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「I can cry for you」(2011/11/25 (金) 17:12:06) の最新版変更点
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**I can cry for you ◆1yqnHVqBO6
人工精霊が金糸雀の周りで瞬く。
チカチカと。フワフワと。
人工精霊に金糸雀は微笑みかける。
「大丈夫」
大丈夫。そう、大丈夫。
彼女たちは生きている。
金糸雀に支給されたファウードの回復液を平と
わけあい、生命力を回復させることができたから。
放送が終わり。
平は知人の死を聴き、俯くと、
拳を震わせ、涙を流していた。
死者。
放送で呼ばれた名前。
「水銀燈」
金糸雀は部屋の中で一人、死した姉妹の名を呟く。
水銀燈。
狡猾で冷酷で、ただひたすらにアリスゲームを闘っていた薔薇乙女。
金糸雀は水銀燈とは他の姉妹と比べてともに過ごした時間が長かった。
向かい合った時間が長かった。
二人だけの想い出。
「貴女はどうやって闘ったのかしら」
朝日はもう昇ったはずなのに、
陽の光は水晶宮の奥までは届かない。
足音が、無骨な音が部屋へと続く廊下から聴こえてくる。
音が近づき、扉がそっと開けられる音がする。
平が遠慮がちに顔を出す。
出発の準備が整ったことを告げる。
ふかふかなベッド。
鞄の中で眠る薔薇乙女には無縁なさわり心地。
けれどもその心地良さは人形にもわかることができて。
けれども未練なく金糸雀はベッドから降りて。
平とともに出口へと続く廊下を歩く。
無言の中、鼻をすする音が絶えず聴こえる。
音を武器にする金糸雀はその音色がどうにも不快だった。
鼻水も涙もただただ流れるままであればいいのに。
大きな門が見える。
叩きつける吹雪の音が分厚い鉄を通り抜けて宮内に入る。
前を進む平の足が止まる。
天上を仰ぎ、頭を掻く。
「アカンな。おっちゃん、
こういう時なんて言うたらええのかわからんのや」
涙で濁っているだろうと思った声はそんなことはなく。
金糸雀が感じたのは小さな頭におかれた手だけ。
「少しだけ…………ここにいよか」
それはダメだと金糸雀は言おうとした。
なのに、声になるのは意味を成さない音ばかり。
死のないローゼンメイデン。
体が滅べば少し遠いところへ行くだけのローゼンメイデン。
視界が揺らいで姉妹たちとお茶を飲んで騒いだ光景が映る。
鏡はここにないのに。夢も見ていないのに。
楽しかった想い出が金糸雀の眼を覆っている。
想い出が眼から零れて。
けれども、そこには水銀燈の姿はない。
金糸雀は知っている。
姉妹もマスターも全てはアリスゲームのため。
だから正しいのはきっと水銀燈の方。
全ては究極の少女のための過程でしかない。
「水銀燈」
口から漏れるのはいなくなった姉妹の名前。
「どうして?」
金糸雀は知らない。
姉妹たちとお茶をしている間、水銀燈が独り何を想っていたのか。
何を願っていたのか。
黒い翼の彼女は行ってしまった。
遠い遠い過去だけ共有したまま行ってしまった。
小さな楽士に今の時代の想い出を何も遺さず。
何も教えず。
それがどうしようもなく金糸雀には悲しく、切なかった。
金糸雀は気づく。
涙も悲しみも引きずっていたのは平ではなく金糸雀であるということを。
泣いているのは彼女。
そんなことにこの瞬間まで気づかなくて。
気づいた後。
音、高らかに。金糸雀は泣いた。
【A-1/クリスタル・パレス/1日目/朝】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:水銀燈……
2:お父様、みんな……
3:マルコを探す? それとも放っておく?
[備考]
※支給品であるファウードの回復液@金色のガッシュは既に飲み干されました。
【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康
[装備]:ジョゾの服@ブレイブ・ストーリー~新説~
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:金糸雀が泣き終わった後、
金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
2:マルコを探す? それとも放っておく?
3:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。
|[[まもるヒトたち ]]|投下順|[[Holocaust(上)]]|
|[[まもるヒトたち ]]|時系列順|[[Holocaust(上)]]|
|[[悪夢の灯火]]|金糸雀|[[]]|
|~|平清|[[]]|
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**I can cry for you ◆1yqnHVqBO6
人工精霊が金糸雀の周りで瞬く。
チカチカと。フワフワと。
人工精霊に金糸雀は微笑みかける。
「大丈夫」
大丈夫。そう、大丈夫。
彼女たちは生きている。
金糸雀に支給されたファウードの回復液を平と
わけあい、生命力を回復させることができたから。
放送が終わり。
平は知人の死を聴き、俯くと、
拳を震わせ、涙を流していた。
死者。
放送で呼ばれた名前。
「水銀燈」
金糸雀は部屋の中で一人、死した姉妹の名を呟く。
水銀燈。
狡猾で冷酷で、ただひたすらにアリスゲームを闘っていた薔薇乙女。
金糸雀は水銀燈とは他の姉妹と比べてともに過ごした時間が長かった。
向かい合った時間が長かった。
二人だけの想い出。
「貴女はどうやって闘ったのかしら」
朝日はもう昇ったはずなのに、
陽の光は水晶宮の奥までは届かない。
足音が、無骨な音が部屋へと続く廊下から聴こえてくる。
音が近づき、扉がそっと開けられる音がする。
平が遠慮がちに顔を出す。
出発の準備が整ったことを告げる。
ふかふかなベッド。
鞄の中で眠る薔薇乙女には無縁なさわり心地。
けれどもその心地良さは人形にもわかることができて。
けれども未練なく金糸雀はベッドから降りて。
平とともに出口へと続く廊下を歩く。
無言の中、鼻をすする音が絶えず聴こえる。
音を武器にする金糸雀はその音色がどうにも不快だった。
鼻水も涙もただただ流れるままであればいいのに。
大きな門が見える。
叩きつける吹雪の音が分厚い鉄を通り抜けて宮内に入る。
前を進む平の足が止まる。
天上を仰ぎ、頭を掻く。
「アカンな。おっちゃん、
こういう時なんて言うたらええのかわからんのや」
涙で濁っているだろうと思った声はそんなことはなく。
金糸雀が感じたのは小さな頭におかれた手だけ。
「少しだけ…………ここにいよか」
それはダメだと金糸雀は言おうとした。
なのに、声になるのは意味を成さない音ばかり。
死のないローゼンメイデン。
体が滅べば少し遠いところへ行くだけのローゼンメイデン。
視界が揺らいで姉妹たちとお茶を飲んで騒いだ光景が映る。
鏡はここにないのに。夢も見ていないのに。
楽しかった想い出が金糸雀の眼を覆っている。
想い出が眼から零れて。
けれども、そこには水銀燈の姿はない。
金糸雀は知っている。
姉妹もマスターも全てはアリスゲームのため。
だから正しいのはきっと水銀燈の方。
全ては究極の少女のための過程でしかない。
「水銀燈」
口から漏れるのはいなくなった姉妹の名前。
「どうして?」
金糸雀は知らない。
姉妹たちとお茶をしている間、水銀燈が独り何を想っていたのか。
何を願っていたのか。
黒い翼の彼女は行ってしまった。
遠い遠い過去だけ共有したまま行ってしまった。
小さな楽士に今の時代の想い出を何も遺さず。
何も教えず。
それがどうしようもなく金糸雀には悲しく、切なかった。
金糸雀は気づく。
涙も悲しみも引きずっていたのは平ではなく金糸雀であるということを。
泣いているのは彼女。
そんなことにこの瞬間まで気づかなくて。
気づいた後。
音、高らかに。金糸雀は泣いた。
【A-1/クリスタル・パレス/1日目/朝】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:健康
[装備]:金糸雀のバイオリン@ローゼンメイデン、レーダーのレプリカ@BTOOOM!
[道具]:基本支給品、不明支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:ズル賢く立ち回る。
1:水銀燈……
2:お父様、みんな……
3:マルコを探す? それとも放っておく?
[備考]
※支給品であるファウードの回復液@金色のガッシュは既に飲み干されました。
【平清@BTOOOM!】
[状態]:健康
[装備]:ジョゾの服@ブレイブ・ストーリー~新説~
[道具]:基本支給品、BIM(ホーミングタイプ)×8@BTOOOM!、レーダー のレプリカ@BTOOOM!
[思考・状況]
基本行動方針:脱出する。
1:金糸雀が泣き終わった後、
金糸雀と身の安全が確信できるところまで行動を共にする。
2:マルコを探す? それとも放っておく?
3:信頼出来る仲間を探す。
[備考]
※4巻で指を切り落された以降の参戦です。
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|[[まもるヒトたち ]]|時系列順|[[Holocaust(上)]]|
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|~|平清|~|
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