Labyrinth
誓ったんだ。
これからは、強く生きるって。
それでも。
皆を見捨てて、逃げだしたあの時のことを。
眼が覚めて、僕と鈴しか生き残れなかった現実を。
何よりも、それを受け入れてしまった僕自身を。
後悔しない日は、ない。
■
手にした金属バットは、驚くほど僕の手に馴染んでいて。
構え、踏みしめ、振るうまでの一連の動作は、一切滞る事が無かった。
嘆くわけではないけど、僕の体はお世辞にも恵まれているとは言い難い。
華奢で、小柄で。余計な肉が付いていないと言えば聞こえはいいが、女の子と間違えられるような肉質と言うのは、男児にとっては死活問題もいいところだ。
同部屋の幼馴染に合わせて鍛えた事もあったけど、生来から肉が付き難い体質なのか、筋肉質な体型になることはなかった。
つまりは……力仕事は、あまり得意じゃないんだ。
得意じゃ、なかったんだ。
「……僕は」
バットを振った。
ブン、と。
風切り音が鳴った。
「……僕は」
バットを振った。
ブン、と。
風切り音が鳴った。
「……僕は」
バットを振った。
ブン、と。
風切り音が鳴った。
「……僕は」
バットを振った。
ブン、と。
風切り音が鳴った。
「……僕は」
バットを振った。
今度は、風切り音は鳴らなかった。
「……僕、は」
体幹が崩れて、体が泳ぐ。
今度は、バットを振る事すら出来なかった。
「……」
僕は、神様なんて信じない。
奇跡は自分で起こす事が出来るんだから。
絶望は自分で決める事なんだから。
そう、あの時に。繰り返す一学期に学んだのだから。
学んだ、はずなのだから。
「……っ」
かさり、と。右手が何かに触れた。
視界の端に、一枚の紙が映りこむ。
参加者名簿との見出しが付いているそれは、ついさっきまで目にしていたやつだ。
「……ねぇ、恭介」
今は亡き……いや、亡いはずの友人の名前。
「……どうすればいいのかな」
井ノ原真人、棗恭介、能見クドリャフカ、宮沢謙吾。
赤ペンで線を引いた四人の名前を見ながら、僕は力なく言葉を零した。
「僕は……」
【一日目/0時30分/C-8、発電所内】
【直枝理樹@リトルバスターズ!エクスタシー】
[状態] 健康、精神消耗(小)
[装備]
[所持品]基本支給品、金属バット@リトルバスターズ!エクスタシー、ランダムアイテム×1~2
[思考・行動]
基本:?
1:?
【備考】
- Refrain、虚構世界から鈴と二人で脱出後からの参戦
最終更新:2015年11月29日 03:20