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「&bold(){国防動員法}」は、かつて日本にあった「国家総動員法(1938年(昭和13年)制定、1946年(昭和21年)4月1日廃止)」と共通点がある中国の法律です。
*主要文日本語翻訳
**1. 採択・施行
採択 : 2010年2月26日 第11期全人代常務委員会第13会議
施行 : 2010年7月1日 (同法第72条)
**2. 目的
国防建設を強化し、国防動員制度を整備し、国防動員工作の円滑な実施を保証し、国の主権、統一、領土保全及び安全保障を擁護するため(同法第1条)
**3. 背景
中国は1997年3月14日に公布・施工された「国防法」を皮切りに、有事法制の整備を進めてきており、「国防動員法」は「国防法」第8章の「国防動員及び戦争状態」で簡単に規定される国防動員制度をより具体化するもの。
**4. 主要文抜粋
&bold(){第8条}
&color(red){国の主権、統一、領土保全および安全保障が脅威を受けたとき}は、全人代常務委員会が憲法および関係の法律の規定に従い、全国総動員または局部的動員を決定する。&color(red){国家主席は全人代常務委員会の決定に基づき、動員令を発布する}。
&bold(){第9条}
国務院、中央軍事委員会は全国の国防動員工作を共同で指導し、国防動員工作の方針、政策および法規を制定し、全人代常務委員会に全国総動員または局部的動員の実施についての議案を提起し、全人代常務委員会の決定および国家主席が発布した動員令に基づき、国防動員の実施を手配する。
&color(red){国の主権、統一、領土保全および安全保障が脅威を受け、直ちに対応処置を取らなければならないときは、国務院、中央軍事委員会は緊急対応処置の必要に基づき、本法が定める必要な国防動員措置を取ると同時に、全人代常務委員会に報告することができる}。
&bold(){第14条}
国の主権、統一、領土保全および安全保障が受けた&color(red){脅威が取り除かれた後、国防動員を決定・実施する権限と手続きに従い、国防動員の実施措置を解除しなければならない}。
&bold(){第15条}
国は国防動員計画、国防動員実施マニュアルおよび&color(red){国防動員の潜在力の統計調査制度を実施する}。
&bold(){第22条}
国防と密接に関連する建設プロジェクトおよび&color(red){重要製品のリストは、国務院の経済発展総合管理部門が国務院のその他の関係部門および軍の関係部門と共に制定し、国務院、中央軍事委員会に認可を受けるために報告}する。
リストに盛り込む建設プロジェクトおよび重要製品は、その軍事的必要のため、軍の関係部門が提起し、建設プロジェクトの許認可および重要製品を設計・定型する際には、県級以上の人民政府の関係主管部門は規定に従い、軍の関係部門に意見を求めなければならない。
&bold(){第33条}
国は国防動員の必要に適した&color(red){戦略物資の備蓄および徴用制度を実施する}。戦略物資の備蓄は国務院の関係主管部門が実施を手配する。
&bold(){第35条}
戦略物資は国の関係規定に従って徴用される。国が国防動員の実施を決定した後、&color(red){戦略物資の徴用は国務院および中央軍事委員会が認可}する。
&bold(){第49条}
&color(red){満18歳から満60歳までの男性公民と満18歳から満55歳までの女性公民は国防役務を担当しなければならない}。ただし、次のいずれかに該当する者は国防役務を担当することを免除する。
+ 託児所、幼稚園および孤児院、養老院、障害者のリハビリ機関、支援ステーションなどの社会福利機関で管理およびサービス工作に従事している公民
+ 義務教育段階の学校の教育、管理、サービス工作に従事している公民
+ 妊娠中および授乳期にある女性公民
+ 疾病のため国防役務を担当することのできない公民
+ 労働能力を喪失している公民
+ 国連などの政府間国際機関に役務している公民
+ 県級以上の人民政府が国防役務の担当を免除したその他の公民
特定の国防役務を担当する特殊な専門的技能を持つ専門技術者は、前項に定める年齢制限を受けない。
&bold(){第54条}
国が国防動員の実施を決定した後、&color(red){備蓄物資が動員の必要を直ちに満たすことができない場合、県級以上の人民政府は法に則って民用資源に対して徴用を行うことができる}。
本法で言うところの民用資源とは、組織および個人が所有または使用する社会生産、サービスおよび生活に用いる施設、設備、場所およびその他の物資を指す。
&bold(){第55条}
いかなる組織および個人も法に則った民用資源の徴用を受け入れる義務を負う。
民用資源を使用する必要のある中国人民解放軍の現役部隊および予備役部隊、中国人民武装警官部隊、民兵組織は徴用要請を提起しなければならず、&color(red){県級以上の地方人民政府が徴用を統一的に手配する}。&color(red){県級以上の地方人民政府は徴用された民用資源を登記し、徴用を受けた者に受領書を交付しなければならない}。
&bold(){第58条}
&color(red){使用が完了した徴用された民用資源については、県級以上の地方人民政府が直ちに返還を手配する}。&color(red){改造したものは、元の使用機能を回復した後に返還しなければならない。修復不能または消失した場合、および徴用によって直接的経済損失を被った場合は、国の関係規定に基づいて補償を与える}。
&bold(){第68条}
国は国防動員の実施を決定した後、&color(red){必要に基づき法に則って国防動員を実施する区域で以下の特別措置を講じることができる}。
+ 金融、交通運輸、郵便、電信、新聞出版、ラジオ・映画・テレビ、情報ネットワーク、エネルギー・水源供給、医薬・衛生、食品および食料供給、商業貿易などの業種に対して統制を実施する
+ 人員の活動する区域、時間、方法および物資、運搬手段が出入りする区域に対して必要な規制を行う
+ 国家機関、社会団体および企業・事業単位で特殊な工作制度を実施する
+ 武装力に各種交通保障を優先的に提供する
+ 講じる必要のあるその他の特別措置
(了)
&sizex(3){情報元:2010年12月19日[[梅原克彦講演会]]資料}
*国防法中国語原文
-[[国防法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%B3%95]]
-[[国防動員法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E5%8A%A8%E5%91%98%E6%B3%95]]
-[[国防教育法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%95%99%E8%82%B2%E6%B3%95]]
-[[国防沙治沙法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%B2%99%E6%B2%BB%E6%B2%99%E6%B3%95]]
-[[国防洪法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%B4%AA%E6%B3%95]]
-[[国防震減災法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E9%98%B2%E9%9C%87%E5%87%8F%E7%81%BE%E6%B3%95]]
&sizex(3){出典元:WIKISOURCE}
*関連資料
-[[國家總動員法>http://ja.wikisource.org/wiki/%E5%9C%8B%E5%AE%B6%E7%B8%BD%E5%8B%95%E5%93%A1%E6%B3%95]](&sizex(3){出典元:WIKISOURCE})
-[[国家総動員法(口語訳)>http://hb4.seikyou.ne.jp/home/okinawasennokioku/okinawasentoyuujihousei/kokkasoudoinhou.htm]]
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「&bold(){国防動員法}」は、かつて日本にあった「国家総動員法(1938年(昭和13年)制定、1946年(昭和21年)4月1日廃止)」と共通点がある中国の法律です。
*主要文日本語翻訳
**1. 採択・施行
採択 : 2010年2月26日 第11期全人代常務委員会第13会議
施行 : 2010年7月1日 (同法第72条)
**2. 目的
国防建設を強化し、国防動員制度を整備し、国防動員工作の円滑な実施を保証し、国の主権、統一、領土保全及び安全保障を擁護するため(同法第1条)
**3. 背景
中国は1997年3月14日に公布・施工された「国防法」を皮切りに、有事法制の整備を進めてきており、「国防動員法」は「国防法」第8章の「国防動員及び戦争状態」で簡単に規定される国防動員制度をより具体化するもの。
**4. 主要文抜粋
&bold(){第8条}
&color(red){国の主権、統一、領土保全および安全保障が脅威を受けたとき}は、全人代常務委員会が憲法および関係の法律の規定に従い、全国総動員または局部的動員を決定する。&color(red){国家主席は全人代常務委員会の決定に基づき、動員令を発布する}。
&bold(){第9条}
国務院、中央軍事委員会は全国の国防動員工作を共同で指導し、国防動員工作の方針、政策および法規を制定し、全人代常務委員会に全国総動員または局部的動員の実施についての議案を提起し、全人代常務委員会の決定および国家主席が発布した動員令に基づき、国防動員の実施を手配する。
&color(red){国の主権、統一、領土保全および安全保障が脅威を受け、直ちに対応処置を取らなければならないときは、国務院、中央軍事委員会は緊急対応処置の必要に基づき、本法が定める必要な国防動員措置を取ると同時に、全人代常務委員会に報告することができる}。
&bold(){第14条}
国の主権、統一、領土保全および安全保障が受けた&color(red){脅威が取り除かれた後、国防動員を決定・実施する権限と手続きに従い、国防動員の実施措置を解除しなければならない}。
&bold(){第15条}
国は国防動員計画、国防動員実施マニュアルおよび&color(red){国防動員の潜在力の統計調査制度を実施する}。
&bold(){第22条}
国防と密接に関連する建設プロジェクトおよび&color(red){重要製品のリストは、国務院の経済発展総合管理部門が国務院のその他の関係部門および軍の関係部門と共に制定し、国務院、中央軍事委員会に認可を受けるために報告}する。
リストに盛り込む建設プロジェクトおよび重要製品は、その軍事的必要のため、軍の関係部門が提起し、建設プロジェクトの許認可および重要製品を設計・定型する際には、県級以上の人民政府の関係主管部門は規定に従い、軍の関係部門に意見を求めなければならない。
&bold(){第33条}
国は国防動員の必要に適した&color(red){戦略物資の備蓄および徴用制度を実施する}。戦略物資の備蓄は国務院の関係主管部門が実施を手配する。
&bold(){第35条}
戦略物資は国の関係規定に従って徴用される。国が国防動員の実施を決定した後、&color(red){戦略物資の徴用は国務院および中央軍事委員会が認可}する。
&bold(){第49条}
&color(red){満18歳から満60歳までの男性公民と満18歳から満55歳までの女性公民は国防役務を担当しなければならない}。ただし、次のいずれかに該当する者は国防役務を担当することを免除する。
+ 託児所、幼稚園および孤児院、養老院、障害者のリハビリ機関、支援ステーションなどの社会福利機関で管理およびサービス工作に従事している公民
+ 義務教育段階の学校の教育、管理、サービス工作に従事している公民
+ 妊娠中および授乳期にある女性公民
+ 疾病のため国防役務を担当することのできない公民
+ 労働能力を喪失している公民
+ 国連などの政府間国際機関に役務している公民
+ 県級以上の人民政府が国防役務の担当を免除したその他の公民
特定の国防役務を担当する特殊な専門的技能を持つ専門技術者は、前項に定める年齢制限を受けない。
&bold(){第54条}
国が国防動員の実施を決定した後、&color(red){備蓄物資が動員の必要を直ちに満たすことができない場合、県級以上の人民政府は法に則って民用資源に対して徴用を行うことができる}。
本法で言うところの民用資源とは、組織および個人が所有または使用する社会生産、サービスおよび生活に用いる施設、設備、場所およびその他の物資を指す。
&bold(){第55条}
いかなる組織および個人も法に則った民用資源の徴用を受け入れる義務を負う。
民用資源を使用する必要のある中国人民解放軍の現役部隊および予備役部隊、中国人民武装警官部隊、民兵組織は徴用要請を提起しなければならず、&color(red){県級以上の地方人民政府が徴用を統一的に手配する}。&color(red){県級以上の地方人民政府は徴用された民用資源を登記し、徴用を受けた者に受領書を交付しなければならない}。
&bold(){第58条}
&color(red){使用が完了した徴用された民用資源については、県級以上の地方人民政府が直ちに返還を手配する}。&color(red){改造したものは、元の使用機能を回復した後に返還しなければならない。修復不能または消失した場合、および徴用によって直接的経済損失を被った場合は、国の関係規定に基づいて補償を与える}。
&bold(){第68条}
国は国防動員の実施を決定した後、&color(red){必要に基づき法に則って国防動員を実施する区域で以下の特別措置を講じることができる}。
+ 金融、交通運輸、郵便、電信、新聞出版、ラジオ・映画・テレビ、情報ネットワーク、エネルギー・水源供給、医薬・衛生、食品および食料供給、商業貿易などの業種に対して統制を実施する
+ 人員の活動する区域、時間、方法および物資、運搬手段が出入りする区域に対して必要な規制を行う
+ 国家機関、社会団体および企業・事業単位で特殊な工作制度を実施する
+ 武装力に各種交通保障を優先的に提供する
+ 講じる必要のあるその他の特別措置
(了)&sizex(3){情報元:2010年12月19日[[梅原克彦講演会]]資料}
*国防法中国語原文
-[[国防法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%B3%95]]
-[[国防動員法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E5%8A%A8%E5%91%98%E6%B3%95]]
-[[国防教育法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%95%99%E8%82%B2%E6%B3%95]]
-[[国防沙治沙法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%B2%99%E6%B2%BB%E6%B2%99%E6%B3%95]]
-[[国防洪法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E9%98%B2%E6%B4%AA%E6%B3%95]]
-[[国防震減災法>http://zh.wikisource.org/zh/%E4%B8%AD%E5%8D%8E%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E9%98%B2%E9%9C%87%E5%87%8F%E7%81%BE%E6%B3%95]]
&sizex(3){出典元:WIKISOURCE}
*関連資料
-[[國家總動員法>http://ja.wikisource.org/wiki/%E5%9C%8B%E5%AE%B6%E7%B8%BD%E5%8B%95%E5%93%A1%E6%B3%95]](&sizex(3){出典元:WIKISOURCE})
-[[国家総動員法(口語訳)>http://hb4.seikyou.ne.jp/home/okinawasennokioku/okinawasentoyuujihousei/kokkasoudoinhou.htm]]
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