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真夜中の邂逅、少女と少女とサーヴァント



 目が見えねど、あの時の事はよく覚えている。
 冬の季節。閉ざされた森の奥。聳え立つ城の中。
 全幅の信頼を置いていた従者が倒れ。
 最後まで見届ける事なく両の眼を奪われ。
 自身の胸を無慈悲な何かが貫き。



 やめろ、と。



 その刹那の間に、確かに、あり得るはずの無い声が聞こえた。










「……それで。貴方が私のサーヴァント、ってことでいいかしら?」
「不服そうよの」
「ええ、勿論」

 少女――イリヤスフィール・フォン・アインツベルン――は隠そうともせずに不満をぶつけた。

「私のサーヴァントはバーサーカーって決まっているの。それを、アンタみたいな訳の分からない妙チクリンなのと挿げ替えられるなんて……」
「……ふむ。召喚されたと思わば、最初の仕事が幼子の子守とはな」
「……誰が幼子、だって?」
「誰、とは申してはおらぬが?」
「……たかだか一介のサーヴァントの分際で、よくもまぁ口が回るわね」
「おお、怖い怖い」

 姿は子どもであれど、その身から発せられる怒気は身を竦めるに十分。
 だというのに、相対する青年は愉快そうに笑うだけだ。
 飄々としたその態度に、諦めたようにイリヤスフィールは息を吐いた。

「……もういいわ。それで、貴方は何のサーヴァント?」
「アサシンだが」
「へ?」

 文字通り目を丸くするイリヤスフィール。
 その顔を、やはり愉快そうに眺めながら、青年は同じ言葉を繰り返した。

「アサシンだが」
「……え?」
「アサシン」

 ちょっと待ってね。右手で眉間を抑えながら、イリヤスフィールは思考をまとめる。
 アサシン?でもアサシンは歴代常々ハサンと決まっているはずだしそもそもフユキの聖杯戦争は西洋の英霊のみが召喚されるから日本のってか東洋の英霊は召喚されないはずだけどあれおかしいなぁ何か私間違えているかなぁてか百歩どころか一万歩譲ってコイツがアサシンであると仮定して話を進めても何でこのサーヴァントは着物姿にこんな長い刀を持ってるのかしらアサシンの名で召喚されるならもっと暗殺者向けに隠れたりとか気配を消したりとかするはずよねてかむしろ何でサムライなのよそこはニンジャでしょ暗殺者なんだからもっと忍びなさいよ隠れなさいよそんなに自己アピールなんてしなくていいから何でこんな見た目上品な着物なんて羽織っているのよこれじゃバーサーカーの方がまだ忍んでいたわよっとそういえばコイツどっかでみたことあると思ったらキャスターに使役されていた門番じゃない死者がサーヴァントを召喚するなんて裏技使ったからシステムに影響がでたのねってことは正規に則るべくもないわよねってそもそも考えたらこれって――――

「もし」
「……ブツブツ」
「……ふむ、其処の者。危害を加えるつもりは無いので出てきたらどうだ?」

 そもそもアインツベルンが聖杯をマキリが令呪をトオサカが土地をそれぞれ受け持ってフユキの聖杯戦争が出来たのだけど元となる大聖杯は別場所で保管してあるはずよね召喚システムを司っているのが大聖杯なんだから異変が起きた場合は大聖杯に問題があると考えるべきかしら過去の聖杯戦争についてもう少し詳しくお爺様に訊いておくべきだったわね迂闊だったわこれじゃあイレギュラーに対する策が限られてしまうわ困ったものねでも見たところコイツ反英霊でもなければ何かしらの悪害をもっているわけでもなさそうだからそこまで重要視する問題かしら一応小聖杯の立場から見ても贄としての価値は十分あるみたいだし役職が挿げ替えられただけどでも考えれば――――

「ええと、その恰好はコスプレ……ですか?」
「こすぷれ、とは?」
「その、特別なお仕事の服を着てみたり、普段着ることが出来ないような服を着て……楽しむこと?」

 でもでもちょっと落ち着きなさい私論点がずれているわ大聖杯で叶う願いは広義的に叶えられるものだから具体的に願わないと大惨事が起きるわその点私たちアインツベルンの願いは最初から決定されていて間違う余地が無いからいいけど仮に譲って御三家以外が願いを叶える場合って大聖杯の事を知らないから下手な願いを叶えてしまったときにアインツベルンにも被害が来る恐れがあるのよね例えば自分を一番すぐれた魔術師にしてほしいって文字通り自分の魔術師としての実力が上がるか自分以上の実力の魔術師が全員いなくなるという可能性もあるのよね前者だったら別にどうでもいいけど後者だったら死活問題よアインツベルンなくなっちゃうもし大聖杯に問題が起きていたらもっとひどい斜め上の解釈をされる可能性もあるわて何れにせよ――――

 ワー、スゴイ、ナガイ。ホントウノオサムライサマ?
 ハッハッハッ、ザンネンナガライッカイノヒャクショウゾ
 マタマタゴジョウダンヲ……



「……って、何しているのよアサシン!」










「初めまして、小牧愛佳といいます。宜しくね」
「初めまして、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと申します」
「わー、日本語上手だね。日本に住んでいたの?」
「ううん、勉強した……って、そうじゃなくてっ!」

 手元にあったディパックを振りかぶり、アサシンの顔面めがけて投げつける。

「何で談笑しているのよっ!」
「敵意も害意も皆無だったので、つい」
「つい、じゃないわよっ! 本当に貴方サーヴァント!?」
「はっはっはっ」
「ま、まぁまぁ。イリヤスフィールちゃん落ち着いて、ね?」

 慌てて仲裁に入る小牧愛佳高校二年生。
 確かにアサシンの発言通り敵意も害意も見られないが、問題はそこではない。そこではないのだ。

「~~~~~っ!」
「落ち着こう? ね?」

 優しく諭され頭を撫でられる。
 色々と言いたいことはあるが、とりあえずは落ち着く事も必要なのかもしれない。
 何よりこの身は千年の歴史を持つアインツベルン。この程度で取り乱すのは喜ばしく無い。

「ふむ、仲の良い姉妹か。些か妹の方は癇癪持ちのようだが」

 前言撤回。やっぱりコイツダメだ。

「お、落ち着いて。落ち着いて、ね?」
「おお、怖い怖い。恐ろしや、恐ろしや」
「マナカ、ちょっと離れてなさい? 巻き込まれても知らないわよ」
「だ、ダメだよ? 何をする気か分からないけどダメだよ!?」





【一日目/1時00分/C-6】
【アサシン@Fate/stay night】
[状態] 健康
[装備] 物干し竿(備中青江)
[所持品]
[思考・行動]
基本:?
1:マスター(イリヤ)に一応従う

【備考】
  • 参戦時期は召喚前



【一日目/1時00分/C-6】
【小牧愛佳@To Heart2 XRATED】
[状態] 健康
[装備]
[所持品] 基本支給品、ランダムアイテム×1~3
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない
1:諍いを止める

【備考】
  • 参戦時期は二年進級後










 覚えていないはずが無い。
 貫かれた衝撃も。
 抉り取られた心臓も。
 噴き出す鮮血も。
 消えていく生命も。

 忘れるはずが無い。
 確かに繋がっていたパスも。
 刻んだはずの絆も。
 傍にいた温もりも。
 もういない存在を。



 振る舞えぬなら取り繕う。
 隠せぬなら騒ぎたてよう。



 今はまだ。
 もう暫く。





【一日目/1時00分/C-6】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態] 健康
[装備] 令呪(アサシン)×3
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム×1~2
[思考・行動]
基本:?
1:?

【備考】
  • UBW、死亡後からの参戦




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No.011:light step 時系列順 No.016:バカシアイ
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