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*bad end パン、と。廃村に乾いた音が鳴る。 ドサッ、と。何かが落ちる音がする。 いてて、と。月明かりに照らされて少女が立ちあがる。 「うわぁ……」 感嘆の声を上げながら、白鳥水羽は手にした物体と折れた残骸を見比べた。 「ベレッタM92。反動が少なく、初心者でも扱いやすい。その高い完成度は、世界中の警察や軍隊で使用されているほど……言うだけのことはあるわね……」 先ほど確認した説明を口上しながらも、水羽の意識は手にした物体――――ベレッタM92に注がれていた。 至近距離から放った銃弾は、誤ることなく的にした木片に穴を開け、その破片を撒き散らした。 想像していたよりもずっと反動は小さく、先ほどの尻餅も力み過ぎてバランスを崩しただけに過ぎない。 緊張から解かれた体は興奮に火照り、つい数分前とはうってかわって感情が高揚する。 「すごい……これが、本物……」 漏れた言葉には、恐れの色など微塵も感じ取れない。それどころか、憧憬の色すら見える。 それもそのはずで、水羽には任侠映画好きという、年頃の女の子にしては稀有な趣味をもっている。 ともすれば、なし崩し的に銃器類に対しても一種の憧憬の念を抱くのは自然な話である。 まだ温かい銃口を触りながら感嘆の声を上げるその姿は、新しいおもちゃを与えられた子どものような、正しく嬉々とした姿だった。 「おお……」 両手で構えてみたり片手で扱ってみたりと、興奮冷めやらぬままベレッタM92を弄ぶ。 それは正しく逃避以外の何物でもない行為だが、今の水羽にはそこまで考えが及ぶことは無い。 むしろこの異常な事態に、精神が自壊する前に落ち着くことが出来たのは不幸中の幸いであった。 ――――否。それは、果たして本当に幸いであったのか? 訳も分からぬままに説明を聞いたのは何分前の事だったか? 訳も分からぬままに闇夜に放り出されたのは何分前の事だったか? 訳も分からぬままにディパックを確認したのは何分前の事だったか? 訳も分からぬままにベレッタM92を手にしたのは何分前の事だったか? 此処に至るまでに、一体どれくらいの時間が経ったのか? そしてその過ぎ去った時間内に、彼女は一体何を為したのか? 仮に、彼女が少しでも冷静さを、持ち前の聡明さを発揮していたのならば。 仮に、彼女がディパックを確認するのを、少しでも後にしていたのならば。 仮に、彼女が手にしたベレッタM92を、興味のままに扱うことをしなかったのならば。 仮に、仮に、仮に――――そのような行動を一つでも取っていたとしても、それは此処に居る白鳥水羽には何の意味も無い世迷い言である。 ■ 廃村の、ある一画。 明かりも無い荒れ果てた室内で、乾いた音が鳴り響く。 「……可もなく、不可もなく」 怜悧な表情を崩すことなく、女性は手元の鉄塊を見やった。 コレについての知識は既に持ち合わせてある。その機能も、重さも、構成する部品も、何一つ余すところなく、だ。 とすれば、今必要なのは実際問題として正しく動作するか。ただそれだけ。 懸念すべき問題は完全には解消されてはいないものの、当面は『良し』。そう判断をつけると、女性は懐へとベレッタM92を忍ばせた。 「……良かったのかね?」 「構いません」 傍らから発せられた問いに、女性は振り向くことなく言葉を返した。 「貴方一人に支給品が占められていた以上、どんな形であれ自衛の為の道具が必要です。早々に手慣れた装備を入手できたのは僥倖でした」 二人分の荷物を手早く纏めると、そこで漸く、女性は声の方へと振り向いた。 「能力に大幅な制限が掛けられている。霊体化は不可。その上、真名すらも教えられない。 ……ですが、それでも貴方はサーヴァント。支給品として見なして宜しいのであれば、貴方ほど強力な武装は無いでしょう」 「御褒めに預かり、恐悦至極」 「貴方には然るべき時に働いてもらいます。宜しいですね、アーチャー」 「了解だ、マスター」 煤けたような白色の髪。 掠れたような褐色の肌。 赤い外陰に、黒のボディーアーマー。 月の光に照らしだされたのは、おおよそ現代の恰好にそぐわない姿の男性。 先に出る、という言葉に振り向きもせずに首肯し、女性はディパックを担ぎ直す。 そうして背後の骸に最後までただの一瞥をくれることもなく、久宇舞弥は廃屋を後にした。 【一日目/1時00分/B-3】 【久宇舞弥@Fate/Zero】 [状態] 健康 [装備] ベレッタM92 [所持品] 基本支給品×2、ランダムアイテム0~2、令呪×3 [思考・行動] 基本:衛宮切嗣、もしくはアイリスフィール・フォン・アインツベルンとの合流 1:切嗣、マダムとの合流 【備考】 ・参戦時期は原作二巻以降。 【一日目/1時00分/B-3】 【アーチャー@Fate/stay night】 [状態] 健康 [装備] [所持品] [思考・行動] 基本:? 1:舞弥についていく 【備考】 ・参戦時期は召喚前。 ■ 一体自分の身に何が起こったのか。白鳥水羽には未来永劫分かることはないだろう。 彼女が認知できたのは、足が払われ転倒し、右手首に激痛の一撃が見舞われた。ただそこまで。 脳が以降の苦しみを認知しないように働いた、と言えば聞こえはいい。 だがその意味は、眼前の恐怖に彼女の精神が自壊した、ということでもある。 誰もいなくなった廃屋の隅。 頭を撃ち抜かれ、物言わぬ冷たい躯となった身体。 月明かりすら届かぬ暗闇が、今の彼女の居場所だった。 &COLOR(red){白鳥水羽@G線上の魔王=死亡} |No.009:[[oath sign]]|[[投下順]]|No.011:[[light step]]| |No.007:[[2A-18]]|[[時系列順]]|No.011:[[light step]]| |COLOR(yellow):GAME START|久宇舞弥|| |COLOR(yellow):GAME START|アーチャー|| |COLOR(yellow):GAME START|COLOR(red):白鳥水羽|COLOR(red):GAME OVER|
*bad end パン、と。廃村に乾いた音が鳴る。 ドサッ、と。何かが落ちる音がする。 いてて、と。月明かりに照らされて少女が立ちあがる。 「うわぁ……」 感嘆の声を上げながら、白鳥水羽は手にした物体と折れた残骸を見比べた。 「ベレッタM92。反動が少なく、初心者でも扱いやすい。その高い完成度は、世界中の警察や軍隊で使用されているほど……言うだけのことはあるわね……」 先ほど確認した説明を口上しながらも、水羽の意識は手にした物体――――ベレッタM92に注がれていた。 至近距離から放った銃弾は、誤ることなく的にした木片に穴を開け、その破片を撒き散らした。 想像していたよりもずっと反動は小さく、先ほどの尻餅も力み過ぎてバランスを崩しただけに過ぎない。 緊張から解かれた体は興奮に火照り、つい数分前とはうってかわって感情が高揚する。 「すごい……これが、本物……」 漏れた言葉には、恐れの色など微塵も感じ取れない。それどころか、憧憬の色すら見える。 それもそのはずで、水羽には任侠映画好きという、年頃の女の子にしては稀有な趣味をもっている。 ともすれば、なし崩し的に銃器類に対しても一種の憧憬の念を抱くのは自然な話である。 まだ温かい銃口を触りながら感嘆の声を上げるその姿は、新しいおもちゃを与えられた子どものような、正しく嬉々とした姿だった。 「おお……」 両手で構えてみたり片手で扱ってみたりと、興奮冷めやらぬままベレッタM92を弄ぶ。 それは正しく逃避以外の何物でもない行為だが、今の水羽にはそこまで考えが及ぶことは無い。 むしろこの異常な事態に、精神が自壊する前に落ち着くことが出来たのは不幸中の幸いであった。 ――――否。それは、果たして本当に幸いであったのか? 訳も分からぬままに説明を聞いたのは何分前の事だったか? 訳も分からぬままに闇夜に放り出されたのは何分前の事だったか? 訳も分からぬままにディパックを確認したのは何分前の事だったか? 訳も分からぬままにベレッタM92を手にしたのは何分前の事だったか? 此処に至るまでに、一体どれくらいの時間が経ったのか? そしてその過ぎ去った時間内に、彼女は一体何を為したのか? 仮に、彼女が少しでも冷静さを、持ち前の聡明さを発揮していたのならば。 仮に、彼女がディパックを確認するのを、少しでも後にしていたのならば。 仮に、彼女が手にしたベレッタM92を、興味のままに扱うことをしなかったのならば。 仮に、仮に、仮に――――そのような行動を一つでも取っていたとしても、それは此処に居る白鳥水羽には何の意味も無い世迷い言である。 ■ 廃村の、ある一画。 明かりも無い荒れ果てた室内で、乾いた音が鳴り響く。 「……可もなく、不可もなく」 怜悧な表情を崩すことなく、女性は手元の鉄塊を見やった。 コレについての知識は既に持ち合わせてある。その機能も、重さも、構成する部品も、何一つ余すところなく、だ。 とすれば、今必要なのは実際問題として正しく動作するか。ただそれだけ。 懸念すべき問題は完全には解消されてはいないものの、当面は『良し』。そう判断をつけると、女性は懐へとベレッタM92を忍ばせた。 「……良かったのかね?」 「構いません」 傍らから発せられた問いに、女性は振り向くことなく言葉を返した。 「貴方一人に支給品が占められていた以上、どんな形であれ自衛の為の道具が必要です。早々に手慣れた装備を入手できたのは僥倖でした」 二人分の荷物を手早く纏めると、そこで漸く、女性は声の方へと振り向いた。 「能力に大幅な制限が掛けられている。霊体化は不可。その上、真名すらも教えられない。 ……ですが、それでも貴方はサーヴァント。支給品として見なして宜しいのであれば、貴方ほど強力な武装は無いでしょう」 「御褒めに預かり、恐悦至極」 「貴方には然るべき時に働いてもらいます。宜しいですね、アーチャー」 「了解だ、マスター」 煤けたような白色の髪。 掠れたような褐色の肌。 赤い外陰に、黒のボディーアーマー。 月の光に照らしだされたのは、おおよそ現代の恰好にそぐわない姿の男性。 先に出る、という言葉に振り向きもせずに首肯し、女性はディパックを担ぎ直す。 そうして背後の骸に最後までただの一瞥をくれることもなく、久宇舞弥は廃屋を後にした。 【一日目/1時00分/B-3】 【久宇舞弥@Fate/Zero】 [状態] 健康 [装備] ベレッタM92 [所持品] 基本支給品×2、ランダムアイテム0~2、令呪×3 [思考・行動] 基本:衛宮切嗣、もしくはアイリスフィール・フォン・アインツベルンとの合流 1:切嗣、マダムとの合流 【備考】 ・参戦時期は原作二巻以降。 【一日目/1時00分/B-3】 【アーチャー@Fate/stay night】 [状態] 健康 [装備] [所持品] [思考・行動] 基本:? 1:舞弥についていく 【備考】 ・参戦時期は召喚前。 ■ 一体自分の身に何が起こったのか。白鳥水羽には未来永劫分かることはないだろう。 彼女が認知できたのは、足が払われ転倒し、右手首に激痛の一撃が見舞われた。ただそこまで。 脳が以降の苦しみを認知しないように働いた、と言えば聞こえはいい。 だがその意味は、眼前の恐怖に彼女の精神が自壊した、ということでもある。 誰もいなくなった廃屋の隅。 頭を撃ち抜かれ、物言わぬ冷たい躯となった身体。 月明かりすら届かぬ暗闇が、今の彼女の居場所だった。 &COLOR(red){白鳥水羽@G線上の魔王=死亡} |No.009:[[oath sign]]|[[投下順]]|No.011:[[light step]]| |No.007:[[2A-18]]|[[時系列順]]|No.011:[[light step]]| |COLOR(yellow):GAME START|久宇舞弥|No.033:[[ラッキーガール]]| |COLOR(yellow):GAME START|アーチャー|No.033:[[ラッキーガール]]| |COLOR(yellow):GAME START|COLOR(red):白鳥水羽|COLOR(red):GAME OVER|

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