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あんなに一緒だったから



 目の前には二つの道があった。
 その二つには明確な違いがあって。
 どちらを選んでも苦しい道程であって。
 選んだ末の結果も喜ばしいものでなくて。

 ――――でも

 迷う時間は無くて。
 どちらかしか選択肢はないわけで。
 今こうしている間にも刻々と過ぎてゆくわけで。

 目の前を歩く少年に、視線を向ける。

 兄の友人で、自身の友人。
 自身の得意とするフィギュアスケートで話を咲かせ。
 いつもの場所でいつものように馬鹿騒ぎし。
 くだらない会話を交わせる。

 握った銃が、鳴いたような気がした。

 早く決めろと。
 早く行動しろと。
 ソレは魔女の誘いのように。
 ソレは悪魔の囁きのように。
 今、自分はどんな顔をしているのだろうか。
 今、自分はどんな表情をしているのだろうか。
 前を行く友は気付いているのだろうか。
 前を行く友は何を考えているのだろうか。
 足が重い。
 息が、苦しい。

「……あのさぁ」

 友の声に、慌てて意識を戻す。
 足は止まっていない。

「みんなさ、無事かな」

 始まって一時間。あてもなく歩く二人の足は、街の光を視認できる場所にまで来ている。

「あいつら、無事だよな」

 兄さん、うさみん、バッキー、みずは。
 呼ばれた皆は、無事でいられるのか。

「京介のヤツは……」



 心臓が、キュッと鳴いた。



 そんな気が、した。










 訳の分からぬままに参加をさせられて。
 訳の分からぬままに話を進められて。
 訳の分からぬままに目覚めて。
 それでいて、浅井花音は誰よりも奇異な理由でこのゲームのスタンスを確定させた。

「ごめんね……」

 足元に広がる血だまり。
 先ほどまでは動いていたはずの友。
 きっかけは意外なほどに単純で。
 選ばなかった片方の道は朽ち果て。
 もう、後戻りは出来ない。

「……あと、54人」

 最初に死んだ一人。
 自ら手にかけた一人。
 死んでほしくない兄。
 兄の為に頑張る自分。
 手にかけなくてはならない相手は、まだ沢山いる。

「頑張らなくちゃ」

 兄さんは自分が辛い時に一緒に居てくれた。
 兄さんは自分を何時だって励ましてくれた。
 兄さんは誰よりも何よりも私を選んでくれた。

「……待っててね、兄さん」



 ――――必ず、優勝させてあげるから。





【一日目/1時00分/G-5】
【浅井花音@G線上の魔王】
[状態] 健康
[装備] ニューナンブM60
[所持品]基本支給品、ランダムアイテム×1~2
[思考・行動]
基本:兄(浅井京介)を優勝させる
1:兄の優勝の為に動く

【備考】
  • 花音ルートより参戦


相沢栄一@G線上の魔王=死亡


No.023:コミカルライフ 投下順 No.025:Monsters
No.021:メイドと英霊 時系列順 No.027:幸運E
GAME START 相沢栄一 GAME OVER
GAME START 浅井花音 No.032:フィギュアスケーターと殺し屋と大男