番外編第一話


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校長のかすれ声が体育館に響き渡る。
火鳥誇独は眠気を帯びた目を手の甲で擦った。
今日から新学期が始まる。高校一年生の幕開けだ。
だが、火鳥にとってそんな事はどうでもよかった。
彼は校長の式辞をよそに思考を巡らせていた。同級生との接触を最小限に抑える方法について。
生まれてこの方、他人との関係はアパートの大家さんを除いては最低限のものだった。
小・中学校もろくに友達を作らずじまいで終えた。
今までもこの生き方を貫いてきた。今更変える気はない。
結局、ナイスアイデアも浮かばないまま校長の式辞も終わり、入学式も終わった。

火鳥は下校の際に特に寄り道もせず、アパートの自室に帰宅した。
妙に眠たい・・・・今日はもう寝るか・・・・
身体の生理的反応に素直に従う為、畳の床に布団を敷いた。
布団に入り、目を閉じると、ある光景を思い出した。
それは、登校途中に目撃した奇怪な光景だ。
うっかり登校時間を忘れていたので出来るだけ早くにアパートを出ていた。
登校ルートはパソコンで調べ済みだったので、道に迷う心配はなかった。
アパートを出発して数分後のある路地を通る時、その光景に出くわした。
俺がこれから通うことになる学校の制服を着ていた、男子が、同じく通うことになる学校の制服を着た女子の胸倉を掴んでいるのだ。
こんなシチュエーションに出会わせたことがなくて、何か新鮮なものを感じていた。
女子の胸がやけにデカいのでセクハラ紛いの何かと思ったが、彼らの傍らを通り過ぎる際、横目で一瞥し、彼らの会話の一部が聞こえてきてその考えも吹き飛んだ。
どうやら登校時間についてで揉めているらしい。
俺にはその光景が微笑ましく思えた。
「友達か・・・・」
つい脳裏をよぎった言葉を口にしていた。
そして自分自身に驚異した。
今までこんな事一度も思った事が無いのに・・・・・・・・
これも精神の成長なんだろうと自分なりの答えを出しその場を後にしたのだった。
「友達か・・・・・・・・」
朝の登校の時の言葉をもう一度口にした。
言葉を発すると同時に強い眠気に襲われ、微睡に誘われ夢の世界に入るのであった。

(オンドルーン)
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