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「4と6 ~バトルロワイアル同盟~」(2011/02/07 (月) 20:05:08) の最新版変更点
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**4と6 ~バトルロワイアル同盟~ ◆IRxFfnsX8c
最初は、その携帯電話を産廃同然だと毒づいた。
何しろ、通信機能は使えない。
圏外というわけではなく、元々備わっていないようだ。
そしてそのメモ機能にも何も記されていないだろうと思っていた。
「……【地図に記されたランドマークに到達する】……ねえ」
その名は『捜査日記』
刑事課長である来須圭悟が、部下から報告される捜査情報の全てが事前にわかる携帯電話。
一人でも多くの犯罪者をボコってやるために刑事になった彼に相応しい『未来日記』だ。
しかし『ゲーム』の中で彼は我欲に走り、未来、そして刑事としての己をねじ曲げた。
結果、捜査権限を失い日記は白紙となった、はずだった。
とは言え、今の結果も非常に頼りないものではあるが。
——まあ、もとよりその機能は期待していなかった。
もしその事件がなかったとしても、足となる捜査官たちがいないこの状況では能力を万全に発揮できないだろう。
添付された説明書によるとこれはレプリカであり、予知能力が弱まる代わりに『日記を破壊されると所持者も消える』という弱点も消えているという。
彼にとっては吉報である。予知自体が使えないならば少しでも不安要素はない方がいい。
「雪輝、我妻、9th……あいつらにとってはどうだか知らんが」
名簿に記された54人のうち知り合いはその3人。3人とも能力は違えど未来日記所持者である。
あと、『天野雪輝』のすぐ下に書かれた『戦場マルコ』という名は捜査の際に何度か聞いた覚えがある。有名なチンピラだ。
新たな『ゲーム』――バトルロワイアルの参加者が己の欲望のために争う者だという謎の男の言、
そして己も含めた規則性からすれば、彼も未来日記を所持しているはずだ。
「恐らく7thあたりか」
あたりを付ける。そして何番目であるにしろ、警戒するに越したことはない。
「雪輝はともかく我妻は危険だな……ただでさえ危ういのに、雪輝と切り離されたら話が通じん。9th……雨流はまだ話がわかるんだが」
そして知り合いをそのように分類し、しばし思案する。
支給された道具のうち、武器らしきものは大型のカッターナイフ。
あと武器と呼べるのは己の経験とこの頼りないレプリカの未来日記。
結論。
「動いてみなけりゃわからねえ、か」
刑事課長でこそなくなったが、駆け出し時代は足で稼いだものだ。
この日記も『捜査のため動いた結果』を現したものだろう。
「……北だ」
月に白く照らされた砂地を革靴が踏みしめた。
目印ひとつない砂漠をコンパスを頼りに進む。地図によると東および南は山になる。
地図の端になるこの箱庭の果てがどうなっているか興味がない訳ではないが、そこにある情報は少ないと考えるべきだろう。
この砂漠にあるランドマークといえば北西のオアシス、南東の石造りの建造物——遺跡か何かだろうか。
そして少し苦しいが北と西にある他地区との境界らしい川とそこにかかる橋、といったところ。
要するに、ランドマークにたどり着くなら北へ行けば最低でも川、うまくいけばオアシスに当たり、そこには人がいるかも知れない。
遺跡も心惹かれるが、他からのアクセスが悪すぎるし、遺跡の調査は刑事の管轄外だ。
彼の今の目的はこのバトルロワイアルの捜査をすることだ。
主催者はその言とそれを裏付ける実力から、まさしく『神』と呼ぶに相応しい力を持っているということになる。
『死ぬはずだった』はずの彼の身は五体満足だった。我妻由乃に撃たれて吹っ飛んだ左耳も綺麗に治っている。
あのデウス・エクス・マキナが協力、或いは『ゲーム』の趣旨替えをしたのかもしれない。
——しかし、捜査をしてどうする?
そんな考えが来栖の脳裏をよぎる。
12人の未来日記所持者による殺し合いのゲーム
その最初は宣言通り雪輝を保護しゲームをぶち壊しにするのが目的だった。
このバトルロワイアルという名の『ゲーム』前より遙かに厳しい。
主催者どもをボコッてやりたい、という意志はある。
しかしこの冷たい首輪もある。
そして、知っている————他人を押しのけ、殺し、神になってまで叶えたいという願いが、彼にも確かにあったことを。
「……お」
丘陵の上端から恐る恐る様子を伺うと、オアシスを発見した。
やはり『捜査日記』の記述通りになった。
レプリカに落としこむ際に仕様が変更され、警察の捜査状況から来栖自身の捜査情報が記録されるようになったのだ。
オアシスの草地に腰を落とし――無論油断することなく日記を再び検める。
【不審人物を発見。錯乱し襲いかかってくる】
「不審人物……? 誰もいないぞ?」
身を起こし注意深く見渡す。人影はない。残るは——
——水面から何かが飛び出した。
そしてそれはそのまま来栖の顔を掠め、赤い痕跡を残す。
もう少しずれていれば再び左耳が吹っ飛ぶ羽目に、更に悪ければ眉間に穴が空いていた。
「これは水……ウォーターカッター!?」
工業用とは、同じカッターでも随分な差別があったものだ。
「あなたの世界ではそう言うのですか?」
水泡に包まれた少年がオアシスの水面に立つ。
昔の漫画の忍者のようだな、と考える。
未来日記に因果律、異世界に新しい『ゲーム』に、これで忍者がいたところで不思議ではない気がした。
よく見ると付き従う異形の姿もあり、それも妙に忍者じみていた。
「ですがこの子はハルワタートといいます。そして僕はノール」
「……来栖。来須圭悟だ」
幾重もの水をまとった中性的な外見の少年。
似ているわけではないがどことなく雪輝を思い出す。
「クルスさんも参加者……なんですよね?」
「ああ」
「ということはあなたも殺し合いを?」
「……まあな」
最初の説明であったし嘘をつくよりはマシだろうとそう答えた途端、ノールの双眸から大量の涙が溢れ出した。
「嗚呼、何て業が深いのだろう! 僕たち防人だけでなく、争っている人がこの名簿の人数分も!」
少々自分に酔っている発言と共にハルワタートが活動を開始した。
「本当は戦いなんてしたくないけど……まして護神像を持たない人相手だけど……クルスさん、ごめんなさーーーーーーい!!」
大量の浮かぶ水弾が一気に来栖に襲いかかる。
横に飛び回避するが、ひとつが腹部に深く当たる。咳き込み血を吐く。
「ガハッ!」
(!? そのまま貫いて痛みもなく殺してあげるつもりだったのに! ハルワタート、調子が悪いのかい?)
初期位置が味方したこともあり、ハルワタートが万全の状態で戦えるようオアシスを陣取ることに成功したのに。
膝を付きつつも強い眼光で来栖が睨む。
「ひとつ聞いていいか? ……お前がそうまでして叶えたい『願い』って何だ?」
「……弟のミールが機械病に……うっうっ。だから僕は兄として出来る限りのことをしてあげたいんだ!」
来栖の心に楔が打ち込まれる。
来栖曜――彼の息子であり、医者にも匙を投げられ余命3ヶ月と判断された。
そのことが『ゲーム』自体の結果にはそれほど興味がなかった彼を、神に続く道へと走らせた。
間違っているのはわかっていた。だから白紙の日記を見た時、溜め込んだ鬱屈から解放された真っ白な気持ちだったのだが。
(まずいな。こいつや雪輝を助けてやりたい所だが……)
機械病。知らぬ名だが字面からして危ない雰囲気の病気を抱えた弟のため戦いを決心した少年。
しかしその望みを想うと自らの望みも膨れ上がってくるのだ。
ムルムルがいたならばその矛盾をからかうのだろう。
来栖同様回想が終わったノールは再び攻撃姿勢を取る。。
「ううっ……水弾がダメでも諦めないぞ! そうだ、溺れさせてしまえば……」
「!! 待て、ノール。俺と同盟を組まないか?」
これは天野雪輝や我妻由乃、雨流みねねにも仕掛けた勝利への希望である。
「同盟?」
「ああ。見るとそのハルワタート……だったか? 水のある場所が得意と見た。それならオアシスより水量の多い川の方が真価を発揮できるだろう」
「川……この青い線……それが全部水、ってことですか? ああ、嬉しそうだね、ハルワタート」
「ここから北上する。砂漠がしばらく続くが、川につくまでの間のバックアップは俺に任せろ」
「クルスさんがそんなことをする必要は……ハッ、これがお持ち帰」
「んなわけあるか。お前には川を行き来しながら情報を集めてほしい。そして12時間後、再びこのオアシスに集合し、情報交換を行う」
「クルスさんはその間……?」
「中央地区のどこかの市街地にいくさ。人も集まってくるだろう……血を見ることになりそうだがな」
ノールもオアシスに閉じこもっていてはダメだと薄々感づいていた。
だから、了承した。
そしてお互い「残り人数が少なくなったら同盟を破棄する」ということも視野に入れていた。
が、それは決して表に出さなかった——ノールの大粒の涙以外は。
連れ立って歩き出したとき、また一度捜査日記に目を通す。
【川を発見。ノールによると水質は良いようだ】
————やはり捜査員が増えると日記の記述もちょっとはマシになるようだな。
他にも同盟相手を探した方が良さそうだ。出来るなら雪輝や雨流がいい。
この日記が真価を発揮するのはいつになるだろうか。
【F-6(オアシス周辺)/1日目/深夜】
【来須圭悟@未来日記】
[状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。
[装備]:大型カッターナイフ@現実
[道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、不明支給品0~1(本人確認済み。武器はないようです)
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……?
1:集団や同盟関係を作りたい
2:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、我妻由乃、戦場マルコを警戒
3:ノールにやや共感
【ノール@waqwaq】
[状態]:健康
[装備]:ハルワタート@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする
1:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう!
2:ハルワタート、元気が無いなぁ
3:とりあえず言われたとおり川近辺を見まわる
【捜査日記のレプリカ@未来日記】
来須圭悟が未来に置いて捜査する、または提供される情報が少し書かれる。
壊れても来栖は死なない。また、携帯電話としての機能は使えない。
【大型カッターナイフ@現実】
安心と実績のオルファ式。結構切れる。
その気になれば人を殺せるが、リーチは他の刃物に比べ短い。
【ハルワタート@waqwaq】
防人の専用武器。意思疎通すれば周囲の水や空気中の水分を操ることが出来る。
また、合体することで威力が増す。
|[[A Boy(?)Meets A Girl(?)]]|投下順|[[赤龍激突]]|
|[[A Boy(?)Meets A Girl(?)]]|時系列順|[[赤龍激突]]|
|&color(aqua){GAME START}|来須圭悟|[[誰かの願いが叶うころ]]|
|&color(aqua){GAME START}|ノール|~|
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**4と6 ~バトルロワイアル同盟~ ◆IRxFfnsX8c
最初は、その携帯電話を産廃同然だと毒づいた。
何しろ、通信機能は使えない。
圏外というわけではなく、元々備わっていないようだ。
そしてそのメモ機能にも何も記されていないだろうと思っていた。
「……【地図に記されたランドマークに到達する】……ねえ」
その名は『捜査日記』
刑事課長である来須圭悟が、部下から報告される捜査情報の全てが事前にわかる携帯電話。
一人でも多くの犯罪者をボコってやるために刑事になった彼に相応しい『未来日記』だ。
しかし『ゲーム』の中で彼は我欲に走り、未来、そして刑事としての己をねじ曲げた。
結果、捜査権限を失い日記は白紙となった、はずだった。
とは言え、今の結果も非常に頼りないものではあるが。
――まあ、もとよりその機能は期待していなかった。
もしその事件がなかったとしても、足となる捜査官たちがいないこの状況では能力を万全に発揮できないだろう。
添付された説明書によるとこれはレプリカであり、予知能力が弱まる代わりに『日記を破壊されると所持者も消える』という弱点も消えているという。
彼にとっては吉報である。予知自体が使えないならば少しでも不安要素はない方がいい。
「雪輝、我妻、9th……あいつらにとってはどうだか知らんが」
名簿に記された54人のうち知り合いはその3人。3人とも能力は違えど未来日記所持者である。
あと、『天野雪輝』のすぐ下に書かれた『戦場マルコ』という名は捜査の際に何度か聞いた覚えがある。有名なチンピラだ。
新たな『ゲーム』――バトルロワイアルの参加者が己の欲望のために争う者だという謎の男の言、
そして己も含めた規則性からすれば、彼も未来日記を所持しているはずだ。
「恐らく7thあたりか」
あたりを付ける。そして何番目であるにしろ、警戒するに越したことはない。
「雪輝はともかく我妻は危険だな……ただでさえ危ういのに、雪輝と切り離されたら話が通じん。9th……雨流はまだ話がわかるんだが」
そして知り合いをそのように分類し、しばし思案する。
支給された道具のうち、武器らしきものは大型のカッターナイフ。
あと武器と呼べるのは己の経験とこの頼りないレプリカの未来日記。
結論。
「動いてみなけりゃわからねえ、か」
刑事課長でこそなくなったが、駆け出し時代は足で稼いだものだ。
この日記も『捜査のため動いた結果』を現したものだろう。
「……北だ」
月に白く照らされた砂地を革靴が踏みしめた。
目印ひとつない砂漠をコンパスを頼りに進む。地図によると東および南は山になる。
地図の端になるこの箱庭の果てがどうなっているか興味がない訳ではないが、そこにある情報は少ないと考えるべきだろう。
この砂漠にあるランドマークといえば北西のオアシス、南東の石造りの建造物——遺跡か何かだろうか。
そして少し苦しいが北と西にある他地区との境界らしい川とそこにかかる橋、といったところ。
要するに、ランドマークにたどり着くなら北へ行けば最低でも川、うまくいけばオアシスに当たり、そこには人がいるかも知れない。
遺跡も心惹かれるが、他からのアクセスが悪すぎるし、遺跡の調査は刑事の管轄外だ。
彼の今の目的はこのバトルロワイアルの捜査をすることだ。
主催者はその言とそれを裏付ける実力から、まさしく『神』と呼ぶに相応しい力を持っているということになる。
『死ぬはずだった』はずの彼の身は五体満足だった。我妻由乃に撃たれて吹っ飛んだ左耳も綺麗に治っている。
あのデウス・エクス・マキナが協力、或いは『ゲーム』の趣旨替えをしたのかもしれない。
――しかし、捜査をしてどうする?
そんな考えが来栖の脳裏をよぎる。
12人の未来日記所持者による殺し合いのゲーム
その最初は宣言通り雪輝を保護しゲームをぶち壊しにするのが目的だった。
このバトルロワイアルという名の『ゲーム』前より遙かに厳しい。
主催者どもをボコッてやりたい、という意志はある。
しかしこの冷たい首輪もある。
そして、知っている――――他人を押しのけ、殺し、神になってまで叶えたいという願いが、彼にも確かにあったことを。
「……お」
丘陵の上端から恐る恐る様子を伺うと、オアシスを発見した。
やはり『捜査日記』の記述通りになった。
レプリカに落としこむ際に仕様が変更され、警察の捜査状況から来栖自身の捜査情報が記録されるようになったのだ。
オアシスの草地に腰を落とし――無論油断することなく日記を再び検める。
【不審人物を発見。錯乱し襲いかかってくる】
「不審人物……? 誰もいないぞ?」
身を起こし注意深く見渡す。人影はない。残るは――
——水面から何かが飛び出した。
そしてそれはそのまま来栖の顔を掠め、赤い痕跡を残す。
もう少しずれていれば再び左耳が吹っ飛ぶ羽目に、更に悪ければ眉間に穴が空いていた。
「これは水……ウォーターカッター!?」
工業用とは、同じカッターでも随分な差別があったものだ。
「あなたの世界ではそう言うのですか?」
水泡に包まれた少年がオアシスの水面に立つ。
昔の漫画の忍者のようだな、と考える。
未来日記に因果律、異世界に新しい『ゲーム』に、これで忍者がいたところで不思議ではない気がした。
よく見ると付き従う異形の姿もあり、それも妙に忍者じみていた。
「ですがこの子はハルワタートといいます。そして僕はノール」
「……来栖。来須圭悟だ」
幾重もの水をまとった中性的な外見の少年。
似ているわけではないがどことなく雪輝を思い出す。
「クルスさんも参加者……なんですよね?」
「ああ」
「ということはあなたも殺し合いを?」
「……まあな」
最初の説明であったし嘘をつくよりはマシだろうとそう答えた途端、ノールの双眸から大量の涙が溢れ出した。
「嗚呼、何て業が深いのだろう! 僕たち防人だけでなく、争っている人がこの名簿の人数分も!」
少々自分に酔っている発言と共にハルワタートが活動を開始した。
「本当は戦いなんてしたくないけど……まして護神像を持たない人相手だけど……クルスさん、ごめんなさーーーーーーい!!」
大量の浮かぶ水弾が一気に来栖に襲いかかる。
横に飛び回避するが、ひとつが腹部に深く当たる。咳き込み血を吐く。
「ガハッ!」
(!? そのまま貫いて痛みもなく殺してあげるつもりだったのに! ハルワタート、調子が悪いのかい?)
初期位置が味方したこともあり、ハルワタートが万全の状態で戦えるようオアシスを陣取ることに成功したのに。
膝を付きつつも強い眼光で来栖が睨む。
「ひとつ聞いていいか? ……お前がそうまでして叶えたい『願い』って何だ?」
「……弟のミールが機械病に……うっうっ。だから僕は兄として出来る限りのことをしてあげたいんだ!」
来栖の心に楔が打ち込まれる。
来栖曜――彼の息子であり、医者にも匙を投げられ余命3ヶ月と判断された。
そのことが『ゲーム』自体の結果にはそれほど興味がなかった彼を、神に続く道へと走らせた。
間違っているのはわかっていた。だから白紙の日記を見た時、溜め込んだ鬱屈から解放された真っ白な気持ちだったのだが。
(まずいな。こいつや雪輝を助けてやりたい所だが……)
機械病。知らぬ名だが字面からして危ない雰囲気の病気を抱えた弟のため戦いを決心した少年。
しかしその望みを想うと自らの望みも膨れ上がってくるのだ。
ムルムルがいたならばその矛盾をからかうのだろう。
来栖同様回想が終わったノールは再び攻撃姿勢を取る。。
「ううっ……水弾がダメでも諦めないぞ! そうだ、溺れさせてしまえば……」
「!! 待て、ノール。俺と同盟を組まないか?」
これは天野雪輝や我妻由乃、雨流みねねにも仕掛けた勝利への希望である。
「同盟?」
「ああ。見るとそのハルワタート……だったか? 水のある場所が得意と見た。それならオアシスより水量の多い川の方が真価を発揮できるだろう」
「川……この青い線……それが全部水、ってことですか? ああ、嬉しそうだね、ハルワタート」
「ここから北上する。砂漠がしばらく続くが、川につくまでの間のバックアップは俺に任せろ」
「クルスさんがそんなことをする必要は……ハッ、これがお持ち帰」
「んなわけあるか。お前には川を行き来しながら情報を集めてほしい。そして12時間後、再びこのオアシスに集合し、情報交換を行う」
「クルスさんはその間……?」
「中央地区のどこかの市街地にいくさ。人も集まってくるだろう……血を見ることになりそうだがな」
ノールもオアシスに閉じこもっていてはダメだと薄々感づいていた。
だから、了承した。
そしてお互い「残り人数が少なくなったら同盟を破棄する」ということも視野に入れていた。
が、それは決して表に出さなかった――ノールの大粒の涙以外は。
連れ立って歩き出したとき、また一度捜査日記に目を通す。
【川を発見。ノールによると水質は良いようだ】
――――やはり捜査員が増えると日記の記述もちょっとはマシになるようだな。
他にも同盟相手を探した方が良さそうだ。出来るなら雪輝や雨流がいい。
この日記が真価を発揮するのはいつになるだろうか。
【F-6(オアシス周辺)/1日目/深夜】
【来須圭悟@未来日記】
[状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。
[装備]:大型カッターナイフ@現実
[道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、不明支給品0~1(本人確認済み。武器はないようです)
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……?
1:集団や同盟関係を作りたい
2:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、我妻由乃、戦場マルコを警戒
3:ノールにやや共感
【ノール@waqwaq】
[状態]:健康
[装備]:ハルワタート@waqwaq
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする
1:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう!
2:ハルワタート、元気が無いなぁ
3:とりあえず言われたとおり川近辺を見まわる
【捜査日記のレプリカ@未来日記】
来須圭悟が未来に置いて捜査する、または提供される情報が少し書かれる。
壊れても来栖は死なない。また、携帯電話としての機能は使えない。
【大型カッターナイフ@現実】
安心と実績のオルファ式。結構切れる。
その気になれば人を殺せるが、リーチは他の刃物に比べ短い。
【ハルワタート@waqwaq】
防人の専用武器。意思疎通すれば周囲の水や空気中の水分を操ることが出来る。
また、合体することで威力が増す。
|[[A Boy(?)Meets A Girl(?)]]|投下順|[[赤龍激突]]|
|[[A Boy(?)Meets A Girl(?)]]|時系列順|[[赤龍激突]]|
|&color(aqua){GAME START}|来須圭悟|[[誰かの願いが叶うころ]]|
|&color(aqua){GAME START}|ノール|~|
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