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*醒めない夢 大音京子は、月を眺めていた。 場所は、D-1。その断崖絶壁に、彼女は腰かけていた。 きれいな月だ---と、彼女は思った。 素直に、心の底から。こんな状態であるというのに、見上げた夜空に輝く満月を見て、感嘆していた。 「きれいね・・・本当に・・・」 返ってくる言葉は無い。そもそもこの地区には、彼女以外はいない。 それでも彼女は言葉を紡ぐ。ひとり言のような、けど誰かの反応を期待しているような。 返ってくる言葉は無い。 ■ 大音灯花と、大音京子。 名字は同じだが、彼女らは血のつながった親子ではない。 しかし、それでも。京子は灯花を実の娘と思っているし、灯花も京子を実の母親と思っている。 そこには固い絆があって、壊れることは無いはずだった。 少なくとも、あの瞬間までは。 永遠に続くと思っていた幸せは、消え去った。 どうすることもできないまま、守ることはおろか触れることもないまま、消え去った。 たちの悪い悪夢は、未だ消え去ることなく京子を蝕んでいく。 夢ではない。そう決めるのが、何より京子は怖かった。 ■ そうやっていくらか時間が経った頃。京子は、思いだしように傍らに置いてあるバッグを開けた。 中に入っていたものを一つ一つ取り出す。 食料、地図、参加者名簿、タオル、毛布、ロケットランチャー、アサルトライフル、防弾チョッキ。 皮肉ね。京子はおもわず笑い出しそうになった。 目の前にある、おそらくは基本支給品であろうものを除くと、あまりにも強力すぎる武器がそこにはある。 そのどれか一つをとっても、このゲームを有利に進めることは可能。いわば当たりの中でも最上位クラスの当たりが、京子にまとめて支給されていた。 (そんなに殺し合いに乗ってほしいということかしら。・・・灯花を生き返らせるために) この武器なら、特別高等人でもない一市民の京子が優勝すことは可能だ。 参加している他の人たちを、苦も無く倒せるだろう。強者にも十分に対抗できるだろう。 そして・・・優勝して灯花を生き返らせてもらうことも可能だろう。 何でも願いを叶える。灯花を殺した、憎い相手の言葉。信じられないが、もしそれを本当に叶えられるのなら・・・ 京子の思考が埋没していく。男の言葉が何度も脳内に何度も繰り返される。 乗る、か。乗らないか。 (・・・決まっているじゃない。最初から、そんなこと) 灯花。愛しの灯花。 彼女のいない世界なんて考えられないし、ありえるはずがない。 彼女の中心は灯花であって、彼女の全ては灯花のためだ。 たとえ血がつながって無かろうと。たとえ真の親子でなかろうと。 彼女たちは家族であり、親子であり、かけがえのない間柄なのだ。 だから、彼女は決めた。しごく、彼女にとって当たり前の選択をした。 ■ 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 会いたい。 触れたい。 話したい。 こんなに近くにいるのに。 手を伸ばせば触れれる距離なのに。 何故、私の体は動かないの? 何故、指一本として動いてくれないの? 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 お願いだから。 お願いだから。 そんな顔をしないで・・・ そんな目を向けないで・・・ 私は・・・私は・・・ 【一日目/1時00分頃/D-1】 【大音京子@車輪の国、向日葵の少女】 [状態] ? [装備] ? [所持品]? [思考・行動] 基本:? 1:? 【備考】 ・灯花エンド後からの参戦 |No.003:[[スローカーブ]]|[[投下順]]|No.005:[[目的は凛然なりて]]| |No.023:[[守るべきもの]]|[[時系列順]]|No.008:[[2A-18]]| |No.000:[[オープニング]]|大音京子||
*醒めない夢 大音京子は、月を眺めていた。 場所は、D-1。その断崖絶壁に、彼女は腰かけていた。 きれいな月だ---と、彼女は思った。 素直に、心の底から。こんな状態であるというのに、見上げた夜空に輝く満月を見て、感嘆していた。 「きれいね・・・本当に・・・」 返ってくる言葉は無い。そもそもこの地区には、彼女以外はいない。 それでも彼女は言葉を紡ぐ。ひとり言のような、けど誰かの反応を期待しているような。 返ってくる言葉は無い。 ■ 大音灯花と、大音京子。 名字は同じだが、彼女らは血のつながった親子ではない。 しかし、それでも。京子は灯花を実の娘と思っているし、灯花も京子を実の母親と思っている。 そこには固い絆があって、壊れることは無いはずだった。 少なくとも、あの瞬間までは。 永遠に続くと思っていた幸せは、消え去った。 どうすることもできないまま、守ることはおろか触れることもないまま、消え去った。 たちの悪い悪夢は、未だ消え去ることなく京子を蝕んでいく。 夢ではない。そう決めるのが、何より京子は怖かった。 ■ そうやっていくらか時間が経った頃。京子は、思いだしように傍らに置いてあるバッグを開けた。 中に入っていたものを一つ一つ取り出す。 食料、地図、参加者名簿、タオル、毛布、ロケットランチャー、アサルトライフル、防弾チョッキ。 皮肉ね。京子はおもわず笑い出しそうになった。 目の前にある、おそらくは基本支給品であろうものを除くと、あまりにも強力すぎる武器がそこにはある。 そのどれか一つをとっても、このゲームを有利に進めることは可能。いわば当たりの中でも最上位クラスの当たりが、京子にまとめて支給されていた。 (そんなに殺し合いに乗ってほしいということかしら。・・・灯花を生き返らせるために) この武器なら、特別高等人でもない一市民の京子が優勝すことは可能だ。 参加している他の人たちを、苦も無く倒せるだろう。強者にも十分に対抗できるだろう。 そして・・・優勝して灯花を生き返らせてもらうことも可能だろう。 何でも願いを叶える。灯花を殺した、憎い相手の言葉。信じられないが、もしそれを本当に叶えられるのなら・・・ 京子の思考が埋没していく。男の言葉が何度も脳内に何度も繰り返される。 乗る、か。乗らないか。 (・・・決まっているじゃない。最初から、そんなこと) 灯花。愛しの灯花。 彼女のいない世界なんて考えられないし、ありえるはずがない。 彼女の中心は灯花であって、彼女の全ては灯花のためだ。 たとえ血がつながって無かろうと。たとえ真の親子でなかろうと。 彼女たちは家族であり、親子であり、かけがえのない間柄なのだ。 だから、彼女は決めた。しごく、彼女にとって当たり前の選択をした。 ■ 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 会いたい。 触れたい。 話したい。 こんなに近くにいるのに。 手を伸ばせば触れれる距離なのに。 何故、私の体は動かないの? 何故、指一本として動いてくれないの? 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 灯花。 お願いだから。 お願いだから。 そんな顔をしないで・・・ そんな目を向けないで・・・ 私は・・・私は・・・ 【一日目/1時00分頃/D-1】 【大音京子@車輪の国、向日葵の少女】 [状態] ? [装備] ? [所持品]? [思考・行動] 基本:? 1:? 【備考】 ・灯花エンド後からの参戦 |No.003:[[スローカーブ]]|[[投下順]]|No.005:[[目的は凛然なりて]]| |No.034:[[ココロの声]]|[[時系列順]]|No.008:[[2A-18]]| |No.000:[[オープニング]]|大音京子||

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