小説


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「はぁっ・・・」
九州の熊本県熊本市に住む、山下智久ばりにイケメンだがいまいちパッとしない26歳の彼は悩んでいた。
どうやら、恋焦がれているハンゲームの女ID『reon@t』 は、自分では無い別の男の事が好きらしい。

「畜生・・・。なんで俺の事見てくれないんだよ・・・。俺がこんなに好きなのに・・・」
自分と話してる時には決して見せてくれない笑顔が、画面の向こうからも窺える。
明らかにそれは他の男、@まーり@に向けられている。 毎日モヤモヤし、嫉妬する日々を過ごしていた。

そんなある日の事だった。

「もしもしそこのアナタ」
底辺中の底辺バイト帰りに、中年のセールスマン風の男性が話し掛けてきた。
「はい?」
何時もなら街中でのこの手の声掛けは無視するのだが、何故か気まぐれで答えてしまった。
「悩んでますね・・・? 恋愛の事で」
「!?」
見透かされた・・・。いや、ここまでなら驚く必要性は皆無であろう。
彼ぐらいの20代の男性が恋愛で悩むのは珍しくない事だ。当てずっぽうでも当たる可能性は高いだろう。
だが・・・、

「ほう。ネットで知り合った年下の女の子に、片想いをしている・・・。相手は別の男性が好きなんですね? それは切ないですねぇ」
なんと、詳細に当てられてしまった。
「はい・・・。そうなんです・・・」はんばヤケクソ気味に、正直に白状する彼。
「では、これをあげましょう・・・。使うか使わないかはアナタ次第です」
と、粉が入っている『惚れ薬』と書かれているビンを差し出して来た。

説明書には、これを指定の量飲み物に混ぜて飲ませれば、相手が自分に惚れて、メロメロになると書かれていた。ただし効果は三日間限定・・・らしい。
副作用は絶対に無いらしいが、どうにも怪しい。

「だが・・・」
彼は藁にも縋りたい思いだった。
どう足掻いても、『reon@t』 は自分の事なんて振り向いてくれない・・・。
だったら、卑怯な手を使っても・・・と、悲しき決意をした。

「ふふふ。使うようですねえ。さてと・・・」
と笑いながら、何処へと向かうサラリーマン。

 ・・・そして後日・・・。

なんとか彼の巧みな話術により、
意中の女ID、『reon@t』に惚れ薬入りの飲料を飲ませる事に成功し、『reon@t』は自分に惚れてくれた。メロメロになった。付き合う事になった。
こんなに嬉しいのは、高級メロンを食べた最初の最後の日、の時以来の嬉しさだった。
だが、それから三日が経過したのだが、効果が切れない・・・。
「何故?」と、その日激しいキスまでこじつけた後、彼はふと疑問に思った。

すると、『reon@t』が口を開き説明を始めた。
実はあの惚れ薬は単なる風邪薬で、何の効果も無かったらしい。
セールスマンは彼に惚れ薬を渡した後、彼女にその旨を告げていたらしい。

「残念だよ・・・。惚れ薬に頼るなんて・・・」
と、『reon@t』は悲しそうに、吐き捨てるように言って来た。

『reon@t』は彼の想いにはなんとなく気付いていたので、最初から彼が惚れ薬なんかに頼らず、想いを告白して来てくれてたら応えようと思っていた。
だが彼は、自分に自信が無い故に、惚れ薬なんかに頼ってしまった。
彼が余りにも哀れなので同情心で、三日だけは茶番劇に付き合ってくれていたらしい。

そしてその様子を隠れて見物していたセールスマンは笑いながら呟く。

「三日間の夢を見る事さえ諦めれば、諦める勇気さえあれば、
 夢が永遠に叶ったのに・・・。残念ですねえ・・・。哀れな男ですねえ・・・」と。