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*裏vs裏  口元をマフラーで隠し。  物思いに耽るように目を閉じて。 ■  会場には、約60名の参加者。  目立った名前は無し。一般人が大半。  ホールには何名か此方側の人間、若しくは近しい人間がいた。関係者か参加者かは現時点では不明。  多くは若者。高校生くらいが大半を占める。  首輪は爆発物。外そうとしたり、余計な刺激を与えると爆発する。  禁止エリアは放送ごとに告知。侵入すれば首輪が爆発。 「……」  そこまで考えて、斬島切彦は思考を放棄した。元より意味の無い思考であった。  ディバックを探ると、何の変哲もない包丁が出てきた。数は一本。他に特別なモノが見当たらないことから、おそらくこれが支給品なのだろう。  くるくると、危なげなく包丁を振るう。空気を切る音が響いた。   「……了解」  名簿に名前が無い。  その意味については未だ真意を図りかねるが、与えられた役割については理解できた。  『悪宇商会』の一員として、この喜劇をサポートしろ。  まだ年端もいかぬ少女。  輪をかけて小柄な体躯。  武器は包丁一本のみ。  条件は、傍から見れば無理難題もいいところである。  ――――だが、『斬島切彦』の名は常識を凌駕する。  裏十三家の一つにして、『刃』を使用することに長けた血筋。  代を重ねるごとに濃く、強く、束ねられた血は、一流の剣士程度を歯牙にもかけない。  そして、そんな『斬島』の中でも、この六十六代目『斬島切彦』は別格。  『刃』があれば、得物はなんでもいい。バタフライナイフでも遂行して見せよう。  包丁一本は、寧ろ過ぎた武装である。  仮に、もし、問題があるとすれば―――― 「はぁい、其処の包丁眺めている危ないお嬢さん。手を上げて、私の質問に答えてもらえるかしら?」  いつの間にかに後ろにいた、この命知らずの事か。 ■  朱鷺戸沙耶は後悔していた。  言うまでもなく、目の前に佇む危険人物に声をかけた事に対してだ。 (マズったかな?)  濃密過ぎる繰り返しの日々のおかげで、日常生活では必要の無い才能が培われた。  感謝はしよう。おかげで、相手がどれくらい強いかは分かった。  文句も言おう。おかげで、相手がどれくらい強いかが分かってしまった。 (……やっぱ、逃げればよかった)  どうせ気がつくのならば、声をかける前に気付きなさいよ。今となっては後の祭りだが、自分自身の馬鹿さ加減に最早溜息すら出てこなかった。  死に過ぎて馬鹿になったか、突然のことに呆けてしまったのか。どちらにせよスパイ失格である。   「手を上げて、こっちを振り向いてくれると嬉しいのだけど」  言いつつ、じりじりと後退する。なるべく足音を立てないように、静かに、ゆっくりと。  銃を構えているのは此方。  距離は大凡十メートル。  相手は後ろ向き。  条件だけを見れば、寧ろ分は此方にありそうである。  にも関わらず、勝てるヴィジョンが見えないのは何故か。 「……おい」  答えは簡単である。 「其処、退け」  相手の方が、段違いに強いから。  ――――ヒュッ  風切り音が鳴る前に動くことが出来たのは、ただ幸運なだけだった。  一歩、とはいわずに盛大に後退。ついでにディパックを前方に投擲して。  恐怖を前に思わず体が動いた形だったが、ソレが沙耶を救った。 「……へぇ」  刹那、細切れになるディパック。  言葉は必要なかった。彼我の差は、何よりも明白だった。 「っ!」  相手が何をするよりも速く、沙耶は後ろへと飛んだ。  背後は窓。勢いをつけた沙耶の身体は、軽々と窓を破った。  退路は予め確認してあった。スパイの基本事項である。 「このまま……っ!?」  がくん、と。地面を蹴ろうとして膝が落ちた。そのままロクな受け身も取れず突っ伏す。  何事かと振り返り、沙耶の思考は思わず止まった。止まってしまった。  ――――血を流す、踝。 「う、そ……」  アキレス腱を切られた。医学的な知識はないが、直感で理解した。   「やるじゃん」  そうして顔を上げれば、目の前には死神が。  無造作に構えられた包丁に、血は一滴たりとも付いていない。 「……化け物」 「そりゃ光栄だ」  開いていた筈の距離を一瞬で詰め、連撃も正確無比な一撃も思いのまま。これを化け物と言わずして、何と呼べばいいのか。  迂闊だった。自分の愚かさに臍を噛むが、全ては遅い。 「……あーあ、失敗しちゃった」  後悔はある。反省もある。納得など、当然ない。  だが、現実はあくまでも現実であり、何が変わるわけではない。  ならば受け入れよう。せめて、真っ直ぐに前を見て。 「……ごめんね」  一人の少年を想う。黒髪の、中性的な少年。  せめて、彼の進む道に光があることを願い―――― 「じゃあな」 &COLOR(red){朱鷺戸沙耶@リトルバスターズ! EX=死亡} ■ 「……どうも、重いな」  腕を振るう。  何気なく振るった筈なのに、どこか鈍い。  制限だろうか。広間での説明を鑑みれば、自分にも適用されているのは当然である。 「ま、つまるところ――――」  制限をものともせず盛り上げろ、ということか。  また面倒な案件を押しつけてくれたものだ。言葉にも表情にも出さないが、内心うんざりする。殺らせるなら素直に殺らせろというのに。  まぁ、これはこれで上にも考えが有るのだろう。『悪宇商会』の力を示す為でもあり、ヒマ人どもの欲を満たす為でもあり、己が力を示す為でもあり。  それに、たかだかこの程度で支障を来たすほど、『斬島切彦』の名は安くない。 「了解了解……いっつおーるらいと」  得物を収め、マフラーで口元を隠し。  おそらくはどこかで見ているであろう観客共に向けて、親指を下に向ける。  ――――さぁ、始めよう   【一日目/1時00分/G-5、住宅街】 【斬島切彦@紅】 [状態] 健康 [装備] 包丁 [所持品]基本支給品 [思考・行動] 基本:『悪宇商会』の一員として虐殺する 1:人が集まりそうな所へ向かう 【備考】 ・参戦時期は原作二巻以降 ・名簿に名前が載っていません |No.028:[[魔術師たちの夜]]|[[投下順]]|No.030:[[守るべきもの]]| |No.028:[[魔術師たちの夜]]|[[時系列順]]|No.016:[[深夜の図書館、少女が二人]]| |COLOR(yellow):GAME START|斬島斬彦|No.032:[[フィギュアスケーターと殺し屋と大男]]| |COLOR(yellow):GAME START|COLOR(red):朱鷺戸沙耶|COLOR(red):GAME OVER|
*裏vs裏  口元をマフラーで隠し。  物思いに耽るように目を閉じて。 ■  会場には、約60名の参加者。  目立った名前は無し。一般人が大半。  ホールには何名か此方側の人間、若しくは近しい人間がいた。関係者か参加者かは現時点では不明。  多くは若者。高校生くらいが大半を占める。  首輪は爆発物。外そうとしたり、余計な刺激を与えると爆発する。  禁止エリアは放送ごとに告知。侵入すれば首輪が爆発。 「……」  そこまで考えて、斬島切彦は思考を放棄した。元より意味の無い思考であった。  ディバックを探ると、何の変哲もない包丁が出てきた。数は一本。他に特別なモノが見当たらないことから、おそらくこれが支給品なのだろう。  くるくると、危なげなく包丁を振るう。空気を切る音が響いた。   「……了解」  名簿に名前が無い。  その意味については未だ真意を図りかねるが、与えられた役割については理解できた。  『悪宇商会』の一員として、この喜劇をサポートしろ。  まだ年端もいかぬ少女。  輪をかけて小柄な体躯。  武器は包丁一本のみ。  条件は、傍から見れば無理難題もいいところである。  ――――だが、『斬島切彦』の名は常識を凌駕する。  裏十三家の一つにして、『刃』を使用することに長けた血筋。  代を重ねるごとに濃く、強く、束ねられた血は、一流の剣士程度を歯牙にもかけない。  そして、そんな『斬島』の中でも、この六十六代目『斬島切彦』は別格。  『刃』があれば、得物はなんでもいい。バタフライナイフでも遂行して見せよう。  包丁一本は、寧ろ過ぎた武装である。  仮に、もし、問題があるとすれば―――― 「はぁい、其処の包丁眺めている危ないお嬢さん。手を上げて、私の質問に答えてもらえるかしら?」  いつの間にかに後ろにいた、この命知らずの事か。 ■  朱鷺戸沙耶は後悔していた。  言うまでもなく、目の前に佇む危険人物に声をかけた事に対してだ。 (マズったかな?)  濃密過ぎる繰り返しの日々のおかげで、日常生活では必要の無い才能が培われた。  感謝はしよう。おかげで、相手がどれくらい強いかは分かった。  文句も言おう。おかげで、相手がどれくらい強いかが分かってしまった。 (……やっぱ、逃げればよかった)  どうせ気がつくのならば、声をかける前に気付きなさいよ。今となっては後の祭りだが、自分自身の馬鹿さ加減に最早溜息すら出てこなかった。  死に過ぎて馬鹿になったか、突然のことに呆けてしまったのか。どちらにせよスパイ失格である。   「手を上げて、こっちを振り向いてくれると嬉しいのだけど」  言いつつ、じりじりと後退する。なるべく足音を立てないように、静かに、ゆっくりと。  銃を構えているのは此方。  距離は大凡十メートル。  相手は後ろ向き。  条件だけを見れば、寧ろ分は此方にありそうである。  にも関わらず、勝てるヴィジョンが見えないのは何故か。 「……おい」  答えは簡単である。 「其処、退け」  相手の方が、段違いに強いから。  ――――ヒュッ  風切り音が鳴る前に動くことが出来たのは、ただ幸運なだけだった。  一歩、とはいわずに盛大に後退。ついでにディパックを前方に投擲して。  恐怖を前に思わず体が動いた形だったが、ソレが沙耶を救った。 「……へぇ」  刹那、細切れになるディパック。  言葉は必要なかった。彼我の差は、何よりも明白だった。 「っ!」  相手が何をするよりも速く、沙耶は後ろへと飛んだ。  背後は窓。勢いをつけた沙耶の身体は、軽々と窓を破った。  退路は予め確認してあった。スパイの基本事項である。 「このまま……っ!?」  がくん、と。地面を蹴ろうとして膝が落ちた。そのままロクな受け身も取れず突っ伏す。  何事かと振り返り、沙耶の思考は思わず止まった。止まってしまった。  ――――血を流す、踝。 「う、そ……」  アキレス腱を切られた。医学的な知識はないが、直感で理解した。   「やるじゃん」  そうして顔を上げれば、目の前には死神が。  無造作に構えられた包丁に、血は一滴たりとも付いていない。 「……化け物」 「そりゃ光栄だ」  開いていた筈の距離を一瞬で詰め、連撃も正確無比な一撃も思いのまま。これを化け物と言わずして、何と呼べばいいのか。  迂闊だった。自分の愚かさに臍を噛むが、全ては遅い。 「……あーあ、失敗しちゃった」  後悔はある。反省もある。納得など、当然ない。  だが、現実はあくまでも現実であり、何が変わるわけではない。  ならば受け入れよう。せめて、真っ直ぐに前を見て。 「……ごめんね」  一人の少年を想う。黒髪の、中性的な少年。  せめて、彼の進む道に光があることを願い―――― 「じゃあな」 &COLOR(red){朱鷺戸沙耶@リトルバスターズ! EX=死亡} ■ 「……どうも、重いな」  腕を振るう。  何気なく振るった筈なのに、どこか鈍い。  制限だろうか。広間での説明を鑑みれば、自分にも適用されているのは当然である。 「ま、つまるところ――――」  制限をものともせず盛り上げろ、ということか。  また面倒な案件を押しつけてくれたものだ。言葉にも表情にも出さないが、内心うんざりする。殺らせるなら素直に殺らせろというのに。  まぁ、これはこれで上にも考えが有るのだろう。『悪宇商会』の力を示す為でもあり、ヒマ人どもの欲を満たす為でもあり、己が力を示す為でもあり。  それに、たかだかこの程度で支障を来たすほど、『斬島切彦』の名は安くない。 「了解了解……いっつおーるらいと」  得物を収め、マフラーで口元を隠し。  おそらくはどこかで見ているであろう観客共に向けて、親指を下に向ける。  ――――さぁ、始めよう   【一日目/1時00分/G-5、住宅街】 【斬島切彦@紅】 [状態] 健康 [装備] 包丁 [所持品]基本支給品 [思考・行動] 基本:『悪宇商会』の一員として虐殺する 1:人が集まりそうな所へ向かう 【備考】 ・参戦時期は原作二巻以降 ・名簿に名前が載っていません |No.028:[[魔術師たちの夜]]|[[投下順]]|No.030:[[守るべきもの]]| |No.028:[[魔術師たちの夜]]|[[時系列順]]|No.036:[[綾崎ハヤテの焦燥]]| |COLOR(yellow):GAME START|斬島斬彦|No.032:[[フィギュアスケーターと殺し屋と大男]]| |COLOR(yellow):GAME START|COLOR(red):朱鷺戸沙耶|COLOR(red):GAME OVER|

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