【TRPG】初心に戻ってライトなファンタジーもの

1 : 名無しになりきれ : 2013/01/04(金) 23:39:04.02 0
よろしく
2 : 名無しになりきれ : 2013/01/04(金) 23:46:52.34 0
ここは始まりの村だよ
3 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 01:07:05.22 0
で、何をするファンタジーなのか
4 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 05:28:01.55 O
まぁ魔王倒しに行くのが定番だな
5 : 魔王になりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 21:17:43.12 0
では まず、オレ様が始まり村を焼き尽くしてみよう(口から炎を吐く
6 : 村人になりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 21:33:16.40 0
なるほどってちょ、おまみぎゃあああああ!!!
7 : 村人Bになりきれ : 2013/01/05(土) 21:41:22.38 0
バナナこの村人Bがこの様なところで・・・・うぼぁああああ!!!
8 : 魔王になりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 21:50:48.86 0
がっはは、これだけ焼き尽くせば一人も生き残るまい
9 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 21:52:06.19 0
つまらん
10 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 21:54:42.60 0
なんて(頭が)悪いやつだ魔王!
11 : ナレーターになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 22:06:17.66 0
こうして、始まり村は滅びてしまいました、が
一人だけ生き残りがいたのです!!

ようじょ「ここどこ?」

勇者でも何でもない3さいのおんなのこですが。
12 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 22:09:49.02 0
ちょおま「ようじょ」て・・・・仕方ない
焼け野原を耕して少しだけ畑を作ろう
13 : ナレーターになりきれ[sage] : 2013/01/05(土) 22:39:35.25 0
12はまごまごしているようじょをとりあえず落ち着かせ、
ようじょと二人で畑作りを初めました。

ようじょ「おてつだいする!よいしょ、よいしょ!」

(ようじょは瓦礫を必死でどけようとしています)
14 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/06(日) 01:03:33.23 0
魔王「ちっなんだよ、生き残ったのこれ?勇者じゃねえの?張り合いがねえなあ。ほら、お前じゃ無理だ」
ぶつぶつ言いながら幼女がどけようとする瓦礫をひょいと持ち上げ投げ捨てる魔王
魔王「感謝なんかするんじゃねえぞ。破壊は壊すものがあってこそ成立する行為だからな!破壊をするために手伝ってやるだけなんだからな!」
15 : ナレーターになりきれ[sage] : 2013/01/06(日) 02:05:12.09 0
ようじょ「よいしょ、よい…わぁっ!
ご、ごめんなさい。わたし、ゆうしゃってなまえじゃないの。」

ようじょはいきなり現れた人(?)に
ようじょは少し驚きましたが、

ようじょ「ありがとう!うーん…おにいさん?」

ようじょはちゃんとお礼を言いました。
ママに「日頃から感謝を怠ってはいけません」
と毎日言い聞かされていたからです。
(ママはちょっと厳しいのです。)
16 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/06(日) 02:30:57.52 T
でもママは魔王に……
17 : ナレーターになりきれ[sage] : 2013/01/06(日) 08:41:12.36 0
16は思わずママが魔王にやられた事を口走ってしまいましたが、

ようじょ「え~!?
まおうさん、ママもっていっちゃったの!?」

勘違いされてしまいました。

「ママはメラ○ーマとかいーーっぱいできるから、あぶないのに!
はやくまおうさんをたすけにいかなくちゃ!
えっと、なにかないかなあ…ゴソゴソ」

ようじょは畑作りはすっかり忘れて何かママを倒しに…じゃなくて、
魔王を倒しに行けるものを探しています。

ようじょ「えほんにでてくるまほうつかいのつえとかあったらいいのに…」
18 : 名無しになりきれ : 2013/01/06(日) 10:17:19.12 0
では いかにも禁断の魔力が手に入りそうな禍々しい骸骨杖を・・・・。
19 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/06(日) 10:54:35.55 0
>>18

ありがとう!18さん!
で、でもすごーくこわそうなつえだなあ…。
わたしにはそうびできないみたいだから、
これはまおうさんへのプレゼントにしておくよ!
この、「おふくろ」にいれておくね…


あ、あとナレーターさんが

「あ、ようじょ。せりふよみあげるのめんどくなってきたから、
あとたのむわ~。おれはねる!」

だって…どうすればいいんだろ?
20 : 名無しになりきれ : 2013/01/06(日) 11:17:41.22 0
つ[魔法幼女変身すてっき]
21 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/06(日) 12:57:32.62 0
>>20

わあ、かわいいステッキ!
ようし、ちちんぷいぷい、へんし~ん!
……あれ?じゅもんがちがったのかな?
へんしんできないよ、20さん…。
装備完了 HP MP+3攻撃力+5防御力 回避力 萌力+10


現在のようじょの強さ

HP15 MP 23 攻撃力6 防御力3 回避力6 萌力25
22 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/06(日) 15:02:30.59 0
いくら何でも一人じゃ暮らしていけない
町へ行こう
23 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/06(日) 16:58:16.53 0
>>22

まち?おかあさんといっしょにいったことはあるけど、
ひとりじゃいけないよ~…。
まものさんがいっぱいいてこわいもん!
うーでも、おそとでねるのはもっとやだよぅ…ぐすん。
24 : 行商人[sage] : 2013/01/06(日) 18:04:47.42 0
今日も今日とて行商~♪と。
村の皆さーん、今日も来ましたよ~……って、
え、何これは!?焼け野原に変わっちゃってんじゃん!
や、やっぱり魔王の仕業とか?俺、町とこの村との行商で食ってたのにこれからどうすりゃいいんだよ……。
つーかみんな死んじまったのかな……あまりにも突然過ぎてそんな感じしないんだけど。
でも結構お世話になったのにな……やべ、泣けてきた

ん?あれ、おじょーちゃん!?も、もしかして生き残りかい!?
ほ、他に助かった人は!?……いなさそうだね。
……とりあえず町に戻るか。おじょーちゃんも乗ってくかい?
25 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/06(日) 19:29:25.77 0
>>24

ぐす…あっおみせやさんのひとだあ!
えっとね、きがついたらなにもないところでびっくりした!
おうちがどこかわかんないからこまってたら、
いろんなひとがたすけてくれたの!
…まち?あ、22さんがいったほうがいいっていってたなあ。
えっと、おねがいしまーす。
あ、うんちんちゃんとはらわなきゃ…ゴソゴソ

これしかない…
つ【色々と凄そうな骸骨杖】
26 : 行商人[sage] : 2013/01/07(月) 14:06:52.85 0
……え、何この杖は。ちょっと待ってね(商人スキル:鑑定)
って、ちょっとちょっと!これ運賃代どころじゃないから!
これあれだよ?売れば100000ぐらいの値はつくよ?ほんとほんと。釣銭出せないよ俺!
ていうかタダでいいって、大丈夫だいじょーぶ。どうせ俺も町へ戻るところだったんだし、
女の子ひとり乗せたところでこの馬が痩せ細っちゃったりとかそんなことないんだからさ。
じゃ、行こうか。忘れ物はないよね?

(ムービー)

はい、着いたよー。ここがこの辺りでは1番大きい町でーす。
とりあえず村に売れなかった積み荷、原価すれすれになっちゃうけど市場に卸して……と。
えっと、おじょーちゃんどうしたい?さすがにこんなちっちゃい女の子ほっぽっとくわけにいかないし、
少しぐらいなら、付き合うよ。
27 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/07(月) 18:27:28.68 0
へえー。18さんっておおがねもちだったんだ…。
(じゅうまんかあ…おかしなんこぶんくらいのねだんなのかなあ?)
ただのりはいけませんっておかあさんいってたから…ううー
い、いっかいくらいならおこられないよね…。
ありがとうございます!おうまさん、がんばってね!
(おかあさんにあったらちゃんとあやまろっと…)

…………ん…たん、…がたん、がたん、ヒヒーン!

ん~…むにゃむにゃ…ふぇっ!?
わ、わあ…こんなおおきいまちはじめてきた~!!
すごい、すごい!おおきいきょうかいもあるんだー!!
わあ~…。あ、ごめんなさい!おはなしきいてませんでした…。

どうしたい…うーん、どうしようかなあ…。
あ、そうだ!おかあさんがまおうさんにもってかれちゃったままだ…!!
おかあさんからまおうさんをたすけないと………あれ?なんかへん?
28 : 名無しになりきれ : 2013/01/07(月) 21:14:34.57 0
ようじょの居なくなった村に書置きをしておいてあげますね
「魔王様ゑ ようじょ は保護しますた byゆうしゃを導くけんじゃ」
29 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/07(月) 21:20:49.00 0
うふふ,いいようじょ…………幾らだね?
30 : 忍法帖【Lv=4,xxxP】(1+0:8) [sage] : 2013/01/07(月) 21:21:52.92 0
レアチーズケーキ
31 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/07(月) 23:24:21.13 0
まちってこんなにおおきいんだぁ!しらなかったなあ。

>>28

ありがとう!…あ、ねぇねぇ!
その「る」のしたに「ん」がついてるみたいなじはなあに?
……へぇ~。「え」のむかしのかきかたなんだぁ!
おしえてくれてありがとう!
あれ?どこにいくんですか…いっちゃった。

>>29

………………???
あ、そういえばむこうのたてもののおねいさんが
「わたしいまならさんまんよ、かう?」…っていってたなあ。
でも、わたしはおねいさんよりとししただからうーん
いちまんくらいかな…?やくそういくつぶんだろ?

>>30

あ!それおかあさんがおとといたべてたのとにてる~…。
おかあさんったら、ケーキはショートケーキしかたべさせてくれないの。
おかあさんはいーっぱいたべてたのにぃ。もーー!!!
…ふー。ちょっとおおごえだしちゃった。でも、すっきりしたー♪
32 : 名無しになりきれ : 2013/01/08(火) 00:42:14.67 0
>>31
パシュッ…
>>31が銃弾に撃たれ死亡)
33 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/08(火) 02:24:02.97 0
>>32
ここはファンタジーの世界だぜ
無粋なことは止めてもらおうか
(鉛玉を素手で掴んで止めた)
>>2が)
34 : 行商人[sage] : 2013/01/08(火) 18:34:34.17 0
>>27
お母さんを魔王から助けないと、か。そりゃ大変だね。じゃあえっと……って、
え、何それは!その年にして随分波乱万丈というかすごい辛い運命を背負わされてる感じだね!
……そっか、やっぱり魔王の仕業だったんだね、あの村が焼け野原になっちゃってたのは。
んでおじょーちゃんのお母さんが魔王に連れてかれちゃったってことかい?
うーん、そっか。だけどしがない一商人の
俺じゃさすがに力になれそうにないなぁ。

とりあえず冒険者のギルドとかに依頼を出してみる?
とはいえいくら熟練者の冒険者でも「魔王からお母さんを助けて」なんて依頼受けてくれる人いるかな……。
とりあえず依頼の担保はさっきの杖でなんとかするとして……王様に陳情とか……ぶつぶつ……
んー、とりあえず行くだけ行ってみようか?

あ、あとあんまり変なおじさんについていかないようにね。さっき、危うく買われるとこだったんだよマジで。
村と違ってこわい人多いからね。ほんとにね。気をつけてね。
……あれ、俺も怪しいっちゃ怪しいなこれは。幼女誘拐犯に見えなくもないなこれ。

>>32-33
って、ちょ、危な……!?

た、助けて下さってありがとうございます。おじょーちゃん怪我はない?大丈夫?
こんな鉛の玉を高速で射出……魔法かな?何かのからくりかな?全く見当がつかないけど。
……どっから飛んできたんだ。しかも今の軌道、おじょーちゃん狙ってたよね?

待てよ……そもそもあんな焼け野原でこんな女の子がひとりだけ生き残るなんてこと自体がおかしいんだよ……
しかもお母さんが連れていかれたんだろ?つまりなんらかの利用価値があるということ……つまりこの子も?
何かに狙われてる?やっぱり魔王?いやだったらこんな暗殺みたいなやり方しないか……
ん?あぁ、ごめん独り言、なんでもない。

とにかく今の人すごかったね、あんな人が居ればおじょーちゃんのお母さん探しもグッと捗るんだろうにね。
35 : 名無しになりきれ : 2013/01/08(火) 20:40:10.18 0
ここは たびじたく の町だよ
36 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/08(火) 22:31:49.87 0
>>32-33

ふぇ?な、なに…ちょっとびっくりした!
え、えと、2さんありがとう!
32さんすごいなぁ…わたしもあんなかんじでたまを、ばしゅー!!
(こいんっ)
…うーん、やっぱりできないよね……。

>>34

うん、まおうさんにおかあさんからにげてもらわなくちゃ!
…あ、そっか。ぎゃくだあ!さらわれてたのおかあさんだ。
おこるとマヒャ○デスしてきてこわーいから、まちがえちゃった!

わたしも、ぼうけんしゃさんなりたいなー。
ぎるどのひとにたのんでみようかなー。
うーでもせんれきとかないとはいれないんだよねー。
(↑おとうさんからきいた)
「スライム」ひとりでどーんしたぐらいじゃだめかなぁ…。
「いっかくうさぎ」くらいぱぱっとどーんしないとだめだよね…。
あれ?えっとおみせのおじさん?おはなしがむずかしくてわかんないよー。

おかいものされちゃうの?
わたし、おみせのものじゃないよう!!
あ、あれ?またお店のおじさんがむずかしいかおしてる…
だいじょうぶですか?

>>35

おしえてくれてありがとう!
いつもごくろうさまです。えっとまちのひとエーさん?
37 : シスター[sage] : 2013/01/08(火) 23:35:26.58 0
あらあら、可愛いお嬢さん。
私はこの町の教会のシスターです。
もしよろしければ教会でお祈りをしていきませんか?
旅とはとても危険なもの、いつ何が起こるか分かりませんもの。
38 : 行商人[sage] : 2013/01/09(水) 17:29:08.08 0
>>36
怒ると魔法って、何それは。

……うーん、確か今何気なくこの子が言った魔法ってかなりの上位魔法だったと思うんだけど。
そんなのを折檻に使ってるのはともかくとして、それを使えるこの子のお母さんてかなり高位の魔法使いだったりするのか?
なるほど、それなら魔王が殺さず攫ったりする理由も頷ける。利用価値は高いな。
……魔法使いの才能は基本的に先天性だ、マナの量とかで決まる。俺みたいに才能がないやつはとことん合わないけど、
親がそんな大魔法使いなら、つまりこの子もそう成り得る潜在能力を秘めてるといえるのかも……。

冒険者になりたい?……そうだね、今すぐは無理でも、おじょーちゃんならきっとすぐになれるよ。
お母さんのような魔法使い目指せば、きっと簡単だよ。
俺はちょっと教えてあげたりとかは出来ないけど、本格的に学んでみるのはいいかもね。
……もしかしたら、既にお母さんに何度か魔法教えてもらったりしてたのかもしれないけど。

あとひとつ注意ね。おじさんじゃないからね。おにいさんだからね。気を付けてね。
次おじさんって呼んだら売っちゃうからね。お店に並べちゃうからね。気を付けてね。

>>37
あ、どもども。ご苦労さまです。
……べ、別にこんな小さな女の子をかどわかそうなんてそんなんじゃないですからね!?
この子、村が魔王に襲われちゃったみたいで……1人になっちゃったみたいなんです。

ほら、せっかくお誘い受けたんだからおじょーちゃんちょっと行ってくるかい?

ふぅ、どこまで面倒みようかと思ったけど……そっか、教会の人に任せれば安心だな。
これ以上俺にできることもない、か。
39 : 魔物になりきれ : 2013/01/09(水) 19:11:40.77 0
ちょっとシスターさんが怪しいので
鋭い爪を突きつけて質問してみますね
「・・・・さぁ、イケニエを出してもらおうか」
40 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/09(水) 21:40:57.28 0
>>37

おねえさん、こんにちは!
おおきいきょうかいすごいですね!きれいだなー…。
おいのり?それってむずかしいことですか?
わたしでもちゃんとできるますか?

>>38
「ふふっあてないわよ、かすらせるだけよー。」
っていってほんきであてようとしてきてこわいの!
おとうさんがたすけてくれるんだけど、
まいかいまるコゲなっちゃってたいへんなの…。

あれ?つよいまほうつかいさんってこのくにのおうさまに
みんなつかまっちゃったんじゃなかったのかな?
おとうさんとおかあさんのおはなしできいたの。
おうさま、とってもこわいんだって。
こわいよぉ!えっと…お店のおにいさん?
(おじさんじゃなかったのかなあ?)

>>39

きゃあ!ま、まものさんだあぁぁ!!
シスターさんがあぶない!どうしようどうしよう…こわいよぅ!
イケニエってなんだろ…と、とりあえずお店のお兄さんのお店にあった
つ【ちょっとくさい生魚】
41 : シスター[sage] : 2013/01/10(木) 03:14:18.76 0
>>40
大丈夫、何も難しいことなんて有りはしませんよ。
今日も元気に生きていることを感謝すれば良いだけ。
さあ、一緒に行きましょう。

>>38
まあ、それは可哀想に。
命を落とされた方々がどうか安らかに眠れますように。
勿論あなたを疑うなんてことは致しませんわ。

ここまで連れてきてくれてありがとう。
あなたはどうぞご自分の旅をお続けなさい。
この子は私が手厚く…。手厚く。

>>39
え!?きゃー!いや、乱暴しないで!
何をするのです?天罰が下りますよ!




……ええい!もう少しで上手くいったのに、おのれっ!貴様、余計な真似を!
こうなったら力ずくでもその娘を邪神様のイケニエにしてくれるわ!
42 : 名無しになりきれ : 2013/01/10(木) 07:01:35.27 0
邪神「いや,ようじょを貰っても……その……困る」
43 : 旅の神官になりきれ![sage] : 2013/01/10(木) 11:24:46.76 O
おやおや?街中で魔物に子供が襲われるとはいよいよ物騒になってきましたねぇ
まあ、子供の命なんて本来私には全く関係ないんですが……ただ


あのシスター、魔神派みたいですからねぇ……


>>38
>>40
やあやあ、どうもどうも
そろそろやられてしまいそうな程度にお困りのようですが、助けは必要ですか?

私で良ければ、有料でお助けしますよ

(土魔法をシスターに放つ!
成功すれば土のドームが一時的にシスターの動きを止める!)
44 : 行商人[sage] : 2013/01/10(木) 17:57:15.77 0
さて、とりあえず元締めのとこに戻るか……新しく行商いくところ探しとかないとなぁ。
まだまだ店建てるには全然資金足りてないし……でもまぁ馬も疲れてるだろうし今日は休ませるのも……。

>>40
それにしても、魔法使いはみんな王様に捕まった、だって。そんなの初めて聞いたんだけど。
でもあの子が嘘ついてるようにも見えなかったしな……俺には関係ないから見落としてただけかな?
確かに、最近王様の様子がおかしいと聞いたことがあるような。だけど、魔法使いを集めてどうすんだろうか。
あの子の口振りだと強制っぽいし。国中の上位の魔法使いを集める。市街から魔法使いが消える。
……さて、何が目的だ?それで得するのは誰だ?

>>39
っと、なーんか教会の中が慌ただしくなってる気がするんだよね。
そのまま気にせず帰ってもいいんだけど、なんとなく中を覗き込んでみよっと……って、
え、何これは。どう見ても魔物だよね。ちょっと待てここ教会でしょ。神聖なる建物どこいったの!
さて、イケニエ、かぁ。その口振りからすると、突然というよりもまるで以前から決まってたみたいだけど。

>>41
んでそういうことか。うーん、だけど俺には見てることしかできないなぁ。
しかしイケニエって要はあれでしょ?奴隷的な感じだろ?食糧的なものよりもむしろ。
若い女が好まれるのはつまりあっちの方なんだろうけど、いくらなんでも若すぎでしょ。
向こうに捧げられても何も出来ないだろうし。幼女もらっても困るよね。それこそ>>42みたいに。
それはそれとして、どうしようかな。見てるだけしか出来ないけど、見捨てるには関わり過ぎた。

>>43
お、行きずりの神官さん?ありがとうございます。よし、これで光明が見えた。
そうそう、お金は払う気はないんで。「お願いします」なんて言ってないでしょ?
契約締結前の勝手な供給に対してこちらが対価を支払う道理はないです。感謝の言葉で全てが回る。
俺は商人だからね、その辺りの契約はしっかりするんだ。
魔法止めちゃう?いいよそれで。一瞬足止めしてくれた、それで十分、今回は。
またピンチになったら、今度はまたお願いするさ。料金は要相談だけどね。


さておじょーちゃん。大丈夫かい?だけどね、もし本当にお母さんを魔王から助けたいのなら。
こんなところで、他人に頼ってる訳にはいかないのさ。おじょーちゃんの力で、解決しよう。
ほら、あの骸骨の杖あったでしょ?そんな胡散臭い変身ステッキは外して、それをしっかり持って。
装備出来ない?そんなことはないはずなんだ。そう思い込んでるだけだろ?
精一杯握りしめて。おじょーちゃんの気持ちを杖に込めて。思いっきりあいつらに向けて振り下ろすだけだ。
根拠も何もないよ?何も起きないかもしれない。まぁその時はさっき助けてくれた神官の人にどうにかしてもらうさ。
でも、きっと大丈夫だよ。俺の商売人としての勘が、そう言ってるんだ。

さぁ、おじょーちゃん。――ド派手に、ぶっ放しちゃいな。
45 : 名無しになりきれ : 2013/01/10(木) 21:35:33.48 0
つミ[光り輝く神々しい杖]
46 : 魔物になりきれ : 2013/01/10(木) 22:00:02.77 0
うぎゃ~!3すぇrdftgyふいじょpl;@!!!
47 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/10(木) 22:38:17.71 0
>>41

うん、わかった!おいのりする~。
…ふぇぇ!?お、おねえさんみみもとでおおごえだしてどうしたの!?
…イケニエって………!?
(>>42を見る)
あ、こんにちは~。えっと、お、おねがいだからたべないでね…
おいしくないし、だいいちかみのけぼーぼーでとるのめんどくさいでしょ?
…もらってもこまるってなんだろ?まおうさんみたいなかっこうしてるけど
そんなにこわーくなさそうだし…。

>>43

ってかんがえこんでてもしかたないよ…っわあ!?
(土の魔法でシスターがおどろいてようじょをはなす)
い、いまのうちに逃げちゃえ!ごめんなさい、おねいさん!

ふぅふぅ…あっ…たすけてくれてありがとうございます!!(にこにこ)
おだいきん…どうしよう?
ごめんなさい、いまはちょっとはらえないのであとばらいで!
48 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/10(木) 23:14:10.21 0
>>44

あっ、お店のおにいさん!?
わたしのちからで、かいけつ?でも、わたしよわいし…。
え、このこわいつえもつの!?ちょっとわたしはいやなよかんがするよお…。
うん、でもいっかいやってみるべきだよね…
(ようじょはむりやり骸骨の杖を装備した)
ばりーん
(装備には…とんでもない呪いがかかっていた!)

よっしゃ!のっとり成功…ってぎやぁ!?
(杖には悪魔がとりついていた。ただし、ようじょにおさえこまれた!!)
…うふっ…あはははははははははははははははははははははははははは!!!
(しかし、ようじょは悪魔の力でおかしくなってしまった!)
うん、すごい!すごいや!!これならなあんでもできるよ!
えいっ!(ぐちゃっ)ええいっ!(ぐちゃっ)えへへへ…あかいなあ、きれいだなあ…

もっと ちょーだい ね?


BAD END 悪魔の誕生日


>>45

うう、う!?ふぇぇぇぇ!!!!
(>>43に助けられて逃げ出したところで目が覚める)
…あれ?ゆ、ゆめ!?お、お店のおにいさん、こわかったよおぉぉぉ!!
…あれ?でもどうしてねちゃってたんだろ?
(おねえさんのしわざ…じゃないよね。)

ぽーん!きらきら……ぽすっ
こ、これ…おかあさんがたいせつにしてたつえとそっくり…。
45さん、もしかしてつよいまほうつかいさん…?
(ようじょは「絆の杖」を手にいれた!)
…よし、だいじょうぶ…こんどはだいじょうぶ!!
(ようじょは絆の杖を装備した…!!)

ぴかーん!てーてってれー!!ようじょはレベル3になった!
HPが10あがった!MPが15あがった!守備力が3あがった!回避力が7あがった!
………萌力が30あがった!そして、杖の力がようじょに分け与えられる!!

HP45 MP65 攻撃力81 守備力26 回避力33 萌力75

わたし、がんばれる…!
49 : 本締めになりきれ : 2013/01/11(金) 19:01:08.10 0
なに、始まり村が壊滅…生き残りをつれてきた?
あ~ぁ被害の把握とかあるから生き残りを連れて
領主様のトコに行って来なさい、一応話は通しとくから・・・・はいこれ紹介状
50 : 旅の神官になりきれ![sage] : 2013/01/11(金) 23:17:24.33 O
>>44
おやおや、商人というのは随分と豪胆なのですねぇ

自分の命を安く見る所か、価値が無いと判断するとは……
私には、命がかかった場面で今後の取引が出来なるなるような発言なんて、とてもとても……

>>47
ええ、構いませんよ。
後払いでも何でも、代金を頂けるのなら、協力は惜しみません。
ただし、払うと契約したからには例え息絶えようと取り立てますがね?

>>48
!?
今の映像は……予知の一種でしょうか?

これは、また……呪物を屈服させるとは、人間として規格外ですね
更にこの魔力量……

……実に面白そうだ。魔物に狙われるのも頷けます



お嬢さん、初回のサービスです
魔物の動きを私が止めますので、あなたの力を見せてください
そうすれば、料金は無料にしてさしあげます

杖の使い方は――そこの商人さんにでも教えてもらってください
詳しそうですからね

>>46
(土魔法再度発動!地面が魔物の足を取り込み固定して、動けなくするぞ!)
51 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/12(土) 11:00:43.32 O
全員に腹パンする
52 : 勇者になれるかな?[sage] : 2013/01/12(土) 22:03:13.64 0
ま、まものさんなんてこわくないもんっっ!!(涙目)

>>50

え、えーと。しんじゃったらこのこわーいがいこつさんのつえをあげる…。
でも、だいじょうぶだったらこのかわいいつえもあげる!
(限定品でマニアの間では幻の杖と言われている魔法幼女のステッキ)
だ、だからたすけてください!
…?じゅぶつってなに?えーと、おいしいですか?

あ、ありがとうございます!
ようし、とりあえずちからでおせってパパもいってたし…
(途中から話を聞いていない…)
えーい!!めからビイィィィム!!!!!

……ドバシュュュュュュウン!×2

あれ…?なんかちがう?
(本当に目からビームを出してしまった!)
(そして、片方は>>46に、片方は腹パンをしようと近づく>>51の方へとんでいく!)
53 : 旅のブラックホール[sage] : 2013/01/15(火) 17:05:19.51 T
空の果てからこんにちは!
(強い重力でビームが曲がりブラックホールに吸収されていく。
光を吸い込んだブラックホールはワープして消えて行った)
54 : イケメン[sage] : 2013/01/17(木) 23:33:51.39 O
世界は救っておいたよ!
55 : 魔王になりきれ : 2013/01/18(金) 20:32:48.16 0
こんがらがった話を たびじたく の町ごと焼き払ってしまおう(目から雷をだす
56 : 野党[sage] : 2013/01/20(日) 11:38:43.06 0
チッ、なんでえなんでえ、ケチな村だぜ。まあいいや、金目のモノでも取っていくか。
57 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/20(日) 23:43:51.78 0
カオスッ!
(魔法使いは呪文を唱えた)
(全ては最初に戻った)
58 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/20(日) 23:54:49.99 0
よろしく

ここは始まりの村だよ

で、何をするファンタジーなのか

まぁ魔王倒しに行くのが定番だな

ではまず……デジャヴ?いやそんな生易しいモノじゃない!このやり取り、確かにやったことがあるぞ?
俺は確かに前始まりの村を吐きつくしてみようと口から炎を吐いたことがあるはずだ!
なぜ?何か大きな力が働いているのか!?
59 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/01/24(木) 15:04:41.32 O
気を付けろ! スタンド攻撃を受けているぞッ!
60 : 名無しになりきれ[age] : 2013/01/24(木) 22:32:25.09 0
ネ申の声が聴こえます「ちゃんとセーブしておけ」・・・・・何の事でしょうか?
61 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/06(水) 20:18:33.48 0
じゃあまずこの村を焼いてみよう
ブーン「B-29」(焼夷弾)
62 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/09(土) 22:13:54.70 0
-焼けた村-

勇者「なんてこったい」

勇者が訪れた時には既に村は見るも無残な状態になっていた。
宿を求めて村を訪れたが、宿がないとかそんな事よりも、村が焼け跡になっていることに勇者は強いショックを受けた。

勇者「酷いな」

焼け残った家屋の残骸を踏み越え、以前より見晴らしのよくなってしまったであろう村を見回す。
見える範囲に動くものはない。既に襲撃を受けて長い時間が経っているのか…

勇者「おーい、誰か居ないのかー」
63 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/09(土) 23:49:44.40 0
いないでやんすよー
64 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/10(日) 15:29:59.63 0
勇者「居るじゃん」
65 : 長老[sage] : 2013/02/10(日) 15:48:47.26 0
(瓦礫の下から齢80を超えるであろう老人が顔を出す)
なんじゃいうるさいのう。
ちゃんと村人は非難させたわい。
B29の空襲など若い頃に何遍もやられたからの。勝手は判っとるよ。
(老人が口笛を吹くと焼け跡となった村のあちこちから村人が顔を出す)
66 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/10(日) 17:06:00.13 0
僅かな生き残りの返事か…そう思った時、また別の声が聞こえた。

「なんじゃいうるさいのう」
「うおっ」

瓦礫のしたから顔を出した老人が口笛を吹くと、周囲から村人たちが顔を出した。
さっきまで人っ子一人いないと思っていた村に、次々と人の生気が戻ってくる。

勇者「…そういや、死体が一体も転がってねーや」

はは、と後頭部を掻き、勇者は少し安堵した。
少なくとも、村が跡形もなく壊滅と…いうことではないようだ。
今夜の宿が取れるかどうかは、怪しそうだが。
67 : 長老[sage] : 2013/02/10(日) 18:09:39.83 0
ここを出るも隣村まで20kmはあるぞい。しかも途中には峠も一つ越えにゃあならん。
お前さんは身体が確りしておるから足腰が強そうじゃが、今から隣村に行こうとしても途中で日がくれてしまう。
今日はここで一泊するべきじゃろう。
…と言いたい所じゃが宿は休業中じゃな。仕方ない。
丁度良さげな穴ぐらが空いておるからそこに泊まるが良い。
(穴ぐら、というより岩窟住居のような所に案内される)
68 : 勇者[sage] : 2013/02/10(日) 18:23:40.42 0
隣村まで20km。もう昼を過ぎて大分経っているし、今から行っては確実に夜になってしまうだろう。
日の暮れた峠とくれば、山賊なんかに襲われるかもしれない。
越えられない事はないだろうが、非常に面倒くさいのは目に見えていた。

「んじゃ、爺さんの世話になるよ」

宿も民家も瓦礫に変わり、どの建物も見分けがつかない。
穴ぐらの居心地など知れているが、そんな日があるのもいたしかたないことだろう。
それが旅人、勇者の宿命である。

「思ったよりちゃんとしてるじゃん」

穴ぐらというよりは、洞窟の中に作られた住居といった風だ。
住まいとしての機能はそこそこできている。

「うーん、ラッキー」
69 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/11(月) 22:07:14.20 0
野盗「やれやれ、いきなり空襲来るとは思わなかったぜ…つーか何で俺は盗みに入ったのにここの村人にお世話になってんだろうか…野盗が聞いて呆れるぜ…」
70 : 勇者[sage] : 2013/02/12(火) 08:23:10.12 0
「お前も余所者か。しかも野盗」

大きな独り言を漏らす野盗の横にひょいと顔をだす。
野盗とはいうものの、物騒さをあまり感じさせないその男に勇者は声をかけた。

「仲間はいないのか?」

勇者の経験上、盗賊なんてものは大抵群れで行動するものだ。
追い剥ぎでなく忍び込んで盗むなら少人数の方がいいか…
規模にもよるが、人数がいるなら大挙すればこんな小さな村…
様々な可能性が浮かんでは消える。どれもいまいちピンとこない。
71 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/12(火) 19:38:47.72 0
野盗「おおっと、驚かせるんじゃねえよ…。てめえは戦士か?…いや、そのやけにハキハキしたツラにその出で立ち…噂に聞く勇者サマかよ。で、こんな野盗の俺に何の用だよ。
仲間か?さっきまでたくさん『いた』さ…俺と数人の仲間でここにコソ泥に入ってたんだが、どこかのクソッタレのせいでコソ泥に入った俺の仲間どころか村の近くに張ってたお頭達もみぃんなクソッタレになっちまったよ。笑えるだろ?とばっちりで全滅してるんだからよぉ!
…へん、俺を役人に突き出すなら好きにしやがれ。俺みたいな下っ端でも二束三文ぐらいにゃなるだろうよ。」
72 : 勇者[sage] : 2013/02/13(水) 08:23:20.51 0
「勇者サマでーす」

勇者らしい生気のある顔に、旅の戦士らしい服装。
しかし『ハキハキしたツラ』にしては勇者には少し緊張感がなく、歳相応の若者のような声色だった。

「そうだな…今日泥棒に入ったばっかの盗賊じゃあ非難の場所も知らないよな。
ご冥福をお祈りするよ。来世では真っ当な職につけるといいな」

そうか。空襲は今さっき起こったことだ。
少しタイミングを間違えば自分も巻き込まれていたかもしれない。
ここでもまた、勇者は自分の運に感謝した。

「別に、役人に突き出したりなんてしないよ。今からここで暴れますっていうなら別だけど。
俺は確かに勇者だけど、別に正義の味方とかじゃないし…」

どうする?と、目で野盗に問う。
73 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/13(水) 21:14:01.07 0
野盗「はあ?勇者といえば正義の味方だろうが。サーガなんかだと俺みたいな一山いくらの盗賊に襲われてはボコボコにしてるだろ。ま、お前は見たところまだへっぽこみたいだし、勇者勇者してないから該当しねえだろうがな。
どうするもなにも、俺には帰る場所も行くあてもねえよ。俺の故郷はもう滅ぼされてるし、さっきのクソッタレな空襲のおかげで俺の仲間はみぃんな死んじまった。
…村人が許すんならここで死ぬまで畑でも耕して過ごすのもいいかもしれねーなぁ。で、てめえはどうするつもりだ。」
74 : 勇者[sage] : 2013/02/13(水) 22:00:16.21 0
勇者「そりゃ襲われれば戦うさ。命がかかってんだからな」

へっぽこ、と言われ僅かに眉を顰めるが、そこには特に反論しない。
確かに、先代から勇者を継いで間もない。
まだへっぽこ、というのもあながち間違いではないのかもしれない。

勇者「うん、それがいい。畑を耕して生きるのはすごくいい」

うんうんと、勇者は頷いた。

勇者「俺は、魔王を倒しに行くよ。それが目的だからな」

今晩はここで休み、また明日からは長い旅。
世界を救う、という目的がある以上、立ち止まることはできない。

勇者「…勇者と言えば正義の味方、ね」

少し含みのある言い方で、勇者は呟いた。

勇者「農村が潰れれば食糧供給が止まる。港が潰れれば流通が止まる…
森が燃えれば資源が無くなり、人が減れば労働力が減る。人々の生活は成り立たなくなる」

勇者「ここで問題。衣食住がままならなくなる時、真っ先に削られるのはなんだ?」
75 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/13(水) 22:31:59.75 0
野盗「まあな。そりゃ命がかかることなら誰だって戦う。俺だってそうさ。
…太陽と共に目覚め、働き、そして月と共に寝る。魅力的だな、この暮らしは。
てめえが何を言いたいんだかわからねえが、サーガに登場する邪悪なドラゴンロードから光の玉を取り戻す為に戦い抜いた勇者と同じように、てめえは魔王を倒すつもりなんだろ?それだけで十分だ。それとも、てめえは序盤早々弱音を吐く意気地なしかよ?
…ほら、この七つ道具を持ってけ。鍵は扉や宝箱を開けられるし、ナイフは軽く斬れ味がいい。この特殊なロープは使い方で移動にも攻撃にも使える。双眼鏡は千里先まで見え、この小さな機械は囁き声だろうと拾え、煙玉は逃走に使える。そして、このグラスは暗視が出来る。
こいつは俺が使ってたもんでな、俺が一人前になった時にお頭がくれたもんだ。使われないぐらいならお前に使ってもらった方がお頭も本望だろ。
…俺がガキの頃、魔王は俺の故郷を滅ぼした…必ず倒して来いよ、へっぽこ勇者。俺はここで田畑を耕しててめえの凱旋を期待せず待ってるぜ。
じゃあな、もう会うこともねえだろう。」
そして、野盗は勇者に盗賊の七つ道具を託すと他の場所へと去って行った…
76 : 勇者[sage] : 2013/02/13(水) 23:08:43.36 0
勇者「答えは娯楽と嗜好品。俺は潤いのない生活はやだね。
滅ぼされる『世界』に俺が含まれてるのが大問題なんだよ。俺はまだ死にたくないから、魔王を倒して世界を救う」

投げやりにそれだけ言うと、野盗が返事のように自分の持つ七つ道具を差し出してくる。
鍵開け、補助の武器、便利ロープ、高性能の双眼鏡、よくわからないが凄い機械、煙玉、暗視グラス。
これは普通にそろえようと思えばそこそこに値の張る――かなり金が要るだろう。

勇者「…ありがたく受け取っとく。俺の人生救うついでに、お前の仇も討ってきてやるよ」

そして、野盗は去っていく。村人に話をつけにいくつもりなのかもしれない。

自分が自分の人生を守ろうとするように、彼には彼の人生がある。
平和に暮らせればいいねと、勇者は珍しく他人のためにささやかに祈ったのだった。
77 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/14(木) 02:02:06.38 0
魔王が悪で人間が正義だと、誰が決めたんだ?
78 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/14(木) 21:38:11.00 0
魔王「私のモノとなれ!勇者よ!」
79 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/15(金) 19:28:27.38 O
魔王「私はただ下等な人間共が邪魔だから殺してるだけなんだがな……」
80 : 女魔法使い[sage] : 2013/02/27(水) 00:41:33.82 0
「ふわー……」

魔導書を読みつつ、だらだら、ふらふらと街道を歩く長身の女が一人。
原型を留めないレベルに好き勝手なアレンジが加えられているためにわかりにくいが、纏うローブは王都学院のものである。

「勇者なんてどこにもいないじゃない。だるー……」

>>77
「いい? 世の中には、『右の頬を打たれたら、正当防衛成立です』って格言があるの。
つまり、最初に手を出してきた魔王がワルいっ!
……ま、この学院教科書に書いてあるみたいな『魔王ちゃんが最初にぶったんだ!』っていう通説が本当かなんて誰もしらないんだけどね」

>>78
「勇者が魔王と政略結婚! 世界平和達成! おめでとーっ!
 ってなれば楽ちんなんだけどねえ。そしたら私も学院に帰って三十路過ぎるまでごろごろ研究三昧するわ」

>>79
「あー、なるほどね。でもゴキブリとか半端に殺そうとすると暴れ方がキショいから、私は適当に追い立てて家の外にぽいっと放り出す派ね」
81 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/02/27(水) 13:22:44.01 0
どうみてもアラフォーです本当にありがとうございました
82 : 僧侶見習い[sage] : 2013/02/28(木) 00:17:13.37 0
少年は風を切り、加速する

既に息は切れ、無理な運動に脚は悲鳴を上げている
羽織る学生司祭の法衣は汗で濡れ、重りの如くに身体に圧し掛かっている
いつ立ち止まってもおかしくない程の疲労具合だ

……だがそれでも、青年の足が止まる事は無い
頬を紅潮させ、ただ前だけを見て少年は走り続ける

なぜなら、少年には「立ち止まらない理由」があるからだ

「ハァハァ……ふっ、この僕とした事がおっぱ……勇者を探す過程で
  偶 然 にも女学生の更衣室を捜索してしまうとはね!だがこれも聖務!
 つまり、仕方がないのだよ!!いやっほぅ!!」

背後から追いかけてくる衛兵や怒りに燃える婦女子の皆様を振り切り
少年は路地裏を、時には屋根の上を駆け抜けていく
その逃走経路の選択は――――どうみても綿密に計算されたプロのそれであった
……だが、その油断が命取り。路地裏から街道に出ようとした時、
丁度左からローブを羽織った女が飛び出して来たのである!

「――むっ!?そこの魔術師!すまないがうまい事回避してくれたまえ!
 勢いが付きすぎて、僕は急には止まれないのだよ!!」

避けなければ、衝突は請け合いだ

>>81
逃走中に路地裏の壁に書かれていた落書きを見て、少年は小さく呟いた

「うむうむ。年長者に感謝する気持ちは大事だよ
 かく言う僕も『揺り籠から墓場まで』が信条でね」
83 : 勇者[sage] : 2013/02/28(木) 00:47:59.87 0
「ふぁーあ…腹減った…肉食いてぇ…」

大きな欠伸をしながら、街の門をくぐり、街道を歩いていく。
荒れた村を出て、歩き通しでようやくたどり着いた街だ。

なんだかんだで、勇者はもう半日ほど食事をとっていない。
体もだるく、さっさと宿屋で部屋を取ってしまいたいのだ。
街道を歩いていれば、宿屋の一件や二件見つかるだろう。
それらしい看板を探しながら、勇者は歩いていた。

「…んっ」

道の脇――路地裏の方がいやに騒がしい。
人の流れの中で立ち止まり、路地裏の奥へ目を細める。

「衛兵か…?」

距離があるため見づらいが、あの格好は確かにそうだろう。
そしてその衛兵に、少年が追われているではないか。
更に、衛兵に混じる女達…というか、女達の中に衛兵が混じっているような。
とにかく、あの少年は追われているのだ。
パンを盗みそうな外見には見えないが――

「あ」

疲労で気だるげだった勇者の目が見開かれ、眉が上がる。
路地裏から少年がこちら、街道へ向かって走ってくる…そのすぐ横。
ローブを羽織った女が、ちょうど路地へ入る角の前を通りがかるところだ!
84 : ローブ姿の女[sage] : 2013/02/28(木) 00:59:56.41 T
>>82
えっ? (ドンッ!)
痛たたた……。ったく、あの状況で避けろなんて無理に決まってるでしょこのバカ!
一体何考えて……あら? ねぇ、一つ聞いてもいい? あなた、あの人達に追われてるの?
ふぅんそう。あの様子から察するにあなた痴漢か何かね。このスケベ司祭。
……まあいいわ。私、神学に興味があって色々気になる事があるの。それが向こうから来てくれるなんてラッキーだわ。たとえスケベだとしてもね。
だからさ、私の質問に答えてくれないかしら?
勿論お礼ならするわ。そうね……じゃあ私の質問に対して納得のいく答えが返せたら、私の家に今晩あなたを匿ってあげるわ。
どうせその様子じゃ逃げられないでしょう?
じゃあいくわね…
(そういって女性は神学についての質問をした。質問の内容は難しかったが、真面目に神学を学んでいれば答えられない事はないものだ)
85 : 僧侶見習い[sage] : 2013/02/28(木) 22:03:47.69 0
>>83 >>84
「くはっ!!」

悲しいかな、本人すら止められぬ慣性の法則を他人が止められる訳もなく
法衣の少年は順調にローブ姿の女へと激突を果たす事と成った
当然の事ながら衝突した女は倒れる事と成り、至極当然な非難を少年へとぶつけてきた

「けほっ……ふ、ふむ……ぶつかったのは申し訳ないが、あれくらい回避出来ないとは、
 少々日々の運動が足りないのではないかね、魔術師殿。運動不足は肥満の原因だよ」

そんな女に対し、少年は斜め上の恰好を付けた偉そうな態度を取る
……ちなみに、台詞をこそ恰好を付けているが、今の少年は
頭ではなく尻が上に来た状態で壁に寄り掛かっているという、非常に情けない体制であった
どうやら、衝突の衝撃で転んだらしい

「む……だれが痴漢だね。聖教国教導院に所属する学生司祭だよ、僕は。
 その僕が日々女体の事しか考えていないなどとは失礼な……そのローブ、君は学院の魔術師なのだろう?
 全く、これだから魔術師という生き物はダメなのだよ。しかもローブの裾が長くて、見えなかったではないか」

やがて腰を抑えながら立ち上がった少年ではあったが、
その少年に浴びせられたのは、何とも興味深々な様子のローブの女の質問の数々であった
だが、いくらなんでもこれ程エロス呼ばわりされては少年が質問に答える筈が無い

「……家に匿う?」

答える筈がな……

「今晩!?」

答える筈……

「……ふ、フフフ。全く、破廉恥……ではなくて、実に勉強熱心な人だね
 いいだろう。神は学び戸を叩く者を拒まないからね――――全力で答えようじゃないか!」

少年は、女の質問を次々と答えていく。その回答は、どれも極めて正確なものであった
主観が入り混じる質問に対しては自己を称賛する要素が強いような気もするが……

「という訳で、神学において主神と亜神と素晴らしき僕の関係性は……む!?
 しまった!もう追いつかれたのかね……っ!」

と、無駄に話に熱中していたせいか少年は再度追跡者達に発見されてしまった!

「……仕方ない、ここは一度距離を置かねばなるまいね。来たまえ、魔術師!」

そう言うと、青年は再度走り出した――――何故かローブの上から女の腕を掴んで巻沿いにしつつ
……だが少年は知らない。二度ある事は三度ある
再び曲がった角には、やたらと空腹そうな人影が一つ

「なっ……またかね!?そこの人、すまないが回避してくれたまえ!
 何度も言う様だが、走り出した僕は急には止まれないのだよ!ははは!」
86 : 勇者[sage] : 2013/03/01(金) 00:09:58.33 0
>>84 >>85
面倒ごとは無視無視、さっさと宿に向かわねば――そう思った勇者だったが。
よく見れば、ローブの女性は中々美人ではないか。
だからどうしようというわけではないが、道を尋ねるくらいはしてもいいだろう。
探し回るより場所を聞いたほうが効率的なのだ。そして、どうせ聞くなら美人の女性がいい。

「なあ、そこの――」

見事に激突し、いくらかの言葉を問答を交わした2人に歩み寄り、声をかけた。
いや、正確には、かけようとした。

「あ?」

ぴた、と勇者の動きが止まる。
こちらが歩み寄る前に、あちらから来たからだ。
――勇者が歩み寄る何倍ものスピードで。

「そこの人、すまないが回避してくれたまえ!」

少年の声が勇者の耳に飛び込む。
こいつは、この女の腕を引いてまた後ろの追跡者から逃げるつもりだ。
それはつい先ほどからのやり取りを横目に見ていれば、いや見ていなくとも明々白々。
そして勇者はそこの女性に道を尋ねたい。
ならば答えは決まって一つ!

「嫌だね!!」

鞘をつけたままの剣を取り、逆手に構え。
一歩踏み出し、走り出したら急に止まれないその少年を、下から薙ぐように。
やはり鞘からは出さぬまま、現状ただの細長い鈍器であるそれを、
勇者はジャストのタイミングで少年の体に当てに行った!
87 : ローブ姿の女[sage] : 2013/03/01(金) 01:20:48.78 T
>>85
……そんな格好で言われたって説得力が無いわよ。
大体尻を向けて説教する僧侶なんて聞いた事無いわ。ほら、いつまでもバカやってないで早く立って。

あらごめんなさい。でもあなた真正面から私にぶつかったじゃない。ローブの裾なんて関係ないわ。
それとね、私確かに学院通いだけどただの学士よ。魔法は専門外。惜しかったわね。

……やっぱりスケベじゃない。それとも私がそんなに魅力的だったかしら? なんてね。
それじゃ、回答を聞かせてもらいましょうか。
……驚いたわ。意地悪な聞き方したつもりだったけど、神と並べ立てて自己を聖別するっていう聖職者にあるまじき姿勢以外は完璧じゃない。
あなたただのスケベじゃないわね。見直したわ。
それじゃ今度は私が約束を守る番……あら、ちょっとマズイことに……ちょ、ちょっと何すんのよ!

ちょっ、このっ、離しなさいよ……(イラッ)
いい加減にしなさい!
(同じ轍を踏もうとする少年に嫌気がさしたのか、女は思い切り踏みとどまり、掴まれた腕をグイッと引っ張る。
すると少年は丁度繋がれた犬が引き止められるような状態になる)

>>86
(鞘に入ったままの剣を構える男を訝しげに眺める)
……危ない止め方するわね。
まあそれは置いといて……私に何の用かしら?
宿屋? 私の家は宿屋だけど……宿無しなら泊まってく?
夕食は出せるかわからないけどね。
(と話していると男の腹が鳴り出した)
あはは、心配しないで。もし夕食に間に合わなくてもまかないくらいなら出してあげるから。
ただし、うちに泊まってくれるならね。どう? (ニコニコ)
88 : 勇者[sage] : 2013/03/01(金) 16:15:25.69 0
>>87
振り上げた剣は空を切り、勇者は腕を上げた姿勢でぴたりと止まった。
前髪の隙間から、青い目がローブの女を見る。

「……危ない止め方するわね。」
「生憎、防御魔法の類は使えないもんでね」

剣を下ろし、勇者は目を細めて笑う。
シャツの襟を正し、剣は先ほどまでと同じように、革のベルトに提げた。
何の用かしら、と尋ねられ、勇者は宿屋までの道を訊いた。

「宿屋?私の家は宿屋だけど……宿無しなら泊まってく?
夕食は出せるかわからないけどね。」

やっぱり俺ってラッキー。勇者はそんな台詞を心中で呟いた。

「ああ、ベッドがあるなら十分。飯は他の店でも――」

ぐー。

「……」
「あはは、心配しないで。もし夕食に間に合わなくてもまかないくらいなら出してあげるから。」
「…ありがたいね」

肩をすくめ、勇者は何かをごまかすような、曖昧な笑みを浮かべた。
ただし、という前置きは気になったが――正直、宿を選んでいる時間も惜しい。
近場の宿同士で競争でもあるのだろうか。同じような店の並ぶ街道ではよくあることだ。

「で?話を聞いてりゃそいつも泊まるらしいけど…あれはいいのか?」

三人に――正確には少年に迫る追跡者達を、勇者は暢気に指さした。
89 : 僧侶見習い[sage] : 2013/03/01(金) 21:28:11.86 0
「えふっ!?」

眼前の男にあわや正面衝突……する直前
少年は、まるで躾の悪い犬が手綱を引かれた時の様な急停止を強いられた
手を引いていたローブの女が急に停止を試み、少年の腕を引いたからである
当然そのエネルギーは腕を伸ばし切っていた少年の肩へと集約し、相応の痛みを与えられる結果となった

「くっ、いきなり立ち止まるのはやめたまえ君!
 肩が外れるかと思ったではないかね!」

なんとなく理不尽だと感じたダメージに少年は女へと振り返ろうとし

「……ふ、ふむ……何だねこの状況?」

接触寸前の距離まで迫った剣の鞘。
直前まで衝突しかけていた人影が繰り出しているそれに気付き、口角を引き攣らせた。
……女が手を引かなければ、その鞘は綺麗に命中していた事であろう

「宿屋? 私の家は宿屋だけど……宿無しなら泊まってく?」
「ああ、ベッドがあるなら十分。飯は他の店でも――」

だが、自身の間近に迫っていた危機に冷や汗を流しながら固まっているそんな少年を置き去りにして
男と女は和やかな会話を繰り広げて行っている。それはどうやら、男を宿泊させるという内容らしく

「……はっ!? いやいや、待ちたまえよ魔術師……ではなく、ローブの君
 こんな見ず知らずの輩を君は家に泊めるというのかね?僕の様な神々しい司祭ならまだしも、
 いきなり暴行を加えようとする男など連れ込めば、いやらしい事ができな……危険だよ。うむ」

残念な発言をしつつ、男を指さす少年。どうやら男が泊まるというのがお気にめさないらしい。
ジロリと男をねめつける様な視線を向け

「で?話を聞いてりゃそいつも泊まるらしいけど…あれはいいのか?」
「!? よくないね、非常によくない!至急移動せねば!」

直後に男が指さした追跡者達を見て、それどころではないと引き攣った声を出し撤退の優先を決めた

「ローブの君!至急君の家に案内してくれたまえよ!この際仕方ない、この妙な輩の動向も許すよ!ははは!」

何故か上から目線なのが気にかかる所ではあるが、少年は自分の態度など気にする様子も無く
そのまま追跡者達へとその右掌を向けた

「とりあえず撤退の為に時間を稼ぐので、数秒だけ眼を瞑っていてくれたまえよ諸君――――」

そして少年はそれを繰る。
神の御業。聖なる所業。『法術』と呼ばれる神秘の力。

「『閃光-フラッシュ-』」

少年の掌の前に一瞬小さな光の陣が浮かんだと思えば、それは急激に光度を増し
――――強烈な光が光が周囲を包み込んだ
90 : ローブ姿の女[sage] : 2013/03/02(土) 10:22:29.94 T
>>88
「生憎、防御魔法の類は使えないもんでね」
「ま、いきなりあんなのが来たらね。無理ないわ。私もパンチの一つでもかましてやれば良かったかしら」

グッと拳を突き出しながら冗談めかして女は青年に笑い返す。

「何か気になることでも? ……ああ、そんな事。
だって、うちは宿屋であって慈善家じゃないもの。客でもない人に出すものなんて無いのよ。
で、あなたはどうするの? そう。それじゃあ決まりね。
じゃ、私についてきて頂戴。案内するわ」

いざお客様をご案内、しようとした所で青年が不意に問いかけてきた。

「あれ? ……約束は約束だもの駄目に決まってるじゃない。さ、判ったらついてきて」

>>89
「あら、ごめんあそばせ。まさかか弱い女が立ち止まっただけでそんな事になるなんて。
少々日々の運動が足りないんじゃないかしら?
まあ私としては寧ろ感謝して欲しい所だけどね」

ローブの女はしてやったりといった様子で少年に笑いかける。

「……はっ!? いやいや、待ちたまえよ魔術師……ではなく、ローブの君
 こんな見ず知らずの輩を君は家に泊めるというのかね?僕の様な神々しい司祭ならまだしも、
 いきなり暴行を加えようとする男など連れ込めば、いやらしい事ができな……危険だよ。うむ」
「……色々と突っ込みたいんだけど、一言で言わせてもらうわ。「あんたに言われたくない」
それに、やっぱりあなたスケベじゃない」

少し引き気味に少年を見ていたが、ふと目線を移すと怒りで顔を真っ赤にした女学生と衛兵が迫ってきた。
そんな彼等に少年は容赦無く目くらましをくらわせる。

「神の説く不殺の精神と信徒に迫る危機を脱する手段--二つを満たすべく生み出された法術だけど、こんな罰当たりな使い方があるなんて思わなかったわ。
明日になったら衛兵でも呼ぼうかしら」

呆れ気味に呟きながら、三人は宿への道を歩く。追手を撒かなければならないので三人は裏通りを抜け、安い酒瓶一つ分の通行料を払ってスラムを抜け、また裏通りを抜けて大通りに面した宿に辿り着いた。
宿屋と酒場飯屋を兼ねたような店内ではそれなりの数の客が思い思いの夕飯時を過ごしていた。
そこに三人が入っていくと厨房の方から包丁より剣の方が似合いそうな屈強な体格をした強面の主が出てきた。
多分女の父親なのだろうがあまり似ていない。女は母親似なのだろう。

「ただいまー」
「おかえりー……あっ! そうかそうかついにお前も彼氏を家に連れ込むようになったか。まあお前も年頃だからそれはいい。だがな、一度に彼氏二人も連れ込む女が居るかよ。
娘が安い娼婦になったみたいでお父さん悲しいよ」
「(高い娼婦ならいいんかい) 違うわよ。こっちの人(勇者)はお客さん。腹ペコで死にそうなんだって。私が帳簿付けとくからすぐ夕飯だしてあげてよ。
それとこっちの人(僧侶見習い)は……(下手なこと言うとしょっぴかれちゃうわ) 学院の知り合いよ。論文の手伝いで来てもらったの」
「へえそうかい。それじゃお客さんちょっと待っててくださいね。すぐ用意しますから」

店主が厨房に戻ってから暫くすると器用に定食三人前を持ったエプロン姿の娘がやってきた。
どことなく女に似ているが多分妹だろう。歳は少年と同じ位に見える。

「お待たせしました。定食(梅) になります。ちなみにパンとスープのおかわりは自由ですからね。
それと、お姉ちゃんと彼氏さんにはサービスだって」

どうもこの妹は何かを勘違いしているようだ。姉が否定しても聞く耳を持たない。
91 : 勇者[sage] : 2013/03/02(土) 11:05:07.14 0
>>83
「……はっ!? いやいや、待ちたまえよ魔術師……ではなく、ローブの君
 こんな見ず知らずの輩を君は家に泊めるというのかね?僕の様な神々しい司祭ならまだしも、
 いきなり暴行を加えようとする男など連れ込めば、いやらしい事ができな……危険だよ。うむ」
「いきなり人に衝突しようとしてくるガキはいいのか」

自分をさす指先を避けるような素振りをして、片目を細めて勇者は言った。
まぁそんなことはおいといてと話を進めようとしたが、どうにもそうはいかないようだ。

「ローブの君!至急君の家に案内してくれたまえよ!この際仕方ない、この妙な輩の動向も許すよ!ははは!」

後ろの追跡者達を見た少年が、上から目線にその場を仕切る。

「とりあえず撤退の為に時間を稼ぐので、数秒だけ眼を瞑っていてくれたまえよ諸君――――」

目を瞑れ。目くらましをするつもりか。
へーへー、と呆れ気味に笑い、勇者は少年の右掌が向く方向から目を逸らし、目を瞑った。

>>90
客なら食わせてくれるのか。飯がないこともないんだな。
道中、行商人から買ったパンと水で所持金は尽きかけていたが、勇者は思い出す。
換金できそうなアイテムならいくつか持っていたな、と。

(なんか大事なものっぽいこと言ってた気がするけど、まあいいだろ)

そんな事を考えながら、目が眩んだ追跡者達を置き去りに、勇者は走った。
…が、三人で街中を走っていれば嫌でも目立つ。
追跡者達の死角に入ったところで速度を緩め、裏道を歩くことにした。

宿屋はそれなりに大きく、そこそこ繁盛しているようだ。
店内をぐるっと見渡したところで、厨房から戦士が出てきた。

「…」

違った。
恐らく女の父親だろう。宿の主にしては屈強すぎる外見に、勇者は一瞬勘違いをした。

「こっちの人はお客さん。腹ペコで死にそうなんだって。私が帳簿付けとくからすぐ夕飯だしてあげてよ。」
「お?」

なんだ、夕飯出してくれるのか。
それはもうラッキー。腹は減っているが、やっぱ俺は勇者らしい運を持っているみたいだ、と勇者は喜んだ。

「客でもない人に出すものなんてなかったんじゃないのか?」

テーブルに片手で頬杖をつき、口角を上げて女を見る。
定食を持ってきてくれた娘――ローブの女とどことなく似ている。妹だろうか――から定食を受け取り、
水の入ったコップに口をつけた。

「それと、お姉ちゃんと彼氏さんにはサービスだって」
「ん?」

きょろきょろと女の周囲を見る。
女が違う、とその娘に対して否定の言葉を言うが、娘は聞く耳を持たない。

「あ、俺?俺は違うよ。まだローブの下も見てないしね」

そんなことを言いながら、フォークの先の野菜を口へ運んだ。
腹が減っている割には大人しい食べ方だが、定食はみるみるうちに減っていく。
パンとスープのおかわりを頼むのもすぐだろう。
92 : 僧侶見習い[sage] : 2013/03/02(土) 21:36:06.90 0
>>90 >>91

「ははは、何を言うのだねローブの君。仮に開発者が僕に使われたという事を知れば、
 その類を見ぬ幸福に号泣しつつ踊り出すに決まっている……そんな事より、早速撤退しようではないか!」

自信満々に自意識過剰な台詞を言い切ると、少年は二人と共にローブの女の住居へと向けて走り出した
スラムや裏通りを駆使した移動は、結果慎重に慎重を期した移動手段は追跡者を振り切る事を成功させるだろう


――――そして、宿

「おかえりー……あっ! そうかそうかついにお前も彼氏を家に連れ込むようになったか。まあお前も年頃だからそれはいい。
 だがな、一度に彼氏二人も連れ込む女が居るかよ。 娘が安い娼婦になったみたいでお父さん悲しいよ」

一歩踏み込めばそこには屈強な戦士……ではなく、女の父親
初めはその見た目に警戒をしていた少年であったが、何やら呼び込む呼び込まないとの話になってきたので
満を持して口を開くことにした

「父君、残念ながら僕と彼女は恋仲では無いよ
 利用し合うだけの関係だ……ただし、一緒に泊まる事を求められた仲ではあるがね!
 ちなみに、こちらの男に関しては全く関係が無い」

当然の事の様に、その内容は口を開くなと思わせるような内容であったのだが
……そうして主人が厨房へと消えて行って暫くの後

「お待たせしました。定食(梅) になります。ちなみにパンとスープのおかわりは自由ですからね。
それと、お姉ちゃんと彼氏さんにはサービスだって」

香ばしい香りを伴って、エプロン姿をした少女がやってきた
その目鼻立ちは女とどこか似ており、血縁関係を予想させる

「あ、俺?俺は違うよ。まだローブの下も見てないしね」
「うむ。残念ながら勘違いだよ少女。僕も恋仲ではない。ローブの下は見えなかったからね。
 という訳で、よければ君が僕と……うむ、なんでもないよ。だからそんな視線を向けるのはやめたまえ諸君」

姉の否定に耳を貸さないかわいらしい少女に、しかし勘違いをさせる訳にもいかないので
少年は否定の言葉を述べる。男と似たような台詞を吐いた様でいて、相当に意味が違うのはご愛嬌
……少年の顔が良く無ければ即座に通報されていたに違いない

食事は他愛なく進み、男が旺盛な食欲を魅せるのをしり目に
少年は出された食事を前に一度祈りを捧げ即座に――――付けなかった
いや、手を付けるには付けているが、それはローブの女が手を付けたのと同じ料理のみ
それも、スープの様な液状のものに関しては一切手を出していない
最も、その事は少年が食事を取る光景を観察でもしていなければ気づかないであろうが

そうして食事も半ば。団欒とはいい難いがそれなりに空気が温まってきたその時

「さて、ローブの君とその他の君。いい頃間だ、そろそろ自己紹介でもしないかね?
 食事を共に取る相手の名前も知らぬというのは、寂しがり屋の僕としては少々窮屈に思うのでね」

少年は微笑を浮かべつつそう切り出した。次いで、二人の回答を聴く間も与えず語り出す

「では、まずは僕から語らせて貰おう――――僕は名をフォールスという
 聖教国教導院に所属する衆目美麗な学生司祭だ
 ここには街の教会への研修という名目で滞在している。今日は色々と世話になったね。ありがとう」

驚くべきことに、内容は自己紹介と真摯な礼であった
93 : 勇者[sage] : 2013/03/02(土) 22:56:30.43 0
>>92
「うむ。残念ながら勘違いだよ少女。僕も恋仲ではない。ローブの下は見えなかったからね。
 という訳で、よければ君が僕と……うむ、なんでもないよ。だからそんな視線を向けるのはやめたまえ諸君」

先ほどから調子の変わらぬ少年を、勇者はパンを租借しながら一瞥する。
それなりに整った容姿、聖職者に類する装い――口を開いてしまえば、その装いも仮装のようだが。
とにかく、黙っていれば無条件で信用を取れそうな外見だった。

「あ、スープおかわり」

空のスープ皿を指先でついと押し、もう片方の手で残り少なくなった定食を口へ放り込む。
汚くはないが、けして品が良いとは言えない食べ方だ。
食事が減るにつれ、先ほどまでだるさが全面に出ていた勇者に生気が戻っていく。
雰囲気も明るくなったようだが、やや気だるげなその顔立ちは生来のものらしい。

「さて、ローブの君とその他の君。いい頃間だ、そろそろ自己紹介でもしないかね?
 食事を共に取る相手の名前も知らぬというのは、寂しがり屋の僕としては少々窮屈に思うのでね」
「うん?」

皿の上の食事は綺麗に平らげ、最後におかわりのスープを一皿。
スプーンを手にしたまま、勇者は改めて、自己紹介の提案をする少年の方を向いた。

「では、まずは僕から語らせて貰おう――――僕は名をフォールスという
 聖教国教導院に所属する衆目美麗な学生司祭だ
 ここには街の教会への研修という名目で滞在している。今日は色々と世話になったね。ありがとう」
「ずずっ…へぇ、仮装じゃなくて本当に司祭なんだ」

スープをすすり、一拍置いて勇者が口を開く。

「俺は別にお前の世話をした覚えはないが、感謝されるのは悪くないな」

少年の礼は明らかに宿屋の主人や女に向けたものだったが、
勇者はそんな軽口で少年――フォールスの自己紹介に応えた。

「俺はリノ。勇者でーす」

はーい、と中途半端に上げた掌をひらひらと動かし、勇者が自己紹介を始めた。
勇者、と言った瞬間周囲の目が勇者に向く。
純粋な興味もあれば、頭のおかしい人を見るような目も混じって。

「世界とか人類が滅んだら俺が困るから魔王倒しに行く途中。以上」
94 : 女学士[sage] : 2013/03/03(日) 00:00:01.49 T
いつまでもローブ姿の女じゃしまらないからね

>>91-93
「客でもない人に出すものなんてなかったんじゃないのか?」
「私からのサービスよと言うこともあるけど……うちの宿は朝夕の食事まで出すのよ。その辺の宿より気前が良いでしょ?」

そう言って先ほど付けていた帳簿を見せる。
確かに表紙には「宿帳」と書いてあるが、勇者の所らしき欄には名前が書かれていない

「そういえば名前聞いてなかったわね。悪いけど名無しの権兵衛さんじゃ泊められないのよ」

なんやかんやで名前を聞き出して帳簿に書き留める。
それじゃ今夜はごゆっくり。

>>92
「父君、残念ながら僕と彼女は恋仲では無いよ
 利用し合うだけの関係だ……ただし、一緒に泊まる事を求められた仲ではあるがね!
 ちなみに、こちらの男に関しては全く関係が無い」
父「学院には変な奴が居るんだなぁ……おい、恋仲でないけど利用しあって一緒に泊まる仲ってのはつまり……」
「父さん。待って。大丈夫だから。私そんな商売に手出したりしてないから。
だからお願いだから山刀は抜かないでね」

主は少年を信用していない様子だが、ひとまず落ち着いて再び厨房に戻っていった。
先程は気付かなかったが主の腰には愛用している包丁とそれよりも随分使い込まれた山刀が提げてあった。
もしかしたら主は本当に戦士や猟師だった時期があるのかもしれない。

「うむ。残念ながら勘違いだよ少女。僕も恋仲ではない。ローブの下は見えなかったからね。
 という訳で、よければ君が僕と……うむ、なんでもないよ。だからそんな視線を向けるのはやめたまえ諸君」
「なぁんだつまんない。まあお姉ちゃんの好みはどっちかと言うとこっちのお兄さんの方だしね。
えっ私と? でもまだ名前も知らないのに……」
「(よくも妹の前でそんな不埒な事を) 駄目よサーシャこんな女たらしと付き合ったら。きっと後で泣く事になるわよ」
「……何もそこまで言わなくてもいいじゃない。ごめんね。

普通に世間話しているように見えるが女のナイフの握り方が少し変わっている。女は以外と父親似なのかもしれない。

「あ、スープおかわり」
「はーい」
丁度スープを切らしたようでおかわりが届くには少し時間がかかるようだ。

「あら、まともに話すと以外とそれらしく見えるのね。中身もまともだったら言う事無いのに。
本当はからかってやるつもりだったんだけどね。まんまとやられたわ」

先程までの言動と比べると普通になった少年の物言いに拍子抜けしたのか、女の皮肉も多少は手心が加わってきた。
お次は青年の番だが、青年の素性は少し特殊だった。

「ゆ、勇者? 本当なの? 」

どうやら嘘を言っている訳ではなさそうだが所謂勇者のイメージとはこの青年はかけ離れていてイマイチ信じられない。
学院で詳しい勇者関連の資料に触れた女なら尚更である。が不思議な事に青年の言が嘘とは思えないのだった。

「次は私ね。私はソフィア。学院で歴史、古文書学を専攻してるわ。
因みに妹はアレクサンドラっていうのよ」
「お姉ちゃん、何の話してるの? ーーお待たせしました。おかわりのスープです」
95 : 女剣士[sage] : 2013/03/03(日) 01:46:33.40 0
>「俺はリノ。勇者でーす」
――そんな自己紹介が終わるか終わらないかといううちに。

「ゆ……ゆ……――」
勇者たちの隣の隣のテーブルに座っていた、こざっぱりした旅装束の女性。
口をパクパクと動かし、体を震わせ、そして自己紹介を終えたソフィアの肩越しに勇者に呆然と視線を注いでいる。

そして、ちょうどスープのおかわりが届いたその時。
どんがらがっしゃーん! と、椅子を蹴倒しテーブルが揺れて酒瓶が割れる派手な音が店に響いた。


「勇者様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

ぱっと花の咲くような笑顔を全開にするや否や、床板をたたき割らんばかりの凶悪な音を立てて踏み切り――
目にもとまらぬ瞬間移動の如き反復横跳びで人や物を微妙に跳ね飛ばしつつ、一息で勇者が座る席の前に到着。
そのまま勇者の両手を自身の両手でぎゅっと握りしめ、
リンゴが三秒で擦りリンゴになりそうな握力でもってぶんぶんと振り回そうとしつつ、

「探してました――私、勇者様のことずーっと探してました!」

彼女は、尻尾でも振りそうな勢いで無邪気に目を輝かせて延々と語り出す。

「えへへお噂うかがってます感激ですう気怠げな表情には重ねた経験を力の抜き方を心得た
佇まいには聖戦士としての実力が感じられてスープをすする姿一つにも凄み溢れるとはさすが
勇者様でああ私ったら馬鹿馬鹿馬鹿そちらの僧侶さん懺悔させてくださいさっきお財布落として
パン一つしか夕飯が注文できなかったからってそこでおいしそうに定食を召し上がる勇者様方に
妬みの視線を送ってしまいました悔い改めます罰を受けますそうだ隣国で伺ったんですが100の
盗賊を、単騎!壊滅!説法!改心!のお話は一度詳しくお伺いしたく(略)」

要するに、彼女は(詩人が語るような、酷い尾ひれのついた正義のヒーロー的な)勇者の噂を真正面から信じ、憧れている。
思い込みの激しい人物である。

彼女はしばらくして語り尽くすと我に返り、一歩後ろに後退した。
テーブルにつく全員に視線をやると、真剣な表情でペコリとお辞儀をし、

「申し遅れました! 私、ルミナと申します。昨年、剣士始めました!
勇者様、お供の方々! どうか、私を仲間にしてください! 一緒に『正義』をさせてください!」

――いろいろと、勘違いした挨拶を大声で言い放った。多分、集まる好奇の視線が増えた。
96 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/03(日) 22:44:37.64 0
宿の主人やローブの女が繰り出したキラリと光る獲物をやり過ごし自己紹介をしたフォールス
だが、それに対する周囲の反応は散々な有様であった

「あら、まともに話すと以外とそれらしく見えるのね。中身もまともだったら言う事無いのに。
 本当はからかってやるつもりだったんだけどね。まんまとやられたわ」
「ずずっ…へぇ、仮装じゃなくて本当に司祭なんだ」

「ははは、何やら君たちの中では僕の評価が酷い事になっていたようだね!
 色々言いたい所だが、我らが神も反省さえすれば罪を許すと言っている事だし、水に流すとしよう
 これからは、麗しの聖人よりも美しい心を持つ司祭と記憶してくれたまえよ」

だが、フォールスは自己紹介に対する周囲の散々な反応にも係わらず、
自信満々な態度でそう言い返した。その態度こそが散々な反応の原因とは微塵も考えていないらしい

「俺は別にお前の世話をした覚えはないが、感謝されるのは悪くないな」
「……いや、僕は君には何一つとして感謝していないのだがね」

そんなフォールスにさえ突っ込みを入れさせる辺り、男は割と大物なのかもしれない
さて、そのフォールスの突っ込みさえも気にする事無く男も流れに乗って自己紹介を始めた
その語り口はいかにも他愛無く、日常会話をするような気楽さであったが

「俺はリノ。勇者でーす」
「世界とか人類が滅んだら俺が困るから魔王倒しに行く途中。以上」

その語る内容は、いかにも普通ではなかった
勇者、という言葉を聞いた瞬間に周囲の視線が集まったのを感じ取れる

勇者……曰く、神に祝福されし者。人類の希望。魔を払う光
呼び方は様々あるが、勇者とは魔王に対する人類の究極の対抗手段である
眼前のリノと名乗る者は自身がその勇者であると、そう名乗ったのだ
97 : 学生司祭[sage] : 2013/03/03(日) 22:45:53.30 0
「ゆ、勇者? 本当なの? 」
「……ふむ。まさかその称号をこんな場面で聞く事になろうとは
 言っておくが勇者を偽称する事は、多くの国家では重罪だと知ってはいるのだね?」

当然の如くローブの女も驚愕を示しており、フォールスも驚愕の表情を作る
その直前に、ほんの一瞬だけ目を細めていたが、それに気づくものはいまい
……結局、この場ではその話題はひとまず置いておく事となった
次いで自己紹介を始めたのはローブの女

「次は私ね。私はソフィア。学院で歴史、古文書学を専攻してるわ。
因みに妹はアレクサンドラっていうのよ」
「お姉ちゃん、何の話してるの? ーーお待たせしました。おかわりのスープです」

「ソフィア君にアレクサンドラ君か。いい名前だね、しっかりと頭に刻みつけて覚えておくとしよう。
 ……それにしても、歴史と古文書とは中々に愉快な研究ね。神学に絡んだ部分があれば
 遠慮せずに僕に聞いてくれたまえ。しっぽりと……ではなく、しっかりと教えよう
 そのときはアレクサンドラ君も連れてきてくれると個人的に胸がドキドキするね!」

……さて。ローブの女改め、ソフィアという学者の女の自己紹介。それも速やかに終わり、
いよいよ先程の勇者宣言についての追及が始まりそうになった、その時である

「勇者様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「探してました――私、勇者様のことずーっと探してました!」

「ふむ……」

暴風の様な勢いで彼らが据わる席に舞い降りた女が一人

「申し遅れました! 私、ルミナと申します。昨年、剣士始めました!
勇者様、お供の方々! どうか、私を仲間にしてください! 一緒に『正義』をさせてください!」

「まあ、落ち着きたまえよ。まず、僕とソフィア君はこのリノ君の従者ではない
 次いで言うなら、リノ君が勇者であるという証明は済んでいない
 最後に、懺悔が希望なら狭い部屋でマンツーマンで行おうではないかね」

フォールスは急な来訪者であり、なにやら突っ走っている様に見受けられる女にも微笑を向け、
冷静で穏やかな態度を取る、その態度は聖書者として模範的な物であった
最後の一文を聴かず、その視線が登場からずっと、女……ルミナの胸をじっと見続けていなければ。だが
98 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/04(月) 08:51:34.07 0
「ゆ、勇者? 本当なの? 」
「嘘言ってどうする、先代勇者は俺の親父だよ」

リノは事も無げにそう言った。
家ではただのオッサンだけどね、と付け足しながら。

「……ふむ。まさかその称号をこんな場面で聞く事になろうとは
 言っておくが勇者を偽称する事は、多くの国家では重罪だと知ってはいるのだね?」
「知ってる知ってる。こないだ勇者を騙って村人から金を取ってる奴を見たね」

勇者を騙り、旅の資金などと言って民から金や物を『援助』してもらう。
そういった手口の詐欺は、勇者が現れた時代から時々見かけるものだった。
リノとしては勿論面白くないので、道中見かけた詐欺は一つ残らず潰してきたが。
なにせ、本来自分が受けていたかもしれない援助なのだ。

歴史、古文書学を専攻する学士のソフィア。
聖教国教導院の学生司祭、フォールス。

どちらも中々良い肩書きだと、リノは思った。
少なくとも、特に証明書もない、簡単に誰かが騙れてしまうような『勇者』よりは。
そして、その詐欺をはたらく者達と同じように、リノ自身にも勇者の証明はないのだ。
勇者は、魔王を滅ぼし、世界を救った瞬間から伝説になる。
それまでの道のりなど、その時には僅かな者しか見ていない。
全てを成し遂げてから語られるものであることを、先代勇者の息子であるリノはよく知っていた。

「ゆ……ゆ……――」
「ん?」
「勇者様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

どんがらがっしゃーん!というとんでもなく派手な音が宿屋に響く。
その場の誰もが、否、その女性以外の誰もが驚き、音の出所――椅子を蹴倒した女性の方へ目

を向ける。
女性は花の咲くような満開の笑顔で、周囲の人や物はおかまいなしにリノの所へとんできた。

「探してました――私、勇者様のことずーっと探してました!」
「いだだだだ」

リノは見るからに怪訝そうな顔で眉根を寄せ、女性の手を振り解こうとするが、
握力が強すぎる上に両手をいっぺんに握り締めらているため
なすがままにぶんぶんと振り回される。

肝が据わった――というより、図太いという表現が合うリノでも、
流石にこの状況には困惑を隠せない。
長々と勇者様の武勇伝だのなんだのを嬉々として語る女性を前に、もう何がなんだか、といった

顔だった。

「申し遅れました! 私、ルミナと申します。昨年、剣士始めました!
勇者様、お供の方々! どうか、私を仲間にしてください! 一緒に『正義』をさせてください!」

しばらくして語り尽くし、お辞儀をしながら女性はそう自己紹介をした。
…一緒に『正義』をさせてください。その言葉がリノには引っかかった。

「…あのさぁ、その志は立派だけど、何か勘違いしてない?
盗賊を潰したのは本当だけど、数はその半分だし。…説法もしてなきゃ改心したのは数人だし」

自分たちに集まる好奇の視線にちくちくと刺されながら、リノは嘆息してそう言った。
99 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/04(月) 08:55:46.90 0
(メモ帳からコピペした時に、一部改行がおかしくなってしまいました。読みにくくなってすみません)
100 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/05(火) 20:47:02.28 T
「ははは、何やら君たちの中では僕の評価が酷い事になっていたようだね!
 色々言いたい所だが、我らが神も反省さえすれば罪を許すと言っている事だし、水に流すとしよう
 これからは、麗しの聖人よりも美しい心を持つ司祭と記憶してくれたまえよ」

(色々言ってやりたいのはこっちよ) と言ってやろうと思ったが、彼の事だからどうせ適当に流してしまうだろうと思ってやめた。
さて、いかにもフォールスらしい自己紹介が終わり、順番が回る。
今度はリノと言う男だ。驚く事に彼は勇者だという。

「ゆ、勇者? 本当なの? 」
「……ふむ。まさかその称号をこんな場面で聞く事になろうとは
 言っておくが勇者を偽称する事は、多くの国家では重罪だと知ってはいるのだね?」

当然だが周りの反応は芳しくない。リノは世間一般の神格化された勇者のイメージからは外れている。
そして、それに対する勇者からの回答は
「嘘言ってどうする、先代勇者は俺の親父だよ」
「勇者って世襲だったんだ……」

勇者の息子だから勇者、さも当たり前のように言われたその一言にソフィアは戸惑いを覚えた。
古今東西貴賎の上下なく、勇を示し功を挙げた者こそ勇者と呼ばれるべき。そう思っていた。
それに勇者の称号は後に自分ではなく他人から冠されるものであるとも。尤も、それを彼自身は痛いほど知っているだろう。
だからこそそれを事もなげに言う事に戸惑いを覚えたのだ。
……それはさておき、今度は自分の自己紹介。

「ソフィア君にアレクサンドラ君か。いい名前だね、しっかりと頭に刻みつけて覚えておくとしよう。
 ……それにしても、歴史と古文書とは中々に愉快な研究ね。神学に絡んだ部分があれば
 遠慮せずに僕に聞いてくれたまえ。しっぽりと……ではなく、しっかりと教えよう
 そのときはアレクサンドラ君も連れてきてくれると個人的に胸がドキドキするね!」
「でしょ? 温故知新と言うように私達が気付かなかったり忘れているだけで、先人から学べる事は多いのよ。それに歴史は何にでもあるし、今に繋がっている物だからね。
中でも古文書学は……」
「ストップストップ。ごめんね、お姉ちゃんこういう話すると止まらなくなるから。
前にも教導院の人を連れて来た事があったんだけど、その時は教導院の人、寝かせてもらえなくてフラフラになって出て行ったわ。
フォールスさんお姉ちゃんの事を教導院で聞いた事ない?」
「だって教導院の人間程神学に詳しい人いないもの。聖職者以外から得られる神学の知識は街の司祭様より上になる事はないわ。
だけど私の研究には専門的な神学の知識が必要なのよ。でも私は聖職者になる気は無いし、そもそも女は教導院に入れないわ。だからね」
「ね、これだけでも長いでしょ?」
「うっ……。と、とにかくそういうことよ。だからあなたの所に聞きにいくのは難しいわね。
だからドキドキもしっぽりも無理ね。大体教導院でそんないかがわしい真似出来ないでしょうに」
「お姉ちゃんはああ言ってるけど、しっぽりはともかくドキドキだけなら……ここに来てくれたらね」ゴニョゴニョ
「……何よ二人でコソコソと」
101 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/05(火) 20:48:58.11 T
「さて、自己紹介も済んだところで勇者さんに話を聞いてみましょうか」
「ねーお姉ちゃん私は?」
「私がもう済ませたわ」
「えーひどいひどい」

さて、いよいよ勇者に関する追及が始まろうとしたその時……

「勇者様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「探してました――私、勇者様のことずーっと探してました!」

派手な音、オーバーな振る舞い、やたら高いテンション
ざわざわしていた酒場は一瞬で静まり返り、感極まった様子の女がリノに話しかける……というよりまくしたてている。
と思ったら今度はリノの手を取って強引なスキンシップを取る。

「あちゃ~、まるで性質の悪い酔っ払いね」
「ねえ、お姉ちゃんこのままだと……」

姉妹の心配も周りの戸惑いの視線もそして勇者の困惑もよそにルミナと名乗る女の独り舞台は続く。
呆れる程に美化された勇者像を盲信する女剣士。
取り付く島も無いので平常運転のフォールスに問いかける。

「ねえ、もし神様が降りて来たとしたらあなたもあんな風に大喜びするの?」

ルミナには色々とツッコミを入れたいが彼女があまりに純粋にまくしたてる為その機を逸する。

「…あのさぁ、その志は立派だけど、何か勘違いしてない?
盗賊を潰したのは本当だけど、数はその半分だし。…説法もしてなきゃ改心したのは数人だし」

漸くリノ本人が返事を返す。
と、そんな所に店主がやってきた。料理を運んでいるわけでもない。その役のアレクサンドラはルミナが倒して割った瓶を片付けたり椅子を直したりしてまた戻ってきた。
かといって注文を取りにきたわけでもなく……

「お客さん、店で暴れるのは勘弁してくださいよ。
正義がどうとかは知らないけどさ、こんな所で大暴れし始める正義の味方なら居ない方がマシだ」

どうやら注文を付けに来たようだ。

「どうしようお姉ちゃん、剣士なんかして何かあったらお店どころじゃないよ」
「そろそろ下は閉店時間ね。サーシャ、ちょっと早いけどドアに(酒場閉店の)札かけてきて」

気持ちは判らなくもないがこの先がおもいやられる
父娘がこちらに来ている間、厨房では誰か(多分母親だろう) が片付けをしているようだ。
102 : そこらへんに放置されていた古臭い書物[sage] : 2013/03/05(火) 22:40:15.01 0
それは、永遠の名を冠する時間(とき)の魔剣…炎の魔剣と氷の魔剣を根源を司る大精霊の力によって統合した時誕生する時空を司る剣。
時を操るその力を以ってすれば時を越えることも、対象の時を巻き戻すことも早めることもできる。
空間を操る力を以ってすれば距離を越えることも亜空に隠れし存在を引きずり出すこともできる。
そして、その斬れ味は伝説の龍や魔王をも斬り裂き、貫く力は強大なる聖なる槍をも凌駕する。
最初にこの魔剣を手にした者は世界を二つに分けた。次に手にした者は世界を一つに統合した。
大いなる力を身に秘めし伝説の魔剣、炎の魔剣『フランヴェルジュ』と氷の魔剣『ヴォーパルソード』の二振りの魔剣に分かれ、次の主を待つ。
時間の魔剣。その名を、『エターナルソード』という。
103 : 女剣士ルミナ[sage] : 2013/03/06(水) 05:46:41.10 0
>>97
>「まあ、落ち着きたまえよ。まず、僕とソフィア君はこのリノ君の従者ではない」
>次いで言うなら、リノ君が勇者であるという証明は済んでいない
>最後に、懺悔が希望なら狭い部屋でマンツーマンで行おうではないかね」

「えっ、従者さんじゃないんですか!?
隣国で従者を率いて戦う素敵な勇者様方のお話を伺ったばかりで、その方かと!
失礼しました、『違う勇者様』なんですね!」

上半身への視線の存在には気がつきつつも意図は全く理解せず、さらりと無かったことにする。
ともあれ、ルミナは述べた――『違う勇者』と。まるで勇者が何人もいて当然のような様子で、彼女は嬉しそうに話を進める。

>>98
>「…あのさぁ、その志は立派だけど、何か勘違いしてない?
>盗賊を潰したのは本当だけど、数はその半分だし。…説法もしてなきゃ改心したのは数人だし」

「ああ勇者様ったら本当に謙虚……! 私、感動です!
あ、でも、ですね! 仮に本当に数が半分だったとすると若干の『正義』度合いは下がりますが、それでもやっぱり勇者様は勇者様ですよ?
もし証明をお持ちでないとしても、やっぱり勇者様です!
だって――ほら、手の平が」
握り締めたままの両手の平を、ゆっくりと天井に向ける。そして、にこにこと他の面々の顔を見回す。

「証明より何より、この手の平は雄弁に『最高の正義』を語っていらっしゃいます!
ね、ほら、ほら。豆の付き方と皮膚の厚みで、勝手ながら少しだけ判断させていただきました!
実力がおありだっていうことがわかるのはもちろん、柔らかい人のお肉を斬ることばかりの方では、このような様子にはなりませんよね?
勇者様の大きな堅い手の平は、魔物の厚い外皮を破るあの感触をよくご存じです。あの――」

それは一瞬。ほんの一瞬だけ。

「――あの汚らしい感触を経て為す『最高の正義』をご存じです」

口元に無邪気な笑みを残したまま、ただ声のトーンに暗い陰りが滲み出た。
だがそれは本当に一瞬で、すぐにもとの底の抜けたような明るさが戻ってくる。

「……だから! 貴方様は『勇者様』に相違ないんです!
だって、『最高の正義』を知るお方が『勇者様』を名乗っていらっしゃるんですから!」

ルミナの中では『いわゆる善行=(普通の)正義』『魔物退治=【最高の】正義』、『最高の正義+勇者の名乗り=勇者様』『勇者様=素敵!』という形で酷い短絡が起こっているようである。
暴風のような行動に怯えて店から出た客がいるのはもちろん、このやりとりを気味悪く思って店を出た客もいる。店には良い迷惑である。

>>101
>「お客さん、店で暴れるのは勘弁してくださいよ。
>正義がどうとかは知らないけどさ、こんな所で大暴れし始める正義の味方なら居ない方がマシだ」

ルミナは改めてあたりを見回し、ようやくその惨状に気がついた。しゅん、と申し訳なさそうに眉がハの字を描く。
「あ……も、申し訳ありません! やだ、私ったら、つい嬉しくて我を忘れてしまって……すみません。
弁償…………いえその、持ち合わせが…………………………ごめんなさい」

深々と頭を下げる。――と。
「…………?」

>>102
膝下に広がる視界の中、ひっくり返ったテーブルの影に開かれたまま放置された一冊の古い書物が目に入る。
頭を上げると、ルミナは無造作に本を拾い上げて中身を覗き込んだ。

「あの、すみません。私は古い語学が得意じゃなくて、古くて貴重そうな本だってしかわからないんですけど、これは何ですか?
誰かの忘れ物でしょうか……? 店員さん、常連さんにこういう本を好む人っていらっしゃいます?」
とりあえずは埃を払い、勇者たちのテーブルに置いておいた。
104 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/06(水) 08:55:48.33 0
勇者って世襲だったんだ、と言うソフィアに、リノは特に何も答えない。
魔王を倒した奴こそが勇者だと、リノ自身もわかっていた。
わかっている上で、リノには自分が魔王を倒すのだという固い決意がある。
それは、先代勇者の息子だからという、故郷からの期待に応えるためでも、まして世界や全人類のためでもない。
美味い酒や食べ物を作る村がなくなっても、経済が回らなくなり娯楽施設がつぶれても困る。
リノが平和に楽しく暮らすには世界が平和である必要があるのだ。
だから、世界を平和にする。彼はそういう男だった。

「お婆ちゃん」
ぺらぺらと長く喋るソフィアを見て、リノは薄笑いを浮かべながらぼそりと呟いた。

――女剣士ルミナの話が終わり、リノが言葉を返したところで、宿屋の店主がこちらにやってくる。
割れた瓶や倒れた椅子を直すアレクサンドラを横目に見て、あーあー、と嘆息した。

「お客さん、店で暴れるのは勘弁してくださいよ。
正義がどうとかは知らないけどさ、こんな所で大暴れし始める正義の味方なら居ない方がマシだ」
「どうしようお姉ちゃん、剣士なんかして何かあったらお店どころじゃないよ」
「そろそろ下は閉店時間ね。サーシャ、ちょっと早いけどドアに(酒場閉店の)札かけてきて」

なーんかちょっと面倒な事になってるなぁと、リノは眉根を寄せる。
飯を食ってベッドに入って、全ての話は明日から。そう思っていたのに。
これも勇者の宿命かー、とどこかで諦めて、目の前の『問題』にまた向き直る。

「えっ、従者さんじゃないんですか!?
隣国で従者を率いて戦う素敵な勇者様方のお話を伺ったばかりで、その方かと!
失礼しました、『違う勇者様』なんですね!」

魔王が出た、魔物が人間を脅かしている、と誰もがわかっている世界情勢の中、
『勇者詐欺』ではなく、我こそは勇者と名乗りを上げる戦士達も少なからず居るだろう。
城の王から、お前が勇者だ、魔王を倒してくれ、と言われたリノ以外にも。
今までは偶然、何代かに渡って血筋の者が勇者となっていただけ――とも言える。
この代でそれが途絶えることだって、無い訳ではないのだ。

「証明より何より、この手の平は雄弁に『最高の正義』を語っていらっしゃいます!
ね、ほら、ほら。豆の付き方と皮膚の厚みで、勝手ながら少しだけ判断させていただきました!
実力がおありだっていうことがわかるのはもちろん、柔らかい人のお肉を斬ることばかりの方では

、このような様子にはなりませんよね?
勇者様の大きな堅い手の平は、魔物の厚い外皮を破るあの感触をよくご存じです。あの――」

手を握ったまま、陶酔するように『正義の勇者』を語るルミナ。
手の平から経験を推測したところに関しては、戦士をやっているだけあるなと、リノは少し関心した。

「――あの汚らしい感触を経て為す『最高の正義』をご存じです」

それまで、底抜けに明るい調子を崩さなかったルミナに一瞬射した陰り。
――それはまるで、魔物を退治することこそ正義と言わんばかりで。

「……だから! 貴方様は『勇者様』に相違ないんです!
だって、『最高の正義』を知るお方が『勇者様』を名乗っていらっしゃるんですから!」
「うわぁ」

全くの遠慮無しに、引きました、という態度を前面に押し出した声色で。
しかし、顔はいつもの気だるげな表情で、その目だけは、ルミナに僅かな興味を持っていた。

「君にとっての正義って、魔物を殺すことなんだ?」

やはり変わらない表情。だが今度は声色が、ルミナに対し興味を示す。
105 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/06(水) 08:58:00.80 0
>>102
テーブルの影に放置されていた一冊の書物。
ルミナが拾い上げ、誰かの忘れ物か、と店員に尋ねる。
リノは学がない訳ではなかったが、さしたる興味もない。
テーブルに置かれた書物には、ちらと目を落としただけだった。
106 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/07(木) 03:53:50.08 T
暫くリノを見ながら本当に彼は勇者なのかと考えていたが、そのうちに「今のうちからそんな事判りはしないじゃないか」と思い始めた。
そもそも今の時代においては勇者を勇者たらしめる功績をまだ誰も挙げていないのだから。
と、言うわけでソフィアの追求は勝手に終了したのだが、一つ聞いてみたいことが。

「何故貴方は魔王を倒そうとするの?」

この気だるげな、パッと見勇者に見えない男が何故勇者を名乗るのか、そこが気になったのだが……。
リノはやっぱり気だるげに「自分の為」とだけ答えた。
普通は何のかのともっともらしい理由をくっつけるものだが……少なくともソフィアが出会った事のある自称勇者はそうだった。
元々好奇心旺盛なソフィアが今までと違う相手に純粋に興味が湧いたのは言うまでもない。

「変な人……あっ」
心の中で呟いたつもりが口に出してしまっていたようだ。気を悪くしたかと思いすぐ謝ろうとするが……
「お婆ちゃん」
「悪かったわね」
これではお互い様だろう。

>>103
それは一瞬。ほんの一瞬だけ。

「――あの汚らしい感触を経て為す『最高の正義』をご存じです」
口元に無邪気な笑みを残したまま、ただ声のトーンに暗い陰りが滲み出た。
だがそれは本当に一瞬で、すぐにもとの底の抜けたような明るさが戻ってくる。

「……だから! 貴方様は『勇者様』に相違ないんです!
だって、『最高の正義』を知るお方が『勇者様』を名乗っていらっしゃるんですから!」
「……」
「お、お姉ちゃん……この人達怖いよ」(ギュッ
「大丈夫よ。私達を殺そうって訳じゃないんだから。
それに、もし何かあったらお姉ちゃんと父さんが守ってあげるから。それでも駄目なら母さんと一緒に裏から逃げなさい」
「う、うん……」

リノが引くくらいなのだから姉妹の引きようは推して知るべきだろう。
特にアレクサンドラの方は僅かに変わったリノの様子すら怖がり始める始末である。
それに比べると店主は落ち着いているが、そもそもあれからルミナの話を聞いている気配が無い。

「あ……も、申し訳ありません! やだ、私ったら、つい嬉しくて我を忘れてしまって……すみません。
弁償…………いえその、持ち合わせが…………………………ごめんなさい」
深々と頭を下げる。――と。
「…………?」
「いや、それはどうでもいいから会計と弁償を済ませてくださいよ。もう閉店時だし、今日はこれで終わらせましょうよ。
……何、持ち合わせが無い? 酒瓶一本分の持ち合わせも無いんですかい。
言っときますけどね、どうせ次は来ないだろう旅人にツケなんて認めませんよ」

どうやら店主も相当頭に来ているようだ。下手すると宿を叩き出されるかもしれない。
まあ客に逃げられ店を荒らされ商品を壊され、挙句の果てに娘を怖がらせた……なんて散々な目に遭わされているのだから気持ちはわからなくもない。

>>102
「本? ああそれ私のよ。ありがとう」

先程の言葉を気にしているのか、長くなりそうな解説は無い。
因みにこれは古い伝承を集めた書物の写本らしい。
107 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/03/07(木) 12:58:19.13 0
燃え盛る焔を司る精霊。その力を秘めし魔石は紅蓮の輝きを持ち、他を輝かせる石榴石。
優しき風を司る精霊。その力を秘めし魔石は真珠の輝きと七色の輝きを見せる蛋白石。
たゆたう水を司る精霊。その力を秘めし魔石は穢れなき藍緑の輝きの緑柱石。
母なる大地のしもべたる地の精霊。その力を秘めし魔石は不屈にして強靭なる赤鋼玉。
激しき雷撃を司る精霊。その力を秘めし魔石は愛と信頼を人にわからせる赤縞瑪瑙。
蒼ざめし永久凍土を司る精霊。その力を秘めし魔石は水晶のごとき瞭明さの蒼玉鋼。
全てを照らす光を司る精霊。その力を秘めし魔石は未来へと進む力と極光に包まれたまだ見ぬ未来への恐怖を打ち消す黄玉。
全てを穢す闇を司る精霊。その力を秘めし魔石は闇に浮かぶ真実と心の闇に打ち勝つ勇気を与える紫水晶。
地水火風を統括せし元素の精霊。その力を秘めし魔石は月の光を封じられし導きと覚醒をもたらす月長石
万物の根源を司る精霊王。その力を秘めし魔石は全てを受け入れ、そしてけして砕けぬ金剛石。
魔石は土台とまじないの力を得て契約の指輪となる。契約の指輪、その内に秘めるは魔の力。
この書に隠されし魔石、この書を読みし者に託す。
(ポロリ。全部に目を通した時、老朽化の進んでいた写本表紙が破けて中から柘榴のように綺麗な赤色の石が落ちる。
石榴石、「ガーネット」だ。)
108 : 学生司祭[sage] : 2013/03/07(木) 23:23:09.88 0
勇者は行動の果てに認められるもの
どうやらその場にいる人々の見解はそう一致しているらしい。
だからこそ、フォールスが述べた勇者の証明という台詞に反応するものはいなかった。
そう、その反応は正しい。善良な市民としては、確かに。

「ああ勇者様ったら本当に謙虚……! 私、感動です!
あ、でも、ですね! 仮に本当に数が半分だったとすると若干の『正義』度合いは下がりますが、それでもやっぱり勇者様は勇者様ですよ?
もし証明をお持ちでないとしても、やっぱり勇者様です!
だって――ほら、手の平が」

・・・

「ねえ、もし神様が降りて来たとしたらあなたもあんな風に大喜びするの?」

「ははは、もしそんな者があれば、まず不審者として疑うだろうね
 まあ、仮にそれが本物の神だとすれば……そうだね。僕が懺悔くらいは聞いてあげるとしよう」

突如現れたルミナという女がリノに絡んでいるのを尻目に、
フォールスはソフィアの問いへと冗談めかした返事を返す
仮にも聖職者だからであろうか。どうやら、突飛な人種への適応能力は高いらしい。
フォールス自身が突飛な性格をしているので、免疫があるだけなのかもしれないが

そうして他愛無い話をしている最中にもルミナの独白は延々と続き

「お客さん、店で暴れるのは勘弁してくださいよ。
正義がどうとかは知らないけどさ、こんな所で大暴れし始める正義の味方なら居ない方がマシだ」
「そろそろ下は閉店時間ね。サーシャ、ちょっと早いけどドアに(酒場閉店の)札かけてきて」

結局、酒場の閉店時間までかかる程になってしまっていた

「ふむ、いつの間にかこんな時間に。僕とした事が女性との会話に興ふ……熱中するあまり、
 少々居座り過ぎてしまったようだね!外の追手も諦めた頃だろうし、そろそろ部屋に――――」

一応、常識はあるのだろう。一頻りアレクサンドラ達との会話を堪能したフォールスは、
椅子から立ち上がろうとし

「……だから! 貴方様は『勇者様』に相違ないんです!
だって、『最高の正義』を知るお方が『勇者様』を名乗っていらっしゃるんですから!」

狂気とでもいう様な感情の混じった声に、ピクリと動きを止めた。
視線を向けてみれば、その先にはルミナという女――既に常の表情へと戻っているが、
彼女の言葉に含まれている異常性は、リノを含めた周囲の人々の反応を見れば理解できる
109 : 学生司祭[sage] : 2013/03/07(木) 23:24:02.41 0
「お、お姉ちゃん……この人達怖いよ」(ギュッ
「大丈夫よ。私達を殺そうって訳じゃないんだから。
それに、もし何かあったらお姉ちゃんと父さんが守ってあげるから。それでも駄目なら母さんと一緒に裏から逃げなさい」

「君にとっての正義って、魔物を殺すことなんだ?」

彼らの様子を確認し、先の言葉を咀嚼したフォールスは

「落ち着きたまえソフィア君。ただの女性に対してそんなに怯えるものではないよ。
 アレクサンドラ君。怖いなら僕の法衣の下へと潜って隠れたまえ。個人的に歓喜……歓迎しよう!」

相変わらずだった

「そして、ルミナ君といったね。君はリノ君を勇者だと思っているようだが……魔物を狩る事と
 手の握り具合で正義と勇者が決まるなら、魔物を狩る事を聖務とする神官騎士達は皆勇者だよ?」

だが、腐っても司祭というべきか。ふざけた台詞を吐いた後に、ルミナへと釘を刺す
……最も、フォールスはルミナという人間の人格を深く知らないが故に、
忠告というよりは大人が子供をたしなめるような極ありきたりな言葉しか渡す事は出来ないのだが

「おお、そうだ。ひょっとすると僕も勇者ハンドかもしれないね。少し握って確かめてくれたまえ
 しっかりねっとり丹念に、舐め上げるように触って……落ち着きたまえ店主。僕は聖職者だよ?
 卑猥な事など一切考えていない。うむ」

……訂正。ごくありきたりの言葉を渡す事すら普通には出来ないらしい。
苛立っている店主に頭を掴まれつつ、フォールスはルミナに言葉を渡し切った。
ちなみに、フォールスの手には妙なタコがあるものの、剣ダコは一切ない。触るだけ無駄である

そうして、店主の怒りを自分へと向けた辺りで……フォールスは懐から一冊の本を取り出した

>>107

「さて、前置きはさておき……そろそろソフィア君への礼をしようと思うのだが」

年月の経過を感じさせるその本には、僧侶がよく用いる古代文字で何らかの文面が書かれていた。
恐らく、その文面を解読できるのは本職の僧侶か研究者くらいのものであろう

「これは教会で保存している聖典……その写本の一つでね。一つの法術がかかっている。
 術の内容は『保存』。本の中に一つだけ物を収納できるというモノだ」

そして、本職の僧侶であるフォールスが文面に目を通すと……ポロリと赤色の石が本の中から落ちた。

「炎の魔石……まあ、屑石だがね。この本と石を、ソフィア君とアレクサンドラ君に捧げよう。
 ちなみに石は、そこのルミナ君が無銭でダメにした品々を新品で買い戻して釣りが出るくらいの価値はある筈だよ
 ……これで、とりあえずはこの場は収めてくれないかね、諸君」
110 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/08(金) 00:41:53.59 0
「お、お姉ちゃん……この人達怖いよ」(ギュッ
「大丈夫よ。私達を殺そうって訳じゃないんだから。
それに、もし何かあったらお姉ちゃんと父さんが守ってあげるから。それでも駄目なら母さんと一緒に裏から逃げなさい」
「う、うん……」

ルミナとリノの様子に怯えるアレクサンドラ。
カルト宗教の信者にも似た、それでいて若い女性らしい振る舞いは確かに気味が悪い。
対するリノは、気だるげな表情のままルミナを見る。
その青い目は、底の見えない滝壷のようだった。

「落ち着きたまえソフィア君。ただの女性に対してそんなに怯えるものではないよ。
 アレクサンドラ君。怖いなら僕の法衣の下へと潜って隠れたまえ。個人的に歓喜……歓迎しよう!」

この状況でもやはり相変わらずな調子は崩さないフォールス。
一見緊張感に欠けているようで、それは多くの人間にとって中々難しいことでもある。
こいつもいくらか肝が据わっていそうだ、とリノはおぼろげに思う。

「そいつの言う通りだね。魔物倒してるだけで勇者なわけないじゃん?
俺は魔王を倒す予定があるから勇者なの」

指で顎を支えるように、リノはまた頬杖をつく。
その口角は笑っているのか、それとも頬に浅く沈む指が歪めているのか。

「いや、それはどうでもいいから会計と弁償を済ませてくださいよ。もう閉店時だし、今日はこれで終わらせましょうよ。
……何、持ち合わせが無い? 酒瓶一本分の持ち合わせも無いんですかい。
言っときますけどね、どうせ次は来ないだろう旅人にツケなんて認めませんよ」

先ほどよりは冷静になったルミナに、頭にきた様子の店主がそう言う。
当然といえば当然だ。客やアレクサンドラを怖がらせたのもそうだが、
特に壊した物の方は言い逃れのしようがなく、弁償するほかない。
…が、ルミナの方に持ち合わせはないときた。

「さて、前置きはさておき……そろそろソフィア君への礼をしようと思うのだが」

そこでフォールスが何やら古めかしい書物を懐から取り出した。
フォールスがその本に目を通すと、中から綺麗な赤色の石が落ちてくる。

「炎の魔石……まあ、屑石だがね。この本と石を、ソフィア君とアレクサンドラ君に捧げよう。
 ちなみに石は、そこのルミナ君が無銭でダメにした品々を新品で買い戻して釣りが出るくらいの価値はある筈だよ
 ……これで、とりあえずはこの場は収めてくれないかね、諸君」
「へえ、これで武器は売らずに済むんじゃない?」

半ば茶化すように笑いながら、リノの目線はその書物の方を向いた。
リノには多少魔法の心得はあるものの、法術とはまた別物だ。純粋に興味を引かれるらしい。
111 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/03/08(金) 00:45:58.73 0
ここってTRPGなん?
なんなら広辞苑に載せようか?
112 : 女剣士ルミナ[sage] : 2013/03/08(金) 04:18:16.58 0
>>104
>「君にとっての正義って、魔物を殺すことなんだ?」

「はい!
……あ、確かにおばあちゃんのお荷物を持ってあげるのも、悪人に説法するのも正義ですけど。
でもやっぱり、『最高の正義』においては魔物は殺さないとですよね!」
太陽は東から昇るのだ、と言うときと同レベルの確信でもって、曇り無く無邪気に即答する。

>>108>>110
>「そして、ルミナ君といったね。君はリノ君を勇者だと思っているようだが……魔物を狩る事と
 手の握り具合で正義と勇者が決まるなら、魔物を狩る事を聖務とする神官騎士達は皆勇者だよ?」

>「そいつの言う通りだね。魔物倒してるだけで勇者なわけないじゃん?
>俺は魔王を倒す予定があるから勇者なの」

二人のもっともな指摘に対しては、神妙に、素直に頷いてから、
「神官戦士の方々が、魔物や魔王を倒すという『最高の正義』をなした上で、自らが『勇者』と名乗るならば、もちろん彼らも『勇者様』ですね。
でも残念ながら、神官戦士さんたちはご自分たちのことを『勇者』と呼んでくださいませんでした。
そう名乗られた神官さんは、見たことがありません。私、ちゃんと旅の最初に国一番の大神殿を尋ねて確かめたんですよ?
……あの時は、本当にがっかりしちゃいました」

しょんぼりと不満を漏らす。
「だって、『最高の正義』を知るお方が『勇者様』を名乗っていらっしゃるんですから!(>>103)」という台詞からわかる通り、
彼女の中では『魔物退治=【最高の】正義』、『最高の正義+勇者が【自らを勇者として自覚し、名乗ること】=勇者様』と短絡しているので、このような言動をとることになる。
ちなみに、『勇者様』が増えれば増えるだけルミナとしては嬉しい。

>>106
>「お、お姉ちゃん……この人達怖いよ」(ギュッ

「あ…………ご、ごめんなさい。そうですよね。……怖いですよね」
怯える少女に気づくと、ルミナは心から申し訳なさそうな表情で目線を移す。

「怖いですよね――『いきなり、大きな音をたててモノが壊れたりしたら』。ごめんなさい」
台詞の異常性に関して、ルミナに自覚はない。だからこそ、ルミナは心の底から申し訳なさそうな表情で、半分しか的を射ていない謝罪をする。
それがかえって異様な空気を増しているということにも、やはり気づいてはいない。

>「いや、それはどうでもいいから会計と弁償を済ませてくださいよ。もう閉店時だし、今日はこれで終わらせましょうよ。
>……何、持ち合わせが無い? 酒瓶一本分の持ち合わせも無いんですかい」

「ええとごめんなさい、パン一つ分のお金しか。
だから本当は一階の食堂スペースでお食事だけもらって、野宿するつもりでいたんですけど」

>「言っときますけどね、どうせ次は来ないだろう旅人にツケなんて認めませんよ」

「その。じゃあ。弱りました。どうしましょう。
お皿洗いとかお掃除とかベッドメイクとかのお手伝いだと、私はかえってご迷惑をかけてしまいそうで……多分、いろいろ割れるので」
113 : 女剣士ルミナ[sage] : 2013/03/08(金) 04:22:09.68 0
>>108
>「おお、そうだ。ひょっとすると僕も勇者ハンドかもしれないね。少し握って確かめてくれたまえ」

「え? いえ、僧侶さんは勇者ではないと先ほどのお話の流れだとご自分で――」

>「しっかりねっとり丹念に、舐め上げるように触って……落ち着きたまえ店主。僕は聖職者だよ?
>卑猥な事など一切考えていない。うむ」

先ほど、胸に視線を向けられた際にはその意図を把握できなかったルミナでも、さすがにここまで直接的に言われると下の話を下の話として理解する。
だから――衝撃を受けた様子で半歩足を引いた上で、こんな台詞が出てくるのだ。

「――――へ、変質者! 危ない人ですよー!?」

お前が、言うなと。


>「さて、前置きはさておき……そろそろソフィア君への礼をしようと思うのだが」
>「炎の魔石……まあ、屑石だがね。この本と石を、ソフィア君とアレクサンドラ君に捧げよう。
>ちなみに石は、そこのルミナ君が無銭でダメにした品々を新品で買い戻して釣りが出るくらいの価値はある筈だよ
>……これで、とりあえずはこの場は収めてくれないかね、諸君」

「助けていただけるんですか?」

目を瞬かせ、きょとんとフォールスを見つめる。

「あ、ありがとうございますっ! このお礼は、いつか必ず。……あ、健全な方向で、ですよ!?
本当に、ありがとうございました!」

>「へえ、これで武器は売らずに済むんじゃない?」

「はい! ああ、よかったあ。この剣は――『故郷の』形見です。手放せって言われたら、私、泣いちゃいます」
そして、ソフィアに向かってぺこりと頭を下げて、
「お宿のお姉さん――ソフィアさんでしたか? ごめんなさい。
お皿洗いもお掃除もお役にたてそうにありませんが、薪割りならば呼んでいただければ何百本でもいくらでも! それから――」

ごそごそと懐を漁り出す。
取り出したのは、鮮やかな花の汁で染めた数枚の細長い布を一本に堅く編み上げ、そこから更に捻ったり結んだりを繰り返してつくった、動物を象った可愛らしい小物である。
サイズは、子供の手の平に軽く載る程度だ。

「妹さんに、どうぞ。怖がらせてしまったみたいなので、お詫びです。えっと、結構自信作なんですけど、ちゃんとネコさんに見えます?
これ、私が生まれた地方に伝わるおまじないなんです。
お日様を浴びるとこのネコさんはどんどん色が褪せちゃいますが、完全に白く色が抜けきった時にはあなたに降りかかる不幸を一つ払ってくれますよ、って」

このおまじないが、不器用なルミナにできる唯一の細かい作業と言ってよい。
アレキサンドラは怯えているので、姉のソフィアにそっと手渡す。もし警戒して受け取ってくれないならば、しゅんとした様子でテーブルの端に置いておくことだろう。

「――と、いうところで。食堂は閉まってしまったので、お部屋をとっていない私はもういちゃいけませんよね。お暇させていただきます。
では、皆さんおやすみなさい。宿の方、すみませんでした。勇者様、必ず、『また』!」

そして彼女は無邪気にぱたぱたとリノたちに手を振ると、今度は何も蹴り飛ばさないように一応注意しながら、宿を後にした。

>>111
【はい、TRPGのつもりでやらせてもらってますよー! テンプレもない変則的な場所ですが、よろしければお願いしたいです】
114 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/03/08(金) 09:00:57.15 0
>>111とっくに載ってるよ
115 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/08(金) 19:18:25.97 0
「はい!
……あ、確かにおばあちゃんのお荷物を持ってあげるのも、悪人に説法するのも正義ですけど。
でもやっぱり、『最高の正義』においては魔物は殺さないとですよね!」

正義とは魔物を殺すことかという問いに、ルミナは曇りなく、屈託なくそう答える。
その答えを聞いて、リノはますますルミナに興味を持ったようだった。

「いいね。俺はそういう奴大好き。信用できるタイプ」

魔物を殺す事こそ正義、という考え方に対しての好意と信用ではない。
基本的には自分のために生き、自分のためだけに行動するリノにとっては、
万人の綺麗な幸福を語るよりも、このくらい自分の正義を妄信している方が信じられるのだ。

「俺は正義とかどうでもいいけど、強いて言うなら正義イコール俺だね。君と同じ」

リノにとっては、自分に仇なすものが悪。そして、その反対がきっと正義なのだろう。
例えばの話、魔王が魔物をこの世界に放ったとしても、
それで自分が得をするなら、リノは喜んで受け入れるだろう。

「しっかりねっとり丹念に、舐め上げるように触って……落ち着きたまえ店主。僕は聖職者だよ?
卑猥な事など一切考えていない。うむ」
「――――へ、変質者! 危ない人ですよー!?」

お前が言うな。
その場の誰もがそう思っただろう。もちろん、リノも。

「へえ、これで武器は売らずに済むんじゃない?」
「はい! ああ、よかったあ。この剣は――『故郷の』形見です。手放せって言われたら、私、泣いちゃいます」

この『危ない人』がどうなることかと見ていたが、
どうやらフォールスが本の中から取り出した石によって、この場はおさめられそうだ。
穏やかな夜かに突如訪れた嵐は、もうすぐ去っていくのだろう。

「……」

お詫びにとアレクサンドラに可愛らしい小物を渡しているルミナ。
彼女の言葉が、リノには僅かに引っかかった。
その剣は、故郷の形見だと言う。

「――と、いうところで。食堂は閉まってしまったので、お部屋をとっていない私はもういちゃいけませんよね。お暇させていただきます。
では、皆さんおやすみなさい。宿の方、すみませんでした。勇者様、必ず、『また』!」

また、と言って、ルミナはぱたぱたと手を振り宿を去っていく。
必ず、また。リノはまたいずれ、この戦士と会う事になるだろう。

「故郷の形見、ね…」

彼女が去ったあとの空間に、リノの小さな呟きが転がり、消えた。

>>111
(一応、広辞苑に既に項目はありますね。
概要は真っ白ですが、現状ほぼ何も固まっていない感じなので書ける事は少なそうです)
116 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/03/09(土) 03:21:22.42 0
ライトなくせにガチガチの長文って…
ライトなのは酉なしでいつでもバックレられるって意味か
117 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/09(土) 10:09:20.19 T
>>108
「ねえ、もし神様が降りて来たとしたらあなたもあんな風に大喜びするの?」
「ははは、もしそんな者があれば、まず不審者として疑うだろうね
 まあ、仮にそれが本物の神だとすれば……そうだね。僕が懺悔くらいは聞いてあげるとしよう」
「予想を裏切らない上から目線ぶりね。何故あなたが教導院にいられるのかますます不思議になってきたわ」

「お、お姉ちゃん……この人達怖いよ」(ギュッ
「大丈夫よ。私達を殺そうって訳じゃないんだから。
それに、もし何かあったらお姉ちゃんと父さんが守ってあげるから。それでも駄目なら母さんと一緒に裏から逃げなさい」
「う、うん……」

ルミナとリノ、特にルミナの言葉に怯えるアレクサンドラ。その怯えようは普通ではない。
正直ルミナの盲信振りを恐れるにしても度が過ぎている。
ところで、ルミナの言う最高の正義には普通の人間を殺す事は含まれていない。
ならば何故彼女、というより姉妹は最高の正義に怯えるのか。

「落ち着きたまえソフィア君。ただの女性に対してそんなに怯えるものではないよ。
 アレクサンドラ君。怖いなら僕の法衣の下へと潜って隠れたまえ。個人的に歓喜……歓迎しよう!」
「お姉ちゃん、この人本当に教導院の人?」
「そうよ」

一方フォールスは相変わらずのマイペース振りを発揮する。
流石にソフィアもフォールスの変態紛いの言動に慣れてきたようで普通に会話をするようになる。
アレクサンドラも気を紛らわす為か二人の会話に混じるようになった。

「あ…………ご、ごめんなさい。そうですよね。……怖いですよね」
怯える少女に気づくと、ルミナは心から申し訳なさそうな表情で目線を移す。

「怖いですよね――『いきなり、大きな音をたててモノが壊れたりしたら』。ごめんなさい」

……違う、そこじゃない。居合わせた者は一様にそう思った事だろう。
ルミナの話をスルーしているように見えた店主も例外ではない。
尤も、
「あんたは何もわかっちゃいない」
と店主がルミナに言い返したのを聞き取れた者は少ないが。

「いや、それはどうでもいいから会計と弁償を済ませてくださいよ。もう閉店時だし、今日はこれで終わらせましょうよ。
……何、持ち合わせが無い? 酒瓶一本分の持ち合わせも無いんですかい」
「ええとごめんなさい、パン一つ分のお金しか。
だから本当は一階の食堂スペースでお食事だけもらって、野宿するつもりでいたんですけど」
「言っときますけどね、どうせ次は来ないだろう旅人にツケなんて認めませんよ」
「その。じゃあ。弱りました。どうしましょう。
お皿洗いとかお掃除とかベッドメイクとかのお手伝いだと、私はかえってご迷惑をかけてしまいそうで……多分、いろいろ割れるので」

先程から機嫌の悪い店主の不機嫌振りに油を注いだのが素寒貧に近いルミナの懐事情。これでは弁償どころではない。
おまけに働いて返す事も期待できない、となれば次は持ち物で返してもらう事を考える。
店主はルミナの唯一とも言える金になりそうな所持品、彼女が腰に帯びる剣に目を付けた。
しかしルミナは剣士だ。剣を取り上げられて、しかもそれを借金のカタとして扱われて悲しまない剣士など居るはずがない。
かつて自分も剣片手に大陸を巡り歩いた店主にはその気持ちが痛いほどわかる。しかし他に手段が無い。
仕方なくその話題を切り出そうとしたその時……
118 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/09(土) 10:09:53.88 T
「さて、前置きはさておき……そろそろソフィア君への礼をしようと思うのだが」
年月の経過を感じさせるその本には、僧侶がよく用いる古代文字で何らかの文面が書かれていた。
恐らく、その文面を解読できるのは本職の僧侶か研究者くらいのものであろう
流石にソフィアは古文書の専門家なのでそれが古い聖典の写本というとんでもなく興味をそそる代物という事は判った。
しかし、判るのはそれだけだ。フォールスがそれで何をしようとしているのかは判らない。

「これは教会で保存している聖典……その写本の一つでね。一つの法術がかかっている。
 術の内容は『保存』。本の中に一つだけ物を収納できるというモノだ」

そして、本職の僧侶であるフォールスが文面に目を通すと……ポロリと赤色の石が本の中から落ちた。

「炎の魔石……まあ、屑石だがね。この本と石を、ソフィア君とアレクサンドラ君に捧げよう。
 ちなみに石は、そこのルミナ君が無銭でダメにした品々を新品で買い戻して釣りが出るくらいの価値はある筈だよ
 ……これで、とりあえずはこの場は収めてくれないかね、諸君」
「あなたの事見直したわ」
「へえ、これで武器は売らずに済むんじゃない?」
「ねぇお父さん。これなら良いでしょ?」
「どれどれ……」

店主は石を取り上げ隅々まで見る。
本当に屑石だったらたまったものではないが……石の状態とカットの絶妙さを見るにフォールスが言うくらいの価値はありそうだ。

「ふむ、確かに。これなら十分だが……本当に良いんですか?」

店主の問いにフォールスはいつも通りの調子で承諾する。

「だったら文句はありません」

妻と娘達に危害が及ばない限り、神でも無一文なら犬の餌にするし魔王でも金払いが良いなら歓待する。
それが昔からの店主の信条であり、正義であった。
ルミナには色々と言いたい事があるが、支払いはこういう形で済んだし、家族に危害を加えたわけではないのでこれで手を打つことにした。


「はい! ああ、よかったあ。この剣は――『故郷の』形見です。手放せって言われたら、私、泣いちゃいます」
そして、ソフィアに向かってぺこりと頭を下げて、

「お宿のお姉さん――ソフィアさんでしたか? ごめんなさい。
お皿洗いもお掃除もお役にたてそうにありませんが、薪割りならば呼んでいただければ何百本でもいくらでも! それから――」

ごそごそと懐を漁り出す。
取り出したのは、鮮やかな花の汁で染めた数枚の細長い布を一本に堅く編み上げ、そこから更に捻ったり結んだりを繰り返してつくった、動物を象った可愛らしい小物である。
サイズは、子供の手の平に軽く載る程度だ。

「妹さんに、どうぞ。怖がらせてしまったみたいなので、お詫びです。えっと、結構自信作なんですけど、ちゃんとネコさんに見えます?
これ、私が生まれた地方に伝わるおまじないなんです。
お日様を浴びるとこのネコさんはどんどん色が褪せちゃいますが、完全に白く色が抜けきった時にはあなたに降りかかる不幸を一つ払ってくれますよ、って」
「ありがとう。後でサーシャに……」
「いいわよお姉ちゃん。ルミナさん、ありがとうね」

どうやら快く受け取ってもらえたようだ。
そしてそれを見届けたルミナは無邪気にぱたぱたとリノたちに手を振ると、今度は何も蹴り飛ばさないように一応注意しながら、宿を後にした。
結局物騒な事態にはならずに済んだのは幸運だったと言える。
一連の顛末で比較的フォールスに好意的なアレクサンドラの中で彼の株が上がった事は言うまでもない。
119 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/09(土) 11:54:19.90 T
「さて、酒場も閉店したので後は貴方達を泊めるだけね。
……父さん、この人達なら大丈夫よ。さっきの人とは違うもの。それに全然気付いてない」

店主は何やら考え込んでいる。それが暫く続いた後、漸く店主が口を開く。

「お客さん、あんた達も今の女剣士と同じで魔物を殺す事こそ正義と考えるんですか?
それなら一つお願いがあります。ここで魔族に会っても手を出さないで欲しい。
それが駄目と言うならここには泊められねぇ」

店主が何やら変な条件を付けてきた、リノとフォールスがそれに答える前に女性の声が聞こえてきた。

「あなた、もういいかしら?」
「バカ、まだ出てくるなと言ったろう!」
「だってあの怖い怖いお嬢さんは行っちゃったもの。それにこの人達はサンザシの杭を持っていないから大丈夫よ」

そう言いながらまたソフィアに似た女性が出てきた。年はソフィアより一回り上に見える。
ソフィアの姉に見えるが、会話から店主の妻と思われる。だが娘であるソフィアの見た目から考えるとかなり若作りだ。

「お客様お待たせして申し訳ありません。これから部屋にご案内いたしますので」

にこやかに微笑む女性。
服装はアレクサンドラとおそろいのエプロン姿。違いと言えば腰に提げた鉄輪に沢山の鍵が付いているくらい。
とここまでは普通の女将さんなのだが、透き通る程白い肌、紅の瞳、ちらりと覗くやけに鋭く尖った犬歯を持っている所はとても普通の人間とは思えない。
きっとアレクサンドラがルミナの言動に異常に怯えていた理由は今二人の前に立っている女将だろう。

>>116
【まあ引用も多いですから書く方としては……。ガチガチに設定が組まれているわけじゃありませんしね。
読む方やこれから入ろうとする方が大変ということなら……努力させていただきます。
それと酉の有無と続けられるかは別問題ですよ】
120 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/10(日) 16:58:16.08 0
「あなたの事見直したわ」
「へえ、これで武器は売らずに済むんじゃない?」
「ねぇお父さん。これなら良いでしょ?」

「ふむ……もの一つでこう評価が変わる辺りになにか釈然としないものを感じるね!」

釈然としないと言いつつも、フォールスは何の躊躇いもなく店主に魔石を渡す事に了承した

「助けていただけるんですか?」
「勿論だとも。それをするのが僕ら神官の役割だからね」

ルミナの問いにも、フォールスは微笑を湛えてそう答える。
その姿は彼の容貌の美しさと相まって、ある種のカリスマすら放っているが

「あ、ありがとうございますっ! このお礼は、いつか必ず。……あ、健全な方向で、ですよ!?
本当に、ありがとうございました!」

「礼を言われる程の事ではないよ……しかし、どうしても礼がしたいというのなら、
 今度会った時には健全に沐浴の同伴などを頼もうか!」

口を開けば台無しである

・・・

結局、ルミナという女は嵐のように現れて、嵐のように去って行った
別れの際にアレクサンドラに謝罪と、動物の形を模した小物を渡していたようなので
関係性は破綻しきらなかった。それは幸いというべきだろう
そのルミナが去った後……再度店主とソフィアが口を開いた
それは、今までの会話と異なりどこか意味深な雰囲気を纏っているものであった

「さて、酒場も閉店したので後は貴方達を泊めるだけね。
……父さん、この人達なら大丈夫よ。さっきの人とは違うもの。それに全然気付いてない」
「お客さん、あんた達も今の女剣士と同じで魔物を殺す事こそ正義と考えるんですか?
それなら一つお願いがあります。ここで魔族に会っても手を出さないで欲しい。
それが駄目と言うならここには泊められねぇ」

「ふむ。魔物を殺す事が正義かどうかと聞かれれば、僕は『そういう正義もあるのだろう』と答えるしかないね
 最も……僕の宿は惜しい。見逃す行為が僕と人々の害にならないと言うのならば、誓って手は出さないが」

どこか剣呑とした店主の問い――――魔物を悪として斬るが正義かという問い
その問いに、フォールスは最後に残った山菜を一切れ口に含んでからそう答えた
気負った様子も無くそう言ってから、フォールスはリノの方へと一瞥を向ける
それは彼がどう回答するか、興味を持っているかの様な態度で

「あなた、もういいかしら?」
「バカ、まだ出てくるなと言ったろう!」
「だってあの怖い怖いお嬢さんは行っちゃったもの。それにこの人達はサンザシの杭を持っていないから大丈夫よ」

だが、そんな会話の最中。一人の女性の声が場に響いた
現れた女性はソフィアよりも一回り年上であろう女性。所持する物品からおそらくは母であろうと推定出来る。
だが……問題はそこではなかった。問題なのは、女性の容姿。
透き通る程白い肌、紅の瞳――――鋭い犬歯

女性はどう見ても……人間族ではない
121 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/10(日) 16:58:49.24 0
「お客様お待たせして申し訳ありません。これから部屋にご案内いたしますので」

その姿を認識した瞬間、フォールスは構えを取り声を出していた

「――――こんな所に魔物がいたとは。人の世に仇名す魔物よ神の名に置いて、この司祭が退けん」

フォールスは右手を女へと向けて伸ばし―――だが、女に触れる2m程前でその動きを止めた

「……と。教会関係者の前で安易に姿を晒せばこうなりかねないよ、ご婦人
 特に、狂信者達に見つかれば捨て身で襲われかねない。彼らは少々頭が可哀相な者達だからね」

どうやら、フォールスには攻撃する意思はまるでなかった様だ
その証拠に、先の行動には一切の殺気や魔力は含まれていなかった
ちなみに、伸ばした腕の軌道を辿ればそのまま女性の胸元にたどり着くのだが、それを気にする者は少数だと信じたい
……店主が殺意に似たものを向けなければ、揉むくらいはしていたのかもしれない

「ふむ……まさか、こんな秘密があったとはね。ソフィア君も人が悪い。僕が人妻も射程圏なのを……ではなく、
 出会ったばかりで警戒していたのは判らなくもないが」

フォールスは、ゆっくりと椅子に座り肩をすくめる
……余談であるが、フォールスはこの宿に何かあるのを感じとっていた様だ
であるからこそ『何か』を混入し易い汁物には手を付けなかったし、食材もソフィアやリノが手を付けたもの
以外には一切手を付けなかった。だが、フォールスがそれを語る事は無い

「美人の女将がいるならば、ここに泊まる事にはなんの問題もなさそうだね。むしろ泊まりたい
 さあ、手取り足取り案内してくれたまえよ。ははは」

あいかわらずにあいかわらずな様子で案内を頼むフォールスであった
122 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/12(火) 08:25:21.14 T
「ふむ。魔物を殺す事が正義かどうかと聞かれれば、僕は『そういう正義もあるのだろう』と答えるしかないね
 最も……僕の宿は惜しい。見逃す行為が僕と人々の害にならないと言うのならば、誓って手は出さないが」
「ああ、それなら保証できますよ」
「あなた、もういいかしら?」
「バカ、まだ出てくるなと言ったろう!」
「だってあの怖い怖いお嬢さんは行っちゃったもの。それにこの人達はサンザシの杭を持っていないから大丈夫よ」

店主の心配を他所にひょっこり現れた女将。その容姿はどう見ても人間には見えない。
その姿を認識した瞬間、フォールスは構えを取り声を出していた
「――――こんな所に魔物がいたとは。人の世に仇名す魔物よ神の名に置いて、この司祭が退けん
……と。教会関係者の前で安易に姿を晒せばこうなりかねないよ、ご婦人
 特に、狂信者達に見つかれば捨て身で襲われかねない。彼らは少々頭が可哀相な者達だからね」
「それはもう慣れっこですからご心配なく。まあ、私のようなか弱い魔族に構う暇があったら修行しろと言いたいですけどね。
でも折角ですから忠告だけは受け取っておきますね」

言外に「その手をどけろ」と仄めかしつつ、微笑みは絶やさない。

「ふむ……まさか、こんな秘密があったとはね。ソフィア君も人が悪い。僕が人妻も射程圏なのを……ではなく、
 出会ったばかりで警戒していたのは判らなくもないが」
「隠しててごめんね……ってそっちかい。
でもこれから招く先に生粋の魔族一人とハーフが二人居る、なんて知ってたらここまで来てくれないでしょ?
私とサーシャの事は気付かない人が殆どだけどね」

「美人の女将がいるならば、ここに泊まる事にはなんの問題もなさそうだね。むしろ泊まりたい
 さあ、手取り足取り案内してくれたまえよ。ははは」
「まあ、お上手ですね。
かしこまりましたそれではついてきてください」

フォールスの発言を適当に受け流しつつ、女将は二人を部屋に案内する。
通された部屋は大きい本棚に本がぎっしり詰まった部屋。出窓の所にはルミナがくれた猫のお守りも置いてある。二人用のベッドがある所からしてここは姉妹の部屋のようだ。

「あらやだ間違えちゃったわ。お客様、申し訳ありません。
お客様の部屋はこちらになります。トイレとお風呂は共同になっておりますのでご了承ください。お友達の方の部屋は隣になります」
(丁度一部屋空いてて良かったわ。私達の部屋に来たら一体どうなることやら)

続いて通された部屋はベッドがあり、テーブルと椅子があるまさに客室、と言った感じの何の変哲もない部屋。

「こちらが部屋の鍵になります。どうぞ。
それでは私はこれで。今夜はごゆっくり」

そう言って女将は下に戻っていく。おそらく店主と店じまいにかかるのだろう。
123 : 勇者リノ[sage] : 2013/03/12(火) 23:31:09.72 0
「さて、酒場も閉店したので後は貴方達を泊めるだけね。
……父さん、この人達なら大丈夫よ。さっきの人とは違うもの。それに全然気付いてない」

ルミナを目で見送りひと段落、あとは寝るだけというところ。ソフィアが、店主である父親に声をかけた。
店主はすぐには返事せず、何やら考え込む仕草を見せた後、静かに口を開く。

「お客さん、あんた達も今の女剣士と同じで魔物を殺す事こそ正義と考えるんですか?
それなら一つお願いがあります。ここで魔族に会っても手を出さないで欲しい。
それが駄目と言うならここには泊められねぇ」

店主の口から出てきたのは、いまいち理由の不明瞭な条件だ。
とりあえず返答の前に意図を言えと要求しようとするが、
言葉を発する前に、女性の声が聞こえてきた。

「あなた、もういいかしら?」
「バカ、まだ出てくるなと言ったろう!」

声のした方――店の奥から、ソフィアに似た女性が出てくる。今度はソフィアより年上のようだが。
にこやかに微笑む女性の風貌は、人間らしいそれではなかった。

「…なるほどね」

合点がいったというように、リノは短い息を漏らす。それとほぼ同時に、フォールスが構えを取っていた。

「――――こんな所に魔物がいたとは。人の世に仇名す魔物よ神の名に置いて、この司祭が退けん
……と。教会関係者の前で安易に姿を晒せばこうなりかねないよ、ご婦人
 特に、狂信者達に見つかれば捨て身で襲われかねない。彼らは少々頭が可哀相な者達だからね」

仰々しい台詞を吐いて何をするかと思えば。
しかし、フォールスの言うことも尤もだ。姿を晒すには、危険な状況だっただろう。

「別に、俺もあんたをどうこうしようとは思わないね。
魔物だろうがなんだろうが、要は俺に迷惑かける奴が敵。助けてくれるのが味方なわけ。
いちいち見るたびに切ってたら金も体も持たないし」

味方、のところでぴっと女将を指差す。言外に、宿をありがとう、と。

「美人の女将がいるならば、ここに泊まる事にはなんの問題もなさそうだね。むしろ泊まりたい
 さあ、手取り足取り案内してくれたまえよ。ははは」

先ほどのような波乱も訪れず、女将に部屋を案内してもらうこととなる。
相変わらずなフォールスに、リノはそっと「食えない奴だね」と言葉を投げた。
それは彼の耳に僅かに引っかかったのか、それとも、床に滑り落ちてしまったのか。

「こちらが部屋の鍵になります。どうぞ。
それでは私はこれで。今夜はごゆっくり」

途中、部屋を間違えるハプニングはあったものの、リノ達は無事客室に案内してもらえた。
何の変哲もない部屋だが、一晩過ごすには十分だ。

「どーも」

簡素な挨拶と共にひらひらと手を振り、下へ戻っていく女将を見送る。
やっと落ち着けそうだと、リノは長く細い息を吐いた。
早く疲れた体を休めたいところではあるが――剣の手入れが先だ。
腰に提げていた片手剣を外し、鞄の中を探る。がちゃがちゃと音が立ち、いかにも中身は整理されていない。
薬草、薬瓶、消耗品、雑貨、ガラクタ。中身を取り出した順番に、机に並べてる。
特に薬瓶の多さが目立ち、リノはそれが転がらないよう、丁寧に小さな瓶を立てていく。
そうしながらも明日の予定をぼんやりと立てる間、少しずつ重なっていく瞼の重みを、リノは感じていた。
124 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/13(水) 22:28:21.70 0
「それはもう慣れっこですからご心配なく。まあ、私のようなか弱い魔族に構う暇があったら修行しろと言いたいですけどね。
でも折角ですから忠告だけは受け取っておきますね」

「ふむ、耳が痛いね。僕も真摯に受け止めておくとしよう」

女将の言葉に、フォールスは上げていた手を組み、大仰に頷く
妙な圧力を感じつつもそれに怯む様子を見せないのは、大物であるのか、
それとも未だ女将の胸元に釘付けな視線のせいか……多分、後者なのだろう


「食えない奴だね」
「ははは、食わず嫌いはやめてくれたまえよリノ君」

部屋を出る時かけられたリノの言葉にも、フォールスは視線を女将から外さないままそう答えた
……この返事をする時に、リノがフォールスの表情を覗き見る事が出来なかったのは、
偶然か、それとも意図されたものであったのか


「こちらが部屋の鍵になります。どうぞ。
それでは私はこれで。今夜はごゆっくり」

その後は、特に大きな問題も無く部屋へと案内される事となった
案内の途中に女将が姉妹の部屋へと間違えて案内をし、その際

『待ちたまえ、僕は司祭だ。ここは赤貧を貴ぶのがいいと思うのだが。そう、一人部屋など勿体ない
 今晩はソフィア君とアレクサンドラ君の部屋で寝る事に……どうしてもダメかね?
 ……ふむ、仕方ないね。ここはトイレと風呂は共同という事情に賭け……ではなく、皆の意を汲むとしよう』

などと、本当に顔が良く無ければ衛兵に牢に放り込まれそうな発言をしていたが、
特筆すべき問題でもない為、ここでは割愛する

――――
扉が閉まり、久方ぶりの静寂が部屋を包み込む
窓を見ればすっかりと夜の帳は落ち、月光が薄く室内を照らしている
一度目を閉じ、周囲に人の気配が無い事を確認すると
フォールスは燭台に蝋燭を立て明かりを灯し、懐から一枚の羊皮紙を取り出し机の上へと置いた

羊皮紙には先にソフィアに渡した物と同じ古代文字によって何かしらの文章が記載されており、
その中央部分にはある程度の大きさの空白が残っている

フォールスはその空白部分に羽ペンを走らせ、短い文章を完成させると
……最後にその文章を親指でなぞった

ほんの数瞬、羊皮紙が薄く光り……再度見れば、そこには先程記されていた文章は無く、綺麗な空白に戻っていた

「……やれやれ。まさか、このタイミングで僕が『   勇者』に遭う事になろうとはね」

呟く言葉は、感情を置き去りにしたかの様に色が無い
やがてフォールスは、羊皮紙を再び懐へ仕舞い込むと立ち上がり

「さて、そろそろ湯浴みをするとしようか……うむ、他意は無いよ、他意は。やはり司祭たるもの、
 出来得る限り清潔である事を心がけねばならないからね。僕の様な美麗な存在が埃を被っていては
 神と信徒が嘆き悲しんでしまう。そうしない為に、湯浴みをしなければならないのだよ!」

完全に先の調子に戻り、浴場へと向かっていった
……この後、浴場でソフィア達の父親の裸体を目撃する事になってしまうフォールスだが、
その事も非常にどうでも良いので、割愛
125 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/15(金) 02:21:52.47 T
【返事が遅れ気味ですいません】
夜は更けて行く。
閉店後の酒場では店主が女将と共に遅い夕食をとりながら煙管をくゆらしていた。

「なあ、もしあの二人に襲われたらどうするつもりだったんだ?」
「そうねぇ……私が相手をすれば聖職者と勇者が魔物に身を堕とす、なんて面白い展開になったでしょうけど」
「そうならなくて良かったよ。そうなってたら営業どころじゃない」
「そうね。大体察しは付いていたけど話のわかる人達で助かったわ」

同じ頃、アレクサンドラが廊下の見回りをしていると無防備な事にフォールスの部屋の扉が少し開いている。彼は何か書いているようだ。

(何してるのかしら?)

良くないとは思いつつも好奇心に勝てずに中の様子を覗き見る。基本的にこの姉妹は夜でも元気なようだ。やはり母親似なのだろう。
……と、不思議な事にフォールスが何やら書き込んでいた羊皮紙が数瞬光る。

「……やれやれ。まさか、このタイミングで僕が『   勇者』に遭う事になろうとはね」

書き物を終えた直後にフォールスが発した呟きは先程の彼と違い、無機質なものであった。「勇者」の前に何か言っていた気がするがよく聞き取れなかった。
さて、これ以上ここにいるとマズイと思っていると……

「あ、こんな所にいたわ。ねぇサーシャ、一緒にお風呂行かない?」

ソフィアが話しかけてきた。
因みにここでソフィアが言う「お風呂」とは入浴する事ではなく、タオルを取り替えたりとかそういう雑用である。
実はフォールスを警戒してか、ソフィアは先にアレクサンドラを誘ってこっそり入浴を済ませている。
余談であるが女将もいつの間にか加わっていたが風呂場に行く女将を見たものはいない。
まあとにかく、部屋の前でこんな話をされたのだからフォールスも盛大に勘違いして浴場に行って店主の裸を拝む羽目になったのである。
126 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/15(金) 02:22:33.14 T
さて、失意に沈むフォールスが部屋に向かってとぼとぼ歩いているとソフィアが話しかけてきた。

「あ、いたいた。この際だから色々と聞いておこうと思ってね。
悪いけど付き合ってくれないかし……どうしたの?」

どうやら色々と質問があるようだ。アレクサンドラも何やら興味があるらしく、承諾すると姉妹の部屋に入れるかもしれない。
フォールスにとっては千載一遇の好機かもしれない。
127 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/15(金) 23:17:00.79 0
「……ふふふ、まさかこの僕があのような全く嬉しくない場面に遭遇するとはね
 あの隆起した筋肉……思い出すだけで……うぷっ」

表情は青白く、足取りも定かでないまま、フォールスは宿の廊下を歩いていた
どうやら店主の歴戦の戦士もかくやという裸体を直視したダメージが抜けきっていないらしい
時折壁に手を当てる事で体を支えながら歩くフォールス……と、そんな彼に声をかける者が一人

「あ、いたいた。この際だから色々と聞いておこうと思ってね。
悪いけど付き合ってくれないかし……どうしたの?」

先程のフォールスと店主の邂逅を知らぬソフィアは、フォールスの只ならぬ
様子を察したのか、言葉の中に気遣う様子を見せた

「……ソフィア君かね。いや、少し精神衛生上宜しくないものを見てしまってね」

ふら付く足を気合で支えたフォールスは、一度大きく息を吸ってからぎこちない微笑みを作る

「ふむ?神聖にして不可侵な僕に質問とは、いい心がけだね。勿論、答えるのは構わないが……」

フォールスはソフィアの要求を特に疑問を挟む事無く了承した
……ちなみに、この夜に限ってならばフォールスは淫猥な行動に出る事はない
最低一晩は、店主の裸体が脳裏を離れないが故に……仮に部屋に案内しても、姉妹の身の安全は約束されるだろう
128 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/17(日) 09:29:00.66 T
「……ソフィア君かね。いや、少し精神衛生上宜しくないものを見てしまってね」
「あなたらしくないわね。
ところで衛生上は何も無いわよね。だったらいいんだけど、本当にあなた大丈夫?」

ソフィアの問いにフォールスは空元気な笑顔を見せながら答える。
その様子は流石のソフィアでも少し心配になるくらいだ。

「ふむ?神聖にして不可侵な僕に質問とは、いい心がけだね。勿論、答えるのは構わないが……」
「それじゃあ決まりね。でもそんな調子で大丈夫なの? ほら、掴まって」

先程までのフォールスなら少し卑猥な台詞の一つでものたまうはずだがそんな事はない。
いよいよ心配になってきたらしくソフィアが肩を貸す。
さて、ソフィアがフォールスを部屋に連れ帰ると中でアレクサンドラが待っていた

「あっフォールスさん。どこに居たんですか? 探しましたよ。さ、どうぞ入ってください。
ねえお姉ちゃん、フォールスさんどこに居たの?」
「階段に居たけど」
「そう。お父さんが「風呂で会ったけど何かげっそりしてた」って言ってたから心配だったけど……フォールスさん本当に元気ないね。大丈夫?」

「ああそういう事」という風に合点が言った表情のソフィアに対し、アレクサンドラは未だ事情が飲み込めないようで真剣にフォールスを心配している。

「それじゃあ早速始めるわよ。まずは……」
幾つかの書きかけの論文といくらかの分厚い本と一通の便箋を机に出してソフィアはフォールスに厄介な質問を幾つも投げかける。
傍らではアレクサンドラもわくわくしながらフォールスの話に耳を傾けている。
こんな調子で夜は更けていく。
129 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/17(日) 23:12:35.61 0
「それじゃあ決まりね。でもそんな調子で大丈夫なの? ほら、掴まって」
「うむ……すまないね」

驚くほどしおらしく、フォールスはソフィアの肩を借りる事を是とした
殊勝に礼を言う少年のその姿は、何も知らない人間が見れば名の知れた智者であると思う事だろう
肩を借りる際に距離が近づいても微塵も反応しない辺り、風呂場での邂逅は余程刺激的だった様である

「あっフォールスさん。どこに居たんですか? 探しましたよ。さ、どうぞ入ってください。
ねえお姉ちゃん、フォールスさんどこに居たの?」
「階段に居たけど」
「そう。お父さんが「風呂で会ったけど何かげっそりしてた」って言ってたから心配だったけど……フォールスさん本当に元気ないね。大丈夫?」

「……心配させてしまいすまないね、アレクサンドラ君」

姉妹の部屋に辿り着くと、真っ先に気遣いの言葉をかけてきたのはアレクサンドラ
彼女の行動に間違いはなく、思いやりからくる言葉であったのだろう
だが、その言葉は女性の部屋に夜間に入り込むという行為に若干復活しかかったフォールスの邪念を
筋肉の思い出によって粉砕する結果となっていた
一周してどこか悟りきった表情さえ浮かべ、フォールスは椅子へと腰かける

「それじゃあ早速始めるわよ。まずは……」

そのフォールスの前に大量の紙束を置くと、ソフィアは嬉々として質問を開始した
……僅かな情報でフォールスの衰弱原因を見抜いている辺り、聡い娘なのだろう

「……ふむ。この考察に関しては大筋では間違っていない。
 だが、3P前の古代における魔術と法術の違いに関しての内容が少々未熟だね
 教会は公式には認めていない事なのだが、現代でこそ明確に体系が判れている魔術と法術は、
 実は古代においては『術』として混同している地方もあり……」

ソフィアから投げかけられた質問に対して、フォールスは澱みなく回答を述べていく
無論、教会のカバーする分野から外れた質問に関しては正しく回答は出来ないが、
それでも教会の資料やフォールス個人の推論も交えつつ、推測を立てる事は出来ている
時折吐く自賛の言葉を聞かなかったことにすれば、ソフィアにとっては役立つ情報を得られる事だろう

本当に……普段からこれだけまともならばと思わざるを得ない

そして夜は更けていく――――
130 : 名無しになりきれ[sage] : 2013/03/18(月) 22:25:49.14 O
ホモォ…
131 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/19(火) 08:52:59.66 T
ソフィアがアレクサンドラの方を見やるとアレクサンドラはすやすや寝息を立てていた
もうそんな時間かと思いつつソフィアはアレクサンドラに毛布を掛けてやる

「……ふむ。この考察に関しては大筋では間違っていない。
 だが、3P前の古代における魔術と法術の違いに関しての内容が少々未熟だね
 教会は公式には認めていない事なのだが、現代でこそ明確に体系が判れている魔術と法術は、
 実は古代においては『術』として混同している地方もあり……」
「古代魔法を専門に調べている学者がそんな事を言ってたわ。
でも教会が認めていないっていうのがネックなのよね。
そんな事をここに書いたりしたら教授から質問攻め……まあそっちはいいんだけど、もし教会に目を付けられたら……後はわかるでしょ?
悔しいけどね」

時に的確に、時に傲慢にフォールスは質問に答えていく
その様子にソフィアは素直に感心しながら紙に何やら書き留めている
ついでに「無いなら捜し出せばいいのよ」と呟きながら手紙を書いているがこれは割愛
そうこうしているうちに朝日が昇る
街中ではこの辺りでよく見られる変な生き物の「ホモォ」という鳴き声が朝を知らせている

「あら、もうこんな時間ね。一晩中付き合わせてごめんなさいね」
132 : 学生司祭フォールス[sage] : 2013/03/19(火) 22:49:00.94 0
『ホモォ』
「……む?もうこのような時間かね」

窓の外から聞こえてきた生物の鳴き声に、隈が出来た瞳を擦る
――――結局、質疑応答は明け方まで続く事となった
ソフィアの難解な質問の数々は、並の司祭であれば途中で逃げ出していたのであろうが、
それに一晩付き合う辺りフォールスという少年はそれなりに紳士的であったらしい

>「あら、もうこんな時間ね。一晩中付き合わせてごめんなさいね」

「ははは、構わないよ。女性と一晩過ごす事なら大歓迎……もとい、
 知を探求する者を僕は個人的に応援しているからね」

……残念な事に、徹夜のテンションがその紳士的だった
フォールスを吹き飛ばし、常の調子を復活させてしまった様ではあるが

「……さて、話し合いが終わったという事はいよいよお楽しみの時間だね!
 さあ、いざ……いざ……」

そして、首元を緩めたフォールスは姉妹のベッドへと――――倒れこみ、そのまま起き上がらなかった
さもありなん。一日走り通した後の徹夜だったのだ。体力が残っている訳もない
穏やかに寝息を立てるフォールスが起きるのは、遅くとも朝食の後であろう
133 : 女学士ソフィア[sage] : 2013/03/21(木) 19:56:36.09 T
「……さて、話し合いが終わったという事はいよいよお楽しみの時間だね!
 さあ、いざ……いざ……」
「お楽しみ!? ふん、かかってらっしゃい。一発で伸ばしてあげ……あら?」

いつものテンションを取り戻したフォールスだが彼はそのままベッドに突っ伏してしまった。
これにはソフィアも毒気を抜かれてしまう。起こすのも可哀想なので仕方なくベットに入れてやる。
こうしてフォールスは図らずしてアレクサンドラと添寝したわけだがフォールスがそれを知る由もない。

「ん、おはようお姉ちゃん……あれ? 何でフォールスさんが寝てるの?」
「昨日から色々あって疲れてるのよ。寝かせてあげて」
「そう。フォールスさんいい夢見られるといいね」
「一応お膳立てはしたわよ」
「?」

困惑するアレクサンドラを連れて、ソフィアは部屋をあとにした。
宿屋は今日もまた忙しくなるのだろうかなどと思いながら。