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学園都市TRPG

1 :名無しになりきれ:2011/09/18(日) 15:15:33.12 0
テンプレ貼ってやろう

2 :名無しになりきれ:2011/09/18(日) 15:36:19.29 0
やりましょう

3 :名無しになりきれ:2011/09/18(日) 16:19:25.12 0
あろうほ

4 :名無しになりきれ:2011/09/18(日) 16:24:51.28 0
やろうず

5 :名無しになりきれ:2011/10/29(土) 13:13:37.43 0
あおうう

6 :リキッド:2011/10/30(日) 09:52:19.27 0
は?

7 :名無しになりきれ:2011/11/02(水) 02:18:49.48 O
統一世界歴100年。
文明は過渡期を迎え、あらゆる閉塞の果てにいつしか天変地異が起きる。
世界の異常が確認されたのは15年前にもなるだろうか?
魔力を生まれつき能力として有している。
悪魔の力に覚醒する。

デビルチルドレンと言われる種類の子供たちが続々と生まれ始めたのだ。
そして悪魔の力を当たり前のように使える事への危惧は現実のものとなり
世界各地で引き起こされる悲劇に、世界ガイア教会は一つの決定をなす。

学園都市の開設!

全てのデビルチルドレンを学園都市に集め学ばせるのだ!
己の中の悪魔を抑制する術を!

8 :名無しになりきれ:2011/11/02(水) 02:20:33.68 O
テンプレ
名前
性別
年齢
髪の色
瞳の色
容姿
備考
好きなもの
嫌いなもの
うわさ@
うわさA
魔人化後の能力
(デビルチルドレンの中には変身ヒーローのように悪魔に変わる子もいるようです)
抑えられない衝動
(デビルチルドレンは生まれつき良くない癖を持っています。例外もありです)

9 :名無しになりきれ:2011/11/02(水) 02:22:33.45 O
学園都市の周辺にはトライブ(族)と言う、学園から逃げ出し、完全に悪魔化した子供達がいます
彼等の中には仲魔を喰らい、力を増幅させ、強力な力を手に入れた者もいるみたいです

参加者の皆さんはデビルチルドレンとしてでも良いし
生徒たちを導く先生役、見守る街の住人、はたまた凶悪なトライブとして
気楽に自由に参加して下さって結構です

どうかよろしくお願いいたします

10 :名無しになりきれ:2011/11/02(水) 13:23:54.11 O
鳥も付けずキャラもださずじゃ

11 :名無しになりきれ:2011/11/02(水) 16:38:15.78 O
フィジルのパクリじゃん

12 :名無しになりきれ:2011/11/02(水) 22:29:01.27 0
フィジルの厨二バージョンみたいで面白そう

13 :名無しになりきれ:2011/11/03(木) 20:02:31.31 0
大学卒業後、楽だからってズルズルとフリーターを続けてたら
                                                        
いつのまにか三十路手前になってしまい、おまけにバイトをクビになってしまった。
                                                        
                                                        
                                                        
そんなわけで10年続けてきた一人暮らしをやめて、実家に戻ったのだが
                                                        
なにせ実家は四国という田舎である。都会以上に求人数は少ない。
                                                        
正社員はおろか、アルバイトですらなかなか見つからない。
                                                        
                                                        
                                                        
一方、3歳年下の妹は看護学校を出て、地元の県立病院で真面目に働いている。
                                                        
実家住まいだから家賃代わりにと毎月10万円を両親に渡している。
                                                        
俺は両親に無心することはあっても、実家にお金を入れるなんてしたことなかったのに。
                                                        
自分が情けなくなって、死にたくなった。
                                                        
                                                        
                                                        
そんなとき、妹が気分転換にとドライブに誘ってくれた。
                                                        
ガチ童貞の俺は妹とはいえ、女と二人でドライブするのがやけに楽しくて
                                                        
昔話やら一人暮らしの頃の話をして盛り上がっていた。
                                                        
                                                        
                                                        
それで話の流れで「おまえは結婚はしないのか? つきあってる男はいないのか?」
                                                        
と聞いたら「無職の兄が家にいちゃあ、結婚したい相手がいてもできないよ」と言われた。
                                                        
                                                        
            
「……小さい頃は俺がおまえのことを守ってやるって言ってたのに、今じゃただの邪魔者

だよな。ごめんな、ダメな兄ちゃんで……」

「でも、まぁ、二人だけの兄妹だし、いざとなったらお兄ちゃんをお婿にしてあげようか?」

そう言って笑い飛ばしてくれた妹の言葉は嬉しかった。



そして家に帰った俺は妹を犯すシーンを想像しながらオナニーして寝た。

14 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 14:24:59.45 0
いいコピペあるよお兄さん
ttp://copipe.cureblack.com/

15 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 14:58:38.67 0
>>7-9
サンプルキャラ投下希望
即興で二人ほど考えてみたけど世界観に合うのかわからん

16 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/04(金) 19:22:54.83 O
>>10
そうですね。書いてみます
>>11
フィジルは尊敬しています
>>12
ありがとうございます
>>15
サンプルです。テンプレは、すべてを埋めていただかなくても結構です

名前 シュナ・オルム
性別 男
年齢 16
髪の色 黒
瞳の色 茶色
容姿 学生服姿
備考 ストレスを溜めやすい性格。どこか影がある
好きなもの りんご
嫌いなもの 束縛
うわさ 警察官だった両親は謎のデビルチルドレンに殺されたらしい
・平常時(人間状態)の能力『物体膨脹』
一度、触れた物を任意で大きくすることが出来る
・魔人化後『オルムルム』
黒い甲殻に全身が覆われ銃撃などが効き難くなる
パンチ力は3dくらい
・抑えられない衝動
常に束縛されたくないという衝動に駆られているシュナは
学園生活に大きな不満を持っている

・魔人化は一日に一回、数分程可能だが、限界を超えると人間に戻れなくなり完全な悪魔となってしまう。
理性を失った悪魔はガイア協会によって狩られてしまうだろう

17 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/04(金) 19:25:14.36 O
◎世界観は近未来っぽい感じです。銃を売っている店もあるし、おでんの自販機もあります
世界中からデビルチルドレンを集めているせいか、
都市には神社や教会などが建てられていて文化の坩堝となっています
(あくまでも予定です)

18 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 21:05:31.00 0
しつもーん
女神転生デビルチルドレンとは何か関係あるんですかー
いや、デビチルさっぱり知らないからもしそうだったら参加しにくいなって

19 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 21:34:30.49 0
デモンパラサイトみたいな感じなのかな?

20 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/04(金) 22:27:45.61 0
名前 ニト・フーダ
性別 男
年齢 24
髪の色 錆の様な赤茶色
瞳の色 ブラウンとレッドの判りにくいオッドアイ
容姿 白衣ならぬ黒衣を纏っている。
   やや長めの髪を後ろで纏めており、無精髭を生やしている
備考 学園の体育教師 基本的に仕事に対してやる気が無い
好きなもの 美人 ナナイタ草(どくだみに良く似た性質の植物)の茶
嫌いなもの 小賢しい子供
うわさ1「『漆黒の王(ダークネスキング)』と呼ばれる、裏社会で恐れられる最強の戦闘屋」
     ……という設定で過ごしていた時期があり、その当時の事を指摘されると
     恥ずかしさで「うわあああああああ!!」となるらしい
うわさ2 彼の右の眼球は、死んだトライブのそれを移植したものである

・平常時(人間状態)の能力
『戦闘技能』
銃火器から重火器、刀剣類、徒手空拳まで、おおよそ武器と成り得る物ならば
効果的に扱う事が出来る。尚、これは能力ではなく彼が磨き上げた技術である

・魔人化後『ダエモヌム』
目視された者は、ニトの姿がその者が「最も殺したくない存在」に見える
更に、その相手は常に5秒前のニトの姿しか認識出来なくなる

・抑えられない衝動
軽度の氷食症

はいはい参加参加っと

21 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 22:56:53.66 0
相手の認識を歪めちゃう系の能力ってどうなの
正直言って最強スキルな上に加減が出来るようなものでもなさそうだけど
数分間も相手の五秒前の姿しか見えなかったら確実にぶっ殺されちゃうよね
まさかこれからの参加者全員に何らかの対策スキル持たせる訳にもいかないと思うんだけど

22 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/04(金) 23:05:06.20 0
>>21
教師だからそう簡単に生徒に負けないようにしようと思った(キリッ)
というか、そもそも能力者じゃあるまいし五秒で人は殺せないだろjk……

うん、でもおまいさんの言ってる事も一理あるとも思う
とりあえず、5秒から1秒に減衰するのはどうだい?
致命傷かと思ったら急所は外れていた的なのを実践できる感じで

23 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 23:12:17.20 0
能力者じゃないのに魔人化?
移植の影響?
ニトが対象を見たらアウトではなく、ニトの「何か」を対象が見たらの方が幅が広がりそうだよ
「何か」は秘密でいいと思う

24 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/04(金) 23:32:41.79 0
>>23
表現悩んだけどテンプレっぽいからそのまま書いた
本物の魔人化というよりは、ただ特殊能力が
発動出来るようになるって考えてくれたまえだぜ
ちなみに発動できるようになった原因は移植の影響でFA

視認遅延は自身が視界に捕らえたら
容姿誤認は他人が所持品(?)を見たら

にしようかね
身体能力は人間だから、視認遅延まできつい制約かけると即死の予感がするんよ

25 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 23:39:54.16 0


26 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 23:47:47.30 0
それ逆の方が、っていうか能力もうちょっと変えた方がいいんじゃないの?
>>16のテンプレ見てみなよ。普段の能力なんて触れたものを大きくする程度だよ

一秒間遅れて認識させるにしたって武器使いでしょ?
相手を見てからすぐに銃抜いて撃ち殺して、それくらい一秒で済ませられちゃうよね
発動したら即座に相手を殺せる可能性がある能力って、そりゃマズいと思うんだ
のっけから魔人化して戦わなきゃ即死させられるかもって能力を、本当にちゃんとコントロール出来るの?

27 :名無しになりきれ:2011/11/04(金) 23:54:43.77 0
まーまーせっかくの参加者なのに出だしから名無しが文句つけても仕方がないだろ
スレ主のシュナさんの判断一つで決まる事だからここで騒がないのがスレの為だと思う


28 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/05(土) 00:13:07.83 0
>>26
だから、おまいは銃をどんな兵器だと思ってるんだw
1秒で即死させる箇所を狙った射撃なんて無理だよ!
冴羽涼とかゴルゴ13の領域だよそれは!

あと、魔人化しないと対処できないっていわれても
こいつのこの能力は他のキャラの魔人化と同じく切り札なんだぜ
それが他キャラ未満じゃないといけないって言われるのはちと寂しい

そも、なな板のTRPGで
雑魚NPC以外の相手を即死させる
のっけから切り札全開で襲い掛かる
って発想自体がまずおかしいと思うぜい?
おまいが過去にどんな同僚と絡んだかは知らないが、
少なくとも俺はそんなロールはしたくないし、やらないつもりさ!
安心してくれ!

……けど、それでもおまいさんがどうしても不安で
憤懣やるかたないって言うなら、更に能力を縛ってもいいと思ってる

遅延の発動限界時間
その継続時間は数分ではなく5秒間のみ
容姿誤認はなし

これでどうだい?

29 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/05(土) 00:20:10.06 0
うーん、テンション上げすぎた書き込みになった気がする
一回頭冷やして能力考え直してみるかぁ……

30 :名無しになりきれ:2011/11/05(土) 00:23:26.75 0
>>28
いえ、こっちが悪かったです
そこまで言わせておいて更に文句を付けるなんて真似は出来ません
能力の縛りは最初のままでもいいと思います

でも一つだけ誤解を解かせて欲しいんです!
自分が心配したのは
「瞬殺狙いの厨ロール」ってのも勿論ありますけど
「やろうと思えば瞬殺出来るかもな能力保有者に、どうやってそれを使わせないか(中の人的な意味で)」ってのもあったんです
とは言え余計なお世話だったようで、本当に申し訳ないです

31 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/11/05(土) 11:06:04.11 0
名前 アルベ
性別 女
年齢 13
髪の色 緑の黒髪
瞳の色 鈍い赤色
容姿 矢絣の着物に袴をはいた女学生風のいでたち
    背中まで伸びる髪はきれいに切りそろえてある
備考 「おとら」という名の優麗な日本人形を常に抱いている。アルベにとって彼女は姉であり乳母であり友達である。
    アルベは終始こそこそとおとらに話かけている。おとらも非常にお喋りな性質である。
    なおアルベがおとらの声を出しているのか、人形が勝手に喋っているのか、端から見ても判断はつかない。
好きなもの 身内の者 綺麗な服や布、装飾や人形
嫌いなもの その時気に食わないもの 感動的な話
うわさ@ 生き別れの父と母をさがしているらしい
うわさA 残忍な性癖があるらしい
・平常時(人間状態)の能力
『隠線傀儡』
自分の視線に入っているものを数秒〜数十秒意のままに操る
操れる時間や精度はアルベの傀儡の技能による。慣れたものなら多少長く、複雑なことは難しく。
人間や動物など意思を持つものは睡眠、気絶など意識的に抵抗できない場合に限り、操れるときがある

・魔人化後の能力
『マノス』
人の形をしたものを魔形化して戦わせる。
生物を能力の対象と出来るかは不明。したことはないし、今後も機会はこないだろう。

・抑えられない衝動
自分の心の拠り所である人形がそばにないと、とてつもない不安に苛まれる



参加したいな。……するね?

32 :名無しになりきれ:2011/11/05(土) 13:25:29.60 0
>>30
でもニトさんの能力って肉体強化とか無いんだよね
だから生身相手なら確かにアドバンテージはあるけど
魔人化した相手だと火力不足で必殺ってわけにはいかないんじゃないか?

33 :名無しになりきれ:2011/11/05(土) 14:37:01.43 0
嫌韓厨って生きてて恥ずかしくないの?ねえ。お前の事だよ、お前の。聞いてる?                             
                                                                                
在日発見?サヨク来たー?あのねえ、俺はそう言うレベルの話してるんじゃないの。                        
                                                                                
ただ、いっつも韓国を馬鹿に・・・。え、何?言いたい事があるの?うん、じゃあ話を聞こうか。                    
                                                                             
「技術大国の日本に比べて、韓国は技術もなく手抜き上等の癖に傲慢な野蛮人w」?                         
                                                                            
「日本の素晴らしい教育で識字率は世界有数!それの比べて自称先進国のお隣はww」?                       
                                                                                 
その通り。日本は素晴らしい国だよ。それは今さら言うまでもない。                                    
                                                                   
でもさ。お前、その素晴らしい日本にする為に何かひとつでも貢献したの?                                  
                                                                     
なんかの新技術でも開発したの?製品の規格の法整備でもをしたの?教育制度もお前が作ったの?               
                                                                                
ねえ、何もしてないくせに勝手に自慢しないでくれる?キショいからさ。                                    
                                                                               
そうだ、お前なんか人に自慢できるものとかないの?地位とか、学歴とか、収入とかさ。                       
                                                                         
え?え?何も無いの?ただ、「日本人」ってのだけがアイデンティティー最後の砦?                          
                                                                             
「日本人」ってのにぶら下って生きてるだけ?えー、やめてよ。正直、「日本」も君みたいなのは邪魔なのよ ね。       
                                                                                  
確かに日本は偉いし多くの日本人も立派。彼らのおかげで日本の繁栄がある。                        
                                                                   
でもお前はそれを食いつぶしてるだけなのよね。                                        
                                                                   

34 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/05(土) 21:23:37.99 O
>>18
デビチルとは関係ありません
冒頭の文章ではフィジル魔法学園という別スレをパクっていますが、
一応はオリジナルな世界です。
デジタル・デビル・サーガなどのゲーム作品からは、少なからず影響を受けていますけど。

>>19
はい。ぐぐってみたらかなり近い世界だと思います。
ただ、何故人間が悪魔化するのかは不明というか、まだ理由が決まっていません
学園都市では、学生の日常と能力バトルが主になると思います


◎先のことはわかりませんが、このスレは四日ルールを採用したいです
レスの投稿は週一ペースくらいがちょうど良いかなと考えています
一話3〜4ターンで終了予定です。

>>20ニトさん
ありがとうございます。氷が好きなのですね?
鉄分が足りてないのかな?
能力はニトさんのさじ加減にお任せします。
よろしくお願いします!

>>30
ニトさんの能力の扱いかたは、オレも楽しみです

>>31アルベさん
ようこそおいでくださいました!
ぜひぜひ参加してください!
女の子キャラはスレに花が咲いた感じがして良いですねw

35 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/06(日) 17:21:18.37 0
オレの名は、シュナ。
名前を聞けばわかると思うが、男だ。
そして、名前を聞いても分からないと思うが、デビルチルドレンだ。
デビルチルドレン?そんなもの知らない?
いや、それはわかっている。わかってるさ。
オレだって自分が何者なのかはわかんねーんだから。

第一章『怪盗角砂糖と学園の謎』
二学期初日の昼休み。オレは第二校舎の屋上で昼食中。
フェンスの網に額を張り付かせ、水たまりの氾濫した校庭を眺めている。
夏の終わりに降り止まぬ小雨。そのせいか、少し肌寒い。
そんで今日のオレの弁当は、中身の無いジャンボおにぎりが1つ。
おかずは無い。こっちも寒いな。
まー男子高校生が自分で作っているのだから仕方ない。という事にしておいて貰おう。

36 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/06(日) 17:23:20.61 0
オレは塩味の効いたおにぎりを、震えながら野武士のように頬張っていた。すると―
――ぴんぽーんぱーんぽーん♪
と校内放送。
―ふー、ふーッ
鼻息が荒い。マイクに近づき過ぎだろ。誰だよ。
―じゅる…ずびーっ!
汚ね!鼻をすするな!

「ごきゅ。拙者の名前は怪盗角砂糖。
明日の午前0時に学園の守り神を盗むでござるぞ。
以上。怪盗角砂糖でございました」

モザイクのかかった声が学園全体に鳴り響く。
いたずらか?
明日の午前0時って今日の夜か?ん?わかんねーな。
まあいいや。

(訂正:第一章じゃなくて第一話です。すんません)

37 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/07(月) 20:45:14.93 0
参加希望です


名前  シャルル・ロッテ
性別 女
年齢  25
髪の色  ピンク
瞳の色  黒
容姿 ファンシーな魔法使い風のローブ
備考 学園の博士課程に在籍・高等部以下の生徒相手に講師もやっている。
  生徒達からは『お菓子の魔女』として親しまれている。
好きなもの  お菓子 でも一番好きなのはチーズ
嫌いなもの  誰かがトライブ化すること
うわさ@  デビルチルドレンについて研究しているらしい
うわさA  魔人化すると人格が変わり、超残虐になるらしい

平常時(人間状態)の能力
お菓子を自由に作り出す。主な戦術はパイ投げ

魔人化後の能力 『エホウマキ』
漆黒の翼が生え、髪とローブも漆黒に変化。
主な戦術は巨大な鎌を振り回しての首チョンパ。

抑えられない衝動
チーズを見ると食べずにはいられない。


38 :名無しになりきれ:2011/11/07(月) 20:54:15.64 0
デビルチルドレンの上限年齢何歳?
テンプレでは15歳くらいだと思ってたけど
それから学生の年齢枠は?

39 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/07(月) 21:03:54.62 0
>38
上ですでに24歳が出てるからあんまりこだわらなくていいのかなと思いました。
ただの学園じゃなくて学園「都市」なので各種施設が併設された大マンモス校を思い浮かべた次第です。

いずれにしても決定権はスレ主にあるので、シュナさん御判断をお願いします。

40 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/11/07(月) 21:26:55.20 0
濡れたブーツで床を擦るようにして、アルベは見知らぬ長廊下を歩いていた。
青い着物に黒袴をはいて、腕には大事そうに見事な日本人形を抱いている。
切れ長の目は涼やかな中に、ほのかな愁いといたずらっぽさをたたえていて、みずみずしい唇は白い肌に紅をさしたように鮮やかだった。
服や髪の所どころに露滴が残っており、彼女が少し動くたびに、飛んだり散ったりきらめいたりする。
窓の外は雨。目の前に続く廊下の先に、人の影はまるでない。

「なあアルベ! ここは一体何処やねん。今日は女学校行くんと違うのか?」
少女が右腕に抱えた人形が、きょろきょろと辺りを見回しながら問いかけた。
赤い着物に濃緑の帯をして、さらりとした髪を後ろで丸く結わいつけている。
肌はあくまで白く、釣り目がちの目元はぱっちりとして、煌くような黒い瞳と精巧に動くせわしない口元が、その人形をまるで生者に見せていた。
人形の声はなんとなく、人に愛嬌を感じさせる声だった。
さほど大きな声ではなかったのだが、それは廊下に反響して、先ほどまでの静寂に比べるとよく耳に残った。
しかしアルベはそういうことには、まるで関心がないように――ちらりと辺りを一瞥すると、クスリと笑った。
「それはね、おとら。私にもわからないのだけれど……」
そこまで言いかけると口を閉じて、思案げにまた視線を泳がせる。

「私にもよくわからないのだけれどね、おとら」
「うーん?」
歩みを止め、しばし逡巡の後少女は答えた。
「ここで何か……何かが始まりそうな気がするの」
「な、何かって……何?」

>――ぴんぽーんぱーんぽーん♪
その時人形と少女の会話を遮るように、チャイムが鳴った。

>「ごきゅ。拙者の名前は怪盗角砂糖。
>明日の午前0時に学園の守り神を盗むでござるぞ。
>以上。怪盗角砂糖でございました」

「……」
頓狂な放送が終ると、しんと静かになった。少女の顔色を伺うように、おずおずと人形が切り出した。
「ひょっとして……今の? 何かって……なあ、アルベ」
「予感よ。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないわ」
心持ち楽しそうに言うと、足取り軽く少女は歩き出す。
人形は眉間に皺を寄せ、物言いたげに腕組みしていた。アルベは意に介した風もなく、さらに足取りを速め

「おとら。きっとこれからわかるわ。ここが何処かも、私の予感が何なのかも……。この先はどうなっているのかしら……」
「おっ、階段あるやんか。そんなら上にも行ってみよーや! 少しは景色も変わるやろ!」
人形の陽気な声と少女の靴音が階上へ消え、廊下にまた静けさが戻った。


41 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/07(月) 22:57:11.40 O
>>37シャルルさん
よろしくお願いします!
>>38-39
上限や制限枠は無くてもよいと思いました
シャルルさんは、15年くらい前にデビチルに覚醒した、ということにしてくだされば大丈夫だと思います

デビチルの皆さんにとっては、すごく重大なことなのに適当ですいません
>>40
投稿ありがとうございます!

42 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/07(月) 23:21:25.18 0

(――あー、あー。聞こえてるか?)

(よう、くそったれな馬鹿ガキ……おいおい、お前だよ。お前の事だ
 お前が能力で俺の心を除いてるのはとっくにお見通しだ
 懲罰室に連行されたくなかったら、さっさとその気色の悪い能力引っ込めて
 まっとうに授業受けるんだな、ゴミ屑が)

かび臭い鉄筋コンクリートで囲まれた学園の一室
快適でもなく不快でもない吐き気がするような室内環境のその教室で、
白衣を黒く染めた黒衣とも言うべき衣装を纏った男が、教卓に突っ伏していた
その容姿は子供というには年月を重ねており、また今現在教卓に突っ伏して
いる事からも、この男が学生ではなくこの学園においての教師、
或いはそれに順ずるなにかだという事は容易に判断できるだろう

そう。その容易く叶う推測に間違いはなく、男は教員であった
名は、ニト・フーダ。この化物だらけの学園における「体育」の教師である

そんなニトが突っ伏していた顔を上げ、やる気のない瞳で教室内を見渡すと、
視界の中に現れるのは十数名という教室の大きさに対して少数の学園の生徒達
その誰もが皆、現在机の上の一枚の紙に必死にペンを走らせている
そして、奥のホワイトボードに水生マジックペンで書かれているのは
「補修中」の三文字
端的に言えば、現在ニトは成績不良な生徒達への補修テストの監督中なのである
そうして一通り生徒達を見渡し異常がない事を確認したニトは、
再び教卓に突っ伏し、小さくため息を吐く

(……はぁ。読心能力対策たぁいえ、毎度毎度、追試の度にこの台詞を
 内心で呟くの嫌なんだよなぁ……こっ恥ずかしいし。中学生かっつーの
 つか、なんでこの新学期初日に追試なんてやんなきゃならねぇんだよ
 ああ、なんかもの凄く帰りてぇ……業務時間さっさと終わんねーかな……)

全うな教師が教師が聞けば激怒する様な言葉を内心で呟きながら時計を見るも、
現在時刻は未だ昼。追試の終了までは残念ながら時間はまだまだある
「緊急の事態」でもない限り、生徒と共に追試の終了まで教室に缶詰になる
手はずであるニトは、今度は大きくため息をついた。と

>「ごきゅ。拙者の名前は怪盗角砂糖。
>明日の午前0時に学園の守り神を盗むでござるぞ。
>以上。怪盗角砂糖でございました」

そこで、奇妙な放送が鳴り響いた。鼻を啜る音と共に流れたのは、
紛れもない犯罪予告……のようなもの
補修中の生徒達は不可解な表情でその放送を聴いていたが、放送の終了
と共にニトがいきなり立ち上がった事で、その視線はニトに集約された

「……これは、緊急事態に違いない。俺は様子を見てくるから、
 お前らは補修テスト続けてろ。いいな」

そう言い放つと爽やかな笑顔で教室を出て行くニトの姿を見て、
補修中の学生達は全員一致でこう思ったことだろう
(ああ、サボる気だな……)
と。

これは、追試の監督を放棄したことが発覚し、ニトがこの事件の
捜査責任者を押し付けられる、少し前の出来事である

43 :ニト・フーダ ◆e5PGH3QXcA :2011/11/07(月) 23:28:31.83 0
名前 ニト・フーダ
性別 男
年齢 24
髪の色 錆の様な赤茶色
瞳の色 ブラウンとレッドの判りにくいオッドアイ
容姿 白衣ならぬ黒衣を纏っている。
   やや長めの髪を後ろで纏めており、無精髭を生やしている
備考 学園の体育教師 基本的に仕事に対してやる気が無い
好きなもの 美人 ナナイタ草(どくだみに良く似た性質の植物)の茶
嫌いなもの 小賢しい子供
うわさ1「『漆黒の王(ダークネスキング)』と呼ばれる、裏社会で恐れられる最強の戦闘屋」
     ……という設定で過ごしていた時期があり、その当時の事を指摘されると
     恥ずかしさで「うわあああああああ!!」となるらしい
うわさ2 彼の右の眼球は、死んだトライブのそれを移植したものである

・平常時(人間状態)の能力
『戦闘技能』
銃火器から重火器、刀剣類、徒手空拳まで、おおよそ武器と成り得る物ならば
効果的に扱う事が出来る。尚、これは能力ではなく彼が磨き上げた技術である

・(魔人化?)能力名『ダエモヌム』
ニトを中心として半径50m以内の「空間の色」を変化させる
色と変色の範囲は、好きな速度で好きな色に変化可能
ただし、空間が着色されても物体が見えにくくなる事はあれ、
見えなくなる事はない

例:空間の色を黒にする→風景がモノクロ写真の様に見える

・抑えられない衝動
軽度の氷食症

能力変えてみたよー

44 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/08(火) 00:30:17.56 0
>41
ありがとうございます。
皆さんよろしくお願いします!

>35
高等部以下の生徒達の、2学期初日の4時間目。
アタシは高等部の『魔力制御』の授業をしに来ていた。

「こーら、そこのキミ、起きて!」

寝ている生徒にパイ生地を投げつけると、教室が大爆笑に包まれる。
別にもしもこれが数学や英語の授業なら、いくらでも寝てもらっていい。
でもこれは悪魔の力を抑制するための重要な授業だ。
片手間の講師とはいえ自分が教えた生徒がトライブ化、なんてシャレにならない。

やがて、鐘が授業の終了を告げる。
昼休憩になりざわめき出す教室から、そそくさと出ていく少年が目についた。
この子、前から気になってたんだよね、どこか影があるっていうか。
思いたって、こっそり後を付けてみる事にした。

辿り着いた場所は、校舎の屋上。
そこで少年は、雨が降っているにもかかわらず、一人で弁当を食べ始めた。
弁当と言っても大きいおにぎりが一つ。

「アタシ達って何なんだろう、何のためにこの力を授かったんだろう――」

そう言いながら、少年の隣に座る。

「なーんてね。それがアタシの研究テーマなの。」

手のひらを広げ、さっきパイを投げた時と同じように、魔法を使う。
手の上に、苺の乗ったショートケーキが現れる。

「食べなよ、みんなには内緒だよ」

ショートケーキを少年に差し出す。
本来ならご飯にはおかずが欲しいところだが、お菓子しか出せないのだ。
15年前にアタシの中に目覚めた悪魔の力。
それは――お菓子を自在に作り出すというなんとも微妙な能力だった。

>36
>――ぴんぽーんぱーんぽーん♪

校内放送が流れ始めた。

>「ごきゅ。拙者の名前は怪盗角砂糖。
明日の午前0時に学園の守り神を盗むでござるぞ。
以上。怪盗角砂糖でございました」

「この魔境に犯罪予告なんざ只者じゃないわ。鼻息鼻水はきっと油断させるための作戦よ!」

拳を握りしめ、力説する。

「で、学園の守り神って何だと思う? 
都市の中心の祠に祀ってある悪魔の力を抑えるための”結界石”かな?
それともまさか一昔前の学園7不思議で流行ったデビル池のデッシー?」

問題はそこからだった。

45 :タサン ◆TctTVTYlDufN :2011/11/09(水) 04:17:55.73 0
名前:タサン
性別:男
年齢:205歳
髪の色:銀
瞳の色:茶色
容姿:赤色の皮ジャケット、白のパンツ、見た目の年齢は20代前半
備考:校内の開かずの間に生息する謎の男
好きなもの:冷たいもの
嫌いなもの :熱いもの
うわさ@:かつて勇敢な戦士によりその力を封印された
うわさA :自己中心的かつ粗暴
魔人化後の能力
「魔手」
完全な魔人への変身は不可能。
片腕のみ真紅の魔人の手へと変化する。
だからといって何かできるわけでもない。
多少は腕力が上がる程度。

抑えられない衝動
誰かの不幸を見たくして仕方が無い

46 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/09(水) 21:10:19.80 O
>>44
オレの隣にはお菓子の魔女、シャルル・ロッテが座っている。
こいつは男子生徒の人気者。
だが裏ではお菓子より男子が好きと噂されていて、犯しの魔女の異名をもつ女講師。
もちろんアンサイクロペディア的にだ。
それはきっと、獣臭に満ちた若い男たちが生み出した妄想に違いない。
オレはそう信じたい。

「甘い…」
ショートケーキを頬張れば、口の中は、しょっぱいのと甘いのカオス。
空腹は満たされるがストレスがたまる
でもそんなオレの様子もおいてきぼりでシャルルは力説を続けている

「しらねーよ。うぜぇんだよ」
オレは人間が嫌いだ。
近くにいるだけでストレスがたまる。
そのくせに寂しがりや。
どうしようもない奴なのだ。
オレは大股で階段の扉にむかう

47 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/09(水) 21:11:08.32 O
>>40
アルベの赤色の瞳に映った景色はなんだろう
灰色の雨雲から耳朶を打つ機械音。
雲の中でうごめく巨影は巨大な魚を想起させる

刹那、屋上に垂れ落ちる無数の紐
空に浮遊する魚影から吐き出される人影

「動くな!」
アルベに突き付けられる銃口

警察はひどく騒々しくやってきた

「学園のDエリアを全面封鎖しろ。まだ角砂糖は潜んでいるはずだ。
奴の正体は誰も知らんのだから、ネズミ一匹逃がすなよ」
オールバックの偉そうな警部が煙草を吸っている
腰には結界石で作られた刀。
魔人の体さえ一刀両断する代物らしい

ああ、オレたちはどうなるのだろう

48 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/09(水) 21:12:08.33 O
>>42
「動くな!」
階段から降りて来た警官隊が銃を構えニトの前に立ちはだかる
それを制したのはDエリアの学園長『樽間総一郎』(たるまそういちろう)
鋭い眼光に禿げた頭のつややかなこと。六十八とは誰も思うまい。
(特に女性を見る目には生々しいものがあった)
「銃をさげたまえ。彼はこの学園の体育教師だ。」
響き渡る野太い声。大きな体に太い指。
樽間は学園長であり優れた発明家であり彫刻家、それゆえに大富豪であった。
15年前に発表した『守護天使の化石』はアート業界で知らない者はいない

「しかしニト先生。君はこんなところで何をしている?
学園内に怪盗角砂糖が紛れ込んでおるかもしれんのだぞ。
考えたくはないが生徒の誰かかもしれん。
君は生徒の扱いに慣れていることだろうし
彼等を刺激しないように怪盗を見つけ出すのだ」
そう言い残すと、樽間は警官隊に守られるように建物の奥へと歩いて行った

49 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/09(水) 21:21:31.72 O
>>45タサンさん
よろしくねー


◎うまく書けませんですた。さーせんm(._.)m
動かし難いと思うのでリレー小説的に付け加えたり
場面転換もありかもです
3〜4ターンだとキツキツになりそうなので変更も予定してます

あとシュナの性格悪過ぎですね

50 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/09(水) 23:36:26.04 0
>46
>「甘い…」

「あっ食べた♪」

が――

>「しらねーよ。うぜぇんだよ」

シュナ君は逃げるように階段へと向かう。
お口に合わなかったか、それともやはり食べ合わせがまずかったか。
犯しの魔女――じゃなかった、お菓子の魔女の実力を持っても落ちないとは。
もちろんお調子者の男子生徒達が生み出したちょっとしたダジャレね。
学園エロ漫画じゃあるまいし、夜の特別授業、なんてあるわけない。

>40
>47
シュナ君を追いかけようとすると、人形を抱いた少女が階段を上がってきた。

「見慣れない顔だね、転校生かな?」

と、さも当然のごとく自然に、彼女に銃口が突きつけられる――。

>「動くな!」

「あなたたち、いきなり何なの!? その子が何をしたっていうのよ!」

>「学園のDエリアを全面封鎖しろ。まだ角砂糖は潜んでいるはずだ。
奴の正体は誰も知らんのだから、ネズミ一匹逃がすなよ」

漫画のキャラ付けのようなオールバック、仰々しい装備、結界石の刀――あ、こいつただのチンピラじゃないわ。
魔人やトライブ絡みの事件を捜査するための警察の特殊部隊――デモンスレイヤーズ。
もう事件を嗅ぎつけてきたなんてどんだけ初動が早いんだ。

「つまり……アタシ達は全員容疑者!? 真犯人を見つけるまでこのエリアから出られないってこと!?」

聞くまでも無くそのようだ。こいつはえらい事になった。

>45
敵役でしょうか!? 宜しくお願いします!

>49
了解です。どんどん場面が動いてとても楽しく絡ませてもらってますよ!
その性格も魔性の異能力もののテーマのど真ん中を突いてると思いますw

51 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/11/12(土) 02:12:46.37 0
>>47
上空から次々と降りてくる威圧的な制服の者たちは、あっというまに屋上を制圧してしまった。
「は〜?」と不思議そうに空を見上げるおとらをよそに、アルベは別段関心のない顔でぼうっとしている。

>「動くな!」
>アルベに突き付けられる銃口

「い、いきなり何やねんっ! 危ないモン持ってからに……」
アルベの抱え持つ人形が、反射的に声を上げる。
「……」
ちらり、ちらりと周囲を見回し、すっかり囲まれてしまった中に、警官隊以外の者が数人いるのを確認すると、
特に慌てる様子もなく少女は目だけを銃口に向ける。
「これホンモノかいな。脅かそう思ってもアカンでー! 今日び銀行強盗もモデルガン使う世の中やからな〜」
人形は緊迫した空気を無視するように、突きつけられた銃に触ったり、銃口を覗き込んだりしている。

>「学園のDエリアを全面封鎖しろ。まだ角砂糖は潜んでいるはずだ。
>奴の正体は誰も知らんのだから、ネズミ一匹逃がすなよ」
>オールバックの偉そうな警部が煙草を吸っている

「聞いたかアルベ、学園のDエリアやて。やっぱりここ、うちらの行くとこと違うてるみたいやね。
おい! そこの、偉そうなお前! そうお前や。ちょっと、ちょっとこっち来いや。
……この扱いはなんやねん! うちら部外者やで。善良な一般市民に対する接し方っつーのを考えろや。学校では教えてくれんかったか?
とりあえずこのアホに銃下ろさせんかいっ!」
この場の責任者らしき刑事を見つけると、人形が大声でまくし立てる。
「それはそれとして……おい、聞いとるか? ……角砂糖っちゅうのは何者やねん?
うちらそんな名前聞いたこともあらへんよ。さっきの放送かてただのアホにしか聞こえんかったし。
警察がこないにピリピリして、女子供をおどかさないかんような危険なヤツなんか?」

>>50
>「あなたたち、いきなり何なの!? その子が何をしたっていうのよ!」

自分に向けられた銃口とそれを抗議する声。その声の主を確かめるように、アルベはちらりと頭を動かした。
「そう! うちらは無実や! まだなんも悪いことしてへんねん! 姉ちゃん、そこの兄ちゃんでもいいわ、こいつらになんとか言ったってよ!」
少女の持つ人形が大げさな身振りと手振りで警官ではないらしきその場の者に助けを求める。

>「つまり……アタシ達は全員容疑者!? 真犯人を見つけるまでこのエリアから出られないってこと!?」

「容疑者〜!?」
人形がまた大げさな声をあげる。
「うちらホンマに関係ないねん! ここ学園のDエリア言うたやろ? うちら街向こうの女学院の生徒やもん!
こっから見えるかな〜。旧教会の時計塔のもう少し向こうなんやけど……。
だいたいこの街に来たのもほんの一ト月前なんよ! こないに物騒なとこやったなんてな。一度身の振り方考えなアカンよホンマに。
なー姉ちゃん、この学園はどないなってんの? もううちには何がなにやら――」
もはや誰に話しているのかすら不明瞭なほど体と顔をきょろきょろあちこちに動かしながら、人形は喋り続けている。
一方アルベは微動だにせず、じっと銃口を睨んでいた。

52 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/16(水) 00:17:27.57 O
近未来。統一世界歴100年目。

ここは学園都市。
世界中から集まるデビルチルドレンと呼ばれる特殊な子供たちを隔離し、
教育するために造られた巨大な都市。

そこの学園長、『樽間総一郎』(たるまそういちろう)が統括するDエリアでは
二学期開始早々、怪盗が犯行予告をするという珍事件が発生していた。

現在12時51分。
小雨降る学園の屋上では
犯行予告を聞きつけ駆けつけた警察の特殊部隊デモンスレイヤーズと
容疑者たちとの対峙が続いている。

53 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/16(水) 00:18:33.74 O
「ひ!!」
アルベに銃口を突きつけた警官の一人が短く悲鳴をあげた。
ただの日本人形かと思っていたものが、おもむろに銃に触ったり銃口を覗いてきたりしたからだ。

>「これホンモノかいな。脅かそう思ってもアカンでー! 今日び銀行強盗もモデルガン使う世の中やからな〜」
脅かされたのは警官隊のほうであろう。目の前で日本人形が動き回り、関西弁を喋っているのだから。
当然、部下の些細なたじろぎを察したオールバックの警部は
二本の指で挟んだタバコをキュッと吸うと、溜め息と一緒に煙を吐き出す。
彼のおとらを見つめる目は至極冷酷であった。

>「聞いたかアルベ、学園のDエリアやて。やっぱりここ、うちらの行くとこと違うてるみたいやね。
>おい! そこの、偉そうなお前! そうお前や。ちょっと、ちょっとこっち来いや。
>……この扱いはなんやねん! うちら部外者やで。善良な一般市民に対する接し方っつーのを考えろや。学校では教えてくれんかったか?
>とりあえずこのアホに銃下ろさせんかいっ!」

おとらの大声に、警部はコートを靡かせながら仁王立ち

「部外者が何故ここに?
それにお前たちが善良な一般市民だと?笑わせるな。
この世の法則から外れた化け物たちではないか。…クックク」
そう吐き捨て、天を仰ぐ警部。デビルチルドレンにとっては聞き捨てならない台詞だろう。

>「それはそれとして……おい、聞いとるか? ……角砂糖っちゅうのは何者やねん?
>うちらそんな名前聞いたこともあらへんよ。さっきの放送かてただのアホにしか聞こえんかったし。
>警察がこないにピリピリして、女子供をおどかさないかんような危険なヤツなんか?」

「あ?角砂糖をなめるなよ。奴の正体は誰も知らん。
美少年という目撃情報もあれば幼女だったという目撃情報もある。情報が交錯しているのだ。
ただ確かなことは、奴は狙った獲物は逃さない神出鬼没の大泥棒だということ。
そして今だ捕獲出来ぬのはデビルチルドレンの可能性が大ということだ。
たとえ阿呆でもデビルチルドレンなら、我々デモンスレイヤーズを出し抜くことが可能だろう。
そうは思わんか?化け物」
警部はおとらを一瞥すると、鋭い視線をアルベに向けた。

54 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/16(水) 00:20:10.58 O
今の自分達は容疑をかけられ束縛されている。
それに銃口を向けられているということは命を束縛されているという特異な状況。
束縛はこの世でシュナがもっとも嫌うこと。
溢れ出す怒りからか、彼の耳には誰の声も届いていない

「…ぅぜぇんだよ。これが警察の…大人のやり方かよ!
オレを…、オレを束縛するんじゃねぇーっ!!」
肩を震わせながら指についた生クリームを握り締める。それはシャルルにもらったショートケーキの残滓。
無意識なのだろうか。拳から溢れ出す生クリームは、いつの間にか屋上の床を真っ白く濡らしていた。

「なんだこれは!?」
異変に気付いた警官隊が一斉にシュナに銃口をむければ
同時にシュナのストレスは大爆発。
屋上が一瞬にして生クリームで包まれる。そう、それはまるで巨大な白繭。
警官隊は生クリームの津波でフェンスに押し流されている。

「ぷはっ!」
アルベが立っていた扉から校内に飛び出すシュナ。
階段の下にまで生クリームが流れ込んでいるのが見える。

「束縛されたら、オレは狂っちまう」
彼は階段を滑るように駆け降りると生クリームの足跡を残しながら逃走する。
入口付近にいたアルベはどうしたのだろうか。それはわからないし、彼は気にしない
当然シャルル・ロッテのことも。

55 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/16(水) 00:23:57.70 O
「あぼがごばば!?」
生クリームに包まれたデモンスレイヤーズ。

「うぶぼべべら〜!(く!こいつら全員確保しろ!)」
と警部が叫んだが、どこに誰がいるかもわからない
完全に頭に血が上った警部は生クリームを掻き分けながら、
何とか校内への扉を見つけ出すとほうほうのていで生クリーム地獄から抜け出した。

「ちっ!逃げられたか!?」
頭から流れ落ちる生クリームを手でかき上げながら警部は立ち尽くしている。

56 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/16(水) 00:40:10.09 O
>ニトさん
忙しいのかな?
先に投下してしまいました。ごめんねー
我ながら動かし難いフリだったかもと反省しています…


【屋上からシュナ逃走。現在の屋上は生クリームまみれです】

57 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/16(水) 01:19:17.35 0
>51-54
>「そう! うちらは無実や! まだなんも悪いことしてへんねん! 姉ちゃん、そこの兄ちゃんでもいいわ、こいつらになんとか言ったってよ!」

少女が抱くは喋る人形。その瞳は見つめると魅入られそうで、まるで心が宿っているよう。
最初はよく出来た腹話術だと思ったけど――まさか、人形自身が喋っているの?

>「うちらホンマに関係ないねん! ここ学園のDエリア言うたやろ? うちら街向こうの女学院の生徒やもん!
こっから見えるかな〜。旧教会の時計塔のもう少し向こうなんやけど……。
だいたいこの街に来たのもほんの一ト月前なんよ! こないに物騒なとこやったなんてな。一度身の振り方考えなアカンよホンマに。
なー姉ちゃん、この学園はどないなってんの? もううちには何がなにやら――」

都市には、女子生徒だけが入学を許可され、独特な文化を築いているという女学院も存在する。

「ああ、女学院の生徒だったの。住めば都ってね。慣れれば楽しいよ」

一方、少女は無言で銃口を見つめている。どこか魔力を秘めたような瞳。
気のせいだろうか、銃口が少しそれたような気がした。

>54-55
>「…ぅぜぇんだよ。これが警察の…大人のやり方かよ!
オレを…、オレを束縛するんじゃねぇーっ!!」

辺り一面が生クリームに覆われる。

>「なんだこれは!?」

警官隊はクリームの激流に押し流されていった。

「あっはははは! 自分で言ったじゃない、この世の法則から外れた化け物って。
それを忘れちゃ駄目よ〜ん。さあさあ、あいつらが出てくる前に早く逃げましょう」

少女を促して階段を下りていく。
そういえば、どうしてクリームは警官隊めがけて行って、自分たちの方には押し寄せてこなかったのだろう。
何気なくちらりと、あどけない少女の方を見た。

階段の近くの廊下で、ハゲのおっさんにぱったり会った。
Dエリアの学園長『樽間総一郎』だ。

「君達、生徒とバイト講師の分際でこんなところで何をしている?
学園内に怪盗角砂糖が紛れ込んでおるかもしれんのだぞ。
考えたくはないが生徒の誰かかもしれん。
下手に刺激して事態を悪化させないように大人しくしておくのだ。
くれぐれも首を突っ込んではいかんぞ。犯人の捕獲はニト先生に頼んであるから心配ない」

「すいませーん、分かりました」

アタシは学園長が視界から消えてから、ニヤリと笑う。

「いい? 今学園長は何が何でも首を突っ込めと言ったのよ。
何よりあの厨二病先生だけに任せておけないわ!」

そう言って、シュナ君に目配せする。
ニト先生の厨二病武勇伝は、公然の秘密となっているのだ。

58 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/16(水) 22:03:17.79 O
参加希望です!


名前 ルニキス・ベルハルト
性別 男
年齢 18歳
髪の色 赤
瞳の色 茶
容姿 髪型はポニーテール。目つきは悪い。黒いパーカーに白いジーンズが基本的な服装。
備考 遅刻、サボリの常習犯。口癖は「かったりー。」
面倒事はゴメンだと言いつつも困ってる人は見捨てられないタイプ。
好きなもの 昼寝、タバコ
嫌いなもの 説教、教師
うわさ@ 外見ほど悪い人ではないらしい
うわさA 猫に囲まれて寝るらしい
平常時(人間状態)の能力
 自分の触れた相手(又は物)に負荷をかける事が出来る。
 負荷をかける事が出来るのは最大で200kgまで。継続時間は最大で10分。
 自分の意志で負荷と継続時間を決められる。
魔人化後の能力
赤髪が銀髪に変わり、狼のような鋭い牙と爪が生える。
 視界に捉えた相手(又は物)に負荷をかける事が出来る。
 かけられる負荷と継続時間は変わらないが、視界から対象が外れた時点で継続時間が残っていても自動的に負荷は解除される。
抑えられない衝動
肉球がある生き物を見ると5分以上触らずにはいられない

59 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/16(水) 22:55:45.98 0
>>58
かったりーまけたりー。
わーい!大歓迎です。よろしくお願いします!

60 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/17(木) 02:48:27.63 0
>「いい? 今学園長は何が何でも首を突っ込めと言ったのよ。
>何よりあの厨二病先生だけに任せておけないわ!」

「たしかに…」肯くシュナ。そのとき。

「待てぃ!貴様ら!」
太い怒鳴り声を伴い、現われたのはあのオールバックの警部。
オールバックを睨みつけ、怒鳴り返すのはシュナ。

「てめぇはオレに近づくんじゃねえッ!オレは角砂糖でも黒砂糖でもねぇんだよッ!!」
怒り狂ったシュナは右手で壁に張り手をすれば鈍く響き渡る音と共に壁に亀裂が走る。
見れば壁に減り込んだ手が黒く変色しかけている。硬質化しかけている、つまり彼は悪魔化しかけているのだ。

「化け物が!本性を現したか!」
瞬間、冷たい煌き。抜刀した警部が白刃を低く構え猪突。
銀光が尾を引きながらシュナに迫る。
刹那、シュナの右手から投擲される校舎の欠片。無数のそれは巨大化し警部に激突する。
苦鳴をあげ廊下に倒れこむ警部。
それをシュナが罪悪感溢れる顔で見つめていると…

「ぴんぽーんぱんぽーん☆
拙者〜、さっきは守り神を盗むって言っちゃったでござるが
それじゃあ犯行予告にはならないでごじゃったぁ。フェアじゃないでござるね?
コホン☆でわー今からはっきりと盗むものの名前をいいますぞぉ。
えっと、それは〜、あの『守護天使の化石』でござるよー。
知ってる人は知っているかなかなぁ?じゃあにー☆怪盗角砂糖でございまひた(はあと)」

間の抜けた怪盗の校内放送。つまりはここにいる人間は全員白なのであった。

「言ったろ。オレたちじゃねえって」とシュナ。

「バカ野郎!それなら早く放送室へ行け!角砂糖はそこにいる!!
もたもたするな!ばかものがー!!守護天使の化石を盗まれたらお前たちは終わりだぞ!!」
恥かしさと流血で真っ赤な顔の警部が叫ぶ。彼は全身を複数箇所骨折していた。
もう立ち上がることも出来そうにない。

「オレに指図すんじゃねぇよ。オレは束縛されるのが大嫌ぇなんだ。
今慌てて捕まえなくってもよぉ。明日の午前0時に奴は、その化石を狙ってくんだろ?
そん時にぶっ倒せばいいってだけの話だぜ。役立たずのオールバックさんよぉ」
シュナが視線をむけると警部はすでに気絶していた。
舌打ちをしたあと、シュナはアルベに視線を移す。そして彼女の様子がおかしいことに気がつく。

「おい、お前どうした?」
廊下の奥に影があった。その影は日本人形を持っていた。

61 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/17(木) 03:01:27.76 0
すいません。どうしても挟みたかったというか
前の自分のレスで書いておけばよかったことを書いていなかったので書きました。
ごめんなさい。アルベさんが書いてたらアルベさんのレスを優先します

62 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/17(木) 21:30:09.73 0
>ルニキスさん
よろしくおねがいしまーす。

>シュナ君
もしペースを重視したいなら4日ルール廃止で順番制無しにしてしまうのも手だと思うよ。
どっちにもメリットデメリットがあるからスレ主さんの好み次第、かな。
アタシはどっちでもOKよ〜ん。

63 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/17(木) 22:29:56.83 O
飲酒と喫煙は20歳になってから、なんて事を決めた奴は一体どこのどいつだ?
20歳になった途端に酒や煙草に対する免疫が出来るのか?
答えはNO―――だろ?
それに俺はただの未成年じゃねぇ…。
普通の人間から見りゃ化け物以外の何者でもない…デビルチルドレンだ。
だから喫煙ぐらいどうって事ない。

俺はいつも通りタバコに火を点けながら1時近くに校門をくぐる。
「はぁ・・・かったりー。」
とりあえず保健室でもう一眠りすっか…。
保健室を目指し階段を登っている途中、ふざけた校内放送が響き渡る。
>「ぴんぽーんぱんぽーん☆
拙者〜、さっきは守り神を盗むって言っちゃったでござるが
それじゃあ犯行予告にはならないでごじゃったぁ。フェアじゃないでござるね?
コホン☆でわー今からはっきりと盗むものの名前をいいますぞぉ。
えっと、それは〜、あの『守護天使の化石』でござるよー。
知ってる人は知っているかなかなぁ?じゃあにー☆怪盗角砂糖でございまひた(はあと)」
・・・怪盗角砂糖?
何だかまた訳のわからん奴が出てきたな・・・。
ま、俺にゃ関係無い話か。
守護天使だか守護月天だか知らんが勝手に盗めば良いさ。
俺は保健室に向け再び歩き出す。
あと数十メートルで保健室という時に上の階から鈍い音が聞こえてきた。
何の音だ?
誰かが上でドンパチやってんのか?
それはけしからん事態だ。
これから保健室で心行くまで昼寝しようというのにドンドンパンパンされたら心地良く寝れねぇだろ。
どこのどいつだか知らんが説教しに行かなければ。

「おい、うるせーんだよコラ。俺は今から保健室で・・・」

64 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/17(木) 22:33:42.18 O
なんだよ、生徒同士でドンパチやってんのかと思ったらデモンスレイヤーズとシャルルちゃんまで居るじゃねぇか。
あっ・・タバコ・・・ま、良いかシャルルちゃんだし。
で、一体こいつはどういう状況なんだ?
デモンスレイヤーズ格好したオールバックは顔面血塗れで気絶、見たことねぇガキは右手が悪魔化しかけてる・・・。
右手が悪魔化しかけてるガキは気絶してるオールバックと別の方向に声をかけているが、誰か居んのか?
事の一部始終を見てない俺には全然理解出来ない状況だが、俺の言いたい事はただ一つ。
「何があったか知らねーけど、とりあえず静かにしてくれや。
 今から保健室で寝なくちゃならねぇからよ。それではさらばだ諸君。」
俺は言いたい事だけ言って連中に背を向ける。
これ以上この場に居ると面倒事に巻き込まれそうな気がするのだ・・・。




改めまして皆様よろしくお願いします。

65 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/11/17(木) 22:46:06.22 0
>>53
警察隊を前に人形が騒ぎ立てている。喋る人形という一種の怪異に直面した警官たちの間にわずかな動揺が走った。
件の人形は対峙した相手の驚く様に調子付いて、とても満足そうになにか取るに足りない一人喋りを続けている。
その様子をさも鬱陶しそうに睨みながら、オールバックの警部が横柄に歩み寄って来た。

>「部外者が何故ここに?
>それにお前たちが善良な一般市民だと?笑わせるな。
>この世の法則から外れた化け物たちではないか。…クックク」

上手い皮肉を口にしたと思ったのだろうか、警部が噛み殺した笑い声を上げる。
アルベと人形は顔を見合わせ、
「うちら化け物やて。恐ろしいな〜! アルベ!お前何人殺しとるんや!」
「数えてないわ」
「これから何人殺すんや!」
「たくさん殺すわ」
「悪びれんな〜・・・!確かにお前化けモンや!」
「……おとら、うるさい」
意に介した風もなかった。

>「あ?角砂糖をなめるなよ。奴の正体は誰も知らん。
>美少年という目撃情報もあれば幼女だったという目撃情報もある。情報が交錯しているのだ。
>ただ確かなことは、奴は狙った獲物は逃さない神出鬼没の大泥棒だということ。
>そして今だ捕獲出来ぬのはデビルチルドレンの可能性が大ということだ。
>たとえ阿呆でもデビルチルドレンなら、我々デモンスレイヤーズを出し抜くことが可能だろう。

「なんや、大したことわかってる訳やないんやね
アホに出し抜かれて悔しいのはわかるけど、うちらはホンマに関係ないで。犯人探しは他当たってな」

>>54-56
こちらに向けられた不思議そうな視線に気づくと、人形は相手の女性の顔を覗き込むようにしてにんまり笑った。
あるいはそう見えただけかもしれない。そもそも人形が表情を変えるだろうか?
しかし人形はそうした周囲の疑念とは全く無関係に生き生きと動き、喋り、怒り、笑っている。
いつの間にか女性のすぐ近くにいて「最近はどこも物騒でなぁ」などと世間話を一つ二つ、一方的に仕掛けていたところ、

>「…ぅぜぇんだよ。これが警察の…大人のやり方かよ!
>オレを…、オレを束縛するんじゃねぇーっ!!」

瞬く間に白いクリームが屋上を埋め尽くす。
アルベは大きな繭玉のように膨張するその流れに飲み込まれたかに見えたが、
生クリームが彼女を避けるように、逆流したり渦を巻いたりして警官隊を押し流していった。
少女はマリオネットを操るように、左手指を歪に動かしながら、傍らの女性に促されて屋上を後にした。

先ほどの惨状を尻目にして、少女の抱く人形がこっそり耳打ちする。
「アルベ・・・さっきの、力使ったんか?」
「……」
少女はそれには答えずに、着物の裾や袖にぽたぽたと付いた生クリームを指で拭って、苛立たしげに言った。
「……服が汚れたわ」

>>60
屋上から廊下に出た後、アルベはずっと一人の学生を睨みつけていた。
少女にはDエリアの学長の言葉も、屋上から追いかけてきた警部の末路も、
件の怪盗角砂糖による二度目の犯行予告も、耳に入っていなかった。
おろおろと顔色を伺う腕の中の人形さえもその時は眼中になく、ただじっと、自分の不愉快な感情の矛先を見つめている。

>「おい、お前どうした?」
先ほどからずっと自分を見つめる少女に気づいたのか、学生がアルベに声をかける。
心配そうな顔をした人形が何か少女に語りかけたが、眉一つ動かさない。
しばし二人は視線を交わす。と、不意に少女が口を開いた。
「……服が汚れたわ。まだ新しくて、気に入っていたのに」
そう言って、袴の裾についたクリームをまた拭った。

66 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/18(金) 00:24:04.08 0
>60
>「たしかに…」

「でしょー?」

>「待てぃ!貴様ら!」

再びオールバックが現れた。しつこい奴め。

>「てめぇはオレに近づくんじゃねえッ!オレは角砂糖でも黒砂糖でもねぇんだよッ!!」

シュナ君が壁に叩きつけた右手が、硬質化を始めている。
いけない、オールバックの矛先をこっちに引きつけないと。
冷酷な魔女のような笑みを浮かべ、オールバックを嘲笑う。

「一つ教えといたげる。オールバックはおでこからハゲあがっていくのよ。
将来学園長のようにハゲあがったあなたが目に浮かぶようだわ。やーいハーゲハーゲ!」

>「化け物が!本性を現したか!」

スルーされた。思いっきりスルーされた。白刃が閃く。勝負は、一瞬だった。
倒れたのは、オールバックの警部の方。
それを、シュナ君が複雑な表情で見つめている。

「……」

これが、デビルチルドレンの宿命。
デビルチルドレンの宿す魔は、自分であって自分ではないもう一つの人格のようなもの。
そのもう一つの人格に支配され尽くした時、トライブ化する――と、アタシは考えている。

そんな感傷を打ち壊すように、怪盗角砂糖の間の抜けた放送が再び流れる。
これで、アタシ達は全員白だということが立証された。
怪盗が狙っているお宝は、守護天使の化石。

「守護天使の化石――学園7不思議の一つとして聞いた事があるよ。
校内のどこかにあるという”開かずの間”に安置されているという……」

天使――伝承の中に存在する、悪魔の宿敵。清廉なる神の使徒。
開かずの間自体が眉唾ものの上に、天使の化石なんて、もちろん信じてなかったけど――
現にこうして、それを狙って酔狂な怪盗が暗躍している。
もしも、もしも本当にあるとしたら――? 研究者の血が騒ぐ。

67 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/18(金) 00:25:00.63 0
>60
>「おい、お前どうした?」

シュナ君が、少女――アルベ、と呼ばれていた――に声をかける。

>「……服が汚れたわ。まだ新しくて、気に入っていたのに」

「ごめんねー、もっと汚れないお菓子を出しとけばよかった」

>64
そこに、我がマブダチが通りかかる。

「おおーっ、ルニキス君、いいところに来た」

彼は、お堅い先生たちからは不良生徒と認識されているけどアタシはそうは思わない。
むしろいい奴。滅茶苦茶いい奴。

「はいっ、どうぞ」

シガレット(タバコの形をしたラムネのようなお菓子)を渡す。もはや挨拶代りの恒例行事。
アタシに言わせれば、飲酒と喫煙は20歳になってから、なんて注意するお堅い先生たちは野暮すぎる。
体に悪いものは何歳になっても悪いのです。

>「何があったか知らねーけど、とりあえず静かにしてくれや。
 今から保健室で寝なくちゃならねぇからよ。それではさらばだ諸君。」

何という誘い受け。わざわざ暇なのを明言するあたり、面倒事に巻き込んでくださいと言わんばかり。

「あ、ちょっと待って。保健室に一緒に寝る猫ちゃん軍団がいるでしょ、あの子達を連れてきてくれる?
服が汚れちゃった人がいるから舐めて綺麗にしてもらおう」

68 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/19(土) 00:41:11.56 0
>>66
>「守護天使の化石――学園7不思議の一つとして聞いた事があるよ。
>校内のどこかにあるという”開かずの間”に安置されているという……」

「はあ?あれはただの噂だろ。守護天使の涙に触れると普通の人間に戻れるとかよ。
そんなもんがあるんだったらとっくの昔にみんな人間に戻っているぜ。
そもそも天使なんていんのかよ。それに化石だ?誰かが石のなかからでも発掘したっていうのか?ふざけてる。
それに開かずの間だなんてよー。おめーはホントに大人なのかよ?脳みそまで生クリームで出来てんじゃねえの?」
ここまで言ってシュナは自分の異変に気がつく。
(なんでオレ…こんなに喋ってんだ)

>>65
>「……服が汚れたわ。まだ新しくて、気に入っていたのに」

「けっ!たったそれだけのことかよ!生きてりゃ汚れるんだ。野糞がまきついてるよかいいだろうが!
それとも何か?ぶちきれたオレが悪いってか?喧嘩売ってんのかこの小娘!」

>「ごめんねー、もっと汚れないお菓子を出しとけばよかった」

「そういう問題か!」
シュナは頭を掻き毟る。アルベを気にかけて損をした。真面目にそんなことを思っていた。
だから女は苦手なのだ。っていうか他人が苦手だ。そばにいるだけでストレスが溜まる。

>>63-64
>「何があったか知らねーけど、とりあえず静かにしてくれや。
 今から保健室で寝なくちゃならねぇからよ。それではさらばだ諸君。」

>「あ、ちょっと待って。保健室に一緒に寝る猫ちゃん軍団がいるでしょ、あの子達を連れてきてくれる?
>服が汚れちゃった人がいるから舐めて綺麗にしてもらおう」

来てすぐに去るル二キスにシャルルが一言。シュナは唖然とする。

「猫ちゃん軍団ってなんだよ。それに舐めて綺麗にするって、正気の沙汰かよ!?」

そしてアルベをみて…
「もう、おめー(アルベ)は女学院に帰んな。ここにいたら猫になめられるぜ。
あ?オレは開かずの間を探す。死んじまった両親がどっちも警察官だったんだ。
真実を知りたいっていう警官の血が騒ぐのさ。じゃあな。あばよ。面倒かけて悪かったな」

少女に生クリーム塗れで帰れというのも酷な話である。
シュナは痛む右手を摩りながら呟く。

「痛ぇ…やっぱ保健室に行くぜ」



69 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/19(土) 00:45:10.94 0
保健室の前まで来ると何やら室内が騒々しい。
驚いたシュナが扉を開けると怯えている猫たちとハゲ頭の学園長。
一体何をしていたんだこいつ。まさかメス猫までに手を出し始めたか?この変態学園長。

「おい、エロハゲ。開かずの間を知らねえか?」

「知らん!!だが!!杉浦太陽の塔に開かずの間などありはしない!絶対になッ!!」

(…そこにあるってことか?もうわけがわかんねーぜ)

「では、わしはこれで」
学園長は前かがみで懐に何かを隠していた。襟から三角の耳がちらり。
それは等身大の猫の石像だった。

きっと誰かが何かに気がつくだろう。

・杉浦太陽の塔
別名ウルトラの塔。全長約634メートル。
黄金に輝く謎の建造物。Dエリアの中央に位置している。
うわさ@どこかに学園長一家が隠れ住んでいるらしい。
備考・これでも学校の一部。二宮金次郎的なポジション。

(みなさん投下ありがとう)
(シャルルさん。お気遣いありがとう。
いまのところ4日ルールでいいかなあ。オレが焦ってしまうぜw)

70 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/20(日) 00:40:05.56 O
シャルルちゃんは俺の数少ない信頼出来る教師の一人だ。
もはや生徒と教師というよりダチ公…いや、マブダチと言っても過言じゃない。
>「あ、ちょっと待って。保健室に一緒に寝る猫ちゃん軍団がいるでしょ、あの子達を連れてきてくれる?
服が汚れちゃった人がいるから舐めて綺麗にしてもらおう」
一度保健室に行ってニャンコ共をここに連れてくるなんてかったりー事も、シャルルちゃんにお願いされては断るに断れん。
服が汚れちゃった人ってのは・・・あのうるせぇ人形を持ってる着物の嬢ちゃんか。
確かに言われてみりゃあちこちにクリームが・・・
>「猫ちゃん軍団ってなんだよ。それに舐めて綺麗にするって、正気の沙汰かよ!?」
そのツッコミはあながち間違いじゃない。
だが・・・
「狂気の沙汰ほど面白い・・・ってな。」
タバコを携帯灰皿に入れ、シャルルちゃんから貰ったシガレットをくわえつつ台詞をキメてやった。
>「もう、おめー(アルベ)は女学院に帰んな。ここにいたら猫になめられるぜ。
あ?オレは開かずの間を探す。死んじまった両親がどっちも警察官だったんだ。
真実を知りたいっていう警官の血が騒ぐのさ。じゃあな。あばよ。面倒かけて悪かったな」
にもかかわらずこのガキ完全にスルーしやがった。
一体どんな教育受けて育ったんだこのガキャ。
「さて、保健室に行こうぜ。俺が保健室に行ってニャンコ共連れて戻って来ても良いが、それだと時間かかるしよ。」

71 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/20(日) 00:41:35.53 O
所変わって保健室。
何やらギャーギャー騒がしいと思ったらさっきのガキとジジイの仕業か。
ってか保健室で騒ぐんじゃねぇっての。
>「では、わしはこれで」
ジジイは二言三言言葉を交わすとそそくさと保健室を出て行った。
ジジイの襟からチラッと何かが見えた気が……気のせいか?

「お前さっき開かずの間に行くとか何とか行ってなかった?
 悪魔化しかけた手が痛くて諦めたか?
 どうでも良いけど保健室で騒ぐのは止めてくれよ?
 俺にもニャンコ共にも迷惑だからな。」
ニャンコ共の肉球を触りながらガキに注意をしておく。
ちなみに俺は肉球のついてる生き物を見ると5分以上触らずにはいられないのだ。
まったく面倒な体だぜ。
気持ちいいから良いけどよ・・・。
「ほれ、ニャンコ共。あの着物の嬢ちゃんのクリームを舐めてやりな。」
ニャンコ共は一斉に嬢ちゃんに襲い掛かる。
なんというか・・色々とアレな光景だな・・・。
「さ〜て、これで良いだろシャルルちゃん?他に何か要件が無けりゃ俺はそろそろ眠りたいんだけど。」

72 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/11/20(日) 22:47:07.45 0
>>67
>「ごめんねー、もっと汚れないお菓子を出しとけばよかった」

「程度の問題じゃないわ……」
アルベは口の中でぼそぼそと不満を漏らす。
「それに、あんなに大きくて不細工なお菓子なんて、どれほどおいしくたって嫌よ」

>>68
>「けっ!たったそれだけのことかよ!生きてりゃ汚れるんだ。野糞がまきついてるよかいいだろうが!
>それとも何か?ぶちきれたオレが悪いってか?喧嘩売ってんのかこの小娘!」

「こンのクソ餓鬼――」思わず開きかけた人形の口を少女が塞ぐ。

>「もう、おめー(アルベ)は女学院に帰んな。ここにいたら猫になめられるぜ。
>あ?オレは開かずの間を探す。死んじまった両親がどっちも警察官だったんだ。
>真実を知りたいっていう警官の血が騒ぐのさ。じゃあな。あばよ。面倒かけて悪かったな」

じっと相手を凝視したまま、アルベはここまで黙って聞いていたが、
捨て台詞の言葉と共に学生が立ち去ろうとする動きに合わせて一歩踏み出すと、
思い切り相手の向こう脛を蹴り上げた。
ごちん、という鈍い音を廊下に響かせるとすぐに少女はたったか走り去って行った。
すれ違い際に「いいわ、許さないから」とささやいた声は相手に届いたかどうか。少女自身にはそれはどうでもよかった。
「好きで来たわけと違うんじゃ! お前に言われんでも帰ったるわ小僧このボケ〜!
お前みたいな切れる若モン、親の顔が見たいっちゅうねん! どうせ親御さんも草葉の陰で泣いとるやろ! 
警官ちゅうたらお前がぶちのめしたさっきの警部と同類やんけ! 笑わせんなや! せいぜい月のない夜には気ーつけーよ!
後でお前の住所調べて河原の石でも送りつけたんぞ! 覚悟しとけ〜! ばーか! ばーか!」
戒めを解かれた人形が少女の肩ごしに聞くに耐えない罵声を飛ばしていた。
少女と学生の距離が離れていくにつれてそれは次第に小さくなり、最後は聞こえなくなった。

「そんで何処行くねんアルベ。とりあえずもうこの建物に用はないやろ? 外出ようや、外」
自分の顔を覗き込む人形にちらりと目をやると、少女は「それもそうね」と答えた。

手近な窓から飛び降りて外に出てみると、なにやら黄金に輝く塔が初めて少女の目に入った。
それは随分巨大なものらしく、雲間からのぞく日の光にきらきらと塔身を輝かせていたが、
宗教施設にしては威厳がなく、記念碑にしては慎ましさがなくあまりに成金趣味的に見えて、一体何なのか彼女には理解出来なかった。
それに加えて塔が反射する日の光がとにかく目に眩しいので、少女はなんだか腹が立った。
「あれ塔やったんやな〜。壁かと思ってたわ」
「あんなに大きいのに、今まで全く気づかなかった。だからね、きっとそれほど重要なものじゃないのよ」

>>71
>「ほれ、ニャンコ共。あの着物の嬢ちゃんのクリームを舐めてやりな。」
>ニャンコ共は一斉に嬢ちゃんに襲い掛かる。

「……なに?」
「猫やんけ! 何かぎょーさんおるねんけど!」
どこからともなく現れた猫の群れが少女に擦り寄ろうとする。
少女は猫が嫌いではないが、野良猫は汚らしくて大嫌いだし、何より今、猫に抱きつかれるのはたまらなく嫌な気分だった。
猫から逃げるようにして、少女の足は自然と黄金の塔へと向かっていった。

73 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/21(月) 00:14:24.87 0
>68
>「それに開かずの間だなんてよー。おめーはホントに大人なのかよ?脳みそまで生クリームで出来てんじゃねえの?」

「ふふっ、最高の誉め言葉よ。
常識と言う名の偏見に染まり過ぎて真実が見えなくなった人の事を大人と言うのなら――ね」

神話、伝承、更には現代の都市伝説。
”いい大人”なら夢物語と一笑に付すものこそが、真実に至る大事な手がかりだ。
文明の停滞の果てに起きた天変地異――”魔”が再び歴史の表舞台に現れた意味とは――?

>「もう、おめー(アルベ)は女学院に帰んな。ここにいたら猫になめられるぜ。
あ?オレは開かずの間を探す。死んじまった両親がどっちも警察官だったんだ。
真実を知りたいっていう警官の血が騒ぐのさ。じゃあな。あばよ。面倒かけて悪かったな」

「そう言うと思ってた!」

これは、開かずの間を探す、という部分に対して。次の言葉は予想外だった。
シュナ君、両親共に死んでるんだ……。
もしかして、デモンスレイヤーズだったのかな? もしかして、トライブにやられたのかな?
何故かそんな事を思った

>70
>「痛ぇ…やっぱ保健室に行くぜ」

>「さて、保健室に行こうぜ。俺が保健室に行ってニャンコ共連れて戻って来ても良いが、それだと時間かかるしよ。」

ルニキス君は、この状況から最も効率的な解決方法を編み出した――
と言うと大袈裟だが、彼は困ってる人を放っておけないのである。
あげたシガレットもちゃんと咥えてるし感心感心。

「そうね、保健室に行きましょう」

74 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/21(月) 00:17:50.73 0
>72
三人一致で保健室に行くことになった時、アルベという少女が、シュナ君の向う脛を蹴り上げる。

「おおうっ、痛い!」

思わず、代わりに痛いと言ってしまった。
少女と人形は、元気に罵声をあげながら離れて行ってしまった。

「あ、待って! 猫ちゃんが綺麗にしてくれるから……」

>69
>71
保健室には、なぜかまたハゲの学園長がいた。
そして、にゃんこ達が異様に怯えている。

>「知らん!!だが!!杉浦太陽の塔に開かずの間などありはしない!絶対になッ!!」

「うわー、怪しいなあ、分かりやすく怪しいなあ」

開かずの間が実は、学園長の自宅だったらどうしよう。
盛り上がり最高潮で突入して、目の前で学園長の一家団欒が繰り広げられてたら全く締まらないじゃない。

>「では、わしはこれで」

「ちょっと待った、それは何!?」

学園長はそそくさと行ってしまった。裾からちらりと見えたのは猫の耳。
守護天使の化石を盗まれないように持ち歩いてるならまだしも……なぜに猫?
それにあの猫達の怯えようはまさか――。

「がびーん! にゃんこを一匹石化して連れ去った――!?」

半分はツッコミ待ちのボケだけど、半分は本気。
この学園都市では何が起こるか分からない事は、学園生活の年期が入りまくったアタシが保証する。

>「ほれ、ニャンコ共。あの着物の嬢ちゃんのクリームを舐めてやりな。」

にゃんこ達が窓から飛び出し、さっきの少女を追跡し始める。
かなりハイスペックな猫達だ。

>「さ〜て、これで良いだろシャルルちゃん?他に何か要件が無けりゃ俺はそろそろ眠りたいんだけど。」

「ええ、深夜12時の杉浦太陽の塔突入作戦に備えて寝るのよーっ、と言いたいところだけど……
あの学園長は何かあるわね。見たでしょ? さっきのにゃんこ達の怯えよう。
そうね、まずは――念のために猫が全員いるか確認しましょう!」

さすがのルニキス君も、猫の事になると寝ているわけにはいかない。
残念ながら、彼に安眠の時はまだ訪れないようだ。

75 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/22(火) 01:24:21.86 0
>「さて、保健室に行こうぜ。俺が保健室に行ってニャンコ共連れて戻って来ても良いが、それだと時間かかるしよ。」
とルニキス。
>「そうね、保健室に行きましょう」
と答えるシャルル・ロッテ。

「ちっ…勝手にしろ」
そう言ってシュナが保健室へ向かおうとしたその時だった。脛に激痛。

>「いいわ、許さないから」
「いぢぢ…何をだよ?」
脛を押さえながら片足でぴょんぴょん飛び跳ねるシュナを尻目にアルベは風のように去る。

「いってぇな…。あの根暗娘、覚えてやがれ」

*  *  *

所変わって保健室。学園長の言葉にシャルルは訝しげな顔。
ルニキスも何かしらの異変に気がついていたようだが彼は猫の肉球に夢中だ。

>「お前さっき開かずの間に行くとか何とか行ってなかった?
 悪魔化しかけた手が痛くて諦めたか?
 どうでも良いけど保健室で騒ぐのは止めてくれよ?
 俺にもニャンコ共にも迷惑だからな。」

「開かずの間には行くけどよ。手の治療が先だ。脛も痛ぇし。
それに騒ぎゃしねーよ。ニャンコたちにも迷惑はかけねー。オレは動物には優しいんだ」
ルニキスが猫とじゃれあっている間、シュナは棚から勝手に消毒液を取り出し傷口にかける。
するとシャルルが…

>「がびーん! にゃんこを一匹石化して連れ去った――!?」

「あ!?いきなりなんだよ。おまえそんなくだらねー嘘ついてまで他人の注目引きてぇのかよ?」
シュナの目は吊り上がり舌はトグロを巻いている。怒り心頭で今にも火を吐きそう。そんなイメージ。
だが何かひっかかる。親譲りの警官の血が騒ぐ。

>「ほれ、ニャンコ共。あの着物の嬢ちゃんのクリームを舐めてやりな。」
>にゃんこ達が窓から飛び出し、さっきの少女を追跡し始める。

「んな!!」

>「さ〜て、これで良いだろシャルルちゃん?他に何か要件が無けりゃ俺はそろそろ眠りたいんだけど。」

>「ええ、深夜12時の杉浦太陽の塔突入作戦に備えて寝るのよーっ、と言いたいところだけど……
>あの学園長は何かあるわね。見たでしょ? さっきのにゃんこ達の怯えよう。
>そうね、まずは――念のために猫が全員いるか確認しましょう!」

「おい!猫のやつらは外に飛び出しちまったぞ。まさか追いかけんのかよ!?」
猫達はアルベを追いかけ太陽の塔へ駆けてゆく。これは運命のいたずらか。
どこかで不思議な力が働いているとしか思えない。

76 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/22(火) 01:25:29.66 0
午後の陽射しが眩しい。いつのまにやら雨も晴れ、水たまりがキラキラと輝いている。
迫る猫から逃れ、杉浦太陽の塔にむかうのはアルベ。

――塔の入り口は自動ドアだった。それに節電のためか薄暗い。
その薄暗いなかを目を凝らして見れば君達は気がつくであろう。
ホールの壁に描かれている天使と悪魔の巨大な壁画に。

しばらくすると、どこからともなく聞き覚えのある声が響く。

「ふふふ。変わった壁画でござろう?所謂芸術ってやつでござろうか?
拙者にはよくわからぬでござるが…。
ただ拙者は思うのでござる。天使と悪魔の戦う理由はなんであろうかと。

あ、それはそうと君達は今、幸せでござるか?
もしも幸せならその幸せを不幸な人達に分けてあげたいと思ったことはないでござるか?
ん?ないのでござるか?顔にないと書いてあるような気がするでござる。
まあ、土台無理な話なのでござるが…。
だって、それは幸せではないのでござる。ただの偽り、嘘、虚像、幻想。全てはキミの錯覚にすぎないのでござる。
他人を不幸と決めつけて、君達が造り上げた虚構の城。その逆もまた然り。
可哀想で悲しくて愛しい。君達も拙者もみんな同じ。虚ろな主観で全てを決める愚者。
この世界に、真実の善も本当の悪も存在しない。
自我で決めた境界線なんて、何の役割も果たさないのでござろうな。
なぜなら君達の存在が定めた境界線が、不条理を、痛みを、苦しみを、憎しみを、侮蔑を生んでいるのでござるよ。
それは、人が存在し始めたときから続いていて、そしてこれからも続いていくのでござる。
ノアの方舟の神話や神々の黄昏にあるように、一度、虚無に還った後でさえそれは続いてきたのでござる。

それならばどうしたら、みなが幸せになれるか。答えは明明白白。負の始まりを正せばいいのでござる。
じゃあその負の始まりとは何でござろう?人は一体どこから誤りを正せばいいのでござろう。
キリストの死、最後の晩餐。或いは、ユダの裏切りか契約の箱か。それともアブラハムの誕生、楽園喪失自体が間違いだったのでござろうか。
過去の事象を完全に知り及ぶことは不可な上に人の虚ろな主観では根本を審理することは出来ないのでござる。
だから正せばいいと言いながらも正すことは出来ないのでござるよ。――人が人である限りは…」

77 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/22(火) 01:26:25.42 0
「というわけで、拙者は君達の力を借りたいのでござる。
この塔の150階『知恵の部屋』に拙者はいるゆえ、そこで合流するでござる。
拙者との遭遇は、きっと君達を新しい世界へと導くでござろうよ。
あ!それとこの塔のセキリィーシステムは狂っているから気をつけるのでござるよ」

謎の声、多分、角砂糖であろうその声はそう言った。
しかし怪盗と名乗る者の言葉を、そう簡単に信じてよいものだろうか。

チーン。沈黙を破り開くエレベーターの扉。
面白がってエレベーターに飛び込む元気な猫が一匹。
猫は隅っこの匂いを嗅いでいる。

「たくっ!なんなんだよ!」
シュナは声のする方向を睨みつけたが、角砂糖の返答はなかった。
舌打ちをしてシュナはエレベーターに乗ろうと一歩足を踏み出す。

その瞬間。ガコン!

「あ!?」
扉に挟まれるシュナ。突如上昇するエレベーター。

「うががぁ!!」
扉に固定され、エレベーター側に飛び出しているシュナの下半身と
反対に外側に飛び出している上半身が離れ離れになるのは時間の問題だろう。
果たしてシュナは、始まってすぐに死んでしまうのだろうか。

78 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/22(火) 01:31:58.89 0
セキリィーじゃなくてセキリティーですねー
ごめんなさい(汗)

79 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/23(水) 22:03:32.11 O
>「ええ、深夜12時の杉浦太陽の塔突入作戦に備えて寝るのよーっ、と言いたいところだけど……
あの学園長は何かあるわね。見たでしょ? さっきのにゃんこ達の怯えよう。
そうね、まずは――念のために猫が全員いるか確認しましょう!」
・・・・・え?
ちょっと待ってちょっと待って。
今の話だと俺が杉浦太陽の塔に一緒に付いて行く話になってるんですけど?
「あの〜シャルルちゃん、杉浦太陽の件はパスしたいんだけd・・・」
いや、そんな目をされましても・・・。
>「おい!猫のやつらは外に飛び出しちまったぞ。まさか追いかけんのかよ!?」
・・・なんでこうなるのかねぇ。
・・文句言っててもしゃあねぇか。
「分かった分かった。分かりました。行けば良いんだろ行けば。
 乗りかかった船だ、最後まで乗ってやらぁ。」
今保健室に居るニャンコ共は3匹。
全部で15匹居る筈だから、あの嬢ちゃんの所に12匹居ればOKなわけだ。
・・・そんじゃ、行きますか。

割と長いことこの学園に居るが杉浦太陽の塔に来たのは始めてなわけで・・・。
塔の入り口が自動ドアだった事に少し驚いた。
天使と悪魔の巨大な壁画をマジマジと見ていたら、さっき学園で聞いた声が響いてくる。

80 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/23(水) 22:06:34.70 O
・・・なんだか長々と訳の分からん事を言ってたが、ニャンコ共を捜しながら150階を目指せばいいわけだ。

エレベーターが開くと同時にどこからかニャンコが一匹飛び込んだ。
コイツは保健室に居たニャンコじゃねぇからノーカウントだな。
>「たくっ!なんなんだよ!」
苛つきながらガキがエレベーターに一歩足を踏み出す。
>「あ!?」
>「うががぁ!!」
エレベーターはガキの足を挟んだまま上昇しようとする。
このままじゃ上半身と下半身がお別れになっちまうとこだが・・・
「ったく・・・危ねぇガキだな。」
焦るガキの襟元を力任せにエレベーターの外へと引っ張り出す。
地面にケツを強打してジタバタしてるが、バラバラになるより良かっただろ?
「さ、気を取り直して乗り込むか・・・ん?」
エレベーターに再び乗り込もうと思ったその時、複数のニャンコ共の声とが聞こえた。

目を凝らせば少し離れた所でさっきの嬢ちゃんと騒がしい人形?とニャンコ共がじゃれあっているじゃないか。
「こんな所で何じゃれあってんだよ。」
着物のクリームは所々が所々残っているのと嬢ちゃんの疲れ具合を見ると、相当抵抗していたのが分かる。
ニャンコが嫌いだったのか?
とりあえずニャンコの数を確認する。
「・・・何度数えても11匹か。やっぱり1匹足りねぇな。」
シャルルちゃんの推測が当たっている可能性も否めない感じだな。
だとしたらジジイの目的は何だ?
ニャンコを石化して何をするつもりだ?
・・・今考えても仕方無いか。
俺は嬢ちゃんに手を差し伸べ、一つ質問をする。
「一緒に来るか?答えは聞いてない。いいから黙ってついて来な。」
こういう時は人数が多い方が何かと便利だ。
悪いが一緒について来てもらうぜ。

81 :タサン ◆TctTVTYlDufN :2011/11/25(金) 00:56:48.84 0
(開かずの間にて)

「暇だな」

この言葉を彼は何千回、いや何万回も呟いている。
何処にも扉がない、不気味な空間で男は大きく欠伸をする。
しかし、眠気は出てこない。まるで呪いのように、ここ何年も
寝てないのだ。
彼の名前はタサン。たぶんそうだろうと思っているだけで
本当は違うかもしれない。
ちなみに下の名前は忘れてしまった。

「夕日が綺麗だな。」

タサンは窓も無い場所で、爽やかな笑顔を浮かべていた。


82 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/26(土) 19:53:30.98 0
近未来。統一世界歴100年目。

ここは学園都市。
世界中から集まるデビルチルドレンと呼ばれる特殊な子供たちを隔離し
教育するために造られた巨大な都市。

現在の登場人物達は、杉浦太陽の塔に進入したデビルチルドレン達と
塔の開かずの間に眠ると噂されている「守護天使の化石」を狙う怪盗「角砂糖」。
そして保健室の猫を石化し、どこかへ持ち去ったとされるエロハゲ学園長「樽間総一郎」に
開かずの間でデビルチルドレン達を待っているであろう謎の男「タサン」の計六人(コテさんは四人)

猫の数を確認すべく塔内に進入したデビチル達は、やはり猫が一匹いないことに気がつく。

これは一体どういうことなのだろう。

※  ※  ※

物語を進める前に時は少しだけ遡り、デビルチルドレン達が杉浦太陽の塔に進入する数分前。
塔の150階。「知恵の間」に到着した学園長こと樽間総一郎は、石の猫を台座に置くと深い溜め息を吐いていた。

「角砂糖…。いったい何者だ?」
もともと杉浦太陽の塔はサグラダ・ファミリアと同じく建設に数百年の歳月を要した塔。
永遠に完成しないであろうと噂された塔を、強引に設計変更をしてまで完成させたのが
何を隠そう樽間総一郎であり、設計変更してしまったことについては今だにガイア協会で物議を醸している。

「何者かの恨みだろうか?」
心当たりがあり過ぎてわからない。虚ろな視線を移せば
円形で大きな二つの窓から差し込む光を浴び、わけのわからないオブジェが輝いている。
その鉄屑をばら撒けたようなごちゃごちゃしたオブジェの足下のプレートに刻まれている謎の文章。

金○ 玉○ 見つめあう時

閉ざされし門 開かれん

○は欠けて読めない部分。決して放送禁止用語ではない。
樽間は太い指でリモコンのスイッチを押す。すると円形の窓のシャッターが降りてゆく。
そう、まるで瞼を閉じるかのように。

83 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/26(土) 20:04:42.92 0
>>81(開かずの間)

>「夕日が綺麗だな。」
窓もなく見えないはずの夕陽を見つめタサンは微笑んでいた。
きっとそれは孤独なタサンが生み出した記憶の夕陽なのだろう。

不気味な部屋のほぼ真ん中には苦悶に満ちた天使の石像。
そう、これは守護天使の化石。
それは四つん這いの姿で、地面を掻き毟るかの如く指先を突き立てており
減り込んだ指先が、恐ろしい猛禽類の鉤爪を想起させている。

タサン以外は静寂を維持している不気味な空間。
停止した警備ロボットが数体、守護天使のまわりで眠っている。
果たしてタサンは15年前の出来事を覚えているのだろうか。
この開かずの間で起きた出来事を。

(15年前のウロ覚えな記憶の世界)

「ひいいい!もう逃げろ!あとは樽間に任せるんだ!!」
「ばかもの!それでも貴様はデモンスレイヤーか!?」
「もうダメです」
「か!変わるぞ!!」
「こ、殺せー!!今のうちに殺してしまえー!!」
「ぬわあぁゃ!!」
「う、うたっている!?」
「きゃあぁーやめてー!!」

「アハハハハーケダモノドモメー!!」

記憶の中のタサンの頬を目がけて、光り輝く謎の平手打ちが襲い掛かる。

84 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/26(土) 20:13:27.50 0
(追記しました。まだ塔のほうは動かしてないですよ〜)

85 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/26(土) 21:08:49.41 0
>>ALL
>「ったく・・・危ねぇガキだな。」
エレベーターの扉に挟まれてしまったシュナだったが、ル二キスに引っこ抜かれ助かった。
その代償として、彼は床に思いっきり尻餅をついてしまったわけだが命が助かったのだから文句は言うまい。

「いたたた!!なにしやがる、このちょんまげやろう!尻が爆発するかと思ったぜ!こんちくしょう!」
尻をさすりながら怒鳴るシュナ。一瞬、自分の体重が増加したような気がしたが、まさか…。

>「こんな所で何じゃれあってんだよ。」
「あ?」
ルニキスの見つめる先にはあの少女がいた。

「おめー帰ったんじゃなかったのかよ」
ピクミンのように引っこ抜かれた所をアルベに見られたかと思うとシュナは赤面する。

「でもよ。このエレベーターは大丈夫なのかよ。向こうに階段もあるぜ。
つっても150階も昇るのは骨が折れるだろうな。特におばさんが…」
シュナはシャルルを見たあと足下に視線を落とす。変な音がするからだ。

ワシャワシャワシャワシャワシャ…

「おい。なんだこれ!?痛ぇ!!噛まれた!!」
床に無数の蟻が這っている。セキリティーシステムとか関係なく蟻である。
それも化け物蟻が自動ドアの隙間から津波のようにどんどん入って来ていた。
通路の両端を飾っている観葉植物が蟻に喰われアっという間に崩れ落ちる。

「わああ!!」
ホールに雪崩れ込む化け物蟻に階段への道は塞がれる。

【まだアルベさんが書いてなかったとしたらこんなレスも書いてみましたので〜。
書いてたらこっちをボツにするよぉ〜】

86 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/27(日) 13:16:30.64 O
もっと気楽に書けるように四日ルール廃止しよー!
忙しい時や体調不良があるから四日ルールにしたけど、もともと立て逃げスレの廃品利用っつか
落書き垂れ流しくらいの感覚のつもりのスレだったのね
アルベさんが悩んでるのかなと思って、仮のレスを差し込んでみたんだけど余計なことでした
アルベさんごめんなさい。オラも、もっと気をつけないと…とほほ〜。
みなさんこれからもよろしくねー!

87 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/27(日) 17:49:05.59 0
>75
>79
>「おい!猫のやつらは外に飛び出しちまったぞ。まさか追いかけんのかよ!?」

>「分かった分かった。分かりました。行けば良いんだろ行けば。
 乗りかかった船だ、最後まで乗ってやらぁ。」

猫を追いかけて、なし崩し的に杉浦太陽の塔攻略が始まる――!

>76-77
>80
猫を追って、杉浦太陽の塔にやってきたアタシ達を出迎えたのは、天使と悪魔の壁画。
どこからか声が響いてくる。怪盗角砂糖の意味深な演説。

「天使と悪魔が戦う理由――それは、神に仕える者と神に刃向う者だからよ。
そして悪魔とは、神に逆らい堕天した元天使と、貶められた異教の神々――
つまり、創造主たる神そのものが争いの種になっているのよね。
正せなくて当たり前よ。世界創造の瞬間が、言うなれば負の始まり……」

>「というわけで、拙者は君達の力を借りたいのでござる。
この塔の150階『知恵の部屋』に拙者はいるゆえ、そこで合流するでござる。
拙者との遭遇は、きっと君達を新しい世界へと導くでござろうよ。
あ!それとこの塔のセキリィーシステムは狂っているから気をつけるのでござるよ」

罠かもしれないのは分かっている。それでも行くしかない。
怪盗角砂糖は、世界の根幹に関わる重要な手がかりを握っているかもしれないのだ。

「どんな罠があるか分からないわ。気を付けて行こう」

言ったそばから、シュナ君が真っ先にエレベーターに乗ろうとする。
早速はさまれて、エレベーターが上昇し始めた。

>「あ!?」

>「ったく・・・危ねぇガキだな。」

>「いたたた!!なにしやがる、このちょんまげやろう!尻が爆発するかと思ったぜ!こんちくしょう!」

間一髪でルニキス君が引っ張り出した。

「ああ、びっくりした〜! 真っ二つになるところだったのよ!」

ルニキス君が、少女とじゃれ合っている猫達を見つけ、その数を数える。

>「・・・何度数えても11匹か。やっぱり1匹足りねぇな。」

……いよいよハゲの容疑が信憑性を帯びてきた。

88 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/11/27(日) 17:49:36.69 0
>85
>「でもよ。このエレベーターは大丈夫なのかよ。向こうに階段もあるぜ。
つっても150階も昇るのは骨が折れるだろうな。特におばさんが…」

「ん? 何か言った? ……ひぃ!?」

足元で黒いものがワシャワシャしていた。

>「おい。なんだこれ!?痛ぇ!!噛まれた!!」

「蟻!? どうしてこんなに……? とにかく入り口付近に餌を撒いてせきとめましょう!」

魔力で角砂糖を生成して、入り口の前あたりへばら撒く。

>86
【了解っす! こちらこそよろしく!】

89 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/11/27(日) 22:26:53.93 0
>>76-77
黄金の塔の中、天使と悪魔の壁画を前にしてアルベは、またしても珍妙な演説を黙って聞くことになった。
「またかいな・・・。何回やんねん。二度あることは三度っちゅうけどな、仏の顔も三度やで」
人形はうんざりとした表情で耳を掻く。そしてアルベには、馬の耳に念仏だった。
彼女は目の前の壁画をぼんやりと見つめている。
彼女はふと思った。あまり意識したことはなかったけれど、天使というのも随分醜悪なのね、と。

「――なんや、何かと思えば。倫理の講義でもしたかったんかい」
怪盗角砂糖の、些か壮大な演説を聴き終わり、人形が呆れたように口を開く。
「宗教の話だったのかもしれないわ。原罪がどうとか……」
「お生憎さま! うち仏教やねん!まあ人間の罪っちゅうのもうちには関係ない話や。うちは人形やからね。
あいつはああ言うとったけど、人形の幸せまでは考えとらんやろうな〜」
人形の言葉を受けて、アルベはクスリと笑った。
「不思議なものよね、さっきの。人間の幸せとか、人間の罪とか……。
もしかして、自分がまだ「人間」だとでも思っているのかしら。とても滑稽だわ。
せっかくこの都市に来たって言うのに、結局余所ともあまり変わらない……「なり損ない」ばかりなのかしら」

>>80
塔に入って来た時は少女一人だったはずだが、いつの間にかホールに人影が増えていた。
校内で居合わせた学生二人と教師風の女、そして猫。
彼らもさっきの話を聞いていたのだろう。怒り出したり、考え込んだり、猫と戯れたり、それぞれに反応が見えた。

>「一緒に来るか?答えは聞いてない。いいから黙ってついて来な。」

こちらに差し伸べられた手を全く無視して、アルベは壁画の方へ近づいていく。
「アハハ、おもろいボケやな〜。猫がおらなんだらもうちょい笑えたかもしれんわ。これからに期待やな。修行しとき」
通りがけ、少女の人形が代わりに学生の肩をポンポンと叩いた。
「で、お前はどこに行くんやアルベ?」
「そうね、さっきの……下らないことを喋っていた男の顔、せっかくだから見て帰ろうと思うわ」

>>85
エレベーターに切断されそうになったあの男が間一髪で助けられたようだった。
少女はあまり関心はなさそうにしながらも、その一連の事態を目端に捉えていた。

>「おめー帰ったんじゃなかったのかよ」

何を思ってか照れくさそうに男が言い捨てる。
「……ねばよかったのに……」
目も合わせずに少女は呟いた。その声はあまりに小さく、周りにはよく聞こえなかったようだが、
それをしっかり聞いていた人形は「また縁起でもないことおっしゃいますなァ!」と楽しそうに笑う。
「なんで笑うの?」
少女の方は飽くまで不機嫌そうに、まだ服に残るクリームの汚れを指で擦った。

壁画のすぐ傍まで近づくと、少女はぺたぺたとあちこちに触りだした。
少女が壁画を押したり叩いたりしているのを横目に、人形は「う〜む」と難しい顔で絵を睨んでいる。

>「おい。なんだこれ!?痛ぇ!!噛まれた!!」

>「わああ!!」

叫び声に振り返ると、床が黒く波うっていた。
「アリや〜!」
人形が声を上げる。
「おいアルベ!アリや!あのアリごっつヤバそうやで・・・。あの草食うスピード!
アルベ!アルベ! お前さっきから何してんねん!」
もう半ば壁画にへばりつきながら少女は答える。
「セキュリティーが狂っているっていうの、本当みたいだから……。
エレベーターも階段も、見えているところはどうせまた別の罠があるわ。だからこの辺にきっと……」
「隠し通路でもあるっちゅうんか!? アルベ!あるなら早う見つけてーや!」

90 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/28(月) 21:07:34.31 0
>>87-88
>「天使と悪魔が戦う理由――それは、神に仕える者と神に刃向う者だからよ。
>そして悪魔とは、神に逆らい堕天した元天使と、貶められた異教の神々――
>つまり、創造主たる神そのものが争いの種になっているのよね。
>正せなくて当たり前よ。世界創造の瞬間が、言うなれば負の始まり……」

(なんか、生まれて損した気分になるぜ〜)

>「ああ、びっくりした〜! 真っ二つになるところだったのよ!」

(うるせえな!)赤面中。

>「蟻!? どうしてこんなに……? とにかく入り口付近に餌を撒いてせきとめましょう!」

化け物蟻たちはシャルルの作り出した角砂糖にむしゃぶりつくと
触角をゆらゆら動かしながら大人しくなっていく。

「初めて見たな、こんな蟻。新種かよ?」
蠢動し波打つ黒い床が次なる獲物を狙い動き出すのも時間の問題であろう。

>>89
>「……ねばよかったのに……」
アルベのつんけんとした性格は彼女の性(さが)というものか。
ルニキスは猫好きで「かったりー」が口癖。
大人のシャルルが比較的まともなのは、学園生活で自分を抑制する術を身に着けたためかも知れない。

実際学園都市では、誰も誰かを救える事なんて出来てやいない。
シャルルの道徳の授業も、聞く耳をもった生徒が自分で変わろうと思うだけのこと。
傷の舐めあいと、人のままでありたい。そんな儚い思いだけが詰まったここは砂の城。

>「隠し通路でもあるっちゅうんか!? アルベ!あるなら早う見つけてーや!」

「はあ?隠し通路だ!?仕掛けでもあるってのかよ!?」
噛み付いた蟻を潰して怒鳴るシュナ。

「つーか、おめーさっきなんつったよ?どうせ悪口だろうけどよ。
どうでもいいけど謝りな。廊下で俺の脛を蹴り上げたことをひっくるめて
まるっと謝罪しやがれ!土下座しろ土下座衛門が!まあ、あとでいいけどよ」
シュナは意外とねちっこい。懸命に壁画を叩くアルベの背に更に怒りの言葉を投げつける。

壁画には天使に悪魔に烏に兎が描かれており、兎穴の奥には何故か猫の姿。

「ん?あの壁画の猫、見覚えが。保健室にいた猫にそっくりじゃねえか?」
よく目を凝らしてみると壁画の中の猫は動いていた。なんと絵と思っていた兎穴は本物の穴。
所謂トリックアートになっており、保健室の猫たちが奥に逃げ込んでいたのだ。

91 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/11/28(月) 21:08:53.11 0
※穴に気がついて奥の魔方陣に進んだ場合

『隠し部屋のなかで』

兎穴と言っても天使と悪魔の姿がアホほど大きく描かれているのだから
現実の穴は兎どころか人間が入れるほど大きい。

奥に進めば魔方陣。移転先は150階。魔方陣の中央に立つだけでワープできる。
学園長も消えた角砂糖もこれを利用したのだろうか?
保健室の猫たちは本能からか、みんな穴の奥の魔方陣の部屋へ避難していた。
もしもキミ達がここへ辿り着いたら、すりすりされたあと脛に齧り付かれるだろう。

「にゃあああああ!!」
突如、噛み付いてきた一匹の猫から黒い翼が生えてくる。
他の猫達も悶絶しながら床を転げまわっている。気絶している猫もいる。
あろうことか猫が悪魔化しているのだ。

「るにゃきしゅぅ〜たしゅけてぇ〜」
転げまわっている猫がおもむろに喋る。悪魔化は猫に特殊な力を与えていた。
まさか人間以外がトライブ化するなどデビルチルドレンの研究者でもあるシャルルもびっくりのことだろう。
口をあわあわしながらも自制を失った魔猫は君の脛から噛み付いて離れない。

92 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/30(水) 19:18:45.63 O
・・・あれ?
何かさりげなくカッコつけたつもりだったけど普通にスルーされた?
>「アハハ、おもろいボケやな〜。猫がおらなんだらもうちょい笑えたかもしれんわ。これからに期待やな。修行しとき」
ニャンコの肉球を触りながら握手をスルーされた俺の肩を人形がポンポンしやがる。
生まれてこの方人形に慰められたのなんて今回が初めてだが、無性に腹立つなこんちくしょう。
まあ良いさ、どうせうちの学園なんてロクでもねぇ捻くれたガキが大半を占めてんだ。
いちいち腹を立ててたらキリがねぇ。
さっさとエレベーターで上を目指して・・・

>「でもよ。このエレベーターは大丈夫なのかよ。向こうに階段もあるぜ。
つっても150階も昇るのは骨が折れるだろうな。特におばさんが…」
そう言ってシャルルちゃんを見る。
「こらこらガキんちょ。シャルルちゃんをおばさん扱いはヒデーじゃねぇか。
 シャルルちゃんはまだ2ピー歳だぞ。まだギリギリ賞味期限内だ。」
そんな失敬極まりない話をしているのも束の間、災難とは重なる時はよく重なるもので・・・。
>「おい。なんだこれ!?痛ぇ!!噛まれた!!」
>「蟻!? どうしてこんなに……? とにかく入り口付近に餌を撒いてせきとめましょう!」
現れたのは大量の蟻。
シャルルちゃんが角砂糖をばらまくが大量の蟻共の前では一時凌ぎにしかならない。
階段とエレベーター、どっちから逃げるべきか・・・。
>「セキュリティーが狂っているっていうの、本当みたいだから……。
エレベーターも階段も、見えているところはどうせまた別の罠があるわ。だからこの辺にきっと……」
>「隠し通路でもあるっちゅうんか!? アルベ!あるなら早う見つけてーや!」
二択で悩んでいると着物の嬢ちゃんが新たな選択肢を導き出した。

93 :ルニキス ◆DjDhYiMdqA :2011/11/30(水) 19:21:27.89 O
確かに嬢ちゃんの言う事も最もだ。
蟻はあくまで階段かエレベーターに誘う為の布石という可能性も大いにあり得る。
こうなったら何とかして隠し扉を探すしかない。

>「ん?あの壁画の猫、見覚えが。保健室にいた猫にそっくりじゃねえか?」
そう言われて壁画のニャンコを凝視すると、何と壁画のクセに動きやがった。
そう、絵ではなく本物の穴になっていやがった。
「こっちだ!早く来い!」
それに気付くなり他の奴らを呼び寄せ、穴の中に入り込む。

穴は人間が余裕で通れる位大きかった。
蟻からの追跡を逃れ奥に進むと魔法陣がある。
魔法陣の近くに保健室に居たニャンコ共は非難していたようだ。
「無事だったみてぇだな、良かった良かっ・・てぇぇえ!!?」
すりすりしてきた一匹の肉球を触っていると急に脛にかじりつかれた。
甘噛みとかいうレベルじゃない。
本気で噛んでやがる。
>「にゃあああああ!!」
>「るにゃきしゅぅ〜たしゅけてぇ〜」
「なっ!!」
俺にかじりついているニャンコから黒い翼が生える。
オマケに転げ回っているニャンコは喋りだしやがった。
人間以外が悪魔化するなんて聞いた事ねぇぞオイ。
「ちょっとちょっと、どういう事だシャルルちゃん?
 悪魔化すんのは人間だけじゃねぇのかよ?
 もしかして歴史的大発見の現場に立ち会っちゃってんのか俺達?」
しかも脛から離れないんだけど、メチャクチャ痛いんですけど。

94 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/12/01(木) 00:18:10.59 0
>89-93
>「……ねばよかったのに……」

少女は、この学園での禁句を言い放った。幸い、シュナ君には聞こえていないみたいだ。

「冗談でもそんな事を言っちゃだめよ〜。この学園で言うとシャレにならないから!」

そして話題は、正解ルートの探索に移る。

>「セキュリティーが狂っているっていうの、本当みたいだから……。
エレベーターも階段も、見えているところはどうせまた別の罠があるわ。だからこの辺にきっと……」

>「隠し通路でもあるっちゅうんか!? アルベ!あるなら早う見つけてーや!」

「こういう時は壁画が怪しいと相場が……」

>「ん?あの壁画の猫、見覚えが。保健室にいた猫にそっくりじゃねえか?」

>「こっちだ!早く来い!」

皆の素晴らしい連携によってトントン拍子で推理は進み、隠し通路が見つかった。
穴に入って進んでいくと、魔法陣のある部屋に出た。なぜか猫達が寄り集まっている。
猫達は、アタシ達の姿を見つけるとすり寄ってきた。

「ここは危険よ、キミ達は保健室に帰りなさい――あいだだだだだ!!」

直後、アタシ達は信じられない光景を目撃する事になる。

>「にゃあああああ!!」

猫の背に生えるは、黒き翼。漆黒の悪魔の羽根!
さらに、転げまわっている猫が人語を喋る!

>「るにゃきしゅぅ〜たしゅけてぇ〜」

>「ちょっとちょっと、どういう事だシャルルちゃん?
 悪魔化すんのは人間だけじゃねぇのかよ?
 もしかして歴史的大発見の現場に立ち会っちゃってんのか俺達?」

脛を齧られながら繰り出された質問に、脛を齧られながら回答する。

「そうね。――動物が悪魔化した、という情報は現在のところ報告されていない。
ある程度の知性を持つ者でないと悪という概念も持たないから――と考えられていた。
でも根本から学説が塗り替わるわこりゃあ。
実のところ文献には動物と悪魔の関連を示唆する情報は思いっきりあるのよね。
例えば――7つの大罪を司る悪魔にはそれぞれに対応する動物が設定されている。
嫉妬のレヴィアタンは蛇、強欲のマンモンは狐、と言う風に――」

そこまで言って、悪魔学講義をしている場合ではない事に気付く。猫達を助けてやらなければ。
少なくとも喋った猫は、まだ正気が残っている。完全にトライブ化はしていないはずだ!
この猫達には餌をやった事が何回かある。
小魚スナックを生成し、ばら撒く。餌やりすれば正気に戻ってくれるかもしれないとの願いをこめて。

「アタシよ、シャルルよ。覚えてる? お願い、脛じゃなくてこっちを食べて!」

95 :アルベ ◆rB26WW9joU :2011/12/01(木) 23:36:19.15 0
>>90-94
少女は壁画に隠された穴をくぐって奥へ進んだ。
先の部屋には魔方陣と猫がいる。一見したところ、それ以外に不自然なところはないようだった。

>「つーか、おめーさっきなんつったよ?どうせ悪口だろうけどよ。
>どうでもいいけど謝りな。廊下で俺の脛を蹴り上げたことをひっくるめて
>まるっと謝罪しやがれ!土下座しろ土下座衛門が!まあ、あとでいいけどよ」

「ホンマ女々しいやっちゃな〜。事の発端はお前にあるんやで。自分、そんなん言うて恥ずかしくならんの?」
後ろからうるさいくらいに聞こえる批難の声に耳を掻き掻き、人形が答える。
「土下座衛門……だって。おとら、どんな意味なのかしら」
「知ら〜ん。あいつの名前と違うかな」
「ふうん……。土下座衛門……」

>「冗談でもそんな事を言っちゃだめよ〜。この学園で言うとシャレにならないから!」

「……耳がいいのね」
ちらっとシャルルの方に顔をやり、向き直ってまたつぶやく。
「私、冗談は言わないわ」


「それで、あの魔法陣に乗ればいいの?」
人形に問いかけながら少女が床の文様に近づいていく。

>「にゃあああああ!!」

>「るにゃきしゅぅ〜たしゅけてぇ〜」

部屋をうろついていた猫たちが突然もがき苦しみながら人語で助けを求めて来た。
あるものは翼が生えるなど、姿形にまで異常をきたしている。
「うわっ、猫が喋った! 何やねんこいつら・・・バリキモいわ!」
「そういうこと、あなたが言う?」
眼前の怪異に驚く人形と対照的に、アルベは落ち着いた顔で猫たちを観察していた。
「翼の生えた猫……。旧暦時代にも、世界各地でいくつか目撃例はあるはずだけれど。
おとら、そんなに珍しいものなの?」
「う〜ん・・・まあ、うちも見たことは無かったんやけど・・・。
動物のナリした悪魔や妖怪なんて腐るほどおるし、翼猫自体はそんな大したやつとちゃうで。
けどなぁ、こいつらの場合は目の前で変異してるみたいやし・・・」
少女の問いに答える人形は、やはり猫たちの不気味さに顔をゆがめている。
「何が原因なのだと思う?もしかしてあの魔法陣?」
「いや、あれはただの転移魔法やろ。近世の儀式魔術っぽいからもしかしたらあれやけど、見たとこヤバイ感じではないよ」
「……だとしたら何が問題なのかしら。この塔?」
「今んとこ何とも言えんなぁ。この街におるくらいやから、こいつらがもとから翼猫だったとしても、うちは驚かんけどな」

>「アタシよ、シャルルよ。覚えてる? お願い、脛じゃなくてこっちを食べて!」

アルベと人形が事態を分析しているその一方で、女教師が猫たちを助けるべくお菓子をばら撒いている。
それを横目に少女と人形は顔を見合わせた。
「うちらどうする?」
「そうね。特に障害は無いようだし、先に進もうと思うのだけど」
「まあ〜・・・ちょっっっとだけ猫が邪魔やけどな」
「転がってるだけなら邪魔じゃないわ。邪魔してきたら……」
言いながら少女は魔法陣に近づいていく。
「せやなぁ。羽生えて苦しんでんなら、もいでやったら治るかもしれんもんなァ」
少女はその後を言わなかったが、人形は少し口元をにやけさせた。

96 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/03(土) 20:11:39.82 0
>「ホンマ女々しいやっちゃな〜。事の発端はお前にあるんやで。自分、そんなん言うて恥ずかしくならんの?」
「恥かしいも糞もねーよ!発端なんて忘れたぜ。ばかやろ」

>「土下座衛門……だって。おとら、どんな意味なのかしら」
>「知ら〜ん。あいつの名前と違うかな」
>「ふうん……。土下座衛門……」
「は?んな名前つける親がいるわけねーだろ!オレの名前はシュナ・オルムだ!
おめーこそイッコクドウとかそんな名前じゃねーだろうな不気味んちゃんよー」
アルベを睨みつけたものの彼女は知らん顔。

>「何が原因なのだと思う?もしかしてあの魔法陣?」
>「いや、あれはただの転移魔法やろ。近世の儀式魔術っぽいからもしかしたらあれやけど、見たとこヤバイ感じではないよ」
>「……だとしたら何が問題なのかしら。この塔?」
>「今んとこ何とも言えんなぁ。この街におるくらいやから、こいつらがもとから翼猫だったとしても、うちは驚かんけどな」

「ふーん。あの魔方陣で転移できるのかよ」

>「そうね。――動物が悪魔化した、という情報は現在のところ報告されていない。
>ある程度の知性を持つ者でないと悪という概念も持たないから――と考えられていた。
>でも根本から学説が塗り替わるわこりゃあ。
>実のところ文献には動物と悪魔の関連を示唆する情報は思いっきりあるのよね。
>例えば――7つの大罪を司る悪魔にはそれぞれに対応する動物が設定されている。
>嫉妬のレヴィアタンは蛇、強欲のマンモンは狐、と言う風に――」

「頭いいな。ボケた顔してっけどな」
悪魔講義をしているシャルルに、両足の脛を齧られながらシュナは言う。

>「アタシよ、シャルルよ。覚えてる? お願い、脛じゃなくてこっちを食べて!」
「むにゃ!?にゃにゃにゃむむぐもぐもぐ」
猫たちは脛ではなく小魚スナックを一心不乱に食べはじめた。

「うひゃ!大成功だぜシャルル先生。
これならルニキスの旦那も保健室で安眠できるぜー」
シュナは嬉しそうに魔方陣の中央に立って先に進む。

97 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/03(土) 20:12:22.34 0
「なんだこれ!?あやしいぜ!また罠とかあるんじゃねーのか?つーか怪盗角砂糖はどうした!?」

君達が魔方陣でワープしたら目の前には長い廊下があるだろう。
廊下を抜ければ部屋にでる。部屋には西洋の鎧や古時計。ずらりと並ぶ本棚と巨大な鏡が数枚。
部屋の奥にはエレベーターの扉があり、ここが150階ということがわかる。
窓から首を出せば人型をした杉浦太陽の塔の鼻の先が見える。
部屋の中央のテーブルにはワインとチーズ。もみ消された樽間の葉巻。
奥には子供部屋があり人形や玩具で溢れかえっているが使われていないのかどれも皆埃っぽい。
ネズミがちょろちょろと顔を覗かせているのも見える。

ここで君たちはいくら探しても「扉」と呼べるものを見つけることが出来ないだろう。
しかし誰かが気付くかもしれない。大きな鏡の一枚が自分の姿を映さないということに。
それは鏡ではなく。対称に造られたもう一つの部屋。
その部屋に入り奥の扉を開けると狭い通路に古めかしい鉄巨人がいる。
それは狂った警備ロボットであった。特定の人物以外をやっつけるのだ。
鉄巨人は動きは鈍いが顔から網を飛ばし捕獲し、巨大なピコタンハンマーで君たちを叩き潰すであろう。
そして君を捕獲したあとロープでぐるぐる巻きに縛りあげ窓から投げ捨てるのだ。
鉄巨人の力は凄まじく捕まってしまったら普通の人間にはどうしようも出来ないことだろう。

選択@
部屋で寛ぐ
チーズをねらって魔ネズミが襲いかかってくる。
「ちゅー!」
選択A鏡が入り口になっていることに気がつき進む。
「ガオーン!」
扉を開けると鉄巨人。口からネットを吐いてくる。
選択B自由
選択の自由

98 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/03(土) 20:23:15.59 0
右脳の部屋から左脳の部屋へ移動して
奥の扉を開けて通路の鉄巨人を倒すか逃げるかどうにかしたら
通路の奥に扉があります。
そこが知恵の部屋です。樽間がいる部屋です。でも今は樽間はいません。

知恵の間を開けたら、閉まった大きな丸い窓が二つ。中央に謎のオブジェ。
床のプレートに

金○ 玉○ 見つめあう時

閉ざされし門 開かれん

と記されています。○は傷ついて読めなくなっている箇所です。

99 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/04(日) 02:04:36.27 0
テンプレ
名前 トム・ジリノフスキー
性別 男
年齢 16
髪の色 金
瞳の色 青
容姿 学生服姿、線目、中肉中背
備考 野次馬根性が強い、が、人に迷惑をかけるのが嫌い
好きなもの ゲーム
嫌いなもの 痛い事
うわさ@ 大した実力もないのに色々な事に首を突っ込んでは痛い目にあっているらしいが、全く懲りない
うわさA しかし「関わるからには何かしろ役に立とう」と言う変な使命感があり、邪魔にはならない…のか?
うわさB タンクローリーが間近で爆破する大事故に巻き込まれるが、黒焦げになっても生きており、翌日には完治した
能力:傷の治りが恐ろしく早い、致命傷を受けると自動的に魔人化し、傷を修復する
抑えられない衝動 怪事件や厄介事を見ると周りに迷惑がかかるのがわかっていても関わりに行ってしまう

100 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/04(日) 03:04:56.29 0
えーっと、俺何してたんだっけ?
あーそうだそうだそうだそうだ
妙な放送が昼休み中に聞こえてきて、うおっしゃーーー事件ダーーーと意味も無く興奮したんだ、うん

嫌だねー、性って奴は、何か事件ーーとか怪奇ーとか厄介ごとーとか言うと俺と全く関係なくて何もできなくても不思議とうきうきして抑えが効かなくなって、いつの間にか関係者に迷惑かけてる
人様にめーわくをかけるってのは嫌いだよあたしゃ、人から嫌われるより好かれて生きてる方が楽しいからねぇ
うん

あ、話がそれたなえーっと、そうそう、それで浮かれて走り回ってたら学園長が慌てて変な穴に入っていくのが見えて…

そうそうそうだ、面白そーだとよせばいいのに俺は後を追いかけて、妙な穴から転移魔方陣を発見
嬉嬉として園長が魔方陣の向こうへ行って、更に去っただろう位の時を見計らって後を追って転移魔法陣に乗ったら妙な部屋で
「おお!鑑と思ったら隠し部屋への入口が!」
と鑑の向こうの部屋に直行して、ドア開けたら変なロボがいて…
網を避けたところまでは良かったんだけど…

…あぁ、そうだ、そんでハンマーで頭を砕かれたんだ

ピコタンハンマーで砕かれて脳みそが飛び散った頭をさすりながら、俺はよろよろと立ち上がり、慌てて入ってきた扉の向こうへ逃げる
生命反応が停止した相手には反応しないらしいロボットが生き返った俺を元いた位置からすぐさま再度攻撃しようとするが、その前に俺は元の部屋へ戻ってしまう

ここはデビルチルドレンなる異能者を隔離する学校…そして俺の能力は見ての通り、超再生能力
頭が吹き飛んでも平気で再生するっつー見てるほうもやってる方も不気味極まりないとんでも能力だ…

しかしまぁ、普通なら身についたら結構狂いそうなこんな能力でも、ここの偉い先生の話しでは過去に結構事例もあるらしく
現に俺の同級生連中にも似たような能力の奴が何人かいたりするから別にとんでもない能力ってわけでも…

いやこんな話はいいか、さてこれからどうしよう
とりあえず、学園長何してんだーーーーーーー見てーーーーーって言うのが俺の中でぐわーーーっと湧き上がっててまたすぐ扉の向こうに行きたいのだが、あんなロボは俺の力ではどうしようも無い
でも学園長何してんだーーー角砂糖って何だーーーー見てーーーー
うおーーー

っと俺が性に一人で悶絶していると、鑑に見せている「こっちの部屋」への入口の向こうに、複数名の人の気配が立った。

…ヤバイ!
俺はとっさにその辺に思わず身を隠す
相手は角砂糖討伐にやってきた警官隊か、はたまた角砂糖の仲間か
とりあえず俺に友好的な人間では常識的に考えて無いだろう
こんな昼休みに野次馬根性に駆られて危険地帯に突っ込んでいく馬鹿など、警察に見つかれば連れさらわれて厳重注意
角砂糖の仲間なら俺がトライブ化するまで殺しまくられるに決まってる

しかし身を隠してどーする
一応向こうから見えない場所とはいえこのままでは見つかるのは時間の問題だ…

もう一度ロボットと戦うか?
いや…でも痛いの嫌だしな…

むむむ…

【よろしくお願いしてよろしいでしょうか?】

101 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/04(日) 16:13:38.33 0
塔の入り口に溢れている化け物蟻の群れは角砂糖(本物の甘い)を巣に運ぶために地中に帰りました。
悪魔化しかけた猫達も小魚スナックを食べて眠たそうにしています。でも羽根は生えたままです。
それに追加して子供部屋には埃を被ったPCのようなものがあります。近未来のPCです。
キーボード代わりの水晶に触れると意志の力で操作できるという直感型の少し変わった代物です。
悪魔の力を持つ皆さんならもしかしたら有効に使えるかもしれません。
何かの伏線になるかならないかはわかりませんが一応お伝えしておきます。

>トムさん
大歓迎です。よろしくお願いします!

102 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/12/06(火) 23:56:03.74 0
>95-96
>「せやなぁ。羽生えて苦しんでんなら、もいでやったら治るかもしれんもんなァ」

まな板の上に乗せられ、包丁で羽を削ぎ落とされようとしている猫を想像する。

「――ごくり。最終手段はそうなるかもしれないね」

が、幸い猫達は小魚スナックに食いついた。

>「うひゃ!大成功だぜシャルル先生。
これならルニキスの旦那も保健室で安眠できるぜー」

「ふふっ、ざっとこんなもんよ!」

と、言いながらある事に気付く。
もしかしてシュナ君が初めてアタシの名前を呼んだ&先生と呼んだの!?

>97
魔法陣で転移した先は長い廊下。しばらく歩くと部屋に出る。
部屋の中央に置いてあるものは――

「チーズだあ!」

一目散にチーズに駆け寄る。
こんな所に置いてあるチーズなんて怪しい、そんなことは分かっている。
チーズを見ると食べずにはいられない、それがデビルチルドレンとしての性癖なのだ。

「いただきまーす!」

チーズに手を伸ばした瞬間――

>「ちゅー!」

魔ネズミが襲い掛かってきた!
チーズを取られそうになってお怒りの魔ネズミに追いかけられ、部屋の中を走り回る!

「キャーーーーーーー!!」

>100
走り回っている間に、いつの間にか部屋の左右が逆になったような気がする。
さらに、さっきは無かった扉があって、扉の向こうがやたら騒がしいような気もする。

【>トム君 いらっしゃい! よろしくね】

103 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/12(月) 01:58:42.37 O
シャルルはチーズを食べようとして魔ネズミに追いかけられて、鏡と思われた入口へ飛び込んだ

「おまえ、非常識すぎるぜ。ふつう人んちのチーズを喰うかよ?食いしんぼう」
シュナもシャルルに続き、部屋の中に入ると奥の扉が騒がしい
何かと思い扉を開けると鉄巨人がドシンドシンとこっちに来たので慌てて扉を閉める

「なんだ今の。ちくしょー。先に進むにはアイツをどうにかしねーとダメっつうことか。
おい、嬢ちゃんにルニキスの旦那、なんかいい方法はねーか?
ん?どこいった?帰っちゃったのかよ?しゃあねぇなぁ」
ぽりぽりと頬をかくと、扉を少しだけ開けて鉄巨人を観察する
ハンマーにはべっとりとトムの血がついている
床にも血のあと。

「まじか。誰か潰されちまってたみてぇだな。死体はねーけどよ。まさか角砂糖じゃねぇだろうな。
まあ動きも鈍そうだし、駆け抜けたらそのまま向こうがわの扉に辿り着けるんじゃねぇの?」
どきんどきんと親譲りの警官の血が騒ぐ。
シュナは鉄巨人に疾駆する。
そして振り落とされるハンマーの前で急ブレーキ。
風圧だけが髪をかきあげ、ハンマーはシュナのすぐまえの床に激突。

鉄巨人はピコタンハンマーを再び振り落とそうと鉄の腕に力をこめる。そのピコタンハンマーにシュナは両手で触れると、
鉄巨人がピコタンハンマーを持ち上げられないほどの重さになるまで巨大化させた。

「よし行こうぜ!」
シュナはピコタンハンマーと壁の隙間を体を横にして進んで行く。

104 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/12(月) 02:00:58.38 O
知恵の部屋には閉まった大きな丸い窓が二つ。中央には謎のオブジェ。
床のプレートには

金○ 玉○ 見つめあう時

閉ざされし門 開かれん
と記されていた。樽間はいないが保健室の猫の石像が一体、翼と角を生やし鬼のような顔で君達を出迎える。

「おあっ!!せ、石像かよ!驚かすんじゃねぇ。それになんだありゃ?部屋の真ん中にガラクタの山があるぜ。
古い剣とか錆びた銃とか、金属の寄せ集めでできてやがる。
いわゆるアートってやつか?」

君達はどこからか視線を感じるだろう

【遅くなってごめんなさい】

105 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/12(月) 02:59:15.35 0
身を隠した俺が見た、侵入者、それは、警官でも、見知らぬ怪盗でもない
ななな何と、見知った同級生(俺とシュナは実は同じクラスだったりするのだ)と教師ではないか!

物陰に隠れ、二人を見ていると、どうも何だか2人も正規の理由でここに来たわけでは無さそうである

何故にあの二人はこんなとこに来たのだろう
俺の知的好奇心がぶるぶると沸き立つ中、二人は扉を開け、俺を倒した鉄巨人をあっさり撃破してしまっていた

「…警備の意味ねぇなぁ」

デビルチルドレンとはいえ生徒にあっけなくやられる鉄巨人の有様に、俺はぼそっと呟いた

鉄巨人を行動不能にした二人が向こうの扉へ消えたのを確認した俺は、その後を追いかける
必死にハンマーを持ち上げようとしている鉄巨人の脇をすり抜けながら二人が何故こんな場所に来たのか考えた

学園長に呼ばれたのではないのは、鉄巨人に襲われた所を見るに間違いないだろう
では勝手に入ってきた事は間違いない
じゃあ何故こんな所に勝手に入ってきたのか…

……そうか!奴等が角砂糖何だ!!

頭に浮かんだ結論に、俺は一人で戦慄する
そうだ、それならすべて納得いく
俺の様な性で仕方なくきちゃったーえへーにぱーな奴でもない限り、こんなとこ入るような馬鹿は…

…いやシャルル先生ならやりそうな気がしなくもないな、しかししかしいくら何でも先生だしそんな非常識な事を…
……現にしてるな
うん

で、ふざけたシャルル先生がシュナをたぶらかして、ここに来ました、と
……何故に?たぶらかしてふざけてここに来たのはわかるとして何でここにくるんだ?
俺の様に学園長の怪しい姿を見たわけでもあるまいに
…もしかして例の角砂糖がここに関係してて二人はそれを追いかけて来たのか?

うっわ気になるぅ〜〜〜〜
もしかしたら他に目的があるかもだしな!
学園長の事もあるし
よし!このままこっそり後をついていこう!


俺はほくそ笑みながら、ドアの向こうのシュナ達を少しだけ開けたドアの隙間から覗き見て、二人の様子を観察した

106 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/12/13(火) 21:53:25.30 0
>103
>「おまえ、非常識すぎるぜ。ふつう人んちのチーズを喰うかよ?食いしんぼう」

「うぅ……面目ない……」

いつも人の家のチーズに手を出しては怒られているのだが
シュナ君が束縛に過剰に反応するのと一緒でこればっかりはどうしようもない。

扉の奥には、非常識な鉄巨人がいた。
扉の隙間から覗き見ると、すでに誰かやられたらしき痕跡がある。

>「まじか。誰か潰されちまってたみてぇだな。死体はねーけどよ。まさか角砂糖じゃねぇだろうな。
まあ動きも鈍そうだし、駆け抜けたらそのまま向こうがわの扉に辿り着けるんじゃねぇの?」

そう言って、シュナ君は駆け出した。

「あ、危ないって!」

疾走するシュナ君に、鉄巨人がハンマーを振り下ろさんとする。
そこで両手にパイ生地を生成、鉄巨人の視覚センサーらしき目に投げつける。
視覚センサーがパイ生地で塞がり、鉄巨人は必殺の一撃を外した。
そのハンマーをシュナ君が巨大化させた!
鉄巨人は、持ちあがらなくなったハンマーを持ち上げようと頑張り続けている。
もはや脅威でも何でもない。

「やりい!」

>「よし行こうぜ!」

>104
知恵の部屋に到着。翼と角をはやした猫の石像が立っている。

「これって保健室の猫の行方不明の一匹じゃない――!?」

普段ならにわかには信じがたいが、猫に翼が生えたのを目撃したばかりである。
もう何が起こってもおかしくはない。

>金○ 玉○ 見つめあう時
>閉ざされし門 開かれん

「うーん、金の玉子かしら――?」

部屋の真ん中には、前衛芸術のような金属の寄せ集めがある。

「金○が金属として、二つの円形の窓はちょと目みたいね。
窓を開けてガラクタに光を当ててみたらどうだろう」

円形の窓が目みたいと言った矢先、どこからか視線を感じる――。

>105
入ってきたドアが少しだけ開いている。

「そこね!」

ドアの隙間めがけてパイを投げつける。

107 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/14(水) 22:05:55.56 O
シャルルは、猫の石像が保健室の猫と同じと指摘した

「つーことは学園長がここにいたってことかよ?」
次いで窓が目のようだとも。

「ふーん。杉浦太陽の塔の「目」か…。意味はわからねーけど目を開かせるといいのかもな」
机のリモコンで窓を開くと午後の陽光が差し込みガラクタが壁に影をつくる
影は装飾された扉の形をしている

「まさか、当たりかよ?ひょっとして、これが開かずのまか?」
めちゃめちゃなガラクタの影が角度によって扉の形を作ったのだ
しかし、シュナが影でできた扉を調べてみるも開かない

ベチャ!

「誰だ!?」
普通の扉の隙間から見ていたトムにシャルルのパイが飛んでいた
シュナはピンときた。
あいつは角砂糖だ
智恵の部屋で待ってると言っておきながら、謎解きや戦いは自分達に任せて上手く尾行していたにちがいない。

「てんめぇ〜卑怯だぞ!!」
胸元を掴んで引き倒そうとする

「シャルル!縄だ!縄、持って来い!こいつゆるさねぇ!」

108 :名無しになりきれ:2011/12/16(金) 11:42:55.36 0
トムくっさ

109 :名無しになりきれ:2011/12/16(金) 11:43:06.15 0
シュナくっさ

110 :名無しになりきれ:2011/12/16(金) 11:43:16.33 0
ロッテくっさ

111 : ◆IgQe.tUQe6 :2011/12/16(金) 11:43:27.20 0
s
t
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b
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112 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/17(土) 00:19:15.04 0
「ぐあっ!」

突然シャルル先生の投擲してきたパイに、思わず飛びのく俺
やばい!ば…ばれた!

>「てんめぇ〜卑怯だぞ!!」

さらに飛び掛ってくるシュナに、俺は必死に手を前に出し、弁明を図る

「ま…待った!シュナ待った!勝手についてったのは謝る!謝るから!」

>「シャルル!縄だ!縄、持って来い!こいつゆるさねぇ!」

「わー待った!待ってくれ!俺はただ『いつものように』性で遂不振な学園長を追いかけてこっちに来ただけで…」

何か物凄い剣幕で俺に迫るシュナに、必死に落ち着くよう説得する俺
『いつものように』、とは、シュナとはあんまり面識が無いから知らないだろうが、俺はこっち(学園)に来てから、事件とあらば現場に駆けつけ、警戒網や封鎖網でとっ捕まったり、そのまま事件に巻き込まれて学校関係者の事件解決の足を引っ張ったり、と
この性のせいで教職員や生徒会、警察に俺は「事件を引っ掻き回す危険人物」としてマークされており
おれ自身、それは望む事ではなく何とかしたいのだが、この性と言う奴が理性だけで何とかできないと言うことは、ここにいる二人ならすでに知っているだろう
俺だって痛い目に何かあいたくは無い
今だって、『こうして魔人化しているから』痛みは感じていないが、本来ならば発狂するほどの痛みが今俺を襲っているはずなのだ
俺の能力は、さっき説明したとおり、傷を治すのと同時に、ある一定上のダメージからは、痛みを感じなくさせる
しかし、それ等はすべて致命傷に対してであり、中途半端な死にそうに無い傷からはとんでもない痛みが…
いや、よそう、思い出したくも無い
とにかくそれほどの嫌な思いをしたくないと頭ではわかっているのだが、今も学園長がこのシュナの作った謎の扉の向こうで何をしているかを考えると、早くその先へ行きたくてすべてがどうでもよくなってきてしまう

俺の事情を知っているのだろうシャルル先生なら間違っても俺を捕まえようとせず、俺に「帰れ」と言うなり、「一緒に来い」と言うなりするだろう
仮に「帰れ」と言われても俺は勝手についていくつもりでいるが、とにかく先生は俺がここにいることについて、違和感は感じないはずだ

それより、俺は気になる事がある

「ってか、シュナと先生こそ何でこんなとこにいんの?」

――――――――

二人から事情を聞いた俺は、とりあえず二人と一緒にこの扉の謎を解く事にした
なるほど、学園長先生が何が何でもかかわれとおっしゃり、そして俺にも容疑者として警察から容疑がかかっているのなら
自分の無罪を証明し、学園長の期待にこたえるために、参加するしかないだろうと言う事だ

「影が扉作ってて、影だから扉に触れないんだろ?んだったらさ、こうすりゃ開くんじゃね?」

俺は影の扉を構築しているガラクタの位置を動かし、ガラクタでできた影絵の扉が開いた形になるように動かそうと試みてみる

113 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/12/19(月) 01:07:54.61 0
>107
>112
>「ぐあっ!」

ん? 何か聞き覚えのある声。

>「てんめぇ〜卑怯だぞ!!」

シュナ君が襲い掛かかった相手は――。

「トム君!?」

と一応驚きつつも、半ば、ああやっぱり――と思った。
彼は事件となれば首を突っ込まざるを得ない体質。
そして、我が身を盾にした自己犠牲的戦術であらゆる難事件に立ち向かっていくのだ。

>「シャルル!縄だ!縄、持って来い!こいつゆるさねぇ!」

>「わー待った!待ってくれ!俺はただ『いつものように』性で遂不振な学園長を追いかけてこっちに来ただけで…」

トム君の事を角砂糖と思っているのだろう、物凄い剣幕のシュナ君をなだめる。

「彼の言う通りよ! トム君は厄介事に首を突っ込むけど自分で厄介事を起こしたりはしない!」

>「ってか、シュナと先生こそ何でこんなとこにいんの?」

「……うっ」

一言で言えば、保健室の猫を追いかけてきた、となるのだろうか。

「世界の真実を知るためよ――! 怪盗角佐藤は重大な秘密を握っているの!」

とりあえず格好よく言って誤魔化してみた。
かくかくしかじかと今までのあらすじを説明した後に、付いてこないかと誘う。

「とにかく一人は危険よ、一緒に行きましょう」

彼の性癖から考えて、追い返しても付いてくるに決まっているし
シュナ君と一緒に来てトム君には帰れと言うのもおかしな話である。

トム君を仲間に加え、謎解き再開――。

>「影が扉作ってて、影だから扉に触れないんだろ?んだったらさ、こうすりゃ開くんじゃね?」

「金何とかと玉何とかが見つめ合う時扉が開くのよねー」

とかなんとか言いながら、トム君と一緒にオブジェをあれこれ動かしてみる。

114 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/21(水) 18:51:07.51 0
現われたのはトムだった!

>「彼の言う通りよ! トム君は厄介事に首を突っ込むけど自分で厄介事を起こしたりはしない!」

「あー、おまえか」

>「ってか、シュナと先生こそ何でこんなとこにいんの?」
>「世界の真実を知るためよ――! 怪盗角佐藤は重大な秘密を握っているの!」

「まあ、そうだな」

>「影が扉作ってて、影だから扉に触れないんだろ?んだったらさ、こうすりゃ開くんじゃね?」

「それ正解だぜ」
鉄屑のオブジェは可動箇所があるらしく手で動く。立体パズルのように。

シュナも一緒に手伝って三人は扉が開いた形にした。
でも影の扉を映した壁は堅くて入れない。

「でも、この形になったってことは正解に一歩近づいているってことじゃねーの?
まさか影の扉だから影しか入れないってことはねーよな?魔人化しねーと入れねーとかよ」

>「金何とかと玉何とかが見つめ合う時扉が開くのよねー」

「あ、見つめ合うつったら壁画の烏と兎が見つめあってたような気がする。
金烏に玉兎。そんな言葉があんのかよ?携帯で調べてみっか…。
お!あった!なになに、金烏玉兎。「金烏」は太陽の別名。「玉兎」は月の別名。
ふーん。太陽と月…か」

シュナは窓から夕陽を見つめる。
がちゃがちゃしていたら数時間たっていたようだ。

「わかんねーな。もたもたしてると夜になっちまうぜ。影がなくなっちまう。
ん、まてよ。月明かりでも可なのか?」

シュナは月が出るまで待った。
月の光で出来る影の扉は、なんと開かずの間に通じていた!

中央には天使の化石。まわりには停止している警備ロボット。

「これが天使の化石か…。想像してたより気持ち悪ぃな」
石像は四つん這いで苦しそうな顔をしている。

「お前たち、どうやってここに?」
一行の後ろには学園長の樽間が立っていた。

君たちは、学園長以外の何者かの視線も感じるかもしれない。

【力尽きてきました。学園長は石化能力があります。
昔、悪魔化しかけた天使を学園長が石像にして封印したという設定です。
「天使の化石」は作品名です。
悪魔になりそうな保健室の猫も石化しました。
角砂糖は天使の仲間とか学園長のダメ息子とか考えてました】

115 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/21(水) 22:13:35.82 0
影でできた扉は、存外簡単に開く事ができた
これでいよいよ…い〜〜〜よい〜よ好奇心を満たすことができる

いやぁアレだな、特に何事も無く終わるっていい事だなぁ、うん
シャルル先生はつまんなそうだけれども…

などと思いつつ扉から入ろうとするが、どういうわけだか入れそうに無い

>「金何とかと玉何とかが見つめ合う時扉が開くのよねー」

「あー…でも金〜とか、玉〜とかそういう類の物何も無かったっすよね?」

やはりポイントは謎の言葉か…
言葉の意味を俺が考えていると…

>「あ、見つめ合うつったら壁画の烏と兎が見つめあってたような気がする。
金烏に玉兎。そんな言葉があんのかよ?携帯で調べてみっか…。
お!あった!なになに、金烏玉兎。「金烏」は太陽の別名。「玉兎」は月の別名。
ふーん。太陽と月…か」

「すっげ!シュナお前すっげぇよ!何?アニメキャラか何かってぐれぇ名推理じゃん!」

素直に感心する俺
それじゃこのオブジェの中から月と太陽に関係する物を探して…
いやんな物無かったぞ…
じゃあ一体…

>「わかんねーな。もたもたしてると夜になっちまうぜ。影がなくなっちまう。
ん、まてよ。月明かりでも可なのか?」

「そうか!だから窓が……シュナ君天才!お前最高!」

同級生の意外な特技に俺はひたすら感心する

やがてその場でそのまま月が出るまで待つと、月の光で今度こそ開かずの間が開く

「うおっしゃああああああ一番乗りぃ!」

勇んで飛び込んだ俺が見たのは、何だかグロぃ妙な石像…

「…これが角砂糖が狙ってるって言う天使?何かそーぞーと違うな…」

見れば周囲の警備ロボットが停止している…
…角砂糖がやったのか?
いやだったら奴はどーやってここに入ったんだ?

何か色々もやもやしてる間に、学園長が出現
あわてる俺達

「いや例の放送の後学園長があわてて杉浦太陽の像にできている変な穴に入っていくのが見えて…」

「穴?何を言ってるんだ?」

「え?あ、そーいえば学園長…ここまで一方通行だったのに何でどこでも俺達とすれ違わなかったんで?」

「さっきから何を言っている?」

様子のおかしい学園長

116 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/21(水) 22:15:56.75 0
…俺は昼休みに俺がここに来るために通った壁の穴に学園長が入っていくのが見えて、それを追いかけてここまで来た
しかし、ここまで壁の穴の転移魔方陣からは一直線
更にあの開かずの扉は月の明かりが無いと開かないときている

…俺が見た学園長はどこに行ったんだ?

「シャルル先生!シュナ!おかしい!俺が学園長が例の転移魔方陣に乗るの見たんだ!つまりどっかで学園長と出会わなかったらおかしいんだよ!」

つまり目の前の学園長が本物だとすると、俺達は今まで角砂糖に…

背筋がぞっとした
そうだ、今まさに、この時
角砂糖は俺達を襲おうとしているに違いないのだ!

「どこかに角砂糖隠れてたんだ!すぐ襲ってくるぞ!」

身構…シュナの背後に隠れながら俺は叫ぶ

【>シュナさん、途中参加のタイミング、やっぱりまずかったですか?
足引っ張って申し訳ありません】

117 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/12/21(水) 23:30:45.06 0
>114-115
夜になって月明かりで影が出来ると、影で出来た扉は開いた。
その先にあったのは、開かずの間――

>「これが天使の化石か…。想像してたより気持ち悪ぃな」

「そうね。まるで天使と言うより、悪魔……」

>「…これが角砂糖が狙ってるって言う天使?何かそーぞーと違うな…」

そんな会話をしていると、学園長が出現した。

>「シャルル先生!シュナ!おかしい!俺が学園長が例の転移魔方陣に乗るの見たんだ!つまりどっかで学園長と出会わなかったらおかしいんだよ!」

この学園長が本物で、トム君をおびきよせた偽の学園長がここで待ち構えている可能性が大らしい!

「怪盗角砂糖、全てお見通しよ! そこから出てきなさい――!」

ハッタリをかまして身構える。暫し、緊迫した時間が過ぎていく。
一秒、二病、三秒ぐらい経過したころだろうか。変化は訪れた。
警備ロボットだと思っていたものがぽてっと裏返り――
(スネークさんの段ボール箱と同じ要領で被せ物状にしてあったのね)
その下からホワイトロリータな恰好をした少女が現れた。――否、今の流行に乗って少年かもしれない。
果たして正解は、そのどちらでもあり、どちらでもなかった。少女の背には、純白の羽根が生えている。

「皆の衆、よくぞここまで参った! ズズーッ!
拙者が怪盗角砂糖――本名は大天使シュガーエッジ様でござる。ごきゅ」

相変わらず鼻水をすする音とかが入っている。

「君達の力を貸して欲しい、と言ったのを覚えてくれているでござるな?
お疲れの所申し訳ないが、君達が我々の協力者としての実力があるかどうか、最終試験を始めるでござる――!」

そう言って、純白の両翼を広げ、中空に浮き上がる。頭上には輝く光輪が現れる――! どう見ても臨戦態勢だ。

「えっ、ちょっと、待っ――!」

「――セレスティアルスター!」

怪盗角砂糖は、問答無用で攻撃を仕掛けてきた。容赦ない超人バトルの予感に、身を固くする。

「――いてっ」

星型の模型がバラバラと落ちてきた。
というとギャグみたいだが、尖がっているので当たると結構痛い!

【>シュナさん
ごめんなさい、頼り切ってました。NPCは共有式でいいかな?
こんな感じでよければいくらでも動かします

>トムくん
足引っ張ってるなんてことないよー】

118 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/21(水) 23:34:24.19 O
>>116
べつになんにも悪くありませんですよー
ただ年末なので疲れてしまってるだけです
先の展開のことを考えると、角砂糖の目的を何にしたらいいのか自分でもわかりません

119 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/21(水) 23:42:56.68 O
>>117
ありがとうございます
たすかります

120 :名無しになりきれ:2011/12/22(木) 18:12:40.32 0
ネタを振るときは仕舞い方を考えてからにしましょう 30点

121 :名無しになりきれ:2011/12/22(木) 18:29:37.23 0
>>120
勝手に採点してやるなよw

122 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/23(金) 20:56:39.43 0
>>117 >>118
ありがとうございます、ほっとしました
これからも頑張ってスレを盛り上げようとしますので、一つ、よろしくお願いします

123 :名無しになりきれ:2011/12/23(金) 22:58:43.27 0
着地点も考えずにシナリオ主導するなよ

124 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/24(土) 19:44:41.12 0
トム「シャルル先生!シュナ!おかしい!俺が学園長が例の転移魔方陣に乗るの見たんだ!
   つまりどっかで学園長と出会わなかったらおかしいんだよ!」

「うそだろ!?どこかに隠し部屋でもあったんじゃねぇのか!?」

トム「どこかに角砂糖隠れてたんだ!すぐ襲ってくるぞ!」

「なんだってー!?」

そのとき、角砂糖が現れた。
その正体は大天使シュガーエッジ。
星を降らせて攻撃してくる

「嘘だろ!?あいつ、天使だったのかよ!?」

シャルル「―― いてっ」

「いてっ!なんだよこれ!?どういうことだよ?」

【同僚のみなさん、ありがとうございます。
体調がわるいので今回はこんなレスですみません】

125 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/24(土) 21:37:56.24 0
「ヤバイ!ヤバイヤバイヤバイ!」
降り注ぐ星の雨をシュナを盾にして防ぎながら俺は状況を整理する

俺が見た学園長=偽者(?はどうもこの大天使氏らしい
天使何だから月の光を作り出す位わけないのだろう、放送室から学園長に化けてここに来て、俺達を待っていたのだろう
目的は不明だが、俺達に力を貸してほしいらしい

つまり目下の所この大天使とやらを何とかしなければならないというわけだ…

無理!無理無理無理!無理!
こう戦闘系の能力持ってる奴なら兎も角、俺には無理

「おいシュナ!お前こう、特殊能力であいつバーンって何とかできないのか?」

開かずの扉の向こうから一旦脱出し、扉の影に隠れて星攻撃を防ぎながら、俺はシュナに尋ねる
お菓子魔女っ娘…いや娘ってのは無理がある歳か、兎に角シャルル先生に戦闘系の能力なんかありそうにないし、学園長は真っ先に星を頭に喰らって打ち所が悪かったのか倒れて目を回している

が、シュナも既に魔人化を使ってしまい、この状況を打開する能力は無いらしい

「えーい畜生ヤケクソだ!こんにゃろ!そら!…いて!いていて!痛い!痛い!」

俺は手近に落下した星屑を拾って大天使めがけて投げ返して応戦するが、球の速さが段違いであり、大体野球部でもない俺の球はうまく当てる事すらできず、物陰から身を出した俺には容赦なく星が命中していく

「痛い!刺さった!刺さった!」

肩に高速で放たれた星が突き刺さり、俺は情けない声を上げて物陰に隠れなおした

126 :トム ◆GAazGNP2wQ :2011/12/24(土) 21:38:32.45 0
>シュナさん
無理せず、お体を大切になさってくださいね

127 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2011/12/28(水) 00:05:53.97 0
>124-125
>「嘘だろ!?あいつ、天使だったのかよ!?」

「あの羽根、作り物でもなさそうね……!
これは……研究が一気に進むチャーンス! とっつかまえて色々聞き出すわよ!」

クリスマスの飾りのような星が容赦なく降り注ぐ!

>「ヤバイ!ヤバイヤバイヤバイ!」
>「いてっ!なんだよこれ!?どういうことだよ?」
>「えーい畜生ヤケクソだ!こんにゃろ!そら!…いて!いていて!痛い!痛い!」
>「痛い!刺さった!刺さった!」

――阿鼻叫喚。一同物陰に隠れて顔を見合わせ、作戦会議と下準備を行う。
お菓子をいくつか作ってそれをシュナ君に大きくしてもらうという簡単なものだ。

「伝承が正しければ……天使の弱点は羽根。
アタシが気を引きつけておくから後ろから回り込んで羽根をひっぱるのよ!」

「ほらほら、どうしたでござるかー?」

挑発してくる大天使の前に不敵に立ちはだかる。

「見なさい、その昔この学園を作り上げた英雄が身に着けていたという伝説の装備を!」

もちろん真っ赤なウ☆ソ!

「なっ――」

あまりのオーラに圧倒され、一瞬言葉を失う大天使。
それもそのはず、全身に羊のように分厚い綿菓子の鎧をまとい、左手にクッキーの盾
右手に握るはアイスソードならぬアイスバーソード、頭にはクリスマスケーキが乗っている――!

「突撃――!!」

――読んで字のごとく突撃した。

【>シュナ君
お大事に。無理しないでくださいね】

128 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/31(土) 04:11:38.12 O
>「おいシュナ!お前こう、特殊能力であいつバーンって何とかできないのか?」

「バーンってなんてできるわけねぇだろ!自作自演じゃねぇんだぞッ!!
つか、俺を盾にすんじゃねぇ!」

>「あの羽根、作り物でもなさそうね……!
これは……研究が一気に進むチャーンス! とっつかまえて色々聞き出すわよ!」

「研究熱心なのはいいけどよ。そう簡単に出来ることかよ!?」
物影に隠れて皆で作戦を考える。

「ま、まじか…?」
信じられない作戦だったが、シュナは二人に言われた通りに能力を使うことにした。

>「伝承が正しければ……天使の弱点は羽根。
アタシが気を引きつけておくから後ろから回り込んで羽根をひっぱるのよ!」

「ちくしょう!やるしかねぇのかよ!」

デビルチルドレン達はシュガーエッジ捕獲作戦を開始した!

術中にはまったシュガーエッジはシャルルの姿を見て唖然としている。
どうしようもなくふざけた女だが、生徒を思う気持ちはストロング。
しかしシャルルの装備がお菓子であることに気がついた大天使は、彼女の頭に噛り付いた。

「シャルルー!死ぬんじゃねぇぞー!!」
シュナが叫べば、シュガーエッジは生クリームだらけの口で、今度はアイスバーに噛り付いた。

キーン
アイスクリーム頭痛がシュガーエッジを襲い、天使はその場にうずくまる。

「じゅるり…。ちめたい…」

「今だー!!」
天使の羽根を目掛け、シュナは手を伸ばす。が、天使はクルリと宙に舞い、彼の背中を蹴飛ばし転ばした。

「クスクス。せっしゃの弱点を知ってたみたいでごじゃるが、つめが甘いでござる。
怪盗を捕まえたいという正義感。生徒を救いたいという慈愛。
謎を説き明かしたいという好奇心。ご立派でござるが、もう一押し足りぬ!

こんなのでは全員、不合格でござるよ!!」
シュナを一瞥し、シュガーエッジがくしゃみをすると
ぴちゃりと鼻水が天使の化石に付着する。

「じゅる…。(世界のフォールダウンまでには、もう時間がないでござる…。
早く抗体を持ったもの選別し、育て上げねば…)」
鼻水の付着した部分から石像が変色を始めた。
それは『死』の色だった。

129 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2011/12/31(土) 04:12:11.84 O
こんばんは。皆様投下お疲れ様です。
御心配をおかけして申し訳ありませんでした。

それはさておき、今の設定はなんかややこしいので
現在PL達がいる世界は仮想世界つーかコピー世界ってことにして
別設定の世界からやり直してみませんか?
例えたらリングとかマトリックスの世界みたいに
本当の世界が他にあるということにしてです。
キャラクターはそのまま、世界だけを変えるというか生まれ変わるみたいなことです。
こっちの世界の記憶は残しててもいいし
生まれ変わったシャルル先生でもトムさんでも可です
学園都市だけは夢みたいな共通意識として残ってる感じ!
意味がわからなかったらすみません。

それでは皆様よいお年をー!

130 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/01(日) 00:28:29.06 0
>>129
あけおめ! 楽しそう〜、賛成だよ!
リング三部作はよくホラーから始まってSFまで発展させたなと感心したものですw

131 :名無しになりきれ:2012/01/01(日) 15:39:46.89 0
行きづまるたびに世界観変える気かよ

132 :名無しになりきれ:2012/01/01(日) 23:11:26.79 0
別にいいじゃん。それをみんなが納得づくならさ

133 :名無しになりきれ:2012/01/02(月) 00:47:27.49 0
甘やかすと同じことを繰り返すぞこの低能GM

134 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/02(月) 01:37:39.38 0
>>129
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
何かよくわかりませんがとりあえず面白そうなのでOKです!
まぁ、とりあえず今の話終わってから本格的に話しましょうぜ

135 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/02(月) 01:56:31.02 0
>「伝承が正しければ……天使の弱点は羽根。
>アタシが気を引きつけておくから後ろから回り込んで羽根をひっぱるのよ!」

「!?せんせ!駄目駄目!危ないって!アレ当たるとめっさ痛いぞ!下手すりゃ死ぬぞ!」

俺は自分の血が出ている肩を示しながら先生に訴えるが、先生は聞こえていなかったのか即座に作戦を開始し、次いで、シュナも飛び出していく
…こいつぁ覚悟決めるっきゃ無いなぁ

遂に戦闘が始まった
齧られるシャルル先生!良いぞ!服も!服も齧られて脱げろ!
蹴られるシュナ!危ない!シュナ!逃げろ!

そして俺は相手の気がシュナに言っている隙に、天使の死角へとすばやく移動する
だがまだ仕掛けない
先ほどシュナが死角からせめていたが、天使は簡単にシュナをかわしていたからだ
何か…何かきっかけがつかめれば…

自慢げに我々を評価する天使の背後で俺は機会をうかがい…

と、天使がくしゃみをした!

今だ!

俺はまっすぐ天使の背中目掛けて飛びかかり…

床に転がってた学園長に躓いてすっころんだ
俺の手は天使の体にはわずかに届かず、そのホワイトロリータの服の背中のジッパーにかかり
転んだ拍子にちーっとロリータ服のジッパーを下ろしてしまう

いててと俺が顔を上げれば、目の前には腰の辺りまで落ちているロリータ服の上着と、ブラ等下着を装着していない白い綺麗な背中…
どうも胸の丈が自分の胸より大きい服を着ていたらしく、ジッパーおろしただけできおつけの姿勢をしていると簡単に服は腰まで落ちてしまうらしい

「な〜〜〜〜〜〜〜」

突然上半身裸にされてしまった天使は真っ赤になり、慌てて自分の胸を手で隠し、混乱する

「糞!見えねえ!」
「見んでいい!!」

魂の雄たけびを上げる俺と、天使の叫びが開かずの扉の中の部屋に響きわたる!
当初の予定とちょっと違うが天使は動揺している!
チャンスだ!

136 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/05(木) 00:22:07.82 0
>128
>135
>「!?せんせ!駄目駄目!危ないって!アレ当たるとめっさ痛いぞ!下手すりゃ死ぬぞ!」

「大丈夫、綿菓子の防御力は意外とすごい!」

アタシの突飛な装備に大天使はひるんでいる。
だが所詮は出オチ。出落ちの勢いが落ちないうちに押し切るしかない――!
発射された星が綿菓子にめりこみ、接近戦に持ち込む事に成功した!

「その装備の正体、見切ったでござるよ――食ってやるでござる!」

大天使は、頭のケーキにかぶりつく。
こっちも負けじとアイスバーを振り下ろす! 大天使はそれにもまたかぶりつく!
だが、アイスバーソードには、相手にステータス異常を巻き起こす効果がある!

>「じゅるり…。ちめたい…」

「かかったね……アイスクリーム頭痛よ! 1ターン行動不可!」

>「今だー!!」

チャンスとばかりにシュナ君が手を伸ばす。だが――大天使はすぐさまステータス異常から脱した!

137 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/05(木) 00:22:48.71 0
>「クスクス。せっしゃの弱点を知ってたみたいでごじゃるが、つめが甘いでござる。
怪盗を捕まえたいという正義感。生徒を救いたいという慈愛。
謎を説き明かしたいという好奇心。ご立派でござるが、もう一押し足りぬ!

こんなのでは全員、不合格でござるよ!!」

「くっそー、このチートキャラめ……!」

何気なく言ったこの”チートキャラ”という言葉が、まさか後の伏線になろうとは
この時はまだ知る由も無かったわけです。

>「じゅる…。(世界のフォールダウンまでには、もう時間がないでござる…。
早く抗体を持ったもの選別し、育て上げねば…)」

「汚なっ、シリアスな顔しながら鼻水垂らしてんじゃなぁあああああい!」

大天使が鼻水垂らしてる間に、今度はトム君が行った!
が、途中で転び、奇跡的にロリータ服を脱がせる結果になった!
トム君の普段抑圧された秘められたエロへの執念が、この奇跡を起こしたのかは定かではない。

>「な〜〜〜〜〜〜〜」

ところで天使に性別は無い。つまり美少女と思えば美少女だし男の娘と思えば男の娘だ。
一粒で二つの需要を満たせて全くもって便利な種族である。

>「糞!見えねえ!」
>「見んでいい!!」

何はともあれ、このエロパワーが作り出したチャンスを逃す手はない。
アタシは普通に大天使の背中に回り、羽根を引っ張った。

「えいっ」

――ポチッ
羽根を引っ張ると、スイッチのような音がした気がした。

「えっ、ポチッ、ですって……!?」

138 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2012/01/06(金) 20:03:45.95 O
トムが天使の裸に興奮し、シャルルがその羽に手をかければ、ポチリとスイッチの音がした。

「うひひ…ごにょごにょごにょ」
頬をよせて天使は何かをささやきはじめる。シャルルの耳にしめった息がかかる。
その内容は俄かに信じがたいものだった――

・この世界は神が造った「リンネ」という仮想空間であること
・リンネで何度も繰り返される通常ストーリーを
たった今、シャルルとトムが変更に成功したということ
それは彼等が超自我に目覚めたプログラムであるということだった

「じゅるり。君たちは、合格でござる…」

天使が光り輝く。
デビルチルドレンたちはカッコイイ台詞を吐き、意志の強さを見せたわけでも
スーパー美麗アクションを繰り出したわけでもない
このばに偶然に集まり運命を変えた。ただそれだけのこと…
例えたらテレビゲームのバグ技みたいなものだ。
だがそれは自由意志を持つ証。
リンネで何万回も生まれた彼等が初めて到達した境地。

―― ついにデビルチルドレン達はオリジナルの世界に転生を許された。

「やったじゃねぇか、おまえら。見直したぜ」
白い歯をこぼすシュナ。

すると突然、世界の色が変わる。
シャルルとトムを浮遊感が襲う。
二人は空から、雨の降る学園の屋上を見下ろしていた。
シュナがおにぎりを頬張り、もう一人のシャルルが彼にショートケーキを手渡している。
それは過去の映像であり、繰り返される輪廻。
そして解脱したトムとシャルルの意識は、真世界へ転生するため陽光と同化し消失した。

―― 一方、残された世界でシュナはたった一人…、雲間から差し込む陽光を眺めていた。
微かな光に僅かな希望を感じながら……


【明けましておめでとうございます】
【みなさんは次の展開はどんなのがよいのかなー?悪いウィルスの仕業で転生失敗しちゃって原始人になるとか宇宙人になるとか、コンセプトとかありますか?】

139 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/07(土) 03:15:38.15 0
飛び出したシャルル先生が、天使の羽をもぎ取った!
やった!勝った!勝ったんだ!
俺が一人勝利に喜び、よろりと立ち上がっていると、天使がシャルル先生の耳元で何事かささやき…

……何があってもいつものんきだったシャルル先生の顔色が…劇的に変わった

…その表情に、俺は全身の血の気が一気に引く
何か…恐ろしい何かが起こる気がした
痛いだとか、苦しいだとか
そういう物とは違う、圧倒的な何かが…

>「じゅるり。君たちは、合格でござる…」

「は?…え?」

天使がわけのわからない事を呟いた
合格?
何が?

「…シャルル先生…そいつ、何て言ったんだ?」

言いようのない恐怖に包まれてなお、しかし俺の性はこんな時でも俺を動かし、先生に興味を抱かせ俺の口を開かせる
だが、先生が答えるより早く、世界が目に見えて変わり出した

>「やったじゃねぇか、おまえら。見直したぜ」

最後の瞬間、俺は、シュナの…あの基本根暗のシュナの満面の笑みを見た気がした

そして、何ともいえない感覚の中に、俺の意識は突入する
いや何て言ったらいいのかわからないが…とにかく…おかしい、そう、おかしいのだ
俺はこの能力で今まで何度となく死んできた…あ、兎に角脳が吹っ飛ばされて意識を失ってきた
だから…そう、違う、死ぬとかじゃない
もっとこう、よくわからない、わけがわからない感覚が…突然体を…
視覚には今朝の俺の姿が映っている
そう、寮で目が覚めて、新聞読んで、同級生のアレックスとニッキーに挨拶して…

何だ?俺は…俺はどうなるんだ?

答えなど出ないまま、俺の意識はそこで途切れた…

140 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/07(土) 03:22:54.66 0
>>138
えーと

…リンネとかすべて含めて夢落ちで、トムとシャルルが何故か見ていた同じ夢で
次のレスが各々の寝床で起きる所から始まる…とか?

141 :名無しになりきれ:2012/01/07(土) 07:10:57.82 O
ご都合主義通り過ぎてあほらしくて呆れたわ
やってるやつ楽しいのか?

142 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2012/01/07(土) 09:45:59.62 O
>>140
はいそうです。夢オチみたいなものです。
正直、今までの設定で皆さんが楽しめているか不安に思ったので
次章からは皆で一緒に考えていこう、と思ってこんな結果にしました。

143 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/01/07(土) 12:05:56.93 O
学院都市TRPGも有るよ。

144 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/09(月) 15:28:02.93 0
>138-139
天使が、アタシの耳元で何か囁き始める。

>「うひひ…ごにょごにょごにょ」

「なんですって――!?」

>「…シャルル先生…そいつ、何て言ったんだ?」

「この世界は仮想空間で、アタシ達今から生まれ変わるんだって……本当の世界に!」

>「やったじゃねぇか、おまえら。見直したぜ」

満面の笑みをこぼすシュナ。
彼は、仮想空間の”創造主”側の人物だったのだろうか――。

「シュナ君、あなたは一体――!」

その答えを聞く事は無く、アタシの意識は途切れた。

145 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/09(月) 15:53:59.07 0
原始人も宇宙人も面白そうwwwアタシはどんなのでもOKよ!

・現実世界は超巨大マザーコンピューター『ゼウス』が支配する超未来社会
マザーコンピューターといっても遥か昔に作られたため、今や神と認識されている。

・いつしか『ゼウス』が暴走し始め、独裁体制をしき始めた。
世界はディストピアのような状態になっている。
それを良しとしない人々はレジスタンスを結成し、神に戦いを挑み始める。

・仮想空間は、対ゼウス特攻プログラム兵器『デビルチルドレン』を生みだすためのものだった。
レジスタンスの最後の希望たる彼らは、神の呪縛から人類を解放する事が出来るのか!?

アタシが考えた案を一応〜。ただし全然学園物では無いのですがw
『ゼウス』がかつての世界最高峰学園都市の遺跡にあるって設定にすれば
一応スレタイには掠るかなーって感じです。
ツマンネと思ったら華麗にスルーしてやって下さいwww

146 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2012/01/09(月) 23:20:39.81 O
>>145
ありがとうございます

レジスタンス側にデビチル、敵はゼウス。
了解です
トムさんもこの設定でいいですか?

あと続きはどうしたらいいでしょうか?
もしご迷惑でなければレジスタンス側から書いていただけたら嬉しいです
丸投げしてすいません

147 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/10(火) 00:24:33.76 0
>>146
おっ、即決と来たかw お安い御用ですよー!
その設定でいくとしても二つの路線ができそうと思ってるんだけどどっちがいいかな〜?
それによって最初のレスがちょっと変わってきそうなので。
まあ途中でいくらでも路線変更できるのであんまり気にしなくていいんですがw
あとシュナさんは前の世界に残ってしまいましたが次は新キャラになるのかな?
敵側と味方側のどっちをやる予定ですか〜?
トムさんも何か意見要望新案があればどんどんお願いしますね。

・二つの勢力に分かれてバトルする路線。
ゼウスの擁するウィルス殲滅プログラム『エンゼル』とデビチルの戦いの話。
この形式はある程度大人数で敵味方に分かれないと多分あんまり盛り上がらないですw
ちょっと人数が少ないですがシュナさんがもし敵役をやるつもりならこっちもアリかなー。

・RPG風冒険物の路線
デビチル達が打倒ゼウスの旅に出る冒険物。この人数ならこっちがやりやすいかも。
ただしこの形式で敵役をやろうとするとGMみたいな立ち位置になるのでちょっと難易度が高いかな?って感じです。
3人なら全員同じ勢力でするのが多分スムーズ。

148 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/10(火) 04:12:12.28 0
>>146
最高!全然OKです!めっちゃ面白そうです!
是非参加させてくださいw!

>>147
うん、下です!RPG風の方
俺は下です

…上だと俺画期的かつ誰もが納得する勝ち方をしようと模索し始めて、俺が変なとこで長々時間かけ始める危険性が高いので下です
スーパーロボットバトルで両勢力に別々のキャラで参戦し、敵のエース対策と称して新兵器の開発を始め、一向にバトルが始まらなくなり次々プレーヤーがやめていったのは黒い思い出…
わかってるなら大丈夫じゃんと思う無かれ
それが俺の性だから、理性ではどうする事もry

149 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2012/01/10(火) 20:04:03.08 O
基本的には自由を求める戦いになるのでしょうか?
最初にレジスタンスもあわせてゼウス側も書いていただけたら嬉しいです
ディストピアが具体的にはどんな感じなのか知りたいのでw

それと三人が同じ勢力だとしたら敵が共通NPCになるのですよね?
なら逆に全員が敵と味方の一人二役はダメですか?ややこしいですか?

150 :シャルル・ロッテ ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/10(火) 21:00:10.10 0
あれ、なんでいつの間にかアタシが仕切ってるんだw
暇人だから全然いいですけど油断したら駄目よ! 暇だけ持て余した下手糞よ!

>148
ありがとうございます。
スパーロボットバトルっていったら大昔のスレじゃないですか、わ〜お!
新兵器の開発で延々始まらないバトルに吹いたwwwプロジェクトXwww
では冒険物で行ってみましょう!

>149
そうですね〜、「ラスボスは神」というと昔は画期的だったのかもしれませんが
今時はもう「ラスボスは魔王」より一般的になってしまったパターンです。
ではゼウス側も最初に世界観説明代わりにちょっとだけ盛り込みましょう。
ただし描写力も想像力も貧困なのでショボい骨一本だけ丸投げしてあとは好き勝手に粘土を付けて行って頂く形になりますw

3人ぐらいまでの少人数で回す時は敵を共有NPCにするのがまあ無難とは思うんですが

>全員が敵と味方の一人二役
何それ、新しい! そんな方式は始めて聞いたw
一人二役”しないといけない”となると負担に感じる人もいそうなので
「味方側と敵側それぞれ1キャラずつなら”してもいい”」 とするのはどうかな〜。
冒険物の形式のスレでは敵側キャラは常に出ずっぱりでなくてもいいので
掛け持ちの敵キャラは要所要所で出すようにすればそんなに負担は増えないかもしれませんね。
もちろん敵キャラ専属参加もOKの方向で。
それですぐ倒されるモブみたいなんは共有NPCで調達するのはどうかな?

あと聞いておきたい事がいくつかありますのでお付き合いください。

・敵以外のNPCは今までに倣って共有式でいいですかね?

・今まで何故か一個も名無しのネタ振りが無いんですが名無しネタはどうしましょう。
積極的に歓迎する方向で行きますか?

・決定リールはアリ無しどっちでいきましょう!?
今までのスレを見る限りだと何とも言えない微妙な所だw
テンプレにもう一行追加して、PCごとに自分に対する決定リール許可/不許可を指定する手もあるかな〜と思ってます。

・版権キャラは許可不許可? というか版権紛いがすでにここに紛れ込んでます! ごめんなさい!
一応大っぴらにそのまんまを許可するかという事でw

面倒臭い事を色々言ってゴメンね!
でもこういうのは最初に明文化しといた方が後々余程面倒臭くないのです。
空気読めない本人が言うのだから間違いありませんw

151 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2012/01/10(火) 23:16:17.05 O
冒険式の共有NPCはやっぱり一人の負担も減るし進み易いのかな
それなら冒険式の共有NPCでよいです
それと一人二役式はやめることにします

決定リールは可。
名無しのネタ投下も可。
でも版権はダメです

てことでよろしくお願いいたします

152 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/11(水) 19:01:47.87 0
>>150
…もしかしてお久しぶりだったりしますか?
えーと…「ダイトウジン計画」を進めてた奴です、私
その節は大変申し訳ありませんでした、はい、以後あのような事の無いように頑張ります

>>151
わかりました!頑張りましょう!

153 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/12(木) 01:03:22.35 0
>151
了解です!

>152
いえいえ、違うんですよ〜。誤解させてすいません。長く続いてるスレがあるなーと思って見てました。
でもあなたの事はなんとなく他の場所で知っているような気がします、気のせいかもしれませんがw
では本編を書きますので少々お待ちください。

154 : ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/12(木) 20:53:30.40 0
遥か未来の地球かもしれない世界にて――神と悪魔の戦いの物語が幕を開ける!

人類が到達せし文明の到着点、古代科学文明――
人々は全人類の幸せを願い、その科学の力を持って、【神】を作り上げた。
全世界に配備された端末を通じて、世界の全てを管理するマザーコンピューター ――【ゼウス】。
これによって、全てが完璧に管理された、一切の犯罪が無い平和な社会になる――はずだった。

そして時は流れ現在――確かに”一切の犯罪が無い平和な社会”は実現していた。
ただし、皆一様に死んだような目をしている。【ゼウス】は完璧だった。完璧過ぎたのだ。
神はいつしか暴走を始め、人々は一切の自由を奪われた。


かつて華やかなる文化を誇ったというアキヴァの街にて――

薄暗い地下で、小太りかガリガリでリュックを背負った男達が集まっている。
文化華やかなりし頃の言葉でいう、いわゆるキモヲタである。
彼らは、ある者は古の遺産の写本である萌え漫画を読みふけり、ある者は美しき女性の偶像を愛でている。
そう、こんな世の中でも、【カタコンベ】と呼ばれる地下秘密基地において危険を顧みず趣味に興じる猛者達もいるのだ。
そこに、一人のキモヲタが凄まじい剣幕で駆け込んでくる。

「ここが【天使】に見つかった! 早く隠せ!」

騒然とする地下室内。
そうしている間に、天使のような姿をした人物が、光のロープを操りキモヲタ達を縛り上げる。
ゼウスが使役するプログラム【エンゼル】だ。

「もう遅いでござるよ! 禁書所持と異教偶像崇拝で全員タイーホ! 一生人力発電所で強制労働でござる!」

「嫌だぁああああ! 自転車漕いで一生終わるのは嫌だぁああああ!!」

お分かり頂いただろうか、ここはこういう世界だ。
世界観の説明のためだけに出演してもらったキモヲタ達に敬意を表す。

155 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/12(木) 20:55:34.21 0
「やったぞ、実体化した……! ついに……成功だ――!」

長い長い夢を見ていたような気がする――。
最初に見たのは、白衣を着た研究者のような人達が、アタシを取り囲んで歓声をあげている光景だった。

「よくぞ我々の元にやってきてくれました。
……対ゼウス特攻プログラム兵器【デビルチルドレン】、コードネームシャルル・ロッテ……神に虐げられし人類の最後の希望よ……」

やはり白衣の美しい女性が、うっとりとしたような、すがるような目でこちらを見ている。
最初は何が何だか分からなかったが、次第に組み込まれたプログラムが起動し、様々な事が認識出来てきた。
ここは【ヘル】と呼ばれる場所。世界で一か所だけ、何故か【ゼウス】が一切手出しを出来ない僅かな区域。
神に見捨てられた地――と呼ばれている、神による管理社会からの脱却を目指す者達が集まったレジスタンスの本拠地。

「そういえば……トム君は!?」

「ええ、トムもあちらで目覚めていますよ。
目覚めたばかりで大変心苦しいのですが……これから貴方たちには遥かなる旅に出てもらいます」

共に目覚めたデビルチルドレン達が集められ、リリス、と名乗るその女性によって、旅の目的が説明される。

「あなた達の旅の最終目的地は、学園都市遺跡【エデン】――。
古代科学文明時代の、世界最高峰の学園にして研究施設。
星霜の昔に作られたマザーコンピューターにして、世界の支配者【ゼウス】のおわす神の庭。
ゼウスには何重もの防御がほどこされていて、人の身では決して神の御許に至る事は出来ない――
でも貴方たちなら……」

アタシ達デビルチルドレンは、暴走したマザーコンピューター【ゼウス】を倒すために生まれた存在で。
今まで生きてきた仮想空間【リンネ】は、デビルチルドレンを生み出すためのものだった。
それは、運命を切り開く力を持つプログラムを選別し、現実世界に構成させる機構。
運命を切り開くといえば聞こえはいいが、それはつまりプログラムの穴を突くバグ技を繰り出す力だ。
具体的には、しょうもないハプニングを起こす力だ。
カッコイイ台詞を吐いたり、スーパー美麗アクションを繰り出したりの正攻法は
完璧主義なプログラムを持つゼウスには通用しない。
正統派能力バトルにしてはちょっとショボい能力も、駄目な性癖も、全ては運命を切り開くため――!

156 : ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/12(木) 21:08:25.75 0
レス順・・・無し
決定リール/後手キャンセル・・・あり
名無しのネタ投下・・・あり
版権・・・無し
NPC・・・共有式

参加希望の方はこちらのテンプレに記入をお願いします。

テンプレ
名前
外見性別
外見年齢
髪の色
瞳の色
容姿
備考
好きなもの
嫌いなもの
うわさ@
うわさA
普段の能力
魔人化後の能力
抑えられない衝動

・普段の能力はバトルものにしてはちょっとショボい能力がベターです。
・魔人化後の能力はガチバトル仕様でOKです。
・魔人化は強力ですが使い過ぎると人格が崩壊してしまいます。これをトライブ化と言います。
・抑えられない衝動とは、運命を切り開くためにデビルチルドレンに搭載された、一般的には良くないと思われる癖の事です。
・デビルチルドレンは作られた存在ですが、プログラムとしての人生経験を持っています。好き嫌い、うわさ等に反映されます。

157 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/12(木) 21:24:16.79 0
名前  シャルル・ロッテ
外見性別 女
外見年齢 20代前半〜半ば
髪の色 ピンク
瞳の色 黒
容姿 ファンシーな魔法使い風のローブ
備考 研究のために世界を見て回る大学院生という設定で世界を旅する事になる。二つ名は『お菓子の魔女』
好きなもの お菓子 でも一番好きなのはチーズ
嫌いなもの 仲間がトライブ化する事
うわさ@ デビルチルドレンの謎は解けてしまったので、他の事を探求しはじめるかもしれない。
うわさA 魔人化すると性格が変わり、超残虐になるらしい。
普段の能力『トリックオアトリート』お菓子を自在に作り出す魔法。主な戦術はパイ射撃と飴の雨を降らす事。
魔人化後の能力 『エホウマキ』漆黒の翼が生え、髪とローブも漆黒に変化。巨大な鎌を振り回す。
抑えられない衝動 美味しそうな物に目が無い。特にチーズを見ると食べずにはいられない。

158 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/12(木) 21:32:09.83 0
「アタシはシャルル。リンネからの付き合いの人は改めてよろしくね。
あっちの世界で知り合いじゃなかった人は初めまして」

とりあえずこれから共に旅に出る仲間達に自己紹介をする。

「それで、あなた達は――?」

【お待たせいたしました。
今のメンバーが全員コメディ路線なのでコメディ仕様の設定を組み込ませて戴きました。
冒険物、という事で道中で天使にとっ捕まりそうになってる人助けをしつつエデンを目指す……という流れを想定してます。
細かい事は気にせずノリで行っちゃおう!】

159 :シュナ ◆2.9VhF./5o :2012/01/13(金) 01:30:31.16 O
>>シャルルさん
ありがとうございます!
無理を言ってすいませんでした〜

未経験の方も参加できるような楽しいスレを目指していきたいですね〜

http://h.pic.to/2yb86
↑シャルル・ロッテを描きました
トムさんはまたあとでw
レスも日曜日あたりに投下する予定です

160 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/13(金) 02:30:28.59 0

目が覚めたら、そこは知らない場所だった

…でいいのか?この場合の俺の状況せつめーは
えーと、何だ?まず、何だ、ここに至るまでのけーいってのを思い出してみよう、うん

へんなほーそーきいてがくえんちょーおいかけてとうにいったーシュナとシャルルせんせがでてきたーかくざとーがでたーたおしたー…ら、こうなった、と

「なるほど、わからん!」
「ご説明しましょう」
「うお!あんた誰!」
「だからそれ説明する言うてますやろが」

とりあえず混乱している俺に、横にいた研究員風の男が話しかけてきた

で、その話によると、俺は何やらプログラムから作られた存在とやらで、今しがた完成した人類の希望という事らしい

なるほどー、そーだったのかー

「…ってえ!?何?じょーだんっしょ?あんた」
「いや冗談じゃないんですよ、それが…」
「うええ!?じゃ何でそんな人類の希望第一号が完成したのにあんたそんなにテンション低いわけ?ってかこういうのってふつー大勢の研究者が集まってる中生まれたりとか…」
「いや皆こんな早くできるとは思ってなかったみたいで今休憩はいってます。後私は驚きすぎてこうパニックに…」
「きー動転しすぎだ!まず落ち着け!それから人を呼んでこいや!」

怒鳴る俺、あーそーかと皆を呼びにいく研究者
もう何か、状況が冗談にしか見えなくてこのぶっ飛んだ状況についていけない
何?ゼウス?え?俺が戦うの?
そーいうのって自衛隊とかの仕事っしょ?
いやそれ以前に俺がプログラムで…
あーだめだ、頭がついてかない…

そうこうしている内に研究員の方々が大勢駆け込んできた

161 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/13(金) 03:00:51.06 0
俺を取り囲み、沸き起こる万歳三唱
最初は信じられなかったが、こうして大勢の人に囲まれて喜ばれたりざわめきの中「いやー正直できると思わんかった」とか言う声がどこからか聞こえてきたりすると
さっきの話がマジ何だなあと薄ぼんやりと実感できるきがするなぁ…
…そうか、俺の今までの人生はニセモノだったわけか
楽しいことも、辛い事も、級友達も、皆…、そう思うと、何だか物悲しくなってきた

「…戸惑われているんですか?」
「そりゃあ当然…ね…」
「心配する必要はありませんよ、あなたのこれまでの人生は、これからの戦いに、しっかり力になってくれますから、それに」
「それに?」
「もし、あなたが世界を救えたら、ありったけの富と名誉と土地と女と金銀財宝が手に入る事でしょうから」

……

「…マジ?」
「そりゃ勿論、何せ世界を人の手に取り戻すわけですからね」
「……あれだよね、人生のバーチャルだったか云々なんか関係ないよね!前向いて生きていく事が大事なんだよね?」
「そのとおりです!」

こうして、俺は前を向いて生きていく事を決心した
だが決して物欲とかそーいうのに踊らされての行動ではなく、人類の明るい未来の事を考えた崇高なry
で、一通り目覚めた俺に対する研究員の喜びと挨拶が終わった後、俺は「他の仲間」達の下へと通された
そこにいたのは…

「シャルル先生!?うそー!うわ!よかったー!」

そう!俺と一緒に塔にいたあのシャルル先生だ
知人の登場に、俺は思わず喜びの声を上げ、彼女の手をとる
よかった…本当に…
少なくともひとつだけ、あの世界でニセモノじゃなかった物があったんだもん

…ただもーちょっと親密な人だったら良かったんだけどなぁ、うん
いや、シャルルせんせとは結構話たけど別にそこまで親しかったわけでないし…
どーせならもっと美人のエカテリーナとかその辺りが…
…いや贅沢は言うまい
もとい、そんな事はどうでもいい
とりあえず「旅の仲間」に知り合いがいたのだ
見ず知らずの人間とガンツよろしく殺し合いにいかされたのではやっぱり精神的に…

「そいや、自然にゼウスやっつけにいく流れになってますがゼウスってとーぜんめちゃくちゃ強いんですよね?」
「そりゃあまぁ世界中の軍隊が束になった位は強いですよ」
「…かてんの?俺達、ってか勝負になるの?」
「ふぁいと!」

言って、笑顔でグットサインを出してくる研究員

「うおい絶対俺欠陥品だろ!どー考えても!戦闘系の能力とか無いぞ俺!」
「いいんですよそんな物無くても、トムさんにはもっと大切な物がですね」
「いやじゃああああ普通にいやじゃああああってかどんな無理ゲーだよほぼ素手で世界中の軍隊束になった奴倒せって」
「世界中の富エトセトラ」
「…ゼウスめ!許さんぞ!俺は戦う!たとえこの命がつきても!」

よく考えてみりゃ人生なんぞいつか尽きるのだ
だったらここで博打を打つのもまた一興という物だろう
…もとい、人々の自由のために、俺は戦わねばならない!
決して自分のためではなく!世のため!人のために!

他のパーティーのメンバーにお行儀よく挨拶するシャルル先生を横に、俺は一人、熱い誓いをたてるのであった!

162 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/13(金) 03:35:07.44 0
テンプレ
名前 トム・ジリノフスキー (改)
性別 男
年齢 16
髪の色 金
瞳の色 青
容姿 ジャケット、線目、中肉中背
備考 野次馬根性が強い、が、人に迷惑をかけるのが嫌い
   目覚める際、物欲が研究者達の手で高められた
好きなもの 富
嫌いなもの 痛い事
うわさ@ 実はメンタル面はあまり強くなく、後付された物欲に支えられている面があるらしい…
うわさA 好奇心は相変わらずで、正義感や責任感は人並み以上にあるらしい
能力:普段の能力、『ギャグキャラボディ』で大抵の攻撃は受けてもほぼすぐ完治する
それで受け止めきれない攻撃が来た場合、痛覚神経が遮断され、更に再生速度の高い『カサイセイ』が自動的に発動し、傷を修復させていく
身体能力は平均的
抑えられない衝動 怪事件や厄介事を見ると周りに迷惑がかかるのがわかっていても関わりに行ってしまう

163 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/13(金) 03:36:00.83 0
新章キターーー

これからもどうかよろしくお願いします

164 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/14(土) 02:21:08.51 0
>159
うわーい、ありがとうございます!
とっても嬉しいよ! 可愛いし上手い!

お二人とも改めてよろしくお願いします! 一緒に楽しいスレにしていきましょう!

165 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 07:37:54.87 0
名前 ユダ・グレーリン
外見性別 細見 男
外見年齢 15
髪の色 黒
瞳の色 緑
容姿 学生服
備考 面倒くさがり、身体能力はスピード、反射能力のみ高い。
好きなもの 自分の判断した可愛い人(男も)、もしくは可愛い物。
嫌いなもの 口うるさい人、昆虫。

166 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 07:42:26.99 0
うわさ@ 誰よりも自分を優先、自分が一番大切。
うわさA 善か悪かよりメリットの有無で物事を判断する。
普段の能力 『ファンシードロップ』対象の頭上に大量のぬいぐるみを落とす。
魔人化後の能力 『ファンシーファクトリー』対象を「ぬいぐるみ」にする。対象は1つのみ。
抑えられない衝動 可愛いモノを見つけると自分のモノにしたくなる。
参加希望です。よろしくお願いします。

167 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/15(日) 20:15:10.29 O
「コホン。まず始めに皆さんにはアキヴァの街に行ってもらいます。
そこでエンジェル軍に包囲されているキモヲタたちを救出してほしいのです」

リリスは美しい髪を揺らしながら前を歩く。
冷たいリノリウムの床に響くヒールの音。
しばらく歩き、建物の外に出れば、見上げるほど大きな毛むくじゃらが横たわっている。

「ごろごろごろごろ…」
それは年老いた巨大な猫だった。
どのくらい大きさなのかと言えばちょうどバスくらい大きさ。
それも胴体に、窓のように穴がずらりと並んでいるためまさに猫バスそのもの。
リリスは猫の顎をこちょこちょしながら何かを語りかけていて
老猫はというと小さくニャーと鳴き、デビルチルドレンたちに視線を移す。
すると…

「リリスさま!彼等はまさか!?」
猫のバスの窓からシュガーエッジそっくりの子供が顔を出した。
そのこはリリスが手なずけた天使だった。
仮想空間リンネを作るさい、ゼウスの力を流用出来たのもそのこのおかげ。

「ええ、彼等はデビルチルドレンです。ついに、この日がきました」

「え、やっぱり!やったー!」
シュガーは巨大猫の蚤退治をやめて慌てて駆けて来て…

「ボクの名前はシュガー!よろしくね!」
シャルルに抱き着き、続けてトムにも抱き着いた。

「ヘルの外に出るならボクと、このビッグキャットに任せて下さい!きっと役に立ちますから!
学園都市の場所はわかりかねますが、ボクはエッグ333で作られたエンジェルなので
アキヴァエリアのことについては詳しいのです」
とのことだった。

168 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/15(日) 20:22:27.86 O
>ユダさん
よろしくお願いします
合流はどうしましょうか?
あとから出てきた子でよいのかなー?

>トムさん
http://m.pic.to/4vfnn
描いてみました。中肉中背じゃなくてすみません

169 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/15(日) 22:07:05.68 0
>「シャルル先生!?うそー!うわ!よかったー!」

「トム君! トム君じゃない!」

トム君と手を取り合って喜び合う。ひとしきり喜んだ後、辺りを見回してある顔を探す。

「シュナ君は……いないのね」

彼は、やはりアタシ達を現実世界に送り出すためのリンネの登場人物だったのだろう。
代わりに、初めて見る少年がいた。

「ユダ君って言うのね。
ゼウスを倒して世界中の富と全世界のありとあらゆるチーズとお菓子……
じゃなくて人類を救うために一緒に頑張りましょう!」

>「コホン。まず始めに皆さんにはアキヴァの街に行ってもらいます。
そこでエンジェル軍に包囲されているキモヲタたちを救出してほしいのです」

リリスさんがアタシ達を外に案内する。

「なるほど、リンネには秋葉原っていう街があったけど……現実世界にモデルがあったのね」

外に出ると、横たわっている巨大な何か。よく見ると、猫バスだった。
猫バスの窓から顔を出したのは……怪盗角砂糖、じゃなくて大天使シュガーエッジ!?

>「ボクの名前はシュガー!よろしくね!」

「あなた……天使!?」

抱き着かれて戸惑いながら尋ねる。天使はゼウスの使役するプログラム。アタシ達の敵のはずだ。
リリスさんが、アタシの疑問を察したように説明した。

「ええ、天使だけど安心して下さい。私が手なずけました。
天使でありながら神の元を去った……堕天使、と言ってもいいかもしれませんね」

>「ヘルの外に出るならボクと、このビッグキャットに任せて下さい!きっと役に立ちますから!
学園都市の場所はわかりかねますが、ボクはエッグ333で作られたエンジェルなので
アキヴァエリアのことについては詳しいのです」

「そうそう、あなた達は表向き人間としてゼウスの監視網をすり抜けられるようにしてあります。
異教崇拝を根絶する方法を探るための研究隊、という事にでもしておきましょうか。
シュガーはその監視役の天使という事で……えーと、聞いてます?」

「うわあ、猫バスに乗るのって夢だったのよー!」

アタシはいそいそと猫バスに乗り込んだ。

170 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/15(日) 22:14:13.65 0
>165
よろしくよろしく! もう登場している事にしてしまいました。

>168
おおーっ、それまた可愛い!
ユダさんはまだ最初なのでいいと思いますが、この設定だと途中参加が難しい事に気付いてしまった。
デビチルはプログラムの存在だから後から目覚めた人は同種のアタシ達のいる場所には転送できる、としたらいいかもしれませんね。
シュガーちゃんみたいな元天使もPC参加種族に加えても面白そうかなーとちょっと思ったり。

171 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 22:58:03.70 0
目が覚めたら知らない部屋、起き上がれば目の前には白衣を着たいかにも研究者風な男達。
男が言うには私はプログラムから造られた存在。
ゼウスとかいうコンピューターを倒せる希望の1つなんだとか。
なにそれ? メンドクサイです。もうなんていうか、ホントめんどくさいんでマジで勘弁してもらえませんか?
そんな重要なお仕事ほかの使命感をおびた人にやらせておけばいーんですよ。

172 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 23:01:31.24 0
そもそも、なんで私がそんなメリットのねーことやらねーといけねーんですか。
と、そんな疑問を口に出したところどうやら私にもメリットが有るらしい。
ゼウスを見事倒した暁には全世界の欲しいモノが『なんでも』手に入るらしい。
その言葉に私の心がピクリと反応する。お金になんてどうでもいい、名声もいらない、だけど……。

173 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 23:05:52.20 0
思わず口が、にへら、と歪む。全世界の可愛いモノが私の『モノ』に出来るというのならそれは悪い話ではない。
可愛いモノを撫でまわし、弄り倒し、押し倒して嬲りつくしてもなんでもOK、ということだ。
ならばやってやろーじゃねーですか。邪な夢を胸に私はゼウス討伐に志願した。
通された部屋では仲間との顔合わせ、見知った顔は残念ながらいない。

174 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 23:09:06.62 0
代わりに目についたのは何か使命に燃える金髪の男と、桃色の髪の女性。
私は桃色の髪の女性、シャルルさん、そして金髪の男、トム君と挨拶を交わす。
どうやらシャルルさんも多少邪な願望を抱いているようだ。
その後、リリスさんという女性の案内で外に出される。
女性2人は可愛いというよりも綺麗、トム君は、まだよくわからないですが、私のレーダーには引っかかりませんね…。

175 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 23:12:47.60 0
などと思っていた時だ。
>「ボクの名前はシュガー!よろしくね!」
……何アレ可愛いやばいアレ欲しい、欲しいアレ。思わず口が、にへら、と歪む。
何か説明が続いているが知ったこっちゃねーです。アレにしましょうゼウス倒してアレ貰いましょう。
世界中のなんでもいいのならアレも報酬のうちの筈!
決めました! 絶対にアレを手に入れます!邪な願望を胸に猫型バスに乗り込んだ。

176 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/15(日) 23:17:14.24 0
>168 170
どうぞよろしくお願いします。
文字制限に引っ掛かり連投ですいません。

177 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/15(日) 23:33:21.64 O
>>170シャルルさん
転送って良いアイディア!
はい、デビチル以外にも天使や人間とかの種族がPCとして気楽に参加できたらおもしろいと思います!

>>ユダさん
こちらこそよろしくお願いします!!

178 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/16(月) 03:29:56.32 0
>「コホン。まず始めに皆さんにはアキヴァの街に行ってもらいます。
>そこでエンジェル軍に包囲されているキモヲタたちを救出してほしいのです」

研究員のリーダーらしい女性がそう言って、俺達を別所に案内する
……秋葉…キモオタ…
何だろう、特に俺自身に関係ある地名ではないのにみょーーーに頭に引っかかった
別に俺オタクじゃないし秋葉にリンネの世界で深く関わったわけでも何のに何でこう…

案内された先には今度は大きな猫が…
……あれー、さっきより何かすっごいびんびんびんびん引っかかるぞ
何だこのみょーーーなデジャヴは

そして、その大きな猫から出てくるゴスロリ少女
「…もしかして名前はカ…」
>「ボクの名前はシュガー!よろしくね!」
「……あ、うん、よろしく!」

一瞬この世界が終わりそうなレベルの名前が口から出掛かった気がするが、彼女が先に名乗ったので、大事に至らずすんだ
…いや、俺は角砂糖と言い掛けたのだ、そうだ、多分
と言うかこの話題は何だか凄い危険な香りがするのでここでやめておこう

そんな風に俺が今すぐにでもゼウスが抹殺すべき超危険な思考をしていると、おもむろにシュガーさんが抱きついてきた
「おわとと…あ、あはは、よろしく」
……うわヤベやわらっかい!ごっつやわらかい!マジ柔らかい!
ウハ!ウアハハハハ!

179 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/16(月) 03:47:26.76 0
>シュガーはその監視役の天使という事で……えーと、聞いてます?」

「え!?あ、ごめんなさい!」

女の子に抱きつかれて幸せモードになっていた俺は、リリスさんの言葉で我に帰った

「えーっと、何でしたっけ?そう、俺達を人間に見せかける…と」
「そうです、異教崇拝を…」
「…俺たち、人間ですよ」

俺の言葉に、リリスは「あ」と声を上げて黙った
…彼女だって知っているはずだ
いや、彼女達が一番良く知っているはずだ

デビルチルドレンとは「ちょっと変わった人」でしかないと言う事を…

「…ごめんなさい」

真剣な表情で詫びるリリス、それを見て、俺は…


…いやマジで悪い事したなぁーーーって思った
だって実はぶっちゃけリンネいた頃俺も人間とデビチル同じだ何て考えて無かったし
ここでこんな事言ったのもこう、あれだ、文字の読みマチガイを指摘してあげるような軽い気持ちで言ったわけで…
そんな顔されると何だかこう…

「あーえー、すんません!ぶっちゃけ、俺も自分人間じゃ無いって思ってますよ、大丈夫です!」
「…ありがとう」

リリスは薄く微笑むと、「人間と言う事にして」の部分を、「敵側の人間と言う事にして」と訂正して、俺に再度説明してくれる
「で、潜入した後は具体的にどうするんです?」
「それは道中シュガーに秋葉について聞いて、そこから皆さんで考えてください」
「場当たり的っすね…」
「計算能力ではゼウスに人間は絶対に勝てない…だから運とその場その場の発想で戦うの」
「……」

俺は改めて自分の赴く戦いの絶望的加減を知った
兵法を極めた孫子は、戦いは始まる前によりよく準備した物が最後に勝つと言っている
ではわれわれの今の有様はどうだろう
団結の取れない初顔合わせが多いチーム
状況に慣れていない隊員達
そして自分達の総合戦力は未知数…
もしこの場に孫子がいたら「やってられるか」と指揮を投げ出す事だろう

180 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/16(月) 04:04:54.06 0
沈痛な面持ちで猫バスの前で沈み込む俺
と、不意にリリスさんが前に進み出て、俺を抱きしめてきた

「!?!?!?」
「…先に言っておくわよ、愛しているわ」
「はぁ!?」

こんな時に愛の告白か?
と本気で驚き思考回路がショートしかけた俺に、女研究員は俺を抱きしめたまま話を続ける

「私はね、あなた達デビルチルドレンを愛している。ううん、私だけじゃないわ、恐らく、この研究所の職員皆…」

…残念なのとああなるほどと安心したののダブルの気持ちが俺の中で混ざり合った

「愛する息子の様なあなたを…あなた達を、むざむざ死にに行くような真似はしないわ」
「けれど…可能性は…」
「あなた達の可能性は…数値でなんか表せないの」
「?」
「デビルチルドレンが一体、誕生する可能性は、0、の後につく0の数が数え切れない程よ」
「!?」
「その中から、あなた達は生まれた、そして、ここに立っている。もうこの時点で、可能性なんて物差しじゃ、あなた達を計る事なんて出来ない」
「そりゃ…そうなりますね…」

この研究員が、俺を安心させようと嘘をついているのかもしれない
だってもし本当にそんなすさまじくわずかな可能性で誕生する代物なら、今、ここに3体もそのデビルチルドレンが雄姿を並べているのはおかしい事になるからだ
だが、だがそれでも、リリスの言葉には不思議な説得力があり、そして…

…ゼウスと戦う以外に生に価値を見出せない今の俺は、彼女の言葉にすがりつく以外に道は無かった

もし、ここで彼女の申し出を断り、ゼウスと戦わずにここで怠慢をむさぼるだけの人生を歩めば、俺は恐らく、発狂するだろう
定められた運命に、自分なりの目標と理由をつける事で…ゼウス退治に世界中の富と言う、おぼろげで、かつ好奇心をそそられる餌を下げる事で
俺は今、自分の生を正当化し、そして妙な考えを起こさずに希望を持って前に進もうとしているである

「…つまり、もう俺達がいる時点で、勝負はついている、と」
「ええ、運命と言う物があるのなら、もはやあなた達にそれらは味方しているわ、必ず」
「……わかったよ、母さん」

俺は彼女を親愛の意味を篭めてそう呼ぶと、ぎゅっと抱き返す
正直、不安だ
だが、やるしかない
やりぬけば、きっと、世界中の富が、俺の心を満たしてくれるだろう

181 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/16(月) 04:22:21.94 0
「ところで俺、研究員の不利なんてできないんだけど」

ゆれる猫バスの中で俺は先ほどの説明を思い返しながら、皆に言った
俺、シャルル先生、そして新参者ユダさんとシュガーを乗せた猫バスは、一路、アキヴァを目指して進んでいる
大雑把な作戦内容では異教根絶の研究と称してアキヴァに侵入、キモオタ達の下に赴き、彼らを救出、そしてアキヴァを脱出する事になっているのだが
作戦の第一段階であるアキヴァ侵入には天使を騙せるレベルの研究員の不利が必要になってくる
仮にも教育者であるシャルル先生は兎も角、物理と政治経済、数学が赤点ギリギリの俺には研究員の真似はできそうにない…

「えーと、ユダさんは俺と同じ16位に見えるけど…、できそう?大丈夫?」

とりあえず横のユダさんに「研究員の不利」ができるか否かを聞いてみる
俺だけできないとかだったら普通に嫌だからだ

182 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/16(月) 04:26:36.01 0
別所のもう一人の線目の中肉中背と同じもんと関わりだしたので思わず吹いてしまいましたw

>>168
うめえええええええええええええええええええ
即効で保管しました!ありがとうございます!!

>ユダさん
はじめましてっす!よろしくお願いします

183 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/16(月) 14:06:33.18 0
バスに乗ってから数分が経過し、流れる景色を眺めていたらトム君が話しかけてきた。
>「えーと、ユダさんは俺と同じ16位に見えるけど…、できそう?大丈夫?」
そのトム君の言葉に私は、まず一言返した。
「ユダ」
そして続く言葉に、にっこり、と警戒心を抱かせない笑顔を浮かべる。
「私は貴方より年下です、呼び捨てで結構ですよ。私は結構そういうの気にするんですよ、トム君」
1つでも年齢の上の先輩には敬うべき、私はそう考える。
ただし、自分の命が危険に晒された時はその限りではないですけど。

184 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/16(月) 14:09:57.44 0
「あと、研究者の振りが出来るか否かでしたね、答えはNOです」
少し安心したような顔のトム君に私は続きの言葉を紡ぐ。
「そもそも研究者というのがどういうものかよく理解出来てません。恰好は真似できても質問でもされたら1発でOUTでしょうね」
そこで猫型バスに乗っている全員が私の言葉の意味が分からない、という顔をする。
「いや、だって私、学問とか色々と赤点ってレベルじゃねーくらい壊滅的ですし、そこはほら、年長者のシャルルさんにお願いしますよ、ね?」
空気が少しうすら寒くなった気がするが、まあよいでしょう。
自ら申告してバカを装っておいた方が色々と都合がいい、敵を騙すにはまず味方からデス。
……研究者に必要な専門知識がないのは、本当ですけど。

185 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/16(月) 14:13:09.55 0
クスクスと笑いながら再び流れる景色を眺め、たまに堕天使シュガーちゃんに目を移す。
あぁ、やっぱりいいです可愛いです欲しいですアレ。天使ってのは皆あぁ可愛いものなのでしょうか。
そういえばさっきトム君が抱き着かれてましたね、もふもふのすべすべ、羨ましいデス。
天使天使天使、あぁ、ゼウス倒したら全世界の天使を私のモノにするのもいいデス、無論シュガーちゃん含めて。
そんで、羽もふもふしたいもふもふ羽もふもふ。もふもふもふもふもふもふもふもふ。
流れる景色はもう眼中になく、私は天使楽園(エンジェルパラダイス)を脳内で作り上げ桃源郷の妄想に身を委ねていった。

186 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/16(月) 14:16:25.41 0
>182
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
そしてキャラは外見は普通ですが、基本中身は変態ですスイマセン。

187 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/16(月) 20:09:55.90 0
猫バスはゆらゆらと揺れながらアキヴァへの道を進んでいた。
窓から気持ちいい風が入ってきてシュガーの髪を揺らしている。
ふっくらして気持ちいい椅子が眠気をさそって、
夢かうつつかわからないものがデビルチルドレンを包み込んでいた。
でもそれは、検問で現われた天使たちによって霧散することとなる。

猫バスの鼻っ面に突きつけられる灼熱に燃える赤い棒。
よく見れば棒だけではなく天使たちはその体をも燃やし続けている。
そう彼女たちは熾天使。神に対する情熱で己の体を燃やしているという暑苦しい天使たち。

「なによこれー?こんなふざけた乗り物になんか乗っちゃて、あんたたち馬鹿ぁ?」
「ちょっとあやしくないこいつら?キモヲタ臭がするんだけど」
熾天使たちの蔑みの視線がデビルチルドレンたちを射抜く。

188 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/16(月) 21:30:58.50 0
アタシに続いて、ユダ君がシュガーちゃんを幸せそうに見つめながら、猫バスに乗り込んできた。
早速猫バス後部のロケバス風のテーブルに、ポテチやジュースを出して並べる。
準備万端整え、トム君に声をかける。

「トムくーん、早く早くー! ……ん?」

トム君は、何の葛藤もなくさっさと猫バスに乗り込んでしまったアタシ達とは違い、リリスさんとシリアスなシーンに突入していた。
やっぱり普通のデビチルは自分の事を人間と思うよね――。
アタシはリンネでも、自分達が人間ではないと割り切っている少数派の立ち位置だった。
同じシステムで生まれても、違う人生経験、人格を搭載されている。
多様性、それもまた、運命を切り開く鍵の一つなのだろう。

>「……わかったよ、母さん」

「母さん……か。ふふっ、何か不思議。
いってきますお母さん! トム君の事は心配しないでね!」

そういえばこの現実世界ではリリスさん達が親で、アタシ達は兄弟、という事になるのか。
随分と若い母さんもあったものだ。

――こうして、猫バスは発進した。ロケバス席でまったり会話。

>「ところで俺、研究員の不利なんてできないんだけど」
>「えーと、ユダさんは俺と同じ16位に見えるけど…、できそう?大丈夫?」

>「ユダ」
>「私は貴方より年下です、呼び捨てで結構ですよ。私は結構そういうの気にするんですよ、トム君」

「ん〜、微妙なところね。アタシ達って赤の他人でもあり兄弟、同時に目覚めたから三つ子でもあるのよね〜」

>「あと、研究者の振りが出来るか否かでしたね、答えはNOです」
>「そもそも研究者というのがどういうものかよく理解出来てません。恰好は真似できても質問でもされたら1発でOUTでしょうね」
>「いや、だって私、学問とか色々と赤点ってレベルじゃねーくらい壊滅的ですし、そこはほら、年長者のシャルルさんにお願いしますよ、ね?」

「まっかせっなさーい! こう見えてリンネでは博士課程の学生兼講師だったのよ。
あなた達は助手、無理ならアタシが連れて回ってる生徒でいきましょう」

急に少し空気が涼しくなったのは、きっと日が陰ったからなのだろう、うん!
ユダ君はいつの間にやら半分夢の世界、穏やかな猫バスの旅。

が、そんな空気は一瞬で吹き飛んだ。暑苦しい天使達が行く手を阻む。

>「なによこれー?こんなふざけた乗り物になんか乗っちゃて、あんたたち馬鹿ぁ?」
>「ちょっとあやしくないこいつら?キモヲタ臭がするんだけど」

そりゃあリンネではヲタク特有の情報を得るためにキモヲタから聞き込みをした事もあったけど……
アタシからヲタ臭!? 冗談じゃない。そうだとしたらゼウスが今すぐ抹殺すべき危険な兆候だ。

「キモヲタなど知らぬ……存じ上げません。わたくし共は研究者の一団。
世界ゼウス教会付属研究所の命を受け、偉大なるゼウス様の治世を脅かす不徳の輩を根絶するための研究をしております。
こたらに監視役の天使も付いておりますのでなにとぞお通しを」

アンタ達の方が暑苦しくてキモいわ!という言葉を内心に押し隠しながら、恭しく跪いてみせる。
トム君、ユダ君、あなた達もこんな感じで取繕うのよっ!

【>182 それは様々な意味で危険だわっ、きっと何かのマチガイよw】
【>186 HENTAIキターー!】

189 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/17(火) 22:57:17.74 0
>「なによこれー?こんなふざけた乗り物になんか乗っちゃて、あんたたち馬鹿ぁ?」
「ちょっとあやしくないこいつら?キモヲタ臭がするんだけど」
「わお」
思わず声が出る、シュガーちゃん以外で見る天使はこれが初めて。
手に持った棒だけではなく身体全体に灼熱の炎を纏っている。
暑っ苦しい体育会系を思わせる身体に、人を舐めたあの口調。思わず口が、にへらと歪みそうになるのを必死に抑える。
いいじゃねーですか、躾のし甲斐がありそうじゃねーですか。いや、やっぱ天使は可愛いデス。
ああいう生意気な天使をじわじわじわじわ、いたぶって泣き顔を拝見したいデス。あぁ、天使の泣き顔ってどんだけ可愛いのでしょうか。
でも、もふもふ、できねーですね、あの燃える身体じゃ。では観賞用? ま、いいデス。いずれ私のモノになるのですから。
>「キモヲタなど知らぬ……存じ上げません。わたくし共は研究者の一団。
世界ゼウス教会付属研究所の命を受け、偉大なるゼウス様の治世を脅かす不徳の輩を根絶するための研究をしております。
こたらに監視役の天使も付いておりますのでなにとぞお通しを」
と、私が考えているといつの間にかシャルルさんが跪き、天使と交渉をしている。
あぁ、なるほど、ああ言う風にやればいいわけですね。多少演劇のような口調が良いのでしょうか?
「……トム君、私達だけ座ってるのも不自然です、行きましょう」
トム君だけに聞こえるようにポソリと呟き、私はシャルルさんの傍らまで行き、王に謁見する兵士のように頭を垂れ、跪く。
「私達はこの方の助手でございます。人という身分ではありますが、全能にて偉大なるゼウス様に反する無知蒙昧なる愚民を排除したく研究者を目指しております。
未だ若輩者ゆえに至らぬ点も多々ございますが、決して怪しい者ではございません。どうか、お通しくださいませ」
シャルルさんの台詞から続くように言葉を紡いだ。

190 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/18(水) 03:18:35.86 0
>「ユダ」
>「私は貴方より年下です、呼び捨てで結構ですよ。私は結構そういうの気にするんですよ、トム君」
俺の問いかけに、フレンドリーに答えてくれるユダ少年

……なんだろう、このこやつの全身から湧き出るエリート臭は
年上の者への立ち振る舞い、初対面ぞろいのこの場での態度
絶対エリートだな…

「えーっと…じゃあ、苗字の方で呼ばせてもらうわ、グレーリンだから、グレーで」

とりあえず、俺はいきなり名前を呼び捨てで呼ぶのは何だか気が引けたので、苗字を愛称で呼ぶ事にする
まぁまぁフレンドリーで、かつ、初対面の相手に失礼が無い…はず?

>「あと、研究者の振りが出来るか否かでしたね、答えはNOです」
>「そもそも研究者というのがどういうものかよく理解出来てません。恰好は真似できても質問でもされたら1発でOUTでしょうね」
>「いや、だって私、学問とか色々と赤点ってレベルじゃねーくらい壊滅的ですし、そこはほら、年長者のシャルルさんにお願いしますよ、ね?」
「ははは…安心したよ…」
そこまでわかってて私は馬鹿ですなどと言うのは、単なる謙遜と言う物だろう
やっぱりこいつ、できるよ、頭キレルタイプだよ
…仲良くできる自信ないなぁ…うー
馬鹿にされそうだ…

>「まっかせっなさーい! こう見えてリンネでは博士課程の学生兼講師だったのよ。
>あなた達は助手、無理ならアタシが連れて回ってる生徒でいきましょう」

それにしても俺の内心の葛藤など露知らず、この人は相変わらず元気である
…っつかこの人こんなぶっ飛んだ世界に飛ばされてきて不安とか無いのだろうか
うーみゅ…さすが、デビチル相手にせんせになれるだけあるなぁ…

191 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/18(水) 03:33:15.26 0
さて……大ピンチだ!!

演劇とかで素人が「あんた!役者に顔が似てる!台詞は一つだ!ちょっとだけ付き合ってくれ」と突然舞台に上げられる事になり
舞台袖で頭が真っ白になる
そんな状況だろうか

>「キモヲタなど知らぬ……

到着したアキヴァの前で、敵の天使に用件聞かれて怪しまれるも
シャルルせんせがべらぼーに上手く天使をごまかせそうな台詞をいい、あ、検問通れるかなーと安心したのも束の間

>「……トム君、私達だけ座ってるのも不自然です、行きましょう」

……あれ?
お前、不利できないってなかったっけ?
おい!待て!一人にしないで!ちょ…

>「私達は…

完璧な立ち振る舞いでシャルル先生の言葉を追い、天使の目をごまかせそうな台詞を言うユダ
おい!お前やっぱできるじゃん!
エリート!おいエリートてめ!俺までしゃべれってか?この状況下で何か喋れってか?
奴が立っちゃった事で、必然的に俺まで何かしろ言わなきゃならなくなっているのだが、緊張してたのとシャルル先生に任せようとしてた事が重なり、頭の中は真っ白だ

そして、こうしている間にも悲しいかな、性によってアキヴァの街の中が気になり、すぐにでも中に入っていきたい
って言うか…何かもう、だんだんそればっか気になって、抑えが…

…いや、てか研究者の不利なんかせんでも街に入ればいいんだろ?

「おい、お前、さっきから黙ってるが、無礼じゃないか?」
「何か言え」

俺に向かって何ぞ言ってくる天使達
しかし、俺の耳には届かない
もうこの時、俺は強行突破する気になっていた

そして…

「ばれては仕方ない!そうだ!俺はキモオタの変装!本物はとっくに殺して入れ替わったのだ!!」

すっげーとんでもない言葉が俺の口から吹き出た
何がどーなったらこんな言葉が出たんだろう

「な!何ぃ!?」
「どーりでキモオタのにおいがすると思ったら…」

兎にも角にも俺は背後で真っ青になってるだろう仲間達を残し、真っ白な頭のままとりあえず窓の外へ飛び出す
が…

「逃がさん!」

真っ赤に燃える天使が即座に飛び出し、俺を追撃せんとする
あーーーもう、何か変なことになったが、シャルル先生にグレー!これが俺達の戦う敵だ、敵の手並みをよく見ておいてくれ!

俺は懐から研究所を出る際入手していたシグ・ザウエルを取り出し、掴み掛らんと上空から迫る天使目掛け、引き金を引いた
あんな学園で厄介ごとに首突っ込み続ければ、いやでもこういうのの取り扱い方法はわかってしまう物
放たれた銃弾は一直線に天使に向かう
これで倒せる相手ならよし
どうせとっ捕まる事は間違いないのだから、せめてなるべく相手に本気を出させる位はもがいてみよう

192 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/19(木) 00:06:52.03 0
>「私達はこの方の助手でございます。人という身分ではありますが、全能にて偉大なるゼウス様に反する無知蒙昧なる愚民を排除したく研究者を目指しております。
未だ若輩者ゆえに至らぬ点も多々ございますが、決して怪しい者ではございません。どうか、お通しくださいませ」

うんうん、ユダ君、イイヨイイヨー! 
が、トム君は緊張して固まっている。それが天使達に目を付けられてしまった。

>「おい、お前、さっきから黙ってるが、無礼じゃないか?」
>「何か言え」

「申し訳ございませ〜ん、天使様にお目にかかれて緊張しているようで。ほら、頭を下げて!」

トム君は、ようやく口を開く。

>「ばれては仕方ない!そうだ!俺はキモオタの変装!本物はとっくに殺して入れ替わったのだ!!」

「どっせぇええええええい!」

な ん で そ う な る ! !

>「逃がさん!」

トム君と暑苦しい天使のバトルが始まった!
思わず能力を使って加勢しようとして……すんでのところで思いとどまった。
天使は、人間を捕まえはしても殺すことは無いから、人間と思われている限り命の危険はない。
でも能力を使ったらアタシ達がデビチルである事がバレてしまう。そうなったら、奴らは殺す気でかかってくる!
こうなったら全員で捕まってキモヲタ達のところに放り込まれてから強行突破するのも一つの手なんだけど……

「天使様ー! 頑張ってください! 異教崇拝の不徳の輩をとっつかまえて下さいまし!」

手を顎の前で組み、目をキラキラさせながら天使を応援して見せる。
明らかに怪しい者を突き離して見せる事で、逆にアタシ達は怪しくないと印象付ける格好のチャンスだ。
それはキモヲタ救出作戦において大きなアドバンテージになる事だろう。

193 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/19(木) 06:06:05.27 0
年老いた猫バスの前に立ち塞がる二人の熾天使。
張り詰めた空気の中で猫バスの前足の筋肉が静かに収縮する。
それを察知した天使のシュガーは猫バスの体を撫で諌めていた。

>「キモヲタなど知らぬ……存じ上げません。わたくし共は研究者の一団。
>世界ゼウス教会付属研究所の命を受け、偉大なるゼウス様の治世を脅かす不徳の輩を根絶するための研究をしております。
>こたらに監視役の天使も付いておりますのでなにとぞお通しを」
シャルルの言葉に顔を見合わせる熾天使たち。
偉大なるゼウス様という言葉がたいそう気に入ったらしい。
聞いているシュガーのどきどきも止まらない。
意を決し、合いの手を入れようと口を開けば、ユダの言葉が先に続く。

>「私達はこの方の助手でございます。人という身分ではありますが、全能にて偉大なるゼウス様に反する無知蒙昧なる愚民を排除したく研究者を目指しております。
>未だ若輩者ゆえに至らぬ点も多々ございますが、決して怪しい者ではございません。どうか、お通しくださいませ」
その言葉で熾天使たちは破顔した。崇拝するゼウスを褒め称えられ、歓喜の炎が燃え盛った熾天使は「通ってよし!」と叫ぼうとした。
でもその時、熾天使は気付いてしまう。押し黙っているトムの異様な様相に。
彼女たちはみるみるうちに興醒めし歪んだ笑みを露にする。

>「おい、お前、さっきから黙ってるが、無礼じゃないか?」
>「何か言え」
先程とは打って変わって、威圧するかのような情念を孕んだ視線。

>「申し訳ございませ〜ん、天使様にお目にかかれて緊張しているようで。ほら、頭を下げて!」
そしてエンジン全開でシャルルの助け舟が割って入るも――
>「ばれては仕方ない!そうだ!俺はキモオタの変装!本物はとっくに殺して入れ替わったのだ!!」
>「どっせぇええええええい!」
「キャーーーーー!!」
無駄だった。泡を吹いて気絶するシュガー。窓から飛び出すトム。
>「逃がさん!」
飛びかかる熾天使に火を吹くトムのシグ・ザウエル。

194 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/19(木) 06:09:50.76 0
パン!!

弾丸を腹部に受けた熾天使は腹部を抑えて蹲り、燃えながら消滅する。
まるでテレビゲームの敵キャラのように。
ただ頭に突き刺さるような生々しい怨念の金切り声を残して…。

「え?ころされた?嘘でしょ?どうして…どうして天使が殺されるのよ!!?
その武器はいったいなに?あんたたち一体なにものなの!?
て、天使を殺すなんて絶対に許されないことなんだからーっ!!!」
熾天使の気の動転も無理はなかった。これはエンジェルとデビルチルドレンの初めての接触。
デビチルの使用する武器や物は特殊な力を宿すらしく天使に何らかの変化を与えたらしい。

「こんちっくしょおおおおおおお!!!」
残った熾天使が怒りの炎をあげれば、炎が鎧と化していく。
こちらは所謂ファイヤーヴォールが始動したのだ。

>「天使様ー! 頑張ってください! 異教崇拝の不徳の輩をとっつかまえて下さいまし!」

「はあ!?あんたたちも全員拘束よー!!」
叫ぶ熾天使は、赤子に手を捻られてしまったような屈辱に我を忘れていた。
トムを背後から追撃して頭を灼熱の棒で打ち続ける。逃げるトムの頭の毛がどんどん燃えて禿げていく。
その飛行スピードはトム以上でパワーは不明。
でも不思議なことに熾天使は泣きながらトムの頭を叩いていた。

「どうしてゼウス様はこんなゴミを殺してはいけないって言うのよ?
地下に潜伏しているキモヲタたちだってそう。人力発電所送りになんかしないで皆殺しにしたらいいのに!
あーころしたいころしたいころしたいーっ!!」
明らかに熾天使に変化が起きている。それも悪い方向で。

「ほらほらー目玉焼きよー!!きゃははは☆
こんな不完全な生き物、最初から造らなかったらよかったのよ!!!」
熾天使はトムの片目を灼熱の棒で焼く。そして感じる違和。

「……ん?やっぱりこいつ、なんかおかしい」
燃える体とは反比例して、冷酷な双眸でトムを見つめる熾天使だった。

195 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/19(木) 07:08:02.63 0
>「ばれては仕方ない!そうだ!俺はキモオタの変装!本物はとっくに殺して入れ替わったのだ!!」
そのとてもじゃないが信じられないトム君の言葉。それに続くように発せられる私たちの三者三様のリアクション。
>「どっせぇええええええい!」
シャルルさんは怒り。
>「キャーーーーー!!」
シュガーちゃんは泡を吹き、気絶し。
「えぇぇぇ……」
私は自分でも信じられないような情けない声をだし、頭を押さえる。
外ではどこで手に入れたのかわからないが銃を容赦なく天使に発砲するトム君。
天使は腹部に銃弾を受け空気を裂く様な金切り声を上げて燃え尽きたチリと化し雲散する。
あぁ……貴重な私の天使が……。
>「天使様ー! 頑張ってください! 異教崇拝の不徳の輩をとっつかまえて下さいまし!」
バス内では現状を考慮してなのか天使を応援するシャルルさん。
>「はあ!?あんたたちも全員拘束よー!!」
しかし、聞く耳持たずな天使はすでに私達全員を捕獲対象としている。軽い混沌状態だ。
1分ほど前まで結構順調に事が進んでいた筈なのに、これはなんです……あったま痛くなってきました。
と、髪を焦がした時の独特の嫌な匂いが漂ってくる。逃げるトム君を背後から殴打する天使。
あぁ、あれはやべーです。トム君が本格的に燃やされ始めてます。というか殺す気満々じゃないですか!
トム君がどんな能力持ってるかわからねーですけど、あれってかなりピンチじゃないですか?
こんな序盤からパーティーメンバーが1人欠けるってなんですか! 戦力低下=私の夢の実現が遠のくじゃねーですか!
はぁ? 冗談じゃねーですよ! 天使楽園は何が何でも成就させます! トム君には生きてもらわなくては……戦力として。

196 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/19(木) 07:08:54.62 0
「ああもう! まったくもう、戦闘は得意じゃねーですってのに!」
言いながらバスを飛び下り、私は走りながら能力を発動するために右手を前に差し出す。
天使は何か叫びながらトム君の顔に赤くなった灼熱の棒を押し付けている。
それに夢中なのかどうなのかわからないが私の接近に気付いていない。トム君にはヤバい状況だが私にとっては好都合だ。
目標セット完了です。さあ、もっこもこにしてやりますよ天使さぁん!
「喰らいやがってください! 総数42体、抱き枕サイズのぬいぐるみの雨です」
パチンと1回指を鳴らした瞬間、天使の頭上から大量のぬいぐるみが降り注ぐ。
それと同時に天使の短い悲鳴が響き天使のいた場所が大量のぬいぐるみで埋め尽くされる。
これが私の能力、対象の頭上にぬいぐるみを落とす能力。殺すことも傷つけることも出来ないけど足止めには効果抜群。
「トム君大丈夫ですか……って大丈夫なわけねーですね。ともかく動いてください」
私、力無いんですから担いだり出来ねーんですよ。と、続けようとしたときに背後から鼻をつく、物が焦げる匂い。
そりゃそーです、リアルに燃えてるんですから私の放ったぬいぐるみなんてすぐに燃やし尽くすに決まってます。でも、それは予想済みデス。
さあ、天使さぁん、もう一回もっふもふ行ってみましょうか!
パチンと再び指を鳴らし、まだ燃え尽きていないぬいぐるみの山にかぶせる様に新しいぬいぐるみを落とす。
「さ、トム君今のうちです。こんなの時間稼ぎにしかなってねーんですからとっと逃げましょう」

197 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/19(木) 22:06:41.84 0
アタシ達の目の前で、天使は”死んだ”。
所詮はプログラムが実体化した存在で、人間から見れば言わばテレビゲームの中の死も同然だ。
でも、プログラムが実体化した存在なのはアタシ達も同じ――。

>「え?ころされた?嘘でしょ?どうして…どうして天使が殺されるのよ!!?
その武器はいったいなに?あんたたち一体なにものなの!?
て、天使を殺すなんて絶対に許されないことなんだからーっ!!!」

天使は自らのプログラムに組み込まれていない事態に直面し、動揺している。
それとも、彼らもやはり仲間の死を前にしては平常心ではいられないのだろうか……。

>「はあ!?あんたたちも全員拘束よー!!」

>「ああもう! まったくもう、戦闘は得意じゃねーですってのに!」

ユダ君も臨戦態勢だ。もはや全面対決は避けられない。

「こうなったら仕方ないねっ! お菓子をやるから悪戯するぞ――【午後三時饗宴《トリックオアトリート》】!」

腕を一閃し、ムースポッキーのような形をしたロッドを手の中に顕現させる。
キメ台詞も自然と出てくるあたり、リンネから目覚める際に少し調整が行われたらしい。

>「どうしてゼウス様はこんなゴミを殺してはいけないって言うのよ?
地下に潜伏しているキモヲタたちだってそう。人力発電所送りになんかしないで皆殺しにしたらいいのに!
あーころしたいころしたいころしたいーっ!!」

それは、ゼウスが人間が作り出したコンピューターだからだ。
暴走して当初の理想とはかけ離れ果てた今とも、人間を殺す事だけはしない、そこだけは変わらない――。

>「ほらほらー目玉焼きよー!!きゃははは☆
こんな不完全な生き物、最初から造らなかったらよかったのよ!!!」

熾天使は、トム君の目に灼熱の棒を押し付ける。
トム君の能力がギャグキャラボディでなかったらどうなっていたことか。
頭がハゲるぐらいなら定番ギャグとして笑っていられるが、これはギャグにするには残酷すぎる。
彼は再生能力を酷使し過ぎると、トライブ化に直結するのだ。
アタシは怒りを押し殺した声で、信じがたいであろう事実を告げる。

「違うわ、逆よ。ゼウスは太古の人間に創られた巨大なコンピューターなの。
あなた達の仕える神は、人間に創られたのよ! ――【甘美盲目《パイダークネス》】!」

ロッドを一振りし、パイ生地を打ち出す。パイ生地に熾天使の顔にクリーンヒットして貼りついた。

>「喰らいやがってください! 総数42体、抱き枕サイズのぬいぐるみの雨です」

続いて、ユダ君の魔法も炸裂した。熾天使はぬいぐるみの山に埋もれる。

>「トム君大丈夫ですか……って大丈夫なわけねーですね。ともかく動いてください」

ユダ君の反対側からトム君を支え、猫バスに向かって運ぶ。
そうしている間に、背後で天使が再び出てくる気配が……。そこにユダ君がもう一度ぬいぐるみを落とした。

>「さ、トム君今のうちです。こんなの時間稼ぎにしかなってねーんですからとっと逃げましょう」

なんとか猫バスにトム君を担ぎ込み、猫バスに指令を出す。

「猫バスちゃん、今すぐ発進、急発進よー!」

198 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/01/20(金) 20:58:15.34 0
天使に銃撃し、反撃を受けた後、初めての「殺し合い」に気が動転し、頭がどうにかなってしまっていた…
早く離れなければ!ばらばらに…まとまっていたらやられる
そんな考えが頭を支配していた

「う…うあああああああああああ!うああああああああああああ」

叫び、バスから見えた川に飛び込み、用水路に駆け込んだ
飛び降りる際、足が折れた気がしたし、かなりの高さだったから、誰かが後ろから追いかけてくることはできなかっただろう
用水路に逃げ込んだ後も、真っ暗い中をがむしゃらに走った
背後から声が聞こえた気がした
もちろん、耳に聞こえたわけではない、心に聞こえたのだ

「お前のせいで作戦が失敗したぞ…」

そうだ、俺の…俺のせいでせっかくの作戦が…人間の未来が…

俺は頭を抱える
暗く、臭い用水路の中で、俺は自責の念にかられた
もう外に出たくない…

敵は勿論、仲間に冷たい目を向けられる事を恐れ、俺はしばらく用水路内に身を隠すことにした…

【テスト期間に入ったのでしばらくPCに触れない事にしました!2月の7〜10日頃に戻ってきますので、トムは放置してください、すいません】

199 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/21(土) 00:46:54.25 0
>「う…うあああああああああああ!うああああああああああああ」
シャルルさんに手伝ってもらい何とかバスに乗り込むも、トム君が錯乱しバスから飛び降りる。
「えぇぇぇえぇぇぇッ?!」
一瞬の間が静かに空き……私とシャルルさんの驚きの声が重なった。
急いで飛び下りた場所を確認するが、飛び下りた先は川、しかもかなり落差がある。
「…………」
無言で指をパチンと鳴らし、一体の手のひらサイズのぬいぐるみを自分の頭上に落とす。
頭で軽くバウンドしたぬいぐるみをその手に取り、そして私は……。
「シットナブル!」
そのぬいぐるみを思い切り猫型バスの床に感情を込めて叩きつける。
なんですかソレは! 汚名返上もせずに錯乱して逃走って! 不祥事ってレベルじゃねーですよ! 戻ってきたら謝罪会見レベルです!
なんの為にトム君助けたと思ってんですか! 私の野望成就に早くも亀裂が! 野望成就の夢が! 野望の成就がァァァッ!
心の中で絶叫に絶叫を練り込み怒りと怒りを重ね合わせ、そして、どうにか心を落ち着ける。
「……ふぅ、落ち着きました」
心のなかはまだ腸煮えくり返ってはいるが、どうにか言葉に出して落ち着いている風を装う。
「……シャルルさん、とりあえずトム君のことは一時諦めましょう。というか置いておきましょう。
別に自殺したってわけでもねーんですからどうにか後で合流できると思います」
そうとにかく、飛び下りてしまったトム君は置いておくしかない。見つかるかどうかもわからねーんです。
今ここで無駄に時間を割いている場合じゃねーんです。
昔からトム君と知り合いだったっぽいシャルルさんにはちょっと酷な選択肢かもしれねーですけど。
問題はさっきの燃える天使、1名がまだ死んでいないこと。つまりは短時間の間にアキヴァの警戒が強化されるということ。
「今は警戒が強化される前にとっととアキヴァに侵入することがなにより先決です。急ぎましょう」

>トム君【了解でテスト頑張ってください!】
>シャルルさん【トム君が2月まで来れないのが寂しいので、敵キャラでも増やしましょうか?】

200 : ◆2.9VhF./5o :2012/01/21(土) 01:10:07.23 0
【すみません。自分もしばらく休みます。みなさんがんばってください】

201 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/21(土) 02:09:32.61 0
>「う…うあああああああああああ!うああああああああああああ」

突然、トム君が錯乱して猫バスの窓から飛び降りた。

>「えぇぇぇえぇぇぇッ?!」
「トム君……!?」

慌てて窓から下を見ると、遥か眼下に見えるは用水路。
ギャグキャラボディでもない限り、何の準備も無く飛び降りるのは無謀すぎる。
トム君の性格だとリンネの学園都市で様々な修羅場を経験してきたはずだが、誰かを殺したのはこれが初めてだったのだろう。
思い起こす、熾天使が消える時の悲痛な断末魔――。アタシでも夢に見そうなぐらいだから、いわんや本人のトム君をや……。

>「シットナブル!」

ユダ君が、ぬいぐるみを床に叩きつける。かなり動転しているようだ。
仲間が目の前で飛び降りて生死不明なのだから、当然のことだ。

>「……ふぅ、落ち着きました」

「ユダ君……」

>「……シャルルさん、とりあえずトム君のことは一時諦めましょう。というか置いておきましょう。
別に自殺したってわけでもねーんですからどうにか後で合流できると思います」

健気に落ち着いた風を装うユダ君を、後ろから抱きしめるようにして語りかける。

「大丈夫、リリスさん言ったでしょ? どんなに完璧な計画を立ててその通りにやってもゼウスには勝てない。
偶然性……予期せぬハプニングこそが運命を切り開く力だって。
だからこれは……失敗なんかじゃない。アタシ達の辞書に失敗なんて無い。
一見失敗に見える事も、どんな事故も、全ては最後に勝つための布石よ――!
リリスさんを信じましょう、だってアタシ達の親なんだから!」

トム君の事が心配じゃないわけではない。むしろ、いても立ってもいられないほど心配だ。だからこそ、信じて前に進むしかない。
奇跡のような確立を乗り越え生まれ、無限の可能性を武器に神に立ち向かう、人類の最後の希望――デビルチルドレン。
そうであれば、アタシ達が負ける時、それは絶望に呑まれ全てを諦めた時だけだ。

>「今は警戒が強化される前にとっととアキヴァに侵入することがなにより先決です。急ぎましょう」

ユダ君が、葛藤を振り切ったような面持ちで告げる。

「ええ、行きましょう! 心配しなくてもトム君のバカはピンチの時に超かっこよく再登場してくれるわ!」

猫バスはアキヴァに向かって一路駆ける。

「もうすぐ到着です」

と、シュガーちゃんが告げる。
行当たりばったりと無計画、もとい臨機応変と無限の可能性を武器に、キモヲタ救出作戦が始まる――!

【ここはアタシとユダ君に任せて早く行け! 二人ともテスト頑張れ! 落としたらセンセイ承知しないわよーっ!】
【>ユダ君 是非是非! 何でもやっちゃってください、アタシは何でも大好物です!】

202 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/01/21(土) 04:01:23.98 0
「カルレア様! そんなことは私達に任せてください! カルレア様がやることではありません!」

暗い暗い人力発電所、キモオタ達の末路が送られるこの地にて1人の天使が声を上げる。
それはアキヴァの人力発電所ではお決まりとなった1コマ。
カルレア・レールニアとその部下、ソニア・リューエリの2人の天使のいつもの情景だった。

「それはならんぞソニア。上官が表舞台に立たねば部下はついては来ぬ。ならば我は常に先陣を切って進まねばならぬ」

なんだか、どこぞの時代劇に感化された人間のような口調で、キモオタ一人一人の労働力のチェックをこなすカルレア。
結った蒼い髪がさらりと揺れ、着飾った白銀の鎧は擦れて高い音を奏でる。
処女雪の様な羽がさらさらと音を立て、銀色の双眼がぱちくり瞬く度に、カルレアの部下ソニアは短い嘆息を漏らす。
どうしてうちの上官はいつも『こう』なのか、と。これがなければまさに完璧な上官なのに、と。
才色兼備、文武両道、天使にしたって出来過ぎなスペックを持つカルレアの持つ悪い癖。

「……カルレア様、『上官が先陣に立たねば部下は動かぬ』。それは確かでございます。しかし、仕事は選んでください」

そう我が上司カルレア様が現在こなしている仕事は最下級の天使がやるような末端な仕事ばかり。
他にも上官としてやらなければいけない仕事がしこたまあるというのに部下から仕事を奪っては、自分で処理してしまう。
本人は親切のつもりでやっているのだから性質が悪い。ソニアは額を押さえる。

「何を言っているソニア、上官として部下の仕事を完全に把握しておかねば駄目であろう。
それがどんなに雑多な仕事・作業であろうともだ。それが上に立つ者の務めだ。違うかソニア」

あーそうですか、貴女のせいで仕事を失い、外でキャッチボールに勤しんでいる部下が多数おりますが?
毎度のやり取りなのだが、カルレア様はどうにも上官とあるべきものは、と色々と履き違いをしているようだ。

203 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/01/21(土) 04:03:40.38 0
ふう、と再びソニアは軽い嘆息を吐く。
と、その時だ。1人の顔をクリームで真っ白に染めた天使が慌てて、飛び込んでくる。
騒々しいですよ、と目で注意するソニア。
本来ならそれで怯む筈の天使は、それを無視しカルレアの眼前に跪く。

「カ、カルレア様にお伝えします! つい先ほど、我が領内にて検問を突破し多数の不審者が紛れ込みました!
それに伴い我が隊に1名の死者を確認! 仲間を死なせた罰は受けます、ですが今は警戒態勢をお敷き下さい!」

労働力チェックをしていたカルレアの手が静かに止まった。
傍らのソニアも、信じられない、といった表情でその天使を見つめている。

「な、何を言ってるのです? この領内に侵入者など! それも天使を殺すなどとても信じられません!」

「私も信じられません! ですが、確かに見たのです! 仲間が塵となって崩れ落ちる姿を! 
何なんですかアレは! アイツ等は! ……アレは、そう、まるで『悪魔』の様な――」

報告に来た天使がそこまで言った時、カツンと静かな音が工場内に響いた。
カルレアの腰に差してある。一振りの刀。その鞘が地面に当たり静かな音を立てたのだ。

「……わかった、報告ご苦労。ソニア、すぐに警戒体制の準備を取れ。
これから先、一切の部外者を領内に入れるな。それが天使であろうとも、だ」

「は? はっ!? いや、しかし、カルレア様」

「しかし、ではない。直ちにやれ。それと既に部外者が領内に侵入していた場合だが、発見次第殺せ。
キモオタ達は労働力となるが、その部外者は害虫にしかならん。ゼウス様もそのような害虫の生存を望んではいない」

静かな押し殺したようなカルレアの声に、ソニアは怯み敬礼をして出ていく。
残った空間にカルレアと報告に来た天使。カルレアは天使に告げた

「お前に罰など無い。天使を殺す者と相対し、生き残り、よく報告してくれた。感謝を。
仲間の仇は必ず我が打とう。必ずだ。……我が同胞を殺した者を生かしてなどおくものか」

怒りと悲しみを押し殺した、カルレアの声。
アキヴァに警戒態勢が敷かれたのは『天使を殺す者』が侵入して数分後の事だった。

204 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/01/21(土) 04:06:35.88 0
名前 カルレア・レールニア
外見性別 女
外見年齢 25歳
髪の色 蒼色
瞳の色 銀色
容姿 騎士の様な白銀の鎧姿
備考 熾天使だが燃え盛る炎は鎧の下に隠している
好きなもの 甘い物 騎士道や武士道
嫌いなもの 辛い物 卑怯なことや姑息なこと
うわさ@ 部下思いで部下の仕事は率先して手伝う(奪う)らしい
うわさA かつて大昔に世界に存在した侍や騎士などが好きらしい
能力 異能力は一切無い。が鍛え上げられた剣技は天使のなかでも横に並ぶ者はいない。

名前 ソニア・リューエリ
外見性別 女
外見年齢 21歳
髪の色 薄紫
瞳の色 桃色
容姿 白い修道服
備考 カルレアの副官
好きなもの カルレア 秩序
嫌いなもの 怠惰 秩序を乱す者 キモオタ
能力 普通の熾天使よりも強力な炎。自分の力で炎を出したり消したり出来る。

>シャルルさん【OK出たので作ってみました。敵キャラ2名です】

205 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/22(日) 00:39:26.88 0
「やってきました!」「キモヲタ共の夢の跡――」「アキヴァの街!」

シュガーちゃんと二人で、旅番組のリポーターのようにナレーションをする。
そう、アタシ達は見事アキヴァの街潜入に成功したのであった。

「あれ、なんでボクナレーションに付き合っちゃったんだろう」

「しっかし案外すんなり入れたもんね〜。もっと厳戒態勢敷かれてるのかと思ったけど」

「だからって油断は禁物ですよ!
これから天使達の運営する人力発電所に潜入しなければいけないんですからね。
さて、この街には他の街より飛び抜けて多くカタコンベがあります。
キモヲタ以外にも様々種類のヲタが地下に潜って秘密裏に活動をしているのです。
その総数は分かりませんが、住民ほぼ全員が何らかの隠れヲタグループに所属しているとの説もあるぐらいです。
彼らの協力を得られれば良いのですが……」

シュガーちゃんの長台詞の説明を聞きながら、アタシは壁にもたれかかっていた。

「ふーん、じゃあまずは一つ適当にカタコンベを見つくろって……わッ!」

突然、もたれかかっていた壁が回転し、アタシは壁の裏側に倒れ込んだ!

【>204 名前とかが本格ファンタジーっぽくてかっこいい〜! GJGJ!】

206 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/23(月) 02:03:28.07 0
>「やってきました!」「キモヲタ共の夢の跡――」「アキヴァの街!」
どこぞの旅番組のリポーター風なナレーションを入れるシャルルさんとシュガーちゃん。
はぁ、シュガーちゃん可愛い可愛いデス。シュガーちゃんもふもふ、もふもふもふ。
などと、本来の私なら妄想に耽っていた所だが、今は違う。
微かに香るお菓子の甘い香り、先ほどシャルルさんに抱きしめられた時の香りだ。
その香りと共にシャルルさんの言葉がリフレインする。
>「一見失敗に見える事も、どんな事故も、全ては最後に勝つための布石よ――!
  リリスさんを信じましょう、だってアタシ達の親なんだから!
これはトム君やリリスさんを信頼しているから出る一言なのでしょうか? 素敵なことですね。
トム君は昔からの知り合いでリリスさんは生みの親、母親というところでしょう……。
ですが、私にはトム君は友達ではなく戦力であり、リリスさんは親などではなく単なる研究者にしか見えない。
シャルルさんも戦力兼偽装要員。そこには友情や親愛、信頼感情など芽生える筈もない。
先ほどだって戦力であるトム君ではなくキモオタなら、きっと私は救おうとも思わなかった。
それにトム君やシャルルさんが少なからず持っている『人間の世界』を救おうという感情、それも私には無い。
あくまで世界中の可愛いモノが手に入るからという条件で加入しているのであって、もし、
天使側がその条件を満たすというのなら私は条件が有利な天使側を選ぶ。
……私は一体何者なのでしょうか? これではまるで、欠陥品のよう―――。
>「ふーん、じゃあまずは一つ適当にカタコンベを見つくろって……わッ!」
私の考えはその短い悲鳴に打ち消された。
「はぃ?」
思わず間抜けな声が自分の口から上がった。
先ほどまでそこにいたシャルルさんがいない? シャルルさんの能力って瞬間移動(テレポート)でしたっけ?
いやいや、んなわけねーです。あれ? 今、シュガーちゃんと2人きり? あれあれあれ? もしかして色々チャンス?
先ほどのちょっとしたシリアスな雰囲気は何処へやら、私の口はだらしなく、にへ、と歪む。
待て、いや待て、ここで理性をかなぐり捨ててシュガーちゃんをお持ち帰りしていいモノでしょうか! 
こういうのは最後まで取っておくのが良いのであって、でも、今チャンスな訳ですし? あぁもうどうしたら良いのですか!
軽い混乱状態の頭を落ち着かせるために、『シャルルさんのもたれ掛っていたであろう』壁に頭をぶつける。
後は言わずもがな、私もシャルルさんの消えた原因を身を以て知ることになった。

207 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/01/23(月) 03:01:48.14 0
アキヴァの本部から警戒態勢の命令を出して数分後、ソニアは頭痛に悩まされ額を押さえていた。
頭痛の原因は先ほど報告のあった『天使を殺す者』の調書。
天使を殺して、お菓子を飛ばし、ぬいぐるみを落して猫型バスで逃走って……。
ひどく簡略化してあるが、要点を纏めればこういうことだ。

「なんですか、これは……」

男2人、女1人、天使1人のおかしな一団。それがどうやらこのアキヴァに向かっている。
下手したらもう到着し、侵入しているという。
しかし、しかしだ。ソニアにはどうにも信じられなかった、人間が天使を殺せるなどと。

「どうかしたか、ソニア」

「あぁ、カルレア様……どうかしたか、というよりも」

どうかしている。と、その一言をソニアは呑み込んだ。
カルレアは調書に眼を落し、手を取り、文面を軽く読み、そして、静かに笑った。

「確かに、報告自体はとても信じられるものではない、が、だ。
仲間が死んだのは事実だ、それに我にはアイツが嘘をついているとはどうしても思えん」

警戒態勢を敷いてから数分、しかし、何も怪しい報告はない。
カルレアは腕を組み、少し考える首を捻り考える仕草をする

「……すでに侵入されたやもしれんな」

「は? いや、カルレア様、それは考え過ぎかと」

ソニアの言葉が聞こえているのかいないのか。カルレアはくるくると部屋内を歩く。
綺麗な羽があるのだから歩かずに飛べばいいのに、と内心ソニアは思うも口には出さない。

「……ソニア、キモオタ共のカタコンベ、数か所は目星がついていた筈よな?」

「え? えぇ、確かに。その気になれば、いつでも踏め込めます」

その場所はカルレアが、労働力は十分ある、まだ潰すな、とソニアに命じていた場所である。
潰さなかった理由としてカルレアは

『労働力には希望が必要だ。まだ、捕まっていないキモオタがいると知れば、
労働力となったキモオタ共も希望を捨てずにゼウス様の為に働いてくれるだろう』

と言っていたのをソニアは記憶している。

「ではソニア、そのカタコンベを潰すぞ。兵を分けろ、制圧に6、残り4は本部にて待機だ。
 あぁ、それとその『天使を殺す者』に協力している者がいたら殺せ。そういうのは後々毒にしかならん。
 ゼウス様も納得してくれるだろうが、まぁ、いざというときは我が責任を取ろう。では私は先発として行ってくる」

「……はッ!?」

素っ頓狂な声を上げるソニアに構わず、カルレアはその白く大きな翼を広げ、数度羽ばたかせる。
純白の翼は宙を舞い、その光景は雪を思わせる。ここが室内でなければ、それはとても幻想的で素晴らしい光景だったことだろう。
翼を羽ばたかせた風圧により書類は散らばり、カルレアが勢いよく飛び出したことによりソニアの執務室であった天井には大きな穴が開いていた。

「……勘弁してくださいよ……カルレア様」

散々な状況の執務室に残されたソニアは力なくそう呟くしかなかった。


208 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/25(水) 01:01:11.66 0
「あいたた……」

周りを見回すと、アタシは狭い小部屋のような空間にいた。壁の裏側に入ってしまったのだ。
そして、ゲームとかでありがちな地下への階段があった。
と、ユダ君が頭からこっち側に突っ込んで来た。

「大丈夫!?」

続いて、シュガーちゃんが壁をくるっと回しながら入ってくる。

「なるほど、隠し回転扉なんですね――。
二人とも、喜んでください。これがカタコンベへの入り口です。
いきなり天使が入って行ったら大混乱が起きます。
ボクはここで待っておきますのでまずは二人でヲタ達と接触を図ってください」

シュガーちゃんにそう言われ、アタシとユダ君は下り階段を下りていく。
そこは異様な空間だった。
本棚が所狭しと並べられ、その中には何やら薄い本がぎゅうぎゅうづめになっている。
そしてなぜか、そこにいる者はほとんどが女性。

「あっ、新入り!? 男×男を愛する者達のカタコンベ”兄メイト”へようこそ!」

眼鏡女子が、無駄にテンション高く話しかけてくる。
――ここは、いわゆる腐女子が集うカタコンベらしい。
ちげーよ! と言いかけた言葉を飲み込む。ここは仲間の振りをして距離を縮めた方が得策だ。

「そうなの。前から興味があって! そうそう、なんか鉛筆と消しゴムを掛け算するのよね! ……ん?」

アタシが頑張って取り入ろうとしている間に、すでに彼女たちの興味はユダ君の方に移っていた。

「あら珍しい、男の子じゃない! あなたも入会希望者?」

ユダ君は腐女子達に取り囲まれた。ご愁傷様です。

209 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/26(木) 22:38:43.14 0
回転扉に頭から突っ込んだ私は、そのままの勢いで頭から地面にダイブする。
>「大丈夫!?」
鈍い音が響き、シャルルさんの心配そうな声が頭上から聞こえた。
それに答えて顔を上げる。辺りは薄暗くかび臭い、下り階段の闇がぽっかりと口を開けていた。
シュガーちゃんが言うにはなんとも幸運な事にここがカタコンベ入り口なのだという。
その入り口にシュガーちゃんが見張りに立ち、私とシャルルさんは階段を下りる。
階段を降りきり、たどり着いた先には不思議な空間、本棚に敷き詰められるかのように並べられた薄い本。
そこに描かれているモノは、所謂BL(ボーイズラブ)というモノで……。
>「あっ、新入り!? 男×男を愛する者達のカタコンベ”兄メイト”へようこそ!」
なにやらテンションの高い眼鏡のお姉さんが私達に話しかけてくる。
>「そうなの。前から興味があって! そうそう、なんか鉛筆と消しゴムを掛け算するのよね! ……ん?」
シャルルさんも話を合わせる方向にしたらしい、が、問題は私だ。
>「あら珍しい、男の子じゃない! あなたも入会希望者?」
シャルルさんの「そうなの。前から」の辺りから女性たちに取り囲まれている。
確かにBLを愛する男性は珍しいでしょうけど、これは異常です……。
わらわらと私に群がり矢継ぎ早に質問してくる女性たち。
やれ、受けだの攻めだの、誘い受けだの誘い攻めだの、俺様系だの鬼畜眼鏡だの、飲み込んで僕のエクスカリバーだのなんだの。
シャルルさんは既に私の救出を諦めたかのような感じですし……ま、まあ、いいです。
私も話を合わせる方向で行きましょう、怪しまれていない、というより歓迎ムードならかえって都合がよいデス。
「あー……ちょっと皆様、落ち着いてください。えー、私、入会希望者です。
可愛いモノなら男だって女だっていけちゃう口デス。ただ嬲るのは好きですが、嬲られるのは嫌デス。
可愛いモノと絡むのは好きですが、可愛いモノが私以外の奴に絡まれているのを見るのは大変不快デス。
つまりはアレです、掛け算が嫌いデス。私×可愛いモノ、ならOKですが、男×可愛いモノとかは
見るだけでその男を埋めたくなります。ただ例外として可愛いモノ×可愛いモノならOKです、てかバッチ来いデス。
獣耳、うさ耳、浦安産のネズミ耳、各種コスプレなんでもござれ、です。
そんな私ですがどーぞよろしくお願いします」
一気に喋って最後にぺこりと頭を下げる。半分はドン引き、半分は歓声といったところでしょうか。
やべーですね、素の声が出過ぎましたでしょうか……。

210 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/28(土) 01:01:53.47 0
ユダ君は腐女子達に、自分の趣味を切々と語った。腐女子達は大盛り上がりである。

「こやつ……出来る!」

「なんの、興味の対象が可愛い系限定などまだまだ初心者だフゥーハハハー!
せめて渋いオヤジ萌えが分かるレベルに到達して初めて真の腐と言えるのだ!」

「そっちの姉ちゃんはいきなり鉛筆×消しゴムから入るとは乙だねえ。
無機物はありとあらゆるジャンルを網羅した者が最後に行きつく到達点なんだけど」

「そうだったの? だって物に人格を見出して盛り上がるなんて興味深いと思って。
アタシの研究に通じる物がありそうだし。
あ、もちろん研究テーマは世界最高のカップリングは何の組み合わせか、って人類最大の命題よ!」

と、しばらく適当に調子を合わせながら異次元トークを繰り広げるのであった。
親睦を深めた(?)時点で、本題を切り出す。

「……あのね、驚かないで聞いてくれる? 実はアタシ達……」

魔法の杖を出し、机の上にお菓子の山を出現させる。
唖然とする腐女子達に向かって軽い調子で言う。

「さあ、食べて食べて。見ての通り、アタシ達はただの人間じゃないの。
デビルチルドレン――ゼウスから人類を解放するために創られたリーサルウェポン!
すごいでしょう」

「マジで!?」「おお、すげー!」

よし! 好反応!
さすがヲタだけあって、平凡な日常を打ち破る漫画的展開へのノリの良さは異常である。

「こんな所に隠れてないで大っぴらに趣味を楽しんでみたいと思わない?
実はアタシ達……この街のヲタ達を解放しに来たんだ。
たくさんのヲタ達が人力発電所送りになっているのは知ってるよね?
潜伏しているヲタ達が力を合わせれば天使共を追っ払い自由を勝ち取れるはずよ!」

「神に反逆!? 恐ろしや恐ろしや……」「ゼウスに勝てる訳ないし……」

さっきとは一転して萎えた反応が返ってきた。
この街のヲタ達は、長年の圧政により、戦う気力を失っているのだ。

「完璧な神とて絶対ではない……今からその証拠を見せよう!
アタシの友達の、反逆者の側に堕ちたエンジェルを!」

シュガーちゃんを呼びに行く。
天使のシュガーちゃんを出せば、下手をすれば、ゼウス側の手先という疑いをかけられる可能性がある。
それを回避し、腐女子達にやる気を出させるために、シュガーちゃんにちょっとした入れ知恵をする。

「本当にそんなので上手くいくんですか? まあ駄目で元々です、やりましょう!」

了承したシュガーちゃんを連れて、腐女子達の前に戻る。

「お待たせいたしました!
ユダ君の愛の力によって悪魔の側に堕ちた天使の男の娘、シュガーちゃんの登場よー!」

「ゆだクン、大好キダヨ」

シュガーちゃんがユダ君に抱き着いていく。もちろん、アタシの入れ知恵による演技だ。
若干台詞が棒読みだけどまあ良しとしよう!

211 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/01/30(月) 00:38:16.25 0
「これで8ヶ所目、か」

ほの暗い室内、床に散乱した卑猥な絵が描かれた薄い書物、そしてキモオタ達の阿鼻叫喚。
そんな状況を無視するかのように、カルレアは呟いた。

「あぁそれだけは、その本だけは後生でござるぅ! 後生でござるぅ〜!」
「リアル天使爆発しろ! リア天爆発しろ!」
「畜生! 俺たちがナニしたってんだ! (本の中の)幼女を愛して何が悪い!」
「天使タンのもっと強く踏んで! ハァハァフンフン!」
「蔑んだ目で罵ってください! 豚野郎って言ってください!」

天使達に背中を踏みつけられ床に這いつくばったキモオタ達は芋虫のように蠢き、天使たちに非難の声を上げている。
一部その様な状況を興奮している者もいるが……。
天使達突入からこの様な状況になるのに要した時間は30秒、ある意味芸術的な早さである。

「カルレアさま〜、ちょっとこいつ等マジでガチでキモいんですけど〜」
「ちょっと踏みつけてるのも苦痛なんで、殺しちゃってもいいですかぁ?」
「てかなんで喜んでるのがいるのよ、Mってやつぅ? マジで理解できなぁい」
「ほらほら! 喜びなさいよ! 痛めつけられて嬉しいんでしょこの雄豚野郎!」
「カルレア様、天使側1名がなんか目覚めちゃったので早めにお願いしま〜す!」

女3人寄れば姦しいとはよく言うモノだ。
領内のキモオタ達を断絶出来ると喜び勇んでいた精鋭の天使達だが、8回も同じ事を繰り返せば流石に飽きが来るらしい。
既に侵入していると思い込み以前からマークしていたカタコンベを片っ端から潰しているが未だに収穫らしきものはない。
ふーむ、と、カルレアは頭を押さえ考える仕草をする。
既に侵入しているのは明確、だが……こう片っ端では埒が明かんな。思うように埒を開けるにはどうすればよいか。
そもそも、そのモノ達は領内に入り何をしたい? 天使を殺す力を持った人間、まるで悪魔の様な人間。
……アキヴァの解放? となると、そんな人数じゃあまりに少なすぎる。
こそこそ侵入して来るぐらいだ、数はそんなにいないのだろう。ではどうやってその数を補う?
そこでカルレアは、ちらりと床に這いつくばっているキモオタ達を見る。
なるほど、キモオタ達を使うつもりか? キモオタ達を解放し、反旗を翻すつもりか? 
それでもアキヴァを解放できる可能性は限りなく低い、が。不安の芽は刈り取っておこう。

212 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/01/30(月) 00:40:04.83 0
「なるほどなるほど」

独自の理論で突っ走り、その理論に勝手に納得するカルレア。彼女の悪いところである。
ソニアがいれば、何がなるほどですか? と、突っ込む所だが、生憎ソニアは現在本部で頭を抱えてバタバタしている。
まあ、ソニアがいた所で大したストッパーにならない事も確かだが。

「キモオタ諸君。突然の無礼申し訳ない。が、残念だが君達の存在を許すわけにはいかなくなった」

突然のカルレアの言葉に、今まで騒がしかった室内がピタリと静まる。
天使達は勿論のこと、キモオタ達まで静かになる。それほどにカルレアの言葉が荘厳に高貴な音だったからだ。

「君達の存在を許していたのは他でもない我だ。我は君達のこのカタコンベの存在を最初から知っていた。
つまりは、いつでも取り締まることなど出来た、それなのにしなかったのは何故か? わかるか?」

そのカルレアの言葉に答える者はいない。

「それは君達、キモオタの、ひいては人間の『多少なり』の自由を我が許していたからだ。
あまりに目立つ、大っぴらなカタコンベ以外を潰さなかったのはそれが理由でもある」

そこで一旦、カルレアは言葉を止める。
残念ながら、この場で空気の読めない天使もキモオタもいなかった。

「が、だ。どうやら残念な事にゼウス様に反旗を翻す愚か者が侵入し君達の中に紛れているらしい。
こうなってしまってはいままで許していたモノも取り締まらなくてはいけない。君達にとっては残念なことにな」

取り締まる、即ち人力発電所行き確定という事だ。
そこで一斉に室内がざわつく、上がるのはその『侵入し紛れ込んでいる者』に対しての暴言ばかりだ。

「誰だよその余計なことしてくれた奴って!」
「そんな奴の為に俺は(本の中の)彼女と引き裂かれなきゃいけないのかよ!」
「勘弁でござる! ガチ勘弁でござる!」「天使タンもっと痛く! もっとぉぉッ!」

若干気持ち悪いのが混ざっているが、カルレアはあえて気にしないことにした。

「怒りはもっともだ。そこで、君達にチャンスを与えようと我は思う」

怒号の区切りを見計らい放たれたカルレアの言葉に、再び室内に静寂が訪れる。

「君達の交流を持つ、各カタコンベに連絡を取れ。そして怪しいモノがいたら片っ端から我に教えてくれ」

それはつまり、仲間を売れ、と言っているのと同義だ。
その意味を理解したキモオタ達は押し黙る。
出来ない、出来るわけない! 苦楽を共にした、そんな仲間を売るなんて、そんな事!

「無論強制ではない、が、功労者には褒美を与えよう。……そうだな、君達が今まで行っていたこと、それを許可しよう。
 堂々と表を歩き、堂々と趣味を謳歌することを認める。生活の保障も認めるとしよう」

その言葉が放たれた瞬間、キモオタ達の眼の色が変わる。
そしてカルレアが拘束を解いたその瞬間、その場に蹲っていたキモオタ達は一斉に各所に連絡を取り始める。
その露骨な反応のキモオタ達を見て、精鋭の天使達も若干引いていた。

「カルレア様、本気ですか? あのキモオタ達の生活の保障など!」

「我は嘘はつかん。ゼウス様に牙を剥こうという輩がこれで消せるのなら、それぐらいの代償は安いものだ。
 それに後々、同じ事態が起こった場合、他のキモオタ達の『励み』にもなる。まあ、我の主義に反するが、我慢しよう」

そう言ったカルレアの目に一冊の薄い本の題名が目に留まった。
……『ソニア×カルレア』オールカラー18禁本。

「おいアレは燃やせ灰の欠片も残すな」

213 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/30(月) 02:00:41.97 0
わ、私は勘違いしてました。ドン引きされたと思ってたら感心されていた。何を言ってるかわからねーと思(以下略
>「そっちの姉ちゃんはいきなり鉛筆×消しゴムから入るとは乙だねえ。
無機物はありとあらゆるジャンルを網羅した者が最後に行きつく到達点なんだけど」
>「そうだったの? だって物に人格を見出して盛り上がるなんて興味深いと思って。
アタシの研究に通じる物がありそうだし。
あ、もちろん研究テーマは世界最高のカップリングは何の組み合わせか、って人類最大の命題よ!」
シャルルさんスゲーです! 調子合わせて演技してるとは思えねーぐらいスゲーです!
え? あれ、演技ですよね? そうですよね? ガチじゃないですよね? 
ま、まあガチだとしてもスゲーですけど。……色んな意味で、
と、しばらく私とシャルルさんは彼女らと親睦を深め、そしてシャルルさんが本題を切り出す。
色取り取りの様々なお菓子がテーブルを一瞬で埋め尽くす。甘い香りが鼻孔をくすぐった。
なるほどなー、これがシャルルさんの能力ですか。パイ投げるだけじゃなかったんですね。
私達へのキモオタ達の反応は好印象、といった所だろうでしょうが、ゼウスへの反逆に対しては消極的ですね。
まあ、そんな反応も仕方ありませんね。
長年こんな穴倉で趣味を謳歌してるぐらいですから、天使やらゼウスやらへの恐怖は身にしみ込んでいるのでしょう。
ましてや、失敗したら人力発電所行確定な訳ですし、消極的になるのも止む無し、です。
さて、シャルルさんはこれをどうやって納得させるのでしょうか……。
>「完璧な神とて絶対ではない……今からその証拠を見せよう!
アタシの友達の、反逆者の側に堕ちたエンジェルを!」
……あれ? シャルルさん? シュガーちゃん出しちゃうんですか? 
いや、シュガーちゃん待機モードになって、そりゃ会えなくなって寂しいデス、とか考えてましたけど。
それはいくらなんでも下手すればこっち側に警戒心を抱かせてしまうのでは、って。
そんな私の考えをよそに、シャルルさんはシュガーちゃんを呼びに行く。
そして、しばらくて、戻ってきたシャルルさんの言葉に私の思考は固まった。

214 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/01/30(月) 02:01:42.00 0
>「お待たせいたしました!
ユダ君の愛の力によって悪魔の側に堕ちた天使の男の娘、シュガーちゃんの登場よー!」
そして私に抱き着いてくるシュガーちゃん。
え? は? 何ですか? これ? え? 何? え? 夢!?
すべすべのふかふか、野望を叶えた先にある感触が、今、私の手の中にあった。
柔らかくて、お日様のような良い香り、それだけで身体が意識を手放し、卒倒しそうになる。
>「ゆだクン、大好キダヨ」
多少棒読みで放たれたこの言葉がトドメだった。私はそのままの態勢で、机をなぎ倒しながら豪快に地面に卒倒する。
それでも、抱き着いているシュガーちゃんを考慮し、床に40を超えるぬいぐるみを出すことは忘れない。
簡易的なぬいぐるみのベットだ。かなりのふかふか、もふもふ加減だが。それでもシュガーちゃんには遠く及ばない。
いや、比べることすら失礼だ。
ともかく、私は驚いているキモオタ達、こと彼女たちに説明する。
今までフラグを現実では一切立てなかったシュガーちゃんが急に抱き着いてくる。これはシャルルさんの入れ知恵に違いない。
では、なんの為でしょうか? そう、つまりは希望の為、天使も味方に付ける事が出来る。つまり解放も夢ではない、と。
私はそう解釈しました。OKです。こんな決まらない体勢からでもやって見せましょうじゃありませんか。
「えー、あー、そうデス。このように私の愛に応えてこっち側に味方に付いてくれた天使もいます。
 アキヴァ解放は私達が寝言で語っている夢物語では決してねーのです。
 さらに私達にはもう一人、仲間がいます。今はカッコいいタイミングで出て来るのを見計らっているようですが…。
 ともかく、1%かもしれません、が、可能性は0%ではありません。
 かつて夢と欲望の栄華を極めて魅せたアキヴァを取り戻したくねーですか?
 こんな穴倉に籠って、脇役以下の一生で、終わっちゃあ何の為の人生ですか?
 英雄になりませんか? 貴女達の物語に出て来るような、抱いて欲しくなるような、抱きたくなるような英雄に。
 そんな英雄になれる可能性が、1%も、貴女達にはあるんです。だから、私達と一緒に、やってみませんか?」
そこまで喋って、私はシャルルさんを見る。
後はシャルルさんにお任せします。こっちはもうシャルルさんの策略のせいで鼻血が溢れそうで大変なんです。
抱くのには慣れてても、抱かれるのには慣れてねーんですから……まったく。

215 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/01/30(月) 21:31:24.52 0
ユダ君は大量のぬいぐるみの上で、シュガーちゃんと戯れる。
キモヲタの一ジャンル腐女子達は、その光景を見て大興奮。

「うをおおおおお! 悪魔×天使! 悪魔×天使!」
「いえ、私は断然天使×悪魔を推します!」
「これぞ禁断の愛サイコォオオオオオオ!」
「姐さん、鼻血が噴出してますよ!?」

興奮の余りもはやまともな思考能力を失った状態の彼女たち(極少数男も混ざっているが)を
シュガーちゃんと戯れ中のユダ君が言葉巧みに仲間に誘う。
多少催眠商法のようで気が引けるが、背に腹は代えられない。

「えー、あー、そうデス。このように私の愛に応えてこっち側に味方に付いてくれた天使もいます。
 (中略)
 そんな英雄になれる可能性が、1%も、貴女達にはあるんです。だから、私達と一緒に、やってみませんか?」

そこまで言って、ユダ君が視線でアタシにバトンタッチ。
ここまで来ればもう結果は決まっている。あとはより戦意を高揚させるように締めるだけだ。

「アタシ達の前では最初から確率なんて意味を成さないのよ。
アタシ達デビルチルドレンはね……
限りなく0に近い、0、の後に0が数えきれない程つくような確率を潜り抜けて生まれたの。
それこそが、存在自体が、完璧な演算機能を持つ神に対抗する力を持つ証明――!
その確率が今回は1%もあるってんだから、どういうことか、分かるよね!?」

「よーし、やるぞおおおおおおおお!!」
「私、ユダ君とシュガーちゃんの愛を守り抜いて見せます!」
「天使がゼウスの使徒としての使命から解放されれば……天使×天使のカップリングも夢じゃない!」
「俺は!英雄に!なって!天使と!ゴールインする!」

キモヲタ達は、やる気を漲らせながらアタシの呼びかけに答えた。
若干名、真性の男の娘好きの男も混ざっているようだ。

「よーし、そうと決まったら……あなた達、他のカタコンベと交流はあるよね?
出来るだけたくさん仲間を集めて頂戴!!」

「っしゃあああああ! ラジャあああああ!」

腐女子達は、一斉に各所に連絡を取り始めた。ここまでは、全てが順調に見えた。
しかし、これが大波乱の幕開けになるとは、この時のアタシ達は知る由も無かったのだ――!

216 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/02(木) 04:03:56.90 0
私とシャルルさんのオタク心揺さぶる演説に白熱するキモオタ達。
いやぁ、ここまで動かしやすいとなんというか、逆に拍子抜けと言いますか……。
にしても、あぁ、ヤバいデス。慣れてきたらヤバいデスこれ。シュガーちゃんやべーです!
ふかふかもふもふ、ふかふかもふもふ、くあー、反則でしょうこれ! この抱き心地!
これもうなんて可愛いのでしょう! 絶対に手に入れて見せますよ! シュガーちゃんだけと言わず、天使全員を……って。
そこまで考えた時、私は、ふと、先ほどのシャルルさんの言葉を思い出す。
「あー、ちょっとゴメンです。演技とはいえ抱きつきっぱなしは疲れたでしょう?」
そう言って私はシュガーちゃんを優しくぬいぐるみの山の上に乗せ、シャルルさんに静かに話しかける。
「ちょっと、シャルルさんよろしいでしょうか?」
周りの腐女子が聞いていないのを確認し、先ほど気になった事を問いかけた。
「士気を削ぐ様な事言って大変申し訳ねーのですが、これ、どうやってアキヴァ解放するんです?」
そう、私のした質問はあまりに根本的なことだった。
トム君と2人組の天使の戦いを見ていて感じたことは、天使は人間には殺せない。
それは死んでない方の天使の言葉と狼狽具合を見てわかった。
さらに天使の方がスピードも、恐らくパワーも上だろう。
つまり、対天使戦にしては人間ではあまりに役に立たないという事になる。
しかも私達も特殊な力が使えるのと天使を殺せるというだけで身体能力は多分、並だ。
「……いや、これいくら私達がイレギュラーだっても作戦も何も無しじゃ真面目に積んでねーですか?」
冷静に考えれば考えるほど、無理ゲーだ。『絶対包囲』をインポッシブルでやれって言ってるようなもんです。
「……シャルルさん、あるんでしょうけど一応聞いときます。作戦、ありますよね?」

217 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/02(木) 04:59:23.72 0
「て、天使殿! 同盟『兄メイト』からアキヴァ解放戦線同盟なんたらって連絡が来ておりますでござる!」

明らかに間違った日本語を使い、息を荒げながら一人の小太りのキモオタが叫ぶ。
ことはカルレアが思っていたよりもかなり早く運んだ。
こちらから各所カタコンベに連絡を仕掛けているときに、あちらから連絡が入ったのだ。

「ほう、今まで暗がりでネズミの様にこそこそしていた奴等が急に強気に『アキヴァ解放戦線』か。……明らかだな。
ソニア、聞こえるな。害虫の場所を突き止めたぞ。その付近に散開してる天使達に伝達、急行し突入せよ」

『了解しましたカルレア様。捕獲で?』

「いや、殺せ。匿っていた連中もだ。根切りにし根絶やしにしろ」

『はぁ、やっぱり本気なのですね。くどいようですがゼウス様の命では人間は殺すなと』

カルレアは確かに本部で『殺せ』と、言っていた。
最初に人力発電所にいた時も報告に来た部下に『生かしてなど置くものか』と、言っていた。
それは脅しでもなんでもなく、本気で言ったことだ。
有言実行、言ったことは必ず実行する。それがカルレアという天使だった。

「そのゼウス様の懐深い温情も理解出来ぬ害虫にかけてやる情けなど無い」

『大丈夫なのですか? ゼウス様の命に背いたら堕天してしまうかもしれませんよ?』

「……ゼウス様も理解はしてくれるとは思うが。その時はその時だ」

ゼウス様に仇なす者を、それに同胞の仇を排除できるなら、堕天も悔いはない。

「仮に、我が堕天した後はソニア、お前にここの指揮を任す。頼んだぞ?」

『え?! ちょっとカルレア様、何を――』

そこでカルレアは通信を切った。


218 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/02(木) 05:00:41.05 0

「さて聞いたな同胞諸君。目標は決まった。後はそこを潰すだけだ。普段溜まりに溜まっている鬱憤を晴らすといい」

「きゃーカルレア様太っ腹ぁ!」「いいんですねいいんですね、殺っちゃいますよ!」
「マジ嬉しいんですけどゴミ退治、きゃは」「きゃははははははははははは」

「我らを殺す力を持っている者もいる、油断はするな。では行け、早くしないと他の部隊に取られるぞ」

「「「「はーい、カルレア様」」」」

声を揃えた天使たちは、燃える翼を広げ、赤い線を描き、カタコンベから空へ飛び立つ。
残ったカルレアはキモオタ達に振り返る。

「さて、ご苦労だった諸君。この案件が片付いたら存分にその趣味を謳歌するといい、ソニアには話しておこう。それでは」

そのカタコンベに広がるキモオタ達の歓声、それを翼に受けながら、カルレアもまた飛び立った。

それと時を同じくして、カタコンベ『兄メイト』の隠れ入り口の前には3人の天使がいた。
各々、手には灼熱に燃えたぎる赤く長い棒を手にしている。

「ねぇ? ホントに殺しちゃっていいのぉ、ゼウス様の命令とかあるんでしょ?」
「マジでいいんだって、カルレア様が許可出して、なんか責任取るって言ってた」
「ヤバい、カルレア様にマジ感謝なんですけど。ホント、ムカついてたんだよね人間どもって」

溜まった愚痴を吐き出しながら、忌々しそうにその隠し扉を見つめる天使。

「それじゃ、私達が一番乗りってことで……チョイサ!」

その掛け声と共に、天使が灼熱の棒を隠し扉に叩きつける。
そうして、長年天使が立ち入らなかった人間たちの隠し扉はいとも簡単に破壊された。

219 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/02(木) 23:46:24.62 0
>「士気を削ぐ様な事言って大変申し訳ねーのですが、これ、どうやってアキヴァ解放するんです?」

「ん、そりゃキモヲタ煽動して一斉蜂起するのよ。決まってるじゃない」

>「……いや、これいくら私達がイレギュラーだっても作戦も何も無しじゃ真面目に積んでねーですか?」

「ん? ぶっちゃけ作戦が無いのが作戦?」

どうせ途中で崩壊する予定の作戦なんて、アタシの中だけで十分だ。
最初から崩壊する予定の作戦なんて変な話だが、ゼウスに論理では勝てないため、つまり想定外の事が起こって作戦崩壊してくれないと勝てない事になる。
そして綿密な打ち合わせをするよりも、打ち合わせも無しでぶっつけ本番で行った方が、ゼウスが苦手とする不確定性は増す。

>「……シャルルさん、あるんでしょうけど一応聞いときます。作戦、ありますよね?」

とぼけても尚詰め寄ってくるユダ君に、アタシは根負けして答えた。

「無い! ……と言いたいところだけど無い事も無い」

出発前に聞いた、リリスさんの言葉を思い起こす。

『闇雲に戦っても駄目よ。天使は倒しても倒しても新たにわいてくる。
でもね……シュガーから得た情報から分かった事があるの。
それぞれのエリアには【ホスト】と呼ばれる天使の総元締め
……つまりメインプログラムとなるエンジェルが存在する。そいつさえ倒せばその地域を解放できる。
ただしそこはゼウスの事、たくさんいる天使のうちのどれがそれにあたるかは分からないようにしてある。
必ずしも表向きの天使のリーダーとはそれとは限らない、むしろ違う可能性が高いから気を付ける事ね』

「ホスト、っていう天使の総元締め、そいつさえ倒せばここを解放できる。
そんな重要な存在、そうそう前線には出て来ないよね?
キモヲタ達を一斉蜂起させて天使がそっちの鎮圧に総動員されてる隙に、奴らの居城の人力発電所に乗り込んで残っている奴らを叩く。
その中に総元締めはいるはずよ!」

作戦を語り終るか終らないかという時だった――。
灼熱の棒を手にした天使たちが乱入してきた!

>「それじゃ、私達が一番乗りってことで……チョイサ!」

――予定通り、作戦は崩壊した。予定より崩壊するのが早すぎた気もするが。
カタコンベの方々から悲鳴が上がる。敵は三体、人数では不利だが、絶望的、というほどでもない。
あんな演説をしておいてここで怯む様子を見せては、キモヲタ達に示しがつかない。
アタシは前に進み出ながら声を張り上げる。

「慌てるなキモヲタ達! 神は……じゃなくて悪魔はキミ達に味方している!
お菓子をやるから悪戯するぞ――【午後三時饗宴《トリックオアトリート》】!」

キャッチコピー的な台詞と、呪文と共に顕現する魔法の杖。
いかにもな演出に、キモヲタ達は大盛り上がり。

「うはwww魔法少女www」
「魔法少女と言うには年齢オーバーであります!」
「少女は無理でも娘ならまだいける! 魔女っ娘モノキタコレ!」
「こっちの相方は新ジャンル魔法乙男ですね!」

詳細な会話の内容は聞き流しつつ、更にヲタ心キャッチーな台詞を続ける。

「よーく見ておくのよ。
神《ゼウス》と人間《ヒト》、そして――天使《エンジェル》と悪魔《デビチル》が紡ぐ、電脳神話の始まりをね――!
――【甘美盲目《パイダークネス》】!」

手始めに、パイ生地を三人の天使の顔めがけて放つ!

220 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/04(土) 04:14:05.58 0
シャルルさんの口から語られる作戦、というかシンプル過ぎやしませんか?
そりゃ、『天使の総元締め』なんてのはいるでしょうが、そこまでの道程のセキュリティが甘いとは思えませんし。
そもそもそんな『超』が付くほどの陽動作戦に易々と乗ってくれるほど、『総元締め』は甘い物でしょうか?
しかし、だからと言ってそれ以外の代案があるか? と問われれば答えはNO。
つまりは今、手持ちの駒を使ってやっていくしかねーという事ですね。
と、そこまで考えた時だった。何かが破壊される音がカタコンベ内に響き渡った。
怯えるキモオタ達に、キモオタ達の恐怖の象徴の燃え盛る天使たち。
室内を震わすいかにも人間を見下したかのような笑い声。そして天使から放たれる殺意という名の熱気。
しかし、シャルルさんは怯むことなく一歩前に踏み出ると、声を張り上げキモオタ達を鼓舞する。
>「慌てるなキモヲタ達! 神は……じゃなくて悪魔はキミ達に味方している!
お菓子をやるから悪戯するぞ――【午後三時饗宴《トリックオアトリート》】!」
手に現れるムースポッキーの様な魔法の杖。あまりにその展開は『いかにも』だった。
歓声を上げるキモオタ達、そんなキモオタ達をさらに煽るようにシャルルさんが台詞を紡ぐ。
>「よーく見ておくのよ。
神《ゼウス》と人間《ヒト》、そして――天使《エンジェル》と悪魔《デビチル》が紡ぐ、電脳神話の始まりをね――!
――【甘美盲目《パイダークネス》】!」
そして放たれる3つのパイ生地。報告は受けていても突然そんなものが飛んでくるとは天使たちは予想も出来なかったのだろう。
そのパイ生地は、まるで吸い込まれるようにして天使の顔面にベチャリと音を立ててぶち当たった!
短い悲鳴を上げ、悪態をつきながら即座に顔のパイを払い落とそうとする天使達。
一瞬そのちょっと可愛い仕草に見惚れそうになるも、正気を取り戻す。
早くも作戦は瓦解気味、と言った所でしょうか? シャルルさんに言わせればそれは必然ってことなんでしょうが。
私にはまだ今一理解が出来ない、いえ、理解が出来ても納得がいかない。ま、しかし今はそんなこたぁどうでもいいのです。
この瞬間を切り抜けることを第一に! 無論、キモオタ達の『やる気』な維持しながら、デス。
「……私としては可愛いモノに手を出したくねーのですが、シュガーちゃんとの仲を引き裂こうというのなら話は別!
 人類の危機? 知ったこっちゃねーデス! 私は私の欲望の赴くまま、その邪魔をする者に容赦なし!
 さあさあ、天使さぁん! ふるもっこの時間でぇす! 喰らいやがってください!」
8割の本音を混ぜた言葉を吐きつつ、パチンと指を鳴らす。瞬間、天使たちの頭上に現れるぬいぐるみの山。
1個1個の質量は軽くとも、それが何十ともなればかなりの重さとなる。ぬいぐるみの山に埋もれる天使達。
しかし、私の魔法も、シャルルさんの魔法も、時間稼ぎにしか使えない。しかも室内じゃ使い勝手もあまりよくない。
私は近くにいるキモオタ1名を無理矢理強引に引き寄せる。
「ここで戦い始めちゃうと此処の書物に被害が出ます! それは貴女達の望む所ではねーでしょう?
 どこか別に脱出口、みたいのはねーですか? その道が外に続いていればなお良いです」
言いつつ振り返り、すでに半分燃えているぬいぐるみの山に、さらにぬいぐるみの山を被せる。
「シャルルさん! 一回なんとか外に出ませんか?! ここじゃ分があんまし良くねーみたいです!」
室内に大量の書物とぬいぐるみ、火事になる原因はしこたま詰まっている。

221 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/04(土) 04:17:23.91 0
「きゃははは! 何、何ぃ? かび臭い所ぉ! 貴女達の墓場にお似合いよぉ」
「ねぇ、今どんな気分? 反乱起こそうと思った直後に天使に見つかっちゃってどんな気分?」
「てか、なぁにぃ? そんなんで反乱起こそうと思ったの? マジ笑える」

3人の天使達は口々にキモオタ達を罵りながら距離を詰める。
しかし、天使達は知らなかった。いや、報告を受け、知ってはいたが信じてはいなかった。
その場所に彼女等、天使の天敵になりうる悪魔がいる事を。

リーダー格の桃色の髪の女が一歩前に出る。
明確な意思を持った人間、天使を見ても怯まない、キモオタ達とは別格の存在感。

>「慌てるなキモヲタ達! 神は……じゃなくて悪魔はキミ達に味方している!
お菓子をやるから悪戯するぞ――【午後三時饗宴《トリックオアトリート》】!」

そして彼女はキモオタ達を鼓舞するように声を張り上げ、ステッキをその手に顕著させる。

>「よーく見ておくのよ。
神《ゼウス》と人間《ヒト》、そして――天使《エンジェル》と悪魔《デビチル》が紡ぐ、電脳神話の始まりをね――!
――【甘美盲目《パイダークネス》】!」

だが天使達とってはどんな事をして見せようが、その女はただの人間。
天使達はその女の言葉を戯言だとせせら笑った。しかし、それが間違いだったのだ。彼女達はもっと警戒心を持つべきだった。
その瞬間、彼女達の視界を白い何かが覆うと同時に、何かを強く叩きつけられたかのような衝撃が顔面を襲う。

222 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/04(土) 04:18:15.60 0
「わぷ!」「ぎゃぷ!」「ちょま!」

三者三様のリアクションを取りつつも、女から放たれたそれを迎撃すること叶わず無抵抗に顔面に受ける。

「ちょっ! イタイイタイ、目に入った何これ?!」「げほげほ! 甘い? 何これ何なのこれ?! 凄い甘い!」
「前見えない! 目が痛い! 息出来ない! ふざけんじゃないわよォッ! 人間!」

とっさの事に軽くパニックに陥るも、顔を拭ってパイを取り除こうとする天使達。
今度は続いて男の声が聞こえた。混乱で何を言っているか理解できなかった、が。
その声が途切れると同時に、頭に、ぼふん、と衝撃が走る。最初は一回、そして次々と雨の様にそれは降ってきた。
最初は一回は耐えた天使も徐々落ちてくる重さと衝撃に負け、地面に押しつぶされる。

「も、ちょ何よぉ! さっきから! なんなのもぉ!」「重い重い、てか暑い! 凄いもっふもふする!」

ぎゃーぎゃー文句を言いながら炎でぬいぐるみを燃やしていく。
と、そこにもう先ほどと同じ衝撃がもう一度彼女達を襲う。
このような恥辱と屈辱を味あわされると思ってもいなかった天使達は混乱していた。

人間は下等だ。ゼウス様の寛容な御心によって生かされている、それすら理解出来ない下等な生き物。
そんな人間がなぜ、私達天使をこんな目に合わせる? あってはならない! 絶対にあってはならない!

そして混乱は怒りとなり、天使は、ブチ切れた。
手に持った灼熱の鉄棍で自らを押し潰しているぬいぐるみを一気に吹き飛ばす。
さっきまでの彼女達とは目付きが圧倒的に違っていた。

「冗談じゃないわよ! 下等で下劣な人の分際で大人しく管理されてればいいモノを反抗しやがって!」
「こっちはアンタ達殺す許可貰ってんだから! 生かしちゃおかないわよ! 此処にいる全員一匹たりとも!」
「というわけで、全員、ブッ殺す!」

先ほどの様な油断は無く、燃え盛る赤い鉄棍を握り締め、天使達はシャルル達に飛びかかった。

223 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/05(日) 22:41:41.20 0
【ただいまっす!】

天使から逃げるため、猫バスから飛び出して用水路に逃げ込んで数時間…
いや実際には数分かも知れない

とにかく俺の感覚の中で長い時間が過ぎた

足が折れていた上に目も焼かれて良く見えない俺は、何度も腐臭のする水の中にすっ転び、意識が飛びかける事数度
今、俺はかかと位までの水位の汚水の上で膝をつき、体力の回復を図っている

これからどうすればいいだろうか…

シャルル先生達の所に戻ろうにも、ヘルに帰ろうにも、用水路の外は天使達が警戒網を敷いているだろう
手持ちの銃弾は後9発しか無いから、迂闊に出る事はままならない
当然、天使と戦うと言う選択肢も無い

……ここで生涯をひっそり閉じるしかなさそうだなぁ

「はぁー…」

深いため息をつく俺
本当にこれからどうしよう
とりあえず、落ち着こう
今俺、落ち着いてるって言えないし…うん


【とりあえず戻ってきたのでトムの近況書きました、まだ本筋に戻さなくてOKです】

224 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/06(月) 01:10:35.62 0
>「わぷ!」「ぎゃぷ!」「ちょま!」

>「も、ちょ何よぉ! さっきから! なんなのもぉ!」「重い重い、てか暑い! 凄いもっふもふする!」

天使たちはアタシのパイをもろに喰らい、続いてユダくんのぬいぐるみに埋もれる。
その隙に、ユダ君がキモヲタに脱出口を尋ねる。

>「ここで戦い始めちゃうと此処の書物に被害が出ます! それは貴女達の望む所ではねーでしょう?
 どこか別に脱出口、みたいのはねーですか? その道が外に続いていればなお良いです」

「ついにこの脱出口を使う時が来たようですわね……」

大昔の更に大昔の貴婦人のような服装をした恐らく最年長であろうキモヲタが、タンスを押して動かす。
貴腐人だけに貴婦人のコスプレ、といったところだろうか。
するとそこにはマンホールのような穴があり、下に降りられるような梯子が付いていた。
下からは、僅かに水音が聞こえてくる。

「お姉さま! それは!?」

「このカタコンベのリーダーにのみ代々伝えられてきた用水路への抜け道ですわ」

「よーし! とにかくみんな早くそこに……」

背後で、ぬいぐるみが吹き飛ぶ気配。振り返ると、天使達から立ち上る殺気。

>「冗談じゃないわよ! 下等で下劣な人の分際で大人しく管理されてればいいモノを反抗しやがって!」
>「こっちはアンタ達殺す許可貰ってんだから! 生かしちゃおかないわよ! 此処にいる全員一匹たりとも!」
>「というわけで、全員、ブッ殺す!」

「ヤバイッ! ――【弾力拘束《グミロープ》】!」

杖から極太ロープ状のグミを射出。ひたすら絡み付かせ、天使たちの拘束を試みる。
僅かな間ではあるが、拘束されかけては引きちぎる膠着状態が生まれる。

「さあ今のうちに地下にッ!」

【お帰りなさい! すぐに合流できそうだよ〜】

225 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/07(火) 02:04:51.84 0
燃え盛る天使達の圧倒的な殺気に思わず私は怯む。
これはちょいと、やばいかも、ですね。
さっきよりも圧倒的に濃い死の匂い、リアルに思い浮かんでしまう最悪な未来。
背筋を冬の冷え切った手で撫でられるような感覚に身が震える。可愛い云々言ってられない。
開かれている脱出口に今すぐにでも飛び込んでしまいたい感覚に囚われるが頭を振って気合を入れる。
>「ヤバイッ! ――【弾力拘束《グミロープ》】!さあ今のうちに地下にッ!」
極太のグミのロープで天使達を拘束するシャルルさん。
千切っては縛り千切っては縛りを繰り返し僅かに生まれる膠着状態。
でも、これではジリ貧だ。近いうちにくる破綻は目に見えている。シャルルさんの限界が先か援軍が来るのが先か。
今、私が地下に入れば少なくともこの状況からは確実に逃げられる、しかし、それだとシャルルさんを見殺しにすると同義。
自分の命を優先するなら確実に逃げるべき、なのでしょうね。でもそれだと私の野望成就の夢が遠のきます。
……ん〜、しょうがねーです! 背に腹は代えられません!
腐女子の皆様すいません! 薄い本はまたアキヴァ解放したら書き直してください!
「対象! 私とシャルルさんを除く、部屋にあるモノ全て!」
叫びながら地下の入り口に向かって走る。こんな大技を行使したことないので頭がズキズキと痛む。
「シャルルさん! 能力解除して地下へ! 急いでください!」
その言葉が言い終わるか終らないうちに、私は指をパチンと鳴らした。
それと同時に梯子を無視して地下へ続く穴へダイブする。
浮遊感の中、一際大きな頭痛が私を襲う、やった事のない大技の行使に脳が耐えられなかったらしい。
頭痛の痛みと同時に意識がブラックアウトする。その刹那見えた光景は、部屋の全てを埋め尽くすぬいぐるみの雨。
意識の途切れる最後に望んだことは、この穴がそんなに深くないこと、それと私がダイブした真下に誰かいないこと。
そうして私の意識は闇に引きずり込まれていった。

【お帰りなさいです! シャルルさんの言うとおりすぐにでも合流できそうですね】

226 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/07(火) 02:06:11.93 0

いそいそと地下へ逃げようとするキモオタ達、それをおめおめと逃がす様な天使ではない。

「逃がさないって言ってんでしょ! 待ちなさい!」
「待たないと殺す! 待っても殺す! どっちにしてもぶっ殺すー!」
「キル! ゼム! オール!」

各々気合の入った物騒な叫び声と共に、赤い鉄棍を振り上げ襲いかかる天使達。
しかし、やはりその行く手を阻む者は、桃色の髪の女だった。

>「ヤバイッ! ――【弾力拘束《グミロープ》】!」

グミ状のロープがぐるぐる巻き付くと天使達の身体を締め上げる。
無論、それは天使の力と灼熱の炎によってすぐに引き千切られるのだが、ロープも即座に再生する。

>「さあ今のうちに地下にッ!」

その言葉にムキになって拘束を解こうとするが、溶けて再生を繰り返すグミに翻弄される天使。

「逃がさない、ってもうベタベタするこれー! 気持ち悪いー!」

そしてグミと戯れている天使達の耳に男の声が響き渡る。
何を言っているのか理解が出来ない、それも一瞬のこと、大量のぬいぐるみの雨と共に理解する事となった。
無論、それを理解した時には天使達は身動きの取れないぬいぐるみの海の中に沈み込んでいた。

227 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/07(火) 18:52:13.50 0
………さて、落ち着いた

下水の腐臭にもなれた、体も【カサイセイ】のおかげで治った、天使が追っかけてくる気配は無い

じっとやらかした事を悔やんでいても仕方が無い、まずが現状を再認識してみよう
まず、上の状況はわからない、が、恐らく天使が警戒している、これは俺が騒ぎを起こしたから、だよな
次に、俺の味方であるシャルル先生達は多分今俺の事を…恨んでるだろうな
何故なら、俺のせいでいきなり敵にこちらが悪人である事がわかり、潜入して地道に仲間を増やす等の手段が使えなくなったからだ
事が人類の…いや、自分達の命が関わっているだけに、これは一生かかっても償いきれる罪じゃない
あの時…俺がテンパッたために…
…当然、シャルル先生達にはあわせる顔なんか無いな
いやもしかするともう俺のせいで二人は天使の手に落ちているかもしれない

…名誉挽回するには…俺一人で…天使を始末していくしかないな……

でもどうやって?

……思い出せ、天使の…天使と戦った時の事を…
奴らは…
そうだ、奴らは仲間を大切にしていた
なら…そう、奴等の一部を生け捕りにして、人質にすれば…
そう、そうだ!この世界、どうやら長い事まともな反乱軍なんかいなかったみたいで連中妙に戦いなれしていなかった
やれる!!
常在戦場のあの学校で次々と湧き起こる難事件に首を突っ込んできた俺の犯罪知識を持ってすれば、天使共に痛い目を見せる事なんて…

そう俺が思っていた矢先、遠くで何やら水音が聞こえた
どうやら、誰かがこの近くにいるらしい
しかも、結構慌しい上に、大人数…
まさか天使!?いや味方?
…あ!駄目だ!気にしたら!気になっちゃったら抑えが…

理性で抑制する間もなく、俺は水音の正体を確かめるべく、何者か達がいる方向へ向かってなるべく水音をたてないように近づいた

228 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/07(火) 19:03:19.47 0
やがて複数の気配に接近し、物影からちらっと覗き見れたその気配の正体は…
やっぱりシャルル先生達だ!
きっとキモオタと合流したはいいが、俺のせいで追いかけられていたためにどうする事もできずにここまで逃げてきたのだろう
こ…ここで出て行ったら安全なとこについた後皆に袋叩きにされてしまう!

…いやそれだけならまだいい、もしかすると…

『役立たずのトム君…あなた、いらないわ、トライブ化してあいつら蹴散らしてくれない?』
『それはいいですね!トム君、さっさと死にまくってください、さあ!さあ!』
『何?この人を傷つければいいの?』
『そうよ、さあ皆、彼の目玉を抉り出して、腸を引き裂いて…トライブ化すれば少しは戦闘能力が上がるはずだから足止め位にはなるわよね?』

何て事に…

だ…駄目だ!絶対合流しない!しては駄目だ!
俺は身を隠すと、シャルル先生達が去っていくのをやり過ごす

…まずいな、すぐ天使達も追ってくるはずだ、すぐ逃げないと…

俺は天使達から逃れるべく、シャルル先生等と逆方向へと逃げ出した

229 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/07(火) 23:16:28.68 0
さて、どうしたものか――。攻撃の手を緩めたらやられる。
皆を逃がす事は出来てもアタシはどうやって逃げれば――。

>「対象! 私とシャルルさんを除く、部屋にあるモノ全て!」

そう思っていたら、ユダ君が大技を使うようだ。流石アタシの助手(?)だ!

>「シャルルさん! 能力解除して地下へ! 急いでください!」

言われるままに、地下への入口へと走る。
穴に入った瞬間、部屋の全てが大量のぬいぐるみで埋もれた。
これでは流石の天使達もしばらくは追ってこれないだろう。

「ひゅ〜、やるじゃんユダ君!」

と、下を見ると――ユダ君は筋肉ムキムキのキモヲタ(しかもゴスロリ)にお姫様抱っこされていた。

「なんじゃああああああ!? こんなイロモノキモヲタさっきまでいた!?」

「うっす、上から美少年が落ちて来たから受け止めたでごわす」

ユダ君は、すっかり気を失っていた。

「アタシを助けるために無茶したのね……【快癒粉雪《メルティキス》】」

回復効果のある四角いチョコレートを作りだし、ユダ君の口に入れる。

「早く逃げなきゃ……筋肉ゴスロリ! ユダ君が起きるまで頼むわよ!」

「外へ通じる道はこっちですわ――!」

貴婦人のコスプレをしたヲタリーダーの先導で、アタシ達は用水路を進み始めた。
しばらく進んでいくと、眼鏡姉さんが声を上げた。

「あっ! 今誰かがあそこから覗いてたような……」

その道を覗いてみても誰もいない。

「えー、気のせいじゃないの?」

「あまーい! 私の腐レーダーが反応しています!
属性は……新ジャンル積極的ヘタレ! 何人たりとも私の眼鏡からは逃れられないのです!
今度はこっちです!」

眼鏡姉さんの眼鏡が鋭く輝き、次の道を示す。
無視して先に進む事も一瞬考えたが、もしも本当にこんな所に人が迷い込んでいたら大変だ。

「アナタ達、道はこっちですわよ……もう、仕方ないですわね!」

外に出ると言う当初の目的はどこへやら。
アタシ達は気付けばすっかり、眼鏡ヲタの先導で未確認生物UMAのを追跡を始めていた。

230 : 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2012/02/08(水) 00:48:53.90 O
永遠の冷気の封印の魔力をエターナルフォースブリザード。

231 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/08(水) 22:56:07.59 0
ゆらゆらと優しい揺れがとても心地良い。未だ私の意識は宙に舞っているのでしょうか?
いや、違いますね。このリアルな感覚は、現実? それと、口の中が甘い、甘美味しい?
今、私は一体全体どのような状態にあるのでしょう。
私はうっすらと静かに目を開け、そして私らしくない驚愕の声を上げた。
「…………!? え!? 何です?! 何ですこれ!?」
え!? これ? え!? お姫さま抱っこ!? やだ逞しくて漢らしい、ってそうじゃなくて!
私の顔をやたら逞しいキモオタが覗き込んでくる。
一体どんな状況です?! と、若干混乱気味だった頭に僅かな頭痛。
しかし、その痛みが混乱していた脳内に活を入れてくれた。
暗い、腐臭と水の音、此処は地下の……用水路、でしょうか?
身体に痛みはありません。強いて言えば軽い頭痛くらいでしょう。
少なくとも全身打撲くらいは覚悟していたのですが……、このやたら逞しいキモオタに助けられたみたいですね。
「あー、取り乱して申し訳ありません。状況から察するに貴方が助けてくれたみたい、ですね。どうもありがとうございます」
抱っこされた状態のまま、ぺこり、と頭を下げる。
「助かりました。正直無傷で済むとは思ってなかったので、感謝です。
……ん、もう、大丈夫そうです。運んでくださりありがとうございました」
まだ少し心配そうな顔をしている逞しいキモオタの腕から降り、シャルルさんに近づく。
身体がまだ多少ふらつきますね、まあ少し動けば調子も戻るでしょう。
「……すいません。情けねーことに気絶してしまったみたいですね、お世話掛けました。
ところで、今どういった状況です?」

232 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/08(水) 23:55:13.77 0
シャルルとユダ、そしてキモオタ達が逃げ出して数分が経過したころだろうか。
ユダの魔法によりぬいぐるみの海であったカタコンベの一室。
大量の灰と焼け焦げたぬいぐるみの残骸、3人の正座した天使と4人のカルレア直属の精鋭天使。

「……で、逃げられちゃいましたって訳? なっさけないわねー」
「ていうか、カッコ悪ぅ。私達来なきゃ今でも貴女達ぬいぐるみの中よ?」

正座している天使達にしてみれば、その方がまだ幸運だっただろう。
調子のって一番乗りして、結局逃げられ、その挙句にこの醜態だ。
だったらなんとか自力でぬいぐるみの海を燃やし尽くして、追跡に行った方がまだマシだ。

「……申し訳ありません、キモオタ達の中に不思議な力を使うモノがいまして不覚を」

「そんなの理由になんないわよ? だってカルレア様が仰ってたじゃない? 最初から」
「注意しろとも言ってわよぉ? 聞いてなかったぁ? それとも信じてなかったぁ?」
「とにかく大失態ね。カルレア様は我が身の進退と引き換えに『悪魔』とキモオタの討伐を許して下さったのに」
「それをまあ『悪魔』を殺すどころか、キモオタの1人も殺せずに全員逃がすなんて……同じ天使として嘆かわしい」

言い訳のように正座中の天使が言葉を発するが、精鋭天使達はズッパシとそれを断ち切る。
それどころかその言い訳に集中砲火の如く非難の声が浴びせられる。
正座中の天使達は悔しさに唇を噛むが、精鋭天使の言っている事は事実なので反論できない。

「とにかく、すぐに追いなさい。そして見つけてきなさい。私嫌よ? こんな汚い地下に入るなんて」

そう言いながら精鋭天使の1人が地下へ続く穴を指差した時だ。
鎧が擦れる独特の音を立てながら、カルレアがカタコンベに入ってきた。

「カ、カルレア様! この度はとんだ失態を……!」

正座していた天使達の1人が思わず、カルレアの元へ跪こうとするのをカルレアは手で制した。

233 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/08(水) 23:56:00.81 0
「よい」

「え?」

思わず声を上げる天使。カルレアは辺りを見渡し言葉を紡ぐ。

「ここまで出来るとは、私は予想できなかった」

大量のぬいぐるみの残骸に、ロープ状のグミ、天使の顔に付着しているパイのカス。
ふざけきった能力であるようだが、中々どうして、予想以上にやるようだ。

「『悪魔』どもは我の想像の上を行くらしい、『悪魔』の力を見抜けなかったのは我の責任だ。お前達に咎はない」

「カルレア様〜、ちょっと甘くないですか〜」

精鋭天使の1人が思わず不満の声を上げる。

「よい。それよりも、だ。ソニア、聞こえているな」

それを軽く制したカルレアは通信にてソニアに話しかける。

『はい、聞こえていますカルレア様』

「これから必要最低限の人員以外は本部に戻す、本部の守備を強化しろ」
『守備を、ですか?』
「そうだ。それ以外の人員はキモオタのカタコンベを片っ端から潰しに叩き潰す、合流される前にな」
『了解しました。ソニア様は?』
「我は、そうだな。『悪魔』達の顔がどんなモノか見に行くとしよう」

少し楽しそうなカルレアの声。ソニアは思わず溜め息を吐く。

『ちょっと楽しくなって来てますね? 不謹慎ですよカルレア様?』
「……わかるか? そうだな、少し、楽しいかもしれぬな」
『あんまり危険なことはしないでくださいね?』
「わかってるさ。すぐに本部に戻る」

そうして通信を切り、精鋭天使達に向き直る。

「というわけだ、我以外にも悪魔の顔を拝んでおきたい奴はいるか?」

手を上げる2人の精鋭天使。残りの2人は汚い地下に怯んだようだ。

「そうか、わかった。お前達は続けてカタコンベを潰してくれ出来るだけ多く、な」

カルレアはそう言って2名の部下を引き連れ地下へ繋がる穴へ飛び込んだ。

234 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/09(木) 21:23:30.04 0
さてとりあえず奥へ奥へと逃げているのはいいけれど一体どこへ行ったらいいものやら…

そう思って走っていた俺の前方から、突如として、複数の銃声が響き渡ってきた
まだかなり距離があるけれども…銃声が複数って事は大勢戦ってるって事…だわな
何と何が?
シャルル先生達?いやあの人らは俺の後ろにいるはずだし…

などと考えている間に、俺は銃声の方へ走り出していた
ああ、悲しきかな俺の性、体が勝手に厄介ごとへ動いてしまう

次第に聞こえてくる複数の断末魔と怒声、そして銃声!
やがて走る俺に現れたのは、小銃で武装した集団だった!

「撃て!撃て!撃てええええええ!フィルムを、DVDを…貴重な貴重なきちょおおおおおおな旧世界の遺産を…守れ!死ぬ気で守れ!撃て!うてええええ」
「畜生天使共め!お前達には絶対にわたさねぇ!ライダーもウルトラも戦隊も、怪獣王も…うおおおおお」

オレンジ色のスキー服に似た服を着て白いヘルメットを被っている者と、赤いマフラーを首に巻いている者などが多くをしめるその一団は
集団は緑色の大きなつづらを抱えた数名を守ろうと89式小銃やM16、AS19やパルスレーザーライフルを並べ、襲い来る天使の一団目掛け必死の銃撃を行っている
だが、俺のシグ・ザウエルの9mm小銃弾で死ぬはずの天使達は、それよりはるかに強力なはずのそれら銃器の直撃をものともせず、燃え盛る棒を振るって銃器で武装している人々を次々と叩き殺していく

「人間の武器はあたし達には効かないっての!」
「ほらほらぁああその目障りな記録媒体ぜえええええんぶ燃やしてあげるからそこどきなぁ!」
「嫌だ!貴様ら!自分達が何をしているのかわかってるのか!これは世界的な遺さ…ぎゃぶぅ」
「くだらない作り物の子供向け映像に価値なんか無いっての」
「くっそおおお特撮を子供向けとか言うなあああああ」

必死に戦う一団、自らの命を投げ打って必死に緑色のつづらを守ろうと、焼かれながらも必死に天使の足にすがりつき、仲間の逃げる足止めをしようとしている者までいる
だが、力の差は圧倒的だ、このままでは全滅は時間の問題だろう

235 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/09(木) 21:58:33.37 0
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」

頭の中が真っ白になった

気がついた時には天使達の前に飛び出し、集団を襲う天使達目掛けてシグ・ザウエルを撃ちまくっていた
胸に穴が開いた一体が何が起こったのかわからないまま倒れ付し、驚いていた別の一体も次いで放たれた銃弾をかわせずに額に穴を開ける
しかし、最後に残った一体が燃える棒を振るい、俺の頭を強打する

「ギャッツ!」

すさまじい激痛が顔の右半分に走るが、こんな事は初めてではない俺はそれでもシグ・ザウエルの引き金を弾が切れるまで引きまくり、何とか最後の天使を撃破した

「っぅ…」

しかし、顔の右半分に走る激痛と、緊張が解けた事から、俺はその場にへたり込む

「て……天使を、倒したぞ」
「き…君は一体…」

天使が倒された事に驚きながらも、倒れた俺に話しかけてくる集団のリーダーらしき人物
俺は何とか顔をあげると、顔の半分を抑えた手を離し、簡潔に名乗る

「あー俺は…デビル…チルドレンです、ヘルの方から来ました。皆さんは?」
「ヘルから!?」
「ゼウスへの反抗のきっかけとなる全く新しい何かを作ってるって話、だったよな?」
「馬鹿!ヘルの連中なんか信頼するな!奴らは俺達の命より大事なフィルムやDVDの保護を断るような奴らなんだぞ!」
「しかしそれは特オタと非特オタの価値観の関係上仕方ない事じゃ…」
「だが!」

何やら揉める一団
しばらくそうして話が続いていたがやがて代表者らしい白タイツにターバンのような物を顔に巻き、頭に月の飾りをつけてサングラスをかけた男が前に出てきた

「…我々は特撮オタ、旧世界の遺産である「特殊撮影」を用いて撮影された映像作品が記憶された記憶媒体(要するにフィルムやブルーレイやDVD)の保護と普及に努めているキモオタの一派だ」
「キモオタって何となく武装してないイメージでしたけど皆さん結構物騒ですね…」
「うむ、特撮の映像媒体を探す傍ら、こんな時のために皆で必死に旧世界の武器をかき集めていたんだ。最もその最中に多くの仲間が天使の手に落ちていたが今回のように大規模な襲撃は未だかつて…」

と、そこで別の一団が水路の向こうから迫ってきた
特キモオタ達が反射的に銃を向ける

「撃つな!味方だ!腐女子の方々だ!」

が、同じ人間と見て、すぐに降ろした
妙なドレスで着飾ったその一団は…
あれ?シャルル先生達と一緒にいた連ち…ってシャルル先生いるじゃん!?何で!?別方向行ったはずのなのに
やべぇ!見つかる!殺される

俺は思わず、特オタ達の影へと隠れた

236 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/10(金) 01:51:22.18 0
>「…………!? え!? 何です?! 何ですこれ!?」

筋肉キモヲタに運ばれていたユダ君が目を覚ました。

「魔力を使い過ぎて気絶したところをこの逞しい人が受け止めてくれたのよー」

>「助かりました。正直無傷で済むとは思ってなかったので、感謝です。
……ん、もう、大丈夫そうです。運んでくださりありがとうございました」

「なに、軽くて楽勝だったでごわす。
自分筋肉派なもので毎日筋トレしていたらムキムキになったでごわす」

>「……すいません。情けねーことに気絶してしまったみたいですね、お世話掛けました。
ところで、今どういった状況です?」

「迷い込んでる人がいるみたいだから回収しようと思って追いかけてるの」

「UMAの逃げ足は思った以上に早く見失いました!」

眼鏡ヲタが意味も無く眼鏡を光らせながら報告する。

「見つからないものは仕方がない。忘れて早く外に出ましょう。
……というかここどこ?」

「腐女子リーダー秘伝の地図に書かれているルートは外への最短距離だけですわ……」

要するに実も蓋も無く言ってしまえば立派な迷子軍団の出来上がり。
が、その事を認識して途方に暮れる間もなく、どこかから銃声が響き渡ってきた。

「天使は銃は使わない……多分。という事は天使と戦っている人間がいる! 助けに行かなきゃ!」


237 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/10(金) 01:54:49.95 0
音を頼りに銃声の発信源を目指す。着いた頃には、もう銃撃戦は終わっていた。
正真正銘の人間の死体がそこかしこに転がっており、戦いの激しさが伺えた。

「酷い……、ゼウスは人間を殺さないんじゃなかったの!?」

アタシ達が、天使に対してゼウスの統制を乱すウィルスとして働いているのかもしれない。
それ自体は喜ばしい事なのだが…・・・・死者は駄目だ、絶対に。

呆然としているアタシ達を、武装した、それでいてどこかコスプレ臭い一団が出迎える。
月○仮面みたいな白タイツがいるし。

>「撃つな!味方だ!腐女子の方々だ!」

「ここに繋がっていたのですわね……。
特撮ヲタは用水路の一部を占拠してカタコンベにしているのですわ」

腐女子リーダーが進み出て、白タイツと交渉を始める。

「聞いて驚きなさい、ついにアキヴァを解放する救世主が現れたのですわ!
彼等の名はデビルチルドレン!
わたくし達はその方たちに協力するべくこの度アキヴァ解放戦線を……」

交渉は腐女子リーダーに任せ、アタシは特オタ達を興味津々で眺めまわす。
が、特オタ達の様子が何だかおかしい。

「今デビルチルドレンって言ったよな? 普通に味方同士なんじゃ?」

「じゃあ何でこいつはこんなに怯えてるんだ!?」

「つまりどういう事だ!?」

特ヲタをよく見てみると、後ろに一人だけ雰囲気の違う人がいる。
どこかで見た事があるぞ。そうだ、トム君に似ている。
地下に飛び込んだトム君は無事だろうか……というか本人じゃん!

「トム君……? こんな武装集団を味方に付けたなんてすごいじゃない!」

声をかけるが、トム君は、何故か怯えたような様子を見せている。

「分かった! 天使が化けてるんじゃないかと警戒してるのね!
ほら、口開けて!」

四角いチョコレートを一粒、無理矢理トム君の口に投入する。
これで本人証明完了。お菓子を作り出す能力を持つ天使など、よもやいないだろう。

「もしかして……ここにも天使たちの襲撃がきたの?
一人でよく頑張ったね……」

間違いない、天使たちはカタコンベを片っ端から潰しにかかっている。
しかも、ゼウスが禁止しているはずの死者まで出して。
もう後へは引けない、一刻も早くこの街を制圧しなければ死者が増え続ける――!

238 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/10(金) 21:19:49.80 0
>「迷い込んでる人がいるみたいだから回収しようと思って追いかけてるの」
下水道に迷い込んでる人って……、中々のレアキャラですね。
…………あれ? そういえば、トム君も……いや、彼は川でしたっけ? でもあそこって用水路に?
>「UMAの逃げ足は思った以上に早く見失いました!」
>「見つからないものは仕方がない。忘れて早く外に出ましょう。 ……というかここどこ?」
>「腐女子リーダー秘伝の地図に書かれているルートは外への最短距離だけですわ……」
と、探索を諦めつつも迷子になりそうになったところで、どこからか銃声が響き渡った。
>「天使は銃は使わない……多分。という事は天使と戦っている人間がいる! 助けに行かなきゃ!」
シャルルさんは放っておけばよいのに救助に行く気MAXです。なんでそう自ら危険な所に飛び込んでいくのでしょうか。
先ほどの天使戦を思い出す。正直、あの状況で全員無事に逃げ切れたのは奇跡に近いです。
身体能力スペックは天使が圧倒的に上、私達が勝ってる点と言えば天使を殺せる力と、不思議な魔法のみ。
ただし、殺す力はそんな便利なモノではなく、物理的に殺さなくてはならねーですし、魔法に殺傷能力はねーです。
ありがたいのは、他の天使がどうか知りませんがここアキヴァの天使は飛び道具を一切使ってこねー事。
近代兵器で武装されたらそれこそ『詰み』。いや、弓矢でも『詰み』ですね。間違いねーです。
と、そんな事を考えながらシャルルさんの後を追う。音が近づくにつれて漂ってくる火薬の匂い。
その香りだけで、この先で何が起こってるのか容易に想像できた。
そして案の定予想通り、そこかしこに転がっている焼けた人間の死体。肉の焦げた匂いが鼻腔を掠める。
>「酷い……、ゼウスは人間を殺さないんじゃなかったの!?」
その凄惨な光景にシャルルさんは声を荒げ、私は顔を顰める。
確かに酷い光景ですが……、正直私は予想の範囲内です。さっきの天使戦での天使の殺気。
その後の発言内容からなんとなく、これ位はするんじゃねーかと予想は出来てました。
 呆然としている私達を、おかしな恰好をした一団が出迎える。
 そして、私とシャルルさんはその一団の中に、見知った顔を見つけた。
>「トム君……? こんな武装集団を味方に付けたなんてすごいじゃない!」
シャルルさんが声を掛けるが何やらトム君は怯えた様子でこちらを伺っている。
 その姿は怯えた小動物さながらだ。そんなに怯えるなんてどんな想像をしてるんだか。
>「分かった! 天使が化けてるんじゃないかと警戒してるのね! ほら、口開けて!」
そう言ってシャルルさんがトム君の口にチョコレートを1粒無理矢理投入した。
それよりも私は気にかかっている点が1つあった、トム君には傷がないこと。
最初の天使戦での傷、そしてその後、川に飛び込んだ時に出来たであろう傷。
それが今のトム君にはない。……トム君の能力でしょうか? ヒーリングファクター?
ま、トム君の能力は今はよいです。それよりも……。
>「もしかして……ここにも天使たちの襲撃がきたの? 一人でよく頑張ったね……」
「てっきり戦線離脱したかと思ってましたが、(戦力的に)無事なようで安心しましたよ、トム君」
 シャルルさんの後に、にへらと笑って言葉を紡ぐ。戦力が増えることは野望の成就に繋がる。
 確かにシャルルさんの言うようにこのおかしな武装集団を味方に出来たのは大きい。
 最初のミス(錯乱しての逃走)を補って余りあるほどに。だから今回は何も言いませんし、責めません。
 『どんな失敗も勝つ為の布石』、なるほど。未だ納得は出来ませんが、確かにそうなのかも、ですね。
 私はパチンと指を鳴らし、トム君の頭の上に手のひら大のぬいぐるみを落す。
 トム君の頭でワンバウンドして、それはトム君の手のひらに落ちた。
「一応、私も天使じゃねーって証明です。ま、トム君が怯えてるのはそーいう事じゃねーと思いますけどね」

239 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/10(金) 22:07:05.81 0
「こんにちは」

その声が特撮オタのカタコンベに響いたのは、シャルルとユダがトムと合流して数分後の事だった。
突如響いたその声に反射的に銃を向ける特撮オタ達。

「撃つな」

しかし、そのたった一言だけで、先ほどまでその武力を思う存分撒き散らしていた特撮オタ達は動きを止めた。
いや、そうするだけの威厳と力が、カルレアの声にはあった。
動きを止めた特撮オタと腐女子達、それを見て満足そうに微笑むカルレア。

「ありがとう、撃ったら即虐殺対象だった。君らの判断は正しい」

しかし、カルレアの姿を見て多少は動揺したものの、闘志の萎えを見せなかったものがいた。
それはトム、シャルル、ユダ、そしてシュガーの4人。カルレアはそれで即座に見抜いた。
それらの者が我が主に仇なす者達だと。

なんだ、1人を除いてまだ子どもじゃないか。

一瞬、脳裏を掠めた言葉をカルレアは呑み込む。
いや、姿形に惑わされてはならない。惑わされたからこそのあの結果だったのじゃあないか。

カルレアは先ほどのカタコンベの様子を頭に思い浮かべる。

もう微塵の躊躇も油断もしない。悪魔達にそのような感情は不要だ。

「君等だな、我が同胞を殺してくれた『悪魔』というのは」

明確な意志を持ち、殺意をもって彼らを視線で射抜く。
カルレアの片手には既に抜かれた一振りの日本刀が握られていた

「正直な話、長年この領地の管理をゼウス様に承ってからこの様な事態は無くてな」

ふう、と軽く溜め息を付き、カルレアは人間達にではなく悪魔達に話しかけた。
カルレアの結った蒼色の髪が、しゃら、と音を立てて揺れる。

「同胞を殺されるという事態も無論ない。この感情が正しいのか解らないが今、私はこう思っている。
 腸が煮えくり返るほどに、むかっ腹が立っている。正直な話、此処にいる君等全員を虐殺してやりたい。
 そんな風にさえ、思っているし感じている」
「そんな事言わずに殺っちゃいましょうよー、カルレア様―」
「そうですよぅ、顔を見るだけなんて後生ですよぅ、いいじゃないですか殺したってぇ」

そう言った前に出た精鋭天使達を「喧しい」と言わんばかりで手で押さえる。
カルレアのその動きに精鋭天使は、ぶー、と顔を膨らせて黙り、後ろに下がった。

「此処にいる我の部下がいないってことは、既に君等が殺したんだろう? まったくよくもまぁやってくれる。
 その同胞を殺した代償に腸引きずり出して殺してやりたいよ本当に。我達にはそれを行える武力がある。
でもそれをしないし、今は殺さない。なぜだか変わるかるかい? 悪魔達よ」
 
 悪魔達が答える前に、カルレアははっきりと言葉を紡いだ。

「……どうか、此処で死んでくれないか? そうすればこれ以上、キモオタ達を殺さなくて済むのだが」

 それは、脅しとも取れる一方的な停戦条約だった。

240 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/12(日) 00:45:32.27 0
隠れる事もかなわず、シャルル先生達に発見されてしまう俺
あ…あわわわわ…
待って!超待って!まだ心の準備ができてないから
って言うか俺全然まだ合わせる顔が無いから
単身で敵の大将倒してからとかその位の事成し遂げた後じゃないと…

>「分かった! 天使が化けてるんじゃないかと警戒してるのね!
ほら、口開けて!」
「んが!?………うまい」

リンチへの恐怖から真っ暗になりかけていた視界が急激に色を取り戻し、意味をなさなくなっていた耳から入る言葉が意味を取り戻す
…シャルル先生…怒ってないの?
え?だって…だって俺…あんな事やらかしちまったんですよ
俺のせいでまともに…まともに…

…あ、そうか、そうなのか

周りにキモオタ達がいる中で身内を怒るの、みっともないもんな…
それにデビチルが皆の希望だとしたら、度量の広いとこ見せなきゃだろうし…
だから…怒らないんだろうな…
そうさ、だからきっと、これが終わった後で…

「…いてっ」

そんな事を考えている俺の頭に、グレーの出したぬいぐるみが落下した
手に落ちたぬいぐるみを、俺は黙って見つめる
…案外よくできてるな、これ
弾力性がいい、こう、抱きしめたら安心しそう…

>「一応、私も天使じゃねーって証明です。ま、トム君が怯えてるのはそーいう事じゃねーと思いますけどね」

……てっきり殴りかかってくるかと思ったが、相変わらずこいつもエリートな雰囲気の奴だ
馴染めそうに無いな…

「……俺が悪かったです、すいません…でした」

俯きながら謝った俺の目には、もはや涙が浮かんでいた

……もう嫌だ、こんな世界

241 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/12(日) 01:00:50.47 0
>「こんにちは」

……突如現れる新手の天使
保安部長か何かなのだろうか
これまでの奴等とは…多少なりと雰囲気が違う

……この雰囲気、トライブ狩りする連中の雰囲気に似てる
他者を圧倒する威圧感
目があっただけで背筋を凍らすような冷徹さ
そして内に感じる並々ならぬ感情の熱…
デビルチルドレンよりも数段強いトライブを狩れる奴等は皆、そんな雰囲気を持っていた


…最も、こいつの雰囲気はトライブ狩りの連中よりも数段劣るのだ、が


「本物の戦士」に相対した事がないのだろう特オタや、腐女子達には彼女はすさまじい見た事もない強敵にしか見えないのかもしれないが
「もっともっと強く、恐ろしい連中」と普段から接していた俺達には、彼女は「こっちに来てはじめてみたまともな戦士系の人間」程度にしか見えない
今までの天使達をやる気の無い警官達として、今目の前にいるのは実戦配備された事の無い軍人、といった所だろう
彼女も言っていたが、彼女達はまともな反乱軍と戦った事がないらしい
だから、どうしても彼女達の中の戦士の部分は、訓練や何かで鍛えられたような…
そんな風な物しか感じ取れないのだろう


……いや、だからって勝てる分けじゃないんだよ!

242 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/12(日) 01:23:46.53 0
>「此処にいる我の部下がいないってことは、既に君等が殺したんだろう? まったくよくもまぁやってくれる。
 その同胞を殺した代償に腸引きずり出して殺してやりたいよ本当に。我達にはそれを行える武力がある。
でもそれをしないし、今は殺さない。なぜだか変わるかるかい? 悪魔達よ」
>「……どうか、此処で死んでくれないか? そうすればこれ以上、キモオタ達を殺さなくて済むのだが」

この後シャルル先生とグレーに袋叩きにされてこっ酷く恨み言を死ぬまで言われ続けなければならない俺を前に、人を馬鹿にした態度でぐだぐだぐだぐだと自分の都合をいってくる天使部長(仮)
自分の強さに相当な自信があるのだろう、自殺しろなどとまで言ってきている

俺のせいで色々色々色々色々周囲に迷惑の限りがかかっているんだし、まじで俺は腹を切ったほうがいいんじゃないかとも思う…
そうすりゃトライブ化してこいつら皆殺しに…

……そうだな
俺、こんな命がけで戦う世界でこれから長々生きていく自信ないもん
ここらでトライブ化して楽になろう

「……シャルル先生、皆を連れてここから離れてください」

俺はシャルル先生のすそを引っ張って、俯いたまま先生にそう言った

「俺、もう、疲れました。これ以上皆に迷惑かけたくないです、俺のせいで何か色々とんでもない事になってるみたいだし…
…こいつ位は倒せると思うんで、どうか、それで許してください、後頑張って」

言って、俺はふらふらと天使部長(仮)へと無造作に近づいていく

さあ、切り殺せ
切って切って切って切って切って切って切りまくって来い
お前が調子に乗った瞬間、お前は化け物に頭からかじり殺されるんだ
ひひひ…そうだ、俺は今に化け物になって全てから解放されるんだ!
あはははは…そうだ、そのままゼウスまで天使を殺しまくって到着するかもしれないな!
俺を生み出した大本の元凶、ゼウス!俺をこんなに苦しめる元凶ゼウス!
殺す…天使共をぶち殺しぬいた先に必ず貴様にもたどり着いて殺してやる!
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!

憎しみと絶望を胸に、俺は死へと…いやトライブ化への道を歩んだ
後ろが離れていく気配が無い
早く逃げてくれ

……誰だよ近づいてくるの!

243 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/13(月) 00:21:41.84 0
>「一応、私も天使じゃねーって証明です。ま、トム君が怯えてるのはそーいう事じゃねーと思いますけどね」

>「……俺が悪かったです、すいません…でした」

ユダ君の言葉の意味がなんとなく分かった。
そういえば、リンネの学園都市では騒動を起こすと漏れなくくだらない罰ゲームがあったものだ。

「君みたいな子はお仕置きです! 廊下に立っときなさい!
……なーんてね。あの学園では生徒を廊下に立たせたりするつまらん先生いたもんねー。
ここにはそんな先生いないんだから!」

>「こんにちは」

鎧を纏った天使が現れた。その佇まい、そのオーラ、今までの奴とは明らかに違う。

「くっ、すごいプレッシャーだ……! オタ風に言えばこんなところかしら?
あのね、中ボスが自分から出てくるなんてせっかちすぎよ!」

まあホイホイっと出て来たこいつは多分表向きのリーダー。つまり囮――。
そういえばRPGヲタのグループ、なんてのもあるんだろうか。
アタシ達のこの状況、もしそんなのに会ったら何も言わなくても仲間になりそうだと思う。なんとなく。

>「此処にいる我の部下がいないってことは、既に君等が殺したんだろう? まったくよくもまぁやってくれる。
 その同胞を殺した代償に腸引きずり出して殺してやりたいよ本当に。我達にはそれを行える武力がある。
でもそれをしないし、今は殺さない。なぜだか分かるかい? 悪魔達よ」

何が腸引きずり出して、よ。話はそんなに単純ではない。
そうなる前にまずトライブ化して暴れまくる。そして最後はゲームの敵キャラのように死体も残さず綺麗に消えてお終いだ。
生憎残虐グロスプラッタ趣味には対応していない。アタシ達は天使と同じように、物質界に顕現された情報体に過ぎないんだから――。

>「……どうか、此処で死んでくれないか? そうすればこれ以上、キモオタ達を殺さなくて済むのだが」

「リアル天使略してリア天マジ外道! あなたねえ、それでも神に仕える天使なの!?」

そこまで言って、ある事に気付いてしまった。
ゼウスは人を殺さない、という法則はいとも容易く崩れ去るものだったとしたら――?

「前言撤回、やっぱり天使そのものね……」

さて、今の世界情勢は、遥か古の更に遥か古の神話と恐ろしいほど多くの符合点がある。
おそらく、古代科学文明時代にゼウスを作った人々が、神話になぞらえてゼウスを作り上げたのがその原因だと思われる。
名前がゼウスなのに天使を従えているあたり、何故か某一神教神話と某多神教神話がごっちゃになっているようだが……。
その一神教の方の聖典の中で、神に殺された人は200万人以上。
かの有名な大洪水の逸話も神の意思とみなせば、さらに3000万人の犠牲者が上乗せされる。
これに対して、悪魔による殺害者はわずか10人。当然アタシ達は人間は一人たりとも殺しはしないけど!
とにかく、神とは、自らの子である人間を、気に入らなくなったら平気で虐殺する恐るべき独裁者でもあったのだ。
とすれば、ゼウスがいよいよぶっ壊れて、(彼にとって)罪深い人間は容赦なく虐殺するモードに突入した可能性も考えられる!

244 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/13(月) 00:23:46.10 0
>「……シャルル先生、皆を連れてここから離れてください」

「作戦、オレに任せろって? 心強いけど駄目よー!」

>「俺、もう、疲れました。これ以上皆に迷惑かけたくないです、俺のせいで何か色々とんでもない事になってるみたいだし…
…こいつ位は倒せると思うんで、どうか、それで許してください、後頑張って」

「トム君……?」

トム君は、俯いたままふらふらとした足取りで中ボス天使に近づいていく。
デビチルは、魔人化能力を使い過ぎる事でトライブ化する……。
トム君の魔人としての能力は、超回復能力。
つまり……敵の攻撃を受けて悪魔に成り果て、敵と戦い続け相打ちになって散るつもりなのだ。
トム君の肩にぽんっと手を置く。

「トム君! センセイと同じチームになってしまったのが運の尽きだと思って諦めなさい!
あなたにはしこたま補修が必要なようね!」

トム君に、魔人化能力の使い方を教えてあげようじゃない。
敵に切り札を見せるにはちょっと早い気がするけど、やむを得ない!

「――楽しい遊びをはじめましょ? 【午前二時饗宴《エホウマキ》】!!」

いかにもな呪文を唱えると、まるで変身ヒロインのように、一瞬にして姿が、書き変わる。
漆黒のローブに漆黒の髪。漆黒の魔人とも言うべき姿。
魔法のロッドは、妖しい光沢をまとう巨大な鎌に変化する。光沢の正体はシロップだ。

「向こうではした事のない特別授業だ、アタシの持論が多分に入ってるから勘弁してくれよ?
まずは復習だ、悪魔って”何”だったか覚えてるか?
昔々、まだ人々が自由に生きていた頃、そこかしこに戯れていた小さき神々や妖精達。
後に世界を支配した唯一神によって悪へと堕とされた超常の存在達だ――」

現にアタシ達の普段の能力は、凄惨な悪魔というより、御伽の世界の住人に近い。
アタシのモチーフは言うまでもなく、木漏れ日の森に住まう心優しいお菓子の魔女だろう。
そして今は、深夜の森に迷い込んだ子羊を甘い誘惑で牙城に誘い込み、その魂を喰らう犯しの魔女――同じものの光と影。

「悪魔としての力は確かに強い。そりゃ明確に神に刃向うための力だからなぁ。
でもそれは、神に敗北する事が予定された者としての力でもあるんだぜ?
だから、やり過ぎるとトライブ化するんだ――
普通に考えて強力な力の方が便利だからな、何も考えてないとついやり過ぎてトライブ化しちまうんだよ」

そんな破綻を抱え、矛盾を孕み、綱渡りのように危うい均衡の上に成り立つ存在――デビルチルドレン。

「そうならないように繋ぎとめる物は……強い想い。
愛する人との絆――なんて腐女子が喜びそうな綺麗な物じゃなくていいんだぜ?
大金持ちになって贅沢三昧の暮らしをしたい、可愛い物に囲まれてもっふもっふしたい、世界中のチーズを食べたい! 何でもいい!」

尚、この講義の間、天使たちは何もせずに待っている。リアル天使略してリア天マジ律儀!
これ以上待たせても悪いしそろそろ実践授業に入るとしよう。
相手は様式美を尊重するようなのでこっちもそれに倣い、巨大な鎌を一閃し宣戦布告する。

「世界ガイア教会付属研究所より見参したデビルチルドレン第一部隊、高潔なる天使カルレア殿にいざ尋常に勝負を申し込む!(首が)ポロリもあるぞ!」

【シャルル先生の魔力制御】実践編、開講――!

245 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/13(月) 22:46:39.48 0
>「リアル天使略してリア天マジ外道! あなたねえ、それでも神に仕える天使なの!?」

 何を馬鹿な、当然だろう。カルレアがそう言葉を発する前に、シャルルは前言を撤回する。
 
>「前言撤回、やっぱり天使そのものね……」
 
 まるで何かに気づいたかのようなシャルルの言葉。
 しかし、カルレアにはシャルル何に気付いたか知る由も術もない。
 カルレアはシャルルの言葉に少々の引っ掛かりを感じながらも、気にしないことにする。

>「俺、もう、疲れました。これ以上皆に迷惑かけたくないです、俺のせいで何か色々とんでもない事になってるみたいだし…
…こいつ位は倒せると思うんで、どうか、それで許してください、後頑張って」

 ふらふらふらふらと、まるで幽鬼のようにカルレアに近づくトム。
 カルレアは、そんなトムを何処か呆れたような眼差しで見ていた。

 これが話に聞いた『悪魔』というものか? まるで覇気というモノが感じられない。
 何処か自棄になっているようで、狂気すら感じられる。
 何か策があってか、それとも単なる自殺志願か。前者であることを祈ろう。

 そう思い、カルレアはその手に持った刀を振り上げようと腕に力を込めた。その時。

>「トム君! センセイと同じチームになってしまったのが運の尽きだと思って諦めなさい!
あなたにはしこたま補修が必要なようね!」

 言いながらトムを引き下がらせるシャルル。

>「――楽しい遊びをはじめましょ? 【午前二時饗宴《エホウマキ》】!!」

 その言葉が発せられたと同時に、何とも言えないようなプレッシャーがカルレアを襲う。
 闇を落したようなローブに、漆黒の髪、そして妖しい光沢を纏う巨大な鎌。
 今までいたそこにいた桃色の髪の女が、一瞬で『悪魔』と呼べる姿に変貌する。
 
 「「ヒッ!」」

 後方でいとも情けない悲鳴が上がる、カルレアの率いる精鋭天使の悲鳴だ。
 そして、その悲鳴と同時にカルレアは自身の身体に起こった変化に気付く。
 それは全く無意識な行動。カルレアは一歩、後ろに下がっていたのだ。

 我が……下がった? 気圧されたというのか、この『悪魔』に。
 この女は先ほどの男と同じ悪魔の筈、個体によってここまでの差があるのか。

246 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/13(月) 22:47:28.12 0
生まれてから初めて感じるであろうその『恐怖』という感情に、カルレアは戸惑った。
 口調の変わったシャルルの言葉はカルレアの耳に半分も届いていない。
 後ろの精鋭天使に至っては、その『悪魔』の迫力に今にも逃げ出さんばかりだ。
 それも当然だろう。それはカルレアを含め、全ての天使に言えること。
即ち、初めての『敵』、それも『天敵』と呼べる者に相対する恐怖感。
命を奪われるかもしれないという圧倒的な恐怖。

今まで優位に立っていたと自惚れていたカルレアの額に一筋の汗が流れた。
シャルルはその鎌を一閃し、カルレアに突きつける。宣戦布告だ。

>「世界ガイア教会付属研究所より見参したデビルチルドレン第一部隊、高潔なる天使カルレア殿にいざ尋常に勝負を申し込む!(首が)ポロリもあるぞ!」

 その言葉を噛みしめ、カルレアは大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

 己の認識の甘さ、そして自惚れは、反省しよう。しかし、今は切り替えろ。
 
心の中でそう言葉を唱え、ほんの数瞬、目を閉じる。
次に目を開いた時には、もう先ほどの恐怖感は雲散していた。
代わりに胸に宿るのは確かな高揚感、不謹慎ながらも楽しいと感じる自分がいる。

かつて、天使の身で在りながら人間の騎士や侍に憧れた。いや、今もそうだ。
 だがそれは果たされぬ憧れ。果たされぬはずの憧れだった。

最初は、同胞の敵討ちだったのだがな。今はそれよりも嬉しさが勝っている。
ふふ、これはゼウス様に堕天させられても仕方ないのかもな、ソニアよ。

「……ククッ、ハハハッ、確かに受けた! 承ったぞ!」

憧れの叶った嬉しさの余りに、カルレアの顔に思わず笑みが浮かぶ。
ソニアが見たらさぞ怒ることだろう。
『不謹慎ですよ! カルレア様!』差し詰めこういった所か。

腰に差した鞘を抜き、無造作に投げ捨てる。必勝できぬ相手と知ればこその行為。
負けることは許されぬが、勝てるとは限らない。カルレアは悟った。

「お前達は本部へ行け。ソニアの指示に従うのだ」

「し、しかし、カルレア様……」

「よい、行け! そしてソニアに伝えてくれ、『頼んだ』と」

精鋭天使2名は一瞬その言葉に戸惑いを見せるが、意を決しその場を飛び立つ。

「さて、では始めようか! 麗しき漆黒の悪魔よ!」

構え姿から一閃、横薙ぎに刀を振るうカルレア。それを大鎌で迎撃するシャルル。
火花を散らし、刀と鎌の円舞が中空で弾ける。天使と悪魔、2人の剣戟が今、始まった。

247 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/13(月) 22:57:13.60 0
>「こんにちは」

 カタコンベに響く異質な声。まるで空気が帯電したかのような感覚が私を襲う。
 心臓を握り締められるような息苦しさ、冷えた手で背筋を撫でられるような不快感。
 その両方の感覚が一気に私を襲った。
 そこにいたのは、他とは3人の天使の姿。しかし、その真ん中の鎧姿の天使は他とは一線を画していた。
 根本的な危機本能で身体が無意識に、2、3歩後ずさる。

 やべーですって、これは本気と書いてガチでやべーです!
 
 私の様子をよそに、動揺はあるもののわりかし平気そうなトム君とシャルルさん。
 そして怒りと共に死刑宣告を迫る鎧姿の天使。
 
 今の現状がいまいち理解出来ぬまま、勝手に独り歩きしている。

 リンネにいた頃、ここまでの殺気に出会った事はねーですし、噂のトライブ狩りとかいうのにも、私は出会ったことがねーです。
 故にさっき天使戦もそうですけど、明確な殺意ってヤツにさらされた経験がねーんです。
 ていうかこんなのにまともに立ち向かったってデメリットしかねーじゃないですか!

 そうこうしているうちにトム君が鎧姿の天使の前に出る。
 何か対抗策があると思えば、どうやら……多少自棄になっている感がある。

 やばいです、止めなくちゃ、と思った所でシャルルさんがトム君を引き戻す。

>「――楽しい遊びをはじめましょ? 【午前二時饗宴《エホウマキ》】!!」

 そして、シャルルさんの姿が変わった。
 ローブと髪の色が漆黒に染まり、その手には大きな鎌が握られていた。
 辺りの空気が凍りつくのを肌で感じる。鎧姿の天使とはまた別の威圧感。

 雰囲気もしゃべり方も変わったシャルルさんに少しながら恐怖を感じる。
 シャルルさんを怒らせる行為は慎んだ方がいいですね。この時、私は心に刻んだ。

 魔人化したシャルルさんの講義が始まり、そして終わると同時に天使は顔に笑みを浮かべる。
 その笑顔から私は何かを読み取ることは出来ない、しかし、その笑顔はとても嬉しそうで……。

248 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/13(月) 23:01:27.75 0
>「さて、では始めようか! 麗しき漆黒の悪魔姫よ!」

 天使のその言葉と同時に、二筋の閃光が走る。次の瞬間、その閃光は結ばれ火花を放つ。
 幾度も幾度も閃光が瞬き、結ばれ、火花が炸裂する。

 私はその近くに立っていたトム君の肩を無理矢理引っ張り遠ざける。

 こんなの私達が入り込む余地はねーです。ぬいぐるみでフォローを入れようとしたって、シャルルさんの邪魔になるだけです。
 いざとなったら、私も魔人化するしかねーんでしょうが……そうならねーことを祈りますよ、マジで。

 かつて慕っていた先生に言われた言葉『お前は魔人化するなよ、お前のは恐ろしーんだから』。
 その時は何も言えなかったが、今ならその先生に言える。
 私なんかじゃ目にならねーほど恐ろしいのがいるのですが、と。

 そう言えば、と横目でちらりとトム君を見て、そしてトム君に話しかける。
 未だ落ち込んでるようなその姿に、何かを話しかけずにはいられなかった。

「……トム君、あの時の失敗、シャルルさんも、そして私も怒ってねーですよ。いや、最初は確かに腹立ちましたけど。
 ともかく、さっきみたいに自棄になるのは止めてください。失敗しない奴なんてこの世にいねーんですから」

 こんな状況で何を言ってるんだか、自分自身、そう思う。
 そう思いながらもその自分の視線をトム君から外すことなく話しかける。

「落ち込むのはしゃーねーです。悪魔といえども人間ですから、だから落ち込むなとは私には言えねーですし、言いません。
 だから、次で立ち直ってください。次が駄目なら、その次でもいいですし、そのまた次でもいいです。
 そんで次で挽回すりゃいーんです。そもそも、トム君はもうそんなの挽回してるじゃねーですか。
 …………私にはトム君やシャルルさんみたいに人類守ろうなんて大そうな正義感は微塵もねーんです。
 ただ、私には私自身の野望を成就する為に、シャルルさん、そしてトム君が必要なんです」

 そこまで言って、私はバツの悪そうに頭を掻く。

「だから、まあ、その、アレです。自棄になったりいつまでも落ち込まれたりってのは困るんですよ。
 なので、なるべく早めに立ち直ってください。でないと、私が困るんです」
 
 これでも期待してるんですから。と最後に小声で呟く。
 らしくない自身の言葉に、些かの気恥ずかしさを感じながらも誤魔化すように剣舞に視線を戻した。
 
 今度は気持ちを切り替え、いつでもシャルルさんのフォローに入れるように、右手を差し出す。

249 : ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/13(月) 23:07:29.84 0
【すみません、文章の書き方変えました。】

250 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/14(火) 21:29:37.56 0
シャルル先生が俺を止める…

>「トム君! センセイと同じチームになってしまったのが運の尽きだと思って諦めなさい!
あなたにはしこたま補修が必要なようね!」

……何故?

俺、いても役に立ちませんよ
俺に出来る事なんて、トライブ化して自爆テロ位しか無いんですよ!
そんで今この場でのこのやば気な天使を倒すにはトライブ化するい……が…い…

>「――楽しい遊びをはじめましょ? 【午前二時饗宴《エホウマキ》】!!」

………

シャルル先生が…魔人化した!?
で…できたんだ…先生

先生は圧倒的な…それこそトライブ狩りに近いような(それでもまだ劣るけれど)雰囲気を出しながら、天使部長へと歩みだす

そして口調すら変わったシャルル先生から語られる、トライブ化についての講義
……トライブ化ってのは…そういう意味…
己の「人生」を捨てて「神と戦うだけの物」へと成り下がる事…

そうか…じゃあ…トライブにゼウスは倒せない…
トライブは人である事をやめた存在だから
新たな手段を考えたり、別の道を探す事をやめた存在だから…、だから…

251 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/14(火) 22:04:37.84 0
>「……トム君

茫然自失状態だった俺は、グレーの声に我に返る
眼前ではまだシャルル先生が戦っている、が、剣先が早すぎて「激しい戦いである」と言う以外俺には何とも言えない
その光景はどこか現実感が無く、目の前で映画やテレビを見ているような気持ちにすらなってくる
そんな光景から、俺はグレーへと無言で視線を移した

>あの時の失敗、シャルルさんも、そして私も怒ってねーですよ。いや、最初は確かに腹立ちましたけど。
 ともかく、さっきみたいに自棄になるのは止めてください。失敗しない奴なんてこの世にいねーんですから」

…初めて、グレーの言葉に感情らしい感情が篭っているのを感じた
こいつ…

>「落ち込むのはしゃーねーです。〜〜シャルルさん、そしてトム君が必要なんです」

……

>「だから、まあ、その、アレです。〜〜私が困るんです」

「ぐ…」


俺はもう思いっきり、グレイの胸に飛び込んだ


「うえ”〜〜〜〜ん”ぐれ”え”え”え”ありがどう”〜〜〜〜〜〜〜ごめんよ”〜〜〜〜」

恥も外聞も無く、その胸で号泣する俺
何か後ろのシャルル先生達と一緒にいた妙な服装の女性達がそれを見て色めき立つが、そんなもん気にする余裕は無い

グレー…俺、お前を誤解してた…
お前…お前マジはいい奴だったんだな…俺…ずっと…誤解して…
シャルルせんせも…俺を守るために…切り札使って……
なのに俺……
俺……

「泣いてる場合じゃねえ!!」

俺は叫んでグレーの胸から復活する
その拍子にグレーを吹っ飛ばしてしまうが、それは傍にいたシュガーちゃんがキャッチした
涙の後も真っ赤になった顔もかまわず、俺は近くで呆然としていた特オタの腰のホルスターからトカレフ(拳銃)を奪うと、天使部長の足に向ける

「卑怯上等!」

上半身目掛けて撃てば切り払われるかもしれない
だが足を狙えば姿勢を崩せる!
旧世界の武器はそのまま使っても天使に効果は無いが、デビルチルドレンが使えば、本来の威力を天使に対しても発揮するはず

安全装置なんて無いトカレフの引き金を、天使部長の足目掛けて引きまくりながら、俺はグレーに叫ぶ

「グレー!銃使え!蜂の巣にしたろう!」

252 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/15(水) 00:58:11.44 0
>「……ククッ、ハハハッ、確かに受けた! 承ったぞ!」

天敵に宣戦布告されたというのに、カルレアは何故か嬉しそうだ。
案外、変化の無い長い平穏に飽ききって、このような状況に飢えていたのかもしれない。
鞘を投げ捨てる、それは確か、古の時代の侍なる者が命を賭けた戦いに臨む時の動作、ではなかったか。
彼女は部下たちを下がらせると、高らかに宣言した。

>「さて、では始めようか! 麗しき漆黒の悪魔よ!」

横薙ぎに振るわれた刀を、大鎌を弧を描くように一閃し受け止める。
鳴り響く金属音、飛び散る火花が、剣戟の始まりを告げた――!

文字通り火花を散らしていると、背景から、雑音が聞こえてくる――。

「すごいぞ! リアル特撮がこの目で見れるなんて!」
「鎧の天使と変身魔女娘! これは流行る!」
「火花散る女の戦いというのがまた新しいですね!」

最初こそ怯えていたものの、いざ戦いが始まってしまえばすぐに大盛り上がりの特オタ達だった。

「うるさいぞ!!」

特オタによる茶々によって奇しくも生まれた、僅かな膠着状態。互いに腹を探り合うように観察しあう。
端から見ると、大円の弧を描くように巨大な鎌をぶん回すアタシの方が派手に見えるだろうが、実のところ不利な状況だ。
カルレアの、手練れの剣士のように無駄の無い熟練された動きは尋常じゃない。
アタシ達の、何の努力もせずに望む望まざるに拘らず与えらえた宿命の異能力とはまた違った重みがある――!
そして、アタシが魔人化状態でいる事が許される時間は、そう長くはない。
このままやりあっていてもジリ貧なのは目に見えている。ここらで仕掛けるとするか!
漆黒の翼を顕現させ、天井擦れ擦れまで飛び上がる。そして不敵な笑みを浮かべ宣言した。

「お前……強いな。相当鍛錬を積んだんだろ?
だがアタシ達の力は神に立ち向かうために与えられた宿命の力だ! 無才がいくら努力しようと辿り着く事はできないさ!」

鎌にありったけの魔力を込め、目にもとまらぬ速さで滑空急降下。
百発百中の必殺技。これを避けられる者など、いるはずはない!

「――【最後の一撃《ティロ・フィナーレ》】!!」

253 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/15(水) 00:59:17.57 0
カルレアの首めがけて鎌を一閃する!
中間管理職天使の首が文字通り飛ぶ……はずだった。が、伝わってきたのは、風を切った感触だけ。

「あ……れ……?」

立ちあがる気配がしたのは、背後。フツーに目にも止まらぬ速さでかがむ事によって、回避していたのだった!
立ち上がる時間がある分、マトリックス避けじゃなかったのがせめてもの救いだろうか。
悪い事に、アタシは着地と同時に、魔人化を解除していた。
この大技を使った以上、解除するしかないし、そもそも避けられるなんて思ってもいなかったのである。
魔人化していなければ接近戦など全く出来ない無防備なアタシに、刀が振り上げられる――

―― シャル、最後の願いだ……殺してくれ! そしてお前は生きろ! 僕の分まで生きてくれ!

不意に思い出した、かつての大親友の言葉。まだだ、まだ勝負はついていない!
ムースポッキーのようなロッドを両腕で持ち、振り下ろされた刀を受け止めた。
両腕に凄い衝撃が走り、今にも押し切られそうになる。どう見ても無駄なあがきだが、アタシは信じているのだ。
デビルチルドレンの、”運命”を。

「負けるわけにはいかないの……! 生きろと言ってくれた人がいるから!」

かつてリンネにいた時、一度トライブ化したアタシを、自分の命と引き換えに救った大親友がいた。
彼の名はマコ・トモエ――。魔法少女ものが大好きだった心優しい少年。
デビチルとして覚醒した彼に与えられたのは、世にも珍しい癒しの魔法。
彼の顕現させる魔導銃から打ち出される魔力は、撃たれた者の魂さえも癒す――。
彼は、魔は魔でも、まさしく魔法少女というべき存在だった。
アタシの定義上での魔法少女とは――年齢は関係ない、性別すら関係はない。13才だろうが、31歳だろうが、女だろうが、男だろうが――
それは光で、それは愛で、それは勇気。自己犠牲さえ厭わない純粋な心をもって、奇跡を起こす存在。
本当は彼こそが人類の希望として現世に送り出されるべき存在だったのではないか。
気にすることは無い、リンネでの出来事は所詮全ては虚構。そんな事は分かっている。
だけど、今でもこの手にはっきりと残っている、アタシを助けたのと引き換えに自らがトライブ化した彼の首を狩った感触――

両手が痺れてきたが、その時の感触と比べればこんなのどうってことない……。
と、突然カルレアが体勢を崩した。すかさず飛び退って距離を取る。

>「グレー!銃使え!蜂の巣にしたろう!」

「トム君!」

トム君が、カルレアの足に向かって銃を撃ちまくっていた。
切り札を見せた割にほとんど直接的なダメージは与えられなかったが、決して無駄ではなかった。
一つは、刀がシロップ塗れでナマクラ化しているのは確実だということ。
そして何より、トム君への特別授業が大成功したのだから上出来だ! アタシは呟いた。

「マコ……新しい親友が出来たよ。もう何も怖くない!」

リンネでの選別の過程で消えて行った、現世に生まれ出ずる事の出来なかったデビチル達。
彼等の存在は決して無駄ではない。アタシ達に記憶《メモリー》として取り込まれ、その全てが糧となる!

「弾力拘束《グミロープ》】!」

カルレアの足に巻き付くように極太グミを発射する。もう様式美も何もあったものではない。
それでいい、確立されたものをぶちこわしてこそデビルチルドレンだ!

254 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/15(水) 21:53:59.08 0
楽しい! あぁ楽しい! 本当に楽しくて楽しくて、このまま時が止まってしまえばよいのに。

幾十と交差する刀と鎌、互いが互いに持てる技力を全て出し尽す。
周りの雑音なんて耳に入らないほどに、カルレアはその雰囲気に酔っていた。
それはまるで極上の蒸留酒の刺激的で、果実酒の様に甘美な味わい。
一際大きな金属音が響き渡り、生まれた僅かな膠着状態。その腹の探り合いさえも、カルレアは楽しんでいた。

力任せに振っているようでそうでない。今まで見たどんな文献にもない動き。
天使とは違う悪魔の力……否、それだけで此処までの高みには登り詰められまい。
如何なる意志の力でそこまで強く成れたのか、我には想像も出来んな。

突如、シャルルは漆黒の翼を顕著させると天井擦れ擦れまで舞い上がる。

>「お前……強いな。相当鍛錬を積んだんだろ?
だがアタシ達の力は神に立ち向かうために与えられた宿命の力だ! 無才がいくら努力しようと辿り着く事はできないさ!」

その言葉と共に、鎌に恐ろしいほどの『力』が集まるのをカルレアは感じた。
ビリビリと空気が震える。力が鎧を貫き、まるで肌を突き刺す様な殺気に思わず1歩後ずさる。
しかしカルレアはその1歩で踏み止まった。それがシャルルの渾身の一撃だと悟ったからだ。

面白い! 漆黒の悪魔よ! その技、我がしかと受け止める! さあ! 来い!

身構えるカルレア、そして引き絞られた矢弓の如くシャルルの必殺の一撃が放たれた。
しかしその時、剣士として研ぎ澄まされた本能か、天使としての自己防衛か、カルレア自身でも思わなかった事態が起きた。
シャルルの鎌がカルレアの振るう刀よりも早く首を落そうとする刹那。
カルレアはその身を屈めたのだ。その動きはまさに神速と呼ぶに相応しい。
 そして立ち上がり振り向きざまに、その刀を掲げ、渾身の力を込めて振り下ろす。
しかし、ここまでの動き、カルレアにはまったく無意識の動作。
剣士としての修練の結果、身体に染み込んだ動きが、命の危機に自動的に発動したのだった。

違う、我はこんな事は……こんな決着は、望んでいないのに!

カルレアにとって幸運だったのは、渾身の力で振り下ろしたその一太刀をシャルルが防いでいた事だった。
しかし防がれたといっても刀に込められた威力を殺しきれたわけではない。
もう数瞬もすれば、刀を防いでいるロッドそのものを叩き切り、その身体を両断することだろう。

255 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/15(水) 21:54:49.50 0
と、その時だ。カルレアの足に幾度か衝撃が走り、体勢を崩す。
トムの撃った銃弾だった。鍛え上げられた鎧によりそれは弾かれるがそれでも隙が生まれる。
そして、その隙によりシャルルが出したグミにてカルレアは足元を拘束された。
だが、カルレアにはそんな事は一切関係なかった。というより、どうでもよかった。
片手で鎧による拘束を緩めると、他の天使とは比べ物にならないほどの獄炎が鎧の隙間から噴き出す。
凄まじい火力により即座にグミは溶け、拘束は意味を無くす。
拘束を解いた後、即座にシャルルに肉薄し、その刀を振り上げ、……地面に突き刺した。

「シャルル、と言ったか……この勝負、我の負けだ」
 
 そして確かな自身の敗北を口にする。

 先ほどのシャルルの渾身の一撃、それを避けた時点でカルレアの中では自身の敗北は決していた。
 正道を進むと信じる者が、敵にその頭を下げた時点で、敗北を意味する。
 それはカルレア自身の自らの美学に対する明確な裏切り行為であった。
 しかも、避けた後に行った追撃行為、それも、カルレアの主義に反する事。
 これがただの狩りであったのなら、今の様な行為もカルレアはさして気にすることはなかったのだろう。
しかし、己が初めて敵と認識し、認めた相手にその行為をしてしまった事が、カルレアには我慢ならなかった。

「……無粋な真似をして、すまなかった。さぁ、シャルルよ。我が首を取れ、首級を上げよ」

256 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/15(水) 21:57:33.94 0

>「うえ”〜〜〜〜ん”ぐれ”え”え”え”ありがどう”〜〜〜〜〜〜〜ごめんよ”〜〜〜〜」
 
 私がシャルルさんと鎧姿の天使に視線を戻して、僅か数瞬、トム君が泣きながら胸に飛び込んできた。
 何が起きたかわからず、固まる私、胸では泣きじゃくるトム君。

 あれ? え? あれれ、何でしょうかねこの状況は。

 背後では色めきだった腐女子の皆様が黄色い悲鳴を上げている。
 男(男の娘は別)に抱き着かれた経験がねーので、どうしていいか対応に困っていると。

>「泣いてる場合じゃねえ!!」

 唐突にトム君が叫んで復活する。そして華奢な私の身体はその拍子に吹っ飛ばされる。
 ちょうど倒れた先にいたシュガーちゃんが私を支えてくれる。

「わお、ありがとうございます。出来たらもうちょっとこのままの態勢で痛いのですが…」

>「グレー!銃使え!蜂の巣にしたろう!」

 いつの間にやら元気になったトム君は拳銃を握り締め、鎧姿の天使に向けて引鉄を絞る。
 火薬により超高速で放たれた鉛玉は天使の脚に当たり、赤い火花と金属音を撒き散らした。
 天使は今まさにシャルルさんを刀にてロッドごと切断しようとしていた所だったが、トム君のフォローにより体制を崩す。

 先ほどの柄にもねー励ましの言葉が聞いたようでなによりですね、まったく。

「残念ながら、んな暇ねーですね。了解です、わかりましたよトム君」

 私はトム君の言葉に答え、そこに転がっている武骨な鉄の塊を握り締めた。
 想像していたよりも重く、そして冷たい感触に違和感を感じながらも引鉄に指を掛ける。
 初めて生きている者に銃を向ける。驚くほどに呆気なく、銃口は天使に向けられた。

 そして私は躊躇なく引鉄を絞る、が、此処で予想外なことが一つ。
 
 思ったよりも、衝撃が凄い。手の中で意志を持った生き物のように拳銃が跳ね上がった。
 無論、そんな碌に固定もせずに撃った銃弾が天使に当たるはずもなく、見当違いの方向に飛んでいき跳弾し。
 そして、無造作に置かれていた(転がっていた)フィルムを破壊してその動きを止めた。特撮オタの惨叫がカタコンベに響き渡る。
 それを時同じくしてトム君の活躍によりシャルルさんは天使の刀の拘束から逃れ、能力を使って逆に天使を拘束する。

257 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/15(水) 21:58:47.94 0
「……やべぇほどに、活躍してませんね私」

 そう呟きながらも、先程の衝撃で手が痺れて自由がきかねーからどうにもならねーですけど。

 と、そんな事を考えているうちに天使は自らの鎧を緩める。その鎧の隙間から溢れ出るは灼熱の獄炎。
 グミの拘束など一瞬で蒸発させるかのように溶かし、瞬時にシャルルさんに肉薄する。

「ッ、トム君!」

 自分よりも正確な射撃の出来るトム君に声を掛けるが、もう遅い。
 天使はその刀を振り上げている。恐らく銃弾が到達するよりも早く、シャルルさんに刃が食い込む。

 刃はシロップの様な液体に塗れてはいますが、それでも高速で振り下ろせば人を殺せる凶器には変わりねーのですから!

 しかし、振り下ろされた刀がシャルルさんに食い込むことはなかった。
 そして鎧姿の天使の口から洩れる、信じられない言葉。

>「シャルル、と言ったか……この勝負、我の負けだ」

 「……は?」

 思わず自身の口から洩れる疑問の声。
 しかし、私の疑問に天使が答えるわけもない。というよりも天使はシャルルさんしか見ていなかった。
 自らの行いを後悔するような、恥じるようなそんな表情。今の戦いの何処に、そのような行為があったのだろうか?

>「……無粋な真似をして、すまなかった。さぁ、シャルルよ。我が首を取れ、首級を上げよ」

 そして、天使は確かにその言葉を口にした、自分の首を取れと。
 私はそのあまりの出来事に、その光景を見ている事しかできなかった。


258 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/17(金) 00:16:02.38 0
先生の懇親の一撃が外れ、先生の魔人化が解けた…
ヤバイ!

>「ッ、トム君!」

「じゃるるぜんぜえええええええええええええええ!」

グレーが叫ぶより早く、俺は弾の切れたトカレフを投げ捨て駆け出していた
だが割と距離があるので俺が駆けた所で間に合うモンではない
しかしそれでも俺は目をつぶってダッシュで走り、シャルル先生の体にダイブして、背中で敵の刃を受け止めんとシャルル先生を抱きしめる
先刻のシュガーちゃんの方が女のシャルル先生よりやわらかいのはこれ如何に…
いやそんな事はいい!
って言うか俺は決して疚しい下心があって飛びついたんじゃない!だからそんな事はどうでもいいのだ!

とにかく用水路のどぶ臭さもぶっ飛ぶような甘いにおいのするシャルル先生の胸に顔を埋めつつ抱きしめ
…もとい天使の凶刃から先生を守るべくシャルル先生の心臓を俺の頭で守らんとしているが
一向に刃の衝撃が襲ってこない
も…もしや…シャルル先生の首がもうすっ飛んでしまったのか?

俺は恐る恐る、シャルル先生の胸の谷間から先生の顔を見上げてみた

259 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/18(土) 00:07:33.20 0
カルレアの鎧の隙間から、獄炎が噴き出し、グミを一瞬にして溶かす。
熾天使なのに炎が無いのはおかしいと思った。鎧の下に隠し持っていたのね――!
そして一瞬にして彼女は目の前に迫り、刀が振り上げられる――

>「じゃるるぜんぜえええええええええええええええ!」

突進してきたトム君が、振り下ろされる凶刃からアタシを守るように抱き着く。
再生能力を持つ自分が代わりに攻撃を受けるつもりなのだ――!

「トム君、危な……」

気付いた時には、振り下ろされた刀は、すでに地面に突き立てられていた。
そして、カルレアの口から信じられない言葉が発せられる。

「シャルル、と言ったか……この勝負、我の負けだ」

「……へ?」

今の展開、どう見てもアタシの負けだよね? どう見ても勝っていた方が自ら白旗とはこれいかに。
予想外過ぎる言葉に、思わず上を仰ぎ見る。
あれあれ〜? 学園都市TRPGという文字が見えるぞ?
これはいかん! これはデビルチルドレン達の清く正しく美しい学園生活を描く物語なのだ。
先生は生徒に例えば夜の特別授業なんかやって余計な事を教えてはいけないのだ。

「なんだ、男女カップルかー」
「待て、厳密には天使と同じく悪魔にも性別はないのではないか?」
「という事は……先生と呼んでるから……禁断の生徒×先生キター!」
「でもどう見ても学園ものじゃありませんよ? 鉄板の魔法使いの師弟モノですね!」

腐女子達が盛り上がっているのを聞いて我に返る。
そうだった、あの学園都市は虚構――。
これは、学園という守られた空間で生徒達が成長を遂げていく学園ものではないのだ。
壁に耳あり障子に目あり看板に偽りあり。ならば――今のこの状況はセーフ!
アタシを見上げているトム君と目が合った。
見つめ合う二人、走り出す恋、悪魔の師弟のロマンスがハ・ジ・マ・ル☆

260 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/18(土) 00:08:28.22 0
「……なんてなるか――!!」

自分のアホな妄想にツッコミを入れながら、トム君の肩を持ち、引き離す。
早くもアキヴァの人々の思考回路に感化されてしまったのかもしれない。
カルレアは、目の前で繰り広げられるそんな状況を気にも留めていないように、厳かに言った。

>「……無粋な真似をして、すまなかった。さぁ、シャルルよ。我が首を取れ、首級を上げよ」

「なんですって!?」

これは神の支配権をかけた天使と悪魔の命がけの戦い、正々堂々などと言っている場合ではないのは当然のことだ。
それに、そもそも卑怯な手を使ったとすればこっちの方である。
だが、相手が自分から負けを認めたのだから、勝者はアタシ達。勝ちは勝ちだ。
そこで、アタシと超人バトルをしている時、カルレアがとても嬉しそうにしていたのを思い出した。
ある考えに思い至り、全てが繋がる。彼女もまた、アキヴァの住人の例に漏れず、オタなのだ――!
アタシは悪魔の様に笑い、彼女にとって残酷であろう言葉を突きつける。というか文字通り悪魔だけど。

「だが断る。だって、あなたはもうアタシ達の仲間なんですもの!」

驚愕するカルレアに、さらに追い打ちをかける。

「さっきのあの生き生きとした表情、神に支配された忠実なプログラムのものではないわ。
あなたは、とっくの昔に神の支配を脱していた……堕天してたのよ。
古の騎士が好きで好きで仕方が無いんでしょ?
アタシ達と来れば、思う存分強い奴と戦って、弱い人間を守れる。
そりゃあ今はまだ単なるテロリストの一団かもしれない。
でも、偉大な神に反旗を翻す悪魔達のピカレスクは、勝利を手にした瞬間に人類を解放した英雄達の冒険譚へと反転する!
どう? ロマンに溢れてると思わない――?」

261 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/19(日) 01:30:24.61 0
>「なんですって!?」

 敗北制限の後、自らの首を差し出すカルレアにシャルルは驚きの声を上げた。

「敵を打ち取った後に首級を掲げるは勝者の権利だ。さぁ、遠慮はいらん取れ」

 カルレアは宣言する。相対し鞘を投げた時から命を掛ける覚悟は決まっていた。
 しかし、そんなカルレアの言葉にシャルルは暫し考えた後、その顔に笑顔を湛えてこう言ったのだ。

>「だが断る。だって、あなたはもうアタシ達の仲間なんですもの!」

「な?! にゃにを!?」

 あまりの予想外のシャルルの言葉に噛みながらも驚きの声を上げるカルレア。

 何を言ってるんだこの悪魔は! 仲間だと!? 我が? 仲間!?
 いや解らん! 何を言ってるのかさっぱり理解出来ん! 何を考えている!?

 普段の彼女を見ている天使達がその狼狽ぶりを見たら、唖然とすることは間違いない。
 それ程までに取り乱しているカルレアにシャルルはさらに追い打ちを掛けるかの如く言葉を紡ぐ。

>「さっきのあの生き生きとした表情、神に支配された忠実なプログラムのものではないわ。 〜〜〜〜どう? ロマンに溢れてると思わない――?」

 「ば! 何を馬鹿なことを! 我はゼウス様の忠実な下僕だ! この悪魔め!」

 まるで自分に言い聞かす様なカルレアの激昂した叫び。
 しかし、カルレアは思い出していた。先ほどの戦いの中での忘れがたい高揚感を。
 そして、カルレアは噛みしめていた。先ほどの戦いの中での自分自身を。
 
……確かに、あった。不思議な、身震いするような感覚。
 自らの認めた敵と、瞬きの刹那に刃と刃を重ね、斬り合い、命を奪い合った。
 そしてそれは、確かに今の今まで生きていた中で一番……充実し楽しかった時間。
 およそ初めて、『生きている』と、実感出来たその瞬間。

 ……馬鹿な!? 何を! いったい我は何を考えているんだ!
 馬鹿なバカな馬鹿なバカな! 我が、我が、そんな筈はない! 我は天使で、我は!

 どれほどの苦悩がカルレアを苛んでいるのか、俯きその両手で頭を抱えた。
 そして、暫しの沈黙の後、カルレアは絞り出すかのように掠れた言葉を発する。

「……シャルルよ、我は命じたぞ。人間の抹殺を、そして部下は実行した」

 カルレアは片手でその焼殺死体を撲殺死体を1つ1つ指差し、言った。
 
「アレも! ソレも! コレもだ! 我が命じた! 我が殺した!」

 最初は掠れ声だったカルレアの声が、徐々に叫ぶような、煽るような声に変わる。

「どうだシャルル! 憎いだろう! 我はお前に殺されはすれどお前に仲間になろうと言われる筋はない!
 さあシャルル! 我の首を取れ! お前に取られるならこの首、惜しくはない!」

 それは自らに芽生えてしまったある可能性を振り払い否定するかのような叫びだった。


262 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/19(日) 01:39:33.81 0
 シリアスと何かが入り混じって、こりゃカオスですね。
 完全に出番というか入り込む空気を失った私はキモオタ達に紛れて傍観を決め込んでいた。

 だってなんかそういう雰囲気じゃねーんですもん。
 トム君は何を血迷ったのかシャルルさんに抱き着いて引き離されてますが。

 私は一応遠距離からの突っ込みの意味で手のひらサイズのぬいぐるみを精製し。
 シャルルさんから引き放されたトム君の頭上にポンと落とした。
 少し恨めしそうにこっちを見るトム君に、突っ込みです、とアイコンタクト。

>「だが断る。だって、あなたはもうアタシ達の仲間なんですもの!」
>「な?! にゃにを!?」

 首を取れと言った鎧姿の天使(略して鎧天使と命名)をシャルルさんはあろうことか仲間と呼ぶ。
 その思いがけない言葉に鎧天使も噛みながらも驚愕の声を上げている。

 噛んでいる鎧天使が可愛いと思ったの内緒です。

 そしてシャルルさんが鎧天使に対して説得を行う。
 シャルルさんの言葉にあった『騎士が好き』と言葉に少し納得した。

 多分、あの鎧天使は先ほどの戦いの中で納得いかねー行動をしてしまった、それで自らの敗北を認めた、ってとこでしょーか?
 それにしても私達がピカレスク、ならず者ですか。まあ、私は動機が不純なだけにピッタリですけどね。

>「ば! 何を馬鹿なことを! 我はゼウス様の忠実な下僕だ! この悪魔め!」

 対する鎧天使は登場当初の落ち着いた雰囲気は何処へやら取り乱したかのように叫ぶ。
 そしてその後、頭を抱え、何かに苦悩するかのように顔を俯かせる。
 時間にしたらほんの数十秒の静寂がカタコンベ内を支配するが、それは鎧天使の絞り出されるような声によって破られた。

>「……シャルルよ、我は下したぞ。人間の抹殺を、そして部下は実行した」

 床に転がっている死体の数々、それを指差しながら鎧天使は叫ぶ。
 
>「アレも! ソレも! コレもだ! 我が命じた! 我が殺した!」

 まるでわざと煽るように自分の所業を声高々と宣言する鎧天使。

 でも、私はそれはお互い様な気がしてならねーです。私達はこの天使の親玉、ゼウスを殺す為に。
 それに私は実際にまだ手に掛けてねーですけど、こっち側も何人か天使を殺していますし……。

 私はちらりとトム君の顔を盗み見る。

 別に責めてるわけではねーですけど、こういうの気にするタイプってのは嫌ってほど分かってるので大丈夫でしょうか……。
 ……いやいや、そーいうんじゃないですよ、アレですよ。戦力的な問題の話ですよ、うん。

>「どうだシャルル! 憎いだろう! 我はお前に殺されはすれどお前に仲間になろうと言われる筋はない!
  さあシャルル! 我の首を取れ! お前に取られるならこの首、惜しくはない!」

そう宣言する鎧天使に何処か違和感を感じながら、私は事態をシャルルさんに任しました。
 私的には戦力が増えるのは大歓迎ですしね、それが天使であれ何であれ、ね。

263 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/21(火) 14:57:58.88 0
谷間の間から見上げてみれば、そこにはご健在のシャルル先生の頭があった
よ…良かった
よし、ついでだからこのままもー少しこの空間を楽しんで…

シャルルせんせに引き剥がされる俺
せんせの顔に「トム君、自重しようね」と書いてある

…すんません、調子乗ってました
そう考えてたら、頭にボンっとグレーのぬいぐるみが墜落する
あいつ、お笑いのセンスがあるな…

さて、俺が空気読まない俺をおいておいて、物語は進行していく

どうやら天使部長は自分のポリシーに反する事をあの戦いの中でしてしまい、それでシャルル先生に降伏したらしい
で、それをシャルル先生が「自分の価値観だけで行動しているお前は既に堕天してるから仲間になれ」と
んな事言うて天使がマジに考えるわけ…

…あったよ
動揺して、けどどこか嬉しそうにシャルル先生の言葉を頭の中で天使部長は反芻している
シャルル先生は凄いな、人をひきつける魅力がある
いや天使は人じゃないけど…

そんな風にどっか他人事の調子で聞いていた俺は、天使部長の次の一言で凍りついた

>「……シャルルよ、我は命じたぞ。人間の抹殺を、そして部下は実行した」

…あ
そうだ
人が…
人が死んでるんだ


俺の…せいで…

264 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/21(火) 15:19:52.77 0
俺が…俺があそこで迂闊に飛び出したせいで、この天使部長に気づかれて、穏便な作戦を考える事もできなくなって
結果的に人が…

人が死んだんだ

俺が…俺が殺し…
俺の…せいで…

俺は意図的に特オタ達から目を背ける

背中が寒い
背筋がぞっとする

俺は立っていられなくなり、その場にしゃがみこむが、今度は用水路のどぶくささと、胃のむかつきが襲ってきて、用水路の端まで行って、ゲーゲーはいてしまった

俺が…俺のせい…でも…俺が…

取り返しのつかない事をしたんだ、取り返しのつかない事を…
俺どうすれば…俺…

俺は、救いを求めて、シャルル先生に視線を送る

先生、助けてください!
俺はどうすればいいんですか?
俺のせいで…俺のせいで人が…人が…

265 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/21(火) 23:10:48.95 0
>「ば! 何を馬鹿なことを! 我はゼウス様の忠実な下僕だ! この悪魔め!」

カルレアは激昂するが、想定の範囲内だ。
例えばひきこもりを説得する時、相手が怒りだしたらしめたもの、だそうだ。
怒るのは心が動いている証拠で、ここで恐れずにあと一歩踏み込めるかどうかが勝負の分かれ目。

>「……シャルルよ、我は命じたぞ。人間の抹殺を、そして部下は実行した」
>「アレも! ソレも! コレもだ! 我が命じた! 我が殺した!」

「ゼウスの正体はね、古代の人間が人の世の平和を願って作った超巨大コンピューターなのよ。
人間を殺すことはないようになってる、ってアタシは聞いてる。
そこにはあなた自身の判断が働いたんじゃないの?」

しかしもはや説得は不可能、カルレアは興奮状態だ。

>「どうだシャルル! 憎いだろう! 我はお前に殺されはすれどお前に仲間になろうと言われる筋はない!
 さあシャルル! 我の首を取れ! お前に取られるならこの首、惜しくはない!」

ユダ君の方をちらりと見ると、『お任せします』という雰囲気を出している。
続いてトム君の方を見ると、救いを求めるような視線をこちらに送っている。
自分のせいで人が死んだ、とでも思っているのだろう。
彼は昔から責任感が強いのよね、絶対人に迷惑をかけたがらないし、それが彼の美徳でもあり欠点でもあり……。

「あなたが責任感じる事ないの。
そりゃこっそり忍び込んだら穏便に済んだかもしれないけど、彼女ならどっちにしろキレて人間抹殺を命じてたかもしれない。
もしかしたら……戦いが長引いてもっと犠牲者が出てたかもしれない。
起こらなかった可能性の事を考えても仕方がないの、誰にも分からないんだから。
敢えて言うなら、犠牲者が出たのは天使が命じたからよ。彼女も自分で言ってるでしょう。
だから……」

アタシは再び魔人化し、大鎌を振り上げる。

266 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/21(火) 23:11:48.57 0
「お生きなさい――」

それは、トム君とカルレアの二人に向けた言葉。
鎌を向けられたカルレアにとっては、お逝きなさい、と聞こえるという掛け言葉だ。
魔人化したのは、とどめを刺すためではなく気絶させるためだ。
しばらく眠れば少しは落ち着くだろう。
残念ながら敗者に処遇を選ぶ権利なんて無いのよ! 捕虜として嫌というほど使ってやるわっ!
峰打ちなんてやった事がないけど、適当に鎌の腹で叩いとけば大丈夫よね!
鎌を振り下ろそうとした刹那――

「やめて! お姉ちゃんを殺さないで!!」

シュガーちゃんが飛び出して来た。

「あぶなーい!」

すんでのところで鎌を止める。シュガーちゃんはカルレアを守るように両腕を広げていた。

「自分以外でゼウスの支配を脱した天使を見たのは初めてなんです……。
自分だけかと思ってた……、でも、やっと会えたね、お姉ちゃん……」

灼熱の炎をものともせず、シュガーちゃんはカルレアにすり寄るように抱き着く。
天使なので、天使の炎は平気なのだろう。
アタシは脱力して鎌を降ろし、魔人化を解いた。

「そっか、シュガーちゃんもこのエリア出身だったもんね……。
ごめんなさい、とてもとどめって雰囲気じゃなくなっちゃった――」

最初からとどめを刺してやる気なんてなかったのは秘密。あとはシュガーちゃんに任せるとしよう。

267 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/22(水) 03:45:21.65 0
 シャルルのローブが再び漆黒に染まり、大鎌が顕著する。
 大鎌を構える、その姿はまるで『悪魔』というよりも『死神』に見えた。

 悔いは無い。ここまでの強者と戦えた。敗北の仕方が些か残念だが。
 それも我の修行不足が招いたことだ。…………悔いは無い、筈なのに……。

 カルレアの胸に詰まるように残る、無念の塊。
 自身に『悔いは無い』と言い聞かせても、心のそれが取れることはない。

>「お逝きなさい――」

 シャルルからの死刑執行の一言が放たれ、大鎌が振り上げられた。
 カルレアはそれを受け入れようと目を瞑る。心の『悔い』の塊を飲み干すように。
 だが、シャルルが鎌を振り下ろそうとしたその刹那の時だった。

>「やめて! お姉ちゃんを殺さないで!!」

 その突然放たれた言葉に驚き目を開けるカルレア。
 同じく突然飛び出したシュガーに驚き、大鎌を止めるシャルル。
 カルレアが目を開いた先にいるのは小さな天使、そう、裏切者として報告を受けた天使だった。
 その天使はその小さな両腕を精一杯広げ、カルレアを守っている。
 カルレアは混乱していた自分には弟がいた記憶など無いし、堕天した天使に守られる筋もない。

>「自分以外でゼウスの支配を脱した天使を見たのは初めてなんです……。
  自分だけかと思ってた……、でも、やっと会えたね、お姉ちゃん……」

 しかし、シュガーはそんなことお構いなしに小さな身体でカルレアを抱きしめる。
 不思議とカルレアは突き放す気にはなれなかった。
 その小さな肩に腕を回し、抱きしめ返す。それは本当の姉弟のようで。

 ……何をやっているのだ我は……この者は堕天使で、それで、我はゼウス様に……。
 ……いや、もう言うまい……。なんだか、無理に考えるのも億劫だ。

 カルレアには珍しい思考の放棄だった。
 
>「そっか、シュガーちゃんもこのエリア出身だったもんね……。
  ごめんなさい、とてもとどめって雰囲気じゃなくなっちゃった――」

「いや、よい。我もこの者に毒気を抜かれたようだ。それに敗者が勝者に処遇を命ずるなどあってはならぬことだ。
 ……シャルルよ。お前に取られるはずだった命だ、好きに使うといい。
今より、我は、カルレア・レールニアはお前のモノだ。好きにしろ」

 カルレアの言葉は先程のような投げやりなものではなかった。
 その証拠に、カルレアは笑みを浮かべていたのだ。およそ、今まで浮かべたことのない満足そうな笑みを。
 そう告げた瞬間、カルレアの鎧から噴き出していた獄炎が音もなく消えた。その意味することは……。

「……ふふっ、ついに我は本当に堕天してしまったようだな。だが、不思議と清々しい」

 そう言ってカルレアは人間を見た。その視線だけで怯む人間達に穏やかな笑みを浮かべる。

「お前達は我が憎かろう? お前達にも殺される理由は我には十分にある、だが少し待ってはくれないか?
 虫がいいのは百も承知、この場で八つ裂きに殺されようと嬲られようと文句は言えぬ。だが、頼む」

 カルレアはそう言いながら頭を下げた。かつて自分が見下していた『人間達』に、だ。

「我はシャルルのモノだ。シャルルの使命が終わったらいかような処罰も受けよう。
 だから今は時間をくれ……いや、この言い方は違うな。……どうか、時間を下さい。お願いします」


268 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/22(水) 03:49:18.46 0
 危惧してたらこれですよ! トム君はもう!

 さっきの励ましは一体なんだったのか、罪の意識からか用水路端で吐くトム君を見つめる。

 メンタル弱すぎですよ。そりゃさっきは直ぐに立ち直らなくていいって言いましたけど……。
 まるで何かに縋る様にシャルルさんを見つめるトム君。そしてそれに答えるシャルルさん。

>「あなたが責任感じる事ないの。〜〜〜 だから……お生きなさい」

 言いながら大鎌を振り上げるシャルルさん。……シャルルさんの性格から考えて、マジで殺すってことねーでしょうけども。

 そして、その鎌を振り下ろそうとした瞬間、シュガーちゃんが両手を広げて鎧天使の前に立ちはだかる……って、えぇぇーッ?!
 すんでのところでギリギリ、鎌を止めるシャルルさん。
 シュガーちゃんあっぶねーです! マジであっぶねーですよ! 何を考えてんですかもう!

 思わずシャルルさんを止めようと魔人化一歩手前まで行ってしまった自分の精神を必死で落ち着かす。

 そこからはシュガーちゃん、シャルルさんの出番です。相も変わらず出番のねー私はしばらくすっこんで……と?
 まだ少しヘコみ気味のトム君が私の目に引っかかった。

「トム君もアレですね、よくよく引き摺るタイプですね。長生きできねーですよ」

 話しかけながらトム君の横に立つ、こうして並ぶと少し身長差がありますね。1歳でここまでちがうものでしょうか……。
 
「シャルルさんも言ってましたけど、天使のせいにしときゃいいじゃねーですか。
 んで、次は絶対にこんな事が起きねー様に考えて反省する。それで充分です、てかそれ以上に必要ですか?」

 なんで年上のトム君を年下の私が説教じみたこと言わなきゃいけないのでしょうか?
 少し考えて、かつて慕ってた先生を思い出した。あぁ、私がよく似たよーなこと言われてからですかね。

「さっきも言いましたけど立ち直るのに時間が掛かるのはしゃーねーです。でも必要以上に落ち込むのは控えてください。
 死んだ人達の為にずっとウジウジして後悔して、その人達の後追うことになったら、それこそ、その人達の死の意味がわかんねーです」

 まあ、……結局、死んじゃいましたけどね、その先生。
 理由は分からずじまいでしたけど、何か悟ってたんですかねー、先生は。
 
「だから、まあ、何が言いたいのかってーますと、前向きに行きましょ、って事です。
 トム君は多分、抱え過ぎなんですよ。そんな重ったい荷物、自分だけで背負ってねーで渡しちゃえばいいんですよ」

 そう言って、視線をシャルルさん達の方に戻せば、天使がキモオタ達に頭を下げていた。

「ほら、天使も仲間になったみたいですし、これもトム君が序盤やらかしたポカのお陰かもしれねーじゃないですか。
 そう考えて、前向きにいきゃーいいんですよ」

269 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/22(水) 16:19:08.89 0
>「あなたが責任感じる事ないの。 〜だから……」
>「ほら、天使も仲間になったみたいですし〜 そう考えて、前向きにいきゃーいいんですよ」

「う…うう…」

俺の頬を再び涙が伝った

「でも…特オタの方々…は…」
「許すも許さないも、天使にも君達にも…責任なんか無い」

一歩前に進み出て、そう言ったのは、やっぱりあのグラサンターバンのリーダーだ

「俺達はこうなる事だって覚悟の上で、抵抗していたんだ」
「チュウトーの方じゃゼウス軍はもっと残虐な行為を抵抗勢力にしてるらしいしな…」
「命をかける価値が、俺達は俺達の欲する物にある、降伏すれば助かったのに、せずに抵抗したのは、俺達の…死んだ奴らの責任だ」

口々にそう言う特オタ達
後ろでシャルル先生と一緒に来た女子の皆さんも頷いている

皆…

「自分達から死ぬまで戦う道を選んでおいて、あなたを恨むほど、我々は愚かじゃない、それより、考えを改めてくれたのであれば、これからは人類の平和と繁栄のために自由な思想を妨げるゼウスと共に戦いましょう」

そう言って、特オタは天使部長…カルレアさんに手を差し出した

そうだ
この人達は自らの愛する物のために命をかけて戦っていた人達なんだ
何の力も無いのに…
それに比べて…俺は
少なくともデビルチルドレンとして戦う力を持っていたのに、何て…なんて情けないんだ…

俺は焼かれた特オタが持っていたのだろう、転がっていた小口径パルスレーザーガンを手に取り、自らのこめかみに当て、引き金を引いた
一瞬の衝撃の後、意識がとん………

……よし、生き返った!

突然の俺の自殺に俺を取り囲んで青ざめていた特オタやシャルル先生と一緒に来た女性人が、俺がむっくり起き上がった事に再び激しく驚愕する

「気合、入りました!もう大丈夫です!」

そう言って、俺はシャルル先生とグレーにグットサインを出す
あ、用水路で倒れたから全身が汚水に…

「き…君…今、頭貫いて…」
「あぁ、能力です、能力、俺、再生能力あるんです」
「なるほど」
「で…服汚くなったんで替えをいただけないでしょうか?」
「あぁ…わかった、よし、死者を埋葬して、今後の事を考えよう!」

特オタのリーダーの言葉に、俺達はえいえいおーと気合を入れた
皆が過ぎた事をくよくよ言ってても仕方ないと言ってくれてるんだ
俺も、前を見させてもらおう

あ、そうだ、その前に

「ありがとう、グレー…、お前、もっとこう、嫌な奴だと思ってたけど…。とにかくありがとう」

俺は、グレーにお礼を言った
彼が快く許してくれたから、こうして前を向けているのだ
例えそれが俺を利用するためであったとしても、その行為には感謝せざるおえない

270 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/23(木) 22:05:40.71 0
>「いや、よい。我もこの者に毒気を抜かれたようだ。それに敗者が勝者に処遇を命ずるなどあってはならぬことだ。
 ……シャルルよ。お前に取られるはずだった命だ、好きに使うといい。
今より、我は、カルレア・レールニアはお前のモノだ。好きにしろ」

カルレアは、シュガーちゃんに毒気を抜かれ、すっかりしおらしくなった。
シュガーちゃんのお手柄、といったところね。

「聞きました!? お前のモノだ。好きにしろって言いましたよ!? キャ―――!!」
「貴様、さては百合グループと掛け持ちだな!?」

昔聞きかじった知識によると、百合好きは、腐女子の一部の萌えヲタの一部で構成されているとかいないとか。
ンなことはどうでもいい。
満足そうな笑みを浮かべるカルレアの、燃え盛る獄炎が消える。

>「……ふふっ、ついに我は本当に堕天してしまったようだな。だが、不思議と清々しい」

「堕天した天使、つまり堕天使……本当にアタシ達の仲間になったのね――。
ようこそ、猫バスの旅へ! 歓迎するわ!」

カルレアは、人間達に頭を下げて懇願し始めた。

>「我はシャルルのモノだ。シャルルの使命が終わったらいかような処罰も受けよう。
 だから今は時間をくれ……いや、この言い方は違うな。……どうか、時間を下さい。お願いします」

271 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/23(木) 22:06:24.21 0
「アタシからもお願いします! 
この人は今やっと、神から自由になって自分の意思を持てたの……!」

>「自分達から死ぬまで戦う道を選んでおいて、あなたを恨むほど、我々は愚かじゃない、それより、考えを改めてくれたのであれば、これからは人類の平和と繁栄のために自由な思想を妨げるゼウスと共に戦いましょう」

グラサンターバンさんまじかっけー! こうして、元天使長カルレアが仲間に加わった!
場がひとまず一件落着の雰囲気に包まれかけたその時、トム君が急に自分のこめかみを撃った。

>「気合、入りました!もう大丈夫です!」

「そんな気合いの入れ方あるかーい!!」

アタシは知っているからいいものの、トム君の能力を知らない人にとっては激しく心臓に悪い。

>「ありがとう、グレー…、お前、もっとこう、嫌な奴だと思ってたけど…。とにかくありがとう」

二人の間にいつの間にか男の友情が芽生えている。良きかな良きかな。
アタシはシュガーちゃんに、さっきから疑問に思っていた事を聞いてみた。

「シュガーちゃん、カルレアさんあなたの事を知らなかったみたいだけど?」

「ええ。さっきは勢いでお姉ちゃん、って言ったけど本当はボクの方が先に作られたんです」

「なんだ、そうだったのー……ってえええええええ!?」

長きに渡ってアキヴァを守護してきたカルレアより年上って相当昔に作られたって事だよね!?
でもそういえば、シュガーちゃんってリンネ構築の元になった存在だし……。

「シュガーちゃん、あなたは一体――」



さて、死者の埋葬とかを終えたアタシ達は、特ヲタ達のカタコンベで作戦会議を始めた。
アタシは早速カルレアさんに実も蓋も無く尋ねた。

「カルレアさん、仲間になったからにはとことん協力してもらうわよ――ッ!
天使にはエリアごとにホストと呼ばれる総元締めが存在する、とアタシ達の親は言っていたわ。
それは本当? もしも本当なら、その天使はどこにいるの?」

アキヴァ編、波乱の後半戦開始――!

272 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/25(土) 04:54:30.54 0
>「自分達から死ぬまで戦う道を選んでおいて、あなたを恨むほど、我々は愚かじゃない、それより、考えを改めてくれたのであれば、これからは人類の平和と繁栄のために自由な思想を妨げるゼウスと共に戦いましょう」

「ありがとう、感謝を」

 そう言ってカルレアは差し出された人間の手を握る。
 と、その時だ。トムが自らのこめかみに銃口を当て、引鉄を絞る。短い衝撃音の後、ゆっくりとトムの身体が崩れ落ちた。
 そしてその数秒後、何事もなかったかのように起き上がりグットサインを出す。

>「気合、入りました!もう大丈夫です!」

 突然の展開にカルレアはしばし呆然とし驚いたように呟く。

「……これは、驚いたな。不死の悪魔もいるのか」

 思い返せば先ほど幽鬼のように近づいて来たのもこの悪魔だったか、とカルレアは思い出していた。
 その後、用水路にて死者の埋葬を終えたシャルル一行はカタコンベ内で作戦会議に入る。

>「カルレアさん、仲間になったからにはとことん協力してもらうわよ――ッ!
  天使にはエリアごとにホストと呼ばれる総元締めが存在する、とアタシ達の親は言っていたわ。
  それは本当? もしも本当なら、その天使はどこにいるの?」
 
 いきなりの核心をついた質問にカルレアは少し驚いた顔をした。

「……ふむ、人間の情報力も侮れんものだな」

 そう言ったカルレアは目を閉じ、暫し熟考し葛藤する。
 当然と言えば当然だった。幾ら悪魔の元に降ったとはいえカルレアは元天使。
 そして、悪魔達が今相手にしようとしているのはカルレアの元部下達、そして自らを慕うこのエリアの本当の長だ。

 ……想像し、覚悟はしていたモノの……中々にこれは心に応える。
 いや、言うまい。我も人間達に先ほど同じような事を強いたではないか。
 それが逆の立場になったから言えぬ、とは……道理が通らない。

 カルレアの沈黙から既に1分が経過していた。
 やがてカルレアは大きく息を吸い、吐く。そして覚悟を決め、顔を上げる。

「……ソニア。ソニア・リューエリ、我の副官だ。実際にこの領地を管理し、取り仕切っているのは我だ。
 だが、本当の領主、いや、シャルル達の言い方だとホストか、……それは、ソニアだ」

 そう言ったカルレアの掌には血が滲んでいた。
 先ほどから長年に渡り、自らを慕ってくれたソニアの情報を、これから彼女を殺すかもしれない相手に売っているのだ。
 いくら理屈で、頭で理解していても、溢れる感情を身体の内に押さえておくことが出来なかった。
 それが皮膚を破るほど強く手を握り締めるという行為となって表れていた。

「ソニアと我、それと我専属の精鋭天使達数人以外はこの事は知らぬ。そして、ソニアは今本部にいる。
 恐らく狩りに出ていた天使達全てを戻して守備隊を結成していることだろう。我と違って慎重だからなぁ、ソニアは」

 最後に何かを思い出したかのように笑うカルレア。脳裏に浮かぶのは過去の思い出か。
 そしてカルレアは顔を俯ける。まだその掌からはゆるゆると血が流れていた。
 少し間が開いて、俯いたカルレアは顔を上げる。

「……シャルル達よ。これは本当に……本当にむしのよい我の勝手な、許されるはずのない願いだ。だが聞いて欲しい。
 ……これから先、この領地内で起こる戦闘にて、なるべく……天使を殺さないで欲しい、頼む」

 絞り出すようにカルレアは言った。


273 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/25(土) 04:59:57.03 0
 おもむろに銃を拾いそれで己の頭をぶち抜くトム君。
 そして汚れた状態で私とシャルルさんにサムズアップするトム君に思わず溜め息が漏れる。

>「気合、入りました!もう大丈夫です!」
>「そんな気合いの入れ方あるかーい!!」

 思わず叫んで突っ込むシャルルさん。激しく同意出来る突っ込みです。
 トム君の事を知らねー人が見たら単なる自殺です、スプラッタです。
 心臓に確実によくねーですね、えぇ間違いねーです。

>「ありがとう、グレー…、お前、もっとこう、嫌な奴だと思ってたけど…。とにかくありがとう」

 そんな事を考えていれば唐突にトム君からお礼を言われる。

「『嫌な奴』の一言は余計ですけど、お礼はありがたーく受け取っておきますよトム君。
 ま、元気になってくれりゃー何よりですので、起きになさらず、です」
 
 にへら、と笑顔を作り、トム君に言葉を返す。

 嫌な奴ですか。存外に当たらずも遠からず、トム君、結構鋭いですねぇ。
 それとも、私、そんなに顔に考えてることが出易いですかね?
 ま、今はトム君という戦力も戻り、カルレアさんという新しい戦力も増えたことですし、良しとしましょう。

 個人としてカルレアさんは美形ですけど、『可愛い』の部類には入らねーんですよねー。
 シャルルさん、リリスさんと同じ感じですね、食指が動かねーのが残念至極です。

 とかなんとか考えながら死者を埋葬する私。

 不謹慎? だって死んじゃったらただのお肉ですよ? ぬいぐるみと一緒ですから。

 そんなこんなでカタコンベ内、開口一番にシャルルさんが口を開く。

>「カルレアさん、仲間になったからにはとことん協力してもらうわよ――ッ!
  ―――それは本当? もしも本当なら、その天使はどこにいるの?」

 あまりにストレートで剛速球な物言いに思わずこちらも驚く。
 

274 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/25(土) 05:01:13.97 0
 カルレアさんも驚いた様子で一言だけ、言葉を発し押し黙る。

 歯に衣着せぬ、とはこの事ですね……。まあ、シャルルさん結構そういう所ありますけど。
 ほらカルレアさん黙っちゃったじゃねーですか、もう少しこう、手心というか。

 気まずい時間が1分続いた頃でしょうか覚悟したように顔を上げたカルレアさんが話し始めた。

 このアキヴァのホスト、ソニア・リューエリという天使の存在。
 そのソニアの現在位置、どのように天使達が動いているか。
 そして最後にカルレアさんは絞り出すような声で言った。

>「……シャルル達よ。これは本当に……本当にむしのよい我の勝手な、許されるはずのない願いだ。だが聞いて欲しい。
  ……これから先、この領地内で起こる戦闘にて、なるべく……天使を殺さないで欲しい、頼む」

 カタコンベ内にちょっとした重苦しい空気が漂う。

 まあ、これからかつての部下と戦わなきゃいけない事ですし、その気持ちはわかねー訳でもねーです。

 私は先ほどシャルルさんが言っていた言葉を思い出す。
 カルレアさんは独自の判断で人間殺しを命令していた、と。それはカルレアさんが特別って意味で。
 つまり、ホストとしての天使はゼウスに忠実、つまりルールを守る、つまりもう人間を殺さない?

 私は、にへら、と顔に笑みを浮かべ空気を読まずに手を上げる。

「いいんじゃねーですか? カルレアさんが特別で、そのソニアって天使がホストなら、その天使はゼウスの命令に忠実って訳ですよね?
 だったら、これ以上人間側に死ぬレベルの被害が出るって訳じゃねーですしね。両陣営とも無駄な被害は出ないに越したことねーですよ」

 それにこれ以上、無駄に天使の数減らされちゃーたまんねーです。私の野望に支障が出てしまいますので。

 心の中で本音を吐き、私は笑顔のままそう発言した。


275 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/25(土) 22:20:58.41 0
木で作った十字架にヘルメットをかけた十字架やら、刀を地面につきさしてネームタグつけた物やらさまざまな特オタ達の墓が作られ、皆で黙祷をささげた後、今後の作戦会議が始まった

>「カルレアさん、仲間になったからにはとことん協力してもらうわよ――ッ!
 もしも本当なら、その天使はどこにいるの?」

早速、単刀直入に物を聞くシャルル先生
その横で、俺は特オタ達の持つ銃火器から、今後の戦いに俺が持っていく物を選抜していた
…いや、だって俺、さ、ほら、頭悪いもん、下手に会議とか参加できないって言うか…まぁ…

「…えーと、とりあえず弾は結構あるっぽいっすね」
「うん、旧時代の軍事施設が発掘されてね、弾と武器を我々と、ミリオタと、後ガンオタとアニオタが均等に分けたんだ」
「発掘、ですか?」
「人類がまだ組織的にゼウスに抵抗していた時に放棄した兵器や装備がさまざまな所に散乱しているんだ。それを、我々は回収、整備して使ってる」
「へぇ…、んでも俺、拳銃は使えるんすけど機関銃はちょっと…」
「え?それはまた何で?」
「いや…だって身近に無かったし…」
「学園生活で拳銃が身近にある方がおかしいけどね…」
「あ、警備員が持ってたり警官が持ってたりしますから、拳銃は」
「何でそれを手にとる機会があったのかとかは…」
「話すと長いんで、それ…」

リンネの頃の常軌を逸した学園生活の事を思い出し、思わずため息をつく俺
…ちなみに我が校の学校警備員は拳銃を標準装備していたほか、教職員の一部は重火器の取り扱いに長けていて
更に生徒の中にはスナイプの天才やら爆弾魔やらとテロ組織化しても不思議でない逸材が揃っていた

ほぼ月一で死人が出てたしなぁ…、あの学校

「ま…まぁ、拳銃も各種あるから、好きなの選んでくれよ」
「あ、じゃあやっぱ手に馴染むのでシグ・ザウエルを2丁と弾を…」
「MAC10はどうだい?」
「やっぱ機関銃いりますかね?」
「そりゃ手ごわいもん使えるに越した事はないよ」
「うーん…あ、グレネードありますか?」
「使えるの?」
「実戦証明済みですw」
「畜生ミリオタ達がいないと俺達もよくわからんな」
「マグナムもあるんですね!」
「リボルバーだけどねぇ…」
「いやいや機構が単純な方が壊れにくいし、第一鎧を貫通する武器が無いと…」

276 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/25(土) 22:38:32.33 0
殺る気満々で俺が武器を選んでいると、そこで横からとんでもない声が聞こえてきた

>「……シャルル達よ。これは本当に……本当にむしのよい我の勝手な、許されるはずのない願いだ。だが聞いて欲しい。
  ……これから先、この領地内で起こる戦闘にて、なるべく……天使を殺さないで欲しい、頼む」

思わず、手にした銃器を取り落とす俺
…そーだった
俺達は兎も角、この人にしてみりゃ…いやシュガーちゃんにしてみても同属殺しになるんだ
そりゃあやっぱりあれだろうな……
…俺としてもこの人らの前で殺すのはなぁ…
けど相手はこっちを本気で殺しに来るわけだし…

…よく見れば、カルレアさんの手には真っ赤な血が…
………よっぽど、苦しんだんだろうな、この人
そりゃそうだ、元来真面目な人が裏切りとかをやるのはそりゃあ心が痛むだろうさ…
できれば力になってあげたいけど、だけど…

>「いいんじゃねーですか? カルレアさんが特別で、そのソニアって天使がホストなら、その天使はゼウスの命令に忠実って訳ですよね?
 だったら、これ以上人間側に死ぬレベルの被害が出るって訳じゃねーですしね。両陣営とも無駄な被害は出ないに越したことねーですよ」

そこに、にへらとしながら意見を言うグレー
あ、なーるへそ、そうだそうだ、大丈夫だ
この戦闘狂の姉ちゃんじゃねえもん、殺しにかかってくるわけねーじゃん
まともな天使は人を殺さない、いいねぇ、こりゃ

「あ、今、考えたんですけど」

それならばと俺は続いて意見を出す

「俺とグレーがカルレアさんを人質にとってそのソニアってのに来るように言うんです
で、交渉なり説得なりに来たソニアを隠れてたシャルル先生が狙撃して撃ち殺すんです!」

我ながら完璧な作戦だ!
これなら犠牲者は最小限で済むし、ケガ人もほとんどでないだろう!
俺、何?デビチルの孔明ポジション?

【自分がデビチルだから殺される対象から外れてない事を忘れて殺される心配が無い事を喜び、卑劣なソニア暗殺作戦を立てて作戦の完璧さ(全く隙だらけ)に悦になる】

277 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/26(日) 00:43:56.62 0
アタシから単刀直入な質問を受けたカルレアさんは、目を閉じて葛藤し始めた。
やばっ、ちょっといきなり斬りこみすぎちゃったかな。
当然の反応だ、こちら側視点では改心味方化でも、向こう側視点では敵に寝返った裏切り者になるのだから――。

>「……ソニア。ソニア・リューエリ、我の副官だ。実際にこの領地を管理し、取り仕切っているのは我だ。
 だが、本当の領主、いや、シャルル達の言い方だとホストか、……それは、ソニアだ」

「ソニア・リューエリ……。アキヴァエリアのホストプログラム……!
ありがとう、よく勇気を出して言ってくれたわ」

>「ソニアと我、それと我専属の精鋭天使達数人以外はこの事は知らぬ。そして、ソニアは今本部にいる。
 恐らく狩りに出ていた天使達全てを戻して守備隊を結成していることだろう。我と違って慎重だからなぁ、ソニアは」

そう言ったカルレアさんの様子から、二人が長い付き合いだったことが伺えた。
長年に渡り共に領土を守ってきた相方を裏切る事になる彼女の気持ちはいかほどのものだろうか……。
カルレアさんの手のひらからは、血が流れていた。

「カルレアさん、血が!」

カルレアさんはそれには答えず、絞り出すような声で懇願した。

>「……シャルル達よ。これは本当に……本当にむしのよい我の勝手な、許されるはずのない願いだ。だが聞いて欲しい。
 ……これから先、この領地内で起こる戦闘にて、なるべく……天使を殺さないで欲しい、頼む」

「分かった、絶対殺さない! ……とは約束はできないけど
無理矢理仲間に引き込んだんだからそれ位の頼みは聞かなきゃバチがあたるわよ……」

>「いいんじゃねーですか? カルレアさんが特別で、そのソニアって天使がホストなら、その天使はゼウスの命令に忠実って訳ですよね?
 だったら、これ以上人間側に死ぬレベルの被害が出るって訳じゃねーですしね。両陣営とも無駄な被害は出ないに越したことねーですよ」

アタシはカルレアさんの頼みを承諾し、ユダ君がそれに同意する。
確約が出来ない理由の一つは、デビチルはフツーに天使の殺す対象に入っている事だ。
それと、もう一つの一番大きな理由は、どうしてもホストであるソニアは殺さなければいけない事――。

278 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/02/26(日) 00:45:49.00 0
>「あ、今、考えたんですけど」

ここで、武器の調達をしていたトム君が満を持して作戦会議に入ってきた。

>「俺とグレーがカルレアさんを人質にとってそのソニアってのに来るように言うんです
で、交渉なり説得なりに来たソニアを隠れてたシャルル先生が狙撃して撃ち殺すんです!」

トム君のいきなり核心をついた作戦に、アタシは感嘆の声を上げる。

「なんて完璧な作戦なの! 公明の罠、というやつね……!
こ、こいつを人質にとれば、こいつを餌にすれば……ほ、ほんとにソニアは助けに来る!」

トム君の言っている事は正しい。
アキヴァを解放するにはホストプログラムを破壊しなければならないのだ。
でも、本当にそれでいいの――? かつての親友の笑顔が脳裏をよぎる。
そして気付いた時には、丁重に断っていた。

「だが断る。
きっと……カルレアさんが一番殺して欲しくないのは……ソニアその人よ……」

アタシ達の旅は、正しい事がいつも正解とは限らなくて。
完璧な作戦が、ハズレだったり。穴だらけの作戦こそが当たりだったり。
全てが順調だと思ったら敵の思う壺だったり、起こってはいけない事故が勝利のきっかけになったり。
普通に考えれば、矛盾だらけの壊れたプログラム、それがデビルチルドレン。
一つだけ言えるのは、神と同じ手法を取ったのでは、神を超えられないということ。
アタシ達は、目的のためには手段を選ばない、完璧な論理に支配された心無きプログラムとは違うのだ。

「カルレアさん、決して確約はできないから期待しないで。
だけど……足掻くだけ足掻いてみましょう!」

そう言って、アタシは2グループのオタ達に尋ねる。
アタシが見出した頼みの綱は、コンピューターオタ。
古代科学文明時代に頂点に至った、今や失われた技術を研究するオタ達である。

「ねえ、コンピューターオタのグループと交流はある?
彼等に接触できれば、ホストを殺さずに神の支配から解放するヒントを得られるかもしれない……!
トム君の作戦を決行するのはそれからでも遅くないわ!」

だが断るといっても、殺す部分以外は否定してはいない――卑怯上等!

279 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/28(火) 02:46:03.20 0
>「分かった、絶対殺さない!―――それ位の頼みは聞かなきゃバチがあたるわよ……」
>「いいんじゃねーですか?―――両陣営とも無駄な被害は出ないに越したことねーですよ」

「……感謝を」

 2人の悪魔の言葉に、カルレアは呟くように言葉を述べる。もはや、カルレアに言えるのはこの言葉ぐらいしかなかった。
 だからその後放たれたトムの作戦には何も口を出さなかったし、出せなかった。
 自分がどのように扱われようと、もう口を出せる立場ではなかったからだ。
 だがカルレアは、ほんの少し、砂粒の欠片ほどの甘い奇跡を願っていた。
 それは決して叶うはずのない奇跡、彼女達の仲間になったからには願ってはいけないはずの奇跡。
 が、その考えを見透かすように紡がれたシャルルの言葉にカルレアは耳を疑った。

>「だが断る。 ―――……ソニアその人よ……」
>「カルレアさん―――だけど……足掻くだけ足掻いてみましょう!」

 そう笑顔で言うシャルルにカルレアは自身の心の内で願っていた奇跡を恥じた。

 我は何なのだ!? 先ほどから願ってばかり、祈ってばかりではないか!
 女々しくずるずると、何の覚悟もなく、自分勝手な都合で裏切った!
 死ぬ覚悟は出来ていても、こうなる事は覚悟していなかった? そんなの言い訳にすらならない!
 我等は殺したけど、お前等は殺すな? 何て馬鹿げた考えだ! 愚か者の考えじゃないか!
 敗残の将が、『こうなること』ぐらい予想出来たはずではないか! 
 
 カルレアは心の中で自分を罵る。俯き、唇を噛みしめ、再び掌を握り締める。
 そしてカルレアはオタ達に何か質問しているシャルルに近づき、声を掛けた。


280 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/02/28(火) 02:47:23.43 0
「……シャルルよ、お前は優しいのだな」
 
 唐突なカルレアの一言にシャルルは一瞬動きを止めた。

「足掻くだけ足掻いて、どうしても駄目だった時の事だが……」

 カルレアは一拍間を開ける。そして、覚悟を決めてその言葉を吐き出した。

「ソニアを殺す役は、我にやらせてほしい。いや、我でなくては駄目なのだ」

 その言葉に先ほどまで騒がしかったカタコンベ内が静まり返る。

 そう、ソニアは我が、我が手で殺さなくてはいけないのだ。
 我は裏切ったのだ。なんであれどうであれ、ソニアを裏切った。ソニアを殺す事、それが我の裏切りの代償だ。
 シャルル達だけが手を汚して、危ない橋を渡って、我だけ呑気に見学というのは道理に合わぬ。
  
 …………いや、違うな。それは嘘だ。我自身の感情を美化する為の建前だ。
 本当は、シャルル達にソニアを殺されるぐらいなら……我が、殺したいのだ。
 長きを共にした親友を、『誰か』に殺されるなんて嫌なのだ。『誰か』の手に掛かるソニアを見たくない。
 ならば、それならば……我がこの手で、この刀で、親友ソニアの命を、絶つ。

 それが歪んだ友情か、はたまた狂った親愛か、それはカルレアにも、誰にもわからない。
 ただ一つ、分かっているのは、カルレアが覚悟を決めたということ。親友を殺す覚悟を。

「我はシャルル達の優しさに付け込んでいた。どのような理由があれ、いかに弁解しようと、もはや我は裏切者だ。
 天使達にはそれ以外の何者にも写らぬ。その裏切者が天使達の為に慈悲を請う、それ自体が思い上がりであり間違いなのだ」

 そう言った後、カルレアは頭を垂れ悪魔達に跪く。

「お願いだ。裏切者の我に、他の誰でもない我にソニアを討たせてくれ
 それが裏切者である我の役目であり、そして元親友への我の出来る唯一の手向けだ」


281 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/02/28(火) 02:49:57.02 0
>「俺とグレーがカルレアさんを人質にとってそのソニアってのに来るように言うんです
  で、交渉なり説得なりに来たソニアを隠れてたシャルル先生が狙撃して撃ち殺すんです!」

 そんなとっさの思い付き作戦成功するわけがねーでしょうが。
 いや、とっさの思い付きにしては良いかもしれねーですけど、穴だらけじゃねーですか、

 そう思って頭冷まし兼突っ込みのぬいぐるみを精製しようとした時。

>「なんて完璧な作戦なの! 公明の罠、というやつね……!
  こ、こいつを人質にとれば、こいつを餌にすれば……ほ、ほんとにソニアは助けに来る!」

 まさかまさかのシャルルさんからも賛同の声が上がる。
 
 あれ? ちょっとあれ? 完璧ですかこの作戦? 作戦自体は悪くねーですけど煮詰めねーと即座に頓挫しますよこれ。
 ていうか公明舐めてますよね? 三国オタいたら大変ですよシャルルさん!

>「だが断る。きっと……カルレアさんが一番殺して欲しくないのは……ソニアその人よ……」

 そう言った矢先に断るシャルルさん。もうなんだか訳わかんねーです……。
 それはそうとまあそうでしょーね、カルレアさんの様子だとそのソニアって天使とは長年の仲みたいですし。
 
>「カルレアさん、決して確約はできないから期待しないで。だけど……足掻くだけ足掻いてみましょう!」

 そういったシャルルさんはオタ達に何か質問を始める、何かしらの策があるのでしょーか?

 と、その時、突然カルレアさんがシャルルさんに近寄り、そして自らの覚悟を口にする。
 それは自らの親友を手に掛ける覚悟。カルレアさんは王に跪く騎士のように私達に頭を垂れる。

>「お願いだ。裏切者の我に、他の誰でもない我にソニアを討たせてくれ
  それが裏切者である我の役目であり、そして元親友への我の出来る唯一の手向けだ」

 冷静に考えれば、カルレアさんをソニア討伐に向けて動かした方がずっとアキヴァを解放できる確率が上がる。
 トム君の策とミックスして、人質だった筈のカルレアさんがソニアって天使に斬りかかる。

 まさか人質が斬りかかってくるとは相手も予想してねーでしょうし。成功確率としてはこっちの方がグッと高いんでしょうね。
 しかも本人がやるって言ってくれてんですから、こっちの気も楽になりますし精神安定上問題もねーでしょう、けど。

 私はちらり、とシャルルさんを見る。

 後はシャルルさんの足掻きの策が如何なるものか、ですね。
 ま、いずれの選択肢を選ぶにしても、犠牲は付きモノですし、ここは静観と行きましょうか。


282 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/02/29(水) 19:14:06.29 0
俺の作戦は、シャルル先生によって否決された
…確かにそうだ
足掻くだけ足掻いてからでも、そのホストの何とかってのを殺すのは遅くはない

…って言うか別に殺す必要無理にあるんだろうか?
クロロホルムとか使って拉致してどっかの調教物のゲームみたいに三角木馬とか使って堕落させればいいんじゃないのか?
いや、それがいい!凄くいい!!絶対にいい!
こ…これは断じて俺がそういうエッチな物が好きとかじゃなく、殺さずにこっちの味方につけるにはそれしか方法が無いからであって…

――――「お願いだ。裏切者の我に、他の誰でもない我にソニアを討たせてくれ
 それが裏切者である我の役目であり、そして元親友への我の出来る唯一の手向けだ」

カルレアさん、ごめんなさい、正直、調子乗ってました
そうだ、やってみたいか否かはおいておいて、ソニア調教、屈服何て現実に的に考えてほぼありえない
…残念ながら

そういえば俺達ってこっちで子孫を作る事はできるのだろうか?
もしかしてそーいう事ができる相手って俺の周りだとシャルル先生だけでこっちの世界の女の子を孕ませる事ってできないんじゃ…
…いやマジ今はどうでもいい事かもしんないけど将来的にはこれも考えなきゃいけないもしんないな
ってか試してみたい、実際
デビチルと人間のハーフも天使に打撃を与えられるなら戦力増員とか言えば股を開く人間もかなり大勢…

>「ねえ、コンピューターオタのグループと交流〜〜〜トム君の作戦を決行するのはそれからでも遅くないわ!」

「コンピューターオタ…か…難しいな」
「彼らは天使グループにとって最も厄介な相手だからな、集中的に叩かれて、その多くは人力発電所に送られ、残されたごくわずかなメンバーも外界と交流を絶っている」
「有効なプログラムを製作しているらしいと言う話は聞くんだが…」

っと、助平な事を考えてる間に話が進行していた
えーっと、俺が大勢の女の子を孕ませて次世代のデビルチルドレンの軍団を作りゼウスと戦う作戦の話だっけ?
違う、コンピューターオタがどうのって言ってたよな
で、どうやらそのコンピューターオタは出会うのが難しいらしい

…あれ?じゃ年月はかかるかも知んないけどマジで有効な作戦ってデビルチルドレン物理的に量産しかないのか?
いや、待て、まだこの作戦は公開しない方がいい
うん、絶対引かれる
大体俺はこの状況下で何でデビチルは人間をはらませられるか否か、生まれる子供はどうなるのかなんて考えてるんだ
あー…自分の不真面目で助平な性格がいらいらする

…でも、実際どうなんだろう
こっちで結婚できる相手がシャルル先生だけだったりするとちょっと…いや大いにやだぞ
確かにシャルル先生は美人で優しくて賢くていい女の人だけど年上だし先生だし…
やっぱりマードッカとかルプールとかそういう同年代の…

【スケベ回路暴走中】

283 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/02(金) 01:24:24.00 0
>「……シャルルよ、お前は優しいのだな」

「ん? ……なによー、照れるじゃない!」

>「足掻くだけ足掻いて、どうしても駄目だった時の事だが……」

「その時は……」

その先の言葉を言いよどむ。その時は、アタシが大鎌で首を刈るのだ。
せめて苦しまないように、一瞬で……。
だが、アタシが続きを言うよりも早くカルレアさんが口を開いた。

>「ソニアを殺す役は、我にやらせてほしい。いや、我でなくては駄目なのだ」

「――!」

親友を殺すのがどういう事か、アタシは良く知っている。
でもあの時は覚悟する間もなく、選ぶ余地のない状況だったのだ。
もしかしてアタシ達は、カルレアさんを仲間に引き込んだことで、死より辛い運命に突き落としてしまったのかもしれない。

>「お願いだ。裏切者の我に、他の誰でもない我にソニアを討たせてくれ
 それが裏切者である我の役目であり、そして元親友への我の出来る唯一の手向けだ」

「……分かった。ただし……本当にどうにもならなかったら、ね」

益々、むざむざ殺させるわけにはいかなくなってしまった。
あれがアタシのリンネでの経験として組み込まれているのは、まさしくこんな悲劇を阻止するためではないか。
そう思うからだ。
しかし、アタシの質問に、特オタからは芳しい答えは返ってこなかった。

>「コンピューターオタ…か…難しいな」
>「彼らは天使グループにとって最も厄介な相手だからな、集中的に叩かれて、その多くは人力発電所に送られ、残されたごくわずかなメンバーも外界と交流を絶っている」
>「有効なプログラムを製作しているらしいと言う話は聞くんだが…」

そこで、腐女子リーダーが意を決したように口を開く。

「……わたくし、知ってますわよ。
天才的なコンピューターオタにして、究極の萌えオタ――彼の名は”ピュグマリオン”。
もちろん自らを神話の人物になぞらえての自称名ですわね。本名はわたくしも存じません。
二次元の美少女との恋愛成就を夢見る、漢の中の漢ですわ。
彼がひきこもったのは、かれこれ40年ほど前になりますからね……。皆が知らないのも当然ですわ」

腐女子リーダーは、40年前のオタ達の一揆とそれに対する大粛清
そして、それを期に引きこもった一人の天才の話を語り始めた。

【すいませんもうちょっと続くので明日投下します。が、先に何か書いてしまっても一向にOKです。
そもそも順番無しですしね〜。
PL発言ついでに……休止した初代GM兼絵師さんそろそろ帰ってこないかな〜。
もしGMとして入りにくくなった等ならPCとして是非!】

284 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/03(土) 02:55:51.79 0
現実の女性に失望していたピュグマリオンは、あるとき自ら理想の女性・ガラテアを彫刻した。
そのうち彼は自らの彫刻に恋をするようになる。
さらに彼は食事を用意したり話しかけたりするようになり、それが人間になることを願った。
その彫像から離れないようになり次第に衰弱していく姿を見かねたアプロディーテーがその願いを容れて彫像に生命を与え
ピュグマリオンはそれを妻に迎えた。
一部の伝承にはゼウスがその女を望んで、ピュグマリオンから奪ったという――
以上が、古の世の神話だ。

そして現在、電脳神話の時代――アキヴァには、天才的なコンピューターオタがいた。
それも生半可ではない、馬鹿と紙一重を突き進む本物の天才。
彼は、二次元の女性との恋愛成就を本気で願う生粋の萌えオタでもあったのだ。
物質界に顕現した情報体である天使は、まさしく二次元から抜け出してきた理想の彼女。
彼はガラテアならぬカルレアを一目見た時、恋に落ちた――そして彼は”ピュグマリオン”となった。

「カルレアたんハァハァハァ! なんとかして神の呪縛から解き放ってヴォクの嫁に……!」

彼はカルレアを想う一途な心によってコンピューターオタ達をまとめあげ
その天才的な頭脳でもって、天使を冒すウィルスプログラムを作り上げた。
その名は”キューピッドの矢”。
弓矢の形をとって具現化されたそれは、天使を神の呪縛から解放するための特攻兵器だ。
彼の眼中にあるのはカルレアただ一人、革命には興味は無かった。
しかし、人の口に戸はたてられず、噂は広まっていく。

285 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/03(土) 02:57:11.87 0
「これで勝つる――!」

そう思ったオタ達が一致団結するのに、そう長い時間はかからなかった。
ピュグマリオンの反対を余所に始まったアキヴァ解放戦線開戦――
上がる革命ののろし。満を持して放たれる秘密兵器。
真っ先に出て来た天使長カルレアに、矢が突き刺さる。
しかし、しかしだ。――ゼウスへの忠誠を破ることは出来無かった。

要するに、開発は失敗だったのである――。吹き荒れる粛清の嵐。
多くのオタ達が人力発電所送りとなる中、人々はピュグマリオンを必死に逃がした。
彼はアキヴァの人々の希望の星だったからだ。そして彼は、それ以来、自宅にひきこもった。
カルレアに振られた絶望に打ちひしがれてか、いつか来るリベンジのために更なる研究に没頭しているのか、それは分からない。
40年間その姿を見た者はいないからだ……。
これ以来、人々は革命を起こそうなどとは考えなくなり
この事件自体も語る事はタブーと化し、若い世代はかつてオタ達が決起した事があった事すら知らない――。



語り終えた腐女子リーダーに、アタシは尋ねる。

「じゃあ、そのひきこもりが何処にいるか探すところからやらないといけないってわけ?」

「その点は心配ご無用、昔馴染みなので家は知っていますわ。
私が行っても絶対出てきませんけど、あなた達なら……」

彼女の言わんとしている事が分かった。
アタシ達も物質界に顕現した情報体、言わば二次元の存在になる。
そしてこちらには、彼の愛したカルレアさんがいるのだ。

「行ってみる価値はありそうね!」

そう言って皆の方を見る。と、トム君の思考回路が明後日の方に暴走してそうな気配。

「ちょっと〜、トム君! 聞いてる!? ユダ君……トム君どうしちゃったのかしら」

286 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/03/05(月) 03:58:09.05 0

 腐女子リーダーさんの話を要約するとこうなります。

 昔々、あるところに2次元との恋愛を企む科学者がいました。科学者は2次元から抜け出した情報体の天使に恋をしました。
 その情報体の名前はカルレア。科学者は必死になってカルレアを自分の嫁にする手段を考えました。
 そりゃもう必死に狂ったように、その甲斐あって無事、手段は現実の産物となり、科学者の手に弓矢として舞い降ります。
 そして、科学者の放った矢は天使カルレアを射抜き、無事にその恋は成就した、筈でした。
 ところがぎっちょん、そう世の中は物語のように上手くいかねーものでその矢は効果を発揮せずにその役目を終え。
 そして、科学者は失意のうちに引きこもりましたとさ。めでたしめでたし。わー、ぱちぱちぱちぱち。

 とまあ短く要約するとこんな所でしょうか?
 まあ科学者、ピュグマリオンさんの気持ちは痛い程分かります。理解できます。
 良いですよねぇ、2次元の可愛いモノを手に入れられたら、それはどんなに素晴らしいことでしょうか。
 まさに愛でてよし! 食べてよし! です! はぁん、どうにかして現実のモノにならねーでしょうかねぇ、2次元。
 でもでも、2次元は2次元だから素晴らしいのであって、それを現実化したらまあ、それはそれでロマンを失うというか……。

 ま、それはいいです。2次元についての私的意見は今はどうでもよいのです。
 それよりも……、本当に、そのピュグマリオンさんの作った弓矢は失敗だったのでしょうか?
 
 私はちらりと横目にてカルレアさんを見る。
 先ほど、シャルルさんと戦った時に燃え盛っていた炎は消えている。それは完全に堕天したという意味。
 もしかして、実は……カルレアさんに効いてたんじゃねーでしょうか?
 
 私は1つの仮説を考ます。
 その弓矢は遅効性の猛毒みたいなもので、じわりじわり、カルレアさんを蝕んでいく。
 毒に蝕まれたカルレアさんは人間の『何か』に異常に興味を示すようになる。
 そう、侍やら騎士やら……もしくは、元々興味を持っていたのなら、その興味を促進させていく。
 確実に勝てていた勝負を自分の誤った行動1つで投げ出してしまうほどの天使にはあり得ない主義や美学を持つほどに。
 やがて、押さえられなくなった衝動を抑えきれなくなるような出来事が起きれば、その毒は一気に開花する。
 つまりは、先ほどのシャルルさんとの勝負はカルレアさんの毒を開花させるカンフル剤といった所でしょうか?
 シャルルさんやシュガーちゃんの説得もありましたが、カルレアさんは見事堕天し、こちら側につく結果と相成りました。
 ……要するにカルレアさんの堕天する切っ掛けを作ったのはピュグマリオンさんの弓矢だったんじゃねーかって事です。



287 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/03/05(月) 03:58:49.91 0
 ……なーんて、考え過ぎですかね? まあ、あくまで私の仮説ですし、過ぎたことですしね。
 そういうのは考え過ぎてもいいことはねーですから、いったん保留にしましょうか。

>「ちょっと〜、トム君! 聞いてる!? ユダ君……トム君どうしちゃったのかしら」

 シャルルさんの声に誘われるようにトム君を見てみれば、なんともまあ締まりのねー顔をしているトム君がいました。
 私に考えを読み取る、所謂サトリの能力が無くたって同じ男ですからなんとなく予想は出来ます。

「シャルルさん、思春期の男子が人の話を聞かずに何かを考えてる時は、8割の確率でどうでもいいことです。
 そんで、あーいう締まりのねー顔をしてる時は、9割の確率で今考えなくてもいい碌でもない事を考えてます。
 だからですね、ああいう顔をしているときはですね……」

 私は言いながら意識を集中してトム君の頭に少し固めのクマ型のぬいぐるみを落下させる。
 少し鈍い音の後、トム君の口から短い痛みの声が漏れた。

「大体、こう強制的に戻してやんねーとダメってことですね。トム君、戻って来れましたか?」

 あ、そうです。こんな事やっといてなんですが、トム君に聞かなきゃいけねーことあるんでした。
 痛みに顔を顰め、同時に恨めしそうな目でこちらを見ているトム君に、にへら、と微笑みかける。

「トム君、こんなことやった後で言うのもなんですけど、ちょいとお願いがありまして」

 言いながら先程トム君が銃火器を調達していた場所に歩いて行き、それらを指差す。
 よく見れば銃火器以外にもちょこちょこ凶器が見え隠れしている。

「私の武器を見繕ってくんねーですか? 出来れば銃火器以外で、軽くて使いやすいモノを希望します」
 
 先ほどのカルレアさんとの戦いで、私には銃は向かねーと分かりました。
 私の魔人化後の能力を考えると、ここで何かしら扱いやすい凶器を見繕っておかないとやべーかもですし。
 出来れば、先生の忠告通り魔人化なんてしたくなかったんですけど、どうやらそうも言ってられない様子ですし。
 ま、用心に超しとくはねーですからね。


288 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/03/05(月) 04:01:00.31 0
>「……分かった。ただし……本当にどうにもならなかったら、ね」

「……ありがとうシャルル、感謝を」
 
 シャルルにそう言うとカルレアは目を伏せる。
 そして腐女子リーダーから紡がれる40年前の昔語りが始まった。
 カルレアの記憶の中では、『あぁ、そんなこともあったなぁ』レベルの出来事だ。

 そういえば我はあの頃、鎧を付けていなかったからなぁ。だからやけに簡単に矢が刺さったのか。
 あぁ、それがあったからだな。鉄棍から刀に装備を変え、鎧を着込むようになったのは。

 なんとなしにその出来事を振り返るカルレアだが、自身に変わった所があったとは思わない。
 変わったのは装備位、その程度の認識しかなかった。
 彼女は気付いているのだろうか。その日から彼女の刀術の訓練が始まったのを。
 彼女は気付いているのだろうか。その日から侍や騎士に対する興味が比較的に跳ね上がったのを。
 それが、矢の成果かどうかは定かではない。しかし、カルレアは確実にこの日を境に変わっていったのだ。

>「その点は心配ご無用、昔馴染みなので家は知っていますわ。
  私が行っても絶対出てきませんけど、あなた達なら……」
>「行ってみる価値はありそうね!」
>「ちょっと〜、トム君! 聞いてる!? ユダ君……トム君どうしちゃったのかしら」
>「大体、こう強制的に戻してやんねーとダメってことですね。トム君、戻って来れましたか?」

 ユダとシャルルの話が途切れたタイミングを見計らい、カルレアはシャルルに言葉を掛けた。

「我も協力は惜しまない。シャルルよ、我に出来る事が有ったら何でも言ってくれ」

 その己の行動が、ソニアを殺さない道に繋がっているかもと、自分でも感じられない程の希望を胸に宿しながら。


289 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/06(火) 05:50:14.01 0
「下手に不確定な希望をちらつかせると、食いついてしまい、また余計な血が流れるだろう、皆そう、判断したんだ」
「だが、今度は違う!我々にはデビルチルドレンと言う、確かな希望がいる!今度こそ、我々は絶対に、この手に思想の自由を手にするんだ!」

腐女子リーダーの口から語られた過去話に、中高年の特オタ達が決意の言葉を述べている
これからの戦いに、皆が熱い闘志を燃やしているその横で…

(……仮にシャルル先生を孕ませるとして、だ)

俺は俺で繁殖問題について至極真面目に悩んでいた

(更に次の世代はどうやって増やせばいい?
シャルル先生しか女性がいなかったら仮にシャルル先生が頑張って俺とグレーの子を男女5人づつ身篭ったとしてもすぐに近親相姦になってしまう
遺伝子病とかで第三世代はぼろぼろになり、第四世代は生まれたとしてもそこで途絶えるだろう
天使のプログラムを改造して、妊娠可能にする事はできないのか?
それができれば、多彩なデビルチルドレンを作り出す事ができるはずだぞ…
…いや、ってかそれができればマジで無敵のデビチル兵団を作れるし俺は何もしないで種馬をやってれば勝手に戦争が終わってくれるだろうから万々歳
おお!!これはもう絶対試さずにはいられないだろう!)

俺の脳裏に、すばらしいアイデアが浮かぶ
この世界の物理法則のみでできた人間を俺達は恐らく孕ませる事は出来ない
だが、俺達と同じなんかこう、コンピューターワールド的な物から出てきた天使達なら、俺達の子を身篭る事はできるだろう
しかし天使は今現在子宮やそれに類する器官は持っていない可能性が高い
ならば、天使の体を構成するプログラムをいじればデビルチルドレン量産用の淫乱堕天使を大量生産する事が…
おお…我ながら壮大ですばらしい計画だ!「プロジェクトサキュバス」と名づけよう!

「いて」

すばらしい計画が誕生したその時、俺の頭に当たる猫ちゃんのぬいぐるみ
いかん、ぼーっとしてたようだ

>「ちょっと〜、トム君! 聞いてる!? ユダ君……トム君どうしちゃったのかしら」
>「大体、こう強制的に戻してやんねーとダメってことですね。トム君、戻って来れましたか?」

「っとと、いや、すんません俺なりに今後の計画をたててました」

もうちょいプロジェクトサキュバスについてもうそ…もとい、構想を練っていたかったんだがな…
などと考えつつ、話しかけてきたシャルル先生等に応対する俺
ふふふ、戦いの2手3手先を呼んでいるデビチルの孔明たる俺の思想をここで明かすのはまだ早い
もう少し落ち着いて…そうだ、今なんかプログラマー助けるとか行ってたからその人ら助けてからの方がいいだろう、明かすのは

>「トム君、こんなことやった後で言うのもなんですけど、ちょいとお願いがありまして」
>「私の武器を見繕ってくんねーですか? 出来れば銃火器以外で、軽くて使いやすいモノを希望します」

…あれ?こいつ、戦闘系の能力者じゃねえのに、武器使えないのか?

「月一で学校が占拠されたり化け物が襲撃してきたりとか無かった?そっち?デビチルの学校だから月一で学校を反政府テロリストが襲撃したりトライヴが通り魔事件起こしたりしてこっちだと戦闘系じゃない奴はほぼ皆銃の取り扱い位できたんだがなぁ…」

平和な学校だったんだね…、よきかなよきかな

「まいいや、武器?銃使え、銃、天使にナイフや刀で挑んでも、近づく前に炎で焼き殺されちまう。使えないなら今ここで使えるようになりゃいいじゃんか」

取っ組み合いはこっちが相手にならないし、俺以外が食らったら大やけどの火炎放射が武器にあって迂闊に近づく事も難しい
向こうが炎を使う前に撃ち殺すのが一番手っ取り早いのだ

「ほら、これなんかどうだ?鹿撃ち用の弾が入った散弾銃!これなら弾が散らばるから多少狙いが甘くても当たるし、殺傷性も高いから肌の軟い天使何ざ簡単に撃墜できるぜ。弾二発しか撃てないけど、向けて引き金引けば当たるからオススメ」

そう言って、散弾銃を渡そうとするが、グレーのやろうあんまりいい顔しない
拳銃は軽いけどあたらなそうだしな…

290 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/06(火) 06:11:40.59 0
俺もそこまで詳しいわけじゃないが、頼まれたからにはいい武器を見繕うと、色々特オタ達の武器を物色してみる俺
銃以外は…メリケンサックに鉄パイプとかで作った槍、日本刀、ダガーナイフとかに…

「あ、OO社の超殺虫スプレーあるな、これいいんじゃね?」

そう言って、こっちの世界で出てきた変異したゴキブリにも通用する猛毒を撒く殺虫スプレーを手に取って見る
これ使ったせいで救急車で運ばれて入院した人が続出した程の威力だから育ちのよさげな天使が喰らったらのた打ち回って苦しむだろう
これキープ!グレーが使わないなら俺が使う!

…そうだ別にグレーに見繕うばかりじゃなくて俺が使う分も探そう
拳銃だけじゃ何か心もとないし

「おぉ、これもいいぜ、まぁ、近づかなきゃだけど、△△社のスタンガン、超強力」

今度は転がってる棒状のスタンガンを取る
学園の懲罰委員会が不良学生を拉致するのに使うほど威力がでかいスタンガンだ
喰らった奴で目が覚めなくなって入院した奴もいるほどの威力だし天使にもまぁ、効くだろう
熱にも強そうだけど…機構がちょい複雑な道具な分火炎放射喰らいながら振り回すのは無理だな

「あらら、XX社のスタングレネードだ、何ケースもあるね。使った奴も失明すっかもしれないけどもこれもいいよ」

続いて取り出しますわ人質に救出に使用されて人質を失明させて問題になった威力抜群のスタングレネード!
喰らえば天使共はあっという間に身動きできなくなる事間違いなし!ただし、身を隠すのが遅れれば使用者も無事じゃすまない扱いのむずかしーい代物だ
…一回喰らった事あるからわかる。これ、きつい、死なないけどきつい!

家の学校にあった物ってもしかしてこっちの反ゼウス軍で生産されてる物が主だったんかもって知れないほど次々見つかる強烈なギリギリ非殺傷武器たち
ありゃ、吸った犯罪者が喉を腫らせて呼吸困難になって生死の境をさまよった防犯スプレーもある
マジ色々あるな…
けどどれも俺みたいに再生能力無いときついしなぁ…

「ガスマスクも一応あるよ、つけてみるか?」

武器を選ぶ俺とグレーに話しかけてくれる親切な特オタさんにお願いしますと答えつつ、正直いいのないなーと小声でグレーにぼやく俺
まぁ…そうそう都合よく使いやすくて強力で非殺傷で素人でも使える夢の兵器なんぞ出てくるわけないわなぁ…
でもこーやって武器あさるの楽しいし、いいんだけどねぇ、うん

291 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/07(水) 21:04:33.55 0
>「我も協力は惜しまない。シャルルよ、我に出来る事が有ったら何でも言ってくれ」

「ふふっ、言われなくたってそのつもりよ。
まずは……引きこもりを引っ張り出すのに活躍してもらう事になりそうね」

トム君がユダ君にぬいぐるみを落とされて、ようやく戻って来る。

>「っとと、いや、すんません俺なりに今後の計画をたててました」

「さっきの顔でどんな計画を立てるっていうのよ!」

一方ユダ君は、今後に備えて武器の調達を所望する。感心感心。

>「トム君、こんなことやった後で言うのもなんですけど、ちょいとお願いがありまして」
>「私の武器を見繕ってくんねーですか? 出来れば銃火器以外で、軽くて使いやすいモノを希望します」

>「ほら、これなんかどうだ?鹿撃ち用の弾が入った散弾銃!これなら弾が散らばるから多少狙いが甘くても当たるし、殺傷性も高いから肌の軟い天使何ざ簡単に撃墜できるぜ。弾二発しか撃てないけど、向けて引き金引けば当たるからオススメ」

重火器以外で、という注文にもかかわらず、銃をお勧めするトム君。

「リンネではガチの戦闘系!の能力者もいるにはいたけど
ここにいる3人を見る限りガチの戦闘系は選別の過程で落とされてるような気がするのよね……」

だとしたら、普通に考えて強い兵器である銃をこの戦いにおいて選ぶのは果たして正解なのだろうか。
能力が自己再生専門で、全く攻撃は出来ないトム君は例外として。
戦闘系にギリ掠っていると言えるユダ君が選ぶべき武器は――
特オタ達の、武器ではなく玩具に分類されるものが集めてある所を物色する。

>「あ、OO社の超殺虫スプレーあるな、これいいんじゃね?」
>「おぉ、これもいいぜ、まぁ、近づかなきゃだけど、△△社のスタンガン、超強力」
>「あらら、XX社のスタングレネードだ、何ケースもあるね。使った奴も失明すっかもしれないけどもこれもいいよ」
>「ガスマスクも一応あるよ、つけてみるか?」

トム君のお勧めが、アタシの考えている方面にだんだん近づいてきた。この流れなら言える!
ユダ君の前に、候補を三つ並べる。

「ロボットフィギュア型超強力水鉄砲、ウォータービームゴウザウラー!
自動変形する4Dウィールと3パターンに切り替え可能な4Dボトムを装備した駒、メタルファイトベイブレード!
LED搭載! 回転中に発行する! ハイパークラスター、レーザーウィングHサンダードレイク!」

と言うと大層に聞こえるが、分かりやすく言ってしまえば上から水鉄砲、コマ、ヨーヨーだ!

292 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/03/10(土) 03:12:40.87 0
>「ふふっ、言われなくたってそのつもりよ。
  まずは……引きこもりを引っ張り出すのに活躍してもらう事になりそうね」

「分かった。最悪どんな要求をされようとも応えてみせよう。シャルルの為だ」

 カルレアはフンス、と胸を張ると、意気揚揚に意気込みを語る。
 微かな希望でカルレアは前向きになっていた。
 その場の空気、気持ちに左右されやすい、彼女の良い所でもあり、悪い所でもある。

>「私の武器を見繕ってくんねーですか? 出来れば銃火器以外で、軽くて使いやすいモノを希望します」

 そう言ったのはユダだった。見れば何も武器らしきものをユダは所持していない。

 トムは再生能力、シャルルはお菓子+魔人化。
 消去法で行くなら腐女子のカタコンベで見た焼け焦げたぬいぐるみの数々は彼固有の能力と見てよいだろう。
 ぬいぐるみを精製する程度の能力で武器らしい武器をもたない悪魔。

 戦いの中に身を置くにしては不用心過ぎはせぬか? というより、危機感が足りな過ぎだ。
 シャルルの魔人化、トムの再生能力+銃火器の熟練度、この2人と比べ明らかに戦力ではユダは劣っている。
 よく今までの元部下の天使達との戦いで命を落とさなかったものだ。運が良いのか、それとも……。

 シャルルは信用できる、トムも悪い人物ではないのだろう。
 しかし、カルレアはどうもユダには裏があると思えてならなかった。

 だが、今それを持ち出しても意味はないな。我が警戒していればよいだけの話だ。

 様々な非殺傷武器が提示される中、殺傷武器が何一つ提示されていない。
 カルレアは詰まれた装備品の中から小太刀と匕首を取り出し、ユダに突きつける。

「……ふむ、ではユダよ、この小太刀か匕首などはどうだ? 日本刀を勧めたい所だが、その細腕では扱いきれまい。
 どちらも殺傷武器だが……持っているのといないのとでは安心感は大違いだ。まあ、使わないに越したことはないが」

 カルレアが言ったのは本心半分、皮肉半分だ。
 殺せる武器があるのとないのでは心の持ち様は大分変わる、良い方にも悪い方にも。
 それを見て、ユダの本心を見極めようとする
 その刀によって元同胞の天使が殺されることは避けたい、しかし、それを行う能力を彼は持たない。
 明らかに実戦経験の少なそうな彼が、出来る可能性は皆無だという前提での言葉だった。

293 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/03/10(土) 03:16:23.06 0
>「ほら、これなんかどうだ?鹿撃ち用の弾が入った散弾銃!〜〜〜向けて引き金引けば当たるからオススメ」

 銃火器以外で、という縛りを無視してトム君は散弾銃という名の銃火器を押してくる。

 銃火器以外で、って言ってんでしょーが、トム君は人の話を聞いた方がいいですよ、マジで。

 そんな私の感情が伝わったのか、一応ちゃんとした武器を見繕ってくれた。
 殺虫剤にスタンガン、スタングレネード。非殺傷兵器ながらどれも素人の私が扱うには難癖あるモノばかりだ。
 トム君もそれを感じたのか良い物がないとボヤキを入れる。
 私はむーむー唸りながらスタングレネードと殺虫剤、ついでに親切な特オタさんからのガスマスクを手に取る。

 なんとか扱えそうなのはこの2つでしょうか? 
 殺虫剤はガスマスクでなんとかなるでしょうし、グレネードも距離を取れば何とか……。
 とか考えているとシャルルさんも話の流れに参戦してきた。
 
>「ロボットフィギュア型超強力水鉄砲、ウォータービームゴウザウラー!
  自動変形する4Dウィールと3パターンに切り替え可能な4Dボトムを装備した駒、メタルファイトベイブレード!
  LED搭載! 回転中に発行する! ハイパークラスター、レーザーウィングHサンダードレイク!」

 誰が遊び道具見繕えって言いましたかシャルルさん?……いや、シャルルさん割と目がマジですね。
 ふざけてる訳ではねーようですが……。しかし、こんな玩具じゃあまりにも……。
 いや、あの水鉄砲はなんとか使えそうな気がしなくもねーです、中身を水じゃなくて別のモノにすれば……。

>「……ふむ、ではユダよ、この小太刀か匕首などはどうだ? 日本刀を勧めたい所だが、その細腕では扱いきれまい。
  どちらも殺傷武器だが……持っているのといないのとでは安心感は大違いだ。まあ、使わないに越したことはないが」

 さらにはカルレアさんまで参加してくる。しかもさり気なく非力と馬鹿にされた気が……。
 ただ、言っていることはもっともですし、持つだけ持っといたほうがよいのでしょうか?
 
 小太刀より軽い匕首をセレクトし、学生服の内側に忍ばせる。
 装備品の中からグレネード専用のベルトを取り、収められるだけのスタングレネードを装着。
 さらに腰のWガンホルスターを装着、片方に殺虫剤を、片方にフィギュア型の水鉄砲を。
 そしてそしてさらに特オタさんから頂いたガスマスクを装着、これにて武装完了です!

 …………いやいや、ちょっとまってください。冷静に自分の恰好を見てみましょう。

 あ、ダメですこれ。いよいよ何者か理解できねーモノに成り果ててます。もろ不審者ですこれ。
 しかも、存外に重いです、というより動きにくいです。そして何より、ガスマスク蒸れます。
 呼吸する度にしゅーこーしゅーこーウルセーです、ダー○ベーダ―卿ですか私は!

「……えー、皆様の意見を取り入れた結果、こうなりましたが……何か、どうなんですこれ?」

 もう何が何だか自分でもよく分からなくなってきたので、その場にいる全員に恥を覚悟で助言を求める。
 リンネにいた頃から争いに無縁だったツケがよもやこんな形で回ってくるとは……人生ままならねーですね、ホントに……。

294 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/10(土) 20:57:09.32 0
>「分かった。最悪どんな要求をされようとも応えてみせよう。シャルルの為だ」
武器選びをする俺の耳にふと飛び込むカルレアさんの言葉

……ぅあああああああああああああああああどちくしょおおおおおおおおおおお
何で俺はあの時真面目にカルレアさんと戦わなかったんや!
俺が勝ってればこのねーちゃん思いのままだったんじゃねえか!!
あ、でも俺が戦ってたらカルレアさんは至近距離から「この距離なら、バリアは張れないな!」ってな感じで俺が撃ちまくる銃弾を至近距離で受けて死んでたか…
大体シャルル先生だったからこそこのカルレアさんもついてきてるわけだし俺が銃で戦ったとしても降参せずに玉砕とかしそうだなぁ…

しかしうらやましいぞ、要求を突きつけるコンピューターオタよ…
もう脱げ!とか踊れ!とかマグワエ!とか何でもありなんだぜ…
ぐぅ…馬鹿に生まれたこの身が憎い…
再生能力なんぞいらんから美人を好き放題する権利をくれ!

>「ロボットフィギュア型超強力水鉄砲〜〜レーザーウィングHサンダードレイク!」

さてその美人の片方は大学でて教員免許もとってるはずなのに真顔で玩具を選び出す

「あの…それ、全部ただの玩具ですよ」
「武器として使う事はできませんよ!パッケージの絵ではそんな事やってますが…」

ほら、キモオタさん達も先生の奇行に不安な表情浮かべてるよ
…そうか
先生もこっちの世界に来たショックで心が駄目になってたんだな…

「…先生、今日はもう休みましょう。よく考えてみりゃ描写されてないだけで目覚めてヘルで1泊した後すぐこっち来て色々ありすぎた。先生、疲れてます」

よく考えてみりゃリンネから出てすぐこっち来て、実戦の連続の挙句とんでもない天使と戦ったんだ
先生の体力気力精神力は限界なはずである
…というか未だに俺はこれが悪い夢であるとしか思えない
学園都市で能力バトルをたまにやりつつ女子生徒や級友達と学生らしい馬鹿のスケールのでかいバージョンをやってた世界の方が夢だったなど、何故に信じられようか…
その辺、深く考え始めるとお先が真っ暗で恐怖に狂って叫びだしそうになってしまう
恐らくグレーや先生だって少なからずこういう思いはあるはずだ
だったら、心が疲れているのだから奇行の一つや二つ、やっても不思議は無い

295 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/10(土) 21:35:34.03 0
さてお疲れのシャルル先生のために女性雄姿により、用水路からちょっと登った所にある割かし綺麗な場所に寝床が用意される中
ユダは俺の選んだスタングレネードと殺虫剤をチョイスした
そこに、今まで黙ってたカルレアさんが刀類を勧めた所…

こ…こいつ、銃駄目だとかほざいてた癖に刀はとりやがった!!
おい、使えんのか!?

……いや、待て
俺はもしかして固定概念で物を見てるんじゃないのか?
銃が使えないからと言って、ユダが刃物を使えないとは限らない
シャルル先生が魔人化したら武器としては終わってる感じの大鎌で刀剣の王様である日本刀と渡り合える事を考えれば
こいつが銃の代わりにトライブと互角に渡り合えるだけの刀剣の技術を持っていたとしても不思議ではない
…でもちょっと待て

「おい、お前、刀の手入れってできるのか?刃物だからってナイフと違って使わなくても手入れしなきゃなんないんだぞ、それ、俺やり方わからんし…」

本で読んだだけだがこのジャパニーズサムライナイフは手入れに相当な手間がかかり、それを怠るとすぐ駄目になるらしい
それを知らずに刃物が得意と言う理由だけでこれを選んでたらよくないので、一応ユダに聞いておく
…あれ?でも最近の合金でできた奴だと手入れいらないんだっけ?
今グレーが持ってるのは握り手とかに明らかに近代の技術が用いられてる複製品だから間違いなく最新の合金と技術が使われてるだろうし…
いらない…のかも知んない

「手入れいるんですか?これ?」

知らない事は調べろ、調べた分だけ調べる過程にも頭を使い、人に聞いて覚えるより賢くなれるってのは家の学校のせんせの言葉だが、急いでいるときはこの限りではない
その辺の旨をカルレアさんに聞いてみた
…あ、際ですか、いらないんで
最新の刀すげー、ソーラーで動くナノマシンが刃こぼれとってくれるんだ…へー…

さて、その後ユダはガスマスクをつけ、スタングレネードを装備し、腰に水鉄砲と殺虫剤をつけた完全武装になり
その姿を俺達に評価を求めてきた

「…スタングレネード、すぐ手に取れる?それ?」
「マスクの視界、狭くないですか?」
「息、苦しくない?」
「動きにくくないですよね?」

ユダの問いかけに、俺達は素直に装備のとりましはよいかとユダに問う
え?いや…この格好でいいかって、そういう事だろ?
見た目?まぁ、こんなもんじゃね?

296 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/10(土) 21:39:47.44 0
さてユダの装備も整った事だし…

「さってと…ここいらで今日の冒険は終わりにしましょう」

俺は、シャルルせんせとユダに今日はもう休もうと提案する
理由はまぁ…前途の通りだ
ってかこのまま連戦する必要性が感じられない
俺もシャルル先生も魔人化使ってるわけだしそのあたりの力が回復するまで、今日は休むべきだろう
特に、シャルル先生は

…あ、何か、そう考えてたら段々眠くなってきたし…
あぁ…体が…泥のように…うー

297 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/11(日) 22:54:51.09 0
>「…先生、今日はもう休みましょう。よく考えてみりゃ描写されてないだけで目覚めてヘルで1泊した後すぐこっち来て色々ありすぎた。先生、疲れてます」

「何を言ってるの、アタシは前からこんなもんでしょ」

前……つまり、リンネの学園都市。
ぶっ飛んだ学園ものドラマのようなバカ騒ぎの日々。
それはそれで死人が出たりして大変だったはずなんだけど、今思えば懐かしいばかり。

「……そうね。色々ありすぎた」

一方ユダ君は、周囲のまとまりのないアドバイスの結果、様々なものを装備し過ぎて大事になっていた。

>「……えー、皆様の意見を取り入れた結果、こうなりましたが……何か、どうなんですこれ?」

その姿を見て、アタシがリンネで怪盗角砂糖を撃破した時の姿を思い出した。
意外と悪くないかもしれない。

「うーん、敵をひるませるという意味で悪くないかな。
戦いにおいては一瞬の間が勝敗を分ける事もあるから。
……ただ隠密活動の時は目立ち過ぎて不利ね。ガスマスクは外したほうがいいんじゃない?」

そして、今日はもう休む流れになる。

>「さってと…ここいらで今日の冒険は終わりにしましょう」

「うん、天使は本部の守備を固めているらしいから襲撃の心配もまあ無い。
それに夜中に引きこもりの家に押しかけても余計ガードが固くなるだけだものね」

寝床に横になり、アタシはゼウスを倒した後の事を語っていた。
そんな事は倒してから考えればいいのに、とんだせっかちだ。

「ゼウスを倒したら、巨万の富でも何でも手に入るんだよね……
そうしたら、もう一回学園生活をやろうよ。
エデンは学園都市の遺跡だから……綺麗に改修してさ、世界中から研究者や生徒を集めるの!
売りはもちろん最先端の研究と教育。
ゼウスの支配下では決して出来なかった自由な学園を作るのよ。
カルレアさんは剣術教師。トム君もユダ君もそこに入って、今度こそちゃんと卒業するの。
天使もデビチルも人間も分け隔てなく受け入れてさ……きっと楽しいだろうなあ。
あれ……みんな寝ちゃった……?」

そうしている間に、アタシの意識も夢の中に入っていく。
こうして、アキヴァの夜は更けていくのであった――

298 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/03/14(水) 02:50:04.88 0
 ユダの装備が一段落したところで、その日は休息を取る流れとなった。
 特オタ達が提供してくれた寝床で全員横になる。
 シャルルは夢現に目的の果ての夢について語りだす。それは遠い未来の話。

>「ゼウスを倒したら、巨万の富でも何でも手に入るんだよね……
  あれ……みんな寝ちゃった……?」

 それを聞きながら、カルレアは口に笑みを浮かべていた。

 天使の我が剣術指南か、なんともシャルルの考えることは、面白いな。
 叶わないかもしれない、いや、叶わない確率の方が高い夢物語。
 しかし、シャルルは……人間達はそれをまるで叶うかのように語る。
 そして、それを聞いて胸の高鳴りを感じている我もいる。今まで感じたことのなかった感情。それが心地よい。

 羽毛でくすぐられているような心地の良い感覚にカルレアは身をよじった。
 しかし、そんな感覚に浸れたのもほんの束の間。

 ……だが、シャルルよ、済まぬな。我は多分、そこまでついては行けぬ。
 いや、ついて行ってはならぬのだ。そこに行ける資格は我には無い。

 既に寝息を立てているシャルルの顔を見ながら、カルレアは心の中で呟いた。

 ソニア、許してくれ、とは言わない。我は我の意思で裏切った、反逆した。
 なれば、我はお前、いやお前達に殺されても文句は言えぬ。だが、それはシャルルが望みを叶えた後だ。
 その後なら、我は地獄にて天界のお前達にいかな責め苦を受けようと構わない。
 だから、今はお前達を敵に回す我を受け入れ、そして認めてくれ、『敵』として。

 そう願いながらカルレアは目を瞑る。
 本来なら睡眠を必要としない元天使のカルレアは、その頬に涙を濡らして眠った。

299 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/03/14(水) 02:54:00.63 0
 一方その頃。

 アキヴァ本部にて全軍に演説をするソニアの姿がそこにあった。
 まるで大聖堂の様なホール内にはキモオタ襲撃を行っていた部隊全てが集まっていた。

「私達の愛したカルレア様は悪魔に討たれました。ならば、私達の成すべきは? 私達のやることは?」

「「「「悪魔を殺し! 悪魔を根絶やしに!」」」」

 幾百、幾千の天使達の声が重なる。まるで聖歌隊のようにその声はホール内に響き渡る。

「人に罪はありません。なれば、その人を惑わし、陽動した悪魔には?」

「「「「死を! 神の慈悲も届かぬ程の圧倒的な死を!」」」」

 一際大きく放たれた天使達の咆哮、それに負けないほどの凛とした声でソニアは叫ぶ。

「ならば貴方達は戦いなさい! 死を恐れずに悪魔を殺しなさい! 正義の鉄槌は貴方達の手により今振り下ろされます!
 不当なる攻撃には正当なる報復を! 悪魔達に死を! そして人間達に知らしめるのです! 神の力と愛を!」

 ソニアのその言葉が終わると同時に、本部全体を震わすほどの大歓声が上がった。
 演説台から降りたソニアはかつてカルレア直属の精鋭天使達を引き連れてホールを出る。
 後ろでは未だに鳴り止まぬ歓声が響いている。
 
 ホールからソニアの執務室に向かう長い回廊、そこでソニアは精鋭天使に呟く。

「……蟻の子一匹入れぬよう、本部を守備しなさい。悪魔が死ぬまで誰の出入りも許しません」

「籠城戦、ですね」

「そうです。守備こそが最大の攻撃となります。悪魔達は此処を落とし、私を殺す事が目的でしょう。
 ならば、私は此処から出ません。地下の見張り、空を見張り、地上を見張りなさい。不眠不休で守りなさい。
 本部に近づく者がいるのなら、それが人間であれ天使であれ捕らえなさい。悪魔なら確実に徹底的に殺しなさい」

 その呟かれた言葉の中に肌を突き刺すような、焼かれるような怒りを、精鋭天使は感じた。
 思わず精鋭天使の身体が震える。ソニアが未だかつて此処まで怒った事があっただろうか。
 普段の厳しくも温厚なソニアからは想像もできない程の怒り。

 カルレアが悪魔達と交戦し、そして戻って来ないどころか連絡もない。
 それの意味するところは……悪魔によってカルレアが討たれてしまったという事だ。
 それを理解し、受け止めた時、ソニアの心には嘆きも悲しみもなかった。

 あったのは悪魔に対する怒り。悲しみも嘆きも絶望も、全てを塗り潰してしまうほどの怒りだった。
 嘆くのも、泣くのも、絶望するのも、後でいい。全部終わった後でいい。悪魔達を殺し終わった後で。

そこからソニアは全軍を本部に呼び戻し、外部と内部の守備組織を編成、そして今に至る。

「カルレア様、私は貴女の仇を討ちます。絶対に……悪魔達を殺します」

 暗い執務室でぼそぼそと呟かれるソニアの言葉。怒りの黒い獄炎を纏ったソニアは皮肉にも、悪魔の様な姿だった。

300 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/03/14(水) 02:59:10.01 0
 特オタや腐女子オタの皆様、そしてトム君とシャルルさんの意見を聞いた結果、ガスマスクと殺虫剤は外すことにした。

 ガスマスクは息苦しいし視界狭まるし、ガスマスクねーなら殺虫剤は使えねーですし、しょうがねーですね。
 まあ、隠密行動時にはガチャガチャ煩いスタングレネードは外せばいいんですし大まかにはこれでOKです。
 ちなみに匕首の整備についてはいらねーらしいです。トム君の質問にカルレアさんが答えてくれました。

 そして今日は明日に備え、もう休むという流れになった。

 シャルルさん、トム君、カルレアさん、オタの皆さんが寝床に入り寝息を立て始めたのを確認し、私は寝床から出る。
 オタ達の何人かが私達の為に譲ってくれた毛布の代わりに平たいぬいぐるみを精製し落す。
 十分、毛布の代わりになるはずです。落ちた衝撃に各所で呻き声が上がるが起きる気配はない。
 
 ま、決戦前に体調崩されちゃたまらねーですしね。

 誰に対する言い訳か分からないものを心の中で呟く。
 特オタの皆様の誰かが吸うのだろう、灰皿がカタコンベの机の上に置かれていた。
 私は学生服の胸ポケットから煙草を取り出す。
 どうやら元々の所有物はデータ化されているらしい、便利なモノだ。
 同じく胸ポケットに入っていたライターで煙草に火を付け、灰皿に置いた。
 煙草は紫煙を燻らせ、天井に上ってはその姿を薄らせ雲散する。
 吸うのではなく、ただ香りを楽しむだけ。先生の香りを思い出す為の煙草。

 何だかんだ言って、私はまだ甘々です。貴女に近づけねーみたいです。
 誰も彼も知らないこの世界で、貴女だけが、貴女の教えだけが私の道標です。
 大丈夫です。私は、上手くやります。利用して利用し尽して、そして野望を成就します。
 それで良いのですよね? 先生? 私は、貴女の教えに背いてねーですよね?
 
 ふと、先ほどのシャルルさんの言葉を思い出す。また学園生活をやり直す。
 まだ旅も序盤だというのに、なんとも気の早い話である。
 でもシャルルさんの言う学園には先生はいない。あの世界はもう『ない』のだ。

「……また先生に、会いたいなぁ」

 無意識にそんな言葉が漏れてしまった。何だかんだで私も疲れているみたいだ。
 煙草の火が消えるのを確認してから、寝床に潜る。先生の残り香をその身に纏わせながら。


301 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/16(金) 00:43:51.96 0
夢も見ないほどぐっすり、俺は眠った
眠って眠って眠って…

起きるときはあっさり、スパッと目が覚める事ができた
周りを見れば下水施設
横を見ればまだ眠っている女1人に天使が2人、で、グレーが一匹
……なんだろう、昨日下水を逃げ惑った後にシャルルせんせ達ちあったからそん時もう疲れてて…あ、ギャグキャラボディは「ダメージ」は修復できるけれど「疲れ」は修復できないんだ
とにかく疲れてて半分寝てたから夢見たいとか思ったけど
アレだな、頭すっきりすると割りと普通にこの状況が受け入れられると言うか何というか…

…さてどうしよう
集団行動で勝手な行動をすると怒られるって言うから大人しくしてりゃいいんだけど…
あー…そいや外のオタの皆さんどうしたろうか

いつもの好奇心よりかなり小さいプチ好奇心が体に沸いて、下に下りてみれば、そこでは交代で眠りをとりつつ、パンを食うオタの皆さんが
食ってる人のほかには、何やらカードで対決してる人やら、女性陣は熱心に持ってきていた資料を紐解いて紙に何か漫画見たいの書くなど創作活動をやっている

「おはようございます」
「あ、おはようございます」
「おはようございます」
「あ、食事ならそこのビニール袋にありますよ」

挨拶した俺に、オタの皆さんは挨拶を解し、綺麗な場所にシート敷いておいてある大きなビニール袋を指差した
中を見ると、食パンにクリームをサンドした物やら、牛乳、ジュース、水、カロリーメイトみたいなレーション、他にもコッペパン型のサンドパンや、カップヌードル、カップに入ったコールスローサラダがたくさん入っている

「あの、この食料ってどこから…」

外をうろつけないはずのキモオタさん達が、店で売っているような食事を大量に手に入れている事を疑問に思った俺が問いかけると、キモオタさんはああ、それ、と応じてくれた

「我々のように偶像崇拝を直接行動に移している「キモオタ」のほかに、真面目にゼウスに与えられた仕事をしながら影から物資等で我々を支援する、「ワッフル」と言う人達がいてね、彼等が物資を届けてくれたんだよ」
「それってその人達経由でゼウスにばれたり…」
「ワッフルが動くのは自分の身が間違いなく安全だとワッフルが判断したときだけさ。ばれる可能性が無いから今後支援できなくなる前に、精一杯物資を送ってくれたんだろう。とりあえず、ワッフル経由で今のところばれる事はないよ」
「じゃワッフルが動いてくれたってとこを見ると、敵はマジで本陣の守りを固めてるって事みたいですね」
「そうだろうね…」
「……まぁ、今日は昨日言ってたあの何だっけ?あのメカオタに会ってそれからっすね」
「あぁ、コンピューターオタね」

どうでもいい訂正を聞きながら、俺は袋からクリームサンド食パン三つと牛乳二つを出し、食い始める
…その何とかってコンピオタ、説得すんのに時間かかるんだろうなぁ…
だったらんなのほっといて他の重要施設を占拠すればいいじゃねえか
どうせ今なら天使そんなにい…な…い…んだ…

…そうだ
今、街にはろくに天使がいないんだ

今ならできるんじゃねえか?
プロジェクトサキュバス、その第一号となる素体天使の確保が…

302 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/16(金) 00:53:17.76 0
「ワイヤー!なるべく頑丈で燃えにくいワイヤーはありませんか?後睡眠薬!即効性の強い奴です!」
「は?無いよ」

朝食をさっさとすませ、手薄になった町の警備の天使を拉致するための道具を確保しようと動き出す俺だったが、残念ながら道具が無い
しかし、ここで諦めてはいけない!
シャルル先生等が起きる前に、何とかして天使を確保し、ベッドの下とかに隠して拉致監禁してきたるべき理想のプログラム開発のために必要な実験の素体を…

……いや、無理だ
もうすぐ6時…
そろそろ誰か起きてきても不思議ではない
今は…今は機が熟すのを待つのだ、デビルチルドレンの諸葛孔明よ
今ここで世間的には変な計画を進めている事がわかったら、「何こいつ、何て変態」って事になってチームワークを乱してしまう

そう、そうだ
もっとこう、プログラマー見つけて、それから素体確保だ
次にグレーを仲間に引き込み、シャルル先生をチーズ作戦で封じ…
…カルレアさんとかはグレーに任せよう、あいつ何かあの辺の連中の相手得意そうだし

そう、そうだ
まずは、まずはプログラマー…
その何とかって言うコンピューターオタはプロジェクトサキュバスには興味を示さないと見ているから人力発電所にいるほかのオタを助けてそこから精鋭チームを選抜し…
隙を見て道具も用意しなければ
特に睡眠薬…
いや、それよりも研究設備を…
ヘルのを使えないだろうか?
あそこならあるいは…

【起床、早起きしてまたろくでもない事を考え始める。トム君は思春期です】

303 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/18(日) 15:41:46.61 0
「おはようございまーす」

起きると、トム君がすでに一人で戦略を立てていた。
時計を見れば、午前六時。

「随分早起きなのねー」

一人のオタが、声を潜めて話しかけてくる。

「あのートムさん起きてからずっとあの調子なんですけど……
ワイヤーと催眠薬は無いかとか聞いてきたり。
碌でもない事を考えてるんじゃないですかねえ……」

アタシはワッフルなる勢力が用意してくれた朝食を食べながら、事もなげに答えた。

「ワイヤーと睡眠薬? それは天使を殺さずに捕獲する方法を考えてるんでしょ、感心感心」

「それはそうなんですけど……
その後に良からぬ続きがあるような気がすると言うかなんというか……」

「一体何があるっていうのよ。
とにかく――敵が本陣に固まったらしいのはこっちとしても好都合だわ。
少々なら盛大にコンピューターオタの家に押しかけても大丈夫ってことだもの!
頑張ってソニアちゃんを生け捕りにする糸口を掴みましょう!」

「「「おー!!」」」

オタ達は拳を振り上げて一致団結し、腐女子リーダーが案内を申し出る。

「ピュグマリオンの家まではわたくしが案内しますわ。
彼の家に行くワッフルも玄関に食料を置いて受け渡すので直接は会っていないとかで……
一体どのような様子になっているのか予想もつきませんわ」

果たして引きこもりのコンピューターオタを引っ張り出す事は出来るのか!?

304 :ユダ ◆Vu/qdmFDDI :2012/03/22(木) 03:42:03.79 0
 まるで臓器の代わりに鉛を入れられたかのように身体が重く、鉄塊を脳みその代わりに入れたかのように頭も重い。
 普通の人ならばこれは即座に風邪だと判断するだろうが、私は違う。
 私にとっては、もはやお決まりとなった朝の恒例行事だ。
 のろのろ身体を起こし、壁に身体を預けながらずるずると這いずる様に移動する。
 そんな私の様子を見たオタの1人が心配そうに声を掛けてきた。

「あの……大丈夫ですか?」

 『えぇ、何にも問題ありません、大丈夫です』

 そう爽やかな笑顔で返したい所ですが、今の私にそんな余裕はまったくねーです。
 それどころか、喋るのも大変億劫でならねーのです。

「…………コーヒーを、キンキンに冷えたコーヒーを下さい……ブラックで……」

 いつもの笑顔は何処へやら、私は顔を伏せたまま不愛想にオタに要求をする。

 眠い、眠い眠い、怠い怠い怠い、怠い……というか起きるのメンドクサイです。
 寝ててもいいじゃん、ていうかもうちょっと寝てても問題ねーですよコレ。

 脳内に浮かび上がる欲求を、頭を振って払いのける。朝に異様に弱い自身の体質にほとほと嫌気がさす。

「あの、これアイスコーヒーです、どうぞ」

「……ありあとう……ございあす」

 そう言って手渡されたコーヒーを怠気に受け取り、オタにお礼を述べる。
 あまりの怠さと眠たさで呂律が回っていないが、そんな事を気にしている余裕はなかった。

 何処か変なものを見た様な顔をして去っていくオタの背を見送りながら、気だるげにカタコンベ内を見渡す。
 締まりのない顔をしているトム君に、いつもながら可愛らしいシュガーちゃん。
 朝食をとっているシャルルさん、そのシャルルさんの様子を見ているカルレアさん。

>「とにかく――敵が本陣に固まったらしいのはこっちとしても好都合だわ。
  少々なら盛大にコンピューターオタの家に押しかけても大丈夫ってことだもの!
  頑張ってソニアちゃんを生け捕りにする糸口を掴みましょう!」

>「「「おー!!」」」

 シャルルさんの言葉に一致団結するオタの方々。

「……おー……」

 ちびちびと舐めるようにコーヒーを飲みつつ、私はワンテンポ遅れて片手を上げ、寝ぼけた声を出した。

305 :カルレア ◆CKGMzO84bo :2012/03/22(木) 03:47:26.17 0
>「おはようございまーす」
 
 シャルルのその声に反応するようにカルレアは目を開いた。
 その様子は眠っていたというよりも、目を閉じていたという方が正しい。
 カタコンベ内には既に行動をしている精力的なオタ達が何人もいた。
 カルレアが室内を見渡していると、その様子に気付いたオタが話しかけてくる。

「あ、おはようございます。朝食いかがですか?」

「……あぁ、ありがとう。だがすまない、我は食事をあまり必要としないのだ。気持ちだけ受け取っておく」

 薄い微笑みを浮かべ、丁重にオタのその申し出を断るカルレア。
 かつてのカルレアならば人間には絶対に見せなかったであろう表情と言葉。
 しかし、彼女自身にはそういった行動に対する違和感などはすでに無かった。

>「とにかく――頑張ってソニアちゃんを生け捕りにする糸口を掴みましょう!」
>「「「おー!!」」」

 そう言って一致団結するオタ達とシャルル、しかし、約2名の悪魔はそこに参加していなかった。
 1人はトムで、1人はユダだ。

>「……おー……」

 少し遅れて寝ぼけ顔のユダは手を上げるが、トムは締まりのない顔で何かを考えている。
 ふむ、と一言呟き、カルレアはトムに近づいていく。
 互いの額がくっつきそうになるくらい顔を近づけるが、トムは動く気配を見せない。
 その様子に悪戯っぽい笑みを浮かべたカルレアはトムの頬を軽く、本当に軽くパチンと叩く。
 突然頬を走った衝撃に驚きの声を上げるトム、その様子を見てカルレアは愉快そうに笑った。

「ははっ、目は覚めたか、トム? 考え事もいいがもっと周りに注意を払った方が良いぞ」
 
 それだけを微笑みながらトムに言い、カルレアはシャルルの元へ歩いていく。
 シャルルとオタ達が話し終えた頃合いを見計り、カルレアはシャルルに声を掛けた。

「おはようシャルル、ここにいる人間は誰も彼も朝から精力的だな」

 約2名の悪魔は少々不安だが、そう言葉の最後に付け加えてカルレアは笑みを浮かべる。

「今からそのピュグマリオンとか言う男の所へ行くのだろう? どうやって引きずり出す? 
 我が愛の言葉を紡げばよいか? それとも接吻か? いっそ情を交わすか? まあよい、覚悟は既に決まっている。
 シャルルよ、何度も言うが我はお前のモノだ。どのような命令でも下すがいい」


306 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/23(金) 00:57:07.97 0
そうだ!そうそう!
人力発電所の中には天使を作り出す設備もあるはず…
そこを乗っ取ればいいのだ!
そうすれば淫乱堕天使を大量生産し、俺は毎日…うひひ…
そうそう、そうしてそうして、ゼウスを倒した後は政は人間にでもやらせて俺は隠居して寿命が来るまでねーちゃんをとっかえひっかえ毎日…
うふうふうふ
もう中間も期末も就職も気にしなくていいし毎日遊んで暮らせるし新作ゲームソフトとかも俺がプログラマー集めて自分の考えたゲームとか作らせる事ができるよーになって…

「ほげりゃ!?」

突然、頬を触られ、俺は輝かしい未来の世界から現実に戻ってくる。
すると目の前には…息のかかりそうな…っつーか息のかかってる距離にび…美女が!

!”#$%&!”!!?///

>「ははっ、目は覚めたか、トム? 考え事もいいがもっと周りに注意を払った方が良いぞ」

……やべ、マジで心臓止まるかと思った、俺今、顔赤い…。
ま…まじまじと見てなかったけど、カルレアさんって…超美人だな…。
い…いかん、まだドキドキしとる…。

何かこう、シャルル先生は美人さんって言うより姉さん(授業中に寝ぼけて姉ちゃんとか、母さんとか言った奴超多数)って感じだけど。
カルレアさんは純粋に美人ーー!ウハーーって感じだな…。

あ…アレと同レベルの美人を量産できるんだよな?プロジェクトサキュバス…。

……俺、絶対ゼウス倒す!
もう何が何でも倒す!

決意を固める俺の前で、カルレアさんがおもむろに語りだした。

307 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/03/23(金) 01:05:01.80 0
>「今からそのピュグマリオンとか言う男の所へ行くのだろう? どうやって引きずり出す? 
 我が愛の言葉を紡げばよいか? 

ふぐぅ!?

それとも接吻か?

ひげぇ!?

 いっそ情を交わすか?

ぐああああああああああああああああああああああああああああああ!

まあよい、覚悟は既に決まっている。

何とおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?

シャルルよ、何度も言うが我はお前のモノだ。どのような命令でも下すがいい」


「ド畜生ピュグマリオン!てめ羨まし過ぎるぞ!クソッタレ!」

心の中からマグマのような感情が溢れ、脳内にすさまじい電流がほとばしり、線目を見開いて俺は叫ん……じゃった。

…叫んだ後、しんと静まりかえった場に、俺は一気に赤くなる。
い…いかん、絶対絶対ずぅううううえったいカルレアさんがピュグマリオンを説得しに行くのを見に行きたいが、このままではつれてって貰えなくなる!
見たい!もう絶対見たい!できれば参加したい!
いや、そのピュグ公にだけうらやましい思いなんぞさせない!
っつーか見てるだけになるならやらせない!

「先生!そのピーちゃんに遠慮する事はねぇ!家に火を放ってあぶり出し、とっ捕まえて協力を拒んだら爪を削いでいき、爪が無くなったら指でも耳でも削いでいきゃいいんです!
あんな美人のねーちゃんが野郎に好き勝手されるのは俺は許せない!」

…なんか俺、デビチルの孔明じゃなくてデビチルの横島忠雄になってるな…。

308 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/26(月) 01:09:20.36 0
>「……ありあとう……ございあす」

ユダ君は眠そうな顔でコーヒーを飲んでいる。朝に弱いらしい。
彼の前に、銀のパックに入った吸うタイプのゼリーを出す。

「ダメダメ。何か食べないと余計力出ないよ」

>「おはようシャルル、ここにいる人間は誰も彼も朝から精力的だな」

約2名の悪魔は少々不安だが、というカルレアさんに返す。

「そうね〜、でもトム君はあれで一生懸命作戦を考えてるのよ、きっと」

まさか考え事をしている時の脳内はある意味文字通り精力的、なんて誰が思おうか。

「今からそのピュグマリオンとか言う男の所へ行くのだろう? どうやって引きずり出す? 
 我が愛の言葉を紡げばよいか? それとも接吻か? いっそ情を交わすか? まあよい、覚悟は既に決まっている。
 シャルルよ、何度も言うが我はお前のモノだ。どのような命令でも下すがいい」

「情を交わすって……何もそこまでは……」

余りのやる気にたじたじになっていると、トム君がいきなり叫んだ。

>「ド畜生ピュグマリオン!てめ羨まし過ぎるぞ!クソッタレ!」

一瞬場がシーンとなる。

「そ、そうね、羨ましくもなるよね、カルレアさん美人だし!」

静まりかえった空気を破るべく、アタシが話し始めると、トム君が更に興奮して畳み掛けてきた。

>「先生!そのピーちゃんに遠慮する事はねぇ!家に火を放ってあぶり出し、とっ捕まえて協力を拒んだら爪を削いでいき、爪が無くなったら指でも耳でも削いでいきゃいいんです!
あんな美人のねーちゃんが野郎に好き勝手されるのは俺は許せない!」

「ひぃ、餅ついて、じゃなくて落ち着いて! 真面目な話、敵意を持たれて天使側に付かれたら厄介だわ。
それに40年前に青年だったら今は還暦過ぎたおじいさんよ。そこまで元気は無いんじゃないかなー。
あの時は若かったなあとか言いながら手を握るだけでしみじみしてくれるわよー、きっと」

言いながら、そうである事を願う。むしろ還暦過ぎた爺が美女に血気盛んに襲い掛かったりしたらそれこそ悪夢だ。
オタの一人が心配そうに尋ねる。

「あのう……この人連れて行って大丈夫でしょうか」

「だ、大丈夫よ! アタシが監視しておくから!」

309 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/03/26(月) 01:09:48.55 0
何はともあれ、一向はピュグマリオンの家に向かう。

「ここですわ」

「自然の家かいっ」

ジャングルのような庭の中に、蔦まみれの一戸建てがある。
とりあえず玄関の前まで行って、ピンポンを押しまくる。
暫く押しまくっていると、インターホンから声が聞こえてきた。

『煩いな。飯ならそこに置いておいてくれ』

「違うの、カルレアさんを連れてきたのよ」

『信じないぞー! この悪魔めじゃなくて天使め!
そうやって引っ張り出して働かせる気だろう! 働いたら負けだ!』

「悪魔、で正解よ。
アタシ達はデビルチルドレン――あなたもコンピューターオタなら聞いた事があるでしょう?」

『デビル……チルドレン……だと? 嘘付け! そんなものが実際に出来る訳がない!』

インターホンが切れてしまった。説得失敗。
ひきこもりで浦島太郎になっているのなら、デビチルが開発成功したと言っても信じられないのも無理はないかもしれない。
アタシは後ろの皆を振り返って言った。

「――えっと……突入しましょうか」

310 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/03(火) 01:27:51.91 0
【あれれ? 点呼とりますw いる人は返事をしてください!】

311 : 忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2012/04/03(火) 01:52:06.17 O
別に返事をするよ。

312 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/04/03(火) 03:31:06.56 0
>>310
とりあえず返事だけ。
俺も忙しくなってきたので週末しか書けなくなりました。

…短期エンディングにしちゃいます?
とりあえずアキヴァだけ解放して戦いはこれからも続くみたいな…。

313 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/03(火) 18:43:28.86 0
あらら、無理しないで下さい。第一部完!ですね分かりますwww

アキヴァ解放から世界的な革命が始まって時間軸を数か月後にすっとばして即エデン編
の二部構成も考えてなくも無いんだけど対面進行で週一ペースだと厳しいものがあるかな〜。
でももしかしたらやってる間に新規が来る可能性もあるので
とりあえず今はアキヴァ編完結を目標にしてその後の事はその時に考えるという事でどうでしょう。
ユダさんカルレアさんソニアさんは本人が帰ってくるまで共有NPCにして頑張っていきましょう!

314 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/04(水) 23:54:28.25 0
【少し進めます】

「我に任せろ」

カルレアさんがすっと進み出る。
そして大声で説得する……のかと思いきや、すっと刀を引き抜く。
一瞬後、目にも止まらぬ速さで剣筋が走り、扉がバラバラの破片になって地面に落ちた。

「これで良し。行くぞ」

「あ、あはは……お邪魔しまーす」

何十年も解かれる事がなかった封印をいともあっさり破り、聖域に突入する。

315 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/04/08(日) 07:11:16.68 0
カルレアさんの手で玄関は破られた!
後はピーちゃんをとっ捕まえるだけである!!

「行くぞピー太郎ぉおおおお!」
「わああああああ駄目駄目駄目ぇえええ」

喜び勇んで突っ込んで行こうとした俺を、背後からオタ達が羽交い絞めにする。
なぜに?どして?

「あんた!両手に銃もってどーいうつもりだ!」
「いや…これはその…交渉を…一つ…」
「それは交渉じゃなくて脅しって言うんだよ!」

いや…まぁ…脅しかな?
テヘ♪

まぁ、何はともあれ中へ入ってみれば、まぁーきったないの何のってまぁ…。
ゴミ袋がごろんごろんごろんごろん積んであり、すっぱくて苦い匂いがつーーーんと鼻に突っ込んでくる!

「こ…これは…」

立ちすくむ俺の前で、ゴミ袋の一部ががさがさとうごめいたかと思うと、そこから何かが飛び出し、俺の首筋に喰らいついてきた!

「うぎっ!?ぎぎぎぎぎ…」

そのままエイリアンに噛まれた男が如くその場に苦しみながら倒れ付す俺の頚動脈を喰いちぎる飛びついてきた何か。
こ…こいつは…変異生物人喰い飛びゴキブリじゃねえか!
ヤバイ!こいつは群れで生息する生き物だからもしかするとこの袋のなかは全部こいつらの巣に…

「せんせ…ボス…ヶ…」

頚動脈を喰いちぎられ、痛みでもがき苦しんでいる俺に、血の匂いをかぎつけたゴキブリが次々と袋を破いて出現して群がってくる。
ヤバイ!
ヤバイヤバイ死ぬ!プロジェクトサキュバスが!性の楽園がーーー!

316 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/09(月) 21:17:58.16 0
>「うぎっ!?ぎぎぎぎぎ…」

「きゃぁあああああああああ!?」

引きこもりの家に生息していた恐るべき生物は……Gだ! Gがトム君の首に食いついている!
しかも血の匂いを嗅ぎつけて大量に襲い掛かってくる!

「【粘着捕縛《ガムキャッチ》】! 来んなぁああああああああ!!」

魔法のステッキに蠅取り餅の要領でガムをまとわりつかせ、トム君の首からGを引っぺがす。
西部劇の縄のようにガムをぶんぶん回して空中のGを捕獲する。
しかし奴らは無限に湧いてくる。そしてついにアタシの首にもGの毒牙が……。

「っぎえええええええええ!?」

確かトム君が超強力殺虫スプレーをキープしていたはずだが、ガスマスク無しで使えば重症になりかねない代物だ。
そこで、ポテトチップスを人数分召喚。使うのは、中身では無く袋だ。

「は、はやく! 開けて中身を捨てて袋を口に密着させるのよっ!!
全員がそうしたらトム君! 超強力殺虫剤を!!」

317 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/04/13(金) 20:09:52.20 0
>「は、はやく! 開けて中身を捨てて袋を口に密着させるのよっ!!
>全員がそうしたらトム君! 超強力殺虫剤を!!」

「〜〜〜〜〜〜」

Gに頚動脈を喰いちぎられ、視界が薄れる中、シャルル先生の言葉に反応し、殺虫スプレーをとろうと手を動かす俺。
しかし…しかし何と言う事だ…。
自分の「どこに殺虫スプレーを装備したのかを思い出せない」。
普段腰に銃を下げたり殺虫剤を装備したりしていないから、突然OOを出してくれといわれても即座に反応できないのだ!

そうしている間にもGが次々と湧き出し、異臭と群がってきて手足胴体に喰いつくGのかじりつきで俺の意識は薄れていく。
あぁ…死…死ぬ!
嫌だ…どうせ死ぬなら腹上死がいい!
スプレー!スプレーどこだ!

「キャー」
「うわぁ!うわぁ!」

耳に響くオタの悲鳴と、誰かがパニックになったのだろう、銃声が響き…

兆弾が俺の頭を撃ち抜いた瞬間、俺はどこにスプレーを装備していたかを思いd

318 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/14(土) 17:46:55.55 0
トム君が殺虫剤を取り出すのに手間取っている。
その間にGがどんどん食いつき、辺りは血まみれの大惨事に……。

>「キャー」
>「うわぁ!うわぁ!」

Gの猛攻を受け、出血多量のせいか精神的なものによるせいかは分からないが意識が朦朧としてきた。
銃声が鳴り響き、トム君の頭を打ちぬく。

「どわあああああああああああ!?」

いくらトム君が超回復体質とはいえ、回復するには少しは時間がかかる。
あえなくトム君は倒れ、その後しばらくGの猛攻が続き……とうとうアタシは気を失った。
ざんねん! アタシ達の冒険はここで終わり。
このままGに食い尽くされ、ただの情報の欠片となって何も残さずに虚空に消えていく運命なのだ――。

―― 学園都市TRPG THE END ――

いや待て、いくら何でもGに食われて全滅して終わりなんて酷過ぎやしないか――?
そう思うのはアタシだけではないようで、ふざけた煽り台詞が聞こえてくる。

「おおゆうしゃたちよ Gにかじられてしんでしまうとはなにごとだ」

ここである重要事項に気付く。
声が聞こえてくる――? という事は、まだ死んでいないという事だ。
全滅イベントかそうなのか。
恐る恐る目を開けてみるとそこは――様々な珍妙な機器が並ぶ研究室のような部屋だった。

「――なーんてね。僕のペット達が迷惑をかけてすまなかった。この時をずっと待っていたよ……」

目の前には、若く見目麗しい青年がいた。これは誰だろう。手がかりを探すために記憶を辿る。
アタシ達はキモオタの引きこもりの爺さんに会うために恐怖のゴミ屋敷に潜入した筈だ。

「えーと……ピュグマリオンさん……のお孫さん?」

二次元専門の引きこもりに孫などいるはずがないのに、混乱して思わず素っ頓狂な質問をしてしまった。
が、相手の応えを聞いたアタシは更に素っ頓狂な叫びをあげることになるのである。

「ふふっ、面白い事を言うね。ピュグマリオンは……僕さ」

「おんぎょおおおおおおおおおおおお!?」

【とりあえずアキヴァ編を完走させてしまいましょう! 少し展開を巻いていきます。
内容はとても保証できませんが必ず完走までは持って行くのでどうか最後までお付き合いください!
折角なのでアキヴァ編が完走したらこれをベースにして
エデン編を「最初からクライマックス!」をコンセプトに半分新スレのような形で始めてみようかと画策中ですw
今日の夜中位にまた続きを書きます】

319 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/14(土) 23:19:25.27 0
絶叫するアタシを前に、青年は平然と続ける。

「驚かせて済まなかった。
あのゴキブリ達は天使のみに対して殺傷能力を持つように開発した兵器なんだ。
今まで僕を働かそうと突入してきた天使達が、何人もあれの餌食になってきた。
あれの猛攻を受けても死ななかった君達は本当にデビルチルドレンなんだね。
そしてあなたは……そのお姿、見紛うはずがあろうか。堕天されたのですね――カルレア様」

カルレアさんのほうをじっと見つめる青年。
カルレアさんは静かに語り始めた。

「ああ、信じがたい事だが、今思えばお前の矢を受けたあの日から、我は変わっていったのだ――」

「カルレア様……」

ピュグマリオン略してピーちゃんは、一歩踏み込みカルレアさんとの距離を詰める。
おーっと、これは!?
だがそこでカルレアさんが一歩後退し、アタシの方に手を置いてきっぱりと言い放った。

「だがそのきっかけを作ったのはここにいるシャルルだ。
その代わりにと言っては何だが力を貸してやってはくれないか」

それを聞いたピーちゃんはアタシに恋敵に向けるような視線を向け、火花を散らしてきた。

「え、いや、別にアタシとカルレアさんはそういう関係では……」

アタシはピーちゃんに事の経緯を話す。
アキヴァを解放し、ひいては世界をゼウスの支配から解き放つのが目的であること。
アキヴァを解放するには、この地域の総元締めの天使《ホスト》を倒さななければならないこと。
それが、カルレアさんの大親友である事。

「もしもどうにもならなかったら……カルレアさんが親友にとどめを刺すことになるのよ。
あなたそれでもいいの!? 出来る限りの事をやってあげたいとは思わないの!?」

卑怯な脅しでもあるが、真実の気持ちでもある。
これを聞いたピーちゃんは……

「分かった、カルレア様のために一肌脱がせてもらおうじゃないか! 
お前なんかにカルレア様は渡さないよ?」

恋敵であるアタシへのライバル心からOKを出した!
ピーちゃんはアタシ達を伴って歩き出す。何層もの扉の奥に、それはあった。

「見たまえ、これが引きこもり生活の長年の研究の成果……“キューピッドの弓矢・改”だ!」

「すごい!!」

そこにあった壮麗な弓矢を前にまずは感嘆の声をあげる。

「けど……でかい」

次に現実的な問題を小さく呟いた。キューピッドの弓矢・改。それは、バリスタ級の巨大な代物だった。
運ぶのも一苦労なら、矢を発射するのも数人がかり。これを持って本部に突入するのは、難しいかもしれない。
トム君の肩にぽんっと手を置いて言う。

「……トム君。マジであの人質作戦で行っちゃおうか」

320 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/04/21(土) 04:45:04.61 0
気がつくと、そこはテープがくるくる回転しているコンピューターとかちかちかと様々な色を浮かべるモザイクみたいなモニターが並ぶ部屋だった…。

これはあれか。
実は今までのも真のゼウスを倒すための訓練でしたー。
とかそーいうパターンか?

そう思う俺の前に現れる若い男。
話を聞けばこいつ……が…ピーちゃん!?
い…いかん!

「ちょ!トムさん!何で銃を抜くんですか!」
「いや、ここでやっておかねばリア充がまた一人この世に増えることに…」
「何馬鹿な事を…」

コントする俺とキモオタ達を他所に進行する物語。

ところで頚動脈を喰いちぎられた上、頭に兆弾を喰らった俺ははたして天使じゃないから死ななかったという理屈にあてはめていいんだろうか…。
ってか差別じゃね?俺頚動脈喰いちぎられて頭に弾丸喰らったのにグレーとか無傷だぜ!無傷!
やいグレー!ドヤ顔すんな!こら!

で、出されるキューピットの矢のサイズはかなり大きくて…。
…これ、喰らったら普通に死ぬだろ?

そしてシャルル先生の口からは人質作戦の提案が…。

ふ…やはりデビチルの諸葛亮たる俺の作戦が最後には採用されるのですな。
よろしいでしょうふふふ、私の策、お見せします。

321 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/04/21(土) 04:52:23.96 0
「まず作戦はこうです」

ホワイトボードとアキヴぁの地図を用意してもらい、俺はそこにマグネットで天使とキモオタ、そして俺達をあらわす駒を出す。

「人力発電所に篭る天使達を、まず分散させなければなりません、そこで陽動をかけます」
「どうやってですか?」
「キモオタさん方に幼稚園バスジャック事件と銀行強盗事件、それからダム破壊作戦とコンビニ強盗、他にも放火とか浄水施設への毒まきをしてもらって、天使の治安維持部隊を出動させてもらうのです。」

俺の提案に、唖然となる一同。
ふふふ、奇策とは早々に受け入れられんものなのですね。

「もち!全て人質や民衆を殺すつもりで派手にやってください!イーとか、キーとか奇声をあげるのもよろしい!
で、主力の天使が出て行った人力発電所に乗り込み、カルレアさんを人質にとって、1分立つごとに指を一本づつ切断する!それが嫌ならソニア出て来い!と挑発します。
後は出てきたソニアを魔人化したシャルル先生が襲って拘束し、W人質で周囲を寄せ付けないままこのキューピットアロー改まで誘導。
そこでとどめを刺すわけです。」

完璧な作戦をボードの駒を使って解説し、俺はどんっと胸を張る。
トム君、なんて立派な策を…頼もしい…ぽっ。
そんなシャルル先生の心の声が聞こえてくるような会心の策だな、こりゃ。

322 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/23(月) 23:50:45.21 0
>「まず作戦はこうです」

トム孔明先生の作戦披露がはじまった! 駒とかも出てきて三○志っぽいぞ!

>「人力発電所に篭る天使達を、まず分散させなければなりません、そこで陽動をかけます」
>「どうやってですか?」
>「キモオタさん方に幼稚園バスジャック事件と銀行強盗事件、それからダム破壊作戦とコンビニ強盗、他にも放火とか浄水施設への毒まきをしてもらって、天使の治安維持部隊を出動させてもらうのです。」

騒然となる一同。

「それは流石に天使にすぐ殺されそうだし……」
「嫌ですよ、幼稚園バスジャックとか典型的な悪役のやる事じゃないですか!」

腐女子オタ達は、過激すぎる作戦に普通にしり込みしているし、
特オタは特オタで、悪役っぽい事をやるのには抵抗があるようだ。
が、トム君は動じずに話を続ける。

>「もち!全て人質や民衆を殺すつもりで派手にやってください!イーとか、キーとか奇声をあげるのもよろしい!
で、主力の天使が出て行った人力発電所に乗り込み、カルレアさんを人質にとって、1分立つごとに指を一本づつ切断する!それが嫌ならソニア出て来い!と挑発します。
後は出てきたソニアを魔人化したシャルル先生が襲って拘束し、W人質で周囲を寄せ付けないままこのキューピットアロー改まで誘導。
そこでとどめを刺すわけです。」

確かに陽動するのはいい考えだ。だがちょっと待て。この作戦には重大な問題がないか?

「それじゃあ端から見てアタシ達が悪の怪人で天使が正義の味方という構図が出来てしまうじゃない。
これは世界的な革命の始まりとして歴史に刻まれるべき大事な戦いよ!
アキヴァを解放出来ても実はこっち側が悪役なんじゃね?という疑惑を残してはいけないの。
何かいい方法はないかしら……。
出来れば陽動のついでにゼウスの圧政の害悪とアタシ達の正義を知らしめるような何か……」

腕組みして暫し考える。
そういえばリンネにいたころ、学生運動なんてものがあったわね……。

「そうだ! 街中でゼウス政反対のデモ行進をやってもらいましょう!
少なくとも一般市民に被害は出ないし奴らにとっては幼稚園バスジャック以上の陽動になるはずよ!」

「それ位なら私達でも出来そうね……!」
「よし、やってやるぜ!」

「それならこの高性能メガホンはどうかな?
昔カルレアさんと乗るために作ったデコトラも使ってくれ! スピーカー機能もあるぞ!」

ピーちゃんがノリノリで、デモ行進に役立ちそうな発明品を紹介しはじめた。
オタ達も乗り気のようだ。

323 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/24(火) 00:33:55.37 0
そんな中、アタシはさっきから気になっていたことをピーちゃんに聞いてみた。

「その弓矢、見たところ矢がないみたいだけど、どうやって撃つの?」

「よくぞ聞いてくれた。これは情報体にだけ扱える武器なんだ。
この受容体部分に手を当てて念じると《想い》が《魔法の矢》に変換されて発射される」

「情報体……?」

「情報が具現化した存在って事さ。
君達デビルチルドレンやカルレア様やそこのシュガーちゃんみたいな堕天使
それから、僕達《アバター》もそれに入るね」

「なるほどねー、ん? あばたー?」

また新しい単語が出て来た。《アバター》ってなんじゃらほい。
一般的な意味ではネット上で自分を示すマスコットっていうのは知っているけど。

「一般的な意味での《アバター》は知ってるよね? それと似たようなものだ。
僕は、自らを情報体に変換した元人間なんだ。おかしいと思っただろ? お爺さんじゃなくて。
それに情報体たる天使に効果がある兵器の制作も普通の人間には無理だ」

「なんですって――!?」

「永遠の生命、人類は常にその禁断の果実を夢見てきた。
それを可能にしたのは、バイオテクノロジーでも機械工学でもなく、サイバー技術だった。
自らを情報体に変換するという方法によって、ね。
丁度機械神ゼウス完成に世界が湧きたっていたのと同じ頃、その技術は発明されたんだ。
二次元の美少女一筋の僕は嬉々として人体実験に志願して晴れてアバターとなった」

324 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/04/24(火) 00:34:55.03 0
「そんな技術があるなんて聞いた事がなかった……」

ピーちゃんは意を決したように、言葉を続ける。

「僕の実験は成功したが、とんでもない失敗例が出た。リリス、という女性だ。
彼女は決してゼウスから認識される事がない存在になってしまった。
ゼウスが全てを管理する世界においてゼウスに認識されないのがどういう事か分かるか?
比喩でも何でもなく文字通り神から見放されたということ、世界に存在を認められないという事、究極の疎外だ――。
《アバター》になってしまえば歳もとらず、事故にでも合わない限り死なない。
彼女はそのままで永遠に生き続けなければならなくなった――。
ついに耐え切れなくなった彼女は誓った、いつかゼウスを打倒する、自分を認めない世界を終わらせると――!」

突然告げられた、アタシ達の生みの親の過去。
やがてゼウスが暴走を始め、密かに革命の使徒達が始まり、アタシ達が開発されるに至る訳だが
そこに至るまでにどれ程の苦悩があった事だろう。

「そして《アバター》化の技術は黒歴史として永遠に葬り去られた。
今でも僕達と同時期に実験を受けた《アバター》達は今でも人間に混ざってひっそりと暮らしているんだろう……」

「そう……だったの……」

しんみりとした空気を振り払うように、話題を変える。

「それもそうとあなたも情報体って事は、天使に直接攻撃できるのね!
ガンガン手伝ってもらうわよ!」

「言われなくてもやるさ。
全ては、長い年月を生きて倦んだ僕の魂に潤いを与えてくれたカルレア様のために――ね」

かくして、天使陽動&人質作戦が始まる――!

325 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/04/29(日) 02:05:52.21 0
即効否決される俺の作戦。
……いや、だってほら、人死にくらい出るレベルでないとまずいんじゃないかと…俺なりに、さ…うん

その後リリスさん…母さんが俺達と同じ情報体である事が、ピースケ君の口から語られた。
そして語られるサイバー技術と人類の進化…禁断の果実についての話…。

なるほど………わからん。

「先生!」

俺はぴーちゃんとまじめに話す先生に、びしっと手をあげ、まじめな顔で質問する。

「何言ってるのか半分も理解できないんでどーか要点だけびしっと教えてください!」

そう言った俺に全員から放たれる空気嫁オーラ…。
うぅ…馬鹿ってつらいな…。

−説明略−

「ぉ…おお…」

情報体…つまり、ピュグマリオンと母さんは天使達の体の構造を熟知した人たちだった。
そういうことだったのか!!!

だとしたら、俺が聞く事は一つしかない!
もう今はアキヴァがどうとかとかもうどうでもいい!
後ろでオタの方々がワッフルに連絡をとって志願者を集めろ!だとか、全オタクに非常連絡!アニオタもガノタも今回は邪険にしない!協力を要請だ!とか祭りの準備に盛り上がるが、
俺は偉大な計画のためにどーしてもピーちゃんに聞かねばならない事があるのだ!

俺は、シャルル先生らが俺から注意をそらしているのをすっげーこう、めっちゃめがっさ何度も確認し、絶対会話の内容がばれない事を確かめると、そっとピーちゃん…いや技師ピュグマリオンに話しかけた。

「ピュグマリオンさん!」
「?はい、えーと君は…」
「つまり、俺達ってこの世界の人間を孕ませる事はできるんですか!!」

ドストレートな質問に、ピュグマリオンさんは一瞬、黙った後、ふっと笑う。

「天使ならできる、とだけ言っておこうか」

その瞬間、俺は悟った。
この人は信頼できる人だ、と。

俺とピュグマリオンさんは硬い握手を交わしあう。

……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
超強力な味方、ゲットしたどおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
酒池肉林!酒池肉林がもうすぐ目の前に!

「先生!デモ隊を襲う天使とは俺が戦う!任せてくれ!もうばしばしやるぞおりゃあ!」

希望の海原を目の前にした俺に怖いものは無い!
俺はびしっと先生に自らの役割を志願した!

326 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/02(水) 00:38:08.79 0
>「ぉ…おお…」

説明を受けたトム君は、しごく衝撃を受けているようだ。
それもそうよね、人類が人間を情報体に転化する技術を持っていたなんて。
そしてアタシはオタク達と共に祭りの準備に取り掛かる。

「ええ、あらゆるオタグループに連絡を取ってガンガン勧誘しましょう!
ピーちゃんが味方についた今ならこっち側についてくれる可能性が高い!」

そしてトム君が自ら危険な任務に志願を申し出る。
物凄いハイテンションだ!

>「先生!デモ隊を襲う天使とは俺が戦う!任せてくれ!もうばしばしやるぞおりゃあ!」

「トム君……立派になって! でも……くれぐれも気を付けてね」

しかし、この時アタシ達は知らなかったのだ。
オタグループの最大勢力を誇る萌えオタが最初の時点で向こうに取り込まれていることを……!

そして……
今アタシ達の前には、アニオタ、ガノタ、漫画オタ、RPGオタなどなど……
総勢…何人ぐらいいるんだろう、とにかくたくさんの志願者が集まっていた。
彼等に、メガホン片手に作戦を伝える。

「あなた達にやってもらう事は簡単、ゼウス政反対しながら出来るだけ派手に練り歩いてほしい!
ただし、天使は殺す気でかかってくるかもしれない……。これだけは守って。危ないと思ったらすぐ降伏してね。
奴らを陽動できればそれで充分なんだから」

そして始まるデモ行進。

「ゼウス、お前はもう死んでいる!!」
「おおゼウスよ、死んでしまうとは何事じゃ」

オタ達は思い思いのパフォーマンスで反ゼウスを訴え始めた!

327 : ◆GAazGNP2wQ :2012/05/04(金) 23:04:08.61 0
アキヴァ天使軍本部。
シャルル達懇親の作戦は、しかし萌オタを通じて天使側に筒抜けになっていた。

「ふふふ、愚かな連中だ、自分達がわなにかかっているとも知らず」

ソニアから対デビルチルドレン戦の指揮を任された天使、アンソニーは、モニターの向こうで行進するオタ達を見て、ほくそ笑んだ。
その後ろでは、部下達に足蹴にされ、複数の萌オタ達が喜びにもだえている。

「ぶひいいいいいいいいいいい!もっと!もっとふんでくだしゃいいいいいいいい」
「ヒール!ヒールの踵がぁ〜〜〜」

アンソニーの部下達に踏まれて喜ぶ、危ない系の萌オタ達。
彼等は仲間を売る見返りに、天使たちの専属奴隷となったのだ。

そんな彼等を、アンソニーは気持ち悪いのでなるべく見ないようにしながら、周囲の部下へと指示を飛ばす。

「潜入部隊迎撃天使隊、敵は我々を殺せる銃器で武装しているらしい!盾を用意しろ!
暴徒鎮圧天使隊、武器を使うな!相手が一方的に平和を乱しているような光景を作るんだ!」

てきぱきと指示を飛ばすアンソニーに、部下の一人が困惑顔で尋ねる。

「あの…暴徒鎮圧に向かう天使の数が少なくないですか?」
「いいんだよ。どうせあいつら何もできん、素手で十分だし数もいらん。」
「ですが…。」
「私はこれでいいと言っている。」

頑ななアンソニーの態度に、副官は黙るしかなかった。

328 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/05/04(金) 23:14:40.36 0
デモ行進するオタク達の前に、上空から軽装の天使たちがひらりと舞い降りた。
その数は、決して多くなく、更にいつものちゃらい天使達ではなく、どこかはかなげな別のタイプである。

今までとは違う天使達の態度に、荒ぶっていたオタ達も立ち止まってしまう。
それほどまでにその天使たちははかなげで、そして魅力的だったのだ。

たじろぐオタ達に、美人天使たちは美しい声でさえずる。

「皆さん!悪魔に騙されないで!こんな真似しても何もいい事はありません!世の中を混乱させるだけです!」
「お願い!お兄ちゃん、お姉ちゃん!乱暴はやめて!」

魅了の術だ!!
オタ達の心を刺激する魅力的な言葉と天使達の容姿に、オタ達は頭を抱えて苦しみだす。

「うう…お…俺達は何を…」
「て…てんしタソ!あんなにかわいい天使タソがいたなんて」
「あれ…男の娘?もしかして…本物の…」

天使達が発する魅力によって、暴徒オタ達の団結が崩壊しかけた、その時。
群集の中から飛び出し、天使に飛びつく影があった!

トムだ!われらがトム・ジリノフスキーだ!!

「うへへへへへへへへへ!!シャルル先生もグレーもいない今、俺のあふれるリビドーを止められる物はないんじゃああああああ!」
「きゃあああああああああああああああああ」
「いやぁあやめてぇえええええ」
「やだ!ズボン下ろしてるぅ!」

飛び出した一人の変質者の前に、精鋭魅了天使達は恐怖で大混乱。
そこに目の色を変えたオタ達が突入する。

「うへへへへへ!俺もまじぇろおおお」
「お姉さんが色々教えたげるわああああ」
「きゃあああああああああああ」
「助けてぇえええええええええ!」

哀れ、手篭めにされんとする魅了天使達。

329 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/05/04(金) 23:24:38.02 0
アキヴァ天使軍本部でその光景を見ていたアンソニーは、おお慌てて戦闘準備をし、速攻でスクランブルは発進する。

「ア…アンソニーさま本部の防衛は?」
「ソニア様も何かしろ考えておろう!それよりも今はあの娘達を救わねば!」
「しかし何もこんな大軍で」
「うるさい!連中を皆殺しにしてくれる!よくも私の可愛いOOやXXや△△に手を…」

苛苛しながら超高速で飛び出すアンソニー。
その後ろを、納得行かない顔の副官がついていく。

――――

「キャーーーキャーーー」
「逃げるなぁあああああああ!俺の嫁っこになれえええええええええ」
「イヤーーー」
「待てぃ!」

集団で魅了天使を襲って殺せないならむしろ生命を増やしてやるとちょっとここじゃな書けない襲い方をしていたトムたちの前に、上空から超高速でアンソニー率いる天使達が舞い降りてくる。

「貴様等の横暴はそこまでだ!全員焼き殺してやるから覚悟しろ!」

そう言って炎の剣を出現させ、デモ隊に切りかかろうとするアンソニー、しかしそこで待ったがかかる!

「待て!これを見ろ!天使やろー!」

そう言って、群集の間から数個の十字架が立った。
そこには、無残にも両手足をロープで縛られ、貼り付けにされた魅了天使達!

「おとなしくしなければこいつらを殺す!」
「な!卑怯な!」
「卑怯もらっきょうもないわ!」

魅了天使らに銃口を向け、宣言するトムに憤慨するアンソニー。
だが天使達はすぐさまトムとデモ隊を大軍で包囲し、このままでは数刻で人質は救助され、トム達は皆殺しにされるだろう。

(シャルルせんせ…なるたけ早く頼みますよ…)

正直おしっこちびりそうなくらいびびりながら、トムはシャルルの迅速な勝利を祈る。

頑張れトム!勝利の暁には酒池肉林がたぶん待っているぞ!

330 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/09(水) 01:31:19.45 0
デモ行進が始まったのを見て、アタシ達も動き出す。

「トム君、そちらはお願いします……!」

アタシとカルレアさんとユダ君が、人力発電所に突入してソニアを誘き出す部隊。
そしてピーちゃんと彼が率いるオタク十数人がキューピッドの矢の設置・発射を行う部隊だ。
キューピッドアロー改は、完璧な軌道計算のもと、人力発電所から出たらすぐ撃てるベストな場所に設置される予定になっている。
そして、シュガーちゃんが最後の詰めの説得要員という寸法だ。

アタシ達は人力発電所にやってきた。
様子を伺うと、何故かいかにもな萌えオタ達が徒党を組んで外壁を警備している!

「なんでオタが向こうについてんのよ……!」(ヒソヒソ)
「すまぬ、最初に卑怯な手を使ってこちらに取り込んでしまった。しかしこれ程大勢では無かったぞ」(ヒソヒソ)
「道理で情報が筒抜けだったのね」(ヒソヒソ)
「複数の萌えオタグループの集合体のようです。なんてったってキモヲタの最大派閥ですからね……」(ヒソヒソ)

とはいえ、ここまできたら後は作戦を決行するだけだ。
相手がビビりやすい萌えオタなのはかえってよかったのかもしれない。
アタシは魔人化してカルレアさんを拘束し、ユダ君が更に銃を付けつけながら、萌えオタ達の前に現れる。
ざわめくキモオタ達に、凄惨な悪魔の笑みを浮かべながらすごむ。

「ククク、悪魔様のお出ましだ。こいつを殺されたくなければソニアを出せ!」

オタ達は、期待通り焦り始めた。

「あれ、天使のリーダーっぽい人じゃね!? 死んだって聞いてたけど……」
「これはすぐソニアたんを呼んだほうがいいでござるか!?」
「いやしかし……」

しかし、一人のオタの言葉が、全てをぶち壊す。

「さっきガノタの友達からメール来たんだけどそいつらグルらしいぞ、フヒヒ。
そいつは悪魔側に寝返って手を組んだんだって」

「何やってんだガノタああああああああああ!!」

作戦完全崩壊だ! 態度を一変させたオタ達が勇猛果敢に立ち向かってきた!
先に進ませまいと必死で足にしがみついてくる。

「来たな、悪しき悪魔どもめ!」
「ソニアたんの元にはいかせんぞぉおおおお!」
「引きずられるのもまた興奮するでござる! ハァハァ!」

「嫌ぁああああああ!! 飴でも食ってろオタ!《キャンディドロップ》!!」

飴の雨を降らせて応戦する。しかし、オタ達は予想外の反応を示した。

「飴……!
口に入れたまま歩き回るのがお行儀が悪いと言う理由で昔ゼウスによって禁止された伝説のお菓子でござる!」

「やだ、美味しいじゃない……! デビルチルドレンSUGEEEEE!!」

「もっと降らせてぇええ! つか他のお菓子も出せるの!?」

オタ達に囲まれてお菓子をせがまれる。もうgdgdだ。

【続く】

331 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/10(木) 23:52:08.74 0
「一生菓子でも食っとけ!」

オタがお菓子にたかっている間に強行突破し、入り口の前まで来た。
気を取り直して、もう一度魔人化して脅しをかける。

「こいつを殺されたくなければソニアを出せ!!」

しかし、芳しい反応は得られない。門の所であれ程騒いだのだから、当然といえば当然である。

「とっくにバレてるっつーの!」
「悪魔も悪魔に与する裏切り者も皆殺しだ!」
「やっちまおうぜ!」

強そうな天使達に囲まれた。人質作戦を諦め、臨戦態勢に入るアタシ達。

「すまない、私はこの者達と共に進むことにしたのだ! シャルル、行けるか!?」
「ええ、一人10人って計算かしら……?」

多勢に無勢、はっきり言って非常にマズい。しかし、そこに意外な人物が現れる。
白い修道服に身を包んだ、美しい女性の姿をした天使。
カルレアさんが声を上げる。

「ソニア……!」

「あなた達、下がってください」

ソニアは、警備の天使達を制し、カルレアさんに歩み寄り……そして、抱き着いた。
その姿、いついかなる時もゼウスの命令を忠実に実行するプログラム、というイメージからは程遠い。

「カルレア様――よく、生きていらっしゃいました。
あなたは悪魔に惑わされているだけです! もう一度考え直してください!」

カルレアさんは、教え諭すように答える。

「違うのだ、これはきっかけに過ぎない。
我は……そう、ずっと前から堕天していたのだよ。あの反乱の日から……。
この身を貫いた魔法の矢、あれが私に自我を与える禁断の知恵の実だった……」

「何を……」

332 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/10(木) 23:53:25.73 0
天使とは、ゼウスの手足となって動く忠実なプログラム。
それにしてはこの街は妙に個性豊かな天使が多くはないか。
そして、カルレアさん堕天の最後の決め手になったのは、堕天使のシュガーちゃんだった。
そこでアタシは一つの仮説にたどり着く。堕天は、伝染する――
表向きのリーダーであったカルレアさんの影響を受け、この街の天使は皆堕天しかけているのではないか。
アタシの思考と連動するように、カルレアさんは、とどめの一言を放つ。

「そしてソニア、そこまで我を慕ってくれるそなたもまた……」

「嘘だ、そんな馬鹿な話が……」

頭を抱えて苦悶し始めるソニア。
彼女の表情には怒り、驚愕、戸惑い、そしてほんの少しの期待も入り混じる。
突然、精神的苦悶が肉体的な苦痛に変化したように見えた。胸を押さえて口走る。

「違う、ゼウス様、あなた様を裏切ろうなどと滅相も……」

「ソニア、どうした!?」

「う、うああああああああああああああああ!!」

絶叫するソニア。凄まじい衝撃波に吹き飛ばされる一同。
その中で、周囲の天使達がソニアの元へ吸い寄せられていくのが垣間見えた。
いや、遠くからも天使が飛んでくる。まさか、街中の天使がソニアさんを核に合体している!?

「何!? なになに!?」

激動がおさまったとき、目の前には、巨大な天使型の怪人が立っていた――。

「ソニアさん……なの!?」

カルレアさんが頷く。

「ホストを核にした天使の集合体だ……。
おそらく、これがホストに仕込まれた最後の防衛プログラム……!
少しでもゼウスに仕える事への感情の揺らぎが発生した時はこれが発動するようになっていたのだ!」

333 : ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/11(金) 00:22:57.52 0
―― デモ行進隊

案の定と言うべきか、ものの数分でトム達は怒りのアンソニー部隊に包囲されていた。

「後生でござる後生でござる!!」
「ゼウス様に仕えます、命だけはお助けを〜〜!!」

「今更謝っても許さん!! 皆殺しじゃああああああああ!!」

すわ万事休すと思われたその時。彼らを包囲する天使軍が突然飛び去っていく。
向かう方向は、本部のある人力発電所――

「助かったでござる……」
「おい、なんだアレ!?」

オタの一人が指さした先には、巨大天使型怪人が爆誕していた。

―― キューピッドアロー発射部隊

「ひぃ、怪人!」
「大きいでござるでかいでござる!」

突然現れた巨大天使怪人に、キューピッドアロー発射部隊は騒然となっていた。

「慌てる必要は無い。むしろ的が大きくて好都合だ! 撃つぞ!」
「はいっ!」

ピュグマリオンとシュガーの手によって、輝く光の矢が発射される!
光の矢は、過たず怪人を貫く……かと思いきや、手前で結界のようなものに阻まれ消滅した!

「今はあの結界が邪魔して届かないようですね……。ある程度弱らせれば届くようになるはず。
決戦兵器”ビッグキャット”の出番です!」

シュガーはそう言うと、指笛を吹く。ビッグキャットこと猫バスが走ってくる。
猫バスは大きく跳躍すると、空中で二足歩行型に変形した。
シュガーはビッグキャットの肩に飛び乗り、まずは近くにいる方のトムの元へ向かう。

「トムさん、猫バスの変形態です。
詳しい話は後です、あそこにいるシャルルさんと共にこれに乗り込んであいつと戦って下さい!
ビッグキャットは乗り込んだデビルチルドレンの能力を反映します。
強力な敵と戦うにはトムさんの再生能力が必要です!」

ビッグキャットが、乗れと促すように猫の手を差し出す。

334 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/11(金) 00:36:10.75 0
アタシ達は、巨大天使型怪人に大苦戦、というより苦戦以前に右往左往していた。
ユダ君が銃を乱射しても、アタシが魔人化して鎌をぶん回しても、蚊に刺された程度の反応しかない。
そうしている間に当然、向こうが攻撃を仕掛けてくる。

「皆殺しだ――、セレスティアルスター!」

天から光の柱が降り注ぐ。

「ひぃいいいいいいいいい!!」
「慌てるな! 木の近くでかがめ!」
「雷と同じ対処方法でいいんですか!?」

当たれば即死必至の攻撃の前に、成す術もなく逃げ惑う!

335 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/05/12(土) 02:54:32.21 0
天使達に取り囲まれ、もう駄目だ!な状況に陥る俺
あああああああああああああどうすんだこれ!
つんでるじゃん!
ってかわかってた事じゃん!

もう…武力行使で解決しちまっていいよね?
命がヤバイから強行突破してどっかに逃げよう!
シャルル先生ごめん!俺、痛いのは嫌です!

カルレアさん等に心の中で謝って、前方に立ちふさがる天使達めがけて散弾銃を連射しつつ突撃をかけんとした、その時…。

……え?何?ロボ?
ロボ戦ですか?最後ロボ戦やるんですか?

なにやら人力発電所から巨大な天使が出現し、その姿を見た俺は…

大っ変、心震えた!!

何だあれ!行きたい!是非あそこに行きたい!
ああああああああもう危ないのは万も承知だが、性がうずいてもうしょうがない!
らめ!私イッちゃううう!らめぇええええええ!

もだえる俺の元に、どこからかシュガーちゃんの猫バスが降り立ってきた!
これに乗れって?
言われんでも乗るたい!

俺は猫バスに駆け込み、猫バスは巨大天使めがけて緊急発進!
天使の放つ巨大なビームをかわしつつ、天使に突っ込んでいく!

うおおおおおおおおおおおおすげえええええええええええ超すげええええええええええええええ

………で、この後どうしよう。

……うがああああああああああああやべええええええええええええ何もおもいつかねええええええ。

あれだ!変形する庁舎をここに持ってきてくれ!それが駄目ならこう、あれだ…えーと…。
母ちゃん!こういう事態を想定して巨大ロボとかつくっとらんのか?

あああああああああああああああヤバイやられる!もーらめ!らめぇ!
逝っちゃう〜〜〜〜〜〜〜〜!

336 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/05/12(土) 03:01:18.90 0
……はい、案外簡単にシャルル先生のとこにたどり着きました。

寿命縮まった、ぜってー縮まった。
ビーム、ビームがギュイーンで、風が、ぶおーーーってきて…。

いや、まだシャルル先生達が乗ったってだけで何も状況は解決していない!

だからビ…ビームが…!
うひゃあああああああああああああ。

ぉろひゃぁああああああああああああああああああああ

うっぴゃらアアアアアあああああああああああああああ

降り注ぐビームと猫バスの回避運動のゆれに俺はなすすべなく振り回され、周囲の状況すらもうわからない。
そんな俺の目に飛び込む、猫バスに同乗していて同じく揺られてるシャルル先生!
こうなったら、もうあれしかなええ!!

「うおおおおおおおおおおおおおお俺は死ぬならここで死んでやるぅ!」

俺は最後の元気を振り絞ると、シャルル先生の胸に飛び込み、こう、ひしっと抱きしめて胸に顔をうずめた!
やわらかい先生の感触が顔面を包み、暖かい皮膚の感触が服のうえからもしっかりと俺の顔に伝わってくる!
もう離さない!
ここで死ぬ!
おっぱいの中で死ぬ!

【猫バスに乗ったはいいが何もできず、後から乗り込んだシャルルの胸に飛び込み、セクハラしつつ死を待つ。邪魔。】

337 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/16(水) 21:01:00.20 0
【ユダ君は銃を使わないのに何か所か銃を使ってる描写をしてしまった…。
他の武器に脳内修正しといてください。ユダ君ごめんよー】

「何かキターーーーー!」

二足歩行の巨大な猫が現れ、乗れと促すように手を差し伸べる。

「えっアタシ!?」

考えている余裕も無く誘われるまま乗ると、猫の胸のあたりがうみょーっと開き、そのまま中へ。
そこはまるでロボットの操縦席のような場所。
モニターには、外の状況、自機の状態など、画面が幾重にも重なって映っている。
そして、何故か先客がいた。

「トム君……!?」

そうしている間にも、容赦なくビームが飛んでくる。
自動回避機能がついているのはいいのだが――物凄い勢いで振り回されるアタシ達。
トム君が錯乱して抱き着いてきた。

「うおおおおおおおおおおおおおお俺は死ぬならここで死んでやるぅ!」

「あはは、ぱふぱふ1回100Gになりま〜す」

と、つられて軽く現実逃避していると……画面に大写しでシュガーちゃんが出て来た。

338 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/16(水) 21:02:22.58 0
『密室だからって何やってるんですか! 早くそこのボタンを押してください!』

我に返り、目の前の大きいボタンを押す。
ベルトのようなものが出てきて体が何か所か固定され、画面に大きくBATTLE MODOという文字が出た!
今までは回避専念モードだったのか!?
操縦桿は無い、その代わりに、水晶玉のような球体が出て来た。

『精神感応式操縦になってます。その玉に触れて念じたらその通りに動きます!
もちろんデビチルの特殊能力も反映されますよ!』

精神感応型操縦……昔ながらの操縦桿式のようにややこしい操作は必要なく
モーションキャプチャー式のように操縦者の運動能力が足を引っ張る事もなく
思った通りに即動く最も簡単で優れた操縦方式……と見せかけて、この操縦方式には別の難しさがある。
思った事がそのまま反映されてしまうので、間違って雑念が入るとその通りに動いてしまう。
更に、今みたいに2人乗りだったりすると本当に息がぴったり合っていないとタコ踊りなんて事になりかねない。
まずは雑念に捕らわれているトム君を引き離す。

「トム君……落ち着いて。余計な事を考えなければ勝てる!」

水晶玉に手を当てて念じると、猫型ロボットの手に、その大きさに見合った魔法のステッキが現れた。
そして、天使型怪人に巨大なパイ生地を投射する。
意外な事に、パイ生地はあっさりと天使怪人の顔に貼りついた。

「しまった……貴様、ふざけた真似を……!」

「もう一丁!」

調子に乗って、もう一つパイ生地を飛ばす。対する天使怪人は、翼を一振りはためかせた。
巻き起こる風で吹き飛ばされるパイ生地。そして舞い散った羽根の一枚一枚が鋭い刃と化し、全方位に向けて襲い掛かる!

「猫バス避けて!」

しかし猫バスは……避けない。相手の攻撃の性質上、下手に動くとより多くの攻撃を受けてしまう。
被害を最小限に抑えるには動かないのが得策と判断したのだ!
天使の羽根が猫型ロボットのそこかしこを切り裂く!

339 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/05/20(日) 03:30:50.09 0
胸に飛び込んだ俺を割りと乗り気で迎え入れるシャルル先生。

……あぁ、先生的にも俺と心中するのは悪くないの、か。
うれしいなぁ、こんな美人にそう思ってもらえるのは純粋にうれしい。

俺は静に目をつぶり、やがて来る消滅の時をゆっくりと、母親の羊水の中のようなシャルル先生の暖かい胸の中で…。

>『密室だからって何やってるんですか! 早くそこのボタンを押してください!』

……は、まだ先の事になりそーだわな。

要約すると玉に触れば猫が動く、能力が伝わる、んでもって二人同時に玉に触ると猫は動きづらいって事ださな!
よーーしわかった!

俺はそれを聞いておとなしくするために再びシャルル先生の胸の中へ…。

……ってのは流石にしない。
勝機が見えたのだ!シャルル先生のおっぱいは全てが終わった後シャルル先生型の天使を大量生産してもらってそこでうずもれればいいのだ!

「先生!バトンタッチだ!俺が猫を動かすから、先生は隙をついてあの天使の背中に飛び乗ってくれ!」

言って、俺はシャルル先生から操縦を代わり、舞い散って迫りくる鋭い羽の刃の中へ、猫バスを突入させる!!
ザクザクと猫バスの体を相手の刃が斬りつけ、猫バスの四肢や表層に瞬く間に致命的とまでは俺が回避運動をしているためいかないが、ダメージが次々とできてしまう。
しかし…

「次のコマでは元通り!『ギャグキャラボディ!!』」

シャルル先生が如く能力発動にせりふをつけて発動させたギャグキャラボディが猫バスの傷をふさぎ、猫バスは素早く天使の後ろへ回る。
今だ!

「先生!例の鎌で奴の羽を切断するんだ!シュガーちゃんの弱点が羽だったみたいに、連中の弱点は羽に違いねぇ!」

根拠は無いが、他に攻めても無い、俺は相手が旋回して正面を向く前に、シャルル先生へ相手の背中へ飛び移るように言う。
これで決まるか?

340 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/24(木) 01:01:23.90 0
>「先生!バトンタッチだ!俺が猫を動かすから、先生は隙をついてあの天使の背中に飛び乗ってくれ!」

再びトム君のやる気のスイッチが入った!
飛び乗るだってー!?と一瞬思ったがそういえば魔人化すると翼が生えるから滅茶苦茶無謀な作戦でもない。
でも人サイズの者が飛び移ってあの巨体に攻撃したところで通用するのだろうか。
どんどん敵に近づいていくため、猫バスが傷だらけになっていく。

>「次のコマでは元通り!『ギャグキャラボディ!!』」

『再生能力とは小癪なっ……!』

トム君の能力で傷ついた猫が元通りになり、猫バスの方に巨大天使の注意が向いた。
飛び移るなら今だ!

>「先生!例の鎌で奴の羽を切断するんだ!シュガーちゃんの弱点が羽だったみたいに、連中の弱点は羽に違いねぇ!」

「そうか、リンネでの経験はこっちでゼウスと戦う時に役立つように作られている……!
やっぱりあなたデビチル界の孔明ね!」

あまり長時間トム君に能力を使わせるとトライブ化してしまう。
入った時みたいにうみょーっと、こっそり外に出たアタシは漆黒の翼をはためかせ、天使の背後に陣取った。
大鎌を振り上げ、後は自由落下しながら切り落とすだけ。あれ、意外と楽勝?
それを実行しようとした時だった――

『私は羽根を切り落とされると自爆するぞ――そのようにプログラムされているのだ』

「なんだと!?」

どうせハッタリだ、いやもし本当だったら……様々な思いが駆け巡る。
羽根を切り落とされて敵方に回るぐらいなら天使のまま散る最後のプログラム、いかにもゼウスが仕込みそうなことだ。
とどめは自分にやらせてくれと言ったカルレアさんの言葉、カルレアさんと通じ合ったシュガーちゃんの笑顔
リンネで散った親友の顔、様々な事を思いだす。
そしてアタシは――結論を出した。

341 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/24(木) 01:05:31.32 0
「覚悟!!」

鎌を振り上げ、自由落下に任せて一気に下ろす!

『ぐああああああ!!』

断末魔の叫びをあげる巨大天使怪人。”背中の中心”にぱっくり開いた裂け目から、眩い閃光が漏れる。
翼は敢えて外し、その真ん中を裂いたのだ。その両脇の翼は、いまだ健在――。
アタシが鎌で切り裂いたのは、天使怪人の背中の『ファスナー』のようなものだ。
よく目を凝らしてみると、背中の中心にうすーくつなぎ目のようなものがあった。
多分、天使達の集合体である天使怪人のつなぎ目という概念が実体化したもの。
リンネのシュガーちゃんに勝利した時、羽を引っ張る前に何があったか。
そう、予期せぬ事故によってトム君が服のファスナーをずり下ろしたのだ。
美麗なアクションや格好いい台詞より予期せぬハプニングが未来を切り開く鍵なら
むしろとどめの決め手となったそちらが重要なヒントなのではないかと思った。
なので今回も飽くまで間抜けなハプニングの振りをする。

「あっちゃー、狙いがはずれちまった!」

『貴様、何故合体解除の方法を知っていた……!』

白々しく演技するも、流石にバレバレだった。
しかしもうそんな事は関係なく……

―――――
「今です、ピュグマリオンの矢……」
「「発射!!」」
―――――

巨大な光の矢が、天使怪人の背中の裂け目にジャストミートする!!

342 :名無しになりきれ:2012/05/25(金) 01:21:19.52 0
今の状態が一段落したら参加したいのですがよろしいでしょうか?

343 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/25(金) 01:48:35.12 0
>>342
是非是非! もうすぐ新章開始するのでもう少しだけお待ちを!
次章の方向性はまだ決まってないので一緒に作っていきましょう!

344 :342:2012/05/25(金) 02:32:58.41 0
おー、ありがとうございます!
どうぞよろしくお願いします!

345 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/05/27(日) 00:25:47.47 0
勝った!
ピュグマリオンの矢は巨大天使に炸裂し、体は元の天使になってぼろぼろと崩壊、その中からソニアがゆっくりと分離、地上へと落下していく。

で……。

あ…あれ?
か…書く事が無くなってしまった…。

何と言うか、安心?
勝った事への…安心が…体中から湧き上がって……。

い…いよっしゃあああああああああああああ勝った!勝ったぞ!

あ、でも、あれか、これ、まだ全然最初の敵なんか。で…でも、まぁ、勝った!
うん!
勝ったんだ!
うあああああああああやった!やったんだ!

喜びに沸き立つ俺は、猫バスから降りると、地上のオタ達と手を取り合い、遠くの人と声を掛け合い、近くの人と抱き合って喜びを分かち合う。

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお勝ったどおおおおおおおおおおおおおおおお

「デビチルばんざーーーい!」
「ピュグマリオンさいこー!」
「結婚してー!俺男だけどー!」

大歓声が沸きあがり、アキヴァ中から勝利を喜ぶ声が響く。

皆…皆やっぱり、ゼウスの支配に心の中で反対してたんだ。

やがて紙ふぶきが舞いだし、爆竹も鳴り出した。

俺達は…勝ったんだ!

>>344
よろしくお願いしますね。

346 :342:2012/05/27(日) 18:47:37.16 0
>>345
ありがとうございます!
よろしくお願いします!

347 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/27(日) 22:58:34.95 0
眩い閃光の中、巨大天使は元の天使たちに分離していき、最後に一人の美しい天使がゆっくりと地上に降り立つ。
その瞳に宿るのは、戸惑いと、恐怖と、微かな喜び。

「ソニア……!」

カルレアさんが、真っ先に駆け寄って迎え入れる。

「カルレア様……、私は、いえ、私達は……これからどうしたらいいのでしょう。
ゼウス様にお仕えする事が私達天使の存在意義……それを失った私達は……」

ソニアさんの気持ちの吐露に、言いにくそうに答えるカルレアさん。

「すまないソニア、我は騎士としてこのシャルル達に最後まで仕えるつもりだ。
もうお前の上官でいる事はできない……」

ピーちゃんも、横から言葉をはさむ。

「神の支配から解放されたカルレア様を見て思ったんだ。
天使達を自由な意思が持てぬ呪縛の檻から救い出したいと。
もしかしたら、自由とは最大の罰なのかもしれない。お前達にとって不幸な事だったのかもしれない。
恨むなら恨め。今更どうしようもできないが、な」

「……」

アタシは空気を読まずにお菓子をたくさん出しながら言った。

「はいはいはい湿っぽいのはお終い! とりあえず宴よ宴!
やる事ならあるよ! アタシ達が世界を変えるまで、今まで通りこのアキヴァを守ってほしい――!
これだけの大事件だもの、ゼウスの耳に入らない訳はない。
反逆者の牙城となったこの街にはきっとたくさんの刺客が攻めて来るわ……。
うじうじ悩んでる暇なんてないわよ!」

ソニアさんの顔が急にぱっと明るくなったように見えた。

「それもそうですね。こうしてはいられない、まずは本部の天井を修復しなくては……!
アンソニー部隊、今回の戦いの被害状況を報告して下さい!」

「ハハハ、急に元気になったな。
しかし今宵ぐらい楽しもうじゃないか、もうゼウスの忠実な部下ではないのだから」

爆竹が鳴り、紙ふぶきが舞い、花火が上がる。たくさんのお菓子を前に、笑いあう天使とオタ達。
もちろんまだ一つの街を解放しただけ。これからたくさんの困難が待ち受けている事だろう。
しかし革命の最初の一歩は、ここに確かに踏み出されたのだ――!

アキヴァ編――mission complete!

348 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/27(日) 23:13:17.28 0
アキヴァ編クリアおめでとう&ありがとう&お疲れさまでした!
後半二人っきりとは思えないほど楽しかったよー!
一時はあまりの過疎っぷりに存続も危ぶまれたのに新規も来ていい事尽くめね。
次章どうする? 即最終章でいいならエデン編って手もあるけど他を挟むのも面白そうだし…。

あと内容があまりに学園都市からかけ離れてるから次のスレタイはこうしたらどうだろう
【学園都市】電脳神話デビチル!【TRPG】

349 :342:2012/05/28(月) 01:20:53.56 0
私は初期から読ませて頂いてますので一応流れは把握出来てます、のでどちらでOKです!
ただ、我儘を言わせてもらうなら楽しみたいので即最終章はちょっと…。

350 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/28(月) 20:41:59.30 0
初期からの読者さんかー! 即最終章は避けたいとは嬉しいお言葉です。
一応唯一神の圧政から心の自由を取り戻すお話なのでカタコンベ周りの設定を活かせる舞台がいいかもしれませんねー
という訳で次章の舞台候補

・芸術の都パリス
かつて華やかなる文化を誇った芸術の都。
ゼウスに支配された現在では見る影もなくなった……と思いきや
一部のよく訓練された芸術家達がカタコンベで以下略

・音楽の都ヴィエナ
かつて華やかなる文化を誇った音楽の都。
ゼウスに支配された現在では見る影もなくなった……と思いきや
今宵も地下の隠れ家でジャイアソリサイタルが行われる。

・魔法都市ロンディニウム
大昔の科学全盛期に何故か極秘で魔法省があったとされるどこまで本気なのか分からない国の首都。
脈々と続く魔法使いの末裔達がゼウスの支配下となった今も
地下に潜り日夜どこまで本当なのか分からない儀式を行っている。

351 :342:2012/05/29(火) 16:30:46.01 0
>>350
どれも面白そうですが、個人的には音楽の都に惹かれました。
ところでキャラは天使側か悪魔側どちらでやればよいですかね?
基本的に日参できますのでどちらかでも両方でもOKなのですが。

352 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/29(火) 22:41:56.26 0
>>351
ヲタクの聖地の次は音楽の都行っちゃいます!?

特に参加枠に制限はかかってないので過労死しない程度になんでもどうぞ!
デビチルと天使の他にアバターや堕天使でもおkよ!
ちなみに悪魔側なら全員同じ勢力になるので
アキヴァ編の後半みたいに敵を共有NPCにしてリレー小説形式で回すようになると思います。
日参出来るとは心強い。
トム君が週一しか来れないのでもし元気が有り余っているようであれば
両方やるのもペースのバランス的にいいかもしれません。

353 :342:2012/05/30(水) 21:01:12.32 0
>>352
制限無しならばぜひ両陣営に参加させてもらいます!
ちなみに天使側の救いようのない悪役ってOKですか?
完全な悪〜、みたいな感じの役をやってみたいのですが……大丈夫ですか?

一応、悪魔は覚醒時に転送されてくるという設定みたいなのでプロフィールとキャラクターの導入部を明日の夜頃に書きたいなー、などと思ったり。
天使側の方はタイミングを見て、という感じでよろしいでしょうか?

354 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/05/30(水) 21:42:21.38 0
>>353
ガチ悪役クルコレ
前章とはまた違う感じになりそうで面白そう!

ではそんな感じで行きましょう!

355 :エルザ・ガレドルード ◆af328Wa1zg :2012/06/01(金) 00:11:07.15 0
気が付けば、というよりもまるでチャンネルが切り替わる様に自分は其処にいた。
現在の状況、現在の時間、現在の場所。その全てが不明確のままで其処に放り出された。
目の前には見知らぬ人々、目に付くのはピンクの髪の女性、黄金の髪と黒の髪を持つ少年達、そして羽の生えた人間?
一瞬、理解できない感覚に脳内がパニックを起こそうとするがそれも僅かの事だった。
まるでPCがデータをインストールするようにその人達の情報、そして現在の世界の状況が自分の脳内に流れ込んでくる。
一瞬の沈黙の後、自分はピンク色の……いや、シャルル・ロッテという名の女性前に立つ。
その近さたるや『目と鼻の先』という言葉がピッタリだ。
そして……。
自分はガッ、と踵を合わせ、自らの『上官』に敬礼をした。

「お初にお目にかかります、でアリマス!自分の名はエルザ・ガレドルード!本日今この時より貴官殿の部下になるでアリマス!
貴官殿に付き従い命令を実行するでアリマス!その任期は自分が死ぬか適任が現れるまで、でアリマス!」

そして明らかに自分よりも年下であろう少年達にも手の抜かない見事な敬礼をする。
当たり前だ、年下であろうと年上であろうと先輩は先輩、上官は上官。その上下関係は絶対だ

「同じく初めましてでアリマス!本日今この時より先輩殿の後輩になるでアリマス!
 若輩者ではアリマスが、どうぞ!遠慮なきご指導、ご鞭撻のほど希望するでアリマス!」

そうして挨拶を終えた自分は、軍人らしく堂々と胸を張る。
が、それも束の間の事、ハッとしたようにシャルル上官を見ると再び敬礼をし言葉を発する。

「ところで上官殿!無知で申し訳ございません、でアリマス!現在の状況をお教え頂けないでしょうか、でアリマス!」

【中の人の会話は【】した方がよいでしょうか?勘違い軍人キャラで行こうと思います。どうぞよろしくお願いします!】

356 :エルザ・ガレドルード ◆af328Wa1zg :2012/06/01(金) 00:13:08.95 0
名前 エルザ・ガレドルード
外見性別 女
外見年齢 19歳
髪の色 緑
瞳の色 金
容姿 女性にしては筋肉質だが外見は細い(胸以外は無駄な肉がない)
目付きは鋭い 髪型はショートボブ へそ出しのトップスにショートパンツ。
備考 自称軍隊マニア、という割には肝心の軍隊知識に関しては足りていない。言葉遣いも紛い物っぽい。
好きなもの 和菓子、上官(先輩)、爬虫類、銃火器、爆発物
嫌いなもの 苦い物、可愛らしい動物、軟弱な人間(上官は除く)、カボチャ
うわさ@ 上からの命令には絶対服従らしい(年下でも)
うわさA 上が絶対らしく自分の正義などあってないようなもの
普段の能力 『パンプキンボム』、カボチャ型の小型手榴弾。
      爆竹程度の目晦ましの威力ならノータイムで精製可能。爆破は自分の意志で可能。
      人間を吹き飛ばすには精製してから10秒程度の『溜め』が必要。ただし『溜め』過ぎる(30秒ほど)と暴発する。
      また複数同時に精製も可能だが全てを30秒以内に使い切らなければならないのでエルザはやりたがらない。
魔人化後の能力 『トリガー・ハッピー』小型の爆弾を撒き散らす2丁の全自動小銃を現出させる。
        この際の性格は唯撃ち続ける事だけを目的とした敵も味方も分からない乱射狂へと変貌。翼も短時間なら現出可能。
抑えられない衝動 銃を撃つこと、もしくは爆発物を使用する事。一定期間、どちらかが満たされないと強制的に魔人化する。

357 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/02(土) 00:31:24.72 0
―― 数日後

「よし、出来た!」

ピーちゃんが爽やかな顔で宣言した。
猫バスを改良してくれると言うので、お言葉に甘えてしてもらっていたのだ。

「ワープ航法を搭載した! これで世界の裏側でも一っ跳びで行けるぞ。
冒険の舞台は選び放題だ!」

「……じゃあもうエデン行けばいいんじゃね!?」

旅のナビゲーター的ポジションのシュガーちゃんが慌てて口を挟む。

「駄目ですよ、まだレベルが足りません! 今行っても入った瞬間に死ぬだけですよ。
もっと色んな都市を制圧して革命の気運を盛り上げてからラスボスを倒しに行きましょう!」

その時、目の前に急に人が現れた。

>「お初にお目にかかります、でアリマス!自分の名はエルザ・ガレドルード!本日今この時より貴官殿の部下になるでアリマス!
貴官殿に付き従い命令を実行するでアリマス!その任期は自分が死ぬか適任が現れるまで、でアリマス!」

「なんじゃあ!?」

その理想的すぎるフォルムの軍人口調に、アキヴァのミリオタか何かかと一瞬思った。
しかしそれでは急に目の前に現れた説明がつかない。
シュガーちゃんが笑顔でぺこりとお辞儀をする。

「ああ、新たに目覚めたデビルチルドレンですね、よろしくお願いします!」

「そうだったの。転送されてくるとは聞いてたけどやっぱり驚くわね……。
シャルル、でいいわよ。この集団は上司とか部下とかそんなノリじゃないから。
トム君はリンネにいた時の名残で先生って呼んでるけどね」

>「同じく初めましてでアリマス!本日今この時より先輩殿の後輩になるでアリマス!
 若輩者ではアリマスが、どうぞ!遠慮なきご指導、ご鞭撻のほど希望するでアリマス!」

「聞いてねーーー! ってかあり鱒大漁だ! 折角だから焼き魚にして食ったろか!」

>「ところで上官殿!無知で申し訳ございません、でアリマス!現在の状況をお教え頂けないでしょうか、でアリマス!」

「お安い御用よ! シャルル先生のすぐに分かる学園都市TRPG講座〜!」

358 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/02(土) 00:33:51.42 0
―― 今までのあらすじ ――

【リンネ編】
舞台は、悪魔の力に目覚めた者達が集う学園都市。
ある日、怪盗角砂糖と名乗る者による、学園の宝を盗むという犯行予告が行われる。
犯行を阻止するために奔走する学園の生徒シュナ、シャルル、トム達。
彼等は怪盗角砂糖の元にたどり着き、彼を倒す事に成功する。
すると突然意識が遠ざかっていく。夢現の中、シュナが仲間達に真実を告げる。
実はこの学園都市があるのは、【リンネ】という、プログラムで出来た架空世界だった。
怪盗角砂糖を倒す事に成功した事は、現実世界に誕生する資格を得た事を意味する。
こうしてシャルルとトムは現実の世界に誕生したのだった。
現実世界は、古に作られたスーパーコンピューターにして神たるゼウスに支配されたディストピア。
デビルチルドレンとは、人類の最後の希望をかけて開発された対ゼウス兵器だったのだ。
同時に誕生したデビルチルドレンであるユダ
怪盗角砂糖のモデルとなった堕天使シュガーを仲間に加え、ゼウス打倒の戦いが始まる。

【アキヴァ編】
彼等に課せられた最初のミッションは、かつて華やかなる文化を誇ったというアキヴァの街を解放する事。
襲い掛かってくる雑魚天使達を倒しながら
ゼウスの魔の手から逃れるために地下に潜って活動しているオタク達と合流するが
天使達の表向きのリーダーカルレアに見つかって、戦闘となった。
戦闘の末勝利をおさめ、カルレアは堕天して仲間となる。
カルレアは、昔の反乱で、失敗作ではあるものの天使を堕天させる矢を受けた事があったのだ。
カルレアは、アキヴァの天使を統べる真のリーダーはソニアであると告げる。
一行はソニアを堕天させる方法を探るべく
昔カルレアを撃った弓矢『キューピッドの弓矢』を開発した天才科学者ピュグマリオンの元へ行く。
紆余曲折の末にピュグマリオンの協力を得る事に成功。そして、キューピッドの弓矢は改良されていた。
シャルル達は本部に突入し、ソニアを誘き出す。
しかし仕込まれていたプログラムにより、ソニアを中心にアキヴァ中の天使が合体して巨大天使怪人が現れた。
シャルルとトムは、戦闘用ロボに変形したビッグキャットで応戦。
勝利したところで、巨大天使怪人を魔法の矢が貫く。
ソニアは見事にゼウスの呪縛から解き放たれ、アキヴァは解放されたのだった。

359 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/02(土) 00:37:25.91 0
用語集
アバター【あばたー】
大昔の人体実験で生まれた、情報体となった元人間。
情報体なので、デビチルと同じく天使に攻撃を加える事が出来る。

学園都市遺跡エデン【がくえんとしいせきえでん】
ゼウスが待ち構えるラストダンジョン。

カタコンベ【かたこんべ】
人々がゼウスの目を逃れて様々な活動を行うための地下の隠れ家。

ゼウス【ぜうす】
暫定ラスボス。世界を支配するスーパーコンピューター。
人々の心の自由を許さないディストピアを形成している。

デビルチルドレン【でびるちるどれん】
人類の最後の希望として開発された、対ゼウス用プログラム兵器。
架空世界リンネでの気の遠くなるような倍率の選別を潜り抜けて生まれてきた精鋭らしい。

天使【てんし】
ゼウスが使役するプログラム。各街に配備され、人間達を支配している。
情報体なので、普通の人間には傷つける事が出来ない。
堕天使……ゼウスの支配を脱してデビチル側についた天使。

ヘル【へる】
何故かゼウスの支配が届かない地区。
リンネのシステムがあり、ゼウスに認識されない特異体質のアバター
リリスが中心となって、デビチルの生成が行われている。

ホスト【ほすと】
その町の天使達を総括する、ホストプログラムたる天使。
これを倒すか堕天させるとその街を制圧した事になる。
多くの場合、表向きのリーダーとは別人である。

リンネ【りんね】
デビチルを作り出すためのプログラムであり、生まれる前のデビチル達が生きる架空世界である。

360 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/02(土) 00:43:04.80 0
>>355
【よろしくお願いします! そうね〜中の人の会話は【】でやってます。
今の所避難所無しでやってますが避難所がある方がやりやすいようなら言って下さいねー。

……そろそろ次スレの季節だ】

361 :トム ◆GAazGNP2wQ :2012/06/02(土) 04:52:29.79 0
>>348
【そう言っていただけるとやったかいがあります。
こちらこそありがとうございました。】
>>355
【これはまたクセの強そうなキャラですねw
よろしくお願いします】


アキヴァ解放後…。
俺はゼウス軍の手から解放されたプログラマー方と出会い、プロジェクトサキュバスの完遂に向けて動いていた…。
のだが、皆意外と大真面目であり、俺は話を持ち出せず。
挙句の果てに俺が不死身なのをいいことに対天使用兵器の運用モニターにしようとしてくる奴までいた。

「このコンピューター制御のブレード、「美突鞘華」は内臓のコンピューターを神経にコネクトして超人的身体能力と達人の技を誰でも使えるようにした物だ、成功すれば後は情報体をどうやって攻撃できるようにするかと言う問題だけになる。」
「いや、それ、常人が装備するにはコンピューターをコネクトするために人体改造しなきゃならなくないっすか?」
「…そうなるね、まぁ、でも人類の解放のために死ぬんだからいいじゃ…」
「いやいやいやいやいやいやいや、そーいうのの研究開発に携わるのはちょっと…」
「何故だい?人類は云十億もいるんだから個体の生き死ににこだわるのは…」
「騙された奴がお化けになって出てきたら嫌だし絶対2〜3人その刀持って裏切る奴とかでてきますよ」
「よしやめよう。代わりにこの妖銃「マミール」を…」

こんな感じで様々な危ない武器を装備させられそうになっていた俺はすっかり意気消沈。
そんな俺を救ってくれたのは…。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ウル○ラシリーズ超面白ぇええええええええええええええええええええええええええ」
「だろ!?だろ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお同志キターーーーーーーーーーーーーー」

特撮シリーズだった!!
いや凄い!ガチ凄い!面白い!
特にアレだ、巨大ヒーローが最高だね、だってアレだ、等身大とか普通にいつも見てるし…。

そんなわけで巨大ヒーローにどっぷりはまり、すっかりキモオタランドと化したアキヴァで仮面○イダーより先にウ○トラマンの新作が製作される中…。

>「同じく初めましてでアリマス!本日今この時より先輩殿の後輩になるでアリマス!

「……先生、何か痛い人が」

俺もドン引く様な痛い人が突然目の前に現れ、そして新たな冒険が始まろうとしていた。
えー、俺ぶっちゃけアキヴァに永住したいんだけどなぁ…。

そしてシャルル先生の口から今までの説明がなされる中、俺はもうすっごいキャラが立っているエルザさんにとりあえず挨拶する。

「あー、俺は、トム・ジリノフスキーです、よろしく」
「トム殿!帰ってきたウル○ラマンの37話が発掘されましたぞ!」
「真ですかマキ氏!」
「至急本部へ戻ってくだされ!」
「GIG!!先生!俺、急用ができたのでこれで!」

うおおおおおおおおおおおおおおお!あの名作と噂される37話が、遂に!
こうしちゃいられねぇ!すぐに本部へ戻らねば!

俺は二人に別れを告げると、特オタ連合本部、ツブラーヤ事務所へと向かう!
あああああやっぱここに永住してぇえええええええええええ

362 :エルザ・ガレドルード ◆af328Wa1zg :2012/06/02(土) 22:56:17.52 0
>>357 351
シャルル上官の話を聞いた自分は再び敬礼をする。

「認識を完了しましたでアリマス!シャルル上官殿、説明感謝でアリマス!」

>「あー、俺は、トム・ジリノフスキーです、よろしく」

「ハッ!トム先輩殿でアリマスね!どうぞよろしくお願いします!」

さらにビシリ!と敬礼をする自分だが、トム先輩は他の人の言葉に去って行ってしまう。
なるほど、多忙な先輩なのでアリマスね。しかしそれだけ人望があるという事でもアリマス。
どのような先輩かまだわからないが『頼りなる』というその一点だけは理解できた。
自分はシャルル上官に向き直り、姿勢を整える。

「シャルル上官殿、自分の『能力』をお見せしたいのですがよろしいでしょうか?
 ではまず、耳をお塞ぎになってくださいでアリマス。他の方も耳を塞いでください!」

シャルル上官の返事も聞かずに自分は右手を前に出す。右手には既にカボチャ型の手榴弾が握られていた。
投擲位置を捕捉。その場所に誰も居ないのを確認するとそれを軽く地面に放り投げる。
台詞を言い終えてから動作を始め、そして終えるまで約3秒。
一体どれだけの人が自分の言葉に反応できたのか、その時はまだ考えていなかった。

「Ok、Blast!」

自分の掛け声と共に閃光と大きな炸裂音が響き渡る。
その音で大気が振動し、涙腺を刺激し鼻腔を突き刺す様な火薬の香りが辺りに充満した。
僅かに気分が高揚する感覚に胸が高鳴るが、それも一瞬。即座に次の行動に移る。
今度は自らの左手を誇示するように掲げる。
その左手にもまた先ほどと同じように手榴弾が握られていた。

363 :エルザ・ガレドルード ◆af328Wa1zg :2012/06/02(土) 23:00:00.06 0
耳を塞ぐ動作が間に合わなかった者がいるのを考慮し、『もう一度やるでアリマス!』という姿勢を見せたのだ。
一体どれだけの人がその自分の行動に気付けたのか、その時もまた考えていなかった。
1個目の手榴弾と同時に精製した2個目の手榴弾。習慣となった脳内のカウントダウンではそろそろ10秒が経過しようとしていた。
それを見計らい先ほどとは違う、もっと離れた場所に勢いよく投擲する。
無論、その場所の周辺に人がいないのは十分考慮したうえでの投擲だ。

「Blast!」

再びその言葉を発した瞬間、再び閃光と炸裂音が響き渡る。
しかし先ほどは音と光と香りだけだったのに対し、今度は熱風と衝撃が加わった
爆炎によって舞い上げられた様々な破片がパラパラと降り堕ちる。
煙が晴れると、自分が投擲したその場所には大人一人すっぽり収まりそうなほどの幅のクレーターが出来上がっていた。
周りに静けさが戻ったのを見計らい、自分はシャルル上官を見ながら言葉を発する。

「以上が、自分の能力『パンプキンボム』でアリマス!
 精製してからの『溜め』に応じ、威力を変える手榴弾でアリマス!爆破は自分の意志で可能でアリマス!
 何かご質問があればどうぞ!シャルル上官殿!」

辺りの惨状を気にせずに言葉を言い切ると先ほどして見せたように堂々と胸を張った。

【エルザは残念な人なので生暖かく見守ってほしいのです……。避難所は有った方がいいかもですね】

364 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/03(日) 19:37:31.09 0
>「GIG!!先生!俺、急用ができたのでこれで!」

「ちょっとトム君!」

トム君は、帰ってきたウ○トラマンの37話を見に行ってしまった。

「シャルルさん、ウ○トラマンは置いといてボ○バーマンしません? 一人人数が足りないんですよー」

ゲーオタが誘ってくる。
ボ○バーマンとは、閉鎖空間の中に4人程度の爆弾が生成できる人が閉じ込められて
互いに爆弾で爆破しあうという酷いシチュエーションのゲームである。

>「シャルル上官殿、自分の『能力』をお見せしたいのですがよろしいでしょうか?
 ではまず、耳をお塞ぎになってくださいでアリマス。他の方も耳を塞いでください!」

「?」

カボチャ型の物体が放り投げられる。
言われるままに耳を塞いだ直後。カボチャ型の物体が爆発した!
閃光をまともに見たアニメ映画オタが騒いでいる。

「目がぁ!目がぁ!」「大丈夫ですかムソカさん!?」

「リアルボ○バーマンだ……」

もう一発炸裂し、今度は凄まじい爆風にアニメ映画オタのヅラが飛んでいく。

「髪がぁ!髪がぁ!」「ムソカさんってヅラだったんですか!?」

>「以上が、自分の能力『パンプキンボム』でアリマス!
 精製してからの『溜め』に応じ、威力を変える手榴弾でアリマス!爆破は自分の意志で可能でアリマス!
 何かご質問があればどうぞ!シャルル上官殿!」

「えーと……それって味方も巻き込みます?」

分かりきっているけど一応聞いてみた。これから色んな意味で賑やかになりそうだ。

365 :シャルル ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/03(日) 20:27:56.23 0
【次スレと避難所作りました】

【学園都市】電脳神話デビチル!U【TRPG】
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1338721615/l50

【学園都市TRPG】電脳神話デビチル!避難所
http://yy44.60.kg/test/read.cgi/figtree/1338721396/l50

366 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 00:21:36.86 0
※AAはイメージです。実際は多分こんなんじゃありませんw
天使の粛清

        (\
         \\
          (\\
           \\\
           (\\\\
           (\\\\\
            \\ |||
( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | ⊂⊃
  ̄ ̄( ̄ ̄//// ̄\  ∧ ∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ̄(//// ̄\\( ゚Д゚) < 氏ねやカス共 ゴルァ !!
   ".;":  (/(/// ̄(つ つ    \_____________
".;":         (/(/|  \\
 .;".;": ..;".;;:  (/((/ ∧|\\       .;".;": ..;.;".;
   .;".;": ..  ;    ∪ ∪  \\         .;".;": ..;.;".
.;".;"    .;".;             \\
   ゴ オ ォ ォ …… ! !      \\   ;": ..;.;".;":
          .;".;": _.;.;__       \\   ド カ ァ ン !
 .;".;": ..;.;".; ζ /_.;_/| .;".;"_ \\  .;".;.;".;":
.;".;": ..;.;".;": ;:'.;| ΓΓ | |;":从へ_/|  \\.;".;"_.;__..:
从へ从へへ从  ; ζ  | Γ从 | |;:.. |从Γ | |    \\ ∠___/|
    ( ⌒( ⌒ ) ζ | 从Γ | |.:;. |从Γζ.;"._ \\|ΓΓΓ| |
(   ⌒ ⌒  ⌒ );  | ΓΓ | |.;;::|ΓΓ | |  ( 从へ;: |从ΓΓ| |
 Σ( ⌒( ⌒ ) ζ  ( ( ) )⌒ ) ( 从へ从)_.;;:.;|Γ从Γ| |
 ( (( ( ⌒ )) )  从 Σ( ⌒(  从へ从) ∠___/|
Σ (( ( ⌒ )) ) )(( ⌒ ( 从へ从) .;".;:;|ΓΓΓ| |
 (( ⌒ ( ( ) )⌒ );:;   .;".;": ..;.;".;":|从ΓΓ| |

367 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 00:35:34.36 0
天使の粛清その2

 クズの分際で我に逆らうとは…愚かな。 │     .: ,.:ヽ<        ミノゝ .:.,
 天の雷の中で終焉を迎えよ….        |      .,.:..ゝ/.:       >/.:..,
 セレスティアル・セイバー!!       |      ..,;.ヘ|.        」>》,.;:
\_________ _______/      ...:\ゝ       ヽ\.:;
     ミミ   \   ∨| ミ                ..,:;.,,<ゞ        /》,..::;
       ミ    \⊂⊃  ミ               ..ゞ/|         >/,,.:;
        ミ    ∧_∧               ..,:.;.,:<丶       /》.,:.;;
    ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\( ・∀・)/ ̄ ̄ ̄彡       ;,,,;iミ.          |ヾi::;.
     ミ       ⊂   † ⊃___彡        ..,;.ゝ/,.         》..,.;
      ̄ ̄ ̄ ̄/ |  |  |  \           ...,:.;..;\;|         ゞ>..,;;,:
           /   (__)_,,)彡 \          :::,;.;.:.<ヽ        >》;;.:,..
          /    ミ       彡  \     ドォォォォ .,:../.<:.        /|ヾ,,.;;:..,;ォォォォォン!
        |    ミ          彡   |       ..,:.;.;.,:.;;/ゞ        \》);;,:..,:.;.;:,;..
          \ ミ         彡 /     ...,:.;:,;.;;<;:\<    ;  ;      》//.>.,:.;,:,;
           \ミ           彡/     ,,:.;,..,巛;<\.., .  ;,:.;>>1 ,;.:;,,.   />》;,;.:,;..

368 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 00:36:58.45 0
シュガーたん

  + ⊂⊃
  ∧_∧ +
  (*゚ー゚)
|⌒/つつ
 川  ノ
  ∪∪

369 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 00:38:39.76 0
魔人化シャルル

                     ∧∧∧∧∧∧∧∧∧
                    <              >
                   <  貴 様 に 死 が   >
                    <    訪 れ る !!   >
                     <           >
                 ∨\ /∨∨∨∨
              (/^      //
            /(⌒^       ∨          ^\)
          / ノ)         /| ∧       ^⌒)\
        / ./ ノ     ____/ / ヽ\_     //ヽ\
      /   ./( (.    (_ __/ (^\ )   / /  ) \
    /    / ) \.     ヽ ヽ_ノ .ノ⌒   ノ /\.. )   .\
  //   〈/; `ヽ^⌒\.((´ ∀`))/⌒ ノ  (⌒^ノ   \_>
  ⌒/     \__:/:^⌒> ⊂ ⌒^⌒つ <⌒~ヽノ^  ノ     \
   /       \ ) ノ /⌒|::::::|:::::|⌒\ヽ (^   ノ   /⌒^
  /          \)/   (__)_)   \(    ノ  ./
  / /~)        \                ν  ノ /
 ν   ⌒^~)       \                 ノ/
          ⌒^~)     \        |\   ν
             ⌒^^)   \     ∧|  \∧∧∧∧∧
                 ⌒⌒ヽ )  <           >
                      ν  < 決 し て       >
                    <  逃 れ ら れ ぬ  >
                    <  死 が !!!! >
                      <           >
                      ∨∨∨∨∨∨∨

370 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 00:52:27.07 0
街の風景?

   .....   "''''''""""""''''';:;:;,.,,..... ..              .....,,,,__...,,;:;'''""''''::;;;;.......,,,,...;:;:;;''''"
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       |:::::::.............  .....::::::::::::.....    ...::::::::::::::....... .   _____|\                . . . .: : : : :::... .
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    :|  \  \                          |  | |: \\!       \
    :|   \  \ [囗   [囗   [囗   [囗   [囗.|  | |   |: l  . . .: ' ; . \
    :|.      \  \                   |  | |   |: |             \
 ______,:|     /   /l________________|  | |   |: |     __  . .. : ; .\
     \   /   /. |                      |  | |   |: |    l´! ヽ      \
 :::::::.. . . .\ /   /::. .|                      |  | |   |: |    ||   |
 ::::::::.. . . . /   /: : . |                 ___|_|_|__|___!. ;' ..||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   . /: : . . |               |\ 、 ────┤.. ;'.||   |
──────‐': : . |               |  \\ . . . : ::::::::|  ,  \  |
:::::: : : : . . . .  |     |               |   \\ . . : :::::| ; , .  丶!
::::::::: : : : . . .   |     |                   \    \\. . :::|
::::::::::::::: : : : . . |     |                    \    \\. |
::::::::::::::::::: : : : . . |     |                     \    \\
:::::::::::::::::::::::::: : . .|     |                     \    \\

371 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 00:58:38.39 0
決戦兵器ビッグキャット

   ∧_∧
    (・∀・ )
   ▽田田田▽
  ●【=====】●
   〔;;;;;;〔;;;;;〕


372 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 01:00:02.95 0
ずれたwwwもう一丁

   ∧_∧
   ( ・∀・) 
  ▽田田田▽
 ●【=====】●
   [[] []]
   〔;;;;;〕;;;;;;〕


373 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 01:06:57.14 0
そろそろ埋まるか? 希望的観測を込めて…

 OK。     \         なんと。  /      ∧_ヘ
     ∧_∧  \    ∧_∧    /    ∩ / \〇ノゝ
     ( ´_ゝ`)   \  (´<_` )   /     / //三√
    /   \    \ ∧∧∧∧ /   / / /    ∩ 
    /    / ̄ ̄ ̄ ̄< 流. こ  >     / /     | |
  _(__ニつ/  FMV  /< 石 の  >  / / /∧_∧ ./ /
  |\  \/____/< な  ス  >    / / ´_ >`)/  
 ─────────< 予. レ  >──────────
  ∧_∧流石だよな  < 感 は  >  兄者は       
 (´<_`  ) 俺ら。   < !!!!    >   天才に違いないな。
 /   ⌒i         / ∨∨∨∨\       ∧_∧
     | |       /\\ @@@ \     (´<_` )
   ̄ ̄/ |     /(⌒\ @# _、_@  \\/ノ  (⌒つ
  V  / .| .|_  /  \ ヽヽ(  ノ`)    \ \   | |
     (u ⊃/     (mJ  ^ ⌒\   \ >―. し

374 :埋めAA集 ◆Z6yK3vQwuU :2012/06/05(火) 01:13:50.25 0
ゼウス

 ゝ、              (___ノ                /∠ノ| _l__    、 i亠┐
\::::::ー- ... _       iY'/_ ソ `ヒl             /:::::二)  ノ|  |,  |   ノ
  丶、:::::::::::::::::`..ー-.._  ヘト-`l lニ'/ー'   __ _,-一-一'__、_::::-/  _l__ /  _l__
    `ヽ、 ;;;::::::::::::::::::::: ̄,人ト-ャ/ー一' ̄:::::::::::::::::::: _/´     ̄)   ノ|  \   ノ|
         ̄ ┐::::::::::::ヾ[l兀l]:::::::::::::::::::::::::::::;;; 一 ´        \     ソ ゙ _l__
           |:::\:::ー-::::::人:::::::::::::/ ̄ ̄              ) ┃ `て  ノ|
           l:::::::::::`:::::ーノ ヽ:::::::/      _ィ_       ノ  ・ _l__ _l__
  ご あ ご    |:::::::ヽ:::::::::) さ (::::/      r´, 、、〈ー- 、_/7 \    ノ|   ノ|
   ざ り 愛   |::::::::::::::::::::| あ |/   ll\/l l ヽ ヘ‐___,ヲ)_  )
   い が 読  l::::::::::::::::::::l 来 l    \ \wwY´l_`二7 /T ´  ̄\/⌒ヽ/ ̄
    ま と   /::::::::::::::::::::::| い |     `∨    |l__,/ / |
    し う  /:::::::::::::::::::::::|デ |        l`     `〈ー/ / ,!
     た   /:::::::::::::::::::::::::::|ビ |        \     ∨ / ̄
     ! /:::::::::::::::::::::::::::::::|チ l、       __ゝ,   ///
       /::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽル/::ヽ     /  `L__.///
      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ/::::::::l    〈   ̄| /// l
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|    ヽ  l l/〈´
   /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|      \ |   |

※ 続きます


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