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「幕はインガノックにて降ろされる」(2016/10/01 (土) 05:46:25) の最新版変更点
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*幕はインガノックにて降ろされる
「ねぇ、何処に行くのよ」
最高のフィナーレの先へと足を踏み入れたお姫様は、ふらふらになりながらもゆっくりと立ち上がる。
希望なんてあるはずがない。あったとしても、それは既に奪われている。
柿崎めぐは心中で吐き捨てて、囚われのヒロインというレッテルを踏み潰す。
“願い”は復讐。惜しみのない諦観の銃弾を解き放つ、血塗れのアリス。
「聞いてるの? 貴方、耳はちゃんと聞こえてる?」
「聞こえている。そう、答えを急がせるな」
その視線の先には、永遠を奪った王子様。
お姫様から花嫁を奪った――――世界の敵。
沢山の人を殺して、傷つけた殺人者、桐山和雄。
「俺は行く。いや、行かなくちゃいけない」
「何処に?」
「世界の果てだ」
「不条理だらけの物語を、正しに?」
「正しいかどうか、そんなのはそれぞれだ。人の数だけ、正義が在るのと同じだ」
不条理だらけの物語。継ぎ接ぎでボロボロの物語。
決して、ハッピーエンドには成り得ないラストゲームは誰かの自己満足によって、終わるだろう。
ワイルドセブンも、桐山も、めぐも。全員が全員、自分の意志を押し通そうと闘っているのだから。
「望もうが望まなかろうが。俺が俺じゃなくても。生きている以上、俺は誓おう。
そこに、“願い”が在るなら。走り続ける。世界の果てが見えても、飛び越えよう。
他の奴等と違えば、競合しかない。誰の“願い”も踏み潰さず進むことなど、不可能だ」
「……」
「だが、真実だ。全ての奴等が分かり合えるのは、幻想だ」
誰一人欠けることのない幸せの物語は、もう届かない。
だって、それは幻想に置いてきてしまったのだから。
「だからこそ、俺は――その幻想を殺そう。全ての“願い”をまっさらにして終わりにする」
「……最低」
「言っただろう、俺は」
「言わなくてもいいわ。知ってるわよ、全部。私の心臓には貴方が埋め込まれているもの。
知りたくもないのに、流し込まれる気分って陵辱に近いわ。強姦魔の桐山君?」
「…………」
「あら、だんまり? 別にいいわ、反応なんて期待していなかったし」
幻想を殺すことが沢山の人の“願い”を殺すことを理解している。
成した結果が崩壊の序曲を奏でようとも、いつかは復活の終曲になると信じて。
故に彼は、悪の文字を手に刻む。
傷つける覚悟を背負って、手を伸ばす。
「きゃっ」
桐山は、無理矢理にめぐの身体を抱き起こし、両の手で胸元へと引き寄せる。
突然の行動に可愛い悲鳴が出てしまったのは一生の恥だと苦く思いながらも、めぐは口を歪めて嘲笑う。
未だに、王子様を気取るのか。口には出さないが、表情に不快を貼り付けた。
「黙っていろ。舌を噛むぞ」
「い・や・よ。早く降ろしてくれない?」
めぐがされているのはいわゆるお姫様抱っこ、身体を横に縦にと視界がふらふらと動く。
なんとも言えない振動に、めぐは吐き出しそうになる胃液を抑え、ゆっくりと飲み込んでいった。
「そういう訳にはいかない。それとも、此処に置いていって欲しいのか?」
「貴方に触れられるぐらいならそっちの方がましね」
「それじゃあ、断る」
「はぁ?」
「言っただろ、傷つけると」
「まさか、この行為も?」
「そうだ」
「貴方、馬鹿でしょ?」
「学校の成績は良かった」
「そういう意味じゃないわよ」
軽口を叩きながら、王子様とお姫様は螺旋階段の終焉へと向かっていく。
その果てにある理想の居城、“願い”の果て。
物語の終わりが、待っている。
#########
そして、彼らは辿り着く。
#########
「……最後の試練、それは俺にも課されるという訳か」
「……」
螺旋階段の頂上、女神の居城への入り口。
ワイルドセブンが確かにくぐったはずの水晶のドアは、消えている。
ここから先は、最強のドールの一人舞台。
扉はありませんよ、桐山和雄。
そして、聞こえてくる女性の声。
この声は、誰だったか。いつ聞いたのか。
桐山の曖昧な記憶は、即座に思い出すことはできない。
「お前が、女神か」
ただ、不思議と、この声の主が女神だとわかってしまう。
直感でもなく、視覚聴覚からわかったのではなく。
それが、当たり前だと定められているかのように。
ええ。私が女神です。貴方の相棒であるワイルドセブン、七原秋也はこの先にいます。
「知っているなら、そこをどけ」
それは不可能です。彼は、最終試練の最中なのですから。
試練が終わるまでは如何なる者と言えども、通すことはできません。
女神の声は穏やかかつ、落ち着いていた。
平常であれば、何時までも聞いていたいと焦がれる程に、優しい声。
女神の名はやはり伊達ではない、と桐山は無表情の下でくるくると頭を回す。
「そうか。それが女神の理ならば、押し通る。俺は、俺の“願い”を叶える為にも、譲れない」
「……勝手にやっていなさいよ。私を巻き込まないで欲しいのだけれど」
「ここまで来たら、一蓮托生だ。俺とお前は繋がっているのだから」
「貴方がっ! 無理矢理っ! 繋いだんでしょうっ!」
未だ、抱き寄せられたままのめぐがぽかぽかと桐山の胸を叩く。
正直、全く痛くない。
されるがままの桐山はめぐを無視し、女神との応答を続ける。
このまま、待っていれば貴方は無事に生き残れるのですよ。
「確かに、俺は死ねない。だが、与えられた安寧に浸り続け、意志を通せない方が許せない」
貴方の傍らにいる少女のことはどうするのです?
「俺のわがままで連れてきただけだ。関係ない」
傲慢ですね、先程のワイルドセブン、七原秋也と同じ。
貴方が死ぬことでその少女はどうなるか知っての発言ですか?
「くどい。その程度で止まるやすい決意は持ち合わせていない」
「……すごく、嫌で嫌でたまらないけれど、私も同意見だわ。勝手に思いやられて、護られて。
冗談じゃないわ、吐き気がする。上から目線で勝手に憐れまないで」
勝手ばかりの女神など、いらない。
憎しみでしか繋がれない二人は奇しくも、初めて気があってしまう。
そのことに、桐山は少しの疲れを。めぐはありったけの嫌悪感を。
そうですか。それが貴方達が選んだ答えですね。
そうして、彼らの眼前で、光の本が突如現れる。
本は、勝手にめくり上がり、光速でページが進められる。
進んで、戻って。進んで、戻って。
それは時間で換算すると、数秒にも足らない時間だけど。
桐山達には永遠のように感じられる。
これは運命の奔流の中に産まれた一人の《奇械》の物語。
一つの悲劇から産み落とされた無数の明日の一つ。
閉塞された都市の真ん中で、紡ぐ運命を守りきった数式医と子供の。
歪みから、涙から、殺戮から、絶望から、
そして、覆せない運命から少女の明日を護り抜いた。
彼の意志を常に見続け少女の想いと意志が篭められた物語、インガノック。
それは、ワイルドセブンの時と同じように。
女神の言葉が紡がれていき、無から有へ。
我が光と我が子の物語を以って、
いでよ、私の《奇械》、我らの“終わってしまった”子供よ。
唯一つ、違うのは。
対話篇とは違うインガノックが、桐山に牙をむく。
貴方の勇気は私の勇気。
貴方の運命、あらゆる全ては私の運命。
肉体と彼に相応しい武具、防具が顕現され。
それは、鋼の右手を煌めかせ。
それは、太陽の如く、溶かし。
それは、光の如く、切り裂き。
鋼のきみ、《奇械》ポルシオン。
貴方の敵は貴方を育んだ運命を変えんとする
不遜極まる王子と姫、桐山和雄、または柿崎めぐ。
両の瞳に光が灯る。
光を生み出し濁流のように息吹が流れていく。
周囲をとりまく世界が日が落ちるように変わっていく。
――――――――――立ち塞がれ
そこは、なくなったはずの螺旋階段。
幾つもの運命を紡ぐ。止まったはずの時間を記録する。
消滅の力によって消されたはずである、存在しない世界。
世界のメモリーに記された紛れもないおとぎ話のひとつ。
この《奇械》には貴方達が乗り越えるべき運命も加わっています。
今や彼が運命そのもの。
分離した力である以上、
もはや私すら障害にはなれません。
同じ。同じ。ほとんどはワイルドセブンに告げた言葉と同じ。
ただ、ただ!
ワイルドセブンが乗り越えるの物語とは違って。
彼らが乗り越えるのは!
問いかけるのは、問い。
いつか、聞いた原初の質問。
Another LastQuestion、《勇気の物語》で《インガノック》を乗り越えてください。
今ならまだ引き返せます。
それでも――右手を伸ばしますか、伸ばしませんか?
「乗り越えるさ、その為に――俺は、此処にいる!」
「暑苦して嫌になるわ。だけど、困るの。ねぇ、桐山君。
こんな形で、死なせはしない。もっと、苦しんで、絶望して、涙して、その果てに死んでもらわないと」
右手を伸ばす。
伸ばした先に、明日がある。
止まってしまった未来が待っている。
だから、彼らは宣言する。
世界に、女神に。
「誰かが望んだ世界を! 俺はこの目で見る! 醜くとも、美しくとも!
ありのままの明日に走っていく為にも!」
「私の最後は、私が決める。要らない世話はお終いにしましょう、“お母様”」
【会場:とある都市の螺旋階段】
【最終試練――Another 開始】
|[[幕は対話篇にて降ろされる]]|投下順|[[きっと誰もが日曜日よりの使者]]|
|[[幕は対話篇にて降ろされる]]|時系列順|[[きっと誰もが日曜日よりの使者]]|
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*幕はインガノックにて降ろされる
「ねぇ、何処に行くのよ」
最高のフィナーレの先へと足を踏み入れたお姫様は、ふらふらになりながらもゆっくりと立ち上がる。
希望なんてあるはずがない。あったとしても、それは既に奪われている。
柿崎めぐは心中で吐き捨てて、囚われのヒロインというレッテルを踏み潰す。
“願い”は復讐。惜しみのない諦観の銃弾を解き放つ、血塗れのアリス。
「聞いてるの? 貴方、耳はちゃんと聞こえてる?」
「聞こえている。そう、答えを急がせるな」
その視線の先には、永遠を奪った王子様。
お姫様から花嫁を奪った――――世界の敵。
沢山の人を殺して、傷つけた殺人者、桐山和雄。
「俺は行く。いや、行かなくちゃいけない」
「何処に?」
「世界の果てだ」
「不条理だらけの物語を、正しに?」
「正しいかどうか、そんなのはそれぞれだ。人の数だけ、正義が在るのと同じだ」
不条理だらけの物語。継ぎ接ぎでボロボロの物語。
決して、ハッピーエンドには成り得ないラストゲームは誰かの自己満足によって、終わるだろう。
ワイルドセブンも、桐山も、めぐも。全員が全員、自分の意志を押し通そうと闘っているのだから。
「望もうが望まなかろうが。俺が俺じゃなくても。生きている以上、俺は誓おう。
そこに、“願い”が在るなら。走り続ける。世界の果てが見えても、飛び越えよう。
他の奴等と違えば、競合しかない。誰の“願い”も踏み潰さず進むことなど、不可能だ」
「……」
「だが、真実だ。全ての奴等が分かり合えるのは、幻想だ」
誰一人欠けることのない幸せの物語は、もう届かない。
だって、それは幻想に置いてきてしまったのだから。
「だからこそ、俺は――その幻想を殺そう。全ての“願い”をまっさらにして終わりにする」
「……最低」
「言っただろう、俺は」
「言わなくてもいいわ。知ってるわよ、全部。私の心臓には貴方が埋め込まれているもの。
知りたくもないのに、流し込まれる気分って陵辱に近いわ。強姦魔の桐山君?」
「…………」
「あら、だんまり? 別にいいわ、反応なんて期待していなかったし」
幻想を殺すことが沢山の人の“願い”を殺すことを理解している。
成した結果が崩壊の序曲を奏でようとも、いつかは復活の終曲になると信じて。
故に彼は、悪の文字を手に刻む。
傷つける覚悟を背負って、手を伸ばす。
「きゃっ」
桐山は、無理矢理にめぐの身体を抱き起こし、両の手で胸元へと引き寄せる。
突然の行動に可愛い悲鳴が出てしまったのは一生の恥だと苦く思いながらも、めぐは口を歪めて嘲笑う。
未だに、王子様を気取るのか。口には出さないが、表情に不快を貼り付けた。
「黙っていろ。舌を噛むぞ」
「い・や・よ。早く降ろしてくれない?」
めぐがされているのはいわゆるお姫様抱っこ、身体を横に縦にと視界がふらふらと動く。
なんとも言えない振動に、めぐは吐き出しそうになる胃液を抑え、ゆっくりと飲み込んでいった。
「そういう訳にはいかない。それとも、此処に置いていって欲しいのか?」
「貴方に触れられるぐらいならそっちの方がましね」
「それじゃあ、断る」
「はぁ?」
「言っただろ、傷つけると」
「まさか、この行為も?」
「そうだ」
「貴方、馬鹿でしょ?」
「学校の成績は良かった」
「そういう意味じゃないわよ」
軽口を叩きながら、王子様とお姫様は螺旋階段の終焉へと向かっていく。
その果てにある理想の居城、“願い”の果て。
物語の終わりが、待っている。
#########
そして、彼らは辿り着く。
#########
「……最後の試練、それは俺にも課されるという訳か」
「……」
螺旋階段の頂上、女神の居城への入り口。
ワイルドセブンが確かにくぐったはずの水晶のドアは、消えている。
ここから先は、最強のドールの一人舞台。
扉はありませんよ、桐山和雄。
そして、聞こえてくる女性の声。
この声は、誰だったか。いつ聞いたのか。
桐山の曖昧な記憶は、即座に思い出すことはできない。
「お前が、女神か」
ただ、不思議と、この声の主が女神だとわかってしまう。
直感でもなく、視覚聴覚からわかったのではなく。
それが、当たり前だと定められているかのように。
ええ。私が女神です。貴方の相棒であるワイルドセブン、七原秋也はこの先にいます。
「知っているなら、そこをどけ」
それは不可能です。彼は、最終試練の最中なのですから。
試練が終わるまでは如何なる者と言えども、通すことはできません。
女神の声は穏やかかつ、落ち着いていた。
平常であれば、何時までも聞いていたいと焦がれる程に、優しい声。
女神の名はやはり伊達ではない、と桐山は無表情の下でくるくると頭を回す。
「そうか。それが女神の理ならば、押し通る。俺は、俺の“願い”を叶える為にも、譲れない」
「……勝手にやっていなさいよ。私を巻き込まないで欲しいのだけれど」
「ここまで来たら、一蓮托生だ。俺とお前は繋がっているのだから」
「貴方がっ! 無理矢理っ! 繋いだんでしょうっ!」
未だ、抱き寄せられたままのめぐがぽかぽかと桐山の胸を叩く。
正直、全く痛くない。
されるがままの桐山はめぐを無視し、女神との応答を続ける。
このまま、待っていれば貴方は無事に生き残れるのですよ。
「確かに、俺は死ねない。だが、与えられた安寧に浸り続け、意志を通せない方が許せない」
貴方の傍らにいる少女のことはどうするのです?
「俺のわがままで連れてきただけだ。関係ない」
傲慢ですね、先程のワイルドセブン、七原秋也と同じ。
貴方が死ぬことでその少女はどうなるか知っての発言ですか?
「くどい。その程度で止まるやすい決意は持ち合わせていない」
「……すごく、嫌で嫌でたまらないけれど、私も同意見だわ。勝手に思いやられて、護られて。
冗談じゃないわ、吐き気がする。上から目線で勝手に憐れまないで」
勝手ばかりの女神など、いらない。
憎しみでしか繋がれない二人は奇しくも、初めて気があってしまう。
そのことに、桐山は少しの疲れを。めぐはありったけの嫌悪感を。
そうですか。それが貴方達が選んだ答えですね。
そうして、彼らの眼前で、光の本が突如現れる。
本は、勝手にめくり上がり、光速でページが進められる。
進んで、戻って。進んで、戻って。
それは時間で換算すると、数秒にも足らない時間だけど。
桐山達には永遠のように感じられる。
これは運命の奔流の中に産まれた《奇械》の物語。
とある悲劇から産み落とされた無数の明日の一つ。
閉塞された都市の真ん中で、紡ぐ運命を守りきった数式医と子供の。
歪みから、涙から、殺戮から、絶望から、
そして、覆せない運命から少女の明日を護り抜いた。
彼の意志を常に見続けた子供の想いと意志が篭められた物語、インガノック。
それは、ワイルドセブンの時と同じように。
女神の言葉が紡がれていき、無から有へ。
我が光と我が子の物語を以って、
いでよ、私の《奇械》、我らの“終わってしまった”子供よ。
唯一つ、違うのは。
対話篇とは違うインガノックが、桐山に牙をむく。
貴方の勇気は私の勇気。
貴方の運命、あらゆる全ては私の運命。
肉体と彼に相応しい武具、防具が顕現され。
それは、鋼の右手を煌めかせ。
それは、太陽の如く、溶かし。
それは、光の如く、切り裂き。
鋼のきみ、《奇械》ポルシオン。
貴方の敵は貴方を育んだ運命を変えんとする
不遜極まる王子と姫、桐山和雄、または柿崎めぐ。
両の瞳に光が灯る。
光を生み出し濁流のように息吹が流れていく。
周囲をとりまく世界が日が落ちるように変わっていく。
――――――――――立ち塞がれ
そこは、なくなったはずの螺旋階段。
幾つもの運命を紡ぐ。止まったはずの時間を記録する。
消滅の力によって消されたはずである、存在しない世界。
世界のメモリーに記された紛れもないおとぎ話のひとつ。
この《奇械》には貴方達が乗り越えるべき運命も加わっています。
今や彼が運命そのもの。
分離した力である以上、
もはや私すら障害にはなれません。
同じ。同じ。ほとんどはワイルドセブンに告げた言葉と同じ。
ただ、ただ!
ワイルドセブンが乗り越えるの物語とは違って。
彼らが乗り越えるのは!
問いかけるのは、問い。
いつか、聞いた原初の質問。
Another LastQuestion、《勇気の物語》で《インガノック》を乗り越えてください。
今ならまだ引き返せます。
それでも――右手を伸ばしますか、伸ばしませんか?
「乗り越えるさ、その為に――俺は、此処にいる!」
「暑苦して嫌になるわ。だけど、困るの。ねぇ、桐山君。
こんな形で、死なせはしない。もっと、苦しんで、絶望して、涙して、その果てに死んでもらわないと」
右手を伸ばす。
伸ばした先に、明日がある。
止まってしまった未来が待っている。
だから、彼らは宣言する。
世界に、女神に。
「誰かが望んだ世界を! 俺はこの目で見る! 醜くとも、美しくとも!
ありのままの明日に走っていく為にも!」
「私の最後は、私が決める。要らない世話はお終いにしましょう、“お母様”」
【会場:とある都市の螺旋階段】
【最終試練――Another 開始】
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