手な事を述べる神藤○
15 :名無しになりきれ[sage]:2009/09/02(水) 18:17:57 0
だめだこの二人……早く何とかしないと……!
16 :タロー ◆XvlzumbPfk [sage]:2009/09/02(水) 23:19:39 0

『わかりました…お二人が行くのなら、年長者として、ついていかない分には行きますまい』【>8

「牧街さん、ナビを頼むぜ。校舎内の見取り図くらい持ってるんだろ?
 昇降口から行くか、職員玄関に回るか、適当な窓をブチ破るか…
 …どっから殴り込むのが一番手っ取り早そうか教えてくれ」

祓い屋は、深夜の校舎の窓ガラスを割り慣れた様な口調で問うた。

『――あ、言っておくが、この俺様のポジションは安全地帯(タローの背後)だからなっ!?』【>10

「神藤、その位置取りをするにしても、せめて"背中は任せろ"くらい言えんのかっ!?
 こっちも言っとくぜ。今回はアルカナフィンガーもGSソードも使えない。
 あまり見せたくなかったんだが……試験翌日から、御覧の有様だ」

右手のグローブを外し、ヨレたジャケットの右袖を捲り上げる。
肩から手の甲にかけてが、テーピングの様に隙間無く覆われていた。
陰陽道――祓い屋のソレとは異なる能力系統――の心霊治療符だった。

「これでも、大分マシになったんだ。牌も掴めなかった当初に比べりゃ、な。
 いまメジャーアルカナで白兵戦なんてしたら法外な治療費がフイになっちまう。
 ついでに言えば、直衣のナースにどんな嫌味を言われるか、わかったもんじゃない」

おもむろに霊剣使いの背後に回り、どげしっ! っと靴裏で前衛に蹴り出す。

「…とゆーわけで、ロッドとソードを使うのは7番までで何とかしたい。
 おれの分まで悪霊共にお前の凄さを存分に見せ付けてやれ、神藤」


前列_____神_____
後列____牧タ_____


『学校の廊下は広いんです!タローさんの後ろに俺たち二人が並んで歩いても、
 全然問題ありません!この逆ブイの字陣形でいきましょう!』【>13

「物理的要件を鑑みれば、牧街さん達のツートップでも全く問題なかろーがっ!」

やおら右前の半身の構えになり、どげんっ! っと左の回し蹴りで以下同文。


前列____牧_神_____
後列_____タ______


GSの戦いとは、直接戦闘以前の頭脳戦にて勝敗が決定される。即ち――
一流であれば、事前の適切な情報収集と除霊計画の履行によって。
三流の場合は、予め危険と責任を同行者に押し付ける事によって。
故に戦況は今、各々の生還分岐路の極点と言うべき局面にあった。
17 :神藤 巳粋 ◆b4a3D/j0cg [sage]:2009/09/05(土) 14:02:04 0
>「学校の廊下は広いんです!タローさんの後ろに俺たち二人が並んで歩いても、全然問題ありません!この逆ブイの字陣形でいきましょう!」
そう言った牧街に対し、暫く考えていた神藤だったが、

「……まあ良い。俺様は心が広いかrぬおあっ!!?」

>「…とゆーわけで、ロッドとソードを使うのは7番までで何とかしたい。
 おれの分まで悪霊共にお前の凄さを存分に見せ付けてやれ、神藤」

タローに蹴り飛ばされ、牧街と共に無理矢理最前列に送り出された。
神藤は尻を押さえながら、タローの方へと振り返り抗議の声を挙げる。

「な、何をする!最前列で戦わされなどしたら、俺様が死んでしまうかもしれんだろうが!
 俺様は後列がいい!絶対に後列だ!悪霊に殺されたらどうするのだ!!」

ああ悲しいかな。この神藤と言う少年。
三流GSが生き残る条件たる危険と責任の押し付け合いでも弱かった。何故なら馬鹿だから。
そして、そんな神藤の無駄な抵抗を時間の彼方へぶっとばす台詞が告げられた。

>「神藤、その位置取りをするにしても、せめて"背中は任せろ"くらい言えんのかっ!?
 こっちも言っとくぜ。今回はアルカナフィンガーもGSソードも使えない。
 あまり見せたくなかったんだが……試験翌日から、御覧の有様だ」

「……へ?」
呆けた表情を見せる神藤。タローの台詞が、頭に浸透してこなかったのだ。
だが、その腕を見せられ徐々に状況を認識していくにつれて……

「ふ、ふふ……この俺様をたばかろうとは、やるではないかタローよ。
 そんな事言って、実は動くのだろう?どっきり的な奴なのだろう?
 嘘だと言うのだ!さあ!お願いしますからっ!?」

現実逃避の果てに、決定的に退けない理由(生活費的な意味で)を持つ
神藤はorzのポーズを取った。
こうして、ヘタレの片方。神藤の前列行きは決まってしまった。
18 :名無しになりきれ[sage]:2009/09/06(日) 17:11:38 O
ヘタレ二名をさらに怯えさせるように、低く轟く悪霊の笑い声が聞こえた気がした…

保守
19 :名無しになりきれ[sage]:2009/09/07(月) 22:02:35 0
/
20 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/08(火) 00:14:10 0
>「牧街さん、ナビを〜 …どっから殴り込むのが一番手っ取り早そうか教えてくれ」
学校の見取り図、どこから攻めるか
その台詞に、牧街は大きく後ずさり、愛車のドアに背中が当たった

あえて言おう、そんなもんは無い!
そして、考えてもいない!!!

しかし、それを今この場で言うと、タローがぶち切れ金剛となって牧街を殲滅しにかかるといけないので
ここで牧街が小学〜高校までの短い期間に熟成させた自らのスキルの一つを役に立てる事にした
すなわち、「上手い言い訳」である

「えーと……元々壊れそうな建物なので、変なとこから入ると床が抜けたりとかして危険なので、『入るなら』比較的丈夫な作りの正門からしかないですね。
中については…あー取り壊しの最中だったのでしっちゃかめっちゃかになってて見取り図何かとても役に立ちませなんだ」

(ん?『入る』なら…)
ふと、割と自信作なうまい言い訳を述べた牧街は、自らの言葉の中に引っかかりを感じ、心の中でその部分を復唱してみた
が、その事を深く気にする間もなく、新たなる凶報が告げられる事となる

>「…とゆーわけで、ロッドとソードを使うのは7番までで何とかしたい。
>あまり見せたくなかったんだが……試験翌日から、御覧の有様だ」

どこからか悪霊の笑い声が聞こえた気がするほどに衝撃的なその事実に、神藤は崩れ落ち、牧街もまた…

また…

えー…

何か事態が読み込めない表情で人差し指くわえてぽかんとしている
そして次の瞬間、彼の口から出た言葉は…

「ロッドの7……って、どんなもんなんでしょうか?」

牧街はタローの能力が何かカード使った武器だという事は知っていた
だが、ブランク・タロットカードの詳しい設定までは理解していなかった!
この際だ!タローさん!ブランクタロットカードについて、熱く語ってやってくれ!
21 :名無しになりきれ[sage]:2009/09/09(水) 20:09:02 0
保守
22 :タロー ◆XvlzumbPfk [sage]:2009/09/10(木) 21:05:59 0
【……すまないっ! 次の投下は土曜日以降になる。
 週一ペースが、とんだ大嘘になっちまった。申し訳ない。
 おれを待たずに校舎へ突入しちまっても(帰る…だと?)おっけーだ。
 次回は"タロー先生の算数教室〜アルカナ出力編〜"をお送りする予定なんで、
 人によっては、計算ソフトとセクションペーパーを用意しておくと楽しめるかもしれない】
23 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/11(金) 23:25:34 0
>>22
タローさん
【大体】でいいですから、【大体】で
下手に数値を表記して、大した事無いアイテムが化け物になった事が漫画やアニメの世界じゃバンバンあるから
だから説明ったって「ロッドの1が大体こんな事ができて、上に行くほど〜」とかそういう説明でいいっすから

…いや、タローさんが数値化したのを俺の出す展開が程よく化け物化させそうだから言ってるわけで…
24 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/12(土) 23:32:43 0
保守がてら牧街式GS美神本編登場アイテム一部紹介

・神通棍
本編劇中では美神令子が主に使っていた、先端が伸縮する特殊警棒の様なアイテム
牧街が同じ様な武器である神通杖を武器としているが、こちらは先端を伸縮でき無い
基本的に「霊力を流して悪霊をぶん殴る棒」である(はずだ)が、美神令子はこれで悪霊をぶった切っていた
まだGS見習いだった頃の横島が使用した際は、悪霊の体を素通りした事から、やはりある程度霊圧が高い人間で無ければ使えないようである

 ≪ 以下GS美神本編ネタバレ ≫
美神が妙神山で2度目の修行を行った後は伸縮自在の鞭の様なアイテムになり
劇場版GS美神極楽大作戦では、美神の正義の心に反応して、精霊石に変わるなどした事から、使い手次第では幾らでも化けるアイテムである事がわかる
(最も、ある話で未来から来た10年後の横島が「いい神通棍ですね」と言う言葉を使っていた事から、美神の使っているのは特別性の可能性もある)
25 :名無しになりきれ[sage]:2009/09/15(火) 00:20:15 0
保守!
26 :age[age]:2009/09/16(水) 03:44:21 O
age
27 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/17(木) 23:49:09 0
(何もせんで待ってるとどんどん荒みそうなので、ちょい進めていきませう)

タローのブランクカード教室はとりあえず次回に回すとして
厳正なる審議の結果、牧街の前列(弾除け)行きもまた、満場一致で決定
いよいよ、悪霊はびこる小学校への突入が決行される!

…される!

…っおい

「し…神藤さん、お先に踏み出してけっこーっすよ」
一歩でも悪霊から離れた位置にいたい
並んで歩くもう一方が、歩き出してから、ほんの少し斜め後ろを歩きたい
そんな切実な思いが篭められた、ほんとにプロかと疑いたくなる、それはそれはヘタレ全開な一言だった
28 :名無しになりきれ[sage]:2009/09/21(月) 12:47:37 0
ほぅ
29 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/09/23(水) 00:20:08 0
【時々ネカフェのマスターで茶々を入れてたんだけど参加してみる。
相変わらず原作知らないのであまり期待しないでください】

【名前】 カフェ(通称)
【年齢】 24 (見た目は中学生)
【体格】 小さくて華奢
【容姿(霊衣)】ロリータファッション
【属性】 秋葉系
【霊圧】 70
【装備】霊力付与された豪華な傘
【特殊能力】魅了の術(萌えヲタなどの属性がある悪霊相手に限る)
【備考】ネカフェのマスターの娘。ロリババアキャラというマニアックな路線の秋葉系。
聖地秋葉原で様々な修行を積んだ後、実家をロリババアネネカフェ化する野望と共に帰ってきたばかり。

>27
「苦労しているようじゃな、小僧ども。妾が力を貸してやろう!」
背後からいきなりロリババアキャラが現れた。
頭上に?マークを浮かべる牧街達に態度のでかさ無限大で自己紹介する。
「なんと……妾の名を知らぬか?一度しか言わぬから覚えておけ。
ネカフェのマスターの娘にして悪霊を壺に封印したすごい霊能力者の末裔カフェじゃ!
貴殿には父が色々と世話になったと聞いてはせ参じた。有り難く思え!」
そして当然のようにスタスタ歩き始め、後ろを振り返り二人に声をかける。
「何しとるんじゃ。早よ行くぞ!」
ヘタレとは対照的に勇敢……もとい、何も考えてないアホの命知らずであった。
30 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/23(水) 22:37:17 0
>>29
「ネカフェ…ってあの…俺に金を恵んでくれようとした…」
突如として姿を現した正体不明のロリババアに、思考がついていけなかったのか。牧街はしばし硬直していたが
>「何しとるんじゃ。早よ行くぞ!」
「え!?あ、は、はぁ…」
ロリババアの命令に、間の抜けた返事で素直に返事をし、慌てて、彼女の後につき従い…
…途中で慌てて歩を止めた
「ま、タイム!ストップ!危ない!この中には腕利きのGSさえたやすく両断する化け物がいて、迂闊に進んだんじゃ即ミンチになってしまうんです!」
そこは一応プロのGS、場の雰囲気に思わず突入しそうになりながらも踏みとどまり、ロリババアに対して制止をかける
「えー…あのマスターの娘で俺達を助けに来てくれたのは嬉しいっすけど、殺されたら俺の責任も…じゃなくてあー…プロのGSでも無い子がどうにかできる相手じゃないので、危ないから帰ってください」
どうやら、牧街は見た目年齢そのまんまの彼女が、父から牧街等の話を聞き、生兵法な霊能力を頼りに面白半分に来たのではないかと思ったらしく
除霊に民間人が巻き込まれて死亡した際の自らの責任問題を恐れ、彼女に帰宅するように促した
なお、今回は相手をタローより年下だと思っているため、タローや神藤に対する口調より、若干厳しさを含んでいる

「そうやって先祖の力を頼りに実際に除霊の現場に出て口を裂かれた輩を俺は…」
説得がなんだか説教じみた物に変わろうとした時
突如牧街の後ろにピッケルを構えたタローの倒した物より一回り大柄な登山家の霊が現れ、手にしたピッケルを牧街へと振り下ろしてきた
31 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/23(水) 22:43:31 0
>>29
ご参加ありがとうございます
大丈夫、最早原作からかけ離れた物になっている(主に俺のせいで)ので、原作知らなくても多分大丈夫です


【タローさんと神藤さんへ】
とりあえずお二方は体調不良か何かで車のところに残った事にしてカフェさんと話し進めてくんで、復活できるようでしたらいつでも復活してください
待ってます
32 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/09/24(木) 00:06:22 0
>30
>「えー…あのマスターの娘で俺達を助けに来てくれたのは嬉しいっすけど、殺されたら俺の責任も…じゃなくてあー…プロのGSでも無い子がどうにかできる相手じゃないので、危ないから帰ってください」
「なんじゃ? せっかく手伝いにきてやったというのに」
>「そうやって先祖の力を頼りに実際に除霊の現場に出て口を裂かれた輩を俺は…」
「とお!!」
傘を片手にひらりと身を躍らせて跳躍する。
ギンッ!!
金属音が響き渡り、豪勢なロリータ傘の長い先端でピッケルを払いのける。
しゅたっと着地。邪魔をされた悪霊は激昂して襲いかかってくるそぶりを見せる。
そこですかさず魅了の術を発動。
「お兄ちゃん、もうやめて! こんな事をしても何も解決しない!!」
悪霊は一瞬戸惑った後徐々に殺気が抜けていく。
ついにはなぜか幸せそうな顔をして消えていった。
それを見てカフェは言った。
「ふむ。その手の属性があったようじゃ」

「危なかったな。ちなみにGS免許は持っとるぞ。ほれ。
それとこっちがかの霊験名高い聖地秋葉原で様々な修行を終えた証明書じゃ。
今の術もそこで習得した」
牧街にGS免許と秋葉原修行修了証書なるものを見せる。
33 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/24(木) 23:44:26 0
>>32
突如として跳躍したカフェに、牧街は反射的に防御体制(びびって丸まる)をとったが
攻撃が自分の後ろで別の何かに炸裂した事で、始めて悪霊の存在に気づき
「ほっひゃ!?」
腰を抜かして驚いた

絶好のチャンスを逃した登山家の悪霊は、自分を邪魔した小娘に、これでもかと言う憤怒と憎悪を憶えた
この悪霊は女が大嫌いだった
生前、一回も女子にもてなくて、もてなくて、あんまりにももてなかった末に、体を動かしてやましい心を吹っ飛ばそうと登った山で事故で若い命を散らしているからである
つまり、自分がもてないのを女のせいにして、女を逆恨みしているのだ
そんな彼の怒りをこともあろうに女が邪魔したのだ、怒らんはずがない

が、その時、奇跡が起きた

>「お兄ちゃん、もうやめて! こんな事をしても何も解決しない!!」

(!?ミエコ)

突如、目の前に、彼の右手の恋人で、心の妹だった2次原人が具現化し、彼を制止してきたのである
もてない彼が「そういった物」に頼らないはずは無く、生前、彼にとって彼女だけが心のよりどころだったのだ

その心のよりどころの愛する妹に、面と向かって「やめて」と言われたのなら

「ミエコがそういうなら…仕方が無いなぁ…」

しばらく心の中で最後の思い出に浸っていたらしい彼は、最後にそれだけ言うと、静に、そして幸せそうに、天への階段を登っていった
そして…

「……」
その光景に、死んでもいないのに、成仏しそうになっとるヴァカが、ここにも約一名いた
>「危なかったな。〜…
「チハル!お兄ちゃんが悪かったぁ!これからはずぅっと一緒にいてやるぅぅ!!」
チハ…もとい、カフェがGS免許を見せ、秋葉原修行修了証書を見せて、現実に戻ってきたにも関わらず
未だに魅了の術にとりつかれているらしい牧街はそれらに目もくれず、大きく手を広げると、ルパンダイブの様にカフェに飛びつきにかかっていった

ちなみに、チハルとはここ数年あってない牧街の実の妹の名前であり、牧街にそちら側の属性は無い
では何故術にかかったかと言うと、牧街には、その手の術に対する耐性が、人の数倍欠如しているからに、他ならないのだ
…マジで
34 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/09/25(金) 23:31:58 0
>33
>「チハル!お兄ちゃんが悪かったぁ!これからはずぅっと一緒にいてやるぅぅ!!」
「なぬぅ!?」
まさか生きてる人間が飛びついてくるとは思わず、ルパンダイブでまともに抱きつかれた。
魅了の術が効くのは霊だけではないようだ。
「…………」
何しとるんじゃいと突き飛ばすのもいいが、もっといい事を考えつき思いとどまる。
ここまで術に完璧にかかっているとなると催眠術のようなことができるのだ。
(こやつもこの手の属性があったか!
おそらくチハルが電子の世界のもしくは想像上の妹の名前じゃの)
まさかリアル妹だとは思わないのであった。
「お兄ちゃん、チハル嬉しい! もう悪霊がでてきても怖くないよ! 
だってお兄ちゃんはすごーく強いんだもんね! だから一緒にお化け屋敷行こう?」
さりげなく牧街の後ろに回り背中を押してみる。
35 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/26(土) 16:20:59 0
>>34
>「お兄ちゃん、チハル嬉しい!〜
チハルの嬉しげな表情に、牧街は心から癒された様な幸福そうな表情を取ると
チハルの手をとり、車へと歩き出した
「あぁ、お化け屋敷でもどこでも、連れてってやるぞ。これからはGSじゃなくて、定期的にしっかりお金の入ってくる安全な仕事について、チハルにもバンバンうまいもん食わしてやるからな」

ここで、チハルの魅了した時の言葉を思い出してみよう
>「お兄ちゃん、もうやめて! こんな事をしても何も解決しない!!」
どうやら牧街は
もうやめて、を、もう辞めて
こんな事しても何も解決しない、を、牧街一人いなくても何とかなる
ととったらしく
彼は今、師匠に土下座してGSを辞め、実家に帰って就職する気で行動しているのだ

「チハルが言うんじゃ、しょうがないな…」
チハルの手を握り、車へと戻ろうとしている牧街の目から、一滴だけ涙が垂れた
ガムシャラに、人生の全てをかけて歩んできた道を、自ら断とうとしているのだ
涙の一滴くらい流れるだろう
だが、それでも断つしかない
目の中に入れても痛くない妹が、必死で頼んできたのだから
36 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/09/27(日) 00:35:00 0
>35
「……なんでそーなる!?」
確かにGSの心得として「勝てそうに無い敵が出てきたら、パワーアップより敗走を!」
という精神があるが、敵が出ても無いのに敗走するのはさすがにまずいと思われる。
そこに便乗愉快犯の通りすがりの霊が「ゴーストスイーパー牧街 完!」と書いた看板を持ってくる。
「だまらっしゃーい!!」
傘を振りおろし看板を真っ二つにしたその時。
ビヨーン! という効果音と共に牧街の行く手は阻まれた。結界がはられたようだ。
さらに誰もいないはずの廃校のほうから校内放送が!
♪ピーンポーンパーンポーン♪
『残念だったな……貴様は妹の元には帰れん! 
なぜなら貴様らは俺を怒らせた……ここで恐怖と絶望をたっぷり味わった後に死んでもらおう!』
一連の妹騒ぎで悪霊がお怒りになったらしい。
「ふむ、放送設備がついておったのか」
校内放送は思い出したように付け加えた。
『ちなみに結界の外から中へ入る事は出来るから安心したまえ!』
37 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/28(月) 19:46:50 0
>>36
>〜なぜなら貴様らは俺を怒らせた……ここで恐怖と絶望をたっぷり味わった後に死んでもらおう!』
不気味な悪霊の怒りの台詞に、牧街はうつむいてしまい、黙ってしまった
どうしたのかと、カフェが覗き見ようとした、その時

「うっわああああああああああああああああああコーーーーーローーーーーさあああああれえええええるうううううう」

あたりの山にまで木霊する大絶叫と共に牧街は全力ダッシュで校門にぶちあたると、ガンガンガンガン結界を殴り始めた
「無理無理無理無理!悪霊さんごめんなさい!私がわるうございました!どーーーか許しておくれませヘルプミーーーー!あ!タローさんにしんどーさん!助けて!ヘルプ!S・O・S!」
そして、悪霊と、校門の外でこっちの様子を見ているタロー等に向かって、全力必死の命乞い&SOSを開始する

どうやら死への恐怖と生存本能の力で、催眠が吹き飛んでしまったらしい
38 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/09/28(月) 23:37:25 0
>37
「うーむ、どうしたものか……」
これでも父親を2度も助けてくれたのだ、ヘタレの振りをしているだけではないか。
と思うカフェであった。
ちなみにネカフェのマスターは娘に牧街のことを多少かっこよく脚色して話していたりする。
例えばこんな風に→(華麗な棒さばきで悪霊をバッタバッタと……)

その時。近くに霊の気配を感じる。傘を持って花壇に歩み寄る。
「そこにおるのは分かっておる!」
霊をぶっ叩こうとして直前で手を止める。全く殺気が感じられないのだ。
そこにいたのは怯えきった幼い少女の霊だった。
「ご、ごめんなさい! お兄ちゃんのせいでこんな事になってしまって……」
ひどくとりみだした様子だ。
「驚かせてすまぬ。お兄ちゃんとはここで暴れておる霊のことかの?
詳しい事情をきかせてくれるかえ?」
少女はつっかえながらも話し始めた。
「私達は……昔ここの学校に通っていたの。
私は小さい時から病弱で……ここの小学校を皆と一緒に卒業するのが夢だったの。
でも卒業数カ月前に廃校になってしまって……遠い隣町の学校に行くこともできず……
小学校の卒業式にも出られないまま死んでしまった。それは仕方ないの。
最近ひょんな事で死んだお兄ちゃんがその事で悪霊になってしまったの!
取り壊しだけはさせるか――って。
そんな昔の事をまだ根に持ってたなんて……優しいお兄ちゃんだったのに……うぅ……」
泣き崩れていた霊だったが、やがてこっちを真っ直ぐにみつめて頼んできた。
「お願い、お兄ちゃんを止めて! 楽にさせてあげて。
成仏させてくれなんて贅沢は言わない……だから止めてあげて!」

ちなみにこの霊、妹属性という事でもしかしたら牧街にはチハルの姿に見えたりするかもしれない。
39 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/29(火) 21:25:14 0
>「そこにおるのは分かっておる!」
カフェの突然発した声に、びくっとする牧街
「な…何か来るんすか!?」
慌ててカフェの後ろに隠れて、がたがたと震えだす
もう…マジで何しに来たのだろうかわからない有様だ

やがて現れた女の子の霊に、それでもびくびくがたがた震えていた牧街だったが
話が進むにつれて徐々に落ち着きを見せ、話が終わる頃には、真剣な顔つきで、少女の話しに聞き入ってしまっていた

「そうか……わかった!任せなさい!お兄さんは必ず、この俺が『妖怪の魔の手から』開放してあげよう」

やがて、話が終わった時、牧街の口からでた言葉に、その場にいた全員が驚愕した
ヘタレだった牧街が勇敢な事を言った事は勿論、少女の口から出ていない妖怪の存在に、話をした少女すら驚いてしまっている

「おかしいと思っていたんですよ、学校に生徒がいた頃は悪霊は出現せず、廃校になった途端、GSすら倒す様なのが現れるなんて」
「でも、それはお兄ちゃんが強いのかも…」
「それは…多分違うよ、サイコゴーストや、大悪霊ならともかく、ものの数年ぽっちやっていた程度の霊に、こんな結界は絶対に張れないし、GSを防具ごと引き裂く何てできない」
先ほどまでのびくびくとした態度はどこへやら、子供とは霊相手に、ぴしゃりと相手の意見を否定し、自分の意見を言い切った
「妖怪は恐らく、ずっと…君の学校に潜んでいたんだ、そして病弱な君に…いや、恐らく学校の子供達の負の感情から生まれるエネルギーを吸収し、成長していた」
「何か特撮物の様な展開だな」
先ほど看板持ってきた霊が余計な事を横から挟むが、一同ににらまれ、そそくさと退散する
「…しかし、学校が廃校になり、生徒が来なくなった事でエネルギー源が絶たれた妖怪は……」
そこで、牧街は言葉を止めた
一同が牧街の次の言葉を、固唾を呑んで待っていると、牧街はやおら校舎のほうを向き…
「でーエネルギー源絶たれてどーなったのでせうか?」
妖怪の方に直接質問し、全員をずっこけさせた
40 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/09/29(火) 21:26:48 0
『………いい推理じゃねぇか…だが、色々たりねぇなぁ…』
牧街の声を聞いていたのだろう
放送機器からは、律儀に質問の答えが返ってくる
『俺は餓鬼って奴が大っ嫌いだったんだ。だってうるせぇじゃねぇか!この俺が床下でゆっくり寝てるっつーのにぎゃーぎゃーがーがーと糞五月蝿く騒ぎやがる!
だから、色々不幸を吹っかけてやったり、嫌な気分にさせたりして、何年もかけてやっと追っ払った
そんでやっと静になったと思ったらどうだよ?今度は取り壊しだ?おいおい、俺様の数年間は何だったんだって話しにならねぇか?
頭にきたから、俺様は暴れてやった。当然だ、自分の家を守る、正当防衛だよな?
そしたら今度は霊能力者何ぞ送ってきやがって…。てめぇらがわりぃんだぞ…てめぇらが!
ここは俺の物だ!俺の家を守るために、大勢助っ人や同士も集めた!後はてめぇらゴーストスイーパーを殺しまくれば、ここは誰もよりつかなくなって、俺様は平和を手に入れる事ができる!
だから死ねぇ!お前等は死ねぇ!!』
怒気を隠そうともせず、邪悪な気を放出させながら、悪霊は大声で一気に巻くし立ててきた
その余りにも恐ろしい声に………牧街は再びタローらの下へと突っ走っていってしまう
『無駄だ無駄だ無駄だぁ〜、おめぇらはもう逃げられねえ!この結界は200マイト、人間には絶対に破れはしない』
背後からの悪霊の言葉に答えず、牧街はしばらく結界の向こうのタローらと会話し、やがて、タローが車へと戻っていって、何かを取り出し始めた
『往生際が悪いなぁ…早く来いよぉ〜俺はイライラ…』
「入る必要は、ありませぬ」
悪霊の言葉に牧街が答えたのと同時に、タローが車から、予備の燃料として積まれていたガソリンの入ったポリタンクを持ってきた
『な…てめ…まさか…』
「良く考えてみりゃ狭いがっこの中で戦う必要何ざどこにも無いんすよね。っつーわけで、ここは一発火計で学校を…」
「ふざけんなああああああああああああああああああああああああああ」
牧街の言葉を先ほどとは違う謎の大声がさえぎり、それと同時に学校の正面玄関が吹き飛んだ
そして、もうもうと立ち込める土煙の中から、巨大なサソリと、それに同化した男の霊が姿を現す
「ごのがっごうはごわざぜねぇぞおおおおおおおおおおおおおおおお」
男の口から叫びながら、オオサソリは牧街目掛けて突っ込んで来た
「やばっ…」
突然の事に、牧街は慌てて飛びのくと、今まで牧街がいた場所に、サソリのはさみの一撃が炸裂し、地面に巨大な刃物の様に突き刺さった
「このっ!」
攻撃をかわした牧街はサソリ目掛けて50万円の破邪札をぶつけるが、悪霊はものともせず、再び攻撃の構えを取る
41 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/01(木) 01:22:57 0
>39
「俗に言う覚醒タイプのヒーローか……」
いきなり勇気に満ち溢れた理想的主人公のようになった上に
コ○ン君ばりの推理まで披露する牧街に驚きながら呟いた。

>40
校舎内に入り色々調査をしつつラスボスのところにたどりつき……という展開を想像していたら。
なんとなんと火計を企て即悪霊登場という斬新な展開に!

聖地のGSマーケットで勝った特殊な破邪札を投げつけながら無謀な説得を試みる。
「悪霊よ! ここにおる限りこのような喧騒は絶えんぞ!
それにこんなところに引きこもっていても面白うないだろう。
これを機に移住してはどうかの!? 新しい発見があるかもしれんぞ!」
ちなみに特殊な破邪札のデザインはどうみてもトレーディングカードだ。
本当にトレーディングカードなのかは分からない。
「例えば住む場所によってはこのようなカードが買えるぞ!」
意味不明な説得を重ねながら次々とトレーディングカードを投げつける。
42 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/02(金) 21:08:12 0
>>41
何とか妖怪の第二撃をかわす牧街だったが、持っている中で最強の破邪札が効果無く、妖怪の強力な鋏攻撃の前に迂闊に近づく事ができない現状では、どうする事もできない
(や…やっぱ駄目だぁあ〜〜〜〜〜〜〜)
最初こそ格好良かったものの、明らかな実力差の前にあっという間にメッキがはがれ、再び彼の目からは滝の涙がながれ、腰が抜け、ぶるぶるがたがた震えだしてしまう
そこに、妖怪が再度攻撃を加えようとした所に

>「悪霊よ! ここにおる限りこのような喧騒は

真打登場とばかりに、数枚のトレカが飛んできた
トレカの効果は不明だが、次々飛んでくるトレカに、しかし妖怪は余裕である

『は!お前等人間と俺達妖怪の精神構造が違う事ぐらいわかるだろぉ?
てめぇらにこの紙切れがどんな価値があるかはしらねぇが、俺には何の価値もねぇ!そして、一千万の破邪札の攻撃にも耐える俺の装甲にゃ何ら痛くもかゆくもねぇ…』

そう言いながら、妖怪はその巨体でずんずんとカフェの方を向く

『俺的に価値があるのは……お前の生きた柔肉よぉおおおおおおおおお』

ありきたりな叫び声と共に、妖怪はハサミを構えて、カフェに攻撃せんと走りだそうとする
43 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/04(日) 00:37:00 0
>42
「のわああああああああああ!! 妾はおいしゅうないぞ!!」
叫びながら走りだす。鋭いハサミをふりかざしたサソリに追いかけまわされる。
が、しばらく走りまわった後、石に躓いて転んだ。
「ひぃいいいいいいい!! お助けをおおおお!!」
その時! 少女の霊がカフェを庇うように妖怪との間に割って入った。
「お兄ちゃん、やめて! 一体どうしちゃったの!?」
『お兄ちゃんだと……!?』
一瞬戸惑ったようなそぶりをみせて動きを止める妖怪。
少女の霊はサソリの怪物にお兄ちゃんと呼びかけている。
いや、正確には同化した男の霊のほうに話しかけているようだ。
この怪物、そもそも妖怪なのだろうか、悪霊なのだろうか。
カフェはある事に思い至って動きを止めた妖怪に問いかけた。
妖怪が肉を欲しがっているということは……
「お主、腹が減っておるのか?」
『その通り! 飼育動物には毎日エサを与えるべきだろ? そうだろ!?
なのにこの学校の飼育委員と来たらしょっちゅうエサを忘れやがる!』
しんみりとした顔で答えるカフェ。
「ご悲愁お察しするぞ……。さぞひもじかったことだろう」
『う…う……』
妖怪は泣きだした。
「お主は餌を十分に貰えずひもじい思いをしていた飼育動物達の負の感情が妖怪となったものじゃな?
それで子どもを嫌うようになって嫌がらせを連発した。
学校を廃校に追い込み静かに暮らしていた所、校舎は取り壊されることになった」
『そうだ!! 取り壊す前に肉ぐらいお供えすればいいものを!!』
「そこで待っておれ、食べきれぬほどの肉を買ってくるぞ!」
『ありがとう、ありがとう!!』
校門のほうに向かいながら少女の霊に言う。
「おそらくお主の兄は思い出の校舎を取り壊されたくないという想いが仇になって
運悪く妖怪に取り込まれてしまったのであろう。
妖怪としても人間並みにペラペラ喋れた方が演出上便利だからな』
「そうだったんだ。そういえば……うちの学校色んな飼育動物飼っててサソリもいた」
と、少女の霊。

これにて一件落着、と思われたがそうは問屋がおろさない。
校門を出ようとした時、ビヨーン! という音と共に結界に阻まれた!
「結界を解いてくれぬか?」
『俺とした所が感動ムードに流されるところだったぜ!
お前らそのまま逃げるつもりだろう!!』
「断じてそんなことは……な、なにをするきさまー!」
気づいた時にはカフェの首をサソリのハサミがはさむ体勢になっていた。
平たく言えば人質である。その体勢のままで妖怪は牧街に命じた。
『そこのお前! 明日の日の出までに腹いっぱいの肉を買って来い!
間に合わなかったらこいつを食べるからな!』
走れメロス……じゃなくて走れ牧街!!
44 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/05(月) 19:15:17 0
『あの…マジすいません、ちょっち間に合いそうに無いです』
カフェの携帯電話から、牧街の切羽詰まった声が聞こえてきたのは、牧街が出発して、しばらくしてからだった
己は何で麓のコンビニで肉を買って来るのにそんなに馬鹿みたいに時間がかかるんじゃいと突っ込もうとした矢先
今度は妙な事を抜かしてくる
『耳に携帯電話を当てて、絶対に妖怪…いえ、悪霊のほうに聞こえない様にしてください』
何の事だと思いつつも、実行すると、牧街は小声でボソリっと、とんでもない事を言った
『…その妖怪を成仏させる事はできません』
衝撃を受けるカフェに、牧街は語り始める
『いいですか?その悪霊は既に作業員数名と、GSを少なくとも3人、捕食しています。例えその悪霊が捕食していなかったとしても、校舎の中には別の妖怪が潜んでいるっつー事になります』
カフェの額に冷や汗が流れた
『これからオカルトGメンに連絡を取るので、何とか時間を…』

「肉、買って来たぜ」
『おお!ありがとう…ありがとう…』

タローの買ってきた肉を貰い、悪霊の兄さんの部分を残して妖怪は成仏していく

『ほへぇ!?どして?何で!?タローさん何キロ肉買って来たの!?』
電話の向こうから驚きの声を上げる牧街に
「君の言うとおりもう複数体妖怪いたんだけど、あらかた前のGSとの戦いで相打ちや死肉食って満足したとかで消えちゃっててね
それで」
『一番小食で頭の悪い奴が残った、と……、んなアホな!!!』
親切な悪霊の兄さんの説明に、思わず、牧街は全力で突っ込んでしまう

兎にも角にも、これで無事、残るは悪霊の兄を何とかするだけに相成った
「ちなみに、今牧街さんどこで何してるんすか?」
『え?いや…町役場の公衆電話で……』
「もう物語クライマックス何で、戻ってきてください」
『あ、はい』
45 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/06(火) 00:13:29 0
>>44
一時はどうなる事かと思ったが結局タローが先に肉を買ってきた。
「ごめん、私も餌やり忘れたことあるんだ……」
と少女の霊。
『うん、もういいんだ。今日はこんなに皆に構ってもらって嬉しかった……』

こうして妖怪は感動的に成仏して行きましたとさ。

さて、あとは兄の霊をどうにかするだけなのだが。
「成仏してくれんか? 妹殿なんて心配して天国(?)から戻ってきてしまったぞ」
「それが……その〜」
兄の霊は何か気にかかることがあるらしい。
と、さっきの戦闘の余波で地面がえぐれて何か出ているのに気づいた。
妹の霊の顔がぱっと輝く。
「あ! 昔お兄ちゃんと埋めたタイムカプセルだ! 私ったらすっかり忘れてた!
私達の変わりに開けてくれる?」
「これが気になっていたのだな? お安い御用じゃ!」
いそいそとタイムカプセルを取り出して開ける。
「そっ、それは! 開けないでー! 見ないでー!」
なぜか大慌ての兄の霊に、カフェは平然と答えた。
「もう開けたぞ」
少女の霊が駆け寄って声を弾ませる。
「あっ! お兄ちゃんの自由帳だ、懐かしいなー!」
手にとってパラパラとめくるカフェ。
「これかえ? ……む!?これは!」
「うわああああああああああ!!」
兄の霊は叫びながら地面を転げまわっていた。
そう、それは自分で考えた様々な設定などを書き連ね年月を経て謎の霊力みたいなものを発するようになった書物。
俗にいう黒歴史ノートだったのである。
46 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/07(水) 18:31:18 0
「えーと…『神と悪魔のハーフ、惑星を一撃で破壊する能力が篭った指輪を両手足につけ…』」
「わぁああああああああああああわぁああああああああああごめんなさい!ごぉめんなさぁい!」
学校へと戻ってきた牧街は、カフェから黒歴史ノートについて聞くと、「殺された方々の恨みを晴らす儀式」と称し、お兄さんを呪縛ロープで拘束し、ノートの音読を行っていた
「『元宇宙大統領であり、次空間を自在にジャンプでき、DBのゴクウを一撃で…』」
「私がわるぅございましたぁあああああああああああああああ」

物が原因で現世にとどまっている悪霊にとって原因となっている恥ずかしいものを読解したりする事は
悪霊にどんなお経よりも強力なダメージとなって降り注ぐのだ
この方法で美神令子がヤクザの親分の霊を撃退した事は、まだ記憶に新しい(気がする)

「ちなみにこのノートは街の博物館に寄贈して展示しますので」
「おい!ちょ!やめて!お願いやめてぇええええええ」
「えー次、『超美人ヒロイン、雪村姫について、雪村姫はインド人であり』」
「わ〜〜〜〜〜何で俺はこんな物を生きとるうちに排除しとかなかったんやあああああああああ」
真夜中の森林に、お兄さんの断末魔が木霊する
47 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/07(水) 23:31:13 0
「もう、お兄ちゃんったら、私のために悪霊になったんじゃなかったの!?」
妹の霊は悪霊化の原因が自分ではなく黒歴史ノートだった事に憤慨した。
そして儀式を止めるどころがノリノリで煽っている。
「お兄ちゃんは神経図太いから全然大丈夫です。いいぞ、もっとやれー!」

やがて黒歴史ノートの朗読会は終了。
「ぜえはあ……断じてもう悪霊にはなりません! さいなら〜〜〜!!」
兄の霊は相当なダメージを受け、肝心のノートの処理も忘れ、逃げるように昇天していくのであった。
「少しは懲りたみたいね。じゃあ私も行くね。みんな、ありがとう!」
こうして妹の霊も昇天していった。

さて、手元に残った一冊の黒歴史ノート。カフェは謎めいた事を言った。
「もしかしたら他愛の無い自作設定に混じってとんでもない暗号や秘宝の在り処が書かれていたりするかもしれぬ。
ネタ切れした時……じゃなくて依頼が来ない時にそなえて取っておくとしよう」
48 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/09(金) 18:51:53 0
えーと
俺が話し終わらしていいんすかね?
49 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/09(金) 23:22:43 0
「これにて一件落着。では帰るか」
(はーい、締めちゃってください)
50 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/10(土) 17:49:14 0
こうして、桜森小学校は取り壊され、牧街等は無事、報酬を手に入れ、牧街の車にて帰路についていた

「いやぁ、一時はどうなる事かと思いましたが、助かりましたよ」
タロー、神藤をそれぞれの家に下ろし、信号待ちをしながら、後部座席のカフェに、牧街は話しかける
「あ、そういえばどこで降ろせばいいっすかね、まだ聞いて無かったっすけど」
そういえばワイパー直さなきゃだなぁとぼんやり考えながら、牧街は普通にカフェに尋ねてみた
51 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/10(土) 23:12:53 0
「おおっ、そこじゃ。ん? 何を驚いておるのだ?」
なんと! そこは牧街と同じ安アパートだった!

喫茶店のマスターが玄関の前で手を振って出迎える。
「無事に帰ってきたか! 
牧街君、わざわざここまで送ってくれるとは……何? 隣の部屋?
それは奇遇ですなあ! 今まで気づかんかったわい!」

この一家、壺騒動の時に自宅兼店が壊滅状態になったため近くの安アパートに転がり込んでいたのだ。
「ほれ、報酬じゃ」
「ははーっ! ありがたやありがたや〜! 店が復活するまではこれだけが命綱ですからなあ」
奥から幽霊のコスプレをした女性が出てきた。
「あら? 噂の牧街くん、隣だったのね〜」
どうやらマスターの奥さんのようだ。
「これ? 今店の次の路線を練ってる最中でこれは冥土喫茶のコスチューム。
なかなかいいでしょ? でも羊の着ぐるみの羊喫茶も捨てがたいのよね〜。
よければ上がって一緒にご飯でも食べていく?」

これから変な隣人一家に振りまわされそうな事は想像にかたくない。
と、しょうもないオチがついたところで第3話完!?
52 :安アパートの住人[sage]:2009/10/11(日) 23:15:28 0
興味はあるしキャラも作ったが常駐スレが4つもあるから参加できないんだよなあ…
53 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/12(月) 13:20:17 0
「ど、どうも、よろしくお願いいたします」
(師匠に貰った店の修理代、路線変更に費やしたんすね)
マスターらの雰囲気に圧倒されながらも、牧街は心の中で突っ込んだ後

「刺身何か久しぶりに食いましたよ、うん!上手い!ベリーナイスっす!」
普通にあがって晩御飯をご馳走になっていた

「いやぁ、マスター達が隣にいてくれると俺もネタにこまらな…じゃない。まぁとにかくアレですよ、あはははは」
やがて酒飲んでぱっぱらぱーになり、わけわかんない事言い始めた牧街は師匠への報告が遅れ
後に地雷原をダッシュで駆け抜ける特訓をさせられるのだが
刺身を食って幸せ一杯の今の彼には、知るよしも無いのだった

第3話完

>>52
マジで残念っす
んでは暇ができたら参加してみてくださいな


さて、4話っすけど
どうしやしょう
何かアイデアはありませんか?
無きゃまた俺が考えますが
54 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/12(月) 23:18:03 0
>52
「おお、アパートの住人殿か。最近入居してきたカフェじゃ。よろしく頼む。
余裕が出来たら共に除霊できると嬉しいのう」

>53
原作の最初の方だけちょっと読みました。ちちしりふとももの元ネタが分かったw
ガチバトルというよりはいかに悪霊の正体を見抜くかが重要なんですね。

そうですねー。思いついたのは
・自分達が住む安アパートでお化け騒動勃発とか
・黒歴史ノートに実は重要な秘密が隠されていてそれを狙って敵(?)が来るとか
まあとりあえず始めてしまって後は一緒にどうにかしましょう!

第1話の最後を見ると裏で着々と壮大な陰謀が進んでいるらしいw
世界の危機はほっといても1流GSがどうにかしてくれるんだろうけど
機会があったらちらっと絡めてみても面白いかもしれません
55 :名無しになりきれ[sage]:2009/10/14(水) 17:25:40 0
ホラー物は幽霊屋敷と何故その場所が幽霊屋敷になったかの理由を用意すれば
シナリオの半分以上完成したも同然って偉い人が言ってた

・政権が代わって中止される予定のアニメの殿堂(国立メディア芸術総合センター)
しかしどこからか集まった無数の霊たちが建設予定地のお台場に謎の巨大な建造物を完成させてしまった!
…とか
56 :名無しになりきれ[sage]:2009/10/14(水) 22:26:16 0
>55
ん、いいかんじかも
途中で破棄されたアニメの殿堂。
日の目を見る事無くなったアニメキャラたちの怨念が渦巻き世界を構築する!
アニメの殿堂再開デモをしていたオタクたちがアニメの世界に取り込まれてしまった。
一時は大事件と騒がれたが、オタクたちはアニメの世界を満喫し、変えることを拒否。
一流GSたちはアニメの世界のデタラメさと救出対象のオタクたちのどっぷりはまり具合に馬鹿馬鹿しくなり手を引いてしまう。
最早アニメの世界を解消しオタクたちを三次元の世界に引き戻すのは仕事を選べない三流GSたちのみだった!

・・・しかし、これってアニメに詳しく無いと参加できないなorz
57 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/14(水) 23:37:14 0
>55-56
ちょwwwなんて素敵なアイディアをwww
別にアニメに詳しくなくても大丈夫だと思いますよー。
誰でも知ってる超有名どころを元ネタに+勢いに任せて架空のアニメネタ製造 でいけば

牧街さん、せっかくだしこれでいってみます?
58 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/15(木) 00:49:41 0
>>57
そらまたカフェさんの力が120%発揮されそうなシチュエーションですね

いいですよ^^
59 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/17(土) 00:40:35 0
それでは第4話前置き
お台場では連日激しいデモが行われていた。
「アニメの殿堂中止はんた〜い!!」
「わが国の素晴らしい文化をうんぬんかんぬん!」
「我らに萌えの自由を!!」
言うまでもなくアニメの殿堂(国立メディア芸術総合センター)建設中止反対デモである。

その中にさりげなくカフェをはじめとする聖地秋葉原の門下生仲間達も賑やかしに来ていたりする。
「おのれ、ポッポめ!」
「全くです、先輩!」
この後大事件が起ころうとはまだ誰も知る由もなかった……!!
60 :名無しになりきれ[sage]:2009/10/17(土) 15:06:51 0
可愛らしい幼女がプリントされたTシャツを着ている中年がTVカメラを持った報道陣に叫ぶ。
Tシャツのキャラは最近アニメ化したエロゲーのキャラだ。

「我々は児童ポルノ規制法を2次元まで広げるのは断固として反対する!
そもそも日本には古来より幼女を愛する文化があるのだ!
貴公らは浦島太郎に出てくる乙姫は知っているか?
古語で弟姫(おとひめ)とも書き、姉妹における妹をさす。
姉は兄姫(えひめ)というのだが知名度も低く知る物はいまい…。
なぜなら!古来より女性は若くて幼い方が人気も知名度も高かったからなのだ!
もしアニメの登場人物が全員熟女で、ロリが無くなったら世界はどうなるかっ!どうなる!?考えた事があるのか!
そもそも幼女とは何か!ポルノか!いや違う!芸術だ!芸術として保存して後世に残すべきものだ!
我々は幼女を愛でる事を規制するなどといった愚行は絶対に許さん!許さんぞー!
いかなる手段を持ってしてでも抵抗して見せるわー!」

エキサイトし始めた中年は両腕を警備員に掴まれてどこかに連れて行かれていった。警備員GJ。
61 :名無しになりきれ[sage]:2009/10/17(土) 21:10:27 0
おばちゃんA「ああいった輩が性犯罪に走るのよねー。」
おばちゃんB「性犯罪者予備軍は逮捕すればいいのよ。」
おばちゃんC「性犯罪を誘発するアニメは廃止すべきよ!」
ヲタク「ロリアニメが性犯罪を誘発するというのには異論があります。
    日本の性犯罪発生率を知っていますか?
    例えばあなた方の好きな韓流の韓国。
    あの国はAVは禁止されており、貞操を重んじる儒教の国です。
    あなた方の求めるモデル国家と言っていいでしょう。
    しかし、韓国の性犯罪はなんと日本の10倍!
    これは単純に性犯罪数であり、人口当たりに換算すれば更に多くなるでしょう。
    ちなみに被害者の年代別に見れば幼女と老婆の被害数が多いのも韓国の特徴です。
    エロアニメの氾濫する日本と禁止している韓国の性犯罪数を見てどのような感想を持ったか聞かせてください。」
62 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/17(土) 22:12:38 0
(一方その頃、牧街は、自宅のアパートにて二度寝していた)
63 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/18(日) 22:28:04 0
>60
中年ヲタクが警備員に連れて行かれたが、もちろんこれが大事件という訳ではない。
「ほほう、兄姫なんておったのか。素晴らしい豆知識じゃ!」
「そうですね、先輩!」

>61
――良い子のみんなが安心してエロアニメをどんどん見れるってことね!
もちろんこう答えたのはおばちゃんではない。
ヲタク「そうです、その通り!」
――でもさ、アニメじゃなくて現実にしたいって思わない?
ヲタクB「思います!」
ヲタクC「禿同!」
――よかろう、ならば……孤高の求道者達よ、我らと共に新世界の神となろう!
おばちゃんA「可哀想に、ついに頭がおかしくなったみたいだね」
おばちゃんB「あー、やだやだ」
こうして大事件は起こった。
おばちゃんには聞こえていないが、ヲタク達には謎の声が聞こえているのである。
そして辺り一帯で霊力だか何だかよく分からない力が渦巻き始めた!
「まずい、ここにいては取り込まれる! 逃げるぞ!」
「嫌です、先輩! こんなチャンス二度とないじゃないですか!」
「たわけ! ほら行くぞ……うわあああああああ!」
興奮状態に陥ったヲタクの流れによって後輩と引き離される。
そのまま成す術もなく一目散に逃げ帰ったのであった。

>62
寝ていると、何やら声が聞こえてくる。
『緊急速報です、連日デモが行われていたお台場に突如として謎の建造物が出現した模様です!
不思議な事にデモ中のヲタク達は一人残らず消えています!』
「まあ、大変!」
「前代未聞ですな!」
マスター夫妻がどこか楽しそうに話している。そこにカフェが入ってくる。
「やはりそこにおったか」
隣人は往々にして部屋に侵入してくるという安アパートコメディのお約束に倣い、マスター夫妻は牧街の部屋でテレビを見ていたのであった。
64 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/19(月) 00:07:16 0
>>63
我が家の騒がしさに目を覚ました牧街が見たものは、普通なら「己等何やっとるんジャアアアア」と叫ばずにはいられない、侵入者達の姿であった
しかし、牧街は違った
騒がしい一同をぼけーっとした目で見渡すと
「……何だ夢か」
再び、寝床へとつくのだった

素早い現実からの逃避の様は、今までの彼の実績が成せる技である
65 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/19(月) 22:59:04 0
すぐさまパソコンを開き秋葉原の師匠と通信する。
「師匠、お台場で大変な事が……!」
『もう知ってるにゃ。
おそらくアニメの殿堂が建設中止になったことによるアニメキャラの怨念と
デモに集まったヲタクの精神エネルギーが引きよせあい渾然一体となって力場を形成したんだにゃ。
おそらくあの建物の中は様々なアニメの世界が入り混じった混沌空間になっているにゃ。
このままだと……』
「このままだと?」
『混沌空間が外に侵食して……全世界がアニメの世界と化すかもしれないにゃ!』
「大変じゃ! すぐに手を打たねば……!」
『我らの出る幕はにゃい。世界の危機はそれ専門の人に任せるにゃ』
「あ、はい」

>64
素早い現実からの逃避という類まれなる技により、世界が危機に陥ってる事等露知らず。
もっとも世界の危機などと言っているのは秋葉原の師匠だけかもしれないが。
だがしかし、数日後。知らなければいけない時がやってきた。
『我こそはという勇猛果敢なGS達が向かったもののとみんな憔悴しきって帰ってきたそうにゃ……!
たまたま道ですれ違ったGS師匠と話し合った結果それぞれの一門から優秀な者を推薦することににゃった!
カフェ、我が一門でとびきり優秀なお前に頼む! 行ってくれるか?』
「もちろんじゃ、師匠!」

同じ頃、同じような言葉で牧街も自分の師匠から依頼を受けたと思われる。
もちろん選考基準は根気よくヲタクの相手を出来そうな者という基準である。
66 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/19(月) 23:55:41 0
>>65
「へ?俺が例のあの…宇宙センターみたいなとこに突入するんですか?」
牧街GSオフィスの2階、応接セットで、牧街と師匠が向かい合っている
「そうだ、この間飲んだ帰りに秋葉原のGS道場の師匠とばったりあって、お前行かす事になってな。今日、例の建物の前であちらの代表と合流して、協力して例の建物を攻略する事になる」
師匠の事だ、どうせ飲んだ勢いで「娘さん一人で行かすわけには〜」とか言って牧街を狩り出したのだろう
牧街にしてみればはなはだ迷惑であるが、逆らうと生活が絶たれるので、断るわけにもいかない

「で、報酬の方は?」
「道具は神通杖一本あれば十分だろう、あの程度。お前には私が授けた様々な修行が云々かんぬん」
(要するに、無償でやれと…)
「ちなみに、この仕事には貴様のこのオフィスがかかっている」
「ほへ!?」
唐突な失敗の代価の登場に、牧街は素晴らしい声を出して、うろたえた
「な!?何故!?」
頬が歪み、顔芸状態の牧街に、師匠は邪悪な笑みを浮かべてみせる
「ここ数日、貴様はほとんど仕事せずぐーすかぐーすかと寝てばかりで、役にたっとらん。そんな奴にいつまでもいられては迷惑だ」
「ううっ……」
実際は仕事の依頼がからっきし来ないので寝てるくらいしかやる事が無かったのであるが
師匠の言い分は最もである
牧街が仕事せずにだらけているという事は、恐山流除霊道場のイメージにも関わるのだ
ここらで戦って勝利した記録を作らねば、確実に道場にとってはマイナスである

オフィスが取られるという事実に、目を真っ白にして動揺し、動かない牧街に、師匠が急に真面目な顔になった
「今まであの建造物の攻略に向かったGS達は、余りの馬鹿馬鹿しさにやる気を無くし、他の仕事を取っていったというが、お前は違う」
牧街の喉元に、一瞬の内に師匠の杖が突きつけられた
息を呑む牧街
「背水の陣だ。逃げたら……死ぬ」
恐怖のあまりこくこく首を縦に振る牧街に、師匠は再度不気味に笑うと、オフィスの入口を指差し、一言だけ言った
「行け」
「イーーーーー!!」
動揺の余り「は」が抜け、戦闘員の様な雄叫びで返事した牧街は、全力で扉から駆け出ると、ワイパー修理した愛車に飛び乗り、一路、アニメの殿堂へと向かうのだった

今回の所持品 神通棒のみ
67 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/21(水) 23:52:13 0
「なんといっても世界の命運をかけた戦い。
今回のミッションが成功すれば我が道場の評判もうなぎ上りにゃ!
そこでキミにこれを授けるにゃ。
専門の職人が精魂込めて霊力付与をした人形、霊験あらたかな絵が描かれた掛け軸」
秋葉原GS道場の専門用語で言うところのフィギュアとポスターである。
「有り難く使わせてもらうぞ、師匠!」

リュックに師匠からもらった秘密兵器を詰め、電車を乗り継いでアニメの殿堂に向かう。
「恐山流除霊道場で一番優秀なGSか……どんな者か楽しみじゃのう」

>>66
「先方はもう来ておるかの? おお、牧街殿ではないか! 奇遇じゃのう」
アニメの殿堂の前でばったり牧街とはち合わせる。
「……ん?」
よく考えるとこんな所で偶然会うのはおかしい。
「そうか、恐山流で一番優秀な者とはお主だったのか!」
68 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/22(木) 18:59:16 0
>>67
そういえば余り知らない人と会話するのって得意じゃないなぁ…
と先の展開に不安を感じていた牧街の前に現れたのは、先日知り合った顔見知りだった
「どうも、本日はどうかよろしくお願いします」
少しほっとして挨拶すると共に、彼女の言葉に少し引っかかりを感じてしまう
(恐山流で一番優秀な門弟……?)
牧街のいる恐山流の道場の門弟で事務所を開いている中には、あの師匠の弟子だけに牧街より能力や経験があるのはごろごろいる
絶対間違いなく牧街など戦闘員的な物のはずだが、では何故師匠はその様な事を言ったのだろうか
ちなみに実は潜在能力が高いだとか、正義感が凄いだとか、そういう普通の主人公が持ち合わせているようなスキルは、牧街には無い
少し考えた結果、でた結論は
(……一番つかいっ走りに使いやすい)
ビンゴ大当たりでなんだか泣けてくるものだった

「と…とりあえず、さっさと片付けちゃいましょう」
これからもじゃんじゃんこうやって金にならない仕事をやらされるんだと思ってえっつりしながら、牧街は殿堂を指差し、今回の仕事の手順を確認してみる
「えーと…まず中に閉じ込められてる人達を救出して、その後、この建築物を作った妖怪を殲滅、建物が残るようだったら後は市役所に撤去してもらう形でいいですよね?」
こういう建物を妖怪が準備した場合、相手の土俵で戦うなどよっぽど強いGSのやる事なので、通常の場合外壁に火をつけるなり投石機で発射した岩を喰らわせるなりするのだが
中に人質がいる場合、残念ながらそれはできない
なので相手の土俵で、なおかつ相手に人質がいるかなり不利な状況で戦う事を強いられるわけであり
もっと大勢のGSで挑んだほうがいいんじゃないかって程のピンチ…なのだが
この時牧街は(カフェさんが何とかしてくれんだろ)と他力本願の軽い気持ちでいたのだった
69 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/23(金) 23:37:42 0
>68
一番優秀な者と言ったら怪訝な顔をする牧街。
(はて。何か変な事を言ったかのう)
と思うもののそれ以上深くは考えない。

>「と…とりあえず、さっさと片付けちゃいましょう」
「えいえいおー!」
>「えーと…まず中に閉じ込められてる人達を救出して、その後、この建築物を作った妖怪を殲滅、建物が残るようだったら後は市役所に撤去してもらう形でいいですよね?」
「そうじゃな。しかし人質は本当に閉じ込められておるのだろうか。
これは憶測だがもしかすると……自らの意思で出てこないのかもしれぬ。
だとしたら話はもっとややこしくなる! とはいえここで話していても始まらぬ。突入するぞ!」
ドアの前に立つと、ドアはひとりでに開いた。
といってもゴゴゴゴ……といかにもラスボスのダンジョンっぽく重々しく開くわけではなく。
普通に横開きの自動ドアがウィーンと開いただけである。

【アニメの殿堂・1F】
目の前に広がるのは学園物の様な風景。
その中で、大勢のヲタク達が軽快に踊っていた! 曲目はアニメソングのアメアメ愉快である!
「どうやら我々は歓迎されているようじゃ……!」
朝礼台らしき物の上にダンス軍団を洗脳していると思われる妖怪が立っている!
「どこかで見た事があるぞ! お主は……鈴宮ナツヒ!?」
「そうよ。ただの人間には興味はありません! 
ヲタク、ヲタク、ヲタクならダンスに加わりなさい、以上!」
ダンスの軍団をよく見ると、なんとGSっぽい身なりの人も何人か含まれているようだ!
勇んで除霊に来たもののミイラ取りがミイラになった人達である。
70 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/24(土) 01:56:28 0
>>69
>自らの意思で出てこないのかもしれぬ。
(…サキュバス?)
カフェの言葉を聞いた牧街の脳裏に、一つの妖怪の名前が浮かんだ
サキュバス、R18指定を受けて然るべきその妖怪の名を知る成人男性は、そこそこ多いことだろう
人間の性欲を刺激し、精気を吸う、恐るべき妖魔である
そして、サキュバスの中には、魅了した人間を自在に扱う種も、勿論存在し
…オマケに、サキュバスは普通に戦ってもかなり強い

「待って!タローさんとか神藤さんに応援を!」

オオサソリに武力で劣っていた(様に見えた)カフェでは駄目だと、手近な援軍に救援要請を出そうとしたがカフェが先に扉を開けてしまい…

牧街は一気に熱気に包まれた

学園らしきところで一様に同じ踊りを踊る、人、人、人、そしてそれらを先導するのは、一段上の台の上にいる、女の姿をした妖怪
汗臭い、男臭い、でも何か熱い、んで踊りが息があってるから見てて気持ちいい
>お主は……鈴宮ナツヒ!?
妙な熱気に牧街が多少興奮やら踊ってて疲れないのかとかと様々な思いに思考がついていかずに呆然としていた所で、カフェが妖怪に対して叫んだ
>「そうよ。ただの人間には興味はありません!〜
妙に自信満々なその態度と、カフェの驚きの言葉、そして踊っている人達の中にいるGS達
それらの情報からある結論に至った牧街は、カフェを軽くひょいと持ち上げ、一目散に自動ドアから外へとかけ出た

「指名手配中の大物妖怪なんですね、アイツ」
カフェを下ろし、自動ドアから離れた位置に来た牧街が、カフェが抗議する前に会話を切りだし
そして次に慌てて手を前に出して振る
「いや、…俺も指名手配中の妖怪のリストは一応憶えてたんすよ、けど…アレはちょい記憶してませんでした、すいません」
どうも牧街には相手がハーメルンの笛吹きの様な、相手を洗脳して操る能力に特化した妖怪の類に見えている様だ
インターネットは愚か携帯も無い世界の住人であり、テレビも電気代が勿体無いとか言ってほとんど見ない上、特訓だの何だのでド疲れた状態で毎日家に帰ってすぐ寝るだけの牧街には、現代のアニメキャラの容姿など知る由も無い
「それよか、あの人数で一斉に攻撃されては勝ち目はありません、ここは、ちょいと人質の皆さんには申し訳ありませんが、一度秋葉原あたりで護身用に売ってる催涙グレネードを何個か仕入れて来ましょう。
アレなら霊的防御を無視できるから、洗脳されてる人たちの動きを封じる事ができるはずです
その後はあの妖魔を2対1で攻撃して、殲滅する、これでどうでしょう」
催涙グレネードは精々数万、今牧街の家には100万以上の金銭があるし、防毒マスクは自前のがあるため、10、20個買っても、強力な破邪札一枚程度の値段もしない、安い…わけではないが、失敗できない今回の仕事を考えれば、安いもんである
しかし、敵に援軍が来たらどうするとか、ナツヒが結構強かったらどうするとか、問題点は山積みな上、人質のご家族に文句言われてもしかない人道に多少反した策である
71 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/25(日) 23:01:34 0
>70
「こりゃ! まだ突入したばかりなのになぜ退却する!」
>「指名手配中の大物妖怪なんですね、アイツ」
「大物? 確かに大物ではあるが」

>「(前略)その後はあの妖魔を2対1で攻撃して、殲滅する、これでどうでしょう」
「常に最悪の事態を想定し念には念を入れる……見事な心がけじゃ!」
カフェは牧街の作戦に感心したようだ! 
牧街の事を優秀なGSだと思い込んでいるからである。先入観とは恐ろしいものだ。
「建物が出来かけた時に丁度現場にいたのだが様々な妖怪の声がしておった。
各フロアに妖怪がおるかもしれぬ
分かりやすい萌えヲタだけではなく様々な趣向を想定したアイテムを揃える必要があるだろう。
そうと決まれば早速秋葉原へ行くぞ!」

やってきました秋葉原。
待ちかまえていたかのように、猫耳をつけたロリショタ少年が現れた。
そう、秋葉原GS道場の師匠である!
正体不明、戦国時代から生きているとかいう噂もあるショタジジイである。
「むむ!? なぜにこんな所をうろうろしている。逃げ帰ってきたにょか?」
「よく言うわ、事前に察知して待ち構えていたであろう。
人質が思った以上に多く、念のためにもっと大量のアイテムを仕入れようと思うてな」
「危ないと思ったら一端退却して作戦を練り直す。良い心がけにゃ。付いてくるにゃ!」
二人を先導して店に入っていくロリショタ少年。
もちろん店は護身用具店……ではなくヲタクショップだった!
「おそらく霊力付与されていない普通のヲタクグッズでも効き目があるはずにゃ。
……何驚いてるにゃ、青年」
こうして話がかみ合っていなかった事にやっと気付く一同であった。
72 :ヲタクショップ店長[sage]:2009/10/25(日) 23:54:26 0
「―――やはり来たか。」
死を纏わせた囁きと共に天井から舞い降りる黒い影。
ヲタクショップでは全身から凄烈な殺気を放つ、忍びの者が待ち受けていた。
無論この男、忍者などでも霊的な物品を扱う人間でも武器屋でも無い。
只の忍者のコスプレをした男である。

「用向きは察している…拙者の配下の"草"たちは秋葉原の至る所に紛れているのだからな。
そうだな…今ならば、魔砲少女"リリカルなのか"の抱き枕が其処許らの目的に適おう。
他にも"うみうしの鳴く頃に"の限定版ポスターなど様々な物を取りそろえている…。」
漆黒の旋風が店内に生まれ、一陣の風となって吹き抜ける。
首筋に微風を感じた時には、すでに忍者店長は背後のカウンターのレジへと回っていた。

「ポイントカードはお作りになりますか…?」
73 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/27(火) 20:39:55 0
>>71
>分かりやすい萌えヲタだけではなく様々な趣向を想定したアイテムを揃える必要があるだろう。
「まぁ…あーゆータイプの建物にゃ一階につき一匹化け物がいるのがふつーっすからねぇ」
【様々な趣向】とやらを武器のタイプの違いとでもとったのか
牧街もカフェの話しに納得し、二人は一路秋葉原へと向かい…

そこで待っていた奇妙な怪人に、牧街はある種の恐怖を覚えた
(こ…この人は一体どんな宗教のGSなんだろう)
自らの想像など及びもつかない奇妙で珍妙な格好をした親父の登場に、牧街は驚愕し硬直する
(じ…じさまが子供の格好をして…耳?耳が何故…ってかにょ?にょって何だ…?)
しばらく呆然としていた牧街だったが、まぁ、そういう人もいるだろうとあっさり許容してしまった
一々生きている人間で驚いていては、街中でバズーカ撃つ男の弟子は勤まらない
それに、この親父も一線級のGSなのだろう
恐らく強力な武器が売られている店へと、牧街を案内してくれた

そこは、今まで見た事も無い様なオカルトショップだった
アニメキャラの人形やら壁紙やらマネキンやら抱き枕やら布やらなにやらが所狭しと置かれ
何と看板にはオカルトショップではなくアニメショップと書かれている全く新しいタイプの……

「…すみません、俺、仕事中なので」
多少冷たい感じで、そう言って、牧街はさっさと店の出口へと向かった
ほいほい怪しい人についてったり、年下の中学生(カフェの事、未だに牧街は真実に気づいていない)の師を選ぶ能力を信頼したりした己の間抜けさに苛立ちながら牧街が外へ出ようとした、その時

そいつは現れた

>>72
天井から現れたすさまじい殺気を放つ謎の人物は牧街に一通り店の商品を説明し、ほらさっさと買いに来いと言わんばかりに次の瞬間レジに出現する
(こ…殺す気や…何か買わんかったら、俺を殺す気や…)
死の恐怖を感じた牧街は、やむなく程よく高い商品から何か買うべく選別し始める
(うう…知ってるアニメの商品が何も無いよぉ…)
牧街の知っているアニメで一番最新のものは、小学校の頃見ていた賢者指令タックオンと言う番組で
宇宙処刑場イヌダッソーから逃げ出した宇宙死刑囚達と、宇宙処刑場を管理していた宇宙科学パトロール防衛隊のサーガ星人が選抜した5人の超獣攻撃隊隊員が巨大ロボや強化スーツで戦うという「賢者シリーズ」の第7作目であり
違う路線のアニメの商品がメインのこのお店には売って無さそうだ
(……しかし、マジで見た事の無い奴ばっかだな……あ!)
困りながら陳列棚を見ていた牧街は、自分も知っているアニメ、奇行戦士ガルダムの女性兵士の人形の存在に気づく
奇行戦士ガルダムはお台場に像が建つ程の国民的アニメで、流石の牧街もこればっかりは知っていた
しかし、奇行戦士ガルダムの知らないシリーズ(ガルダムシューシやガルダム01、牧街は初代しか知らない)の知らない女性キャラや、機動スーツと人間を合体させた様な娘の人形等女性キャラの人形、しかも若い娘の物があるばかりで
ガルダム、ガルダタンクや、ガルダキャノン、ザイクなどのメカは見当たらない
(…?売り切れたのかな)
そういえば他にも男性キャラの人形もメカも無いなーとしばらく考えていた牧街だったが
(風水とかそういうのの関係なんだろ)
とオカルトちっくな結論で普通にまとめた

「オタク」と言う存在を知らないほど、牧街モリオは現代社会から隔離されていたのである

「ぇーと…んでは…これ…ください…、ポイントカードは結構です」
やがて牧街は12cm位で、ビニールに包まれた500円のガルダタンク娘の人形をおっかなびっくりレジへと持っていった
74 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/27(火) 22:55:05 0
>73
牧街の心の声を聞いたのかは定かではないが、牧街の肩にぽんっと手を置く秋葉原の師匠。
「ボクちゃんが実はじさまだとよく分かったにゃ! なかなかやるにゃ!」
さて、ここで一つの疑問が浮上する。師匠は見抜けて弟子は見抜けないのか。
仮説を立てて検証してみよう。

仮説1:弟子の方は実年齢と外見が師匠ほどはかけ離れていないため逆に分からない
仮説2:師匠の場合は明らかにそれが霊的な力もしくはその類のよく分からない力によるもの
弟子は単なる童顔だから分からない。

>「…すみません、俺、仕事中なので」
地の文でどうでもいい検証をしている場合ではない。牧街が怒って帰ってしまう。

>72
が、いいタイミングで牧街の離脱を阻止する者が現れた!
秋葉原で修行をしたカフェはもちろんそれが店長だという事を知っている。
「ナイスじゃ、店長!」

「なかなか乙なチョイスじゃのう!」
ガルダタンク娘を恐る恐るレジに持って行った牧街に声をかけ、慣れた手つきでヲタクグッズをレジに持って行く。
「では店長お勧めの"リリカルなのか"の抱き枕と……ロボ路線には創聖のポカリスエットン
あとは少し懐かし路線でブレザー服美少女戦士ブレザームーンの人形をもらおう」
ちなみにポイントカードはもう作ってある。
75 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/10/28(水) 18:42:19 0
>>74
A、書いてる奴が「ロリショタ少年が現れた」と書かれていた事には気づいたが、まさか化けているとは気づかなかったから=ただのミス
……大変申し訳無い、以後気をつけます

「……あれ?」
牧街は目をこすった
今しがたまで爺様だと思っていた怪人が、ロリな服がよく似合う少年へと変わっていたのである
そういえば、何だか最初からじさまなどおらず、この子供が応対していたような気がしてきた…
(…とうとう無茶な特訓のツケが回ってきたか…)
牧街が頭を抱えた時
>「ボクちゃんが実はじさまだとよく分かったにゃ! なかなかやるにゃ!」
「へ?じさま何すか?」
カフェの師匠の方が正体をばらしてくれた
が、今度は牧街にはカフェの師は普通に少年に見えているため、牧街は何だか混乱してしまい
「まぁ、偶然って事で」
何が偶然なのかわからないが、とにかく「偶然」と言う言葉でその場はしめておいた
(この戦いが終わったら、脳外科へ行って精密検査受けよう…)
書いてる奴のミスのせいで、新たな決意が牧街の中で固められてしまう
ゴメンネ、牧街

まぁ、牧街が脳外科へ行くか否かなどどうでもいい
牧街と同じく店の商品を選別していたカフェは、どういう基準で選んでいるのかわからないが、慣れた手つきでいくつかの商品を選び、購入していく
(アレ、どうやって使うんだろ…)
カフェの真面目な表情からどうやらマジでそれらを除霊道具として活用するらしい事はわかった牧街だったが
どうやって使うかまで想像が行き届かない
所詮、コイツの想像力などネガティブな方にしか発揮されないのだ
(やっぱ投げるのかな…。じゃ、俺の買ったこれも投げつけるの?)
ガルダタンク娘のキーホルダーをちらっと見て、牧街は渋い顔になる
(車のキーにつけるのに丁度いいのになぁ、可愛いし。ガルダタンクギムの次に好きだし)
長年貧乏生活をしてきた牧街には、勿体無いお化けが何匹も取り付いていた
ちなみにギムとは、ガルダムの量産型機動スーツの事であり、機服娘シリーズにはまだラインナップされていない
(あ、これ正座してんのってキャタピラって事なのねぇ)
じろじろといちいち感心しながらガルダタンク娘を眺めている牧街は、既にカフェの買い物が済んでいる事に気づいていなかなかった
76 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2009/10/28(水) 18:52:46 0
「ふふ…どうやら私の出番が来たようですね…主公。」
アニメートの奥に設けられたスタッフルームの扉が開く。
そこから店内に現れたのは中国風の白い漢服に葛巾を被った女性。手には白い扇。
顔は青褪めていて血色が悪く、口調は生気の無い棒読みの台詞口調だ。
昔の中国風の服を着た人物は、行列しているレジで商品を捌く忍者店長から牧街とカフェに視線を移す。

「これは失礼を…名乗るのが遅れました。
私は姓を李(リ)、名を珠(シュ)、字(あざな)は翠璧(スイヘキ)と申す者です。
我が師でもある丞相から江東で乱が起こった事は、すでに聞き及んでいます…。」
一礼して挨拶した李珠と名乗るこの人物の胸には"赤城 幸子"という名札が付いている。
無論の事だが、こちらが本名だ。

「天下統一の為にも江東の乱は鎮めねばなりませんね…私も一臂の力となるべく江東へと赴きましょう。」
手にした白羽扇を扇ぎながら李珠は店の外へと出る。
そして燦々と降り注ぐ日光を浴びた瞬間、その姿をぐらりと傾がせて地に倒れ伏す。

「どうやら私の命数もあと僅かで尽きようとしています…。
しかし、私は…志半ばにして倒れるわけにはいきません…丞相の意思を継がねば…。
丞相、この李珠を見守っていてください…。」
李珠は何とかコンクリートの床に膝をついて立ちあがるが、別に死病に取り憑かれているわけではない。
コスプレの為のダイエットで貧血気味なだけである。


【GSを見たのは遥か昔…なんとなくしか思い出せませんが御勘弁を。】


【名前】李珠 翠璧
【年齢】19
【体格】やや痩身、顔色は悪い
【容姿】諸葛孔明のコスプレ
【属性】道教系の道士
【霊圧】20
【装備】白羽扇
【趣味】三国志
【特殊能力】風変、火計など三国志に関係するもの
【備考】アニメートでバイトする歴女。諸葛孔明の弟子という自分設定。
三国志の登場人物、諸葛孔明への愛が高じてネットや書籍を漁り、その知識だけで方術を習得した。
77 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/10/28(水) 23:19:17 0
>75
ガルダタンク娘を無心に眺める牧街を見てどこか満足げなカフェ。
(最初呆れていた割には満更でもない様子ではないか!
やはりこっちの素質はあるのじゃな、妹萌え属性もあるし)

>76
と、あらぬ誤解が発生したところで新たな仲間が登場。
なぜ見た瞬間に新たな仲間と分かるかというと
仲間になる人はなんとなくそれっぽいオーラを放っているというRPG的なヲタクの勘である。
>「これは失礼を…名乗るのが遅れました。
私は姓を李(リ)、名を珠(シュ)、字(あざな)は翠璧(スイヘキ)と申す者です。
我が師でもある丞相から江東で乱が起こった事は、すでに聞き及んでいます…。」
「これはこれは、李珠殿というのか。
妾はカフェ、この者は牧街、この度江東の乱鎮圧に派遣された者じゃ。
だが敵は思った以上に強大、新たな戦力が加わればそれ程有り難い事は無い」
もちろん名札の名前と違う事を突っ込むなんていう無粋な事はしない。それがヲタクのジャスティス。
>「天下統一の為にも江東の乱は鎮めねばなりませんね…私も一臂の力となるべく江東へと赴きましょう。」
「うむ、よろしく頼む!」
常識的に考えると唐突も唐突だが勝手にとんとん拍子に話を進めてしまうカフェ。
が、外に出たとたんにいきなり倒れる李珠。
「お主、どうした!?」
>「どうやら私の命数もあと僅かで尽きようとしています…。
しかし、私は…志半ばにして倒れるわけにはいきません…丞相の意思を継がねば…。
丞相、この李珠を見守っていてください…。」
駆け寄って抱え起こしながら感動的なシーンを演出する。
「そうじゃ! 師の願いを叶えるまでは死んではいかん!
まずはその一歩として江東の乱を共に鎮めようぞ!」
どこまで本気でどこからが冗談なのかをあえて明確にしない、それがヲタククオリティ。
78 :牧街 ◇0GgFQdrqrk の代理投稿[sage]:2009/10/29(木) 21:34:09 0
>>76
いらっしゃいませ
どうぞよろしくお願いします

突如現れた白装束に、牧街は数歩後ずさる
衣装や表情や雰囲気が尋常じゃ無いというのもあるが
(…ま、まさか…買った商品が安いから俺に呪いをかける気じゃ…)
同じく尋常じゃ無い雰囲気の上に殺気びんびんな店長に言った「私の出番」の意味を誤解したからだ

>「これは失礼〜すでに聞き及んでいます…。」
正体不明の白装束に狼狽する牧街に、白装束は名乗りを上げたが…
(…いかん、どうやら俺に害なす存在じゃないらしいが、言ってる言葉がよくわからん)
三国志等の歴史系の物に強くない牧街には、赤城幸子の言っている事は、半分も理解できていなかった…
(とりあえず名をシュって言ってたから名前はシュって言うんだろう、んで、中国系の妖怪人間か何かで、こっちでは赤城幸子って名乗ってるんだな)
そして、恐ろしい誤解を抱いてしまう
どうやら牧街には赤城幸子が「シュと言う本名を持つ妖怪だが、わけあって人間界にとどまり、赤城幸子と名乗っている」様に見えているようである

>「天下統一の為にも江東の乱は鎮めねばなりませんね
まだまだ亜人種って世間的に認識されていないから大変なんだろうなぁと思ってた牧街は、幸子の次の言葉で更に困惑する
(…?妖怪怪の世界で戦争でも起きてるのか?)
牧街に江東の乱の意味を理解できるほどの想像力は無かったのだ
(いちいち俺達にそんなどこかの戦争鎮圧する宣言するって事はよっぽど律儀な人なんだなぁ…)
そんなこんなで妙に感心していたところで、赤城幸子は倒れ付した
びびって半歩後ずさる牧街
>「どうやら私の命数もあと僅かで尽きようとしています…。
苦しげにそう言って、命からがらといった調子で起き上がる赤城…いや、李珠に、カフェが駆け寄る
>「そうじゃ! 師の願いを叶えるまでは死んではいかん!
何だか感動的な雰囲気を醸し出す二人を、じーっと見ていた牧街は、やがてぽんっと手を叩くと
「殿堂の方は、俺に任しといて、カフェさんはその方と江東に向かってください!」
こっちは俺が何とかしとくから、お友達を助けに行っていいですよと親切心を見せるのだった
79 :名無しになりきれ[sage]:2009/10/30(金) 23:17:32 0
ほしゅ
80 :李珠 ◇rdfEGE/BGM[sage]:2009/10/30(金) 23:55:08 0
【Σ(゚Д゚ )さ、参戦数時間で大規模全鯖規制だってー!
…誠に心苦しいのですが影響の少ない内に一旦退場させて貰って構わないでしょうか?
代行依頼スレッドでは最低でも10回に分けないと本文投下できそうにないので本文投下は諦め。
ぼったくり冥土カフェで軍議とも思いましたが、体調不良で倒れた事にして進めてください。】
81 :名無しになりきれ[sage]:2009/10/30(金) 23:59:26 0
つか規制がなくても10レスにわたるレス投下ってどうよ?
参加スタイルやレス内容見直してみたらどうだ?
消えるよりもスタイル変更して代理投稿で参加継続の方が同僚も喜ぶと思う。
82 :カフェ ◇YNbEhcUF/I[sage]:2009/10/31(土) 19:31:38 O
どうやら全員規制にかかったようじゃ……。

>李珠殿
早まるな! 
退場するぐらいなら規制中はどこか外部で進めて規制が終わったらなな板に戻ってくる方法もあるぞ!
多分牧街殿も同じような考えだと思う。
特に今回は参加者全員規制+乱立が同時に勃発した特殊事情であるしな。
千夜万夜の代理投稿スレには見当たらなかったが他の代理投稿を使ったのかな?

いちいち代理投稿で相談するのも冗長になるんで
とりあえずの相談の場として千夜のこのスレ(TRPG系雑談所)をお借りしてはどうかと思っておる。
http://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1248188426/
83 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2009/11/02(月) 23:17:17 0
>78 >80
>「殿堂の方は、俺に任しといて、カフェさんはその方と江東に向かってください!」
「お心遣い大変ありがたいが殿堂は江東にあるのじゃ」
誤解を解こうとしたときだった。ロリショタ少年が衝撃の事実を告げる。
「牧街くん、急用があるそうで向こうでキミの師匠が呼んでるにゃ」
牧街は大慌てで急用とやらに行ってしまった。
「ちょいと待ってくれ! 妾は原作をほとんど知らぬのだ、牧街殿無しでは困る!」
そんなカフェに、ロリショタ少年が他人事感全開で励ます。
「まあどうにかなるさ!」
「うむ、どうにかなるか」
納得することにしたカフェであった。
一方、担架を持った運搬係が出てきて李珠を奥の部屋へ運び込む。
「規制が終わるまで、もとい体調が良くなるまで休ませるので先に行っててください」
「はあ」

そんなこんなで一人でアニメの殿堂に再潜入。
ヲタク達は相変わらずアメアメ愉快を踊っていた。
妖怪鈴宮ナツヒがこっちをにらみつける。
「また来たの!? 踊らないなら帰りなさい!」
「残念だがそれはならんぞ! ヲタクグッズの真価を試す時が来た!
まずはこれじゃ、とお!」
ヲタク達の真っただ中に店長お勧めのリリカルなのかの抱き枕を投げた!
84 :カフェ ◇YNbEhcUF/I [sage 代理投稿>>257 ]:2009/11/06(金) 22:32:14 0
「むお? これは……!」
抱き枕の周囲のヲタク達は抱き枕の争奪戦を始めた。
当然、それまでの一糸乱れぬダンスが乱れる。
それを見たナツヒは当然ご立腹である。
「ちょっとアンタ、何てことしてくれるの!?
私が不機嫌になるとどうなるか分かってんの!?」
「知っておるぞ。お主が不機嫌になると世界が崩壊するのじゃ。
しかしこの世界を全世界に侵食させるのが目的なのであろう。崩壊させていいのか?」
「う……」
それもそうだと思い言葉に詰まるナツヒだが、すぐに攻撃に出た。
「ええい、ポルターガイストお!!」
カフェに向かってチョークや黒板消し等の学園物の定番アイテムが超スピードで飛来する!
ロリータ傘を開いて防御するカフェだが、霊力を相殺しきれずに後ろに吹っ飛ばされる。
「きゃあ!」
それを見て勝ち誇った顔のナツヒ。カフェが弱弱しく呟く。
「お兄ちゃん、助けて……」
その時、ヲタク達に変化が起こった!
「はっ、ヴォクは今まで何をしていたんだ!」
「ヴォク達の妹をいじめる奴は許さないぞー!」
すかさず号令を出すカフェ。
「お兄ちゃん……嬉しい! お兄ちゃんはすごく強いんだもんね、あいつをやっつけちゃって!」
大量のヲタク達がナツヒに飛びかかる!
「アンタ達、私を誰だと思って……ちょっと、趣味じゃないんだけど!
ぎにゃあああああああああ!!」
ヲタク達にもみくちゃにされるナツヒを見ながらカフェは言った。
「萌えヲタを大量に動員していてくれて感謝するぞ。
1階だけあってそれ程強く無かったが……次はこう簡単には行かぬだろうな」
【1F 鈴宮ナツヒ撃破】
85 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2009/11/07(土) 19:03:24 0
映画やゲームで見知っている人も多かろうが、彼女が敬愛する諸葛孔明について少々解説しよう…べベンベン!
舞台は中国!遥か昔の後漢時代、俗に三国志と呼ばれるこの時代は多数の英傑や軍師を輩出していた。
諸葛亮はその一人で性を諸葛、名を亮、字を孔明といった。
劉備に仕えた諸葛亮は蜀という小国の丞相(宰相)として政治や軍事で国を支えたが、志半ばにして倒れてしまう。
しかし死後、その至誠溢れる生き様によって次第に神格化。
後世の小説や民話では風を起こしたり、地雷を作ったりと半分仙人みたいな扱いを受けるのであった…べベンベン!

>83
アニメの殿堂二階は学園風の一階とは全く異なり、ノスタルジーを感じさせる町並みが再現されていた。
町の入口に置かれている案内板に書かれていたのは、不吉な文体で書かれた〈不死子・F・不死雄町へようこそ〉という文字。
案内板の前に佇む李珠は、階段を上ってきた人物の気配を感じると振り返って声を掛ける。
「無事に一階を突破しましたか…見事なお手並みです。
フフ…少々予定外の事が起きましたが、私も縮地の法とタクシーでここまで追いつく事が出来ました。
先程はカフェ殿の師匠に介抱されねば命が危うかった所…後で答礼に伺わねなりませんね。
それにしても…アレには…癒されたものです…まさかあのような事まで…。」
ロリショタ少年の介抱を思い返した李珠の口元が緩む。

「それはさて置き…この謎の建造物出現に関しては根本の原因が分からねば、真の解決はありえません。
現在、間諜のキバヤシに調べさせておりますので、何か分かれば私に連絡が来るで…。」
李珠の声を遮るように突然、民家の屋根の上から黒い影が降って来る。
ブンッ!という風切り音に転げるように李珠が伏せると背後では町の案内板がスッパリ切断されてパタンと倒れた。
襲撃してきたのは、おそらくこの階の守護者だろう。
各階ごとに守護者がいるのは少年漫画のお約束である。

「何者ですか…?」
李珠が問うまでも無く、襲撃者の正体は郷愁を感じさせる夕映えが明らかにしていた。
それは髷の付いたゴムまりの頭部に体は風呂桶、掃除機のホースの腕の先に小さなゴムまりの手という人形らしき物体。
頭部に付けられた焦点の定まらない目でこちらを見上げたカラクリ人形は、可愛らしい声で名乗りを上げる。

『吾輩は殺助(ころすけ)ナリ! ここは通さないナリよ!』
手に持った長大な刀を引き摺りながら50cm程のカラクリ人形がこちらににじり寄ってくる。
有名なアニメの愛らしいキャラクターのはずなのだが、足が凍る程の圧倒的な剣気を発している様は年を経た剣豪そのもの。
カラクリ人形の腕が微かに動くと左右のブロック塀は倒れて辺りに土埃を巻き上げた。斬撃は全く見えないという絶望感。

「―――気の盛んな敵と正面から戦うのは自殺行為。まずは兵法三十六計の一つ、走為上を持ちいるとしましょう…。
案ずる事はありません…まだ策はあります。私の勘が正しければ、この近くに土管が三つ置かれた空き地が有るはず。
そこまで誘い込めれば、敵は我が掌にありと言うものです…。」
と言いつつ、李珠は背を見せてダッシュで走り始める。
走為上とは逃げるのが最善の策という意味なのだ。


【どうやら予定より早く戻れたようですね…カフェ殿、牧街殿、色々御迷惑をお掛けしました】
86 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2009/11/09(月) 19:04:40 0
>85
さりげなく抱き枕を回収してから2Fに上がると、なんと李珠が先にいた!
「おお! もう規制解除……じゃなくて良くなったのか!
なるほど、師匠の介抱で。
我が師匠はああ見えていろいろな術を隠し持っておるからのう」

>「現在、間諜のキバヤシに調べさせておりますので、何か分かれば私に連絡が来るで…。」
「それは心強い……ほわあああああああああ!?」
>「何者ですか…?」
>『吾輩は殺助(ころすけ)ナリ! ここは通さないナリよ!』
「直接攻撃系じゃと!? ヲタク系アイテムが役に立たんではないか!」

>「私の勘が正しければ、この近くに土管が三つ置かれた空き地が有るはず。
そこまで誘い込めれば、敵は我が掌にありと言うものです…。」
「何か良く分からんがすごそうじゃ! ではそれで……てええええええ!?
普通に逃げるだけ!?」
案の定、すごい勢いで道を破壊しながら迫ってくる!
このままだと数十秒で追いつかれそうだ。
「ぎやあああああ!? 無理無理!!」
カフェは必死で走りながらトレカーケース、もとい破邪札ケースを取りだす。
「あれでもない、これでもない……あった!
破邪札“フードバトラー”シリーズ、“コロッケ”!」
コロッケの絵が描かれたカードを投げる。
それはボンッという効果音と共にコロッケになり、殺助は急ブレーキをかけてそれを拾う。
「今のうちじゃ! むむ!? そこに見えるは空き地!」
土管の3つある空き地に滑り込んだ!
87 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2009/11/09(月) 22:06:59 0
『待つナリ〜!』
足を漫画の様に回転させながら、刀を振り回すカラクリ人形が追ってくる。
必死に走るも運動不足と貧血の上に動き難い漢服という三重苦、早くも息が切れてきた。
「待てと言われて待つ者はいませんが…このままでは追いつかれてしまいますね…。」

>カフェ「あれでもない、これでもない……あった! 破邪札“フードバトラー”シリーズ、“コロッケ”!」
迫りくるカラクリ人形はカフェの破邪札に動きを止めて出現したコロッケに食い付き始めた。
その間に愛らしい殺人マシーンとの距離を取って一気に引き離す。
何とはなしに三枚のお札やイザナギの逸話を彷彿とさせる。
「好餌を蒔いて敵の足を鈍らせる……見事な兵法です。」

>カフェ「今のうちじゃ! むむ!? そこに見えるは空き地!」
「やはり空き地がありましたか…ここは火計こそが上策。」
空き地では土管の上に立つ、いかにもガキ大将という少年が人を集めてコンサートを開いている最中だった。
しかし李珠はそれに構わず、袂から透明な液体の詰まった数個のビニール袋を取り出して辺りに投げつける。
ビニール袋が割れて漏れた液体が地面に広がると周囲からはガソリン臭が漂う。

『追いふいふぁナリ! もう逃わふぁあいナリよ!』
コロッケを口に入れたままの殺助が空き地に足を踏み入れる。
「もう来ましたか…ですがここは貴方にとっての死地となりましょう。」
李珠はガソリンで出来た水溜まりに足を踏み入れた殺助を目がけて最後のビニール袋を投げつけた!
殺助が神速の切り返しでビニール袋を切り刻むが、宙に四散したガソリンは余す所なく殺助の体を包む。

「今です…炎よ、龍となって赤壁の戦いの如く燃え上がりなさい……ファイアー!」
三国志と関係無い掛け声とともに点火したライターを投げつけると紅蓮の炎が殺助を燃え上がらせた。
ごおっと迸る火焔は瞬時にガソリン溜まりを駆け、周囲の芝生にまで延焼を始める。
一瞬にして黒焦げになった人形は炎の中でバッタリと大の字になって倒れた。
誤解するといけないが、一般的に除霊や退魔の際にはガソリンは使わない事が多い。
ついでにいえば、この火攻めも術ですらない。

『キテー!』
謎の悲鳴を上げながら燃え尽きた殺助の残骸は、煙を吹き上げて消滅。
仮初めの肉体を失ってエクトプラズムか、或いは何か他のものに戻ったのかもしれない。
それを見て李珠は満足そうに頷いた。
周囲の炎の勢いはますます盛んになり、火の粉がバチバチと散る。
その時、李珠の袂の中の携帯電話がプルルルルという電子音を鳴らす。
「キバヤシから連絡が来たようです…何か分かったのかもしれません。
もしもし李珠です………(中略)………な、なんだってー!!!」
88 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2009/11/11(水) 07:11:03 0
>87
「?」
李珠の不思議な行動を見守る。
>「今です…炎よ、龍となって赤壁の戦いの如く燃え上がりなさい……ファイアー!」
「何いいいいいいいいいい!? 何と画期的な除霊方法!」
カフェは21世紀の科学を使った斬新な除霊方法に感動した。

>『キテー!』
「やったな! 2階のガーディアン撃破じゃ!」

>「キバヤシから連絡が来たようです…何か分かったのかもしれません。
もしもし李珠です………(中略)………な、なんだってー!!!」
その時カフェは大変な事に気づいた。
火の勢いは収まる所を知らず辺りが火事になっている!
ジリリリリリリ!! 火災警報器まで鳴り始めた!
妖怪の霊力によって出来た建物にそんなものがあるのか甚だ疑問だが
鳴ってしまったのだから仕方がない。

キバヤシの言った事はこうだ!
世界には不思議な力を持つノートが数冊あり、その中の一つレスノートがこの怪異の鍵になっている!
何らかの妖怪、恐らく最上階のボスが所有していると思われるので、それを奪取せよとのこと。

もしかしたらカフェが第三話で手に入れた黒歴史ノートもその中の一つなのかもしれないが、今は関係ないので話を本筋に戻そう。

「火事ではないか! 逃げるぞ!! 
ああっ! その前に人質を救出せねば! 一体どこじゃ!?」
「その必要はない……人質は1階にいたので全てだ!」
そう答えたのは……青年の姿をした妖怪だった。
整った顔立ちで、頭はピカピカに輝いている。
「本当は信者を動員するつもりだったのに誰も集まらなかった……なぜなら僕がハゲだからだ!
僕は夜髪ライト……またの名をピカ! 新世界の髪になる!!
本当は最上階で待っているはずだったのに火事が起こったから慌てて来てやったぞ!」
そして、ピカは一冊のノートを取り出した。そう、レスノートだ!
「安心しろ、このノートに名前を書かれても死にはしない……。
ただ髪がlessになるだけだ!」
要するにノートに名前を書かれるとハゲてしまうらしい!
89 :李珠 ◇rdfEGE/BGM[sage]:2009/11/11(水) 19:39:35 0
「レスノート…要するに太平要術の書の様な奇書ですか。」
キバヤシの説明が怪異の原因を知らせる。
「カフェ殿…まずは、こちらの名前を知られないようにしないといけませんね。」
カフェに注意を促す。
『ほう!そちらは、カフェ君というのかね?』
耳聡く聞きつけたライトが口角を歪めてスラスラとノートにペンを走らせる。
「いけません…敵に名を知られてしまったようです。急いで阻止しなければ。」
李珠は袂から取り出した元戎(同時に複数の矢を放てる多発式クロスボウ)に銀の矢を装填する。
ギリギリと引き絞った弦を離すと短く太い矢が一斉に宙を躍り、ライトにドスドスドスと刺さった。

【またもや規制発動…風呂敷を広げるのは無理そうです…】
90 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2009/11/12(木) 23:02:59 0
「ぐわあああああ!? おのれ、ハゲにしてやる!! 40秒たったらお前もハゲだ!」
ライトは銀の矢に悶絶しながらも根性でノートにカフェと書いた。
「ウボアアアアアアアアア!!」
カフェは断末魔の叫びをあげながら転げまわる。
が、40秒たっても何も起こらない事に気づき、勝ち誇った顔で言い放つ。
「……そうじゃ! そういえばカフェは通称で本名は明かしておらぬのだった!
李珠も通称だからお主に勝ち目はない!」
その時のライトの絶望の表情と言ったら無い。
「くそお……こうなったら……死髪の目発動!! 当たると髪がコゲて無くなるぞ!」
ライトは目から縦横無尽にビームを出し始めた!
当たると髪以外も普通にダメージを受けそうだ!

【他板から代理投稿乙です。
こっちも一瞬だけ解除されて再規制〜。スレが落ちない程度に焦らず進めましょう】
91 :李珠 ◇rdfEGE/BGM[sage]:2009/11/14(土) 20:44:10 0
乱射されるビームに李珠は防御の陣形を敷く事を考えた。
「ここは鉄壁の防御陣で敵の猛攻を凌ぎましょう。」
カフェをサッと掴んで盾にする。
何気に非人道的と思った人もいるかも知れないが、これは戦。
指揮官が倒れれば総崩れとなる以上は多少の犠牲が出るのは致し方ない。致し方ないのだ!!
「カフェ殿…後で立派な碑を建てます故、どうか化けて出ぬように。」

李珠は力を使い果たして倒れたライトに近寄り、その手に握るノートを掴む。
「おそらくこのノートが怪異の核になっていたのでしょう。
ノートの後ろに名前が書いてあるようですが持ち主の名前でしょうか。
所々焦げていますが辛うじて読めそうですね…何々、■生太郎…なまたろう?」
92 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2009/11/15(日) 23:08:34 0
「鉄壁の防御陣!? あぁああああああああああ!!」
抗議する間もなく目から放たれたビームが飛んでくる!
師匠からもらった霊力付与された掛け軸、専門用語で言うとポスターをとっさに広げる!

さて、この掛け軸、巻物状に巻いてあってもらう時に中身を確認していない訳だが……
髪が必要以上にフサフサな幸せそうな家族のイラスト。
“髪様家族”というアニメのポスターだった。
ちなみに アニメ 神 で検索したら似たようなアニメのサイトが出てきたぞ!

それを見てライトは激昂した。
「許さん……フサフサなど許さん!!」
ポスターに向かって集中砲火する!
髪様家族の髪が少しずく削られていくが、そのフサフサは尋常ではなくついにライトが力尽きた。

>「所々焦げていますが辛うじて読めそうですね…何々、■生太郎…なまたろう?」
「もしや……阿蘇 生太郎!?」
ライトが言った。
「嫌だ。死にたくない!
僕たちは政権交代で潰えた彼の想いに応えたかった……それだけなんだ……」
それにしては髪だけにこだわっていたような気がするが気にしてはいけない。
「お主ら……ふぎゃ!」
しんみりした雰囲気はぶっかけられた大量の水によって遮られた。

いつの間にやら入ってきていた消防隊員達が消火活動をしている!
「はて、なぜ国家機関が介入しておるのじゃ?」
「困りますよ、火事なんか起こされちゃあ!
今さっき国会通過したんですけど、建物が出来てしまったのだからということで
ポッポが開き直ったのか知らないけどそのままアニメの殿堂にすることになったんですから!」
と、消防隊員が丁寧に説明してくれた。

「そうなのか……! それなら心残りはありません。
僕たちはみんなの心の中に帰ります。ありがとう……」
ライトをはじめとする妖怪たちは消えて行った。本来あるべき場所へ帰ったのだ。
そしてまたもや手元には霊験あらたかなノートが一冊残ってしまったのである。
93 :李珠 ◇rdfEGE/BGM[sage]:2009/11/17(火) 23:02:44 0
「お見事です…カフェ殿なら必ずや敵の攻撃を防ぐと信じておりました…。
事前に防御陣の構築を知らせないのも実は計画のうちです。
前もって攻撃を知っていては、あの死髪の目の発射速度に反応すらできません。
何かを考えてしまっては、どうしても脳のインパルスが筋肉に到達するまでに一瞬の遅れがあるでのです。
ですが死と隣り合わせの危機が、先程の神がかった反応速度での緊急回避を成し遂げさせた…。
要するに…全ては私の綿密な計画の通りだったのです。」
と、したり顔でカフェの瞳をじっと見つめながら嘘だかホントだか分からない解説を始める。
どうでも良い事だが、人は嘘をつく時には饒舌になるという。
「それにしても怪異の原因は元宰相の所持していたノートでしたか。
いえ…それが本当かどうかを検証するためにも試しに何か書き込んでみましょう。」
李珠は書き込んだ事が現実に起きるノートなのかと期待しつつ、筆ペンを走らせる。
ノートに『平成の世に戦国の乱世を再び』と書き込もうとするものの、
『ERROR:アクセス規制中です!!』と言う文字が浮かび上がってインクを弾き、何も書き込めない。
「…書けませんね。とりあえず書き込めるようになるまで待つしかありませんか…。
これは危険な力を秘めているようなので私が管理しておきましょう。」
何食わぬ顔でそのままノートを懐に仕舞い込む。
ちなみに霊的な物品の収集は、悪用を防ぐためにそれなりの資格が必要だ。
そして誰からも突っ込まれなかったが、李珠は普通にGS免許は取得していない。
「では、後は国家機関に任せて私たちは戻って戦勝の祝杯を上げましょう…。
秋葉原に新しく開店した冥土喫茶とやらに宴席を設けておきました。」
94 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/18(水) 23:37:08 0
>「お見事です…カフェ殿なら必ずや敵の攻撃を防ぐと信じておりました…。
(中略)要するに…全ては私の綿密な計画の通りだったのです。」
「なるほど……そこまで信頼してくれて感謝するぞ。
出会ったばかりなのにまるで長年組んだ相棒のようじゃ!」

>「…書けませんね。とりあえず書き込めるようになるまで待つしかありませんか…。
これは危険な力を秘めているようなので私が管理しておきましょう。」
「ご愁傷様じゃ。これは憶測だがもう少し待てば書けるようになるであろう」
ノートをしまいこむ李珠に何の疑問も持たないカフェ。
それもそのはず、まさかGS免許を持っていないなんて思っていない。

「なぬ!? 新しく開店した冥土喫茶!?」

――そして冥土喫茶

「お帰りなさいませ、お嬢様方!」
幽霊のコスプレをしたマスターとマスターの奥さん、つまりカフェの両親が出迎える!
「やはりお主らか! 元の店と場所が違う気がするのは気のせいか?
それにやたらと計画から完成までの期間が早かったような……」
「気のせいにゃ!」
師匠がすでに奥でくつろいでいた!
「二人とも、よくやったにゃ!」
続いてマスターが店の解説をする。
「ここはただの喫茶店ではないぞ。
冥土喫茶+GSが集って情報交換をする場+お前の事務所の3つの機能を備えておる。
どうだ、素晴らしいだろう!」
つまりRPGでいうところの冒険者の酒場みたいな店だ!
95 :李珠 ◇rdfEGE/BGM[sage]:2009/11/19(木) 22:24:40 0
>カフェ「なるほど…(中略)…まるで長年組んだ相棒のようじゃ!」
「まさしく水魚の交わりですね……水魚の交わりとは、まるで水と魚の様に相性が良いという意味です。」
とりあえず三国志に纏わる小ネタを挟む。
そして相棒と聞いて何故か頭によぎる刑事ドラマ。
「では、私がウキョーさんですね。」

――そして冥土喫茶

入口をくぐると目に映るのは荒涼とした地獄のレイアウト。
店の全体からは不気味な霊気が漂い、寂れた雰囲気を醸し出す。
金棒を持って店内をうろつく牛頭馬頭の鬼たちは背中にチャックが無いが、バイトなのだろうか。
気のせいか、外から見た敷地面積よりも店舗内が広く感じられる。
96 :李珠 ◇rdfEGE/BGM[sage]:2009/11/19(木) 22:25:24 0
「ここは、カフェ殿の御尊父と御母堂の経営されている店なのですか?
この世のものとは思えない斬新な店……いわゆるこれが現実を忘れての別世界気分というものでしょう。
さっそくですがランチに段ボール入りの饅頭を一つ頂きましょうか。」
椅子に座り、場を和ませる冗談を交えて注文を述べるとマスターから店の説明を聞く。
※ ※ ※
「“二兎を追う者は執念深く追えば三兎を得る”と中国の古い故事にもあります…多機能万歳ですね。」
『まあ、フロアの半分は別の経営者の事務所だけどね…閻魔さんっていったっけな』
『1ま〜い、2ま〜い、3ま〜い…あれ?7枚も足りな〜い…うらめしや〜』
李珠は今回の件でICPOの超常犯罪課から要注意人物としてマークされるのだが、それも今は知らぬ事。
次のコスプレの武将を誰にするかに心を馳せながら饅頭に口を運ぶ。

レポート4.アニメの殿堂 END
97 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2009/11/21(土) 21:46:24 0
饅頭は諸葛孔明が発明したという伝説があるので自称弟子としては外せない。
店のメニューは変わった物が多く、李珠の頼んだ饅頭も人の首そっくりの造形。
もともと饅頭は人の首の代わりとして作られた物なので、元の伝説をなぞっているともいえる。
「これは…いわゆる創作ネタ料理ですね。」

李珠がランチを済ませると、ベージュのトレンチコートを着た男が店に入ってきた。
男は店内を見渡し、李珠に近づくと渋い顔で警察手帳を開く。
『君が赤城幸子君だね? 先のアニメの殿堂事件で君が無免許除霊を行っていたという通報があってね。
任意での事情聴取を行いたいんだが。』
「いえ…私は李珠、字を翠璧と申す者。赤城などという方は存じ上げませんが?」
『わかったわかったOK。その辺りも署で聞こうか。別に逮捕しようってわけじゃない。』

じりじりと歩幅を詰めながらにじり寄る刑事。
羽扇を縦に持って風術の準備をする李珠。

逃走の経路は見る限り店の入り口一つで、刑事は入口を塞ぐように立っている。
とりあえず刑事を突風で吹き飛ばして後の事は後で考えるが上策。すなわち走為上。
「吹けよ、東南の風…!」
『公務執行妨害!』

突風は狙いを外すと隣のカフェを吹き飛ばし、刑事は無傷。
かくして、李珠の手に冷たい手錠が嵌った。


【四話終了という事で宜しいでしょうか?
カフェ殿、お疲れ様でした。こちらは事件を解決してからの復活です…。
容量節約に色々と文字を削っていたので意味が伝わらない箇所も多々あったと思いますがご容赦を。

元々はゲストキャラ的に一話ごとにキャラを変えて、
牧街事務所に何か依頼を持っていくという形を考えておりましたが、
規制状況に関しては年末は高確率での発動。
ネカフェの方はまだ規制と今回の惨状を鑑みると少々迷うところですね…。】
98 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/21(土) 23:03:38 0
>96-97
新装オープンした冥土カフェで宴を楽しんでめでたしめでたし……と、思われたが例によってオチがつく。

物々しい雰囲気に包まれる店内。
>『君が赤城幸子君だね? 先のアニメの殿堂事件で君が無免許除霊を行っていたという通報があってね。
任意での事情聴取を行いたいんだが。』
「えええええええええええええええ!?」
目が飛び出さん勢いで驚くカフェ。
それもそのはず、素晴らしいチームワークで共に除霊した李樹が無免許だなんて思うはずがない。
「いえ、だが李樹さんがいなかったら解決は無理であった! ここは何とか穏便に……」
>「吹けよ、東南の風…!」
>『公務執行妨害!』
吹き飛ばされて伸びている間に李樹はタイーホされてしまいましたとさ。

>97
【そちらこそお疲れ様であった!
規制……年末になったら妾もかかるのであろうか……。
近頃規制が頻繁になってきたのう。
数年前は規制?何それ状態で去年ぐらいまではまだそれ程なかったのに。
参加形態についてはお任せするぞー。
1回4〜5行やマターリペースでも全く問題ないし
厳しそうなら規制が落ち着くまでこっちで一人SSやるので名無し投下でもしてくれると嬉しい】
99 : ◆rdfEGE/BGM [sage]:2009/11/22(日) 19:50:39 0
―――アニメの殿堂事件が解決してから数日後。

営業中の冥土カフェに袴姿の子供が入ってくる。
頭はおかっぱで少し太り気味、見た感じの年齢は10かそこらになったばかりというところ。
明らかに時代遅れの格好だが、コスプレの盛んな秋葉原ではさほどの違和感は無い。
『いらっしゃいませ…おぼっちゃま!』
そして少年は、すぐさま回れ右して店を出た。

「怪しい店だけど、本当にここがチラシに書いてあった妖怪退治の店なのかな?
もし、ぼったくりバーって店だったらどうしよう…。」
少年は、訝しげにもう一度店の看板と手元のチラシを見比べると、今度は恐る恐る店に入る。
『おかえりなさいませ〜おぼっちゃま〜!』
「あのー…おばちゃん。ここは妖怪退治の店でいいの?」
『あら〜そっちの用件なの?それなら二階が事務所になってるわよ〜。』

カフェの母が二階への階段を指差す。
促されて袴姿の少年は階段を上ると、事務所の扉をコンコンと叩いて中に入る。
「もしもし、誰かいますかー?」


【名前】惣介(そうすけ)
【年齢】11
【体格】少し太めな人間の子供の姿
【容姿】藍色の袴姿
【属性】化け狸
【霊圧】48
【装備】爪
【趣味】腹鼓
【特殊能力】変化の術
【備考】108の霊的拠点の一つ、双神山(ふたがみやま)に棲む小狸。
1年前に生物としての狸の寿命を終えて化け狸になった。現在は修行中の身。

【では、お言葉に甘えて】
100 :名無しになりきれ:2009/11/23(月) 23:09:31 0
りゅ
101 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/23(月) 23:16:31 0
冥土カフェの二階に事務所を持つ事が出来たカフェ。
これで仕事も増えて商売繁盛、と思いきや……
「おかしい……なぜ依頼が来ないのじゃ?」
依頼が来なくて暇なので分析してみよう。
そもそもGSの商売相手は悪霊や妖怪の恐怖に震える一般人。
大してノリもよくないまともな常識人だ。
悪霊だってやたらハイテンションな人の前に出るのは気が引けるだろう。多分。
まともな常識人はわざわざ怪しげな店とタイアップしてる事務所に行ったりしないのだ。
もっと言うと秋葉原流のGSのところに行ったりしないのだ。
と、結論らしきものが出た所で。
>「もしもし、誰かいますかー?」
一番乗りの客がキタ――――!
というわけで用意しておいたクラッカーを鳴らしつつ。
「喜べ、少年。そなたが我がGS事務所の最初の客じゃ!
袴とはまた乙な服を……」
カフェは少年が狸だという事に気づいたようだった。
「人里まで降りてくるとはどうしたのだ? 
さては狐との抗争か? 21世紀狸合戦ぽんぽこか!?」
普通なら報酬が葉っぱで払われるんじゃないかなど心配するところだが
何しろ今は初めての客が来たため舞い上がっている!
相手が狸だったことにむしろ喜んでいるようだ!
102 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/11/24(火) 20:53:37 0
『りゅ。』
「わあー。」
突然、階段の下の方からお魚咥えたドラ猫ならぬ、猫耳の少年が飛びかかり、惣介の背中にしがみついてきた。
「もう…だれなの?離れてよ…。おんぶお化けなのかなあ…そうだったらやだなあ。」
手を伸ばして、背中の猫耳少年を振り払おうにもしっかりしがみ付いて背中から離れない。
これは、本題の前に背中のおんぶお化けを退治してもらわないといけないかもしれない。

事務所に足に踏み入れた惣介を出迎えたのは、パンと音を立てるクラッカー。
色とりどりの紙吹雪が舞い、何本もの紙テープがパサリと惣介の頭を覆う。
>カフェ「喜べ、少年。そなたが我がGS事務所の最初の客じゃ!
袴とはまた乙な服を……」

とりあえず頭のテープを払いのけて、キョロキョロと頭を動かす。
部屋には、目の前の西洋のドレスっぽい服を着てる女の人しかいない。
妖怪退治をすると聞いて、修験者や巫女をイメージしていた惣介のイメージとは何となく違う。
「あのー…ここで悪い妖怪を退治してくれるって下で聞いたんですけどー…?」

もしかしてキャバクラという店に入ってしまったのかもしれないと思い、少し自信なさげにカフェに尋ねる。
>カフェ「人里まで降りてくるとはどうしたのだ? 
さては狐との抗争か? 21世紀狸合戦ぽんぽこか!?」
「わぁ…もう正体も目的もばれてる。」
いままで不審気味だった惣介の目も一転して尊敬…とは言わないまでも驚嘆の眼差しぐらいのものには変わった。
変な人しかいなくて、ちょっとだけ帰ろうかなと思っていた惣介も思い直して自己紹介を始める。

「初めまして。僕は惣介。今は人間の格好に変化してるんだけど、仰る通りに双神山に住んでる狸です。
あ…双神山っていうのは僕の住んでる二つの峰を持つ霊山で、それぞれの峰に主がいる山なんです。
東の峰には化け狸の主の大狸様が棲んでて、僕たちみたいな大勢の小狸に化け方とか色々教えてくれます。
そして、反対側の西の峰は妖孤っていうずる賢くて迷惑な狐とその手下たちの縄張りです。
それで…そのー…退治してほしいのは、その妖孤なんですけどー…。」

話も核心に入り、惣介もギュっと握りこぶしを作る。
「西の峰の狐たちも半年くらい前まではおとなしかったんです。
だけど、双見家っていう昔から二つの山の仲裁をしてた家の偉い人がぽっくり逝ってからは、
わざわざ東の峰までやって来て、通り道にゴミを撒いたり、竹林を荒らしたりして嫌がらせをしてくるんです。
大狸様も妖孤から贈られてきた牡蠣を食べて倒れちゃうし…。
もう、あいつらにはずっと西の峰でおとなしくしてて欲しいよ…。
おばちゃん…どうかあいつらを懲らしめて!」

猫耳の少年…秋葉原道場の師範は、まだ惣介の背中。
頭を下げた拍子に惣介はバランスを崩してステンと転び、鼻を床に打ちつけた。
すかさず師範は惣介の鼻に『Sl.qrwsKik』と書かれた絆創膏をペタンと貼る。
『貼っておくにゃ。それは、しばらく剥がしちゃダメにゃ。』
「あいたた…変なもの貼らないでよ。何これ取れないよー…。」
103 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/25(水) 23:11:36 0
なぜか少年の背中には猫耳ロリショタ少年がくっついている。
「ふむふむ、狐どもの横暴に困っておると……よーし、妾に任せ」
>「(前略)おばちゃん…どうかあいつらを懲らしめて!」
すてーん! マンガ的にずっこけてスライディングした。
「妾をおばちゃんと呼んだのはそなたが初めてじゃ……!」
『まだまだ修行が足りんということにゃ。
ぼくちんは修行を積んだから滅多な事ではバレないにゃ』
「ちょい待て! こちとら師匠と違って実年齢にしてもまだそんなにいってないぞ!」
姉弟漫才はそれぐらいにしておいて。
『とにかく……このままにしておくのは可哀想にゃ。助けてあげにゃさい!』
師範は狸くんに情が移ってしまったらしい。
こうなったらもうおばちゃんと呼ばれようが依頼を受けるという選択肢しか存在しない。
「ではさっそく西の峰とやらに行ってみようではないか!」

師匠がアイテム携帯電話を使用しタクシーを召喚した。
『ではいくにゃ!』
「ところで師匠も一緒に行くのか?」
『もちろんにゃ。でも疲れるから……
じゃなくてカフェの精進のために余程危なくなるまで手は出さないにゃ』
要するにこの師範、暇人のようである。
104 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/11/26(木) 21:54:38 0
>カフェ「ちょい待て! こちとら師匠と違って実年齢にしてもまだそんなにいってないぞ!」
「実年齢……へぇ、人間も変化の術を使えるんだ。」
カフェと師範のやりとりから、惣介も彼らの年齢がかなり上だという事を察する。
惣介の背は小柄なカフェよりもさらに小さい。
カフェをおばちゃんと呼んだのは、単に自分より(ほんの少しだが)背が高かったからである。
自分より大きい=大人と適当に判断をしたに過ぎない。
田舎の山に棲んでいて人間を見慣れない惣介には、まだ人間の年齢やら何やらの判断は難しいのだ。
要は、人間にとって狸の個体識別が難しいのと同じ理屈である。

―――程なくして、一台のタクシーが冥土カフェの前に停車した。

「けふんっ!けほっ!」
円筒型のマフラーから微かに燻る青い煙に顔を近づけると排ガスを吸い込んでむせる。
狸は基本的に好奇心が強く、人間が作ったり設置したものには強い興味を示すのだ。
ドアが開くと、当然真っ先にタクシーに乗り込む。
車内では、総白髪で60を超えているであろうタクシーの運転手が陽気に行き先を聞いてきた。
『どこまで行くんかね?』
「えーと、双神山までお願いします。」
『ああ…あそこね。ハイハイ、カッ飛ばして行くよ。』

「そういえば、ここに来る時は全然外の景色を見れなかったなあ。」
惣介は子どもが電車でするようにシートに膝立ちになる。
来る時は、ゴーストスイーパーを探せるかが気がかりで、ろくに景色を見ることが出来なかった。
改めて窓から都会の風景を眺め、外の景色に夢中になる。
駅の近くに差しかかると車内からは忙しく出入りする作業員の様子が見て取れた。
「何してるんだろう?」
『今、秋葉原駅では巨大駅ナカ商業施設“グランドアキバ”の工事中にゃ。』

やがて、タクシーは雑然とした市街を出て高速道路に入った。
『ハイハイ、ちょっと本気出すね。もちろん安全運転だから心配いらないよ。』
運転手がアクセルをめいいっぱい踏み、エンジンが猛獣の様な唸り声を上げる。
なぜかタクシーの速度計を隠すようにタオルを置く運転手。
疾風の四足獣と化したタクシーが道路を走行する車たちを縫うように…いや、切り刻むように追い越す。

―――S県・月見ヶ原市。

高速道路の単調な景色とその他諸々の要因は、時の流れを曖昧にしていた。
ここに来るまでに費やした時間は、ほんの数時間のようにも、或いは十数時間経ったようにも感じられる。
一体どこにあるというんだろうか。 月見ヶ原市は。
辺りは山逢いの田園地帯という感じで民家もまばら。
そこかしこに生えるススキがいかにも郊外の田舎という印象を与える。

「何だか、あっと言う間に着いたなぁ。あ…あそこのM字型の山が双神山です。」
105 :名無しになりきれ[sage]:2009/11/26(木) 22:04:22 O
バサバサバサバサッ

カア〜カア〜
106 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/11/28(土) 00:45:10 0

恥ずかしながら、帰ってまいりました!ご迷惑をおかけして申し訳ございません!

PC、再びできるようになりました
また俺、書いてよろしいでしょうか?
107 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/11/28(土) 01:00:08 0
【お帰りなさい、牧街さん。もちろん歓迎ですよ。
山の主の仲裁役をしている双見家か、西の峰の妖狐の依頼で来た事にすれば、
すむーずに月見ヶ原市まで来られると思います。
設定も導入ぐらいで、殆ど決めてないので好き勝手に風呂敷を広げても大丈夫です】
108 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/28(土) 01:10:18 0
>>106
【うをおおおおお!! よくぞ帰った!
 いつの間にやら夜がふけてしまったので取り急ぎこれだけすまぬ!
 本編は明日書くぞ】
109 :名無しになりきれ:2009/11/28(土) 12:34:49 0
ニャコーン
ようかいきつねこ参上
110 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/28(土) 13:02:53 0
>104
>『ハイハイ、ちょっと本気出すね。もちろん安全運転だから心配いらないよ。』
どうやら猫バスならぬ猫タクシーに乗ってしまったようだ!
「うむ。確かにこれなら妾達だけは安全……」
と、呑気な事を言っている場合ではなかった。
(ひゅんひゅんひゅん!)
「おい、窓の外がSFのワープシーンのようになっておるぞ!」
「気のせいにゃ」
そう言われてみれば窓の外には田園地帯は広がっていた。
「気のせいか。そりゃそうじゃ。
トンネルの向こうは不思議の町でした、なんてあるわけないな」
「心配しなくても秋葉原だって十分不思議の町にゃ」

>「何だか、あっと言う間に着いたなぁ。あ…あそこのM字型の山が双神山です。」
「ここから先は車が入れないから歩いてね〜」
と、猫タクシーの運転手。

>105
徒歩で双神山に向かう御一行。
カラスの鳴き声が聞こえ、いかにも何か出そうな雰囲気を演出している。

>106
「ニャコーン 、ようかいきつねこ参上!」
あ! 野生 の 妖怪 が 飛び出してきた!
111 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/28(土) 13:06:33 0
師匠「こりゃ、そこのレスアンカーは106じゃなくて>109にゃ!」
カフェ「な、なんてこった!」
師匠「だがもちろん牧街殿の所に野生の妖怪が出てもOK!」
112 :名無しになりきれ[sage]:2009/11/28(土) 22:42:09 0
>>106
恥ずかしがるな!胸を張れ!良くぞ帰ってきた!】
113 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/11/28(土) 23:07:26 0
>>107
ありがとうございます
んでは、お言葉に甘えてちょっと風呂敷広げた方法で登場したいと思います
>>108
ありがとうございます、殿堂編の間に戻って来れず申し訳ありません
んでは、俺も参戦させていただきます(言い忘れましたが、PCに触れられるのは休日と祝祭日のみなのであしからず)


S県、双神山を山二つ越えた先の山、赤目山
その赤目山中腹にあるほら穴を、牧街を含む数名の腕利きの恐山流除霊道場のGSと、恐山流の師範が破邪札を初めとした武器を構えて取り囲んでいる

恐山流除霊道場の面々は、あのアニメ殿堂事件から牧街が抜けて以後ずっと、この赤目山で発生したある怪事件の捜査にあたっていた
その事件とは、校外授業に来た小学生達が血塗れの老婆の集団に襲撃されたというもので
老婆達は明らかにこの世の物ではない動きで動き回り、必死で逃げる生徒達を次々と斬りつけていき、ゲタゲタと不気味に笑ったという
幸いにも死者は出なかったものの、大きな怪我を負った生徒が多々出たため
事態を重く見た地元自治体は恐山流除霊道場に依頼し
その依頼から老婆達の正体が相当危険な物であり、一刻も早い討伐が必要だと感じた恐山師範は、直ちに実動可能な戦力を各地から呼び出し、遂に、数日にわたる調査と、数度の老婆達との交戦を経て、遂にその根城を暴き出したのである

「攻撃開始」
師範の声に、洞穴の横にはりついていた防護服姿のGS二人が、中に何かを投げ込んだ
程なくして、洞穴の中からすさまじい量の煙が立ち上ってくる
この煙には、霊体にとって有害な物質が多数含まれており、これで中の妖怪をあぶりだそうという分だ
が、妖怪達は暫くたっても一向に穴の奥から出てくる気配は無い
それでも、GS達は辛抱強く穴を包囲したまま、煙の立ち込める洞窟を見つめつづける
しばらく、沈黙の時が流れ
「罠だ!!」
「ぇえ!?んなとーとつ…ぬぅわ!!」
師範が叫びを上げ、牧街が地面に伏せた瞬間、数本の包丁がGS達の周囲の木々の間から放たれてきた
「ぎゃ!」
「げ!?」
反応できなかったGSが何人か、斬りつけられたのか刺さったのか、とにかく悲鳴が上がり、それと同時に、木々の間からGS達の倍の数の血塗れの不気味な老婆が現れ、GS達に襲い掛かってくる
「囲まれているぞ!」
「糞!何で気配がしなかったんだ!」
『ゲーーーゲゲゲーー』
半ばパニックになりつつ、破邪札や霊波刀といった武器で応戦するGS達だったが、素早く動き回る老婆らの攻撃に、完全に劣勢に立たされてしまった
「落ち着け!」
霊波の篭った杖で襲い掛かってきた老婆を一刀両断、真っ二つにした師匠が、混乱する弟子達に向かって叫んだ
「んで各自、頑張れ!」
「ぶっ!?」
「ちょっ!」
切羽詰まった状況で間の抜けた事を言う師範に、まじめに何か指示があるんじゃないかと聞いていた弟子達から突っ込みが入ろうとするが
しかし老婆達の猛攻がギャグに入る事を許さない
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
牧街に至っては老婆に組み敷かれ、迫り来る包丁を押さえつけるのに精一杯で、他に構う余裕が無いという有様だ
「ぇえい己等ぁ!もっと頑張らんかぁ!!」
だがそんな圧倒的不利な状況にも関わらず、恐山師範は杖を振るい、元気に叫び、一人大立ち回りを演じている
『ゲ!』
『ケケケ!!』
そんな恐山師範に、老婆達は攻撃を集中し、4〜5体の老婆が師範を取り囲んで素早い動きと包丁で縦横無尽に師匠を攻めてきた
如何に一流GSといえど、この猛攻には苦戦を強いられる
さしもの師匠も老婆の攻撃に喋る余裕が無くなったかと思われた、その時
114 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/11/28(土) 23:40:09 0
「じょれぇえはきぃあ”ぃでぅああああああああああぁ!!」
叫び声と共に、師範のコークスクリューが老婆の一匹を吹き飛ばした
しかし、大振りのパンチだったため隙も多く、そこをすかさず複数の老婆の包丁が斬りつける
噴出す鮮血!しかし、師範は怯まない
「いいか!うんこタレ共!ピンチの時程闘志を燃やせ!除霊は悪霊共に心で負けたらもうそこで幸運の女神に後任すしか無くなんだ!わかったら気合入れろ!カス!!」
決して浅くないダメージを負っているにも関わらず、放たれた師範の叫びに、苦戦していたGS達の目に、闘志が甦っていく
「俺はうんこたれじゃねぇああああああああああああ」
「んなとこで死ねるかぁ!俺には少女漫画家になる夢があんじゃああああああああ」
「ダンゴ虫が家で俺の帰り待ってんだよおおおおおお」

程なくして
師匠の魂の叫びでパワーアップしたGS等により、老婆の群れは何とか退治された
しかし、老婆数匹に逃亡を許してしまい、恐山側の被害も、決して少なくなく
戦闘に参加した恐山流GS7名の内、2人が重態で病院に送られ、3人が骨折など除霊に支障が出るレベルの怪我を負い
自らも手傷を負ったため追撃は不可能と判断した師範は山を一時的に封鎖し
新たな討伐隊を編成すると共に、赤目山の裏にある、歩通ノ山とその向こうの山である、双神山に、それぞれ怪我が軽い残ったGS2人を老婆達の逃走を予想し、警戒要員として派遣する事にした

と言う分で…
>>109

>「ニャコーン 、ようかいきつねこ参上!」
>あ! 野生 の 妖怪 が 飛び出してきた!
「どぅおわああああああああああああああああああああ」
牧街は悲鳴を上げて逃げ出した

双神山にはこの男が派遣されてきた分だが、謎の老婆軍団と戦うにしろ、狐達と戦うにしろ、このヘタレが役に立つかは、全くの未知数……いや…火を見るよりも……

とにかく
突然現れたきつねこにびびり、思わず全力ダッシュで逃走した牧街は、双神山に向かってくるタクシーを発見する
「OHナイスタイミング!へーールプ!へーールプ!」
そして、どう見ても悪霊を倒す人間ではなく、ホラー映画の冒頭で主人公の車に助けを求めるキャラの様に、タクシーに助けを求めていく

>>112
ありがとうございます
そう言って頂けると、もう何よりで何よりで
115 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/11/29(日) 01:32:31 0
>114
ススキを掻き分けて飛び出す影。
>牧街「OHナイスタイミング!へーールプ!へーールプ!」
ドンッ!という音と共にタクシーに軽い衝撃が走った。

「あれ、なんか撥ねたのかな? もしかして…。」
途端に惣介の頭に暗い予感がよぎる。 
狸は車のヘッドライトにすくんでしまう習性があり、よく車に撥ねられるのだ。
もしかして撥ねられたのは……。
慌ててタクシーから降りると、目に入るのは呆然とした表情のジャケットを着た人間の男。
「何だ人間かあ……良かった。」


“車は急に止まれない”という言葉がある。
歩行者に車の注意を喚起する標語だ。
乾いた路面を時速40kmで走っている車は、急ブレーキをかけてもその地点から約8m進む。
もし凍った路面なら、車はブレーキを踏んでからも約41mもの距離を進まねば停止できない。
仮に昨日今日に雪が降っていたら、S県の自動車事故による死亡者数が一人増えていたであろう。
要するに妖怪が現れた時でも、歩行者は決して車道に飛び出してはいけないという話だ。


「カフェさんのお知り合いですか?」
タクシーから降り、かくかくしかじかのやりとりをする牧街とカフェを見守る。
どうやら間一髪でブレーキが間に会ったのか、大した怪我でもなさそうだ。
「へー…牧街さんも凄腕のGSなんだ。謎の老婆軍団なんて、とてもおいし…恐ろしいですね。」
116 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/11/29(日) 01:35:53 0
都会の排ガスに馴れた肺に、山から降りて来る清涼で澄み切った冷気が入り込む。
かくして双神山の入口に着いた一向の前に、ひたすら長い石段が現れた。
「では、行きましょう。この階段は全部で2222段あるそうですよ。」

さすがに霊山だけあって森厳な雰囲気。
石段に足をかけると静電気に打たれたような、微かにピリッとした感覚が背筋を走る。
これは霊気で満ちた場所に特有の現象で、霊能者でなくとも感覚の鋭敏な人間なら感じる事であろう。

赤と黄色に色づいた葉の茂る樹陰が晩秋を知らせ、静謐な空気が山の一切を包む。
ふと見上げれば、何処かより湧き出る霧が山の頂きを霞ませる。
―――端的に表現するとNHKで深夜に放送されている風景番組の様な光景だ。

やがて道はΨ字路となり、行く手が三つに分かれる。
「階段をまっすぐ登ると双見家です。僕は行った事無いけど巫女の一族が住んでるそうです。
そういえば前に大狸様が、双見家は当主がぽっくり逝って後継ぎを誰にするか迷ってるって言ってたなあ。
僕たちから向かって右の道は東峰に続いてて、反対側が西峰になります。」

西峰の入り口からは、林道の奥に鮮やかな朱の鳥居が建っているのが見える。
「僕たちも何度か西峰の狐たちに仕返しに行こうとしたんですけど、
あいつら“惑わしの九つ鳥居”とかいう仕掛けを作ってて、何度行っても迷ってしまうんです。
いきなり西峰に行くのは危険だから、まず東峰の中腹にある“狸大岩”まで行って作戦を練りましょう。
何だかお腹も空いてきたし、あったかい、バ、バ肉鍋も食…ふぇ…べた、た…い…ふぇ…ふぇくしゅ!」

最後の方は、くしゃみで何を言ったか明瞭としない。

「ここからは東峰です。」
四つ辻を右手に曲がると太いしめ縄が檜に張り渡されるのが見え、そこから先が霊獣の領域である事を示す。
石段も途切れており、でこぼこした獣道はハイキングシューズでないと厳しいかもしれない。

無数の青竹が生える竹林まで歩は進み、辺りは一面くすんだ青みの緑。
「ここは、僕たちがよく腹鼓の練習をしている所で“狸囃子の竹林”なんて呼ばれてます。」
言っているそばからポンポコポンポコ軽快な音が聞こえてくる。

「ここまで来れば、もういいや。ずっと人間の姿だと、ちょっと肩が凝るんだよね。」
ボンッ!と煙を上げて惣介の姿が人間から狸に変わり、軽やかに走り出す。
そのまま竹林の中を分け入ると、開けた場所に鎮座しているのは寝そべった狸の形をしている大岩。

「この岩屋が狸大岩です。こう見えて中は八百八十八匹の狸がくつろげるほど広いんですよ。
とりあえず、戦いの前にあったかい鍋でも食べて元気を出しましょう。
化け狸の作る鍋物はとってもおいしいですから、ぜひ食べて行ってください。」
岩屋の中に入ると、たちまち何十匹もの化け狸が現れて忙しく歓待の準備を始める。
いそいそと座布団を出したり、火鉢を持ってきたり、足湯を用意したり、肩を揉んだりもしてくれる。
やがて二匹の狸によって、湯気が立ち上り、芳醇な香りを放つ、何とも美味しそうな鍋が運ばれてきた。
117 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/30(月) 00:13:51 0
>115
>「OHナイスタイミング!へーールプ!へーールプ!」
「牧街殿おおお! 助けに来てくれたのか……感謝するぞ!」
ヘルプの意味を勘違いしているらしかった。

>「カフェさんのお知り合いですか?」
「そうじゃ。父上の恩人でのう。牧街殿が来てくれたからには安心じゃ!」

>「へー…牧街さんも凄腕のGSなんだ。謎の老婆軍団なんて、とてもおいし…恐ろしいですね。」
「おいし……?」

>116
「何だかお腹も空いてきたし、あったかい、バ、バ肉鍋も食…ふぇ…べた、た…い…ふぇ…ふぇくしゅ!」
「馬肉鍋か! 美味しそうじゃのう」

ゴスロリ傘をステッキ代わりにしながら登っていく。
後で馬肉鍋が食べられるかもしれないと思うとやる気がでるものである。

――狸大岩
「おお、極楽極楽」
狸達の歓待を受けてご満悦である。
「うまいうまい」
平然と馬肉鍋を食べている!
118 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/30(月) 00:22:10 0
「美味しいにゃ〜」
カフェと同じく馬肉鍋を美味しそうに食べていた師範であるが、突然箸を止める。
「……にゅ!? 何か来る!」
その数秒後、老婆がよく聞き取れない奇声を発しながら乱入してきた!
『キサマラナニクットンジャケケケ!!』
「馬肉鍋にゃ〜〜!!」
どう見ても逃走した老婆です。本当にありがとうございました!
119 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/11/30(月) 00:24:59 0
>117  ×ゴスロリ傘 ○ロリータ傘 連投ゴメンネ
120 :名無しになりきれ:2009/11/30(月) 01:45:43 O

121 :名無しになりきれ:2009/11/30(月) 09:01:12 O

122 :名無しになりきれ:2009/11/30(月) 21:11:00 O

123 :名無しになりきれ:2009/12/01(火) 11:15:16 O
じゃのぅ
124 :名無しになりきれ[age]:2009/12/01(火) 17:12:11 O
クリスティーヌ?
125 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/01(火) 21:29:44 0
化け狸たちによるGSの歓待。

>カフェ「うまいうまい」
>師範「美味しいにゃ〜」

箸が忙しなく動き、たちまち減ってゆく鍋の中身。
それを見てケタケタ気味悪く笑い、顔を見合わせる惣介と化け狸たち。
「僕たちの作った鍋は美味しいですか?それは良かったです。
でもそれは馬肉鍋じゃないんですよ。馬肉なんて高価な代物じゃありません。その鍋の正体は……。」
次第に声の調子には陰が籠り、鬱々とした響きのものへと転じてゆく。
明かりに置かれた行燈の炎が揺れると、岩屋の壁に化け狸たちの影が怪しく伸びた。

「……その鍋の正体はなぁ婆肉鍋さ!!!」
周りで甲斐甲斐しく世話をしていた狸たちが、一斉におどろおどろしい妖怪の姿へと変化した!
鬼、天狗、河童、鎌鼬にのっぺらぼう、一つ目小僧にその他諸々の百鬼夜行。
今や惣介の姿も3m以上ある岩屋の天井に届く大入道。
「こんなところまでホイホイついて来ちまったのが運の尽きよ。
俺たちは人間だって構わず食っちまう妖怪だぜ?
霊力を持った者を食らえば、俺たちの力はグンと増す!
さあさ、お前らは鍋にして食おか、刺身にして食おか。」

牧街とカフェ、師範の四方八方を妖怪の群れがグルリと取り囲む。
山椒魚に似た妖怪が、真っ赤な長い舌を伸ばして牧街の頬をチロチロと舐める。
カフェの手にしたロリータ傘はバサリと開き、柄の手先を足に変じてピョンピョン飛び始める。
大蜘蛛は糸を吐き、人魂は踊り狂い、生首が転がり回ってケラケラ笑う。

>師範「……にゅ!? 何か来る!」
>老婆『キサマラナニクットンジャケケケ!!』
師範の声に外を見れば、岩屋の入口には謎の老婆妖怪が立ちはだかっていた。
老婆妖怪はギョロリと飛び出しそうな目玉で岩屋の狂騒を眺め、
手にした大振りの出刃包丁をベロリと舐めながら岩屋の入口を塞ぐ。
まるで逃走を試みる獲物たちが飛び込んでくるのを待つかのように。

『ここは自力で切り抜ける所にゃ〜。』
手を貸さずとも大事には至らないとでも思っているのか、
師範は何事も無いかのように落ち着き払って座っていた。
126 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/02(水) 22:44:39 0
>125
「な、なんてことじゃ! とりあえず……逃走ッ!!」

逃げ道を塞ぐように老婆妖怪が現れる。
「ひぃいいいいいいいいいいい!!」
婆肉鍋を食べていた所に老婆妖怪とは偶然にしては出来過ぎてはいないか。
仲間が鍋にされた事に怒っているのだと勝手に思い込み、苦し紛れにトンチキな説得を始める。
「待ってくれ! 鍋を作ったのはきゃっつら! 妾は馬肉鍋だと騙されていたんじゃ!
お主の友達の……そうじゃな、クリスティーヌも鍋にされてしまったぞ!」
苦し紛れの説得だが奇跡的に効果はあった。
老婆妖怪はまだ少し残っている鍋に駆け寄って覗き込む。
「クリスティーヌ! ウウ……ソンナ姿ニナッテ……」
なんとなく展開を見守る一同。
「全員許サンケケケケケケ!!」
老婆妖怪は周囲にいる者に見境なく斬りかかり始めた。
まず最初に、運悪く近くにいた山椒魚の妖怪が綺麗にさばかれてしまった!
「あばばばばばば!! どういうことじゃ? 師匠!」
叫びながらも疑問はしっかり師範に尋ねるカフェ。
「人間同士が戦争するのと一緒。妖怪同士でも仲がいいとは限らないという事にゃ」
そして混乱に乗じての逃走を試みる。
127 :足長おぢさん:2009/12/02(水) 23:57:23 O
チリンチリン

大型自転車が通りますよ

チリンチリン
128 :名無しになりきれ:2009/12/03(木) 12:25:36 0
ケイ?ケイじゃないか!?ミーさんは元気かい?
誰かと勘違いしているようです
129 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/04(金) 18:38:01 0
>>116
「いってて…すんません」
もろ車に轢かれていたのに、いててとかすいませんとか言った程度で済ませ、平然と物語に参加していく牧街
その頑丈さに、轢いた運転手は呆然としていたが、ややあって、大丈夫ですかとおそるおそる聞いてきた

ここから少々運転手との事故の事後処理の話があるのだが、本編と全く関係ない上つまらないので省いておく
結果的に大丈夫だったんだからいいじゃないですかとか牧街が人の良さを発揮し、タクシーも大したダメージも無かったため、何事も無く終わった

良い子の皆さんへ
牧街は凄い鍛えているから車に轢かれても大丈夫なのです
皆さんは車を甘く見ては駄目ですよ、交通安全を守りましょう

>「何だ人間かあ……良かった。」
車の中からの声に、牧街は思いっきりびくっとする
(か…怪人!?もしくは人間をムシケラ程度に思っている類の怪人!?ヤベ、変な妖怪から逃げるのに夢中で余計ヤバイのにあたってもうたか!?)
惣介の発言に、敵の幹部とかが登場する時己の残虐さをアピールするために殺されるキャラになってしまったのではないかとビビル牧街
>>117
>「牧街殿おおお! 助けに来てくれたのか……感謝するぞ!」
と、思ったら、タクシーの中から見知った顔が出てきた
「カフェさんでは無いですか、どうかしたのですか?へ?狐と狸の戦いがあって狐倒すのに協力して欲しい?」
(他所当たってください俺忙しい)
即効でそう言って断ろうとしたところで惣介の背中の少年が、何かこっちにちらっと見せた
「………わかりました、女の子や子供だけを危険にさらしてはおけません、力の限り戦わせてもらいませう!」
先ほどまでのヘタレさはどこへやら
一転して勇敢な態度を見せる牧街
その態度に、喜ぶ惣介とカフェの後ろにいたカフェの師匠が頷いて小切手を懐にしまった
何だか生々しいと思うかもしれないが
牧街が見たのは小切手に良く似たレアフィギアの引換券なので、多分問題ない

とにもかくにもこうして牧街も双神山の騒動に巻き込まれる事となった
130 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/04(金) 19:23:08 0
さて、んでもってとりあえず狸等のアジトに入ってきた牧街
景色は美しく、自然は豊かで、彼の顔は……微妙である
(あー…こーゆーとこに師匠がいないのに来る事になるたぁなぁ…)
どうやら過去にこーゆーとこでヤバイ修行を課せられた事があるようだ
惣介が林の説明で「練習」と言う言葉を使っただけでも、ビクッとしている
車に轢かれても平然としている人間ができるまでの日々は、相当過酷な物だったのだろう

で、ユニークなデザインの岩屋の中で、狸らのもてなしを受ける事となったのだが…
(………そういや狸って雑食だったよな…)
カフェ等と席を同じくした牧街は、馬の肉以外にミミズとか入ってるんじゃないかと一瞬戸惑ってしまう
この辺、ヘタレで臆病な生き物は用心深い
(後で変な病気になったらヤダナぁ…うぇ…)
しかし、横で子供二人(実はどっちも牧街よか年上だが)がもくもく食ってる手前、自分も手をつけないわけにもいかない
おそーるおそる肉をつまんでみて
「ん、上手い」
普通に食べ物の味がしたので、そのまま普通に食べてしまった
この辺、馬鹿な生き物は信じたものを疑わない

ややあって、鍋の中身が全滅し、狸らがケタケタ笑い出した
背筋を冷たいものがすーっと登っていく
>「僕たちの作った鍋は美味しいですか?それは良かったです。
>でもそれは馬肉鍋じゃないんですよ。馬肉なんて高価な代物じゃありません。その鍋の正体は……。」
この辺で、既に牧街は口から泡吹いていた
間違いなくはずれを引いたという核心に、牧街の頭の中は真っ白になっていく
>「……その鍋の正体はなぁ婆肉鍋さ!!!」
一瞬、きょとんとなる牧街
(…うん○の鍋?いや、それならババ(糞)鍋っていうわな)
どういやら、婆の肉の鍋だという事が一瞬で理解できてなかったようだ
しかし、次の瞬間惣介らが一斉に妖怪化したため、我に返って仰天する
「ぉひ………」
ただ妖怪が出るだけならともかく、カフェの持っていた傘まで妖怪化したところから、もう何かとにかくとんでもない状態のようだ
しかも、カフェの同僚らしい少年も妖怪に毒されたのか、何か妙な事を落ち着いて言っている
そんなとてつもない状態に牧街は最早声もでず、即効ダッシュで出口へ向かおうとした、その時
>老婆『キサマラナニクットンジャケケケ!!』
131 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/04(金) 20:21:05 0
例の老婆が岩戸の前に現れたのだ!
驚いた牧街はネズミを見たドラえもんの様に高く飛び上がり、全力で岩屋の壁まで後退する



老婆の行動に注目していた牧街の表情が、少しずつ、冷静さを帯びてきた
>「クリスティーヌ! ウウ……ソンナ姿ニナッテ……」
>「全員許サンケケケケケケ!!」
叫んで暴れ狂う老婆と、それに応戦する妖怪達
しかし、何か足の長い自転車の男とかが出てきたと思ったり、老婆が途中で妖怪の内の一匹をケイさんなどと言って声かけたりと、何だか支離滅裂な展開だ
牧街はため息を一つすると、懐から無線っぽい物を取り出す
それは一瞬うねった後、ガマへと姿を変えたが、構わずに牧街は話し始めた
「師範!こちら牧街、妖怪の群れに取り囲まれました!もう助かりそうにありません!俺に構わず、すぐに砲爆撃で双神山一帯を吹っ飛ばしてください!」
ぎょっとして行動を止める妖怪達に構わず、牧街は通話を続ける
「ナパームも対地ミサイルも使って結構です!穴の中に隠れていようが林に逃げ込もうが構わない程に吹っ飛ばして焼き払ってください!それと山から出てくる奴がいたら全て妖怪です!構わずに発砲し…」
『ちょ、ちょっと、ストップ!待った!』
妖怪の内の一匹が慌てて牧街の言葉をさえぎり、他の妖怪たちの視線がそいつに集まっていく
『く…食わない、お前だけ、助けてやるから、そんな物騒な事は』
「師範!空爆の必要も…」
『ギャーーー!やめて!もうB29はイヤだーーーーーー』
牧街の脅しに悲鳴を上げたのは、なんとあの老婆だった
老婆は慌ててぼんっと音を立てて老狸に変わり、牧街の足にすがりついてくる
『おねげーーーします!爆撃しないで!焼かないデーーーー!』
老狸の態度に、牧街は軽くため息をついてガマになった無線機を懐にしまった
通話状態は最初からOFFになっている
「………砲爆撃何かできませんよ、幾ら恐山GSだって、軍隊じゃないんだからそんな事できません」
牧街の言葉に、老狸は安心したのか、再び老婆に変わり、ぴょんと飛びのいて包丁を構えた
『ケケケケケケ!よくも騙したなGS〜!ワシのこの包丁で貴様の舌を』
「爺ちゃん、もうバレテルよ」
再び勇んで戦おうとする老婆に、切り殺された山椒魚がのたのた近づいて行き、言った
へ?んな馬鹿なと再び暴れようとする老婆妖怪を他の妖怪…いや狸らが押さえつけにかかっていく
「………もう少し人選…いや、狸選に気をつけてください、あんなのに家の道場のGSは遅れを取りません」
自分達が痛手を負わされた妖怪の役に、半分ボケたような老人を選ん事を咎めるために言葉に少しトゲを持たせながら、牧街は3mの巨人に向けて言った

牧街は自分には自信は無かったが、自分の所属する恐山流のGS資格者達の実力には心から自信を持っていた
そのGS達が、あんな半分ボケたギャグ妖怪には絶対負けない
そんな味方への確信が、腕試しだか、追い返しだかという狸達の自分達への化かしを破ったのである

つまり、老婆出してくれたおかげで運よく本来絶対見破れない術を見破ったのだ
132 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/05(土) 00:26:43 0
>牧街「………もう少し人選…いや、狸選に気をつけてください、あんなのに家の道場のGSは遅れを取りません」
「あっちゃー…やっぱりばれてたか。だから僕は止めようって言ったんだけどなあ。」
『何言ってるんだよ。惣介もノリノリだったじゃないか。』
『丸爺しゃんに任せなかったら、成功してた〜のに〜!』
ボン!ボン!ボン!と一斉に妖怪変化を解いて、言い合いになる化け狸たち。

「皆さん済みません…。腕試しなんかをしてしまって。
でも妖孤は危険な妖怪で、その上謎の鬼婆も暴れ回ってるわけですから必要かなあと思って…。
あ…決して途中から化かすのが楽しくなったわけではありませんよ。本当に本当です。」

ぺこりと頭を下げる惣介。
化け狸たちは基本的に悪戯好きな妖怪であり、しばしばこういった真似をするのだ。
たまに度が過ぎて、GSに退治されてしまう狸もいるようではあるが。
「あ…ちなみに鍋の具材も鬼婆妖怪の肉じゃなくて山で取れた雉の鍋です。
いくら僕たち化け狸でも、得体の知れない妖怪の肉なんて鍋にしませんって!
まあ昔話なんかでは婆汁を食べてますけどね………あれはあんまりおいしくないそうですよ。」

「―――ところで謎の婆妖怪の正体っていったい何なんでしょうね?
実体を持ってるみたいだし、悪霊というより妖怪っぽいですけど……うーん。誰か知ってる?」
惣介が仲間の化け狸に問うと、先程河童に化けていた太郎丸が進み出る。
『赤目山の老婆かぁ……あそこの山の主が零落しちまって妖怪になったんじゃないかねぇ?
山姥って妖怪がいるが、あいつらも元々は山の神だしなぁ。
もしかしたら山霊が祠か何かを壊されて怒ってたりするんじゃないかい?』
「うーん。じゃあ赤目山を調べないと分からないね。」

すかさず、他の化け狸より一回り大きい次郎丸が違う違うと口角泡を飛ばして別の意見を述べる。
『いやいや妖狐だよ!奴の手下ならやりかねないって!絶対そうだ!
最近この辺りをうろついてる“きつねこ”っていう狐だか猫だか分からないのが特にアヤシイ!
まったく…化かすだけならともかく、鬼婆の集団に化けて人間を襲うなんて太ぇ奴らだ!
こうなったら、さっそく皆で西の峰に行って全面戦争だ!』
「やっぱり狐たちが化けて暴れてるのかな…?」

ひと際小さい化け狸、九郎丸も話に乗り遅れまいと輪に加わる。
『そういえば三日前に隣山の歩通ノ山で、何かの呪い(まじない)をしてた怪しい奴を見かけた〜でしゅ〜!
何だろうと思って後を付けたけど、すぐに巻かれてしまったでしゅ…。』
「歩通ノ山は霊山でもないし、これといったおかしな話も聞かないけどなあ。うーん。
もし狐の仕業じゃないなら、僕たちだけじゃ手に負えないかも知れない…。
あ…そうだった!こんな時の為に凄腕の専門家の方たちを連れて来たんだった。」

惣介は葉っぱを頭に乗せて、再び少年の姿に変化すると床に手をつく。
「牧街さん、カフェさんにお師匠さん、改めてお願いします。
どうか、この辺りの山で起きている異変を解決してくれないでしょうか?
無事に解決してくれたら、僕たちの宝の金の茶釜を差し上げますので……どうかお願いします!」
133 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/05(土) 23:46:41 0
>131
牧街は見事に狸達の化かしを暴いてみせた!
「すごいぞ、牧街どの!」
鍋も雉だったようで一安心である。
「あの程度を見抜けないとはカフェはまだ修行が足りにゃいにゃあ。
まあ最初の妖怪のボケを引きだしたからよしとするにゃ」
「そういう師匠もちょっと焦っておらんかったか!?」
「き、気のせいにゃ!」

>132
>「牧街さん、カフェさんにお師匠さん、改めてお願いします。
どうか、この辺りの山で起きている異変を解決してくれないでしょうか?
無事に解決してくれたら、僕たちの宝の金の茶釜を差し上げますので……どうかお願いします!」
「うむ、任せるがよい!」
散々化かされた直後だというのに二つ返事なのは、人がいいから……
ではなくきっと金の茶釜の威力が絶大だったのだ。

惣介達の会話をもとに推理をする。
推理といっても、もちろんヲタク的思考を駆使した妄想である。
ヲタは黒幕や第三勢力が出てくる展開が大好きなのだ。
「むむむ、黒幕の陰謀を感じるのう……。
狐と狸に仲たがいをさせ共倒れになるのを虎視眈々と狙っている何者かの!
日本の伝統的な化ける動物は狐と狸が二大勢力だが、実はもう一つある。
化け猫だ! 平成狸合戦ぽんぽこでそう言っておった!
きつねこの正体はねこのような妖狐ではなく狐っぽい化け猫かもしれぬ。
歩通ノ山には猫は住んでおらぬか?」
134 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/06(日) 20:40:38 0
>>132
惣介の謝罪の言葉と、カフェのねぎらいの言葉に、牧街の表情は微妙だ
(アレ…偶然見破れただけなんだけどなぁ……)
自分の力を過大評価されて送られる現場に、ろくな所は無い
下手すれば死ぬ、ソレは嫌だ、嫌過ぎる
「あの…やっぱお」
>まあ昔話なんかでは婆汁を食べてますけどね………あれはあんまりおいしくないそうですよ。」
…牧街の背筋に、再び冷たいものがよぎった
牧街の実力では、この場の狸らが本気出して襲ってきたら、まず間違いなく無残な最期を迎える事となるだろう
そう、彼等は悪魔で妖怪なのだ
迂闊に断ると、どんな目に合うかわからない
そこでここはとりあえず、抜けるタイミングを待つことにする

ともかく話題は赤目山に出現した謎の老婆の物へと移り変わる
>もしかしたら山霊が祠か何かを壊されて怒ってたりするんじゃないかい?』
「いえぇ、その節は師範も思いついて、赤目山のそう言ったポイントを調べてみたんですが、特に異常は見られませんでした、えぇ」
赤目山の基本的な調査は、恐山流のGS達が赤目山についてすぐ、既に行われており
その結果、山の霊や山の霊的ポイントなど、山に元々ある霊的な物に特に異常は見られず
また、赤目山に関係する資料からも赤目山と老婆に関係する記録は発見できなかったため
老婆は赤目山が産み出したものではないという結論が既に出ていた

>『いやいや妖狐だよ!奴の手下ならやりかねないって!絶対そうだ!
「うーん…、いやその説もちょっと違う気がします、そんな事すれば狸の他にゴーストスイーパーまで敵にまわす事になりますから、狐にとってマイナスでしかないと思うんですよ、えぇ」
狐が欲しいのは、狸等の話しを聞く限り、この双神山だ
それならばわざわざ赤目山まで行って人間を襲う理由は無いはずである

ますます敵の正体がわからなくなってきた、その時
>『そういえば三日前に隣山の歩通ノ山で、何かの呪い(まじない)をしてた怪しい奴を見かけた〜でしゅ〜!
「……それは…調べる必要があると思います、ええ」
第三者の登場に、牧街の顔が真剣みを帯びる
ここまでの話を総括すると、あの老婆達はやはり何者かが送り込んだ可能性が高いのだ
その何者かが老婆と関係あるにしろ無いにしろ、絶対に調べてみる必要がある

>「牧街さん、カフェさんにお師匠さん、改めてお願いします。
「あ、えぇ、はい、元々そのつもりで来てまして…」
改まった態度に、元々その事件を解決すべくこっちに来てる牧街は何だか申し訳が無くなり、ぽりぽりと頬をかく
報酬は師範からも出るし、協力費としてカフェの師匠からも小切手を貰う事になっている
この上狸達から金の茶釜を貰ってしまっては、来世でろくな事が無さどうだと思ったのだ
(でも、茶釜は欲しい)
しかし、除霊不能の勿体無いお化けが何匹も取り付いている牧街はそのまま金の茶釜を貰う事を承認せんとして…
「…はい、茶釜は結構です、えぇ、はい」
茶釜を見て、何かを感じたのか、牧街は茶釜の受け取りを断ってしまった
(アレは…無理だ)
金の延べ棒よりずっと大きな茶釜を見ながら、牧街は首を横に振る
何故牧街が茶釜を諦めたかは、この場では伏せておこう。ヒントを言うと、茶釜は純金製だ
135 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/06(日) 21:06:19 0
>>133
しかし、どうやらカフェは茶釜の受け取りを承認したようである
(……カフェさん、意外と…)
その判断に、牧街は少々の間感心したようにカフェを見ていると、カフェはおもむろにとんでもない事を言ってきた

>「むむむ、黒幕の陰謀を感じるのう……。
「心当たりあるんですか!?」
意外、といった表情でカフェを見た牧街は、続く言葉にほうほうと納得する
「なる程…でも、何故双神山を狙う歩通ノ山の化け猫が赤目山で暴れたりするんですか?勝手に狐と狸が戦って消耗したとこ襲えばいいんだし…」
そこで、牧街はあっと声を上げ、懐から無線機を取り出した
「すんません、師範にこっちで起こってる事を報告してきますね」
そう言って、牧街は席を立ち、しばらく外で何事か会話していたが、やがて動揺した様子で戻ってきた
「今、聞いてきたんですけど、こっちに向かった恐山流の老婆討伐チームが、急な別件で来れなくなったみたいなんです。何でも同じ様な老婆が別の山にも現れて、子供がさらわれたとか何とか…。
とにかく、向こうが片付くまで、こっちは我々だけで何とかするしかないみたいです」
慌てている牧街の言葉に、しかし、狸もカフェらも落ち着いている
彼等としては元々自分等で何とかする問題だったので、恐山流の討伐チームなんぞ来ようが来まいが関係無いのだろう
「…あー…」
一人慌てていた牧街は何となく恥ずかしくなり咳払いを一つすると、惣介の方を向いた
「その…双見家の方々にもお話を聞きたいんだけど、今伺って問題無いかな?」
136 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/07(月) 19:45:53 0
>「むむむ、黒幕の陰謀を感じるのう……。(中略) 歩通ノ山には猫は住んでおらぬか?」
何やら始まる陰謀論にざわつく化け狸たち。
「猫かぁ……どうだったかなあ。歩通ノ山にはあんまり行かないし…うーん。
これは歩通ノ山も調べる必要がありそうだなぁ…。
まずは、土地勘のある僕たちの誰かが怪しい物がないかを偵察しに行った方が良いかもしれないね。
半日もあれば一通り調べるには十分だろうけど、大勢でぞろぞろ行ったらすぐに気付かれるし、
偵察に行くのは一人にした方が良いのかな?」

『俺に任せてくれれば、雉にでも化けて空から偵察してくるぜぃ。』
意気揚々と太郎丸が胸を叩く。

『いやいや俺に任せてくれ!見つかりそうになったら地蔵にでも化けてやり過ごすさ!』
葉っぱを咥えて、次郎丸も名乗りを上げる。

『九郎丸はマトリョーシカに化けて潜入するでしゅ〜。任せる〜でしゅ〜。』
甲高い声で主張するのは、すでにマトリョーシカ人形に化けた九郎丸。

『亀の甲より歳の功。この丸爺に任せてつかーさい。
何の変哲も無い路上工事員に化けてれば、婆も襲ってこんじゃろ。』
先程の失敗を挽回するべく、ボケかけた丸爺も立候補する。

「どうしよう……ここは選択を誤ると偵察に失敗するかも知れないけど……そうだ!
誰が偵察に行くかは専門家のGSの人たちに決めてもらおうよ。」
こうして化け狸たちは歩通ノ山偵察の人選ならぬ、狸選をGSたちに任せることにしたのであった。
歴戦のGSたちに任せれば、万が一にも狸選を間違う事はあるまい。
137 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/07(月) 19:48:22 0
>「その…双見家の方々にもお話を聞きたいんだけど、今伺って問題無いかな?」
「双見の人たちは二つの峰の仲裁役ですから狸と狐のどっちとも仲は悪くないはずですけど、
当主を無くして混乱してるでしょうから、力になってくれるかなあ…。
でも何か手掛かりが掴めるかもしれないし、とりあえず行ってみましょう。」

双神山は両峰の頂きが約1500m、中腹の狸大岩が750m、双見家は400m程度の位置にある。
岩屋を出て、やってきた山道を逆向きに東峰を下ると、前方には目にも鮮やかな紅葉。
下方に眼を移せば、木々の間から伝統的な造りの日本家屋が建っているのが見える。
紅葉の中に佇む広い屋敷の周りには茶色や黄色の朽ち葉が絨毯の様に重なり、どこか寂れた印象だ。

「あのー…東の峰の化け狸で惣介と申しますけど、どなたかいらっしゃいますか…?」
時代劇に出てくる奉行所の門や寺の山門を思わせる立派な門の前に立って、呼び鈴を押す惣介。
ギィと音を軋ませて重々しく門が開くと、出てきたのは藍染めの着物に身を包む黒髪の少女。
『始めまして…本来ならこのシナリオのゲストキャラだったはずの双見響子と申します…。』
しかし、出てくるなり小声で何やら意味不明な事を呟く。
『いえ…冗談です…。』
真顔だが冗談だったようだ。

「あのー…最近この辺りの山で起きてる怪異について聞きたいんですけれど…。」
『そうですか…では、立ち話も何ですのでどうぞ中へお入りください…。
家は昔から狐狗狸(こっくり)関係のトラブルを扱ってきましたから…その手の資料には事欠きません。』

双見家の息女は、道すがら家の歴史について話してくれた。
昔むかーし、双見家の開祖様は仲の悪い狐どんと狸どんの争いを仲裁して双見の家を起こしたーそうなー。
開祖は霊山管理の窓口になると、双峰の主の力を借りて動物霊全般のトラブルを解決しておったーそうじゃー。
双見の家はゴーストスイーパーという言葉の無かった時代から続く、退魔や除霊を行ってきた家系であったとさ。

―――ナレーションが日本昔話風なのは気にしてはいけない。

『今、義母が参りますので…少々お待ち下さい…。』
GSたちを何畳もある広い座敷へと通すと案内の少女は下がり、
代わって歳の頃は30半ばぐらいの喪服を纏った女性が現れた。
髪を結い上げた和風の美人で、やや吊りあがった目と口の端が、どこか猫を思わせる。
女は"現当主"の双見玉緒と名乗り、突然の訪問者たちに愛想良く微笑んだ。
とりあえず玉緒に赤目山と双神山の異変について、かくかくしかじかと事情を語る惣介。

『山でそのような事が…本来なら私たちが解決しなければならないというのにお恥ずかしい限りです。
ですが、御当主様が亡くなられて子供たちの中にも家を継ぐだけの霊力に秀でた者はおらず…。
このような苦難の時に牧街様のような逞しい殿方が我が家を訪れて下さったのは、天の思し召しかもしれません…。』
玉緒は、そっと牧街の手に己の手を重ねると黒い瞳を潤ませて、じっと牧街の瞳を見つめる。
『書庫には、何百年分もの記録を収めておりますので手掛かりとなる事もあるかとは存じますが、
何分にも膨大な量ですので、探すには半日は掛かると思います。
牧街様さえ宜しければ、今日はこちらに泊ってお調べになられては如何でしょうか?』
138 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/08(火) 23:02:26 0
>135
>「なる程…でも、何故双神山を狙う歩通ノ山の化け猫が赤目山で暴れたりするんですか?勝手に狐と狸が戦って消耗したとこ襲えばいいんだし…」
「ううむ、なんでであろうなあ。
捜査を錯乱させて真相に気付きにくくさせるため……とか」

>136
歩通ノ山偵察に我も我もと名乗りを上げる狸たち。
「道端にマトリョーシカがおっては不自然であろう。
路上工事員もこの辺にあまりいそうにない。今まで無かった場所に地蔵ができても怪しまれる……。
では太郎丸、お主にたのもうぞ!」
無難かつ面白みのない狸選に落ち着いた。
ちなみにカフェは部下を何人も従えた一流GSではないので、人選はおろか狸選などしたことがない。

>137
やってきました双神家。
いかにもな少女に続いていかにもは美人当主が登場し、事情説明をしていると……
(中略)
なんとも妖しげな雰囲気になってきたではないか!
これはいかん! と思い対抗して魅了の術を発動しようとするカフェ。
が、その気配を敏感に察知した秋葉原師範が制する。
「ここはお言葉に甘えて情報をつかむにゃ!」
表向きは泊めてもらって記録を調べさせてもらおうという意味だが
裏の意味はもちろん、あえて誘いに乗って双見家の正体をつかもうという事である。
139 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/10(木) 19:29:31 0
>138
>カフェ「では太郎丸、お主にたのもうぞ!」
『あいよ、任せな。 明け方に東峰の入り口辺りで待ってるぜぃ。』
カフェの指示に威勢良く声を返す太郎丸。
煙を上げて雉に化けると、狸岩屋の上を一度大きく旋回してビュンと歩通ノ山へと飛んで行く。
「やっぱりGSの人は頼もしいなあ。」
論理的な即断即決に惣介も感心することしきり。

―――所変わって双見家。

最初の挨拶の後は、当主の案内で書庫に通される。
赴く途中の庭には、侵入者の足音を捉えるためなのか玉砂利が敷かれている。
庭の土蔵に造られた書庫の中には、壁一面を埋める本棚とそれに収められた膨大な書物。
ちょっとした公民館の図書室ぐらいの蔵書数はあろうか。
書物の保護のためか中は薄暗くて暖房設備も無く、冷え冷えとして肌寒い。
本の内容は郷土の歴史から双神の家系図や結界の張り方、動物霊の使役法に狸の調理法、小学校の算数まで様々。
特に貴重で無い本も一緒くたに仕舞っているようで、雑然とした感は否めない。
『こちらが書庫になります。私はお食事とお風呂の支度をしてまいりますので、後はごゆっくり…。』
含みを持った声で囁き、しずしずと足音を立てずに母屋へと戻る玉緒。

「済みません…僕はまだ漢字がよく読めないのであんまりお役には立てません…。
そうだ!少し寒いですし、ストーブにでも化けていましょうか?」

―――そんなこんなで日暮れまで時は進む。

母屋では、すでに夕餉と風呂の支度が始まっている。
改めて家の造りを見ると、複雑に組み合わされたの梁が呪術的な結界を形作っていると分かる。
一見普通の家屋ではあるが、さすがに霊的拠点に造られるだけあって霊的な攻撃にも堅牢な造りのようだ。
これでは妖怪が襲撃して来ても侵入は容易ではなかろう。

「あ…牧街さん、師範さん、双見の人たちがお風呂を用意してくれたようですよ。
僕、温泉以外のお風呂なんて初めてだなあ。 人間用のお風呂って狸が入るのはまずいのかな…?」
惣介は初めての場所に来ると、どうにもそわそわとして落ち着きが無くなる。
人間の姿のまま脱衣所で服を脱ぎ、勢いよく檜の湯船に飛び込もうとするところを師範が制止する。
『ダメにゃ。 湯船はちゃんと体を洗ってから入るにゃ。
洗い方がよく分からないなら、ぼくちんが洗ってあげるにゃ。』
「はい……え、そんなところも洗うの…? 何だかくすぐったい。」
『もちろんしっかり洗うにゃ。惣介は随分柔らかいにゃ〜』
「ひゃあっ…。」
『むむむ……そんな端っこで何してるにゃ? 牧街殿も洗いっこに交ざるにゃ〜!』
「うわぁ…牧街さんの体は立派ですね。 僕もGSの修業をすればこうなれるのかなあ…。」

広い浴室の中は、まるで少年誌のお風呂シーンのように湯気が立ち込め、色々なものが見えにくい。
140 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/10(木) 19:30:34 0
―――食事と入浴が済むと来客のGSたちには離れ一棟を丸々あてがわれる。

「部屋の数は1、2、3……いっぱいありますね。」
何百年も続く田舎の名家だけあって、間取りは3LDKだの4LDKだのどころでは無い。

『皆様それぞれにお部屋を用意いたしました。
衾を隔てただけですので、そちらのお嬢様は少し離れた部屋の方が安心かしら?
いえ、腕の立つGSの方と伺いましたもの。 心配はいりませんね。』
カフェの方を見て、クスクス笑うと母屋のほうへ帰って行く玉緒。

陽が落ちると人里からいささか離れた場所にある双神山は真っ暗。
山の夜道など夜目でも利かなければ、到底まともに歩けるものではない。

「何だか双見の人たちは、あまり怪異について詳しく知らないようでしたね。
ところで書庫では、何か成果はありましたか?
実は、じっとしてたら寝ちゃってて…済みません。」
141 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/11(金) 23:08:13 0
>>137
惣介に連れられやってきた双見家は、牧街の想像を絶するとてつもない豪勢なお屋敷だった
「こ…こんなすさまじい御殿に住んでらっさるんれすか?」
恋愛シュミレーションゲームで出てくる程度のレベルの神社を想像していた牧街は、双見家のあまりの大きさに、うろたえまくってろれつが回っていない
小心者の牧街には、双見家はスケールが大きすぎたようだ
入る前から既にがっちんがっちんである
(や…やっぱここはカフェさんに任せて俺は別の…)
やがてヘタレな考えが湧き出し、逃げ出そうかななどと考え始めるが、時既に遅く、惣介が呼び鈴を押してしまった

>『始めまして…本来ならこのシナリオのゲストキャラだったはずの双見響子と申します…。』
「ひゃ…ひゃじめましで、恐山流除霊道じょー三段、牧街モリオともーします!え、えぇ、メ、メメメメインキャラをやらせていただきます、はい!えぇ!///」
高級な雰囲気と清楚な美人の登場に、尋常じゃ無いほど緊張している牧街は、響子氏の冗談に本人も何言っているかわからない感じで返答する

普段むさくるしい中(恐山流除霊道場)にいる健全な魔法使い候補の男子である牧街には、山奥で和服の美人と会話するなど、それだけで真っ赤になってガチガチに緊張するレベルなのだ
ちなみに、カフェは牧街には子供に映っているため、誘惑でもしてくれば赤くなるやもしれないが、普通に会話してる分には別に何てことは無い

しかし、流石にそこはプロである
話が双見家の創設等に切り替わると、そこそこ真面目な顔へと切り替わった
(山の主に力を借りれるほどの霊能力者だった…って事かぁ〜、どーりで家が素晴らしいわけだ)
しかし、御伽話になる程の偉大な先人に、昔の人は偉大だったんだな〜っと素直に感心する程度で、別段そこから何かを読み取ったりは出来ない
この辺り、3流である

やがて通された牧街のアパートの部屋が二つほど入りそうな和室で待っていると、何だかキレ物な雰囲気を漂わせる”現当主”の美人が入ってきた
美人、玉緒さんは牧街等に愛想よく微笑むが、微笑み返す牧街の顔は、少し引きつっている
(び…美人だ…住む世界が違いすぎる……)
気高い人間に遭遇する事が希有な彼にとって、玉緒さんはまさしく雲の上の存在に見え
彼は今とんでもなくうろたえていた
惣介の玉緒さんへの説明が、右から左へと飛んでいく
(こげなとこで俺に何しろってんだぁ〜…双見家行こう何て言うんじゃねかったよ。もっとこう、小さな神社みたいな奴だと…)
ぐるぐる思考が渦巻き、うろたえるばかりで何も情報収集できていない牧街
とそんな牧街の手に、何か冷たい感触が触れた
>苦難の時に牧街様のような逞しい殿方が我が家を訪れて下さったのは、天の思し召しかもしれません…。』
(!!???)
ソレが玉緒の手だと認識した瞬間、牧街の顔は赤くなり、思考はとにかく大パニックになる
彼は女性に手を触れられ、んでもって頼りにされるなどと言うシュチュエーションに、今だかつて遭遇した事は一度も無かった
しかも相手が高貴で美人なご婦人とくれば、テンパってしまうのも無理は無い
>牧街様さえ宜しければ、今日はこちらに泊ってお調べになられては如何でしょうか?』
「へ!?あ、じゃあ…」
>「ここはお言葉に甘えて情報をつかむにゃ!」
そして、あんまりテンぱっていたため、大事な台詞を後ろのロリ爺にとられてしまった
142 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/12(土) 00:42:37 0
そして、一向は玉緒直々の案内でだだっ広い書庫へと案内された
(こ…この書庫…俺のアパート何部屋分位あんだろう…)
書庫の広さと、そこに貯蔵される莫大な量の書物に、牧街は素直に感心し、同時にそれから必要な情報を調べねばならないという事に、多少気が遠のいてしまう
(…でもなぁ…調べるって言っちまったし…)
ぽりぽりと頬をかきつつ、どうしたもんかと棚を見れば、そこには小学校の算数やら理科やらといったこの場に不釣合いな物が納められている
(…………あぁ、誰かが子供の頃のをここで保管してんだな)
またここで、物を大切にしてるんだなぁと感心してしまう

そして始まった情報収集
しかし、どの書物をめくっても、狐と狸に関する書物はあるが、猫や老婆に関係する物は発見できない
更に、書かれている書物は古い物が主なため、古文など全くやっていない牧街には何書いてあるかもわからない物も少なくなかった
かくして残念ながら、牧街は書物から何ら有用な情報を得ることは出来ず
あっという間に日は暮れてしまうのだった

「え!?ふ…風呂、用意してくれるんですか!?」
ここ数年、旅館等に一切縁が無かった牧街は、他人が用意してくれた風呂と言う物にもまたうろたえる 
大して役に立たない事は明白なのに、風呂など借りて、全てが終わった後何か色々言われるのではないかとびくびくしていた牧街だったが
せっかく用意してくれた物に入らないというのは悪い気がしたので、おずおずと風呂へと入って行った

>『もちろんしっかり洗うにゃ。惣介は随分柔らかいにゃ〜』
>「ひゃあっ…。」
そんな牧街の苦悩など露知らず、子供達は騒ぎまくっている
(うう…責任を受けない立場の連中はいいなぁ…)
カフェの師匠が牧街よりはるかに年上だなどと全く知らない牧街は、はしゃぐ二人に何だか大人気ない事を考えてしまった
流石小心者
>『むむむ……そんな端っこで何してるにゃ? 牧街殿も洗いっこに交ざるにゃ〜!』
「へ?あぁ、はいはいはい」
そんな事を考えていたところ、カフェの師匠からお呼びがかかったたため、牧街は師匠の後ろに来て座り、背中をスポンジで洗ってあげる
>「うわぁ…牧街さんの体は立派ですね。 僕もGSの修業をすればこうなれるのかなあ…。」
カフェの師匠の背中を流していると、惣介が牧街の体を見ながら感心しながら褒めてきて
褒められなれてない牧街は何だか照れてしまう
「えぇ?あー……いや、俺の同期ってもっと凄いのい……」
照れながら謙遜し、視線を全裸の惣介に向けて…
牧街は硬直する
「…………大変、立派な物をお持ちですね」
「何がです?」
「…いや…なんで…」
「それよりもっと洗うにゃ」
「あ、はいはい……」
べらぼうなサイズの立派な物に対する一瞬の硬直の後、再びカフェの師匠の背中を洗いだした牧街は、ふと
ずっと気になっていた事がある事を思い出し、師匠へと打ち明けてみる事にした
「そう言えば師匠さんってカフェさんの師匠さんなんですよね?お二人はどんな風に知り合ったんですか?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その後、食事の席で牧街が何日かぶりのまともなごはんに感動した後、再び牧街のアパートの一室数部屋分の部屋へ通され、そこで就寝と言う事となった
(しっかし…べらぼうだなぁ…。やっぱいつの時代でも儲けられるGSは儲けるんだなぁ…)
その部屋の広さに、またしても大きく感心する牧街
本日はこんなのばっかりだ

>いえ、腕の立つGSの方と伺いましたもの。 心配はいりませんね。』
そう言ってクスクス笑い去っていく玉緒に、牧街は少しびくっとなると、近くにいた師匠に耳打ちし始める
「ここ、GSが固まっていると襲っている妖怪とかでるんすかね?」
そういう知識に関しては、牧街はほぼ初心者だ

>ところで書庫では、何か成果はありましたか?
惣介の質問に、牧街の表情が渋くなる
「いや…何と言うかその…古文とかやった事無くって…」
あてにされているだけに、恥ずかしいのか、牧街はぽりぽりと頭をかきながらそう言った
143 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/13(日) 23:06:58 0
>139 142
>『こちらが書庫になります。私はお食事とお風呂の支度をしてまいりますので、後はごゆっくり…。』
足音を立てずに去っていく当主。カフェは小声で師範に話しかける。
「師匠、ほんの少しも足音をたててないぞ」
「やはり気付いたにゃか。油断大敵にゃ」

>「あ…牧街さん、師範さん、双見の人たちがお風呂を用意してくれたようですよ。
僕、温泉以外のお風呂なんて初めてだなあ。 人間用のお風呂って狸が入るのはまずいのかな…?」
>「え!?ふ…風呂、用意してくれるんですか!?」
「そうか。では皆は先に行って参れ。妾はもう少し調べておくぞ」

一人で文献調査中に重要文献にヒットした……かもしれなかった。
「むむ!? 猫の挿絵が書かれておる」
が、カフェはババア口調をしているといっても特に古文に詳しい訳ではない。
化け物並みに昔から生きているとかいう噂の師範なら解読できたかもしれないが運悪くお風呂中。
「良く分からんのう……まあ良いわ」
他に猫が出てくる文献もないしどうせあまり大したことは書いてないだろうと、まあ良いわで流されてしまった。

―――――
一方お風呂タイムの師範
>「そう言えば師匠さんってカフェさんの師匠さんなんですよね?お二人はどんな風に知り合ったんですか?」
「そんなドラマチックな出会いを期待してはいけにゃいぞ。
秋葉原でちょっとした除霊をしていると通りすがりの一般人が加勢してきてくれたにゃ。
ぼくちんはその人に凄まじい素質を感じた。そう、彼女こそがカフェだったにゃ。
聞けば今流行りの家業手伝いという名の“大卒”ニートだというんで早速入門。
後に昔悪霊を壺に封印した偉大な霊能力者の子孫だという事が分かり
そのせいか上達が早くメキメキ力を付け……どうしたにゃ?」
―――――
144 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/13(日) 23:20:01 0
牧街達が出てきた後、風呂に入って出てくるカフェ。
もちろんいつも通り見た目は中学生である。
様々な仮説がある中で、特殊メイクで化けているという説はここに抹消された。
残る説は天然童顔か、はたまたキャラ演出のための若づくりという無駄な方向に霊力を使っているのか!?
「牧街殿、そんなにジロジロ見てどうしたのじゃ?」

その後豪華な夕食でもてなされる。
「御馳走様であった!」
最初の警戒はもはやどこかへ吹き飛んでしまい、ご満悦だ。

>140 >142
>『いえ、腕の立つGSの方と伺いましたもの。 心配はいりませんね。』
「うむ、牧街殿なら心配ない!」
どっちの意味かは謎である。

>「ここ、GSが固まっていると襲っている妖怪とかでるんすかね?」
「フフフ、出るかもしれんにゃ〜!」
牧街をおどして遊び始める師範であった。

>「ところで書庫では、何か成果はありましたか?」
>「いや…何と言うかその…古文とかやった事無くって…」
「特にないのう……」
猫の挿絵の事はもうすっかり忘れていた。

「ぼくちんはもう少しだけ文献調査をしてから寝るにゃ」
師範は一人で書庫に向かう。
一方、カフェは不思議なほどすぐに寝ついてしまった。

再び一方文献調査中の師範。
「ふあ〜。眠いにゃ……。まさか夕飯の中に睡眠薬が!?
見た目の豪華さにつられてつい食べてしまったのがいけなかったにゃ!
ん? 猫の文献が一つだけある!
……一つだけという事は情報を隠すために猫関係の文献を撤去して一つ隠し忘れたにょでは!?
まさか……あの美人当主は化け猫で本物の当主はどこかに閉じ込められてりゅのでは!?」
ヲタ思考で妄想が際限なく広がっていく。
「みんなが危ないにゃー!!」
皆が寝ている場所へと駆けだす師範。
ふざけて牧街をおどしていた言葉が現実となってしまうのか!? 真相やいかに!?
145 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/14(月) 21:25:33 0
>牧街「いや…何と言うかその…古文とかやった事無くって…」
>カフェ「特にないのう……」
「そうですか…特に手がかりも無いようですし、明日に備えてもう寝ましょう…。
太郎丸も朝一番に連絡するって言ってたし…ええと、僕の部屋はこっちですね。」

ぺこりと一礼する惣介。
「じゃあ皆さんおやすみなさい…。」
眠そうに目をこすりながら、よたよた歩いて衾を開けると隣の部屋の布団に転がるように倒れる。
布団はふかふか―――もちろん高級品で京都の老舗が扱う羽毛布団である。
惣介はそのまま柔らかい布団にずりずり潜り込むと、すぐさま寝息を立て始めた。

―――深更。

牧街が、ふと目を覚ますと目の前には玉緒の顔。
玉緒が閉めたのか、部屋の衾は閉まっている。
『お疲れのところを起こしてしまい、申し訳ありません…。
ですが、私は牧街様を一目見た時から双見の家を任せられる方ではないかとお見受けしていました。
この双見の家には跡取りが必要なのです…家督を継ぐに足る牧街様のような優秀な霊能力者の殿方が…。』

玉緒の顔が近づき、良い香りが鼻孔をくすぐる。
蘭麝のような甘い吐息は、思考を痺れさせるかのよう。

『どうか私に牧街様の事をもっと教えてください…。』
玉緒は下ろした髪を掻き上げ、あるかなしかの微笑を浮かべて牧街の耳元で囁く。
吸い込まれそうな黒い瞳が、窓から入りこむ月の光に揺れる。

ひんやりした部屋の中は、静かで虫の音すらも聞こえない。
ただ、己の微かな心臓の鼓動が聞こえるのみ。

―――はたして、このまま18禁な展開になってしまうのか!?


「う〜ん…もう食べられないよ…。」
衾一枚先のやりとりは、一切の音を遮断されているかの如く外側には聞こえてこない。
もっとも、さっきの豪勢な食事の夢を見ている惣介には大きな音を立てても気付くまい。
口の端によだれを垂らしながら、大の字になって寝ているのであった。
146 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/16(水) 23:52:45 0
>145
我らの牧街が大変な事に!
残念な事に、この事態を打開できる能力持ちのカフェは
隣の部屋で起こっている事等露知らずのんきに寝ている。

(大丈夫にゃ!?)
カフェの部屋に駆け込む師範。が、この部屋では何も起こっていない。
「ふぅ、気のせいみたいにゃ」
が。
(りゅ?)
師範は隣の部屋の異質な気配に気づいた。
衾にほんの少し開いていた隙間から隣の部屋を窺う。
「!?」
助けに入る……と思いきや。
(面白いからもう少し様子を見るにゃ〜)
147 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/17(木) 21:06:35 0
「へくしゅっ!」
静かな部屋にくしゃみが響く。
惣介の部屋の隅では、くしゃくしゃに丸まった高級羽毛掛け布団が畳の上で冷たくなっている。
おそらく寝ている内に惣介が蹴り飛ばしてしまったのだろう。

「何だか、したくなってきちゃった……。」
寒さで目を覚ましてしまった惣介が片手で目をこすり、
もう片方の手ですっかり冷えてしまったお腹をさする。
今は人間の子どもに変化しているので当然膀胱も小さい………お腹の中は、かなり切迫した状況である。
それを解消するべく起き上がると、衾を開けて半分寝ぼけ眼のまま部屋の外へと出た。

「厠、厠……厠はどこだろう……庭にしちゃダメなのかなあ…?」
夜風が冷たい。廊下も長い。早く寝床に戻りたい。眠い。
惣介の頭に一瞬で様々な考えがよぎる。
「ここでいいや……。」
惣介は庭の茂みに近づくと、手早く用事を済ませてしまう。

「え〜と…どこの部屋だったっけ……ここだったかな?」
さて、すっきりした所で元の部屋に戻ろうとするのだが、少々寝ぼけている上にたくさんの似たような部屋。
どこが誰の部屋だったのやら分ない……どうしよう?
が、まあ別に部屋を間違えても寝てる人を起こさなければ良いかとすぐに思い直して適当に衾の一つを開ける。
すると、そこには暗い部屋の中で衾に顔を当てて隣の部屋を覗き見している師範の姿。

「何をしてるんですか………わあっ。」
こんな夜中にこっそり何を見ているんだろう? むくむくと湧き上がる持ち前の好奇心。
師範が覗いてる衾に近づくべく暗い部屋を横断すると、
うっかり途中で熟睡しているカフェを踏んづけてしまった!
148 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/18(金) 00:01:03 0
>147
「ぎゃん!」
踏まれてさすがに飛び起きる。
「惣介どのか、さては妾に添い寝してほしくて来たな……ん?
師匠、何をやっておるのじゃ?」
師範と同じように衾の隙間からのぞく。
「何をぼーっと見ておるのだ! 大変ではないか!」
「面白いからつい……」
もうとっくに会話が向こうの部屋に聞こえてそうである。
ばーんと衾を開ける。
「おにいちゃん! そんな事をしたらチハル許さない!」
十八番の魅了の術だ!
ちなみにチハルというのは牧街の実在の妹の名前だが、カフェはいまだに二次元の妹だと思っているかもしれない。
149 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/18(金) 21:58:59 0
>>144
>「そんなドラマチックな出会いを期待してはいけにゃいぞ。〜
「……」
師範の応答に、牧街の動きが止まった
>……どうしたにゃ?」
「あ、すんません」
しかし、背中を洗う感触が消えた事に反応した師範の声に、すぐに正気に戻り、腕を動かしだす
その表情は……

…さして変化無い

しばらくして
>「牧街殿、そんなにジロジロ見てどうしたのじゃ?」
「いや…、すんませんでした」
風呂から出てきたカフェに、牧街は唐突に謝った
頭の上にハテナマークが出ているカフェを、不憫な少女を見る目で見つめた後、もう一度頭を下げ、歩み去る牧街
(今まで…身長とか童顔とかそういう事で散々子ども扱いされて苦しんできてたんだろうな…)
そして心の中でこれまでの彼女への態度を反省し始める
どうも牧街にはカフェの童顔や背の低さが彼女のコンプレックスになっているものだと勝手に考えたらしい
(女性の年齢を聞くまいと配慮してたのが裏目に出たな…。これからは同期のGSとして、変に子供扱いして気を配ったりしないようにしなければ)
そう言って、何か納得する馬鹿一名。
これも又なんかひと悶着ありそうである。
150 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/18(金) 22:39:10 0
>>144
さて夜中
>「フフフ、出るかもしれんにゃ〜!」
「そー言う時は出ないっていいませうよぉ〜〜、えぇ」
ちゃかす師範に、本気でビビり、眠れぬ夜を過ごすかと思いきや
昼間の老婆との交戦の時の疲れからか、思ったよりも簡単に寝付いてしまう
元々、眠るのは大の得意だ。



しかし、その夜、牧街にとって妖怪の襲撃どころでは無い程の大事件が起こる。



深夜
牧街がふと、目が覚めると、そこに女性の、しかも美人の顔があった。


……………
……        思考停止中            ……
……


(!あ、そ、そうだ!玉緒さんだ!玉緒さん!)
状況に頭が追いつくのに暫くかかったが、やがて目の前の人間が誰か思い出し、現状を認識する牧街
途端焼肉が焼けるのではと言う程、顔が真っ赤になる
昼間何だか気のあるそぶり的な何かを見せた人が夜中に寝室に入ってきているのだ
今まで汗臭いところに(以下略 とにかく牧街に勘違いさせるんい十分すぎる威力を持つ行為である
(い…いや、待て!これは罠だ!罠に違いない!)
しかし、そこはヘタレだ、怪獣出現と同時に出動する防衛軍が如くすぐさま警戒心が働き、煩悩の暴走を食い止め、物事をネガティブな方向へと導いていく
だが、事が事だけに、今回はいつもよりヘタレさにキレが無い
何故なら今回は心から罠であって欲しくないからだ!

====牧街脳内世界====
理性司令部『緊急事態!緊急事態!かつて無い強大な欲求が出現しました!全理性は総動員体制で欲求の殲滅に当たってください!繰り返します!全理性は戦闘態勢に以降!』
理性隊長「今回はいつものワカサやメイヨヨクだけでなく、ボンノウまで出現しているという情報だ!各員全力で目標の殲滅に当たれ!」
理性達「了解!!」
……

理性A「おい…果たして今回の戦い、俺達は本当に正しいのかな?」
理性B「ふっ、何言ってやがる、やらなきゃ俺達の世界が滅び去るんだ」
理性C「そうだぞ理性A!この世界は牧街だ!こんな事、まず起こりえないんだよ」
理性B「そうさ、大体、まだソウイウ展開になると決まったわけじゃない。何か怒られるだけだって可能性もあるんだ」
理性A「そうか…そう…だよな…」
==============
151 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/18(金) 23:20:20 0
湧き上がる興奮が、総動員された理性で一応の鎮圧をされるのに、0,1秒
とりあえず衝動に駆られていきなり飛びつくのを理性が抑えたところで、玉緒が語りだす

>『お疲れのところを起こしてしまい、申し訳ありません…。
>ですが、私は牧街様を一目見た時から双見の家を任せられる方ではないかとお見受けしていました。
>この双見の家には跡取りが必要なのです…家督を継ぐに足る牧街様のような優秀な霊能力者の殿方が…。』
そう言って、玉緒が牧街へと近づいてくる

====牧街脳内世界====
ドガーーーン!ドガーーン!!
理性A「鼻腔からの攻撃がセイヨクに直撃しました!!各ブロックからジョウドウがあふれ出しています!」
理性B「顔面、更に炎上!!」
理性C「各ブロックにヤリタイショウドウが発生しはじめました!このままでは下半身に影響が!」
理性隊長「オチツケを連射後、こちらの切り札であるワナダとゲンジツヲフリカエルを発動させろ!早く!!」
=========
(お…落ち着け!落ち着くんだ!俺、オチツケ!モチツケ!そうだ!俺の様な三流がこんな風に素晴らしい評価を受けるわけが無いじ)

>『どうか私に牧街様の事をもっと教えてください…。』




======脳内======
ズガーーーン!チュドーン!チュドーーーン!
理性C「ギャアアアアアアアア」
理性B「み……耳から至近距離で攻撃を喰らいました!下半身、完全に反応!硬化を開始しています!理性α、γ、Δ、ε隊交信途絶!」
理性隊長「く…駄目だ!世界が…世界が崩壊していく」
ボンノウ「愚かなるドウテーの僕、理性の諸君。諸君には我々が築く新世界のためにここで滅び去ってもらう。」
理性隊長「よ…よせ!お前のしようとしている事は、ただ世界を滅ぼすだけだ!」
ボンノウ「フン、五月蝿いわぁ!」
理性隊長「ギャアアアアアアアアアアアアアア」
ボンノウ「フハハハハハハ、遂に私が求めていた新世界がやってくるのだ!さあ!セイヨクよ!このボンノウの導きに従い、この薄汚い世界を浄化していくがいい!」
=======================


「         は          i「おにいちゃん! そんな事をしたらチハル許さない!」 」

強大なるセイヨク使い、ボンノウの前に理性が全滅し、牧街が後先考えずとりあえずやってしまいそうになった、その時
衾をバーーンと開き、小さな救世主が現れた!
「チ…チハル!?何故ここに」
唐突で突然の妹の登場に、心底驚く牧街
===脳内===
ボンノウ「ぐう!コンランの嵐が起こりおって上手くセイヨクがコントロールできん!…こ…こんなはずでは…」
=======
「へ!?何?どっきり?どゆう事?」
これから新たな世界へ旅立とうとしていた牧街は、チハルの奇襲に完全に大混乱し、ただただ泡を食うばかりとなる

そらそうだ、浮気しようとしたり、思い人を乗り換えようとしていた時ならともかく
既に彼氏ができ、間違っても禁断の愛へと発展するような事がないはずの妹が過ちを犯そうとしてる場に現れたのだ
弁解するだとか、自分を試そうというテストだったとか思う以前に、ただただ分けがわからないだけである
152 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/19(土) 21:52:09 0
今しも玉緒が牧街の服を脱がしに掛かろうという、その瞬間。

>カフェ 「おにいちゃん! そんな事をしたらチハル許さない!」
突然勢い良く開いた衾とカフェの声に、牧街の隣に居た玉緒も耳と尻尾が飛び出すぐらいに驚いた。
いや…本当に頭から、ふさふさとした黄色い耳が飛び出してしまっている。
「あ、あれは………妖孤です!」
『くっ…あと少しで陽の気を吸えた物を………とんだ邪魔が入りましたか…。
久々の男に私ともあろうものが、つい目が眩んでしまうとは…。
やはり、大狸を出し抜くために八年も化けっぱなしでいたのが仇になったようですね…。』
玉緒の黒い着物が翻り、瞬く間にその姿を八つに分かれた尾を持つ大狐へと変える。
ちなみに狐は陰性の生き物であり、自分では変身するための気を作り出せない。
そのために陽の気を持つ人間の男性から精気を吸い取らねばならないのだ。

『私が大狸めを出し抜いて双神山両峰の主となり、山の全ての霊力を自在に扱えるようになれば、
禍津醜女(まがつしこめ)共も楽に封じる事が出来ようものを……。』
頭が天井にも届こうかという巨大な体躯の化け狐は、一同を見下ろすと口の端を引き攣らせて苦々しく呟く。

「カフェさん、やはり妖孤が黒幕だったんです!早く退治しましょう!」
すかさずボンと煙を上げて、惣介が明治や幕末の時代に使われていたような古めかしい大砲に変化する。
惣介は近代兵器の知識には疎く、武器も他の古狸が変化した物しか見た事がないので武器の古めかしさも致仕方ない。

「牧街さんが危ない!さあ、早く!火打石で僕の後ろに付いてる火縄に点火してください!」
牧街は怪狐の足元、このままでは食べられてしまうかも知れないと思った惣介がカフェに攻撃を促す。
153 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/20(日) 23:13:03 0
>151-152
>「へ!?何?どっきり?どゆう事?」
術が功を奏し牧街は正気に戻ったようだ。
>「あ、あれは………妖孤です!」
>『私が大狸めを出し抜いて双神山両峰の主となり、山の全ての霊力を自在に扱えるようになれば、
禍津醜女(まがつしこめ)共も楽に封じる事が出来ようものを……。』
「禍津醜女……まさか!」

>「カフェさん、やはり妖孤が黒幕だったんです!早く退治しましょう!」
カフェは何かに気づいたようで、妖狐に語りかける。
「お主、老婆妖怪を封じるために狐と狸を統一させようとしておったのであるな……!」

>「牧街さんが危ない!さあ、早く!火打石で僕の後ろに付いてる火縄に点火してください!」
「ほいっ、ライターにゃ」
カフェは師範が渡してきたライターを見つめながら迷う……
……と見せかけて案外サクッと火縄に火をつけた!
「いくら山を守るためとはいえ暴力で屈服させようなんぞ愚の骨頂!
少少お仕置きせねばならぬ! 惣介殿、いくのじゃあ!」
154 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/22(火) 21:54:33 0
>カフェ「お主、老婆妖怪を封じるために狐と狸を統一させようとしておったのであるな……!」
ビシッと指摘するカフェに妖狐が鷹揚に頷く。
『その通り………まずは聞きなさい。
歩通ノ山には、黄泉に繋がる通路の一つが有るのです。
そもそもは三百年前、時の大名が霊果を盗まんと黄泉の封じ岩を動かしたのが事の始まり。
黄泉にしか生らぬこの果実、非時香菓(トキジクノカグノコノミ)は、
一つ食せば永遠の若さと溢れる霊力が得られるとか……。
権力を得た者が次に求めるのは若さ。
秦の始皇帝然り、エジプトのファラオ然り、古代ローマの歴代皇帝然り。
しかし、結局大名の手勢たちは黄泉の霊や悪鬼たちに追い返されて、霊果を得るは叶わず。
そして―――命からがら地上に逃れた者達が封じ岩を戻す際、岩に一筋の亀裂が入ってしまったのです。
双見の開祖はそれを案じ、霊力によって双神山と赤目山の霊脈を繋げて、
その中途にある歩通ノ山に山全体を封じるような巨大な霊的結界を―――。」

>カフェ「―――惣介殿、いくのじゃあ!」
「はい!」
時代劇などでは悪事が露見した悪役は、ぺらぺら自分の悪行を喋り、
善玉はそれを聞き終わってから、口上を述べて刀を抜くというのが定番である。
だが……かつて双見の開祖という一流の退魔師と共に一流の妖魔、悪鬼の退治に明け暮れていた妖孤は、
3流GSのやり方―――余りその辺りの様式美を重んじないというのを計算に入れていなかった。

『ぎゃあぁぁぁっ!!』
轟音と共に大砲から発射された砲弾が、妖孤の頭に直撃!
一声、大きく悲鳴を上げると妖孤はドサッと畳みの上に伸びてしまった。
妖孤とて霊山の主である以上、まともに戦えばかなり危険な相手。
その実力において遥かに上回る妖孤が敗れたのは、形式を重んじたのが原因であった。

「悪辣な妖孤も懲らしめて、これで全て解決ですね!皆さん有難うございます!
僕、何だかエンディングテーマまで聞こえてきちゃいましたよ。」
『こ〜ろせ、殺せ、こ〜ろせ、殺せ、み〜なご〜ろ〜し〜♪』
風に乗って聞こえてくるのは、地獄の底から響くような低い呻き声。
「さあ、一緒に歌いましょう!コ〜ロセ、コロセ、ミ〜ナゴ〜ロ〜シ〜♪」
155 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/25(金) 00:07:18 0
「待て待て! ちと気が早いぞ。まだ老婆妖怪が解決しておらぬ」
カフェは師範と共に、急いで妖狐を縛りながら言った。
また暴れ出したら大変なので念入りにぐるぐる巻きにする。

「今の話から推測するに歩通ノ山の黄泉への通路が開いてしまって老婆妖怪が出てきたのであるな」

先程妖狐は8年も化けっぱなしだったと言っていたので本物がどこかに閉じ込められているなんてこともないだろう。
おそらく妻として潜入して当主が死ぬのを待っていたのだ。
双見家は有力な跡取りがいないため、これから狐と狸は双見家無しでやっていかなければならない事になる。
カフェは老婆妖怪問題を狐と狸が力を合わせて解決するという一石二鳥の作戦を思いついた。

「惣介殿、皆殺しにしたいのも分かるが老婆妖怪は狐以上に強大な敵とみえる。
封じるには双神山の両峰の霊力を使う必要があるらしいぞ。
そのためには狐の協力が必要じゃ!
狐どもを皆殺しにしたとて老婆妖怪に滅ぼされては本末転倒であろう。
大狸様と共に結界再形成にあたってもらおうではないか!」
156 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/26(土) 01:21:46 0
玉緒に迫られたと思ったら突然チハルが現れ、そうかと思ったら玉緒が妖狐に変身し
呆気にとられる間もなくチハルがどこからか現れた大砲の一撃で事件の概要を語ろうとしていた妖狐を倒してしまい
仕舞いには老婆の物と思われる不気味な声が歩通の山の方から(いや双神山の狐側か?)聞こえてき始め、惣介がそれに合わせて楽しく歌いだし、チハルが見知らぬ子供と妖狐をぐるぐる巻きにしてしまった

「よし!夢だ」
それらの光景を呆然と見ていた牧街は、一つコクンと頷くと、すぐに布団に戻り、目をつぶって眠り出してしまう
あいかわらずの現実逃避スキルの高さを発揮し、牧街が騒がしい中で普通に深い眠りにつこうとした
その時
彼の精神を現実に引き戻す正義の雄叫びが無線の向こうから轟いてきた

『牧街!応答しろ!一大事だ!!』

そのたった一声で、今まさに深い眠りにつこうとしていた牧街は陸に上がった魚の様にびくんと布団から跳ね起きて傍にあった無線を素早く手に取る
「こちら牧街!何があったんすか?師範!」
『単刀直入に言う、歩通の山に突如黄泉とのゲートが出現した!例の婆や雑霊がそこから次々と現れ、双神山及び赤目山…いや、その向こうの月見ヶ原市街地目指して進行中だ!』
「え!?黄泉の入口が完全に開いて老婆の軍団が歩通の山から現れ、双神山と赤目山に向かってる!?」
突然の緊急通信に、牧街の顔が青ざめる
青ざめながらも師範の言葉を何だか説明っぽく反芻しているのに突っ込んでいる場合ではない
もし老婆が雑霊の群れを引き連れて月見ヶ原市街地に侵入すれば、多くの犠牲者が出てしまうだろう
いや、その前に双神山にいる牧街は間違いなく老婆に…
「な!ななな…何で突然そんな大それた事になるんですか!今聞きましたけど歩通の山の穴は封印されてるはずだし、第一例の老婆が出てきてるって言われてる穴だって亀裂程度の大きさだって…」
自らの死に直面した牧街は、めちゃくちゃうろたえながら師範にそれが何かの間違いである事を願いながら尋ねるが
『確かに、今日の夜、発見された時までは亀裂は微々たる物だった…。しかし、今さっき突如「内側から」更なる負荷がかかり、封印が崩壊した。』
その返答は揺るがない
「け…結界の内側から封印に負荷がかかったって…何ですかそれ!そんな事が起こるなら、何で今まで…」
『第一に、亀裂のために完全な状態の封印で無かったので負荷に耐えられなかった事が一つ、第二に……これが双神山だけの問題でない事が一つ』
「へ?何すか、それ…双神山だけの問題じゃないって…」
『今現在、日本各地で貧弱な封印や、不完全な封印、開きかかっていた冥界の入口等が次々に開いていっている、それも「内側からの力によって」だ…。昼にも話しただろう、家の討伐隊が別所に行かねばならなくなったと』
「日本各地で…同じ様な事……えぇ〜……ぇぇ…」
『原因についてはまだわかっていないが、とにかく日本全国でそう言った事が起きてるからそこも例外ではないって事だ
以前のGS免許更新の際に出現したセイレーンやお前の遭遇した霊道に詰まった正体不明の悪霊、大ナマズの出現とこの所とんでもない事件が続いている、裏で何か?がりがあるのかも知れんが、今はそんな事どうでもいい!』
今までも十分厳しさを帯びていた師範の声が、そこで更に一団と厳しさを増す
『他所は他所のGSやオカルトGメンが何とかする、我々は眼前の月見が丘市を守らねばならない』
「しかし…何とかしようにもこっちにはまともに戦えるGSがほんのわずかしかいませんよ!普通の山の封印を再度しようとしても、封印作業には時間がかかるだろうからその間に老婆に攻撃されれば…」
『今、県に連絡を取って、歩通ノ山一帯を焼き払う許可を申請している』
「えぇぇ!?焼き払う!?歩通ノ山一帯って…双神山もですか?」
『当然だ!』
157 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2009/12/26(土) 02:14:29 0
師範のとったとんでもない手段に、牧街の表情がうろたえから、徐々に真剣な物へと変わっていく
「そ…そんな事、したら、双神山や歩通ノ山、赤目山の自然はめちゃくちゃになってしまうじゃないですか!」
『だが今老婆を葬り、封印を確実な物にしなければその山一帯は異界と化す。やらねば月見ヶ丘市数1000世帯が心霊現象の犠牲になる。故に、焼却作戦を行い、悪霊の数を減らした後に封印作業を行う』
「ですけどやっぱし…」
『なら』
真剣な表情で焼却作戦を止めようとする牧街を、先ほどよりも低い声で師範の声がさえぎる
『他に、手があるのか?』

普段の素っ頓狂でぶっ飛んだ態度から恐山師範はよく誤解されるが、決して血も涙も無い人間ではない
物を壊す事に躊躇は無いが、助けられる命は助けようと努力をするし、その人にとって大事な物は守ろうとする
今回の作戦とて、オカルトGメンや、他のGS事務所の援軍を期待できない現状で、師範なりに犠牲を最小限で抑え、なおかつ、老婆軍団を確実に殲滅できると考えて立てた最善の作戦なのだ
綺麗事だけで待ったや変更を考慮する事は出来ない

そしてその事は、牧街もわかっていた
わかっていたのだが、余りにも唐突で、そして失うものの多い作戦に、何かにすがらずにはいられなかったのである
牧街が返答に困り、その手が震え始めた、その時

>「惣介殿、皆殺しにしたいのも分かるが老婆妖怪は狐以上に強大な敵とみえる。
「それだ!!それしかないっすよ!えぇ!」
牧街が師範と通信している間、妖狐の件で惣介と話していたカフェが放ったその一言に、牧街は思わず叫んでしまう
牧街の通信の内容とは別に会話していたために通信の内容がわからない二人が何のこっちゃとなる前に牧街の横で通信を聞いていたカフェの師匠が二人に通信の内容を説明する

日本各地を襲ったこの怪現象の正体は、ラストに置いておくとして
牧街的にぐっすり眠れそうだった夜は急変し
長く厳しい戦いの一日が幕を開けようとしていた
158 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/26(土) 20:55:00 0
>カフェ「待て待て! ちと気が早いぞ。まだ老婆妖怪が解決しておらぬ」
妖孤を縛りつつも老婆妖怪の脅威を説くカフェ。
「コ〜ロセ、コロセ、ミ〜ナ………はっ! 皆殺し!?」
事ここに至って、ようやく惣介も外から響いてくる歌が老婆妖怪の呪詛である事に気付くのであった。

「黄泉の入口だなんて…歩通ノ山にそんな物があったなんて初耳です。
そうですね。とりあえず妖狐の件は置いておくとして、
大狸様に相談して、黄泉の通路を封印する方法が無いかを聞いてみましょう。」
などと、やりとりをしていると不意に牧街が飛び起きて緊張した面持ちで誰かと話し始めて…。
>牧街「それだ!!それしかないっすよ!えぇ!」
突然訳の分からない事を叫び、なんのこっちゃとなりそうになるものの、
カフェの師匠が適切に牧街の通信内容を説明する。
それは、この山一帯を焼き払うというあまりにも衝撃的な内容。

「双神山を焼き払っちゃうって………そ、そんなの絶対ダメです!」
山を焼き払われては、当然ながら山の生き物は困る。大困りだ。
動揺のあまり、思わず惣介の変化も解けて元の子狸に戻ってしまう。

「は、早く東峰頂上の狸祠まで急ぎましょう!
え〜と、こういった緊急の場合は空を行った方が…確かこうだったかなあ………えいっ!」
庭に飛び出た惣介が、うろ覚えの知識でヘリコプターに変化する。
たまにこの辺りの空を飛ぶヘリコプターを見よう見まねで変化したので、
冷静になって良く見れば、何となく飛ぶのかどうかが不安になるフォルムかもしれない。

「さあ…みなさん、乗って下さい!」
『とりあえず、妖孤も連れて行くにゃ。』
カフェの師匠がロープを使って、ローターが回り始めたヘリに妖孤を吊り下げる。
全員が乗り込むと、ヘリはあっという間に離陸した。

空の上から眼下の山々に目を凝らすと、そこかしこに仄白く光る霊の塊。
「あれも、みんな黄泉の悪霊なんでしょうか…?急がなきゃ!」

そして山の頂上―――皆を乗せたヘリが東峰山頂に築かれた大きな祠の前に無事に着陸する。
「うわぁ〜変化に失敗したぁ〜!」
いや残念、至極残念ながら無事に着陸はしなかった。
うろ覚えのヘリコプター変化は、数百メートル飛んだだけで限界が来てしまったのだ。
突如、凄まじい遠心力によって乗員の体がシートに押し付けられ、目眩で視界がぶれ、胃液も込み上げてくる。
独楽のように勢い良く回転を始めたヘリが、地上目がけて急降下してゆく!

―――いわゆる一つの墜落である。
159 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/28(月) 23:57:23 0
>156-158
「な……老婆軍団が進軍してるから焼き払うじゃとお!?」

>「さあ…みなさん、乗って下さい!」
>『とりあえず、妖孤も連れて行くにゃ。』
なんとなく不安なフォルムながら、場の雰囲気に乗って乗ることにする。
きっとどうにかなるよ、うん!

>「うわぁ〜変化に失敗したぁ〜!」
残念! ヘリは ついらく した!
「ぎゃあああああ!!」
地面にたたきつけられる、と思いきや。ぼよんぼよん、とやわらかく弾んで着地する。
そこはあの猫バスならぬ猫タクシーの上だった! 
そう、あの最初に乗ってきた猫タクシーだ!
「いやはや、君達、大変な事になったね!」
あまり大変じゃなさそうにあっけらかんという運転手。
「来てくれてありがとうにゃ〜!」
ついでに、猫タクシーにはきつねだか猫だか分からない妖怪も乗っていた。
「3日前にも封印しようとがんばってみたんだけど無理だったにゃこ〜ん」
妖怪きつねこはぐるぐる巻きになった妖狐を見て言った。
「……は! 妖狐を屈服させたの!? これで双峰の霊力が仕えるにゃこん!」
「そうにゃ! あとは大狸様にも協力を頼むにゃ!」
そして猫タクシーの運転手はおろかきつねことも知り合いらしい師範は一体何者なのか!?
念のために確認だが秋葉原道場師範の頭には猫耳がついている。猫耳は実は本物なのか!?
「のう、師匠って……」
その疑問が尋ねられようとした時、大急ぎで雉が飛んできた。
偵察に行っていた太郎丸だ。太郎丸は狸の姿に戻って言った。
「大変だあ! 老婆妖怪が迫ってくる!」
猫タクシーの運転手が言った。
「心配ご無用。私のタクシーは悪い奴には見えません! その上超速い!」
「にゃらば……妖狐と大狸様、彼らを守るための精鋭が猫タクシーで歩通の山に行って黄泉の入り口の封印にあたりゅ!
他の者は迫りくる老婆軍団ここで食い止めりゅ! それしかにゃい!」
最初は見物を決め込んでいた師範も、積極的に指揮をとり始めた。
もはや弟子の鍛錬とか言っていられる状況ではなくなったようだ!
160 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2009/12/29(火) 20:58:07 0
猫バスの救助によって何とか皆の墜落死は免れたようだ。
そこで祠の扉がバーンと開き、中からのっしのっしと大狸が現れる。
『話は全て聞かせてもらった。』
「あ…大狸様!すぐに歩通ノ山の黄泉の入口の封印をお願いします!」
『もはや無理じゃ………残念ながらあと一歩と言うところで………全てが手遅れであった!』
「そんなあ…。」
『………と、言うのはウソじゃ。』
ひとまず場の雰囲気を和ませた大狸が、視線を縛られた妖孤に移して声を掛ける。
『妖孤よ…我らは長く相争ってきた。
それも、当初はどちらが変化の術が上かを競っていただけの些細な事。
それがいつしか、馬糞饅頭を送ったり、風呂に見せかけた肥え溜めを作ったりと、
だんだん悪乗りに歯止めが効かなくなっていった………悲しい過去じゃ。』

『異議あり!私たち狐は、馬糞だの肥え溜めを用いるような下品な事はしません!
それは全部そちらがやった事でしょう!』
雰囲気に呑まれず、正当な抗議をする妖孤。

『ふむ………しかし、かつて封じられた黄泉の封印が解けようという危急存亡の時まで、
我らがいがみ合っていては両峰の狸と狐とで共倒れになるは必定。
惣介が人間の退魔師を連れてきたのも、化け猫の一族が訪れたのも時世時節というものじゃ。
我らも手を取り合って黄泉の封印に当たるべきではないか………そう思わぬかの?』
話を逸らしつつ、都合の良い方に話を持ってゆく大狸。

―――白熱する舌戦の結果、ついに妖孤も不承不承ながら黄泉の封印を承知した。


東の空が微かに白み始めるものの、まだ頭上には星の瞬きが残る蒼の時間。
正面の歩通ノ山は、目の覚めるような鮮やかな深紅に染まっていた。
薄明に浮かぶ一面の赤は、咲き誇る彼岸花。
それは冥界が地上に浸食している事を示す。
麓には、大挙して山を取り囲む鬼女の群れ。

「妖狐と大狸様を守る精鋭の人が歩通ノ山に行って、残りの人は双神山を守るんですね?」
精鋭って言うと、師範と牧街さんとカフェさんの三人かなあ?
行くのと残るのとでは、どっちが危険なんだろうかと思いつつも惣介は精鋭グループに入った。
山の仲間を守るために敢えて危険と思われる道を選んだのである。
決して猫バスにもう一度乗りたかっただけという軽薄な動機ではない。

『では発進じゃな…何!いかん!猫バスがエンストしておるぞ………と、言うのはウソじゃ。』
七福神の布袋様そっくりの赤ら顔の親父に変化した大狸の号令で猫バス発進。
妖孤も巨大な狐のままでは、バスに乗れないので玉緒の姿に変化する。
一瞬で歩通ノ山まで到着した一同に妖孤が黄泉の入口の場所を伝えた。
『急いで此岸の滝に向かいましょう………そこに黄泉に通ずる禍津穴があります。』
161 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2009/12/31(木) 23:26:03 0
>160
猫バスの中で師範は何やら電話をかけていた。
「黄泉の門はぼくちん達で封印からどうか焼き払うのはやめてほしいにゃ!」
「修行の成果を見せる時が来た! 月見が丘団地の人々を救って今こそヒーローになるのにゃ!」
「森を守るためにみんなの力を貸して欲しいにゃ!」
おそらく最初のは恐山道場の師範相手、次のは秋葉原道場の門下生たちへの応援要請だろう。
最後のはいったい誰に向かって言ったのだろうか。

>『急いで此岸の滝に向かいましょう………そこに黄泉に通ずる禍津穴があります。』
「よし、急ぐぞ!」
が、さっそく拠点守備要員らしい老婆妖怪が現れて行く手を遮る!
『ゲーゲゲゲー!』
「ひぃいいい!! 破邪札フードバトラーシリーズ芋の煮っ転がし!」
老婆が食いつきそうなエサを投げて気をそらした隙に先を急ぐ。
「もうすぐ援軍が来るからそれまで頑張るにゃー!」

――――――
その頃、夜の道路、いや空を一際大型の猫バスが双見山方面へ向かって疾走していた!
載っているのは、一見猫の一団とヲタの一団だ。
正体は化け猫と、様々な分野のヲタク的特殊能力を持ったGS達である。
ヲタ「ええっ?貴方達も師匠に頼まれて!?」
化け猫「そりゃあ君達の師匠は化け猫の長だからにゃ。
僕達化け猫はもうかなり昔から人間社会に混ざって生活してるんだよ。
ここだけの話だから誰にも言ったらいけにゃいぞ。」
ヲタ「な、なんだってー!?」
162 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [新年sageましておめでとうございます]:2010/01/01(金) 00:46:08 0
>カフェ「ひぃいいい!! 破邪札フードバトラーシリーズ芋の煮っ転がし!」
カフェの破邪札によって、老婆妖怪の気が逸れた隙に脇を駆け抜けて此岸の滝に近づく。
水飛沫を浴びながら滝裏の洞窟に足を踏み入れると、妖気がチリチリと肌を刺す。

「静かですね………洞窟の中には誰も居ないみたいですよ。
誰も居ないですよね………誰も居ないと良いなあ………ひあっ!」
気味の悪い洞窟をひたひたと歩いて行くと、
奥からこの世の物とも思えない墓穴の臭気を伴った風が吹き込む。
そこには、真っ二つに割れた大岩が断面を見せて転がっていた。
黄泉界への入口を塞いでいた封じ石の残骸である。
今は遮る物の無い禍津穴は口を開け、地の底まで続く暗闇を見せていた。

「これが、黄泉への入口ですね。」
『うむ………では早速封印を始めるぞ!』
仁王立ちになった大狸が呪文を唱え始める。

『チチンプイプイ………。』
「その呪文効果あるですか?」
『うむ………皆の心を優しく解きほぐす効果がある!』
「封印には効果あるんですか?」
『無い!』
「こんな時ぐらいちゃんとしてくださいよ大狸様。」
『若いもんは心に余裕が無くてイカンな……まあ良い。妖孤よ、封印を始めるぞ。』
『『臨兵闘者皆陣列在前………。』』

大狸と妖孤が呪句を唱え始めると、真っ二つになった封じ石が微かに震え始める。
誰も手を触れないのに人の背丈より大きな二つの岩がズルズルと動き、
互いに求め合うかのように近づくとピタリとくっ付いた。
『これより地脈から霊力を注ぎ、封じ石にカチカチに硬い結界を施すぞ。
若いもんは周囲に気を配り、結界が完成するまで守るのじゃ。』

「封じ石もくっついて、これで全て解決ですね!皆さん有難うございます!
僕、何だかエンディングテーマまで聞こえてきちゃいましたよ。」
『黄泉ヨリ戻リタマエ、一二三四五六七八九、振ルユラユラ………。』
背後から聞こえてくるのは、地獄から響くような呪いの文言。
振り向けば老婆妖怪の顔、顔、顔。
子供が見たら確実に泣く光景である。
呪句を唱える彼女たちからは漆黒の邪気が立ち昇り、封じ石に向かって伸びてきた。
「た、大変だ………とりあえず何とかしないと!」
惣介は邪気を押し返すべく、扇風機に化けて回り始める!
163 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/02(土) 00:00:43 0
赤目山に面して走る長い道路
そこに大型ダンプが荷台を上に上げた状態で数十メートルに一両づつ停車していた
何十量と言うそれらのダンプの荷台には、破邪札に似た巨大な模様が一杯に書かれ、周囲に霊的エネルギーを飛ばして強力な結界を構築し
無数の老婆の進撃を完全に防いでいる。

『ゲーーー!!』『ギーーーーガーーーーーーーー』
市街地を目の前にしながら、侵入できない老婆共が必死に包丁や爪で車両を攻撃しようとするが
三千マイトの力を誇る重結界の前に、近寄る事さえ出来ていない

赤目山から十分離れた3階建ての月見ヶ丘総合病院屋上
最初に赤目山で戦っていた牧街を除く恐山流の門下生達が、望遠鏡で結界の様子を観察している
「こちら黒田、結界は大丈夫です、赤目山方向から、黄泉の妖怪が突破する事は、絶対にありません」
やがて、結界が正常に作動している事を確認した一人が、通信機で師範へと連絡を送った

「了解した、引き続き、監視を続けろ。」
『了解』
けたたましいプロペラ音のする中、弟子に応え、無線機を置いた師範の懐で、今度は携帯電話が鳴り響く
『あ、恐山師範かにゃ?』
「ああ、私だ」
『僕にゃけど、牧街君から聞かせてもらったにゃ、黄泉の門はぼくちん達で封印からどうか焼き払うのはやめてほしいにゃ! 』
カフェの師範の懇願に、恐山師範の口の端が微妙に上に上がる
「わかりました。ではお気をつけて」
そう言って携帯電話を切った師範は、軽くため息をつくと、操縦桿を握りなおした

場面変わって双神山
無数の老婆と狐、狸、猫、そしてオタクの連合軍の必死の戦いの最中にどこからとも無く一機のヘリが飛来して来る
「カサッカだ!」
「ロシア軍か!?」
「いや…カラーが違う、シルバー何か無いはずだ」
オタ達の声の中、低空で双神山に飛来してきたシルバーのカサッカのハッチが開き、ガトリング砲を構えた恐山師範が姿を現した
「恐山流道場師範、恐山断弦、加勢するぞぉおおおおおおおおおおお!!」
師範は叫びと共にガトリング砲を地上の老婆目掛け乱射し、群がる老婆共に対霊特殊コーティング弾を叩き込んでいく
相変わらず、銃刀法をガン無視した男である
164 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/02(土) 00:59:03 0
さて一方その頃双見家を出発して以来大した活躍の場も無くその他大勢の一人になっていた牧街はと言うと

「ぬぅあんじゃありゃあああああああああああああああああああああああああああ」
洞窟の中で、接近する老婆共の邪気の余りの邪悪さに、生まれてきた事を後悔する位本気でビビリまくっていた

ちなみに彼はヘリの墜落の際一人だけ木に頭ぶつけており
それが原因で今に至るまで思考能力がほとんど麻痺していて、何となく近くにいたカフェの師範に着いていっていただけだったのだが
たった今、眼前のおぞましいすぎるものを直視し、自分が普段なら絶対嫌じゃ嫌じゃと泣いて嫌がる決死隊なんぞに入り、あろう事か敵陣のど真ん中にいる事をはっきりと認識し、ついでに意識まですっきりしたのである

「帰る帰る帰る帰る!…ってそうだ帰り道何ざねぇんだ……ぁあああああああああああどげんしよう!どげんしましょう!」
小さい惣介が必死にがんばる中帰るだとかどうしようだとかプロにあるまじき言動を連発しながら頭抱えながら膝立ちで悶え苦しむ牧街
三流云々以前に本当にGSなのか怪しい光景だったが、やがてほんの少し静かになったかと思うと、懐からありったけの破邪札を取り出し次々と霊力を篭めて老婆共目掛け投げつけ始めた
「このド畜生こんなとこでムザムザ死んでたまるかぁあああああああああああああああああああ!畜生こんなろ!おうりゃあああああああ!!」
どうやらヤケクソになったようで、散財だとかそういう事は考えずズガーンドガーンと老婆共目掛け次々に破邪札を炸裂させていく
その窮鼠猫を噛む攻撃に老婆間からも悲鳴が上がり、やがて彼女等の呪文も聞こえなくなり、邪気も消滅してしまう
「よっしとどめじゃあああああああああ!!」
何だか良展開に調子に乗った牧街は、残った破邪札を一気に4〜5枚投げつけた
『ギャアアアアアアアアアアアアアアア』
すさまじい爆発と老婆共の悲鳴が起こり、煙がもうもうと立ち込める
「はぁ……はぁ……」
その光景を、息を切らし、汗をたらしながら見つめる牧街
最早、彼の手元に残る武器は神通杖だけだ
「………へ?」
と、牧街は煙の中に何かが動いた様に見え…

次の瞬間、彼は洞窟の壁に高速で叩きつけられ、口から血を吐き、白目をむいて動かなくなった

いつの間にか煙の中に大きな影が浮かび、それから伸びた棍棒の一撃が、牧街を粉砕し、壁に叩きつけたのだ
『グルルル……』
そして、怪物は煙の中からのしのしとその姿をあらわす
身の丈は3mはあるだろう、人の様に2足歩行で立ち、濃い青色の体皮膚をしており、手には大きなバット型トゲ棍棒を持っていて、頭にはキッと釣り上がった真っ白く光る目と、耳まで裂けた大きな口、そして禿げ上がった頭には角が生えている
怪物は封印作業を行う大狸と妖狐を強い敵意の篭った瞳で見つめながらのしのしと二匹へ向かっていく
165 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/02(土) 01:14:06 0
【モンスターデータ】
鬼モドキ
知能 棍棒を使える程度
特徴 封印が「何者かによって内側から破壊された」際、その何者かが現世に送り込んだ妖魔
封印を復活させようとする物を攻撃する様にプログラムされている。
車に轢かれても倒れない、異形の化け物の触手に吹き飛ばされてもすぐ立ち上がる男、牧街を一撃で昏倒させる程の怪力を持ち
防御力も並の悪霊以上にある。
166 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/03(日) 00:50:12 0
>162
「いかあああああん!!来るな!」
とりあえず傘を振りまわして邪気をはらう。

>164
影が薄くなっていた牧街がここに来て本領発揮。散財をかえりみずに老婆軍団を一掃する。
>「………へ?」
「どうした? ……あああああああああ!」
いきなり牧街がすっとんだ。
『グルルル……』
「な、なななななんじゃありゃああああ!!」
動かなくなった牧街に、破邪札“ポーション”(トレカの回復カード風デザイン)を貼りながら叫ぶ。

>165
「鬼っぽいから鬼モドキとするにゃ!
車にひかれても平気な牧街くんが一撃で昏倒するほどの怪力にゃ……!」
「見れば分かるわ! 攻略法は!?」
「まともにぶつかっては勝ち目がにゃい。
ぼくちんがこの前渡したアレは持っているかにゃ!?」
アニメの殿堂編で霊力のこもったフィギュアとポスターを師範から貰ったが、フィギュアのほうはまだ使っていない!
アレとはつまりそれのことだ!
「あれでもない、これでもない……あった!」
鬼モドキがのっしのっしと二匹に近づいて行く中、わしゃわしゃとフィギュアの包み紙を開ける。
出てきたのは、どう見ても呪い用アイテムにしか見えない藁人形だった。
「呪いの藁人形ではないか!」
「こうするにゃ!」
師範はカフェから藁人形を取って、鬼モドキの前に投げた!
すると藁人形は鬼モドキと同じぐらいの身長に巨大化し、鬼モドキの前に立ちはだかる!
「あのフィギュアの名前は“人を呪わば穴二つ!
攻撃を加えると自らも同じダメージをうける恐ろしいフィギュアにゃ!」
167 :惣介 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2010/01/03(日) 17:41:29 0
惣介は扇風機の変身を解いて、吹き飛ばされた牧街に駆け寄る。
勢い良く壁に叩きつけられた牧街は、具体的に描写出来ないほど凄い事になっていた。
「うわぁ!牧街さんが潰れたトマトみたいに!」

牧街をのした鬼モドキは、結界構築を感知して大狸と妖孤にのっしのっしと近づてくる。
『ナウマク・サマンダボダナン・キリカ・ソワカ!』
妖孤は、狐の元締めとも言える茶吉尼天の真言を唱えて結界強化の最中。
結界構築を中途で止めては、術の逆流で封じ石が割れかねないため、大狸も動けない。
動けぬ大狸の背後に立った鬼モドキは、持ち上げた棍棒を勢い良く振り下ろした!

>師範「こうするにゃ!」

そこに師範によって巨大藁人形が投げられ、間一髪で大狸と棍棒の間に割り込む。
鬼モドキの一撃を受け止めた藁人形の肩口から藁がバサバサッと散ると、
損壊によって発動した呪いで、藁人形がダメージを鬼モドキに移す。
『グムムッ!』
鬼モドキは肩から黒い粘液を流し、低く呻いて地面にうずくまった。
「そんな物を用意していたなんて流石です………よおし今だあ!」
惣介が、すかさず鬼モドキの取り落とした棍棒に手を掛け、
今度は鬼モドキに化けて棍棒を一気に持ち上げると、本物の鬼モドキの脳天目がけて振り下ろす。

その瞬間、うずくまっていた鬼モドキが顔を上げた。
牙を剥いて不気味に笑む鬼モドキの顔に、棍棒を振り下ろす惣介の心臓が恐怖に凍る。
鬼モドキは、藁人形を掴んでサッと盾のように向けていた!
う………うあぁぁぁぁぁぁ!!
当然ながら勢いの付いた棍棒は簡単に止められるものではない。
このまま棍棒が振り下ろされれて、棍棒のダメージが惣介の頭に移されれば、
数秒後にはスペインのトマト祭りのような惨状が開催されるに違いない。
「うわぁぁぁぁ! 誰か止めて止めてー! いや、変化変化!ええとええと!あれだ!あっ!」

べしゃっ!

ざんねん そうすけは つぶれてしまった!


【規制報告です。今度はクッキーの設定なのか、他の接続の問題なのか、悪霊の呪いなのか、
何故かラウンジ板にも書き込めず、書き込めるのはシベリアのみという逆境。
でもシベリアからは…ちょっと気が進みません…。
現在は某所から書き込んでいますが、頻繁に来るのは難しくペースはかなり遅くなってしまうかも知れません。】
168 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/03(日) 19:48:15 0
牧街を無残な姿に変え、惣介を返り討ちにした鬼モドキはゆっくりと立ち上がると、藁人形を横に投げ捨て、再び大狸と妖狐へと向かっていく
最早、鬼モドキの進撃を防ぐ物は何も無い
勝利を確信した鬼モドキが拳を振り上げ、妖狐の背に拳を叩き込もうとした

その時

「ま”きぃ”がい・D・クラァあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッシュ!!」
渾身の力を篭めた神通杖の一撃が、鬼モドキの頭に炸裂した
「い…行かせ…ねぇぞ!」
牧街だ
牧街が口と頭部から血を滴らせながらも必死に鬼モドキに攻撃を仕掛けたのだ
どうやらカフェのポーションが効を成したようである
『グルルルル…』
しかし、元気な時でも親父幽霊を消滅させる事ができないその一撃は、鬼モドキにとってはさしたるダメージではない
鬼モドキは心底不快気な表情でゆっくりと牧街の方を振り返ると、牧街がビビる間もなく右ストレートを叩き込んだ
拳は牧街が持っていた神通杖を圧し折り、そのまま牧街の胸にもろに炸裂する
「ごば!?」
再び口から吐血し、跳ね上げられる牧街
そのまま背中から地面にノックアウトさせられてしまう
『グオーゥン!!』
しかし攻撃の手をやめない鬼モドキは、更に勢いよく牧街の腹を踏みつけた
「げばらっ」
既に白目をむいていた牧街が再度吐血し、べきべきと嫌な音が響く
『フー…』
今度こそ完全に牧街が動かなくなった事を確認した鬼モドキは、牧街の頭を持って掴み上げると、勢いよく片手で牧街をカフェ達へ投げつけた
169 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/03(日) 19:51:00 0
>>167
はいさ、わかりました
無理せずご自分のペースで書いてください
待っています
170 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/05(火) 01:00:42 0
>167
呪いの人形が逆効果になって場はあっという間にトマト祭りになった。
「あばばばばばば! どどどどどうする!?」
「まさか藁人形を盾にする知能がありゅとは……!」

>168
「牧街殿―――!」
牧街が痛めつけられるのを目の前に成す術もなく右往左往する。
その横で師範は後ろ宙返りを試みたり、一生懸命試行錯誤をしているようだった。
「あーでもないこーでもない」
「師匠、何をやっておるのだ!」
「なにしろ長年この姿で人間界に適応したもので化け方をど忘れしたにゃ」
「師匠―――!」
そして猛スピードで飛んでくる牧街と衝突すると思われたその時!
招き猫風の巨大な猫になった師範が牧街を受け止めていた!
「思い出したにゃ!」
おそらくこれが本来の姿だろうか。
招き猫の姿をした師範は牧街を地面に置き、招くような動作をすると、鬼モドキが近づいてきた。
見た目に違わず相手を寄せ付ける能力があるようだ!
「必殺! 猫に小判!!」
師範は小判の形をした霊力弾を高速で打ち出しはじめた!

>167
規制ご愁傷様です。焦らなくていいですからね。
でも年明けたのでもうすぐ解除されたらいいなあと希望的観測】
171 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2010/01/07(木) 18:53:19 0
痛みは無い。
棍棒で殴ったダメージが呪いとなって跳ね返って来たのなら、只では済まないはずなんだけど…?
惣介が、こわごわ目を開ける。

―――やっぱり、トマト祭りは開催されていた。

タヌキの叩きから、どろりとした真っ赤な液体が溢れて床を濡らしている。
数秒前まで惣介が居た場所に転がっているのは、潰れたトマトとしか比喩のできない肉塊。
惣介が“思いついた何か”へと変化するより、棍棒が振り下ろされる方が速かったのだ。
いや…例え変化が間に合ったとしても棍棒そのものでなく呪いの転移によるダメージなので、
無惨なトマト祭りの開催を避ける事は難しかったろう。
決して、大宇宙の大いなる意思が“次の締め切りまでに解決策を思いつけばいいよね”
と思って何も考えずにピンチに陥らせたものの、
結局何も思いつかないまま締め切りが迫って来たわけでは無い…ない…ない…(エコー)。

元小狸の肉塊からは、ほわんほわんと靄のようなものが噴き出て洞窟の宙空を漂っている。
それは寄り集まって生前の姿を思い出すように小狸の形を成した。
靄は惣介の霊魂である。
「うわぁ…僕も潰れたトマトみたいになってる…アレに変化して防御しようと思ったのに…。
アレ? アレって何だっけ…僕、何に変化しようとしたんだろう…?」
惣介は“思いついた何か”への変化を死のショックで忘れてしまったようだ。
一瞬で全てを解決するような絶妙なアイデアだったのに、披露できないのが残念である。

『ヌガアァァ!』
湿った洞窟の空気を震わせる妖魔の咆哮。
惣介が死んでいる間にも、熾烈な戦いは続いていた。
師範の掃射する小判形霊力弾は鬼モドキに突き刺さり、巌の皮膚を破って肉を削るものの、
致命的なダメージを与えるには至らない。
しかし、鬱陶しいのは間違いないようで、封印を続ける大狸と妖孤から標的を師範に変更し、
まずは霊力弾の攻撃を止めさせようと、腰を落として師範に突進してきた!

「ああっ!皆さんが危ない! でも僕、死んじゃったし…もうどうすることも…。
そうだ!幽霊になったのなら、乗り移る事が出来るかも…!」
鬼モドキの突進に追いつくためにに宙を駆けるが、霊体での動きは水を掻くようにもどかしい。
何とか鬼モドキの背中に両手を付けると、惣介はそのままズブスブと鬼モドキの中に入り込む。
そして妖魔の体の中で、核となっている霊魂らしき力の塊を掴むと力一杯踏ん張った。
『ヌ………ガ?』
突然の精神的攻撃に戸惑ったのか、鬼モドキが突進を止める。
「右上げて左上げて、右下げてつつも左下げないで、右を上げてスクワット!」
と、突然ぎこちなく腕を上げ下げしたりスクワットを始める鬼モドキ。
「どうやら…憑依に成功したようですね…皆さん僕です…惣介です。
僕は死んでしまいましたが、今は霊魂の状態になって鬼モドキに乗り移りっています。
でも…長くは持ちそうにありません…僕が動きを封じている今のうちに…止めを!」
172 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/08(金) 19:16:44 0
突然の惣介の憑依に自分の体の制御が利かなくなった鬼モドキは、わけもわからず混乱していたが
やがてとち狂ってボコボコと自分の頭を叩き始めた
『グワァアアアグワァアアアグワァアアアアアアア』
隙だらけ+自滅で、とどめを刺すなら今である



「で…でも……今攻撃したら惣介さんが…」
惣介が死んでるんだからコイツが死んでいないとおかしいはずの牧街が、倒れたまま顔だけ上げて呟いた
恐るべき耐久力と防御力に驚いている場合ではない
牧街の言うとおり、このまま鬼モドキを倒せば、惣介の魂まで致命的なダメージを負いかねないのだ
即ち、消滅する可能性がある
しかし、結界完成までまだ少し時間がある今、鬼モドキを倒さねば山は大変な事になってしまう

世界の平和でもなければ、日本の未来でもない、たかが田舎の人がほとんど入らない様な山の未来など、地球の、いや、日本の大多数の人にとって、どうでもいい事だ
狸や狐達だって、別の山に移って生きていく事もできるだろう
そこまで命かける程の物か、正直牧街には理解できない
「やめろ!惣介さん!やめ…」
力の限り惣介を制止し、牧街は意識を失ってしまった
流石にダメージは大きいらしい
173 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/09(土) 23:50:25 0
>171-172
>でも…長くは持ちそうにありません…僕が動きを封じている今のうちに…止めを!」
「ぼくちんを使うにゃ!」
師範はそう言って“8t”と書かれた巨大ハンマーに化けた。
しかしカフェはそれを取ろうとしない。
>「できるわけなかろう!」
理由は重すぎて無理というのもあるがそれだけではない。
>「やめろ!惣介さん!やめ…」
「もう一回死んでるのに二回も死んで……その上消滅までしたらどうする!
もういいではないか……皆で逃げようぞ! 何か寄り代を調達して他の場所で暮らせば良い!」
「そんな事言っちゃダメ!」
少女の凛とした声が響いた。
なんと、当スレの最初あたりにある廃校編で登場した少女の霊がいる!
「僕は惣介君の気持ちよく分かるよ! 貴方達にだって守りたい場所があるでしょ!?」
そう言ったのは、思い出の学校を守るために悪霊化して暴れていた少女の兄の霊!
実際には校内に埋めた黒歴史ノートが発掘される恐怖のためだったのだが、一応思い出の学校を守るためには違いない。(>45-47参照)
なぜか暴れていた時より若返って少年の姿での登場である。
「お主ら、成仏したのではなかったのか!?」
「黄泉の門が開いてるからゲスト出演しちゃった!
そんな事よりそのハンマー裏側に“退魔専用”って書いてあるよ!」
「何!? そうだったのか!」
急いでハンマーを手に取るカフェ。が、もちろんこのままでは持ちあがるはずはない。
なぜ8tかというと、世の中そんなに甘くはないので便利な武器はそう簡単には扱えないのだ。
8tといっても実際の重さではなく莫大な霊力が必要なことの例えかもしれない。
どっちにしろ当然持ちあがらずに万事休す……はずだった。だがしかし!
「僕が力を貸すよ!」
兄の霊がカフェに憑依する! もちろんそれだけでは8tハンマーを持ち上げるには到底足りない。
そこに妹の呪文が決め手となるのだ!
「右は碧眼左は緑眼、誰もがうらやむ美貌と惑星を3秒で一周する俊足の持ち主
人ならざる者の声を聞き、聖なる力で魔を滅す! その名は……デモンスレイヤー!」
(うわぁああああああああ!!)
黒歴史ノートの一節を暗唱された兄の霊が、絶叫しながら瞬間的にありえない霊力を発する。
「うりゃああああああああ!!」
カフェは、黒歴史ノートを暗唱された者特有の気迫を放ちながら鬼モドキに突進し、渾身の一撃を放った!
魔だけを滅する8tハンマーの一撃が炸裂する!
174 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [規制解除sage]:2010/01/10(日) 16:42:00 0
>カフェ「うりゃああああああああ!!」
「うわぁぁぁっ!」
退魔専用らしいとのことだけど、やっぱり巨大なハンマーが迫ってくるのは怖い。
思わず悲鳴の一つも上げようというものだ。
退魔の鉄槌が鬼モドキを圧殺するべく振り下ろされ、肉を殴打する衝突音と、続いて石を砕く破砕音が響く。
『グオォォォォ!』
舞い上がる砂埃の中で鬼モドキの断末魔が上がる。

洞窟に濛々と舞う粉塵が晴れると―――そこには惣介が立っていた。
いや、正確には幽霊状態で足が無いので浮いていた。
師範がハンマー変化を解くと、下で鬼モドキが紙切れのようにペシャンコになっている。
『まるで式神みたいにペラペラなったにゃ。』
「ついにやりましたね! 今度はエンディングテーマが聞こえてきませんけど。」
鬼モドキが倒れると封印の大岩が妖しく光り始め、大狸の表情が鬼気迫る。
『いかん…! 岩の向こうから奴の本体が来るぞ!』
「ええっ! そんな!」
『………というのは、もちろんウソじゃ。 黄泉封じの結界構築には成功しておる。』

ツッコミ待ちの大狸だが、もはや惣介にそんなものを入れる気力は無い。
むしろ脱力のあまり、体がちょっと薄くなっているくらいだ。
『惣介よ、少し見んうちに体が薄くなったのぅ…。』
「ええ…実はきっき死んじゃったんです…。」
言葉にすると改めて死んだ事を実感してしまう。
足の裏に地面を感じないのが、ひどく心許ない。
鬼モドキを倒した一時の高揚感は波が引くように去り、今はどこにもなかった。

「………奇跡が起こって生き返ったりしませんよね?」
そんな事は起こらないと百も承知しているのに口に出す。
大狸は、かろうじて"わしがディープな人工呼吸をすれば生き返るかもしれん"というボケを呑みこんだ。
さすがにこの状況では、誰もツッコミを入れないだろうと思って自重したのだ。
仕方がない…ディープな人工呼吸は後で牧街君にするとしようかの…そんな事を考えつつ。
死んでいないのなら、ディープな人工呼吸と化け狸秘伝の膏薬で牧街の蘇生は充分に可能であろう。

『うーむ…反魂の術は存在するともしないとも言われる秘術中の秘術。
術が存在したとしても使える術者が今の時代にいるかどうか………さすがに生き返るのは無理じゃの。
巫蠱術を用いる術者ならば、使役霊として現世に留める事は出来ようが…。』
「そうですかぁ………やっぱりそうですよね。」
『良かったら、貴方も私たちと一緒に成仏しませんか?』
『一緒に黄泉ライフ満喫しようぜっ!』
廃校編で登場した霊たちが慰めの言葉を掛ける。
「うーん…成仏はいつでもできると思うし、もうちょっと浮遊霊でいたいです。
鬼モドキみたいなのがいっぱいいたらやだし…。」
と、惣介は若干の黄泉生活への不安から幽霊たちに丁重に断りを入れた。
175 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/10(日) 22:53:58 0
「ふははははははははーーーはっはっはっはっは、これで終わりか!悪霊共ぉおおおおおおおおおお」
無数の悪霊老婆の残骸の上で、片手に機関銃を持ち、もう片手に日本刀を持った真っ白い胴着姿の恐山師範が高らかに叫んだ
その周囲では、一緒に戦っていた狸や狐や猫やオタクが多少引きながら唖然としている
「あ…悪魔だ、連邦軍の白い悪魔だ」
「いや、武器がマシンガンだからブルーディスティニーだろ…」
完全武装の恐山師範の圧倒的強さを見せ付けられたオタ等がその強さをお台場に像が建った機動戦士と被らせたその時
『ゲゲーーー!!』
『ギルルルルルル』
不気味なうめき声と共に、歩通ノ山から蝙蝠の羽を生やし、ヤギの様な角を生やした怪物が3匹飛んできた
「あ!新手だ!」
「レッサーデーモンだ!一匹で騎士団も全滅させる奴だ!」
現れた怪物に、オタ達が口々に叫ぶ
『グガーーーー!』
『ギギュオーーーーー!』
すさまじい覇気を放ちながら雄叫びを上げるレッサーデーモン
その余りの迫力に、狐や狸達は思わず後ろに下がってしまい、恐山師範の額にも一筋の汗が流れる
「よし!!」
やがて何を思ったか恐山師範は一匹の狸の後ろに回り込む
「な?何をするんですか?」
「ちょっっっとくすぐったいぞ」
「へ?ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアいてぇでぶっ」
そして何を思ったか狸の背中を思いっきり握り絞めた
余りの握力に悲鳴を上げる狸、その姿が徐々に変化し、巨大な剣へと変わる
「これぞ東洋極意、不愛成亜龍苦雷怒・武武武無礼度!」
狸が無理矢理変形させられた剣を構え、不敵な笑みを浮かべながら言う師範
その言葉に、妙に濃い顔をしたオタが反応する
「不愛成亜龍苦雷怒、聞いた事があるぞ!」
「何ー!知っているのか?寺井!」
「うむっ、不愛成亜龍苦雷怒、それは東洋に伝わる奥義の一つで…」
「あ!怪物達の様子が!」
濃い顔のオタク、寺井が師範の出した技を熱く語ろうとしたその時、レッサーデーモンと老婆達が突如透過し始め、あっという間に消えてしまった
双神山連合軍はほんの少しの間呆然としていたが、それを結界の完成だと悟り、大歓声を上げる
ただし、自分の知識を存分に披露できると活き活きしていた所を肩透かしを食らった寺井と、「早く戻してくださいよ〜」と嘆く狸が変化した大剣を手に煮え切らない表情をした師範を除いて
176 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/10(日) 22:55:02 0
「やぁーぁやぁやぁ皆さん、おめでとう、どうやら鎮圧できたようですな、うんうん良かったおめでとう」
封印が完成し、惣介が自らの死を自覚して、場がしんみりと終結しようとした、その時
洞窟の中に、謎の声が響き渡った
声がした方を向くと、何と先程まで瀕死の重傷で意識を失っていたはずの牧街が立ち上がり、両手を広げて気取ったポーズをとっている
「あぁ、僕はこの事件の黒幕ですよ。ちょっとお体をお借りしているんですはいはい」
驚く一同に、牧街は牧街ではない人物の声でそういうと、愉快そうに微笑んでみせた
その言葉に、GSや惣介等が反応するより早く、正体不明の重圧が牧街の体から発され、カフェはもちろん、幽霊の惣介や兄妹、そしてカフェの師匠や化狸、妖狐までもを吹き飛ばし、洞窟の壁に強い力だ押し付け動けなくする
「あ、すいません、僕、五月蝿いの嫌いなんでちょっと黙って聞いてもらいますね」
すさまじい重圧で動けず、喋れずにいる一同に、体からすさまじい魔力を放出しつつ、やはり愉快そうに言う牧街(を動かしている何か)
その言葉には、嘲笑の色が含まれている
「じゃー、とりあえず順をおって話しますね。まず、今回僕があっちこっちの不完全な封印や未熟な封印をぶち壊して回っていた件から
これはね、皆も知っている例の事件で…あーそうか、あの事件はこっちじゃテロって事になっているから知らないね、君達は
とにかく大きな事件のせいで今この世界のデタントが崩壊して、白い方に傾いているんだよ」
この「例の事件」とか「大きな事件」と言われているのは、ある事情で世界中に大量の悪霊が出現した大事件の事で
世界を滅ぼせるだけの核ミサイルが消失して悪用されそうになったりととんでもないGS美神世界最大の大事件の事なのだ
その原因や真相は、GS美神本編を読んでもらいたい(読まなくても今後の進行には影響ありません)
「それで、僕は世の中をちょっと黒い方に傾けようとこうして努力してるってわけ
まぁ、魔族の上は何千何万年かかけて緩やかに元に戻したいんだろうけど、僕ちょっとそういうの待てないタチで、ね。早くバランス戻したいじゃない」
そう言って、クスクスと笑う牧街(の中の魔族)
「でも僕の他にも何か霊道を操作して世界を黒い方に傾けようとしてた奴もいた見たいだし、世界を黒い方へ少し傾けようと頑張っている奴、結構いるみたいだよ
と、話がそれたね、それで、僕がここに現れた理由だけど」
牧街の線目がゆっくりと大きく見開かれ、唇が大きく釣り上がる
「君達に…」
言いようの無い威圧感が魔族から湧き上がり、そして

「僕の宣伝をして欲しいんだよ」

あっさり消えて、牧街も線目に戻った
「君達が最初に今回の事件を鎮圧したからさ、そんな君達に僕がこれからガンガン世界を黒い方へ傾ける種を撒くって事を大勢の人々に知らせて欲しいんだ
ネットで広めて構わない、新聞なんかに載ったら最高だな
とにかく、これからもどんどんおっかない事件が起こる旨を知らせておくれよ?皆が怖がった方が、世界、黒い方に傾くから、さ」
魔族がそれだけ言うと、カフェ等を押さえつけていた重圧はふっと消え、牧街も糸が切れた人形の様にどさりとその場に倒れ付した
177 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/13(水) 00:32:01 0
>174
「やったぞ―――!」
「やったにゃ―――!」
カフェと師範が手を取り合ってくるくる回る。

が、惣介が死んでしまった事を思い出し場はにわかにしんみりする。
>「うーん…成仏はいつでもできると思うし、もうちょっと浮遊霊でいたいです。
鬼モドキみたいなのがいっぱいいたらやだし…。」
現世に留まることを希望する惣介に、師範は言った。
「馬鹿弟子が変なフィギュアを出したせいでこんなことになってすまにゃかった。
憑依用の寄り代として秋葉原の職人に特性フィギュアを作らせるから勘弁してほしいにゃ。
本物そっくり、形態変化にも対応するにゃ」

「おっと、こっちの治療もせねばな」
大狸と師範は牧街の治療をしようと歩み寄ったその時。

>176
>「やぁーぁやぁやぁ皆さん、おめでとう、どうやら鎮圧できたようですな、うんうん良かったおめでとう」
「牧街殿……!? いや、違う!」
〜〜中略〜〜
>とにかく、これからもどんどんおっかない事件が起こる旨を知らせておくれよ?皆が怖がった方が、世界、黒い方に傾くから、さ」
「ちょ、おま……!」
魔族は消え、元通りになった牧街が倒れる。
「大変じゃ……早く皆に知らせなければ! だが知らせたらアイツの思う壺ではないか!
やはり上層部だけに知らせて世間一般には隠蔽しておくべきか!?」
「話は後じゃ!今は手当を!」
「にゃ!」
何はともあれ、牧街には大狸によるディープな治療と、“癒される”という噂の師範による介抱(>85参照)が施された。
178 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2010/01/13(水) 19:34:16 0
カフェの師範から特性フィギュアの話を聞く。
「いえ、気にしなくても良いですよ。元々僕たちの山の問題だったわけですし。
カフェさんや師範が居なければ、もっとひどい事になっていたかも知れませんから。
それにこの辺りには交通事故で死んだ狸の浮遊霊も多いですから、浮遊霊ライフも全然心配無いです。」
と、努めて明るく言った。
親切に狐退治の頼みを聞いてくれたカフェや師範の所為にはしたくなかったし、
実際にも鬼モドキに油断した自分の所為であるのだから。

「牧街さん…?」
異変は、大狸と師範が牧街の治療に向かった時に起こった。
様子が一変した牧街はどこにも焦点の合わない、それでいて高みから全てを見通すような瞳で周囲を一瞥し、
高らかに神族側に傾いた天秤を魔族側に傾けるとの宣言を行うと気配を消した。
「牧街さん…目が開けられたんですね…ってこれはそんな呑気な事を言ってる場合じゃないですよ!」

『ふぅむ…それにしてもこの度の事件は、南蛮妖怪が裏で糸を引いておったか。
しかし黒いのが何だのデタントが何だのと、まるでむずがる赤ん坊のような奴だのー。
とは言え、わしらも棲みかを壊されてはかなわんし、あやつが事件を起こす前に混乱して自滅するなど御免御免。
ここらで日本妖怪たちも一致団結して対策を取る必要がありそうじゃな。』
『まったく…私のシマ(縄張り)を荒らすなんて良い度胸です。』
何やら意気投合し始める大狸と妖狐。
共通の敵が現れると、今までいがみ合っていた者が協力するのは少年誌のお約束である。
『まずは各地の霊山や霊地の者たちに連絡を送らねばならんかのー?』
「じゃあ、とりあえず双神山に戻りましょう。」

牧街の治療を終えて洞窟を出ると、びゅっと吹いた山風に体を流された。
どうやら幽霊でも風に流されるらしい。
麓近くに戻ると車の窓から猫バスの運転手が顔を出す。
『無事に終わったようだね。さあ乗った乗った。』
そのままバスに乗って双神山に戻ると、恐山師範とオタク連合軍が出迎えた。
「良かった…こっちも無事だったみたいですね。」

合流早々に大狸と妖狐、恐山師範と秋葉原師範の四者は話し合いを始める。
『此の度の怪異の原因は、秤を傾けんとする南蛮妖怪の仕業じゃった。』
『要するに魔族にゃ。』
『人間の方々にも魔族への対策をお願いできますか?』
『それは無論の事ではあるが、魔族が相手となると一筋縄ではいかんな。』

何やら喧々諤々と難しい話し合いは続き………ひとしきり語り終えると会議も終わった。
師範たちは各々魔族への対策を取りに本拠に戻るべく、カサッカやら猫バスやらに乗り込む。
「僕は今の状態では、まだ霊山を長く離れるのは難しそうですし、皆さんとはここでお別れですね…。
一日ぐらいの短い間でしたけど、皆さんには本当にお世話になりました…ありがとうございます。
あ…件の特性フィギュアはぜひともお願いしたいです。後日幽霊の体に馴れた頃に受け取りに行きますね。」
惣介はぺこりとお辞儀すると、手を振って去っていくGSたちを見送った。
179 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2010/01/13(水) 19:42:43 0
【むむむ…どうやら体力の限界が…来てしまったようです…。
最近はモニターに向かう事、数時間も中々言葉が出てこない体たらく。
勝手ながら次章への参加は、中途からと成りそうです…相済みません…ぐふっ。】


―――後日、都内某所―――

「私を有らぬ罪で捕縛するなど、今の政は腐敗の極み…。
やはり一度滅ぼす必要がありますね…そして新たなる王朝を開かねばなりません…。」
背から陽炎のような陰気を立ち上らせた道士が一人、秋葉原の雑踏を歩く。
数日に及ぶ事情聴取を終えてテリトリーに戻った李珠である。
その李珠の前には、ふわふわと迷うように靄が浮いていた。
靄の正体は動物霊…それも都内では滅多に見かける事の無い狸の幽霊のようだ。
『特性フィギュアが完成したって聞いたけど、道に迷ったのかなあ…カフェさんの店はどこだったっけ?
一度来たから大丈夫だと思ったんだけどなあ…でも幽霊だから地図は持てないし…。』

「これは…釈放早々にこの大都会で百魅(妖精や妖怪の意)に遭遇するとは幸先が良いようですね…。
しかも、見た所飼い主のいない野良の動物霊。
私が捕まえたとて、どこからも文句は出ないでしょう…。
ならば今こそ中国渡来にして日本で進化した蠱術法"歩卦門"を披露する時………迷魂捕縛…!」

りしゅは きゅうこんづつを つかった! 
『うわぁっ!体が吸い込まれる…誰か助けて!』

やったー! バケダヌキを つかまえたぞ!
「バケダヌキ ゲットだぜ…ですね…フフ…。」

中に惣介の霊魂を封じた吸魂筒を拾うと李珠は雑踏の中に消えた。
180 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/15(金) 00:20:39 0
>178
「あ…件の特性フィギュアはぜひともお願いしたいです。後日幽霊の体に馴れた頃に受け取りに行きますね。」
「待ってるから必ず来るにゃ〜!」

―――後日
>179
カフェの事務所には精巧な狸の置物が鎮座していた。
そしてカフェと、ここに入り浸るのが日課の師範が例によって暇を持て余している。
いや、世界の危機なのだから暇ではいけないのだが具体的に何をしたらいいのか分からないのだ。
暇じゃなくて徒然とでも言っておこう。
「師匠、惣介殿はまだかのう」
「まだかにゃあ」

そして、金の茶釜も鎮座していた。
色々あってすっかり忘れていたカフェの代わりに、師範がしっかり持ち帰っていたのだった。
「もしかしたら話のネタになるかもしれないからにゃ」
「?」

【今編もゴールまで行きつきましたね〜。壮大な話になってきてwktk
>李珠さん
了解です。重要ポジションをお疲れさま&GJでした。
無理しない程度にいつでも気が向いた時に復帰してくださいね!】
181 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/17(日) 09:59:09 0
双神山の事件から数日
各地で破壊された封印も徐々に元通りになっていく中、どこかからジープで道場に戻ってきた恐山師範を、数名の弟子達が道場の門前で出迎えていた
「師範、ご報告作業、お疲れ様です」
「うむ」
そういって頭を下げる弟子達に、ジープから降りてすぐの場所で頷く恐山師範
彼はここ数日、GS協会を初めとした、政府主要機関や、オカルトGメン、ヴァチカンなどの関係各所に今回の事件を報告するため、各地を飛び回っていたのだ

双神山の一件で判明した魔族テロリストの起こすテロ行為に対し、GS協会は何ら有効な対応策を講じる事が現時点ではできなかった
それは第一に一部の人間を除き、魔族と人間との力の差が激しすぎる事
第二に、魔族の散発的で、しかもどのような手段で仕掛けてくるかわからない攻撃に、対応する術が無い事があり
結果として「そういった敵が確実にいる事を伝え、一般市民には内密に警戒するよう各地のGS達に呼びかける」程度しか協会にはできなかった
これでは敵の存在を宣伝し、敵の思う壺のようにも思えるが
何の立ち向かう術の無い一般市民とは違い、そういった物が現れた場合戦う事になるGS達には、あらかじめ伝えておかなければ、警戒すべきところで警戒せずにいらぬ被害を出す事もありかねない

幸いにもテロリストが直接地上に現れて暴れる事は神族や魔族上層部の監視があるためまずありえないし
神、魔族もテロリストの鎮圧に力を注いでいるらしいので、魔族側にデタントが傾きすぎる程の大事件はまず起こりえないだろう
しかし、魔族によるテロ行為を野放しにしておけば、大きな被害が出る事はまず間違いない
そして、恐らく多種多様な魔族がゲリラ的に事件を起こすため、神族や魔族上層部が一気に事件の首謀者を叩き潰す事もできないだろうはずなのでこの事態が長く続く事もまた、間違いない

要するに、これまでベテランや凄腕達が行ってきた除霊に、三流GS達が遭遇しやすくなってしまったのだ
たとえ不況でも葬儀屋と兵隊と警察特殊部隊とGSは儲かったらいけないので、これは由々しき事態である

「しかし、あれから悪霊の数もそこそこ増えて、前回の散財を取り戻せそうだな」
「そうですね、この調子で、ばしばしやっていきたい物です」
「うむ」

……由々しき事態なんだってば
182 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/17(日) 10:29:28 0
「すみません、牧街です」
カフェの事務所の扉をノックして、惣介の代わりに牧街がやってきた
何のようだろうと招き入れたカフェ等に、牧街は頭を下げる
「先日はどうもありがとうございました、無事、後遺症も残らず退院できたので、その旨報告しておこうと思いまして、えぇ」
そう言って、カフェの師匠に菓子折りを渡す牧街
幸い意識を失っていたので何をされたのかわからないが、大狸のディープな治療と、カフェの師匠の治療を受けた牧街だったが
念のためあの後病院に搬送され、本日まで入院していたのである
常人なら内臓破裂やら何やらでとっくにお陀仏な状況で、幾ら大狸や師匠の治療が良かったからと言って、わずか数日でもう包帯も残っていないほど回復するのはどうかと思うが
まぁ、牧街なんだからそんなもんなのだ(どんなもんやねん)

「で、何故僕ちんの頭を撫でるにゃ?」
「えぇ?あ、すいません失礼しました、えぇ」
菓子折りを渡した後、そのままカフェの師範の頭を撫でる牧街
どうやら意識を失っていたにも関わらず、癒しの技は効いていたようだ

本来人間はアレだけすさまじい目にあえばそれがトラウマになってしばらく悩まされるもんなのだろうが
その辺もカフェの師匠の癒しの技が打ち消してくれているようである

「あ、その茶釜、もって来れたんですね」
ふと、事務所にあった金の茶釜を見て、牧街が軽く驚きの声を上げた
「凄いですね、んな超重たそうなもんをもってあの糞長い石段を降りて来れるなんて…」
そして、へェ〜と感心する牧街
あの茶釜を牧街が断った理由
それは別に霊的云々な理由ではない
純金製のでかくて重い茶釜を持って、急な石段を降りて無事に山を降りる自信が無かっただけだった
くだらない理由でスマソ

>>179
何だかストーリーを途中から乗っ取る感じになってしまいまことに申し訳ありません
俺も4〜5時間ストーリーが浮かばない事がよくあるので、お気持ちはわからなくはないと多分思います、多分
ですので、無理せず、自分のペースで書いてくださいね

>>180
今回もご参加ありがとうございました
本当に完結できたのは皆さんのおかげです

さて、次章どうしましょう
またカフェさんがストーリー作りますか?
183 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/18(月) 00:07:00 0
>182
>「凄いですね、んな超重たそうなもんをもってあの糞長い石段を降りて来れるなんて…」
「いやいや、猫バスがあったからにゃ。そうか、気絶してたから覚えてないんだにゃ」

―――――――――――――――――――
プレレポート『恐怖!虫歯妖怪対ゴーストスイーパー』
参加者:牧街
歯医者で暴れていた虫歯妖怪を退治した。

第0話 ネカフェ編
参加者:牧街・タロー・(ネカフェのマスター)
ネカフェのマスターの依頼で、ネカフェで暴れていた悪霊を成仏させた。
牧街は報酬として怪しげな壺をもらった。

第1話 GS試験編
参加者:成世・牧街・タロー・神藤
GS免許取得&更新試験が行われました。
魔族の陰謀を打ち破り、GS試験に合格。

第2話 『ツボを抑えれば全てよし!』
参加者:牧街・タロー・(ネカフェのマスター)
怪しげな壺が人を吸い込み始めた。
大騒動の末、壺の妖怪は牧街の師匠によって倒された。

第3話 廃校編
参加者:牧街・タロー・神藤・カフェ
取り壊し間近の廃校で暴れていた悪霊&妖怪を成仏させた。

第4話 アニメの殿堂編
参加者:牧街・カフェ・李珠
没になったアニメの殿堂が妖怪の力によって出来上がってしまい、妖怪が人質をとって立てこもった。
潜入して妖怪たちと対決するが、最終的にアニメの殿堂が復活することになり、妖怪たち満足して消えて行った。

第5話 狸狐編
参加者:牧街・カフェ・惣介
狸と狐のいざこざから始まるが、開いてしまった黄泉の門を協力して閉じる事に発展。
なんとか封印に成功するが、デタントを崩そうとしている魔族の存在が明らかになった。

「今までのエピソードをまとめてみたにゃ。
こうして見るともうかなりの除霊をこなしてるんだにゃあ」
「そんな事よりそういえばまだ茶釜の蓋を開けたことがないのう」
「開けてみるにゃー」
師範は茶釜の蓋を開けた。

【とはいったもののまだ何も考えてません。
とりあえずどんな方向にでももっていけそうでいて意味無くスルーもできるとっかかりを……。
次回までに何か考えますが適当に続けてもらってもOKです。】
184 :名無しになりきれ[sage]:2010/01/18(月) 13:29:31 0
>>183
>デタントを崩そうとしている魔族
デタントが神族側に傾いてるからそれを早く元に戻そうとしている魔族じゃね?(魔族上層部はゆっくり元に戻そうとしてる)
185 : ◆rdfEGE/BGM [sage]:2010/01/19(火) 00:59:55 0
【第五話お疲れ様でした!再チャレンジ制度で戻ってまいりました。
このままROMに入るとFOしそうなので、逃げられないようにまずは第六話目のゲストキャラ投下を。
本格参入は、もう少し後になるかもですが…。
GSの話なのにまたしてもGS免許持ってないイロモノで御免なさい。
原作も一部しか見ておらず、デタント状態やら何やらの詳細良く分からないのに勢いで書いて御免なさい。
最初は良く?ても書く度に劣化するのは仕様です御免なさい。
だらだら長い割にサプライズが無いのも仕様です御免なさい。
報酬の金の茶釜渡すのスコーンと忘れてて御免なさい。
思わせぶりでも結構何も考えてなくて御免なさい。
ネーミングセンスが厨ニ病なのも誤字脱字が多いのも弱音吐くのも(ry

それと過去ログを呼んできました。
実は悪霊島GS試験開始〜廃校編前編は、その時期忙しくて読んでなかったのデス!何という衝撃の事実!
そして牧街「まきがい」さんの事をずっと「まきまち」と読んでいたという明かさなくて良い衝撃の事実第二弾も(ry】
186 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/19(火) 01:02:24 0
S県の山岳地帯で起きた老婆妖怪発生事件の真相が、魔族による霊道操作だった事はGS協会に報告された。
GS免許試験開催時に起きた悪霊発生に魔族が絡んでいる可能性も。

その情報は藤津木グループの総帥、藤津木頼重(ふじつきよりしげ)にも届く。
藤津木グループとは魔法科学に傾倒する研究者、藤津木頼重が半世紀以上前に始めた企業で、
扱うのは古典的な銀の弾丸から始まり、霊視ゴーグルなどのハイテク製品まで多岐に渡る霊的物品の数々。

藤津木がGS達の多様な要望を聞けば必然的に世界各地の怪異の情報も入り、GS協会との密接な繋がりも生まれる。
協会の幹部の中には頼重個人と昵懇の者も少なくなく、
いかにGS協会上層部が情報を封鎖しようと人の口を完全に封じる事は出来ない。
世界中から様々な怪異の情報が藤津木グループの耳にも入るのはそういう事だ。
その藤津木に届く情報には、近年魔族が絡んでいると思われる事件が増えていた。
人の手で魔族退治を図ろうとも、中位以上の魔族ともなれば対抗できるほどの者は余りに少ない。
人間側に魔族と神族のデタント状態の詳細など知る由も無く、
かねてから藤津木グループには魔族に対抗できるだけの武装を開発する事が望まれていた。

藤津木の英知の粋が集まる製造工場が造られたのは、某県…海上埋め立て地帯のコンビナート。
安全の為に利便性を重んじながらも僻地に造られた工場内には、数十名の白衣の男たちが集まっていた。
彼らは、日夜新技術の開発に従事する藤津木の技術者。
その白衣で作られた人の輪の中に一人の老人が居た。
小柄ながらも眼光鋭い彼こそが、一代にして藤津木グループを創り上げた希代の怪人、藤津木頼重。
総帥たる彼がわざわざ僻地の工場を訪れたのは、新たなる退魔武装完成の報告を受けたから。
おそらくは、多大な研究費を注いで作った新製品を視察に来たのであろう。

『対魔族用の機械人形が完成したか。』
頼重が、呪によって強化された耐圧ガラス越しに実験室の中に目を向ける。
四方をぶ厚いコンクリートで固めた無機質な部屋に鎮座するのは、霊体迎撃用ロボット・Vista型。
両の手を水平に上げて無数の太いコードに支えられる様は、まるで磔の聖母。
流れるブロンドに青い眼、白い肌…機械人形は見事なまでに美しさを誇っていた。
但し…野に咲く花では無く、造花の美しさを。

「Vistaが完成したのは本当ですか!お爺様!? 私、エジプトから飛んで来てしまいました!
あ、エジプトと言うのは、南エジプトにあると言う伝説のスフィンクスの発掘を古村教授と一緒に」
『織羽か…相変わらず益体も無い道楽に耽っておるようだな?』
騒々しく入って来たのは頼重の孫、藤津木織羽。
ダークブラウンに染めたカジュアルボブに歳に似合わぬ濃紺のスーツ。
彼女の格好は、どうにも大人びた雰囲気を出そうとして失敗しているという印象を与える。

「道楽なんて…あんまりではありませんか!?
昨年に藤津木が開発した自動追尾チャクラムは、私がオリッサで発掘した呪具を元に作りました!
その前の高感度霊視モニターだって、私がロンドンのオークションで競り落とした魔術書、
“リュゼラーの魔眼”を参考に開発していたはず。
霊力が…無くても…私は充分藤津木の役に立って…ます…!」
187 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/19(火) 01:03:20 0
藤津木織羽は霊的無能力者であった。
祖である頼重を始めとして、高い霊力を有する藤津木の血族の中でも織羽の霊力は最弱であり、
一般人以下の微弱な霊力しか持ち合わせていないのだ。
しかも魔法科学における科学の方面に於いても、別段秀でた能力を有している訳ではない。
織羽は一族の孫世代の中では最年長でありながらも、
将来の期待度や評価では霊的資質に恵まれた弟妹や従兄弟たちに大きく水を開けられていた。

そんな織羽に霊体迎撃用武装ロボット開発の話は、今までとは別の未来への眺望を見せた。
これを巧く扱えれば、弟妹にも…誰にも負けないだけの実績を残せるかもしれない…との。
「お爺様…Vistaには実戦テストが必要なはずですよね?
どうか私にVistaを貸して下さい。私が実戦で使って性能を見ます!」
『僭越ながら織羽様…Vistaは対魔族用の機械人形。使用するのは必然危険な状況となりますが?』
技師の一人が制止した。

その声音に僅かに含まれた嘲弄を敏感に感じ取った織羽の顔に朱が差す。
藤津木織羽は霊能無能力者である事にコンプレックスを持っている。
それを思い知らされるのは我慢がならない。
しかし、その口から激昂の声は放たれなかった。
織羽が口を開いて反論するより前に頼重が要求を聞き入れてしまったからだ。
『フ、まあ良い…織羽よ。持って行きなさい。』
「あ…ありがとうございます。お爺様!」
顔に喜色を浮かべて、差し出がましい事を言い放った技師を勝ち誇ったように睨みつける。

灰色の匣の中で眠れる眺望の女神は、未だ瞳を閉ざしたまま。
「うぇ…何でこんなトップモデルみたいなの作ったの…。さっきの奴らの趣味かしら…?」
『聞こえていますが?』
頼重に対した時とは全く異なる口調で一人ごちた織羽の後ろからは、先程の技師の声。
『ロボットの外観を人に模しているのは、マニピュレーターである人工霊魂を馴染みやすくするため。
霊魂とは浮遊霊などの低級霊か、高位の神霊であるかに関わらず人の似姿に宿り易いのです。
それは人工の霊魂とて同じ理屈。それに…どうせ人型に造るなら美しい造形の方が良いでしょう?』
「ふーん…そう。それでVistaはもう動くの?」
『無論ですとも…今、起動させます。システムオールグリーン―――。』

技師がVista駆動の最終作業を始めると、実験室に低い重低音を響かせて眠れる人形が瞳を開く。
『Vista・起動・シマス』
機械人形の口から放たれるのは、高くて硬質な女性の声。
耳障りでは無いものの自然の生物の声とは明らかに異質。
「あ…喋った…。Vista、わたしはこれから貴方の…操縦者…でいいの?になる藤津木織羽よ。
う〜ん…それにしてもVistaって名前も味気ないわね…名前の変更とかできるのかな…?」
『マスター・認識・機体名ヲ・変更・致シ・マスカ?』
「そうねぇ…アナスタシヤ…なんてどう? 目覚めた女とか復活した女って意味だけど。」
『了解・機体名変更完了・私ノ名前ハ・アナスタシヤ・デス』
「こっちの受け応えはちゃんと分かってる…のよね? ま、宜しくねアナスタシヤ。」
188 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/19(火) 01:04:06 0
頼重の隣には鮮血色のローブの人物が影の様に佇んでいた。
人に有らざる不自然なまでに深紅の赤髪をなびかせて、紅玉の瞳を妖しく輝かせた男が。
赤い人物は、全体的に真っ赤すぎてかなり怪しかった…のだが、
何十人もの技師たちの誰もが間近の異質に気付かない。

その赤衣の男と頼重とは如何なる術によってか、周囲の誰にも気づかれずに言葉を交わしていた。
『あれは駄目だな…霊力が無ければ、機知も才も無い。ただ温い世界で甘く生きているだけだ。
半分は蝶子の血が入っているとは思えぬ………もう半分の愚かな父に似たか。
それとも生誕の際に双子の妹に全ての霊力を吸い取られたか。
いずれにせよ、まったく生きる価値も無い屑だ…ターンハリ殿も呆れた事であろう?』
『おやおや…頼重翁は実の孫にも随分と手厳しい。
ああ…それとターンハリは半世紀前に会った時の名前だったな。
今は蘇芳紅石(すおうこうせき)と名乗っている。』
『ほぅ…貴方も忙しいようだ。もしや悪霊島の件も蘇芳殿かな?』
『さて、どうだったかな…。 ところで、あの機械人形を無能な孫娘に任せてしまっても良いのかな?
それなりに労力を注いで開発したようだが?』
『実戦テストのサンプルを取るぐらいは、霊力を持たぬ織羽でも充分だろう。
むしろ、死んでもらった所で一向に構わん。
どのみち、あの機械人形もカオス卿の造り出した最高傑作に比べれば鉄屑に等しい代物よ…。』

起動したアナスタシヤの目が淡く輝き、頼重の隣に立つ赤衣の男に向けられる。
『魔族ヲ・感知・シマシタ・マスター・命令ヲ』
「えっ…!?」
『反応・消失・シマシタ』
「大丈夫…なの? いきなりバグ起こしたんじゃないでしょうね?」
眉をひそめて技師に質問を始める織羽。
しばしのやりとりの後、精密なチェックするものの結局異常は見つからず。
「特に異常は無かったみたいだけど…今のは何%かの確率でバグが出るって事?
となると、いざって時の為にアナスタシヤ以外の防御手段も確保したいわね。
戦闘中にいきなり無防備になるってのは避けたいし…。
でも、わたしは霊力が必要な呪具は使えないのよね…。
ん〜…ここで考えても仕方ないし、まずは盾でも探しに行きましょっか?
お爺様の前であれだけ大見栄切っといて、今さら藤津木の霊能者貸して下さいなんて言えないし。」

アナスタシアを連れて研究所の外に出た織羽を待つのは、運転手付きの黒いベンツ。
「アナスタシヤ、その車に乗って…って、この長い槍どうやって積むのよ〜!」
『マスター・シナバースピア・中折レ式・デス』
工業地域からベンツの気配が完全に消えると、研究所の中では蘇芳と名乗った赤衣の男が苦笑する。
『俺の隠身を感知しかけるとはあの鉄屑も中々やる…。
どうやら、頼重翁に人工霊魂創造の技術を渡した甲斐もあったようだな。
あの無能な孫娘には、俺が実戦の機会を与えようではないか。
丁度、白い駒に埋め尽くされた盤面を黒に塗り戻さんとする指し手に心当たりがある。
白でも黒でも無い、灰色が駒と成りうるか………見極めさせてもらおう。』
189 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/19(火) 01:04:53 0
【名前】藤津木 織羽(ふじつき おりは)
【年齢】17
【体格】中肉中背
【容姿】濃紺のスーツ
【属性】ディレッタント(好事家)
【霊圧】0.1マイト
【装備】霊的機械人形“アナスタシヤ”
【趣味】霊的な物品の発掘と収集
【特殊能力】個人資産数億
【備考】富豪の孫娘で霊的物品のコレクター。自ら世界を飛び回って遺跡や霊的な場所を巡って収集を行う。
行動的というより無謀で危険に巻き込まれることもしばしば。


【名前】アナスタシヤ・Vista
【年齢】本日ロールアウト
【体格】長身に豊かな胸の機体フォルム
【容姿】白いコート、ロシア帽、マント
【属性】自動人形
【霊圧】期待値70〜90マイト
【装備】辰砂槍/クラウドバスター/内蔵マシンガン/強化金属ネット/特殊スプレー
【特殊能力】霊体感知センサー
【備考】除霊の際にパートナーが居れば…こんな事を思った事はありませんか?
そんな貴方に、今日は藤津木グループが開発した霊体迎撃用ロボットVistaを紹介します。
絶対防御・多機能をコンセプトに重装備を施したVistaは、退魔武装による直接〜遠距離攻撃から、
センサーによる悪霊の探知、さらには搭載小型モニターでの地デジの視聴まで可能と驚きの性能。
攻撃、防御、探索から娯楽まで…Vistaは貴方のあらゆる生活をサポートします。
眺望の意を持つVistaはその名の通りに人と霊の関係に新たな眺望を見せるでしょう。
さあ貴方も今すぐVistaを購入して快適な除霊ライフの実現を!



【な…何なの…功名心に逸る弱者って設定にPC昇格を狙ってそうなロボ娘。
おまけに頭使わないと死にそうなポジションだっていうのに、
わたしの守護神は、切羽詰まると容赦無く殺しにかかる邪神。
くっ…見える…見えるわ…黄泉平坂に翻る幾つものデッドフラグが…。
それとシナリオは、一応わたしも考えるけど期待はしないでね。】

>184
「あ、ホントだ。
わたしも読み違えてた…。
で、でも白70:黒30ぐらいの状態を一旦50:50にして、
それから白30:黒70ぐらいに崩し直すのが目的かも知れないし!」
『アナスタシヤ・弁明・学習・シマシタ』
190 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/22(金) 00:38:17 0
>184
おっと、うっかりしていた! 
ついでに関係個所をウィキペディアから引用

「世界を維持するために魔族は基本的に悪として
神族や人間に負け続けなければならない役割を強制されているため
魔族の中には自分達が虐げられ続けなければならない状態に多かれ少なかれ疑念を持っいる者も多く」
だそうです

>185
ビバ再チャレンジ制度! 今回もよろしく!
―――――――――
>183  続き
茶釜の蓋を開けても霊が飛び出したり煙が出ておじいさんになったりすることはなかった。
師範は茶釜の中を覗き込みながら意味ありげに言った。
「こっ、これは……!」
果たして入っていたのは秘密のメッセージか宝の地図か!?
191 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/22(金) 22:04:17 0
>>184
ご説明ありがとうございます
自分の説明が足りませんでした
>>185
再参加ありがとーございます
また盛り上げていきませうぜーえぇ
>>190
えぇと…すんません
>>184の方が言うように、デタントは既に白側に傾いていて、それを魔族の上層部は神族や人間に負け続けなければならない兼ね合いから数万数千年かけてゆっくり元に戻下そうとしているのを、テロ魔族達は一気にに戻そうとしているというわけなのです
故に、テロ魔族は魔族正規軍にとっても敵であるわけです
説明がわかりづらくて申し訳ありませんでした
でもここからの展開で、藤津木さんの言うように、50:50を70:30や100:0にしようとする魔族が現れるかもしれませんね


続き

カフェの師匠があけた金の茶釜、その中には……
「俺、お茶菓子買ってきましょうか?」
「牧街君事務所空けといていいのかにゃ?」
「あ、今日師範が大事とって一日休めって言ってたんで」
どんな末恐ろしい物が入っているのかと思われた茶釜の中には、何だか高級な雰囲気がする茶葉が入った茶筒が入っていた
それを見た牧街は、日頃鍛えられているパシリ力で素早く気の利いた事を言う
だが、牧街は気づいていなかった
カフェの師匠にフィギアの引換券貰うのと、茶葉が微妙に霊気を帯びている事に…

一方その頃
「はい、こちら恐山流除霊道場アジア本部でございます、ご用件は何でしょうか?」
鳴り響く恐山流除霊道場の電話を、電話応対係のGS訓練生が勢いよく手に取り、言った
2階の閑古鳥が鳴く牧街GSオフィスと違い、1流GS恐山師範が率いる恐山流除霊道場には日々様々な除霊の依頼が寄せられており
2件もの緊急の出動要請があり、既に恐山師範と主力のGS見習い達は出払っていて
今道場にはGS免許を持ったGSは勿論、悪霊と渡り合うレベルに達しているGS見習いもいなかった
この場合、報酬の山分けする事で大抵暇な牧街を使うのだが、今回はその牧街も退院したばかりで1日の待機期間中にあるため、よっぽどの事で無い限り呼ばれる事はない
「へ?藤津木グループの方ですか!?わかりました、少々お待ちください。……おい!牧街さん呼んで来い!あの秋葉流のとこにいるはずだ!」
…大会社の令嬢からの電話と言うよっぽどの事に、牧街の休養期間は消滅した
いがぐり頭のGS見習いが玄関から飛び出し、すぐ近くの冥土カフェ目指して走っていく

こうして恐らく優秀なGSを呼ぶために道場に電話したのだろう織羽は、ポンコツGSを掴まされる事になるのだった
お茶のせいで牧街が死んでなければ
192 :名無しになりきれ:2010/01/23(土) 08:14:57 0
もう悪役は嫌でござる
正義の味方をやりたいでござる
193 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/23(土) 19:58:56 0
走行するベンツの中では、ノートパソコンを広げた織羽がキーボードに指を走らせていた。
無線LANでインターネットに繋がったパソコンの液晶画面には、検索の結果が即座に表示される。

インターネット“Guruguru”での『東京 レストラン』の検索結果、約27,400,000件。
「ロイヤルフォレストのチーズレモンカスタードシフォンパイ…これおいしそう…。」
『マスター・探スノ・霊能者・デハ?』
「ちょっ…ちょっとお昼食べるとこ探してただけじゃない…!
人間は貴女と違ってお腹が空くんだから……霊能者なら今探そうと思ってたとこよ…。」
アナスタシヤの質問へ返答する声は何故か小さい。

―――再検索。

インターネット“Guruguru”での『GS 除霊』の検索結果、約15,000件。
「唐巣教会…小笠原エミ除霊事務所………今度はそれっぽいのが色々出てきたわね。」
検索で出てきたのは、正常な人間なら一生関わり合う事は無いであろう怪しげなサイトの数々。
今から、この無数の得体の知れないサイトの中から正解を見つけねばならないのだ。頑張れ織羽。
「んー…と、恐山流除霊道場…? 恐山って言ったら有名な霊場じゃない。
ここなら外れクジを引く事もなさそうね…えーと電話番号は…。」
携帯電話を開き、恐山流除霊道場アジア本部の番号を打ち込む。
この選択が正解だったのかどうかは、天のみぞ知る。

「もしもし…そちらは恐山流除霊道場様でしょうか?
私は藤津木グループの者で、藤津木織羽と申します。
お忙しいところ失礼しますが、少々お時間を宜しいですか。
実は仕事の依頼をしたいのですが、御都合の方は如何でしょうか?」
>GS見習い「へ?藤津木グループの方ですか!?わかりました、少々お待ちください――」

受話器の向こうで受付が去って行く気配。
ベンツはすでに東京市内に入り、恐山流除霊道場の方向に向かっている。
「対魔族戦になるなら、その前に実力を測る必要があるわね。
それに除霊シーンってまだ見た事無いし…アナスタシヤ、センサーで都内の霊障を探せる?」
『イエス・マスター・範囲5km・マデ・可能・デス』
アナスタシヤの青い瞳が淡く光を帯びる。
省エネモードから通常モードに移行したアナスタシヤが広域センサーを起動した。
『センサー・起動・南東100m・霊的反応・感知』
「100m…ちょっと混雑してるわね。 あっ…そっか、ゴーグルゴーグル。」
霊能力の無い織羽は、霊視ゴーグルを付けないと霊を見る事が出来ない。
手際良くゴーグルを付けて、アナスタシヤが反応を指示した場所を見る。

そこには、クリーチャーとしか表現しようの無い禍々しい姿の巨体。

ハイテクの霊能アイテムが映したのは―――魔物と思しき異形の姿。
194 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/23(土) 20:00:54 0
ショッピングセンター“わけありマート”は商品が安価な店として知られる。
懐の厳しい者たち御用達の店であり、商品の半額割り引きは当たり前。
この値段で買える筈が無い!というような掘り出し物も珍しくはない。
ちなみに商品の流通ルートは、一切の不明である。

折からの不況で、休日ともなれば安売り店はどこも盛況。
この日は、わけありマート駐車場で特撮物のヒーローショーが行われていた事もあって、
駐車場近辺は集まった子どもたちと同伴の親と大きなお友達たちで特に混雑をしていた。

そんな賑わいの中で、悪役怪人が『もう悪役は嫌でござる。正義の味方をやりたいでござる』
などとのたまいながら、ヒーローを打ち倒してしまったら発せられるのは無論、大ブーイング。
『かいじんのバカー!』
『わるものしんじゃえー!』
『ヨガレンジャーたってー!』
『ああ、一旦ピンチに陥らせて逆転する…梅澤監督の常套手段ですね。』
子どもたちの声が、ひたすらに喧しい。

アナスタシヤの霊体感知センサーが捉えた先は、ヒーローショー真っ只中の悪役怪人だった。

「あの着ぐるみの人、何か悪霊が取り憑いてるみたいだけど…。
よりによって何でヒーローショーの怪人に?」
『マスター・怪人・殲滅・シマスカ?』
「待って、貴女の武装じゃ怪人の中の人まで殺しかねないし………まずはGSをこっちに呼びましょ。」

電話の先に人の気配。
出たのは牧街かもしれないし他の人かもしれないが、織羽に受話器の向こうの事情など知る由も無い。
「もしもし、恐山流除霊道場の方でしょうか?
私は藤津木グループの者で、藤津木織羽と申します。
お忙しいところ失礼しますが、除霊をお願いしたいのです。
すぐにわけありマート駐車場までお越しいただけませんか?
場所は―――こちらの目印ですが車のナンバーは―――」

駐車場に止めた車の中から、かくかくしかじかと説明してGSを待つが、
怪人の独壇場と化したヒーローショーの混乱は野火の様に広がってゆく。

そろそろ、警備員か誰かが止めに入る頃かも知れない。
195 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/25(月) 00:15:41 0
>191 >194
「きっと大狸さんがいつか飲もうと思って大事に大事にしまっていたお茶にゃ……!」
カフェはすてーんとひっくり返った。
牧街がお茶菓子を買いに行ったので、カフェは今出てきたお茶を入れようとする。
忘れがちだが喫茶店の娘だからカフェなのである。
そこに、いがぐり頭のGS見習いが飛び込んでくる。
「大変です!」
かくかくしかじか
例によってカフェと師範はヲタク的妄想を繰り広げ始めた。
「大企業の令嬢からの依頼とは……大きな陰謀が絡んでいるに違いないぞ!」
「魔族かもしれないにゃ!」

そうしている間に牧街が帰ってくる。
お茶を飲んでいる場合ではなくなったので、お茶を飲んでどうにかなるのはとりあえず回避された。
「牧街くん、すぐにわけありマートに行くにゃ!」
師範はすぐさま猫タクシーを召喚した。
猫タクシーは案外普通のタクシーの中に結構混ざっているのかもしれない。
そしてなぜかお茶を持って行くつもりらしく、大事そうに鞄にしまった。
猫タクシーの運転手「はいはい、ちょっとかっとばしていくよー」
猫タクシーはわけありマートに向かって疾走する。
196 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/26(火) 22:20:48 0
かくして悪の秘密結社ダグロムの怪人“どくろハムスター”は、ついに宿敵ヨガレッドを打ち倒した!

『おま…何してんだ!? まさか…この前のロケで火薬の量、間違えたの…まだ恨んでるのか!?ぐほっ!』
圧倒的な暴力の前に、成す術も無く倒されるヨガレンジャーたち。
『攘夷でござる殿中でござるそれがしこそ正義の味方なり。』
ステージ上で高らかに己の正義を主張する怪人。
『これ演出じゃ…ないよなぁ。』
『うちの警備会社、怪我した時って労災降りるんでしたっけ?』
ステージの脇で、ただ己の無力を噛みしめる警備員の山村さんと島田さん。
『お終いだぁーーー!俺の初仕事がぁーーー!あぁうぁをあーーーちゃいこふすきーーー!』
苦悩に頭を抱え、有らぬ事を口走るヒーローショーの演出家……et cetera。

混乱の中、牧街やカフェ…GSたちを乗せた猫タクシーがわけありマート駐車場に到着。
電話の際にGSはタクシーで来ると聞いていた織羽は、猫タクの到着にベンツを降りて出迎える。
「悪霊退治を依頼したゴーストスイーパーの方ですか? 私は先程連絡した藤津―――」
言い掛けて絶句。
タクシーから降りてきたのは、中学生くらいの年齢のゴスロリ少女に猫耳を付けた小学生男子だったから。

えーと…この人たちがゴーストスイーパー………な、訳ないか。
助手…かしら? と、見せて只の一般人が買い物に来ただけの可能性もあるわね。
それにしても凄い格好…こういうドレスみたいな服ってどこで売ってるのかしら?

…などと逡巡していると、続いて二十歳を少し過ぎたくらいの男性がタクシーから降りてくる。
失礼ながらパッと見、うだつの上がらない風体。有り体に言ってオーラが全く感じられない。

うん、この人も間違い無くGSじゃないわね。

「失礼しました…人違いです。」
織羽は仕事を依頼したGSが、このタクシーには乗っていなかったと確信して踵を返す。
「予定ではもう着くはずなんだけど…アナスタシヤ、霊圧センサーを起動してGSが到着したら教えて。」
『霊圧センサー・起動・範囲5m以内・霊圧70マイト以上・感知』
ベンツから降りたアナスタシヤが牧街とカフェに目を向けた。
『簡易測定・開始・シマス・60.39…・70…・此ノ方達・GSノ・可能性・確率97.28%・デス』
「こほんっ………失礼しました。 人違いでは無かったようですね。
私は藤津木織羽。こちらは藤津木の開発した霊的機械人形vista型。
実は依頼というのは、vistaの性能テストの際、万一の時の為に私をボディガードするというものですが…。
その前にここで起きた霊障を解決して、実力を証明して頂きたいのです。
もちろんボディガードの依頼をお請け頂けなくても、
ここで除霊した分は別料金としてお支払い致しますが…如何でしょうか?」

伺う様にGSたちの目を見、続いて大幅なシナリオ変更を余儀なくされたヒーローショーに視線を移す。
熱狂と興奮と無垢な子どもたちの願いとが、絶妙にブレンドされた混沌たる喜劇へと。
ヒーローショーは―――今こそ真のヒーローを必要としていた。
197 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/29(金) 09:49:13 0
>>195
カフェ等が妄想を膨らます中、近場のスーパーでしょうゆ煎餅を買ってきた牧街が戻ってきた
「ただいま戻りやした〜、ぇえ、とりあえずこれでいいっすかね?…あれ?何で白川訓練生がここにいるんだ?」
「あ、牧街さん、藤津木財閥の方から仕事の依頼があったんですが、師範いないんで牧街さんにと思って」
「へ?あぁ、はいはい」
一瞬凄く嫌そうな顔をした後、しぶしぶ受話器を受け取る牧街
休みが潰れるのは嫌だが、今回は道場の信頼に関わるので、んな事は言ってられない

>「もしもし、恐山流除霊道場の方でしょうか?〜
「あ、はいわかりました、すぐ向かいますので少々お待ちください」
とりあえず仕事の依頼を了承し、道場脇の駐車場に止めてある車に戻ろうとした牧街を、カフェの師匠が引き止める
>「牧街くん、すぐにわけありマートに行くにゃ!」
どうやら送ってくれるらしい
「悪いっすね、家の道場に来た依頼なのに」
「魔族が関わってるかもしれにゃいから僕等も念のためついていきたいにゃ」
「事務所空けといていいんっすか?」
「お客さんの応対は冥土カフェの人達に任せておくから問題無いにゃ」
と言う分で、いがぐり頭の白川訓練生と別れた牧街は、カフェの師匠の猫タクシーでわけありマートへと向かう
ちなみに、牧街はすっかり忘れているが、彼は今丸腰だ
198 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/29(金) 10:35:42 0
その事に牧街が気づいたのは、わけありマートに到着し、藤津木嬢が出迎えてくれた瞬間だった
(やっべぇ!俺、神通杖すらもってねぇえええええええ)
頭を抱えて悶絶したくなるのを、何とか堪えながら何とか挨拶しようとする牧街だったが…
>「失礼しました…人違いです。」
「へ?あの〜…」
普通にスルーされてしまった
(もしかして師範に用があったんか?)
余りに華麗にスルーされたので、車のナンバーとか間違えたかなとぽりぽり頬をかきながら考えていた牧街の前に、ベンツの中から…

これ以上無いって位牧街の心にジャストミートな美人が現れた

途端に真っ赤になり、硬直してしまう牧街
(びびびびびび美人や!大美人や!メー●ルの、メーテ●の再来だ!この白く美しい肌、さらさらと流れる金髪、物凄く落ち着いた雰囲気、冷たさを帯びた機械の様な瞳…パーフェクトだ!俺が横島忠雄だったら即座に襲いかかっている程の美人や!)
頭の中でめちゃくちゃアナスタシヤを褒めちぎっていた所に、アナスタシヤの視線が牧街の方を向いたので、慌てて視線をそらす
そんな牧街の態度など意に介さず、牧街とカフェをじっと見ていたアナスタシヤは、何だか妙な事を口走り始める
>『霊圧センサー・起動・範囲5m以内・霊圧70マイト以上・感知』
(霊圧センサー?丸腰っぽく見えたけどそんな物持ってたのか?)
不可解な台詞を疑問に思っていると、先程の藤津木嬢が再び車から姿を現した
そして、驚愕の真実が告げられる
>こちらは藤津木の開発した霊的機械人形vista型。
(えぇ!?ロボ!?メカ!?俺は…俺はロボコンに…魂の無い機械人形にときめいてしまったと言うんか!?)
あまりのショックに、少々白くなってしまう牧街
しかし、一応藤津木の言葉は届いていた様だ
>ここで除霊した分は別料金としてお支払い致しますが…如何でしょうか?」
「はい、わかりました…、やらせていただきます、えぇ」
多少元気の無い声でそう言って、牧街はため息をついた
本当は破邪札は愚か神通杖さえない状態で悪霊とやりあうなど絶対嫌なのだが、道場に来た依頼を任されている以上、戦わずに逃げる事はありえない

あぁ、せっかく怪我が治ったのになぁと憂鬱な気持ちで、とりあえず戦う相手に視線を移した牧街は、驚愕の声を上げた
「アレは…どくろハムスター!」
ステージの上で荒れ狂うどくろハムスターの姿に、思わず声が出る牧街
彼はアニメにはうとかったが、特撮物は結構見る方だったのだ
「…なる程、着ぐるみに悪霊が取り付いてるという分か……」
ここんところ空気だったり噛ませだったりとろくな事が無い牧街だったが、そこは一応プロのGS、相手の正体を一目見ただけで見抜いた
そして中にまだ人が入っている事を確認した牧街は、どうするべきか思案し始める
カフェやカフェの師匠に協力を仰ぐわけにはいかないし、まともに戦える武器も無い
また、中に人間がいるため手荒な事はできない
「…どうしようもねぇやん」
そう言って、ため息を一つつき、じーっとどくろハムスターを見つめていた牧街は、ある事に気がつき、舞台袖へと走っていった
199 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/29(金) 10:56:37 0
「ゴーストスイーパーです!ヨガレッドのコスチューム、ありますか!」
突然楽屋に駆け込んできた牧街に、わけありマート関係者は多少驚いたが、牧街がGS免許を見せ、作戦を話すと、快く作戦に協力してくれた


『アッハッハッハッハ、私こそ真の正義なりぃ、私にブーイングを飛ばすお前等は許さんでござる!』
舞台の上ではヨガレッドを倒し、勝ち誇っているどくろハムスターが、今まさに、ブーイングを飛ばす子供達に襲い掛かろうとしていた
子供達が怯えて泣き声とヨガレンジャーを呼ぶ声がヒートアップした、その時
「待て!どくろハムスター!勝負はここからだ!」
掛け声と共に、舞台袖から再びヨガレッドが姿を現した
『又やられに来たでござるか?正義の前に、貴様など相手にならんでござるぅ!』
そう言って、両手の爪を見せるどくろハムスターに、少したじろいだが、慌てて虚勢を取り戻し、構えを取るヨガレッド
「子供を傷つけようとするお前に、少なくとも正義何か無い!」
ビシッとどくろハムスターを指差して格好良く言ったヨガレッドだったが、いざどくろハムスターが突っ込んでくると、おわぁとか情けない声を出して飛びのいて避けるだの、間合いを取って相手の攻撃を牽制するだのと、一向にまともに戦おうとしない
その姿に、ヨガレッドの復活に沸いていた客席も、何だかどんどんクールダウンしていく
「ヨガレッドー、早く怪人やっつけて!」
「逃げるな!ぶつかっていけ!」
「頑張れぇ!早く何とかしてぇ!」
「声がさっきと違う!偽者だアイツ」
しかし、子供達の声援とは裏腹に、ヨガレッドは全く攻めに回らない
何だか情けなく、弱いその姿にどくろハムスターも調子付いたのか、攻撃が段々大振りになってきた
(そら、今だ!)
「とうっ!!」
一段と大振りな攻撃をどくろハムスターが放ったその時、ヨガレッドこと牧街は素早くどくろハムスターの後ろに回りこみ、背中の蝙蝠のような羽に手をかけた
「そりゃぁああああっとぉ!!」
渾身の力を篭めて、牧街は蝙蝠の羽を引っ張り、引きちぎる
ヨガレンジャーに登場したどくろハムスターは、劇中で羽をもぎ取られた事で体の力が萎えてしまっていた
コレはヒーローショーなのでその弱点が有効かは不明だが
どくろハムスターの口ぶりや動きが劇中の物とそっくりだった事から弱点も共通ではと思った牧街は、とりあえずその弱点を攻める事にしたのだ
はたしてその結果は如何に
200 :カフェ ◇YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/29(金) 11:32:50 0
>196
>「失礼しました…人違いです。」
「いや、間違えておらぬ。妾は秋葉原流GSのカフェでこっちは妾の師範じゃ」
>『簡易測定・開始・シマス・60.39…・70…・此ノ方達・GSノ・可能性・確率97.28%・デス』
「霊的機械人形……すごいのう!」

>「ここで除霊した分は別料金としてお支払い致しますが…如何でしょうか?」
「話は後じゃ。まずはこの状況をどうにかせねば」
「敵役だから負け続けなければいけないなんて誰が決めたでござる!
正義の味方になりたいでござる!」
そうしている間にも、負け続けなければならない運命に疑問を感じテロを起こした怪人が魂の叫びをあげている。
はて、最近似たような話をどこかで聞いたような。
「あーっ! テロ魔族に操られてるのではないか?」
カフェが師範に小声で尋ね、師範が対処法を分析する。
「直接操られてるわけではなさそうにゃ。
あの着ぐるみはきっと本当はヒーローをやりたいのに怪人しか出来にゃい事に不満を抱いていた……。
それがテロ魔族の思念の影響を微妙に受けて悪霊みたいになった可能性はあるにゃ」

>199
気づくと、牧街ヨガレッドが手際よく怪人の羽をもぎ取っていた。
「よし、あの手でやってみるとしようぞ。名づけて鞭の後に飴作戦!」
要するに痛めつけて力の差を見せ付けた後に優しい言葉をかける作戦。
「ヨガホワイトロリータ参上!」
良く分からないヒーロー名を叫びながらステージに躍り出て、怪人に語りかける。
「誰でござる! お前も拙者を痛めつけるでござるか!?」
「お兄ちゃん……いっつも負けなければいけないなんて辛かったよね……」
魅了の術はヲタ属性持ちか妹属性持ちにしか効かないことになっているが
ヒーローショーの出演者をやっているぐらいだから
ヲタク方面に少しは興味があるだろうと思っての賭けである。
「うるさいでござる。お前に何が分かるで候!」
突っぱねているように見えるが、明らかに動揺している。
続いて、ボロ雑巾のようになって倒れている当初のヨガレッドに目を向ける。
「お兄ちゃん、怪人さんの話を聞いてあげて。
話し合えば怪人とだって分かりあえるかもしれないじゃない!」
「なんだって……? 怪人と分かりあえるなんてそんなことが……」
こちらにも魅了の術が少しは効いたようで、しばし見つめ合うヨガレッドとどくろハムスター。
なんともいえない空気が場を支配し、観客が息をのんで見守る。

201 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/29(金) 22:34:55 0
わけありマート駐車場では、織羽も観客の中に混じってヒーローショーの様子を眺めていた。
その傍ら、時折手元のノートパソコンに目を落として魔族に関わりそうな情報を探す。
「ビンゴ…これね。でも何で…こんな大事なのに誰も何も言ってなかったのはどうして?
一度、本社に問い合わせる必要があるわね………。」
携帯電話を開き、藤津木グループ本社の電話番号を打ち込む。

その頃、ステージでは偽レッド(牧街)にブチリと羽を千切られて弱った怪人と、ヨガレッドが見つめ合っていた。
しばしの迷いの後、意を決したように怪人に駆け寄って手を差し伸べるヨガレッド。
『どくろハムスター、もし正義を求めるならオレたちとお前は仲間…いや、友になれるんじゃないのか?
全てを戦いで解決していたら報復の連鎖は終わらない。それにPTAからも苦情が来る。』

差し伸べられた手を取るどくろハムスター。
背中の羽が千切られたことによって怪人の力が失われたのか、カフェが掛けた魅了の術も効果は抜群だ。
『ヨガレッド…拙者は…拙者はただ…。』
『もう良い、何も言うな………わけありマート駐車場で、僕と握手!』
レッドと固く握手すると、怪人の体から邪気が抜けてゆく。
かくしてヨガレンジャーとダグロムの怪人の和解は成った。

『ざわざわ…ざわざわ…。』
今まで固唾を飲む人々で静まり返っていた観客席の沈黙はざわめきに変わり、やがてそれは怒号へと変わる。
『ええー!』
『テレビとちがーう!』
『怪人は、ちゃんとヤラレロー!』
子どもたちのブーイングと投げられる無数の空き缶がステージ上を飛び交う。
除霊は成功したものの、どうやらヒーローショー的には失敗だったようだ。

本社への通話を終えて携帯電話をパチンと閉じた織羽は、ステージ裏に移動してカフェと牧街に声を掛けた。
「合格…ね。ヒーロー役、お見事でした。カフェさんに…まだ名前を窺っていませんが、そちらの助手…の方?
先程の護衛の件ですが、今度は本物の悪の組織と戦ってみませんか?
メルクリウス貿易―――という名に聞き覚えはあるでしょうか。
前々から盗掘された物品を密輸しているという黒い噂の絶えない貿易会社です。
今年もエジプトから発掘したオーパーツを日本に運んだとか…。」

言葉を切って声をひそめ、緊張した面持ちで話を続ける。
「それで…実は藤津木の研究者が一人、メルクリウス貿易に拉致された可能性がありまして。
先日、発信器を兼ねた社員証の反応がメルクリウス貿易で消失したのです。
なぜ貿易会社が研究者を誘拐したのかは解りませんが、大事な社員は奪還したいものです。
ですが、メルクリウス貿易の社長は経歴不明の怪しい人物で、
調査では、黒魔術で魔ぞ…こほんっ…何やら悪霊…の様なものを使役するとの噂もあります。
本来はオカルトGメンに頼むような案件かもしれませんが、事を荒立てて藤津木の評判を落とすわけにはいきません。
それで…私がアナスタシヤに強襲させて弊社の社員を奪還したいのですが、その護衛をお願い頂けるでしょうか?」

織羽は、魔族に遭遇する可能性と言う点を伏せて、GSに再度の依頼を出す。
202 : ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/01/29(金) 22:36:55 0
東京都港区に聳える双色の電波塔、東京タワー。
この鉄塔は、国内海外を問わず大勢の観光客が訪れる都のシンボル的な建造物。
今日、タワーの地上施設フットタウンでは、エレベーターや階段の前で絶え間無く観光客の不満声が聞こえる。
「ええっ…せっかく来たのにぃ。」
「何も休日にやるこたないのになー。」
階段とエレベーターの前には『本日はメンテナンスの為、展望台を休業いたします』と張り紙による告知。
それを見たタワーの観光客たちは不満を述べながらも踵を返し、その場を立ち去ってゆく。
しかし、もし観光客の中に魔術の知識や霊力や秀でた者が一人でも居たならば、
告知の張り紙を見て一目でその異様さに気づいた事だろう。
そう…紙が魔力の込められた護符であり、張り紙のデザインに見える模様は人払いを意味する異国の言葉である事に。

地上250mに位置する東京タワーの特別展望室では、都内の全景を四方に一望できる。
メンテナンスの告知によって、今は無人となった特別展望室に何者かの声が響く。
「やれやれ、東京が悪霊都市として生まれ変わる記念の日になると思ったのにね。」

漫画表現での未登場の悪役の如く、フード付きの黒いマントで全身を覆った男が地上を見渡す。
あれ…人が居るのなら無人じゃないよね、という突っ込みは無用に願いたい。
都内を眼下に睥睨する彼は、人と呼ばれる存在では無いのだから。

そして無人は、タワービル5階の送信機室も同様。
今日は、メンテナンスの作業員の代わりに蝋人形たちが働いていた。
ちなみにこの蝋人形たち、当然ながら日本電波塔株式会社の職員でも電力会社の人間でも無い。
蝋人形館の人形数体が、魔術によってマリオネットの様に操られているだけである。

「しかしラルヴァ・システムによる邪霊波送信も成果が薄いね。
やっぱり核となる霊体制御装置が無ければ、駄目って事か。
まったく…せっかちなのが僕の悪いところだよね………クックック。
ああ…マリオネットたち、残業手当は出ないけど、まだまだ休んじゃだめだよ?」

特別展望室の何者かが、クスクスと笑う。
命令を受けた蝋人形たちは、怪しげな装置に取り付き、調整を始める。
今日、この電波塔で行われていたのは告知されているメンテナンスなどでは無い。

行われていたのは―――魔族による放送実験。
203 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/30(土) 21:05:24 0
>>200
牧街の作戦は成功し、怪人は劇中どおり戦闘能力を失った
さあ、ここから悪霊怪人を颯爽とやっつけて藤津木嬢の信頼を勝ち取るぞ!
と言う所で、突如カフェがステージに現れ、突然の事に困惑する牧街の前で怪人を説得し、成仏させてしまった
「えぇ……!?ぁ…し…しまった…」
その出来事に、牧街は冷や汗を流す
今回の依頼は牧街の所属する恐山の道場に来た物で、本来なら牧街は戦うべき相手だった
なので、カフェ等は例の魔族を警戒し、慈善事業でついて来てくれた物だと思っていたが、不意打ち的に手柄をかっさらわれてしまった
この場合、牧街は報酬を貰うわけにはいかない
道場関係者ではないカフェやカフェの師匠が悪霊を倒したのでは、恐山流除霊道場が悪霊を倒しましたとはいえないからだ
その上、怪人戦滅に失敗したのが牧街除霊事務所ならば良かったが、今回失敗したのは恐山流除霊道場だ
師匠の顔に泥を塗ったので、帰った後どんな目に合うか、想像するのも恐ろしい

更に、悪い事は続く
「ぁ…ちゃぁー………」
「あちゃーじゃないよ!君!どうしてくれるんだ!」
ステージ袖近くで呆然としていた牧街を袖から伸びた手が引っつかみ、舞台裏へと引っ張り込んだ後、演出家が怒声を浴びせてきた
「ぅ…その…申し訳ありません」
「申し訳ありませんじゃないよ!君の作戦なら私のショーを台無しにする事は無いと思ったから君の交戦と着ぐるみの破損を認めたんだ!怪人を舞台袖に誘導し、そこで中のバイト君を救出して、抜け殻になった怪人を倒すんじゃなかったのかね?それをあんな風に…」
「いぇ…確かに、アレは想定外でしたが、しかし、悪霊の殲滅は早急に行う必要がありまして」
「そんな事はわかってるんだ!私が言っているのは、何故途中でこちらに通達無しに突然作戦を変更したのかって事だよ!見たまえ!あの子供達を!」
ショーの方へ目を向ければ、子供達は親に「あんなヨガレッドと握手したくない」だとか「もう帰る!」などと言って、次々とつまらなそうな顔で帰っていっている
「ああ言う道徳的な終わり方はショーにすると派手さもないし、あの年頃の子供達には受けないんだよ!大体何、あの女の子!部外者を除霊させたのかね?え?君それでもプロか?君は子供達を裏切ったんだぞ!君は社会人として恥ずかしく無いのか?」
「申し訳ありません、彼女はあの…GS資格者でして…その…こちらの不手際で…」
一気にまくし立ててくる演出家に、牧街はしどろもどろにしか答えられず、それがかえって演出家の激昂に触れたようだ
「君じゃ話しにならない!上の者を呼ぶか、でなければ君の事務所を訴えさせてもらう!」
「そんな!親は!親とかは関係ないんで!それだけは勘弁してください!」
「まぁまぁ、君落ち着きたまえ」
怒る演出家に牧街が万引きした小学生みたいな事をほざいたその時、演出家の後ろから別の人物が現れた
「主任…」
どうやら、ショーの責任者の様である
彼の登場に、息を荒げていた演出家も、多少落ち着いた
「お客様から怪我人が出る事を考えたら、悪霊が倒れただけ良かったじゃないか」
責任者の言葉にそう言われて、演出家も「まぁ…責任者がそういうなら」と黙らずにはいられない

結局、その場はショー責任者の寛大な処置で、牧街が訴えられる事無く済むのだった
ショー責任者の主任が起訴を取り消したのは、裁判沙汰になってスーパーの黒い所を探られたくなかったというのが本当の所なのだろうが
助かってほっとしている牧街には、その辺りはどうでもいい
204 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/01/30(土) 21:45:40 0
さて何とかショーの方も丸く治まり、はーっと一息ついた牧街は、舞台裏にカフェを呼び出していた
「あの…カフェさん、今回、助けていただいたのは大変嬉しかったのですが、その…」
>「合格…ね。ヒーロー役、お見事でした。
牧街がカフェに一言何か言おうと(その割にはめちゃくちゃ弱気だったが)したその時、タイミングよく藤津木嬢がその場にやってきて、牧街の言葉は肝心のところで途切れてしまう
しかし、褒められたので、あ、一応信頼は取れたのかなぁと喜ぼうとした所
>カフェさんに…まだ名前を窺っていませんが、そちらの助手…の方?
しっかり活躍も手柄も持っていかれた事がわかり、牧街は体の力が抜けてずるっとすっこけた

だが、藤津木嬢の話しの続きに、牧街の目の色が変わった
>私がアナスタシヤに強襲させて弊社の社員を奪還したいのですが、その護衛をお願い頂けるでしょうか?」
(……明らかに犯罪の臭いがするじゃん)
すなわち、恐怖と怯えの色に…

(え?そ…そういう誘拐されたとかって警察に頼むべきで…と言うか、他人の会社をロボで襲撃したら犯罪だよ…な?
あ、そうか、向こうも犯罪やってるから…
でも、これ俺関わると間違いなくイザという時トカゲの尻尾きりで人生終わらせられるよな…?
だけど断って帰ると道場に泥塗っておめおめ帰ってきたって事で師匠にえらい目に合わされるだろうし…
ヤバイ!色々ヤバイ!ってか断ると帰り道で黒服にさらわれそうだし…
アカン!マジアカン!に…逃げなければ…
駄目だ!どっちからも逃げる自信が無い
………どうすれば…どうすれば生き残る事ができる……)

戦いが始まる前から絶体絶命の大ピンチに陥った牧街はふっとある事に気がつくと、がしっとカフェの師匠の手を取り、藤津木から見えないところまで引っ張って行き、言った
「今回の事件は大事の予感がします!できれば、大勢の人の平和と安息のために、力を貸してください!無論、報酬は山分けで!」

牧街のライフセーブプランはこうだ
まず、カフェとカフェの師匠の力を借りて藤津木の依頼に挑む
こうすれば、消される時は皆一緒なので、お互い協力せざる得なくなるだろう
そして、もしそんな風に消されそうになる事無く無事依頼を達成できれば、師範への汚名返上もできて、人生は安泰だ
更に、カフェ等の協力があれば、本来の依頼の方の達成率も格段に上がる

まぁ、要するに危ない目に一人で合うの嫌なのでカフェ等を巻き込もうという人としてどうかと思う行為なので、カフェ等が納得してついてきてくれるかは怪しい
報酬は山分けどころか9;1でも構わんだろう
205 :カフェ ◇YNbEhcUF/I [sage]:2010/01/31(日) 23:27:58 0
>201 >203-204
>「えぇ……!?ぁ…し…しまった…」
「なにがしまったのじゃ?」
>『ええー!』
>『テレビとちがーう!』
>『怪人は、ちゃんとヤラレロー!』
飛んできた無数の空き缶が当たる。
「あいた! あいたたたたた!!」

逃げるようにステージから降りてきたカフェを師範が出迎える。
「よくやったにゃ!」
「全く……あれで怒るとは最近の子どもは分かりやすい勧善懲悪しか知らぬのか!
そんな世の中だからテロ魔族も出てくるのだ」
「まあまあ。今は分からなくてもきっと将来分かってくれるにゃ。
ショーの主催者も怪我人が出ずに済んで感謝しているはずにゃ。
牧街くんは今頃裏で感謝状の一枚でももらっているにゃ」
二人には、牧街が理不尽な大目玉をくらっていることなんて知る由も無い。

しばらくして牧街が出てきた。
ちなみに、秋葉原流の師範は、まともなGS流派達の縄張り争い等等とは無縁の位置にいるので
決して自分が除霊したと主張して報酬を横取りしようとか深い事を考えている訳ではない。
考えていたとしても手伝い賃をちょっと分けてもらえたら嬉しいかなー程度なので
よもや牧街が何に怯えているかに気付くはずもないのであった。
>「あの…カフェさん、今回、助けていただいたのは大変嬉しかったのですが、その…」
「うむ。なんじゃ?」
>「合格…ね。ヒーロー役、お見事でした。」

思いもしなかった織羽の依頼に、目を輝かせる。
「悪の組織と戦うじゃと!?」
「すごいにゃー!」
ヲタクは悪の巨大企業に潜入して奪還作戦とか社長が黒魔術師とかいう設定だけでご飯三杯はいけてしまうのです。
が、隣で怯えている牧街を見て、さすがに現実に引き戻される。
「でもこれってタイーホされる可能性も……」
そう思っていると、牧街が師匠の手をとってどこかに連れていく。

>「今回の事件は大事の予感がします!できれば、大勢の人の平和と安息のために、力を貸してください!無論、報酬は山分けで!」
「もちろんにゃ! 世界の平和と安全のために共に頑張ろうにゃ!」
牧街の心配とは裏腹に、師匠はあっさり承諾した。
まあ色んな意味で俗世を超越したこの師匠ならそう言うだろう。

「はて、なにしに行ったのかのう」
その時、カフェの携帯が鳴った。
カフェの母「ちょっと! お父さんが借金して1000万もする怪しげな壺を買ってきたんだけど!」
「うむ。そうか」
カフェの母「このままじゃ店が潰れちゃう! 大きい依頼でドカーンと稼ぎなさい!」
カフェの父は要するに初期から登場している喫茶店のマスター。
そして怪しげな壺はこの人の持ちネタなのだ。
事務所は店の二階であるからして借金で店が潰れたら事務所も潰れることになるだろう。

「うーむ、なんでまた……」
もしかしたら邪霊波の影響を受けて「奥さんの尻に敷かれた亭主は嫌でござる。好きな物を買うでござる!」と
つい羽目をはずしてしまったのかもしれないが、そんなことは知る由もない。
そこに師範が戻ってくる。
「ぼくちん達も協力することになったにゃ。もちろんカフェも受けてくれるにゃ?」
「もちろんじゃ! 必ずや成功させようぞ!」
206 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/02(火) 21:06:02 0
依頼内容を聞いて表情を変えた牧街が、慌てて秋葉原道場の師範を引っ張って袖口に消えた。
何事かをヒソヒソと…でなく割と大声で相談しているので声が漏れ聞こえてくる。

>牧街「できれば、大勢の人の平和と安息のために、力を貸してください!」
>師範「もちろんにゃ! 世界の平和と安全のために共に頑張ろうにゃ!」

んー…何か、かなりの気合が入ってるみたいね。
こんなに燃えている所に護衛だけを任せるっていうのは、かえって悪いかしら…?
それはそうと内緒話をする時に!を付けるのは、わたしも気を付けた方が良さそうね…。
などと思っていると引っ込んだ牧街たちが帰ってきて、師範とカフェが力強く依頼を承諾する。
「―――話も纏まったようですね。詳しい説明は移動中に致しますので、まずは車にお乗りください。」
と言い放つと、彼らを連れて駐車場に向かい、ベンツのドアを開けてサッと乗り込む。
ベンツの車内は広く、向かい合った前部と後部の座席には軽く7〜8人は乗れそうだ。

―――しばらく車が走った所で織羽は口を開く。
「メルクリウス貿易本社は“隙間区”にあるそうですが…ええと、隙間区…ニュースなどで御存じですよね?
今年になって東京23区に新しく加わった区域です。
昨年の事業仕分けで行政が土地開発の計画を見直した所、書類に不備が多くて無駄な土地が割と余っていたそうなので、
思い切って区画整理をしてみたら一区画出来てしまったとか…。
ちなみに最近新たに造られた区域なので、まだネットなどにも正確な地図はありません。」

そして手元のノートパソコンを全員に見えるようにクルリと動かす。
「まずは奪還すべき研究員のデータをお見せしておきますね。」
画面には長い黒髪をオールバックに撫で付けた男の顔。その下には略歴が映し出される。
俣旅ゼルダ(またたび ぜるだ)32才、日本人男性。藤津木に入社して10年のベテランで独身。

「次にメルクリウス貿易社長のデータなのですが…防犯上の理由なのでしょうか?
神田呑任太(かみだのみ まかせた)との名前くらいしか分かっていません。
vistaの性能テストを兼ねていなければ、手っ取り早く眉毛の太いスナイパーに依頼をするのですが…。
………あ、もう隙間区内に入ったようですね。
襲撃は夜間に行いますので、偵察や逃走ルートの確保などは今のうちに済ませておきましょう。
備えあれば憂いなしと言いますし…アナスタシヤ、メルクリウス貿易はどこ?」
『メルクリウス貿易ノ・地図データ・ウェブ内ニ・登録・サレテ・イマセン』
「運転者、カーナビは?」

黙って首を振る運転手―――この所作が指し示す答えは一つ。
「どうやら道に迷った様ですね。」
207 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/02(火) 21:07:59 0
窓の外、隙間区はビジネス街として数多くのビルが所狭しと林立する。
隙間産業センター・レギオンビル・FO倉庫・隙間セントラルタワー・神藤デルタホテル………et cetera。

ベンツがグルグルと何度も同じ道を往復していると、
突然車の下からチュン…パスッ!と微かに音がして、座席に軽い衝撃。
即座にブレーキを掛けた運転手が、車を降りて車体の下を覗き込むとタイヤのパンクを告げる。

「こんな時に間が悪いったらないわね………済みません、タイヤがパンクしたようです。」
運転手は車を動かして路肩に止めると、トランクを開けて工具を取り出す。

タイヤの修理って何分くらいかかるのかしら…。
あ…そういえばお昼まだ食べてなかった…。
でも、仮にも仕事の最中にご飯食べに行きましょうか、なんて言えないし…ここは…。

「どうでしょう…今のうちに偵察を兼ねて周囲の地理を把握して置くというのは?
襲撃は夜間とはいえ、ここでただ修理を待ってるというのも時間の無駄だと思いますし。」
努めて冷静を装い、織羽は手分けしての付近の探索を提案する。
ぞろぞろ連れ立って歩くには、若干目立つメンバーであるから…との理由で。

まあ、別行動の真の目的は探索などではないのだが。

ベンツを止めた道路の近くには、ビルの間を縫うように作られた細長い公園。
公園入り口のプレートには、隙間風公園と刻まれている。
「…そうですね。一時間後にここに合流するという事で宜しいでしょうか?
もし携帯電話の持ち合わせが無いようでしたら、こちらで連絡用の物をお貸しできますが?」

【現在地・隙間風公園前】
208 :名無しになりきれ[sage]:2010/02/04(木) 02:09:45 0
通りを歩いていると"ホシュ"と書かれた看板があって、店構えは何やらレストランっぽい。
ホシュとはウイグル語で乾杯の意味だからして、おそらくウイグル料理の店であろう。
209 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/05(金) 15:45:28 0
カフェ及びカフェの師匠は、快く牧街の協力要請に答えてくれた
しかも!あの腹黒い成瀬とは違い、その応答からは全く邪気を感じさせない
(う…な…何か……すっっっっごく罪悪感が……)
今からでも遅くないからやっぱりいいですと言おうか言うまいか
牧街がおろおろと迷おうとする前に、藤津木が出発を促してしまった

敗色濃厚な中最前線に弾除けに行かされる兵士のような表情で車に乗り込んだ牧街が、ふと顔を上げると、向かいの席にあのアナスタシヤが座っていた
今までの状況も忘れて思わずドキっとして少し赤くなる牧街
(…い…いやいや、ロボなんだって、彼女)
しかし今度は相手が機械だとわかっているので、今まで程うろたえず
冷静になった所で、全員が乗り込んだので車が走り出した

(しかし…よくできてるなぁ…………)
走る車の中で、アナスタシヤをしげしげと見つめる牧街
肌は柔らかそうで白く、髪はさらさらと流れ、牧街の好みジャストミートの顔にはどこか……
(………何か…成世っぽい雰囲気が……)
ここで牧街は、現在はタローや神藤の様に激務に追われているのだろう最近連絡の取れない同期のGSにして、生きた仮面、牧街が雄一タメ口で話す女性、成世阿弥の事を思い出す
成世は無機物であったが、あの免許更新事件のために体が大破するまで、生身の人間と変わらない、しかしどこか変わった雰囲気をしていた
彼女からは、そのどこか変わった雰囲気の部分だけがする
しかし、そのどこか変わった雰囲気と言うのは、決して助手時代に師範について除霊に行った会社の地下で見た人間そっくりのロボット、すなわち人の形をした無機物とは違う
言うならば…作られた魂の雰囲気、とでも言うのだろうか……
(………//////い、いや、まさか、ね、んなわけないって、ええ)
そんな事を考えながらアナスタシヤを見ていた牧街は、何だか照れくさくなり、視線をアナスタシヤからそらした
本人は気づいていないが、牧街は明瞭快活で面倒見の良い成世に魅かれている所がある
確かに成世は多少金に汚かったり人使いが荒かったりするが、基本的には牧街にちょくちょく世話をやいてくれる良い姉貴分であり
だからこそこの小心者でへたれの牧街がタメ口で話す事ができる数少ない人物なのだ
しかし、まだまだ若い牧街はそれが何だか照れくさかったのだろう
その辺りの感情と、アナスタシヤの美しさが相成って、牧街をアナスタシヤから視線を外させたのである
210 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/05(金) 16:19:24 0
そんな風に牧街はアナスタシヤに戸惑っていると、そろそろ目的地が近いのか、藤津木が仕事の話を出してきた


……素直に言おう、受けるんじゃなかった!と
(ふ…太い眉毛の方に頼まなけりゃならないんじゃ100%犯罪じゃねえか!や…ヤバイ!どうする?ここで逃げようとしてもあの美人ロボが俺を殺しにくるだろうし…。成功したとしてもその場で八つ裂きにされてしまう)
一瞬カフェの師匠なら互角に戦えるのではとも考えたが、武装した美女アンドロイドと小学生の姿した猫仙人ではどちらが強そうかは明白だ(個人差はあるかもしれないが)
ゆっくりと人生に幕が下ろされようとしていたその時、天の神が牧街に味方した

車のタイヤがパンクし、1時間の休憩と相成ったのだ!
藤津木は1時間後に近くの隙間公園で落ち合う事を告げ、携帯電話の貸し出しを呼びかける
依然牧街は携帯を持っていないのでここで名乗り出るべきなのだが、牧街はそこで首を横に振った
「あ、俺の携帯の番号は………」
要は1時間後にここに戻って来ていればよいのだから、ここで教える番号は何でもいい
そう思った牧街は、親友、阿湖野青年の携帯の番号をつげ、携帯を受け取らなかった
携帯に発信機とかついてるとまずい!
そう思ってビビッて浅はかな考えでついた嘘なのだが…
……色々まずい+阿湖野まで巻き込んでいると史上最悪の行為である
(そ…そうだ、それはそうとして、これからどうしよう……そうだ!一度道場へ戻ろう!カフェさんの師匠のあの魔法のタクシーを借りれば道場まで10分以内につくだろうから往復20分。首が飛ぶ覚悟で師匠の武器を失敬してくれば今回の戦いを行きぬく事だって…)
しかし、本人はどんどん泥沼に沈んでいっているとも知らず、更に泥沼に沈むような事を考えていく
良い子の皆はこんな時、すぐに交番に駆け込んで助けてもらおう
211 :カフェ ◇YNbEhcUF/I:2010/02/06(土) 01:32:12 0
>206
>俣旅ゼルダ(またたび ぜるだ)32才、日本人男性。
誘拐された研究員のデータを見た師範の表情が変わる。
「マタタビ……もしかしていやまさか……!」
「知り合いなのか!?」
カフェが問いかけるが、師範はそれ以上は語らなった。

「眉毛の太いスナイパーはさすがにまずかろう。勢い余って殺してしまうからな」
「サックリ暗殺して終わりにゃんて許さんにゃ! 締め上げて悪事を白状させるにゃ!」
こころなしか師範のやる気度数がアップしたのは気のせいだろうか。

>209
(惚れておる……ロボ娘に惚れておる……!)
(ロボ萌え属性があるみたいにゃ……!)

>207 >210
「はっ。まさかメルクリウス貿易の工作員が道路にマキビシを巻いたのやも。
我々が動いているのがもうバレておるのかもしれぬ。ゆめゆめ侮るなかれ!」

>「あ、俺の携帯の番号は………」
「おお、ついに牧街殿も携帯を買ったか」

師範は公園に入って、ニボシをまきながら野良猫達と話している。
「にゃー、にゃにゃにゃーにゃー」
「にゃにゃにゃんにゃん」
ニボシによって偵察の任を引き受けた野良猫達は隙間区内に散って行った。

>208
偵察に出ると、変わったレストランらしきものがある。
「美味しそうじゃ! 入るか?」
「んにゃ。腹が減っては戦はできぬというからにゃ」
師弟はいそいそと入っていってしまった。侮るなかれと自分で言っておきながら警戒心皆無な人達である。


212 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/06(土) 19:09:15 0
牧街とカフェの電話番号を控えると、偵察の名を借りたお昼時間を開始。
こういった時にバラバラになって行動するのは、通常死亡フラグであるのだが。
アナスタシヤを連れて歩道を進むと、目の前にエキゾチックな感じの店構え。
店内から仄かに漏れてくるスパイシーな香りが、織羽の足を半強制的に止めさせた。
「ここで良いわね…ウイグル料理って聞いた事も無いけど、今から他の店を探す時間も無いし…。」

看板からすると、ここはウイグル料理のレストランのようである。
ウイグルとは現在のトルキスタン地域東部。
シルクロード交易の中心地として栄えた土地で、料理にも東西の味が入り混じる。
店内を覗くと写実的なタペストリの数々が壁を飾っていた。
偶像崇拝を禁じるイスラム圏の客層が多いのかもしれない。
『ホシュ!! イラッシャイマーセー!』
フレンドリーな店員に案内されて席に着くと、メニューを見ながら注文を出す。
「えーと、このスープにミートパイとサラダを。」
『そちらのお客様は?』
『充電器・オ願イ・シマス』
程なく店員が料理を乗せた器と律義に充電器を手に持ってくる。

「まずはミートパイから…あひゅい!」
サクサクしたパイ生地を噛み砕くごとに鼻孔をくすぐる芳香が、肉体の奥底からさらなる食欲を喚起する。
そしてパイ生地に閉じ込められていた熱くスパイシーなラム肉は、一噛みごとに口の中に浸み渡ってゆく。
「あふっあふっ…。」

「何かスープが赤いんだけど…これ、辛いのかしら?」
赤いスープはトマトベース。
鮮やかな赤色から、辛みを思わせるものの意外にサッパリとした味。
深紅の海を泳ぐ白鯨にも見えるのは羊肉をくるんだ小さいワンタンたち。
スパイスを効かせて絶妙な味付けをされたワンタンはスープと共に口中に入る事により、
薄味のスープの刺激的なアクセントとなって舌の充足を満たす。
「ふーん、これもなかなか良い感じゃない。」

「サラダはイタリアンっぽいわね…。」
レタスと胡瓜、トマトで構成されたサラダの森に粉チーズの雪が降り積もる。
日本人好みに味付けされたドレッシングは、サラダに美しい味の調和を齎していた。
「うん…悪くない…やっぱり野菜もとらないと。」

―――どうやら、一話につき一回は食事シーンを入れないと気が済まない様である。

そこでドアの鈴がカランと鳴ると店内に入って来る猫耳ショタとゴスロリ。
「こほっ…けほっ…うっがっぐっむっ!」
偵察に行ったはずのGSの姿を確認して、驚嘆のあまり飲んでいたスープが気管へと進路変更。
「カ、カフェさんに秋葉原師範…こんな所へ何をしに!?」
ハンカチで口元を拭いながら二人に問いかける。
213 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/07(日) 15:52:02 0
(そうだ!小笠原だ、小笠原諸島まで漁船を借りて逃げていこう!そしてどこかの島で島雄一のゴーストスイーパーであり、若い力として第二の人生を送ろう
そこで平凡に暮していれば追っ手も手を引くかも出し…
いや、駄目だ、師匠なら追いかけてきかねない
それならどっかの田舎の山中に逃げ込んで……駄目だ、山で生活するなんて流石に…
いや、死ぬよりましだ!15年間逃げれば時効が成立して助かるはずだ…)
公園のブランコで、これからの事をぶつぶつ言いながら考える牧街
何だか犯罪を犯して自責の念に駆られているように見えなくない
(………何にしても、まず一度帰って準備を整えよう、そのためにカフェさんの師匠にタクシーを…)
色々考えていた牧街だったが、とりあえず行動しない事には始まらないと立ち上がり、カフェの師匠を呼ぼうとした



「アレ?カフェさん達は?」
ぐだぐだと泥沼思考を働かせてる間に、皆どこかへ行ってしまった
(ゲゲ!み…皆どこへ行ったんだ!?さ…探さなければ、探さなければ死……まてよ…)

************

藤津木「1時間たっても戻ってこない所を見ると、牧街さんは逃げたようですね」
カフェ師匠「僕等を裏切ったにゃ!ゆるさんにゃ!」
カフェ「牧街殿…性根までヘタレておったか…」
藤津木「アナスタシヤ、テスト内容を変更、1時間以内に機密保持のために牧街を抹殺しなさい」
アナスタシヤ「了解」

必死に逃げる牧街の後ろから飛んできて、目の前に着陸するアナスタシヤ
牧街「ひっ……助けてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
アナスタシヤ「対象補足、証拠を残さないために完全に消滅させます。人体溶解ガス噴射」
牧街「ギャアアアアアアアアアアアアアア」
アナスタシヤの口から放たれた緑色のガスがかかり、苦しみ悶えて倒れ付し、どろどろに溶けていく牧街……

************

「ぁ…ぁ…ぁ……」
いろいろな意味で恐ろしい想像にガタガタ足を震わせ、硬直する牧街
(だ…駄目だ、制限時間内にここに戻って来れない可能性のある「探しに行く」は駄目だ…)
最早絶望、牧街の瞳から一筋の涙が零れ落ちようとした、その時

(!!)

ある事を感じた牧街は、電気が走ったようにその場でブルりとと一つ震え、そして、ぼそりと呟いた
「……トイレ行こう」
風のふく中でぼーっとしていたために体が冷え、尿意を感じた牧街は、そそくさとトイレへと向かう
何と言うか……とことん運命とかそういうものに対して無力な男である
214 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/07(日) 16:44:05 0
「ふぃ〜〜」
男子用トイレで立小便をしながら、幸せそうな表情をする牧街
「寒いところでたまった小便を排出するのは何ともいえないなぁ〜」
よっぽど気持ちが良かったのか、先程までの絶望はどこへやら幸せそうな表情を浮かべた牧街は、溜まった尿を出し終え、洗面所へと向かう
「ふぅー……」
鏡で身だしなみを一度確認し、水を出して手をぬらし、石鹸をつけて泡立て、水で石鹸を落す
簡単に言うと手を洗い、水を手を軽く振って飛ばし、「洗面所が濡れ無いように、水を飛ばすのは排水溝にもっと手を近づけてしろ」おっと失礼最もだ、水が周りに飛ばないように気をつけて水を飛ばし、ハンカチで手を拭く
さて、これからどうしよう
と顔を上げ

牧街は恐怖に固まった

鏡の中、牧街の後ろに、真っ黒いフードを目深に被った髪の長い女性が立っていたのだ
その存在を知った瞬間、牧街の足ががくがくがくがくと振るえ、汗がだらだらとながれ、喉が痙攣して動かなくなる
「……やっぱり事前に報告なんかすべきでは無い、不必要に怖がらせるだけだ…」
恐れおののき今にも泣きそうな牧街を見据え、フードの女はぼそりと呟いた
「ぁ…ぁ……ぁわわ…わ…」
わけのわからない女の台詞に、しかし、牧街は恐怖のあまり気にしている余裕が無い
「…私が怖いか?」
女の問いかけに、牧街は震えながらとりあえず素直に頷く
「そうか……、だが」
そう言って、フードの中に手を入れた女は、中から掌程の大きさで、うごめいている蜘蛛に似た蟲を取り出した
「これから君が体験するのはもっと恐ろしい恐怖だ。これから君にこの蟲を寄生させる。
コレに寄生されれば寄生される直前の記憶を失い、外部からでは神族でもこの蟲を発見する事はできない」
そう言って、蟲を近づけてくる女、尻餅をついて後ずさる牧街
「そ…そそそそそそそそん………そんんんんーーーんーーーん」
「そんな蟲を俺に取り付かせてどうすると言いたいのか?我々の役に立ってもらうに決まっているだろう。周囲に悟られる事無く寄生させるには今しかチャンスが無い。速く終わらせる。激痛が走るから歯を覚悟を決めろ」
女が一気に距離を詰め、素早く牧街の上着の首筋を引っ張って、中に蟲を入れた
「ひぎ…」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
すさまじい絶叫がトイレから響き渡るが近くを通る散歩中の男性も、車を治しているのだろう運転手も、その叫びに反応しない
恐らく、あのフードの女が何か特殊な音響壁を張ったのだろう

やがて、トイレの中から再びこれからどのように逃げるかを必死に考える先程と何ら変わらない牧街が出てきた
215 :カフェ ◇YNbEhcUF/I[sage]:2010/02/09(火) 20:30:15 0
>212
「んにゃ。変わった店だから偵察に入ってみたにゃ」
偵察といいながらいそいそと織羽&アナスタシヤの隣に座る師弟。
「なんといっても悪の巨大企業。
出来たばかりの区を丸ごと支配しておらんとも限らぬ。念のために毒見をせねば」
とかなんとか言いながら“今日のお勧め”を注文。

すぐに料理が運ばれてきて、お食事タイムが始まるが、唐突に事件は起こった!
「美味しいにゃー」
「うむ。美味しいのう……なぬう!?」
師範が猫化しつつあった。
「師匠、あまりの美味しさに正体が現れ始めておるぞ!」
「きゃふーっ!」
師範は興奮状態に陥っている。不審に思ったカフェは、師範の料理をのぞきこんだ。
「いかん、マタタビじゃ! 落ち着け!」
ただのマタタビではなく化け猫の正体を現す霊力付きのマタタビなのかもしれない。
騒いでいると、辺りがもくもくと煙幕に包まれる。
「なんじゃこりゃー!?」
煙の中でパニックになっている間にドタバタと慌ただしい音が聞こえたが何が起こったのかは分からない。

思ったより早く煙幕は晴れた。
「げほっ、げほっ。一体なんだというんじゃ……!」
なぜか周囲の客は平然と食事を続けている。
「何かありましたか?」
「どうもこうもないわ。のう、師匠……師匠がいない!」
なんと、師範が忽然と姿を消していた。慌てて店員につめよる。
「妾と一緒に入った猫耳美少年を知らんか!?」
「ナニモヘンナコトオコッテマセンヨー。ワタシナニモシリマセンヨー!」
フレンドリーな店員の答えは非情だった!
216 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/10(水) 20:13:46 0
>215
>師範「んにゃ。変わった店だから偵察に入ってみたにゃ」
「そ、そうですか…確かにウイグル料理店は珍しいかもしれないですけど…。」
彼らも普通に食事を始める。
「ところでメルクリウス貿易本社への侵入ルートですが、か―――ッ!」
隣席の秋葉原師範に、今後の作戦について話しかけようとして絶句。
師範の顔は白毛に覆われた異貌。目は大きく見開かれている。
織羽は動転しながらも、咄嗟にテーブルから飛び退って距離を取った。

織羽は師範が化け猫である事は聞いておらず、今まで妖怪や変化の類に遭遇した事も無い。
また、ゴーストスイーパーにダンピールやら化け猫やら人外の者たちが居る事などは夢想だにしていない。
従って、変化しかけている秋葉原師範に対する織羽の認識は―――魔物。

>師範「師匠、あまりの美味しさに正体が現れ始めておるぞ!」
>カフェ「きゃふーっ!」

「アニャ…!」
即座にアナスタシヤに化け猫への攻撃命令を下そうとする………のだが不意の目眩で気が遠くなった。
一瞬の朦朧から晴れると、目の前にいたはずの化け猫の姿が忽然と消えている。
店内を見回しても平然と食事を続ける来客の姿が有るだけで、師範の姿も化け猫の姿も無い。
「ええと…い、今のは………師範様はいったいどちらに!? それに猫の魔物が!」
どうやら織羽は、他の来客同様に謎の煙を認識しなかったようである。

>カフェ「妾と一緒に入った猫耳美少年を知らんか!?」
何が起こったのか訳が分からず問いかけるも、逆にカフェは店員に師範の行方を問いかけている始末。

「もうどうなってるの! アナスタシヤ…霊圧センサーを起動してっ!」
『特殊霊圧感知・周囲5km・255箇所デ・同時発生・個々ノ・特定ハ・不可能・デス』
「255って…何がそんなにいるっていうの!?」
『回答不可・データ・ガ・足リマセン』
「あ…そう…分析とかはしてくれないのね…。」

仕方ないので、自分で推理。

まずは…ええと何でいきなり師範が猫に?
訳分からない……いや待って、もしかしたら別行動をしている間に秋葉原師範がさっきの猫魔物にすり替わった…?
そういえば、さっきカフェさんが正体が現れ始めるてるとか言ったような…。
と言う事は……あの師範は猫の魔物が化けていた偽物だったっていう事なの?
なら―――それを知っていたカフェさんも本物じゃない…。

「なるほど、そういう事ね……フリーズ! アナスタシヤ、こっちへ。」
織羽は冷静かつ透徹した状況判断で正確な分析結果を出すと、強い語調でカフェに制止の警告を出す。
217 :アナスタシヤ ◆1D.Vistars [sage]:2010/02/10(水) 20:17:07 0
『アナスタシヤ、極力周囲に被害の出ないように制圧を。目標カフェ。』
「了解・マスター」

織羽はカフェを警戒しつつも、登録した牧街の電話番号に電話を掛けていた。
『牧街さんですか…こちら藤津木です。すぐにこちら…ええと、正確な住所は…。』
『ジュウショ? カクカクシカジカネー!』
フレンドリーな店員がフレンドリーに、しかも簡潔に店の住所を答える。
『可及的速やかに隙間区42丁目、隙間風通りのレストラン“ホシュ”まで来て下さい!』
『あ〜、それは良いけど僕は牧』
織羽は了解の確認が取れた瞬間に電話を切って、警戒態勢に入った。

「ターゲット・捕捉」
アナスタシヤは、コートの内側に収納されていた制圧用ネットガンを0.5秒で取り出してカフェに向ける。
次の瞬間、カフェの視界いっぱいに、迫り来る網目模様が広がった。

この捕縛用の兵器は空気圧で射出され、強化金属糸の網が五メートル四方に一気に広がり、
約五メートル先までの相手を捕捉するのだ。
金属製の網は重く、捕縛した対象の動きを容易に封じる。
一旦、囚われれば自力で抜け出すのは困難であろう。

【戦闘ターンは、アナスタシヤ◆1D.Vistarsが担当】

アナスタシヤの後ろから織羽が声を掛ける。
『貴方は本物のカフェさんじゃないわね。 秋葉原師範に化けていた猫型の魔物の仲間…そうでしょ?
違うって言うなら、そうね…ここに来る前にわけあ――シスターマックスの駐車場で起こった事を言えますか?』
218 :カフェ ◇YNbEhcUF/I :2010/02/12(金) 00:45:06 0
「知らないはずはないぞ。料理に特殊なマタタビを入れたであろう!」
「ワタシナニモシラナイネー」
フレンドリーな店員と押し問答していても埒があかない。
それに師範の追跡が先だ。今すぐ追いかければ追いつけるはず。
「師範は誘拐されたようじゃ! 今すぐ追わ……」

>217
>『アナスタシヤ、極力周囲に被害の出ないように制圧を。目標カフェ。』
「ほげえええええええ!?」
アナスタシヤが制圧にかかってきた。
フレンドリーな店員は相変わらずフレンドリーな笑みを浮かべながら見ている。
「待て、いくらなんでもおかしいとは思わんか! ほら、この店員とか!」
>「ターゲット・捕捉」
ぽすっ。カフェは捕らわれた!

>『貴方は本物のカフェさんじゃないわね。 秋葉原師範に化けていた猫型の魔物の仲間…そうでしょ? 』
「逆逆! 化け猫が秋葉原師範をやっておるのじゃ!」
といっても、にわかには信じられまい。
『違うって言うなら、そうね…ここに来る前にわけあ――シスターマックスの駐車場で起こった事を言えますか?』
「あばばばば。怪人の気ぐるみが悪霊化して暴れておったので牧街殿が羽をもぎ取った所を
妾が説得して除霊を……そうだ、牧街殿が来れば師匠が化け猫だと証言してくれるはずじゃ!」
そんな中。入口のドアに野良猫が張り付いてだんだんだん!と叩く。
師範によって偵察を依頼された猫の中の一匹だ。
「ウルサイネー、アッチイクネー」
フレンドリーな店員がドアを開けて追い払おうとした瞬間。
猫が店内に滑り込み、素晴らしい瞬発力で店員の頭部に猫パンチを放った。
すると店員の髪の毛……というかカツラが宙を舞う。
「コラー」
カツラを飛ばされた店員は怒っているようだがいまいち棒読みである。
そして、頭は禿げ頭ではなく、金属的なトサカのようなものがある!
カフェはそれを見逃さなかった。
「あれを見い、機械人形じゃッ!」
「タダノ猫ダト思ッテ油断シテイタネ。バレテシマッテハ仕方ガナイネ。ジュワッ!」
元フレンドリーな店員は怪しげな掛け声と共に、片腕を直角に立て、もう片手を肘のあたりにあてる独特なポーズをとる。
某特撮系ヒーローに似ているぞ!
「セブンよ、カルシウム光線はいかああんん!!」

――――――――――――――――――――
>214
逃げる方法を必死に算段している牧街に野良猫がまとわりつく。
ただの猫にしては妙に勘が良くて気が効いているが
師範にやとわれた複数の野良猫の中には将来化け猫になる素質のある者もいたのだろう。
「にゃにゃにゃんにゃん!」
猫は猫語で必死で訴えながら、牧街を料理店の方に連れて行こうとする。
219 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/12(金) 06:01:41 0
>>217
藤津木からの連絡を受けた阿湖野青年だったは、ため息一つつくと、リダイアルのボタンを押した
(ま〜〜た牧街か……)
と内心呆れ果てながら……

しかし、電話は藤津木の携帯に繋がる事無く、呼び出し中にもならずに切れてしまった
(……何かあったな…)
そう思った阿湖野青年は、今度は恐山流除霊道場へとかけてみる
「はい、こちら恐山流除霊道場アジア本部でございます」
「阿湖野です、そちらに牧街は?」
恐山流除霊道場の面々とは今に始まった中ではない阿湖野青年がいつもの事と言った調子で訪ねると、電話の向こうの白川訓練生はあ、電話の事ですねと即座に応対する
「牧街あてにかかってきた電話の件でしたら、こちらで把握してありますので、ほっといて構いませんよ」
その言葉に、あー大丈夫なんだなと思った阿湖野青年は、お礼を言うと、電話を切った
幾度と無くためらい無く自分を巻き込んでくる親友に、深い深いため息をつきながら
>>218
(俺はパスポートは持っていない…だから国外逃亡は難しいな…ならやっぱ山の中を…)
「にゃにゃにゃんにゃん!」
(やっぱレンタカーをぱくって……いや、警察にまで追われるのは…)
「にゃーにゃーにゃんにゃんにゃん!」
(…そういえば藤津木財閥が俺の実家に手を伸ばさないとは限らないよな…。じゃまず実家に戻ってチハル達を連れて…)
「にゃー!にゃー!」
(…何か猫が集まってきて五月蝿いな……ここで集会か何かやるのか?)
自分の近くに集まってくる猫達に、何か邪魔になってるのかなぁ?と思った牧街は
座っていたブランコから立って、公園の敷地の外まで歩み出た
が、猫はついてくる
(何だ?餌が欲しいのか?………いや、体から妖気を感じる…カフェさんの師匠の使い魔か何かか?じゃあ、あの人達に何かが!!)
猫の必死な姿から、カフェの師匠達のピンチを察した牧街は、公園を離れようとする、が
(あ…そうだ、けど公園から離れると藤津木さん等来るかもだし……)
待ち合わせの件を心配した牧街の肩を、誰かが叩く
「何やってんだ?お前?」
「……やぁ…阿湖野、何故ここに?」
振り向くと、そこには例の大きなマスクをした阿湖野青年が、完全に呆れきった表情で立っている
「何か携帯にお前を呼ぶ電話があったんだけど、アレ、何?」
ジト目で尋ねてくる阿湖野青年に、うっと声を漏らして後づさる牧街
「えーと…その……あの…」
「……とりあえずこの先にあるレストラン「ホシュ」へ行けとさ。ここに何か用があるなら俺がここにいてやるよ」
素晴らしく物分りがいい阿湖野青年に、牧街の顔がぱっと明るくなる
「阿湖野〜〜〜〜心の友よ〜〜〜〜〜〜〜」
「あ〜〜〜うっとおしい」
言って、阿湖野に抱きつこうとして、片手で止められ…牧街の顔が一瞬きょとんとした
(…阿湖野の奴、石鹸でも変えたのか?妙に肌がすべすべだな……)
「…どうした?」
「いや、別に、んじゃちょっくら行って…何これ」
我に返り、ホシュへと走っていこうとした牧街に、阿湖野青年が収納された状態の特殊警棒の様な物を差し出している
「お前、見たとこ丸腰だから、よ。来る時お前の師匠のとこでレンタルしてきたんだ、責任はお前が取れよ」
思わず目元が潤む牧街
「阿湖野!!結婚してくれえええええ」
「…ヴァカ!さっさと行け!!木っ恥ずかしい!!」
何故か多少顔が赤くなった阿湖野青年から神通棍を受け取った牧街は、猫達に先導され一路ホシュへと走っていく
220 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/12(金) 06:17:42 0
走り去る牧街を見送った阿湖野青年は、そのまま男子便所へと入って行き
懐から無線機を取り出した
「こちらスパイダー、牧街は何とかホシュへ向かいました」
そう、あのフードの女の声で告げる阿湖野青年、いや謎の女、スパイダー
「了解した、引き続き監視しろ、我々も用件が住み次第急行する」
「了解」
何者かとの通信を終えたスパイダーは、無線をしまうと、ふぅーとため息をついた
「……結婚してくれ、か……」
先程の牧街の叫びを小声で呟いたスパイダーは、自重するように微笑んだ

「ホシュ」へと到着した牧街は、中の様子をそーっと確認し
一目散に逃げ出した
後ろで猫達がにゃーにゃー非難の声を浴びせているが、相手にしている余裕は無い!
(ワ…ワ●ドショット!●イドショットぶっぱなそうとしてる●ブンがおった!セブ●が!あんなもん市街地でぶっ放したらこの辺焼け野原じゃあああああああ)
本編のセ●ンの戦闘能力を知っている牧街は、そのロボが放とうとしている技が艦も戦車も一ひねりな威力があるんじゃないかと思い、慌てふためいて全力疾走でその場から逃げようとする
中に、藤津木やカフェもいたようだが、命の危機の前に完全に霞んで消えていた
221 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/12(金) 21:32:15 0
>218
>カフェ「あばばばば。怪人の気ぐるみが悪霊化して暴れておったので――」

カフェの言っている事は合っている…のだが、店の名前については動転しているのかスルー。
小賢しくもブラフとしてわけありマートではなく、
別のディスカウントストアの名前を出してしまったのが裏目に出て、余計に正確な判断がつかない。

ええと、もしかしたら本物のカフェさん………だった?
或いは本物かもしれない…ような。
その可能性は低くない…ような。
むしろ本物っぽい…ような。
「えっと…アナスタシヤ、とりあえずカフェさんの網を外した方が良い…ような?」
『命令・明確ニ・オ願イ・シマス』

不毛な問答の最中、店に入りこんだ猫。
飛び跳ねた猫は店員の頭を勢い良く剥いで、その正体を暴く。
「こ、今度は何? えっ、機械人形って?」
カフェの声に店員を見ると、立っていたのは奇怪な銀色鶏冠男。
謎の鶏冠男は腕をL字の構えに組むと、奇怪な光線を放った!

>220
目も眩む閃光。
ウイグル料理店内から放たれた一筋の熱線が、歩道に立つコンクリート製の電柱に浴びせられる。
高熱に溶かされて炎熱する石柱は、道路を横断して倒壊。
店外から響く轟音を聞きながら、織羽は指示を出す。
「何なの!この非常識な化け物は!これが魔族なの!?
このままじゃ民間人に被害が出るわ。アナスタシヤ、とりあえず銀色鶏冠男を店外に追い出して!」
『イエス・マスター』
アナスタシヤがコートの下から取り出した棒は、組み立て式の対魔用近接武器“辰砂槍”。
日本には武器の所持を禁じる法律があるために、こういった物はおおっぴらには持ち歩けないのだ。
穂先は古来より魔除けに使われている辰砂を塗り込めた金属の刃のため、魔族へのダメージも期待が出来る。

『標的ヲ・対象空間・カラ・排除・シマス』
アナスタシヤは、即座に鶏冠男の胸をズンと槍で突き刺す。
そのまま鶏冠男をぶら下げたまま、辰砂槍を投げ槍のように店のガラス窓に投擲。

砕け散った硝子の窓が乾いた悲鳴を上げた。
鶏冠男を貫いたまま、辰砂槍はオリンピックの槍投げなら銅メダルは堅いであろう距離を飛び、
牧街の行く手を塞ぐかのように地面へと突き刺さる。
モズの早贄の如く、串刺しになった鶏冠男がジタバタ暴れると、周囲にピコンピコンと不吉な音が鳴り始める。
鶏冠男の額に付けられていた謎のランプが、いつの間にか謎の明滅を始めていた。
そして音は何かを告げるように次第に間隔を狭めてゆく。
222 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/13(土) 00:23:52 0
>221
>『命令・明確ニ・オ願イ・シマス』
「悩まずに外すと良かろう」
が、アタスタシヤは明確な命令を受ける前にトサカ男との戦闘に突入。

「おーい、出してくれ〜」
網の中でもがいていたところを、猫軍団が店に突入して協力して網を外す。
一般客達は相変わらず平然としている。
「平然としすぎであろう。全員サクラであるな!」
「サ、サササクラだなんて滅相もありませんよ!」
一般客たちはそそくさと店を出ていこうとする!
223 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/14(日) 08:40:18 0
後ろで起こった熱線の熱に、その場にがばりと伏せる牧街
光線は周囲のコンクリートを融解させ、電信柱を簡単に圧し折ってしまった
「こ…これ、GSの仕事じゃねえ!明らかに間違いなくGSの仕事じゃねえ!こんなのウルトラ特捜隊とかそういうのが…」
冷や汗流し伏せたままその光景を見つめる牧街の前で、ホシュの窓ガラスが叩き割れ、中から先程のメカ●ブンが串刺しにされた状態で飛んでくる
「ぁ……あわわわわわわわ……」
口元を引きつらせてビビル牧街の上空を通過し、槍は牧街の後ろに着弾
串刺しになったニセセ●ンがそのままばたばたともがき苦しむ
「何!?何!?何が起こったの?何が…」
腰を抜かしたような姿勢でかさかさと地面を後ずさり、距離をとる牧街
完全に成すすべがない
(……よし、逃げよう!!)
余りの事態に完全に自分の出る幕ではない事を悟った牧街は、素早くニセ●ブンの横をすり抜け、ぴゅーんとか言う音をさせて車も追い越すようなすさまじい速度で公園へと逃亡するのだった
224 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/14(日) 14:29:20 0
まずは状況の確認と整理ね。
ウイグル料理店で食事をしていたら、秋葉原師範とカフェさんが入店。
師範は、化け猫に変身して失踪?
レストランの店員は、謎の光線を発する銀色鶏冠男になる…と。

………何これ、全然整理できないんだけど。

>カフェ「平然としすぎであろう。全員サクラであるな!」
カフェの声に無益な沈思黙考から引き戻された。
はっと気付くと、目の前を慌てて横切るバーコード頭をした中年男。
思わず彼の背広の首根っこを掴む。
「ちょっと聞きたい事があるんだけど………良いかしら?
貴方はこの近くの会社員に見えるけど、この店にはよく来るの? あの店員は以前から居た?」
『私は只のサラリーマンです。はい。何も知りません。はい。』
バーコードの中年男は織羽の詰問にも、あっしは何の関わりもござんせんとばかりに素知らぬ顔で嘯く。

直感が告げる―――この男は何か隠してる。

「仕方ないわね…この手はあんまり使いたくないんだけど…。」
ペシンという音。
織羽は懐から札束を取り出して、疲れ切った会社員を思わせる中年サラリーマンの頬を叩く。
「これでどう?」
『どうと申されましても。はい。』
「これで落ちないなんて、なかなかしぶといわね…。」

織羽が札束を二つに増やして攻撃力を増加しようと画策した時、
鶏冠男が串刺しにされて暴れている店外では、
体長1mにも達そうという大蟻がマンホールの蓋を跳ね上げて飛び出す。
大蟻は銀色の鶏冠男の額のランプをガリガリ噛み砕き始めると、そこに蟻酸らしき謎の液体を吹きつけた!

「え…へぷぅぁっ………たふっ!」
突然の閃光と衝撃にたたらを踏む。
轟音と共に噴き上がったオレンジ色の炎が弾けて消える。
鶏冠男が爆発して四散。
たちまち辺りを覆う灰色の煙と粉塵。
塞がれてゆく視界の中で、影が地べたを這うように慌てて離れてゆく。
すでに掴んでいた男は離してしまっていた。

『なになに撮影?』
『警察に通報しますた。』
『こちらアント…証拠の抹消を完了。』
逃げる者、近づく者、取り巻く者、騒ぐ者。遠くから聞こえるサイレン。
魔物を繋ぎとめていた槍は爆発の衝撃で半ばからへし折られ、熱で変色した道路を転がっていた。
225 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/15(月) 23:04:09 0
>224
ちゅどーん!!
どうやら外でトサカ男が大爆発を起こしたようだ。

爆煙がおさまったころ。
今まで平然としてどことなく怪しい素振りだった一般客達がにわかに騒ぎ始めた。
「うをおおお!? あれはなんだ!?」
「私は誰!? ここはどこ!?」
「ぎゃああああ! ガラスが割れとる!」
そしてバーコードの男が今までとは違う様子でうろたえだす。
「……はっ! 一体何が起こったんだ!? 私の店があああああああ!!
やっと開店した念願のウイグル料理店があああああああああ!!」
バーコードの男はこの店の店長だったようだ。
「気持ちを察して余りあるぞ……。少し前の妾の父上を見ているようじゃ」
この人達はトサカ男が爆発すると同時に記憶が抹消されるようにされていたのだろう。
これ以上聞いても情報を聞き出せそうにない。
そこで現場検証をすることにした。
「少し厨房を見せてもらうぞ」

厨房には、変わった食材に混じって、霊力をまとったマタタビが残されていた。

「証拠品発見! おそらく化け猫の正常な判断能力を無くするためのアイテムじゃ!
そういえば誘拐された人の苗字もマタタビ! もしや……!?
そろそろ車の修理も終わっておるはずじゃ。急ごうぞ!」
が、重大な問題が一つある。メルクリウス貿易の場所が分からない!
そこに、微妙に妖気をまとった猫が何かを言いたそうにまとわりついてきた。
「にゃーにゃにゃー!」
「……。動物的本能で役に立つかもしれぬ。連れていこう」
226 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/16(火) 00:11:13 0
必死になって公園まで逃亡してきた牧街を、どこか呆れた表情の阿湖野青年が出迎える
「…早かったな」
全てを見通したような阿湖野の目に一瞬怯む牧街
「あー…えーその…大した用事じゃ無くて…あー…」
「さっき向こうから爆音が轟いたようだったが?」
「それは…あー…店の人が…ボヤを起こして…」
「………」
咎めるような視線で自分をじーーっと見つめる阿湖野の視線に耐え切れず、視線をそらし、牧街は数歩後ずさる
そんな牧街を阿湖野…スパイダーはしばらくじーーーっと見つめていたが、やがてため息を一つすると、用が済んだなら、俺行くからとさっさとその場を後にするのだった
「あー…ほ…本当に助かったわ、ありがとな…」
苦し紛れに言った牧街のお礼の言葉に答えず、阿湖野の姿は路地の向こうへ消えていく

「…こちらスパイダー、牧街とのコンタクトを終えました…予想通り、逃げてきましたよ…あの馬鹿者は…」
人気の無い路地裏に入った阿湖野の姿のスパイダーは、再び無線機を取り出し、どこかへ報告を始める
『……了解…まぁ、奴の言う通り、いた所で何ができるわけでもないしな』
無線の向こうからの言葉に、反応するスパイダー
「体を探ってわかりましたが並の事件なら解決能力を持っている男です、彼が歯が立たないと?」
『全く戦力にならなかっただろう。ホッパーからの連絡では謎の魔物も出現したらしい』
「……魔物?ロボットの他に、ですか?」
『そこからは俺が話す』
無線機からの声が、低い中年の声から、若々しい男の声に変わった

ホシュの騒ぎが下に見える5階建てのビルの屋上に、マフラーをなびかせたサングラスの男が格子に手をかけて下の光景を眺めている
「例の女のロボットが敵ロボットを粉砕、その後その敵ロボットを出現した謎の魔物が破壊した。恐らく証拠隠滅だろう。見た感じ天然の妖怪ではないから…」
『…何者かが送り込んだ…』
「…相手はメリクリウスか…はたまたその後ろか……だが恐らくそう簡単にテロ魔族は尻尾を見せないだろう。そう考えれば相手は特定できる」
『流石は、魔族が隠れ蓑にするだけある…と言うわけか…』
妙に感心した様なスパイダーの声に、ホッパーが苦笑する
「おいおい、現場で戦う牧街ちゃんの身にもなってみろよ。恐ろしくて恐ろしくて、逃げる算段の一つもしたくなるだろうぜ」
『………もうしていた、一つ所か五つ以上…な……』
その言葉に、ホッパーが噴出し、中年が深いため息をつく
「あひゃひゃひゃひゃひゃ…あ…もう…逃げる準備、万端と来たもんだ…」
『……あい…変わらず……全く…………』
『…藤津木等が牧街と合流しようとしている』
愉快なムードになろうとした一同を、スパイダーの鋭い一言が制し、二人は再び心を引き締める
「……師範よぉ、やっぱり今から俺達が出てった方がいいんじゃねえの?」
今までのチャラけた態度と違い、真剣なホッパーの言葉に、しかし、無線の向こうの中年、恐山断弦師範は反対した
『何度も言うように、相手が強力なGSではテロ魔族も迂闊に尻尾を出したりはしないだろう。悪魔で恐山特殊部隊三人衆は牧街を介して影から見守れ。
この程度で死ぬようならば、牧街には未来は無い』
『ホッパー…任務に従え』
師範の声の後に、スパイダーとは別の、かなり低く、ぼそぼそとした男の声が続いた
二人の言葉に、ホッパーは不承不承了解の声を出し、無線機を切る
「……死ぬなよ」
懐からタバコを取り出し、火をつけ、遠くに見える隙間公園を眺めながら、ホッパーはボソリと呟いた
227 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/16(火) 00:47:33 0
路地裏の暗がりの中、本来の長い髪の女性の姿のスパイダーが、再びどこかへコールを送る
彼女は牧街の中の式神を介して周囲の状況を把握しているため、直接牧街等を監視する必要が無いのだ
やがてコールに答えた誰かが、通信を返してくる
『こちらコブラ…』
「スパイダーだ、念のために確認したい。現時点で注意すべき人物はわかっているな?」
あの低くぼそぼそとした声の男、コブラに、きびきびとした声で尋ねるスパイダー
ソレに対し、コブラは変わらぬ調子で応答する
『あの車の運転手だ』
「理由を」
『トラップである「ホシュ」に近いあの場所で都合よくパンクしている。調べたが道に車をパンクさせるような物は存在しなかった。恐らく運転手が念力の類でタイヤをパンクさせたのだろう』
「店主がトラップを仕掛けていた可能性がある」
『GS達にメリクリウス貿易の位置を知っている人間がいた可能性を考慮すると、その可能性は低い。もしGSの中にメリクリウス貿易の場所を知っている者がいても、彼ならばあそこへいざなえる』
「……間違い無さそうだな」
『警戒を続ける…以上だ』
牧街等をいつでも助けに入れる位置から監視しているコブラが、しっかりと危険人物を把握している事に安心したスパイダーは、わずかに唇とほころばせる
少なくとも、メリクリウス貿易に侵入するまで、どうやら牧街等の身の安全は保障されているようであるな、と思ったからだ
コブラやホッパーの実力ならば、並の魔物ならば対応できるので相手が暴走しても戦う事ができるだろうし、援軍も手配済みである
たとえ相手が自暴自棄になって暴れても、魔族を逃す事になるが、全員の命を守る事はできる

問題は貿易の建物内、すなわち魔族の監視下に入った後だ
こうなると幾ら隠密能力に優れたコブラやホッパーでも見つかるリスクは格段に高くなるので直接牧街達を守る事ができない
無理に守ったとしても、魔族に気づかれて逃げられるばかりか、コブラやホッパーが孤立させられ、各個撃破される可能性も高いからだ
そこで、牧街にあらかじめスパイダーが自分の下僕を侵入させ、彼を介して中の状況を探り、危機に陥ったり、魔族の決定的な何かを抑えられるような状況になった所で全員で突入しよう
と言う作戦をとっているのである
これならば見つかる可能性はかなり低いだろうが、いざと言う時牧街等をすぐに助ける事ができない
ホッパーやスパイダーは人命を尊重し、上記の直接護衛を申し出たのだが、師範が頑として首を縦に振らなかった
ゴーストスイーパーはそう簡単にやられはしない
そう言って
228 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/16(火) 21:18:10 0
「どういう事…あの爆発は何!?」
ウイグル料理店店長に詰問するも、錯乱した店長は頭を柱に打ち付ける作業で忙しいようだ。
ゴンゴンという鈍い音に混じってローンがまだ!とか、保険に入っておけば!とか血を吐くような呻きが聞こえてくる。

「ええと…あんまり頭を柱にぶつけると頭を痛めます………よ?」
鬼気迫る店長の様子に思わず後ずさり。
掛ける声も遠慮がちになろうというもの。

でも、何でみんないきなり別人みたいに………来客全員で今まで演技してたって感じもしないし。
これはもしかして何かに操られていたって奴…なの?
薬か催眠術で洗脳されてた…?って誰に?何のために?
じゃなければ悪霊が取り付いてた…ならGSのカフェさんが気づくでしょうし…。

>カフェ「証拠品発見!―――そういえば誘拐された人の苗字もマタタビ! もしや……!?」
すでに厨房で現場検証をしていたカフェの声が聞こえてくる。
「失踪したうちの社員が師範の料理に細工を? それは………どうかしら?
それはカフェさんの師匠が化け猫である事を知っていて、さらにここに来る事までを想定していないと難しいんじゃない?
私たちがここに来たのは偶然だし、秋葉原師範と会ったのも数時間前。少し考えにくいわね…。
それに…それだと俣旅ゼルダが元々メルクリウス貿易側の人間で、藤津木にスパイとして入りこんでいたって事になるわ。」

カフェの推理に一般人の発想で答える。
悲しいかな、元々霊能力が皆無なので予知や魔術での誘導といった超常の力を前提とした発想は出ない。

>カフェ「そろそろ車の修理も終わっておるはずじゃ。急ごうぞ!」
「ええ……その前にまずは情報収集からね。
これだけ人が集まれば、一人ぐらいはメルクリウス貿易の場所を知ってる人も居るでしょうし。
―――店長さん、メルクリウス貿易本社の住所は知りませんか?」

『知ってるよ…(ゴツッ)…そこの社員もうちに食事に来るからね…(ゴンッ)…明日からどうすれば…(ガンッ)』
店長はビル群の合間から覗く中層ビルを指し示す。
壊れた窓からは、メルクリウス貿易の本社として機能するレギオンビルの姿が見えた。
メルクリウス貿易も裏では何をしているか分からないものの、秘密結社というわけでは無いのであっさり所在地が判明した。

「近い…ここから直線距離にして500mも無いわね。有り難う。
それとご馳走様、スープの味は中々だったわ。
お会計はここに置いて行くわね………あ、お釣りはいらないから。」

手にした束をレジの上に置き、店外へ出ると群衆を見渡す。
「牧街さんは居ないわね………連絡は入れたからこちらには向かってるはずなのに。」

道に迷っているとしか考えられないので、携帯で牧街の番号に連絡を入れるも今度は圏外の表示。
「仕方ないわね。じゃ、まずは車を取りに隙間風公園まで行きましょうか。」
ぶち折れた辰砂槍はもう使い物にはならないと諦めて、猫を連れたカフェと共に急ぎ足で隙間風公園に向かった。
229 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/16(火) 21:23:30 0
隙間風公園へ戻り、牧街の姿を確認するとつかつかと近寄る。

「牧街さん…? ええと、ホシュに来て下さいって連絡を入れましたよね?」
咎めるような口調。意思疎通や連絡の不備は当然ながら望ましくない。
何が有ったのか、一通りの詰問を始める。

………(詰問中)。

……(尋問中)。

…(審問中)。

「はぁっ…これ以上こうして居ても無駄に時間が過ぎるだけ、ね。
メルクリウス貿易の所在地は分かったし、さっさと目的地に向かうわよ。」
いつの間にか、牧街に掛ける言葉から敬語が消えていた。
公園前の路肩では車の修理が終わったようで、運転手はシートに座って雑誌を読み耽っている。
念の為に注記すると、この辺りは駐車禁止区域では無いので、5分以上車を止めても差し支えない。

「そうね…まずは車でレギオンビルの周囲を一回りして。」
命じられた運転手は車を走らせ、周囲より頭一つ高いビルの周りをグルリと回る。
周囲を緑地に囲まれたレギオンビルは、20階建ての中層ビルであり、川の近くに建てられていた。
位置的に、下水からの侵入は不可能ではなさそうだ。

最近は東京の川も綺麗になったって聞くけど、アナスタシヤに防水機能はないから無理ね。
周囲のビルからは、かなりの距離………屋上からはどこにも逃げ場が無さそう。
まさか気球やハンググライダーを持って行くわけにもいかないし…。
それにしても木に囲まれてるせいで敷地の様子が分かりにくいわね……。

正面口には普通に警備員の姿。
裏口には誰も居ないようである。
敷地の緑地帯はよく分からない。
「侵入口は正面玄関、裏口、敷地に入って窓から、下水道の四か所といった所ね。
近くにここより高い建物は無いから、屋上からロープを伝ってってのは無理。
下水はアナスタシヤが入れないから無しね。
色々あって営業時間の6時は過ぎてるから正面突破も可能、と。
でも救出も目的に入ってるし、まずは裏口か敷地内の窓から潜入。
気付かれたら強行って、柔軟に切り替えるのが良いと思うけど…カフェさんはどう思う?」

作戦の立案などには自信は無いので、意見を問う。
230 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/18(木) 00:04:56 0
>228
「目的地意外と近ッ!」
そしてホシュはメルクリウス貿易の社員も御用達の店だった。
それなら潜入して細工もしやすいし、この騒動はメルクリウス貿易の仕業の可能性が高いだろう。
「だがどうして我々がここに来ると分かったのであろうな。
タイヤがパンクしたのも偶然ならここに来たのも偶然……」
まさか運転手が怪しいとは思わないのであった。

>229
公園で牧街を発見。
「牧街殿は脚が早いからのう。
一回来てトサカ男を安全な場所までおびき寄せようとして走り過ぎたのであろう」

車に乗ってレギオンビルの周囲を偵察。
「フーッ!」
連れてきた猫は、なぜか運転手を気に入らないようだ。
動物はいい人と悪い人の区別が本能的につくとも言うが……。
「ンなアホな。これ、大人しくせい!」

>気付かれたら強行って、柔軟に切り替えるのが良いと思うけど…カフェさんはどう思う?」
「うむ。それで行こう。裏口は……警備員が一人もいないのが逆に怪しいぞ
窓から行こうではないか」
231 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/18(木) 19:56:36 0
車を降りて、街路樹が立ち並ぶ道路から人通りの無い道へ。
きょろきょろと辺りを窺う姿は完全に不審者。
背後は川で、高い堤防が周囲の視界を遮る。

緑地帯の周囲には、人の高さほどの柵を巡らせてあった。
柵は杭状にもなってなければ、鉄条網でもない。
本気で侵入者を防ぐつもりの物々しい障壁ではなく、おそらく敷地内である事を示すためだけの物。

「まさかとは思うけど、高圧電流なんかを流してないでしょうね…?」
牧街の後ろに回り、ドンと柵の方へ押してみる。

「なーんてね、冗談よ。街中の施設に高圧電流なんて流してたら警察沙汰になるでしょ?」
柵に足を掛けて乗り越え、敷地内に足を踏み入れる。
瞬間―――車の走行音、雑踏の喧騒、風の音が遠のいた。
密やかに異世界へと紛れこんだような違和感。

緑の下生えを踏みしめて歩きながら、声を潜めて聞く。
「アナスタシヤ、霊的異常は?」
『不明・デス』
「分からないって…どういう事?」
『レギオンビル・内部ハ・センサー・妨害・サレテマス』
「そう…中に入ってみないと分からないってわけね。」

灰色の外壁には幾つもの窓。
その一つに近づく。
窓の隅から頭を出して中の様子を窺うと、内装からは事務所フロアのように見えた。
中にはまだ人の姿があり、デスク上のパソコンに向かって忙しく作業をしている。
ビジネス街では何の変哲もない、ごく普通の風景。

「ここは駄目ね、スネーク………じゃなくて、アナスタシヤ。」
諦めて他を当たると、小さい曇りガラスの窓。
鍵は掛かってないものの、開くのは上部の十数センチだけで人が入れる程ではない。
中は明るいタイル張りで幾つかの個室が整然と並ぶ。
入口付近には、手洗いと鏡が備え付けられている―――要するにトイレだ。

「ここは無人のようね………アナスタシヤ、窓枠を外せる?」
『イエス・マスター』
アナスタシヤが窓枠に手を掛けると、ギリギリと金属の軋む音。
次の瞬間、ボキッと割と大きな音がして窓枠が外れた。

「じゃっ、行きましょう。」
織羽はタイルの床に降りたつと、足音を消すでもなくスタスタと廊下に出る。
特に異常な気配は感じない―――それを感じる能力も無かったのだが。
232 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/18(木) 19:57:37 0
廊下を横切ると広いロビー。
ニ基のエレベーターがあり、傍にはビルの案内板が設置されていた。


地階B1【機関室・空調室・倉庫】

低層階1-4F【エントランス・ロビー・エレベーター・非常階段・管理事務室・トイレ】

中層階5-9F【オフィススペース・来客スペース・給湯室・更衣室・資料室・大会議室・トイレ】

高層階10-15F【重役室・役員会議室・社長室・応接間・トイレ・屋上】


他にも案内板に書かれていない秘密の場所が有るかも知れない。

「管理事務室には何も無さそうだったし、エレベーターか非常階段で上か下ね…。」
233 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/19(金) 19:29:17 0
阿湖野が去り、一息ついた牧街は、ふと、何故自分があんな危ない場所へ行こうとしていたのかを考え…
顔面が蒼白になった
(やべぇ…い…一応戻らねば…)
そう思い、ホシュへと戻ろうとする牧街だったが
時既に遅く、藤津木等が公園へと戻ってきていた

「はい、一応…ホシュへはいったんですけれど…そのぉ…」
「えぇ、はい、まぁ…そうです!トサカ男を誘き寄せようと…」
「いや…確かに…説得力無いですけど…けれど私は一応できるだけの事を……いえ、思ってません、無理だと思って即逃げるのは一応できることの範囲に入っている何て」
「あぁ!すいません!すいません!契約解消だけはご勘弁くだせぇ!!」
「…えぇ、そうです、携帯の番号は友人の物です、見栄はってました……」
「はい……申しません、えぇ……すみません」

>「はぁっ…これ以上こうして居ても無駄に時間が過ぎるだけ、ね。
>メルクリウス貿易の所在地は分かったし、さっさと目的地に向かうわよ。」
「お…おー」
年下の少女による説教で牧街が半泣きになった所で、哀れに思ったのか、それとも心底呆れたのか
藤津木嬢がメリクリウス貿易への出発を促した
味方のGSから生きた盾へと降格した牧街は、弱気な声でそれに合わせる
かんっぜんに主導権を年下に奪われている情けない大人のいい見本だ

さて、いよいよたどりついたメリクリウス貿易のビル
その大きさに、牧街の頬が引きつる
(こ…こげな…こげなやばげな所…無理…ち…直視しただけで緊張してしまう…)
牧街が一人びびりまくっている横で、藤津木がカフェと作戦立案を行っていた
>「侵入口は正面玄関、裏口、敷地に入って窓から、下水道の四か所といった所ね。
>カフェさんはどう思う?」
牧街に意見を聞かない辺り彼がアテにされていない事がわかる

それはともかく、カフェの提案で窓からの侵入が決まり、まず柵を越える事になったのだが…
>「まさかとは思うけど、高圧電流なんかを流してないでしょうね…?」
お嬢様がおっかない事を言う
(あ…悪の組織だからなぁ……そん位…ん?)
気がつくと、何者かに背中を押され、柵に触れていた
「っ〜〜〜〜〜〜〜」
思わず息を呑む牧街に、お嬢様が人を見下した目で冗談である事を告げる
情けないやら悔しいやら怖かったやらで再び涙目になる牧街
最早完全に苛められっこだ

さて藤津木に続いて敷地内へと入っていった牧街は、へたれ特有の危機感地能力の高さで、すぐに空気の変化を感じ取った
(……い…いるな…こりゃ……魔族が…マジで…)
敷地内に潜む魔族の存在を察知した牧街は、即、後戻りしようとするが、後ろから柵を越えてきたカフェに押しつぶされる
急に後ろに下がるので、既にと柵を越えようとしていたカフェには避ける事ができなかったのだ
「うぅ…魔族怖い…行きたくない〜…」
カフェの足の下、弱弱しい声でそう言った牧街だったが窓枠を怪力で外すアナスタシヤを見て、そういや逃げ切れるわけ無いなと頭を垂れ、がっくりとうなだれるのであった

さて、戦わずに心身共にボロボロになった牧街だったが、ようやくメリクリウス貿易ビル内へと入る事ができた
トイレから入り、案内板の前で、藤津木がどこへ向かうかを模索し始める
>エレベーターか非常階段で上か下ね…。」
「あ、だったらまず下っすね。倉庫と空調室、見てみましょう」
真剣に悩む藤津木の横からひょいと頭を出して案内板を見ながら、牧街は言った
なぜに?と顔を向ける藤津木に、牧街は人差し指を立てて解説モードになる
「第一に、この2部屋は普段あんまり人が入らないので監禁するのに向いてると思うんです
第二に、地下一階は警備が薄そうですが、上の階は警備が厳重そうです、即ち、上の階を先に探すと、見つかる可能性が高いので、後で下を探す事はできなくなる可能性は高いですが、下ならたとえいなくても見つからない可能性が高いのでまた上を捜索しなおす事もできます」
(第三に、近い所にいた方がこの仕事が早く終わるからです)
とは勿論言わない
234 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/20(土) 23:15:12 0
>231-233
「おお、すまぬ」
と、牧街を押し潰したりしながら建物内に潜入。
>「うぅ…魔族怖い…行きたくない〜…」
弱弱しい声ではあるが牧街は魔族と言った。
彼の危険感知能力はかなりのものである。時々多少鋭敏過ぎるが。
連れてきた猫はというと、尋常ではない様子で毛を逆立てている。
(まさか本当に魔族が……!)

>「あ、だったらまず下っすね。倉庫と空調室、見てみましょう」
>「第一に、この2部屋は普段あんまり人が入らないので監禁するのに向いてると思うんです
第二に、地下一階は警備が薄そうですが、上の階は警備が厳重そうです、即ち、上の階を先に探すと、見つかる可能性が高いので、後で下を探す事はできなくなる可能性は高いですが、下ならたとえいなくても見つからない可能性が高いのでまた上を捜索しなおす事もできます」
「なるほどなるほど……」
牧街の的確な判断に感心するカフェ。第三の理由はもちろん聞こえない。
「ではエレベーターは密室で何が起こるか分からぬ故念のため階段で地下に降りるぞ」

【B1:倉庫】
倉庫に広がっていたのは、見るからに怪しげな壺が一面に並ぶ光景だった。
「……」
(騙して売りつけてもうけているのかのう)
いや、まさか大企業がそんなショボい事をしないだろう。
たとえ悪の大企業であっても、いや悪の大企業なら尚更そんな小市民的な悪事には手を出さない、と思いたい。
某国民的RPGなら一個ずつ持ちあげて叩き割ることによって中のアイテムを手に入れるのがお約束だが、もちろんそんな事はしない。
「特に怪しいものはないか。無論別の意味で怪しいが……ん?」
猫が一つの壺に寄って引っかくようなしぐさをしている。
その壺の中をのぞいてみると、霊力付きのお茶が入っていた。
「師匠が持っていたものじゃ……!」
こんな経緯が思い浮かぶ。
師範誘拐→持ち物検査→こんな物持ってました→没収→とりあえず倉庫に放り込んどけ
わざわざ没収するぐらいだから、とてつもなく重要な物なのかもしれないし
倉庫に無造作に放り込んでおくぐらいだから大した意味はない物かもしれないが
とにかく謎のお茶を再入手したのであった。
235 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/21(日) 19:23:27 0
「へぇ…。」
捜索は下からにすべきと提案する牧街に思わず感嘆の声が漏れる。

なんて言うか只のダメな人じゃなかったのね。
でも、いざって時には力を出せないタイプっぽいような…。
そういえば、うちのクラスにもいるわね…テストの直前になるとお腹が痛くなる子が。

まずは牧街の提案通りに一面に壺が並ぶ倉庫の中へ。
壺は霊的な物品などを保管するために各地から集められた物であった。
GSなら鎮座する壺には、どれも例外無く呪的な装飾が施されている事が分かるかも知れない。
「壺ばっかりね…骨董品の類? 一応、センサーを掛けて…ってセンサーは妨害されてたんだっけ?」
『イエス・マスター』
「そう、それじゃ虱潰しに…。」
>カフェ「師匠が持っていたものじゃ……!」

カフェが霊力を帯びた茶葉を発見。
「これで秋葉原師範を誘拐したのは、メルクリウス貿易で確定になるわね。
でも何のために………師範を誘拐するメリット………。
他の壺の中にも何か手掛かりは残ってないかしら?」

無数の壺の中に入っていたのは、奇妙なオブジェクトや石ころや悪霊だけで人の姿は無い。
『ククク、バカな人間め…よくぞ、我を長き封印から解いてく』
「これ以上は無駄ね。空調室の方を探しましょう。」
蓋を上げた瞬間に一瞬、壺から何かが出かかったが、出る前に織羽は即座に壺の蓋を閉めてしまう。
そして霊能力も無いので壺の中の声も聞こえなかったし、異常にも気付かなかった。

倉庫を出て廊下に戻り、空調室と書かれた扉を開ける。

【B1:空調室】
空調室の中は、幾つかの空調機にダクトや配管が並ぶだけの殺風景な灰色の風景。
ざっと見、ここにも人の気配は無い。
「ここも外れね…見事に空調設備だけ。監禁は地下じゃなかったみたいね。
わたしは、やっぱり社長室が一番怪しい気がするんだけど?
秋葉原師範の誘拐は、おそらく社長の指示。
社長は黒魔術師らしいし、生贄にする目的で攫ったって可能性が考えられるわ。
そんな儀式を行うのは一般人の出入りする場所じゃないでしょ?
下じゃなかったった事は一番上の社長室!そこに師範もいる可能性が高いはずよ。」

と、冴えわたる自らの頭脳に半ば酔いしれながら意気揚々と階段へ向かう。
「………それにしても、地下室って何か狭く感じない?
倉庫と廊下を合わせても一階の面積の10分の1も無いって気がするけど…。
まあ広くする必要も無いでしょうし、どこもこんなものかしら………。」
236 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/21(日) 19:24:20 0
【とある一室】
ビル内の何処かに隠された一室では、謎のコンセントを鼻に差しこまれた秋葉原師範が眠っていた。
師範の鼻に差されたコンセントから伸びるコードの先では、精緻な工芸品が光を放っている。

「ええい、増幅器の充電はまだなんか!このままでは納品の時間に間に合わん…何とかせいや!」
叱咤する禿げ頭の男はメルクリウス貿易の社長、神田呑任太。
「落ち着くでアリます。これだけの霊力の持ち主なら一時間も掛からないでアリましょう。」
「そうでアリます…社長。それに霊力の補充なら充電でなく充霊でアリます。」
神田呑社長に次々に励ましの声を掛ける社員たち。
彼らの顔は一様に蟻を思わせる頭部で、明らかに人外の者。
背広を着た等身大の蟻というのも中々にシュールな光景である。
この蟻人間たちの正体は、社長が魔族に提供してもらった蟻人ミュルミドン。
メルクリウス貿易発展の影には極限までの人件費削減と、働きアリの如く無償労働する彼らの力があった。

「そんな事はどうでええ!魔族の連中の信用を失ったらわしはお終いや!分かっとんのかっ!」
ミュルミドンたちに激昂の怒声をぶつけつつ、神田呑社長は充霊の完了を今か今かと待ち受けていた。

この部屋がどこなのかは分からないが、案外近くかもしれないし、遠くなのかもしれない。


【高層階:社長室】
最上階の社長室には、重厚な椅子に深々と腰掛ける禿頭の男。
それは、レギオンビル内に存在する二人目の神田呑社長の姿であった。
どちらが本物かは、そっくり過ぎてナレーションの人にも分からない。
「攫った奴らを取り返しに侵入者が来たか…おそらく奴らは真っ先にここに来る。必ず来る。そうに決まってる。
小賢しい人間どもの考えなど俺には手に取るように分かるのだからなぁ…ギシシィ。
どうせ社長は社長室に居るはずだなどと、安易に考えているのであろうなぁ…ギシシッ。
しかぁし、ここに侵入すれば“地獄の蟻塚作戦”で退路を断って駆除するまでよ…さぁ早く来い、ギシシィッ!」

何となく悪の怪人っぽい台詞を吐きながら、神田呑社長はワイングラスを手に侵入者を待ち受けていた。
237 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/21(日) 21:18:29 0
一面に並ぶ壺に、牧街はさりげなーくアナスタシヤの後ろに隠れる
彼は過去一度、壺に食われた経験から、明らかに何か起こりそうな雰囲気を放つ壺群に腰が引けていた
>「師匠が持っていたものじゃ……!」
そして、カフェがカフェの師匠が持っていた例のお茶を見つける
(く…食われて消化されたんじゃねぇだろうな……)
牧街が冷や汗を流した、その時
>『ククク、バカな人間め…よくぞ、我を長き封印から解いてく』
「!!??」
早速出た悪霊に、牧街がびびったその時
>「これ以上は無駄ね。空調室の方を探しましょう。」
霊能力者でも何でもない藤津木嬢が悪霊を再封印してしまった
(……ナイス)
心の中でその功績を称え、さりげなくぐっとサインを出す
無論本人、その偉大な功績に気づいていない

続いて入ってみた空調室にも、特に何も無い
「…やっぱそー簡単に見つかっちゃくれないか、えぇ」
やっぱり一筋縄では行きそうに無い事件に、牧街はまたため息をつく

>下じゃなかったって事は一番上の社長室!そこに師範もいる可能性が高いはずよ。」
(やっぱしそーいう展開になるんだな〜…)
上の階で悪霊と戦うのならまだ仕事なのでそこそこ覚悟もできているが
一般の社員や警備員に呼び止められたらどうしようかと心配しながら階段へ向かった時、藤津木が思い出した様に口を開く
>「………それにしても、地下室って何か狭く感じない?
そう言われて、そういえばそうかな〜とも思ったが、すぐに別に大した事無いなと結論に至る
「上の階がでかいからじゃないですか。地下は広くしすぎると土台がもろくなりそうだし」
適当なもっともらしい事を言って、藤津木に続いて階段を登って行こうとした時、ふと…車の中でカフェから聞いたホシュでおきた事件の事を思い出した
(…蟻は地底に巣を作るんだよ…な?……いや、式神なら関係無いか)
だが、特に気に止めず、社長室へ向かって階段を進んでいく
238 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/22(月) 10:33:44 0
階段を登りながら、牧街はある事に気づき、「あっ」と声を上げた
「別に社長がいる間に社長室探さなくてもいいじゃないですか、社長が出社した後社長室探せばいいんですよ。悪霊だったらまだいいけど、普通の社長だったら通報されるだろうし」
そういえば夜中に探索する予定で来たのに、ホシュで昼食とった後即座にこっちに来ている
ノリと言う奴は恐ろしい
239 :名無しになりきれ[sage]:2010/02/23(火) 11:10:07 O
ホシュ
240 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/23(火) 13:45:27 0
>235
>「下じゃなかったった事は一番上の社長室!そこに師範もいる可能性が高いはずよ。」
「うむ。社長室へ行くぞ!」

>238
>「別に社長がいる間に社長室探さなくてもいいじゃないですか、社長が出社した後社長室探せばいいんですよ。悪霊だったらまだいいけど、普通の社長だったら通報されるだろうし」
今日の牧街はなんだか冴えているぞ!
しかし師範の命がかかっているかもしれない緊急事態である。カフェは一刻も早く社長室に行こうとする……と思いきや。
「……。確かに普通に考えると社長室に真っ先に行きそうだから
もっと捻った隠し部屋などに監禁しておる可能性が高いやもしれぬ!」
社長室の社長が「何!? 社長室に来んだと……!? 小賢しい奴らめ」と言ったとか言わなかったとか。
「では中層階に行ってみようぞ。
来客スペースもある階層なら見つかってもつまみ出されはしないだろう
社長が黒魔術師なら普段から変わった来客も来ておるであろう」

――中層階
中層階では、まるで働きアリのようによく働きそうな社員達がせかせかと歩いている。
「こんにちはー、来客の方ですかー?」
社員にフレンドリーに声をかけられてしまった。ホシュでの騒動からして、フレンドリーには要注意だ。
「うむ。まあそのような者じゃ」
つまみ出されたらいけないのでそういう事にしておく。
「ではこちらへどうぞー」
と、来客スペースへ案内される流れになってしまう。
241 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/24(水) 19:51:52 0
> 牧街「あっ」
階段を上り、地下階を出ようという時に牧街が声を上げる。
「何? どうかしたの?」

> 牧街「別に社長がいる間に社長室探さなくてもいいじゃないですか、
社長が出社した後社長室探せばいいんですよ。悪霊だったらまだいいけど、普通の社長だったら通報されるだろうし」

「どうかしら…誘拐までする企業のトップが普通の社長っていうのも、少し考えにくいわね。
それにうちの技術者や秋葉原師範の誘拐には、何らかの目的があるでしょう?
なら社長の出社は“事が終わった”のを意味するかも…。」

>カフェ「……。確かに普通に考えると社長室に真っ先に行きそうだから
もっと捻った隠し部屋などに監禁しておる可能性が高いやもしれぬ!」

「隠し部屋………そうね、わたしなら何処かの一フロアを丸ごと隔離階にするわ。
ほら、ホラー映画なんかにはよくあるでしょ? 縁起を担いで存在しないはずの13階とか。
でも隠しフロアなら、階段やエレベーターで直接行けないかも…。
不自然に階段に間隔があるような階は、特に注意した方が良いわね。」

議論の末、カフェの意見が採用されて中層階へ。
普通は隠し部屋の発想が閃いた時点で、地下階を捜索し直すのではという突っ込みは受け付けない。

時刻は、お昼のヒーローショー、隙間区への移動、遅いお昼と銀色鶏冠男との戦い、牧街への詰問。
諸々あって、すでに6時を過ぎて(>229)いる。
従って終業時間も過ぎたと思っていたのだが、オフィスでは普通に営業をしていた。

そう―――残業である。

…って、何でまだ社員がこんなにいるの! 定時過ぎたら帰りなさいよ!

フロアのそこかしこで手持ち無沙汰にしている体格の良い社員たちと、せかせか働く小柄な社員たち。
働いている方の社員の一人がこちらに気づいて、つかつかと近寄って来た。
即座に攻撃命令を掛けられるよう、数歩下がってアナスタシヤの後ろ斜めに陣取りつつ視界を確保。

>「こんにちはー、来客の方ですかー?」
しかし、意に反して社員はフレンドリーな応対で来客スペースに案内し、カフェが付いて行ってしまう。

………不審に思われて………無い? もしかして末端の社員は何も知らないって事?

「ところで………あの人たちは何してるのかしら……?」
暇そうな軍人やサムライめいた社員を眺めながら牧街に囁き声。
普通の社員を働きアリに例えるなら、彼らはさしずめ軍隊アリやサムライアリを思わせる。
何となく傍に近寄りたくない気持ちは否めない。
242 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/24(水) 19:53:18 0
【来客スペース】

流れに逆らえず織羽も来客スペースへ。
部屋の内装は、グレーのモザイクカーペットに白く塗られた壁。
広々としたスペースに程良く設置された大テーブルにクッションの敷かれたパイプチェア。
扉は学校の教室のように前と後ろに二つ設置。
植木鉢に入った観葉植物ドラセナマッサンギアナが、緑の匂いを発散して柔らかに部屋中に運ぶ。
窓の外を見れば、白色蛍光灯の光に包まれる室内とは対照的に藍と茜の入り混じった暮色。

…見た感じは普通の来客スペースね…。
何か…本当に普通の企業のような気がしてきたんだけど…。

『私、有田と申しますです。ささ、お茶をどうぞでアリます。』
「あ、お構いなく…。」
『それで弊社への御用件は何でアリましょうか?』
「え………用件? あぇ、う…えと…オーパーツを」
『オーパーツ!? オーパーツでありますか!?』

咄嗟に出てしまったオーパーツのワードに有田さんの表情が豹変。
テーブルをドンと叩き、目を剥きだして身を乗り出す!
「あぅ…えと、オーパーツ…じゃなくて…おーぱー…おっぱ………こほんっ、失礼しました!
そう! 実は私どもは衣料品を扱っているのですが、此の度バストが大きく見える北欧製の下着を輸入したいと思いまして!
世評と実績から鑑みれば、ここは是非メルクリウス貿易様に御依頼できないものかとっ…!
それで、こちらは当社の専属モデルのカフェさんにアナスタシヤさん。部下の牧街です!」
『私・アナスタシヤ・デス』
『そうでアリましたか。では詳しいお話をお伺いするでアリます。』

苦しくとも何とか乗り切った………乗り切ったと信じたい。
一つの嘘を吐くと、それを隠すために新たな嘘を吐かねばならなくなるという至言が頭に浮かびはしたが。

「牧街…こっちは怪しまれてないみたいだし、今のうちに隠し扉や隠し階段の類が無いか捜索してきて。」
商談してる間に、牧街にトイレなどと偽って隠し部屋を探すように命じようとして、はたと気づく。
彼を一人にすると、そのまま帰ってこない可能性に。
「…カフェさんと一緒に。」

【オフィススペース】

『エマージェンシーコールは、まだでアリますかね?』
『侵入者が高層階に足を踏み入れたら発動するようでアリ。』
『ここに侵入するなんて、どんな馬鹿でアリますかね。』
『まったく顔が見たいでアリ。それまでゆっくりしてるでアリ。』
人に化けた蟻人間ミュルミドンのひしめく中層階。
しかし、彼らは事態に柔軟な対応をする事ができないのか、ただ無為に待機を続けていた。
243 : ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/24(水) 19:54:51 0
「ニャーオ!」
そんな中、カフェと一緒に着いてきた猫が、何かに感づいたかのように髭を震わせて呻る。
軽快な動きでカフェの腕をスルリと抜けた黒猫は、真っ黒な足の裏を覗かせて走り始めた。
中国では全身真っ黒な猫は、瑞猫と呼ばれ幸運のシンボルとされるが、この猫は見事に真っ黒だ。
猫は廊下を走って端まで来ると、まるで開けてくれとでもいうように近くのドアに爪を立てた。


>239
【こちら迅速な保守が困難なため、保守に感謝!】
244 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/26(金) 00:44:40 0
>242
>「それで、こちらは当社の専属モデルのカフェさんにアナスタシヤさん。部下の牧街です!」
>『私・アナスタシヤ・デス』
「カフェでーす。アナスタシヤさんと対照的に妹系モデルでーす」
婆口調はモデルとしてはマニアックすぎるので、一応今時のギャル口調(?)で取り繕う。

>「牧街…こっちは怪しまれてないみたいだし、今のうちに隠し扉や隠し階段の類が無いか捜索してきて。」
>「…カフェさんと一緒に。」
(了解!)
二人同時にトイレとか言うと怪しまれそうなので少し捻る。
「車にケータイ忘れちゃったー。牧街、取りに行くから着いて来てー」
ケータイを一時も手放せない今時のギャルを演じつつ、牧街を引っ張って部屋から出る。

「よし、怪しい場所がないか探すぞ」

>243
「む!? なにかあるのか!?」
ドアを開けようとするが、鍵がかかっているようで開かない!
ガチャガチャやっていると、内側からドアが開いて禿げ頭の男が出てきた。
「騒がしいのう、静かにせい!」
どう見ても神田呑社長(もしくは彼にそっくりの姿をした何者か)だ。
が、神田呑社長についての情報は名前しかわかっていないので、カフェ達はこれが社長だと気付かない。
実は社長は内心焦りまくっていた。
(ど、どないせーっちゅーんじゃ! なんでここに来るんや!
こいつらは真っ先に社長室に向かってコテンパンになる予定やなかったんかい!)
蟻人間だけではなく、いつも神頼みばかりしている社長も事態に柔軟な対応ができないようだ。
カフェはぺこりと頭をさげる。
「あ、すみません」
(焦っておる……? だがさすがにこんな隠し部屋でもない普通の部屋で怪しい事はやっておらんか)
こんな風に人間達が逡巡している一瞬の間に、猫は素早く部屋のなかにすべりこんだ。
直後、室内から叫び声。
「あー! 猫がコンセント引っこ抜いたでアリます!!」
245 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/26(金) 16:06:37 0
牧街の言葉に、藤津木は反対する
>なら社長の出社は“事が終わった”のを意味するかも…。」
「いや…例え社長が怪人でも、すぐに正体現してよく来たなGS諸君とか言ってくれればいいですけれど通報されたら正体暴く術が無いだけに…」
>もっと捻った隠し部屋などに監禁しておる可能性が高いやもしれぬ!」
「んなもんあったとしても人が大勢いる間じゃまず見つからないんじゃ…」
>不自然に階段に間隔があるような階は、特に注意した方が良いわね。」
「も…もしもーし…ちょっと話を聞いてくれると嬉しいかなー何て…」
>来客スペースもある階層なら見つかってもつまみ出されはしないだろう
>社長が黒魔術師なら普段から変わった来客も来ておるであろう」
「余計人が来そうじゃないですか!ってかそれ魔族と即効で相対する可能性あるじゃ…ちょ!待って!ねぇ!」
中階層への移動が決定した

さて、場面変わって中階層
牧街の危惧したとおり、あっさり発見されてしまった



>「こんにちはー、来客の方ですかー?」
>「うむ。まあそのような者じゃ」
>「ではこちらへどうぞー」
(あ…あっさり通されてもうた…)
拍子抜けするほどあっさり通されてしまった
お客様は神様だの精神が行き届いてんだな〜っと牧街が妙な感心をしていると、お嬢様が横から声をかけてきた
>「ところで………あの人たちは何してるのかしら……?」
その言葉に視線の先を見てみると、そこには物騒な物を持ってそうであからさまには持っていない方々の姿が……
「きっと…そ…倉庫の…荷物運びのバイトの方々ですよ……え…えぇ……」
…青ざめながら、一応質問に答えておく
おっかない、帰りたさマキシマムコレダーだ

さて、やってきた来客スペースで
いつボロが出てつおっかない人達に東京湾クルーズへの片道切符を渡されるかとびくびくしていたが
藤津木の柔軟な対応でとりあえずは大丈夫そうである
緊張と恐怖でガチガッチに固まっていると、不意にお嬢様がこちらに声をかけてきた
>「牧街…こっちは怪しまれてないみたいだし、今のうちに隠し扉や隠し階段の類が無いか捜索してきて。」
「へ?あ…ぁばばばば…」
突然の事にどう返していいかわからず口からわけのわからない言葉が飛び出す…情け無い
ついでに、最早「さん」をつけてもらえていない
>「…カフェさんと一緒に。」
>「車にケータイ忘れちゃったー。牧街、取りに行くから着いて来てー」
その余りに情けない態度からか
はたまたこいつだけでは役にたたんという諦めからか
カフェの同行が決まり、二人は来客室を後にした
246 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/26(金) 16:57:57 0
しかし、んな物どこにあるのかなどまるっきりわからない
途方にくれていた所で例の猫が一枚のドアの前にとっとと走って行き、かりかりとドアを引っかきはじめた
(こ…この馬鹿猫!何やってんだ!!)
ドアに傷がついたらどうするんだ後で責任取るの俺だぞと腹の中で怒鳴る牧街だったが、小心者の彼は勿論声には出せない
慌ててとっ捕まえようとするが、先にカフェさんがドアにとりつき、ガチャガチャノブを回してしまった
>「騒がしいのう、静かにせい!」
たちまち中から出てくるおっかないおじさん
数歩後ずさり、固まる牧街
(あ…あわわわわわわわわわわわ……東京湾の…東京湾の波の音が…波の…な…)
ビビリまくる牧街の目の前で、猫は室内へと侵入してしまった……
そして…

>「あー! 猫がコンセント引っこ抜いたでアリます!!」

データが大量に入ったコンピューターのサーバーが飛んだ時、どれだけ莫大な損害賠償を請求されるのだろうか…
真っ白になっていく思考の中で一瞬そんな事を考えた牧街は

「ごのやろおおおおおおおおおお!!よくも!!よぉおおおくもとんでもねえ事してくれやがったなぁああああああああ!」

今までたまりに溜まった鬱憤やら恐怖やらを吐き出すように怒鳴りながら、猫をぶち殺さんと神通棍を片手に室内に突入し…
余りの牧街の剣幕にちょっとビビッて固まったため人間への変身が遅れた蟻人間と、眠ったまんまのカフェの師匠と鉢合わせた

神通棍を構えたまま固まる牧街と、猫を追っかけようとする姿勢のまま固まる蟻人間
1〜2秒して
「「あああああああああああああああああああああああああああああ」」
両者大声を上げた
「蟻…蟻蟻蟻!蟻星人!インベーダぁあああああ〜〜〜〜〜〜!!地球防衛軍!地球防衛軍に連絡!!」
「いや!自分は魔物でアリます!」
「親切に名のらんでええ名刺も渡すな!!!!え〜〜〜いバレてしもては仕方ない!出会えぇええええ物共出会えぇええええええええ」
混乱して妙な事を口走る牧街(ちなみにアニメ版美神だと地球防衛軍が登場します、確か)と、同じく混乱して律儀に自分の正体を明かして名刺なぞ渡そうとするミュルミドンAに一括し社長が叫ぶと、そこらからぞろぞろと武装したミュルミドンが現れてきた
「この物共を切ってす……!!」
社長が命令を下す前に、素早く社長の背後に回った牧街が、社長の首にチョークスリーパーをかけ背中に神通棍を拳銃の変わりに突きつける
「こいつの命が惜しかったら動くなぁ!!今すぐ現金3億円と逃走用のヘリを用意しろぉおお!!」
人質をとってミュルミドン達が怯んだのを見た牧街は、後ろのカフェに、顎と目線で早く師匠を起こしてくれとうったえた
できれば、このまま成功して現金三億円とヘリで海外に高飛びしたかったが
そんなの上手くいく分けない事位、馬鹿な牧街でもわかっていた
247 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/26(金) 17:00:28 0
×社長の首にチョークスリーパーをかけ背中に神通棍を拳銃の変わりに突きつける
○社長の首を押さえつけ、背中に拳銃の変わりに神通棍を突きつける
248 : ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/27(土) 00:36:01 0
「な、なんじゃい!? げ、現金3億とヘリ? 糞餓鬼、無茶言うなや!
せめて、五千万とクルーザーぐらいにまからんのか!?」
牧街に首を抑えつけられて苦しそうにも関わらず、神田呑社長はしっかりと値切りに入る。

「社長が捕まったでアリます!」
「若者! 郷里のお袋さんが悲しむような、馬鹿な真似は止めるでアリ!」
「地味に見えても堅実地道に働くのが一番でアリよ!」
ミュルミドンたちも口々に牧街の暴挙を諫める。

人外による説得の最中、背中に堅いものが当たった社長の顔が見る間に引き攣ってゆく。
牧街が持つのは銃や刃物では無いのだが、背後に回られている社長には知る由も無い。
「ま、待て! 分かった…金は用意する! 社長室に金庫があるんや!
頼むから、そない物騒なもんは撃たんでぇな!
何事も命有っての物種やからな………ほら、道を開けい!お前たち!」
脅えた口調の社長命令に従い、ミュルミドンたちが左右に分かれて牧街らに道を譲る。

【社長室】

「よく来たなGS諸君………待ちくたびれたぞ。」
葉巻を燻らせて、重厚な椅子から立ち上がる神田呑社長。

「しかぁし…ギシシィ…残念だったな! ここまで来たのが運の尽きよ!
すでにお前たちの退路はどこにも無い。
侵入者たちがここに来れば、下に潜んでいたミュルミドンの集団が、
エレベーターと階段を塞ぎながら上階に殺到する手筈になっているのだからな!」

まぁ、ミュルミドンたちは潜まずに普通に残業をしていたのだが。
それはさて置き、社長室に居た方の社長はバリバリと人間の貌と体を突き破り、
巨大な異形の黒蟻へと姿を変えた!

「神田呑………何をしている?」
「ヘルゴティス、金庫を開けたってぇな! わしの命が危ないんや!」
「人質を取った………だと!? ギギィ…卑劣な!」
牧街に捕らわれた神田呑を見て、ヘルゴティスと呼ばれた黒蟻の魔物はギチギチと歯を鳴らす。
しばらく牧街を忌々しげに睨みつけていた蟻の魔物は、金庫に近寄ってダイヤルを回し始める。
金庫はカチリという小気味良い音を鳴らして開き、優に三億はあろう現金の山を覗かせた。
249 : ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/27(土) 00:37:19 0
【魔物データ】
名称:ヘルゴティス
体長:2m
知性:人間並み
備考:神田呑社長に召喚された蟻型の下級悪魔。
黒い甲冑の如き体皮と強靭な顎を備えたミュルミドンたちの親玉。
ギリシア語で“働く者”の意を持ち、召喚者に忠実。
労働者などという名前の所為か、人間にも魔族にも使われがち。


【魔物データ】
名称:ミュルミドン
体長:150cm〜2m
知性:人間並みだが、上の命令を絶対厳守する
備考:働き者のアリ人間。性質もアリに準じて勤勉。
アーミーアント、ファイアーアントなどの戦闘に特化した種もいる様子。
250 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/27(土) 00:41:31 0
>社長「親切に名のらんでええ名刺も渡すな!!!!え〜〜〜いバレてしもては仕方ない!
出会えぇええええ物共出会えぇええええええええ」

廊下の端の部屋から、ミュルミドンたちを呼び寄せる神田呑社長の声が響いた。
命令を受けた大勢の体格の良い社員たちは、本性を現して続々オフィスルームから去ってゆく。
その異様な足音や気配は、否が応にも来客スペースに伝わってくる。
「何か…動きがあったみたいですね?」
『不審者が現れたので警備班が出動したようでアリます。』

………不審者?

A・師範が自力で逃げた。
B・偶然強盗か何かが。
C・牧街とカフェがやっちゃった。

「………ミッションを潜入から強襲に変更。アナスタシヤ、速やかに障害の排除を。」
『イエス・マスター』

踊るようなステップで、素早く有田さんの背後に回りこんだアナスタシヤが手刀を振り下ろす。
『な、何をするでアリますか!』
―――骨を叩くような堅い音。
床に倒れて気絶した有田さんは、蟻の頭部を持った魔物の正体を現した。

「えっ…魔物?」
魔物とは分かって無くてやったのだが、結果オーライ。
ちなみにアナスタシヤの渾身の一撃を受けたのが常人であれば、殺人事件に発展していた所だ。

「ここの社員が魔物が化けていたって事は………まさかオフィスに居たのも全部!?」
織羽がアナスタシヤを伴って廊下に出ると、そこには武装ミュルミドンたちがひしめいていた。
251 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/02/27(土) 23:06:44 0
>246 >248
>「ごのやろおおおおおおおおおお!!よくも!!よぉおおおくもとんでもねえ事してくれやがったなぁああああああああ!」
威勢よく突入した牧街に続くと、蟻人間と、気絶させられた師範の姿が!

牧街がアリ軍団とコントをして時間を稼いでくれている間に師範を揺り起こす。
「起きるのじゃ師匠!」
「……にゃ?」

>「こいつの命が惜しかったら動くなぁ!!今すぐ現金3億円と逃走用のヘリを用意しろぉおお!!」
>「な、なんじゃい!? げ、現金3億とヘリ? 糞餓鬼、無茶言うなや!
せめて、五千万とクルーザーぐらいにまからんのか!?」

「今日はとても牧街君が頼もしく見えるにゃ!」
「そうじゃのう」
なし崩し的にそのまま社長室に行く事になった。

>「よく来たなGS諸君………待ちくたびれたぞ。」
「社長が二人!? ……てええええええええ!?」
社長室にいた方の社長はアリの親玉みたいなのになった!

>「人質を取った………だと!? ギギィ…卑劣な!」
襲いかかってくるかと思いきや知能は高いようで、金庫を開け始める。
「はて、ここに来た目的は金品強奪であったか……?」
「違うようにゃ気が……思い出した! 誘拐された社員の奪還にゃ!」
「おお、そうじゃ! 俣旅ゼルダの居場所を教えてくれぬか?」
が、その時にはもう金庫は開けられつつあった。
そして金庫の中から覗いたのは、現金の山と、いかにも誘拐された人っぽく縛られた人物の姿だった!
252 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/02/28(日) 14:26:29 0
>「社長が捕まったでアリます!」
>「若者! 郷里のお袋さんが悲しむような、馬鹿な真似は止めるでアリ!」
>「地味に見えても堅実地道に働くのが一番でアリよ!」
「うるせぇ!うるせぇええ!!要求を飲むのか!否か!はっきりしろぉ!!」
勢いで社長を人質に取り、ブレーキが利かなくなった牧街はフルスロットルで悪党の道を突き進んでいく
周囲を化け物に囲まれた極限状態で、ビビったり怖がったりする域を突破し何かが切れたらしい

牧街の剣幕と追い詰められたネズミ特有の何かやらかすオーラに怯えた社長は、マジで三億円を出すために牧街を社長室へと案内する
一瞬、ヤバイ警察呼ばれるか?とも思ったが、良く考えてみれば向こうが正体明かしている今、警察が来れば向こうの方が損害が大きいので、すぐにその考えを打ち消す

そして、社長室で牧街等を待っていたのは親切に自分の計画を暴露する蟻の怪物の親玉の姿だった
鬼モドキや合体悪霊に匹敵する怪物の登場に、牧街は一瞬腰が抜けかけるが
それでも先程よりしっかり社長の首を絞め、必死にヘルゴディスにビビッているのを悟られまいとする

それが功を成し、本当に金を用意し始めるヘルゴディス
更にカフェの言葉に答えるように、俣旅ゼルダまでそこにいる
(……おかしい、呆気なすぎる。罠だ!!)
余りに呆気のない展開に、ビビリ特有の慎重さで危機を悟った牧街は、カフェ等を制し、社長の首を締め上げる
「ベタベタなトラップはやめてもらおう!!お前等の召喚主がどうなってもいいのか!!」
牧街の脅しに、怯むミュルミドン達
「皆この部屋から出ろ!!出るんだ!!」
次に牧街は社長を盾にしてカフェ、カフェの師匠を除く全ての人物を社長室の外に出す
更に、牧街は声を少し、低くし、社長の背に突きつける人通棍を背骨に突き立てながら問いただした
「社長、これだけの悪魔をどうやって用意した!あんただけの力だと思えない、お前のバックにいる奴は誰だ!!」
ギリギリと背骨に苦痛を上げながら厳しい口調で問う牧街に、いつものヘタレさは感じられない
人間、追い詰められれば結構中々強くなるものなのである
253 : ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/02/28(日) 23:12:11 0
凶悪犯牧街の要求で社長室からカフェと師範、人質の神田呑社長以外の人物が出される。
すなわち蟻魔ヘルゴティス、蟻人間ミュルミドン、縛られて猿轡を噛まされた俣旅ゼルダ。
俣旅は首を振りながら「ん〜ん〜」言っているが、牧街の読み通りにトラップで演技なのかも知れない。

>牧街「社長、これだけの悪魔をどうやって用意した!あんただけの力だと思えない、お前のバックにいる奴は誰だ!!」

「バックにいる奴…そ、それは…ウググ…わ、分かった言う! そない絞めんといてや…!
何年か前の事や…会社が倒産寸前だったわしは、藁にもすがる思いで色んな神さんに商売繁盛を願っとった…。
そしたら、あいつが現れたんや…なんや真っ赤な奴で蘇芳と名乗っとった。
そいつが魔族の為に働けば、世界一の金持ちにしてやる言うてな………魔術書をくれたんや。
わしに魔族と繋がりが出来たんはそれからやった。」

神田呑社長は冷や汗を流しながら聞かれてない事まで、悪事の顛末をペラペラ喋り始める。
やはり、小者の悪党はこうでなくては。

「で…その蘇芳から、オーパーツをある魔族に届けるように言われたんやが…オーパーツが動かん。
魔族に故障品なんぞ持っていったら、わしの身もどうなるか分からんやろ?
と言っても機械の故障なんぞ、わしらではどうにもならん。
それで藤津木から技術者を誘拐して調べさせたら、原因は単なる霊力切れと分かったんや。
オーパーツの充電には、霊力の高い奴を電池にせなあかん。
どうしたもんかと思っとったら蘇芳から、魔族の息が掛かった店に霊力の高い奴らを誘導させるゆう連絡があってな。
何でも、霊力マタタビとか特殊な具材の料理で人間を操る実験をしていた料理店だとかで…そう、ホシュって店や!
それで急いで蟻たちを派遣して、店の中で一番霊力の高いもんを攫わせたというわけや………。」

どうやらホシュの店長も知らぬうちに魔族に操られていたらしい。
そして充電の終わったオーパーツは、今夜12時までに東京タワーに運ぶ手筈になっていたとの事。
「魔族を裏切れば殺されるに決まっとるし、自首しても下手をすれば死刑になるやも知れんしな…。
わしも途中から抜けるに抜けられなくなってたんや…。」

語り終えると、神田呑社長は深く息を吐き、憑き物の落ちたような顔になった。
すぐに恐れ入ってしまったのは、元々魔族との付き合いに嫌気でも指していたのかもしれない。

ところで、ヘルゴティスやミュルミドン達はどこに行ったのだろう?
室外で静かに待機でもいるのだろうか。
いや、大人しくしていれば良いのだが。全く。
254 :アナスタシヤ ◆1D.Vistars [sage]:2010/02/28(日) 23:15:36 0
『アナスタシヤ…アリアリアリアリ…こ、攻撃!攻撃!敵よ!』
「イエス・攻撃目標・蟻型人間・標的数・13」

突き出す両腕の中ほどに黒い光沢。
機械人形の腕部から潜望鏡の如く現れた銃身は、威嚇や警告の一つも無く、けたたましい音を上げて火を吹いた。
銃撃の反動で金の前髪が何度も揺れる。
ばら撒かれた弾丸は、床を柱を天井を削って弾痕を刻み、残りはミュルミドン達の強靭な体皮に突き刺さった。
床のタイルに蟻人間たちの透明な体液が流れ、花火の煙にも似た硝煙臭がフロアの空気に混じってゆく。
出会いがしらの奇襲で幾匹かの蟻人間が倒れると、残るミュルミドン達が一斉に身構える。

『敵が出現したアリ!』
『排除するでアリます!』
当然だが、問答無用の攻撃はミュルミドンたちに敵意を抱かせるには充分だったようだ。
彼らは整然と、かつ迅速に十字型に隊列を組む。

『良いか有山? 我々はインペリアルクロスという陣形で戦うアリ。
防御力の高い有村が後衛、両脇を有間と有藤が固めるでアリ。
お前は私の前に立つアリ。お前のポジションが一番危険でアリ。覚悟して戦うアリよ。』
眼前で仲間を倒されたにも関わらず、蟻人間たちは畏れる様子も無く毅然とした統率の元に襲いかかってきた。

再銃撃は肉の壁と化した有山を即座に沈めるも、直後に勢い良く金属を叩く衝撃音。
アナスタシヤは、有山の背後に控えていた黒いミュルミドンの警棒の一撃を右手で受けていた。
さらにその横から噛みつかんと、首を伸ばしてきた赤みを帯びたミュルミドンの頸椎を左手で締め上げる。
しかし、三体目のミュルミドンの攻撃は防げない。
噛みつかれたアナスタシヤの右腕に二つの孔が開いた。

『右腕・小規模破損・損壊率2%』
アナスタシヤが正面を蹴り上げると、ミュルミドンが体勢を崩して数歩退く。
左腕の銃が音を立てて、赤いミュルミドンを吹っ飛ばす。
自由になった左腕が、今だ右腕に噛みついたままのミュルミドンの頭を握り潰した。

『右腕・損壊率5%・右腕装備・使用不可・デス』
背後の織羽はピクリとも動かない。
初めての戦闘らしい戦闘に竦んだかのように。
255 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/04(木) 00:42:32 0
>252-253
「ぼくちんには分かる、あれは本物にゃ。ゼルダ姫、助けに参りましたにゃー!」
俣旅ゼルダに駆け寄ろうとする師範をカフェが後ろから捕まえる。
「何をいっておるのじゃ? どう見ても男であろう!
さては霊力を吸い取られて寝ぼけておるな」

>「魔族を裏切れば殺されるに決まっとるし、自首しても下手をすれば死刑になるやも知れんしな…。
わしも途中から抜けるに抜けられなくなってたんや…。」
「そうであったのか……。魔族め、人の弱みにつけいるとはなんて卑劣なのだ!」
カフェは今にもエンディングに突入しそうなオーラを出している。
師範はカフェの腕の中でもがいている。
「雰囲気に流されて終わったらダメにゃ! 早く追わにゃいと!」
そう思っているのは師範だけではないようで、連れてきた黒猫が一行をせかすように社長室のドアを引っかいている。

――――――――――――――――

一方、社長室の外。ミュルミドンの一人がヘルゴティスに指示を仰いだ。
「どうするでアリます?」
「うーーむ……。我々は召喚者に忠実な一族。召喚者たる神田呑が戦意喪失したとなれば……」
「となれば?」
ヘルゴティスは重々しく宣言した。
「……俣旅ゼルダを解放した後撤退!!」
「召喚者のために忠義をつくして戦うんじゃないでアリますか!?」
とずっこけつつも、ミュルミドンが俣旅ゼルダの縄を解こうとした時。
俣旅ゼルダは一瞬猫の姿になり、拘束していたものが全てはらりと落ちる。
さらに次の瞬間には、猫耳の美少女がそこにいた。

「30代男がいきなり美少女になったでアリます!」
「独身30代男は世を忍ぶ仮の姿ニャ! どさくさに紛れてさわるんじゃニャい!」
ゼルダがミュルミドンに猫パンチを放ち、吹っ飛んだミュルミドンが社長室の扉にぶち当たって扉が開く。

――――――――――――――――

「神田呑、御苦労だったニャ。こうにゃるのも全て計画通りニャ。
ちなみにボクは俣旅ゼルダニャ」
「な、なんじゃあ!? ただの30男ちがうかったんかい!」
どうやらバックにいる魔族は、神田呑社長にも計画の全貌を教えていたわけではないようだ。
というよりいいように利用されて踊らされていたのである。ああ、悲しき小悪党。
「俣旅ゼルダは化け猫だったのか……!」
「ゼルダ、どうしてにゃ……!? 人間と共存してこその猫じゃにゃいのか!?」

「数百年前はそれが通用したニャ。でも近頃人間は調子に乗り過ぎニャ。
このままでは動物が住めなくなってしまうニャ……。
魔族は、人間が我がもの顔ではびこる原因はデタントが崩れているからといっていたニャ。
崩れたデタントを何百年もかけて戻していては間に合わニャいとも!
ボクはオーパーツをある場所に届けるニャ……! 止めれるものなら止めてみるニャ!」
そう言ってゼルダは目にも止まらぬ早さで階下に降りていく。

「なんてことにゃ……きっと魔族にそそのかされたんだにゃ!」
「オーパーツは師匠がコンセント刺されておったあれか!
満タンではないにしてもかなりの霊力が溜まっておるに違いない……急ごうぞ!」
256 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/05(金) 03:17:31 0
【社長室前】

『もうたくさんや………もう、魔族もアリも知らん! どうにでもなれい!』
神田呑社長が自棄になったように叫び、大の字になって寝転ぶ。

『その言葉、契約放棄と見なす。そういう事なら我はこれにて………ギシシィ!』
己の棲み家たる魔界に帰ったのであろうか。
魁偉な容貌の蟻魔ヘルゴティスは、レギオンビルの空気に溶けるように消えた。
同時に今までビル全体から感じていた圧迫感が薄らいでゆく。

『我々も帰るでアリます。』
『次の雇い先は、ブラックな企業ではないと良いのでアリますが。』
ミュルミドンたちも消えた。
次元移動能力を持たぬ故に駆け足で階段を下りて。

【中層階廊下】

「え…何?」
それまで死兵の様相で対していたミュルミドンたちが、後退を始めて一目散に去ってゆく。
彼らの突然の撤退は、アナスタシヤの攻撃によって戦意を喪失したからではない。
神田呑の契約放棄でヘルゴティスが去った事により、ミュルミドンたちの下請け契約も消滅したのだ。
もはや、彼らに戦闘を続ける意味は無い。
遁走する彼らの行き先は、レギオンビル地階のさらに下に存在する地底世界。

深い地の底には人間の常識など及びもしない未知の世界が広がっている。
そこには妖怪、モーロック、恐竜人、蟻人間のコミュニティ………何が存在していても不思議ではあるまい。

「あ、そういえば…。」
織羽は何かに思い至った様な顔になると、懐から携帯電話を取り出してカフェに連絡を入れた。
こうすれば簡単に二人の現在位置が分かる事に気付いたのだ………ようやくにして。

「カフェさん? 今どちらに?」
伝えられるのは切迫した現状。

「ええと………要するにメルクリウス貿易の社長は、魔族と組んでたけど単なる下っ端で、
実は化け猫の一族で師範の知り合いだった俣旅ゼルダが、オーパーツを持ってこっちに来る…?」
257 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/05(金) 03:24:21 0
【階段】

社員が去って静かになったレギオンビルにタン…タン…と響く、軽やかな着地音。
上階から飛び降りるように猫耳の少女が跳ねてくる。

「アナスタシヤ…その猫耳を捕まえてっ!」
『イエス・対象捕捉』
待ち受けていたアナスタシヤが強化ネットを発射。
階段の幅いっぱいに広がった網からは何者も逃れる術はない。

『猫変化ニャ!』
しかして、猫耳の少女―――ゼルダは透明な物体に姿を変えて強化ネットをヌルリと抜ける。
その透明なゲル状の麺は紛う事無きトコロテン。
そしてトコロテンは、捕縛から華麗に抜け出すと再び猫耳少女の姿に戻った。
アナスタシヤを見るゼルダの口元は花のように綻ぶ。

『ボクは木偶人形なんかに捕まらないニャ!』
『再補足・シマス』
ゼルダは機械人形の接近を跳躍で躱し、そのまま天井を蹴った勢いで階下の踊り場に着地。

「ちょっ、ちょっと…待ちなさい!」
織羽が悪足掻きとばかりに振り向きざまに胸ポケットの万年筆を投擲。
しかし投擲物は標的に当たらず、踊り場に落ちて虚しく割れた。
流れ出たインクは、踊り場のタイルに黒い模様を描くだけ。

『どこ狙ってるニャ! ヘタクソ!』
嘲りの声を残しながら猫耳の少女は階下に姿を消し、ほどなくGSたちも上の階から降りてくる。

「ごめんなさい…ゼルダに逃げられたわ。
そもそもあの変身能力があるんじゃ、普通の方法で捕まえるのは難しそうね。
………それにしても蟻人間に化け猫…人外の存在が、
こんなに人間社会に浸透してるなんて、ちょっとしたカルチャーショックね…。」

化け猫って…そういえば…。

「あっ…ひょっとして、ホシュにあった霊力マタタビがあれば、化け猫の変身能力を無力化できそうじゃない?」
258 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/05(金) 22:55:43 0
俣旅ゼルダは化け猫だった!!

東京タワーにて謎の計画が!!

ミュルミドン、帰宅!!

次々と起こる大事件の中で、牧街は……

大の字でばたりと倒れている神田社長が横を見ると、そこにはつい先程まで物凄い迫力で自分を脅してきていた若者が、吹っ飛ばされた扉に潰されている姿があった
この男は意識がはっきりしなくなると存在感が無くなるらしい
「…うぉ!!き…君、まだおったんか!!」
驚いた神田社長の声で、うーん、とか言って牧街が起きる
「ぁたた…えーと…何がどうなったんでしたっけ?」
周囲が落ち着いたため、追い詰められたネズミモードが解除され、ぼけぼけした雰囲気で尋ねる牧街に
しかし先程までの凶悪犯な雰囲気の牧街しか知らない神田社長はびくびくしながら、一応返事をする
「き…君の仲間、何か猫耳娘追いかけてったで」
「猫耳…あ、そーだ、そーだ、ゼルダさん妖怪だったんだ」
そう言って、牧街はぽんっと手を叩くと、社長の手を引き、二人で立ち上がった
「…?何?わしにまだ何か用事があるんか?」
おどおどして牧街を怖がる社長に牧街は指を立てて再び解説モードになる

「いえ、何か起きる前に二人でさっさと逃げましょう、えぇ!」

固まる社長
「ちょ!!君、仲間まだ戦っとるんよ!薄情とちゃうんかそれ!」
思わず尋ねる神田社長の手を引き、さっさとエレベーターへ向かう牧街
「いや、もう依頼達成しましたし…、後は警察の仕事かなーって……」
正義の味方じゃない台詞に、思わずうっと怯む社長
「けど…ほら、何かオーパーツを東京タワーに云々と…」
「オカルトGメンにタワーの方を攻撃してもらえば万事解決ですよ、えぇ。第一俺の脚じゃ猫に追いつけそうにないし」
「君、それ職務怠慢言う奴やで」
「えぇ!?けど…俺…依頼は達成しましたよ」
段々弱気になっていく牧街と、段々説教口調になっていく神田社長
「依頼者との間で良好な関係築くんに必要なんは言われた事だけやるんとちゃうやろ?ちゃうか?」
「そうっすけど…こっち命かかった仕事ですし…」
「好きでやった仕事やろが!命の危険のある無しは問題とちゃうんやないの?ん?」
パワーバランスが逆転してきた…
「けど…ほら、俺、追いつけないし…」
「そこは君が知恵を振り絞るとことちゃうんか?はよ世界守り!」
神田社長に叱られ、背中ばんっとはたかれ、しょんぼりとしながら部屋を出ようとした牧街は、ふと、ある事に気がついた
「社長さん、ちょっと思いついたんですけど…」
259 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/05(金) 23:26:18 0
『我はヘルゴティス!!人間よ、我に……ってまたこの会社か!!』
蟻魔、ヘルゴティスは思わず叫んだ
その光景をびくびくしながら、召喚者、牧街が見つめている
「真に申し訳ありません…えぇ…あ…あはは…」

牧街が思いついた作戦、それは神田が使った魔道書を使い、再びヘルゴティスを呼び出して手伝ってもらうという物だった

召喚しておきながら、本当に申し訳なさそうな態度でそう言う牧街に、ヘルゴティスは多少面倒くさげに、尋ねてくる
『それで、何のようだ?我々は召喚者の能力で強くも弱くもなる、貴様なら神田の時以上に我々は働けるぞ』
「あ…えーと…いいんすかね?頼んでも」
牧街の返答に、多少怯むヘルゴティス
長い事この仕事をしてきたヘルゴティスだったが、召喚者に頼んでいいんですかなどと尋ねられた事など一度も無かったからだ
『…遠慮する事はない、言ってみろ』
「んじゃ…その……」

地下から再びミュルミドンの集団が現れる
彼等も牧街が呼び出した事でパワーアップしているのだろう
全員が黒いボディスーツに防弾チョッキ姿の特殊部隊ルックである
「A小隊はゲートの閉鎖、B小隊、C小隊は通気口を塞げ!D、E、F小隊はワームを攻撃する!」
「「「「「了解」」」」」
金色のラインの入ったボディスーツを着たミュルミドンルーパーの指揮の下、心なしか口調まで変わったミュルミドン達は1階のシャッターを閉鎖し、通気口を板で塞ぐなど、出口の閉鎖を行っていく

「あ!いたぞ!」
「とっ捕まえろ!!」
上の階へ駆け上がっていったミュルミドン達が、今しもオーパーツを回収せんとしているゼルダと対面し、一斉に虫取り網やさす又で襲い掛かる
「にゃ!?お前等!どういうつもりにゃ!」
「我々は牧街司令官の指揮下に入った!貴様を捕獲する!大人しくしろ!」
「ふんっ!お前等ごときにボクを倒せると思ってるのかニャ?」
ゼルダは目にも止まらぬ速度で飛びはねてミュルミドンルーパー達の攻撃を簡単にかわし、次々と彼等を殲滅していく
「ク…クロックア…」
余計な事を言おうとしたミュルミドンルーパーがまた一人、吹っ飛ばされてしまう

「あ!」
作戦会議をしていたカフェ等の元に、ゼルダ捕獲に向かっているミュルミドンルーパーの一団が遭遇した
すぐさま発砲するアナスタシヤの攻撃を受け2体程蜂の巣になってしまうが、残ったミュルミドン達は素早く遮蔽物に隠れ、武器を捨て、藤津木等に呼びかける
「待て!我々は牧街司令官の指揮下の部隊だアリ!ゼルダ、コードネーム、ワームの捕獲に協力する!撃つな!!」
260 : ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/05(金) 23:49:50 0
東京タワーに程近いビルの谷間に、ホッパーと、スーツ姿のがたいがよく目つきの悪い中年男性、コブラが待機している
そこに、ビルの上から音も無くスパイダーが降り立ってきた
「…あっちはもういいのかい?」
腕を組み、壁に寄りかかりながら尋ねてきたホッパーに、スパイダーは頷く
「ああ、問題無い」
「そうか…、んじゃ、もう俺達は向こうに回る必要無いな。後は師範を…」
待つだけだな…、そう言おうとして、ホッパーはふっと息を吐いた
いつの間にか、師範が路地裏の奥に目つきの鋭い男と、女の様な美男子の二人のスーツ姿の男と共に立っている
「Gメンの方は手が空いていないらしいので応援は来ない、我々と応援に来てくださったお二人でテロ魔族を殲滅する」
「僕等だけでも十二分、精々君達が足を引っ張らない事だけが心配だよ」
そうスパイダー等に報告する師範に、スーツ姿の美男子の方が髪をとかしながら言った
ホッパーはムッとして何か言い返そうとするが、スパイダーが手でソレを制する
「逃げられるとまずい、さっさとカタをつけよう」
「そのつもりさ…ヒヒ」
鋭い目つきの男が、不気味な笑みを浮かべながら言った
その笑みの中に、自分達への嘲りを感じ取ったスパイダーもわずかに眉をひそめる
「…では、行きましょう」
これ以上険悪な雰囲気になっては面倒くさいと思った師範が、一同に出発を促し、一同はタワーへと歩いていく
極力霊力を潜め、本来ならば人が溢れているはずだが、今日は人がまばらなタワー内へと入った彼等は、階段にて上階へと歩いていった

階段には、最早人の姿は無い
恐らく催眠術の一種で徐々に人がタワーから出て行っているのだろう
261 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/06(土) 23:44:59 0
>256
>「カフェさん? 今どちらに?」
「落ち着いて聞くのじゃ。
俣旅ゼルダが実は化け猫で師範と知り合いらしいのだが魔族の手中に入っておったらしい!
猫耳美少女になってそっちの階層にオーパーツの回収に向かっておる! 取り押さえてくれ!」
社長との契約が切れたのか、アリ人間達が撤退していく。
一方その間、師範は、黒猫と猫語で会話していた。
「にゃにゃんにゃにゃー!」
「にゃにゃにゃ? にゃんと……! 運転手が怪しい!?」
そして電話をかけて猫タクシーを呼ぶ。
「念のために猫タクシーを召喚するにゃ! もしもし、至急ここまで来てほしいにゃ!」

>257 >259
>「あっ…ひょっとして、ホシュにあった霊力マタタビがあれば、化け猫の変身能力を無力化できそうじゃない?」
「あれなら証拠品として持ってきておるぞ!」
霊力マタタビを取り出したその時。
>「あ!」
アリ軍団が再びあらわれた!
「撤退したのではなかったのか!?」
一悶着の後、ミュルミドン達は武器を捨てて呼び掛け始める。
>「待て!我々は牧街司令官の指揮下の部隊だアリ!ゼルダ、コードネーム、ワームの捕獲に協力する!撃つな!!」
「何……!? 牧街殿が!?」
誤解は解けたものの、一悶着したことで時間をロスしてしまった。

それでも、ミュルミドン達の足止めもあってオーパーツを回収済みの俣旅ゼルダの後ろ姿に追いつく事が出来た。
「食らえそりゃあ!」
霊力マタタビを投げる。
「ニャー!」
思わず飛びつく俣旅ゼルダ。
彼女はマタタビを咥えたまま猫の姿に戻り、オーパーツが手を離れる!
「よっしゃ!」
が、オーパーツに見覚えのある男性の手が伸びる。
ここに来る時に乗っていた車の運転手である。
「おお運転手さん、心配して来てくれたのか。
それは重要なものゆえこっちに渡してはくれぬか?」
運転手の返答は非情だった!
「だが断る」
運転手はオーパーツを持ったままついでに猫状態の俣旅ゼルダも抱き上げ、出口に向かって走り始めた!
262 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/07(日) 15:15:35 0
軍靴を響かせて、階下から武装したミュルミドンの集団が駆け昇ってくる。
「蟻人間たちが武装してる…? アナスタシヤ、迎撃。」
無意識的に体が下がるのは、先程経験したミュルミドンとの戦闘ゆえにか。

>「待て!我々は牧街司令官の指揮下の部隊だアリ!ゼルダ、コードネーム、ワームの捕獲に協力する!撃つな!!」

「待ってアナスタシヤ、攻撃停止! 牧街…司令官? って…ええと…どういう事?」
『牧街司令官がヘルゴティス様と契約したので、下請けの我々も牧街司令官の麾下に入ったでアリ。』

続くミュルミドンルーパーの説明を聞く織羽の顔は渋い。
「そう…。」
返答の声にも、いささか冷めた色が乗る。
当初の織羽の目的は、vistaの戦闘テストと技術者の救出。
もっと正確に言えば功績を上げ、一族内での立ち位置を確保する事。
ゼルダが離反した今、技術者救出には意味が無く。
戦闘テストを続行しようにもアナスタシヤが万全の状態とは言えない。
神田呑社長が操っていた魔族も牧街が押さえてしまった以上、戦闘テストも延期が妥当に思われる。

さらにゼルダの目的たるデタントの早急な修復とやらに至っては、全く理解の範疇を越えてしまっていた。
辛うじて、某過激派動物愛護団体と同様の主張部分が分かっただけである。
「…動機はともかく、とりあえず俣旅ゼルダだけは確保して、
どれくらい藤津木の内部情報が漏れてるのかを調べなくちゃいけないわね…。」

とりあえず、理解不能な事を卑近な目的に置き換えてゼルダ追跡に入った。

牧街麾下のミュルミドンによってビルの各所が封鎖され、
統制された蟻部隊の働きがゼルダを追い詰める。
しかし…部隊のターゲットは織羽らをここまで運んできた運転手に強奪されてしまった。
「え…ちょ、ちょっと! 運転手! ………藤津木にはいったい何人スパイが入り込んでるのよっ!」

織羽の叫びを背に残して、黒塗りのベンツがメルクリウス貿易の敷地内から消えた。
263 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/07(日) 15:17:13 0
肌寒い宵の空気を切り裂いて、一台の車がメルクリウス貿易の敷地に突入してくる。
闇に光るヘッドライトは猫の双眸。
アスファルトを駆けるタイヤは獣の四足。
車は全くスピードを緩めることなくエントランスの硝子を割って、ホール内に侵入した。
猫タクシーは秋葉原師範の「もしもし、至急ここまで来てほしいにゃ!」 に正確に応えたようだ。
「今度は敵なの!? 味方なの!?」
『僕ちんが呼んだ猫タクシーにゃ。』
「………タクシー?」

絶句せざるを得ないが、巨大な猫かタクシーか分からないものの脇腹には窓が嵌められており、
内部にタクシーらしき座席が備え付けられているのが見える。
「な、何だったかしら…これと似たようなもの…昔、何かの映画で見たような…。」
『それより、みんな早く乗るにゃ! ゼルダを乗せた車が逃げるにゃー!』

了解したとばかりに何匹かのミュルミドンがトランクに潜り込み、屋根にしがみ付く。
師範の剣幕に押されて、織羽も猫タクシーに乗り込んだ。
そして、乗員を過剰満載して道路に出た猫タクシーを迎えたのは…。
「帰宅ラッシュの渋滞………これじゃ追いつくのは無理、ね。」
『歩道が広いにゃ。』
「歩道…って、深夜ならともかく、まだ人がいるでしょ?」
『関係無い。行くにゃ。』

秋葉原師範の指示で、進路を歩道に変更した猫タクシーが街を駆け抜ける。
歩道上では驚愕する通行人が立ちすくみ、或いは慌てて飛び退く。
人の波を俊敏なる動きで巧みに躱し切った猫タクシーは、ついにベンツを射程圏内に捉えた。
屋根にしがみ付いていたミュルミドンは、何匹か姿が見えなくなっていたが。
「………妖怪に交通法規を周知徹底させる事を真剣に検討する必要がありそうね…。
それは後で良いとして、まずは車の動きを止めなくちゃ…アナスタシヤ、ベンツのタイヤを狙える?」
『イエス・命中確率・78%・攻撃開始』

織羽の指示にアナスタシヤが窓から左腕の銃口を突き出して、散弾をばら撒いた。
銃撃の雨を受けたタイヤは破裂し、道路を削るアルミホイールが耳障りな騒音を撒き散らす。
バランスを失った黒塗りのベンツは、惰性で数十メートルもスピンして、灰色の街並みへと激突した。
「………まさか、死んでないでしょうね?」

織羽はアナスタシヤを連れて猫タクシーを降りると、ブスブスと煙を上げる車に近づいた。
264 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/07(日) 20:45:15 0
『…うむっ、ミュルミドンとGSがオーパーツを追い詰めたぞ』
「無事、事件解決ですね、えぇ」
社長室の応接セット
ヘルゴディスと牧街、社長の三人が、ミュルミドンの持つ通信鬼から送られてくる情報を報告するヘルゴティスの言葉に聞き入っている
どうやら、オーパーツは無事、回収されそうである
「いや、一時はどうなる事かと思いましたね」
『ふふふ、そうだね、想定内で終わりそうだよ』
『無事、終わりそうで何よりだ』
「まぁ…とんでもない事にならんかっただけ良かったかな…うん」
事件解決の兆しに「4人」が各々が力なく笑う
そう、「4人」が
「…ア……レ?」
それに気づいた牧街が声を出し、ヘルゴティスが牧街を守ろうと手を伸ばして何者かと牧街の間に割ってはいる
「ひ…ひぃいいいいいいいいい」
突然の来訪者の出現に、社長は素っ頓狂な声を上げて、社長室の外に逃げ出した

「やぁ、君とは、始めましてだね、牧街君」
真っ黒いタキシードに身を包み、笑みを浮かべた仮面を身につけたその人物は、ヘルゴティスを全く恐れず、距離をとった牧街へ近づいてくる
「な…な…何?何君は」
「前回は黒幕、今回は協力者、かな?」
わけのわからない事を言ったその男は、拳をふるって迎撃したヘルゴティスの攻撃を跳躍してかわし

上空から剣を投げつけ、牧街の腹に深々と突き刺した

「え?ぁ……が……!?」

突然の事に反応できず、血を吐き、崩れた牧街の手から、その怪人は魔道書をもぎ取り、ヘルゴティスに振り返った
「さて……じゃ、言う事を聞いてもらおっかな?」
大量に出血し、動かなくなった牧街を足の下に踏みつけながら、怪人物は明るい声で、そう言った
265 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/07(日) 21:05:59 0
『……任務……了解…………破壊…破壊…キキキキキキキ』
『ギニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』
ベンツに注目する藤津木等の背後から、突如、猫の悲鳴が轟いた
見ると、真っ赤な目に変わったミュルミドンルーパー達が猫タクシーに群がり、鋭いキバで喰らいついている
驚く間も無く、藤津木の背後に立っていたミュルミドンルーパーが彼女に抱きつき、彼女の首を食いちぎらんと喰らいついてきた

『キキキ……キ……』
更に近くのマンホールの蓋が飛び上がり、中からあの巨大蟻や真っ赤な目のミュルミドンが次々と現れ、カフェや師範らに襲い掛かっていく

ベンツの窓を叩き割り、ロックを外したミュルミドンが、気絶しているゼルダを邪魔だとばかりにコンクリートの地面に投げつけ、叩きつけてどかし、オーパーツを回収したミュルミドンは、東京タワーへと走る
「フニャアアアアアアアア」
「フーーーー!!」
と、東京タワーへと向かうミュルミドンの前に、猫の一団が立ち塞がった
恐らく、カフェの師匠に加勢するために片付けたのだろう
毛を逆立て、ミュルミドンを威嚇する猫達
しかし、赤めのミュルミドンは怯まず、顎を開くと、そこから強酸を噴射した
「ニャギーーーー」
「ギャーーーーーー」
たちまち悲鳴が上がる猫等を踏みつけ、蹴散らし、飛び掛る猫を拳で撃墜し、ミュルミドンはさっさと東京タワーへ向かう
後を追わんとするカフェ等の前にもミュルミドンが立ち塞がり、キバで襲い掛かってきた
特にカフェの師範には例の巨大蟻が三匹ほど襲いかかり、三方から酸やキバで攻撃し、変身のチャンスを与えまいとする
凶暴化しても、巧みなフォーメーションは健在なのだ
266 : ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/07(日) 21:14:45 0
襲い来る操られた蝋人形達を蹴散らし、展望室の扉の前へとたどりついた恐山師範達
と、言っても、師範やホッパー等はほとんど何もしていない
後からやってきた例の二人が、いともたやすく蝋人形達を蹴散らして行ったのだ
恐山師範等は確かに「人間の中では」強力なグループに入っていたが、彼等の前では、所詮露払い程度しかできない
そして、その程度の実力では、魔族どうしの戦いに恐山流GS達が足手まといなのは、明白だった

「ここから先は我々だけで行かせて貰うよ」
師範等を馬鹿にした美青年の魔族正規軍の軍人が、ドアノブに手をかけながら言った
「……」
それに対し、恐山等は何も答えない
それをよしととった美青年魔族は、もう一人の魔族を促し、展望室へと突入する
恐山師範等には最早、言葉も無かった
267 :名無しになりきれ:2010/03/08(月) 14:06:51 0
多分?
268 :名無しになりきれ[sage]:2010/03/08(月) 15:55:01 O
ミュルミドンの酸で全身の皮膚が焼け爛れた瀕死の猫Aは口を半開きにして冷たいアスファルトに横たわっていた。ほとんど呼吸もしていない。目も半開きのまま虚ろで、かつてどんな暗闇の中でも獲物を捕らえることのできたその目も機能を完全に失っていた。
徐々に身体が硬直し始めるなか猫は過去のことを思いだしていた。ノラネコ時代にお腹が空いて辛かったこと、優しい人間たちに沢山のエサをもらって嬉しかったこと。
そして最後に母猫のこと。それは遠くうすぼんやりとした記憶だったが意識が遠退いていく猫にはそれが不思議と近づいて来るような気持ちがした。
ごろごろと微かに喉を鳴らし猫Aは絶命した。
269 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/10(水) 00:18:26 0
>263
ベンツと猫タクシーによるカーチェイスが繰り広げられ、ついに追い詰めた。
「堪忍せい!」
織羽やアナスタシヤと同じく、ベンツに駆け寄る。

>265 >268
>『……任務……了解…………破壊…破壊…キキキキキキキ』
>『ギニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』
「のわあああああ!?」
ミュルミドンがいきなり凶暴化して襲いかかってきた!
無我夢中で傘を振りまわしながら追い払う。
「まずいぞ! 牧街殿ではない誰かの管轄に入ったようじゃ……!」
オーパーツを追おうとすると、さらに軍をなして襲いかかってくる。
師範に至っては取り囲まれている。
「ぎにゃーー!!」
「師匠!」
師範は霊力を吸い取られた直後のため、いつもの出力を発揮できない!
今のところ懸命に猫パンチで対抗しているが、いつまで持つか。

一方、運転手が壊れたベンツから這い出て来た。
オーパーツを持って走り去ったミュルミドンには目もくれず、地面に転がっているゼルダに駆け寄る。
「ゼルダ様……しっかり!」

激しい乱闘のさなか、目の前で名も無き猫が絶命する。カフェは叫んだ。
「俣旅ゼルダとその仲間よ! これがお主らの望んだことか!?」
ゼルダは倒れていく猫達を見ながら、力なく呟いた。
「こんなの違うニャ……ただ懐かしかっただけなのかもしれニャい……
あの風渡る霊原が懐かしかっただけ……」
運転手も悲痛な表情をうかべて語りかける。
「ゼルダ様……。魔族は私達を最初から仲間だなんて思ってなかったんですね」
その様子を察したカフェは必死で協力を請うた。
「ならば手を貸してくれ!」
ゼルダと運転手は逡巡している様子。
すぐには気持ちを切り替えられないのかもしれないし、あまりの敵の勢いに圧倒されているのかもしれない。
270 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/10(水) 00:22:40 0
そんな中、ミュルミドンの攻撃がカフェを鞄をかすり、持ち物が散乱する。
茶筒に入ったお茶が地面を転がり、ゼルダと運転手の元に行きつく。
「あ……」
茶筒を見たゼルダの脳裏に、昔昔の思い出が鮮やかによみがえる。
ゼルダは猫耳少女の姿になって茶筒を力強く掴み、運転手に命じた。
「今すぐ噴射口がスプレー状のポットに化けるニャ!」
変わった命令だが、ゼルダの瞳には強い意志の光が宿っている。
「は……はい!」
運転手は命じられるままにスプレーポットに化けた。
幸い、運転手とゼルダはまだ攻撃対象に入っていない様子だ。
ゼルダはお茶っぱを取り出し、スプレーポットの中に入れる。
そしてミュルミドン達にお茶を噴射し始めた!
ミュルミドン達は明らかにひるんだ様子を見せ、後退する。
「どういうことじゃ……!?」
お茶にはカテキンという殺菌成分が含まれている。
古来より殺菌作用と対魔作用は強い相関性があるので、対魔の霊力茶があっても不思議ではない!
が、それだけではなかった。お茶スプレーを辺り一面に撒きながらゼルダが語り始めた。
「昔々、秋葉原は猫の霊原だったのニャ。秋になると強力な霊力茶が取れていたニャ。
このお茶は友好の証として当時の化け猫の長が化け狸の長に贈ったものニャ。
きっと数百年霊山に置かれていたことによって霊力が増したんだニャ」
「秋葉原の秋葉はお茶のことか……しかしそんな事聞いたこともないぞ」
「表向きの歴史からは抹消されているから当然ニャ」
語っている間にも周囲はお茶の霧まみれになり、ミュルミドン達は撤退していく。
「オーパーツは……もう行ってしまったか」
「そんなことより牧街くんが危ないにゃ!」
アリの猛攻でボロボロになった師範が訴える。
その言葉に、カフェはとんでもない事に思い至って顔色を変えた。
「牧街殿から命令権を奪取した上これ程までにミュルミドンの力を引き出す存在……魔族か!?」
271 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/10(水) 19:02:29 0
態度を変貌させたミュルミドンが、背後から織羽に抱きついて締め上げる。
魔物の怪力は、織羽の骨をミシ…ミシ…と軋ませ嫌な音を上げさせた。
酸素を求めて口を開けるも、圧迫された肺ではほとんど息が出来ない。

「く…はっ…あぁ!」
口腔をカッと開いて顔を近づけたミュルミドンが、織羽の首筋に冷たい牙を当てる。
『マスター・防衛・シマス・ミュルミドン・再攻撃対象』
苦痛と恐怖に意識を失い掛けた時、生温かい飛沫が頬に浴びせられた。
同時に織羽を絞めつけていたミュルミドンが、腕を緩めて倒れる。
膝を付いて荒く息を吐くと、背後からベシャッと濡れた物を叩きつける音。
「げほげほ…けほっ…!」
へたりこんでいたためにアナスタシヤがミュルミドンの頭部から手刀を引き抜く瞬間が、
目に入らなかったのは幸いだったかも知れない。

「何…この匂い…?」
不意に魔虫の臭気を駆逐する馥郁たる芳香が辺りを包む。
それは霊原の葉が醸し出す、魔をも退ける清浄な空気。
吸い込む度に体の中から悪いものが押し流されてゆく気がする。
取り囲んでいた蟻人間たちは、ゼルダの手によって退けられていた。

>カフェ「牧街殿から命令権を奪取した上これ程までにミュルミドンの力を引き出す存在……魔族か!?」

カフェの口から敵として求めた魔族の名が挙がる。
しかし、牧街の危機を聞いてもレギオンビルに戻ろうという意思が湧いてこない。
足の筋肉は収縮を忘れたように動かなかった。
自らが直接攻撃に晒された事によって、ついに恐怖が心を占めてしまったのだ。
そして織羽は、それを克服するだけの強靭な精神力や使命感を持ち合わせていない。

「わたしは…行かない………もう一族の厄介者でもいいわ…。
所詮霊力の無いわたしがいくら足掻いたって、貴方たちと対等にはなれない…。
牧街を助けるなら貴方たちだけで行って…。アナスタシヤくらいは貸してあげるから…。」
折れた心で吐き出した言葉は、凍てつく夜の大気に力無く消えた。


【すみません…出涸らしになってきてしまいました。具体的には八番煎じのお茶ぐらいです。
あまり大きな動きは出来ないかも…】
272 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2010/03/10(水) 19:04:52 0
展望室の床には、どす黒い血で五芒星が描かれていた。
その模様の中に無数の悪霊の群れを纏わりつかせた黒い影が佇む。

悪霊はこの地に眠る霊魂であった。
東京タワーは建設時に増上寺から墓地の一部を土地として提供されている。
増上寺が現在の場に移った慶長3年から、東京タワー建設の昭和33年まで360年近く。
取り壊された墓地に葬られていた霊は優に数千を超えよう。
それら全てが一つに集まり、無数の苦悶に満ちた顔を持つ悪霊の塊と化していた。

陰火を立ち上らせた黒いローブの人物は、歌うような楽しげな声で室内に侵入した二人の魔族に語る。
「やあ、よくここが分かったね。でも少し遅かったかな…?
ちょっと小用が出来たんで、ここはアルバイトの人に任せちゃったんだ。
まあ、せっかく大物を二人も派遣したってのに手ぶらで帰すのも悪いしね。
僕の玩具で少し遊んで行くといいよ。」

今の言葉は、乗り移った何かが言わせていたのだろうか。
黒いローブの人物が先程とは異なる声で伸べる。
「フフ…そういうことですか…。
どうやら貴方がたは偽撃転殺の計に掛かったようですね…。
この鉄塔が貴方がたの墓標です…貴方も行きなさい…化け狸よ…。」

そして袂から取り出した竹筒を投げつけた。
竹筒からは見るからに凶暴そうな狸の亡霊が現れ、生けとし生ける者たちに牙を剥く!
『うわぁ! なんでこんな〜!』


【モンスターデータ】
レギオン:無数の霊をネクロマンシーで一つに寄り集め、邪霊波で強引に悪霊化した複合霊。

謎の黒いローブの人物:テロ魔族に操られたスカポンタン、正体は一切の謎に包まれている。

謎の化け狸:謎の人物が使役する謎の動物霊、正体は一切の謎に〜以下同文。
273 : ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/12(金) 19:14:49 0
「ヒヒヒヒヒ……舐めたまねを!!」
鋭い目の魔族が、レギオン目掛け強力な光弾を放った
すさまじい威力のエネルギーはレギオンに命中し、一気に数体を消し飛ばすが、レギオンの勢いは止まらない
「無駄だよ、キリが無い」
近づくレギオンを手刀で叩ききりながら、美形の方が言う
「こういう時は、ね」
狸の動物霊の攻撃を鮮やかにかわし、美形魔族は黒フードの李…もとい謎の人物を指差す
「操っている奴を潰すんだ!」
その言葉と共に、謎の人物の体が燃え始める
念動発火、いわゆる人体発火現象だ

「少し遅かったって事はもう何かしろ始まっているって事か?」
「だとすると、それが行われているのはここじゃない、一体…」
群がるレギオンの攻撃を受け止め、弾きながら謎の男の口から放たれた言葉を反芻する二人の魔族
「まさか……メリクリウス貿易の方が敵の本当の目的地だったんじゃなかろうな?」
「頭は使ってこそ意味があるんだ…、明らかにこのタワーのどこかなんだ!ただ、ここじゃない!なら……」
何かに勘付いた美形魔族が、はっとなる
「……頂上、か?」

同じ頃、オーパーツを抱えたミュルミドンが、タワーの外壁を登っていた
東京タワーの頂上を目指して…

一方、魔族と謎の男が戦う展望台のドア一枚隔てた先の階段では、牧街の状況を式神を通じて感じていたスパイダーが驚きの表情を浮かべていた
「牧街が……やられた」
その一言に、コブラを除く2人がぎょっとなる
「どういう事だ!?奴等、もうあのビルに用は無いはずじゃ」
「ずっと隠れ潜んで様子を見ていた奴がいたらしい!糞!迂闊だった!!そいつが牧街から魔道書を奪ってヘルゴティスとミュルミドンを操ってる!」
「糞っ、師範!どうしま……師範!?」
突然の事態に師範の指示を仰ごうとホッパーが視線を向けると、そこには最早師範の姿は無かった

>>271
カフェも、師範も、アナスタシヤもいなくなった路上に、藤津木織羽が一人、ぽつんと立ちすくんでいる
周囲を歩く人の姿は無い、先ほどのミュルミドンの攻撃で逃げてしまったのだろう
警察も道が込んでいるためか、まだ到着していない
絶望に打ちひしがれているだろう、織羽は気づかなかった
お茶の臭いがもうかなり薄れてしまっている事に
「破壊……殺…戮」
マンホールから、先ほどで損ねたのだろう新たなミュルミドンが一体、現れた
ミュルミドンは織羽を見つけると、襲い掛かるべく近づいてくる
逃げようとする織羽の元に跳躍し、飛び掛かったミュルミドンは、しかしどこからか流星のごとくすさまじい速度で現れた影に、顔面を蹴られ、吹き飛ばされた
「が…ギ…」
吹っ飛ばされて路上で苦しむミュルミドンに背中を向けて、蹴った主、サングラスに胴着姿の恐山断弦師匠が立っていた
「……藤津木織羽さん…だね?君、こんなとこで何しとるんだい?」
師範は膝をつき、織羽に呼びかける
274 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/12(金) 19:30:51 0
「こんなもん…かな?」
オーパーツが無事目的地へ到着しそうな事を確認したタキシードに笑顔の面の怪人は、腹に剣を突き刺したままぴくりとも動かない牧街を無視し、ヘルゴティスへ視線を向ける
「後は君に任せるよ。ここへ来た連中は皆殺し、追って蘇芳から指示があるかもしれないから、その時はそれに従ってくれ」
そう言って、ヘルゴティスが頷いたのを確認した怪人はわずかに微笑む
「さあ、お膳立てはした…楽しいイベントにしてくれよ、蘇芳」
そう言うと、怪人は社長室の窓ガラスを開け、空へと飛び去っていった
後には動かない牧街と、それに近づく者に容赦なく襲い掛かるよう指示されたヘルゴティス
そして、金庫の中に現金に埋もれて隠された魔道書だけが残るのだった
275 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/13(土) 23:06:18 0
>271
>「わたしは…行かない………もう一族の厄介者でもいいわ…。
所詮霊力の無いわたしがいくら足掻いたって、貴方たちと対等にはなれない…。
牧街を助けるなら貴方たちだけで行って…。アナスタシヤくらいは貸してあげるから…。」
「何!? 霊力が無いとな」
師範は織羽の肩にぽんっと手を置いて言った。
「大器晩成にゃ」
「うむ。基本魔法さえ使えない落ちこぼれが実は伝説系統の魔法の使い手だったという話はよくあるな」
慰めているのかもしれないし、秋葉原民だけあって本当にそう思っているのかもしれない。

「では少しの間アナスタシヤ殿をお借りする!」
「必ず後で返すから待っててにゃー」
「早く行って猫の敵テロ魔族をやっつけるニャ!」
一行はレギオンビルへと向かう。

【レギオンビル】
お茶スプレーを掲げた俣旅ゼルダが作戦を確認する。
「突入次第お茶で退魔フィールドを作成しひるんだところで一斉攻撃してハチの巣にするニャ」
「突入―!」
なんともシンプルな作戦で突入してしまう命知らずの秋葉原民達。
といってもちゃっかりアナスタシヤを盾にしてるように見えるのは気のせいではない。

>274
お茶スプレーが噴射される中、剣を突き刺されて倒れている牧街の姿が目に飛び込んできた。
「なんてことを……!」
「と、とにかくアリを迎撃にゃー!」
「イエス」
襲いかかってくるヘルゴティスに向かってアナスタシヤが銃弾を連射する。
276 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [迷走sage]:2010/03/14(日) 17:54:33 0
>273 >275
慰めの言葉を掛けたカフェと秋葉原師範が去り、周囲には雑踏の静けさ。
どのくらいの間、その場に佇んでいたのだろう。
織羽を現実に引き戻したのは、マンホールが開くゴトリと言う音だった。
開いた穴から這い出して来たのは、複眼を紅色に澱ませたミュルミドンの頭部。

「わたしはもう…関係無いの…。放っておいて!」
織羽の叫びにも関わらず、蟻人間は歩みを止めずにこちらに近づいてくる。
助かる唯一の方法は、鈍る足を動かしての逃走しかあるまい。
しかし、背を向けて駆ける足は数歩で止まった………死神の甘い囁きで。

―――もういいかな…どうせ、わたしなんて誰も必要としてないんだし―――。

心が諦めに満たされそうになった時、烈風が吹いた。
空を薙ぐ風切り音に耳元の死神が払われる。
直後の激突音に弾かれたように振り向くと、ミュルミドンの前にはサングラスに胴着姿の人物。

>恐山断弦「……藤津木織羽さん…だね?君、こんなとこで何しとるんだい?」
「貴方は…。」
恐山断弦に今までに起きた事を順を追って話す。
メルクリウス貿易の異変。カフェと秋葉原師範が向かった事。
そして…それら全てを放棄した事と、霊力を持たぬ劣等感が事を始めた原因である事を。

『ふっ………実にくだらん。』
しかし、打ち明けた悩みを恐山師範は一笑に付した。
「くだらん…って、わたしが今までどれほど肩身の狭い思いをしたか…!」
頭に血が上り、頬には朱が差す。
『では問う? 貴女は霊力を得るのに死ぬほどの努力はされたのかな?』
「え? ええ、もちろんよ。でも…わたしには才能が無いからいくら努力しても無駄って…。」
『温い…! 才能が無いなんて戯言は血反吐を吐く程までに己を限界まで苛め抜き、
それでも得られなかった者だけが吐ける台詞。若者の台詞ではない。
あの牧街も只の根性無しに見えるかも知れんが、死ぬ程の鍛練なら腐るほど積ませている。
まあ…勢い余って三途の川には、何度も渡し掛けたものだが…。
いや、実際私の門下生なら心臓が止まったぐらいの些末事。2、3回は経験しているぞ?
貴女が恐山流の修練を受けて、尚微塵の霊力すら得られなければ、私も才能が無いとの言葉を受け入れようが。
そもそも霊力の獲得など只のプロセス―――それで何をするかの、な。』
277 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [迷走sage]:2010/03/14(日) 17:55:44 0
『貴女は、もし霊力を得たら何をされるおつもりか? 見せつけて満足するために使われるのですかな?』
断弦の言葉に沈黙する。
もし凄い霊力なんて得たら、わたしは何をする…?

>「大器晩成にゃ」
>「うむ。基本魔法さえ使えない落ちこぼれが実は伝説系統の魔法の使い手だったという話はよくあるな」
秋葉原師範とカフェに受けた言葉を思い出して描く。
誰よりも強い霊力を持った自分を。

先程、殺されそうになった蟻の怪物を打ち倒す。
見えざる気の塊で。生みだした炎で。手にした光の剣で。
力に酔う。弟妹に見せつけて優越に浸る。どう? わたしの方が凄いでしょ?
わたしを見て。わたしを褒めて。わたしを認めて。

―――想像の世界で、霊力は見事なまでに誇示の道具にしかならなかった。

「あはは…薄っぺらい………わたし。」
『御自分でそう思われたのなら、そうなのでしょうな。』
「わたし…どうしたら…このまま藤津木で肩身狭く生きていけばいいの…。」
『私は、除霊師ではあるが宗教の教祖じゃない。
“これが答えです”などと何かを指し示すつもりは微塵も無し!』

俯く織羽に断弦は慰めの言葉を掛けなかった。
『ふん…では一つ言おう。私は自分で決めた事すら守れん奴には反吐が出るのでな。
貴女は、どの道を歩くかを確個たる信念で選んだわけではない。
ただ逃げ、ふてくされているだけ………違うかな?
だが、藤津木に居ればGSにも悪霊にも、魔族にさえ否が応でも関わることになる。
自分の信念で選んだのならGSと関わりない道であろうが構わん。
が…半端な覚悟なら今ここですっぱり断った方が今後の為であろう。
魔族も悪霊もGSもよりどりみどりの今こそ、進路を選ぶのには絶好の機会ではないかな?
御自分の目で“こちら”の道を確かめる気があれば、私に付いてくるが良かろう………まだ足が動けば、だが。』

冷厳な言葉の意は、逃げるなら藤津木を捨てろという事だろうか。
客観的、かつ常識的に考えれば、断弦の言葉に乗ってこれ以上、魔族との関わりに身を置くのは危険。
恐怖も消えていない。しかし退けられなかった。断弦の言葉には退けられない強さがあった。
織羽は歩く―――断弦の背中を追って
278 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2010/03/14(日) 17:57:29 0
【展望台内部】

「フフ…火計ですか。しかし、それも全て私の計算通り…。」
燃え盛るローブを投げ放ち、漢服に白羽扇のコスプレ道士…李珠が正体を露わす。
その不気味な笑みからは、何を計算していたのかを窺い知る事は全く出来ない。
李珠は紅蓮の炎に包まれたにもかかわらず、少し焦げただけのように見えた。
理不尽だがギャグ値の高い人物は、容易く致命傷を受けないのだ。
下手をすると、爆発に巻き込まれても髪がアフロになるだけという事もありうる。

「ここは、すでに死地…さあ…時が来ました…。」
李珠の言葉に床全体に描かれた黒い五芒星からプラズマが立ち上った。
床から迸る雷柱が二人の魔族を貫き、展望台内部が眩くスパークする。

この五芒星は、発動すると生体エネルギーを純エネルギーに転化させる作用を持つ魔法陣。
神田呑社長がレギオンビルで行っていたオーパーツの霊力補充が成功しなかった場合、
ここで霊力の補充が行われる予定であったのだ。
即席で罠へと転用された魔法陣はレベル10の魔族には10、50の魔族には50というように、
強力な霊圧を備えた魔族ほどそれに応じたダメージを与える。
二人の魔族には、如何ほどのダメージになろうか?

「これは計算外でしたね…かはぁっ…!」
ついでに李珠もダメージを受けていた。
生体エネルギーを持たぬレギオンと惣介は無傷だったが。

『ああっ、もうっ、どうしたらこうしたら!』
右往左往する惣介を余所にレギオンから湧き出る無数の死霊が一斉に魔族に取り付いた。
死霊の群れは魔族の全身に絡みついて、漏れ出る力を余さず啜らんと肉を噛む。
悪霊もまた取り巻く雷柱に身を焼かれるが、ダメージなどは意に介さないようだ。
雷に消滅するそばから、際限なく別の死霊がレギオンから湧き出て魔族に襲いかかる。

そんな中、展望台内部のスパーク音に混じって鉄骨を叩きつける微かな音。
タワー上部には外壁を攀じ登るミュルミドン。
無論、放っておけば間もなく頂上に達するであろう。
蟻人間の気配には、タワー階段部で待機する三人組の中で最も実力の高いものなら簡単に気付くはずである。
279 : ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/14(日) 23:21:03 0
「…!?耐えた!?ぼ…僕の裁きの炎に」
恐らく火達磨になる事が今まで多々あったため今更こんな攻撃は通じないのだろう李珠に
しかし美形魔族はまじめに驚く
霊圧が100マイトに満たない霊圧しか持たない相手など、勝負にならないと舐めきっていたため、心底ぎょっとする

彼等の驚きは止まらない
今度は床の五芒星が不気味な光を放ち、魔族達を襲う
「がっっっ!!???」
「んなヴぁか…なっ!!……」
相当な生命力を持っている魔族には、この攻撃はすさまじいダメージであり
二体はあっという間にボロボロになり、更にそこにレギオン達が追い討ちをかけ、二体は最早まともに反撃する術も持たない
「ぐっっ!周囲の被害なんぞ考慮に入れさえしなければ……」
「もうそんな事なんぞ言ってられん!!フッ飛ばせばいいんだ!!」
そう言って周囲目掛けすさまじい霊力波を放とうとする目つきの悪い魔族を、美形が制する
「よせっ!僕等は誇り高き魔族正規軍だ!命令には絶対服従せねばならない!!」
「な……ならどうすればいい!このままでは…」
猛攻の中傷つきながら問答する二人の頭上を

タワー清掃用のバケツ通過し、魔方陣の上に大量の水をぶちまけた

「!?」
「これは…」
「恐山流除霊道場名物…」
突然の出来事に驚く魔族の間を、コブラが素早く突破し、ダメージに耐えながら一気に魔方陣に取り付き、霊力を篭めたモップでゴシゴシとこする!!
「エレキ風呂掃除!応用ぅううううううううう!!」
先ほどまでの不気味な雰囲気はどこへやら、熱血格闘家としての本性をあらわにしたコブラは、魔方陣の攻撃に耐え、レギオンの攻撃を物ともせずにすさまじいモップさばきで、なんと魔方陣を消してしまった!
完全に魔方陣を消し去った事を確認したコブラは、その場に膝をつき、倒れこむ
「見たか!人間の底力」
満足げにそう言ったコブラの脇に二人の魔族が立ち、周囲のレギオンを消し飛ばし、更に李珠に各々の腕を向ける
「消し飛べ!外道!!」
美形の言葉と共に、強力な稲妻と火炎弾が李珠に発射された
普通死ぬが、横島忠雄は生身でバックドラフトを喰らって耐えた事がある
多分、しばらく再起不能位ですむだろう

外壁を登っていたミュルミドンは、いよいよ、遂に、頂上へと到着していた
頂上の先端に手をかけ、そこにオーパーツをおこうとしたミュルミドンが…
…「既にそこにいた男」によって蹴落とされる
「…ご苦労、次はもっと努力して、ここまで飛んできてくれ。……俺のように」
そういって、ミュルミドンを蹴落としたホッパーは、東京タワーの頂上から一つ下の展望台へと落下したミュルミドン目掛け飛び降りる
「ゴーストスイーパー!キック!!」
勇ましい叫びと共に放たれたどこかで見たような霊力満ちたキックはミュルミドンの腹に命中し、木っ端微塵にした
「……これで地球の平和は守られた…かね?」
そう言って、数十メートル飛び降りたホッパーは平然と立ち上がり、近くに落ちている例のオーパーツを拾い上げる

…ネタを明かすと、浮遊術を応用してるだけであり、決して改造人と言う分ではない
280 : ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/15(月) 00:26:33 0
五芒星が消え、ミュルミドンのオーパーツを用いる脅威も去った、が、まだレギオン達が残っている
傷つき、ほとんど動けなくなったコブラを守るように背中合わせで戦うボロボロの二人の魔族に、次々と無数の霊達が襲いかかっていく
先ほどの五芒星の攻撃が無ければ魔族達はこの程度何ら問題なかったが、今の彼等には大変危機的な状況だ
倒しても倒してもキリがない雑霊に、魔族二人が苛立ちの表情を見せた、その時
不意に、霊の数がぐっと少なくなっていった
突然の事に、しかし美形魔族が視線をめぐらすと、いつの間にか展望台のあちこちに強力な破邪札が貼られ、展望台を包む結界を構築している
「ほんの一時しのぎだ、これで周囲から霊が集まる事は防げる。それで大元は……」
そして唐突にどこからか声が響き渡ったかと思うと、霊力を帯びた糸が飛び、惣介を絡めとった
この糸は呪縛ロープと同じ効果を持っているため、最早惣介は変身して逃げる事はできない
「今から彼に絶ち方をはいてもらおう。さあ、この霊達をどうやって集めている」
冷徹な言葉と共に、スパイダーが今まで何も無かった空間からすぅっと姿を現し、指の動きで糸を操り、惣介を締め上げる


全力で織羽が走ってギリギリついてこれる速度でぶっ続け走り続ける断弦の後ろを、織羽は必死についてくる
恐らくこれまで運動とは無縁だったのだろう、ぜぇぜぇはぁはぁいいながら、しかしそれでもついてき続ける織羽に、断弦の頬が微妙に釣り上がった
なりふり構わず、断弦に自らの想いを打ち明け、そして、自ら苦難に立ち向かい、道を切り開いていこうとする若者
その姿に、彼はあるGSを被らせていた

降り注ぐ雨の中、「何故二人は助からなかったんですか」と、何度も声をからさんばかりに叫んで尋ねてきた少年がいた
少年は数日前、わずかな除霊の知識と才能がある友人に無理矢理誘われ、妹と共に、凶悪な都市伝説系妖魔、「口裂き婆」に無謀にも戦いを挑み
そして、親友と妹が無残に口を引き裂かれる様を目に焼き付けさせられていた
危機一髪断弦が駆け、口裂け婆を撃退しなければ、少年は今頃、恐らくもっと別の道を歩んでいただろう
しかし、断弦は少年の前にギリギリ間に合い、少年のみが助かった
ここで、本来ならば断弦と少年の関係は消滅するはずである
だが、少年は再び断弦の前に立ち、断弦にしがみつき、必死に「何故二人は助からなかったのですか?」と尋ねてきた
聞けば、妹が口を切り裂かれたショックから精神が崩壊し、医者に心霊治療でももう元には戻らないと言われたそうである
そんな少年に、断弦はこう言った
「貴様が自分の身を自分で守れなかったからだ」

ウルト○マンが怪獣にとどめをさすまでに、何人の人間が怪獣の犠牲になるだろう
仮○ライダーが怪人の野望を叩き潰すまでに、何人の人間が怪人の野望の過程に殺されるだろう
事件が起こってから警察が来るまで、20分は余裕でかかる、その間自分の身は誰が守ってくれる?
この世界は最後に確かに正義が勝つ
だが、正義が最後に勝つまで、悪は何度も小さな勝利をするのだ
即ち、世界の中の自分と言うちっぽけな存在が敗北しないために、自分を守るものは、世界ではない
自分自身なのだ!自分自身しかいないのだ!
それを忘れて何故自分は負けて痛い目にあいましたかなどと尋ねるなど、言語道断だ!と

その言葉を受け、少年は自分を、自分の守りたい世界に守れないちっぽけな物を、守るために、少年は幾多の苦難を乗り越えてその信念を固め、力を磨き
そして、数百人の中のわずか数十名しか得ることのできないGS国家資格を得て現在に至っている
少年が強くなった事は間違いない
そして、確実に、正義が勝つまでに、自分の大切な物を守れる位の力を手にした事は確かである
その証拠がGS国家資格であり

今彼がヘルゴティスの足に喰らいついている事だ

心を丸裸にして、自らの想いと進みたい道を見出した少年は今、その道を驀進している
果たしてこの少女はどうなるのか
それを想像すると断弦は笑みを浮かべずにはいられず
そして、まだまだ道を進まねばならない男の命を救うべく、多少、足を速めて走る
最早、ビルは目の前だ
281 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/15(月) 00:31:50 0
お茶のフィールドとアナスタシヤの銃撃を喰らってなお、ヘルゴティスは倒れない
雄叫びを上げ、拳を振り上げ、銃撃するアナスタシヤに突っ込んでいこうとして…
足が何かに突っかかり、バランスを崩した
牧街だ
牧街が意識を取り戻し、必死の形相でヘルゴティスの足首に喰らいついている
ヘルゴティスは体制を崩し、隙だらけだ!
282 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/15(月) 22:37:07 0
>281
「なっ、もう動けるはずは……」
ヘルゴティスはおったまげている!
刺されて動かなくなっていた人が這いつくばって食らいついてきたら驚くのも無理はない。
そこに突進してくる者がいた! ロリータファッションだ!
(牧街殿……刺されて這いつくばって……いっつもいい所を持って行かれて……) 
外見からして下手すりゃ戦力外勘定されていてもおかしくはないロリババアキャラが突進してくる!
(かっこ悪い……けど最高にカッコいいぞ!)
「しまっ……」
「そりゃあああああああああッ!!」
カフェは渾身の突きを放つ!
ロリータ傘、正確にはロリータ傘型神通杖がヘルゴティスを貫いた!
忘れられがちだがカフェは三流GSにしては霊圧が意外と高いのだ!
貫かれたヘルゴティスはカフェをにらみつけ呪詛の声をあげる。
「ッ! おのれ小娘……貴様のような奴に!」
「安心せい。妾はただの代理。お主を倒したのはそこの牧街殿じゃ……!」
「……ぐぎゃああああああああああ!!」
ヘルゴティスは断末魔の声をあげて消えていく。

「牧街くん!」
癒されるという噂の例の治療を施そうと、牧街に師範がかけよる。
283 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/16(火) 22:50:28 0
血塗れになりながらも蟻魔ヘルゴティスの足元に喰らい付く牧街。
傘型の神通杖で胴体を突き破り、異界の住人を現世から消滅させるカフェ。
『ターゲット・消滅確認・全データ・保存完了』
消えゆく蟻魔を見つめるアナスタシヤの瞳は一瞬ぼうっと紅の光を放ち、すぐさま元のクリアブルーに戻った。

「あれだけ逃げてて…どうして肝心な時に逃げ遅れてるのよ…。」
最初に目に入ったのは、腹から血を流して絨毯に大きな染みを作っている牧街。
織羽がレギオンビルに辿りついた時には、すでに戦いには終止符が打たれていた。

大丈夫、牧街もGSのはず…ちょっとした怪我で気を失っただけよね…。

蒼白な顔で己に言い聞かせるが、とても軽傷には見えない。
「怪我の具合は…どう…なの…?」
『牧街モリオ・腹部刺傷・心拍低下・失血量・推定―――cc』
アナスタシヤが牧街の状態を冷静に告げる。

「確か人間ってそれだけの血を失えば死………い、今すぐ救急車を…。」
失血量はすぐに輸血を行わなければ、死に至ってもおかしく無い量。
当然手にした携帯電話に119の番号を打とうとする。
しかし外の冷気にかじかんだ指は、震えてうまく動かない。
携帯電話は絨毯の上に落ち、鈍い音を立てた。
慌てて屈み、番号を入れ直して救急を呼ぶ。恐山師範も敢えて止めはしない。

もし無理にでも連れ出して居れば…もっと事件から早く手を引いていれば…。
わたしが…依頼をしなければ…彼はこんな目に会わずに済んだのではないか。

最初から関わるべきではなかったの…? それは………違う気がする。
状況判断が…いや、もっと色々な物が足りなかった…。
なら、状況を的確に分析を出来ていれば…違ったの?
ううん…根本の原因は霊力の無い劣等感を解消する為に身の程も知らず無謀な真似をした事…。
自らの心の弱さが招いたもの。なら…それを克服しなければ、きっとわたしは何度も同じ事を繰り返す…。

「わたし…もっと強くなりたい…少なくとも…一人で歩けるぐらい…。」
弱々しい、しかし意思を秘めた呟き。
それを打ち消すかのように救急車のサイレンの音が近づいてきた。
まるで終幕を告げるように。或いは間奏曲を奏でるように。
284 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2010/03/16(火) 22:54:05 0
スパイダーにレギオンの止め方を聞かれて惣介は答えた。
「よくわからないけど、送信機室のラルヴァシステムがどうこうって言ってたような気がします…。
というより…僕は事件と全然関係ないただの善良な動物霊です!
知り合いを訪ねて東京に来たら、そこの変な人に捕まっただけなんです!」

しかし、展望台からは李珠の姿が消えていた。
窓の硬質ガラスは割れており、展望台の中まで冷たい風が入り込んでくる。
まさか。いや、まさか。いくらギャグ値が高くとも地上まで100m以上ある。普通死ぬはず。
「あれ…変な人がいない? た、助かった…? 都会は怖いよ…もう山に帰りたいなあ…。」


【送信機室】

送信機室には、幾つもの放送の為の機材が置かれているだけで動く者は無い。
その無人の部屋の中では悪意ある造形のオブジェが、自らこそが部屋の主であるかのように鎮座していた。
このラルヴァシステムと呼ばれていた機械こそ、邪なる霊波を送り、付近の霊を悪霊化している元凶。
されど意思を持たぬ無機物に過ぎないため、破壊は容易いであろう。
285 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/19(金) 23:12:25 0
戦いが終わった展望室にコブラと目つきの鋭い魔族を残し、スパイダーと美形魔族は送信機室へ向かった
後に残された目つきの鋭い魔族は、何気なくあの割れた窓の方へ向かう
向かいながら、そういえば下に大勢人がいたわけだから、あの黒いフードが落下したら大惨事だよなと思い至り
慌ててガラスの所まで行って、下を覗き込んだ
ギリギリ結界の内側のため、雑霊は魔族のギリギリ目前と止まっている

「これが…元凶か」
送信機室でラルヴァシステムを発見した二人、早速美形魔族が右手を向け、例の念動発火を発動し、ラルヴァシステムを燃やす
「これで全て解決…だよね?」
「結局、テロ魔族の目的はわからずじまいか…」
燃え上がったラルヴァシステムを見つめながら、スパイダーと美形魔族は言葉を交し合う
「あ、ご苦労だったな、そら、後は好きなところに行くがいい」
ふと、惣介の存在を思い出したスパイダーは、惣介の体を縛る糸を解除した

ロリショタの美少年、カフェの師匠に傷口をぺろぺろと舐めてもらっていた牧街が、救急隊の担架に乗せられ、救急病院へと運ばれていく
その顔には割と精気が戻っており、多分、命に別状など無いだろう
傷口を舐める行為はただの消毒ではない、霊的治療、いわゆるヒーリングと言う奴であり、女の様なかわいらしいロリ美少年が傷口を舐めてくれるんだから、癒されぬものなどいないだろう

「…牧街の事なら気にするな。あらかじめ奴の体には式神を寄生させていた。そいつがダメージの大半を肩代わりして自壊している、命は間違いなく助かっているだろう。…奴の回復力なら完治まで1ヶ月もかからぬかもしれんな」
そう言って牧街の事を気に病んでいるだろう、藤津木の頭に、恐山師範はその鋼鉄の様な腕をぽんっと乗せる
「強くなりたい……そう言ったな」
言いながら、師範はもう片方の手でがさごそと何かを懐から出す
「家の道場は入門料さえ払えば来る者を拒まん。去る者は地獄の底まで追っていくがな。絶対に強くなる。死んでも強くなる、そんな強い覚悟があるなら、門を叩け!」
そう言って、恐山師範はどうも手書きらしい「入門料は5万自力で稼ぐ事、破門料は100万」と書かれた入門案内のチラシを渡すと
ひょいっとおもむろに藤津木を抱き上げ「彼女を頼む」とアナスタシヤに預けると

「 総 員 警 察 が 来 る 前 に ズラかれぇえええええええええええええええええええええええ」

疾風の様な速度でビルを飛びだして行った
286 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/21(日) 00:00:54 0
>285
恐山師範の説明は多分に理解を超える所はあったが、牧街が致命傷に至って無かったらしい事は織羽にも理解出来た。
「無事…なの…?」
安堵に思わず力が抜けた織羽に恐山師範が除霊道場の入門案内を手渡す。
達筆な字は手書きであろうか。
入門料は5万自力で稼ぐ事、破門料は100万と書かれていた。
しかし渡されたチラシに目を落とす織羽は、まだ少々放心気味。
そのまま恐山師範に抱え上げられてアナスタシヤの腕に渡る。

>恐山師範「彼女を頼む」
『イエス』
アナスタシヤがしっかり抱えたのを見て、恐山師範が叫ぶ。

>恐山師範「 総 員 警 察 が 来 る 前 に ズラかれぇえええええええええええええええええええええええ」

その雷声にようやく織羽も冷静さを取り戻した。
「警察………? あっ。」
図らずも先程の織羽の通報が、救急車以外のものも呼んでしまったであろう事に気づく。
あの刺し傷は、普通なら確実に事情聴取になるはず。
それともGS免許でどうにかなる…?
いや、恐山師範の様子からそれはなさそうだ。どうやら撤収が最良の判断らしい。

「ゼルダさんに運転手、(名前…なんだったかしら?)誘拐は無かった…。
藤津木にはそう報告するのが良いのかしら?
わたしで事を全てうまく収められるのかは分からないけど…。」
『そちらは任せたニャ。もう魔族とは手を切るニャ。』
ゼルダは織羽に答える。

「カフェさん、今回の報酬は後日事務所の方に届けるわね。
牧街への報酬は…恐山道場に持っていけばいいのかしら…?
じゃっ、アナスタシヤ…わたしたちも可及的速やかにこの場から撤収。」

『了解・迅速ニ・撤収・シマス』
命令を受けたアナスタシヤは、織羽を肩に担ぎ直して疾駆する。
「ちょ…ちょっと! も、もっとてふっ、ねう゛ぃにはぁぐびなさびぃぃ!!」
『命令・不明瞭・デス』
287 :李珠 ◆rdfEGE/BGM [sage]:2010/03/21(日) 01:58:03 0
目つきの鋭い魔族が展望台から下方を見るも、目に映るのは宝石をちりばめたような街の風景だけ。
李珠が逃れたのは上。
一瞬の隙を突き、用意してあった小型の熱気球を用いて、暗天の空へと逃げおおせてていたのだ。
ちなみにこの小型熱気球は諸葛灯と呼ばれる諸葛亮が発明したといわれている代物である。
黒いマントで炎を隠せば、気球も容易に見つかりはしまい。

「この撤退は次への布石です…」
何の布石かは知らないが、突っ込む者とていない上空の世界。
思う存分己の世界に浸っている。
かくして李珠は強風を追い風に彼方へと消えた。
ここでお亡くなりになった方が世の為だった気もするが。
288 :惣介 ◆Sl.qrwsKik [sage]:2010/03/21(日) 01:59:00 0
「なんだか、とっても酷い目に会ったなあ…。」
解放された惣介が東京タワーの足元でひとりごちた。

「幽霊だから普通の乗り物じゃ帰れないし、猫タクシーも都合良く現れたりしないだろうなあ。
うーん………それにしても、ここどこなんだろう? まだ東京ってとこなのかな?」
迷える浮遊霊は、どっちに行ったものかと悩みながら、何となく秋葉原の方角に漂って行った。
289 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/21(日) 22:40:53 0
>283
「そんな顔をするな、牧街殿は簡単には死んだりせぬ!」
かけつけた織羽を慰めるように声をかけるが、単なる気休めではない。
前回の事件で牧街の生命力が半端ないことは実証されている。

>285
>「…牧街の事なら気にするな。あらかじめ奴の体には式神を寄生させていた。そいつがダメージの大半を肩代わりして自壊している、命は間違いなく助かっているだろう。…奴の回復力なら完治まで1ヶ月もかからぬかもしれんな」
牧街はいつも殺されると言って怯えているが、本当に危ない時はいつも必ず助けに来る……気がする!
「全く恐山師範はツンデレにゃ〜」
「何か言ったか?」
「何も言ってないにゃ」

>286
秋葉原師範も便乗して織羽にチラシを渡す。
「独自のカリキュラムで楽しく学ぶ秋葉原流道場のチラシも一応渡しとくにゃ」
いかにも秋葉系なイラストや煽り文句が満載。
ヲタクならともかく一般人にとっては恐山流とは別の意味で危険な香りが全開だ!

織羽は、疾走するアナスタシヤに抱えられて去って行った。
「妾達も帰るぞ」
猫タクシーはアリにかまれたり色々あって先に帰ってしまったようだ。
「運転手、車で帰るニャ」
スプレー缶に化けていた運転手が元に戻って言う。
「しかし車は大破……そうか!」
運転手は化け猫。運転手自身が車に化ければいいのだ。

ゼルダは車に乗り際に言った。
「リンク……噂には聞いていたけど立派になったニャ。
キミの弟子をみてやっぱり今の秋葉原の悪く無いと思ったニャ」
「ゼルダ……君の助力がなかったらどうなっていたことかにゃ。
ぼくちんはずっと昔から君の事が……」
「早く撤退しないと警察が来るニャ。余ったお茶を返しておくニャ」
ゼルダは一方的に師範に茶筒を渡し、さっさと車に乗り込んでしまった。
「……」
「リンク? 師匠のフルネームは秋葉原リンクか!?」
「なんでもないにゃ!こっちの話にゃ」

「今日はありがとうにゃ〜。将来立派な化け猫になるにゃ!」
「みゃーお」
師範が黒猫に礼を言って手を振ってから、車に化けた。
かくして2台の車は発進した。

>288
帰る途中、タヌキの浮遊霊を見かける。
「おお、惣介殿……! なかなか来ないから心配していたぞ。こんなところでどうした?」
かくかくしかじか
「それは災難だったのう! しかしその人間、只者ではないな。一体何者なのであろう」
とっさにGS免許不所持で警察に連行されていった知り合いの事を思い出したが、瞬時にそんなはずはないと思うカフェであった。
290 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/22(月) 23:31:58 0
戦い終わって…

パトカーのサイレン鳴り響く東京上空に、例の笑顔の仮面のタキシードが浮遊している
「いやいや、中々楽しめた…。かな」
下を眺めていた笑顔の仮面は、そういうと、夜の闇の中へと消えていく
「でも…足りないな…世界を黒へ傾けるには…さ。だから、次はもっと……ふふふ…」
不気味に笑いながら、仮面は夜の闇へと完全に溶け込んだ

「…それじゃ、助かったよ。ごめんね、馬鹿にして、さ、じゃ」
「………ありがとよ」
スパイダー、コブラ、ホッパーの前で、多少照れくさそうに美形、鋭い目両魔族が別れの言葉を述べ、すっと消える
会釈してホッパー等がそれを見送ったのと同時に、展望室に警官隊が入ってきた
しかし、ホッパー等は別段慌てない
同時に、警官等もホッパーらを逮捕しようとか、そう言った動きも無い
「東京タワーの方は」国の許可を取って戦っていたのだ
聴取やら何やらでホッパー等は数日帰れなくなるかも知れないが、逮捕されるような事は無い
特殊部隊の3人は仕事が終わった安堵のため息をつくと、警察の事後処理に協力する
魔族の野望は恐らく崩れ去った

ミッションコンプリートである


一週間後
「やっぱあの社長、逮捕されたんだな…」
一般病室のベッドの上
包帯と点滴をした牧街が、神田呑が逮捕されたニュースを阿湖野青年と共に眺めている
「当然なんだろ?平然と人殺そうとしたらしいじゃないか」
ベッドの横の阿湖野青年が手錠かけられて、しかしどこかすっきりした表情でパトカーに連行される神田呑を睨みながら尋ねた
その言葉に、難しい顔になる牧街
彼自身あの社長に命を狙われた身だが、彼の最初の雰囲気には、あの時ミュルミドン達に追い詰められ、社長を人質にとった自分と同じ物があった
しかしだからといって、私欲で始めた社長と、純粋に身を守るために行った自分とでは、立場が異なる
その辺の事を上手く説明し、形にできずうーんとうなる牧街に、阿湖野は苦笑しながら、「別にそんな考えなくていいよ」と助け舟を出す
優しい優しい大親友が、あの男にもよさを見出している事がわかっただけで、阿湖野にとっては満足だったのだ

あの後、魔族が裏で情報操作したのか、はたまた恐山師範が何かしたのか
牧街や秋葉流、藤津木の元に、今回の件について警察から聴取やらなにやらがある事は無かった
事件は魔道書が暴走して神田呑が自滅した事になり
広報のメリクリウス貿易事件には、テロ魔族はおろかゴーストスイーパーのゴの字も登場していない
(まるっきり映画や漫画の世界だなぁ…)
じゃあ、俺、行くわと忙しい中昨日集中治療室を出て、今日面会時間の開始と共に見舞いに来てくれた親友が病室を出るのを見送りながら、ぼんやりと、牧街はそんな事を考える

「…退院と同時に再入院が恒例にならなきゃいんだがねぇ…うん…」
馬鹿にならない治療費と、前回退院してすぐ今回の事件に巻き込まれ再入院するはめになった自らの身の不幸と今後に深いため息をつくと、牧街はシーツを被り…
のびのび太に勝るとも劣らぬスピードで眠りにつくのであった


【終わらせちゃったんですけど良かったっすかね…】
291 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/23(火) 20:36:37 0
「―――というのが顛末です。」
事件後、藤津木グループに戻った織羽はゼルダと運転手を
メルクリウス貿易に拉致された際、巻きこまれて死亡したと報告した。
死亡としておけば、以後捜索されることも無いだろうと考えてのことである。
…が、藤津木の総帥、頼重は織羽の報告に対しても興味なさそうに『そうか、もう下がって良い。』の一言のみ。
アナスタシヤの中には映像、音声、全てがデータとして記録に残っている。
元より織羽の報告など無用のものなので関心も無い。
織羽は孫を煩げに追い払う祖父に対し、一礼して「今までお世話になりました。」と言い添えて退出した。

後日―――某総合病院にて。

牧街の病室に軽くノックの音が鳴り、織羽が入ってくる。
手に持ったバスケットには果物の詰め合わせ。
「あ…結構元気そうね。でも一応聞いておいた方がいいのかな? 具合はどうって?」
少し拍子抜けした表情をするが、声の調子は明るい。
「治療費は恐山道場に持って行っちゃったけど、振り込みの方が良かったのかしら…?」

まずは牧街の怪我の具合に報酬の話、その後はひとしきり事件についての話や、
アナスタシヤがラボに回され、さらなるバージョンアップを図るらしいとの話、
恐山流の修業の内容や恐山師範は独身なのか等といった他愛も無い話で時間が過ぎる。
「それじゃね、牧街………近々名前の後に先輩って付けるかもしれないけど。」
見舞いを終えると、くすくすと含み笑いをしながら病室を出た。
「自力で5万…ね。財布から出してもあの師範には簡単に見抜かれそうだし…。」
階下のロビーに出た織羽は、置かれていた情報誌を取るとページをパラパラ捲る。
「午後と休日土日で学生でも出来る良さそうな所…。」
秋葉原のネットカフェ"アルバイト募集"明るく楽しいふいんきの店です―――と書かれているページが目に飛び込む。
なかなか条件も良さそうね………そんな事を考えながら織羽は病院を出た。

>268
事件後、東京のある小路には猫の幽霊が出るようになった。
普通の猫と同じように歩き回っていた猫が、忽然と目の前から消えるとの事。
おそらくは小路に猫の存在が染み付いてしまい、生きていた時と同じ行動を繰り返すのであろう。
超常現象の専門家がテープ記憶と呼ぶ現象であり、現れるのは害を為さぬ幽霊。
一説によれば、幽霊の90%はこうしたものであるという。

【うう…後半は完全に力尽きてウケミンに…すみませんっ。高位魔族はいつか1流の人が解決してくれるはず…】
292 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/24(水) 20:55:05 0
こうして狸型特製フィギュアは無事に惣介が持って(憑依して)帰り
報酬は届けられ、とりあえず冥土カフェ倒産(=冥土カフェの2階にある事務所も道連れ)の危機は免れた。
冥土カフェにはなぜか新しくパソコンが配置され、性懲りもなくアルバイト募集のビラが貼ってある。
カフェママ「冥土ネカフェって新ジャンルじゃない?」
「明るく楽しい雰囲気……否、冥土のくせに意外と明るく楽しいか。
しかし大して賑わっても無いのにアルバイトなんぞ募集して大丈夫かのう」
カフェパパ「何、まだ駆け出しで賑わってないだけだ。早速今からアルバイト志望者が面接に来る」
「そうか。では妾は牧街殿の見舞いに行って来ようぞ」

道中で、織羽はあれからどうしただろうか、となんとなく考える。
当然ながら秋葉原流に来る気配はない。やはり恐山流に入門するのだろうか。
「……だとしたら前途多難じゃのう」
しみじみと呟くカフェ。
しかし、入門する前に別の意味の災難にぶちあたるフラグが立っている事になんて、知る由もなかった。

【今回の話も無事完結ですねー! 二人ともお疲れ様&ありがとう!】
293 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/27(土) 15:47:32 0
牧街が病室を出る織羽が残した不吉な一言「近々名前の後に先輩って付けるかもしれないけど」を気にしながら、1ヶ月の月日が立った
(もし…いや…万一……ありえない、絶対ありえない、あんな恐ろしい道場に入ろうなんて、誰が思うはず…。だが万一、いや億が一そうだったとしたら…俺はその時止めておくべきだったわけだし…)
一人の少女が明らかに道を踏み違う瞬間(?)に立ち会っておきながら何もできなかったかも知れない自分にその日も朝からぐだぐだ考えながら、牧街は大きく伸びを一つし、今まで寝ていた布団をそのままに、着替えて事務所へと出発する
怪我はとっくに感知しており、医者が奇跡だのお前改造人間だろだのと驚きまくっていたが
そこは牧街だから気にしてはいけない(何のこっちゃ)
ちなみに、既に大事をとっての一日は過ぎているため、本日から牧街GSオフィスは再び通常営業…なのだが…

「ビバ、平和」
下の恐山師匠のGS達に空きがある現状で、早々牧街GSオフィスなんぞに依頼が舞い込むはずが無い
安い椅子に座り、スチール机に向かった牧街が、そのまま授業の時間に居眠りする学生の如く眠りにつく
何度も言うが葬儀屋と警察と軍隊と消防署とGSが儲かってはいけないので、これは世の中的にはかなり正しい図なのである


【完結ありがとうございました。お二人のおかげです。 次回、ストーリーどうしませう。誰もやりたい話無いようでしたら俺が導入部作りますが…。】
294 :藤津木 織羽 ◆Olha/49Xgc [sage]:2010/03/27(土) 20:19:36 0
【むぎゅう…現在脳みそがメルトダウン中ですので、しばらくお休みです。機を見て入るかもですが】
295 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/27(土) 21:15:42 0
>293
【特に思いつかないのでお願いしますー】
>294
【乙です。そういう自分も4月はちょっとペースが落ちる時期があるかもしれません】
296 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/03/29(月) 00:45:41 0
>>294
お疲れさまです
自分のペースで無理せずなさってくださいね
>>295
ではでは、やらせてもらいます
俺もペース落ちそうなので、お互い様っす、気にせんでください


爆睡する牧街の横の電話がけたたましく鳴り響き、慌てて跳ね起きた牧街が受話器を取って、頭をぶんぶん振って眠気を覚ます
「は、はい、こちら、牧街ゴーストスイーパーオフィスです!どの様なごじょけ…んんっ、どの様なごよーけんでしょうか」
『……』
「……あの…」
『……』
「…もしもし?」
焦ってとち狂った口調になってしまった牧街が悪かったのか、はたまたいたずら電話だったのか
電話の主は無言を通している
おかしいなーと牧街が頭をこりこりとかいた、その時、電話の向こうから蚊のなく様なか細い女性の声が聞こえてきた
『…………友…達が……』
「……はい?」
『友達が…心霊スポットに……』


数分後、真っ青な顔をし、いつでも仕事に行ける装備を整えた牧街が、カフェのオフィスの中にいた
牧街はカフェに促されて数度深呼吸をすると、今回の厄介な仕事のメモを見ながら、自分の所に来た依頼の説明を始める
「ゾンビ村って呼ばれる心霊スポットの村で起こった事件なんすけど…」

牧街によると、ある若いカップルが4組、山奥の立ち入り禁止の心霊スポットの廃村に肝試しに足を踏み入れ
朝の内に村の随所にカードを置き、夜一組づつ村を回ってカードを回収し、戻ってくるという肝試しをやり
依頼者は最後の組だったのだが、先に村に入って行った2組のカップルが戻って来ず、様子を見に行った3組目も数時間たっても戻って来なかったため、依頼者の彼氏が探しに行ったのだが…

「物凄い悲鳴がして、戻って来なかったそうです、その彼氏」
そう言って、牧街はため息を一つする
「…で、依頼何ですけど、依頼人は警察にこの事を内密に、消えた3組のカップルと、依頼者の彼氏を探して欲しいそうです。あ、これ、行方不明者の写真です、パソコンのメールで送ってもらったのを、印刷してもらいました」
コピー用紙には、どこかの祭りで撮った写真に、完全にいまどきの娘が4人と、金髪でヤンチャしてそうな刺青をした青年が4人、写っていて、女の一人は顔をマジックで塗りつぶして隠してある
「……この人達は資産家のご子息らしくて……内密に事を運んで欲しいと俺のとこにきたんすけど…このゾンビ村って心霊スポットの情報が乏しくて…。何か知ってませんか?」
297 :名無しになりきれ:2010/03/29(月) 03:27:48 0
メドーサとか元始風水盤とかノスフェラトゥとか
298 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/03/31(水) 11:46:38 0
>296
「牧街殿、そんな顔してどうした」
かくかくしかじか

「ゾンビ村か。廃村になる前の正式名称は分らぬのか? 妙じゃのう」
メッセンジャーを起動し、秋葉原流事務所につなぐ。

カフェ:ゾンビ村という心霊スポットについての情報を調べてくれ
情報班:ラジャ

情報班とは事務所に常駐しながらにして
インターネットの検索システムグルグルを最大限に駆使して情報を集める部隊である。
窓際とか飼い殺しとか言ってはいけない。
この班に頼めば普通は出てこないような情報がなぜか出てくる……事もある。

情報班:メドーサバスターズ、大回転原始風水盤、ノスフェラトゥの館などのアトラクションがあり……
カフェ:ちょい待て、廃村にアトラクションとは!?
情報班:村といってもニュー○ーランド村的な意味の村だったみたいです。
オカルトやホラーをテーマにしているからゾンビ村ですね。
カフェ:なるほど、ゾンビ村が正式名称だったのか

要するに、一時期雨後のタケノコのように建設され不景気の波にのまれ潰れた無数のテーマパークの中の一つであるらしい。

後輩A:そうそう、また師匠がそっちに入り浸ってるんでしょう?
たまにはこっちにも戻るように言ってくださいよー。
カフェ:何を言っておる? 師匠はここ数日来ておらぬぞ? おらんのか!?
後輩B:師匠ならちょっくら山奥の村にオーパーツの発掘に行ってくるとか言って数日前に出かけたであります。
後輩A:そうだったの!?
後輩B:はい。黒歴史ノートなるものに重要な情報が隠されていたとかなんとか……。
あの人の考えている事は常人には理解できないであります。

「黒歴史ノートじゃと!?」
廃校編で成り行きで手に入れた黒歴史ノートを開いてみると……
確かに「僕の考えたオーパーツの隠し場所」のようなコーナーがあり、その中の一つにゾンビ村があった!
しかも黒歴史ノートの例に漏れず、無駄に詳細な地図まで書かれている。
「師匠め、これを見たのか!」

常識的に考えて、黒歴史ノートにそう書いてあったからといって実際にあるはずはない。
「……行って連れ戻さねばならんのう」
こうしてまたもや同行が決定したのであった。
299 :名無しになりきれ[sage]:2010/03/31(水) 17:47:00 0
テーマパークのロボットに低級霊が憑依して暴れるというのはよくある話で・・・
300 : ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/01(木) 09:49:03 0
「トゥルルルル・・・」オフィスの電話が再び鳴りました。
「あの・・」蝿の鳴く様なガラガラとかすれた青年の声が聞こえます。
不思議な現象でした。誰も電話の受話器を取っていないのです。
「・・・あの・・・ら〜めん一丁・・・」
間違い電話!?一同は不思議に思いました。でもこんな間違い電話があるのでしょうか?
誰も受話器を取っていないのです。近代機器の機能からしてに根本的に間違いすぎです。
「・・・らめ〜ん・・らめ〜ん・・み〜そらめ〜ん・・・」まだ声は聞こえます。
とっても気持ち悪かったのですがカフェが電話のまわりを調べてみると電話を乗せている台の中から声がしました。
カフェが恐る恐る傘で台を割ってみると中から玉の様な青年がぐったりと出てきました。
「トゥルルルル・・らめ〜ん一丁・・・・・」青年は異様な上手さでトゥルルルルも口で言っていたのです!
牧街が青年に事の経緯を問い詰めると青年は物取りであることを白状しました。
昨日の夜、物色中に牧街が部屋に入ってきたため慌てて電話の台の中に隠れたということです。
そしてそのままでるにでれなくなってしまったのでした。
青年「ワタシオナカスキマシタ。シニソウ。イツカカンナニモタベテナイ。タスケテクダサイ。タスケテクダサイ」
何故か青年は片言で哀願しています。
青年「コノママダト、ワタシハオソラノウエカラミナサンノコトミマモルコト二ナリマスヨ!」

【とつぜんごめんなさい。参加してもいいですか?このイベントのみのゲストキャラみたいのです。】
【キャラ設定もしないで成り行きで書きなぐってしまいました。ストーリーの流れ的に邪魔だったら斬り捨ててもらってもかまいません】
301 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/01(木) 22:38:10 0
>>300
とりあえず落ち着いて牧街のレス読んで見れ、二人は今カフェのオフィスにいる事になってるから
302 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/01(木) 23:51:04 0
【へいらっしゃい! もちろん歓迎するぞ!
(といっても妾はスレ主でも何でもない平参加者であるw)
いっつも一緒に事件を解決してるから当然同じ組織に所属してるはず……と見せかけてところがどっこい
実は牧街殿のオフィスと妾のオフィスは別なのじゃ。そして所属流派まで違う!
牧街殿は恐山流という正統派、妾は秋葉原流という読んで字の通りの代物
ちなみに妾のオフィスは秋葉原の冥土喫茶(メイド喫茶に非ず)の2階

でも大丈夫。
電話がなったのを妾のオフィスとして
牧街殿が夜中に入って来たことはさすがに無いだろうと思う故
誰かは分らない何者かが来た事にすれば無問題!
それなら単なる物取りその2だったという本当に何でもない小ネタで終わらせることもできるし
下手すりゃ牧街殿そっくりのドッペルゲンガーだったとかいう大ネタにも発展可能!】
303 : ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/02(金) 10:01:44 0
>301
【ごめんなさい。勘違いしていました】
>302
【カフェさんの案を採用して推敲てみますね】

夜中にカフェのオフィスに牧街が進入したというのはあまりにも出来過ぎていない嘘でした。
そんなはずはないと牧街が再び問い詰めると百村大(ももむらまさる)は言いました。
百村:「ゴメンヨ。今カンガタ嘘ダゾ。ワタシノ名前ハ百村大。百ノ村ヲ統ベルコトガ出来ル大キナ人間二ナレルヨウニト親ガ「大」ト名前ヲツケタンダゾ」
そう言うと盗人の百村大は窓を開けて飛び降りて寂しげににコンクリートジャングルの中に消えてゆきました・・とさ。

でも・・・夜中にカフェのオフィスに侵入したもう一人の人影はいったい誰だったのでしょうか?(稲川淳二風にw)

【ごめんなさい。小ネタで自己完結させていただきました。入り所を間違ってしまってすみませんでし。ゾンビ村編に関係するサブキャラか敵役か何かで、またちょこちょこ参加するかもです。皆さんがよかったらなんですけど】
304 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/02(金) 13:59:54 0
摩天楼の足音時間錯誤の罠
血迷った危ない奴らから極楽え行かせちゃうわ
305 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/02(金) 14:07:22 0
色々と誤字が多いな、おいw
「またアニメに…」のくだりのおキヌちゃんは切なかったなぁ
306 :牧街 ◇0GgFQdrqrk の代理投稿[sage]:2010/04/02(金) 22:46:16 0
>>298
「なるほど、マスコットがノスフェラトゥだからゾンビ村って名前何ですね、えぇ」
ゾンビ村の資料を見せてもらった牧街が、なるほどよく調べてるんだなーと感心する

ノスフェラトゥはヴァンパイアの大ボス的存在で(ドラキュラやブラドー伯爵を赤子扱いできるレベル)
吸血した対象をいのままに動くゾンビ化させる能力を持っているのである(更にそのゾンビが噛んだ相手もゾンビと化して、次々に数が増えていく、しかも一般に吸血鬼に降下のある聖水や十字架、にんにく、太陽の光はまるで効果が無い)
知名度はイマイチだが、間違いなく滅茶苦茶実力とインパクトのある妖怪であり
現に劇場版ゴーストスイーパー美神極楽大作戦にて敵の大ボスとしてすさまじい大活躍をしている
どの様な大活躍をしたかは、DVDが出ているのでそれで確認するか、youtubeで見て欲しい(漫画版には登場しません)

「設定はノスフェラトゥが支配している魔界に近い遊園地、なるへそ、じゃ特に必ずゾンビが相手と考えない方がいいわけだ」
ふむふむと最後まで資料を読んだ牧街は、大きく安堵のため息をついた
「俺はまた九…」
別のゾンビ関連のスレの村の名前を口にしようとした牧街の頭に、どっからか飛んできた野球ボールが直撃する
バイオスレの皆様申し訳ありません、第四部頑張ってください

「つつ…何か天罰的な物を感じたな…」
ボールを外で遊んでた子供達に返してあげ、席に戻った牧街は、気を取り直そうと出されていたお茶をすすろうとして
>黒歴史ノートじゃと!?
噴いた
せーだいに噴いた
「またアイツっすか!!」
小学生の頃のアホな設定資料集を気にして成仏できなかったばかりか妖怪にたぶらかされたとはいえ人殺しまでやった馬鹿兄貴の幽霊が事件をひっかきまわす置き土産をしてきた事に、牧街は雑巾で噴いた物を掃除しながら呆れ半分怒り半分の台詞をはき捨てる
自分ひとりじゃ怖いからカフェさんを誘いに来たのに馬鹿兄貴のために断られたらどうしようか…墓の前で大声で朗読でもしてくれようかと思っていると、しかし事件は意外な方向に進展する
そう、師匠が向かった村もこれから向かうゾンビ村だったのだ!!
しかも何か何やらオーパーツもゾンビ村には隠されているらしい
「……もしかしてそのオーパーツのせいで幽霊出るようになったんじゃないでしょうね…コレ…」
どうやら廃園になった理由には幽霊は関係ないらしい事を資料から察した牧街は苦い顔になり…
ハッとなると、牧街はカフェに詰め寄る
「もしそのオーパーツとやらのせいで遊園地に悪霊が出るようになったんだとしたら、他のとこも早く何とかした方がいいっすよ!!」
これからやるネタを先手必勝でぶっつぶす様な事をほざく牧街に再び野球ボールが飛んでこようとした、その時
307 :牧街 ◇0GgFQdrqrk の代理投稿[sage]:2010/04/02(金) 22:46:41 0
カフェのオフィスの電話が鳴り響き、受話器をとってもいないのに不気味な声をかなで出す
>「・・・あの・・・ら〜めん一丁・・・」
突然の怪奇現象に、牧街の表情がマッハで真っ青になり、素早くカフェの後ろに飛んで隠れる
>「・・・らめ〜ん・・らめ〜ん・・み〜そらめ〜ん・・・」
「な!?何すか!?ラーメンマン?ラーメンマンの霊?それともラ・メーンだから神代剣?サソード?スコルピオ?それとも本人?」
わけのわからん事をほざいてがたがた震えるだけの完全装備の役立たずの横で、軽装備のカフェが勇敢にも電話の下の台を傘で叩き割ると…
>「トゥルルルル・・らめ〜ん一丁・・・・・」
玉の様な普通の青年が出てまいりました

「……これ、驚くところっすかね?」
怪物や妖怪が出てくると確信していたため一周して逆に意外な普通の人の登場に、牧街がとりあえずカフェに尋ね…
「…もしかして知り合いか彼氏ですか?」
ふと、カフェの知り合いならあるいはこんなのもいるかも知れないと失礼な想像をした牧街は一応聞いてみる

しかし、聞いてみると普通に泥棒である事が判明した

テロ魔族の手下だったらどうしようかと内心思っていた牧街は、心から安堵し…
いや泥棒でもまずいだろと突っ込みを入れようとした時、泥棒青年は今度は牧街も夜中にカフェの事務所に侵入してきたなどとほざいてきた
自分にも罪を被せて皆やってることだからで罪を軽くするつもりか、腹が減ってるからって人の家に盗みに行くなんて駄目なんだぞ!
ホームレスに配ってる豚汁を貰いなさいと牧街が(とても弱腰ながら)抗議すると

百村青年は自らの名前の由来を高らかに説明し、窓からコンクリートジャングルへと消えていった

……しばし呆然の後
カフェに警察沙汰にしますかと多少会話して…

…話が黒歴史ノートに戻る
>摩天楼の足音時間錯誤の罠
>血迷った危ない奴らから極楽え行かせちゃうわ
「怠慢な私の技の中これでもすきなのあげる
バイバイダーリンスパイダー……あ、これ暗号じゃ無いっすね、ただの自分の考えた主題歌だ」
オーパーツの危険性を感じ取った牧街は、直ちに黒歴史ノートのコピーを送ってもらい、残りのオーパーツの行き先の手がかりを探していたが
高度に暗号化されている(笑)ため、中々読み取る事ができない
更に所々に商品化されてUFOキャッチャーの人形になった俺のキャラだのアニメ化はもう無いと確信し血涙を流す俺だのとやたら向上心の高い馬鹿兄貴の様子が書かれていて、それが暗号らしきものと関係があるのか無いのかが全くわからないなど
牧街の科学力では全く他のオーパーツの場所を解明することができなかった
「…とりあえず、ゾンビ村、行きましょう、俺、車で送りますね」
しばらく解読作業を行っていた牧街だったが、やがて頭を抱えて中断し、車を取りに事務所へと戻っていく
一筋縄ではいかない恐ろしいノートである(笑)

>>303
イラシャイマセー
歓迎しますよー
仲良くやりましょうぜ
308 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2010/04/04(日) 21:56:29 0
>306
窓から野球ボールが飛び込んできて牧街に直撃した。
「珍しいこともあるもんじゃのう」

>「……もしかしてそのオーパーツのせいで幽霊出るようになったんじゃないでしょうね…コレ…」
>「もしそのオーパーツとやらのせいで遊園地に悪霊が出るようになったんだとしたら、他のとこも早く何とかした方がいいっすよ!!」
「そうか! 黒歴史ノートの作者は霊感を持っていて何かを受信して
それが無意識のうちに黒歴史ノートに投影されたという可能性もあるな。
だとしたら大変じゃ!」

>300 >307
>「・・・あの・・・ら〜めん一丁・・・」
「はて……こんなにハイテクな電話は使ってないはずじゃ」
電話の台を真っ二つにたたき割ると、中からお世辞にも元気そうではない青年が生まれました!
「もしかしてあれか? 桃太郎の類か?」
>「…もしかして知り合いか彼氏ですか?」
「知らんのう。秋葉原流にいてもおかしくない感じはするがいなかったと思うぞ」

>「コノママダト、ワタシハオソラノウエカラミナサンノコトミマモルコト二ナリマスヨ!
本当に見守るだけならまだしも祟られたら困る。
「まて、早まるな! 今注文しようぞ」
幸いここは喫茶店のニ階ということで階下に向かって叫んだ。
「味噌ラーメン一丁!」

>303
>「ゴメンヨ。今カンガタ嘘ダゾ。ワタシノ名前ハ百村大。百ノ村ヲ統ベルコトガ出来ル大キナ人間二ナレルヨウニト親ガ「大」ト名前ヲツケタンダゾ」
「そうか。桃太郎は当たらずとも遠からずじゃの」 (※ もも しか合ってない)
そう納得している間に、謎の青年はアイキャンフラーイした。
その直後、ラーメンを持った冥土カフェのマスターがやってくる。
「へいおまちー!」
「一足遅かったようじゃ……飛び降りてしもうた」

「一晩に二人泥棒とは珍しい事もあるもんじゃ。
しかしどこから入ってきたのか。鍵が壊されている様子もないし……」
しばし首をひねるが、何事もなかったかのようにゾンビ村の話題に戻るのだった。

>304-305
見れば見るほど黒歴史ノートの謎はますます深まるばかり。
>「…とりあえず、ゾンビ村、行きましょう、俺、車で送りますね」
と、いうわけで今日は秋葉原師匠がいないので久々に普通の車で出発。

「さっきの泥棒確か百の村を統べるとかどうとか言っておったのう……
まさかゾンビ村もその中に入ってたり……ンなわけないか。
あやつは侵入技能が神がかってるだけのただの人間」
そう、侵入手口こそ分らないけどただの人間なのだ、多分きっと!
309 : ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/08(木) 16:03:56 0
>307
歩道に『ゾンビ村』と書いてあるスケッチブックを持った青年が立っていました。
なんとヒッチハイクをしている百村でした。

>ホームレスに配ってる豚汁を貰いなさいと牧街が(とても弱腰ながら)抗議すると

『モラッテキマシタヨ。オ外デハ春ノ豚汁祭リヲシテマシタ』
とさっきの会話の続きをスケッチブックに素早く殴り書きをして見せる百村青年。

どうしますか?百村を乗せていただけますか?
>308
「乗・セ・テ」スケッチブックを見せながら百村は車と平行に走ってついてきます。
そしてカフェが乗っている側の窓をスケッチブックで叩きわりました。
風でバタバタとなびいたスケッチブックがカフェの目の前にあります。
スケッチブックには「オネガイデス☆乗セテクダサイ!」と書いてありました。
カフェとは会話できる距離なのですが百村はスケッチブックをカフェにすごい見せてきます。
とゆうかカフェの顔にスケッチブックを押し付けています。類稀なるアホのようです。
310 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/09(金) 14:29:33 0
Drカオスのマリアをコピーしたのに何故か出来たのはメカ沢
311 :カフェ ◇YNbEhcUF/Iの代理投稿[sage]:2010/04/09(金) 22:53:23 0
>309
「今時ヒッチハイクか、珍しい事は続くものじゃ」
などと呑気に言っていられるのは一瞬だった。

>「乗・セ・テ」
人間が車と平行に走っている。
「いかん、変な物が見えるぞ」
目をごしごしこすってもやはり人間が車と平行に走っている。
というかそもそも人間は車と平行に走れないんじゃないのか?
そうこうしているうちにスケッチブックによって目の前の窓がたたき割られた。
「ほわああああああああ!!
ま、牧街殿はいつも金欠でヒイヒイ言っておるのじゃ! 気安く壊すでない!
ほわああああああああ!!」
>「オネガイデス☆乗セテクダサイ!」
「そんなに早く走れるなら乗る必要はないのでは……むぐぐぐぐぐ!」

>どうしますか?百村を乗せていただけますか?
乗せるも乗せないももうほとんど押し入られていて選択の余地はありません。
本当にありがとうございました。
312 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/10(土) 16:47:46 0
さて、牧街の車にてゾンビ村へ出発し、ほんの少し行った所に、ゾンビ村と書かれたスケッチブックを持った青年が立っていました
それに対して牧街は
>「今時ヒッチハイクか、珍しい事は続くものじゃ」
「へぇ、俺は見てませんでしたが、誰かに乗せてもらえるといいですね」
華麗にスルーを決めました
向こうがこっちに気づいていないかも知れないし大体これ仕事で行く奴だし乗せるわけには行きません
などと考えながらスルーしようとしていると
>『モラッテキマシタヨ。オ外デハ春ノ豚汁祭リヲシテマシタ』
しっかり彼はこちらに気づいていました
(……振り切るぜ!!)
それでも無視しようと牧街が仮面ライダーアクセルと、化して百村青年を追い越した、その時
本当の恐怖がまだゾンビ村についていないのに幕を開けるのでした…
>「乗・セ・テ」
「見えない!見えない見えない見えない!!」
車と並走する明らかに人間とは思えない(牧街や牧街の師匠ならできそうにも思えなく無いが)流石のカフェすら目を疑い
牧街は必死に現実逃避し、車を走らせるが、百村青年は変わらずついてくるばかりか、遂に直接攻撃に出てきた
手に持ったスケッチブックで助手席の窓ガラスを叩き割ってしまう!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
>ま、牧街殿はいつも金欠でヒイヒイ言っておるのじゃ! 気安く壊すでない!
全く持ってその通りである
治すのに馬鹿高い金をとられそうな愛車のダメージに、レポート3(今進んでいるのはレポート7)でワイパーをタローの投げた悪霊に折られた時よりすさまじい絶叫を上げた
ちなみにあの時の修理費は牧街が全て負担している
>「オネガイデス☆乗セテクダサイ!」
>「そんなに早く走れるなら乗る必要はないのでは……むぐぐぐぐぐ!」
そんな事考えている間に、カフェがスケッチブックを顔に押し付けられて大ピンチだ
「ひぃい!ひぃい!ひいいいいいいいいいいいい……ってかこれって…」
そこでふとある事に気づいた牧街は素早くジャケットの懐から30万円の破邪札を取り出し、百村目掛けたたきつけ、爆発させる
「こいつどーーー考えてもテロ魔族の刺客じゃないっすか!!カフェさん!オカルトGメンに連絡してください!とりあえずこのまま警視庁へ逃げ込みます!!」
あんまりにも人間離れした百村の行動の数々に、牧街は百村を妖怪か魔族の類と断定、攻撃を開始した!
そりゃ…だって…ねぇ…
…どう考えても新手の都市伝説の怪人にしか見えない行為をされればこういう対応をせざる得ないというか…
313 : ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/11(日) 12:09:35 0
>310
>Drカオスのマリアをコピーしたのに何故か出来たのはメカ沢
「コノ声ハ!!10年前二死ンダオジイサン!?オジイサーーーーーン!!」
号泣する百村。彼はお祖父ちゃんっこだったのです。
>311
>「ほわああああああああ!!
ま、牧街殿はいつも金欠でヒイヒイ言っておるのじゃ! 気安く壊すでない!
ほわああああああああ!!」
「ひああああああああああ!!
オジイサーーーン!聞コエテイマスカーー!?私、ワケガワカリマセン!
ホントノ貧乏人ナラ車ナンテ買エマセンヨ!牧街サンハ小金モチ☆牧街サンハ小金モチ☆
ひあああああああああああ!!」
テケテケテケテケ…
>「そんなに早く走れるなら乗る必要はないのでは……むぐぐぐぐぐ!」
「OH!カフェサン。ゴメンナサイ、興奮シスギテスケッチブックデ御顔ヲ塞イデシマイマシタ!」
そう言うと百村はカフェの顔面を慈しむように、てろんてろんと脂ののった手で撫でてあげました。
「カフェさん。実は私には2年前から記憶がないのです。名前の由来とお祖父さんの記憶が少しあるだけなのです。
ここ2年間。盗人をして生計を立ててきました。そして空腹で朦朧とした中、電話台の中であなた達の声を聞いたのです。
飛び交うゾンビ村と言うキーワードが心の中で気になりました。ゾンビ村に行かなきゃ!
そんな心に支配された私はいてもたってもいられなくなりその場を去ったのですが、ゾンビ村の場所を知らないことに気付き今ここにいるのです。
そしてさっき少しだけ記憶が戻りました。平仮名を思い出したのですよ!!」
>312
>「見えない!見えない見えない見えない!!」
「牧街サン運転二夢中ミタイデスネ!!夢中デ頑張ル君二、エルボーデス」
ガンッ!!車の窓を肘で叩くとガラスにヒビが入りました。
「エエイ〜面倒デース!スケッチブックデ「ガンッ」シマース☆」
ガッシャーン!百村のスケッチブックは鋼鉄で出来ていました。
>「ひぃい!ひぃい!ひいいいいいいいいいいいい……ってかこれって…」
そこでふとある事に気づいた牧街は素早くジャケットの懐から30万円の破邪札を取り出し、百村目掛けたたきつけ、爆発させる
どかーん
「むぎゃあああああああああああああああああ!!
テロ魔族ってなんなんですか!?私は妖怪なのですか!?誰か私に記憶を、記憶をくださーい!!」
爆発で黒焦げになった百村は春なのにアフロヘアになっています。
「牧街さ…ん…カフェ…さ…ん…」
走力がなくなってゆく百村は最後の力で車の窓にしがみつきました。
314 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/12(月) 00:05:56 0
>312-313
>「OH!カフェサン。ゴメンナサイ、興奮シスギテスケッチブックデ御顔ヲ塞イデシマイマシタ!」
スケッチブックを引っ込めたかと思うと今度は顔を撫で始めた。
「こら、何をする! ……ん? んん!?」
きらりーん。顔がつややかになった!
ただ豚汁の油が乗っただけという疑いもあるが……
「霊的エステか? 感謝するぞ」

青年は今までより少し流暢な言葉で境遇を話し始めた。
>「カフェさん。実は私には2年前から記憶がないのです。名前の由来とお祖父さんの記憶が少しあるだけなのです。
(中略)そしてさっき少しだけ記憶が戻りました。平仮名を思い出したのですよ!!」
「ほう。それは良かったのう」
>「牧街サン運転二夢中ミタイデスネ!!夢中デ頑張ル君二、エルボーデス」
「はい!?」
>「エエイ〜面倒デース!スケッチブックデ「ガンッ」シマース☆」
「だから壊しちゃいかああああん!」
と叫んだときには時すでに遅く、案の定破邪札が炸裂した。
>「こいつどーーー考えてもテロ魔族の刺客じゃないっすか!!カフェさん!オカルトGメンに連絡してください!とりあえずこのまま警視庁へ逃げ込みます!!」
>「むぎゃあああああああああああああああああ!
テロ魔族ってなんなんですか!?私は妖怪なのですか!?誰か私に記憶を、記憶をくださーい!!」
妖怪なのかは知らないが、夢中で頑張る君にエルボーをお見舞いする人物を放置したら危険である。
「可哀そうじゃが人に危害を加える可能性がある以上野放しにするわけにはいかぬ」
オカルトGメンに連絡しかけて……はたと手をとめる。
器物破損こそ歩くのと同じ感覚でやっているが、その割に対人被害は出てない事はないか。
「もしやエルボーもガッツ注入的な霊的補助……!?」

>「牧街さ…ん…カフェ…さ…ん…」
「牧街殿、見てみい! こんな姿になって……」
必死にしがみついている百村。
本来なら「この人、悪い奴じゃない!」「力になってあげなきゃ!」などという感情が芽生える重要なシーンだが、アフロによって雰囲気がぶちこわれである。
「テロ魔族はこんなアホなギャグキャラを送り込んでこないのではなかろうか。
よし! この際一緒に行ってもらおうではないか。
祟られたら恐怖だが味方につければ心強い事この上ない」
手を伸ばして、壊れて無くなった窓から引っ張り込む。
やはりアホなギャグキャラ同士通じ合うものがあったようである。
315 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/12(月) 03:51:47 0
ギャグキャラとは不死の生命体
ある意味究極生命体であるそれを人工的に作り出すYOKOSIMA計画
316 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/12(月) 20:11:30 0
>「むぎゃあああああああああああああああああ!!
牧街必殺の破邪札が炸裂し、百村青年は沈黙した
「や…やった!!」
完全に百村青年を妖怪の類だと思ってる牧街は、よしっとガッツポーズを決める
窓ガラスよ、仇はとったぞ!と空に割れた窓ガラスを浮かべそうになった、その時
>「もしやエルボーもガッツ注入的な霊的補助……!?」
横にいた妄想少女が不吉な事を言い出した
「……あの…カフェさん、何を言って…」
気づいた時には既に遅し、カフェは攻撃されて哀れな姿になった百村青年の味方になってしまう
>「牧街殿、見てみい! こんな姿になって……」
「いやそれ自業自得じゃ…」
確かに牧街は一般人よりも莫大な収入を一回の仕事で得ているが
その莫大な収入を得る仕事にかかる経費がまた莫大であるため
プラスマイナス0、もしくはマイナスになる事が多く
故に牧街は決して裕福な分ではない(悪霊一匹倒すのに平気で数百万とかかかるため。
前回の藤月の仕事の報酬は数千万円の仕事だったが、秋葉原流と山分けし、更に師範と山分けした後、前々回鬼モドキに圧し折られた神通杖や、使いまくった破邪札の補充で既に消滅している)
その証拠に、牧街は移動手段として車は持っているが、通信手段は固定電話しかないし、車だってガソリン代節約のため事務所に置きっぱなしだ
無論、車本体も安い中古の軽自動車でコブラだの何だのでは無い
そんなギリギリGSやっている人に小金持ちだなどと言いながら明らかに人じゃない動きで襲い掛かり器物破損してくる輩に牧街が応戦してそいつがアフロになっても、それは正当防衛、最悪でも過剰防衛だ
と言うかこの世界はそんなごろごろ綾崎ハ○テみたいな身体能力もった輩がいる世界でもない、そんな能力持った奴は大抵妖怪の類だ
相手がテロ魔族や妖怪ならどんだけ過剰な防衛しても問題ない
自分から妖怪の巣に行ったとかならまだ相手に事情酌量の余地はあるが、今回の百村青年が妖怪だった場合、GSの乗った車に自分から襲い掛かり、攻撃を受けたのだ
襲い掛かった方が悪いに決まっているし、妖怪だから破邪札で攻撃しても全然OK、誰がどう見ても百村青年が悪い
>「テロ魔族はこんなアホなギャグキャラを送り込んでこないのではなかろうか。
「うっ」
しかし
百村青年刺客の妖怪説はカフェの一言であっさり崩壊してしまう
そうだ、あの恐ろしいテロ魔族がこんな牧街の一撃程度でアフロになるような貧弱な刺客を送ってくるはずが無いのだ
っつーか牧街達3流GSなんぞ狙う理由がまず無いはずである
しごくごもっともなカフェの一言に怯み、じゃあ百村青年って何だ?妙な計画で作られた究極生命体かなんかかと牧街が考える間も無く、続いてカフェはとんでもない事を言い出す
>よし! この際一緒に行ってもらおうではない〜
「えぇ!?」
そう言いながら百村青年を車の中に引っ張り込んでいくカフェに、思わず牧街の口から悲鳴があがる
「ちょ…カフェさん、何言ってるんですか、えぇ。そんな…その…妖怪と見まがう様な怪しい輩を連れてったら現地で何やらかすか全く想像がつきませんよ!その人の事は…」
警察に任せて…
そういおうとして、ふと、牧街の頭の中にある想像が浮かんだ
百村青年は記憶喪失であるわけだから、当然警察もゾンビ村を調べようとするはずだ
そして、ゾンビ村を警察に調べられたら、ゾンビ村で起きた事件の件が明らかになり、極秘裏に行方不明者を探してくれと言う今回の依頼が失敗してしまう
しかも相手は政治家の娘だ、失敗してしまえば牧街GSオフィスの悪い噂をばら撒かれ、事務所再起不能になる可能性も否定できない
ここは一つ、カフェの言うとおり、連れて行くのがベストだろう
他にも色々手段はあるだろうにあんまり頭が回らない牧街はとりあえずそこまで考えると、渋々やっぱりいいですとカフェの意見を聞き入れる
「その代わり…責任もって面倒見てくださいね、えぇ」
何か小さい子供が子犬でも飼うのを許す親みたいな事を言って全責任をカフェに任せると、恐らく弁償能力を持たない百村青年からは金を取れないため、戦う前に早くも無駄な支出が出てしまった己の身の不幸を呪いつつ、ゾンビ村のあるG県を目指すのだった
317 : ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/13(火) 11:30:50 0
>「だから壊しちゃいかああああん!」
「カ・イ・カ・ンで〜す。牧街さんの車は『やりたい放題』ってオモチャみたいで〜す。
受話器とか箱ティッシュとかが一つにまとまっている幼児たちの神オモチャでーす」
きゃっきゃっきゃっきゃと屈託の無い笑顔で笑っている百村に破邪札が炸裂する。
>「牧街殿、見てみい! こんな姿になって……」
「そうですよカフェさん。もっと言ってやってください。けほ…。そして牧街さんは私を見てください。
こんな姿になってしまった私を!罪悪感を感じるでしょう?」
>「テロ魔族はこんなアホなギャグキャラを…(中略)…味方につければ心強い事この上ない」
手を伸ばして、壊れて無くなった窓から引っ張り込む。
「……」
車内に引っ張り上げられた百村は後部座席で悠然と胡坐をかくと腕を高々と上げた。勝利のポーズなのだろうか?
アフロ頭で全身黒焦げ。ボロボロに破れた服を着ているためその姿はインドのサイババにもみえる。
こねくり回される人生、いじられてなんぼ!今この瞬間。粘土型キャラ、百村大が誕生したのである。

3人を乗せた車は長閑な桜並木を走っていた。
「見てください。牧街さん。カフェさん。風に乗って桜の花びらが入ってきましたよ。
これも窓がないお陰ですね。ゾンビ村も春なのかな…」
風でアフロをたなびかせながらソワソワしている百村は座席の後ろのマガジンラックに何冊かの雑誌を見つけた。
「月刊ムー?まだあったんですか?どれどれ…私こそアベノセイメイの生まれ変わりだ!
吉田源平が語る壮絶な戦歴…。うそ臭いですね」さらにパラリとページをめくる。
>ギャグキャラとは不死の生命体ある意味究極生命体であるそれを人工的に作り出すYOKOSIMA計画
「…。なんかもうめちゃくちゃですね。編集部はネタ切れしてるんでしょうか?」
雑誌を戻し他の本を探してみると…
「こ、これは!!(自分を好きになる方法)(働く意味。喜びのみつけかた)(かたちだけの愛)!?
…牧街さん…悩んでいるんでしょうか?」雑誌をそっともとに戻す百村。
窓が壊れているため風でデコ丸出しの牧街と目が乾いてしぱしぱしているカフェの横顔をチラチラ見ながら百村はいたたまれなくなった。
「私…がんばります。なにをがんばるかはわかりませんが、がんばります!」
318 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/15(木) 00:03:59 0
>316-317
>「その代わり…責任もって面倒見てくださいね、えぇ」
「うむ、妾に任せておけ。こやつに社会のルールというものをきっちり教え込んでやろう。
よいか? 妾が手をだしたら手をのせるのじゃ。お手!」
犬の躾と間違えている。

>317
>「見てください。牧街さん。カフェさん。風に乗って桜の花びらが入ってきましたよ。
これも窓がないお陰ですね。ゾンビ村も春なのかな…」
「綺麗じゃのう。物は考えようじゃ。この際オープンカーになったと思えば……」

>>ギャグキャラとは不死の生命体ある意味究極生命体であるそれを人工的に作り出すYOKOSIMA計画
>「…。なんかもうめちゃくちゃですね。編集部はネタ切れしてるんでしょうか?
「つまり牧街殿はギャグキャラだったのか!?」
これは厳密には間違っている。
“ギャグキャラとは不死の生命体”だとギャグキャラは必ず不死の生命体になるが
不死の生命体が必ずギャグキャラだとは限らないからだ。

最初こそオープンカーも悪くなかったが、走っているうちに飽きてくる。
「……やはりオープンカーより普通の車がいいのう」
>「私…がんばります。なにをがんばるかはわかりませんが、がんばります!」
「おう、目指すは犬大会優勝じゃ!」

エセオープンカーはしばらく走ったのち、ゾンビ村に近づいてきた。
「まだかのう……おお、見えてきたぞ!」
見えてきたのは、“ようこそゾンビ村”の文字がついた門。
そして受付のお姉さんらしき人がナチュラルに無茶ぶりをしてきた。
「いらっしゃいませー、入場券はこちらでお買い求めください」
「入場券がいるのか、ちょいと待ってくれ……お主は誰じゃ!?」
ナチュラルすぎて流されそうになったがすんでのところで踏みとどまった。
319 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/15(木) 00:26:56 0
「えっアタシの名前ですかぁ……村野存美よぉ」

ゾンビ村の入口で受付のお姉さんが笑顔で答える。

「ありみちゃんって呼んでね」

そして、微かな腐臭を漂わせながら、一歩一歩近づいてくる。

「なんかぁ生きてる人間っておいしそぉ……」
320 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/15(木) 02:19:21 0
牧街さんのテンプレってないの?
321 :桜井美月 ◆cVXjqnpUAQ [sage]:2010/04/16(金) 23:00:17 O
【単行本はもう手元にないけどウィキ見ながら参加してみます。よろしくお願いしまーす】

【名前】桜井美月(さくらいみづき)
【年齢】22
【体格】ちちしりふともも完備
【容姿(霊衣)】栗色のロングヘア、無駄に露出の高いワンピ姿
【属性】霊的格闘術
【霊圧】50
【装備】神通扇、破邪札
【趣味】輝かしい未来の妄想
【特殊能力】憑依(対象にある程度以上の霊力があると弾かれる場合あり)
【備考】見栄っ張り、目立ちたがり、ワガママとある意味で正統派女GS。
人よりやや高い程度の霊感を持って産まれ「私は天に選ばれたんだ!」と思い込み一途に修行しGSに。
業績はあまりパッとせず三流の例に漏れず金回りはよくない。

>>319
「おーっほほほほほっ!」
不意に牧街たちの背後から調子悪そうなエンジン音を轟かせたオープンカーが爆走してくる!
運転席にはやたら張った声の高笑いをあげるハデ目な若い女。

よほどドラテクに自信があるのか速度を緩めず、大仰なアクションでハンドルを切り車をスピンさせる。
タイヤが甲高い悲鳴をあげながら地面に黒い跡を刻みつけ、受け付けの存美ちゃんをあわやはねる寸前でビタッと停『ずどごぉぉっ!どんっ、がこっ!ずさー…』

――…停まらなかった。あろうことか思い切り存美ちゃんを跳ね飛ばした。紛うことなき人身事故の決定的瞬間だ。

「…あ…あぁ…あ…」

運転していた女性、桜井美月が真っ青な顔で降りて来る。
その表情を一言で表すなら『やってもうた』
みんなも無茶な運転はダメだぞ!法定速度は守ろうね!

「あぁ…あなたっ!大丈夫っ!?怪我はないっ?あぁ、どうしてこんなことに…」
どうしてもこうしても無いもんだが。哀れな被害者の存美ちゃんに駆け寄りペシペシ頬を叩く。

「…あぁうぅ…いた…くもないですけど…首がカクカクとぉ〜」

「首っ?首ね?大丈夫…今こうして…ふんっ、ほっ…ほら、治ったわ」

「あら…?ありがとうございます。治りましたぁ」

「そお?それはよかったわ…それじゃあこれにて無事解決。怪我も治ったし事故はお互い様の5:5で円満和解としておきましょ。ね?」

プラモデルでもあるまいし、明らかに折れてカクンカクンしてた首の関節をごきごきハメる方もだが、それで治る人間もどうかしている。
いや、明らかに人間じゃない。
事故で気が動転でもしたのか、被害者の蘇生に疑問も抱かず喜ぶと勝手な言い分でシレッと事故を揉み消した。

「…さて。ゾンビ村…間違いなさそうね。改めて探索を……なあに?あなたたち?ここは今からプロのGSが調査するの。心霊スポット巡りならお断りよ」

事故騒ぎも一段落して、牧街たち一行にやっと気がつくと手に持った神通扇をシッシッと振った。

「あのぉ…入場料を〜…」
322 :百村犬 ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/17(土) 16:09:02 0
>「入場券がいるのか、ちょいと待ってくれ……お主は誰じゃ!?」
>「ありみちゃんって呼んでね」
そして、微かな腐臭を漂わせながら、一歩一歩近づいてくる。
「わんわんわんわんわんわんわーん!!
(怪しいです!!カフェさん!臭います、カフェさんの腐臭とはまた違う臭いです!)」
と犬語で叫ぶ。
>「…さて。ゾンビ村…間違いなさそうね。改めて探索を…(中略…心霊スポット巡りならお断りよ」
「くーん…くーん…」
目がハートの百村はアフロ頭を美月の足首にすりすりする。

【美月さん。よろしくお願いしますw私も最近来ました。原作の詳しいことはわかりませんw】
323 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/18(日) 11:34:03 0
>>317
>これも窓がないお陰ですね。ゾンビ村も春なのかな…」
顔にモロに風を受けない位置にいる百村が、とんでもない事をほざいてくる
無論、牧街は目は乾くわ風で運転に集中できないわでそんなノンキなことを考えている余裕は無い
(…弁償させよう、できないとか言ったら外国の外人部隊に売ろう)
眉間にしわをよせ、頬を引きつらしながら、牧街は後ろの席で勝手に人の書物を物色しだしている百村に密かな怒りを燃やす
そんな牧街の怒りを知ってかしらずか、百村は牧街が数ヶ月前に何かのついでに買った月刊ムーを引き釣りだし、読んでいる
(酔え!動く車の中で細かい字を読むことで車に酔え!そして苦しめ〜)
この野郎人の気も知らずにと牧街の眉間に青筋まで立ちだした時、不意に、バックミラーに映る百村が何かムー以外の雑誌を取り出した
(!?何だアレ、あんな雑誌知らないぞ)
身に憶えの無い書物の出現に牧街が不思議がっている間に、百村青年は書物を元に戻してしまう
(…おかしい、小説すらまともに読まない俺があんな本持ってるわけ無いんだが……)
先程までの怒りも忘れて不思議がる牧街を他所に、百村は何だかしゅんとする
何にしても百村が大人しくなったので、まぁいいやと、牧街は雑誌の事を考えるのをやめた

さて、トップブリーダーとなったカフェと、名犬候補百村を乗せた牧街の車は、いよいよゾンビ村へと到着する
廃墟と化した遊園地に、カフェ、百村を伴い、入らんと、まず受付の姉ちゃんに入場券を払……
「どえぇえ!出た!出た出た早速出たぁ!」
やはりナチュラルに流されそうになった牧街もカフェと共に我に返り、慌てふためいて後ろに下がり、神通杖をへっぴり腰で構える
>「なんかぁ生きてる人間っておいしそぉ……」
(初っ端の雑魚に破邪札は使いたくないからここは神通杖だけで決めなけりゃならないんだろうけど…。最近まともに振り回した記憶が無いから大丈夫かな)
迫り来るありみゾンビにじりじり後ずさりながら、どう対処するか考えていると……
324 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/18(日) 12:04:01 0
>「おーっほほほほほっ!」
どこからともなく高笑いがし、真っ赤なスポーツカーに乗ったセクシーな美女が現れた!
「アレは!まさか!!」
亜麻色の髪、セクシーな服装、オープンカー
これら三要素を兼ね備えたGSと言えば、20世紀最高のGSと呼ばれる美…
>『ずどごぉぉっ!どんっ、がこっ!ずさー…』
「……えーと」
もしかして美神さんかなーと思っていた牧街の前で、美神らしき女性はゾンビありみにぶつかり、更に霊と気づかずに普通に焦って対処し始めた
しかも何か対応ずさんだし…
「…何か……違う人だったっぽいっすね、えぇ」
大粒の汗をたらーんと垂らしながら、目を点にしながら、ぽかーんと呆気にとられている牧街と仲間達に、そこでようやく桜井が気がつく
>なあに?あなたたち?ここは今からプロのGSが調査するの。心霊スポット巡りならお断りよ」
その言葉にはっとなった牧街は、懐からGS資格証明書を取り出し、桜井に示す
「えーと、はい、俺も仕事でここに来たものですあー…かぶ…ちゃいましたね、えぇ」
ぽりぽりと頭をかきながらどうすっぺかなといった感じでそう言った牧街の横を、目をハートにしたアフロ犬が駆け抜けていく
>「くーん…くーん…」
「あ!こら!カフェさん!早くあいつの頭に何かこう、お経を唱えると引き締まるわっかみたいなのをつけるとかして制御してください!」
警察に連れて行かれても文句の無い行動をする百村の無礼な行動に焦った牧街が、慌ててカフェにアフロ犬の鎮圧を要請する
「えーと、入場料を〜」
325 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/18(日) 12:06:24 0
>>320
そういや初代スレに張っていらいずっと出してなかったっすね
【名前】 牧街 モリオ
【年齢】  23
【体格】 中肉中背
【容姿】 ぼさっとした髪をした線目
【属性】 霊的格闘術
【霊圧】  60.39
【特殊能力】−
【装備】神通杖(形は六尺棒っぽい) 吸引札 破邪札
【趣味】寝る事、食べる事
【備考】GS試験には一発合格しているが、3回戦まで相手運に恵まれたためであり、実力は…
一応3回戦はいい勝負はしたものの、結果的には負けている
え?3回戦とかって何か、ですか?
GS試験はまず霊圧を計られて云百名まで絞られた後、更にその後受験者同士でトーナメントがあり、そのトーナメントで3回戦まで勝ち残らなければ、GSにはなれないんですよ、えぇ
受験者の組み合わせは絶対イカサマのありえないラプラスのダイズというもので決められ
運も実力の内とみなされるため、強くても1、2回戦で相手運に恵まれなければ、GSにはなれないという何といふとんでもない試験なのであります、えぇ
326 :名無しになりきれ[sage]:2010/04/18(日) 12:21:26 O
>>325
まきまち?さん?
327 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/18(日) 14:00:37 0
>>326
まきがいです
328 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/19(月) 23:42:57 0
>319-324
>「わんわんわんわんわんわんわーん!!」
「女のオタクだからといって腐女子とは限らぬぞー!」
“限らない”とだけ言って否定しないところが疑惑を深めている。
>「なんかぁ生きてる人間っておいしそぉ……」
そこに颯爽と現れたオープンカーがありみちゃんを跳ね飛ばした!
「大丈夫か!?」

>「あら…?ありがとうございます。治りましたぁ」
「うむ。車には気をつけることじゃ」

>「…さて。ゾンビ村…間違いなさそうね。改めて探索を……なあに?あなたたち?ここは今からプロのGSが調査するの。心霊スポット巡りならお断りよ」
>「えーと、はい、俺も仕事でここに来たものですあー…かぶ…ちゃいましたね、えぇ」
「ここには間違いなく何かある! 一人で行っては危ないぞ。ここで会ったのも何かの縁ということで……」
>「くーん…くーん…」
アフロ犬が全身で友好の意思表示を示すが、残念ながら逆効果の可能性が高い。
>「あ!こら!カフェさん!早くあいつの頭に何かこう、お経を唱えると引き締まるわっかみたいなのをつけるとかして制御してください!」
「任せておけ。おすわり!」
これは犬○叉鎮圧の呪文だ! 作品が違うぞ!
>「えーと、入場料を〜」
忘れられかけているありみちゃんが、改まった様子で告げた。
「いえ、皆さんにお願いがあります! お気づきかもしれませんが私はすでに死んだ人間です。
理由は分らないけどこの地に縛られて、来た人間を襲う生活を余議なくしていました
でも皆さんは私を怖がらずに人間として扱ってくれました……だから……
あなた達なら解放してくれそうな気がして……」
首の関節をハメた事が、なぜか琴線に触れてしまったらしい。
329 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/20(火) 19:40:33 0
【ついでに妾もテンプレを出しとこうぞ】
>321 昨日言い忘れたけど宜しく頼む! 正統派女GSキター!】

【名前】 カフェ(通称)
【年齢】 24 (見た目は中学生)
【体格】 小さくて華奢
【容姿(霊衣)】ロリータファッション
【属性】 秋葉系アイテム使い?
【霊圧】 70
【装備】神通ロリータ傘  トレカのような破邪札など
【趣味】当然ヲタだが腐属性があるかどうかは謎
【特殊能力】魅了の術(相手に萌えヲタなどの属性がある場合に限る)
【備考】秋葉原の冥土ネカフェのマスター夫妻の娘。事務所はその店のニ階である。
ロリババアキャラというマニアックな路線の秋葉系。
先祖にちょっとした(といっても文字通り“ちょっとした”かもしれない)霊能力者がいたらしい。
330 :桜井美月 ◇cVXjqnpUAQ の代理[sage]:2010/04/20(火) 21:00:07 0
>「えーと、はい、俺も仕事でここに来たものですあー…かぶ…ちゃいましたね、えぇ」
>「ここには間違いなく何かある! 一人で行っては危ないぞ。ここで会ったのも何かの縁ということで……」
おもむろにGS資格証明書を取り出すと二人に見せて簡単に事情を説明する。
自分は某ゼネコンの孫請け業者に依頼されてここへ来た。
長らく放置されてきた土地ではあるが買い取って再利用しようと現地に作業員が下見にいったが得体の知れない化け物に襲われてまるで調査にもならずに逃げ帰ってきたらしい。
そこで自分に仕事が回ってきたのだ。ここに巣食う化け物だか霊だかを退治しろと。

「で、あなたたちは金持ちのボンボンの捜索…と。ま、そういうことなら臨時で共同作業も悪くないかしらね」
パム、と神通扇を閉じるとしばらく考えて答えを出す。これがまるっきり同じ依頼主からの多重依頼なら少々話がややこしくなるが、これならば問題はないだろう。
カフェの言うとおり戦力的に一人では心もとないのも事実ではある。決して口になど出さないけどな!

>「くーん…くーん…」
「ひいぃぃっ!?な、なによ、こいつ?都市伝説の人面アフロ犬?くっ、悪霊退散っ!」
ドスゥゥッ!とえぐい音を立てても百村のアフロに結構な長さのヒールが突き刺さった。あわれ、種族を越えた(?)愛情表現は伝わらなかったようである。

>「いえ、皆さんにお願いがあります! お気づきかもしれませんが私はすでに死んだ人間です。(な、なんだってー!!)
理由は分らないけどこの地に縛られて、来た人間を襲う生活を余議なくしていました
でも皆さんは私を怖がらずに人間として扱ってくれました……だから……
あなた達なら解放してくれそうな気がして……」
「うん、うん。やっぱり何事も誠意と真心が大事よね。さすがは私だわ…」
得意げに頷いちゃいるが車で跳ね飛ばして人間なら死んでもおかしくない怪我を負わせた張本人はこいつである。
首の関節をはめたのもそれがそもそも人間的扱いなのか?とか様々な疑問が渦巻くが、ありみちゃんが感動してるようなので触れないでおこう。

「この地に肉体も魂も囚われてるなら、なにか霊的な呪縛の原因があるってことよね。それを断ち切ればいいんだろうけど…」
牧街やカフェたちがどうするかは分からないが、自分の依頼を解決する足がかりとしてはありみちゃんを成仏させることは決して無駄ではないだろう。
同じ土地に霊障を引き起こす要因がそういくつもあるとも思えないのだ。彼女を救う方法=ゾンビ村全体の除霊方法…若干希望的な方程式が素早く頭の中で組み立てられた。
「…何か心当たりはないわけ?」
「さぁ…私にできるのはゾンビ村の案内ぐらいですけどぉ…」
そういってありみちゃんが配ったのはここがまだ営業していたころのパンフレット。
なんか血液らしき赤黒い染みがついているのはホラー的な演出であって、本物の返り血だとは思いたくないところだ。
331 :百村犬 ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/21(水) 10:35:53 0
>「あ!こら!カフェさん!早くあいつの頭に何かこう、
お経を唱えると引き締まるわっかみたいなのをつけるとかして制御してください!」
>「任せておけ。おすわり!」

「ぐわっ!てんめぇ〜なにしやがるんでいっ!!」
犬○叉とは似ても似つかない姿の百村が見えない重石を乗せられたようにつぶれてみせる。
先輩のふりには絶対服従なのだ。

>「ひいぃぃっ!?な、なによ、こいつ?都市伝説の人面アフロ犬?くっ、悪霊退散っ!」
突っ伏している百村の頭にさらにハイヒールが突き刺さる。

「ぎゃあああ!私…死んでしまいますよ。ありみちゃんと愉快な仲間たちになってしまいます」
百村の言ってる意味はわからない。

>「えーと、はい、俺も仕事でここに来たものですあー…かぶ…ちゃいましたね、えぇ」
>「ここには間違いなく何かある! 一人で行っては危ないぞ。ここで会ったのも何かの縁ということで……」
>「で、あなたたちは金持ちのボンボンの捜索…と。ま、そういうことなら臨時で共同作業も悪くないかしらね」

「そうですよ。私たちと一緒にがんばりましょう!こんな奴らでもいないよりはマシですからね」
牧街とカフェを指差しながら百村がとんでもない事をのたまう。

>「いえ、皆さんにお願いがあります! お気づきかもしれませんが私はすでに死んだ人間です。
(中略)…だから…あなた達なら解放してくれそうな気がして……」
>「この地に肉体も魂も囚われてるなら、なにか霊的な呪縛の原因があるってことよね。
それを断ち切ればいいんだろうけど…」
>「…何か心当たりはないわけ?」
>「さぁ…私にできるのはゾンビ村の案内ぐらいですけどぉ…」

「うう…私、怖いです。このゾンビ村のどこかに霊的な呪縛の原因…
もしかしたら化け物が潜んでいると思うと体がふるえだしますよ…」

とアフロの化け物みたいな百村が言う。

「…ぐ…ぐ…ぎ…」
百村の様子がおかしい。
いや、もともとおかしいのだが今は冷や汗をかき体をふるわせていた。
青年は自分の中の何かを抑制するかのように両腕で体を押さえつけている。
332 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/24(土) 14:43:41 0
カフェと桜井の攻撃によって百村が鎮圧され、カフェの働きで無事、桜井との協力も決定
>「そうですよ。私たちと一緒にがんばりましょう!こんな奴らでもいないよりはマシですからね」
「カフェさん」
無理矢理ついてきた民間人で一番邪魔な奴の癖に失礼な事をほざく百村を、青筋立てた牧街が指差してカフェに何か罰を与えるように無言の要請をする

ありみちゃんも何か桜井の行動がいい方に働き、大人しくなり、皆にパンフレットを配ってくれた
「へー…えーと、中央にノスフェラトゥの館があって、その周りに各々2つづつ大きなアトラクションがあるエリアが5つ…
バスターエリア、風水エリア、スクールエリア……奥の2つのエリアが血で隠れてるのは自分で言ってみてくださいねって意味っすね
風水エリアに大回転元始風水盤…これはコーヒーカップみたいなもんなんですね…と、風水が完璧な家、スクールエリアは学校をモチーフにしたお化け屋が2つ、バスターエリアは悪霊との戦いをテーマにしていて
複数の悪霊を使役して襲ってくるメドーサと戦うメドーサバスターと……シャドウバトラー!!??」
説明文を読んでいた牧街は、そこに書かれていた一文に驚愕する
「シャドウって、あのシャドウですか?己の霊力を実体化させるって言う」
多少興奮しながら尋ねてくる牧街にありみちゃんははいと頷いた
「それはこの村のメインアトラクションの一つです、GS協会で用いられている霊圧測定器を応用して、測定された霊圧と、その波長を元に擬似シャドウを作り出して、それを動かす事ができるんです!」
「凄いじゃないですか!どんな風に凄いかはこの場で口にするのは難しいですけど、それなんで流行らなかったんです?」
自慢げにアトラクションの説明をしたありみだったが、牧街の言葉に、苦笑いを浮かべてしまう
「普通の人のシャドウが皆ありきたりな形だったり弱すぎたりして…その…」
「あー……そういや普通の人達が来る所でしたからねぇ…」
アイデアはいいのになぁと牧街もありみと一緒に嘆息し、とりあえずなかに入っていこうとした、矢先

>「…ぐ…ぐ…ぎ…」
突然、百村が自分を抑えて苦しみだした!
それを見た牧街は、すぐさま百村の背中をなで、木陰へと連れて行く
「…言わないこっちゃ無い、次から車の中で本なんか読んじゃ駄目ですよ。ったく…」
どうやら車酔いだと思ったらしい
333 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/26(月) 00:05:17 0
>330-332
>「ぐわっ!てんめぇ〜なにしやがるんでいっ!!」
「なぬ!? 効いた!」

>「カフェさん」
牧街から再び鎮圧要請が出た。
「うむ。こやつはあらゆる振りに対応する適応能力の持ち主。
きっと輪っかも効果があるに違いない」
そう言ってフリフリのヘッドギアのようなものをアフロに装着。

>「…ぐ…ぐ…ぎ…」
「なんじゃ!? まだお経はとなえておらぬぞ!」
>「…言わないこっちゃ無い、次から車の中で本なんか読んじゃ駄目ですよ。ったく…」
「成程、車酔いか」
納得してしまった。
「これを飲むがよい。とっておきの霊力茶じゃ」
水筒からお茶をついで飲ませる。

【秋葉原の霊力茶……昔は霊原だった秋葉原でとれたお茶。退魔などの効果がある。詳しくは>>270を参照】

―――――――

一方その頃秋葉原師範は……
「だ、誰か止めてにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
こちらは本当に車酔い、否、コーヒーカップ酔いしていた。
何らかの理由によって動きだし且つ止まらなくなったらしい大回転原始風水盤に乗って、高速回転している。
こんなアホな事をやって本当に師範なのかというツッコミが入りそうだが
某大作RPG5作目でも偉いドラゴンの化身が止まらないトロッコに乗って
主人公達に救出されるまで同じ場所を回り続けていたものである。
334 :百村 ◆BFRlXDTonc [sage]:2010/04/26(月) 02:41:38 O
牧街に介抱されながら木陰で横になる百村はカフェに霊力茶を飲ませてもらった。

「ふんぎゃあああああああ〜!!!!」
突然お茶を吐き出しトリケラトプスの出産のような声をあげる百村。
いや、自分と同じくらいの大きさの赤ちゃんを産むくらいの叫び声をあげている。

「…ぐふっ…」
ぴくぴくと痙攣をしながら白目をむく百村。ゾンビ村に隠されている何かしらの力に呼応して
邪悪な力を発動しかけた百村であったがカフェの迅速な処置によってその力は打ち消されたようだった。

白目をむきながら百村は語った。

「私は百の村を統べる者でした。でも統べれませんでした。あいつが邪魔したからです。あいつをやっつけて下さい。あいつが…あい…つ…が…あいつを…あいつに…あいつの…」
白目からは大量の涙が流れている。記憶が戻っているようだった。

さらに百村は声を絞り出すように語った。

「……」

いや語らなかった…。

百村はスクッと立ち上がると無言でゾンビ村をあとにした。
その後…彼の姿を見た者は結構いた…コンビニなどでよくフラフラしていた。

【携帯から失礼いたします。今まで私のような素人をスレの一員に加えていただいて、まことにありがとうございました。そして話を掻き回してしまってホントにごめんなさい。さようなら】
335 :名無しになりきれ:2010/04/27(火) 06:22:01 0
魔族の攻撃
336 :桜井美月 ◆cVXjqnpUAQ [sage]:2010/04/27(火) 12:23:49 O
【不覚にも風邪で体調を崩してしまいました…治り次第復帰いたしますので私の扱いは適当にうっちゃっといてくださーい】
【百村さんお疲れ様でしたー。いい意味で掻き回してくれてとても楽しかったですよ。また帰ってきたら是非ご一緒できることをーノシ】
337 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/04/27(火) 23:01:56 0
>334 お疲れ様ですた。いいキャラしてましたよ〜w 気が向いたらまたいつでもどうぞ】
>336 あらら。お大事になさってください】
338 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/04/30(金) 23:32:26 0
カフェからお茶を受け取り、飲んだ百村は、とんでもない雄叫びを上げ、白目をむいてなにやら語り始めた
>「私は百の村を統べる者でした。でも統べれませんでした。あいつが邪魔したからです。あいつをやっつけて下さい。あいつが…あい…つ…が…あいつを…あいつに…あいつの…」
(村とかを守る守り神的な何かが百村に取り付いたのか?……いや…でもここってそんな歴史ある村じゃないだろうし……。
…あいつとやらが百村を妨害したんかな?あいつ…やっぱまたテロ魔族による攻撃なんだろうなぁ……えぇ…)
不思議がりつつテロ魔族の影に怯え始めた牧街の前で、百村はふらふらとどこかへ歩み去っていく
すっかり彼が歩み去った後で、牧街はあっと声を上げた
「く…車に引かれますよ!あんな調子じゃ!すぐ止めてくださいよカフェさん!」
突然の懇願に困惑して呆然としていたが、はっと我に返って百村を追ってみるも、既に彼の姿は無く
残された牧街には、最早彼の無事を祈るより他無かった
探しに行ってて日が暮れてそのせいで突入が遅れて要救助者が死んだら大変だからだ

「まぁ……とりあえず、入ってみませう」
そう言って、牧街は入口のゲートの脇に立った
…さりげなく、最初に入るのを拒んでいる


>>334
うぇ!?いなくなっちゃうんすか!?
なんかこう、いい受け返しができなくて申し訳無いっす、はい
掻き回してしまって申し訳が無い…うっ…それを言ったら双神山編の俺なんか……
またいつでももどってきてくださいね
>>336
スレの事は気にせず、お大事になすってください
でも、復帰は心待ちにしておりますゆえに、早く元気になってくださいね
339 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/05/02(日) 20:51:18 0
>334 >338
>「私は百の村を統べる者でした。でも統べれませんでした。あいつが邪魔したからです。あいつをやっつけて下さい。あいつが…あい…つ…が…あいつを…あいつに…あいつの…」
「あいつとは誰じゃ!?」
が、多くは語らずに去っていく百村。
>「く…車に引かれますよ!あんな調子じゃ!すぐ止めてくださいよカフェさん!」
「待つのじゃ! 妾と共に犬コンテストで優勝すると約束したではないかー!
なぬ? どこに消えよった!? 瞬間移動したか!?」
追いかけても見つからない事は確実である。
百村は最初に会った時も侵入経路不明だったから本当に瞬間移動したのかもしれないし
そうでなくても車と同じ速度で走る事が出来るのだ。
こうなったら無事を祈って本来の目的を続行するしかない。

>「まぁ……とりあえず、入ってみませう」
「うむ……」
恐る恐る入っていく御一行。恐怖を煽るかのようにありみちゃんが忠告する。
「そうそう、なぜかアトラクションが勝手に動き出すことがあるので気を付けてくださいね」
「廃園のはずなのに勝手に動き出すだと!?」
「例えばあんな風に」
ありみが指差した先には、異様に早いスピードで回り続けている大回転原始風水盤なるものがあった。
340 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/05/08(土) 23:26:18 0
カフェと、桜井が入り、牧街もゾンビ村の入場ゲートをくぐり、入村する
入場ゲートの金属製の床から、色の違うゾンビ村のタイルに足を踏み入れた時

                   『ここは……ヤバイ』

突然
本当に突然
第六感とかそういう物が全速力で、ほんの一瞬だけ彼にすさまじい危険信号を放った
(!!??)
今まで様々な悪霊と対峙し、その都度逃げ回ってきた牧街だったが、その時感じた危険信号ほど強い危険信号を、彼はいまだかつて感じた事は無かった
それほどまでに痛烈な危険信号だったのだが
本の、わずか一刹那に満たない時間だったため
彼はその危険信号をいつものビビリと来る時色々あったからと一蹴し、すぐにその場から逃げ去る事も、オカルトGメンに応援を要請しましょうと大声で怒鳴り散らす事もしなかった…
それが、とんでもない事態を未然に阻止できたかもしれない
最後の危険信号だったともしらずに


「えーと…明らかに霊がいるっぽい所は無視した方がいいんじゃないっすかねぇ…」
グルングルン勢いよく回る半球型のアトラクション、大回転原始風水盤を眺めながら、相変わらずひ弱な事を述べる牧街
大回転原始風水盤は中の風水盤を模したコーヒーカップ状の乗り物の数個が回転する中、ドームの中の景色が次々と変わっていくというアトラクションで
筆者は想像しただけで乗り物酔いしそうなすさまじいアトラクションだ
無論、大きなアトラクションだけに動かすには結構な電力が必要だろうに
そんな電力を霊力から変換して供給できるような怪物など、真っ向勝負で勝てるわけは無い
無視して、他のところの要救助者を先に探すべきである

というのが、牧街の意見だ
341 :名無しになりきれ[sage]:2010/05/09(日) 19:50:52 0
電気を生み出す?雷獣ってやつか
342 :桜井美月 ◇cVXjqnpUAQ [sage]:2010/05/09(日) 19:52:34 0
涙ながらに立ち去る百村の急速に遠ざかる背中を一度だけ振り返る。またどこかで出会うことになるような、そんな気がした。
そして案の定後日、夜更けのコンビニで期限切れ間近の割引になった弁当をスウェット姿で物色している最中にばったり百村と鉢合わせることになるのだが、それはまた別の話しだしかなりどうでもいいエピソードなので語られることも無いだろう。

「…ふぅん、たしかになんかイヤーな雰囲気ねぇ」
一歩踏み入れたそこはなんともいえない特有の重苦しい空気が満ちていて。ぴくりと眉をしかめるとじかに吸い込みたくないとばかりに口元を神通扇で覆いパタパタとやる。
牧街のようなある種、草食動物にも似た危機への直感こそないが一応はプロのGSの端くれ。それなりにやばさを感じ取ることぐらいはできる。
(ここの除霊ねぇ…こりゃハズレ引いたかなぁ)

>「そうそう、なぜかアトラクションが勝手に動き出すことがあるので気を付けてくださいね」
>「廃園のはずなのに勝手に動き出すだと!?」
>「例えばあんな風に」
>ありみが指差した先には、異様に早いスピードで回り続けている大回転原始風水盤なるものがあった。
>「えーと…明らかに霊がいるっぽい所は無視した方がいいんじゃないっすかねぇ…」

「まぁ、一理なくもないけどあいにくと私の仕事はここの除霊であって民間人の救出じゃないの。ここに巣食う連中の手がかりもほしいし、いきなり避けて通ってたら埒が開かないわよ」
即席共同戦線の脆さか、早くも意見が割れた。
桜井にしても決して優秀なほうではないのだが基本的に「慎重に」とか「様子を見る」とか「いのちだいじに」とかが苦手な子なのだ。ゆえに三流なのだが。
ピシリと牧街に言い放つとサッサカとコーヒーカップに足を向け…

>>333
> 「だ、誰か止めてにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

と、かなりいい感じにヘロヘロになった助けを呼ぶ声が聞こえてきた。見れば高速で回るアトラクションに人が乗っている。というかぶん回されて降りれないでいる。
「ほーら。これで目的一致よね。さ、いくわよ」
その哀れな乗客は誰あろうカフェの師匠その人。某偉いドラゴンほどではないがかなりの時間回っていたのだろう。
面識もなければその正体も知るはずもない桜井は、彼が牧街たちの目的の要救助者と判断したのだ。
とりあえず近寄るのも危険な速度に達しているので、傍にあったこのアトラクションの操作室の扉を開ける。
「えぇと、止めるには電源を切ればいいのよね。んー…せっかくだからこの赤いスイッチをぽちっと…」
いくつかある機器。もちろん操作方法など分かるわけもないので、手近にあった青と赤のスイッチのうち赤いほうを押してみる。すると――

“ギュオオオオォォォォオオォォンンン!!!”

大回転原始風水盤がうなりをあげて先ほどのさらに数倍の速度で回転を始めた!
ファミリーやカップルのためのほのぼの系アトラクションはもはや絶叫マシーン顔負けの地獄の高速モンスターだ!
ここにとり憑く霊の影響だろうか、明らかに設計の限界を超えた回転速度を叩き出している。そして
シュポォーーーン…ひゅるるる…どちゃっ
その回転の遠心力で弾き出された師匠が落下してきた。
「…まずは一名救助と。あ、これ貸しだからね?」
万事これ塞翁が馬。目を回してぴくぴくと動く師匠を顎で指すと得意満面に言ってのけた。


【少々寝込んでましたがどうにか復帰の目処が立ちました】
【またよろしくお願いしまーす】
343 :カフェ ◆YNbEhcUF/I [sage]:2010/05/11(火) 00:17:41 0
>342 おかえりー!】

>340-342
>「えーと…明らかに霊がいるっぽい所は無視した方がいいんじゃないっすかねぇ…」
「電気を生み出す……雷獣ってやつか!?」
カフェは天から降りてきた予想を言った。

>「まぁ、一理なくもないけどあいにくと私の仕事はここの除霊であって民間人の救出じゃないの。ここに巣食う連中の手がかりもほしいし、いきなり避けて通ってたら埒が開かないわよ」
「待て、危ない……なに――――――――!?」
ぐるぐる回っている猫耳美少年が目に飛び込んできた。

>「ほーら。これで目的一致よね。さ、いくわよ」
こくこく頷いて師匠救出に向かう。

>「えぇと、止めるには電源を切ればいいのよね。んー…せっかくだからこの赤いスイッチをぽちっと…」
「霊的なもので動いてるんなら電源は関係ないんじゃ……」
>“ギュオオオオォォォォオオォォンンン!!!”
「反応したッ!?」
そして師匠は凄まじい遠心力でもって外に放り出された。

>「…まずは一名救助と。あ、これ貸しだからね?」
「師匠―――!! 大丈夫か!?」

「うにゃ……乗ってみたらいきにゃり回り始めたにゃ……
何者かの力が働いているにゃ……うかつにアトラクション内に入ってはいけにゃい……!」
「悪霊の仕業かオーパーツの影響か……。
妾の勘では地図に書かれていないところに何かある気がするぞ」

歩きだして少しすると、謎の声が聞こえてきた。
「引き返せー」
「誰か何か言ったか……ぎゃあああああ! なんじゃありゃ!?」
なぜかシャドウの集団が迫ってくる。といっても見るからに一般人っぽい弱そうなシャドウだが。
「ひきかえせー」
普通シャドウは喋らないが、これは引き返せだけは喋るようだ。
「シャドウバトラーの方向から来てます!」
と、ありみちゃん。
344 :名無しになりきれ[sage]:2010/05/12(水) 00:54:26 0
乱立荒らし対策保守
345 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/05/14(金) 10:22:21 0
>>342
おかえりなさいまし

牧街の要請は桜井にぴしゃりと却下され、彼女はヅカヅカと原始風水盤へと向かっていく
「な……」
その姿に、一瞬呆気にとられた牧街だったが、すぐに我に返って慌ててその後を追い
何のためらいも無くスイッチを押し、方法に問題があるとはいえあっさりカフェの師匠を救出してしまった
それを見た牧街は…
(な・・・なんて無駄のない行動だろう!)
桜井の手際のよさ(?)に素直に感心してしまった
流石牧街、物事を深く考えない

>「電気を生み出す……雷獣ってやつか!?」
「いえ…電気というよりは、霊力を電気の変わりに流して機械を動かしているんだと思います…。恐ろしく霊力を持った奴ですよ、相手は…」
突然口調が変わって尋ねてくるカフェに、牧街は多少引きながら、とりあえず返答する

と、突然、シャドウの集団が現れ、牧街等へと迫ってきた
本来ならこんな事は絶対起こりうるはずがない
何故ならシャドウとは人間の体内にあるエネルギーを具現化させたものなのだから、誰もいない状況でひとりでに自然発生など起こりうるはずがないのだ
しかし、現にシャドウが現れ、立ち塞がっている
「これは即ち…強大な力を持つ何かがここの設備を使って擬似シャドウを大量に作って量産しているって事でしょうね…」
シャドウの群れから距離をとりつつ、己の推測を述べる牧街
相変わらず逃げ腰だ
346 :桜井美月 ◇cVXjqnpUAQ [sage]:2010/05/15(土) 11:54:42 0
>「悪霊の仕業かオーパーツの影響か……。
妾の勘では地図に書かれていないところに何かある気がするぞ」
そのとき桜井の頭からも一瞬だけぴこーんと秋葉師範よろしくケモミミが生えたような気がしたが錯覚だろう。別に彼女の正体が化け狐だったりはしない。
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ。今、オーパーツって言ったわよね?なにそれ?どういうこと?ここにまだ未発見のオーパーツがあるって言うの?」
どうやらオーパーツという単語に反応したようだ。迫り来るシャドウそっちのけでカフェに詰め寄ると小さな肩を掴みがくがく揺さぶる。
爛々と輝く目の光は一言でたとえるならそう「煩悩」

「ンフフフ…これよ。これ。オーパーツ!強力かつレアな霊力を宿すアイテム!私が捜し求めていたのはそーいうのなのよっっ!!」
オーパーツ。
しばしばその強大な力をめぐって歴史上で争いが起きたりその力に魅せられて身を滅ぼしたりした人物もいたりしたらしいが、桜井はどうもそういうほうに分類されるようだ。
まだ具体的にどんなものかも知らないうちから栄光への扉を見つけた気分になっていきなりハイである。

「ひきかえ『―すわきゃないでしょうがっっ!!』
襲い来るシャドウの横っ面を神通扇が思いっきり張り倒した。
引き返すどころか、お目当てのブツを見つけるまでは施設内をしらみつぶしにほじくり返す気満々。

>「これは即ち…強大な力を持つ何かがここの設備を使って擬似シャドウを大量に作って量産しているって事でしょうね…」
「…ふん。さっきのコーヒーカップといいこのシャドウといい、機械と相性のいい化け物でも潜んでいるのかしらね
…シャドウバトラーがアトラクションとして稼動していたころのデータを復元させた?あるいは一般人を監禁して機械に突っ込んで量産してるか…」
なんにしろこの群れの中には今のところさほど強そうなシャドウは見当たらないのが救いだが、それにしてもやや数が多い。
牧街の推測どおり後に大物が控えているなら、しょっぱなから消耗したくはないところだが。

「…って、何でか弱い女子供を差し置いてあんたが逃げ腰なわけ!?この場合前衛は人道的には男のあんたじゃないの?」
見た目は美少年のカフェの師匠、ロリータ少女のカフェもたしかにいちおうは女子供だ。ただしか弱いかは別にして。
じりじりと取り囲むシャドウの群れに牧街をぐいぐい押し出そうとしているのも人道的見地から見た配慮なのだろう。がんばれ男の子!
347 :カフェ ◇YNbEhcUF/I [sage]:2010/05/16(日) 07:39:23 0
>345-346
>「…ふん。さっきのコーヒーカップといいこのシャドウといい、機械と相性のいい化け物でも潜んでいるのかしらね
…シャドウバトラーがアトラクションとして稼動していたころのデータを復元させた?あるいは一般人を監禁して機械に突っ込んで量産してるか…」
「……だとしたら依頼者の友人が突っ込まれてるやもしれぬ! 救出にいかねば!」

>「…って、何でか弱い女子供を差し置いてあんたが逃げ腰なわけ!?この場合前衛は人道的には男のあんたじゃないの?」
さっき普通にシャドウを張り倒していた気がするが、牧街を盾にするように押し出す美月。
「これは……全部倒すのは手間じゃのう。一応やってみるか」
シャドウ達に、魅了の術を試みる事にした。
「お兄ちゃんお姉ちゃん、そんな事はやめて!すぐに助けにいってあげるから!」
普通にすると一部の人間にしか効かないこの技だが、“すぐに助けに行ってあげる”というところがポイントである。
もしも人間が突っ込まれているとしたら多少は効果があるかもしれない。
348 :名無しになりきれ[sage]:2010/05/16(日) 18:08:46 Q
そろそろ次スレだな。
349 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/05/23(日) 00:57:24 0
カフェのオーパーツと言う言葉に見入られ、目が爛々と煩悩に輝きだした桜井の様子に、牧街の頭に大きな汗が現れる
ほら、あの、たらーんって水滴の形をした
(何か燃えてる見たいだから子供のノートに書いてあった文章を信じて物好きな人がわざわざ探しに来ただけだって事は黙っておこう)
桜井のやる気に水を差し、八つ当たりされる事を恐れ、牧街は真実をとりあえず伏せておく事にする
牧街には、黒歴史ノートのオーパーツなどどうでもいい物であり、誰が取っても文句なんか無い
それよりも、さっさと要救助者を助け出して、一刻も早くこの場を逃れたい気持ちで一杯と言う、いのちだいじに全快なノン物欲思考である

>あるいは一般人を監禁して機械に突っ込んで量産してるか…」
「いえ、人間が作り出せるシャドウはどんな人間でも一体だけなはずです、えぇ
霊能力をそのまま擬人化した物なわけですから7人の要救助者が全員そこにいたとしても……ってうえぇあ!?ひいいいちょおおおおお」
そんなわけで桜井らから一歩離れたところから身の安全を守りながら戦況を眺めつつ、桜井の意見に応じた牧街だったが
桜井の手によって最前線へといざなわれるのだった
「いやでも…ちょ、あわわうぇ」
押し寄せるシャドウ達を神通杖で必死に押しとどめつつ、言葉にならない声を上げて桜井に牧街が抗議しようとした、その時
>「お兄ちゃんお姉ちゃん、そんな事はやめて!すぐに助けにいってあげるから!」
カフェが例の魅了の術を放ち、それを見たシャドウ達の動きが一瞬だけ止まった
(…やった?カフェさん何かやったのか?)
シャドウとの戦いでカフェから注意をそらしていた牧街は一々牧街まで術にかかると話が進まない事もあって魅了の術を受けず、シャドウ等が動きを止めた事に警戒しつつもまた後ずさった
その時
『引き返せ!』
『引き返せ!!』
『引き返せ!!』
先程よりもはるかに強い調子でシャドウ等がそういいながら、カフェをぐいぐいと遊園地の外へと押し出そうとし始めた
攻撃するのではない、その様子は、本当に遊園地の外へ引き返させようとしているようなのだ

「こ…こりゃ一体………!!」
突然の出来事に、牧街が面食らっていると、突如身も凍るような殺気がシャドウらの奥に現れ、カフェの師範がカフェを突き飛ばす
ほぼ同時に、シャドウらを蹴散らして飛来した2本のクナイが、カフェが今まで立っていた場所をすさまじい勢いで通過し、後ろの金属製の看板に突き刺さった
『ありゃ〜〜〜は〜〜〜〜ずれちゃった〜〜〜〜』
そして、シャドウらの後ろから、一輪車に乗った太った異様な姿のピエロが現れる
まずそのピエロは白と黒の葬式で使われる鯨幕の様な縞模様の服を着ており
同じく白黒の帽子を被った白塗り頭の目には白目が無く、まるで目の部分に深い深い窪みができたようになっている
そして最も異様なのは、目の窪みから流れる涙の様な血を筆頭に、ピエロの全身が血に染まっている事だった
『かわいいかわいい女の子供が現れたから、ボクのテントに入れてあげようと思ったんだ』
そう言いながら、虚空から巨大なナタを取り出したピエロに、牧街が声にならない悲鳴を上げる
「こ………ここここここい…………………デ………デモンサーカス……」
350 :牧街 ◆GwyfLokZWa7/ [sage]:2010/05/23(日) 01:05:18 0
あ…使い切ってしまった
しかも俺は次スレ建てられない……
とりあえず千夜万夜の方で今後の事を話し合いますので皆さん移動お願いします
351 :名無しになりきれ[sage]:2010/05/26(水) 18:48:26 0
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