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教諭として



暗殺者とは、名が示す通り、暗に殺すことに長けた者のことを指す。
もちろん、手段は問わない。どのような手でも、殺すことが第一だからだ。
策を弄じ、罠に嵌め、必要とあらば無関係な人間も巻き込む。
暗に殺すというのは、決して秘密裏に殺すことではない。
余計な情報をを周囲に与えないようにして殺すことだ。
ゆえに、暗殺者自身の命ですらも、時としては勘定に入る。

葛木宗一郎も、そんな暗殺者の一人であった。

あった、というのは、彼がすでにその稼業から遠のいているからだ。
今の宗一郎の職は、教職。これは、暗殺者であった頃に与えられた、仮の職である。
彼は標的の暗殺後、自決するよう組織に命じられていた。
しかし、自身の成果に疑問を抱いた宗一郎は、自決することなく教職を続けることになる。
意外なことに、任務後五年経過した今も、追手を仕向けられたことは無い。
それは、葛木宗一郎という存在を、暗殺用の道具としか見ていなかったからか。


何はどうあれ、彼は今も生きている。




「・・・・・・・・・ふむ」

名簿には、葛木宗一郎の知っている名前が載っていた。
衛宮士郎と間桐慎二の二名は学校の生徒。藤村大河は同僚である。
もっとも、知っているだけであって、さして仲が良いということではないのだが。

「・・・・・・・・・」

しかし、曲がりなりにも彼は教師である。
ともすれば、学校の生徒たちを守るのは当たり前。
殺し合いなどという、このふざけたゲームに乗るつもりは皆無だった。

「・・・・・・・・・」

説明書の内容も、一字一句として逃さずに覚える。
息を吐き、拳を軽く握る。
そしておもむろに構え、

――――バキッ

繰り出した拳が、目の前の大木を穿った。
引きぬくと、闇夜にもその威力が見てとれるように、穿った部分がへこんでいた。
対して、宗一郎の拳は無傷。血はおろか、痕すら残っていない。
その細身のどこにそんな力があるのか。
だが宗一郎は、彼にしては珍しく、その表情をわずかばかり不審げに歪ませていた。

「・・・・・・・・・」

彼は、暗殺用の道具として造られた。
造られたとは、文字通り、暗殺用の手ゴマとして幼少のころから造られてきたということである。
つまるところ、組織は彼を使い捨てのコマとしか認識しておらず、彼自身もそう自身を視ていた。
たった一度の暗殺のための道具。二千万円と二十年かけて造られた暗殺用具。
それが、葛木宗一郎である。
そのスタイルは、蛇といわれる特殊な暗殺拳を用いて標的を屠る。
いわば、無手。その身こそが武器。
探知器に引っかかることにない武器。
二千万円と二十年をかけて研いだ武器。
ただ一度の暗殺のための武器。
稼業から遠のいたとはいえ、衰えしっかりと認識していた。
しかし、今の現状ほど衰えているはずは無い。
本来なら、大木にその拳を埋め込むことは容易。

――――ヒュン

試しに、もう二三発打ち付ける。
しかし、

――――バキッ

穿てたのは、拳の半分ほど。
それが意味することはつまり。

「・・・・・・・・・肉体の急速な低下か」

そこで思い出す。壇上の神父が言っていた言葉を。

『なお、参加者の中には特殊な技能を持った者もいるだろう。
 そのような輩が一人勝ちをしないために、多少の制限が加えられている』

すなわち、これも制限の一種としてみなされているということ。
確かに、『蛇』は特殊ともいえる暗殺拳だ。
卓越した武芸者をもっても読めないその変幻自在な軌道。
一発で相手の頭を打ちぬく強力な一撃。
所見で見破られことは、まずありえない。
確かに、狩られる側としては理不尽としか言いようのない能力であろう。

「・・・・・・・・・」

軽く体を動いてみるが、どうにも鈍重に感じる。
身体にもいささか制限の影響がかけられているようだ。

「・・・・・・・・・ふ」

だが、それがどうしたというのか。
彼は教師だ。学園の生徒を守る教師だ。
思うことはあれど、自身の身体能力の低下に嘆いている場合ではない。

「ふむ・・・・・・・・・行くか」

目に映るのは、月明かりに照らされた建物。
よくは見えないが、広大な敷地であることは見てとれる。
おそらくは、参加者の一人や二人はこの建物を目指してくるに違いない。
暗殺者ではなく教諭として、葛木宗一郎は一歩を踏み出した。





【一日目/0時00分頃/B-6】
【葛木宗一郎@Fate/staynight】
[状態] 健康
[装備]
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム
[思考・行動]
基本: 生徒を守る
1:生徒たちを捜し、守る

【備考】
  • 本編開始前からの参戦



No.006:2A-18 投下順 No.008:剣と天使
No.001:ファーストエンカウント 時系列順 No.002:純粋
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