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醒めない夢



大音京子は、月を眺めていた。
場所は、D-1。その断崖絶壁に、彼女は腰かけていた。
きれいな月だ---と、彼女は思った。
素直に、心の底から。こんな状態であるというのに、見上げた夜空に輝く満月を見て、感嘆していた。

「きれいね・・・本当に・・・」

返ってくる言葉は無い。そもそもこの地区には、彼女以外はいない。
それでも彼女は言葉を紡ぐ。ひとり言のような、けど誰かの反応を期待しているような。


返ってくる言葉は無い。




大音灯花と、大音京子。
名字は同じだが、彼女らは血のつながった親子ではない。
しかし、それでも。京子は灯花を実の娘と思っているし、灯花も京子を実の母親と思っている。
そこには固い絆があって、壊れることは無いはずだった。

少なくとも、あの瞬間までは。

永遠に続くと思っていた幸せは、消え去った。
どうすることもできないまま、守ることはおろか触れることもないまま、消え去った。
たちの悪い悪夢は、未だ消え去ることなく京子を蝕んでいく。


夢ではない。そう決めるのが、何より京子は怖かった。




そうやっていくらか時間が経った頃。京子は、思いだしように傍らに置いてあるバッグを開けた。
中に入っていたものを一つ一つ取り出す。
食料、地図、参加者名簿、タオル、毛布、ロケットランチャー、アサルトライフル、防弾チョッキ。
皮肉ね。京子はおもわず笑い出しそうになった。
目の前にある、おそらくは基本支給品であろうものを除くと、あまりにも強力すぎる武器がそこにはある。
そのどれか一つをとっても、このゲームを有利に進めることは可能。いわば当たりの中でも最上位クラスの当たりが、京子にまとめて支給されていた。

(そんなに殺し合いに乗ってほしいということかしら。・・・灯花を生き返らせるために)

この武器なら、特別高等人でもない一市民の京子が優勝すことは可能だ。
参加している他の人たちを、苦も無く倒せるだろう。強者にも十分に対抗できるだろう。
そして・・・優勝して灯花を生き返らせてもらうことも可能だろう。
何でも願いを叶える。灯花を殺した、憎い相手の言葉。信じられないが、もしそれを本当に叶えられるのなら・・・
京子の思考が埋没していく。男の言葉が何度も脳内に何度も繰り返される。

乗る、か。乗らないか。

(・・・決まっているじゃない。最初から、そんなこと)

灯花。愛しの灯花。
彼女のいない世界なんて考えられないし、ありえるはずがない。
彼女の中心は灯花であって、彼女の全ては灯花のためだ。
たとえ血がつながって無かろうと。たとえ真の親子でなかろうと。
彼女たちは家族であり、親子であり、かけがえのない間柄なのだ。


だから、彼女は決めた。しごく、彼女にとって当たり前の選択をした。




灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。



会いたい。
触れたい。
話したい。


こんなに近くにいるのに。
手を伸ばせば触れれる距離なのに。


何故、私の体は動かないの?
何故、指一本として動いてくれないの?


灯花。
灯花。
灯花。
灯花。
灯花。


お願いだから。
お願いだから。


そんな顔をしないで・・・
そんな目を向けないで・・・


私は・・・私は・・・





【一日目/1時00分頃/D-1】
【大音京子@車輪の国、向日葵の少女】
[状態] ?
[装備] ?
[所持品]?
[思考・行動]
基本:?
1:?

【備考】
  • 灯花エンド後からの参戦



No.003:スローカーブ 投下順 No.005:目的は凛然なりて
No.034:ココロの声 時系列順 No.008:2A-18
No.000:オープニング 大音京子