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燃料電池の歴史



何事も難しく考えるとそれから先へは進みにくくなります。

燃料電池も同様で水の電気分解の逆と考えればいいのです。

燃料電池は170年も昔にイギリスで発見されていますが

動力源として試作されだしたのは1930年になってからでした。


1965年に打ち上げられたアメリカの宇宙船ジェミニ5号や

続くジェミニ6号、7号に搭載されています。

最大の理由は小型軽量であったことですが当時はまだ技術の

確立されていない個体高分子タイプ(PAFC)を搭載したため

十分な発電能力が得られませんでした。


1973年に走行した世界初の燃料電池自動車は時速80kmで

300kmを完走しています。これはアルカリタイプ(AFC)でした。


今ではオモチャまで登場しガスライターの充填ボンベのような

小型水素ガススプレーで水素ガスを注入すると模型自動車が

ランプを点灯させて走行するという立派な大人のオモチャです。


1990年にカナダのベンチャー企業が燃料電池の小型化に

成功しこれによって世界的に注目されるようになりました。

したがってカナダが燃料電池先進国、アイスランドが水素立国を

めざし、アメリカ、ドイツ、日本がこれに続いています。


石油を大量に消費するのは自動車ですから誰もがまず石油に

代わる燃料源として注目するのは当然のことでした。

21世紀になってノートパソコン用にメタノール燃料電池が登場

しますが効率が低くコスト高になるので普及はしませんでした。


現在、水素を燃料とする燃料電池には次の5種類があります。

アルカリ型(AFC)動作温度120℃

固体高分子型(PEMFC)80℃

リン酸型(PAFC)200℃

溶融炭酸塩型(MCFC)650℃

固体電解質型(SOFC)900℃


宇宙船に使用されたのはジェミニが固体高分子型。しかしこれは

動作不安定でNG。アポロ宇宙船にはアルカリ型が使用され

期待通りの性能を発揮しました。

その後アメリカの電機メーカーGEが固体高分子型の性能向上に

取り組みますが頓挫。理由は体積が大きすぎることでした。

カナダのベンチャー企業が小型化に成功することによって

やっと日の目を見ることになります。


自動車搭載用は当然小型の個体高分子タイプになります。

燃焼効率はガソリン車の3倍にも達し廃棄物は水ですから

熾烈な開発競争が続いております。





燃料電池の仕組



燃料電池はオモチャになっているくらいですからその仕組みは

きわめて簡単で材料も安価ですし安全性も確保されています。

水を電気分解すると電気エネルギーが化学エネルギーに変換

されて水素と酸素が得られますが、この逆も可能で燃料の持って

いる化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。


常温型としては、

水素=酸素燃料電池

メタノール=酸素燃料電池

ヒドラジン=酸素燃料電池


高温型としては、

メタン=酸素燃料電池

プロパン=酸素燃料電池があります。


効率が良く小型で軽量。廃棄物は水なので宇宙船には最適です。

同様の理由で潜水艦にも早くから採用されてきました。

20年前まではコストを度外視できる分野に限られていましたが

近年の技術革新はこれを自動車にも積載可能にします。


とりわけ触媒として使用するプラチナの使用量が初期モデルの

1/10まで低下していて、さらなる改良でプラチナ・ルテリウム合金、

多孔質カーボン電極の採用で安価な製造法が可能になります。


イオン交換膜は燃料電池のパワーを決定づける重要な部分で

ナフィオン系からテフロン系へ移行し、より薄く、より強い膜の

開発が進められていてその種類は数十種類にも上っています。


液晶テレビがそうであったように電気技術者より化学技術者の

腕次第で製品の性能、耐久性、小型軽量化が劇的に向上する

ところまできています。


燃料電池の主要な構成材料は、

イオン交換膜

セパレーター

セルおよびスタック

プラチナ・合金触媒ときわめてシンプルです。


電気自動車同様ベンチャー企業がターゲットを主要材料の

ひとつに絞り込んで燃料電池自動車に最適の高規格品を

つくり出すチャンスが展開されています。


水素と酸素は燃焼すると非常に大きなエネルギーを放出します。

これをそのまま利用するとガソリンエンジンのように効率の悪い

ものになってしまいます。

そこで燃料電池ではこの燃焼過程を2つに分けることにします。

水素側では陽子と電子に分離した電子を取り出します。

酸素側では陽子を結合させた酸素に電子を反応させて水を得ます。

この役割をするのがイオン交換膜です。

膜厚を薄くすると高出力が得られますが寿命が短くなります。

膜厚を厚くすると出力が低下します。

両者相立たずは新製品開発にはつきものの現象です。


セパレーターは燃料電池の重量を決定する存在です。

総重量の8割を占めているため軽量化にはセパレーターをいかに

するかが決め手です。

強度、導電性、耐腐食性を兼ね備えた材料はカーボン系や

ステンレス系、チタン合金系などこれもたくさんの候補があります。


セルとスタックは従来の電池と同様で積層電池を意味します。

セル1個が2ミリ厚で0.8ボルトの電圧が取り出せるので目的に

応じて積層します。直列積層で電圧を、並列積層で電流が

決められ、コードなしの強力な電気掃除機ならすでに製品化は

可能になっています。高価な電気掃除機になるのでまだ誰も

買う気はしないでしょう。


プラチナ合金触媒は燃料電池の価格を決定づける材料です。

売れるも売れないもこの触媒次第ということになります。

このように燃料電池はまだまだ開発の余地がありニッカドや

リチウムイオン電池のように規格が確立するまでには

特許合戦が繰り広げられているのが現状です。

しかしカウントダウンは20年も前から開始されているので

今はカウントテンを切った段階といえるかもしれません。





燃料電池の応用



燃料電池はまず自動車用がシェアのトップになることは確実視

されています。本命は電気自動車ですがコスト次第では優位に

なると考えられます。軽くて長距離走行が可能なのがメリットです。

カナダのベンチャー企業「バラード社」の燃料電池に関する33件の

基本特許や周辺特許も2010年からは次々と切れる運命です。

トヨタが1000人近い研究員を投入していることからもその意気込みが

伺えます。アフターハイブリッドの本命ですから当然のことです。

自動車に関してはトヨタ次第です。

それによって水素供給ステーションや駐車場の役割が現在とは

かなり異なった形態になることが予想されます。


駐車場へ車を預けて駐車料金を支払うのは過去の遺物となり

電気代を駐車場から受け取るというビジネスモデルもあり得ます。

さらに進歩してすべての自動車に共通のOSさえ登場する可能性が

あります。共通OSは燃料電池とは別の次元ですが。


バスはすでに燃料電池バスが走行しているので問題はありません。

無音のオートバイやスクーターが続き、電気自転車も普通の自転車と

重量差が無くなります。これもコスト次第です。


電車の場合は計り知れない大きなメリットがあります。送電設備が

不要になりパンタグラフやブラシなどの集電設備も不要で大幅な

コストダウンにつながります。

飛行機も燃料電池を使用すれば無音の飛行機になって騒音問題が

一気に解決できるのですがそれはまだ無理。電池が重すぎます。

水素ジェットエンジンとか水素ターボエンジンでないと飛べません。

騒音は従来通りです。


船舶はすでに潜水艦での実績がたくさんあるので早くなります。

深海巡航探査機や深海調査船はすでに使用されています。

航続距離が長くなるので大きなメリットがあります。


一般家庭用としては家電メーカーやガス会社、住宅メーカーが

コージェネレーションシステムを開発していますがまだまだお粗末で

百万円単位の装置では売れないでしょう。よけいなお世話です。

ホテルやレストラン、病院など企業向けと考えるべきです。

数百万円も投資する装置ではそれに見合った消費が必要です。


商業ベースでは客に「売り」になるメリットが必須です。

ノートパソコンが20時間使用できるというのはあまり「売り」には

なりません。客がふりむいてくれるような「売り」が必要です。

携帯電話が1ヶ月充電なしで使えるのはメリットになるでしょう。


乗り物などの公共機関はメリットが大きいので普及は早いでしょうが

一般家庭用にはまだ「小さな親切、大きなお世話」的な存在です。

しかし将来コストダウンが進めば一気に普及するかもしれません。
















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